ジャパンリテールマーケットビュー 2022年第3四半期

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東京 ・銀座 ハイストリート空室率は、対前期比 1 3 ポイント上昇の 7 7 %となった。ポップアップス トアの終了に伴い、比較的大型の空室が発生したことなどが主因。銀座ハイストリート賃料は、 4 期連続横ばいの24 15万円(月/坪)。ハイストリートでは、出店機会を探しているラグジュリーブ ランドが複数ある。一方、ハイストリートの中でも好立地の募集物件は少なくなっている。

━ 大阪・心斎橋ハイストリート空室率は、対前期比2. 5ポイント低下の14.0%。心斎橋筋商店街の複数 の募集物件でテナントの内定が進んだ。心斎橋ハイストリート賃料は、対前期比7.0%上昇の15 20万 円(月/坪)。ハイストリートの御堂筋にある新規開発物件では、相場を超える賃料水準で出店を 検討しているラグジュアリーブランドが複数あった。 ━ 名古屋・栄ハイストリート空室率は、対前期比 0 4ポイント上昇の 0.4%となった。ポップアップス トアが終わった区画が空室となったが、リテーラーの引き合いは複数みられている。栄ハイスト リート賃料は、対前期比横ばいの 7.00万円。比較的面積が大きい募集物件では、スポーツブランド

1 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 0% 3% 6% 9% 12% 15% 銀座 表参道・原宿 新宿 渋谷 心斎橋 京都 神戸 栄 天神 MARKETVIEW | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 + 3.6% 小売業販売額* + 17.1% 全国百貨店売上高** 1.7pts 消費者態度指数*** 22年9月 心斎橋・京都・神戸のハイストリート賃料が上昇 ラグジュアリーが出店ニーズを牽引 ━
などからの引き合いがみられる。ただし、リテーラーの希望賃料は相場並みとなっている。 出所: * 経済産業省、 **日本百貨店協会、***内閣府、 ****CBRE + 1.3pts 銀座ハイストリート空室率**** Q3 7~9月 前年同期比 前月比 前期比 ±0.0% 銀座ハイストリート賃料**** Q3 前期比 出所:CBRE、Q3 2022 天神 栄 新宿渋谷心斎橋京都神戸 道 ・ 銀座 Figure 1 :2022年Q3 ハイストリート空室率(上段)vs プライム&ハイストリート賃料(下段) 0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 プライム賃料 ハイストリート賃料 7~9月 前年同期比 円/坪 今期(Q3)より、空室率の調査対象フロアを「店舗ニーズの高い1階に限定」から「1階を含む賃貸区画のすべて」に変更しています。

マクロ経済

2022年Q3の全国百貨店売上高は、前年同期比で二桁のプラス

2022年 7 9月の全国百貨店売上高は、対前年同期比17 1%増となった。前年の緊急事態宣 言などによる営業制限の反動があったほか、 7 月は夏物、 9 月は秋物の売り上げが好調 に推移した。また、時計、宝飾品などの売り上げも前期に引き続き好調を維持した。 顧客別では、9月のインバウンドの売り上げが対前年同月比で204.0%増となった。水際 対策の緩和によって、インバウンドの売り上げは今後も増えることが見込まれる。

一方、 2022年 9 月の消費者態度指数は、対前月比 1.7 ポイントマイナスの

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30.8 となった。 日用品などの物価高が響いたほか、夏休みで消費が活発だった8月の反動で消費者心理 がやや冷え込んだ。 Figure 3: 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後 出所: Datastream、経済産業省、日本百貨店協会、CBRE、 Q3 2022 Figure 4: 訪日外客数 出所:日本政府観光局(JNTO)、CBRE、 Q3 2022 8.6 6.2 8.4 10.4 13.4 19.7 24 28.7 31.2 31.9 4.1 0.2 0.2 1 0 5 10 15 20 25 30 35 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 1 9月 2021 1 9月 2022 百万人 20 25 30 35 40 45 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 出所: Datastream、内閣府、 CBRE 、Q3 2022 Figure 2: 消費者態度指数 2019 2020 2021 2022 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 小売業販売額 全国百貨店売上高(右軸) 前年同月比 % y o y % 2019 2020 2021 2022

なっている 。そのため、こうしたリテーラー同士が競合することで、銀座ハイスト リート賃料は 2022 年 Q4 に上昇すると考える。向こう 2 年間では、今期に対して 3.3 %上 昇し、コロナ禍前の2019年Q4に比べて3.3%減の水準まで回復すると予測する。 ハイストリートの中央通りにある複数の新規開発物件で、ラグジュアリーブランドの 出店が内定、ないしは出店を検討している。成約賃料の水準は概ねオーナーの希望通 り、または希望を超えている。銀座エリアに路面店舗がないブランドのほか、既存店 舗からの立地改善や面積拡張の移転が含まれている。中には、数年先に竣工する物件 への出店を決めたブランドもある。ハイストリートにある既存の募集物件でも、ラグ ジュアリーブランドが出店を検討している事例があった。そのほかの募集物件では、 面積を分割したことでリテーラーからの引き合いが増えた事例があった。また、ハイ ストリートの並木通りにある募集物件では、銀座エリアに路面店舗がない複数のリ テーラーが出店を決めた事例があった。賃料水準はオーナーの希望通り。

一方、ハイストリートの中でも比較的面積が大きい複数の募集物件では、引き合いに 弱さがみられている。中には、面積の分割や賃料水準を下げるなどの柔軟な姿勢をみ せるオーナーもいるが、リテーラーの出店希望条件とは乖離がみられている。

セカンダリーエリアの西五番街やガス灯通りにある募集物件では、高級時計などの引 き合いがみられている。一方、比較的面積が大きい物件や、ワンフロアが比較的小さ く複数階に渡る物件では、フロア効率の低さやオペレーションの難しさから、リテー ラーの引き合いは弱い。

3 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 ▶ Forecast 東京:銀座 複数の新規開発物件でラグジュアリーブランドの出店が内定 今期( Q3 )ハイストリート空室率は、対前期比 1.3 ポイント上昇の 7.7 %となった。ポップ アップストアの終了に伴い、比較的大型の空室が発生したことなどが主因。 銀座ハイストリート賃料は、4期連続横ばいの24 15万円となった。賃料は2022年Q4には 0.6 %上昇すると予測する。ハイストリートでは、出店機会を探しているラグジュア リーブランドが複数ある。一方、ハイストリートの中でも好立地の募集物件は少なく
238,000 239,000 240,000 241,000 242,000 243,000 244,000 245,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率 Figure 6: 銀座ハイストリート賃料(円/坪) 230,000 235,000 240,000 245,000 250,000 255,000 260,000 265,000 270,000 Q3 2018 Q4 2018 Q1 2019 Q2 2019 Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 Q2 2023 Q3 2023 Q4 2023 Q1 2024 Q2 2024 Q3 2024 Figure 5: 銀座ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) 空室率 ハイストリート賃料 出所:CBRE、Q3 2022 出所:CBRE、Q3 2022

東京:表参道・原宿

ハイストリートの表参道にラグジュアリーブランドの出店ニーズが集中 今期(Q3)ハイストリートの空室率は、対前期比 0.3ポイント低下の 4.9%となった。比較 的面積が大きい募集物件で、テナントが決定している。 今期の表参道・原宿ハイストリート賃料は、前期比横ばいの 18 38 万円。ハイストリー トの中でも好立地となる表参道の募集物件では、ラグジュアリーブランドなど複数の リテーラーから引き合いがある。また、やや引き合いに弱さがみられていたみゆき通 りの募集物件でも、複数の出店ニーズがみられはじめた。オーナーは、建物形状の変 更に柔軟に対応したことで、希望通りの賃料水準で成約した模様。また、明治通りの 募集物件では、複数のスポーツブランドから引き合いがある。一方、比較的面積が大 きく、かつ募集賃料が相場を超えている物件では、リテーラーの引き合いは弱い。 セカンダリーエリアの骨董通りにある、視認性がよい募集物件では、表参道エリアに 路面店舗がないリテーラーからの引き合いが複数ある。一方、同じ通りでも天井高が やや低く視認性に弱さがみられる募集物件では、リテーラーの引き合いが少なくなっ ている。

東京:新宿

比較的面積が大きい募集物件ではリテーラーの引き合いに弱さがみられる 今期(Q3)ハイストリートの空室率は、対前期比横ばいの6.6%となった。新たな空室と満室の 面積は、いずれも50坪未満の小さなものとなった。

今期の新宿ハイストリート賃料は、3 期連続横ばいの

くリーシングに時間が掛かっている。比較的面積が大きいことや、複数階の賃貸区画となる ことでオペレーションの効率が下がってしまうことなどが理由。ハイストリートを中心に、ラ グジュアリーブランドやスポーツブランド、ファッション、エンターテインメントなど幅広い 業種のリテーラーから出店ニーズがみられている。ただし、リテーラーが希望する出店立地や 面積、条件などに合致する物件には、ほぼ空きがない状況が続いている。 セカンダリーエリアでは、業績不振などを背景に退店を考えるリテーラーが複数みられてい る。また、店内レイアウトのむずかしい募集物件では、リテーラーの引き合いはあるものの テナントの内定には至っていない。

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17 00万円。ハイストリートの新宿通りに ある比較的面積の大きい募集物件では、面積の分割を前提にリテーラーからの引き合いが複 数みられている。一方、同じ新宿通りにある別の募集物件では、リテーラーの引き合いが弱
Figure 8: 新宿ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) 出所:CBRE、Q3 2022 Figure 7: 表参道・原宿ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) 出所:CBRE、Q3 2022 166,000 168,000 170,000 172,000 174,000 176,000 178,000 180,000 182,000 184,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率 ハイストリート賃料 166,000 168,000 170,000 172,000 174,000 176,000 178,000 180,000 182,000 184,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率ハイストリート賃料

12 78 万円。井ノ頭通りにある 比較的面積の大きい募集物件では、渋谷エリアに路面店舗がないスポーツブランドが 相場を超える賃料水準で出店を検討している。そのほか、現在の相場を超える賃料水 準で出店を検討しているリテーラーが複数いたことから、ハイストリート賃料が上昇 した。公園通りにある比較的面積の大きい募集物件では、ファッションブランドが出 店を検討。ただし、賃料などの条件交渉には至っていない。一方、文化村通りにある 募集物件では、店内レイアウトのむずかしさからリーシングに時間を要している。 セカンダリーエリアにある新規開発物件でも、区画形状によるフロア効率の低さなど からリテーラーの引き合いは弱い。一方、駅からはやや離れているものの、大型商業 施設に近い募集物件では物販リテーラーの出店が内定した。そのほか、渋谷エリアで は、既存店舗の建て替えや立地改善を理由とした移転ニーズが複数みられている。

5 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 0 10 20 30 40 50 2021 2022 2021 2022 2021 2022 2021 2022 2021 2022 銀座 表参道 原宿 新宿 渋谷 Q1 Q2 Q3 Q4 Figure 9: 渋谷ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) 出所:CBRE、Q3 2022 120,000 122,000 124,000 126,000 128,000 130,000 132,000 134,000 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率 ハイストリート賃料 Figure 11: 業態別出店数*(路面店舗、件数) 注:プレスリリース、メディア報道などの情報を CBRE で加工して算出 *5エリア(銀座・表参道・原宿・新宿・渋谷)の中での業態別出店数とする 出所:CBRE、Q3 2022 Figure 10: エリア別新規出店数(路面店舗、件数) 注:プレスリリース、メディア報道などの情報を CBRE で加工して算出 出所:CBRE、Q3 2022 0 10 20 30 40 50 60 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ファッション ラグジュアリー 食物販・飲食店 アウトドア・スポーツ ヘルス&ビューティー ドラッグストア 家具・雑貨 ショールーム リユース その他 東京:渋谷 複数のリテーラーが相場を超える賃料水準で出店を検討 今期( Q3 )ハイストリートの空室率は、対前期比 2.2 ポイント低下の 2.7 %となった。 200 坪程度の募集物件で、テナントが内定したことなどが主因。 今期の渋谷ハイストリート賃料は、対前期比 0 8 %上昇の

Figure 12: 主な新規出店事例(東京)Q3 2022

テナント

通り名

* 施設名

アートネイチャー 銀座 すずらん通り N/A 銀座フォリー ヴェルサーチェ 銀座 晴海通り 100 銀座七宝ビル ポップマート 表参道・原宿 明治通り 30 N/A ヨギボー 表参道・原宿 明治通り 90 J 6ビル アミリ 表参道・原宿 くすのき通り 60 シナモン ユニクロ 新宿 明治通り 220 新宿文化ビル レンズリスト 渋谷 文化村通り N/A 渋谷Tビル au 渋谷 公園通り 15 渋谷モディ

Figure 13: 今後の新規供給(東京)(延床面積1,000坪以上)

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エリア
推定面積(坪)
*プレスリリース、メディア報道など公表されているものに限る。 CBRE の推定は含まない 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、 Q3 2022 施設名 エリア 延床面積(坪) 事業主 オープン (仮称)南青山三丁目計画 表参道・原宿 4,500 三菱地所、五光 2023年2月 東急歌舞伎町タワー 新宿 26,500 東急、東急レクリエーション 2023年4月 (仮称)神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業 表参道・原宿 6,000 東急不動産など 2023年8月 道玄坂通 dogenzaka dori 渋谷 12,700 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 2023年9月 渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業 渋谷 76,800 東急不動産 2023年11月 青朋ビル建替計画 表参道・原宿 5,300 青朋ビル、独立行政法人都市再生機構 2024年2月 (仮称)原宿クエスト建替え計画新築工事 表参道・原宿 2,700 NTT都市開発 2025年初頭 (仮称)銀座ビル建替計画 銀座 2,600 ヒューリック 2025年8月 (仮称)西新宿一丁目地区プロジェクト 新宿 29,300 明治安田生命保険 2025年11月 渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト 渋谷 35,400 東急、東急百貨店 2027年度 渋谷スクランブルスクエア(第 II 期) 渋谷 29,000 東急など 2028年3月 注:店舗以外の他用途を含むケースあり 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q3 2022

7 0%上昇の 15 20万円となった。ハイス トリートの御堂筋にある新規開発物件では、相場を超える賃料水準での出店検討を 行っている事例があった。御堂筋を中心に、複数のラグジュアリーブランドからの出 店ニーズがみられている。一方、募集物件は少ないため、1 つの物件に複数のニーズが 集中する事例が散見されている。

心斎橋筋商店街の募集物件では、オーナーが賃料をリテーラーの希望水準に下げたこ とでテナントが内定した事例があった。ただし、依然として空室が多い状況が続いて いる。空室を抱えるオーナーの中には、 3-5年程度の短期契約とすることでリテーラー が希望する賃料水準に合わせようとしているところもある。また、リテーラーの出店 ニーズが減少している今のうちに、建て替えを進めようとするオーナーも複数みられ ている。いずれも、インバウンド需要がコロナ禍前の水準に回復する頃には、今より も賃料相場が上昇していることを想定した戦略となる。

セカンダリーエリアのアメリカ村では、日本に進出したばかりのシューズブランドの 出店が決定した事例があった。賃料は、概ねオーナーの希望水準となっている。一方、 同じアメリカ村の中で、ブランドの日本撤退に伴う募集物件もみられている。長堀通 にある募集物件ではサービス系リテーラーなどの引き合いがある。

件も複数みられる。いずれも募集賃料が相場よりも高いため、リテーラーの引き合いが弱い。 阪急阪神グループは「大阪新阪急ホテル」「阪急ターミナルビル」の建て替えおよび「阪急

している。

7 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 関西:梅田 ハイストリート賃料は前期比横ばい、出店の動きは限定的 今期(Q3)、梅田のハイストリート賃料は対前期比横ばいの9 45万円となった。ショールームや 物販などの出店ニーズはあるものの、路面店舗の募集物件はほとんどなく、実際の出店には 至っていない。また、出店ニーズがあるリテーラーの希望賃料は、相場並みとなっている。 セカンダリーエリアの茶屋町では、関西初出店となる来店型サービス店舗の出店があった。 認知度向上のため、視認性の良い立地を選択した模様。また、 JR大阪駅以南のセカンダリー エリアでは、アミューズメントの出店がみられた。一方で、空室が長期化しつつある募集物
梅田三番街」の全改修プロジェクト「芝田 1 丁目計画」のプロジェクトチーム設置を発表した。 うめきた 2期に続く、梅田エリアの大規模プロジェクト。梅田エリアの更なる魅力向上を目指
Figure 14: 心斎橋ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) 出所:CBRE、Q3 2022 136,000 138,000 140,000 142,000 144,000 146,000 148,000 150,000 152,000 154,000 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率 ハイストリート賃料 関西:心斎橋 相場を大きく超える賃料でラグジュアリーブランドの出店が内定 今期( Q3 )ハイストリート空室率は、対前期比 2 5 ポイント低下の 14.0 %。心斎橋筋商店 街の複数の募集物件でテナントの内定が進んだ。 今期の心斎橋ハイストリート賃料は、対前期比

6.8 %となった。比較的 大型となる複数の募集物件でテナントの内定が進んだ。 今期の京都ハイストリート賃料は対前期比 5 4 %上昇の 6 85万円となった。賃料負担力 のあるリテーラーの出店ニーズが複数みられていることや、ラグジュアリーブランド の出店により一部立地の評価が上昇傾向にあることなどが主因。ハイストリートの四 条通りでは高級時計ブランドが百貨店から拡張移転した事例があった。同じ四条通に ある別の募集物件では、物販の出店が内定した。募集賃料と同等の水準で成約した模様。 セカンダリーエリアの烏丸通にある募集物件では、比較的面積が大きく賃料総額が高 くなることから、空室が長期化しつつある。東洞院通の募集物件では、立地改善の移 転ニーズがあった物販リテーラーが出店を検討している。

居留地のハイストリートでは、立地改善によるラグジュアリーブランドの出店がみられた。旧 居留地の別の募集物件では、テナントの賃料総額を抑えるべく分割した区画に複数のリテー ラーが出店を検討している。ハイストリートの鮎川筋にある募集物件では、神戸エリア初出店 となるスポーツブランドが出店を決めた事例があった。前期に引き続き、リニューアルした神 戸阪急の新館、路面店舗区画には複数のラグジュアリーブランドが出店した。 セカンダリーエリアの旧居留地にある募集物件では、高級時計ブランドの出店が内定した。成 約賃料は募集賃料と同程度の模様。

8 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 関西:神戸 ラグジュアリーブランドの出店ニーズが牽引、ハイストリート賃料上昇 今期(Q3)ハイストリート空室率は、対前期比1.4ポイント低下の7.5%となった。 100坪超の募集 物件でテナントが内定したこと、三宮センター街で複数の新規出店があったことが主因。 今期の神戸ハイストリート賃料は対前期比10 7%上昇の8 00万円となった。旧居留地エリアでの、 賃料負担力のある複数のラグジュアリーブランドの出店ニーズがみられていることが主因。旧
関西:京都 ハイストリートでは複数の出店と出店ニーズ、賃料は上昇 今期( Q3 )ハイストリート空室率は、対前期比 1.7 ポイント低下の
出所:CBRE、Q3 2022出所:CBRE、Q3 2022 64,000 66,000 68,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 80,000 82,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率 ハイストリート賃料 Figure 15: 京都ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) 64,000 66,000 68,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 80,000 82,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率ハイストリート賃料 Figure 16: 神戸ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

福岡:天神

ハイストリート賃料は4期連続の横ばい

今期( Q3 )ハイストリートの空室率は、対前期比

トの大津通にある、比較的面積が大きい募集物件では、スポーツブランドやアパレル などの引き合いがある。賃料は、既存テナントの賃料よりもやや低い水準。大津通で は、ラグジュアリーブランドや高級時計ブランド、ジュエリーなどの出店ニーズが集 まっている。栄エリアに路面店舗がないリテーラーの出店ニーズのみならず、既存店 舗の立地改善などの出店ニーズも複数ある。広小路通りの募集物件では、外車ディー ラーやペットショップなどの出店ニーズがある。中には、好調な業績を背景に、栄エ リアで2店舗目の出店を検討しているところが含まれている。 セカンダリーエリアの伊勢町通にある募集物件では、相場をやや超える募集賃料に対 してリテーラーの引き合いは弱い。ただし、面積が 50 坪程度と使いやすいため、相場 並みの賃料であれば引き合いは複数出る模様。

新雁林町通りにある募集物件では、アミューズメントの出店が内定した事例があった。成約 賃料は、募集賃料よりもやや低い水準だが相場並み。

9 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 名古屋:栄 ハイストリートでは複数のリテーラーからの出店ニーズ 今期(Q3 )ハイストリート空室率は、対前期比 0.4ポイント上昇の0 4%。ポップアップス トアが終わった区画が空室となったが、リテーラーの引き合いはみられている。 今期の栄ハイストリート賃料は、対前期比横ばいの 7 00 万円となった。ハイストリー
0.7 ポイント低下の 4.5 %となった。比較的大 型の空室が消化されたことが主因。 今期の天神ハイストリート賃料は 4 期連続横ばいの 4 65万円。空室が長期化している物件が複 数みられるものの、賃料水準を下げる動きはみられていない。ハイストリートの天神西通り にある複数の募集物件で、空室が長期化している。いずれもオーナーが希望する賃料水準が 相場よりも高く、設備投資などの初期投資額もネックとなっている模様。ハイストリートの
セカンダリーエリアでは複数の出店がみられた。国体道路では、フィットネス施設や飲食店 が出店した。また紺屋町東通りでは福岡初となるアパレルが出店を予定している。 出所:CBRE、Q3 2022出所:CBRE、Q3 2022 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000 75,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率 ハイストリート賃料 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000 75,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 ハイストリート賃料 空室率空室率 ハイストリート賃料 Figure 18: 天神ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)Figure 17: 栄ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

エリア 通り名 推定面積(坪)* 施設名

120 アーバンテラス茶屋町

N/A 永井ビル

N/A N/A

クラークス 心斎橋 ヨーロッパ通り 35 大塩アメリカ村ビル

アークテリクス 京都 四条通 55 京都ダイヤビル

ロレックス 京都 四条通 N/A ホテルフォルツァ京都四条河原町

セリーヌ 神戸 フラワーロード N/A 神戸阪急

ボッテガ・ヴェネタ 神戸 フラワーロード N/A 神戸阪急

ハーマンミラー 栄 入江町通 N/A TOSHIN SAKAEビル

G SHOCK 栄 広小路通 35 マルエイガレリア

イソップ 天神 天神西通り N/A FUNDES天神西通り *プレスリリース、メディア報道など公表されているものに限る。 CBRE の推定は含まない

出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、 Q3 2022

10 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 Figure 20: 今後の新規供給(関西・名古屋・福岡)(延床面積1,000坪以上) 施設名 エリア 延床面積(坪) 事業主 オープン 中日ビル 栄 34,000 中日新聞社、中部日本ビルディング 2024年春 (仮称)梅田3丁目計画 梅田 69,000 日本郵便、西日本旅客鉄道など 2024年3月 (仮称)うめきた2期地区開発事業 梅田 169,000 オリックス不動産、阪急電鉄、三菱地所など 2024年8月 大阪駅新駅ビル(仮称) 梅田 17,800 大阪ターミナルビルなど 2024年秋 (仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画 天神 6,300 ヒューリック 2024年9月 福ビル街区建替プロジェクト 天神 44,000 西日本鉄道 2024年12月 (仮称)天神一丁目北14番街区ビル 天神 11,900 日本生命保険、積水ハウス 2025年3月 (仮称)住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター建替計画 天神 12,700 住友生命保険、福岡地所 2025年5月 (仮称)心斎橋プロジェクト 心斎橋 14,000 ヒューリック、竹中工務店、JR西日本不動産開発、パルコ 2026年2月 錦三丁目25番街区市有地等活用事業 栄 33,200 名古屋市、パルコ、三菱地所他 2026年夏 雲井通5丁目地区再整備事業 神戸 29,800 神戸市、三菱地所、三菱倉庫、TC神鋼不動産など 2027年度 JR三ノ宮駅新駅ビル開発計画 神戸 30,300 西日本旅客鉄道、都市再生機構、神戸市 2029年度 注:店舗以外の他用途を含むケースあり 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、 Q3 2022 Figure 19: 主な新規出店事例(関西・名古屋・福岡)Q3 2022 テナント
住友生命 梅田 梅田北野線
ニューエラ 心斎橋 心斎橋筋
ティソ 心斎橋 心斎橋筋

2021 Q4 2021 Q1 2022

241,500 241,500 241,500 241,500 241,500

173,800 173,800 177,800 183,800 183,800

172,000 170,000 170,000 170,000 170,000

126,800 126,800 126,800 126,800 127,800

心斎橋 141,000 141,000 142,000 142,000 152,000 梅田 95,000 94,000 95,000 94,500 94,500

65,500 64,500 65,500 65,000 68,500

71,000 72,000 73,000 72,300 80,000

70,500 70,500 70,500 70,000 70,000

46,500 46,500 46,500 46,500 46,500

11 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 東京 銀座 7 4 % 6 5 % 6 4 % 6 4 % 7 7 % 表参道・原宿 4 2 % 5 . 1 % 5 1 % 5 . 2 % 4 . 9 % 新宿 4 . 1 % 5 . 2 % 6 . 2 % 6 . 6 % 6 . 6 % 渋谷 2 5 % 2 7 % 9 1 % 4 9 % 2 7 % 関西 心斎橋 14 . 3 % 14. 8% 17 . 1 % 16. 5 % 14 . 0 % 京都 7 . 3 % 6 . 8 % 8 . 6 % 8 . 5 % 6 . 8 % 神戸 7 5 % 6 6 % 8 2 % 8 9 % 7 5 % 名古屋 栄 0 0% 0 0% 0 4% 0.0% 0 . 4% 福岡 天神 1 . 6 % 3 6 % 5 . 0 % 5 . 2 % 4 . 5 % Figure 21: 空室率 出所:CBRE、Q3 2022 Figure 22: エリア通行者量の変化率(Q3 2022) 対前期比 対前年同期比 東京 銀座 15% +5% 表参道・原宿 12% ±0% 新宿 9% +10% 渋谷 5% +15% 関西 心斎橋 8% +2% 京都 6% +16% 神戸 6% +6% 名古屋 栄 5% +8% 福岡 天神 14% 8% Figure 23: ハイストリート賃料(円/坪) Q3
Q2 2022 Q3 2022 東京 銀座
表参道・原宿
新宿
渋谷
関西
京都
神戸
名古屋 栄
福岡 天神
出所:技研商事インターナショナル「KDDI Location Analyzer」* CBRE、Q3 2022 * auスマートフォンユーザーのうち個別同意を得たユーザーを対象に個人を特定できない処理を 行って集計 * KDDI Location Analyzerデータ精度向上の影響で過去の集計データから数字が増減していることがある Figure 24: プライム賃料(円/坪) 出所:CBRE、Q3 2022 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 東京 銀座 400,000 400,000 400,000 400,000 400,000 表参道・原宿 300,000 300,000 320,000 350,000 350,000 新宿 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 渋谷 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 関西 心斎橋 250,000 250,000 250,000 250,000 300,000 梅田 140,000 140,000 140,000 130,000 130,000 京都 90,000 90,000 90,000 90,000 100,000 神戸 120,000 120,000 120,000 120,000 150,000 名古屋 栄 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 福岡 天神 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 出所:CBRE、Q3 2022

(共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない) エリア通行者量の変化率 • 対象地における総通行者量の前期および前年同期に対する増減割合

本社 東京都千代田区丸の内2 1 1 明治安田生命ビル 03 5288 9288

横浜 横浜市西区北幸1 11 15 横浜STビル 045 316 4311

芝パーク 東京都港区芝公園2 4 1 芝パークビルB館 03 5288 9288 関西支社 大阪市北区大深町4 20 グランフロント大阪 タワーA 06 6292 1800 札幌 札幌市中央区北3条西4 1 1 日本生命札幌ビル 011 231 6931

仙台

リサーチヘッド hiroshi.okubo@cbre.co.jp

郁 ディレクター kaoru.kurisu@cbre.co.jp

仙台市青葉区中央1 2 3 仙台マークワン 022 262 5651

金沢

金沢市鞍月5 177 AUBE II 076 239 4041

名古屋 名古屋市中区錦3 20 27 御幸ビル 052 205 6541 広島 広島市中区袋町3 17 シシンヨービル 082 243 9321

福岡 福岡市博多区博多駅前2 2 1 福岡センタービル 092 472 1711

12 CBRE RESEARCH © 2022 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第3四半期 © Copyright 2022 無断転載を禁じます。本レポートは、商業用不動産市場に関するCBREの現在の見解に基づいて誠実に作成されています。CBREは、その見解が本資料作成日現在の市場動向を反映していると考えている ものの、それらは重大な不確実性や偶発事象の影響を受けて変化する可能性があります。また、CBREの見解の殆どは、現在の市場環境に対するCBRE独自の分析に基づく意見または予測であり、ここに記載された内容 が記載日時以降の市場や経済情勢の状況に起因し妥当でなくなる可能性もあります。CBRE は、その意見、予測、分析、または市場環境が後に変化した場合、本レポート中の見解を更新する義務を負いません。 本レポートは、CBREが発行する有価証券、もしくは他社が発行する有価証券の将来的なパフォーマンスを示唆するものではありません。特定の投資や投資戦略に関してはお客様ご自身で独自に検討する必要があり ます。CBREは、投資の適合性について評価する責任を一切負いません。本レポートを閲覧された方は、本レポートの情報の正確性、完全性、妥当性、あるいはその利用に起因するCBREおよびその関連会社、役員、取締 役、社員、エージェント、アドバイザー、代表者に対する一切の請求権を放棄したものとみなされます。 調査対象 空室率 ・CBREが独自に設定した対象地: 銀座ハイストリート(156棟)、表参道・原宿ハイストリート(238棟)、 新宿ハイストリート(59棟)、渋谷ハイストリート(66 棟)、 心斎橋ハイストリート(179棟)、京都ハイストリート(176棟)、 神戸ハイストリート(108棟)、栄ハイストリート( 53棟)、天神ハイストリート(203 棟) • 対象フロアは1階を含む賃貸区画のすべて プライム賃料/ ハイストリート賃料 • CBREが独自に設定した対象地 • ワンフロアの面積が200㎡程度の建物を想定 • 対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定 エリア通行者量の変化率 • CBREが独自に設定した対象地 調査時点 四半期 第1四半期:3月末 第2四半期:6月末 第3四半期:9月末 第4四半期:12月末 時点集計 調査方法 空室率 • 空室は集計時点で即入居可能であるものを対象(新築施設は開業済みのものが対象) プライム賃料 • 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の最上限値 (共益費を含む、フリーレント等のインセンティブは考慮しない) • 主要都市における、都心商業立地の中の一等地(の賃料) ハイストリート賃料 • 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値
大久保 寛 マネージングディレクター
栗栖
調査概要 Contacts 二之宮 久美子 アナリスト kumiko.ninomiya@cbre.co.jp
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