Newsletter vol.2

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vol.

グローバルな学びを、もっと身近に。

『News Letter』 医療を学ぶすべての学生にお送りするWeb Magazine by IFMSA-Japan International Team

02 2017! Summer

2017年、夏。  タンザニアに世界中の  医学生が集結。

『 Writer 』 Yoshiki Tsumura Phor ranat Khongthong Shoki Hamada Daisuke Nojima Nagiho Tsukada

『 Editor 』 Nana Tanamoto

http://ifmsa.jp


Opening*/*Closing*Ceremony

文責:産業医科大学5年/IFMSA-Japan President 塚田凪歩

アフリカに 世界中 の医学生が集う圧巻の光景に、息を飲む。  8月1日 タンザニアのアルーシャにて、第66回 IFMSA夏の世界総会が開幕しました。
 今回の世界総会には100カ国以上から約850名の医学生が参加しました。例年、特に中東やアフリカ諸国の医学生 にとってはビザ取得が大きなハードルとなり、参加が難しい例も多々あることが問題となっていますが、今回はタンザニア 開催ということでアフリカ諸国からの参加も非常に多かった印象です。まさに 世界中 から医学生が集まる世界総会となっ たのではないでしょうか。右上の写真はそれを象徴するかのような一枚となりました。  日本からは私 IFMSA-Japan 代表 塚田凪歩(産業医科大学)、SCORE(基礎研究交換留学に関する委員会 責任者) コントン・ プォーラナット(大阪大学)、SCOPE(臨床交換留学に関する委員会 責任者) 野島大輔(獨協医科大学)、SCOPHスタッフ 津村 佳希(大分大学)・濱田祥生(和歌山県立医科大学)の計5名が日本代表団として参加しました。

Opening CeremonyではWONCA (世界一般医・家庭医学会) 代表、WFME (世界医学教育連盟) 代表やWHO (世界保健 機関) 保健医療従事者部門 Technical Officer等も参列し、壇上でのご挨拶がありました。IFMSAが世界的に認められてい る組織であることを実感すると同時に、身がより引き締まりました。  Opening、Closing Ceremonyともにタンザニアの伝統的な音楽やダンスのパフォーマンスもあり、日本で話題のマサ イ族のジャンプやまるでサーカスのような芸もあり、会場が一気にアフリカの陽気な雰囲気に包まれました。参加者は セミフォーマルな格好で国旗を持って参加しており、各Ceremony後には右下の写真のように記念撮影をするのが世界総 会の定番となっています。クルディスタンやホンジュラス等、なかなか会えないような国の医学生とも仲良くなり、この ような写真を撮ることもできるのはまさに世界総会ならではです。

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Presidents’*Session*&*Plenary

文責:産業医科大学5年/IFMSA-Japan President 塚田凪歩

Presidents’ Session

意味のある調査、運営とは。

Presidents Sessionは各NMO (National Member Organization ; 加盟国) の President (代表) や vice President (副代表) の国際業務 担当、各国内の支部の代表 (IFMSA-Japanでいう 大学代表者 )等が 集まり議論する場です。  ここでは IFMSA本部の時限的な課題解決組織である"Task

Force の調査報告と、それを受けて今後推奨される運営方針・新

たな取り組みについての説明やディスカッションも行われます。内 容としては、IFMSAだけでなくどんな組織にも通ずる"ファンドレ イジング(資金調達)"に関する各支部への調査や、参加できなかった 支部のための会議ライブ配信・オンラインでの投票システム等の需要調査・可能性の模索等がありました。その中でも例 えばライブ配信やオンライン投票に関しては、この調査を受けて3月にエジプトで行われる世界総会での実現を目指す Task Forceが新たに始動することも後に決まりました。実際に活動に反映させていくことを前提とした調査は本当に意味 があるなと感じるばかりです。

IFMSAの強み。 !

IFMSAの基本の活動形態であるStanding Committee(委員会)とは別の、委員会テーマや活動国を横断した Program"    の活動報告、新規Program案についての質疑応答、ディスカッションもありました。新規としてはMaternal Health and Access to Safe Abortion (妊産婦の健康と安全な中絶へのアクセス)等が提案されていました。IFMSA-Japanでも昨年か らSCOPHの Infographics Team が委員会横断的に活動していますが、このように自分がメインとしている委員会を超え て様々な分野にアクセスできる土壌が広がっているのは、IFMSAの強みではないかと思います。

各国のリーダーの主体性が、すごい。

また、2014年に台湾で開催された第63回 世界総会から始まったIFMSAの3カ年計画である Strategy に関して、今年

2017年から2020年にかけて行う新たなStrategy 2017-2020を今回採択するべく議論がありました。参加者はIFMSA本部

の決めた方針にただ従うのではなく、現状に見合う戦略となっているのか、自分の住む地域の支部にとっても意味のある 全体のことを考えた内容になっているのかよく考え、主体性を持った発言がとても多く、各支部を代表して参加している のだという意識をひしひしと感じました。

実はお互い、似た悩みも多い。

その他、世界総会に参加するにあたって各NMOが提出して いる NMO Report の内容を分析し、問題意識の多いトピック に関してワールドカフェ形式で各国の現状や解決策を話しまし た。Management of Local Committees、Reporting and evaluation methods、Motivation of members 等、IFMSAJapanでも課題としているトピックが非常に多く、どの加盟国 でも問題となることは似ているのだと少し安心しました。そし て成功している国の戦略は面白く、全部のトピックに参加した いくらいでした。時にはCoffee Breakもあり、ドーナツのよう な出来立てのお菓子も一緒に食べられて楽しく充実したSession でした。

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Presidents’*Session*&*Plenary

文責:産業医科大学5年/IFMSA-Japan President 塚田凪歩

IFMSAが動く 瞬間。

Plenary

Plenaryとは、IFMSA-Japanで各加盟校の大学代表者が集まる 総会本会議 の世界版であり、各NMO (National

Member Organization ; 加盟国) から1名ずつ代表者がVoting席に座わり、議題ごとに投票していきます。各国は自国の国 旗を机に敷き、国旗の書かれたVoting Cardを持ち、雰囲気は国会や国連の会議さながらです。IFMSA全体の規約改正や 次期役員の選挙、新規加盟国のプレゼンテーションと承認投票等、重要な議題が目白押しで、まさに IFMSAが動く 瞬間 ともあり、各NMOの代表者だけでなくその他の参加者も大勢観客席でその瞬間を見守ります。  各役職選挙に出馬している学生たちによる立候補者演説や、来年夏の世界 総会の開催地候補国によるプレゼンテーションはとても力強く、魅せ方も工 夫されているので大変聞き応えがあります。選挙はかなりの接戦になる場面 もあり、当選が決まった瞬間に「信じられない!」と興奮と涙でいっぱいの 者もいました。それだけこのIFMSAで役員として活動することが、いかにこ れからの人生にとって大きな意味を持つかを物語っているようでした。そし てケベックが、来年夏の世界総会開催国に決定しました。

その他、新規加盟を希望する国や地域、および加盟形態のグレードアップ (投票権を持つ)を希望している各NMOの代表による活動紹介プレゼンテーショ ンも大きな見どころの一つです。特に加盟形態のグレードアップを考えてい るシリアの代表による演説は、言葉一つひとつが非常に力強く引き付けられ るもので、どれだけ自国の問題と向き合い医学生としてできることに奮闘し てきたか、短いながらにひしひしと伝わる演説でした。終了時には会場中ス タンディングオベーションとなり、涙が出そうでした。また、IFMSAに加盟 できるのは原則国連で認められて いる国のみですが、香港やクルディスタン等、自治区として国家とは異なる政治形態を取っている地域は例外として加盟 が承認されることもあります。今回は北キプロスの加盟を認めるかが議論になりました。このようにIFMSAは国際社会の 縮図のような組織であり、自分たちの訪れた事のない 危険 と考えられている地域でも今まさに戦っている医学生たちが いること、安全に、そして平等に医学教育を受けられる権利と環境があることがいかに恵まれているかを実感する瞬間で もありました。今回の世界総会で新規にカタール、セネガル、北キプロス、イエメン、トリニダッドトバゴが、加盟形態 のグレードアップにキプロス、コンゴ、フィジー、アイルランド、シリア、トーゴが決まりました。これにより<全126 カ国、135支部>が加盟する医学生組織となりました。

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Exchange Sessions ⽂責:野島⼤輔、コントン

プォーラナット

Introduction 世界総会のSCOPEとSCORE Sessionの始まりは ここから。

IFMSA全体として、今直⾯している問題や アップデートの共有と今回の世界総会での SCOPEとSCORE Sessionで議論される議題 について発表されました。

Sharing is Caring 各NMO(加盟国)がSCOPEに起こりうる9つの問題から⾃分が 興味のある議題を選び、議論する場です。 -social program problem(各⼤学が⾏うソーシャルイベント) -contact person(各⼤学にいる留学⽣との連絡係) の2つについて議論をしました。

Training Session Training Sessionでは、参加者全員が⾃分の興味を持っているテーマによってグループに分かれま した。その⼀つは「A Perfect NORE and How to Motivate LOREs」でした。理想のNOREの概念 や地域のExchange OfficerであるLocal Officer on Research Exchange(LORE)を励まし⽅をブレー ンストーミングを通じて学びました。

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Exchange Sessions

SCOPE・SCORE Regulations SCOPE Regulationsと呼ばれる臨床交換留学およびSCORE Regulationsと呼ばれる基礎研 究交換留学における世界共通の規則があります。今回、その規制の改正にあたっての説明 と議論が⾏われました。

Exchange Fair 夏の世界総会の⼤きなイベントの⼀つ である、Exchange FairはIFMSAを通 じて⾏う留学の契約締結会です。 SCOPEでは臨床交換留学、SCOREで は基礎交換留学の契約を締結します。 このニュースレターを読んでくださっ ている留学予定のあなた、将来留学し ようかな、と考えているあなたの留学 も全てここからがスタートです! 様々な国が⾃分の国を世界に知っても らうためにグッズを持参し、配布して プロモーション活動を⾏います。 ⽇本は留学先として毎年⼤変⼈気があ るため、ブースにはひっきりなしに他 国の留学責任者が押し寄せてきており、 今年も嬉しい悲鳴となりました。

Director Candidates Debate 総会本会議での来年度SCOPEと SCOREのDirectorの投票に向けて、 ⽴候補者たちが、各NMO(加盟 国)のNEO(臨床交換留学に関す る委員会責任者)たちの質問に答 え、⾃分が来年度SCOPEDirectorになったらどういう⽅針 で活動をするかなど討論しました。 みんな熱い熱意を持って Exchangeを運営して⾏こうとし ている姿が⽬に焼き付きました。

“If you want to go quickly, go alone. If you want to go far, go together”- African proverb

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SCOPH Sessions SCOPH Sessionsでは、公衆衛生的視点から世界でおこっている問題をトピックに学びます。 参加者全員で主体的に学び、問題提起をし、具体的アクションを話し合います。 何が障害となってその問題が起こっているのかを考え、私たちが学生という立場で今できること、 政府や組織に求めるアクションを挙げました。 私が参加したセッションのトピックのObesity、Alcohol、Cancerの3つについて記します。 Obesity はじめに肥満についての定義を確認した後、肥満の世界での現状についてアイスブレイキングをし ながら学びました。アジアとアフリカの子ども達に肥満が多い事など、意外な事実も多くとても勉 強になりました。この理由は糖質の多い食事や脂質の高いもの、そして栄養価は低いがエネルギー 過多な食事が多く取られ始めたことがあります。発展途上国に見られる人口の農村部から都市部へ の移動も肥満を加速させる原因です。農村部では食料的に自立しており、穀物や野菜、果物を中心 とした伝統的な食事を取っており、脂質や糖質は低いです。都市部へ移動すると、職業的に運動が 不足し、糖分や脂質、穀物の多い食事になります。発展途上国の食生活は伝統的かつ栄養価の高い ものから、エネルギー過多な食生活へと変化しているのです。その後、各国のNMO*での肥満に対 する活動やプロジェクトをシェアしあい、そ のインパクトや評価の仕方を見直しました。 *NMO = National Member Organization. IFMSA-Japanのような、 IFMSAの加盟団体のこと

Alcohol 世界でのお酒の消費量の図や男女の飲酒量比などのグラフなどを使って、世界でのアルコールに関 する現状がシェアされました。 次に、 身体的健康 精神的健康 社会的健康 の3つとアルコールとの関わりを、いくつか の小グループにわかれて話し合い、意見をシェアしました。 肝疾患、依存、アルハラなどたくさんの問題をあげ、それを上記の3つの健康との関わりにあては めて分類し、相互に影響している事を確認しました。 世界には様々なお酒に関するルールや習慣があります。個々にあ わせたシステムの構築が重要になるのだと感じました。

Cancer まずは参加者にガンについて基本情報を確認してもらうために、チーム戦でガンについての質問を 正しいか間違いかで答えるゲームをしました。 その後、政府、製薬会社、患者とその家族、タバコ会社などのチームにわかれてそれぞれの立場で タバコに対するプレゼンを作り、シェアしました。

NMOとは National Member Organizationの略。 IFMSA各国の支部という意味です。日本では、IFMSA-JapanがNMO名です。

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AcAviAes Fair Activities Fairでは世界各国のIFMSA支部で行われている様々なプロジェクトの説明ブースが展開さ れます。斬新でクリエイティブな考え方を学び、参考にすることが出来ます。 選りすぐりのプロジェクトが80個以上も出展されており、継続性や評価システムの面では日本のも のよりも優れているものが数多くありました。なかでも、IFMSA-Thailand のプロジェクトは厳密 にそのプロジェクトのインパクト調査を行ない、エビデンスに基づいたプロジェクト運営をおこ なっていました。

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