アクティベート ・ リーフ No.814
NO 後悔のない人生 REGRETS ルース・マッキーグ
あ
る月曜の朝、仕事を始め
には後悔なんてなかったと思う
何百人かの参列者と共に屋外の
て 1 時 間 ほ ど し て か ら、
わ。」合間に長い沈黙を入れなが
席に座り、葬儀をスクリーンで
メ ー ル の チ ェ ッ ク を し ま し た。
ら、そんなふうにぽつりぽつり
見ていました。息子さんたち（10
知 り 合 い か ら「 悲 し い 知 ら せ 」
と話をしていたのです。「目的意
代が 2 人、20 代前半が 1人）は、
という件名のメールが来ており、
識と情熱を持って、思う存分に
父親がいかに愛情深く、面白く、
一体何ごとだろうと思いつつ開
生きていたもの。」私たち夫婦は
献身的な人だったかが分かるお
けてみると、「悲しい」どころで
長年、ロイの家族と同じ教会へ
別 れ の 手 紙 を 読 み 上 げ ま し た。
はありません。共通の友人であ
通っていましたが、何年か前に
また、親友の 1 人が、ロイは表
るロイが、前日に急死したとい
彼らが小さな町へ引っ越してか
面的なつきあいをしない人だっ
うのです。日曜の午後、奥さん
ら は、 た ま に 会 う 程 度 で し た。
たことを、次のように語りまし
とサイクリングをしていて、ひ
それでも、顔を合わせた時には、
た。「ロイと 5 分も話せば、最高
き逃げにあったとのこと。それ
そんなことを感じさせないほど
の友だちができたように思わせ
から一日中、メールの文面が目
自然に話せたものです。
てくれます。」参列者の多くも同
の前にチラつき、仕事が手に付
ロイの通っていた教会には 3
じことを言っていました。
きませんでした。
百 人 分 の 会 衆 席 が あ り ま す が、
ロイの職場や幾つもの教会の
その晩、食事を済ませてから、
木曜の午後には、ロイの生涯を
牧師、また友人たちから寄せら
夫のデービッドとしばらくその
たたえるために千人もの人が集
れた弔辞がスクリーンに映され
ままたたずんでいました。「ロイ
まったので、私たち夫婦は他の
ま し た。 そ の い ず れ を 見 て も、
生
彼が勤勉で人生を楽しみ、裏表
ません。私はそれを最後まで懸
さんは振り向いて、こう尋ねた
のない人であったことが分かり
命に走り抜き、信仰を守り通し
そ う で す。「 や っ ぱ り、 あ の 家
ます。 謙遜と力、無邪気さと知
ました。今はただ、あの喝采を、
にしておいたほうが良かったと
恵、正直さと愛のバランスがよ
神からの称賛の拍手を待つばか
思っている？」
く取れた人だったこと。相手の
りです。」 牧師は、競走を走り
その数分後のことです。衝突
ために感情移入し、惜しみなく
抜いた使徒パウロとロイとを比
音が聞こえ、夫が空中に放り上
自分の時間を与える能力がずば
べて説教をし、こう語りました。
げられ、トラックが急いで走り
1
抜けていたので、よく色々な人
「ロイは後悔のない人生を送りま
去るのが見えたのは。そう、夫
の相談相手となったり、ビジョ
した。」葬儀までの数日間、私た
の元へ駆け寄り、すでに息をし
ンを持ってチームを奮い立たせ、
ちのほとんどが同じことを考え
ていないことが分かったのは、
導いていたこと。教会主導の取
ていたに違いありません。参列
その会話のほんの数分後のこと
り組みに関わった時も、息子さ
者は皆、ロイが残した穴を埋め
だったのです。でも、家のこと
んのホッケーチームを潰すまい
るために、自分たちが何かしな
を尋ねた時には、2 人は太陽の
と奮起した時も、子どもたちが
ければと感じたと思います。もっ
輝く美しい 一日を楽しんで いま
キャンプへ行けるように資金集
と目的意識を持って、よりいっ
した。「いや、今の家が気に入っ
めをした時も、彼が何かする時
そ う 頑 張 り、 よ り 懸 命 に 走 り、
ているよ。」それがロイの答えで
には、すべてが可能であるとの
より精一杯に生きるべきだと。
した。そして、次に口にしたのが、
確信を持っていたこと。
あの日曜の午後、サイクリン
彼の最後の言葉となったのです。
ロイの奥さんは、葬儀の前後
グをしていたロイ夫妻は、引っ
に挨拶をしてくる何百人もの参
越しの際にもう少しで買いそう
列者に、最後まで丁重に応対し
になっていた家のそばを通りか
1. 第二テモテ 4 : 6 - 8
ていました。私も挨拶して、言
かりました。前を走っていた奥
（英語 MSG 訳聖書より）
「まったく後悔していないさ。」
葉につまりながら、こう言いま した。「夫が失業して今後のこと を考えていた時に、ご主人には かなりお世話になりました。色々 と励ましてくれて・・大変な時 でしたから、本当に救われまし た。」 式次第の印刷された紙に、テ モテへの第二の手紙 4 章 6 - 8 節 が書かれていました。「これから は、あなたが引き継いでくださ い。私の最期が迫っており、私 の命は神の祭壇に献げられよう としています。走る価値のある 競走は、これを別にしてはあり
一日の終りには、弁解も釈明も後悔も残さないようにしよう。
―スティーブ・マラボリ（1975 - ）
絶対に後悔はしないように。うまくいったら、それは素晴らし い。悪かったとしても、それは経験となる。
―エリナー・ヒバート（1906 -1993）
誠実な思いでしたのなら、後悔してはいけない。心からしたこ とが無駄になることはないのだから。
― ベイジル・ラスボーン（1892 -1967）
私は何も後悔していない。自分にできることはすべて、全力を 尽くしてやってきた。
― ロバート・レッドフォード（1936 - ）
「アクティベート・リーフ」は、英語の「Activated」誌からの記事を翻訳したものです。その他の記事は、ホームページでご覧頂けます。 http://www.activate.jp
© 2021 Aurora Production, Ltd. All Rights Reserved Translated from English Activated Magazine Vol.22-6 p10-11 http://www.activated.org
