施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発 DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT


目次

目次

第1章 背景

001

1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

002

1−1−1 クラフト的生産体制

002

1−1−1−1 工業化以前のものづくり

002

1−1−2 大量生産体制

003

1−1−2−1 大量生産体制への移行

003

1−1−2−2 住宅産業における部材の規格化

004

1−1−2−3 規格構成材と建築家

005

1−1−2−4 住宅産業の現状

006

1−1−3 まとめ

007

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

008

1−2−1 テクノロジーの進歩とデザイン

008

1−2−1−1 建築設計のデジタル化

008

1−2−1−2 建築のデジタル・デザイン

009

1−2−1−3 アルゴリズミック・デザインを実施している建築

012

1−2−2 エンドユーザーのものづくりへの参加

017

1−2−2−1 フリーウェアとオープンソース

017

1−2−2−2 エンドユーザーのカスタム製造

019

1−2−3 建築のクラフト的生産

020

1−2−3−1 建築のマス・カスタマイゼーション

020

1−2−3−2 建築分野外のマス・カスタマイゼーション

022

1−3 まとめ

027

第2章 研究概要

028

2−1 研究目的

029

2−2 研究フロー

030

第3章 実験概要

031

3−1 実験目的

032

3−2 実験フロー

033


目次

第4章 実験

034

4−1 システム開発

035

4−1−1 使用するソフトウェア

035

4−1−2 システムについて

037

4−1−2−1 システムの全体像

037

4−1−2−2 敷地の取り込み

038

4−1−2−3 意匠に関するアルゴリズム

039

4−1−2−4 建築法規・敷地条件の制約

108

4−2 システム検証

111

4−2−1 実際の設計を想定した検証

112

4−2−1−1 敷地の選定

113

4−2−1−2 システムを使用しない状態での設計

115

4−2−1−3 システムを使用した設計

120

4−2−1−4 システムを使用した設計に対する考察

146

4−2−2 アンケート調査による評価

148

4−2−2−1 アンケートの概要

148

4−2−2−2 アンケートの結果

149

4−2−2−3 アンケートの分析と考察

150

第5章 まとめ

155

5−1 結論

156

5−2 展望

157

第6章 参考文献

158


1

背景 1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制 1−1−1 クラフト的生産体制 1−1−1−1 工業化以前のものづくり 1−1−2 大量生産体制 1−1−2−1 大量生産体制への移行 1−1−2−2 住宅産業における部材の規格化 1−1−2−3 規格構成材と建築家 1−1−2−4 住宅産業の現状 1−1−3 まとめ 1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー 1−2−1 テクノロジーの進歩とデザイン 1−2−1−1 建築設計のデジタル化 1−2−1−2 建築のデジタル・デザイン 1−2−1−3 アルゴリズミック・デザインを実施している建築 1−2−2 エンドユーザーのものづくりへの参加 1−2−2−1 フリーウェアとオープンソース 1−2−2−2 エンドユーザーのカスタム製造 1−2−3 建築のクラフト的生産 1−2−3−1 建築のマス・カスタマイゼーション 1−2−3−2 建築分野外のマス・カスタマイゼーション 1−3 まとめ


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

1

1−1−1 クラフト的生産体制 1−1−1−1 工業化以前のものづくり

1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

以下、参考文献を 1), 2), 3)...、注記を 注 1), 注 2), 注 3)...、出典写真を fig.1, fig.2, fig.3...、と表記する。

産業革命以前、消費者の手に渡るプロダクトを生産していたのは主に職人たちであった。 職人気質という言葉が示すように、彼らは自らの持ち得る技術を尽くし、妥協を許さず、 高い品質を誇るプロダクトを消費者に提供する存在である。このように、従来のものづく りは職人の手仕事で行われ、クラフト的生産体制ならではの品質が保証されていた。現代 において職人の減少は著しいが、身近には iPod の背面の鏡面加工が日本の職人によって 行われている。また、宇宙工学の分野などでは、高い精度が必要とされる加工技術を持っ た職人が必要とされているのも現状である。 また、ウィリアム・モリスが実践したアーツ・アンド・クラフツ運動に見られるように、 産業革命以前のクラフト的生産体制におけるものづくりの質的優位性は大量生産体制のそ れに追従を許さない。 fig.1.1 「iPod」を支えた日本の職人技 http://www.starbrand-on-sale.com/ 「ipod」を支えた日本の職人技 / 2014/10/13

fig.1.2 Victoria and Alberta Museum "Arts and Crafts Movement" h t t p : / / w w w. v a m . a c . u k / c o n t e n t / articles/t/the-arts-and-craftsmovement/ 2014/10/13

fig.1.1 職人によって研磨された iPod

fig.1.3 The William Morris Society in the United states "Furniture and Other Decorative Arts" http://www.morrissociety.org/morris/ artdecorative.html 2014/10/13

fig.1.2 アーツ・アンド・クラフツ運動展示会のチケット fig.1.3 ウィリアム・モリスによってデザインされた椅子

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

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1−1−2 大量生産体制 1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

1−1−2−1 大量生産体制への移行

18世紀後半から19世紀にかけて生産の場に工場制機械工業が導入され、産業革命が 始まった。工場制機械工業の導入は工業化を推し進め、生産体制は従来の職人の手仕事に よるクラフト的生産体制から、大量生産体制へと移行した。このような流れの中で生産に 注 1.1) フォード・モデル T:フォード・モーター 社が開発・製造した自動車。基本構造 自体、大衆車として十分な実用性を備 えた完成度の高い自動車であり、近代 化されたマス・プロダクション手法を 生産の全面に低起用して製造された市 場最初の自動車。

おける部品の捉え方が大きく変化したことに注目する。 大量生産体制を象徴する、フォード・モデル T 注 1.1) の存在は特筆に値する。モデル T の生産において革新的であったのは、部品の互換性の確保であった。当時の自動車の部品 それぞれの加工精度の均一化は手仕事では困難であり、組み立ての最終段階において手作 業による微調整が必要とされていたが、フォードは規格化した部品を大量生産し部品それ ぞれに互換性をもたせるという方法でこの問題を解決した。工場の機械化に伴い、少ない 労働力でより多くの製品を生産することが可能になったことに加え、さらなる効率化を図

fig.1.4 Car Lust "Ford Model T" http://www.carlustblog.com/2009/12/ ford-model-t.html 2014/10/13

ることを目的とし、部品の互換性の確保は大量生産の大前提となった。

fig.1.4 フォード・モデル T

fig.1.5 The New York Times "Celebrating a Cadillac Milestone" http://wheels.blogs.nytimes. com/2008/03/05/a-great-day-atbrooklands/ 2014/10/13

fig.1.5 フォード・モデル T の部品の互換性を示す写真

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1 1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

1−1−2−2 住宅産業における部材の規格化

前述の通り一般的な生産の分野では大量生産体制が進められたが、建築分野、特に住宅 産業においても同様に部材の規格化が行われた。 まず、住宅部材の規格化がなされる以前の住宅産業の形態がいかなるものであったかを 説明する。戦前の木造住宅産業では棟梁が仕事を仕切り、工事にあたっては施主の直営形 態が取られ、多くの大工は手間請けで仕事をするのが一般的であった。施主と大工の関係 は現在よりも深く、それは出入り大工という言葉に顕著に現れている。新築工事の際大工 は、食事、風呂、時には酒などを施主の家で世話になり、休みには小遣いをもらっていた。 このように工事の間、大工は施主の家の一員となり、密接にコミュニケーションを取りな 1.1) 松村秀一 『建築とモノ世界をつなぐ』 彰国社 2005/7/30 p.87

がら職人として成果物である住宅の品質を自負し、住宅を建設していたのである 1.1)。 しかし、戦後の戦災復興に伴う大きな住宅需要によって、住宅産業における部材の規格 化が進められ、海外から輸入されたツーバイフォー工法や、プレファブ工法などがハウス メーカーなどにより普及した。このように、住宅に関しても大量生産という考え方とそれ に伴う部材の規格化と互換性の確保は例外ではなく、戦前の施主と大工の関係によって築 かれる住宅のクラフト的生産性における質的優位性は失われていった。

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1 1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

1−1−2−3 規格構成材と建築家

規格化された建築部材の市場が整っている現在において、建築家の職能が本来あるべき 注 1.2) 剣持昤:建築家。独自の建築生産工業 化理論に基づき、新しい規格構成材お よび建築構成システムの研究開発を 行った。

姿にあるとは言えない場合がある。このような現状に対する、剣持昤注 1.2) が1970年代 に示した見解が的を射たものであるため、ここに示す 1.2)。

1.2) 松村秀一 『建築とモノ世界をつなぐ』 彰国社 2005/7/30 p.25

部品産業が成熟した将来の設計者は二種に分かれるべきだという考えであ る。すなわち、生産機構や生産技術にも精通し、部品の開発に関与する「支 配型」の設計者と、すでに誰かの手で開発ずみの規制部品をカタログなどか ら選択し、組み合わせることを日常業務とする「選択型」の設計者である。

つまり剣持昤は規格部品が揃っている時代の設計者は部品開発に能動的なものと受動的な ものに分けられると考えている。 注 1.3) イームズ邸:建築家チャールズ・イー ムズがケース・スタディ・ハウスの一 環として手がけた自邸。建築費を抑え るため、部材のすべてがアメリカ国内 で流通していた既製品によって構成さ れており、工業化時代の新しい建築の あり方を示すものとして有名。

チャールズ・イームズによるイームズ邸注 1.3) は「選択型」の設計の模範的なものであるが、 イームズは同じ手法による建築作品を残しておらず、このことからも、「選択型」という 姿勢で住宅設計に挑みづつけることが困難であることがわかる。 ジャン・プルーヴェの「建築家のオフィスの所在地が部材製造工場以外の場所にあるこ とは考えられない」という言葉にあるように、本来であれば、純粋な意味でものづくり、 すなわち設計を行うためには、「支配型」の設計者となり建築部材の開発に関わりを持つ ことが重要であるが、今日の住宅設計の場においてこのような姿勢が見られることは稀で ある。実際には今日の設計者のほとんどが「選択型」であることが現状であり、住宅部材 の開発・生産・販売における価値判断は市場機構に委ねられ、建築家という職能とは何ら 関係のないところで下されている。住宅の設計と建設とは、それらの部品を選択し、組み 合わせる作業となっており、時には好ましい部材が見つからないままに、妥協的な選択を 繰り返すというような状態である。

fig.1.6 GUIDE to UTZON "Eames House, Los Angels, USA" http://www.utzonphotos.com/guideto-utzon/inspirations/eames-house/ 2014/10/14

fig.1.6 イームズ邸

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1 1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

1−1−2−4 住宅産業の現状

ル・コルビュジエは「住宅は工場で機械によって作られた部品がベルトコンベアの上で フォードのように組み立てられる。そのように出来上がらねばならない」と語ったが、今 日のユニット住宅はまさにこのようにつくられている。 1.3) 松村秀一 『建築とモノ世界をつなぐ』 彰国社 2005/7/30 p.48-49

セキスイハイムを例にとってユニット住宅の工場生産の概要を示す 1.3)。まず、住み手 の意向に沿う形で各営業担当者の作成した平面図が工場に送られてくる。平面図と言って も、高さ方向の寸法や各部の仕様に関する情報が盛り込まれており、よほど特殊な注文で ない限り、工場側は平面図だけで生産に着手できる。つまり、平面図さえあれば、その特 定の一棟に必要な部品数万点のすべてを正確に拾い出すことができ、外注工場への納品指 示や自社工場内のユニット製造指示に反映される。「部品展開」と呼ばれるこれらの一連 の仕事は、コンピュータの担当である。平面図という、いわば空間情報の入力に対して、 細かな部品生産情報の出力が情報処理システムによって得られるのである。以上の段取り が済めばユニットが生産される。ユニットには数種類のサイズがあるが、その上限は道路 交通規制法から決まってくる。おおむね一棟の戸建住宅には十数個のユニットが必要と いったところである。当然ながら、これら十数個のユニットは、サイズもまちまちで、内 容上もそれぞれ異なるわけだが、工場ではそれらが平面上の順番にしたがってライン上を 流れていく。ユニット生産は大きく分けて三段階で構成される。第一段階は、鉄骨ラーメ ン六面体の組み立て。床組み、天井組み、柱構面がそれぞれ平行するラインで製作され、 巨大な立体自動溶接機内で合流、接合される。第二段階は、ライン上を流れるこの鉄骨ラー メン六面体に外壁、サッシュ、内壁、間仕切り壁、階段、押入れ、各種設備部品を取り付 けていく一連の工程。ラインサイドでは、例えば外壁用の硬質木片セメント模様版と窓サッ シュがユニットの一辺の長さ分に合わせて組み立てられるなど、各部品が大型部品の形に あらかじめアセンブルされ、待機している。これらは部品を集積したものという意味で、 「サ ブシステム」と呼ばれる。ライン端では、必要なアセンブル作業を終えたユニットが最終 検査を受け、出荷に備える。これが第三段階である。 このように、住宅が規格を持った部材で構成されることが前提となり、住宅のアセンブ リーがルーチンワークとして一連の流れを持ってしまている。そして、最早その中に施主 の要望が設計として反映される余地は少ない。

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

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1−1−3 まとめ 1−1 クラフト的生産体制と大量生産体制

本項は、前述のような住宅産業の現状に問題を提起するものである。 1960年から1970年にかけて、戦後生まれた団塊の世代が婚期を迎えることに伴 う住宅の大量需要という社会的背景は、ハウスメーカーの出現とそれらの住宅の工業化を 妥当なものにしていた。しかし、工業化住宅の黎明期と同様の社会動向が現代にあるわけ ではなく、住宅の工業化と大量生産という考え方そのものが今日の住宅産業の形態として 理に適っているのか疑問である。 加えて、建築分野における部材の規格化とは、剣持の規格構成材建築方式に見られるよ うに設計者が部材の開発に関わりを持って初めて意味のあることであり、規格化された部 材を受動的に選択することは、ただ設計の自由度を狭めているだけである。また、受動的 設計者の住宅部品をただ選択し、組み合わせるという限られた設計の自由度の中で、住宅 に真に反映されるべき施主の意向に含まれるライフスタイルや、生活様式といったものは、 蔑ろにされている。さらに、ハウスメーカーのユニット住宅に見られるある種のルーチン ワーク化された住宅生産において、この傾向はより顕著に見られる。 一般的なものづくりにおいてクラフト的生産体制の質的優位性は大きく、住宅に関して も同様であると考えらるが、現代において住宅をクラフト的生産体制の中で展開するとい うことの必要がある。

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

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1−2−1 テクノロジーの進歩とデザイン 1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

1−2−1−1 建築設計のデジタル化

テクノロジーの進歩、とりわけコンピュータの性能が大きく高まったことに伴い、建築 の設計手法も変化が起きている。これは、いわゆるデジタル・デザインと言われるものの 出現として言い換えることができる。 一般的に人間が行う作業をコンピュータを使って代わりに行うことはコンピュータライ ズと言われる。建築に携わる人々に身近な CAD ソフトはまさに、人間が紙と鉛筆と定規 1.4) pdweb.jp 「建築デザインの素」 http://www.pdweb.jp/column/arc/ arc03_2.shtml 2014/10/14

を用いて製図するという行為をコンピュータライズしているものである 1.4)。従来のアナ ログな操作では困難であった3次元的に複雑な形態のデザインは、CAD ソフトを駆使し、 曲面を操作するなど、様々なテクニックにより可能となる。つまり、コンピュータの力を 借りることで、デザインの幅が圧倒的に広がるのである。 このようなソフトウェアの一例として Rhinoceros 3D について説明する。Rhinoceros 3D は、主に建築、インダストリアルデザイン、造船、カーデザイン、プロダクトデザイ ンに用いられる3次元モデリングソフトウェアである。1992年ごろに主に船舶デザ イン向けのソフトウェアとして開発されたのが始まりであるため、曲面を持った造形を 簡単に行うことができる。具体的には、航空機の外表面に使われるような自由曲面を数

注 1.4) NURBS:Non-Uniform Rational Basis Spline の略で、曲線や曲面を生成する ためにコンピュータグラフィックスで 一般的に採用される数学的モデル。

1.5) .Too Solution 「Rhinoceros」 http://solution.too.com/ digitalmedia/3dcad/Rhinoceros/ 2014/10/15

学的に正確に表現するために開発された NURBS 注 1.4) を採用しているということであり、 Rhinoceros 3D の特徴であるといえる。これにより、従来の建築にはない船舶デザインに 用いられていたような曲面によって空間を構成してゆくことが可能となる 1.5)。

fig.1.7 中島敦雄 『Rhinoceros で 極 め る 3D デ ジ タ ル・ デザイン』 株式会社ラトルズ 2013/11/1 p.326

fig.1.7 Rhinoceros 3D でザハ・ハディドのモバイルアートパビリオンをトレースしたもの

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1 1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

1−2−1−2 建築のデジタル・デザイン

前項で述べたような3次元 CAD ソフトが普及し、それを設計のツールとして設計手法 に取り込む建築家が出現した。このような建築家が設計は、建築のデジタル・デザインと 言うことができる。以下にデジタル・デザインを駆使する建築家の事例を示す。

(1)ザハ・ハディド 最近、新国立競技場で話題になっているザハ・ハディドはデジタル・デザインを駆 1.6) artscape 「ロシア・アヴァンギャルド」 http://artscape.jp/artword/index.php/ ロシア・アヴァンギャルド(建築) 2014/10/15

使する建築家の最たる例であろう。彼女は、ロシア構成主義の建築などに影響を受 け、コンセプチュアルで空想的なデザインを得意としている 1.6) が、それを設計のコ ンピュータライズ無しには造形することは難しい。

fig.1.8 Zaha Hadid Architects "New National Stadium" http://www.zaha-hadid.com/ architecture/new-national-stadium/ 2014/10/14

fig.1.8 ザハ・ハディドによる新国立競技場案 fig.1.9, 1.10 Zaha Hadid Architects "Jockey Club Innovation Tower" http://www.zaha-hadid.com/ architecture/jockey-club-innovationtower/ 2014/10/14

fig.1.9 Innovaton Tower 外観

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fig.1.10 Innovaton Tower 内観

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

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(2)フランク・ゲーリー フランク・ゲーリーはソフトウェア技術に熟達した建築家の一人である。モデリン グと構造解析を行う航空力学・機械設計向けソフト CATIA を建築に適用し、複雑な デザインを構造的に解決している。また、ファサードに用いられるチタンパネルの枚 1.7) リネア建築企画 「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」 http://www.linea.co.jp/info/ detail/?iid=25&mo= 2014/10/15

数など、実際に必要な部材の数量を割り出される。ビルバオ・グッゲンハイム美術館 などは、その技術を駆使した設計の一例である 1.7)。

fig.1.11 e-architect "Guggenheim Museum Bilbao" http://www.e-architect.co.uk/bilbao/ guggenheim-museum-bilbao 2014/10/15

fig.1.11 ビルバオ・グッゲンハイム美術館

(3)ベン・ファン・ベルケル 1.8) 10+1 DATA BASE 「90 年代都市・建築キーワード」 http://db.10plus1.jp/backnumber/ article/articleid/2/ 2014/10/15

ベン・ファン・ベルケルはオランダの建築家で、UN スタジオの設立者の一人であ るが、彼の手がける建築は流動的な空間を持つことで特徴的である 1.8)。

fig.1.12 eQUILIBRI "The Mercedes Benz Museum: gate to the city of Stuttgart" http://www.equilibriarte.net/ article/1253 2014/10/15

fig.1.13 e-architect "Mercedes-Benz Museum Stuttgart" http://www.e-architect.co.uk/ stuttgart/mercedes-museumstuttgart 2014/10/15

fig.1.12 メルセデス・ベンツ博物館外観

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fig.1.13 メルセデス・ベンツ博物館断面パース

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

築家を例にとって説明したが、現在の建築分野において、コンピュータを利用する主要な 方法はこのようなコンピュータライゼーションであり、これはデザイナーの頭のなかです でに完成されている概念や、デザインのプロセスをコンピュータに入力し、操作している に過ぎない。しかし一方で、人間が行っている知的な活動を再現し、拡張することを目指 すコンピューテーションを用いたデザインの手法もデジタル・デザインの一端なのであ 1.9) コスタス・テルジディス 『アルゴリズミック・アーキテクチュ ア』 田中浩也:監訳 荒川紀子・重村珠穂・松川昌平:訳 彰国社 2010/3/10 p.15

る。デザインがコンピューテーショナルに行われるということは、デザインの本質である

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

デジタル・デザインのなかでもコンピュータライズされたデザインについて、複数の建

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創造のプロセス自体にコンピュータを使うことである 1.9)。つまり、ザハ・ハディドのデ ザインはコンピュータライズされているがコンピューテーショナルではないと言える。次 項ではこのようなコンピューテーショナルなデザインと建築の関わり、とりわけアルゴリ ズミック・デザインと建築について述べる。

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

建 築 に お け る ア ル ゴ リ ズ ミ ッ ク・ デ ザ イ ン に つ い て Kostas Terzidis は 彼 の 著 書 1.10) コスタス・テルジディス 『アルゴリズミック・アーキテクチュ ア』 田中浩也:監訳 荒川紀子・重村珠穂・松川昌平:訳 彰国社 2010/3/10 p16

『Algorithmic Architecture』で次のように述べている 1.10)。

建築のプログラム、タイポロジー、ビルディングコード、ランゲージに特有 のルールを使いながら、空間や形態を生成するプログラムをデザインするも

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

1−2−1−3 アルゴリズミック・デザインを実施している建築

1

のである。直接プログラムを記述するものでなくても、3次元ソフトに予め 組み込まれているスクリプト言語を利用すれば、デザインの意図をコード化 できる。そうすれば、整合性があって、構造的で、一貫性があり、検証可能 な知的な3次元形態を生み出せる。スクリプト言語を使用することで、デザ イナーは、現在の3次元ソフトの「あらかじめ設定された限界」を超えるこ とができ、さらにマウスを操作するだけではないデザイン手法が可能となる。 「アルゴリズミック・デザイン」は「コンピューテーションが生み出す複雑さ」 と「コンピュータの創造的な利活用」の差異をなくしてしまうものではなく、 むしろその2つを結合するものである。アルゴリズミック・デザインは、建 築家が「建築の」プログラミングから「建築を」プログラミングする役割へ 移行することを可能にする。

つまり、アルゴリズミック・デザインとはマウスで行う図形的な操作ではなく、さらに 根源的なコンセプトから生まれる情報をインプットとし、デザイナーの設計意図をルール 化し、ブラック・ボックスとしてコンピュータ上に再現することで、アウトプットとして の建築空間や形態を生成しようとするものである。 以下に実際にアルゴリズミック・デザインを用いた建築、特に居住を用途とした建築に おける事例を示す。

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

芥川プロジェクト fig.1.14 Ohmori Laboratory 「進化論的構造最適化法による構造デ ザイン」 http://www.dali.nuac.nagoya-u.ac.jp/ ohmori/research.html 2014/10/14

1

設計者:風袋宏幸 プログラム設計:大森博司

fig.1.14 左:芥川プロジェクト拡張 ESO 法の図、右:外観

アルゴリズムの概要 【プログラム名】 2D 拡張 ESO 法 【目的】 開口部の条件を満たし、部材要素の応力分布に偏りのない平面構造を得る。 【入力】 形状を制御するための、応力がその値を超えると要素が付加され、下回ると要素が削除さ れる値(閾値)を入力する。 【デザインの決定要因】 1.11) 日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30 p.38-39

設計者が選択 1.11)。

積層アーチの家 設計者:朝山秀和、前稔文 プログラム設計:朝山秀一、前稔文 fig.1.15 朝山研究室 「積層アーチの家」 http://asayamaken.web.fc2.com/hp_ works.html 2014/10/14

fig.1.16 日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30 p.57

fig.1.15 外観

fig.1.16 積層アーチの基本ジオメトリー

アルゴリズムの概要 【プログラム名】 FRA 【目的】 積層状のアーチ構造をフラクタルの数学的条件を満たして発生させる。 【入力】 1.12) 日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30 p.56-57

「スパン」「縮小係数」「分岐回数」「形の統計的ばらつき」 【デザインの決定要因】 入力パラメータを変化させて得られる形態の中から、設計者が手動で選択 1.12)。

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

I remember you

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設計者:前田紀貞 プログラム設計:長谷川徹、マーク・コリンズ fig.1.17 前田紀貞の建築家ブログ 「 ア ル ゴ リ ズ ム 建 築 第 二 弾 (EAST&WEST)」 http://norisada.at.webry.info/201306/ article_2.html 2014/10/14

fig.1.17 左:外観 右:アルゴリズムの様子

アルゴリズムの概要 【プログラム名】 Ray Casting Algorithm 【目的】 多層の建築で、設計者の意図する位置に、意図する量の自然光を導く設計を得る。 【入力】 周辺建物の位置・形状、設計条件(居室間の関係、スラブ間の関係、場所の最高優先順位)、 解析の解像度(セル分割の大きさ) 【デザインの決定要因】 1.13) 日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30 p.58-59

設計者による操作と選択 1.13)。

東京住宅 設計者:渡辺誠 プログラム設計:渡辺誠、千葉貴史 fig.1.18,1.19 渡辺誠 / アーキテクツオフィス 「東京住宅」 http://www.makoto-architect.com/ tokyo_house/tokyo_house_Ja4.htm 2014/10/14

fig.1.18 外観

fig.1.19 色彩配列パターン

アルゴリズムの概要 【プログラム名】 ID- VII/ 環境色彩プログラム 【目的】 敷地環境の色彩特性と調和したと判定できる、色彩配列パターンを得ること。 【入力】 1.14) 日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30 p.60-61

敷地周辺を撮影した画像と、設計する色彩パターンの素案。 【デザインの決定要因】 プログラムの評価を使用して、設計者が選択 1.14)。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

設計者:小嶋一浩、東京理科大学小島研究室、東京大学曲渕研究室 プログラム設計:東京大学村上・加藤研究室 fig.1.20 architecture grammer "Space Block Hanoi by Kazuhiro Kojima" http://architecturalgrammar.blogspot. jp/2011/03/space-block-hanoi-bykazuhiro-kojima.html 2014/10/14

fig.1.21 私の建築手法 「場所 / スピード」 http://www.tozai-as.or.jp/ mytech/03/03_kojima02a.html 2014/10/14

fig.1.20 外観

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

スペースブロック・ハノイモデル

1

fig.1.21 上:空気分布図 下:モデル

アルゴリズムの概要 【目的】 通風性能の合理性を持つ、ポーラスで複雑な3次元形態の生成。 【入力】 「ポーラスな空間モデル」と、現地における複数の「卓越風」の方向・風速 【デザインの決定要因】 1.15) 日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30 p.62-63

フィードバックを繰り返した候補から、設計者が選択 1.15)。

ID-I, ID-II「誘導都市:INDUCTION CITIES / INDUCTION DESIGN」 設計者:渡辺誠 プログラム設計:渡辺誠、横浜国立大学大学院生、他 fig.1.22 ICC ONLINE "INDUCTION CITY" http://www.ntticc.or.jp/pub/ic_mag/ ic012/watanabe/induction_j.html 2014/10/14

fig.1.23 アルゴデザイン 渡辺誠 「誘導都市プロジェクト」 http://www.makoto-architect.com/ Idc97/Index_Ja3_.html 2014/10/14

fig.1.22 都市の中に居住空間が配置される様子

fig.1.23 ユニットプログラム群の構成

アルゴリズムの概要 【プログラム名】 ID-I, ID-II 【目的】 都市設計上の課題条件(たとえば光、風、機能配置等)をよりよく説いた設計を得る。 【入力】 各ユニットプログラムごとの、敷地や規模などの制約条件と、選択条件。 1.16) 日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30 p.64-65

【デザインの決定要因】 複数の候補からの手動選択と、プログラムによる生成の両者 1.16)。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

ることで、多様な形態を生成することが可能であることがわかる。しかし、これらのアル ゴリズムを通して実際にデザインを行っているのは設計者であり、エンドユーザーである 施主の要望が実際に満たされているのかは疑問である。つまり、設計者の論理を施主に押 し付けている、とも捉えられるのである。よって、究極的には施主がアルゴリズムを通し て、インプットを行い、デザインを決定することによって初めて施主の要望が設計に反映 されると言える。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

以上に示した事例のとおり、アルゴリズムとして様々なデザインの意図をプログラムす

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1

1−2−2 エンドユーザーのものづくりへの参加

1993年4月30日に CERN が World Wide Web を無料で公開することを発表して 以来、ウェブは著しい成長を遂げた。そのなかで、生まれたフリーウェアとオープンソー スというサービスに注目する。 フリーウェアとは無料でウェブ上にて提供されるソフトウェアのことであり、ウェブに アクセスする誰もが手にすることができる。その種類はワードプロセッサから3D モデリ

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

1−2−2−1 フリーウェアとオープンソース

ングツールまで様々である。次に、オープンソースとは本来ソースコードを公開するとい うことであるが、実際に公開されるものは様々である。公開されたものを自由に使用・修 正・変更することが可能であり、ソフトウェアやロボットの設計図、建築の3D モデルな ど多岐にわたるものが公開される対象となっている。これらのウェブコンテンツはエンド ユーザーがものづくりに参加するにあたり欠かせないものであり、また、ものづくりの可 能性を広げるものでもある。 ここでは3D モデリングソフトウェアである SketchUp と Google 3D ギャラリーをフ リーウェアとオープンソースの関係性の一つの例として示す。SketchUp は Google が提 供するフリーウェアであり、建築を含め様々なプロダクトのデザインツールとして、プ ロ、アマチュアを問わず広く普及している。SketchUp の機能の一つにコンポーネントと 呼ばれるものがある。SketchUp 内で個人が作成したモデルをコンポーネント化すること で、SketchUp と連動する Google 3D ギャラリーへのアップロードが可能となる。Google 3D ギャラリーでは世界中の SketchUp ユーザーがアップロードしたモデルデータを閲覧 することが可能であり、それらをダウンロードして自ら変更を加えることができる。つま り、SketchUp というフリーウェア内で作成され、Google 3D ギャラリーにアップロード されたモデルデータはオープンソースであり、シェアされていると言える。例えば、アメ リカにいるユーザーがウェスタン調のドアをデザインしコンポーネントとしてアップロー ドしたものを、日本のユーザーがダウンロードし、サイズ、蝶番などに変更を加え日本の 家の雰囲気に合わせてカスタマイズしたものを、自ら作成した家のモデルに当てはめるこ とすら可能になるのである。

fig.1.24 SketchUp 上で Google3D ギャラリーでドアのデータをダウンロードする様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

ンジニアリング分野の業界大手企業は、アマチュア向けのデザインソフトを無料で公開し 1.17) クリス・アンダーソン 『MAKERS- 21世紀の産業革命が始ま る』 関美和訳 NHK 出版 2012/10/25 p.30

ている 1.17)。つまり、ウェブで展開されるフリーウェアとオープンソースデータを利用す れば、論理的には誰もがデザイナー、設計者となることが可能になるのである。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

SketchUp 以外にも Autodesk、PTC、3D システムズと言った産業用製品デザインやエ

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

エンドユーザーがものづくりという一連の作業の一部であるデザインを行うことが可能 であるということが示されたが、デザインしたものを実際に製造するという段階に至るこ とで初めてエンドユーザーがものづくりに参加したと言うことができる。 これまで製造業はウェブで公開されるソフトウェアなどとは異なり、すべての人には開 かれておらず、技術、設備、それに加え投資が必要となるため、大企業が独占していたと

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

1−2−2−2 エンドユーザーのカスタム製造

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言える。しかし、デザインがウェブによってすべての人に開かれ、ものをデジタルファイ ルとしてオンラインでシェアすることが可能になったことで、エンドユーザーが製造とい う段階に到達することができるようになった。前述の Autodesk は、無料で公開したデザ インソフトを使ってユーザーがデザインし、アップロードしたモデルを3D プリンタで出 1.18) クリス・アンダーソン 『MAKERS- 21世紀の産業革命が始ま る』 関美和訳 NHK 出版 2012/10/25 p.30

力するか、レーザーカッターで成形するサービス部門を設けている 1.18)。つまり、エンド ユーザーがものをデザインし製造するというものづくりの一連の流れを完了することが可 能となったのである。また、今日では、個人用の3D プリンターの販売が開始されている ことから、個人が自らの望むデザインを行い製造を行うことが現実のものとなる。これら のものづくりのパーソナライゼーションは、印刷業では既に成熟している。従来、印刷業 者に発注していた文書を、個人が自宅のコンピューターのワード・プロセッサで作成し、 自宅のプリンタで出力する光景は現代ではごく一般的なことであり、この現象が今後もの づくり全般にも起こる可能性は十分にあり得る。 このように、エンドユーザーが個人でものづくりを完結することができるようになれば、 一律にデザインが統一された大量生産品を手に入れる必要はなく、自身の要望をデザイン に反映させたプロダクトを自らつくり、クラフト的生産体制の質的優位性を生活の中に再 び取り戻すことができるのである。

fig.1.25 MakerBot " L e a d T i m e s D r o p p e d : G e t Yo u r MakerBot Replicator 2 In Four Weeks!" http://www.makerbot.com/ blog/2013/03/22/lead-timesdropped-get-your-replicator-2-infour-weeks/ 2014/10/14

fig.1.25 個人用3D プリンタ MakerBot Replicator 2

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

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1−2−3 建築のクラフト的生産

建築史家マリオ・カルポは「アルファベットとアルゴリズム」の中で次のように述べて 1.19) クリス・アンダーソン 『MAKERS- 21世紀の産業革命が始ま る』 関美和訳 NHK 出版 2012/10/25 p.93

いる 1.19)。

ひとつひとつみな違うことが、手作り品のしるしだ。いまでは、手工業の時 代にあり前だと思われていた以上にそれと全く同じ差別化のプロセスを、予

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

1−2−3−1 建築のマス・カスタマイゼーション

め組み込み、プログラムし、ある程度までデザインすることができる。多様 性はいまや自動化されたデザインと生産プロセスの一部となっている。

つまり、 「1−2−1 テクノロジーの進歩とデザイン」で述べたような手法を用いれば 生産性を保ちながら、クラフト的生産体制の質的優位性を取り戻すことができるというこ とである。建築の分野においてもこのような試みは進められている。 一例として CC ハウスを示す。CC ハウスとは建築家が改変可能を前提に住宅の図面一 1.20) CREATIVE COMMONS HOUSE EXHIBITION http://ysmr.com/cche/ 2014/10/14

式をオープンソース化し、図面の購入者が自由にカスタマイズして家を建てようという提 案である 1.20)。

fig.1.26 アレス建築工房 「建築家の住宅図面を売る「CC ハウス」 の試み」 http://alles-a.com/news/ pdf/20101210-02.pdf 2014/10/14 写真:日経アーキテクチュア

fig.1.26 CC ハウス:基本タイプの軸組み模型

fig.1.27 アレス建築工房 「建築家の住宅図面を売る「CC ハウス」 の試み」 http://alles-a.com/news/ pdf/20101210-02.pdf 2014/10/14 写真:花井智子

fig.1.27 CC ハウス:販売される仕様書や基礎の配筋図などの図面

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

た図面を施主自身が実際に描き変えることは困難であり、マス・カスタマイゼーションと してのコンセプトは示されているが施主にとっては現実的ではない。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

CC ハウスでは確かにオープンソースということで図面が公開されているが、公開され

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

建築以外の分野におけるマス・カスタマイゼーションは、建築のそれに比べはるかに進 んでおり、マス・カスタマイゼーションが適応されるプロダクトは様々である。以下に事 例を示す。

(1)99ティーポットプロジェクト

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

1−2−3−2 建築分野外のマス・カスタマイゼーション

1

建築家のグレッグ・リンは、CAD ソフトでティーポットを一個デザインし、それ をアルゴリズムによってカスタマイズし、98個の派生デザインをもったティーポッ 1.21) クリス・アンダーソン 『MAKERS- 21世紀の産業革命が始ま る』 関美和訳 NHK 出版 2012/10/25 p.98

トを作成した 1.21)。

(2)Build your Own Audi アウディに限ったサービスではないが自動車にはオプションが取り揃えられてい

1.22) Audi USA "Build your own Audi A3" http://www.audiusa.com/models/ audi-a3-sedan/configurator 2014/10/14

る。外装の色、内装の材質、ヘッドライトの種類など様々な項目にカスタマイズの余 地があり、自動車の購入者はそれらを一つ一つ組み合わせることでより自分の要望に あった自動車をつくり上げることができる 1.22)。

fig.1.28 Ohyoon Kwon "Mass Customization Apartment. A comparative study on the evolution of cars and apartments." http://www.ohyoon.com/mca.html 2014/10/14

fig.1.28 Audi A3 のオプション表

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

nervous system では 3D プリンタによって出力されたアクセサリーを購入すること ができるが、その中に自らデザインしたアクセサリーを出力して購入するサービスが 存在する。ブラウザ上にアクセサリーの3D モデルが表示され、網目状のパターンを 1.23) nervous system "Cell Cycle" https://n-e-r-v-o-u-s.com/ cellCycle/?t=0 2014/10/14

持ったアクセサリーの穴の大きさや密度、ねじれ方、色、材料などの様々なパラメー ターをユーザーが調節し、リアルタイムでアクセサリーのモデルが変化する様子を見 ながら望むデザインにカスタマイズすることができる 1.23)。

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

(3)nervous system: Cell Cycle

1

fig.1.29 nervous system "Cell Cycle version 3.0" https://n-e-r-v-o-u-s.com/ cellCycle/?t=0 2014/10/14

fig.1.29 Cell Cyce のブラウザ上の操作画面

(4)OWNPHONES 耳の形は人によって異なるが、OWNPHONES は個人個人の耳の形にあったイア ホンを提供するサービスである。独自の 3D スキャニング技術に基づく方法で、ス マートフォンの専用アプリケーションを用いて耳の構造を撮影後、そのデータが 1.24) OwnPhones "Orders" http://ownphones.com/order.html 2014/10/15

OWNPHONES に転送され、個人の耳の形状に合ったイヤホンが 3D プリンターで製 造される 1.24)。

fig.1.30 i-MAKERS news 「3D プリンターでカスタム製造、耳 から外れない Bluetooth 対応イヤホン OWNPHONES」 http://i-maker.jp/onephones-4094. html 2014/10/15

fig.1.31 OwnPhones "Order" http://ownphones.com/order.html 2014/10/15

fig.1.30 耳の3D スキャンイメージ図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

fig.1.31 製造されるイアホンの例

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

Project Ara とは、ユーザーが自由にパーツを選択してスマートフォンを完成させ るというオープンプラットフォームである。スマートフォンを構成するパーツを脱着 可能なモジュールとし、フレーム部分に装着することで、ユーザーが好みの端末を組 1.25) Project Ara "MDK" http://www.projectara.com 2014/10/15

み立てることができる。後からパーツを変更することでディスプレイの解像度を上げ ることや、カメラを高性能なものに交換するなどが可能である 1.25)。

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

(5)Project Ara

1

fig.1.32 AndroidGuys "Project Ara to run a modifie version of Android L" http://www.androidguys. com/2014/09/30/project-ara-to-runa-modified-version-of-android-l/ 2014/10/15

fig.1.33 SLASH GEAR "Project Ara update: new processor, second Dev conference" http://www.androidguys. com/2014/09/30/project-ara-to-runa-modified-version-of-android-l/ 2014/10/15

fig.1.32 スマートフォンのモジュール

fig.1.33 スマートフォンを組み立てる様子

(6)カスタムタイヤ 自動車のタイヤは黒色であることが一般出来であるが、ブリジストンが開発したカ スタムタイヤ印刷技術は、タイヤにオーナーがデザインした模様や柄を印刷すること を可能にした。自動車のカスタムオプションは数多く存在するが、オーナーが自由に 1.26) Bridgestone Newsroom "New products and technologies dominate on Bridgestone stand at Geneva Motor Show 2012" http://www.bridgestonenewsroom. eu/stories/6463 2014/10/16

デザインしたものをオプションとして適用できる 1.26)。

fig.1.34, 1.35 Bridgestone Newsroom "New products and technologies dominate on Bridgestone stand at Geneva Motor Show 2012" http://www.bridgestonenewsroom. eu/stories/6463 2014/10/16

fig.1.34 カスタムプリントが施されたタイヤ

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

fig.1.35 様々なカスタムタイヤ

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

Nike PHOTOiD というサービスではスマートフォン向けカメラアプリケーションで ユーザーが撮影した写真に含まれる色を抽出し、その配色に合わせたカラーリングの 靴を作り、販売している。ユーザーはウェブサイト上で、自分の撮影した写真の中か 1.27) Nike "Nike PHOTOiD" https://photoid.nike.com/generator. htm 2014/10/16

ら好きなものを選び、靴のカラーリングにすることができる 1.27)。

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

(7)Nike PHOTOiD

1

fig.1.36 Nike "Nike PHOTOiD" https://photoid.nike.com/generator. htm 2014/10/16

fig.1.36 選択した写真から靴がカラーリングされている様子

(8)Nokia Lumia 820 ケース ノキアは同社のスマートフォン用ケースをデザインするための CAD データや、技 術仕様に関する情報を提供している。もともと Lumia 820 と呼ばれるスマートフォ ンは端末背面のカバーが取り外し可能でユーザーが好きな色にきせかえできるように なっているが、Nokia では材質や色をユーザー自身が3D プリンタで自由にカスタム できるよう、テンプレートの CAD データとケースの使用などのデータを公開してい 1.28) Cnversations "EVERYTHING YOU NEED TO KNOW ABOUT THE LUMIA 820 AND 3D PRINTING" http://conversations.nokia. com/2013/01/18/everything-youneed-to-know-about-the-lumia-820and-3d-printing/ 2014/10/16

る。1.28)。

fig.1.37 Cnversations "EVERYTHING YOU NEED TO KNOW ABOUT THE LUMIA 820 AND 3D PRINTING" http://conversations.nokia. com/2013/01/18/everything-youneed-to-know-about-the-lumia-820and-3d-printing/ 2014/10/16

fig.1.37 Nokia Lumia 820

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

ユーザー主導であるということである。デザインの決定権はユーザーにあり、そのデザイ ンのバリエーションはユーザーのアイデアの数だけ存在することとなる。また、事例(1)、 (3)などはアルゴリズミック・デザインの特性をマス・カスタマイゼーションに巧妙に 取り入れており、アルゴリズミック・デザインとマス・カスタマイゼーションの相乗効果 を見て取ることができたと言える。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

1−2 クラフト的生産体制とテクノロジー

以上複数の例をあげたが、これらのほとんどに共通して言えることはカスタマイズが

1

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第1章 背景

1−3 まとめ

が保証されていた。しかし、工業化が進むと大量生産体制が整い、互換性の確保を前提と した工業製品の部品の規格化が進められた。建築分野でも住宅部品に関しては、多くがす

1−3 まとめ

工業化以前、ものづくりは職人の手仕事で行われ、クラフト的生産体制ならではの品質

1

でに規格構成材となっており、住宅の設計と建設はそれらの部品を選択し、組み合わせる 作業となっているのが現状である。このように規格構成材に制約される住宅設計の流れの 中で、施主それぞれのライフスタイルや生活様式を住宅に反映することは困難であると考 えられる。 しかしながら、テクノロジーの進歩により、デジタル化によるデザイン手法の発展や、 アルゴリズムを用いることによるデザインの多様化がより際立つものになった。さらに、 3D プリンタやレーザーカッターなどファブリケーションツールの普及により、大量生産 体制からの脱却が現実的なものとなり始めている。そして、生産量を減らさないままにク ラフト的生産体制の品質を保つということの蓋然性が高くなると考えられる。 実際に、このようなテクノロジーの進歩による生産体制の遷移は建築分野以外ではすで にエンドユーザーの手に届く範囲のものとなっている。つまり、フリーウェアやオープン ソースのサービスを活用し、よりパーソナライゼーションが進んでいる3D プリンタなど のファブリケーションツールを用いて、建築分野外のマスカスタマイゼーションで示した 事例のようなものづくりがユーザーを中心に展開されるのである。よって、デザインが一 律の大量生産品から欲しいものを選択する必要はなく、個人個人のニーズを直接自ら作る ものに反映し、手に入れることができる、という展望がより現実味を帯びてくる。その反面、 建築分野に関しては、上記のような見通しが立っていないということが現状である。確か に、アルゴリズミック・デザインを用いたり、CAD ソフトを駆使することで様々な試み がなされているが、それらは建築家や設計者主導のものであり、エンドユーザーとなる施 主がデザインの過程に参加しているわけではない。 以上を踏まえると、施主がクラフト的生産体制の担い手となり、自身のライフスタイル を住宅という形で具現化できる日は技術的には遠くないと考えられるが、実際には未だ困 難な状態にある。その背景にあるのは、やはり建築を設計するにあたって必要とされる法 規の理解や敷地条件の解釈能力、意匠的感性と言った建築家に備わっている専門知識が施 主には無いということではないだろうか。 よって、施主が本人の要望を反映させた建築を設計するにあたり、建築家の持つ専門知 識を補助的に施主手動の設計に組み込むことができれば、今までにない施主のための建築 企画プロセスが生まれると考えられる。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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2

研究概要 2−1 目的 2−2 研究フロー


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第 2 章 研究概要

2−1 研究目的

ステムを明示し、建築家を介さない新たな建築企画プロセスを提案することを目的とする。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

2−1 目的

施主のための、法規や敷地条件を考慮した、自由でダイナミックな設計を可能にするシ

2

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第 2 章 研究概要

2−2 研究フロー

クラフト的生産体制におけるものづくりの質的優位性

2−2 研究フロー

ここに本研究のフローを示す。

2

工業化以降の大量生産体制への移行

規格構成材に依存する住宅生産の現状

建築分野における大量生産体制からの脱却

テクノロジーの進歩とものづくりの 現場におけるクラフト的生産体制の復活 住宅分野への応用

知識を伴わない施主が設計へ参加することの障壁

建築家の役割を担うインターフェイスの必要性

施主が自由でダイナミックな設計を行うことを可能にするシステムの開発

施主のための空間認識補助

新たな住宅企画プロセスの提案

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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3

実験概要 3−1 実験目的 3−2 実験フロー


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第3章 実験概要

3−1 実験目的

ムを開発し、システムによって導き出された住宅モデルを施主が体感できる住宅企画プロ セスとして示す。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

3−1 実験目的

施主が住宅を設計するために施主が持ち合わせない建築に関する専門知識を補うシステ

3

32


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第3章 実験概要

3−2 実験フロー

3−2 実験フロー

本実験のフローを示す。

3

建築の専門知識 意匠的感性

敷地条件

建築法規

施主のための設計システム 施主がパラメトリックに操作するための デザインアルゴリズム

設計における制約条件

住宅の3D モデル

施主が住宅を体感する 諸図面の出力 住宅モデルのレンダリング

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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4

実験 4−1 システム開発 4−1−1 使用するソフトウェア 4−1−2 システムについて 4−1−2−1 システムの全体像 4−1−2−2 敷地の取り込み 4−1−2−3 意匠に関するアルゴリズム 4−1−2−4 建築法規・敷地条件の制約 4−2 システム検証 4−2−1 実際の設計を想定した検証 4−2−1−1 敷地の選定 4−2−1−2 システムを使用しない状態での設計 4−2−1−3 システムを使用した設計 4−2−1−4 システムを使用した設計に対する考察 4−2−2 アンケート調査による評価 4−2−2−1 アンケートの概要 4−2−2−2 アンケートの結果 4−2−2−3 アンケートの分析と考察 4−2−3 まとめ


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

4

4−1−1 使用するソフトウェア

1) Rhinoceros 3D 「1−2−1−1 建築設計のデジタル化」で述べたように Rhinoceros 3D は建築

4−1 システム開発

本研究で設計システムを開発する際に使用するソフトウェアを以下に示す。

を含む様々なデザインに利用される3次元モデリングソフトウェアである。NURBS モデリングに特化しているため複雑な形状を比較的簡単に作成することができる。 また、豊富なプラグインが用意されており、拡張性が高い。Rhinoceros 3D とプラ グインを併用することにより、通常の3次元モデリングソフトでは困難な操作が可能 となる。 fig.4.1 CAD Software Direct.com "Rhino 3D v5" http://www.cadsoftwaredirect.com/ rhino-3d-v5.html 2014/10/22

fig.4.1 Rhinoceros 3D

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

Grasshopper はビジュアルプログラミング言語であり、前述の Rhinoceros 3D のプ ラグインの一つである。一定のアクションを行うコンポーネントと呼ばれるアイコン をキャンバス上に並べ、コンポーネントのインプットとアウトプットを繋ぎ合わせて 4.1) Grasshopper "ALGORITHMIC MODELING FOR RHINO" http://www.grasshopper3d.com 2014/10/22

4−1 システム開発

2) Grasshopper

4

ゆくことで、通常のプログラミング言語のシンタックスに当たる働きがなされる 4.1)。 Grasshopper 上で描かれたプログラムは Rhinoceros 3D と連動し、操作が同時進行的 に Rhinoceros 3D に反映される。よって、Grasshopper で構築されたアルゴリズムが、 Rhinoceros 3D のデザインとして顕れる様子を確認しながらモデリングを進めること ができる。

fig.4.1 pixgood.com "good pix galleries" http://pixgood.com/grasshopperlogo.html 2014/10/22

fig.4.2 Grasshopper

fig.4.3 Grasshopper 上でコンポーネントがつなぎ合わされ、プログラミングされる様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

4−1−2 システムについて 4−1 システム開発

4−1−2−1 システムの全体像

Grasshopper で作成した設計システムを総括的に示す。

建築法規・敷地条件の制約 斜線制限、建ぺい率、容積率など 敷地由来の制約を司る

意匠に関するアルゴリズム ヴォリュームの生成と諸室の配 置、開口部位置などを司る

fig.4.4 Grasshopper で作成したシステムの全貌

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

すべての操作を行う前段階として、住宅を建てる敷地をシステムに取り込む。 Rhinoceros 上で敷地の外形線を作図し、Grasshopper で読み込むことで、建築法規の

4−1 システム開発

4−1−2−2 敷地の取り込み

4

適用や敷地に依存する種々の値の決定が成される。

fig.4.5 Grasshopper への入力

Rhinoceros 作業画面

fig.4.6 Rhinoceros 上で敷地を作図する

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

建築家が従来の設計において行っていた意匠設計に関する一連の流れを、システムに組 み込んだ。このとき、一般的に施主は建築教育を受けていないことから、施主が意匠設計

4−1 システム開発

4−1−2−3 意匠に関するアルゴリズム

を行うに際に本来建築家が専門知識を用いて行うような操作、例えば近代建築の五原則を 取り入れるというようなことをシステムへのインプットとするのではなく、大まかな部屋 の広さや、開口部の方向などへの要望といった施主の持ち合わせる知識や建築に関するボ キャブラリーをインプットとして建築家の意匠設計に近いものが成り立つようシステムを 作った。以下にシステムの詳細を示す。

諸室の広さと配置に関する部分

開口部に関する部分

生成された各ヴォリュームを 統合する部分 fig.4.7 システムの意匠に関するアルゴリズム

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

今回作成したシステムでは箱状の部屋が連続的に配置される。その際に施主が部屋 の広さとプロポーション、天井高、連続する次の部屋の方向をインプットする。この 時、壁厚、スラブ厚など操作が行われない部分の寸法は自動で最適な値に調整される。

4−1 システム開発

・諸室の広さと配置

4

以下に施主が実際に行う一連の操作を示す。

最初の部屋に関する部分

施主の持ち合わ

二つ目の部屋に関する部分

せる建築に関す るボキャブラ リー・レベルに 合わせたパラ メータ

三つ目以降の部屋は 二つ目の部屋と同様に 生成される

fig.4.8 部屋の広さと配置を制御する部分

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

40


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

最初の部屋が何畳なのかを設定し、その部屋となる箱底面の一辺の寸法を入力 する。このとき、部屋の畳数を入力値に保ちながら部屋となる箱底面の一辺の長 さのみを操作することで部屋の平面的なプロポーションが決まる。

4−1 システム開発

1)平面形状の決定

4

部屋となる箱底面 一辺の寸法 部屋の畳数

fig.4.9 パラメータ入力部1

Rhinoceros 作業画面

fig.4.10 部屋の広さとプロポーションが決定される

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

41


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−1 システム開発

2)天井高の決定 部屋の天井高を入力する。このとき部屋の畳数に応じた色にヴォリュームが着 色される。部屋の広さと機能の関係とグラデーションの色域を対応させ、部屋の 広さに対して適切な機能を施主が色を見ることで直感的に理解することを促すも のである。

天井高寸法

fig.4.11 パラメータ入力部2

0畳:赤色 玄関

約8畳:橙色

約11畳:黄色

子供部屋

リビング

台所 風呂場 / トイレ / 洗面所

約18畳:淡青色 約25畳以上:青色

主寝室 ダイニング

部屋の広さに 対して適切な 機能を色で示す

fig.4.12 パラメータ入力部3

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

42


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Rhinoceros 作業画面

4

fig.4.13 部屋の床面積によってヴォリュームの色がグラデーションに対応し変化する様子

Rhinoceros 作業画面

fig.4.14 天井高寸法が入力され、着色された部屋のヴォリューム

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

43


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

二つ目の部屋の配置を決定する。このとき最初の部屋の四辺のうちいずれかの 辺を選択し、その辺上のランダムな始点から二つ目の部屋を発生させる。

4−1 システム開発

3)二つ目の部屋の発生方向決定

4

二つ目の部屋が 生成される方向

fig.4.15 パラメータ入力部4

Rhinoceros 作業画面

fig.4.16 2つ目の部屋の配置が決定される

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

44


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

二つ目の部屋を発生させる方向を決定したら、3)で選択した始点を基に最初 の部屋と同様に二つ目の部屋の畳数、プロポーション、天井高を入力する。

4−1 システム開発

4)二つ目の部屋の生成

4

各種一つ目の 部屋と同様の 操作を二つ目の 部屋にも行う

fig.4.17 パラメータ入力部5

Rhinoceros 作業画面

fig.4.18 2つ目の部屋のヴォリュームが追加される

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

45


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

三つ目以降の部屋には二つ目の部屋と同様の操作を所望する部屋数だけ繰り返 す。以上で一階部分の生成が終了する。

4−1 システム開発

5)一層部分の完成

4

Rhinoceros 作業画面

fig.4.19 一階の平面計画

Rhinoceros 作業画面

fig.4.20 一階のヴォリューム

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

46


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

平屋建ての場合1)から5)までの操作でヴォリュームの生成は完了するが、

4−1 システム開発

6)二層目以降の生成

4

さらなる階層が必要となる場合、同操作を二層目以降繰り返す。このときに二層 目の最初の部屋の始点を Rhinoceros 上における x 方向、y 方向、z 方向の座標を 設定し決定する。

x 座標 y 座標 z 座標 fig.4.21 パラメータ入力部6

Rhinoceros 作業画面

fig.4.22 二層分のヴォリュームが生成された様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

47


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

複数の層の生成が完了したら階段室を生成し各層を繋ぐ。階段室は一層目で生 成されたいずれかの部屋の底面四辺のうち一辺から生成される。よってまず一層 目の部屋と発生させる辺を選択する。このときに二層目の部屋のいずれかと接触

4−1 システム開発

7)階段室の平面位置決定

4

する一層目の部屋とその底面の辺を選択し、その辺上の階段室の始点座標を調節 する。

選択した辺上の 階段室始点の調節

辺の選択

fig.4.23 パラメータ入力部7

選択した部屋 生成された

Rhinoceros 作業画面 選択した辺

階段室

一層目平面

始点を調節する

fig.4.24 一層目のうち一つの部屋から階段室が生成されている状態

Rhinoceros 作業画面 二層目と階段室の 接触を確認する

一層目と二層目の 平面を重ねた状態

fig.4.25 生成済みの一層目と二層目に階段室が付け加えられている状態

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

48


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

階段の角度、踏面、幅、段数の値を決定し、一層目と二層目に対して整合性の ある階段形状を生成する。さらにその階段形状に合わせた階段室の広さと高さを 決定する。

4−1 システム開発

8)階段室の諸寸法決定

4

階段の角度 踏面寸法 階段幅 段数 階段室の広さ 階段室の高さ

fig.4.26 パラメータ入力部8

Rhinoceros 作業画面

fig.4.27 一層目と二層目の部屋が階段室によってつながった状態

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

49


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

3)で示したように部屋が生成されてゆくときに、もととなる部屋の一辺を選 択すると、その辺上のランダムな座標を始点として次の部屋が生成される。この 操作が繰り返されることで、住宅の部屋が連続的に配置されるものの、座標がラ

4−1 システム開発

9)シード値の操作による配置バリエーションの検証

4

ンダムに決定されることで完了するおおまかな配置が施主の要望にアウトは限ら ない上に微妙な位置関係の調節はできない。しかしながら、多数存在する部屋そ れぞれの関係性を総合的に考えながら各部屋の配置を連動的に決定することは施 主にとっては困難である。 注 4.1) 乱数列のようであるが、確定的な計算 によって求めている擬似乱数列による 乱数

注 4.2) 擬似乱数を作成するときの最初の設定 値

そこで、前述のランダムな座標を制御している擬似乱数注 4.1) のシード値注 4.2) を 設定し、そのシード値の数だけ配置のバリエーション提示する。このとき、3) で選択されている各部屋の生成方向、つまりおおまかな部屋の配置が保持された 状態となる。それぞれの部屋の始点となる座標を決定する擬似乱数がひとつの シード値によって管理されているため、各部屋の始点が一つ前の部屋の辺上で連 動的に擬似乱数にしたがって移動する。

0から99まで設定されたシード値

fig.4.28 一層目と二層目の部屋が階段室によってつながった状態

論理的にはシード値は無限に設定できるため、部屋の配置のバリエーションは 無限に存在することになるが、今回のシステムではこのシード値を0から99ま でとする。ここでは部屋の配置を大まかに決定した後、シード値によって得られ る微妙な位置関係のバリエーションを100通り提示する。施主はそのなかから 要望に合ったものを選択する。 以下にこれまでの手順を追って生成されたヴォリュームに対して行うシード値 の変更によって得られる100通りのバリエーションを示す。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

50


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 0

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 1

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

51


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 2

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 3

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

52


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 4

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 5

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

53


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 6

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 7

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

54


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 8

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 9

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

55


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 10

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 11

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

56


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 12

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 13

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

57


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 14

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 15

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

58


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 16

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 17

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

59


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 18

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 19

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

60


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 20

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 21

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

61


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 22

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 23

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

62


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 24

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 25

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

63


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 26

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 27

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

64


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 28

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 29

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

65


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 30

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 31

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

66


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 32

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 33

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

67


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 34

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 35

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

68


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 36

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 37

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

69


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 38

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 39

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

70


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 40

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 41

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

71


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 42

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 43

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

72


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 44

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 45

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

73


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 46

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 47

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

74


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 48

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 49

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

75


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 50

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 51

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

76


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 52

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 53

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

77


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 54

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 55

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

78


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 56

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 57

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

79


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 58

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 59

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

80


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 60

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 61

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

81


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 62

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 63

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

82


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 64

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 65

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

83


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 66

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 67

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

84


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 68

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 69

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

85


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 70

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 71

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

86


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 72

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 73

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

87


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 74

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 75

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

88


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 76

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 77

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

89


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 78

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 79

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

90


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 80

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 81

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

91


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 82

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 83

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

92


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 84

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 85

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

93


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 86

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 87

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

94


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 88

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 89

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

95


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 90

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 91

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

96


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 92

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 93

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

97


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 94

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 95

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

98


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 96

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 97

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

99


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Seed 98

4

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

yx 方向

パースペクティブ

zx 方向

zy 方向

Seed 99

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

100


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

・入り口の生成

4

入り口を生成する部屋を選択し、入り口の大きさを決定する。

玄関をとなる部屋を認識させる 入り口の幅 側面上における 入り口の座標

入り口が生成される 側面を選択 fig.4.30 パラメータ入力部9

1)玄関となる部屋の選択 以前の手順で作成した部屋の中から玄関となる部屋を選択し、認識させる。

Rhinoceros 作業画面

fig.4.29 玄関となる部屋を選択した状態

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

101


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

部屋の側面四つから入り口を作る面を選択する。 3)入り口の大きさと位置の設定 まず、入り口の幅を設定する。このとき、入り口の高さは部屋の高さから自動

4−1 システム開発

2)入り口のできる方向の設定

4

に計算される。次に、入り口が側面上のどの位置に配置されるのかを座標から設 定する。

Rhinoceros 作業画面

fig.4.31 入り口のできる側面を選択し大きさを指定した状態

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

102


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−1 システム開発

Rhinoceros 作業画面

4

fig.4.32 オフセットした図形の座標を -y 方向へ調節した状態

Rhinoceros 作業画面

fig.4.33 オフセット距離と座標を調節した図形からなる柱型の領域内に点群がランダムに生成されている状態

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

103


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

ランダムに生成される立体は直方体か球のいずれかから選択したものとなる。 直方体を指定した場合、直方体の x 方向、y 方向、z 方向の寸法を決定する。こ のとき、直方体の底面は常に正方形とし、x 方向の寸法を指定することで底面の

4−1 システム開発

2)立体の形状の決定による窓の生成

4

大きさが決まる。球を指定した場合、球の半径の寸法を決定する。

直方体底面の辺の寸法 直方体の z 方向寸法 球の半径 fig.4.34 パラメータ入力部11

立体の形状が決定されたら、1)でランダムに生成された点群の座標を始点と して立体群が生成され、自動的に部屋のヴォリュームから差し引かれることで、 窓が生成される。 以下に水平方向に長い板状の直方体を立体群とした場合、垂直方向に長い棒状 の直方体を立体群とした場合、球を立体群とした場合の三つのパターンで窓を生 成する例を示す。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

104


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

Rhinoceros 作業画面

4−1 システム開発

ー水平方向に長い板状の直方体を立体群とした場合

4

fig.4.35 板状の直方体がランダムな座標を持つ視点を素に発生している状態

Rhinoceros 作業画面

fig.4.36 部屋のヴォリュームから立体群を差し引く様子

Rhinoceros 作業画面

fig.4.37 窓が切り欠かれた住宅ヴォリューム

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

105


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

Rhinoceros 作業画面

4−1 システム開発

ー垂直方向に長い棒状の直方体を立体群とした場合

4

fig.4.38 棒状のがランダムな座標を持つ視点を素に発生している状態

Rhinoceros 作業画面

fig.4.39 部屋のヴォリュームから立体群を差し引く様子

Rhinoceros 作業画面

fig.4.40 窓が切り欠かれた住宅ヴォリューム

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

106


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

Rhinoceros 作業画面

4−1 システム開発

ー球を立体群とした場合

4

fig.4.41 球がランダムな座標を持つ視点を素に発生している状態

Rhinoceros 作業画面

fig.4.42 部屋のヴォリュームから立体群を差し引く様子

Rhinoceros 作業画面

fig.4.43 窓が切り欠かれた住宅ヴォリューム

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

107


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

一般的な施主にとって建築法規は理解が困難であるものと考えられる。特に様々な数式 によって導き出される制約条件の類は、法規に関する専門的な知識がなければ具体的にど

4−1 システム開発

4−1−2−4 建築法規・敷地条件の制約

4

のような制約となるかが分かりにくい。 今回は、密度に関する規定と、形態に関する規定をシステムで自動に計算し、可視化す ることで、施主が各規定を理解することを容易にする。以下にその詳細を示す。

形態に関する規定

密度に関する規定

fig.4.44 システムの建築法規などに関する制約

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

108


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

建築基準法で定められる建築の形態に関する規定は様々であるが今回は住宅を設計 する際に、形態を制限するであろう二つのの規定を選択し、システムの中に組み込ん だ。以下にシステムに組み込まれている建築基準法の条数を示す。

4−1 システム開発

・形態に関する規定

4

法55条1項:絶対高さ制限 法56条1項3項6項、令2条1項、令132条:斜線制限

以上の制限をシステムで自動計算し、敷地に接する道路の方向とその幅を入力する ことで、設計する住宅が収まるべき範囲をヴォリュームとして表示する。

用途地域 全面道路幅員 敷地に接する道路の方向

fig.4.46 敷地条件入力部

Rhinoceros 作業画面

fig.4.45 自動計算された斜線制限の範囲内に建築が収まっているかを確認する

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

109


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

建築を設計する上で最も基本的な値である建ぺい率、容積率とそれらを計算する上 で必要となる敷地面積、延べ床面積、建築面積を表示し、密度に関する法規に抵触し ていないかを確認する。上記の値の計算に関する建築基準法の定数を以下に示す。

4−1 システム開発

・密度に関する規定

4

法52条:容積率の制限 法53条:建ぺい率の制限

以上の制限をシステムで自動計算し、設計する住宅の建ぺい率と容積率が許容範囲 内に収まっているかを判断する。

敷地面積

延べ床面積

建築面積

容積率

建ぺい率

fig.4.47 自動で表示される種々の値

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

110


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

ザーを選定し、ユーザーがシステムを使って住宅を設計する検証を行った。 この際にユーザーに対してシステムに関するアンケート調査を実施し、システムの有用 性を確かめる。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

4−2 システム検証

今回開発したシステムの有用性を見極めるために、実際の施主に当たるシステムのユー

4

111


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

4−2−1 実際の設計を想定した検証

用し設計を行っている様子を示す。以下に検証の概要を示す。

検証環境

4−2 システム検証

本項目では擬似的に施主として住宅を建てると想定したユーザーが実際にシステムを使

OS: Microsoft Windows 8.1 ソフトウェア:SketchUp, Rhinoceros 5.0, Grasshopper

ユーザー 将来的に自宅を建てたいと望んでるが建築教育をうけていない20代の男性2人。ここで はそれぞれユーザー1とユーザー2と呼称する。

方法 手順1−敷地の選定 ユーザーが将来的に自宅を建てたいと望む敷地を選定する。

手順2−システムを使用しない状態での設計 ユーザーはまず、システムを使用しないで住宅を設計する。このときにユーザーがおおま かに作図した住宅の見取り図を元にモデリングを行った。

手順3−システムを使用した設計 次に、ユーザーは今回開発したシステムを使用して設計を行い、敷地条件に応じた建築法 規による制限の許容範囲内に設計した住宅に関する種々の値が収まっているかを確認す る。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

112


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

それぞれのユーザーが住宅を建てたいと望む敷地を選択した。以下にその詳細を示す。

4−2 システム検証

4−2−1−1 敷地の選定

4

ユーザー1 東京都新宿区北新宿4丁目 用途地域:近隣商業地域 fig.4.51,52 google maps https://www.google.co.jp/maps 2014/10/31

容積率:400% 建ぺい率:80%

fig.4.48 ユーザー1の敷地

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

113


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

東京都武蔵野市桜堤2丁目 用途地域:第一種低層住居専用地域 容積率:40%

4−2 システム検証

ユーザー2

4

建ぺい率:80%

fig.4.49 ユーザー2の敷地

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

114


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

それぞれのユーザーはまず、システムを使用しないで設計行為に望んだ。ユーザーは建 築教育を受けておらず、建築の専門知識を持ち合わせていないため、図面の作成などは行

4−2 システム検証

4−2−1−2 システムを使用しない状態での設計

4

えない。よって、ユーザーはおおまかな寸法の記してある見取り図のみを作成し、その見 取り図を基に高さ方向の詳しい寸法などに関してヒアリングを行いながらモデリングを 行った。本項目での成果物をシステムを使用して設計を行った際の成果物との比較対象と する。以下にシステムを使用していない状態で設計した住宅の平面図と3D モデルを示す。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

115


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

ユーザー1

4

トイレ・風呂

リビング

リビング

キッチン

15200

部屋

玄関

ダイニング

N

8400

0m

10m USER1 PRE-SYSTEM PLAN S:1/200 fig.4.50 ユーザー1がシステムを用いないで作成した見取り図に基づく平面図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

116


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.51 ユーザー1がシステムを用いないで作成した見取り図に基づく3D モデル

ユーザー1が描いた見取り図は部屋同士の整合性はある程度見受けられるものの、扉 の存在や窓の位置などが記されていなかった。このように限られた情報に加えてヒア リングを行った際に得られた情報は、天井高のみであり、2階部分の付加や窓の配置 などが困難な状態であったため、図面化と3D モデル化は以上のようなものとなった。 このことから専門知識のない一般的な施主には簡易的な部屋の配置を行うことが限界 であり、平面的な思考を立体化することが困難であったことがわかる。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

117


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

ユーザー2

4

00

11

部屋

トイレ

0

リビング

ダイニング キッチン 玄関

N

80 00

部屋

0m

10m USER2 PRE-SYSTEM PLAN S:1/200 fig.4.52 ユーザ2がシステムを用いないで作成した見取り図に基づく平面図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

118


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.53 ユーザー2がシステムを用いないで作成した見取り図に基づく3D モデル

ユーザー2も同様に、描いた見取り図から得られる情報は部屋の配置に関するもの程 度であり、2階部分、窓の配置などは行えなかった。加えて、ユーザー2に関しては 平面的にアクセスが困難な部屋が存在するなど、整合性の確保も危ういものであった。

以上の二人がシステムを用いずに設計した結果としては、3次元的な思考の欠落が共通し ており、1階平面のみで設計が完結してしまっているということがわかった。また、単な る壁を並べたような3D モデルに見られるように、開口部を配置することが困難であるこ とがわかる。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

119


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

本項目ではそれぞれのユーザーが「4−1 システム開発」に説明される手順を踏みな がら、「4−2−1−1 敷地の選定」において選んだ敷地に住宅を設計した様子をそれ

4−2 システム検証

4−2−1−3 システムを使用した設計

4

ぞれのユーザーについて示す。

ユーザー1

1)部屋の形状の検討

fig.4.54 平面形状を検討している様子1

fig.4.55 平面形状を検討している様子2

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

120


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

2)天井高の検討

4

fig.4.56 天井高を検討している様子

3)一層部分の生成

fig.4.57 二つ目の部屋の方向を検討している様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

121


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.58 二つ目の部屋の広さを検討している様子

fig.4.59 一層目の部屋が連続して配置されてゆく様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

122


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.60 階段室を生成している様子

4)二層目の生成

fig.4.61 二層目の配置を検討している様子1

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

123


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.62 二層目を含む住宅ヴォリュームの完成

5)入り口の生成

fig.4.63 入り口の位置を検討している様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

124


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

6) 窓の生成

4

fig.4.64 窓の形状を検討している様子

7)斜線制限の確認

fig.4.65 完成した住宅が斜線制限によって定められる範囲内に収まっていることを確認する

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

125


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

8)敷地の密度に関する規定の確認

4

容積率:400% 建ぺい率:80%

容積率 制限内に 収まっている 建ぺい率 制限内に 収まってる fig.4.66 ユーザー1:容積率と建ぺい率を確認する

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

126


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

平面図、モデルのレンダリング画像を示す。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

4−2 システム検証

以上で、ユーザー1の住宅の3D モデルが完成した。3D モデルから出力された敷地図、

4

127


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

N

4−2 システム検証

0m

10m USER1 SITE PLAN S:1/200 fig.4.67 配置図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

128


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

廊下 リビング 階段室

部屋1 玄関

N

廊下

0m

10m USER1 1F PLAN S:1/200 fig.4.68 一階平面図

トイレ・風呂場 台所

ダイニング

階段室

部屋3 寝室

N

部屋2

0m

10m USER1 2F PLAN S:1/200 fig.4.69 二階平面図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

129


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.70 レンダリング画像:外観1

fig.4.71 レンダリング画像:外観2

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

130


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.72 レンダリング画像:内観1

fig.4.73 レンダリング画像:内観2

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

131


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.74 レンダリング画像:透過図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

132


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

ユーザー2

4

1)部屋の形状の検討

fig.4.75 ユーザー1:平面形状を検討している様子1

fig.4.76 平面形状を検討している様子2

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

133


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

2)天井高の検討

4

fig.4.77 天井高を検討している様子

3)一層部分の生成

fig.4.78 2つ目の部屋の方向を検討している様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

134


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.79 二つ目の部屋の広さを検討している様子

fig.4.80 一層目の部屋が連続して配置されてゆく様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

135


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.81 階段室を生成している様子

4)二層目の生成

fig.4.82 二層目の配置を検討している様子1

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

136


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.83 二層目を含む住宅ヴォリュームの完成

5)入り口の生成

fig.4.84 入り口の位置を検討している様子

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

137


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

6) 窓の生成

4

fig.4.85 窓の形状を検討している様子

7)斜線制限の確認

fig.4.86 完成した住宅が斜線制限の範囲内に収まらなかった状態

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

138


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

8)敷地の密度に関する規定の確認 容積率:40% 建ぺい率:80%

容積率 敷地の容積率上限40%を 上回ってしまっている

建ぺい率 制限内に収まってる fig.4.87 ユーザー2:容積率と建ぺい率を確認する

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

139


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

平面図、モデルのレンダリング画像を示す。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

4−2 システム検証

以上で、ユーザー2の住宅の3D モデルが完成した。3D モデルから出力された敷地図、

4

140


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

N

4−2 システム検証

ユーザー2

4

0m

10m USER2 SITE PLAN S:1/200 fig.4.88 配置図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

141


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

階段室

部屋1

応接室

玄関

N

廊下

0m

10m USER2 1F PLAN S:1/200 fig.4.89 一階平面図

階段室 廊下

台所 ダイニング トイレ・風呂場

寝室

リビング

N

廊下

0m

10m USER2 2F PLAN S:1/200 fig.4.90 二階平面図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

142


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.91 レンダリング画像:外観1

fig.4.92 レンダリング画像:外観2

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

143


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.93 レンダリング画像:内観1

fig.4.94 レンダリング画像:内観2

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

144


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4 4−2 システム検証

fig.4.95 レンダリング画像:透過図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

145


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

ここで、先に示したシステムを用いて設計した場合に完成した住宅の図面とレンダリン グ画像をシステムを用いない場合の設計で示した図面と3D モデルとそれぞれのユーザー

4−2 システム検証

4−2−1−4 システムを使用した設計に対する考察

4

で比較する。 ユーザー1に関しては、システムを用いて設計した住宅ではシステムを用いない場合に はなかった窓が付加されており、また、天井高を部屋ごとに設定するなどの変化が見られ た。加えて、システムを用いない場合では二階部分が欠落しており、屋根がなく、壁のみ が配置されただけのモデルが完成していたが、システムを用いることで、二階部分を含む 住宅がより現実的な形で設計されている。また、意匠のアルゴリズムによって施主が自由 に部屋を配置することが可能となった。

fig.4.96 ユーザー1の3D モデルの比較

ユーザー2に関しては、システムを用いない場合の設計では部屋同士の整合性の確保が 困難であったが、システムの連続的に部屋を配置するという特性上、部屋同士のアクセス 性が確保された住宅がシステムを用いた設計で出来上がった。

fig.4.97 ユーザー1の3D モデルの比較

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

146


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

と言える。特に、システムを用いない場合では住宅の3次元的な展開があまり見られなかっ たが、システムを用いることで3次元的により複雑な形状の創出が可能となっていること がわかる。加えて、窓の配置がより簡単にシステムを用いることでできることから、立面

4−2 システム検証

以上の比較から建築の専門知識を持たないユーザーにも住宅の設計を行うことができた

4

の表情がより豊かになり、施主が設計において住宅に現実的なデザインを施すことができ るようになったと言える。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

147


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

4−2−2 アンケート調査による評価

システムを評価するために、ユーザーがシステムを用いて住宅設計を行った後、アンケー ト調査を行った。

4−2 システム検証

4−2−2−1 アンケートの概要

アンケート調査はシステムに関する11個の評価項目を5段階で評価するものである。 アンケートフォーマットを以下に示す。

今回のシステムを用いて住宅を設計したことに関して以下の質問に答えてください

いいえ:1 ややいいえ:2 どちらでもない:3 ややはい:4 はい:5

1)システムの自由度は適切であったか

1

2

3

4

5

2)システムで用いられた設計のデザインに関するルールは適切であったか

1

2

3

4

5

3)自ら設計しているという主体性を感じたか

1

2

3

4

5

4)住宅を自らカスタマイズできると感じたか

1

2

3

4

5

5)実際に設計した住宅が建てられた状態をイメージすることができたか

1

2

3

4

5

6)住宅への要望をシステムを用いて自ら設計することで満たすことができたか

1

2

3

4

5

1

2

3

4

5

用いて自ら設計を行う場合とどちらが好ましいと感じたか

1

2

3

4

5

9)システム上に表示される建築法規に関する情報はわかりやすかったか

1

2

3

4

5

10)建築法規の制約が強すぎると感じたか

1

2

3

4

5

1

2

3

4

5

7)システムを用いず、ハウスメーカーなどに設計を依頼する住宅設計プロセスと、 システムを用いて設計を行った今回の住宅設計プロセスに差異を感じたか

8)今回のシステムを用いた設計を踏まえて、専門家に依頼する場合と設計システムを

11)システムに有用性を感じたか fig.4.98 敷地図

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

148


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4−2 システム検証

4−2−2−2 アンケートの結果

4

上記のアンケート結果は以下のようなものとなった。 表4.1 アンケート結果

質問項目

ユーザー1

ユーザー2

1

システムの自由度は適切であったか

3

4

2

システムで用いられた設計のデザインに関するルールは適切であったか

5

4

3

自ら設計しているという主体性を感じたか

4

3

4

住宅を自らカスタマイズできると感じたか

4

4

5

実際に設計した住宅が建てられた状態をイメージすることができたか

2

4

6

住宅への要望をシステムを用いて自ら設計することで満たすことができたか

3

4

5

5

2

3

7 8

システムを用いず、ハウスメーカーなどに設計を依頼する住宅設計プロセスと、 システムを用いて設計を行った今回の住宅設計プロセスに差異を感じたか 今回のシステムを用いた設計を踏まえて、専門家に依頼する場合と設計システムを 用いて自ら設計を行う場合とどちらが好ましいと感じたか

9

システム上に表示される建築法規に関する情報はわかりやすかったか

4

5

10

建築法規の制約が強すぎると感じたか

1

2

11

システムに有用性を感じたか

4

5

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

149


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

アンケート結果のそれぞれの質問項目に対する値を得点とし、ユーザー1とユーザー2 の得点を足しあわせ、質問項目の10点満点中の評価とした。それぞれの質問項目の評価 とそれに対する考察を下に述べる。

4−2 システム検証

4−2−2−2 アンケートの分析と考察

表4.2 アンケート結果に基づいた得点

質問項目

得点

ユーザー1

ユーザー2

1

システムの自由度は適切であったか

7

3

4

2

システムで用いられた設計のデザインに関するルールは適切であったか

9

5

4

3

自ら設計しているという主体性を感じたか

7

4

3

4

住宅を自らカスタマイズできると感じたか

8

4

4

5

実際に設計した住宅が建てられた状態をイメージすることができたか

6

2

4

6

住宅への要望をシステムを用いて自ら設計することで満たすことができたか

7

3

4

10

5

5

5

2

3

7 8

システムを用いず、ハウスメーカーなどに設計を依頼する住宅設計プロセスと、 システムを用いて設計を行った今回の住宅設計プロセスに差異を感じたか 今回のシステムを用いた設計を踏まえて、専門家に依頼する場合と設計システムを 用いて自ら設計を行う場合とどちらが好ましいと感じたか

9

システム上に表示される建築法規に関する情報はわかりやすかったか

9

4

5

10

建築法規の制約が強すぎると感じたか

3

1

2

11

システムに有用性を感じたか

9

4

5

1)システムの自由度は適切であったか 得点:7 システムの自由度は概ね適切であった。施主が実際に操作するパラメータが少なすぎる 場合施主の要望を反映することが難しく、反対にパラメータが多すぎると詳細にそれぞれ の値を操作し、設計により建築の知識を必要とする。よって今回作成したシステムの自由 度は設計において施主の要望を満たすと同時に施主の持ち合わせる知識に概ね見合ってい たと言える。

2)システムで用いられた設計のデザインに関するルールは適切であったか 得点:9 本システムは部屋を連続的に配置するときに施主が部屋の生成される方向を選ぶことで プランニングが行われ、そのプランニングに基づいたヴォリュームに対して切り欠かれる 開口部の大まかな数とその分布を指定することで住宅が完成するという意匠のアルゴリズ ムを使用している。この方式以外にも意匠のアルゴリズムは無数に考えられるが、アンケー トの得点は、今回のアルゴリズムが適切であったことを示している。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

150


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

得点:7 部材産業が成熟している今日の設計は建築家が部材を選択し、組み合わせるという作業 となっている場合がほとんどであり、そのような設計過程で施主の要望を最大限に満たす

4−2 システム検証

3)自ら設計しているという主体性を感じたか

4

ことは困難であるということを第一章で述べた。本システムはこの問題を解決すべく、施 主が自ら設計の主導権を握り、建築家を介さず直接的に住宅への要望を設計に反映させる ためのものである。「自ら設計しているという主体性を感じた」ということは、建築家の 部材選択による制限ある設計の現状を打破するということであり、本質問項目の得点から この目的を達成できたといえる。

4)住宅を自らカスタマイズできると感じたか 得点:8 第一章にて、マス・カスタマイゼーションが建築分野以外で行われている例を挙げた。 建築分野以外では多くのマス・カスタマイゼーションに対する試みが行われ、消費者の要 望を満たしつつも大量生産の優位性を保つ新しい生産体制が確立されている。しかし、建 築分野においてその動きは未だ活発ではない。このことから、マス・カスタマイゼーショ ンの建築分野への導入は本論の目的の一部であった。今回のシステムを建築分野へのマス・ カスタマイゼーションの導入のひとつの可能性としてして提示できたということが本質問 項目の得点から読み取れる。

5)実際に設計した住宅が建てられた状態をイメージすることができたか 得点:6 本研究では新しい建築企画プロセスの提示を目的としている。その一環として、施主が 設計した住宅を体感することを可能にすることでプロセス化を測ったが、出力されたもの は図面とレンダリング画像のみであり、施主が住宅を体感することに関しては改善が必要 であると考えられる。改善例としては、3D モデルを拡張現実で体感するなどが挙げられ る。

6)住宅への要望をシステムを用いて自ら設計することで満たすことができたか 得点:7 建築家の持つ部材選択という制約なくして自らの要望を素に設計することができたかと いうことが本論では重要である。アンケートでは概ね満足のゆく得点が出ているものの、 さらなる改善の余地がないとは言い切れない。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

テムを用いて設計を行った今回の住宅設計プロセスに差異を感じたか 得点:10 ハウスメーカーによる現行の住宅設計プロセスは第一章に示したように部材の規格化を

4−2 システム検証

7)システムを用いず、ハウスメーカーなどに設計を依頼する住宅設計プロセスと、シス

4

前提としている。平面図のみを作成し、ユニット化された部屋の単位をいかに組み合わせ るかということが設計行為に置き換えられ、施主は提示される可能な組み合わせの中から 好みのものを選択するだけである。このようなハウスメーカの設計の現状との差別化が今 回のシステムでは十分に図れたと言える。

8)今回のシステムを用いた設計を踏まえて、専門家に依頼する場合と設計システムを用 いて自ら設計を行う場合とどちらが好ましいと感じたか 得点:5 これまでの質問項目で、本システムを用いることで施主の要望を満たす住宅を設計する ことが概ね可能であることが分かったが、実際に施主が自らの要望を満たすことが有益で あるということを今回のシステムを通して施主に伝えることは十分にできていないという ことが得点から読み取れる。今回のシステムには構造計算などの機能は付加されておらず、 専門家に実際に依頼する場合のほうが施主にとって有益であるということがわかった。

9)システム上に表示される建築法規に関する情報はわかりやすかったか 得点:9 一般的な施主は建築の専門知識を持ちあわせておらず、実際に自ら設計に望むことが困 難であるが、建築法規などの複雑な計算を要する制限を自動に処理し、施主のわかりやす い形で可視化した。このことに対するユーザーのフィードバックは満足の行くものであり、 この試みは成功しているといえる。

10)建築法規の制約が強すぎると感じたか 得点:3 今回システムに組み込まれた建築法規による規定は、建築基準法を網羅しているわけ ではなく、システムの性能に合わせたものになっている。本質問項目の得点は高いもので はなく、さらに規定を組み込み、より高度なシステムへ改良することが可能であることを 示している。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

得点:9 本システムの有用性が高いことが示された。このことから今回のシステムやそれと同コ ンセプトを持つ何らかの設計プロセスの必要性が示唆されている。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

4−2 システム検証

11)システムに有用性を感じたか

4

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第4章 実験

4

4−2−3 まとめ

計を行った場合と比較し、システムを使用した場合において、より住宅として体を成して いる設計を行うことができたと言える。 連続して部屋を配置するアルゴリズムをシステムに組み込んだことで、矛盾のないプラ

4−2 システム検証

作成したシステムを実際に検証した結果、2名のユーザーはシステムを使用しないで設

ンニングを行うことが可能となった。また、詳細な寸法などのインプットではなく、窓の 形状と分布というより簡易的な値をシステムへのインプットとしたことで、システムを用 いない場合には困難であった開口部のデザインが可能となった。アンケート結果からも、 これらの住宅の意匠に関するアルゴリズムが適切であったことが示されている。加えて、 システムを用いることでユーザーが3次元的により複雑な形状のスタディを行い住宅を設 計することができるようになった。これは、「住宅を自らカスタマイズできると感じたか」 というアンケートの質問項目の得点が高かったことからも裏付けられており、建築のマス・ カスタマイゼーションの可能性を一つの形として提示できたと言える。しかし、建築は放 棄によって規定されるものであり、完全に自由なカスタマイズを行うことはできないが、 システム上に制約として設けられた一部の建築法規の規定により、実際に建築することを 想定したカスタマイズを行うことができることが示された。 システムが概ね実用的であることが示されたが、改善点も存在する。今回作成したシス テムに制約として組み込まれている建築法規は一部のものであり、組み込まれていない法 規を制約として付加することで、より現実的な住宅を設計することを実現することができ るといえる。また、構造計算などをシステム内で自動で行うことが可能となれば、安全性 の確保や構造デザインによるアルゴリズム作成の足がかりとなるだろう。 総括的には、システムの有用性を問うアンケートの質問項目の得点の高さからも、今回 作成したシステムが施主主導の建築設計を行うための一つのツールとして実用的であるこ とがわかった。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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5

まとめ 5−1 結論 5−2 展望


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第5章 まとめ

5−1 結論

ステムを明示し、建築家を介さない新たな建築企画プロセスを提案した。

5−1 結論

施主のための、法規や敷地条件を考慮した、自由でダイナミックな設計を可能にするシ

5

市場に横溢している規格構成材の選択とその組み合わせが、現代の住宅設計の基本的な 考え方となってしまっているが、施主ひとりひとりのライフスタイルや生活様式を住宅に 反映するためには規格構成材を組み合わせるだけでは不十分である。そこで、工業化以前 のクラフト的生産体制の優位性と現代におけるマス・カスタマイゼーションの特性を建築 分野において展開することで、施主ひとりひとりの要望を、新しい設計プロセスを通して 住宅に反映することが本論の目的であった。 本研究で作成したシステムを使用することで、建築家を介さずに建築の知識を伴わない 施主が、建築家を介さず自ら設計を行い、要望を住宅に反映させることが可能となった。 また、そこで作成した住宅の図面化や、レンダリングによる内部及び外部の体感によって 新しい建築企画プロセスを示すことができ、本論の目的を達成することができたといえる。 具体的には施主の要望を入力するために必要となる操作を簡易化、建築家が担っていた 意匠の設計や、法規の制限を超過しないための配慮をアルゴリズムで置き換え、自動化す ることができた。また、作成した3D モデルと共に、図面やレンダリング画像を出力する ことで設計した住宅を施主の理解しやすい形で示すことができた。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第5章 まとめ

5−2 展望

るという意匠のアルゴリズムを採用した。しかし、建築家が設計を行うときにたどる思考

5−2 展望

今回のシステムではひとつの可能性として、部屋を連続的に配置し、窓の分布を調整す

5

の経路は無数にあるため、今後システムに組み込むことができる意匠のアルゴリズムが無 数に存在することを示している。様々なアルゴリズムを統合し、施主の要望をシンプルな インプットとしてまとめ上げることで、アウトプットとなる住宅はより施主の要望を反映 した理想のものへと近づくのである。 また、建築法規による規定は他にも存在し、今回特にシステムの一部とすることができ なかった構造などに関する制限も設けることで、より現実味を帯び、本システムが現在の 建築設計プロセスをはるかに上回るものになると考えられる。また、建築用3D プリンタ の開発なども進んでいることから、将来的には施主の要望が完全に満たされた住宅を設計 システムで自ら設計し、その3D モデルから実際に建築することが可能になる時代が来る のではないだろうか。

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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参考文献


DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第6章 参考文献

参考文献

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参考文献、参考論文、参考ウェブサイトを本校に記す。

第1章

松村秀一 『建築とモノ世界をつなぐ』 彰国社 2005/7/30

pdweb.jp 「建築デザインの素」 http://www.pdweb.jp/column/arc/arc03_2.shtml 2014/10/14 閲覧

.TooSolution 「Rhinoceros」 http://solution.too.com/digitalmedia/3dcad/Rhinoceros/ 2014/10/15 閲覧

中島敦雄 『Rhinoceros で極める 3D デジタル・デザイン』 株式会社ラトルズ 2013/11/1

artscape 「ロシア・アヴァンギャルド」 http://artscape.jp/artword/index.php/ ロシア・アヴァンギャルド(建築) 2014/10/15 閲覧

リネア建築企画 「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」 http://www.linea.co.jp/info/detail/?iid=25&mo= 2014/10/15 閲覧

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10+1 DATA BASE 「90 年代都市・建築キーワード」 http://db.10plus1.jp/backnumber/article/articleid/2/ 2014/10/15 閲覧

コスタス・テルジディス 『アルゴリズミック・アーキテクチュア』 田中浩也:監訳 荒川紀子・重村珠穂・松川昌平:訳 彰国社 2010/3/10

日本建築学会 『アルゴリズミック・デザイン』 鹿島出版 2009/3/30

クリス・アンダーソン 『MAKERS- 21世紀の産業革命が始まる』 関美和訳 NHK 出版 2012/10/25

CREATIVE COMMONS HOUSE EXHIBITION http://ysmr.com/cche/ 2014/10/14 閲覧

Audi USA "Build your own Audi A3" http://www.audiusa.com/models/audi-a3-sedan/configurator 2014/10/14 閲覧

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nervous system "Cell Cycle" https://n-e-r-v-o-u-s.com/cellCycle/?t=0 2014/10/14 閲覧

OwnPhones "Orders" http://ownphones.com/order.html 2014/10/15 閲覧

Project Ara "MDK" http://www.projectara.com 2014/10/15 閲覧

Bridgestone Newsroom "New products and technologies dominate on Bridgestone stand at Geneva Motor Show 2012" http://www.bridgestonenewsroom.eu/stories/6463 2014/10/16 閲覧

Nike "Nike PHOTOiD" https://photoid.nike.com/generator.htm 2014/10/16 閲覧

Cnversations "EVERYTHING YOU NEED TO KNOW ABOUT THE LUMIA 820 AND 3D PRINTING" http://conversations.nokia.com/2013/01/18/everything-you-need-to-know-about-thelumia-820-and-3d-printing/ 2014/10/16 閲覧

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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DEVELOPMENT OF A FLEXIBLE AND DYNAMIC ARCHITECTURE DESIGN SYSTEM FOR CLIENT 第6章 参考文献

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第4章

Grasshopper "ALGORITHMIC MODELING FOR RHINO" http://www.grasshopper3d.com 2014/10/22 閲覧

施主のための自由でダイナミックな建築設計システムの開発

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