KOBE DESIGN UNIVERSITY Department of ENVIRONMENTAL DESIGN
環境デザイン
禅昌寺キオスク グッドデザイン賞 受賞
学科ニュース
明舞団地プロジェクト 「明舞団地市民フォーラム」への参加
本学科のプロジェクトチーム(川北教授・花田教授・
明舞団地町開き50周年記念イベントの一つとして市
News
小菅助手・中村助手)が企画・設計を行った「禅昌寺
民フォーラムが開催され、三上教授と学生有志7人が
キオスク」が、2014 年度グッドデザイン賞を受賞。昨
参加した。新たな明舞センターの設計案をプレゼン
2014.04-2015.03
年の「鈴木文化シェアハウス」に続けて2年連続の受
テーションし、ディスカッションにも参加した。
賞となった。敷地は神戸市須磨区の禅昌寺町で、3軒 長屋のうちの2軒を若者向けのシェアハウスに改修し た。改修前の中央の住戸の1階では、かつてパン屋が
2014 年度環境・建築デザイン公開講義
営まれており、建物の交差点に面する位置には地域サー ビスの一環として飲み物の自動販売機を設置していた。
2014 年度は、下記の公開講義を行った。公開講義は入
そのような記憶を継承する意味も含めて、改修後は、
場料無料で、学生だけでなくどなたでも参加可能。
自動販売機を置いた休憩スペースを街角に設け、ご近
● 6/22(日)竹口絵美
所の方々も気軽に立ち寄れる場所とした。
『建築×インテリア』 ● 7/2(水)ナカムラケンタ 『建築をあきらめないために建築家をあきらめた』 ● 7/16(水)小池志保子
2014アーバンデザイン甲子園で優秀賞
『地域の小さな「空き」をつかって、まちに関わる』 ● 7/30(水)佐藤慎也
2014 年のアーバンデザイン甲子園(12月7日大阪・船
『建築計画とリノベーション』
場アートカフェ)で、 4年生の小野宏陽君が優秀賞(準
● 8/6(水)魚谷繁礼
優勝)を獲得した。提案内容は、神戸市灘区に点在す
『京都の都市構造とリノベーション』
る銭湯をめぐるプログラムをつくることによるまちづ
● 10/8(水)進士五十八
くり企画であり、 「froe.」と題された作品である。
『ランドスケープの方法・日本庭園から景観多様性まで』 ● 11/12(水)吉良森子 『建築の、「ひとつ」と「たくさん」ついて』
EMiLAサマースクールに参加
● 11/18(火)貝島桃代
2014年8月28日から9月6日まで、ドイツ北部のアマー
『コモナリティーズ』
ランド地方にて、ランドスケープの分野で著名なヨー
● 12/10(水)松村秀一
ロッパ 5 大学が共催する「EMiLA サマースクール」が
『建築-新しい仕事のかたち』
開催された。ゲスト校として招かれた本学からは、川
● 1/7(水)後藤治
北教授、長濱准教授、宮本助教と大学院生が参加し、 「多
『世界からみた日本の歴史的建築物保存
様な土地利用の混在と地域の魅力づくり」というテー
ー日本は保存後進国?ー』
マに取り組んだ。
カオス2014 神戸芸術工科大学卒展 2015年2月6日〜8日、 『カオス 2014 神戸芸術工科大学 卒展[学部・大学院] 』が2会場で行われた。本学科 は原田の森ギャラリーにて展示。多くの方々が来場し て、作品鑑賞や卒業論文の閲覧をしていただき、4 年 間の学業の成果を広く発信することができた。
長濱准教授が 「日本造園学会奨励賞」 受賞 本学科の長濱伸貴准教授が、公益社団法人日本造園学 会の 2013 年度日本造園学会奨励賞(設計作品部門)を 受賞。新人賞のような位置づけの賞で、最近の3作品 について、ランドスケープデザインの設計活動の実践 が評価された。
Kyoto Landscape Collection 2015 ランドスケープ 7 大学展 ランドスケープ7大学展とは、関西でランドスケープ を学ぶ7つの大学の学生が企画・運営し、各自の作品 を展示する展覧会である。本学科からは、大学院生 2 名が出展。11 月 30 日には、京都の元・立誠小学校の 講堂において、出展された選抜作品の講評会が実施さ
左:なんばパークス2期ランドスケープデザイン / 中:京染会館「京 染めの庭」/ 右:上本町 YUFURA ランドスケープデザイン
れた。
編集後記
』四冊目をお届け PRAXIS し ま す。 今 回 の 卒 業 生 紹 介 に は、 新
新 生『
生『 PRAXIS 』一冊目の学長賞インタ ビューに 登 場 し た 西 口 冬 悟 君 が 登 場
し て く れ ま し た。 教 師 と 大 学 に と っ
て、 卒 業 生 が 自 分 の 目 標 に 向 か っ て
歩んでいる姿を見ること以上の喜び
は あ り ま せ ん。 今 回 は、 学 生 に よ る
原 稿 や 構 成 頁 も 増 や し ま し た。 目 次
と学長賞インタビュー頁の写真も学
生 の 撮 影 で す。 こ の 雑 誌 が、 本 学 科
とそこに集まる若者とのアジールの
[花田佳明]
ような存在になればいいなあと思っ
●
た次第です。
今年度の 『 PRAXIS 』 は、昨年度掲載し たものとは一転して、 いかにも「建築」
らしいソリッドな写真が表紙として
選ばれました。表紙を開くと、美術館
のおおきな空間に展示された大型の
模型と、学長賞を獲得した飴野拓君の
堂々たる写真が掲載されています。ま
さに芸工大生の多様さや毎年異なる
特徴的なカラーがここに表れている
と言えるでしょう。そして、時代の潮
流を敏感に感じ取りながらも、 「建築」
の力を信じ、示そうと強く願うことの
[中村卓]
重要性を、編集を通して改めて教わっ
たような気がします。
●
今年度は卒業制作の講評会レポート
を掲載することになり、私がまとめて
みました(八~九頁) 。都 市 と 建 築 の
関 係、 残 土 処 理 場、 ま ち づ く り、 不
可 視 の も の を 建 築 化 す る 試 み、 郊 外
の 商 店 街 の あ り 方 ……。 本 当 に 多 種
多様なテーマがあり、終始、興味深く、
勉強になりました。すべての問題を建
築(やその周辺の概念)で解決できる
わけはありません。でも、私は建築の
力を信じています。学生のみなさんの
アイディアはまだ、発芽のようなもの。
[石坂美樹]
これから、どんどん育てていってほし
いと思いました。
環境デザイン学科 4年間の学び 私たちを取り巻く環境には、都市や公園のような大きな空間から住宅のような小さな空間まで、スケールも用途も様々な空間がある。それらは、人々のつ ながりや周辺の自然のあり方と相互に密接に関係しあい、私たちの生活空間を形成している。一方、それは人々の記憶を蓄積し、反映した歴史的空間でも ある。環境デザイン学科では、生活空間が成り立つ仕組みを理解し、時代が求める新しい空間をデザインする方法を学ぶことを目標としている。「まちづく り」 「ランドスケープ」 「建築」「リノベーション」の4つのコースがあり、全コースに共通する基本的な知識や技能を身につけた後、ひとりひとりの適性や 関心に応じて、コースごとのより高度な専門分野へと学習を深めていく。
基礎技能の学習
1
年
環境デザインの基礎を しっかりと学ぶ
学科共通科目 環 境 デ ザ イ ン と は Ⅰ・Ⅱ | 建 築 構 造 入 門 | 近 代 建 築 の 歴史|環境デザイン基礎演習Ⅰ・Ⅱ| CAD基礎演習 特別科目 フレッシュマンセミナー|環境デザイン特別講義A
環境や建築のデザインをこれから学ぼうとする学生が知ってお くべき基本的な考え方を、講義科目を通して学んでいく。演習 科目では、デザインを行うための基礎的な技術を修得する。今 後の履修に必要な基礎をしっかり固めていく。
共通専門領域の学習
2 年
すべてのコースに共通した 専門科目を学習する
学科共通科目 日本建築の歴史|西洋建築の歴史|力の流れと安全| 建築空間のデザイン|都市空間のデザイン|ランドス ケープデザインの歴史|ランドスケープ空間の歴史| 建築と熱・光・空気のデザイン|構造のデザイン| CAD 応 用 演 習 | 環 境 デ ザ イ ン 実 習 Ⅰ・Ⅱ | デ ザ イ ン プ ロ セ ス論|福祉住環境論|ワークショップ 特別科目 環境デザイン特別講義B
「まちづくり」「ランドスケープ」「建築」 「リノベーション」の 各専門分野に関係の深いバラエティに富んだ科目を編成。実習 科目はスタジオでの制作が中心になる。学科の専任教員だけで なく、講師として招いた各領域において優れた実績をもつ専門 家が指導する。
まちづくりコース
ランドスケープコース
後期からはコース別に分かれた学習が始まり、実習科目の課題
建築コース
より専門的な課題に取り組み 卒業研究に向けた準備を行う
リノベーションコース
3 年
内容もそれに対応して分かれる。それぞれの専門に特化したテー
学科共通科目 建築と法規|まちづくりのしくみ|住居・集落・街|ラ ンドスケープのプランニング|環境制御の技術|施工 の技術|コミュニティのデザイン|インテリア空間の デザイン|リノベーションの理論と実践|構造デザイ ン の 実 践 手 法 | 環 境 測 定 ワ ー ク シ ョ ッ プ | 構 造・材 料 ワークショップ|環境デザイン実習Ⅲ|照明デザイン コース科目 まちづくり総合実習|ランドスケープ総合実習|建築 総合実習|リノベーション総合実習 特別科目 環境デザイン特別講義C
マについて実習と演習課題をこなしていくことで、高度な知識 と技術を身につけていく。3 年修了時には、それぞれのゼミ配 属を決定する。
4 年
ゼミに所属し研究活動 4 年間の成果をまとめる
卒業研究 地域 都市 集落 コミュニティ
コース科目 環境デザインプロジェクトA・B・C 特別科目 環境デザイン特別講義D |卒業研究
団地 まちなみ 歴史 文化 街路 広場 公園 緑地 エコロジー 持続性 エネルギー 風景ウォーターフロント
ゼミに所属し、それぞれの研究テーマを専門とする教員からの 個別指導を受けながら、卒業研究(卒業論文と卒業制作の両方) に取り組む。卒業研究は、専門コースごとに分かれた学習内容 を再び統合化する役割も担っており、どのコースでもさまざま な職業・資格に結びつく教育を実践している。
公開空地 オフィス 店舗 福祉 教育 公共施設 保存 再生 改修 住宅 インテリアリ フォーム 照明 舞台
※インタラクションデザインコース対象者には別途専門科目が設置されています。
インスタレーション 家具 ディスプレイ パフォーマンス
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教員・研究室紹 介 山之内 誠
学部4年生/卒業論文タイトル 金銅亜希子/町ぢゅう美術館について
YAMANOUCHI Makoto
—兵庫県たつの市の高校生たちによる観光地づくり
大学院芸術工学研究科准教授
二重兼士/稲美町のため池の活用方法 上林翔/スポーツと地域活性化についての研究 —阪神タイガースにおける地域活性化活動を例に 林諒亮/日本のステンドグラスに関する研究—小川三知の作品を通して 坂東秀晃/アニメによる町おこしの可能性—大洗町を対象にして 平井明子/大河ドラマと町づくりに関する研究—神戸 de 清盛 2012 を例に
専門 日本建築史、文化財保存論(博士(工学)) 学歴 東京大学工学部
森垣彰吾/理想のサッカースタジアムとは
建築学科卒業(1992)/東京大学大学院博士課程修了(2000) 職歴 建
—2002 日韓ワールドカップ開催スタジアムの現在から
設省技官(1992-93)著書・論文 太山寺観音堂・羅漢堂保存修理工事報
鶴濱舞/兵庫県における古民家再生の実態調査
告書(太山寺 2004)/関于日本的地区性文化遺産建筑的維修工事課題(世
—篠山の新右衛門さんの家をとおして
界文化遺産亜洲国際研討会論文集 2007)/建築空間構成と民族芸術からみ た中国山西商人の伝統的住居の特性に関する研究(科研報告書 2011)/三 木の町並み ( 共著、三木市文化遺産活性化実行委員会 2014) /近世讃岐国 善通寺における伽藍構成の変遷 ( 仏教美術論集第 7 巻、竹林舎 2015) 他
◀ゼミ室にて
宮本 万理子
学部4年生/卒業論文タイトル 木場翔太/工業高校の現在と過去の違い—兵庫県立尼崎工業高等学校建築科
MIYAMOTO Mariko
松田一平/高齢化社会における街区公園の利活用に関する研究
環境デザイン学科助教
—神戸市西区学園西町を例として 岸野翔/六甲山にみる治山事業に関する研究 —本多静六による植林計画を通じて
専門 ランドスケーププランニング、緑地環境計画、景観計画、緑のまち づくり(博士(環境学)) 学歴 慶應義塾大学環境情報学部卒業(2005) /東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了(2012) 職歴 東 京大学大学院新領域創成科学研究科特任研究員 活動 柏市緑の基本計画 (共同)策定支援(事務局、調査報告書作成) (2007-09) 論 文 下 総 台 地 に おける牧景観の特徴とその変容過程に関する研究(学位論文 2012)/牧 の払い下げ形式にもとづく下総台地における景観の特徴解明(共著、ラン ◀大学キャンパスの中庭にて
ドスケープ研究 2011)他
中村 卓
NAKAMURA Suguru 環境デザイン学科助教
専門 近代デザイン史、デザイン論、建築意匠(博士(デザイン学)) 学歴 筑波大学芸術専門学群建築デザインコース卒業(2005)/筑波大 学大学院修士課程芸術研究科デザイン専攻建築デザイン分野修了(2007) /筑波大学大学院博士後期課程人間総合科学研究科芸術専攻建築デザイン 領域修了(2012) 論文 G. Th. リートフェルトのレッド・ブルーチェア 研究—意匠・構造の特性とその歴史的意義—(学位論文 2012)/レッド・ ブルーチェアの寸法分析による構成的特徴の抽出 —G. Th. リートフェル トの家具作品研究 (1) —(共著、デザイン学研究 2012)他
▲「視線の方舟 -sight ark-」神戸ビエンナーレ 2013 参加作品(デザイン・制作スタッフ)、ハーバーランド
伊東 豊雄 ITO Toyo
環境デザイン学科客員教授
専門 建築設計 学歴 東京大学工学部卒業(1965) 職歴 菊竹清訓建 築設計事務所(1965-69)/アーバンロボット(URBOT)設立(1971)/ 事務所名を伊東豊雄建築設計事務所に改称(1979) 作品 八代市立博物 館(1991)/せんだいメディアテーク(2001)/ TOD'S 表参道ビル(2004) /多摩美術大学図書館 八王子キャンパス(2007)/ 2009 高雄ワールドゲー ムズメインスタジアム(2009)/今治市伊東豊雄建築ミュージアム(2011) 他 著書 風の変様体(青土社 1989)/透層する建築(青土社 2000)他
▲環境デザイン学科特別講義
▲今治市伊東豊雄建築ミュージアム(2011 年竣工)撮影:阿野太一
▲吉良森子ワークショップ最終講評会
▲墓地のパビリオン(アペルドールン)撮影:Jeroen Musch
吉良 森子
KIRA Moriko 環境デザイン学科客員教授
専門 建築設計、歴史的建造物修復、リノベーション 学歴 早稲田大学 理工学部建築学科卒業(1987)/早稲田大学大学院理工学研究科建設工学 建築学専攻修了(1990)、デルフト工科大学建築学科留学(1988-1990) 職歴 moriko kira architect 主宰 作品 真鶴共生舎グループホーム(神 奈川)/オランダ首相官邸増改築(ハーグ)/シーボルト博物館(ライデ ン)/教会のリノベーション(フローニンゲン)/柿の木坂キャトル店舗 +住宅(東京)他 著書 Japan Towards Totalscape(NAi Publisher2000) / これまでとこれから 建築をさがして(LIXIL出版 2013)他
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TEACHING STAFFS 花田 佳明
学部4年生/卒業論文タイトル 李瓊/「狭小住宅」と呼ばれる—群の住宅の特性に関する研究
HANADA Yoshiaki
木村奈保子/農村の構築物と風景に関する研究
環境デザイン学科教授
—奈良県天理市和爾町の農村を例にして
学科主任
小嶋佑/路地の表出現象に関する研究—大阪市中崎町を例に 大崎麗/村野藤吾による甲南女子大学キャンパスにおける 保存・活用状況に関する研究 大学院生(修士課程) 豊嶋悠爾、袁褘
専門 建築設計、建築設計理論、近代建築史(博士(工学)) 学歴 東京 大学工学部建築学科卒業(1980)/東京大学大学院修士課程修了(1982) 職歴 日建設計(1982-92)/神戸山手女子短期大学 講師・助教授(199296) 作品 渦森台ハウス(神戸市 2000)/テツノマチヤ(大阪市 2002) /岡本の b(神戸市 2005)/八幡浜市立日土小学校保存再生(八幡浜 市 2009) 著書 再読 / 日本のモダンアーキテクチャー(共著、彰国社 1997)/植田実の編集現場(ラトルズ 2005)/建築家・松村正恒ともう ひとつのモダニズム(彰国社 2011)他
◀金沢の兼六園にて
小浦 久子
KOURA Hisako 環境デザイン学科教授
* 2015年度より本学教員
専門 都市計画・空間計画・景観(博士(工学)) 学歴 大阪大学人間 科学部人間科学科卒業(1981) 職歴 建設コンサルタント(1981-1992) /大阪大学助手(1992-1997)/大阪大学大学院准教授(1997-2015) 活動 ルール広域計画アイデアコンペ(2013)/景観計画策定支援(豊 岡市・芦屋市等)他 著書 まとまりの景観デザイン (2008) /まちづく り教科書8: 景観まちづくり(編著、2005)/失われた風景を求めて(共著、 2008)/人口減少時代における土地利用計画(共著、2010)/未来の景 を育てる挑戦(編著、2011)他
▲ワークショップを繰り返しながら進める計画コンペ
川北 健雄
KAWAKITA Takeo 環境デザイン学科教授
▲営みが風景をつくる(町家がビルになった船場)
学部4年生/卒業論文タイトル 石橋沙羅/岡本商店街におけるコミュニティ形成とイベント運営 井上心平/マラソンコースと町に関する考察 奥土居好美/地方工務店と地域との関わり方—篠山市を事例に~ 野村咲紀/ポートアイランド住宅管理組合ペットクラブの活動に関する研究 村上瑠莉/写真館が利用され続けるのはなぜか 永澤侑真/京町屋への移住と活用の実態に関する研究調査 矢頭駿/代替現実ゲーム『ingress』に関する研究
専門 建築設計、まちづくり(博士(工学)) 学歴 京都工芸繊維大学大 学院修士課程修了(1987)/コロンビア大学大学 MSAAD 課程修了(1992)
大学院生(修士課程) 丸本祥子
/大阪大学大学院博士課程修了(1993) 職歴 オブリスト建築事務所(St. Moritz 1988)/神戸芸術工科大学助手(1993-96)/スイス連邦工科大学 客員研究員(1996)作品 稲美町都市計画マスタープラン(2008)/鈴 木文化シェアハウス(2013)/禅昌寺キオスク(2014)他 著書 環境 デザインへの招待(共著、建築都市ワークショップ 2004)/初めての建 築設計 ステップ・バイ・ステップ(共著、彰国社 2010)他
藤山 哲朗
FUJIYAMA Tetsuro 環境デザイン学科教授
◀ゼミ室にて
学部4年生/卒業論文タイトル 今井亮太/図書館の文化的可能性と地方における再興 礒田浩平/アーケードの有無が人に与える影響について 岡村尚樹/シェアハウスについての研究—リバ邸を対象として 小林正和/森林セラピーについての研究 吉川知里/「動物カフェの空間」—背景にある消せない社会問題 吉田雄貴/家島本島についての論文—合併に伴う島民の生活の変化について 藤本奨磨/建築外部空間を構成する緑地のもたらす整理・心理的効果
専門 建築設計、デザイン論 学歴 日本大学理工学部建築学科卒業 (1987)/芝浦工業大学大学院修士課程修了(1989) 作品 加久藤トン ネル換気所施設(熊本アートポリス 1991)/ T2(ベニス・ビエンナーレ 第 5 回国際建築展、ベニス・プライズ部門、特別賞 1991)/岡本の家(神 戸市 1996)/コペンハーゲン新王立劇場 コンペ案(2001)/神戸芸術工 科大学クリエイティブセンター(2008)/西ノ浜の家(瀬戸内国際芸術 祭施設(2013)他 著書 古典主義建築ーオーダーの詩学(共訳、鹿島出 版会 1997 /建築 MAP 大阪 / 神戸(共著、TOTO 出版 1999)他
長濱 伸貴
NAGAHAMA Nobutaka 大学院芸術工学研究科准教授
◀学生たちとインスタレーション制作中の様子
学部4年生/卒業論文タイトル 伊井大貴/アルヴァ・アールト図書館建築の研究—光と構造を歴史とともに 荒川純一/素地を生かしたリノベーションについて 表美江/坂道の沿道空間の研究 加藤志織/日本庭園の観光記念撮影スポットの研究 古賀恒太/屋台文化の実態調査—久留米屋台を対象として 喜多村雄太/自然と共に生きてきた村の現状と過去、その比較 土居瑞季/下町長屋におけるファサードとアクティビティの関係についての考察
専門 ランドスケープデザイン 学歴 千葉大学園芸学部造園学科 卒業 (1991)/神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了(2008) 職歴 E-DESIGN 代表取締役 作品 堺自然ふれあいの森/錦綾幼稚園/ アートヴィレッジ大崎/なんばパークス2/三田市総合文化センター/ク ラウンプラザ神戸チャペル/阪神甲子園球場リニューアル/京染会館屋上
—稲荷市場周辺を例にして 小野宏陽/芸術・文化の発信拠点 C・S 赤れんがの昔とこれから —地方の老朽化した建物の再生利用の事例として 大学院生(修士課程) 王克、柴田塁斗、周俊岑、刘蕭芃、飯沼一磨
庭園/長浜市役所新庁舎 他 著書 ランドスケープ批評宣言(共著、I NAX出版 2002)/マゾヒスティック・ランドスケープ(共著、学芸出 版社 2006)/ランドスケープデザインの歴史(共著、学芸出版社 2010)
◀大学キャンパスの中庭にて
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教員・研究室紹 介 遠藤 剛生 ENDO Takao
環境デザイン学科特別教授
専門 都市、建築、インテリアのデザイン 学歴 大阪工業大学建築学科 卒業(1964) 職歴 神戸大学非常勤講師/大阪大学工学部非常勤講師/ 神戸芸術工科大学客員教授 作品 苦楽園住宅/緑丘の家/大阪府営東大 阪吉田住宅/杉並桃井団地/名塩ニュータウン集合住宅/キーエンス/熊 本県農業公園/りんくうタウン/長野今井ニュータウン G 工区(長野冬 季オリンピック選手村)/ NEXT21 住戸改修/公益社千里会館 他 著書 ヴィジュアル版建築入門5 参加と複合—メメ・ファシスト(分担 執筆、彰国社 2002)
▲ディリー&ジャパン カンツリークラブ 撮影:松村芳治
花島 晃
▲公益社千里会館 撮影:松村芳治
学部4年生/卒業論文タイトル 青山和貴/ TOKUJIN YOSHIOKA ~素材へのこだわり~
HANAJIMA Akira
石丸笙/大学生の部屋作りの実態
環境デザイン学科教授
高山祐輔/車と時代の関わり 軽自動車を例に
図書館長
谷川智哉/阪神・淡路大震災について—神戸市長田区の被害状況・復興状況 西村渉/六甲アイランドと魚崎地区の動線計画について —交通手段から六甲アイランドの活性化について考える 松本綾人/リフォームの不満—不満解消が生む不満 森優二郎/三宮の立体横断施設—使われていない道
専門 建築構造学、建築構造デザイン(工学博士、技術士(建設部門))
山田亮/地下鉄のバリアフリーの研究—神戸市営地下鉄西神山手線
学歴東京工業大学建築学科卒業(1968)/東京工業大学大学院修士課程 修了(1970) 職歴 日建設計大阪構造部長/同リニューアル設計室長/ 日本建築総合試験所主席専門役 作品 大同生命本社ビル(構造)/キー エンス本社ビル(構造)/大阪ワールドトレードセンタービル(構造)/ 他事務所・工場・研究所の構造設計および奈良県庁舎など耐震改修設計多 数 活動 超高層・免震構造等建築物構造性能評価委員(GBRC)/既存 建築物等耐震診断判定委員(GBRC)
◀環境デザイン学科ラボにて
小玉 祐一郎
学部4年生/卒業論文タイトル
大学院芸術工学研究科教授
板谷宏太/須田悦弘による作品と展示空間の共鳴作品—《雑草》に注目して
飴野拓/都市市民にとってのウォーターフロントに関する研究
KODAMA Yuichiro
—横浜港大さん橋国際客船ターミナル、象の鼻パークを事例として
芸術工学専攻主任
熊沢花絵/谷川俊太郎の住居観と居住空間の分析—対比する空間の美しさ 村上莉代/ピクニックが人と都市生活を豊かにする 堀井慎太郎/働く親とこどもの距離—事業所内保育施設の分析 高見周作/清家清の家族観と空間構成の手法—宮城教授の家を通して 村田晶規/エリック・グンナール・アスプルンド「夏の家」にみる光の饗宴
専 門 建 築 デ ザ イ ン、 建 築 環 境 計 画( 工 学 博 士 ) 学 歴 東 京 工 業 大
研究生(学部)
学建築学科卒業(1969)/東京工業大学大学院博士課程修了(1976)
高野遼平
職 歴 東 京 工 業 大 学 建 築 学 科 助 手 / 建 設 省 建 築 研 究 所 研 究 部 長
大学院生(修士課程)
作品 つくばの家シリーズ(1983-92)/飯田川小学校(1993)/水戸八 幡町の家(1998)/高知本山町の家(2003)/財団法人ベターリビング
王奇
つくば建築試験研究センター 試験研究本館(2010)他 著書 住まいの
大学院生(博士課程) トウンヌン・クプリヤンラム、ブルーナ・バユラモヴィッチ
中の自然(丸善 1993)/エコハウジングの勧め(丸善 1996)/建築の今 17 人の実践と展望(共著、建築資料研究社 2010)他
小山 明
KOYAMA Akira インタラクションデザイン 教育研究所教授 研究所長
▲「つくば建築試験研究センター 試験研究本館」にて
学部4年生/卒業論文タイトル 稲田浩平/コンテナをつなぐジョイントシステムにおける空間変化の研究 —吉村靖孝、ブルーノ・タウトを例に 植田遼/美術展・アーティストから見る現代美術の変遷—発見させるアート 杉谷拓紀/ IKEA の SPA・システムから見える変化 大学院生(修士課程) 井垣量子 大学院生(博士課程)
専門 近代建築史、デザイン史、建築設計(工学博士) 学歴 日本大学理
石田優
工学部建築学科卒業(1976)/日本大学大学院博士課程修了(1983)/(ベ ル リ ン 工 科 大 学 に て 研 究 ) 職 歴 DER PLAN、BEARLIN 主 宰 作 品 Die Maschine, die den Menschen zum Denken bringt(パリ建築美術館 1989)/ 加久藤トンネル換気所施設(人吉市 1991)/人間に考えさせる機械(ギャラ リギャラリー 1994)/岡本の家(神戸市 1996) 著書 都市居住宣言(監修・ 前文、日本建築学会 1989)/未完の帝国(共著、福武書店 1991)/ベルリ ンデザインハンドブックはデザインの本ではない!(ベアリン出版 2013)他
三上 晴久
MIKAMI Haruhisa 環境デザイン学科教授
◀人間に考えさせる機械、パリ建築美術館
学部4年生/卒業論文タイトル 高橋恵子/神戸モザイクに関する研究—人々が行きたくなるような飲食店 中野あかり/ハウスメーカーのパンフレットに関する考察 中筋俊喜/地域活性化におけるリノベーションの有用性 —寺西長屋を事例とした考察 藤原章弘/姫路駅周辺の商店街の現状とこれから 橋間圭佑/カフェ空間における座席占有の研究 山田聖奈/ライブハウスを支える条件
専門 建築デザイン、建築設計 学歴 東京大学工学部建築学科卒業 (1979)/東京大学大学院修士課程修了(1987) 職歴 内井昭蔵建築設 計事務所(1979-85)/文化庁派遣芸術家在外研修員(マイケル・グレイ ブス建築事務所にて研修 1987-88) 作品 苗場の週末住宅(1992)/森 の里テクノプラザ、MKオフィス(1993)/茨城県立盲学校小中学部棟
—人々はライブハウスに何を求めているのか 池田優馬 /リファイン建築に関する研究—理想と現実 中山弥玖/佐用町平福における地域活性化への取り組み 大学院生(修士課程) 韓魯寧
(1997)/茨城県陶芸美術館(2000)/米子吉谷の家(2003)/茨城県 営見和アパート(1 期〜 6 期) (2003) 著書 初めての建築設計 ステップ・ バイ・ステップ(共著、彰国社 2010)
61
◀明舞団地のセンター:通り沿いの広場
1:完成したカフェにて* 2:改修検討案の模型 3:打合せミーティングの様子 4:カウンター黒板に絵を描く*
TOPICS & COLUMNS
5:窓際の二人席* 6:かれんだー珈琲(学生がデザインした新商品のチラシ) 7:お店の前で記念撮影* *写真提供:日米珈琲株式会社
CAFE
4
2
1
「神戸珈琲職人のカフェ」とは、神戸市灘区に本社を置く日米珈琲株式 会社が、流通科学大学および神戸芸術工科大学との産学連携事業を通 して企画した直営喫茶店の名称である。 プロジェクトが始まったのは 2013 年 4 月のことである。 「若者たちの 斬新な発想を取り入れつつ、コーヒーの魅力を発信する場を創造したい」 という、日米珈琲株式会社北浦社長の熱い想いに応えて、マーケティン グを学ぶ流通科学大学の学生たちと、環境デザインを学ぶ本学科の学生 たち、合わせて 20 名余りが集い、三者のコラボレーションが始まった。 7 月に入り、本社社屋の一階に直営のカフェを開設することが決定 した。リノベーションの対象となるのは、既存の小さな販売スペース と事務所の一部である。学生たちは多くのイメージスケッチを描き、 様々な模型をつくって空間のデザインを検討した。実施設計に至る過
6
5
程では、NPO 法人神戸デザイン協会の垣本智壮氏が、実務的な指導と
プロジェクトチーム
協力をしてくださった。
4年生:奥土居好美、 木村奈保子、
「神戸 珈 琲 職 人 の カ フ ェ 」 プロジェクト
川北健雄
3
高橋恵子、 中野あかり、 山田聖奈、
そしてプロジェクト開始から約 1 年後、ようやく最終的なデザイン
岡村明日佳、 堀井慎太郎
が確定し、1 か月余りをかけて改修工事が実施された。内装工事の完
3年生:國重裕太
了後、学生たちはカウンターの黒板に自らの手で絵を描き、店内のディ
2年生:吉岡宏晃
スプレイにも協力した。学生たちの創意工夫に満ちたカフェが、2014 神戸珈琲職人のカフェ HP
年 8 月、ついに誕生した。 ◆川北健雄 (かわきた・たけお) 神戸芸術工科大学環境デザイン学科教授
EVENT
7
TEDxYouth@Kobe 企画・設営プロジェクト 大森菜央
http://kobecoffeemeister.com/
TED とは、 「よりよいアイデアを広めよう」を理念とし、様々な分野の 人物がプレゼンテーションを行うイベントである。その本体からライセ ンスを受け各地方で独自で行われている TEDx が神戸でも開催された。 TEDxYouth@Kobe は、多くの若者が集まるここ神戸で所属や分野な ど日頃の枠を超えた繋がりを広げることを目的とし、スタッフも学生 を中心に企画から関わるかたちとなった。 本学科からは、プレゼンテーションを行うスピーカーの選定やキュ レーションを行う SpeakerTeam に(中園侑希) 、音響・映像・照明演 出を勤める TechTeam に(片山早也奈) 、会場レイアウトや装飾を手 がける DesignTeam に(加来ひかる、吉岡宏晃、大森菜央)が所属し、 準備に携わった。 会場デザインは今回のテーマである ”Growing Tree” を念頭に置き、 樹木や植物の装飾でアイデアが広がり、育ってゆくイメージを表現し た。暗い会場の中に浮かび上がる高さ約 4.5m のシンボルツリーはペッ トボトルで組んで積み上げ、周りに数色の布を貼り付けて制作した。 また、周りにしわをつけた画用紙で葉っぱを表現したツタを這わせ、 幻想的な空間をつくり出した。 準備期間では制作スケジュールや外部コンタクトなど、いざやって みると分からないことばかりで苦労したが、主催の方々や仲間の助け をもらいながら、 それぞれが日々必死に準備をした。そして当日、スピー カーの素晴らしいプレゼンテーションと、息の合った音響・映像演出、 幻想的な会場デザイン等スタッフ一人ひとりの力で素晴らしいイベン トとなり、無事幕を閉じることができた。 このイベントに参加したことによって、他大学の学生や社会人の方々 と深く関わることができ、自分にはないさまざまな個性に触れながら、 知らない世界に飛び込んで挑戦できたことが何よりの刺激になった。 また、ことを成し遂げる過程ではいろいろな人が関わっていて、だか らこそ成功したときの喜びもひとしおなのだと肌で感じることができ
2
4
た貴重な経験であった。 ◆大森菜央(おおもり・なお)神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科3年
上:メイン会場。ペットボトルを積み上げた 4.5m のシンボルツリーと画用紙でつくられたツタ 左下:看板設営風景 右下:ツタを制作する様子
60
TOPICS & COLUMNS 鹿島建設株式会社の助成による今年度の「トークセッ ション」は、 「リノベーションってなんだろう」とい うテーマのもと、以下の 4 人の皆さんを講師として お招きした( 「 」内は講演タイトル、写真左より) 。 ・7 月 2 日:ナカムラケンタ(日本仕事百貨代表/株 式会社シゴトビト代表取締役) 「建築をあきらめない ために建築家をあきらめた」
2014年度 「トークセッション」 と 「ようこそ先輩」
TALK SESSION
花田佳明
・7 月 16 日:小池志保子(建築家/大阪市立大学准 教授)「地域の小さな「空き」をつかって、まちに関 わる」 ・7 月 30 日:佐藤慎也(日本大学理工学部建築学科 准教授) 「建築計画とリノベーション」 ・8 月 6 日:魚谷繁礼(建築家/魚谷繁礼建築研究所) 「京都の都市構造とリノベーション」
◆ 近年、 「リノベーション」という言葉は建築業界では
間の質感が伝わる素晴らしいプレゼンテーション
からデザインが論理的に語られ、説得力も抜群で
大流行りだ。古い建物を改修し再利用する「リノベー
で、一同思わず画面に見入ってしまった。 「リノベー
あった。 「自分は『空間主義者』であり、 リノベーショ
ション」という考え方は、これからの社会にとって
ションによって時間と人と環境に働きかける可能性
ンによって得られる空間性は、ヴェンチューリの言
間違いなく重要な方法であり、本学科の教育と研究
が生まれる」というまとめもわかりやすく、学生た
う「多様性と対立性」を彼とは違う方法で解くもの
にとっても大切なテーマである。さらに、 「リノベー
ちは、こういう設計作業の楽しさをあらためて実感
だ」というまとめはたいへんに興味深かった。最後
ション」という言葉を広くとらえれば、それは何か
したに違いない。
に学生時代のことを質問すると、1 年目は授業には
を改変することだから、さまざまな解釈の可能性が
3 回目は、建築計画がご専門の日本大学准教授・
出ず試験だけを受け、2 年目はオーストラリアを自
あるだろう。そこで今回のトークセッションでは、 佐藤慎也さん。とくに美術館や劇場の計画に詳しく、 リノベートする対象の違いを意識しながら、お呼び しかも机上の研究だけではなく、実践活動も展開さ
転車旅行、3 年目は安藤忠雄さんの事務所でアルバ
する講師陣のラインナップを決定した。
れている。代表的な仕事が、東京都千代田区の古い
5 年目に卒業設計をやったというお答えで、学生諸
初回はナカムラケンタさん。日本仕事百貨という
中学校校舎を改修してアートセンターにした「アー
君には刺激的だったことだろう。 「同じことは繰り
職業紹介サイトを運営し、これからの時代の仕事や
ツ千代田 3331」 。佐藤さんは、その企画に建築計画
返したくない」 「モデルを作りたい」 「構成的な空間
人の暮し方について提案をおこなっている。明治大
の研究者という立場で関わった。今回は、 同プロジェ
を作りたい」 「施主をだましたくない」 「社会性のあ
学で建築を学び不動産会社に就職したものの、本当
クトの紹介はもちろんだが、さらに話を広げ、リノ
ることをしたい」等、印象的な言葉が多く残された。
の「場所づくり」をしたいからと現在の仕事へ転じ
ベーションという手法は建築計画をどう変えるかと
いずれの回も、在校生はもちろん学外からの参加
た経歴も興味深い。講義は時にワークショップ形式
いうような話もしてほしいとお願いした。当日は非
者もあり、活発な議論がおこなわれた。この企画を
を取り入れ、学生に周囲の他者と議論させる場面も
常に多くの画像を用意して下さり、劇場と美術館に
通し、リノベーションという言葉に対する学生諸君
あった。自らが起業したときの経営状況から現在の
関する建築計画的基本知識の解説から始まり、リノ
の理解の幅が、大きく広がったと確信している。
サイト運営の具体的な経費等もお話しいただき、学
ベーションによって作られた事例と一般的なものと
◆
生たちは、自分自身のこれからの仕事と、仕事を考
を比較することで、その手法と各ビルディングタイ
また、卒業生に今の自分を語ってもらう企画「よ
える仕事について、さまざまなことを考える手がか
プの親和性の良さを語られた。さらに、ご自身が関
うこそ先輩」として、2003 年 3 月に本学科を卒業
りを得たに違いない。
わられた「アーツ千代田 3331」 「湯島もみじ」 「取
した竹口絵美さんを 6 月 22 日にお迎えした。京都
2 回目は、大阪市立大学准教授で建築家の小池志保
手アートプロジェクト」などを通し、そこに生まれ
の設計事務所・ファムスに勤務する竹口さんは、「建
子さん。大阪市北区に残る戦前の古い長屋を改修し
たリノベーションならではの空間や出来事も紹介さ
築×インテリア」と題し、これまで手掛けてきた住
たプロジェクト・「豊崎長屋」を、同大教授であった
れ、リノベーションという手法の理論的な可能性に
宅、インテリア、商業施設等を紹介し、建築やイン
建築家の竹原義二さんと一緒に成し遂げたことで有
ついて興味深い議論がおこなわれた。
テリアから家具までを総合的に扱ってデザインする
名だ。今回は、ご自身の事務所・ウズラボでおこなっ
最終回は、京都の町家のリノベーションで多くの
ことの面白さを語ってくださり、在校生はもちろん、
た住宅の改修を通してリノベーションの魅力に気づ
実績を重ねている建築家の魚谷繁礼さん。3 回目の
当日のオープンキャンパスに来た高校生にとって
いたことから始まり、 「豊崎長屋」や「須栄広長屋」 (生
佐藤慎也さんのレクチャーにも参加して下さる熱心
も、これからの進路を考える上で大いに参考になっ
野区)の改修、 「泉北ほっとけないネットワーク」の
さで、当日も素晴らしいプレゼンテーションを用意
たに違いない。
活動、ウズラボの事務所の改修計画、 「安立ひとつ屋
してくださった。たいへんに多くの作品が紹介され
◆花田佳明(はなだ・よしあき)神戸芸術工科大学
根の下プロジェクト」など、たくさんのリノベーショ
たにも拘らず、各解説が実に簡潔で、見ている人を
環境デザイン学科教授
ン計画を紹介していただいた。いずれも、甦った空
飽きさせない。しかも、京都の都市構造等との関係
地域コミュニティの核の創設という目的もある。また、
な 子 育 て 支 援 施 設 に 利 用 す る こ と も 想 定 し て お り、
長期的な目的としては、地域再生の核としての古民
家の価値を地域住民にアピールし、歴史的景観の保
全に対する意識を高めていくことも意図している。
具体的な取り組みとしては、①改修案の学生コン ペの実施(本学科四年生の授業科目「環境デザイン
プロジェクト」を活用し、履修者二七名によるコン
ペ形式で改修案を提案) 、②古民家カフェの開催(改
修工事に先立ち、大掃除を行ったうえで近隣住民を
招 い た カ フ ェ イ ベ ン ト を 実 施 )、 ③ 小 学 生 職 業 体 験
会(西紀北小学校五年生の社会科見学の一環で、改
修工事現場の様々な仕事の見学と、壁塗り・鉋かけ
の 体 験 会 を 実 施 )、 ④ 実 施 案 の 策 定( 学 生 た ち の 改
修案を原案として、教員メンバーと施主の中井氏と
の間で検討会議を重ね、実施案を作成)などを行っ
た。参加学生たちにとっては、自分たちの改修提案
が実現するという、貴重な経験が得られたことに加
え、古民家カフェの開催や、改修後の古民家の使い
方の提案などを通じて、ソフト面でのまちづくりを
実践的に学ぶ機会を得ることができ、大変有意義な
取り組みとなった。
中井邸改修工事は二〇一五年五月に竣工する予定 であり、本学科では、今後も継続的に活用に関わっ
59
ていく予定である。
審査員による審査が行われた
◆山之内誠(やまのうち・まこと)神戸芸術工科大
学大学院芸術工学研究科准教授 現地で行った改修案公開プレゼンテーション。篠山市長をはじめとする 7 名の
イト、4 年目は休学して南アフリカやインドを旅行、
二〇一四年十二月十五日から十八日の 四 日 間、 西 イ ン ド の 都 市 ア メ ダ バ ー ド
会議の行われたアメダバードは、十五 世 紀 に 建 設 さ れ た イ ン ド・ イ ス ラ ム 都
社会を目指してパッシブ建築のデザイ
」が 開 催 Architecture) 2014 Ahmedabad さ れ ま し た。 P L E A は、 持 続 可 能 な
ル イ ス・ カ ー ン 設 計 の イ ン ド 経 営 大 学
業 者 会 館、 美 術 館 が あ り ま す。 ま た、
ショーダン邸という二つの住宅と繊維
コルビュジエの設計によるサラバイ邸、
市 で、 近 代 に は イ ン ド 最 大 の 繊 維 工 業
ンや技術の研究・開発・実践を発表し、
ま す。 一 九 九 七 年 に は 日 本 で も 開 催 さ
き ま し た。 会 議 は、 毎 年 一 回 開 催 さ れ
や展示会など多様な活動をおこなって
ク シ ョ ッ プ、 建 築 の コ ン ペ テ ィ シ ョ ン
一九八一年の設立以降、国際会議やワー
有する個人の国際ネットワークであり、
PLEAは、居住環境に関わる芸術・ 科 学・ 計 画 ・ デ ザ イ ン の 専 門 知 識 を 共
名の計六名 が 参 加 し ま し た 。
つ く り だ し て い ま す。 そ れ ら の 多 孔 質
は、 涼 し い 風 を 楽 し め る 日 陰 を 自 然 に
る た め に、 う ま く デ ザ イ ン さ れ た 空 間
計 さ れ て い ま し た。 暑 い 気 候 に 対 処 す
しながら非常に豊かな半外部空間が設
築 に は、 彼 ら の 独 自 の 建 築 言 語 を 駆 使
し ま し た。 コ ル ビ ュ ジ エ と カ ー ン の 建
アダーラジの階段井戸遺跡などを見学
居 住 区 や 伝 統 的 寺 院、 世 界 遺 産 で あ る
会 議 の 前 後 や 発 表 の 合 間 に は、 ル・ コ ル ビ ュ ジ エ や ル イ ス・ カ ー ン の 作 品
)もあります。 IIM
都市に成長しました。この都市には、ル・
議 論 す る 国 際 会 議 で す。 本 学 か ら は、 (
において、「 PLEA (Passive and Low Energy
小 玉 祐 一 郎 教 授 を は じ め、 大 学 院 生 二
れ、小玉教授が議長を務めました。三〇 で 透 過 的 な 性 質 を も つ 空 間 構 成 は、 階
名、 特 別 研 究 員 一 名 、 本 学 科 卒 業 生 二
回 目 と な る 昨 年 は、 初 め て イ ン ド で 開 段井戸や旧市街の居住区ポルや伝統的
れ て い ま し た。 十 二 月 の イ ン ド の 気 候
を深める交流をするための配慮がなさ
リラックスした状態で意見交換や親睦
レ イ ク を と る 時 間 が 設 け ら れ て お り、
発表の合間には中庭に用意された ケータリングを囲んで昼食やティーブ
いて研究成 果 を 発 表 し ま し た 。
のヴァナキュラー建築の環境性能につ
ブ ル ー ナ・ バ ユ ラ モ ヴ ィ ッ チ も、 母 国
学 生、 ト ウ ン ヌ ン・ ク プ リ ヤ ン ラ ム、
て で し た。 本 学 博 士 課 程 に 在 籍 す る 留
築の計画や設計へ活用する方法につい
持 つ ポ テ ン シ ャ ル を 見 直 し、 都 市 や 建
今 回 の 会 議 の 議 題 は、 急 速 に グ ロ ー バ ル 化 し て い る 世 界 に お い て、 地 域 の
) に て、 二 二 九 Technology University 編の発表が あ り ま し た 。
思います。
と に、 こ れ か ら も 考 え 続 け て み よ う と
で き る の か、 イ ン ド に お け る 体 験 を も
がどのように持続可能な社会へと貢献
に入ろうとしている現代の都市や建築
深 さ、 豊 か さ。 成 長 期 が 終 わ り 成 熟 期
も全て受け入れてしまうインドの懐の
多 種 多 様 な 人 種 や 宗 教 も、 信 じ ら れ な い く ら い 大 量 の 人 や 動 物 や ご み も、
要な意味があると思います。
す る 人 間 中 心 主 義 の 現 代 で は、 大 変 重
与 え て い ま す。 そ れ ら は、 機 械 が 支 配
匠のボキャブラリーにも多くの影響を
人 間 と 自 然 の 密 接 な 関 係 は、 二 人 の 巨
ごすインド人の生活様式にも見られる、
然との物理的な連続性にもよるものだ と 感 じ ま し た。 一 年 の 大 半 を 外 部 で 過
太 陽 や 雨 や 風 も、 良 い も の も 悪 い も の
3 1
は も ち ろ ん、 旧 市 街 の ポ ル と よ ば れ る
催 さ れ、 B ・ V ・ ド ー シ に よ っ て 計
は 爽 や か で、 屋 外 空 間 の 心 地 良 さ を 感
◆大道一輝(おおみち・かずき)神戸芸術
寺 院 に も 見 受 け ら れ ま し た。 こ の 空 間
じ な が ら 過 ご す こ と も、 議 論 や 思 考 を
工科大学芸術工学研究所特別研究員
の 透 過 性 は、 視 覚 的 だ け で は な く、 自
促すために必要な演出なのだと感じま
篠山古民家再生活用プロジェクト
山之内誠
同時に、改修後の中井邸では、主屋を寺子屋のよう
業 界 の 活 性 化 を 促 す こ と を 直 接 的 な 目 的 と す る が、
潜在的な古民家改修の需要を掘り起こし、地元建設
本プロジェクトは、魅力的な古民家再生事例を蓄 積し、その過程を地域へ情報発信する活動を通じて、
り、今回の企画に至った。
により現代生活に適した住まいに再生することとな
であったため老朽化が著しいため、リノベーション
いる。現在の住まいである蔵を除き、長期間空き家
座敷、表門、表長屋、そして数棟の蔵で構成されて
を経営する中井氏が買い取ったもので、主屋、離れ
る。元々医師の邸宅であったものを、地元の工務店
なったのは、築一〇〇年ほどの古民家・中井邸であ
で篠山市の古民家再生に取り組んだ。再生の舞台と
工会からの委託を受け、地元工務店グループと共同
二〇一四年四月からの一年間、本学科では篠山市商
PROJECT
6
5
段井戸遺跡 6:道路を歩く牛
4
計:ル・コルビュジエ) 5:アダーラジの階
画・設計されたキャンパスを持つ CEPT ( Centre for Environmental Planning and
した。
インドにおける体験を通して
大道一輝 CONFE RENCE
TOPICS & COLUMNS
PLEA (Passive and Low Energy Architecture) 2014 Ahmedabad
2
1: PLEA2014 発表会場 2:クプリヤンラム
さんの発表の様子 3:外部空間におけるケー
タリングと歓談の様子 4:繊維業者会館(設
中井邸の外観。入母屋妻入、屋根は少々起りのある桟瓦葺で、平屋の家屋である。本プロジェクト開始前の視察時の様子
58
TOPICS & COLUMNS
最終成果品公開中!
参加メンバー 1年生:伊森智香恵、井上雅也、北脇梨奈、真田尚希、芝美菜、柴田麻琴、 辰巳博康、淡井康平、山門久晃 2年生:上原颯斗、荻野彩、小松克也、酒井厚樹、坂上みなみ、周俊時、小笠コスモ、中園侑希、 長峰秀和、正木賀子、南野真有美、村田六花、木村和宏、渡辺由貴恵、藤田千夏、坂本尚矢 3年生:秋田さゆり、松山悟大、岡田真弥、上村昂平、國重裕太、澤井克優、鈴木勇司、八田直樹、 松下真子、柳谷菜穂、柳原逸聖 4年生:荒川純一、板谷宏太、熊澤花絵、土居瑞希、村上莉代、堀井慎太郎、高見周作、飴野拓、 村田晶規
- 私の1が10になるとき -
期間:2014 年 9 月 1 日 ( 月 )∼9 月 10 日 ( 水 ) ※土日を省く 場所:神戸芸術工科大学 デザイン学部 環境デザイン学科 1F スタジオ 代表:國重 裕太 (3年生 )、岡田 真弥 (3年生 ) アドバイザー:吉井 歳晴(WIZ 代表) 講 師: 赤 代 武 志( ド ッ ト ア ー キ テ ク ツ )、今 津 修 平( 株 式 会 社 M u F F )、西 川 亮( N P O 法 人 コ ト ハ ナ )
萩 原 盛 之 ( ラ ン ド マ ー ク )、 見 明 暢 ( 本 学 プ ロ ダ ク ト デ ザ イ ン 学 科 助 教 )
このワークショップは、今年で 7 回目を迎える環境・建築デザイン学科伝統の一大 イベントです。本学科の全学年を参加対象とし、約一週間のグループワークを通じ て学年を超えたつながりを獲得することが意図されてきました。 今年度のワークショップはテーマを「私の1が10になるとき」とし、学年を超 えたつながりを意識しながらもより濃密で実践的な経験ができるように3つの新た な試みをしました。まず外部のコンペ ( 第 41 回 日新工業建築設計競技 ) に参加す る こ と で 第 三 者 に 提 案 す る 能 力 や 技 術 を 鍛 え る。ま た、グ ル ー プ を 学 生 ゼ ミ 形 式 (3、4 年生の中からゼミ代表を選出した形式)とすることで憧れの先輩に学べる機 会ともする。それに加えグループワークの合間を縫って本学 OB や先生に登壇して もらい、リレートークを行う。これらの 3 つの新たな試みを楽しみながら、あこが れの先輩たちの世界を覗きこめる素敵な場となりました。國重・岡田
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卒業生紹介
CAt(シーラカンスアンドアソシエイツ・トウキョウ)
2011 年度の卒業研究において、制作で学長賞、論文で環境デザイン学
西口冬悟
科賞を W 受賞した西口冬悟さん。卒業後は上京し、現在、小嶋一浩さん、
アトリエ系事務所で働くことは 夢のスタート地点
んなことを言っていた。
赤松佳珠子さんが主宰する CAt(シーラカンスアンドアソシエイツ・ト ウキョウ)に所員として勤務している。 3年前の『PRAXIS2012』で学長賞インタビューをした際に、彼はこ 「大学院へ進学することも少し考えたけど、早く働きたいと思うよう になりました。そして就職するなら、絶対にアトリエ系事務所。どう せ就職先が決まっていないなら、いっそのこと東京に飛んでしまおう と思ったんです。東京に対する憧れももちろんあったし、神戸にその ままいたり、地元に帰るよりも可能性が広がるような気がしたんです。 」 その言葉通り上京するも、昨今、アトリエ系事務所に就職すること はなかなか難しい。 「上京後すぐ、青木淳さんの事務所にトライアルで1ケ月働くことが できましたが、就職の希望は叶いませんでした。 その後、いわゆるアトリエ系事務所でトライアルやアルバイトを繰 り返していました。でもなかなか、正所員への道は遠い。 CAt にも当初、就職希望のトライアルとして入所しました。毎年、ト ライアルとして働く人が3名くらいいるそうなんですが、ぼくが入っ た時は、6〜7人いました。だから、普段よりも倍率が高くて競争が 激しかった。即日設計をやったり、コンペなどにも積極的に参加させ てもらって、小嶋さんや赤松さんにプレゼンをする。デザイン力を試 される日々が続きました。 そんな時、『木島平村役場・村民会館設計 公募型プロポーザル』に、 ぼくのアイディアが原案となって提出されることになったんです。そ れが1等を獲った(2013 年 8 月結果発表)ので、小嶋さんに『自分で エサを獲ってきたから、働いていいぞ』と言われて、正所員として設 計チームに入れることになりました。やったー!やっと就職できた! という気持ちでした。」 正所員になって1年半ほど。毎日、どんな仕事をしているのだろうか。 「最初の1年は、多少、図面を描くことはあっても、主に模型をつく る日々でした。『木島平』は屋根が特徴的なプロジェクトだったので、 その形状を模型でスタディする必要があったのです。
1
構造は木質構造のエキスパートである稲山正弘先生。『木島平』は全 木造で、しかも屋根に反りがある。木造の架構も複雑になっていく中で、 打ち合わせ中にすぐに構成が理解できなくて大変でした。今は、実務 的な知識を蓄積させていくことが一番の課題ですね。 このプロジェクトは、行政の予算繰りの関係により、今は基本設計見 直しで、進行がスローペースになっています。そこで、現在、佐賀の 『高傳寺大涅槃塔』を担当しています。高傳寺は高さ 15.2m ×幅 6m の 国内最大級の涅槃図を保有していて、それを展示・収蔵する施設を設
2
3
計するプロジェクトです。こちらも特殊な木架構を採用しているので、
↑西口くんの原案が採用されたという「木島平村役場・村民会館」 。木造でつくられる複雑な屋 根架構が特徴的である。1:全体模型 2:村役場のロビー 3:村民会館のホール内部
勉強することがたくさんあります。 学長賞インタビューの時、『何かしら早く建てたくてうずうずしてい る』と言いましたが、まだ担当した建物が出来上がっていないんです。 今は大変なこともあるけれど、出来上がれば、『やっぱ建築っていいよ な!』となるような気がしています。それが楽しみです。」 だれもが自分の夢を叶えられるわけではない。きっと就職が決まる までだって、大都会で何度もくじけそうになって、妥協しようと考え たことだろう。妥協することも決して悪いことではないけれど、意志 を貫き通した西口くんを、とてもまぶしく感じた。 参考文献: 「木島平村役場・村民会館」GA JAPAN 126(2014 年 1 月号) 「高傳寺大涅槃塔」GA JAPAN 133(2014 年 11 月号)
西口冬悟(にしぐち・とうご) 4
5
↑現在担当する佐賀県に所在する「高傳寺大涅槃塔」 。こちらも美しい木造の架構を持つ。 1:全体模型 2:木造の架構を見上げる
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1989年熊本県生まれ。2012年神戸芸術工科大学卒業。2013年より CAt勤務。 C+A シーラカンスアンドアソシエイツ http://c-and-a.co.jp/ 図版提供:CAt・西口冬悟 文:石坂美樹
卒業生紹介
都市調査計画事務所
2015 年度から環境デザイン学科では、3年生からのコース分けの中に、新 たに「まちづくり」が加わる。近年、地域の活性化やコミュニティの充実化
北岡直子
など「まちづくり」への需要は、ますます高まっているが、具体的にはどん な仕事をしているのだろう? 北岡直子さんが勤務する「都市調査計画事務所」は、都市計画のマスター プラン作成からまちづくりワークショップの企画・運営、パンフレットやリー
終わりのないまちづくり活動の中で 信頼関係を構築しつづける
フレットのデザインまで、幅広い業務を行っているようだ。 「私はおもに神戸市内のまちづくり協議会のアドバイザーとして会議の運 営支援をしたり、地域課題解決のためのワークショップの企画・運営、地区 の道路の幅員や空家・空地の状況などの調査などに携わっています。 」 住民や自治体、様々な人とコミニュケーションをとらなければならない大 変な仕事であるが、もともとそのような仕事に興味があったのだろうか。 「学生時代から、漠然とまちづくりやワークショップなどに関心がありまし た。ただ、それが具体的にどういう仕事につながっているのか、よくわから なくて……。大学院修了後は神戸の家具工房に就職したのですが、やりたい こととマッチしていなくて、このまま続けていっていいのかなと悩んでいま した。そんな時『神戸市地域コミュニティパワーアップ事業』で、地域のま ちづくり活動に携わっているコンサルタントなどの団体が、半年という限ら れた期間ながら、まちづくり活動に興味がある人を雇用し、まちづくりの場 に派遣することを知りました。雇用期間が半年と限られているので、どうし ようかなと迷ったのですが、関心のある仕事をしてみたいと、現在勤める都 市調査計画事務所で働くことを決めました。 」 しかし、雇用の半年を終えてもそのまま事務所に残り、現在まで 10 年以上、 勤務し続けることになる。 「はじめて自分で担当した仕事はとても印象に残っています。神戸市垂水 区のまちづくりサポーターとして『垂水観光ボランティアの支援』を行いま した。お客さんへの案内の仕方をマニュアル化したり、全員で案内する場所 の勉強会を実施しガイドさんのスキルの底上げをおこなったり。そこでは、 『支援する』といことはどういうことなのかを考える機会になりました。本 当は、自分ひとりやってしまう方が仕事は早く終わるんです(笑) 。でも、 メンバーに理解してもらい納得してすすめていくことで、お互いの信頼関係 を構築することの大切さを感じました。 まちづくりの仕事の主役は地域の人です。だから、まちづくりのコンサル タントとは地域のサポートをする、そしてよき理解者になると同時に、第三 者として客観的に地域を見て意見を言うことができる必要があると思ってい ます。まちづくり活動は、建物を建てることに比べると、目に見えて何かが できていくというわけではありません。まちづくりには終わりがないので、
1
今後も地域の人と長く一緒に活動をともにできるようにがんばりたいと思い ますね。 」 ところで、2014年12月に娘さんを出産し、半年間、育休をとっている北 岡さん。妊娠中、仕事との両立は大変だったのでは? 「つわりなどの体調変化がなかったので、妊娠前と変わらない状態で仕事
2
を続けることができ、あまり大変ではなかったです。しかし、地域の方が心 配していろいろ気をつかってくれたり、お祝いのことばや出産についてのア ドバイスをくれたり、妊娠を機に今まで話すことがなかった人とも子供の話 で盛り上がることができたのはうれしかったです。 学生時代は、30歳までに結婚したいと思っていました。でも仕事をはじめ、
3
自分にまかせてもらえる仕事が増えてくると、結婚・出産してもこの事務所 で仕事を続けたいと思うようになりました。だから、結婚も出産も予定より 遅くなったけれど、仕事の基盤ができた時期だったので、このタイミングで 今は良かったと思います。 」 地域の支援と子育て。どちらも終わりのないものであるが、パワフルな北 岡さんは楽しみながらつづけていくに違いない。 北岡直子(きたおか・なおこ) 1979年香川県生まれ。2004年神戸芸術工科大学大学院修了後、家具工房を経て、 2004年 11月より株式会社都市調査計画事務所勤務。 株式会社都市調査計画事務所 http://toshichosa.com/ 図版提供:都市調査計画事務所・北岡直子 文:石坂美樹
5
4 1:垂水観光ボランティアのガ イドの様子 2・3:津波防災安全マップ(長 田区真陽地域・東灘区御影地 区) 。津波を発生させる巨大地 震が来た時の対応の仕方、津 波被害警戒区域などを掲載し たマップを作成 4:まちなか防災空地(垂水区 東垂水地区)の完成式典。災 害時には一時避難や消火活動 のスペースとして、日常は広 場など地域住民の交流の場と して利用する 5:まち縁カフェ(垂水区塩屋 地区) 。地域のことをお茶を飲 みながら話し合おうと月1回 開催中。右上が北岡さん
54
2014年度吉良森子ワークショップ 自立したコミュニティに向かって
街路の延長線を引く
延長戦に沿って建物をスライス
住宅を配置する
—縮小社会の可能性と 町づくりと建築の役割を考える
建築の役割を考える」 吉良森子賞
コンテンポラリーな 暮らし A班 街にとって、この集合住宅は特別な建築となるのでは なく、街に馴染んだものとなればいいと考えた。そこ で、敷地内にクローンスターブーレンに存在する道の 延長線を描く。さらに、その線に沿って既存の建築を スライスする。そうすることで、新たな建物が既存の 建築の軌跡を感じさせるのではないか。 また、いくつかのクラスターごとに玄関を集合させ た。ハードな庭(まちの人が入り込める場)とソフト な庭(住人だけの場)が各住宅ごとに配置されおり、 そこから生活が滲み出していくように「道」をつなげ ている。
配置・1F 平面 1/1200
A班メンバー 3年:秋田さゆり・柳谷菜穂 1年:北脇梨奈・芝美菜・松尾美沙樹・芳田彩香 断面 1/600
吉良森子ワークショップ ゲストクリティック賞
collective town B班 この計画は、現在の制度に適合し た老人ホームとしては設計されて いない。しかし、施設のいくつか の機能(例えばキッチンやダイニ ングなど)は、街へと拡張してい
マスタープラン
く。街全体で老人ケアを担うが、 新設する看護センターがその中心 的な施設となる。
配置・1F 平面 1/2000
B班メンバー M 1:韓魯寧 3年:近藤ゆかり 1年:中村文哉・松山昌太郎・ 山門久晃 開放的な Open-dininig(左)と Open-kitchen(右)
53
独居老人のための住宅
既存の老人ホーム*
自立したコミュニティに向かって
ルンの「これから」を考えてもらい た い と 思 っ た の で す。 具 体 的 に は、 老人ホームの跡地をこれからのコ
市や社会の違いや共通点を学びなが
ショップでは日本とヨーロッパの都
地にどのような機能や住まい方が望
情報を通して調べ、老人ホームの跡
か、模型、図面、インターネットの
最初の三日間はクロースターブー ルンという集落がどのようなもの
齢者のケアを担ってきた老人ホーム
ですが、さらに昨年、長年地域の高
サポートを行う仕組みが作られたの
年住民が協力して身体障害者の生活
ントヤンというNPOを中心に、近
で は こ の よ う な 状 況 に 対 し て、 シ
きています。クロースターブールン
行政が提供することが困難になって
来のプロジェクトでも生かしてほし
報収集は設計の源となりますので将
求められることが多々あります。情
暮らしたことのない場所での提案を
こ れ ま で 自 分 が 行 っ た こ と の な い、
ンが提案されました。建築の仕事は
能によって判読して、様々なビジョ
しの様子を伝える統計資料を翻訳機
様子を「体験」分析し、人々の暮ら
フローニンゲン (Groningen)
東棟
縮小社会の可能性と — 町づくりと建築の役割を考える
ミ ュ ニ テ ィ の 核 と な る、 「集まって
ら「これからの建築の可能性」を考
ま し い の か を 考 え て も ら い ま し た。
住む場」を考えてもらいました。
吉良森子
えていくことをテーマとしていま
オランダを舞台とした私のワーク
す。今年はオランダの北縁のクロー
が撤退することとなり、住民相互の
いと思います。
これまでの老人ホームのような「施
設」とは異なる住まい方はどのよう
なものなのか、というこれまでとは
異 な る「 住 ま い の 形 」 「集落の形」
についての具体的な提案がありまし
た。一つ一つの「住宅の間取り」 が「集
合体」としての近隣へつながってい
く吉良森子賞を受賞したA班(秋田
さゆり・柳谷菜穂・北脇梨奈・芝美
菜・松尾美沙)の提案は美しく魅力
的 で あ る だ け で な く、 「集まって住
む」ことの建築としての新しい可能
性を示していると思いました。
Dagblad
このワークショップの成果はN P O の シ ン ト ヤ ン に 報 告 さ れ、 二
月 一 六 日 に 地 元 の 新 聞『
』 に も 掲 載 さ れ ま し た。 そ Noorden れがきっかけとなって四月九日には
クロースターブールンが属するマル
ネ市の助役さんとフローニンゲン州
の首長さんにプレゼンテーションす
ることになりました。ワークショッ
プの成果がクロースターブールンの
コミュニティの具体的な展開のディ
スカッションのきっかけとなりまし
た。
2015年1月6日〜2015年1月15日
私のワークショップではみなさんが
サポートを基本とするこれからのコ
今年のワークショップは一年生の 参加者が多く、三年生や修士の学生
曽根田香(studio-L)
行ったことのないオランダを舞台と
ミュニティのありかたを根本的に考
がリーダーとなってまだ設計の経験
最終講評ゲストクリティック/
スターブールンという小さな集落の
えなければならない状況となりまし
いう難しい状況であるにもかかわら
担当教員/吉良森子・松田安代(Fauna
しているのでインターネットはとて
た。
ず、どのチームも具体的な建築とし
+ DeSIGN)・花田佳明・小菅瑠香
老人ホームの跡地に、世代を超えて
私は二年前からこのNPOの活動 に 関 わ り、 オ ラ ン ダ の 北 の 縁 の コ
ての提案にまで至ることができたこ
—縮小社会の可能性と 町づくりと建築の役割を考える
相互のサポートしあいながら住む場
ミュニティは、高齢化、縮小化の進
とは素晴らしい成果であると思って
自立したコミュニティに向かって
も重要な情報源です。今年も地図サ
む日本の多くのコミュニティと問題
います。相互がケアしあいながらも
吉良森子ワークショップ
をみなさんと一緒に考えました。
を共有していることを実感してきま
一 人 一 人 が 独 立 し て 住 む、 と い う、
2014年度 総合実習B(3年生後期課題)
イトのストリート機能を通してク 日 本 も オ ラ ン ダ も 高 齢 化 が 進 み、 こ れ ま で の よ う な 社 会 サ ー ビ ス を ロースターブールンの通りや建物の
した。そこで日本のこれからを担う
のない一年生をサポートしていくと
学生のみなさんにクロースターブー
メインストリート*
既存建物:1F 平面 1/1200
吉良森子賞を受賞した A 班の学生と
クロースターブールンの位置
地図データ ©2015 GeoBasis-DE/BKG(©2009), Google
中庭
クロースターブールン (Kloosterburen) ● ●
課題説明の様子
西棟
*写真提供:シントヤン
52
中面
海側
沿岸側 窓口
キチン
設計者 孫帥亮(そん・すいりょう) 1989年 中国大連市生まれ 2008年 大連市金州高級高校卒業 2010年 大連市工業大学卒業 2013年 神戸芸術工科大学編入学
港内では万国軽食船が、 12カ国、100種類くらいの軽 食を観光客に提供する。船で 軽食を提供することで、港の 魅力がさらに増す。 これは、経済の促進にもつな がる。
2014年度 都市・ランドスケープデザイン総合実習 A
51
た 4 年生でおこなう卒業制作の準備課題として、3年
2. 課題概要
(3年生後期課題)
生前期までに取り組んできた多角的な実習の経験をも
観光は、都市における重要な産業のひとつであると同
「神戸における新たな観光プログラムの企画と関連施設
とに、3つの総合実習課題に関して、各自最も興味の
時に、様々な場所の活性化のための有効な手段でもあ
のデザイン」
ある領域の課題を選択する。
る。魅力のある場所には多くの人々が訪れてにぎわい
指導教員:専任/川北健雄・長濱伸貴・山之内誠・
都市・ランドスケープデザイン総合実習では、都市
が生まれ、適度なにぎわいは、その場所の魅力が維持
宮本万理子・小菅瑠香
内の特定のエリアに関する将来像の提案を行う。対象
されるための重要な役割をはたす。
非常勤講師/小林郁雄(兵庫県立大学 特任教授)
地区の現状を読み解き、その場所の魅力や可能性と同
神戸市内には、現在でも多くの観光スポットが存在
2014年9月23日〜12月16日
時に、そこに存在する様々な問題を整理した上で、の
する一方で、独特な場所性を有しつつもほとんど人が
ぞましい将来像がどのようなものであるべきかを明確
訪れない場所や、歴史的・文化的な価値を有しつつも、
1.課題の位置付け
にし、それを実現するための具体的な計画や方策を提
うまく活用されていない建物や施設・外部空間なども
環境・建築デザイン学科の最後の実習課題として、ま
示する手法について学習する。
多く存在する。
3年生後期課題 都市・ランドスケープデザイン 総合実習
HOT SUMMER Vacation 12E0203 孫帥亮
制作物として提出された三つ折りの広報パンフレット、外面
旧居留地
B
港内に露天プール を中心に、周辺に砂 浜、小島、飛び込み 台などの娯楽施設を 建設する。
A
B区には日本唯一の 「港浴場」(プール)を つくる。沿岸には阪神大 震災のメモリアルパーク があり、観光客の楽しい 姿と遺構を対比させる。 そうすることで、さらな る神戸港の復興となるこ とだろう。
メリケン 波止場前
海岸道
京橋
A
メリケンパーク 海上バス待合所
日本では今自転車が 人気である。この港内 で水上自転車に乗って 遊ぶことを考えた。 自転車はこの区間中の 交通道具として旅客水 上レストラン間を結ぶ
観光客たちは水上自転 車を乗って万国料理船の窓 口の方で購入出来る。また は沿岸から軽食を購入し、 公園で食べることができる。 A区は人それぞれ独特のパ ーティーを楽しめる
京橋南詰
神戸港震災 メモリア ルパーク
神戸植物防疫 所新港検査場
神戸海岸博物館
メリケンパーク
B
そこで、あらためて神戸全体の様々な場所に目を向
資源とは、具体的にはなんらかの特色のある地域、建物、
5.作業の進め方
け、潜在的な魅力を有しつつも十分にうまく活用され
自然要素、産業、人々の活動、などである。もちろん、
課題は以下のステップに沿って進めていく。
ていないと思われる地域資源をとりあげて、それらに
これらのうちの複数の地域資源の組み合わせも考えら
Step1: 域資源に関する検討と分析
着目した新たな観光プログラムの企画提案を行う。ま
れる。
Step2: 各自の対象地域の設定と観光プログラムの立案
た、そのために必要となる関連施設等の整備計画を策 定する。
Step3: 意図する観光プログラムを実現するために必要 4.制作物
な施設等の整備計画の策定
実習の前半では、新たな観光プログラムの企画書を作
Step4: 最終案の確定とプレゼンテーションの作成
3.着目すべき地域資源
成する。その内容をもとに、実習の後半では、それを
対象範囲は、神戸市全域である。各自の関心に応じて
実現するために必要な関連施設等の整備計画を策定す
調査を行い、活用の可能性があると考えられる地域資
る。そして最後に、両者を図面パネルおよびオンスク
源を発見して、それを各自のテーマとすること。地域
リーンでプレゼンテーションする。
50
定 的 な 屋 外 空 間 を、 時 間 軸、 季 節 軸
月の家とステージを設置したそれぞれの図
によって、マルチに利用する。もしく
周りに月の家が立ち並ぶ。
は、 シ ェ ア し て 使 用 す る と い う 捉 え 方
須磨駅の前に並ぶ月の家。
は、 現 代 的 で あ り 、 巧 妙 な プ ロ グ ラ ム
砂浜に面して並ぶ月の家。夏には海の家が並ぶあたり。
で あ る。 に ぎ わ い の あ る 場 所 を よ り 活 性 化 す る と い う「 表 側 」 に 意 識 が 行 き がちであるが、その場所の「裏側」に 存在する負の面の特性をよく観察した 上で、そのポテンシャル(ここでは場 所の静寂さ)を逆利用した空間転換の 可能性や有効性に気づいたことは、高
1ステージ
計8店舗
く評価 で き る 。 具 体 的 に は、「 朧 月 夜 」 の 春 と「 中 秋の名月」の秋を開催期間とした「月 の 家 」 の 展 開 で あ る。「 月 の 家 」 は、 須磨を中心とした地元の店舗(飲食店 や雑貨店など)が出店する仮設の夜店 群。 そ れ ら を 長 い 砂 浜 の 環 境 特 性 の 分 析に基づいた三つのゾーンに設置する こ と に よ っ て、 松 林 の 既 存 の 遊 歩 道 と
エリアの店舗が3、4店舗減り、その分ステージ
計17店舗
共 に、 回 遊 性 を 持 た せ る マ ス タ ー プ ラ ン と し て い る。 ま た、 神 戸 港 か ら 須 磨 海岸に直通船を運行させることによっ て、 市 内 の 観 光 客 の 誘 致 や ウ ォ ー タ ー フロントに立地する高級ホテルの宿泊 客のオプションの拡大を狙っている点 は、 現 実 的 な 観 光 戦 略 上 も 興 味 深 く 特 筆すべ き も の で あ る 。 現在の国内外からの観光客の数多く が、北野異人館街や旧居留地、ハーバー ラ ン ド、 六 甲 山 の 夜 景 な ど、「 大 人 な 観光地」のイメージを持っている。神 戸市の今後の観光戦略を考えると、市 内近郊の須磨エリアにおける隠れ家と しての「月の家」の提案は、その「大
49
人 な 情 景 や 旅 情 」 と 共 に、「 も う 一 つ
大本菜摘(おおもと・なつみ) 1994年 兵庫県尼崎市生まれ 2012年 園田学園高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学
春限定ステージ。ステージが設置される際にはA
広 場 の よ う な 敷計 地5 に店 設舗 置する月の家。
遊歩道を一歩逸れた、隠れたところにある月の家。
砂よ 浜っ とて は赴 1き mが 程異 のな 段り 差、 のある広い道に並ぶ月の家。高い 海床の上に立ち並ぶ月の家。海床は店舗に 位る 置。 から海を望める為景色が良い。 和風であったりカフェのようであったりす
主に軽食と雑貨販売を中心に展開。
須磨海浜公園の松林に隠れ家のように設置する月の家。
飲食のみを展開。
【B】area
【A】area 【C】area
Bエリアは春のみステージを設置し、秋とは違ったにぎわいをつくる。
Aエリアに設定することで、須磨月の道の玄関口としての役割とする。
にぎわいをつくる。
海床の図
月の家を設置した場合のそれぞれの図
設計者
の神戸」を創出するという新・観光戦 略の可能性を十分に秘めている。
中面
Aエリアは3つのエリアの内最も月の家の数を多く設置する。船着場も
受け付ける。月の家
主く に波 飲の 食音 をが 中よ 心く に聴 展こ 開え 。る た め 、 海 床 を Cエリアは海と海岸の距離が近
ステージでは生演奏などを行い、有志の出演も随時受け付ける。月の家
とで散歩道を演出。
導入し海の上での食事を楽しんでもらう。
は少なめにし、遊歩道と突堤をライトアップすることで散歩道を演出。
長濱伸貴
月あかりを楽しむ隠れ家
対象敷地は、神戸市西部に位置する「須
磨海岸」である。夏場は、阪神間の最
大の海水浴場として、数多くの「海の
家 」 が 立 ち 並 び、 活 気 の あ る に ぎ わ
いを見せる。また、古くは、歌人の在
原業平(「源氏物語」光源氏のモデル)
がこの地で月見をしたことに由来し
て、「 光 源 氏 が 月 見 を し た 場 所 」 と し
て 月 の 名 所 と な り、 松 尾 芭 蕉 も 月 見 に
訪れ俳句を残している。その後、明治
天皇の別荘「武庫離宮」が建てられ、「須
磨離宮公園」として神戸市に下賜され
る な ど、 関 西 屈 指 の 白 砂 青 松 に よ る 景
勝地の 一 つ で も あ る 。
本課題では、神戸市内を対象として、 新しい「観光」の視点から、まちづく
りやランドスケープデザインおける革
新的なアイデアやプログラムの提案を
求 め、「 デ ザ イ ン 都 市・ 神 戸 」 に ふ さ
わ し い 新・ 観 光 戦 略 に 寄 与 す る ビ ジ ョ
ンが要 求 さ れ た 。
大 本 菜 摘 の 提 案 は、 夏 の 間 の 活 気 と は 対 照 的 に、 そ れ 以 外 の 季 節 に は 閑 散
と し て い る「 状 況 」 を 上 手 く 活 用 す る
という提案「須磨月の道」である。固
3年生後期課題 都市・ランドスケープデザイン 総合実習
須磨月の道 12E0013 大本菜摘
制作物として提出された三つ折りの広報パンフレット、外面
【【 CA 】】 aa rr ee aa
【B】area Aエリアは3つのエリアの内最も月の家の数を多く設置する。船着場も
Cエリアは海と海岸の距離が近く波の音がよく聴こえるため、海床を
Aエリアに設定することで、須磨月の道の玄関口としての役割とする。
Bエリアは春のみステージを設置し、秋とは違ったにぎわいをつくる。
主に飲食を中心に展開。
ステージでは生演奏などを行い、有志の出演も随時受け付ける。月の家 は少なめにし、遊歩道と突堤をライトアップすることで散歩道を演出。
導入し海の上での食事を楽しんでもらう。 須磨海浜公園の松林に隠れ家のように設置する月の家。
飲食のみを展開。
主に軽食と雑貨販売を中心に展開。
砂浜に面して並ぶ月の家。夏には海の家が並ぶあたり。 海床の上に立ち並ぶ月の家。海床は店舗によって赴きが異なり、 和風であったりカフェのようであったりする。 計5店舗
砂浜とは1m程の段差のある広い道に並ぶ月の家。高い
遊歩道を一歩逸れた、隠れたところにある月の家。
位置から海を望める為景色が良い。
須磨駅の前に並ぶ月の家。
広場のような敷地に設置する月の家。
春限定ステージ。ステージが設置される際にはA 計17店舗
エリアの店舗が3、4店舗減り、その分ステージ 周りに月の家が立ち並ぶ。 計8店舗
海れ 床の の図 図 月の家を設置した場合のそれぞ
C
1ステージ
B
A
月の家とステージを設置したそれぞれの図
須磨海岸の現状と提案 須磨海岸は阪神間唯一の自然海岸である。海はプランクトンが豊富で、良好な海苔の産地でもある。 砂浜、町、山の距離が大変に近いことも大きな特徴である。須磨海岸は大きく3つのエリアに分けることができる。 地図上に示す三つの点線A・B・Cの枠ごとに人と風景が変化する。
48
3年生後期課題 建築デザイン総合実習 敷地A2
見えない色に イロヅイテ 12E0010 上田恭平
立面 1/1600 A
+140000 +5000
7 +5000
+5000
+5000 7 2
8
2 7
+14000
6
1
7
6
7 +5000
+5000
7
+10000
+600
+9000
6 4+8000 5
4
+2000
+2000
+8000 4
3
2
7 +5000
+5000
+3000 7
+9000
A
1・カフェエリア 2・ストリートエリア 3・ステージ 4・室内広場 5・市民図書館エリア 6・作品棚 7・広場 8・芝生広場 9・外部広場 10・作業空間 11・作品展示場(全領域) 12・ステンレスキューブ 13・映像空間 14・まんが空間 15・スポーツ広場
+5000
4 +10000
+600
GL+ 7,000平面
N
GL+ 15,000平面
GL+ 20,000平面
配置・GL平面 1/2000 配置兼1階平面図 S=1:400
GL+7000 平面図 S=1:400
GL+15000 平面図 S=1:400
GL+20000 平面図 S=1:400
空間ダイアグラム
設計者 上田恭平(うえだ・きょうへい) 1994年 兵庫県神戸市生まれ 2012年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 第25回日本工業大学建築設計競技 佳作(2011)、 神戸市立科学技術高等学校 卒業設計製図 最優秀 賞 (2012)、日本建築学会近畿支部 第66回卒業設 計コンクール優秀作品賞(2012)受賞
内に広がるアーチの数々によって生まれる 見通しの悪さが奥へ奥へ足を運ばせる。
・2本の平行線は道
・シンメトリーも道
・道の要素を残しつつも広場を
ガラスにより行き止まり。
通り抜ける
本棚になったり、
中が見える
気持ちに変化が生まれる
作品の展示スペースになっていたり
自分が映る(ダンスに最適)
大きなスパンの実現
階段、机にもなっている
つくる
完成
飾る
帰る
一 つ の 流れ
[ 芝・ウッドデッキ・漆喰・タイル] この大きな4つから伝わる靴の裏への全く違う感触と、アーチが生み出す新しい美術広場。そこは [ 日常 ] と共に ひとりひとりのジャンルの問わない作品達が広がる場所になっていて、 [ 喜び・悲しみ・楽しさ・苦しさ ] などが 混ざりあい美術館の持つ [ 非日常 ] を作り出す。
2014年度 建築総合デザイン実習 A(3年生後期課題)
地域を活性化し、都市の改善に寄与する建築とするた
開かれた公園のような美術館。地域あっての美術館。
めの企画、建築プログラムの作成を行い、建築のデザ
周辺と一体化した美術館は、「神戸」というテーマパー
指導教員:専任/小玉祐一郎・花島晃・小菅瑠香
インにまとめて提案する。敷地周辺の社会的、自然的
クといえるだろう。
非常勤講師/菅正太郎(すがアトリエ)・香川貴範
特性を読み、場所が持っているポテンシャルを生かす
好きな現代作家を特定した美術館としてもよい。
「現代美術館ー美術展示を中心とする文化コンプレックス」
(SPACESPACE)
ことが求められる。
2014年9月23日〜12月16日
47
作りにいく
3.対象敷地 2. 課題内容
対象とする . 敷地は、各自が次のメニューの中から選び、
1.課題の位置付け
美術館は、すばらしい美術作品を所蔵している。こう
決める。
環境・建築デザイン学科の最後の実習課題として、ま
した作品に触れることは、非日常的な特別な体験だ。
A1 北野クラブ・ソラの敷地
た 4 年生でおこなう卒業制作の準備課題として、3年
多くに人にこの体験をしてもらおう。最近の美術館は
山のポテンシャルを生かす
生前期までに取り組んできた多角的な実習の経験をも
そのためにさまざまな工夫をしている。展示の工夫は
A2 三宮駅前マルイの敷地
とに、3つの総合実習課題に関して、各自最も興味の
もちろんだが、単に作品を展示しているだけではない。
街のポテンシャルを生かす(1)
ある領域の課題を選択する。
講演やコンサートのホールや、ワークショップのスタ
A3 東遊園地
建築デザイン総合実習では、特定の敷地に建設する
ジオや、図書やビデオの情報施設などの機能も備えて
街のポテンシャルを生かす(2)
新しい建物のデザインを行う。特定の用途を持ち、多
いる。すてきなレストランやカフェも欠かせない。
A4 モザイクガーデンの敷地
くの人々が利用する公共的な性格を有する建築である。
非日常的な仮想世界をつくること構想しよう。街に
海のポテンシャルを生かす
3年生後期課題 建築デザイン総合実習 敷地 A1
境界線。
10 ▲
12
12E0008 池村友希
▽
①
▽
9
⑬
11
⑩ ④
14 18
②
13
⑫ ⑪
① 風除室
⑩ 女子便所
② エントランス
⑪ 男子便所
③ 受付
⑫ 身障者用便所
④ 常設展示
⑬ 風除室 (中庭側)
⑤ 特別展示室1
⑭ 中庭
③ ⑭
5 ⑭
16 6
15 18
⑥ 特別展示室2
⑥
⑦ アトリエ 7
⑧ 収蔵庫
⑤
17
⑦
⑨ アトリエ テラス
1 風除室
10 図書館
2 エントランス
11 多目的ホール
3 受付
12 テラス
4 ロッカールーム
13 レストラン
5 エレベーター
14 レストラン テラス
6 特別展示室1
15 女子便所
7 特別展示室2
16 男子便所
8 収蔵庫
17 身障者用便所
9 風除室
18 中庭
⑨
⑧
8
4
2 3 1
▲
配置・1F 平面 1/400
このひろい森にはふたりのこどもがいました ふたりははなればなれで いちどもあったことがありませんでした。 いつかめぐりあえることをしんじて まいにちをすごしていました
あるひふたりは 森のなかで大きなかべをみつけました。 この森ではみたことがありません 境界線
かべのつうろにはいると そこは空とふたりだけのせかいが ひろがっていました。
まえにすすむと、がらすのとびらがあらわれました とびらのむこうは まっしろなひかりが ふたりをつつみこみました
すすんでいったさきにはきらきらしたものがたくさんあります ふたりにあたらしいせかいをみせてくれました。
うつわには、いのちを。 うちゅうには、うつくしさを。 いつかあえる、そうしんじて
おさらには、りょうりを。
だから、さがすわたしだけのものがたりを。 ひとりぼっちには… いつかであえる、そうしんじて。
設計者 池村友希(いけむら・ゆき) 1994年 大阪府大阪市生まれ 2012年 大阪府立港南造形高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 第25回毎日・DAS高校生デザイン賞[商環 境デザイン]佳作(2011)受賞
A1
森でみつけたしろいせかい。 かべをこえ
しろいせかいから 「みつけた」
とびらをあけ
わたしのしらない もうひとつのものがたりを。
うちゅうをわたり。
平面 (詳細) 1/200
4.建築設計要項
・ミュージアムショップ
建築規模
容積率、建蔽率などについては原則として現行の基準・
延床面積は 10,000㎡を目途にする。原則として下記の
条例が適用されるものとする。
機能を含むものとするが、自分の構想に不要と思うも
A2
A3
のは省いてもよい。参考資料に示すように、美術館に
5.課題の実施方法
よって求められる機能は異なり、面積配分も異なって
課題は以下のステップに沿って進めていく。
いる。構想する美術館のコンセプトに合わせ、規模の
Step1: 敷地調査・課題設定
設定、面積配分は各自で決めること。
現地の特性を読み、構想を練る
・常設展示室 2 室
Step2: 企画・基本計画
・企画展示室 1 室
コンセプトの具体化、既存事例調査(文献、現地視察)
・収蔵庫
Step3: 基本設計
・野外展示スペース
Step4: 最終設計
・ミュージアムホール 150 席 1 室 ・ワークショップ・スタジオ (設定自由) A4
・美術図書室 ビデオ鑑賞もできる。 地図データ ©2013 Google, ZENRIN
・レストラン・カフェ
46
「入れ子」の構造にし、内側を高さ 2.4
m
の屋根版をグリッド状
の 壁 で 囲 い こ み、 展 示 ス ペ ー ス と し
た。 厚 さ
に配置したスレンダーな鋼管で支え、
水 平 方 向 の 力 は、 四 周 に 張 り 巡 ら し
たワイヤーメッシュで負担するとい
う大胆な構造だ。
ワ イ ヤ ー メ ッ シ ュ に は、 全 面 に ガ ラスを吊り込むというシンプルな構
成 だ が、 ハ イ テ ク な 仕 様 の ガ ラ ス ス
ク リ ー ン に は、 注 意 深 く 残 さ れ た 周
辺 の 樹 木 の 緑 や 空 が 映 り 込 み、 反 射
する光と透過する光が幾重にも錯綜
して多様で複雑な透明感を生みだし
ている。
そ の 効 果 は、 入 れ 子 の 内 側 の 展 示 空 間 に も 及 ぶ。 ミ ニ マ ル な デ ザ イ ン
ゆ え に 際 立 ち、 強 調 さ れ る 自 然 の 饗
宴。 土 地 の 文 脈 の 深 い 読 み 込 み が 結
実 し た 秀 作 だ。 丹 念 に 描 き こ ま れ た
岡田ならではの手技が空間の魅力を
いっそう引き出している。
50 cm
⃝西洋式庭園の断片を切り取る
⃝グリ
⃝展示空間に断片を残す
⃝グリ
⃝2つのレイヤーによる空間構成
この美術館の展示空間は、空間の質を変える「切り取られた庭園の断片」と、展示什器としての機能を備えた「うねった柱
て い ま す 。こ れ ら が 均 質 な ワ ン ル ー ム に 領 域 を 与 え て い ま す 。う ね っ た 柱 は 、機 能 が 付 加 し た だ け で な く 、仮 設 造 作 で 展 示 什 器 柱の延長として配置させたり、完全に独立した配置をさせるなど、小さなルールとも言えます。
うねった柱と断片 展示空間に、マスタープランにあった「庭園の断片」を残します。元々あっ た 庭 園 は 西 洋 式 の 幾 何 学 的 な デ ザ イ ン が 特 徴 の 庭 園 で 、そ の 幾 何 学 が 持 つ 「 軸 の意識」なども残していき、大きなワンルームという均質な展示空間に空間 の 質 を 与 え 、 曖 昧 な 領 域 と い う 認 識 を つ く り だ し ま す 。「 庭 園 の 断 片 」 は 、 単 体では意味を持ちませんが、様々な作品が展示されることによってその背景 となり、作品の意味や機能に何かしらの変化を与えます。作者の意図とは別 に、読者によって読み取りが可能になります。ポップな外観の背後で実は強 固な幾何学の精神を有する、不思議な空間感覚です。 このように建築も美術も、完成すること無く常に生まれ変わっていきます。 同 時 多 発 的 に 展 示 会 が 行 わ れ た り 、周 期 が 早 く な っ た り 、展 示 会 や パ ー テ ィ ー が開催される可能性もあると思います。アートの展示空間からパーティー会 場まで、様々な表情を見せる「不均質なワンルーム」を提案します。
⃝西洋式庭園の断片を切り取る
⃝グリッドレイヤー
⃝展示空間に断片を残す
⃝グリッドレイヤー状に柱を配置
設計者 岡田真弥(おかだ・まさや) 1993年 大阪府吹田市生まれ 2012年 大阪市立工芸高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 大阪市立工芸高等学校シグマ会 Σ GOLD (2012)、日本建築学会近畿支部 第 66 回 卒業設計コンクール 優秀作品賞 (2012)、 西日本工高建築連盟 連盟賞 (2012) 受賞、 建築新人戦2014 101選 (2014)
45
⃝2つのレイヤーによる空間構成 この美術館の展示空間は、空間の質を変える「切り取られた庭園の断片」と、展示什器としての機能を備えた「うねった柱」という 2 つのレイヤーから構成され て い ま す 。こ れ ら が 均 質 な ワ ン ル ー ム に 領 域 を 与 え て い ま す 。う ね っ た 柱 は 、機 能 が 付 加 し た だ け で な く 、仮 設 造 作 で 展 示 什 器 を つ く る と き の き っ か け と な り ま す 。 柱の延長として配置させたり、完全に独立した配置をさせるなど、小さなルールとも言えます。
小玉祐一郎
都市公園につくられた美術館
新神戸から三宮を抜けて海に至るフ
X4
ラ ワ ー ロ ー ド。 現 在 は 山 と 海 を 南 北
に 結 ぶ 交 通 幹 線 道 路 だ が、 そ の 昔 は
生 田 川 で あ っ た。 こ の フ ラ ワ ー ロ ー
ド と 旧 居 留 地 の 間 に 位 置 し、 か つ て
X3
は居留地に住む異国人の運動場だっ
た東遊園地がこの現代美術館の敷地
で あ る。 賑 や か で フ ァ ッ シ ョ ナ ブ ル
な旧居留地エリアに西側で隣接する。
神戸市街地に残された貴重な緑地で
も あ り、 ル ミ ナ リ エ な ど の イ ベ ン ト
X2
の 広 場 に も 使 わ れ る。 そ の 公 園 と し
7.2
て の 機 能 を 残 し な が ら、 ど の よ う な
31
公園美術館をつくるか。
の 巨 大 な ガ ラ ス ボ ッ ク ス を 置 き、 そ
X1
岡 田 真 弥 の 提 案 は、 フ ラ ワ ー ロ ー ド沿いに長さ m、幅 m、高さ m
の 透 明 感 を 生 か し な が ら、 公 園 の 持
つ 緩 衝 効 果 を 引 き 継 ぎ、 東 西 の 異 質
な 外 部 空 間 を 結 ぶ こ と で あ っ た。 と
は い え、 美 術 館 と す る た め に は 外 部
と の 遮 断 も 必 要 で あ る。 こ の ジ レ ン
マ を 解 く た め に、 ガ ラ ス ボ ッ ク ス を
X0
113
X5
3年生後期課題 建築デザイン総合実習 敷地A3
遊園のあとがき 12E0014 岡田真弥
X6
X7
X8
X7
113250
遊歩道
7625
7200
7200
7200
7200
7200
7200
11475
7200
7200
7200
7200
7200
7200
7200
7200
4825
4150
7325
B
Y5
シェルフ棚 Panasonic Archi-spec SHUNOU
展示什器 木製 クロス仕上げ
ライブラリー
ソファ Ercol 2 シーターソファ
テーブルセット Ercol バタフライテーブル & チェア
ラウンジ
カフェ
トイレ
4200
チェア Ercol スモーカーチェア
4825
スツール W350 D250 H420mm Ercol(Reproduct)
アートギャラリー
Y4
16485
7200
Y4
Y3
26630
収蔵庫
A´
4795
展示室
31250
26630
ペンダントライトφ283×H245mm louis poulsen Doo-Wop
A
Y2
Y3
本柱φ200 ペンダントライトφ500×H225mm louis poulsen AJ Royal 500
7200
31250
うねった柱φ200
機械室
Y2
7200
1200
ペンダントライトφ120×H121mm louis poulsen Toldbod 120
4150
メインエントランス EV
EV
Y1
ミュージアムショップ 床仕上げ コンクリート
キッズスタジオ
トイレ
B1F平面
4200
4825
Y1
搬入口
ガラスカーテンウォール MPG
Y0
B´
7000
86375
11475
4200
102050
N
1F平面 1/800
広場
X0
X1
X2
X3
X4
X5
X6
X7
Y0
X8
Y1
Y2
7200
7200
7200
7200
7200
7200
7200
Y3
Y4
Y5
31250
113250 7625
7200
7200
7200
7200
7200
7200
7200
4825
4825
800
7200
7200
7200
4825
800
10 3 5400
A
ガラスカーテンウォール MPG
12600
Z1
ペンダントライトφ283×H245mm louis poulsen Doo-Wop ペンダントライトφ500×H225mm louis poulsen AJ Royal 500
中庭
展示室
アート ペンダントライトφ120×H121mm louis poulsen Toldbod 120
ペンダントライトφ283×H245mm louis poulsen Doo-Wop 7200
エントランスホール
ギャラリー
ライブラリー
展示室
ミュージアム ショップ
Z0
収蔵庫
A-A' 断面
B-B' 断面 1/800
44
3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習
CUSTOMIZE 12E0030 藏尾将太
平面 1/120
家具詳細 1/50 10mm 厚の合板で下地をつくり、そこ に 60 × 60mm の角材をアンカーボル トでとめる。その上に、アンカーボル トが見えないようにするため、30mm のシナ合板を接着剤でとめて固定。
設計者 藏尾将太(くらお・しょうた) 1993年 大阪府大阪市生まれ 2012年 早稲田摂陵高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学
既存RCを塗装 (white)
450
1186
635 450 100
半屋外デッキ
+200
1678
洗濯機
600
50
670
50
905
50
600
カーテンポール ( ハンギングスタイル ) 設置
3570
友達を招きたくなる 自慢のワンルーム
2318
フローリング(床材:レッドパイン )
3785 冷蔵庫
PS 可動棚
2255
225
AC
100
50
760
100
3600
600
150 450
玄関
+200
±0
(床材:既存 RC)
高反発マットフロア(50mm)
939
+50
836
1837
ダイニングキッチン リビング(寝室)
640
3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習
12E0060 松下真子
50
(床材:杉 )
500 サニタリースペース
778
247
660
647
664
拡張されたバルコニー(半屋外空間)とそこ と繋がる高反発マットレスを敷き詰めたフロ ア。ダイニングキッチンのフローリングから 150mm 下がったその空間に入るとマットレ スの感触を体感でき、ゆっくりとくつろげる 空間となっている。 水回りの動線は、回遊性を持ち、脱衣・洗濯・ アイロンがけ・収納までの流れがスムーズに 行える。
既存RCを塗装 (white)
シャワーカーテンレール設置
既存RCを塗装 (white)
1215 WC
100
740
300 靴箱
N 既存RCを塗装 (white)
既存RCを塗装 (white)
既存RCを塗装 (white)
平面 1/120
設計者 松下真子(まつした・まこ) 1993年 広島県江田島市生まれ 2012年 広島県立呉宮原高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学
2014年度 住居・インテリアデザイン総合実習 A
所ディテール、家具に及ぶ詳細な設計をおこなうこと
物の外観に対する軽微な変更提案が課題である。
(3年生後期課題)
により、内部空間を中心にしたデザインのために必要
この建物は、神戸市で不動産業を営む大和船舶土地
「賃貸マンションの住戸リノベーション」
な具体的知識、設計手法、プレゼンテーション技法等
株式会社が所有している。同社は、本学科の教員でデ
も習得する。
ザインを行った 2 棟のシェアハウスのオーナーであり、
指導教員:専任/花田佳明・小菅瑠香 非常勤講師/ 笹岡周平(ワサビ) ・島田陽(タトアーキテクツ) 2014年9月23日〜12月16日
43
今回の課題の対象とする住戸も、本学科教員のデザイ 2. 対象建物
ンでリノベーションを行う予定になっている。
リノベーションを行う対象建物は、神戸市兵庫区に建
現在この建物では、既に2つの住戸のリノベーショ
1.課題の位置付け
つマンションである。地上 5 階建ての中規模マンショ
ンが終わっている。設計者は、大和船舶土地の多くの
住居・インテリアデザイン総合実習では、既存の建物
ンであり、1 階は事務所として使われ、2 階から上に 15
物件を担当している設計事務所・ランドサット(代表:
や構築物を題材とし、その新しい用途や入居者・入居
室の賃貸住戸がある。周囲は、大型スーパー、マンショ
安田利宏。同社のサイト:http://landsat.jp)で、その
テナントを具体的に想定した上で、対象とする建物お
ン、木賃アパート、戸建て住宅などが混在する典型的
うちの1室は下記リンクである。
よび周辺環境の価値を高め、何らかの意味で社会に影
な下町である。地下鉄・大開駅のすぐそばであり、交
http://landsat.jp/gallery/d-apartment-mizukidori-203/
響をおよぼすリノベーションの方法について学ぶこと
通の便は良い。
を目標としている。また、空間構成、仕上げ材料、各
今回は、そのうちの1室の改修案の策定および、建
なお、以下の大和船舶土地株式会社のサイトを必ず
3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習
ひとつの机を 囲んで暮らす 12E0007 池内瑞貴
B 新規開口部新設
既存穴再利用
ダウンライト シーリングソケット
洗濯機 置き場 4280
+750
引戸全開時、引戸と壁の 小口がそろうように設定
1850
フリースペース
ペンダントライト 壁付きコンセント (2口)
1250
F-3
専用コンセント
F-2
1420
共有廊下
洗面所 420
棚
4280 700
インターホン新設
5550 1280
700
280
1000
ベランダ
既存サッシ補修 の上再利用
1420
1090
IH
±0
A
3480
F-1
F-2 クローゼット
便所
床仕上表 戸当
F-1
既存床仕上撤去の上、 金こて仕上のシーラー塗布
飾り棚
F-2
構造用合板t=24、 捨貼ベニア下地Pタイル
F-3
複合フローリング
380
400
AC
引戸全開時、引戸と壁の 小口がそろうように設定
660
キッチンスペース
1160
+150 必要分壁ふかし
620
1120
A
ペーパーホルダー エアコンは別途工事
平面 1/80
B
壁仕上表 w-1
アリアフィーナ プレミアムレンジフード Canter Maya CMAYAL-954 S (ステンレス) 天井取り付けタイプ
漆喰コテ波仕上げ SUSパイプ
SUSパイプ
バスルーム
3230
w-1
w-1
玄関
800
キッチンスペース
クロー ゼット
RDV1618UD RD シリーズ
w-1
睡眠スペース w-1
150
w-1
w-1
950
1470
2850
1550
450
300
設計者 池内瑞貴(いけうち・みずき) 1993年 兵庫県姫路市生まれ 2012年 姫路市立姫路高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学
750
50
1900
棚
4280
2040
w-1
w-1
B-B' 断面 1/120
ループ&フレンズ 洗面器 VB514400 ステンレスシンク スクエアタイプ
見て同社の考え方などは理解しておくこと。
A-A' 断面
「ここならこういうものを志向する層は必ず一定数いる
http://www.daiwasenpaku.co.jp
はずだ」と確信する何らかのライフスタイル、住まい
また、本学科が関わった 2 つのシェアハウスは以下
への要求、居住者の年齢層等を想定し、それに相応し
のページに掲載されている。
い空間デザインを詳細に提案してほしい。家賃および
鈴木文シェアハウス: http://www.daiwasenpaku.co.jp/#!rd03/coe
それと深い関係にある工事費についても考えること。 (2)建物の外観に対する提案
禅昌寺キオスク:
対象建物では今回で 3 つの住戸の改修が終わるが、
http://www.daiwasenpaku.co.jp/#!rd05/c1ejc
さらに空き住戸が出れば、順次そのリノベーションも 行っていく予定である。そのような前提で、建物全体
3.課題内容
の外観の更新方法についても何らかの提案を行ってほ
次の 2 つの課題について提案を行うこと。
しい。ただしできるだけ簡単で安価な提案であること。
(1)対象住戸の改修案 1 人ないし 2 人の住人を前提とした賃貸の住居とす 改修前平面図。対象住戸は右端
る。各自、この建物の立地条件等を十分に考慮した上で、
42
D-D' 断面 1/100
80
80
270
270
700
1000
1450
1280
1850
1260
2390
2020
浴室
550
100
300
2780
1070
1370
350 1100 900
130
ベッドフレーム 450
350 400 800 750 200
1900 テレビ 50
850
1300
1700 1300
2070 1770
既存サッシ補修の上
1000
モルタル金ゴテ仕上げ 300
収納 580
学生たちも小さなスケールの設計 を 楽 し ん だ 印 象 が あ り、 最 終 的 に は 予想以上にバリエーション豊かな作
棚 マットレス
品群が提出された。
725
そ の 中 か ら、 授 業 科 目 と し て の 成 績 評 価 と は 別 に、 関 係 者 で 実 施 案 の 選 定 を お こ な っ た 結 果、 池 内 瑞 貴、
塗装なし
藏 尾 将 太、 久 木 楓、 松 下 真 子 の 四 名 に 絞 ら れ、 そ の 中 か ら 以 下 の よ う な 点において最も高い評価を受けた久
B-B' 断面
」という作品を実 木楓の「 tiny space 現することに決定した。
よって大きな骨格を与えた上で、その
( 1) 二枚の緩やかにカーブする壁に
内部に極めて小さなスケールの空間を 埋め込んだ構成は実に明快である。
ンの多くはワンルーム化する傾向に
(2)このような小規模の住戸デザイ
あ る の に 対 し、 あ た か も 家 具 の 中 に 住むかのような迷路状の空間はきわ めて希有な発想であり興味深い。 (3)こういった空間のスケールや構 成 は、 現 在 の 都 市 の 様 相 や 現 代 人 の 都市観を象徴しているのではないか といった想像を誘う力がある。 (4)小規模なワンルームマンション の 住 戸 空 間 と し て、 既 視 感 の 無 い デ ザ イ ン で あ り、 実 現 し て み た い と 思
久木楓 (ひさき・かえで) 1994年 大阪府寝屋川市生まれ 2012年 大阪薫英女学院高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学
わせる力をもっている。 そ の 後、 不 動 産 会 社 と 設 計 事 務 所 による実施設計や現場監理に久木も 参 加 し、 二 〇 一 四 年 四 月 中 旬 の 完 成
41
を目指して作業が進められた。
設計者
棚
チェスト等の 収納スペース
TEA
デスク
洗濯
908 シナベニヤ
塗装なし
スペース
ワークスペース
ミニテーブル
スペース
可動棚
棚
可動棚
棚
チェスト等の収納スペース
クローゼット 1
シューズ クローゼット
フリースペース 1
ミニデスク
フリースペース 1
モルタル金ゴテ仕上げ
フリースペース 2 クローゼット 2
サニタリー
再利用
シナベニヤ使用で塗装なし
シナベニヤ 25mm
収納棚 塗装なし
ベッドフレーム
シナベニヤ使用で塗装なし
A-A' 断面 サイドテーブル
再利用
浴室
寝室 2180
630 アルミパネル 3.2mm 1160 75
便所 キッチン・ダイニング 寝室
シナベニヤ 塗装なし 1862 シナベニヤ 25mm シナベニヤ 塗装なし シナベニヤ 塗装なし
2072 塗装なし
スペース
ロフト 塗装なし シナベニヤ 25mm
収納スペース シナベニヤ 25mm
800 洗剤等の 収納スペース
既存サッシ補修の上
現実の場で自分の思考を練り上げ る経験ができ、学生と教員双方にとっ てたいへんに貴重な機会となった。
現場の様子
C-C' 断面
シナベニヤ 25mm
塗装なし
家具の中に住むかのような 迷路状の空間の魅力
花田佳明
㎡
今 回 の 課 題 は、 神 戸 市 兵 庫 区 に 実 在
する賃貸マンションの一室を改修す
る と い う も の で あ る。 規 模 は 約
と 小 さ い が、 こ の 建 物 を 所 有 す る 神
戸 の 不 動 産 会 社( 大 和 船 舶 土 地 株 式
会社)とのコラボレーションにより、
優秀な案が提出されればそれを実現
していただけるという恵まれた前提
のもとでスタートした。
そ の た め、 現 状 住 戸 の 実 測 や 不 動 産 会 社 社 長 に よ る レ ク チ ャ ー、 実 施
設計図の解説やトレースなどを途中
で 行 い、 学 生 に は 実 施 設 計 図 レ ベ ル
の図面の提出を要求した。
周囲は、大型スーパー、マンション、 木 賃 ア パ ー ト、 戸 建 て 住 宅 な ど が 混
在 す る 典 型 的 な 下 町 で あ る が、 三 宮
への地下鉄の駅はすぐそばであり交
通 の 便 は 良 い。 学 生 に は そ の よ う な
条 件 を 考 慮 し て、 借 り 手 の イ メ ー ジ
やライフスタイルを構築することも
求めながらエスキースが進められた。
C
40
3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習
tiny space 12E0051 久木楓
D
既存サッシ補修の上再利用
既存サッシ補修の上再利用
壁付コンセント
イス
510
120
凡例 既存サッシ補修の上再利用
マルチメディアコンセント (TV 対応 ) 分電盤
1020
1160
A
795
500
600
1650
760
テーブル
便所
780 サイド
寝室
キッチン・ダイニング
ロフト
+200
レンジフード
A
浴室
AC
エアコン
+360
+200 510
テーブル
1730
450
1000
アルミパネル 3.2mm
キッチン天板
TV 台
サクラ ウレタン塗装
530
750
240
850
600
サニタリースペース +360
既存サッシ補修の上再利用
2200 R壁
表側:シナベニヤ 5mm にウォールナット突板 裏側:シナベニヤ 5mm 塗装なし
R壁
+200
±0 既存スラブ
F-2
F-1
表側:シナベニヤ 5mm にウォールナット突板 裏側:シナベニヤ 5mm 塗装なし 既存サッシ補修の上再利用
AC
1760
1800
フリースペース2
B
380
PS
1850
250
フリースペース1
1400
800
330
600
床仕上げ表
可動棚
ソファスペース
340
本棚
420
B
ミニデスク
F-1
既存下地撤去後、モルタル金ゴテ仕上げ
F-2
構造用合板にカバ桜無垢フローリング 90
(MOKUZAI.com)
既存下地撤去後、モルタル金ゴテ仕上げ
C
D
平面 1/70
40
3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン
Gap of the alley 12E0049 火置彩子 12E0066 山口眞沙美
西立面
南立面 1/1200
設計者 火置彩子(ひおき・あやこ) 1993年 兵庫県篠山市生まれ 2012年 兵庫県立篠山産業高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学
住戸の外側に幅 2000mm ほどのテラス通路を設け る。パブリックスペースとプライベートスペース の間にワンクッション挟むことで、住戸での生活 で来客者を意識することがなくなる。また、広め の通路を通すことで海風を活かした通風ができる。
厚さ 400mm のコンクリート壁
2000mm のウッドデッキの通路 屋根は設置されているが外部
設計者 山口眞沙美(やまぐち・まさみ) 1993年 大阪府大阪市生まれ 2011年 清明学院高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学
中庭に面している側は ガラス張り
コンクリートの熱を溜め込む性質を利用して、夏の夜に冷たい空気で通風し 壁を冷やして、その熱が昼間の住戸の室内に放出することで室内温度を下げ ることを考えた。中庭を向いた面はガラス張りになっているが、室内温度の 上昇を抑え快適に生活できる。
Bエリア:1F 平面 1/700
2014年度 環境・建築デザイン実習Ⅲ- B(3年生前期課題)
る魅力的な店舗計画を行う。
③計画敷地内における住戸と、店舗と住宅群全体の 構成について
「集合住宅のデザイン(住宅地のデザイン)」 指導教員:専任/遠藤剛生・三上晴久・小菅瑠香
3.具体的な検討事項
3)住宅と店舗に対する視点
非常勤講師/長瀬信博(NNAD 長瀬信博建築研究所)・
1)都市的視点
①光や風、水辺(親水空間)や眺望をどう活かした
岩崎隆久(遠藤剛生建築設計事務所)
①神戸市の特性を活かした自然の活用方法について
住戸計画を行うか
2013年6月6日〜7月25日
②神戸市における場所を活かした生活のあり方とは
②この場所でのどんなライフサイクル、ライフステー
③神戸市における空間アイデンティティのあり方
ジ、ライフスタイルを考えた住戸計画を行うか
1. テーマ
2)住棟、住戸に対する視点
③周辺空間を活かしたどんな住戸内空間、及び中間
運河沿いに建つ集合住宅(店舗等併設可)
①どの場所を使い、どんな親水空間を造り、自然と
領域計画を行うか
どう関われるのか
39
2. 課題の目標
②計画敷地内における集合住宅の生活の具体的なあ
4.計画敷地
水辺空間を活かした生活空間と、地域の活性化に資す
り方とは
所在地:兵庫県神戸市中央区東川崎町 1 丁目
3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン
Design for acts 12E0021 上村昂平 12E0038 鈴木勇司
2F 部分平面
1F 部分平面 1/400
③
⑤
スケールをアイレベルで見ることで人間の行 為や意識とリンクし、繊細で人間味のあるデ ザインになるのではないだろうか。 ↓ インテリアによる空間構成
インテリアによる空間構成を内外を繋ぐ要素 としても使えないだろうか。それにより内外 の領域を曖昧にできないだろうか。 ↓ 内外のテクスチャーの統一
インテリアによる空間構成と内外のテクス チャーの統一で得たものを、ボリューム単位 で後押ししてくれる操作はないだろうか。 ↓ 分棟案
同じ機能のボリュームが 集まることにより共通の ふるまいで領域が共有さ れる。
1 つのプレートに同じ機 能を持つボリュームを適 度な間隔を持たせて配置 させる。
レベルも機 能も違ったボ リュームのプレートを重 ねてやることで平面から 断面方向の関係性を。
③
②
①
④ ①
異なる機能のボリューム をセット(数字が同じも の)にし1つの住戸を作っ てやる。
⑤
②
①
④ ①
プレートのレベルが違う ものの1つの住戸となっ た 2 つのボリュームの間 には新たな領域ができる。
ボリュームごとに庇 が かかることによって領域 が更に曖昧になりふるま いが混ざりやすくなる。
設計者 上村昂平(かみむら共に暮らすメリットについて ・こうへい) 1993年 大阪府茨木市生まれ 戸建住宅と集合住宅の違いは「共 に暮らす」ということだと考えてい 2012年 大阪学院大学高等学校卒業 る。 「共に暮らす」ということは多 2012年 神戸芸術工科大学入学 種多様の人の多種多様なふるまいが 混ざり合うことで生活に豊かさが生
るプランだが、ここでは同じ機能の
誘発、外と内の繋ぎ方にお 所有物という認識は強い。
める。そのことで生まれる共通のふ
いて建築以外により細やか そこを上手く利用しインテ
るまいが新しいコミュニケーション を生む。 さらに1 つの住戸をプレート
を跨いで構成することにより集合住
ペースも役割を果たしていない。そ
セットのボリュームの間には目には見
こで私たちが考えたのが右の図だ。
領域の繋ぎ方、ふるまいの いていたとしても、自分の
ボリュームを一つのプレートでまと
まれることだ。しかし現代の集合住 宅は領域が明確に分別されコモンス
インテリア (家具) の可能性
このように一見ただの分棟案に見え
。自分の所有物という認識
の強いモノが共有部にあることで、その物体までの空間は少しばかり自分の空間だという
錯覚に陥る。そこが狙いで、建築ではできないソフトで細やかな空間構成を作っている。
宅内の動きを活発にする。そして 1
えない領域が発生することになる。
図1
図2
インテリアの角度について。大 きめのインテリア (家具)は配置 の角度が重要となってくる。図 1 ではソファは向き合っておら ず空間は内と外はっきりと分断 されている。それに対し図 2 で はソファは互いに向き合うこと で、内と外の空間を繋げている。
に、ソフトに効果を与えて リア (家具) を用いて領域の くれるのがインテリア(家 繋ぎ方、ふるまいの誘発、 具)だと考えている。建築 外と内の繋ぎ方をより豊か は借家の場合自分の所有物 に、より強固な物にしよう という認識はかなり薄い。 と考えている。その考えを しかし家具の場合借家に置 示しているのが左の図だ。
設計者 鈴木勇司(すずき・ゆうじ) 1993年 兵庫県神戸市生まれ 2012年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞(2014)受賞 全体平面
用途地域:①商業地域、 ②第2種住居地域、 ③準工業地域
ま ないものとする)。タウンハウス、準接地型タイ
建ぺい率:① 80%、② 60%、③ 60%
プ、
容積率:① 400%、② 300%。③ 200%
フラットタイプ積層型のいずれの集合形態も可と
敷地面積:全体で約 37,000㎡(水面を除く)
する(独立戸建住宅は不可とする) 。 5) 駐車場は各住戸 1 台とすること。1 台の面積は 2.5m
地図データ ©2013 Google, ZENRIN
5.計画条件
× 5m とし、通路巾は 6m とする。
1)敷地の分割、選択は自由とする。
6)店舗は、カフェ、レストラン等業種は自由とするが、
2)敷地内に親水空間を造ること。
この場所にふさわしい業種とすること。
3)街区、住棟、住戸、店舗計画のみならず、一体不
7)住戸平均面積は、100㎡を基本とし、大・中・小の
可分なランドスケープについても計画を行うこと。
住戸の組み合わせも可とする (70㎡、100㎡、120㎡
4)住戸数は 50 戸以上とすること(容積率 60%を前
程度) 。
提 とし、広場、リバーウォーク等は、容積率に含
38
新たな力強さを構築することへと向 か う。 す な わ ち、 水 の 存 在 が、 集 住 体 の あ り 方、 す な わ ち、 こ こ で の 生 活を決定づけるようなデザインに結 実している。 提 案 さ れ た 集 住 体 は、 高 さ 方 向 に 豊かな変化を持つ低層集合住宅であ り、 し か も そ れ が、 敷 地 内 に 取 り 込 まれた水の存在によって時々刻々と 変 化 し 続 け る、 い き い き と し た 生 活
短手断面
東立面 1/1100
長手断面1/1100
柳谷菜穂(やなぎたに・なほ) 1993年 兵庫県西宮市生まれ 2012年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞 (2014) 受賞
の場となっている。 こ れ は、 集 合 住 宅 と い う よ り は、 も は や「 ま ち 」 と 呼 ぶ べ き だ ろ う。 潮位とともに住まうまちである。 サ ン マ ル コ 広 場 は、 冬 期 に 潮 位 が 上 が る と 浸 水 し て し ま う が、 そ れ も またベネチアの魅力のひとつである
37
と 指 摘 さ れ る。 こ の 作 品 は、 そ う し たことも思い出させてくれる。
1F 平面 1/1100
設計者
髙村泰正(たかむら・やすまさ) 1994年 兵庫県神戸市生まれ 2012年 兵庫県立明石清水高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学
設計者
Tidal power -消えていく街
12E0040 髙村泰正 12E0064 柳谷菜穂
へ の 疑 問 は 、水 と 集 住 体 の 関 係 性 に
そ し て、 既 存 の 運 河 と 建 物 の 関 係 性
さと説得力の強さにつながっている。
選 択 の あ り 方 が、 こ の 作 品 の 質 の 高
選 択 し た の だ と 思 わ れ る が、 敷 地 の
設 計 者 は、 そ れ だ か ら こ そ、 強 い 意思を持ってこの場所を敷地として
取り残されているように見える。
あ っ て こ の 場 所 は、 手 付 か ず の ま ま
あ る。 実 際、 ハ ー バ ー ラ ン ド の 中 に
ることが難しいといえそうな場所で
のように展開していくべきかを考え
近 い と こ ろ で あ り、 こ こ は、 今 後 ど
指定されたエリアの中から作者が 敷 地 と し て 選 択 し た の は、 ド ッ ク に
から支えている。
な 分 析 が、 こ の 作 品 の あ り 様 を 根 底
疑 問 を 抱 い て い る。 こ の 極 め て 明 瞭
のエリアの運河のあり方には大きな
に 満 ち 溢 れ て い る と す る 一 方 で、 こ
た く さ ん の 神 戸 ら し い「 良 い 」 要 素
と し て 指 定 さ れ た エ リ ア を 分 析 し、
髙 村 泰 正 と 柳 谷 菜 穂 は、 敷 地 の 候 補
三上晴久
潮位とともに住まうまち
3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン
干潮時は街が浮かび上がる
満潮時は住宅に海が浸透する
この敷地の「良い」要素の狭間が、ちっぽけな運河ででしかできて いないことに疑問を持った。その運河にはなにがあるべきなのか。
もっと海に溶け込むような、消えていくような建築を設計したいと 思った。海際からは少しずつレベルが変わっていき、満潮になるに
つれて少しずつ少しずつ住宅が海に消えていく。そして干潮になる
とそっと島のように住宅の影ができる。まるでゆっくり息をしてい
るかのような海と、ともに過ごしていくような建築を提案する。
北立面 1/900
36
3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン
垂水のおへそ 12E0065 栁原逸聖
1F 平面 1/900
南立面 1/900
設計者 栁原逸聖(やなぎはら・いっせい) 1994 年 大阪府豊中市生まれ 2012年 大阪市立工芸高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞(2013)受賞
2014年度 環境・建築デザイン実習Ⅲ- A(3年生前期課題)
機能・動線など様々な問題を十分に考えておく必要が
「垂水コミュニティ・スクール—小学校と幼稚園のデザイン」
ある。第2に、同時に小学校は地域の中核となる施設
指導教員:専任/小玉祐一郎・花島晃・山之内誠・小菅瑠香
であり、周辺環境やコミュニティとの関係にも配慮し、
非常勤講師/赤松佳珠子 (CAt) ・前田圭介(UID 一級建築
地域活動に貢献する施設でなければならない。第3に、
士事務所) ・吉田哲(京都大学)
本課題対象敷地は、周囲を商業施設や住宅に囲まれた
2014年4月10日〜6月3日
都市部に存在する。したがって、これらの周辺環境と の整合性を考慮しながら、教育の場にふさわしい開放
1. 目的
的で伸びやかな環境を獲得する工夫が求められる。
この課題では、公共建築に要求される機能を理解し、
こうした課題に取り組むことによって、公共建築の
それを適切に反映した空間を提案していく方法を学ぶ。
計画・設計に、如何に取り組むべきかを習得して欲しい。
具体的には都市部に立地し、地域に密着した公立小学 校および幼稚園の計画・設計を行う。 この設計においては、第1に、小学校及び幼稚園は
35
2. 設計内容の項目 1. 対象地域 神戸市垂水区垂水小学校区
教育の場であり、発育段階にある多くの児童と教員が
(神戸市垂水区旭が丘、川原、神田町、陸ノ町、坂上、高丸、
共に長時間を過ごす場であるから、単位空間の規模・
天ノ下町、仲田、中道、日向、平磯、瑞ヶ丘、宮本町、山手)
地図データ ©2014 Google, ZENRIN
3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン
ムジャキな小学校 12E0010 上田恭平
西立面
断面 1/1500
設計者 上田恭平(うえだ・きょうへい) 1994年 兵庫県神戸市生まれ 2012年 神戸市立科学技術高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 第25回日本工業大学建築設計競技 佳作(2011)、 神戸市立科学技術高等学校 卒業設計製図 最優秀 賞 (2012)、日本建築学会近畿支部 第66回卒業設 計コンクール優秀作品賞(2012)受賞 平面 1/1500
2.対象敷地 垂水小学校(但し、北面の NTT 及び旧山
体育館(用具庫、管理室、更衣室、トイレ等を含む)
3)その他(条件整備) 150㎡
手市場の敷地を含む)
/ 1,200㎡、クラブハウス/ 100㎡、プール/ 800㎡、
玄関ホール、廊下など(適宜)
3.垂水小学校校地 約 12,300㎡
管理諸室/ 550㎡、職員室・校長室・会議室/ 150㎡、
4.対象敷地の設定
食堂・調理室/ 300㎡、保健室/ 50㎡、倉庫/ 50㎡
3.設計上の留意事項
(1)小学校規模の設定
4)その他(条件整備)500㎡
設計に際しては、以下の点に留意すること。
・条件 建築面積 4,000㎡程度(プール 800㎡を除く)/
玄関ホール、廊下など(適宜)
1. ブロックプランの空間構成を考える
児童数 300 人(全校)/クラス数 12(各学年2クラス、 (2)幼稚園規模の設定
1) 空間的なまとまり
1クラス 25 名定員と仮定する)/教職員数 25 人
・条件 建築面積約 400 〜 500㎡/園児数 25 人/
2) 空間のヒエラルキー(序列)
・所要室構成の例 : 以下に基準を提示、10%程度の増減が可
クラス数 2(年小、年長)/教職員数 4 人
3) 空間の連続性
1)諸教室 2,240㎡
・所要室構成の例※以下に基準を提示、10%程度の増減が可
4) 空間の豊かさと変化
クラスルーム/ 720㎡(60㎡× 12)、特別教室(音楽、
1)諸教室 230㎡
2. 周辺環境(周囲のまち)との関係に配慮した屋外空
理科、図工、家庭科)/ 400㎡、ワークスペース・オー
保育室(45㎡× 2) 、遊戯室、120㎡、
間を設計する
プンスペース / 600㎡、図書室/ 100㎡、メディアスペー
便所/ 20㎡(10㎡× 2)
3. 地域への開放性を考慮する
ス/ 100㎡、準備室/ 120㎡、便所(6 カ所)/ 200㎡
2)管理所室 100㎡
2)運動施設 2,100㎡
職員室・園長室、倉庫/ 50㎡
34
ミ ュ ニ テ ィ ス ペ ー ス と し て 残 し、 東 南 角 に 象 徴 的 に 教 員 棟 を お く。 正 方 形平面のクラスルームと円形平面の 特別教室を敷地西半分に分散配置し、 森の中を走り抜ける陸上トラックと プ ー ル を 北 西 側 に 設 け る。 敷 地 の 北 西 角 に は、 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ と の つ ながりを意識した音楽室や野外ス テ ー ジ を、 ま た 敷 地 の 東 側 に は 体 育 館をほぼ地中に埋め込んで存在感を 消 し、 そ の 北 に 幼 稚 園 を 配 置 し て い る。 岡 田 は、 本 作 品 に お け る「 森 」 と 学 校 の 施 設 群 を、 五 感 を 刺 激 し、 童 話 に お け る「 小 さ な 日 常 」 を 生 み 出 す 場 と し て 位 置 づ け、 敢 え て 通 常 の 学校建築で考慮されるべき雨の日の 動線などの建築計画上の配慮を放棄 し て い る。 ま た、 建 築 形 態 の 決 定 に お い て は、 単 純 な 幾 何 学 形 態 へ と 抽 象 化 す る 操 作 を 介 す る こ と で、 テ ー マパーク化に堕すことを巧みに回避 し、 卓 越 し た 表 現 力 も 相 俟 っ て、 自 身の意図する世界観の伝達に成功し ていると言えるだろう。 し か し な が ら、 本 作 品 は、 現 実 的 な次元における動線計画への配慮や、
岡田真弥(おかだ・まさや) 1993年 大阪府吹田市生まれ 2012年 大阪市立工芸高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 大阪市立工芸高等学校シグマ会 Σ GOLD (2012)、日本建築学会近畿支部 第 66 回 卒業設計コンクール 優秀作品賞 (2012)、 西日本工高建築連盟 連盟賞 (2012) 受賞、 建築新人戦2014 101選 (2014)
抽象化した建築空間の詳細な図面化
設計者
南立面 A-A'断面 1/800
が 欠 け て い る た め、 未 だ 建 築 に 着 地 していない感が否めないのも事実で あ る。 実 習 課 題 と は い え、 具 体 的 な 用 途 を も つ 建 築 な の で、 実 現 を 前 提
33
と し て、 も う 一 歩 先 に 進 む た め の 挑 戦も見せてほしいところである。
各棟立面
黒い森の小さな日常
—グリム童話へのオマージュ 山之内誠
12E0014 岡田真弥
キロほど西に
15
敷地の周辺部は地域に開放したコ
めあげている。
を絵本のように幻想的な空間にまと
合 わ せ て い く こ と に よ り、 学 校 全 体
八種類の情緒的な空間シーンを組み
子どもの情操教育への効果を狙った
構想した。グリム童話に着想を得て、
の敷地に森を出現させる大胆な案を
岡 田 真 弥 は、 垂 水 駅 周 辺 の 自 然 の 少 な い 立 地 を 逆 手 に 取 り、 敢 え て こ
うな学校の建替案を求めた。
の生き生きとした活動を引き出すよ
い て の 提 案 も 交 え つ つ、 子 ど も た ち
地域コミュニティとの関わり方につ
では、こうした周辺環境を読み取り、
駅 近 く の 市 街 地 に 所 在 す る。 本 課 題
近年できた大規模商業施設に囲まれ、
街、 西 は 古 く か ら 続 く 商 店 街、 南 は
の 中 で 垂 水 小 学 校 は、 東 と 北 を 住 宅
学 者 が 多 い ベ ッ ド タ ウ ン で あ る。 そ
あ り、 神 戸・ 大 阪 方 面 へ の 通 勤・ 通
戸市街の中心地から
課 題 の 舞 台 と な っ た 垂 水 の 町 は、 神
都市に出現する 「森」
3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン
平面・配置 1/1000
32
2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 A
R-HOUSE
+2500 +2400
13E0068 藤田千夏
+2200 +2000 +2000
+2050
敷地の分析
+1900
+2500
+1800 +1800
+2100
公園 縦のつながり
川
川 境界線
横のつながり
路地
川に沿って魚の骨状に境界線がある
公園や細い路地などのパブリックスペース
+1600
があることで縦のつながり(東西)と横の
+2200
つながり(南北)ができている
+1800
+1750
建築ダイアグラム
+1400 外部
子世帯 外部 共有スペース
外部 外部
親世帯
外部
+1600
外部
子世帯・親世帯・共有スペースを配置し、
外部や開口部を設けることで縦の
世帯の横のつながりをつくる
つながりをつくる
+1400 +1400
近所の人
+1200
近所の人
+1200 壁をずらしたり、曲げたりすることで 空間のつながりや外部との関わりを大きくする
+900
±0 +1000
+1000 ・+700
+700 +1000 +700
+1000
平面 1/200
設計者 藤田千夏(ふじた・ちなつ) 1994年 兵庫県西宮市生まれ 2013年 兵庫県立西宮高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 断面 1/250
2014年度 環境・建築デザイン実習Ⅱ- A(2年生後期課題)
よりコンセプトやデザインを重視した提案を行なうこ
定して設計することとする。設計にあたっては、敷地
ととする。また、前半課題では、詳細な図面の描き方
の既存建物はないものとしてよい。
指導教員:専任/藤山哲朗・三上晴久・花島晃・遠藤剛生・
を学ぶ。
・敷地面積 約 560㎡
不破正仁 非常勤講師/竹下正高(エアーデザイン)、
3 つの敷地は、全く異なる周辺環境の中にあるので、
・第一種低層住居専用地域
吉井歳晴(WIZ ARCHITECTS)
敷地選択にあたっては、全ての敷地を訪れて決定する
・容積率 150%、建ぺい率 60%
2014年9月23日〜2014年1月27日
こと。なお、主体構造はいずれの課題においても自由
2)建物規模
とする。
延べ床面積:180 〜 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)
1. 目的
2. 課題概要
この課題では、さまざまな視点から住宅について考え
敷地A
「老夫婦とその子供世帯の
ること、詳細な図面を描けるようになることを重要な
1)敷地条件
2世帯住宅であり、子供世
目的とする。
阪急王子公園駅から徒歩8分程度の住宅地の一画であ
帯の家族構成は夫婦と子
予め設定されたA・B・Cの3つの敷地を調査・分
る。西郷川に隣接するこの敷地は、現在、資材置き場
供(1〜2人)」という条
析したうえで、前半課題では最終的に設計を行なう敷
だが、周囲にはマンションや一戸建住宅が建ち並んで
件の下で、さらに具体的な
地以外の 1 敷地を用い、短期間で住宅の提案を行なう。
おり、眼下には灘区の街が拡がっている。ここでは、
そして、後半課題では、前半の成果を踏まえた上で、
新たに敷地を購入し、2世帯住宅を建設することを想
「すまいのデザイン」
31
3)家族構成
内容は各自が設定するこ 地図データ ©2013 Google, ZENRIN
と。
2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 B
一本の木のおうち 13E0043 藤田真衣
神社、公園には大きな木があるのに対して、住 宅街には住民の育てている小さなみどりが点在 していて、境界が生まれてしまっている。そこで、 もっと住宅街と公園に一体感が生まれるように 「大きな木」という要素を住宅街に入れてみる。
木の要素を住宅の要素に変換する 幹 → 吹き抜け 枝 → 廊下、階段 葉 → 部屋 木のした → 玄関 6500 1500
冷
洗
子世帯リビング +7300
子供のへや +9600
ベット +11700
車庫 +2000
物入れ +1300
4500
ベット +11700
洗面所 +4500
倉庫 +2000
3000
お風呂 +4500 音楽室 +4500
5000
1000
145000
スタジオ +1600
+12500
トイレ +10300
子供勉強 +6900
設計者 藤田真衣(ふじた・まい) 1994年 京都府生まれ 2013年 兵庫県立神戸鈴蘭台高校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学
4F 平面
3F 平面
+0
2F 平面
1F 平面 1/300
4)その他
延べ床面積:180 〜 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)
・敷地面積 約 81㎡
2台分の駐車スペースを用意すること。
3)家族構成
・商業地域
「老夫婦とその子供世帯の2世帯住宅であり、子供世帯
敷地B
親世帯 リビング +1300
親世帯 寝室 +4500
子世帯 夫婦寝室 +9300
5F 平面
みんなが集まる玄関 +1000
親世帯クローゼット +4500 6000
書斎 +12900
トイレ +1300 冷
・容積率 500%、建ぺい率 80%
1)敷地条件
の家族構成は夫婦と子供(1〜2人) 」という条件の下
2)建物規模
阪急王子公園駅から徒歩8分程度の宮本公園の西側に
で、さらに具体的な内容は各自が設定すること。
延べ床面積:220 〜 250㎡程度(駐車スペースはのぞく)
位置する。
4)その他
ここでは、新たに敷地を購入し、2世帯住宅建設す
1台分の駐車スペースを用意すること。
ることを想定して設計す
敷地C
さらに具体的な内容は各
ることとする。
1)敷地条件
自が設定すること。
・敷地面積 約 115㎡
阪急王子公園駅から徒歩5分程度の水道筋商店街の角
4)その他
・第二種中高層住宅専
地に位置する。アーケードの出入り口であり、商店街
1 台分の駐車スペースを
用地域
の利用者たちが休憩によく立ち寄る街角カフェ(約
・容積率 200%、建ぺ
120㎡)を経営できる住宅とする。建築物の階高は 5 階
い率 60%
までとする。設計にあたっては、敷地の既存建物はな
2)建物規模
いものとしてよい。
地図データ ©2013 Google, ZENRIN
3)家族構成 「家族構成は夫婦と子供(2人)」という条件の下で、
用意すること。 (住宅用1台) 地図データ ©2013 Google, ZENRIN
30
H or i - g otatu
は、 結 果 と し て、 地 域 コ ミ ュ ニ テ ィ
ひとつの軸を中心に 空間を構成する。
S u n ligh t
に大きく寄与することに他ならない
home public
主 と な る カ フ ェ ス ペ ー ス は、南 側 の 日 当 り のよい場所に配置し、明るい空間を演出。
と 考 え、 そ れ を 設 計 の 出 発 点 に 据 え
Lo f t
private
ア ー ケ ー ド 側 に 広 め の 縁 側 を 設 け、商 店 街 と繋がりのあるコミュニティを誘発。
ている。
建 物 は、 下 か ら 上 へ と 大 き く な っ てゆくコア部分とコアからはみ出す
部 分 か ら 成 り 立 っ て い る。 そ う し た
全 体 構 成 の 中 に、 下 部 に カ フ ェ、 上
部に住宅としながらも両者を複雑に
共 存 さ せ て い る の だ が、 コ ア 部 分 を
形成している壁面が垂直ではなく傾
い て い る た め に、 コ ア 部 分 の 内 部 と
外 部 の 割 合 は、 階 ご と に 異 な り、 立
体的に変化に富んだ建築が表現され
ている。
壁 の 傾 き は、 プ ラ ン ニ ン グ の 多 様 な 豊 か さ に も 結 び つ い て お り、 広 い
床 面 積 を 有 す る 上 階 の コ ア 内 は、 子
どもの寝室や読書スペースに当てら
れ、 下 階 の コ ア か ら は み 出 し た 部 分
は、 住 宅 の テ ラ ス や 庭 と し て 外 部 空
間 に 当 て ら れ て い る。 地 上 階 や 地 階
Cafe
に 至 る と、 コ ア 部 分 と そ れ 以 外 の 部
分には隙間が生じ路地的な空間が発
生 し て い る が、 壁 の 傾 き は、 日 照 を
確保することにも大きく寄与してい
る。
水道筋商店街の延長空間を立体的 に展開したように見えるこの住宅は、
豊かな地域コミュニティを表現した
塔状住居である。
E n ga w a
バスルームやクローゼットのコアの上部を ロ フ ト と し、子 ど も の 寝 床 ス ペ ー ス と し て 活用。
軸 + コア
cafe
壁を傾けることによって プライベートスペースと パブリックスペースの分布に 立体的な変化を与える。
カフェと 住 空 間 の 主な分布 が 決 定 さ れ る 。
おさまる
loft
V ar i o us s e a t s
壁 の 傾 き は、コ ア 上 部 の 活 用方法にも変化を与える。 コ ア が 軸 内 に 納 ま る と こ ろ で は、ロ フ ト と な り、子 ど も の寝床や読書スペースとして 活用される。 ま た、コ ア が 軸 か ら は み 出 す と こ ろ で は、外 部 空 間 と な り、住 居 の 庭 や テ ラ ス と し て 活用することができる。
はみだす
outer space
すきま
軸 の 隙 間 か ら 柔 ら か な 太 陽 の 光 が 広 が り、 内部空間を明るく照らす。
掘 り ご た つ 式 の 大 き な テ ー ブ ル 席 は、扉 を 開けることでアーケードと繋がる縁側と一 続きになり、商店街との一体感を生む。
テ ー ブ ル 席 の 他 に も、ひ と り 掛 け の カ ウ ン ター席やゆったりとしたソファ席など多様 な 席 を 設 け て お り、そ れ ぞ れ に あ っ た く つ ろぎの場を選択することができる。
alley
地 階 で は、カ フ ェ キ ッ チ ン やトイレなどのコアが軸から 完 全 に 離 れ て 位 置 す る た め、 軸とコアとの間に隙間がうま れ、そ ん な 路 地 的 要 素 が 人 々 をこの敷地内へと引き寄せる。
17100
14800
12400
9800
6800
4300
設計者
1600
坂上みなみ(さかうえ・みなみ) 1994年 奈良県北葛城郡生まれ 2013年 私立奈良文化高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 南立面
29
断面 1/150
域コミュニティの新たな日常の一部
ド の 出 入 口 で も あ る こ の 場 所 が、 地
わっている。そして坂上は、アーケー
それが設計の中心テーマと深く関
が溢れていることを読み取っており、
り、 そ こ に は 地 元 の 人 た ち の 生 活 感
たちが日常的に利用する商店街であ
イ の 結 果、 水 道 筋 商 店 街 は 地 元 の 人
坂 上 み な み は、 フ ィ ー ル ド サ ー ヴ ェ
る 住 宅 の 提 案 が 求 め ら れ て い る が、
で あ る。 こ こ で は、 カ フ ェ を 併 設 す
敷 地 C は、 北 側 の 水 道 筋 商 店 街 に 面 し、 西 側 に も 前 面 道 路 を 持 つ 角 地
地Cにおける住宅作品である。
容 が 設 定 さ れ て い る が、 こ れ は、 敷
敷地に対してそれぞれ異なる設計内
成 で あ る。 神 戸 市 内 の 三 つ の 異 な る
け た 後、 後 半 で 設 計 課 題 に 取 組 む 構
ス課題で基本的な寸法感覚を身につ
す ま い の デ ザ イ ン は、 前 半 の ト レ ー
三上晴久
地域コミュニティを表現する 塔状住居
13E0024 坂上みなみ
として位置づけられることこそが大
+1600 平面 1/250
+12400 平面
+4300 平面
+14800 平面
+6800 平面 +17100 平面
inclined wall
切 で あ り、 こ の 場 所 が そ う な る こ と
.SC uji us ido Su
2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 C
配置 1/500 平面的にも、壁に傾きの操作を与える。
オリエンテーションに合わせた傾きの
ラインを取り入れることで、この狭小
地でのビルディングタイプにおける採
光を考慮した。
傾きによって軸に外部空間を引き込
み、隙間をつくることによってリビン
グには柔らかな反射光が差し込むな
ど、軸内でも光の広がる明るい空間と
なるように考えた。
+9800 平面
28
2年生前期課題 広場・公園のデザイン
自然と生きる。 13E0024 坂上みなみ
A-A' 断面 1/500
石垣の傾斜やくぼみ、畑や水場に沿うように設けた木板の高さ操作 などにより自然を身近に感じられる居場所をつくり、アクティビティ にバリエーションを与えた。訪れたヒトが場所を選び、思い思いの 時間を過ごすことができる空間。
設計者 坂上みなみ(さかうえ・みなみ) 1994年 奈良県北葛城郡生まれ 2013年 私立奈良文化高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 マスタープラン 1/400
2014年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- B(2年生前期課題)
り、賑わいのある界隈であるにもかかわらず、まとまっ
活動(散策、休憩、待合せ、ストリートパフォーマン
た都市広場がない状況にある。一方では、フラワーロー
スなど)を支援する広場のデザインを基本的な目標と
指導教員:専任/長濱伸貴・宮本万理子・不破正仁
ド、北野坂などをはじめとして、神戸らしく整備され
し、より積極的な都市広場機能を提案、デザインする
非常勤講師/松下岳生(環境デザイン事務所 素地(soji))
た美しい街路空間は数多くある。しかしながら、その
ことによって、多様な人々の交流が生まれることを期
2014年6月12日〜7月29日
街路空間に並ぶような都市広場が、とりわけ駅周辺に
待している。この広場は、新しい神戸の街の顔となり、
おいて設置されていないことから、地域住民や観光客
市民や来街者にとっての新たな「憩いの場」でもある。
「設計方法を学ぶ2—神戸まちなかプラザ」
27
1. 目的
などの来街者の憩いの場の提供という都市機能に欠け
1)神戸の中心市街地における都市広場の設計を通し
る面がある。世界の著名な街を見ても、中心部にその
3.敷地
て、環境デザインについての基本的な考え方を理解する。
街の顔となる都市広場があり、さらに街路空間と一体
阪急三宮駅に面した人通りの多い街角広場である。
2)模型、スケッチ、図面等を用いたアーバンデザイ
となることによって、外部空間における回遊性と滞留
1)住所:神戸市中央区加納町4 阪急三宮北広場
ン及びランドスケープデザインの基本的な素養を習得
性を実現している。
愛称:さんきたアモーレ広場
する。
「神戸まちなかプラザ」は、この現状の課題を解決す
通称:パイ山、凸凹公園
ることを基本的な目的とし、これまでにはなかったよ
2)敷地面積:約 860㎡
2. 課題概要
うな新しい都市広場のあり方を提案することを目標と
3)用途地域:商業地域
三宮駅や元町駅周辺には、多くの商業施設の集積があ
する。言い換えれば、都市の外部空間における既存の
2年生前期課題 広場・公園のデザイン
ふじ坂 13E0010 荻野彩
広場と人とのつながり方
敷地から見た風景
道の先に少し幅の広い空間を作ることで、
背の高いビルで三方向を囲まれている。
路上ライブなどが行える。
しかし、一方向だけ大きな道路に面した
また、この下を通る人々は見えないけど
抜けた空間がある。
音は聞こえる。
そこを意識し、ベンチなどの配置を決めた。
どこから聞こえて来るんだろうと、 興味を持つきっかけとなるのではないかと思う。
抜けた空間に向けられたベンチ。 圧迫感の緩和につながり、緑に包まれる感覚になる 幅の広い大きな階段。 イベントがあるときは観客席に、 普段はみんなのベンチにもなる。 大きく湾曲したふじ棚が、 緑のトンネルの役割をし、 歩く人もふじ坂を楽しめる。
設計者
ふじ棚を支える支柱とふじの木が連立していて、
荻野彩 (おぎの・あや) 1994年 大阪府大阪市生まれ 2013年 大阪府立港南造形高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学
また、ふじ棚を通してできるこもれびによって、 まるで林の中にいるような感覚へと誘うのではないか。
4. 実習課題の進め方
2)動線計画の検討(人の動線、自転車の動線、車の
● Step1: 外部空間の調査・分析[チーム作業]
動線等)
(現況と歴史を調べる)
外部空間の調査・分析での成果をもとに、都市スケー
2)対象敷地周辺の調査(フィールドワーク:マップ
ル(1/300)での計画の検討およびプレゼンテーション
メモ、デジカメ撮影等)
作業を行い、発表する。
3)対象敷地周辺の分析(スタジオワーク:景観分析図、 動線分析図、用途分析図等)
● Step3: 外部空間の設計[個人作業] (材料と表現を覚える/詳細と構成を考える)
対象敷地周辺の調査(フィールドワーク)と分析(ス
1)配置設計 ( マスタープラン、断立面図、全体模型等 )
タジオワーク)をチーム(1チーム3名)で作業を行い、
2)詳細設計 ( 平面詳細ーベンチ、遊具等のストリート
発表する。
ファニチャー、水景施設等 )
● Step2: 外部空間の計画[個人作業]
3)植栽計画 ( 植栽表現:高木、低木、地被など)
(活動と仕組みを考える/配置と形態を考える) 地図データ ©2015 GeoBasis-DE/BKG(©2009), Google
3)施設配置計画の検討(ラフプラン、 ラフ断立面図等)
1)地図情報の見方(都市計画図、住宅地図、Google マップ等)
外部空間の計画で設定した計画をもとに、広場スケー
1)「プログラムの検討(アクティビティの想定、ゾー
ル(1/100)での設計の検討およびプレゼンテーション
ニング等)」
作業を行い、発表する。
26
待ち合わせスポットとしてのシンボ ル 性 が 弱 い こ と、 土 地 利 用 用 途 が さ
トクサ
水生植物
芝
(スイセンなど)
(はらっぱ)
H=0.5
H=1.0
H=9.0 W=6.0
まざまなことに起因する広場から見 える景観の混乱などが指摘された。
こ う し た 分 析 に 対 し て、 南 野 真 有 美 の 作 品 は、 通 過 動 線 と 待 ち 合 わ せ スポットなど、さまざまな利用者の、 多種多様な用途を同時に解決する提 案 に な っ て い る。 広 場 内 に 高 低 差 を 人 工 的 に つ く り 出 し、 有 機 的 で 多 様 な階段幅や地形に埋め込まれた休憩 施 設( カ フ ェ) を デ ザ イ ン す る こ と で、こうした問題解決を試みている。 本 デ ザ イ ン 提 案 に よ っ て、 通 過 動 線 と待ち合わせスポットを同一空間に 併 存 さ せ る と い う 以 上 に、 座 る・ 寄 り か か る・ 眺 め る な ど の 多 様 な ア ク ティビティをうみだす公共空間とし て、 パ イ 山 広 場 が リ ノ ベ ー シ ョ ン さ れ て い る。 利 用 者 の 立 場 に た っ た 繊
25
細できめ細やかな女性的提案になっ ている点も評価される。
H=13.0 W=10.0
断面 1/400
南野真有美(みなみの・まゆみ) 1994年 大阪府大阪市 2013年 大阪市立工芸高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学
常緑広葉樹
クスノキ
H=1.5
落葉針葉樹
ツツジ
イチョウ
H=12.0 W=7.0 落葉広葉樹
ソメイヨシノ
植栽計画
設計者
公共空間としての パイ山広場リノベーション
敷 地 分 析 で は、 繁 華 街 や ビ ジ ネ ス 街などのさまざまな土地利用用途が
提案を行った。
個 人 作 業 と し て、 分 析 に も と づ い た
を行い、課題発見を行った。つぎに、
用途、敷地内動線、周辺景観の分析)
ク 形 式 で 敷 地 の 分 析( 周 辺 土 地 利 用
神 戸 ま ち な か プ ラ ザ で は、 ま ず、 三名を一グループとし、グループワー
利用されている広場である。
によってもさまざまな異なる用途に
て い る。 ま た、 平 日・ 休 日、 時 間 帯
過地点や待ち合わせスポットになっ
ビ ジ ネ ス 街 に 囲 ま れ、 多 く の 人 の 通
ランブル交差点沿いにあり、繁華街・
対 象 敷 地 で あ る パ イ 山 広 場 は、 ス ク
置 さ れ た 広 場 ) を 対 象 と し て い る。
内に山をモチーフとした人工物が設
区 三 宮 駅 前 の 通 称 パ イ 山 広 場( 広 場
神 戸 ま ち な か プ ラ ザ は、 神 戸 市 中 央
宮本万理子
13E0052 南野真有美
あ る こ と、 駅 か ら 大 通 り を 横 断 す る
広場には丘や四角の凹み、 木陰がある。
•+1400
N
テイクアウト式のカフェと、 地下鉄入り口が同じ建物になっている。 イベント時は屋根が舞台になる。
森の小道のようにするため両側から木を 植えた。そうする事で広場にも木陰が生まれる。
カフェ 、地下鉄入り口
•±0
森の小道
•−900 •−1050
わたしの、あなたの、
ための動線が混み合っていることや
掘りごたつとして
カウンターとして
広場
テーブルとして
テーブルとして
ミニステージ
腰掛ける
座る ゆったり座る
•±0
ウッドデッキ 2 種類の三角形の椅子と机は使う場所、 数によって多様な使い方ができる。
2年生前期課題 広場・公園のデザイン
敷地
この広場のメインとなるような大きな木。 待ち合わせなどに使われる。
シンボルツリー
三角ファニチャー
•−150
•−300
•−450
コンクリート(白)
•−600
•−750
•−900
階段
幅、高さが異なっていて その幅などによって 様々な用途で使える。
阪急駅ビル
マスタープラン 1/300
24
2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン
きょうは、 13E0052 南野真有美
1F 平面・配置 1/800
地上の広場:ここを通る人々は、ガラスの箱に収められたアー ト作品がかいま見える。また、地下の吹き抜けの楽しげな声な どが聞こえ、人々の活動に興味を持つ
A-A' 断面
建物内部:光庭、広場を見る。部屋同士を分ける壁は無く、光 B1F 平面 1/800
庭や広場に酔って空間が区切られており、知らず知らずのうち に各部屋の中に入っていく
南立面 1/1000
設計者 南野真有美(みなみの・まゆみ) 1994年 大阪府大阪市 2013年 大阪市立工芸高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 B2F 平面 1/800
2014年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- A(2年生前期課題) 「設計方法を学ぶ1—神戸まちなかファクトリー」
建物断面:広場、光庭を通して地上と地下がつながっている
在とは言えない。一般市民が、創作や創造、アーティ スティックな行為等を通して相互交流を図ったり新た
指導教員:
な情報を発信しようとしたとき、それにふさわしい場
専任/三上晴久・花島晃・川北健雄・花田佳明・不破正仁
を見つけることは、実は容易ではないのが現実である。
2014年4月10日〜6月10日
「神戸まちなかファクトリー」は、 これまでにはなかっ たような新たな公的施設であり、ここでは、コンサート、
23
1. 目的
演劇、作品展示、ワークショップ、趣味の教室などの
1)初めての建築設計対象としては少し複雑な機能の
催し物が開かれたり、それらを通して様々な人たちの
公共的施設の設計を通して、環境デザインについての
交流が生まれることが期待されている。ここは、市民
基本的な考え方を理解する。
にとっての新たな「ハレの場」でもある。
2)模型、スケッチ、図面などを用いた建築設計の基
3.敷地
本的な展開方法を学習する。
三宮中央通りに面し、人通りの多い場所である。
2. 課題概要
1)住所:神戸市中央区三宮町 1 丁目(三宮中央通に
兵庫県内や神戸市内には、多くの美術館や劇場がある
面し現在は駐車場として利用されている。 )
が、それらは、いわゆるアーティストのための作品展
2)敷地面積:約 1,295㎡
示や作品発表の場であり、一般市民にとって身近な存
3)用途地域:商業地域(建ぺい率:80% 容積率:800%)
地図データ ©2013 Google, ZENRIN
2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン
ドコデモナイセカイ 東西の立面の連続性
周辺にはない楕円形 →どこにも属さない
南の街路樹からの環境線を用いて他方向からも
13E0043 藤田真衣
通りぬけができるようにする
アトリエ
倉庫
情報検索
カフェ
コーナー
EV
倉庫
機 械 室
アトリエ
展示スペース 倉庫
セミナー 事務室
3F 平面
2F 平面 1F 平面・配置 1/800
設計者 藤田真衣(ふじた・まい) 1994年 京都府生まれ 2013年 兵庫県立神戸鈴蘭台高校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 とおりぬけロード
展示室
セミナー室
北と南が見える多目的スペース
4)三宮中央通り沿道地区地区計画
5.構造・法規・設備
搬出入用の大型車両用駐車スペース1台分を確保する
4. 所要各室の概略床面積
構造は鉄筋コンクリート造または鉄骨造とする。部屋
こと。
アトリエ/ 200㎡(100㎡× 2 室)、アトリエ用倉庫/
ごとの個別冷暖房設備を設けるが、人工環境に頼りす
50㎡(25㎡× 2 室) 、展示スペース/ 200㎡、展示用倉
ぎないように注意する。建築に対する法的規制は必ず
『初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ』(彰国社)
庫/ 25㎡、セミナー室/ 100㎡(講演会や研修に使用、
しも遵守しなくても良いことにするが、周辺建築物や
川北健雄・花田佳明・三上晴久・倉知徹・水島あかね編著
可動間仕切りで分割できるようにする)、情報検索コー
周辺環境との調和について、良識に従った設計を行う
8.実習課題の進め方
ナー/ 50㎡、カフェ/ 75㎡(厨房を含む)、管理事務
こと。また、安全性やユニバーサルデザインについて
課題はステップ方式で進行する。必要な知識や技術を
室/ 50㎡(受付カウンターを含む)、便所/ 50 〜 75㎡(男
も配慮すること。
基礎から身につけるため、各段階ごとに説明、スタジ
子、女子、身障者用を含む、数カ所に分割しても良い)、
6.外部空間
オワーク、講評を行う。
機械室/ 50㎡、上記床面積の合計/ 875 〜 900㎡
1)外部空間については、単なる残余空間になってし
Step1: 敷地のフィールドサーヴェイと敷地模型
これらの諸室の他、玄関、廊下などを加え、延べ床
まわないよう、有効な活用方法を考えてデザインする
Step2: ヴォリュームを置いてみる
面積を 1,500㎡程度とする。
こと。地面を覆う素材や植栽配置等についても明示す
Step3: 中身を考える
なお、以上は機能的な面積配分の目安であり、空間
る。周辺の車道や歩道との関係についても留意するこ
Step4: 開く・閉じるを考える
的にこれらをどのように分節し、関係づけるかについ
と。
Step5: 細部を決める
ては、各自で使われ方と空間的な効果とを熟慮して、
2)駐車場:一般の利用者は周辺の公共駐車場を利用
Step6: プレゼンテーション
独創的かつ魅力的な提案を行ってほしい。
するものとして、来客用駐車場は設けなくとも良いが、
7.教科書
22
さ ら に、 こ の 斜 め の 軸 線 の 両 側 に 置 く 建 物 の 形 状 を、 高 さ の 違 う ガ ラ ス面の多い円筒を組み合わせたシン ボ リ ッ ク な デ ザ イ ン と し、 周 囲 に 建 つ一般的なオフィスビルとの差異を 際 立 た せ た。 実 現 す れ ば、 昼 夜 と も に 人 々 の 関 心 を 引 き、 人 々 の 記 憶 に 残 る 建 物 と な る に 違 い な い。 神 戸 と いう都市のイメージにも合うだろう。 空 間 構 成 も 工 夫 さ れ て い る。 2 つ の 棟 の 間 を 行 き 来 す る 動 線 計 画 や、 建物上部へと来訪者を導く施設配置 な ど が 考 え ら れ て い て、 外 部 空 間 も 含めたあらゆる場所に人々が集う活
B-B' 断面 1/800
A-A' 断面
発な利用状況が想像される。 全 体 と し て、 シ ン ボ リ ッ ク な デ ザ イ ン で あ り な が ら、 周 辺 環 境 と 市 民 に対して開かれた建物になっている。 まさにこれからの公共建築に求めら れる条件を具体化した建築というこ とができるだろう。 提 出 さ れ た 作 品 は、 複 雑 な 形 状 や 断 面 計 画 に も 拘 ら ず、 細 部 ま で よ く 考 え て 納 め ら れ て い る。 こ れ は 本 学 科における最初の設計課題であるが、 デザインそのものはもちろんのこと、 コ ン セ プ ト 図、 平・ 立・ 断 面 図、 模 型 お よ び 模 型 写 真 な ど、 あ ら ゆ る 表 現 も 見 事 で あ り、 申 し 分 の な い 出 来 といえる。
21
2F 平面 4F 平面
3F 平面
1F 平面・配置 1/600
設計者
坂上みなみ(さかうえ・みなみ) 1994年 奈良県北葛城郡生まれ 2013年 私立奈良文化高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学
開かれたシンボルとしての 公共建築
この敷地に建つ建物の公共性を増す
れ る 外 部 空 間 を 作 る こ と に よ っ て、
そのライン沿いに自由に通り抜けら
目 し た。 そ れ を 敷 地 内 に 持 ち 込 み、
坂 上 は ま ず、 旧 居 留 地 か ら 斜 め に この敷地へと伸びる道路の軸線に注
た。
を与える魅力的なデザインを提案し
そ の よ う な 条 件 の も と、 坂 上 み な み は、 こ の 場 所 と 周 辺 環 境 と に 刺 激
設を設計せよという課題である。
トリエや展示施設などをもつ公共施
そ こ に、 市 民 の 創 作 の 場 と し て の ア
接 す る と い う 特 徴 的 な 場 所 で あ る。
り、 敷 地 の 南 北 両 面 と も に 大 通 り に
南北に薄い中州状の街区の一部であ
ど 境 目 に 位 置 し て い る。 東 西 に 長 く
旧居留地方面の業務地区とのちょう
センター街を中心とした商業地区と、
敷 地 は 神 戸 市 の 繁 華 街 に あ り、 三 宮
花田佳明
13E0024 坂上みなみ
と と も に、 南 北 の 異 な る 性 格 の エ リ
アクソノメトリック
何気ない移動のなかでもうまれるこの多様な目線の変化を、ここを訪れる人たちにぜひたのしんでもらいたい。
void
アを関係づけることに成功した。
アトリエ + トップライト
展示スペース + 階段ホール
展示スペース + 吹抜け
2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン
配置 1/4000
concept
活動の場に空っぽの空間 ( = void) をプラスする→ヒトの集まる場とつながる
skip floor + void
こどもも大人も関係なく、様々な目線でモノをとらえることで “ 創造性 ” を豊かにし、より良い活動へと貢献する。
20
1 1 昨年度から設けられた「スケッチタイム」 。その時間に描
1年生前期
かれた「本福寺水御堂」の建物や景色のスケッチ 2 スケッ
環境・建築フレッシュマンセミナー
チを行う様子 3 北淡震災記念公園にある「野島断層保存 館」の見学 4 「のじまスコーラ」での発表会
学科全教員 学外の施設等を利用し、新入生に大学での学習態度を身につけてもらうこと、同期 生や教員とお互いに知り合いコミュニケートすることを目的とする。また、学外の 施設を訪れることで、実際の建物や環境を読み取るフィールドサーベイに関心を持 つきっかけになることも期待している。 2014 年度「神戸近郊の建築・都市の見学会」日程、担当教員は以下の通り。 [4月18日]藤山哲朗: 「上から、対岸から神戸を眺める」ポートアイランドの見学
2
3
[4月19日]三上晴久:ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)の見学 [4月19日]宮本万理子:再度公園・再度山永久植生保存地の見学 [4月20日]川北健雄: 「篠山古民家カフェ」への参加 [4月25日]小玉祐一郎:大阪中之島を歩く(中央公会堂—国際美術館) [4月25日]花田佳明:海外移住と文化の交流センターの見学 [4月25日]山之内誠:北野町・山本通地区の洋館と街並みの見学 [4月26日]長濱伸貴:4×4の住宅の見学 [4月26日]山之内誠:北野町・山本通地区の洋館と街並みの見学 さらに、淡路1日見学ツアーと題して、大型バスでの淡路島見学会が用意されてい る。ここでは、北淡震災記念公園等の見学の他、本年度新たに会場とした「のじま スコーラ」で報告発表会を行う。
4
1年生後期
CAD 基礎演習 穐山憲(非常勤講師) コンピュータを用いた建築設計やインテリアデ ザインに必要な、製図・モデリング・プレゼン テーションといった基本的な諸技法を習得する と同時に、CAD を活用する上で必要な諸概念 について理解することを目的としている。CAD ソフトは、Vectorworks を使用する。 CAD 基礎演習における練習課題の例
19
環境デザインへの入門
1年生の主な授業
環境・建築デザイン基礎演習Ⅰ「モデル」で制作した住宅模型。各々がつくった建築が集合すると都市の風景に見える
1年生前期
環境・建築デザイン基礎演習Ⅰ 藤山哲朗・川北健雄・山之内誠・中村卓・ 穐山憲(非常勤講師) 建築や都市・ランドスケープを理解・デザインするための3 つの手段、 「ドローイング」「モデル」「コンピュータモデリ ング」の基礎を学ぶことを目的とし、約 75 名の学生が2ク ラスに分かれて課題に取組む。 「ドローイング」では、本学内の建物の図面を利用し、建 物を体験した上で設計図をトレース(模写)して、配置図、 平面図、断面図、立面図を描き、それぞれに必要な室名・寸 法などを記入の作業を行う。製図ペン等、製図道具の使い方 も学ぶ。 「モデル」では、ブリッジやシェルターなどの簡単な構造 模型や住宅模型を制作し、実際にものをつくる楽しさを体験
1
すると共に、模型制作を通して、素材の力学的・構法的特性 とデザインの関係を考える時間を設ける。
1 初回課題説明会。入学後本学科においてはじめて取り組む演
「コンピュータモデリング」では、Google SketchUp を用
習課題であり、製図の基礎を学ぶためのレクチャーが行われた 2 「コンピュータモデリング」で制作された作品 3 「コン
いて 3 次元モデリングを体験する。
2
ピュータモデリング」授業風景 4「ドローイング」授業風景
3
4
1年生後期
授業時間外の時間を使って、いくつかの建物や街並等の見学を実施する。履修者は、見学会のうち 2 つのコー
環境・建築デザイン基礎演習Ⅱ
スに参加。見学会レポートの提出に加え、学科のウェブサイト更新用の材料の提出も求められ、そこで見学
学科全教員
会の様子が報告されている(http://www.kobe-du.ac.jp/env/practice/class/)。 見学日程・担当教員: [10月5日]花田佳明: 「村野藤吾 やわらかな建築とインテリア」展の見学、 [10月11日] 三上晴久:旧山邑邸(フランク・ロイドライト設計)の見学、[10月11日]藤山哲朗: 「KH GALLERYA 芦屋」 の見学、 [10月25日]長濱伸貴:なんばパークス周辺の見学、 [10月25日]宮本万理子:みなとのもり公園(神 戸震災復興記念公園)人と防災未来センターの見学、 [10月26日]川北健雄: 「六甲ミーツ・アート」とヴォー リズ六甲山荘の見学、 [10月26日]山之内誠:箱木千年家の見学、 [11月1日]小玉祐一郎:聴竹居の見学、 [11 月1日]花田佳明:海外移住と文化の交流センターの見学、[11月21日]花島晃:ウッディタウンけやき台 団地(三田市)の木造住宅の工事現場の見学
聴竹居の見学
18
下町長屋におけるファサードとアクティビティ の関係についての考察—稲荷市場を例にして 11E0035 土居瑞季 建物の美しさを求める場合に排除されがちな、防犯格子や庇といったファサード が、実は居住者の生活には大きな影響を与えているのではないかという仮説を元 に論じた。JR神戸駅にほど近い稲荷市場はいわゆる下町だ。住人たちの生活は、 建物の外側に滲み出し独特な風景を生み出している。その際、 建物のファサードは、 滲み出しを助長し、生活を豊かにする手助けを行っている。一見ランダムに見える その規則性や傾向を統計調査により把握し、ファサードの各要素の有用性につい ての考察を行った。
▲ファサードとアクティビティの抽出
佐用町平福における 地域活性化への取り組み 11E0064 中山弥玖 兵庫県佐用町平福は高齢化や人口減少などの問題に直面しており、まちの人たち は地域活性化に取り組もうとしている。平福には歴史的な建物や素晴らしい景観 など観光資源があるにもかかわらず、訪れる人は少なく知名度も低い。そこで、現 地での調査を行い、現状を知り解決策を探ることで、今後、平福でできることや 住民が考えなければいけないことなどを提示した。本研究が地域活性化に取り組 む上で参考になれば嬉しい。
▲佐用町平福の町並み
清家清の家族観と空間構成の手法 —宮城教授の家を通して 11E0201 高見周作 私は清家清の住宅におけるワンルームの開放的な空間に魅力を感じる。その空間 は家族にとって生活の場の中心となるはずで、家族間でのコミュニケーションは十 分にとれるはずだ。 しかし、ただ広く開放的なだけでは、家族個人のプライバシーが守れない。そ のあたりについて清家清はどのように考え、実践していたのか。本研究では、彼の ▲研究の為に制作した宮城教授の家の模型 (1/20)
考える理想の家族のあり方と、家の形態を探った。
エリック・グンナール・アスプルンド 「夏の家」にみる光の饗宴 11E0203 村田晶規 ▼スウェーデンパッシブ気温
私にとって、空間の豊かさが最も感じられる住宅作品は、エリック・グンナール・ アスプルンドの 「夏の家」である。一見地味でスウェーデンの民家のように見えるが、 敷地の高低差を活かしたフロアレベルの違いや、デザインされた家具、設えられ た素材、日光の取り入れ方など、多様なデザインがなされている。
▲テクスチャーモデルとホワイトモデル比較
内部空間への日光の取り入れ方が、空間の豊かさを感じさせる要になっていると 考え、本研究では、 「夏の家」における日照実験を軸に、気温や光の色温度の関 係も研究対象とし、空間の豊かさを解明した。
芸術・文化の発信拠点 C・S赤れんがの 昔とこれから —地方の老朽化した建物の再生利用の事例として 11E0204 小野宏陽 かつて山口県立図書館書庫であったレンガ造の建物は、平成 4 年にリノベーション され、芸術・文化の発信拠点「C・S( クリエイティブ・スペース ) 赤れんが」へと生 まれ変わった。歴史的な価値をもつ建物の再生利用の一つとして、リノベーション の意図、その過程と、現在の活動を調査した。リノベーションという言葉がまだ馴 染みのない時期の改築であり、飛躍的な成長を遂げた成功例として、また今後も ▲現在のC・S赤れんが (リノベーション後)
17
活用すべき建物として考察した。
環境デザイン学科では、卒業論文と卒業制作の両方を必修として課し ている。自分の興味をもつテーマについて、所属ゼミの教員の指導を
2014年度卒業論文
受けつつ研究と設計を行い、最後の学年を送ることになる。論文と制
奨励賞
作のテーマに関連を持たせてもよいし、別々のテーマでもよい。 論文を書くことは、自らの関心と課題を明確にし、調査し、読書し、 考察し、そしてこれらの過程を通じて一定の成果を導く作業である。 それには多大な努力を要するが、その仕上がりの喜びは何ものにも代 えられない。これらの研究を通じて、学問というものを垣間みること ができるはずである。既存の研究や著作・作品を読み解き、論じても よいし、自らのユニークな着眼点を発展させ、深く追求するのもよい。 新しい発見の予感を楽しもう。
都市市民にとってのウォーターフロントに 関する研究—横浜港大さん橋国際客船ターミナル、 象の鼻パークを事例として
10E0203 飴野拓 海との水際をもつ都市のなかでも、横浜港は 2000 年以降の約 10 年の間にウォー ターフロントが再整備されたことで、それ以前に比べて驚くほど都市にとって港の 存在が近くなった。本研究は、横浜港大さん橋国際客船ターミナルと、象の鼻パー クが整備されるまでのプロセスを探ることで、横浜市における住民とウォータフロ ントの関係を調査し、人々をウォーターフロントへと近づけるものは何であるかを ▲横浜:象の鼻パーク
考察した。
岡本商店街におけるコミュニティ形成と イベント運営 11E0004 石橋沙羅 岡本商店街振興組合は複数の団体と岡本住民が協力し、数多くのイベントを開催 している。だが、これらのイベント成功の裏には住民と岡本を支える団体の協力 が不可欠だ。今回、岡本商店街を事例に各組織の具体的な活動内容や他団体と の繋がりを調査することで、イベント時の岡本における諸団体同士の関係と運営 組織の在り方を明確にした。さらに、組織や団体とは直接関係せずに行われてい ▲岡本商店街全体模型
る市民の活動を取り上げて考察した。
地方工務店と地域との関わり方 —兵庫県篠山市を事例に 11E0014 奥土居好美 現在、地方工務店は、ハウスメーカーなどの参入により厳しい経営環境に置かれ ている。このような環境の中で経営を維持するために、どのような取り組みが行 われているのだろうか。建築家や行政ではなく実際に建築現場を動かす工務店グ ループや古民家再生を行う中間支援団体に注目し、ヒアリング調査などを通して 活動を把握した。そして、地域で社会生活を共にする地方工務店にしかできない ▲篠山市河原町
強みを研究し、将来の可能性について考えた。
屋台文化の実態調査
—久留米屋台を対象として 11E0023 古賀恒太 福岡市の屋台は多くの人が足を運び、文化及びに観光資源として機能している。 しかし、久留米市の屋台は歴史が古いものの周知されておらず、先行研究も少な いため、実態調査を行った。 久留米市の屋台の増減の傾向・制度・キャパシティ・インフラなどを調査し、昭 和から現在に至るまでの推移を調べた。また福岡市の屋台と比較することなどに ▲屋台が並ぶ風景
よって、この地域の屋台文化の未来について考えた。
16
須田悦弘による作品と展示空間の共鳴—作品《雑草》に注目して(要旨) 1. はじめに
展覧会名
私は都市における、アスファルトの隙間に生きる雑草に興味がある。雑
東京インスタレイシヨン 2
須田悦弘展
展覧会会場
ギャラリー K 東京都中央区京橋 3-9-7 京橋ポイントビル 4F
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 香川県丸亀市浜町 80-1
展示室面積
32 ㎡
作品と展示空間の特徴
草は人の手を加えなくても自由に生きる。その姿に力強さを感じる。一方、
527 ㎡
根を深く張り都市の中で、小さく生きる姿にけなげさを感じる。私はそ
作品《雑草》の配置ポイント
れらから、「けなげさ」と「たくましさ」を発見した。 作品《雑草》の配置ポイント
雑草に注目し表現し続ける須田悦弘は、本物の雑草を観察し木彫作品
展示室の平面構成
を制作している。須田は写実的な作品《雑草》を制作しているのではない。 リアルだが人の手によって生み出されるフェイクを追求している。彼は
4 階 企画展示室 1/400
展示室 1/400
何故、巧みに雑草を表現することが出来るのか。作品《雑草》に注目し、
作品《雑草》の数
作品と展示空間の関係について調べた。
9個
配置数=2 個
作品《雑草》の種類
79 個
配置数=3 個
配置数=3 個
配置数=55 個
・花が咲く
・葉が丸い
・茎を中心に葉
・根元から葉が 生える
配置数=24 個
・葉先が尖っている
・葉が丸い
・葉が尖っている
・茎を中心に葉
・根元から葉が
・根元から葉が
生える
生える
2. 研究の対象と方法 「須田悦弘展」(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、2012 年)では、須田の初 期作品である《銀座雑草論》 (1993 年)から最新作までの作品を展示した。 この展覧会の資料に掲載された 62 作品から作品《雑草》と展示空間の関
虫食い跡 作品《雑草》の経年変化 1cm
係を分析する。また須田に関する論評、インタビュー記事を「雑草につ いて」「展示場所について」「作品《雑草》を配置した空間について」の 3 種類に分類分けし、論じられた内容を把握した。
作品《雑草》への照明
スポットライト
トップライトからの自然光
トップライト
偽物の柱
3. 須田悦弘の作品と展示空間について
展示空間
明るい 明るさが均質
須田が作品を配置した展示空間について年表を作成したことで、展示方 スポットライト
法が 2 種類ある事が分かった[表1]。既存の展示空間のまま作品《雑草》 を展示する方法を初めて用いたのが「東京インスタレイシヨン 2」(1995 年)であり、また床面に配置した初めての展覧会である。展示室に一歩 入ると、作品《雑草》は原寸大なので小さく見つけるのが難しい。人工 的な展示室の床面に作品《雑草》を配置した事について評論家は、まる
暗い
空 間 体 験
雑草が生える場所
雑草が生える場所
空間散策
○
○
作品《雑草》観察
○
○
空間鑑賞 空間の例え
ー
○
道端 都会の片隅
広大な原っぱ 都会の一角にある空き地 風景
表 3 作品《雑草》と空間を比較
で都市のようだと論じ、須田のフェイクな作品はからリアルな空間を想 像させると述べた。
と展示空間の関係を生む[表2] 。作品《雑草》と展示空間の関係は鑑賞
2002 年、三上真理子は「私たちは須田の作品をとおして「場」への注
者によって共鳴してゆき、一つの協和音となるのだ。
意を喚起された前と後とでは、美術館という「場」と、まったく違った「出 会い」をすることになる※ 1」と述べた。つまり、既存の展示空間に展示
4. 須田悦弘の作品《雑草》を観察して
された作品を体験すると、「空間」を再認識する事ができる。
須田悦弘による作品《雑草》と既存の展示空間は共鳴していた。 「東京イ
「須田悦弘展」(2006 年)は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 4 階企画展示
ンスタレイシヨン 2」では作品《雑草》の種類を 3 種類、個数は 9 個配
室で行われた。面積は 527㎡と「東京インスタレイシヨン 2」が行われた
置した。展覧会に「東京」と付いているように現実の都市に生えるよう
ギャラリー K の 32㎡の約 16 倍広い。須田が広い展示空間に対して配置
な雑草を室内に表現した。
した作品《雑草》の個数は 79 個。「東京インスタレイシヨン 2」の 9 個
「須田悦弘展」では雑草の種類は 2 種類と種類数は少ないが個数は 79
よりはるかに多い。
個と多い。また雑草の成長のようなものが見られた。同じ種類の大きい
広い展示空間に多く配置することで作品《雑草》を探す人、作品《雑草》
雑草、小さな雑草を配置した。この操作は「東京インスタレイシヨン 2」
を観察する人、空間全体を鑑賞する人が生まれた。須田悦弘展は作品と
では見受けられなかった。まるで雑草が以前から生えていて、大きな雑
鑑賞者の 1 対 1 だけの関係ではなく、作品《雑草》と既存の展示空間の
草の側に若い雑草が新しく生えているように感じられる。
関係、作品《雑草》とそれを見る鑑賞者の関係、作品《雑草》鑑賞する
雑草が配置される空間について、 「東京インスタレイシヨン」ではス
鑑賞者を見る鑑賞者の関係、作品《雑草》鑑賞する鑑賞者を見る鑑賞者
ポットライトを使用して人工的に足下を見せる意図があった。「須田悦弘 展」では雑草を見せようとする操作がなく、 空間に作品がないように見え、 がらんとしている。だから、作品《雑草》を見つけるために鑑賞者は空
1. 須田が意図する空間を
2. 既存の空間のまま木彫を展示
自ら作り出し木彫を展示
間を散策し、途中に普段意識しない床や壁を意識する。この体験は須田 の既存の展示室を見せようとする意図があり、雑草を通して空間を見せ
表 1 2 種類の展示方法
ている。作品《雑草》に対して空間の余白が原っぱや空き地のような想 像をさせ、作品《雑草》と展示空間が共鳴する事で、展示室全体を風景 のように感じさせるのだ。
作品《雑草》を 見る鑑賞者を 見る鑑賞者
作品《雑草》を 見る鑑賞者
作品《雑草》
展示空間 表 2 作品《雑草》と展示空間の関係
15
既存の 空間
注・参考文献: (※ 1)三上真理子「REVIEWS Exhibition 水の流れ、水の重なり」 『美術手帖 vol.54』 (表 3) 『New Blood Art, Architecture and Design in Japan』2001 年 『コンフォルト』2002 年 02 月 『丸亀市猪熊弦一郎現代美術館 須田悦弘展』2006 年 『千葉市美術館 須田悦弘展』2012 年
(14) Installation by Asian Artists 1999 年 マットレス・ファクトリー
2014年度卒業論文 環境デザイン賞
ピッツバーグ 植物
照明
花
スポットライト
雑草 葉・枝 草
植物
照明 スポットライト
展示方法
作品の配置
須田自身が
床面
花
壁面
雑草
天井面
葉・枝
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 作品展示
間接光
作品の配置
須田自身が
床面
展示場所を作成
壁面
自然採光
須田悦弘による作品 と展示空間の共鳴
天井面
既存の空間に 作品展示
間接光
草
卓上
展示方法
卓上
—作品 《雑草》に注目して
(15) 拈華微笑̶仏教美術の魅力 2000 年 大倉集古館
11E0007 板谷宏太
東京 植物
照明
花
スポットライト
雑草 葉・枝 草
植物
照明 スポットライト
展示方法
作品の配置
須田自身が
床面
花
壁面
雑草
天井面
葉・枝
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 作品展示
間接光
作品の配置
須田自身が
床面
展示場所を作成
壁面
自然採光
天井面
既存の空間に 作品展示
間接光
草
卓上
展示方法
卓上
(22) 雑草
(33) 三つの個展(チューリップ)
2002 年
2006 年
ベネッセ・ハウスミュージアム
国立国際美術館
香川 植物
花 雑草 葉・枝 草
照明 スポットライト
大阪
展示方法
作品の配置
植物
照明
須田自身が
床面
花
スポットライト
壁面
雑草
天井面
葉・枝
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 作品展示
間接光
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
壁面
雑草
天井面
葉・枝
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 作品展示
間接光
草
卓上
展示方法
卓上
草
天井面
既存の空間に 作品展示
間接光
2002 年
2006 年
ギャラリー K
アサヒビール大山崎山荘美術館
国立国際美術館
東京
京都
1995 年
壁面
自然採光
卓上
(33) 三つの個展(雑草)
(23) 水の流れ、水の重なり
(4) 東京インスタレイシヨン 2
展示場所を作成
大阪
植物
照明
展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
花
スポットライト
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
壁面
雑草
壁面
雑草
天井面
葉・枝
天井面
葉・枝
卓上
草
卓上
草
雑草 葉・枝 草
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 間接光
作品展示
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 作品展示
間接光
壁面 天井面
既存の空間に 作品展示
間接光
卓上
(35) 工芸の力:21 世紀の展望
(24) 手の好き間
(5) 東京インスタレイシヨン 2 2/3
展示場所を作成 自然採光
1996 年
2002 年
2007 年
ギャラリー 360°
メゾンエルメス 8 階フォーラム
東京国立近代美術館工芸館
東京
東京
東京
植物
照明
展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
花
スポットライト
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
壁面
雑草
壁面
雑草
天井面
葉・枝
天井面
葉・枝
卓上
草
卓上
草
雑草 葉・枝 草
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 間接光
作品展示
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 作品展示
間接光
卓上
(2012 年 須田悦弘展より)
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
宮城
作品展示
間接光
2007 年
2006 年
石巻文化センター蔵
壁面 天井面
既存の空間に
(36) 雑草
(31) 須田悦弘展(雑草)
1996 年
展示場所を作成 自然採光
香川
植物
照明
展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
花
スポットライト
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
壁面
雑草
壁面
雑草
天井面
葉・枝
天井面
葉・枝
卓上
草
卓上
草
雑草 葉・枝 草
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 間接光
作品展示
(13) ハラドキュメンツ 6:須田悦弘 泰山木(雑草)
展示場所を作成
東京 花
スポットライト
雑草 葉・枝 草
展示場所を作成
壁面
自然採光
天井面
既存の空間に 作品展示
間接光
卓上
(54) 須田悦弘展(雑草)
2006 年
2012 年
国立国際美術館
千葉市美術館 千葉
大阪 展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
植物
照明
展示方法
作品の配置
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
花
スポットライト
須田自身が
床面
壁面
雑草
壁面
雑草
天井面
葉・枝
卓上
草
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 間接光
作品展示
間接光
原美術館 照明
既存の空間に
(32) 三つの個展(バラ)
1999 年
植物
自然採光
作品展示
展示場所を作成
天井面
葉・枝
卓上
草
自然採光 既存の空間に 作品展示
間接光
展示場所を作成 自然採光 既存の空間に 間接光
作品展示
壁面 天井面 卓上
須田悦弘の 62 作品について、配置された空間を分析し作成したリスト(作品《雑草》を中心に抜粋) 。次の4つの項目に着目している。 (1)植物の種類(2)照明(3)展示方法(4)作品の配置
須 田 悦 弘 の 作 品《 雑 草 》 に 触 れ
た 筆 者 は、 も と も と 自 分 が 関 心
を 持 っ て い た「 都 市 の 雑 草 の 魅
力と本質」がなぜこのように巧
み に 表 現 で き て い る の か に 驚 き、
強 い 感 銘 を 受 け た。 そ こ で、 そ
の 理 由 を 探 る 作 業 が 始 ま っ た。
研 究 の 早 い 段 階 で、 展 示 さ れ て
いる空間との関係がとても重要
であることを発見する。
筆 者 は、 須 田 の 展 覧 会 に 関 し て現存するほぼ全ての資料を網
羅 し、 植 物 の 種 類 と そ の 展 示 さ
れ る 空 間 の 関 係 を、 植 物 の 種 類、
照明、展示方法、作品の配置の観
点から調べ、カード化し、一覧表
にした。
ま た、 こ れ ま で の 須 田 の 言 説 と須田に関する論評等を網羅的
に 掲 載 し た 上 で、 個 別 の 作 品 分
析が丁寧になされている点は高
く評価できる。
現代アートに対する建築分野か らの分析として、ユニークな独自
の視点を見失うことなく、丁寧に
分析を行った労作である。
板谷宏太(いたや・こうた) 1993年 大阪府生まれ 2011年 西野田工科高等学校卒業 2011年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞(2012)、 「Workshop in kankyo lab'13-遠藤塾-」優秀賞(2013)、 「JIA 近畿支部大会 実現へと向かう学生コンペ ティションM」アイディア賞(2013)、 「渡辺 篤史のスタジオ探訪 現代の聴竹居/藤 井厚二を越えろ!」優秀賞(2013)、 「篠山古 民家再生活用プロジェクト」市長賞(飴野 拓、高見周作と共同) (2014)受賞
(教員による卒業論文査読コメント要約)
筆者
14
2014年度卒業制作 奨励賞
URBAN OUTDOOR DINING 11E0050 村上莉代
ダイアグラム
3・4・5・6・7・8・9 月
「Urban Outdoor Dining KOBE」
神戸という国際色豊かな街
年に 6 回 (3.4.5.7.8.9 月 ) 対象敷地北側の道路を歩行者天国にし、
には、国の数だけ様々な食
道路に芝生をしきつめる。街中でのピクニックをみんなで楽しむ為
文化が存在している。万国
の企画。周辺の店舗も、この会期中は「GO OUT(持ち帰り) 」専用
共通である「団欒」という
メニューを販売する。芝生の上に座り、街の真ん中で時間を気にす 三宮中央オープンカフェ
行為を、街にダイニングの
る事なく季節の変わり目をおいしい食事とともに楽しむ。
機能を持ってくることで可 能にし、市民が憩い、人と 出会うきっかけとなる新し い都市公園を提案した。 この場所で全てが完結す るのではなく、周辺の店舗 を巻き込んで活気づいて行 く事ことを考え、敷地内に 多 く の 余 白 を 残 し た。 公 園の利用者が、自分なりの 使い方をすることで、都市 は様々な表情を見せるだろ う。
イベント開催時:平面 1/880
2014年度卒業制作 奨励賞
nothing! 11E0201 高見周作
傷ついたという状態を受け 入れ、未来を志向するため にはどのような空間体験が 必要なのか。自身の体験を 基に、理想の気分転換の場 を設計した。 何も無いという非日常の 空 間 の 中 で、 悩 み を 忘 れ たり 思い出してそれと向 き合ったりする事を繰り返 す。そうして自身の心と体
暗い階段の塔を照らす光に向かう
が癒されるまでその空間の 中で過ごす。傷ついた人間 が この建築を訪れる事に よって、元気になってまた 日常の世界で闘うことがで きる。
配置 1/3200
断面 1/1600
13
2014年度卒業制作 奨励賞
旬を求めて旅人、 Parking House 11E0009 井上心平
自分の好きな場所、自分の
高架水槽には濾過され
ソーラーパネル
システム図
たきれ い な 雨 水 が 入っ
好きな何かを追い求めて家
風力発電 高架水槽
ている。
まるごと移動できたら楽
雨水はParking House
し い と 思 い ま せ ん か? 全
本体の屋根と壁面をつ
国各地に存在する Parking
雨水タンクに貯水されて
たってきたものを地下の いる。 この雨水を濾過器
に何か “ もったいない ” と
を通しポンプを使用し高
感じたことがこの Parking
架水槽へ運ぶ。
House の 始 ま り。“ 建 築 ”
電力を使わずに蛇口を
EV車
こうすることによって ひねれば水が出る。
と “ 自然の力 ” を合わせる
雨水タンク 約.1200ℓ
ことによって建築の自立を この建築は設計者自身が
可能に。
住み営業することを目的
として設計されている。な
ので1階キッチン部分は
『Parking House』 は
天井高1700だったり、入
り口ドアは幅500とすごく
1650
走る建築。 『Parking House』 は
ギリギリで設計されてい
名前 井上 心平
生きる建築。
で1000となっていてこの
住所 不定
自分の建築。 450
250
二階の寝室部分は高い
ところで1350低いところ
年齢 28歳
『Parking House』 は
る。
スペースでは寝るだけな
職業 料理人、旅人
のであぐらをかいた時は
820なので広くくつろぐこ
とはできる。
このParkingHouseの知名度はどのようにしてあげるのか? それはYoutubeを利用していくとしよう。
エネルギータワーの組み立て、 日々の様子、移動の様子、 様々な動画をあげることによって知名度が上がり、 客がさらにこの建物に興味を示し始める。
2014年度卒業制作 奨励賞
花と絵
記憶を紡いだ夢の空間
11E0022 熊澤花絵
食堂
食堂:平面 1/800
食堂 : 断面 1/1600
時の流れを悲しく感じると きがある。玄関の前で母を 待った不安な気持ち、家族 が集った暖かい灯り、孤独 を感じた寝室。もう二度戻
浴室
浴室 : 平面 1/800
浴室 : 断面 1/1600
ることができないと分かっ ているわたしの中にある過 去の情景はとても美しく、 とても儚い。少しずつ蓄積 された断片的な過去の記憶 を一つずつ取り出し、絵で 紡ぎたいと考えた。わたし は両親がつけてくれた『花
寝室
寝室:平面 1/800
寝室 : 断面 1/1600
絵』という名前の通り、花 と絵を愛す人になれたのだ ろうか。
玄関
玄関 : 断面 1/1600
玄関 : 平面 1/800
12
2014年度卒業制作 奨励賞
花屋
一緒に歩いて行こう 11E0002 荒川純一
本屋
「一緒に歩いていこう。 」 あなたの大切な人はあな たとは違う。それを知ると きあなたは他者を愛せるだ ろうか。他者を愛せる人は
雑貨屋
きっと、大切な人に出会っ たとき、その人を愛せるの だろう。それに気づいたこ とを伝えたかった。
樹木の作り方
花屋はエゴ、本屋は相手 を知るきっかけ、雑貨屋で 自分と他者との違いを浮き
模型全体(1列の物を横3列に配置)
彫りにする。
2014年度卒業制作 奨励賞
版築による新たな残土処理の方法
豊能の観光拠点として風景を味わう 景色
仮庵から黄金色見る ヘテロフォニー
観光拠点
生業 残土ブロック
残土処分場を通して豊能の風景を味わう
・観光案内 ・物産所
行事
レンタサイクル ・農業体験
11E0007 板谷宏太
版築する
→ ← 通う
暮らし
・残土体験
名所 残土+無機固化安定剤(FC 剤) +硬化剤
体験
豊能 汚染水
豊能における四季の変化
都市 賑業(にぎわい)
1 年間を通して豊能に通い、風景を味わう事が出来る 環境に構成することで、地方の付加価値を再発見する
稲掛けテラスから望む残土 structure《棚田》
豊能町は自然が豊かで、自 然を綺麗に感じることがで きる。しかし人口が減少し、
春
夏
秋
冬
育苗
切畑(焼畑)
秋の七草
稲掛け
賑わいが廃れてきている。 し か し、 ま る で 句 を 詠 みたくなるような棚田を つくり、稲作による風景体 験をすることが可能な環境 にすることで、人が携わり 風 景 が あ り 続 け る「 残 土 TOURISM」を提案する。
カフェテリアから望む残土 structure《棚田》
将来、残土処分場による 残土崩壊をしないために問 題を整理し、新たな残土処 分場を構成。阪神間で暮ら す人々が豊能の生業を四季 を通して体験する。
地下に貯蔵されていく米俵
11
断面 1/1200
目まぐるしい変化を遂げて いる梅田は、独善的な近代
2014年度卒業制作 環境デザイン賞
化によって、商業的テーマ パークのようになって お り、梅田らしい風景を失い かけていることに問題を抱
伸展する象徴
いた。 梅田には、三角形の土地 が多いこと。点在するアイ
11E0203 村田晶規
コンのような建築があるこ と。その二つの質を抽象化 し巻き上げることで、梅田 らしさを表現した。 空間に余白をあたえるこ とで、都市の広場的空間の 質 を 獲 得 し、 様 々 な カ ル チャーが交錯するような豊 かな風景が生まれるのでは ないかと考えた。歩道橋で 起こっていた豊かな梅田ら しい風景を伸展させな が ら、梅田そのものの風景を 提案する。
点在するアイコン的質 抽象化
三角の形状をした土地
円筒 寸胴 レンガ調 等間隔に窓配置
丸ビル
メタル 二本のビル 円のヴォイド
スカイビル
丸い形 アーチ 上にすっと伸びている
ピアスタワー
四角の印象 均等な四角の開口部
梅田の質を量塊に表現し象徴性をもたせた
第三ビル
同じにしか見えない 大きいが住宅に過ぎない
高層マンション
配置 1/20000
GL+ 47800
GL+ 41800
GL+ 39900
GL+ 34800 GL+ 34400
GL+ 32100
GL+ 29100 GL+ 27300
1 受付カウンター 2 ショップ 3 カフェ 4 図書 5 情報ブラウジング 6 ギャラリー 7 スタジオ 8 レストラン 9 倉庫
GL+ 24800
GL+ 18000
GL+ 13800
GL+ 8800平面 1/3000
設計者 村田晶規(むらた・まさき) 1990年 大阪府吹田市生まれ 2009年 大阪府立摂津高等学校卒業 京都学園大学経営学部入学 2012年 神戸芸術工科大学編入学 環境デザイン奨励賞(2012 2013)、 Workshop in Kankyo lab 萩原賞 (2014) 受賞 断面
北立面 1/2500
10
考 の プ ロ セ ス は 今 後 に 生 き る と 思 う( 吉 井 非
グ ラ ム は と て も 興 味 深 い の で、 最 終 案 と し て
き り し た の で は な い か( 長 濱 准 教 授 )」。 プ ロ
しないで他の部分とつながりがあるのがよい
ノ の 提 案 だ け で は な く、 ま た、 一 か 所 で 完 結
レストラン、ギャラリーなどをつくる。 「箱モ
も と に、 問 題 点 を 探 り 出 し、 住 民 が 集 ま れ る
ミュニティ形成とイベント運営のリサーチを
。卒 石橋沙羅「岡本リエゾンプロジェクト」 業 論 文 で テ ー マ と し た 神 戸、 岡 本 商 店 街 の コ
まちづくりの表現とその評 価 軸
う意見が出るなど、若干、リアリティに乏しく、
紀には技術的に無理かも(花島晃教授)」とい
を行っていた。しかし、 「実感として二十二世
を す る。 科 学 的 な 情 報 を 集 め て、 真 摯 に 設 計
疑 似 地 球 と も い え る 環 境 を つ く り、 自 給 自 足
場を建設する計画。宇宙服を着なくてもよい、
そこに酸素と月の砂からセメントをつくる工
奥土居好美「二十二世紀の月」。月に地下空 洞 が あ る か も し れ な い と い う 報 告 を も と に、
うに思う。
も行っている。この建物をつくることで得られ
ファニチャーなど、身体に近い部分のデザイン
も。しかし、細かく図面を見てみると、広場の
形態操作をしているのではないかという講評
い(長濱准教授)」という評価の一方で、単に
ングと公園を縦につなげていくことは興味深
設を提案した。 「立体都市広場として、ビルディ
場 や 図 書 館、 ギ ャ ラ リ ー な ど を 備 え る 複 合 施
に し て、 大 阪 駅 前 の 歩 道 橋 が あ る 場 所 に、 広
よ う な 建 築 が 多 い。 そ れ ら を デ ザ イ ン ソ ー ス
都市と建築
(山之内誠准教授) 」 。 し か し、 「建物をどうつ
さ ら に、 二 〇 世 紀 に 人 類 が 月 を 目 指 し た 時 以
のデザインにもう少し力があれば良かったよ
常勤講師) 」 。
く る か と い う 提 案 な の か、 街 が ど う 変 わ る か
上のロマンが伝わらなかった。
を 使 用 し て 棚 田 を つ く る。 そ の 後、 工 場 を 観
工 場 で「 残 土 版 築 ブ ロ ッ ク 」 を 制 作 し、 そ れ
処 分 場 が 崩 壊 し て し ま う。 敷 地 内 に 新 設 し た
る使用用途がない土=残土が増える一方だと、
わう」 。建設現場で基礎工事の時などに発生す
新天地における建築の力
今後、別の評価軸が必要だと感じた。
型がなくても卒業制作として成立するために、
ン の 方 が 大 事 な こ と が 多 い だ ろ う。 図 面 や 模
な い。 プ ロ セ ス や つ く っ た 後 の オ ペ レ ー シ ョ
て必ずしも建物の建設が必要になるわけでは
石 橋 と 小 野 の ど ち ら の 提 案 も、 い わ ゆ る 建 築 を 設 計 し て い る。 た だ、 ま ち づ く り に お い
いか(川北教授) 」 。
の で あ れ ば、 空 間 の 良 さ を 強 調 す べ き で は な
と 考 え ら れ て い る け れ ど、 拠 点 施 設 を つ く る
に開いた空間をつくる。 「プログラムはきちん
画。 下 足 で 建 物 内 部 ま で 入 る こ と が で き、 街
小 野 宏 陽「 furoe. 」 。銭湯の入り口を改修し て 拠 点 施 設 を つ く り、 地 域 を 活 性 化 さ せ る 計
的 で 誠 実 な プ ロ グ ラ ム な の で、 も う 少 し 大 胆
も の が あ る と 良 か っ た( 長 濱 准 教 授 )」。 社 会
「昔のニュータウンが描いたビジョンみたいな
えらせることができたのでは?(遠藤教授)」 、
大 胆 に 再 提 案 す れ ば、 古 く な っ た 街 を よ み が
なかったという堀井に対して、「インフラから
み 出 す。 既 存 の 街 を 変 え よ う と は あ ま り 思 わ
修 し、 道 の 空 間 に も 子 ど も た ち の 遊 び 場 が 染
積 み 木 の 家、 絵 描 き の 家 な ど テ ー マ ご と に 改
の空間にリノベーションする計画。遊びの家、
堀井慎太郎「ヒトノモリみんな園」。オール ドニュータウンに散らばる空き家を子供たち
う意見も。
に提案できたのではないか(遠藤教授)」とい
までとは違う新しい商店街のあり方を建築的
る と い う 既 成 概 念 か ら 出 発 し て い な い か。 今
とに対して、「既存の商店街はアーケードがあ
准 教 授 )」。 一 方 で、 大 屋 根 が か か っ て い る こ
ピ ン グ セ ン タ ー 的 な お お ら か さ は い い( 長 濱
田んぼの真ん中でも成立しそう。アンチショッ
散 在 し て い る 平 面 計 画 に 対 し て、 「 集 落 型 で、
畑 を 商 店 街 と す る 計 画。 分 棟 形 式 で、 建 物 が
。 大 阪 府 交 野 市、 礒 田 浩 平「 ほ し ふ る ま ち 」 河内磐船駅と河内森駅にほど近い駐車場や田
新しい建築の使われ方を創出する
で き る だ ろ う か? 建 築 に 携 わ る す べ て の 人 が、 ひ き つ づ き 考 え て い か な く て は な ら な い
題 も 多 い。 そ ん な 問 題 を「 建 築 の 力 」 で 解 決
う」 。近年、社会的な問題は多様化し、暗い話
業制作のテーマが多様化しているからだと思
小 玉 教 授 曰 く、 「 今 年 は、 め ず ら し く 教 員 の 評 価 が 評 価 が バ ラ バ ラ だ っ た。 そ れ は、 卒
からではないか。
う 街 全 体 を リ・ デ ザ イ ン す る こ と を 目 指 し た
き 出 た の は、 敷 地 だ け に 留 ま ら ず、 神 戸 と い
精 度 や 密 度 も す ば ら し か っ た。 飴 野 が 一 歩 抜
が 選 ば れ た。 両 者 と も 造 形 力 に 優 れ、 図 面 の
が 行 わ れ た。 本 誌 の 別 頁 に 記 載 の 通 り、 学 長
その後さらに教員たちによる二時間にもわ た る 審 査 会 を 経 て、 十 七 時 半 よ り、 賞 牌 発 表
◆
ようとするなど、都市全体に目を配っていた。
なる展望台を設計して山側から海を意識させ
神 戸 の 観 光 地 を つ な い だ り、 ア イ キ ャ ッ チ と
ま た、 路 面 電 車 を 引 き 込 ん で 南 北 に 点 在 す る
能 さ せ る な ど 多 様 な 使 わ れ 方 を 想 定 し て い た。
と い う 質 問 も 出 た が、 イ ベ ン ト 広 場 と し て 機
はどういう使われ方をするのか?(川北教授)」
る、利点や快適性がもっと伝わると良かった。
村田晶規「伸展する象徴」。大阪駅前の梅田 を リ サ ー チ す る と、 三 角 の 土 地 と ア イ コ ン の
というまちづくり的な提案なのかわかりにく
光施設へと転換するという提案。 「版築でつく
な 提 案 が あ れ ば、 も っ と 魅 力 を 感 じ た よ う に
い(小玉教授) 」という講評も。
る新しいランドスケープを観光資源とするの
と思った。 (文/石坂美樹)
賞 に 飴 野 拓、 環 境 デ ザ イ ン 学 科 賞 に 村 田 晶 規
施設をつくる計画。「客船が寄港していない時
」。神戸の新港第二突 飴野拓「 Human Ridge 堤 に、 国 際 客 船 タ ー ミ ナ ル を 中 心 と し た 複 合
は 良 い。 一 方 で、 棚 田 は 水 脈 の 形 な の で、 そ
思う。 ↘
板 谷 宏 太「 仮 庵 か ら 黄 金 色 見 る ヘ テ ロ フ ォ ニー — 残土処分場を通して豊能の風景を味
れと関係していると形の意味や役割がはっ↘
09
二 〇 一 五 年 一 月 二 七 日、 午 前 一 〇 時。 教 員 た ち に よ る 学 科 会 議 が 始 ま っ た。 こ の 会 議 で、 昼からのオープンな講評会で議論する作品を 決定する。 神戸芸工大の卒業制作最終講評会が興味深 いのは、講評対象となる作品をおおまかなテー マ に 沿 っ て、 二 人 一 組( ま れ に 三 人 一 組 ) に す る こ と だ。 例 え ば、 集 合 住 宅 を テ ー マ に 選 んだ学生二人が、 それぞれ発表を行う。その後、 その二人に対して、まとめて質疑応答を行う。 そ う す る こ と で、 議 論 が 拡 散 す る こ と を 防 げ る し、 時 に は 二 つ の 作 品 を 比 べ、 よ り 先 鋭 化 し た 議 論 へ と 展 開 す る こ と も 期 待 で き る。 学 生 た ち に と っ て も 分 か り や す く、 ま た、 現 代 建築における問題意識や改良すべき点を浮き 彫りにする、良い方法だと思う。 さ て、 今 年 度 は 一 七 作 品 が 以 下 の よ う に 七 つ の テ ー マ に グ ル ー ピ ン グ さ れ て、 議 論 は ス タートした。
建築/公園は都市の起爆剤 と な る か ? 。神戸三宮 荒川純一「一緒に歩いていこう」 のメインストリートであるフラワーロード沿 いに、花屋、本屋、雑貨屋をつくる提案。 「純 愛 」 を テ ー マ に、 恋 人 た ち の 愛 が 深 ま る き っ か け と な る 建 築 を 考 え よ う と し た。 人 間 同 士 のつながりについては深い考察がある案だが、 「真ん中の動線だけを考えていて、周辺のこと を考えているか(川北健雄教授) 」といった質 問 が 出 る な ど、 周 囲 と の 関 係 を も う 少 し 想 像 させて欲しかった。 」 。神 村 上 莉 代「 URBAN OUTDOOR DINING 戸元町の大丸前に都市公園と飲食店を誘致し た 建 物 を つ く る 提 案。 建 物 の 屋 上 は 緑 化 し、 公 園 の 一 部 と し て 解 放。 建 物 の 間 の 外 部 空 間 に 大 き な テ ー ブ ル を つ く り、 そ こ で 自 由 に く つろげるようにする。 「都市公園としては成り 立っていると思うので、周りの商業施設を引っ 張って行くことをストーリーとして説明すべ き(長濱伸貴准教授) 」という講評があった。 荒 川 と 村 上 が 選 ん だ 敷 地 は、 ど ち ら も ポ テ ン シ ャ ル が 高 い 場 所 で あ る だ け に、 敷 地 内 だ け で 完 結 せ ず、 周 辺 に 波 及 し て い く 仕 掛 け ↘
卒業制作最終講評会レポート
を 図 書 館、 カ フ ェ、 コ ン ビ ニ、 屋 上 庭 園 な ど
」 。神戸市営地下鉄学園都 石 丸 笙「 curiosity 市駅前の巨大な東屋のような「ユニバドーム」
性のある提案だと感じた。「サッシ=窓」から
築 を つ く る こ と を 視 野 に 入 れ て い れ ば、 可 能
て い た が、 こ の シ ス テ ム を 使 用 し て 大 き な 建
ら 出 発 し、 間 仕 切 り 壁 を つ く る こ と に 終 始 し
土 居 の ア イ デ ィ ア は「 建 築 の 敷 居 を 下 げ る =セルフビルドを行う」という真摯な思いか
を備えた複合施設にコンバートする提案。「着
できる建築」がどんなものか興味がある。
があれば、さらに良い案となっただろう。
目 点 は い い が、 既 存 部 と 新 規 に 挿 入 し た 建 築
の に、 さ ら に つ く る 必 要 が あ る か( 藤 山 哲 朗
とは興味深いが、 「周りにカフェやお店がある
する。「路地」をキーワードにして設計するこ
の建物には若い人たちが経営するお店を誘致
ウ ッ ド デ ッ キ で つ な げ て 一 体 感 を 出 し、 新 設
れ る 広 場 を 活 用 す る 計 画。 既 存 の 市 民 会 館 と
く な る の か( 長 濱 准 教 授 ) 」「 場 所 と の 関 係 性
よ く わ か る。 た だ、 室 内 空 間 が ど の よ う に 良
で あ っ た。 「サウンドスケープという考え方は
で 音 源 を 自 作 し、 講 評 会 で 流 す と い う 意 欲 作
に 流 す 四 つ の 音 楽 を 制 作。 ピ ア ノ と コ ー ラ ス
を つ く り た い と い う 思 い か ら、 通 天 閣 展 望 台
ビ エ ン ト ミ ュ ー ジ ッ ク を 使 っ て、 快 適 な 環 境
小 林 正 和「 ア ン ビ エ ン ト ミ ュ ー ジ ッ ク に よ る環境空間の提案」。空気のように流れるアン
不可視なものを空間化するには?
と の ス ケ ー ル 感 が 違 う。 既 存 の 建 物 は 巨 大 で
パ ワ ー が あ る の で、 も っ と ハ チ ャ メ チ ャ で、
大胆な方がよかった(遠藤剛生教授) 」。
准教授) 」 と 指 摘 が あ る な ど、 周 辺 の コ ン テ ク
が分からない(小玉教授)」という意見が出る
。 大 阪・ 中 崎 町 の 市 小 嶋 佑「 近 く の 路 地 」 民 会 館 に 隣 接 す る、 イ ベ ン ト 時 に だ け 解 放 さ
ストの読み込みとプログラムの作成にもう少
く考えられている。一方で、「すぐ壊れそうな
雨 水 の 利 用 や 太 陽 光、 風 力 で の 発 電 な ど、 よ
所 に 行 け る と い う ア イ デ ィ ア は 夢 が あ る し、
開 く。 自 分 の 家 が 固 定 さ れ ず に、 い ろ ん な 場
全 国 の 駐 車 場 を 巡 回 し、 そ こ で レ ス ト ラ ン を
井上心平「旬を求めて旅人、 Parking House 」 。 車 輪 が つ い て い て 移 動 で き る 店 舗 付 き の 自 邸。
セルフビルドの可能性
テ ク ス チ ャ ー な ど の 要 素 も 盛 り 込 み つ つ、 具
空 間 化 す る こ と は 可 能 性 が あ る と 思 う の で、
授)」との指摘も。距離や明るさを手がかりに
美しいが、「空間の違いがわからない(三上教
スケッチでつづられるプレゼンテーションは
廊 下 が 先 ま で 続 い て い る 」 状 態 を 空 間 化 し た。
ていて、夕方、薄暗くて、玄関だけが明るく、
化する試み。例えば、 「玄関」では、 「母を待っ
わりにくかった。
な ど、 そ の 音 楽 が 流 さ れ た 空 間 の 快 適 性 が 伝
しアイディアが必要だったかもしれない。
屋台で全国まわれるのか?(小玉祐一郎教授)」
体化できればよかったのではないか。
記憶を紡いだ夢の空 熊 澤 花 絵「 花 と 絵 — 間」。幼い頃住んでいた家の部屋の記憶を空間
上晴久教授) 」など、実用面での課題がありそ
「レストランとしては小さすぎるのでは?(三
い か( 三 上 教 授 )」「 間 仕 切 り 壁 を つ く る だ け
ンレバー的に飛び出すのは構造的に無理がな
とする。 「スタイロフォームが水平方向に、キャ
ス タ イ ロ フ ォ ー ム を 挟 み、 空 間 の 間 仕 切 り 壁
イ ン す る。 サ ッ シ 部 分 に 凹 み を 与 え、 そ こ に
土居瑞希「住んでからの建築」。セルフビル ド を 可 能 に す る た め に、 新 た な サ ッ シ を デ ザ
けど、つくりたいと思う」という答え。「建築
摘 に 対 し て、 高 見 は「 つ く れ る か 分 か ら な い
くれるか?(吉井歳晴非常勤講師) 」という指
見も。「今後、元気になる建築を人のためにつ
ストイックすぎないか(長濱准教授)」との意
トの躯体だけの空間は、「回復の建築としては
分 で つ く る、 自 分 の た め の 建 築。 コ ン ク リ ー
め に、 気 分 転 換 を す る 建 築 を つ く り た い。 自
」。 自 分 は 内 向 的 で 被 害 高 見 周 作「 nothing! 妄 想 が 激 し い。 そ ん な 自 分 が こ の 先 過 ご す た
な ら、 も っ と 効 率 の よ い ジ ョ イ ン ト が あ る で
は 人 の た め で あ る と 思 う か ら、 こ こ で の 思 ↖
うだ。
↘
は(川北教授)」といった実用面での指摘が飛 び交った。
08
4.0184.012 ̊
4.1704.164 6.209
6.165 6.169 6.173 6.177 6.181 6.185 6.189 6.193
4.0174.011 ̊
出入国ロビー 喜望峰ホール
船舶図書館
アイランドストリート 海を引き込んだ道
管理事務所
喜望峰ゲート
出会いの門ホール
六甲山ゲート
シーバスターミナル
配置・1F 平面 1/2500
立面 1/2500
ハリー・パークス広場。神戸まつりの新しい起点
設計者 飴野拓 (あめの・たく) 1984年 群馬県前橋市生まれ 2003年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業 2003年 信州大学工学部建築学科入学 2012年 神戸芸術工科大学編入学
07
倉庫を改修したショッピングモール 港から元町への導入空間
ポートデッキ
交錯の道
ハリー・パークス広場 神戸まつりの新しい起点
交錯ゲート
鉄道の記憶を残す建築を改修
居留地ホール 新居留地通り
倉庫を改修したショッピングモール 港から元町への導入空間
元町方面からの動線。交錯ゲート方向を見る
岸壁から見た遠景
06
大 で あ る。 船 と 陸 の 市 街 地 と の 距 離 を 大 き く と る こ と に よ っ て、 ダ イ ナ ミックにうねる線型的空間にさまざ ま な 施 設 を 組 み 込 ん だ。 国 際 旅 客 関 連 施 設 だ け で な く、 集 合 住 宅 な ど の 都 市 施 設 も 組 み 込 ま れ て い る。 線 型 的 な 構 造 ゆ え、 そ の い ず れ も が 水 際 に 接 す る こ と に な り、 そ れ ぞ れ の 場 が さ ま ざ ま な 形 や ス ケ ー ル で、 海 と の親密な関係を築く意図が込められ ているのだ。そのあたりの表現がもっ と強調されてもよかったのではない か。 陸 の 市 街 地 と は 歩 行 者、 自 動 車、 鉄道の交通ネットワークで結ばれて い る。 そ れ ぞ れ の 軸 は 既 存 市 街 地 の 街路の軸と同調させるように工夫さ れ て い る。 機 能 的 で あ る こ と に 加 え て、 視 覚 的 な 見 え が か り に も 注 意 深 く 心 配 り が さ れ る。 坂 道 を く だ る 街 路 か ら、 港 の 様 子 が 見 え 隠 れ す る 視 覚 的 構 造 は、 海 と 町 を 一 体 化 す る 大 き な 心 理 的 要 因 で あ る か ら だ。 陸 か ら の 景 観、 海 か ら の 景 観 に 配 慮 し、 海と陸をつなぐ新しい都市景観を生 み出している。
05
―
10E0203 飴野拓
る タ ー ミ ナ ル を 置 く。 現 代 の 大 型 客
現存する突堤の一つを大きく沖に 延 伸 し て、 突 端 に 大 型 客 船 が 停 泊 す
づくりに生かせるか。
をどのようにこれからの神戸の拠点
調 さ れ、 独 特 の 祝 祭 性 が あ る。 そ れ
に あ っ て も、 人 の 出 会 い と 別 れ が 強
フ ロ ン ト の 形 を 提 案 し た。 港 は ど こ
ターミナルを中心とするウォーター
歴 史 を 丹 念 に 読 み 直 し て、 国 際 旅 客
て 賑 わ っ た 都 市 で あ る。 そ の よ う な
やがて華やかな国際航路の拠点とし
成 長 し、 世 界 と の つ な が り を 深 め、
ひなびた漁村が海を媒介としながら
海との濃密な関係を失ってしまっ た よ う に 見 え る 現 在 の 都 市、 神 戸。
とりあげた。
を 書 き、 さ ら に 卒 業 制 作 の テ ー マ に
の よ う な 思 い に 駆 ら れ て、 卒 業 論 文
し た い。 神 戸 に 育 っ た 飴 野 拓 は、 そ
海と人間の関係をもう一度捉えなお
小玉祐一郎
人間と海との関係の再構築 神戸の新しい ウォーターフロント
Human Ridge
船 は、 一 つ の 街 と い っ て い い ほ ど 巨
カジノがやってくることで 文化の交錯が起こる 路面電車が市民を港へと運ぶ 都市のリズムを内包する
視覚的に海と山を繋げる 海と山を結ぶ都市軸を呼び起こす 神戸の要素を散りばめる
Tor road 山
都市の記憶を具象化する 海や異国へ思いを馳せる 海と陸を結ぶ鉄道の記憶を呼び起こす
2014年度卒業制作 学長賞
形態操作のダイアグラム
海
Big Scale
Small scale
神戸港の中を多くの船が行き交う様子[出典:国土地理院 神戸港上空航空写真(昭和 47 年) ]
神戸の観光地の分析と、南北にまたがる観光地をつなぐ2路線の路面電車の計画
04
根ざしたスケールの大きな作品を非
今年の卒業制作で、都市的な視点に か?
仕 事 が し た い か、 考 え て い ま し た たのですが、膝を痛めて、その道も
大会に出て、良い成績を残したりし
ンストラクターをしたり、兵庫県の
宅 課 題 で は 遠 藤 剛 生 先 生 に「 ま だ ま
生 た ち は 本 当 に 楽 し そ う で し た。 住
い る。 エ ス キ ー ス チ ェ ッ ク の 時、 先
(笑)。ただ、そのおかげで打ち解け
えな」と逆にイライラしたくらい
近の若い奴は、口の聞き方を知らね
を志し、建築家を目指してここまで 学生が大胆な設計をしても、それで
一 〇 人 に 一 人 だ 」 と 言 わ れ て ……。
飴 野 高 校 に 入 っ て す ぐ に 先 生 に、 「 建 築 科 で 設 計 が 仕 事 に な る の は、
好きなスキーを続けようと思ってい
になりました。工務店で働きながら、
大工さんのところに修行に出ること
色々悩んで、結果、神戸に帰って くることになって、父の知り合いの
難しくなってしまった。
てはだめだ」と言われたこともよく
他にも、花田佳明先生に「あなた みたいな人は絶対に建築をやらなく
かった。
の明るい感じが、すごく居心地がよ
だできる!」と励まされました。そ
幼い時の記憶とこれからの仕事
んできました。
建 築 の 議 論 を か わ す 仲 間 も、 た く さ
る こ と が で き ま し た。 飲 み 仲 間 も、
常に高い完成度でつくり、学長賞を
スキルを積み上げて来たんだろうと は現場が難しいと……。最初からい
受賞した飴野拓さん。ひたすら建築
思ったら、聞いてみると意外な答え わゆる建築家になることはあきらめ
すが、最初から「なれない」という
当 時、 ぼ く は 建 築 家 に な り た い と思っていたわけではなかったんで
分かります。
いう工業高校の教育方針も何となく
業後に実務の即戦力となるようにと
し、教育実習にも行ったことで、卒
ら現実のことも少しは見えて来た
ろという雰囲気がありました。今な
ろくて、おもしろくて。
ろが、設計の実習が始まるとおもし
れればいいと思っていました。とこ
ころ、教員になるための単位さえ取
す。そこで、神戸芸術工科大学に編
るのがいいのかなと思い始めたので
それで、今度こそ建築の勉強をし て、父のように工業高校の教員にな
識が足りないことを実感しました。
たのですが、働き出すと、建築の知
……。すぐ仲良くできました?
周 り の 同 級 生 の 学 生 た ち は、 — 飴 野 く ん に 比 べ る と、 歳 も 若 い し
た。
いもんだと、昔から思っていたので、
覚 え て い ま す。 自 分 は 設 計 が で き な
本 当 に 意 識 が こ ろ っ と 変 わ っ て、 いい意味で色々とショックでした。
大学卒業後の進路は決まって — いますか?
飴野 建築家で、本学科でも教えて いただいた遠藤剛生先生の事務所に
就 職 す る こ と に な っ て い ま す。 工 業
高校の教員になるために、この大学
に入ったはずなのに……(笑)。
三 年 次 の 秋 に、 遠 藤 先 生 の お 弟 子 さんが主宰している事務所にイン
ターンに行ったんです。そこで働く
あったわけではありません。なんと
ち で し た。 ス キ ー を し て い た の で、
行けたらいいかなあ、ぐらいの気持
飴野 高校卒業後についても、本当 に何も考えていなくて……。大学に
だったんです。つまり、せいぜい住
飴野 それまで、建築を職人的な手 の届く範囲で考えるのが当たり前
ことになって、毎回ぼくが幹事をす
課題が終わるたびに打ち上げをする
か。 教 え て や ろ う 」 と。 そ こ か ら、
い出さないのなら、俺がやってやる
い の が、 気 に な り ま し た。「 誰 も 言
れも打ち上げをやろうと言い出さな
で も、 最 初 の 実 習 課 題「 ま ち な か ファクトリー」が終わった後に、だ
ていました。
遠 藤 事 務 所 で は、 大 規 模 な 集 合 住 宅を設計していました。その設計前
てくださいとお願いをしたんです。
で、 遠 藤 先 生 に ア ル バ イ ト で 働 か せ
の美術館課題が終わったタイミング
じ ゃ な い か。 そ う 考 え て、 三 年 次
できればやりたいことが見つかるん
と 言 い、 ぼ く も そ の 道 を 歩 む こ と が
る事務所で働きたいんだろう? イ ンターン先の所長が遠藤先生を師匠
もう少し設計事務所で働いてみた い け ど、 自 分 は ど う い う 建 築 を つ く
ことがとてもおもしろかった。
なく入ったんですが、当時は住宅の
山があって雪があるところ。北海道
と大きなスケールの建築を設計する
宅規模くらいだったんですが、もっ
る こ と に な っ て し ま い ま し た。 ぼ く
飴 野 地 図 を 見 る の が 好 き で し た ね。いつも、山にトンネルを掘るこ
が。
とを想像して、地図の上に赤ペンで 雰囲気はすごく嫌だった。ただ、模
地図にトンネルを書いて遊ぶ
トンネルを書き込んでいました。大
型をつくったり、CADで図面を描
す ご く び っ く り し た し、 う れ し か っ
きいスケールの地形や風景が好き
子どもの時はどんなことに興 — 味がありましたか?
だったんだと思います。
いたりすることは好きでしたね。
設計などにはほとんど興味がなく
や東北、信州に志望校を絞って、た
は、 若 者 を 導 い て 、 仕 切 ら せ る つ も
と設計後の地図見た時、幼い時の記
飴野 入ってからの半年間はだれと も絡まず、もくもくとひとりでやっ
て ……。 好 き で も な い の に や っ て
またま信州大学を受けたら受かって
楽しみを知りました。
りだったんですけどね(笑)。
芸工大ではショックの連続
入学することにしました。実際のと
父は、工業高校建築科の教員です。 特に、工業高校生が参加するコンペ
るから、楽しさもあんまり分からな
それに、同級生のみんな、自分は 建築家になれると思っているんです
みんなの方は、ぼくが年上だなん て 全 然 気 に し て い な く て、 あ ま り に
雪のあるところへ行きたい
かった。学校だから行っていたとい
しまいました。
よ。その自信は、どこから来るのか
ていませんでした。
高校は兵庫工業高校の建築科に進 学 し た の で す が、 父 の 強 い 希 望 が
に昔から力を入れていました。
うか、やってればどうにかなるのか
で も そ ん な 動 機 で 進 学 し た の で、 スキーばっかりしていました。年間
と思うくらい。先生たちも生徒のそ
どうして急に建築がおもしろ — くなったんですか?
なと。はっきり言って、何にも考え
一〇〇日以上は滑っていたので、ス
も フ ラ ン ク に 接 し て く る の で、 「最
あ、 地 図 を 変 え ら れ る 仕 事 が あ っ たんだ、と。
憶を思い出したんです。 キ ー は う ま く な り ま し た が( 笑 )。
ういう思いを受け止めて、教育して
03
スキーを仕事にしたいと思って、イ
高 校 時 代 は、 卒 業 し た ら ど う — いう方面に進んで、将来的にどんな
Interview/Text: Miki Ishisaka Photo: Yuta Kunishige
TA K U A M E N O
飴野拓
学長賞インタビュー
02
Contents
[学長賞インタビュー]飴野拓
02
[卒業制作 学長賞]Human Ridge
04
飴野拓
[卒業制作]卒業制作最終講評会レポート
08
[卒業制作 環境デザイン賞]伸展する象徴
10
村田晶規
[卒業制作 奨励賞]荒川純一・板谷宏太・井上心平・熊沢花絵・村上莉代・高見周作
11
[卒業論文 環境デザイン賞]須田悦弘による作品と展示空間の共鳴
14
板谷宏太
[卒業論文 奨励賞]飴野拓・石橋沙羅・奥土居好美・古賀恒太・土居瑞季・ 中山弥玖・高見周作・村田晶規・小野宏陽
16
[1年生の主な授業]
18
[小規模な公共建築のデザイン]void
坂上みなみ
20
[小規模な公共建築のデザイン]ドコデモナイセカイ
藤田真衣
22
[小規模な公共建築のデザイン]きょうは、
南野真有美
23
[広場・公園のデザイン]わたしの、あなたの、
南野真有美
24
[広場・公園のデザイン]ふじ坂
荻野彩
26
[広場・公園のデザイン]自然と生きる。
坂上みなみ
27
[すまいのデザイン]inclined wall
坂上みなみ
28
[すまいのデザイン]一本の木のおうち
藤田真衣
30
[すまいのデザイン]R-HOUSE
藤田千夏
31
[小学校と幼稚園のデザイン]黒い森の小さな日常—グリム童話へのオマージュ
岡田真弥
32
[小学校と幼稚園のデザイン]ムジャキな小学校
上田恭平
34
[小学校と幼稚園のデザイン]垂水のおへそ
栁原逸聖
35
[集合住宅・住宅地のデザイン]Tidal power—消えていく街 髙村泰正・柳谷菜穂
36
[集合住宅・住宅地のデザイン]Design for acts 上村昂平・鈴木勇司
38
[集合住宅・住宅地のデザイン]Gap of the alley 火置彩子・山口眞沙美
39
[住居・インテリアデザイン総合実習]tiny space
久木楓
40
[住居・インテリアデザイン総合実習]ひとつの机を囲んで暮らす
池内瑞貴
42
[住居・インテリアデザイン総合実習]CUSTOMIZE
藏尾将太
43
[住居・インテリアデザイン総合実習]友達を招きたくなる自慢のワンルーム
松下真子
43
[建築デザイン総合実習]遊園のあとがき
岡田真弥
44
[建築デザイン総合実習]境界線。
池村友希
46
[建築デザイン総合実習]見えない色にイロヅイテ
上田恭平
47
[都市・ランドスケープデザイン総合実習]須磨月の道
大本菜摘
48
[都市・ランドスケープデザイン総合実習]HOT SUMMER Vacation
孫帥亮
50
吉良森子
52
[吉良森子ワークショップ]自立したコミュニティに向かって —縮小社会の可能性と町づくりと建築の役割を考える
[卒業生紹介]北岡直子
54
[卒業生紹介]西口冬悟
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[TOPICS & COLUMNS]
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Workshop in kankyo lab 2014 私の 1 が 10 になるとき 國重裕太・岡田真弥 PLEA 2014 Ahmedabad—インドにおける体験を通して
大道一輝
篠山古民家再生活用プロジェクト
山之内誠
2014 年度「トークセッション」と「ようこそ先輩」
花田佳明
「神戸珈琲職人のカフェ」プロジェクト TEDxYouth@Kobe 企画・設営プロジェクト
川北健雄 大森菜央
教員・研究室紹介
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環境デザイン学科 4年間の学び
64
学科ニュース+編集後記
プラクシスとは:自由人による公共的な事物のための討議や創造的実践を意味する
この作品集は、神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科の 2014年度の主な設計実習と卒業研究、学科活動の成果をまとめたものである。 PRAXIS 2015 環境・建築デザイン学科 2015年4月1日 初版一刷発行 編集委員:花田佳明・中村卓 編集:石坂美樹 (miki ishisaka editorial office) 発行:神戸芸術工科大学 環境デザイン学科 〒 651-2196 神戸市西区学園西町 8-1-1 TEL 078-794-5031 FAX 078-794-5032 URL http://www.kobe-du.ac.jp/env/ 印刷・製本:明光印刷 表紙:Human Ridge 飴野拓
Photo: Yuta Kunishige
神戸芸術工科大学 環境デザイン学科
2015