I F M S A -J a p a n Annual Repor t 国際医学生連盟 日本 年次報告書 2019-2020
0.Table of Contents | 目次
1.Greeting of the Representation | 代表挨拶
…P2
2.Introduction | 組織概要
…P3
I.理事・役員紹介 3.Greeting of Team of officials | 理事・役員挨拶
…P8
Ⅱ.委員会活動報告 4.SCOPE/SCORE | 臨床/基礎研究交換留学に関する委員会
…P22
5.SCORA | 性と生殖・AIDS に関する委員会
…P30
6.SCOPH | 公衆衛生に関する委員会
…P48
7.SCORP | 人権と平和に関する委員会
…P66
8.SCOME | 医学教育に関する委員会
…P86
Ⅲ.会議報告 9.National General Assembly | 日本総会
…P98
10.International Conference | 国際会議
…P104
Ⅳ.運営報告 11.Executive Board | 理事会
…P110
12.Internal affairs | 内務部門
…P114
13.External affairs | 外務部門
…P124
14.International affairs | 国際業務部門
…P132
15.Secretariat | 事務局部門
…P134
16.Treasurer | 会計部門
…P136
17.Local Activity | 加盟大学
地域報告
…P138
Ⅴ.会計報告 等 18.Financial Report | 会計報告
…P150
19.Auditing Report | 監査報告
…P158
20.Media Information | メディア情報
…P159
21.Sponsorship | スポンサーシップ情報
…P160
22.Special Thanks | お世話になった方々
…P162
23.Local Organization | 加盟大学一覧
…P163
24.Abbreviation | IFMSA-Japan 略語
…P164
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1.Greeting of the Representation | 代表挨拶 IFMSA-Japan 2019 年度 年次報告書をご覧いただき、ありがとうございます。 2019 年度は光栄ある第 20 代目として運営陣を迎え、さらに「平成最後」かつ「令和最初」の活動を展開す る重要な任務を意識した1年となりました。本年度も IFMSA-Japan は長きにわたって守られてきた「社会貢献 や国際社会とのつながりの下、幅広い視野を持った医療人を育成し、よりよい社会を目指す」ことを理念に 日々活動を続けて参りました。 IFMSA-Japan は全国/全世界の医療系学生をつなぐプラットフォームであると同時に、医療系学生と社会を つなぐプラットフォームとしても機能しています。私たちの母体である IFMSA(国際医学生連盟)には全世界 141 の国と地域が加盟しています。一方、IFMSA-Japan に団体会員として加盟する国内大学数(医学部を有す る大学)は 58 校にのぼり、個人会員として加盟する医療系学生の会員数は約 800 名になりました。日本国内か ら世界へ、そして世界から日本国内へ。加盟大学への交換留学制度や委員会単位の海外派遣プログラムがこれ に代表されますが、このネットワークを利用し、海外の学生と国内地域の学生間の連携を実現することができ る学生団体として、IFMSA-Japan は挑戦し続けています。 国内では 6 つの常設委員会がそれぞれテーマを掲げ、社会課題へのアプローチや各々の成長を目標とした活 動を展開してきました。小中高生に対する性の啓発授業や児童への保健教育、他国への災害医療普及活動、高 校生への医療職にまつわる出張授業など、多岐にわたる活動の中では社会の Health Literacy の向上を目指し、 そしてこのプラットフォームで活動に取り組む学生自身、社会課題や問題に関する視野を広げ、より良い医療 人へと成長することにつながっています。 国際面においては、交換留学制度や海外派遣プログラムはもちろんのこと、世界総会では海外の学生に向け て活動発信に取り組む姿が多々見られ、その他各種 News Letter への投稿など、1 年間を通して IFMSA の国際 ネットワークを存分に活用した取り組みが見受けられました。UHC(Universal Health Coverage)に関するアド ボカシー活動では英語での発信にも挑戦し、国際社会における IFMSA-Japan の立ち位置を確かめる良い機会を 得ることもできました。 運営面においては、2019 年度は自然災害や感染症によるイベント中止が相次ぎ、常に対応に追われている印 象が強かった一年となりましたが、その甲斐もあってか、次年度以降に引き継ぐことができるガイドラインや キャンセルポリシーの制定に成功することができました。今年度は団体としてのリスクマネジメントの脆弱さ やイレギュラー対応の前例に関する引き継ぎの甘さに痛感することが多々ありましたが、年度内に次年度以降 に備えた対策を考え、正式に書類として採用することができたのは、課題や困難から目を背けず常に前向きに 取り組む運営陣やスタッフに囲まれ、さらに同窓生を含め数多くの方々からのご支援があったおかげです。 本誌ではそのような 2019 年度の IFMSA-Japan の活動をご覧いただき、20 周年を迎えてさらに進化する IFMSA-Japan の活動を今後も温かくご支援いただければ幸いです。
IFMSA-Japan 2019 年度 President / 代表 | 北海道大学 4 年 田浦拓弥 2
2.Introduction | 組織概要 ◆IFMSA(国際医学生連盟) International Federation on Medical Students’ Associations(略称:IFMSA、日本語名:国際医学生連盟) は、第2次世界大戦後の 1951 年にヨーロッパで設立され、本部をデンマークのコペンハーゲンに置いていま す。WHO(世界保健機関)、WMA(世界医師会)によって医学生を代表する国際フォーラムとして認められ、 ECOSOC(国連経済社会理事会)の会員資格をも持つ、非営利・非政治の国際 NGO です。2020 年 3 月時点で、 141 の国と地域が加盟し、130 万人以上の医学生を代表しています。 その他、様々な国際学生団体・国際機関、UNESCO や UNICEF などの国連機関とも公式な関係を結んでおり、 代表は様々な会議に招かれ、医学生を代表して発言しています。IFMSA には、臨床交換留学、基礎研究交換留 学、公衆衛生、性と生殖・AIDS、人権と平和、医学教育の 6 つの常設委員会があり、世界各国で様々なプロジ ェクトやワークショップを運営しています。
◆IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本) 1961 年に IFMSA に加盟した日本支部は、2000 年頃に体制を一新し、名称を IFMSA-Japan(国際医学生連 盟 日本)として現在に至ります。全国の医学部・医科大学の ESS や医療系サークルなどの団体会員、および個 人会員によって構成されています。2020 年 3 月現在、団体会員 58 校、個人会員約 800 名、IFMSA-Japan の 中で最大のメーリングリストには約 3500 名が参加しています。毎年日本総会にて開催される総会本会議が IFMSA-Japan の最高意志決定機関です。理事会は、代表、副代表内務担当、副代表外務担当、副代表国際業務 担当、事務局長、会計と各委員会責任者 8 名の計 14 名(定員を満たさない場合もあります)からなり、年 4 回 程度の理事定例会議を開催して団体の運営に関わる事項を決定しています。 IFMSA-Japan は、上記の 6 つの常設委員会と各種 Office を設置し、日々活動を行っています。非営利・非政 治の原則のもと、各大学のご協力のもと年間 150 件以上の交換留学を実施、子どもを対象とした健康増進プロ ジェクト、生活習慣病予防啓発活動、小中高生への性教育や医療教育の出張授業、貧困問題や死生観・医療倫 理・地域医療について学ぶ勉強会などの国内活動や、東南アジア・アフリカでの保健衛生活動、平和について 考えることをテーマとした国際サマーキャンプ、アジア地域での災害医療分野での人材育成プロジェクトなど、 様々な国際活動も行っています。2007 年には第 59 回保健文化賞を受賞しました。
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◆委員会活動 IFMSA-Japan は 6 つの常設委員会を設置し、年間を通じて活動を行っています。 SCOPE:Standing Committee on Professional Exchange 臨床交換留学に関する委員会。臨床交換留学プログラムでは、日本の医学生が海外の病院で臨床研修を行う と共に、現地の医学生との交流を通じて相互理解を深めます。 SCORE:Standing Committee on Research Exchange 基礎研究交換留学に関する委員会。医学研究に興味を持つすべての医学生に海外に置ける様々な大学の基礎 教室・研究所で研究に関わる機会を提供します。 ※上記 2 種類の交換留学では、各大学の協力のもと年間計 100 名以上が海外で研修・研究を行うと同時に、同 数の医学生を国内で受け入れています。またこの二つの交換留学に関する委員会に「Incoming Care and Outgoing Training Project(ICOT)」が含まれていましたが、2019 年度をもって ICOT は終了となります。 SCORA:Standing Committee on Sexual and Reproductive Health and Rights including HIV and AIDS 性と生殖・AIDS に関する委員会。一般市民、特に若者の性感染症(STI)の知識と性に関する自己決定能力 の向上を目指し、医療系学生を中心に HIV/AIDS や LGBTs、生殖医療についての知識を深めるための活動をし ています。「Peer Education Project」「Rainbow Flag Project」「STI Prevention Project」が含まれます。 SCOPH:Standing Committee on Public Health 公衆衛生に関する委員会。『公衆衛生を通して地域社会に貢献し、幅広い視野を持った医療人を目指す』を ビジョンとして掲げています。「Africa Village Project」「Asia Community Health Project」「Community Medicine Tour Project」「Healthy Lifestyle Project」「ぬいぐるみ病院プロジェクト」「InciSioN-Japan Project」の他、様々なキャンペーンデーに際して啓発活動を行っています。 ※Community Medicine Tour Project は、2019 年度をもって終了となります。 SCORP:Standing Committee on Human Rights and Peace 人権と平和に関する委員会。人権と平和をテーマとして、紛争や災害時の人権侵害の防止、知識向上などに 取り組んでいます。「ACTION Project」「Hiroshima Nagasaki Peace Project」「Learn about Refugee Project 」 「 Law and Medicine Project 」 「 Project for Overcoming Your and Our Prejudice and INhospitality against challenged people」が含まれます。 SCOME:Standing Committee on Medical Education 医学教育に関する委員会。学生ひとりひとりが自分たちの受ける教育に意識を向けることで、日本の医学教 育をより良いものにしていくことが出来るという信念のもと活動しています。「Life Lesson Project」「チー ム医療 Project」「Medical Education Project」が含まれます。
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◆会員制度 IFMSA-Japan には下記の二つの会員制度があります。 個人会員:年会費 1500 円 団体会員:年会費 10000 円 現在世界には 130 万人以上の IFMSA 会員が存在し、日本では約 800 名の個人会員、58 の団体会員が IFMSAJapan を構成しています。会員は以下のような権利を持ち、同時に IFMSA もしくは IFMSA-Japan のメンバー としてその活動に積極的に参加し運営に寄与することが求められます。 【個人会員の権利とメリット】 1. IFMSA-Japan の活動のうち個人単位で参加するものへの参加資格 (交換留学や各種プロジェクト、サマースクールへの申し込みなど) 2. IFMSA-Japan 日本総会参加費の割引 3. 年次報告書(Annual Report)の無料配布 4. 卒後3年間の世界医師会(WMA)の準会員資格 5. 会員専用メーリングリスト参加 6. 会員専用勉強会への参加資格 7. スタッフとしての活動資格(下記参照) 8. 役員への立候補 9. IFMSA 世界総会への参加申し込み 10. 日本団体会員総会でのオブザーバー権 【団体会員の権利とメリット】 1. IFMSA-Japan の活動のうち、団体単位で参加するものへの参加資格 2. 総会での投票権 3. IFMSA 臨床交換留学プログラム参加権(SCOPE) 4. IFMSA 基礎研究交換留学プログラム参加権(SCORE) 5. 各種報告書、広報ツールの配布 6. 団体会員メーリングリスト登録 7. 代表者1名の日本総会参加交通費の補助 8. 加盟大学間の交流
◆スタッフ制度 スタッフとは IFMSA-Japan の運営に積極的に携わる人材のことで、現在約 400 名の個人会員がスタッフと して活動しています。具体的には各委員会の活動、広報活動、ウェブサイトの管理、日本総会の企画運営など 活動の幅は多岐に渡ります。個人会員登録をした後、理事により実施されるスタッフインターンシップを修了 することで、IFMSA-Japan のスタッフとして正式に認められ活動をすることができます。
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I.理事・役員挨拶 Greeting of Team of Officials
3.Greeting of Team of Officials | 理事・役員挨拶 【Executive Board / 理事会】 President / 代表 | 北海道大学 4 年 田浦拓弥 代表は 13 名の理事とともに、IFMSA-Japan (以下、I-J) 内に設置する 5 つの運営部門(Support Office)と 6 つの委員会(Standing Committee)の活動の統括役割を担っています。今年度は自然災害や感染症などイレギュ ラーなイベント中止が相次ぎましたが、既存ツールを活用した団体内外における広報の充実や、世界へ向けた 活動発信の増加、そしてアドボカシー活動と、意識を高めることができた1年でした。運営面においては、リ スクマネジメントの強化や、イベント運営ガイドラインやキャンセルポリシーの統一化を実現することができ ました。今後はその土台をもとに、より充実した活動が展開されることに期待しています。 Vice President for Internal Affairs (VPI) / 副代表内務担当 | 三重大学 4 年 増田康一 内務部門では、地域を統括する Regional Office、ソフトスキルを中心としたスキル教育を行う Training Office、I-J の卒業生との窓口となる Seniors Club Office の 3 つのオフィスが所属し、スタッフや個人会員、 団体会員などの活動のサポートを主な業務としています。今年度は新歓内容の刷新や総会本会議の円滑かつ透 明な運営の施行を行い、2 団体を新たな加盟団体として迎えさらなる飛躍を遂げました。これからも I-J に関わ る全ての人の活動を様々な側面からサポートさせて頂きますので、どうぞよろしくお願いいたします。 Vice President for External Affairs (VPE) / 副代表外務担当 | 筑波大学 4 年 森本健太 外務部門は、広報媒体の作成やブランド管理、そして外部団体や企業様との協力関係の構築などを通じて、 I-J を外部へ発信し、社会とのつながりを強化する役割を担っています。今年度の外務部門は、特に Twitter や Facebook などの Social Network Service (以下、SNS) を利用した外部発信に力を入れ、イベントの宣伝や報 告を通して、I-J の活動の周知に努めました。また、複数の企業様とのコラボイベントの開催・取材などにも応 じ、社会とのつながりも強化することのできた1年だったと感じております。SNS チームの発足など、外務部 門の組織化を進め、来年度以降、Staff 全体での情報発信が活発に行われていくことを、心より願っています。 Vice President for International Affairs (VPN) / 副代表国際業務担当 | 山口大学 4 年 持田千幸 IFMSA は世界 141 の国と地域からなる国際 NGO であり、世界各国の医学生との交流があります。国際業務 では、この貴重なつながりを生かし、日本全国津々浦々どこで医療を学んでいても、グローバルスタンダード を学ぶ機会を増やすべく活動して参りました。2019 年夏の世界総会に関しては、過去最高規模の参加応募があ り、国内においても G20 に伴い開催された H20 に参加させていただくなど、世界への門戸が大きく開かれた 1 年であったのではないかと思います。学生のうちから国際的視野を養い、将来世界を舞台に活躍できる医療者 となれるよう、I-J を通して今後も多くの学びや絆が生まれることを祈っております。 Secretary General / 事務局長 | 旭川医科大学 3 年 三浦子路 事務局部門では、I-J 内外の方々に対して開かれた窓口の役割を果たしています。会員登録やお問い合わせ対 応はもちろん、運営上必要な資料の整備や備品の管理まで一気に担っています。特に、地域新歓当日と日本総会 直前期には、事務局員総出で多くの参加者に対して登録手続きを行いました。事務局を頼ってくださった方々、 運営を手伝っていただいた方々に対しては感謝しきれません。これからも他の部署とともに邁進していく所存 です。
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Treasurer / 会計 | 山形大学4年 安田佐梨 会計部門は I-J 全体の予算配分・運用などの財政管理や通帳・領収書の管理、各種送金など I-J の財政面を担っ ています。団体運営において重大な責任があるという意識を持ちながら、公平・公正な会計業務に努めてまいり ました。課題も多くある中で、議論を重ねつつ試行錯誤しながら1年間を無事に終えることができました。I-J の活動に協賛いただいた企業様や団体様、ご支援いただいた先輩方、会計部門に携わってくださった皆様に心 より感謝申し上げます。 National Exchange Officer (NEO) / 臨床交換留学に関する委員会 責任者 │
近畿大学4年 宮岸麻衣
臨床交換留学に関する委員会 (以下、SCOPE) では、海外での臨床実習を行う交換留学の運営を通して、多く の医学生に対して海外での経験を得る機会を与えることを目的として活動しています。留学生を日本から海外 へ輩出することだけでなく、日本への受け入れのためのアレンジメントなど、私たちの仕事は多岐に渡ります。 各大学の留学担当者の方々の協力もあり、I-J のスタッフだけでなく、多くの学生たちにこのプログラムを通し て様々な学びの場を提供することができました。これからもより多くの学生たちがこの貴重な経験を生かして、 医学の発展のために活躍してくれることを願っています。 National Exchange Officer (NEO) / 臨床交換留学に関する委員会 責任者 │
山梨大学 5 年 杉原宏
他国の医学生が日本で臨床実習を行うためのサポートをさせていただきました。4週間という短い期間では ありますが、日本の医療システムや文化に触れることで「何か」を得るきっかけとなったことを願うばかりで す。また、留学生を受け入れた各大学の学生も、世界の仲間と時間を共有することで「何か」を得ることがで きたのであればこの上ない喜びです。今後も留学という1つの手段を通して、数多くの人が人生を豊かにする 経験ができることを願っています。 National Officer on Research Exchange (NORE) / 基礎研究交換留学に関する委員会 責任者 │
浜松医科大学 4 年 鈴木海渡 基礎研究を行う研究室のプロジェクトへ留学生を送り出すことと受け入れることを担当しました。基礎研究
交換留学は学年に制限なく参加することができます。日進月歩の医学の原動力ともいえる基礎研究を様々な土 地で経験することは非常に意義のあることであると言えます。今年度も多大なるご協力のもと大きな問題なく 運営ができたと考えております。こういった意義深い業務に携われたことを有難く思います。縁の下の力持ち とも称される部署ですが、今後も廉潔な運営がなされることと信じています。 National Officer on Research Exchange (NORE) / 基礎研究交換留学に関する委員会 責任者 │
兵庫医科大学3年 二武有紀 研究留学を行う上での学生のマネジメント、サポートをさせていただきました。無事一年を終えられました
のも、各大学の留学担当をはじめとした皆様のおかげです。ありがとうございました。国を超え、役職を超え、 たくさんの人と縁を結べたことは私の一生の財産です。これからも IFMSA を通して一人でも多くの学生が素晴 らしい留学に行けるようお力添えいただけましたら幸いです。
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National Officer on Sexual and Reproductive health and rights including HIV and AIDS (NORA) / 性と生殖・AIDS に関する委員会 責任者 │ 北海道大学 4 年 久世瑞穂 私は今年度、性と生殖・AIDS に関する委員会 (以下、SCORA) の責任者を務め、イベントやオンラインでの 様々な企画が円滑に行われるよう尽力いたしました。その結果、昨年と比べてスタッフ数も増加し、他委員会 とのコラボレーション等、年度始めの方針として掲げていた事項もある程度達成できたかと思います。しかし、 日本ではまだまだ性に関する話題がタブー視、軽視される状況があります。この状況に少しでも変化を与える べく、今後ますますの活動の活性化と活動内容の充実を目指して SCORA スタッフ一人一人が歩んでいくことを 願っております。 National Public Health Officer (NPO) / 公衆衛生に関する委員会 責任者 |
宮崎大学 4 年 黒木安優香
公衆衛生に関する委員会 (以下、SCOPH) では、今年度 6 つのプロジェクトがオンライン、オフラインイベ ントを通してそれぞれのミッションを達成するべく活動してきました。各プロジェクトのスタッフと共に活動 できたことは私にとって大きな喜びであり財産です。SCOPH 全体としては JAVS、APS と合同で感染症企画を 立ち上げたり、本部からの情報を国内のスタッフにシェアしたりといった新しい取り組みを行いました。今後 も 「Think Globally, Act Locally」の精神のもと、SCOPH にできることを丁寧に模索していきたいです。 National Officer on human Rights and Peace (NORP) / 人権と平和に関する委員会 責任者 │
熊本大学3年 村上綾 人権と平和に関する委員会(以下、SCORP)では今年度より POYOPIN(障がい者に対する偏見、差別、冷
遇の撲滅を目指すプロジェクト)を新たに加え、5つのプロジェクトを軸に「国際業務チームの基盤強化」、 「スタッフ間の連携強化」に特に力を入れて参りました。国際業務チームでは、キャンペーン活動や SCORP 本 部活動への応募など、これまで以上に活動の幅を広げることができました。また、 SCOtRiP やモーニングすこ るぷとーく。など、心温まる企画も多く実施しスタッフの定着に繋がりました。SCORP に関わって下さる皆様 にとって、SCORP での経験が素晴らしいものでありますように心から祈っております。 National Officer on Medical Education (NOME) / 医学教育に関する委員会 責任者 |
熊本大学4年 山田佳奈 2019 年度は「多角的な視点を得る」ことを指針として、医学教育に関する委員会(以下、SCOME)を運営し
て参りました。多様な価値観と出会い理解することで、本質的に他者に寄り添うことができる人材の育成を目 指し、そして一人ひとりが自分の思いを発信し、それをもとに社会に対して行動を起こすことを重視しました。 今年度は常設のプロジェクトの他に「高校生企画」が活発に動き、クラウドファンディングにも挑戦し、目標 を達成することができました。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。
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【Officials / 役員】 Vice Secretary General / 副事務局長 │ 福島県立医科大学3年 熊谷なつき 副事務局長は、I-J と、I-J への参加を希望する学生との橋渡しをする仕事です。主に I-J の個人会員登録の手 続きを行い、新歓の時期には直接各会場に出向き、参加者の新規会員登録を行いました。今年度も新たに多く の仲間と出会うことができました。今後も IFMSA-Japan の輪が大きく広がっていくことを願っています。 Vice Secretary General / 副事務局長 │ 愛媛大学 2 年 松岡菜悠 私は本役職で、I-J の窓口となり、団体に所属する人の管理、所属したい人への対応などを主に行ってきまし た。何かやりたいことを持っている人や熱意がある人を I-J やそのプロジェクトとつなぐこととなり、それと共 に自分自身がまだ知らない側面を知りました。この役職を通して1年間充実した活動を送ることできました。 ありがとうございました。 Mailing List Manager / メーリングリストマネージャー | 東京女子医科大学 4 年 福井梓穂 Hokkaido Regional Officer / 北海道地域担当官 │
札幌医科大学3年 更谷朱里
北海道地域担当官は、地域新歓の運営・イベントの開催、地域の加盟大学の取りまとめを行います。北海道 新歓では「自分のやりたいことをみつける」をテーマにスタッフ一同が団結しアットホームな雰囲気を作るよ う心がけました。高い志を持つメンバーが多数加わったこともあり、これから北海道地域がさらに発展するこ とを願っています。日頃より I-J へのご支援、応援いただきありがとうございます。 Tohoku Regional Officer / 東北地域担当官 │ 弘前大学 2 年 米谷隆佑 東北地域の活性化に注力し、新歓をはじめ松島観光などの様々な地域イベントを通じて自身の成長にも繋が る飛躍の年でした。担当官として未熟だった私を導いてくれた方々に心から感謝申し上げます。まだまだ I-J に 関わっていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。東北地域は、スタッフ層が非常に厚 く、ポテンシャルが高いと感じています。次年度も、東北地域が盛り上がることを期待しております。 Kanto Regional Officer / 関東地域担当官 | 国際医療福祉大学 3 年 松島舞佳 関東地域担当官は、地域のリーダーとして関東の新歓運営、担当地域で行われる日本総会や各委員会のイベ ントの宣伝を行います。また、団体加盟 18 大学のサポートや I-J と各大学をつなぐ窓口となっています。規模 が大きい分、ニューカマーとスタッフ間での交流を深められるような雰囲気を作ることで、希薄となりがちな 繋がりを大切にしてきました。今後も関東地域の繋がりが、より深まり、やりたいことができる場となること を願っています。 Hokuriku Regional Officer / 北陸地域担当官 | 富山大学2年 内川龍之介 北陸地域には加盟大学が3つと小規模ながらも、新歓をはじめとしたたん地域を盛り上げる活動をして参り ました。今年度は、6 月初旬の北陸新歓、夏に東海信州地域とコラボ開催したイベント、福島県での「禅」をテ ーマにしたイベントなどを通して、たくさんの素敵な人々に出会うことができました。今年度に築くことので きたご縁が、来年度の北陸地域の更なる邁進に繋がることを願っています。
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Tokai-Shinsyu Regional Officer / 東海信州地域担当官 │ 日本赤十字豊田看護大学 2 年 岩田恵実 今年度は、新歓後の新しいスタッフ登録者数がとても多く、年度半ばには、担当地域全スタッフの半数を超 えました。新しいスタッフのフォローに注力しましたが、イベントの立案や企画に挑戦するスタッフの姿が私 にとっていい刺激となりました。I-J における活動の拠点ともなり得る地域で、1年間、担当官として活動した 経験は私の財産です。今後の東海信州地域がさらに盛り上がり、誇れる地域で在り続けることを願っています。 Kansai Regional Officer / 関西地域担当官 | 滋賀医科大学2年 林未菜実 関西地域担当官は、I-J に所属している関西地域のスタッフ、加盟大学が活動を行いやすいようにサポートす る仕事です。具体的には、新歓を開き I-J の活動を地域に広め、新規スタッフを獲得することや、関西スタッフ 間での情報共有等を行っています。来年度は、さらにスタッフの数が増え、関西地域での活動がより活発にな ることを願っています。 Chugoku Regional Officer / 中国地域担当官 │ 岡山大学 2 年 川部愛美 中国地域担当官は、中国地域の新歓や地域イベントの運営、地域で開催される各委員会のイベント宣伝や地 域の大学の団体加盟の手伝いなどを行います。今年度は、新歓後にご飯会や、委員会の壁を越えた交流や新歓 でのニューカマーのスタッフデビューの場とすることを目的とした中四国総会を行いました。また、岡山大学 が新規団体加盟をしたことにより I-J の輪が広がりつつあると嬉しく思います。これからも中国地域が、各々の 興味を発信し仲間を見つけ取り組むことが出来る場所であることを願っています。 Shikoku Regional Officer / 四国地域担当官 │ 徳島大学 3 年 齊藤華子 四国地域担当官は、地域における I-J の活動をより円滑に行うために、地域の個人会員登録者・スタッフの管 理・支援、四国地域で行うイベントの準備・当日の運営を行います。今年度は昨年度に引き続き、中国地方と 四国地方の合同企画である中四国総会を無事行うことができました。今後も、四国地域の医療系学生の連携を 高め、I-J が多くの医療系学生に出会いと成長を提供できる場であることを願っております。 Kyushu-Yamaguchi Regional Officer / 九州山口地域担当官 | 琉球大学医学部4年 佐藤樹 I-J では日本を9つの地域にわけ、それぞれの地域に Regional Officer (以下、RO) を置いています。RO の 仕事は、自身の地域に所属する個人会員・スタッフのサポートや、加盟している大学団体のサポート、地域に おけるイベント開催など多岐に渡ります。今年度も九州山口地域ではたくさんのスタッフが誕生し、その協力 もあって地域イベントは成功を収めました。来年度も、参加してくれたスタッフ達が、公私にわたって協力し あえるような地域であることを願います。 Seniors Club Manager |
札幌医科大学4年 横井健人
Seniors Club Manager は、I-J でご活躍された先輩方が所属する Seniors Club の管理運営を行ったり、 Seniors Club 懇親会、卒業生を送る会を開催したりします。また、メーリングリストなどを用いて OB/OG と 現役スタッフをつなぐ役割も担っています。I-J を引退された後も様々なフィールドで活躍されている先輩方か らたくさんの刺激を受けることで、I-J が今後もより良い団体へと発展していくことを願っています。最後にな りますが、日頃より暖かいご支援をいただいている OB/OG の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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Training Officer
│ 川崎医科大学4年 諫見直樹
Training Office では、人と人との間で役立つコミュニケーションスキルや、プレゼンテーションスキルを学 び伝えます。それらは学校にいても社会に出ても学ぶ機会はありませんが、かならず必要になります。人は常 に人に囲まれて生きているからです。培ったスキルや情熱を各々が心を込めて多くの学生に伝えてきました。 いつか、やりたいことにつまずいた時、私たちが伝えてきたスキルが状況を打破するきっかけとなる人が 1 人 でもいたら幸いです。 Fundraising Officer │ 愛知医科大学4年 佐藤晃敏 Fundraising Office は、企業様や財団様と連絡を取り I-J の活動で必要な資金の調達をします。また、助成金 の申請方法、資金調達のアドバイスなど、I-J 内の委員会やプロジェクト等の資金面でのサポートを行います。 日頃より暖かいご支援をいただいております企業の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 Liaison Officer │ 日本大学 5 年 中村浩史郎 "Liaison"は「リエゾン」と読み、「連絡」「連携」という意味を持ちます。つまり I-J の各活動と外部の団 体を「つなぐ」ことが Liaison Office の仕事です。今年度は、提携を結んでいる外部学生団体主催のイベントへ 参加し、外部団体の方が I-J 主催のイベントへ参加する際の窓口となり、外部団体との交流を図りました。また、 各委員会や Project の責任者と、ニーズを探し適切なアプローチを検討・実行してきました。来年度以降も、他 団体との連携をより強固にし、学生が様々な場所で多くを吸収できる場を作っていけることを願っております。 New Technology Officer │ 富山大学 4 年 小西正晃 New Technology Office では、Facebook、Twitter などの各種 SNS を用いた I-J の広告活動や、各 Officer のメールアドレス一括管理、公式 web サイトの運営などを主な業務として活動してきました。懸念していた情 報リテラシーに関わるトラブルもなく、各業務は円滑に完了しました。また、新歓等で用いられる I-J の紹介用 動画を現行の体制に対応するように新たに作成しました。 Publication Officer | 岩手医科大学 3 年 谷口弘子 Publication Office は、サポートオフィスとしてリーフレット・名刺・この年次報告書の作成を主に担当して います。I-J の活動を出版物という形でまとめ上げることで、内部での動きが活発になること、また、外部の皆 さまにも弊団体のことを知っていただくきっかけとなることを願っております。 Vice Treasurer / 副会計 │ 福島県立医科大学3年 古矢野々香 Vice Treasurer のうち、私は日本総会 (以下、NGA) 会計として、第 17 回 NGA の金銭の管理や台風による 一部コンテンツの中止に伴う返金を行いました。金銭の管理に関しては、NGA コンテンツで必要な備品等の予 算管理や参加費の振込確認などを引き受けました。また、返金に時間がかかってしまったにも関わらず、お待 ちいただいた対象者の皆さまには誠に感謝しております。来年度の NGA がより多くの実りをもたらすことを願 っております。
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Vice Treasurer / 副会計 │ 札幌医科大学 4 年 樋口海成 Vice Treasurer のうち、私は内務会計として I-J 内務チームにて予算案でのサポートを行いました。全国新 歓での一般参加者に対するお菓子や飲み物代、ワークショップで必要な備品などに対しての予算管理や、各種 地域イベントでの参加費の相談などを引き受けました。予算の面で関わってきた地域イベントが今後も活性化 されることを願っております。 Vice Exchange Officer │
筑波大学 3 年 平山智之
留学プログラムを維持する上で、会計面の管理は重要な要素の 1 つです。留学生を迎え入れる際には、宿泊 費や食費、送り出す際も、申込金の確認など、留学業務の 1 つ 1 つに金銭的なサポートが必要になってきます。 このように留学において重要な業務を一年間務めさせていただきました。今後も、この役職が適切に引き継が れ、留学が魅力的なプロジェクトとして堅持されることを祈っています。 Vice Exchange Officer │
琉球大学 4 年 佐藤人美
Vice Exchange Officer は National Exchange Officer (NEO) や National Officer on Research Exchange (NORE) の補佐をする仕事です。主に outgoing や incoming の参加費、登録費の管理やスタッフ交通費の調 整など Exchange に関わる会計業務を行いました。裏方として国内外の留学のお手伝いができました。今後も、 留学したい学生たちが IFMSA を通して実現できることを願っています。 Incoming Care and Outgoing Training Project Coordinator (ICOT) │ 筑波大学 2 年 杉本理紗 ICOT では、留学に対するハードルを下げるための活動を行ってきました。そのため前半期には、Skype、 LINE での活動に力を入れました。年度内にこのプロジェクトの目標自体が揺らいでしまい、私は今年、この役 職での目標を達成することができませんでした。一年間サポートしてくださった方々には感謝申し上げます。 Vice NORA / 性と生殖・AIDS に関する委員会 副責任者 │ 東京女子医科大学医学部 3 年 菊池華代 性と生殖・AIDS に関する委員会 (以下、SCORA) の副責任者は、SCORA で行われるイベント運営や団体運 営を支えています。性に関するテーマはデリケートな部分も多く、時に扱いにくくもありますが、参加者が得 たいと思っている情報を得られるようなイベント・団体にしていくために尽力してまいりました。今後も、 SCORA での活動が拡がり、医療系学生の皆さんに必要な「性のこと」が理解されることを願っています。 Vice NORA / 性と生殖・AIDS に関する委員会 副責任者 │ 獨協医科大学 3 年 高橋祐貴 SCORA 副責任者は、SCORA の運営はもちろん、スタッフ、参加者全てのサポートを行う役職です。性に関 する話は、誰にでも、は聞きづらく、正確でなければありません。これらの情報を届け、SCORA でのやりたい ことを実現するお手伝いをしています。今後 SCORA の活動が益々盛んになり、日本の性の分野において一石を 投じることのできる存在になることを願っています。
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Vice NORA / 性と生殖・AIDS に関する委員会 副責任者 │ 佐賀大学2年 田中文那 SCORA 副責任者は、主に SCORA の啓発活動やイベント運営のサポートを行います。新歓の参加者への活動 内容の説明、SCORA スタッフに対するイベント参加への呼びかけ、外部団体とのやり取りを通して SCORA 内 外の多くの人と関わりを持ちました。現在 SCORA 内での共有にとどまっている知識の多くを今後は外部へ発信 することで、SCORA の活動が SCORA 外の様々な人にとって有益なものとなることを願っています。 Peer Education Project Coordinator (PEP) / ピアエデュケーションプロジェクト 責任者 │
浜松医科大学2年 藤田恵理子 PEP 責任者は、各地域でのピアエデュケーション活動 (以下、ピア活動) をサポートする役職です。ピア活動
とは、対象者と年齢の近い Peer (仲間) として、性に関する出張授業を行う活動です。この活動を円滑かつ質の 高いものにするために、各地域の情報の共有化や統一アンケートなどを行ってきました。また、スタッフの知 識の向上を目指しオンライン勉強会やワークショップを実施してきました。ピア活動の発展が、正しい性知識 の普及という点で社会全体の健康増進にもつながることを期待しています。 Rainbow Flag Project Coordinator (RFP) / レインボーフラッグプロジェクト 責任者 │
札幌医科大学4年 又吉秋桜美 RFP は、LGBTs および個人のセクシュアリティにフォーカスを当て、性の多様性を認め合える社会とは何か、
誰もがセクシュアリティに関わらず不自由のない生活するためには何が必要か、といった性の多様性について 考えるプロジェクトです。今年度は特に一人一人異なる性について考えたり、LGBTs の当事者の体験談を聞い たりするワークショップに力を入れてきました。日本全体としては LGBTs の認知度・理解度は高いとは言えま せんが、RFP を通した啓発活動から日本社会に何かしらの影響が与えられることを期待しています。 STI Prevention Project Coordinator (STIP) / 性感染症予防プロジェクト 責任者 │
日本赤十字豊田看護大学 2 年 渡邉千晶 STIP は近年若者に増加している性感染症 (以下、STI) の予防啓発活動を行っています。医療系学部でも、
「自分には関係ない」という意識を無くすことはできていません。そこで、今年度の STIP では『性交渉の機会 がある人には関係ない話ではない』という認識を持ってもらうため、地域スタッフで STI 検査に行くキャンペ ーンやコンドーム配布イベントを実施しました。医療系学生が中心となり、HIV/AIDS をはじめとする STI に 対する偏見や他人事であるという意識を無くしていけることを願っています。 Vice NPO / 公衆衛生に関する委員会 副責任者 │ 北海道大学 3 年 小川夏佳 公衆衛生に関する委員会 (以下、SCOPH) 全体の運営・会計業務に携わりました。今年度から 6 つのプロジ ェクトが所属する委員会となり、よりプロジェクト間の繋がりや状況の把握を意識して活動して参りました。 SCOPH 総会は、新型コロナウイルス感染症の影響で残念ながら開催はできませんでしたが、SCOPH で活動す る私たちが公衆衛生とより真剣に向き合う機会となりました。今後も SCOPH の活動を通して公衆衛生と向き合 い、プロジェクト同士が刺激し合いながら幅広い活動が行われることを願っています。
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Vice NPO / 公衆衛生に関する委員会 副責任者 │ 大分大学 4 年 楠本諭史 SCOPH に所属する各 Project の活動のサポートを行います。私自身、全国新歓に参加し各所で活動紹介を行 いました。また SCOPH 全体での活動として、日本公衆衛生学会での発表も行いました。公衆衛生の分野によっ て、日本そして世界の医療情勢がより良くなることを祈っています。 Asia Community Health Project Coordinator (ACHP) / アジアコミュニティヘルスプロジェクト 責任者 │
旭川医科大学 3 年 美馬明日香 ACHP は、人や情報、知識やアイデアによって、日本とアジアをつなぐ「架け橋」となり、アジアの貧困地区
に住む人々が健康な暮らしを送ることのできるよう貢献するプロジェクトです。現在インドの NGO 団体 Institute for Indian Mother and Child (以下、IIMC) と提携し現地へ学生ボランティアを派遣しています。ま た、IIMC 創設者のインド人医師を招き講演会を開催しました。フェアトレード商品の販売をしたり、チャイル ドスポンサーシップの提携を推進したりするなど、日本に居ながらおこなえる国際貢献も広めています。 Africa Village Project Coordinator (AVP) / アフリカビレッジプロジェクト 責任者 │
国際医療福祉大学 2 年
金本すず
AVP の責任者として、オフラインイベントである AVP 総会、オンライン勉強会、LINE 上での交換日記等を 他のコアメンバーの助けのもと実施する事ができ、アフリカや国際医療についての理解を皆で深められました。 今年度はザンビアへの派遣が出来なかった事が課題としてあります。来年度以降も、AVP が学生にとって新た な学びや交流のきっかけの場となる事を切に願っています。 Community Medicine Tour Project Coordinator (CoMT) / 地域医療ツアープロジェクト 責任者 │
東北医科薬科大学 4 年
一戸護
今年度は、オンラインでの勉強会の充実と東京でのツアーの実施、他プロジェクトとのコラボレーションな ど、CoMT として実施できたコンテンツとしては大変充実した 1 年間となりました。全国各地で地域医療に関 する医学教育が展開されている中で、特色ある地域医療を学ぶことは難しさもありましたが、とても楽しかっ たです。昨年に引き続き、計 2 年間プロジェクトリーダーとして関わることができ、多くのスタッフに支えら れ有意義な経験ができたことを感謝しております。 Healthy Lifestyle Project Coordinator (HLP) / ヘルシー・ライフスタイルプロジェクト 責任者 │
帝京大学 4 年 遠藤通意 当たり前の様で当たり前でない健康。健康は失ってから気づくことがほとんどです。健康を維持することは
大切だと分かっていても、勉強や部活など忙しい医療系学生は継続することが困難なことが多いと思うので、 少しでもハードルを下げることを心掛けて活動してきました。いかに健康を意識し、維持してもらうか、は決 して簡単ではない課題だと思いますが、今年度の活動を通じて Healthy Lifestyle を少しは提供することができ たのではないかと思います。来年度もより飛躍した活動ができたらと切に願います。
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Teddy Bear Hospital Project Coordinator (TBH) /ぬいぐるみ病院プロジェクト 責任者 │
札幌医科大学 4 年 山﨑寛也 ぬいぐるみ病院 (TBH) の活動は、全国 41 大学で行われており、各大学様々な活動がみられるようになりま
した。オフラインイベントを 2 回開催し、多種多様な TBH の活動に触れることができました。スタッフにとっ ても自分の活動を見直すことのできる良い機会になっていることと思います。今後も、多くの子供たちが健康 について目を向けられるよう、TBH の活動が広く行われることを願っています。 InciSioN-Japan Project Coordinator (InciSioN) / インシジョン・ジャパンプロジェクト 責任者 │
獨協医科大学5年 本荘せいら 今年度から、公衆衛生に関する委員会 (以下、SCOPH) のプロジェクトとして設立された InciSioN-Japan
Project (IJP) のコーディネーターをさせて頂き、とても実りのある 1 年になりました。まだ、未開発な Global Surgery ではありますが、持続可能な開発目標 (SDGs) のゴール 3 の達成に欠かせない学問であり、今後さら に SCOPH で周知され、アドボカシー・教育・研究の面で充実した活動ができることを願っております。 Vice NORP / 人権と平和に関する委員会 副責任者 │ 東北医科薬科大学3年 松野大輝 私は中でも会計を担当しました。委員会での日々の活動を、予算の管理によって支えています。イベント等 開催する際には、会場の確保・備品の購入など様々なところで予算が使われています。今年度は新しいグッズ としてTシャツを作成し、より一体感を感じながら活動することができるようになりました。今後も活動が一 層盛り上がり、素晴らしい体験ができる委員会であり続けることを祈っています。 Vice NORP / 人権と平和に関する委員会 副責任者 │ 東北医科薬科大学2年 波岡孝汰 普段、大学では学ぶことのできない人権と平和に関する話題について理解を深めることができる場が、この 委員会 (以下、SCORP) だということを改めて強く感じました。夏のイベントで、日本ではまだ認知度の低い SDGs について扱いましたが、スタッフの熱量は刺激的でした。1 年間円滑に運営できたのは皆さまのサポート があったからです。来年度以降も SCORP をどうぞよろしくお願いします。 Vice NORP / 人権と平和に関する委員会 副責任者 │ 北海道大学 3 年 依田恵 国際業務担当として、4 つの軸を持って活動しました。1つ目に、SCORP 本部からの連絡を確認し SCORPJapan で通知しました。2 つ目に、世界総会の Activities Fair の出展準備や還元に努めました。3つ目に、赤十 字国際委員会様の講演や勉強会を主催しました。4 つ目に、国際イベントの告知や世界総会参加後の報告会に力 を入れました。今後も SCORP が医療系学生の国際的な視野を涵養し、経験を積める場としての一つの選択肢と なることを切に願っております。 Vice NORP / 人権と平和に関する委員会 副責任者 │ 北海道大学科 2 年 岡野和哉 SCORP 副責任者は、内務・外務会計・人事・国際業務の 4 つの分野から委員会全体の活動をサポートしてい く仕事です。私はその中でも人事を担当し、主に活動する人を増やし、やりたいことを実現することが出来る ようにサポートしていきました。これからもより自分の興味ある分野で力を発揮できる場になっていくことを 願っています。
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Asian Collaborative Training on Infectious disease, Outbreak, Natural disaster, and refugee management Project Coordinator (ACTION) / 災害・感染症・難民に関するプロジェクト 責任者 │ 東北医科薬科大学 3 年 東海林莞央里 ACTION は、I-J 内の多国籍プロジェクトであり、災害時にイニシアティブを発揮できる災害医療の次世代リ ーダー育成をモットーに活動しています。台風や豪雨、感染症が国内外で起こった年でもあり、改めて ACTION の存在意義・今後の展望について深く考えることのできた 1 年となりました。来年度、東日本大震災 から 10 年目という節目の年となります。今後とも、より多くの方に災害医療などに関心を持ってもらい、どん な場所でも率先して行動できる人材が増えることを願っています。 Hiroshima Nagasaki Peace Project Coordinator (HiNaP) │ 久留米大学 3 年 藤野萌子 HiNaP の特徴は、「平和」という捉えがたいものを主題としているところだと思います。今年度は歴史・戦 争史・核利用を医学と結びつけながら、将来の平和と人々の健康を考えることをテーマにイベントや勉強会を 開催してきました。国境なき医師団をはじめとする医療団体が働いているような現場がなぜ世界には存在する のか。HiNaP では、不健康を生み出すような構造を紐解きながら議論し考え、人が健康に向かう根源的なファ クターを見つけていこうとしています。 Law and Medicine Project Coordinator (LAMP) │ 防衛医科大学校 3 年
本多彩英
LAMP は法学生団体である Asian Students’ Association (ALSA) と共同で活動しております。LAMP では 様々な専門の学生が集まって多様な視点で議論することで、大学の勉強だけでは得られない知識、そして柔軟 な考え方や価値観を得られるような場を整えました。勉強会に興味を持ち参加してみたいというような声も増 え、今後も学部、所在地に関わらず多様な学生が自由に議論する場に LAMP があり続ける様に願っています。 Learn About Refugee project Coordinator (LARF) │ 山梨大学4年 荒木芽衣 LARF では、貧困などのテーマを通じて社会問題を考え、社会的弱者と向き合う機会と場所を提供してきまし た。LARF でスタディツアーやオンライン勉強会を開催し、知識を深め貧困問題の改善に向けた活動を実行でき るのは、実際に支援活動をされている方のご協力があってのことです。今年度も多くの団体様にお話を聞かせ ていただけたことが学びになり、医療系学生のアクションが生まれました。この場を借りて厚く御礼申し上げ ます。 Project for Overcoming Your and Our Prejudice and INhospitality against challenged people Coordinator (POYOPIN) │ 島根大学 4 年 滝沢章 POYOPIN は、「障がい者への偏見、差別、冷遇」をなくすことを目標に、2019 年度から新しく作られたプ ロジェクトです。2019 年度はたくさんの方々の支援のもと、障がいを持つ子どもと、持たない子どもが一緒に アートを描くことを楽しむイベント「ぽよぴんアート 2019」を実施しました。今後も目標に向かって、 SCORP 内で活動を続けていきます。
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Vice NOME / 医学教育に関する委員会 副責任者 │
獨協医科大学 3 年 隝田芽衣
医学教育に関する委員会 (以下、SCOME) の会計担当は、SCOME 全体の予算管理と副責任者として委員会責 任者や各プロジェクトコーディネーターのサポートをする役割です。予算運営を通して、スタッフがやりたい ことができるよう、各人と連携を取ることで円滑な委員会運営ができるように努めました。また、「ぼやくべ」 を通じてスタッフ間交流を図りました。今後も、「より良い医療者」を目指す場所であって欲しいと願います。 Vice NOME / 医学教育に関する委員会 副責任者 │
北海道大学 5 年 加地紫苑
副責任者は、SCOME 責任者 (以下 NOME) や各プロジェクト責任者の企画が円滑にいくよう多面的にサポー トする仕事です。これまでの経験や知識をもとに、新歓時期には NOME の代理としてプレゼンテーションを行 い、影武者として裏方仕事を担います。そして、広報部となり SCOME の活動についてメーリスや SNS を介し て積極的に発信しました。世の中の常識にとらわれすぎない、クリエイティブなアイデアをもった医療系学生 が SCOME で出会い、成長していくことを心から願っております。 Vice NOME / 医学教育に関する委員会 副責任者 │
東北大学医学部医学科5年 林明澄
今年度は、各プロジェクトの活動のサポートと高校生向け出張授業の運営を行いました。SCOME は各々が感 じたことを大切に、学びの場を提供しています。また、高校生向け出張授業においても、スタッフが感じた問 題意識を大切に、クラウドファンディングや 8 回の全国出張授業を行いました。今後も、SCOME が一人一人の スタッフにとって価値のある学びの場になることを願っています。 Life Lesson Project Coordinator (LLP) / 人生観・死生観に関するプロジェクト 責任者 │
島根大学 3 年 梶木保乃加 LLP では、現在の医療教育において学ぶことがほとんどないスピリチュアルペインに対するアプローチを学
ぶために、医療と宗教・哲学の可能性についての講演会を開催したり、援助的コミュニケーションについての シネメディケーションを行ったりしました。LLP という学びの場が、今後も引き続き発展していくことを心よ り祈っております。 Team Medicine Project Coordinator (TMP) / チーム医療プロジェクト 責任者 │ 弘前大学2年 於本拓也 TMP では、将来チーム医療に役立てるべく、他職種を理解・尊重するとともに、自己の職種への誇りを高め る活動をしています。今年度は、他の医療系学生団体とのつながりを強化することができました。多職種連携 にも通ずる協調性を大切に、今後さらなる飛躍を遂げるよう願っています。 Medical Education Project Coordinator (MEP) / 医学教育に関するプロジェクト 責任者 │
札幌医科大学 4 年 樋口海成 MEP では、医学生の不安を、目に見える形にしようとアンケート調査を行い、医学生自身が大学間の教育を
比べられるような、ホームページ作り等をおこないました。2 年目のプロジェクトということもあり、まだまだ 未熟な部分も大きいですが、今後の発展を願っております。
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Organizing Committee Chair (OCC) / 日本総会 運営委員長 │ 島根大学 4 年 野坂未公音 OCC は年に一度開催される日本総会 (以下、NGA) を開催するにあたり、理事と共に責任を負い、充実した イベントなるよう総括する役職です。今年度は改めて医療系学生が一堂に会するという意味を再認識し、お互 いがより深い話をできるように工夫しました。今後も、NGA が全ての会員の活躍できる場であり、新たな仲間 から刺激を受け成長できる場となることを願っています。 Vice OCC / 日本総会 副運営委員長 │ 札幌医学技術福祉歯科専門学校 3 年 伊戸川大夢 NGA は、日本全国から医療系学生が 300 人以上集まる I-J の中でも最大級のイベントです。しかし、今年度 は、過去最大規模の台風の関東上陸により、本来の 2 泊 3 日開催が 1 泊 2 日での短縮・縮小といった形での開 催となりました。不測の事態にもかかわらず、参加してくださった皆さん、事前準備から当日まで何事にも対 応してくださったスタッフの皆さんに感謝しております。今回の NGA での経験が良い機会と捉えられ、今後よ り素晴らしい NGA が開催されますことを願っております。 Vice OCC / 日本総会 副運営委員長 │ 札幌医科大学 3 年 関根美空 NGA は、新たな仲間と出会い、学び、考える非常に濃い三日間を過ごすことができるイベントです。今年は 台風の影響で、日程の大幅な変更等があり例年に比べて大変な部分も多くありましたが、100 人近くのスタッ フのおかげで無事終えることができました。参加者・運営スタッフの皆さんの協力により開催できた今年の NGA は、今後のさらなる発展につながることと思います。 Vice OCC / 日本総会 副運営委員長 │ 三重大学 4 年 綿谷太生 主にトークセッションやナイトセッションのコンテンツに関わらせていただいたのですが、スタッフの方々 の臨機応変な対応力や連帯感の強さには目を見張るものがありました。NGA はいつだってスタッフの愛情、協 力、創意でできています。来年度の日本総会も大変な状況下での開催となりそうですが、そんな困難なんても のともせず、相も変わらず素晴らしいものができあがると確信しております。 Standing Committee International Manager (SCIM) / SCO 国際管理者 │
浜松医科大学 5 年 橋本優子 SCIM は、国際情報管理者 (以下、IIM) と同様、本年から一新した国際業務チームとして、副代表国際業務担
当を中心に活動しています。1 年目である今年は、手探りながらも世界各国の IFMSA 支部で開かれたイベント の紹介や、各 SCO の活動の中で国際性の高いものをピックアップして広報活動するなど、周知に努めてきまし た。2 年目以降は、I-J 独自の活動を盛り上げるとともに、各委員会をまとめる立場を生かし、更に世界各国と の繋がりを深める架け橋になることを願っています。 International Information Manager (IIM) / 国際情報管理者 │ 琉球大学4年 徳田春花 IIM は、今年から新たに誕生した役職で、世界各国の IFMSA から日々I-J に送られてくる活動紹介メールを、 個人会員/スタッフのニーズに応じて適宜翻訳してメーリングリストに流し、世界総会をはじめとした様々な国 際イベントの情報を共有してきました。これらのメールを通して、皆さんが少しでも海外の IFMSA の活動に興 味を持ち、自分たちの活動のヒントにし、コラボする意欲が湧いてきましたら嬉しいです。来年度も IIM の活 動の幅を広げ、皆さんにお届けできるメールの数も増やしていきたいと思います。 20
Ⅱ.委員会活動報告 Standing Committee Report
4.SCOPE/SCORE│臨床/基礎研究 交換留学に関する委員会 1.活動理念 SCOPE(臨床交換留学部門)では海外の病院で臨床実習を行う機会を、SCORE(基礎研究交換留学部門)では海 外の大学の研究室に所属して世界最先端の医学研究に触れる経験を提供しています。141 の国と地域の IFMSA の加盟団体 (National Member Organization) のうち留学プログラムを持つ国から、自分の行きたい国やプロ グラムを選んで留学ができ、IFMSA の国際性・世界中のネットワークを存分に生かしたものとなっています。 SCOPE/SCORE という 2 つの留学に関する委員会 (以下、Exchange) は、学生に対し、語学留学のように英語でのコミュニケーションや、現 地での生活を肌で感じてもらうのはもちろんのこと、医学留学ならでは の、海外での臨床実習や基礎研究活動に参加し、手技を実際に行うこと や、日本と異なる現地の医療事情・現地の人の働き方を直接見て、聞い て、学ぶことにより、学生が新たな知見や価値観を得て各々の将来に何 留学先での様子
らかの方向性や影響を与えられると信じて活動しています。 IFMSA の交換留学は期間が 4 週間と短い上、医学生に限り参加が 可能ですが、長期休暇が取りにくい医学生にとって、学生時代のこ の 4 週間の留学生活は ”一生のかけがえのない財産” になります。 日本にいるだけでは考えられないような多くのことを体験し、また、 日本という国や文化、医療体制を客観視して、自分が医療人として どうしていきたいのか、はたまた自分の人生をどのように歩んでい きたいのかを見つめなおすきっかけとなります。さらに、IFMSA の 留学は交換留学であるため、毎年多くの留学生が来日しており、全
受け入れ活動の様子
国の各大学で受け入れを行なっています。その際の留学生の学校生
活のお世話は、受け入れ大学の学生が主体となって行なっています。この受け入れ活動は、医学科の学生だけ でなく看護学科などの他の学科の学生も携わることができ、また日本にいながらたくさんの国の海外の医学生 と交流を図ることのできるということも IFMSA の交換留学の大きな魅力の一つです。 私たちは、このような機会を提供することによって、日本の学生と海外の学生が、文化や人種を越えた絆を 育み、そして双方にとって新たな価値観の創出につながり、さらにそれを周囲と共有してもらうことによって、 これからの世界がより素晴らしいものになると信じています。海外の学生と肩を並べて、自分の国とは異なる 医療サービスや研究を学ぶことは将来の大きな糧になることでしょう。そのような留学の機会をより広く知っ てもらい、質の高く実りある留学プログラムを医学生に提供できるよう日々活動に邁進しています。
2.今年度の主な活動 交換留学部門には、留学の運営を行う Exchange Office と“留学における文化や言語のバリアをなくす” とい うビジョンのもとに活動している Incoming Care and Outgoing Training Project (以下、ICOT) があります。 ICOT の活動はプロジェクト報告のページをご覧ください。
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SCOPE/SCORE 全体の活動 今年度交換留学部門全体の活動としては IFMSA-Japan 新歓ツアーでのワークショップが挙げられます。 <新歓ツアーでのワークショップ> 新歓ツアーでは、東海信州・北海道・関東新歓と3回ワークショップを担当しました。今年度は留学契約数の 増加を図るべく、IFMSA 留学の魅力と現地での生活の実際や、先輩方からの留学のアドバイスを新歓に参加し た学生に広く伝えようという目的のもと、IFMSA 留学経験者による留学報告を行いました。東海信州・関東新 歓ではそれぞれ留学プログラム経験者2名ほどが、自身の留学について Power Point を用いて話してくださいま した。その国を留学先として選んだ理由、留学を迎えるまでに行った準備、現地でのトラブル集、持って行っ てよかった持ち物、留学をより楽しむための秘訣など、実際に留学を経験した者だからこそ話せるエピソード ばかりで、留学先での学びや思い出が生き生きと伝わってくる発表でした。新歓に参加した学生からの質問も 多くあがり、IFMSA-Japan 新歓ツアーに参加する学生の海外・留学への関心の高さも伺えました。 また、北海道新歓では、少し趣旨を変えて、留学生を受け入れる際によくされる“日本文化に関する質問“に 対して、英語でどのような説明をするのが良いか考えるワークショップを実施し、6,7 人の少人数グループに分 かれて案を出し、隣同士の班で発表し合いました。どの班も積極的な議論が行われ、自身の海外留学の際にあ った出来事を共有するなどして今後の学生生活や受け入れ活動に活かせるような意見も多く出されました。 Exchange Office の活動 今年度の Exchange Office では主に以下の5つを行いました。 1. Skype ミーティング 2. General Assembly への参加 3. LTP 開催 4. スタッフオフラインミーティングの開催 5. LEO/LORE マニュアル作成 ◆Skype ミーティング 月に 1,2 回程度開催される Skype ミーティングでは、各大学への留学生受け入れ打診や、留学希望者の取り まとめ、各大学や各国からの留学に関する問い合わせの対応を中心として、緊急時のトラブル対応策を協議し たり、ワークショップや、LTP (LEO/LORE Training Program; LEO/LORE に対する留学説明会) の内容を話 し合ったりしています。 ◆General Assembly への参加 IFMSA の世界総会 (以下、GA) は、年2回、8月と3月に開催 され、世界中から各国の NEO/NORE(SCOPE・SCORE の委員会 責任者)が一同に会します。2019年8月の台湾での GA では各国 と2020-2021年度の交換留学の契約を交渉し締結するという非 常に重要な任務を遂行しました。今年度は、Bilateral(相互二国 間留学契約)46件、Unilateral-In(日本に来る留学生の片務契 約)19件の合計65件、SCORE では Bilateral 32件、UnilateralIn 5件の計37件の契約を結びました。契約成立時には I-J オリジ ナルのステッカーとクリアファイルをプレゼントし、大いに喜 んでもらいました。このグッズは日本総会でも販売しました。 23
留学契約締結会 (Contract fair)
日本は、海外から非常に人気のある国であるため、留学の契約 も全ての国ができるわけではありません。日本ブースに沢山の国 の NEO/NORE が来て、嬉しい悲鳴となりました。また Poster Fair という各国の留学プログラムを PR する企画に日本も参加し、 留学できる大学の選択肢の多さ、研修できる研究室・診療科の多 さ、医療水準の高さなどを PR しました。 ま た 、 SCOPE/SCORE の ワ ー ク シ ョ ッ プ で は 、 他 国 の NEO/NORE 達と日頃感じている留学運営に関する問題やトラブル ワークショップの様子
などを情報共有しながら親睦を深めました。
◆LTP 開催 LTP は Local Exchange Officer (LEO) や Local Officer on Research Exchange (LORE) に 対 し て 留 学 の シ ス テ ム を 説 明 す る と 同 時 に LEO/LORE 同士の親睦を深め、Exchange の Japan チームとしてのチー ムビルディングをする場です。大学間での統一した認識を持ってもらえ るように IFMSA 留学の仕組みや各種書類の提出方法、データベースの使 い方を説明しました。また台湾での GA 報告、さらには留学に関する規 ワークショップの様子
約改正やすでに一部の国で実施されている SCOPH Exchange の日本で の導入について LEO/LORE から意見のヒアリングも行いました。
◆スタッフオフラインミーティングの開催 群馬県利根郡にて Exchange Office スタッフ 8 名が集まりました。新規スタッフ達との親睦を深め、今後 Exchange のスタッフとして活動していくために必要なトレーニングを行 うために開催されました。Cores より IFMSA における交換留学制度の仕組 みなど、基本的な知識や資金の流れや契約形態の種別といった仔細な部分 まで説明を行うなど、充実したレクチャーを行うことができました。また、 年間のスケジュールやスタッフに参画して欲しい時期についても言及し、 スタッフとしての活動の具体的なイメージを捉えてもらいました。さらに、 世界総会で日本を PR するためのアイデアを出し合うワークショップを行 うなど、新規スタッフたちの視点を運営に取り入れる活動にも取り組みま した。交流を目的とした日光東照宮の観光も行い、参加者同士の歓談する 最終日の観光の様子
姿がみられ、次世代の礎を築くことができました。
◆LEO/LORE マニュアル作成 2016 年 10 月の秋の LTP での LEO/LORE からのヒアリングをもとに、元々あったものをブラッシュアップ する形で、マニュアルを作成しました。各大学における留学責任者たちの役割や仕事を明確にすると共に、 Exchange Office と各大学との連携を円滑化し、海外から受け入れがよりスムーズになることを図ります。
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3.今後の展望・課題 今年度は Exchange Office として、より質の良い留学運営を目指して積極的に活動できた 1 年となりました。 一方で ICOT project の活動についてはうまくいかない面も多く、様々な課題に今後取り組んでいく必要性を感 じています。 < Exchange Office > 1. 国内における留学受け入れ体制の強化 例年に引き続き、年 2 回の LTP を実施し、LEO/LORE マニュアルの作成に取り組むことで LEO/LORE(各大 学の留学担当者)に対して、各大学における留学運営に関する情報共有や仕事内容の周知などを行いました。傾 向として、LTP にオフラインで参加するなどして NEO/NORE (SCOPE/SCORE 責任者) と直接コミュニケーシ ョンをとれている大学の方が、運営がうまくいっている印象があり、連絡のほとんどとれていない大学と、い かにつながりを作っていくかを引き続き考えていくことが重要であると考えています。 また、各大学での留学生受け入れ体制の把握やトラブル処理などのリスクマネジメント強化を Exchange Office 主体で積極的に行ないました。各大学間での情報共有など横のつながりはまだまだ不十分な部分があり、 今後検討していく必要があります。 さらに、各大学での留学運営の sustainability を担保していくために、人手不足の解消や引継ぎの仕方などを しっかり Exchange Office がサポートしていくことも今後の課題としています。 2. Exchange Office の人員不足の解消 慢性的な Exchange Office の人員不足が近年問題となっております。留学運営における sustainability の強 化のためにこの問題に取り組んでいくことは必要不可欠なことであり、今年度も様々な対策を行いました。 例えば新規スタッフに少しでも早く慣れてもらうためにオフラインでのミーティングを企画したり、新規ス タッフへ LTP 参加を促したりしました。また、2 年ほど前まで実施されていた Exchange 部門のスタッフイン ターンをよりブラッシュアップした形で再導入しました。この結果、定期的に開催されるミーティングへ積極 的に参加してくれるスタッフの数も徐々に増加傾向にあります。 今後も、この取り込みを継続しつつ、スタッフたちに積極的に仕事を振り分け、人材育成に努めてゆきます。 3. 国内外へ向けた広報活動 今年度は、ソーシャルネットワークを用いた広報活動や留学報告会の開催など、一部の国内の学生へ向けた 広報活動が満足に実施できませんでした。IFMSA が運営する留学を周知させるための取り組みは、この留学プ ログラムを継続していく上でなくてはならないことであり、広報を今まで以上に大々的におこない人員確保を することが、この問題の解消の第一歩であると考えています。
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< ICOT project > 今年度 ICOT project では特に下半期にかけて十分な活動を行うことができませんでした。その要因としては、 スタッフ間での活動目的に差があることや、企画を立ち上げても人員が足りていないことが挙げられます。 このような背景から、ICOT project は今年度末をもって一度活動を終わらせる運びとなりました。来年度か らは、トレーニングに特化したワーキンググループを Exchange Office 内に新たに創設することで再出発を図 る予定です。 IFMSA 本部の SCOPE International Team による Strategy にもあるように、近年では世界全体で IFMSA 留 学の Academic Quality を向上させていくための活動が重視されてきている傾向にあります。 日本でも積極的にこの活動に取り組んでいくために、各加盟大学からの意見も積極的に取り入れながら留学 予定者のトレーニング導入に向けた話し合い等の取り組みを来年度も継続して行い、正式に持続していける体 制づくりや企画立案、トレーニング導入のためのキャパシティーの確保などを今後少しずつ進めていきます。
文責│近畿大学4年
宮岸麻衣
浜松医科大学4年 鈴木海渡
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4.イベント一覧 ※PE は臨床交換留学、RE は基礎研究交換留学を指し、数値は人数を表しています
2019 年 4月
9月
Incoming (外国人留学生) : 1 (PE: 1、 RE: 0)
Incoming: 17 (PE: 12、RE: 5)
Outgoing(日本人留学生): 3 (PE:3 、RE: 0)
Outgoing: 2 (PE: 1、RE: 1) 22
秋の LTP
東京都
5月 Incoming: 2 (PE: 0、RE: 2)
10 月
Outgoing: 2 (PE: 2、RE: 0)
Incoming: 2 (PE: 1、RE: 1)
18
東北新歓
宮城県
25
九州山口新歓
福岡県
Outgoing: 0 (PE: 0、RE: 0)
11 月 Incoming: 2 (PE: 2、RE: 0)
6月
Outgoing: 1 (PE: 0、RE: 1)
Incoming: 8 (PE: 4、RE: 4) Outgoing: 1 (PE: 1、RE: 0)
12 月
1
北陸新歓
富山県
8
東海信州新歓(WS)
愛知県
9
関東新歓(WS)
東京都
15
中国新歓
岡山県
16
関西新歓
島根県
23
四国新歓
徳島県
1月
29
北海道新歓(WS)
北海道
Incoming: 5 (PE: 3、RE: 2)
Incoming: 1 (PE: 1、RE: 0) Outgoing: 1 (PE: 0、RE: 1)
2020 年
Outgoing: 0 (PE: 0、RE: 0)
7月
2月
Incoming: 36 (PE: 20、RE: 16) Outgoing: 17 (PE: 11、RE: 6)
Incoming: 2 (PE: 0、RE: 2)
13-14 スタッフミーティング 群馬県
Outgoing: 2 (PE: 1、RE: 1)
8月
3月
Incoming: 30 (PE: 17、RE: 13)
Incoming: 0 (PE: 0、RE: 0)
Outgoing: 20 (PE: 13、RE: 7)
Outgoing: 4 (PE: 1、RE: 3)
1-6
夏の世界総会
12-13
台湾
27
春の LTP
Skype
Incoming Care and Outgoing Training Project (ICOT) │Exchange 1.活動理念 ICOT は、IFMSA-Japan のスタッフの留学に対するハードルを下げることを目標として掲げ、様々な種類の 取り組みを行うプロジェクトです。Exchange 部門 (SCOPE/SCORE)の唯一のプロジェクトとして、留学に興 味がある、英語に興味があるスタッフが集まったプロジェクトです。
2.今年度の主な活動 a. スカイプミーティング スカイプのミーティングでは、プロジェクトコーディネーターがあらかじめ用意した TED talk を参加者で聞 いて、私がいくつかの discussion question を作り、参加者の方に英語を喋る機会を与えるという企画です。ま た、英語トークでは簡単な話題を英語でディスカッションするという企画を行いました。合計 5 回ほど行い、 毎回平均 15 人ほどのスタッフが集まってくれました。このミーティングは全て、プロジェクトコーディネータ ーが内容を考え、スタッフに提供する、という形で行われます。また、参加者の発言率が低いことが課題であ ったため、多くのミーティングが指名式で行われました。 b. ICOT Pen Pal ICOT Pen Pal は、LINE のノート欄で行われた、今年から取り入れた企画です。企画を始めた理由としては、 私プロジェクトコーディネーターが一方的にコンテンツを考え、参加するだけであったミーティングを、ICOT に入ってくれた学生がスタッフとしての意を成すため、平等に内容を提供する機会を作るために行いました。 この企画では、皆の英語の勉強法、英語を使ってみたことのある映画など、トピックを「英語」という広い幅 にして、スタッフの皆さんに自由に共有していただく企画です。 この活動を通して、スタッフの英語の勉強方法を皆再認識できる機会になりました。毎回新しい投稿を楽し みにしてくれたスタッフなどもいて、一つでも新しい英語の勉強法や触れ合い方が見つかれば幸いに思います。 c. NGA でのトレーニング NGA 内の NGA Training 青×黒という企画で、イベントの運営(企画の 立案・準備面のサポート)に関わりました。トレーニングでは、日本の魅 力をマインドマップにまとめて、英語でプレゼンテーションを参加者に行 います。ICOT としては、留学のハードルを下げるため、留学に海外に行 った時も、留学生を受け入れる時も必要である自国の説明ができる力を培 マインドマップを書いている様子
うため、英語で日本の魅力を説明するトレーニングを実施します。これは、 スタッフのプレゼンテーションと、班ごとのファシリテーションによって 行われます。トレーニング(黒)側としては、この魅力を幅広く引き出す ために大切なマインドマップについての説明を加えていただきます。今年 度、NGA の本番は台風のため、予想より大幅下回る人数の参加で行いま したが、参加者全員が発言をし、良い機会となりました。
トレーニングでの集合写真
28
3.今後の展望・課題 このプロジェクトは、今年度で廃止となり、IFMSA 留学プログラムによりフォーカスしたトレーニングの導 入を目指して、新たに Exchange 部門内にトレーニング部門の立ち上げを検討しています。よって、今後の展 望としては、のちに本来の目的であるはずであった留学にいく学生のトレーニングが行われる活動に変わって いくと良いと思います。これによって、ICOT の当初も目標の一つでもあった、留学へのハードルを下げること ができると思います。
4.感想 最後に、この 1 年の活動によってプロジェクトが廃止になってしまうことは、とても申し訳ない思いであり ます。しかし、この活動を通して引き継げるイベントの計画の仕方、あるプロジェクトの理念と目的の大切さ について学ぶことができました。これから、人生においてこのようなことが活かせると良いと思っております。
文責│筑波大学 2 年 杉本理紗
29
5.SCORA│性と生殖・AIDS に関する委員会 1.活動理念 テーマ:性を知り、生を豊かに 活動理念: ・性と生殖・HIV/AIDS に関するワークショップ、勉強会、フィールドワークを通して性に興味のある学生同 士の学び、交流の場を提供する ・医療系学生が性と生殖・HIV/AIDS について深く考え、互いに問題意識を高め合う ・性と生殖・HIV/AIDS に関する問題に対する解決方法をスタッフ自らで模索し、行動に移す ・医療系学生が HIV/AIDS をはじめとする性感染症の問題に関心を持つことで、今日の日本医療に見られる性 感染症への偏見を改め、日本国内の性感染症の拡大防止に貢献する
2.今年度の主な活動 今年度は新規スタッフが参加しやすいイベントづくりを心がけ、オンライン、オフライン共に積極的に低学 年スタッフに参加してもらいました。また、他の委員会や部署との合同企画も開催し、今までアプローチでき なかった層にも性に関する話題の提供ができました。昨年度よりもオンライン企画で行き届かない点もありま したが、昨年実施できなかった活動を数多く実施し来年度に向けて可能性を広げることができた一年だったと 考えています。 〈SCORA の 3 つのプロジェクト〉※詳細については各プロジェクト報告ページをご参照ください ・Peer Education Project ・Rainbow Flag Project ・STI Prevention Project 【SCORA-Japan 活動】 ◆SCORAngels の集い 【日時】2019 年8月 20 日 【場所】学生フリースペース「賢者屋」(東京都) 【対象】SCORA スタッフ、性に関する問題に興味のある方 【目的】新規のスタッフ・会員が参加できるイベントを目指し、
SCORAngels の集い
集合写真
ハードルを下げられるよう取り組む。 また、プロジェクトでは普段扱わないトピックを扱うことによりスタッフの学びを深める。 【内容】このイベントでは人権と平和に関する委員会 (以下、SCORP) との合同ワークショップやアイデアコン ペなど今までなかったワークショップ (以下、WS) に多く取り組み、以前から在籍するスタッフ、新 規スタッフともに新鮮さを味わえる内容となりました。 ・WS1 「若年妊娠」 若年妊娠とは 20 歳未満での妊娠を指し、日本でも約 10000 件(2017 年現在)19 歳以下での出産が行われて います。その現状や若年出産によって直面する困難、避妊と中絶についてレクチャーした後、望まない若年妊 娠を防ぐために性教育の観点からどのようにアプローチするのかを年表を用いてディスカッションしました。
30
・WS2 「ジェンダー平等」 こちらの WS を SCORP と合同開催しました。持続可能な開発目標 (以下、SDGs) をもとに現在の日本にあ るジェンダーの問題を捉え、新たな SDGs のゴールを考えました。難易度がかなり高く考え込む姿も多く見ら れましたが、参加者一人一人に深く問いかけることができました。 ・WS3 「すこ LABO 商品開発部」 ジェンダー、性別など様々な条件を超えて「どの人も使いやすい商品・サービス」を考えるアイデアコンペ を行いました。バラエティーに富んだアイデアが提案され、実際に商品化を期待したい企画等も生まれました。 ◆IFMSA-Japan 日本総会 【日時】2019 年 10 月 1314 日 【場所】国立オリンピック記念青少年総合センター 【目的】国内各地の医療系学生と交流し、普段の活動を紹介する。 【内容】台風で縮小開催となりましたが、SCORA から参加予定だった Activities Fair (以下、AF) と Training コラボ WS は無事開催することができました。AF では参加者に普段の活動を紹介し、スタッフからの 評価も得ることができました。Training コラボ WS では多くの新規スタッフが参加し、WS をきっか けに SCORA の強みを再認識し、今まで興味がなかったスタッフにも訴えかけることができました。 【外部イベント】 ◆AIDS 文化フォーラム 【日時】2019 年9月8日 【場所】UTAGE Nagoya 【内容】日本薬学生連盟(以下、APS)と合同で学生企画を開催しました。会場の参加者の方に「性教育は何歳か ら必要か」「義務教育の性教育でどこまで教えるべきか」と言う問いを投げかけ意見を交換しました。 今後の性教育活動につながるような意見もたくさん得られました。また、APS の学生の方と交流を深 めることができました。 ◆YOUI イベント「触って楽しむコンドーム試触会!!」 【日時】2020 年 2 月9日 【場所】リノベーションミュージアム冷泉荘内 ユウアヒア 【内容】Twitter で性に関する情報発信をされているコンドームソムリエ Ai さんとの対談企画にご招待いただ き責任者の久世が代表して参加しました。性に関する知識豊富な Ai さんと対談させていただいたこと で刺激を受け、参加したスタッフも学びを深めることができました。また、以前から SCORA 内で注目 していたコンドーム試触会に参加することができたことも大きな収穫でした。
31
【オンライン企画】 ◆Skype 勉強会 【日時】2019 年 5 月〜2020 年 3 月 【目的】イベント参加へのハードルが高い遠方のスタッフに向けても情報発信し、交流を深める。 【内容】新歓時期の座談会から始まり、他委員会との兼任スタッフ企画の勉強会、映画上映会など多岐にわた る内容で実施することができました。 ◆オンライン SCORA 総会 【日時】2020 年3月 14 日・15 日 【目的】プロジェクトの活動について扱うことで一年の活動を振り返る。加えて新しい話題も扱うことでプロ ジェクトの今後の発展につなげる。 【内容】COVID-19 流行の影響により、同日程で予定されていた SCORA 総会のオフライン開催が中止となっ たため内容をオンライン向けに改変し実施しました。 ・WS1 Rainbow Flag Project セクシュアリティーについてのレクチャーをしたのち、当事者スタッフに SCORA での活動について、当事者 としての経験を話してもらいました。当事者としての話は印象深く、改めてこのプロジェクトでの活動の重要 性を感じることができました。 ・WS2 Peer Education Project Peer の出張授業を経験したことのあるスタッフに「LGBTs」「性感染症」の二つのテーマでそれぞれデモン ストレーションを行ってもらった後に、スタッフ同士で Peer に対する疑問や授業を行う上で気をつけているこ となどを共有しました。今後新たに Peer を始める一助になれる WS でした。 ・WS3 STI Prevention Project コンドームにフォーカスを当て、コンドームの役割や特徴、つけ方をレクチ ャーした後にコンドームネゴシエーションについてディスカッションを行いま した。コンドームを正しくつけるためにはネゴシエーションが重要ですが、ど うしてネゴシエーションを行わなければいけないのか、どのようにすれば円滑 に進むかについて各自の意見を出し合いました。 ・Officials 企画 「Officials に聞いてみよう!」 任期も終わりに近づいた Officials への質問を募集し、 それに答える形の WS を行いました。同性婚や恋愛に関する深い内容の質問が 多く、Officials として改めて考えを深める機会にもなりました。
32
WS3スライド中の一枚
3.今後の展望・課題 この一年は SCORA の分け隔てをしない雰囲気を大切にすることを重視し、イベントでの対応や話し合い時の ルール徹底、ならびにオンラインで話し合う機会を多く設けることを意識しました。その成果が見られた反面、 課題も多く見つかりました。 1
スタッフを巻き込んだ企画の不足 この一年間様々なイベントを行い、初めて SCORA に参加し興味を持ってくれた人が多かった印象がありま
す。しかし、企画段階になると参加するメンバーが限られており、イベント等の企画スタッフに参加するハー ドルが高かったのではないかと考えています。来年度はスタッフとして参加するハードルを下げるために仕事 を細分化し、個人的に細やかに声をかけるなどして活動の継続性を高めていきたいです。 2
スタッフ個々のやりたいことの反映機会を増やす 今年度は officials の発案から様々な企画を立ち上げることができました。その反面、個々のスタッフがやり
たいことを反映させる機会が少なくなってしまいました。来年度は個々のスタッフが興味を持っていることを 把握できるようスタッフアンケートの実施などを強化していきたいです。 3
安定したイベント・企画の運営 今年度の活動一覧を見ても分かる通り、企画が集中する月もあればほとんど企画がなくおわってしまった月
もあり、1年間安定してイベントをとりおこなうことができませんでした。学生である以上、学業等で忙しい 時期があれば企画ができないのは当たり前ではありますが、テストのないスタッフに企画を任せたりオンライ ンを活用したりするなどして1年間安定した活動体制を敷けるよう分担・分業を徹底していく必要があると感 じています。 上記3つの課題の解決に取り組み、気兼ねのない雰囲気に加えてスタッフの積極性を養う空気を作っていきた いと考えています。今後のさらなる活動の発展を願っております。
4.感想 1年間様々なイベントを行う中で至らない点、力の及ばなかった点が数多くありましたが、活動の一覧を見 ていると地域でも全国規模でもたくさんのスタッフが努力し色々な企画を成し遂げてくれたことに感謝してい ます。責任者として最後まで皆と歩めたことを心より嬉しく思います。この場を借りてお礼申し上げます。
文責│北海道大学4年 久世瑞穂
33
5.イベント一覧 2019 年
9月
4月
8
AIDS 文化フォーラム
愛知県
10
第2回 Skype 座談会
オンライン
20
帯広北高校 Peer Education
北海道
24
Exchange コラボ Skype
オンライン
27
長丘中学校 Peer Education
福岡県
28
第3回 Skype 座談会
オンライン
27
なないろ教室
東京都
28
東京レインボープライド
東京都
5月 17
IDAHOT キャンペーン
オンライン
18
東北新歓
宮城県
21
第1回新歓 Skypeer
オンライン
25
九州山口新歓
福岡県
28
第2回新歓 Skypeer
オンライン
31
SCORA 会
徳島県
10 月 4
嘉穂中学校 Peer Education
13~14
6月
IFMSA-Japan 日本総会
福岡県 東京都
29
錦丘高校 Peer Education
石川県
31
世界総会報告会
オンライン
11 月
1
北陸新歓(WS)
富山県
6
第3回新歓 WS
オンライン
8
東海信州新歓
愛知県
9
関東新歓(WS)
東京都
12
旭川明星高校 Peer Education
北海道
第4回新歓 Skypeer
オンライン
15
中国新歓
岡山県
16
関西新歓(WS)
大阪府
18
第5回新歓 Skypeer
オンライン
19
内灘高校 Peer Education
石川県
23
四国新歓
徳島県
25
苫小牧高専 Peer Education
北海道
26
第6回新歓 Skypeer
オンライン
2020 年 1月
29
北海道新歓
北海道
26 映画「カランコエの花」上映会
オンライン
30 Skype 勉強会「アライ」
オンライン
プロジェクト紹介 Skype
オンライン
11
SCORA 会
徳島県
13
愛知サマーセミナー
愛知県
26
英語サークル合同 WS
徳島県
台湾
20
東京都
SCORAngels の集い
23~25 第 38 回日本思春期学会総会・学術集会 28
第1回 Skype 座談会
4
九州レインボープライド
福岡県
8
甲斐清和高校 Peer Education
山梨県
15 第 5 回 Skype 座談会
オンライン
16
ゆずりは学園 Peer Education
愛知県
27
榛原高校 Peer Education
静岡県
30
STI 総会
愛知県
1
コンドーム配布イベント
20 Skype 勉強会「性教育」
愛知県 オンライン
2月 6 9
8月 1~6 IFMSA 夏の世界総会
徳島県
12 月
7月 8
2~3 蔵本祭レインボーネイル
上山田小学校 Peer Education
福岡県
下山田小学校 Peer Education
福岡県
YOUI イベント
福岡県
21 碓井小学校 Peer Education
福岡県
22 西遠女子学園 Peer Education
静岡県
26 南山高校女子部 Peer Education
愛知県
3月
東京都
14〜15 SCORA 総会
オンライン 34
オンライン
Peer Education Project (PEP)│SCORA 1.活動理念 Peer Education とは、「Peer (仲間) 」として思春期にある若者の相談相手となる取り組みです。「性」と いうトピックスは、元来「話にくさ」や「恥ずかしさ」といった特性を持っています。近年それらのイメージ を払拭する存在として、親でも先生でもない、対象者と同世代の Peer Educator が注目されています。 性と生殖・AIDS に関する委員会 (以下、SCORA) が実施する Peer Education 活動 (以下、ピア活動) は、主 に学校などから依頼を受け、性に関する出張授業を行う活動です。受講した生徒、学生、先生、保護者にとっ て必要な知識を楽しく学んでもらうことを目標としています。 主な対象者である小中学生・高校生にとって話しやすい年代の大学生として、またより正確な知識を得やす い医療系学生としての立場を活かした授業を行っています。 性教育とは、対象者に行動変容や予防活動を促すハイリスク・アプローチと集団や社会全体を対象としたポ ピュレーション・アプローチの両方の側面を有した活動です。「性」に関する問題は、誰もが当事者であり、 健康のみならず、人権や「その人らしさ」にも深く関わるものです。Peer による性教育は、一人でも多くの人 が正しい知識を持ち、性に関する問題に対処する力を身に付けるため、そして他者にとっての良き Peer となる ために、有効な手段であると考えられます。 今後の展望として、スタッフが継続的に知識の獲得に努め、ピア活動の質の向上、規模拡大につながること を期待しています。ピア活動の発展は、正しい性知識の普及という点で社会全体の健康増進にもつながると考 えられます。
2.今年度の主な活動 今年度の活動は、主に各地域でのピア活動と思春期学会での講演の2つでした。 ピア活動の依頼数、スタッフ数が増加したことで、活動の拡大につながった一年となりました。また、学会発 表を通じて SCORA が実施するピア活動の長所や課題を見直す機会を持つことができました。 ➀各地域でのピア活動 今年度 SCORA では、全国 16 箇所の学校やイベントでピア活動を実施しました。これらの活動は、主に各地 域の責任者 (以下、LORA) を中心とした有志によって行われています。 中心となる地域や大学によって北海道、東北、関東、金沢、山梨、浜松、名古屋、徳島、九州山口の9つの支 部に分かれています。今年度は 6 地域でピア活動を実施しました。地域の枠組みを超え、全国のスタッフがプ レゼンターやファシリテーターとして活躍しています。 ➤SCORA 北海道 3つの高校で授業を行いました。紙コップゲーム(性感染症の広がり方を模したゲーム)を取り入れ、性感染 症を分かりやすく説明しました。 ●旭川明成高等学校ピアエデュケーション 【日時】2019 年6月 12 日 【対象・人数】高校 1 年生,199 人 【内容】性感染症,避妊,妊娠,中絶,多様な性
35
●苫小牧工業高等専門学校ピアエデュケーション 【日時】2019 年6月 25 日 【対象・人数】高校1年生,201 人 【内容】デート DV,ピル,性感染症,避妊,中絶,多様な性 ●帯広北高等学校ピアエデュケーション 【日時】2019 年9月 20 日 【対象・人数】高校1年生,170 人 苫小牧工業高等専門学校ピアエデュケーション
【内容】デート DV,性感染症,月経,避妊,妊娠,中絶 ➤SCORA 金沢 金沢大学医学類サークル Think about yourself
金沢大学医学類の学生を対象とした学内授業のほか、2つの高校で授業を行いました。ロールプレイングや 劇を取り入れ、幅広いテーマを扱いました。 ●金沢大学医学類ピアエデュケーション 【日時】2019 年5月 28 日 【対象・人数】大学1年生,約 120 人 【内容】性感染症,月経,避妊,妊娠,中絶,女性の身体の仕組み,男性の身体の仕組み,病院・保健所の利用,多様な性 ●内灘高校ピアエデュケーション 【日時】2019 年6月 19 日 【対象・人数】高校1年生,80 人 【内容】性感染症,月経,避妊,妊娠,中絶,女性の身体の仕組み, 男性の身体の仕組み,病院・保健所の利用,多様な性 ●錦丘高校ピアエデュケーション 【日時】2019 年 10 月 29 日
内灘高校ピアエデュケーション
【対象・人数】高校1年生,320 人 【内容】性感染症,月経,避妊,妊娠,中絶,女性の身体の仕組み,男性の身体の仕組み,病院・保健所の利用,多様な性 ➤SCORA 山梨 山梨大学の学生を中心とした支部です。 通信制に通う高校生を対象に授業を行いました。年齢の近い大学生という立場を活かし、高校生にとってセ ンシティブな内容について一緒に考えることができました。 ●甲斐清和高校(通信制)ピアエデュケーション 【日時】2019 年 11 月8日 【対象・人数】高校2年生,45 人 【内容】デート DV,性感染症,月経,避妊,妊娠,中絶,性に関する人権
36
➤SCORA 浜松 浜松医科大学の学生を中心とした支部です。 中高生が通うフリースクールと2つの高校で授業を行いました。依頼内容に合わせて、模型でコンドームの 使い方を実践したり、水の交換ゲーム(アンモニア水とフェノールフタレインを使って性感染症の広がり方を説 明するゲーム)を取り入れたりした実践的な授業を行いました。 ●ゆずりは学園ピアエデュケーション 【日時】2019 年 11 月 16 日 【対象・人数】フリースクールに通う中高生,約 50 人 【内容】デート DV,性感染症,避妊,妊娠,中絶 ●榛原高校(定時制)ピアエデュケーション 【日時】2019 年 11 月 27 日 【対象・人数】定時制の1〜4年生,47 人 【内容】デート DV,性感染症,月経,避妊,妊娠 ●西遠女子学園ピアエデュケーション 【日時】2020 年2月 22 日 【対象・人数】高校1年生,約 100 人 【内容】月経,女性の身体の仕組み 西遠女子学園ピアエデュケーション
➤SCORA 名古屋 県内のイベントと女子校で授業を行いました。コンドームホワイト(スタッフが扮するオリジナルキャラクタ ー)がコンドームの使い方を説明したり、「人性ゲーム」と呼ばれるセクシャリティに特化した人生ゲームを取 り入れたりするなど、工夫を凝らした授業を行っています。 ●愛知サマーセミナー 【日時】2019 年7月 13 日 【対象・人数】高校生,高校生の親,一般成人(30〜50 代),約 15 人 【内容】デート DV,避妊 ●南山高等学校女子部ピアエデュケーション 【日時】2020 年2月 26 日 【対象・人数】高校1年生,約 200 人
愛知サマーセミナー
【内容】多様な性
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➤SCORA 九州山口 福岡県内の5つの小中学校で授業を行いました。対象年齢が他の地域のピア活動に比べ低いため、数直線を 用いて多様な性の在り方を表現するなど、視覚的に理解を促す工夫を凝らしました。 ●長岡中学校ピアエデュケーション 【日時】2019 年9月 27 日 【対象・人数】中学 3 年生, 221 人 【内容】性感染症(AIDS) ●嘉穂中学校ピアエデュケーション 【日時】2019 年 10 月4日 【対象・人数】中学1〜3年生,約 200 人 【内容】多様な性 ●上山田小学校ピアエデュケーション 【日時】2020 年2月6日 【対象・人数】小学6年生,約 40 人 【内容】多様な性 ●下山田小学校ピアエデュケーション 【日時】2020 年2月6日 【対象・人数】小学6年生,約 15 人 【内容】多様な性 ●碓井小学校ピアエデュケーション 【日時】2020 年2月 21 日 【対象・人数】小学6年生,39 人 【内容】多様な性 碓井小学校ピアエデュケーション
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②思春期学会での講演 今年度は、SCORA の OG の先生からのお誘いで、2019 年8月 23 日 〜25 日に開催された第 38 回思春期学会総会・学術集会にて、Peer Education Project の活動を発表させて頂きました。日頃、性教育の分野 で活躍されている先生や臨床の現場に立たれている先生に我々の活動を 知って頂く、大変貴重な機会となりました。また、発表準備を通して、 昨年度の活動状況やそこから見えてきた課題などを整理するきっかけに もなりました。 昨年度の活動から見えてきた課題として、1)全国での連携が不十分で あること、2)地域ごとのスタッフ数・依頼数に偏りがあること、
第 38 回思春期学会総会・学術集会
3)経年的な取り組みが難しいことの 3 点が挙げられました。 これらの課題を解決するため、Peer Education Project では、1)各地域で作成した資料や情報の共有、2)ス タッフ数が不足している地域への派遣、3)学校との効果的かつ継続的な連携のための共通様式の作成、4)効果 判定のための統一アンケートの作成と試験運用を進めています。 今回の発表内容を、積極的に今後の Peer Education 活動に活かしていく予定です。
3.今後の展望・課題 毎年継続してご依頼頂く学校も多く、ピア活動の需要は高いと考えられます。今後の展望として、質の向上 を図りながら、通年的な活動を目指します。 そのために、学会発表にて課題として取り上げた 1)全国での連携が不十分であること、2)地域ごとのスタッ フ数・依頼数に偏りがあること、3)経年的な取り組みが難しいこと、の3点を解決していく必要があります。 オンライン勉強会の開催や資料・情報の共有化を継続し、今年度より試験的に実施した統一アンケートの分析、 改良を通じて、課題の解決に努めていきます。
文責│浜松医科大学 2 年 藤田恵理子
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Rainbow Flag Project (RFP)│SCORA 1.活動理念 Rainbow Flag Project (以下、RFP) は主に LGBTs(セクシュアルマイノリティ)の啓発活動や LGBTs に関す る勉強会を行うプロジェクトです。現在の日本社会において LGBTs の認知度及び理解度は高いとは言えず、日 常生活において不自由を感じる当事者や無意識の悪意にさらされる当事者が数多く存在するのが現状です。 RFP はこの現状を打開し、当事者・非当事者に関わらず自らのセクシュアリティにとらわれずに、ありのまま の自分で生活できる社会を作ることを目的としています。 そこで、2019 年度は「性の多様性をお互いに認め合える社会」について深く掘り下げることに重きを置き、 一人一人が自分のセクシュアリティに向き合い、他者のセクシュアリティを認めていくために必要なことを考 えるということを目標として活動してきました。 近年、LGBTs という言葉を様々な場面で耳にする機会が増え、一昔前よりは身近な言葉となったことは、と ても良いことですが、それが本当の理解につながっているということはできるのでしょうか。RFP では LGBTs についての勉強会を開催するなど、自ら学ぶ機会を作ることはもちろんのこと、性と生殖・AIDS に関する委員 会 (以下、SCORA) の別プロジェクトである Peer Education Project を通して啓発活動を行うなど、外部発信 にも力を入れています。多くの LGBTs 当事者や Ally(アライ=理解者)とともに談話をしたり自らの考えを発信 したりしていくことで初めて、机上の知識が理解へと変わっていくものであると考えています。
2.今年度の主な活動 今年度は ⑴オフラインイベントである、なないろ教室の開催 ⑵東京と九州で行われたレインボープライドへの参加 ⑶IDAHOT (多様な性にイエスの日)に向けた動画作成および Facebook のバナー作成 の大きく3つの活動を行いました。 (1) なないろ教室 2019 年4月 27 日にオフラインイベントである、なないろ教室を開催し ました。なないろ教室では、 ①セクシュアルマイノリティとはどういう人たちなのか、また、後述する 東京レインボープライドの歴史や背景などを学ぶレクチャー ②5 月 17 日に設定されている IDAHOT(多様な性に YES の日)に向けたプラ カード作り及び写真撮影 レクチャーを行うスタッフ
③フリートーク・座談会 の 3 本柱でイベントを開催しました。
レクチャーでは参加者それぞれが真剣な面持ちで話を聞いており、勉強になったという声も聞くことができ ました。プラカード作りでは各々の想いが込められ、素敵なデザインを交えながら作成している参加者も多数 見られました。フリートーク・座談会では白熱した議論が繰り広げられ、普段は語ることのできない深い部分 まで語り合うことができました。このようなオフラインイベントを通して感じること・学ぶことは数多くあり、 イベントスタッフ・参加者共に成長することができたイベントとなりました。
40
(2) 東京レインボープライド (TRP) 2019 年4月 28 日に開催された東京レインボープライド (以下、 TRP) のプライドパレードに参加しました。 TRP は、LGBTs の存在を社会に広め「性」と「生」の多様性を祝 福するイベントであり、性的指向および性自認のいかんにかかわら ず、すべての人がより自分らしく誇りをもって前向きに楽しく生き ていくことができる社会の実現を目指すものです。(東京レインボー プライドの公式ホームページより改変) RFP では Living Together フロートとしてパレードに参加し、多く のレインボープライドに協賛する団体によって虹色に彩られた原宿・ 渋谷の街中を練り歩きました。あらゆるセクシュアリティの人々が、
パレードに参加するメンバー
国籍や住んでいる地域にかかわらず「Happy Pride!」とハイタッチを交わしながら歩いていく様子は、パレー ドに参加していた人だけではなくパレードをたまたま見かけた街頭の人たちにも性の多様性を考えるきっかけ となったのではないでしょうか。 また、代々木公園の会場ではたくさんの団体がブース出展を行っており、GAP や Google などの一般大企業 から性についての活動を行っている NPO 法人、大学生や高校生による学生団体、海外の活動団体など、あらゆ る方面で活動されている方々のお話を伺うことができてとても実りあるものとなりました。 (2)‘ 九州レインボープライド 201 9 年 11 月4日に福岡の冷泉公園にて九州レインボープライドが 行われ、RFP ではパレードの参加に加えて医療系学生団体としてブース 出展を行いました。これまで全国各地のプライドパレードに参加してき ましたが、ブース出展をすることは初の試みでした。多くの団体や企業 がブース出展をしている中、私たちがどのような活動を行っているのか を紹介したり、外部の方々からフィードバックをいただいたりと、貴重 な経験をすることができました。 活動に関して説明するメンバー
41
(3) IDAHOT (多様な性にイエスの日)に向けた動画・バナー作成 IDAHOT とは、”International Day Against Homophobia, Transphobia and Biphobia” =『同性愛嫌悪、トランス嫌悪と両性愛嫌悪に反対する国際記念日(5 月 17 日)』であり、日本では 2014 年に 「多様な性に YES の日」として認定されました。この IDAHOT の日に RFP として何ができるかを考え、メッ セージを集めて動画作成を行い、SCORA の公式 Facebook およびインスタグラムに投稿しました。 "「ありのまま」をあたりまえに ” をテーマに、SCORA のメンバーの みならず、東京レインボープライドパレードに参加されていた方にも ご協力頂き、今年は様々な言語でメッセージを頂いたことにインスピ レーションを受けてメッセージを様々な言語に翻訳しました。お互い に違う言葉を話していても、それを違いとして認め合える。LGBTs に おいても、同じようにみんなが認め合えたらいいな、みんなが互いを 当たり前の存在として、一人の友人として繋がっていける世の中にな ってほしい。そんな思いを込めました。 それぞれの思いをこめたメッセージ
また、IDAHOT にむけた Facebook のバナー作成も行い、SNS を通 じた発信活動を行うことができました。
3.今後の展望・課題 現段階では International Federation of Medical Students’ Association 内での活動にとどまってしまうこ とが多く、より広く社会に影響を与えるという点においてはさらに外部団体との接点を持つことが重要である と考えています。レインボープライド等で繋がることができた団体との連絡を密にし、一般社会にも啓発を行 っていくことが今後の課題になると考えています。医療系学生としての立場を自覚しつつ、本プロジェクトが 遂行されることを願っています。
文責│札幌医科大学4年 又吉秋桜美
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STI Prevention Project (STIP)│SCORA 1.活動理念 近年、HIV/AIDS やクラミジアなど、性感染症 (Sexually Transmitted Infection:以下、STI) の流行が問題 となっています。特に、梅毒についてはここ数年間で激増しており、医療業界全体に迅速な対応が求められて います。しかし、実際には医学部をはじめとする医療系学部では、医学知識としての『性感染症』については 授業で簡単に触れるものの、その背景にある問題の社会的要因や、患者の抱える悩みなどについて深く考える 機会はほとんどありません。そのため、将来的に STI の検査や治療などに携わる医療系の学生の多くが STI を 『他人事』として捉えており、自分自身で STI の検査にすら言ったことのないまま、医療者になっていくので す。こうした教育的背景が医療者の STI に対する根本的な理解の不足を招き、医療業界全体の STI 対策の遅れ や、医療者による STI に対する偏見の増長など、様々な問題を引き起こしているといえるでしょう。 この STI Prevention Project (以下、STIP) では、医療系学生を中心とする若者が正しい STI の知識を身に つけ、STI 患者の心の問題や社会的背景にまで理解を深める機会を提供することを活動理念としています。活動 に参加した学生が、STI を『自分事』として捉え、自身でも正しく予防活動を行い、自分自身と自分の大切な人 を、そして将来的には STI 患者の心に寄り添える医療者になれたらという考えのもと、活動を行っています。
2.今年度の主な活動 今年度は主に「夏休み STI 早期発見キャンペーン」、「STI 総会」、「World AIDS Day に合わせたコンド ーム配布イベント」を行いました。 ①夏休み STI 早期発見キャンペーン STI の問題については、多くの人が『なんとなく』その危険性を認識しており、さらに医療系学生であれば 「自覚症状が無くてもリスクが高い場合は検査に行くべきである」ということも知識として習っています。し かし実際に検査に足を運ぶ人は少ないといえるでしょう。その理由は、STI そのものや検査についての知識不足 もあるかもしれませんが、多くの場合『検査が実際にどんなものか よく知らないから/行ったことがないから』という『経験したことの ないことに対する薄ぼんやりとした恐怖心』が根底にあるからでは ないでしょうか。多くの医療系学生がなんとなく STI の検査に行っ た方がいいことはわかっているものの、結局自分で検査に行ったこ ともないまま医療者になっていくのです。 私達は、 ・STI やその検査について学び、理解を深める ・STI 検査に行く、敷居を下げる ・STI 検査を必要とする人たちの気持ちや社会的背景を考える
一般財団法人 京都工場保健会の前にて
この3つを『学生のうちに』達成するために、 『実際に自分達で保健所に検査に行ってみよう!』というキャンペーンを行いました。多くの保健所が検査を 平日の日中に行っていることなどから、キャンペーン期間は夏休みに設定しました。 今年度は、全国各地(北海道、東北、北陸、関東、東海、関西、中国、四国、九州の9地域)に医療系学生 によるリーダーを設置し、リーダーを中心に地域ごとの医療系学生の少人数グループで実際に保健所の STI 検 査に行ってみる体験活動を計画しました。
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結果として、今年度は関西(大阪と京都で計2回)、東海(名古屋で1回)で実施し、合計8名が参加しまし た。このとき、検査に行った後にオンラインアンケートを実施し、STI 検査に対するハードルの高さはあったか どうか、検査に行ったことでハードルは低くなったか、保健所や検査施設の雰囲気はどう感じたかなどを調査 しました。その中で、STI 検査に対してハードルを感じていたと答えた全員が、キャンペーン終了後にはハード ルが低くなったという回答を得ることができました。 ②STI 総会 STI 総会は丸一日かけて STI について学び、話し合うことによ り、もっと STI を身近に考えられるオフラインのイベントであり、 今年度は 2019 年 11 月 30 日に開催しました。 具体的には、 ・STI クイズかるたを使用したアイスブレイキング ・HPV ワクチンに関するワークショップ ・世界の性感染症に関するワークショップ ・コンドーム試触会 STI 総会の様子
・夏休み STI 早期発見キャンペーンの報告会 という構成でした。
『STI クイズかるたを使用したアイスブレイキング』では、STIP で制作した STI に関する知識をゲーム感覚 で学ぶことができる「STI クイズかるた」を使い、取り札に書かれている STI 関連の言葉を連想させるアイス ブレイキングを行いました。 『HPV ワクチンに関するワークショップ』では、性行為によって感染する子宮頸がんの原因である HPV(ヒト パピローマウイルス)とそのワクチンについて、3つのシチュエーションの劇を通して学びを深めました。 1つ目の劇では、HPV ワクチンを受けさせたいと考えている母親と HPV ワクチンに対し漠然と怖いイメージ を持っている娘に対して医療者としてどのように対応するべきか、ということを話し合いました。それに加え、 子宮頸がんの病気の説明、罹患率や HPV ワクチンについてのレクチャーを行いました。 2つ目の劇では、友人同士の会話の中で HPV ワクチンを打つタイミングに焦点を当てて話し合いを行いまし た。ここでは、友人としての立場でどのような伝え方がいいのか、ということも考えました。 3つ目の劇では、カップルの会話をきっかけに男性にも HPV ワクチンを打つ必要性があるということをレク チャーし、考えてもらいました。HPV によって感染する病気は子宮 頸がんだけでなく、男性でも肛門がん、咽頭がんや尖圭コンジロー マなどの原因にもなることを学んでもらいました。 『世界の性感染症に関するワークショップ』では、世界の白地図 を用意し、世界の地域ごとに班を分け、①STI の感染者数と②性教育 の普及率を調べて白地図に記入してもらいました。調べているうち に、ある地域に多い STI や性教育の普及率、内容などは、その国や 地域に根付いている宗教や文化的背景、そして医療制度の在り方や 貧富の差など社会的背景によってさまざまであると気づくことがで きました。
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STI 総会の様子
『コンドーム試触会』は、STI の予防に効果があるといわれているコンドームについて、どんな種類があり、 その種類にはどのような特徴があるのかといったことを、コンドームを実際に触ってみて学んでみる企画です。 「STI の予防にはコンドームを正しく使用することが大事」と学校の授業や SCORA の勉強会などで学んできて はいますが、「正しく使用する」とはどういうことなのか、コンドームの取り扱い方など具体的なことは今ま でレクチャーしていませんでした。また、STI 総会の翌日に『コンドーム配布イベント』が控えていたため、コ ンドームを配布する側もコンドームについて正しく理解しよう、という目的も含まれていました。 『夏休み STI 早期発見キャンペーンの報告会』では、夏休み STI 早期発見キャンペーンの関西、東海で実施 した成果をまとめて報告しました。当日は STI 検査に行ったことがない参加者もいたため、STI 検査を実施し た学生に対し質疑応答形式で STI 検査の実際を共有しました。 ③World AIDS Day に合わせたコンドーム配布イベント HIV/AIDS は、コンドームを正しく使用することによってかな り高率で予防することが可能です。しかし、日本では一般的にコ ンドームはあくまでも『避妊具』としての認識が強く、HIV をは じめとする STI の予防目的でコンドームを使用するという認識は それ程浸透していません。こうした現状を少しでも打開するため に、私達は2019年12月1日の World AIDS Day に合わせ、 コンドーム配布イベントを行いました。 名古屋市にある LGBTs のコミュニティセンター rise 様のご協 力をいただき、名古屋市の大きな交差点にて、HIV/AIDS につい
コンドームと一緒に配布したチラシ
ての啓発文が書かれたインフォグラフィックスと、配布用として 株式会社 TENGA ヘルスケア様から提供いただいたコンドームを 一緒に配布しました。また、HIV/AIDS の感染拡大防止のために 啓発活動をしている愛知県のゆるキャラ『秘忍者 ジミー・ハッ トリ』くんも駆けつけてくれ、用意していた 1500 個のコンドー ムを配り終えることができました。
コンドーム配布後の集合写真
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3.今後の展望・課題 ①夏休み STI 早期発見キャンペーン 今回のキャンペーンを通して、イベントの参加者の多くが STI の検査に行く敷居が下がった、と述べていま す。課題として、今年度のキャンペーンは参加人数が少なく、この夏休み STI 早期発見キャンペーン自体に参 加のしにくさがあると考えられます。今年度は、STI 検査の前に勉強会などのワンクッションがなかったこと が、参加のしにくさ、また企画の目的の分かりにくさを生んだと考えています。今後は、突然このキャンペー ンを始めるのではなく、参加者の関心や STI 検査に対する意欲をあげるために、段階的に勉強会を実施してい きたいと考えています。 ②STI 総会 今年度の STI 総会は、STI の病態や予防を学ぶだけでなく、HPV ワクチンの問題、また、世界の STI を学ん だことで世界の性の現状についてまで包括的に考える総会になったと考えています。しかし、今年度の STIP は STI について基礎的な勉強会を開く機会が少なかったため、来年度からは初めて参加した人でもついていけるよ う、基礎的なワークショップに加え、専門的な先生をお呼びしての講演を行い、STI 総会 1 日を通して STI に 対する理解を深めていけたらと考えています。 ③World AIDS Day に合わせたコンドーム配布イベント 今年度は目標であった 1500 個のコンドームを全て配り切ることができました。しかし、参加者がそもそもコ ンドームを 12 月 1 日に配布する意味や、コンドームの正しい使い方などの十分な知識を得たうえでの配布イベ ントであるとは言えませんでした。来年度以降は、こういったイベントを行う意義を共有したうえで、準備時 間を増やし啓発用チラシやプレートの改善をしていきたいと考えています。また、より多くの人たちを対象に World AIDS Day のキャンペーンに参加してもらうために、オンラインでの啓発も同時に行っていきたいと考 えています。
文責│日本赤十字豊田看護大学 2 年 渡邉 千晶
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6.SCOPH│公衆衛生に関する委員会 1.活動理念 SCOPH では、「Better Health, Better World ! 〜みんなが健康になれば、世界はもっとすてきになる。〜」 をスローガンとして掲げ、公衆衛生教育、アドボカシーといった種々の公衆衛生活動を展開しています。 所属するスタッフのほとんどが医療系学生であるため学校等で公衆衛生について学ぶ機会はありますが、プ ロジェクトの運営にあたっては、公衆衛生の考え方を実践できるところにまで、いかに落とし込むかを常に意 識しています。IFMSA-Japan が掲げる Think Globally, Act Locally の精神を実践するべく、海外にも視点を広 げて活動しています。
2.今年度の主な活動 SCOPH-Japan は、2000 年に発足し、2019 年度時点で 6 つのプロジェクトにおいて約 200 名のスタッフが 活動しています。IFMSA-Japan に所属する委員会の中で最多のプロジェクトを有し、活動拠点は日本のみなら ずアジア、アフリカ、そして世界全体に広がっています。 〈活動中のプロジェクト〉※詳細は SCOPH プロジェクト報告ページをご参照ください。 ・Africa Village Project(AVP) ・Asia Community Health Project(ACHP) ・Healthy Lifestyle Project(HLP) ・InciSioN-Japan Project(IJP) ・ぬいぐるみ病院プロジェクト(TBH) ・地域医療ツアープロジェクト(CoMT) 〈SCOPH 全体での活動〉 ◆IFMSA-Japan 地域新歓 全国 9 地域で行われた IFMSA-Japan の地域新歓にて、SCOPH についてのプレゼンテーションおよびブース タイムでの説明を行いました。また、北陸新歓、関東新歓、四国新歓において、さまざまな健康問題を抱える 仮想の集団に対してどのような健康教育が実施できうるかを考えるワークショップを行いました。 参加者およびスタッフに、感染症や生活習慣病といった公衆衛生の課題を知り、どのような働きかけをすれ ば集団を問題解決へと導くことができるのかを考える機会を提供することができました。また、アイデアを実 践する場として SCOPH にどのようなプロジェクトがあるのかを知ってもらいました。 ◆夏の世界総会 台湾で開催された世界総会のプログラムの一つ、Activities Fair で、ぬいぐるみ病院プロジェクトの活動紹介 を行いました。出展に際しては本部のプログラムに登録することが要件となっており、当日の発表と合わせて 世界の IFMSA メンバーに日本での活動を認知していただく機会にもなりました。ぬいぐるみ病院プロジェクト は世界中の IFMSA にありますが、ぬいぐるみを用いて、障がいについて理解してもらう日本独自の活動をアピ ールすることができました。
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◆日本公衆衛生学会 自由集会 10 月 23 日〜25 日の日程で高知にて開催された「第 78 回日本公衆衛 生学会総会」において、自由集会の枠をいただき発表および先生方との ディスカッションを行いました。本企画は、今年度「若手の活動に関す る委員会」の委員長を務めておられ、昨年度の SCOPH 総会にもお越しい ただいた筑波大学の田宮菜奈子先生にお声がけいただき実現したもので す。「公衆衛生ってなにそれ?美味しいの?」というテーマで、実際に 公衆衛生の現場で活躍されている先生と双方向でのディスカッションを 企画しました。また、発表に先立ち、学生の公衆衛生学に対するイメー ジについてのアンケートを実施しました。当日の集会には SCOPH から 5
アンケート結果報告の様子
名が参加しました。私たち SCOPH スタッフが行っている活動に関するプレゼンを行い、先述のアンケート結果 から、私たち学生が公衆衛生学に対してどのようなイメージを抱き、どんな疑問を持っているのかを伝えまし た。さらに、キャリアパスなどに関する学生からの質問を提示し先生方にお答えいただきました。 ◆IFMSA-Japan、JAVS、APS 合同感染症企画 今年度より、JAVS(日本獣医学生協会)、APS(日本薬学生連盟)と合同で感染症について学ぶ企画を立ち 上げました。近年広がりを見せる One Health の概念に基づいて、人・動物・環境の健康を守る 1 つの重要な課 題として、分野横断的な(人獣共通)感染症の対策が重要であるとの理念のもと、インフルエンザをメインテ ーマとして、複数回にわたってオンライン勉強会を実施しました。SCOPH には現在感染症に特化したプロジェ クトはなく、One Health、つまり「人、動物、環境(生態系)の健康は相互に関係していて 1 つである」とい う概念もまだ馴染み深いものとは言えません。獣医学、薬学、医学を学ぶ学生たちが日頃学んでいることを相 互に共有し、感染症への理解を深める貴重な機会となりました。 [勉強会で扱った主なテーマ] ・感染症総論
・ヒトと鳥のレセプターの違い
・抗インフルエンザ薬の服用期間
・ウイルスの薬剤耐性獲得機構と耐性ウイルスの現状
◆Infographics 昨年に引き続き、SCOPH Infographic Team のスタッフで、医療情報をわかりやすく市民に伝える活動を行 いました。Infographic とは、標識、路線図などのように、情報を画像にまとめて視覚的に分かりやすく伝える 手法のことです。SCOPH ではアドボカシーを行うにあたり、難解な言葉が多い医学情報を誰もが理解できるよ うにすべく、この手法を用いています。今年度は新型コロナウイルスの感染拡大を受けてマスクに関する画像 を作成し、Facebook およびメーリングリストを用いて発信しまし た。今回の画像の作成にあたっては、新型コロナウイルスに関する 正しい情報発信を行うために International Team を中心に組織さ れた Small Working Group と共同で、文献検索、翻訳、デザイン 修正等を行いました。今後も SCOPH Infographic Team が培って きたノウハウが他のプロジェクトとの関わりの中で活かされるこ とを期待します。
今年度作成した画像
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◆SCOPH 総会 2020 年 2 月 23,24 日の日程で大阪にて開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて延 期し、3 月 9~11 日に Skype を用いてオンラインで実施しました。 オンライン SCOPH 総会では、各プロジェクトの活動報告と、AVP, CoMT, IJP によるワークショップを行い ました。また、日本公衆衛生学会自由集会での発表内容と先生方からのレスポンスを共有しました。さらに、 総会にお越しいただく予定であった、ゲストスピーカーの先生からのビデオメッセージを上映しました。 オフラインに比べて制約があるなか、各プロジェクトのスタッフが趣向を凝らした発表およびワークショッ プを実施し、日本及び世界での公衆衛生に関する取り組みや、将来のキャリアについての考えを深める機会と なりました。また、オンラインでの実施で SCOPH での活動歴が浅い人でも気軽に参加しやすくなったこともあ り、延べ 80 名ほどの参加者を集めることができました。質・量ともに満足度の高いイベントとなりました。
3.今後の展望・課題 今年度は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が大きな問題となり、図らずも SCOPH にとって大きな意味 を持つ年となりました。様々な情報が行き交う中で社会に対してメッセージを発するにあたって、その責任の 大きさをリアルタイムで実感したスタッフも多いのではないかと思います。今後も緊張感を持って情報発信を 行っていくことが重要であると考えます。 新型コロナウイルス感染症のみならず世界で取り組むべき健康課題は山積しており、公衆衛生学は今後ます ます重要性を増していくことと思います。これからの SCOPH が事実に誠実に、社会へ良い影響を与えられる団 体であり続けることを願っています。
4.感想等 私は ACHP のインド派遣に参加したことをきっかけに昨年度 ACHP のプロジェクトコーディネーターを務め、 今年度は NPO という立場で SCOPH と関わってきました。SCOPH での活動歴は約3年になりますが、ますま す公衆衛生学の面白さを実感しています。これも各プロジェクトを盛り上げてくれるスタッフのおかげである と強く感じます。今後とも Think Globally, Act Locally の精神のもと、SCOPH スタッフの皆さんと活動できる ことを心より楽しみにしています。
文責│宮崎大学4年 黒木安優香
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5.イベント一覧 2019 年
10 月
4月
13
NGA AF 出展
東京都
14
Training×SCOPH WS
東京都
14
Dr.Sujit 講演会
東京都/滋賀県
16
Dr.Sujit 講演会
福島県
17
Dr.Sujit 講演会
秋田県
17
IJP 世界外傷デーキャンペーン
18
Dr.Sujit 講演会
18
JAVS、APS 合同感染症勉強会
21
HLP「コーヒーと健康」
28
日本公衆衛生学会
10
AVP ザンビア派遣報告会
5月 11
AVP キックオフミーティング
16-17
ACHP インド派遣おかえり Skype
17
IJP Global Surgery Day キャンペーン
6月 1
北陸新歓(WS)
5
CoMTalk「コミュニティデザイン」
9
関東新歓(WS)
10
AVP オンライン勉強会
19
CoMTalk「山岳医療」
21
ACHP インド派遣説明会
23
四国新歓(WS)
北海道
高知県
富山県
11 月
東京都
21
JAVS、APS 合同感染症勉強会
12 月
徳島県
7月 3
CoMTalk「離島医療」
4
HLP「セルフコントロール」
5
TBH「ぬいぐるみ診察」
17
CoMTalk「学校医」
1
JAVS、APS 合同感染症勉強会
3
AVP オンライン勉強会
12
IJP UHC Day キャンペーン
15
HLP 調理イベント
22
JAVS、APS 合同感染症勉強会
27-28 AVP 総会
愛知県 東京都
2020 年 1月
8月 2
IJP ニューカマー向け説明会
6
ACHP インド派遣説明会
12
HLP「健康食品について」
3
ACHP インド派遣おかえり Skype
2月
17-19 ぬいぐるみ総会 東京都
22-23 ぬいぐるみーてぃんぐ 大阪府
9月
3月
7
中四国総会 SCOPH WS
岡山県
9-11
17-20 JAVS、APS 合同感染症勉強会 30
ACHP インド派遣おかえり Skype
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オンライン SCOPH 総会
Asia Community Health Project (ACHP)│SCOPH 1.活動理念 Asia Community Health Project (以下、ACHP) は日本とアジアの国々をつなぐ「架け橋」となり、アジア の貧困地域に住む人が健康に暮らせるようになることを目指し、年間を通して様々な活動に取り組んでいます。 「今できることを今しよう。」 という活動理念のもと、学生という枠にとらわれず幅広い視野を持って自分た ちにできることを考え、以下の3つの Mission を柱に活動しています。 【学び】 アジアの社会的・医療的現状を学び、私たちに求められていることが何であるのかを理解する。 【発信】 人々にアジアの貧困地の現状や自分たちの活動を伝えることで、国際協力の普及啓発を行う。 【実践】 アジアの貧困地区への医療の波及・アジアの人々の健康への意識の向上に貢献する。
2.今年度の主な活動 1.Dr. Sujit 講演会開催 2.チャイルドスポンサーシップ 3.フェアトレード 4.インド派遣 今年度の活動は主に以上の4つに分けられます。
理事と Dr.Sujit
ACHP は 2012 年より、インドのコルカタにある NGO である Institute for Indian Mother and Child (以下、 IIMC) と提携しました。それ以来毎年、年間を通して学生ボランティアをコルカタへ派遣しています。IIMC は 診療所、小学校・中学校・高校の建設及び運営、マイクロクレジットによる貧困家庭への無担保での小額融資、 女性の社会的地位確立に向けた取り組みなど、あらゆる方面からコルカタの貧困地域に住む人の健康と生活を サポートしている NGO です。 1.Dr.Sujit 講演会 Dr.Sujit の活動について実際にお話しをうかがい、貧困地域での公衆衛生について考えを深める機会を作る ことを目的として講演会を開催しました。Dr.Sujit は IIMC の創設者のインド人医師です。Dr.Sujit 来日講演は 2013 年より開催しており、本年度は 2019 年 10 月 13~18 日にかけて、全国5大学(滋賀医科大学、国際医療 福祉大学、福島県立医科大学、秋田大学、北海道大学)と、NGA でご講演いただきました。 2.チャイルドスポンサーシップ ACHP でのチャイルドスポンサーシップは、2015 年より IIMC の教育支援活動に賛同した ACHP メンバーに よって開始し、今年度も引き続き、貧困家庭の子どもに対する経済的支援を目的として活動を行いました。 今年度 ACHP では、 18 名が年間 2000 円で PUJA(プジャ)ちゃん[16 歳]と、 13 名が年間 2800 円で ROUSONA(ロウソナ)ちゃん[8 歳]と スポンサー契約を継続し、教育に関わるお金、必要とするもの などの支援を行っています。このスポンサーシップの最大の特 徴としては、スポンサーチャイルドにはお金としてではなく、 教育用品となって支援金が還元されるというところです。 PUJA
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ROUSONA
また、現地まで行かずとも日本でできる支援であること、スポンサーチャイルドと手紙や写真などを送りあう ことができ子どもたちの成長を感じながら支援を行うことができることも特徴です。 今年度は新たにスポンサーを希望する者が 2 名集まりましたが、新たなるチャイルドを受け入れるには 1 名 あたりの負担が大きいことから、現在は待機中となっています。待機中のメンバーによって、さらなるスポン サーを集めるべくチャイルドスポンサーシップについての説明動画を作成し、Facebook で公開しました。 3.フェアトレード フェアトレードの輪を広げること、売り上げを IIMC の 女性へ全額還元することで女性の自立支援を行うことを 目的として、今年度も各大学祭や地域のイベント、 Dr.Sujit 講演会でのフェアトレード商品の販売を行いま した。ACHP メンバーがデザインした商品(コースタ ー、栞、ブックカバー、エプロン、ハンカチ、アクセサ
フェアトレード商品を製作する IIMC の女性
リーなど)を、IIMC 内にあるソーイングユニットで働く インド人女性達が手作りしており、インド派遣スタッフ が商品を日本に持ち帰ります。そして各大学祭や地域の イベントにてフェアトレード価格で販売しています。売 り上げた利益の 100%が IIMC へ還元され、ソーイング ユニットで働くインド人女性の給料や IIMC の運営費として
販売のために陳列された鮮やかな商品
充てられます。このプロジェクトではインド人女性の経済的自立を支援するのみならず、それに伴うコルカタ 地域の健康増進、発展を支援しています。商品売り上げは総計 78,700 円でした。この売り上げは来年度の派遣 者へ託し、作り手の女性へ還元することを予定しています。 今年度は、フェアトレード商品の販売だけでなく、フェアトレードに興味のある者、販売を行う大学の責任 者を対象に、フェアトレードの目的を理解するためのオンライン勉強会を開催しました。 【参加大学と売上金額】 旭川医科大学
16,100 円
大分大学
6,700 円
国際医療福祉大学
8,100 円
北海道大学
3,000 円
福島県立医科大学
9,400 円
群馬大学
35,400 円
旭川医科大学(上)大分大学(右) でのフェアトレードの様子
総計 78,700 円
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4.インド派遣 インドの公衆衛生に実際に触れて学びを深めること、ボランティアとして活動 することでコルカタの人々が健康な暮らしを送れるようになることに貢献するこ とを目的としており、 IFMSA-Japan の個人会員でスタッフ登録をした学生なら 誰でも行くことが出来ます。現地では診療所での血圧測定や無医村地区の訪問診 療同行といった医療ボランティアを始めとし、マイクロクレジット事業の見学、 日本で売るフェアトレード商品製作へのアドバイスとサポート、学校訪問、チャ イルドスポンサーシップ見学などを行いました。医療行為はボランティアの医師 が行います。
血圧、体重測定を行い 栄養豊富な食糧を手渡す様子
春派遣では COVID-19 の影響で 2 名の派遣が中止となりましたが、夏派遣に 3 名、春派遣に 1 名が参加しました。春派遣では、派遣者の安全な渡航を実現する べく、正確な情報収集を行って情報提供すること、感染予防行動を促すこと、毎 朝の検温と報告を義務化することなどの対策をとり、派遣者の安全を守るための 対応を行いました。帰国後には Skype にてオンライン派遣報告会を行い、総勢約 10 名が参加し、質問や意見が活発に交わされました。 貧困女性へ手渡すために 月経用布ナプキンを製作する様子
3.今後の展望・課題
ACHP は現在約 80 名のスタッフが所属している大きなプロジェクトです。しかし、実際に現場に赴いて活動 することが出来ているメンバーは一部です。そのため、現場に赴かずとも参加することが可能なオンラインで のイベント等を多く開催したりすることで、より多くのスタッフが ACHP というプロジェクトを大いに活用し て多くのことを吸収できるような環境を整えることが課題であると考えます。 また、フェアトレードやチャイルドスポンサーシップといった活動は先代の先輩方から引き継がれてきた大 切な活動ですが、再度活動を行うメンバー全員とその活動の目的を見直し、その目的に合うより効果的な活動 を行うことができるように方法をアップデートしていくことが課題であると考えます。
文責│旭川医科大学 3 年 美馬明日香
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Africa Village Project (AVP)│SCOPH 1.活動理念 「アフリカと日本をつなぐ地球人になる」という理念のもと活動しています。
2.今年度の主な活動 ・AVP 総会 〔目的〕アフリカの生活・医療の現状や国際協力について理解を深める。 2019 年 12 月 27,28 日に、東京都新宿区の新宿 NPO 協働センターにて行い ました。Africa Village Project (以下、AVP) スタッフや、IFMSA-Japan スタ ッフ以外の方にも参加頂き、参加者は2日間全体で 31 名となりました。具体 的には、「アフリカ版人生ゲーム」と題した人生ゲームのワークショップや、 外部の講師の方による講義、アフリカ人の留学生を招いた交流会等を行いまし AVP 総会での集合写真
た。参加者の方には「アフリカについて知る良い機会となった」、「同じよう な事に興味があり、議論出来る仲間ができたのは嬉しい」等のご意見をいただ き、総合的に見て目的が達成されました。自分自身も、AVP がそういったプラ ットフォームになっていることに嬉しく感じました。 ・AVP 交換日記
TICO の吉田先生によるご講演
〔目的〕AVP というプラットフォームで、アフリカや医療について等様々な 話題を共有し、それについて考えるきっかけとする。 この取り組みは、今年から新たに始めました。当初は、週2回、交換日記 という形で回す予定でしたが、途中で止まってしまうことも多くなってしま いました。しかし、お互いの意見や知識を共有し、オンラインでの活動を活 発化させるという点では意義のある活動となりました。具体的には、メンバ ー同士で、ドローンを使いアフリカに薬を届けるといった話題のニュースや、
留学生との交流・質問会
自分がなぜアフリカの医療に興味を持ったか等の共有を行いました。
・オンライン勉強会 〔目的〕アフリカについての知識を深める。 10 月と 12 月の2回、派遣報告会と合わせると全 4 回のオンラインの勉強会を開催することができました。 うち一回は、AVP の OB である宮地貴士さんからレクチャーを頂きました。宮地さんはザンビアに滞在してお り、Skype で現地での活動や現状について教えていただきました。各回 10 人前後の参加者が参加し、2カ月ほ ど前から準備してものを用いることで、十分目的が達成出来ました。 ・ザンビア派遣 夏・春派遣ともに4名前後の応募がありましたが、保護者の了承を得られなかった、予定が合わなかった等 の理由により、派遣を行うことはできませんでした。安全面を考慮した「女子のみで派遣を行なってはならな い」というルールがありますが、来年度以降見直していく必要があると考えています。派遣希望者の思いが実 現出来なかったことは心残りでした。
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・TICO 合宿 2020 年3月7,8日に徳島県で3名の参加を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に より中止となりました。
3.今後の展望・課題 来年度は、引き続きオフラインイベントである AVP 総会の実施と、AVP 交換日記が続けていきたいです。ま た、今年度は応募者がいたにも関わらずザンビア派遣を行うことができなかったため、来年度こそ派遣を実現 させたいと思います。 今後も、「アフリカと日本をつなぐ地球人になる」というビジョンのもと、AVP がアフリカや国際医療につ いての学びの場、あるいは同じ意志を持った学生同士の交流の場となる事を願っています。
4.感想 去年の春、ザンビア派遣に参加し、もっと AVP と関わっていきたいという思いが芽生えてから早一年が経ち ました。初めに AVP 責任者をやらないかという話があった時、果たして自分がこのプロジェクトを先導して行 けるのかという不安と責任を感じました。実際には、一つのイベントをやる度に色々な問題に直面し、自分の 指揮力や計画力の無さを実感する日々でした。特に、どのように AVP メンバー全員を AVP に関わらせる事がで きるかという問題に、一年中直面していました。それでも、オフラインイベントである AVP 総会を実施できた こと、皆を巻き込もうというアイデアで AVP 交換日記を続けられたことは、他でもなくコアメンバーの仲間と AVP スタッフのお陰であると感じています。様々な場面で周りに助けられ、そして自分も大きく成長できた一 年でした。責任者をするというこの貴重な経験は、これからも医療従事者として働く上での、あるいは生きて いく上での基盤になると思っています。心から皆に感謝しています。
文責│国際医療福祉大学2学年 金本すず
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Healthy Lifestyle Project (HLP)│SCOPH 1.活動理念 Healthy Lifestyle Project (以下、HLP) は生活習慣病をはじめとする Non-communicable disease (NCDs: 非感染性疾患) の予防をするために何をすればいいのかを考え、実践形式でヘルスプロモーションをしていくこ とを目的とするプロジェクトです。HLP が立ち上がった際に掲げられた「すべての人々が身体的、精神的、社 会的に健康に生活できる世界を実現する。」という理念のもと、明確な使命として「NCDs の予防を広めるため に、学び、実践し、発信する。そして行動を変える。」を掲げて活動しています。
2.今年度の主な活動 今年度は「コミュニティ形成を通して健康を維持し社会と繋がる」という目標で活動してきました。Healthy Lifestyle を提供する上でスタッフ内の健康意識を向上させるために健康 DAY(オンライン勉強会)を実施した り、例年同様、調理実習を交えた実践形式のイベントを開催したりしました。 【健康 DAY】 健康 DAY とはオンラインスタッフ勉強会のことです。HLP スタッフの健康意識を高めること、Healthy Lifestyle を提供することを目的としています。その日はスタッフに健康的な生活を心掛けて過ごしてもらい、 夜の勉強会でどんなことを意識して過ごしたかを報告してもらいます。その後、勉強会担当者から Healthy Lifestyle に関する話題を提供してもらいます。 ○オンライン勉強会①「健康とは」 2019 年 6 月 13 日 厚生労働省の国民の健康状態の自己評価から始まり、WHO の健康の定義から健康をとらえたり、well-being として捉えたりと、多面的に健康への認識を深めました。 ○オンライン勉強会②「セルフコントロール〜オリンピック金メダリストのマインドを学ぶ〜」 2019 年 7 月 3 日 プレッシャーとは何か、自分のコントロールできるものとできないものは何か、やる気とは何か、自信とは 何かを考えることを通じて、日々の物事に取り組む時に役立つ、4 年に 1 度の大舞台で最高のパフォーマンス を発揮するオリンピック金メダリストのマインドを学びました。 ○オンライン勉強会③「健康食品について」 2019 年 8 月 12 日 基本的な健康食品の分類や機能、背景について学びました。 ○オンライン勉強会④「コーヒーと健康」 2019 年 10 月 21 日 コーヒーとは何かから、カフェインの作用、生活習慣病への効能など予防の観点からコーヒーを学びました。
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【オフラインイベント「季節の変わり目を楽しむ〜自炊で体調を整えよう〜」】 日時:2019 年 12 月 15 日 内容:調理実習、食事・地域に関する WS、座談会 メニュー: たっぷりキノコと鮭の炊き込みご飯 豆腐とニンジンのふわ玉スープ 肉味噌大根ステーキ 小松菜のおひたし
ワークショップの様子
医療系学生は忙しい毎日を送っていま す。そのため、食生活が乱れてしまうこ とがあります。気軽に楽に作れる食事 や、テスト前でも体調を崩さないような 食事を考えたり、季節の食材を取り入れ たりと、そのイベントだけで終わらない ようにということを意識して今回のイベ
調理実習の様子
ントを開催しました。ワークショップで
は使用する食材の栄養について問題形式で学んだり、地域に焦点を当てて公衆衛生的にどう問題があってそれ をどう解決するかを考えたりしました。座談会では、日々の生活で健康について意識していることや健康をど う捉えているかなどを参加者とディスカッションし交流を深めることができました。
3.今後の展望・課題 年々、世界的な少子高齢化に伴い NCDs の重要性が増してきています。特に日本は少子高齢化先進国で、よ り社会保障費が嵩んでいます。そういった中で、NCDs は予防できる病気が多いです。このように認識して予防 に取り組めている人は一般の人だけでなく医療系学生でさえ多くないのが現状です。そのため、今後はこれま で以上にオンラインイベントやオフラインイベントを通して Healthy Lifestyle を提供することが大切であり、 学生だけでなくより幅広い世代に届けられるように取り組んでいきたいと考えております。
文責│帝京大学 4 年 遠藤通意
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InciSioN-Japan Project (IJP)│SCOPH 1. 活動理念 InciSioN-Japan Project (以下、IJP) は世界のすべての人に安全な外科、麻酔、及び産科ケアを提供すること を目標としています。そのため、国際的に global surgery の最前線で活躍する医療系学生の NGO 団体である InciSioN の日本支部 (InciSioN-Japan) と協力しています。アドボカシー、教育、研究の面から global surgery に関して活動しています。近年 global health の分野は注目を浴びており、学生の時期から global health の分 野に携わることで更に公衆衛生の視野を広げ、今後の日本の SCOPH の発展にも繋げていきます。
2.今年度の主な活動 主に、アドボカシー、NGA の Activity Fair 出展、アンケート調査研究の参加、SCOPH 総会にてワークショ ップの開催を行いました。 アドボカシー アドボカシーは Global Surgery Day(2019 年 5 月 25 日)、IFMSAJapan NGA の Activity Fair 出展(2019 年 10 月 20 日)、World Anesthesia Day(2019 年 10 月 16 日)、World Trauma Day(2019 年 10 月 17 日)、UHC Day(2019 年 12 月 12 日)に向けて各テーマのインフォグ フィォックの作成や英語ツイートの翻訳などを行い 、SCOPH Facebook ペー ジと IFMSA-Japan Twitter で啓発活動を行ないました。 インフォグラフィック
NGA の Activity Fair 出展 2019 年 10 月 20 日、IJP は日本総会 NGA の Activity Fair では、IJP の概 念と活動内容を出典し、悪天候で参加者数が少ないにも関わらず、5 名ほどの スタッフを新たに勧誘することができました。
NGA の Activity Fair
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アンケート調査研究への参加 また、2 つのアンケート調査研究に参加しました。 ・「WHO 外科安全チェックリスト」に関する LifeBox-Ariadne-InciSioN のコラボアンケート ・[InciSioN×GSSA×Rutgers Robert Wood Johnson Medical School (RWJMS) × Latin American Indicator Research Collaboratory (LAIRC)] のコラボ研究アンケート グローバルな手術システムの強化と研究に対して医学生・研修医の関心を評価するこ とを目標したアンケート調査研究です。特に 6 つのランセット委員会の世界外科 (LCoGS)指標の収集、分析、解釈、および国家外科・産科・麻酔計画(NSOAP)の 開発、実施、評価に参加する知識と意欲を測定するものです。 今後グローバルな外科 研究の機会を開発する際に、その関心がどこから来ているのかを特定し、最終的にグロ ーバルな学術的リーダーシップ、研究者、およびカリキュラム管理者に知らせることを 目的とした研究調査でした。 SCOPH 総会 2020 年 3 月 11 日に開催されたオンライン SCOPH 総会では、ガーナの現役医師とマレーシアの医師のワー クショップ「途上国での妊産婦医療と global surgery について」の同時通訳を行いながら開催しました。
3.今後の展望・課題 新しい SCOPH プロジェクトということもあり、スタッフの人数が少ない中で活動を行ってきましたが、今 後、スタッフの人数が増えることで、global surgery というアカデミックな分野を、海外で精通している学生 や先生方から多くの情報を学んでいくことができ、日本において、この分野に興味を持った学生の活躍が期待 されます。 今年度初めてのプロジェクトだったため、学生への周知や勧誘が足りないことを痛感しました。そのため、 課題といたしましては、スタッフ数を増やしていくことが挙げられます。
文責│獨協医科大学 5 年 本荘せいら
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Teddy Bear Hospital Project (TBH)│SCOPH 1.活動理念 ぬいぐるみ病院は、「子供たちがより健康になれるように広く働きかけ、ぬいぐるみ病院に参加した子ども たちが将来にわたって周囲も巻き込んで健康に近づけることを目指す」を Vision とし、活動を行なっています。
2.今年度の主な活動 ・第 13 回ぬいぐるみ総会 〔目的〕ぬいぐるみ病院を活動している者同士の情報交換をすると共に活動人口を増やすこと 2019 年 8 月 17~19 日に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少 年総合センターにて行いました。Teddy Bear Hospital Project (以下、 TBH) スタッフや IFMSA-Japan スタッフ以外の方にも参加頂き、参加者 は3日間全体で 46 名となりました。具体的には、「シェアぬい」と題し た各大学で行われているぬいぐるみ病院の活動報告や、SCORP のプロジ ェクトである POYOPIN とコラボした、ゲームを通して子供に「障害」 について考えてもらうワークショップ、地域に応じた健康教育について 総会 3 日目の集合写真
学習する CoMT とコラボした学習系ワークショップ、実際に保育園に行 き、ぬいぐるみ病院を行う実践型のプログラムを開催しました。昨年度 に引き続き、3 つの保育園(かっぱの家保育所、鳩の森保育園、向原保育 園)にて実施を行わせていただきました。ぬいぐるみ診察や、2 日目に作 成し練習した保健教育(手洗いうがいについてなど)を通して、3 日間で学 んだノウハウを実践しました。参加者には「ぬいのスタンダードを勉強 しつつも新たな視点も発見できる面白い企画がたくさんでした。」とご 意見をいただき、総合的に見て目的を達成することができました。
POYOPIN とのコラボ企画
・大学代表者ミーティング 〔目的〕IFMSA-Japan としてのぬいぐるみ病院の活動を知ってもらい各大学間の情報共有の場を提供すること 年間を通して 3 回おこない、 第 1 回:各大学での活動状況の共有 第 2 回:最近実施した保健教育と準備期間について 第 3 回:でこれまでの活動報告について と、実際の実施に即した内容で実施しました。参加者は全ての回で数人にとなりました。参加しやすいよう、 第 1 回は顔合わせミーティングと称しましたが、10 人集まったのが最多であり、第 2 回以降は参加者が少数で 固定となっていました。目的の達成というには、参加大学が少なかったといえますが、参加者には TBH の活動 を知ってもらい、その後の活動土壌を築くことができました。
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・ぬい LAB 〔目的〕スタッフ間の顔合わせ 昨年度までオンラインの勉強会として行ってきましたが、今年度はオンラインでスタッフ間の顔合わせを行 うことで今後の活動に積極的に参加してくれる人数を増やすことを目的として行いました。 「子供のころの思い出を振り返りながら緩くお話ししませんか?」というコンセプトのもと開催しました。 実際は普段から積極的に参加してくれるスタッフが 8 名ほど参加するというのが実状でした。しかしながら、 参加したスタッフからは楽しく話ができたという感想が聞かれました。 ・第 7 回ぬいぐるみーてぃんぐ 〔目的〕初心者からベテランまで、よりクオリティの高いぬいぐるみ病院を実施できるようになること ぬいぐるみ総会と同様に、オンラインで行われるイベントです。 今年度のぬいぐるみーてぃんぐは「最高のぬいを、お届けしたい」 をテーマとして、2020 年 2 月 22,23 日に近畿大学で開催しました。 2 日間合わせて 34 名が参加しました。実際に活動を体験してみる、 をコンセプトにした情報交換会「シェアぬい」のほか、ぬいぐるみ 診察で用いられるカルテについて勉強する企画、子どもの好きなア ニメを見て取り入れられるものはないか模索する企画、子供時代に 行った遊びを体験する企画を行いました。新型コロナウイルスによ
2 日目の集合写真
る感染症予防のため、休憩時の消毒手洗いを徹底し、プログラムの多くでマスクの着用をお願いする形でイベ ントが行われました。事後アンケートでは「得るものが多かった」という感想がみられ、95%以上の参加者が 「今後の活動に生かせそう」と回答しており、殆どの参加者は目的を概ね達成できているようでした。
3.今後の展望・課題 現在ぬいぐるみ病院を実施している大学は 42 大学となり、今後もさらに増えていくことが予想されます。各 大学で特色のある活動が活発に行われており、その強みを活かす一方で、大学間での活動内容・アイデアの共 有、プロジェクト全体における理念・目的の共有、活動の質の向上が求められています。ぬいぐるみ病院プロ ジェクトとして、イベントの運営や LINE・Skype などを用いたミーティングなどでの活動共有や、勉強会の実 施の継続を行うことで、各大学同士が連携し、お互いの活動内容を知り、活動の質を向上させることができる 環境づくりを行っていきます。また、スタッフの固定化、学年の上級生化が進んでいることから後任・新規ス タッフの育成が求められています。
文責│札幌医科大学 4 年 山﨑寛也
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Community Medicine Tour Project (CoMT)│SCOPH 1.活動理念 「地域医療を知り、体験し、医療を変える」ことを理念として、活動しています。
2.今年度の主な活動 ・地域医療ツアー@山谷地区 〔目的〕山谷地区における特殊な医療を実際に体験し理解を深める 2020 年 2 月 1 日に、東京都台東区の NPO 法人山友会および近隣施設に て行った。Community Medicine Tour Project (以下、CoMT) スタッフ や IFMSA-Japan スタッフ以外の方にも参加頂き、参加者は全体で 7 名と なりました。具体的には、山谷地域のこれまでの歴史と現状の問題点のレ クチャー、無料診療所や宿泊施設の見学、フィールドワークや懇親会等を 集合写真
行いました。参加者の方から「山谷という特殊な地域が東京にあり、そこ でこんな医療が展開されていることを初めて知った」や「この地域の抱え る課題は決して他人事ではないことを再確認できた、自分の地域に持ち帰 って話し合いたい」等の意見がでて、総合的に見て目的が達成されました。 ・オンライン勉強会 CoMTalk 〔目的〕日本国内の特殊な地域、特殊な地域医療について学び、考える 4 月~2 月までに計 12 回のオンラインの勉強会を開催しました。扱う地
無料診療所の様子
域、医療の特性などを毎回変えながら実施しました。また 1 回は 2019 年 度副代表外務担当の森本健太さんがプレゼンテーションを行い、特色ある 勉強会を作ることが出来ました。前述のツアー直前には、ツアーに際して の勉強会を中心に実施しました。参加者は、各回 10 人前後といった規模 で、スタッフ内で分担して準備するということはできませんでしたが、目 的に関しては十分に達成出来ました。 ・ぬいぐるみ総会 学習系プログラム 〔目的〕ぬいぐるみ病院を実施する地域の状況を知り、健康教育を考える
企画実施中の様子
ぬいぐるみ病院プロジェクト主催で 8 月に実施されたぬいぐるみ総会の 中で、2 日目実施の学習系プログラムにおいて、プロジェクト単位のコラ
ボレーション企画を行いました。ぬいぐるみ診察を実施する東京都渋谷区代々木地域における医療・社会・教 育などのデータから必要な健康教育を考えてもらう WS を実施しました。スタッフ 10 人前後で計 4 回のオンラ インでの打ち合わせと、当日のファシリテーターを 6 人のスタッフに依頼し、5 月から約 3 か月で準備を進め ました。参加者からのアンケートなど総合的に見て目的は達成することができました。
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・オンライン SCOPH 総会 CoMT ワークショップ 〔目的〕地域にある社会資源を利用して、地域に住む人の well-being を実現するアイデアを考察する 2020 年 2 月 23,24 日に近畿大学で 10 名の参加を予定していましたが、新型コロナウイルスの影響により中 止となったため、同年 3 月 9 日に Skype を利用してのオンライン勉強会を実施しました。地域にある公共施設 や特色ある製品を組み合わせて、地域にとって well-being に繋がるアイデアを考える機会となりました。参加 者は 15 人前後で、スライドの準備なども含めて 1 か月程度で行いました。本来はグループワークを実施する予 定だったものをオンラインにしたため、難しい点も多くありましたが、目的を達成することができました。
3.今後の展望・課題 「地域医療を知り、体験し、医療を変える」というビジョンのもと、実際に地域に赴いて医療を体験するこ とが最も重要であると考え、ツアーの計画やそれの補助となるオンラインでの勉強会などを行ってきましたが、 近年の医学教育カリキュラムの前倒しや各地域の地域医療重視の教育の影響もあり、積極的に全国各地の地域 に赴くイベントを開催することが難しくなっています。2019 年度でプロジェクトの継続は打ち切り、オフライ ンのイベントは地域ごとに行われていくことになります。CoMT にこれまで携わった人を中心として、それぞ れの地域の特色に即した地域医療を学ぶイベントが開催され、引き継がれていくことを切に願っております。
4.感想 約 2 年間、CoMT 責任者としてプロジェクトを牽引してきましたが、自身のスケジュール管理不足やスタッ フへの声がけ不足なども相まって、スタッフ全体で地域医療を学ぶイベントを作り出すことは想像以上に難航 しました。特にオンラインでの勉強会もスライド作成など分担がうまくいかず、できる限り多くのスタッフに 関わってもらうことはできなかったことが大きな反省点です。しかし、今年度は他のプロジェクトの合同企画 も、ツアーの実施も行えたほか、オンラインでの勉強会の回数はこれまで以上に充実させることができました。 昨年 1 年間に比較して、プロジェクトとして大きく成長できました。直接関わるスタッフの数は少なかったも のの、各イベントで関わったスタッフに助けられて、本当に大きく成長できた 1 年間でした。プロジェクトと しての存続には繋げられなかったものの、地域医療の発展には寄与できたと考えています。今回の経験を医療 者としての将来に生かしていきたいです。
文責│東北医科薬科大学4年 一戸護
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7.SCORP│人権と平和に関する委員会 1.活動理念 2019 年度の人権と平和に関する委員会 (以下、SCORP) では「十人十色の背景や考えを受け止め、自分の考 えを伝え、周囲を変えていくことができる医療者を育成し、人権の守られた社会、平和な世界を目指す」を活 動理念に掲げました。2019 年度から新たにプロジェクトも増え、これまで以上に多くの方の背景に思いを馳せ 寄り添えるようになる中で、自分自身の考えを発信し社会を変えていく力を養うことを狙いとしています。
2.今年度の主な活動 2019 年度の SCORP では以下の 4 つの目的を掲げ活動しました。 ①人権や平和に関する問題を抱える当事者の方の気持ちに寄り添える医療者となる ②多くの人に気軽に SCORP の活動に参加してもらい、人権問題、平和問題について考える機会を提供する ③5 つのプロジェクト間の連携を強化する ④スタッフが、日本国内の問題だけでなく人権や平和に関する国際問題について触れる機会を提供する ①人権や平和に関する問題を抱える当事者の方の気持ちに寄り添える医療者となる SCORP では人権問題や平和問題そのものから切り込むことが多いですが、2019 年度は年間を通して世界的 なムーブメントとなっている持続可能な開発目標 (以下、SDGs) に焦点を当て、人権問題、平和問題について 考えました。8月の SCORPions の集いでは SDGs そのものについての知識を深めると同時に、SCORA(性と生 殖・AIDS に関する委員会)とのコラボレーションにより SDGs の Goal5「ジェンダー平等を実現しよう」にも 着目しました。また3月の Connecting the Green Dots では Goal3「すべての人に健康と福祉を」に着目し、 Universal Health Coverage (以下、UHC) の実現を目標にイベントを開催しました。 ◆SCORPions の集い 【日時】2019 年8月 20 日〜22 日(20 日は SCORAngels の集いに参加) 【場所】新宿 NPO 協働推進センター 【対象】SDGs について学びたい医療系学生 【内容】1 日目には、SCORA とのコラボで「ジェンダー平等」ワークショップ (以下、WS) を行い、SDGs の Goal5「ジェンダー平等を実現しよう」について考えました。 2 日目には、SDGs について Kahoot を用い SDGs に関するクイズや、 ハッカソン形式で人権や平和に関する観点から自分たちにできること を考える WS を行いました。このハッカソンを通してできた WS の一 つは、国際業務チーム主催の「医療を全ての人に with ICRC」として イベント化することができました。SDGs について扱ったことで、より SCORPions の集い集合写真
広い視点から人権や平和について捉え直すことができました。
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②多くの人に気軽に SCORP の活動に参加してもらい、人権問題、平和問題について考える機会を提供する SCORP スタッフの活動へのハードルを下げること、自身のやりたいことを実現する場を提供することに重き を置き活動しました。2018 年度より行われている「『やりたい』実行チャレンジ」に加え、今年度は「すこる ぷとーく。」、「SCOtRiP」を行いました。 ◆モーニングすこるぷとーく。 【日時】第1回 2019 年 10 月 8 日、第2回 2020 年3月 21 日 【場所】SCORP スタッフ Skype 【対象】SCORP の活動に対してハードルを感じている SCORP スタッフ 【内容】事前に SCORP に関する質問フォームを集め、イベント中にその質問に回答する形式で行いました。 第1回は日本総会前だったこともあり日本総会に対する質問を集め、初めて IFMSA のイベントに参加する人対 してもハードルを下げることができました。ミーティングでは主に企画内容について話すことが多いため、 こうした機会を設けることで、よりスタッフの活動へのモチベーションを高めることができました。 ◆SCOtRiP 【日時】2019 年 12 月 29 日、30 日 【場所】神奈川県江の島、鎌倉市 【対象】SCORP の活動に参加したいと思っている医療系学生 【内容】1日目には江の島を、2日目には鎌倉を観光しました。WS は行 わなかったものの、SCORP に関する様々な話題について時間をかけて話 すことができ、スタッフの交流を十分に深めることができました。 SCORP では都市部で開催されるイベントが多く、地方のスタッフがイベ ントに参加しづらいという問題があります。より多くのスタッフに SCORP
江の島水族館にて
での活動に参加してもらうため、今後も全国各地で続けていきたいです。 ◆すこるぷとーく。 【日時】2020 年1月 30 日 【場所】SCORP スタッフ Skype 【内容】カルロス・ゴーン事件、相模原障がい者施設殺傷事件の2つのテ ーマについて人権の観点から考えました。カルロス・ゴーン事件について は日本の‟人質司法“に着目し、取り調べにおける人権侵害について考えま した。また相模原障がい者施設殺傷事件については、もしも自分が被害者 の家族だったら被害者の名前を公開するかディスカッションを行いまし た。日常のニュースを単に事実として受け止めるのではなく、そこに潜む 人権問題についても考えるきっかけとなりました。
説明スライド
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◆『やりたい』実行チャレンジ 第1回「SCORP ニュースそうだったのか!」 【日時】2020 年2月 20 日 【場所】SCORP スタッフ Skype 【内容】イラン問題と COVID-19 のダイヤモンド・プリンセス号で の対応について取り上げました。イラン問題では、現在のイランと アメリカの対立についてだけではなく、歴史を遡り日本と両国との
説明スライド
関係についても考えました。身近なニュースについて情報をただ受 け流すのではなく、ニュースの根源を探り理解する機会を得ること ができました。 第2回「日本で暮らす外国人の医療」 【日時】2020 年3月2日 【場所】SCORP スタッフ Skype 【内容】日本で暮らす外国人が直面する問題について、医療以外の 言語、経済、宗教などの観点にも着目し現在行われている対応策に ついて学びました。また、将来医療者として外国人患者と関わると きに、自分たちができる対応についてディスカッションしました。 今後ますます日本で暮らす外国人が増えていく中で、今のうちから 自分たちにできることを模索でき非常に有意義でした。
問題説明スライド
③5 つのプロジェクト間の連携を強化する SCORP の課題の一つに5つのプロジェクトで連携した活動が少ないことが挙げられます。人権や平和に関す る問題は複数の問題が絡んでいるため、プロジェクト間での連携を強化し複数の視点から考えることでより活 動に深みを増すことができます。3月に行ったオンラインイベント Connecting the Green Dots では、一つの 問題に対して複数のプロジェクトの視点をかけ合わせられるような WS を企画しました。 ◆Connecting the Green Dots 【日時】2020 年3月 30 日 【場所】Skype 【対象】UHC (Universal Health Coverage) に関心のある医療系学生 【内容】SCORP の 5 つのプロジェクトの繋がりを意識し、SDGs の Goal3「すべての人に健康と福祉を」の中でも UHC の実現について 考えました。UHC の実現に必要と言われている3つのアクセスへの アプローチとして、4つの WS を実施しました。 説明スライド
〈WS1〉法律家になって医療制度を考えよう!
主に貧困を理由として医療機関にかかることができず亡くなってしまう事例をもとに、『手遅れ死』を減ら すための制度を考案しました。法学生団体 ALSA の方にも参加してもらい、法学生の視点も含めた専門的なデ ィスカッションを行うことができました。結果として、現在ある保障制度を知識不足のために最大限活用でき ていないのが一番の問題なのではないかという考えに至り、周知を義務化する法律や啓発活動が最終案となり ました。医学生の目線で法律を考える機会はあまりないため、新鮮な意見を出し合うことができました。 68
〈WS2〉過去の事例から考える日本の放射線関連法 広島での被爆者や被爆 2 世、3 世の方への保障制度、チェルノブイリ原発の保障制度を例に挙げ、現在の福島 第一原発事故の被害者の方への保障制度について考えました。東日本大震災から 9 年が経過し、多くの人にと っ て 原 発 事 故 が 風 化 し つ つ あ り ま す 。 2018 年 度 に HiNaP( 戦 争 と 平 和 、 核 に 関 す る プ ロ ジ ェ ク ト ) と ACTION(災害医療に関するプロジェクト)の合同企画で訪問した経験も交えながら、改めて福島や原発のある地 域に住んでいらっしゃる方の暮らしに目を向けることができました。 〈WS3〉避難所の多様性について考えよう 避難所で障がい者や LGBTs の方、外国人の方がどのような不安を抱えているかを考え問題点を共有した後に、 それぞれの問題に対する解決策をディスカッションしました。地域の縮図でもある避難所では様々な方と共に 生活を送りますが、その中でより多くの人が少しでも快適に生活するには各々について理解し、工夫が必要で あるという気づきを得ることができました。 〈WS4〉YOU は何しに SCORP へ?〜2019 年度を振り返って〜 「人権や平和というテーマに関心を持った理由」、「この活動を続けるエネルギーとは」の 2 点から SCORP での活動の意義について、2019 年度の活動を振り返りつつ話し合いました。普段はじっくり話すことのないテ ーマでしたが、SCORP スタッフ以外の人とも意見を交換でき非常に有意義な時間になりました。今後もぜひこ うした活動を見直す時間を定期的に作っていきたいです。 ④スタッフが日本国内の問題だけでなく、人権や平和に関する国際問題について触れる機会を提供する 2018 年度の International Team から体制を新たに、2019 年度は SCORP 国際業務チームとして SCORP ス タッフ全体を巻き込んだ運営を行い、主に以下の4つに力を入れました。 (1)世界の SCORP の活動や Facebook の投稿などの情報共有 (2)プロジェクトへ国際的な視点を取り入れる (3)赤十字国際委員会の講演会や勉強会の主催 (4)国際イベントの告知、渡航や報告会のサポート (1)世界の SCORP の活動や Facebook の投稿などの情報共有 Facebook グループやメーリングリストで送信される SCORP 本部からの連 絡を確認し、SCORP-Japan のメーリングリストや LINE グループなどでお知 らせしました。具体的には、SCORP の国際イベントや、国際デーのキャンペ ーン作りの Small Working Group (以下、SWG) の募集、講演会の参加申し込 みのお知らせなどの要点を日本語でまとめて配信しました。SCORP にはオン ライン講演会や遠隔からも参加できる SWG 活動など、日本の大学に通いなが らも世界の SCORP メンバーと一緒に活動したり、学んだりできる機会があり ます。そのような機会に関する情報を得て、選択肢を増やすお手伝いをするこ とができる場であり続けたら幸いです。 SWG 参加者の募集
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(2)プロジェクトへの国際的な視点を取り入れる The IFMSA 68th General Assembly August Meeting in Taiwan (以下、 世界総会) の Activities Fair の出展準備やそこで得たフィードバックの還元に 努めました。2019 年度は 8 月に開催された世界総会の Activities Fair に、昨 年に引き続き HiNaP を出展したことに加え、新たに LARF も出展し、その出 展用の書類や展示資料の作成、当日の発表や質疑応答を行いました。出展の際 には、プロジェクトの取り組みを多くの人に発信することができました。それ と同時に、取り組みの成果を数字で表すことの必要性についてご指摘いただ Activities Fair での発表の様子
き、客観的な指標が乏しかったことを省みることができました。世界総会後
に行われた各プロジェクトのイベントの際には、事前事後アンケートを実施し、満足度の調査やクイズ形式に よる知識の確認などを行いました。来年度以降自分たちが行っている活動を外部に発信する際には、活動の概 要や熱意を伝えるだけではなく、客観的なデータが説得力を増すのには不可欠であるということを伝え、より 良い活動に繋げていきたいです。 (3)赤十字国際委員会の講演会や勉強会の主催 ◆医療を全ての人に with ICRC 【日時】事前勉強会 2020 年 3 月 28,29 日、講演会3月 31 日 【場所】Skype 【対象】Health Care in Danger(紛争地の医療の攻撃問題)に関心のある医療系学生 【内容】紛争地の医療というトピックに関して、赤十字国際委員会(以下、ICRC)駐日代表部の皆様にご協力い ただき講演会並びに勉強会を開催しました。3 日とも 30 名以上の参加があり、活発なディスカッションを行う ことができました。 まず、1日目の事前勉強会では 2 つのテーマで勉強会を行いました。 「ICRC 基礎知識編」では、ICRC の理念や活動から、駐日代表部様が行 っている日本独自の活動まで幅広く学び、また「世界で1番新しい国の医 療」では南スーダンの現状について学びました。 2 日目は、ディスカッションをメインに行いました。前半は「今宵聞い てみたい、紛争地の医療に興味を持ったきっかけは?」と題し、参加者同士
イベント宣伝画像
で紛争地の医療に興味を持った理由を語らいました。参加者それぞれが、紛争地の医療や国際協力に興味を持 つようになった思いの丈を聞くことができ刺激を受けました。中には身の回りにこのテーマに関心がある人が おらず、この時間でモチベーションが上がったという声もあり、IFMSA-Japan という全国組織での活動でこの テーマを扱うことの意義を強く感じました。後半は、「ケースディスカッション」と題し、3つのケースにつ いて話し合いました。実際に ICRC の活動現場で生じた事例を用いて、私達だったらどのように行動するかを考 えました。対立する正義が存在する国際社会で、支援の受け手に認められた活動を行うことの難しさがわかっ たという意見があるなど、有意義な時間となりました。 3日目には、武蔵野赤十字病院にて看護師として勤務され、南スーダンなどの紛争地域の医療支援にも従事 されている朝倉裕貴様を講師としてお招きし、「紛争地のリアル」についてご講演をしていただきました。実 際のご経験を基にお話しくださり、現地での具体的なエピソードや南スーダンで多い症例に関して知ることが できました。また、渡航に至った朝倉様の心の動きなどについてもお話しいただけ、将来この分野を志す学生 にとって、具体的にイメージするきっかけとなりました。 70
(4)国際イベントの告知、渡航や報告会のサポート 国際イベントの告知や世界総会参加後の報告会に力を入れまし た。国際イベントの告知については、日本の大学の夏休み期間での 参加の検討が可能と考えられた SCORP Camp の紹介を積極的に行 いました。世界総会の参加報告については、合計 7 回行いました。 内訳は、SCORPions の集いと HiNaP の Hiroshima Summer School (以下、HSS) にて WS を、オンラインでは世界総会報告会シリーズ 全4回と LARF のプロジェクトミーティングでの報告会を行いまし た。SCORPions の集いでは、世界総会がどのようなものであるか説 明し、SCORP セッションで行われた WS の一部を再現しました。
インフォグラフィック
HiNaP と LARF での報告会では、主に各プロジェクトで出展した Activities Fair の様子、フィードバックの共有を行いました。オンラ インの報告会では SCORP スタッフ全員を対象に行い、Pre 世界総会 の参加者による広報やキャンペーンに関しての WS、世界総会の概 要、SCORP 本部の活動やプラットフォームの紹介、SCORA と共同 で難民や移民について扱いました。特に広報やキャンペーンに関し ての WS の実践編として、10 月 17 日の「貧困撲滅のための国際デ ー」に向け実際にキャンペーンを行い、貧困に関するインフォグラ フィックスを作成しました。報告会の参加者の中からは、話を聞い て世界総会に行きたくなったという声も聞き、経験のバトンを繋ぐ
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機会にもなりました。
3.今後の展望・課題 今年度より新たに POYOPIN(障がい者に対する差別、偏見、冷遇撲滅を目指すプロジェクト)も活動をスター トし 5 つのプロジェクトを軸に、「SCORP 国際業務チームの基盤強化」、「スタッフ間の連携強化」に特に力 を入れてまいりました。国際業務チームでは4回に渡る世界総会報告会、「貧困撲滅のための国際デー」キャ ンペーン、SCORP 本部の SWG への応募、また Asia-Pacific 地域での SWG に SCORP-Japan からも多数参加 するなど、これまで以上に幅広く活動を展開することができました。数年前までは用語すら浸透していなかっ た IFMSA 本部の活動へのハードルを大きく下げることができたと自負しております。また普段はオンラインで 活動するスタッフ間の繋がりを強めるためのイベントなど、心温まる企画も多くスタッフの定着に繋げること ができました。 課題として、都市部でのイベント開催がほとんどのため地域スタッフが少ないこと、知識のアウトプットの 場が少ないことなどが挙げられます。今後は Peer Education を全国各地で行い、スタッフにとっての知識のア ウトプットだけではなく、中高生にとっても人権や平和に触れる機会を作っていく予定です。SCORP に関わっ て下さる皆様にとって、SCORP での経験が素晴らしいものでありますように心から祈っております。今度とも 躍進していく SCORP をどうぞよろしくお願いいたします。
文責│熊本大学3年 村上綾 71
4.イベント一覧 2019 年
2020 年
5月
1月
25
九山新歓 ACTION WS
福岡県
30
6月
1月すこるぷとーく。
2月
9
関東新歓 POYOPIN WS
東京都
4-5
LARF 北海道ツアー事前勉強会
15
中国新歓 LARF WS
岡山県
5
International Team 香港勉強会
8-9
LARF 北海道ツアー
20
やりたい実行チャレンジ
7月 6-7
7月 LAMP
21-27
ACTION Summer Camp 参加
東京都
〜SCORP ニュースそうだったのか!〜 27
マレーシア
GA SCORP Session 参加
16-17
ACTION 災害×医療×九州スタディツアー
2
台湾
SCORPions の集い
26-28
HiNaP Hiroshima Summer School
東京都 広島県
9月 7-8
LARF ツアー
25
第1回 世界総会報告会
28
第2回 世界総会報告会
東京都
10 月 2
第3回 世界総会報告会
5-6
ぽよぴんあーと
8
モーニングすこるぷとーく。
12-14
第 17 回日本総会 Training
22
第4回 世界総会報告会
東京都 東京都
12 月 3
UHC Day シンポジウム
18
ACTION オンライン勉強会
28
Asia-Pacific SCORP MTG
29-30 SCOtRiP
やりたい実行チャレンジ 〜日本で暮らす外国人の医療〜
(台風襲来により中止) 20-22
POYOPIN オンライン勉強会
3月
8月 1-7
北海道
東京都
神奈川県
72
17
LARF 北海道ツアー報告会
19
スタディツアー in インド報告会
21
モーニングすこるぷとーく。
28
医療を全ての人に with ICRC 事前勉強会①
29
医療を全ての人に with ICRC 事前勉強会②
30
Connecting the Green Dots
31
医療を全ての人に with ICRC 講演会
ACTION Project (ACTION)│SCORP (ACTION … Asian Collaborative Training on Infectious disease, Outbreak, Natural disaster, and refugee management Project) 1.活動理念 ACTION project はアジア太平洋地域において災害時にイニシアティブを発揮できる医療者を育成することを ビジョンとしています。そしてアジア太平洋地域における災害の危機管理の際に必要な技術や知識を医療系学 生に提供することをミッションとしています。
2.今年度の主な活動 ACTION 2019 in Malaysia 【開催期間】2019 年 7 月 21 日〜27 日 【場所】Kuala Lumpur, Malaysia 【対象】災害に関心のある人、海外の学生との学びを経験したい人 【テーマ】Refugee management, Natural disaster & Emergency medicine
集合写真
【内容】今年度の ACTION Summer Camp は Refugee management, Natural disaster & Emergency medicine をテーマにマレーシアのクア ラルンプールで開催されました。日本、バングラデシュ、インド、イン ドネシア、中国、パキスタン、台湾、マレーシア、フィリピン等アジア の各国から、100 名を超える医療系学生が参加し、日本からは 6 名参加 しました。1 週間の活動の中で、ワークショップや講演を通して災害時 の対応、感染症に対する知識、また One Health といった医療における 新たな概念についてフィールドワークを通して学びました。夜は観光や
ワークショップの様子
パーティーを通して海外の学生との交流を楽しみました。 災害×医療×九州スタディツアー(台風 10 号により中止) 【開催日時】2019 年 8 月 16,17 日 【場所】福岡県朝倉市 【対象】日本の災害医療に関心のある人 【内容】日本の災害の現場に実際に足を運び、自分の目で見て、聞い て、考えてをすることにより学校では勉強できない災害や災害医療に対す
フィールドワークの様子 の様子
る知識を身に付け、また災害時に活動されていた方々のお話を伺うことで現場の生の声を聴き今必要な医療と はについて議論する予定でありましたが、台風 10 号の影響により、各交通機関の運航停止また参加者の安全を 第一ととらえ、開催を中止としました。開催中止は断腸の思いでありましたが、改めて自然災害の脅威を思い 知り災害に対する備えを再確認できるものとなりました。
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目的 1. 自分たちが住む日本の災害について学び、1 人でも多くの学生に災害医療に興味を持ってもらう 2. 過去の経験から、今後どのような問題が起こりうるのか、どんな対策ができるのかを考える 3. Summer Camp 等で海外の学生に日本の災害について発信するための知識を身に付ける 予定内容 ・九州北部豪雨 体験教訓バスツアー ・被災時に現地で活躍された講師をお招きした講演 ・コミュニティデザインワークショップ ・HUG(避難所運営ゲーム)ワークショップ Summer Camp 後報告会 【開催期間】2019 年 9 月 27 日 【場所】専用の Skype グループ 【対象】災害に関心のある人、Summer Camp に興味がある人や参加できなかった人 【内容】Summer Camp2019 を終えて、Summer Camp がどのようなものであるか説明して 1 人でも多くの 人に参加する意欲を持ってもらいました。またワークショップの内容共有や現地での英語に対する感想、また 参加者一人一人が今回のサマーキャンプを通して感じたことを共有してもらうことにより、世界各国の学生と ACTION というテーマを通して何が今の私たちに議論できるのか、これから医療系学生として何を学んでいか なければいけないのかを参加者全体で考えました。 目的 1. 1 人でも多くの人に ACTION Summer Camp に興味を持ってもらい、参加するきっかけを与える 2. Summer Camp2019 のテーマやコンテンツについて共有し学んだ知識を伝える 3. 国際交流の場において災害や感染症、難民等について自分の意見を持ち、伝えられる発信力を身に付ける Skype オンライン勉強会「健康と災害」 【開催日時】2019 年 12 月 18 日 【場所】専用の Skype グループ 【対象】災害に関心のある人 【内容】最近日本で起こった健康被害と災害をリンクさせて日本の最近の医療事情について議論しました。特 に 2019 年は台風による被害が多い年であったため、台風に関連した災害を多く取り上げ、それにより引き起こ される健康被害について勉強し、その対策として何ができるのか、医療系学生としてもしその場に居合わせた 場合は何ができるか等を話し合いました。非常に活発な議論が行われ、参加者の多くが現在日本で起こってい る災害時の健康被害について勉強することができたとともに、日本ではあまりなじみのないような災害(例:噴 火など)に対する意見等もあがり、今後の ACTION のさらなる活動を期待できる片鱗が見えた非常に有意義な勉 強会となりました。 目的 1. 災害が身近になりつつある今、実際に災害が起こった時に医療者として何ができるのか考える 2. 現在日本で起こっている災害や健康被害について認識する 3. 災害や健康被害に対する意見を考え、共有し発信する力をつける 74
3.今後の展望・課題 今年度は、自国の災害医療について今以上に興味関心を高め、知識を蓄えた後に自ら発信する力をもった人 材となることをテーマにしてきました。 日本は世界の中でも災害大国であり、幾度となく大きな試練を迎え、それを乗り越えてきました。しかしな がらその災害について学ぶ場というのは、残念ながら、学校教育の範囲内では少ないように思われます。医療 系学生をはじめ災害医療に興味関心を抱く学生は非常に多く、弊プロジェクトとしては、今後もこのような学 生団体であるという特別性、また多くの学生の興味関心に寄り添ってなるべく多くの方に災害医療について知 ってもらい、ぜひ自分で発信する力をつけていくような人材を育成し続けていきたいと考えております。 また ACTION はアジア地域の多国籍プロジェクトであり、国際色が豊かなことも魅力の一つであります。し かし他国とのカリキュラムのずれにより、Summer Camp への参加人数が減少している傾向があります。多国 籍であるがゆえに多少の難点が生まれるのは致し方無いことではありますが、ぜひともこの機会を存分に生か し海外の学生との交流を図ることで、または体験を共有することにより、多くの刺激を受け、世界で現在一番 ホットな話題は何なのか、常に最先端のあらゆる Diversity にアンテナを張り続けていってほしいと思います。 さらにそのような絶好のチャンスに臨むにあたり、ぜひとも自国の状況を自分の言葉で伝え、発信し、対等に 議論できる人材となっていってほしいと思います。日本人は英語に対する苦手意識がとりわけ高いように思わ れます。しかし世界基準で考えた際、に英語ができないというのは、もはや通用しない時代が来ています。で すからこのプロジェクトを通して少しでも言語に対する障壁を取り除き、広い海へと Dive し、是非 ACTION を 起こせるような人材になっていってほしいと思います。
文責│東北医科薬科大学 3 年 東海林莞央里
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Hiroshima Nagasaki Peace Project (HiNaP)│SCORP 1.活動理念 Hiroshima Nagasaki Peace Project (以下、HiNaP) は、歴史・戦争史、さらに核利用と医学の関連を学ぶこ とを通して、将来の平和と人々の健康を考えるプロジェクトです。そこで、被爆地広島・長崎のみならず唯一 本国にて地上戦の行われた沖縄、また現在進行形で抱えている核問題として原発について学ぶため福島にも実 際に足を運び、医療系学生ならではの観点も交えつつ、平和や非核について学ぶスタディツアーを開催してい ます。例年、密度の高い宿泊型のツアーを企画し、参加者同士で平和や非核についての考えを共有し深めてい ます。また日頃からオンラインの勉強会を開いており、平和や非核について幅広い観点から学んでいます。こ れらの活動を通し、医療者の立場から世界平和に貢献できる人材を育成することが目標です。
2.今年度の主な活動 1. Hiroshima Summer School (以下、HSS) 「歴史を知る」「戦争体験の共有」というイベントテーマのもと歴史を 振り返り、日本の戦争史の知識を身に付け、それを世界へ発信することを 目標として行いました。参加者は 15 人でした。 1 日目は、平和記念公園とハチドリ舎を訪れました。ヒロシマに実際に 足を運ぶことで、戦争が起こった事実を強く再認識できます。ハチドリ舎 ではオーナーの安彦恵里香様との対談をさせていただきました。一昨年の ハチドリ舎にて安彦様と
HSS でも伺いましたが、戦争や核兵器についての自分の考えをとても気 軽にお話しされる安彦様がとても印象的でした。戦争や核兵器について、 いろんな考えを持つ人と気軽に話し合えるような環境を作ることが、相互 理解のために大切であることを学びました。 翌日、三登浩成様の講演会、被爆者の方々の対談会を行いました。三登 様は、原爆投下当時に母親のお腹にいた胎内被爆者です。高校英語教師を 退職後、一人でも多くの人に知ってもらいたいという気持ちで、14 年間
ドーム周辺のガイドをされる三登様
平和記念公園でボランティアガイドをされています。また、原爆や被爆の 実相を伝えるため、90ページのファイルブックを 7 か国語で制作されま した。三登様のお話は生きた語りとして色づいており、深く私たちの心に 突き刺さりました。被爆者の方は「平和サークルひろしま」の学生に紹介 していただきました。広島大学学内で被曝証言会に所属される被爆者の 方々と学生が交流できる機会を設けたり、「原爆と戦争展」のボランティ
平和サークルひろしまの学生たちと被爆者の方々 アスタッフをされたりしています。今回証言をしていただいたのは、眞木
淳治様(当時 14 歳)と末政サダ子様(当時 11 歳)です。被爆者の方々が 一重に若者の未来ために証言をされている意志をお聞きし、その意志を同 世代の人に伝えることが私たちにできることであると強く感じました。 最終日には、放射線影響研究所を見学しました。理事長の丹羽太貫先生 から研究室の案内をしていただきました。日米共同機関で、約 12 万人の 放射線影響研究所にて
疫学データから、放射線の発生機序、被爆距離による健康影響の差異、 福島原発事故との関連など研究しています。
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2. 世界総会の Activities Fair と SCORP Fair にてポスター出展 昨今、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞を期に世界中 で非核を訴える市民活動が活発になっています。そのムーブメントの中で、世界唯 一の被爆国である日本は特別な役割を果たすべきです。HiNaP は、2019 年 8 月台 湾で開催された IFMSA 68th August Meeting(世界総会)で、Activities Fair と SCORP Fair にてポスター出展を果たし、日本からのメッセージを世界の医学生に 伝えることができました。「世界に発信する」という目標に一段前進したと評価で きると思います。 Activities Fair にて
3.今後の展望・課題 HiNaP では、過去の問題をどのように学びそれを現在に生かし、また現在ある課題を未来にどう生かすかと いう連続性のある課題解決を重視しています。そのために歴史学習や有識者からの講演を積極的にしています。 しかし、一年間という限られたタームの中で全てを理解することは難しく、螺旋階段状の学びを代々続けてい くことが今後の課題であると考えます。いつまでも過去のことを学ぶばかりで現在、そして未来に還元できな いままでは進歩がありません。また逆に、過去を顧みず、記憶を風化させ、また同じ間違いを繰り返すのは大 きな過ちです。世界の中で自分たちの現状や取り組みを見つめ直したりフィードバックを受けたり、また国境 を超えて多角的な意見を交わしたりすることは、時流に即した柔軟な活動の方向性を見出すうえで非常に大切 なことであったと実感しております。今年度は実現に至りませんでしたが、ぜひ海外からの参加者を日本に招 聘し、学びを共有することができたらとも考えております。今後も立ち止まって過去を振り返る勇気、現在を 受け止める冷静さ、未来を推察する洞察力でもって、医療系学生として世界平和・非核への影響力のあるアド ボカシー活動を拡散していくことができたらと切に願っています。 「平和」「戦争」というテーマはどこか堅苦しく、あまり話し合う機会がありません。誰もが安全に医療が 受けられる平和な世界。そこに必要なのは戦争のない平和な世界であると考えます。唯一の被爆国である日本 の医療系学生として、これからの平和について一緒に考えませんか?平和である状態の対義語には、解釈の違 いで色々な言い回しがありますが、その中の一つは戦争ではないでしょうか。戦争は、負傷者や精神的に不安 定になってしまう人を発生させてしまうだけでなく、敗北国の経済状況を厳しくさせ、生活環境や栄養状態を 悪化させてしまいます。混沌とした世界は感染症制御もままなりません。平和な状態や平和を目指す態度は、 世界が上記のような方向とは逆向きのストリームを生み出すと考えられます。つまり、平和を希求することが 人間を健康にさせる第一歩なのではないでしょうか。HiNaP の活動の根本は、不健康を生み出すような構造を 紐解いて考えながら、人が健康に向かう根源的なファクターを見つけたいという探究心です。 また、私たちは反戦・反核の考えや思想を求めているわけではありません。戦争や平和、核問題について自 分の考えをしっかりと持っておくことは、グローバル化社会の中で非常に大切です。多くの社会問題に対して 自分の意見を持つことの訓練に、HiNaP の活動を役立ててください。
文責│久留米大学 3 年 藤野萌子
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Law and Medicine Project (LAMP)│SCORP 1.活動理念 今年度の Law and Medicine Project (以下、LAMP) は、「医療や人権の問題に対して医学に限らず様々な視 点から解決を目指す医療者を育成する」事を理念として活動してきました。 我々医療系学生は、大学ごとに多少の差はありますが、正常な人体の構造を生物学的な観点から学ぶ基礎医 学に始まり、続いて臨床医学として、各疾病の病態、診断、治療法を学びます。人々の健康な生活を確保する ものとして、人体の正常 (健康な状態) と異常 (疾病に罹った状態) に関する知識は不可欠かつ膨大であり、勉 強を続けていく必要があります。これらの知識は臨床の現場では、患者の抱える疾病を診断し治療方針を決定 することに必要不可欠ではありますが、実際に生活する患者が抱く悩みを和らげ、状態を改善するには診断と 治療・処方のみでは不十分です。医学的には良いとされる治療法を紹介できたとしても、経済的な状況によっ ては負担のほうが上回ってしまう事もありますし、継続的な治療が必要な場合、労働や居住の環境によっては 治療を十分に施せない場合があります。「キュアからケアへ」と言われてきたように、患者へただ治療を施す だけでなく、患者の QOL を高め、身体的・精神的・社会的な健康を保つことは今では当たり前に医療者に求め られるようになりました。そのためには患者の疾病に関する問題だけでなく、その患者を取り巻く環境・社会 生活などを多角的に観る能力に加え、社会制度や社会資源・サービスなどの知識も必要となってきます。また、 昨今様々な最新技術や情報技術などが開発され医療面にも活かされる時代になってきており、それらにもアン テナを張りながら、より良い医療を進めていくことも必要となるでしょう。 LAMP は、医療系学生である我々IFMSA と法学生団体である The Asian Law Students‘ Association (以下、 ALSA) が共同で活動しているプロジェクトであり、所属する学生は、医学部、看護学部、法学部、経済学部等 と多岐にわたります。スタッフはいずれも医療の話題に関心のある者ですが、医療問題を考える視点は様々で あり、1つのテーマで議論をしても思いもしなかった視点から意見が飛び出すことがしばしばあります。上記 のように医療に関して広い視野を獲得するには、こうした多様な所属の学生が集まり様々なテーマについて議 論することのできる LAMP はうってつけのプロジェクトだと考えており、この利点をより多くの人に活用して もらえるように今年度は活動してきました。
2.今年度の主な活動 今まで、LAMP 自体の認知度はそこまで高くなく IFMSA で活動している学生の中でも LAMP の存在自体知ら ないという学生や、存在は知っているが詳しい活動内容については知らないという学生も多くいました。その ため、今年度はまず LAMP について多くの人に知ってもらい興味を持ってもらえるように新歓等でのプロジェ クト紹介に力を置きました。その甲斐あってか、新歓後どのプロジェクトに興味があるかという SCORP 内での アンケートでは比較的興味を持ってくれた新歓参加者が多かったように感じられました。新歓以降は、そのよ うな人たちに有益な場を提供できるよう ALSA の方々と協力して活動しました。また、前年度からは活動にオ ンラインでの勉強会も追加していましたが、やはりオフラインで顔を直接会わせながらの交流の方が良いとい う意見が強かったため、今年度はオフラインの勉強会を開催することになりました。しかし、開催場所が関東 になるため、関東以外の学生も気軽に参加できるように教室に Skype をつないだパソコンを設置しビデオ通話 を行うことで、オフラインでの勉強会にオンラインでも参加できるような新たな体制を試みることにしました。
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◆第1回法×医学術交流会 【開催日時】2019 年7月6日 【開催場所】早稲田大学早稲田キャンパス 【対象】法律と医療のつながりについて興味を持っている学生 【活動報告】 この勉強会、はアラカルト形式で3人の発表者がそれぞれ 「日本のケア・イノベーション」 「先端医療と生命倫理」 ワークショップの様子
「生殖医療(堕胎行為)」
のテーマでレクチャーとディスカッションを交えたワークショップを行いました。今回はオフラインで行いま したがオンラインでも3名参加してもらうことが出来ました。ディスカッションでは、様々な知識や価値観を 反映した多様な意見を交換することが出来ました。 (1)日本のケア・イノベーション:このワークショップでは日本の高齢化や介護難民の状況、地域包括ケアシ ステム、多元化する社会構造を通して日本における今後の介護問題について考え議論し、また、国内外から注 目を浴びているオランダの地域看護モデルも参考にしながら日本の介護問題について勉強しました。 (2)先端医療と生命倫理:「夢の医療」とも評される先端医療にまつわる問題もテーマとして扱いました。生 命倫理の歴史や先端医療が抱える倫理的課題を紹介しながら、日々進歩している医療に法整備は追い付いてい るのか、倫理について改めて考えることが出来ました。 (3)生殖医療(堕胎行為):生殖医療の中でも今回は堕胎行為に目を向けてみました。中絶を罰する「堕胎罪」 と中絶を認める「母体保護法」に関して歴史を交えながら学び、加えて中絶の方法やそれが心身に及ぼす影響 についても学びました。それらを踏まえて、参加者にはロールプレイングを行ってもらい、より具体的に身近 なものとして考えるきっかけとなりました。
3.今後の展望・課題 疾患を抱えた患者治療をするだけでなく、悩みを解決し健康を向上させるには医学的知識はもちろんですが、 それ以外にも医療に関する様々な領域の知見を持つことが重要です。また、知識を学ぶことに加えて物事を多 角的な視点から観て柔軟な思考で考えることができる医療者を育成するためには、多様な専門を持つ学生同士 で議論しあうことが効果的です。幸い IFMSA-Japan には様々なビジョンを持ったプロジェクトが活動しており、 さらに LAMP は ALSA とも共同できる立場にあります。こうした環境を生かし、他プロジェクトと積極的に共 同して勉強会の場を設けたいと考えています。 上記に加えて、学術交流会で得た貴重な学びを共有できるような取り組みや、IFMSA-Japan 内部での勉強会 等の充実により、さらに多くの学生がこの機会を活かせることを切望しております。
文責│防衛医科大学校 3 年
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本多彩英
Learn About Refugee project (LARF)│SCORP 1.活動理念 Learn About Refugee project (以下 LARF) は、「貧困などのテーマを通じて、社会問題を考え社会的弱者 と向き合う機会と場所の提供」というビジョンを掲げ、活発な学びあいの場であること、実際に社会に飛び出 して貧困問題の改善に向けた活動を行うこと、の二点に特に重点を置き活動に取り組みました。
2.今年度の主な活動 今年度は、実際に集まって行うオフラインイベントを大切にする傍ら、より多くの医療系学生が自らの地域 で貧困問題の改善に向けた活動をはじめるために、各々の得意分野からの活動を行いました。 <イベント主催> ◆夏の貧困ツアー 2019 年9月7,8日 東京都 ◇路上生活者支援・生活困窮状態にある方の生活支援を行っている NPO 法人「山友会」様訪問 山谷地域の歴史や路上生活者の困難や貧困問題の現在を学び、山友 会様の活動のはじまりである無料診療所「山友クリニック」、ケア付 きホーム「山友荘」を見学、山谷の街を歩くスタディツアーに参加し ました。生活支援そのものはもちろんのことですが、コミュニティづ くりや余暇活動・いきがいづくりに対しても活発に活動されており、 “支援者と非支援者”の関係性に終始せず、共に生きる隣人というフェ 無料診療所「山友クリニック」見学
アな関係性を活動の中で自然につくられている山友会様のお話はどれ も温かく興味深いものでした。 ◇子どもの貧困の解決をめざし家庭への支援を行っている NPO 法人 「キッズ未来プロジェクト」様訪問 約7人に1人といわれる子どもの貧困問題の背景や現状を学び、キ ッズ未来プロジェクト様が行っている子ども食堂を通じた食事支援、 衣食住以外にも経験を増やすための支援、生活用品支援などについて 伺いました。関わっている各家庭や家庭間の関係づくり、食事そのも のを美味しく安全にといった工夫や活動の継続性への工夫など、重要
猪爪様との集合写真
な気づきを多く頂きました。 ◇子どもの貧困について考えるワークショップ 子どもの貧困についての基礎知識や統計情報をはじめ、今の私た ちにできること、将来医療職として挑戦してみたい貧困問題への打 開策を考え、個々のアクションプランとしてまとめました。
アクションプラン作成
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◆冬の貧困ツアー 2020 年 2 月8,9日 札幌市 ◇仕事を提供し自立を応援する「ビッグイシューさっぽろ」様訪問 路上生活者へ独占業務委託という形で仕事を提供し、生活の自立を応 援する会社「ビッグイシュー日本」の公式販売サポーターである「ビッ グイシューさっぽろ」様にお話を伺い、仕入れを終えて持ち場へ向かう 販売者様に同行させていただきお話を伺いました。現在の生活に至る経 緯は様々で、困窮状態でない時期、定職に就いていた時期もあるそうで す。相手を固定観念で見ない、という大切さを改めて強く感じました。
ビッグイシュー販売者様との集合写真
◇「札幌の労働と福祉を考える会」様、「札幌司法書士会」様共催の炊き出しお手伝い 北海道大学の講義で調査をした際に冬の寒さ厳しい札幌にも路上生活 者がいるとの気づきを得たことから発足し、困窮者生活支援を行ってい る「札幌の労働と福祉を考える会」様のお話を伺い、炊き出しのお手伝 いをボランティア活動として行いました。食事支援のほかにも、衣服や 散髪、法律クイズなどもされていました。長期間の支援を続けてこられ ている団体様ならではの雰囲気もあり、学びの多い時間になりました。 ◇ボランティア活動をするうえで大切なことを考えるワークショップ 炊き出しお手伝いの経験を踏まえ、より問題解決に近い活動にするた
プレゼンテーションの様子
めに重要なことを考えるワークを行いました。学生、継続、ニーズ、などキーワードを設定しディスカッショ ンを行いました。 ◇地域の貧困ワークショップ 参加者自らの出身地域や大学所在地にある貧困問題や社会問題について調べ、プレゼンテーションを行いま した。貧困問題はないだろうとイメージを持っていた地域でも貧富の差が大きい場合があることに驚いた参加 者も多いようでした。その後、北海道の貧困問題について地域差と経済の両面から考えることで、医療へのア クセス可能性と貧困問題について考えました。参加者間で新しい気づきを得た時間となりました。 <ブース出展・オンライン勉強会> ◆世界総会 Activities Fair ブース出展 2019 年8月 8 月に開催された世界総会の Activities Fair に、LARF からも出展しました。Activities Fair とは、世界中の IFMSA メンバーが一堂に会し、各国の活動を発表しあう場です。私たちは、日本の貧困の現状について問題提 起をし、議論を深めていきたいという思いで出展を決意しました。多くの方の協力をいただきながらプログラ ム登録を行い、当日に臨みました。日本の貧困状況に関するデータを交えた解説や、ドヤ街などでのフィール ドワークやワークショップの様子を、ポスターやアルバムを用いて紹介しました。活動の概要に興味を示して 下さった方も多かった一方、各国で抱える貧困事情が異なる中でいわゆる「先進国」と言われる日本で起きて いる貧困の現状について、わかりやすく説明するのはとても難しかったです。また、イベントを行った際、反 響や効果を数字で示すことの重要性についてもご指摘いただき、ツアーの前後のアンケート調査などの拡充を すすめる必要があると感じました。 81
◆日本総会 Activities Fair ブース出展 2019 年 10 月 13 日 日本総会参加者を対象に、LARF の活動を紹介する展示を行 い貧困問題への興味を持ってもらうきっかけとしました。自然 災害の恐れによる大幅なスケジュール変更となりましたが、参 加者からも発表者からも貧困問題をより深く考えるいい機会に なったとの感想をいただきました。プロジェクト内の活動やイ ベント開催ももちろんのことですが、IFMSA-Japan の中の LARF という立ち位置で IFMSA-Japan 内への発信も積極的に
日本総会 Activities Fair 発表資料 (一部)
行っていきたいと決意を新たにしました。 ◆冬の貧困ツアー事前勉強会 2020 年2月4,5日 オンライン SCORP スタッフ・冬の貧困ツアー参加者を対象に貧困問題に ついての基礎知識や北海道ならではの貧困問題についてのオンラ イン勉強会を行いました。ツアー訪問先団体様の活動内容につい ての知識をツアー参加者が学ぶと同時に、ツアーに参加できない スタッフも参加し活発なディスカッションの場となりました。 冬の貧困ツアー事前勉強会 発表資料 (一部)
◆冬の貧困ツアー報告会 2020 年3月 17 日 冬の貧困ツアー参加者から SCORP スタッフへ冬の貧困ツアーで学んだことの共有を行いました。ウェブペー ジなどの情報から推測できる事前勉強会の内容とは異なる、団体さんの実際の活動内容と見学・参加させてい ただいて感じたことなどを共有する機会となりました。貧困問題を扱い、当事者のプライバシーに触れやすい LARF ツアーの性質上、一度のイベントの参加者は 10 人程度と少なく抑えています。参加者から参加できなか った方へ情報や感想の共有を密にしていくことは、貧困問題に関わり活動をはじめる人を増やすために重要だ と考えているため、このようなツアー報告会の開催は継続していきたく思っています。 <情報発信> ◆LARF 交換ノート”leaf” LARF スタッフ LINE のノートにて、LARF 交換ノート”leaf”を行い、スタッフによる計 18 投稿で学びや気づ き、ツアーの感想を共有しました。医療に限らないさまざまなトピック・観点からの投稿を読み学びあうこと ができました。 ◆SCORP 公式 Instagram SCORP-Japan として運営しているインスタグラムアカウントにてイベント実施報告を行いました。
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3.今後の展望・課題 本年度は、2度のオフラインイベント・スタディツアーを軸に、現地での学びを最大化できるよう事前勉強 会や活動報告会を通じて参加者以外にも学びを拡げてきました。今後の課題としては、「LARF 交換ノート”leaf” の活発化」「他委員会・プロジェクトとの合同企画の開催」「地域イベントをより多く開催する」の3点が挙 げられます。プロジェクトの性質上、スタディツアーでは他者の生活やプライバシーにふれ、学ばせてもらう 場面が多く一度のスタディツアーの参加者は少数に限っています。より多くの方と学びを深めるため、”leaf“の 更新を通じた学びのシェア、合同企画を通じ貧困問題を知ってもらうと同時に他分野にふれる合同イベント、 地方在住学生とも実地経験を通じて学ぶイベントの開催に力を入れていきたいと考えています。今後も貧困な どのテーマを通じ、社会問題を考え社会的弱者と向き合い行動を起こす学生を増やすため、活動を継続してい きます。
文責│山梨大学4年 荒木芽衣
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POYOPIN Project (POYOPIN)│SCORP (POYOPIN … Project for Overcoming Your and Our Prejudice and INhospitality against challenged people) 1.活動理念 POYOPIN は、障がい者に対する偏見、差別、冷遇をなくすことを目指して活動するプロジェクトです。 障がい者に対する偏見や差別、冷遇が社会に存在する背景に、障がいを持つ人々と持たない人々が、社会の 中で区別されて生活している現状があります。このため、障がいを持たない人々が、障がいを持って生きる 人々の姿を知る機会を持てないことが少なくありません。加えて、障がい者はマイノリティであるため、社会 を築く上で、障がい者に対する理解と配慮を欠いてしまっているという問題があります。 こうした問題にアプローチし、現状を変えていかなければなりません。そのために、POYPOIN は障がいの実 際を正しく知ることのできる機会を生み出し、障がいを持つ人と持たない人が関わりの中でお互いを理解して いくことができるよう、活動していきます。
2.今年度の主な活動 活動理念に則って、情報を集め障がいについて少しでも理解すること、当事者と直接関わって現状を知るこ と、そして障がいに関する現実を社会に訴えることを、活動の軸としました。 ぬいぐるみ総会コラボワークショップ 【開催日】2019 年 8 月 17 日 【場所】国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区) 【対象】子どもの保健活動に関心のある学生 【内容】IFMSA-Japan のぬいぐるみ病院プロジェクトとのコラボレーショ ンにより、「ぬいぐるみ総会」内でワークショップを行いました。ボッチ ャなどの障がい者スポーツについて学ぶとともに、障がいがあっても楽し
ワークショップの様子
める「遊び」を考えるグループディスカッションを企画しました。障がいがあることでどんなことがやりにく くなるのか、楽しむためにどんな工夫が必要か意見を出し合って「遊び」としてまとめることによって、障が いを持って生きる人々に対する具体的な寄り添い方を考え、参加者間で共有することができました。 ぽよぴんアート 2019 【開催日】2019 年 10 月 5 日 【場所】千代田区立麹町中学校(東京都千代田区) 【対象】障がいをもった子どもとの関わりに関心のある学生、 家族、友達、きょうだいなど 【内容】障がいのある子供も、ない子供も、区別なく時間を共有できるよ う企画されたものです。アーティストの中津川浩章様、NPO 法人アクセプ ションズ様のご協力をいただき、打ち合わせを重ねながら実現されまし た。当日は、中津川様のファシリテートのもと、ダウン症のある子、ダウ ン症のない子、そして親やきょうだいが一緒に、アートを楽しみました。 84
ぽよぴんアート 2019 集合写真
アートを通じて、ダウン症があるかないかということに関わらず、参加者同士がお互いを尊重して同じ時間を 過ごすということを経験することができました。また、このイベントの様子は、アクセプションズ様によって YouTube 上に動画としてまとめて頂いたこと、そして毎日新聞社の取材を受け記事に取り上げて頂いたことに より、多くの人の目に止めていただける形とすることもできました。 世界の障がい者福祉オンライン勉強会 【開催日】2020 年 2 月 27 日 【場所】SCORP の Skype グループ 【対象】SCORP スタッフ 【内容】精神疾患に関する勉強会を行いました。この勉強会では、イタリア のトリエステ市における精神疾患に対するケアの取り組みを、現地に留学し たスタッフより報告しました。トリエステ市では、精神科の単科病棟を廃止 して地域でのケアを実践しており、この実践について知ることは、精神疾患 に対する偏見をなくすことを目指す POYOPIN にとって、重要な学びとなり ました。さらに、世界の精神疾患に対する医療・福祉体制と日本の現状を比
報告スライド(一部)
較しながら、知識を深めました。
3.今後の展望・課題 今年度は、子どもとの関わりの中で障がいについて理解していくことが主な活動内容となりました。今後は、 これまでの活動を継続的に行うことに加えて、子どもだけでなく様々な年代の障がい者のことを理解して行く ことも必要となります。さらに、医療的ケアが必要な患者の支援など、医療者としてできることを正しく学ぶ ことも重要です。障がい者に対する偏見や、差別、冷遇は、本人はもちろんのこと、家族や支援者の方々など、 様々な立場の方々にとって大きな苦しみとなっています。また、日々を生きること、学業のこと、将来のこと など、ライフステージに応じて悩みや苦しみも変化していきます。偏見や差別、冷遇をなくしていくために、 医療者としてできることを、様々な観点から学ぶことのできる活動をすることが、今後の課題となります。 また、今年度はイタリアへの留学経験のあるスタッフがいたことで、現地の精神疾患に対するケアの取り組 みを学ぶ機会を設けることができました。障がい者に対する偏見をなくしていくための取り組みを、国際的な 視野で知ることは、本プロジェクトとしても非常に重要となります。今後は、IFMSA-Japan 内の豊富な留学サ ポート体制と連携しながら、海外での学びを深められる場を提供できるかが、プロジェクトとしての課題です。 以上の課題と向き合いながら、障がい者の生きづらさを理解し、どのように寄り添うかを考え続け、周囲に も発信していくことのできる人材を育成していけるよう、プロジェクトの活動を進めていきます。そうした経 験を積んだ医療者が、障がい者に対する偏見、差別、冷遇を社会からなくすために、大きな役割を果たしてい くと確信しています。
文責│島根大学 4 年 滝沢章
85
8.SCOME│医学教育に関する委員会 1.活動理念 医療系学部の教育カリキュラムは私たち生徒を対象にしたものにも関わらず、その改善や授業の内容や制度 について知る機会は多くありません。近年、医学が著しく進歩し、学校で教えるべき情報量が増大してきまし た。そんな時代だからこそ、学校での勉学だけでなく自ら医療者になるために必要なことを学ぶ場所が求めら れています。 SCOME では、「日本中の医療系学生が普段自分たちの受けている教育にほんの少し意識を向けるだけで、現 在の医学教育、さらには未来の医療は必ず良くなる」という理念を掲げて活動しています。年度の目標を、 「多角的な視点に気づき、患者さんと寄り添える医療者を育成する」と定め、「寄り添うこと」をはじめとし たさまざまなことを学ぶ場を提供し続けてきました。その他にも、医療に関する様々な問題の原因として、医 療関係者以外の一般の方々における医療知識の不足があげられます。これらの問題を解消すべく、教育をテー マとして掲げる委員会として、医療や医療系学部の情報を高校生に啓発する活動も行っています。
2.今年度の主な活動 ◆より良い医療を提供できる社会を作る活動 高校生向け出張授業「医療者を目指す君たちへ」全 8 回 全国 8 校の医療系学部を目指す高校生 300 名に向け、以下の 2 点を目的に、医療系学生による高校生向け出 張授業を開催しました。 〈目的〉 1.高校生が医療現場や医療系学部の大学生活について詳しく知る機会を提供し、受験に対するモチベーション をあげてもらうこと 2.ある程度の体や医学知識を身につけて医療について興味を持ってもらうきっかけとすること 〈日程〉 2019/9/28(土) 山形県立酒田東高校(山形) 2019/11/10(日) Z 会進学教室 ラボラトリ三島 (静岡) 2019/11/23(土) 愛媛県立今治西高校(愛媛) 2019/12/14(土) 福岡県立小倉高校(福岡) 2019/12/21(土) 世田谷学園中学・高等学校(東京) 2019/12/26(木) 山形県立米沢興譲館高校(山形) 2020/2/1(土) 大谷中学校・高等学校(大阪)
体の構造を描きながら学んでいる様子
2020/2/15(土) 金蘭千里中学・高等学校(大阪)
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〈リアル脱出救命ゲーム〉 まず、体の臓器の場所や働きなどを覚えた後、謎解き形式でけがや病気 の対処法を学びました。日常生活で遭遇しうるアナフィラキシーや心室細 動、緊張性気胸などを割り振り、患者をどう助けるかを班ごとに考えまし た。高校生は保健室に行って氷を借りたり教室の中のものを工夫して用い たりしてどう対処するかを考えていました。スタッフが予め患者役に創傷 メイクを施しており、普段経験できない創傷メイクを体験できたこと、医 療について学べたことは高校生にとっていい思い出になったようです。 ワークショップの様子(酒田)
〈医療者にかかるとき〜あるおばあちゃんの入院〜〉 チーム医療や家族看護の観点から、良い医療者について考えまし た。実際にスタッフが病院実習で経験した症例をもとに、チーム医 療といっても多様な関わり方があること、家族は「第二の患者」で あり、サポートの必要がある存在であることを学びました。家族や 患者にどう声をかけるか等グループに分かれて話し合いました。 〈フリートーク〜大学生に実情について聞いてみよう〜〉
参加してくれた高校生との集合写真(小倉)
数名の大学生が大学生活について紹介した後、高校生が直接相談でき る時間を設けました。高校生は目を輝かせながら、大学生活や志望校選 びなどの話を大学生に質問していました。それぞれの大学の特色につい て聞き比較することができて、高校生は視野が広がったようです。 今回終了後に記入していただいたアンケートでは、「また同じような 企画があったら参加したいですか?」という質問に対し 96%の高校生 から「はい」という回答し 84.3%の高校生が企画を通じてより医療者
フリートークの様子 (興譲館)
になりたいと思ったと回答しました。 ◆その他 ぼやくべ (定期開催) 従来より行われていた「ぼやくべ」を継続して実施しました。スタッフ LINE のノートにスタッフがそれぞれ 思っていること・考えていることを記入し共有するコーナーを設けており、今年度は計 31 回実施しました。普 段離れた場所に居て、顔を合わせて話すことのできないスタッフにとって、「ぼやくべ」は考えや価値観を共 有できる貴重な場となります。これらの企画を通じて「対話しやすい環境づくり」を目標としています。
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こみえもん café (不定期開催) 新歓時期に計 3 回、ニューカマーを対象に、Skype で雑談形式のオンライン企画を実施しました。この企画 は、毎回テーマを一つ決めそのテーマに沿って深く語り合うものです。 今年度のテーマとしては、「好きな音楽について」「昭和・平成・令和
医療系ドラマ振り返り」「あなた
の学部への一歩」を実施しました。初対面のスタッフ間でも盛り上がることのできるものから、目指す医療者 像を深く考えるものまで、幅広いテーマで開催されました。
3.今後の展望・課題 今年度は年度半ばから責任者不在で厳しい場面もありましたが、来年度はスタッフ一人一人のやりたいこと にしっかり向き合いサポートをするという、委員会全体での盛り上げが出来るような体制作りに励みたいです。
4.感想 本年度もクラウドファンディングなどを通じ、たくさんの方に応援いただきましたこと心より感謝申し上げ ます。今後も、ますますの SCOME の発展を願い精進して参ります。
文責│北海道大学 5 年 加地紫苑 東北大学 5 年
林明澄
獨協医科大学 3 年 隝田芽衣
88
5.イベント一覧 2019 年
9月
4月
16
未来の先生展 2019 ポスター発表
28
高校生向け出張授業「医療者を目指す君たちへ」
19
スタッフミーティング
Skype
23
世界総会参加報告会
Skype
18
東北新歓(WS)
宮城県
25
九州山口新歓(WS)
福岡県
27
こみえもん café ~好きな音楽について~
東京都
(以下、高校生企画)@山形県立酒田東高校
10 月
5月
13-14 日本総会 Activities Fair 出展
東京都
11 月 10
高校生企画 @Z 会進学教室 ラボラトリ三島
Skype
静岡県 23
6月
高校生企画 @愛媛県立今治西高校
1
北陸新歓
富山県
12 月
8
東海信州新歓
愛知県
14
高校生企画 @福岡県立小倉高校
9
関東新歓(WS)
東京都
21
高校生企画 @世田谷学園中学・高等学校
14
こみえもん café
Skype
東京都
~昭和,平成,令和,医療ドラマ振り返り~
26
15
中国新歓
岡山県
2020 年
16
関西新歓
大阪府
17
コミュニケーションスキル勉強会
Skype
20
第一回 TMP オンライン勉強会
Skype
23
四国新歓
徳島県
29
北海道新歓
北海道
2月
Skype
23
安楽死勉強会
Skype
24
第 52 回日本医学教育学会 口頭発表
京都府
1-7
世界総会 SCOME session 参加
台湾
30
第 2 回 TMP オンライン勉強会
Skype
大阪府
15
高校生企画@金蘭千里中学・高等学校 多職種合同コンペイベント
東京都
3月 5
Skype 終末期医療勉強会
高校生企画 @大谷中学・高等学校
24
こみえもん café ~あなたの学部への一歩~
4
1
大阪府
7月 3
高校生企画 @山形県立米沢興譲館高校
医療×宗教を見つめるオンライン勉強 vol.1 ~なくしたものとつながる~
19
医療×宗教を見つめるオンライン勉強 vol.2 ~病理学教授が哲学と出会ったら~
27,31 SCOME 総会
8月
89
Skype Skype Skype
Life Lesson Project (LLP)│SCOME 1.活動理念 多様な苦悩や考えをもつ患者さんやその家族の想いを受けとめられる良い医療者になるために、医療系学生 が多様な人生観や死生観を学び他者を理解するための思考の土壌をつくる。
2.今年度の主な活動 ◆オンライン勉強会 2019 年6月 17 日 ドラマを使ったコミュニケーションスキル勉強会 参加者:13 人 2003 年に放送された医療ドラマ「白い巨塔」から、患者さんと医療者が信頼関係を築くために気を付けるべき 姿勢や行動について学びました。 2019 年7月4日 ドラマを使った終末期医療勉強会 参加者:8人 医療ドラマ「コードブルー」から、 DNR【蘇生措置拒否】や安楽死などの終末期における命の問題を取り上げ ました。 2019 年7月 23 日 こみえもんシネマ ドキュメンタリーを使った安楽死勉強会 参加者:7 人 NHK ドキュメンタリー「彼女は安楽死を選んだ」から、日本とスイスの安楽死制度を比較し、安楽死に対する 理解を深めました。 ◆医療×宗教を見つめるオンライン 勉強会 vol.1~なくしたものとつながる~ 2020 年3月5日 参加者:25 人 自死遺族のグリーフケア団体「リヴオン」や臨床仏教師として活動されている野田芳樹先生を講師としてお 呼びし、医療と宗教が合わさったことで生まれる可能性を学ぶことができました。 vol.2~病理学教授が哲学と出会ったら~ 2020 年3月 19 日 参加者:24 人 一般社団法人がん哲学外来理事長で、対話を通して癌で不安を抱えた患者と 家族を支援する個人面談を続けている樋野興夫先生を講師としてお呼びし、苦 悩を抱える患者、家族にかける言葉等の心の支援について学びました。
90
樋野先生によるご講演
3.今後の展望 多くの患者やその家族は病気や死に直面したときに「自身の人生とは?」「生きている意味とは?」という 哲学的な問いに向き合うことになります。患者からのこの言葉に医療現場で何と返事を返したらいいのか正解 はありませんが、現在の医療教育においてはそういったスピリチュアルペインに対するアプローチを学ぶ時間 はほとんどありません。Life Lesson Project というスピリチュアルペインに対するアプローチを学ぶ場が今後 も続いていくことを願っております。
4.感想 オンライン勉強会のみで、オフラインの場を設けることができなかったですが、その代わり全国のスタッフ と関わることができました。Project Coordinator として多くの人に支えられた1年間で、運営面だけではなく 人間関係についてもたくさんのことを学びました。今後も1スタッフとして IFMSA に関わっていくことができ ればいいと思っております。今年度関わってくれたスタッフと参加者に心から感謝しています。
文責│島根大学 3 年 梶木保乃加
91
Team Medicine Project (TMP)│SCOME 1.活動理念 Team Medicine Project (以下、TMP) は、多様な医療系学生同士が相互発信を通じ、将来チーム医療に役立 てるべく、他職種を理解・尊重するとともに、自己の職種への誇りを高める活動をしてきました。その一連の 活動は、今年度の活動理念である「価値観×職業観=∞」へと通じます。 一般的に、医療系学生は大学・専門学校を受験する時点で、それまでの価値観に根差した職業を志します。 しかし、長く専門的な医学教育の中で、自らの歩む道に迷いを持つ学生は、決して少なくありません。各々が 見ていた夢は、かつての輝きを取り戻すべきです。己が職業観の発信は、旧きを訪ね、新しきを知る好機とな ります。そうして培われた俯瞰的な知識、無二の誇りは積極性を養い、チーム医療という営みを生じます。そ してそれらは総じて、患者に還元されるべきものです。 このような場があり続けることは、質の高い医療を提供し続ける、医療者全体の責務だと考えております。
2.今年度の主な活動 Ⅰ
「多職種コンペイベント」の実施
Ⅱ
「日本社会薬学会第 38 年会」での講演
Ⅲ
オンライン勉強会の開催
前項の活動理念で述べた通り、医療系学生自身の発信を最重要視し、活動を行ってきました。 Ⅰ「多職種コンペイベント」の実施 【日時】2020 年 2 月 24 日(月) 【場所】新宿 NPO 協働推進センター501 号室 【対象】医療に興味のある大学生・高校生 【動員人数】スタッフを含めた大学生 10 余名 【目的】 ・スタッフ一人ひとりが、自らの目指す職種の本質・存在意義について問い直す ・その魅力や可能性を、医療関係者以外にも実感させるような発信を目指す ・他の職種への理解と信頼を養うとともに、将来へのモチベーションを高める 新型コロナウイルスが猛威を振るい始める中、感染予防の観点から縮小開催となった「多職種コンペイベン ト」でしたが、幸い申し込みをされた参加者の、ほとんどにご参加いただきました。 このイベントは、2019 年度の集大成として企画したものです。専門化・細分化が加速する医療業界において、 その全体像を把握するのは、医療関係者でさえも容易ではありません。医療行為は一般に、患者・医療従事者 間の信頼関係によって成り立つものであり、その達成には端的で分かりやすい説明が不可欠です。各々が自他 の医療職の役割を理解し、長所として見せることができればきっと、患者と医療者の意思疎通はよりうまくい くはずです。
92
今回のイベントでは、日本薬学生連盟・日本理学療法学生協会・日本獣 医学生協会(順不同、敬省略)の有志の方々にご登壇いただき、様々な視 点から各職種をプレゼンテーションしていただきました。興味深いこと に、3分間という短い時間は、プレゼンターの職業観の違いを如実に表し てくれました。職業のイメージから始める人、現在とこれからに焦点を当 てる人、自身の夢を語る人など、同じ職種であっても、プレゼンターによ って内容が全く異なりました。この内容の違いは、参加者が各医療職を多 角的に見つめ、その本質を捉えるのに一役買いました。
日本薬学生連盟の発表
同様の企画をもう一度行うならば、今度は医療職を志す高校生を招くのがよいと考えています。プレゼンタ ーたちの血の通った職業観は、必ずや高校生の意思決定に、良い影響を与えることでしょう。またプレゼンタ ーへの門戸をより広く開くことで、医療系学生の知識と誇りの、さらなる向上の余地があると確信しています。 Ⅱ「日本社会薬学会第 38 年会」での講演 まだ残暑の厳しかった 2019 年 9 月、愛媛・松山大学樋又キャンパスで 行われた「日本社会薬学会第 38 年会」において、医学生が求める薬剤師像 という内容で、ご講演させていただきました。この貴重な機会は、日本薬 学生連盟(敬称略)から賜ったもので、これからの薬剤師像について議論を 深める場でした。一方 TMP では、後述する「オンライン勉強会」という場 において、高学年の医療系学生をプレゼンターとし、各医療職の専門性の 深さを発信していました。そこで得た知見をもとに、薬学という別の視点
日本社会薬学会第 38 年会の様子
から患者の願いを汲む必要性を訴えました。発表終了後には、薬学生の皆 様からあたたかいお言葉をいただき、団体同士の絆を深めるきっかけとなりました。 Ⅲ オンライン勉強会の開催 2019 年 6 月 20 日、同年度第 1 回目となる、Skype 上でのオンライン勉強会を行いました。この企画では、 精神保健福祉士、診療放射線技師、医師をそれぞれ志望する高学年の学生をお呼びし、質問対談形式で行いま した。事前に「入学前後の、その医療職へのイメージ」や「卒後の進路」などの質問にお答えいただき、気に なった箇所を、口頭で詳しくお聞きしました。勉強会が進み、次第に打ち解けてくると、外からうかがい知る 機会の少ない情報に巡り合うことも、少なくありませんでした。のべ 20 余名の参加者からは、活発に質問が飛 び交い、目を輝かせる様子が浮かぶようでした。この「第 1 回 TMP オンライン勉強会」は、各医療職がそれぞ れ強い魅力と専門性を持ち、互いに補い合ってチーム医療を営んでいるのだと、強く印象付けるきっかけとな りました。好評につき、2019 年 8 月 31 日に開催された第 2 回は、薬剤師、理学療法士の卵をお呼びし、お話 を伺いました。この「第 2 回 TMP オンライン勉強会」も、のべ 20 余名のご参加をいただきました。
93
3.今後の展望・課題 今年度は、他の医療系学生団体とのつながりを、より強化することができました。TMP がその価値を存続さ せるためには、多様な医療系学生の声が欠かせません。学生団体という性質上、卒業というタイムリミットが あるので、人材の流入口を確保することが通年の課題でした。2019 年 9 月の学会発表や、2020 年 2 月のコン ペイベントなどを通じて得たこの糸口を、今後どのように活かしていくかが重要となります。このプロジェク トのミッションは、将来の患者に「チーム医療」を還元することです。その価値を実現するには、様々な方法 が考えられるのでしょうが、いずれにせよ継続性が必要なのは自明です。一貫したミッションの中で、どのよ うな対象に、どのような方法でアプローチするのかを試行錯誤し続けることが、課題と展望を兼ねるでしょう。
文責│弘前大学2年 於本拓也
94
Medical Education Project (MEP)│SCOME 1.活動理念 医学生の感じている教育に関しての悩み・不安を解消することを目標としています。
2.今年度の主な活動 医学生の不安を形にし、世間へ届けることを目標にアンケート調 査を行いました。今年度は3月末に行われる SCOME 総会オンライ ン開催に向けて「教養科目について」のテーマでアンケート調査を 行い、135 件の回答が得られました。これらのアンケート結果を3 月 31 日に行われた SCOME 総会オンラインのワークショップにて題 材として扱い、IFMSA-Japan メーリングリストと Facebook ページ によって公表しました。 また、医学生の現状を分かりやすく伝えるためのホームページ作 りを行いました。夏頃までは北海道3大学について、履修している
ホームページのイメージ
全科目についての再試験者数、留年者数などを調べ、試作版を作っ ていましたが、全国版を作るにあたって必要な情報を絞り、改めて IFMSA-Japan 加盟大学に関して調査を行い 完成版の作成を目指しました。調査が完了した大学に関しては大枠のページはできたものの、未完成の部分も あり公開まで果たすことはできませんでした。これらの活動内容について、8 月 1~7 日まで台湾にて行われた 世界総会の Activities Fair でポスター発表を行いました。
3.今後の展望 立ち上げの 2018 年度から数えると 3 回しかアンケート調査を行え ていないため、医学生の声をもっと多く世間に届けるためアンケート 調査を継続して行おうと考えています。 また、ホームページが公開の形まで至っていないため、これらを一 般にも届けられるような形にすることで初めて、医学生の問題を把握 することができ、さらにその先の問題(教育に大学間で差がある場合、 どのような働きかけができるのか等)に向き合えます。その第一歩とな Activities Fair への出展の様子
るべく、当面はこれらの活動に励んでいく所存です。
4.感想 IFMSA-Japan 加盟大学の皆さまに支えられて活動している部分が多分にありますゆえ、今後とも活動を応援 してくだされば幸いです。2019 年度 MEP を応援してくださった皆さまに心より御礼申し上げます。
文責│札幌医科大学 4 年 樋口海成
95
96
Ⅲ.会議報告 Conference Report
9.National General Assembly (NGA) | 日本総会 1.日本総会について 日本総会(National General Assembly)とは、IFMSA-Japan(以下、I-J)が年に一度開催する最大のイベント で、全国の医療系学生約 300 人が一堂に会する、その年度の I-J の総体制と言えるイベントです。今年のテー マは「僕たちのこれまで、これまで。」でした。自分たちの過去・現在・未来についてのフリートークセッシ ョンを設け、お互いの深い話までできるイベントとしました。今年度は 1 日目が台風 19 号の影響により中止さ れ、2 日間での縮小開催となりました。
2.概要 企画名
第 17 回 IFMSA-Japan 日本総会 英語表記:17th National General Assembly 略称:NGA
形態
学生会議
分野
医学/医療/社会学/教育/公衆衛生/啓発活動
会期
2019 年 10 月 13 日(日)〜10 月 14 日(月)
会場
国立オリンピック記念青少年総合センター 住所:〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町 3 番 1 号 公式 HP (URL):https://nyc.niye.go.jp/
規模/参加者総数
13 日:136 名 14 日:100 名
主催
IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本)
運営
第 17 回 日本総会運営委員(Organizing Comittee)
後援
公益財団法人 日本医師会
98
協賛企業
<ゴールドスポンサーシップ> 株式会社 ケンツメディコ様 株式会社 ドクターズプラザ様 株式会社 メドメイン様 株式会社 羊土社様
<日本総会ブース出展協賛> 株式会社 ケンツメディコ様 協力学生団体
・ALSA Japan
アジア法学生協会ジャパン
・Asian Medical Students’ Association Japan(AMSA Japan) アジア医学生連絡協議会 日本支部 ・APS-Japan
一般社団法人 日本薬学生連盟
・Japan International Medical-ESS Students’ Association(JIMSA) 日本国際医学 ESS 学生連盟 ・jaih-s
日本国際保健医療学会・学生支部
・小児診療のための医学生・研修医ネット こどもどこ 目標
「僕たちのこれまで、これから。」 日本中の医療系学生が日本総会を通して今までの人生経験を振り返り、現在の興味 を追求し将来歩んでいく道を改めて見直すこと。
期待される成果
医療に興味のある大学生同士が交流を深めることで、お互いの人生観や将来の夢を 共有し、年度下半期・来年次以降の活動への意欲を高められる。また、普段オンラ インで活動している仲間と会うことで、自分たちの活動を振り返る機会となる。
団体 Web サイト
www.ifmsa.jp
99
3.日程表 1 日目
2 日目
11:00~11:30
Opening / Icebreaking
11:30~12:00
Activities Fair①
12:00~12:45
Lunch
12:45~14:45
Talk Session「過去」「現在」
14:45~15:15
Activities Fair②
15:30~17:00
Training Session
(13:45~18:00)
総会本会議
17:00~18:30
Dinner
18:30~19:00
外部団体プレゼン
19:00~21:00
Party
21:00~22:00
Night Session
8:40~9:25
小川様、眞邉様、笠井様講演会
9:35~10:35
Dr.Sujit 講演会 / General Assembly 報告会
10:45~12:15
Training Session
13:15~15:15
Talk Session「未来」
15:15~15:45
Closing
4.各プログラムの概要、当日の流れ Opening 台風 19 号の影響により Opening の時間は 1 日目の正午の予定を 2 日目の 11 時に変更しました。初めて顔を合わせる参加者同士が打ち解けるように数 人の班に分かれ、スタッフが用意した謎解きゲームにチャレンジしました。 交通機関の遅延もありましたが 100 人近くの参加者が集まりました。 トークセッション「過去・現在・未来」 今回の NGA の目玉であったトークセッションでは、自分の「過去」「現 在」「未来」についての 4〜6 人のグループで語り合いました。普段学校で 授業やレポートに追われているとつい自分の原点ややりたいことを忘れてし まいます。各セッションで 1 時間〜2 時間もの時間を取り、参加者がゆっく り自分と向き合えるようにしました。参加者同士の会話が弾むように複数の 設問が用意してあり、実際に参加者もリラックスして会話が弾んでいまし た。違う大学で違う学年である互いの深い話をすることで、参加者が刺激を 受けたことを願っています。 100
Activities Fair Activities Fair (以下、AF) は、I-J の既存のプロジェクトに加え、各大学規模 の地域の活動や提携団体などがブースを出展し、参加者に活動内容をプレゼン テーションし評価を得る企画です。 今年度は、例年 2 時間で行うコンテンツである AF を 1 時間ずつの 2 部に分 け、ブースの出展者も他のブースを見学できるようにしました。それによって 熱心に活動している他の出展者の発表を見ることができお互い高め合うことが できました。それに加えて、新たな複数の団体からも AF 出展の依頼を受け、例 年以上の盛り上がりを見せました。 Training セッション IFMSA-Japan のサポートオフィスである Training Office が主宰したこのセ ッションでは、5 つの委員会とのコラボトレーニングを行いました。日頃はサ ポートオフィスとして関わることが多く、共同でワークショップをつくること は初の試みでしたが、各委員会の理事やスタッフの尽力の甲斐あってとても学 びの多いセッションになりました。参加者からも各委員会とのコラボ Training という新しいものに対する新鮮さや、よく練られた Training に高い評価をいた だくことができました。
総会本会議 総会本会議とは、団体加盟している大学の代表者によっ て構成される I-J の最高意思決定機関であり、I-J の運営基 盤となる定款・細則の変更や提携団体との MoU(Memorandum of Understanding)の承認、そして次年度理事の選出が行われます。次年度理事の立候補 演説は 7 名が行い、各々に対する数多くの質疑が寄せられ大変貴重な時間となりました。また岡山大学と名古 屋市立大学が新たに加盟大学となるための演説を行い、どちらも承認されました。今年度の日本総会では台風 の影響でタイトなスケジュールとなり、全関係者への負担を強いることとなりましたが、臨時の大学代表者代 理を参加者の中から選出したりなど柔軟に対応していただきました。団体運営への理解が深まり、I-J の運営を 担う一員としての認識をより一層深めていただけたと思います。 外部団体プレゼンテーション I-J と同じく、盛んに活動している外部の学生団体の活動を日本総会に来た方々に知ってもらうため、JIMSA、 APS、AMSA、ALSA の 4 つの学生団体にプレゼンテーションを行ってもらいました。
101
Party 参加者がそれぞれ個性的な衣装に身を包み、多くの人と交流できる NGA の人気のイベントです。今年度は 10 人程度のグループに分かれて協力してゲームに挑み交流を深めました。学校や学年という壁を超えて、笑顔で 話したり写真を撮っている参加者の姿が印象的でした。
ナイトセッション 各部屋でテーマを決めてフリートークを行う、こちらも NGA で大人気のセッションです。部屋によってはレ クリエーションを用意したり、筋トレを皆でやったりなど個性的な部屋が溢れ、参加者が様々な話に花咲かせ ていました。 先輩方による Activities Fair 普段学校で出会える学校の先生よりは歳が近く、免許とは違う選択肢 を選んだ先輩方をお呼びしてご講演していただきました。看護師、保健 師として働いた後、現在福島県で Dana Village を運営しておられる小川 美農里様、看護師の職から離れ現在東京のゲストハウスで働いておられ る眞邉友紀子様、そして前年度 I-J の President(代表)でありました笠 井俊佑様にご講演を依頼しました。先輩方から知識を得る講演はあって も、人生について時間を取って話を聞く機会はなかなか無いため、参加 者にとっても新しいコンテンツであったと思います。 General Assembly 報告会 今年度台湾で行われた General Assembly (以下、GA) に参加した参 加者による報告会です。今年度は台湾からのスペシャルゲストとして Po-chin くんが来日したため、一緒にプレゼンテーションを行いました。 世界中から医学生が集まる GA がアジアで行われたインパクトは非常に 大きく、また GA で新たな視点を手に入れた参加者による報告会は参加 者に「自分も参加したい!」と思わせるものでありました。
102
Dr.Sujit 講演会 Dr.Sujit は、インドの貧困地域における医療と教育の発展を目的に IIMC という組織を設立し、活動しているインド人医師です。今年度は台風の影響 でインドからの飛行機が欠航になる事態が起きましたが、便を変えて日本に 来てくださいました。先生のご講演は英語で行われましたが、たくさんの参 加者が先生のお話に耳を傾けていました。来年度も多くの学生がインド派遣 の参加に興味を持ってくれることと思います。
5.今後の展望・課題 今年度は台風 19 号の影響により、参加者が申し込みをしていた人数よりも 100 人近く少なくなってしまい ました。天災によって大きなイベントを中止するという点を IFMSA-Japan が経験したことがなかったため、今 回の経験は後輩に引き継げるよう文章化して残すこととします。例年課題として挙がる「参加者とスタッフに 距離がある」という点は、今年度は非日常的な状況も相まって、多くの参加者同士の距離がとても近くなりま した。しかしながら、今後はさらに多くの学生に参加してもらい、I-J の規模の大きさを示す必要があります。
6.感想 今年度のテーマである「僕たちのこれまで、これから。」によって参加者同士、お互いの人生について話す 時間を取りました。「どうしてこの学部を選んだのか?」、「今の自分に足りていないことは?」そして「こ れからどのような人生を歩んでいきたいのか?」といった学校の机に座っているだけでは考えない、自分自身 にしっかり向き合える時間となりました。私たちに近い年齢の先輩方からの色んな人生の選択についてのレク チャーも、また海外からのゲストの方々による講演会も、参加者に新たな視点を提供することができました。 台風 19 号による短縮開催となりましたが、今年度の NGA に参加した多くのスタッフが来年度の理事・ Officials に立候補しており、改めて NGA の存在の大きさを感じました。来年度も多くの参加者が輝ける場所で あることを願っています。
文責│島根大学 4 年 野坂未公音
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10.International Conference | 国際会議 General Assembly (GA) │世界総会 General Assembly (以下、GA) とは、毎年2回、3 月と 8 月に開催される IFMSA の国際会議であり、世界 で活動している 141 の国と地域の IFMSA 加盟団体から、それぞれ最大 16 名の代表団が参加します。IFMSA と いう世界的な連盟の運営方針や理念達成のための議論と会議を行う最高意思決定の場であり、総会本会議をは じめ、各委員会のセッションや交換留学の契約、トレーニング、そしてテーマに沿った講演などが行われます。 3 月の世界総会(ルワンダで開催)は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、派遣をキャンセルしました。
IFMSA General Assembly 68th August Meeting (AM2019) 1.概要 [日程] 2019 年8月1日〜7日 [開催地] 台湾 [参加人数] 約 1,000 人 [テーマ] Science, Technology and Innovation in Sustainable Healthcare [概要] IFMSA-Japan からは 16 名が代表団として参加しました。
2.日程
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3.各プログラムの概要 Opening Ceremony│開会式 世界総会初日の夜、Opening Ceremony が行われました。IFMSA 本部の President(代表)の挨拶から始まり、IFMSA 本部 Officials(幹部)や今回の世界総 会の運営委員長、そして台湾医師会長や台湾厚生省の先生方からなるゲストによ る熱いメッセージがあり、身が引き締まる思いでした。また、台湾の伝統芸能を はじめとした圧巻のパフォーマンスも行われ、世界総会という大規模なイベント の始まりに相応しいセレモニーでした。翌日から始まるセッションに向け、国境 を超えて医学生が一つになり、政治や宗教に関係なく共に協力しあっていこうと いう希望が感じられるひと時となりました。 Plenary│総会本会議 Plenary は世界総会期間中に毎日のように行われます。IFMSA-Japan が 日本総会で団体加盟大学の代表者とともに総会本会議を行うように、世界 総会においても IFMSA に所属する 141 の国と地域 (National Member Organization 以下、NMO) が参加する Plenary が開かれます。各 NMO は アルファベット順に並んでいます。この Plenary は IFMSA における最高意 思決定機関であり、各 NMO の代表者が voting 席に座り、IFMSA 全体の運 営に関する規約改正の採択や、本部理事の選挙、来年の春の世界総会の開 催地の決定などを行います。1年後、2020 年8月の GA 開催地は議論の結 果、決定には至りませんでした。(後日、パナマに決定) Standing Committee Sessions│委員会セッション 世界各地で活動する学生がこの世界総会の場に集まり、委員会ごとに分かれてディスカッションやワークシ ョップを繰り広げ、学びを深める時間です。IFMSA-Japan が日本国内でそうであるように、IFMSA 本部には各 委員会の責任者がそれぞれ任命されており、その責任者が主導となって各セッションを作り上げます。参加者 が退屈しないよう少人数グループにさらに分かれ、ディベートやロールプレイを行うなど、参加型の内容を盛 り込む工夫が凝らされていました。今回は IFMSA-Japan から全委員会にそれぞれ参加者を派遣できたため、こ れより各委員会セッションについてご報告いたします。 <Exchange Session> Exchange Session は、SCOPE(臨床交換留学に関する委員会)と SCORE(基礎研究交換留学に関する委員会) のセッションからなります。世界中から集まった Exchange に関わる責任者やスタッフが IFMSA 全体における 留学に関する意見交換や議論を交わします。例えば SWG (Small Working Group) という、小グループに分か れてディスカッションするものがあり、Strategy 2016-2019 の Evaluation や各 NMO の抱えている問題点・ 解決方法を議論し共有する Sharing is Caring というプログラムが行われました。また、各 NMO からそれぞれ の魅力についてポスターを作成し、プレゼンテーションを行う場面もありました。
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<SCORA Session> SCORA Session ではまず初めに HIV や STIs(性感染症)についてのワークショップが行われ、グループご とに違うシナリオが与えられ、対策を考える形式で進行されました。SCORA が定める規約の改正や Director 立 候補者に対する質疑応答など、グループではなく全体として進行される議論も含まれ、立候補者への質疑応答 では世界総会の Session のコンテンツに各国のニーズをどのように反映させていくか、など日本がこれから GA に積極的に参加していく上で重要になると思われる質問が数多くされていました。また、SCORA Fair という SCORA のプロジェクトを紹介するコーナーに参加し、Peer education project の紹介を行い、各国の参加者か ら興味をひき質問を多く受けました。 <SCOPH Session> SCOPH Session では主に公衆衛生に関するテーマを取り上げ、例えば World Café 形式で「予防のレベル」「Public、Global、International の違 い」「World problem」「Vision、Mission、Method、Action の関係性」 について、具体例を用いながら説明があり、理解が深まりました。また、 SCOPH Fair は 特 に 感 銘 を 受 け 、 日 本 で は 行 わ れ て い な い 「 Climate Change」や「Mental Health」といったテーマについての活動が多く紹介 され、日本でも取り入れていきたいと強く感じました。さらに、Parall el Session で は 環 境 に 関 わ る 環 境 や 「 Health Systems 」 に 関 す る ア プ ロ ー チ を 行 い 、 Universal Health Coverage の考え方や、世界の Health System について学びました。 <SCORP Session> SCORP Session ではまず「人権とは何か」「人類が人権を獲得して来た歴史とは」についてチーム対抗で点 数を競いながら親交を深めました。ワークショップでは「移民・難民」「人道支援/政策」など、世界各国の 状況や事情を考慮しつつ議論が繰り広げられました。さらに、地域ごとの人権問題について学び、特に、現在 進行形で医師の人権侵害の問題があるスーダンからの参加者の話には心を動かされました。もちろん、運営面 での話し合いもあり、Strategy 2019-2022 と Regulation について投票や、来年度の SCORP 幹部立候補者に よる討論会なども実施されました。 <SCOME Session> SCOME Session ではまずセッション中のグラウンドルールを定め、その 後は各国によって違う医学教育(7 年制以上の大学があるか、一般教養を高 いクオリティで受けているか等)を調べるゲームや、医学教育に関してポー ランドから来た教授の話を聞き、政策として医学教育についてどうアプロー チするかというワークショップが実施されました。また、Advocacy を行う にあたっての議論のステップアップについて学び、実践もすることができま した。Global Health Workforce high level Meeting Simulation (GHW) では、少人数のグループに分かれた 後、政府、大学、教育委員会、NGO などの各役割を割り振られ、ロールプレイ形式で今ある医学教育をよりよ くするには各機関がどのように協力していけばよいのかをモデルディスカッションしました。
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<NMO Management Session> 後述の President Session では IFMSA 本部の運営について考えるのに対して、このセッションでは各 NMO をどう動かすか、その際の障壁をいかに克服するか、といった大まかな運営戦略について考えることになりま した。そのため、各 NMO の副代表など国内の運営に関わっている学生が多く参加しており、発信や人材の育成 などをテーマに様々なことを話し合ったり、実際に企画書を敲いたりするワークショップが行われました。 Social Media Engagement やソフトスキルなど、IFMSA-Japan の外部/内務部門が普段から力を入れているも のがテーマになっていて追いやすかった一方で、医学や自国の NMO のみならず、社会の動きもしっかり分析で きないと理解が難しいハードなセッションでした。 <President Session> President Session には世界各国の代表(President)が集まり、基本的にはすべての日程ではじめに IFMSA 本 部の運営に関わる議題についての説明や質疑応答が行われ、後にある Plenary への調整が行われます。先に記 した委員会セッションとは別に行われました。どの課題や議案に対しても Japan を代表した立場で出席してい るので、大変身の引き締まる思いで出席しました。内容の例として、本部最高位の活動指針である IFMSA strategy について、今年度の活動報告がありました。また、本部の活動目標と各 NMO に存在するプロジェク トの活動内容をどのように対応させていくかについてディスカッションも行われました。IFMSA には Bylaw と 呼ばれる規約が存在し、その変更点の説明と修正について議論も起こりました。国連や WHO、各国の動向など に即した規則に変容させるため、細部に渡って意見交換がなされました。さらに、3 月のスロベニアでの世界総 会以降、コメディカルの学生が本部の役職に立候補することについてのタスクフォースが動いていますが、そ の報告と今後どのように改善すべきかの意見交換もありました。普段はオンラインでしかやり取りのできない 各国の代表同士が一堂に会して直接意見交換できる非常に貴重な機会であり、大いに討論が盛り上がりました。 Regional Sessions│地域セッション IFMSA に所属する 141 の国と地域は、5つの地域区分に分かれた統括を行われています。IFMSA-Japan は Asia-Pacific Region(アジア太平洋地域)に所属します。Regional Session ではアジア太平洋地域の加盟国が集 まり、WHO の地域会議についての紹介やアジア太平洋地域会議(APRM)開催地に関する議論など、地域内で実 施されるイベントの紹介や討論がありました。参加者全員で自分たちの地域の魅力や問題点について語り合う 機会もあり、様々な文化や宗教が混在する実に 多様性に富んだ地域であることを認識し、それ ゆえに多くのジェンダー問題や医療の較差にも 直面しました。また、Regional Sessions の後 半は各委員会に分かれた地域セッションも行わ れました。
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Contract Fair│留学契約 SCOPE、SCORE 合同で各国と留学プログラムを結び合う Contract Fair が行われました。来年度の留学のための Contract を結ぶため、各国が戦場 のように交渉し合います。日本は人気国であるため、Contract をどうして も結んで欲しいと追いかけ回されることもありました。また、それぞれの国 がポスター・お菓子・グッズを持ち寄り、Contract を結ぶと各国特色ある お土産がもらえます。日本からは IFMSA-Japan ステッカーとクリアファイ ル、お菓子を持参しましたが、どれも大人気でした。 Activities Fair│活動ポスターセッション 世界中の IFMSA メンバーが各国でどのような活動に取り組んでい るかの発表と、それに対するフィードバックが行われます。IFMSAJapan から は史上 最多と なる7つ の活動 (Teddy Bear Hospital Project, Medical Education Project, Peer Education Project, Hiroshima Nagasaki Peace Project, Learn About Refugees Project, WHO Simulation in Japan, Hack-a-thon)が出展しました。英語で作成したポスターや活動写真を手 に、参加者全員で入れ替わり立ち代わりそれぞれの活動を発表し、世界の IFMSA メンバーから多彩な質問を受 けることとなり、中には称賛のコメントもいただき、大変貴重な時間となりました。
4.今後の展望・課題,感想 今回の世界総会開催地である台湾は、日本からのアクセスや治安の良さもあり、従来の世界総会と比べて参 加申し込みが多く、約3倍という倍率を勝ち抜いた参加者が現地に向かいました。私自身は3度目の世界総会 参加ですが、これまで課題として捉えていた「世界への発信力」の向上をこの肌で感じることができる大変嬉 しい結果となりました。しかしながら、発信という output の面では課題を克服できたものの、input において は未だ不十分であり、課題として捉え真摯に向き合う必要があります。日本国内での活動以外にも、世界では さらに合理的で魅力あふれる活動が盛んに取り組まれています。世界総会の場で目の当たりにし、衝撃を受け た次のステップとして、いかに日本国内で活動するメンバーに還元できるかが問われることになるでしょう。
文責│北海道大学4年 田浦拓弥
IFMSA General Assembly 69th March Meeting (MM2020) [日程] 2020 年 3 月 [開催地] ルワンダ [テーマ] The role of Primary Healthcare in achieving Universal Health Coverage [概要] IFMSA-Japan から 5 名が参加する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の日本国内 における蔓延を受け、2020 年2月末に派遣中止を決定しました。
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Ⅳ.運営報告 Standing Committee Report
11.Executive Board│理事会 1.活動理念 理事会は代表を中心に各運営部門(Support Office)の責任者、さらに各委員会(Standing Committee)の責任 者を含めた計 14 名からなる IFMSA-Japan (以下、I-J) の統括組織です。「社会貢献や国際社会とのつながり の下、幅広い視野を持った医療人を育成し、より良い社会を目指す」という団体理念の下、理事会が中心とな って1年間の活動を統括しました。隔週でのオンラインミーティングや年2回のオフラインミーティング、年 4回の理事定例会議 (以下、EBM) を開催し、I-J の運営について議論を重ねました。
2.今年度の主な活動 (1)各地域での活動を活性化、地域格差を是正 2019 年5月 18 日より 7 週間にわたって全国 9 地域で開催した新歓には計 856 人が参加し、新歓後は、多岐 にわたる各地域イベントや委員会活動が企画され、活動の場が益々広げられていきました。地域単位でのイベ ントが多くセッティングされ、北海道メディカルフェスや中四国総会、九州山口合同ソーシャルのように数日 にわたる大型イベントも実施されました。また、SCORA の Peer Education や SCOME の高校生企画といった 出張授業をはじめ、各委員会活動でも様々な地域での活動が展開され、新歓からその後のイベント参加へのき っかけを橋渡しすることができました。 (2)団体会員制度の改善 年度初めに、団体会員が利用する「団体加盟マニュアル」を IJ の正式な刊行物として承認し、団体加盟大学代表者へ配布する ことで、団体加盟制度の仕組みや特典などについての共通認識を 高めました。また、団体会員制度の1つとして各大学代表者は総 会本会議への出席が求められますが、その出席時に代表者に配布 する「Survival Kit」と呼ばれる要項の編集を深く吟味し、より 良い議論が当日行われるよう工夫しました。団体会員の意見が IJ の運営により的確に反映されるよう、資料の事前配布の徹底や シミュレーションを会議の直前に入れるなど、今年度は大幅な改 善を図りました。
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総会本会議でのディスカッションの様子
(3)IFMSA 本部への関わりを強化 今年度より国際業務が「International Relations Office」として本格的に始動し、一年を通して IFMSA 本部 と I-J との橋渡し役として機能しました。IFMSA の全加盟国が参加するメーリングリストへの投稿や、IFMSA 本部より配信されるイベント案内や活動報告の共有を的確に実施しました。WHO や WMA、国際連合などの国 際機関で開催される会議への出席や、インターン募集の案内についても今年度は共有を徹底し、積極的に参加 させていただきました。 また、夏に開催された世界総会(August Meeting 2019 in Taiwan)では個人会員から 11 名の応募があり、 書類選考と面接を経て 4 名を選出し、理事と合わせて 16 名で参加しました。現地では世界の学生に向けて活動 を発表する Activities Fair への出展が 7 部門(HiNaP, LARF, MEP, Peer, TBH, Hackathon, Who Simulation Japan)において実現し、世界へ向けた日本の発信力の高まりを実感しました。 世界総会の場に限らず、Asia-Pacific 地域の Newsletter への記事や英語版のアドボカシー文書を投稿するな ど、日本から世界へ向けた発信を継続することができました。 さらに、今年度の功績として海外の IFMSA 立ち上げへの貢献も挙げることができます。UNICEF を通じてキ ルギス共和国で活動する I-J 同窓生の紹介により、同国の IFMSA 加盟を目標とする支援に参加しました。結果 として、キルギス共和国は 2020 年 3 月開催の世界総会(March Meeting 2020 in Rwanda)で Asian Medical Students’ Association-Kyrgyzstan として見事加盟を果たしました。 (4)社会との接点を増やす 今年度は団体内での活動に留まらず、社会との接点を積極的に 増やす1年となりました。2019 年4月より I-J は Japan Youth Platform for Sustainability (以下、JYPS) の理事団体に選任さ れ、さらに医療保険分野の分野別アドバイザーとして就任しまし た。そのため、2019 年 6 月に兵庫県神戸市で開催された「G20 ユースサミット」(JYPS 主催)では I-J 代表が医療保健分野の ユースを代表してパネリストとして登壇しました。 さらに、同月に東京都では G20 サミットに先立った国際会議
パネルディスカッション登壇の様子
として「Health Professional Meeting (H20) 2019」(世界医 師会・日本医師会 共催)が開催され、I-J 理事4名が IFMSA 本部 President とともに、医学生として出席をさ せていただきました。また、12 月開催の UHC Day イベント「誰も取り残されない医療を目指して:SDGs 時代 における医療のあり方」(東京大学国際保健政策学教室 主催)には I-J が後援として参画し、理事 1 名がパネ リストとして登壇しました。 アドボカシー活動として、UHC Day(2019 年 12 月 10 日)に向けて UHC Youth Network に IFMSA-Japan から有志が参画し、さらに年度末に蔓延した COVID-19 に関しては、Small Working Group を結成し、 Facebook や Twitter を利用して団体内外に向けた正しい情報の発信に取り組むことができました。 また、ドクターズマガジン(メディカル・プリンシプル社)への定期的な入稿をはじめ、各種出版誌や報道 機関を利用させていただいたり、企業様とのスポンサーシップを契約させていただいたりと、社会との接点を 多く持つことができました。
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(5)雰囲気作り、コミュニケーション 1年間を通してイベント企画の際には、初動のタイミン グから対象とする参加者のことを意識するようを理事会と して徹底し、その層に合わせた雰囲気作りに力を入れるこ とができました。また、年度中盤にスタッフ対象のアンケ ート、年度終盤には個人会員を対象に個人会員登録費増額 に関するアンケート調査を行い、スタッフや会員が IFMSA-Japan に抱く思いや希望を理事会として確認する ことができました。日本総会における危機管理(台風 19
I-J 内における注意喚起に使用
号のため)や春のイベント中止(COVID-19 流行のため)
(2020 年2月 15 日)
については、理事会での意思決定や、イベント責任者との 意思疎通、スタッフや会員への状況説明の徹底を常に心がけました。 (6)活動の評価、振り返り EBM で行われていた従来の活動報告を改定し、「報告」から「評価」という言葉に焦点を変更し、議事録の 構成を改善しました。また、例年実施されている Annual Working Plan は今年度も作成し、EBM のみならず随 時確認できるよう、オンラインミーティングの議事録に毎回資料として掲載する工夫を行いました。今年度の EBM への個人会員の参加数は例年より多く、より客観的な評価を行えるよう意識することができました。 (7)リスクマネジメントの改善、強化 今年度は団体内での問題点のみならず社会的な出来事の影響を受けることも多々あり、I-J のリスクマネジメ ントの脆弱さを痛感しました。今年度は大きく3つのポイントについて強化し、個人会員登録、イベント運営、 助成金/クラウドファンディングについて改善を図りました。 個人会員登録については、個人会員と Seniors 会員の境界を明確化し、さらに状況に応じて個人会員登録時 に学生証提示を求めることができるよう周知や定款細則の変更を実施しました。イベント運営については、キ ャンセルポリシーと運営ガイドラインを「イベント運営マニュアル」として作成し、同マニュアル内に参加者 共有用のキャンセルポリシーを提示しました。ガイドラインについては感染症や自然災害時の対応だけでなく、 運営陣や会場の事情によるキャンセル対応、そして食中毒などイベント中のリスクマネジメントにも言及を深 めました。助成金申請については、財団や協会への助成金申請の際に企画書を作成し、理事会としての承認を とる手続きを追加し、クラウドファンディングについても同様に、企画書を理事会に提出し、審議の上で正式 な申請を行う手順を定めました。これは規制を強めるという意味ではなく、全理事が申請先や用途に対し共通 認識を持つことで、その後の活動でトラブルが生じないよう対策するためです。
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4.今後の展望・課題 I-J の社会的な認知度や発信力は年々増しており、外務部門を中心に各部署でさらなる拡大に取り組んでいま す。しかしながら、その発信に対する評価方法の確立は追いつかず、情報を届けたい層にリーチしているかど うかは正確に評価できていない状態です。また、発信している情報が受け取る立場のニーズに合っているかど うかや、より効率よく的確な情報を発信するための体制強化についても今後吟味する必要があります。 また、活動の発展と同時に I-J ではコア人材となるスタッフの育成や維持が課題として浮き彫りになっており、 運営体制の改善点は多く残ります。団体としての発展の加速に合わせて、スタッフのスキルアップやモチベー ションの維持を含め、人材育成システムの確立にも取り組むべきであると考えています。
5.感想 今年度は自然災害や感染症による団体運営への影響が大きく、当初予定していたイベントが中止を余儀なく される場面が多々ありました。刻一刻と変化する情報を正確に整理し、錯綜する情報に惑わされず適切な判断 が求められる一年でした。前例のない状況下で、代表として決断を求められる場面も多くありましたが、どん な時も理事のサポートに助けられていたことを思い出します。そして Officials やスタッフの協力や理解にも恵 まれ、波乱万丈の 2019 年度を無事終えることができました。 COVID-19 による国内外の影響は今後も続くことが予想され、2020 年度においても、かつて前例のない状況 に直面することと思われます。しかし、I-J はいかなる問題に今後直面したとしても、常に存続し発展し続けら れる力強い団体であると私は確信しています。 最後になりましたが、1年間お世話になりましたすべての方に心から感謝を申し上げます。未来の医療者と して精進してまいりますので、今後もご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
文責│北海道大学4年 田浦拓弥
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12.Internal affairs | 内務部門 1.活動理念 内務部門は「IFMSA-Japan 内の組織基盤を支え、スタッフや団体会員、ひいては IFMSA-Japan に関わる全 ての人が活動をしやすくなるように内部の強化に努めること」を目指します。また、Regional Office、Seniors Club Office、Training Office を管轄し、相互に連携を取って運営を支えています。
2.今年度の主な活動 新歓を通して一人でも多くの医療系学生に IFMSA-Japan (以下、I-J) の魅力を知ってほしい、という気持ち を持ちながら全国 9 地域で新歓を開催しました。新歓後も、それぞれの部署内で様々なオンライン・オフライ ンイベントを開催し、I-J を内側から盛り上げることに力を入れて取り組みました。 (1)全国新歓を開催 10 連休のゴールデンウイークが明けた 5 月半ばより、約 1 か月半にわたり I-J 全国新歓を全国 9 地域で行い ました。各新歓が終わるごとにその新歓でのフィードバックを内務部署内で共有し次の新歓運営に生かせたこ とや、多地域の新歓に足を運びその地域の新歓運営を手助けしたこと、また他地域での新歓を直接肌で感じて 自地域での運営をより良いものにするなど、内務部署内での地域の枠を超えた協力を見ることができました。 全国新歓は総動員数 856 人を記録し、また新歓後の個人会員登録やスタッフインターン数も昨年度よりも大幅 に増加し、各地域で参加者にとても満足いただけるものを提供できました。今年度は、昨年度の日本総会で企 画されたハッカソン企画を4新歓のワークショップで実施し、I-J の魅力を余すことなく伝えられました。 (2)地域イベントの開催 全国新歓を終えると、I-J 全体での大きなイベントは日本総会までありません。そこで各地域で小・中規模の イベントを開催し、新歓で I-J に興味をもってくれた人との交流を積極的に行いました。地域イベントをきっか けに I-J の活動へのハードルが下がり、活動に参加しやすくなったとの声も届いております。年度末のイベント は COVID-19 の影響により中止やオンライン開催に移行したり、また地理的隔離などの要因で全地域での開催 には至らなかったりと、課題が残る場面もありましたが、全体としてはより一層充実した 1 年間になりました。 (3)日本総会での Training Session 今年度は、Training Office からセッションを出しました。台風接近による日本総会のスケジュール変更によ り、セッションの時間は短くなってしまいましたが、Training Office と各委員会がコラボし、委員会のテーマ について深く理解するだけでなく、その学びを通して日常でも使えるソフトスキルを参加者に提供しました。 (4)団体登録大学数の更新 一昨年度の臨時総会本会議で新たに I-J に 団体加盟した藤田医科大学と東北医科薬科大 学は、加盟してからの活動報告を日本総会の 総会本会議で各大学代表者にむけて行いまし た。また、今年度新たに岡山大学と名古屋市 立大学が新規団体加盟演説を行い、2 大学ともに満場一致で承認されました。団体登録数は 58 となりました。
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3.今後の展望・課題 昨年度の Seniors Club 会員制度の改定後 1 年が経過しましたが、大きな問題もなく無事に進んでおり、来年 度以降さらなる卒業生の方々の入会が見込まれます。また、日本総会での Training Session 出展や新規団体加 盟に見られるように、新しい仲間との出会いやサポートオフィスの活動の活発化など、来年度以降のさらなる 発展を遂げることが予想されます。しかし、人数が多くなるほど一人一人へのサポートが希薄になってしまう のもまた事実であり、それをどのようにして解決していくのかが課題です。常に I-J に関わる全ての人のサポー トを行う部署であるという気持ちを大切にし、これからも活動してまいります。
4.感想 昨年度は東海信州地域の地域担当官として、内務部門で活動させていただきましたが、今年度、副代表内務 担当としての 1 年間はそれとは全く異なるものでした。9 地域すべてに目を向け、加盟大学や Seniors の方々に も関わらせていただくことで、自分の視野が大きく広がることを実感するとともに、改めて自分一人ではでき ないことを様々な人に支えられ、助けられてできているということを実感しました。1 年間、本当にありがとう ございました。
文責│三重大学 4 年 増田康一
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5.イベント一覧 2019 年 9月
5月
07-08 中四国総会
06
新入生と親睦を深める会
北海道
18
東北新歓
宮城県
19
東北 松島ツアー
宮城県
10 月
25
九州山口新歓
福岡県
13-14 日本総会 Training セッション
6月
岡山県
東京都
11 月
01
北陸新歓
富山県
05
東海信州 地域ミーティング
08
東海信州新歓
愛知県
30
四国 Training イベント
09
関東新歓
東京都
15
中国新歓
岡山県
16
関西新歓
大阪府
19
オンライン Training とれラジ
23
四国新歓
徳島県
29
北海道新歓
北海道
香川県
12 月
7月
14
九州山口 忘年会
福岡県
19
オンライン Training TRAinT
22
卒業生を送る会
東京都
30
関西 忘年会
大阪府
2020 年
12
四国 ニューカマーSkype
13
東海信州 新入生歓迎会
愛知県
04
九州山口プチ合同ソーシャル
宮崎県
21
関西 ニューカマーSkype
21
中国 ニューカマー懇親会
1月 12-13
3月
岡山県
8月 06
北陸 地域ミーティング
10-11
九州山口合同ソーシャル
福岡県
16-18
関西 TNT
大阪府
23-25
関東 TNT
東京都
24-25
東海信州・北陸合同地域イベント 長野県
31
Seniors Club 懇親会
北海道メディカルフェス
東京都
116
08
四国オンラインイベント 4CoMi
18
オンライン Training 総会
北海道
Regional Office (RO)│内務部門 北海道│札幌医科大学 3 年 更谷朱里 北海道地域は旭川医科大学、札幌医科大学、北海道大学の 3 大学が中心 となって活動しており、大学間の交流が非常に盛んなことが特徴です。 2019 年 6 月に行われた北海道新歓では 67 名もの参加者が集まり、参加者 一人一人が「自分のやりたいことを探す」ということをテーマに盛り上が りました。また北海道地域独自のイベントとして 2020 年 1 月には北海道 メディカルフェスを開催し、学部の垣根を超えてキャリアパスについて考 えたり、エキノコックス症について理解を深めたりしました。宿泊を伴う イベントであったこともあり、メンバー間の繋がりをさらに強固にすること
北海道メディカルフェスにて
ができました。これからも一層活性化を図っていきます。 東北│弘前大学2年 米谷隆佑 東北地方は、岩手医科大学、山形大学、福島県立 医科大学、そして東北医科薬科大学の新規加盟で計 4 大学の加盟団体で構成しており、この他にも弘前 大学、秋田大学、東北大学など、東北圏内の多くの 大学から学生が動員しています。東北の地理的なデ 東北新歓の様子
メリットも臆することなく参加する学生がちらほら
見受けられました。実施したイベントとしましては、5 月の東北新歓と松島ツアーの開催があり、例年並みの参 加者数・規模で盛況となりました。感じた課題としましては、ニューカマーの層が例年よりも薄いことです。 新歓の時期以降に、東北地域でのイベントが少なかったことも要因として挙がるでしょうが、各大学で引き継 ぎが上手くできなかったとの報告も受けており、是非とも次年度では地域イベントの活性化を期待したいとこ ろです。 関東│国際医療福祉大学3年 松島舞佳 関東地域には全国最多の 18 大学が所属しており、関 東新歓をはじめとした日本総会や各プロジェクトのイベ ントが多数開催されました。本年度の関東新歓は帝京大 学で開催され、天気が悪い中、参加者数は過去最多の 214 人でした。スタッフだけで話すのではなくスタッフ と参加者が楽しく話せるような雰囲気にし、積極的に参
関東新歓の集合写真
加者に話しかけるように心がけました。また、興味のあ るプロジェクトのワークショップに参加できるようにグループ分けをした結果、多くの参加者の満足度が高く、 スタッフとなってくれる参加者も見受けられました。関東地域はどの地域よりもスタッフ、イベント、参加者 が多い反面、地域内での繋がりが薄くなりがちです。次年度も地域内の交流を深めていけるよう引き続き関東 地域の活性化を図っていきます。
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北陸│富山大学 2 年 内川龍之介 北陸地域は、富山大学、金沢大学、福井大学の 3 つの大学が団体加盟登録をしています。2019 年度 の北陸地域では、2019 年 6 月 1 日に「北陸新 歓」、同年 8 月 24・25 日に東海信州地域との合同 イベント「若返りツアー」を開催しました。 「北陸新歓」では、全国からスタッフが北陸に集ま
北陸新歓での集合写真
り、23 名の参加者に IFMSA の魅力を伝えました。
「若返りツアー」は、長野県松本市にある美ヶ原少年自然の家に 1 泊し、花火や川遊びといったアクティビテ ィや夜にはプレゼンに関するレクチャーをしました。残念ながら北陸からの参加者は非常に少ない人数での実 施となりましたが、次年度の地域イベントにつながるものになったと思います。他地域に比べると規模が小さ いことが否めないものの、スタッフの挑戦してみたいことがたくさん溢れる素晴らしい地域でした。次年度以 降も少しずつ地域が盛り上がっていくことを願っています。 東海信州│日本赤十字豊田看護大学 2 年 岩田恵実 東海信州地域は愛知医科大学、岐阜大 学、浜松医科大学、信州大学、そして新た に、藤田医科大学、名古屋市立大学加えた 計 6 大学が団体加盟しており、他にも複数 の学校の学生が活動しています。今年度 は、「地域がみんなの出発点になるよう
東海信州新歓での集合写真
に」を目標としていました。新歓の参加者に
は新歓後もメールなどを用いたフォローを続け、イベントは活動 1 年未満のスタッフを中心とした企画や運営、 地域内のつながりを深められるものを意識してきました。また、信州は名古屋までの交通網が不便な面もあり 人数が少ないため、北陸地域との合同イベントを長野県で開催するなどの工夫をしました。人数の少ない大学 があるのは今後の課題であると考えています。この 1 年間で、新たに 30 人弱の地域スタッフが加わりました。 今後も、さらに活気の溢れる地域となり、多くの人が活躍するその出発点となることを願っています。 関西│滋賀医科大学2年 林未菜実 関西地域では約 20 名のスタッフが所属していま す。また、大阪市立大学、近畿大学、滋賀医科大 学、兵庫医科大学の4校が団体加盟しています。 2019 年6月 16 日に近畿大学にて行った関西新歓で は、スタッフと一般参加者合わせて 81 名の参加が あり、活動紹介やワークショップを行いました。そ 関西新歓の集合写真
のほかにも、ご飯会や skype でのミーティングを通
して、地域の連携を目指し、情報共有を行っています。関西地域はスタッフの人数が少ない地域の1つではあ りますが、これからもスタッフ間の団結力を高め、活動しやすい地域にしていきたいと考えています。
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中国│岡山大学2年 川部愛美 中国地方は鳥取大学、島根大学、川崎医科大学、そして今年度、岡 山大学が新規加盟と4大学が団体加盟しており、他に島根県立大学、 川崎医療福祉大学の学生が活動しています。昨年度「新歓後、どのよ うに IFMSA の活動に参加すれば良いのか分からない」という声があっ たため、2019年9月7,8日に開催された中四国総会をニューカマ ーのスタッフデビューの場とする事を目指し、新歓後からスタッフと のご飯会を設けるなどし、ニューカマーの背中を押すことが出来るよ うな一連の流れを保ったイベント運営を心がけてきました。中四国総
中四国総会ワークショップの様子
会当日は、運営スタッフの半数がニューカマーとなり、ワークショップ作りなどの準備段階から先輩スタッフ とペアを組んで取り組んだことにより、イベント後も継続的な繋がりを形成出来ました。1年を通して行った どのイベントにおいても「こんな話(社会問題など)ができる仲間が出来て嬉しい」との声を聞くことが出来、 嬉しく思います。これからも IFMSA-Japan 中国地域が、学生各々の興味を発信し、仲間と出会い、共に取り組 むことが出来る場所でありたいと考えています。 四国│徳島大学3年 齊藤華子 四国では徳島大学、香川大学、愛媛大学が団体加盟しており、比 較的小規模な地域のため、イベントのスタッフ参加率が良く、また 中国地方と隣接していることから中国スタッフとの合同イベントも 昨年度から開催しています。今年度、四国では、「四国新歓」「中 四国総会」「4CoMi 」の3つのイベントを行ないました。 特に中四国総会は、今年度が2回目で、新歓後のニューカマーがス タッフとしてデビューする場というのを意識し、運営しました。4
四国新歓での様子
CoMi は、残念ながらコロナウイルスの影響を受け、オンライン開催に移行することになりましたが、例年通 り、卒業される四国スタッフの先輩方を送り出すことができました。年度末には様々なプロジェクトに率先し て参加するスタッフも見られて、地域として全国につなげるという役ができたようで嬉しく思っています。 九州山口│琉球大学 4 年 佐藤樹 九州山口地域は、山口県から沖縄県までと広大な範囲になっており、 全 11 の大学団体が加盟しています。今年度は、夏季休暇に九州山口合同 Social Program を開催しました。これは九州山口地域の各大学にやって くる留学生と、地域スタッフをはじめとする学生が交流し、お互いに普 段では関わることのできない世界を知ることのできる貴重なイベントで す。九州山口地域は、地理的要因が運営に非常に大きく関わる地域で す。毎年少しずつ IFMSA-Japan の輪は広がっており、今年度も多くの学 生がスタッフとして関わってくれていますが、地域間で人数に差が生じて
地域新歓の運営に関わったスタッフ
いることは否めません。今後も積極的に地域内に発信していくことが重要です。地域の運営にあたり、非常に たくさんの方に支えられた1年間でした。
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Seniors Club Office│内務部門 1.活動理念 OB/OG 間の連携強化、OB/OG と現役スタッフとの交流促進を目標として活動を行っています。
2.今年度の主な活動 今年度は例年開催している「Seniors Club 懇親会」と「卒業生を送 る会」の開催に加え、IFMSA-Japan (以下、I-J) が現在どのような活 動を行っているのか、今度どのようなイベントを開催する予定なの か、などの情報を委員会ごとにまとめ定期的に Seniors Club メーリン グリストに流すことで、OB/OG の皆様と I-J ならびに現役スタッフと のつながりをより強化できるように意識して活動を行いました。 毎年恒例である「Seniors Club 懇親会」を 2019 年 8 月 31 日に、 「卒業生を送る会」を 2019 年 12 月 22 日に、ともに東京にて開催し ました。
Seniors Club 懇親会の集合写真
「Seniors Club 懇親会」には総勢 31 人が参加し、立食形式で OB/OG の方との交流を楽しみました。コンテ ンツとしては、現役スタッフによる活動報告、そして参加してくださった OB/OG の方の紹介を行いました。初 対面の方が多いイベントの中、それぞれの OB/OG が I-J 時代にどのような活動をされていたのか、今現在どの ようなお仕事をされているのかを知ることで、OB/OG の方とお話をする良いきっかけをつくることができたと 思います。懇親会を通して、I-J で活動していく上での貴重なアドバイスや、将来の進路を見つめ直すきっかけ をいただくことができました。 「卒業生を送る会」には総勢 58 人が参加し、こちらも懇親会と同様に立食形式で卒業生の方との交流を楽し みました。コンテンツとしては、卒業生からの挨拶、下級生からのプレゼント贈呈、そして全国のスタッフか らのメッセージ動画の上映を行いました。今まで I-J を築いてきてくださった先輩方からバトンを受け取り、新 たな I-J の歴史を築いていきたいと思えるような素敵なイベントとなりました。
3.今後の展望・課題 今後の展望としては、OB/OG と現役スタッフの交流が今よりも盛んになるよう、OB/OG との連携強化に取 り組んでいきたいと思います。また 2020 年に IFMSA-Japan は設立 20 周年を迎えます。来年度は 20 周年を 記念したイベントを OB/OG の方々と協力して開催する予定です。
4.感想 今年度 Seniors Club Manager として 1 年間活動していく中で、改めて I-J は OB/OG の方々のお力添えによ り成り立っているということを実感しました。日頃より暖かいご支援をいただいております OB/OG の皆様に、 この場を借りて厚く御礼申し上げます。これからもご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
文責│札幌医科大学 4 年 横井健人
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Training Office│内務部門 1.活動理念 Training Office は、ソフトスキルを学び、伝えます。ソフトスキルとは、人と人との間に起こるさまざまな 問題を解決する技術です。コミュニケーションスキルや、プレゼンテーションスキルが代表的です。 医学生は、ソフトスキルを手に入れるほど夢を実現しやすくなります。なぜなら医療関係者は、常に人と接 するからです。その手助けに、何より、Training Office に所属する学生 (以下、トレーナー) がやりたいことを 実現する力を養うために、星の数ほど種類があるソフトスキルを学び、スタッフに伝えることが理念です。
2.今年度の主な活動 活動の基盤は、ソフトスキルを学び、伝えることです。今年度は以下 3 カテゴリーの学生を対象にしました。 ①各委員会の学生 各委員会のテーマに必要となるスキルを日本総会 (以下、NGA) で伝えました。NGA とは、全委員会が集結 する IFMSA 最大のイベントです。例年 300 人近い医学生が日本各地から参加します。その中で例えば、SCORP にはコミュニケーションスキルを伝えました。貧困や災害などを扱う委員会であり、繊細な言葉遣いや不安を 和らげる話し方の手助けとなれば幸いです。 ②トレーナー自身 夏に Training for New Trainer (以下、TNT) を行いました。TNT は全国から参加者を募り、選考で 32 人だ けが参加できるイベントです。Training Office の先輩が、二泊三日でソフトスキルの基本を叩き込みます。イ ベント参加者のスキルアップはもちろん、トレーナー自身も担当するスキルを完璧に叩き込むので、主催者側 もレベルアップが期待できます。 ③IFMSA-Japan に関わる全ての学生 Training ラジオを開催しました。日本各地に散らばりイベントに参加者できない学生がいるためオンライン でソフトスキルをわかりやすく発信し、IFMSA-Japan 全体のスキルアップを望みました。普段関わりのない学 生の意見も拾うことのできる機会となり、トレーナー自身の成長にもつながりました。準備は、数ヶ月に及び、 参加者が、足を運んでくれた時間とお金以上のものを得らえるように徹底しました。準備する側の学生には、 労力に見合うだけのレベルアップができるよう細心の注意を払いました。参加者と主催者の相互が満足するイ ベントを心がけました。
3.今後の展望・課題 今後は実践の場を多様化したいです。学んだスキルは、活かさないと無用の長物になります。これから先、 どんな舞台に立つか分からない学生たちが、どんな場面でも自らの力を最大限生かせるように、Training Office が社会の予行演習になれば幸いです。課題としましては、実践の機会と範囲が少ないことです。思考を 学生団体に限局せず、各々の将来から逆算して活動の幅を広げる必要があります。
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4.感想 この一年は、後退と前進の連続でした。ソフトスキルの鍛錬は、常に自分と向き合う行為で、「なぜ好きな 人を笑わせたいのか」「なぜ人前で胸を張って喋りたいのか」と、自分を探る行為は、答えのない闇の中にい るようなものです。もがいてもがいて、しかし、答えを見つけたときの喜びと成長はひとしおで、前進を手に 入れることができます。 トレーナーは皆、自身の成長を願って集まります。その気持ちには必ずきっかけがあるはずです。忘れたい 過去・心躍る未来。それらを受け入れ、今の自分の立ち位置を知った時にようやく一歩前に進めます。 Training Office を経て、彼らはそれぞれの色を見つけて歩き出します。私自身も、代表を終えた今、これまで 見たことのない色の自分が目の前にいます。 彼らと過ごした日々は一生忘れません。時には自分の、時には他人の、胸の奥に眠る感情や経験を探りまし た。ソフトスキルは、内面と内面を結びつける架け橋のようなものです。誰かに橋を架けた経験は必ず自信と なり、また新たな出会いの中で橋を作っていけます。この一年でソフトスキルに触れた全ての人が、将来、人 との関わりの中で立ち止まっても、ソフトスキルを武器に嬉々として苦難を乗り越えその先へ前進して行ける ことを願っています。
文責|川崎医科大学4年 諫見直樹
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13.Extenal affairs│外務部門 1.活動理念 外務部門は、IFMSA-Japan (以下、I-J) を外部に発信し、社会とのつながりを強化する役割を担っています。 私たちの取り組みにより、I-J が社会とのかかわりを通じて成長し、より質の高い活動を行ない、またそれを発 信していくための地力をはぐくむことを目指します。
2.今年度の主な活動 外務部門は、4つの Office (Liaison Office、Fundraising Office、Publication Office、New Technology Office) を設置し、副代表外務担当、各 Office の責任者および数名のスタッフが所属し、業務にあたっています。 私たちは、外部団体や企業との協力関係の構築、ブランド管理、広報媒体の作成や情報発信など、各 Office で例年引き継がれてきた業務に取り組みつつ、I-J の新たな可能性を見出す機会に積極的に挑戦することを目指 して活動を行なっています。しかしながら、例年、I-J 内での知名度の低さや、協力体制の甘さがみられており、 充分に情報発信が行えている状況とは言えない背景がありました。そこで今年度は、特に情報発信に力を入れ、 外務部門全体及び IFMSA-Japan の情報発信の基盤づくりの1年となりました。 本稿では、外務部門全体、および副代表外務担当が取り組んだ活動について報告いたします。 ◆Social Network Service (SNS) を利用した情報発信の強化 現代社会において SNS は、イベントの宣伝や団体の広報を行う上で欠か せないツールとなっています。また、人々の健康を守るうえで、医療情報 を発信することの重要性についても注目されつつあります。しかしなが ら、例年、特に I-J 公式 SNS アカウントを利用した団体広報や情報発信が 十分に行われているとは言える状況ではありませんでした。 そこで、本年度は、毎年9地域で開催されている全国新歓をはじめ、I-J 全体で関わるイベントや、各委員会での情報発信において、今まで活発に 行われることの少なかった I-J 公式の Twitter や Facebook といった SNS を利用しての情報発信に力を入れました。 特に、Twitter においては、イベントの広報や報告にとどまらず、リア ルタイムでの情報発信にこだわりました。概論的なイベントの紹介だけで なく、細かなイベントコンテンツの内容や、イベントのより臨場感のある
Twitter での投稿
情報を発信し、IFMSA-Japan の持つ真面目な側面の他にも、学生らしい活き活きとした側面を発信できたと考 えています。結果として、年間を通して220名の新規フォロワーを得ることに成功しました。
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◆外部団体や企業様とのイベントへの参加 I-J と提携を組む学生団体や企業様の開催するイベントにおいて、I-J と して講演やワークショップの開催をする機会をいただきました。また、外 部団体の主催するイベントへ出店・参加し、活動の認知度を上げられるよ うに努めました。 6 月 13,14 日に行われた、世界医師会主催の「Health Professional Meeting 2019 (HPM)」に I-J から 4 人出席し、世界の第一線でご活躍され ている多くの Global Leaders と交流する機会をいただきました。 6 月 22 日には、Japan Youth Platform for Sustainability の主催する 「G20 ユースサミット」の開会式の挨拶とブース出展を行いました。
HPM での記念撮影
6月 23 日の「レジナビフェア東京」、7月7日の「レジナビフェア大 阪」の 2 度にわたり、ブース出展を行い、興味を持った来場者の方々、スタ ッフ、OBOG の方々と交流をしました。 9 月 15 日に開催された、一般社団法人 日本薬学生連盟 (APS-Japan) 様 の「日本社会薬学会ワークショップ」では、「チーム医療に必要な薬剤師 とは」について、チーム医療プロジェクト (TMP) の責任者である於本が講 演を行いました。 3 月 28 日に、武田薬品工業株式会社の 「In Their Shoes プログラム」
日本社会薬学会ワークショップ
に参加し、プログラムの 1 つである学生ワークショップで、APS-Japan 様 や栄養学生団体【N】様と共に、炎症性腸疾患についてのワークショップ をオンライン上で行いました。 ◆DOCTOR’S MAGAGINE 隔月連載 以前より隔月連載を続けている DOCTOR’S MAGAZINE 様に、今年度 も同様に寄稿いたしました。外務部門としては、掲載する記事の依頼と 投稿前添削を行いました。 今年度分の内容は以下の通りです。 7月号:2019 年度の IFMSA-Japan の活動方針 9月号:TOKYO RAINOW PRIDE のご報告 11月号:世界総会のご報告 1月号:日本総会のご報告
3 月号の投稿
3月号:これからなりたい医師像について 5月号:2020 年度の IFMSA-Japan の活動方針 ◆日本総会 外部団体プレゼンテーションのコーディネート、Activities Fair の出展募集、ブース出展スポンサーの獲得を 行いました。また、当日出席された提携企業様、外部団体様のご案内、取材にいらっしゃった時事メディカル の稲垣様の取材対応を行いました。
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3.今後の展望・課題 I-J は「社会貢献や国際社会との繋がりの下、幅広い視野を持った医療人を育成し、よりよい社会を目指す」 ということを理念として活動している団体です。しかしながら、学生対象のプロジェクトやイベントの企画が 多く内部での活動は充実しておりますが、社会に向けた活動や情報発信が少ないように感じております。外部 の学生団体、企業様と関わる機会の多い外務部門ですが、各委員会、各プロジェクトの外部発信の Support す るような体制は整っていませんでした。Social Network Service (SNS) は、日本に限らず多くの人が利用する 情報媒体であり、I-J が SNS による情報発信を強化することにより、現在 I-J の弱みである、社会に向けた活動 や情報発信を強化することができると考えています。 SNS が有効に活用できていない背景として、外務部門においては毎年人材不足に悩まされているという背景 があります。定款細則上、Liaison Office、Fundraising Office、Publication Office、New Technology Office が存在していますが、それぞれ1名の責任者だけ構成されており、後輩の育成や事業の拡大ができない状況下 にあります。医療において、医療従事者による患者のサポートを行うことはとても重要な責務であることは言 うまでもありませんが、健常者に対して、病気に対する啓発活動や患者に対する配慮などの情報発信を行うこ とも医療従事者の大切な役割であると考えます。SNS のみならず、他の団体や企業と手を組みながら啓発を行 うこと、出版物による発信など、医療従事者が情報発信を行う上で重要な要素を外務部門の中で培うことがで きますが、その重要性について Staff の中にも周知されていないことが現状としてあります。外務部門の各 Office に各委員会やプロジェクトの人員を巻き込んで、自身の活動を発信してもらう状況を作りながら、情報 発信の重要性を学ぶ環境を整え、治療だけでなく啓発活動のような公衆衛生学的マインドを持った医療従事者 を育成できるような外務部門となっていけたらと思います。
文責│筑波大学4年 森本健太
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Fundrasing Office|外務部門 1.活動理念 Fundrasing Office は、代表と副代表外務担当の監督の下で、外部企業と外部財団とコンタクトを取り、 IFMSA-Japan 全体の資金調達を行います。また、助成金の申請方法、資金調達のアドバイスなど、I-J 内の委 員会やプロジェクト等の資金調達のサポートを行います。そのような活動を通じて、I-J の財政面の安定化や、 団体の成長に寄与することを目指します。
2.今年度の主な活動 ◆日本総会での、外部企業のご案内 今年度も、企業ブースとしてケンツメディコ 様にお願いをして、聴診器のご案内をしたり、またドクターズ プラザ様を日本総会に案内して、WS を見学しました。同時に、IFMSA-Japan と提携を結んでいる企業のチラ シを日本総会で配布したり、外部企業をより多くの人に知っていただくことができました。 ◆企業の訪問について 4 月、5 月、8 月に企業を訪問して、今年度の I-J の活動の方針の説明や今年度の挨拶をしました。 株式会社羊土社様、株式会社ドクターズプラザ 様、株式会社メドメイン 様、株式会社ケンツメディコ 様に 挨拶をしたほか、医療情報専門サイト m3.com 等を運営するエムスリー株式会社 様を訪問し、I-J の活動内容 を紹介させていただきました。
3.今後の展望・課題 今後の展望としては、このように多くの企業、団体に協賛していただけることに深く感謝しつつ、お互いに メリットがある関係を維持していけるよう努力することが重要だと考えています。今後も、現在提携を結んで いる企業と親交を深めながら、活動をすることが大切だと思います。
4.感想 今年度 Fundrasing Officer として 1 年間活動していく中で、改めて IFMSA-Japan は企業のお力添えにより 成り立っているということを実感しました。日頃より暖かいご支援をいただいております企業の皆様に、この 場を借りて厚く御礼申し上げます。
文責│愛知医科大学 4 年 佐藤晃敏
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Liaison Office│外務部門 1.活動理念 "Liaison"は「リエゾン」と読み、「連絡」「連携」という意味を持ちます。つまり、IFMSA-Japan (以下 I-J) の活動と外部の団体を「つなぐ」ことが Liaison Office の仕事です。各委員会/各 Project の責任者や、外部学 生団体の担当者と定期的に連絡を行い、その中でそれぞれのニーズを見つけ、適切なアプローチを検討・実行 しています。
2.今年度の主な活動 ◆外部学生団体主催のイベントへの参加 提携を結んでいる外部学生団体が主催するイベントに参加し、主催団体スタッフとの交流を図りました。 ==今年度参加したイベント== ・APS-Japan 関東新歓(2019 年 4 月 28 日) ・AMSA Japan 関東新歓(2019 年 5 月 18 日) ◆関東新歓に参加する外部団体スタッフの窓口 関東新歓では外部団体プレゼンテーションとブースタイムを通じて、参加者が他の学生団体の情報を得られ る機会を設けました。事前に各団体の担当者と連絡を取り合い、発表者からの質問に対応するなど、スムーズ にプレゼンテーションが行われるようにサポートしました。また、外部団体スタッフにも I-J の活動について知 ってもらうため、ブースタイム中に外部団体スタッフを連れて各委員会のブースを回りながら紹介するツアー を開催しました。 ◆外部団体スタッフとの交流会の開催 提携を結んでいる外部学生団体の外務担当スタッフと定期的に連絡をとり、交流会を開催するなど、お互い の交流を図りました。 ◆日本総会(NGA)における外部団体関連企画のコーディネート 今年度の NGA では、外部団体プレゼンテーションと Activities Fair を通じて、参加者が他の学生団体の情報 を得られる機会を設けました。事前に各団体の担当者と連絡を取り合い、発表者からの質問に対応するなど、 スムーズにプレゼンテーションが行われるようにサポートしました。 ◆各委員会/各 Project 責任者へのコンタクト 各委員会や各 Project の責任者と定期的に連絡をとり、運営方針や運営における悩みについての聞き込みを行 いました。またそうした聞き込みをもとに、近いニーズを持つ委員会や Project 同士を引き合わせたり、外部団 体や外部講師を紹介したりするなど、それぞれのニーズに対して適切なアプローチを検討・実行しました。
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◆「IFMSA-Japan Complete Guide」作成 近年の活動規模の拡大に伴い、I-J 全体の広報活動を担う外務部門ではその 膨大な活動内容を把握することが困難になってきており、また外部団体に活動 について説明する際、既存のパンフレットでは情報が不十分となる場面が生じ てくるようになっていました。そこで、I-J の部門ごとの活動を詳細にかつわ かりやすく掲載し、I-J 内外への情報発信の雛型となる冊子「IFMSA-Japan Complete Guide」を作成しました。(2020 年度より正式導入予定)
3.今後の展望・課題 I-J では 4 つの外部学生団体と提携を結んでいます。しかしながら、その交 流は外務担当スタッフ同士の交流にとどまっているのが現状です。また、提携 団体以外の学生団体との交流も決して多いとは言えません。他団体の学生と交 流することは、I-J に関わる学生にとって新たな価値観を見つけ、普段の活動
内部・外部向け広報冊子 IFMSA-Japan Complete Guide
を見直し、よりよくするために必要不可欠なことだと思います。 今後は、提携団体をはじめとする多くの学生団体との交流をより深め、I-J に関わる学生のニーズに叶うような情報提供に努めていきます。
文責│日本大学 5 年 中村浩史郎
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New Technology Office|外務部門 1.活動理念 IFMSA-Japan(以下、I-J)のウェブサイトや各 Officer のメールアドレスの管理、Facebook, Twitter など の公式 Social Network Service (以下、SNS) の運営を主な業務としています。
2.今年度の主な活動 各 Officer の公式メールアドレスの転送設定を刷新し、今年度の Officials 体制に対応する様に設定しました。 また、メール転送に関わるトラブルや相談を随時受け付け、各 Officer 業務に支障の出ないよう尽力してまいり ました。ウェブサイト管理の方では、各地新入生歓迎会の情報をウェブページ上で今年度の初頭に公開し、公 式的なプレスリリースとしての働きをしました。新歓時期だけではなく、各委員会からウェブサイト上でのイ ベントの宣伝を依頼された際は、その都度更新し、I-J 会員に関わらず多くの人に閲覧していただきました。 SNS 運営の方では、Twitter や Facebook などでもイベント告知を行い、広告活動に数多くの面で関わっていき ました。一方で、新歓等で用いる I-J 全体の紹介動画を、現行の体制に合う形に新規に作成し直し、こちらも新 入生を含む色々な方々に閲覧していただきました。
3.今後の展望・課題 SNS の活動をさらに活性化すべく、“SNS チーム”を新たに結成し、各種 SNS 投稿をより活発に、より高クオ リティなものにしていきます。また、動画作成講習会を Skype 上でオープンに開催し、他の委員会でも動画を 作成する際に手助けとなるよう、ノウハウを伝えていく場を作りたいと考えております。
4.感想 各種宣伝業務に関わるなかで、他委員会や外務チーム内での協力やコミュニケーションは欠かすことのでき ないものと痛感いたしました。特にネットワーク上のトラブルなども無く一年間業務を完了できたことは、多 くの人の支えがあってこそのものです。この一年間、困難な時が度々訪れることもありましたが、副代表外務 担当はじめとする他の方々のご協力もあり、なんとか乗り越えることができました。生じた問題を一人で抱え るのではなく、組織全体で共有し解決に導くという経験は、他では得られないものだと感じました。そして、 自身も後継者や新入生のためにサポートできる存在でありたいと思っております。
文責│富山大学 4 年 小西 正晃
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Publication Office│外務部門 1.活動理念 Publication Office は、サポートオフィスとしてリーフレット・名刺・アニュアルレポートなど刊行物の作成 を担当しています。スタッフ全員がより活動しやすい、また、外部の方々に IFMSA-Japan (以下、I-J) の活動 がより届きやすい環境づくりを目標として活動しています。
2.今年度の主な活動 今年度、Publication Office は I-J の刊行物として、名刺とアニュアルレポートを作成しました。 ◆名刺の作成 名刺は、学生にとって馴染みのあまりないものではありますが、学生という肩書きは伴いながらも、団体と して活動する上での信用や、時には個人の自覚・意識を高めてくれるものであると考えています。理事・ Officials は、就任と同時に名刺が与えられます。スタッフは、一昨年度より理事会の承認を受けた後に名刺を 作成できるようになりました。来年度は、必要に応じて、さらに多くのスタッフが名刺を作成できるよう、申 請に関わる手続きの簡略化や情報共有に取り組んでいけたらなと考えております。 ◇アニュアルレポートの作成 アニュアルレポートは、外部の皆様に我々の活動を広く知っていただくための重要な刊行物であると自負し ています。例年、200 ページほどのものとなりますが、なるべく読みやすく手にとってもらいやすい様に活動 中の写真を挿入するなど、各部署による工夫が施されています。しかし、現状として各部門・プロジェクトに 偏りがあります。これらをより高いレベルで均質化していくためにはどうしたらいいのか、検討の余地がある と考えています。
3.今後の展望・課題 第一に、刊行物の完全データ化が挙げられると思います。新型コロナウイルス感染拡大の状況下において、 団体として全国から集まることも難しく、刊行物配布の機会も減っているのが現状であります。データとして 配布することで、セキュリティー面や著作権などクリアすべき課題もありますが、刊行にかかる期間の短縮・ 検索機能の活用・コスト削減も叶い、双方にとってより良い刊行物になるのではないかと考えております。ま た、刊行物の読みやすさ・見やすさに関しましては、毎年度試行錯誤していますが、内容の重複を避けページ 数を削減することで、必要な情報へのたどり着きやすさも意識するべきだと感じました。今後も外務チーム全 体で魅力的な刊行物について思案し、I-J 全体に還元していけたらと思います。
4.感想 I-J の一会員として外部にアプローチすることに対して、一人ひとりが責任を持って活動する、その支えとし て刊行物がお役に立てるよう努力していきたいと思います。
文責│岩手医科大学3年 谷口弘子
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14.International Affairs│国際業務部門 1.活動理念 IFMSA は世界 141 の国と地域で学ぶ医療系学生から成り立つ国際 NGO です。私達国際業務部門はその国際 性を生かし、様々な国際交流活動や情報受信また発信の機会を提供しています。日本の都市部のみならず、ど の地域で学ぶ医療系学生に対しても、学生の内から国際的知見を醸成し、グローバルスタンダードを知り、将 来的には世界を舞台に活躍できる医療者となることを目標として、日々活動しています。
2.今年度の主な活動 今年度より副代表国際業務担当 (以下、VPN)、国際情報管理者 (以下、IIM)、SCO 国際情報管理者 (以下、 SCIM) を筆頭に International Team (以下、IT) を結成し、国際会議への参加機会や、他国の情報の提供、ま た日本の活動の国外発信の機会を一層充実させて参りました。 ⑴ IT の結成 今年度より国際業務に新しく 2 名の officials が加わったことを受け、各 SCO から国際業務担当を選出してい ただき、各国のイベントや国際会議の情報発信等円滑に行えるような体制を整えました。IT の結成により、 Officials を中心に IFMSA 本部が不定期に配信する News Letter を翻訳してメーリングリストに配信し各国の現 状を伝えたり、アジア太平洋地域限定のニュースレターである AP view へ日本国内の活動を定期的に寄稿した りという活動を新たに加えることができました。今後ますます IT としての活動の幅が広がり、多くの医療系学 生が国際的視野をもって活動を展開していくことを祈ります。 ⑵ H20 へ IFMSA-Japan としての参加 2019 年 6 月に G20 に先駆けて行われた、日本医師会および世界医師会共催の Health Professional Meeting (H20) 2019 に参加して参りました。G20 に向けた UHC (Universal Health Coverage) に関する東京宣言の採 択を最後に行うことを目的としており、世界中から識者が集められ、講演会や討論が行われました。世界の医 学生代表として、IFMSA 代表 Batool Wahdani が登壇し、彼女と交流の場を持つという目的もかねて、代表、 VPN、NORE、NORP が参加させていただきました。日本では 1961 年に達成した国民皆保険制度ですが、他国 では依然として UHC 達成に向けて課題が多く、汚職や不正、政治的側面も絡み合っているとのお話を世界各地 最前線でご活躍されている先生方から聴くことができ、大変学びのある有意義な二日間となりました。また、 UHC が達成した先の世界にもさらに課題は続き、全世界、全世代を通じて UHC 達成、そして維持に向けて考 え、行動を起こす必要性を感じました。 今回の H20 での学びを受け、12 月には SNS を用い、UHC day の啓発活動を行いました。IFMSA OB 医師 のご指導の下、国内外に広く啓発活動を行うことができました。国外のみならず、国内でもグローバルヘルス を考える会議や学会は多くあります。世界を恐れることなく、積極的にそのような場へ足を運び、学生の内か ら多様な考えを吸収することは非常に重要なことです。私達も日本人としての自信を持ち、今後も国際的な活 動を発信していけるよう、I-J を通して多くの貴重な経験や出会いが得られることを今後も期待しております。
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⑶ 世界総会への IFMSA-Japan 代表団の送り出し August Meeting 2019 in Taiwan (以下、AM2019) においては、過去最多の参加申込みがあり、上限人数で ある 16 人もの日本代表団を送ることができました。また、各国の活動を紹介しあう activities fair では、過去 最多レベルとなる 7 もの project が日本を代表してブース展示、発表を行い、多くの国が関心をもってブースを 訪れてくれました。また、日本代表団として東京オリンピックに関連した盆踊りの披露も行い、各国から喝采 を受けました。世界中から 1000 人もの医学生が一堂に会して交流を持つ機会は他に類を見ず、今年はより多く の日本人学生がこのような貴重な経験をすることができ、非常に嬉しく思っております。 一方、March Meeting 2020 in Rwanda (以下、MM2020) は、COVID-19 の世界的流行を受け、日本代表 団としての参加をキャンセルという苦渋の決断をしました。今後の国際イベントに関しては、各国主にアジア 太平洋地域のほかの NMO を中心に話し合いを継続し、参加や実施の可否を検討していく予定です。 学生のうちに、将来の夢を同じくする世界中の医療系学生と交流を持てることは、今後グローバル化の進ん だ世界で医師として活躍していくにあたり、大変貴重な経験となることは間違いありません。これからも活発 な国際交流が継続されていくことを願ってやみません。 ⑷ IT としての様々な活動 今年度は AM2019 に多くの参加者を輩出したことを受け、10 月に行われた日本総会にて、大規模に世界総会 報告会を行わせていただきました。世界総会の概要や学んできたことの還元、他国の活動情報をどのように知 ることができるかを含めプレゼンを行いました。さらに、Asia Pacific Regional Director (次期 President) で ある Po-chin Li を台湾より招聘し、今後世界で活躍していくにあたり日本人の医療系学生に求められることを プレゼンいただきました。台風直後にも関わらず多くの方が関心をもって出席してくださり、これを機に多く の日本人代表団が派遣されることを期待しています。 また、全国各地で国際意識の高い学生が多く所属していることから、オンラインで USMLE 情報交換会を開催 しました。実際の受験経験者の体験談も含め、試験の実際や勉強法の実際について話し合いました。全国どこ にいても常に刺激を請け合い、切磋琢磨できる I-J のコミュニティを生かした有意義な会となりました。 さらに、COVID-19 の世界的流行を受け、IT を中心として Small Working Group (以下、SWG) を結成し、 SWG about COVID-19 と称し、医学的論文や WHO の文書をもとに、新型コロナウイルスにまつわる正しい知 識の共有、発信活動を行っております。今後とも I-J の繋がりやコミュニティ力を生かし、有益な情報発信活動 を継続して参ります。
3.今後の展望・課題 急速にグローバル化が進む昨今、学生の内から国際交流の機会を持ち、グローバルスタンダードを学んでお くことは非常に貴重な経験と言えます。世界へ足を踏み出す第一歩は勇気のいることかもしれませんが、今後 も国際業務は全国の医学生が積極的に外の世界を知り、日本の、そして世界の医学界を牽引できる人材となれ るよう、活動を展開していきます。また、日本人の医療系学生が自信をもって、国連会議等の場で意見を表明 し、リーダーシップを発揮していくことができるよう、今後はより一層日本国内からの発信力を高めていくこ とのできるよう、IT スタッフを中心に精進して参ります。
文責│山口大学 4 年 133
持田千幸
15.Secretariat│事務局部門 1.活動理念 事務局部門は、IFMSA-Japan に関する説明を外部の方にしたり、普段の委員会の活動でスタッフを事務的な 面でサポートをしたりと、I-J の窓口を担う部署です。I-J が有するメーリングリスト (以下、ML) の加入者や個 人会員、運営側として関わるスタッフといった様々な人たちとコミュニケーションをとり、I-J に対する多様な ニーズに対応するため、I-J と「人」を繋ぐ仕事をしていると言えます。情報提供体制の充実、会員管理の正確 性や効率性の向上、そして新しく加入した方々を中心とした会員や スタッフの支援体制の提供に努めています。
2.今年度の主な活動 【各種会員登録】 新歓時期や日本総会前後において、今年も多くの方に個人会員登録をしていただきました。2020 年 3 月の時 点で個人会員数は約 750 名で、そのうち約 170 名がスタッフインターンを経て、運営を担うスタッフになりま した。会員数が 800 名を越した昨年度に比べると減少していて、新規スタッフの数も(母数を考慮してもなお) 地域によって大きく異なる結果となっています。 【ML 管理】 IFMSA-Japan ML や個人会員 ML における投稿管理においては、I-J 内外の各部署からの広報文配信依頼を受 け、内容の精査後に配信しました。また例年卒業生や脱会した方のメールアドレスを会員 ML から外すなど、細 かいことではありますが、個人会員の特典である「会員 ML での情報提供」を会員のみが受けることができるよ うに整備をしたりすることも怠りませんでした。 【スタッフ T シャツや理事/役員ポロシャツの管理】 IFMSA-Japan の T シャツやポロシャツは、団体のブランディング及びスタッフの帰属意識や士気を高める上 で重要なツールです。本年度も業者への発注を事務局が一手に行い、新歓・日本総会、その他事務局員が出席 できる様々なイベントにて購入希望者に届けました。 【書類管理】 10 月の総会本会議配布書類の作成や計4回開催された理事定例会議(EBM)の議事録の編集を事務局が主導し、 他の理事との共同作業の下で行い、会員 ML にて配信しました。 【スタッフ登録の手続きの改良】 事務局長以外の理事が自身の管轄する部署におけるに活動に専念できるようにすることと、手続きを効率化 することを目的として、管理システムに改良が加えられたスタッフ登録及びスタッフインターンは今年度より、 事務局部門が一手に引き受けることになりました。
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3.今後の展望・課題 Support Office は文字通り、I-J の委員会や地域の運営を「サポート」することを目的に活動しています。そ のため、会計処理を除く様々な事務作業をすることになりますが、事務局の Officials に会員登録という単純作業 のみを委託し、イレギュラー対応を事務局長一人が行ってきたため、他の事務局員の士気が上がらず、IFMSA に関 わる意義や原点を意識させるというチームビルディングがさほど上手くいかなかったという課題があります。 来年度には前述のスタッフインターンなどに関する対応を、個人の負担が大きくならないよう配慮しながら、 事務局内にて分業し、理事同士だけでなく、事務局全体が常設委員会などと連携をとることができるようにする ことができるよう年度末にかけて調整する予定です。 また、今年度は台風やコロナウイルスなど自然災害の影響を受け、オフラインでのイベント開催が困難を極め たことも相まって、IFMSA へ参加する人の数が全体的に減りました。自然現象のみが原因とは言い切れず、新歓 時期での会員登録などが昨年度に比べ不調だったことも原因として挙げられます。私自身、IFMSA へ関わるメリ ットなどを多くの方々へ伝えてきたつもりでしたが、まだまだ改善の余地はあります。時代の変化や人々のニー ズに合わせて、IFMSA のことを発信する手段や言葉選びを考えると同時に、今一度スタッフ一人一人が原点を思 い起こすことができるよう祈っています。
4.感想 私にとって、IFMSA は様々な「チャンス」を得ることができる場所だと信じています。その組織の中心にいる からには自分以外の人にも「チャンス」を提供できるようにしなければなりません。引き続き事務局長を務め させていただく来年度も、自身が前進しながら、「IFMSA とはこういう組織です」と説明することができるよう 努力していきたいと思っています。IFMSA や事務局に関わってくださった方々に深くお礼を申し上げます。
文責│旭川医科大学3年 三浦子路
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16.Treasurer|会計部門 1.活動理念 会計業務を通して IFMSA-Japan および各部門の運営補助を行います。
2.今年度の主な活動 会計部門の主な活動は I-J 年間予算の管理です。以下に詳細を記載します。 ◆年間予算の決定 I-J の年間予算の作成を行いました。I-J の主な収入源は個人会員登録費や各加盟団体からの登録費、各企業/ 団体からの寄付金・協賛金、日本総会での収入です。また主な支出先は IFMSA 本部の加盟金や各部門の運営補 助費、スタッフの各種交通費補助などが挙げられ、これらの運用によって団体運営が成り立っています。 詳細は本冊子の会計報告を御覧ください。 ◆年間予算の管理 年間を通し、各種送金や領収書の管理を行いながら適切な予算運用に努めました。 ◆各部門会計担当との連携 会計上の規約や業務内容の確認、問題点の議論を行いました。全体で統一した会計規約を用いること、問題 点を共有することで公平な予算運用を行いました。 ◆会計制度の質を維持しながら、より充実してものにしていくための議論 会計部門以外のスタッフを交え、現行の会計制度について問題抽出を行い、その改善に向けて議論を行いま した。結果として規約の変更や業務内容の一部見直しに繋がり、会計制度をよりよいものにできたと考えてお ります。今後も慎重な議論を進めることで、よりよい団体運営を目指していきます。
3.今後の展望・課題 会計部門の課題として、まずは透明性の確保が挙げられます。本団体の資金運営はスタッフや企業/団体の 方々のご協力により成り立っていますので、会計業務の実態について情報発信を継続して行っていくことで責 任を果たしていきたいと考えております。 また、持続可能性の維持も課題として挙げられます。毎年度メンバーが変わるという学生団体の性質や、近 年 I-J が新たな取り組みを行っているという現状に資金運営も対応していく必要があります。安定した資金調達 に向けた取り組みや次年度への引き継ぎをしっかり行うことが重要であると考えます。
4.感想 今年度は台風や感染症により、イベントの内容変更・中止を余儀なくされる場面が多くありました。想定外の 事態への対応に追われる1年となりましたが、大きな問題なく活動を終えられたことを嬉しく思います。 会計部門での業務を通して I-J が多くの方々に支えられながら活動できていることを実感しました。また、社 会における役割や外部からの見られ方を強く意識した1年でもありました。今後 I-J が活動の幅を広げていく上 で、会計部門の担う責任はますます大きくなっていくと考えています。
文責│山形大学4年 安田佐梨 136
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17.Local Activity│加盟大学 地域活動 【北海道地域】 旭川医科大学│4 年 玉井公康 旭川医科大学 IFMSA は現在 46 名で活動しております。今年度の活動内容としては、ぬいぐるみ病院、交換 留学、文化祭での出店、ローカル単位での勉強会を開催しました。2 年生の活動が活発になり、自主的にワーク ショップを開き、旭川医科大学 IFMSA 以外の方々とともに勉強を行いました。旭川で行われている合同文化祭 に出店し、地元の高校生や地域の方々との交流をもとに、IFMSA の活動を知っていただきました。北海道の 3 大学合同で行う北海道新歓も成功を収め、他大学との交流をもとに、さらなる視野の拡大を行い、メンバーの 医療者としての資質が高まりました。今後も精力的に活動してまいります。 北海道大学│3 年 依田恵 IFMSA 北大では、大学祭や幼稚園でのぬいぐるみ病院、交換留学、昼の定例ミーティングを行いました。加 えて、本年度はインドより Dr.Sujit にお越し頂き講演会を開催しました。ぬいぐるみ病院では、ご来場者の方 から「毎年親子で楽しみにしています」という声も頂戴しました。このような街の声は、地域単位で継続して 活動することの醍醐味です。留学関連では、スウェーデンから1名の受け入れ、チェコへ1名が留学しました。 受け入れの際、担当者が多彩で細やかなプランを立てたことで、多くの部員が交流イベントに参加できました。 これからも、地域単位だからこそ生み出せる喜びや熱意を作り出せる場であってほしいと願っております。
【東北地域】 岩手医科大学|3 年 小林春彦 IFMSA-Iwate は現在約 20 名で活動をしています。活動内容は、週に一度の英会話やインクルこども食堂で のボランティア活動、年に一度のコラボイベントの企画、そして、外国人相談会への参加です。こども食堂と のコラボイベントでは、今年度、劇やゲームを通して栄養バランスの大切を伝えました。外国人相談会では、 医療を十分に受けられていない外国人の方々の相談会にボランティアとして参加しました。今後の活動として は、新病院が大学の隣に移転するため、これを機に活動の幅を広げることを目指しています。
山形大学│4 年 安田佐梨 山形大学では、14 名の学生が活動しております。主な活動である、昨年度から始まった小児科での病棟ボラ ンティアを継続して行っております。また、台湾で行われた世界総会に1名が参加し、世界の医学生と交流し ながら共に学ぶ貴重な経験をさせていただきました。来年度は活動の幅をさらに広げて、より充実したものに していきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします。 福島県立医科大学|3 年 金子郁澄 今年度は例年に引き続き行った留学生受け入れや週1回の英会話に加えて、フェアトレードの商品を学園祭 で販売することにも力を入れました。それに向けて、インドからお招きした講師から、直接現状を伺うことが できました。学園祭後にも大学内外の先生方にお越しいただき、「IFMSA 海外シリーズ」と題しまして、お話 を伺う機会を設けることができました。今後もイベントに参加した部員の活動報告だけではなく実際に国外の 方との交流も増やすことができるよう、広い視野を持つ IFMSA-Fukushima を目指して参ります。
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東北医科薬科大学│3 年 東海林莞央里 東北医科薬科大学 IFMSA (IFMSA TMPU) は昨年度発足し、今年度から I-J に団体加盟をいたしました。23 名で活動をしており、今年度は新歓、世界総会報告会、ぬいぐるみ病院等の活動を行いました。現在主な活動 としては、ぬいぐるみ病院が中心となっており、発足から 1 年ほどしかたっていませんが、実際に幼稚園を訪 問し、ぬいぐるみ病院の活動を行うことができ、幼稚園のスタッフまた園児の親御さんからも高い評価をいた だくことができました。来年度以降も新たな活動や近隣の加盟団体との連携などを図り、活動の幅を広げ、フ レッシュさをもってメンバー全員で取り組んでいきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
【関東地域】 筑波大学│2 年 杉本理紗 TIMSA(Tsukuba International Medical Students Association)として、 交換留学を主に取り組みました。計 40 人で、大半が医学群医学類の学生です。 常時の活動としては、国際交流や情報交換の場を設け、TED トークのセッシ ョン、大学院の留学生との交流を行ってきました。交換留学としては、IFMSA の SCORE 留学を受け入れをおこないました。課題としては、部員全員が他の 部活やサークルと掛け持ちしているため、常時の活動に多くの人数が集まるこ とができない状況であることが挙げられます。これは、ある程度仕方がない問 留学生のウェルカムパーティー
題であると思いますが、これから活動を参加しやすい形に変えていきたいです。
杏林大学│4 年 中村真悠子 杏林大学医学部 ESS 部は現在 28 名で活動しています。従来は大学へ来た留学生との交流を主に行ってきま したが、大学の方針変換により留学生の受け入れが終了したため今年度より活動内容を大きく見直すこととな りました。新たな活動としては、週に 1 度の TOEFL 勉強会の他、大学病院の先生方を交えた英会話カフェ、他 大学 ESS 部との交流を行うこととしました。今後の目標としては、新たな活動を継続して行い定着させて参り ます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 慶應義塾大学│3 年 岩田純奈 慶應義塾大学 IFMSA はメンバーが 2 名と少数で活動していますが、ぬいぐる み病院(37 名)として独自に活動をしています。今年度は保育園/幼稚園で 2 回、 小学校で 1 回の実施、及び小児病棟の装飾活動を行いました。文化祭出店も毎 年行っています。今年度は実施する保育園を増やすことができ、また、3・4 歳 という新たな年代に向けて、わかりやすい内容を心がけて実施しました。それ でも子供たちには難しい言葉があり、一律に続けてきた実施の内容を再度見直 四谷第六幼稚園での ぬいぐるみ病院実施の様子
すことが課題です。また、IFMSA メンバーを増やすため、学内で副代表外務担 当による IFMSA 説明会を開きました。来年度も広報に力を入れ、徐々に規模を 拡大させたいです。今後ともよろしくお願いします。
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東京女子医科大学│3 年 北原 果林 東京女子医科大学 MESS 部は今年度、I-J スタッフが中心となり、多くのイベントに積極的に参加しました。 今年度の交換留学に関しましては、夏に 2 名留学生を迎え farewell party などを行い、交流を深めることがで きました。来年度も留学生の受け入れに向けて学校全体で取り組んでおります。そのほか提携団体の JIMSA や AMSA で活躍する部員もおります。今後も積極的に活動していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 日本大学│3 年 武田勝元 IFMSA-日大は現在計 32 名で活動しています。活動内容はぬいぐるみ病院、交換留学、文化祭での一総合病 院での脈波、血管年齢測定を行っています。ぬいぐるみ病院では、保育園、小児科病棟での実施を行いました。 今年度は子供たちとの密なふれあいを重視し活動を行いました。小児科病棟では自室から出られない子供たち に対しても実施を行えるかが今後の課題となっています。交換留学に関しましては、2名の受け入れと本学3 名の留学を行いました。今後もどうぞよろしくお願いいたします。 日本医科大学│2年 石谷華音 日本医科大学の MESS 部は約 100 名のメンバーで活動しています。今年度も incoming でフィンランドとク ロアチアから計2名の留学生を受け入れました。日本茶の飲み比べや浅草観光など日本の伝統的な面や原宿観 光などサブカルチャーも紹介しました。受け入れに向けた準備、outgoing を意識した勉強会など精力的な活動 をしていきたいと思っております。もよろしくお願いいたします。 北里大学│3 年 奥村優 医学英語の会(MESS)は、現在計 48 名で活動しております。活動は週 1 回行い、問題集などを用いた医学 英語の勉強会、パワーポイントを用いたプレゼンテーションの練習を主な活動としております。また、活動の 発表の場として他大学医学部も交えたスピーチコンテストを毎年 1 回開催しております。課題としては、 IFMSA からの留学生が受け入れられていないことが挙げられます。今後は、積極的に受け入れていきたいと考 えておりますので、何卒宜しくお願いいたします。 聖マリアンナ医科大学|3 年 安藤美沙 聖マリアンナ医科大学 MESS は現在約 40 名で活動しています。週に 1回のミーティングと冬のぬいぐるみ病院、交換留学、病院見学など を行いました。ぬいぐるみ病院は保育園で、子供達に食生活や手洗 い、うがいの大切さなどを理解してもらえるよう活動しました。ま た、交換留学では 1 名の受け入れと本学の 2 名の留学を行い、それぞ れ交流を深めることができました。今後の目標としましては、現在の 活動の維持、そして活動への参加を積極的に行うことを目指していま す。今後ともよろしくお願いいたします。
ぬいぐるみ病院の様子
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東海大学|3年 中島拓也 東海大学 Medical English Speaking Society (MESS) は、32 人で不定期 に活動しています。まず新歓期は上級生より留学報告会を行い、モチベーシ ョンを高め合いました。新歓に参加したメンバーは、Skype を通してミニ勉 強会に参加しました。学内ではその他、ネパール在住の医師を招き講演会を 行いました。また、定期的に勉強会も行っています。映画「小さな命が呼ぶ 時」の鑑賞会では、学生同士のディスカッションもしました。来年度もよろ しくお願いします。 2019 年度 MESS 追いコンでの様子
山梨大学│4年 井戸田陽奈 IFMSA-Yamanashi は現在、68 名で活動しています。Exchange で交換 留学、SCORA では性に関する勉強会、ぬいぐるみ病院で幼稚園での公衆 衛生教育劇などの活動をしています。ここ数年は3つの部門で合同の活動 はなかったのですが、今年度は合同新歓などを行いました。Exchange で は近年より多くの留学生を受け入れたり、SCORA ではここ数年できてい なかったピア活動を検討したり、ぬいぐるみ病院では県内他大学の部員の 勧誘を行ったりと、各々活動範囲を広げました。今後も現在以上の活動が できるように工夫し、新しい活動を企画していきたいです。今後ともよろ 留学生との鎌倉旅行
しくお願いいたします。
国際医療福祉大学|2年 長谷川勇輝 Narita medics の発足から早3年が経ち、現在は約 160 名が在籍をしております。まだ発足からあまり年を 経ていないため、昨年度に引き続き団体の基盤作りに力を注ぎました。今年度は、ぬいぐるみ病院が活動の域 を広げ、実施保育園の数を増やしました。また、大学初の試みとして、Africa Village Project (AVP) の外部講 師による講演会も実施いたしました。定期的な活動日は設けていませんが、各々が高い目標を持って日々研鑽 を積んでいます。今後の目標としましては、現在の活動の維持、大学としての活動の規模拡大です。また、大 学病院の開院に合わせて、交換留学の受付先大学としての準備も視野に入れております。
【北陸地域】 金沢大学|5年 広多見和子 金沢大学では、2つの団体合わせて 20 名ほどのメンバーが I-J に関わる活動をしています。SCORA では、 例年通り県内の高校生と金沢大学医学類1年生に対して Peer Education を行いました。今年度は新メンバーが 増え、来年度からは活動を拡充させていくことができそうでとても嬉しく思っています。1人でも多くの方に 正しい性教育を届けられるよう、これからも部員一同頑張っていきます。ぬいぐるみ病院部門では、例年通り 県内の保育園などで活動を行いました。来年度は他大学との交流も大切にし、良い刺激を受けてより充実した 活動を行っていきたいです。
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福井大学|1年 安藤康太 福井 IFMSA 留学では毎年数名の留学の送り出しと受け入れを行っています。今年度は 2019 年 7 月にマルタ 共和国から形成外科教室に臨床留学の2名を受け入れました。約1か月に渡り、たくさんの交流イベントや外 出イベントを開き、日本の文化に触れてもらいました。また日々の生活でも多くの学生が積極的に留学生のお 世話をしており互いに成長できる良い機会でした。課題としましては、今年度こちらからの送り出しがなかっ たことであると考えておりますが、来年度はカナダとスペインへの2名の留学が予定されており、今後も継続 していく予定です。来年度以降も、活動がさらに広がることを期待しております。今後ともお願いいたします。
【東海信州地域】 浜松医科大学|4年 鈴木海渡 弊学では IFMSA 関連団体として3団体、計 65 名程が精力的に活動しています。Exchange を行う「HOPE」 では 5 名の受け入れと同数の送り出しを行いました。週1回のミーティングにて留学報告会などを行っていま す。SCORA のローカル組織である「SCORA はままつ」では地元高校3校にてピアエデュケーションを行いま した。デート DV、性感染症、女性の身体の仕組み等をテーマとして扱っています。SCOPH のぬいぐるみ病院 プロジェクトを行っている「はまいぬいぐるみ病院」では地元小学校や保育園にてぬいぐるみを用いた模擬体 験活動を行った他、劇形式で熱中症予防の指導も行いました。計 5 回の学外活動の他に大学の学園祭でもお医 者さん体験のブースを開きました。本部との連携を取ることで活動の幅を広げたいです。 愛知医科大学|4年 佐藤晃敏 HIAMU は 20 名前後の部員がボランティア、留学、アカデミック部門などに分かれ、様々な分野において活 動をしています。ボランティア部門では小児を対象にしており、定期的に病院の小児科病棟にお邪魔をして子 供と交流をしています。留学部門の一つに I-J の交換留学も含まれており、主に受け入れを行っています。今後 は英語に関する活動を増やすと共に、1 年生のカリキュラムの多忙化に合わせた取り組みが必要であると考えて います。また、SCORA 部門では性感染症に関する知識を伝えることで、自分たちの理解も深めながら正しい知 識を広めていけるように努力してまいります。 藤田医科大学|4年 一柳咲佑美 藤田医科大学 IFMSA-FHU は 2019 年 2 月に教授会で承認され、4月から正式な部活動となった新しい団体 です。立ち上げ当初部員は医学部4名でしたが、新歓活動を通じ部員を獲得し現在は看護学科などの学生を含 めた約 40 名で活動しています。ランチを食べながらの昼休みの英会話や、全国イベントの報告会、コミュニケ ーションなどのソフトスキルのワークショップなどを月 1、2回ほど行っています。また、愛知医科大学と合同 で外国人医師から自身の日本での留学体験を語っていただく企画も実施しました。今後は学内の国際交流セン ターと連携して、留学生サポートのボランティアの導入も検討しており、学内外のつながりを大切にしながら、 ますます交流の幅を広げていきたいと考えております。
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名古屋市立大学|3年 張亦佳 IFMSA-Japan 名市大は 2019 年 9 月に立ち上げられて以来、医学英語 や海外留学に興味のあるメンバーを募集し、現在 12 名で活動しています。 月に 2〜3 回程度英語診察の勉強会や IELTS または TOFEL のスピーキン グテストの練習会を開催し、医学生が日頃から英語を話す機会を増やして いきました。これまでは大学内の勉強会を中心とした活動を行なってきま したが、留学に興味のあるメンバーも多く、海外からの留学生の受け入れ 態勢を整え、IFMSA 交換留学に積極的に参加できるようにすることが来年 留学生との交流
度の課題です。今後ともよろしくお願いいたします。
【関西地域】 滋賀医科大学|5 年 熊野陽子 滋賀医科大学 IFMSA は、今年度初めてインド人医師 Sujit 先生をお招きし、学内で講演会を行いました。 Sujit 先生は、インドの医療の発展に大きく寄与され、現在は医療だけでなく、貧困のために教育を受けられな い子どもたちの支援なども行っておられます。講演会終了後には、スジット先生が持参してくださったフェア トレード商品の販売を行いました。これからも様々な活動に取り組み、メンバーが良い刺激を受けられる場を 提供していきたいです。今後ともよろしくお願いします。
大阪市立大学|5年 山村総一郎 IFMSA-大阪市立大学は International Students’ Association of Osaka city university (ISAO) として活動 しており、部員数は 53 名です。今年度は 14 名の IFMSA 交換留学生を受け入れ、大阪市立大学からは 15 名の 学生が留学しました。また今年度から大阪市立大学への学部間交換留学生との交流も指揮をとるようになり、 毎月4、5人の留学生と交流しております。大阪市立大学は国際交流に重きを置いているため、今後はさらな る留学生の受け入れと本学からの留学生派遣を目標としております。今後ともよろしくお願いいたします。 近畿大学医学部|3年 前田博昭 近畿大学医学部 IFMSA-Kindai Exchange 部は、今年度から近畿大学附 属看護専門学校の学生も 3 名加わり、計 71 名で活動しています。昨年度 に引き続き、I-J の SCOPE/SCORE が運営する交換留学に参加し、6 月と 7 月に SCOPE 留学生 2 名、SCORE 留学生 1 名の受け入れ活動を行いま した。3 年生を中心に、歓迎会や social program、近畿大学医学部の他 部活(華道部、茶道部)の体験参加、送別会など各部員が積極的に活動しま outgoing での様子
した。また、8 月に SCORE 留学 1 名の送り出し活動を行いました。今後 も各部員が積極的に活動に参加し、お互いの文化的・社会的背景を理解 し、個人を磨くきっかけとなることを目標にしていきたいと思います。
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兵庫医科大学|3年 二武有紀 兵庫医科大学では IFMSA は英語部と約 20 人で活動をしています。 SCORE の留学生の受け入れと送り出しを軸に、週一回の英語でのプ ラクティスや留学生の Social program を行なっています。留学生と 週末に京都・奈良・神戸に観光に行き、平日の昼休みを利用して留学 生の母国の紹介をしてもらいディスカッションを行うことで国内にい ながら異文化に触れる機会を得ることができました。今年度は、6月 に 2 名、9月に 1 名の受け入れを行いました。現在 I-J 内で活動する 人員が少ないので、I-J の中で活躍する後輩の育成が課題です。そのた
神戸にて welcome party
め、イベントに後輩を連れて積極的に参加することを考えています。
【中国地域】 鳥取大学|2 年 河本龍磨 国際保健友の会ハクナマタタは現在 78 名で活動しています。主に地域、海外部門に分かれて活動しています。 地域部門では、集落の住民さんとの交流や健康教室の開催等を通して地域保健について学んでいます。海外部 門では、IFMSA 交換留学生の受け入れ・派遣や、独自の海外研修を行っています。今年はスイスとチェコから 1 名ずつ留学生の受け入れを行いました。また、2020 年春には中国での海外研修を行う予定でしたが、 COVID-19 の感染拡大を受け、延期としました。週 1 回の部会で各部門や個人の活動の共有が行われ、行事準 備・ディベート・勉強会等を行い、国際保健について学んでいます。今後も各部門の活動を行っていくと同時 に、より積極的に IFMSA にも関われたらと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
島根大学|4年 野坂未公音 IFMSA-Shimane は約 15 名で主に国際交流分野で活動しています。 2019 年度はハンガリーとドイツから留学生を受け入れ、一か月間の 臨床実習を支援しました。ハンガリーの学生は部員の家に滞在してい たため、生活全体を通して深く親交を深めることができました。ま た、新歓の時期に交換留学説明会だけでなく、死生観に関するワーク ショップや遺伝学に関するワークショップも行い、新入生に授業とは 違う新たな視点を提供しました。
茶道の経験をするハンガリーの学生
川崎医科大学|3 年 青木健太郎 川崎医科大学 ESS 部は、主に留学生の受け入れを中心に活動していま す。今年度は、SCOPE で 2 名、SCORE で 1 名受け入れました。交流で は、岡山のうらじゃ祭りに参加し、広島で宮島など観光地を巡りまし た。また、ハロウィンパーティーも行いました。、来年度は多くの学生 に興味を持ってもらえるよう、より充実した活動を企画しています。 留学生と広島・宮島へ
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【四国地域】 徳島大学|4 年 水口貴香子 徳島大学 IFMSA は、約 40 名で、月に1回の部会を開き,ぬいぐるみ病院と SCORA の活動を中心に活動し ています。ぬいぐるみ病院では、保育園や学祭、地域のイベントでの実施を行いました。今年度は消化の仕組 みを学べる消化器迷路や消化器エプロンの製作・修繕にも取り組みました。SCORA では、保健所と協力して STI (性感染症) の啓発活動やセクシャルマイノリティの勉強会を行いました。保健所や大学内の他の部活と一 緒に活動できたことで、今まで以上に学びや発見を得ることができました。今後も様々な活動に精力的に取り 組んでいきたいと考えております。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 香川大学|3年 山岡千夏 IFMSAK は部員約 60 人で活動しています。ぬいぐるみ病院部門では、 例年通り学祭や地域のイベントなどで 8 回程度の実施をすることができ、 新入生も積極的に参加をしてくれました。Exchange 部門では、1 名ず つ留学生の送り出し・受け入れ、さらに週 1 回の勉強会を行いました。 初めての受け入れでしたが、今後の課題が発見できました。プライマリ ケア部門では、症例検討をしたり外部の先生からお話を伺ったりしまし た。来年度は範囲を広げ、勉強会のみでなく各自がイベントに参加し共 早寝早起き朝ごはんダンスの様子
有会を行う予定です。どの部門も学内でのみ活動する学生が多いので全 国のイベントへの参加も促していきたいです。
愛媛大学|2年 大野彩夏 愛媛大学医学部 EMSA は計 41 名で活動しています。主な活動内容は 基礎・臨床交換留学やぬいぐるみ病院、レインボーネイルの実施、性教 育・国際保健・貧困などの勉強会になります。交換留学ではカナダとギ リシャ、オーストリアから1名ずつ受け入れ、サイクリングや観光をし て交流を深めました。ぬいぐるみ病院は、大学の文化祭や地域の夜市や イベントの際に行い、多くの子供たちの笑顔を見ることができました。 新しい取り組みとして、近隣の小学校を訪問し小学生向けの医療キャリ 留学生としまなみサイクリングへ
ア教育の実施を予定しています。今後ともよろしくお願いいたします。
【九州山口地域】 山口大学|4年 持田千幸 今年度はノルウェーより留学生を迎え、茶道体験や日本食パーティーのほか、九州山口地区の他の大学と合 同で九州観光を行うなど積極的に国際交流の場を設け活動しました。来年度以降、益々活動の幅を広げるため、 ESS と国際医療研究会との合併についても 1 年間を通して話を進めて参りました。IFMSA 交換留学、公衆衛生 にまつわる啓発活動、スタディツアー、医学英語の学習会等、一層活動の質、量ともに高めていく所存です。 今後とも I-J とのつながりを生かし、全国の医学生とともに活動できることを楽しみにしております。
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久留米大学|4年 別府仙梨 2019 年度は新入部員が 15 名入部し、計 59 名で活動しています。Speech Contest 九州大会、BMC、CPC、 ディベート大会に参加しました。また交換留学生の受け入れを1名行いました。本学からも4名のうち2名の 受け入れが新型コロナウイルスの影響を受けキャンセルとなりました。来年度は状況が回復することを願って います。本年度は国際人としての生き方を考え活動に取り組むことを心がけていました。定期的な活動日は設 けていませんが、様々なイベントに参加していきたいと思っています。よろしくお願いいたします。 福岡大学|3年 後藤貴子 福岡大学 IFMSA は、計 34 名で活動しています。今年度も久留米大学 JIMSA とのスピーチコンテストに9 名が出場しました。計3名の留学生を迎え、合同ソーシャルへの参加や和食作り、福岡観光などで交流を深め ました。その他にも、英語での日常会話のスキルアップや医療英語に関するポスターを作製しての勉強会も行 いました。海外留学には 2 名参加しました。今後は勉強会をさらに充実したものにしたいと思っております。 他大学の活動を参考にできたらなとは思っているものの情報収集・会議参加が難しいのが現状です。 佐賀大学|2 年 東敬介 IFMSA-Saga は 12 名で活動しています。以前本学で受け入れていた交 換留学の受け入れ再開に向けたミーティング、フェアトレードに関する勉 強会を行いました。今年度は、学祭でのフェアトレード出店が、人員面や 金銭面により行えませんでした。新入生を含め部員が増えたこともあり、 来年度以降の定期開催に向けて話し合いを進めて参ります。定期的な活動 は設けていませんが、部員それぞれが交換留学や学祭の出店などを通して 何を学び、何を得たいかを考えながら活動をしています。今後ともよろし くお願いいたします。
ミーティングの様子
長崎大学|3 年 久貝健人 熱帯医学研究会という団体として 80 人程度で活動しています。場所は 主に大学内の一室を借りています。年 2 回の活動報告会を設けており、 個々人が活動してきた内容を発表し共有しています。IFMSA の活動として は交換留学や新歓へ参加を行っています。長崎大学としての活動が今年は かなり少なかったので、もっと積極的にイベントの参加や告知する必要が あったと思います。IFMSA は積極性のある人たちがたくさんいて、とても 刺激をもらえる団体であると思います。新入生を引き連れてもっと活発に していけるように頑張ります。1 年間ありがとうございました。
留学生との交流
熊本大学|2年 根岸珠久 国際社会医療研究会は約 20 名で活動しています。活動内容は、週に1回の部会と夏のスタディツアーです。 部会では、調べたことをプレゼン・ディスカッションの形で共有します。スタディツアーでは、貧困と外国人 労働者をテーマに、フィリピンを訪れ貧困地域の見学と現地の方との交流をしました。今後は、これまでの学 びをさらに深め IFMSA への参加を積極的にすることを目指しています。今後ともよろしくお願いいたします。 146
大分大学|3年 宇津木聖章 IFMSA-Oita は、35 名で活動しております。Exchange での交換留学に加え、ぬいぐるみ病院、学園祭での フェアトレードを行っています。7月には合同ソーシャルを開催し、他校の留学生との交流も行いました。ま た、大学として受け入れた留学生との交流を、大学側から依頼されることもありました。今後も学内外とのつ ながりを大切にしながら、定期的に勉強会等も行い、部員の意見交換を活発化していきたいと考えています。 今後ともよろしくお願いいたします。 宮崎大学│4年 黒木安優香 宮崎大学国際保健医療研究会は 18 名で活動しています。ウクライナからの留学生を 2 名受け入れ、部員は英 語スキル向上に取り組み、留学生には、週末の観光により宮崎の地を楽しんでいただきました。また、福岡に て、大分大学・山口大学が受け入れた学生との合同ソーシャルも実施することができ、非常に満足度の高いも のとなったと考えています。ご協力いただいた九州山口スタッフの皆さんに心より感謝申し上げます。弊団体 では2名だった個人会員が今年度は4名となりました。今後はスタッフの数を少しずつ増やし、留学以外の活 動にも取り組んでいけたらと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。 琉球大学│3 年 町田香菜子 IFMSA-Ryukyus は、計 13 名で活動しています。大学内での周知活動や IFMSA 九州山口地域新歓での活動、 また公益社団法人 難病の子どもとその家族へ夢を(通称:Hope&Wish)様の沖縄での施設設立に向けての交 流を行いました。今後も興味のある分野の活動に取り組んでいくとともに、お互いが学び合い情報を共有でき る機会を充実させてまいります。今後ともよろしくお願いいたします。 鹿児島大学|3 年 安田幸志郎 KIC (鹿児島国際交流サークル) は部員 100 名程度で活動しており、留学 派遣や留学生の受け入れ、不定期での勉強会や交流会などの活動を行って います。今年度は SCORE で 3 名の学生を派遣することができました。ま た、台湾人の留学生を 1 名受け入れました。KIC とは別に、ぬいぐるみ病 院としても 30 名程度で活動しております。大学から助成金をいただくこと ができ、主に、保育園における活動や、地域の病院におけるプレパレーシ ョンを行いました。今後も積極的に活動に取り組んでいきます。よろしく 集合写真
お願いいたします。
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V.会計報告 等 Financial Report etc.
18.Financial Report|会計報告
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19.Auditing Report|監査報告 令和 2 年 3 月 31 日 IFMSA-Japan 代表 殿 監査委員長 荒川智哉
内部監査報告書
平成 31 年 4 月 1 日より令和 2 年 3 月 31 日までの期間に実施した IFMSA-Japan 理事における内部監査の結果 を下記のとおりご報告いたします。
記 1. 監査対象
監査対象部門:IFMSA-Japan 理事 監査対象業務:IFMSA-Japan 運営全般
2. 監査実施日
3. 監査担当者
平成 31 年 4 月 1 日 〜 令和 2 年 3 月 31 日 監査委員長 荒川智哉 監査委員
大塚天心 一柳咲佑美
4. 監査目的
IFMSA-Japan 運営上における「透明性」と「信頼性」の確保
5. 監査項目
2019 年度 IFMSA-Japan 運営全般 2019 年度 IFMSA-Japan 会計報告 重点項目
監査結果 各委員会での活動が定款細則に定められた理
6. 監査結果
各委員会運営の監査
念に基づいていることを確認し、活動を行う 上での懸念について助言・勧告を行った 自然災害の発生や感染症の流行に伴い、イベ
活動上の危機管理
ント実施方針やキャンセルへの対応について 助言・勧告を行った 決算案の不備に対する助言・勧告を行う(予
財務管理
定) 2019 年度代表
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20.Media Information|メディア情報 ◆取材 ◇サークルズ 時事通信社 IFMSA-Japan 日本総会に関するインタビューを受けました。
◆寄稿 ◇メディカルプリンシプル社 DOCTOR'S MAGAZINE 様々なテーマに関する記事が掲載されました。 2019 年7月号:2019 年度の IFMSA-Japan の活動方針 2019 年9月号:TOKYO RAINOW PRIDE のご報告 2019 年11月号:世界総会のご報告 2020 年1月号:日本総会のご報告 2020 年3月号:これからなりたい医師像について 2020 年5月号:2020 年度の IFMSA-Japan の活動方針
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21.Sponsorship|スポンサーシップ情報 2019 年度 IFMSA-Japan スポンサーシップ形態 【ゴールドスポンサーシップ】(15 万円) (ⅰ) IFMSA-Japan メーリングリストへの協賛掲載・広告 ( ii ) IFMSA-Japan 年次報告書、イベント報告書へのロゴ掲載 (ⅲ) IFMSA-Japan 公式 Web サイトに企業ロゴと Large banner(リンク付き)掲載 (ⅳ) IFMSA-Japan 全体イベント(日本総会、各新歓、スタッフフェスタ、外務イベント、Seniors Club 懇親 会、年次報告会)での配布物へのロゴ掲載 (ⅴ) IFMSA-Japan 全体イベント(日本総会、各新歓、スタッフフェスタ、外務イベント、Seniors Club 懇親 会、年次報告会)での企業刊行誌やビラ配布 (ⅵ) 日本総会パンフレットへの広告掲載 (ⅶ) 日本総会公演中のポーズスクリーンでの広告表示 (ⅷ) 日本総会ムービーへの企業ロゴ掲載
【シルバースポンサーシップ】(10 万円) (ⅰ) IFMSA-Japan 年次報告書、イベント報告書へのロゴ掲載 (ⅱ) IFMSA-Japan 公式 Web サイトに企業ロゴと Large banner(リンク付き)掲載 (ⅲ) IFMSA-Japan 全体イベント(日本総会、各新歓、スタッフフェスタ、外務イベント、Seniors Club 懇親 会、年次報告会)での配布物へのロゴ掲載 (ⅳ) 日本総会パンフレットへの広告掲載 (ⅴ) 日本総会公演中のポーズスクリーンでの広告表示 (ⅵ) 日本総会ムービーへの企業ロゴ掲載
【日本総会企業ブース出展】(5 万円) 日本総会での企業ブース出展
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協賛企業 ●Gold Sponsorship(IFMSA-Japan 年間活動を通した協賛):¥150,000 株式会社ドクターズプラザ 様
株式会社羊土社 様
ケンツメディコ株式会社 様
メドメイン株式会社 様
●日本総会ブース出展:¥50,000 ケンツメディコ株式会社 様
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22.Special Thanks|お世話になった方々 ◆大会後援および助成金 ◇公益財団法人 日本医師会 様 会長 横倉義武 様 常任理事 道永麻里 様 国際課長 能登裕二 様 国際課 小林伶 様 国際課 高野美千代 様
◆提携団体 ◇AMSA Japan(アジア医学生連絡協議会 日本支部)様 ◇ALSA Japan(アジア法学生協会ジャパン)様 ◇JIMSA(日本国際医学 ESS 学生連盟)様 ◇APS-Japan(一般社団法人日本薬学生連盟)様
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23.Local Organization|加盟大学一覧 東海信州
北海道 旭川医科大学 IFMSA
旭川医科大学医学部
IFMSA
札幌医科大学医/保健医療学部
IFMSA 北大
北海道大学医学部
東北 IFMSA-Iwate
岩手医科大学医/歯/薬/看護学部
TiMSA
東北大学医/歯/看護学部
IFMSA-TMPU
東北医科薬科大学医学部
YMSA
山形大学医学部
IFMSA-Fukushima
福島県立医科大学医/看護学部
関東
MESS
信州大学医/看護学部
GIFMSA
岐阜大学医学部
HOPE(SCOPE・SCORE) 、
浜松医科大学医学部
SCORA はままつ(SCORA)、 はまいぬいぐるみ病院 愛知医科大学
HIAMU
愛知医科大学医/看護学部
IFMSA-FHU
藤田医科大学医/保健衛生学部
IFMSA-Japan 名市大
名古屋市立大学医学部
関西 SUMS ESS
滋賀医科大学医学部
ISAO
大阪市立大学医学部
TIMSA
筑波大学医学群
MESS
関西医科大学医/看護学部
IMC(国際医療文化研究会)
自治医科大学医学部
IFMSA-KINDAI-Exchange
近畿大学医学部
ESS
獨協医科大学医/看護学部
ifmsa
兵庫医科大学医学部
世界の医療を考える会
千葉大学医学部
中国
ESS 部
杏林大学医学部
国際保健友の会ハクナマタタ
鳥取大学医学部
医学部英語会
慶應義塾大学医学部
IFMSA-Shimane
島根大学医学部
IFMSA-Japan
東京医科大学医/看護学部
IFMSA
川崎医科大学医学部
SSIA 部
東京医科歯科大学医学部
医療教育学生会
岡山大学医学部
東京女子医科大学 MESS 部
東京女子医科大学医学部
四国
(医学英語研究会)
TIFMSA
徳島大学医/歯/薬学部
ESS
東邦大学医学部
IFMSAK
香川大学医学部
IFMSA-日大
日本大学医/看護学部
EMSA
愛媛大学医学部
MESS
日本医科大学医学部
九州・山口
MESS
北里大学医学部
ESS
山口大学医学部
聖マリアンナ医科大学医
聖マリアンナ医科大学医学部
JIMSA
久留米大学医学部
(IFMSA のみ)
産業医科大学医/看護/環境
学部 MESS 部 MESS
東海大学医/健康科学部
IFMSA-Yamanashi
山梨大学医学部
ESS 英語研究会
福岡大学医学部
国際医療ボランティアの
群馬大学医学部
IFMSA-Saga
佐賀大学医学部
長大熱帯医学研究会
長崎大学医/保健学部
国際社会医療研究会
熊本大学医学部
IFMSA-Oita
大分大学医学部
会 (FORS) Narita Medics
国際医療福祉大学医学部
北陸
マネジメント学部
国際医療研究会
富山大学医/薬学部
国際保健医療研究会
宮崎大学医学部
IFMSA 金沢
金沢大学医学類
IFMSA-Ryukyus
琉球大学医学部
福井 IFMSA 留学
福井大学医学部
KIC
鹿児島大学医/歯学部
全 58 校 (2020 年 3 月現在)
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24.Abbrevation|IFMSA-Japan 略語 EB
Executive Board
理事
GA
General Assembly
世界総会
IFMSA
Internaional Federation of Medical Students' Associations
国際医学生連盟
I-J
IFMSA-Japan
国際医学生連盟 日本
LEO
Local Exchange Officer
各大学の臨床交換留学責任者
LORE
Local Officer on Research Exchange
各大学の基礎研究交換留学責任者
LTP
LEO/LORE Training Program
大学留学責任者トレーニングプログラム
(M)ESS
(Medical) English Speaking Society
(医学)英会話部
ML
Mailing List
メーリングリスト
NMOs
National Member Organizations
加盟国・加盟地域団体
NO
National Officer
各委員会の責任者
NEO
National Exchange Officer
臨床交換留学に関する委員会責任者
NORE
Nationa Officer on Research Exchange
基礎研究交換留学に関する委員会責任者
NOME
National Officer on Medical Education
医学教育に関する委員会責任者
NORA
National Officer on Sexual & Reproductive Health
性と生殖・AIDS に関する委員会責任者
and Rights including HIV & AIDS NORP
National Officer on Human Rights and Peace
人権と平和に関する委員会責任者
NPO
National Public Health Officer
公衆衛生に関する委員会責任者
NGA
National General Assembly
日本総会
NGO
Non-Governmental Organization
非政府組織
OC
Organaizing Committee
運営委員
SCO
Standing Committee On
常設委員会
SCOPE
Standing Committee On Professional Exchange
臨床交換留学に関する委員会
SCORE
Standing Committee On Research Exchange
基礎研究交換留学に関する委員会
SCOME
Standing Committee On Medical Education
医学教育に関する委員会
SCORA
Standing Committee On Secual & Reproductive Health
性と生殖・AIDS に関する委員会
and Rights including HIV & AIDS SCORP
Standing Committee On Human Rights and Peace
人権と平和に関する委員会
SCOPH
Standing Committee On Public Health
公衆衛生に関する委員会
VPE
Vice President for External affairs
副代表外務担当
VPI
Vice President for Internal affairs
副代表内務担当
VPN
Vice President for International affairs
副代表国際業務担当
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編集・構成 : IFMSA-Japan(国際医学生連盟 日本) President / 代表 : 田浦拓弥(北海道大学4年) Vice President For External Affairs / 副代表外務担当 : 森本健太(筑波大学4年) Publication Officer : 谷口弘子(岩手医科大学3年) 公式ウェブサイト : https://ifmsa.jp お問い合わせ : IFMSA-Japan 事務局 secretariat@ifmsa.jp
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