ジャパンリテールマーケットビュー2022年第四半期

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銀座ハイストリート賃料、コロナ禍以降初の上昇 ラグジュアリーブランドが牽引し前期比+3.8%

10~12月

0.1pts

前年同期比 前月比 前期比 + 3.8% 銀座ハイストリート賃料**** Q4 前期比

銀座ハイストリート空室率**** Q4

)より、空室率の調査対象フロアを「店舗ニーズの高い1階に限定」から「1階を含む賃貸区画のすべて」に変更しています。

出所: * 経済産業省、 **日本百貨店協会、***内閣府、 ****CBRE

Figure 1 :2022年Q4 ハイストリート空室率(上段)vs プライム&ハイストリート賃料(下段)

━ 東京・銀座ハイストリート空室率は、対前期比 0.1 ポイント低下の 7.6 %となった。前期からリテー ラーが出店を検討していた空室で、テナントが決定した。銀座ハイストリート賃料は、対前期比 3.8%上昇の25.07万円(月/坪)。ハイストリートの中でも好立地では、前期の相場を超える賃料水 準でも出店したいというラグジュアリーブランドが、複数みられていることが主因。

━ 大阪・心斎橋ハイストリート空室率は、対前期比 6 4ポイント低下の 7.6%。 100坪を超える複数の空 室で、ポップアップストアの出店が決定した。心斎橋ハイストリート賃料は、対前期比横ばいの 15 20万円。ハイストリートの御堂筋では、複数のラグジュアリーブランドからの出店ニーズがみら れている。一方、募集物件は限定的で、数年後の竣工を予定している開発計画でもテナントが内定 している。

名古屋・栄ハイストリート空室率は、対前期比 0 4ポイント低下の 0 0%となった。ポップアップス トアが終わり空室だった区画で、テナントが決定した。栄ハイストリート賃料は対前期比 1.4%上昇 の 7.10万円。高級時計などの出店ニーズに対して募集物件が少なく、賃料の押し上げ要因となった。

神戸 京都 心斎橋 渋谷 新宿 道 ・ 銀座

天神

出所:CBRE、Q4 2022

1 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期 0% 3% 6% 9% 12% 15% 銀座 表参道・原宿 新宿 渋谷 心斎橋 京都 神戸 栄 天神 MARKETVIEW | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期 + 3.6% 小売業販売額* + 6.0% 全国百貨店売上高** + 1.7pts 消費者態度指数*** 22年12月
0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000 プライム賃料 ハイストリート賃料 10~12月 前年同期比 円/坪 前期(
Q3

マクロ経済

2022年Q4の全国百貨店売上高は、前年同期比6.0

のプラス

2022年 10-12月の全国百貨店売上高は、対前年同期比 6 0%増となった。新型コロナウイ ルス感染拡大による外出自粛が一部でみられたものの、行動制限のない年末商戦は活 況だった。前期に引き続き、ラグジュアリーブランドや宝飾品の売り上げが好調だっ たほか、気温の低下によって防寒商品の売り上げが伸びた。顧客別では、 12 月のイン バウンドの売り上げが対前月比で484 7%増えた。

2022 年 12 月の消費者態度指数は、対前月比 1 4ポイント上昇の 30.3 、 4 カ月ぶりに改善し た。理由として、新型コロナウイルスの感染者数は増加したものの、ウィズコロナのも とで経済活動の正常化が進んだことが挙げられる。また、インフレの要因であった円 安や資源高に、一服感がみられたこともプラスに働いた。

2 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期
Figure 3: 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後
出所:
Datastream、経済産業省、日本百貨店協会、CBRE、 Q4 2022
出所:日本政府観光局(JNTO)、CBRE、 Q4 2022 8.6 6.2 8.4 10.4 13.4 19.7 24 28.7 31.2 31.9 4.1 0.2 3.8 0 5 10 15 20 25 30 35 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 百万人 20 25 30 35 40 45 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 出所: Datastream、内閣府、 CBRE 、Q4 2022 Figure 2: 消費者態度指数 2019 2020 2021 2022 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 小売業販売額 全国百貨店売上高(右軸) 前年同月比 % 前年同月比 % 2019 2020 2021 2022
Figure 4: 訪日外客数

東京:銀座

ラグジュアリーブランドの出店ニーズがハイストリート賃料を押し上げる

今期( Q4 )ハイストリート空室率は、対前期比 0.1 ポイント低下の 7.6%。前期からリテー ラーが出店を検討していた空室で、テナントが決定した。一方、ラグジュアリーブラ ンドの出店立地ではない比較的面積が大きい複数の物件では、空室が続いている。

銀座ハイストリート賃料は、対前期比 3.8% 上昇の 25.07 万円となった。ハイストリート の中でも好立地では、前期の相場を超える賃料水準でも出店したいというラグジュア リーブランドが、複数みられていることが主因。賃料は、今後も緩やかな上昇傾向が 続くと考えられる。向こう 2 年間では、今期に対して 2.7% 上昇し、コロナ禍前の 2019 年 Q4に比べて0.2%減の水準まで回復すると予測する。

中央通り内のハイストリートにある募集物件では、ラグジュアリーブランドの出店が 内定した事例があった。晴海通り沿いの募集物件では、銀座エリアに路面店舗がない

ブランドなど複数の出店ニーズが集まっている。理由として、 ➀ 銀座ハイストリート

50坪未満という希少な面積帯、という2点が挙げられる。同物件で

は、既存テナントの賃料水準を超える価格で後継テナントが内定する可能性がある。

晴海通りの別の募集物件では、比較的面積が大きいためリーシングに時間がかかって いたものの、今期はラグジュアリーブランドからの引き合いがみられた。みゆき通り にある募集物件では、募集賃料と同水準でラグジュアリ ブランドの出店が内定した

事例があった。また、数年先の竣工を予定している開発計画でも、既に複数のリテー ラーから引き合いがみられている。

中央通り内のセカンダリーエリアにある、空室が長期化していた募集物件では、区画 を分割することで引き合いが増えている。面積が小さくなったことで、リテーラーが 支払い可能な坪単価が上がっている。そのため、オーナーが希望する賃料水準でテナ ントが内定する可能性が出てきている。

& ハイストリート賃料(円/坪)

空室率 ハイストリート賃料

▶ Forecast

3 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期
の中でも好立地、②
234,000 236,000 238,000 240,000 242,000 244,000 246,000 248,000 250,000 252,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率
230,000 235,000 240,000 245,000 250,000 255,000 260,000 265,000 270,000 Q4 2018 Q1 2019 Q2 2019 Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 Q2 2023 Q3 2023 Q4 2023 Q1 2024 Q2 2024 Q3 2024 Q4 2024
Figure 6: 銀座ハイストリート賃料(円/坪) Figure 5: 銀座ハイストリート空室率
出所:CBRE、Q4 2022 出所:CBRE、Q4 2022

東京:表参道・原宿

ハイストリートの表参道にラグジュアリーブランドの出店ニーズが集中

今期( Q4)ハイストリートの空室率は、対前期比 0.7 ポイント上昇の 5 6%。原宿側のハイ ストリートで、ワンフロアが比較的小さい複数階の空室が発生した。

今期の表参道・原宿ハイストリート賃料は、対前期比 2 7%上昇の 18 88 万円。前期に引 き続き、ハイストリートの中でも好立地となる表参道では、ラグジュアリーブランド の出店ニーズが複数ある。募集物件が少なく、一つの物件に対して複数のリテーラー

が競合し、賃料が上昇している。中には、数年後の竣工を予定している開発計画でも、 既に複数のリテーラーから引き合いがある。明治通りにある募集物件では、複数のリ テーラーから申し込みがある。賃料水準はオーナーの希望通り。一方、明治通りや青 山通りにある、比較的面積が大きく賃料総額が高額となる募集物件では、リーシング に時間を要している。ただし、ポップアップストアの出店ニーズは複数みられている。

セカンダリーエリアにある募集物件では、リブランディングで Z 世代に訴求したいリ テーラーによる出店ニーズがみられた。また、別の募集物件では、日本1 号店(銀座) での好調な業績を背景に、2号店の出店を検討している海外リテーラーがいる。

東京:新宿

幅広い業態から出店ニーズがあるものの、賃料は現在の相場並みか

今期( Q4 )ハイストリートの空室率は、対前期比横ばいの 6.6% 。今期、テナントが決定した空 室がなかった一方、新たな空室の発生もなかった。

今期の新宿ハイストリート賃料は、 4期連続横ばいの 17 00万円。ハイストリートの新宿通りで は、時計やアウトドア・スポーツブランド、ヘルス &ビューティーなど幅広い業態の出店ニー ズがある 。 ただし 、賃料水準はおおむね相場の範囲内となっている 。 日本初進出のリテー

ラーの出店ニーズもあるが、ハイストリート賃料を押し上げる予算感ではなさそうだ。新宿 通りにある比較的面積の大きい募集物件では、リテーラーの出店ニーズはあるものの、区画 の分割が出店の条件となっている 。また 、比較的面積の大きい既存店舗を出店しているリ

テーラーが、面積縮小ならびにコストダウンを目的とした移転を検討している。

セカンダリーエリアの募集物件では、複数のリテーラーが出店を検討している。リテーラー

の希望賃料は、既存テナントの水準をやや下回っているが、現在の相場並みとなっている。

一方、募集賃料が相場を超える物件では、リテーラーからの引き合いが弱くリーシング期間 が長期化している。

4 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期
Figure 7: 表参道・原宿ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)
出所:CBRE、Q4 2022 出所:CBRE、Q4 2022 165,000 168,000 171,000 174,000 177,000 180,000 183,000 186,000 189,000 192,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料 165,000 168,000 171,000 174,000 177,000 180,000 183,000 186,000 189,000 192,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料
Figure 8: 新宿ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

東京:渋谷

Z世代をターゲットとしたリテーラーからの出店ニーズが集まる

今期(Q4)ハイストリートの空室率は、対前期比3.4ポイント上昇の6.9%。200坪を超える 面積の大きい空室が出たことが主因となる。

今期の渋谷ハイストリート賃料は、対前期比横ばいの 12 78 万円。渋谷エリアのハイス

トリートでは、Z世代への訴求を強化したいラグジュアリーブランドや、ファッション、

アウトドア&スポーツブランドなどの出店ニーズがみられている。ただし、出店の希望 条件を満たす募集物件が現状はないと考えるリテーラーの中には、数年後の竣工を予 定している新築物件への出店を検討しているところがある。一方で、業績不振などに 伴い、契約満了を機に渋谷エリアからの撤退を検討しているテナントもみられている。

セカンダリーエリアのセンター街にある募集物件では、アミューズメント業態の出店 が内定した。募集賃料からの減額のほか、空調の設置などのイニシャルコストをオー ナーが負担したことが、出店の決定に繋がった模様。その他、既に渋谷エリアに出店 しているリテーラーが、立地改善や地下区画から路面区画への移転を検討している例 が複数あった。ただし、立地や賃料水準などの賃貸条件に対しては慎重な姿勢である。

Figure 10: エリア別新規出店数(路面店舗、件数)

注:プレスリリース、メディア報道などの情報を CBRE で加工して算出

出所:CBRE、Q4 2022

ファッション ラグジュアリー 食物販・飲食店 アウトドア・スポーツ

ヘルス&ビューティー ドラッグストア 家具・雑貨 ショールーム

リユース その他

注:プレスリリース、メディア報道などの情報を CBRE で加工して算出

*5エリア(銀座・表参道・原宿・新宿・渋谷)の中での業態別出店数とする

出所:CBRE、Q4 2022

5 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期
0 10 20 30 40 50 2021 2022 2021 2022 2021 2022 2021 2022 2021 2022 銀座 表参道 原宿 新宿 渋谷 Q1 Q2 Q3
出所:CBRE、Q4 2022 120,000 122,000 124,000 126,000 128,000 130,000 132,000 134,000 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料
Figure 9: 渋谷ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)
Q4
Figure 11: 業態別出店数*(路面店舗、件数)
0 10 20 30 40 50 60 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022

関西:心斎橋

心斎橋筋商店街ではリテーラーの出店ニーズに回復の兆し

今期(Q4)ハイストリート空室率は、6.4ポイント低下の7.6%。100坪を超える複数の空室 で、ポップアップストアの出店が決定したことが主因。

今期の心斎橋ハイストリート賃料は、対前期比横ばいの 15 20万円となった。ハイスト リートの御堂筋では、複数のラグジュアリーブランドからの出店ニーズがみられてい る。一方、募集物件は限定的となっているため、数年後の竣工を予定している開発計 画でもテナントが内定している状況だ。

心斎橋筋商店街の募集物件では、リユースの出店が決定した事例があった。コロナ禍 前に比べて賃料水準が下がっていること、また好立地の物件が募集に出ていたことが 契約に繋がった。インバウンド消費の復調で売り上げが伸びているリテーラーの中に は、さらなるインバウンドの取り込みを狙った出店ニーズがみられはじめている。ま

た、100坪未満の募集物件では、リテーラーからの引き合いが増えつつある。一方、比 較的面積が大きい募集物件では、常設店舗のリーシングを進めながらポップアップス トアの受け入れをおこなっているところがある。テナントの退去に伴い空室となった

物件のオーナーの中には、更地にした上でリテーラーのニーズに合わせた建て替えを しようとする動きもある。

セカンダリーエリアでは、コロナ禍で業績を伸ばしたペット業態やリユースなどの出 店ニーズがみられている。リテーラーが想定する賃料水準は、現在の相場並み。アメ リカ村では、ブランドの日本撤退に伴う募集物件がある。やや立地が弱く、リーシン グには時間を要している。

関西:梅田

ハイストリート賃料が上昇、一部立地で歩行者量の回復がみられる

今期( Q4 )の梅田のハイストリート賃料は、対前期比 2.1 %上昇の 9.65万円となった。コロナ禍 によって賃料が下落していた立地で、歩行者量が回復したことにより賃料の上昇がみられた。 前期に引き続き、ショールームやスポーツブランド、リユースなど、複数の出店ニーズはあ るものの、路面店舗の募集物件がほとんどないため、実際の出店には至っていない。

セカンダリーエリアの茶屋町にある募集物件では、コロナ禍で業績を伸ばしたリユースの出 店が内定した事例がみられた。上層階にある既存店舗は残したまま、エリア内 2 店舗目として 路面店への出店となる。同じ茶屋町にある他の募集物件では、通行量の少なさがネックとな り、路面店舗区画は引き合いが弱い。上層階は美容クリニック、シェアサロンなど美容関連 のニーズがみられている。 JR大阪駅以南のセカンダリーエリアの募集物件でも、上層階や地 下階では美容関連の引き合いが複数みられる。しかし、路面店舗区画では、募集賃料が現在 の相場に比べてやや高めであることから、引き合いは弱い。

2024 年には複数の大型開発の竣工が控えている。商業区画では、既にテナントが内定してい る事例がみられている。

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出所:CBRE、Q4 2022 136,000 138,000 140,000 142,000 144,000 146,000 148,000 150,000 152,000 154,000 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料
Figure 12: 心斎橋ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

関西:京都

ラグジュアリーの出店ニーズが賃料上昇を牽引

今期(Q4)ハイストリート空室率は、対前期比0 2ポイント低下の6.6%。複数の小型区 画の空室が消化されたことが主因。

今期の京都ハイストリート賃料は対前期比3 6%上昇の 7 10万円となった。前期に引き続 き、ラグジュアリーブランドなど賃料負担力の高いリテーラーの出店ニーズが複数み られていることが主因。ハイストリートの四条通にある募集物件では、ファッション

ブランドの出店が内定した事例があった。募集賃料よりやや低い水準だが、歩合賃料 を設定するなどして賃料単価の上昇を見込んでいる模様。コロナ禍以降、数は少ない ものの歩合賃料を設定する路面店舗区画がいくつかみられている。

セカンダリーエリアの東洞院通にある募集物件では、ファッションブランドの出店が 内定した事例がみられた。成約賃料は、現在の相場並み。

髙島屋が、 2023 年秋に髙島屋京都店の隣接地で増床した区画に、専門店ゾーンを開業 すると発表した。既存の百貨店と専門店ゾーンからなる商業施設「京都高島屋 S.C.」が 誕生する。四条通のさらなる賑わいが期待される。

関西:神戸

リテーラーの出店や出店ニーズは複数あるも、賃料は横ばい

今期( Q4 )ハイストリート空室率は、対前期比 1.5 ポイント低下の 6.0 %となった。三宮セン ター街で複数の空室が消化されたことが主因。

今期の神戸ハイストリート賃料は対前期比横ばいの8 00万円となった。ハイストリートでは複数 の出店や出店ニーズはあるものの、リテーラーの賃料目線は前期とほぼ同様。ハイストリート の三宮センター街では、アイウェアブランドの出店があった。関西エリアでは初の路面店舗と

なる。また三宮センター街の複数の募集物件ではファッションブランドやリユースが内定した 事例があった。比較的面積が小さく賃料総額が抑えられる物件では、リーシングにそれほど時 間をかけずにテナントが内定している。ハイストリートの三宮中央通りでも、関西エリアでは 初のコンセプトストアとして、スポーツブランドが出店した。

セカンダリーエリアの三宮中央通りでは、関西エリア初となる飲食店舗の出店があった。また 鯉川筋では、ドラッグストアの出店がみられた。しかし、三宮駅からやや離れた歩行者量の少 ないエリアにある募集物件では、リテーラーの引き合いは弱くリーシングに時間を要している。

7 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期
出所:CBRE、Q4 2022 出所:CBRE、Q4 2022 64,000 66,000 68,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 80,000 82,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率 空室率
64,000 66,000 68,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 80,000 82,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料
ハイストリート賃料
Figure 13: 京都ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)
空室率 空室率 ハイストリート賃料
Figure 14: 神戸ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

名古屋:栄

リテーラーの出店ニーズに対して、募集物件の数は限定的

今期(Q4)ハイストリート空室率は、対前期比0. 4ポイント低下の0 0%。ポップアップス トアが終わり空室だった区画で、テナントが決定した。

今期の栄ハイストリート賃料は、対前期比 1 4% 上昇の 7 10 万円。高級時計などの出店 ニーズに対して募集物件が少なく、賃料の押し上げ要因となった。ハイストリートの 大津通にある募集物件では、ラグジュアリーブランドの出店が内定。栄エリアに路面 店舗がなかったリテーラーとなる。同じ大津通の別の募集物件では、リユースのポッ プアップストアが出店した。また、立地は良いものの貸室形状でリテーラーに敬遠さ れ、ややリーシングに時間を要していた募集物件でも、リテーラーの引き合いがみら

れはじめた。オーナーが希望する条件で交渉されている模様。一方、コロナ禍前に出 店したドラッグストアの中には、業績不振を背景に退店を検討しているところがみら れている。インバウンド需要の回復には、想定よりも時間が掛かると判断したようだ。

セカンダリーエリアの募集物件では、引き合いはあるものの、内定には至っていない。 ただし、面積が 50坪程度と使いやすく、時間を掛けずに後継テナントは決まりそうだ。

& ハイストリート賃料(円/坪)

福岡:天神

ハイストリートでは複数の出店ニーズがあるも、賃料は5期連続の横ばい

今期( Q4 )ハイストリートの空室率は、対前期比 2.0 ポイント低下の 2.5% となった。 300 坪超 の大型の新規出店があったこと、複数の募集物件でテナントが内定したことが主因。

今期の天神ハイストリート賃料は、 5期連続横ばいの 4 65万円。リテーラーの引き合いは複数 みられるものの、賃料上昇につながる勢いはない。天神エリアに路面店舗のないリテーラー や、建て替えによる移転を検討しているリテーラーの出店ニーズが複数みられた。空室が長 期化していた、ハイストリートの天神西通りにある募集物件では、ヘルス&ビューティーや アウトドアブランドなど、複数のリテーラーから引き合いがある。天神西通りの別の募集物 件では、ドラッグストアの引き合いがみられた。コロナ禍以降、退店が散見されたドラッグ ストアの出店ニーズが、再びみられるようになった。今後のインバウンド消費の回復を想定 した動きである。

セカンダリーエリアでは、空室が長期化している募集物件が複数みられている。国体道路に あるこれらの募集物件の中には、長期のテナントが確定するまでの間、広告宣伝を目的とし た短期のポップアップ区画として貸し出された事例がみられた。

8 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期
Figure 15: 栄ハイストリート空室率
出所:CBRE、Q4 2022 出所:CBRE、Q4 2022 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000 75,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000 75,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料 Figure
16: 天神ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

*

Q3)より、空室率の調査対象フロアを「店舗ニーズの高い 1階に限定」から「 1階を含む賃貸区画 のすべて」に変更しています。

出所:CBRE、Q4 2022 Figure 18: エリア通行者量の変化率(Q4 2022)

プライム賃料(円/坪)

出所:技研商事インターナショナル「KDDI Location Analyzer」* CBRE、Q4 2022 * auスマートフォンユーザーのうち個別同意を得たユーザーを対象に個人を特定できない処理を 行って集計

* KDDI Location Analyzerデータ精度向上の影響で過去の集計データから数字が増減していることがある

CBRE、Q4 2022

9 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 東京 銀座 6 5 % 6 4 % 6 4 % 7 7 % 7 6 % 表参道・原宿 5 . 1 % 5 . 1 % 5 . 2 % 4 . 9 % 5 . 6 % 新宿 5 . 2 % 6 . 2 % 6 . 6 % 6 . 6 % 6 . 6 % 渋谷 2 7 % 9 1 % 5 7 % 3 5 % 6 9 % 関西 心斎橋 14. 8% 17 . 1 % 16. 5 % 14 . 0 % 7 . 6 % 京都 6 . 8 % 8 . 6 % 8 . 5 % 6 . 8 % 6 . 6 % 神戸 6 6 % 8 2 % 8 9 % 7 5 % 6 0 % 名古屋 栄 0 0% 0 . 4% 0.0% 0 . 4% 0.0% 福岡 天神 3 . 6 % 5 0 % 5 . 2 % 4 . 5 % 2 . 5 % Figure 17: 空室率
前期(
対前期比 対前年同期比 東京 銀座 +9% 13% 表参道・原宿 +6% 11% 新宿 +4% 7% 渋谷 +5% 1% 関西 心斎橋 +7% 11% 京都 +6% 3% 神戸 +6% 8% 名古屋 栄 +8% 1% 福岡 天神 +9% 14%
Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 東京 銀座 241,500 241,500 241,500 241,500 250,700 表参道・原宿 173,800 177,800 183,800 183,800 188,800 新宿 170,000 170,000 170,000 170,000 170,000 渋谷 126,800 126,800 126,800 127,800 127,800 関西 心斎橋 141,000 142,000 142,000 152,000 152,000 梅田 94,000 95,000 94,500 94,500 96,500 京都 64,500 65,500 65,000 68,500 71,000 神戸 72,000 73,000 72,300 80,000 80,000 名古屋 栄 70,500 70,500 70,000 70,000 71,000 福岡 天神 46,500 46,500 46,500 46,500 46,500
Figure 19: ハイストリート賃料(円/坪)
Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 東京 銀座 400,000 400,000 400,000 400,000 400,000 表参道・原宿 300,000 320,000 350,000 350,000 350,000 新宿 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 渋谷 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 関西 心斎橋 250,000 250,000 250,000 300,000 300,000 梅田 140,000 140,000 130,000 130,000 130,000 京都 90,000 90,000 90,000 100,000 100,000 神戸 120,000 120,000 120,000 150,000 150,000 名古屋 栄 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 福岡 天神 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 出所:
Figure
20:
出所:CBRE、Q4 2022

空室率

プライム賃料/ ハイストリート賃料

エリア通行者量の変化率

・CBREが独自に設定した対象地:

銀座ハイストリート(153棟)、表参道・原宿ハイストリート(240棟)、

新宿ハイストリート(59棟)、渋谷ハイストリート(67棟)、

心斎橋ハイストリート(179棟)、京都ハイストリート(175棟)、

神戸ハイストリート(107棟)、栄ハイストリート(53棟)、天神ハイストリート(203 棟)

• 対象フロアは1階を含む賃貸区画のすべて

• CBREが独自に設定した対象地

• ワンフロアの面積が200㎡程度の建物を想定

• 対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定

• CBREが独自に設定した対象地

本社

東京都千代田区丸の内2-1-1

明治安田生命ビル

03 5288 9288

金沢

金沢市鞍月5-177

AUBE II

076 239 4041

関西支社

大阪市北区大深町4-20

グランフロント大阪 タワーA

06 6292 1800

札幌

• 空室は集計時点で即入居可能であるものを対象(新築施設は開業済みのものが対象)

• 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の最上限値 (共益費を含む、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)

• 主要都市における、都心商業立地の中の一等地(の賃料) ハイストリート賃料

• 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)

札幌市中央区北3条西4-1-1

日本生命札幌ビル

011 231 6931 仙台

仙台市青葉区中央1-2-3

名古屋

名古屋市中区錦3-20-27

御幸ビル

052 205 6541

広島

広島市中区袋町3-17

シシンヨービル

082 243 9321

福岡

エリア通行者量の変化率

• 対象地における総通行者量の前期および前年同期に対する増減割合 大久保

マネージングディレクター リサーチヘッド hiroshi.okubo@cbre.com

栗栖 郁

ディレクター

kaoru.kurisu@cbre.com

アナリスト

kumiko.ninomiya@cbre.com

仙台マークワン

022 262 5651

横浜

横浜市西区北幸1-11-15

横浜STビル

045 316 4311

福岡市博多区博多駅前2-2-1 福岡センタービル

092 472 1711

© Copyright 2023 無断転載を禁じます。本レポートは、商業用不動産市場に関するCBREの現在の見解に基づいて誠実に作成されています。CBREは、その見解が本資料作成日現在の市場動向を反映していると考えている ものの、それらは重大な不確実性や偶発事象の影響を受けて変化する可能性があります。また、CBREの見解の殆どは、現在の市場環境に対するCBRE独自の分析に基づく意見または予測であり、ここに記載された内容 が記載日時以降の市場や経済情勢の状況に起因し妥当でなくなる可能性もあります。CBRE は、その意見、予測、分析、または市場環境が後に変化した場合、本レポート中の見解を更新する義務を負いません。 本レポートは、CBREが発行する有価証券、もしくは他社が発行する有価証券の将来的なパフォーマンスを示唆するものではありません。特定の投資や投資戦略に関してはお客様ご自身で独自に検討する必要があり ます。CBREは、投資の適合性について評価する責任を一切負いません。本レポートを閲覧された方は、本レポートの情報の正確性、完全性、妥当性、あるいはその利用に起因するCBREおよびその関連会社、役員、取締 役、社員、エージェント、アドバイザー、代表者に対する一切の請求権を放棄したものとみなされます。

10 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2022年第4四半期
調査対象
調査時点 四半期 第1四半期:3月末 第2四半期:6月末 第3四半期:9月末 第4四半期:12月末 時点集計 調査方法 空室率
プライム賃料
二之宮 久美子
調査概要 Contacts
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