V.MAGAZINE Japan Edition #03

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FREE PAPER SUMMER 2019. ISSUE #03

LA special issue l.a.Eyeworks

Gai Gherardi Gogosha optique

Julia Gogosha

www.vmagazine.jp


www.solid-blue.com


Editor's Column Words : v magazine

LET’S GET FIND A GOOD STORE

ショップは人と人が交わる原点だ。

小さい頃の「買い物」を思い出してみてほしい。

交差するジャンクションでもある。

V magazine Japan フリーペーパーの第3弾。今

小遣いを握りしめて近所の駄菓子屋へ行けばお目

令和の時代から平成を振り返ると、改めてモノ

回のテーマはずばり「ショップ」とした。単に売

当ての駄菓子があり、それ以外にも色とりどりの

を売る・買うという体系が大きく変わった。言う

れているっていうだけではなく、モノ選びに一家

ガムボールや水あめ、怪獣やアイドルのカードが

までもなくインターネットを介した購入(いわゆ

言あったり発信力に定評があったり、内外装にも

あって、つい散財してしまっただろう。また駄菓

るポチッと)から、時間指定で運送業者から商品

手を抜かず世界観を表現したり、はたまた店内で

子屋へ行けばクラスメートが必ず数人はいて、宿

が届くまでのプロセスは驚くほどシステム化さ

エンターテイメントショーを開催したり……。コ

題の話やら好きな子の話やらに華を咲かせていた

れ、買い物は“楽”になった。だったら実店舗はも

モディティ化著しい時代に、自己のアイデンティ

はずだ。アメリカ開拓時代のジェネラルストアや

ういらないじゃないか、ということなのだろうか。

ティをまっすぐ主張するオーナーとそのショップ

日本の村々によくあった万屋も同じで、大人たち

実際、店をたたんでECサイトに特化する老舗企

をアメリカはロサンジェルスから日本国内までを

が必要なものだけでなく、新時代を先取りした商

業もあれば、明確な指針を建てられないまま廃業

フィーチャーする。かつての駄菓子屋やジェネラ

品に見惚れたり、新聞には出てこない世の中の噂

する者も……。しかし、世界にはそれでも足繁く

ルストアと同じく、インターネットの仮想空間で

話を共有したり、時には困っている隣人を助けた

通いたい、旅行の折りに巡礼したい、と思わせる

は味わうことができない人間交差点。ドキドキや

り……。つまり駄菓子屋ほどの小さな社会からジ

ショップは、まだまだあるわけで。もちろんそれ

おもしろさ、驚愕、感銘、エトセトラ。日常に“楽”

ェネラルストア、そして現代のショップという形

はアイウェアのショップにも言えること。そこで

よりも“楽しい”を。そんなショップと諸兄が巡り

態はモノを売り買いするだけでなく、人と文化が

俄然と興味が湧いてきた。

合うことができれば幸いである。

SUMMER 2019 ISSUE #03 // VISION IN LIFE // http://www.vmagazine.jp

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VMZ-Special Issue : 01

l.a.Eyeworks MELROSE AVE. 90046 / BEVERLY BLVD. 90036

アイデアマシーン 保守的と言われるアメリカ西海岸のアイウェア事情にもか かわらず、溢れる色彩と個性的な、しかし普段使いを許 容するデザインを生み出すブランドがある。ビバリーブー ルバード7386。その旗艦店は、ショップの域を超えたコミ ュニティー空間だった。

Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 中島 正貴 Masataka Nakajima Special Thanks : http://www.laeyeworks.com/

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Gai Gherardi Co-Founders and Co-Designers

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l.a.Eyeworks

「顔は芸術作品のようなも の。素晴らしいフレームに ふさわしい」の標語を掲げ た 30 周年記念ポスター。写 真家グレッグ・ゴーマンが l.a.Eyewear と親交の深いセ レブのポートレートを一挙 撮影してコラージュ。そう そうたる面子から、いかに 愛されているかを窺い知る ことができる

ゲイ・ゲラルディの軌跡。 歴史に名を残す傑作SF映画の一つにブレード

アラブルなデザインだ。 「あははっ ! ありがとう。

ないものやことを与え教え合ったり、オファーし

ランナーが挙げられるが、同作のワンシーンに

でも背中がムズムズするわ(笑)。バーバラと私は

合ったりするの。それから日中はリテールスペー

l.a.Eyeworksが登場するのは熱烈なファンの間で

常々、アイウェアはレンズを固定するための道具

スだけど、お店って夜は何もないでしょ ? そこ

は有名な話。そのショップを立ち上げ、同名のア

ではなく、コミュニケーションのキッカケを作っ

で閉店後はグランドピアノを入れてコンサートを

イウェアブランドでデザインを手掛けるのがゲ

てくれる、とても偉大な“コミュニケーター ”だと

開いたり、映画鑑賞しながら香水を楽しんだり、

イ・ゲラルディさんだ。「あの映画では眼球の工

思っているの。この眼鏡(自身の黄色い眼鏡を指

詩の朗読をしたり、と楽しいイベントを開催して

房だったけれど、あの雑多な感じなのよ! お洒

して)を掛けていたら怖い人には見えないし、話

いるのよ。そう、月曜日は“マジックマンデー ”と

落なアイウェアはラグジュアリーでなければ、な

し掛けやすいでしょ ? それが私たちのアプロー

題して手品も。そんなイベントが窓越しに見えれ

んていう強迫観念のある世界とは対極の、ガレー

チ。アイウェアに情熱を持っている人なら、皆知

ば人が集まって、自然と今まで足を踏み入れたこ

ジみたいな存在。ツナギを袖まくりしてせわしな

っていると思う」。

とのないアイウェアの世界も知ることができる。

く働くスクラッピーなガレージ、というのが私た

そんなホットなアイウェアたちがズラッと並ぶ

クールじゃない? だからお店って楽しい。人生

ちのお店のアイデアなのよ」。ゲイさんとパート

のが、まるで“宇宙船乗り場”を彷彿とさせる旗艦

は楽しまなきゃね」。彼女にとってのショップは、

ナーのバーバラ・マクレイノルズさんが、そんな

店。2002年にローカルの建築家、ニール・ディ

モノを売るだけのセールスマシーンではなかっ

想いで1979年に立ち上げたショップは当初、売

ナーリによって設計された未来的な同店は21世

た。さまざまなアクションが境界なく広がる、言

れ残りのフレームを買い取って自分たちで色を塗

紀のl.a.Eyeworks を担う、ブランドのオンリーシ

うなればアイデアマシーンだった。

ったり、デコレートしたり、というまさに“ガレ

ョップとなる。路面店といえばウィンドウディス

ージワーク”な日々を送っていた。ワークスとい

プレイが定石だが、彼らのショップではあえてそ

う言葉から連想させる土臭さとハイセンスなデザ

れをせずに短く、それでいてウィットに富んだ標

イン。そのコントラストが放つ採光は、ゆえにハ

語が掲げられている。そして中を覗いてみないと

リウッドスターやミュージシャンをも惹きつけて

何があるか分からない。「時に私たちは、その時々

いる。

に興味の湧いたものや政治的なメッセージ、心地

ここカリフォルニアはアイウェアに対して保守

いいコトやモノをウインドウに掲げます。そして

的だが彼女のクリエイションは前衛的かつ、ウェ

来てくれる人とアイデアを交換し合ったり、知ら

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← Brent コミュニケーション担当のブレントさん はカットソーとデニムと、ベーシックな がら、よく見ればテンプルとデニム、短 靴のラバーソールをブルーで統一。上級 者の装い術だ。

→ Tarlan 年齢を重ねてもスタイルを貫くの が L.A. 流。ショートカットの似合う Tarlan さんも、チェックのウエスタン シャツとフレームのオレンジがシンク ロ。アクセのバランスも絶妙だ。

← Corey ダメージの効いたトレンドのデニム ジャケットに黒のワンピースと、この 上なくミニマルな L.A. スタイル。やは りブルーデニムとフレームカラーで統 一感が。この色合わせは鉄板 !?

眼と心に効く、アート&ファッション。 ↓ Ori 赤がアクセントになった、オールメタ ルのブロータイプを後染めの赤い BD シャツと。存在感がありすぎる赤フ レームも、シャツのフェイド感で中和 されて自然に馴染んでいる。

Diana → 抜染のエスニック柄ワン ピースと、クリアの極細ス トライプのラウンド。ど ちらも重たくなりがちな ブラックに程よい抜け感 を発揮して、むしろ涼し げな印象さえ与えている。

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l.a.Eyeworks

Peace

The micro mainstream

Hot honey

Seeing eye 2 eye Look twice! Snake

work of art. We see through you.

左から時計回りに_ゲイさんが手にするのは彼女を含め、60 歳以上でもファッションを謳歌する人々のストリートスナップを収めた、アリ・ セス・コーエンの写真集_カチッカチッとスイッチを弄ると心が和む……そんな癒し効果のある “ 顔 ” オブジェ_思わず 2 度見する ! 50 枚 の “ 騙し絵 ” カードセットは老舗ゲームメーカーの品_カリフォルニアならではのピースマークは眼鏡と同じ、アセテート製_甘い汁をセッ トして被る。すると眉間のノズルから出る汁を吸いにハチドリが集まる(笑)という、 ハチドリ観察用マスク_舌をペロペロしながらニョロニョ ロと移動する、いわゆるヘビのラジコン_辛い蜂蜜とはこれいかに !? 天然の蜂蜜にチリを配合した甘辛テイストが糸を引くそうな……_ノ ベルティの缶バッジもストリートアートスタイル。白地に黒の丸は 1 号店のルーフに掲げた “ 目玉 ” _たった 40 $で VR が ! レンズの前にス マホを取り付けるだけのアイデアモノ_お茶うけにどうぞ、と振る舞われたグミも “ 目玉 ”。このローブローアート感もゲイさんっぽい_一 時に大勢の人とハイタッチするとき、ちょっぴりシニカルな拍手を送りたい時、コレほど便利なものはありません、という推薦コメント…… 一手 1 $なり。

Gummy eyeball Need a hand? かつてこの界隈には格式高いラグジュアリーな アイウェアストアが2店舗あるだけだったという。

V SEE R Tin badge

SHOP INFO

そんなコンサバティブなエリアにアートや音楽、 ファッション、建築、そしてカブトムシの羽根や ニワトリ(!?)好きを公言する彼らが、メルローズ アヴェニューに創業して以来、多くのアイウェア 店が同エリアに誕生しては消えてきた。ゲイさん が言うように、ここはもはやショップというより もコミュニティーだ。スタッフのファッションも 力み過ぎず、それでいてカッコいい。そしてアー

l.a.Eyeworks [MELROSE AVE] 7407 Melrose AVE Los Angeles, CA 90046 Contact : melrose@laeyeworks.com Tel: 323 653 8255 Shop Hours Monday - Saturday : 11am - 7pm Closed on Sunday

ト雑貨も妙にかしこまらず、ちょっとクスッと笑 えるものも。もちろんオプティシャンとして、ア イケアもしっかり行っていることは彼らの誇りで もある。だからこそ40年来、ローカルも遠方か らも足繁く通う人が後を絶えない。集まった人々 が多種多様の感性を持ち合って、見返りを求めず にシェアする。背伸びして虚勢を張ることもなく、 知らないことを恥じることもなくそのドアを開け れば迎え入れてくれるのだ。L.A.に行く機会があ

l.a.Eyeworks [BEVERLY BLVD] 7386 Beverly Blvd Los Angeles, CA 90036 Contact : beverly@laeyeworks.com Tel: 323 931 7795 Shop Hours Monday - Saturday: 11am - 7pm Closed on Sunday

れば、ぜひ彼らのショップを訪ねて言葉を交わし てみてほしい。きっと何か特別なケミストリーが 生まれるはずだ。

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Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 中島 正貴 Masataka Nakajima Special Thanks : http://www.gogosha.com/

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VMZ-Special Issue : 02

GOGOSHA OPTIQUE ECHO PARK. 90026

信頼できる人が薦める1本を。 手元のモバイルをタップするだけで自宅まで商品が届く今 の世の中で、何ゆえにリアルなショップに足を向けて買い 物 を す る の だ ろ う か? 誠 実 さ と 確 か な 目 利 き。 GOGOSHA OPTIQUEは訪れる人に、アイウェアという トキメキやオドロキ、気付きを与えてくれる。

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GOGOSHA OPTIQUE

スタイリスト×キュレーター×眼鏡士=

アメリカは世界最大級のアイウェア消費国であ り、中でも西海岸はその中核を担うエリアだ。そ の中でベストなショップをリサーチする過程で、 ブランドのデザイナーを始め、事情通の人々に聞 き取りしたところ、彼らの口から一様に出てくる のは「ゴゴシャ」という店名だった。はて、カリ フォルニアとて広いのに彼らが同店を推薦するの はなぜだろう。店舗でありながら、インスタグラ ムのフォロワー数が1万6000人をカウントしてい ることからも、かなり特異な存在と言えるだろう。 その理由を知るために直接コンタクトを取ってみ るとジュリアさんという女性が取材を快諾してく れ た。 ジ ュ リ ア・ ゴ ゴ シ ャ さ ん。 彼 女 こ そ が GOGOSHA OPTIQUEのオーナーだ。「ひとえに 私たちのお客さんに大きな信頼を得ているからじ ゃないでしょうか。見たことがないモノを見付け てくれて、自分の見え方をユニークなアイウェア で変えてくれる、と」。決して取り扱いブランド が多いわけではない。しかしそれぞれに対する理 解と愛情は非常に深い。「シーズンによって15か ら18ブランド。すべてはクオリティやサービス、

がるのだ。その選びのセンスこそが、顧客の厚い

デザイン、魅力的なストーリーに共感できるイン

信頼を受ける要因なのだろう。そして彼女を含め、

ディペンデントなブランドに絞っています」。

スタッフの多くもABOC オプティシャン(アメリ

18歳でこの世界に飛び込んだ。オプティシャ

カ眼科学会が認める眼鏡技師)の称号を取得して

ンとしての技術とセンスは、スポンジのように彼

いるのも、大きな信頼に繋がっている。スタイリ

女の細胞に滲みわたった。そしてテオやアン・バ

スト、キュレーター、優れたオプティシャン。そ

レンタイン、ディータなど今ではハイエンドの地

のすべてを持ち合わせているからこそ、インター

位を確立したブランドのアンバサダーを務め、自

ネットで同じ商品が手に入る時代にもかかわら

分自身でマネジメントを手掛けたい、と2008年

ず、彼らの元に世界中から顧客が訪れるのだ。

に同店をオープンさせた。彼らのアプローチはユ ニークで、顧客が求めるものをそのまま提供する のではなく、あえて選びそうにないデザインのフ レームも薦めるという。ローカルの建築家、ジョ ン・チャン(フォーメーション・アソシエーショ ン)と共同でデザインしたショップ中央に鎮座す る黒いブロック。彼らはこの物体を“スペクテイ ターシート=観客席”と呼ぶ。顧客はここに腰掛 けて対面で接客を受ける。同時に自分の生活や家 族、友人、趣味の話などを通して何が(アイウェ ア以外にも)必要かを語り合う。その会話からジ VMJ-12

ュリアさんの頭の中には、最適な1本が浮かび上

14 歳で l.a.Eyeworks のフレーム に出逢って以来、アイウェア界 の住人となった Julia Gogosha さん。彼女に認められることを 切望するブランドデザイナーも 少なくない


Julia Gogosha American Board of Opticianry

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Julia Gogosha

Jonathen Valdelamar

Tatiana

Angel Armstrong

観客を主役にするアイウェア、あります。 VMJ-14


白をベースとしながらオレンジやピンクの淡い色調をさりげなく取り入れた店内。インディペンデン トブランドを厳選し、深く掘り下げるのが GOGOSHA OPTIQUE のスタイルだ。特に気鋭のブランド を “ 初めて ” 扱うことを意図しないが rapp EYEWEAR や JACQUES MARIE MAGE などを最初に取り 扱ったのは同店だった。気鋭ブランドをメジャーブランドへと導いた功績は大きい。

1号店をシルバーレイクに開業し、後にウェス トサードストリートへ。ショップがグレードアッ プされても、ジュリアさんのモノ選びの哲学は変 わらず、世界のアイウェア展示会では彼女の研ぎ

GOGOSHA OPTIQUE サンセットBLVD.が誇るランドマーク

澄まされた審美眼が何を選ぶのか、を注視するバ イヤーも少なくない。実際、彼女が立ち寄ったブ ランドブースは他のバイヤーも注目するという現 象が起こる。これほど耳目を集めるGOGOSHA OPTIQUEが、2008年の創業からちょうど10年を 迎えた昨年、満を持して理想的なショップをサン

SHOP INFO

セットブールヴァードにオープンし、新たなスタ ー ト を 切 っ た。 内 装 は ジ ュ リ ア さ ん の 希 望 を L.A.在 住 の 建 築 家 に し て デ ザ イ ン ス タ ジ オ “Furmation Association”の創設者のジョン・K.チ ャンさんが見事にカタチにした。中央に設えた移 動式の「観客席」は背面に引き出しを有し、スト ックや隠し玉的なフレームを収納。ABOC オプテ ィシャンの称号を持つ精鋭スタッフも継続してシ ョップを盛り上げている。創業以来の常客に加え、

GOGOSHA OPTIQUE [ECHO PARK] 1555 Sunset Blvd Los Angeles, CA 90026 Contact : info@gogosha.com Tel : 323 660 1122 Shop Hours Monday – Saturday : 11am – 7pm Sunday: 12pm – 5pm

今までメガブランドしか知らなかった周辺の住人 にも受け入れられ、すでにサンセットブールヴァ ードのランドマーク的存在となっている。

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Founded in 2004, Visionaries of Styles (VOS) is a highlighted section in Hong Kong Optical Fair every year. Organized by Overcome Creative Co.,Ltd in collaboration with HKTDC.

東京

香港

Director's Voice from Hongkong

JORDAN CHUN / Sales & Marketing Director @ Overcome Creative Co.,Ltd.

ネコパブリッシングと仕事をする前に、日本で

ています。ニューメディアと比較して私たちがニ

も前時代的な空間と会場を提供するだけの展示会

V.MAGAZINEを立ち上げようと考えたことは一度

ッチであるならば、雑誌はリッチなアイテムと言

ではありません。VOSのコアバリューであるブラ

もありませんでした。それは日本の眼鏡マーケッ

えるでしょう。

ンディングの構築とプロモーションに力を注いで

トは成熟し、強いライバル誌があったからです。

しかしそれだけでは不十分です。これからは、

おります。将来にわたりVOS TOKYOは4月にTrunk

V.MAGAZINE JAPANの 刊 行 とVOS TOKYOの 開 催

新しいメディアプラットフォームにおける変革を

Hotelで開催されることが適切であると私は思いま

は私達にとっての奇跡です。私達は2014年の香港

加速させる必要があります。速報性の高いニュー

す。Trunk Hotelはソーシャルメディアにおける「チ

オプティカルフェアで最初のミーティングを行い、

スや情報がアップされるスピードに、雑誌はつい

ェックイン」や「いいね」が多くされる雰囲気の

2015年に東京ですべての契約条件を確認しまし

ていくことが出来ません。その上、印刷された誌

良い有名な場所です。2020年に向け私達がすべき

た。 そ の 後、 最 初 のV.MAGAZINE JAPANはiOFT

面上ではビデオを配信することもできないのです。

ことは、日本市場に向いた新しいブランドを増や

2015の頃に、そして2号目は2016年4月に発売され

そのため私達は読者と頻繁にコミュニケーション

すことによってVOSのスケールを拡大することで

ました。ブレインストーミングからこの2つの大

するために新しいメディア、主にソーシャルメデ

す。私達も参加してくれるブランドへのサポート

きなプロジェクトの実現までに、私達は1年しか

ィアに積極的にならなければならないのです。私

を強化しなくてはなりません。そして日本の春の

費やしていなかったので本当に素晴らしい出来事

達はオプティカルメディアとして大きなアドバン

展示会は会場が多くあることを段階的に是正でき

でした。当初はとてもスムーズで成長を感じさせ

テージを持っています。香港と日本に編集チーム

ないかと考えています。他会場の主催者の方を説

るものでしたが、現在は様々な課題が見えてきて

がありスピーディーかつ直接的に情報交換するこ

得するが難しいことは理解しています。パーティ

乗り越えるべくチャレンジをしているところです。

とが出来ます。V MAGAZINE JAPANは香港や中国、

ーやアワードなど様々なイベントでジョイントで

V.MAGAZINEが「トラディショナルなメディア

日本のライバル誌よりも早く情報をキャッチアッ

きないかというアイディアがあります。

(雑誌) 」として定義されているのは間違いありま

プすることが出来ます。私達はこれまでそのアド

大 事 な こ と を 言 い 忘 れ ま し た が、 日 本 のV

せん。今日、私達だけではなく、トラディショナ

バンテージを活用しきれていないので、そこを改

MAGAZINEとVOSには大きな可能性があると思い

ルなメディアは新しいデジタル&ソーシャルメデ

革する余地があります。

ます。 重要なのは今一度リソースを再構築し、チ

ィアからの影響に直面しています。雑誌とはお金

VOS TOKYOは「展覧会×メディアミックス」と

ームメイトの才能を最大限に活用すれば必ず成功

を払うことをいとわない特別な場所だと私は考え

いうテーマを標榜しています。VOS HONG KONG

すると思います。

Jordan Chun

Jordan Chun & Kamen Chung

VOS Japan team @ V-AWARD Hongkong.

It’s a miracle to us because we’ve never thought of launching V.MAGAZINE in

readers, we must be proactive in the new media. More importantly, there’s a big

Japan before working with Neko Publishing. It’s because the eyewear market was

advantage among our teams to become a strong optical new media: we’ve editorial

mature and there’re already strong competitors in Japan. We’ve a first meeting with

team in HK and Japan, we’d exchange more firsthand information, so that the

Japan team in Hong Kong Optical Fair 2014, then we had another meeting to

V.MAGAZINE Japan can report the news about HK or China faster than other

confirm all the terms and conditions in Tokyo in March 2015. Afterward, the first

Japanese magazine. We still haven’t make use of this advantage in the previous

V.MAGAZINE Japanese Edition and the first VOS Tokyo was launched during the

period and now we’ve to CHANGE.

iOFT 2015 and in April 2016 respectively. It’s really amazing as from brainstorm to

Regarding the VOS Tokyo, the vision is “exhibition x media”. We are not the

the execution of the two big projects, we only spent a year. Everything looks smooth

traditional exhibition by only providing the “space and facility”, but also we take

and growing fast at that time. And now, we’re facing different challenges.

care of the brand building and promotion, which is the core value of VOS. In the

There’s no doubt that V.MAGAZINE is defined as “traditional media”. I believe

future, I think April and Trunk Hotel are the right timing and venue. The Trunk

nowadays, not only us, but all the traditional media are facing the big challenges

Hotel is a famous place with excellent atmosphere for “check in” or “like”. For year

from the new media (digital & social media). However, in my opinion, the printed

2020, the first step we’ve to do is to expand the VOS scale by recruiting more NEW

magazine will always have a special place for those willing to pay for it. Compare to

brands who’s green for Japan Market. To attract the new brands, we also need to

the new media, the printed magazine will become a luxury item, provided that we’ve

provide additional support like order following and after sales service etc. Secondly,

to be Niche, Specialized content produced with excellence editorial.

I understand that it’s difficult to convince other fair organizer to merge. However,

However, that’s not enough. From now on, we need to speed up our revolution in

we’d think of organizing different joint-event like party or award with them.

the new media platform. It’s because there’re many instant news and these may not

The last but not least, I believe there’s a big potential of V.MAGAZINE and VOS

be able to match with the printed magazine schedule. Besides, the video cannot be

in Japan. The Key is we’ve to restructure our resources and make use of the talent

showed in the printed magazine too. Hence, in order to frequently interact with our

of each teammate.

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注:写真は量産前のプロトタイプのため、 実際の製品とは仕様が異なります。

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Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 山田 芳朗 Yoshiro Yamada Special Thanks : https://www.tonysame.jp/

V.TOPIC Designers Invitation Project

トニーセイムが放つ三本の矢。 テスラのCEO、イーロン・マスクは自分たちが開発した技術や特許を開示し、

地球上のクルマを全部電気自動車にして温暖化を防いで地球を守りたい、と言った。 トニーセイムはそんな志をアイウェアの世界で実現しようとしている。 その第一歩がブランド設立10周年を機に発動する“DIP”だ

グローバルブランド、トニーセイムは2010年の

を届けられるんじゃないかとなったんです」

設立から、国や地域の垣根を越え、その地位を確

そこで細井氏が声を掛けたのがパドマイメージ

立してきた。2017年にはブランディングを刷新し、

の蓮井明治氏、シークレット・レメディの小向真

欧州にもその基盤を作り、さらなる世界基準化を

由美氏、カムロの山中佳苗氏という三本の矢。 「蓮

加速している。そんな彼らが来年、設立10周年を

井さんのデザインは元々好きで、誰のコピーもせ

迎える節目に特別なコレクションをローンチす

ず独創的。我が道を行く彼がアセテートライトを

る。“DIP(デザイナーズ・インビテーション・プ

ベースに、デザインの制約から解放された時にど

ロジェクト)”は彼らが培ってきた高い技術力を背

んなモノができあがるんだろうって興味がありま

景に、第一線で活躍するアイウェアデザイナーと

した。小向さんはこれまでほとんど面識がなかっ

協業するというもので、製品は秋の展示会で正式

たこともあり、他社とのコラボは難しいと思って

に発表される。取材当日の段階ではまだプロトタ

いたのですが、経緯を話すとすごく面白いしやり

イプということで、これからさらに改良や変更が

たいっておっしゃってくれて。間違いなく私たち

加えられるという。同プロジェクトの指揮を執る

が届けられていない顧客層に届くだろうな、とい

のは「トニーセイム」ジャパンの代表、 細井礼氏だ。

う想いがあります。山中さんはお顔がすごく小さ

「2017年のブランド刷新を機に、どう成長してい

くて、眼鏡選びも大変な方で。その彼女がご出産

くべきかを模索していく中で、顧客との関係性の

後、最初にデザインしたヒンメルというモデルは、

向上や知名度を上げることは当然ながら、それ以

顔の小さな親子が同じデザインを選べるというも

上にアイウェア業界の役に立ちたい、もっと良質

の。さらに彼女自身が強度の近眼だそうで。実は

なアイウェアを享受できる社会を創りたい、とい

アセテートライトは強度数の方にはうってつけの

うビジョンに行きついたんです。一方、ブランド

構造なんです。本来のコンセプトに強度数対応の

の理念の一つに“CONNECT(コネクト)”というキ

機能が加われば魅力や価値が上がるのでは、と思

ーワードがあります。様々な人や場所、モノと繋

って声を掛けさせていただいたんです」 。技術と

がりをもつ。ならば私たちの持っている技術と他

デザインがコネクトする。もし第2弾、第3弾と続

のブランドしか持っていないデザインとが繋がる

けばやがて大きなウネリとなるだろう。まずは秋

ことで、より多くのエンドユーザーに“良い眼鏡”

の正式発表を、首を長くして待ってみるとしよう。 トニーセイムジャパン代表

細井 礼

“ 共感 ” をコンセプトに、 ユーザー目線でニー ズを満たし、さらにその先をカタチに。そん な志と国境を越えたモノづくりが交差する ブランド。2017 年からは “ コネクト ( つな がる )” をコンセプトに、さらなるグローバ ルブランドを目指して、成長を続けている。

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Designers Invitation Project ❶

正面視1mmのアセテートライトに 挑む三人三様のアプローチ。 ❶ブランドを象徴する左右非対称デザインのボリューム感とアセテート ライトの繊細さとのギャップを表現したパドマイメージ。

❷ブランド初のアンダーリム + メタルブローに加え、抜け感のある構造 が斬新なシークレット・レメディ。 ❸強度近視の分厚いレンズを目立たせない気遣いに、遊びの効いたテン プルでメリハリをつけたカムロ。

PADMA IMAGE パドマイメージ

蓮井 明治

「パドマイメージのアシンメトリーコレクションは“前髪が左右非対称である事 は不自然ではない為、目より上の部分を左右非対称にデザインしても違和感が少 ない”というのがコンセプトです。ボリュームに強弱をつけることで程よい違和 感を創り出していますが、アセテートライトの圧倒的に薄い構造を活かしながら その違和感を表現することは、これまでにないチャレンジだと思いました。今作 は上半分をアシンメトリー、下半分を薄い構造にする事によって、これまでのパ

人の顔は “ ほぼ ” 左右対称だが “ 髪は 非対称でも違和感の少ないパーツ ” で あることから、前髪に近いラインを左 右非対称とした「アシンメトリーコレ クション」を柱に、丸や四角などの 多角形をテーマにした「ジオメトリー コレクション」も展開。違和感を生み 出すデザインが特徴だ。

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ドマイメージでは実現できなかったライトなバランスに仕上げる事が出来まし た。しかしそのバランスが非常に難しく、ボリューム感やサイズは何度も手直し しました。僕は他メーカーのデザイン経験がほとんどなく独学でブランドを立ち 上げたので、商品化までの道のりすべてが新鮮でした。コラボの過程でトニーセ イムのグローバルに展開し成長を続けていくスケールの大きさを目の当たりに し、僕自身に多くの気付きを与えてくれましたし、ビジョンも拡がりました」


「アセテートライト・シリーズの発表当初、繊細な薄型構造なのにどうやって量 産を実現できたのか非常に興味をもち、あちこち聞き歩きました。そんな経緯も あって、お話をいただいたことは大変光栄に感じました。本作はシークレット・ レメディのレディース感をデザインの前面に打ち出しました。常に独りよがりに ならないモノづくりを意識していますが、普段よりその部分は非常に意識しまし たね。特性である正面視1mmという繊細さをしっかり活かしながらレメディらし

SEACRET REMEDY

さが感じられる部分に腐心しました。また初めてのアンダーリムやメタルとアセ テートのコンビのフロントなど、構造を含めた美しい仕上がりを、時間を掛けて、

シークレット・レメディ

そしてお互いのオフィスが近いこともあって直接担当者と会って追求できたと思

小向 真由美

エイションを客観視できました。まだまだ知らないことも沢山で、これからの創

います。普段のソロ活動からバンドで活動したような感覚で、久々に自分のクリ 作活動に刺激をもらった、そんな新鮮な感覚を覚えました」

女性にとってアイウェアは、眼差しをより魅力的に見せる額縁のようなも の。男性目線のステレオタイプな女性用フレームとは異なり、女性のリア ルな目線で描き出された流麗なシェイプやエレガントな色使いには、まさ に “ 秘密の処方=シークレット・レメディ ” が散りばめられている。

KAMURO カムロ

山中 佳苗

「私自身も含め、強度近視の方へのアプローチができるトニーセイムの技術とカム ロのデザインを掛け合わせたらもっとメガネ選びが楽しくなると思い、参加を決め ました。以前私がデザインした強度近視&こども向け眼鏡“himmel(ヒンメル) ”は、 当時1歳の娘と遊んでいる時に部屋に飾っていたモビールからデザインを思いつい たものでした。そこに着想を得て、今回のコラボモデルでは娘が少しだけ成長し自 らおもちゃで遊べるようになった様子をテンプルデザインに起こしました。育児と

個性的なハウスブランドが一般に広まる以前の 1996 年、それらを扱うショップとして創業。2005 年にオリジナルデザインのアイウェアコレクション を発表し、日本のみならず海外でも注目を浴びてい る。各スタッフが企画デザインを手掛けるため、デ ザインの幅が広いのも特筆すべき。

仕事に追われる毎日のふとした瞬間をモノづくりに繋げられたのはとても嬉しい事 です。技術とデザインの摺合せではレンズの厚みが気になる強度近視の方に向け、 厚みが落とせる丸い形にしよう、フロントは落ち着いた色にしてテンプルの色で遊 ぼう、などとこだわりました。特に配色は親子で大好きなディックブルーナの絵本 を参考にしています。実体験のストーリーをもつモノ作りをしていけたらエンドユ ーザーの共感をもっと生める……。自分の目線を持つことの大切さを感じたコラボ でした」

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VOSTOKYO2019 Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 和田 清志 Kiyoshi Wada

Exhibitor : 01 - トニーセイム

tonysame:

原宿と渋谷を結ぶエリアを代表するランドマーク「トランクホテ ル」で今年もVOS TOKYOが開催された。モデル撮影や著名人 を招待してのメディアミクスを掲げ、また海外へのコネクションも

強いという、他とは一線を画す取り組みは回を重ねるごとに、確 実に影響力を広げている。

グローバルな目線でデザインと 掛け心地への追求が融合する 関わり合うすべてのヒトやモノ・コトと共感し、心か ら繋がる“Connect”をコンセプトに、香港・日本を 中心としたアジアからグローバルに発信する「トニー セイム」。今回も高度な技術を用いた掛け心地への 追求と、その技術に基づくデザイン性を兼備した 数々のシリーズから、様々なニーズに応える新作が 大量にドロップされた。日本国内はもちろん、近隣 諸国からもその新作を一目見ようと多くのバイヤー が訪れたことは言うまでもない。また来年でブラン ド発足から10周年を迎えるに当たり、新たなプロジ ェクトもスタート(18-19ページを参照)。ますます目 が離せない存在となった。

端正なスクエアシェイプのフロントを採用し た T-cut シリーズにさらなる高級 感を与える LIMILUX コレクション。“LL-10901” は長モダン にべっ甲を使用。天然のべっ甲を薄型に仕上げ るには、熟練職人の技が不可欠だ。

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上/βチタンのヒンジに T 型のスリットを入れた T-cut シリーズの “TS-10906”。ミニマルなデザイ ンに白のリムが映える。下/正面視 1mm を独自の 技術で実現した、アセテートライトシリーズの新作 “TS-10534”


高機能のフレームとレンズで、 最高のパフォーマンスを生む

Exhibitor : 02 - イー・ダブリュー・エス

EWS

“Julbo”や“ICRX NXT”、“OGK KABUTO”、そして “NRC”など世界各国のスポーツサングラスブラン ド に 特 化 し た エ ー ジ ェ ン ト「EWS」 がVOS TOKYOに初参加。高機能のスポーツフレーム、 レンズに精通し、最高のスポーツパフォーマンス を発揮する“ギア”をプロフェッショナルなアスリ ートに提供する。中でも2016年に日本上陸を果 たしたイタリアのブランドNRCは注目株で、お笑 いだけでなく、ストイックなトライアスリートと しても頭角を現している安田大サーカスの安田団 長をサポート。VOSの開催日には安田団長本人も 応援に駆け付け、大いに盛り上がった。

上/度入りレンズを装着できるインナーフレームが別売 りで用意され、軽快な視野を確保できる“X 3”。下/上 記モデルとともに細かに調整できるノーズパッドを搭載 する“X5”。 ストレスのない掛け心地が最高の結果を生む。

Exhibitor : 03 - フレディウッド

Freddie Wood

ゴールドのミラーを施した茶色 ベースのモノレンズに科学あり。 “X 1RR” に搭載されるレンズは 茶色の内部に血液や筋肉の強度 を向上させる効果があると言わ れる赤の濃度を配合し、スポー ツパフォーマンスを引き出す。

天然素材の心地良さとモダンな デザインで最上級のクラス感を 選び抜かれた上質なバッファローホーンや天然木を 練達した職人がテーラーメイドで仕立て上げる、プ レミアムなアイウェア。メゾンブランド、MCMのアイ ウェアコレクションの初代デザイナーを務めたピータ ー・ビラー氏を柱とした「フレディウッド」のプロダ クションメソッドは、天然素材とモダンなデザインの 融合にあり。クラス感あるホーンの魅力はそのまま にトレンドを加味したシェイプや時にチタンを使っ て、よりモダンなスタイルに昇華する。日本に代理 店を持たないが日本語対応の可能な香港のエージェ ントが窓口のため、バイヤーとのコミュニケーション もスムーズだ。

クラシックなボストンシェイプ を採用した “ID A3”。バッファ ローホーンにリアルウッドをラミ ネートし、天然素材同士の調 和を表現した。繊細なラインの チタン製テンプルと合わせるこ とで、さり気ない上質さが漂う。

右/希少な乳白色のホーンをフロントに用いた “19th 23” は 19 世紀のアイウェアをイメージしたシ リーズ。左/アイデンティティコレクションからはク ラシックな “ID A2” を。磨き上げたホーンの艶と模 様を堪能できる。


ポップでギークなデザインに、 “沼”なファンが続出

Exhibitor : 04 - プラトーイ

pLAtOy

一度ツボにハマると抜けられない中毒性の高さが ヨーロッパを始めとする海外、そして日本で信者 を増やしている「プラトーイ」。VOSに先立って 同ブランドのホームグラウンドでもあるイタリア で開催されたアイウェア展示会、MIDOで発表さ れたプラスチックフレームの“pLAtOy”、メタル &コンビネーションの“TiNtOy”の最新コレクショ ンが並んだ。デザイナーのAkira Ishiwatari氏が築 き上げたポップでギークな世界は単なるショップ の商材というより、個人的に傾倒するバイヤーも 少なくない。写真のモデル、hii-deka-hiiさんも掛 けた瞬間に一目惚れしてしまった様子。

奥/メタルを使ったコレクション、ティントーイの コンビ “Ricotta”。フロントばかりに注目しがちだが、 テンプルの造詣も独特だ。手前/ポップアートのよう な、緩急ある曲線と直線で描かれたフォルムをもつ。 “PARMI”

Exhibitor : 05 - グルーヴァー

GROOVER

透明感のあるべっ甲カラーと キーホールブリッジで一見す るとクラシカル。それでいて 他にはない独特なアウトライ ンが不思議な感覚を呼び覚ま す “TeA”。このギークなデザ インセンスが石渡氏の真骨頂 といえる。

伝統的なクラフツマンシップを ストリートなデザインに昇華 一度途絶えてしまった伝統的な東京の眼鏡づくりを 自社工場で再建し、その技術を受け継ぎながら、 それでいてストリート感がありウェアラブルなデザイ ンをカタチにする。 「グルーヴァー」が特技とする、 手作業による多面的なカッティングと深い艶が生む フォルムは、アメリカの敏腕バイヤーから「キラー ( ヤバいほどカッコいい! を意味するスラング)!! 」と 呼ばれるほど高い評価を受けている。今回ドロップ した新作のメタルフレーム“Lot.018”はかつて世界の 眼鏡市場にフラットレンズ×ダブルブリッジのトレン ドを図らずとも広めた、隠れた銘品“Lot.1080”の兄 弟となるモデルだ。

近年はクオリティの高いブローモデルを造るのが 難しいと言われる中、自社工場「G YARD」が誇 る職人技でこれを実現。“GOROUND” は職人 の手作業による多面的なカッティングを活用し、 現代的なスタイルに昇華している。

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上/国産のガラス製フラットレンズに、特徴的なダ ブルブリッジを配したフルメタルモデル “Lot.018”。 下/ “METEOR” は日本に残された唯一人の職人に よる、手編みの縄手テンプルを装備した限定モデル。


アウトドアからストリートまで。 視界を心地良くするアイウェア

Exhibitor : 06 - ゼクー

Zeque

偏光サングラスのリーディングブランドとして、機能 的なアイウェアを輩出し続けてきた「ジール オプティ クス」。ブランド名を「Zeque(ゼクー )」に刷新し、 アウトドアフィールドで培ってきた機能をよりストリー ト感のフレームに落とし込んだ「バニー ウォーク」 とともに、コレクションを展開している。偏光レンズ の機能を最大限に発揮するフレームのストラクチャ ーと所有欲を満たす力強いデザイン性を兼備し、日 本人の顔の形状にしっかりフィットするサイズバラン スと相まって1996年の創業以来、フィッシングファ ンからアウトドアファンを中心に根強い人気を獲得 している。

上/アルミ合金を金属プレスと段落ち加工で精悍な フォルムに仕上げた “Dorio”。下/樹脂製スプリン グヒンジを搭載し、顔に沿った形状やレンズ天地幅 39mm のビッグシェイプで遮光性と広い視野を確保 した “STELTH”

Exhibitor : 07 - レインコート

RAIN COAT

風や波飛沫をブロックし、遮光 性にも富んだパンチング仕様の バイザーはフィッシングのフィー ルドで有効に働く重要な機能。 タウンユースではこの近未来的 なデザインがサイバースタイル にマッチする。“BATLER”

デザイン力と職人力が生み出す 6つの個性が人生を豊かにする 「スタンシー ラマーズ」、 「59 ヒステリック」、 「ミー アイウェア」、 「河和田」、 「テーラー ヒッチ」、 「西出 和男」と6つの個性を持ったブランドを抱えるのが、 鯖江を拠点とするカンパニー「レインコート」。伝統 的な職人製法のクラシックスタイルから、デザイン コンシャスなサングラスまで、その振り幅は広く、日 本国内ばかりか海外からのラブコールも多い。春の 展示会としては初めてとなるVOS TOKYOだが、特 に彼らが分厚い顧客をもつ香港を中心としたアジア 諸国からのバイヤーが多いこともあって、初参加な がらも多くのバイヤーがブースを訪れていたのが印 象的だった。

眼鏡の村として知られる、福 井県の河和田で眼鏡づくりに 励む職人たちをフィーチャー したブランド、河和田。クラ シックなキーホールブリッジ のセルフレームをエッジの効 いたメタルで表現した、職人・ 福嶋利行氏の作。

上/立体的な造形のブローは翼を広げた鶴をイ メージ。MEE EYEWEAR“Proud Crane” 下/手描 きのような波型のラウンドは裏に赤いクリアをレ イヤード。黒リムにちらりと覗く赤が目元を明る くする。Tailor Hitch“Z-04”


ファッション誌に“グローブスペックス”の名が

が良いこと。そしてこの世界に対する岡田さんの

挙がらない日はない。そしてアパレル関係者の中

知識の引き出しが広いこと」がその魅力だという。

に同店のファンが多いのも事実だ。“オールド ジ

一方、グローブスペックスのオーナーである岡田

ョー ”の代表、髙木雄介もその一人だ。ヘリテー

哲哉氏はアメリカントラッドを軸としたスタイル

ジデザインをベースとしたタイムレスなワードロ

アイコン。以前からオールド ジョー の愛用者だ

ーブを創り出す氏は自身の嗜好に近しい“ザ・スペ

ったという。 「髙木さんの服は所有してから気付く

クタクル”のアンティークフレームを日常的に愛用

ディテールがあって、それを発見するたびに愛着

する。今でこそアンティークフレームを扱うショ

が湧いてくるんですよね。しかし、まさかウチの

ップは増えたが、氏が興味を持ち始めた当時は情

お客様だとは知りませんでした(笑) 」 。実際に親

報すら満足に手に入らず、方々探し回った末に辿

交をもつようになったのは岡田氏が髙木氏の展示

り着いたのがグローブスペックスで以来、頻繁に

会に訪れた時から。 「クラシックなんだけど今っぽ

足が向くそう。 「玉数あって選択肢が広いこと。昔

い。これほどお洒落な方もそうそういない、理想

のものなのにレストアされていてコンディション

のジェントルマンです。そんな岡田さんが僕のシ 髙木雄介 OLD JOE 代表・デザイナー 年代や国籍を問わず、ヘリテージデザインからインスピレーション を受け、しかし過去の焼き直しではないタイムレスなプロダクトを 素材からパターン、縫製まで妥協せずに紡ぎ出す。http://oldjoe.jp/

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髙木さんお気に入りの 1 本。'30 年代の金張りフレームだが、同時 代の特徴である彫金が一切施され ておらず、当時オーダーメイドで 作られた希少なフレームだそう。 「普通は知りえないウンチクを教 えてもらうことで、益々興味が湧 きます」


だから私はグローブスペックスへ行く。

上から■ アンティークフレーム蒐集と研究の権威であるゲルノット・リンドナー氏が私 財を投じてまで実現させたシルバーフレーム。8 万 4000 円 ■ 岡田氏がヴィンテージの ミリタリーアイウェアを基に、現代的なサイジングと味付けでアップデート。3 万 9000 円 ■ 伝統的なオクタゴン ( 八角形 ) シェイプを独自目線でスマートに昇華したアン・バ レンタインの逸品。4 万 8000 円(以上すべて税別価格)

独自に買い付けたアンティーク家具や什器、親交 の厚いアーティストのグラフィックや季節で様変わ りする植物などをあしらった、感性を刺激する店舗 は毎年春に伊で開催の展示会 “MIDO” で世界一の 眼鏡店として「ベストア・アワード」を渋谷店ととも に受賞。また併設の店舗 “ ファクトリー ” は工場を イメージした空間で、眼鏡にまつわるアンティーク 道具のミュージアムも兼ねる。 グローブスペックス代官山店 東京都渋谷区猿楽町 14-12 ☎ 03-5459-3645 http://www.globespecs.co.jp/

V.STORY#1 Compatibility

GLOBE SPECS Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 近藤 浩之 Hiroyuki Kondoh Special Thanks : http://www.globespecs.co.jp/

ョップにいらしているのを知って、いつかお話し

聞けば8台あると……。これだけ揃えるなんてイ

したいと」 。以来、岡田氏はアンティークフレーム

ケてる! と思います。それでいてポップなウォー

を購入する際の頼もしい存在で、その口から語ら

ルアートを見ると判るように、幅広い層にアプロ

れるフレームの物語は髙木氏の知的好奇心を刺激

ーチできる空間だということが感じられますね」 。

する。

ファッション、アート、インテリア、デザイン、

また自身も直営店をもつ立場から店の作り込み

エンターテイメント、モノづくり……。肩書きや

にも注目する。 「良い什器を揃えていますね。大き

ライフワークは違えど、共通の世界観をもつ様々

いサイズのアンティークの家具や什器はニーズが

なクリエイターがショップを介して引き寄せ合い、

ないから業者も仕入れない。それを自分で買い付

新しいケミストリーがどんどん生まれる。それが

けるって大変なことですよ。僕の持論ですがアン

また引力を帯びて人を惹きつけていくのだ。すで

ティーク家具って一つだけあるより、同じものが

にインタビューを終えた二人だったが、何やらま

揃うことでもの凄くカッコ良さが引き立つものな

だ話は終わらない様子。きっとこの瞬間になにか

んです。フレームを陳列しているキャビネットも

が芽生えているに違いない。

岡田哲哉 アイウェアにセレクトショップの概念が なかった 1998 年、渋谷に 1 号店をオープン。自身 の目利きで世界各国の知られざるブランドを発掘し、 直接仕入れるスタイルを確立。それらの代理店業務 にも携わる。

髙木氏が愛用するアンティークフレーム は、アメリカの “ ザ・スペクタクル ” によ るもので、 同社は年代や仕様、 整合するパー ツごとにアンティークを系統立てて、レス トアすることで新品の眼鏡と同じように アフターサービスが受けられるシステム を確立したカンパニーだ

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フレーム 1 本ずつに手作業でノーズパッドを取り付ける。ほとんどの工 程は分業ではなく各職人がこなすことができる。マイスターの渡邉氏は 東京最後の工場だった敷島眼鏡で長年工場長を務めた、生粋の職人だ。

事務作業に使う PC 以外、このファクトリーにはコンピュータの類は存在しない。前時代に活躍したハンドオペレーティング の工作機械や作業台が無造作に並ぶ姿は昭和の町工場そのものだ。

V.STORY#2 Carry on the tradition

GROOVER SPECTACLES

微細なカッティングを兼ねたバ フ掛けは部品単位だけでなく、組 み立て後も入念に行う。そのため 開いたテンプルと智元の合口は 段差がなく、指先で触れても境界 線が判らないほど面一だ

Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 近藤 浩之 Hiroyuki Kondoh Special Thanks : http://groover.tv/

日本の伝統工芸品といえば陶磁器や着物、人形 など美術性・芸術性の高いものが有名だが、万年 筆や鉄鍋、ジーンズなど、近代の身近な日用品に も伝統的技法による工業製品が少なくない。それ らは明治の産業革命から昭和の高度成長期の間に 機械化や効率化が図られながら、依然として職人 の経験値や手作業を必要とする道具。そこには最

フレームのシェイプは数種類の 番手を揃えた棒ヤスリと切れ味 鋭い小刀で削っていく。この手仕 事こそが繊細なカーブと複雑な カットを生む。こればかりは最新 のマシンでも表現できない。

新のコンピュータ制御された機械をしても到達で きない、先人が切磋琢磨して築き上げた英知の領 域がある。アイウェア界にもその世界がある。か つて東京の下町には数多くの眼鏡工場が存在して いた。その精髄は手仕事による複雑なカッティン グや、時間を掛けた研磨によって生み出される深 い艶にある。しかし大量生産・大量消費の時代に

感があり、毎日酷使しても輝きを持続する。これ

ファクトリーの門を叩く若者も少なくない。もち

馴染めず、現在ではほぼ全滅してしまった。

ほど人の手を必要とするフレームを1点モノや10

ろんこれだけの高い技術は一朝一夕に会得できる

インディペンデントブランド“GROOVER ”は、

本単位ならいざ知れず、1型200本超もの数を職

はずもなく、また習熟には年月だけでなく「感性」

かつて腕を振るった東京眼鏡職人たちを束ねて自

人の手首の動きや指先に掛ける力で、均等に仕上

という才能も必要なのは職人世界の常で、独り立

社工場“G YARD”を立ち上げ、この失われた最古

げるのである。

ちできる者はごく僅かだ。一分一秒で失われてい

の眼鏡づくりを復権させた。同ブランドはこの伝

現在、G YARDでは50年を超えるキャリアをも

く日本の伝統産業の中にあってその資質を持った

統的な技法を武器に、既存のマシン技術では作れ

つマイスターの渡邉修一氏を職人頭とし、4人の

若き職人に、クラフツマンの精髄を伝承すること

ない複雑なストラクチャーの斬新なデザインを具

職人がフル稼働で生産に携わるが、職人を志して

もG YARDに托された重要なミッションなのだ。

現化する。この古きと新しきとが邂逅したプロダ クトは、ゆえに斬新さをもって海外を中心に高い 評価を受けている。メインの工具は手差しの旧式 機械とヤスリ・小刀。長年の使用で素材が反って こないよう、じっくり下処理を施したアセテート 板から粗枠を抜き出し、そこに多面的なカットや 複雑なカーブを手作業で削り出していく。また独 自のレシピを駆使し、かなりの時間と手間を割い た磨きのプロセスによって生まれた艶は深く透明

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→ 学生時代のアルバイトから 始め、4 月から本格的に生産と修 行を始めた井上響氏。渡邉氏から 指導を受けるが、その言葉を本 人の感性でカタチにする。独り 立ちするまでの道のりは遠いが、 才能は充分だという。


失わ れ つ つ あ る 東 京 の 眼鏡づくりの伝統を継承する。

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nine SIXty デザイナー

加藤 博照 1970 年生まれ。nine sixty を立 ち上げ、シルバーや革を素材に アクセサリーをデザイン。日本 をはじめ、海外から多くのファ ンに支持される。

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Words & Photography : 山田 芳朗 Yoshiro Yamada Special Thanks : http://freddiewood-international.com/ http://www.ninesixty.com/

V.STORY#3 Full of curiosity

ハンドメイドで誕生した 一点もののレザーリング たち。華やかさと重厚さ、 そして遊び心に溢れる存 在は、なによりも個性的。 流行とは無縁の一生もの をお探しなら、一見の価 値有り。

Freddie Wood meets nine SIXty

Freddie WoodのIsaac氏は「以前よりジュエリーブ

うまでもなく天然素材である。優しく浮かび上がる

ランドとのコレボレーションを模索していた」という。

柄やカラーはひとつとして同じものはなく、肌への優

Isaac氏は日本への造詣も深く、日本語も堪能であ

しさや軽さも魅力であるが、何よりも自然が生み出

る。話を聞くと日本ブランドとのコレボレーションを

す風合いがとても良い。そんなバッファローホーンに

第一に考えていたようだ。そんな両者は会場で意気

以前より着目していたジュエリーブランド 『nine SIXty

投合、出逢いは必然だったのである。

(ナインシックスティ)』加藤氏は、今年4月に訪れ たV.O.S Tokyoで『Freddie wood(フレディウッド)』 と出会うこととなる。

バッファローホーンで アイウェアに革新を。

「バッファローホーン」。いわゆる水牛の角は、言

こうしてバッファローホーンのフレームで名を馳せ る銘ブランド「Freddie Wood」 と、 「nine SIXty」 のコラボレーション計画がスタート。加藤氏からは

ドイツのアイウェアメーカーであり高品質なバッフ

「Freddie Woodの伝統を大切にしつつ、今までに

ァローホーンをストックするFreddie woodは、バッ

ないアイウェアを作りたい」と溢れる情熱が。それ

ファローホーンに特化したメーカーとして世界の富裕

を受けたIsaac氏からは「ドイツのクラフトマンシッ

層を顧客とするブランドである。また高い技術を持

プとして、nine SIXtyとの共鳴によるシナジー効果

つ職人達を抱えることでも名高く、バッファローホー

を存分に発揮したい」と意気込んでいる。いかなる

ンでは難しいとされてきた加工に成功している。

革命的なアイウェアが生み出されるのだろうか?

バッファローホーンを手 に構想を重ねる加藤氏。 「天 然素材が持つ、ピュアな 感覚をいかしたいですね。 アイウェアの世界の伝統 を生かしつつ、革新を生み 出せたらと思っています」

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インドや南米から輸入されたバッファ ローホーンの中から厳選された極上品 だけが、 『Freddie Wood』の素材になる。 そして、80 を超える工程を経てアイウェ アとして生まれ変わるのだ。

V.STORY Full of curiosity

自然素材のバッファローホーンは、白やグレイ、クリー ムや黒、濃さの異なるブラウンなど様々な色が存在する。 狙った色の再現には、何層にも貼り合わせる特殊な技術 が不可欠となる。

接会って話を聞きます」。nine SIXtyのレザーリン

Freddie Wood meets nine SIXty

グは、主役となるパーツの選択にレザーの種類と ステッチのカラーなど、そのセレクトは無限大に ある。星の数ほど存在する組み合わせの中から、 「お客さんが望むセレクト」を見つけ出す答えは、 対話の中にあるのだという。 例えばある方は、 父の命日を刻み、またある方は海軍だった祖父の 想いを碇の彫刻に託す。はたまた、結婚指輪のオ ーダーを受けた時は、お二人の気持ちの真ん中を

『nine SIXty』はデザイナー加藤博照氏の想いを

探って行った。これから人生を共にする二人、そ

託したジュエリーブランドである。各界の著名人

の出発点で行う共同作業を手助けしたい。そんな

をはじめ、多くのファンをもつ人気ブランドだが、

気持ちで作ったペアリングを手渡した時は、「嬉

中でも代名詞はやはり「レザーリング」。最高級

しい!と晴れやかに笑いながら、思いが高まった

のレザーをベースに、シルバーやゴールド、宝石

のでしょうか、ポロリと涙をこぼされて」

とのコラボレーションで生まれる芸術品である。 10年、20年と使って行く中で、経年変化が楽 製作は加藤氏が自ら行う。レザーのカットからス

しめるのもレザーならではある。「色に深みが出

テッチワーク、シルバーなどに施される精密その

て味わい深くなるんです。リングの主役が金属や

ものの彫刻……。その全行程が手作業で行われる

鉱物だとしても、これだけは真似できない」。異

ため、完成品は世界で唯一無二の存在になる。そ

素材の組み合わせで新たな魅力を発掘する。

の魅力をさらに深めるのが、「フルオーダーメイ

そんな加藤氏の次なるマテリアルの挑戦は、 「バ

ド」だ。製作に先立って、「まずはお客さんと直

ッファローホーン」なのである。

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バッファローホーンが持つ独特の風合いや色、そし て自然の恵みそのものを愛するデザイナー、ピーター ・ ビラーによって設立された Freddie Wood。伝統的な 職人技と現代的な手法を用いる工程は 80 にも及び、 確かな品質と個性の両立を実現している。



V.TREND#1 Different attractions

HUSKY NOISE Words : 石原 淳 Jun Ishihara Photography : 和田 清志 Kiyoshi Wada Special Thanks : http://huskynoise.com/ Model : Yuka Hair & Make : 町田 恭子 Kyoko Machida

上質でシンプルなアイウェアを提案する『HUSKY NOISE』。 どんなシーンでも合わせられるデザイン性に優れた女性用をラインナップ。 今回は、3つの異なるシーンに合わせてアイウェアをコーディネート。 大人の女性を匂わせる、シンプルなアイテムに注目だ。

ツーポイント構造を採用しながらも、ハーフリムのため主 張しすぎないデザインが好評なモデル。エレガントなパー ティシーンにおいて自然に知性を与えてくれる。

セルフレームでは難しい薄さのリムが特徴のモデル。アイ ウェアをかけていることを忘れさせ、忙しく活動するビジ ネスシーンなどで大活躍。

H-183 3 万 5000 円(税別)

H-182 3 万 5000 円(税別)

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Be Simple, Be Natural.

やや小さなボストンシェイプがキュートな人気のリムレ スモデル。カジュアルから、フォーマルまでシーンを問わ ず合わせやすいデザイン。 H-184 3 万 2000 円(税別)

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V.TREND#2 Formative art

特異なデザインと機能美の調和。 好みや趣向というものは、人それぞれ異なるもの だとしても、ファッションはもちろんのこと、クル マやバイク、そして家電などの工業製品、またはテ ーブルに並べられる食べ物であっても、“見た目”は Words & Photography : 小松 男 Dan Komatsu Special Thanks:Triple Q 大阪府大阪市中央区南船場4-13-18 四ツ橋FYSビル4F ☎ 06-6563-7684 http://www.qbrick.jp

モノを選ぶ際の重要なポイントだ。つまりそれはデ ザインやスタイリングからもたらされる印象という ものでる。もちろんアイウェアもしかり。 『QBRICK』が生み出すアイウェアは、どれも高い デザイン性を打ち出しており、その造形美はファン

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エッヂの効いたカットに強いインパクトを受けるボディに、メタルパーツや差し色を効果的に取り入れた QBRICK のアイウェア。秀でたデザイン、そして質感は、人々の心を掴み取る。 左から、BTY9201 / 2 万 6000 円(税別) BTY9103 / 2 万 6000 円(税別)

の心を魅了してやまない。 「“モノリス”のような“異

レンジングな強めのカラーが用いられているが、そ

めとした機能性を高める。つまり見て良し、触れて

質な存在感”を表現する」というブランドコンセプ

れが意外なほど肌馴染みがよくしっくりくる。そん

良し、これがQBRICKの持ち味なのだ。

トを前面に打ち出して作られるアイウェアの多く

な絶妙な色彩感もQBRICKならではのポイントであ

骨太なデザインを持つアイウェアに目を奪われが

は、肉質でありながら多面的なカットが入れられて

る。

ちなQBRICKだが、実はブランド立ち上げ時から、

おり、それを目の前にすると、思わず手に取ってみ

そしてあなたはQBRICKを手に取った後、さらに

シャープなもの、丸みを帯びたものなどもラインア

たいと感じさせる欲求に駆られる“モノ”としての魅

驚かされることがあるだろう。それはフィッティン

ップされており、どれも個性的なものばかりだ。 「枠

力がある。さらにデザインを考察すると、様々な差

グの良さだ。メタルとセルなど異なるパーツによっ

にとらわれないモノづくり」をアイデンティティと

し色が用いられていることに気づかされる。色調か

て生じる反発性、逆に打ち出される調和性を効果的

し生み出されるQBRICKのアイウェア、是非とも体

ら受けるインパクトというものは強く、あえてチャ

にデザイン面へと落とし込みつつ、掛け心地をはじ

感する機会を得ていただきたい。 37-VMJ


V.SNAP New Products

JUST THE WAY YOU ARE その日の気分や季節でファッションや髪型、 メイクで気分が一新されるのと同じように、 アイウェアを掛け換えると新しい自分を発見できる。 そんな女性の特権を存分に楽しむスタイルサンプル。 Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 山田 芳朗 Yoshiro Yamada

HUSKY NOISE with 信太 美月 (バリスタ・モデル) クラシックなボストンシェイプをオールチタン でシャープに、そしてスタイリッシュにアップ デート。柔和なセルフレームとは異なり、キリッ とドライな目元を演出してくれる。 Model:H-176(ライトブラック) Price : 3 万 4000 円(税別) お問い合わせ:バウハウス ☎︎ 03-5823-4047

METRONOME with 唄 詩織 (建材メーカー営業) エスニックパターンのパーカをアーバンスタ イルに。そんなセンス良いコーデには、近 未来的な都会の夜景をよりドラマチックに 映し出す、全方向にクリア感あるフォックス スタイルのフレームがよく似合う。

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Model:Rush Price : 2 万 8000 円(税別) お問い合わせ:メトロノーム ☎︎ 03-6452-2410


drasticcrazy with カリン (IT 勤務) 髪や肌の色に自然と馴染むカラーの 1 本。蜂の 巣模様も効いている。何気にスカートの色ともシ ンクロしているのもポイント。ワードローブとの色 合わせがカッチリとキマると気持ちいいのもアイ ウェアの楽しみ。 Model:G-4XX col.01 Price : 4 万 2000 円(税別) お問い合わせ:株式会社 岩佐 ☎ 0778-51-2020

Attractions with Hina (主婦) 職人の手仕事による艶と繊細なカッティ ングを取り入れた、ボリューム感のある キャットアイシェイプ。甘さを抑え、イン ディペンデントな女性を演出する絶好の キラーアイテムだ。 Model:Hep Cat / Brown Smoke Price : 2 万 4800 円(税別) お問い合わせ:アトラクションズ ☎ 03-3408-0036

知らなかった自分の魅力を 引き出すアイウェアスタイル。

Freddie Wood with 加奈子 (フレグランス・研究員) 程よいサイズ感のバッファローホーン製 フロントとバランスの良い繊細なライン のチタンテンプル。天然素材が醸すラ グジュアリズムは本当の上質を知る大 人の女性にこそ似合う。 Model:A03 C07R Price : お問い合わせください お問い合わせ:メガネナカジマ ☎︎ 044-933-1343

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T HENRI with Yuka (モデル) ダブルブリッジのスクエアフレーム、と濃 口デザインはサングラス向きといえるが、 あえての眼鏡使い。シャツがインパクト大 なだけに、アイウェアにもこれくらいのキャ ラを据えたい。 Model:Countach Price : 6 万 2000 円(税別) お問い合わせ:サンライズエージェント ☎ 03-6427-2676

SOLID BLUE with 佐藤 佳代 (CHUMS プレス) 質実剛健、という枕詞が定石のブロータイプも、 小ぶりで柔らかなフォルムなら女性にもハマる。 アウトドア仕様のリテーナーと相まって、アクティ ブなシーンでも活躍しそう。 Model:S-234(ブラウンハーフ) Price : 2 万 4000 円(税別) お問い合わせ:バウハウス ☎︎ 03-5823-4047 チャムスリテイナー 1000 円(税別)

Groover with Maki (モデル) ボリュームのあるセル&ダブルブリッジ、 と要素的にはゴツくなるところだがフ レームのクリアカラーと薄色レンズで引 き算を。肌と髪色が上手くサングラスを 馴染ませている。 Model:uranus Price :3 万 4000 円(税別) お問い合わせ:スクランブル ☎︎ 044-933-3566

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tonysame: with 黒瀬 成美 (CHUMS スタッフ)

V.SNAP New Products

この上なくシンプルでカッコいい白 シャツとデニムは永遠の定番。そこに 眼鏡を、となると黒を選びがちだが、 クリアを投入するとオーセンティック に都会的な洗練が。ぜひお試しあれ。 Model:TS-806-697 Price : 3 万 5000 円(税別) お問い合わせ:トニーセイムジャパン ☎︎ 03-5954-3670 チャムスリテイナー 800 円(税別)

JUST THE WAY YOU ARE

l.a.Eyeworks with Moyo (モデル) 白 T にレースのジレのレイヤードだけでフェミ ニンな印象に。それと同じように、ややキャッ トアイシェイプなフレームが女性らしさを引き 立てる。眼鏡一本でこれだけの効果です。 Model:PORTER Price : 4 万 7000 円(税別) お問い合わせ:サンライズエージェント ☎︎ 03-6427-2676

Globe Specs with Suzuna (学生) ヴィンテージミリタリーを由来とするメタルフ レーム……。そう聞くと無骨なイメージだが、 サイジングのアップデートや薄色レッドレンズの 採用で、女性にもしっかりフィットする。 Model:KIM Price : 3 万 9000 円(税別) お問い合わせ:グローブスペックス・エージェント ☎︎ 03-5459-8326

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VOS - THE PEOPLE : 01 - Harajuku

日本を代表する老舗眼鏡店パリミキが展開する ハウスブランド、「DIGNA Classic」。その全モデ

DIGNA HOUSE

ル を 扱 う 店 舗 型 シ ョ ー ル ー ム の「DIGNA HOUSE」(ディグナハウス)が裏原宿にオープン した。店内にはヴィンテージの什器が並び、壁に は名作のギター。重厚かつ遊び心溢れる空間は、

Words & Photography : 山田 芳郎 Yoshiro Yamada https://www.digna-classic.com/

DIGNA Classicの世界観を表現したものであり、 生みの親である代表取締役の澤田将広氏の拘りそ のものである。 澤田氏がDIGNA Classicのファーストモデルを 作ったのは10年前。クラシックなデザインと、快 適なかけ心地の両立というコンセプトは、立ち上 げ以来いっさいブレがないという。 「僕はロックが好きで、中でもビートルズのファ ンでした。ジョン・レノンがかけていた丸いメガ ネに惹かれたのが、メガネ好きになった切っ掛け の一つでしたね」と澤田氏。学生時代には、アン ティークショップをまわってクラシックモデルを

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捜し集め、知識を深めるために神田の古本屋街を


❺ ❶

株式会社三城 / 代表取締役社長

澤田 将広

❶ 店内には、ジュークボックスやアナログプレー ヤーが奏でる音楽が。真空管アンプとスピーカー は、知る人ぞ知る達人「オーディオみじんこ」こ と荒川敬氏のハンドメイド。❷ ビートルズ ・ フィ ギュアがチラリ。❸ ブランド 10 周年を記念した アニバーサリーモデルの「931」 。ボストンシェイ プのフロントは、4mm 厚のチタンプレートを打 ち抜いたもの。4 万 3800 円(税別)❹ 店舗に足 を踏み入れるとアンティークの視力表が出迎えて くれる。他にも、ジョン ・ レノンがはじめて買っ たというアコギ! ❺ ショーケースの上には、ヴィ ンテージなドゥカティのタンクや agv のメット。

ロックにバイク、映画にファッション、そしてアイウエア。 多彩な趣味人である澤田氏が企画した DIGNA Classic が 10 周 年を迎えた。遊び心満載の DIGNA HOUSE にようこそ。

訪ねては、文献を読みあさったこともあるとか。 いつしか手元には何本ものコレクションが集まる ようになり、中でも1930年〜 50年代のアメリカ で作られたクラシックモデルには特に魅力を感じ たとのこと。「手の込んだ繊細な細工に、職人の クラフトマンシップを感じました」。そして、当 時澤田氏が受けた感銘を、自らが企画したプライ ベ ー ト ブ ラ ン ド に 反 映 さ せ た の が、DIGNA Classicというわけなのである。 職人の魂が宿った物作りを。それを実現するた

永遠のトラディショナルとして認められたデザ

めにDIGNA Classicの製造は、すべて日本の職人

インが放つ、流行とは無縁の存在感。最新の素材

の手にゆだねられている。手作業が必要ならばそ

を惜しげも無く使って実現した快適なかけ心地。

れを積み重ねる。そのために製造コストが嵩むこ

そして、日本の職人だからこそ為しえる丁寧な作

ともあるらしいが、品質を優先する姿勢を崩すこ

り。そのすべてを堪能できる旗艦店が、DIGNA

とはない。「作るのに幾らかかったから、販売価

HOUSEなのである。澤田氏いわく「メガネ屋さ

格はこうなる」。バジェットありきではないとは、

んだと堅苦しく思わず、気軽に遊びに来てくださ

このご時世なんとも贅沢な限りだが、だからこそ

い」とのこと。心地よい音楽と香り高いコーヒー、

醸し出される気高さこそが、DIGNA Classicの魅

そして長くつきあえるお気に入りの一本と出会え

力なのは間違いない。

ることをお約束しよう。

SHOP INFO DIGNA HOUSE HARAJUKU 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3−28−8神 宮前岡本ビル1F TEL : 03-5843-1612 FAX : 03-5786-4066 43-VMJ


VOS - THE PEOPLE : 02 - Nagoya - Niigata

GALA EYEWEAR Words : 石原 淳 Jun Ishihara Photography : 小松 男 Dan Komatsu(P44-名古屋店) 山田 芳朗 Yoshiro Yamada(P45-新潟店) https://gala-eyewear.com/

名古屋の中心地・栄にある百貨店、栄三越の中 にショップを構え、ハイセンスな大人のためのア イウェアショップというコンセプトのもと2016 年にオープンした『GALA EYEWEAR名古屋栄三 越店』。百貨店の紳士服売場にショップを構える となると幅広いニーズに応えようとするのが常だ があえて取り扱いブランドを絞り、ブランドひと つひとつを掘り下げて多様なデザインを展開して いるのが最大の特徴。アイウェアを道具としてだ けではなくファッションと合わせるアクセサリー としても提案・販売している。扱いブランドは 『999.9』 『DITA』 『THOM BROWNE.』 『EYEVAN』 『OLIVER PEOPLES』『YUICHI TOYAMA.』 『Eque.M』『ic! berlin』『DIFFUSER』とこだわり のラインナップだ。 責任者をはじめ、スタッフ全員が認定眼鏡士SS 級の資格保持者であり、視力測定により近視・遠 視・乱視・老視かを判断する。レンズも使用目的・ ライフスタイルにあわせたものを提案するので、 安心してアイウェアを選ぶ事ができる。責任者曰 く「今年は特にDITA、YUICHI TOYAMA.が人気で、 70年〜 80年代のデザインが売れています」 。 ファッション誌に取り上げられる影響もある が、今のファッションにはクラシカルなデザイン のマッチングがいいと分析する。アイウェアを知 り尽くしたスタッフがブランドを厳選するだけで はなくファッションにも拘り、アクセサリーとし て都会のエッセンスをも取り入れてひとりひとり に合わせたアイウェア選びの手伝いをする。それ が『GALA EYEWEAR名古屋栄三越店』だ。

SHOP INFO GALA EYEWEAR - Nagoya

Nagoya

名古屋店責任者 / 認定眼鏡士SS級

鈴木 真

他店で購入したアイウェアの相談も乗る ことあるという鈴木責任者。SS 級の認定 眼鏡士を持ち、店内での視力測定も可能。

〒460-8669 愛知県名古屋市中区栄3-5-1 名古屋栄三越 5階 TEL:052-252-1507

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Niigata

新潟店責任者 / 認定眼鏡士SS級

植竹 潤 セレクトされたブランドの情報を持っ ているのはもちろん、 「自分では思いも よらないモデル」を提案してくれるの が GALA EYEWEAR。責任者の植竹氏 を含め、スタッフ 2 名が認定眼鏡士 SS 級の資格を保有。

世に数多存在する選択肢の中から、自分に似

を発表している「YUICHI TOYAMA.」などに人

合う一本を選ぶ。それは、アイウェア選びの醍

気が集まっているようだ。

醐味であると同時に、いつまで経っても答えの

そして、せっかくGALA EYEWEARに足を運ん

見えない永遠の迷宮とも言える。そんな時、や

だのなら、ぜひスタッフのオススメにも耳を傾

はり頼りになるのはプロフェッショナル。相談

けてみたい。「今までかけたことがなかったり、

に乗ってもらう中で、時には自分自身では思い

似合わない!と思い込んでいるスタイルの中に

も付かないような提案をもらえることも。自分

も、試してみる価値のあるモデルがあるかも知

一人では気がつかない、新たな世界を見いだす

れませんよ」と、責任者の植竹さん。苦手意識

ということも珍しくないのだ。

のあるモデルをかけた瞬間に、お客さんが違和

『GALA EYEWEAR 新潟伊勢丹店』は、左ペー

感を感じることも珍しくないということだが、

ジで紹介している名古屋栄三越店と同様、絞り

そこは経験を積んだプロ。そっと後押ししてく

込んだ「おすすめブランド」をラインナップす

れることもあるらしい。様々な要望のスタイル

るアイウェアショップ。今が旬の注目ブランド

チェンジに立ち会ってきたプロの助言には、必

が、まずはプロの目でセレクトされているのは

ず意味があるのである。相談をする際には、雰

頼もしいかぎりなのだ。新潟店でも、やはりヴ

囲気を変えたい、遊びでかける一本を、といっ

ィンテージスタイルに注目が集まっているよう

た要望を伝えれば、さらに的確な方向性を示し

で、定番のデザインを継承しつつ個性的な新作

てくれること請け合いである。

❶ U-078 2018 年の春夏コレクションで発表された「confine」 (閉 じ込める、の意)は、ステンレス(シートメタル)の構造をアセテー トに埋め込んだデザインが特徴。その構造を可視化させることで、 フレームの堅牢性と用の美を提示している。アートフォームとして の眼鏡といえる。❷ U-102 日常からインスパイアされた造形美を、 機能性を伴って眼鏡に落とし込むことを得意とする外山雄一。新た に着目したのが「クッキー」 。この「Cookie Series」には、クッキー の縁で見られる形をリムの一部に採用している。素材にはチタン合 金を使用し、リムの側面を鋭角にすることで極限までに細さと軽さ を追求。カラーリングは「YUICHI TOYAMA.」が得意とする七宝に よるもの。定番、トレンド、ともに意識した三種類のシェイプが完 成した。すべてユニセックスモデル。

SHOP INFO GALA EYEWEAR - Niigata 〒950-8589 新潟県新潟市中央区八千代1-6-1 新潟伊勢丹 4階 TEL : 025-243-6322 45-VMJ


VOS - THE PEOPLE : 03 - Kichijoji

The PA R K S I D E ROOM

都心からさほど離れていないにもかかわらず、 井の頭恩賜公園を中心に緑豊かな吉祥寺。“The PARKSIDE ROOM(以下tpr)”はその名の通り、井 の頭公園に隣接する隠れ家的なショップだ。嶋崎 周治氏はこの街で生まれ育った。氏はファッショ ン誌やカルチャー誌でも取り上げられる恵比寿の “コンテュニュエ”も主宰するが、ここは他店とは

Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 近藤 浩之 Hiroyuki Kondoh(Portrait) 山田 芳郎 Yoshiro Yamada (Product&Shop) https://www.tpr.jp/

少々趣が異なる。「この界隈は中高時代の通学路 で今も散歩します。公園って様々な人が集う気持 ちいい場所ですよね。僕は、ぼんやりといろいろ なアイデアを考えたりするのが好きなのですが、 井の頭公園100周年の数年前、ぶらりと散歩をし ている時に、100年単位で人を惹きつける公園の 魅力から着想を得ました」。こうしてtprは支店で はなく独立したショップとして2014年に誕生。 同地には気負わない、しかし洗練された粋なロー カリズムが漂っている。その源泉は江戸の大火で、 諏訪山吉祥寺(現:水道橋界隈)の門前町、いわば 中央の人々が移住して土着の文化と融合したこと と、中央からの絶妙な距離感に起因する。 「流 行は直接入りますがドップリ浸からず、かといっ て拒絶せず。流行やそのエッセンスは捉えつつヒ ネリやハズしを加え、あるいは尖鋭的なものをわ ざと野暮ったく見せたり、ということを自然にや るんです。僕の場合は二項対立的なものを統合さ せたり、物事を一歩引いて俯瞰で眺める方がおも しろく、それが店づくりの着想やセレクトの観点 の源泉となっています」。ArumamikaやGERNOT LINDNER、OLIVER GOLDSMITH……、目にした ことがあるブランドも吉祥寺で育まれたローカリ ズムやインディペンデント感を通して接してみる と、また違った彩を放ってくる。

ショップ設立 5 周年を記念してローンチされる、アルマミカの別注 カラーモデル。tpr のイメージカラーであるグレーとイエローが効い た、洒脱なメタルフレームだ。 3 万 2000 円 ( 税別 )

株式会社コンティニュエ 代表取締役

嶋崎 周治 異業種からアイウェア界に参 画し、ニュートラル・アクティ ブ・モードをコンセプトにボー ダレスな感覚を持つ。昨年には コンティニュエ日本橋を始動 させ、新しい世界を開拓する

SHOP INFO The PARKSIDE ROOM 〒180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-17-1 バイオスフィア2F TEL & FAX : 0422-41-8978 VMJ-46


独創的な画風に見入ってしまうアートや ファニチャーから店内に差し込む日差 しまで、どこを切り取っても Mary Lou eye's はフォトジェニックだ。本ページ の画像は全て濵本氏による作。同店の ジャーナル ( ブログ ) やインスタグラム の投稿もチェックされたし。

VOS - THE PEOPLE : 04 - Kanazawa

Mary Lou eye's Words : 實川 治徳 Harunori Jitsukawa Photography : 濵本 拓央 Takuo Hamamoto https://maryloueyes.jp/

何となく季節モノの服が欲しい時、幅広い層に 訴求する量販店ほど便利な店はない。しかし特定 のジャンル、あるいはブランドにこだわりが強い とむしろ、その筋への造詣の深さや品揃えの厚い (熱 い)シ ョ ッ プ が 断 然 頼 り に な る。“Mary Lou eyes”は間違いなく後者だ。「自分の目で見て良い と思ったモノ、自分が好きな――1型だけじゃな く、出てくるもの全部が良いと思える――ブラン ドを絞って、そのブランドを掘り下げてボリュー ムを厚く持つ、というのが念頭にありましたから ね」。オーナーの濵本拓央氏は、アートやファッ

メリールゥアイズ 代表

ションへの感度が高い金沢で育った。前職はとあ

濵本 拓央

る大型店舗の眼鏡店。アルバイトから初めて店長

日中のサービス業、という漠然と した動機から地元眼鏡店でバイト から店長まで勤め上げ、独立。洋 服や音楽、サブカルチャー好きの 視点からの店づくりやセレクトに 定評がある。

まで登る中で見えてきた眼鏡店の理想。それを 2012年に自分の店で具現化した。「眼鏡屋に限ら ずセレクトショップという言葉が軽くなったとい うか。どこでも同じモノが買える時代ですから、 店そのものをブランド化しなければ、と考えたん です」 。 ロ ー ブ ロ ー の 濃 い 薫 り を 放 つ“FUSTY WORKS”のアートワーク、金沢を拠点とする“MU.

たくないんです」。もちろん眼鏡士としての確か

INDUSTREIES”に よ る 什 器 や 内 外 装。PLATOY、

な技術があればこその説得力。(フレームを買い

GROOVER、Clayton Franklinなど器に盛られるア

たい)店が近場になくて、という他県からの来店

イウェアも個性派揃い。オールドレンズ搭載のデ

も多い。「最初に掲げた、店をブランド化すると

ジタル一眼によるSNSも秀逸だ。「カタログ的な

いう想いが少しは成果が出ているのかな、って思

白バックや読みもしない英語の本に乗せたり(笑)

います」。小ぢんまりしているが放つ空気は濃厚。

はしません。写真好きな人間なら撮り方ひとつで

ここは本来のセレクトショップの安心感を再認識

お店の色や性格が分かるから、嘘くさいことはし

させてくれる。

SHOP INFO Mary Lou eye's 〒920-0962 石川県金沢市広坂1-1-28 TEL & FAX : 076-260-7551 47-VMJ


V.GUIDE Collector's edition SUMMER 2019. ISSUE #03

VISIONARY SHOP GUIDE ブイ・マガジン - ショップガイド Words : V-Magazine ショップガイドの掲載に関するお問い合わせは「PRワークス」まで http://www.prworks.co.jp/

Continuer 2002 年オープン。お客様がスタッフとコミュ ニケーションをはかりながらくつろいでアイ ウェア選びをしていただけるよう、店内は上品 で温かみのあるウッドと、 「物作り」が連想さ れるインダストリアルなスチールを組み合わ せた空間に仕上げています。スタッフと気軽に コミュニケーションしていただき、感性のリン クを楽しみながら、お客様のスタイルにフィッ トしたアイテムを選んでいただく、それがコン ティニュエの目指すところです。 店 名:コンティニュエ 住 所:〒 150-0022 渋谷区恵比寿南 2-9-2 カルム恵比寿 1F 電 話:03-3792-8978 営業時間:12:00 – 21:00 定休日:水曜日

https://www.continuer.jp

CONTINUER NIHOMBASHI コンティニュエ日本橋は、私たちが考える " オー センティック " をテーマにアイテムをセレクトし ています。また Continuer Inc. 全店舗の中でも一 番広い面積で展開され、正統派な内装デザインに もこだわっています。腰を据えてじっくりメガネ やヴィンテージウォッチを吟味できる半個室の商 談スペースや、イベント用のポップアップスペー スなども設備。オフィスワーカーの方からファッ ション好きの方まで幅広い層の方が楽しめるアイ ウェアセレクトショップを目指しています。 店 名:コンティニュエ日本橋 住 所:〒 103-6105 東京都中央区日本橋 2-5-1 日本橋髙島屋 S.C. 新館 5F 電 話:03-6281-9077 営業時間:10:30-20:00 定休日:日本橋髙島屋 S.C. の営業日に準じる https://www.continuer.jp/shop/continuer-nihombashi/

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V.MAGAZINE JAPAN編集部が2019年の今、注目する アイウェアショップをレコメンド。どのアイウェアショップも オリジナリティ溢れるショップづくりとサービスに定評があ るショップばかりだ。是非とも足を運んでもらいたい、そ んな選りすぐりの5軒を紹介したい。


opteria Glassias オプテリアグラシアスは吉祥寺で 2005 年に創 業し、当初よりオリジナルブランドの開発に注 力しておりますが、2014 年にオリジナルブラ ンド、レチルドをパリの SILMO 展にて発表し、 機能的な眼鏡に加えてファッション提案のアイ テムとして高度にバランスさせたアイウェアを 提供しております。

店 名:オプテリアグラシアス 住 所:〒 180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町 1-11-21-1F 電 話:0422-21-6755 営業時間:11:00 〜 21:00(日曜のみ 19:00 閉店) 定休日:水曜日(不定休あり)

https://opteria-glassias.jp

KAIGANDOU 他店にはないメガネ、サングラスを意識して取 り揃えております。しかし、やり過ぎてない所 もポイントです。ちょっと違うものをお探し でしたら、是非お気軽にお立ち寄りください。 フィッテングなどにも力を入れていますので、 掛け心地が気になる方もご来店お待ちしており ます。太田店の他、邑楽店もございます。 店 名:開眼堂 - 太田店 住 所:〒 373-0851 群馬県太田市飯田町 524 番地西側 電 話:0276-48-6011(太田店) 電 話:0276-70-2271(邑楽店) 営業時間:10:00 〜 20:00 定休日:木曜日(太田店) :無休/年末年始はお休み(邑楽店) ウェブショップ:http://kaigandou.shop-pro.jp

http://www.kaigandou.com

MEGANE NAKAJIMA 東京の伝統的製法で作られる「GYARD」製の 眼鏡を多く取り揃えております。GROOVER を 始め国内外のデザインブランドをセレクトして おり、スポーツサングラスは国内有数のライン ナップです。ドイツ式両眼視測定を実施してお り、ご予約での測定を致しております。

店 名:メガネナカジマ 住 所:〒 214-0012 神奈川県川崎市多摩区中野島 3-14-2 電 話:044-933-1343 定休日:木曜日 営業時間:10:00 〜 19:00 ウェブショップ:https://www.style-now.net/

http://style-n.net/

※ Alphabetical order

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※ 本誌内で紹介している商品価格に消費税は含まれておりません。 価格は予告なく変更する場合がございます。 2019 年 8 月 31 日現在

A MEMBER OF THE EDITORIAL STAFF PRODUCED BY NEKO PUBLISHING ART DIRECTOR / DESIGNER : Yoshikazu Kasai WRITER : Harunori Jitsukawa, Yoshiro Yamada, Jun Ishihara, Jordan Chun (VOS-Hong Kong) PHOTOGRAPHER : Yoshiro Yamada, Hiroyuki Kondoh, Kiyoshi Wada, Masataka Nakajima, Dan Komatsu ADVERTISING DIV : Jun Ishihara, Koichi Endo, Shinya Katayama, Yuji Ohsako

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PUBLISHED BY NEKO PUBLISHING (03-5745-7808)

Printed in Japan


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Media x Convention = That's Solution / SUMMER 2019. ISSUE #03

Printed in Japan

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