JRMV 2022年第2四半期

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MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第2四半期

MARKETVIEW | JAPAN RETAIL | 2022年第2四半期

銀座ハイストリート空室率は前期比1.4ポイント

低下の3.1%、コロナ禍以降最大の低下幅 + 2.8% 小売業販売額*

4~6月

前年同期比

+ 26.1%

全国百貨店売上高**

4~6月

前年同期比

ー2.0pts

前月比

消費者態度指数*** 22年6月

ー1.4pts

±0.0%

前期比

前期比

銀座ハイストリート賃料**** Q2

銀座ハイストリート空室率**** Q2

出所: * 経済産業省、 **日本百貨店協会、***内閣府、 ****CBRE

━ 東京・銀座ハイストリート空室率は、対前期比1.4ポイント低下の3.1%となった。比較的面積が大

Figure 1 :2022年Q1 ハイストリート空室率(上段)vs プライム&ハイストリート賃料(下段)

15%

きい募集物件でテナントが決まった一方、新たな空室は限定的だった。銀座ハイストリート賃料は、

12%

店ニーズがあるほか、既存店舗があるリテーラーの移転ニーズもみられる。

6%

3期連続横ばいの24.15万円(月/坪)。銀座エリアに路面店舗がないラグジュアリーブランドの出

天神

神戸

京都

心斎橋

渋谷

宿

━ 名古屋・栄ハイストリート空室率は、対前期比0.8ポイント低下の0.0%となった。ただし、募集物

件は複数みられており、中には比較的面積が大きいものが含まれている。栄ハイストリート賃料は、

400,000

対前期比0.7%下落の7.00万円。募集物件では、幅広い業態からの出店ニーズがみられる一方、相場

通りの募集賃料に対して、リテーラーの希望賃料がやや低いことが主因。

200,000

300,000 100,000 プライム賃料

出所:CBRE、Q2 2022

CBRE RESEARCH

新宿

500,000

0

1

表参道・原宿

円/坪

銀座

料は、対前期比横ばいの14.20万円。前期に引き続き、御堂筋ではラグジュアリーブランドの出店

ニーズが集まっている。ただし、賃料を押し上げるほどの強いニーズはなかった。

0%

表 参 道・原 宿

の募集物件でテナントの内定が進んだ一方、新たな空室は限定的だった。心斎橋ハイストリート賃

3% 銀

━ 大阪・心斎橋ハイストリート空室率は、対前期比1.4ポイント低下の13.1%。心斎橋筋商店街の複数

9%

ハイストリート賃料

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マクロ経済 2022年Q2の全国百貨店売上高は、前年同期比で二桁のプラス 2022年4-6月の全国百貨店売上高は、対前年同期比26.1%増となった。前年の緊急事態 宣言などによる営業制限の反動があったほか、外出機会の増加に伴う消費マインドの 回復によって売り上げが伸びた。富裕層を中心に高額消費が活況だったほか、6月は夏 物衣料やUVケア商品の売り上げが好調だった。

一方、2022年6月の消費者態度指数は、対前月比2.0ポイントマイナスの32.1と3カ月振り に悪化。生活必需品の値上げが相次いだほか、今後も物価上昇が続くと見込む消費者

が多かったことが、指数の低下につながった。

Figure 3: 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後

20

前年同月比 %

y-o-y % 200

15

150

10

100

5

50

0

0

-5

-50

-10

-100

-15

-150 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 2019 2020 2021 2022 小売業販売額

Figure 2: 消費者態度指数

45

全国百貨店売上高(右軸)

出所: Datastream、経済産業省、日本百貨店協会、CBRE、Q2 2022

Figure 4: 訪日外客数

35 百万人

30

40

31.2

25 35

31.9

28.7 24

20

19.7 15

30

13.4

10 25

5

6.2

0

20 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12 1 2 3 4 5 6 2019 2020 2021 2022 出所: Datastream、内閣府、CBRE、Q2 2022

2

8.6

CBRE RESEARCH

2010

2011

8.4

10.4 4.1

0.2

0.1

0.5

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 4-6月 4-6月 2021 2022

出所:日本政府観光局(JNTO)、CBRE、Q2 2022

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東京:銀座

ハイストリート賃料は、2022年第4四半期に0.6%上昇すると予測

今期 (Q2) ハイストリート空室率は、対前期比1.4ポイント低下の3.1%となった。比較的 面積が大きい募集物件でテナントが決まった一方、新たな空室は限定的だった。

銀座ハイストリート賃料は、3期連続横ばいの24.15万円となった。今後、賃料は2022年

Q3にかけて今期の水準で底這いし、2022年Q4には0.6%上昇すると予測する。ハイスト

Figure 5: 銀座ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

6%

245,000

5%

244,000

242,000 3% 241,000

リートの募集物件では、前期に比べてリテーラーからの引き合いは増えている。一方、

2%

2022年Q3から上昇に転じるとしていた銀座ハイストリート賃料予測を、一期遅れてQ4

1%

Q4に比べて3.5%減の水準まで回復すると予測する。

0%

出店の条件交渉などでテナントの内定にはやや時間を要している。そのため、従前は

からの上昇に見直した。向こう2年間では今期に対して3.1%上昇し、コロナ前の2019年

1階路面区画の1層のみ、または2層までというリテーラーが多い。賃料水準は、相場を超 えるものもある。同じく中央通りにある募集物件では、リユースの旗艦店舗の出店が内

定した事例があった。成約賃料は、募集賃料をやや下回ったものの、相場並みの水準。

ハイストリートのみゆき通りでも、移転ニーズがあったリユースの出店が内定した。 一方、比較的面積が大きい複数の募集物件や、募集賃料が現在の相場を超えている物件

では、引き合いの弱いところがある。コロナ禍前に契約をした既存テナントと同程度の

空室率

245,000

複数階の店舗のうち上層階を返すという動きが複数ある。中には、物件オーナーとの再

230,000

CBRE RESEARCH

Q2 2022

255,000

240,000 235,000 Q2 2018 Q3 2018 Q4 2018 Q1 2019 Q2 2019 Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 Q2 2023 Q3 2023 Q4 2023 Q1 2024 Q2 2024

を検討する候補リテーラーは複数いるものの、交渉が遅滞しているところもみられる。

ハイストリート賃料

ハイストリート賃料

Q1 2022

▶ Forecast

265,000

ろもある。また、立ち退きによる移転先を探しているリテーラーも複数みられている。

にある募集物件の中には、フロア効率が低く引き合いが弱いところがある。また、出店

3

270,000

250,000

契約交渉が折り合わず、退去を検討するテナントもみられている。セカンダリーエリア

Q4 2021

Figure 6: 銀座ハイストリート賃料(円/坪)

アリーブランドのほか、ジュエリーやアウトドア・スポーツ、ファッションブランドが

セカンダリーエリアの物件に、コロナ禍前から入居している既存テナントの間では、

238,000

Q3 2021

出所:CBRE、Q2 2022

260,000

含まれる。中には、インバウンド観光客が戻る前に出店立地を押さえたい、というとこ

239,000

空室率

賃料を希望する物件オーナーに対して、リテーラーが希望する賃料水準は低い。

銀座エリアに路面店舗がない複数の海外ブランドが、出店機会を探している。ラグジュ

240,000

Q2 2021

ハイストリートの中央通りにある新規開発物件では、複数のラグジュアリーブランド

から引き合いがみられた。ただし、募集条件通りの複数階で検討するブランドは限定的。

243,000

4%

出所:CBRE、Q2 2022

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東京:表参道・原宿

東京:新宿

ラグジュアリーの一部は、相場を超える賃料を検討

大型の募集物件では、面積縮小を条件としたリテーラーの出店ニーズ

的面積が大きい募集物件で、テナントが決定している。

が大きい区画で、空室が出たことが主因。

今期 (Q2) ハイストリートの空室率は、対前期比1.0ポイント低下の6.2%となった。比較

ハイストリートの表参道では、募集の可能性がある区画に対して、ラグジュアリーブ

今期の新宿ハイストリート賃料は、2期連続横ばいの17.00万円。ハイストリートの新宿通りに

ランドなど複数のリテーラーから引き合いがある。中には、相場を超える賃料水準で

ある募集物件では、高級時計の出店が内定した。また別の募集物件では、リテーラーからの

ニーズが集まっている。また、ポップアップストアの好調を背景に、常設店舗の出店

スポーツなど、複数のリテーラーから出店ニーズが集まっている。比較的面積が大きい募集

検討するリテーラーも含まれている。表参道では、ラグジュアリーブランドの出店 を検討するリテーラーもみられる。そのため、今期の表参道・原宿ハイストリート賃

料は、対前期比3.4%上昇の18.38万円となった。ハイストリートの明治通りでは、日本

初出店を含む複数の出店が内定。一方、空室が長期化する募集物件も複数ある。特に

国内ブランドが集積する立地では、リテーラーの出店ニーズが弱い状況が続いている。 セカンダリーエリアの募集物件では、日本初出店となる海外ECブランドの出店ニーズ がみられた。また、銀座から移転したリテーラーの出店が内定した事例もあった。若

年層をターゲットとしたプロモーションを行いたい考え。

Figure 7: 表参道・原宿ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

184,000

8%

182,000

7%

180,000

6%

178,000

5%

176,000

4%

174,000

3%

172,000

2%

170,000

1%

168,000

0%

166,000 Q3 2021

Q4 2021

空室率 ハイストリート賃料 ハイストリート賃料 空室率

出所:CBRE、Q2 2022

CBRE RESEARCH

Q1 2022

Q2 2022

引き合いがいくつかみられている。新宿通りでは、ラグジュアリーブランドやアウトドア・ 物件でも、複数の引き合いがある。ただしリテーラーからは、面積を縮小する、階層を減ら

すなどの分割対応の条件が出ているケースが多い。背景として、賃料総額を抑えたい意向が ある。また、ハイストリートにある既存テナントの中には、再契約の意向はあるものの、業 績不振を理由に現行賃料からの減額を希望しているところがある。

セカンダリーエリアの募集物件では、ファッションや食物販からの引き合いがある。ただし、

相場を超える賃料水準や、店内レイアウトの難しさを理由に、 テナントの内定には至っていない。 Figure 8: 新宿ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

9%

Q2 2021

4

今期(Q2) ハイストリートの空室率は、対前期比2.2ポイント上昇の10.2%となった。比較的面積

12%

184,000 182,000

10%

180,000 178,000

8%

176,000

6%

174,000 172,000

4%

170,000

2%

168,000

0%

166,000 Q2 2021 空室率

Q3 2021

Q4 2021

空室率 ハイストリート賃料

Q1 2022

Q2 2022

ハイストリート賃料

出所:CBRE、Q2 2022

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東京:渋谷

Figure 10: エリア別新規出店数(路面店舗、件数)

50

エリアに路面店舗がないラグジュアリーの出店が内定

今期 (Q2) ハイストリートの空室率は、対前期比3.2ポイント低下の9.1%となった。50坪

程度の複数の募集物件で、テナントが内定した。

今期の渋谷ハイストリート賃料は、3期連続横ばいの12.68万円となった。ハイストリー

40 30

トの公園通りにある募集物件では、ラグジュアリーブランドの出店が内定した。渋谷

20

ドを訴求したい意図がある。渋谷エリアでは、ラグジュアリーブランドやファッショ

10

店の機会をうかがっている。ハイストリートのセンター街にある募集物件では、店内

0

エリアに路面店舗がなかったリテーラーである。Z世代を中心とした若年層に、ブラン ンブランドなど、若年層をターゲットとした販売戦略を持つ複数のリテーラーが、出

レイアウトのむずかしさから引き合いに弱さがみられている。

セカンダリーエリアの神南にある、200坪を超える募集物件では、海外リテーラーから の引き合いがみられている。一方、リーシングが長期化している募集物件では、リ

Q1

銀座

2022

Q2

Q3

2021

2022

表参道

2021

原宿

2022

注:プレスリリース、メディア報道などの情報をCBREで加工して算出 出所:CBRE、Q2 2022

Figure 9: 渋谷ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

Figure 11: 業態別出店数*(路面店舗、件数)

134,000

12%

132,000

50

10%

130,000

40

8%

128,000

30

6%

126,000

20

4%

124,000

10

2%

122,000

0

0%

120,000 Q3 2021

Q4 2021

ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料

出所:CBRE、Q2 2022

CBRE RESEARCH

Q1 2022

Q2 2022

新宿

2022

2021

渋谷

2022

60

14%

Q2 2021

2021

Q4

テーラーからの引き合いはあるものの、オーナーが希望する賃料水準からは乖離がみ られている。そのため、テナントの内定には時間を要しそうだ。

5

2021

Q2 2021

ファッション ヘルス&ビューティー リユース

Q3 2021

ラグジュアリー ドラッグストア その他

Q4 2021

Q1 2022

食物販・飲食店 家具・雑貨

注:プレスリリース、メディア報道などの情報をCBREで加工して算出 *5エリア(銀座・表参道・原宿・新宿・渋谷)の中での業態別出店数とする 出所:CBRE、Q2 2022

Q2 2022

アウトドア・スポーツ ショールーム

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Figure 12: 主な新規出店事例(東京)Q2 2022

アクリス

テナント

ジミーチュウ

エリア

通り名

銀座

中央通り

表参道・原宿

ブライトリング

表参道・原宿

オン

表参道・原宿

アルペン

新宿

チュチュアンナ

渋谷

クレイジーラクーン

渋谷

50

表参道

表参道・原宿

タグホイヤー

推定面積(坪)*

N/A

表参道

35

表参道

20

キャットストリート

90

新宿通り

3,720

バスケットボールストリート

60

N/A

N/A

池田屋ビル

施設名

表参道千代田ビル

ユーハイム原宿ビル 表参道ヒルズ 原宿250

ユニカビル

センター244

フレーム神南坂

*プレスリリース、メディア報道など公表されているものに限る。CBREの推定は含まない 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q2 2022

Figure 13: 今後の新規供給(東京)(延床面積1,000坪以上)

施設名

(仮称)南青山三丁目計画 東急歌舞伎町タワー

(仮称)神宮前六丁目地区第一種市街地再開発事業 (仮称)渋谷区道玄坂二丁目開発計画 青朋ビル建替計画

渋谷スクランブルスクエア(第 II 期)

注:店舗以外の他用途を含むケースあり 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q2 2022

6

CBRE RESEARCH

エリア

表参道・原宿 新宿

表参道・原宿 渋谷

表参道・原宿 渋谷

延床面積(坪)

4,500 26,500 6,000 12,700 5,300 29,000

三菱地所

事業主

東急、東急レクリエーション 東急不動産など

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 青朋ビル、独立行政法人都市再生機構 東急など

オープン 2023年2月 2023年4月 2023年8月 2023年9月 2024年2月 2028年3月

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関西:心斎橋

セカンダリーエリアの長堀通以北にある御堂筋では、時計ブランドの出店が内定した事例が あった。成約賃料は相場水準の募集賃料通り。また、長堀通にある募集物件では、インバウ

御堂筋ではラグジュアリー、商店街ではポップアップの出店ニーズ

今期 (Q2) ハイストリート空室率は、対前期比1.4ポイント低下の13.1%。心斎橋筋商店街

の複数の募集物件でテナントの内定が進んだ一方、新たな空室は限定的だった。

今期の心斎橋ハイストリート賃料は、対前期比横ばいの14.20万円となった。ハイスト

リートの御堂筋では、既存テナントが退去するとみられる物件に対して、複数のラグ ジュアリーブランドからの出店ニーズが集まっている。前期に引き続き、心斎橋エリ アに路面店舗がない、または立地改善の移転ニーズがあるラグジュアリーブランドの

出店意欲は高い。御堂筋では空室が少なく、リテーラー同士が競合することで今後は

賃料水準が上昇する可能性がある。心斎橋筋商店街では、アパレルや食物販、アウト

ドア・スポーツブランドによるポップアップストアの出店ニーズがみられている。一 方、集客力のあるテナントが閉店するなど、前期に引き続き空室は増加傾向にある。

また、従前よりリーシングをおこなっている複数の募集物件では、リテーラーからの

引き合いが弱含んでいる。そのため、物件オーナーの中には、募集賃料を引き下げる

動きがみられている。

ンド需要の回復を視野に入れた食物販のリテーラーが、出店を検討している。一方、アメリ

カ村に既存店舗があり、心斎橋筋商店街への移転を検討していたリテーラーが、計画を変更

して既存店舗で再契約をした事例があった。空室の増加で、心斎橋筋商店街の買い回りの利 便性などが低下していることを懸念し、移転を取りやめた模様。

関西:梅田

ハイストリートの出店は限定的、プライム賃料下落

今期 (Q2) の梅田ハイストリート賃料は、対前期比0.5%下落の9.45万円となった。理由として、

賃料負担力の高いリテーラーの出店ニーズが弱含んでいることが挙げられる。そのため今期 は、CBREが調査をしている全国10エリアの中で、唯一プライム賃料が下落した。前期に引き

続き、ハイストリートへの実際の出店は限定的だった。大型量販店やショールームなど、複 数の出店ニーズはあるものの、リテーラーが希望する賃料水準は相場を2-3割下回っており、

合致する募集物件がほとんどなかった。そのため、当初は梅田エリアでの路面店舗の出店を 希望していたリテーラーの中には、商業施設の上層階区画や、他エリアの路面店舗への出店

に計画を変更したところがある。

Figure 14: 心斎橋ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

16%

144,000

14%

143,000

12%

142,000

10%

141,000

8%

140,000

6%

139,000

4%

138,000

2%

137,000

0%

セカンダリーエリアの茶屋町では、今期竣工した物件に関西初出店となるデジタル・通信系 ブランドが出店した。当該ブランドがECサイトで販売している商品の、ポップアップストア

が併設されている。また上層階では、前期に引き続き美容クリニックやエステの出店や出店

ニーズが散見された。こうした業態のニーズは、JR大阪駅以南にある募集物件でもみられて いる。セカンダリーエリア全体で、前期と比較して出店ニーズはやや増加している。

136,000 Q2 2021

Q3 2021

Q4 2021

ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料

Q1 2022

Q2 2022

出所:CBRE、Q2 2022

7

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関西:京都

関西:神戸

国内消費者向けの出店および出店ニーズ

百貨店周辺では複数の新規出店がみられる

出店があったこと、建て替えにより算出対象から外れた物件があったことが主因。

ター街で複数の空室が出たことによる。

今期 (Q2) ハイストリート空室率は、対前期比0.7ポイント低下の7.3%となった。複数の

ハイストリートの四条通では、雑貨店の出店があった。また同じ四条通にある募集物

件では、ブランド品の買取専門店の出店が内定した事例もあった。いずれも京都初出

店となる。成約賃料は募集賃料と同程度、もしくはやや低い水準の模様。国内消費者

ハイストリートの三宮センター街では、ファッションブランドの出店が内定した。また、コロナ禍

に業績を伸ばしたペットショップの出店が内定した事例もあった。フラワーロードでは神戸阪急 が改装し、複数のラグジュアリーブランドが出店した。旧居留地エリアでは、大丸が神戸店の東

向けのリテーラーの出店や出店ニーズは、複数みられている。一方、インバウンド向

隣の物件を賃借することを発表。路面店舗の区画には、リテーラーの出店が内定している。その周

の京都ハイストリート賃料は対前期比0.8%下落の6.50万円となった。

やや離れたエリアでは、リテーラーの出店ニーズは弱い。そのため、今期の神戸ハイストリート賃

けの店舗が集積するエリアの賃料は、前期に引き続き弱含んでいる。そのため、今期

セカンダリーエリアの新京極通では、ファッションブランドの出店があった。ハイス トリートからの移転となる。従前の店舗よりも面積を拡張することで、イベントス

ペースを設けている。コロナ禍以降、ハイストリートから三条通や新京極、寺町など

のセカンダリーエリアに移転をする事例が複数みられている。賃料単価が安価なこと や、ターゲットとするZ世代の通行者量が多いことなどが理由となる。 Figure 15: 京都ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

9%

80,000

8% 7%

辺では、集客力のあるラグジュアリーブランドが近隣から既に移転している。一方、百貨店から 料は対前期比1.0%下落の7.23万円となった。

セカンダリーエリアの旧居留地にある募集物件では、複数のリテーラーが出店を検討している。 ラグジュアリーブランドが集積するエリアに近く、30坪程度の使いやすい面積であることから、 引き合いが集まっている。メリケンロードの募集物件では、リユースの出店が内定した事例が あった。賃料は、現在の相場並みとなった模様。

Figure 16: 神戸ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

9%

80,000

78,000

8%

78,000

76,000

7%

76,000

6%

74,000

6%

74,000

5%

72,000

5%

72,000

4%

70,000

4%

70,000

3%

68,000

3%

68,000

2%

66,000

2%

66,000

1%

64,000

1%

64,000

0%

62,000

0%

Q2 2021

Q3 2021

Q4 2021

ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料

出所:CBRE、Q2 2022

8

今期 (Q2) ハイストリート空室率は、対前期比0.5ポイント上昇の7.6%となった。主に三宮セン

CBRE RESEARCH

Q1 2022

Q2 2022

62,000 Q2 2021

Q3 2021

Q4 2021

ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料

Q1 2022

Q2 2022

出所:CBRE、Q2 2022

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福岡:天神

名古屋:栄

ハイストリート賃料はやや弱含み、前期比0.7%下落の7.00万円

オーナーは賃料水準維持のため、受け入れ業種を広げて対応

件は複数みられており、中には比較的面積が大きいものが含まれている。

大きい募集物件でテナントが決定した。

ア・スポーツブランド、雑貨など幅広い業態からの出店ニーズがみられている。物件

テーラーからの引き合いが弱かったことから、オーナーは受け入れ業種を広げていた。成約

今期 (Q2) ハイストリート空室率は、対前期比0.8ポイント低下の0.0%。ただし、募集物 ハイストリートの大津通にある募集物件では、ラグジュアリーブランドやアウトド オーナーは現在の賃料相場を考慮し、既存テナントに比べて数パーセント低い賃料条

件の提示でも、受け入れる意向を示している。また、大津通の南側にある募集物件で

は、ファストファッションや自動車ショールームの出店ニーズがある。広小路通りの

募集物件では、時計ブランドの出店が内定した事例があった。ただし、募集賃料に対

してリテーラーからは減額の交渉があった模様。そのため、今期の栄ハイストリート 賃料は、対前期比0.7%下落の7.00万円となった。

セカンダリーエリアの入江町通の募集物件では、家具・雑貨の出店が内定した。2層の

募集を1層ずつにしたことで、リテーラーが希望する出店条件と合致した。また、食物

販が退去した募集物件では、後継テナントとして別の食物販が内定した事例もあった。 Figure 17: 栄ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

ハイストリートの天神西通りにある募集物件では、アミューズメントの出店が内定した。リ

賃料は、募集賃料と同等かやや高い模様。天神西通りにある他の募集物件では、空室が長期

化しつつある。出店ニーズはいくつかみられるものの、賃料水準や内装費などの初期投資額

が比較的高額であることがネックとなり、出店を断念したリテーラーもみられている。オー

ナーは、希望賃料の水準を下げることなく、受け入れ業種を広げることで対応している。今

期の天神ハイストリート賃料は、3期連続横ばいの4.65万円。

セカンダリーエリアの国体道路では、アウトドア・スポーツブランドが出店した。九州初出

店となる。同じ国体道路の別の物件では、ブランド品の買取専門店が出店した事例もあった。 いずれもコロナ禍に業績を伸ばしており、天神エリア以外でも新たな出店がみられている。 Figure 18: 天神ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

6%

75,000

6%

75,000

5%

70,000

5%

70,000

4%

65,000

4%

65,000

3%

60,000

3%

60,000

2%

55,000

2%

55,000

1%

50,000

1%

50,000

45,000

0%

0% Q2 2021 空室率 出所:CBRE、Q2 2022

9

今期 (Q2) ハイストリート空室率は、対前期比0.6ポイント低下の5.0%となった。比較的面積が

CBRE RESEARCH

Q3 2021

Q4 2021

空室率 ハイストリート賃料

ハイストリート賃料

Q1 2022

Q2 2022

45,000 Q2 2021

Q3 2021

Q4 2021

空室率 ハイストリート賃料 ハイストリート賃料 空室率

Q1 2022

Q2 2022

出所:CBRE、Q2 2022

© 2022 CBRE, INC.


MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第2四半期

Figure 19: 主な新規出店事例(関西・名古屋・福岡)Q2 2022

楽天モバイル

テナント

リーマート

ハーマンミラー

エリア

通り名

推定面積(坪)*

心斎橋

御堂筋

30

京都

四条通

110

神戸

三宮センター街

N/A

大津通

N/A

梅田

心斎橋

スタンダードプロダクツ スタジオアタオ

京都

アインズ&トルペ バレンシアガ

神戸

ヨシダ

メゾンスペシャル

西川

天神

トレック

天神

N/A

N/A

長堀通

フラワーロード 三蔵通

プレリー心斎橋ビル

日土地京都四条通ビル ラクエ四条烏丸

35

三宮ゼロゲート 神戸阪急

N/A

エイブルビル

辰晃ビルディング

80

明治通り

天神平和ビル

80

国体道路

BUZZ CHAYAMACHI グルカスシティビル

70

烏丸通

施設名

ダイヤモンドヒルズ大名サカグチビル

130

*プレスリリース、メディア報道など公表されているものに限る。CBREの推定は含まない 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q2 2022

Figure 20: 今後の新規供給(関西・名古屋・福岡)(延床面積1,000坪以上)

中日ビル

施設名

(仮称)梅田3丁目計画

延床面積(坪)

梅田

69,000

34,000

(仮称)うめきた2期地区開発事業

梅田

169,000

(仮称)ヒューリック福岡ビル建替計画

天神

6,300

(仮称)天神一丁目北14番街区ビル

天神

大阪駅新駅ビル(仮称)

福ビル街区建替プロジェクト

(仮称)住友生命福岡ビル・西通りビジネスセンター建替計画 (仮称)心斎橋プロジェクト

錦三丁目25番街区市有地等活用事業 雲井通5丁目地区再整備事業

JR三ノ宮駅新駅ビル開発計画 注:店舗以外の他用途を含むケースあり 出所:プレスリリース、メディア報道、CBRE、Q2 2022

10

エリア

CBRE RESEARCH

梅田

17,800

天神

44,000

天神

12,700

11,900

心斎橋

14,000

神戸

29,800

神戸

33,200 30,300

事業主

中日新聞社、中部日本ビルディング 日本郵便、西日本旅客鉄道など

オープン 2024年春

2024年3月

オリックス不動産、阪急電鉄、三菱地所など

2024年8月

ヒューリック

2024年9月

大阪ターミナルビルなど

2024年秋

西日本鉄道

2024年12月

住友生命保険、福岡地所

2025年5月

日本生命保険、積水ハウス ヒューリック、竹中工務店、JR西日本不動産開発、パルコ 名古屋市、パルコ、三菱地所他

神戸市、三菱地所、三菱倉庫、TC神鋼不動産など 西日本旅客鉄道、都市再生機構、神戸市

2025年3月 2026年2月 2026年夏 2027年度 2029年度

© 2022 CBRE, INC.


MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第2四半期

Figure 21: 空室率

Figure 23: ハイストリート賃料(円/坪)

銀座

東京

Q2 2021

Q3 2021

Q4 2021

Q1 2022

Q2 2022

5.1%

5.2%

4.3%

4.5%

3. 1 %

5.0%

4.8%

7.7%

7.2%

6.2%

3.7%

4.6%

5.8%

8.0%

10.2%

4.6%

2.9%

3. 1 %

12.3%

9.1%

8.7%

11.9%

12.7%

14.5%

13.1%

7.8%

7.8%

6.1%

8.0%

7.3%

4.0%

6.5%

4.9%

7.1%

7.6%

0.0%

0.0%

0.0%

0.8%

0.0%

3.6%

2.3%

3.6%

5.6%

5.0%

表参道・原宿 新宿 渋谷

関西 名古屋 福岡

心斎橋

京都 神戸

天神

東京

表参道・原宿 新宿 渋谷

心斎橋 関西 名古屋 福岡

梅田 京都 神戸 栄

天神

出所:CBRE、Q2 2022

出所:CBRE、Q2 2022

Figure 22: エリア通行者量の変化率(Q2 2022)

Figure 24: プライム賃料(円/坪)

対前期比

対前年同期比

表参道・原宿

+14%

+20%

渋谷

+14%

+13%

京都

+17%

銀座

東京

関西 名古屋 福岡

新宿

心斎橋

神戸

天神

+18%

+13% +13% +9%

+16% +6%

CBRE RESEARCH

銀座

+24% +24%

+14%

+23% +16% +11% -2%

出所:技研商事インターナショナル「KDDI Location Analyzer」* CBRE、Q2 2022 * auスマートフォンユーザーのうち個別同意を得たユーザーを対象に個人を特定できない処理を行っ て集計 11

銀座

東京

表参道・原宿 新宿 渋谷

心斎橋 関西 名古屋 福岡

梅田 京都 神戸 栄

天神

Q2 2021

Q3 2021

Q4 2021

Q1 2022

Q2 2022

243,000

241,500

241,500

241,500

241,500

173,800

173,800

173,800

177,800

183,800

177,500

172,000

170,000

170,000

170,000

127,700

126,800

126,800

126,800

126,800

138,100

141,000

141,000

142,000

142,000

113,500

95,000

94,000

95,000

94,500

66,500

65,500

64,500

65,500

65,000

74,000

71,000

72,000

73,000

72,300

70,500

70,500

70,500

70,500

70,000

47,500

46,500

46,500

46,500

46,500

Q2 2021

Q3 2021

Q4 2021

Q1 2022

Q2 2022

400,000

400,000

400,000

400,000

400,000

300,000

300,000

300,000

320,000

350,000

300,000

300,000

300,000

300,000

300,000

300,000

300,000

300,000

300,000

300,000

250,000

250,000

250,000

250,000

250,000

165,000

140,000

140,000

140,000

130,000

90,000

90,000

90,000

90,000

90,000

100,000

120,000

120,000

120,000

120,000

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

100,000

出所:CBRE、Q2 2022

© 2022 CBRE, INC.


MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第2四半期

調査概要 ・CBREが独自に設定した対象地: 銀座ハイストリート(155棟)、表参道・原宿ハイストリート(240棟)、 新宿ハイストリート(58棟)、渋谷ハイストリート(65棟)、 心斎橋ハイストリート(169棟)、京都ハイストリート(174棟)、 神戸ハイストリート(108棟)、栄ハイストリート(53棟)、天神ハイストリート(202棟) • 対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定

空室率 調査対象

調査時点

調査方法

プライム賃料/ ハイストリート賃料 エリア通行者量の変化率 四半期

• CBREが独自に設定した対象地 • ワンフロアの面積が200㎡程度の建物を想定 • 対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定 第2四半期:6月末

第3四半期:9月末

• 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の最上限値 (共益費を含む、フリーレント等のインセンティブは考慮しない) • 主要都市における、都心商業立地の中の一等地(の賃料)

プライム賃料 ハイストリート賃料 エリア通行者量の変化率

• 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない) • 対象地における総通行者量の前期および前年同期に対する増減割合

Contacts 大久保

マネージングディレクター リサーチヘッド hiroshi.okubo@cbre.co.jp

第4四半期:12月末

時点集計

• 空室は集計時点で即入居可能であるものを対象(新築施設は開業済みのものが対象)

空室率

栗栖

ディレクター kaoru.kurisu@cbre.co.jp

二之宮

久美子

アナリスト

横浜

芝パーク

金沢

関西支社

名古屋

札幌

広島

仙台

福岡

東京都千代田区丸の内2-1-1 明治安田生命ビル 03 5288 9288

東京都港区芝公園2-4-1 芝パークビルB館 03 5288 9288

• CBREが独自に設定した対象地 第1四半期:3月末

本社

大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 06 6292 1800

札幌市中央区北3条西4-1-1 日本生命札幌ビル 011 231 6931

仙台市青葉区中央1-2-3 仙台マークワン 022 262 5651

横浜市西区北幸1-11-15 横浜STビル 045 316 4311

金沢市鞍月5-177 AUBE II 076 239 4041

名古屋市中区錦3-20-27 御幸ビル 052 205 6541

広島市中区袋町3-17 シシンヨービル 082 243 9321

福岡市博多区博多駅前2-2-1 福岡センタービル 092 472 1711

kumiko.ninomiya@cbre.co.jp

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12

本レポートは、CBREが発行する有価証券、もしくは他社が発行する有価証券の将来的なパフォーマンスを示唆するものではありません。特定の投資や投資戦略に関してはお客様ご自身で独自に検討する必要があり ます。CBREは、投資の適合性について評価する責任を一切負いません。本レポートを閲覧された方は、本レポートの情報の正確性、完全性、妥当性、あるいはその利用に起因するCBREおよびその関連会社、役員、取締 役、社員、エージェント、アドバイザー、代表者に対する一切の請求権を放棄したものとみなされます。 CBRE RESEARCH

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