こんな時どうする?
弁護士に聞いた 7つの質問
アメリカで暮らす上でお世話になる可能性の高い弁護士。今回はシアトルで活躍する 弁護士7人に、弁護士の選び方に始まって離婚、賃貸契約、プロパティ、遺言、不当解雇、 グリーンカード維持に関する法律相談に回答してもらいました。
o T w o H 弁護士
米国内全ての法律事務所の収入の 合 計 は 年 間 約$180ビ リ オ ン( 約 14〜15兆円)と言われています。 1,000人以上の弁護士を抱え、年 商 が$2ビ リ オ ン( 約1,600億 円 ) を超える大型法律事務所もいくつ かあります。こうした巨大な産業 であるにもかかわらず、日本人に は「弁護士」という存在は縁が薄い のではないでしょうか。弁護士を 上手く使わなかったために不利益 を被った会社や個人は多いと思わ れます。ここでは弁護士の必要性、 付き合い方、選び方を簡単に説明 したいと思います。
取材・構成:岩本明子、越宮照代 在米日系企業の場合、営業が先行し、それ以外の 部門がおろそかになりがちです。社内弁護士を雇 これまでニューヨークやシアトルなどで弁護 わない場合、外部の弁護士に社内弁護士的な役割 士、公認会計士として在米日系企業と20年近くお を果たしてもらうことが考えられます。その弁護 付き合いしてきましたが、日系企業の契約や法律、 士に窓口となってもらい、一般的な相談をし、必要 そしてコンプライアンスに対する脇の甘さは指摘 に応じて専門の弁護士を紹介してもらうやり方で できると思います。 す。かかり付けの医者がいて、その医者に定期的な 法律社会あるいは訴訟社会と言われる米国では 検診をしてもらい、悪そうなところがあれば専門 一般的に従業員数が100〜200人を超えたら、会社 医にかかる、という医療の分野とコンセプトは似 として社内弁護士の採用を考えると言われていま ています。 す。500人を超えたらMust。マイクロソフトやボー 「転ばぬ先の杖」という格言がありますが、弁護 イングなど、会社の規模が大きければ数百人の社 士はそうした杖であるべきと思います。米国人歯 内弁護士を抱える米企業も少なくありません。 科医がよく「日本人は歯が痛くなってからしか歯 1990年代に米国三菱自動車でセクハラ事件が発 医者に来ない」と嘆きますが、法務の面でも問題が 生し、大きな社会問題となったことをご記憶の方 発生してから初めて弁護士に相談するのではな も多いと思いますが、その時弁護士業界で話題に く、問題が発生しないように先手を打つ「予防法 なったのは、大規模な自動車工場を抱え1,000人を 務」に取り組むべきと考えます。そのため「かかり 超える従業員を雇用する米国三菱自動車に社内弁 つけの弁護士」と常日頃からコミュニケーション 護士が1人しかいなかったことでした。同社の事件 をよく取り、 「 転ばぬ先の杖」になってもらうこと は起こるべくして起きた、といっても過言ではあ をお勧めします。 10 ページへ続く りません。
弁護士の必要性 会社の場合