2011年2月25

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幼児 の バイリンガル 教育

天平シアトル初公演

チケット& CD プレゼント!

(詳細は14ページ)

写真提供:すぎのこ幼稚園・保育園

子どもをバイリンガルに育てるには幼児期の教育が非常に重要です。今回の巻頭特集 では日本語を教える教育者の話を始め、バイリンガル教育にかかわってきた親子に各 取材・文:岩本明子、越宮照代、渡辺菜穂子 自の体験を語ってもらいました。

子どもをバイリンガルに育てるには

かが、その後の 学習能力や対 アメリカ在住の日本人が子育てをする上で頭 人関係の築き方に非常に影響しているという 「シュタイナーやモ を悩ませることのひとつに、バイリンガル教 ことに気が付いたという。 育がある。そこで、シアトルで 1 歳半から小 ンテソーリなどの幼児教育でもやっぱり7歳 学生の子どもたちを対象に日本語を基礎から が臨界期と言っているんです。7歳というの 教える「遊学舎」を主宰する中島晴世さんに、 は植物に例えると、まだ温室の中の苗床にい 教育者の立場から子どもの日本語能力を伸ば る状態。それまでは両親の影響がすごく大き し、バイリンガルに育てる効果的な方法につ いんですね。7歳以降は自分で根を張って育っ ていきますが、人間としての基本的な母型が いて話を聞いた。 できるのは7歳までというのを経験から直感 しました」。 言葉の習得には 7 歳までが勝負 だから子どもをバイリンガルに育てるには、 子どもたちに日本語を教える 「遊学舎」を主 。中島さんは、子ども 宰する中島晴世さんはもともと、サンフラン 「生まれた時からが勝負」 シスコ州立大学異文化感情心理研究所で言葉 が英語環境にどっぷり浸らざるを得ない小学 と文化を研究するために渡米。東京外国語大 校に上がる7歳頃までに、親がとにかく日本語 学在学中から学習塾や予備校で英語、国語を 環境を一貫して与え続けることが何より大切 「お母さんとの会話は日本語、 テレビ 教え、就職後は異文化研修という形で社会人 だという。 に指導し、研究員時代には大学で非常勤講師 もプレイグループも日本語。日本にも連れて を務めるなど、過去約20年にわたって幅広い 帰って日本とのコネクションを強くすること 年齢層の教育に携わってきた。中島さんはそ ですね。日本には自分の親戚がいるんだとか、 の中で、7歳までの時期にどうやって育った ウルトラマンでもポケモンでもいいんですけ

ど、 何か興味のあることを見つけて日本は楽し いところなんだと思わせるんです」 。心がける 一番のポイントは、 親子の会話には英語を絶対 に混ぜないこと。 「子どもは環境を選べないの で、 親がどこまで日本語の言語環境を与え続け るかというのがキーポイントです」 。

子どもに寄り添う形で 日本語環境を与え続ける

カミンズ博士というカナダのバイリンガル 研究者によると、完璧なバイリンガルはいな い。しかし母国語と第二言語の能力がほぼ同 等に育っている状態を「バランスバイリンガ ル」と呼ぶそうだ。そのバランスバイリンガル を目指す早道と言えば、やはりカリキュラム も雰囲気も教え方も日本の社会そのものであ る日本語補習校に通わせることだろう。アメ リカの現地の高校ではカジュアルに振る舞っ ても、補習校ではきちんとお辞儀をして挨拶 をし、礼儀正しく椅子に座り授業を受けると いう生徒のエピソードに、 「そうなったらもう (10 ページに続く)


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