心斎橋リテールマーケットの二極化

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心斎橋リテールマーケットの 二極化 コロナ禍でも好況な 御堂筋と苦境の心斎橋筋。 ただし心斎橋筋では回復の 兆しも CBRE RESEARCH JANUARY 2023 Creating Resilience VIEWPOINT

1. はじめに 主要なリテールエリアの中で、現在、空室率が最も高い心斎橋エリア。しかし直近( 2022 年 Q 3 )では2 四半期連続で低下をしており、回復の兆しがみられている。本レポートでは、心斎橋エリアを代表する ハイストリート、御堂筋と心斎橋筋商店街について、コロナ禍以降のマーケット環境ならびに今後の展 望を分析している。それぞれの通りにおける出店戦略を策定する際の、留意すべき点をまとめた。

1. 需給がタイトな御堂筋の賃料水準は2023年も上昇する可能性が高い。よって、御堂筋に出店を希望 するリテーラーは長期戦を覚悟のうえで、オーナーに対して出店意欲をアピールする必要がある

2. 回復の兆しがみられる心斎橋筋の賃料水準は2023年上期には底入れし、2024年上期には上昇に転じ ると予想する。心斎橋筋に出店を希望するリテーラーにとっては、好立地の空室が多く、かつ賃 料の交渉の余地のある今が出店の最適なタイミングと考える 2.心斎橋エリアのマーケット環境 コロナ禍以降、心斎橋エリアの空室率は大きく上昇した。直近 2022年Q3は、銀座(7.5%)や表参道・原宿 (6 5%)などの主要なリテールエリアと比べて、12 0%と最も高くなっている(Figure1)。空室率の上昇に 伴い、心斎橋ハイストリート賃料は大きく下落した。 2022 年 Q 3 は対前期比 7.0% 増の 15 .20 万円(月/坪) となったものの、コロナ禍前の2019年Q 4時点の賃料を23 2%下回っている。 しかし、心斎橋エリアを代表するハイストリートの御堂筋と心斎橋筋とでは、異なる様相を呈している。 Figure 2 と Figure3 は、御堂筋と心斎橋筋、それぞれの空室率と賃料の推移を示している。御堂筋の空室率

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2022年 Q3には、同 0 3ポイント低下の 0 0% と、即入居可能な空室がない状況になった。賃料は、コロナ禍前の水 準の 25 00 万円(月/坪)から横ばいで推移。 2022 年 Q3 には対前期比 20% 上昇の 30 00 万円(月/坪)と、 2014年Q2の調査開始以来、最も高い値となった。 一方、心斎橋筋の空室率は、2017年Q 4の調査開始から 2019年Q3まで0 0%と、即入居可能な空室が全くない 状況であった。しかし、コロナ禍を受けて上昇し、 2022 年 Q1には 20 6%と、調査開始以来の最高値を記録 した。しかし、2022年 Q2 には対前期比0 6 ポイント低下の20 0%となり、コロナ禍以降初めて低下した。複 数の募集物件で内定が進んだ一方で、新たな空室の発生が限定的だった。 2022 年 Q3も同 0.2 ポイント低下 の 19 8% となっている。一方で、賃料は下落が続いている。 2019 年 Q 4 までは、インバウンド需要の拡大を 背景としたドラッグストアの強い出店ニーズが賃料のけん引役となり、御堂筋よりも高い 30 00 万円(月/ 坪)で高止まりをしていた。しかし、 2022 年 Q 3には同 14.3% 下落の 12 .00 万円(月/坪)と、コロナ禍前の 2019年Q4時点の賃料を60 0%下回り、2014年Q 3の調査開始以来、最も低い値となっている。
は、コロナ禍に入ってむしろ低下した。2021年Q 2に7 8%だった空室率は、比較的大型の区画にラグジュア リーブランドが内定したことで、2021年Q 4には0 .3%に低下。その後は横ばいで推移している。直近
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出所:CBRE、Q3 2022 *コロナ前(2019年Q4以前)から空室率を算出しているエリアをピックアップした *CBREが独自に設定した主要な商業エリアにおけるハイストリートおよびセカンダリーエリアの空室率
Q4 2017 Q1 2018 Q2 2018 Q3 2018 Q4 2018 Q1 2019 Q2 2019 Q3 2019 Q4 2019 Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
2: 御堂筋と心斎橋筋の空室率推移 出所:CBRE、Q3 2022
0.1%
0% 5% 10% 15% 20% 25% Q4 2017 Q1 2018 Q2 2018 Q3 2018 Q4 2018 Q1 2019 Q2 2019 Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 御堂筋 心斎橋筋 Figure 3: 御堂筋と心斎橋筋のプライム賃料* 推移(円/坪) 出所:CBRE、Q3 2022 * 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限値(共益費を含む、フリーレント等のインセンティブは考慮しない) 300,000 120,000 0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 300,000 350,000 Q4 2017 Q1 2018 Q2 2018 Q3 2018 Q4 2018 Q1 2019 Q2 2019 Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 御堂筋 心斎橋筋
Figure 1: エリア別空室率推移*
12.0% 7.5% 6.5% 0.9% 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14%
2020
2020
2020
2020
2021
2021
2021
2021
2022
2022 Q3 2022 心斎橋 銀座 表参道・原宿 栄 Figure
7.8% 0.3% 0.0%
9.2% 18.1% 20.6% 20.0% 19.8%

御堂筋のテナントの出退店数を業種別にみると( Figure5 )ラグジュアリーブランドの出店が目立つ。御 堂筋は道路幅が広く、電線は地下配置、イチョウ並木の美しい景観が保たれている。また、間口の広い 大型のビルが多いことから、従前よりラグジュアリーブランドの旗艦店舗が多く出店しているエリアで あった。コロナ下では閉店もみられたものの、そのすべてが既述の理由(心斎橋パルコ開業に伴う移転、 建て替え、エリア内移転)によるものであり、エリアからの撤退は少ない。ラグジュアリーブランド以 外の業種の閉店もみられたが、これは銀行の統廃合による移転や閉店が過半数を占めている。コロナ禍 前の 2019 年 Q4 と直近 2022 年 Q3 のテナント業種割合 ( Figure6 ) を比較すると 、 「 ラグジュアリーブラン ド」の割合は2019年Q4の44.4%から 2.6ポイント増加し 47.0%となっている。 コロナ禍前からみられていたラグジュアリーブランドの出店ニーズは 、 コロナ下でも引き続き旺盛で あった。さらに足元では、国内消費者の底堅い購買需要に加え、インバウンド需要も回復しつつある。 そのため、今後もラグジュアリーブランドによる御堂筋への出店ニーズはみられるだろう。現在は、御 堂筋の空室がほとんどなく、新規供給も限られている。そのため、新たな募集物件が出れば、テナント の内定は早いと考える。空室率は、低水準で推移する可能性が高い。賃料は、ラグジュアリーブランド 同士が競合することにより、2022年Q3の 30 00万円(月/坪)からさらに上昇する可能性がある。

4 © 2023 CBRE, INC. RESEARCH Creating Resilience 心斎橋リテールマーケットの二極化 出所:CBRE、Q3 2022 * 2022はQ3期までの数値 *退店は、移転や建て替えによるものも含まれる。 3.御堂筋と心斎橋筋の出退店動向 御堂筋と心斎橋筋とでこのような二極化が進んでいるのはなぜなのか。出退店の動向から分析する。 – 御堂筋
Figure 4 は、御堂筋におけるテナントの出退店数を年別に示したものである。 2020 年は 10 件、 2021年は 8件 の退店がみられた。 2020 年の退店は、心斎橋パルコ開業に伴う移転や、既存店舗の建て替え、エリア内 移転が半数を占める。 2021 年の退店も、半数がエリア内移転による閉店であり、エリアからの完全撤退 は限定的だ。
Figure 4: 御堂筋の出店数と退店数(年別) * 催事除く -15 -10 -5 0 5 10 15 2020 2021 2022 出店 退店 純増減数 出店数 退店数
5 © 2023 CBRE, INC. RESEARCH Creating Resilience 心斎橋リテールマーケットの二極化 Figure 6: 御堂筋のテナント業種割合(件数) 出所:CBRE、Q3 2022 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 10 ファッションラグジュアリー 食物販・飲食店 アウトドア・スポーツ ヘルス & ビューティー ドラッグストア 家具・雑貨 ショールーム リユース その他 ■ 2020 ■ 2021 ■ 2022 出店数 退店数 Figure 5: 御堂筋の出店数と退店数(業種別)* 催事除く 出所:CBRE、Q3 2022 *2022はQ3期までの数値 17.5% 16.7% 44.4% 47.0% 6.3% 6.1% 3.2% 3.0% 1.6% 1.5% 3.2% 3.0% 4.8% 6.1% 0% 20% 40% 60% 80% 100% Q4 2019 Q3 2022 ファッション ラグジュアリー 食物販・飲食店 アウトドア・スポーツ ヘルス&ビューティー ドラッグストア 家具・雑貨 ショールーム リユース その他

– 心斎橋筋 次に、心斎橋筋におけるテナントの出退店数を年別にみる。( Figure7 )コロナ禍以降、 2020 年は 47 件、 2021年は 37件の退店があった。いずれの年も退店が出店を上回っており、心斎橋筋の空室率の上昇につな がった。しかし、2022年(Q3まで)の退店数は14件と、やや落ち着きつつある。 心斎橋筋の出退店数を業種別でみると( Figure8)、「ファッション」「食物販・飲食店」「ドラッグストア」 の退店が目立つ。「ファッション」は、コロナ禍前の 2018年および2019年に、合計20 件の退店があった。 コロナ禍でさらに退店が進み、 2020 年は 18件、 2021年には 16 件の退店がみられた。また、「食物販・飲食 店」はコロナ禍の 2020 年に 12 件が退店。コロナ禍前は商店街の出店ニーズをけん引していた「ドラッグ ストア」は、 2020年に 8件、2021年も 8件が退店した。メインの買い物客であった訪日観光客がほぼ消滅し た影響が大きい。「その他」の退店には、アクセサリーやキャラクターグッズなどの商品を扱う物販店 舗が含まれている。

一方、コロナ下では「リユース」の出店が増加した。 2021 年は 4 件、 2022 年は Q3 までに 2 件の出店がみら れた。その多くが中古ブランド品の買取・販売店で、コロナ下で業績を伸ばしている業種だ。コロナ禍 前から出店はあったが、コロナ禍を受けて在宅時間が増えたため、不用品を整理する機会が増え、特に 資産価値の目減りが少ないブランド中古品の持ち込みが増加した。昨今はフリマアプリの普及などで若 年層を中心に中古品への抵抗が薄れていることも、出店数の増化に繋がっている。出店事例の中には、 同エリア内に既に複数の店舗を持つブランドもみられている。ただし、心斎橋筋の賃料上昇を牽引する ほどの賃料負担能力を持つ業種とは言い難い。

コロナ禍前の 2019 年 Q4 と直近 2022 年 Q3 のテナント業種割合( Figure9 )を比べると、「ファッション」の 割合が 1 7 ポイント増加している。これは「ファッション」の件数は減少しているものの、他の業種、特 に「食物販・飲食店」の退店率が高かったことに起因している。コロナ禍でファッション、特にアパレ ルはブランドの廃止、実店舗の集約や撤退が進んだ。飲食店は感染拡大抑制のための行動制限により、 営業自粛や営業時間の短縮をせざるを得なかった。そのため、実店舗を維持することが困難になり、多 くの閉店に繋がった。

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CBRE、Q3 2022 *2022はQ3期までの数値 *
出店 退店
出所:CBRE、Q3 2022 *2022はQ3期までの数値 -50 -40 -30 -20 -10
ファッションラグジュアリー 食物販・飲食店 アウトドア・スポーツ ヘルス & ビューティー ドラッグストア 家具・雑貨 ショールーム リユース その他 出店数 退店数 ■ 2020 ■ 2021 ■ 2022
Figure 7: 心斎橋筋の出店数と退店数(年別)*催事除く 出所:
退店は、移転や建て替えによるものも含まれる。 -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 2020 2021 2022
純増減数 出店数 退店数 Figure 8: 心斎橋筋の出店数と退店数(年別)* 催事除く
0 10 20 30 40

ラグジュアリー 食物販・飲食店 アウトドア・スポーツ ヘルス&ビューティー ドラッグストア 家具・雑貨 ショールーム リユース その他

4.心斎橋マーケットの展望 全く異なるマーケット環境にある御堂筋と心斎橋筋。御堂筋の空室率は 1% を切っており、需給はタイト な状況である。ラグジュアリーブランドをはじめとする強い出店ニーズを背景に、今後もこの状況は続 くだろう 。 2022 年 Q 3 に上昇に転じた賃料は 、今後さらに上昇すると予想される 。 一方、 心斎橋筋は 、 2022 年 Q2 に、コロナ禍以降はじめて空室率が低下した。 2022 年 Q3も対前期比 0 2 ポイント低下の 19 8%と、 2 四半期連続の低下となった。ただし今のところは、賃料水準がリテーラーの目線まで下がってきたこと で、リテーラーの出店ニーズが出てきたに過ぎない。比較的面積が大きく賃料総額が高額となる募集物 件では、出店ニーズは少なく苦戦が続きそうだ。物件オーナーが賃料水準を下げる動きは、今後しばら く続くだろう。それによりリテーラーの出店ニーズが喚起されれば、空室の消化が進み、賃料は底入れ して上昇に転じると予想する。ただし、心斎橋筋の出店ニーズが増え、賃料が底入れから上昇に転じる には、重要なポイントが

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つある。 1つ目は、テナントの売上に大きく寄与する国内消費者の訪問者数の回復だ。既に、心斎橋筋商店街の歩 行者量は増えつつある(Figure10 )。2020 年の月平均 399万人、2021年の 426 万人に対して、 2022 年は11月ま でで 501 万人、対前年比 18% 増となっている。単月でみると 2022 年 11 月の通行量は 639 万人で、インバウン ドが完全に戻っていないにも関わらず、 2019年同月実績の71%の水準まで回復している。 2 つ目は、コロナ禍前にリテーラーの出店ニーズならびに賃料水準をけん引した、インバウンド需要の回 復だ。関西国際空港の国際線外国人旅客数と国際線旅客便発着回数( Figure11 )は、 LCC の参入やアジア 路線を中心とした新規就航などにより 2012 年以降 2019 年まで、いずれも増加してきた。2020年以降の水際 対策で厳しい入国制限が敷かれたが、 2022 年 3月からの段階的な緩和により、関西を訪れる外国人数は増 加しつつある。 2022 年 10 月には、 1日当たりの入国者数上限が撤廃され、ビザの発給が不要になったほか、 Figure 9: 心斎橋筋のテナント業種割合(件数) 出所:CBRE、Q3 2022 39.2% 40.9% 0.6% 0.7% 17.1% 14.8% 3.9% 6.0% 4.4% 2.0% 13.3% 10.1% 2.8% 1.3% 0.6% 6.1% 10.7% 0% 20% 40% 60% 80% 100% Q4 2019 Q3 2022
2
ファッション

個人旅行も解禁となった。今後はインバウンド回復が次第に加速していくものと期待される。関西国際 空港の 11月の国際線外国人旅客数は 47 1万人、国際線旅客便発着回数は 3,273回となった。コロナ禍前の 2019 年同月のそれぞれ36%、28%の水準であるものの、対前月比ではそれぞれ 229%、154%と大きく増加した。 関西エアポートが 2022 年 8 月に発表した「関西国際空港の将来航空需要に関する中間報告」では、 2025 年 度には関西国際空港の国際線の旅客数は 3,031万人(2018年度比1.323倍)、2030年度には基本ケースで3,241 万人(2018年度比1 415 倍)と予測しており、今後も成長が著しいアジア諸国からの訪日需要が牽引するこ とにより、国際線旅客数は増加するとみている。

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6,000 万人をやや上回ると予測している。今後 2025年には大阪・関西万博が開催される。また2031年には、なにわ筋線開業が控えており、関西国際空港 や新大阪駅、大阪駅からの心斎橋エリアへのアクセス利便性が高まることは大きなメリットとなるだろう。 Figure 10: 心斎橋筋商店街の総通行量推移と年別月平均 出所:心斎橋筋商店街振興組合、CBRE、2022年11月 *2020年月平均はコロナによる行動制限のなかった1-2月を除く 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 2020.01 2020.02 2020.03 2020.04 2020.05 2020.06 2020.07 2020.08 2020.09 2020.10 2020.11 2020.12 2021.01 2021.02 2021.03 2021.04 2021.05 2021.06 2021.07 2021.08 2021.09 2021.10 2021.11 2021.12 2022.01 2022.02 2022.03 2022.04 2022.05 2022.06 2022.07 2022.08 2022.09 2022.10 2022.11 万人 Figure 11: 関西国際空港における国際線外国人旅客数と国際線旅客便発着回数 出所:関西エアポート株式会社、CBRE、2022年12月 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 0 10 20 30 40 50 2020.04 2020.05 2020.06 2020.07 2020.08 2020.09 2020.10 2020.11 2020.12 2021.01 2021.02 2021.03 2021.04 2021.05 2021.06 2021.07 2021.08 2021.09 2021.10 2021.11 2021.12 2022.01 2022.02 2022.03 2022.04 2022.05 2022.06 2022.07 2022.08 2022.09 2022.10 2022.11 回 万人 国際線外国人旅客数 国際線旅客便発着回数(右軸)
CBRE ではインバウンド予測を算出しており、 2030 年には

5.

まとめ

コロナ禍以降、御堂筋と心斎橋筋で二極化の進んだ心斎橋エリアのリテールマーケットだが、それぞれ のエリアにあった出店戦略が必要だ。

需給がタイトな御堂筋は、ラグジュアリーブランドの旺盛な出店ニーズにより、プライム賃料は 2022年 Q3に対前期比20%上昇した。御堂筋に出店を希望するラグジュアリーブランドは現在も複数みられてお り、賃料水準は2023年も上昇する可能性が高い。御堂筋のオーナーは、複数の候補テナントの中から物 件イメージにあうテナントを選定するなど、優位な立場で契約を進めることが考えられる。そのため、 御堂筋に出店を希望するリテーラーは、希望する物件に空きがない場合であっても、長期戦を覚悟の上 でオーナーに対して出店意欲をアピールする必要がある。

心斎橋筋の空室率は、 2022 年Q 2、Q 3と 2 四半期連続で低下した。ただし、賃料の下落は続いている。今し ばらくオーナーは、リユースなどの新しいプレイヤーを取り込むため、受け入れ業種の幅を広げるだろう。 心斎橋筋の空室率は、 2022 年Q 2、Q 3と 2 四半期連続で低下した。ただし、賃料の下落は続いている。今し ばらくオーナーは、リユースなどの新しいプレイヤーを取り込むため、受け入れ業種の幅を広げるだろ う。また、賃料や契約期間などの賃貸条件について、柔軟に対応する可能性もある。ただし、心斎橋筋 商店街を訪れる国内消費者やインバウンド需要は既に回復しつつある 。 そのため 、心斎橋筋の賃料は 2023年上期には底入れし、 2024 年上期には上昇に転じると CBRE は予想している。そのため、心斎橋筋に 出店を希望するリテーラーにとっては、好立地の空室が多く、かつ賃料の交渉の余地がある今が出店の 最適なタイミングと考える。

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Appendix

調査概要

二之宮 久美子 リテールチーム アナリスト kumiko.ninomiya@cbre.com

11 © 2023 CBRE, INC. RESEARCH Creating Resilience 心斎橋リテールマーケットの二極化 © Copyright 2023 無断転載を禁じます。本レポートは 商業用不動産市場に関するCBREの現在の見解に基づいて誠実に作成されています。CBREは その見解が本資料作成日現在の市場動向を 反映していると考えているものの、それらは重大な不確実性や偶発事象の影響を受けて変化する可能性があります。また、CBREの見解の殆どは、現在の市場環境に対するCBRE独自の分析に 基づく意見または予測であり、ここに記載された内容が記載日時以降の市場や経済情勢の状況に起因し妥当でなくなる可能性もあります。CBRE は、その意見、予測、分析、または市場環境 が後に変化した場合、本レポート中の見解を更新する義務を負いません。 本レポートは、CBRE が発行する有価証券、もしくは他社が発行する有価証券の将来的なパフォーマンスを示唆するものではありません。特定の投資や投資戦略に関してはお客様ご自身で独 自に検討する必要があります。CBREは、投資の適合性について評価する責任を一切負いません。本レポートを閲覧された方は、本レポートの情報の正確性、完全性、妥当性、あるいはその
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利用に起因する
栗栖 郁 リテールチームリーダー ディレクター kaoru.kurisu@cbre.com 大久保 寛 リサーチヘッド hiroshi.okubo@cbre.com 調査対象 御堂筋(左図緑色エリアにある路面店舗45棟) 心斎橋筋(左図赤色エリアにある路面店舗168棟) 調査方法 CBREによる四半期毎のフィールドワーク その他 ポップアップや催事などの期間限定店は含まない
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