PRAXIS2014

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KOBE DESIGN UNIVERSITY Department of ENVIRONMENTAL DESIGN


建築・環境デザイン

鈴木文化シェアハウス グッドデザイン賞 受賞

小玉祐一郎教授 2013 年日本建築学会作品選奨

神戸芸術工科大学のプロジェクトチーム(川北健雄・

小玉祐一郎教授が手掛けた「つくば建築試験研究セン

News

花田佳明・金子晋也・金野千恵)+ KONNO で企画・デ

ター試験研究本館」が 2013 年日本建築学会作品選奨

ザインを行い、本学の学生たちも一緒に模型制作・家

に選出された。審査評では、本作品が徹底して環境手

2013.04-2014.03

具の検討・施工協力を行った鈴木文化シェアハウスが、

法を取り入れている点が高く評価された。

学科ニュース

2013 年度グッドデザイン賞を受賞した。  これは関西を中心に「文化住宅」と呼びならわされ

2013 年度環境・建築デザイン公開講義 2013 年度は、下記の公開講義を行った。公開講義は入

てきた木造2階建の賃貸集合住宅の一部を若者向けの シェアハウスへとリノベーションしたプロジェクトで、 現在、本学の学生3人が入居している。

場料無料で、学生だけでなくどなたでも参加可能。 ● 6/12(水)酒井一光  『建築の発掘からタイルの魅惑へ』 ● 6/23(日)永山祐子  『建築というきっかけ』

TEDx Sannomiya 会場デザイン制作

● 7/3(水)磯達雄  『身近にあるちょっとカッコイイ建築について』 ● 7/11(木)東端秀典 ※大学院特別講義

撮影:多田ユウコ

『B to B ー町医者工務店にあこがれてー』  ● 7/12(金)伊東豊雄  『近代主義建築の限界』 ● 7/24(水)石川初  『地上へのまなざし』  ● 8/4(日)渡辺篤史  『設計課題「現代の聴竹居/藤井厚二を超えろ!」  - 公開講評会 -』

様々な分野の人物がプレゼンテーションでアイディア を発信する TED Conference。その本体からライセン スを受けて運営される神戸初の TEDx Sannomiya が、

日土小学校 ドコモモ国際大会にて The Architectural Heritage Award 受賞

2014 年 3 月 9 日、デザイン・クリエイティブセンター

花田佳明教授が長年関わってきた愛媛県八幡浜市立日

加来ひかる・片山早也奈・阪井義大・火置彩子・松井

土小学校の保存再生活動に対し、近代建築の保存活動

聡志・中園侑希・吉岡宏晃・徳田結衣)が、ポートタワー

を行なう国際組織・ドコモモから「The Architectural

をモチーフにした会場のデザインと制作を手がけた。

神戸 (KIITO) にて開催された。本学からは 13 名(小菅 瑠香助手・川下史博・板谷宏太・池村友希・大森菜央・

Heritage Award」が贈られた(花田教授を含む関係者 6

● 10/9(水)中村好文

名での共同受賞) 。この賞は、2013 年 10 月に中国の西

『小屋においでよ!』

安で開かれたドコモモ国際大会で企画されたコンペに

● 10/30(水)金田充弘

よるもので、15 カ国 36 物件の応募作品から 4 つが受賞

『柔らかい構造』

した。

● 11/12(火)吉良森子  『イニシアティブを起こすこと』 ● 11/13(水)塚本由晴  『建築の系譜学・ふるまい学』 ● 11/19(火)福川裕一  『まちづくりの3ポイント・アプローチ:デザイン・  スキーム・ライフスタイルのブランド化』

カオス 2013 神戸芸術工科大学卒展 撮影:北村徹

2014 年 2 月 7 日∼ 9 日、 『カオス 2013 神戸芸術工科 大学卒展 [ 学部・大学院 ]』が 2 会場で行われた。本

21th Garden Contest  柴田塁斗君が最優秀賞 受賞 作品名:「eat sleep rave repeat」

学科は原田の森ギャラリーであった。会期中には「渡 辺篤史の卒展探訪」も行われ、環境デザイン賞受賞者 の浅井さんの絵本が音読される一幕もあった。

本学大学院生の柴田塁斗君の作品(共同制作)が「21th Garden Contest」において最優秀賞(兵庫県園芸・公 園協会賞)を受賞した。これは関西の環境デザイン系、 アート系の大学生を対象とした、21 世紀の楽しいエコ ライフをおくるガーデンを提案するコンテストである。

Kyoto Landscape Collection 2013 ランドスケープ 7 大学展 ランドスケープ7大学展とは、ランドスケープを学ぶ 7つの大学の学生が企画・運営し、自身の作品を展示 する展覧会である。本学科からは、4 作品が出展。11 月 3 日には、京都の元・立誠小学校の講堂において、 ランドスケープ 7 大学展に出品された選抜作品の講評 会が実施された。

り に な る か も し れ ま せ ん 。 [ 石 坂 美 樹 ]

い ﹁ 建 築 家 ﹂ 像 に つ い て 考 え る 手 が か

を つ け る こ と も 可 能 だ け ど ⋮ ⋮ 。 新 し

い う こ と 。 そ う い う 職 能 に 違 う 肩 書 き

新 し い 仕 事 の や り 方 を 模 索 し て い る と

多 様 化 し 続 け る ﹁ 建 築 ﹂ と い う 分 野 で 、

い ま す 。 た だ 、 共 通 し て 感 じ た の は 、

者 工 務 店 。 物 件 の 種 類 や 規 模 は 全 く 違

は 、 一 方 は デ ベ ロ ッ パ ー 、 一 方 は 町 医

﹁ 知 の な 表 今 ● と 時 綺 か の エ わ 任 二 ● え さ 学 イ の ざ 設 計 象 今 ● 生 で 途 は 重 入 ら 、 た 終 中 、 な り 眺 う ら 卒 も 紙 ま し 的 ン で し 計 画 と 年 号 感 間 麗 ら だ イ っ し 〇 ち わ で 数 り 交 め ち な 業 の は す さ な の し た と 学 し の で 動 を に 各 と テ て て 一 と り 再 年 ま じ て ゅ い 制 に イ ね や 分 醍 た 論 い 的 た 卒 お も か 収 種 改 ィ 振 初 三 重 ま び 後 す っ い う 主 作 な ラ 。 医 。 け ブ 話 共 や な 業 ま プ め り め 年 析 醐 う ひ な す こ に 。 た る 町 人 中 り ス を 感 で 味 建 デ よ 研 療 研 と て っ ロ て な 返 て は り 。 の 自 浅 少 後 4 公 の ま ト 伺 か は は 築 ザ り 究 や 究 し 達 た ジ 感 環 っ の 私 ま も 町 立 井 女 ろ 丁 が ス し 雑 っ ら 覆 、 や イ は や 福 で お 成 一 ェ じ 境 て 年 に す ち を し さ の 姿 目 、 ケ た 誌 た 生 い 抽 都 ン 、 そ 祉 は で し つ ク ま に み で と 。 ろ 見 た ん 姿 。 ﹂ こ ッ 。 と ふ ま 尽 象 市 を 自 れ 施 特 す た ひ ト す 身 る し っ を チ 。 成 と ま 。 を と た て ん つ 少 が は 不 駅 れ 浅 間 た れ く 的 、 組 ら ら 設 に [ 果 つ で 学 置 、 。 、 [ そ め 女 描 学 安 の か で 井 違 り る せ な 環 み の に が 子 小 だ が 、 生 い 実 編 本 花 の る が い 生 と ホ ら す 彩 わ [ も な 理 境 立 経 も 多 ど の 菅 と 、 誌 の て に 集 学 田 姿 シ 仕 た た 希 ー 過 。 香 れ 鈴 の い 論 の て 験 と か も 卒 瑠 思 皆 面 作 い ク に に 佳 も ー 事 物 ち 望 ム ご 家 さ そ 木 と 、 や デ た に づ っ を 業 族 た 香 明 学 明 が に 品 る リ 携 着 や 科 ザ も 根 く 。 対 う ン の 語 と が か す を ん う 生 言 ] ] ]

編 集 後 記


環境・建築デザイン学科カリキュラム 現代の環境や建築デザインには、新しいライフスタイルとそれを実現する空間、さらには社会のあり方そのものへの提案が求められている。環境・建築デ ザイン学科では生活の舞台となる空間すべてを対象に教育・研究を展開し、住居・インテリアから建築、それらの集合体としての都市や地域、ランドスケー プまでを総合的にデザインする思想と手法の構築をめざし、新しい空間デザインにチャレンジしている。また、卒業時に一級建築士(要実務経験)、二級建 築士などの受験資格が取得できるとともに、各種国家資格合格を目標とした基礎力、実践力を養う。

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基 礎 技 能 の 学 習

環境・建築デザインの 基礎をしっかりと学ぶ

講義科目

演習・実習科目

● 環境デザインとは I

● 環境デザイン基礎演習 I

● 環境デザインとは II

● 環境デザイン基礎演習 II

● 環境・建築フレッシュマン

● CAD 基礎演習

セミナー

● CAD 応用演習

● 近代建築の歴史 ● 建築構造入門

環境や建築のデザインをこれから学ぼうとする学生が知ってお くべき基本的な考え方を、講義科目を通して学んでいく。演習 科目では、デザインを行うための基礎的な技術を修得する。今 後の履修に必要な基礎をしっかり固めていく。

2 年

共 通 専 門 領 域 の 学 習

すべてのコースに共通した 専門科目を学習する

講義科目

演習・実習科目

● 環境のイメージ

● 環境デザイン実習 I

● 力の流れと安全

● 環境デザイン実習 II

● 建築空間のデザイン ● ランドスケープのデザイン ● デザインプロセス論 ● 日本建築の歴史 ● 西洋建築の歴史

「住居・インテリア」 「建築」「都市・ランドスケープ」の各専門

● 住空間のデザイン

分野に関係の深いバラエティに富んだ科目を編成。実習科目は

● 建築と熱・光・空気の

スタジオでの制作が中心になる。学科の専任教員だけでなく、

デザイン

講師として招いた各領域において優れた実績をもつ専門家が指

● 都市空間のデザイン

導する。

● 構造のデザイン

3 年

建 築 デ ザ イ ン コ ー ス

都 市 ・ ラ ン ド ス ケ ー プ デ ザ イ ン コ ー ス

より専門的な課題に取り組み 卒業研究に向けた準備を行う 後期からはコース別に分かれた学習が始まり、実習科目の課題 内容もそれに対応して分かれる。それぞれの専門に特化したテー

住 居 ・ イ ン テ リ ア デ ザ イ ン コ ー ス

講義科目

演習・実習科目

● 施工の技術

● 環境デザイン実習 III

● インテリア空間のデザイン

● 住居・インテリアデザイン

● 構造デザインの実践手法

総合実習

● 住居・集落・街

● 建築デザイン総合実習

● 緑地と生態の計画

● 都市・ランドスケープ

● 構造・材料ワークショップ

デザイン総合実習

● 建築と法規 ● 環境制御の技術 ● コミュニティとまちづくり

マについて実習と演習課題をこなしていくことで、高度な知識 と技術を身につけていく。3 年修了時には、それぞれのゼミ配 属を決定する。

4 年

ゼミに所属し研究活動 4 年間の 成果をまとめる

ラ ン ド ス ケ ー プ

都 市 ・ コ ミ ュ ニ テ ィ

建 築

イ ン テ リ ア

住 居

特別科目 ● 卒業研究 ● 環境デザインプロジェクト A ∼ C ● 特別講義

ゼミに所属し、それぞれの研究テーマを専門とする教員からの 個別指導を受けながら、卒業研究(卒業論文と卒業制作の両方) に取り組む。卒業研究はコースごとに専門分化した学習内容を 再び統合化する役割も担っており、どのコースでもさまざまな 職業・資格に結びつく教育を実践している。

卒業論文 卒業制作

卒業研究

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教員・研究室紹 介 山之内 誠

学部4年生/卒業論文タイトル 植戸祐介/キャンプがもたらすまちづくりの効果

YAMANOUCHI Makoto

大住周平/大阪長屋における活性化・調査̶大阪市北区中崎町を例として

環境・建築デザイン学科准教授

川浪奈々/赤穂市のまちなみ整備の現状と課題̶お城通りを中心として 前田伸明/西宮北口駅を中心とした周辺エリアの変化      ̶外向き店舗の必要性 山本修平/散居村の景観保全に対する空き家情報バンクが持つ可能性の      研究と考察 奥尚人/メリケン波止場の利用のされ方

専門 日本建築史、文化財保存論(博士(工学)) 学歴 東京大学工学

大学院生(修士課程)

部建築学科卒業(1992)/東京大学大学院博士課程修了(2000) 職歴

中川晋之祐

建設省技官(1992-93)著書 建築空間構成と民族芸術からみた中国山西 商人の伝統的住居の特性に関する研究(科研報告書 2011)/建築デザイン 用語辞典( 共 著、 井 上 書 院 2009)/建築大百科事典(共著、朝倉書店 2008) /関于日本的地区性文化遺産建筑的維修工事課題(世界文化遺産亜洲国際 研討会論文集 2007)/太山寺観音堂・羅漢堂保存修理工事報告書(太山寺 2004)/岩波仏教辞典(共著、岩波書店 2001)他

◀大学キャンパスの中庭にて

宮本 万理子

MIYAMOTO Mariko 環境・建築デザイン学科助教

* 2014年度より本学教員

専門 ランドスケーププランニング、緑地環境計画、景観計画、緑のまち づくり(博士(環境学)) 学歴 慶應義塾大学環境情報学部卒業(2005) /東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了(2012) 職歴 東 京大学大学院新領域創成科学研究科特任研究員 活動 柏市緑の基本計画 (共同)策定支援(事務局、調査報告書作成) (2007-09)  論 文  下 総 台 地 に おける牧景観の特徴とその変容過程に関する研究(学位論文 2012)/牧 の払い下げ形式にもとづく下総台地における景観の特徴解明(共著、ラン ▲緑地環境の保全・創出を目指して

ドスケープ研究 2011)他

▲カシニワ制度による未利用地の活用

小菅 瑠香

中村 卓

不破 正仁

環境・建築デザイン学科助手

環境・建築デザイン学科助手

環境・建築デザイン学科助手

KOSUGE Ruka

NAKAMURA Suguru

FUWA Masahito

専門 建築計画、建築設計、医療福祉建築(博士(工学)) 学歴 早稲田大学建

専門 近代デザイン史、デザイン論、建築意匠(博士(デザイン学)) 学歴 筑

専門 景観保全、まちづくり、農村計画(博士(工学)) 学歴 東京農業大

築学科卒業(1999)/東京大学大学院修士課程修了(2001)/東京大学大学院博

波大学芸術専門学群建築デザインコース卒業(2005)/筑波大学大学院修士課程

学農学部林学科卒業(2000)/筑波大学大学院環境科学研究科環境科学専攻

士課程修了(2006) 職歴 現代建築研究所設計部(2006-2008)/ Texas A&M

芸術研究科デザイン専攻建築デザイン分野修了(2007)/筑波大学大学院博士後

修士課程修了(2006)/筑波大学大学院システム情報工学研究科社会システ

大学客員研究員(2008-2010)/厚労省国立保健医療科学院(2010-2012) 作品

期課程人間総合科学研究科芸術専攻建築デザイン領域修了(2012) 論文 G. Th.

ム・マネジメント専攻博士後期課程修了(2010) 論文 屋敷林の原型とそ

[事務所在籍時]東京女子医科大学・早稲田大学連携 先端生命医科学研究教育

リートフェルトのレッド・ブルーチェア研究̶意匠・構造の特性とその歴史的意

の変容過程に関する研究:関東地方の農村を対象に(学位論文 2010)/栃木

施設(2010 年度日本建築家協会優秀建築選 100 選)他 論文 病棟の個室化が病

義̶(学位論文 2012)/レッド・ブルーチェアの寸法分析による構成的特徴の抽

県都賀地域における北方系屋敷林の原型とその変容実態ー明治期銅版画と現

床管理に与える影響に関する研究(共著、日本建築学会計画系論文集 2013)他

出 ̶G. Th. リートフェルトの家具作品研究 (1) ̶(共著、デザイン学研究 2012)他

状との比較分析に基づいてー(共著、日本建築学会計画系論文集 2011)他

▲環境・建築デザイン学科特別講義

▲今治市伊東豊雄建築ミュージアム(2011 年竣工)撮影:阿野太一

▲吉良森子ワークショップ最終講評会

▲墓地のパビリオン(アペルドールン)撮影:Jeroen Musch

伊東 豊雄 ITO Toyo

環境・建築デザイン学科客員教授

専門 建築設計 学歴 東京大学工学部卒業(1965) 職歴 菊竹清訓建 築設計事務所(1965-69)/アーバンロボット(URBOT)設立(1971)/ 事務所名を伊東豊雄建築設計事務所に改称(1979) 作品 八代市立博物 館(1991)/せんだいメディアテーク(2001)/ TOD'S 表参道ビル(2004) /多摩美術大学図書館 八王子キャンパス(2007)/ 2009 高雄ワールドゲー ムズメインスタジアム(2009)/今治市伊東豊雄建築ミュージアム(2011) 他 著書 風の変様体(青土社 1989)/透層する建築(青土社 2000)他

吉良 森子

KIRA Moriko  環境・建築デザイン学科客員教授

専門 建築設計、歴史的建造物修復、リノベーション 学歴 早稲田大学 理工学部建築学科卒業(1987)/早稲田大学大学院理工学研究科建設工学 建築学専攻修了(1990)、デルフト工科大学建築学科留学(1988-1990)  職歴 moriko kira architect 主宰 作品 真鶴共生舎グループホーム(神 奈川)/オランダ首相官邸増改築(ハーグ)/シーボルト博物館(ライデ ン)/教会のリノベーション(フローニンゲン)/柿の木坂キャトル店舗 +住宅(東京)他 著書 Japan Towards Totalscape(NAi Publisher2000) / これまでとこれから 建築をさがして(LIXIL出版 2013)他

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TEACHING STAFFS 三上 晴久

MIKAMI Haruhisa 環境・建築デザイン学科教授

学部4年生/卒業論文タイトル 江見綾華/ 51C の再考 小垂捺希/小野まつりに関する研究      ̶新しい祭りの企画・運営等に関する事例研究 斉藤琴絵/団地再生のボランティア活動の可能性      ̶明舞団地のお助け隊の活動事例∼ 中村優里/住宅性能表示制度に関する研究      ̶住宅メーカー、建築設計事務所、居住者にとっての同制度 宮本嘉明/シェアハウスの事例研究

専門 建築デザイン、建築設計 学歴 東京大学工学部建築学科卒業 (1979)/東京大学大学院修士課程修了(1987) 職歴 内井昭蔵建築設 計事務所(1979-85)/文化庁派遣芸術家在外研修員(マイケル・グレイ ブス建築事務所にて研修 1987-88) 作品 苗場の週末住宅(1992)/森 の里テクノプラザ、MKオフィス(1993)/茨城県立盲学校小中学部棟

楊欽/北京の旧城区における「有機更新」に関する研究    ̶呉良鏞による菊児胡同を事例として 研究生(学部) 韓魯寧

(1997)/茨城県陶芸美術館(2000)/米子吉谷の家(2003)/茨城県営 見和アパート(1 期∼ 6 期)(2003) 著書 初めての建築設計 ステップ・ バイ・ステップ(共著、彰国社 2010)

花田 佳明

HANADA Yoshiaki 環境・建築デザイン学科教授

◀石垣島にて

学部4年生/卒業論文タイトル 打田愛子/明治・大正期に造成された社宅街の変遷      ̶近景航空写真を用いて 橘川なつみ/建築専門書店・柳々堂についての研究 中塚千帆/「姫路城」というイメージの消費構造に関する研究 古川千尋/建築家・長坂常に関する研究 大学院生(修士課程) 王

、山田圭誠、豊嶋悠爾

専門 建築設計、建築設計理論、近代建築史(博士(工学)) 学歴 東京 大学工学部建築学科卒業(1980)/東京大学大学院修士課程修了(1982) 職歴 日建設計(1982-92)/神戸山手女子短期大学 講師・助教授(199296) 作品 渦森台ハウス(神戸市 2000)/テツノマチヤ(大阪市 2002) /岡本の b(神戸市 2005)/八幡浜市立日土小学校保存再生(八幡浜 市 2009) 著書 再読 / 日本のモダンアーキテクチャー(共著、彰国社 1997)/植田実の編集現場(ラトルズ 2005)/建築家・松村正恒ともう ひとつのモダニズム(彰国社 2011)他

川北 健雄

KAWAKITA Takeo 環境・建築デザイン学科教授

◀八幡浜市立日土小学校にて

学部4年生/卒業論文タイトル 上田慧琳/神戸、塩谷の坂道と住環境に関する研究 坪田峻/姫路駅周辺におけるストリートダンスのための都市空間 藤本祥太/広島県江田島市江田島町中央周辺の地域資源の活用に関する考察 松下寛和/江田島・旧海軍兵学校教員官舎の現状と活用に関する考察 山田大瑛/ Gilles Clement のランドスケープデザインに関する分析 土家隆享/小規模ふれあい型店舗の現状と可能性̶垂水駅周辺の調査から 大学院生(修士課程)

専門 建築設計、まちづくり(博士(工学)) 学歴 京都工芸繊維大学大

丸本祥子

学院修士課程修了(1987)/コロンビア大学大学 MSAAD 課程修了(1992) /大阪大学大学院博士課程修了(1993) 職歴 オブリスト建築事務所(St. Moritz 1988)/神戸芸術工科大学助手(1993-96)/スイス連邦工科大学 客員研究員(1996)作品 稲美町都市計画マスタープラン(2008)/鈴 木文化シェアハウス(2013)他 著書 環境デザインへの招待(共著、建 築都市ワークショップ 2004)/初めての建築設計 ステップ・バイ・ステッ プ(共著、彰国社 2010)他

◀ゼミ室にて

藤山 哲朗

FUJIYAMA Tetsuro 環境・建築デザイン学科教授

学部4年生/卒業論文タイトル 橋本祐介/ファシリティマネジメントの実態調査について      ̶日本 IBM 本社ビルの実践を通して 北谷優祐/三分一博志の建築思想に関する研究      ̶言説とデザインについての分析と考察 松田怜/野外・屋内の音楽イベントにおける空間の効果 今井亮太/地元高砂市の工業地帯における問題点と改善案 大学院生(修士課程)

専門 建築設計、デザイン論 学歴 日本大学理工学部建築学科卒業

北岡元太

(1987)/芝浦工業大学大学院修士課程修了(1989) 作品 加久藤トン ネル換気所施設(熊本アートポリス 1991)/ T2(ベニス・ビエンナーレ 第 5 回国際建築展、ベニス・プライズ部門、特別賞 1991)/岡本の家(神 戸市 1996)/コペンハーゲン新王立劇場 コンペ案(2001)/神戸芸術工 科大学クリエイティブセンター(2008)/西ノ浜の家(瀬戸内国際芸術 祭施設(2013)他 著書 古典主義建築ーオーダーの詩学(共訳、鹿島出 版会 1997 /建築 MAP 大阪 / 神戸(共著、TOTO 出版 1999)他

長濱 伸貴

NAGAHAMA Nobutaka 環境・建築デザイン学科准教授

◀学生たちとインスタレーション制作中の様子

学部4年生/卒業論文タイトル 飯沼一磨/都市における市民農園の現状と役割について      ̶神戸市を事例として 岡佑磨/道の駅の活用状況と空間構成の変化について     ̶香川県を事例として 鄧少磊/明石から須磨までの釣り場調査 飛工茉甫/神戸市立小学校におけるビオトープの活用について 西元太一/児童養護施設における児童の過ごし方と空間性について

専門 ランドスケープデザイン 学歴 千葉大学園芸学部造園学科 卒業 (1991)/神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了(2008) 職歴 E-DESIGN 代表取締役 作品 堺自然ふれあいの森/錦綾幼稚園/

正井敦子/ガーデンシティ舞多聞みついけ地区の個人住宅に関する調査 大学院生(修士課程) 吉田庸佑、

アートヴィレッジ大崎/なんばパークス2/三田市総合文化センター/ク ラウンプラザ神戸チャペル/阪神甲子園球場リニューアル/京染会館屋上 庭園 他 著書 ランドスケープ批評宣言(共著、INAX出版 2002)/ マゾヒスティック・ランドスケープ(共著、学芸出版社 2006)/ランド スケープデザインの歴史(共著、学芸出版社 2010)

◀大学キャンパスの中庭にて

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教員・研究室紹 介 遠藤 剛生 ENDO Takao

環境・建築デザイン学科特別教授

専門 都市、建築、インテリアのデザイン 学歴 大阪工業大学建築学科 卒業(1964) 職歴 神戸大学非常勤講師/大阪大学工学部非常勤講師/ 神戸芸術工科大学客員教授 作品 苦楽園住宅/緑丘の家/大阪府営東大 阪吉田住宅/杉並桃井団地/名塩ニュータウン集合住宅/キーエンス/熊 本県農業公園/りんくうタウン/長野今井ニュータウン G 工区(長野冬 季オリンピック選手村)/ NEXT21 住戸改修/公益社千里会館 他  著書 ヴィジュアル版建築入門5 参加と複合̶メメ・ファシスト(分担 執筆、彰国社 2002)

▲ディリー&ジャパン カンツリークラブ 撮影:松村芳治

花島 晃

▲公益社千里会館 撮影:松村芳治

学部4年生/卒業論文タイトル 朝倉麻里亜/階段̶形態と素材における分類

HANAJIMA Akira

東伸潤/重森三玲研究̶天籟庵と友琳の庭と玉泉園を事例として

環境・建築デザイン学科教授

林勇樹/スーパーマーケットの動向と手法    ̶中堅スーパーについて U&S 佐竹食品株式食品を例として茨木大池店

専門 建築構造学、建築構造デザイン(工学博士、技術士(建設部門)) 学歴東京工業大学建築学科卒業(1968)/東京工業大学大学院修士課程 修了(1970) 職歴 日建設計大阪構造部長/同リニューアル設計室長/ 日本建築総合試験所主席専門役 作品 大同生命本社ビル(構造)/キー エンス本社ビル(構造)/大阪ワールドトレードセンタービル(構造)/ 他事務所・工場・研究所の構造設計および奈良県庁舎など耐震改修設計多 数 活動 超高層・免震構造等建築物構造性能評価委員(GBRC)/既存 建築物等耐震診断判定委員(GBRC)

◀環境・建築デザイン学科ラボにて

小玉 祐一郎

学部4年生/卒業論文タイトル 小川明洋/ベルリン・フィルハーモニーコンサートホールの形態と機能

KODAMA Yuichiro

̶ハンス・シャロウンの建築思想とその実態

環境・建築デザイン学科教授

杉田颯/空間による視覚的な温度感と心理作用̶録ミュージアムにて 矢賀えりか/患児家族滞在施設の共有スペースに関する研究 曺虎鉉/生きかえった韓国の文化センター「芸術殿堂」     ̶「芸術殿堂」の現況とその存在意義に関する研究 白石遼也/建築における認知的不協和の研究̶東京カテドラルを事例として 浅井彩香/心的外傷を持った子どもの求める空間

専 門  建 築 デ ザ イ ン、 建 築 環 境 計 画( 工 学 博 士 )  学 歴  東 京 工 業 大

̶児童養護施設三ヶ山学園のケーススタディを通して

学建築学科卒業(1969)/東京工業大学大学院博士課程修了(1976)

研究生(学部)

職 歴  東 京 工 業 大 学 建 築 学 科 助 手 / 建 設 省 建 築 研 究 所 研 究 部 長

王奇

作品 つくばの家シリーズ(1983-92)/飯田川小学校(1993)/水戸八

大学院生(修士課程)

幡町の家(1998)/高知本山町の家(2003)/財団法人ベターリビング

西田沙妃、大道一輝、キャルンジガ・エレナ

つくば建築試験研究センター 試験研究本館(2010)他 著書 住まいの

大学院生(博士課程)

中の自然(丸善 1993)/エコハウジングの勧め(丸善 1996)/建築の今 17 人の実践と展望(共著、建築資料研究社 2010)他

小山 明

KOYAMA Akira インタラクションデザイン 教育研究所教授

▲「ベターリビング つくば建築試験研究センター 試験研究本館」にて

トウンヌン・クプリヤンラム、ブルーナ・バユラモヴィッチ

学部4年生/卒業論文タイトル 長井雄吾/三木市の歴史・文化資源を活かした体験型イベント「ミキシル」      による効果・影響の研究 山根汐莉/絵画の二次元的空間の空間構成を探る      ̶1400 年代の画家が用いた遠近法について 川村拓海/町の若者離れを防ぐ手段としての高等教育機関 大学院生(修士課程) 井垣量子

専門 近代建築史、デザイン史、建築設計(工学博士) 学歴 日本大学理 工学部建築学科卒業(1976)/日本大学大学院博士課程修了(1983)/(ベ

大学院生(博士課程) 石田優

ル リ ン 工 科 大 学 に て 研 究 )  職 歴 DER PLAN、BEARLIN 主 宰  作 品 Die Maschine, die den Menschen zum Denken bringt(パリ建築美術館 1989)/ 加久藤トンネル換気所施設(人吉市 1991)/人間に考えさせる機械(ギャラ リギャラリー 1994)/岡本の家(神戸市 1996) 著書 都市居住宣言(監修・ 前文、日本建築学会 1989)/未完の帝国(共著、福武書店 1991)/ベルリ ンデザインハンドブックはデザインの本ではない!(ベアリン出版 2013)他

鈴木 明

SUZUKI Akira 環境・建築デザイン学科教授

◀人間に考えさせる機械、パリ建築美術館

学部4年生/卒業論文タイトル 迫順平/町家の重要性と保存維持について     ̶祇園祭における山鉾町を対象として 竹田優美香/映画館の待合スペースに関する調査・研究       ̶神戸市内の映画館を事例として 安樂大悟/リノベーションにおける建築的付加価値 松村万里/開放的な家と閉鎖的な家の快適性の違いについて

* 2013年度まで本学教員

専門 建築・都市論、インタラクションデザイン論、エディトリアル(編 集技術)(造形学修士) 学歴 武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程 修了(1978)職歴 建築雑誌社編集部を経て建築・都市ワークショップ 設立(1986) 作品 シェルター・オブ・カード(1997)/せんだいメディ

山田航平/夏の広場の使われ方      ̶神戸芸術工科大学におけるウッドデッキを例にして 坂下拓也/住友須磨別邸についての研究̶須磨別邸がもたらした役割 大学院生(修士課程) 芦田和幸

アテーク・サイン計画(2001)/積み木の家(国際芸術センター青森 2002) 著書 建築教室の教科書(telescoweb.com 2007)/ Do Android Crows Fly Over the Skies of An Electoronic Tokyo?(AA(英国)2001)/小 屋の力(共著、ワールドフォトプレス 2001)他

61

◀学科棟スタジオにて


TOPICS & COLUMNS

右:メイン会場。テントのように不織布を垂らして企業ブースを構成  左上:飲食スペース。トレーシングペーパーのキューブをテグスで吊るす 左下:制作した展示台

EVENT

小 イ神 菅 ベ戸 瑠 ンI T 香 フ

トェ 会ス テ 場 ︵

KIITO

ィ バ ル 2 ︶ 0 デ1 ザ3

ブ を 大 量 に テ グ ス で 吊 る し 、 風 船 が 宙 を 舞 っ

上 か ら ト レ ー シ ン グ ペ ー パ ー で 折 っ た キ ュ ー

か さ を 作 り 出 し た 。 ま た 、 飲 食 ス ペ ー ス の 頭

ブ ー ス を 構 成 し 、 市 場 の よ う な 賑 わ い と 華 や

ト か ら テ ン ト の よ う に 不 織 布 を 垂 ら し て 企 業

メ ー ト ル を 超 え る ホ ー ル に 対 し 、 天 井 の ダ ク

を モ チ ー フ に デ ザ イ ン を 統 一 し た 。 高 さ 七

︵ 計 算 折 紙 ︶ ﹂ で あ っ た た め 、 ﹁ 紙 ﹂

授  ︵ 今 筑 回 波 の 大 イ 学 ベ 大 ン 学 ト の 院 目 ︶ 玉 の 演 ﹁ 目 が 三 谷 純 准 教

︵ [ フ ァ ッ シ ョ ン デ ザ イ ン 学 科 生 ] ︶ で あ る 。

橋 元 一 成 、 増 田 純 子 ︵ [ 本 学 科 生 ] 、 中 村 天 美

上 田 恭 平 、 上 村 昂 平 、 國 重 裕 太 、 近 藤 ゆ か り 、

科 助 手 ] 、 川 下 史 博 、 秋 田 さ ゆ り 、 池 村 友 希 、

た  の は 、 本 の 大 会 学 場 有 デ 志 ザ 十 イ 一 ン 名 お ︵ よ 小 び 菅 制 瑠 作 香 を [ 手 本 が 学 け

び 、 一 二 月 一 三 日 ・ 一 四 日 に 開 催 さ れ た 。

開 催 と な る 今 回 初 め て

を 会 場 と し て 選

T を 発 信 し た い と い う 想 い か ら 、 三 度 目 の

の 土 地 の 歴 史 的 価 値 と 創 造 性 の 高 い 空 間 で I

結  ぶ 神 、 戸 神 I 戸 T で フ 最 ェ 大 ス の テ I ィ T バ の ル お は 祭 、 り 地 で 域 あ と る I 。 T こ を

オ ー プ ン し た 。

ブ セ ン タ ー 神 戸 KIITO

て い る よ う な 不 思 議 な 空 間 を 演 出 し た 。

KIITO

べ  一 結 六 果 〇 と 〇 し 名 て を フ 超 ェ え ス る テ 来 ィ 客 バ が ル あ に り は 、 二 会 日 場 間 デ で ザ 延

KIITO

イ ン に つ い て も 大 好 評 で 幕 を 閉 じ た 。

Computational

◆ 小 菅 瑠 香 ︵ こ す げ ・ る か ︶ 神 戸 芸 術 工 科 大

Origami

学 環 境 ・ 建 築 デ ザ イ ン 学 科 助 手

﹂ と し て リ ニ ュ ー ア ル

創 造 と 交 流 の 拠 点 ﹁ デ ザ イ ン ・ ク リ エ イ テ ィ

年 、 歴 史 あ る 神 戸 市 立 生 糸 検 査 所 の 建 物 が 、

ザ イ ン 都 市 に 認 定 さ れ た の を 機 に 、 二 〇 一 二

神 戸 市 が ユ ネ ス コ 創 造 都 市 ネ ッ ト ワ ー ク の デ

イ ン プ ロ ジ ェ ク ト

5 月 22 日から 6 月 5 日の二週間、イタリアのサルデーニャ島で開かれた ランドスケープのワークショップに本学から私含め2名参加した。制作の メインとなる場所はサルデーニャ島北部、ラ・マッダレーナ諸島のカプレ ラという美しい島であった。風変わりな植物や軍事利用された歴史等も残 る場所で、「Landworks Sardinia 2013」はこのカプレラの自然と文化遺産 の価値を再発見し、新たな活用方法を見いだすことを目的とした国際的な ランドスケープのワークショップである。  イタリア国内、オーストラリア、タイ、レバノン、日本など、世界各地 から集まり、学生ばかりでなく、教授やランドスケープアーキテクトとし て働いている方もいた。6人の専門家が指導するチームに分かれ、アート 作品を現地で制作した。

1

参加者は具体的には、島の地形や植生、歴史を調査し、その魅力を表し

WORK SHOP

「Landworks Sardinia 2013」 参加報告 井垣量子

たインスタレーションの制作する。連日、教授陣による植生や歴史のレク チャーが行われた。かつて軍事利用されていた施設で寝食を共にし、毎日、 学生同士で議論をする。タイやオーストラリアの大学生といっても、留学 している学生もみられ、聞いてみると台湾出身やマレーシア出身だった。 食事の時間には、それぞれの国の大学や職業、家族について紹介した。各 国の文化や考え方の違いに驚いた。  私のチームでは、この島に古くから伝わる物語や歌を住民にリサーチ し、それをフェルトに縫いつけ、城壁に貼って観光客に見てもらうインス タレーションを行った。実際に歌を披露してくださった住人もいて興味深 かった。さらに、メンバーのそれぞれの国の物語や歌も自国の言語で縫い

3

つけた。観光客は、この島についてあまり知らない人が多かったので、島 のことを知る小さなきっかけになったのではないか。面白かったのはフェ ルトに縫いつける時、皆、裁縫が苦手で針に毛糸を通せなかったことであ る。  最終発表では、パフォーマンスを含め各チームからすばらしい作品が提 示された。その会場まで山を登ったり、ボートで移動したりと普段は体験

2

4

できない貴重な体験であった。 ◆井垣量子(いがき・りょうこ)神戸芸術工科大学大学院修士2年

1 宿舎での最終発表 2 軍の施設を利用した作品。ワイヤーで船を吊っている 3 マッダレーナの街並み  4 要塞跡の壁面に様々な国の言葉を刺繍で表現した布を取り付けたインスタレーション

60


TOPICS & COLUMNS 修 士 二 年

◆ 丸 本 祥 子 ︵ ま る も と ・ し ょ う こ ︶ 神 戸 芸 術 工 科 大 学 大 学 院

に 進 化 す る で あ ろ う ﹁ ミ キ シ ル ﹂ を ご 期 待 く だ さ い 。

に 挑 戦 し 、 身 に つ け る 良 い 機 会 と な っ て い ま す 。 来 年 も さ ら

組 み ま し た 。 私 に と っ て も 他 の 学 生 に と っ て も 、 様 々 な こ と

年 々 や り が い も 増 え 、 当 日 だ け で な く 、 準 備 も 楽 し ん で 取 り

ど ん ど ん 内 容 が グ レ ー ド ア ッ プ し て い く 様 子 が よ く わ か り 、

る こ と が で き ま し た 。 ま た 、 三 年 連 続 し て 参 加 し た こ と で 、

触 れ 合 っ た り で き 、 と て も 良 い 刺 激 と き っ か け を た く さ ん 得

輩 ・ 後 輩 と も 親 し く な っ た り 、 三 木 の ま ち や 地 域 の 方 た ち と

ス キ ル を 磨 い た り 、 今 ま で 関 わ っ た こ と の な か っ た 大 学 の 先

く  ﹁ さ ん ミ 経 キ 験 シ で ル き ﹂ ま で し は た 、 。 大 チ 学 ラ の シ 講 の 義 作 だ 成 け を で 通 は し 学 て べ 、 な デ い ザ こ イ と ン が の た

に 応 じ て 対 応 す る 臨 時 対 応 ス タ ッ フ と し て 活 動 し ま し た 。

事 前 の 準 備 全 般 に 関 わ り 、 当 日 は 記 録 写 真 を 撮 り つ つ 、 必 要

生 リ ー ダ ー と し て 、 市 役 所 の 方 と 大 学 の 教 授 方 と の 打 合 せ や

で す 。 私 は イ ベ ン ト に 参 加 し て 三 年 目 と い う こ と も あ り 、 学

右: 「旧県立三木高等女学校舎」での新聞作成 左上:「旧小河家別邸」主庭からの眺め 左下:親子でまちあるき

し た 。 さ ら に 、 前 回 ま で と 同 様 の ﹁ ま ち 歩 き ス タ ン プ ラ リ ー ﹂

後 じ も 、 ﹁ た し み こ ろ っ と そ き や う い わ な ホ か ス ー っ ポ ル た ッ ︵ こ ト 三 と を 木 を 親 市 記 子 役 事 で 所 に 探 し し ︶ ﹂ て 、 に み デ て る ジ 一 。 カ 週 こ メ 間 れ で 展 は 撮 示 イ っ さ ベ て れ ン 、 ま ト 感

し て 、 ﹁ み ん な で ス ク ー プ ! ミ キ シ ル 新 聞 ﹂ 。 ま ち の 中 か ら お

シ ョ ン つ き で 撮 影 。 編 集 し た 後 、 ウ ェ ブ 上 で 公 開 し ま す 。 そ

影 ポ イ ン ト で 、 そ れ ぞ れ 場 所 の 特 徴 が わ か る コ メ ン ト を ア ク

ん な で 作 ろ う ! ミ キ シ ル C M ﹂ と い う も の で 、 五 カ 所 の 撮

ケ  ー 今 ト 年 の の 結 第 果 四 を 回 元 目 に で 、 は 三 つ 、 の こ 企 れ 画 ま を で 実 の 施 イ し ベ ま ン し ト た の 。 蓄 ま 積 ず や 、 ﹁ ア み ン

別 邸 ﹂ の 写 真 撮 影 の ア ド バ イ ザ ー を 担 当 し ま し た 。

の た め の 設 営 な ど の 事 前 準 備 に も 参 加 し 、 当 日 は ﹁ 旧 小 河 家

と 命 名 し て 展 示 を 行 い ま し た 。 こ の 回 で は 、 掃 除 や 写 真 展 示

2013 年 7 月 12 日に神戸芸術工科大学において、

トロールが主なコンセプトである作品の紹介もあ

築家が近代主義的な社会と実際に対峙しなければ

伊東豊雄先生の特別講義が行われました。東日本

りました。

ならないとき、どうすればいいのか?」

大震災から 2 年を経た被災地での一連の「みん

伊東の過去の作品を振り返り、建築の「内と外」

例えば、 「これからの建築の5原則」からすれば、

なの家」プロジェクトと 2013 年 3 月に行われた

の問題について注目してみると、最初期の「中野

環境の制御がコンセプトではない「台中メトロポ

HOUSE VISION 展、その他、近作の紹介が主な講

本町の家」(1976年)では都市や社会に対して全く

リタンオペラハウス」は、伊東の中でどう位置付

義内容でした。

閉じた姿勢を見せています。逆に、8年後に竣工

けられているのか。「せんだいメディアテーク」

東日本大震災は、多くの建築家がそれ以前の経

(1984年)は、開放的な半屋 した「シルバーハット」

についてもレクチャーでは「もっとテラスとかつ

済活動や建築行為そのものについて改めて考え直

外空間が多くを占める住宅です。著書『風の変様

けといてもよかったかなぁ」と振り返る伊東は、

さざるを得ない出来事で、また建築家が社会に対

体』において、主に使用したアルミやガラスは、

進行中のプロジェクトを変更する可能性はあるの

して役立てる存在であることを証明するように行

都市では木や土より身近な素材で、だから「自然」

だろうか。台湾以外でも進行しているに違いない、

動を起こすきっかけになりました。伊東(以下、敬

だと述べられています。

震災の影響のほとんどない海外のプロジェクトに

称略) が始めた活動は、被災地の仮設住宅に住む

「シルバーハット」からさらに 10 年後には「せん

思考の変化はどれぐらい関係するだろうか。とい

人々のための小さな交流施設を建てることで、そ

だいメディアテーク」のコンペ(1995年)に勝利し、

う意味をこめたつもりが、抽象的すぎたのか期待

れが「みんなの家」(2011年∼)です。

この頃から建築を幾何学から発想することへの追

した答えはかえってきませんでした。

仮設住宅は非常時ということで、やむを得ず近

求が始まったように思います。つまり、扱う建築

しかし、これについては会場から出た別のやり

代の機能主義的に配置され、これが心地よいもの

は公共的、都市的になるものの、空間生成のロジッ

とりの方が私の疑問に答えているかもしれませ

ではないと伊東は言います。つまり、仮設住宅は

クは再び内向的になっていると感じるのです。

ん。「安藤忠雄のような作風がはっきりした建築

近代主義建築の最も貧しい姿を象徴してしまって

特に2004年から設計の始まった「台中メトロポ

家についてどう思いますか?」という質問に伊東

いる。そのような分析から始まり、「これからの

リタンオペラハウス」(2014年竣工予定)がわかりや

は、 「スタイルをつくらないというポリシーでやっ

建築の5原則(①内外を曖昧に ②内外の中間に

すい例です。伊東がイタリアの街角で体験した自

ています。人と話すと考えが変わる。職人的に、

半屋外空間 ③風の通り道 ④機能で分けない場所

由な野外コンサートのような空間を、どのような

モノをつくることに重きを置いていない」と答え

の違いを作る ⑤自然素材)」といったわかりやす

幾何学でなら成立させられるか。生成のロジック

ました。

いルールも示されたレクチャーでした。「みんな

が内部から生成されるとしても、無限に広がるわ

常に変化してきた伊東の作品を考えると、レク

の家」や HOUSE VISION 展でつくられた小規模の

けにはいかないので、どこかで閉じなければ建築

チャーで発表のあった「これからの建築の5原則」

建築では、土間やテラス、半屋外の空間を増やし

として成立しません。「台中」の場合、内外との

も遠くない将来、その時の状況に応じて変わって

て環境を制御できる内部空間を最小限にすること

境界は直線で切断され、断面はガラスで覆われて

いくのでしょう。とは言いながら、変化する社会

で、 「これからの建築の 5 原則」を達成しています。

います。伊東はこの時期、幾何学の追求によって、

に対して柔軟な回答をするのも建築家に必要な能

さらに大規模な「みんなの森 ぎふメディアコスモ

近代建築を支配したグリッドを超えようとしたい

力だと思う部分もあり、建築家が社会に対して取

ス」(2015年竣工予定)の場合は、外気を効率よく取

たように感じますが、内外の境界においては近代

るべき姿勢について、これらからも考え続けてみ

り入れることで風や内外の曖昧さをつくりだしま

建築的に見えてしまいます。

ようと思います。

す。そのほかにも「伊東建築塾 恵比寿スタジオ」

といったことをレクチャーを聴きながら考えて

◆山田圭誠(やまだ・かずま)神戸芸術工科大学

いたので、講義終盤に質問をしてみました。「建

大学院修士課程 2014 年 3 月修了

(2013年) など、建築の形態ではなく熱や風のコン

「伊東豊雄特別講義」レポート

変化する社会と建築家 山田圭誠

59

LECTURE


TOPICS & COLUMNS で き る ﹁ 旧 玉 置 家 住 宅 ﹂ ﹁ 旧 小 河 家 別 邸 ︵ 国 登 録 有 形 文 化 財 ︶ ﹂

と  題 第 し 三 、 回 親 目 子 ︵ で 二 カ 〇 一 メ 三 ラ 年 を ︶ 片 で 手 は に 、 ﹁ 、 集 三 ま 木 れ の ! 歴 キ 史 ッ を ズ 感 カ じ メ る ラ こ マ と ン が ﹂

を さ れ る 市 役 所 の 方 の 補 助 を 行 い ま し た 。

日 は 土 蔵 が 集 中 し て 残 っ て い る ﹁ 土 蔵 群 ﹂ に て 、 説 明 や 案 内

の は こ の 回 か ら で あ り 、 ポ ス タ ー ・ チ ラ シ の 作 成 に 挑 戦 。 当

評 で 、 そ の 後 も 毎 年 、 制 作 さ れ て い ま す 。 私 が 関 わ り 始 め た

も の に な る よ う に 工 夫 さ れ ま し た 。 こ の パ ス ポ ー ト は 大 変 好

制 作 。 ス タ ン プ ラ リ ー を 採 用 し 、 ま ち 歩 き が い っ そ う 楽 し い

年 ︶

で は 、 パ ス ポ ー ト 形 式 の ガ イ ド ブ ッ ク ﹁ 三 木 国 旅 券 ﹂ を

史 文 化 を 学 ぶ セ ミ ナ ー な ど を 行 い ま し た 。 第 二 回 目 ︵ 二 〇 一 二

る  国 過 登 去 録 に 有 開 形 催 文 さ 化 れ 財 た ﹁ 第 旧 一 玉 回 置 目 家 ︵ 住 二 宅 〇 一 ﹂ 一 で 年 の ︶ 民 で 具 は の 、 展 三 示 木 や 市 、 に 歴 あ

子 で 楽 し め る 体 験 型 イ ベ ン ト が 開 催 さ れ ま し た 。

﹂ と 題 し た 第 四 回 目 と な る ﹁ ミ キ シ ル ﹂ 、 親

と を 目 的 と し て い ま す 。 二 〇 一 四 年 二 月 二 三 日 に は 、 ﹁

Play

﹁ 旧 三 木 高 等 女 学 校 跡 ﹂ の 三 カ 所 を 巡 り 、 写 真 を 撮 影 し ま し

Town MIKI! 2014

た 。 撮 影 さ れ た 写 真 は ﹁ 、 旧 小 河 家 別 邸 ﹂ を ﹁ ミ キ シ ル 写 真 館 ﹂

見 学 や 体 験 な ど を 通 じ て 町 の 魅 力 を 伝 え 、 知 っ て も ら う こ

す 。 ま ち の 人 や 訪 れ た 人 に 、 歴 史 文 化 に 触 れ る こ と の で き る

兵 庫 県 三 木 市 に 残 る 歴 史 文 化 遺 産 を 知 る イ ベ ン ト の 総 称 で

﹁ ミ キ シ ル ∼ 三 木 の こ と を も っ と 知 る プ ロ ジ ェ ク ト ∼ ﹂ と は 、

「ミキシル」 に参加して

PROJECT

丸本祥子

上:全景 左下: 「瀬戸内国際芸術祭」の会期中、来訪者でにぎわう様子

BEACH HOUSE

瀬戸内国際芸術祭 2013 沙弥島アートプロジェクト 参加作品

西ノ浜の家 藤山哲朗

管理・厨房棟

テラス

男子シャワー・トイレ棟

女子シャワー・トイレ棟

多目的トイレ

平面 1/350

術 工 科 大 学 環 境 ・ 建 築 デ ザ イ ン 学 科 教 授

◆ 藤 山 哲 朗 ︵ ふ じ や ま ・ て つ ろ う ︶ 神 戸 芸

り ま し た 。

見 え 、 今 回 の 建 築 の 重 要 な モ チ ー フ と な

断 面 は 、 ま る で ラ ン ド ア ー ト の よ う に も

が 見 え ま す 。 採 石 場 の 切 通 し の 人 工 的 な

を 渡 る と 、 沙 弥 島 の 隣 ﹁ 与 島 ﹂ に 採 石 場

調 和 / 拮 抗 に あ る と 思 い ま す 。 瀬 戸 大 橋

間 の 生 活 が つ く り あ げ た 文 化 と 自 然 と の

力 は 、 純 粋 は 自 然 の 景 観 と い う よ り 、 人

景 を 含 意 し て い ま す 。 瀬 戸 内 の 風 景 の 魅

三 軒 の 家 、 三 つ の 山 と い う 瀬 戸 内 海 の 風

は 必 須 で し た が 、 三 つ の 棟 は 、 三 艘 の 船 、

く 設 け ら れ て い ま す 。 そ の た め ﹁ 家 型 ﹂

す  る こ た の め 場 、 所 形 は 態 瀬 制 戸 限 内 、 海 色 国 彩 立 規 公 制 園 等 内 が に 厳 位 し 置

瀬 戸 内 の 夕 日 を 眺 め る こ と が 出 来 ま す 。

二 階 展 望 台 か ら は 、 砂 浜 の 向 こ う に 沈 む 、

テ ィ ス ト の ス ー プ 作 品 を 販 売 し ま し た 。

手 作 り 弁 当 や 食 文 化 を テ ー マ と し た ア ー

る 小 さ な 建 物 で す 。 会 期 中 は 島 の 人 達 の

シ  ャ こ ワ の ー ﹁ 、 西

女 子 ト イ レ ・ シ ャ ワ ー 棟 か ら な

ノ 浜 の 家 ﹂ は 厨 房 、 男 子 ト イ レ ・

家 の 設 計 を 手 掛 け ま し た 。

し た 。 島 に は 海 水 浴 場 も あ り 、 私 が 海 の

し て 、 絵 画 や 映 像 、 立 体 作 品 を 展 示 し ま

小 ・ 中 学 校 跡 。 教 室 を ギ ャ ラ リ ー に 改 装

主 会 場 は 数 年 前 に 廃 校 と な っ た 旧 沙 弥

め 立 て で 、 市 内 と 陸 続 き に な っ て い ま す 。

瀬 戸 大 橋 が 四 国 に 降 り る 場 所 。 現 在 は 埋

教 員 が 参 加 し ま し た 。 沙 弥 島 は ち ょ う ど

弥 島 ア ー ト プ ロ ジ ェ ク ト ﹂ と し て 六 名 の

四  月 神 二 戸 一 芸 日 術 の 工 春 科 季 大 、 学 香 で 川 も 県 三 坂 月 出 二 市 〇 で 日 ﹁ か 沙 ら

み で す 。

新 し い 文 化 を 作 り 上 げ て い こ う と い う 試

の 歴 史 を 受 け 継 ぎ な が ら ア ー ト と 建 築 で

県 の 瀬 戸 内 海 の 十 二 の 島 を 会 場 に 、 風 土

春 ・ 夏 ・ 秋 の 三 期 に 分 か れ 、 香 川 、 岡 山

二 〇 一 三 ﹂ が 開 催 さ れ ま し た 。 芸 術 祭 は 、

二 〇 一 三 年 三 月 か ら ﹁ 瀬 戸 内 国 際 芸 術 祭 58


TOPICS & COLUMNS

JIA 近畿支部大会 学生コンペティション

「JIA 近畿支部大会・大阪[ツナギ]」に際して「実現へと向かう 学生コンペティション:4 階建てビルの全面リノベーション」が

都市から離れながら、 風景と近くなるトイレ

COMPE TITION

公募されました。大阪市の南東部、加美にある元歯科医院兼住居 のビルを、リノベーションして地域社会に必要な建築を設計する というもので、実現を視野に入れ、資金についての考え方、施工

板谷宏太

に関しての方法など、アイディアのみだけではない提案も評価の 対象とされました。   私の作品は事前に行われた一次審査を通過し、2013 年 11 月 30 日の公開プレゼンテーションに参加して、2位のアイディア 賞を受賞しました。   「都市から離れながら、風景と近くなるトイレ」では、現代の スクラップ・アンド・ビルドという建物のあり方を終わらせるに はどうしたらいいかを考えました。コンペで与えられた条件を満 たすだけの提案だと、今、生きている人に対してのニーズはあり ますが、未来ではニーズがなくなり、必要ない建築と言われてし

1

まうかもしれない。そんな問題を解消するために、「人」に照準 を合わせた建築ではなく、植物や生き物にとっての建築を考えて はどうだろうか。そこでは、人と植物が共存することができます。  提案した土の塔には、居住空間がほとんどなく、唯一屋上に公 衆トイレを設計しました。排せつは人が生きていくための自然な 現象で、それを行う場所は人にとって必要です。このトイレを使 いに来る人は、屋上からのすばらしい景色を見るために、まるで ピクニックをするような感覚で登ります。また「毎日朝日を拝ん でトイレをするのが日課」という人の日常をイメージすることも できます。そして、土の塔を都市に建築することで、これまでの 建物とは異なり、人に「崩れないか」「屋上からの景色はどうだ ろう」といった心配や期待をする感情を与えます。土の塔を見た 人はコミュニケーション時の話題とし、その後もずっと意識し続 けるでしょう。  コンペを終えて感じたことは、他の大学の学生と様々な答えを 共有したことは面白く、プレゼンの間もずっとワクワクしていま

2

した。プレゼンテーション中、自分の考えを相手に伝えたい!と 思わず感情的になってしまう場面もあり、今までの学内での発表 ではなかったことなので、新鮮で良い経験となりました。  最後にコンペを通じて、世の中に建築を提案して行くことが大 切だと改めて感じました。賞をもらったことは嬉しいですが、 「リ アリティがない」と指摘され、自分がまだまだ未熟だと痛感しま した。リアリティについてどう考えるかは、大学の設計課題でも 大事なことです。リアリティとアイディアを整理し、さらなる提 案をし続けしたいと思います。

1 土の塔のつくり方 2 外観。人々の

◆板谷宏太(いたや・こうた)神戸芸術工科大学環境・建築デザ イン学科4年

さ は に し き と あ 生 に  ん ﹁ 包 た 受 題 る 紹 は ま に ま 。 け し 実 介 、 た と れ ユ 地 、 家 に 二 、 っ た ー 域 溝 の も 〇 卒 て 。 モ を 掃 工 登 〇 業 ﹁ 在 ラ 走 除 務 場 二 生 校 ス り か 店 ︶ 年 に ﹂ 生 な 回 ら で を 三 今 の ﹂ は 語 る 大 働 七 月 の の 略 大 り 自 き く 月 に 自 ひ と い 口 分 な 彼 一 本 分 と の に は の ホ は 一 学 を つ こ 刺 学 仕 テ 、 ﹁ 日 科 語 と と 激 生 事 ル に を っ な 。 を 時 ぶ の お 卒 て っ 神 受 代 り 改 迎 業 も て 戸 け の を 修 町 え し ら い 芸 た ま ﹁ ま 医 し た う る 工 こ ま 町 で 者 た 東 企 に 大 で 医 、 工 。 端 違 で と 、 者 ど 務 和 秀 画 い の だ 会 ﹂ ん 店 歌 典 ﹁ な 四 ろ 場 に な に 山 さ よ い 年 う は 喩 仕 あ 県 ん う 。 こ 。 間 ﹁ 笑 え 事 こ 海 ︵ そ も い て で が 南 p.55 先 れ 東 市 卒 輩 の 紹 も 端 渦 介 引 て に 業 ﹂ ﹂ ﹂

Basic

B to B

B to B

57

◆ 花 田 佳 明 ︵ は な だ ・ よ し あ き ︶ 神 戸 芸 術 工 科 大 学 環 境 ・ 建 築 デ

とを知らせる

Back to Basic

ザ イ ン 学 科 教 授

感情を喚起する 3 トイレ内部 4 サ インデザイン。上階にトイレがあるこ

答 例 と し て の 眼 差 し を 示 す こ と が で き た と 確 信 し て い る 。

を こ ん な ふ う に 見 て み よ う ﹂ と い う テ ー マ に 対 す る さ ま ざ ま な 解

も  多 い く ず 、 れ 活 の 発 回 な も 議 、 論 在 が 校 行 生 な は わ も れ ち た ろ 。 ん こ 学 の 外 企 の 画 建 を 築 通 家 し や 、 ﹁ 研 建 究 築 者 や の 風 参 景 加

い 最 終 回 と な り 会 場 は 盛 り 上 が っ た 。

ま さ に 風 景 に 対 す る 新 し い 眼 差 し で あ り 、 今 回 の テ ー マ に 相 応 し

さ を 、 実 に 見 応 え の あ る プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン で 示 し て 下 さ っ た 。

な  ど 石 を 川 駆 さ 使 ん し は 、 、 地 デ 形 ー や タ 都 化 市 さ の れ 状 た 況 多 を 種 視 多 覚 様 化 な し 地 分 理 析 情 す 報 る や こ G と P の S 面 機 白 器

か び 上 が る 現 代 建 築 に 対 す る 新 解 釈 を 示 し て 下 さ っ た 。

ト ー 的 ﹂ 公 共 建 築 を 再 評 価 す る こ と の 重 要 性 と 、 そ れ を 通 し て 浮

ゆ る 前 衛 の 建 築 家 た ち の 作 品 で は な い が 広 く 地 域 に 点 在 す る ﹁ カ

カ  ト 磯 ー さ 設 ん 計 は 事 、 務 日 所 本 の 大 仕 学 事 で を 構 発 造 掘 を し 専 た 門 ご と 自 し 身 て の い 作 た 業 加 を 藤 紹 渉 介 が し 設 、 立 い し わ た

も の に は 原 理 が あ る ﹂ と い う 言 葉 が 強 く 印 象 に 残 っ て い る 。

3

を 生 み 出 す 頭 脳 の 裏 側 を 垣 間 見 た よ う な 気 持 ち に な っ た 。 ﹁ 美 し い

4

ら を 通 し 、 光 や 重 力 や 距 離 と い っ た 抽 象 的 な 言 葉 か ら 独 特 の 空 間

れ 母 親 で も あ る 現 在 の 仕 事 ぶ り も 具 体 的 に 語 っ て 下 さ っ た 。 そ れ

時  代 永 と 山 青 さ 木 ん 淳 は さ 、 ん 独 の 立 事 後 務 の 所 歩 に み 勤 を 務 作 し 品 て と い と た も 頃 に の 紹 思 介 い し 出 た や 上 、 で 結 、 婚 学 さ 生

が 新 鮮 だ っ た 。

て 下 さ っ た 。 博 物 館 に 勤 め る 建 築 史 研 究 者 な ら で は の も の の 見 方

民 の 気 持 ち に な っ た 建 築 の 拾 い 上 げ 方 ﹂ を す る こ と の 面 白 さ を 語 っ

﹁  た  ン ● 近 部 酒 。 い ド 七 に 分 井 ず ス 月 あ と れ ケ 二 る さ 細 ん の ー 四 ち 部 お プ 日 ょ は へ 、 話 デ っ の タ も ザ 石 と 注 イ 、 イ 川 カ 目 ル こ ン 初 ッ ﹂ を ち ︶ ︵ コ に 貼 ら ﹁ ラ イ よ っ の 地 ン イ っ た ね 上 ド 建 て 近 ら へ ス 築 ﹁ い の ケ に 代 知 建 通 ま つ ら り な ー い 築 れ を 、 ざ プ て ざ 新 し デ ﹂ た る く し ﹂ ザ イ 建 い さ ナ 築 眼 ん ー を 差 の / 発 し 写 株 掘 の 真 式 ﹂ 宝 で 会 庫 し 社 だ ﹁ 示 ラ っ 住 し 、


TOPICS & COLUMNS

1 沿岸部の風力発電施設 2 ENSPのキャンパス風景 3 セーヌ川沿いの景観 4 ユースホステル前での作業風景 5 最終発表会の様子

1

WORK SHOP

2

3

4

5

「EMiLAワークショップ2013」 参加報告 川北健雄

フランスで開催されたランドスケープの国際ワークショップ、EMiLA サマー

民の方々にもお会いしてお話を伺った。広大な農地の間には、クロ・マシュー

スクール 2013 に、本学科の教員(川北)と大学院生 2 名(M2 王

、D1

ルと呼ばれる、林に囲まれた伝統的な農園構成が点在している。そこには牧

トウンヌン・クプリヤンラム)が参加した。EMiLA とは、European Master

畜と農業を組み合わせた見事なエコサイクルが見られるのだが、農業人口の

in Landscape Architecture のことで、ヨーロッパでランドスケープ系の専門

減少と経営形態の変化により、存亡の危機を迎えている。

コースを有する主要 5 大学(アムステルダム建築アカデミー、カタルーニャ

このような文化的景観を保存し、エコロジカルなしくみを維持しつつ、風

工科大学、エディンバラ大学、ライプニッツ大学、フランス国立ランドスケー

力発電やバイオマスといった新たな可能性に、どのように対応すべきか、そ

プ大学)共通の修士課程プログラムである。今回のサマースクールには、神

の解答への糸口を見つけ出そうというのが、このワークショップの課題であ

戸芸術工科大学、北京大学、RMIT 大学(メルボルン)の 3 校が、ヨーロッ

る。現地調査ツアーの宿舎となったユースホステルでは、夕食前後の時間を

パ外からのゲスト校として招待された。

利用して、さっそく調査結果の整理分析作業が行われた。5 日目には ENSP

テーマは「ノルマンディー地方のエネルギーとランドスケープ」。各国か

に戻り、6 日目∼ 8 日目の 3 日間にわたる夜を徹しての作業を通して、チー

ら集まった学生 29 名が 6 つのチームに分かれ、それぞれを 2 名の教員が指

ムごとの提案を図面や模型にとりまとめた。9 日目の講評会では、学生によ

導する形で、英語を共通言語として、9 月 5 日∼ 9 月 14 日の 10 日間にわ

る発表と担当教員による解説、外部の専門家を交えた活発な議論が繰り広げ

たる熱心な議論と提案のとりまとめ作業が繰り広げられた。主会場のフラン

られた。そして最終日の 10 日目には、成果物の展示と EMiLA の活動全般に

ス国立ランドスケープ大学(École Nationale Supérieure de Paysage、略称

関するシンポジウムが開催された。初対面の国籍混合メンバーによる作業で

ENSP)はヴェルサイユ宮殿の隣にあり、キャンパス内には、かつてルイ 14

あったにもかかわらず、すべてのチームが短期間で提案をまとめあげたのは

世のために野菜や果物を提供した研究菜園が大きく広がっている。

見事というほかない。

1日目は、チームの顔合わせとテーマに関する講義が行われ、2 日目∼ 4

ランドスケープデザインを、グローバルな視点に立脚しつつも、地域固有

日目は、課題対象地域であるノルマンディー地方の調査を行った。印象派の

の問題として現地に身を置いて考えること。その重要性と意義を実感するこ

絵画も多く描かれたセーヌ川周辺、台地に広がる農地、大西洋沿岸部の荒々

とのできた、誠に充実した 10 日間であった。

しい自然等を実体験すると同時に、行政や公園管理の専門家、農家や一般住

◆川北健雄(かわきた・たけお)神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科教授

● 七 月 三 日 磯 達 雄 ︵ 建 築 ジ ャ ー ナ リ ス ト / フ リ ッ ク ス タ ジ オ ︶ ﹁ 身

う き っ か け ﹂

● 六 月 二 三 日

か ら タ イ ル の 魅 永 惑 山 へ 祐 ﹂ 子 ︵ 建 築 家 / 永 山 祐 子 建 築 設 計 ︶ ﹁ 建 築 と い

● ル 下 ﹁ 鹿 建 六 ︶ 。 の 築 島 月 四 建 十 人 や 設 風 二 の 株 日 皆 景 式 さ を 会 酒 ん こ 社 井 を ん の 一 講 な 助 光 師 ふ 成 ︵ と う に 学 し に よ 芸 て 見 る 員 お て 今 / 招 み 年 大 き よ 度 阪 し う の 歴 た ﹂ ﹁ と 史 ︵ ﹁ い ト 博   う ー 物 ﹂ テ ク 館 内 ー セ ︶ は マ ッ ﹁ 講 の シ 建 演 も ョ 築 タ と ン の イ 、 ﹂ 発 ト 以 は 掘 、

2013年度 「トークセッション」 と 「ようこそ先輩」  2013/6/12 酒井一光

TALK SESSION

花田佳明

2013/6/23 永山祐子

2013/7/3 磯達雄

2013/7/24 石川初 *2013/7/11 「ようこそ先輩」 東端秀典の写真は、 卒業生紹介 (p.55) に掲載

56


卒業生紹介

ヒガシバタ/東端秀典建築計画事務所

東端秀典

明朗な人柄、ぼけとつっこみを交えた話術。 東端秀典 が話しだすと、その魅力におもわず引き込まれてしまう。 和歌山県海南市の出身。 現在、地元である人口 5.5 万人 の街で、両親とともに工務店を営んでいる。  「仕事の内容は、内装やエクステリアの工事、キッチ

型にはまらない「建築家」をめざして

ンなどのリフォーム。外部の設計事務所の設計を請けて、 施工管理(現場監督)だけの仕事もあります。個人住宅 の設計もしていて、今、2軒が進行中です。  ただその他にも、『東端くん、なんとかならんか?』 と言われて持ち込まれてくる仕事がたくさんあって…… (笑)。例えば、和歌山大学で、構造実験のための木組み をつくってほしい。家の床が抜けてしまった。粗大ゴミ を捨ててほしい。庭の池の水位を下げたい。自動販売機 を据えて欲しい。どぶさらいや車のバッテリーの復旧ま で……。」  本業に関係があると言えなくもないが、地域の人々に 「雑用」を言いつけられているようにも見える。しかし、 東端はかなり楽しそうである。  「人にかわいがられることは、結構大事なんですよ。 信用を得ることで、次の仕事につながったりする。例え ば、今、浴室を増築しているホテルの仕事も、何年も前 に、玄関まわりを奇麗にしたい、という小さな仕事が発 端となっています。」  東端は本学在学中は、地元に帰って家業を継ぐつもり

1

はなかったそうだ。大手ゼネコンに就職を希望していて、 複数の企業にエントリーするが、全滅。  「ぼくを不合格にした会社は、損をしたと思いますよ (笑)。結局、卒業式の時期にも就職が決まっていなくて、 どうしようかなと考えていた矢先に、たまたま地元和歌 山の設計事務所とご縁があってお世話になることになり ました。ところが、実家の工務店が忙しくなって、父に

2

3

4

呼び戻されてしまったんです。  それから今の仕事を 8 年くらい続けていますが、田

↑ 1:ハンズフリーイヤホンマイクで 電話をしながら大工の手伝いをする様

舎にいても外の世界とつながるチャンスは結構あるんで す。例えば、ぼくは和歌山県建築士会の出版・情報委員

子 2:ヒガシバタの職人さん総出で、 脱輪車を救助 3:ロードローラーに

会の最年少副委員長をやっていて、県下の古い建物を発

乗る東端氏 4: 「床が抜けたから、な んとかならんか?」という申し出に飛

掘する取材をずっと続けています。役所の人や建築家、

んでいって修理の手配をする

大学の先生と知り合いになってお話しするのは、勉強に なるし楽しい。  一昨年、東京に「夏の家」を見に行ったんですよ。そ れをつくった建築家のビジョイ・ジェインは、アメリカ で建築理論を学んだ後、出身地であるムンバイに帰り、 事務所を立ち上げた。興味深いのは、大工や石工、鉄工 5

などの職人たちと協働して、設計から施工までを手作業

6 ↑ 5:施工管理を請け負った温泉施設の内観 ← 6:自身が設計した住宅の内観 7:同外観。 設計は東端秀典建築計画事務所、施工はヒガシ バタが請け負う

で行っていること。ぼくも和歌山で、設計して、コンク リートを自分で練って、建築をつくっている。自分の ことを建築家と自負したことはないけど、型にはまらな い、こんな生き方もありじゃないか。」  施工管理は工務店専務の領域に、設計は建築家の領域 に、そして「雑用」はカテゴライズできない領域に、経 験として蓄積されていく。そして、彼は今日も和歌山の地 を飛び回り、地元の人たちを幸せにしていることだろう。

7

東端秀典(ひがしばた・ひでのり) 1980年和歌山県海南市生まれ。2003年神戸芸術工科大学環境デ ザイン学科卒業。設計事務所勤務を経て、2005年よりヒガシバ

→ 7:昨年 7 月には、母校・神戸芸工大の「ようこそ先輩」 企画に招かれ、こういった自分の日々の仕事を紹介し、後輩 たちを大いに刺激した。p.56-57 に関連記事〈2013 年度「トー クセッション」と「ようこそ先輩」 〉あり

55

タ (家業)勤務。2008年東端秀典建築計画事務所設立。 ブログ:地方の車窓から http://batao.exblog.jp 8

図版提供:東端秀典 文:石坂美樹


卒業生紹介

浅井謙建築研究所/三菱商事

神戸芸工大の卒業生が、三菱商事で働いているらしい。ど んな経緯で働くことになったのか? どんな仕事をしてい

野口強司

るのだろうか?  野口強司は、2003 年に神戸芸術工科大学大学院を卒業 してすぐ、浅井謙建築研究所に入社。大阪と東京に本社を 持つ、中堅の設計事務所である。   「大学院生の時、指導教員だった木村博昭先生の事務所

デベロッパーの目線で「設計 +α」をみつける

のお手伝いをしていたのですが、ちょうど事務所の向かい に当時の浅井事務所があったんです。現在会長である浅井 謙は日建設計出身。組織事務所とアトリエ事務所を兼ね備 えた社風であると聞いて、興味を持ちました。  入社してすぐの仕事は、ショッピングセンターの建て替 えでした。RTKLというアメリカの設計事務所のデザイン 監修のもと、実施図面を描いて建物を具現化していく。法 律などのルール通りに内装監理と現場監理をしながら、駐 車場の一角に設けられた驚くほど寒い現場事務所に常駐し たのが印象深いですね。 」  その後、マンション、オフィス、商業複合ビル、宿泊施 設などの設計に次々と携わり、実務経験を積んでいく。   「ある時、銀座の中央通りに面した商業ビルの設計を担 当したんです。その物件が三菱商事がデベロッパーだった というご縁もあったことと、外に出てもっと顔を広げてこ いということで2∼3年を目途に出向することになりまし た。今は2種類の名刺を使い分けて日本経済を牽引する トップクラスの人たちと仕事をしています。  三菱商事では、不動産の商業開発チームに所属し、国内 の大規模開発や収益性の高い土地を取得しバリューアップ して売却する業務を行っています。設計事務所と一番違う ところは、とにかくチームでよく話すこと。以前は、ひた すら図面を描いて、成果物を見せることが大事だと思って

→野口の浅井謙建築研究所 での担当作品。 「CiTY! WAKA YAMA」 (2004年) 。入社初仕 事。 現 場 監 理 の た め に、 2 ケ月ほど現場事務所に詰め、 様々な経験を積んだ

仕事をしていましたから、カルチャーショックです(笑) 。 情報をいかに正確に捉え、相手が何を求めどういう目的で 行動するか。同じ目的を持つ者同士で共有する。総合商社 のコミュニケーション力を日々感じています。 」  様々な場所で行われている都市開発。設計事務所がきら びやかな建築をデザインする発端には、当然、それを企画 する人たちがいる。   「かつては、デベロッパーから仕事を請け、建物を設計

←「オリックス岡山下石井ビ ル」 (2009年 )10 階 建 て の オ

していました。今の仕事では、デベロッパー目線になって

フィスビル ↓「Brillia 成 増」 (2008年) エン

まちづくりや建築を見ることができる。目線が変わると 〈い いもの〉の価値観も異なり、エンドユーザーや投資家が何

トランスホール。総戸数 222 + 58 戸の分譲マンション

を求めていて次に何が欲しいのか、より深く考えさせられ ます。  著名な建築家や大手設計事務所であっても、コンペや入 札で仕事を取ることは結構難しい時代ですよね。設計思想 やデザインとは別に、中堅設計事務所だからこそできる 、 お互いの〈いいもの〉を共感してもらえるような仕事の成 果に結びつく設計 + α の部分をこれからも模索し続け ると思います。 」  現在の都市開発の経験を終えて、設計の現場に戻った時、 彼がどんな建築をつくり出すのか。彼がみつける「+ α」 とは? 数年後にもう一度話を聞いてみたいと思う。 野口強司(のぐち・つよし) 1978年佐賀県生まれ。2003年神戸芸術工科大学大学院修了後、 浅井謙建築研究所入所。2013年より三菱商事株式会社 収益不動 産開発部へ出向。 浅井謙建築研究所株式会社 http://www.asai-archi.com 図版提供:浅井謙建築研究所・野口強司 文:石坂美樹

←「京都嵐山荘」企業の保養所。 浅井謙建築研究所での最近の仕 事である。風致地区ということ もあって、設計条件をクリアす るために苦労をしたそうだ

54


な か ろ う か 。

︵ 山 之 内 誠 ︶

新 た な 客 層 の 獲 得 も 期 待 で き る の で は

神 戸 市 内 か ら 散 策 に 訪 れ る 観 光 客 等 、

り 町 並 み の 楽 し み 方 の 幅 が 広 が れ ば 、

内 容 と し て い る 。 こ の 種 の マ ッ プ に よ

的 に そ ぎ 落 と し 、 ま ち 歩 き に 特 化 し た

に 、 著 名 な 観 光 ス ポ ッ ト の 情 報 を 意 図

観  光 な マ お ッ 、 プ 今 と 回 の は 違 従 い 来 を の 明 目 確 的 化 地 す 紹 る 介 た 型 め の

チ に 起 こ し て 紹 介 し て い る 。

の 魅 力 を 切 り 取 り 、 そ れ ら を ス ケ ッ

こ だ わ ら ず に 、 若 者 ら し い 感 性 で 街

も の で 、 対 象 の 歴 史 性 に は 必 ず し も

に ま ち 歩 き を 楽 し み な が ら 見 つ け た

る 内 容 は 、 い ず れ も 学 生 た ち が 実 際

る マ ッ プ で あ る 。 取 り 上 げ ら れ て い

ば 面 白 く 魅 力 的 な モ ノ た ち を 紹 介 す

見 逃 し て し ま い そ う だ が 、 良 く 見 れ

一 つ は 、 街 路 に 表 出 し た 、 う っ か り

魅 力 を 紹 介 す る マ ッ プ で あ り 、 も う

形 特 性 が よ く 表 れ た 階 段 等 の 場 所 の

は 、 入 り 組 ん だ 路 地 や 、 傾 斜 し た 地

異 な る マ ッ プ を 作 成 し て い る 。 一 つ

け  、 具 同 体 じ 的 対 に 象 は 地 、 区 参 に 加 つ 学 い 生 て を 二 二 種 班 類 に の 分

に 作 成 す る こ と を 目 指 し た 。

て い く 手 助 け と な る ツ ー ル を 試 験 的

が ま ち 歩 き を 楽 し み 、 魅 力 を 発 見 し

い 。 そ こ で 、 北 野 の ま ち を 訪 れ た 人

を 伝 え て く れ る 内 容 と は な っ て い な

て い る た め 、 ま ち 歩 き 自 体 の 楽 し さ

的 地 の 位 置 と そ の 紹 介 を 主 目 的 と し

ア の 既 存 の 観 光 ガ イ ド マ ッ プ は 、 目

で き る マ ッ プ を 制 作 し た 。 こ の エ リ

ル と し て 観 光 客 や 市 民 が 有 効 に 活 用

象 に 、 ま ち 歩 き を 楽 し む た め の ツ ー

ポ ッ ト で あ る 北 野 異 人 館 エ リ ア を 対

本 課 題 で は 、 神 戸 市 の 著 名 な 観 光 ス

まち歩きマップ(作成:吉澤・渡邉・沖山・田口) パソコンに取込んで、いざレイアウト作業へ

地図のまわりにおいてみます

さぁて、どんなものができるかな?

2013.10.17 18:00∼

最後の追い込み作業です

2013.10.24 18:00∼

2013.10.30 18:00∼

53

2013.10.31 最終提出 + 展示

参加メンバー:13E0060 吉澤愛希、13E0068 藤田千夏、 13E0073 渡邉果歩、12E0008 池村友希、12E0016 沖山ひかる、 12E0060 松下真子、12M4021 田口恵李花 担当教員:山之内誠、不破正仁

のってきました!


総合プロジェクト E について

のプロジェクトを体験することで、デザインやアート

神戸芸術工科大学では、大学内や学科内だけでデザイ

に対する自らの可能性や意識を発見し、専門的な学習

ンが完結するのではなく、社会や地域との結びつきを

につなげることができるだろう。さらに、全学年、全

大切にしたいと考えている。また、現在進行している

学科の学生が自由に選択して受講できるため、未知の

問題や将来への提案を「現場での体験」から考え、創

分野への探求心や、新しい人的ネットワークを生むこ

作に結びつけていくことに取り組んでいる。そのため、

とが期待されている。

プロジェクトやワークショップを学内外で数多く展開

全学科(まんが表現、ビジュアルデザイン、ファッ

することを推奨している。

ションデザイン、プロダクトデザイン、環境・建築デ

この「総合プロジェクト E」は、デザイン教育のプ

ザイン)から合計 12 ユニットが参加したこのプロジェ

ロである本学教員が、デザインやアートへの取り組み

クトの成果は、2013 年 11 月 5 日から 16 日まで、学

方に基づいたテーマを提案するものである。学生がそ

内の4会場で展示された。

選択課題 総合プロジェクトE

歴史的町並み まち歩きマップ UNIT 9

まち歩きマップ(作成:藤田・池村・松下) 写真をトレースしてみました

地図の表現を統一させる為に、少しだけ工夫しました。

まずは、住宅地図をみなで分担し、トレースしました。

地 図 づ く り の 行 程

カンキョウの 2年生

ベースマップができました。

マンガの 2年生 カンキョウの 1年生

ベースマップは二班とも同じもの を使います。この地図にそれぞれ の班の個性が加わるとどのような

絵の位置を特定しています

地図になるのでしょうか?

作   業   工

それぞれのコンセプトを打ち明けます

2013.05.31 初回ミーティング

2013.06.27 18:00∼

2013.07.04 18:00∼

まとめた内容をもとに班ごとに地 図のコンセプトを話し合いました

2013.07.18 18:00∼

2013.08.08 16:00∼

2013.09.24 ベースマップ提出

2013.09.27 18:00∼

2013.10.03 18:00∼

2013.10.10 18:00∼

そして、再度物件探し!

まち歩きの感想を書き出してみます

打 合 せ 、 調 査 の 様 子

52


さまざまな 生活スタイルで 暮らす team C

team C メンバー:11E0055 山田聖奈、11E0061 岡村明日佳 11E0064 中山弥玖、11E0204 小野宏陽、13E0056 木村和宏

配置・平面 1/2000

スタディ

ゲスト・クリティック賞

close & open

空間とコミュニティ まちから閉じるよう

5つの区分けでいろ

フランス式庭園のよ

閉じた構成を入り口

閉じた構成を入り口

北側から階段状に配

外側と内側の表情を

に構成。

んな場所を作った。

うに左右対称に配

を1つで。

4つで。

置。内部に2つの場

全く別のものに。

置。

team E

配置

所性ができた。

EV

EV

街の景観を崩してみ

丘を作ってみようと

周りを取り込みつ

中の地形を変えてみ

雁行した住戸を囲う

周りからの景観を木

中央に1つの大きな

ようと思った。

思った。

つ、崩してみた。

た。

ようにおいてみた。

でとりつつ、中身を

ヴォリュームを。

違うものにした。

EV

EV

EV

EV

2F 平面

1F 平面 1/2000 分棟型でバラバラに

特徴的な建物を中央

東側に大きな建物を

歩道からの人の視線

人が住みやすい形に

左の案からより共有

街の人も通り道とし

配置。

に。多く住戸を入れ

2つ。空いたスペー

をそのまま道に。

し、共有空間を開放

空間に開放感を感じ

て利用できるように

ることができる。

スに共有空間。

的にした。

させるようにした。

した。

team E メンバー:11E0024 小嶋佑、11E0034 谷川智哉、 1F PLAN  S=1:400

に 結 束 し て 優 れ た 作 品 を 提 案 し ま し ↘

﹁ 知 的 で 建 築 的 ﹂ な ア プ ロ ー チ の も と

に 建 築 に 展 開 し て い く と い う 非 常 に

隣 と 住 宅 の 関 係 と し て 読 み 解 き 、 さ ら

方 の 都 市 の 様 相 の 違 い と し て 捉 え 、 近

﹁ 日 本 と オ ラ ン ダ ﹂ と い う テ ー マ を 双

で き た か ら だ と 思 っ て い ま す 。 D 班 は

イ デ ィ オ ロ ジ ー の 元 に 結 束 す る こ と が

ダ ー の 小 野 宏 陽 く ん の 想 像 力 豊 か な ア

豊 か に 展 開 し た の で す が 、 こ れ は リ ー

2013年度 総合実習B(3年生後期課題) 吉良森子ワークショップ 高齢になってからの暮らしを考える ̶オランダに定住している日本人高齢 者が集まって住む住宅̶ 担当教員/吉良森子・松田安代(Fauna + DeSIGN)・鈴木明・中村卓 ゲストクリティック[最終講評]/ ジュリアン・リクート(オランダ王国総 領事館)・島田陽(タトアーキテクツ) 2013年12月18日∼2014年1月17日

51

タ イ プ 、 ラ ン ド ス ケ ー プ デ ザ イ ン に

さ  ﹂ C に 班 着 は 目 ﹁ し オ 、 ラ そ ン れ ダ を に 集 つ ま く り る 方 日 、 本 住 ら 戸 し

班 と E 班 は 傑 出 し て い た と 思 い ま す 。

メ ン バ ー 同 士 の 信 頼 が 鍵 で す 。 特 に C

開 で き る の か 、 私 は 興 味 津 々 で し た 。

皆 さ ん が 、 ﹁ 価 値 ﹂ を 客 観 化 し て 、 展

須 で す 。 果 た し て 三 年 生 を 中 心 と す る

う 試 行 錯 誤 を 共 に 行 っ て い く こ と が 必

ど の よ う に 展 開 し た ら よ い の か 、 と い

し て 、 そ の ﹁ 価 値 観 ﹂ を 平 面 や 断 面 に

だ 提 案 の ﹁ 価 値 観 ﹂ を メ ン バ ー で 共 有

感 す る こ と が で き ま し た 。

ク シ ョ ッ プ を 通 し て 私 自 身 も 改 め て 実

計 段 階 か ら ﹁ 開 く ﹂ こ と が い か に 豊 か

る ﹁ 建 築 ﹂ を 生 み 出 す プ ロ セ ス を 、 設

社  会 と や て 町 も 並 ﹁ み 個 と 人 い 的 う ﹂ ﹁ な 公 設 ﹂ 計 の 行 一 為 部 か と ら な 、

た と 思 い ま す 。

豊 か に 展 開 し た E 班 の 提 案 も 優 れ て い

隣 の 町 並 み を 受 け 止 め な が ら 自 然 か つ

築 と ア ジ ア 的 な ﹁ 開 か れ た ﹂ 建 築 を 近

た 。 ま た ヨ ー ロ ッ パ 的 な ﹁ 閉 じ た ﹂ 建

で か つ 刺 激 的 か と い う こ と を こ の ワ ー

2F PLAN  S=1:400

11E0067 堀井慎太郎、11E0069 岸野翔、13E0054 村田六花

スタディ

く の か 。 そ の た め に は 自 分 た ち が 選 ん

図 、 断 面 図 、 外 観 の 設 計 に 展 開 し て い

選  ん 中 だ 間 ア 講 イ 評 デ 以 ィ 降 ア は を グ ど ル の ー よ プ う 設 に 計 平 で 面 す 。

ひ 取 り 入 れ て ほ し い と 思 い ま す 。

こ の 評 価 プ ロ セ ス を 一 人 の 課 題 で も ぜ

と い う こ と が 実 感 で き た で し ょ う か 。

の 提 案 か ら 距 離 を 置 い て 判 断 し や す い

一 人 で 課 題 を し て い る 時 よ り も 、 自 分

を し て い ま し た 。 グ ル ー プ で あ れ ば 、

の よ う な 場 所 に な る の か 、 明 快 な 提 案

何 を 目 的 に す る の か 、 近 隣 か ら み て ど

チ ー ム も あ り ま し た が 、 ど の チ ー ム も 、

ま し た 。 自 分 た ち で 一 作 品 を 選 べ な い

さ せ る 案 を 一 つ 選 ん で 発 表 し て も ら い

い の 提 案 を 評 価 し 、 中 間 講 評 以 降 展 開


3年生後期課題 2013年度吉良森子ワークショップ 「高齢になってからの暮らしを考える」 吉良森子賞

ゆとり・ひと team D 11E0002 荒川純一・11E0022 熊沢花絵 11E0035 土居瑞季・13E0021 小松克也

ダイニング

キッチンダイニング

脱衣所 キッチン

玄関

縁側

寝室

縁側

キッチン

脱衣洗面所

寝室

脱衣所

脱衣洗面所

中庭

一人暮らしタイプ

キッチン

縁側

リビングダイニング ▲

洗面

寝室

寝室

収納

ダイニング

土間

オランダ×日本̶あいさつから始まる新しい暮らし

二人暮らしタイプ

寝室 寝室

寝室

<国境をまたぐ「縁側」> 異なる暮らし、異なる言語、異なる文化、日本人とオラ

リビング キッチン ダイニング

ンダ人がもつ境界を「縁側」というあたたかな空間で優

洗面 土間

しくつなげます。敷地の境界をぼかし、おおらかな関係 脱衣所

三人暮らし用シェアハウスタイプ

を生み出す住戸。オランダ人の生活動線になりえる魅力

住戸平面 1/500

的な路地。内部の楽しげな様子や向こう側の景色がちら ちらのぞく隙間。それらがオランダ人の興味を引き、人 と人がつながるための環境をつくります。そして建物の 内側から外側へと、手招きをするように伸びる縁側がオ ランダ人と日本人のすれ違いを生み出し、あいさつをす るきっかけとその先の関係づくりの場となるでしょう。

平面 1/1000

新たな暮らしを生みだし、ユトレヒトという街を、日本 人とオランダ人が適度な距離感で関係し続けることで新 しい街へと作り変えます。  さあ、まずはあいさつから。

断面 1/1000

吉良森子氏、松田安代氏と teamD のメンバー

中 間 講 評 で は 、 グ ル ー プ 内 で お 互 ↖

私 は 思 っ て い ま す 。

﹁ 開 く ﹂ こ と で 設 計 者 は 成 長 す る 、 と

か な か ス ト レ ス フ ル な こ と で す 。 で も

プ に ﹁ 公 開 ﹂ し な が ら 展 開 す る の は な

モ ー シ ョ ナ ル な 作 業 で 、 そ れ を グ ル ー

た 。 ﹁ 設 計 ﹂ は と て も パ ー ソ ナ ル で エ

提 案 す る 努 力 を し て ほ し い と 考 え ま し

ま ら ず に 、 で き る 限 り 多 く の 可 能 性 を

考 え 、 ま た 、 一 つ の ア イ デ ィ ア に と ど

シ ョ ン す る こ と か ら 学 ぶ こ と は 多 い と

ル ー プ の 中 で オ ー プ ン に デ ィ ス カ ッ

や っ て 展 開 し て い っ た ら 良 い の か 、 グ

ア イ デ ィ ア が 生 ま れ て く る の か 、 ど う

が あ る こ と 、 ど ん な 切 り 口 か ら ど ん な

た 。 同 じ 条 件 で も 様 々 な 設 計 の 可 能 性

個 人 で ア イ デ ィ ア を 展 開 し て い き ま し

の 様 子 な ど を 消 化 し て 設 計 に 生 か す ↘

歴 史 、 町 並 み 、 周 辺 に 建 っ て い る 建 物

う こ と を 通 し て 、 皆 さ ん 一 人 ひ と り が

で す 。 グ ル ー プ で 情 報 を 集 め 、 話 し 合

び で あ り 、 同 時 に 責 任 だ と 私 は 思 う の

あ る 建 物 を 設 計 す る こ と が 建 築 家 の 喜

け で な く 、 近 隣 に と っ て も ﹁ 意 味 ﹂ の

で 、 建 物 に 住 ん だ り 使 っ た り す る 人 だ

握 ﹂ し て 初 め て 建 築 は 設 計 で き る も の

す 。 オ ラ ン ダ で も 日 本 で も 、 近 隣 を ﹁ 把

か を 意 識 し て も ら お う と い う こ と で

る ﹂ た め に ど の よ う な 情 報 が 必 要 な の

と で 、 ﹁ 設 計 者 ﹂ と し て そ の 土 地 を ﹁ 知

行 っ た こ と の な い 町 を テ ー マ と す る こ

指 し て い る の は 、 皆 さ ん が こ れ ま で に

な り ま し た 。 ワ ー ク シ ョ ッ プ で 私 が 目

私 の ワ ー ク シ ョ ッ プ も 今 年 で 四 回 目 に

出 し て 、 相 互 に ク リ テ ィ ッ ク し な が ら

バ  ー 最 そ 初 れ の ぞ 三 れ 日 が 間 異 は な 、 る グ ア ル イ ー デ プ ィ の ア メ を ン

場 所 を 設 計 し ま し た 。

て 、 そ の 情 報 を 元 に ﹁ 集 ま っ て 住 む ﹂

グ ル ー プ の 人 た ち の 不 安 や 希 望 を 聞 い

ま す 。 今 回 の ワ ー ク シ ョ ッ プ で は こ の

住 む 場 所 を 考 え て い る グ ル ー プ が あ り

た ち が 集 ま っ て 、 日 本 人 ど う し 一 緒 に

始 ま り 、 老 後 の 暮 ら し を 不 安 に 思 う 人

て い る 人 も 多 く 、 第 一 世 代 の 高 齢 化 が

あ ま り の 日 本 人 が 住 ん で い て 、 定 住 し

選 び ま し た 。 オ ラ ン ダ に は 六 〇 〇 〇 人

フ ェ ー ン と ユ ト レ ヒ ト 二 カ 所 の 敷 地 を

て 、 ア ム ス テ ル ダ ム 郊 外 の ア ム ス テ ル

の 高 齢 者 た ち が 集 ま っ て 住 む 場 所 と し

し た い と 思 い 、 オ ラ ン ダ に 住 む 日 本 人

吉 良 森 子 い の 形 と 近 隣 と の 関 係 を 考 え て 設 計

﹁ 開 く ﹂ こ と で 設 計 者 は 成 長 す る

て  住 今 む 年 ﹂ の を ワ テ ー ー ク シ マ ョ に ッ 、 プ 具 で 体 は 的 、 ﹁ な 集 住 ま ま っ

ワ ー ク シ ョ ッ プ を 終 え て

力 を つ け て ほ し い と 思 っ て い ま す 。

50


優秀賞

土地そのもの に暮らす 11E0007 板谷宏太

屋根伏 1/750

地上平面

設計者

断面 1/250

板谷宏太(いたや・こうた) inside

1993年 大阪府生まれ 2011年 西野田工科高等学校卒業

outside

outside

out side

+600

2011年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞 (2012)、

A

+400

inside (outside)

A`

聴竹居

「Workshop in kankyo lab'13- 遠藤塾 -」 優秀賞(2013)受賞

内と外の境界をつくる 建築「シェルター」を作った

内と外の境界を つくらない

土地そのものに暮らす

「シェルター」を作らない

地階平面 1/500

自然を感じながら暮らす。

優秀賞

身近に感じる自然とは『天気』 一つの家で晴れの日や雨の日、曇りも日を

天気と遊ぶ

体感できたら楽しくパッシブシステムを 取り入れることができるのではと考えた。

平面 1/150

11E0055 山田聖奈

窓が多く屋根がガラスになっているから 夜空を見ながらお風呂に入れる。

外にいるのだが可動する塀があるため 自分たちの空間が保てたり 塀を開ければ広いベランダになり 開放的な空間を感じることができる。

西側の壁にある無数の窓から木漏れ日が落ち、 光の明暗ができ、リビングに新たな空間が生まれる。

どこを見渡してもガラス張りで雨の日には雨の 音や滴を感じることができる。

設計者

山田聖奈(やまだ・せいな) 1992年 奈良県生まれ 2011年 龍谷大学付属平安高校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学

晴れの日は室内にいながら太陽の光を感じることができる。

周りが壁で囲まれていて中に入って 窓から窓へ風が通り、風を感じることができる。

上を見上げればそこには青空が広がる空間。

2013 年度 環境・建築デザイン実習III - C (3年生前期課題) 渡辺篤史のスタジオ探訪 現代の聴竹居/藤井厚二を超えろ! 担当教員/渡辺篤史・川北健雄・中村卓 2013年7月4日∼8月4日 レクチャー 7月18日 講師:小玉祐一郎 「なぜ今『聴竹居』なのか」 聴竹居 http://www.chochikukyo.com

49

聴竹居


3年生前期課題 渡辺篤史のスタジオ探訪 「現代の聴竹居/藤井厚二を超えろ!」 渡辺篤史賞

Audacious Passive Design 11E0204 小野宏陽

Point1  木製の格子組シェルター 日射の遮蔽が期待でき、内側には 半屋外空間が生まれる。

Point2 土間+シェルターの3層空間

Point3 西日を避けつつの採光

土間の南北にはサッシがあり、夏は土間を開放して涼しく、 冬は+シェルターで3層となったリビングで暖かく過ごせる。

ガラス面を壁面より後退させ、光の方向を限定させた。

西面

南面

Point4 南の日射熱は南で処理

夏と冬で採光・通風手法が変化する南の大開口。

平面1/250

6月の直達日射 芝生屋根

12 月の直達日射

小野宏陽(おの・こうよう)

A-A 断面詳細

冬季

夏季

設計者

夏:上部換気口をあけ、 2 重窓の空気層を通り暖気が逃げだす。 冬:日射がコンクリート壁面と床に蓄熱される。 夜間に断熱カーテンを閉め、熱損失を防ぐ。

1993年 山口県山口市生まれ 2013年 徳山工業高等専門学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学編入学

な 雰 囲 気 で あ っ た 。

に 笑 い に 包 ま れ 、 終 始 、 ア ッ ト ホ ︵ 編 ー ︶ ム

モ ア あ ふ れ る 批 評 を 行 っ た 。 会 場 は 時

そ れ ぞ れ の 課 題 に 対 し て 渡 辺 氏 が ユ ー

他 学 年 や 大 学 院 留 学 生 も 提 出 ・ 発 表 し 、

課 題 対 象 者 で あ る 3 年 生 以 外 に も 、

品 で あ っ た 。

外 空 間 を つ く り 出 し た 、 小 野 宏 陽 の 作

け る こ と で 、 日 光 を 柔 ら か く 遮 る 半 屋

は 、 大 き な 木 製 の 格 子 シ ェ ル タ ー を 架

て 、 最 優 秀 の 渡 辺 篤 史 賞 に 選 ば れ た の

プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン と 質 疑 応 答 を 経

な る 挑 戦 的 な 課 題 で あ る 。

の エ ッ セ ン ス を 読 み 解 く こ と も 必 要 と

て 探 求 す る だ け で な く 、 歴 史 的 な 住 宅

セ ー ジ で あ っ た 。 自 然 と の 共 生 に つ い

と い う の が 渡 辺 氏 か ら 与 え ら れ た メ ッ

住 宅 の あ り 方 を 提 案 し て く だ さ い 。 ﹂

を 超 え る よ う な 、 現 代 に お け る 新 し い

厚 二 の 思 想 を 受 け 継 ぎ な が ら も 、 そ れ

か た ﹁ る ?   ら も 。 、 そ ど し ん の も な よ 藤 こ う 井 と な 厚 二 を 住 が 想 像 宅 現 し を 代 つ 設 に つ 計 生 、 す き 藤 る て 井 の い

の 意 匠 を 融 合 し た 様 々 な 工 夫 が み ら れ

る 。 ま た 、 内 部 空 間 に は 、 日 本 と 西 洋

む ﹁ 環 境 共 生 住 宅 ﹂ の 先 駆 け と も い え

宅 は 、 自 然 の 力 を 利 用 し 、 自 然 と 親 し

竹 そ 合 躍 居 の っ し 代 た ﹂ ︵ 表 住 た 一 作 宅 建 九 が の 築 二 京 研 家 八 都 究 で 年 府 ・ 、 ︶ 大 開 日 で 山 発 本 あ 崎 に の る に 取 気 。 あ り 候 こ る 組 風 の ﹁ ん 土 住 聴 だ に 。

藤 井 厚 二 は 一 九 二 〇 ∼ 三 〇 年 代 に 活

を 超 え ろ ! ﹂ で あ っ た 。

イ ト ル は 、 ﹁ 現 代 の 聴 竹 居 / 藤 井 厚 二

評 を 受 け る も の で あ る 。 今 年 の 課 題 タ

氏 か ら 出 題 さ れ た 課 題 に 取 り 組 み 、 講

こ の 課 題 は 、 本 学 客 員 教 授 の 渡 辺 篤 史

48



過 去

かつて国道2号線は海岸線沿いを通っていた。

現在の舞子沿岸部は開発によって魅力を与えられたが、

ここ舞子は、瀬戸内海に面した本州の中でも、

今なお動線による問題や、電車からのアクセスの悪さ、

最も南に突き出た地形を有している。

各施設間の距離の遠さなど、諸所の問題をはらんでいる。

そこからの眺めは東西に障害がなく、水平線の

また、港町のイメージが強い神戸市に属してはいるものの

向うには淡路島を望むことができる。

にぎわいを失ってしまった漁港があり、中心地からも遠く、

ここを車で通るだけでも地域性を感じることができた

土地のパフォーマンスを発揮しきれてはいない。

3年生後期課題 都市・ランドスケープデザイン 総合実習

神戸観光に2日目の提案

かつての海岸線は今はもうない。

̶陸のふね 海のじてんしゃ̶

11E0002 荒川純一

神戸の中心地を一通りみおわったら…

こうした問題点をふまえた上で、 神戸市観光の二日目をプロデュースする。

電車

神戸

舞子

神戸市の中心部はコンパクトシティ として成功しているが、その実、年々宿泊客の人口が

現 在

減少傾向にある。そこで中心部から離れたところで観光 資源を再発掘し、神戸市を宿泊したくなる街へとリノベー

フェリー(コンチェルト)

ションする。

移動も楽しく!

その際、港町の印象を色濃く残す垂水漁港を中心に 観光資源として舞子沿岸部を利用していく。

舞子へGO!

電車利用客UP! 海岸線が以前と同じ場所に!

未 来

(歴史的価値の創造)

水路を通す

駅からのアクセスが便利! より港町らしく

自転車ステーションを設ける

より船を身近に! !

移動に使える

自転車レーンを設ける 海原を自転車で行く爽快!!

カヌーに乗って巡る!!

水路とブリッジ 東西に広く点在する各施設。 これらの距離感を近づけることで、エリア全域がにぎわうことを目指す。 水路を使った移動

単純な直線によるブリッジ

設計者 荒川 純一(あらかわ・じゅんいち) 1992年 兵庫県神戸市生まれ 2011年 兵庫県立伊川谷北高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン学科奨励賞(2012)、 「吉良

水路が通ったことで、かつての海岸線が復活する。

森子ワークショップ」吉良森子賞(2013) 受賞

そこに、視線を遮る植え込みを設ける。

計画する海岸線ブリッ ジには自転車専用レー ンを設ける。近年、各 地の海岸線を結ぶとい った構想が起こってい ることからその先駆け として、行く行くは他 県から自転車で海岸線 を通って来るという新 たな交通手段をここで 実現する。

水路では船頭のついたボ ートが運航する。人々 は、船に揺られて施設を 巡っていく。 それにともない、船着き 場や桟橋など、より海に 近い景観が生まれる。そ うすることで観光地とし てのポテンシャルを底上 げする。

人々は今の風景に左右されずにかつての海岸線を感じとることができる。

そこで、あらためて神戸全体の様々な場所に目を向

資源とは、具体的にはなんらかの特色のある地域、建物、

5.作業の進め方

け、潜在的な魅力を有しつつも十分にうまく活用され

自然要素、産業、人々の活動、などである。もちろん、

課題は以下のステップに沿って進めていく。

ていないと思われる地域資源をとりあげて、それらに

これらのうちの複数の地域資源の組み合わせも考えら

Step1: 域資源に関する検討と分析

着目した新たな観光プログラムの企画提案を行う。ま

れる。

Step2: 各自の対象地域の設定と観光プログラムの立案

た、そのために必要となる関連施設等の整備計画を策 定する。

Step3: 意図する観光プログラムを実現するために必要 4.制作物 実習の前半では、新たな観光プログラムの企画書を作

3.着目すべき地域資源

成する。その内容をもとに、実習の後半では、それを

対象範囲は、神戸市全域である。各自の関心に応じて

実現するために必要な関連施設等の整備計画を策定す

調査を行い、活用の可能性があると考えられる地域資

る。そして最後に、両者を図面パネルおよびオンスク

源を発見して、それを各自のテーマとすること。地域

リーンでプレゼンテーションする。

な施設等の整備計画の策定 Step4: 最終案の確定とプレゼンテーションの作成

46


で あ ろ う 。

様 な 人 々 の 来 訪 を も た ら す こ と に な る

有 す る 地 域 の 新 た な 魅 力 と な っ て 、 多

れ ば 、 そ れ は 広 域 的 に も 強 い 発 信 力 を

ト ワ ー ク が ま ち 全 体 に 展 開 し て 機 能 す

え る 。 し か し な が ら 、 こ の よ う な ネ ッ

た 、 地 元 観 光 促 進 型 の 提 案 で あ る と い

は 近 隣 の 居 住 者 自 身 を タ ー ゲ ッ ト と し

は  あ の 人 仕 加 の ス し 文 ス ウ に  、 観 る 可 々 組 情 両 に か 化 に ォ と ネ こ 光 。 能 と み 報 方 設 も ス は ー ど ッ 性 の と を で け 、 ポ 、 キ ま ト の プ が 間 な 収 紹 ら 各 ッ 周 ン っ ワ プ ロ 、 の っ 集 介 れ コ ト 辺 グ て ー ロ グ 同 新 て し さ た ー 等 の 、 は ク ジ ラ 時 た い て れ 掲 ス が 店 サ い 化 ェ ム に な る 継 、 示 は 組 舗 イ な の ク の 示 ネ 。 続 利 板 銭 み 、 ク い 対 ト 企 さ ッ こ 的 用 と 湯 込 公 リ 。 象 は 画 れ ト こ に 者 ウ の ま 共 ン ラ は 、 と て ワ に 更 か ェ 休 れ 空 グ ン 、 基 い い ー は 新 ら ブ 憩 て 間 の ニ 銭 本 う る ク 地 さ 随 サ ス い 、 各 ン 湯 的 点 歴 コ グ だ の 構 域 れ 時 イ ペ に で で 築 と る 追 ト ー る 史 ー 、 け 。

「furoe̶ふろえ̶」とは「温泉・銭湯施設の一般開放スペース」のこと。 ・ランニング、ウォーキング、サイクリング等のアクティブな活動の拠点 ・雑談する、地域情報を知る等、誰でも気軽に利用可能 新しい温泉・銭湯スタイルである「furoe̶ふろえ̶」を導入することで街なかに点在する温泉・銭湯は 生まれ変わる

furoe提案までのフロー

furoe内部の平面計画例:平面(リノベーション前後)1/400

小規模な温泉・銭湯のリノベーション 内部空間は狭いが周辺に空きスペースのある場合が多い。 そのため増築して furoe を設ける。

例:朝日湯 furoe

設計者 小野宏陽(おの・こうよう) 1993年 山口県山口市生まれ 2013年 徳山工業高等専門学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学編入学 「渡辺篤史のスタジオ探訪」最優秀 賞(2013)受賞 froe内部

45

が 生 ま れ て い る 。

め の 魅 力 的 な フ ィ ー ル ド と な る 可 能 性

で 、 ま ち 全 体 が 健 康 的 な 都 市 生 活 の た

施 設 と し て ネ ッ ト ワ ー ク 化 さ れ る こ と

湯 が こ の よ う な 活 動 と 結 び つ い た 拠 点

の 移 動 空 間 を 活 動 の 場 と し て お り 、 銭

遊 歩 道 と い っ た 、 ヒ ュ ー マ ン ス ケ ー ル

ポ ー ツ は 、 歩 道 や 生 活 道 路 、 河 川 敷 の

銭 湯 が 再 構 成 さ れ て い る 。 こ れ ら の ス


動 の 拠 点 と し て 、 ま ち な か に 点 在 す る

な 都 市 生 活 を 支 え る た め の 人 々 の 活

ニ  ン こ グ の 、 提 サ 案 イ で ク は リ 、 ン ウ グ ォ と ー い キ っ ン た グ 、 、 健 ラ 康 ン

備 し な お す こ と を 思 い つ い た 。

い ラ イ フ ス タ イ ル の 創 造 拠 点 と し て 整

し た 小 野 は 、 銭 湯 を 都 市 に お け る 新 し

れ つ つ も 、 厳 し い 現 実 を 目 の 当 た り に

民 の 憩 い の 場 で あ る 銭 湯 の 魅 力 に 惹 か

と な っ て い る 。 現 地 調 査 を 通 し て 、 庶

り 、 多 く の 銭 湯 で は 存 続 が 困 難 な 状 況

し な が ら 、 近 年 で は 来 客 数 の 減 少 に よ

い 地 域 の 施 設 で あ り 続 け て き た 。 し か

れ ら は か つ て 、 日 常 生 活 に 欠 か せ な

区  内 こ に こ 点 で 在 小 す 野 る 宏 多 陽 く が の 着 銭 目 湯 し で た あ の る は 。 、 そ 灘

企 画 提 案 を 求 め る こ と と し た 。

に 着 目 し た 、 新 た な 観 光 プ ロ グ ラ ム の

任 せ 、 神 戸 市 内 の な ん ら か の 地 域 資 源

を 少 し 変 え て 、 対 象 地 の 選 定 は 各 自 に

と が 多 か っ た が 、 二 〇 一 三 年 度 は 内 容

指 定 し 、 そ の 将 来 像 の 提 案 を 求 め る こ

習 で は 、 こ れ ま で 神 戸 市 内 で 対 象 地 を

都 市 ・ ラ ン ド ス ケ ー プ デ ザ イ ン 総 合 実

新 し い ラ イ フ ス タ イ ル 川 の 北 創 健 造 雄

3年生後期課題 都市・ランドスケープデザイン 総合実習

furoe

̶それは灘をアクティブに 巡るということ̶

11E0204 小野宏陽

制作物として提出された広報パンフレット。神戸市灘区の銭湯・温泉のほか、観光・グルメスポットも紹介されている

44


A

いつもの通り道からふとアート作品が見える。 何気なく通っていた公園の下には実は美術館があったのだ。

A

配置・1F平面 1/2000

展示室と展示室を結ぶ通路は水の上の屋外通路。 水辺には低めの木々が植えられ、土の上には芝生と植物が生い茂っている。 ①ワーキングスペース ②カフェ ③図書室倉庫 ④読書スペース ⑤書架

⑥スタッフルーム ⑦チケットカウンター ⑧ミュージアムショップ ⑨常設展示室

⑤ ④

⑩多目的展示スペース

⑥ ⑦

⑧ ⑩

⑪収蔵庫Ⅰ ⑫収蔵庫Ⅱ ⑬常設展示室 ⑭美術館倉庫 広場の池の中には美術館に入館しなくても観賞することができる作品が 展示されている。

⑮館長室

B1F平面

⑯ホール倉庫

スタイロフォーム t=50 コンクリート t=300 断熱湧水パネル t=30 石膏ボード t=12.5

ドースイライナー t=500 コンクリートスラブ t=500 砕石 t=60

モルタル t=5 保護モルタル t=70

断面詳細 1/500

設計者 熊澤花絵(くまざわ・はなえ) 1992年 愛知県名古屋市生まれ 2011年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン賞 (2012)、「渡辺篤史のスタジオ 探訪」佳作 (2013)、 「吉良森子ワークショップ」 吉良森子賞 (2013) 受賞

2013年度 建築総合デザイン実習 A(3年生後期課題)

地域を活性化し、都市の改善に寄与する建築とするた

開かれた公園のような美術館。地域あっての美術館。

「現代美術館ー美術展示を中心とする文化コンプレックス」

めの企画、建築プログラムの作成を行い、建築のデザ

周辺と一体化した美術館は、 「神戸」というテーマパー

指 導 教 員: 専 任 / 小 玉 祐 一 郎・ 花 島 晃・ 中 村 卓

インにまとめて提案する。敷地周辺の社会的、自然的

クといえるだろう。

非 常 勤 講 師 / 菅 正 太 郎( す が ア ト リ エ )・ 香 川 貴 範

特性を読み、場所が持っているポテンシャルを生かす

好きな現代作家を特定した美術館としてもよい。

(SPACESPACE) ・島田陽(タトアーキテクツ)

ことが求められる。

2013年9月19日∼12月10日

3.対象敷地 2. 課題内容

対象とする . 敷地は、各自が次のメニューの中から選び、

1.課題の位置付け

美術館は、すばらしい美術作品を所蔵している。こう

決める。

環境・建築デザイン学科の最後の実習課題として、ま

した作品に触れることは、非日常的な特別な体験だ。

A1 北野クラブ・ソラの敷地

た 4 年生でおこなう卒業制作の準備課題として、3年

多くに人にこの体験をしてもらおう。最近の美術館は

山のポテンシャルを生かす

生前期までに取り組んできた多角的な実習の経験をも

そのためにさまざまな工夫をしている。展示の工夫は

A2 三宮駅前マルイの敷地

とに、3つの総合実習課題に関して、各自最も興味の

もちろんだが、単に作品を展示しているだけではない。

街のポテンシャルを生かす(1)

ある領域の課題を選択する。

講演やコンサートのホールや、ワークショップのスタ

A3 東遊園地

建築デザイン総合実習では、特定の敷地に建設する

ジオや、図書やビデオの情報施設などの機能も備えて

街のポテンシャルを生かす(2)

新しい建物のデザインを行う。特定の用途を持ち、多

いる。すてきなレストランやカフェも欠かせない。

A4 モザイクガーデンの敷地

くの人々が利用する公共的な性格を有する建築である。

非日常的な仮想世界をつくること構想しよう。街に

海のポテンシャルを生かす


3年生後期課題 建築デザイン総合実習

いつもの道と 11E0022 熊澤花絵

A-A' 断面 1/1200

A1

4.建築設計要項

・ミュージアムショップ

建築規模

容積率、建蔽率などについては原則として現行の基準・

延床面積は 10,000㎡を目途にする。原則として下記の

条例が適用されるものとする。

機能を含むものとするが、自分の構想に不要と思うも

A2 A3

のは省いてもよい。参考資料に示すように、美術館に

5.課題の実施方法

よって求められる機能は異なり、面積配分も異なって

課題は以下のステップに沿って進めていく。

いる。構想する美術館のコンセプトに合わせ、規模の

Step1: 敷地調査・課題設定

設定、面積配分は各自で決めること。

現地の特性を読み、構想を練る

・常設展示室 2 室

Step2: 企画・基本計画

・企画展示室 1 室

コンセプトの具体化、既存事例調査(文献、現地視察)

・収蔵庫

Step3: 基本設計

・野外展示スペース

Step4: 最終設計

・ミュージアムホール 150 席 1 室  ・ワークショップ・スタジオ  (設定自由) A4

・美術図書室 ビデオ鑑賞もできる。 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

・レストラン・カフェ

42


案 で き た の で は な い か 。

な 現 代 美 術 の 魅 力 を 引 き 出 す 場 を 提

と  出 都 会 市 う の 非 雑 日 踏 常 と 性 い の う 発 日 見 常 。 の そ 中 の で よ 、 う ふ

と な っ て い る 。

立 体 作 品 の 魅 力 を 引 き 出 す 空 間 装 置

て で あ り 、 こ の 作 家 の 廃 墟 の よ う な

ト 塩 田 千 春 の 個 人 美 術 館 と い う 仕 立

縦 長 の 展 示 施 設 は 、 現 代 ア ー テ ィ ス

え る 意 図 と し て 評 価 で き る 。 細 長 く 、

を 残 し て 、 街 の イ メ ー ジ に 厚 み を 与

う に あ え て 残 し て い る 。 都 市 の 記 憶

に は 、 既 存 の ビ ル を 歴 史 の 痕 跡 の よ

や 都 市 施 設 を 配 置 し て い る が 、 こ こ

南 北 側 に は 、 都 心 に 必 要 な 商 業 施 設

観 に リ ズ ム を 与 え た 。 こ の 建 物 群 の

富 む フ ァ サ ー ド を 形 成 し て 、 都 市 景

を 介 在 さ せ る こ と で 彫 の 深 い 変 化 に

建  物 飴 群 野 を は 並 、 べ こ 、 の 谷 軸 間 に の 直 よ 行 う す な る ニ 方 ッ 向 チ に

の 生 活 が あ る 。

多 数 の 人 で に ぎ わ う 雑 踏 が あ り 、 人 々

き な 課 題 で あ る 。 一 方 で 、 日 常 的 に

を つ く る か 、 都 市 的 な ス ケ ー ル の 大

12,420 15,840

WC アトリエ

アトリエギャラリー

12,920

5,400

6,800

11,900

企画展示室

6,460

アトリエギャラリー 15,980

常設展示室

常設展示室

倉庫

11,520

14,400

11,520

WC

WC

閲覧室

市民図書館

常設展示室

3,910

5,410

図書作業スペース

5,760

6,480

5,400

市民図書館 7,820

15,640

風除室

外部テラス

会議室 美術館事務所

6F 平面

7,820

15,640

ミュージアム ホール

5F 平面

3F 平面

A 守衛室 収蔵庫

搬入 車庫

±0

cafe

±0

±0

void

荷解室

-3,960

1,800

WC

WC

void

空調室

アトリエ 倉庫 -1,800

C point

1,320 ±0

1,800

常設展示室

風除室 ±0

±0

屋外展示スペース

B

-3,960

常設展示室

会議室

WC

ミュージアムショップ

-3,960

B'

±0

-1,080

案内カウンター

常設展示室

B1F 平面 チケット売り場

中庭

-3,960

cafe

エントランス ホール

A'

1F 平面 1/1200

常設展示室

設計者 飴野拓(あめの・たく) 1984年 兵庫県神戸市生まれ 2003年 信州大学工学部建築学科入学 2012年 神戸芸術工科大学編入学

常設展通路 企画展通路

B-B' 断面 1/1200

41

-2,880

南立面

サンチカ 出入口


ど の よ う な 建 物 の 表 情 を 示 し 、 景 観

を 形 成 し て い る と こ ろ だ 。 そ こ に 、

都 市 の 中 心 と な る オ ー プ ン ス ペ ー ス

し 、 駅 前 広 場 に 連 な る 交 差 点 が こ の

アトリエギャラリー

に も な っ て い る フ ラ ワ ー ロ ー ド に 面

前  。 飴 山 野 と 拓 海 が を 選 つ ん な だ ぎ の 、 は こ J の R 都 三 市 ノ の 宮 軸 駅

企画展示室

企画展示室

ev

歴 史 と 自 然 環 境 を 丁 寧 に 読 み 解 く こ

て い る 。 そ れ ぞ れ の 地 域 に 刻 ま れ た

が 変 化 に 富 ん だ 都 市 の 魅 力 を つ く っ

発 達 し た 神 戸 は 、 そ の 地 形 的 な 特 徴

六 甲 の 山 と 海 に 挟 ま れ た 狭 い 平 地 に

埠 北  頭 野 敷 地 ︱ 、 か 三 は ら ノ 、 、 宮 神 各 駅 戸 自 前 市 が 、 内 選 東 の 択 遊 四 し 園 つ 提 地 の 案 、 敷 す 神 地 る ︱ 。 戸

プ ロ グ ラ ム だ 。

ス を 学 び 、 設 計 提 案 を す る 総 合 的 な

タ ル に 考 え 、 段 階 的 な 思 考 の プ ロ セ

施 設 ﹂ で あ る 。 企 画 か ら 設 計 ま で ト ー

﹁ 現 代 ア ー ト の 美 術 館 を 含 む 複 合 文 化

三 年 生 の 最 後 、 建 築 コ ー ス の 課 題 は

都 市 空 間 に リ ズ ム を 小 与 玉 え 祐 る 一 郎

彫 の 深 い フ ァ サ ー ド で

3年生後期課題 建築デザイン総合実習

Chiharu Shiota Museum of Contemporary Art 10E0203 飴野拓

市民図書館

常設展示室

アトリエギャラリー

企画展示室

と か ら デ ザ イ ン の 作 業 は 始 ま る 。

市民図書館 常設展示室 常設展示室 屋外展示 スペース

市民図書館 メディアライブラリー

市民ギャラリー エントランスホール

常設展示室

収蔵庫

A-A' 断面

東立面 1/1200

40


X1 入るときの動線

既存の階段を活かし、 メイク・カウンセリングスペースに。

受付・レジカウンター

帰るときの動線 メイクカウンセリングスペース

販売スペース ロッカー

カウンセリングスペース

X2

X3

トイレ

施術スペース

従業員ミーティングルーム 収納スペース

X4

平面 1/300

天井の板を横から見た図 施術中に上を向く機会が多いので、

パース 入口・受付スペース

こういった板で天井を隠すように 考えた。少し反った木の板のイメージ。 照明が柔らかく伝わるように考えた。 この製作方法は、何枚も木の板を重ねて 彫っていくという方法で考えている。

アプローチのシーグラスを埋めた道を屋内まで取り入れ、 中に導く様な空間にしようと考えた。

天井伏 1/600 atex シリコンライト

アクリル板(3mm) 突板

設計者 木村奈保子(きむら・なほこ) 1992年 奈良県天理市生まれ 2011年 奈良県立生駒高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学

2013年度 住居・インテリアデザイン総合実習 A

下から見上げる照明は、

光源;発光ダイオード(LED)

幹からだんだん細くなっていく

外形寸法:W8×H16.6mm×L965

木の枝をイメージしたかたちになっている

LEDピッチ:10㎜

の既存の建物や構築物を題材とし、その新しい用途や

KIITO は、神戸市によるデザイン・アートを中心に市

(3年生後期課題)

入居テナントを具体的に想定した上で、それにふさわ

民とクリエイターが集い、交流し、そこで生まれたア

「KIITO: デザイン・クリエイティブセンター神戸の一角

しいインテリア空間のデザインを提案する。そして、

イデアや工夫で新しい神戸をつくっていくための文化

に街へと開かれた店舗を設計する」

対象とする建物や構築物および周辺環境の価値を高め、

交流施設で、2012 年 8 月開館した。

指導教員:専任/花田佳明・鈴木明・中村卓

何らかの意味で社会に影響をおよぼすリノベーション

通称「KIITO(キイト) 」は、この施設の由来を表し

非常勤講師/笹岡周平(ワサビ)

の方法について考える。また、空間から家具に及ぶ詳

ている。KIITO の建築は、それ以前は 1927 年輸出生糸

2013年9月19日∼12月10日

細な設計をおこなうことにより、インテリアデザイン

の品質検査を行う施設として、ゴシックを基調とした

に必要な知識、デザイン手法、プレゼンテーション技

神戸市立生糸検査所(旧館)であり、さらに 1932 年に

法を習得する。

国に移管し、国立生糸検査所(新館)を東に増築して、

1.課題の位置付け 環境・建築デザイン学科の最後の実習課題として、ま

39

照明器具詳細 1/8

現在の規模の建築となった。神戸港からの生糸輸出は、

た 4 年生でおこなう卒業制作の準備課題として、3年

2. 対象敷地と建物

大正から昭和初期にかけて最盛期を迎えるが、その後

生前期までに取り組んできた多角的な実習の経験をも

対象敷地は〈KIITO(キイト) :デザイン・クリエイティ

の縮小に伴い施設の役割も終え、しばらくは官庁舎オ

とに、3つの総合実習課題に関して、各自最も興味の

ブセンター神戸。以下 KIITO と表記〉の一角である。当

フィスや倉庫として流用されていた。KIITO として再生

ある領域の課題を選択する。

該建築は JR・阪急・阪神三宮駅から南下した場所にあり、

されることで、検査機械が並んでいた大規模なホール

住居・インテリアデザイン総合実習では、都市の中

市街地の周縁、港湾部埠頭との境界に位置する。

と、それを取り囲むように 3 階建てのオフィスが並ぶ


3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習

木に囲まれた 癒し空間 11E0020 木村奈保子

壁の色合いも木をイメージし、 フローリングを腰壁まで上げ木の幹をイメージし、  そこから上は緑の塗装で葉を連想させるような仕上げにした。

フローリングイメージ

施術スペース カウンセリングスペースの テーブルには天板が半透明ガラス。 スポットライトを当て、 反射するやさしさのある光が灯る。

施術スペースの椅子は黒色の布張り。 リクライニング式。 キャスターがついており、簡易に移動可能。

木の幹をイメージしたオブジェ。 既存の音楽の流れるダクトを アクリルで覆い、突板を貼り アクリル素材に突板をし、 切り株をイメージした。 内側から柔らかい光を放つ。 明かりも加え、ぼんやり光るイメージ。

この敷地の周辺には 色があるところが少なく思ったため アプローチに色を付け この場所を目立たせようと考えた。 その色付けにシーグラスを用い、 地面に埋め込むかたちで道をつくった。

ガラスタイルモザイク

シーグラス

塗装 うすい緑色 木の板:寝たとき天井が丸見えぬように

フローリング材

内照照明

400

300

800

500

1100

2900

4344

200

3474

2FL

1FL

1030

17105.5

アプローチ

13470

X1

X2

設計対象区画

5450

5450

5450

3900

5454

7250

5454

7250

52400

5454

西エ ント ラ

4726 8

中央

階段

5454

7250

4545

厨房 旧館

ジェ

クト

スペ

ース

ラン ス

EV

事務

新館西階段

ンエ ント

南階

101

動を念頭に置き、その活動をさらに強化し、あるいは

建築の特色を活かした建築の魅力が、市民に公開され

周辺地域の活性化に役立つような施設として提案して

活用されることとなった。

ほしい。

にあたる。現在、 「KIITO カフェ」として使われている

4.課題の実施方法

部屋を中心として、さらに現在は一般利用には供され

課題は以下のステップに沿って進めていく。

ていない玄関・玄関ホールおよび玄関外部・外構、そ

Step1: 敷地の実測と対象施設についてのヒヤリング、

して中庭部分を含む(位置等については別途指示する) 。

および周辺地域の観察

なお、対象エリアの向かい側(廊下を挟む)の部屋(道 ムおよびオフィスとして利用され、公開されている。

6727

4000

1817

7

3725

9100

メイ

インフォメーション

スロープ

3725

ロッカー・カウンセリングスペース

X4

構成、曲線を用いた階段室など、1920 30 年代の近代

路に面する)は現在、MUJI が入居しており、ショウルー

1A

旧館

9400

プロ

断面 1/300

今回の課題対象エリアは、KIITO 内部の北西部の一角

ンス

4545

5454

5800

MUJI+ ギャ クリエイ ラリ ー・ ティブ ラボ カフ

5454

5800

8250

5454

5355.6

X3

Step2: 対象エリアの模型制作、KIITO に関する分析 Step3: 基本計画の策定 Step4: 詳細設計

3.設計条件 平面 1/1500

指定された施設内のゾーンに、そこに最も相応しいと 各自が判断する施設を提案し設計する。KIITO の施設活

38


模 型 写 真 の コ ラ ー ジ ュ な ど 図 面 表 現

興 味 深 い 解 答 で あ る 。 平 ・ 立 ・ 断 面 図 、

場 所 が も つ 特 徴 を 巧 み に 読 み 込 ん だ

の 中 で 作 る こ と が 可 能 だ ろ う 。 こ の

間 を ギ 特 を 手 ャ 殊 ﹁ が ラ な か リ セ り ー レ ﹂ に 的 ク と し 性 シ の た 格 ョ コ こ を ン ラ こ 強 を ボ に 調 売 レ し す り ー か れ に シ な ば し ョ い 、 た ン 空 本 り 、

能  冊 現 数 実 の の 少 問 な 題 さ と な し ど て 指 は 摘 、 で 本 き の 収 る 容 が 可 、

メ ー ジ に 重 ね て い る 。

化 の 発 信 拠 点 と し て の ﹁

な 人 や 情 報 が 垣 根 を 越 え て 行 き ﹂ 交 の う イ 文

KIITO

も 工 夫 さ れ て お り 、 課 題 作 品 と し て

KIITO

の 完 成 度 も 十 分 で あ る 。

の だ 。 土 居 は そ の よ う な 状 態 を 、 多 様

る 。 本 と 人 と の 境 界 線 が 溶 け て い る

書 店 に は な い 様 々 な 状 況 が 想 像 で き

け る 本 と 人 と の 関 係 に は 、 一 般 的 な

本 を 手 に 取 る だ ろ う 。 こ の 空 間 に お

い  る 本 ベ 低 か さ 井 し な 訪 。 は ル く に れ か た そ の 感 区 た ら 書 が れ の 床 じ 切 三 交 棚 ら た 、 人 上 が ら ら 角 互 が と は に 地 れ れ 形 に な き 、 並 形 る て の 向 い に そ べ の 。 お 垂 き 。 床 れ ら よ そ り れ を 全 に ら れ う の 、 壁 変 体 腰 の て に 中 重 に え の を 間 い 這 を 心 よ な 空 下 を る っ 様 が っ が 間 ろ さ の て 々 か て ら は し ま で 行 な な 緩 降 、 き て よ あ 、 レ り や ろ 天

■ KIITO KIITO の資源を活かすことで、本屋という場所 に変化を加えていく。  KIITO の資源は二つ。さまざまなイベントを おこなっていること、それに伴って市民やデザ イナーがあつまっていることだ。また、KIITO に休憩所がないという問題を本屋をつくること で解決する。 □デザイナー達に本のレイアウトをデザインし

本をオブジェとして扱い、看板として利用する

てもらう KIITO にはデザイナーやアーティスト、その卵 たちが多く集まる。その人たちに本を使って空 間デザインをしてもらうことで、空間体験を変 化させ続ける。 □空いているスペースでワークショップや展示 などのイベントを行う KIITO で行われるイベントの会場の一部とする ことで、本屋というプログラム自体に変化をも たらす。本屋という場所での体験を豊かにする だけでなく、人のながれや、KIITO との関係を つくる。

地下室への階段をレジとして利用する

設計者 土居瑞季(どい・みずき) 1993年 兵庫県神戸市生まれ 2011年 兵庫県立伊川谷北高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞(2012)、「渡辺篤史の スタジオ探訪」佳作(2013)、 「吉良森子ワー クショップ」吉良森子賞(2013)受賞

37

狭い空間は個室のように利用できる


す る 計 画 を 提 案 し た 。

は  る も わ ス ク か 現 風 糸 一 神 と 出  こ そ 。 近 っ ペ シ ら 在 の 検 九 戸 し 用 こ の の く て ー ョ 、 は 香 査 三 市 て 生 の 、 い ス ッ デ 元 り 所 二 立 一 糸 施 ス よ 活 る を プ ザ の を で 年 生 九 の 設 ペ う 発 。 提 な イ 役 残 あ に 糸 二 品 が ー な ン な 神 供 ど や 割 し る 増 ス 前 検 七 質 入 利 戸 す を ア を た 。 設 を 提 年 検 っ 用 の る 開 ー 終 貴 い さ 査 に ユ の て が 中 施 催 ト え 重 ず れ 所 建 査 い ニ も を な と 期 心 設 し に 、 れ た ー と る て 待 ・ に た 関 二 近 も 旧 、 ら 行 建 ク 、 代 そ な さ 三 生 り す 〇 ゴ ・ な 土 物 れ れ 宮 ま 、 る 一 建 シ 国 の た う は 書 居 築 て か れ 貸 ワ 二 ッ 立 横 旧 施 、 店 瑞 だ い ら 変 し ー 年 。 ク 生 に ・ 設 輸 と 季

BOOK STORE

る と い う 課 題 で あ る 。

的 な テ ナ ン ト を 想 定 し た 上 で 改 修 す

施 設 の 一 階 に あ る ス ペ ー ス を 、 魅 力

セ ン タ ー 神 戸 ︵ 略 称

境 界 線 の 消 え た 書 店

神 戸 市 の ﹁ デ ザ イ ン ク リ エ イ テ ィ ブ

KIITO

そ こ に は 書 店 の 象 徴 と い え る 屹 立

︶ ﹂ と い う

3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習

Walk in Wonderland

花 田 佳 明

11E0035 土居瑞季

BOOKSHELF

LAYOUT PATTERN 1/250 A BOOK OBJECT +180 +60

APPROACH

B

+0

B'

+120

ロゴを張り付ける

STORE

COUNTER -700

+0

白く塗装した本をオブジェとして利用する

降り階段はレジとして活用

+120 +180

+1050

+610

+550

黒色ガラス

+810 黒色ガラス

+920

ベンチ オーク材

PATTERN B

PATTERN A

+1590

黒色ガラス

COURTYARD 現状のまま利用する ワークショップや展示の場として 活用することで KIITO と本屋の 関係をつくる

STAFF ROOM COUNTER

STORE ロゴを張り付ける

STOCK

床 タタキ仕上げ

KIITO ENTRANCE

B-B' 断面 1/150

A'

平面 1/250

APPROACH

ドア 黒色ガラス

STORE

STAFF ROOM

照明

STOCK

KIITO ENTRANCE

背もたれ オーク材 油性ステインで塗装

展示用ガラスケース 複層ガラスにて結露を防止

床 モルタル仕上げ 透明ウレタンでコート

棚 ナラ材 ロッカー ナラ材

A-A' 断面 1/200

36


3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

神戸の街とつながる

±0

-240

-720

-720

-480

-480

-840

±0

11E0031 高橋 恵子 11E0036 中野あかり

-1200

-1200 N

-1200

配置・1F 平面 1/1200

-1200

3F

2階と3階は部屋が 繋がっているので 大家族の方が住めたり、

設計者 高橋恵子(たかはし・けいこ) 1993年 愛媛県松山市生まれ

ルームシェアができる広い空間。

リビングを広く設ける。

「大家族・

二世帯で暮らせるように設計。

ルームシェア」

「若夫婦・二世帯」

2F

2F

若夫婦が住むこともでき

2011年 愛媛県済美高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学

ルームシェアすることもできる。

洋風な内装の仕上がりに。 家具で部屋を仕切り、

環境デザイン賞(2012)受賞

広い空間を作ることができる。

「ルームシェア・

「外人さん」

若夫婦」

1F

1F

詳細平面 1/700 将来のために個室を設け、 有効活用できるように設計。 「若夫婦」

設計者

2F

中野あかり(なかの・あかり) 1992年 大阪府堺市生まれ 2011年 大阪府立今宮工科高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学

N 一階に老夫婦が住めるように。 和室を広く設けのんびりくつろげる空間。 「老夫婦」

1F

2013年度 環境・建築デザイン実習Ⅲ- B(3年生前期課題)

ユニット詳細図 S=1:100  る魅力的な店舗計画を行う。

③計画敷地内における住戸と、店舗と住宅群全体の   構成について

「集合住宅のデザイン(住宅地のデザイン)」 指導教員:専任/遠藤剛生・三上晴久・中村卓

3.具体的な検討事項

3)住宅と店舗に対する視点

非常勤講師/長瀬信博(NNAD 長瀬信博建築研究所)・

1)都市的視点

①光や風、水辺(親水空間)や眺望をどう活かした

岩崎隆久(遠藤剛生建築設計事務所)

①神戸市の特性を活かした自然の活用方法について

住戸計画を行うか

2013年6月6日∼7月25日

②神戸市における場所を活かした生活のあり方とは

②この場所でのどんなライフサイクル、ライフステー

③神戸市における空間アイデンティティのあり方

ジ、ライフスタイルを考えた住戸計画を行うか

1. テーマ

2)住棟、住戸に対する視点

③周辺空間を活かしたどんな住戸内空間、及び中間

運河沿いに建つ集合住宅(店舗等併設可)

①どの場所を使い、どんな親水空間を造り、自然と

領域計画を行うか

どう関われるのか

35

2. 課題の目標

②計画敷地内における集合住宅の生活の具体的なあ

4.計画敷地

水辺空間を活かした生活空間と、地域の活性化に資す

り方とは

所在地:兵庫県神戸市中央区東川崎町 1 丁目


入り口に花屋があり、華やかな印象。

3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

みなとまち

海の見える共有の庭ではバーベキューなど

Flower Shop

楽しむことができる。

11E0014 奥土居好美 11E0022 熊澤 花絵 −1500 ±0

広い土間が設けてあるため、 自転車など屋内に置くことが可能に。

② ③ ④

部分平面 1/800

立面 1/1200

カフェ

設計者 奥土居好美(おくどい・よしみ) 1992年 兵庫県神戸市生まれ

海に面した集合住宅に向かって カフェのテラスが広がっている。

スタジオ

2011年 三田松聖高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学

花屋

−1500 の海に近い場所にも テラスが設置されている。

料理教室

設計者 熊澤花絵(くまざわ・はなえ) 1992年 愛知県名古屋市生まれ 2011年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン学科奨励賞(2012)、 「渡辺篤史のスタジオ探訪」佳作 (2013)受賞

配置・1F 平面 1/1800

用途地域:①商業地域、 ②第2種住居地域、 ③準工業地域

ないものとする) 。タウンハウス、準接地型タイプ、

建ぺい率:① 80%、② 60%、③ 60%

フラットタイプ積層型のいずれの集合形態も可と

容積率:① 400%、② 300%。③ 200%

する(独立戸建住宅は不可とする) 。

敷地面積:全体で約 37,000㎡(水面を除く)

5) 駐車場は各住戸 1 台とすること。1 台の面積は 2.5m   × 5m とし、通路巾は 6m とする。

5.計画条件

6)店舗は、カフェ、レストラン等業種は自由とするが、

1)敷地の分割、選択は自由とする。

この場所にふさわしい業種とすること。

2)敷地内に親水空間を造ること。

7)住戸平均面積は、100㎡を基本とし、大・中・小の

3)街区、住棟、住戸、店舗計画のみならず、一体不

住戸の組み合わせも可とする(70㎡、100㎡、120㎡

可分なランドスケープについても計画を行うこと。

程度) 。

4)住戸数は 50 戸以上とすること(容積率 60%を前提 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

とし、広場、リバーウォーク等は、容積率に含ま


よ か っ た よ う に も 思 わ れ る 。

が で き る と い う 提 案 に と ど め た 方 が

純 に コ ン テ ナ ご と 移 動 し て 積 む こ と

考 え 方 と 絡 め て 提 案 し て い る が 、 単

れ を ﹁ ス ケ ル ト ン ・ イ ン フ ィ ル ﹂ の

と  移 彼 動 ら で は き 、 る 引 こ 越 と し を の 視 際 野 に に コ 入 ン れ テ 、 ナ そ ご

て い る 。

住戸面積 28.8㎡

住戸面積 43.2㎡

住戸面積 57.6㎡

住戸面積 86.4㎡

1人暮らし

1人∼2人暮らし

2 人∼ 3 人暮らし

3 人以上

6000 × 2400

6000 × 2400

12000 × 2400

6000 × 2400

12000 × 2400

6000 × 2400

6000 × 2400

12000 × 2400

6000 × 2400

6000 × 2400

12000 × 2400

に つ な が っ て い る 住 戸 プ ラ ン に な っ

な 工 夫 が 施 さ れ て い て 、 狭 さ が 魅 力

間 口 二 ・ 四 メ ー ト ル な が ら 、 さ ま ざ ま

全 体 が 生 み 出 さ れ て お り 興 味 深 い 。

集 合 体 で あ り な が ら 、 多 様 で 豊 か な

ト ル で あ り 、 単 純 な 二 種 類 の 単 位 の

方  が 二 六 種 メ 類 ー の ト コ ル ン 、 テ も う ナ 一 の 方 奥 が 行 一 き 二 は メ 、 ー 一

が つ く ら れ て い る 。

れ ぞ れ の 家 族 に 割 り 当 て ら れ て 全 体

基 づ い て 、 異 な る 数 の コ ン テ ナ が そ

れ 、 家 族 構 成 と そ の 生 活 の あ り 方 に

す る も の と し て 二 種 類 だ け が 用 意 さ

き の 異 な る コ ン テ ナ は 、 生 活 を 内 包

み て い る 。 間 口 と 高 さ が 同 一 で 奥 行

居 住 者 の 生 活 を 展 開 さ せ る こ と を 試

る と も い う べ き コ ン テ ナ の 集 合 体 に 、

家族構成別コンテナ数 3F

1

1F

2F

3F

2

1F

2F

3F

2F

1F

住戸平面1/500

3

1F

2F

3F

スタイロフォーム

4

平面 1/1800

グラスウール

1F

2F

3F

東立面

正井敦子(まさい・あつこ) 1991年 兵庫県神戸市生まれ 2009年 兵庫県立神戸高塚高等学卒業 2011年 武庫川女子大学短期大学部卒業 2012年 神戸芸術工科大学編入学

設計者 大崎麗(おおさき・れい) 1992年 兵庫県神戸市生まれ 2011年 兵庫県立御影高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学

33

150

2400

150

コンテナ断面1/120

設計者

3300

コルゲートパネル

西立面


す 港 の 風 景 で あ り 、 単 純 で 特 異 で あ

し  た 設 の 計 は を 、 進 輸 め 送 て コ ゆ ン く テ 中 ナ で が 彼 つ ら く が り 注 出 目

さ せ る こ と を 意 図 し て い る 。

運 河 を 挟 ん だ 魅 力 あ る 場 所 へ と 変 容

こ と に よ っ て 彼 ら は 、 こ の 辺 り を 、

こ こ に 新 た な 集 合 住 宅 を つ く り 出 す

ん  あ し 化 は ザ 東 に あ 計 す 画 は バ 敷 だ 正 る て し 住 イ 側 は る で る に 、 ー 地 場 井 。 お た 宅 ク で 、 。 あ 。 応 一 ラ は り 事 と ﹂ は 北 運 り 原 じ 定 ン 、 所 敦 、 務 小 と 低 側 河 、 則 て の ド こ は 子 近 所 学 呼 層 で を こ と 、 範 の れ 運 と く ビ 校 ば の は 中 れ し そ 囲 一 ま 河 大 に ル 、 れ 建 大 心 も て れ か 画 で の 崎 は に 南 る 物 型 と 昨 二 ぞ ら で と 南 麗 船 、 側 商 が 店 す 年 人 れ 、 あ 同 側 が 舶 そ で 業 連 が る ま に の そ り じ 部 敷 の れ は 地 続 並 こ で よ 敷 れ 、 く 分 地 ド ぞ や 、 す ぶ の と る 地 ぞ 学 神 と で ッ れ や 西 る 商 エ 同 共 を れ 生 戸 し あ ク 隣 老 側 ﹁ 業 リ 様 同 設 の た ハ て 地 り 選 も 接 朽 で モ 、 ア で 設 定 計 ち ー 、

三 上 晴 久

海 辺 の コ ン テ ナ 集 住 体

3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

循環する人々

Container House 10E0207 正井敦子 11E0060 大崎 麗

それぞれのライフスタイルに合わせて コンテナとフレームがあれば

複数のコンテナを組み合わせ、

住居を減らしたり、

住居ができる。

住居スペースを増やすこともできる。

移動させたりすることもできる。

3 1

2

4

配置 1/2000

A-A' 断面

南立面

北立面 1/1500

32


3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン

タルミノスキマ 11E0203 村田晶規

各々違う形の建築

通路側 2m反対側 1m

少しのルール付けで

屋根勾配のルール付け

建築に一体感が生まれる

各学年 プログラムパーク 冬は北風を防ぐ

透き間で 学ぶ・遊ぶ・広がる

桜の並木道

周辺路地空間を活かす

豊かな緑 夏は南からの風を取りこむ

図書館では窓からメインストリートや 透き間に広がる景色が楽しめる

建物の透き間から生まれるコミュニティ このわずかな空間から垂水へと広がってゆく。

教室と教室の繋がり 壁がありながらも 路地や透き間を挟んで繋がっている

設計者 村田晶規(むらた・まさき) 1990年 大阪府吹田市生まれ 2009年 大阪府立摂津高等学校卒業 京都学園大学経営学部中退 2012年 神戸芸術工科大学編入学 環境デザイン奨励賞(2012)受賞 配置・平面 1/1500

2013年度 環境・建築デザイン実習Ⅲ- A(3年生前期課題)

機能・動線など様々な問題を十分に考えておく必要が

「垂水コミュニティ・スクール̶小学校と幼稚園のデザイン」

ある。第2に、同時に小学校は地域の中核となる施設

指導教員:専任/小玉祐一郎・花島晃・山之内誠・中村卓

であり、周辺環境やコミュニティとの関係にも配慮し、

非常勤講師/赤松佳珠子(CAt) ・石井良平(石井良平建

地域活動に貢献する施設でなければならない。第3に、

築研究所)・吉田哲(京都大学)

本課題対象敷地は、周囲を商業施設や住宅に囲まれた

2013年4月11日∼6月4日

都市部に存在する。したがって、これらの周辺環境と の整合性を考慮しながら、教育の場にふさわしい開放

1. 目的

的で伸びやかな環境を獲得する工夫が求められる。

この課題では、公共建築に要求される機能を理解し、

こうした課題に取り組むことによって、公共建築の

それを適切に反映した空間を提案していく方法を学ぶ。

計画・設計に、如何に取り組むべきかを習得して欲しい。

具体的には都市部に立地し、地域に密着した公立小学 校および幼稚園の計画・設計を行う。  この設計においては、第1に、小学校及び幼稚園は

31

2. 設計内容の項目 1. 対象地域 神戸市垂水区垂水小学校区

教育の場であり、発育段階にある多くの児童と教員が

(神戸市垂水区旭が丘、川原、神田町、陸ノ町、坂上、高丸、

共に長時間を過ごす場であるから、単位空間の規模・

天ノ下町、仲田、中道、日向、平磯、瑞ヶ丘、宮本町、山手)

地図データ ©2014 Google, ZENRIN

クラスルーム平面 1/400


■ 単位を変換する。 1. 従来の片側廊下式だと、各教室が完全に仕切ら

3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン

れているため、個の単位は各クラス単位が 1 と なる。単位が小さいと、主体性を育むのに良い。

AGAIN

2. オープンスクールだと、各教室はワンルームで つながるため、個の単位は全学年クラス単位が 1 となる。単位が大きいと、協調性を育むのに 良い。

10E0203 飴野拓

3. 2学年1ユニットとし、その中でオープンとす る。毎年同じ空間を共有する仲間が入れ替わる ため、より協調性と社会性を育む。 4. 2学年 1 ユニットに、低学年と高学年を分割で きる配置計画とする。低学年は受動型とし、高 学年は発信型として主体性も育む。

3-2 北側も気持ちいい

4-2

6-2 渡り廊下 ポリカーボネートの屋根 がかかる渡り廊下。 これで雨でもお隣まで心 配ありません。

トップライトで明るい真ん中ですが、北 側も運動場から風が抜けてきもちいい。

畳コーナー 通りに面して、小さい畳コーナーがある。 畳は老若男女問わず、気持ちいい。 それが教室にあると、なおいい。

WC

WC デッキの中庭

5,6 年生になるとデッキの中庭があります。 なんとなく、自分だけのリゾートみたいで 早く 5,6 年生になりたいです。

通り ( 土間)

3-1

通りが抜けているため、土足で 端から端まで行くことができる。 ちょっとした段差で会話が弾む。

4-1

6-1

1-2 保育室

学年を超えた会話 同じ島の住人は他学年

3-2

2-2

2-1

4-2

6-2

5-2 WS

倉庫

保育室

比較的お隣が近いので、学年を超えた お付き合いができます。兄弟がいれば、 なお「いえ」の中みたいですね!

畳コーナー 畳コーナー

渡り廊下

通りが土間なので、同じ床の上で勉強 しているのは上級生です。いろいろ遊 び相手になってくれます。

遊戯室

ミニ 図書コーナー

渡り廊下

1-1

3-1

職員室

4-1

6-1

5-1

低学年用 ミニグラウンド

畳コーナー

WS

3・4年生クラスルーム詳細図 1/400 地域の遊歩道

準備室

保健室

図工室

休憩室

会議室

外の教室

調理室 祭りができる中庭

搬入車 駐車スペース

海神社から出る御神輿巡幸 の神輿や子ども神輿を引き 込んで、まちの祭ができる

倉庫

ステージ

SW

準備室

更衣室

音楽室

クラブハウス

職員室

木陰で本が読める階段

アリーナ 学校と 商店街の食堂

家庭科室

準備室

理科室 準備室

図書室

メディアスペース

校長室 駐車スペース

平面・配置 1/1000

設計者

南立面

飴野拓(あめの・たく) 1984年 兵庫県神戸市生まれ 2003年 信州大学工学部建築学科入学 2012年 神戸芸術工科大学編入学 南北断面図 1/1200

2.対象敷地 垂水小学校(但し、北面の NTT 及び旧山

体育館(用具庫、管理室、更衣室、トイレ等を含む)

3)その他(条件整備)  150㎡

手市場の敷地を含む)

/ 1,200㎡、クラブハウス/ 100㎡、プール/ 800㎡、

玄関ホール、廊下など(適宜)

3.垂水小学校校地 約 12,300㎡

管理諸室/ 550㎡、職員室・校長室・会議室/ 150㎡、

4.対象敷地の設定

食堂・調理室/ 300㎡、保健室/ 50㎡、倉庫/ 50㎡

3.設計上の留意事項

(1)小学校規模の設定

4)その他(条件整備)500㎡

設計に際しては、以下の点に留意すること。

・条件 建築面積 4,000㎡程度(プール 800㎡を除く)/

玄関ホール、廊下など(適宜)

1. ブロックプランの空間構成を考える

児童数 300 人(全校)/クラス数 12(各学年2クラス、 (2)幼稚園規模の設定

1) 空間的なまとまり

1クラス 25 名定員と仮定する)/教職員数 25 人

・条件 建築面積約 400 ∼ 500㎡/園児数 25 人/

2) 空間のヒエラルキー(序列)

・所要室構成の例 : 以下に基準を提示、10%程度の増減が可

クラス数 2(年小、年長)/教職員数 4 人

3) 空間の連続性

1)諸教室 2,240㎡

・所要室構成の例※以下に基準を提示、10%程度の増減が可

4) 空間の豊かさと変化

クラスルーム/ 720㎡(60㎡× 12)、特別教室(音楽、

1)諸教室 230㎡

2. 周辺環境(周囲のまち)との関係に配慮した屋外空

理科、図工、家庭科)/ 400㎡、ワークスペース・オー

保育室(45㎡× 2) 、遊戯室、120㎡、

間を設計する

プンスペース/ 600㎡、図書室/ 100㎡、メディアスペー

便所/ 20㎡(10㎡× 2)

3. 地域への開放性を考慮する

ス/ 100㎡、準備室/ 120㎡、便所(6 カ所)/ 200㎡

2)管理所室 100㎡

2)運動施設 2,100㎡

職員室・園長室、倉庫/ 50㎡

30


ン ト も 構 想 さ れ て い て 楽 し い 。 まちに開いた桜広場

お 花 見 や お 祭 り な ど 町 ぐ る み の イ ベ

る 。 自 然 に 交 流 が 生 ま れ 、 と き に は

を 深 め 、 街 と の 一 体 感 を 増 幅 し て い

ざ ま な 学 校 施 設 が 点 在 し て い る 印 象

じ り あ う デ ザ イ ン は 、 街 の 中 に さ ま

が い た る と こ ろ で 相 互 に 貫 入 し 、 ま

建 物 の 外 の ス ペ ー ス と 内 の ス ペ ー ス

ド ア ス ペ ー ス が 数 多 く 計 画 さ れ た 。

街 と の 接 点 と な る さ ま ざ ま な ア ウ ト

が 想 定 さ れ 、 必 要 な 施 設 が 配 置 さ れ 、

て  、 敷 さ 地 ま に ざ 取 ま な り 児 込 童 ま の れ ア た ク 小 テ 道 ィ を ビ 軸 テ に ィ し

な っ た 。

そ れ が 、 ユ ニ ー ク な 構 想 の 出 発 点 と

む 学 校 が 実 現 で き る の で は な い か 。

地 の 中 に 回 復 す れ ば 、 地 域 に 溶 け 込

う だ が 、 そ れ を も う 一 度 、 学 校 の 敷

の 建 設 の 時 に 分 断 さ れ て し ま っ た よ

た よ う な 痕 跡 が あ る 。 そ れ は 小 学 校

ら は か っ て 細 い 道 路 で つ な が れ て い

残 り 、 東 に は 住 宅 街 が 広 が る 。 そ れ

昔 か ら の 商 店 街 、 北 に は 市 場 の 跡 が

な 駅 前 商 業 施 設 が あ る が 、 西 側 に は

か  だ る ら す 。 ゆ り 始 べ か ま て ご っ は た 敷 。 地 敷 周 そ 地 辺 の の の よ 南 注 う 側 意 な に 深 位 は い 置 大 観 づ き 察 け

L 字屋根が結ぶコミュミティスペースの提案 小学校にやって来た大人と、そこで学び成長する子供とを結び付 け、こどもの成長をうながし大人と子供の絆を生み出す空間を提 案します。ここで提案するのは L 字の屋根です。L 字の屋根は日 陰や雨よけの空間として機能し人の居場所となるだけでなく、小 学校の外部での活動を支える役割を果たし、まちを受け入れるだ けでなくまちに対して積極的にアプローチし、まちと小学校が相 互に刺激しあい干渉しあいどんどん変化していく、地域に愛され るサスティナブルな小学校を実現するための軸となります。

<L 字屋根の 3 つの役割> 1. 大人と子供が集まるスポットとなること。  屋根がつくる日陰は居場所をつくりだし、大人や子供が自然とあつまってくる環境を生み出す。 2. 屋外作業や屋外授業などの屋外活動をサポートすること。  子供たちの健やかな成長をうながすために、屋外での活動を提案する。自然の中で、まちの中での 活動は子供たちだけでなく大人たちにも刺激を与え、小学校に新たな可能性をうみだす。 3. 子供たちのクリエイティブな活動をまちへと発信すること。  小学校がまちに開かれたとき、まちと小学校が連携することでさまざまな活動を行うことができる ようになる。そのとき子供たちの活動を街へと発信していくことで、まちと小学校の絆をつくる。

プレゼンテーションの場や掲示スペースとなる

屋外授業などの活動を支える場に

設計者 土居瑞季(どい・みずき) 1993年 神戸市生まれ 2011年 兵庫県立伊川谷北高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン学科奨励賞(2012)、 「渡辺 篤史のスタジオ探訪」佳作(2013)受賞

29

大人と子供の活動を一様につつみこむ 大人や子供があつまるスポットに


に 込 め ら れ た 。 街 が 子 供 た ち を 育 て

が 、 ﹁ ま ち の ゆ り か ご ﹂ と い う テ ー マ

に は ど う す れ ば よ い の か 。 そ の 思 い

に 開 か れ た 小 学 校 と 幼 稚 園 を つ く る

な 街 と 小 学 校 と の 関 係 を 回 復 し 、 街

た れ る よ う に な っ た 。 か つ て の よ う

学 校 は い つ の ま の か 防 護 柵 で 街 と 隔

で 次 第 に 失 わ れ て き た の が 現 実 だ 。

の  よ し う か な し 雰 、 囲 学 気 校 は が 、 街 さ に ま 溶 ざ け ま 込 な ん 理 だ 由 こ

づ け ら れ た 時 期 も あ っ た 。

地 域 の コ ミ ュ ニ テ ィ の 核 と し て 位 置

で か つ 濃 密 な 関 係 が 育 ま れ て き た 。

昔 か ら 街 の 人 々 と 児 童 た ち の の ど か

も な お 多 く 残 る 。 そ の よ う な 街 で は 、

場 や 商 店 街 も あ る 。 周 辺 に は 住 宅 地

地 元 の 生 活 の 拠 点 と し て 昔 か ら の 市

伴 う 大 型 商 業 施 設 も 増 え て き た が 、

通 う 通 勤 客 も 多 く 、 近 年 は 再 開 発 に

小 学 校 を 建 て 替 え る 課 題 だ 。 都 心 に

が 三 万 人 ほ ど の 駅 の す ぐ 近 く に あ る

ほ ど 離 れ た 郊 外 の 街 。 一 日 の 乗 降 客

街 の 延 長 と し て の 小 小 学 玉 校 祐 一 郎

大 都 市 の 中 心 か ら 十 五 キ ロ メ ー ト ル

3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン

まちのゆりかご 11E0035 土居瑞季

住宅街

商店街 街のボリュームを連続させて取り込む

JR 垂水駅 道に基づいてオープンスペースを配置することで , 大人と子供の交わる場となる

周囲の道を取り込み、近隣住民の生活動線にする

保護者休憩スペース みんなの広場

職員・園長室 地域の広場

調理場

テイクアウトが可能

6200

まちとつながる動線。路地をそのまま引き込ん でいるため、その延長のように感じられる。

保育室

さくら

ランチスペース

倉庫 百日紅

保育室

8000

WC

準備室

家庭科室

倉庫

イベントスペース兼グラウンド

食堂

遊戯室

プール

5000

図工室

職員休憩 スペース

屋外作業・食事スペース

図工の時間での作業や、調理実習で 作ったものを食べるためのスペース

園庭

5600

職員室 会議室校長室 準備室 6400

クラブルーム

コナラ

ポケットパーク 保健室

クロマツ

6600

受付

3 年生

5年生

ワークスペース

3 年生

ワークスペース WC 地域の中庭

アリーナ ちいさな中庭

準備室

ケヤキ

屋外授業スペース 7000

5年生

小学校だけでなく、地域の人と連携して 野菜を育てる場所。 食物の栽培をともに行うことで、 小学生と地域の人の関わりをより深くする。

6300

4600

段々広場

理科室

図書・メディアスペース 事務室

N 平面・配置 1/1000

断面 1/800

28


2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 C

便所

キッチン +9400

wrap +7800

12E0064 柳谷菜穂

脱衣所

ダイニング 浴室

+10000平面

玄関

寝室 +5400

リビング

+11400

+10800

こども室

+6800 +10000

+11400平面

+7600平面

便所 寝室

+3000

こども室

ダイニング

+3800 +4800

玄関

リビング カフェ

+5200平面

カフェ

厨房

駐車スペース

納戸 +400

A-A' 断面 1/250

厨房

A

+2400 +1400

A'

設計者 柳谷菜穂(やなぎたに・なほ) 1993年 兵庫県西宮市生まれ

+2800平面 1/200

2012年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学

2013年度 環境・建築デザイン実習Ⅱ- A(2年生後期課題)

よりコンセプトやデザインを重視した提案を行なうこ

定して設計することとする。設計にあたっては、敷地

ととする。また、前半課題では、詳細な図面の描き方

の既存建物はないものとしてよい。

指導教員:専任/遠藤剛生・花島晃・三上晴久・藤山哲朗・

を学ぶ。

・敷地面積 約 560㎡

小菅瑠香 非常勤講師/竹下正高(エアーデザイン)、

3 つの敷地は、全く異なる周辺環境の中にあるので、

・第一種低層住居専用地域

吉井歳晴(WIZ ARCHITECTS)

敷地選択にあたっては、全ての敷地を訪れて決定する

・容積率 150%、建ぺい率 60%

2013年9月19日∼2014年1月21日

こと。なお、主体構造はいずれの課題においても自由

2)建物規模

とする。

延べ床面積:180 ∼ 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)

「すまいのデザイン」

27

3)家族構成

1. 目的

2. 課題概要

この課題では、さまざまな視点から住宅について考え

敷地A

ること、詳細な図面を描けるようになることを重要な

1)敷地条件

2世帯住宅であり、子供世

目的とする。

阪急王子公園駅から徒歩8分程度の住宅地の一画であ

帯の家族構成は夫婦と子

予め設定されたA・B・Cの3つの敷地を調査・分

る。西郷川に隣接するこの敷地は、現在、資材置き場

供(1∼2人)」という条

析したうえで、前半課題では最終的に設計を行なう敷

だが、周囲にはマンションや一戸建住宅が建ち並んで

件の下で、さらに具体的な

地以外の 1 敷地を用い、短期間で住宅の提案を行なう。

おり、眼下には灘区の街が拡がっている。ここでは、

そして、後半課題では、前半の成果を踏まえた上で、

新たに敷地を購入し、2世帯住宅を建設することを想

「老夫婦とその子供世帯の

内容は各自が設定するこ 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

と。


2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 C

BUILDING S 12E0021 上村昂平

B-B' 断面 1/250

A-A' 断面

アトリエ

リビング

住宅ダイニング

ギャラリー1

寝室

(+800)

(+500)

住宅テラス

セミパブリックスペース

(-1500)

キッチン

ピアノ演奏室 脱衣所

浴室

ギャラリー2

子供部屋

(-500)

本棚

2F 平面

4F 平面

6F 平面

(-1500)

カフェ

A

東立面 1/300 浴室 脱衣所

B

ギャラリー1

カフェ&広場

セミパブリックスペース (+1500)

設計者

寝室

上村昂平(かみむら・こうへい) 1993年 大阪府茨木市生まれ

(+500)

リビング

カフェ&広場 本棚

(+250)

2012年 大阪学院大学付属高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学

5F 平面

3F 平面

4)その他

延べ床面積:180 ∼ 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)

・敷地面積 約 81㎡

2台分の駐車スペースを用意すること。

3)家族構成

・商業地域

「老夫婦とその子供世帯の2世帯住宅であり、子供世帯

敷地B

1F 平面 1/200

・容積率 500%、建ぺい率 80%

1)敷地条件

の家族構成は夫婦と子供(1∼2人) 」という条件の下

2)建物規模

阪急王子公園駅から徒歩8分程度の宮本公園の西側に

で、さらに具体的な内容は各自が設定すること。

延べ床面積:220 ∼ 250㎡程度(駐車スペースはのぞく)

位置する。

4)その他

ここでは、新たに敷地を購入し、2世帯住宅建設す

1台分の駐車スペースを用意すること。

地図データ ©2013 Google, ZENRIN

3)家族構成 「家族構成は夫婦と子供(2人)」という条件の下で、

ることを想定して設計す

敷地C

さらに具体的な内容は各

ることとする。

1)敷地条件

自が設定すること。

・敷地面積 約 115㎡

阪急王子公園駅から徒歩5分程度の水道筋商店街の角

4)その他

・第二種中高層住宅専

地に位置する。アーケードの出入り口であり、商店街

1 台分の駐車スペースを

用地域

の利用者たちが休憩によく立ち寄る街角カフェ(約 120

・容積率 200%、建ぺ

㎡)を経営できる住宅とする。建築物の階高は 5 階ま

い率 60%

でとする。設計にあたっては、敷地の既存建物はない

2)建物規模

ものとしてよい。

用意すること。 (住宅用1台) 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

26


て い る と 言 え る だ ろ う 。

へ ん 魅 力 的 で 優 れ た 住 宅 が つ く ら れ

計  手 さ 法 ま が ざ 示 ま さ な れ 可 て 能 い 性 る を う 感 え じ に さ 、 せ た る い 設

つ ら え が 満 ち あ ふ れ て い る 。

よ っ て 生 み 出 さ れ た 、 こ ま や か な し

体 的 な 生 活 行 為 を 想 定 す る こ と に

東立面

い る ば か り で は な く 、 そ こ に は 、 具

間 と 形 態 を 獲 得 す る こ と に 成 功 し て

れ た 住 ま い は 、 驚 く ほ ど に 豊 か な 空

に 内 包 さ せ て い る 。 そ う し て つ く ら

な 視 点 に 基 づ く 寸 法 の ズ レ を 、 巧 み

生 じ る 高 さ 方 向 の ズ レ と 人 間 工 学 的

た ず ま い の 中 に 、 敷 地 の 高 低 差 か ら

に  つ そ く う り し 出 た さ 手 れ 法 た に 基 よ 本 っ 的 て な 半 住 ば 宅 必 の 然 た 的

の 形 を 決 定 し て い る 。

に 差 す こ と に よ っ て 、 部 分 的 な 住 宅

は 、 西 側 隣 地 住 宅 の ベ ラ ン ダ を 敷 地

る 平 面 的 な ラ イ ン を 決 定 し 、 さ ら に

す こ と に よ っ て 、 こ の 住 宅 を 支 配 す

だ 南 側 隣 地 の 敷 地 境 界 線 を 敷 地 に 差

地 の 住 宅 の 外 壁 ラ イ ン 、 道 路 を 挟 ん

体 的 に は 、 北 側 隣 地 の 住 宅 と 西 側 隣

こ の 住 宅 の 骨 格 を 決 定 し て い る 。 具

の 要 素 を ま ず は 敷 地 内 に 取 り 込 み 、

言 葉 を 用 い て 、 周 辺 環 境 の い く つ か

い る 。 鈴 木 は 、 ﹁ 敷 地 に 差 す ﹂ と い う

東立面図 S=1:50

洗濯干し場

便所

寝る場

集まる場4

集まる場3

外テラス 集まる場2

外テラス

寝る場 趣味の場 集まる場1

洗面所 脱衣室 洗濯室

駐輪スペース

駐車スペース

A-A'断面1/250

便所 (+9000)

A-A 断面図 S=1:50

子供室

外階段

(+9510) 洗濯干し場

設計者 鈴木勇司(すずき・ゆうじ) 1993年 兵庫県神戸市生まれ 2012年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 屋上平面

25

吹き抜け

の で は な い か と い う 仮 説 を 試 行 し て


動 的 あ る い は 必 然 的 な 行 為 た り う る

む こ と に よ っ て 、 建 築 の 設 計 は 、 自

は 、 周 辺 環 境 の 要 素 を 敷 地 に 持 ち 込

こ の 住 宅 の 設 計 に お い て 鈴 木 勇 司

住 宅 を 設 計 す る こ と が 課 題 で あ る 。

延 べ 面 積 一 五 〇 ∼ 二 〇 〇 ㎡ の 二 世 帯

神 戸 ら し い と こ ろ で あ る 。 こ こ に 、

と も 言 え る 神 戸 に あ っ て 、 た い へ ん

差 を 有 す る 南 斜 面 で あ り 、 坂 の ま ち

十 六 m の 長 さ を 持 ち 、 二 m 程 の 高 低

を 持 つ 角 地 で 、 東 西 約 八 m 、 南 北 約

地 の も の で あ る 。

B 敷 地 は 、 東 側 と 南 側 に 前 面 道 路

の う ち 、 こ こ に 示 す 住 宅 作 品 は B 敷

の 敷 地 ︵ A 敷 地 、 B 敷 地 、 C 敷 地 ︶

れ か ひ と つ を 選 択 す る 。 そ れ ら 三 つ

条 件 が 設 定 さ れ て お り 、 学 生 は い ず

る 敷 地 に 対 し て そ れ ぞ れ 異 な る 設 計

構 成 で あ る 。 神 戸 市 内 の 三 つ の 異 な

け た 後 に 、 後 半 で 設 計 課 題 に 取 組 む

に よ っ て 基 本 的 な 寸 法 感 覚 を 身 に つ

実 習 課 題 だ が 、 前 半 に ト レ ー ス 課 題

周 辺 環 境 が つ く り だ す 三 住 上 ま 晴 い 久

す ま い の デ ザ イ ン は 、 半 期 を 費 や す

2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地B

ideaの箱 12E0038 鈴木勇司

天窓から反射され光が落ちる

隣地のべランダの凹んだ空間を この住宅に差し込む

手摺が伸びた先が洗濯竿に変わる

床が壁の向こうではベッドになり もう一方の床ではキッチンに変わっている

(+5000) 外テラス

駐輪スペース (+2000)

寝室

断面パース

A 浴室

洗面所 脱衣室 洗濯室

(+7000) (+5000)

(+8000)

集まる場2 (+4500)

外テラス

廊下 寝室

駐輪スペース (+2000) 道路境界線

隣地境界線

浴室

洗面所 脱衣室 洗濯室 便所

(+7000) (+5500) (+8000) 廊下 台所

吹き抜け

集まる場2 (+4500)

寝室 趣味室 (+3600)

集まる場3

集まる場1 (+1300)

道路境界線

隣地境界線 (+6200) 集まる場4

便所 (+5500) 集まる場3 台所

吹き抜け

(+3900)

外テラス

(+6200) 集まる場4

寝室 趣味室 (+3600)

駐車スペース (+200)

集まる場1 (+1300)

玄関

N

便所

便所 玄関 (±0)

(+3900)

4F 平面

3F 平面

外テラス

2F 平面

駐車スペース (+200) A

N

配置・1F 平面 1/200

24


2年生前期課題 広場・公園のデザイン

Green Line 12E0203 孫帥亮

A-A' 断面

B-B' 断面 1/800

2F

設計者 孫帥亮(そん・すいりょう) 1989年 中国大連市生まれ 2008年 大連市金州高級高校卒業 2010年 大連市工業大学卒業

マスタープラン 1/3000

2013年 神戸芸術工科大学編入学 平面 1/1000

2013年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- B(2年生前期課題)

り、賑わいのある界隈であるにもかかわらず、まとまっ

活動(散策、休憩、待合せ、ストリートパフォーマン

た都市広場がない状況にある。一方では、フラワーロー

スなど)を支援する広場のデザインを基本的な目標と

指導教員:専任/長濱伸貴・川北健雄・小菅瑠香

ド、北野坂などをはじめとして、神戸らしく整備され

し、より積極的な都市広場機能を提案、デザインする

非常勤講師/松下岳生(環境デザイン事務所 素地(soji))

た美しい街路空間は数多くある。しかしながら、その

ことによって、多様な人々の交流が生まれることを期

2013年6月13日∼7月30日

街路空間に並ぶような都市広場が、とりわけ駅周辺に

待している。この広場は、新しい神戸の街の顔となり、

おいて設置されていないことから、地域住民や観光客

市民や来街者にとっての新たな「憩いの場」でもある。

1. 目的

などの来街者の憩いの場の提供という都市機能に欠け

対象敷地は、大丸神戸店に面した人通りの多い場所で

1)神戸の中心市街地における都市広場の設計を通し

る面がある。世界の著名な街を見ても、中心部にその

ある。

て、環境デザインについての基本的な考え方を理解す

街の顔となる都市広場があり、さらに街路空間と一体

3.敷地

る。

となることによって、外部空間における回遊性と滞留

1)住所:神戸市中央区・元町通1交差点付近(鯉川

2)模型、スケッチ、図面等を用いたアーバンデザイ

性を実現している。

筋ほか)

ン及びランドスケープデザインの基本的な素養を習得

「神戸まちなかプラザ」は、この現状の課題を解決す

2)敷地面積:約 8,840㎡

する。

ることを基本的な目的とし、これまでにはなかったよ

3)用途地域:商業地域

2. 課題概要

うな新しい都市広場のあり方を提案することを目標と

三宮駅や元町駅周辺には、多くの商業施設の集積があ

する。言い換えれば、都市の外部空間における既存の

「設計方法を学ぶ2̶神戸まちなかプラザ」

23


ポールシステム

2年生前期課題 広場・公園のデザイン B A

ARTの森

山を眺められる位置に元町側から来る人との ミーティングポイント 直線上に並んだポールシステムの 端にあり、すべてが眺められる

12E0202 川下史博 三宮側から来る人との

n tai un Mo View

ミーティングポイント 直線上に並んだポールシステムの 端にあり、すべてが眺められる

B

B

地下; イベントやトイレ、 インフォメーション 日差しをよけた休憩などが可能

元町商店街の 出口に構える 商店街と一体

道路交通機関としての要所

屋 根は 、個       々に    はベ  大 ンチ 丸前 でイ 。 ベン トす れ ば

イベントが可能

観 客

上部に布を張り、日よけに

となった

ポールシステム

待合所

個別でのイベントなどが可能

上部/背面に布を張り、出店に

横にアートを張り、展示場に

プラザの中心に正面玄関を構える大丸神戸店 この存在により、広場中心への求心力が

A

とても大きい。 そこで、プラザの中心への動線を意識た、 ポールシステム

立体的かつ控えめながら各種イベントが可能な ベンチシステム 地下に埋没しながらも開放的な空間を実現した ブースシステム により、プラザをアートの森へ進化させた。

マスタープラン 1/500

A-A' 断面

設計者 川下史博(かわした・ふみひろ) 1974 年生まれ 1993年 愛知県立瑞陵高等学校卒業 1997年 関西学院大学理学部物理学科卒業 2013年 神戸芸術工科大学編入学 JAPANTEX2012 インテリアデザインコンペ奨励賞(2012) 、

B-B' 断面 1/500

遠藤塾[夏ワークショップ]最優秀賞(2013)受賞

4. 実習課題の進め方

2)動線計画の検討(人の動線、自転車の動線、車の

● Step1: 外部空間の調査・分析[チーム作業]

動線等)

(現況と歴史を調べる)

外部空間の調査・分析での成果をもとに、都市スケー

2)対象敷地周辺の調査(フィールドワーク:マップ

ル(1/300)での計画の検討およびプレゼンテーション

メモ、デジカメ撮影等)

作業を行い、発表する。

3)対象敷地周辺の分析(スタジオワーク:景観分析図、 動線分析図、用途分析図等)

● Step3: 外部空間の設計[個人作業] (材料と表現を覚える/詳細と構成を考える)

対象敷地周辺の調査(フィールドワーク)と分析(ス

1)配置設計 ( マスタープラン、断立面図、全体模型等 )

タジオワーク)をチーム(1チーム3名)で作業を行い、

2)詳細設計 ( 平面詳細ーベンチ、遊具等のストリート

発表する。

ファニチャー、水景施設等 )

● Step2: 外部空間の計画[個人作業]

3)植栽計画 ( 植栽表現:高木、低木、地被など)

(活動と仕組みを考える/配置と形態を考える) 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

3)施設配置計画の検討(ラフプラン、 ラフ断立面図等)

1)地図情報の見方(都市計画図、住宅地図、Google マップ等)

外部空間の計画で設定した計画をもとに、広場スケー

1)「プログラムの検討(アクティビティの想定、ゾー

ル(1/100)での設計の検討およびプレゼンテーション

ニング等)」

作業を行い、発表する。

22


デ ザ イ ン 作 品 で も あ る 。

に 実 現 し て い る 秀 逸 な ラ ン ド ス ケ ー プ

自 然 と の ﹁ 風 景 の 共 演 ﹂ を 見 事 な ま で

ク テ ィ ビ テ ィ と 脇 役 で あ る べ き 都 市 の

感 は 提 供 し つ つ 、 主 役 で あ る 人 々 の ア

こ と で 、 市 民 が 要 求 す る 最 低 限 の 季 節

ち 込 む よ う な 植 栽 計 画 に 敢 え て 留 め る

ま だ 小 さ な 既 存 樹 木 群 に 継 ぎ 足 し て 持

か な 自 然 ︵ 紅 葉 樹 や 花 木 、 芝 生 ︶ を 、

て 巧 妙 な デ ザ イ ン を 行 な っ て い る 。 僅

ケ ー プ エ レ メ ン ト の 配 置 や 形 態 に つ い

ン チ 、 ウ ォ ー ル 、 水 盤 な ど の ラ ン ド ス

の パ タ ー ン や キ ャ ノ ピ ー ︵ 天 蓋 ︶ 、 ベ

み  取 ま り た な 、 が 周 ら 辺 、 街 ペ 区 イ の ブ 都 メ 市 ン 空 ト 間 ︵ 構 舗 造 装 を 読 ︶

的 な 作 品 と し て 高 く 評 価 で き る 。

能 性 を 追 求 し よ う と し た 壮 大 で 野 心

﹁ 獲 得 さ れ る も の ﹂ に 転 換 さ れ う る 可

バ ブ リ ッ ク ス ペ ー ス と い う ﹁ 場 所 ﹂ が 、

い う 言 葉 に 託 し て い る 。 す な わ ち 、

み た 。 そ の こ と を 彼 は ﹁ 小 数 点 ﹂ と

の 限 界 性 ︶ の 呪 縛 か ら 逃 れ よ う と 試

義 が も つ 予 定 調 和 性 ︵ 近 代 デ ザ イ ン

の 集 積 に よ っ て 、 全 体 空 間 の 構 造 主

に 着 目 し 、 そ の ﹁ 小 さ な 空 間 ﹂ の み

的 に 生 じ る 予 期 し な い ﹁ 小 さ な 空 間 ﹂

常 の 全 体 空 間 構 造 を 描 い た 際 に 結 果

デ ザ イ ン を 試 み て い る 。 岡 田 は 、 通

カ ス タ マ イ ズ さ れ る ︶ 場 所 を つ く る

ゾ ヒ ス テ ィ ッ ク な ︵ = 使 い こ な さ れ 、

少 し 控 え て 多 義 的 な 可 能 性 を 示 す マ

来 の 手 法 ︵ 与 え る も の ︶ か ら 離 脱 し 、

る こ と に よ っ て 全 体 性 を 構 築 す る 従

セ  ﹁ プ パ ト ブ の リ も ッ と ク 、 の 単 小 一 数 機 点 能 ﹂ を と 積 い み う 上 コ げ ン

市 広 場 を 探 究 し た も の で あ る 。

ク ・ ス タ イ ル を 提 示 す る 現 代 的 な 都

理 論 を 用 い て 、 都 市 の 新 し い パ ブ リ ッ

分 析 を 行 っ た 上 で 、 ア フ ォ ー ダ ン ス

A 芝生ゾーン

サルスベリ ( 白花 )

キャノピーの下を中心に芝生の ゾーンをつくっている。このゾー

Mizuho bank

ンはキャノピーもあり、比較的 居場所として条件がよく、幅広 い年齢の人が獲得しやす場所と なっている。

平行空間のしつらえ 断面図において、比較的縦方向のしつらえは少ない。高いビルの間にある敷地な ので、高さをあまり出したくなかった。そこで、軸と樹木の間の空間に注目した。今、

キャノピー

立っている舗装から行く先の舗装を密度や方向を変えて歩行者空間をつくる。道を 指定しない曖昧なしつらえとなっている。

水の軸 -100 キャノピー

水の軸 -200 ヤマモミジ 株立 水の軸 2 本の水の軸によって、空間全 体に曖昧性を創造している。ワ ンルームの空間が共通要素に よって一体化し、ある意味での ルールとして機能する。テクス チャを変えることで場所の強弱 をつける。

UNIQLO

軸の要素による空間の変容 Y 字の敷地に少しずらした角度で「2本の軸」を通した。水が中心を流れており、

A`

これと平 行 に舗 装 や 石 張りのラインが 通っている。そしてこれらの 要 素 が 重 なり、 ずれ合うことにより空間を構成する。全体としてワンルームの空間に共通要素を通 すことによって、曖昧性をつくり出している。

キャノピー

Motomachi arcade

Daimaru N

-200 稲田石

イメージスケッチ

錆色 ビシャン

マスタープラン 1/500 キャノピー キャノピー構造体 木材集成材

ウォール H=900 トラバーチン

ウォール H=500 トラバーチン

ある一定のモディールが網代編みで組まれている。 小さなパブリックが重なっていくように、キャノピー の部材も重なり合って集積する。

設計者 岡田真弥(おかだ・まさや) 1993年 大阪府吹田市生まれ 2012 年 大阪市立工芸高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 大 阪 市 立 工 芸 高 等 学 校 シ グ マ 会 Σ GOLD (2012)、日本建築学会近畿支部 第 66 回卒業 設計コンクール 優秀作品賞 (2012)、西日本 工高建築連盟 連盟賞 (2012) 受賞

サルスベリ 水盤

+100.+200

イロハモミジ

Cool down

A-A' 断面 1/400

21


か ら 、 広 場 に 想 定 さ れ る 人 の 動 き の

存  の 岡 建 田 物 真 や 弥 商 の 業 作 施 品 設 は な 、 ど 敷 の 地 立 周 地 辺 条 の 件 既

ン が 提 案 の 与 件 で あ っ た 。

の 拠 点 と な る よ う な 都 市 広 場 の デ ザ イ

神 戸 ﹂ と し て の に ぎ わ い や 憩 い 、 観 光

な い 。 こ の こ と か ら 、 ﹁ デ ザ イ ン 都 市 ・

の 顔 と な る よ う な 都 市 広 場 が 見 当 た ら

に か け て の 中 心 市 街 地 に お い て 、 都 市

あ  る 現 も 在 の 、 の 神 、 戸 三 港 ノ 周 宮 辺 駅 に か は ら 大 元 き 町 な 駅 公 周 園 辺 は

案 を 求 め た も の で あ る 。

中 核 と し て ふ さ わ し い 都 市 広 場 の 提

道 を 廃 止 す る こ と に よ っ て 、 神 戸 の

の 鯉 川 筋 の 一 部 を 対 象 敷 地 と し 、 車

ま る 人 気 の エ リ ア と な っ て い る 。 そ

ウ ェ ス ト は 近 年 、 若 者 た ち が 多 く 集

東 側 の ト ア ロ ー ド と の 間 に あ る ト ア

リ ケ ン ロ ー ド と も 呼 ば れ る ︶ で あ り 、

差 点 以 南 は 、 旧 波 止 場 に つ な が る メ

フ ィ ス 街 ︶ の 西 の 境 界 部 ︵ 大 丸 前 交

道 を 含 む 鯉 川 筋 で あ る 。 旧 居 留 地 ︵ オ

ら 神 戸 元 町 商 店 街 と 南 京 町 ま で の 車

ン ブ ル 交 差 点 を 中 心 と し 、 元 町 駅 か

対 象 敷 地 は 、 大 丸 神 戸 店 前 の ス ク ラ

長 濱 伸 貴

マ ゾ ヒ ス テ ィ ッ ク ・ ラ ン ド ス ケ ー プ

2年生前期課題 広場・公園のデザイン

パブリックの 小数点 12E0014 岡田真弥

都 市 の 新しい パブリック・スタイル

様々なプライベートアクティビティ

パブリック

既存樹木

動線

既存樹木

サルスベリ 白花 H=6.0 W=8.0

都市の新しいパブリック・スタイルとは、人それぞれの「見方」で場所を読み取り、自分用の場所に変換している姿の集積である。 大切なのは、自分の行動を自らで判断しながら、それぞれの場所に居るという事実である。このような創造的な行為が「パブリック」 に積み重なれば、場所は力を持ち始めるのではないだろうか。

季節、場面のシークエンス

既存樹木

パブリック・スタイルを可 能 にするランドスケープ 今回の空間をつくるにあたって意識したのが、ポテンシャルのある枠組みを「ポン」と提示するような空間構成である。行政がつ くりだすルールとしてのパブリックではなく、全体として一つの空間が小さな要素によって変化し、使い手の自由な読み取りによっ て改変していく。1.2.3・・・と積み重なっていくパブリックではなく、その間の「パブリックの小数点」を見つけ出す事が大切である。

既 存 の 木々の 中、あるい は目線 の ポ イントとなる場所にサルスベリやイロ

イロハモミジ 株立 H=8.0 W=10.0

アフォーダンスを生み出す 都市の原っぱ

ハモミジといった表情を変える木を植 えた。このことによって、都市の真ん 中でありながらも季節の移ろいを感じ ると同時に、場面的なシークエンスも

都市の中心であるので人の流れを分

感じられる構成に仕上がっている。

析しその間に場所をつくり、様々な要 素によって、無限のアフォーダンスが 生まれる。人や環境が変わることでア フォーダンスは変化し、人はこの要素

既存樹木を活かした植栽計画

動線

この敷地にはまだ小さい木であるが樹

どうしの関係性を見つけて「何ができ

木が植えられている。今回、この既存

るか」を判断し行動するのである。

の木を活かした植栽計画をおこなった。

既存樹木

イロハモミジ カエデ科カエデ属 モミジの代表であり、鮮やかな紅になる ことが多い。新緑の時期の木漏れ日も 非常に美しい、紅葉すると季節の移ろい を感じることができる。

N

サルスベリ ( 白花 ) ミソハギ科 モミジの代表であり、鮮やかな紅になる ことが多い。新緑の時期の木漏れ日も 非常に美しい、紅葉すると季節の移ろい を感じることができる。

キャノピー内から元町商店街方向を見る

植栽計画 1/1500

20


A 両側の建物に合わ

2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

せて「面」を置く

に、面を浮かして形 を決めた。通行空間 を街の憩いの場所と

Interface 12E0065

旧居留地のグリッド、ケヤキ A と B の両立のため

並木、3車線片側一方通行に よる歩道など、街が持ってい る特性を生かせる形にした

し、中庭を設けた

原逸聖 B

1階部分を極力オープンにして、

ダイアグラム

人々の流れを促す

展示用 倉庫

展示室 情報検索 コーナー

南立面 ロビー

アトリエ 倉庫

北立面 1/800

アトリエ

セミナー室 WC

WC

2F 平面

B

アトリエ 倉庫

アクソノメトリック

アトリエ

セミナー室

WC 喫煙スペース

事務室

WC

カフェ

機械室

A-A'断面 ロビー

風除室 受付

設計者

EV

WC

原逸聖(やなぎはら・いっせい) 1994年 大阪府豊中市生まれ

ロビー

2012年 大阪市立工芸高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学

カフェ

WC

ロビー

B-B '断面1/800

2013年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- A(2年生前期課題) 「設計方法を学ぶ1̶神戸まちなかファクトリー」

A

機械室

事務室

WC

機械室

A'

搬入口

1F 平面 1/800

B'

スティックな行為等を通して相互交流を図ったり新た な情報を発信しようとしたとき、それにふさわしい場

指導教員:

を見つけることは、実は容易ではないのが現実である。

専任/三上晴久・花島晃・鈴木明・花田佳明・小菅瑠香

「神戸まちなかファクトリー」は、 これまでにはなかっ

2013年4月11日∼6月11日

たような新たな公的施設であり、ここでは、コンサート、 演劇、作品展示、ワークショップ、趣味の教室などの

19

1. 目的

催し物が開かれたり、それらを通して様々な人たちの

1)比較的簡単な機能の施設の設計を通して、環境デ

交流が生まれることが期待されている。ここは、市民

ザインについての基本的な考え方を理解する。

にとっての新たな「ハレの場」でもある。

2)模型、スケッチ、図面等を用いた建築設計の基本

3.敷地

的な展開方法を学習する。

敷地は、三宮中央通りに面し、人通りの多い場所である。

2. 課題概要

1)住所:神戸市中央区三宮町 1 丁目(三宮中央通に

兵庫県内や神戸市内には、多くの美術館や劇場がある

面し現在は駐車場として利用されている。 )

が、それらは、いわゆるアーティストのための作品展

2)敷地面積:約 1,295㎡

示や作品発表の場であり、一般市民にとって身近な存

3)用途地域:商業地域(建ぺい率:80% 容積率:

在とは言えない。一般市民が、創作や創造、アーティ

800%)

地図データ ©2013 Google, ZENRIN


2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

展示室用 倉庫

アトリエ 共用スペース

EV

額縁のアトリエ

展示室

12E0064 柳谷菜穂 情報検索 コーナー

Cafe

屋外展示 コーナー

テラス

2F 平面

アトリエ

アトリエ用 倉庫

アトリエ

EV

イベントスペース (中庭)

cafe アトリエ

イベントスペース

風除室

セミナー室

南北断面図 S=1:200 管理事務室

セミナー室

WC

1F 平面 1/800

展示室 イベントスペース

cafe イベントスペース

アトリエ

セミナー室

南北断面

展示室 イベントスペース

東西断面

アクソノメトリック

設計者 柳谷菜穂(やなぎたに・なほ) 1993年 兵庫県西宮市生まれ 2012年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 北立面 1/800

南立面

北立面図 S=1:200

4)三宮中央通り沿道地区地区計画

5.構造・法規・設備

搬出入用の大型車両用駐車スペース1台分を確保する

4. 所要各室の概略床面積

構造は鉄筋コンクリート造または鉄骨造とする。部屋

こと。

アトリエ/ 200㎡(100㎡× 2 室)、アトリエ用倉庫/

ごとの個別冷暖房設備を設けるが、人工環境に頼りす

50㎡(25㎡× 2 室) 、展示スペース/ 200㎡、展示用倉

ぎないように注意する。建築に対する法的規制は必ず

『初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ』(彰国社)

庫/ 25㎡、セミナー室/ 100㎡(講演会や研修に使用、

しも遵守しなくても良いことにするが、周辺建築物や

川北健雄・花田佳明・三上晴久・倉知徹・水島あかね編著

可動間仕切りで分割できるようにする)、情報検索コー

周辺環境との調和について、良識に従った設計を行う

8.実習課題の進め方

ナー/ 50㎡、カフェ/ 75㎡(厨房を含む)、管理事務

こと。また、安全性やユニバーサルデザインについて

課題はステップ方式で進行する。必要な知識や技術を

室/ 50㎡(受付カウンターを含む)、便所/ 50 ∼ 75㎡(男

も配慮すること。

基礎から身につけるため、各段階ごとに説明、スタジ

子、女子、身障者用を含む、数カ所に分割しても良い)、

6.外部空間

オワーク、講評を行う。

機械室/ 50㎡、上記床面積の合計/ 875 ∼ 900㎡

1)外部空間については、単なる残余空間になってし

Step1: 敷地のフィールドサーヴェイと敷地模型

これらの諸室の他、玄関、廊下等を加え、延べ床面

まわないよう、有効な活用方法を考えてデザインする

Step2: ヴォリュームを置いてみる

積を 1,500㎡程度とする。

こと。地面を覆う素材や植栽配置等についても明示す

Step3: 中身を考える

なお、以上は機能的な面積配分の目安であり、空間

る。周辺の車道や歩道との関係についても留意するこ

Step4: 開く・閉じるを考える

的にこれらをどのように分節し、関係づけるかについ

と。

Step5: 細部を決める

ては、各自で使われ方と空間的な効果とを熟慮して、

2)駐車場:一般の利用者は周辺の公共駐車場を利用

Step6: プレゼンテーション

独創的かつ魅力的な提案を行ってほしい。

するものとして、来客用駐車場は設けなくとも良いが、

7.教科書

18


窓 か ら な る 。 そ の ス キ ン に よ っ て 取

と 少 し 空 間 を 置 い た 内 部 の 縦 軸 回 転

て 微 細 に 開 閉 す る 一 メ ー ト ル 角 の 窓

は 建 物 外 部 の 風 の 向 き や 強 さ に よ っ

﹁ ダ ブ ル ・ ス キ ン ﹂ ︵ 二 重 の 皮 膜 ︶

と つ は ﹁ ス キ ッ プ ・ フ ロ ア ﹂ で あ る 。

は ﹁ ダ ブ ル ス キ ン ﹂ で あ り 、 も う ひ

つ の ア イ デ ィ ア で 逆 転 し た 。 ひ と つ

を 重 ね て 来 て は い て も 、 さ ら に ふ た

岡 田 案 は 、 も ち ろ ん こ の ス テ ッ プ

成 果 を 積 み 上 げ て い く 方 法 で あ る 。

に た ど り 着 く と い う 、 ひ と つ ひ と つ

デ ィ を 経 て 、 初 め て 建 築 全 体 の 構 想

対 応 す る 諸 室 の ヴ ォ リ ュ ー ム の ス タ

始 ま り 、 与 条 件 と 機 能 解 析 、 そ れ に

ラ ム が 準 備 さ れ て い る 。 敷 地 分 析 に

プ ・ バ イ ・ ス テ ッ プ ﹄ ︵

し て お き た い 。 問 題 解 決 に は ﹃ ス テ ッ

* 註 ︶

の カ リ キ ュ

さ て 、 こ こ で 本 課 題 の 意 図 を 確 認

感 じ 取 る の で あ る 。

を 流 動 す る こ と か ら 、 そ れ を 身 体 で

部 か ら 取 り 込 ま れ た 風 が 建 物 の な か

を 感 じ 、 一 方 、 建 物 の 利 用 者 は 、 外

サ ー ド の 変 化 か ら 風 向 き や 風 の 強 さ

行 き 交 う 人 は 、 風 に 対 応 す る 建 物 フ ァ

で あ る 、 と い う 仮 説 で あ る 。 ま ち を

と え 微 風 で あ っ て も 表 情 で 表 す も の

提 案 す る 建 物 は 、 そ の 風 の 流 れ を た

の 風 が 行 き 交 う 場 所 と し て 捉 え た 。

ま ず こ の 敷 地 を 、 海 と 山 双 方 か ら

的 に 解 答 を 導 き 出 し た と こ ろ に あ る 。

き な 仮 説 を 立 て 、 逆 に そ こ か ら 帰 納

く と い う 演 繹 的 な 方 法 で は な く 、 大

法 を 探 り 、 そ の 成 果 を 積 み 上 げ て い

う な 問 題 に 対 し て ひ と つ ひ と つ 解 決

セミナー室 カフェ

展示室 展示室 アトリエ リフレッシュ スペース

EV

アトリエ +12400

EV

アトリエ倉庫

EV EV アトリエ +14000

カフェ +22000

▼ GL

A-A' 断面

リフレッシュスペース

内部空間

アトリエ 情報コーナー

リフレッシュスペース

5F 平面

3F 平面

セミナー カフェ 展示スペース

展示用倉庫

セミナー室 +22000

ロビー

アトリエ

展示スペース +16400

EV

機械室

EV

EV

EV

リフレッシュスペース

リフレッシュスペース

情報コーナー

情報コーナー +10000

+8400

リフレッシュスペース

4F 平面

アトリエ

スペース

EV アトリエ用倉庫

展示スペース +18000

6F 平面

リフレッシュ

EV

▼ GL

2F 平面

B-B' 断面

B

男子便所 女子便所

+0 -100 -200 -300

設計者

EV

岡田真弥(おかだ・まさや) 1993年 大阪府吹田市生まれ 2012 年 大阪市立工芸高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 大 阪 市 立 工 芸 高 等 学 校 シ グ マ 会 Σ GOLD (2012)、日本建築学会近畿支部 第 66 回卒業 設計コンクール 優秀作品賞 (2012)、西日本 工高建築連盟 連盟賞 (2012) 受賞

石張り

EV -400

受付 A

管理事務室

N

北立面 1/800

1F 平面・配置 1/800

年 に 日 本 建 築 学 会 教 育 賞 ︵ 教 育 貢 献 ︶ を 受 賞 し た 。

17

年 に は 、 そ の 成 果 が 教 科 書 と し て 出 版 さ れ 、 二 〇 一 一

も の で あ る 。 本 学 科 で 一 九 九 四 年 か ら 実 践 。 二 〇 一 〇

う こ と な く 設 計 に 必 要 な 能 力 を 習 得 で き る よ う に し た

プ に お け る 作 業 内 容 を 明 確 に 示 す こ と で 、 誰 も が 戸 惑

ロ セ ス を 六 段 階 の ス テ ッ プ に 区 分 し 、 そ れ ぞ れ の ス テ ッ

で 行 わ れ る 敷 地 調 査 か ら プ レ ゼ ン テ ー シ ョ ン ま で の プ

初 学 者 向 け の 建 築 設 計 教 育 プ ロ グ ラ ム で 、 基 本 設 計 段 階

* 註 ﹃ ス テ ッ プ ・ バ イ ・ ス テ ッ プ ﹄

か っ た 。

イ メ ー ジ す る こ と が で き た ら な お よ

の ラ イ ブ 感 を 、 こ の 案 の 延 長 線 上 に

建 築 が 完 成 し 、 活 動 を 始 め た と き

う に 遊 び 、 寛 い で い る の か ?

の 利 用 者 や 地 域 の ひ と び と は ど の よ

か の ?   よ ア う ト 掘 な リ り 活 エ 込 動 で ま を は れ 営 、 た ん ど 外 で ん 構 い な で る 利 は の 用 、 だ 者 朝 ろ が 晩 う ど

物 に 求 め ら れ て も い る 。

ギ ー を 誘 発 す る よ う な イ メ ー ジ が 建

用 者 に よ る ﹁ も の づ く り ﹂ の エ ネ ル

る 。 表 題 ﹁ フ ァ ク ト リ ー ﹂ に は 、 利

か ク ー ル に 収 ま り す ぎ て い る 感 も あ

ン グ は よ く ま と ま っ て い る が 、 ど こ

な デ ィ テ ー ル で あ ろ う か 。 ド ロ ー イ

者 の ア ク テ ィ ビ テ ィ を 誘 導 す る よ う

れ ば 、 そ れ ぞ れ の 部 屋 に お け る 利 用

も し 、 こ の 案 に 注 文 を つ け る と す

分 け さ れ て い る こ と で あ る 。

覚 的 ・ 意 識 的 に 、 ゆ る や か に ゾ ー ン

ら も 、 高 低 差 を も っ た フ ロ ア ゆ え 視

に も 内 部 空 間 と し て も 一 体 化 し な が

﹁ カ フ ェ ﹂ ﹁ 展 示 ス ペ ー ス ﹂ が 環 境 的

に よ っ て ﹁ 情 報 コ ー ナ ー ﹂ ﹁ ア ト リ エ ﹂

物 中 央 の 吹 抜 け と ﹁ ス キ ッ プ ・ フ ロ ア ﹂

味 も な い 。 岡 田 案 が 巧 み な の は 、 建

の 部 屋 に 滞 留 し て し ま っ て は 何 の 意

り 入 れ ら れ た 外 気 だ が 、 そ れ が 一 部

岡 田 真 弥 の 作 品 の 特 徴 は 、 こ の よ


れ る か ら で あ る 。

持 て る こ と が 公 共 的 な 建 築 に 求 め ら

域 の ひ と び と が 、 こ の 建 物 に 愛 着 を

て は な ら な い 。 利 用 者 の み な ら ず 地

間 構 成 と し て ま と め ︵ 統 合 し ︶ な く

す る か 。 つ ぎ に 、 そ れ を 魅 力 的 な 空

行 う た め の 諸 機 能 を ど の よ う に 配 置

設 に ひ と び と が 集 い 、 創 造 的 活 動 を

そ  し ふ て た 公 つ 共 目 性 は の 、 問 施 題 設 。 機 ま 能 ず と 、 空 こ 間 の 構 施 成

せ る か ︶ を 、 考 え な く て は な ら な い 。

を ど の よ う に 受 け 止 め る か ︵ 通 過 さ

な る し 、 こ の 建 物 が 、 朝 夕 の 通 勤 者

は こ の 街 区 の 将 来 を 誘 導 す る こ と に

開口率 50%

開口率 0%

が 求 め ら れ る 。 建 物 の ヴ ォ リ ュ ー ム

か 、 そ の こ と に 対 し て 何 ら か の 提 案

つ の ま ち に ど ん な 表 情 で 向 き 合 う の

ス 地 区 の 境 界 に あ り 、 異 な っ た ふ た

市  街 ひ 地 と ︵ つ 三 は 宮 敷 ︶ 地 の と 商 の 業 対 地 応 区 。 と 敷 ビ 地 ジ は ネ 、

解 決 し な く て は な ら な い 。

ト リ ー ﹂ は 、 大 き く ふ た つ の 問 題 を

二 年 生 最 初 の 課 題 ﹁ ま ち な か フ ァ ク

風 の 流 れ を 建 築 で 表 現 す 鈴 る 木 明

2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

風のいたずら 12E0014 岡田真弥

開口率 90% 9FL +24000

風を可視化するファサード 風の強さや方向によって、グリッド状の 1m×1m の窓が開口率を変えることで、ファサードの表情が 変化する。

8FL +20000

6FL +16000 4FL +12000 2FL +8400

ファサード 開閉

7FL +18000

スキン

5FL +14000

回転 1FL +0

外部

3FL +10000

内部

ファサードイメージ 1/300 ダブルスキンによって快適に取り入れられた風は室内に行き届き、人々に自然を認識させる。同時に、 室内側の間仕切りを兼ねた縦軸回転のスキンが回転し開くことによって、外部との繋がりができる。

アクソノメトリック

16


1 1 今年から設けられた「スケッチタイム」 。その時間に描か

1年生前期

れた淡路夢舞台の建物や景色のスケッチ 2 スケッチを行

環境・建築フレッシュマンセミナー

う様子 3 北淡震災記念公園にある「野島断層保存館」の 見学 4 兵庫県立淡路夢舞台国際会議場前での集合写真

学科全教員 学外の施設等を利用し、新入生に大学での学習態度を身につけてもらうこと、同期 生や教員とお互いに知り合いコミュニケートすることを目的とする。また、学外の 施設を訪れることで、実際の建物や環境を読み取るフィールドサーベイに関心を持 つきっかけになることも期待している。 2013 年度「神戸近郊の建築・都市の見学会」日程、担当教員は以下の通り。 [4月19日]小玉祐一郎:大阪中之島を歩く(中央公会堂―国際美術館)

2

3

[4月19日]鈴木明:KIITO デザインクリエイティブセンター神戸の見学 [4月26日]花田佳明:海外移住と文化の交流センターの見学 [4月26日]川北健雄:北加賀屋クリエイティブ・ビレッジの見学 [4月26日]長濱伸貴:なんばパークス+とんぼりリバーウォークの見学 [4月26日]山之内誠:北野町・山本通地区の洋館と街並みの見学 [4月27日]花島晃:竹中大工道具館の見学 [4月27日]藤山哲朗: 「上から、対岸から神戸を眺める」ポートアイランドの見学 [4月28日]三上晴久:ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)の見学 さらに、淡路1日見学ツアーと題して、大型バスでの淡路島見学会が用意されてい る。ここでは、北淡震災記念公園等の見学の他、大ホールを貸し切って先の「神戸 近郊の建築・都市の見学会」の報告発表会を行う。

4

1年生前後期

CAD 基礎演習 穐山憲(非常勤講師) コンピュータを用いた建築設計やインテリアデ ザインに必要な、製図・モデリング・プレゼン テーションといった基本的な諸技法を習得する と同時に、CAD を活用する上で必要な諸概念 について理解することを目的としている。CAD ソフトは、Vectorworks を使用する。 CAD 基礎演習における練習課題の例

15


建築・環境デザインへの入門

1年生の主な授業

環境・建築デザイン基礎演習Ⅰ「モデル」で制作した住宅模型。各々がつくった建築が集合すると都市の風景に見える

1年生前期

環境・建築デザイン基礎演習Ⅰ 藤山哲朗・川北健雄・山之内誠・ 穐山憲(非常勤講師) ・不破正仁 建築や都市・ランドスケープを理解・デザインするための3 つの手段、 「ドローイング」「モデル」「コンピュータモデリ ング」の基礎を学ぶことを目的とし、約 75 名の学生が2ク ラスに分かれて課題に取組む。   「ドローイング」では、本学内の建物の図面を利用し、建 物を体験した上で設計図をトレース(模写)して、配置図、 平面図、断面図、立面図を描き、それぞれに必要な室名・寸 法などを記入の作業を行う。製図ペン等、製図道具の使い方 も学ぶ。   「モデル」では、ブリッジやシェルターなどの簡単な構造 模型や住宅模型を制作し、実際にものをつくる楽しさを体験

1

すると共に、模型制作を通して、素材の力学的・構法的特性 とデザインの関係を考える時間を設ける。

1 「モデル」課題発表会。実際の授業を見せるオープンキャンパス

「コンピュータモデリング」では、Google SketchUp を用

「KDU ライブ」と重なっており、高校生も見学に訪れた 2 「コン ピュータモデリング」で制作された作品 3 「コンピュータモデリ

いて 3 次元モデリングを体験する。

2

ング」授業風景 4「ドローイング」授業風景

3

4

1年生前後期

授業時間外の時間を使って、いくつかの建物や街並等の見学を実施する。履修者は、見学会のうち 2 つのコー

環境・建築デザイン基礎演習Ⅱ

スに参加。見学会レポートの提出に加え、学科のウェブサイト更新用の材料の提出も求められ、そこで見学

学科全教員

会の様子が報告されている(http://www.kobe-du.ac.jp/env/2013/002853.php)。 見学日程、担当教員は以下の通り。 [10月11日]鈴木明:ディスカバリング・ハーバーフロント神戸の見学、[10月12日]長濱伸貴:グランフ ロント大坂の見学、[10月19日]小玉祐一郎:神戸居留地とビエンナーレの見学、[10月20日]川北健雄: 難波宮殿・大阪城の見学、[10月20日]山之内誠:箱木千年家の見学、[10月26日]花島晃:神戸花山手住 宅地の木造住宅の工事現場の見学、 [10月26日]三上晴久:旧山邑邸(フランク・ロイドライト設計)の見学、 [10月26日]花田佳明:海外移住と文化の交流センターの見学、[11月9日]藤山哲朗:神戸ビエンナーレ 2013 の見学

箱木千年家の見学

14


2013年卒業制作 奨励賞

大舎制

境界線の 先にあるもの

小舎制 ( グループホーム )

自由な平面構成

傾ける

ハコと高さ

屋根をかける

10E0032 西元太一 広々とした食堂 生活スケジュールは特に決まっていない。 みんなで食べたい時は食堂でにぎやかに。 そんな気分じゃない時は、自分のリビングで 食べちゃえばいいじゃない。

それぞれのユニットにリビング 部屋を出るとすぐ目の前に自分たちが自由に使える リビングスペースがある。生活補助員の職員は基本 的にここを活動の中心とする。 日常的に自然な会話や関わりを誘発する。

a 下処理室

管理室

児童養護施設を題材に、二 つの挑戦を試みた。一つ目

リビングスペース

居室

は、これからの児童養護施 索。二つ目は、精神的な病

縁側

静養室

待合室

である虐待に関わった者達 の社会復帰のための更正施

客間

a

縁側

工作室 居室

調理室

居室

児童館

b

居室

居室

境界線の先にあるもの

敷地を線路が遮断する お互いに意識して見る「視覚的交流」 によって相手の事を考えるようになる

施設長室

管理室 リビングスペース

居室

更衣室

心理検査室

浴室

縁側で交流にバリエーション 工作室で作ったもので遊んだり、 調理室で作った物を みんなで食べたりできる。

玄関 ( 職員、来客用 )

医務室

医師室

職員室

リビングスペース

勉強室

食堂

居室

地域交流のための畑 地域の方を招いて、畑仕事を教えてもらう。 作った物は、交流スペースで教えていただいた 居室 地域のみんなに振る舞う。 つくる喜び。教わる喜び。振る舞う喜び。 b 子どもにとって畑は喜びの宝庫となる。

設の新しい建築形態の模

事務室

厨房

浴室 居室

設の考案。境界線として定 義した線路を跨いで互いの

自然公園 周辺の市民が強く願っていた敷地の活用法。 かつての震災の経験を忘れないため、有事の 際また仮避難所として使えるような場所。

過去、現在を考える機会と ながら、家族の未来を取り

宿泊室

デッキスペース

デッキスペース

した。時に他者の力を借り

宿泊室

ここに集まって来る人の賑やかさも、 宿泊施設の大人に「人が周りに居る」という 体感をつくり出す。

宿泊室

宿泊室

戻す施設の計画。

宿泊施設 今回の計画の第二支柱。 「虐待をしてしまった」経験を持つ大人たちが 自らを省みる場所とする。 同じ敷地内、隣接しているのに決して 互いが自由に関わる事は出来ない。 見えない壁を挟んで、視覚的な交流のみをする。

自然公園

N

配置・平面 1/1500 通風・採光窓

屋根鉄骨梁 6000

光庭

通風・採光窓

管理室

食堂

居室 地域交流スペース

リビングスペース

屋根・鉄骨柱

a-a'断面 1/1700

通風・採光窓

通風・採光窓 日光 5000

通風・採光窓

リビングスペース

居室

b-b'断面

2013年卒業制作 奨励賞

UP

UP

UP

シンボルの領域

26

ev

29.5

ev

ev

ev ev

ev ev ev

evev ev ev ev

ev

ev

ev ev

ev ev ev

evev

ev

30.5

DN

33

31

28.5

JR 三ノ宮駅建替計画

ev

ev

ev

DN 27.5

ev

27

26.5

26

6F平面

10E0202 白石遼也

14F平面

12F平面 54.5

52

+17.5

54

+18

+18.5

UP UP

UP

+19

UP

UP

+20.5 up (1/35)

+21.5

+19

+19 +20

+16.5

+19.5

19.8

ev ev ev

+18.5

19.8

ev

ev ev ev

ev ev

evev

ev

ev

21

ev

ev ev

ev ev ev

evev

ev

20.5

DN

15000

16000

16

UP

18.5

18.3

ev

16

18.3

ev

ev ev

DN

ev

17.8

14000 11000

17

+18

126 00

16.5 16

4600

6000

7600

11000

9000

8000

8400

11600 13600

5200

3000

10800 10600

11000

10400

10000

9600 8400

58

10800

8600

6200

4200

114000

10000

9000

9600

9400

12F平面

10000

9200

7600 6400

5200

42 00

8000

11600

8800 7400 4600

3600 2800

8400 9000

3600 7200 6200

5200

8200 8000

4200

俯瞰視点からのみのランド

7800

7600 6200

7800 7400

7000

4F平面

マークでなく、その象徴性

46

の度合いを下げることな

50

ev

ev

ev ev

ev ev ev

ev

ev ev

ev ev ev

evev

48

く、場所性と身体性が絡ま

ev ev

44

りあうシンボルに包まれる ev ev

+17.5 +22.5. UP

ev

UP 3f 1/15

+23. +18

ような場所にしたいと考え

ev ev

ev

48

UP

+22

ev

+8000

+18.5

+23.5

ev

ev ev ev

10F平面

evev

ev

+4500

+4000

DN

DN

UP

UP

UP

UP

+7000

+19 +24

UP UP

ev

+21.5 +20.5 +25.5

DN

ev

up (1/35) UP

+21.5 +19

UP

+19

DN 1f 1/15

+25 +20

ev

1/15

+16.5

+24.5 +19.5

21

35.5 19.8

DN

6F

24.5

+18.523.5

19.8

26

UP DN

UP

21

ev

25.5 20.5

DN UP 36

18.5 25.5 23

18.3

16

26

UP

21

33.5 25

UP

ev

16 21 23.5

18.3 23.5 UP DN

23.5

22.5

17.8

22

17 21.5

+18

DN

21

16.5

UP 1/25

16

9000

8000

36.5

10800

た。そのために、周辺環境

+6000

26

9600

4600

+3800

6000

7600

9000

8000

5200

3000

10800 8800 7400

8600

4600

3600

9600

6200

4200

8400

9000

2800 7600

に連続している様々な秩序

8400

42

商業施設

7200 6200

5200

8200 8000

7600

商業施設と公共施設の プログラムの曖昧性を 相互作用的に配置する

を砕いて取り込み、配列を 変えて巻き上げることで象

6400

5200

42 00 3600

4200 7800

都市広場は、花壇、樹木のまわりの花 壇を机とすることで人の居場所をつく りつつ、小空間を展開する

38

ev

6200

7800 7400

7000

38.5

バックヤード

ev

evev

ev

39.5

40

+7000

ev

美術館

ev

40

37.5

37

36.5

36

配置 1/20000

図書館

2F平面

徴性としての強さを「量」

広場

8F平面

神戸市営地下鉄

としてつくった。さらに、

-6000

-5000 -3400

周 辺 と 連 続 し、 シ ン ボ ル

33

--2400

-2400

-1600 --1000

34.5

-600

ev ev

ev

ev ev

ev ev ev

evev

ev

35.5

38

(9F) 36

33.5

ev

が包み込む領域を拡大して

ev

切符売場

32.5

32

31.5

31

ev

いった。そのタワーは、拡

ev

1/15

切符売場

ev ev ev -1000

ev

ev

ev

ev ev ev

7F平面

evev

DN

-2000

大されたシンボルの領域の

ev ev -1200 -3000

-2000

-1400 -2400

-600

-4000 -3600

始まりであり、終わりでも

-4600 -1600 --4200 -5000

タクシー乗り場

バスターミナル

搬入口

-2400

-5000 -3600

ロータリー

ある。 N

1F平面 1/6000

13

断面 1/6000


2013年卒業制作 奨励賞

境界コネクト 10E0022 杉田颯

定年後の日々を目標もなく 他人とつながることもなく 過ごしていく。そんな生活

隣家との外部空間のつなぎとして縁側を設ける 塀を少しずつ取り除き各々が持つ外部空間を

を豊かにしたいと思った。

一つの庭のように曖昧な共有と変化させていく。

これまで過ごし、お互いを 知 り、 慣 れ 親 し ん だ こ の 場所がもう少し日常的に人 とつながる場所であるため に、敷地境界にある塀を少

縁側

しずつ崩して、空間を共有 していく。  そうして塀をほとんど無

配置 before

くし、大きな共有の庭へと 変化させることで、お互い

平面 1/500

塀を部分的に残し利用する。

に何気ない些細なつながり ができ、会話が加わり、よ り良い日常が生まれるだろ う。

立面

配置 after 1/2200

2013年卒業制作 奨励賞

東遊園地 波止場町1番地 神戸震災復興記念公園 (みなとのもり公園)

オフィス

MANGA/ANIME Museum

オフィス アートギャラリー

関税北広場

都心リゾート型住宅 ポンプ場

̶神戸港突堤の再生計画̶

神戸関税

オフィス 長期滞在型ホテル 広場

オフィス

デザイン・クリエイティブ センター KOBE 貿易会館

関税南広場

芝生広場

アートホール

文化・創造産業施設

ビジターバース はね橋

10E0030 中塚千帆

第4突堤北広場 文化・創造産業施設

プロムナードデッキ ホテル

ワールドフード 水上レストラン 商業施設

アプローチ

文化・集客施設

第1突堤広場 第1突堤

国内フェリー ターミナル 駐車場

水上レストラン 商業施設 ・観光 ・物販 ・飲食 第2突堤広場 第2突堤

国際フェリー ターミナル 第3突堤広場

ポート ターミナル

第3突堤

第4突堤広場

マスタープラン 1/30000

神戸には様々な文化的施設

建物の形態は、読みかけのまんがをたくさん重ねたものと波形をイメージした ボリュームを置く

があるが、漫画・アニメな

どの文化に関する施設がな

いことに気づいた。神戸の ウォーターフロントを国

内外からも人を集める大規 模な観光地にするために、

このようなボリュームを並べて、様々な居場所をつくる また、それらのまんがの形態が屋根やスラブとなり、様々な機能をつくる

ジャパニメーションを展示

南側のメイン・エントランスから。

する施設をつくる。また、

吹き抜けの大空間で、2階、3階まで 見上げることができる。

神戸芸術工科大学のまんが

2階まんがエリア。

壁面には展示作品が掲げてある。

表現学科、映像表現学科の 活躍の場、卒業後の就職先 とすることを目的とし計画 した。 3階の大空間吹き抜けに面する、漫画 を読むスペース。ガラス張りのため、

下階も見下ろせ、海の景色も見渡せる。

4階アニメエリアの外部空間。

曲面の部分にも立ち入って遊ぶこと 断面図 1/300

ができる。

A-A' 断面 1/3500

12


2013年卒業制作 奨励賞

TAKAMATSU HARBOUR THEATRE

̶芸術文化フォーラム̶ 10E0013 小川明洋

TAKAMATSU HARBOUR THEATRE ハーバープロムナード

フェリーターミナル  ( 瀬戸内の島々・本州 )

海の広場

サンポートホール高松と連携 アート広場 瀬戸内芸術祭 インフォメー ションの移設

サンポートホール高松 ( コンベンション ) マリタイムプラザ高松

高松港旅客ターミナルビル

( レストラン・ショッピング ) ( 瀬戸内芸術祭インフォメーション ) 合同庁舎 ホテル

芸術文化地区

香川県高松市は、1909 年

( 高松近郊・空港・日本 ・世界 )

「宇高連絡船」の就航によ

琴電 高松築港 ( 高松近郊 )

JR 高松駅 ( 本州四国・日本 )

り「四国の玄関口」として 四国の顔となり発展して

バスターミナル

配置

楽屋

きた。本計画では、連絡船

トイレ

とともに発展してきた高松

野外サブステージ

守衛室

リハーサル室

港周辺に新たな「劇場」を

バックヤード

チケットカウンター 事務室

計画するとともに、高松港

楽屋

機械室 EV

することを試みた。 「劇場」

アーティストラウンジ トイレ リハーサル室

搬送用 EV 倉庫

トイレ

倉庫

の魅力と海の魅力を再発見

ピット

昇降機

楽屋 EV

EV

トイレ

クローク メインホワイエ

エントランス

を中心として、周辺の都市 機能とリンクさせた「文化

アーティストラウンジ

シャワー室

サブホワイエ

サブホワイエ

サブホワイエよりメインホワイエを見る

芸術地区」をつくり、新し

エントランス

エントランス

N

チケットカウンター

い文化・芸術の発信場を形

4F平面

2F平面

1F平面 1/3200

成した。高松港の持つ歴史 や地域の文化を「高松の宝」 として発展していくことを 期待した。

客席よりステージを見る

2013年卒業制作 奨励賞

デザインコンセプト: アメーバと正円の関係 図書スペース

ぐるり、くるり、つどう

子ども

共有スペース

学生

運動

̶ヒガシスミヨシプレイス̶

広く、開放的に 内包感のある空間。 直線だと硬いイメージ

10E0017 橘川なつみ

高齢者 団塊の世代

曲面にすることでエッジが消える→柔らかさ、安全さ

娯楽

主婦

音楽

読書 ヒガシスミヨシ 工芸 プレイス イベント 食事 歴史 勉強 会議

東住吉区 で働く人

新しくこの場所にやってきた人

地域住民のためのコミュニ ティの拠点となる集いの 場を提案した。 「遠くの親 戚よりも近くの他人」を頼 れる地域づくりをつくりた いと考えた。小中学生たち A

が学校の帰りにこの場所に 寄って勉強したり遊んだ り、子連れのお母さんたち が集まっておしゃべりをし

ピロティ

たり、近くで暮らすおじい

読書室

運動室、集会室

貸出・返却カウンター

ちゃんおばあちゃんが集ま り情報交換をしたり、この

東立面

地域に暮らす人々が思い思

事務室 芝

いの時間を過ごす施設であ

和室 談話ホール

る。この地域に暮らす人々 にとって公園にくつろぎに

倉庫

来るような気分で、気軽に 立ち寄ることのできる場所

読書室、貸し出し返却受付 運動室、集会室

くつろぎスペース

図書スペース 事務室

子ども広場 談話ホール

和室 会議室

カフェ

A

を目指した。 配置・1F平面 1/1000

11

託児室

スロープ

会議室

調理室

工芸室 スロープ

吹き抜け

2F平面

A-A'断面 1/1000


A-A' 断面 1/600

惑星と宇宙の境目 心的外傷をもった児童には、1 人で心を休める 場所が必要不可欠である。コモンスペースに出 てくることが難しい児童も、まずはユニットご とのリビングに出ることができるような空間づ くりをした。ユニットの形はすり鉢のような形 をしており、壁ではなく緩やかな斜面によって リビングとの空間を仕切る。

縁側でつながる 一般住宅に近い直線的な小舎と、曲線的な大舎 を縁側でつなぐ。垣根ごしに隣人と会話するよ うに、「近所のひと」を感じられる距離を保つ。

小舎 B-B' 断面 1/600

1F 平面 1/800

設計者 浅井彩香(あさい・あやか) 1991年 岐阜県羽島市生まれ 2012年 岐阜工業高等専門学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学編入学 ぎふ建築・生活・芸術系学生 生徒優秀 作品展 最優秀賞(2012)、「渡辺篤史の スタジオ探訪」優秀賞 (2012)、環境デザ イン奨励賞 (2012) 受賞

2013年度卒業制作総評  小玉祐一郎 環境・建築デザイン学科には、住居・インテリア、建築、都市・ラン

地域ぐるみで子供たちを育てようという発想である。環境デザイン賞

ドスケープの3つのコースがある。入学してしばらくは、これらの専

を得た浅井さんは、シリアスな問題の解決をメルヘンのような情感あ

門領域を横断的に、総合的にとらえる基本的な知識や考え方、基礎的

ふれる表現に託し、子供たちの希望を具体化することに成功した。

な表現方法を学び、自分の適性や関心を確認しながら、次第に専門的

白石遼也君と小川明洋君はオーソドックスながら、建築の構築的な

な科目を選択し、それぞれの分野の専門家として必要な知識や技術を

面白さを示した。それぞれ三宮、高松という土地の特性を読み込み、

深めていく仕組みだ。環境デザイン実習は本学科の特徴的な設計演習

建築の力を信じ、閉塞しつつある現実をブレイクスルーしようとする

科目で、学年を追うごとに次第に複雑な課題に取り組む。3年の最後

意欲を評価したい。 杉田颯君は、どこにでもありそうな住宅地の個々

の設計課題では、初めて、コース別の課題が課され、一つを選択する。

の住宅の間の垣根を排除し、開放された空間を共用することによって

そして、4年になると、いよいよ総仕上げの卒業制作だ。半年をかけて、

コミュニティの再生を意図した。よい着眼点だ。橘川なつみさんは大

自ら課題を設定し、制作に取り組む。力が入る。

阪市東住吉区の既存市街地の活性化、中塚千帆さんは神戸埠頭の再開発

今年の卒業制作は子供の施設に関わる力作が多かったが、複雑化す

をテーマに、地道に取り組んだ提案が奨励賞を得た。

る社会を反映しているのだろうか。浅井彩香さん、西元太一君の作品

今年はバラエティに富んだ作品が賞に選ばれた。講評会には後輩も

は児童養護施設で、いずれも卒業論文で取り組んだ成果を組み込み、

顔を見せていた。よい刺激を受けたことだろう。学年を超えて交流が

事前のしっかりしたスタディを、よく生かしている。共通するのは、

多いのも本学科の特長だ。来年もまた期待できそうだ。

10


と な っ た 。

定 の リ ア リ テ ィ と 説 得 力 の あ る 提 案

ン の よ う な 抒 情 を た た え な が ら 、 一

提 案 さ れ た 作 品 で あ る ゆ え 、 メ ル ヘ

労 作 だ っ た が 、 そ れ を ベ ー ス に し て

し た 。 膨 大 な エ ネ ル ギ ー が 注 が れ た

較 さ れ 、 さ ま ざ ま な 課 題 を 明 ら か に

者 の コ メ ン ト 、 子 供 た ち の 意 見 が 比

調 査 か ら な り 、 設 計 者 の 意 図 、 運 営

察 調 査 、 児 童 ・ 職 員 へ の ア ン ケ ー ト

グ 、 現 地 で の 児 童 ・ 職 員 の 行 動 の 観

計 者 と 施 設 運 営 者 に 対 す る ヒ ア リ ン

施 設 の 事 例 研 究 で あ る 。 研 究 は 、 設

心 的 外 傷 を 持 っ た 子 供 の た め の 養 護

賞 。 p.7 参 照 ︶ 。 家 庭 内 で 虐 待 を 受 け 、

設 の 研 究 を し て い る ︵ 奨 励 賞 を 受

作  に 設 先 計 立 者 つ で 卒 あ 業 る 論 浅 文 井 で 彩 、 香 児 は 童 、 養 卒 護 業 施 制

い て 説 得 力 が あ る 。

ば な ら な い と い う 主 張 が 込 め ら れ て

天の川のつくり方

と 一 体 と な る よ う に 計 画 さ れ な け れ

組 み 込 ま れ て い る 。 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ

施 設 群 の 周 縁 は 街 の 一 部 に 溶 け 込 み 、

う に 、 さ ま ざ ま な 施 設 が 配 置 さ れ 、

外 部 と の 関 係 が 次 第 に 濃 密 に な る よ

い う 主 張 が 計 画 案 に 込 め ら れ て い る 。

が ら 、 徐 々 に 子 供 は 成 長 す る の だ と

周 辺 の 自 然 や 社 会 と の 関 係 を 築 き な

わ せ て 、 異 な る 施 設 が 必 要 と さ れ る 。

は 、 そ の 器 が 異 な る の で 、 成 長 に 合

を す る 。 幼 児 期 と 少 年 期 、 青 年 期 で

あ り 、 子 供 た ち は 家 族 の よ う に 生 活

対象敷地 岐阜県羽島市福寿町平方 4 丁目(東海道新幹線岐阜羽島駅南側にある空きビル街の一角)

「児童養護施設」とわたしたちの生活がつながる。その瞬間を可視化する。

Step.0

Step.1

Step.2

Step.3

昼夜問わず薄暗い対象敷地周辺

うちゅう町 4 丁目が出現

空きビル街に明かりが灯りはじめる

まちの明かりと繋がり、境目がなくなる

宇宙のつくり方 Step.1

Step.2

電灯合わせて小舎を配置

動線を確保したまま大舎を配置

Step.3

Step.4

Step.5

様々な中間空間を作るため、

小舎と街の関係性を考える

四季を感じる木や植物を植える

つまむ・のばす・つぶす

街路に面する・面さない

敷地の風向に合わせて開口を設ける

電灯 機能しているテナント ひとり暮らし用 賑わせる通り

うちゅう町をきっかけに、周囲の空きビルにアトリエや商店が入り、次第に賑わっていく。18歳を すぎた子どもたちがひとり暮らしをする為の場所として、12棟の空きビルをコンバージョンする。 オフィスから住居へのコンバージョンの際は、採光確保のため天窓をちりばめる。

主人公である女の子の成長を通して施設を説明する絵本。 卒業制作の一部として提出された

09

1

2

3

4

11

12

13

14


施 設 に は ﹁ 居 間 ﹂ が あ り 、 ﹁ 個 室 ﹂ が

家  族 こ が の 住 よ む う 住 な 居 施 の 設 よ は う 、 に 一 設 般 計 に さ 大 れ き る 。 な

る 施 設 な の だ 。

プ ロ ジ ェ ク ト の 提 案 対 象 と な っ て い

が 幼 児 期 か ら 少 年 期 を 過 ご す の が 、

重 要 な 部 分 で あ る の だ が 、 そ の 少 女

て い る 。 こ の 心 温 ま る 絵 本 も 作 品 の

語  わ ム し け 住 が の 向 場 子 儀 さ が そ る か て る む 、 プ に 所 供 な ま 作 の 。 ら 施 と こ 眼 ラ 開 は た く ざ 品 よ 街 設 こ と 下 ッ 発 新 ち さ ま と う に を ろ に に ト が 幹 が れ な と な 別 出 か な 広 ホ 進 線 住 た 理 も メ れ て ら る が ー ま の む 子 由 に ル を 、 始 児 る ム な 駅 施 供 で 絵 ヘ 告 同 ま 童 街 に い が 設 た 家 本 ン げ じ り 養 の 降 街 で の ち 族 に ・ る プ 、 護 一 り 。 き 計 。 と ま タ と ラ や 施 角 立 物 た 画 そ の と ッ こ ッ が 設 に っ 語 も で の 別 よ れ め チ ろ ト て を 自 た は の あ う を ら の で ホ 成 見 分 少 、 の る れ 物 終 ー 長 つ が 女 そ 一 。 な 余

子 供 た ち の た め の 住 小 居 玉 祐 一 郎

自 然 や 社 会 と 関 係 を 築 く

2013年度卒業制作 環境デザイン賞

うちゅう町4丁目

−家族を知らない子どもたちが つくる未来と宇宙−

10E0204 浅井彩香

うちゅう町の住民 一般的な児童養護施設では、児童+職員のみの生活が多い。うちゅう町では、様々な世代を巻き込むことにより家族を知らない 子どもたちが自分なりの家族のカタチを見つけ、家族と共に育った児童と同じような経験・感性をはぐくんで行くことができる。 わたし           兄

児童

職員

両親

里親

祖父母

クリエーター

地域住民

家族を知らない

施設職員

養子縁組里親

学生クリエーター

0∼18 歳の児童

心理療法士

専門里親

教室を開きたいクリエーター   孤立している老人

(実家族との関係修復が難しい児童)

ケースワーカー     短期里親 実習生

野菜づくりを教えたい老人

アトリエを求めるクリエーター  野菜を売りたい老人

他の里親との交流を求める里親

里親サロン

貸しアトリエ

グリーンセンター

カフェに併設された相談室

空きビルをコンバージョン

地域住民が育てた野菜を売る *存在するが活用されていない

5

6

7

8

9

15

16

17

18

19

10

おわり

08


環境・建築デザイン学科では、卒業論文と卒業制作の両方を必修として課している。自分の興味をもつテーマについて、所属ゼミの教員の指導を受けつつ 研究と設計を行い、最後の学年を送ることになる。論文と制作のテーマに関連を持たせてもよいし、別々のテーマでもよい。  論文を書くことは、自らの関心と課題を明確にし、調査し、読書し、考察し、そしてこれらの過程を通じて一定の成果を導く作業である。それには多大 な努力を要するが、その仕上がりの喜びは何ものにも代えられない。これらの研究を通じて、学問というものを垣間みることができるはずである。既存の 研究や著作・作品を読み解き、論じてもよいし、自らのユニークな着眼点を発展させ、深く追求するのもよい。新しい発見の予感を楽しもう。

「姫路城」というイメージの 消費構造に関する研究 10E0030 中塚千帆 世界文化遺産・姫路城という建物は、姫路市のシンボリックな存在であり、歴 史的に名高いゆえ、 実に様々なもののデザインに影響を与えている。本研究では、 著名な建築家による建築物や匿名的な市井の建築物、工作物、土産物などのグッ ズ、ゆるキャラなど、姫路城をイメージしてデザインされたものの事例を幅広

▲姫路城

く取りあげ、これらがどのようなメカニズムで成り立っているのかを調査し、 変形操作とその意味について考察した。

▶ソーラー式避難所案内板

◀長田こどもホーム

児童養護施設における児童の 過ごし方と空間性について 10E0032 西元太一

▼児童養護施設 双葉学園

児童養護施設について、社会では「家庭に複雑な事情を持った子どもを預かる 場所であり容易に介入することは難しい」 と思われている。社会的養護に関して、 社会や国民も十分に理解しているとは言えない状況である。本研究では実際に 様々な形態の児童養護施設を訪問し、見学することで、施設の構成、運営方法、 日々の交流方法をヒアリングを踏まえて調査し、施設に対する疑問解消を行う とともに、施設の重要性を明らかにした。 ▶住友春翠 (1865∼1926年)

住友須磨別邸についての研究 ̶須磨別邸がもたらした役割 10E0049 坂下拓也  現在、須磨は都市郊外において有数の別荘地帯としてのイメージが定着してい る。その中核にあるのが、須磨海岸沿いに建てられた別邸の数々だ。その中で も、英国人家庭教師を雇う等、当時のこの別荘群の中でも非常に珍しい別邸だっ たと言われていた「住友須磨別邸」に着目した。

◀旧住友須磨別邸   (大阪府立中之島図書館所蔵)  1903 (明治36) 年竣工  設計:野口孫市、 日高胖

◀三ヶ山学園:外観

本研究は、須磨別邸について、住友春翠によってどのような目的で建てられ、 また、どのような役割を果たしたのかを自伝書『住友春翠』等の資料をもとに 調べた。

心的外傷を持った子どもの求める空間 ̶児童養護施設三ヶ山学園のケーススタディを通して 10E0204 浅井彩香 本研究では、大舎制児童養護施設の在り方を設計者の意図と児童の活動実態・ 意識評価から検証を行うため、事例として、大舎制児童養護施設でありながら、 コモンスペースと吹き抜けを有し、家庭的空間づくりを試みた「三ヶ山学園」 を取り上げた。心的外傷を持った子どもの求める空間の考察を目的とし、以下 3

▶2階平面  好きな場所

07

点を明らかにした。1)子どもたちの暮らし方の実態、2)子どもたちの境遇 と求める空間の相関性、3)大舎制であっても家庭的環境づくりが可能か。


2013年度卒業論文

奨励賞

都市における市民農園の現状と 役割について̶神戸市を事例として 10E0004 飯沼一磨 消費者は安心・安全な食への関心を高めている一方で、国内農業は農業就業人 口の低下や耕作放棄地の増加に歯止めがかからず、農業を主力産業とする農村 は限界集落問題が発生するなど、日本の農業・農村は危機的な状況に立たされ ている。その解決手法の一つに、消費者が市民農園を利用することによって、 ライフスタイルにおける農と食の価値を高める手法に注目が集まっている。本 研究は、1)市民農園利用による利用者の現状、2)市民農園の実態と現状の ◀市民農場に期待される新たな効果

二点を解明することで、市民農園がまちづくりに寄与する可能性を研究した。

ベルリン・フィルハーモニーコンサートホールの 形態と機能̶ハンス・シャロウンの建築思想とその形態 ◀▼ベルリン・フィルハーモニー コンサートホールの空間考察

10E0013 小川明洋 ドイツの建築家ハンス・シャロウン (1893 1972) の表現主義建築は、連続的空 間や特異な形態があることが特徴である。この特異な「形態」はどのように生 みだされたのだろうか。本研究は、シャロウンを代表する建築である「ベルリ ン・フィルハーモニーコンサートホール」を例にして、特異な「形態」と音響 の面で優れていると言われる「機能」との相互関係を明らかにし、その上でシャ ロウンがいかなる思想の中でこのホールを生みだしたのかを分析した。

小野まつりに関する研究

̶新しい祭りの企画・運営等に関する事例研究 10E0014 小垂捺希 私の地元である小野市には夏に小野まつりがある。歴史は 35 年程と短く、伝統 的な祭りでもないのに、現在では 13 万人もの人が祭りに訪れる。なぜそのよ うな祭りが人を呼び寄せるのか不思議に思った。そして、その祭りが大きくなっ た理由として実行委員会の存在があると考えて調査した。実行委員会長であっ た人へのヒアリング、祭りへのスタッフとしての参加、かつて実行委員長であっ た人の著書の研究を中心に分析を行った。

▶小野まつり 会場地図

建築専門書店・柳々堂についての研究 10E0017 橘川なつみ 建築専門書店・柳々堂は、大阪市西区京町堀一丁目にある約 120 年の歴史をも つ書店である。柳々堂には一般的な書店とは違う大きな特徴が二つある。一つ は建築書を専門に扱い、 店内の三分の二が建築書であるということ。もう一つは、 ▲戦後すぐのころの柳々堂書店

自転車とバイクを機動力に本の配達をしているということである。  本研究では、建築専門書店として建築界を支えてきた柳々堂の歴史をひもと き、現状を記録することによって、これまで柳々堂が建築界にもたらしてきた

◀現在

事実を明らかにした。

06


患児家族滞在施設の共有スペースに関する研究(要旨) 1. 本研究の背景と目的 近年、医学の進歩によって、一昔前まで「不治の病」として恐れられて いた数々の病気が「治る病」に変わりつつある。小児がんは 7 ∼ 8 割が 完治するまでになり、その他の小児難病治療も日々着実に進歩している。 しかし、長期入院の場合、高度な医療を受けることができる医療施設は 都市圏に多いため、地方で暮らす難病患児とその家族は遠隔地から入院・ 通院をすることになる。不慣れな土地での長い闘病生活の中、治療費や

施設名 施設名 アフラックペアレンツハウス大阪(事例A) アフラックペアレンツハウス大阪(事例A) ドナルド・マクドナルド・ハウスおおさか・すいた(事例B) ドナルド・マクドナルド・ハウスおおさか・すいた(事例B) 患者・家族滞在施設リラのいえ(事例C) 患者・家族滞在施設リラのいえ(事例C) アフラックペアレンツハウス浅草橋(事例D) アフラックペアレンツハウス浅草橋(事例D) ドナルド・マクドナルド・ハウス東大(事例E) ドナルド・マクドナルド・ハウス東大(事例E) かんがる∼の家(事例F) かんがる∼の家(事例F)

所在 所在 大阪府 大阪府 大阪府 大阪府 神奈川県 神奈川県 東京都 東京都 東京都 東京都 東京都 東京都

訪問日 訪問日 2013年8月9日、9月10日 2013年8月9日、9月10日 2013年8月14日、9月25日 2013年8月14日、9月25日 2013年8月20日、21日 2013年8月20日、21日 2013年9月5日、6日 2013年9月5日、6日 2013年8月13日、9月3日、4日 2013年8月13日、9月3日、4日 2013年9月7日 2013年9月7日

表1

交通費だけでも高額であるのに、宿泊費や生活費が経済的負担に拍車を かけ、付き添い生活でのしかかる心身の負担・精神の負担は計り知れない。  このような闘病生活の苦労を軽減するための施設として注目されてい るのが「患児家族滞在施設」である。難病患児と付き添い家族のための 滞在施設として利用され、寄付金や企業の助成、ボランティアの力を導

事例A 親子での交流 事例A 親子での交流

事例B 異世代ボランティア交流 事例B 異世代ボランティア交流

事例C きょうだい児保育 事例C きょうだい児保育

入することで病院の近くに格安で宿泊することを可能にし、利用者の心 身の負担・経済的負担の解消という役割を担っている。施設には到着当 日から寝泊まりできる個室の他、キッチンやダイニング・子どもたちの ためのプレイスペースも備えられ、同じ境遇にある家族や子どもどうし の情報交換や支えあいの効果も期待される施設である。これまで、患児 家族滞在施設については運営手法や利用実態に関する調査研究は行われ ていたが、共有スペースに焦点を当てそこでどのような交流が起き、関 係者にどのような影響を与えているのかについて調査研究がなされたこ

事例D ボランティア間の交流 事例E 施設の周知活動イベント 事例D ボランティア間の交流 事例E 施設の周知活動イベント 事例調査により明らかになった共有スペースでの活動(一例)

事例F ボランティアと企業の交流 事例F ボランティアと企業の交流

度に差が見られていた。 (4)施設が抱える人的・物的支援の不足という問題に対し、共有スペー

とは無かった。また、今後の更なる施設普及および運営を担う人材育成

スで外部の人間と関わることにより支援を募る等の活動を行っていた。

が急務であるが、既存施設の取り組みや試行錯誤、諸施設のハード面・

実際に催しで得られた収益は施設運営費に充てられ、新たなボランティ

ソフト面の特徴や実態は利用者のプライバシー保護等の観点から情報を

アの獲得にも結びついていることから、共有スペースでの交流は施設の

公にしておらず、運営の参考となる情報交換・入手は難しい。

運営自体を支える役割を担っているということが分かった。

そこで本研究では、実際に共有スペースを有する患児家族滞在施設を

3-2. 考察

訪問し、それぞれの施設の空間構成や共有スペースの使用方法、利用者・ ボランティア・その他外部の人間の交流状況や催しの内容・頻度に関す る研究を行い、その中で施設および関係者に対しどのような効果をもた らしているのかについて明らかにすることを目的としている。

以上の調査結果から、以下のように考察した。 (1)共有スペースの連続性と交流頻度には関係性が見られ、空間に工夫 がある施設ほど関係者間の交流が多いと考えられる。 (2)共有スペースの連続性の有無は催しの頻度・規模に影響を与え、連 続性が見られる施設ほど多くの催しを行っている。

2. 研究の方法 2-1. 調査対象の選定

(3)病院関係者との交流の有無によって共有スペースの利用方法や催し の頻度に変化が見られる。

まず、全国 125 カ所で運営されている施設の情報が掲載されているウェ ブサイトから、独自にウェブサイトを開設している施設を探し、共有ス

4. 結論

ペースの有無を調べた。次に、大きな共有スペースを有する施設 6 カ所

情報公開が難しく、その資料が決して多くはない「患児家族滞在施設」

を選定し(表 1)、文書とメールにて問い合わせを行い見学の許可を得た。

ではあるが、本研究を通して①共有スペースの使用方法は多様化してお

2-2. ヒアリング調査

り、施設が抱える物的・人的支援の不足を解消するための活動場所であ

その後、6 施設へ訪問しボランティアや利用者・施設外の関係者にヒアリ

ること、②それらの交流から利用者・ボランティア・地域住民や企業ボ

ングを行い、施設の空間構成や共有スペースの使用方法、催しの有無、各々

ランティアそれぞれによい刺激を与えていることが分かった。共有スペー

の交流とそこで何を感じているのかについて調査を行った。また、6 施設

スを多様に活用することは、施設に関わる者全てに精神的成長や学び合

のうち許可を得た施設設計者に対し、共有スペースをどのように構成し

いというサイクルを与えている。現段階では共有スペースの連続性の有

たのか、その使用方法をどのように考えていたのかについてインタビュー

無により「利用者とボランティア間の関係性に距離ができる」 「催しの頻

を行った。これらの結果をソフト・ハード面で比較し、それらが生み出

度や規模に影響を与える」という課題と、病院関係者との連携体制の有

す交流が利用者に与える影響・施設ごとの特徴をまとめ、空間構成と交 流内容の関係性について次のことが明らかになった。

無と空間構成により「共有スペースでの催しの頻度や規模に差が生じる」 「共有スペースの衛生管理に影響を与える」という課題はある。しかし、 高度医療だけでなくその周辺の問題への支援が求められる現代において、

3. 結果と考察

このように利用者の心身の安全・安心を保障しようという患児家族滞在

3-1. 事例調査のまとめにより明らかになった結果

施設のもつ役割は、大変意義深いものであるといえるだろう。

(1)患児家族滞在施設の共有スペースでは、きょうだい児保育やバザー、 クリスマスパーティー、ボランティア交流会、病院関係者との交流会等、 様々な使用方法が実行されていた。 (2)交流方法は様々であるが、利用者間やボランティア間だけなく、利 用者・ボランティア・地域住民・企業ボランティア等立場の異なる人達 が交流をもち、各々に「支えられている」「精神的成長に繋がる」 「学ば せてもらっている」「社会貢献の実感を得られる」等の気持ちを抱かせて いることが分かった。 (3)空間構成の工夫や共有スペースの連続性により、関係者間の交流頻 05

▶卒論。資料編とともに提出された。 本編だけでも 200 頁を超える大作


事例A

1.

利用者が得ているもの 共有キッチンやダイニングでの他の家族と交流では、孤独感や辛さから解放される。

1.

ボランティアが得ているもの 利用者が元気を取り戻す姿には元気をもらっている。

アフラックペアレンツ

2.

ボランティアとの何気ない会話に、支えてくれる人がいると感じることができる。

2.

スタッフには一般ボランティアの他に、ソーシャルワーカー等専門の資格を有する者もおり、それぞれの専門的 得ることができ、患児家族に詳細を伝えること ることができる。

事例B

1.

ドナルド・マクドナルド・ ハウスおおさか・すいた

2. 3.

事例C

1.

患者・家族滞在施設 リラのいえ

外部の人間が得ているもの 施設自体が得ているもの 医療関係者はスタッフとの交流で施設の情報を 医療関係者との交流では感染症の知識を得

知識を共有することができる。

ハウス大阪

医療関係者との交流では施設管理に関する知識を得られている。 利用者の生活を整える中で、コミュニケーションの取り方や距離のとり方を学ぶ事がある。人を支える事は難し 1.

小・中学生ボランティアは身近に支援体験 1.

オープンハウスによって近隣への周知が

いての相談も話し合うことで不安の解消に繋がっている。

いが、その中で自分が成長すると感じる。

ができる施設があることで、普段感じない

できており、人的・物的支援を得られ

施設の構成上、ボランティアとの会話も多い。受付周辺ではよく立ち話をし、時には深く話し込ん 2.

常駐ボランティア同士の交流はもちろん、小・中学生のボランティア体験では子どもとの交流もある。ボラン

でしまう事もある。

ティア精神の共有では生き方・考え方を学び合う事ができ、子どもにもそれを伝えることができる。

クリスマス等のイベントやマッサージボランティアには一時の安らぎと温かさ等、目には見えない 3.

ボランティアの中には自宅が近所の人も多く、活動を通じて以前には見られなかった近所同士の交流が生まれ、

支援の気持ちも受け取っている。

地域ネットワーク構築に繋がっている。

日常的に他の家族とご飯を食べたり調理をする。孤独や病気に対する疑問を解決できている。ま

1.

た、共有スペースでの食事会等の楽しい時間を共有できるのもうれしい。 2.

きょうだい児保育で子ども同士楽しそうにしている様子や、大人とのかかわりの中で日々たくまし く育つ姿を見て安心感を覚える。

3.

4.

ができる。

3. 共有スペースでは頻繁に他の家族と話をする。同じ分野の病気の話を共有でき、退院後の生活につ 1.

刺激を受ける。 2.

2.

医療関係者との交流では共有スペース管

に、精神的成長を実感している。

理に必要な整備知識を学ぶ。

生活の中で見られる表情や声の変化や、利用者が毎日病院へ向かう姿に支えたいという思いが強くなる。日々笑 1.

定期的な施設の清掃や物資配達では、社員 1.

地域住民を招いての食事会やバザーで

顔や余裕が見られるようになると自分たちも元気になれる。利用者にも救われることは数多くあると感じてい

一人一人が刺激を受けている。

は、人的・物的支援を得られている。

会社全体としては、社会貢献が実行できて 2.

病院関係者との交流では、共有スペース

いるという実績。

を有効に活用するための専門的知識の

社員の中には、清掃以外にも保育等のボラ

支援を得る。

る。 2.

2.

きょうだい児や患児が大人との関わりの中で成長する姿に救われることもある。子どもたちが元気に遊ぶ姿は、

近隣住民や企業の人との関わりは、間接的に支えられていることを感じられる貴重な経験である。

非常に可愛らしく微笑ましい。

ボランティアと病院関係者の関係が構築されており、何気ない会話にボランティアや医師・看護師 3.

地域住民や病院関係者との交流では支えられている・見守られていると感じることも多い。特に病院関係者に

ンティアを手伝いたいと考える者も出てく 3.

企業ボランティアからは人的・物的支

の名前が出てくるたびに安心感を得られる。

は、共有スペースにおける感染症やアレルギーなどの課題に助言をしてもらえ、共有スペースをうまく活用する

る等、考え方や精神的成長が見られる。

援を定期的に得られている。

病院では話せないような小さな不安を、他の家族やボランティアとの交流の中で解消できている。

ために手を貸してもらっている。施設を安全に運営するためのパートナー。 4.

3.

2013年度卒業論文 学長賞

ている。

企業ボランティアは社会貢献の実績と共

患児家族滞在施設 の共有スペースに 関する研究

ボランティア同士でも学び合うことは多い。ボランティア活動の技術はもちろん、考え方や利用者と向き合う姿 勢に刺激を受けている。

事例D

子ども同士の関わりで親同士が繋がれることがあり、子育ての話や病院に関係する情報交換ができる。 1.

利用者を支える中で、逆に体調を気にかけてもらうことや子どもの成長してゆく姿に、支えられ見守られている スポンサー企業の社員は、ボランティアの考え スポンサー企業からの人的・物的支援を得

アフラックペアレンツ

ボランティアと子どもが交流でき、子どもが嬉しそうで安心できる。

ハウス浅草橋 事例E

1.

ドナルド・マクドナルド・ハウス東大 2.

のだと気づかされる。

や活動に刺激を受けている。

2. 母親同士、気軽に話ができている。特に、病気の子供を育てる親として知っておかなければならな 1.

先輩ボランティアに技術・考えを学ばせてもらっている。 利用者が懸命に付き添う姿に勇気を貰う。些細な変化に安心する。

1.

い情報を共有できる。

学生から定年退職したボランティアまで年齢層が様々であることから、世代を超えて交流している。お互いの生

2.

きょうだい児同士が交流をもち、年齢の異なる子ども同士が助け合いながら遊んでいる。きょうだ い児にしか分からないストレスもあるなかで、共に学び合い成長してくれていると感じている。

3.

き方や考え方に刺激をもらう事が多い。 3.

ボランティアと毎日顔を合わせることで信頼関係が出来上がる。

2.

病院関係者とは良好な関係を築けており、共有スペースでの催しに対し専門的な環境整備の助言を受けている。

ている。

病院関係者は施設の具体的な情報を得るこ 1.

オープンハウスでは地域住民からの人

とができている。

的・物的支援を得ている。

社会貢献を果たしているという実績。社員 2.

病院関係者との交流では、施設管理の

の心境にも影響を与えている。

ための専門知識を得る。

10E0041 矢賀えりか

企業との交流では、施設に対する考えや支援を受けることができ支えてもらっている。

事例F

利用者に関する詳しい話を伺えなかった。利用者同士が食材や道具の使用方法や感謝の思い等を書き ハウスオーナーとボランティアが交流をもつ機会は月に1度の活動日だけであるが、施設創始者からの話ではボラン 施設に全く関わりのない人間が出入りする機会 共有スペースでは催しを行わないため、特に

かんがる∼の家

込む連絡ノートから、良好なコミュニティ形成が行われていることが確認できた。

ティアとしての心持ちや考え、人間としての生き方を学ばせてもらっている。精神的に成長させてもらえる。

はない。

得ているものはない。

▲共有スペースが施設関係者および施設にもたらす効果 一覧

事例 A  アフラックペアレンツハウス大阪

リネン室

1

EV

倉庫

5 階 3 室(1 ∼ 3) 6 階 3 室(4 ∼ 7) 7 階 2 室(7 ∼ 8) 8 階 2 室(9 ∼ 10)

3

9 階 2 室(11 ∼ 12)

10 階平面図

5 階平面図

12

倉庫

1 階 ⑦図書スペース ⑧受付

4 階平面図

10

EV

6

⑪ランドリースペース

4

セミナー室と相談室を分ける壁 は開閉することができ、大人数

EV

7 階平面図

7

11

8

12

9

を招いての催しにも対応できる。

2 階平面図

ラウンジ

17

14

管理人室

15

共有スペース

⑮ ⑯

⑦ ⑧

ることもある。

3 階平面図

2 階平面図

4 階の共有スペースからは周

辺の景色を見渡すことができ

を楽しむことができる。

④プレイスペース ⑤図書室 ⑥ランドリールーム

7

⑦多目的室

8

9

10

個室

11

2 階 6 室(1 ∼ 6)

⑧スタッフルーム・受付

⑩庭(畑)

3 階 6 室(7 ∼ 12)

12

共有スペース 4 階 ①共有キッチン

3 階平面図

ため、気持ちよく調理や食事

4 階平面図

⑨ロビー

る。周囲には高い建物が無い

③共有リビング

とつの団体「がんの子どもを

EV

②共有ダイニング

2階 ⑤

施設運営を支えているもうひ 守る会」の事務所がある。

EV

※1 階には、NPO 団体と共に

①共有キッチン

① ②

優れない時に、共有リビング でアニメを見ながら食事をと

事例 E ドナルド・マクドナルド・ハウス東大

個室 2 階 6 室(⑬∼⑱)

患児やきょうだい児の機嫌が

EV

4 階平面図

1 階 12 室(①∼⑫)

④ ①

13

1 階平面図

⑬ ⑭

EV

16

6 階平面図

事例 B ドナルド:マクドナルド・ハウス・おおさか・すいた

度が高い。

6

図書スペースは 1 階にあり、受 付のスタッフと顔を合わせる頻

EV

リビング・ダイニング

⑩図書・情報スペース

5 階平面図

EV

5

⑦会議室

⑨ラウンジ

倉庫

4

⑥相談室 7 階 ⑧ランドリールーム

EV

10 8

②共有ダイニング

2 階 ⑤受付・スタッフルーム

6 階平面図

3 階平面図 管理人室

EV

2 3

7

5

WC

8 階平面図

3 階 ①共有キッチン

④プレイスペース

1

⑨カウンセリング室

10 階 ⑩ラウンジ

共有スペース

て使用されることも。

③共有リビング

④プレイスペース

3 階 ⑤セミナー室

EV

に、第 2 の相談室とし

7 階平面図

③共有リビング

⑥相談室

9

相談室が使用中の場合

EV

②共有ダイニング

WC

9 階平面図

5 階 6 室(7 ∼ 12)

4 階 5 室(13 ∼ 17)

ラウンジでは、2 階の

共有スペース

EV

① ② ③ ④

個室 6 階 6 室(1 ∼ 6)

リネン庫

4 階 ①共有キッチン

EV

11

事例 D アフラックペアレンツハウス浅草橋

個室

EV

2

②共有ダイニング ③共有リビング ⑤屋上テラス

れており、患児やきょうだい児が 収穫することもある。できた野菜

④プレイスペース

畑には季節の野菜や草花が植えら

は利用者の食事に使われる。

2

1

3

4

3 階 ⑥休憩スペース

5

1 階 ⑦ラウンジ

⑧図書スペース

と顔を合わせやすくなっている。

④ ③ 壁で仕切られているが、ガラス張

ダイニング・キッチン

大人の様子を見ることができる。

外部への周知活動であるオー プンハウスは、1 階の共有ス

事例 F かんがる∼の家

個室

5 室(1 ∼ 5)

に使用される。外部から直接スロープで入

②共有ダイニング

プレイスペースから直接テラスへ出ること ができ、預かり保育児には外で食事をとる

こともある。テラスには屋根が掛けられて おり、雨の日でも外で遊ぶことができる。

個室にはトイレや浴室が無く、必

5

ず部屋から出なければならない仕

WC

施設内は平坦であり、車椅子や歩行器で移

組みがつくられている。 ④

浴室

動しやすい。外部にはスロープがあり外部 への行き来も容易である。

2

は大きなガラス面があり、日中は 電気無しでも十分に明るい。

階段上 6 室(1 ∼ 6)

4

共有スペースとバルコニーの間に

個室

5

⑤ランドリールーム

4

3

④プレイスペース ⑥バルコニー

1

③共有リビング

3 2

階段下 2 室(7 ∼ 8)

共有スペース

6

①共有キッチン ②共有ダイニング

リビング

バルコニーにはハウスオーナーが

プレイルーム

③共有リビング ④プレイスペース

育てている植物がある。頻繁に水 やりを行っているが、施設内の管

⑤スタッフルーム・受付 ⑥テラス

▲調査対象とした患児家族滞在施設の共有スペースと平面図における空間分析

筆者 矢賀えりか(やが・えりか) 1991年 奈良県生まれ 2010年 奈良県立磯城野高等学校卒業 2010年 神戸芸術工科大学入学 大 阪 樟 蔭 女 子 大 学 主 催「 私 の 部 屋・ リ フォーム計画コンテスト 2009」優秀賞 (2009)、環境デザイン賞(2011) 、 「渡辺 篤史のスタジオ探訪」優秀賞(2012) 、建 築新人戦 2012 百選(2012)、 「吉良森子ワー クショップ」吉良森子賞(2013)受賞

︵ 教 員 に よ る 卒 業 論 文 査 読 コ メ ン ト 要 約 ︶

ク す べ き だ と 思 う 。

ら ず 、 一 般 に 公 開 し 、 社 会 に フ ィ ー ド バ ッ

る テ ー マ な の で 、 卒 論 で の 発 表 に と ど ま

①共有キッチン

1

性のある患児など隔離が必要とされる場合 ることができる。

共有スペース

洗濯機が備えられており、感染予防や危険

ペースを開放して行われる。

1 階平面図

階段下の個室 2 部屋にはキッチン、冷蔵庫、

7

が植わっている。

1階

8

やビワなど 6 ∼ 7 種類の植物

共有リビングとプレイスペースは

建物の周りにはソメイヨシノ

りになっており、子どもの様子・

事例 C 患児・家族滞在施設 リラのいえ

⑫会議室

2 階平面図

とスタッフルームがあり、利用者

駐車場

図書スペース

⑩エントランス ⑪展示スペース

個室棟と共有スペースの間に受付

⑨受付・スタッフルーム

6

研 究 の ひ と つ で あ ろ う 。 現 代 的 に 意 義 あ

こ れ ま で の 卒 業 論 文 の 中 で も 大 変 優 れ た

理を直接行うことは無い。

⑦ランドリールーム

度 の 高 い 論 文 で あ る 。 今 年 度 に 限 ら ず 、

文  章 内 表 容 現 は な も ど ち に ろ 関 ん し だ て が も 、 、 論 き 文 わ の め 組 て み 完 立 て 成 、

は な ら な い と 感 じ さ せ ら れ る ほ ど で あ る 。

心 と 熱 心 さ と を も っ て 再 構 築 さ れ な く て

は 大 き い 。 建 築 計 画 学 が 、 こ の よ う な 初

の あ り 方 に つ い て 方 向 性 が 示 さ れ た 意 義

夫 が も た ら す 効 果 の 分 析 か ら 、 共 有 空 間

の 課 題 を 整 理 し た 。 特 に 空 間 構 成 上 の 工

の 特 徴 を あ き ら か に す る と と も に 、 今 後

て い る 。 各 施 設 を 比 較 検 討 し 、 そ れ ぞ れ

ペ ー ス の 観 察 を 通 し て 、 綿 密 な 分 析 を 行 っ

ボ ラ ン テ ィ ア へ の ヒ ア リ ン グ や 共 有 ス

て  、 さ 現 ら 地 に 調 、 査 全 を 国 行 六 い か 、 所 利 の 用 施 者 設 、 を 運 対 用 象 に 者 、 し

し て 、 丁 寧 な 文 で ま と め た 。

複 雑 性 を 一 つ ひ と つ 確 か め 、 動 機 づ け と

施 設 の ニ ー ズ 、 そ の 抱 え る 課 題 の 多 様 性 、

れ な い 。 筆 者 は こ の よ う な 患 児 家 族 滞 在

い る 場 合 、 そ の 経 済 的 、 精 神 的 は 計 り 知

の ひ と つ で 、 小 児 の 家 族 が 地 方 に 住 ん で

設 が 大 都 市 圏 に し か な い こ と も そ の 要 因

施 設 を 必 要 と す る 。 高 度 な 医 療 を 行 う 施

小 児 が ん 等 の 難 病 患 者 の 多 く は 長 期 滞 在

04


E R I K A YA G A 学長賞インタビュー

矢 賀 え り か

03


を や り ま す 。 意 外 と ア ク テ ィ ブ な ん を ノ ー ト に 書 き 留 め ま す 。

だ か ら 、 こ れ か ら も で き る 限 り バ

ぶ り を 見 る 機 会 が 多 か っ た 。 木 を 加

だ っ た の で 、 幼 い 頃 か ら 、 そ の 仕 事

て い る の で す が 、 工 場 の 二 階 が 住 居

土 日 は 、 年 に 何 回 か 他 チ ー ム と 試 合

て い ま し た 。 平 日 の 夕 方 に 練 習 し て 、

社 会 人 の バ レ ー ボ ー ル チ ー ム に 入 っ

高 校 、 そ し て 大 学 に 入 っ て か ら も 、

レ ー ボ ー ル で す ね 。 小 学 校 、 中 学 校 、

あ れ も し た い 、 こ れ も し た い 。 そ れ

ん ア イ デ ィ ア が 出 て き ま す 。 あ あ 、

ル の 帰 り の 電 車 の 中 な ん て 、 ば ん ば

矢 賀

父 は 奈 良 県 桜 井 市 で 宮 大 工 を や っ   そ の 中 で 唯 一 続 い て い る の が 、 バ ア が 出 て く る ?

そ う な ん で す !   バ レ ー ボ ー

リ ー グ ﹂ や ﹁ デ ザ イ ン 女 子 No.1 決 定 戦 ﹂

で す 。 だ け ど 、 病 院 建 築 に は 興 味 が

く て ⋮ ⋮ 。 子 供 が 苦 手 な く ら い な ん

矢 賀

響 も あ っ た か も し れ ま せ ん 。

す が 、 父 が 建 築 関 係 だ っ た と い う 影

た ま 通 っ て い た と い う の も あ る の で

考 え た の は 、 知 り 合 い の 先 輩 が た ま

し ま し た 。 こ の 高 校 に 進 学 し よ う と

科 が あ っ て 、 私 は イ ン テ リ ア を 専 攻

= イ ン テ リ ア ﹂ に つ い て 勉 強 す る 学

と い う ﹁ 衣 = フ ァ ッ シ ョ ン ﹂ と ﹁ 住

野 高 等 学 校 に は 、 ラ イ フ デ ザ イ ン 科

矢 賀

早 く で き る よ う に な っ て し ま う 。

ら 、 た ぶ ん 、 ま わ り の 子 た ち よ り も

く て 、 つ い つ い や り 過 ぎ て し ま う か

し ま う ん で す 。 や っ て る と き は 楽 し

親 は 好 き に し た ら い い よ 、 と 。

に 報 告 す る 、 と い う 感 じ で し た 。 両

く 話 を つ け て し ま っ て 、 後 か ら 両 親

ち ゃ う ん で す 。 先 に 自 分 で 習 い に い

矢 賀

イ ッ チ が 入 る 。 切 り 替 え を し な い と 、

て 、 建 築 を 設 計 す る と き は 、 建 築 ス

す る と き は 、 バ レ ー ス イ ッ チ が 入 っ

く い か な い ん で す 。 バ レ ー ボ ー ル を

ボ ー ル を し て い な い と 、 建 築 が う ま

は も の す ご く 関 係 が あ っ て 、 バ レ ー

て す ご く 良 い 環 境 で し た 。

い て 聞 い て く れ る 。 そ れ は 、 私 に と っ

は い わ ず 、 ま ず は 、 ア イ デ ィ ア に つ

る 時 が あ る か ら こ そ 、 い い ア イ デ ィ

建 築 の ス イ ッ チ を オ フ に し て い

だ け だ と だ め な ん で す 。

で と 矢 卒 す に   賀 業 。 か く 自 設 、 分 計 死 の は ぬ 家 、 ﹁ ま を せ で つ ん 設 く だ 計 り い を た デ や い ザ り で イ た す ン い 。

で も 、 ち ょ っ と 上 達 す る と 飽 き て い い ア イ デ ィ ア が 出 て こ な い 。 建 築

い で す 将 か 来 ? は 、 ど う い う こ と を や り た

何 だ っ た の で す か ?

実 は 、 子 供 に は 全 く 興 味 が 無

す る 建 物 に 興 味 を 持 っ た き っ か け は

小 児 が ん 等 の 難 病 患 者 の 家 族 が 滞 在 う し て で す か ?

私 が 通 っ て い た 奈 良 県 立 磯 城

病 院 と 住 宅 の あ い だ

究 ﹂ と 評 さ れ た 秀 作 で も あ る 。

で の 卒 業 論 文 の 中 で も 大 変 優 れ た 研

お い て 、 ﹁ 今 年 度 に 限 ら ず 、 こ れ ま

大 作 だ 。 教 員 に よ る 査 読 コ メ ン ト に

施 設 に つ い て の 資 料 編 が つ く と い う

頁 を 超 え 、 さ ら に 調 査 対 象 と な っ た

建 築 に 近 し い 環 境

状 で す 。

か な か 施 設 が 増 え て い か な い の が 現

し 、 資 金 や 人 材 の 問 題 が あ っ て 、 な

O 等 が 働 き か け を し て い ま す 。 し か

う も な い 問 題 で 、 現 在 、 外 部 の N P

い の で す が 、 病 院 だ け で は ど う し よ

そ ろ ば ん 、 バ レ エ 、 水 泳 、 ピ ア ノ 、

矢 賀

﹁ 患 児 家 族 滞 在 施 設 ﹂ と い う

建 築 を 志 そ う と 思 っ た の は ど

す が 、 ど れ も 続 か な く て 。

ご 両 親 が 教 育 的 だ っ た ?

違 い ま す 。 私 が や り た く な っ

な い く ら い 習 い 事 を や っ て 来 た の で

書 道 、 ハ ン ド ボ ー ル ⋮ ⋮ 。 数 え き れ

す ご く 飽 き 性 で し た 。 絵 画 、

か れ け 習 も 距 矢 私 も は る が し 離 賀   に 。 設 忍 大 れ の 計 耐 事 ま 感 デ と を 力 だ せ 覚 ザ っ す や か ん は イ て 、 る 集 ら 。 研 ン 建 時 中 、 ま ぎ と 築 に 力 同 た す い と 役 が じ 、 ま う バ に 必 こ ス さ 面 レ 立 要 と ポ れ で ー っ で を ー て い ボ て す や ツ い う ー い 。 り は る と ル る そ 続 練 か 、 乏 し い 案 で も 、 頭 ご な し に 無 理 だ と

で の は を る が 矢 芸 す 環 楽 広 こ 決 賀   工 が 境 し げ と ま 大 。 に く な も っ 住 浸 て い 考 て 宅 の か 自 と え い メ 先 っ 由 だ て ま ー 生 て だ め い す カ 方 し か か た 。 ー は 、 ま ら な の 大 の リ い 、 、 で 学 設 ア た つ と す 院 計 リ く い 。 が に 部 テ な つ 芸 、 進 に ィ る い 工 世 学 就 に の そ 大 界 す 職

建 築 は 関 係 あ り ま す か ?

賀 さ ん に と っ て 、 体 を 動 か す こ と と か ?

滞 在 施 設 の 共 有 ス ペ ー ス に 関 す る 研

賀 え り か さ ん の 卒 業 論 文 ﹃ 患 児 家 族

長 賞 ﹂ が 与 え ら れ る 。 今 年 度 は 、 矢

の 両 方 の 中 で 一 番 優 れ た も の に ﹁ 学

論 文 と 卒 業 制 作 の 両 方 を 提 出 し 、 そ

神 戸 芸 術 工 科 大 学 の 四 年 生 は 、 卒 業

す 建 も て ん 滞 こ 。 物 ち い な 在 う 自 ろ る 明 す い 体 ん の る る う は 、 は か 大 、 背 、 っ 人 施 た 景 私 た も 設 だ は の 。 子 が の 深 方 色 供 も 滞 刻 だ 眼 も っ 在 で っ 鏡 、 と 施 す た を 働 増 設 が ん か く え な 、 で け 人 る ん こ て も と す い で の 。 見 み

飽 き 性 だ っ た 子 供 時 代

ど ん な 子 供 だ っ た ん で す か ?

究 ﹄ が 選 ば れ た 。 本 編 だ け で 二 〇 〇

い か と ず っ と 思 っ て い る ん で す 。 矢 ̶

に も 提 出 し て み よ う と 思 い ま す 。 そ

あ り ま し た 。 病 院 は 例 え ば 入 院 を す

̶

か 対 年 こ ら し 間 で 。 て 、 、 、 設 評 こ 計 価 の を を ま が も ま ん ら で ば え は っ る 終 て と わ き い れ た い ま こ な せ と 。 ん に 四

る と 、 人 が 長 期 間 暮 ら す 建 物 で も あ

卒 業 後 は ど う さ れ る ん で す

ま こ た も す い ち ら 。 い の っ ! 世 た ﹂ 界 り と に し 感 対 て じ し い た て ま こ 、 し と ﹁ た を と 。 覚 て 職 え も 人 て か さ い っ ん

を 数 え た り 、 工 事 現 場 を 見 学 さ せ て

が デ ザ イ ン と 関 係 し て い る の で は な

バ レ ー ボ ー ル と 建 築

独 自 の 身 体 能 力 を 持 っ て い て 、 そ れ

こ れ か ら の こ と

̶

で す よ ︵ 笑 ︶ 。

工 す る た め の サ ン ダ ー や 電 ノ コ の

る わ け で す 。 病 院 と 住 宅 の あ い だ に

̶

ウ ィ ー ン と い う 音 が 部 屋 に 聞 こ え て

研 究 を 終 え て 、 見 方 が 変 わ っ た

あ る 建 築 っ て 何 だ ろ う と 考 え た 時

̶

く る よ う な 環 境 で し た 。 父 は 図 面 も

調 査 を 行 う ま で は 、 こ の 施 設

に 、 ﹁ 患 児 家 族 滞 在 施 設 ﹂ の こ と を

̶

描 く し 、 現 場 に も 出 て い ま し た 。

知 り 、 興 味 を 持 ち ま し た 。

こ と は あ り ま す か ?

̶

矢 賀

̶

を ナ ー バ ス な 世 界 だ と 思 っ て い た の

̶

で す 。 で も 、 実 際 に 訪 れ て み る と 、

運 動 が 得 意 な 建 築 の 設 計 者 は 、

う に な い で す ︵ 笑 ︶ 。

す 。 続 け な い と 仕 事 が う ま く い き そ

五 ∼ 六 歳 く ら い の 頃 は 、 部 品 の 数

レ ー ボ ー ル は 続 け て い く と 思 い ま

Interview/Text: Miki Ishisaka Photo: Kazuki Ohmichi 02


Contents [学長賞インタビュー]矢賀えりか [卒業論文 学長賞]患児家族滞在施設の共有スペースに関する研究

02 矢賀えりか

[卒業論文 奨励賞]飯沼一磨・小川明洋・小垂捺希・橘川なつみ

04 06

中塚千帆・西元太一・坂下拓也・浅井彩香 [卒業制作 環境デザイン賞]うちゅう町4丁目−家族を知らない子どもたちがつくる未来と宇宙− 浅井彩香

08

[卒業制作 奨励賞]小川明洋・橘川なつみ・杉田颯・中塚千帆・西元太一・白石遼也

11

[1年生の主な授業]

14

[小規模な公共建築のデザイン]風のいたずら

岡田真弥

16

[小規模な公共建築のデザイン]額縁のアトリエ

柳谷菜穂

18

原逸聖

19

[広場・公園のデザイン]パブリックの小数点

岡田真弥

20

[広場・公園のデザイン]ARTの森

川下史博

22

[広場・公園のデザイン]Green Line

孫帥亮

23

[すまいのデザイン]ideaの箱

鈴木勇司

24

[すまいのデザイン]BUILDING S

上村昂平

26

[すまいのデザイン]wrap

柳谷菜穂

27

[小学校と幼稚園のデザイン]まちのゆりかご

土居瑞季

28

[小学校と幼稚園のデザイン]AGAIN

飴野拓

29

[小学校と幼稚園のデザイン]タルミノスキマ

村田晶規

[小規模な公共建築のデザイン]Interface

30

[集合住宅・住宅地のデザイン]循環する人々 Container House      正井敦子・大崎麗

32

[集合住宅・住宅地のデザイン]みなとまち              熊澤花絵・奥土居好美

34

[集合住宅・住宅地のデザイン]神戸の街とつながる          高橋恵子・中野あかり

35

[住居・インテリアデザイン総合実習]Walk in Wonderland

土居瑞季

36

[住居・インテリアデザイン総合実習]木に囲まれた癒し空間

木村奈保子

38

[建築デザイン総合実習]Chiharu Shiota Museum of Contemporary Art

飴野拓

40

[建築デザイン総合実習]いつもの道と

熊澤花絵

42

[都市・ランドスケープデザイン総合実習]furoe−それは灘をアクティブに巡るということ−

小野宏陽

44

[都市・ランドスケープデザイン総合実習]神戸観光に2日目の提案−陸のふね 海のじてんしゃ− 荒川純一

45

[都市・ランドスケープデザイン総合実習]神戸宇宙空港

46

奥土居好美

[渡辺篤史のスタジオ探訪]現代の聴竹居 藤井厚二を超えろ !

48

[吉良森子ワークショップ]高齢になってからの暮らしを考える

50

[総合プロジェクトE]歴史的町並みまち歩きマップ

52

[卒業生紹介]野口強司

54

[卒業生紹介]東端秀典

55

[TOPICS & COLUMNS]

54

「EMiLA ワークショップ 2013」参加報告

川北健雄

2013 年度「トークセッション」と「ようこそ先輩」

花田佳明

JIA 近畿支部大会 学生コンペティション

板谷宏太

「ミキシル」に参加して 沙弥島アートプロジェクト「西ノ浜の家」 「伊東豊雄特別講義」レポート 神戸ITフェスティバル2013 イベント会場(KIITO)デザインプロジェクト 「Landworks Sardinia 2013」参加報告

丸本祥子 藤山哲朗 山田圭誠   小菅瑠香 井垣量子

教員・研究室紹介

61

環境デザイン学科カリキュラム紹介

64

学科ニュース+編集後記


プラクシスとは : 自由人による公共的な事物のための討議や創造的実践を意味する

この作品集は、神戸芸術工科大学環境・建築デザ イン学科の 2013年度の主な設計実習と卒業研究、 学科活動の成果をまとめたものである。 PRAXIS 2014 環境・建築デザイン学科 2014年4月1日 初版一刷発行 編集委員:花田佳明・鈴木明・小菅瑠香  編集:石坂美樹 (miki ishisaka editorial office) 発行:神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科    〒 651-2196 神戸市西区学園西町 8-1-1     TEL 078-794-5031 FAX 078-794-5032     URL http://www.kobe-du.ac.jp/env/ 印刷・製本:明光印刷 表紙:うちゅう町4丁目−家族を知らない子ども    たちがつくる未来と宇宙− 浅井彩香


神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科

2014


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