認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究 Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.


0 はじめに

小学生の頃、病院や介護施設が家の周りにある環境が自然なものだった。

当たり前のように周りにある病院や介護施設。 当たり前のものなのに、なぜか身近に感じる事はできない。 その違和感はなんなのだろう? 自分とは全く異なる人間がそこにはいるような感覚。

年を取って老人になるころには自分もこういう場所に世話になるのだろう。

将来自分が関わると考えられる物に対する違和感の正体をつかみたい。 それが本研究の出発点であった。

2


目次 <本編> 1

0. はじめに 1. 研究背景 1-1 日本の少子高齢化と介護の問題 1-1-1 日本の少子高齢化の現状と予測

5

1-1-2 高齢化について世界との比較

7

1-1-3 少子高齢化が生む介護の問題

8

1-2 介護について 9

1-2-1 介護の必要な人 1-2-2 要介護認定

10

1-2-3 日本の要介護者の現状

12

1-2-4 日本の介護施設の種類

14

1-3 認知症とグループホーム 1-3-1 認知症とは

15

1-3-2 認知症の治療法としての作業療法

16

1-3-3 グループホームの現状

17

1-4 既往研究 1-4-1 グループホームの共用部分に関する既往研究

18

1-4-2 本研究の位置づけ

19

1-4-2 背景のまとめ

20

2. 研究概要 2-1 研究目的

22

2-2 用語の定義

23

2-3 研究フロー

24

3. 調査 3-1 調査目的

26

3-2 調査方法 3-2-1 調査概要

27

3-2-2 ビデオカメラの設置

30

3-2-3 被験者の共用空間での位置

31

3-2-4 調査基準

32

3-2-5 調査結果

33 3


4. 調査の分析・考察 4-1 要介護者の滞在時間と不必須関わり時間の関係について分析

35

4-2 不必須関わり時間と介護度の関係について分析

41

4-3 不必須関わり時間分析 4-3-1 不必須関わり時間の内訳

44

4-3-2 不必須関わり時間における会話内容について

47

4-4 考察

51

5. 実験 5-1 実験目的

54

5-2 実験方法 5-2-1 実験概要

55

5-2-2 ビデオカメラの設置

58

5-2-3 ダイニングテーブルの配置変更

59

5-2-4 被験者の共用空間での位置

60

5-2-5 研究基準

61

6. 実験の分析・考察 6-1 動線分析

63

6-2 動線と不必須関わり時間の関係分析

65

6-3 考察

71

6-4 新たな不必須関わり時間の様子

74

7. まとめ 7-1 結論

76

7-2 展望

77

8. おわりに

79

参考文献

80

謝辞

<資料編>

81

4


1 背景

1. 研究背景 1-1 日本の少子高齢化と介護の問題 1-1-1 日本の少子高齢化の現状と予測 1-1-2 高齢化について世界との比較 1-1-3 少子高齢化が生む介護の問題 1-2 介護について 1-2-1 介護の必要な人 1-2-2 要介護認定 1-2-3 日本の要介護者の現状 1-2-4 日本の介護施設の種類 1-3 認知症とグループホーム 1-3-1 認知症とは 1-3-2 認知症の治療法としての作業療法 1-3-3 グループホームの現状 1-4 既往研究 1-4-1 グループホームの共用部分に関する既往研究 1-4-2 本研究の位置づけ 1-4-3 背景のまとめ

4


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

1 章 背景

1-1 日本の少子高齢化と介護の問題 1-1-1 日本の少子高齢化の現状と予測※1

以下、参考文献を

平成25年10月1日現在、日本の総人口は1億2730万人、そのう

※1、※2、※3、、、

ち65歳以上の高齢者の人口は過去最高の3190万人となり、高齢化率

注記を

注1

注1、注2、注3、、、

も25. 1%と過去最高である。

出典図、表、グラフを fig.1、fig2、fig3、 、、

図 1-1 は日本の年齢区分別の将来人口を推計したグラフである。日本の

と表記する。

将来推計人口注2は減少の一途を辿る事がわかる。

※1 「平成 26 年版高齢社会白書 第

また、図 1-2 は日本の高齢化の推移と将来を推計したグラフである。総

1 章 高齢化の状況」『内閣府』

人口が減少の一途を辿るに従って、高齢化率は上昇すると推計される。こ

http://www8.cao.go.jp/kourei/ whitepaper/w-2014/zenbun/

のグラフから、2060年には国民の2.5人に1人が65歳以上という

s1_1_1.html

人口分布になると推計される。

(2014/10/28 閲覧 )

注1 総人口に占める65歳以上の割 合

注2 「将来推計人口とは、全国の将 来の出生、死亡及び国際人口移 動について仮定を設け、これら に基づいて我が国の将来の人口 規模並びに年齢構成等の人口構 造の推移について推計したもの である。 」 ( 平 成 26 年 版 高 齢 社 会 白 書「 第 1 章 高 齢 化 の 状 況 」 http://www8.cao.go.jp/kourei/

図 1-1 年齢区分別将来人口推計 fig. 1

whitepaper/w-2014/zenbun/ s1_1_1.html)(2014/10/28 閲 覧) fig.1 平成 26 年版高齢社会白書「第 1 章 高齢化の状況」 http://www8.cao.go.jp/kourei/ whitepaper/w-2014/zenbun/ s1_1_1.html (2014/10/28 閲覧 )

図 1-2 高齢化の推移と将来推計 fig.1 Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

一方で、出生数は減少を続け、2060年には48万人になると推計さ れる。この出生数の減少は生産年齢人口(16〜64歳)に影響を与え、 2060年には4418万人になると推計される。 図 1-3 は日本の高齢世代人口の比率を表したグラフである。65歳以 上の高齢者人口と生産年齢人口の比率を見てみると、1950年には1 人の高齢者に対して12.1人の現役世代(15〜64歳の人間)がいた のに対して、2015年には高齢者1人に対して2.3人となっている。 2060年には、高齢化率は上昇を続け、生産年齢人口は減少し、高齢者 1人に対して1.3人の現役世代という比率になる。

図 1-3 高齢世代人口の比率 fig. 1

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-1-2 高齢化について世界との比較※ 2

日本の高齢化率は世界1位である。図 1-4 は世界の高齢化率の推移を表

※2 「平成 26 年版高齢社会白書 第

したグラフである。2010年の時点で他国と比較して高齢化率は世界1

5 章 高齢化の国際的動向」 『内 閣府』

位であり、2060年までの推計値を見ると、それ以降常に世界1位であ

http://www8.cao.go.jp/kourei/

り続ける推計である。

whitepaper/w-2014/zenbun/ s1_1_5.html

また、高齢化の速度を比較してみても、日本は世界に例にみない速度で

(2014/10/28 閲覧 )

進行している。表 1-1 は高齢化社会注3から高齢社会注4に至るまでの期間 を比較したものである。日本に次ぐ速度で高齢社会に至ったドイツに関し

注3

ても42年を要しており、日本の24年という特殊性が伺える。

人口の7%が65歳以上の社 会。

つまり、 日本の高齢化問題は世界に前例のない特殊は者である。従って、 注4

高齢化から生じる問題に関して、他国の対応を参考に問題に対処する事は

人口の14%が65歳以上の社

不可能である。日本は世界を先導して高齢化問題の対応策を考える必要が

会。

ある。 fig.2 「平成 26 年版高齢社会白書 5 高齢化の国際的動向」 http://www8.cao.go.jp/kourei/ whitepaper/w-2014/zenbun/ s1_1_5.html (2014/10/28 閲覧 ) fig.3 「健康長寿ネット 世界一の高齢化社会」 http://www.tyojyu.or.jp/ hp/page000000900/ hpg000000880.htm (2014/10/28 閲覧 )

図 1-4 世界の高齢化率の推移 fig.2

表 1-1 世界の高齢化速度比較 fig.3

*+ ,

-.*+ ,

+ ,

$&( )"( # ! '

' %'

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-1-3 少子高齢化が生む介護の問題

図 1-5 は65歳以上の高齢者の内日常生活にある者率注5を年齢、性別

注5 「人口 1,000 人当たりの『現在、 健康上の問題で、日常生活動作、

ごとに表したグラフである。65歳以上の高齢者のうち日常生活に影響の

外出、仕事、家事、学業、運動

ある者率は209.0であり、高齢者の約5人に1人が健康上の問題で日

等に影響のある者(入院者を除

常生活に影響をもっていることがわかる。

く) 』の数」 ( 「平成 26 年版高齢社会白書 3 高齢者の健康・福祉」

日常生活に影響がある高齢者は何かしらのサポートが必要である。

http://www8.cao.go.jp/kourei/

2060年には国民の2.5人に1人が65歳以上なると推計される事を

whitepaper/w-2014/zenbun/

考えると、高齢者のサポートを個人で全てまかなうとは困難である。つま

s1_2_3.html)

り、介護サービスを利用する必要があり、将来的には介護サービスの需要

(2014/10/28 閲覧 )

も多くなるという事が推測できる。

fig.3 「平成 26 年版高齢社会白書 3 高齢者の健康・福祉」 (http://www8.cao.go.jp/kourei/ whitepaper/w-2014/zenbun/ s1_2_3.html) (2014/10/28 閲覧 )

図 1-5 65歳以上の高齢者の日常生活に影響のある者率※9

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1 章 背景

1-2 介護について 1-2-1 介護の必要な人

日常生活を1人で行う事が困難である介護の必要な人とは、要介護者や 要支援者の事である。介護保険法によると、要介護状態、要介護者とは以 下のように定義されている。 「要介護状態」の定義(法第 7 条第 1 項) 身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生 活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定め る期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、 その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態 ) 区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。 をいう。 ※厚生労働省令で定める期間:原則 6 ヵ月

・ 「要介護者」の定義(法第 7 条第 3 項) (1) 要介護状態にある 65 歳以上の者 (2) 要介護状態にある 40 歳以上 65 歳未満の者であって、その要介護状 態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変 化に起因する疾病であって政令で定めるもの(特定疾病)によって生じ たもの ※政令で定めるもの(特定疾病) :施行令第 2 条

・ 「要支援状態」の定義(法第 7 条第 2 項) 身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常 生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で 定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化 の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神 上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常 生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程 度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに 該当するものをいう。 ※厚生労働省令で定める期間:原則 6 ヵ月

・ 「要支援者」の定義(法第 7 条第 4 項) (1) 要支援状態にある 65 歳以上の者 (2) 要支援状態にある 40 歳以上 65 歳未満の者であって、その要支援状 態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾病によって生じたもの ※政令で定めるもの(特定疾病) :施行令第 2 条

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-2-2 要介護認定

高齢者は要介護状態や要支援状態にあるかどうか、要介護状態にあると

※3 「参考 (3) 介護保険制度におけ

すればどの程度か、市町村に設置される介護認定審査会による要介護認定

る要介護認定の仕組み」『厚生

によって判定を行う。

労働省』 http://www.mhlw.go.jp/topics/ kaigo/kentou/15kourei/

要介護認定の流れは、介護保険制度における要介護認定の仕組み※ 3 に

sankou3.html

よると以下のようである。

(2014/10/28 閲覧 )

fig.4 「参考 (3) 介護保険制度におけ る要介護認定の仕組み」 http://www.mhlw.go.jp/topics/ kaigo/kentou/15kourei/ sankou3.html (2014/10/28 閲覧 )

注6 「 『介護の手間』を表す『ものさ し』としての時間である」 ( 要介護認定について http://www.pref.kanagawa.jp/

図 1-6 要介護認定の流れ fig.4

cnt/f12647/) (2014/10/28 閲覧 )

注7

図 1-6 のように、申請を行い、心身に対する調査と主治医意見書に基づ

「要介護認定の審査を行う、市 町村に設置された機関。保健・

いて、1次判定として要介護認定基準時間注 6 をコンピュータによって推

医療・福祉の専門家で構成され、

計し、2次判定として介護認定審査会注7による審査が行われるという流

介護保険の被保険者の心身の状

れになっている。

況を調査し、かかりつけ医の意 見に基づいて審査判定する。」 ( 「 デ ジ タ ル 大 辞 泉 」https:// kotobank.jp/word/ 介 護 認 定 審 査会 -457324) (2014/10/28 閲覧 )

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

1 章 背景

また、要介護状態の分類に関しては介護保険制度における要介護認定の 仕組み※ 3 によると以下のようである。

図 1-6 要介護状態の分類方法 fig.4 要介護状態の分類は要介護認定等基準時間の必要時間によって分類され ている。介護の度合いと時間というものが深く関係している。つまり、介 護が必要な人の行動について考える上で , 時間が重要であると推測できる。

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-2-3 日本の要介護者の現状

注8

図 1-7 は日本における第1号被保険者注8(65歳以上)の要介護認定

国民年金加入者の内「20 歳以

者の推移である。介護保険制度における要介護または要支援者と認定され

上 60 歳未満の自営業者・農業 者とその家族、学生、無職の人

た人は平成24年度末で561.1万人となっており、年々増加の傾向が

等、第 2 号被保険者、第 3 号被

ある。 高齢化社会が進む日本おいて今後も増加の一途を辿ると推測できる。

保険者でない者」のこと。 ( 「年金用語集」 、http://www. nenkin.go.jp/n/www/yougo/ detail.jsp?id=152) (2014/10/28 閲覧 ) fig.5 「平成 26 年版高齢社会白書 3 高齢者の健康・福祉」 (http://www8.cao.go.jp/kourei/ whitepaper/w-2014/zenbun/ s1_2_3.html) (2014/10/28 閲覧 )

図 1-7 第1号被保険者(65歳以上)の要介護度判別認定者の推移 fig.5

また、 要介護者の介護が必要になった原因に関しては以下の通りである。 図 1-8 は要介護者等の性別にみた介護が必要になった主な原因についての グラフである。脳血管疾患が21%と最も多く、次いで認知症15.3%、 関節疾患10.9%となっている。本論では要介護者の中でも認知症を原 因として介護が必要になった人について考える。

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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fig.6 「参考 (3) 介護保険制度におけ る要介護認定の仕組み」

1 章 背景

また、 要介護者の介護が必要になった原因に関しては以下の通りである。 図 1-8 は要介護者等の性別にみた介護が必要になった主な原因についての

http://www.mhlw.go.jp/topics/

グラフである。脳血管疾患が21%と最も多く、次いで認知症15.3%、

kaigo/kentou/15kourei/

関節疾患10.9%となっている。本論では要介護者の中でも認知症を原

sankou3.html

因として介護が必要になった人について考える。

(2014/10/28 閲覧 )

図 1-8 要介護者等の性別にみた介護が必要になった主な原因 fig.6

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-2-4 日本の介護施設の種類

fig.7 「介護施設の種類と特徴」 (http://www.kaigo-web.info/

日本には複数の種類の介護施設が存在する。介護施設にはそれぞれ、入 居者の条件や入居者が受ける事のできるサービスなどに違いを持ってい

kouza/hiroshima/no1/)

る。以下に日本における介護施設をまとめたものを示す。

(2014/10/28 閲覧 )

老人施設名

表 1-2 日本の介護施設 fig.7 サービス ・ 特徴

入居者 (利用) 条件

有料老人ホーム 日常生活のサービスを行う。 終身介 比較的健康な方。 夫婦で入居する場合 護を目指す施設もあり内容は様々。 はどちらか一方が一定の年齢に達してい 入居については、 経営者側と入居希 れば入居を認める場合がほとんど。 望者との自由な契約による。 軽費老人ホーム 日常生活上必要なサービスを行う。 住宅での生活が困難な 60 才以上の方。 A型

食事は給食。 また、 入所者が直接 ただし夫婦の場合はどちらかが 60 才以 契約して入所を

上であればよい

決めることができる。 軽費老人ホーム 日常生活上必要なサービスを行う。 住宅での生活が困難な 60 才以上の方。 B型

食事は自炊。 また、 入所者が直接 ただし夫婦の場合はどちらかが 60 才以 契約して入所を決めることができる

上であればよい

養護老人ホーム 日常生活上必要なサービスを長期的 65 才以上で経済的な理由、 または身体、 に提供する施設。 医療面のサービス 精神、 環境上の何らかの理由により在宅 と福祉面のサービスを併せて提供で にて介護が受けられない方を対象 きる。 介護老人福祉施 日常生活上必要なサービスを行う。 要介護と認定された高齢者で、 65 才以 設 (特別養護老 「福祉型」 の施設のため常に医師の 上 ・ 身体 ・ 精神上の著しい障害があり在 人ホーム)

手当てを必要とする方は入所できな 宅にて介護が受けられない方を対象 い。

グループホーム 介護が必要な認知症のお年寄り5~ 要介護者であって認知症のある方のうち (認知症高齢者 9人程度がスタッフと家庭的な雰囲

少人数による共同生活を営むことに支障

グループホーム) 気の中で共同生活を行うことで残存 がない方 能力を引き出し痴呆症の緩和を促す ことを目的とした介護サービス ケアハウス (軽 食事付きの高齢者向けマンション。 60歳以上の方 (夫婦の場合はどちらか 費老人ホーム C 全室個室で食事 ・ 入浴 ・ 緊急時の が60歳以上) で自炊が出来ない程度の 型)

対応を行い生活上の困り事などは担 身体機能の低下が認められた方、 又は 当の職員が相談に応じる。 寝たきり 高齢のため独立して生活するには不安が になると退去

ある方が利用できる。

介護老人保健施 一定期間 (約 3 ヶ月) をめどに入所 要介護と認定された高齢者で、 病状がほ 設

させ身体、 日常生活動作をリハビリ、ぼ安定期にあり高度な医学的治療は必 訓練させ在宅に復帰させる施設

要としないが家庭で自立して生活 するには不安や問題をかかえているとい う方

入居者の条件として認知症がある施設はグループホームのみである。本 研究では認知症対応型グループホームについて扱う。

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-3 認知症とグループホーム 1-3-1 認知症とは※ 4

※4 「みんなのメンタルヘルス 認 知症」 『 厚 生 労 働 省 』http://

認知症とは「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減 退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」※ 4 のことである。

www.mhlw.go.jp/kokoro/

多くの認知症性疾患の原因は不明であり、研究の最中である。

speciality/detail_recog.html

どの認知症にも共通する症状としては、中心的な記憶などの認知機能障

(2014/10/28 閲覧 )

害と、行動・精神症状に大別される。前者には記憶障害注9が基本となる。

注9 「新しい情報を学習したり、以

それに加え、失語、失行、失認、実行機能の障害も重要となる。以下に、 それぞれの症状について具体的に記す。

前に学習した情報を思い出した りする能力の障害」(「厚生労働 省 みんなのメンタルヘルス認 知症」 )

・記憶面 記憶力の中でも特に記名力障害、言い換えると「さっきの事が思い出せ ない」ということが目立つ。例えば、「夫婦で会話中に電話が鳴ったので、 奥さんがそれに対応して数分後に再び席についた。そこで先刻の話題に戻 ろうとしても、ご主人はその内容を思い出せなかった。 」というような例 が典型である。また、すでに冷蔵庫にたくさん入っている食品を繰り返し て買うような記憶障害の現れ方も少なくない。 ・失語、失行、失認 失語とは言葉の理解ができない事、しゃべりたい言葉がしゃべれない事 である。 失行とは、運動機能に関する障害はないのに、意味のある動作が行えな い事である。例えば、 「くわえたタバコにライターの火をつける事ができ ない」事などである。 失認とは、感覚に関した機能は損なわれていないのにも関わらず、対象 を正しく認知・認識できないことである。例えば、方向感覚の悪さや、「何 度もいった事ある場所にいくのに道に迷う」事である。 ・実行機能障害 計画をしてその準備を行い、それを首尾よくこなしていく能力である。 言い換えると、 「段取り能力」の事である。この障害の典型例としては、 「料 理のレパートリーが減り、限られたメニューを繰り返し作る傾向がみられ る。 」などがある。 ・認知症の精神症状・行動異常 多くの認知症患者は、記憶などの認知機能の障害ではなく、この問題で 病院の診察にかかる。例えば、暴言・暴力、徘徊・行方不明、妄想などが あげられる。

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-3-2 認知症の治療法としての作業療法

認知症は一度発症してしまうと治らない病気である。しかし、認知症の

※5 「作業療法とは」 『一般社団法人 日本作業療法士協会』 http://www.jaot.or.jp/ryohoshi.

予防や進行を遅らせる事は可能である。その中の一つに作業療法というも のがある。

html (2014/10/28 閲覧 )

作業療法とは「身体又は精神に障害がある者、またはそれが予測される 者に対し、その主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復、維持及び

fig.7

開発を促す作業活動を用いて、治療、指導及び援助を行うこと」※ 5 のこ

作業療法ガイドライン簡易版

とである。

(2012年度版) h t t p : / / w w w. j a o t . o r . j p / w p content/uploads/2010/08/

表 1-3 は作業活動の具体的な内容についてまとめたものである。様々な

OTguideline-simpleVer.-2012.

行動が作業活動となっていることがわかる。つまり、認知症の患者にとっ

pdf

ては他人と何かしら関わる事が、予防や認知症のの進行を遅らせることに

(2014/10/28 閲覧 )

役立つという事がわかる。

表 1-3 作業活動の具体例 fig.7

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

1 章 背景

1-3-3 グループホームの現状

認知症の患者は、健常者に比べて行動や精神状態に関して異常を持って

※6 「平成14年日本建築行政会議 部会検討結果報告」『宮城県』

いる事がわかっている。また、作業療法の観点から、他人との関わりを持

http://www.pref.miyag i.jp/

つ事が認知症の進行を予防することに関係している事がわかっている。そ

uploaded/attachment/45897.

のような、健常者とは異なる特徴の認知症患者が集団で暮らすグループ

pdf

ホームは建築の観点からどのように扱われているのだろうか。

(2014/10/28 閲覧 )

グループホームは建築基準法上の取り扱いは寄宿舎として取り扱う事が ※ fig.8 「横浜市 健康福祉局 認知症 対応型共同生活介護 指定基準

適切とされている。※ 6 また、設備基準に関しては表 1-4 に記された通り である。認知症という特殊な状態の人の為の住居であるのに関わらず、グ

概要」

ループホームの特徴としては居室の最低面積が決まっている事と、居間と

http://www.city.yokohama.

食堂が同一の場所にある事しか具体的な決まりは無い。

lg.jp/kenko/kourei/jigyousya/ shinsei/shitei/gh/kijun-gaiyough.pdf

認知症の患者の症状の進行を予防することに有用なグループホームの空

(2014/10/28 閲覧 )

間のあり方を考え、グループホームの設備基準を再考するきっかけになる ような提案が必要である。特に、居間や食堂などの他人との関わりを持つ 事が多いと推測される場所に関する基準に対する提案は重要である。

表 1-4 グループホームの設備基準 fig.8

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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1 章 背景

1-4 既往研究 1-4-1 グループホームの共用部分に関する既往研究

※7

本研究はグループホームにおける共用空間に関する研究である。以下に

石井敏、外山義、長澤泰「グルー

グループホームにおける共用部分の既往研究について記す。

プホームにおける生活構成と空 間利用の特性:痴呆性老人の環 境構築に関する研究」『日本建

■グループホームにおける生活構成と空間利用の特性 : 痴呆性老人の環境

築学会計画系論文集』 、第 502

構築に関する研究(石井敏、外山義、長澤泰)※ 7

号、1997 年、pp.103-110 ※8

平面形態、運営形態等に特色のあるグループホームを対象として、主に

薛韜、熊澤貴之「認知症グルー

その空間の利用のされ方、そこでの人間関係の形成の実態等を把握するこ

プホー厶の 共用空間における

とで今後のグループホームの計画にあたっての基礎的な指針を得る事を目

環境と入居者の行動」『学術講 演梗概集』 、2011 年 , pp.359-

的としている研究である。

360,

この研究では以下の4つの事を明らかにしている。入居者の日常生活の 構成には運営方針・理念が直接的な影響を及ぼしていること。入居者の痴

※9 米内千織、厳爽「認知症高齢者

呆・自立度の程度が入居者の活動に影響を与えていること。居室の配置、

グループホームの空間構成に

共用空間の形態、そこにおける家具等のセッティングが入居者の生活行動

関する研究 ( その 1)」 『日本建

に影響を与えること。居室での個人的な生活領域の確保・生活の安定が、

築学会計画系論文集』第 73 巻、 2008 年、pp.271-278

相対的に他者との社会的な交流を求める行動につながっていることも考え られること。 ■認知症グループホー厶の 共用空間における環境と入居者の行動(薛韜、 熊澤貴之)※ 8 認知症グループホームの共用空間に着目し、行動観察を通して行動パ ターンを抽出し、入居者の過ごし方の特性と空間との関係を明らかにする ことを目的とした研究である。共用空間に入居者の行動に動きを与える要 素を見い出し、共用空間・居室と外部空間との連続性、居場所の多様性、 人との触れ合いをしやすい環境、地域をつなぐコミュニケーションの場が 重要であることを示唆している。 ■認知症高齢者グループホームの空間構成に関する研究 ( その 1)(米内千 織、厳爽)※ 9 宮城県内のグループホームの空間構成の現状把握と、全国規模の調査を 行うための足がかりとすることを目的とした研究である。宮城県内のグ ループホームにおいて、入居者の最も滞在する場所はリビングダイニング 空間に限定されており、滞在空間の選択肢の少なさを明らかにしている。

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18


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

1 章 背景

1-4-2 本研究の位置づけ

既往研究は全て現状の把握でとどまっており、グループホームに対して 具体的な提案に至っていない。本研究はグループホームの現状を把握する だけでなく、他人との関わりの量を数量化し検討を行い、グループホーム に対して運営方針、共用空間の空間構成に対して具体的な提案をする。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

1 章 背景

1-4-3 背景のまとめ

少子高齢化が進む日本において、高齢者の介護について考えることは重 要である。高齢者の介護施設には様々な形態の施設が存在するが、本研究 では認知症という特殊な行動・精神状態の高齢者が集団で住む認知症グ ループホームについて考える。 認知症グループホームにおいて、他人との関わりを持つことが作業療法 の観点からも認知症に対して有用であるのに関わらず、他人との関わりが 多いと考えられる共用空間に関する具体的な提案がなされていない現状が ある。豊かな人間関係を目標の一つとするグループホームの実情を知り、 認知患者にとってより良い空間の提案の必要がある。

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20


2 研究概要

2. 研究概要 2-1 研究目的 2-2 用語の定義 2-3 研究フロー

21


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2 章 研究概要

2-1 研究目的

認知症グループホームの共用空間、特にダイニングテーブルを中心とし た部分において、健常者と異なる空間認知と行動を示す認知症患者にとっ て、作業療法の効果が最も発揮される空間的特徴を検証し、グループホー ムの空間構成の指針を示すことを目的とする。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

2 章 研究概要

2-2 用語の定義

本論文で使われる用語を以下に定義する。 ○要介護者 調査対象のグループホームに入居している認知症の患者を指す。 ○介護者 調査対象のグループホームで働いている職員を指す。 ○関わり時間 共用空間における会話など、他人と行動を共にする時間。 ○必須関わり時間 関わり時間の内、治療や食事補助など要介護認定等基準時間に含まれる 時間にレクリエーションの時間を加えた時間。 ○不必須関わり時間 関わり時間の内、介護に必ずしも必須ではない要介護認定等基準時間に 含まれない時間。 ○滞在時間 要介護者がダイニングテーブルの固有の席に座っている時間を指す。

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23


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2 章 研究概要

2-3 研究フロー

基礎研究 日本の少子高齢化の現状 介護について 認知症とグループホームについて 既往研究

調査 調査対象のグループホームの要介護者の行動をビデオカメ ラによって撮影。

分析・考察 撮影した映像をもとに、 ・不必須関わり時間と滞在時間の関係、認知度による不必須 関わり時間への影響を分析・考察 ・会話についての考察

実験 ダイニングのテーブルの配置を変更して、要介護者の行動 をビデオカメラによって撮影。

分析・考察 撮影した映像をもとに、ダイニングテーブルの配置の変更 の影響を分析・考察する。

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24


3 調査

3. 調査 3-1 調査目的 3-2 調査方法 3-2-1 調査概要 3-2-2 ビデオカメラの設置 3-2-3 被験者の共用空間での位置 3-2-4 調査基準 3-2-5 調査結果

25


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

3 章 調査

3-1 調査目的

グループホームにおける不必須関わり時間と滞在時間の関係、認知度に よる不必須関わり時間への影響を知る事を目的とする。

以下に、その目的の理由を記す。 作業療法の効果は関わり時間に比例してその効果を発揮する。必須関わ り時間は、要介護認定等基準時間の性質上、患者の介護度の度合いによっ て変化することが明らかである。よって、不必須関わり時間に影響を与え る要素について知る事が重要である。作業療法がより効果的に行われ、認 知症の患者にとってよりよい空間となる条件を明らかにする。 不必須関わり時間は、他人が存在する共用空間における滞在時間の長さ に影響を受けると仮定できる。また、介護度の度合いが必須関わり時間だ けでなく、不必須関わり時間にも影響を与えると仮定できる。それら2つ の仮説を明らかにする。

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3 章 調査

3-2 調査方法 3-2-1 調査概要

■場所:愛媛県東温市の認知症グループホーム 共用空間のダイニングテーブル 事前の介護者への聞き取り調査によって、共用空間では 要介護者のほとんどがダイニングテーブルで時間を過ご す事がわかった。よって、今回の調査場所は共用空間の ダイニングテーブルを対象とする。 ■日時:2014年9月27日 11時30分〜17時30分 2014年10月4日 11時30分〜17時30分 ■被験者:対象のグループホームに入居している認知症患者9名(表 3-1) 共用空間での調査のため、寝たきりの被験者 H、I は調査の対象 から外す。 ■調査方法:ビデオカメラによる観察

表 3-1 被験者一覧

被験者 年齢 性別 介護度 備考 A B C D E F G H I

88 男 95 女 89 女 97 女 84 男 91 男 89 女 89 女 93 女

3 2 2 2 2 4 5 4 寝たきり 5 寝たきり

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

3 章 調査

■調査場所の平面図

浴室 脱衣所

キッチン

個室

個室

個室

個室

個室

個室

トイレ

共用空間

職員部屋

個室 玄関 個室 トイレ

個室

図 3-1 調査施設平面図

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fig.9

3 章 調査

■撮影器具:SONY 製 HDR-AS30V(図 3-2)

「SONY デジタル HD ビデオカメ ラレコーダー アクションカム」 http://www.sony.jp/actioncam/ products/HDR-AS30V/ (2014/10/30)

図 3-2 HDR-AS30Vfig.9

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3 章 調査

3-2-2 ビデオカメラの設置

共用空間のダイニングテーブルの全体が把握できる位置にビデオカメラ を設置し観察する。ビデオカメラの位置は9月27日は A 点、1 0月4日 は B 点である。

A

B

図 3-3 ビデオカメラの設置場所

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30


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3 章 調査

3-2-3 被験者の共用空間での位置

事前の介護者への聞き取り調査によって被験者である要介護者は共用空 間のダイニングテーブルにおいて各々の固有の席を持っている事がわかっ た。認知症を患う要介護者はその固有の席に対して固執する傾向がある。 以下に、要介護者それぞれの固有の席を示す。

D

G

C

F

B

E

A 図 3-4 要介護者の固有の席

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31


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3 章 調査

3-2-4 調査基準

グループホームにおける不必須関わり時間と滞在時間の関係、認知度に よる不必須関わり時間への影響を把握する為に、以下をデータとして収集 した。 ①要介護者の滞在時間 ②要介護者の不必須関わり時間・回数 ③要介護者の不必須関わり時間が生じるの様子

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32


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3 章 調査

3-2-5 調査結果

被験者の介護度、滞在時間、不必要関わり時間に関する調査結果を以下 にまとめる。具体的な内容に関しては資料編1、2を参照。 9月27日に関しては、被験者 H が他の病院に入院していたため観察 できなかった。 被験者の名前は以降9月27日の結果の被験者を「 (被験者名)1」 、 10月4日の結果の被験者を「(被験者名)2」と記述する。

表 3-1 9 月27日の結果

被験者 介護度 滞在時間 (秒)不必須関わり時間 (秒) A1

3

6681

262

B1

2

8190

201

C1

2

12616

365

D1

2

14874

518

E1

2

8723

372

G1

5

14505

374

表 3-2 10月4日の結果

被験者 介護度 滞在時間 (秒)不必須関わり時間 (秒) A2

3

4964

29

B2

2

3268

268

C2

2

17457

31

D2

2

8996

367

E2

2

9553

318

F2

4

5679

180

G2

5

18576

34

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33


4 調査の分析・考察

4. 調査の分析・考察 4-1 要介護者の滞在時間と不必須関わり時間の関係について分析 4-2 不必須関わり時間と介護度の関係について分析 4-3 不必須関わり時間について分析 4-3-1 不必須関わり時間の内訳 4-3-2 不必須関わり時間における会話内容について 4-4 考察

34


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

4-1 要介護者の滞在時間と不必須関わり時間の関係について分析

要介護者の滞在時間と不必須関わり時間の関係について分析する。分析 において、介護度の影響を排除する為に介護度2の被験者についてのみ分 析を行う。 (表 4-1) 表 4-1 介護度2の被験者

被験者 介護度 滞在時間 (秒)不必須関わり時間 (秒) B1

2

8190

201

C1

2

12616

365

D1

2

14874

518

E1

2

8723

372

B2

2

3268

268

C2

2

17457

31

D2

2

8996

367

E2

2

9553

318

まず、滞在時間と不必須関わり時間に関して相関があるか判別するため に散布図を描く。

図 4-1 不必須関わり時間 - 滞在時間 散布図

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

※ 10

次に、滞在時間と不必須関わり時間の間の相関の判別を行う。

上田太一郎、 「相関があるかを

相関係数 (r) を求める。(excel の関数 CORREL を用いる。)

みるける簡便」 、『オペレーショ ン ズ・ リ サ ー チ 』 、 第 42 巻、 1997 年 ,pp493-496

! = −0.127234954

相関の判別には、上田太一郎の提案する簡便法※ 10 を使用する。

!! >

4

( + 2)

(式 4-1)

式 4-1 が成り立つ時に、相関があると判定できる。 今回の条件を代入すると、以下のようになる。

r ! = 0.016188733 4 = 0.4! 8+2

0.016188733 < 0.4

以上より、滞在時間と不必須関わり時間の間の相関はないと考える事が できる。しかし、散布図を見てみると1つ外れ値を確認する事ができる。

図 4-2 不必須関わり時間 - 滞在時間 散布図 外れ値

次項より Thompson の棄却検定法を用いて、外れ値としての妥当性の 検定を行う。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

fig.9

■ Thompson の棄却検定法

W.R. Thompson, Annals

表 4-1 の不必須関わり時間に関して被験者 C2 の値を棄却して良いのか

of Mathematical Statistics, 6(1935), 214 − 219.

検定する。 下記の式によって t- 検定を実施する。

!=

τ !−2

!−1−

τ

x = 2440 x = 305

!

(x − x) = 144732

!

∴ ! = 305 − 31 = 274

!" =

14473 = 134.5046468 8

これらの計数を t の式に代入すると 274

∴τ=

= 2.037104342 134.5046468 2.037104342 8 − 2 ! !!! = 8 − 1 − 2.037104342! ∴ !! = 2.616243609

計算値 2.616 を表 4-2 の自由度 6 の 2.051 と比較する。計算値 2.616 は 2.051 より大きいことから 1% 水準で有意となり、検査値 31 の個体で ある被験者 C2 は棄却しても良い。 表 4-2 トンプソンの棄却限界値 fig.9

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4 章 調査の分析・考察

以上より、外れ値を棄却した介護度2の被験者において、要介護者の滞 在時間と不必須関わり時間の関係について分析する。(表 4-3)

表 4-3 外れ値を棄却した介護度2の被験者

被験者 介護度 滞在時間 (秒)不必須関わり時間 (秒) B1

2

8190

201

C1

2

12616

365

D1

2

14874

518

E1

2

8723

372

B2

2

3268

268

D2

2

8996

367

E2

2

9553

318

まずは、散布図を描く。

図 4-1 外れ値を除外した不必須関わり時間 - 滞在時間 散布図

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

次に、滞在時間と不必須関わり時間の間の相関の判別を行う。 相関係数 (r) を求める。(excel の関数 CORREL を用いる。)

! = 0.749263622

式 4-1 に今回の条件を代入する。

r ! = 0.561395976

4 = 0.444444444! 7+2

0.561395976 > 0.444444444 以上より、要介護者の滞在時間と不必須関わり時間は相関があると言え る。次に、次項より要介護者の滞在時間と不必須関わり時間に関して回帰 分析を行う。

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39


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

■回帰分析 表 4-3 の要介護者の滞在時間と不必須関わり時間に関して相関があると 言えるので、滞在時間と不必須関わり時間に関して回帰分析を行う。ここ では滞在時間が 0 の時に不必須関わり時間が発生することを無くす為に、 切片 =0 の回帰分析を行う。回帰分析の結果は以下の通りである。

表 4-4 回帰分析の結果 (

!& *,A 20;96:73

( ,A4 $ ,A4 ' %

20;72556 209:5889 :7095638 9

# " & )

% CED ,> 3 :65:8:0; :65:8:0; 3360:288;9: 20222345 8 66324029 95720568 9 ::9;93 '

B,

2 -?1< -?1< 20256784 20225448 3209369;

@/ +,;7. +,;7. +,;702. +,;702. -?1< -?1< -?1< -?1< -?1< 50;2424=/27 2024888; 20264677 2024888; 20264677

R2=0.95 と 0.9 以上の数値を示しており、この回帰式の当てはまりは非 常に良いと言える。P 値に関しても 0.01 未満なので帰無仮説を棄却し、 1%有意で説明力がある。 得られた回帰式は以下の通りである。

= 0.03456×

(式 4-2)

上記の式より、不必須関わり時間は滞在時間に比例して大きくなること がわかる。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

4-2 不必須関わり時間と介護度の関係分析

要介護者の不必須関わり時間と介護度の間に関係があるか分散分析を行 い判別する。章 4-1 で外れ値となった被験者 C2 を除いた被験者について 扱う。 まず、不必要関わり時間を滞在時間で割り、滞在時間1秒あたりの不必 須関わり時間を導き、その値を用いて介護度と分散分析を行う。 表 4-5 不必要関わり時間を滞在時間で割った表

% & $# % & $#

"

!

"

分散分析を行った結果を以下記す。 表 4-5 分散分析結果 %

* #!%+*#&* #!#'$##(

#!###&))'$

& ' (

% #!#'(#(+ #!#%%(%, $ #!#&$),) #!#&$),) % #!#%*)$( #!#$&+#*

#!###(()+,, -/1"# #!###%+)+,(

5786 5786

243 #!##$'#( & #!###')+ $!%&$$&,&'' #!##&#'% + #!###&+

#!##'''*

0 . #!&)#$, '!#))$+$

$$

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4 章 調査の分析・考察

● P 値に関して P 値は 0.36019 と5%の棄却域に比べて大きく、帰無仮説を棄却でき ない。 ● F 値に関して 「F 境界値<観測された分散比」となっているので帰無仮説を棄却でき ない。 以上より、分散分析の結果からは要介護者の不必須関わり時間と介護度 の間に関係はないと考える事ができる。

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42


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

ここで、滞在時間1秒あたりの不必須関わり時間に関する介護度との関 係のグラフを以下に記す。

0.06

不必須関わり時間/滞在時間

0.05

0.04

0.03

0.02

0.01

0

2

3

4

5

認知度

図 4-2 介護度と滞在時間1秒あたりの不必須関わり時間 (平均値±標準誤差)

介護度2、4、3、5という順番で滞在時間1秒あたりの不必須関わり 時間は減少している。(図 4-2) 分散分析において、介護度と不必須関わり時間の関係性が見いだせな かった原因は、介護度3の被験者が2人、介護度4の被験者が1人、介護 度5の被験者が2人と非常に少なかった事が原因と考える事ができる。 しかし、グラフから考えられることとして、介護度が大きくなるにつれ て、不必須関わり時間は減少すると推測できる。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

4-3 不必須関わり時間分析 4-3-1 不必須関わり時間の内訳

不必須関わり時間の内容について分析を行う。 被験者各々の不必須関わり時間の内訳を以下に記す。

6%

4%

会話

94%

会話

移動の促し

図 4-3 被験者 A1 の不必須関わり時間

96%

図 4-4 被験者 B1 の不必須関わり時間

7%

1%

会話

99%

移動の促し

会話

93%

移動の促し

図 4-4 被験者 C1 の不必須関わり時間

移動の促し

図 4-5 被験者 D1 の不必須関わり時間

6%

会話

94%

会話 移動の促し

図 4-6 被験者 E1 の不必須関わり時間

100%

図 4-7 被験者 G1 の不必須関わり時間

6% 21% 会話 会話

100%

図 4-8 被験者 A2 の不必須関わり時間

73%

移動の促し その他

図 4-9 被験者 B2 の不必須関わり時間

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

13%

22% 会話

87%

移動の促し

54%

24%

会話 移動の促し その他

図 4-10 被験者 C2 の不必須関わり時間

図 4-11 被験者 D2 の不必須関わり時間

4% 3% 会話

93%

移動の促し

会話

100%

その他

図 4-12 被験者 E2 の不必須関わり時間

図 4-13 被験者 F2 の不必須関わり時間

26% 会話

74%

移動の促し

図 4-14 被験者 G2 の不必須関わり時間

これらのグラフでの「移動の促し」とは、 「共用空間から別の場所に介 護者が移動を促す際に生じる関わり時間」を意味する。また、 「その他」 には、介護者が要介護者の汗を拭くという行為や、要介護者の落としたも のを介護者が拾うという行為の際に生じる関わり時間などが見受けられ た。 以上の観察された不必須関わり時間は要介護者と介護者の間でのみ観察 され、要介護者同士の間では観察されなかった。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

全体を通して、不必須関わり時間の内訳としては会話が主な内容である 事が考えられる。しかし、被験者 C2 に関しては会話以上に移動の促しが 重要のように感じられる。従って、標準誤差を加味した不必須関わり時間 の平均を記す。

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10

0 会話

移動の促し

その他

図 4-15 不必須関わり時間の平均±標準誤差

図 4-15 の標準誤差を加味したグラフからも、不必須関わり時間の内訳 としては会話が重要な割合を示す。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

4-3-2 不必須関わり時間における会話内容について

不必須関わり時間における会話の内容について分析を行う。 ビデオカメラの撮影によって得られた映像によると、会話は介護者と要 介護者の間でしか発生せず、要介護者同士のみでは発生しないことがわ かった。 要介護者同士は、たとえ席が隣であっても要介護者同士での会話は観察 できなかった。(図 4-16)

図 4-16 席が隣の要介護者同士

要介護者と介護者の間では会話が生じる。(図 4-17)

図 4-17 要介護者と介護者の会話

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

また、要介護者と介護者の間の会話は2つに分類できる。 ⑴近接距離会話 「要介護者と介護者が会話を行う際の距離が、要介護者の手の届く範囲で 発生する会話」と定義する。

図 4-18 近距離会話 ⑵遠距離会話 「要介護者と介護者が会話を行う際の距離が、要介護者の手の届かない範 囲で発生する会話」と定義する。

図 4-19 遠距離会話

Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

48


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

次に、近距離会話、遠距離会話それぞれについて検討する。 近距離会話、遠距離会話の発生頻度について検討すると、 近距離会話 の方が遠距離会話よりも発生頻度は高い。(図 4-18)

17% 近距離会話

83%

遠距離会話

図 4-20 会話発生頻度

次に、それぞれの会話の回数、1回あたりの会話時間をヒストグラムに 示す。 ヒストグラムを作るにあたって階級の個数、幅に関してはスタージェ スの公式を用いる。 60

50

度数

40

30

20

10

0

0-­‐18

19-­‐36

37-­‐54

55-­‐72

73-­‐90

91-­‐108

108-­‐126

127-­‐144

145-­‐162

会話時間(秒)

図 4-21 近距離会話のヒストグラム

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49


認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

注10 本論では 37 秒以上の会話を長 時間の会話と定義する。 18 16 14

度数

12 10 8 6 4 2 0

0-­‐18

19-­‐36

37-­‐54

55-­‐72

73-­‐90

91-­‐108

108-­‐126

127-­‐144

145-­‐162

会話時間(秒)

図 4-22 遠距離会話のヒストグラム

近距離会話においては 37 秒以上の会話が生じるのに対して、遠距離会 話においては36秒以下の短い会話しか生じない。(図 4-19、図 4-20) 以上より、会話に関しては近距離会話が頻度で全体の大半を占めてい る。会話の長さに関しても近距離会話が長時間の会話注10には必要条件で ある。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

4-4 考察

章 4-1 から 4-3 の分析より、6 つの事項が明らかになった。 章 4-1 より、 1. 不必須関わり時間は滞在時間に比例して大きくなる。そして、式 4-2 の通りの関係性のモデル式を導き出せた。

= 0.03456×

(式 4-2)

章 4-2 より、

2. 不必須関わり時間と介護度の相関性は本論では明らかにならなかっ たが、介護度が大きくなるにつれて、不必須関わり時間は減少すると 仮説を立てる事ができる。 章 4-3 より、 3. 不必須関わり時間は要介護者と介護者の間でのみ生じる。 4. 不必須関わり時間の重要な要素は「会話」である。 5. 近距離会話が会話全体の大半を占めている。 6, 近距離会話が長時間の会話には必要条件である。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

4 章 調査の分析・考察

以上より、以下のことが考えられる。 作業療法がより効果的に行われ、認知症の患者にとってよりよい空間と なる条件を明らかにするための研究である本論において、 「不必須関わり 時間は滞在時間に比例して大きくなる」 (1)という結果は重要である。 今現在、グループホームにおける運営規定において、共用空間への滞在時 間に対する規定は明確に定められていない。本論の(1)の結果は共用空 間に要介護者が滞在することの有用性を示しており、今後のグループホー ム運営方針として共用空間の利用の活発化への指針となる。 不必須関わり時間と介護度の関係(2) に関しては、本論で明らかにす ることはできなかったが、被験者の介護度に偏りが生じていたことと、被 験者の数が少なかったことがその理由として挙げられる。しかし、図 4-2 から、必須関わり時間と介護度の間の相関を推測することはできる。よっ て、不必須関わり時間と介護度の関係に関しても今後のグループホームに 関する研究への指針になる可能性はあると考えられる。 会話に関する考察(4、5、6)に関しては、近接会話の重要性を示し ている。近接会話は定義より、手の届く距離でしか生じない。つまり、要 介護者と介護者が手の届く距離で近接する必要がある。この事から、 「グ ループホームの共用空間では、要介護者と介護者が手の届く距離で近接す る機会を増加させることが、近接距離会話の発生の増加につながる。 」と いう仮説を導きだす事ができる。これは、グループホームにおける動線計 画に関係していく事柄であり、この仮説について検討することは有用であ る。

本章の結果・考察を踏まえ章5より、「グループホームの共用空間では、 要介護者と介護者が手の届く距離で近接する機会を増加させることが、近 接距離会話の発生の増加につながる。」について述べていく。

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5 実験

5. 実験 5-1 実験目的 5-2 実験方法 5-2-1 実験概要 5-2-2 ビデオカメラの設置 5-2-3 ダイニングテーブルの配置変更 5-2-4 被験者の共用空間での位置 5-2-5 実験基準

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5 章 実験

5-1 実験目的

グループホームにおける、ダイニングでのテーブルの配置の変化による 介護者の動線への影響、および要介護者の間の不必須関わり時間に与える 影響を明らかにすることを目的とする。 以下に、その目的の理由を述べる。 ダイニングでのテーブルの配置を変化させることによって、介護者の動 線の変化を生じさせる。そして、動線の変化によって生じた変化を観察・ 分析する事によって、章 4-4 で生じた仮説「グループホームの共用空間で は、 要介護者と介護者が手の届く距離で近接する機会を増加させることが、 近接距離会話の発生の増加につながる。 」を検証し、ダイニングにおける テーブルの配置の変化をグループホームにおける動線計画への指針とする 為である。

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5 章 実験

5-2 実験方法 5-2-1 実験概要

場所:愛媛県東温市の認知症グループホーム 共用空間のダイニングテーブル (調査で対象とした施設と同一) 日時:2014年10月18日 11時30分〜17時30分 被験者:対象のグループホームに入居している認知症患者9名(表 5-1) 共用空間での調査のため、寝たきりの被験者 H、I は調査の対象 から外す。 調査方法:ビデオカメラによる観察 表 5-1 被験者一覧

被験者 年齢 性別 介護度 備考 A B C D E F G H I

88 男 95 女 89 女 97 女 84 男 91 男 89 女 89 女 93 女

3 2 2 2 2 4 5 4 寝たきり 5 寝たきり

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5 章 実験

■調査場所の平面図

浴室 脱衣所

キッチン

個室

個室

個室

個室

個室

個室

トイレ

共用空間

職員部屋

個室 玄関 個室 トイレ

個室

図 5-1 調査施設平面図

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fig.9

5 章 実験

■撮影器具:SONY 製 HDR-AS30V(図 3-2)

「SONY デジタル HD ビデオカメ ラレコーダー アクションカム」 http://www.sony.jp/actioncam/ products/HDR-AS30V/ (2014/10/30)

図 5-2 HDR-AS30Vfig.9

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5 章 実験

5-2-2 ビデオカメラの設置

共用空間のダイニングテーブルの全体が把握できる位置にビデオカメ ラを設置し観察する。ビデオカメラの位置は9月27日の調査と同様で A 点である。

A

図 5-3 ビデオカメラの位置

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5 章 実験

5-2-3 ダイニングテーブルの配置変更

本実験ではダイニングテーブルの配置の変更による介護者の動線の変化 への影響、および介護者と要介護者の間の会話に与える影響を明らかにす るものである。したがってダイニングテーブルの配置の変更が必要である。 仮説「グループホームの共用空間では、要介護者と介護者が手の届く距 離で近接する機会を増加させることが、近接距離会話の発生の増加につな がる。」より、要介護者と介護者が手の届く距離で近接する機会を増やす 必要がある。 ダイニングテーブル A とダイニングテーブル B の間に 65 センチの間を とり動線を導入することで、被験者 B、C、E に対する介護者の接近の機 会を増やす。

D

G

D

G

C

F

C

F

B

E

A

65cm B

E

A 図 5-4 ダイニングテーブルの配置の変化

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5 章 実験

5-2-4 被験者の共用空間での位置

調査と同様に、共用空間では被験者は各々の固有の席に位置する。

D

G

C

F

B

E

A 図 5-5 要介護者の位置

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5 章 実験

5-2-5 実験基準

グループホームにおける、ダイニングでのテーブルの配置の変化が介護 者の動線の変化への影響、介護者と要介護者の間の会話に与える影響を把 握する為に、以下をデータとして収集した。 ①新しく生まれた動線の使用頻度 ②要介護者の滞在時間および不必須関わり時間 ③要介護者の不必須関わり時間の様子

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6 実験の考察・分析

6. 実験の分析・考察 6-1 動線の分析 6-2 動線と不必須関わり時間の関係について分析 6-3 考察 6-4 新たな不必須関わり時間の様子

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6 章 実験の分析・考察

6-1 動線の分析

ダイニングテーブルの配置を変化させることによって生じた介護者の動 線の変化について分析する。 本実験では介護者の動線の変化によって生じた要介護者の会話量の変化 について分析することを目的としているため、動線の変化が生じない事に はこの実験の有用性は明らかとならない。以上より、以下に動線の分析を 述べる。

■実験の観察対象の動線 本実験における観察対象の動線は動線①および動線②である。 (図 6-1) 動線①はダイニングテーブルの配置の変化によって生じた隙間を通過する という新たに生まれた動線である。 動線①、 ②ともに場所 A から場所 B への移動に利用する動線である。 (図 6-1)動線①が生じる以前は場所 A から場所 B への移動は動線②を利用し て行われていた。

場所 B

動線② 動線①

場所 A

図 6-1 共用空間での動線①と動線②

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6 章 実験の分析・考察

■動線の利用頻度 動線①、動線②の介護者の利用回数を記す。(表 6-1) 表 6-1 動線の利用回数

テーブルの配置の変化によって生じた動線①は以前使われていた動線② よりも利用されている。動線①が動線として機能していることが把握でき る。 以上より、テーブルの配置の変化によって介護者の動線の変化が確認で きた。このことにより、次項から分析する要介護者の不必須関わり時間の 分析の有用性が明らかとなる。

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6 章 実験の分析・考察

6-2 動線と不必須関わり時間の関係について分析

観察された要介護者の滞在時間および不必須関わり時間は以下の通りで ある。具体的な内容については資料編3を参照。 表 6-2 動線の影響を受けた被験者の不必須関わり時間

# $ "! # $

■介護度2の被験者 介護度2の被験者に関しては(式 4-2)を利用した予測値との比較を行 う。この予測値は調査時の条件で得られた値であり、調査時の条件で今実 験の滞在時間だけ被験者が滞在した場合の予測値を意味している。

表 6-3 介護度2の被験者の予測値との比較

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6 章 実験の分析・考察

■介護度3、4、5の被験者 介護度 2 以外の被験者に関しては滞在時間1秒あたりの不必須関わり 時間を調査時の値と今回の実験で観測された値で比較する。この比較によ り、調査時の条件と今実験の条件で変化した滞在時間1秒あたりの不必須 関わり時間の変化率を求める。 表 6-4 介護度2以外の被験者の調査時の値との比較

■変化率 全ての被験者に関する今実験での変化率をまとめる。

表 6-5 全被験者の変化率

-70.0% D

G -68.4%

-41.3% C

F 168.6%

34.4% B

E 78.0%

3.9%

A

図 6-2 全被験者の変化率

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6 章 実験の分析・考察

以下より、変化が生じた被験者について検討する。 ■被験者 B、C、E、F 被験者 B、C、E、F は動線①に接している。被験者 B、E、F は不必須関 わり時間が増加しているのに対して、被験者 C は減少している。観察さ れた、動線①付近での不必須関わり時間は全て近距離会話である。 ●被験者 C 被験者 C については、テーブルの配置の変更に伴い自分の席に太陽 の光が反射してまぶしさを訴えたため、ほとんど自分の席に位置して いなかった。このため滞在時間が調査時に比較して減少してしまい、 食事中以外はほとんど自分の席に位置しなく、今回は比較の対象から 外す必要がある。 ●被験者 B、E、F 被験者 B、E、F については、全員必須関わり時間が増加している。 しかし、その増加率に関しては個々で差が生じている。 (表 6-5) その 変化の理由を以下に記す。 被験者 B、E、F が滞在時に介護者の動線①利用回数を検討すると、B、 E、F という順序で回数が増加している。(表 6-6)

表 6-6 滞在時に介護者の動線①利用回数と変化率

次項より、滞在時に介護者の動線①利用回数と変化率の相関関係に ついて検討する。

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6 章 実験の分析・考察

■相関関係 滞在時に介護者の動線①利用回数と変化率の相関関係について検討す る。相関の判別に関しては章 4-1 と同様に上田太一郎の提案する簡便法 を使用する。 相関係数 (r) を求めるのには excel の関数 CORREL を用いる。

r 0.945338162

! ! = 0.893664241 4 = 0.8 (3 + 2)

0.855571197 > 0.8

以上より、滞在時に介護者の動線①利用回数と変化率の相関関係はあ る。

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6 章 実験の分析・考察

■回帰分析 次に、相関関係について回帰分析を利用し検討する。動線①を利用した 介護者の回数が 0 の際の変化率を 0 とする為に、切片 =0 の回帰分析を行 う。 表 6-7 回帰分析の結果 !( +

,.B

42=95;=6

+ .B6

42=49=4<

& .B6

42849=4<

)

842=;<8=

'

7

% $

5

767782<9 5:;=267:

6

779<28;7

(

7

79:=7276

"DJ FG *#H

4 627=9689

767782<9

' EIG 5=2699:<:97

)

C.

A1

/@3>

/@3>

/@3>

827<<57

4248<64<696

42989<8:

.? 42586:86

-.=90 -.=90 -.=9240 -.=9240 /@3>

/@3>

/@3>

/@3>

4248::9<

82;87<76

4248::9<

82;87<76

R2=0.906 と 0.9 以上の数値を示しており、この回帰式の当てはまりは非 常に良いと言える。P 値に関しても 0.05 未満なので帰無仮説を棄却し、5% 有意で説明力がある。 得られた回帰式は以下の通りである。

= 2.3952×

(式 6-1)

以上より、介護者の動線①利用回数が増えるにつれ変化率が大きなる。

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6 章 実験の分析・考察

■被験者 D、G 被験者 D、G は両者ともに不必須関わり時間が減少している。これは動 線①が生じる以前は場所 A から場所 B への移動に利用される動線は動線 ②のみだったが、動線①が生じる事によって動線②を利用する介護者が減 少したことに起因すると考えることができる。(表 6-1) 動線②を利用する割合が減る事で、要介護者への介護者の接近が減り、 近接会話が減少したと考えることができる。

以上より、被験者 A においては変化があまり見られなかったが、被験 者 B、D、E、F、G に関しては動線の変化により、不必須関わり時間に大 きな変化が見られた。動線の変化により、要介護者への介護者への接近回 数が変化し、近接会話の発生に影響を与えていた。 よって、仮説「グループホームの共用空間では、要介護者と介護者が手 の届く距離で近接する機会を増やす事で近接距離会話の発生を増やすこと できる」は正しいと言える。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

6 章 実験の分析・考察

6-3 考察

章 6-1、6-2 の分析より、以下のことが明らかとなった。 章 6-1 より、 1. ダイニングでのテーブルの配置の変化により、介護者の動線に変化 が生じた。 章 6-2 より、 2. 被験者が滞在時に介護者の動線①利用回数が増えるにつれ変化率が 大きなる。その関係式は式 6-1 の通りである。

= 2.3952×

(式 6-1)

3. 仮説「グループホームの共用空間では、要介護者と介護者が手の届 く距離で近接する機会を増加させることが、近接距離会話の発生の増 加につながる。」は正しいと証明することができた。

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6 章 実験の分析・考察

分析を図によって示すと以下の通りである。

動線② 減少 -70.0%

-68.4% 168.6%

動線①

増加 34.4%

78.0%

3.9%

図 6-3 分析のまとめ

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6 章 実験の分析・考察

以上より、以下のことが考えられる。 グループホームにおける共用空間の動線について検討する際に重要なの は、要介護者の動線よりも介護者の動線である。理由を以下に述べる。 共用空間での不必須関わり時間の大きな割合を占めるのは近距離会話で ある。近距離会話は介護者の近接する機会に影響を受ける。(2,3) 故に、 介護者の近接する機会を検討する介護者の動線計画は重要である。 つまり、グループホームの共用空間の動線を検討する際は介護者の動線 が如何に要介護者に接近するかを検討する事が重要である。接近する事で、 近距離会話が増え、不必須関わり時間が増加する。そして、不必須関わり 時間の増加は関わり時間全体の増加となり、作業療法の観点から、認知症 患者にとって認知症の進行を予防することに役に立つ。グループホームの 共用空間では要介護者に介護者が接近する空間が多いほど作業療法の効果 が発揮されるのである。 認知症患者のための良い共用空間を検討するには以上の事から、介護者 の動線を検討する事が重要である。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

6 章 実験の分析・考察

6-4 新たな不必須関わり時間の様子

ビデオカメラの映像の観察を続けるにあたり、今までは見受けられな かった新しい不必須関わり時間の行動も見受けられた。被験者 F と介護者 が近接会話を行っているところに、被験者 B が席をたって移動して自発 的に会話に参加したという事例である。(図 6-2) テーブルが存在した場所に隙間が生じ、今までは距離があったため近接 会話に参加できなかった場所に近距離会話の機会が生じた。 要介護者にとって、近距離会話は重要な不必須関わり時間であり、今回 の事例のように自発的な近距離会話を生み出す隙間は今後重要な研究課題 になると考える事ができる。

図 6-4 被験者 B の新しい行動 Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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7 まとめ

7. まとめ 7-1 結論 7-2 展望

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

7 章 まとめ

7-1 結論

本研究は認知症グループホームの共用空間、特にダイニングテーブルを 中心とした部分において、健常者と異なる空間認知と行動を示す認知症患 者にとって、 作業療法の効果が最も発揮される空間的特徴を検証し、グルー プホームの空間構成の指針を示すことを目的としてる。 章4において、要介護者の不必須関わり時間は共用空間の滞在時間に比 例して大きくなることを明らかにした。つまり、要介護者を積極的に共用 空間へ滞在させることが、要介護者の他人への関わりを増やすことにつな がることを意味している。そして、他人への関わりが増えることは作業療 法という観点からも要介護者の認知症の進行の予防につながる。よって、 グループホームにおいて作業療法の効果が得られる場所は共用空間である ことが示された。 また、章6では、グループホームの共用空間では要介護者と介護者の接 近する機会を増加させることが、要介護者と介護者の間での会話の発生を 促すことを明らかとした。つまり、要介護者にとってはただ単に共用空間 にいることより、自身の付近を介護者が動き回る環境の方が作業療法の効 果が発揮される良い空間であると言える。 以上より、作業療法の効果が最も発揮される空間的特徴とは、要介護者 に介護者接近する機会が多い共用空間である。

今後、グループホームでは要介護者を積極的に共用空間へ滞在させるべ きである。そして、グループホームの共用空間では要介護者に介護者が接 近する空間が多いほど作業療法の効果が発揮される。従って、グループホー ムの共用空間では要介護者に接近を促す介護者の動線計画を検討する必要 がある。

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

7 章 まとめ

7-2 展望

本研究により、グループホームの運営方針や共用空間の空間構成に対し て指針を提示できた。そしてそれらの指針から生じる展望・課題について 述べる。 ■グループホームの運営方針への展望・課題 本研究により、共用空間の滞在の重要性が明らかとなった。グループホー ムの運営方針としては共用空間へ要介護者を滞在させるべきである。そし て、今後のグループホームの運営方針として、共用空間への滞在をどのよ うにして増加させるのかということがグループホームに関する研究の課題 になる。 ■グループホームの共用空間の空間構成への展望・課題 本研究より、グループホームの共用空間において要介護者と介護者の間 の接近を促す空間構成の重要性が示された。例えば、ダイニングテーブル などは1つの大きなテーブルよりは、複数のテーブルを用いてテーブル 同士の間に介護者の動線を作る事が要介護者の会話量を増やす事につなが る。 今後のグループホームの共用空間の空間構成の課題としては、介護者が 要介護者の周りをより多く通過する動線計画を設計の段階から考えていく ことがあげられる。

■本研究の問題点 本研究はある1つのグループホームに関した限定的な研究であり、被験 者の少なさや、収集データの少なさ明確な結論に至らなかった課題も生じ た。 「不必須関わり時間と介護度の関係」 (章 4-2)に関しては、それらに相 関の有用性を示す事ができなかった。今後の課題としては被験者を増加さ せ、より多くのデータを用いて研究を進める必要がある。 また、実験で観察された新たな行動である、要介護者の自発的な会話へ の参加(章 6-4)は、調査時には見受けられなかったものである。このよ うな要介護者の自発的な行動を調査時に観察できなかったことは、収集 データが少なかったことに要因がある。要介護者の自発的な会話への参加 の要因を調べ、それについて分析する事が今後のグループホーム研究の課 題となるだろう。

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8 おわりに

9. おわりに 参考文献 謝辞

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

8 章 おわりに

参考文献

■論文 石井敏、外山義、長澤泰「グループホームにおける生活構成と空間利用の 特性:痴呆性老人の環境構築に関する研究」『日本建築学会計画系論文集』、 第 502 号、1997 年、pp.103-110 熊澤貴之、熊澤貴之「認知症グループホー厶の 共用空間における環境と 入居者の行動」『学術講演梗概集』、2011 年、pp.359-360, 米内千織、 厳爽「認知症高齢者グループホームの空間構成に関する研究 ( そ の 1)」 『日本建築学会計画系論文集』第 73 巻、2008 年、pp.271-278 上田太一郎、 「相関があるかをみるける簡便」『オペレーションズ・リサー チ』 、第 42 巻、1997 年、pp.493-496 ■ホームページ 「平成 26 年版高齢社会白書 第 1 章 高齢化の状況」『内閣府』 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/zenbun/s1_1_1.html (2014/10/28 閲覧 ) 「平成 26 年版高齢社会白書 第 5 章 高齢化の国際的動向」『内閣府』 http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/zenbun/s1_1_5.html (2014/10/28 閲覧 ) 「参考 (3) 介護保険制度における要介護認定の仕組み」『厚生労働省』 http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/kentou/15kourei/sankou3.html (2014/10/28 閲覧 ) 「みんなのメンタルヘルス 認知症」 『厚生労働省』http://www.mhlw. go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html (2014/10/28 閲覧 ) 「作業療法とは」 『一般社団法人 日本作業療法士協会』http://www.jaot. or.jp/ryohoshi.html (2014/10/28 閲覧 ) 「平成14年日本建築行政会議 部会検討結果報告」『宮城県』 http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/45897.pdf (2014/10/28 閲覧 ) Effect of common space in dementia elderly person group home on resident.

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認知症対応型グループホームの共用空間が居住者に与える効果の研究

8 章 おわりに

謝辞

この論文を書くにあたって、テーマを決めることにも迷いに迷い、本当 に論文を書き上げる事ができるのか自分自身不安でした。しかし、多くの 手助けによって、迷惑をかけながらもなんとか書き上げる事ができました。 渡辺仁史先生、良三先生、林田先生、小林先生、馬淵さん、植村さん、 M2、M1 の先輩方、そして同期の M0 のみんな、ありがとうございました。 月曜のグループ会議では、のぞみさん、なみえさん、いっしーさん、陳 さんに毎度よくわからない話をして面倒臭かったと思います。本当に迷惑 ばかりかけましたが、それでも辛抱強く話を聞いて頂いてありがとうござ いました。 論文担当だったあいささん、忙しい中論文の進行を心配して頂いて本当 に申し訳なかったです。あいささんの論文の書き方の指導や、論文のスケ ジュール管理が無ければこの論文は完成できなかったと思います。ありが とうございました。 そして、論文の調査方法から分析方法、結論に至るまで多くのところで 適切な指導をして頂いた馬淵さん、ありがとうございました!馬淵さんに 自分のまとまっていない考えを話すと、自分以上に自分のやりたい事理解 をしてわかりやすくまとめて指導して頂き、本当に助かりました。論文を 書くということはこういうものなのかな、と自分でも少し理解できたよう な気がします。 最後に、M0 の同期のみんなこんなおじさんでも温かく受け入れて仲良 くしてくれてありがとう!楽しい卒論生活が過ごせました!感謝感激雨霰 です! この研究室で、卒業論文を書く事ができて本当によかったです。ありが とうございました。

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資料編

要介護者の関わり時間調査結果一覧 1.9 月27日 2.10 月 4 日 3.10 月 16 日

不必須関わり時間

必須関わり時間

滞在時は赤色

○は着席の瞬間、× は離席の瞬間

図 資料の読み方

81


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