住工共生の「かた」
~オモテとウラが紐解く住工混在地域~
町工場の衰退により宅地開発が進む東大阪市高井田地区では住工混在問題が起きている。
住宅と工場が混在していく中で高架下というバッファーを活かし、居住者、町工場の人々にとって互いに良好な関係を生むきっかけを与える 。
ものづくりの街 - 東大阪
東大阪市高井田地区はものづくりの街として発展してき た。この地にある事務所のうち�割が従業員数��人未満 の小さな工場である。工場の密度は国内でもっとも高く、 多種多様な製品が町中でつくられている。また、その工 場の形態も多種多様である。
現在、高井田地区では町工場の後継者不足等により、工場の数の減少が進んでいる。そしてさらに 問題になっているのが町工場の跡地に不動産の宅地開発で、虫食い状に住工混在の場所が増えて来 ている。
そのため、町工場の騒音や搬入車の出入りが住民からの苦情を生み、町工場の衰退を促す悪循環が 生まれている。
高井田地区 site 住工混在地域 ~町工場の衰退~ problem
住工混在地域における敷際空間の実態と特性 forcus
住工混在地域には、敷際空間のモノの置かれ方に一般で言う表出とあふれ出しの秩序がみられる。町工場が住宅に隣接してる場合は住宅側に植栽や郵便受けなどの表出がなされ、表と認識している。一方にはダライコ(ドラム缶)や散水ホー スなど工場のウラとして意識されている。
町工場の積極的な敷際空間の利用は、専用住宅の表出を促す。工場ばかりだと無機質だからと、植栽を植える、打ち水をするなど地域の良好
住宅側も町工場に促されるように オモテとしての認識が生まれる
休憩時座るための椅子
道や空き地などのバッファーが 入ることでオモテとウラが入り混じる
な景観や環境づくりに貢献しようとする意識もみられる。
���人の食卓 ~閉じた高架下を町の通りへ~ scenario
���人:JRおおさか東線高架下に隣接する住宅・町工場の人々 食卓:JRおおさか東線高架下
居住者、工場の人々にとって互いに 良好な関係を生むことを目的とする。
閉ざされた高架下
JRおおさか東線高架下の現状
JRおおさか東線高架下は、各住戸・工場に対して背に位置し、柵で囲ま れているため人々が立ち入ることができない。この高架下を「私」同士 をつなぐ大屋根とみると、そこに一つの公共空間への可能性を感じるこ とができる。
町工場と住宅の新たなバッファーとして高架下を開く
住宅工場の裏に高架と柵によって使われることがなく隔てるものとして存在していた空間が存在する。
住宅・工場の裏として人々の目につくことが少なく、この町にとってマイナスの存在であるように思える。
高架を二つに分断された町にかかる一つの屋根とみる。住宅・工場が閉じていた裏側に開くことで道と は異なるポテンシャルを持ったコモンスペースが生まれる。
また、住宅と工場におけるバッファーゾーンとしてお互いの関係を紡ぐ場となりうる。
高架 住宅・町工場 住宅・町工場 道 道 高架 住宅・町工場 住宅・町工場 道 道 私 私 公 公 私 共 私 公 公敷際空間を意識した壁と開口の操作 proposal �
高架下を近隣の住宅や町工場に対して開く。 さらに各住宅と町工場の間口に対し高架下に向けて 塀のような壁を伸ばしていく。
壁に対し各住戸、町工場の敷際空間を意識させる 開口を開ける。
高架下は町の通りとして開口を大きく設ける。
高架下というバッファーゾーンを開口を用いてプラ イベートからパブリックへと段階的に開き、敷際空 間を意識したあふれ出しを促す開口が町工場と住宅 を緩やかにつなげる。
町工場のファサードがオモテとウラの敷際空間を促す proposal �
町工場 ウラ ウラ オモテ
町工場は一方の道にのみ大きく開かれている。
側面のファサードは表情のない無機質な存在として道に対 して閉ざされている。
町工場のファサードを蛇行させることで町工場特有の、オ モテとウラのあふれ出し的用素を促す。
町工場壁量が多くプライベート性を確保した住宅側
開口による町工場と住宅の豊かなシークエンス性がみられる
開口部により高架下の道と緩やかに繋がる町工場側 工場のファサードを蛇行させることにより オモテとウラのあふれ出しを促す