台灣東亞歷史資源交流協會 會刊
No.17 日文版 2014/2/01
東アジア歴史資源交流協会 アジア歴史資源交流協会ニューズレター 歴史資源交流協会ニューズレター
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東亜歴史資源交流協会は 東亜歴史資源交流協会 非 営 利 社 団 法 人 で す。 「学 問」と し て の「歴 史」や「歴史学」と直接 の関係はありません。ふ つうの人々がふつうに生 活する中で、自分たちの 物語をどう作って誰にど う語るか、「自分たちで はない”彼ら”」の物語 をどう作って誰にどう語 るか…そういうことを考 えるために必要なことを 何でもやろうというのが Eaphetの考えかたです。
＜目次＞ 目次＞ ■ 暴走か 暴走か、失速か 失速か、2013 年の日本国 阿川/村山さ たね/アウイ・カズオ p1-6 ■第四回会員大会報告 第四回会員大会報告 編集部 p7 ■ Eaphet が見た出来事 2013 年 10 月‐ 12 月 p8-11
鼎談： 年の日本国 鼎談：暴走か 暴走か、失速か 失速か、2013年 1 月 29 日（水）午 後 1 時 ～ 3 時、Eaphet 大 象 に て。 【】内は編集者の注釈。
阿川：司会進行役の阿川です。今日は、急 なお願いにもかかわらず、また新年をあ さってに控えてバタバタした時期ですが わざわざお集まりくださってありがとう ございます。いろいろあった2013年の日 本国を中心に、最近の東アジアを見直し てみようということで、今回の座談会を 企画しました。みなさん、よろしくお願 いします。 まず、2013年の日本国なんですが一番 重大な出来事だったとお考えか、その辺 から始めたいと思うのですが、私から始 めていいでしょうか。
辺野古埋め 辺野古埋め立てを沖縄県知事 てを沖縄県知事が 沖縄県知事が承認 阿川：私、個人的には年末の仲井真知事の
阿川 村山さたね アウイ・カズオ
辺野古埋め立て承認という「電撃的 な 裏 切 り」に つ い て ま ず 言 わ な い と。日本政府の手口は「辺野古がだ めなら普天間固定化*だ、さあ、どっ ち な ん だ」と い う 恫 喝 だ っ た で す ね。【*辺野古への移設ができないのなら、宜 野湾市の真ん中に位置する危険な普天間基地を 移動せず宜野湾市に固定化する、という意味】
これ自体は従来から使われてきた 手 口 で、新 しい こ とはな い ん です が、今回 は 恫喝 す る側も せ っ ぱつ ま っ て いた。最 後 通牒と い う 感じ だったようです。 安倍政権が発足して１年もたった のにまだ普天間問題が進展しないこ とを、アメリカ合衆国政府から相当 チクチクやられてた。慰安婦問題や 領土問題、靖国問題だけじゃなく、 あからさまな国家機密法（特定秘密
■政府広報放送局 政府広報放送局 NHK を問う： NHK スペシャ ル「返還合意から 返還合意から 18 年、 いま“ “普天間” いま 普天間”を問う」の 村山さたね p12-13 欺瞞
■ 12 年国教をめぐる 年国教をめぐる攻 をめぐる攻 防 アウイ・カズオ p14 ■特集 特集： 特集：リオ・フクシマ に思う p15-16 ■聊聊映画 聊聊映画レビュー 聊聊映画レビュー The Lost Fighters of Vietnam p17 The Act of Killing p17-18 ■ セデック 民族議会部 落代表成立: 落代表成立:乱開発の 乱開発の 清 境農場に 境農場に待った！ った！ p19 ■ 安全 な 生活環境 への 権利 p20-21 ■豊原茶室探訪 豊原茶室探訪 p22-23 ■ Eaphet フィリピンツ アー 2014 参加者募集 p24
保護法）の強行採決など、アメリカ合衆 国から見れば自分が支持する同盟国のあ り方としては外聞が悪いことを、安倍が 国会の「ねじれ解消」をいいことにどん どん暴走していく。アメリカ合衆国が安 倍降ろしに転じないとも限らない情勢が あります。ご機嫌取りのためには、辺野 古埋め立てをやって、18年間の懸案を解 決してやることが手っ取り早い方法だっ た ん だ ろ う と 思 い ま す。そ れ で 米 側 が 「安倍もよくやってるな」と思ってくれ るのかどうかは分かりませんが。【米軍再編 成にともなう普天間基地移設は18年前に日米両政府間 で合意されたが、移設先として候補になった沖縄全体 で反対運動が沸き起こり、基地容認派の稲峰、仲井真 両知事も「県外移設」を一応掲げざるを得なかった。 日本国政府は、しかし、辺野古移設という日米合意に 固執してきた。にらみ合いが続き、ついに18年も事態 が進展しない状態が続いてきた。】
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村山：東京で仲井真知事と会談して了 承をとりつけた翌日に靖国参拝して ますね、安倍は。恫喝が失敗してい たら、この参拝はなかった…。 【最後に靖国神社に参拝したのは小泉首相、７ 年半前。中韓から大ブーイングをくらったが、 小泉は居直った。このときもアメリカ合衆国は 「もうちょっとうまくやれよ」と日本政府をた しなめた。】
阿川：そう、ギブ・アンド・テイクと いったつもりだったんでしょう。安 倍側も必死だった。体調不良を訴え て入院した仲井真知事の病室に押し 掛けて「説得」した。で「普天間を 5年以内に返却」という夢物語と交 換に、辺野古埋め立てを承認させら れたそうですが、5年以内なんて無 理だというのは米軍が公言している
暴走か、失速か、2013年の日本国 ことです。つまり、嘘を承知で、嘘だと分かって いることを交換条件に、仲井真は承認したわけで す。後は沖縄の負担軽減という、つまりいろいろ 金をやるから辺野古移設を承認しろという伝統的 な手口ですね。ケヴィン・メアが「沖縄はゆす り、た か り の 名 人」と 言 っ て 顰 蹙 を 買 っ た 【2010.12】ことがあったけど、そういう印象をま た裏付けてしまった。金さえやれば沖縄の反対運 動なんかつぶせる、という…。
しょうか。 アウイ：基地容認派の人たちは、それでも仲井真支 持ですか？ 阿川：微妙なところですね。県議会などは「仲井真 弘多知事の辞任求める決議」を出しました。仲 井真支持を声高に言うことが得なのか損なの か、態度をはっきりさせることがいいのか悪い のか、容認派の人たちも今は様子を見てる感じ じゃないでしょうか。
アウイ：やっぱり、仲井真さんの突然の承認は、沖 縄では意外だったんですか。
村山：（1月）19日の名護の市長選では、反対派の 稲峰市長が再選されましたね。圧勝だったそう ですが、仲井真が埋め立て承認したことへの反 動というか余波だったのかもしれませんね。
阿川：一応、県外移設を公約として知事になった人 ですから、意外とは言わないまでも、「いきな り そり ゃない だろ う」と いう 反応じ ゃな いで
阿川：そうですね、あからさまな「裏切り行為」で したから、それへの報復というか反発があって 当然です。
とタカをくくっているのかもしれません。
特定秘密保護法、 特定秘密保護法、国家安保戦略の 国家安保戦略の策定 村山：それと関連してると思うんですが、私が「こ んなことが許されてはいけない」と去年思った こと、たくさんあったんですが、その中でも特 に特定秘密保護法案の強行採決でした。
アウイ：でも、今回の知事の承認は安倍政権のアメ リカ合衆国に対するジェスチャー程度の意味し かなくて、実際には移設は難航しそうですね。 阿川：安倍としてはアメリカ合衆国にそう思われた くないでしょうから、強行手段に訴えてくる可 能性もあります。とにかく中国を挑発して、中 国 の脅 威を宣 伝し て、国 を守 るため には 核を もった米軍がどうしても必要なんだという空気 をここまで作ってきていますから、強引な手段 に訴えても「日本の国民」は受け入れるだろう
阿川：法案そのものですか、それとも強行採決され たこと？ 村山：ちょっと答えに詰まりますが、そのときの議 事録を見ると「聴取不能」と書かれたところが 多くて、強行採決の過程そのものがすでに「秘 密」になってる。NHKのように、この採決の過程
だけをあからさまに中継から外して、視聴者に わからないようにしてしまって、後でさらっと 「可決されました」とだけ報道する、そういう やり方がすでに秘密保護法の趣旨通りに行われ てると思いますから、法案そのものと採決のや り方とを区別することがむずかしい…
阿川：特に強行採決の部分について、同盟国が民主 主義を踏みにじっている印象を与えるので、ア メリカ合衆国は気に入らないだろうと思うので す。法律そのものももっとオブラートに包んだ やり方の方がオバマも受け入れやすかった。 村山：アメリカ合衆国政府としては、日本政府が特 定秘密化することを米側にだけは教えてくれる という保障さえあれば法案そのものは歓迎です よ。もちろん、日本政府が米側にとって信用で きる奴らだと思える限りの話ですが。
阿川：なるほど アウイ：さっき阿川さんは、特定秘密保護法なんて いうのはアメリカ合衆国にとっては外聞が悪い というようなことを言いましたが、アメリカ合 衆国政府はむしろ歓迎してるんじゃないんです か？
阿川：そうすると、靖国参拝とか慰安婦問題で日本 政府が信用できないというか心が通じないとい
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暴走か、失速か、2013年の日本国 いという宣伝によって正当化されているわけで す。ちょうど911直後にアメリカ合衆国で愛国者 法が制定され、令状なしの当局による盗聴や個 人情報取得が受け入れられていったのと同じで す。スノーデン事件で、スノーデンの犯罪だけ が大きく取り上げられて、彼が暴露したアメリ カ合衆国政府の犯罪については取り上げられな かったでしょ。
うことになると… 村山：特定秘密保護法はアメリカ合衆国にとって両 刃の剣になり得るってことですね。しかしそう いう権力者同士のかけひきより、権力者たちは 自分たちが隠したい秘密を法律で保護される一 方で、市民の個人情報は知らないうちに権力者 たちの自由になる（ACTA*等）という動きが問題 なんです。 【*ACTA：Anti-Counterfeiting Trade Agreement、偽造 品の取引の防止に関する協定、2011年10月アメリカ、 オーストラリア、カナダ、韓国、シンガポール、日本、 ニュージーランド、モロッコの8カ国によって署名され た協定。防止するためには監視が必要であり、ネットで やりとりされる情報を当局が検閲する、あるいはプロバ イダーに検閲義務を課すことを合法化する道を開いた。 2012年欧州議会はACTAを非民主主義的として批准を拒 否。】
アウイ：確か、メルケル首相の携帯電話盗聴につい て、ドイツ政府がアメリカ合衆国政府の犯罪だ と言った記憶がありますが… 村山：そうですね、でも、アメリカ合衆国の国内法 では米政府がやったことは合法だということに されました。ドイツも外交上の圧力はかけるこ とができても、法廷に訴えることはできないわ けです、少なくとも今のところは。
これもまた、テロが怖い、中国、北朝鮮が怖
なぜこんなに急いでこの法律が必要になった のか、私思うんですが、阿川さんが言われた普 天間移設問題や、福島第一原発事故の後処理、 原発の早期再稼働、核燃料サイクルの再開、自 衛隊の国外活動の拡充、こういったことを進め ていくために必須だと彼らは考えたのではない かと思うんです。憲法改正は時間がかかるし、 反対派も多い。そんなのを待っていたら、今の 政権の任期では間に合わないから。
トリーナのときに出動したFEMAっていう組織が ありますが、ご記憶にありますか？あのときに はっきり見えたと思うんですが、アメリカ合衆 国は非常事態が起きたときに民主主義的な手続 きをいかにバイパスして大統領に強い権限を与 えるかという方法を実験しました。憲法はどう あれ、現行の法体系はどうあれ、とにかく非常 事態だとなったら大統領や首相に権力が集中す る形を、日本国も作りたいのです。だから、非 常事態は目の前にあるのだ、危険なのだ、とい う宣伝とともに、有事法制を行い、ACTAを批准 し、防衛省を作り、秘密保護法も作った。
阿川：軍事と原発ですか。民主主義的な手続きなん か踏んではいられない、といことになると、手 続き的民主主義を標榜できなくなりますね。 村山：標榜は、し続けるしかないと思います、どう 転ぶにしても。でも実質は…。ハリケーン・カ
阿川：つまり、非常事態＝戦争をしたい、と。 村山：今の権力者たちが「したい」と思っているか
10月 10月～12月活動 12月活動 6人参加。売春宿は今でも健在。
10月2日聊聊：「晴朗的天空（A Clear Sky)」 10月9日聊聊：「那天，3月11日（Japan in a
11月20日聊聊：「映画監督って何だ」
Day)」
11月27日「リオ・フクシマ」自主上映会 於）主 婦連盟、東海大学 12月4日番外「古川麦ライブ」於）忠信市場奉Café
10月10日走走：セデック民族議会第三回準備会 東海大学から3人の参加。 10月16日聊聊：「道徳飲食：慢食的故事（Slow
12月11日聊聊：「逐冰之旅（Chasing Ice）」
Food Story)」
12月18日聊聊：「骯髒的戰爭（Dirty War）」
10月27日走走：霧社事件83周年紀念祭
12月25日聊聊：「我是殺人魔（The Act of Killing)」 外：たこ焼き忘年会
台北から4人の参加。花岡二郎の墓探しも。 10月30日聊聊：「黑色海灣-能源浩劫（Dirty Energy）」 11月6日聊聊：「為何而戰 （Why We Fight）」 11月13日走走：豊原茶室探訪
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暴走か、失速か、2013年の日本国 どうかは分かりませんけど、やる気になればで き るん だぞ、とい うのを 内外 に示し たい とは 思っていると思います。ちょっと事態が変わっ たら本当にやるでしょう。できるんだというだ けで。 アメリカ合衆国は、日本国の権力者たちが自 分たちの傘下にいると思える限りはこうした動 きを歓迎するかもしれません。でも、何か一つ 間違ったら、アメリカ合衆国が敵になる可能性 もあります。危ない綱渡りに思えます。
はちょっと違うのでこん な注意が必要だ、とか子 どもたちにこんな指導が 必 要 だ、と か。NHK に つ いて言えば最近やたらと 癌の話題が多いですね、 癌になるのはまあ当たり 前 だ、と い う 感 じ で。 じゃあ、放射能について 同様の番組があって、こ んな注意が必要だとか、 子どもにはこんな指導が 必要だとか、当然あるべ きだと思いますが、これ がまったくないんです。もちろん台湾では日本 のすべてのTV番組が見られるわけではないの で、やっているところもあるのかもしれません
棄民と 棄民と隠蔽： 隠蔽：タブーとなった放射能 タブーとなった放射能 村山：私がもう一つ気になるのは日本の放射能汚染 の害が以前にもましてタブー視されていて、一 般の人たちの間だけでなく、大手メディアもほ とんど報道しないことです。例えば流行性感冒 なんかについてNHKは報道しますね。今年の流感
は被ばく線量に依存するという科学的常識を無 視して、統計的根拠も示さずに癌や難病が増加 した原因を極めて低線量の放射線被ばくの可能 性に起因すると決めつけた非論理的、非科学的 な事実誤認の報道であると思われます。』-要す る に、適当 なこと言って不安 を煽るのはや め ろ、という内容でした。
が、NHKに関してはほとんどないです。 阿川：確かに、最近はやたらと癌の話が多いです ね。癌は国民病だとか、なって当たり前とか。 村山：NHKは2012年の中ごろまでは原発事故とその 後の放射能汚染に関しても何本か突っ込んだ番 組を作ってました。2011年12月28日放送の「低 線量被曝 揺らぐ国際基準」なんかは私も「こ れ、ほんとにNHKかあ」と思いました。ICRPの基 準が恣意的なものだということを指摘したんで す。原子力ムラは早速この番組への抗議文書を 出しました。抗議文は、ちょっと読みますね、 『NHKの上記番組の放送内容は放射線の健康影響
阿川：それはどっかで見られますか。 村山：はい、ネット上にあります。 アウイ：不安を煽る、という言い方は事故後、いろ んなところで聞かれましたね。「風評被害」の 原因でもあると… 村山：風評被害をなくすためには、正確な情報を共 有していくことが重要だと思いますけど、そう するかわりに不都合な言論を圧殺するために
「風評被害」という言葉が使われたという印象 ですね。「低線量被曝 揺らぐ国際基準」は30 分だけの番組で、そのフォローアップもありま せんでしたから、こんな短い報道で不安だけを 煽った―といった批判の方が全体的に言えばや や勝ったと思います。NHKにフォローアップや バックアップすることへの圧力が当然かかった んだと思います。この１年後にはNHKの経営委員 を安倍のお友達に据え替えられ、「低線量被曝 揺らぐ国際基準」なんかを作った松本さん（NHK 会長）も三井物産の超右翼と交替させられて、 今ではこんな番組を作る可能性はなくなりまし た。
べない方がいいとか、そういうこと言うと「風 評被害」をまき散らす悪者にされて、被災地の 人々への同情を欠いている、とか言われる、と いう話も聞いたことがあります。 村山：アウイさんにもそういう話が聞こえてるって いうことは、相当に広まっているようですね。
阿川：現在のNHKはひどいですからね。 アウイ：それは一般社会全部そうなんですか。学校 とか職場とか…
アウイ：放射能が危ないんじゃないのとか、魚は食
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暴走か、失速か、2013年の日本国 村山：さあ。程度差はあると思いますけど、そうい う空気だと思いますよ、日本はどこでも。で、 福島では子どもの甲状腺がんが2007年度と比べ て7倍になっているんですが、県政府は「これは 被爆とは関係ない」と言っています。関係ある んじゃないのお、なんて言ったら「風評被害」 だと非難される。
していないわけです。ですから、後で子どもが 甲状腺がんを発症したときに被爆との関係を遡 及的に調べることができないようになっていま す。おかしいでしょ。 阿川：その通りですね。発症しても「これは被爆と 関係ない」と言えてしまいますもんね。
阿川：実際は、関係あるんだ、と。
阿川：アウイさん、台湾からはこういう日本の状況 をどう見ていますか。
マンガ化 マンガ化した日本国 した日本国
村山：関係あるのか、ないのかを調べるべきです ね。調べないで「関係ない」というのは誰が見 てもおかしいです。で、調べるためには初期の 段階からデータをきちんととっていかなくちゃ いけないんですが、それをしないんです。福島 県は子どもの尿検査を「困難だからやらない」 と言って拒否しました。他の方法で甲状腺への 被爆状態をデータ化しているかと言えば、何も
アウイ：私はネット上でしか見ていませんが、ネト ウヨさんたちはマンガ的に過激になってます ね。安倍首相も、石破（幹事長）や菅（官房長 官）という人も、マンガのようにしか見えない ですね（笑い）。 阿川：「マンガ的に過激」というのは…
アウイ：そうですね、中国人や朝鮮人に対する憎悪 表現なんかが、何か現実の人間同士がぶつけあ う言葉というよりは、マンガの、と言うとマン ガに失礼かもしれないから言い替えると、誇張 されて、そう、あのドラマ「リーガル・ハイ」 に出てくる古美門弁護士風の言葉になってるん
ですね。古美門さんが急にこう、声を変えて冷 静沈着に語る場面があるでしょ、あれなんかも そのままで。言ってみれば事大主義というか、 自分たちの大問題は宇宙の大問題だと。 村山：そういうところ、ありますね。 アウイ： 日本国の人たちが反乱 をおこさないの は、私たちが台湾にいて日本について持ってい るイメージとは裏腹に、日本国というのが全体 に「田舎」だからなのかな、と考えることがあ ります。田舎の人たちは自分たちで率先して既 成の権力に闘おうとはしないことが多いと思う んです。都会から扇動する人たちが来て、それ で初めて動き出す。それでも動き出さないこと も多い。「世界の田舎」って言われるアメリカ 合衆国がまさにそうです。福島のように、扇動 す る 人 た ち の 動 き を「風 評 被 害 防 止」と い う
はないですか。
『錦の御旗』でブロックして、マス・メディア を押さえたら、後は既成権力の思いのまま、そ んな状態なのかな、と。台湾も相当な田舎です けど（笑い）。
村山：特に1995年の神戸の震災後、助け合いとか復 興ボランティアとか、和の精神みたいなものが 変にまん延してきたから、政府としては東日本 の震災と原発事故もこのノリでいけると思った けど、それがそうはいかなかった…
阿川：海外のメディアの中には、今の日本の状態は ジョージ・オーウェルの「1984」そのままだと 批判する向きもありますが…
アウイ：そうなんですか。その感じは私には直接は 分からないのですが、対立がない社会なんてあ り得ないから、対立を対立として認めて、罵倒 し合うかもしれないけれど死傷者を出さないよ うにしていくような、そんなのが当たり前にな るんだったら、それはそれでいいことだと思い ます。
アウイ：そこまで酷いかどうか分かりませんが、そ んな方向にいきつつあると思う人がいても不思 議ではないです。ただ、原発政策の逆戻りにし ても、原発再稼働にしても、特定秘密保護法案 にしても、日本では大規模な反対デモが行われ ていますよね。麻痺した多くの人々がいる一方 で、反対の意思を公然とあわらす人々が増えて いるようにも感じます。対立を恐れない風潮と いうのは、最近の日本としてはめずらしいので
阿川：安倍という人をどうご覧になってますか。 アウイ：日本国外から見たときに安倍一派は極めて
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暴走か、失速か、2013年の日本国 危険に見えます。個人攻撃という意味で言うわ け で は な いの で すが、安 倍 と い う人 は コン プ レックスの塊のように見えます。最初に首相に なったときにアメリカ合衆国政府に頭が上がら ず、口で は 靖 国参 拝 して 当 た り 前と 言 いな が ら、できなかったでしょ。小泉首相はアメリカ 合衆国に逆らっても参拝したのに、自分はでき なかった。かっこ悪いですね。引き際も、実に みっともなかった。かっこつけようとするんだ けど、何をやってもかっこ悪いんですね。少な くとも本人がそう思っているんだと思います。 それがコンプレックスになってるんだと思いま す。
かっこつけても実はかっこ悪いということが分 か っ て る。分 か っ て る か ら、ま す ま す コ ン プ レックスを募らせる。二度目の政権では、かな らず靖国参拝してやろうという思いがあったん でしょうね。小泉は「自分には自分のやり方が ある」と大見得切ったけど、安倍は「平和を祈 願するために参拝した」なんて言い訳めいたこ としか言えなかった。やっぱり、かっこ悪い。
暴走か 暴走か、失速か 失速か―どこまで右傾化 どこまで右傾化が 右傾化が続くのか 阿川：彼らはどこまでやると思いますか。 アウイ：アメリカ合衆国が安倍降ろしをするとした ら、それは彼が極右だからではなく、無能だか らということになると思います。それを避ける ためにはまず普天間移設を順調に運ばなくては ならない。でも、これは相当に強引なやり方が 求められると思いますから、そこで躓くことに
阿川：IOC総会で、英語で「under control」なんて かっこつけたときの、あのかっこ悪さですね。 アウイ：そうですね。で、最悪なのは、自分でも
なると思いますね。かっこよく強引にやろうと して、必ず失敗するでしょう。 アベノミクスっていうあれは、なかなか頭の いいブレーンがいたんでしょうね、中身のない ものに名前をつけて宣伝することで、それが原 因で何かが起きたような錯覚を起させる戦略が あたった。大きな震災後に公共事業に金が流れ るのは自然なことだったのに、あたかもそれが 安倍の新機軸のように宣伝しましたね。金融規 制緩和もアメリカ合衆国のかねてからの圧力通 りに動いただけです。その見返りとして円高を 緩和できたけれど、アベノミクスなどと持ち上 げる実質的な理由はありません。金融緩和で逆 に新たなリスクを背負い込むことになったの に、一般の人たちは目先の好景気だけしか見て いないようです。 消費税率を大幅にあげて、社会保障を大幅に後
退させても、どこかで公的資金は頭打ちになり ますよね。それを東京オリンピックで補おうと いう無謀で す。当然ボイコットが予想され る し、ロンドンのように巨額の赤字になることも 十分あり得ます。というか、まず確実に赤字に なりますよ。北京だってそうでしたが、中国政 府が公式には認めていないだけです。自分が政 権を保持している間だけ何とか嘘でも景気は回 復していますという幻想を作り出すことしか考 えないリーダーをこのまま放っていくほど日本 国財界も甘くないでしょう。 村山：私はアメリカ合衆国政府は安倍の無能さより も極右性を警戒していると思いますね。憲法の 解釈範囲内で今までのように特措法とかを作っ て自衛隊を米軍支援に使うという方が、今安倍 一派が実現しようとしている、日本政府が独自
に海外で日本軍を使えるようにすることより も、アメリカ合衆国にとっては安心だったと思 います。オバマは安倍にプルトニウムの返還を 要求しています。あれは1988年の日米原子力協 定の際に、それまでの個別同意（提供を受けた ウラン燃料の使い方に関して一々アメリカ合衆 国の承諾を得る）から包括同意（日本側がいわ ば自由に処理することに米側が同意する）に変 えましたが、その協定が2018年に期限切れにな るのを前に、返還要求をしてきています。つま り、2018年以降は「包括同意」はしないぞ、と いうメッセージと読みとれないこともないです ね。安倍が米側の期待を超えて軍事化を進めた 場合、プルトニウムを今までのように自由にさ せておくことは危ないということではないかと 思います。少なくともアメリカ合衆国から出た プルトニウムはきっちり回収しておかないと、
何かあったときにアメリカ合衆国の責任を問わ れますから。 阿川：そのことの意味は大きそうですね。核燃料サ イクル計画が維持できなくなるというか、プル トニウム備蓄の言い訳として使えなくなる…。 村山：そうですね。で、そういうアメリカ合衆国の 不信というか不安を無視して、独自に核燃料サ イクルを継続していけば太平洋戦争開戦前のよ うに、日本国が孤立します。今の日本の権力者 たちの多くは、こういう事態を望んでいないで しょうから、安倍降ろしはもう日程に上がって いるのではないかと思います。 阿川：そういうパワーゲームに、アメリカ合衆国で も日本国でも人民は不在なんですね。…今日は どうもありがとうございました。（了）
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第四回会員大会報告
第四回会員大会報告
編集部
2014年1月11日、第四回会員大会が行われまし た。夕方からの開始だったので、その後、たこ焼き パーティをして盛り上がりました。 まず2013年度の活動と会計報告をしました。活動 報告の部分では、活動を短くまとめた恒例のビデオ を見て、若干の補足説明が各位からなされました。 Justin事務長は現在カナダにいて欠席でしたが、ビ デオレターで挨拶してくれました。会計の鄭純如さ んも仕事の都合で欠席でしたが、吉田藍さんが代わ りに会計報告をしてくれました。 次に2014年度の活動計画、予算について審議し、 了承されました。 2010年の協会立ち上げからちょうど4年。今回の 会員大会では理事、監事の任期切れに伴う選挙も同
時に行われました。理事および監事については全 員の留任が決定しましたが、理事長職については 大任なので改選となりました。趙庭妤さんから陳伊
品さんにバトンタッチしました。趙 庭妤さん、４年間ご苦労様でした。趙 庭妤さんは引き続き常任理事として協 会の運営に携わってくれます。
新理事長のご 新理事長のご挨拶 のご挨拶
まだお会いしたことない会 員 さ ん 達 と 是 非 お 会いし た く、お話を交わしたいと思い ます。お時間がある時、例え ば水曜日の夜、お仕事終わっ て、お気軽に協会に寄ってい ただきたいし、講座やツアー 開催の際にご出席いただけれ ば、深 刻 な 話 題 が 多 い で す が、いろんな意見を交わすこ とによって、成長していきた いと思います。
陳伊品
この度、理事長の大役をおおせつ か る こ と に な り ま し た。陳 伊 品 で す。 一年前から水曜日の聊聊を参加す ることによって、いろんな方々と交 流 す る こ と が で き て、視 野 が 広 が り、今まで考えてなかったことを考 えるようになり、自分の性格も少し ずつ明るくなったような気がしま す。
どうぞよろしくお願いしま す。
何分初めてのNGO理事長職、不慣れ の部分もたくさんありますが、お力 添えをいただきたいと思います。
以上をもちまして就任の挨拶とさせていただき ます。
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出来事2013.10-12
Eaphetが Eaphetが見た出来事 2013年 2013年10月 10月―12月 12月 10 月 15 日 社 会 保 証 は 自 己 責 任 で 日本政府が社会保障制度改革の項目 や道筋を定めた「持続可能な社会保 障制度の確立を図るための改革の推 進に関する法律案」を閣議決定。次 の臨時国会での成立を目指してい る。医療費自己負担額の引き上げ、 国民県保健の運営を都道府県に移 管、高額医療費制度の見直し、など 国が社会保障から手を引いて地方自 治体に責任を押し付け、利用者負担 を増していくということらしい。消 費税の増税で稼いだ金は貧乏人には 回らない。
10月23日 日本国と 日本国 と 英語。正式な教科 英語 でない「外国語活動」として実施して いる小学校英語の開始時期について、 文部科学省が現在の小5から小3に前倒 しする方針を固めた。3、4年は週1～2 回、5、6年は週3回の実施を想定。小5 からは教科に格上げし、検定教科書の 使用や成績評価も導入する。言語教育 は社会の鏡と言うけれど、日米同盟堅 持 だ、英 語 だ、と 言 う のを聞いて いると今は 何時代だっ た っ け、と 頭がぐるぐ る。
10月18日 ぶったくり特区 ぶったくり特区 日本政府は地域を限定して 規制を緩和する「国家戦略 特 区」の 具 体 策 を 提 出。 チャーター・スクール（公 立学校運営の民間委託）を認め、大手多国籍薬品会社への市場開 放、大都市で高層ビルの建築開発への規制緩和。労働時間制限を 適用しない制度「ホワイトカラー・エグゼンプション」と、企業 側が解雇しやすくする制度は反対が多く、さすがに見送り。安倍 君は「世界と戦える国際都市形成のために必要な制度改革の方針 を整理できた」と豪語した。かつての「輸出加工区」と同様、人 権無視特区、多国籍企業の楽園、公共圏の墓場のように聞こえる のは私だけ？ 輸出加工区の生みの親台湾で江宜樺行政院長など が大陸で進めようとしている「自由経済モデル区」がお手本？
10月23日 靖国合祀訴訟、 靖国合祀訴訟、棄却 旧日本軍により強制動員され 戦死した韓国人被害者の遺族9人と、生存する被害者のキム・ ヒジョンさんが、肉親らが靖国神社に無断で合祀されたとして 日本政府と神社を相手取り合祀の取り消しなどを求めた訴訟の 控 訴 審 判 決 で、東 京 高 裁 は 23 日、原 告 全 面敗訴の一審判決を 支持し遺族らの控訴 を 棄 却 し た。東 京 高 裁によれば日本政府 が戦没者の氏名など を神社に提供したの は「行政サービス」 なんだそうだ。その 上「他者の信教の自 由には寛容であるこ とが求められる」と説教も。原告団は最高裁へ上告する。
10月30日 原子力規制委員会は福島第1原発4号機 の使用済み燃料プールから「 「燃料棒」 燃料棒」を 取 り 出 す 実施計画を 実施計画 を 認可した。水素爆発で破壊された建屋 認可 から、使用済み燃料1331体、未使用燃料202体の計 1533体もの燃料を取り出す作業は人類史上初。11 月18日に作業は開始され、1年以上の作業予定。11 月末までに110体の取りだしが完了。作業は順調 と、東 電。実 際 に 何 が 起 き て い る の か は、今 後 「特定秘密保護法」によって知ることが困難にな ることも予想される。
た。具体的な支援策は示されなかった。国は、汚 染地区に暮らし続ける人は自己責任だと言いやす くなるわけだ。遅きに失してるだけでなく、公衆 衛生の責任を放棄する提言に聞こえるのは私だけ か。
10月31日 移住希望者にも 移住希望者 にも支援 にも 支援 自民党の東日本 大震災復興加速化本部は31日の総会で、東京電力 福島第一原発事故からの復興に向けた第三次提言 案を了承し、避難した被災者の「全員帰還」の原 則を転換し移住を希望する住民への支援策を講じ ること、除染作業や福島県内の廃棄物を保管する 中間貯蔵施設の建設・管理に国費投入などを求め 8
出来事2013.10-12 11月8日 NHKトモダチ トモダチ作戦 トモダチ作戦 日本政府は10月25日 の衆参両院の議院経営委員会理事会で、NHK経営 委員に日本たばこ産業（JT）顧問の本田勝彦など5 人を起用する国会同意人事案 を 提 示 し て い た が、11 月 8 日、こ の 案 が 衆 参 両 院 で 自 民・公明両与党などの賛成多 数 で 通 過。「安 倍 君 の お 友 達」人事。公共放送幻想は地 に落ちて、地下にまで食い込 んだ。菅官房長官いわく「信 頼し、評価している方にお願 いするのはある意味では当然 だ」。お友達政治に、お友達 軍事、お友達経済…トモダチ 作戦が公共性に取って替る新 倫理となったようだ。
11 月 8 日 未 明
なぜ軍隊なのか 台風ハイエン フィリピンに上陸。死者5209人、避難者300万人。 日本国の自衛隊の支援に対して、慰安婦支援団体リ ラ・ピリピナが「日本兵に屈辱を受けたフィリピン の女性たちは（軍服を着た）自衛隊の災害援助活動 を歓迎しない」との声明を出して、少しだけ騒がれ た。リラ・ピリピナの代表は、軍隊でなければ歓迎 するとも述べた。災害救助活動をすることで株を上 げる軍隊―何かがおかしい。災害救助に役立つじゃ ないか、だから軍隊は必要なんだというのは転倒し た 理 屈 な の だ が、 通 っ て し ま う。そ こ に 釘 を 打 っ た。残 念 ながら日本にこれを 受け止める耳はな い。
11月12日 甲状腺がん 甲状腺 がん59人 がん 人、福島県は 福島県 は「被爆とは 被爆 とは無関 とは 無関 係」と 主張 福島第一原発事故の発生当時に18歳以下 だった子どもの甲状腺検査で、福島県は12日、検査を受 けた約22.6万人のうち、計59人で甲状腺がんやその疑い ありと診断されたと発表した。8月時点より、検査人数 は約3.3万人、患者は疑いも含め15人増えた。福島県は 「被曝（ひばく）の影響とは考えられない」としてい る。2007年の甲状腺がん統計では10万人に1.7人だった のが、12人に増えたわけで、7倍になったにもかかわら ず原因は不明なんだそう だ。統 計 数 字 の 解 釈 は 「複雑で」「単純に解釈 できない」のだそうだ。 で は な ぜ「被 爆 と 無 関 係」と言えるのか、奇奇 怪怪。
11月20日 『違憲状態』？？ 違憲状態』？？日本で「1票の格 』？？ 差」が最大2・43倍だった2012年12月の衆院小 選挙区選は違憲だとして、弁護士グループが選 挙無効（やり直し）を求めた16件の訴訟の上告 審判決で、最高裁大法廷（裁判長・竹崎博允 (ひろのぶ)長官）は20日、選挙区割りを「違憲 状態」とする統一判断を示した。選挙無効の請 求は棄却した。1994年に導入された小選挙区制 について、最高裁が違憲状態と判断するのは、 2009年選挙に続き2回目。裁判官14 人のうち、竹崎長官ら11人が「違憲 状態」、3人が「違憲」の反対意見 を述べた。内閣法制局長官を務め、 格差是正の国会審議に関与した山本 庸幸(つねゆき)裁判官は審理から外 れた。
11月25日 エジプトでデモ規制法 エジプトでデモ規制法成立、違反者には禁錮 規制法 5年。日本で石破君がやりたくてうずうずしている法律 を実施。まだまだ荒れるエジプト。
12月2日 南京が 南京が 首都と 首都と書 かれていない教科書 かれていない教科書 は採用するな 採用するな 台湾教育部は各高校に「中華民 国の首都が“正しく”南京と記載されていない 教科書は採用するな」と通知。首都南京が「正 しい」という根拠は中華民国憲法に基づくと、 この通知は主張。憲法はもちろん首都がどこか など書いていない。そもそも「台湾は中華民国 の一部」という発想が、この「正しい首都」通 達の後ろにある。2000年以降の通常の認識は 「台湾＝中華民国」だった（だから首都は台 北）と思うけど、台湾政府はこれを変更して昔 に戻りたいらしい。ネット では反発の声が高まり、12 月 4日、内 政部の 李鴻源部 長（右）は中華民国の首都 は台北だとの考えを示し、 事態収拾を図った。
11月29日 『デモはテ ロ !?』 』日本の自民党の 石破茂幹事長がブログ
記事に、特定秘密保護法案に反対 するデモを『テロと本質的には変 わらない』と書き込んで日本国内 外からブーイング。石破は12月2 日にその発言についてブログ上で しぶしぶ訂正。 9
出来事2013.10-12 12月6日 福島以前に 福島以前に戻った原発政策 った原発政策 日本政府は 「エネルギー基本計画」を発表し、国のエネルギー 政策の指針となるで原発を重要なベース電源と位置 づけることを明らかにした。再稼働、新設もする ぞ、と公言。「もんじゅ」も廃炉にせず継続するん だと言う。すべてがもとに戻った。
12月6日 特定秘密保護法案強行採決。国連の人権 特定秘密保護法案強行採決 高等弁務官も12月2日、同法案について「危ないか らよく考えてください」みたいなことを言っている くらい、どうしようもなく曖昧で、政府にフリーハ ンドを与える内容。会議録には「聴取不能」とある だけ。国民の「知る権利」を侵害する懸念のある法 律が可決さ れたのに、 具体的なや りとりは記 録に残らな かったこと がその後判 明した。 その報道
房長官は11日の記者会 見 で「何 も 検 討 し て い な い。国 会 に 提 出 す る 予 定 は な い」と 否 定。 （国 連 が 2000 年 11 月、 国際テロの不安が広 がっていることを背景 に「国 際 組 織 犯 罪 防 止 条 約」を 採 択 し、参 加 国に国際組織犯罪防止 法制を求めていた が、 それが自民党の言う共 謀罪に直結するという のは日弁連が指摘する ように短絡。）
で、NHK、日 本テ レ ビ、読 売 新 聞 は「強行」という二文字を一度も 使 わ な か っ た。安 倍 君 の お 友 達 NHKは採決前に中継を止め、後か ら普通に採決して通過という印象 の 報 道 を し た。さ あ、次 は「共 謀 罪」だけど、ちょっと間をあけな いとまた内外の民主派から総攻撃 をくらっちゃう。 12月10日 共謀罪。日本政府は、 共謀罪 殺人など重要犯罪で実行行為がな くても謀議に加われば処罰対象と なる「共謀罪」創設を盛り込んだ 組織犯罪処罰法改正案を来年の通 常国会に提出する方向で検討に 入ったと共同通信が報じた。菅官
12月16日 チャンネル桜化 チャンネル 桜化する 桜化 する社 する 社 会 日本国埼玉県議会文教委員会 で、埼玉県立朝霞高校の生徒が台 湾への修学旅行の事前学習として NHK ス ペ シ ャ ル「ジ ャ パ ン デ ビュー」（2009年4月放送、日本が 世界の一等国になるために植民地 台湾を経営したという内容）を視 聴していたことに対して、教育委 員会の責任を問う指摘が相次ぎ、 台湾で修学旅行を行った県内他校の学習内容も精査 することを決めたのだそうだ。「こんな偏向した番 組を見せるなんて、とんでもない」ということらし い。実際に番組を見てこのように言っているとした ら、埼玉県の教育委員会は恐ろしい。変な個所は あったけれど、全体としてみればNHKにはめずら しくまっとうな視点で作られたものだった。裁判で
問 題 に な っ て い る「人 間 動 物 園」と い う 表 現 に し て も、番 組 制 作 者 がカッコ付きで当時の 言葉を引用したもの で、番 組 制 作 に 差 別 的 視点があったなどとい う の は こ じ つ け だ。埼 玉教委の対応に批判が 出ないとし た ら、日 本 社 会 が 「チ ャ ン ネ ル 桜」化 し たというこ とだ。
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出来事2013.10-12 12月17日 国家安保上の 国家安保上 の 戦 略発表 日本政府は国家安 全保障戦略、防衛計画の大 綱、今後５年間の具体的な 防衛力の内容を示した中期 防・中期防衛力整備計画の3 つの文書を閣議決定。内容 は…核をもった在日米軍を 大事にしましょう。ネット 検閲を強化しましょう。武 器輸出解禁に向けて努力し ましょう。米軍と諜報活動 共有しましょう。中国は敵 ですよ。集団的自衛権行使 できるようにしましょう。 愛国教育を強化しましょ う。…
12月26日 安倍君、 安倍君、靖国参拝 安 倍政権発足1年目の記念日に、安倍 君が靖国神社に参拝した。7年前に 小泉君がやはり首相として参拝し て以来のこと。もう何をやっても 大丈夫、通るさ、という傲慢さだ けが印象付けられた。で、安倍君 が 大 好 き な 米 国 か ら も「失 望 し た」な ん て 言 わ れ て し ま っ た。 『小泉は、颯爽と好き勝手な発言 を繰り返しつつ自民党をぶっこわ し、米国の批判を無視して靖国参 拝し、うまくいきそうもなくなっ たらさっさと首相も議員も辞めて しまい、辞めてなお「原発を全廃 すべきだ」などと、タブーを壊す 正しい「問題発言」をタイミング
12 月 27 日 沖 縄 県 知 事、辺 野 古 埋 め 立 て 承 認 仲井 真弘 多知 事が 米 軍 普天 間飛 行場 を名 護 市 辺野 古へ 移設 する た め の国 の埋 め立 て申 請 を 承認 する と発 表し た。東 京 で の 入 院 中 に 安 倍 君に 恫喝 され たと い う 噂 も あ る が、名 護 市 で は市 長が 反対 を続 け て い る の に、上 か ら 強 引 に「承 認」だ そ う だ。知 事 も 認 め て い る の に、名 護 の 人 た ち は なんて自分勝手なの か、日 米 同 盟 強 化 ＝ 在
良く発し、格好良 く全国民の注目を 集めている。何を やってもなかなか うまくいかない、 格好悪さが本質の 安倍は、小泉がま ぶしく見え、コン プレックスを抱き つつ無茶を繰り返 している。コンプ レックスにまみれ た安倍が独裁的な 力を持っているこ とが、今の日本が 抱える大きな危険の一つになっている。』（田中宇 「安倍靖国参拝の背景」より）
12月29日 南コリア、 コリア、対 日交渉を 日交渉を凍結 日本国、 安倍君の靖国スタンドプ レー参拝で、南コリア政 府は「当分の間」日本政 府との外交交渉を全面的 に凍結するなど、対日政 策を転換する方針を固めた。実質的な断交宣言。日 本のヘイト・スピーチに油を注いだ。
日米軍の引き留め、という至 上命令の下、これに逆らうの は逆族、非国民という構造が 強化されていく。 この関連で、1月24日放送の ＮＨＫスペシャル「返還合意 から18年 いま“普天間”を 問う」を見て唖然とする。提 灯かつぎを通り越して、政府 広報番組と化したこの番組で は何も『問』わず、一方的に「沖縄の人々の苦痛を 思って腐心する日本政府と仲井真知事」が強調され た。普通に見たら「そうか、そんなに国民を思って 苦労した上での結論なんだ、しかたないね」などと 思ってしまう。視聴者もバカにされたものだ。「安 倍君のお友達NHK」の真骨頂。
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政府広報放送局NHKを問う
政府広報放送局NHKを を 問う: 政府広報放送局 NHKスペシャル スペシャル「 スペシャル「返還合意 から 18 年、いま “普天間” 村山さたね 普天間”を問う」の欺瞞
みたら日本政府の広報番組 だった。 スタジオに小野寺防衛大臣を 坐 ら せ、城 本 勝（NHK 解 説 委 員）がインタビューする。その 合間に一年間取材したという仲 井真沖縄県知事の影像や、普天 間基地の影像などが挟み込まれ る。一部分でNHK沖縄の島田有 希子（記者）が、沖縄の声代表 といった感じで城本と並んで座 り、ぎこちなく小野寺に（台本 通りの）質問というか、発言促 しをする。小野寺が応えに困る よ う な つ っ こ み は ま った く な
NHKは2014年1月24日、 NHK ス ペ シ ャ ル「返 還 合 意 から18年 いま“普天間”を 問う」を放送した。昨年暮れ の12月27日に行われた「辺野 古埋め立てを承認する」とい う仲井真知事の電撃記者会見からほぼ一ヶ月後。 番組の内容は、沖縄のために心を砕く日本政府 と、日本防衛と沖縄の利益の狭間で苦悩する沖縄 県知事…そんな美談だった。「問う」というタイ トルから感じられるのは、ジャーナリズムの真実 追究の姿勢（？）だったのだけれど、蓋をあけて
く、スタジオのやりとりはまさに政府広報だった。 NHK沖縄の人気女子アナ、島田記者の「ぎこちな さ」は、こんな形で本部（NHK）に利用されるこ とへの憤りだったのかもしれないが、彼女もまたシ ナリオ通りの演技をした。
昨年の11月8日に、安倍首相 はNHK経営委員5人すべてを「お 友達」で固める人事を行った。 その新しい経営委員会が12月20 日にNHK新会長に選出したのは 元三井物産副社長の籾井勝人 （も み い・か つ と）だ っ た。1 月25日の就任会見で慰安婦問題 に つ い て「ど こ の 国 に も あ っ た」「なぜオランダには今も飾 り窓があるのか」と発言し、元 慰安婦への補償を求める韓国を 「すべて解決したことをなぜ蒸 し返すのか」と批判して問題に なった人物だ。
立場のない報道はないのだから、この番組に立場 があることに異議などない。政府に都合のいい物語 を政府の立場から語るのなら、それは（少なくとも 私が生きてきた時代の）ジャーナリズムとは無縁の ものであり、政府広報というのが適切な名称だとい うだけだ。NHKの憲法である放送法の第一条第二 項には「放送の不偏不党、真実及び自律を保障する ことによつて、放送による表現の自由を確保するこ と」とある。なるほど、憲法とはすべからく無視す るべきものという自民党路線を踏襲するというわけ か。
小野寺
島田
仲井真
前会長の松本正之（JR東海） は1月に任期が切れた後も続投
でなくては安倍首相のお友達 人事の甲斐がない。 松本
「返還合意から18年 いま “普 天 間”を 問 う」の 番 組 デ ィ レ ク タ ー、山 之 上 弘 は NHKのサイトに「番組を終え て」というタイトルで、こん なことを書いている。 私たちは１年にわたって仲 井真知事への単独取材を続け てきましたが、そこから見えてきたのは、沖縄 が抱える基地問題の解決の難しさと、普天間基 地の危険性を現実的に取り除く道を優先した知 事の姿でした。 スタジオでは、生出演した小野寺防衛大臣 に、「基地問題を沖縄だけでなく日本全体の問
を希望していたそうだが、財界から「報道が反原 発 に 偏 っ て い る」、政 界 か ら「歴 史 認 識 が 自 虐 的」などの批判を受けていたそうだ（産経ニュース 『業績好調でも交代論…ＮＨＫ松本会長なぜ「低評価」』 2013.11.16）。あれで「反原発に偏っていた」のお？
「自虐史観」だったのお？と驚くと同時に、新会 長の就任会見での妄言にも納得してしまう。こう
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政府広報放送局NHKを問う 題として考えていくために何が必要か」と問い ま し た。こ の 問 い は そ の ま ま、私 た ち 自 身 に 返ってきます。安全保障上の重い役割を担う沖 縄の基地負担の軽減をどう図っていけばいいの か。相反する２つの課題を解決していくことが 求められていると思います。（下線は村山）
は、どこにどうばらまくかを考えることではない のだが、そうであるかのように偽装されていく。 番組では仲井真知事の埋立承認に抗議する那覇 市議会、県議会、北中城村議会、嘉手納町議会、 八重瀬町議会、北谷町議会の決議には一切触れず に、辺野古埋め立て反対を一部の県民の行為であ るかのように報道した。
在日米軍基地は日本全体の問題だ、というあた りに番組の一つの焦点があるようで、これは一見 正当な問題提起に思える。その通り、沖縄だけの 問題 じゃな い。在日 米軍に いてほしい と思うな ら、日本全体に基地をばらまけばいい。非核三原 則が嘘ばかりで、米軍が日本に核を持ち込んでい ることは既成事実となっているのだから、米軍基 地を日本中にばらまくというのは、核兵器をばら まくということだ。現行の日米地位協定は少なく とも当面は変わる見通しがないから、沖縄で多発 してきた米兵の犯罪もまた日本中にばらまくとい うことだ。結局は「ほら、やっぱりだめでしょ？ だから沖縄に負担してもらうしかないじゃな い？」というわけか。基地問題を考えるというの
辺野古を抱える名護市の市長選期間中に、自民 党の石破茂幹事長は500億円の振興基金構想を表明 した。基地容認派で自民党推薦の末松文信候補に 投票すればね、というわけだった。1月19日の投票 では、基地反対派の現職市長、稲嶺進が当選を果 たし、稲峰支持者は「金で選挙は買えない！」と 気勢を上げた。このことも、番組はもちろん一切 触れない。 菅（官房長官）や小野寺（防衛相）の、なんと 人情味あふれる人物として描かれていることか。 基地反対派の、なんと理不尽な非国民として描か れていることか。島田アナのぎこちなさだけが小 さな抵抗だったのかな。（了）
【海南島のあぽのこと 海南島のあぽのこと】 のあぽのこと】 海南島慰安婦婆婆的訪問紀實以及海南島現況分享會 海南島は中国の一番南、海を挟んでベトナムの隣に位置する九州よりも少し小さい島です。海南島には約 80％を占める漢民族、海南島の原住民族である黎族6％、広東のほうから連れてこられた苗族、更にイスラ ム教徒の回族など様々な民族が住んでいます。最近は中国のリゾート地として知られています。1939年2月 10日海南島上陸作戦を開始した日本軍は以後東南アジア進出の拠点として、島の住民や朝鮮・中国・台湾か ら強制連行された人びとを虐待・虐殺しながら海南島を軍事基地化していきました。その過程でたくさんの 女性たちが日本軍による性暴力を受けました。私 たちは2005年に被害者が日本に来日したのをきっ かけに彼女たちに会いに海南島を訪れるようにな りました。私たちが出会った海南島のあぽのこと をお話します。 【講演者】木室志穗（現在台湾留学中） 米田麻衣（現在推拿修行で海南島滞在中） 【日時】2014/02/21（金）19時-21時。 【場所】台湾東亜歴史資源交流協会2F 【参加費用】無料 【主催・担当者】台湾東亜歴史資源交流協会 木室志穗・陳伊品
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12年國教実施をめぐる攻防
12年國教実施 12年國教実施をめぐる 年國教実施をめぐる攻防 をめぐる攻防
アウイ・カズオ
昨年暮れの12月2日、台湾全土の高 校に、台湾教育部から一通の通達が 回った（右）。内容は教科書の選定 に関して、中華民国の首都を“正し く”「南京」と記載したもの以外は 採用しないようにというものだっ た。通 達 は“中 華 民 國 憲 法 に 準 じ て”首都は南京なのだと言う。台湾 教育部によれば、中華民国首都は南 京であり、台北は中央政府所在地な のだという。多くの学者や先生たち がこの記述に戸惑って憲法を眺めて みたけれど、そんなことはどこにも 書いてない。教育部には説明を求め
る電話やメールが殺到。12月4日、内政 部の李鴻源部長が「首都は台北だ」とい う認識を示して事態の収拾を図った。問 題の通達文書は政府の見解を反映したも のではなく教育部のポカだというわけ だ。 事実、中華民国憲法に首都所在地に関 する記述はない。現行の（大方の教科書 で）中華民国地図上で台北に「中央政府 所在地」と記した上で首都の記号を付し ている。陳水扁時代の（教育の）本土化 で「南京が首都」というそれまでの“解 釈”はいったんは死んだはずだった。 1949年12月の“台北遷都”をもって、中
教育部部長 蔣偉寧
央政府所在地という住所の変更だけでなく、実質的 に首都も台北に移ったのだという解釈が一般化した “はず”だった。今、首都を南京に“戻したい”と いうのは、中華民国は本来中国全土を統治するもの だ（中国との領土の奪い合い）という点に力点があ るというよりも、台湾は臨時の場所であって中国大 陸に戻ることが本来の姿なのだ（中国との合体）と いう主張にも聞こえる。
性を決定した。中国に関する記述の大幅な増加、日 本時代の評価の「適正化」などが、その方向性だ。 日本時代の評価の適正化とは、本土化時代に「持ち あげすぎた」日本時代の評価を引き下げることらし い。日本が台湾で植民地開発（インフラ整備）をし たために台湾の近代化が促進された、とか、日本が 学校を普及させたから台湾人の識字力が大幅に上 がったとか、時間を守る習慣が根付いたとか、そう いうのは一方的な評価であって適正とは言えないと いうことなのだろう（適正な評価の具体的例は示されて い な い の で、こ れ は 推 測）。日 本 のネ ッ トな ど では 「台湾が反日教育に変わる」などという煽情的な見 出しが掲げられた。
「馬政権は台湾と中国の繋がりをことさらに強調 したいのではないか、だからこういう強引なこじつ けをするのではないか」という観測が本土派の間で は一般化している。今年8月から施行される12年国 教（12年一貫教育）に向けて「中国寄りの」カリ キュラムと教科書に向けて改訂を図ってきている馬 政権への批判者たちは、「教育部は憲法を知らない のではなく、解釈を捏造して民衆を騙そうとしてい る」と憤懣やるかたない状態。
教育部ではこれを「小さな調整」と主張している が、台湾大学の歴史学科、陳翠蓮教授は「十分な議 論をしないまま、大幅な教科書改訂を行うのはおか しい」と馬政権を批判した。民進党スポークスマン の張惇涵は「これは調整なんてもんじゃない、大改 造だ」と国民党を批判。「台湾の歴史は、中国の歴 史でもなければ国民党の歴史でもないんです」とは 反対派の学生、賴品妤の言葉。（了）
12年国教（12年一貫教育）に向けてのカリキュラ ム改訂に関しては、12月27日に開かれたカリキュラ ム審議会で高校の国語と社会科の教科書改訂の方向
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リオ・フクシマに思う
特集： 特集：リオ・フクシマに思 リオ・フクシマに思う 主婦連盟台中事務所で 岡村淳監督（中央）
Eaphetでは昨年11月に、岡村淳監督を招い て 台 北 お よ び 台 中 で ド キ ュ メ ン タ リ ー「リ オ・フクシマ」の上映会をしました。ここで は、このドキュメンタリーについて寄せられ た感想をご紹介します。 混ざり合 ざり合わず、 わず、溶け込まないもの 阿川 上映のとき、岡村監督はまず現在の福島事故が握 りつぶされようとしていることへの憤りを語った。 それがリオ・フクシマの背後に流れる力の一つだと いうことは、確かにそうなのだろう。でも、それとは 別のいくつかの力というか、思いのようなものがこ の映像の後ろには感じられる。それらはすべて岡村 さん個人、移民としての彼、“日本人”としての彼、 ドキュメンタリー作家としての彼、ある世代に属す る個人としての彼、それぞれが持つ、実際噛み合って いないかもしれない思いの数々のようだ。 すごいなと思うのは、それらの思いを調和させよ うという気も努力もなく、映像の中に投げ出してい るところだ。 それはちょうど、リオデジャネイロの世界環境会 議と、ピープルズサミットに参加した日本の各種団
体や個々人が、反核というところでは一致していて も、それぞれがバラバラな思いを持ち込んで、すれ違 いを重ねていく様子とパラレルになっていた。どん なにかき混ぜてもすぐに分離してしまい、ある部分 はダマになってしまい、映像全体として一つにまと まっていかない。最後にブラジル移民として云々と いうのがあるんだけど、あそこなんかもうダメ押し というか、これでもかって感じ。どうだ、まとめない ぞ、っていうダメ押し。 バラバラなものを飾らないでバラバラに見せてく れたから、見る方はストレスがあったのも事実だっ た。（了）
主婦連盟台中事務所で
東海大学で
普通を 普通を奪われた悲 われた悲しさ
ました。科学と政府を信用して、積極的に復興をしよ うとした。恐らくどのように生きていくかも分から ないのに。生き抜くしかないと思ったのでしょう。 食べて支援してもらう以外に生きて行く方法はも うないのでしょうか。政府を信用して、復興をする道 しかないのでしょうか。 この環境会議に参加したある西洋人の男性が「日 本人が何故みんな平気そうな感じでいられるか不思 議だった」と疑問を出したように、自分の声を出せな い、自分からノーと言えない雰囲気とは一体何なん ですかと日本社会に恐怖を感じてしまいます。
陳伊品 舞台はブラジルで開催された国連の環境会議で す。来場者と脱原発の紙を持て写真を取る日本の環 境団体の男性と、完璧に除染されたと一所懸命説明・ 理解してもらいたい有機農家さん、及び感情的な訴 えの言葉が溢れる福島の被災者達に目を引かれまし た。 「脱原発の市民運動はいつまでも続けられるだろ うか。本当に脱原発の必要性を理解しようとする人 間は多いだろうか。人間の記憶の半減期に従い、脱原 発の主張は自然消滅していくのかなあ」と自分に問 い続けました。 いくら土の表面を除染しても、地下水は汚染され た、汚染され続けてます。農家さんは自分の努力が無 駄だと信じたくないだけではないかと考えてしまい
問題を共有化したいと思って会場に突入した被災 者達の激動な表情と言葉から気持ちがすごく伝わっ てきましたが、何も深く考えてないような感じで、わ ざわざ遠い外国まで行って、専用通訳者も事前に手
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リオ・フクシマに思う 配してなく、言葉の壁が厚いまま、自分達をアピール しただけで、自分達の話がいくらの影響力を与えら れるかも考えてなかったようです。話し終わったら、 記念写真を取り始めた純粋な所を見て、おばちゃん 達は何も深く考えられなかったかもしれない、原発 事故でごく普通の、ささやかな主婦生活さえも奪わ れてしまったんだなあと考えたら、悲しいです。 （了）
リオ・フクシマを見 リオ・フクシマを見て 自由業、女性（翻訳：編集部） リオ・フクシマ、面白く拝見しました。自分はブラ ジルに行っていないのに、一緒にそこに参加してい るような気になりました。記録するっていうのは、こ ういうことなんだよね、と思いました。 何より驚いたのは、福島で有機農業をしている人 が自分が作っているものは食べられるのに、民衆が 科学的なデータを見ようとしないで、ただただ放射 能が恐ろしいからという理由で食べないのは残念だ というところでした。なるほどと思った反面、食べな い人たちの気持ちも分かるなあと思いました。私の 子どもたちに食べさせるかと考えたら、それは絶対 あり得ないと思いました。他に食べるものがなけれ ば違ってくるかもしれませんが。放射能の問題とい うのは土壌と水だけの問題じゃないでしょ。環境全 体に拡散されてるわけだから、口に入るまでの過程 全体が問題なんだと思います。 出てくる日本人の活動家たちはブラジルの言葉 も、英語もあまりできず、自分たちのテントで訪れる 人に説明もできないのですね。これもびっくりしま した。 ブラジルの人たちや、日本外の人たちに訴えたい という気持ちがあって、でも言葉ができないから結 果的にこうなってしまったのでしょうか。よく分か りませんが、あなたも行くなら私も行くという感じ で、そこに統一的な主張とか戦略のないまま、何とな くブラジルに来ているという感じもしました。 職業的な活動家ではないことがいい面もたくさん あるとは思いますが、外から見たら何を訴えたいの かよく分かりません。仲間同士でだけ分かることを 話していて、何だか怪しげな新興宗教のようにも見 えました。「手をつなげば、はい、みんなトモダチで す」とか。福島で起きたことの重大性を考えたとき、 これは残念なことではないでしょうか。（了） リオ・フクシマ上映会 リオ・フクシマ上映会を 上映会を終えて 古川ちかし 最初に李文茹さんから自主上映の話を提案された とき、まだこの映像を見ていなかった私は「ぜひ、 やりましょう」と返事しましたが、岡村淳監督の渡 航費や滞在費に関してどうするか、上映場所をどう するか、いくつか問題がありました。台北の「タコ ちゃん」こと張瑜庭さん、台中の村上生紗さん、 「たこ焼き」こと戴佩如さんたちが奮闘してくれた おかげで経費面はなんとかなりました。会場は、主
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婦連盟の許心欣さんの協力で「環境保護基金会台 中分事務所」をお借りするとともに、東海大学日 文系の大学院生室をとることができ、二か所での 上映ができました（台北での上映に関しては李文 茹さんがすべてやってくれました）。 上映が決まった後で李さんから送られてきた映 像を見ました。予想したものとの落差に少し怯み ました。この内容で「反核映画」を期待する台湾 の一般視聴者にうまく受け止めてもらえるだろう か、というのが率直な感想でした。どうしても冗 長さを感じる前半だけでも少しカットできないも のか―いろんなことを考えましたが、複数回見る 間に、この冗長性も含めて面白いのではないか と、考えが変わっていきました。 私たちはあまりにも既存のドキュメンタリーに 慣れてしまっていて、作り手が何を読みとっても らいたいのかを精選してポンと目の前に置いてく れるような「口までスプーンで運んでくれる」も のに慣れてしまっている。見る側がどう受け取る かは、無論、見る側の自由だとしても。 リオ・フクシマは、その意味で原点に帰った記 録片なのかもしれません。これは記録にすぎな い。その時点、その時点で、目の前に進行する出 来事を記録する。記録する人の視点も隠さない。 そこから何を読みとっても自由というか、何かを 読みとることは見る者が「記録片」に参加する方 法なのだ、と。（了）
聊聊映画レビュー
The Lost Fighters of Vietnam(消失的工兵)
陳伊品
聊聊で「The Lost Fighters of Vietnam(消失的工兵)」を見た後、ベトナム人の友人とこの映 画について雑談しました。強制連行されたではなく、戦時労務動員で自分の意志でフランス に行くことになった人達です。苦しい強制労働に従事させられますが、安い給料でも貰えた からフランスの植民地統治の圧迫や屈辱感を苦しんできたことを変に感じていませんでし た。第一次インドシナ戦争の時に帰国した一部の人間は、その後フランス政府が自分の時間 と労力に対する相当の報酬である退職金の要求を応じてくれなかったことに対して、憤った 口調で語っていましたが、一方帰国せずフランスに帰化した人の言葉はまた違っていて、両 者の間になんとなく距離がありました。 映画の中で、船に乗って最初にフランス に上陸したとき「フランスの道路や照明が きれいだ、フランス人が親切に話をしてく れた、フランスは豊かで発展国だ、だから こそベトナムはフランスの植民地だ」とい う感想をもらしていたことを1993年生まれ のベトナム人の友人に話したら、その友人 はなんと「そうだね、僕もそう思う。僕も 先進国に移民をしたいんだ。」と返事を返
聊聊 映画レビュー 映画レビュー 毎週水曜日夕方7：30 から、Eaphetではドキュ メンタリーを見る会をし ています。どなたでもお 気軽にご参加ください。 ここでは2013年10月か ら12月に討論した映像の いくつかを紹介します。
*出典: 1 <殖民地帝国日本の文化統合>駒込武 岩波書局 2 <岩波講座近代日本と植民地―ベトナムの冷戦と脱植民地 化>白石昌也 岩波書局 3 <嚮往移民>沈殿成 遼海出版社 4 <季刊国際貿易と投資No.48>国際貿易投資研究所
してもらい、私は少々ショックを受けました。 台湾が日本に統治された時代、一部の台湾人が自らを日 本人と思い込んだ。総体として抑圧されている状況の下 で、そのように信じ、また行動することが一定の個人的な 利害を保障したということが考えられます（１）が、それと
同じことなのでしょうか。 ベトナムは1986年から自力更生型経済発展から対外経済 開放への移行、1990年代に入って刷新路線は順調に進展し つつあるにも関わらず（2）、今の台湾社会でも数多くの
親日派がいることに対して、私には「完全に奴隷化 された」としか思われません。所得水準の差異が存 在する限り、人の国際移動が発生し（3）、移民は経 済グローバル化と順相関の関係にあります（4）が、 よりよく生活を追求したく経済動機による移民する 反面、自分の生まれを卑しみ、自分の所属する国家 を劣等と思い込んでいないかと自分に問う人はいな いでしょうか。（了）
The Act of Killing (殺人という行為)
古川ちかし
大 時 代 な「シ ュ ー ル」で、 「グロテスク」、「サイケ」と 付け加えたくなるような映像で した。着想も面白いけれど、そ れを実現してしまう謎の資金力 を思って、感動すべきなのか、 頭をひねるべきなのか、分から ない。昔のハリウッド的演出が 続出するのだが、それはこの映 画 の 主 人 公 で あ る Killer ア ン ワー・コンゴと彼の右腕による 演出だと強調される。強調され ること自体がこの映画の作り手 の演出であり、重層的な面白さ が、たしかにある。
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アンワー・コンゴは1965年の「共産 主 義 者 に よ る」ス カ ル ノ 打 倒 ク ー デ ターを「鎮圧」した陸軍のスハルト少 将の配下で、反乱者の「処刑」に直接 関与したギャング（やくざ）。一人で 少なくとも1000人を殺害したとされて い る。彼 の 常 套 手 口 は 針 金 に よ る 扼 殺。事件全体では50万から100万人（数 百万と言う人もいる）が殺害された。 1965 年 か ら 66 年 ま で 半 年 間 続 い た 「共産主義者狩り」は9月30日事件とも 呼ばれる。その経緯も複雑なら、経過 も、犠牲者数もいまだに詳細は分かっ ていない。 事件は、228事件（台湾1947）、4・3 事件（南コリア1948）、フク団の反乱 （フィリピン1951）と続いた「反共策
聊聊映画レビュー た動きが広まってしまう。恐怖の共産化、だ。スカ ルノの 同盟者、Dipa Nusantara Aidit 率いる インド ネシア共産党は党員 300万人という、ソビエト連邦 と中国を除くと、世界最大の共産党へと成長し、そ の影響下にある大衆団体は1000万人近くに達してい た。そのスカルノが1955年のアジア・アフリカ会議 （バンドン会議）で議長を務めるなど影響力が無視 できなくなっていた。 そこでCIAが何度もスカルノ政権転覆を図ること になった。右翼反共主義者の反乱 をおこしてみたがうまくいかな か っ た。1958 年、CIA は 右 翼 に 資 金、武器、B-26爆撃機数機を供与 してスカルノ政権転覆を図るも失 敗（The Invisible Government, 1964, Random House)。1963年にイギリス とアメリカ合衆国が、マラヤ連邦
謀」の一つだ。まずこのあたりを復習しておこう。 1945年、日本敗戦でインドネシアは独立を宣言す るが、オランダはこれを認めず、スカルノ率いるイ ンドネシア軍とオランダ軍は激しい戦いに突入し た。インドネシアに残った日本軍敗残兵の中には、 インドネシア独立軍に加担するものもいたらしい （陳千武さんから経験談を聞いたことがある）。と にかく、1949年にオランダ軍を打ち破ったスカルノ は、（中華系インドネシア人の排除に加えて）オラ ンダ、イギリス、アメリカ合衆国などの外資の資産 を凍結し、接収し、外資の導入を止めた。例えば 1957年12月にオランダの石油プラントの国有化など だ。―これはグッドイヤー社をはじめ、「自分たち が“解放”した」戦後のアジアを食いものにしよう としていた勢力にとって大きな障害になった。イン ドネシアを放っておけば、東南アジア全体にこうし
件 直 後 の 1966 年 3 月、力を大きくした スハルトに、スカル ノは実権を渡さざる を得なくなり、1968 年にスハルトは第二 代大統領に就任し アンワー・コンゴと、9月30日事 た。スハ ル トは、ま 件の処刑隊から生まれたパンカシ さにアメリカ合衆国 ラ青年団(民間の武装集団) が望む開発独裁政治 を行い、彼の支配は 1997年のアジア通貨危機まで続くことになる。
を作りだした の は、対 スカ ルノ戦略のた めでもあっ た。 9 月 30 日 事 件 は、共 産党 スカルノ（左）と、スハルト（右） が（全体 とし ては親共産党であった）インドネシア軍の幹部6名 を惨殺してクーデターを企てたという（捏造され た）話に始まる。軍のトップが殺害された中でスハ ルト少将が軍を掌握して反乱鎮圧にあたった。その 配下となったヤクザ、アンワー・コンゴのような人 たちが何人いたのかは分からないが、彼らは共産主 義者狩りをおこない、拷問、殺戮を繰り返した。ス ハルトが政権をとってからは、コンゴのような人た ちが国を救った英雄となり、現在に至っている。事
歴史をおさらいしてみると、この映画の中にはア メリカ合衆国の影もCIAの影も見えないけれど、ア メリカ映画に憧れるコンゴたちを通して、はるかか なたにアメリカ合衆国の存在が示唆されているとも
言えるのかもしれない。しかし、アメリ カ合衆国などでこの映画を見る人たち は、戦後のアジア史についておそらく無 知だ。コンゴたちの殺戮の背景に自分た ちの姿を見るとしても、それはキリスト 教的な罪と罰、罪と贖い、そういう一般 化され、文脈を抜かれた次元でしかない のではないかとも思う。 映画のクライマックス、天国に召され たコンゴが、自分が殺戮した被害者たち に赦されるという場面（右写真）。コン ゴ自身の演出でこんな場面になったそう だ。間違って英雄になってしまった歴史 の茶番劇をハリウッド風に歌い上げるこ のシーンの狂気は、コンゴを内側から蝕 む慙愧を示唆するのか。（了）
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セデック民族議会部落代表成立
セデック民族議会部落代表成立 セデック民族議会部落代表成立 乱開発の清境農場に待った！
アウイ・カズオ
12月31日、かつての霧社公学校跡に立つ「霧社電 源保護站」（台湾電力霧社電源保護所）で「賽德克 族民族議會部落代表成立大會」がワリス・ペリン立 法委員を呼びかけ人として行われた。前号（16号日 文版）で報告したように、セデック民族議会はこれ まで数度の「民族議会設立準備会」を積み重ねてき て、この日の代表成立大会を迎えた。部落代表が （暫定的に）決定し、これらの代表をメンバーとし てこれから民族議会を立ち上げていくわけだが、こ れを機に「伝統領域を守ろう」という動きが加速し た。 2013年12月に入ってから清境農場、台湾大学実験 農場への民族議会の攻撃は加速した。清境農場も、
台湾大学実験農場も日本時代の「見晴らし農場」の 広大な土地をそのまま国民党が接収し、セデックや タイヤルへの返還を拒否したまま一部は国民党軍退 役軍人に供与され、一部は国立大学の実験農場にさ れてきた。清境農場は仁愛郷の中でも（山地保留区 から除外される）一種の経済特区扱いになってい
て、郷公所（郷の役場）とは別に「長」がいて管 理 し て き た。こ の 特 別 区 に 店 を 出 す の も、ペ ン ションを建てるのも、診療所を開 設するにも、コネと金が必要だと いうのは常識になっている。
セデックの人々が清境農場における違法民宿（法 律に則って民宿の登録をしていないのに営業してい るもの）、違法建築について訴 えを出し、内政部がこれを認め たのは12月はじめだったが、内 政部は具体的な民宿名を公表し なかった。中旬になって初めて リストが公開された。背後に利 権が絡んでいることを印象付け る内政部の対応だった。 セデック側では暮れから１月 にかけて複数回、台湾大学実験 農場前でもピケを張って「不法占拠」に対する抗議 を行ってきているが、こちらは「違法性」を証明す るのがむずかしく、まだまだ時間がかかりそうだ が、民族議会設立へ向けて伝統領域防衛は勢いをつ けてきている。（了）
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安全な生活環境への権利
安全な 安全な生活環境への 生活環境への権利 への権利
李欣婷
村上生紗翻訳
講演する上前昌子さん（中央） 通訳する李欣婷さん（右端） （原文は2013年9月20日発行、Eaphetニューズレター15号中 文版に掲載されたものですが、日本語同社のために翻訳版 をここに掲載します。2013年9月現在の話としてお読みくだ さい。編集者）
抱きました。政府を信用するという民族性が関係し てか、大多数の日本人は政府が発する情報を全て鵜 呑みにしたということでした。原子力事故後、専門 家ではない普通の親達が、子の安全な環境をつくる ため、屋外で汚染された土地の表面を削るなどして 除染活動を行ったそうです。政府は既に問題が無い と言い、住むことも子どもが外で遊ぶことも可能だ と。放射能汚染は、そんなに簡単に解決できること でしょうか。事実はそうではなく、政府は事実を 言っていないだけなのです。原子力発電所爆発後の 放射能汚染はずっと続いていて、2年以上経過した 今でもなお大量の放射能汚染水が排出されていま す。上前さんはチェルノブイリ事故の報告を通して 放射能汚染の怖さを理解したからこそ、政府を信用 するのではなく、子どもを連れ台湾に渡ることを選
福島原子力発電所事故後に台湾移住を決めた上前 昌子さんの経験を聞くという主婦連盟の活動があり ました。それまでは原子力エネルギーについて積極 的に関心を払っていたわけではなかったのですが、 そこで通訳を担当したことから、原子力のリスクや 放射能の怖さに対する認識を更に深めることができ ました。 講演は2回行われました。1回目の講演の中で、上 前さんは、原子力災害時の日本政府の対応やその対 処姿勢について、そして二人の子どもを連れ3人で 海外移住に至った心の経緯をお話されました。そこ で私は初めて、日本政府に対するマイナスな感情を
びました。生きるため、子どもの安全な未来のため に。 台湾の状況というと、3個所の原子力発電所が稼 働しており、さらにまだ建設途中の第４原発が不完 全な段階のまま、急いで稼働されようとしていま す。今、私たちの生活は本当に安心できると言える のでしょうか。日本政府は未だに日本の人びとを安 全な方向に導いていないにもかかわらず、台湾政府 はその技量があるのか、誰もが疑問をもつところで す。 2回目の講演のテーマは、食物の放射能汚染につ いてでした。日本福島で発生した原子力発電所爆発 事故なのだから、台湾にいる私たちは福島に行かな ければ、放射染環境にさらされなければ、それで大 丈夫なのでは？上前さんの答えはNOだ。台湾には日 本からの輸入食品があるからです。遠い日本で起き た原子力事故かもしれませんが、放射能に汚染され た食物が台湾にも流通し、台湾の人びとにも影響を もたらすということです。 日本福島原子力発電事故で4つの原子炉が爆発し てから、今もまだ蓋がされず、常に放射能は放出さ
れ続けている。汚染された水は地下水に流れ込み、 日本の西海岸新潟県の阿賀川さえもその影響から逃 れるのは難しいのです。阿賀川が日本海に流れ込む のに伴って海域にまでも汚染は拡散し続けていま す。日本原子力発電所事故から2年後の状況を上前 昌子さんが報告してくれました。 彼女の話によると、身体に対する汚染というのは 外部と内部があるという。外部被爆というのは文字 通り身体の外部に汚染を受けるもので、内部被爆と いうのは微小の放射性粒子がついた埃や塵が食物に 付着したり、汚染された埃や塵が空気中に舞うなど して、食物や呼吸から汚染物質が体内に入りこむこ とによって引き起こされます。内部被爆と外部被爆 の相違は、体内に入った汚染物質が体外へ排出され る前に身体の中で強烈な放射能を放ち続けるところ にあります。摂取した放射能の量が高くなくとも、 近距離で被爆を繰り返すことになるため、臓器細胞 に影響し癌になりやすくなったりします。放射線の 中のアルファ線及びベータ線は身体の中に入った後 DNAを損傷させてしまいます。DNAは自然に修復され るけれども、放射線によって傷つけられた範囲が広
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安全な生活環境への権利 すぎると細胞は修復不完全になってしまいます。 もっとひどいのは、修復ミスで異常なDNAが作ら れ、細胞分裂を通して複製増殖を繰り返し、癌の発 症につながることです。上前さんはできるだけ台湾 の人びとは日本からの輸入製品を食べないようにと アドバイスします。日本は汚染され国内で販売でき ない食品を外国へ輸出しており、台湾も当然その輸 出国の一つであるためです。危険性が特別高いため 極力控えた方が良いのは、干しシイタケ、日本茶 （抹茶）、魚（秋刀魚、鰹等）、産地表示がされて いない桃やリンゴ等だそうです。 放射能汚染環境の中、外部/内部被爆どちらにし ても、身体はどんな影響を受けるのでしょうか。上 前さんの日本の友達も深刻な身体への影響が出てい るそうです。 例えば、もともと軽い症状であった症状が、血液 検査で異常が見当たらなくとも急速に悪化したりす
る。頭部：頭痛やめまい、思考不能、時には興奮や 鬱、計算や記憶能力の低下等、各臓器に対する小さ い影響がある。視力：低下、視界がぼやける、声帯 が激しく痛み、声が出せなくなる、口内炎が繰り返 しできる。受けた放射線の量に関わらず、成人か子 どもかに関わらず、鼻血を流したり、異常な色をし た鼻水を流したりする。歯肉から出血、虫歯、歯が 抜け落ちるなど。肺に関しても咳の経常化、色のつ いた痰を伴う咳。ある時は、乾いた咳、風邪や風邪 が治りにくいことを繰り返す。さらに悪いのは、気 管支炎、肺炎、喘息につながる。とくに子どもは特 に肺炎にかかりやすい。成人と子どももどちらも、 心電図検査で異常がなくても心臓の痛み、血圧異常 等、症状が表れる。また、息切れがし、前兆なく突 然に倒れたり、急死したり。腎臓病、膀胱炎、胃腸 の具合が長期的に不調が続き、軟便や日常的な下 痢。髪が抜け落ちる、皮膚アレルギーが悪化、傷が
治りにくい、目と口の周りに帯状疱疹ができる、皮 膚は弱くなり、酷いじんましん。関節や骨が痛み、 甲状腺が腫れ、子どもは糖尿病と貧血の罹患率が増 加、女性は生理不順、異常な出血、また急な疲労 感。被爆し抵抗力が低くなり、このような様々な症 状が突如あらわれる。 この2回の講座を通して、私はさらに原子力発電 の影響、放射能汚染の怖さの認識を深めました。汚 染がつくられたら、その発生の場所に限らず時が経 過しても汚染の勢いは止まらず、いつまでも終わり なく私たちの生活に影響を与えます。日本から距離 が離れていたとしても、日本の食べ物が台湾に輸入 されることで、汚染された食品と接触する機会が私 たちの生活の中にあります。その上、台湾政府は日 本政府よりも、安全基準を低く定めているため、日 本で売れない商品が台湾で売られています。私たち の生活は安全と言えるのでしょうか。 私はこのまま、沈黙を続けてはいられない。私 の周りの汚染の怖さを知らない人達、日本の福島の
原発事故から避難してきたこの事を共有して、人伝 いに広め、多くの人に原発の危険性をわかってもら いたいです。また安全ではない食品は、本来輸入す べきではなく、政府に対して厳しい安全基準値を求 めていくことは重要だと思います。原発が稼働し続 ける以上、私たちは放射能汚染をずっと心配し続け ることになるでしょう。だからこそ、私たちは安全 に生活できる環境を獲得し、積極的に理解を深め声 を発していくことが必要だと感じています。（了）
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豊原茶室探訪
豊原茶室探訪
編集部
11月13日、「茶室（売春宿）」の営 業時間に合わせて夕方、豊原駅前に集 合。ガ イ ド は 陳 伊 品 さ ん の お ば あ さ ん。昔から豊原に住んでいて、豊原の 変化を見守って来た。右の地図は、今 日 の 探 訪 コ ー ス だ。地 図 右 上 の 隅 に 「豊原駅」。そこから出発して①は昔 の茶室で今は「ふつうの」民家になっ ている場所。②は日本時代に木材の集 積所があった附近で、大きな茶室とい うか飯店があったが、今は取り壊され ている。③も昔、小さな茶室が散在し ていた場所だが、現在は民家。④が今 でも営業している売春街だ。⑤は、④ から「持ち出し」できる中規模のホテ ルがある場所で、目の前がバスターミ ナル。ここに入って「出前」を頼むの だそうだ。 今回の「走走」（おでかけして誰かに 会ったり、場所を見たり、イベントしたりす
木材の集積所があった豊原は昔から木材加工で有名。今で も木彫りが基本の仏壇屋、仏具屋が軒を連ねる。
日本時代の建物を残す豊原駅前。これは警察署だ。
るEaphet活動の名前）のきっかけは、聊聊（毎週水曜日 陳伊品さん（左）と、お祖母さん（右） の夜の「記録片」観賞会のEaphetでの名前）で豊原の記
録片（ドキュメンタリー）を見たことだった。記録 片作家の下で働いている会員から「これ、見て感 想をください」と言われて、見た。そこに豊原在 住の陳伊品さんとお母さんが来てくれた。見終 わって、雑談しているときに「日本時代から台中 には遊興街があまりなかったけれど、どういうわ けか隣接する豊原にたくさんあったのよ」という 話が出てきた。何となく分かる。天皇が行く軽井 沢には遊興街がなくて、隣接する村や町にそれが できるのと同じ理屈だろうか。 「茶室」という言葉が、そのまま売春宿を意味 するわけではなさそうだが、ある種の婉曲表現と して「茶室」が使われてきた。日本時代には何と 言ったのだろう。
原に行って、茶室の跡を見て、今もやっている売春 街を調べに行こう」ということになり、この日の走 走となりました。
とにかく、そういう話から「じゃあ、今度、豊
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豊原茶室探訪
①
左は前頁の地図の地点①。日本時代の建物に見え る。大きなひさしは以前はなかった。二階からお姉 さんたちが客を引いたのだろう。今では廃品回収業 などの個人経営の店が入っていたり、住宅になって いる。
③
右は前頁の地図の地点③。昔、茶室だったもの が、今、朽ち果ててしまった。ここも、造りを見 ると日本時代の木造建築のようだ。
④ 左、および下の写真は、前頁の地図の地点 ④、現在も営業中の茶室街。左写真、手前の 背中は伊品お祖母ちゃんの背中。すたすたと 前を行く。他の通行人も特に気にする様子も な く、歩 き 過 ぎ る。通 り を 覗 き こ ん だ 瞬 間
④
に、赤い光が目に飛び込んでくる。店の前 で白いブラウスにブーツの女性（上の写 真）が客を引く。男性の客引きもいる。写 真を撮ろうとしたら店の人に止められた。 路地に面して10軒ほどの茶室が点在して いる。ふつうの民家も共存している。
⑤
左は前頁の地図の地点⑤。ここに部屋を とって、「出前」オーダーとなる、とお祖 母ちゃんが解説してくれる。 この日はぐるっと見て回るだけで疲れ た。台中と豊原の関係、日本時代の木材の 流通経路、国民党と茶室の関係―宿題だけ がたくさん残された。伊品お祖母ちゃんに 感謝。（了）
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フィリピン・ツアー2014： ：先住民と フィリピン・ツアー 先住民と開発 参加者募集！ 参加者募集！
東亜歴史資源交流協会「スタディー・ツアー《繋 がっていく越境です》Part2」
（フィリピンへ渡航するために台湾国籍の人はビ ザが必要です。韓国、日本国籍の人は必要ありませ ん。）
フィリピン・ツアー： フィリピン・ツアー：先住民と 先住民と開発 参加者募集！ 参加者募集！
日程概略 2014年 年3月 月29日 日～4月 月5日 日（6泊7日）
平地人と山地人―そういう言い方が台湾にはあり ますが、フィリピンにもあります。台湾もフィリピ ンも、先住民の島（々）に移民が入ってきて、その 移民たちが自分たちの国を作りました。移民たちに とっては「開墾、開拓、開発すべき場所」であった 島々は、今でも「開発」され続けています。 このツアーでは、前半はマニラでフィリピンの成 り立ちについて考え、後半はルソン島北部、バギオ で当地の先住民と開発について、先住民の若者と一 緒に考えます。節約がモットーのツアーなので贅沢 なことは一つもできませんが、普段は繋がれない 人々と繋がるための旅に出ませんか。
3月29日（土）マニラ着 3月30日（日）メトロ・マニラ、ケソン市でフィリ ピンの歴史探訪 3月31日（月）リラ・ピリピナ（フィリピン慰安婦 被害女性の会）で証言を聞くなど。 4月1日（火）ブラカン（NGO「Kiboh・Pag-Asa」） 経由でバギオへ移動 4月2日（水）環境NGO「コーディリエラ・グリー ン・ネットワーク(CGN)」、イゴロット青年の会 「リサーチメイト」と交流、地元の先住民のコ ミュニティ訪問
4月3日（木）イゴロットの祭り「LANG-AY FESTIVAL」に参加 4月4日（金）バギオ発、マニラへ。 4月5日（土）マニラ発 なお、毎日30分程度の感想会をします。また、観 光が目的のツアーではありませんが、マニラおよび バギオで「観光」的なことをする時間もあると思い ます。
申し込み eaphet@gmail.comまで、2月 月22日 日（土）まで にメールで申し込んでください。 参加希望者４名以上で実施します。お問い合 わせはeaphet@gmail.comまで（担当：古川）
2011年フィリピンツアー リサーチメイトの面々と
参加費用 台湾出発の場合：1万元 万元（飛行機代込みですが予約 万元 時期によって1000元ほどの上下があり得ます） 韓国・日本出発の場合：2万 万6千円 千円／ 万5千 千ウォン 千円／27万 この金額に飛行機代は含まれません。マニラまでの 往復飛行機予約は各自お願いします。Cebu Pacific Airが格安のはずです。
リサーチメイトのレイネル さんと村の子どもたち
Eaphetとフィリピン とフィリピン 台中に暮らすフィリピン人労働者た ち。彼らの家族に会いに行こうというのが最初のフィリピンツ アーでした。回を重ねるうちに知り合いが増え、ツアーは広がっ ていきました。そんな中で、ピープルパワー革命後盛んになった いろんな市民団体、そしてアエタの人々、マノボの人々、イゴ ロットの人々と出会いました。人々が自分たちの手で権利を勝ち 取る、そのためには政府をしっかり見はらなくてはならない、そ ういう空気をフィリピンに感じます。まだそこまでの気概をもち にくい日本や台湾から見ると、民主主義が息づいている気もしま す。去年の台風ハイエンで中部（ビサヤス）に大きな被害を出し ましたが、いつも犠牲になるのは貧乏人であり、古いコミュニ ティです。その後には「開発」がやってきて、弱い人々をさらに 蹴散らしていく。フィリピンはそんな悪い見本のようにも見えま すが、福島で日本政府がやっていることを考えると、フィリピン から学ぶことはたくさんあると思います。
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