HUSQVARNA MAGAZINE 2010-11

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モデルカーズ8月号増刊・フリーライドマガジンVol.29 特別付録

イタリアの情熱を知る。ハスクバーナ・モーターサイクル

FROM ITALY

頑なまでに、自分たちのユニークな設計と哲学を貫き通したモーターサイクルを作り続けているレーシング・モーターサイクル・ カンパニーがイタリア・ヴァレーゼにある。それがHusqvarna —— ハスクバーナだ。スウェーデンで1903年に生まれた "Viking"は、世界のモータースポーツで輝かしい栄光を獲得した後、1988年にイタリアに本拠地を移して第二世代へ。そ して2007年にはBMWグループの傘下へ迎え入れられた。その結果、充実した開発環境と高いクオリティコントロール能力 を手に入れ、飛躍となるであろう第三世代の歴史を刻み始めた。しかし、これらの変遷を経てもユニークかつエレガントなデ ザイン、設計思想は変わらない。屈強だがしなやかさに溢れたシャシー。ライダーの心を熱く燃やすエンジン。そしてその組 み合わせが生む、ライダーの心を揺さぶる確かなパフォーマンス。その源泉となる「情熱」について、ひもといていこう。



Antoine Meo

アントワン・メオ

2009年の世界選手権エンデューロで、後半 6戦全勝と いう輝かしい戦績を残しタイトルを獲得したフレンチ・ラ イダー。2010年もすでに7戦中 5戦で勝利する圧倒的 な強さを見せている。彼の勝利に貢献するマシンこそ、 ハスクバーナ・T E250だ

PASSION 突き動かしているのは情熱。このエンジンは、イタリアーノの歓声だ!

常に勝つこと、勝ち続けること—勝利への情熱が生み、育んできたブランド、ハスクバーナ。オフロードにルーツを もつこのレーシングカンパニーはブランド生誕から100年以上たった今もその情熱の熱さを失っていない。それどこ ろか、 新たなX-Lightエンジンなどを得てさらに熱く燃えたぎっているのだ。エンジニア。デザイナー。プロダクトマネー ジャー。メカニック。ハスクバーナに関わる全ての人間に、ライダーに、その熱が伝わり熱狂の渦を作っていく。ア クセルを開けた瞬間に体感する強烈なパッション。アントワン・メオに怒濤の6連勝を勝ち取らせ、エイドリアン・シャ レイアに無敵の速さを与えたのは、パッションそのものだ。トップライダーだけじゃなく、アマチュア・エンスージア ストにも十分体感できるその熱を、ぜひ感じ取っていただきたい。


Antoine Meo

Heikki Mikkola ヘイキ・ミッコラ

Hakan Carlquist

Anders Eriksson

ハカン・カルキビストも1979年に250ccクラスでハスクバーナに タイトルをもたらしている

ハスクバーナのルーツでもあるスウェーデン出身のエンデューロ ヒーロー、アンダース・エリクソン。400、500のビッグボアクラ スで活躍。ハイパワーのT E610、T E570をねじ伏せるように操 るライディングスタイルは、多くのファンを魅了した

ハカン・カルキビスト

ヘイキ・ミッコラは1974年と1976年にハスクバーナでモトクロ ス世界タイトルを獲得

アンダース・エリクソン

History of Husqvarna =History of GLORY 誕生〜初のタイトル獲得

てのハスクバーナがスタートするのは第二次

ら245㏄まで拡大。出力は15PSに、ギアボッ

メリカ代表チームの一員として出場した。マシ

世界大戦が終結してからだ。

クスも3段から4段に変更される。

ンはハスクバーナ。マルコムとともにバハのレ

現在は北イタリアに本拠を置くハスクバー

他メーカーがまだ4ストロークを主力とする

1959年、このSilverpilは、ロルフ・ティ

ジェンドとして語られるバド・イーキンスもこ

ナだが、もともとはスウェーデン生まれのブラ

中、開発の主軸を軽量でハイパワーの2スト

ブリンのライディングで、ハスクバーナにとっ

の時初めてハスクバーナで出場している。

ンドだ。1689年(!)にスウェーデン国王によっ

ロークへと切り替えたハスクバーナのマシン

て初のモトクロス世界チャンピオンを獲得す

この時の活躍は、アメリカにおけるさらなる

てハスクバーナ河畔に建設された工場は、後

は、圧倒的なオフロード性能でシーンを席巻

る。

ビッグセールスのきっかけとなり、以後、スポー

に銃器やミシンなどの精密機械を製造する大

する。

工場へと発展するが、ハスクバーナ製の初め

1953年、旧チェコスロバキアで開催された

てのモーターサイクルは1903年に誕生。1909

シックスデイズエンデューロでは、新しい2ス

年にはスイス製のVツインエンジンを搭載した

ツモーターサイクルといえばハスクバーナと言

アメリカでの成功

われるほどの確固たるポジションを確立。

トローク175㏄マシンを駆る9名のライダーが

もしかするとアメリカのバイクメーカーだと

まで、アメリカのオフロードバイクブームを牽

スウェーデン軍採用モデルを完成させる。

7つのゴールドメダルと2つのブロンズメダル

思っていた人も少なくないかもしれない、

引する存在であり続けたのである。

1919年には初の自社製エンジン開発に成

を獲得し世界中のライダーから注目を集める。

Silverpilに代表されるクロームメッキと赤の

功。その後は、イギリス製のシングルエンジ

1955年には、このトロフィモデルをブラッ

タンクのハスクバーナは、アメリカでも大きな

ンを搭載したモデルを発売したり、あるいは

シュアップ、車重をわずか75㎏に抑えた

セールスを記録する。マルコム・スミスやス

他メーカーにOEM供給をするなど、高性能

Silverpil(シルバーピル)を発売した。

ティーブ・マックイーンによるライディングの印

かつ信頼性の高いモーターサイクルとしての

「銀と赤」の燃料タンクが特徴のこのモデ

象も鮮烈だ。

EU成立という大潮流の中で、ハスクバー

地位を確かなものにしていくが、軽量で高い

ルは、以後10年の間生産が続けられる大ヒッ

1966年、ハスクバーナの母国スウェーデン

ナのモーターサイクル部門が、イタリアのカジ

運動性能を持つスポーツモーターサイクルとし

ト作となる。最終的には、排気量は175㏄か

で開催されたISDTに、マルコム・スミスはア

バ社に移譲されたのは1986年。カジバは、

Adrien Chareyre

1974年10月に第一次オイルショックが始まる

イタリアへ。 新世代4ストロークの誕生


Adrien Chareyre アドリエン・シャレイア

Antoine Meo アントワン・メオ

弱冠 24歳ながら、07年はS1で、08、09年はS2クラスでタイトル獲得と前人未踏の記録 を達成した天才スーパーモタードライダーがアドリエン・シャレイアだ。その成功を支えたマ シンこそ、ハスクバーナS M450R Rである

フランス出身のアントワン・メオは2009年の圧倒的な速さを 保ったまま2010シーズンに突入。すでに7戦中 5戦を制して いる。この勢いは止まらない!

1906年から続くモーターサイクルメーカーとし

権で4ストロークマシンが勝ったのは、実に

リー・ヴァンデンボッシュ、2003年にはやは

も最小排気量のE1クラスでのタイトル獲得が

てのハスクバーナのブランドを絶やすことなく

28年ぶり、ジェフ・スミスのBSAが1965年

りエディ・シールがスーパーモト世界選手権で

ターゲット。1990年代から、 エンデューロでは、

受け継ぐことになる。

にタイトルを獲得して以来のことだったのだ。

チャンピオンに輝くなど、この新しいカテゴ

アンダース・エリクソンらのライディングによっ

1950~60年代に2ストロークマシンの先駆と

すでに、ハスクバーナから独立した技術者

リーでも確固たるポジションを確立することに

て、ハスクバーナのビッグボア4ストロークの

してシーンを席巻したハスクバーナが、再びエ

たちによって設立されたフサベルが4ストロー

なる。その後も2005年にジェラルド・デレピ

実力が証明されてきたが、今度は、超軽量ユ

ポックメイキングな存在となるのは1992年。4

クマシンを作っていたが、それらとともに、

ンがS1で、 2007年もデレピンとアドリエン・シャ

ニット、X- Lightエンジンのポテンシャルをア

ストローク500㏄マシン、TC570のデビュー

TC570の活躍は、現在につながるオフロード

レイアが両クラス制覇、シャレイアは、その

ピールする機会になる。同時に、BMWとの

によってだ。 これまで、 軽量・コンパクトでパワー

マシンの4ストローク化の流れを決定づける

後もタイトルを獲って現在3年連続タイトルの

コラボレーションによるニュー 450㏄マシンの

の出しやすい2ストロークが主流だったモトク

ものとなる。

記録を更新中である。

開発も進められているということで、ますます

モトクロスでは、1999年にキオッディのタ

期待が高まっているハスクバーナである。

ロス界に、革新的なまでに軽くコンパクトな4

2010年はエンデューロ でもタイトルを狙う

イトルを獲得したのを最期に、ワールドチャン

アボックスを持ちながら、車重はわずか115㎏

スーパーモタードレーシングへの取り組みも

しているが、2007年にBMWのグループ企業

と軽量。

早く、1990年代前半から、イタリア、フランス

となってからは新体制のもとに、モトクロスに

翌1993年、このTC570 は、ジャッキー・

のナショナル選手権に参戦。1998年には、 メー

も本格的なカムバックをスタートさせている。

マルテンスのライディングで世界チャンピオン

カーとしていち早くスーパーモタードモデルの

そして今、ハスクバーナが最も力を注いで

に輝くことになるのだが、モトクロス世界選手

SM610、SM125も市販。2000年にはティエ

いるのが、エンデューロ世界選手権だ。それ

ストロークエンジンを開発投入したのだ。 65HPと高出力ながら2ストロークよりトラク ションに優れ扱いやすいパワーカーブ、4段ギ

ピオンシップの一線から退いた形になる。そ の後、スーパーモタードとエンデューロに注力


勝利への情熱が革新を生む。ハスクバーナ・テクノロジー


IT'S RIGHT, X-LIGHT!

その軽さ、小ささがすべてを変える。エックスライト・エンジンとは ?

各写真の大きいパーツが旧T E250、 右側が2010モデルから採用されたX- L I G H T(エックスライト) エンジンの各パーツ。驚くほど小型化されていることがわかる。とくにシリンダーヘッドとシリンダー のコンパクト化は驚異的と言っていいほど。これはバルブ駆動方式を、これまでのロッカーアームを 介する構造から、カムシャフト直押しの構造としたため。コンパクト化、スリム化はセルモーターに まで及び、一般的なギアではなく、新規にウオームギアを採用。これによってセル始動というアドバ ンテージを維持したままエンジンの小型化に成功している。また、ハスクバーナ伝統のカムシャフト 同軸ウオーターポンプもギア数の低減に寄与、エンジンの小型化・軽量化に一役買っている。エン ジンの小型化は結果的にハンドリングの向上にも繋がり、より軽快なコーナリングを楽しめるモデ ルに仕上がった

単体重量 22kg。その軽さはハンドリング性能まで向上させた。 2005年にはすでにスタートしてい たと言われるハスクバーナの新エン ジンプロジェクトによって生まれたの が「X- L I G H T」 ( エックスライト) エンジン。2010年モデルのTE250/ S M250Rに採用されているエンジン である。 2008年にはハスクバーナのファク トリーライダーであるバルトス・オブ ルッキのライディングによって世界エ ンデューロ選手権に登場。デビュー シーズンにして、その軽さとパワーデ リバリーには十分な戦闘力があるこ とを実証。 翌 2009年にはアントワン・メオの

ライディングによってフル参戦、強敵 ミカ・アオラのCR F250Rを相手に 後半6ラウンド全勝という素晴らしい パフォーマンスを見せた。 このエンジンの最大の特徴は、究 極的なまでの軽さとコンパクトなパッ ケージングにある。エンジンの単体 重量は22kg、前モデル比で13%減 という大幅な軽量化を達成。並みい るライバルを凌ぐ軽さに仕上がってい る。 しかし、これだけの小型化を果た しながらハスクバーナ・エンジンのア イデンティティでもあるシリンダー ヘッドへのウオーターポンプ配置、ラ

ジアル(放射型)配置バルブの採用。 ただ軽いだけではない、パワフルで 耐久性の高いエンジンに仕上がった。 バルブ素材もチタンとすることで、高 回転域までストレスなく回る特性も 獲得した。 また、2010年モデルではこれまで 以上にショートストローク化したこと もエンジンのコンパクト化に一役買っ て い る。2009年 モ デ ル ま で の 76mm×55mmか ら 79.50mm× 50.3mmへと変更されたことにより、 シリンダー全体の高さを抑えることに 成功したのだ。 日本ではまだまだ「外国車は壊れ

やすい」とい誤った認識をもつライ ダーが多いが、その認識はハスクバー ナには当てはまらない。日本でも多く のライダーがエンデューロに使用して いるが、トップライダーであってもメ ンテナンス時にバルブクリアランスの 調整が必要になることはほとんどな く、開けて戻して終了……となること が多い。 軽さ、コンパクトさ、そして扱いや すいトルクと胸のすく高回転域のパ ワー。それに加え、高い耐久性まで。 エンデューロライダーの求める全てが 凝縮されたエンジンが、このエックス ライトエンジンなのである。


X-LIGHT MACHINE impression

TE250

4T ED

記念すべきハスクバーナ・X- LIGHT搭載マシンとしてデビューした2010 TE250。 以前から定評のあったハンドリングのよさに磨きをかけ、 戦闘力の高いリアル・エンデューロマシンに仕上がっている。

好みでポジション調整可能なバークラン プを採用

多彩な機能を盛り込んだデジタルメー ター

標準で樹脂製のアンダーガードを装備 する

新たにハロゲンH4バルブを採用、実用 性をアップしたヘッドライト

標準でラジエーターファンを装備。オー バーヒートに強い設計としている

質感の高いアルミ製シフトペダル、ワイ ドステップを採用

音量を抑えながらスリムに仕上げたステ ンレス素材サイレンサー

L E Dを採用、ハードなライディングでも 耐久性の高いテールランプ

マディなどマシンに厳しい状況でもコン トロール性を保つリヤブレーキディスク


2010 TE250 + TADAO IKEDA(ED RIDER) @O - L AND MOUNTAIN COURSE HUSQVARNA TE250 TESTRIDE

懐の深い乗り味。速さと快適性を両立した TE250 軽いが、乗り味がハードでピーキー なエンジンのマシン……コンペティ ションマシンに対してそんなイメージ をもっているなら、このT Eに関して は考えを改めたほうがいい。 フルモデルチェンジされたエックス ライトエンジンは、極低速から粘り のあるトルクを発揮してくれる頼もし い特性だ。もちろん、その本領を発 揮するのは高回転域まで引っ張り、

ピークパワーに至ったとき。だが、低・ 中回転域でも十分に実用的と言える パワー、トルクをもっている。 特筆すべきはそのハンドリングのよ さだ。2010年モデルからカヤバに変 更されたフロントサスペンションと、 剛性が最適化されたシャシーによっ て、ウッズなど狭いトレイルでもヒラ ヒラと向きを変えていける俊敏さをも つマシンに仕上がっている。

この特性を実現したのは言うまで もなく、 新設計のX-LIGHTエンジン。 大幅に軽量小型化されたことによっ て、もともと優れていたコーナリング 性能がさらに高まっている。 また、T E250はエンデューロマシ ンとしては珍しく、ツーリング的なラ イディングにも対応する懐の深い乗 り味をもっていることも特徴の1つ。 やや大柄な車体だが、そのおかげで

リラックスして走るツーリングでも快 適に走れる乗り味を実現している。 この快適な乗り味は、長時間にわ たって走ることになるエンデューロの ルートを、最小の疲労で走り抜けら れる効果をもっている。 エキサイティングなエンジンに快適 な車体。エンデューロからツーリング まで楽しみたいという欲張りな要求 にも応えてくれるマシンだ。


Yasushi Matsumoto 松本 康

4歳からモトクロスの英才教育を受け、13歳から本格的にレー スの世界へ。1994年に国内B級から国際B級へ 2階級昇格、 1996年国際A級に昇格。2005年からM OTO1に参戦。参戦 して早くも2年目にmoto1クラスシリーズチャンピオン。moto2 クラスは同時に 3位。2008年からS M450R Rに乗る。2009 年は世界選手権にも挑戦した。2010年は開幕から全戦勝利の 3連勝と波に乗っており、タイトルへの期待が高まっている

X-LIGHT MACHINE impression

SM250R 軽い車体に軽く回り、なおかつパワフルなX- LIGHTエンジン。 ライトウェイト・スーパーモタード、SM250Rの2010モデルは、 さらに走りを楽しめるモデルに仕上がった!

4T SM


軽量・多機能なデジタルメーターを採用

軽くタッチに優れる油圧クラッチを採用

フロントブレーキは別体マスターシリン ダーを装備したブレンボ製

ストッピングパワーだけでなく、繊細なコントロー ル性ももつブレンボラジアルマウントブレーキ

サイレンサーのエンドコーンにエッチングされたハスクバーナ・ロゴ。イタ リアンメイドならではのエスプリの効いたデザイン

天井知らずに回るエンジンが興奮を加速する。new SM250R 比較的高めの着座位置となるシー トに跨り、低い位置にセットされた ハンドルを落とし込むようにバイクを ネカせると、深いバンク角をピタっと 保ったまま強烈に旋回していく—— S M250Rならではの楽しみに、さら に大きな魅力が加わった。それが、 より軽快になった切り返しと、強烈 で胸のすく立ち上がり加速だ。 単体重量 22kgと水冷 4ストロー

クDOHC250ccエンジンとしては圧 倒的な軽さに仕上がったX- L I G H T エンジンは、ハスクバーナらしいヒラ ヒラとしたコーナリング時のハンドリ ング感覚にさらに磨きをかけている。 そのフィーリングもかなり変貌を遂 げた。09モデルよりもさらにショー トストローク化されたエンジンは、ま るで電気モーターのように敏感にス ロットルに反応し吹け上がっていく。

スーパーモタードならではの装備であ るブレンボ製ラジアルマウントブレー キが、繊細かつ強大なストッピング パワーを発揮するから峠道をガンガ ン飛ばしても不安感はない。 エンジンが 09 モデルに比べて 2kg軽くなったことは、ワインディン グでの切り返しの早さと気持ちよさ を実現したが、同時にサスペンショ ンの動きもよくしている。これまでな

らガン、ときたようなショックもしな やかに受け止めるものとなった。 新たに採用されたインモールドグラ フィックは、耐久性に優れるだけでな くボディパーツに艶やかさも与えてい る。ストリートライド、スポーツライ ディング。もちろん、スーパーモター ドモデルの利点を生かせば、 オフロー ドまで……! まさに究極のライトウ エイトスポーツと言えるマシンだ。


THE CHASSIS OF PASSION

綿密なセッティングが施された車体が走りの質をさらに高める。

ファクトリーマシンを開発するチーム

ファクトリーマシン開発室。次世代の技術が盛り込ま れたマシンが並ぶ

ツールもコンピュータライズ。最終工程 で全パーツが規定のトルクで締められて いるか全車チェックされる

B M W傘下になり導入されたカンバン方式。ロスのな い生産で品質も向上した

整然とラインに並ぶ製作途中のマシンたち

ファクトリーライダーの巨大な写真がスタッフのやる気 を鼓舞する工場

部分ごとに最適な形状・素材が吟味されたフレームが優れた走りを生む

情熱という名のエンジンを、イタリアンアートの域に達したシャシーに積む。 ただ強いだけではなく、適度なし なりをもち、そのしなりでコーナーで のバンク時に加速するような特性を 見せるフレーム……それが、イタリア ならではの技術で設計されたハスク バーナのクロモリフレームである。 近年はアルミ化されることの多い スーパースポーツのフレームだが、ハ スクバーナでは一貫してクロモリ素材 のスチールフレームにこだわる。そ の理由は、高強度、高反発のアルミ 素材ではなしえない、究極にしなや かな乗り味を求めてこそだ。

クロームおよびモリブデンをスチー ルに配合したクロモリ素材は、パイ プ厚を薄くしても十分な強度が得ら れるだけでなく、モーターサイクルラ イディングに適した適度なしなやかさ を得られる伝統の素材だ。 ハスクバーナでは、このクロモリ 素材を使用したパイプを使用、さら に部分部分によって最適な太さ・形 状としたじつに手間のかかったフレー ムを製作しているのだ。しかも、毎 年毎年、細かな調整や変更を加えて 完成度を高めている。

2008年にフルモデルチェンジした 現在のペリメターデザインのフレーム は、発表こそないもののガセット(補 強パーツ)の追加やパイプ肉厚の変 更などを行っている。外観からはまず わからないが、そのこだわりこそハス クバーナのテライスト(フレームのプ ロフェッショナル)としての仕事であ り、結果的にコーナリングマシンと評 される高い性能に繋がっているのだ。 その乗り味を実現する秘密はその 製造工程にもある。B M Wグループ の傘下となったことで従業員がより

快適に働けるようになり、またより 効率化されたヴァレーゼのファクト リーでは、1台1台、車体が丁寧に 作り込まれていく。日本のトヨタが ルーツである"カンバン方式"を取り入 れたラインによって効率化されたライ ンでは、ハスクバーナを愛するイタリ アの職人たちが丁寧に組み立て作業 を行っている。 目には見えない部分だが、こうし た効率的、かつゆとりのある製作工 程が、精度が高く性能に優れるマシ ンの実現を果たしているのだ。


ハスクバーナ本社の開発室ではより優れ たハンドリングを追求するためのトライが 繰り返されている。写真はnew T E310プ ロトタイプ

現在採用されているフレームの大きな転換点は2008年。それまでのシングルクレードルフレームか らペリメタータイプの新フレームに変更され、コーナリング性能がより高いものに進化した。極めて 似た外観だが、スーパーモタードモデル、エンデューロモデル、各排気量ごとに最適なセッティング の実現のためにジオメトリー・構造も異なる。また、進化したエンジンに合わせてガセット(補強パー ツ)の追加や位置変更なども適宜行われている。サスペンションは基本的にフロント:マルゾッキ、 リア:ザックスの構成だが、2010年のエンデューロモデルからはより路面追従性に優れるカヤバ製 フロントサスペンションをT E250/ TC250 に採用。とくにTC250 にはツインチャンバーの最高峰 モデルを採用することによって最高のコーナリングマシンに仕上がっている


IMPRESSION

ENDURO MODELS

ハスクバーナのルーツはオフロード・コンペティションモデル。1959年にロルフ・ティブリンによるモトクロ ス世界タイトル獲得以降、トレステン・ハルマン、ヘイキ・ミッコラ、ハカン・カルキビスト、アンダース・ エリクソンらスターライダーを生み出している。その栄光の血統は今、アントワン・メオらの活躍を支える最 新モデルに受け継がれている。ここではその最新モデルのインプレッションをお届けしよう。

impression by



待望のビッグ・デュアルスポーツ。 ハスキーの熱さに汎用性、快適性をプラスしたブランニューモデル登場 価格◎ 85 万円

4T ED 大柄ではあるがヒザまわりがスリムに設計されているため身長170cm程度あればラクに乗れる。 シティライドからツーリングまで幅広く使えるハスキーだ

TE630 1

2

3 4

D O H C化されたパワフル&スムーズな エンジン ②軽快な操作が可能な油 圧式クラッチ ③クラウンロゴの形状 とされたステンレス製ツインサイレン サー ④コックピットには大きく見や すい多機能デジタルメーターとハンド ルロック一体型メインスイッチを配置


チャンバー形状の見直しによってよりパワー バンドが広がった 2010 モデル。グラフィッ ク類もインモールド化され、耐久性とルック スともに向上している

最強のストリートED、 TE630 快適性と足つきの良さを考慮して設計され た段付きシートは、これまでのハスクバーナ 製モーターサイクルに比較してとても柔らか い。その前に位置するタンクのシート側は深 く絞られており、 対照的に前部はラジエーター を覆うように左右に大きく開いている。フュー エルインジェクションらしくセル一発で目覚 めたエンジンは、SM530RRをベースに開 発されたDOHCユニットだ。 TE630は2005年に初登場したストリー トモタードモデル、SM610をルーツにもつ デュアルパーパスモデルだが、エンジンが SM610のシングルカムエンジンからDOHC になったことで、乗っての印象がガラっと変 わった。旧モデルがどちらかと言えばトルク 重視で上での回転上昇はつまりがちなパワー フィールだったのに対し、まるで2気筒エン ジンになったかのような滑らかさを手に入れ てい る。 実 際、 トル ク、 パ ワーとも に SM610に比して20%アップしているそうだ が、それが十分に体感できる。 今回、試乗したのは、イタリアはミラノの 北部、ヴァレーゼにあるハスクバーナ本社か らスタートした、全長50〜 60kmほどの公 道ルートだ。前半は滑らかな舗装路、後半 に数kmの林道を含むバリエーション溢れる ルートである。 初めて乗る、しかも決して小さくはないバ イクなのに緊張感がまるでない乗り味だ。い いなあ、と思えるのはハンドリングのナチュ ラルさ。タイヤは前後ともにメッツラー・カルー を履いていたが、オンロードでも気持ちよく コーナーを攻めていける。 そのままの勢いでダートへ。結構ガレてい て、しかも水切りのミゾが道路を横切るかな りハードなコンディション。快適性を重視し たマシンだけに、かなり苦労するのでは…… という心配はしかし、一瞬で消え去った。 ライディングポジションがTE250、450な どのコンペティションモデルに極めて近いエ ンデューロバイクそのものであるためか、じ つに軽快にダートを走って行ける。車体中央 部分がスリムであるせいか、ダートを走り始 めて10分後にはアクセルターン、 ブレーキター ンが出来るほどにまで体になじんでいた。乗 りやすく速いビッグオフ。ユーザー待望のハ スキーが登場した!

軽量かつ強靱なスイングアームに、高品質 なアルミ製リアスプロケット。細部に至るま でハイエンドパーツが配され、実戦で即使用 できるスペックとなっている

WR250

2T ED

強烈なパワーでライダーを挑発。 希少な公道走行可能 2 ストロークモデル 価格◎93万4500円 2010 WR250 + TOMOYASU IKEDA(ED RIDER)

ライダーに挑戦するWR250 低速から高速まで全域でパワーが出てい る、まさにロケットマシン。とくに中回転域 以上のパワーはエキサイティングのひとこと で、回しきって走るには相当のスキルが要求 される、リアルエンスージアストのためのマシ ンである。 もっとも、アクセルをあまり開けなくても 難所を乗り越えていく強大なトルク、パワー を発揮するので、繊細なスロットルコントロー ルの出来る中級者であれば乗りこなすことは 十分に可能だ。 いずれにしろ、 この特性はチャ

ンバー、サイレンサー、排気デバイスなどで セッティングすることが可能なので、自分に 合った特性を走りながら見つけていく作業も 楽しいだろう。 2010年モデルからはフロントサスをカヤバ 製としたことで、フロントの動きがグンとよく、 柔らかくなっていることも好印象。 現在では希少な公道走行可能 2ストロー クエンデューロマシンであり、2ストならでは の乗り味を求めるユーザーには嬉しいマシン。 乗りこなす楽しみを求める、まさにライダー に挑戦するマシンである。


X-LIGHT エンジンを搭載したモトクロッサー

TC250

価格◎108万1500円

4T MX

世界選手権を闘うフラッグシップマシン

TE450

価格◎120万7500円

4T ED

2009年に登場しているが、一部の限られたライダーにのみ供給されていたX- L I G H Tエンジン 搭載4ストロークエンジンモトクロッサー、 TC250。T Eシリーズとは異なり、 燃料供給にはケー ヒン製FC R - M XΦ39mmキャブレターを採用。旧モデルに比べスイングアームを15mm短縮 するなど熟成を進めての登場だ。

世界選手権エンデューロをターゲットとした T E450も2010モデルに。フロントサスペンショ ンはΦ48mmのカヤバ製となり、 さらに信頼性と操縦性の向上を果たしている。また、 ウオーター ポンプとラジエーターホースも強化され、さらにハードなシチュエーションでも信頼性が高いも のとしている。

ステンレス素材のサイレンサーはTEシリーズに比べてス リムなデザイン。外装パーツ類は、直接プラスチックに プリントされるインモールドタイプ

ミクニ製インジェクションを採用するD O H Cエンジン は冷却系統をさらにタフなものへと変更している

タンクとシリンダーヘッドの間に腕が通りそうなほどコ ンパクトなX- Lightエンジン。単体重量 22k gと世界最 軽量を達成している

目立たない部分ではあるが、ハブやアクスルなども新 設計のものとなり、ハンドリングに貢献。アルミ製の 軽量なキックスタンドが装備される

coming up next

BMW とのコラボレーションがついに実現

BMW HUSQVARNA ENDURO"TC449"、EWC イタリアでついにデビュー E WCイタリアG PでデビューしたTC449

2007年に始まったBMWによるEWCへのチャレンジは、今シー ズンからハスクバーナとのコラボレーションによる「BMW Husqvarna Motor Sports」のプロジェクトに引き継がれた。前 傾シリンダー、コアキシャルピボットなど、BMW G450Xの革新的 なデザインはそのままに、シャーシ開発はハスクバーナが担当。 BMWの技術力と、ハスキーのレーシングテクノロジーが融合した まったく新しいモデルになっている。BMW Husqvarna Motor Sportsは、この新しいファクトリーマシン"TC449"を、まずは EWCに投入。ユハ・サルミネンらのライディングでタイトルを狙う。 EWCデビューとなった5月のイタリアGPでは、エースのサルミネン が怪我のために欠場してしまったが、マルコ・タルカラ(写真上)とピッ チヒッターのアンドリアス・リッテンビッヘラーが上位で完走。ポテ ンシャルの高さを証明した。


仕上げの美しいアルミ 製バークランプとトッ プブリッジ。細部の造 りは上位クラスとまっ たく同じだ

仕 上げが 美しくなっ た、A R R OW製ステ ンレスサイレンサー

サイドスタンドは軽量 でありながら頑丈なア ルミ鍛 造。ワイドス テップ、チェーンガイ ドなどハイクオリティ なパーツが随所に用 いられる ハスクバーナ全車に 共通する、 クイックファ スナー脱着式シート。 エアクリーナーのメン テナンスを工具不要で 行える

2010 WR125 + TOMOYASU IKEDA(ED RIDER)

クラスを超えたパワフルさ。上位クラスを脅かすスモールロケット 価格◎89万2500円

2T ED

WR125

2011 TE より戦闘力を増した 2011TE もスタンバイ

ステアリングヘッドのリブ、ピボット部形状の変更など多数の変更が行われ ている2011モデルも開発の最終段階に入っている

125ccのオフロードバイク……と聞いて、初心者向 けの廉価マシン、と想像するのは大きな間違い。この WR125は、2スト125ccというレギュレーションの枠 内で最大の速さを実現すべく、隅々まで研ぎ澄まされ たリアルコンペマシンなのである。 2010モデルでの嬉しい変更点は、これまでオプショ ンだったビッグタンクが標準装備になったこと。これに よってピットでの給油回数を抑えることができる。

エンジンはハスクバーナらしいエキサイティングな特 性だ。回せば回すほどパワーが出る性格で、中回転域 以上をキープできるライダーであれば、どこでも気持ち のいい加速を味わえるだろう。また、低速トルクも扱 いやすいので、アクセルを開けられない初心者にもお 勧めできる。やや大柄な車体ではあるが、125ccゆえ の軽さも魅力的。本格的なエンデューロに取り組みた いライダーに最適な、長く乗れるマシンである。


S Adrien Chareyre

アドリエン・シャレイア

モトクロスライダーだったが、2001年にスーパーモター ドに転向。07年にS1クラス、08、09年にS2クラス制 覇と前人未踏の世界選手権 3連覇を果たした24歳。ハ スクバーナ・スーパーモタードチームを牽引する若きエー スである


IMPRESSION

SUPERMOTARD MODELS ボリス・シャンボン、エディ・シール、そしてアドリエン・シャレイア。観客が歓声を上げるその視線の先に いるライダーは、いつもハスクバーナに乗っている。舗装路の上を、まるでダートを走るかのように豪快に 滑りつつコーナーを切り落としていく彼らの走りは、モーターサイクルの歴史に新たな一章を書き加えた。 そして、自由自在な彼らの走りを支えたハスクバーナ・モーターサイクルを、今我々はストリートマシンとして 自分のものとすることが出来る。彼らの走りを実現した、その高いコントロール性能を、その熱いエンジン に触れることができる。そのラインアップを、ご紹介していこう。


①マスターシリンダー別体式のブレンボ製ブレーキ レバー。開き角を調整可能だ ②クラッチはマグ ラ製油圧クラッチを採用。頻繁にクラッチを操作 する街中でも疲れにくい ③リバウンド側を調整可 能なマルゾッキ製フロントサスペンション。T E630 と共通だが、 セッティングを施すことでロードにあっ たやや固めのセッティングとしている ④多機能 液晶デジタルメーターを装備する ⑤L E Dを採用 したテールランプは明るく被視認性に優れるだけで なく、デザインにもよいアクセントとなっている ⑥右側ハンドルスイッチにはセルスターターが装備 される。グリップはやや固めのコンパウンドをもつ ハスクバーナオリジナルだが、エンジンの振動がよ く抑えられているので快適 ⑦ニューデザインを得 てはるかに洗練された印象を醸し出すフロントフェ イス。ヘッドライトの明るさも十分 ⑧スーパーモ タードレーサー、S M530R Rのシリンダーヘッドを 移植したことでとくに高回転域での滑らかさが印象 的に仕上がったエンジン。赤いヘッドカバー、アル マイトのバンジョーボルトなど細部のデザインも クールだ


SMS630 + K ATSUHISA MIK AMI( FREERIDE Magazine)

生まれ変わったエンジン。タフなシャシー。 次世代のストリート・モタード、誕生! 価格◎89万円

4T SM リアルレーシングブランドであるハス クバーナだけにハードな乗り味を想像し ていたのだが、走り出してみてすぐに感 じたのはその快適さだ。これまでのハス クバーナにはない、柔らかいシート、振 動の少ないエンジン。 それでいてパワー、トルクは十分以上 にある。アクセルをひとたび開ければ思 うがままの加速。S M530R Rのヘッド まわりが移植されて生まれ変わったエン ジンは、一直線に回転を上げていく。そ の爽快感がいい。

SMS630

このS M S630は、2005年に登場し たストリート・モタード、S M610をベー スにはしているものの、まったくの別物 と言っていい完成度の高いマシンに仕上 がっていた。スーパーモタードとしてのス ポーツ性をスポイルすることなく、毎日の 足に使える汎用性、ツーリングも可能に する快適性を持たせることがコンセプト で、そのコンセプトは十分以上に実現さ れている。 特筆すべきは、飛ばしても流しても楽 しめるシャシーの特性。とくに前後17イ

ハスクバーナロゴのクラウン形状をもつサイレンサーエンド。サブフレームのリアフェ ンダー下にはキャリア取り付け用のしっかりしたダボを備えており、オプションでトッ プケースやパニアケースなどを装着することも可能だ

ンチのワイドなモタードタイヤと、よく セッティングされたサスペンションによる 接地感の高さは素晴らしく、砂が浮いて いるようなタイトなワインディングでさ え、開け開けで攻めたくなる絶対的な安 心感を与えてくれる。 それでいて、高速道路を一気に 200 km以上走ってもさほどストレスを感じな い快適性も実現している。 デザインもいい。とくにインモールド グラフィックが採用されたシュラウドは、 プラスチック素材にありがちな安っぽさ

を見事に払拭した仕上がり。磨く楽しみ もある、所有感を満たすモーターサイク ルに仕上がった。 もちろん、スーパーモタードの名に恥 じることなく、ダートライディングも高い レベルでこなしてくれる。林道ツーリング くらいであればタイヤがロード用であるこ とを忘れてしまうほどの走りを味わえる。 街中での足として、ツーリングの友と して、ガレージに飾るアートとして。すべ てのライダーに満足を与えてくれる素晴ら しい1台だ。


SM450R 笑いが止まらない楽しさのコーナリングマシン 価格◎118万円

4T SM

①アルミニウムツインサイレンサーにステンレスのエンドキャッ プ。抑えられながらも歯切れのいい排気音。クオリティの高さを 感じる部分 ②ロゴが加工されたサイレンサーのエンドキャップ 部分 ③コントロール性の高いブレンボ製ラジアルマウントブ レーキキャリパー④作動性が非常によくなったと感じられるリア ショック

1

2

3

4 コンペシリーズ最高峰 乗りこなす楽しみの濃さに感激

4T SM

SM510R 価格◎130万2000円

この450、バランスの良くなった足まわ りは最高だ。とくにリアショックが良くなっ ていて、コーナーの立ち上がりでアクセル を開けてもしっかりとコシのあるフィール。 今回、 中低速から極低速まで様々なコー ナーが多い峠をメインに走った。回りこむ ようなヘアピンコーナーの立ち上がりでア クセルを全開にしてもスイングアームが入 り過ぎることなく、またそこそこスピードの 乗る中速コーナーもしっかりと踏ん張る。 ちょっと路面が荒れている切り返しなど では車体がふられる感じもあったが、それ はすぐに収まるので、すぐ次のコーナーに 対処できた。これは性能の高まったサスの おかげか。剛性バランスが見直され、さら に軽量化されたフレームを含む車体全体 のバランスから来るものか。 くるくる曲がる足を持ったこのマシンに 乗 ってい ると、 初 めてハ スクバ ーナ SM570Rに乗って峠に行った時のことを 思いだす。まだ慣らし中の状態だったが、 スーパースポーツ乗りだった自分はヘル メットの中で笑いが止まらない楽しさだっ た。 そんな当時の楽しさ、興奮を思い出させ るくらいこのSM450Rも楽しいマシンだっ た。

ハスクバーナ・コンペティション・ スーパーモタードモデルのライン 世界選手権タイトル獲得を受け ナップにおける最大排気量モデル。 プライベーター向けに発売された純レーサー 強烈なパワーとトルクはまさにジャ ジャ馬的で、それだけに手強く乗 りこなす楽しみが味わえる。乗り FIMスーパーモト選手権でのアドリアン・シャレイアのタイ 手は選ぶが、乗りこなせれば大き トル獲得を受けて発売されたレーシングモデル。わずか な喜びを感じられるマシンだ。 112kgに仕上がった車体は、ブレンボ製モノブロックキャリ

SM450RR

スーパーモタードの楽しさを知る 最初の 1 台に最適なストリートモデル

2T SM

SM125 価格◎72万4500円

ハスクバーナ2ストロー クエンジンならではの弾 けるような乗り味を手軽 に楽しめる125ccモデ ル。デイリーユースも考 えられた車体にはタンデ ムステップも装備、スト リートライディングをス ポーツライドに変えてく れるエキサイティングな 1台だ。

パーやSTMスリッパークラッチ、ARROW製チタンサイレ ンサーなどまさにファクトリーチーム同様の仕上がり。200 万円近い価格だが、自分で仕上げることを考えればむしろ リーズナブルとも言える。

4T SM


ENDURO

ED

MASAMI ISHII with TC250 石井正美

今年 58 歳と現役最年長ながら、JNCC 第 2戦シンラでは 2 位に入る活躍を見せた生 粋のスプリンター。2007 年には全日本エン デューロ選手権も制している IA モトクロスラ イダーだ。今季からハスクバーナ TC250 に スイッチ、速さにより一層磨きをかけている。 HUSQVARNA ENDURO RIDERS 小菅浩司 WR250 内山泰臣 TE250 博田 巌 TE250 原田健司 TE250 高橋政人 TC250 松本 康 TE250

MASAMI IHSII with TC250

SUPERMOTARD

SM

MASAHIRO YAMASHITA with SM250R

MASAHIRO YAMASHITA with SM250R

山下政弘

小学 3 年生からミニバイクレースを本格的に 始め、5 年生で YAMAHA Y.E.S.S CUP つ ま恋シリーズ、筑波東コースシリーズで早くも チャンピオンを獲得。現在の MOTO1 では珍 しいロード出身ライダー。スーパーモタードに は 2004 年から参 戦、 自ら HUSQVARNA を選び、2005 年には弊社初のスカラシップ ライダーに。08、09 年 moto2 クラスで連続 ランキング 2 位。'10 年第 3 戦伊那では激し いバトルの末優勝し、今年最もチャンピオン に近いライダーとして注目を集める。 HUSQVARNA SUPERMOTARD RIDERS 金児伸二 moto-1 PRO 増田浩志 moto-1 OPEN 松本和資 moto-1 OPEN 山下政弘 moto-2

RACING&SUPPORT

生粋のレーシングブランドであるハスクバーナにとって、レース活動へのサポートは当然ながら切っても切れない関係だ。そのため、日本におけるハ スクバーナ輸入発売元であるMVアグスタジャパンでも、多くのレース活動をサポートしている。しかし、それは単にトップライダーと契約し走らせる だけのものではない。ハスクバーナで闘うプライベーターに対しても手をさしのべるホスピタリティテントの設置、スクールや入門イベントの開催など、 レースそのものを盛り上げようという活動を行っている。

HUSQVARNA EVENTS ハスクバーナの乗り方を、楽しみ方を知る。

MV アグスタジャパンでは、ハスクバーナオーナーに愛車での楽しみ方を提案するイベントを各種開催し ている。その1つがトライモタード。ホリデーレース的な雰囲気を大事にしつつ、その実カリキュラムの 中身は理論的で非常にわかりやすく、すべてのプログラムが終了した頃には自分自身が驚くほどに上達 している……という楽しいスクールだ。また、これからオフロードライディングの楽しさを知りたいという オフロードライダーに向けた「トライエンデューロ」も開催。さらに、せっかくだからレースを楽しみたい、 本気で走りたい! というライダー向けのレース「ハスクバーナカップ」も開催している。それぞれ年に 数回開催しているので、日程、詳細はハスクバーナディーラー、または MV アグスタジャパンホームペー ジ(www.mv-agusta.co.jp)で最新情報の確認を。


from Factory

オーナーの好みに合わせ、ハスクバーナをよりスペシャルに仕上げるためのパーツ。そして、ハスクバーナをより楽しむためのアパレルもハスクバー ナでは多数用意している。ファクトリーでデザイン&テストされたパーツ類は、どれも魅力的なものばかりだ。

8000- B0053 TC/ T E / W R 06-10 142,800円 ファクトリパーツクオリティのコ ントロール性を発揮する小型高 精度ブレンボ製ハイエンドブレー キキャリパー

hmgr tc250 デカールキット(TC/ T E250) 2万4780円 自分のマシンをファクトリーライクに仕上げることが可能なグラフィッ クキット。ボディパーツのプロテクションにも

8000- B1968 ステップシート (TC/ T E /S M R / W R125) 30,345円 足つき、ライディング時の安定性を向 上

8000- H1415 T I TA N F U L L E X . FO R S M450R 308,700円 軽量なチタン素材を使用したフルエキゾースト

8000H1103 P R OTA P E R用クランプキット (TC/ T E /S M R / W R) 13,230円 プロテーパーバーを装着する際に必要 になるクランプキット

8000H1282 カラーチェーン 25,515円 足もとをビビッドにまとめるカラー チェーン

8000- A9946 ENGINE HOUR METER 22,470円 エンジンのメンテナンスサイクル管理 に最適

8000H1424 アンダーガード( TC/ T E 08-09 ) 20,685円 頑丈なジュラルミンを使用した大型ア ンダーガード

8000H2201 W R /C R125用ビッグタンク 59,640円 9Lの大容量で航続距離を拡大。低重 心化にも

8000- H2443 H OT S TA R T E R FO R CA R B . M O D E L S 19845円 ヒート時の再始動性を向上

8000H244 ウオーターポンプインペラー 8,900円

8000h2450 ワイドステップ 25,410円 確実なフットワークを実現するピン付 きワイドフットペグ

8000h2699 トリプルクランプ(T E / W R250) 102,480円 C N C加工の高精度トリプルクランプ

8000h2995 144ccキット WR/CR125用のボアアップキット。中・ 低速トルクの強化に。レース専用品

H M S TA N D 20,895円 ハスクバーナ各モデルによく似合う軽 量なアルミ製レーシングスタンド

H M A B P7AU0 ハンドルバーパッド 3,570円 思わぬケガから身を守るプロテーパー 用バーパッド


ハスクバーナに乗るなら、イタリアンエッセンスの詰まった純正アパレル&アクセサリーで。

apparel

CAP サイズ:フリーサイズ 価格:3,990 円

BEANIE REVERSE サイズ:フリーサイズ 価格:3,990 円

POLO-SHIRT SLEEVE サイズ:S/M/L/XL 価格:10,500 円

POLO-SHORT SLEEVE サイズ:S/M/L/XL 価格:7,875 円

APRON 価格:7,875 円

DAY BAG 価格:11,550 円

NYLON VEST サイズ:M/L/XL 価格:16,800 円

T-SHIRT WHITE SIZE:S/M/L/XL 価格 :5,250 円

T-SHIRT BLACK SIZE:S/M/L/XL 価格 :5,250 円

KEY RING 価格:840円

SUPERMOTO GLOVE サイズ:M/L/XL 価格:8,925 円

RACING GOGGLES 価格:11,500 円

REPLICA LONG SLEEVE サイズ:M/L/XL 価格:12,600 円

SANDALS 価格:3150 円

TECHNICAL RACING PANTS サイズ:28、30、32、34、36、 38 価格:30,450 円

SUNGLASSES 価格:9,450 円

SOFT SHELL JACKET サイズ:M/L/XL 価格:19,950 円

HOODIE JACKET サイズ:S/M/L/XL 価格:13,650 円

H O O D I E JAC K E T S I Z E:M/L/XL 価格:13,650 円

FAS H I O N B E LT 価格:4,200円

K I D D I M OTO H U S QVA R N A 価格:28,350円

R E D M AG 価格:1,260円

B E R M U DA CA R G O PA N T S S I Z E:M/L/XL 価格:8,925円

S T E A K P OT 価格:5,250円


FREEDOM ハスクバーナの故郷イタリアで、SMS630 に乗る。

イタリアの郊外、そしてワインディングをこれでもか、と思うほど走ってわかったのだ。最高のスポーツカーがこの国で生まれる理由を。そ して、世界の人々が驚嘆するアートがこの国から生まれることを。世界のファッションをリードするミラノ。その30kmほど北に位置するヴァ レーゼに位置するハスクバーナ本社からSMS630を借り出し、トスカーナ・ピサまでの往復1100kmあまりを2日間で走ってきた。それは、 イタリアのエスプリを体感する旅であり、自由を謳歌する旅だったのである。 story by Katsuhisa Mikami



ピサの街中で

FREEDOM trip with SMS630 デザイン、パフォーマンス、そしてエスプリ。 そのすべてをもつ SMS との旅。


ジェノバ郊外 フィレンツェ郊外。アウトストラーダを快適に走る

ミラノからジェノバへと向かう道にて

折しも季節は春。美しくグレーに輝 くワインディングを取り囲むのは生命力 を感じさせる麦畑。乾いた風と、透明 な 太 陽 が 降 り 注 ぐ 田 園 地 帯 を、 S M S630は軽快に泳いでいく。 ミラノ郊外の都市部周辺こそ交通量 が多かったが、 地中海の港町であるジェ ノバとの中間あたりまで来れば、道の 流れはグっとスムーズになる。さらに幹 線道路を外れ、山を目指し始めたら交 通量はほとんど皆無になった。 真っ白な線で区切られたワインディン グは、緩やかなアップダウンを繰り返す。 徐々にアクセルも大きく開いていく。 コーナー進入でGを感じながら一気にブ レーキングし、肩からコーナーに入って いく。極低速のコーナーや交差点では 違 和 感を感じるほど接 地 感が 強い S M Sのハンドリングが、こういうシー ンでは安心感となって返ってくる。そう、 アクセルを開けて初めて、このマシン は軽快なハンドリングを味合わせてく れるのだ。強烈な接地感は残したまま。 1、2時間も走っただろうか。その間、 信号機というものが一度もなかったこ とに気がついた。道ばたにバイクをと

自転車でゆっくりと走っていく。 イタリアでは、午前10時を過ぎたら ミルク入りのコーヒー——カプチーノは 朝だけの飲み物で、午後に飲むことは ない。理由を聞くと「それがイタリアの スタイルだから」 。ただそれだけだ。 だが、そうしたこだわりがこの国をこ の国らしくしているのだろうと、走って いるうちにわかってきたのだ。そして、 S M S630の魅力も見えてきた。 グラマラスなボリュームをもったシュ ラウド。そこから女性のウエストのよう に絞られたタンク後端。なめらかなエ クゾーストカバーに覆われ、ハスクバー ナのクラウンロゴをデザインした形状を もつツインサイレンサー。ブラッシュ アップされたフロントマスクも含め、す べてが美しい。ハスクバーナがレーシ ングカンパニーであることを考えると シック過ぎるとも言えるデザイン。 しかし、これこそがハスクバーナの 考える粋——エスプリなのだろう。パ フォーマンスとデザイン、どちらかが欠 けていても、イタリアではきっと午後の カプチーノのように滑稽なのだ。 帰り道は高速道路をひたすら全開で

め、道を確認していた僕の横をフェラー リが乾いた音を残して走り去っていっ た。そりゃそうだよなあ。こんな道ば かりなんだから、つまらないクルマやバ イクになんか乗りたいくないよね! トスカーナの宿で一泊し、翌日は斜 塔で有名なピサに立ち寄った。中世の

帰った。S M Sは新たに得たツインカム ヘッドならで は の 滑らかな 振 動 で 250kmを一気に走らせてくれた。 それでいて、ゴツゴツした石畳の道 も、望めばハードな林道ですら走らせ てくれる懐の深さもある。この万能さ はなんだ! デザインだけじゃない。

面影を残す城壁都市を縫うように走る 細い石畳の道を行く。すると、この国 がデザインというものをいかに大切にし ているかが見えてくる。石造りの古めか しい建物の1階に設けられたギャラ

パワーだけでもない。それでいて、ホ テルの前に横付けしても恥ずかしくない シックさまである。 S M Sと過ごした 2日間は、人生で 最も自由な日々だった。どこでも行け

リー。テーブルを道に並べたレストラン。 そして人々がエスプレッソを片手に語り 合っているバール。スーツをビシっと着 こなした老人が、古いがよく磨かれた

る。どこでも楽しめる。しかも、 粋にね。 バイクってそういうモノだったよなあ ……そんなことを思いながら僕はミラノ を目指し、アクセルを開けていった。

ジェノバ郊外

太陽の道、A -1のパーキングにて


株式会社 MV AGUSTA JAPAN 〒437-1114 静岡県袋井市西同笠387番地 10538-23-0861 www.mv-agusta.co.jp


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