素数考・序_数から形態へ

Page 1



素数考・序_数から形態へ Study of Prime_ Number to Space _ Etude



はじめに 建築の「かたち」 、の作り方に大きく興味を持っている。これまで作っ てきたものを振り返ってみると、世の様々な事象の秩序から幾何学を見 出し、空間へ展開させている。空間として起こし、模型を作っていくう ちに込み上げてくるのは、かたちに対する並々ならぬ愛着である。その 形態の純度、そしてその内部に広がる世界…。いかにしてその純度を作 り出すのか、それをどのように建築にするのか。 「かたち」を作っていく中で、様々な学びを得ることができる。事象の 秩序、その背後に存在する性質、など。これらのルールは単に建築空間 および形態を作るためのツールとして扱われている訳ではない。同時に 建築という行為自体がこれらのルール・秩序について学びを得られる契 機となっている。建築という行為自体はマッシブでリアルな量塊、また はライトで透明な空気を構想するのみには限られないと思う。知を獲得 し、異なる体系の中で自由に行き来するような知の営みとして存在して ほしいと考える。 今回のプロジェクトは、これまで以上に抽象度を上げた、数の世界への 冒険を行おうとしている。なかでも特異点であり数直線上で不規則なプ ロッティングがなされている素数について考えていきたい。世界の構造 を示す最も洗練されたこの数の世界からいかにして空間を作り出すの か。数のもつ特質がいかにして形態に体現させることができるのであろ うか。

今回は素数から形態を造形していく素数考の草稿としたい。

05

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


素数 素数の性質 素数 (prime number) は約数を1と自分自身しか持たない数のことを指す。逆に、 1と自分自身以外の約数を持つ数のことを合成数と呼ぶ。2以降の素数は全て奇 数であることもわかる。 素数の興味深いところは、まず数直線を見渡せば、その配置は非常に不規則なも のであることが挙げられる。いまだに、素数の配列を一般化させるような数式を 設定できていないでいるのである。そして素数は同時に無限に存在していること がわかっている。素数の無限とそのランダム性は fig.01 のウラムの螺旋によって 示される。 次に、2と5以外の素数の逆数は循環小数になることがわかる。この循環小数は 特異な性質を持つことがわかる。素数の中でも、7と13を今回のケースステディ に扱っており、それらの性質から循環小数の性質を見ていきたいため、説明は次 項に譲る。 ここでは素数のもう一つの性質について見ていきたい。素数分母の g 進展開である。 ここで、a,b を素数とし、既約分数 a/b を定義する。 ag = q1 × b+r1 ⇒

ga ≡ r1 (mod b)

gr1 = q2 × b+r2 ⇒

gr1 ≡ r2 (mod b)

ar2 = q3 × b+r3 ⇒

gr2 ≡ r3 (mod b)

… arj-1 = qj × b+rj ⇒

gj-1 ≡ rj (mod b)

ここで、さらに: ag^2 = gr1 ≡ r2 (mod b) このような演算を繰り返すと: ag^j=⋯ ≡ rj (mod b) となる。 ここで、一般化された形で素数分母の g 進展開により、合同式の形で剰余項 rj は 初項 ag、公比 g の等比数列であることが導出された。剰余項は一見無秩序な数の 連なりであるが、このように g 進数ということなる指標を導入することで、背後 には整然とした秩序が存在していることがわかる。 ここから推察できるのは、秩序というものは表層的(これは悪い意味ではなく) なところでその本質を反映するかのように表出する場合もあれば、今回の例のよ うに特定のフィルターをかけることで無秩序なものから突如として表出すること もあるわけだ。さらに興味深いのは、素数のように割り算という演算のルールの 中では一見分解不可能なものが剰余系という「メス」を入れることによってその 内部に存在する構造が暴かれたという点である。

素数考・序_数から形態へ

06


fig.01 素数の配置を螺旋状に表したウラムの螺旋

剰余系からの学び 剰余系というところに戻ると、素数などを扱う整数論において頻繁に使われてい るのが、 剰余系である。数字というものは、無限に存在している。これらの数を「束 ねる」ための操作として合同式という概念を用いる。等号という存在は、ある特 定の数のペアの関係を示すものであり、強い縛りを持っている、specific な関係を 示すものである分、無限に多い数の存在の中でこのような等号関係は同様に無限 に存在している。そのような数の特徴を元に「類」として分けていくためにはよ り緩やかな枠組みを設定して、数を束ねる必要がある。それが合同式という存在 である。 まとめると、合同式というものは等式の条件を緩めたものであると考えて良い。 例えば剰余系というものが挙げられ、剰余の項が等しい量を元に数字は類に分け ることができ、そこからもう一つ高い次元の等号関係を導出することができる。 ここから引き出せる考え方として、ある特定の性質を示す関係の条件を緩めるこ とで、無限に大きい群を複数の束に分け、束の中において再び新しい関係を導出 することである。そこで重要なのは、関係の本質、共通点を見極めること、そし て本質を捉えた緩やかな枠組みを設定することである。 07

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


7

fig.02

1/7 の循環小数のシフト系

7 は4番目の素数である。ここからは、7 を用いて先述の循

上のシステムを元に、循環小数において、分子と小数点第

環小数の性質を説明していきたい。

1位を対応させたシフト系というものを設定することがで きる。

1/7 は 0.142857142857… と 循 環 節 が 1、4、2、8、5、7 と6つの数から構成されている。まず、ここで一つ目の性

以上の fig.02 の通りに、シフト系の環内は循環節の構成因

質は、素数を P、循環節の長さを l とすると、循環節の長さは、

子となる数、環外には分子が対応するように配置されてい

(P-1) の約数となることがわかる。

る。例えば、3/7 の場合は外環の3の位置に対応している内 環の数が 4 であるため、そこから時計回りで循環節を繋げ

次に循環節に注目する。以下の 1/7~6/7 の循環小数の循環

てばいい。つまり 4 2 8 5 7 1 という順番でループしていく。

節を見ていくと:

さらに、外環の相対している2数の和は素数自身、今回の 場合は7となり、内環の相対している2数の和は9となる。

1/7

=

0.142857…

この現象に関しては証明などがなされているが、今回の内

2/7

=

0.285714…

容とは深い関わりはないため、割愛させていただく。

3/7

=

0.428571…

4/7

=

0.571428…

7以下の素数において循環小数が現れるのは 3 のみで、こ

5/7

=

0.714285…

れは循環節が3のみで構成されている。7以上を見ると9

6/7

=

0.857142…

も循環節が 1 のみであり、11 は循環節は 0,9 である。循環 節の長さが2以上の最小の素数は7であり、かつ循環節の

となり、6 つの数が始点をスライドしながら出現していくこ

構成数が6種類あることから、素数の逆数の循環性を検討

とがわかる。このような特徴を持った循環節が現れる循環

していく上で最もふさわしい数であると判断された。

小数は他にも 13、17 の逆数など、素数の逆数に現れる。以 素数考・序_数から形態へ

08


13

fig.03

次に 13 を見ていく。13 は6番目の素数である。2と3の

1/13 の循環小数の2つのシフト系

内環の和は9となることがわかる。

平方和でもある。さて、13 の逆数は: もう一つのルール性を見ていくために、fig.03 のなかの左側 1/13

=

0.076923…

のシフト系をグループ A、右側をグループ B とする。さて、

2/13

=

0.153846…

1 〜 12 のなかで A と B の出現の仕方を調べてみると:

3/13

=

0.230769…

4/13

=

0.307692…

5/13

=

0.384615…

6/13

=

0.461538…

となっており、6と7の間を軸とした左右対称系となって

7/13

=

0.538461…

いることがわかった。このように、循環小数においては:

8/13

=

0.615384…

循環性および対称性の2大性質が常に出現することを強調

9/13

=

0.692307…

しておきたい。

10/13

=

0.769230…

=

0.846153…

=

0.923076…

11/13 12/13

ABAABBBBAABA

となる。ここでは、循環節は2グループ存在していること がわかる。素数を P、 循環節を l とするとき、 循環節の種類は: (P-1)/l となる。この式を用いて確認すれば、1/13 の循環節 の長さは6だったので、種類は (13-1)/6 = 2 となり、事実 と相違ないことが示された。ここでも、外環の和は 13 自身、 09

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


7&13 セクシー素数 7と 13 の間には特別な関係が存在しており、数的な性質が複数の層に渡り存在し ている。まず、彼らはセクシー素数という数の組み合わせの中の 1 組である。こ のショッキングピンクな名前の由来は2数の数の差が6(Six ≒ Sexy) からきてい る。2つの素数の差により組み合わせを定義するものは他にも複数存在しており、 差が2の2つの素数の組み合わせを双子素数、4のものをいとこ素数としている。 他にセクシー素数は: (5, 11),(11, 17), (13, 19), (17, 23), (23, 29), (31, 37), (37, 43), … などがある。

共通の数を法とした剰余系

fig.04

10^n/7 の剰余系のシフト系

7 と 13 はそれぞれ異なるシフト系を持っているが、両者の共通部分を設定したい。 シフト系は先述の通り、素数の逆数を用いることで生成することができたが、そ の方法に加え、10^n ÷ 7or13 の余りの数を用いて一つのシフト系を作ることもで きる。7と13にはそれぞれシフト系が作られ、13は逆数の時と同様2つ作ら れる。

原始根 以上の、共通の剰余系の法を設定することからもう一歩、この2者の数に踏み込 んでいく。それが原始根であり、この概念が7と 13 を除法的な性質により結びつ ける最大のルールである。まず、原始根は「A は B を法とする原始根」という文 脈で用いられる。では、 「A は B を法とする原始根」はどのように定義されるのか を見てみよう。以下の数式:

A^n ÷ B

fig.05

10^n/13 の剰余系のシフト系

の余りの数が n=1~B-1 の範囲のなかで 1~B-1 の全ての整数が全て1回ずつ現れる とき、 「A は B を法とする原始根」と定義される。この操作は先述の 10^n から7 または 13 を割るというものと共通しているのに注意しておきたい。ここで、7 と 13 は前述の言葉に当てはめると、 「7 は 13 を法とする原始根である」という事に なる。よって n=1~12 のなかで、数式:

7^n ÷ 13

の余りの数は 1~12 が全て1回ずつ出現することになる。 このようにして、7 と 13 をひとつの剰余系という体系に同居させることで両者を 結びつけることに成功した。7 と 13 の相互関係における数学的な「場」を設定す ることでその内的秩序を空間および形態の生成に適用することが目標とされてい る。 以上の関係を元に 13 を 7 と関連づけることの必然性および妥当性が示された。他 にも 13^-1 の循環節の長さが 7^-1 のそれと同じの 6 であることも同様にその妥 当性などに寄与している。ちなみに、13 は他にも 6 を原始根にもつ。

素数考・序_数から形態へ

10


table.01

7^n/13 のシフト系の計算表

n

7

mod13

1st number

Group

1

7

7

5

B

2

49

10

7

A

3

343

5

3

B

4

2401

9

6

B

5

16807

11

8

B

6

117649

12

9

A

7

823543

6

4

B

8

5764801

3

2

A

9

40353607

8

6

A

10

282475249

4

3

A

11 1977326743

2

1

B

12 1.3841E+10

1

0

A

13 9.6889E+10

7

5

fig.06

n の昇順におけるシフト系グループの出現する順列 ( 上 ) fig.07

7^n/13 の剰余系のシフト系 ( 左 )

7^n に対する 13 を法とした剰余系の値、およびその値分子とした 13^-1 の少数第 一位を調べた表が Table.01 となる。そのシフト系の中でも先述のようにグループ A および B に分けられる。そのシフト系の出現する順列を fig.06 のようにグラフ に表すと、6番目と7番目の間を軸とした点対称となっていることがわかる。 つまり、13 において出現したシフト系の2グループ間遷移における対称性が 7^n に対する 13 を法とした剰余系でも引き継がれていることがわかる。 11

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


7_Plotting System A 7を法とした 2 次元プロット 素数の循環性を用いていかなる形態展開をすることができ

序の元で歪みのようなものを生み出すかを検討することで

るのか。まずは2次元の座標空間においていかに展開でき

あった。結果スパンの周期的な変化により点群の粗密が現

るかを考えた。

れ、全体としてランダム性を帯びた点群単位の周期的な反

この試行においては、7 の循環小数のシフト系のみを用いた。

復、というランダムおよびルール性両者を同時に帯びたも

具体的には、循環節の構成数:1、4、2、8、5、7を用い、

のが現れた。

これらの数を各プロット間の水平方向・垂直方向両方の間 隔として定義した。このルールに基づき、7を法とした2 次元プロットを Processing 上でコードを書き出力した。出 力結果は以下の fig.08 のようになる。 この試行の目的としては 7 の逆数の循環性を用いていかに 均等間隔の2次元格子空間においてランダム性を持った秩

fig.08 素数考・序_数から形態へ

7 を法とした循環小数の平面プロッティングシステム 12


fig.09 James Tenney ’String Complement’

fig.11

Brian Eno ‘Ambient#1: Music for Airport’

fig.10

fig.12

Udo Kasemets ’Time Piece for a Solo Performer’

7 を法とした循環小数の平面プロッティングシステム

図形楽譜との類似性 素数によるランダム性を持った、離散的なプロッティングシステムは直感的に図 形楽譜と似通ったものがあるのではないかと思っていた。実際に以上に挙げてい る fig.09-11 の図形楽譜は fig.12 の素数プロットと似ている。 図形楽譜は背景として「偶然性の音楽」が探求されていた時代、モートン・フェル ドマンが発明したとされており、さらにそれを「チャンス・オペレーション」で 知られるジョン・ケージなどによって大きく発展を遂げたと言われている。彼ら が信奉した音楽による「偶然性」は、数学における「偶然性」または「ランダム性」 を帯びている素数の性質と共通しているのではないか、と考える。素数とはすな わち自然から付与された偶然性のようなものであるからだ。 13

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


7_Plotting System B 7を法とした 3 次元プロット 同様に 7 のシフト系のみを用い、今度は3次元空間に展開

ただし、実際には fig.13 を出力するためのコードは誤った

していくことを試みた。2次元の時と同様に、循環節の構

ものであった。というのも nest 関数の設定に誤りがあった。

成数:1、4、2、8、5、7を用い、これらの数を各プ

ただ、この出力された3D モデル自体にも凹凸、穴の空き

ロット間の水平方向・垂直方向、そして今回は z 軸の方向

方などに規則性と周期性が存在しており、改めて循環小数

の合計3方向の間隔として定義した。このルールに基づき、

の循環性の規則の強度を知ることとなる。

Processing 上でコードを書き出力を行なった。出力結果 は以下の fig.13 のようになる。この3D モデルでは、各プ ロッティング座標に基づきキューブの大きさを座標情報を おもとに演算し、設定している。したがってあるところで はキューブが重なり合ったりしている。

fig.13 素数考・序_数から形態へ

7 を法とした循環小数の立体プロッティングシステムより生成されたモデル 14


fig.14

7 を法とした循環小数の立体プロッティングシステムによる 内部空間のイメージ図

fig.14 において示したものが改めて正しいコードを書き直して再出力を行なった立 体の内部空間である。今回は、外部、内部空間において強烈なシンメトリーが表 現されていることがよくわかる。この立体は体対角線を軸として左右対称なもの であり、さらには中心に関しても立体自身は対称である。 このようなリジッドなシンメトリー系に対して、 「誤った」コードをもとに立ち上 げられた空間は対称性の強度は強くないものの、空間・形態としての流動性はこ ちらの方がより備えているとも考えらる。 15

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


合成 プロッティングシステムによる循環小数の特性の表現についての検討を行ってき た。プロットとはあくまでも均質な座標系の中に点を穿つ行為であって、直接の 形態の検討にはいまだに繋がってはいない。かついまだに 7 のシフト系のみとい う単一な循環特性のみを用いているので、ここで 13 の循環特性も介入させること でより情報量を拡大させることはできないだろうか、と考えた。ここで7と 13 の 循環小数の性質を同居させるような形態または空間の展開の仕方を試みた。 プロッティングシステムは性質上は全体の場のなかでいかに特異点を配置するか に関わっており、個別の形態因子についてのフォーカスが行われていない。少な くとも今回の試行においては形態的なフォーカスよりも場の操作として着目され ているようにも見えた。したがって一つ一つの形態につながる要素を考えていき たい、と考えた。そもそも 7 と13のシフトシステムに着目してみれば分子の値 が異なるごとに異なった数列が出ることがわかる。数列はいかなる情報としても 展開可能であると考え、プロッティングシステム同様、仮想の座標の中に点を穿 つと考えるのだが、異なるのはシフト系という、今回の場合は循環節の長さが 6 ということもあり 6 つの数字による数列をワンセットとしたユニットを作り出す ことができる。これは 7 と13のどちらも循環節の長さが6であることから可能 となることであり、改めて7と 13 の6をめぐる関係性の深さを示すこととなった。 さ て、 こ こ で 試 み た 方 法 は 非 常 に シ ン プ ル な も の で あ る。 ま ず、 次 ペ ー ジ fig.15~17 のように、1/7~6/7 および 1/13~12/13 の循環小数の循環節の各位の数の 値を縦軸に、小数点以下の位の数を横軸にしたグラフを立ち上げる。素数 7 のシ フト系のグラフは 6 つ、素数 13 のシフト系のグラフは 12 個生成される。この中 で 13 のシフト系のグラフは循環節のグループが 2 つあることから、グラフの波形 も2種類に分けられる。ちなみに、この波形を見れば循環小数が始点がズレなが ら変化していることがわかる。 次に、この 7 のシフト系の曲線を x-z 平面に、13 のシフト系の曲線を y-z 平面に 据え、両者の曲線を合成させ、一つの合成曲線を作る。この方法を 1/7~6/7 と 1/13~12/13 の計 6 * 12 = 72 回繰り返すことで、7 と 13 の循環小数のシフト系に 基づいた合成曲線・形態のマトリックスが生成された。

素数考・序_数から形態へ

16


fig.15

7 を法とした循環小数のシフト系のグラフ

fig.16

13 を法とした循環小数のシフト系のグラフ_グループ A

fig.17

13 を法とした循環小数のシフト系のグラフ_グループ B

fig.18

合成ダイアグラム_ (1/7,1/13) を例として

fig.15-17 のように循環小数のシフト系の「振れ」を軌跡として可視化することで循 環小数の振る舞いのようなものが浮かび上がってくる。これ自体もある種の韻律 のように、1小節(循環節)を単位として繰り返していくのである。 fig.18 のように異なる基底面に7と13のシフト系を埋め込み投影し合成すること で二者の振る舞いを同居させた一つの合成曲線が浮かび上がってくる。 17

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


形態マトリクス 合成の操作を経て、合成曲線・またはその形態は合計72

さて、このマトリックス表を見渡すと、興味深い現象が現

種類が得られた。この72種類を「7に対する13を法と

れていることに気がつくはずである。中心、具体的には座

した剰余系の生成形態マトリクス」と定義する。またはこ

標 (3/7,6/13), (3/7,7/13), (4/7,6/13), (4/7,7/13) の 間 の

の2者の数字的関係から「セクシー素数 (7,13) による剰余

点、に関してこのマトリクス表は点対称であることがわ

系形態マトリクス」と定義しても良いだろう。以下では、 「形

かる。したがって、この形態マトリクスは4象限に分け

態マトリクス」と略し話を進めていく。

ることができる。第一象限が a=1~3,b=1~6、第二象限が a=1~3,b=7~12、 第 三 象 限 が a=4~6,b=1~6、 第 四 象 限 が

まず、縦の列は 1/13 に関するもの、横の行は 1/7 に関する

a=4~6,b=7~12 と定義できる。

ものであることに注意しておきたい。便宜上、 横の行を a 軸、 縦の列を b 軸と定義し、座標上の点を (a/7,b/13) と表記す るようにしよう。

fig.19 素数考・序_数から形態へ

7に対する13を法とした剰余系の生成形態マトリクス一覧 18


fig.20

形態マトリクスの立面 1

fig.21

形態マトリクスの立面 2

fig.20-21 は b 軸方向、a 軸方向のそれぞれから見た形態マトリックスの投影図、ま たは立面図である。基準面に各点から垂線を投影させているが、その垂線を省略 して考えると、各方向の立面は、それぞれ 7 と13のシフト系の軌跡となってい ることがわかる。これは先述の合成方法に基づいて曲線を生成したためであり、 各シフト系の軌跡が立面に現れている。 このようにしてマトリックス一つ一つの a 軸または b 軸の形態のまとまりを見て みると、これらの同族の形態はそのどちらかの立面は共通してシフト系の軌跡を 取っていることがわかる。 さらに、この立面図をよくみると左右対称であることがわかる。これは fig.15-17 を見ていくとわかるように、(7番目の数を省略すると)この軌跡は 9/2=4.5 の高 さを軸に上下に対象であることがわかる。これがシフト系の族間の左右対称の要 因となっている。 このように、単なる数列を複数回操作を行ったのちに三次元展開したこの状態に おいても循環小数の循環性および対称性が現れてくることは理論上ごく自然なこ とであると同時に非常に驚くべきことでもある。 19

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


素数考・序_数から形態へ

20


fig.22

21

形態マトリクス_アイソノメトリック

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


情報を格納する座標 次にこの形態マトリクスの単体の持つ情報量について注目

る。そこからたとえばシフト系の情報を引き出したりする

していきたい。立体の各点の意味付けをすることができる

ことができる、など、システムとしての可能性も含んでいる。

のが今回の生成曲線の特徴である。6点においては7と 13 のそれぞれのシフトモード内の1つの数字に当てはまるも

さらに、この形態マトリクスは7と13のシフト系3種の

のである。

全ての順列とその組み合わせのパターンを示したものであ ると言い換えることも可能である。

ここで非常に重要であると考えていることは、各点がそれ ぞれ単に座標情報として存在しているということではない、 ことである。以下の fig.21 が示すように、生成曲線の端点と なる6点の座標は単なる値、というよりは、剰余系により 生成されたループ系における構成因子の1つを指し示して いる、そのマトリックスの元であること、である。または 1つの点において情報を格納しているようなイメージであ

(1/7,1/13)

mode 7 mode 13

142857

mode 13-1

076923

... 1(2) ... 0(2)

mode 7 mode 13

... 1(1) ... 0(1)

mode 7 mode 13

... 2 ... 6

mode 7 mode 13

mode 7

mode 7 mode 13

... 7 ... 3

mode 7 mode 13

... 4 ... 7

mode 7 mode 13

... 5 ... 2

... 8 ... 9

fig.23 素数考・序_数から形態へ

形態のサンプル_ (1/7,1/13) の座標情報のダイアグラム 22


table.02 1

n

1

2

3

4

5

6

2

3

4

形態マトリックスの座標情報 5

6

7

8

9

10

11

12

(n/7,n/13)

1/7

1/13

1/7

2/13

1/7

3/13

1/7

4/13

1/7

5/13

1/7

6/13

1/7

7/13

1/7

8/13

1/7

9/13

1/7

10/13

1/7

11/13

1/7

12/13

1

1

0

1

1

1

2

1

3

1

3

1

4

1

5

1

6

1

6

1

7

1

8

1

9

2

4

7

4

5

4

3

4

0

4

8

4

6

4

3

4

1

4

9

4

6

4

4

4

2

3

2

6

2

3

2

0

2

7

2

4

2

1

2

8

2

5

2

2

2

9

2

6

2

3

4

8

9

8

8

8

7

8

6

8

6

8

5

8

4

8

3

8

3

8

2

8

1

8

0

5

5

2

5

4

5

6

5

9

5

1

5

3

5

6

5

8

5

0

5

3

5

5

5

7

6

7

3

7

6

7

9

7

2

7

5

7

8

7

1

7

4

7

7

7

0

7

3

7

6

(n/7,n/13)

2/7

1/13

2/7

2/13

2/7

3/13

2/7

4/13

2/7

5/13

2/7

6/13

2/7

7/13

2/7

8/13

2/7

9/13

2/7

10/13

2/7

11/13

2/7

12/13

1

2

0

2

1

2

2

2

3

2

3

2

4

2

5

2

6

2

6

2

7

2

8

2

9

2

8

7

8

5

8

3

8

0

8

8

8

6

8

3

8

1

8

9

8

6

8

4

8

2

3

5

6

5

3

5

0

5

7

5

4

5

1

5

8

5

5

5

2

5

9

5

6

5

3

4

7

9

7

8

7

7

7

6

7

6

7

5

7

4

7

3

7

3

7

2

7

1

7

0

5

1

2

1

4

1

6

1

9

1

1

1

3

1

6

1

8

1

0

1

3

1

5

1

7

6

4

3

4

6

4

9

4

2

4

5

4

8

4

1

4

4

4

7

4

0

4

3

4

6

(n/7,n/13)

3/7

1/13

3/7

2/13

3/7

3/13

3/7

4/13

3/7

5/13

3/7

6/13

3/7

7/13

3/7

8/13

3/7

9/13

3/7

10/13

3/7

11/13

3/7

12/13

1

4

0

4

1

4

2

4

3

4

3

4

4

4

5

4

6

4

6

4

7

4

8

4

9

2

2

7

2

5

2

3

2

0

2

8

2

6

2

3

2

1

2

9

2

6

2

4

2

2

3

8

6

8

3

8

0

8

7

8

4

8

1

8

8

8

5

8

2

8

9

8

6

8

3

4

5

9

5

8

5

7

5

6

5

6

5

5

5

4

5

3

5

3

5

2

5

1

5

0

5

7

2

7

4

7

6

7

9

7

1

7

3

7

6

7

8

7

0

7

3

7

5

7

7

6

1

3

1

6

1

9

1

2

1

5

1

8

1

1

1

4

1

7

1

0

1

3

1

6

(n/7,n/13)

4/7

1/13

4/7

2/13

4/7

3/13

4/7

4/13

4/7

5/13

4/7

6/13

4/7

7/13

4/7

8/13

4/7

9/13

4/7

10/13

4/7

11/13

4/7

12/13

1

5

0

5

1

5

2

5

3

5

3

5

4

5

5

5

6

5

6

5

7

5

8

5

9

2

7

7

7

5

7

3

7

0

7

8

7

6

7

3

7

1

7

9

7

6

7

4

7

2

3

1

6

1

3

1

0

1

7

1

4

1

1

1

8

1

5

1

2

1

9

1

6

1

3

4

4

9

4

8

4

7

4

6

4

6

4

5

4

4

4

3

4

3

4

2

4

1

4

0

5

2

2

2

4

2

6

2

9

2

1

2

3

2

6

2

8

2

0

2

3

2

5

2

7

6

8

3

8

6

8

9

8

2

8

5

8

8

8

1

8

4

8

7

8

0

8

3

8

6

(n/7,n/13)

5/7

1/13

5/7

2/13

5/7

3/13

5/7

4/13

5/7

5/13

5/7

6/13

5/7

7/13

5/7

8/13

5/7

9/13

5/7

10/13

5/7

11/13

5/7

12/13

1

7

0

7

1

7

2

7

3

7

3

7

4

7

5

7

6

7

6

7

7

7

8

7

9

2

1

7

1

5

1

3

1

0

1

8

1

6

1

3

1

1

1

9

1

6

1

4

1

2

3

4

6

4

3

4

0

4

7

4

4

4

1

4

8

4

5

4

2

4

9

4

6

4

3

4

2

9

2

8

2

7

2

6

2

6

2

5

2

4

2

3

2

3

2

2

2

1

2

0

5

8

2

8

4

8

6

8

9

8

1

8

3

8

6

8

8

8

0

8

3

8

5

8

7

6

5

3

5

6

5

9

5

2

5

5

5

8

5

1

5

4

5

7

5

0

5

3

5

6

(n/7,n/13)

6/7

1/13

6/7

2/13

6/7

3/13

6/7

4/13

6/7

5/13

6/7

6/13

6/7

7/13

6/7

8/13

6/7

9/13

6/7

10/13

6/7

11/13

6/7

12/13

1

8

0

8

1

8

2

8

3

8

3

8

4

8

5

8

6

8

6

8

7

8

8

8

9

2

5

7

5

5

5

3

5

0

5

8

5

6

5

3

5

1

5

9

5

6

5

4

5

2

3

7

6

7

3

7

0

7

7

7

4

7

1

7

8

7

5

7

2

7

9

7

6

7

3

4

1

9

1

8

1

7

1

6

1

6

1

5

1

4

1

3

1

3

1

2

1

1

1

0

5

4

2

4

4

4

6

4

9

4

1

4

3

4

6

4

8

4

0

4

3

4

5

4

7

6

2

3

2

6

2

9

2

2

2

5

2

8

2

1

2

4

2

7

2

0

2

3

2

6

table.02 は形態マトリクスの中の各モデルの点の座標の情報を示してい る。縦で、または横で読めば7または13の循環小数の順列を読み取る ことができる。 23

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


形態の類型化 fig.19 の形態マトリクスを見ていくと4象限の対称系が現れ

く分けていきたい。a 軸状の各族では順列は異なれど出現す

ていることがわかっている。この四象限の中で第一象限を

る形状が同じであることがわかっているので、1/7 族 (fig.23)

取り出し検討していく。ここで各行を見てみても順列は異

のみ注目すれば良いということとなる。

なれど、出現する投影図形は等しいことがわかった。つま

ここで 1/13 のシフト系をみてみるといい。1/13 のシフト系

り平面の投影形状は fig.23 が示す通りの6種類からなること

は 2 グループ存在していることから今回の携帯のマトリク

がわかる。その平面投影形状が左右・上下対称さらに点対

スの中にも2種類の投影形状のグループに分けられている

称であることで 4 つの象限の形状が構成されるようになる。

はずである。1/13~6/13 までで、グループ A は 1/13, 3/13.

ただし、各投影図形に注目してみるとわかるように、それ

4/13 であり、グループ B は 2/13, 5/13, 6/13 となる。したがっ

ぞれは幾何中心にたいして対称的な図形となっているので、

て (1/7,1/13)、(1/7,1/13)、(1/7,1/13) はグループ A に属しそ

図形は正の向きのものと鏡像のみとなる。

れぞれ A1、A2、A3 とし、(1/7,1/13)、(1/7,1/13)、(1/7,1/13) はグループ B に属し B1、B2、B3 と定義する。(fig.24-25)

形態マトリックスの形状 72 個が4象限により分けられ、そ の中で6種類にカテゴライズされた。ここからさらに細か

fig.24

(1/7,1/13)~(1/7,6/13) の形態投影図形

fig.25 形態投影図形_グループ A

fig.26 形態投影図形_グループ B 素数考・序_数から形態へ

24


fig.27

table.03

1/7 族の形態投影図形およびグループ・番号・正負の対応関係

形態マトリックスの形態カテゴリー別分布

fig.23-25 より形態投影図形のグループ分けを行なった。fig.26 ではその結果をもと に、図形のグループ (A/B)、番号 (1-3)、正負 (・R) をもとに表記し記号化を行なった。 繰り返すが、6/13 と 7/13 の間を軸に左右対称であるために、(1/7,1/13)~(1/7,6/13) の順列を鏡像にし、反 (Reverse) を意味する R を付け加えると fig.26 のように整理 された。 さらにこの図形の番号の振り分けをもとに、形態のマトリックス全体に適用し、 表として表したものが table.02 となる。便宜上番号をもとにセルの充填色を区別し ている。この表の浮かび上がる文様は同様に中心にたいして回転対称であること がわかる。 25

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


形態のスタディ 形態の操作について注目してみる。Memo-16 において列挙していた複数の形態の 扱いの手法について、形態マトリックス (1/7,1~6/13) をサンプルにとり、この6 つに関して検討を行ってみた : この中で、各線分における法線方向をとった面の集成のスタディ、平行面を集成 したスタディ、それらと水平面を組み合わせたもの、鉛直面と組み合わせたもの などは興味深く感じた。曲線の形状そのものと鉛直成分の組み合わせ自体は綺麗 なプロポーションを持っているように見えるので、ワイヤフレームとしての表現 も形態として魅力的に見えると考える。ワイヤフレーム表現においても、いくつ かの検討案を挙げていった : ・ポリライン ・ベジェ曲線 ・曲面 ・三角形による連続面 ・水平面 ・鉛直面 ・鉛直線→柱 ・ヴォイド→ただし、これは曲線をつなぐことで作り出すことができる ・虚・負のボリューム ・平行ベクトル ・法線ベクトル 以上の検討で、全てとは決して言えないが、一定量の形態に対してのベーシック な操作による検討は行えたと思う。もちろん以後の作業においても形態の扱い方 について様々な手段が出現すると思うが、これらを元にいかにして全体を作って いくか、が重要となる。 ここで注意するべき点は、この合計6+1の点の間に生じる線分の全てにおいて 形態の性質を均等に扱って集成したものをそれぞれのサンプルの中に設定してい る。ただ、実際に形態を作っていく上で、このように全てにおいて同じギミック を等価に行っていく必要はない。 (自ら意図的にその「縛り」を設定していくので あれば別であるが)つまり、線分ごとでギミックが異なるような操作、またはそ の掛け合わせを行う、といった操作の仕方も存在していいということに自ら設定 して考察していっているこのモデル全体の中で気付けるかどうかである。 さらに、得られた形状はあくまでもダイアグラム的に導かれたもの、に過ぎない ので、その形自体に徹頭徹尾固執する必要ももはやなく、全体像を生成していく 中での変容の要請に対して柔軟な対応をしていくことが求められるかもしれない。 このような考え方は場当たり的である、と考えられてしまうであろうが、ルール 性と恣意性のバランス、塩梅については常に制作者のロジック・感性など、様々 なものが総合的に立ち現れてくるであろうと考えている。自分自身の中では今の 状況からもう一歩まで、最終形がその姿を表す手前までは理性的なルールによる アプローチがその効力を発揮し続けるように仕組みたいと思っている。今回にお いては特にその方法について考えていくこともあり、恣意性の手前までの一般化 の過程にフォーカスしているといってもいいかもしれない。 素数考・序_数から形態へ

26


fig.28

(1/7,1~6/13) における形状のスタディ群

fig.27 においては 1/7 族の b=1-6 における 6 つの基本形態の曲線から形態への表現 方法を検討したものとなっている。左から:

・ポリライン(ワイヤー)

・三角形による連続面

・水平面の導入

・正方形を断面としたチューブ1、2

・ベジェ曲線

・ベジェ曲線を基にした曲面

・2点を端点とした円弧

・線と平行成分の面

・線の法線方向の面

である。線から形態へ拡張するのはその点の座標位置・線の向き・傾きなどを基 にすれば複数のパターンを作ることができる。 27

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


全体へ_ 思考の流れ_ ここまでは、原始根と法の関係を持つ7と13の循環小数の

現象が面目躍如になることがわかる。そしてその現象・特

シフト系に基づきその循環モードに基づき生成した曲線を

性は決してバラバラなものではなく、むしろ互いに何らか

さらに合成し形態のマトリクスを生成させた。そしてその

の特性を共有しており、その共有点を「糊付け」のような

個々の幾何学的相似性・対称性および周期性についてフォー

ものとして多重に重なり合っているイメージである。その

カスしてきた。形態マトリクスは二つの素数7と13の数

重なり合いが全体を作り、それが 13 という数を「建築」し

的関係性の形態的表現であるということができる。一つの

ているのではないかと考える。

総体としての数的関係性を形態的な表現を用いてその複数

というのもこの形態マトリクスや単体についての形態表現

存在するシフト系という特徴に基づき複数の形態表現へと

のスタディ群は捉え方によっては数字から建築への「遷移

分解を行なった。その形態表現は数論的な性質を受け継ぎ

状態」のようなものなのではないかと考えている。つまり

形態として具現化されている。

数の内部構造・性質によって自らを形態ということなる形

このような操作手順から数字自身の体系を考えてみると、

式を持って展開されたものが、何らかの全体性を以って一

単なる数字、今回は法とする数が素数 13 であるが、一つの

つの総体に還元されていく、それが建築という形式をとる。

メス、今回では原始根となる7、を用いることで、様々な

fig.29 素数考・序_数から形態へ

素数から形態へ、そして建築へ_思考のプロセス 28


「数」律_全体を統べる緩やかなルール では、どのようにして全体を作っていくのか。全体を統べ

回のプロジェクトと非常に共通点が多いと考える。

るルールをここで探していく必要がある。ここで、参照に

Yoon,JiBak が「ダニエル・リベスキンドによる設計手法に

したのはダニエル・リベスキンドのベルリンユダヤ人博物

関する考察 −トータル・セリエリズムについて−」にお

館である。この建築の構成手法として用いられたのは建築

いて当建築の手法とセリエリズムが類似性を持つとしてい

のアルファベットたるものである。この図案的モチーフは

る。セリエリズムでは音を等価に扱い、パラメーターとし

ユダヤ人の記憶およびその地図上のプロッティング絡みチ

て音高・音価・強度・アタックの4つの基本セリーを用い

ビ出されたものであり、それを〈Underground〉 、 〈Interval〉、

音列を構成している。このような等価な音列においてもパ

〈Site〉 、 〈Void〉 、 〈Linear〉 、 〈Window〉 、 〈Combination〉 の

ラメーターを対応づけることによって、要素としての豊か

7 つの基本パラメーターとして設定し、そのパラメーターに

さが拡張している。同様に今回のセクシー素数の形態マト

対して各々 10 個の基本形が設定されており、これら各パラ

リックスにおいても応用可能なのではないかと考える。

メーターが複雑に組み合わせた。さらにそのアルファベッ

ここで同時に重要なポイントとして、ベルリンユダヤ人博

トを基にして、 「Word」や「Sentence」を生成し建築をある

物館における形態のアルファベットは、歴史・文化などか

種の読み得るテクストとして編纂している。このように個

ら引用した外的なモチーフ・またはメタファーとしての性

別の形態的モティーフを引き出し、その後「編集」を行う

格が強い。対して本プロジェクトにおける形態の各要素は

ことで全体として一つのテクスト−建築、を浮かび上がら

規定として扱われているセクシー素数 (7,13) の間の内的な

せる。このような個別因子の決定そして全体への道筋は今

数学的性質から引き出されたものでああると区別される。

fig.30

Architectural Alphabet – Diagram of Jewish Museum Berlin

fig.31 29

セクシー素数 (7,13) を基底とした形態のマトリックス Study of Prime_ Number to Form _ Étude


アナロジー_十二音技法 ダニエル・リベスキンドのベルリンユダヤ人博物館の手法のイメージについて論 じたが、この背景には「セリエリズム」という音楽的手法が浮かび上がってくる と Yoon,JiBak が論考「ダニエル・リベスキンドによる設計手法に関する考察 − トータル・セリエリズムについて−」において論じている。そしてその大元とな るものとして「十二音技法」という手法がさらに出現する。シェーンベルクやハ ウアーをはじめとする「12音技法」と今回の手法との背景の類似性について、 見ていきたい。 さて、ここでは Yoon, Ji Bak の論文「 『十二音技法』のモデルとダイアグラムに ついて」を参照にした。まず十二音技法とは、1オクターブにおける半音階上の 12個の音を、1個の音が用いられたら、それ以外の11の音が全て出現するま では用いることができないという規則のなかで作られる音列のことを指している。 つまり、12個の音の出現頻度は等価なものとなっている。これは音を全て等価 に扱い、 「調性」という、 一つの音に関する従属の関係、またはある種のヒエラルキー のようなものから解放することとなる。十二音技法を体系化したとされているの はハウアーとシェーンベルクとされている。 ここで、彼ら二人の体系化は異なる趣向のもと行われていたことに注意したい。 簡潔に述べると、ハウアーは12音技法における音の配列の分類および体系化を 求め、数の神秘性への探求および世界における秩序を探求していく精神が見られ、 対するシェーンベルクは音の関係に基づいて原音列を生成していくという目的で ある。ここで、YOON のまとめを引用すると: ハウアーにおいては、作曲家の自由意志や感情とは無縁な規則の支配する音楽的 宇宙を完成させるということを 「 十二音技法 」 によって導きだそうとし、その為 に 12 音の全体性を追求し、その為に 12 音の全体性を追求しようとしていたこと に対して、シェーンベルクは、隣り合うひとつひとつの音の繋がりにおいても調 性的観念を排除する事、つまり音の中心を強く発する和音形成を避ける様な曲に 構成するという違いに表れるものであり、一方は 12 音の全体性への追求をおこな い、一方は 12 音の等価な関係の可能性を追い求めていたという事こそが両者の 「 十二音技法 」 の大きな相違点でもある。 ここで上がっているハウアーとシェーンベルクを区別する作家としての「恣意性」 の在処、これは後文に譲るとしよう。ここで強調するべき点はセクシー素数 (7,13) における 7 が 13 を法とする剰余系の原始根であることの定義そのものが十二音技 法のそれと同じことである。次数 n=1~12 における 13 を法とする剰余系の値の配 列が十二音技法ならぬ十二数技法と定義できる。さらにこの二素数の性質により 生成された 72 の形態因子も十二音技法の中の音と同様、均質性という性質を帯び ていることにも気づく。このようなことから手法の性質その背景における思考な どは、素数による形態手法と十二音技法は非常に親和性の高いものがあることが わかった。

素数考・序_数から形態へ

30


fig.32

7^n/13 の余りの数の配列

fig.33 十二音技法の適応例_ Hauer の十二音技法

fig.34 fig.35

Hauer の十二音技法モデル

Hauer による44種類のトローぺ・ダイアグラム

fig.31 はセクシー素数 (7,13) における 7^n に対する13を法とする剰余系の値を散 布図として表示したものである。対して fig.32 は Hauer の十二音技法を用いた音 列の例となる。どちらも共通して1〜12の範囲の中で全ての数 / 音が均等な確率 で出現している。ここで興味深いのはセリエリズムをはじめとする手法は「管理 された偶然性」というルールが存在しているのに対し、この数列も同様にある種 の決定論的な生成手法を背景としているが、同時にその決定論的立ち位置は作曲 者における恣意性による管理とは異なり、この数列は数字の内的秩序として存在 していることであり、そもそも人為的な恣意性とは離れた位置に存在している。 31

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


形態列の設定_ 十二音技法ならぬ十二数技法的に形態の配列を決定してみる。この連なりによっ てテクスト・全体−建築の骨組みを形成することができよう。振り返ると、セクシー 素数により生成された形態マトリクスは6族12列により構成されている。十二 数技法の考えを参考にすれば 1/13 の値に対応している列に適用すればいい。 配列は先述の通り、セクシー素数 (7,13) の間に存在する 7^n/13 の剰余系の値から 引用する。配列は以下の通りとなる: 7 10 5 9 11 12 6 3 8 4 2 1 これは五線譜を模した6線による座標上に等間隔にプロットし、以上の配列を元 に高さ方向の位置を定義する。さらにこの指示値を元に、マトリックス上の列の 値と対応させ、並び替えを行う。この過程は以下のように示される。 後文でも述べるが、この配列の興味深いところは、1以上12以下の整数 k を係数 として設定し、剰余系の式にこれを掛け合わせるように、つまり式:k*7^n/13 は 7、 13 の循環小数が持っているシフト系の性質と同じような現象を示す。つまりこの 数列はシフト系を持つことにより12種類の数列を持つこととなる。ただし、使 われている数字とそのループ方式は同じであるが。線形の形態列は fog.35 にて示 すような形をとり、基底となる数列を決定すれば12種類あることとなる。そし てもう一つの形式は、Hauer が十二数技法において示した円形のダイアグラムを引 用したものとなる。円形の配列は、その開始位置を無視し、常に1種類であるこ とがわかる。つまり、開始位置を円周上のある点に定めればよいだけで、fig.35 の ようなモデルを12個書く必要がなく、1 つで全てを表すことができるのである。 このようにして、形態列には2種類の表示方式があることがわかった。

素数考・序_数から形態へ

32


fig.38 33

fig.36

1/7 族を用いた場合の十二数技法的形態列表現_線_ k=1

fig.37

1/7 族を用いた場合の十二数技法的形態列表現_環_ k=1

形態マトリクス ( 左 ) および形態配列用に順列変換した形態マトリクス ( 右 ) Study of Prime_ Number to Form _ Étude


形態の種_ 形態を作りたい。そのためには形態を引き出しから出す必

各列の形態の種に共通していることは、その立面は n/13 の

要がある。その引き出しはどこなのか?

循環小数から生成された振動曲線となっていることである。 共通している立面を持つが、そのもう一つの規定面の運動

セクシー素数の族はその引き出しとなりうる。むしろ、そ

は n/7 の振動の挙動に遵守しているため、立体的な効果は

れは形態の種のようなものかもしれない。これまでのスタ

異なるからである。つまり言い換えればこの種のようなも

ディからセクシー素数 (7,13) から72種類の形態を引き出

のは、列 n/13 の取りうる曲線の場合の数を尽くしたモデル

すことに成功している。さらに 7^n/13 の剰余系から「数律」

でもある。

を導き出している。それによって「列」の順列が定められた。 では列の大元とは何か?それはおそらく列 n/13 の合成隊で

この全ての列の形態の種、に共通していることは、全てが

ある形態となり得る。fig.37 はその一例となりうる、列 1/13

厳密な対称系からなっていることだ。どのような数学的な

の形態の種である。この種には列 1/13 の 6 つの形態の全て

摘出方法を用いても、数列だけではなく、形態でさえもこ

が含まれている。このような表現を用いることで、列の形

のように厳密なシンメトリーのものが現れることに対して、

態を特徴付けることができる。

数の世界には畏敬の念を示すしかないであろう。

fig.39 素数考・序_数から形態へ

形態の種_ 1/7 族 34


選別_ 配列が十二数法的に決定した中、そこでどのような形態を

ただし全ての配列が建築化するにふさわしいものとは限ら

用いて全体の形態の骨格のようなものを定義していくのか

ない、それは形態上の美しさだけではなく、シークエンス

が次の作業となってくる。そこで避けられないのが選別と

の面からでも、構造上でも、様々な面から考えていけば自

いう過程である。

然とそのような考えに至るであろう。

以下のように、 各列 n/13 には6種類の形態の取りうるパター

このように与条件、または個人的趣向との邂逅が初めてこ

ンが存在している。立面方向の挙動は各列では共通してい

の形態手法に恣意性が導入される瞬間であるかもしれない。

るものの、ここで選別するはもう一つの方向の挙動である、 とも言える。 列の順列が定められてしまったと言っても、もしランダム に各列から選んでいく場合理論上では 6^12 = 2176782336 通 りの形態列が作られることとなる。

fig.40 35

形態のリストおよびその列の配列 Study of Prime_ Number to Form _ Étude


fig.41 k*7^n(mod13) の値の k 値別表示および k=1 の2周期表示

右の fig.41-42 は十二数技法的形態列の線形展開および環状展開の2種類を示して いる。この二者のモデルでは同じ数列を用い、同じ形態列を用いている。二者に おける意味上の違いとしては環モデルでは循環構造はその表現上すでに備われて いる性質であり、線状の表現ではその性質は体現されず、複数周期のセットを並 列する必要がある。ここで、シフト系自体は複数存在しており、ただ、扱われる 数列は同じ順列で異なるのはその開始位置のみである。線モデルによる表現では その複数のモードに対応したものを書き出す必要があるが、同じ数列が扱われる 以上環モデルを用いれば開始位置を12時の位置になるよう回転させればいいの みである。環モデルにおいては全てを一括で表示することができてしまう。線モ

fig.42 十二数技法的形態列表現_環

デルでも2周期分の曲線を表示してしまえばどこかに開始位置を定義すれば 12 の シフトモード全てを表示することができる。 線状モデルにおいて形態上のさらなる展開を行う場合、素なるもの−周期性の異 なるモードを含む緩やかな風呂敷のようなもの、となる場合には fig.57 のダイア

fig.43 十二数技法的形態列表現_線

グラムが示唆的であると考えられる。Fig.57 においては特定のモードを2周期分 繋げることで、その他 11 モード(これらは互いにずれているだけであり、ベース となっている数列は変わらない)が全て含まれるようになる。周期性とそのこと なるモードの坩堝となるための最小限の単位となるであろう。2 周期展開によって あらゆるモードが含まれ、線形展開においても豊か / 複雑な空間の秩序性を獲得す る期待ができるであろう。 素数考・序_数から形態へ

36


fig.44 37

十二数技法と形態マトリクスによる全体の形態形成システム Study of Prime_ Number to Form _ Étude


素数考・序_数から形態へ

38


fig.45 39

形態の種 そして数律

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


恣意性の在処 ここで、まずはハウアーとシェーンベルクの十二音技法の扱い方の違いについて 見ていきたい。YOON のまとめを再度引用すると: ハウアーにおいては、作曲家の自由意志や感情とは無縁な規則の支配する音楽的 宇宙を完成させるということを 「 十二音技法 」 によって導きだそうとし、その為 に 12 音の全体性を追求し、その為に 12 音の全体性を追求しようとしていたこと に対して、シェーンベルクは、隣り合うひとつひとつの音の繋がりにおいても調 性的観念を排除する事、つまり音の中心を強く発する和音形成を避ける様な曲に 構成するという違いに表れるものであり、一方は 12 音の全体性への追求をおこな い、一方は 12 音の等価な関係の可能性を追い求めていたという事こそが両者の 「 十二音技法 」 の大きな相違点でもある。 ここで、特にハウアーにおいて強く現れている点は、作家の恣意性を完全に消し 去り、その代わりに完全な、または純度の高い、音楽としての全体性を追求をし ていることである。現行のプロジェクトにおいても同様に、数的性質の純度を追 い求めている点も確かにある。ただし、そこにはあくまでもその背後には目的が 存在しており、それによって建築化を試みることである。手法としては確かに両 者は音または数の内的秩序に着目し、その配列を管理することで全体の形成を目 指している。ところでこの中で形態列の中の形態の均等な配置、均等な扱いにお いてはシェーンベルクと共通しているところもある。ただし、このようにハウアー のような内的秩序の体系としての完成、シェーンベルクのような各構成因子の均 等化、などといった手法は「最後」の一手とはならない。あくまでもここまでの 方法は、恣意性の介入のための序章に過ぎないと考えている。 ここでの恣意性は数的な内的秩序のような、内部における秩序による客観性とは 対となるもの全てではなく、ここでは内的秩序に基づいた設計者によって自定義 された派生的な、事後発見的な秩序・ルールも含まれないとする。ここでの恣意 性はむしろ、場当たり的な・与条件への応答・個人の趣向・美意識などといった 内的秩序とは関連性が低く、自らの判断がより前面に出るような性格のものとす る。では、その恣意性が今回のプロジェクトの中でなぜここまで頑なに姿を現そ うとしないのか。まだ出る幕ではない。というのが今の考えである。なぜならこ こまでの操作においていまだにその内的秩序における自己完結を行えていないか ら、であると自分は考えている。ここまで読み進めれば分かる通り、このプロジェ クトはそもそも数字の内的秩序を掘り起こすことから始まっている。かつ、この数 字世界の厳密性と緻密さは想像以上のものである。つまりこのような建築ないし はその手前の形態上の操作・手法における自己完結にもそれなりの厳密さが必要 となってくると考えてており、それがこの題材に対する愛であり、最低限の敬意 であるともわきまえている。したがって、恣意性の出番そのものは自閉性の先に あるといっても過言ではない。そこで邂逅するのは具象であり、それは実際の敷地・ プログラム等の要請であったりするのだ。その具象に対してエッセンスを担保し つつ受け入れていく骨格としての強固さと同時に包容力のようなものが必要とな るのである。それを獲得するためには安易に匙を投げてはいけないと考えている。 素数考・序_数から形態へ

40


fig.46 思考のダイアグラム_恣意性の在処 41

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


線形における形態の全体性の形成を検討していった。なお、形態の引用は全て 1/7 族のものを用いている。この形態の各形態間の接続方法は、n 番目同士の点を接続 している方法をとった。さらに各形態の大小および水平距離を恣意的な操作によっ て調整を行なった。「十二数技法」に基づいた配置システムによって曲線の軌跡が 自動生成される、その割に形態が伸びやかな展開の仕方をしている。単周期によ る展開なので循環構造を想起させるような空間の展開の仕方かといえば疑問が残 るかもしれない。この2つの操作においてはサイズの変換、水平距離に関しては

mode_open_study

LINE

fig.47

恣意的に操作しているのであるが、事後的に発見されたものとして、高低差の存 在および空間の粗密のリズム感も同様に潜在的な循環性を起こさせる要素として 存在してもいいのではないかと感じた。 「伸び」によって生成されたこの線状の空 間に関しては粗密が特に気にならないようにも感じるが、機能をあてがう、小空 間を作って小分けにしていく、性質の操作などが要請されるようになった場合こ の形態のワイヤ数ではおそらくまだ物足りないものとなるかもしれない。単周期 における周期性の発見性の欠如はおそらく複数周期の同居により解決されるかも しれない。 素数考・序_数から形態へ

42


fig.48

mode_close_study

RING

一方環構造を用いて全体を形成した場合を見てみよう。環構造となっているが何 が循環し反復し、何が対称性を保っているのかがわかりにくい。もちろん、「わか りやすさ」、 「明瞭さ」が「正しい」指標となることは絶対ではないが。内部空間 における奥行きや複雑さに繋がっていない印象、かつ美しく造形されていない、 素数として彫像されたというには程遠い出来。スケールの設定が非常に重要にな ると考えられる。まず人間のスケールよりも大きい(想定としては半径25メー トル以上の大きさ)であれば非常に大きい。ダイナミックになるが、周回するよ うな空間としてはいささか枯燥無味なものであるかもしれない。身体スケール近 傍における形態の部分が生じることが要請される。形態の内的な分岐が必要。ただ、 このようなルールは実は援用可能であり、ここで重要なのは各点の「情報」である、 これを元に接続、分岐を起こし接続をしながらさらに密度を上げた操作をするこ とはできる。このような操作と「素なるものへの帰還」はどのようにつながるのか、 数的性質を引き継いでいるのか、造形として要請された事後的発生のルールなの か、この二者は大きく意味が異なると考えられる。なお、引用した形態が投影平 面上では全体の接続により埋没したこが両者共通して興味深く感じられた。

43

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


素数考・序_数から形態へ

44


45

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


具象へ_ 純な数字の世界から抽出された二素数がその性質を引き出

いう「神話」は崩れ去っていく。潔く受け入れたものがそ

すことによって72の形態へと変貌しそしてその配列方法

のふ対称性の美を享受できるのかもしれない。少なくとも

を獲得した。これに伴い基本的な造形の手順が遂行された

地球がリジッドな球体で無いから対称性が崩れ去るのは必

ところであるが、いかにしてそれを建築然とさせるのか。

然でもあるのだ。と考える。

理想状態から複雑に様々な要素が影響し合うリアルへ。理

具象を引き受けた瞬間、この形態は歪みが生じ、それによっ

想状態下・抽象下では素数の原理はその厳密な周期性と対

てリジッドな性質の束縛から自由を獲得するとも考えても

称性から美しさを造形していった。対称性は我々の抽象に

いい、という見方もできる。現実の諸条件がこの厳密な内

対する原始的な欲求を反映している。そしてその対称系を

部構造を美しくほぐしていくのだ。それが人間の行動であ

いかにして論理的かつ美しく崩すのか、それも我々が探求

り、プログラムであり、敷地の形状であり、様々な要因が

してきた普遍的な形態的問題でもあるのかもしれない。

挙げられる。これによって新たに建築として造形していく ことが可能となるのでは無いだろうか。

理想状態からリアルの地に降り立った瞬間、この対称性と

fig.49 素数考・序_数から形態へ

Symmetry to Assymtery_From Abstract to Figurative 46


素数と建築を巡る旅路はこれからも続くであろう。 2019.05.01

47

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


素数考・序_数から形態へ

48


49

Study of Prime_ Number to Form _ Étude


[ 参考文献・References] 素数夜曲−女王陛下の LISP 吉田武 [ 著 ],2012 素数はめぐる 循環小数で語る数論の世界 ( ブルーバックス ) 西来路 文郎,清水健一 [ 著 ],2017 予想不可能性、あるいは計算の魔−あるいは時の形象をめぐる瞑想− イーヴァル・エクランド [ 著 ] 南條 郁子 [ 訳 ] 建築と断絶 ベルナール・チュミ [ 著 ] 山形浩生 [ 訳 ] 「『十二音技法』のモデルとダイアグラムについて」『神戸芸術工科大学紀要 2009』 尹 智博,2009 「ダニエル・リベスキンドによる設計手法に関する考察 −トータル・セリエリズムについて−」『神戸芸術工科大学紀要 2009』 尹 智博,2010 形を決定する論理 Traverse15 https://www.traverse-architecture.com/15-t1 竹山聖 ヤニス・クセナキス研究 −建築と音楽をつなぐパラメータ設定についての考察− 加藤伸昭 素晴らしき図形楽譜の世界 https://blog.overkast.jp/2012/01/graphic_notation/ Music and Architecture: A Cross between Inspiration and Method, Alessandra Capana, July 2009 Specification of an Operator for the Design of Architectural Forms: ? Pleating?, Jean Claude Bignon, December 2007 PETER EISENMAN ARCHITECTS, WORKS https://eisenmanarchitects.com/Projects COMPOSING THE LINES, 2003 – JEWISH MUSEUM BERLIN – https://artcom.de/en/project/composing-the-lines-2/ − [Photo Credits] fig.09-11

https://blog.overkast.jp/2012/01/graphic_notation/

fig.29

http://kiyou.kobe-du.ac.jp/09/thesis/08-img/08-p-13.jpg

fig.32-34

http://kiyou.kobe-du.ac.jp/09/thesis/08-01.html

http://kiyou.kobe-du.ac.jp/wp-content/uploads/2010/11/5_yoon.pdf

fig.36

http://kiyou.kobe-du.ac.jp/09/thesis/08-01.html

素数考・序_数から形態へ

50


Practice for Beginning −三人の建築学生による決意表明−

___ [ 展覧会 ] _ 会場:Red and Blue Art Gallery 会期:2019 年 5 月 3 日− 5 月 5 日 出展者:山地 大樹 角張 渉 松原 元実 ___ [ 模型 ] _ 制作参加者:堤 亮介 徳毛 郁也 續橋 進之介 松原 元実 ___ [ ハンドブック ] _ 編集:松原 元実

___ [Exhibition] _ Venue: Red and Blue Gallery Period: Friday, May 3rd - Sunday, May 5th, 2019 Exhibitor: Daiki YAMAJI, Sho KAKUBARI, Motomi MATSUBARA ___ [Model] _ Made by: Ryosuke TSUTSUMI, Ikuya TOKUGE,

Shinnosuke TSUZUKIBASHI, Motomi MATSUBARA

Special Thanks to: Ryosuke TSUTSUMI, Ikuya TOKUGE, Shinnosuke TSUZUKIBASHI, ___ [Handbook] _ Edited by: Motomi MATSUBARA



Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.