加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
はじめに
0
販売員のアルバイトをしていると、 顧客に無視されたり、無愛想な態度をとられたりと 両者が不快な気持ちになったことが多々ある。 顧客が求めていることが、話しかけなくても判断できるようになればいいなと感じた。 最近はスマートフォンに様々なセンサが搭載され、 バイオメトリックな利用も増えてきた。 今やほとんどの人が持っているスマートフォンで、 解決できたら面白いなと思いたち、 この研究テーマにしようと決めた。
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 1
目次
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
目次 はじめに
1
第1章 研究背景 1-1. 情報社会
5
1-1-1. スマートフォン
5
1-1-2. ユビキタスネットワーク社会
6
1-1-3.SNS の登場
7
1-1-4. ビッグデータ
8
1-2. 日常のデジタルデータ化
9
1-2-1. ライフログ
9
1-2-2. センシングログ
10
1-2-3. センシング技術の発展
11
1-3. 迷い行動
12
1-3-1. 迷いの日常化
12
1-3-2. 探索の迷い
13
1-3-3. 選択の迷い
14
1-4. 迷いに関する研究
15
1-4-1. 迷子防止サービス
15
1-4-2. 視線の迷い
16
1-4-3. 商品購入時の迷い
17
1-5. 加速度に関する研究
18
1-5-1. 加速度センサ
18
1-5-2. 移動体の自己位置検出
19
1-5-3. 歩行認証研究
20
1-5-4. 加速度変化による迷いの検出
21
第 2 章 研究概要 2-1. 研究概要
22
2-1-1. 用語の定義
22
2-1-2. 研究目的
23
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目次
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
2-1-3. 研究フロー
24
2-2. 研究方法
25
2-2-1. センシングシステム概要
25
2-2-2. ログデータの出力
26
第 3 章 実験概要 3-1. 実験概要
27
3-1-1. 実験目的
27
3-1-2. 実験条件
28
3-2. 実験方法
30
3-2-1. 自然歩行状態実験
30
3-2-2. 探索迷い状態実験
31
3-2-3. 選択迷い状態実験
32
第 4 章 実験結果 4-1. 実験結果
33
4-1-1. 自然歩行状態
33
4-1-2. 探索迷い状態
36
4-1-3. 選択迷い状態
39
第 5 章 分析概要 5-1. 分析概要
42
5-1-1. グラフの前処理
42
5-1-2. 条件の確認
43
5-1-3. 特徴抽出
44
第 6 章 分析結果 6-1. 自然歩行状態
45
6-1-1. 合成加速度
45
6-1-2. 平均値
48
6-1-3. 標準偏差
52
6-1-4. 最大値と最小値
56
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目次
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6-1-5. 波形比較
64
6-2. 探索迷い状態
67
6-2-1. 合成加速度
67
6-2-2. 平均値
70
6-2-3. 標準偏差
74
6-2-4. 最大値と最小値
78
6-2-5. 波形比較
86
6-3. 選択迷い状態
89
6-3-1. 合成加速度
89
6-3-2. 平均値
92
6-3-2. 標準偏差
96
6-3-4. 最大値と最小値
100
6-3-5. 波形比較
108
6-4. 各状態まとめ
111
6-4-1. 平均値
111
6-4-2. 標準偏差
118
6-4-2. 最大値と最小値
125
6-5. 各状態の波形比較
134
第 7 章 考察
140
第 8 章 まとめ
155
8-1. 本研究のまとめ
155
8-2. 課題
156
8-3. 展望
157
謝辞
158
参考文献
159
資料編
160
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研究背景
1
1-1. 情報社会 1-1-1. スマートフォン 近年、世界各地において多機能携帯電話であるスマートフォンが急速に普及してきた。総 務省の調査によると(2012 年末)、国内のスマートフォン普及率は 49.5% であった。しかし、 内閣府が 2014 年 17 日の消費動向調査において、3 月末のスマートフォンの世帯普及率が 54.7% に上昇したことを明らかにした。スマートフォンの利用者が 5 割を超え、インターネッ トを介したインタラクティブ注 1.1)な利用が可能になり、スマートフォンを利用するビジネス マーケットが拡大した。従って、日常生活において必要不可欠なデバイスとなった。 現在のスマートフォンは通話機能をはじめ、電子メールの送受信、文書の作成・閲覧、写真・
注 1.1) インタラクティブ
ビデオの撮影や保存、音楽の再生、カレンダー機能、住所録、計算機など、多岐に渡って機能
双方向に情報をやり 取りすること。
が充実している。また、スマートフォンで商品の購入やクレジットカードの利用が可能となっ た。さらに、様々なアプリケーションを購入し、スマートフォンの機能を拡張・強化すること も可能となった。 スマートフォンが普及した背景として、パーソナルコンピュータ(Personal Computer 以下 PC と呼ぶ)とほぼ同等のウェブ閲覧機能を有しているところが挙げられる。さらに、PC に比 べ携帯性が高い点も普及した背景の一つである。これらの利便性から、スマートフォンは「携 帯可能なパソコン」と位置づけられる。
fig1-1)OCN プロバイダ 2014/10/19 http://service.ocn. ne.jp/plan/special/ smartphone/
fig.1-1 「スマートフォンと PC」
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研究背景
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1-1-2. ユビキタスネットワーク社会 ユビキタスネットワーク社会は、総務省によると以下のように述べている。 [1] 総 務 省 平 成 16 年 版 情 報 通 信 白 書 2014/10/19 http://www.soumu.
「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークに繋がることにより、様々
なサービスが提供され、人々の生活をより豊かにする社会である [1]。
go.jp/johotsusintokei/ whitepaper/ja/h16/ html/G1401000.html
現在、パソコンやスマートフォンをはじめとして、家電や住宅設備、ペースメーカーなど の医療においてもインターネットが関連している。さらに、「google glass」や「apple watch」 などのウェアラブルデバイスが開発され、人とインターネットが密接な関係になりつつある。 さらに、スマートフォンの登場が、インターネットにどこでも手軽に繋がることを加速度的 に可能にした。現在、出先で問題が発生した場合、瞬時にスマートフォンでインターネットを 利用し、解決することが可能となった。従って、ユビキタスネットワーク社会において、人々
fig1-2,1-3) 総務省 平成 16 年版 情報通信白書
はインターネットを利用することで、瞬時に詳細な情報をイメージや映像、音など、多角的に 取得することが可能になり、生活の利便性が向上した。
2014/10/19 http://www.soumu. go.jp/johotsusintokei/ whitepaper/ja/h16/ html/G1401000.html
fig1-2 「ユビキタスネットワーク社会の概念」
fig1-3 「ユビキタスネットワーク社会の実現に向けた将来イメージ」
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研究背景
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1-1-3.SNS の登場 ユビキタスネットワーク社会において、2003 年にアメリカで SNS(Social Networking Service)が誕生した。SNS とは、人と人との繋がりを促進・サポートするコミュニティ型の Web サービスである。SNS の登場により、インターネット上で遠方の人と容易にコミュニケー ションをとることが可能になった。SNS は、友人の近況を知り、その情報に反応する単なる コミュニティツールであった。しかし、現在の世界最大の SNS である「Facebook」のように、 企業の広告プロモーション活動への利用などのビジネスとしても活用されている。
fig1-4)Girls Channel 2014/10/23 http://girlschannel.net/ topics/152920/
fig1-4 「SNS アプリケーションのロゴの例」
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研究背景
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1-1-4. ビッグデータ 現代のユビキタスネットワーク社会では、インターネット上に価値のある情報が数多く溢れ ている。その一つ一つの情報は、集約され、ビッグデータとなる。ビッグデータとは、事業に 活用可能な知見を導出するためのデータのことである。すなわち、高速な PDCA サイクルを 実現させるために、企業にとってビッグデータをいかに精査し、分析することがマーケティン グなどにおいて重要な課題となっている。 実際、ビッグデータの分析に成功し、ビジネスに活用している事例はいくつもある。例えば、 Web 事業サービスである「Google」は、検索と無料アプリケーションによって蓄積した膨大 なデータを元に、広告ビジネスを展開している。また、 「Facebook」などの SNS でも、ユーザー の膨大なデータを基盤とし、広告ビジネス等に活用している。さらに、ビッグデータの利用は メディアや WEB 事業者以外にも、金融、通信、流通、製造、公共など、あらゆる業種におい ても積極的に活用されている。
fig1-5) 阿部 博史 『震災ビッグデータ— 可視化された <3・11 の 真 実 >< 復 興 の 鍵 >< 次世代防災 >』 (NHK 出版) 2014/5/24
fig1-5「ビッグデータの可視化」
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研究背景
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1-2. 日常のデジタルデータ化 1-2-1. ライフログ ライフログとは、人々の生活を長期間にデジタルデータとして記録すること ( または記録体 そのもの ) である。起床時間や睡眠時間、移動場所や移動距離、食事データ、音楽再生、心拍 などあらゆる生活行動におけるデータの記録である (fig1-2-1)。上記は日々の健康管理などの 自己管理全般に利用される場合が多い。それらを容易に記録することが可能になったのは、ス マートフォンのセンサが関係している。センサの中でも、GPS(Global Positioning System) 機 能は、ライフログの範囲を拡張した。 GPS は、現在地の座標情報と、ユーザーが移動した距離や道筋などの線の行動軌跡を可視化 することが可能である。その情報のライフログの応用例としてジョギングアプリがある。この アプリケーションは、ユーザーが走った走行距離を線や色で可視化し、ジョギングに活用して いる (fig1-2-2)。 従って、ライフログは、基本属性や行動情報に分けられる。さらに、SNS 発信等も含み、人々 のリアルなデータであるビッグデータとして、企業のマーケティングなどにも高い価値を持っ ている。
fig1-2-1)Soney Select 2014/10/19 http://sonyselect. sonymobile.jp/ p c / a g / i n d e x . php?page=special_ info&sid=29&id=1684
fig1-2-1「日常のライフログ」 fig1-2-2) たぬぞうの生 活 Hack ブログ 2014/10/19 http://tanu.pupu.jp/ iphone_ipad/iphone の ランニング・ジョギン グアプリ「nike-gps(ナ イキ /
fig1-2-2「Nike+ GPS」
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研究背景
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1-2-2. センシングログ
ビッグデータは、ライフログを活用する以外に、人ではなく、物の情報の記録であるセンシ ングログと呼ばれるシステムがある。センシングログとは、機械に搭載された様々なセンサー を利用し、物理量や音・圧力・光・速さ・温度などを計測・判別し、ログとして記録するシス テムである。人々の基本属性や行動情報に依存していたライフログに対して、物の情報をデジ タルデータとして記録するため、具体的かつ定量的なデータを得ることが可能である。 1 次産業における活用例として、田畑に気象センサを設置し、得られた気象データと収穫量 や品質のデータとの関係を分析する。そして、その得られたデータを把握することにより、農 業プロセスを改善、最適化をし、生産性や収益性を向上させることが可能である。また、防犯 上のシステムとして、工場などの立ち入り禁止区域に不審者等の侵入に対して、センサカメラ を利用することで、人体検出機能により警告音を発し、画像と日時などの記録をログとして保 存することが可能である (fig1-2-2)。
fig1-2-2) オムロンの画 像センシング技術活用 事例 2014/10/19 http://plus-sensing. o m r o n . c o . j p / case/000001/
fig1-2-2「センシングログ」
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研究背景
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1-2-3. センシング技術の発展 ライフログやセンシングログの登場の背景として、センシング技術の発展が挙げられる。 我々 にも五感としてセンサが備わっている。センシング技術とは、その優秀なセンサを人工的に開 発し、感知することを可能にした技術である。人の視覚は光センサ、聴覚は超音波センサ、嗅 覚はガス探知センサ、味覚はイオンセンサ、触覚は温度センサなどの応用が挙げられる。 スマートフォンなどの携帯電話にもセンサ機能が搭載されるようになってから、センサが身 近な存在となった。現在、スマートフォンに搭載されているセンサは加速度、方角、直線加速、 ジャイロ、近接、輝度、磁気、気圧、温度など様々なものがある。これらのセンサを効率よく 利用した最たる例は、1-2-1 でも紹介した GPS 機能である。GPS は目的地へのナビゲーション を可能にし、手に持つデバイスの向きで進行方向の調整など、ユーザーがセンサを意識するこ と無く利用されている。
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研究背景
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1-3. 迷い行動 1-3-1. 迷いの日常化 我々は、 毎日何かしらの決断を必ず行っている。「朝ご飯はパンとご飯どちらにしようか」 「自 転車で行こうか、車で行こうか」など、数多くの迷いと決断をくり返している。 人が日常的に迷うようになったのは、時代とともに人々の暮らしが豊かになったことが挙げ られる。暮らしが豊かになるということは、様々な物事に選択肢が増えるということである。 例えば、1924 年までは地下鉄で東京に向かうルートが限られていたが、2013 年には、多方 面からの線路が開通し、交通網が複雑になった。結果として、人々は一つの目的地に対して、 様々 なルートを選択することが可能になったが、その反面、選択肢が増加し、数多くの迷いを引き 起こしている原因となった (fig1-3-1,2)。 また、交通網の複雑化は、駅構内などの空間の複雑化も引き起こす。従って、ルート選択の 迷いに付随して、駅構内で迷うなどの建築空間での迷いも増加したのである。このように、時 代とともに生活の利便性が向上した反面、迷いが日常化した。 fig1-3-1,2) 東 京 の 地 下鉄の歴史 2014/10/27 http://azisava.sakura. ne.jp/rail/metrohistory/
fig1-3-1「東京地下鉄路線図 (1924 年 )」
fig1-3-2「東京地下鉄路線図 (2013 年 )」
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研究背景
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1-3-2. 探索の迷い 1-3-1 に述べたように、迷いは 2 種類に区別することが可能である。一つは、探索の迷いで ある。探索の迷いの例として、道の迷い、人を探す迷いなどがある。両者に共通しているとこ ろは、行動に対して、何かの目的物が一つあるということである。 人が道に迷っている状態を、外見から判断することは困難である。例えば、道に立ち止まっ てるおばあさんを見た時、ただ休憩しているだけなのか、または道に迷って困っているのか、 など様々な状況が考えられる。仮に、道に迷っていて、その状態が瞬時に把握できれば、道案 内をするなどの適切なサポートを行うことが可能になる。 例として、オムロン株式会社は、ビデオカメラに性別・年齢推定機能や表情推定機能を搭載 し、迷子の検出を可能にする研究を行っている (fig1-3-2)。
fig1-3-2) オ ム ロ ンの画像センシン グ技術活用事例 2014/10/20 http://plus-sensing. omron.co.jp/ case/000030/
fig1-3-2「迷子の検出」
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研究背景
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1-3-3. 選択の迷い 2種類に区別できる迷いの二つ目は、選択の迷いである。選択の迷いは、誰でもほぼ毎日発 生している。探索の迷いと比べて心理的負担が少なく、前向きな迷い状態にあると言える。 さらに、この迷いはあらゆる状況で細分化することが可能である。例として、商品を購入す る際の迷いは、 「一つの商品の購入の迷い」 「どちらの商品を選んで購入する迷い」 「二点三点 追加で、複数購入の迷い」というように、様々な状況に応じた「迷い」が考えられる。 私は現在販売員のアルバイトをしている。来店される顧客に声をかけ、顧客によっては無視 や、無愛想な態度をとられることがある。接客を嫌う人はいるのだが、仮に、販売員の接客の タイミングが悪く、伝えた情報が顧客にとって有益ではなかったという理由であれば、それは 両者が不快な気持ちになってしまう。そこには実店舗の利点である、店員と顧客とのインタラ クティブなコミュニケーションを築けていない問題があり、改善する余地がある。そこで、顧 客の迷い状態を把握することが可能になれば、適切なタイミングでの接客、また顧客にとって 有益な情報をリアルタイムに端末に発信し、よりインタラクティブな改善が可能になると考え られる。
? fig1-3-3「商品選択の迷い」
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研究背景
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1-4.「迷い」に関する研究 1-4-1. 迷子防止サービス これまでに人の「迷い」に関する研究はいくつかあり、本論文では3つ紹介する。 一つ目は、木村俊介らの屋内施設における迷子防止サービスの構築である [2]。この研究 は、あらかじめ子供に GPS センサと加速度センサ機能のあるデバイスを身体に装着させ、大 型ショッピングモール内で保護者と離れて迷子になりそうな状態を、両者の位置情報等から推 定し、保護者側のデバイスに注意を促すことで迷子を予防するシステムである。 [2]: 木村俊介、松本卓 人、浜中雅俊、李昇姫: 屋内施設における迷
位置検出に GPS センサに加えて、加速度センサを利用したことにより、従来の迷子の位置 推定方法よりも 7.7% の正解率の向上を可能にし、有用性を示した。
子帽子サービスの構 築
fig1-4-1「位置推定システムの全体図」
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加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
研究背景
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1-4-2. 視線の迷い
[3]: 高木啓伸:視線の 移動パターンに基づ くユーザの迷いの検 出—効果的な作業支 援を目指して 2000
二つ目の「迷い」に関する研究は、高木啓伸の、視線の移動パターンに基づくユーザーの迷 いの検出研究である [3]。この研究はパソコン上で、ある日本語文を英語に翻訳していく作業 を、被験者の視線の動きを測定・解析することで迷っている視線のパターンを検出し、さらに そのパターンが生じている時に、実際にどのように迷っているのかを検証することで、その結 果を利用し、適切な作業支援が行えることを論じているものである。これにより、迷いづらい Web サイトのインターフェースの最適化に有用性があることを示した。
fig1-4-2-1「実験用対訳用例検索システム画面例」
fig1-4-2-2「比較パターンの視線例」
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加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
研究背景
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1-4-3. 商品購入時の迷い
[4]: 荒木貴好、米澤拓 郎、中澤仁、高汐一紀、 徳 田 英 幸: 実 店 舗 に おける商品購入時の 迷い検出システムの 構築
最後の「迷い」に関する研究は、荒木貴好らの実店舗における商品購入時の迷い検出シス テムの構築である [4]。この研究は、3種類の商品の中から買いたいものを選ぶのにかかった 時間を測定することと、ビデオカメラ(防犯カメラ)を利用し、商品選択で悩んでいた間の 特徴的行動を抽出、行動軌跡を分析する手法で「迷い」を検出している (fig1-4-3)。これによ り、店舗内における迷いやすい陳列棚の検出も可能にし、店舗のレイアウト改善や、陳列改善、 POP の最適な配置場所などを迅速に行うことができる。従って、その後の反応もすぐリアル タイムで変更した効果を確認できるので、企業にとって重要である高速な PDCA サイクルの 実現が可能になる。 しかし、これらの方法であると GPS やビデオカメラを利用することになるので、空間によっ ては死角の発生、 また個人の現在位置や特定が出来てしまうプライバシーの問題から、ユーザー の心理的抵抗が大きい。さらに店によっては、ビデオカメラを設置する際のコスト的問題があ り、場所が限定され、環境面に大きく依存してしまう問題がある。そこで、環境面に依存せず に「迷い」を検出するには、個人が持っているデバイス(携帯電話、スマートフォン)の自動 で取得するセンサ機能を利用することが有用であると考えられる。
fig1-4-3「迷い状態検出システム概要図」
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加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
研究背景
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1-5.「加速度」に関する研究 1-5-1. 加速度センサ 加速度とは、単位時間あたりの速度の変化率のことを指す。その加速度を、センサとして測 定できる機能を加速度センサという。加速度センサは現在、加速度そのものを検出する場合と、 外力が加わった際の加速度を検出する場合とで大別できる。前者は、高精度な測定が要求され る化学実験や地震計測などで利用される。後者は、傾き、振動、動き、衝撃、落下などの検出 に利用されている [5]。 現在、加速度センサは、ゲームやスマートフォンなどの端末にも搭載されており、体感型の [[5]: 特 許 庁 : 平 成 21 年度 特許出願技術動 向調査報告書 加速度
ゲームに応用されている。自動車やロボット、健康分野から医療まで、我々の身近なものであ る加速度の利用が広がった背景として MEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 技術を応用 した MEMS 加速度センサの登場がある。 MEMS 技術とは、半導体の微細加工技術を応用し、微細な構造に様々な機能を実現する技 術である。従来の加速度センサと比べて、MEMS 加速度センサは劇的な小型化を可能にし、 ゲー ムのコントローラーなどに使われている。 また、3軸方向の多軸加速度センサが登場したことにより、加速度センサの応用範囲が拡大 してきた。
fig1-5-1「加速度センサの技術俯瞰図」
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研究背景
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1-5-2. 移動体の自己位置検出 加速度を利用した研究はいくつかあり、本論文では二つ紹介する。 一つ目は、毛利建太郎らの加速度センサによる移動体の自己位置検出に関する研究である [6]。 この研究は、農薬散布に利用されているラジコンヘリなどの農作業の機械化、自動化されて いる部分に着目している。ラジコンヘリの操縦には、高度な技術が必要とされているため、飛 [6]: 岡山大学 毛利建 太 郎、 難 波 和 彦、 高 尾明秀 : 加速度センサ による移動体の自己 位置検出に関する研 究
行の自動化をすることで、農作業の効率性を上昇させる可能性を示している。飛行を自動化す るためには自己位置の検出が必要であり、加速度センサで自己位置検出を目的として行われた。 実験は3パターンの移動 (fig1-5-2-1,1-5-2-2,1-5-2-3) を検証し、結果として、複雑な飛行パター ンであると正確な位置検出は出来なかった。しかし、単純な飛行パターンであれば加速度セン サでも、ラジコンヘリの自己位置検出が可能であると実証している。
fig1-5-2-1「傾斜移動時の軌跡」
fig1-5-2-2「トラック移動時の軌跡」
fig1-5-2-3「自由移動時の軌跡」
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研究背景
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1-5-3. 歩行認証研究 二つ目の加速度に関する研究は、携帯端末の加速度センサを用いた歩行認証に関する研究で ある [7]。 この研究は、日常的に所持している携帯端末から取得したセンサ情報から人の移動に関わる 情報や、歩き方等の違いから個人を識別する本人識別情報を把握し、携帯端末所持者のバイオ メトリック注 1.2) な個人認証である加速度による歩行認証の研究である。また、なりすまし歩行 の認証実験も行い、防犯上の安全性も明らかにしている。この研究は、ユーザーそれぞれの歩 [7]: 笠原弘樹 : 携帯端 末の加速度センサを 用いた歩行認証に関 する研究 2013
注 1.2) バ イ オ メ ト リック 人間の肉体の特徴を 読 み 取 り、 登 録 し て あるものと照合する
行行動の加速度を取得し、その加速度にユーザーごとで特徴的な違いを見出すことで、ユーザー の行動的特徴で個人を認識できるというところに意義がある。また、心理的抵抗が大きい指紋 や顔認証等の身体的特徴を用いる研究と異なり、認証精度はやや低くなってしまうが、歩行等 の行動的特徴を用いているところに将来的な有用性がある。 しかし、この研究では加速度センサを利用し、単なる歩行を解析することで個人を特定でき る歩行行動の検証を目的としており、心理的な部分は関係してこない。
こと。
fig1-5-3-1「歩行認証システム」
fig1-5-3-2「経年変化後のユークリッド距離の比較」
fig1-5-3-3「本人と他人の成り済まし歩行の比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 20
研究背景
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
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1-5-4. 加速度変化による迷いの検出 歩行行動のみならず、人間のより深い状態までも加速度センサで検出することが可能になれ ば、利用価値が高まっていく。そこで本研究では、加速度変化が人の迷い状態を検出すること が可能であると仮説立て、さらに2種類の迷い状態を、加速度の違いとして傾向が現れるので はないかと考えた。従って、加速度センサが単純な歩行だけではなく、「迷い」などの心理的 な部分が関連してくる行動の検出も明らかにすることが重要である。 また、将来的により現実味を持たせるために、加速時計は用いずに、誰もが持っているスマー トフォンに搭載されている加速度センサ機能のみで検証することにする。
迷い状態
通常状態
不安
通常状態
迷い状態 検討
fig1-5-4「異なる迷い状態別サポート例イメージ図」
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加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
研究概要
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2-1. 研究概要 2-1-1. 用語の定義 本研究では、3種類の歩行状態の身体加速度を取得するため、それぞれの状態を以下の通り に定義する。 ・自然歩行状態:一定の速度で自然な歩行をしている状態と定義する。 ・探索迷い状態:建築空間内で右往左往している状態と定義する。 ・選択迷い状態:商品選択の際に検討している状態と定義する。
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 22
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
研究概要
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2-1-2. 研究目的 本研究の目的は、スマートフォンの加速度センサを利用し、身体加速度変化による「迷い状 態」の検出と、自然歩行状態/探索迷い状態/選択迷い状態、それぞれの身体加速度変化の違 いを明らかにし、各状態に合った適切な空間情報サービスを提供可能にする指標を示すことを 目的とする。
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研究概要
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2-1-3. 研究フロー
異なる心理状態下の「迷い」行動は、身体加速度に違いが現れるのではないか
既往研究・文献調査
歩行行動実験
自然
探索
選択
加速度データの3軸合成 グラフ化、平均値、標準偏差
分析・考察
迷い時の加速度の検出と各状態の行動における加速度の違いを指標化
各迷い状態に適切な空間情報サービスの提供の提案
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研究概要
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
2
2-2. 研究方法 2-2-1. センシングシステム概要 本研究で、被験者の身体加速度を取得する方法は、位置情報や加速度を測定する Web アプ リである [8]。以下にシステムの使い方と手順を示す。 まず、ユーザーはスマートフォンで fig3-4 に示された画面にアクセスする。次に、事前に 登録してあるユーザーネームを入力し、ログインをすると fig3-5 の画面が表示される。この 画面では緯度、軽度、速度、距離、加速度、サーバ側に送信した回数、GPS ステータスがログ としてサーバーに保存される。ログとして保存される間隔は3秒に1回ペースである。また、 使用言語は Javascript である。 この Web アプリを起動した状態のスマートフォンを被験者に装着し、加速度を測定する。
[8]: 近江俊佑 : スマー トフォンを用いた行 動追跡調査手法の開 発 2012
fig2-2「測定画面」
fig2-1「ログイン画面」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 25
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
研究概要
2
2-2-2. ログデータの出力
注 2.1)CSV データ形式及びファイ ル形式の一つで、項目 をカンマで区切って列 挙したもの。
実験中に記録されたログデータは、ブラウザから直接 CSV(Comma-Separated Values)
注 2.1)
に
書き出すことができるシステムになっている。前述した fig2-2 の画面に自分のログの一覧を 見るというボタンをタップすると、以下のように日時と取得したデータが閲覧できる (fig2-3)。 また、そのページ下部にデータを検索するというボタンをタップすることで、閲覧者、または 登録されたユーザーのログを時間指定して取り出すことができる (fig2-4)。データは全て CSV で出力することが出来、エクセル上にログデータをまとめる (fig2-5)。
fig2-3「ログデータの一覧」
fig2-4「ログデータ出力画面」
fig2-5「ログデータ出力結果」
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加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験概要
3
3-1. 実験概要 3-1-1. 実験目的 本実験は、大型ショッピングモール内においての自然歩行状態/探索迷い状態/選択迷い状 態、それぞれの身体加速度をスマートフォンの Web 加速度アプリを用いて取得することを目 的とする。
fig3-1-1) 三井不動産「三 井アウトレットパーク 入間」2014/10/19 http://mitsuifudosan. co.jp/project/ outletpark_iruma/ index.html
fig3-1-1「三井アウトレットパーク入間」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 27
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験概要
3
3-1-2. 実験条件 ■被験者 ・8 人 ( 男性4人、女性 4 人 ) ■使用道具 ・スマートフォン (iphone4S,5,5S,5C) ・加速度アプリ (Web アプリ ) ・スマートフォン用ケース 1(fig3-1-2-1) ・スマートフォン用ケース 2(fig3-1-2-2) 今回 Web アプリで取得する加速度は、スマートフォンの加速度センサを利用するため、ス マートフォンの重力加速度も加味した値となっている。 fig3-1-2-1) オ ズ マ 株 式 会 社「 製 品 情 報 」 2014/10/22 http://www.osma. co.jp/products/
■実験日 ・2014/10/10,11 計2日間
item/4519305231263/
fig3-1-2-2)MARKLESS STYLE「 製 品 情 報 」
■実験場所 ・埼玉県入間市宮寺 3169-1 三井アウトレットパーク入間 ( 大型ショッピングモール )
2014/10/22 http://www.markless. jp/products/detail. php?product_id=2868
■スマートフォン装着場所と選定理由 ・ポケット:最もユーザーが持ち歩いている場所であるため。 ・腰:既往研究で最も使用頻度が高い装着場所であるため。 ・手首:近年、腕時計型のウェアラブルデバイスが登場したため。 1 人当たり3カ所の装着場所で、加速度を測定する。従って、加速度アプリに使用するユー ザーネームが3つになるため、各装着場所で区別する必要がある。よって、今回はポケットを 1、腰を2、手首を3というようにナンバリングした。 ■スマートフォン環境 ・電波:LTE、3G、4G ・ブラウザ:Safari ・自動スリープ OFF ■行動制限 ・上下方向の行動を制限し、平面歩行のみとする。 以上が3種類の実験の共通条件とする。
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 28
実験概要
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
商品型番 CVE-PH04KW
商品型番 TR-0617-009
商品名 スマートフォン用
商品名 Running Armband
縦型 M サイズカード収納式
カラー Black
フックタイプ
原産国 中国
カラー Black
販 売 株 式 会 社 ト レ ー ド
原産国 中国
ワークス
3
販売 オズマ株式会社
fig3-1-2-1「スマートフォン用ケース 1」
fig3-1-2-2「スマートフォン用ケース 2」
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実験概要
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
3
3-2. 実験方法 3-2-1. 自然歩行状態実験 自然歩行状態実験は、水平面歩行時の身体加速度を取得する実験である。本実験では、被験 者が人と衝突及び、急停止する行為は自然な状態ではないと見なす。仮にそうなった場合、再 実験を行う。 以下に実験手順を示す。 1)スマートフォンを3カ所に装着する。 2)アウトレットパーク1階館内を、自然な歩行で3分間回る。 3)3分経過後、終了の合図を出し、歩行を停止させる。 実験担当者は、被験者の歩行を妨害しないよう後方より追尾し、実験の一部始終の絶対時間 を記録する。
fig3-2-1-1「デバイス固定状態」
fig3-2-1-2「実験の様子」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 30
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験概要
3
3-2-2. 探索迷い状態実験 探索迷い状態実験は、被験者に建築空間内で迷い状況を作り、指定された店舗を 3-2-1 と同 様に3分以内で探し出す実験を行った。また、事前に探す店舗の場所を把握していると、正確 な実験データが得られないので、今回の被験者は実験場所に来たことが無い人を対象とした。 以下に実験手順を示す。 1)スマートフォンを3カ所に装着する。 2)センター広場を被験者共通のスタート地点とし、担当者の合図で行動開始をする。 3)一階フロアをマップを閲覧せず、イワキという店舗を3分以内に探し出す。 4)3分経過後、終了の合図を出し、行動を停止させる。 3-2-1 と同様に、実験担当者は、被験者の歩行を妨害しないよう後方より追尾し、実験の一 部始終の絶対時間を記録する。
fig3-2-2-1)MITSUI OUTLET PARK「お店 を探す」2014/10/22 h t t p : / / w w w. 3 1 o p . com/iruma/search/ floor1f.html
fig3-2-2-1「アウトレット 1 階フロアマップ」
fig3-2-2-2「実験の様子」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 31
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験概要
3
3-2-3. 選択迷い状態実験 選択迷い状態実験は、商品選択時の検討状況の身体加速度を取得する実験である。被験者は 店舗内でトップスからボトムスまでの、トータルコーディネートを探す。 以下に実験手順を示す。 1)スマートフォンを3カ所に装着する。 2)Ciaopanic 店舗内で、3分間トータルコーディネートを考えつつ商品を選択する。 3)3分経過後、終了の合図を出し、商品選択を停止させる。 3-2-1 と同様に、実験担当者は、被験者の歩行を妨害しないよう後方より追尾し、実験の一 部始終の絶対時間を記録する。
fig3-2-3-1「実験場所店舗 Ciaopanic」
fig3-2-3-2「実験の様子」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 32
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
4-1. 実験結果 4-1-1. 自然歩行状態実験結果
今回の実験は被験者8人、固定ヶ所がポケット、腰、手首の3カ所である。従って、 単位人数当たり24パターンの加速度データを取得した。(ポケット固定のデータ破損1 人、3-2-1 実験の手首固定のデータ破損 1 人あり)全てのデータは資料編にまとめると する。 以下より、一人の男性被験者の加速度データ結果を示す。 ■スマートフォン装着場所:ポケット fig4-1-1-2 は fig4-1-1-1 をグラフ化したものである。後半、多少波形の乱れはあるものの、 振幅は極端に変化していない結果となった。
fig4-1-1-1「3軸加速度の生データ」
fig4-1-1-2「ポケット保持における自然歩行状態の身体加速度変化」 Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 33
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
■スマートフォン装着場所:腰
fig4-1-1-4 は fig4-1-1-3 をグラフ化したものである。fig4-1-1-2 と同様に、特に目立っ た特徴は見られず、振幅が極端に変化していない結果となった。しかし、全体的に見ると、 fig4-1-1-2 と比べ、やや振幅は安定している。
fig4-1-1-3「3軸加速度の生データ」 腰装着における自然歩行状態の身体加速度変化 (iwabuchi)
25 加速度(m/s^2)
20 15 10
加速度(x)
5
加速度(y)
0
-‐5 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180
加速度(z)
-‐10 -‐15
時間(s) fig4-1-1-4「腰装着における自然歩行状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 34
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
■スマートフォン装着場所:手首
fig4-1-1-6 は fig4-1-1-5 をグラフ化したものである。ポケットや腰でのスマートフォン 装着場所とは異なる動きをするので、他の装着場所と比べて変化が見られると予想した。 結果として、ほとんどマイナス値を出していないことが読み取れる。また、最も振幅、波 長ともに一定的なリズムを刻んでいる波形を示した。
手首装着における自然歩行状態の身体加速度変化 fig4-1-1-5「3軸加速度の生データ」 (iwabuchi) 25 加速度(m/s^2)
20 15 10
加速度(x)
5
加速度(y)
0
-‐5 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180
加速度(z)
-‐10 -‐15
時間(s)
fig4-1-1-5「手首装着における自然歩行状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 35
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
4-1-2. 探索迷い状態実験結果 4-1-1 と同様に以下より、一人の男性被験者を対象とするデータ結果を示す。
■スマートフォン装着場所:ポケット fig4-1-2-2 は fig4-1-2-1 をグラフ化したものである。波形の振幅がばらばらかつ、波長 にも規則性がなく全体的に乱れている。また、単位時間当たりの加速度変化が激しい箇所 がランダムにある。
fig4-1-2-1「3軸加速度の生データ」 ポケット保持における探索迷い状態の身体加速度変化 (iwabuchi)
30
加速度(m/s^2)
25 20 15 10
加速度(x)
5
加速度(y)
0 -‐5 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165
加速度(z)
-‐10 -‐15
時間(s)
fig4-1-2-2「ポケット保持における探索迷い状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 36
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
■スマートフォン装着場所:腰
fig4-1-2-4 は fig4-1-2-3 をグラフ化したものである。fig4-1-2-2 と同様に、全体的に振幅 が大きく乱れ、波長に規則性が無い。また、単位時間当たりの加速度変化が激しい箇所が ランダムにある。
腰装着における探索迷い状態の身体加速度変化 fig4-1-2-3「3軸加速度の生データ」 (iwabuchi) 30 加速度(m/s^2)
25 20 15 10
加速度(x)
5
加速度(y)
0
加速度(z)
-‐5 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180 -‐10 -‐15
時間(s) fig4-1-2-4「腰装着における探索迷い状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 37
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
■スマートフォン装着場所:手首
fig4-1-2-6 は fig4-1-2-5 をグラフ化したものである。fig4-1-2-2 や fig4-1-2-4 に比べ、最 も振幅の差が大きく、波長に規則性がない。また単位時間当たりの加速度変化が激しい箇 所がランダムにある。
手首装着における探索迷い状態の身体加速度変化 fig4-1-2-5「3軸加速度の生データ」 (iwabuchi) 30 加速度(m/s^2)
25 20 15 10
加速度(x)
5
加速度(y)
0
加速度(z)
-‐5 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180 -‐10 -‐15
時間(s) fig4-1-2-6「手首装着における探索迷い状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 38
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
4-1-3. 選択迷い状態実験結果 これまでと同様に以下より、一人の男性被験者を対象とするデータ結果を示す。 ■スマートフォン装着場所:ポケット
fig4-1-3-2 は fig4-1-3-1 をグラフ化したものである。全体を通して、振幅が極めて小さく、 単位時間当たりの激しい加速度変化は、ほぼ生じてないことを示している。
fig4-1-3-1「3軸加速度の生データ」
ポケット保持における選択迷い状態の身体加速度変化 (iwabuchi)
加速度(m/s^2)
14 10 6
加速度(x)
2
加速度(y) 加速度(z)
-‐2 0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180 -‐6
時間(s)
fig4-1-3-2「ポケット保持における選択迷い状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 39
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
■スマートフォン装着場所:腰
fig4-1-3-4 は fig4-1-3-3 をグラフ化したものである。こちらも fig4-1-3-2 と同様に、大 きな振幅の変化は見られず、単位時間当たりの加速度変化は小さい。
fig4-1-3-3「3軸加速度の生データ」
fig4-1-3-4「腰装着における選択迷い状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 40
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
実験結果
4
■スマートフォン装着場所:手首
fig4-1-3-6 は fig4-1-3-5 をグラフ化したものである。fig4-1-3-2 や fig4-1-3-4 の結果と比 較すると、やや波形に乱れはあるが全体的に振幅は小さく、波形は落ち着いてる。
fig4-1-3-5「3軸加速度の生データ」
fig4-1-3-6「手首装着における選択迷い状態の身体加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 41
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析概要
5
5-1. 分析概要 5-1-1. グラフの前処理 ここでは、取得した加速度データの特徴抽出を容易にするため、以下の処理を行う。 各実験で取得したデータは、x、y、z の3軸の加速度データである。被験者の身体の3カ所 [7]、fig5-1-1-1: 笠 原 弘樹 : 携帯端末の加速 度センサを用いた歩 行認証に関する研究 2013
にスマートフォンを装着したため、それぞれのセンサのベクトルが統一されていない。従って、 fig5-1-1-1 のように、x、y、z の3軸を合成した値 r を導くことで、加速度のスカラー量のみ を情報として抽出を行う。このように処理することで、センサの向きに依存せずに、加速度デー タを取得することが可能になる [7]。
fig5-1-1-1「3軸加速度の合成」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 42
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析概要
5
5-1-2. 条件の確認 本実験は、ポケット、腰、手首の3カ所にスマートフォンを固定し、それぞれの身体加速度 を取得した。しかし、ポケットの場合のみ、被験者の着衣状況によって実験時のスマートフォ ンの保持状態に差が生じる。以下に被験者に見られた着衣状況を示す。 ・物を入れると身体に密着するポケット 6人 ・物を入れると中で動くポケット 2人 これらを踏まえた上で分析を行う。
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 43
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析概要
5
5-1-3. 特徴抽出 本研究では、自然歩行状態/探索迷い状態/選択迷い状態の各状態の違いを、多角的に比較 できるように、 従来研究で用いられている特徴量と合わせて、波形比較による分析を行う。従っ て、今回抽出する特徴量は以下の通りである。 ・合成加速度 5-1-1 に示したように、3軸の加速度を合成することでスカラー量のみを情報として抽出する。 ・波形比較 スマートフォンの同じ装着場所における、自然歩行状態/探索迷い状態/選択迷い状態の各状 態の波形を重ね合わせ、グラフィカルに比較する。 ・平均値 合成加速度の平均値を算出することで、相対的に数値をみる。 ・標準偏差 合成加速度の標準偏差を算出することで、各状態、各装着場所、各被験者にばらつきの差が生 じるか検証する。 ・最大値/最小値 合成加速度の最大値最小値を算出することで、各状態の速度変化をみる。
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 44
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
6-1. 自然歩行状態 6-1-1. 合成加速度 ■スマートフォン装着場所:ポケット 4-1-1-2 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成し た結果を fig6-1-1-1 に示す。また、fig6-1-1-1 をグラフ化したものを fig6-1-1-2 に 示す。
fig6-1-1-2 は、後半、振幅が多少乱れているものの、全体を通して単位時間当た りの振幅、波長は一定的であることが読み取れる。
fig6-1-1-1「合成加速度のデータ」
fig6-1-1-2「ポケット保持における自然歩行状態の合成加速度変化」 Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 45
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■スマートフォン装着場所:腰 4-1-1-4 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成し た結果は fig6-1-1-3 に示す。また、fig6-1-1-3 をグラフ化したものを fig6-1-1-4 に 示す。 fig6-1-1-4 は、fig6-1-1-2 と同様に、特に目立った特徴は見られず、全体を通して、 振幅は落ち着いている。また fig6-1-1-2 と比べ、波形全体の振幅は小さいことが読 み取れる。
fig6-1-1-3「合成加速度のデータ」
fig6-1-1-4「腰装着における自然歩行状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 46
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■スマートフォン装着場所:手首 4-1-1-6 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成し た結果は fig6-1-1-5 に示す。また、fig6-1-1-5 をグラフ化したものを fig6-1-1-6 に 示す。 fig6-1-1-6 は、ポケットや腰でのスマートフォン装着場所とは異なる動きをする ので、他の装着場所と比べて変化が見られると予想した。結果として最も振幅、波 長ともに一定的なリズムを刻んでいる波形を示しているのが読み取れる。
fig6-1-1-5「合成加速度のデータ」
fig6-1-1-6「手首装着における自然歩行状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 47
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-1-2. 平均値
■スマートフォン装着場所:ポケット 今回は、一人のデータ破損により7人分のデータを取得した。fig6-1-2-2 は、被験 者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデータである。このデータは、 一人の被験者の合成加速度が目立って大きくなってしまったが、他の6人の被験者は、 大体同じ値であることが読み取れる。また、取得した加速度はどの被験者も 10(m/ s^2) を越えている。 nishizawa
12.39981526
iwabuchi
10.52235394
matsuda 10.64328307 kaimai 10.45051838 yamamura
10.36191475
yoshimoto
10.56455281
moroi
10.96588296
全体平均 10.84404588 fig6-1-2-1「ポケット保持における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-1-2-2「ポケット保持における合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 48
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig6-1-2-4 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均した データである。 被験者ごとにやや違いがあり、全体的にばらつきが生じてしまっ た。 また、加速度のスカラー量は、10(m/s^2) を下回った被験者から、12(m/s^2) を上回った被験者まで、加速度の値に均一性があまり見られなかった。
ichikawa
10.20347179
nishizawa
10.4130619
iwabuchi
10.30290434
matsuda 9.611394238 kaimai 12.46721677 yamamura
10.6750217
yoshimoto
9.674889807
moroi
10.2728522
全体平均 10.45260159 fig6-1-2-3「腰装着における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-1-2-4「腰装着における合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 49
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
fig6-1-2-6 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデータ である。被験者ごとに多少の違いはあるものの、だいたい同じ値を取得しているこ とが読み取れる。
ichikawa
10.20227023
nishizawa
10.28041007
iwabuchi
11.21232853
matsuda 10.2948846 yamamura
10.0489261
yoshimoto
11.68512933
moroi
10.85654769
全体平均 10.65435665
fig6-1-2-5「腰装着における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-1-2-6「手首装着における合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 50
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■各装着場所比較
fig6-1-2-8 の通り、平均すると、自然歩行状態においては、装着場所が異なっ ていてもほとんど加速度の違いはやや見られた。値は約 10.6(m/s^2) であること が読み取れる。
ポケット 10.84404588 腰
10.45260159
手首
10.65435665
fig6-1-2-7「各装着場所における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-1-2-8「各装着場所における自然歩行状態の合成加速度平均」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 51
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-1-3. 標準偏差
■スマートフォン装着場所:ポケット fig6-1-3-2 は fig6-1-3-1 をグラフ化したものである。ポケット保持における自然 歩行状態時の標準偏差は、被験者ごとに多少ばらつきが生じていることが読み取れ る。また、平均の値は 3.8(m/s^2) という結果になり、やや加速度にばらつきがあっ たことが分かる。 nishizawa
6.573068484
iwabuchi
3.577654108
matsuda
3.165453708
kaimai 3.414288009 yamamura
2.514168101
yoshimoto
3.169351866
moroi
4.331896529
全体平均 3.820840115 fig6-1-3-1「ポケット保持における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-1-3-2「ポケット保持における自然歩行状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 52
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig6-1-3-4 は fig6-1-3-3 をグラフ化したものである。腰装着における自然歩行状 態の標準偏差は、被験者ごとにばらつきが少なく、全被験者とも同じような加速度 を取得したことが読み取れる。また、平均した標準偏差は 2.8(m/s^2) であり、比 較的、加速度も安定していることが分かる。
ichikawa
2.740218595
nishizawa
4.693719032
iwabuchi
2.759322056
matsuda 2.376480557 kaimai 2.811564332 yamamura
2.481567416
yoshimoto
2.358440026
moroi
2.291296823
全体平均 2.814076105 fig6-1-3-3「腰装着における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-1-3-4「腰装着における自然歩行状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 53
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■スマートフォン装着場所:手首
fig6-1-3-6 は fig6-1-3-5 をグラフ化したものである。全装着場所の中で最も被験 者ごとにばらつきが少なく、同じ加速度の傾向が見られたことが読み取れる。また、 平均の標準偏差においても、2.2(m/s^2) ということから、安定した加速度を取得し ていたことが分かる。 ichikawa
2.005342516
nishizawa
3.090425747
iwabuchi
2.555819543
matsuda 2.225412036 yamamura
1.97432074
yoshimoto
1.87011084
moroi
1.891145595
全体平均 2.230368145
fig6-1-3-5「手首装着における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-1-3-6「腰装着における自然歩行状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 54
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■各装着場所比較
fig6-1-3-8 は fig6-1-3-7 をグラフ化したものである。標準偏差のばらつきが最も 小さいのが手首であることが読み取れる。従って、手首にスマートフォンを装着し た場合が最も正確な加速度を取得できることが読み取れる。
ポケット 3.820840115 腰
2.814076105
手首
2.230368145
fig6-1-3-7「各装着場所における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-1-3-8「各装着場所における自然歩行状態の合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 55
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-1-4. 最大値と最小値
■スマートフォン装着場所:ポケット ・最大値
fig6-1-4-2 は、ポケット保持における自然歩行状態の合成加速度の最大値を表している。 1人の被験者の最大値が大幅に大きくなっているが、全体的には 15~25(m/s^2) の間を最 大値として取得している。また、平均は約 22(m/s^2) である。
nishizawa
35.43992372
iwabuchi
22.26578411
matsuda 18.57257372 kaimai 21.08807924 yamamura
18.37321019
yoshimoto
16.32548454
moroi
23.9078497
全体平均 22.2818436 fig6-1-4-1.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
ポケット保持における被験者別合成加速度最大値
合成加速度(m/s^2)
40 35 30 25 20 15
自然
10 5
oi or m
w a iw ab uc hi m at su da ka im ai ya m am ur a yo sh im ot o
iza sh ni
ich
ika
w a
0
fig6-1-4-2.「ポケット保持における自然歩行状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 56
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
・最大値 fig6-1-4-4 は、腰装着における自然歩行状態の合成加速度の最大値を表している。ポケッ ト保持の場合より、被験者全体の最大値は小さいことが読み取れる。また、平均を取って も 18(m/s^2) となり、20(m/s^2) を下回る結果となった。
ichikawa
16.5751824
nishizawa
27.85747164
iwabuchi
16.95144758
matsuda 16.11315242 kaimai 25.26557159 yamamura
16.93939699
yoshimoto
15.6666199
moroi
14.37167462
全体平均 18.71756464 fig6-1-4-3.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
腰装着における被験者別合成加速度最大値
合成加速度(m/s^2)
40 35 30 25 20 15
自然
10 5
oi m or
im ot o
yo sh
ur a
am
ai m ya
ka
im
da su
i
m at
uc h
ab
w a
iw
iza ni sh
ich ika
w
a
0
fig6-1-4-4.「腰装着における自然歩行状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 57
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
・最大値 fig6-1-4-6 は、手首装着における自然歩行状態の合成加速度の最大値を表している。被 験者ごとに取得した最大値のばらつきが、最も少ないことが読み取れる。また、全被験者 とも最大値は 20(m/s^2) を下回り、スマートフォン装着場所の中でも最も小さい結果と なった。 ichikawa
14.67474521
nishizawa
17.38446806
iwabuchi
17.96468791
matsuda 15.40010001 yamamura
14.40105419
yoshimoto
17.60458386
moroi
14.94739615
全体平均 16.0538622 fig6-1-4-5.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
手首装着における被験者別合成加速度最大値
合成加速度(m/s^2)
40 35 30 25 20 15
自然
10 5
oi m or
im ot o yo sh
am
ur a
ai ya
m
im
ka
da su
hi
m at
uc
iw
ab
w a iza
ni sh
ich
ika
w a
0
fig6-1-4-6.「手首装着における自然歩行状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 58
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:ポケット
・最小値
fig6-1-4-8 は、ポケット保持における自然歩行状態の合成加速度の最小値を表している。 被験者ごとに多少のばらつきが見られる。平均すると約 4(m/s^2) となり、fig6-4-1-1 の最 大値平均と約 18(m/s^2) の差があることが分かる。
nishizawa
2.039773605
iwabuchi
5.368640987
matsuda 4.68417837 kaimai 5.154843047 yamamura
5.477732465
yoshimoto
3.439067665
moroi
2.166069965
全体平均 4.047186586 fig6-1-4-7.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
im ai ya m am ur a yo sh im ot o m or oi
ka
da su
m at
uc hi
iw ab
iza ni sh
ika ich
w a
自然
w a
合成加速度(m/s^2)
ポケット保持における被験者別合成加速度最小値
fig6-1-4-8.「ポケット保持における自然歩行状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 59
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
・最小値
fig6-1-4-10 は、腰装着における自然歩行状態の合成加速度の最小値を表している。被験 者ごとに多少のばらつきが見られる。平均すると約 5(m/s^2) となり、fig6-4-1-3 の最大値 平均と約 13(m/s^2) の差があることが分かる。 ichikawa
5.560252436
nishizawa
3.42204722
iwabuchi
5.134814386
matsuda 3.550894579 kaimai 6.474060662 yamamura
6.136918128
yoshimoto
3.385914112
moroi
6.639502337
全体平均 5.038050483 fig6-1-4-9.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
oi or m
ot o
hi m
ur a yo s
am
m
im ai
ya
ka
su da
m
at
hi uc ab
iw
iza
w
ni sh
ika ich
w a
自然
a
合成加速度(m/s^2)
腰装着における被験者別合成加速度最小値
fig6-1-4-10.「腰装着における自然歩行状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 60
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
・最小値
fig6-1-4-12 は、手首装着における自然歩行状態の合成加速度の最小値を表している。被 験者ごとに多少のばらつきが見られる。平均すると約 6(m/s^2) となり、fig6-4-1-5 の最大 値平均と約 10(m/s^2) の差があることが分かる。
ichikawa
7.300072638
nishizawa
4.350680629
iwabuchi
7.094867957
matsuda 6.710823839 yamamura
6.017635543
yoshimoto
7.883475835
moroi
5.744021585
全体平均 6.443082575
fig6-1-4-11.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
oi m or
w a iza
ni sh
ika ich
iw ab uc hi m at su da ka im ai ya m am ur a yo sh im ot o
自然
w a
合成加速度(m/s^2)
手首装着における被験者別合成加速度最小値
fig6-1-4-12.「手首装着における自然歩行状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 61
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■各装着場所比較
・最大値
fig6-1-4-14 は、各装着場所における自然歩行状態の合成加速度の最大値を平均し、 比較したものである。各装着場所で取得した最大値に差異が生まれる結果となった。 また、大小関係は、ポケット>腰>手首であることが読み取れる。
ポケット
22.2818436
腰
18.71756464
手首
16.0538622
fig6-1-4-13「各装着場所の合成加速度平均最大値 (m/s^2)」
自然 25
加速度(m/s^2)
20 15 自然
10 5 0 ポケット
腰
手首
fig6-1-4-14「各装着場所における自然歩行状態の合成加速度平均最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 62
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
・最小値
fig6-1-4-16 は、各装着場所における自然歩行状態の合成加速度の最小値を平均し、 比較したものである。各装着場所で取得した最小値に差異が生まれる結果となった。 しかし、fig6-1-4-14 では、それぞれの装着場所で約 2~4(m/s^2) の差異が生じてい るのに対し、fig6-1-4-16 では約 1(m/s^2) の差異のみである。また、大小関係は、最 大値と逆転し、手首>腰>ポケットであることが読み取れる。
ポケット
4.047186586
腰
5.038050483
手首
6.443082575
fig6-1-4-15「各装着場所の合成加速度平均最小値 (m/s^2)」
自然 25
加速度(m/s^2)
20 15 自然
10 5 0 ポケット
腰
手首
fig6-1-4-16「各装着場所における自然歩行状態の合成加速度平均最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 63
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-1-5. 波形比較 自然歩行状態は、特に段差に上ったりする上下方向の運度はない。また、急に立ち止まった り、方向転換などもなく、一定の歩行速度で実験を行った。結果として、4-1-1 に示したように、 波形の乱れはあまり見られず、一定的な波形を取得できた。そこで、各装着場所における全被 験者の波形を複合したもので分析を行う。 ■スマートフォン装着場所:ポケット 被験者それぞれ、全く同じ条件における合成加速度のグラフを複合した。fig6-1-5-1 より、 最大約 35(m/s^2) を記録している人などがいて、被験者ごとにばらつきが大きい。ポケット 保持において、波形で被験者ごとに同じ傾向をみることは難しいことが読み取れる。
nishizawa
12.39981526
iwabuchi
10.52235394
matsuda 10.64328307 kaimai 10.45051838 yamamura
10.36191475
yoshimoto
10.56455281
moroi
10.96588296
全体平均 10.84404588 fig6-1-5-1「ポケット保持における自然歩行状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-1-5-2「ポケット保持における自然歩行状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 64
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰 fig6-1-5--2 の波形と比較すると、fig6-1-5-4 のグラフの方か全体的に振幅は落ち着いている ことが読み取れる。被験者によっては、最大値が大きく出てしまっている場合もある。ポケッ ト保持よりも波形が取得している数値も小さい結果であったことが読み取れる。
ichikawa
10.20347179
nishizawa
10.4130619
iwabuchi
10.30290434
matsuda 9.611394238 kaimai 12.46721677 yamamura
10.6750217
yoshimoto
9.674889807
moroi
10.2728522
全体平均 10.45260159
fig6-1-5-3「腰装着における自然歩行状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-1-5-4「腰装着における自然歩行状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 65
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
先に示した二種のグラフと比較しても、最も fig6-1-5-6 のグラフが全体的に落ち着いている ことが読み取れる。どの被験者も振幅が大きすぎることはなく、安定的なリズムを刻んでおり、 自然な歩行状態であったことが読み取れる。
以上より、自然歩行状態において、スマートフォンの装着場所によって加速度の大きさにば らつきが生じてしまうことが分かる。また、それぞれの波形や平均値から、被験者ごとにばら つきが少ない適切な装着場所は手首であったことが分かる。
ichikawa
10.20227023
nishizawa
10.28041007
iwabuchi
11.21232853
matsuda 10.2948846 yamamura
10.0489261
yoshimoto
11.68512933
moroi
10.85654769
全体平均 10.65435665
fig6-1-5-5「手首装着における自然歩行状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-1-5-6「手首装着における自然歩行状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 66
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
6-2, 探索迷い状態 6-2-1. 合成加速度
■スマートフォン装着場所:ポケット fig4-1-2-2 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成 した結果は fig6-2-1-1 に示す。また、fig6-2-1-1 をグラフ化したものを fig6-2-1-2 に示す。 fig6-2-1-2 は、波形の振幅や波長に規則性がなくランダムである。自然歩行状態 時より、単位時間当たりの加速度変化が激しいことが読み取れる。波形は安定的で はない。
fig6-2-1-1「合成加速度のデータ」
fig6-2-1-2「ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 67
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig4-1-2-4 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成 した結果は fig6-1-2-3 に示す。また、fig6-1-2-3 をグラフ化したものを fig6-1-2-4 に示す。 fig6-2-1-4 は、fig6-2-1-2 と同様に波形が大きく乱れ、振幅が大きい状態が多い。 これにより速度変化が激しく、全体的な歩行速度が自然歩行状態と比べ、速いこと が読み取れる。
fig6-2-1-3「合成加速度のデータ」
fig6-2-1-4「腰装着における探索迷い状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 68
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■スマートフォン装着場所:手首 fig4-1-2-6 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成 した結果は fig6-2-1-5 に示す。また、fig6-2-1-5 をグラフ化したものを fig6-2-1-6 に示す。
fig6-2-1-6 は、fig6-2-1-2 や fig6-2-1-4 に比べ、最も全体の振幅の差が大きく、加 速度変化が激しい状態であることが読み取れる。また、各装着場所と比べて振幅が 小さい時間帯が多い。
fig6-2-1-5「合成加速度のデータ」 手首装着における探索迷い状態の合成加速度変化 (iwabuchi)
加速度(m/s^2)
25 20 15 10
合成加速度
5 0
0 15 30 45 60 75 90 105 120 135 150 165 180 時間(s)
fig6-2-1-6「手首装着における探索迷い状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 69
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-2-2. 平均値
■スマートフォン装着場所:ポケット
fig6-2-2-2 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデータ である。全体的に合成加速度の平均の大きさは約 11(m/s^2) という結果になり、 被験者ごとで、ばらつきが少ない。また、加速度が 11(m/s^2) を越えている被験 者が7人中5人という結果であった。
nishizawa
11.61036402
iwabuchi
11.25105004
matsuda
10.11509827
kaimai
11.24596902
yamamura
11.72146524
yoshimoto
11.15155067
moroi
10.95385602
全体平均
11.14990761
fig6-2-2-1「ポケット保持における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-2-2-2「ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 70
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig6-2-2-4 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデー タである。ポケット保持に比べると、被験者ごとの合成加速度のばらつきが大き いことが読み取れる。数値は 10(m/s^2) を下回った被験者から、最大 12(m/s^2) を越える被験者まで、幅広いことが読み取れる。 ichikawa
11.21521206
nishizawa
10.16580925
iwabuchi
9.843073556
matsuda
10.78234119
kaimai
10.42516438
yamamura
11.05684443
yoshimoto
12.07822177
moroi
9.817647824
全体平均
10.67303931
fig6-2-2-3「腰装着における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-2-2-4「腰装着における探索迷い状態の合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 71
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
fig6-2-2-6 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデータ である。被験者別に比較すると、ばらつきが大きいことが読み取れる。平均的にも 加速度は 11.6(m/s^2) であり、全体的に加速度が大きい。
ichikawa
10.63801754
nishizawa
11.16456123
iwabuchi
12.62174936
matsuda
10.66336266
kaimai
13.49268242
yamamura
10.96124664
yoshimoto
12.25117774
moroi
11.19018101
全体平均
11.62287233
fig6-2-2-5「手首装着における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-2-2-6「手首装着における探索迷い状態の合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 72
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■各装着場所比較
fig6-2-2-8 が示す通り、探索迷い状態において、スマートフォンの装着場所が 異なっていると、やや加速度の違いが生じることが読み取れる。全体の値は、約 11(m/s^2) という結果になった。 ポケット 11.14990761 腰
10.67303931
手首
11.62287233
fig6-2-2-7「各装着場所における合成加速度平均値比較 (m/s^2)」
fig6-2-2-8「各装着場所における探索迷い状態の合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 73
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-2-3. 標準偏差 ■スマートフォン装着場所:ポケット fig6-2-3-2 は fig6-2-3-1 をグラフ化したものである。ポケット保持における探索 迷い状態では、標準偏差のばらつきが被験者ごとに大きく、傾向が読み取れないこ とが分かる。また、平均した標準偏差も 5.1(m/s^2) という値になり、一人当たり の取得する加速度もばらつきが大きいことが読み取れる。
nishizawa
8.259293108
iwabuchi
4.065721067
matsuda
3.210324457
kaimai
4.644968032
yamamura
5.756947327
yoshimoto
6.054185034
moroi
3.989667961
全体平均
5.140158141
fig6-2-3-1「ポケット保持における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-2-3-2「ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 74
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig6-2-3-4 は fig6-2-3-3 をグラフ化したものである。fig6-2-3-2 と比較すると、 被験者ごとの標準偏差に安定性が見られる。また、標準偏差の平均値も約 4.07(m/ s^2) であり、5(m/s^2) は越えていないため比較的一人当たりの加速度もばらつき が少ないことが読み取れる。 ichikawa
3.523200172
nishizawa
4.570950317
iwabuchi
4.039939306
matsuda
3.717317509
kaimai
4.187998579
yamamura
3.744934121
yoshimoto
6.466285979
moroi
2.363771353
全体平均
4.076799667
fig6-2-3-3「腰装着における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-2-3-4「腰装着における探索迷い状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 75
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
fig6-2-3-6 は fig6-2-3-5 をグラフ化したものである。全被験者とも全体的に数値 が並び、被験者で差異が出ることはあまりなかったことが読み取れる。また、平均 した標準偏差も、自然歩行状態のポケットの場合よりも低い値となり、安定的であっ たと分かる。 ichikawa
2.548734057
nishizawa
5.120675767
iwabuchi
3.894440922
matsuda
3.010692993
kaimai
3.052970978
yamamura
3.239536084
yoshimoto
3.1057911
moroi
2.943347921
全体平均
3.364523728
fig6-2-3-5「手首装着における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-2-3-6「手首装着における探索迷い状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 76
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■各装着場所比較
fig6-2-3-8 は fig6-2-3-7 をグラフ化したものである。fig6-1-3-8 と同様に標準偏差 の大小関係は、 ポケット>腰>手首、となった。探索迷い状態において、スマートフォ ンの手首装着が、最もばらつきが少なく、最も有効な装着場所であると読み取れる。
ポケット 5.140158141 腰
4.076799667
手首
3.364523728
fig6-2-3-7「各装着場所における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-2-3-8「各装着場所における探索迷い状態の合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 77
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-2-4. 最大値と最小値
■スマートフォン装着場所:ポケット ・最大値
fig6-2-4-2 は、ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度の最大値を表している。 1人の被験者の最大値が大幅に大きくなっているが、全体的には約 20~30(m/s^2) の間を 最大値として取得している。また、平均は約 29(m/s^2) である。被験者ごとにばらつきは 大きい。 nishizawa
47.11638226
iwabuchi
23.30670129
matsuda
20.50146787
kaimai
32.92461668
yamamura
28.85379507
yoshimoto
30.41470941
moroi
21.98123581
全体平均
29.29984406
50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0
oi m or
im
ur
yo sh
am
ot o
a
ai im
ya m
ka
da su
m at
uc hi
a
ab iw
sh
iza
w
w ni
ika ich
探索
a
合成加速度(m/s^2)
fig6-2-4-1.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」 ポケット保持における被験者別合成加速度最大値
fig6-2-4-2.「ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 78
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰 ・最大値
fig6-2-4-4 は、腰装着における探索迷い状態の合成加速度の最大値を表している。fig62-4-2 と比べると、被験者ごとのばらつきはやや小さい。全体的には約 15~25(m/s^2) の 間を最大値として取得している。また、平均は約 24(m/s^2) である。
ichikawa
21.83007974
nishizawa
32.97180989
iwabuchi
18.05921792
matsuda
21.75094372
kaimai
22.61096634
yamamura
19.37798484
yoshimoto
37.16613599
moroi
17.88831363
全体平均
23.95693151
fig6-2-4-3.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0
oi or m
ot o
hi m
ur a yo s
am
ya
m
im ai
ka
m
at
su da
uc h
ab
w
a
iw
iza
w
ni sh
ich ika
i
探索
a
合成加速度(m/s^2)
腰装着における被験者別合成加速度最大値
fig6-2-4-4.「腰装着における探索迷い状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 79
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首 ・最大値
fig6-2-4-6 は、手首装着における探索迷い状態の合成加速度の最大値を表している。最 も被験者ごとのばらつきは少ないことが読み取れる。半数以上の被験者は、最大値が 10(m/s^2) 台であった。また、平均は約 22(m/s^2) である。
ichikawa
19.27283132
nishizawa
37.76169527
iwabuchi
25.93834912
matsuda
20.81423725
kaimai
19.55162591
yamamura
18.42156817
yoshimoto
19.87684837
moroi
18.50871382
全体平均
22.51823365
fig6-2-4-3.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
50 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0
oi
ya
m or
ai m am ur a yo sh im ot o
im
ka
da su
at m
w
uc hi
iw ab
iza ni sh
ika ich
a
探索
w a
合成加速度(m/s^2)
手首装着における被験者別合成加速度最大値
fig6-2-4-4.「手首装着における探索迷い状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 80
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:ポケット ・最小値
fig6-2-4-8 は、ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度の最小値を表している。 被験者ごとのばらつきは多いことが読み取れる。最大値と比べ、約 22(m/s^2) の差異があ る。また、平均は約 3(m/s^2) である。
nishizawa
2.638285646
iwabuchi
3.989007949
matsuda
3.641795302
kaimai
3.115626483
yamamura
2.191172924
yoshimoto
1.083466547
moroi
3.620419435
全体平均
2.897110612
fig6-2-4-7.「全被験者の合成加速度最小値 (m/s^2)」
ポケット保持における被験者別合成加速度最小値
合成加速度(m/s^2)
8 7 6 5 4 3
探索
2 1
oi m or
ur
yo sh
am m
im ot o
a
ai im
ya
ka
da
m at su
uc hi
w
a
iw ab
sh iza ni
ich
ika
w a
0
fig6-2-4-8.「ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 81
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰 ・最小値
fig6-2-4-10 は、腰装着における探索迷い状態の合成加速度の最小値を表している。被験 者ごとのばらつきは少ないことが読み取れる。最大値と比べ、約 20(m/s^2) の差異がある。 また、平均は約 3(m/s^2) である。 ichikawa
2.694829111
nishizawa
1.468911903
iwabuchi
2.98262651
matsuda
3.158571922
kaimai
2.983286147
yamamura
3.50316442
yoshimoto
2.737863834
moroi
5.325974482
全体平均
3.106903541
fig6-2-4-9.「全被験者の合成加速度最小値 (m/s^2)」
腰装着における被験者別合成加速度最小値
合成加速度(m/s^2)
8 7 6 5 4 3
探索
2 1
im ai ya m am ur a yo sh im ot o m or oi
ka
da su
m at
uc hi
w a
iw ab
iza ni sh
ich
ika
w
a
0
fig6-2-4-10.「腰装着における探索迷い状態の合成加速度最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 82
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首 ・最小値
fig6-2-4-12 は、手首装着における探索迷い状態の合成加速度の最小値を表している。被 験者ごとのばらつきは多いことが読み取れる。最大値と比べ、約 17(m/s^2) の差異がある。 また、平均は約 5(m/s^2) である。 ichikawa
6.251828457
nishizawa
5.172577394
iwabuchi
2.296642817
matsuda
3.59114686
kaimai
6.910448753
yamamura
5.343419807
yoshimoto
6.993801521
moroi
5.631441296
全体平均
5.273913363
fig6-2-4-11.「全被験者の合成加速度最小値 (m/s^2)」
手首装着における被験者別合成加速度最小値
合成加速度(m/s^2)
8 7 6 5 4 3
探索
2 1
oi m or
iw ab uc hi m at su da ka im ai ya m am ur a yo sh im ot o
w a iza
ni sh
ich
ika
w a
0
fig6-2-4-12.「手首装着における探索迷い状態の合成加速度最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 83
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■各装着場所比較
・最大値
fig6-2-4-14 は、各装着場所における探索迷い状態の合成加速度の最大値を平均し、 比較したものである。各装着場所で取得した最大値にやや差異が生まれる結果となっ た。また、大小関係は、ポケット>腰>手首であることが読み取れる。
ポケット
29.29984406
腰
23.95693151
手首
22.51823365
fig6-2-4-13「各装着場所の合成加速度平均最大値 (m/s^2)」
探索 35
加速度(m/s^2)
30 25 20 探索
15 10 5 0 ポケット
腰
手首
fig6-2-4-14「各装着場所における探索迷い状態の合成加速度平均最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 84
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
・最小値
fig6-2-4-16 は、各装着場所における探索迷い状態の合成加速度の最小値を平均し、 比較したものである。最大値の場合と比べると、各装着場所で取得した最小値に差異 はあまり生じない結果となった。また、大小関係は、最大値と逆転し、手首>腰>ポ ケットであることが読み取れる。
ポケット
2.897110612
腰
3.106903541
手首
5.273913363
fig6-2-4-15「各装着場所の合成加速度平均最小値 (m/s^2)」
探索 35
加速度(m/s^2)
30 25 20 探索
15 10 5 0 ポケット
腰
手首
fig6-2-4-16「各装着場所における探索迷い状態の合成加速度平均最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 85
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-2-5. 波形比較 探索迷い状態は、自然歩行状態と同様に、上下方向の運動はない。しかし、自然歩行状態と 比べて、全被験者にルートを提示しておらず、自由に館内の探索を行った。また、特徴的な行 動として、急な方向転換や急停止、激しい速度変化などが見られた。 以下より、全被験者の合成加速度の波形の複合グラフを示し、分析を行う。 ■スマートフォン装着場所:ポケット 被験者それぞれ、全く同じ条件における合成加速度のグラフを複合した。fig6-2-5-2 は fig62-5-1 をグラフ化したものである。全体的に波形の振幅のばらつきが激しく、被験者ごとに波 形はばらばらであることが読み取れる。全被験者とも振幅、波長ともに安定的な波形ではない。 nishizawa
11.61036402
iwabuchi
11.25105004
matsuda
10.11509827
kaimai
11.24596902
yamamura
11.72146524
yoshimoto
11.15155067
moroi
10.95385602
全体平均
11.14990761
fig6-2-5-1「ポケット保持における探索迷い状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-2-5-2「ポケット保持における探索迷い状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 86
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰 fig6-2-5-2 の波形と比較すると、fig6-2-5-4 のグラフの方が全体的に波形の乱れが大きいこ とが読み取れる。合成加速度の平均値においては、fig6-1-5-2 よりも小さな値となったが、被 験者ごとの合成加速度を比較すると、自然歩行状態時より、単位時間当たりの振幅や波長のば らつきが多いことが読み取れる。
ichikawa
11.21521206
nishizawa
10.16580925
iwabuchi
9.843073556
matsuda
10.78234119
kaimai
10.42516438
yamamura
11.05684443
yoshimoto
12.07822177
moroi
9.817647824
全体平均
10.67303931
fig6-2-5-3「腰装着における探索迷い状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-2-5-4「腰装着における探索迷い状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 87
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
先に示した二種のグラフと比較すると、最も fig6-2-5-6 のグラフが全体的に落ち着いてい ることが読み取れる。しかし、自然歩行状態と比較すると全体的な波形のばらつきと振幅は大 きい。被験者ごとに比較しても、単位時間当たりの振幅や波長に統一性がない。
以上より、探索迷い状態において、スマートフォンの装着場所による加速度の違いは顕著に 現れなかった。しかし、自然歩行状態と比べ、明らかに波形が大きい結果となった。
ichikawa
10.63801754
nishizawa
11.16456123
iwabuchi
12.62174936
matsuda
10.66336266
kaimai
13.49268242
yamamura
10.96124664
yoshimoto
12.25117774
moroi
11.19018101
全体平均
11.62287233
fig6-2-5-5「手首装着における探索迷い状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-2-5-6「手首装着における探索迷い状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 88
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
6-3. 選択迷い状態 6-3-1. 合成加速度
■スマートフォン装着場所:ポケット fig4-1-3-2 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、fig5-1-1 の算出方法で 合成した結果は fig6-3-1-1 に示す。また、fig6-3-1-1 をグラフ化したものを 6-3-1-2 に示す。 fig6-3-1-2 は、振幅が極めて小さく、激しい加速度変化はないことが読み取れる。 また、大きな振幅の数の少なさから、立ち止まる回数が多いことがわかる。加速度 は 10(m/s^2) 付近を常に保っている。
fig6-3-1-1「合成加速度のデータ」
fig6-3-1-2「ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 89
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■スマートフォン装着場所:腰 fig4-1-3-4 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成 した結果は fig6-3-1-3 に示す。また、fig6-2-1-3 をグラフ化したものを fig6-2-1-4 に示す。 fig6-3-1-4 は、fig6-3-1-2 と同様に、大きな速度変化は見られず、振幅は小さい。 また、fig6-3-1-2 と比べ、大きい振幅が少なく落ち着いている。さらに、加速度は 常に 10(m/s^2) 付近を保っている。
fig6-3-1-3「合成加速度のデータ」
fig6-3-1-4「腰装着における選択迷い状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 90
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■スマートフォン装着場所:手首 fig4-1-3-6 で得られた x、y、z の3軸加速度のグラフを、5-1-1 の算出方法で合成 した結果は fig6-3-1-5 に示す。また、fig6-3-1-5 をグラフ化したものを fig6-3-1-6 に示す。 fig6-3-1-6 は、fig6-3-1-2 や fig6-3-1-4 と比較すると、やや全体の波形に乱れがあ る。これにより常に動いていたことが読み取れる。また、各装着場所と同様に加速 度は 10(m/s^2) 付近を常に保っている。
fig6-3-1-5「合成加速度のデータ」
fig6-3-1-6「手首装着における選択迷い状態の合成加速度変化」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 91
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-3-2. 平均値
■スマートフォン装着場所:ポケット
fig6-3-2-2 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデータで ある。合成加速度の平均の大きさは 10(m/s^2) を下回り、加速度が遅いことが読み 取れる。被験者ごとで、ばらつきがとても少ない。
nishizawa
9.946045991
iwabuchi
10.03316916
matsuda
9.85954962
kaimai
10.0438262
yamamura
9.677256114
yoshimoto
10.0675599
moroi
10.2676649
全体平均
9.985010269
fig6-3-2-1「ポケット保持における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-3-2-2「ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 92
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig6-3-2-4 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデータで ある。fig6-3-2-2 と同様に、合成加速度の平均の大きさは 10(m/s^2) を下回る結果 になり、被験者ごとで、ばらつきがとても少ないことが読み取れる。
ichikawa
9.952055823
nishizawa
10.04848918
iwabuchi
9.858867938
matsuda
9.847437194
kaimai
10.0021345
yamamura
9.964319669
yoshimoto
9.711168651
moroi
9.808810667
全体平均
9.899160453
fig6-3-2-3「腰装着における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-3-2-4「腰装着における選択迷い状態の合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 93
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
fig6-3-2-6 は、被験者それぞれの3分間に取得した合成加速度を平均したデータ である。被験者別に比較すると、ばらつきはほとんど見られないことが分かる。被 験者間の最大誤差は約 0.2(m/s^2) である。
ichikawa
9.84170758
nishizawa
9.873165785
iwabuchi
9.807535121
matsuda
10.04971205
kaimai
10.01023546
yamamura
10.01731387
yoshimoto
10.0040582
moroi
10.06553919
全体平均
9.958658407
fig6-3-2-5「手首装着における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-3-2-6「手首装着における選択迷い状態の合成加速度平均値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 94
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■各装着場所比較 fig6-3-2-8 の通り、選択迷い状態において、固定個所が異なっていても、加速度 にはほとんど違いが生じなかった。値は、10(m/s^2) に満たない結果になった。
ポケット
9.985010269
腰
9.899160453
手首
9.958658407
fig6-3-2-7「各装着場所における合成加速度平均値 (m/s^2)」
fig6-3-2-8「各装着場所における選択迷い状態の合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 95
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-3-3. 標準偏差
■スマートフォン装着場所:ポケット
fig6-3-3-2 は fig6-3-3-1 をグラフ化したものである。これまでと比較すると明ら かに標準偏差は小さく、波形のばらつきや加速度の乱れがほとんどなかったことが 読み取れる。また、最大でも 2.1(m/s^2) という結果であるため、全ての状態におい て選択迷い状態が安定的であったことが分かる。
nishizawa
2.155620246
iwabuchi
0.543443487
matsuda
0.864880905
kaimai
1.106225508
yamamura
0.950745153
yoshimoto
1.262306897
moroi
1.026260712
全体平均
1.12992613
fig6-3-3-1「ポケット保持における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-3-3-2「ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 96
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig6-3-3-4 は fig6-3-3-3 をグラフ化したものである。一人の被験者のみ他の被験 者と比較すると、標準偏差は大きくなってしまった。しかし、全体の標準偏差平均 を見ると 1(m/s^2) を下回っており、とても安定的であったことが読み取れる。被 験者ごとのばらつきも大きく見られず、同じ状態であったことが分かる。
ichikawa
0.67121795
nishizawa
2.003214551
iwabuchi
0.576418805
matsuda
0.460775167
kaimai
0.956146167
yamamura
1.086254358
yoshimoto
0.735574953
moroi
0.626526878
全体平均
0.889516104
fig6-3-3-3「腰装着における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-3-3-4「腰装着における選択迷い状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 97
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
fig6-3-3-6 は fig6-3-3-5 をグラフ化したものである。最も手首装着の標準偏差が 小さく、極めて安定的な加速度を取得していたことが読み取れる。また、被験者ご とのばらつきも小さく、最大差異 0.9(m/s^2) となり、1(m/s^2) を下回る結果となっ た。 ichikawa
0.466022983
nishizawa
1.335488229
iwabuchi
0.467220698
matsuda
0.711834316
kaimai
1.305545036
yamamura
0.704150955
yoshimoto
0.785165892
moroi
0.732219316
全体平均
0.813455928
fig6-3-3-5「手首装着における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-3-3-6「手首装着における選択迷い状態の合成加速度標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 98
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
■各装着場所比較
fig6-3-3-8 は fig6-3-3-7 をグラフ化したものである。全ての装着場所において標 準偏差は極めて小さく、安定的な加速度を取得していたことが読み取れる。また、 スマートフォンを手首に装着する場合が、最も正確な値を取得することが可能であ ることがわかる。 ポケット 1.12992613 腰
0.889516104
手首
0.813455928
fig6-3-3-7「各装着場所における合成加速度標準偏差 (m/s^2)」
fig6-3-3-8「各装着場所における選択迷い状態の合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 99
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-3-4. 最大値と最小値
■スマートフォン装着場所:ポケット ・最大値
fig6-3-4-2 は、ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度の最大値を表している。 被験者ごとに、最大値のばらつきがやや多い。全体的には約 12~18(m/s^2) の間を最大値 として取得している。また、平均は約 15(m/s^2) である。
nishizawa
18.16561854
iwabuchi
12.78950796
matsuda
12.13524188
kaimai
14.62815669
yamamura
14.01768353
yoshimoto
18.00930013
moroi
13.68339429
全体平均
14.77555757
fig6-3-4-1.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0
oi or m
o
hi m
ot
a yo s
am ur
ai
m
im
ya
ka
da su
at m
w
uc hi
iw ab
iza ni sh
ika ich
a
選択
w a
合成加速度(m/s^2)
ポケット保持における被験者別合成加速度最大値
fig6-3-4-2.「ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 100
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰 ・最大値
fig6-3-4-4 は、腰装着における選択迷い状態の合成加速度の最大値を表している。被験 者ごとに、最大値のばらつきがやや多い。全体的には約 11~14(m/s^2) の間を最大値とし て取得している。また、平均は約 14(m/s^2) である。 ichikawa
14.44385007
nishizawa
19.80964904
iwabuchi
12.68025565
matsuda
11.43942655
kaimai
12.58959
yamamura
14.85726083
yoshimoto
11.37979511
moroi
12.33214409
全体平均
13.69149642
fig6-3-4-3.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0
oi or m
iza
w
ni sh
ich ika
w a iw ab uc hi m at su da ka im ai ya m am ur a yo sh im ot o
選択
a
合成加速度(m/s^2)
腰装着における被験者別合成加速度最大値
fig6-3-4-4.「腰装着における選択迷い状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 101
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首 ・最大値
fig6-3-4-6 は、手首装着における選択迷い状態の合成加速度の最大値を表している。被 験者ごとに、最大値のばらつきはやや少ない。全体的には約 11~15(m/s^2) の間を最大値 として取得している。また、平均は約 13(m/s^2) である。 ichikawa
11.00631726
nishizawa
15.30835818
iwabuchi
11.16035883
matsuda
12.79029294
kaimai
15.19172067
yamamura
12.38451472
yoshimoto
12.16765266
moroi
11.78230989
全体平均
12.72394064
fig6-3-4-5.「全被験者の合成加速度最大値 (m/s^2)」
20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0
oi or m
iza
w
ni sh
ich ika
w a iw ab uc hi m at su da ka im ai ya m am ur a yo sh im ot o
選択
a
合成加速度(m/s^2)
手首装着における被験者別合成加速度最大値
fig6-3-4-6.「手首装着における選択迷い状態の合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 102
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:ポケット ・最小値
fig6-3-4-8 は、ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度の最小値を表している。 被験者ごとに、最小値のばらつきは多い。全体的には約 5~8(m/s^2) の間を最小値として 取得している。また、平均は約 7(m/s^2) である。
nishizawa
5.960423057
iwabuchi
8.662003931
matsuda
4.453723781
kaimai
6.820358683
yamamura
7.488842016
yoshimoto
8.320993834
moroi
7.40033399
全体平均
7.015239899
fig6-3-4-7.「全被験者の合成加速度最小値 (m/s^2)」
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
oi or m
o
sh im ot
ur a
yo
am
m
im ai
ya
ka
at
su
da
hi m
uc
ab iw
iza
w
ni sh
ich ika
w a
選択
a
合成加速度(m/s^2)
ポケット保持における被験者別合成加速度最小値
fig6-3-4-8.「ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 103
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰 ・最小値
fig6-3-4-10 は、腰装着における選択迷い状態の合成加速度の最小値を表している。被験 者ごとに、最小値のばらつきは fig6-3-4-8 と比較すると少ない。全体的には約 6~9(m/s^2) の間を最小値として取得している。また、平均は約 8(m/s^2) である。 ichikawa
9.064198161
nishizawa
6.672749009
iwabuchi
8.516405444
matsuda
8.08517357
kaimai
8.626732099
yamamura
7.933457729
yoshimoto
6.250691552
moroi
8.644974045
全体平均
7.974297701
fig6-3-4-9.「全被験者の合成加速度最小値 (m/s^2)」
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
oi or m
w a iza
w
ni sh
ich ika
iw ab uc hi m at su da ka im ai ya m am ur a yo sh im ot o
選択
a
合成加速度(m/s^2)
腰装着における被験者別合成加速度最小値
fig6-3-4-10.「腰装着における選択迷い状態の合成加速度最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 104
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首 ・最小値
fig6-3-4-12 は、手首装着における選択迷い状態の合成加速度の最小値を表している。被 験者ごとに、最小値のばらつきは fig6-3-4-8 と比較すると少ない。全体的には約 6~9(m/ s^2) の間を最小値として取得している。また、平均は約 8(m/s^2) である。 ichikawa
8.043016102
nishizawa
5.666219051
iwabuchi
8.545927462
matsuda
8.553693899
kaimai
7.831830182
yamamura
9.032244613
yoshimoto
7.665205814
moroi
8.267359425
全体平均
7.950687068
fig6-3-4-11.「全被験者の合成加速度最小値 (m/s^2)」
10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
oi or m
o
sh im ot
yo
am
ur a
ai ya
m
im
ka
da su
hi
m at
uc
ab iw
iza ni sh
ika ich
w a
選択
w a
合成加速度(m/s^2)
手首装着における被験者別合成加速度最小値
fig6-3-4-12.「手首装着における選択迷い状態の合成加速度最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 105
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■各装着場所比較
・最大値
fig6-3-4-14 は、各装着場所における選択迷い状態の合成加速度の最大値を平均し、 比較したものである。各装着場所で取得した最大値にやや差異が生まれる結果となっ た。また、大小関係は、ポケット>腰>手首であることが読み取れる。
ポケット
14.77555757
腰
13.69149642
手首
12.72394064
fig6-3-4-13「各装着場所の合成加速度平均最大値 (m/s^2)」
選択
加速度(m/s^2)
15
10 選択 5
0 ポケット
腰
手首
fig6-3-4-14「各装着場所における選択迷い状態の合成加速度平均最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 106
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
・最小値
fig6-3-4-16 は、各装着場所における選択迷い状態の合成加速度の最小値を平均し、 比較したものである。各装着場所で取得した最小値に、差異はほとんど生じない結果 となった。また、大小関係は、わずかな差であるが、腰>手首>ポケットであること が読み取れる。 ポケット
7.015239899
腰
7.974297701
手首
7.950687068
fig6-3-4-15「各装着場所の合成加速度平均最大値 (m/s^2)」
選択
加速度(m/s^2)
15
10 選択 5
0 ポケット
腰
手首
fig6-3-4-16「各装着場所における選択迷い状態の合成加速度平均最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 107
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-3-5. 波形比較
選択迷い状態は、店舗内における商品選択の迷い状態の身体加速度を取得した。その際に見 られた特徴的行動として、歩行速度は遅め、急な速度変化なし、立ち止まり回数多いなどが挙 げられる。 以下より、全被験者の合成加速度の波形の複合グラフを示し、分析を行う。 ■スマートフォン装着場所:ポケット 被験者それぞれ、全く同じ条件における合成加速度のグラフを複合した。fig6-3-5-2 は fig63-5-1 をグラフ化したものである。全被験者とも加速度は 10(m/s^2) に集まっており、停滞時 間が長いことが読み取れる。しかし、被験者ごとに振幅の大きさが異なり、ばらつきが多い。
nishizawa
9.946045991
iwabuchi
10.03316916
matsuda
9.85954962
kaimai
10.0438262
yamamura
9.677256114
yoshimoto
10.0675599
moroi
10.2676649
全体平均
9.985010269
fig6-3-5-1「ポケット保持における選択迷い状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-3-5-2「ポケット保持における選択迷い状態の全被験者合成加速度比較」 Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 108
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰 被験者それぞれ、全く同じ条件における合成加速度のグラフを複合した。fig6-3-5-4 は fig6-3-5-3 をグラフ化したものである。fig6-3-5-2 と比べ、波形の振幅は落ち着いている。被 験者によっては、約 20(m/s^2) の加速度を取得しているが、全体的に 10(m/s^2) の値に一番 加速度を取得していることが読み取れる。 ichikawa
9.952055823
nishizawa
10.04848918
iwabuchi
9.858867938
matsuda
9.847437194
kaimai
10.0021345
yamamura
9.964319669
yoshimoto
9.711168651
moroi
9.808810667
全体平均
9.899160453
fig6-3-5-3「腰装着における選択迷い状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-3-5-4「腰装着における選択迷い状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 109
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首
被験者それぞれ、全く同じ条件における合成加速度のグラフを複合した。fig6-3-5-6 は fig6-3-5-5 をグラフ化したものである。各装着場所と比べて、最も全体の波形は安定しており、 被験者ごとの、振幅や波長ばらつきは小さいことが読み取れる。fig6-3-5-2 や fig6-3-5-4 と同 様に、手首装着の場合でも、加速度 10(m/s^2) の密度が大きい。 以上より、選択迷い状態において、どの装着場所でも平均加速度は 10(m/s^2) を下回った。 また、最も波形が安定しており、被験者ごとに高確率で同じような傾向が見られた。
ichikawa
9.84170758
nishizawa
9.873165785
iwabuchi
9.807535121
matsuda
10.04971205
kaimai
10.01023546
yamamura
10.01731387
yoshimoto
10.0040582
moroi
10.06553919
全体平均
9.958658407
fig6-3-5-5「手首装着における選択迷い状態の合成加速度 (m/s^2)」
fig6-3-5-6「手首装着における選択迷い状態の全被験者合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 110
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-4. 各状態のまとめ 6-4-1. 平均値 取得した合成加速度の平均値データを、被験者ごとに比較できるようまとめたものを以下に 示す。 ■スマートフォン装着場所:ポケット 被験者によって誤差はあるものの、平均すると自然歩行状態、探索迷い状態、選択迷い状態 それぞれの合成加速度の大小関係は、探索>自然>選択、であることが読み取れる。
自然
探索 選択
nishizawa
12.39981526
11.61036402
9.946045991
iwabuchi
10.52235394
11.25105004
10.03316916
matsuda 10.64328307
10.11509827
9.85954962
kaimai 10.45051838
11.24596902
10.0438262
yamamura
10.36191475
11.72146524
9.677256114
yoshimoto
10.56455281
11.15155067
10.0675599
10.96588296
10.95385602
10.2676649
全体平均 10.84404588
11.14990761
9.985010269
moroi
fig6-4-1-1.「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度平均 (m/s^2)」
ポケット保持における合成加速度の被験者別平均値
合成加速度(m/s^2)
14 13 12 自然 11
探索
10
選択
oi
ot im
m or
o
a sh yo
am
ur
ai im
ya m
ka
da su
m
at
uc hi
iw
ab
w a
sh iza ni
ich
ika
w
a
9
fig6-4-1-2.「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 111
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均合成加速度 自然歩行状態、探索迷い状態ともに男女差がやや表れた。全被験者の時のように、男は 傾向が出なかったが、女は探索>自然>選択の順で大小関係が示せる結果になった。 自然
探索
選択
男
11.18848409
10.99217078
9.946254924
女
10.58571723
11.26821024
10.01407678
fig6-4-1-3.「ポケット保持における各状態の男女別合成加速度平均 (m/s^2)」
fig6-4-1-3「ポケット保持における各状態の男女別合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 112
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
fig6-4-2-2 と同様に、被験者によって誤差はあるものの、平均すると自然歩行状態、探索迷 い状態、選択迷い状態それぞれの合成加速度の大小関係は、探索>自然>選択、であることが 読み取れる。 自然
探索
選択
ichikawa
10.20347179
11.21521206
9.952055823
nishizawa
10.4130619
10.16580925
10.04848918
iwabuchi
10.30290434
9.843073556
9.858867938
matsuda 9.611394238
10.78234119
9.847437194
kaimai 12.46721677
10.42516438
10.0021345
yamamura
10.6750217
11.05684443
9.964319669
yoshimoto
9.674889807
12.07822177
9.711168651
9.817647824
9.808810667
10.67303931
9.899160453
moroi
10.2728522
全体平均 10.45260159
fig6-4-1-4.「腰装着における各状態の被験者別合成加速度平均 (m/s^2)」
腰装着における合成加速度の被験者別平均値
合成加速度(m/s^2)
14 13 12 自然 11
探索
10
選択
oi or m
im ot o yo sh
am
ur a
ai ya
m
im
ka
su da
at
hi
m
uc
iw
ab
w a iza
ni sh
ich
ika
w
a
9
fig6-4-1-5.「腰装着における各状態の被験者別合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 113
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均合成加速度
fig6-4-1-3 と同様に、腰装着においても、自然歩行状態、探索迷い状態ともに男女差が やや表れた。一方、選択迷い状態は安定して男女差はほぼ見られない。また、全被験者の 場合と同様に、男女共、探索>自然>選択の順で大小関係が示せる結果になった。
自然
探索
選択
男
10.13270807
10.50160901
9.926712534
女
10.77249512
10.8444696
9.871608372
fig6-4-1-6.「腰装着における各状態の男女別合成加速度平均 (m/s^2)」
腰装着における合成加速度の男女別平均
合成加速度(m/s^2)
12 11 10
男
9
女
8 7 自然
探索
選択
fig6-4-1-7「腰装着における各状態の男女別合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 114
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首 この結果も同様に、被験者によって誤差はあるものの、平均すると自然歩行状態、探索迷い 状態、選択迷い状態それぞれの合成加速度の大小関係は、探索>自然>選択、であることが読 み取れる。 また、他の装着場所と比べ、加速度の大小はあるものの、全ての被験者において、探索>自 然>選択、の関係である結果を取得できた。
自然
探索
選択
ichikawa
10.20227023
10.63801754
9.84170758
nishizawa
10.28041007
11.16456123
9.873165785
iwabuchi
11.21232853
12.62174936
9.807535121
matsuda
10.2948846
10.66336266
10.04971205
kaimai
13.49268242
10.01023546
yamamura
10.0489261
10.96124664
10.01731387
yoshimoto
11.68512933
12.25117774
10.0040582
10.85654769
11.19018101
10.06553919
全体平均 10.65435665
11.62287233
9.958658407
moroi
fig6-4-1-8.「手首装着における各状態の被験者別合成加速度平均 (m/s^2)」
fig6-4-1-9「手首装着における各状態の被験者別合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 115
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均合成加速度
fig6-4-1-2 と同様に手首装着においても、自然歩行状態、探索迷い状態ともに男女差が やや表れた。一方、選択迷い状態は安定して男女差はほぼ見られない。また、全被験者の 場合と同様に、男女共、探索>自然>選択の順で大小関係が示せる結果になった。
自然
探索
選択
男
10.49747336
11.2719227
9.893030134
女
10.86353437
11.97382195
10.02428668
fig6-4-1-10.「手首装着における各状態の男女別合成加速度平均 (m/s^2)」
手首装着における合成加速度の男女別平均
合成加速度(m/s^2)
12 11 10
男
9
女
8 7 自然
探索
選択
fig6-4-1-11「手首装着における各状態の男女別合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 116
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
全被験者の、自然/探索/選択それぞれの状態別に、各装着場所における合成加速度の平均 値を fig6-4-1-13 に示す。 3つを比較すると、探索状態時の一番合成加速度が大きいことが分かる。また、全ての状態 において、腰が取得した加速度が一番小さいことが読み取れる。 さらに、加速度の大小関係は、全被験者の平均をとっても、探索>自然>選択、であること が分かった。
自然 ポケット
探索
選択
10.84404588
11.14990761
9.985010269
腰
10.45260159
10.67303931
9.899160453
手首
10.65435665
11.62287233
9.958658407
fig6-4-1-12.「各装着場所における各状態の合成加速度平均 (m/s^2)」
fig6-4-1-13「各装着場所における各状態の合成加速度平均比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 117
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-4-2. 標準偏差 取得した合成加速度のデータの標準偏差を算出し、被験者ごとに比較できるようまとめたも のを以下に示す。 ■スマートフォン装着場所:ポケット 被験者によって誤差はあるものの、平均すると自然歩行状態、探索迷い状態、選択迷い状態 それぞれの標準偏差の大小関係は、探索>自然>選択、であることが分かる。
自然
探索
選択
nishizawa
6.573068484
8.259293108
2.155620246
iwabuchi
3.577654108
4.065721067
0.543443487
matsuda 3.165453708
3.210324457
0.864880905
kaimai 3.414288009
4.644968032
1.106225508
yamamura
2.514168101
5.756947327
0.950745153
yoshimoto
3.169351866
6.054185034
1.262306897
4.331896529
3.989667961
1.026260712
全体平均 3.820840115
5.140158141
1.12992613
moroi
fig6-4-2-1.「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度平均標準偏差 (m/s^2)」
fig6-4-2-2「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 118
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均標準偏差
男女ともに、各状態の大小関係は、探索>自然>選択であり、同じ傾向が見られた。また、 自然歩行状態のみ大きく男女差が見られた。
自然
探索
選択
男
4.438725433
5.178446211
1.187981546
女
3.357426126
5.111442089
1.086384568
fig6-4-2-3.「ポケット保持における各状態の男女別合成加速度平均標準偏差 (m/s^2)」
fig6-4-2-4「ポケット保持における各状態の男女別合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 119
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:腰
被験者によって誤差はあるものの、平均すると自然歩行状態、探索迷い状態、選択迷い状態 それぞれの標準偏差の大小関係は、探索>自然>選択、であることが読み取れる。
自然
探索
選択
ichikawa
2.740218595
3.523200172
0.67121795
nishizawa
4.693719032
4.570950317
2.003214551
iwabuchi
2.759322056
4.039939306
0.576418805
matsuda 2.376480557
3.717317509
0.460775167
kaimai 2.811564332
4.187998579
0.956146167
yamamura
2.481567416
3.744934121
1.086254358
yoshimoto
2.358440026
6.466285979
0.735574953
2.291296823
2.363771353
0.626526878
全体平均 2.814076105
4.076799667
0.889516104
moroi
fig6-4-2-5.「腰装着における各状態の被験者別合成加速度平均標準偏差 (m/s^2)」
9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
自然 探索
oi or m
im
ur
yo sh
am
ot o
a
ai m
im
ya
ka
da su
i
m at
uc h ab
iw
w
sh iza ni
ika ich
a
選択
w a
標準偏差(m/s^2)
腰装着における合成加速度の被験者別標準偏差
fig6-4-2-6「腰装着における各状態の被験者別合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 120
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均標準偏差
男女ともに、各状態の大小関係は、探索>自然>選択となり、同じ傾向が見られた。また、 fig6-4-2-4 と同様に、自然歩行状態のみ大きく男女差が見られた。
自然
探索
選択
男
3.14243506
3.962851826
0.927906618
女
2.485717149
4.190747508
0.851125589
fig6-4-2-7.「腰装着における各状態の男女別合成加速度平均標準偏差 (m/s^2)」 腰装着における合成加速度の
男女別平均標準偏差
標準偏差(m/s^2)
6 5 4 男
3
女
2 1 0 自然
探索
選択
fig6-4-2-8「腰装着における各状態の男女別合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 121
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所:手首 被験者によって大小は多少あるものの、これまでと同様に、平均すると自然歩行状態、探索 迷い状態、選択迷い状態それぞれの標準偏差は、探索>自然>選択、であることが読み取れる。 また、被験者ごとのグラフのばらつきは、各装着場所中一番小さい。
自然
探索
選択
ichikawa
2.005342516
2.548734057
0.466022983
nishizawa
3.090425747
5.120675767
1.335488229
iwabuchi
2.555819543
3.894440922
0.467220698
matsuda 2.225412036
3.010692993
0.711834316
kaimai
3.052970978
1.305545036
yamamura
1.97432074
3.239536084
0.704150955
yoshimoto
1.87011084
3.1057911
0.785165892
1.891145595
2.943347921
0.732219316
全体平均 2.230368145
3.364523728
0.813455928
moroi
fig6-4-2-9.「手首装着における各状態の被験者別合成加速度平均標準偏差 (m/s^2)」
9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
自然 探索
oi or m
o
sh im ot
ur a
yo
am
ai m
im
ya
ka
su da
at
hi
m
uc ab
iw
iza
w
ni sh
ika ich
w a
選択
a
標準偏差(m/s^2)
手首装着における合成加速度の被験者別標準偏差
fig6-4-2-10「手首装着における各状態の被験者別合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 122
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均標準偏差 男女ともに、各状態の大小関係は、これまでと同様に同じ傾向が見られた。また、他の 装着場所とは異なり、全体的に男女差が表れていることが読み取れる。
自然
探索
選択
男
2.469249961
3.643635935
0.745141557
女
1.911859058
3.085411521
0.8817703
fig6-4-2-11.「手首装着における各状態の男女別合成加速度平均標準偏差 (m/s^2)」
手首装着における合成加速度の男女別平均標準偏差 6
標準偏差(m/s^2)
5 4 男
3
女
2 1 0 自然
探索
選択
fig6-4-2-12「手首装着における各状態の男女別合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 123
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
全被験者の、自然/探索/選択それぞれの状態別に、各装着場所における合成加速度の標準 偏差平均を fig3-3-5-3 に示す。 3つを比較すると、探索状態時が一番、標準偏差が大きいことが分かる。また、全ての状態 において、手首装着が一番小さく、ポケット保持が一番大きい加速度を取得したことが読み取 れる。 さらに、標準偏差の大小関係は、全被験者の平均をとっても、探索>自然>選択、であるこ とが分かった。
自然 ポケット
探索
選択
3.820840115
5.140158141
1.12992613
腰
2.814076105
4.076799667
0.889516104
手首
2.230368145
3.364523728
0.813455928
fig6-4-2-13.「各装着場所における各状態の被験者別合成加速度平均標準偏差 (m/s^2)」
fig6-4-2-14「各装着場所における各状態の全被験者合成加速度平均標準偏差比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 124
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
6-4-3. 最大値と最小値 以下より、各装着場所ごとに得られた合成加速度の最大値と最小値を示す。 ■スマートフォン装着場所 : ポケット ・最大値 fig6-4-3-2 より、探索迷い状態が一番大きな最大値を取得していることが分かる。また、 全体の平均をとると、探索>自然>選択の順で最大値の大きさに違いがある。 被験者によって誤差はあるが、被験者ごとに見ても、7 割の確率で、探索>自然>選択の 順に最大値の大きさに違いがあることが読み取れる。
自然
探索
選択
nishizawa
35.43992372
47.11638226
18.16561854
iwabuchi
22.26578411
23.30670129
12.78950796
matsuda 18.57257372
20.50146787
12.13524188
kaimai 21.08807924
32.92461668
14.62815669
yamamura
18.37321019
28.85379507
14.01768353
yoshimoto
16.32548454
30.41470941
18.00930013
23.9078497
21.98123581
13.68339429
全体平均 22.2818436
29.29984406
14.77555757
moroi
fig6-4-3-1.「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度最大値 (m/s^2)」
fig6-4-3-2「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 125
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
・最小値 fig6-4-3-2 と比べ、fig6-4-3-4 のように最小値になると大小関係が逆転し、選択迷い状態 の最小値が一番大きい値を示す結果になった。従って、各状態の大小関係は、選択>自然 >探索という順の結果であることが読み取れる。 自然
探索
選択
nishizawa
2.039773605
2.638285646
5.960423057
iwabuchi
5.368640987
3.989007949
8.662003931
matsuda 4.68417837
3.641795302
4.453723781
kaimai 5.154843047
3.115626483
6.820358683
yamamura
5.477732465
2.191172924
7.488842016
yoshimoto
3.439067665
1.083466547
8.320993834
2.166069965
3.620419435
7.40033399
全体平均 4.047186586
2.897110612
7.015239899
moroi
fig6-4-3-3.「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度最小値 (m/s^2)」
fig6-4-3-4「ポケット保持における各状態の被験者別合成加速度最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 126
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均最大値と平均最小値 男女ともに、最大値、最小値、各状態の大小関係は、同じ傾向が見られた。また、最大 値において、自然歩行状態のみ男女間で約 5.5(m/s^2) の差異があることが読み取れる。一 方、最小値においては全ての状態でほとんど男女差は見られないことが分かる。
自然
探索
選択
男 MAX 25.42609385
30.30818381
14.36345613
女 MAX 19.92365592
28.54358924
15.08463366
男 MIN 4.03086432
3.423029632
6.358716923
女 MIN 4.059428286
2.502671347
7.50763213
fig6-4-3-5.「ポケット保持における各状態の男女別合成加速度平均最大値最大値 (m/s^2)」
fig6-4-3-6「ポケット保持における各状態の男女別合成加速度平均最大値最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 127
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所 : 腰 ・最大値 ポケット保持同様に、fig6-4-3-8 より、探索迷い状態が一番大きな最大値を取得してい ることが分かる。また、全体の平均を取っても、探索>自然>選択の順で最大値の大きさ に違いがある。 被験者によって誤差はあるが、被験者ごとに見ても、7/8 の確率で、探索>自然>選択の 順に最大値の大きさの違いがあることが読み取れる。また、ポケット保持と比べると全体 的に最大値は小さくなる結果となった。
自然
探索
選択
ichikawa
16.5751824
21.83007974
14.44385007
nishizawa
27.85747164
32.97180989
19.80964904
iwabuchi
16.95144758
18.05921792
12.68025565
matsuda 16.11315242
21.75094372
11.43942655
kaimai 25.26557159
22.61096634
12.58959
yamamura
16.93939699
19.37798484
14.85726083
yoshimoto
15.6666199
37.16613599
11.37979511
14.37167462
17.88831363
12.33214409
全体平均 18.71756464
23.95693151
13.69149642
moroi
fig6-4-3-7.「腰装着における各状態の被験者別合成加速度最大値 (m/s^2)」
fig6-4-3-8「腰装着における各状態の被験者別合成加速度平均最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 128
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
・最小値 ポケット保持と同様に、fig6-4-3-8 と比べ、fig6-4-3-10 のように最小値になると大小関 係が逆転し、選択迷い状態の最小値が一番大きい値を示す結果になった。従って、各状態 の大小関係の平均は、選択>自然>探索という順の結果となった。 また、被験者ごとに加速度の最小値の大小の違いは見られるが、100% の確率で、最小 値の大小関係は、選択>自然>探索であることが読み取れる。
自然
探索
選択
ichikawa
5.560252436
2.694829111
9.064198161
nishizawa
3.42204722
1.468911903
6.672749009
iwabuchi
5.134814386
2.98262651
8.516405444
matsuda 3.550894579
3.158571922
8.08517357
kaimai 6.474060662
2.983286147
8.626732099
yamamura
6.136918128
3.50316442
7.933457729
yoshimoto
3.385914112
2.737863834
6.250691552
6.639502337
5.325974482
8.644974045
全体平均 5.038050483
3.106903541
7.974297701
moroi
fig6-4-3-9.「腰装着における各状態の被験者別合成加速度最小値 (m/s^2)」
fig6-4-3-10「腰装着における各状態の被験者別合成加速度平均最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 129
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均最大値と平均最小値 男女ともに、最大値、最小値、各状態の大小関係は、同じ傾向が見られた。また、どの 状態においても男女差による違いは微々たるものなので、男女間で大きく値が違うことは ないことが読み取れる。
自然
探索
選択
男 MAX 19.37431351
23.65301282
14.59329533
女 MAX 18.06081577
24.2608502
12.78969751
男 MIN 4.417002155
2.576234862
8.084631546
女 MIN 5.65909881
3.637572221
7.863963856
fig6-4-3-11.「腰装着における各状態の男女別合成加速度平均最大値最小値 (m/s^2)」
fig6-4-3-12「腰装着における各状態の男女別合成加速度平均最大値最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 130
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■スマートフォン装着場所 : 手首 ・最大値 ポケット保持同様に、fig6-4-3-14 では、探索迷い状態が一番大きな最大値を取得してい ることが分かる。また、全体の平均を取っても、探索>自然>選択の順で最大値の大きさ に違いがある。 一人の被験者にデータ破損があったが、被験者ごとに見ても、100% の確率で、探索>自 然>選択の順に最大値の大きさの違いがあることが分かる。また、ポケットと比べると全 体的に最大値は小さくなる結果であることが読み取れる。
自然
探索
選択
ichikawa
14.67474521
19.27283132
11.00631726
nishizawa
17.38446806
37.76169527
15.30835818
iwabuchi
17.96468791
25.93834912
11.16035883
matsuda 15.40010001
20.81423725
12.79029294
kaimai
19.55162591
15.19172067
yamamura
14.40105419
18.42156817
12.38451472
yoshimoto
17.60458386
19.87684837
12.16765266
14.94739615
18.50871382
11.78230989
22.51823365
12.72394064
moroi
全体平均 16.0538622
fig6-4-3-13.「手首装着における各状態の被験者別合成加速度最大値 (m/s^2)」
fig6-4-3-14「手首装着における各状態の被験者別合成加速度平均最大値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 131
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
・最小値 fig6-4-3-10 の結果と比べ、全ての被験者に共通はしなかったが、7/8 の確率で選択迷い 状態での最小値が一番大きい値を示す結果となった。平均を見ても、最小値の大小関係は、 選択>自然>探索である。また、他の装着場所と比べ、探索迷い状態における最小値が最 も大きいことが読み取れる。
自然
探索
選択
ichikawa
7.300072638
6.251828457
8.043016102
nishizawa
4.350680629
5.172577394
5.666219051
iwabuchi
7.094867957
2.296642817
8.545927462
matsuda 6.710823839
3.59114686
8.553693899
kaimai
6.910448753
7.831830182
yamamura
6.017635543
5.343419807
9.032244613
yoshimoto
7.883475835
6.993801521
7.665205814
5.744021585
5.631441296
8.267359425
全体平均 6.443082575
5.273913363
7.950687068
moroi
fig6-4-3-15.「手首装着における各状態の被験者別合成加速度最小値 (m/s^2)」
fig6-4-3-16「手首装着における各状態の被験者別合成加速度平均最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 132
分析結果
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
6
■男女別の平均最大値と平均最小値 男女ともに、最大値、最小値、各状態の大小関係は、同じ傾向が見られた。また、最大 値において、探索迷い状態で男女差が大きく値が異なることが読み取れる。最小値におい ては、ほとんど男女差は見られないことが分かる。
自然
探索
選択
男 MAX 16.3560003
25.94677824
12.5663318
女 MAX 15.6510114
19.08968907
12.88154949
男 MIN 6.364111266
4.328048882
7.702214129
女 MIN 6.548377654
6.219777844
8.199160008
fig6-4-3-17.「手首装着における各状態の男女別合成加速度最大値最小値 (m/s^2)」
fig6-4-3-18「手首装着における各状態の男女別合成加速度平均最大値最小値比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 133
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
6-5. 各状態の波形比較 一人の男性被験者の、自然/探索/選択それぞれの状態の、合成加速度波形を重ね合わせる ことで、自然歩行状態と各種迷い状態の区別、各迷い状態の区別を行う。
■スマートフォン装着場所:ポケット fig6-5-1 は、全ての状態の波形を重ね合わせたものである。波形は各状態で特徴的に分か れる結果となった。以下より、2つずつの比較を示す。
fig6-5-1「ポケット保持における各状態の合成加速度比較」
fig6-5-2 は、自然と探索状態の波形を重ね合わせたものである。両者を比較すると、探索 状態の波形の方が自然状態より、大きく乱れ、振幅が大きいことが分かる。また、自然状態 では波形を細かく刻んでいるのに対し、探索状態は波形を刻む回数が少ないことが分かる。
fig6-5-2「ポケット保持における自然 / 探索状態の合成加速度比較」
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 134
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
分析結果
6
fig6-5-3 は、自然と選択状態の波形を重ね合わせたものである。両者の波形を比較すると、 自然状態は比較的大きい振幅なのに対し、選択状態は極めて振幅が小さいことが分かる。従っ て、両者は区別することが出来た。
fig6-5-3「ポケット保持における自然 / 選択状態の合成加速度比較」
fig6-5-4 は、探索と選択の迷い状態の波形を重ね合わせたものである。両者を比較すると、 探索状態の波形の方が選択状態より、大きく乱れ、振幅が大きいことが分かる。従って、両 者の行動状況を区別することができ、同じ迷い状態でも状態の違いで身体加速度変化に違い が現れることが分かった。
fig6-5-4「ポケット保持における探索 / 選択状態の合成加速度比較」
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分析結果
6
■スマートフォン装着場所:腰 fig6-5-5 は、全ての状態の波形を重ね合わせたものである。波形は各状態で特徴的に分か れる結果となった。以下より、2つずつの比較を示す。
fig6-5-5「腰装着における各状態の合成加速度比較」 fig6-5-6 は、自然と探索状態の波形を重ね合わせたものである。両者を比較すると、探索 状態の波形の方が自然状態より、大きく乱れ、振幅が大きいことが分かる。また、自然状態 では波形を細かく刻んでいるのに対し、探索状態は波形を刻む回数が少ないことが分かる。
fig6-5-6「腰装着における自然 / 探索状態の合成加速度比較」
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分析結果
6
fig6-5-7 は、自然と選択状態の波形を重ね合わせたものである。両者の波形を比較すると、 自然状態は比較的大きい振幅なのに対し、選択状態は極めて振幅が小さいことが分かる。従っ て、両者は区別することが出来た。
fig6-5-7「腰装着における自然 / 選択状態の合成加速度比較」 fig6-5-8 は、探索と選択の迷い状態の波形を重ね合わせたものである。両者を比較すると、 探索状態の波形の方が選択状態より、大きく乱れ、振幅が大きいことが分かる。従って、両 者の行動状況を区別することができ、同じ迷い状態でも状態の違いで身体加速度変化に違い が現れることが分かった。
fig6-5-8「腰装着における探索 / 選択状態の合成加速度比較」
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分析結果
6
■スマートフォン装着場所:手首
fig6-5-9 は、全ての状態の波形を重ね合わせたものである。波形は各状態で特徴的に分か れる結果となった。以下より、2つずつの比較を示す。
fig6-5-9「手首装着における各状態の合成加速度比較」 fig6-5-10 は、自然と探索状態の波形を重ね合わせたものである。両者を比較すると、探索 状態の波形の方が自然状態より、大きく乱れ、振幅が大きいことが分かる。また、自然状態 では波形を細かく刻んでいるのに対し、探索状態は波形を刻む回数が少ないことが分かる。
fig6-5-10「手首装着における自然 / 探索状態の合成加速度比較」
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分析結果
6
fig6-5-11 は、自然と選択状態の波形を重ね合わせたものである。両者の波形を比較すると、 自然状態は比較的大きい振幅なのに対し、選択状態は極めて振幅が小さいことが分かる。従っ て、両者は区別することが出来た。
fig6-5-11「手首装着における自然 / 選択状態の合成加速度比較」 fig6-5-12 は、探索と選択の迷い状態の波形を重ね合わせたものである。両者を比較すると、 探索状態の波形の方が選択状態より、大きく乱れ、振幅が大きいことが分かる。従って、両 者の行動状況を区別することができ、同じ迷い状態でも状態の違いで身体加速度変化に違い が現れることが分かった。 以上より、ポケット、腰、手首のスマートフォン装着場所において、それぞれの波形は多 少異なる結果となった。しかし、どの装着場所においても、各状態の特徴的な波形を抽出でき、 それぞれの状態の区別をすることが可能であることが分かった。
fig6-5-12「手首装着における探索 / 選択状態の合成加速度比較」
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考察
7
7. 考察 ■ 6-1-1 自然歩行状態における合成加速度 ・スマートフォン装着場所:ポケット 波形の振幅、波長ともに一定的であった理由は、自然歩行状態では、事前に歩行するルート を指定していたため、歩行停止がなかったと考えられる。また、速度変化が少なかったのも理 由の1つとして予想できる。fig6-1-1-2 の後半に波形が極端に乱れてる理由は、スマートフォ ンの保持する場所がポケット内であったため、身体の振動に伴ってスマートフォン自体も振動 した可能性が考えられる。 ・スマートフォン装着場所:腰 ポケット保持と比べ、腰装着の場合、波形が全体的に落ち着いている理由は、固定部位が腰 の動きと直結していたためと考えられる。従って、スマートフォンで腰部分の身体加速度をそ のまま測定することができた。このデータ結果により、腰装着において、周期的な歩行加速度 を取得することが可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 3つの装着場所の中で、最も波形の振幅が一定的であった理由は、手首装着において、腕の 振りが直進方向以外のカーブ歩行にも影響されないためと考えられる。このデータ結果により、 手首装着において、最も周期的な歩行加速度を取得することが可能であると言える。 ■ 6-1-2 自然歩行状態における平均値 ・スマートフォン装着場所:ポケット 全被験者に共通して、約 10(m/s^2) の平均合成加速度を取得した理由は、歩行ルートを統 一し、停止せずに一定速度で歩行を行ったためと考えられる。また、fig6-1-1-2 から、合成加 速度は 10(m/s^2) を中心とし周期的な振幅が現れている。従って、ポケット保持において、 平均合成加速度が約 10(m/s^2) の場合は、自然歩行状態であると予想できる。 ・スマートフォン装着場所:腰 腰装着では被験者ごとで、平均合成加速度にばらつきが生じた。腰装着では、6-1-1 より、 固定部位が腰に直結していたため、腰部分の身体加速度をそのまま取得することができた。 従っ て、被験者の歩行時の癖に大きく依存してしまい、被験者ごとにばらつきが生じてしまったと 考えられる。また、取得した平均合成加速度はポケット保持と同様に、約 10(m/s^2) であった。 これも、ポケット保持と同様に、fig6-1-1-4 の振幅が 10(m/s^2) を中心としているため、自然 歩行状態であると予想できる。 ・スマートフォン装着場所:手首 手首装着では、被験者ごとで平均合成加速度にあまりばらつきは見られなかった。これは、 ポケット保持や腰装着に対して、腕の振りは歩行時の癖にあまり依存しないことが考えられる。 また、手首においても、取得した平均合成加速度は約 10(m/s^2) であったため、これまでと 同様に、自然歩行状態であると予想できる。
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考察
7
・各装着場所比較 自然歩行状態において、異なる装着場所で差異が多少見られた理由は、上記に前述した通り、 ポケットのゆとり具合、歩行地面の環境、上半身と下半身の歩行時の動作の違いが影響したた め考えられる。また、装着場所間での平均合成加速度の差異が 0.2(m/s^2) ごとであり、差異 が極めて小さいことが読み取れる。従って、自然歩行状態において、どの装着場所でも合成加 速度の平均値は、同じような傾向を抽出することが可能であることが言える。 ■ 6-1-3 自然歩行状態における標準偏差 ・スマートフォン装着場所:ポケット ポケット保持では、被験者ごとに多少ばらつきが生じた理由は、着衣状況が被験者によって 異なるため、歩行に伴い、ポケット内でスマートフォン自体が振動したためと考えられる。ま た、全被験者の平均した標準偏差は、約 3.8(m/s^2) を取得した。これにより、ポケット保持 において、取得した加速度は振幅のばらつきがやや多いことがわかる。また、ポケット保持に おいて、標準偏差で自然歩行状態であることを断定することが難しいことがわかる。 ・スマートフォン装着場所:腰 ポケット保持と比べ、全被験者で標準偏差に差異があまり生じなかった理由は、固定部位が 腰の動きと直結していたためと考えられる。従って、スマートフォンで腰部分の身体加速度を そのまま測定することができた。また、全被験者の平均した標準偏差は、約 2.8(m/s^2) を取 得した。これにより、ポケット保持よりも周期的な歩行加速度を取得していたと言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 最も被験者ごとで標準偏差にばらつきがなかった理由は、手の動きがあまり歩行時の癖に影 響されなかったためと考えられる。また、腕の振りは、直進方向以外のカーブ歩行にもあまり 影響されないため、結果として被験者ごとにばらつきは小さくなった。また、全被験者の平均 した標準偏差は、約 2.2(m/s^2) を取得した。これにより、最も3分間の間の加速度にばらつ きが少なく、周期的な歩行加速度であることが言える。 ・各装着場所比較 3つのスマートフォン装着場所の中で、最も手首の標準偏差が小さい値であった理由は、腕 の振りが、歩行時の癖による差異と直線やカーブの歩行に影響されづらいため、被験者ごとで ばらつきが生じなかったことが考えられる。従って、手首にスマートフォンを装着した場合が、 標準偏差が最も小さく、急激な速度変化がなかったことがわかる。これにより、手首装着の安 定性が最も高く、有効的であると考えられる。
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考察
7
■ 6-1-4 自然歩行状態における最大値と最小値 ・スマートフォン装着場所:ポケット ポケット保持における最大値が最も被験者間で差が生じてしまった理由は、着衣状況が異 なるためと、歩行速度が異なっていたことが考えられる。また、全被験者の平均最大値は約 22(m/s^2) を取得した。これは、fig6-1-2-2 を参照すると、取得した平均値が約 10(m/s^2) で あったため、平均値と約 12(m/s^2) もの差異が生じた。これにより、ポケット保持では過度 に最大値を取得してしまったことが考えられる。一方、最小値も、被験者ごとに差が生じてし まった。これも、最大値と同様な理由が考えられる。 ・スマートフォン装着場所:腰 腰装着における最大値もポケット保持と同様に、被験者間でやや差異が生じた。その理由と して、歩行時の癖が影響していると考えられる。また、平均最大値が約 18(m/s^2) に対して、 fig6-1-2-4 で取得した平均値は約 10(m/s^2) であり、約 8(m/s^2) の差異が生じたことが読み 取れる。これにより、ポケット保持よりも取得した加速度のばらつきは少なく、測定しやすい 場所であると考えられる。一方、最小値も、被験者ごとに差が生じてしまった。これも、最大 値と同様な理由が考えられる。 ・スマートフォン装着場所:手首 手首装着における最大値は、被験者ごとに差異がほとんど見られなかった。その理由として、 腕の振りは、歩行時の癖やカーブ歩行に依存しづらい装着場所であったためと考えられる。ま た、平均最大値が約 16(m/s^2) に対して、fig6-1-2-6 で取得した平均値は約 10(m/s^2) であり、 約 6(m/s^2) の差異しか生じなかった。これにより、3分間に取得した加速度が、極端な速度 変化も少なく、周期的な歩行加速度を取得したと言える。一方、最小値は、被験者間で最大差 異 3.5(m/s^2) 生じてしまった。これは、手首に装着したスマートフォンが重く、歩行するた びに常に視界に入ってしまうため、被験者によって無意識的に腕の振りがぎこちなくなってし まったことが考えられる。 ・各装着場所比較 最大値における、装着場所の大小関係は、ポケット>腰>手首という結果になった。これは、 ポケット保持の場合は、着衣状況で不安定な加速度を取得していたため最も大きくなった。腰 装着の場合は、歩行時の癖や地面状況などの環境面に依存していたため 2 番目に最大値が大 きくなったと考えられる。最後に、手首が取得した最大値が最も小さい理由は、下半身よりも 腕の動きの方が小さかったためと考えられる。以上より、最大値について、最も手首装着が周 期的な歩行加速度を取得する場所として適切であることが言える。一方、最小値はそれぞれの 大小関係が反転し、手首>腰>ポケットとなった。手首は腕の振りであるため、ほとんど等速 運動をしているため、最小値が最も大きくなったと考えられる。取得した平均加速度は、どの 装着場所においても約 10(m/s^2) であるため、最小値が小さくなればなるほど、速度変化が 激しく、周期的な振幅が見られない。従って、最小値においても、手首装着が適切な装着場所 であったと言える。
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考察
7
■ 6-1-5 自然歩行状態における全被験者の波形比較 ・スマートフォン装着場所:ポケット 被験者ごとに、波形の振幅や波長にばらつきが見られ、同じような傾向が読み取れなかった。 その理由として、歩行時の癖と着衣状況が異なっていたことが考えられる。そのため、ポケッ ト保持において、被験者で同じ傾向を抽出することは難しいと言える。 ・スマートフォン装着場所:腰 ポケット保持に比べると、被験者間で波形の振幅や波長のばらつきが小さい結果となった。 その理由として、腰装着の場合、固定部位が腰の動きと直結していたため、腰部分の身体加速 度をそのまま測定することができた。結果として、加速度の平均値も約 10.4(m/s^2) と小さく、 被験者みな、同じ自然歩行状態であったと言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 3つのスマートフォン装着場所に比べ、最も被験者間で振幅や波長のばらつきが生じなかっ た。これは、ポケット保持や腰装着と比べ、腕の動きは被験者間で差が生じづらいことと、常 に一定的な速度で腕を振っていたためと考えられる。また、歩行ルートに直線の他、カーブも 含まれていたことも影響していると考えられる。下半身は、カーブする時やや自然な歩行に乱 れが生じる。しかし、腕の振りに関しては、カーブ時でもほとんど変化はなかった。このよう な要因が重なり、最も手首装着が被験者間で同じ加速度を取得できたと考えられる。従って、 fig6-1-5-6 のような波形を取得した場合、このユーザーは、手首装着で自然歩行状態であると 言える確率が高いと予想される。 ■ 6-2-1 探索迷い状態における合成加速度 ・スマートフォン装着場所:ポケット 探索迷い状態において、波形の振幅や波長が大きく乱れた理由は、観測した様々な特徴的行 動が影響したと考えられる。例として、急停止、急な方向転換、右往左往など、一般的な歩行 である自然歩行状態と比較して、行動のバリエーションが多く、歩行が変則的であった。また、 3分以内に指定された店舗を探し出すという状況であったため、時間に対する焦りが波形に表 れたと考えられる。それらに加えて、ポケット内でスマートフォン自体が動いてしまったため、 単位時間当たりの振幅の乱れが激しくなったと考えられる。従って、自然歩行状態の合成加速 度と比べて、単位時間当たりの振幅の大きさが極端に大きいため、波形から探索迷い状態であ ると推測できる。 ・スマートフォン装着場所:腰 ポケット保持に比べると、全体の波形の振幅は一定的であった。これは、腰にスマートフォ ンを装着したため、ポケットと比べ身体の動き自体の加速度を取得できたことが考えられる。 また、全体の波形の振幅が大きいのは、探索迷い状態において、困惑状態特有の店舗が見つか らない焦りや時間の焦りが影響し、歩行速度が速くなった。そのため、全体で取得する加速度 も大きくなったと考えられる。従って、自然歩行状態の合成加速度と比べて、振幅が極端に大 きいため、波形から探索迷い状態であると推測できる。また、fig6-2-1-4 の 60 秒から 105 秒 の間に波長が乱れているのが読み取れる。これは、被験者が途中、店舗を探すのに疲れ、歩行 速度が一定的になったと考えられる。 Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 143
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・スマートフォン装着場所:手首 手首装着では、単位時間当たりの振幅の乱れが激しい。これは、腕の振りは足の動きと連動 するので、 他の装着場所と同様に、自然歩行状態と比べて大きく、変則的になったと考えられる。 また、手首装着のみ、小さい振幅が多く見られた。その要因として、腕の振りは、歩行速度が 速くなっても、下半身ほど大きい動作にならないことが考えられる。さらに、fig6-2-1-6 から、 波形が3分間で下降傾向にあるのが読み取れる。その理由として、被験者の運動量の低下と時 間に対する焦りが、探すことへの諦めに繋がったためと考えられる。 ■ 6-2-2 探索迷い状態における平均値 ・スマートフォン装着場所:ポケット 7 人中5人の取得した加速度が大きくなったのは、探索迷い状態時に見られた、特徴的行動 が影響していると考えられる。また、被験者ごとに差が生じたのは、歩行時の癖と着衣状況の 違いが考えられる。一方で、1 人の被験者は、自然歩行状態時とほとんど変わらない平均値を 示した。従って、ポケット保持における平均値では、100% 判断することはできないことが分 かる。また、取得した平均合成加速度は、約 11(m/s^2) であった。合成加速度である fig6-11-4 の振幅が約 11(m/s^2) を中心としているため、探索迷い状態であると予想できる。 ・スマートフォン装着場所:腰 全被験者に、取得した加速度の平均値にばらつきが生じてしまった。これもポケット保持と 同様に、探索迷い状態では、全被験者に異なるルートを様々な行動のバリエーションで歩行し ていたため、被験者間で差が生じてしまったと考えられる。また、取得した平均合成加速度は ポケット保持とは異なり、約 10.6(m/s^2) であった。これは、自然歩行状態で取得した加速 度とほぼ同じであるため、腰装着において、平均値で探索迷い状態を検出することは難しいこ とが分かる。 ・スマートフォン装着場所:手首 手首装着においても同様に、探索迷い状態では、被験者で特徴的行動の数が異なるため、ば らつきが生じてしまったと考えられる。また、取得した平均合成加速度はポケット保持と同様 に、11(m/s^2) を越えた。これは、ポケット保持と同様に、fig6-2-1-6 の振幅が 11(m/s^2) を 中心としているため、探索迷い状態であると予想できる。 ・各装着場所比較 全体で取得した値が、約 11.(m/s^2) と大きくなったのは、特徴的行動が多く見られたため と考えられる。また、装着場所によって差が生じたのも同様に、特徴的行動が影響したためと 考えられる。探索迷い状態では、どの装着場所においても、被験者間でばらつきが生じてしまっ たため、平均値で同じ傾向を見るのは難しい。しかし、各装着場所で平均値が 11(m/s^2) を 超え、自然歩行時よりも取得した加速度は大きい。従って、探索迷い状態時では、被験者間で 同じ傾向は見られないが、自然歩行時に比べ、1.0(m/s^2) 大きくなっているため両者を区別 することが出来る。
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考察
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■ 6-2-3 探索迷い状態における標準偏差 ・スマートフォン装着場所:ポケット 標準偏差の平均は 5.0(m/s^2) を超え、それぞれが取得した加速度にばらつきが大きい結果 となった。これは、6-2-1 や 6-2-2 で前述したような、探索迷い状態時の特徴的行動が影響し ていると考えられる。また、被験者間で大きくばらつきが見られたのも、異なる着衣状況に合 わせて、時間への焦り、特徴的行動の頻度やバリエーションが異なっていたためと考えられる。 さらに、自然歩行状態では、標準偏差の平均が約 3.8(m/s^2) であり、探索迷い状態と比べて、 差異が約 1.2(m/s^2) 生じた。これにより、標準偏差で自然歩行状態と探索迷い状態を区別す ることが可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:腰 腰装着において、 標準偏差が被験者間であまり差が見られなかったのは、共通のスマートフォ ン用ケースにより、被験者の着衣状況に影響されなかったためと考えられる。また、標準偏差 の平均は約 4.0(m/s^2) であり、自然歩行状態の標準偏差の平均は 2.8(m/s^2) であるため、ポ ケット保持と同様に約 1.2(m/s^2) の差異が生じた。従って、腰装着においても、標準偏差で 自然歩行状態と探索迷い状態を区別することが可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 最も被験者間で差が生じず、同じ傾向が見られた。また、標準偏差の平均も約 3.3(m/^s2) と、 最も小さく、全被験者比較的安定した振幅であった。これは、腕の振りは特徴的行動に影響さ れにくいため、このような結果になったと考えられる。さらに、自然歩行状態の標準偏差の平 均は約 2.2(m/s^2) であるため、ポケット保持や腰装着と同様に、約 1.2(m/s^2) の差異が生じ た。従って、手首装着においても、標準偏差で自然歩行状態と探索迷い状態を区別することが 可能であると言える。 ・各装着場所比較 最も手首が小さい標準偏差の値を取得したのは、前述した通り、被験者の着衣状況に影響さ れないことと、特徴的行動が腕の振りに伝わりにくいためと考えられる。また、ポケット>腰 >手首のこの大小関係は、自然歩行状態時の標準偏差と同一である。従って、歩行状態が異なっ ていても、最もばらつきが少なく正確に取得できる、スマートフォンの装着場所は手首である と言える。 ■ 6-2-4 探索迷い状態における最大値と最小値 ・スマートフォン装着場所:ポケット 取得した合成加速度の最大値は、平均約 29(m/s^2) となり平均値が 11(m/s^2) であるため、 非常に大きい値となった。また、fig6-2-1-2 より、3 分間に 29(m/s^2) に近い極大値を取得し ている回数が 4 回あり、探索迷い状態における顕著な特徴が観測された。これにより、全て の状態に観測されるであろう、単なる一瞬の速度変化ではなく、常に激しい速度変化が生じ ていたことがわかる。さらに、自然歩行状態の最大値と比較すると、約 7(m/s^2) 探索迷い状 態の方が大きく、最大値でも自然歩行状態と探索迷い状態を区別することが可能であると言え る。一方、最小値では全体平均が約 2.8(m/s^2) であり、fig6-2-1-2 の場合、3分以内に 2.8(m/ s^2) に近い値を3回取得しており、最大値同様、激しい速度変化があったことが読み取れる。 Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 145
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また、自然歩行状態と比較すると、fig6-1-4-7 より自然歩行状態の最小値は 4.0(m/s^2) であ り探索迷い状態の方が小さい値となった。これは、波形の振幅の大きさの違いによるものであ り、大きな速度変化が生じていたことが影響している。以上より、最大値最小値はともに、各 状態を区別可能な要素であったと言える。 ・スマートフォン装着場所:腰 取得した合成加速度の最大値は、被験者の着衣状況に影響されないため、ポケット保持より 約 5(m/s^2) 差が生じ、約 24(m/s^2) となった。また、腰装着の場合、fig6-2-1-4 を参照する と、合成加速度の振幅は常に大きかったため、常に速い速度であったことが考えられる。さら に、自然歩行状態の最大値と比較すると、約 6(m/s^2) 探索迷い状態の方が大きい値を示した。 被験者間でばらつきが観測されたのは、歩行時の癖や特徴的行動が影響していると考えられる。 一方、最小値もポケット保持と同様な傾向が観測された。以上より、ポケット保持と同様に、 最大値や最小値でも自然歩行状態と探索迷い状態を区別することが可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 取得した合成加速度の最大値は、被験者間で差がほとんど観測されなかった。これは、 6-2-3 で述べたように、特徴的行動が腕の振りに影響されづらいことと、着衣状況に関係がな いためと考えられる。また、取得した平均最大値は、約 22.5(m/s^2) となり、fig6-2-1-6 を参 照すると、3分間に最大値に近い値を5回あり、探索迷い状態における顕著な特徴が観測され た。これにより、ポケット保持と同様に、単なる一瞬の速度変化ではなく、常に激しい速度変 化が生じていたことがわかる。一方、最小値もポケット保持と同様な傾向が観測された。以上 より、ポケット保持と同様に、最大値や最小値でも自然歩行状態と探索迷い状態を区別するこ とが可能であると言える。 ・各装着場所比較 合成加速度の平均最大値の大小関係が、ポケット>腰>手首となったのは、前述したように、 異なる着衣状況と特徴的行動が影響する部分の違いが考えられる。一方、最小値は、大小関係 が逆転し、手首>腰>ポケットとなった。これは、腕は歩行が止まっていても、探索迷い状態 時では常に動いていたため、最小値が最も大きい値となったと考えられる。また、自然歩行状 態と比べても最大値、最小値それぞれの大小関係は同一であった。従って、歩行状態が異なっ ていても、最もばらつきが少なく正確に取得できる、スマートフォンの装着場所は手首である と言える。 ■ 6-2-5 探索迷い状態における全被験者の波形比較 ・スマートフォン装着場所:ポケット 自然歩行状態時と同様に、ポケット保持では、被験者ごとに着衣状況が異なっていたため、 振幅や波長のばらつきが大きく生じてしまった。また、被験者間に行動の統一性が観測できな い探索迷い状態において、特徴的行動をする頻度やタイミングが異なるため、同じような波形 を抽出することは難しいと考えられる。
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・スマートフォン装着場所:腰 ポケット保持に比べ、取得した合成加速度の平均は小さいことが分かる。これは、着衣状況 に影響されていないためと考えられる。また、ポケット保持と同様に、被験者間に行動の統一 性が観測できない探索迷い状態において、特徴的行動をする頻度やタイミングが異なるため、 同じような波形を抽出することは難しいと考えられる。 ・スマートフォン装着場所:手首 最も被験者間で差異が少なく、振幅は収束し、やや落ち着いているように読み取れる。しか し、被験者間に約 3.0(m/s^2) の最大差異があり、自然歩行状態時ほどの統一性はないことが 分かる。また、ポケット保持と同様に、被験者間に行動の統一性が観測できない探索迷い状態 において、特徴的行動をする頻度やタイミングが異なるため、同じような波形を抽出すること は難しいと考えられる。 ■ 6-3-1 選択迷い状態における合成加速度 ・スマートフォン装着場所:ポケット 単位時間当たりの振幅が極めて小さい結果となった。選択迷い状態では、探索迷い状態とは 別に見られた、特徴的行動が影響していると考えられる。被験者共通に見られたのが、立ち止 まり回数が多いことと、遅い歩行速度である。トータルコーディネートを組むように指示を出 したため、歩き回るよりは、商品の前に立ち止まって考えることが多かった。結果として、急 な速度変化はなく、立ち止まる回数が多くなり、取得した加速度の波形が落ち着いていたと考 えられる。従って、自然歩行状態や探索迷い状態と比べると、単位時間当たりの振幅や波長か ら、明らかに状態が異なることが読み取れる。 ・スマートフォン装着場所:腰 ポケットに比べて、大きい振幅が少ない理由は、着衣状況に影響されなかったためと考えら れる。また、全体的に加速度変化が見られない波形となったのは、ポケット保持と同様に、選 択迷い状態特有の行動が観測されたためであると考えられる。波形を見ると、0 秒から 75 秒 の間がやや、振幅が大きくなっていることが読み取れる。これは、入店時から3分計測したた め、最初の数秒は全体の商品を見るために店舗内を歩行しており、後半は、限定した商品で悩 んだため、このような波形になったと考えられる。以上の特徴から、ポケット保持同様に、自 然歩行状態や探索迷い状態と比べると、単位時間当たりの振幅や波長から、明らかに状態が異 なることが読み取れる。 ・スマートフォン装着場所:手首 ポケット保持や腰装着と比べて、最も単位時間当たりの振幅数が多いことが読み取れる。こ れは、立ち止まって商品を見ていても、腕の振りは下半身に依存せず、止まらないため常に動 いていたと考えられる。また、ポケット保持同様に、自然歩行状態や探索迷い状態と比べると、 単位時間当たりの振幅や波長から、明らかに状態が異なることが読み取れる。
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考察
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■ 6-3-2 選択迷い状態における平均値 ・スマートフォン装着場所:ポケット 被験者間でばらつきは、自然歩行状態や探索迷い状態より見られないことが読み取れる。し かし、ポケット保持であるため、被験者間で着衣状況が異なり、多少のばらつきは生じたと考 えられる。また、全体平均は約 9.9(m/s^2) であり、fig6-3-1-2 の波形も約 9.9(m/s^2) を中心 としているため、平均値でも選択迷い状態であると予測できる。従って、自然歩行状態や探索 迷い状態と比べて最も数値は小さく、10(m/s^2) を下回っているため、ポケット保持において、 平均値で各状態を区別可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:腰 ポケット保持に比べ、被験者間でばらつきは小さい。これは着衣状況に影響されないため、 あまりばらつきが生じなかったと考えられる。また、全体平均は約 9.9(m/s^2) であり、腰装 着においても、ポケット保持同様に fig6-3-1-4 の波形も約 9.9(m/s^2) を中心としているため、 平均値でも選択迷い状態であると予測できる。従って、自然歩行状態や探索迷い状態と比べて 最も数値は小さく、10(m/s^2) を下回っているため、腰装着において、平均値で各状態を区別 可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 全装着場所の中で最も被験者間のばらつきは見られなかった。これは、腰装着と同様に、着 衣状況に影響されないことと、手首の振りは特徴的行動に影響されないため、ばらつきはほと んど生じなかったと考えられる。また、全体平均は約 9.9(m/s^2) であり、手首装着においても、 ポケット保持同様に、fig6-3-1-6 の波形も約 9.9(m/s^2) を中心としているため、平均値でも 選択迷い状態であると予測できる。従って、自然歩行状態や探索迷い状態と比べて最も数値は 小さく、10(m/s^2) を下回っているため、手首装着において、平均値で各状態を区別可能であ ると言える。 ・各装着場所比較 異なる装着場所で、 取得した平均合成加速度の差異はほとんど見られないことが読み取れる。 選択迷い状態では、歩き回ることがほとんどなく、商品を選ぶために立ち止まっていたため、 fig6-3-2-8 のような結果になったと考えられる。対して、自然歩行状態や探索迷い状態では、 手首装着が最も適切な装着場所であると示した。しかし、選択迷い状態において、異なる装着 場所で取得した加速度の平均値に差異がほとんど見られなかった。従って、選択迷い状態では、 装着場所に依存されずに、適切な加速度を取得することが可能であると考えられる。
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加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
考察
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■ 6-3-3 選択迷い状態における標準偏差 ・スマートフォン装着場所:ポケット ポケット保持において、標準偏差はやや被験者間でばらつきが生じた。これは、着衣状況が 影響していると考えられる。また、全体的に標準偏差が小さいのは、急な速度変化がなく、立 ち止まり回数が多いなどの、選択迷い状態時に見られた特徴的行動が影響していると考えられ る。さらに、自然歩行状態や探索迷い状態に比べて、選択迷い状態における標準偏差の全体平 均は約 1.1(m/s^2) であり、この状態のみ、極めて取得した加速度の振幅や波長が落ち着いて いたことが分かる。従って、ポケット保持において、標準偏差で各状態を区別可能であると言 える。 ・スマートフォン装着場所:腰 被験者間のばらつきは小さいことが読み取れる。これは、ポケット保持に比べて、着衣状況 に影響されないため、標準偏差は小さく、被験者ごとに差異がほとんど見られなかったと考え られる。また、全被験者の標準偏差は 2 人を除いて、1.0(m/s^2) を下回った。これは、ポケッ ト保持と同様に、急な速度変化がなく、立ち止まり回数が多いなどの、選択迷い状態時に見ら れた特徴的行動が影響していると考えられる。さらに、自然歩行状態や探索迷い状態に比べて、 選択迷い状態における標準偏差の全体平均は約 0.9(m/s^2) であり、この状態のみ、極めて取 得した加速度の振幅や波長が落ち着いていたことが分かる。従って、ポケット保持同様に、腰 装着において、標準偏差で各状態を区別可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 fig6-3-3-6 から、被験者間の標準偏差のばらつきはほとんど生じていないことが読み取れる。 これは、選択迷い状態時に見られる特徴的行動が、腕の振りに影響しづらいため、被験者間で 差があまり生じなかったと考えられる。また、ポケット保持や腰装着と同様に、全体の標準偏 差が小さいのは、急な速度変化がなく、立ち止まり回数が多いなどの、選択迷い状態時に見ら れた特徴的行動が影響していると考えられる。さらに、自然歩行状態や探索迷い状態に比べて、 選択迷い状態における標準偏差の全体平均は約 0.8(m/s^2) であり、この状態のみ、極めて取 得した加速度の振幅や波長が落ち着いていたことが分かる。従って、ポケット保持同様に、手 首装着において、標準偏差で各状態を区別可能であると言える。 ・各装着場所比較 選択迷い状態では、異なる装着場所でも、ほとんど標準偏差に差が生じず、最大差異が 0.3(m/ s^2) であった。これは、選択迷い状態時に見られる特徴的行動が、立ち止まりや、遅い歩行 速度などで、加速度変化に大きく影響するものではなかったためと考えられる。対して、平均 値の場合と同様に、自然歩行状態や探索迷い状態では、手首装着が最も適切な装着場所である と示した。しかし、選択迷い状態において、異なる装着場所で取得した加速度の平均値に差異 がほとんど見られなかった。従って、選択迷い状態では、装着場所に依存されずに、適切な加 速度を取得することが可能であると考えられる。
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■ 6-3-4 選択迷い状態における最大値と最小値 ・スマートフォン装着場所:ポケット 取得した合成加速度の最大値は、平均すると約 14(m/s^2) である。平均値は約 9.9(m/s^2) であったため、差異が約 3(m/s^2) となり、最大値を取得した場合でも、歩行は落ち着いてい たことが読み取れる。また、fig6-3-1-2 を参照すると、14(m/s^2) に近い値を取得した回数が 1回だけである。これは、商品を見るために、止まっていた状態から、歩き出したことを示し ていると考えられる。一方、最小値の平均は約 7.0(m/s^2) であり、fig6-3-1-2 を参照すると、 7.0(m/s^2) に近い値を取得した回数が 3~4 回あるのが読み取れる。これにより最小値は、商 品を見るために立ち止まる等の、減速回数が多かったことが考えられる。また、他の状態で取 得された最大値や最小値と比較すると、最大値は最も小さく、最小値は最も大きい値を示した。 従って、ポケット保持において、最大値や最小値でも各状態を区別することが可能であると言 える。 ・スマートフォン装着場所:腰 取得した合成加速度の最大値は、平均すると約 13(m/s^2) である。平均値は約 9.9(m/s^2) であったため、差異が約 3(m/s^2) となり、最大値を取得した場合でも、歩行が落ち着いてい たことが読み取れる。また fig6-3-1-4 を参照すると、13(m/s^2) に近い値を取得した回数が、 1回だけである。これは、ポケット保持と同様な理由が考えられる。一方、最小値の平均は約 7.9(m/s^2) であり、fig6-3-1-4 を参照すると、7.9(m/s^2) に近い値を取得した回数が 4 回あ るのが読み取れる。これにより最小値は、商品を見るために立ち止まる等の、減速回数が多かっ たことが考えられる。また、他の状態で取得された最大値や最小値と比較すると、最大値は最 も小さく、最小値は最も大きい値を示した。従って、腰装着において、最大値や最小値でも各 状態を区別することが可能であると言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 取得した合成加速度の最大値は、平均すると約 12(m/s^2) である。平均値は約 9.9(m/s^2) であったため、差異が約 2(m/s^2) となり、最大値を取得した場合でも、歩行が落ち着いてい たことが読み取れる。また fig6-3-1-4 を参照すると、12(m/s^2) に近い値を取得した回数が、 3 回である。これは、 腕の振りの場合、下半身の動きとは独立しているので、自然と動いてしまっ ていたことが考えられる。一方、最小値の平均は約 7.9(m/s^2) であり、fig6-3-1-4 を参照す ると、7.9(m/s^2) に近い値を取得した回数が 3 回あるのが読み取れる。これにより最小値は、 商品を見るために立ち止まる等の、減速回数が多かったことが考えられる。また、他の状態で 取得された最大値や最小値と比較すると、最大値は最も小さく、最小値は最も大きい値を示し た。 従って、 腰装着において、最大値や最小値でも各状態を区別することが可能であると言える。
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・各装着場所比較 合成加速度の平均最大値の大小関係が、ポケット>腰>手首となったのは、異なる着衣状況 と特徴的行動が影響する部分の違いが考えられる。一方、最小値の大小関係は、腰>手首>ポ ケットとなった。 傾向としては、最も手首装着の場合が一番大きい最小値を取得するはずであっ た。しかし、このような結果になった理由として、最小値に関しては、止まっている状況とほ ぼ変わらないので、微細な差であるため傾向とは異なる結果になってしまった。また、腰装着 において、歩行時の癖に加えて、同じ地点に立ち止まっていても、左右の棚にある商品を見る ために腰をひねる動作が多かったことが影響したと考えられる。一方、自然歩行状態や探索迷 い状態と比べても最大値、最小値それぞれの大小関係はほぼ同一であったと言える。従って、 歩行状態が異なっていても、最もばらつきが少なく正確に取得できる、スマートフォンの装着 場所は手首であると言える。 ■ 6-3-5 選択迷い状態における全被験者の波形比較 ・スマートフォン装着場所:ポケット 被験者ごとの波形の振幅のばらつきは大きいことが読み取れる。これは、被験者によって、 立ち止まるタイミングや頻度が異なるため、波形に統一性があまり見られない結果となったこ とが考えられる。また、ポケット保持において、着衣状況も影響するため、より被験者ごとに 波形の振幅や波長がばらついたと考えられる。さらに、自然歩行状態や探索迷い状態と比べて、 全体的に加速度 10(m/s^2) の値に集まっているのは、全被験者に共通して何度も立ち止まっ ていたためであると考えられる。従って、ポケット保持において、選択迷い状態で同じ傾向を 抽出するのはやや難しい。しかし、各状態と比べると、単位時間当たりに 10(m/s^2) に集まっ ている時間帯が全被験者に共通して多いことから、同じ傾向を抽出しやすいと言える。 ・スマートフォン装着場所:腰 ポケット保持と比べると、着衣状況に影響されていないため、比較的に被験者ごとの振幅の ばらつきは少ないことが読み取れる。また、ポケット保持と同様に、全体的に加速度 10(m/ s^2) の値に集まっているのは、全被験者に共通して何度も立ち止まっていたためであると考 えられる。従って、腰装着において、各状態と比べると、単位時間当たりに 10(m/s^2) に集まっ ている時間帯が全被験者に共通して多いことから、同じ傾向を抽出しやすいと言える。 ・スマートフォン装着場所:手首 全装着場所の中で、最も被験者間で同じ傾向が見られた。これは、着衣状況に影響されない 各装着場所の中で最も被験者ごとのばらつきは少ないことが読み取れる。 結果として、 被験者間でほとんど波形の振幅や波長のばらつきが見られなかった。また、 ポケッ ト保持と同様に、全体的に加速度 10(m/s^2) の値に集まっているのは、全被験者に共通して 何度も立ち止まっていたためであると考えられる。従って、手首装着において、各状態と比べ ると、単位時間当たりに 10(m/s^2) に集まっている時間帯が全被験者に共通して最も多いこ とから、同じ傾向を抽出しやすいと言える。また、以上より、最適な装着場所は選択迷い状態 においても、手首であることが分かる。
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■自然歩行状態 自然歩行状態において、被験者は一定的な速度で平面歩行を行ったため、波形が大きく乱れ る被験者は少なかった。しかし、スマートフォンの装着場所で加速度に差異が出てしまった。 特に、ポケット保持において、着衣状況が異なるため、ポケット内でスマートフォン自体が振 動してしまったことが考えられる。結果として、被験者ごとに差異が生まれてしまった。また、 被験者ごとに歩行時の癖があるのも一因であると考えられる。 ■探索迷い状態 探索迷い状態において、被験者には目的地のみを伝え、適当なルートを歩行させた。そのた め、被験者ごとに差異が生じた。また、顕著な特徴として、探索迷い状態では、急な方向転換、 急停止、引き返し、などの激しい速度変化が見られ、右往左往などの行動のバリエーションが 多い分、被験者で加速度のばらつきが最も激しい結果となったと考えられる。さらに、自然歩 行状態において、着衣状況が大きく影響してしまったと前述したが、探索迷い状態のポケット 保持においても、同様に考えられ、結果としてばらつきが大きい波形となった。そして、スマー トフォンの全装着場所において、後半に加速度のばらつきが大きい結果となったのは、3分と いう時間制限の焦りから速度変化が激しくなったと考えられる。 ■選択迷い状態 選択迷い状態において、被験者には店内でトータルコーディネートを選択する検討をさせた ので、歩行速度は他の2種の実験よりも遅く、急な速度変化はなく、立ち止まって考える回数 が多かった。それにより、波形は最も落ち着いており、全被験者に共通して加速度は 9.8~10(m/ s^2) という値になったと考えられる。選択迷い状態においても、スマートフォンをポケット や腰に装着した場合波形にばらつきが見られたが、これもポケットのゆとり具合や被験者の歩 行時の癖が表れたと考えられる。また、店舗内は3分で回りきれる店舗面積であったため、無 駄な動きが少なかったと考えられる。
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■ポケット ポケット保持において、被験者のどの状態でも波形にばらつきが見られた。その原因として、 前述したように、ポケットのゆとり具合が最も影響したと考えられる。さらに被験者の歩行時 の癖も加わるので、最も不安定な加速度であり、波形に乱れがあったと考えられる。従って、 ポケット保持では、被験者間でばらつきが大きく、正確な加速度を取得するのが難しい装着場 所であった。 ■腰 腰装着において、ポケット保持よりも正確な加速度を取得できた。これは、固定部位が腰の 動きと直結していたためと考えられる。よって、腰の動きをそのまま加速度として取得できた。 しかし、各状態において、歩行時の癖が影響してしまう装着部位であると言える。 ■手首 手首装着において、全被験者の全状態、全装着場所と比較すると、最も最適な装着場所であっ たと考えられる。歩行時の足の動きがダイレクトに伝わらない分、歩行時の癖に依存しないた め、全被験者を通して波形のばらつきが少なかった。また、装着するケースも、スマートフォ ンに密着する仕様で、被験者共通に右手首に装着した。結果として、最も被験者に依存しない 環境で実験結果を得ることができた。しかし、普段付けないところに、重いものが装着され、 さらに、歩くたびに視界に入ってくるので、無意識に手の振りがぎこちなくなってしまい、結 果として被験者に大きな差異が見られなかったとも考えられる。 ■標準偏差 各状態の標準偏差をとると、探索>自然>選択の順で大小関係の傾向が見られた。その原因 として、探索迷い状態は行動のバリエーションンが多いため、速度変化が激しく、最もばらつ きが多く生じたと考えられる。自然歩行状態は、探索迷い状態と比べ、被験者ごとに歩行速度 は異なるものの、一定の速度で止まらすに歩行したため、探索迷い状態の次に位置づいたと考 えられる。最後に、選択迷い状態は、2つと比べ、常に動いているシチュエーションが少ない ことと、立ち止まり回数が極めて多いため、一番小さい値となったことが考えられる。 ■最大値と最小値 最大値の各状態の大小関係においても、探索>自然>選択、という結果であった。これは、 探索迷い状態は、最も速度変化が激しいかつ、最も最大速度が大きいことが影響したと考えら れる。対して、選択迷い状態は激しい速度変化が見られず、歩行速度も全被験者共通で遅めで あったため、最も最大値の小さい状態であったことが分かる。しかし、最小値に関して、各状 態の大小関係が反転し、選択>自然>探索、となった。この原因として、合成加速度のスカラー 量のみを見ていることと、選択状態時の振幅が最も小さいことが挙げられる。これは、速度変 化が小さいことを表しており、取得した加速度にばらつきが少なかったことが分かる。
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■男女差における比較 取得した加速度の平均値、標準偏差、最大値に主に自然歩行状態実験と探索迷い状態実験の 2つに男女差がやや表れる結果となった。選択迷い状態実験下でどの特徴量においても、ほと んど男女差が表れなかった原因として、実験間での歩行量の違いが影響していると考えられる。 選択迷い状態実験では、店舗内という限られた空間内であったため、歩行できる距離が限られ ていた。また、被験者全てに共通して見られた特徴的行動として、立ち止まって商品選択の検 討をしていたことが挙げられる。これらは、被験者ごとの歩行時の癖などに依存されにくいた め、男女差はほとんど生まれず全被験者を通して共通的であったと考えられる。自然歩行状態 や探索迷い状態は被験者の歩行の癖がそれぞれ異なり、かつ、男女間では骨盤の構造が異なっ ているため、取得した歩行加速度に違いが生じたと考えられる。
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8-1. 本研究のまとめ 本研究を通して、合成加速度、平均値、標準偏差、最大値、最小値、波形比較、それぞれに 関する分析を行った。その結果、スマートフォンを使用して取得した身体加速度のうちから、 基準となる自然歩行状態と各種の迷い状態における身体加速度の違いを抽出し、区別すること ができた。また、迷い状態にも探索迷い状態と選択迷い状態の2つの異なる状態があることを 身体加速度の差異によって区別することができた。 しかし、同一の状態、同一の装着場所であるのにも関わらず、被験者ごとに取得した加速度 のばらつきが大きく、 被験者の歩行の癖や、着衣状況に結果が影響されてしまったことがわかっ た。しかしながら、3つのスマートフォン装着場所の中で、取得した加速度に最も同一傾向が 観測された場所が、手首であることを明らかにし、スマートフォンの適切な装着場所を提示す ることができた。 以上より、異なる身体加速度に応じて変化する空間情報サービスを提供するための指標を示 すことができた。
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まとめ
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8-2. 課題 本研究では、被験者ごとのばらつきを抑えるために、自然歩行状態や探索迷い状態に歩行制 限を設けた。今回、全被験者に共通して、上下方向の運動を制限したため、どの状態において も階段やエスカレーターを使用する場面が無かった。しかし、実際は上下方向での運動も考え られるため、歩行制限せずに同様の傾向を抽出することが求められる。また、今回、最も正確 に加速度を取得することができたのが、手首であった。しかし実験中、被験者は無意識に手首 の振りを気にしている場面があったため、手首に大きなスマートフォンを付けるのはやや現実 的ではなかったと考えられる。 今回取得した2種類の迷い状態以外にも、様々な状況に応じた迷い状態が考えられる。従っ て、迷い状態をさらに細分化し、それらもまた加速度で区別することを可能にすることが求め られている。さらに、人は迷い行動だけではなく、様々な行動のバリエーションが考えられる ため、色んな行為や行動で加速度の変化が表れるのか調査していくことが課題である。
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まとめ
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8-3. 展望 本研究は、スマートフォンのみで加速度を取得し、どの装着場所においても、自然歩行状 態、探索迷い状態、選択迷い状態の区別をすることが出来た。また、最適装着場所は手首であ ることを明らかにした。これにより、近年登場した「Apple watch」等の腕時計型ウェアラブ ルデバイスと関連づけることが可能になり、今回の結果は意義を持つものとなった。「Apple watch」は心拍を測ることが可能であり、その機能に加えて、加速度を同時に取得することで、 より精度の高い迷い状態の検出に応用できると考えられる。さらに今後は、リアルタイムにそ の状態時の加速度を検知することで連動して起動する、情報の可視化アプリケーションを開発 し、応用することが求められる。このツールを利用することで、建築空間を変えるのではなく、 ユーザーの様々な状況を、行動的特徴でリアルタイムに把握し、適切な空間情報サービスの提 供が可能になると考えられる。また、このシステムの応用例として、道に迷った際の加速度を 自動で検知したと同時に、簡略化されたマップがデバイスに送信され、道案内のサポートを行 うことが考えられる。また、商品選択で迷っている状況も同様に、リアルタイムに検知し、販 売員側のデバイスに通知がいくことで、適切なタイミングでの接客に活かすことが可能になる。 さらに、様々な人の取得した迷いの加速度データを、サーバー側に貯めることが出来れば、建 築空間内で迷いやすいポイントを抽出し、改善することも可能になる。
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謝辞
今回この論文を最後まで書き上げることが出来たのは、渡辺仁史先生を初めとし、林田先生、 良三先生、恵吾さん、馬淵さん、植村さん、M2、M1 の先輩方、M0 の同期の同じ研究室の 仲間がいなければ成し得なかったことでした。本当にありがとうございました。 毎週月曜のグループであったりょうじさん、あいささん、とむさん、あさみさん、何度も卒 論テーマを変更し、ぶれぶれな私にたくさんのアドバイスをしてくださり、本当に助かりまし た。最初は、経年変化の素材から始まり、ストッキング、やる気の可視化、カロリーの可視化、 アパレル店舗のフィッティング、捨て色マーケティングなど何度テーマを変更したか分かりま せん。正直、テーマが全然定まらなかったので毎週月曜日は憂鬱でした。でもこうして論文を 書き上げることが出来て本当に良かったです。感謝で一杯です。 このテーマになったきっかけとして、林田先生の支えがありました。林田先生には本当に感 謝してもしきれないです。あのメッセージが無ければ論文も書けていたのか分かりません。と にかく、どうしようもない私を気にかけてくださり、個別のミーティングなど本当に助かりま した。ありがとうございました。 そして、陳さんは Web アプリからの付き合いでしたが、今まで本当にお世話になりました。 ありがとうございます。天才派の陳さんに着いていくのが必死でしたが、陳さんが担当でよかっ たです。日々、メッセージ等で状況を気にかけてくださり、大黒柱みたいな存在でした。私の つたない文章も、細かい所まで添削していただきとても助かりました。真面目に指導してくれ 注 1.1) パ ズ ル & ド ラ ゴ ンズの略。パズルと育成 RPG が融合した、大人気
るだけではなく、センスある笑いを取り入れつつ、心に余裕もでき、楽しく論文制作に臨めま した。ありがとうございました。
スマートフォンアプリ。 研究室内では、私の他に、 ゆいこ、佐藤さん、馬淵 さんが日々プレイしてい
M0 のみんな、徹夜を共にしたことで深まった友情、それに伴いセンター分けになっていっ
る。
た私の髪型。みんなに批評を浴びせられたのを、今でも鮮明に覚えています。集中するときと
注 1.2) モ ン ス タ ー ス ト
喋るときと、適度にオン・オフができて楽しかったです。正直、私に関してはオフの時間、す
ライクの略。モンスター を引張るだけの簡単アク ション RPG。研究室内で プレイしている人がいな
なわち、パズドラ注 1.1) やモンスト注 1.2) をやっているときが結構多かったと思います。その度に 呆れてくれたみんな(1名を除く)、色々とありがとうございました。
いので、現在布教中。
この研究室で良かったです。本当に皆様、ありがとうございました。
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参考文献
[1] 総務省 平成 16 年版 情報通信白書 『http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h16/html/G1401000.html』 (2014/10/19) [2] 木村俊介、松本卓人、浜中雅俊、李昇姫:『屋内施設における迷子防止サービスの構築』 [3] 高木啓伸: 『視線の移動パターンに基づくユーザの迷いの検出—効果的な作業支援を目指し て』(2000) [4] 荒木貴好、米澤拓郎、中澤仁、高汐一紀、徳田英幸:『実店舗における商品購入時の迷い検 出システムの構築』 [5] 特許庁: 『平成 21 年度 特許出願技術動向調査報告書 加速度』 [6] 岡山大学 毛利建太郎、難波和彦、高尾明秀:『加速度センサによる移動体の自己位置検出 に関する研究』 [7] 笠原弘樹: 『携帯端末の加速度センサを用いた歩行認証に関する研究』(2013) [8] 近江俊佑: 『スマートフォンを用いた行動追跡調査手法の開発』(2012)
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■全被験者生データ ・自然歩行状態 ( ポケット )
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・自然歩行状態 ( 腰 )
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・自然歩行状態 ( 手首 )
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・探索迷い状態 ( ポケット )
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・探索迷い状態 ( 腰 )
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・探索迷い状態 ( 手首 )
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・選択迷い状態 ( ポケット )
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・選択迷い状態 ( 腰 )
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・選択迷い状態 ( 手首 )
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■全被験者の合成加速度 ・自然歩行状態 ( ポケット )
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・自然歩行状態 ( 腰 )
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・自然歩行状態 ( 手首 )
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・探索迷い状態 ( ポケット )
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・探索迷い状態 ( 腰 )
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・探索迷い状態 ( 手首 )
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・選択迷い状態 ( ポケット )
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・選択迷い状態 ( 腰 )
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・選択迷い状態 ( 手首 )
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■3軸加速度のグラフ ・自然歩行状態 ( ポケット )
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加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・自然歩行状態 ( 腰 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 193
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・自然歩行状態 ( 手首 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 194
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・探索迷い状態 ( ポケット )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 195
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・探索迷い状態 ( 腰 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 196
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・探索迷い状態 ( 手首 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 197
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・選択迷い状態 ( ポケット )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 198
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・選択迷い状態 ( 腰 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 199
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・選択迷い状態 ( 手首 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 200
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
■全被験者の合成加速度グラフ ・自然歩行状態 ( ポケット )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 201
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・自然歩行状態 ( 腰 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 202
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・自然歩行状態 ( 手首 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 203
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・探索迷い状態 ( ポケット )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 204
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・探索迷い状態 ( 腰 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 205
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・探索迷い状態 ( 手首 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 206
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・選択迷い状態 ( ポケット )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 207
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・選択迷い状態 ( 腰 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 208
加速度センサを利用した建築空間における迷い行動に関する研究
資料編
・選択迷い状態 ( 手首 )
Study of behavior when making decision by using smartphone accelerometer in architectural space 209