PRAXIS2016

Page 1

KOBE DESIGN UNIVERSITY Department of ENVIRONMENTAL DESIGN


環境デザイン

学科ニュース News 2015.04-2016.03

小玉祐一郎教授が「第31回国際PLEA会 議」 で、最優秀論文賞を受賞

学生のリノベーション作品が 2015年度グッドデザイン賞を受賞

小玉教授の論文がPLEA2015 BEST PAPER AWARD

2014年度の3年生のデザイン実習(リノベーション課

(最優秀論文賞)に選ばれた。 「第31回国際PLEA

題)優秀案の実施作品が2015年度のグッドデザイン

(Passive and Low Energy Architecture) 会議」は、

賞を受賞し、10月30日〜11月4日まで、東京ミッドタウ

イタリアの 都 市 ボ ロ ー ニャの エン ツォ王 宮 に て

ンで開催される受賞展で展示された。 (p.60-61に記事を掲載)

2015年9月9日に開催された。(official site: http:// www.plea2015.it/)この会議は1982年以来、ほぼ

2015年度環境・建築デザイン公開講義

毎年開催されているもので、今回の会議のテーマは 『Architecture in (R)Evolution(建築の進化・革命)』。

2015年度は、下記の公開講義を行った。公開講義は

世界51ヵ国から300人が参加し、3日間で292編の論

入場料無料で、学生だけでなくどなたでも参加可能。

文と実施プロジェクトが発表された。

●7/15(水)末光弘和*

受賞した小玉教授グループの論文タイトルは「パッ

『風のかたち 熱のかたち 建築のかたち』

シブタウン黒部モデル—黒部における持続可能なコ

●7/22(火)高松誠治*

ミュニティプロジェクト」で、現在富山県2黒部市に建

『空間のつながりかたを可視化する』

設中の集合住宅計画のデザインコンセプトと導入さ

●7/29(水)羽鳥達也*

れたローエネルギー戦略について書かれたもの。

『環境とは何か 建築はどうあるべきか』

選考理由として、社会的/経済的/環境的な要

●9/30(水)平賀達也*

©多田ユウコ

求に対して、それに応答するための明確なデザイ

『ランドスケープの形態原理』

ンアプローチが示されていること、さまざまな個別

●10/14(水)小野田泰明 『よい建築とは何か、 それはいかに実現可能か —プレ・デザインの方法論と復興事業の中で学ん

手法・技術が十分に分析検討され、その結果がすぐ

カオス2016 神戸芸術工科大学卒展

れたデザインとして統合されていると述べられた。

2016年2月5日〜7日、 『カオス2016神戸芸術工科大学

PLEA2015会議のテーマにふさわしい内容であり、

だこと—』

卒展[学部・大学院]』がKIITOと兵庫県立美術館で行

パッシブ&ローエネルギー建築の優れた事例として

●10/21(水)青木淳

われた。環境デザイン学科はKIITOにて展示。多くの

評価された。

『青森県立美術館以降』

方々に作品鑑賞や卒業論文の閲覧をしていただき、4 年間の学業の成果を広く発信することができた。

●10/27(水)伊東豊雄 『大三島から21世紀のライフスタイルを考える』 ●11/11(水)腰原幹雄 『Timberize 都市木造の可能性』 ●11/25(水)横張真 『都市の自然を問い直す:EcologyからEcologiesへ』 *トークセッション2015「シミュレイテッド・ランドス ケープ」 (p.68に記事を掲載)

EMiLAサマースクールに参加 2015年9月6日から12日まで、エディンバラ大学に て、ランドスケープアーキテクチャの分野で著名な ヨーロッパ5大学が共催する「EMiLAサマースクー ル」が開催された。ゲスト校として招かれた本学から は、小浦教授、宮本助教と大学院生が参加し、 「Think Landscape inside the box」 というテーマに取り組んだ。

編集後記

●本誌の編集に在学生もできるだけ

関わってもらいたいと思っていて、今

回 は 学 生 が 作 る 頁 を 増 や し ま し た。

五八頁から六七頁の記事がそれです。

学長賞インタビューや一部の写真撮

影も頼みました。お陰でいつもより賑

やかな感じで仕上がったのではない

でしょうか。賑やかといえば、本誌を

まとめてくれている卒業生の石坂美

樹さんは編集作業の終盤に無事出産。

大変な時期にありがとうございまし

[花田佳明]

た。赤ちゃんの賑やかな声とともに本

誌をお届けします。

まりを強く感じました。卒制では、建

●今年は、改めてリノベへの意識の高

築 を は じ め、 農 村 や 都 市 の 景 観 の リ

ノベと考えられる作品が多く入賞し

ま し た し、 吉 良 森 子 W S の テ ー マ や、

五八頁以降のトピックスの多くが、公

共建築、集合住宅、古民家等のリノベ

です。時代の要請を捉えていて大変結

構 だ と 思 う 反 面、 元 気 な 建 築 作 品 を

もっと見たい気も……。 [山之内誠]

に は「 建 築 を 巡 PRAXIS るデザインの領域が確実に拡張して

●本年度の

い る 」 と、 強 く 実 感 し た 内 容 が 複 数

掲 載 さ れ ま し た。 さ ら に、 本 年 度 は

学 科 名 称 が「 環 境 デ ザ イ ン 学 科 」 と

いう広義で横断的な取り組みを表す

名 称 へ と 改 め ら れ た 年 で も あ り ま す。

の 魅 力 の ひ と つ は、 新 た な PRAXIS 試みや様々な進化が自ずと反映され

[中村卓]

る、そうした点にあると改めて思った

次第です。

ビ ュ ー」 。 び っ く り し た の は、 栁 原 逸

● 毎 年 恒 例 と な っ た「 学 長 賞 イ ン タ

聖くんが一九九四年生まれで、震災の

記憶がないという話。私が芸工大に入

学したのは一九九五年。今年度で退職

される小玉祐一郎先生は、私の在学中

に赴任されました。大きなお腹で伺っ

た最終講義では、懐かしい人にも多く

会うことができました。息子とともに

生きる次の二〇年も、あっという間に

過ぎていくのでしょうね。 [石坂美樹]

73


環境デザイン学科 4年間の学び 私たちを取り巻く環境には、都市や公園のような大きな空間から住宅のような小さな空間まで、スケールも用途も様々な空間がある。それらは、人々のつ ながりや周辺の自然のあり方と相互に密接に関係しあい、私たちの生活空間を形成している。一方、それは人々の記憶を蓄積し、反映した歴史的空間でも ある。環境デザイン学科では、生活空間が成り立つ仕組みを理解し、時代が求める新しい空間をデザインする方法を学ぶことを目標としている。「まちづく り」 「ランドスケープ」 「建築」「リノベーション」の4つのコースがあり、全コースに共通する基本的な知識や技能を身につけた後、ひとりひとりの適性や 関心に応じて、コースごとのより高度な専門分野へと学習を深めていく。

基礎技能の学習

1

環境デザインの基礎を しっかりと学ぶ

学科共通科目 環 境 デ ザ イ ン と は Ⅰ・Ⅱ | 建 築 構 造 入 門 | 近 代 建 築 の 歴史|環境デザイン基礎演習Ⅰ・Ⅱ| CAD基礎演習 特別科目 フレッシュマンセミナー|環境デザイン特別講義A

環境や建築のデザインをこれから学ぼうとする学生が知ってお くべき基本的な考え方を、講義科目を通して学んでいく。演習 科目では、デザインを行うための基礎的な技術を修得する。今 後の履修に必要な基礎をしっかり固めていく。

共通専門領域の学習

2 年

すべてのコースに共通した 専門科目を学習する

学科共通科目 日本建築の歴史|西洋建築の歴史|力の流れと安全| 建築空間のデザイン|都市空間のデザイン|ランドス ケープデザインの歴史|ランドスケープ空間の歴史| 建築と熱・光・空気のデザイン|構造のデザイン| CAD 応 用 演 習 | 環 境 デ ザ イ ン 実 習 Ⅰ・Ⅱ | デ ザ イ ン プ ロ セ ス論|福祉住環境論|ワークショップ 特別科目 環境デザイン特別講義B

「まちづくり」「ランドスケープ」「建築」 「リノベーション」の 各専門分野に関係の深いバラエティに富んだ科目を編成。実習 科目はスタジオでの制作が中心になる。学科の専任教員だけで なく、講師として招いた各領域において優れた実績をもつ専門 家が指導する。

まちづくりコース

ランドスケープコース

後期からはコース別に分かれた学習が始まり、実習科目の課題

建築コース

より専門的な課題に取り組み 卒業研究に向けた準備を行う

リノベーションコース

3 年

内容もそれに対応して分かれる。それぞれの専門に特化したテー

学科共通科目 建築と法規|まちづくりのしくみ|住居・集落・街|ラ ンドスケープのプランニング|環境制御の技術|施工 の技術|コミュニティのデザイン|インテリア空間の デザイン|リノベーションの理論と実践|構造デザイ ン の 実 践 手 法 | 環 境 測 定 ワ ー ク シ ョ ッ プ | 構 造・材 料 ワークショップ|環境デザイン実習Ⅲ|照明デザイン コース科目 まちづくり総合実習|ランドスケープ総合実習|建築 総合実習|リノベーション総合実習 特別科目 環境デザイン特別講義C

マについて実習と演習課題をこなしていくことで、高度な知識 と技術を身につけていく。3 年修了時には、それぞれのゼミ配 属を決定する。

4 年

ゼミに所属し研究活動 4 年間の成果をまとめる

卒業研究 地域 都市 集落 コミュニティ

コース科目 環境デザインプロジェクトA・B・C 特別科目 環境デザイン特別講義D |卒業研究

団地 まちなみ 歴史 文化 街路 広場 公園 緑地 エコロジー 持続性 エネルギー 風景ウォーターフロント

ゼミに所属し、それぞれの研究テーマを専門とする教員からの 個別指導を受けながら、卒業研究(卒業論文と卒業制作の両方) に取り組む。卒業研究は、専門コースごとに分かれた学習内容 を再び統合化する役割も担っており、どのコースでもさまざま な職業・資格に結びつく教育を実践している。

公開空地 オフィス 店舗 福祉 教育 公共施設 保存 再生 改修 住宅 インテリアリ フォーム 照明 舞台

※インタラクションデザインコース対象者には別途専門科目が設置されています。

インスタレーション 家具 ディスプレイ パフォーマンス

72


教員・研究室紹介 山之内 誠

学部4年生/卒業論文タイトル 安積孝政/鶴林寺周辺の景観形成地区調査

YAMANOUCHI Makoto

内野俊介/駅舎保存運動の歴史とその成果についての研究

大学院芸術工学研究科准教授

沖山ひかる/子供の遊びと遊具 —現在の子供たちの環境 周りの大人たちの意識

図書館長

楠田愛香 杉本友太/兵庫県立龍野北高等学校環境建設工学科の課外授業における 地域貢献について

専門 日本建築史、文化財保存論(博士(工学)) 学歴 東京大学工学部建 築学科卒業(1992)/東京大学大学院博士課程修了(2000) 職歴 建設 省技官(1992-93) 著書・論文 太山寺観音堂・羅漢堂保存修理工事報告書 (太山寺2004)/関于日本的地区性文化遺産建筑的維修工事課題(世界文化 遺産亜洲国際研討会論文集2007)/建築空間構成と民族芸術からみた中国 山西商人の伝統的住居の特性に関する研究(科研報告書2011)/三木の町並 み(共著、三木市文化遺産活性化実行委員会2014)/近世讃岐国善通寺にお ける伽藍構成の変遷(仏教美術論集第7巻、竹林舎2015)他

福永修平/銀の馬車道から考える地域活性化について 廣瀬悠暉/地域におけるコンビニエンスストアの役割(高齢者とコミュニティ) 増田純子/二条陣屋の仕掛け機能についての調査 —甲賀流忍術屋敷カラクリ仕掛けと比較して ◀春日神社本殿(篠山市本郷、1844再建) 山之内研作成の調査所見に基づき、2015年に国登録有形文化財に登録

萬田 隆

MANDA Takashi 環境デザイン学科准教授 *2016年度より本学教員

専門 建築構造デザイン 学歴 京都大学工学部建築学科卒業(1997)/京 都大学大学院修士課程修了(1999) 職歴 tmsd萬田隆構造設計事務所代表/ (株)オーク構造設計(1999-2005)/武庫川女子大学建築学科准教授(2006-2013) /大阪産業大学建築・環境デザイン学科特任教授(2013-2016) 作品 桝屋本店 (平田晃久建築設計事務所,2006)/水都大阪 水辺の文化座(芦澤竜一建築設 計事務所,2009)/ちよだの森歯科診療所(小川博央建築都市設計事務所,2010) 著書 スパッとわかる建築構造(共著,2010)/構造デザインの歩み(共著,2010) 活動 日本建築設計学会副会長/建築新人戦実行委員会副委員長

▲桝屋本店(平田晃久建築設計事務所)

宮本 万理子

▲実行委員として運営に関わる建築新人戦

学部4年生/卒業論文タイトル 池村友希/戦後の市庁舎における市民空間の変遷に関する研究

MIYAMOTO Mariko

橋元一成/集合住宅における住民による生活領域の拡張性とその変容に関する研究

環境デザイン学科助教

—岡山県倉敷市中庄団地第1期〜第4期を事例として 松本達郎/兵庫運河周辺における水辺空間の親水性に関する研究

専門 ランドスケーププランニング、緑地環境計画、景観計画、緑のまちづく り (博士(環境学)) 学歴 慶應義塾大学環境情報学部卒業(2005)/東京 大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了(2012) 職歴 東京大学 大学院新領域創成科学研究科特任研究員 活動 柏市緑の基本計画(共 同)策定支援(事務局、調査報告書作成) (2007-09) 論文 下総台地におけ る牧景観の特徴とその変容過程に関する研究(学位論文2012)/牧の払い 下げ形式にもとづく下総台地における景観の特徴解明(共著、 ランドスケー プ研究2011)他

◀大学キャンパスの中庭にて

中村 卓

学部4年生/卒業論文タイトル 上村昂平/家具と建築の関係性—ピエール・シャローの「ガラスの家」

NAKAMURA Suguru

における金属フレームについて

環境デザイン学科助教

鈴木勇司/スコット・バートンの家具作品—その特徴と展開について

専門 近代デザイン史、デザイン論、建築意匠(博士(デザイン学)) 学歴 筑波大学芸術専門学群建築デザインコース卒業(2005)/筑波大学大学院 修士課程芸術研究科デザイン専攻建築デザイン分野修了(2007)/筑波大 学大学院博士後期課程人間総合科学研究科芸術専攻建築デザイン領域修了 (2012) 論文 G. Th. リートフェルトのレッド・ブルーチェア研究—意匠・ 構造の特性とその歴史的意義—(学位論文2012)/レッド・ブルーチェアの 寸法分析による構成的特徴の抽出 —G. Th.リートフェルトの家具作品研究 (1) —(共著、デザイン学研究2012)他

◀研究室にて。卒論指導の様子

伊東 豊雄 ITO Toyo

環境デザイン学科客員教授

専門 建築設計 学歴 東京大学工学部卒業(1965) 職歴 菊竹清訓 建築設計事務所(1965-69)/アーバンロボット (URBOT)設立(1971)/事 務所名を伊東豊雄建築設計事務所に改称(1979) 作品 八代市立博物館 (1991)/せんだいメディアテーク (2001)/TOD'S表参道ビル(2004)/多 摩美術大学図書館 八王子キャンパス(2007)/2009高雄ワールドゲームズ メインスタジアム(2009)/今治市伊東豊雄建築ミュージアム(2011)他 著書 風の変様体(青土社1989)/透層する建築(青土社2000)他

▲環境デザイン学科特別講義

▲今治市伊東豊雄建築ミュージアム(2011 年竣工)撮影:阿野太一

▲吉良森子ワークショップ最終講評会

▲墓地のパビリオン(アペルドールン)撮影:Jeroen Musch

吉良 森子

KIRA Moriko 環境デザイン学科客員教授

専門 建築設計、歴史的建造物修復、リノベーション 学歴 早稲田大学理工学 部建築学科卒業(1987)/早稲田大学大学院理工学研究科建設工学建築学専攻 修了(1990)、デルフト工科大学建築学科留学(1988-1990) 職歴 moriko kira architect 主宰 作品 真鶴共生舎グループホーム(神奈川)/オランダ首相官邸増 改築(ハーグ)/シーボルト博物館(ライデン)/教会のリノベーション(フローニン ゲン)/柿の木坂キャトル店舗+住宅(東京)他 著書 Japan Towards Totalscape (NAi Publisher2000)/ これまでとこれから 建築をさがして(LIXIL出版2013)他

71


TEACHING STAFFS 三上 晴久

MIKAMI Haruhisa 環境デザイン学科教授

学部4年生/卒業論文タイトル 大森菜央/時代をつくってきた建築家のプレゼンテーション—競技設計に着目して 松山悟大/藤森照信の建築作品研究における内・外の仕上げと 開口部の扱い方についての研究 荻野昌子/明舞団地における高齢者コミュニティの場に関する研究 —NPO ひまわり会を事例として

専門 建築デザイン、建築設計 学歴 東京大学工学部建築学科卒業 (1979)/東京大学大学院修士課程修了(1987) 職歴 内井昭蔵建築設 計事務所(1979-85)/文化庁派遣芸術家在外研修員(マイケル・グレイブス 建築事務所にて研修 1987-88) 作品 苗場の週末住宅(1992)/森の里テ クノプラザ、MKオフィス(1993)/茨城県立盲学校小中学部棟(1997)/茨 城県陶芸美術館(2000)/米子吉谷の家(2003)/茨城県営見和アパート (1 期〜6期) (2003) 著書 初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ(共 著、彰国社 2010)

花田 佳明

HANADA Yoshiaki 環境デザイン学科教授 学科主任

専門 建築設計、建築設計理論、近代建築史(博士(工学)) 学歴 東京大 学工学部建築学科卒業(1980)/東京大学大学院修士課程修了(1982) 職歴 日建設計(1982-92)/神戸山手女子短期大学 講師・助教授(1992-96) 作品 渦森台ハウス(神戸市2000)/テツノマチヤ(大阪市2002)/岡本のb (神戸市2005)/八幡浜市立日土小学校保存再生(八幡浜市2009) 著書 植田実の編集現場(ラトルズ 2005)/初めての建築設計 ステップ・バ イ・ステップ(共著、彰国社 2010)/建築家・松村正恒ともうひとつのモダニ ズム(彰国社 2011)他

阪井義大/空き家問題に取り組む行政と市民の動き —神戸市長田区丸山地区における事例研究 火置彩子/映画における建築空間—小津安二郎の映画作品 平井貴士/団地における居住者の差異と居住地に関する研究 松下真子/「家族で住む」ということ—2世帯住宅の住まい方 吉田賢也/音楽ホールのあり方—音楽空間の楽しみ 大学院生(修士課程) 韓魯寧 ◀沖縄へのゼミ旅行にて

学部4年生/卒業論文タイトル 森夏泉/閉校・廃校後校舎の現状と今後の可能性に関する研究 —兵庫県内の飲食店を営む4事例を対象として 秋田さゆり/ル・コルビュジエのドローイングに描かれた添景に関する研究 岡田真弥/うめきた広場における空間構成とアクティビティに関する研究 加来ひかる/恋愛映画にみる待ち合わせ場所の特性についての研究 國重裕太/自主運営型シェアハウスの居住実態と可能性に関する研究 —大倉荘での体験を通して 澤井克優/都市部における高度利用を前提とした保存手法の問題点と 可能性に関する研究 栁原逸聖/建築雑誌におけるカラーページの変遷に関する研究 —雑誌『新建築』を事例に 大学院生(修士課程) 袁禕 ◀夏のゼミ旅行。八幡浜市立日土小学校にて

小浦 久子

学部4年生/卒業論文タイトル 橘知孝/住吉・御影山手の住宅地研究

大学院芸術工学研究科教授

近藤義幸/神戸市の夜間景観における光のデザイン

KOURA Hisako 大学院総合アート&デザイン専攻主任

—住宅地形成と現在の変化、景観についての考察 中山大樹/未来都市—スターウォーズから学ぶ 福江蒼輝/大阪市平野(旧環濠内)の歴史と祭りちょうちんの似合うまちなみ 松井一磨/三宮地下空間の歴史と実態調査に基づく課題分析

専門 都市計画・空間計画・景観(博士(工学)) 学歴 大阪大学人間科 学部人間科学科卒業(1981) 職歴 建設コンサルタント (1981-1992)/ 大阪大学助手(1992-1997)/大阪大学大学院准教授(1997-2015) 活動 ルール広域計画アイデアコンペ(2013)/景観計画策定支援(豊岡 市・芦屋市等)他 著書 まとまりの景観デザイン(2008)/まちづくり教科 書8:景観まちづくり (編著、2005)/失われた風景を求めて(共著、2008) /人口減少時代における土地利用計画(共著、2010)/未来の景を育てる 挑戦(編著、2011)他

川北 健雄

KAWAKITA Takeo 環境デザイン学科教授

専門 建築設計、まちづくり (博士(工学)) 学歴 京都工芸繊維大学大学 院修士課程修了(1987)/コロンビア大学大学MSAAD課程修了(1992)/ 大阪大学大学院博士課程修了(1993) 職歴 オブリスト建築事務所(St. Moritz 1988)/神戸芸術工科大学助手(1993-96)/スイス連邦工科大学客 員研究員(1996) 作品 稲美町都市計画マスタープラン(2008)/鈴木文 化シェアハウス(2013)/禅昌寺キオスク (2014)他 著書 環境デザイン への招待(共著、建築都市ワークショップ 2004)/初めての建築設計 ステッ プ・バイ・ステップ(共著、彰国社 2010)他

藤山 哲朗

FUJIYAMA Tetsuro 環境デザイン学科教授

◀ワークショップを繰り返しながら進める計画コンペ

学部4年生/卒業論文タイトル 伊井涼/高架下空間を利用した公園の比較考察—神戸市における事例分析を通して 池内瑞貴/現代まで継承されている伝統行事の成り立ちのしくみ —姫路市夢前町寺における調査を通して 武本昌隆/ B 級ご当地グルメによるまちづくり—愛 B リーグ加盟団体 in 兵庫 立花志穂/民家改修型デイサービス施設の可能性について 久木楓/ブランドショップにおける商品の展示法についての調査 山口眞沙美/空堀の木造リノベーション店舗に関する実態の把握と考察 松井聡志/多聞台団地再生プロジェクトの調査研究—団地再生が成り立つには 岡村明日佳—種田陽平の映画美術空間について 大学院生(修士課程) 齊藤真紀 特別研究員 丸本祥子 ◀キャンパスにて

学部4年生/卒業論文タイトル 金澤達也/狭小住宅から考える暮らし 川上渉/駐車場の研究—西宮ガーデンズから見た駐車場 木下亜希/コム・デ・ギャルソン 川久保玲—建築とファッションの関係性 田村元秀/『うどんの研究』—立地と経営 平川雄麻/競馬場の変貌とエンターテインメント 山口佳那/スタジオ・ジブリ作品から見る建物の重要性

専門 建築設計、デザイン論 学歴 日本大学理工学部建築学科卒業 (1987)/芝浦工業大学大学院修士課程修了(1989) 作品 加久藤トンネ ル換気所施設(熊本アートポリス 1991)/T2(ベニス・ビエンナーレ第5回国 際建築展、ベニス・プライズ部門、特別賞 1991)/岡本の家(神戸市 1996)/ コペンハーゲン新王立劇場 コンペ案(2001)/神戸芸術工科大学クリエイ ティブセンター(2008)/西ノ浜の家(瀬戸内国際芸術祭施設(2013)他 著書 古典主義建築ーオーダーの詩学(共訳、鹿島出版会 1997/建築MAP 大阪/神戸(共著、TOTO出版 1999)他

長濱 伸貴

NAGAHAMA Nobutaka 大学院芸術工学研究科准教授

中尾亮介

◀学生たちとインスタレーション制作中の様子

学部4年生/卒業論文タイトル 井上あられ/保育所の園庭における子供たちの過ごし方と空間特性の 関係性についての考察 大本菜摘/東遊園地の新しい活用方法やその仕組みについての事例研究 片山早也奈/都市環境に影響を及す夜間景観の特性についての調査研究 平松亮子/関西の観光都市部に現れるキッチュの分析と特性に関する研究 松﨑史華/共同住宅の住戸における現代的な空間利用の実態把握

専門 ランドスケープデザイン 学歴 千葉大学園芸学部造園学科 卒業 (1991)/神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了(2008) 職歴 E-DESIGN代表取締役 作品 堺自然ふれあいの森/錦綾幼稚園/ アートヴィレッジ大崎/なんばパークス2/三田市総合文化センター/クラ ウンプラザ神戸チャペル/阪神甲子園球場リニューアル/京染会館屋上庭園 /長浜市役所新庁舎 他 著書 ランドスケープ批評宣言(共著、INAX出 版2002)/マゾヒスティック・ランドスケープ(共著、学芸出版社2006)/ランド スケープデザインの歴史(共著、学芸出版社2010)

孫思東/神戸市における市街地公園の土地利用に関する研究 孫帥亮/中国大連市における近代都市変化と 近代建築物遺産リニューアル及び再開発 大学院生(修士課程) 飯沼一磨

◀大学キャンパスの中庭にて

70


Te a c hing S t a f f s

教 員 ・研究室紹介

遠藤 剛生 ENDO Takao

環境デザイン学科特別教授

専門 都市、建築、インテリアのデザイン 学歴 大阪工業大学建築学科 卒業(1964) 職歴 神戸大学非常勤講師/大阪大学工学部非常勤講師 /神戸芸術工科大学客員教授 作品 苦楽園住宅/緑丘の家/大阪府 営東大阪吉田住宅/杉並桃井団地/名塩ニュータウン集合住宅/キーエ ンス/熊本県農業公園/りんくうタウン/長野今井ニュータウンG工区(長 野冬季オリンピック選手村)/NEXT21住戸改修/公益社千里会館 他 著書 ヴィジュアル版建築入門5 参加と複合—メメ・ファシスト(分担執 筆、彰国社 2002)

▲ディリー&ジャパン カンツリークラブ 撮影:松村芳治

▲公益社千里会館 撮影:松村芳治

花島 晃

学部4年生/卒業論文タイトル 菅野利光/足に優しい道路舗装—足の観点から

環境デザイン学科教授

—建築とファッション

*2015年度まで本学教員

中村亮介/公園でのサッカーの行われ方について

HANAJIMA Akira

前田諄/アパレルショップの内装デザインで有効なレイアウト、什器とは 桐本駿/紀伊田辺駅前、駅前通りについての調査 藏尾将太/人それぞれの趣味と部屋づくり—マニアな人と一般的な人との違い —限られた状況とスペースの中で

専門 建築構造学、建築構造デザイン(工学博士、技術士(建設部門)) 学歴 東京工業大学建築学科卒業(1968)/東京工業大学大学院修士課程 修了(1970) 職歴 日建設計大阪構造部長/同リニューアル設計室長/日 本建築総合試験所主席専門役 作品 大同生命本社ビル(構造)/キーエ ンス本社ビル(構造)/大阪ワールドトレードセンタービル(構造)/他事務 所・工場・研究所の構造設計および奈良県庁舎など耐震改修設計多数 活動 超高層・免震構造等建築物構造性能評価委員(GBRC)/既存建築物 等耐震診断判定委員(GBRC)

藤枝美菜/緩和ケア施設の研究ーホスピスを考える —神戸なごみの家を事例として) 坂根康太/団地における問題点とコミュニケーションの取り方の研究 松浦このみ/美術系学校と社会の関係性について

◀環境デザイン学科ラボ棟ゼミ室にて

小玉 祐一郎

学部4年生/卒業論文タイトル 上田恭平/原っぱ空間と子どもの遊び環境—君影町を対象として

KODAMA Yuichiro

近藤ゆかり/三分一博志の建築に内在する言葉

大学院芸術工学研究科教授

八田直樹/現代住宅における半外部空間の再考 柳谷菜穂/ルイス・バラガンの動的知覚—シークエンスによる空間分析 川下史博/グラーツにおける都市型住宅の歴史と住まい方 —Grunderzeit 期の建築をケーススタディとして

*2015年度まで本学教員

専 門 建 築デ ザイン、建 築 環 境 計 画(工 学 博 士) 学 歴 東 京 工 業 大 学建築学科卒業(1969)/東京工業大学大学院博士課程修了(1976) 職歴 東京工業大学建築学科助手/建設省建築研究所研究部長 作品 つくばの家シリーズ(1983-92)/飯田川小学校(1993)/水戸八幡 町の家(1998)/高知本山町の家(2003)/財団法人ベターリビング つくば 建築試験研究センター 試験研究本館(2010)他 著書 住まいの中の自然 (丸善1993)/エコハウジングの勧め(丸善 1996)/建築の今 17人の実践 と展望(共著、建築資料研究社 2010)他

小山 明

KOYAMA Akira インタラクションデザイン研究所教授

専門 近代建築史、デザイン史、建築設計(工学博士) 学歴 日本大学理 工学部建築学科卒業(1976)/日本大学大学院博士課程修了(1983)/(ベ ルリン工科大学にて研究) 職歴 DER PLAN、BEARLIN 主宰 作品 Die Maschine, die den Menschen zum Denken bringt(パリ建築美術館 1989) /加久藤トンネル換気所施設(人吉市 1991)/人間に考えさせる機械(ギャ ラリギャラリー1994)/岡本の家(神戸市 1996) 著書 都市居住宣言(監 修・前文、 日本建築学会 1989)/未完の帝国(共著、福武書店 1991)/ベルリ ンデザインハンドブックはデザインの本ではない! (ベアリン出版 2013)他

69

有働紘希/ル・コルビュジェの建築における色彩変化 —韓国から見た建築の『白』 大学院生(修士課程) 熊澤花絵、高野遼平、土居瑞季、中山弥玖、王奇 大学院生(博士課程) Tungnung Khuplianlam 、Bruna Bajramovic ▲小玉研究室にて

特別研究員 大道一輝

学部4年生/卒業論文タイトル 飯野悠也/錯視効果を利用した建築模型から建築を考える 大学院生(博士課程) 石田優 特別研究員 井垣量子

◀人間に考えさせる機械、パリ建築美術館


環境シミュレーションがつくる風景 長濱伸貴

平成27年度 神戸芸術工科大学 環境デザイン学科 公開講義 (鹿島基金特別講座) トークセッション2015 「シミュレイテッド・ランドスケープ」 アドバイザー:小玉祐一郎 (神戸芸術工科大学大学院 教授) ナビゲーター:長濱伸貴 (神戸芸術工科大学大学院 准教授)

最近、自然環境(風、熱、水)や人の動きなどをシミュレーションするこ とによって、建築や都市の新しい風景像を見出そうという動きが盛んになっ ています。今年度のトークセッションでは、4名の若手のデザイナー、プ ランナーの方々をお招きし、作品の計画・設計プロセスや方法論などの紹 介を通じて、環境シミュレーションによる都市、建築、ランドスケープデ ザインの最新状況の解読を試みました。

左より、末光弘和、高松 誠治、羽鳥 達也、平賀 達也(敬称略)

7月15日 第1回 末光弘和(建築家・SUEP. 代表取締役) 「風のかたち 熱かたち 建築のかたち」

7月29日 第3回 羽鳥達也(日建設計 設計部) 「環境とは何か 建築はどうあるべきか」

末光さんの作品は、「フキの葉」のような建築だと思いました。陽の光を和

羽鳥さんの担当作品は、「高性能の次世代型マシン」のような建築だと思い

らげ、そよ風に揺れ、雨のしずくを集めながら、子供たちや人びとを優し

ました。マツダの人見光夫さんが内燃機関の改善を丹念に繰り返し見直し

く覆うような建築。その植物のようなカタチをつくるためには、環境のリ

ながら図ったように、建築技術の汎用性やローコスト化も意識しながら、

サーチと建築のデザインの間をいつも行き来しながら取組むという方法論

建築デザインや構造、設備、建材などを再検証しようとする姿勢や取組み

や姿勢がとても大切だと感じました。そのカタチが生み出す四季折々にお

がとても印象的でした。それは環境建築を始めとする新しい建築のあるべ

ける「葉っぱの下の情景」がこれから楽しみです。

き姿に、まさに「答えは必ずある」と言わんばかりに。

7月22日 第2回 高松誠治(スペースシンタックス・ジャパン代表取締役) 9月30日 第4回 平賀達也(ランドスケープ・プラス 代表取締役) 「空間のつながりかたを可視化する」

「ランドスケープの形態原理」

高松さんの手法は、都市の「循環器内科」ような技術だと思いました。か

平賀さんの作品は、「新しい大地の開拓」のようなランドスケープだと思い

つて緑地計画が “ 都市の肺 ” として「呼吸器内科」ような環境技術に例え

ました。有史以来、森を切り開き都市をつくり、そこに飼いならされた自

られましたが、スペースシンタックス理論は、“ 人の動き ” という経済活動

然を持ち込むことを繰り返してきましたが、環境シミュレーションやデジ

につながる対処療法(=都市再生)となっていることが現代的に興味深かっ

タル地図データなどを駆使しながら、自然環境と人工環境と人の営みをつ

たです。この技術を駆使しながら、都市計画や都市デザインの「オペレーショ

なぐ「新しい都市の自然もしくは大地」をつくるダイナミックな試みだと

ン方法」が革新することを期待しています。

思いました。その大地からの芽吹きが楽しみです。

環境デザイン学科最終講義

LECTURE

花島晃 「建築人生50年」 小玉祐一郎 「passive design for active life」

2016年2月13日、2015年度末に退職の花 島晃教授、小玉祐一郎教授による最終講義 と懇親会が開催された。おふたりは東京工 業大学の同級生であり、それぞれの道を歩 んだ後、小玉教授が1998年、花島教授が 2008年から本学で教鞭をとった。 花島教授は「建築人生 50 年」と題し、 主に日建設計構造部で構造設計を手がけた 建物について紹介。例えば、大阪の街でひ ときわ存在感を放つ「大同生命肥後橋ビ ル」や「キーエンス本社ビル」は花島教授 の代表作である。また、 「奈良県庁舎」など、 リニューアルやリノベーションの構造的ア プローチも大変興味深かった。 小玉教授は「パッシブ・デザイン」への 長年の取り組みについて紹介した。大学時 代に危機感を感じた「人工環境への過度の 依存」。東工大清家研助手、建設省建築研 究所、神戸芸工大と場所を移しても、一貫 して「パッシブな」建築の在り方を求め、 研究と設計を行い続けてきた。 講義には在校生をはじめ、研究室 OB や 外部からも多くの方が参加した。終了後に 吉武記念ホール1階カフェで行われた懇親 会も大盛況だった。

(編集部)

上:最終講義、会場の様子 左下:花島晃教授 中下:講義終了後にゼミ生より花束を贈呈される小玉祐一郎教授 左下:大盛況の懇親会 撮影/川下史博(TourbillonDesignStudio)

68

TOPICS & COLUMNS

TALK SESSION

トークセッション2015 「シミュレイテッド・ランドスケープ」


三日目 束石の据え付け 傾斜の修正 4 束石の据え付け 5 束石の水平確認 6 傾斜をジャッキアップで修正

建物の水平垂直を測定したと ころ、表長屋の土台がかなり 傾いていたためジャッキアッ プして水平に戻す作業から始 めました。 タコと呼ばれる道具を使い床 下に束石を据え付けます。礎 石は基礎となる大切な石なの で水平もきちんと確認します。 2

1

一日目・二日目 不要品の撤去 解体作業 6

5

1 撤去前(表長屋) 2 不要品の分別、解体 3 天井を剥がす

4

四日目 大引き取り付け 床板敷設 7 土台を欠き込む      8 土台に大引きをはめ込む 9 床板の長さを合わせて切り、敷設

3

施工を容易にし、限られた期 間内に仕上げる為に大引きの みで床板を支える 根太レス 工法 を用います。大引きを 取り付けるために土台をノミ で欠き込みます。 大引きの上に床板を取り付け ていきます。床板の長さはま ちまちなので敷設する箇所に 合わせてノコギリで切ります。

使用されていないものを運び出し不要 なものか分別。古材は再利用し、神棚 などは改修後の蔵で展示しました。 天井や床材など全て解体、二日間に及 ぶ解体作業を経て改修箇所を施工でき る状態となりました。

五日目 基礎補強用モルタル打ち込み 防腐剤塗布

7

10 表長屋の土台下に 基礎補強用モルタルを打ち込む 11 防腐剤を塗布(蔵)

11 土台の下の空洞に補強用モルタルを打ち込 みます。自然石のように丸い形にしました。 蔵の土台に防腐材を塗布します。木材の腐 敗を防ぐと同時に防虫効果も期待できます。

9

8

10

完成!!

六日目(最終日) 漆喰壁塗り 窓ガラスコーキング 棚の取り付け

六日間の作業で一通りの改修作業が完了しました。 表長屋(写真下)は地域の子どもに向けて寺子屋を開いた り地域の方が利用できる集会所として、蔵(写真左)は元 から蔵にあった神棚や小道具を展示してギャラリーとして 使用する予定です。 今後も住倶楽部(スクラム)の方々と連携して、篠山本郷 地区の活性化に取り組んでいく予定です。

12 漆喰壁の上塗り 13 窓ガラスをコーキングして固定 14 マスキングで縁取り 15 飾り棚の取り付け(蔵)

12

前日に左官職人さんが下地塗りをした 壁に上塗りをしていきます。 (ケーキ にクリームを塗るみたいに。 ) 母屋で使われていた窓ガラスを再利用 しました。しかしそのままではガラス が外れてしまいそうだったのでコーキ ング材で固定します。コーキングに先 立ちマスキングで縁取りをします。 ギャラリーとなる蔵に飾り棚を設置。 最後に全員で掃除をして、一通りの改 修作業が完了しました。

13

67

※撮影:多田ユウコ

14

15


TOPICS & COLUMNS

☞学生たちの手でセルフリノベーション 環境デザイン学科では、昨年度から地元工務店グルーブ

篠山市古民家再生プロジェクト

「住倶楽部」と協力し、本郷地区の古民家再生を通して、 まちの活性化に貢献する取り組みを行っています。2014 年度には、空き家となっていた元医師の邸宅(現・中井 邸:篠山市本郷972)の主屋と離れのリノベーションを、 学生たちの提案をまとめあげる方法で実現しました。 2015年度は、本郷地区における地域資源調査を行うと ともに、中井邸敷地の入口にある表長屋と蔵を、地域コ ミュニティを活性化に寄与する場となるように、学生自 身の手によってセルフリノベーションする取り組みを実 施しました。

主屋

表長屋

主屋

表長屋 蔵

表長屋(外観)

調査の様子

蔵(外観)

古民家再生とは、古民家を構成する骨格(柱や梁など) を活かしながら、現代に必要とされる新たな機能を加え て、再び人が住めるようにリノベーションすることです。 プロジェクトの対象地となった篠山市周辺の農村部では、 伝統的な古民家が価値を見直されることなく放置され、

民家は昔住んでいた人々の暮らしぶりや文化、さらには 地域ごとの歴史的な空間の特性を、現代に生きる私たち に感じさせてくれる大切な遺産だと思います。また、ひ

改修前の様子

と手間加えることで、現代生活にも有効に活用できる文 化的資源でもあると私たちは考えています。

☜ セルフリノベーション合宿

参加メンバー:4年生/松浦このみ・山口佳那・岡村明日佳・秋田さゆり・安積孝政・池内瑞貴・沖山ひかる・加来ひかる・ 楠田愛香・國重裕太・阪井義大・澤井克優・杉本友太・武本昌隆・火置彩子・久木楓・福永修平・廣瀬悠暉・増田純子・松井一磨・ 柳谷菜穂・

原逸聖・山口眞沙美・吉田賢也・川下史博・有働紘希・森夏泉 大学院生/袁

・韓魯寧・熊澤花絵・齊藤真紀

特別研究員/丸本祥子 学外/奥土居好美(島根大学大学院)・山田汐音(島根大学2年生)・Hannes Thiel (Jade University of Applied Sciences) 教員/花田佳明・川北健雄・山之内誠

66

頁制作:熊澤花絵・齊藤真紀 (修士一年)

☟Before

空き家となって消滅しつつあります。しかしながら、古


松が丘住宅DIY 改修モデル提案等委託業務  明舞団地は、昭和39 年に入居を開始した全国でも最初 期のニュータウンである。まちびらきから50 年以上が経 過し、人口減少、少子高齢化など、諸々の課題が表面化す る中、兵庫県住宅供給公社では、明舞団地再生計画(平成 18 年度改定)に基づき、地域住民と連携しながら団地活 性化に向けた取組を進めている。

洋間

和室

本委託業務では、「分譲マンションは建て替えずとも工 夫次第で魅力的にできる」「団地内の高齢者は、居宅がバ リアフリーに対応していない等の不満を持ちつつも、リノ ベーションへの投資に対しては慎重な傾向にある」などの 現状を踏まえ、民間のノウハウを活用して建物の老朽化や 高齢者に伴う生活様式の変化に対応した改修を行い、これ を広く発信することにより、住民の自立した生活の維持を 支援することを目的とする。

押入れ

和室

洋間

(配布資料「明舞団地リノベーションモデル企画提案及び 設計施工業務等の委託先の募集について」より一部抜粋) バルコニー

所在地 兵庫県明石市松が丘1-1-13 竣工  昭和43年 構造  RC 構造

戦後に建てられた一般的な 3DK の間取り。

階数  B1 ∼ 4 階 戸数  18 戸(一般賃貸)

元平面図 S = 1:100

型式  3DK 戸当たり床面積 48.28 ㎡ バルコニー面積 6.76 ㎡

作業工程 解体・撤去工事

配線などを傷つけないよう、慎重に作業。

木工事

壁・床に使う部材をカットしていく。

足りない部材は随時カット、修正する。

塗装工事

まずは既存クロスを補修、養生する。下地にプライマーを塗ってからペンキで塗装していく。 和室の床は底上げのために根太を置く。床は下地に構造用合板、

床工事

補修、養生、塗装。 実測、解体。 最初は、思いもよらないこと 上手くいかないことの連続だった。

部屋のイメージに 合わせて 色を変える。

65

端材で床を圧着。


アクセント 残せるモノは活かし 自分なりのアクセントを付け加えていく

TOPICS & COLUMNS

老朽化した住戸のリノベーション

居住者が自らつくり  住み続けることを想定した提案 d

c

13E0021 小松 克也 参加メンバー:中園侑希 藤田千夏 森島大和 辰巳博康 土肥大夢 松山昌太郎 山門久晃

高さ 300mmの家具。 空間を緩やかに分ける。 a

b

押入れを取り払い

玄関の壁を取り壊し、

部屋に回遊性を持たせた。

土間をバルコニーまで延長させた。

作りながら住む。

居住者による DIY を想定した住戸のリノベーショ ン。このプロジェクトの終着点は、設計施工後に多 くの方に見ていただき、彼らに「自分でもできそう!」

暮らしにアクセントを付け加えた。

という思いを持ち帰ってもらうことを目標にした。

改修後平面図 S = 1:100

誰にだってできる。  DIY に使用した材料はすべてホームセンターで手

10 月  11 月

に入る。簡単に加工できる木材やペンキしか使って ないので、道具とやる気さえあれば誰でもできる。 材料費は全部で 17 万 360 円(消費税込み)。

圧着が終わり次第、家具を作っていく。

実際、解体から家具製作まで 、 DIY初体験の大学 生8人で1か月でできた。授業の合間を縫ってとい うことを考慮すると、1人で作業をしたなら396時

仕上げにはラワン合板を使用した。

間かかることになる。これは1日8時間づつ作業をす れば、50日間でできるということだ。 モデルルーム公開 b a

取材の様子。

頁制作:小松克也 (三年生)

残せるものは残し、

モデルルーム公開日。

新しい価値を 付け加えていく。

土間や家具でつくる回遊性。

c

d 64


テーマ いちぶんのいち 環境デザイン学科では、制作内容が大きなスケールに なるため、自分で設計した1分の1の空間を体感する ことは困難です。普段の制作で成し遂げることが困難 な1分の1の制作を学年を超えた仲間との協力により

環境を読む

達成できないかと考え、テーマを設定しました。

環境をデザインする私たち にとって環境を読むことは 大切な作業のひとつです。 今回のワークショップでは 学内のそれぞれ違う特徴を 持つ屋外を4箇所指定し、 それぞれ4つのグループに 分かれて制作しました。

ピクニック 制作をする空間で行われる 行為をピクニックと定義し、 その場所で行われる新しい ピクニックのかたちを各班 それぞれで提案しました。

参加メンバー A 班  (3年生 ) 中園侑希、長峰秀和、藤田真衣、永井歩実     (2年生 ) 芝美菜、船曳陽貴、三ツ橋鼓太郎 B 班  (3年生 ) 酒井厚樹、小松克也、南野真有美 、福井志帆     (2年生 ) 北脇梨奈、中村史哉 (1年生 ) 渡辺茜

C 班  (3年生 ) 坂上みなみ、田中真菜美、村田六花、     (2年生 ) 松山昌太郎、土肥大夢 (1年生 ) 畠山紫乃 D 班  (3年生 ) 井上咲野花、藤田千夏、渡辺由貴恵、     (2年生 ) 辰巳博康、山門久晃 (1年生 ) 松井俊祐 63

D班


TOPICS & COLUMNS

Workshop in kankyo lab 2015 - いちぶんのいち -

期間:2015年8月19日∼21日 場所:神戸芸術工科大学 代表:中園侑希 (3年生 )、南野真有美 (3年生 ) アドバイザー:吉井歳晴 (WIZ ARCHITECTS 主宰、非常勤講師 ) ゲスト:遠藤剛生 ( 特別教授 )、小浦久子 ( 教授 )、長濱伸貴 ( 准教授 )

最優秀賞 B 班

今年8回目を迎えるこのワークショップは、本学科の 全学年を対象として、グループワークを通じて学年を 超えたつながりを獲得することが意図されています。 A班

毎年違ったテーマで、学生が企画から運営まで全てを 行います。多くの人とアイディアが溢れるこの場で、 今年はテーマを いちぶんのいち として、普段はで きない1分の1空間の制作に 、3日間取り組みました。

頁制作:中園侑希 (三年生)

C班

イラスト : 藤田真衣、村田六花


2014年12月

1160

+200 TV 台

795

760

1650

+360

浴室

600

テーブル

キッチン・ダイニング +200

510

テーブル

アルミパネル 3.2mm 500

サイド

既存サッシ補修の上再利用

イス

1730

ロフト

1020

510

寝室

1200 450

既存サッシ補修の上再利用

780

120

既存サッシ補修の上再利用

作品の提出

イス 530

キッチン天板

850

750

サクラ ウレタン塗装

600

サニタリースペース

+360

既存サッシ補修の上再利用

2200

R壁 表側:シナベニヤ 5mm にウォールナット突板 裏側:シナベニヤ 5mm 塗装なし

+200

R壁 表側:シナベニヤ 5mm にウォールナット突板

300

AC

1800

ソファスペース

1760

ワークスペース

340 本 棚

380 PS

1850

チェストスペース

250 可 動 棚

±0 既存スラブ F-1

F-2

裏側:シナベニヤ 5mm 塗装なし

既存サッシ補修の上再利用 800 350 600

1400

既存下地撤去後、モルタル金ゴテ仕上げ

N

最終の提出物では自分のイメージを最大限に伝えるべく、図面と 模型を丁寧に表現したほか、CAD の CG にも力を入れ、よりリア ルに感じられるように心がけた。 2015年1月

実現に向けての打合せ

2015年1月

実施設計

ダイニング チェア ダイニング テーブル

ダイニング キッチン

便所

浴室

TV台

バルコニー

ダイニング チェア

サニタリー スペース

外部廊下

飾棚

玄関 ソファ台 (座面下収納有)

ワークスペース

可動棚

洗濯パン

収納3

飾棚

クローゼット

シューズクローク

可動棚

実現案に選ばれ、オーナーである大和船舶土地 の鈴木祐一社長、建築設計事務所・ランドサッ トの安田利宏さん、花田教授、川北教授、小菅

助手と共に、空間構成や仕上げ材について何度

N

実施設計は安田さんの事務所が担当した。私は そこで実施図面に基づく模型を制作した。

も打合せをした。

2015年11月

グッドデザイン賞受賞

2015年4月

竣工写真撮影

自分もモデルとなり、撮影が行わ れた。

※ ※撮影:多田ユウコ

61


中間発表会に向けて

2014年9月

課題スタート !!

「tiny space」 ができるまで

12E0051 久木楓

TOPICS & COLUMNS

2014年11月

2014年度住居・インテリア総合実 習の優秀案として、実施されるこ とになった作品の始まりから完成 までを追う。

さまざまな海外のインテリアデザイン

改修前の住居を見学。

秘密基地をたくさん散りばめる」とい

性が安心して住めるような住居ではないと

なども参考にしながら、 「小さい空間の

全体的な印象としては、古い建物であり女

うテーマを思いつき設計を進めた。

2015年2月

思った。

工事現場

工事現場にも通った。お邪魔することができた。曲がった壁のつくりかた、配管 の種類や位置、工事の手順、建築士の仕事などについて学ぶことができ、貴重な 経験となった。また工事現場では、安田さんと先生たち、そして友人と私で材料 や色決めなども行った。

2015年4月

60

頁制作:久木楓 (四年生)

多田ユウコ

ついに完成 !!


さ て︑具 体 的 に 取 り 組 ん だ の は︑小 学

b

a

c

b

d

e

d

f

e

2015

c

f

a・d:当日の朝、受付の様子。この年の企画はパスポートに載っているスポットを訪れ、子 供たちが気になったものを写真に撮ってきます。 b:まち歩きが終わったら、パスポートに スタンプを押します。c:学生による作業の様子です。子どもたちが撮ってきた写真を印刷 します。 e:みんなで展示して、写真展を開催しました。 f:写真展の様子です。場所は「旧 小河家別邸」です。

a・b:CM 撮影中「ここは○○でーす ! みんな来てねぇ!」 c:街中で気になったものを写真にとっ てミキシル新聞に載せちゃおう! d・e:街歩きから帰ってくると本部でミキシル新聞制作。 正面の黒い大きな地図がミキシル新聞の台紙です。 f:作業机の風景。写真とコメントを添えて 記事を書きます。

ぶらり探検!まち歩きスタンプラリー

この企画 ( もっと発見!よりみちクイズ ) は、イベント原点でもある、まちあるきスタンプラリー をより充実させ、さらにパスポートに書かれているスポット以外にも、まちをよく観察してもら いたいという思いを込め、構成しました。

もっと発見!よりみちクイズ

1 2 3 4 5 6 7 8

1

三寿ゞ刃物 湯の山街道茶屋 旧県立三木高等女学校 光川浪花楼 旧小河家別邸

2

4

三木駅・車両型トイレ 中町・丸一の洗濯場

5

清水の洗濯場

旅亭文市楼 旧三木駅舎

6

街角のタバコ屋

7

下津の道標

8

下町の土蔵群 ナメラ商店街 神戸電鉄曲線橋

3

10

12

上津の舟着場 舟板壁

13

稲見酒造と酒屋の杉玉

14

山本鉋製作所

15

看板建築

16

ギャラリー湯の道

11

三宅徳松商店

クイズ出題ボード 回答ボード N

( イベント開始時 ) パスポートと一緒に ルート表を渡します。

2

( 最初の定番スポットへ ) スタンプを押してもらい ます。さて、最初の問題 です!!

3

( 次の定番スポットへ ) 次のスポットに行くまでの道中に答 えがあります。家族に / スタッフに / 現地の人に聞いて答えを見つけます。

旧三木銀行の壁 上町の道標

旧玉置家住宅

9

59

生 と そ の 家 族 を 対 象 と し た︑ま ち の 魅 力

集まれキッズカメラマン ~親子で巡る三木のレトロな魅力スポット~

a

に 気 づ き︑楽 し め る よ う な 企 画 も 盛 り 込

ん だ︑ま ち あ る き イ ベ ン ト で す︒こ れ は

二〇一 一 年︑親 子 で ま ち を 散 策 す る ス タ

ン プ ラ リ ー や セ ミ ナ ー を 開 催 す る﹁ Play

﹂と名づけた企画としてスター Town MIKI! ト し ま し た︒翌 年 に は ガ イ ド ブ ッ ク﹁三

木 国 パ ス ポ ー ト﹂が 発 行 さ れ︑二〇一 六

年 の 第 六 回 ま で 毎 年 発 行 さ れ て い ま す︒

こ れ に よ り︑載 っ て い る ス ポ ッ ト を 回 る

ス タ ン プ ラ リ ー が 中 心 と な り︑ま ち あ る

きはより楽しいものとなりました︒

こ れ ま で の 学 生 メ ン バ ー は︑当 日 の ス

タ ッ フ と し て︑ス タ ン プ ラ リ ー の 際 に 各

2013

2014

みんなでスクープ ミキシル新聞

ス ポ ッ ト で の サ ポ ー ト や︑ポ ス タ ー や パ

し か し︑こ の イ ベ ン ト は 学 生 が 関 わ る ま

ス ポ ー ト の 作 成 な ど を 行 っ て い ま し た︒

ちづくり活動として大変貴重な機会で

す︒学 生 が 運 営 の 中 心 に 関 わ る こ と も 同

様 に 重 要 な 事 だ と 思 わ れ ま す︒そ こ で︑

Play Town

私 は 企 画・運 営 の 学 生 グ ル ー プ の 取 り ま

と め 役 と し て︑第 五 回﹁

﹂に関わりました︒ MIKI!2015 ま ず は ま ち に 行 き︑ス タ ン プ ラ リ ー と

同 じ コ ー ス を 歩 き ま す︒そ し て︑道 中 に

あるまちの魅力を子どもたちと同じ目線

で 探 し ま す︒そ し て︑見 つ け た 魅 力・資

源 を ど の よ う な 方 法 で 参 加 者 に 伝 え︑楽

神 ) 戸芸

しんでもらえるかを先輩や後輩とともに

考えました︒

◆細川悠貴 ほ ( そかわ・ゆうき 術工科大学三年

みんなで作ろう ミキシル CM

4

0

( 次の定番スポットへ到着 ) まずはスタンプを押してもらいま す。さぁ、答え合わせです! 答えたら次の問題が出題されます。

200m


TOPICS & COLUMNS

親子で まちの魅力発見!

「ミキシル」紹介

プロジェクト ~ ﹂とは︑三木市に残る歴

﹁ミ キ シ ル ~ 三 木 市 の こ と を も っ と 知 る

史 文 化 遺 産の 認 知 度の 向 上 を 目 指 す イ ベ

ントの総称です︒

遺産に富んでおり︑代表的なものとして︑

兵 庫 県 南 部に 位 置 す る 三 木 市は 歴 史 文化

羽 柴 秀 吉の 兵 糧 攻 めで 著 名 な 三 木 城 跡 が

あ り ま す︒そ し て︑そ の 周 辺 に は 寺 社・

街道・伝統 的 構法の 町屋 な ど が 多く 存 在

館や 金 物屋 も あ り ま す︒こ の 町 に は︑非

し ま す︒ま た︑金 物の 町 な らで は の 資 料

住 居 者 や 若 者 が 知 ら な い 魅 力 が 溢 れて い

るのです︒そこで︑記憶に残るであろう見

学や体験を通じ︑これらの歴史文化遺産︑

言い換えれば︑まちの資源・魅力を知って

もらおうというのが﹁ミキシル﹂なのです︒

〇なぜ三木は「金物のまち」になったのか

看板建築 木造商店の表側を衝立のように平面的につくり、モル タル・金属などで覆って自由に装飾する「看板建築」が、 大正時代から昭和時代初めにかけて流行しました。

天正 6 年 (1578)、三木城主別所長治は兵糧攻めに敗れ、 自刃します。その後、秀吉は焼け野原になった三木の復 興を考え、免税政策により人々を呼び戻しました。特に 復興のために、大工や道具を作る鍛冶屋が栄えました。 復興後、大工は再び三木を離れてしまいます。しかし、 彼等が持つ三木の道具は、各地で質の良さが認められ評 判となり、次第に鍛冶の里として名が広まったのです。 ■山本鉋製作所:大正8年 (1919) 創業、3 代にわたり鍛 冶の技術を伝えています。

袖壁 町屋では、二階の側面の壁を通り側に張り出させた「袖 壁」をしばしば目にします。これは、隣の家に火や煙が 広がらないようにする防災目的や、家の格式を表すため につけられています。

■旧玉置家住宅:文政 9 年 (1826)、切手会所 ( 現在 の銀行 ) として建てられました。 ■旧小河家別邸:明治末期、地元政治家小河秀太 郎の別荘として造営した邸宅です。 ■光川浪花楼:明治初期に開業し、増築を繰り返 し現在の形になりました。藤・竹・桜・萩と名付 けられた数寄屋風の部屋があり、特徴的な天井や 壁の造りとなっています。

■三寿ゞ刃物製作所:戦前は京染店でしたが、戦後より 包丁製造業に転じました。また、まちの情報発信拠点で もあり、様々な三木金物が展示販売されているほか、観 光の窓口の役割もになっています。

これらの特徴をもつ建物が三木市には多 く残されています。

「三木国パスポート」発行 !! 載っているスポットをめぐるスタンプラリー

2012

2011

三木のまちを実際に使ってみる親子ワークショップ 「ぬくもりのいえ」

b

ここにスタンプを押します。

ここにもスタンプを押します。

パスポートには、三木市の歴史や昔ながらの 生活を体験・見学できるスポットがたくさん 載っています。 「定番スポット」8 か所 「おもしろスポット」15 か所以上 ◁裏表紙には自分の写真をはります。 まるで、 本物のパスポートみたい!!

d

e

a:この年の企画は、国登録有形文化財の旧玉置家住宅で古民具を展示しました。b:当時のア イロンセット。焼けた炭をいれて使います。c:持ち出し用の道具「銅壷 ( どうこ )」。言い換えれば、 「ピクニックセット」です。 d:体験コーナーも豊富に設けました!お寺で座禅体験。e:伝統 的な小刀「肥後守 ( ひごのかみ )」体験。主に、鉛筆を削るときなどに使います。

58

頁制作:細川悠貴 (三年生)

施設の見どころや、公開 されている情報を掲載し ています。

c

a


吉良森子ワークショップ

3年生/北野龍治

Library

E班

住戸ユニット 1/900 Parking Lot

3年生/井上咲野花

Office

Entrance wc Conference

kitchen

cafeteria

永井歩実 福岡志帆 1年生/堀江里佳 中田瑠翔

Field Library Cafe

H

H H G

G

Courtyard for walk

H

H H

K H

K

H

K

G

K G G

K G G K

G

K G H

K

K H K

H

H Wood deck

G

Courtyard for appreciation Living room hole

G

G

K G K Multi-purpose room Laundry

Cooking space

H H

Library cafe (Old library and recreation space) Nurse room

K K Piloti

田中真菜美 本宮由紀子 1年生/塩見晶恵 土井香奈

WC(L) LIFT WC

G Rehabilitation room

Front door hole

WC(M) Reception and Office in SHINTOYAN

D班

Dining room and cafe LIFT

Group home Court yard

Dwelling unit

Courtyard Cafeteria Kitchen hobby space

のではないかと思いました。

D班の案は既存の建物の前庭に突出ている部分を 壊して円形のシンボリックで透明な建物を付加して

い る と こ ろ が 特 徴 的 で す。 こ こ が 新 た な コ ミ ュ ニ

テ ィ の 中 心 に な る、 と い う こ と が 外 か ら も わ か り、

クロースターブールンの縁から向かって歩いてくる

人たちにも印象付けられるという提案は良い選択だ

と思います。それぞれの部分はよく計画されている

のですが、全体としてのハーモニー、バランスが感

じられないところが残念に思います。

E班は既存の建物の構造を生かしながら、単調な 住戸ユニットを部分的に共有空間に変えていくこと

でとても豊かな住空間に変換することに成功してい

ると思います。このチームの設計プロセスとプレゼ

ン テ ー シ ョ ン か ら は、 自 分 た ち が 計 画 し た 空 間 の

隅々まで自分たちの空間として把握し、計画しきっ

ていることを感じます。バルコニーと建物のバラン

ス、3Dの技術など、これからどんどん鍛えていっ

てほしいと思います。

三月からはクロースターブールンで「ケアアトリ エ」という名前で複数のワークショップが開催され

ます。まずは住民や高齢者にクロースターブールン

のこれからの暮らしに何を望むのか、という質問を

投げかけるところから始まります。その次のステッ

プとして将来像を描いて行く段階で、今回皆さんに

提案していただいた五つの提案を見てもらって、こ

の老人ホームの敷地と建物にどのような可能性があ

るのか、ということを実感していただき、具体的な

ディスカッションをしていく予定です。この新たな

ワークショップの経過は改めて皆さんに報告させて

いただきたいと思います。

二〇一五年度 総合実習B(三年生後期課題)

吉良森子ワークショップ:老人ホームのリノベーション

担当教員/吉良森子(客員教授)、松田安代(非常勤講師)、

「ケアの場をコミュニティーの中心の場に変換する」

花田佳明(本学教授)、中村卓(本学助教)

ゲストクリティーク/島田陽(建築家/タトアーキテクツ)

出題:二〇一五年一二月一七日

ワークショップ:二〇一六年一月五日〜一月一四日

57

Event space

Entrance

Stadium

The place like the house

LIFT

Courtyard

Living room hole

配置・1F 平面 1/1200

吉良森子ワークショップ

Gatheringof nursing home

cafe

Grouphome

Elderly Dwelling

ゾーニング

配置・1F 平面 1/1500


吉良森子ワークショップ ゲストクリティーク賞

Various whereabouts B班

3年生/坂上みなみ

長峰秀和 南野真有美 1年生/足立明日香 山室美貴 Building ( Intside )

Building ( Outside )

①Nursing home room ...25 ②Group home room

...8

③Guest house

...6

Event Square Hill of lawn Library

④Nursing home living ⑤Group Home Workspace

Vegetable garden

Citizens lounge

⑥Atelier

Garden that field connects

Kitchen

Nursing home

⑦Cafeteria

Cafeteria

⑧Kitchen

Nursing home Llving room

⑨Library ⑩Citizens lounge

lawn

Collective housing Office

picnic

garden

Guest house garden

Group home Work space

Nursing home

⑪Cafe

animal park

Group home

⑫Sint Jans Office

garden

⑬Conference room ⑭Laundry ⑮Field

配置・1F 平面 1/1200

ゾーニング

吉良森子ワークショップ

Flexible relationship A班

3年生/村田六花

木村和宏 藤田千夏 1年生/東井絵里帆 松井俊裕

plaza

entrance

cafeteria

office Machining chamber The current court is opened only by people of the nursing home. To a villager of Kioosterburen is hard to thereby use the facilities.

private garden library

field

Everyone living

We think that a thing, the villager who will improve a garden of Sint jan in the future and make it easy to come it. Thereby, we built of the north side of facilities.

Everyone living Atelier

We arrange large public space and scatter it to the new line of flow. We offer a living as the extension of the house of the village.

配置・1F 平面 1/1500

トに対して各チームの提案がそれぞれ異なった可能

性 を 提 示 し て お り、 全 体 と し て も 非 常 に 豊 か な 成 果

が得られたと思います。

吉 良 森 子 賞 と な っ た C 班 は、 既 存 の 建 物 を 物 理 的 に は 尊 重 し な が ら、 ア ー テ ィ ス ト イ ン レ ジ デ ン

ス、ゲストハウスなど様々な形の滞在の仕方を組み

込み、それぞれが中庭と農地側の通りに入り口をつ

くって独立して機能するように計画することで、こ

れまでの閉鎖的、施設的な建物からダイナミックな

暮らしの場に変換することに成功しています。回遊

空間が蛸のように建物の内部に手を伸ばし、繋ぎ止

めるという中庭のデザインがC班のビジョンを明確

に視覚化、空間化していると思います。優れたチー

ムワークに基づいて設計を展開し、密度をあげるこ

と に 成 功 し た こ と、 シ ン プ ル だ け れ ど も 熟 考 さ れ た

介入によってまったく異なるコミュニティと生活の

場を提案したことが評価されました。

B班は明確で魅力的なプレゼンテーションが印象 的でした。同じくU字型の中央部を減築し、町の住

民が使う空間や共有空間を新たにつくり、これまで

とは異なる、開放的で建築的にも豊かな空間を提案

しているところが優れていると思います。また、老

人ホームと町の高低差に着目し、前庭がきめ細かく、

提案されていて、クロースターブールンの住民が集

まる新たな広場となる可能性を実感することができ

ました。住戸と共有空間のバランスに機能的にも建

築的にも違和感があり、結果として町と中庭、農地

がこれまで以上に遮断されたのが残念でした。

A 班 は、 U 時 型 の 平 面 の 中 央 を 減 築 す る こ と で 町 から農地へのつながりをつくり、シンプルな箱を設

置することで町の中心から農地への新たなストリー

ト を 提 案 し ま し た。 既 存 の 老 人 ホ ー ム は ク ロ ー ス

ターブールンの建物の粒に比べて格段に大きく、町

に 対 し て 閉 鎖 的 だ っ た の が、 中 央 部 分 を 減 築 す る こ

とで、二つの住棟に分かれ、町のスケールに馴染む

大きさになったことと新たに付加した箱がそれまで

にはない賑わいを生んでいるところが優れていると

思います。付加された箱の位置、大きさの可能性を

もっとスタディしたら、さらなる可能性が生まれた

56


±0

M 4

中庭は街の中の散策路となる。

街路

e b

工房 ワークショップ 芝生

+300

住戸計画 配置・1F 平面 1/1000 20 8 0

高齢者住戸に入っても、今までの生活が続けられるように考えた。 キッチン

食堂

住宅、庭、街路の関係を、この建物内での住戸、廊下、庭の関係に置き換える。

コンクリート

中庭によってそれぞれの道を繋ぎ、回遊させる。

ここで生活することになった時に、街の中で暮らしていた生活から 受付 オフィス

宿泊者スペース

ウエルネスルーム

街路を歩く際は村人の庭の横を通る事になる。

それぞれの外部を中庭に追加する。

クロースターブールンの住宅には各家庭の道に面した部分に庭が設けられており、

それぞれの部屋の機能に応じて、

廊下 +200

住戸 B&B

ウッドデッキ

住戸 住戸

石畳み

庭 庭

+200

貸しアトリエ 貸しギャラリー

+600

パブリックスペース ▼

工房 ワークショップ 居住スペース

c

動物ガーデンへ 食堂 交流の場

街に対して壁を立てている。

ゾーニング・動線計画 ±0

グループホーム 加工室

d +1350

ゲストハウス 住人動線

▼ ▼

現在、入口は通りに面しておらず、

人ホームの一部をグループホームに改装して住んで

きた障害者の住宅だけでなく、食堂や図書館を近隣

に開放し、住民の活動の場所として使っていく。「一

歳から一〇〇歳まで共に主体的に生活することので

きるコミュニティ」の中心の場として老人ホームの

建物を見直そう、というわけです。本年度のワーク

ショップでは「ケア組合」のビジョンを老人ホーム

の改装を課題のテーマとしました。

■生活者としての高齢者

初日の課題説明では「高齢化」を皆さんがどのよう

に捉えているか話し合いました。神戸の中心近くで

も山に近いエリアでは高齢化が進んで老人ホームが

増えていること、自分たちの祖父、祖母の生活の状

況など、皆さんにとって「高齢者」は抽象的な存在

ではない、と実感することができました。また「高

齢 者 」「 障 害 者 」 は 守 っ て あ げ る 存 在 と し て 捉 え る

前に、必要なサポートさえあれば、皆さんと同じよ

うに社会に参加して生活する市民であるということ

も話しました。

老人ホームは高齢者が管理され、守られる場所で は な く、 住 民 と 交 流 し な が ら 社 会 参 加 す る 場 所 と し

て改装してほしい。大都市の大きなホームであれば

「 管 理 と 安 全 」 の 比 重 が 大 き く な り ま す が、 皆 顔 見

知りのコミュニティであれば生活者としての高齢者

という考え方も現実性があるのです。そしてそれこ

そがクロースターブールンのケア組合の理念です。

■最終講評

例年よりもワークショップの期間が一日少なかった

にも関わらず、どのチームの完成度も非常に高かっ

た と 思 い ま す。 大 き く 分 け て、 「U時型の既存の建

物を尊重して改装した提案」と「減築・増築によっ

て建物の構成から大きく変換した提案」の二つの方

向に分かれました。老人ホームの前庭と中庭をどう

捉えるか、町とのつながりをどうつくっていくのか、

単調な廊下型の個室を生活感のある住空間にどう変

えてくのか、高齢者と身障者の住宅以外にどのよう

な機能をどのように付加するのか、といったポイン

55

訪問者動線 ▼

吉良森子ワークショップ 吉良森子賞

Hand in Hand C班

3年生/小松克也

中園侑希 長谷川晃士 1年生/小谷総介

ウェルネススペース

シントヤン

高齢者住戸

+750

介護動線の短縮、街に開く場所の追加により、

複数の大小様々な入口ができる。

老人ホームの中での生活に変わってしまうことに疑問を抱いた。

+200

食品加工室

+200

住戸

+200

a


2015年度吉良森子ワークショップ

老人ホームの リノベーション

「ケアの場をコミュニティの 中心の場に変換する」

オランダ北部に位置するクロースターブールン村

既存の老人ホーム(写真提供:シントヤン)

ケア組合の設立 既存建物:1F 平面 1/1000 集合写真

クロースターブールンの位置 中庭 講評会の様子

クロースターブールン (Kloosterburen) ● ●

フローニンゲン (Groningen)

東棟

地図データ ©2015 GeoBasis-DE/BKG(©2009), Google

西棟

老人ホームを コミュニティに開くためには

■住民が運営する老人ホーム

吉良森子

私のワークショップでは毎年みなさんが訪れたこと

のないオランダの古い町のコミュニティに関わるデ

ザインプロジェクトを行っています。本年度は昨年

に引き続き、クロースターブールンというオランダ

の北縁の村の老人ホームをテーマとした課題を行い

ました。

日本と同じように高齢化社会が進行しているオラ ンダでは、都市への施設の集約が促進され、過疎地

区のケア施設の運営が困難になってきています。ク

ロ ー ス タ ー ブ ー ル ン で は、 こ れ か ら も 地 元 で ケ ア が

行 わ れ る よ う に、 小 さ な 障 害 者 の デ イ ケ ア と グ ル ー

プホームをすでに自分たちで運営しています。昨年

のワークショップでは活力のあるコミュニティを維

持していくためには、どのような住まい方が望まし

いのかというテーマで老人ホームが建っている場所

に高齢者を中心とした共同住宅を設計してもらいま

した。結果は昨年4月にフローニンゲン州知事を始

めとした専門家にプレゼンテーションされ、州と自

治体がクロースターブールンの住民を主体とした活

動をもっとサポートしなければならない、という認

識を行政に印象付けることに貢献しました。

二〇一五年はクロースターブールンにとって劇的 な一年でした。五月に地域内の高齢者のケアを住民

主体で運営するために「ケア組合」が設立され、近

隣 の 2 0 0 世 帯 が 参 加 を 表 明 し ま し た。 そ の 矢 先、

クロースターブールンの老人ホームが二〇一六年か

ら撤退すると発表しました。コミュニティはたいへ

ん な シ ョ ッ ク を 受 け ま し た が、 「ケア組合」が運営

を引き継ぐという方向性で、今まさに準備が進めら

れています。ケア組合は、住民が老人ホームの運営

を行っていくためには、これまで閉鎖的だった施設

老人ホームをもっとコミュニティに開かなければい

けない、と考えています。これからもこのホームに

住み続けたいと意思表示をした高齢者や、すでに老

54


3年生後期課題 都市・ランドスケープデザイン 総合実習

橋の下という悪条件を改善するた め、新しく公園を整備した。 また、真珠の養殖場に併設して、野

和田岬小学校 まちなかネットワーク

外プールも設けた。真珠の活動以外

平面

は、テラス・公園・プールとして利 用できる。

平面 通常は一般開放

プール

技術室・理科室 平面

真珠の養殖場

13E0044 細川悠貴

古い工場をリノベーションして、ワークスペース

夕方は小学校の水泳クラブや、運営

を整備した。周辺の工場の従業員により、工作ワー

を行うスポーツクラブの水泳クラブ

クショップや、近所の住人により宿題塾がおこな

が利用できる。

える。日中は、自宅に作業場がない人のために

室内なので、冬場も利用可能である。

DIY ラボとしてレンタルする。

CONCEPT ま ち の 特 性 ・印 象 / きっかけ ・小学校が多い ⇒時間帯によっては通学・帰宅する児 童を頻繁に見かけた。 ・しかし、子どもたちが街中で遊んでい る・街が子どもで賑わっている様子が ない。きっと、学校と家の行き来が決 められたものでしかないのだろう。 ・校区を考える ※兵庫運河周辺には3つの校区がある。

提案の手がかり/ 材料をみつける

平面

街中の遊び場や寄り道を誘発するよう な環境を用意する。

家庭科室・栽培場

それは、町にある公園・店 ( 店主 )・工場・

集合住宅の集会場をリノベーション

敷地の横には、廃墟同然の工場が複

集会場などである。

した。家庭科クラブ、茶道クラブの

数あった。それを解体し、土壌を改

つまり、既存のもの、まちの重要な資

活動ほか、料理教室、いこいの場と

良後、栽培場にした。マンションの

源である。

して開放する。もちろん、集合住宅

花壇・畑とともに、小学校用も作っ

校区は、PTAや友達同士の家の距離、

の集会にも利用できる。

た。棟別・学年別に用意した。

近所付き合いなど、「つながり」「日常 のネットワーク」 が豊富である。

提案/まちに仕掛ける

図書室

南立面

子どもの遊び場/寄り道を様々なネット

ワンルームマンションの一階をコミュ

ワークの結節点とすることで、日常の

ニティスペースとした。マンションの

ネットワークはより強固なものとなる。

住人だけでなく、地域の人にも開放す

学校の役割・機能と校区は大変根強い

る。「知の集積場」なので、図書室・コ

関係である。

ンピュータールームとして、小学生が

校区に根ざした学校の機能をまち全体

利用できる。日中は、住民向けのパソ

に分散させる=街(校区)全体が学校

コン教室・憩いの場として開放する。

である。

夜は、マンションの住人がパーティス ペースとしても使える。

提案の結果/まちの将来像 ① たくさんの子供が、街中をウロウロ   する。 和田岬小学校

② 遊び場→遊び場周辺→街中

和田岬小学校

子どもの行動範囲と人との関わりが   増える。 ③ 地域の人との関わりが増える。   まちの人が、子どもたちの先生となる。

和田岬小学校 校区 地図 S=1:1500

まちの人と一緒に子育てをする。

平面

A

書道教室・美術室 この地区は区画整理中につき、以前まで

音楽室

はプレハブで習字教室をおこなっていた。 しかし、既存の集会場があるため、そち らで行えるようにした。また、宿題塾や

体育館・テニスコート

外部の講師を呼んで絵画教室も加能。

設計者 細川悠貴(ほそかわ・ゆうき) 1994年 高知県高知市生まれ 2013年 私立高知高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 高 知 県 展 洋 画 部 門 褒状(2012)、 環境デザイン奨励賞(2014)受賞

ピアノ室

ロビー

音大に向けて練習中

合唱クラブに通う子供を

事務室

スタジオ

カラオケボックス

ラウンジ・カフェ

スタジオ

スタジオ

地元中学校の合唱クラブが活動中

高校生が学校帰りに

近くまで通りかかったから、少し休んで帰る

軽音部がレンタル中

小学校の合唱部が課外活動中

遊んで帰る

スタジオが開くまでの時間つぶし

お迎えのお母さん

スタジオ 友達同士でバンド結成して、 練習中

いつも同じ時間、同じ人が ベンチで本を読んでいる

1/2000 A 1/2000

小ホール・ギャラリー 美術室 ( 集会場 ) で行われていた絵画教室の作品展

平面

A-A 断面

2015年度 都市・ランドスケープデザイン総合実習A

前期までに取り組んできた多角的な実習の経験をもと

プンスペースと一体となった新たなパブリックスペー

(3年生後期課題)

に、3つの総合実習課題に関して、各自最も興味のあ

スの提案を通して、周辺環境を読み込んだデザインの

る領域の課題を選択する。

考え方と手法を習得する。

スのデザイン」

都市・ランドスケープデザイン総合実習では、都市

2. 対象地

指導教員:専任/川北健雄、小浦久子、長濱伸貴、

再生や地域づくりを進めるのに必要な、地域資源の活

課題対象地は、JR兵庫駅の南に位置する兵庫運河周辺

山之内誠、宮本万理子

用創出を計画する基礎となる調査方法を学び、現状を

のエリアである(神戸市兵庫区)。平清盛が整備した

2015年9月22日〜12月15日

評価する。これにもとづいて、既存の地域資源を活用

「大輪田泊」に始まり後に「兵庫津」と呼ばれたこの

した再生プログラム(コンセプトとプラン)を企画提

付近の港は、江戸時代には西国各地〜大坂間の寄港地

1. 課題の位置付け

案し、新たな地域資源としての、都市に開かれたパブ

として賑わった。そして明治になり、船の難所であっ

環境・建築デザイン学科の最後の実習課題として、ま

リックスペースをデザインする。既存の建物やオープ

た和田岬を迂回するバイパスとして開削されたのが兵

た4年生でおこなう卒業制作の準備課題として、3年生

ンスペースを再構成し、水・緑・道・公園などのオー

庫運河である。大正、昭和を通して周辺は商工業地域

「兵庫運河周辺の地域資源を活用したパブリックスペー

53

機械室


防災面への配慮

∼ポケットパークをつくる∼

3年生後期課題 都市・ランドスケープデザイン 総合実習

従来の路地

神戸の街が次々に広い道に区画整理されてい く中で残った真野地区の路地。歩行者のみ通れ

路地でつなぐまち

る路地には生活者が思い思いの空間を作る。

100M

100M

13E0020 黒田実香

Ⅱ 100M

サポートする路地

100M

住宅が密集していると住宅地の 1 件が火事になっ

空き家になったところを広場にして密集感を解消

たとき、火は一気に燃え移ってしまう。真野地区は

し、火事が起こっても広場で火を食い止める。また消

100M のグリットで街区を分けているが、対象敷地

防車が広場に停車できるようにし、より近くで消火活

のグリット内には車道がなく、消防車が入ることが

動が出るようにする。

建物内の道

1. 空き家、空地をポケットパークに変える。

上記のⅡサポートする路地 3 の建物には2か所

できないので消火に時間がかかってしまう。

出入口を設けて建物内でも通り抜けできるよう にする。

路地の継承

2. ポケットパークを繋ぐ道を作る。   路地裏スペースも利用する。

真野地区のもう一つの問題は、高齢者が多いことである。将来もこの趣のある真野地区の路地空間をのこし

ていくためには新たなユーザーをも視野にいれていくべきである。

3. 1 と 2 にそってカフェや雑貨屋さんなどの 店舗、コミュニティスペース、工房などを配置 する。

20 代 OL

アーティスト

同棲カップル

どうすれば若い世代の人たちが住むようになるのか。→オシャレな空間・利便性・変化のある生活…など

ミニバーベキュースペース

八百屋さん

居酒屋よりみち

肉屋さん

緑のトンネル 広場から広場へ誘導

コミュニティスペース

居酒屋さんのそば の広場では昼から夜 まで陽気な宴会が開 かれる。

靴屋さん

帽子屋さん

アクセサリーショップ

移動図書館が来る広場

かばん屋さん

住人が趣味で描いた絵を披露している

工房

21アイスクリーム

雑貨屋さん

お花屋さん 3段階にくぼんだ広場 段差に腰かけたりミニステージの カフェ

役割も果たす。 また段差には近所の人が鉢植えを 持ってきてディスプレイする。

街角アクアリウム 住人が自慢の金魚やメダカなどが入った

水槽を並べている。 カフェ

路地の楽しみかた  真野地区の趣のある路地を未来に残していくためには高齢者はもちろん、若い世代の人にも住んでもらえるような居心地

フランス雑貨屋さん

食器屋さん

のいい空間と、初めて訪れた人の好奇心をくすぐるような変化のある空間をつくる。   歩く人自身が歩く場所を選択する。とどまる人自身がとどまる場所を選択する。

設計者

通りすがり犬の散歩コース

意識高い系 OLコース

黒田実香(くろだ・みか) 1994年 兵庫県尼崎市生まれ 2013年 兵庫県立兵庫工業高校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学

自由気奔放おじいさんコース

社会人 3 年目。仕事に慣れ始め私生活に余裕が出てきた。週末の休

愛犬の散歩で兵庫運河へ行く途中路地を見つけた。車が通ら

趣味の将棋をするため友人の集まるいつもの公園へいく。次の対戦まで少し時間があるか

みは朝からフランス雑貨屋さんの傍の広場でフランス語講座を受講

ないのは愛犬にとって良いし、ウィンドウショッピングしなが

ら近くの広場までガーデニングを見に行こうか。そういえば 21 アイスクリームのまみちゃ

し、お昼は移動図書館の本を読みながらカフェランチ。その後、工房

ら通ることができるので私も楽しい。長距離の散歩の一息がつ

ん今日出勤日だったな、

へ行きレザークラフト教室で今回は職場用のペンケースを作った。

けるような広場も見つけた。今度もまた来ようと思う。

しゃべりに行こう。それにわが子のように育てている金魚にも餌をあげなくちゃ。今日は忙 しいぞ。

平面 1/1200

地図データ ©2016 Google, ZENRIN

として栄えたが、近年では生産機能が低下し、遊休地

クを通して対象地域の再生プラン(ゾーニング・空間

の増加や中小工場用地の無秩序な住宅への転換も見ら

のつながり方・使い方等)を計画し、最後に個人別の

れる。一方では、歴史遺産としての兵庫運河沿いのプ

作業として、具体的な場所(建築・ランドスケープ)

ロムナードを整備し、住民と企業、行政 が協力して地

に焦点をあてたパブリックスペースのデザインを行

域活性化に取り組む動きもなども始まっている。

う。

3. 課題内容

4. 作業の進め方

パブリックスペースのデ ザインは、地域のイメージを

課題は以下のステップに沿って進めていく。

変え、人々の場所への関心やアクティビティを呼び起

Step1: フィールドワーク

こす効果が期待できる。本課題においては、まずは兵

Step2: リサーチ(1/2500 〜1/5000)

庫運河周辺の現状調査と授業でのディスカッションを

Step3: コンセプトとプラン(縮1/500 〜1/2500)

通して地域再生のテーマを見つけ、次にグループワー

Step4: デザイン(1/500 以上)

52


歩いていても楽しくない

車も人の通りも多い

い う だ け で あ れ ば、 他 所 に 実 例 も 多 い

サラリーマン C 工業と住宅

ありふれた提案である。しかし、南野

庭の延長のような個人個人が思い思いに過ごすことのできる場所。 庭の延長のような個人個人が思い思いに過ごすことのできる場所。 庭の延長のような個人個人が思い思いに過ごすことのできる場所。

主な登場人物

サラリーマン サラリーマン

の提案がそのような水準を凌駕するの

C 外部リビング C 外部リビング 主な登場人物 主な登場人物

は、細部に渡る空間デザインが、精緻

車と並び自転車も多く見かける

な現地調査の結果を反映した、部分ご

大きなボリュームのホームセンター 大きなボリュームのホームセンター 交通施設など一つの街区を使っている 交通施設など一つの街区を使っている 大きなボリュームのホームセンター 車と並び自転車も多く見かける 車と並び自転車も多く見かける 交通施設など一つの街区を使っている

との独創的な解法となっている点にあ

見学イベントを行う。

る。 隣 接 エ リ ア の パ ッ チ ワ ー ク 状 の 空

小さな工場が密集している 業務施設なども立ち並ぶ 業務施設なども立ち並ぶ 人通りはまばらである 小さな工場が密集している 人通りはまばらである 業務施設なども立ち並ぶ 人通りはまばらである

間 構 造 を 踏 ま え て、 廃 線 跡 の 空 間 は、

多くの人に知ってもらうために 町工場の

B小さな工場が密集している 小さな工場と大きなボリューム商業

ある部分では片側の空間の拡張とし

普段は入れないが町の財産である町工場を

て、 他 の 部 分 で は 両 側 の 空 間 の 重 ね 合

に賑わっている。

わせとして、また他の部分では、いず

休日には家族でくる客も多く常

れの側にも属さない新たな空間の挿入

休日には家族でくる客も多く常 休日には家族でくる客も多く常 に賑わっている。 に賑わっている。

場は少ないことが分かる。

普段は入れないが町の財産である町工場を 普段は入れないが町の財産である町工場を 多くの人に知ってもらうために 町工場の 多くの人に知ってもらうために 町工場の 見学イベントを行う。 見学イベントを行う。

と し て、 そ れ ぞ れ が 明 確 な コ ン セ プ ト

B 小さな工場と大きなボリューム商業

狭い場所が多く外部を感じられる

町工場の見学会イベント

のもとにデザインされている。

観光客

狭い場所が多く外部を感じられる 狭い場所が多く外部を感じられる 場は少ないことが分かる。 場は少ないことが分かる。

そのような空間操作の結果、廃線跡 は全体として多様性に溢れる周辺地域

作るのが好きな人

楽天やフェリシモなどで、女 楽天やフェリシモなどで、女 性に向けた商品などを販売し 性に向けた商品などを販売し ている。主婦による DIY を紹 ている。主婦による DIY を紹 介するブログも多数存在して 介するブログも多数存在して 楽天やフェリシモなどで、女 おり人気がある。 おり人気がある。 性に向けた商品などを販売し ている。主婦による DIY を紹 介するブログも多数存在して おり人気がある。

町工場の見学会イベント 町工場の見学会イベント

の シ ョ ー ケ ー ス と な り、 そ の 中 で の 軸

町工場で働く人

観光客 観光客

方向の移動が実に豊かな都市体験とな

DIY が女性に人気。

作るのが好きな人  作るのが好きな人

町工場の様子

神戸湊川公園で行われてい手 神戸湊川公園で行われてい手 しごと市(ハンドメイドの雑 しごと市(ハンドメイドの雑 貨、家 具、ア ク セ サ リ ー な ど 貨、家 具、ア ク セ サ リ ー な ど を販売するイベント)のよう を販売するイベント)のよう 神戸湊川公園で行われてい手 なイベントを行う。 なイベントを行う。 しごと市(ハンドメイドの雑 貨、家 具、ア ク セ サ リ ー な ど を販売するイベント)のよう なイベントを行う。

るように仕組まれている。かつて分断

DIY が女性に人気。 DIY が女性に人気。

町工場の様子 町工場の様子

町工場で働く人 手作り系イベント

されていた両側のまちには新しい関係

作るのが好きな人

主な登場人物

が 生 ま れ、 他 者 の 流 入 も 受 け 入 れ 可 能

手作り系イベント

とすることで、過去と未来を取り結ぶ、

町工場で働く人 町工場で働く人

作るのが好きな人 作るのが好きな人 たちの集まる場所、自由に屋根の場所を変えられる。 手作り系イベント

主な登場人物 主な登場人物

町工場で働く人 町工場で働く人

出され て い る 。

小さな町工場と、大きなコーナン、何かを作っている人 小さな町工場と、大きなコーナン、何かを作っている人 たちの集まる場所、自由に屋根の場所を変えられる。 たちの集まる場所、自由に屋根の場所を変えられる。 小さな町工場と、大きなコーナン、何かを作っている人

実に魅力的なパブリックスペースが創

B 変化を楽しむ B 変化を楽しむ

詳細平面

桜を中心に植え桜の並木や 桜を中心に植え桜の並木や お花見のできる空間を お花見のできる空間を 桜を中心に植え桜の並木や つくりだれもが自然と立ち止 つくりだれもが自然と立ち止

近所の住人 近所の住人

老人ホームの人 老人ホームの人

近所の住人

老人ホームの人

お花見のできる空間を まって痛くなるような空間 まって痛くなるような空間 つくりだれもが自然と立ち止 まって痛くなるような空間

C 工業と住宅 中層の住宅が並ぶ 中層の住宅が並ぶ 工場、会社も点在している。 工場、会社も点在している。 中層の住宅が並ぶ 住宅の一階に商業が入っている 住宅の一階に商業が入っている

比較的大きな工場が並ぶ 比較的大きな工場が並ぶ 運河に面してはいるが活用は 運河に面してはいるが活用は してい無い 比較的大きな工場が並ぶ してい無い 会社の車が多い 運河に面してはいるが活用は 会社の車が多い

工場、会社も点在している。 ケースもみられる。 ケースもみられる。 住宅の一階に商業が入っている

してい無い 会社の車が多い

ケースもみられる。

D まちの真ん中 D まちの真ん中

まちの中心に位置し二つの軸が重なり合う場所である。 まちの中心に位置し二つの軸が重なり合う場所である。 一番賑わうエリアである。 一番賑わうエリアである。 まちの中心に位置し二つの軸が重なり合う場所である。

主な登場人物 主な登場人物

一番賑わうエリアである。

主な登場人物 大通り 大通り 大通り まちで働く人 まちで働く人

まちに住む人  まちに住む人

観光客 観光客

まちで働く人

まちに住む人

観光客

テラス テラス

D 運河と運河に面する倉庫

まちの基地 まちの基地

D 運河と運河に面する倉庫

まちの基地

テラス

カフェ カフェ カフェ

まちの基地

運河に柵がされ日常で 運河に柵がされ日常で 利用される事はない 利用される事はない

浜山地域福祉センター や まちで活動する人々の 浜山地域福祉センター や まちで活動する人々の

拠点となる場所である。 まちの基地 拠点となる場所である。

運河に柵がされ日常で 利用される事はない 運河が運搬の主流だった頃の名残から 運河が運搬の主流だった頃の名残から

このようなイベントをまちの真ん中で行う。 このようなイベントをまちの真ん中で行う。 浜山地域福祉センター や まちで活動する人々の 拠点となる場所である。

倉庫や製造業が多く見られる 倉庫や製造業が多く見られる 運河が運搬の主流だった頃の名残から 現在運河に開いた建物は少ない 現在運河に開いた建物は少ない

このようなイベントをまちの真ん中で行う。

倉庫や製造業が多く見られる

現在運河に開いた建物は少ない

平面詳細 1/400

E 陽だまりの丘 E 陽だまりの丘 主な登場人物 主な登場人物

ピクニックしたくなるような優しい空間。病院に通う人や入院する ピクニックしたくなるような優しい空間。病院に通う人や入院する ひとだけでなく通りかかった人が穏やかな気分になる場所。 ひとだけでなく通りかかった人が穏やかな気分になる場所。 ピクニックしたくなるような優しい空間。病院に通う人や入院する ひとだけでなく通りかかった人が穏やかな気分になる場所。

主な登場人物

働く人 働く人

散歩する人 散歩する人

病院にかよう人 病院にかよう人

働く人

散歩する人

病院にかよう人

E 病院とぷち混在地 E 病院とぷち混在地

病院の庭は緑も豊かだが 病院の庭は緑も豊かだが ほとんどが駐車場になっている ほとんどが駐車場になっている 柵が高く普段は入れない 病院の庭は緑も豊かだが 柵が高く普段は入れない ほとんどが駐車場になっている 薬局、集合住宅、大きな駐車場、 薬局、集合住宅、大きな駐車場、 柵が高く普段は入れない 小さな工場が混在する。 小さな工場が混在する。 薬局、集合住宅、大きな駐車場、 戸建住宅は少ない。 戸建住宅は少ない。 小さな工場が混在する。

季節に花が咲いたりみがなったり色ずくものをしようする。 季節に花が咲いたりみがなったり色ずくものをしようする。 季節に花が咲いたりみがなったり色ずくものをしようする。

戸建住宅は少ない。

平面詳細 1/400

設計者 南野真有美(みなみの・まゆみ) 1994年 大阪府大阪市生まれ 2013年 大阪市立工芸高校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞(2014)受賞

51


川北健雄

空間を繋ぎ、 時間を繋ぐ

本 実 習 で は、 神 戸 市 の 兵 庫 運 河 周 辺 を

対 象 に、 地 域 資 源 を 活 用 す る パ ブ リ ッ

ク ス ペ ー ス の 提 案 を 課 題 と し た。 約

十 二 週 間 の う ち、 前 半 は グ ル ー プ ワ ー

クによる現地調査と分析に充て、様々

な場所の特性や空間構造の解読と、活

用可能な地域資源の抽出を行った。そ

の 結 果 を も と に、 後 半 で は 各 人 が 特 定

のエリアと地域資源に焦点を当て、具

体的な建築やランドスケープの改変に

関するデザイン提案をした。

地域内の資源として南野真有美が特 に 注 目 し た の は、 近 い 将 来 に 廃 線 と な

ることが予想されるJR和田岬線であ

る。この直線的な都市の要素は、兵庫

運河の中央付近を横切り、対象地域の

主要部分を串刺しにするひとつの空間

軸 で あ り つ つ も、 同 時 に そ の 両 側 の ま

ちを強く分断する障壁でもあり続けて

来た。

そ こ で 南 野 は、 線 路 を 取 り 払 う こ と で生まれるヴォイドスペースを、その

両側のまちを関係づける媒体へと構

造的に転換することを提案した。廃線

跡を公園や遊歩道として活用しようと

3年生後期課題 都市・ランドスケープデザイン 総合実習

まちと、まちを。 13E0052 南野真有美

1/2000 200 m まちには様々な表情があるが、

その場所を通して繋げていく。

まちの人たちの日常など表情を

線路があることで関わりがない。

今まで裏だった場所を表にしていく。

取り出していく。

広げ、重ね合わせていく。

300m 範囲で地域を読み込む

特性や街区で地域をに 7 分割する

断面イメージ図

線路がまちを分断していると言える。

線路がまちを分断していると言える。

まちが持つ表情。 下町編

下町と新築住宅街 その一つ一つを設計する。

A 都市的自然空間 A 都市的自然空間 主な登場人物

それをまた一つに繋ぐ。

大きな工場、街区いっぱいに立ち並ぶ小さな工場、そして戸 建住宅を緩やかに結ぶ場所である。 大きな工場、街区いっぱいに立ち並ぶ小さな工場、そして戸 建住宅を緩やかに結ぶ場所である。

主な登場人物

子育て世代のファミリー

工場で働く人

子育て世代のファミリー

工場で働く人

六甲山の植物を植える

工場 休憩

検索

google で画像検索した場合

六甲山の植物を植える

工場 休憩

検索

google で画像検索した場合

自然体験と人間関係能力

工場で働く人

子育て世代のファミリー

自然体験をする子供達

観光客

日本の標準的な休憩所

スウェーデンの工場

工場の最新の取り組み

周辺工場

工場の入り口付近に花壇を作り

自然体験と人間関係能力

自然体験をする子供達

小さな工場 川崎重工

工場で働く人

子育て世代のファミリー

観光客

出典:独立行政法人国立青少年教育振興機構「子供の 体験活動の実態に関する調査研究」

ガラス、車

日本の標準的な休憩所

スウェーデンの工場 良い環境を作ろうとする取り組み。

工場の最新の取り組み

周辺工場

工場での花壇作りの様子 ( 引用 http://www.toko-akita.co.jp)

工場の入り口付近に花壇を作り

A 大きな工場が立ち並ぶ

小さな工場 川崎重工

良い環境を作ろうとする取り組み。

ガラス、車

出典:独立行政法人国立青少年教育振興機構「子供の 体験活動の実態に関する調査研究」

工場での花壇作りの様子 ( 引用 http://www.toko-akita.co.jp)

A 大きな工場が立ち並ぶ 工場のボリュームが大きく塀に 囲まれている 歩く人の姿は見られない 工場のボリュームが大きく塀に 車の通りは多い 囲まれている 歩いていても楽しくない 歩く人の姿は見られない 車の通りは多い 歩いていても楽しくない

工場のための駐車場が多い 新築戸建住宅が建ち始めている 車も人の通りも多い 工場のための駐車場が多い

詳細平面

新築戸建住宅が建ち始めている 車も人の通りも多い

詳細平面 平面詳細 1/400

B 変化を楽しむ B 変化を楽しむ 主な登場人物

小さな町工場と、大きなコーナン、何かを作っている人 たちの集まる場所、自由に屋根の場所を変えられる。 小さな町工場と、大きなコーナン、何かを作っている人

作るのが好きな人

主な登場人物

DIY が女性に人気。

町工場で働く人

町工場で働く人

作るのが好きな人

作るのが好きな人

町工場で働く人

作るのが好きな人

手作り系イベント たちの集まる場所、自由に屋根の場所を変えられる。

DIY が女性に人気。

観光客

観光客

楽天やフェリシモなどで、女 性に向けた商品などを販売し ている。主婦による DIY を紹 介するブログも多数存在して おり人気がある。 楽天やフェリシモなどで、女 性に向けた商品などを販売し ている。主婦による DIY を紹 介するブログも多数存在して おり人気がある。

B 小さな工場と大きなボリューム商業

町工場の様子

町工場で働く人 手作り系イベント 神戸湊川公園で行われてい手 しごと市(ハンドメイドの雑 貨、家 具、ア ク セ サ リ ー な ど を販売するイベント)のよう なイベントを行う。 神戸湊川公園で行われてい手 しごと市(ハンドメイドの雑 貨、家 具、ア ク セ サ リ ー な ど を販売するイベント)のよう なイベントを行う。

休日には家族でくる客も多く常 に賑わっている。

休日には家族でくる客も多く常 に賑わっている。

町工場の様子

狭い場所が多く外部を感じられる

町工場の見学会イベント

場は少ないことが分かる。

狭い場所が多く外部を感じられる

町工場の見学会イベント

場は少ないことが分かる。

普段は入れないが町の財産である町工場を 多くの人に知ってもらうために 町工場の 見学イベントを行う。 普段は入れないが町の財産である町工場を 多くの人に知ってもらうために 町工場の 見学イベントを行う。

B小さな工場が密集している 小さな工場と大きなボリューム商業 業務施設なども立ち並ぶ 人通りはまばらである 小さな工場が密集している 業務施設なども立ち並ぶ 人通りはまばらである

大きなボリュームのホームセンター 交通施設など一つの街区を使っている 車と並び自転車も多く見かける 大きなボリュームのホームセンター 交通施設など一つの街区を使っている 車と並び自転車も多く見かける

平面詳細 1/400

C 外部リビング C 外部リビング 主な登場人物

庭の延長のような個人個人が思い思いに過ごすことのできる場所。 庭の延長のような個人個人が思い思いに過ごすことのできる場所。 桜を中心に植え桜の並木や

主な登場人物

お花見のできる空間を つくりだれもが自然と立ち止 桜を中心に植え桜の並木や まって痛くなるような空間 お花見のできる空間を

サラリーマン

近所の住人

老人ホームの人

近所の住人

老人ホームの人

つくりだれもが自然と立ち止 まって痛くなるような空間

サラリーマン C 工業と住宅

C 工業と住宅 比較的大きな工場が並ぶ 運河に面してはいるが活用は してい無い 比較的大きな工場が並ぶ 会社の車が多い 運河に面してはいるが活用は してい無い

中層の住宅が並ぶ 工場、会社も点在している。 住宅の一階に商業が入っている 中層の住宅が並ぶ ケースもみられる。 工場、会社も点在している。 住宅の一階に商業が入っている ケースもみられる。

配置

50


A 関係者専用道路

3年生後期課題 建築デザイン総合実習 敷地A1

2F 屋外展示・眺望スペース

アトリエ広場

一時保管スペース ウッドデッキ 保管室 休憩スペース

展示スペース

+ 7500

屋外展示スペース

図書スペース

+ 13500

ワークルーム兼アトリエ 展示スペース ウッドデッキ

+ 9000

+ 10000

+ 7500

ふらっと入った 道の先に... 13E0032 田中真菜美

屋外展示スペース

+ 12000

屋外展示スペース

展示スペース

ワークルーム

屋外展示スペース

+ 12000

屋外展示スペース

+ 7500

ミュージアムショップ

+ 9000

+ 7500

展示スペース カフェ + 9000

屋外展示スペース + 6000

+ 9000

屋外展示スペース

展示スペース

展示スペース

展示スペース + 7500

屋外展示スペース

+ 6000

+ 3000

屋外展示スペース + 1500

屋外展示スペース

屋外展示スペース

一般駐車場

+ 3000

屋外展示スペース

カフェ・レストラン

エントランス

+0

屋外展示スペース

管理事務室

休憩スペース

配置・1F平面 1/1000 A

設計者 田中真菜美(たなか・まなみ) 1994年 大阪府大阪市生まれ 2013年 大阪府立港南造形高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 A-A'断面 1/1500

2015年度 建築総合デザイン実習 A(3年生後期課題)

地域を活性化し、都市の改善に寄与する建築とするた

開かれた公園のような美術館。地域あっての美術館。

めの企画、建築プログラムの作成を行い、建築のデザ

周辺と一体化した美術館は、「神戸」というテーマパー

指導教員:専任/小玉祐一郎・花島晃・中村卓

インにまとめて提案する。敷地周辺の社会的、自然的

クといえるだろう。

非常勤講師/菅正太郎(すがアトリエ)・香川貴範

特性を読み、場所が持っているポテンシャルを生かす

好きな現代作家を特定した美術館としてもよい。

「現代美術館ー美術展示を中心とする文化コンプレックス」

(SPACESPACE)

ことが求められる。

2015年9月22日〜12月15日

49

3.対象敷地 2. 課題内容

対象とする . 敷地は、各自が次のメニューの中から選び、

1.課題の位置付け

美術館は、すばらしい美術作品を所蔵している。こう

決める。

環境・建築デザイン学科の最後の実習課題として、ま

した作品に触れることは、非日常的な特別な体験だ。

A1 北野クラブ・ソラの敷地

た 4 年生でおこなう卒業制作の準備課題として、3年

多くに人にこの体験をしてもらおう。最近の美術館は

山のポテンシャルを生かす

生前期までに取り組んできた多角的な実習の経験をも

そのためにさまざまな工夫をしている。展示の工夫は

A2 三宮駅前マルイの敷地

とに、3つの総合実習課題に関して、各自最も興味の

もちろんだが、単に作品を展示しているだけではない。

街のポテンシャルを生かす(1)

ある領域の課題を選択する。

講演やコンサートのホールや、ワークショップのスタ

A3 東遊園地

建築デザイン総合実習では、特定の敷地に建設する

ジオや、図書やビデオの情報施設などの機能も備えて

街のポテンシャルを生かす(2)

新しい建物のデザインを行う。特定の用途を持ち、多

いる。すてきなレストランやカフェも欠かせない。

A4 モザイクガーデンの敷地

くの人々が利用する公共的な性格を有する建築である。

非日常的な仮想世界をつくること構想しよう。街に

海のポテンシャルを生かす


3年生後期課題 建築デザイン総合実習 敷地 A3

シンボリック と象徴

A

13E0003 伊東大晴

A

配置 1/5000

テラス

ミュージアムホール 外部回廊

展示スペース 展示スペース

野外展示スペース 倉庫

外部回廊

野外展示スペース エントランス フ ク モ ト ア キ ラ

受付

ス ズ キ ケ イ ジ

事務所

A-A'断面 1/600

シンボリックな形と公園の関係 シンプルな逆三角形。公園としての機能を確保し、神戸の象徴となるように下を窄め、上に大きく樹木のように美術館が広がる。 この傾斜の壁が公園に覆いかぶさり、下にさまざまなスケールの空間が生まれる。

設計者 伊東大晴(いとう・たいせい) 地下層 1995年 大阪府大阪狭山市生まれ 2013年 堺市立堺高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学

レベル1

レベル2

レベル3

レベル4

平面 (詳細) 1/4000

A1

4.建築設計要項

・ミュージアムショップ

建築規模

容積率、建蔽率などについては原則として現行の基準・

延床面積は 10,000㎡を目途にする。原則として下記の

条例が適用されるものとする。

機能を含むものとするが、自分の構想に不要と思うも

A2

A3

のは省いてもよい。参考資料に示すように、美術館に

5.課題の実施方法

よって求められる機能は異なり、面積配分も異なって

課題は以下のステップに沿って進めていく。

いる。構想する美術館のコンセプトに合わせ、規模の

Step1: 敷地調査・課題設定

設定、面積配分は各自で決めること。

現地の特性を読み、構想を練る

・常設展示室 2 室

Step2: 企画・基本計画

・企画展示室 1 室

コンセプトの具体化、既存事例調査(文献、現地視察)

・収蔵庫

Step3: 基本設計

・野外展示スペース

Step4: 最終設計

・ミュージアムホール 150 席 1 室 ・ワークショップ・スタジオ (設定自由) A4

・美術図書室 ビデオ鑑賞もできる。 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

・レストラン・カフェ

48


く よ う な シ ス テ ム の 提 案 で あ る。 そ

の た め、 新 築 さ れ る 美 術 館 の 内 部 や

周 辺 に は、 数 多 く の オ ー プ ン ス ペ ー

ス が 立 体 的 に 設 け ら れ、 外 部 空 間 と

内部空間が交差する構成になってい

る。 そ こ に、 大 小 の 展 示 ス ペ ー ス や

ホ ー ル、 カ フ ェ や シ ョ ッ プ が 組 み 込

ま れ て お り、 そ れ ら を つ な ぐ 広 場 や

通 路 は、 敷 地 の 外 部 に も 積 極 的 に 開

かれている。外の雑踏を行きかう人々

が気軽にアートに触れることできる

ように、市民に開かれたメディアテー

クのような役割が意図されているの

だ。 常 設 展 示 さ れ る 作 品 は 現 代 音 楽

家 で あ り、 視 覚 芸 術 家 の 池 田 亮 司 の

も の。 視 覚 化 さ れ た 電 子 情 報 が 休 み

なく飛び交う現代都市にふさわしい

ア ー テ ィ ス ト と し て 選 ば れ て い る。

テーマとされた「雑多なヒカリ」は、

現代都市の景観そのものともいえる

だろう。

敷地内に残された建築ストックも、 将 来 は 改 築 さ れ た り、 建 て 替 え ら れ

た り す る わ け だ が、 そ の つ ど、 時 々

のニーズに対応して柔軟な対応が期

待 さ れ て い る。 現 時 点 で は 予 測 不 可

能 だ が、 多 様 な 展 開 を 許 容 す る と い

うユニークなプログラムだ。

かたち

ま ちの あい だ の 美 術 館 敷地全体を 立 て 替 え て し ま う の で は な く 、既存のビルを残したまま美術館を建てることで、

与 え られ た 対象 敷地 に対 し て既 存 の建 物 を残 し 、セン タ ープ ラ ザの 通 りを そ のまま 持って きたり、地下から来れ るみちをつ く る 。

この場所が ゆ っ く り 変 化 す る こ と が で き 、まちの人にとって親しみのある美術館になる。

ビルと美術館のとの間が、みちになったり光が入る隙間になったり、ビルを削る幅を場所に応じて変える。

既存のビル は 、 今 後 建 て 替 え る こ と も で きるし、高さも自由に変えられる。また、ビルが 無くなった 時 は 、 美 術 館 の 新 た な 要 素 を 加えることができる。 そして、三 宮 付 近 に 多 い 小 さ な ア ト リ エ のように、まちの一部として存在する。

壁 カフ ェ 風 展示室

音 光

対象敷地

既存の建物を残す

みちをつくる

ビルのうらがおもてになる

まちの要素

ビル

既 存の ビル の 役 割 日中

駅やセンター街から、この美術館を見たときにゆっくり変化していくように既存のビルは

残した状態にする。しかし、そのまま残してはしまうと既存のビルと美術館のあいだに 大きな壁ができてしまう。そこで、既存のビルの内側の壁を透過性のあるものに変えることで、 まちのおもてとして存在する顔はそのままで、美術館からは新しいおもての顔がつくられる。

現在の状 態

新しい壁面をつける

少 し削る

新しいファサードができる

太陽の光が美術館とビルの隙間から入るため、 程よい自然光が展示室まで届く

INGNI 阪神写真館

記念写真

設計者

証明写真 ア コ ム

藤田千夏(ふじた・ちなつ) 1994年 兵庫県西宮市生まれ 2013年 兵庫県立西宮高校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞 (2014) 受賞 東立面 1/1400

47

A-A'断面 1/1400

夜は、まちの光が美術館を照らす


は、 美 術 館 の 周 辺 に あ え て そ の よ う

な 店 舗 が 現 存 し て い る が、 藤 田 さ ん

地 に も、 街 の 歴 史 を 感 じ さ せ る よ う

舗 や オ フ イ ス が あ る。 対 象 と し た 敷

い 大 型 建 築 と と も に、 中 小 規 模 の 店

設 が あ り、 人 々 の 生 活 が あ る。 新 し

日常的に多数の人でにぎわう商業施

藤 田 さ ん が 選 ん だ 三 宮 駅 前 は、 神 戸 の 交 通 の 拠 点 で あ る だ け で な く、

の作業は始まる。

を丁寧に読み解くことからデザイン

れの地域に刻まれた歴史と自然環境

の 関 係 を ど の よ う に 解 く か。 そ れ ぞ

案 す る こ と で あ る。 現 代 美 術 と 都 市

術館を含む文化コンプレックスを提

つ の 敷 地 か ら 一 つ を 選 択 し、 現 代 美

三 ノ 宮 駅 前、 東 公 園、 神 戸 埠 頭 の 四

いる。この課題は、神戸市内の北野、

変化に富んだ都市の魅力をつくって

発 達 し た 神 戸。 そ の 地 形 的 な 特 徴 が

六甲の山と海に挟まれた狭い平地に

小玉祐一郎

都市に埋め込まれた美術館

13E0068 藤田千夏

な 建 物 を 残 し た。 都 市 が 人 々 の 記 憶

アートインレジデンスの ための展示室

アトリエ

雑多のヒカリ

を紡ぎながらゆっくりと変容してゆ

配置・GL平面 (竣工時/周辺のビルがある時)1/1500 北側全景(周辺のビルがなくなった時)

・-3 0 0

エントランス ホール ・-6 0 0

3年生後期課題 建築デザイン総合実習 敷地A2

搬入用入り口

ミュージアム ショップ 駐輪場

搬入用 コインロッカーEV

WC

EV

・±0 常設展示 1

カフェ メディア スペース

野外映画館ができる

新しい入り口ができる

浅い水辺をつくることで、子供も遊べる

周辺 のビ ル が な く な っ た 時

アーティストインレジデンスのための施設をつくる。

アーティストが美術館に住みながら作品を作る

・±0

幹線道路側には、歩道を広げアクティビティが増えるように

広場を設置することで、GL は都市公園のようになる。

歩 道 が 広 く な るた め 、 野 外 で 様 々 な 催 し が で き る

配置・GL平面(周辺のビルがなくなった時) 1/800

46


3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習

Flexible Life 13E0028 小笹コスモ

2E

F-1

天井伏図1へ 78

1,384

431

78

802

+320

F-1

3,545

1,770

630

24

+90 F-1

+460

+610

A-2

776

825

2

357

2

78

B-2

722

平面 1/100

5

F-1

1,445

AC

C-2

PS

1 1,380

78

143

819

玄関 ±0 天井伏図1へ

800

A-2

78

スイッチA(ライティングダクト)

寝室

2

2

2013年 神戸芸術工科大学入学

2

F-1

B-4

+90

78

1,077

A-3 78

511

1994年 広島県廿日市市生まれ 2013年 兵庫県立伊川谷北高等学校卒業

13

書斎 +90

D-2 446

M

24

24

B-5

660

C-1

1,580

F-2

A-3

45 245

小笹コスモ(おざさ・こすも)

F-2

900

245

ワークスペース

900

設計者

500

450

500

900

450

2,000

AC

15 3

825

722

室外機

24

160 45 244

3

天井伏図1へ

+90

2E

洗濯機

洗面脱衣所 D-1

浴室 F-3

78

2E

2

395

冷蔵庫

B-1

D-2

1,432

+180 D-3

C-3

738

+90

B-5

PS

2

700

2E

B-3

700

A-1

2E

360

M

2

B-4

スイッチC(ライティングダクト)

50 45

スイッチB(ライティングダクト)

900

D-4

B-3

D-4

B-2 D-1 B-1

平面 1/100

平面図 S=1:30

3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習

みんなちがって みんないい

680

13E0048 正木賀子

A

+1600

A`

+650

bedroom 1465

+150

長手断面 1/160

600 5500

entrance ±0

+150

520

800

.

.

正木賀子(まさき・かこ) 1994年 兵庫県姫路市生まれ 2013年 兵庫県立香寺高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学

1440

設計者 PS

.

. WC

+150

.

balcony

eat-in kitchen

washroom

5559 1689

1107

11400

950

平面 1/100

を目標としている。また、空間構成、仕上げ材料、各

今回は、その2階にある 3LDK の住戸(約 60m2、現在

(3年生後期課題)

所ディテール、家具に及ぶ詳細な設計をおこなうこと

空室)の改修案の作成が課題である。

「賃貸マンションの住戸リノベーション」

により、内部空間を中心にしたデザインのために必要

この建物は、神戸市で不動産業を営む大和船舶土地

指導教員:専任/花田佳明 非常勤講師/畑友洋(畑友

な具体的知識、設計手法、プレゼンテーション技法等

株式会社が所有している。同社は、本学科の教員でデ

洋建築設計事務所) 、小池志保子(大阪市立大学准教授)

も習得する。

ザインを行った 2 棟のシェアハウス、および昨年度の

2015年9月22日〜12月15日

45

living room

PS

906

2015年度 住居・インテリアデザイン総合実習 A

+250

bathroom

. .

本課題の対象として学生案が実現した賃貸マンション 2. 対象建物

のオーナーである。

1.課題の位置付け

リノベーションを行う対象建物は、神戸市須磨区妙法

今回の課題でも、優秀な案が提出されれば、大和船

住居・インテリアデザイン総合実習では、既存の建物

寺に建つマンションである(兵庫県神戸市須磨区妙法

舶土地と教員等との協働で実施設計を行い、実際に施

や構築物を題材とし、その新しい用途や入居者・入居

寺トン松 408-29 ベルトゥリー須磨) 。コンクリート造・

工する予定なので、それを目標にして頑張ってほしい。

テナントを具体的に想定した上で、対象とする建物お

地上 5 階建て・全 35 戸の中規模マンションで、神戸市

よび周辺環境の価値を高め、何らかの意味で社会に影

営地下鉄・妙法寺駅から北へ徒歩約 10 分の位置にあり、

3.課題内容

響をおよぼすリノベーションの方法について学ぶこと

周囲はマンションや戸建て住宅が並ぶ住宅地である。

対象とするマンションは、埋め立て地を作るために山

1191


3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習

庭に暮らす 13E0007 井上咲野花

平面 1/100

設計者 井上咲野花(いのうえ・さやか) 1995年 香川県高松市生まれ 2013年 香川県立高松工芸高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学

3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習

1 ,2 0 0

1 0 ,2 0 3 .4 5 ,4 3 5 .9

1 ,5 0 0

路地のある暮らし 1 ,6 7 8 .7 8 9 4 .8

2 ,1 9 3 .9

13E0018 國本愛未 B-3

B-1

B-2

F-2

サニタリースペース D-2

F-3

スイッチ A

C-1

スペース2 ±0

キッチン

設計者

F-1

D-1

回遊性のある動線

仕上げ材による 空間の分け方

行き止まりになることがなく、道

床の仕上げ材を外のテクス

が続いているような回遊性のある

チャーにすることで、家の中に

動線。廊下幅に変化をつけること

いるのに、外にいるような、そ

で狭い所から広いところに出た時

んな中と外の中間のような空間

の開放感なども得られる。

にする。

スペース1

+150 スイッチ B へ

F-4

+150

スペース3

スイッチ A へ

C-2

+100

國本愛未(くにもと・あみ) 1994年 大阪府東大阪市生まれ 2013年 大阪府立港南造形高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学

スイッチ A へ

a

スイッチ A へ

スイッチ B

平面 1/100

A-2

A-1

を削って開発され 1970 年代から入居が始まった「須磨

2 ,3 4 8 .4 1 ,1 0 2 .7 2 ,0住戸は山のようにあるわけだが、その中からあなたが 0 1 .5 8 8 8 .6 3 ,1 0 7 .7 7 7 1 .2 い、3LDK(賃貸)という規模といい、 若い核家族をター

ニュータウン」と呼ばれる住宅地の一角にある。近く

ゲットにした現代の日本における最も平均的かつ典型 1 ,1 8 3 .4 2 ,3 4 8 .4 的な住空間である。一方、人口減少や高齢化という現

設計した住戸が「選ばれる」にはどうすればよいか、 7 ,8 7 1 .6 そんなふうに考えてもよいだろう。

象の中で、そのような計画はさまざまな問題に直面し

なお、実際に施工し賃貸物件とすることが前提なの

F-1  パイン材 ているが、このエリアとこのマンションも例外ではな

で、設計密度と図面は実施設計レベルの内容が求めら コンセントボックス(3口)

い。実際、このマンションにも、当初の意図とは異な F-3  コンクリート

れる。工事費用は約 500 万円が予定されている。既存 蛍光灯

F-4  ガラッパ/ガラペーラ りさまざまな人々が住んでいる。社会的状況の変化の

の設備等の再利用も考えないと納まらないかもしれな 3路スイッチ

前で、家族像や生活像は多様化せざるを得ないし、す

い。不動産事業としてのリアリティをもった計画にす

でにそうなっている。

ることが必須条件であり、そのような作業に興味をも

そこで本課題では、かつて設計された標準的な住空

ち、かつ、それをやり抜く意志のある学生のみの参加

間が、これからの時代において新たな存在価値をもつ

を希望する。

を神戸市中心部への地下鉄や有料道路が走る立地とい

床仕上表

1 ,5 0 0

凡例

フロアコンセント(アップコン)

F-2  磁器質マットウェーブタイル クレオ

シーリングソケット スイッチ

としたらどのような空間であるべきかを考え、その改 既存平面

修案を示してほしい。世の中には同様の立地と規模の

44


100 2447224

24 1850

1476 700

2050

玄関

200

100

W-2

B-2 展開 1/200

W-3 ハンガーパイプ

300

850 20024

W-3

1428

フリースペース 1

W-3

フリースペース 2

1470

W-1

W-2

W-2

100 100

W-1

3762427624

2826

W-3

W-1

676 24

700

W-3

ハンガーパイプ

350

24 472 24 100

650

W-1

24

650

320

W-1

876 AC

C-1 展開 1/200 520

W-1

W-1

W-1

W-1

UB1116

W-1

W-1

W-1

1800

フリースペース 1

1850

W-1

W-1 フリースペース 2

W-3

250

290

排気ダクト露出部分は 指定色塗装 W-3

W-1 室外機

A-1 展開 1/200

560 90

W-1

W-2

W-2 W-2

UB1116

PS

ハンガーパイプ

W-1

フリースペース 2

350

W-1

24

B-3 展開 1/200

設計者 坂上みなみ(さかうえ・みなみ) 1994年 奈良県生駒郡生まれ 2013年 私立奈良文化高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン賞(2015)受賞

43

W-1 ロシア白樺耐水合板ワックス塗装

W-4 亜鉛メッキ鋼鈑

D-3 展開 1/200

380

380

12

380

24

12

12

W-3 既存コンクリート躯体表し

12

360

W-1

380

1848

24

床置式 AC

1048 780

壁仕上表

400

W-3

W-2 既存コンクリート躯体白塗装 27624

37624 380

676 1218812

W-1

800

W-3

W-2

300

24 24 W-3

12

1164

24

W-3

380

300 24

24

室外機

W-1

W-4

部分詳細 1/70

b

200 レンジフード

24

部分詳細図 b 1/30 778

24

870

排気ダクト露出部分は 指定色塗装 W-3

ロシア白樺耐水合板 24mm 角材

376 1032

400

350

C-2 展開 1/200 W-1

ロシア白樺耐水合板 t=12mm を2枚圧着

12 12

インナーテラス

984

W-1

900

洗濯機 スペース

B-4 展開 1/200

2432024

320 1850

1176

2427624

330 36 W-1 脱衣スペース W-1

700

100

AC 36 400

900

380

12 12

200

小口切り放しのまま

A-3 展開 1/200

玄関

4

W-1

300

1170

790

W-2

W-3 300

360

850

560

W-3

W-4

300

400

インナーテラス

W-1

D-2 展開 1/200

100

60

W-4

1960

100

100 W-1

624 36140 20050 650 50

レンジフード

W-3

W-3

D-1 展開 1/200

排気ダクト露出部分は 指定色塗装 W-3

部分詳細 a(2) 1/70

部分詳細 a(3) 1/70

要 求 し た。 そ の た め、 昨 年 度 の 実 施

W-1

A-2 展開 1/200

計画平面 (2) 1/250

スポットライト

物件の見学、その実施設計図の解説、

W-1

室外機

W-3

ペンダントライト

大 和 船 舶 土 地 社 長・ 鈴 木 祐 一 氏 に よ

W-1

るレクチャーなども行なった。

学生たちは小さなスケールの設計 を 楽 し み、 最 終 的 に は 予 想 以 上 に 多

様 で 興 味 深 い 作 品 が 提 出 さ れ た。 本

誌には以下の五人の作品を掲載する

が、 い ず れ も 新 し い 生 活 像 を 感 じ さ

せる力作である。

・坂上みなみ:生活を支えるために必

ブラケットライト

要なエレメントを分散配置すること

S スイッチ

に よ っ て 空 間 を 緩 や か に 分 割 し、 さ

浴室換気乾燥暖房機

まざまな世代による暮らしを可能に

マルチメディアコンセント

P

した。

凡例 レンジフード、換気扇 シーリングソケット

270 床置式 AC

650 W-1

分電盤

W-1

24

SS

コンセント(2 口)

W-3

WC

B-1 展開 1/200

P

S S S (板下、配線穴要)

W-1

W-1

W-2

S S

(梁側面)

P

フリースペース 1

W-2

(扉上) S S S SS (天板上)

・井上咲野花:家型のフレームや部屋

玄関

SS

P

の 外 壁 の よ う な 壁 を 作 る こ と で、 住

PS

P( 天 板 上 )

S S S

戸内部に外部空間を持ち込むことで、

SS (扉上)

換気扇

AC 324

ハンガーパイプ 350

(棚下、配線穴要) S

ポピュラリティのあるデザインを実

分電盤

PS

現した。

こ と で、 住 戸 内 部 に 路 地 の よ う な 空

W-3

(天板下)

S 集合管 S S S

・國本愛未:うねる棚で空間を仕切る

間 を つ く り 出 し た。 長 い 距 離 感 が 生

活を変えてくれそうだ。

雛 壇 状 の 装 置 を 置 く こ と で、 一 般 の

・小笹コスモ:大きな家具ともいえる

住戸では経験できない立体的な生活

を実現した。

ような断面構成とし、住戸の中に「丘」

PS

・正木賀子:床がめくれ上がったかの

(天板上)

を つ く り 出 し た。 ひ と つ の 空 間 を 二

重に使うアイディアが面白い。

実 施 案 に つ い て は、 関 係 者 で 議 論 し た 結 果、 提 案 と し て の 一 般 性 が 最

も 高 い と い う こ と で、 坂 上 み な み 案

に決定した。

SS


24

上部 AC

400

632

2010

2200

354

2626

外部廊下

900

36

48

914

775

800

48

48

812

960

130

700

350

350

300 500

850

1400

36

1444

300

2205

300

天井換気口 36

480

464

650

する賃貸マンションの一室を改修す る と い う も の で あ る。 コ ン ク リ ー ト 造・ 地 上 五 階 建 て の 中 規 模 賃 貸 マ ン シ ョ ン で、 対 象 住 戸 は 約 六 〇 ㎡ の 典 型的な3LDKだ。神戸市営地下鉄・ 妙 法 寺 駅 に 近 く、 周 囲 は マ ン シ ョ ン や 戸 建 て 住 宅 が 並 ぶ 住 宅 地 で あ る。 昨 年 度 に 続 き、 神 戸 の 不 動 産 会 社・ 大和船舶土地株式会社のご協力のも と、優秀案の実現が前提だ。 少子化等の社会的状況の変化を反 映し、家族像や生活像は多様化してい る。対象建物も若い核家族をターゲッ ト に 建 設 さ れ た が、 現 在 は さ ま ざ ま な 人 々 が 住 ん で い る。 そ こ で 本 課 題 で は、 3 L D K と い う 標 準 的 な 床 面 積 の 中 で、 こ れ か ら の 社 会 に 相 応 し い、 3 L D K に 代 わ り 新 た な 標 準 形 となり得る空間の提案を目標とした。

2346

花田佳明

13E0024 坂上みなみ

今 回 の 課 題 は、 神 戸 市 須 磨 区 に 実 在

3LDKに代わる 新たな空間をめざして

すみごこち

実 施 を 前 提 に し て い る の で、 提 出 物としては実施設計レベルの図面を

計画平面 (1) 1/75

ロシア白樺耐水合板ワックス塗装

脱衣スペース

A-2 タオルハンガー

470

24

B

D

床仕上表

C 展開方向

B-1

D-1

B-2

D-2

B-3

D-3

既存躯体上モルタル金ゴテ

F-2

B-4

F-1

ハンガーパイプ

ハンガーパイプ

1742

24

1336

24

924

3302

200

500

24

1006

24

470

A-1

ウッドデッキ

A-1

フリースペース 1

フリースペース 2

C-1

F- 2

F- 2 +100

C-1

2390

36

848

800

1048

1854

400

可動天板

バルコニー

+ 200

玄関

シューズラック 設置可能スペース

A-2

F-1 ±0

WC

A-3

C-2

上部棚

F-2

室外機

UB1116

可動棚 860

可動棚

F-2

a

床置式 AC

上部棚

F-2

可動棚

400

1234

48 330

700

48

852

48

650

650

1902

778

676

洗濯パン

上部換気扇

インナーテラス

C-2

720 150 1720 48 1108 48

PS

F- 2 +200

F -1 ±0

洗面化粧台 可動棚

A-3

PS 上部レンジフード

868 48 2400 1800 1170

ミラー取付け 亜鉛メッキ鋼鈑

B-1 D-1 B-2 D-2 B-3 D-3 B-4

3年生後期課題 住居・インテリアデザイン総合実習

A

42


3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

スキマ。に 生まれるもの 13E0072 山下今日子 13E0073 渡邉果歩

対称的なモノへ導く道を配置 対称的なモノへ導く道を配置

その間を集合住宅の対象敷地へ その間を集合住宅の対象敷地へ

住む場所=核を構成 住む場所=核を構成

▼路地生活=Aプラン

道に沿って住スペースを 道に沿って住スペースを

個人か公共か。曖昧な空間で趣味を楽しみ、『そと』と『なか』をつなげる。 商業施設側の様々な人が行き交うエリアだからこそ、路地特有の お向かいさん コミュニティーがうまれるようなスペースを点々と配置。

『そと』と   つながる

『なか』で   つながる

N

核の周りにファクターを 核の周りにファクターを

平面 1/600

Aプラン北側棟:南立面 1/1200

◀中庭生活=Bプラン

で人の流れをコントロール で人の流れをコントロール

暮らしのおへそ L字型の住宅を重ねる。中央(内部の路地・広 場)に玄関を設置することで、住人同士の存在 を認識することができる。囲むことはコミュニ ティーが豊かになるだけでなく、住居全体のセ

設計者

キュリティにつながる。

山下今日子(やました・きょうこ) 1994年 愛媛県八幡浜市 2013年 愛媛県立八幡浜高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 基本住宅プラン: 1F平面 1/600

N

B1F 平面

設計者 渡邉果歩(わたなべ・かほ) 1994年 大分県大分市生まれ 2013年 大分県立大分西高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学

2015年度 環境・建築デザイン実習Ⅲ- B(3年生前期課題)

平面 1/600

る魅力的な店舗計画を行う。

③計画敷地内における住戸と、店舗と住宅群全体の 構成について

「集合住宅のデザイン(住宅地のデザイン)」 指導教員:専任/遠藤剛生・三上晴久・小浦久子

3.具体的な検討事項

3)住宅と店舗に対する視点

非常勤講師/長瀬信博(NNAD 長瀬信博建築研究所)・

1)都市的視点

①光や風、水辺(親水空間)や眺望をどう活かした

岩崎隆久(遠藤剛生建築設計事務所)

①神戸市の特性を活かした自然の活用方法について

住戸計画を行うか

2015年6月4日〜7月23日

②神戸市における場所を活かした生活のあり方とは

②この場所でのどんなライフサイクル、ライフステー

③神戸市における空間アイデンティティのあり方

ジ、ライフスタイルを考えた住戸計画を行うか

1. テーマ

2)住棟、住戸に対する視点

③周辺空間を活かしたどんな住戸内空間、及び中間

運河沿いに建つ集合住宅(店舗等併設可)

①どの場所を使い、どんな親水空間を造り、自然と

領域計画を行うか

どう関われるのか

41

2. 課題の目標

②計画敷地内における集合住宅の生活の具体的なあ

4.計画敷地

水辺空間を活かした生活空間と、地域の活性化に資す

り方とは

所在地:兵庫県神戸市中央区東川崎町 1 丁目


3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

街でできた海 13E0021 小松克也 13E0024 坂上みなみ

+1600

+1400

- 600

+1200

+1400

+1600 +1800

+3000

+3600

+1600

+1000

+600

+3600

+600

+4600

+600

+800

+1000

配置・1F 平面 1/2400

西立面 1/1200 フレームによる空間構成 土間からのアプローチ

内部と外部の一体感

プライベートな庭

動線を通す p ass do ma

doma

doma

te rrace p ri vate

自転車の保管も可能。

前庭のような空間には 住人の個性が現れてくる。

フレームの重なりがつくる中庭

設計者 小松克也(こまつ・かつや) 1994年 兵庫県神戸市生まれ

視界の抜けにより空間が広がる。 回遊性も生まれる。

パブリックスペース

路地

p ass

public

terrace

2013年 兵庫県立伊川谷北高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 吉良森子ワークショップ吉良森子賞 (2013) 受賞

土間をかいして コミュニティが誘発される。

外部空間を共有し合い繫げることで パブリックな広いスペースができる。

フレームの壁面同士の隙間を利用し 路地のような道をつくる。

詳細2F平面

設計者 坂上みなみ(さかうえ・みなみ) 1994年 奈良県生駒郡生まれ 2013年 私立奈良文化高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン賞(2015)受賞 詳細1F平面 1/800

用途地域:①商業地域、 ②第2種住居地域、 ③準工業地域

ないものとする) 。タウンハウス、準接地型タイプ、

建ぺい率:① 80%、② 60%、③ 60%

フラットタイプ積層型のいずれの集合形態も可と

容積率:① 400%、② 300%。③ 200%

する(独立戸建住宅は不可とする) 。

敷地面積:全体で約 37,000㎡(水面を除く)

5) 駐車場は各住戸 1 台とすること。1 台の面積は 2.5m × 5m とし、通路巾は 6m とする。

5.計画条件

6)店舗は、カフェ、レストラン等業種は自由とするが、

1)敷地の分割、選択は自由とする。

この場所にふさわしい業種とすること。

2)敷地内に親水空間を造ること。

7)住戸平均面積は、100㎡を基本とし、大・中・小の

3)街区、住棟、住戸、店舗計画のみならず、一体不

住戸の組み合わせも可とする (70㎡、100㎡、120㎡

可分なランドスケープについても計画を行うこと。

程度) 。

4)住戸数は 50 戸以上とすること(容積率 60%を前提 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

とし、広場、リバーウォーク等は、容積率に含ま

40


的には同じところに長く住み続ける こ と は 少 な い。 彼 ら は こ の こ と に 注 目 し、 家 族 あ る い は 世 帯 と い う 枠 組

ユニット変化ダイアグラム

ユニット詳細図 S=1:100

ユニット変化ダイアグラム

ユニット詳細 1/500

を 再 考 す る こ と に よ っ て、 集 住 体 の 新たな可能性に言及しようとしてい るのである。 彼女らの提案の中心に据えられて いるものは、「そとま」と呼ばれる半 屋 外 空 間 で あ る。 家 族 あ る い は 世 帯

村田六花 (むらた・りっか) 1994年 兵庫県神戸市生まれ 2013年 兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校 2013年 神戸芸術工科大学入学

が、「 そ と ま 」 を 介 し て 一 緒 に 生 活

設計者

中園侑希(なかぞの・ゆうき) 1994年 兵庫県神戸市生まれ 2013年 兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校 2013年 神戸芸術工科大学入学

するという住まい方が提案されてい

子ども部屋が一人暮らしの部屋になる。 -1650

西立面 1/1200

設計者

る。 こ の こ と に よ っ て、 家 族 あ る い は 世 帯 と い う 単 位 が、 こ れ ま で の よ うな紋切り型の空間的な枠を超えて 集住体全体に広がっていくことが可 能 に な る。 さ ら に、 子 ど も が 巣 立 っ た 後 の 個 室 に は、 新 た に 単 身 者 が 入 居 す る と い う こ と が 可 能 に な る。 そ う し た こ と に よ っ て、 集 住 体 全 体 が 自 分 た ち の 居 場 所、 こ こ に 住 む 人 た ちは大きな家族だという意識に結び つ く こ と に も な る だ ろ う。 家 族 あ る いは世帯というものへの問いかけが、 豊かな空間を生み出すことにもつな

39

が っ て お り、 新 た な コ レ ク テ ィ ブ ハ ウスと呼びうる作品になっている。

5人世帯

3人世帯

-1050

2人世帯

1人世帯

-1500

大家族のためリビングを広げる

単身になったので、可動壁で分ける。

断面

南立面


13E0036 中園侑希 13E0054 村田六花

で あ る。 幼 い 子 ど も を 抱 え る よ う な

族あるいは世帯というもののあり方

集住体の新たなあり方を模索する に あ た っ て 彼 ら が 注 目 し た の は、 家

ることを、まずは意図している。

は、 こ こ を 魅 力 あ る 場 所 へ 変 容 さ せ

宅 を つ く り 出 す こ と に よ っ て、 彼 ら

な 場 所 で あ る。 こ こ に 新 た な 集 合 住

こ こ は、 こ の エ リ ア に あ っ て 裏 側 的

中園侑希と村田六花が敷地として 選んだ場所は運河の南側部分であり、

近くには船舶のドックもある。

た事務所ビルという周辺環境である。

住 宅 と 小 学 校、 南 側 は や や 老 朽 化 し

イ ク 」 と 呼 ば れ る 商 業 施 設、 西 側 は

東 側 は 低 層 の 建 物 が 連 続 す る「 モ ザ

ア は、 北 側 は 大 型 店 が 並 ぶ 商 業 地、

で あ る。 運 河 を 中 心 と す る こ の エ リ

る。 原 則 と し て 二 人 に よ る 共 同 設 計

に 応 じ て、 そ れ ぞ れ の 敷 地 を 設 定 す

あ り、 学 生 た ち は、 そ れ ぞ れ の 計 画

敷地は神戸ハーバーランドの一画で

三上晴久

新たなコレクティブハウス

広がるまち

世帯と比較すると、単身世帯は、一般

細分化させることでフレームとフレームの間も家のような 感覚になる。 ひとつの家に住む から まちに住む よう 関わりが薄い。

になることで他の住民との関わりが生まれやすくなる。

であるような感覚になり、生活が表出する場となる。

生活がその中で完結するため、まちとの

みんなの道でありながら、ひとつの世帯に囲まれていることで、そこはまるで我が家の部屋の一部

ひとつのフレームの中にひとつの家族。

細分化させたひとつの世帯を右のように配置することで半屋外のスペースができる。誰もが通れる

ここでの住まいかた これまでの住まいかた

一世帯の細分化

3年生前期課題 集合住宅・住宅地のデザイン

( そとま のある暮らしかた)

何十年もその場にあり続ける集合住宅の中で、家族構成、住人は数年で形を変える。

一世帯をリビングやキッチン、水回りのある大きなボリュームと、寝室や書斎などのプライベート

な小さなボリュームに細分化することにより、変化し続ける住人や、暮らし方に対応できる。場所

そとま によっては、間に可動式の壁を設けることで、よりフレキシブルに対応する。

そとま のある暮らし

2F 平面 2

-1050

-1650

±0

-450

配置・1F 平面 1/1200

38


3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン

12

11 斜面地に建物を二つの軸に沿って配置し、

10

様々な隙間を与える。

遊びと学びの場

9

レベルの操作をし、不均質な余白をつくり出す。 そこに低学年、高学年にそれぞれに 専用の遊び場を確保する。

14

1  幼稚園

13E0023 酒井厚樹

2 1年生教室

7

3  2年生教室   4 3年生教室

8 13

6

5  保健室       6  音楽室      7   食堂

5

4

8  図書メディアスペース 9  4年生教室     10 職員室

15

3

2

11 5年生教室   12 6年生教室 13 クラブハウス

1

14 体育館

1F平面 1/2000

15 グラウンド

設計者 酒井厚樹(さかい・あつき) 1994年 大阪府堺市生まれ 2013年 大阪市立工芸高等学校卒業

地域の人との交流が生まれる公園。敷地との境界を曖

広々としたピロティ。ここでは子供達がくつろげる段

まだ座学に集中する事に慣れていない低学年。教室の

授業に集中する環境が求められる高学年。それぞれの

昧にしたことで、誰でも気軽に寄り道できる。

差を設け、授業の合間に休憩できる空間。また、学習

周囲に大きな屋根をかけ、デッキ空間を設けることに

教室にレベル差を持たせ、互いに独立させる。

や集会にもつかうことができる。

より活動の場を広げる。

2013年 神戸芸術工科大学入学

学年があがるにつれて他の学年との距離が近くなっていく。

3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン 低学年:一学年に対し一棟。

中学年:接点は少ない。

まちの居場所。

高学年:二学年で一棟。

13E0052 南野真有美

低学年、中学年、高学年とクラスルームのあり方が変わっている。クラスルームに 入る前に下駄箱があり、クラスとクラスの間にオプンスペースをもうけている点は 変わらない。そして、その場所が学年の先生たちの居場所となっている。人数が増 えた際には、このスペースに新しくクラスを作ることができるようになっている。

2の 1 (仮) 2の3

2の2

空だけが見える窓

秘密のトンネル

ぐにゃぐにゃの地面

狭い空間

広い空間

まちの点と点。

暗いところ

開くと閉じる。

見えづらく広がらない小さなコミュニティ。

まちに対して開きつつ、柔らかく閉じる。

包みこまれるようなところ

雨がキラキラ反射する

五感を育てる。 体で感じるための空間環境をつくる。

落ち葉や花びらが溜まる

まちのこれから。

クラスルーム平面 1/700

まちとひとと、一緒に変わり続ける。

クラスとオープンスペースの 間では天井がさがっている。

棚や掲示板として使われる

設計者 南野真有美(みなみの・まゆみ) 1994年 大阪府大阪市生まれ 2013年 大阪市立工芸高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞(2014年)受賞

この小学校は、まちの点と点を結ぶ場所、

小学校機能を掘り下げ、まちと空間を連続

たくさんの素材、様々な自然環境をより身近な

児童数の増加や減少にも、少ない操作で

まちに関わるきっかけの場所となる。

させながら安全性を確保する。

ものとし、自ら学ぶ場をつくる。

答えることができる。

子供たちの秘密基地、本棚、ランドセル置き場……

クラスルーム断面

2015年度 環境・建築デザイン実習Ⅲ- A(3年生前期課題)

機能・動線など様々な問題を十分に考えておく必要が

「垂水コミュニティ・スクール—小学校と幼稚園のデザイン」

ある。第2に、同時に小学校は地域の中核となる施設

指導教員:専任/山之内誠・小玉祐一郎・花島晃

であり、周辺環境やコミュニティとの関係にも配慮し、

非常勤講師/赤松佳珠子 (CAt) ・前田圭介(UID 一級建築

地域活動に貢献する施設でなければならない。第3に、

士事務所) ・吉田哲(京都大学)

本課題対象敷地は、周囲を商業施設や住宅に囲まれた

2015年4月14日〜6月2日

都市部に存在する。したがって、これらの周辺環境と の整合性を考慮しながら、教育の場にふさわしい開放

1. 目的

的で伸びやかな環境を獲得する工夫が求められる。

この課題では、公共建築に要求される機能を理解し、

こうした課題に取り組むことによって、公共建築の

それを適切に反映した空間を提案していく方法を学ぶ。

計画・設計に、如何に取り組むべきかを習得して欲しい。

具体的には都市部に立地し、地域に密着した公立小学 校および幼稚園の計画・設計を行う。 この設計においては、第1に、小学校及び幼稚園は

37

2. 設計内容の項目 1. 対象地域 神戸市垂水区垂水小学校区

教育の場であり、発育段階にある多くの児童と教員が

(神戸市垂水区旭が丘、川原、神田町、陸ノ町、坂上、高丸、

共に長時間を過ごす場であるから、単位空間の規模・

天ノ下町、仲田、中道、日向、平磯、瑞ヶ丘、宮本町、山手)

地図データ ©2014 Google, ZENRIN


小学校の時間の経過 3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン

as one grows older 13E0068 藤田千夏

店舗

商店街の活気小学校まで連続させるためや、

少子化による児童数の減少で空き教室が増えるため、

日本は自然災害が多い国。

日本自体の人口が急激に減少し始め、

地域の人と小学校が持続的に関係を持つために

一度教室を解体し、新しい空間を作る。

40年後には大震災が起こると仮定してみる。

100 年後、誰もここを使わなくなり、 廃墟になる。カベは植物に飲み込まれる。

ワークショップをする。また、ワークショップに

住居

組み合わせる教室

ワークショップ

廃墟

場所は、店舗を出したいがお金の少ない人や、

小学校は避難所となり、家を無くした人たちが

使用する什器を開放的な図工室で小学生と業者、

アーティストの活動の場にする。

ここに住み始める。

地域の人で製作することで定期的なイベント化させる。

大人がじわじわと小学校の中まで動線をつくる。

それぞれ変化可能な素材を組みあわせ、一つの教室ができる

マドとトビラ い つ で も 変 え る こ と が で き る 。 マドを開ければ、海風が通る。

A

2

3

木のカベ 生 徒 数 の 増 減 な ど で 変 え る こ と ができる。

11

5

13

21

B

木のハシラ

8

木 の カ ベ を 追 加 し た り 、 マ ド を 追加できる。

12 7

14

8

22

18 コンクリートのカベ

15

コ ン ク リ ー ト の カ ベ の 間 を 木 造 にすることと、 開 口 部 を 開 け る こ と で 、 空 き 教 室増加などの問題に対応できる。 =

21  家庭科室 22  理科室

7

6

10

9

1   グランド 2   メディアスペース 3   図書室 4   図工室 5   1年生 6     2年生 7   3年生 8   4年生 9   5年生 10  6年生 11  保健室 12  駐車場 13  幼稚園 14  職員室 15  体育館 16  クラブハウス 17  食堂 18  プール 19  WS ができる道 20  音楽室

10

6

5

B

9

4

16

N

17

19

A

南北につながる壁:今回の小学校の設計では、まちの人の流れのかたちを小学校のかたちとして落とし込 み、敷地全体に910mmのグリットに開口部を設けた壁を建てた。910mmのグリットで開口部を設けること は、ホームセンターなどで買いやすい910mm×1820mmの板を合わせやすいようになっていて、壁自体がひ とつの枠のようになっている。

1F平面・配置 1/1200

東南立面

設計者 藤田千夏(ふじた・ちなつ) 1994年 兵庫県西宮市生まれ 2013年 兵庫県立西宮高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン奨励賞(2014)受賞

A-A'断面

B-B'断面 1/1600

2.対象敷地 垂水小学校(但し、北面の NTT 及び旧山

体育館(用具庫、管理室、更衣室、トイレ等を含む)

3)その他(条件整備) 150㎡

手市場の敷地を含む)

/ 1,200㎡、クラブハウス/ 100㎡、プール/ 800㎡、

玄関ホール、廊下など(適宜)

3.垂水小学校校地 約 12,300㎡

管理諸室/ 550㎡、職員室・校長室・会議室/ 150㎡、

4.対象敷地の設定

食堂・調理室/ 300㎡、保健室/ 50㎡、倉庫/ 50㎡

3.設計上の留意事項

(1)小学校規模の設定

4)その他(条件整備)500㎡

設計に際しては、以下の点に留意すること。

・条件 建築面積 4,000㎡程度(プール 800㎡を除く)/

玄関ホール、廊下など(適宜)

1. ブロックプランの空間構成を考える

児童数 300 人(全校)/クラス数 12(各学年2クラス、 (2)幼稚園規模の設定

1) 空間的なまとまり

1クラス 25 名定員と仮定する)/教職員数 25 人

・条件 建築面積約 400 〜 500㎡/園児数 25 人/

2) 空間のヒエラルキー(序列)

・所要室構成の例 : 以下に基準を提示、10%程度の増減が可

クラス数 2(年小、年長)/教職員数 4 人

3) 空間の連続性

1)諸教室 2,240㎡

・所要室構成の例※以下に基準を提示、10%程度の増減が可

4) 空間の豊かさと変化

クラスルーム/ 720㎡(60㎡× 12)、特別教室(音楽、

1)諸教室 230㎡

2. 周辺環境(周囲のまち)との関係に配慮した屋外空

理科、図工、家庭科)/ 400㎡、ワークスペース・オー

保育室(45㎡× 2) 、遊戯室、120㎡、

間を設計する

プンスペース / 600㎡、図書室/ 100㎡、メディアスペー

便所/ 20㎡(10㎡× 2)

3. 地域への開放性を考慮する

ス/ 100㎡、準備室/ 120㎡、便所(6 カ所)/ 200㎡

2)管理所室 100㎡

2)運動施設 2,100㎡

職員室・園長室、倉庫/ 50㎡

36


い る。 な お、 ク ラ ス ル ー ム 棟 と 管 理 棟 は、 そ れ ぞ れ を 二 階 レ ベ ル で も 結 び、回遊性を持たせている。

地域コミュニティの繋がりを深めていく。

教 室 周 り の 大 き な 特 徴 は、 正 方 形 平面の大空間の対角線方向に計四枚

学校を通して地域全体での交流がうまれる。

の 可 動 間 仕 切 り を 設 置 し て、 空 間 の

閉じた学校だと、主に子どものいる家庭同士のみ

サ イ ズ 調 整 を 容 易 に し た 点 で あ る。

学校でうまれた関係は地域全体へと広がり

みんなに自分たちのまちの小学校、 学校を地域に開き、子どもたちとの関わりの場をつくる。

地域の多くの方々と関わりを広げていくことで 学校区内には子どものいない家庭も多くある。

複 数 学 級 の 合 同 授 業 を は じ め、 さ ま ざ ま な 授 業 形 態 に 対 応 可 能 で、 子 ど もたちの室内でのアクティビティを 活性化する提案となっている。 ま た、 屋 根 の 軒 先 を 空 間 の 開 く 方 向へ反り上げるルールを設けること で分棟型の建築群に統一感を持たせ て い る が、 こ う し た 細 や か な デ ザ イ ン 上 の 配 慮・ 工 夫 も、 の び や か で 優

A

まちの子どもたちなんだという認識が芽生えて のコミュニケーションしかうまれない。

しげな作品の印象に寄与している。 こ の ほ か、 地 域 と の 関 係 に お い て は、 積 極 的 に 敷 地 周 縁 部 を 外 部 に 提 供することにより、境界を曖昧にし、 周辺地域との関わりをもたせている。 そ の 手 法 が ユ ニ ー ク で、 敷 地 の 周 り に柔らかな円弧を連続させるように 柱 列 を 設 け、 そ の 柱 の 密 度 に 変 化 を つ け る こ と で、 柱 列 の 内 外 を 結 ぶ 動 線・ 視 線 を 巧 み に 制 御 し て い る。 し た が っ て、 単 に 子 ど も た ち と 地 域 住 民との共有の場を生みだしただけで

school school school

間をつくる。 さまざまなスケールの

間が限られてきて、自らの成長を実感することもできる。 学年があがると共に通り抜けができる 密度に変化を与えることで抜け道をつくる。 主なアプローチを周辺路地から引き込む。

な く、 柱 列 の 隙 間 を 通 し て、 学 校 と 地 域 と の「 風 通 し 」 の 良 い 関 係 を 成 立させていると言えるだろう。 全 体 と し て、 明 る く の び の び と 過 ご す 子 ど も た ち を、 地 域 住 民 が 自 然

1F平面・配置 1/1000

A

35

な形で見守る構成にまとまっており、 好感のもてる作品である。 [wood]

小さい子にしか通れないところやふたりでも通れるところなどいろんな気づきがあり、 多様なルートを発見する楽しみが子どもにも大人にも感じられる。

[relation]

2F平面

直接学校に関係するかに関係なく、

そして、

地域全体がひとつになって

子どもたちの成長を見守る環境が形成される。

南立面 1/200

坂上みなみ(さかうえ・みなみ) 1994年 奈良県生駒郡生まれ 2013年 私立奈良文化高等学校卒業 2013年 神戸芸術工科大学入学 環境デザイン賞(2015)受賞

南立面 1/800

断面 1/2

A-A

A-A'断面

設計者


13E0024 坂上みなみ

棟 と 管 理 棟 を 配 置 し、 そ の 周 縁 に 平

中央に二階建てのクラスルーム棟二

き な 体 育 館 を 配 置 す る。 教 室 群 は、

地盤の低い南東側にボリュームの大

稚 園、 北 西 側 に 運 動 場、 そ し て 一 番

坂 上 み な み の 案 は、 敷 地 中 央 に 小 学 校 の 教 室 群 を 配 置 し、 北 東 側 に 幼

求めた。

とした活動を引き出す建築の提案を

も 交 え つ つ、 子 ど も た ち の 生 き 生 き

ニティとの関わり方についての提案

建て替えることを想定し、地域コミュ

+幼稚園の機能をもつ学校施設へと

本 課 題 で は、 既 存 の 小 学 校 を 小 学 校

や漁港からも近距離に立地している。

で き た 大 規 模 商 業 施 設 に 囲 ま れ、 駅

西 は 古 く か ら 続 く 商 店 街、 南 は 近 年

の 中 心 部 に あ り、 東 と 北 を 住 宅 街、

タ ウ ン で あ る。 課 題 敷 地 は 垂 水 市 街

方 面 へ の 通 勤・ 通 学 者 が 多 い ベ ッ ド

か ら 十 五 キ ロ ほ ど 西 の、 神 戸・ 大 阪

神 戸 市 垂 水 区 は、 神 戸 市 街 の 中 心 地

山之内誠

「風通し」 の良い学びの場

感じるこころ

屋の特別教室等を分棟型に配置して

壁面はホワイトボード仕上げとして

寝ころんでくつろげる。

合同で授業をすることも可能。

移動できる小さな畳の空間。

全て動かせば 1 ユニット全てのクラスが

合同で授業をすることができる。

クラスルーム詳細

壁を動かすことで隣り合うクラスが

掲示や作品展示に活用できる。

ゆとりのある空間には余白がうまれる。

余白は学習形態の自由度を高める空間となる。

4クラス

可動壁

4枚の可動壁がクラスを緩やかに分ける。

1ユニット

3年生前期課題 小学校と幼稚園のデザイン

[roof]

空間の開く方向の先端部分を反り上げる。

バラバラな配置に対して少しのルールを決めることで一体感を生む。

[class]

ロッカーやパーティションで仕切るほか、

家具の配置など子どもたち自身が考えて

多様な空間構成をつくり学習する。

34


2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 A

緑と暮らす家 14E0040 田中黎哉

□緑で家を囲みます。 窓からはいつも緑が見えます。 □ダイニングテーブル一体型キッチンで 二世帯の交流を図ります。 □1階に大きなウッドデッキを設置し、

6,000

老夫婦と孫の交流を増やし、 一部を屋内に取り込み自然をさらに 中でも楽しめるスペースを作ります。

18,000

子ども室

6,000

□ 2 階には大開口のテラスを設置します。

6,000

6,000

2,000

4,000

UP

A

LDK

6,000

4,000

洗面  WC

6,000

1,000

18,000

1,000

子ども室

風呂

風呂 主寝室

+3700

A

WC  洗面

老夫婦居寝室

+700

デッキ

+400

1F 平面 1/400

2F 平面 N

設計者 田中黎哉(たなか・れいや) 1996年 愛媛県松山市生まれ 2014年 神戸芸術工科大学入学

2015年度 環境・建築デザイン実習Ⅱ- A(2年生後期課題) 「すまいのデザイン」

33

1階平面図 1:100                                  2階平面図 1:100  南立面

A-A' 断面 1/500

よりコンセプトやデザインを重視した提案を行なうこ

定して設計することとする。設計にあたっては、敷地

ととする。また、前半課題では、詳細な図面の描き方

の既存建物はないものとしてよい。

指導教員:専任/藤山哲朗・三上晴久・花島晃・遠藤剛生

を学ぶ。

非常勤講師/竹下正高(エアーデザイン)、吉井歳晴(WIZ

3 つの敷地は、全く異なる周辺環境の中にあるので、

・第一種低層住居専用地域

ARCHITECTS)

敷地選択にあたっては、全ての敷地を訪れて決定する

・容積率 150%、建ぺい率 60%

2015年9月22日〜2016年1月26日

こと。なお、主体構造はいずれの課題においても自由

2)建物規模

とする。

延べ床面積:180 〜 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)

1. 目的

2. 課題概要

この課題では、さまざまな視点から住宅について考え

敷地A

「老夫婦とその子供世帯の

ること、詳細な図面を描けるようになることを重要な

1)敷地条件

2世帯住宅であり、子供世

目的とする。

阪急王子公園駅から徒歩8分程度の住宅地の一画であ

帯の家族構成は夫婦と子

予め設定されたA・B・Cの3つの敷地を調査・分

る。西郷川に隣接するこの敷地は、現在、資材置き場

供(1〜2人)」という条

析したうえで、前半課題では最終的に設計を行なう敷

だが、周囲にはマンションや一戸建住宅が建ち並んで

件の下で、さらに具体的な

地以外の 1 敷地を用い、短期間で住宅の提案を行なう。

おり、眼下には灘区の街が拡がっている。ここでは、

そして、後半課題では、前半の成果を踏まえた上で、

新たに敷地を購入し、2世帯住宅を建設することを想

・敷地面積 約 560㎡ 南立面図 1:100                                               A-A 断面図 1:100

3)家族構成

内容は各自が設定するこ 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

と。


平面ダイアグラム

立面ダイアグラム

2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 C

商店街

対象敷地

木と暮らす

N

敷地の東と南に建物があることで、この 2 面は

この「表」と「裏」を有効に使うことのできる

木を4分割にし、切った断面を「裏」として利用。木の幹となる角から

商店街の入り口、人が多く集う敷地に

人が集う場所=暇をつぶす・近所の人と喋る ...

この木を利用して木の内部 ( 幹・枝・葉 )

建築の「裏」となる。

木の形を模して、平面的な空間を構成する。

葉が伸びる放射線状に多種多様の居場所をつくる。

なっている

=気軽に行ける公園のような場所

のような四方八方に人の集う様々な空間

=人は木の下に集う

をつくりだす。

北と西には商店街や道路などがあることで、

木は枝で幹まで繋がっていることから、放射状の壁になる部分は主に

残り 2 面は建築の「表」となる。

家具を利用する。

14E0036 田中祥恵

2000

4F:吹き抜けから見渡す

2500

テラス

ロフト 書斎

4F:吹き抜けから見渡す

リビング

3000

1900

テラス

ダイニング

3F:リビング

3300

カフェ

15500

道路

2800

3F:リビング

2500

カフェ

音楽スタジオ

断面 1/250 6100

2000

2F:カフェスペース

4100

2100

2000

8300

4200

8300

4100

4200

吹抜

リビング

ダイニング 和室 和室 (+400)

フリースペース

4000

吹抜

2000

2F:カフェスペース

2100

フリースペース

テラス

8000

8000

1900

1200

(+400)

パントリー

カフェ

玄関 N

1F:商店街側のフリースペース

1F:商店街側のフリースペース

3F 平面

配置・1F 平面

6100

2000

2100

8300 950

ロフト

4000

8000 2000

8000

便所

ロフト

4000

カフェ 子供スペース (-400)

2800

テラス ( 夏季のみ )

子供部屋

2F 平面

4)その他

延べ床面積:180 〜 200㎡程度(駐車スペースをのぞく)

・敷地面積 約 81㎡

2台分の駐車スペースを用意すること。

3)家族構成

・商業地域

「老夫婦とその子供世帯の2世帯住宅であり、子供世帯

敷地B

吹抜

テラス

B1F 平面 1/300

田中祥恵(たなか・さちえ) 1996年 兵庫県神戸市生まれ 2014年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

4200

書斎 1200

4000

設計者

8300

4100

2000

吹抜

浴室

5F 平面

3250

機材室 音楽スタジオ

洗面 便所

靴箱

子供部屋

脱衣

夫婦スペース

4800

4000

4000

便所

(+1800)

4F 平面

・容積率 500%、建ぺい率 80%

1)敷地条件

の家族構成は夫婦と子供(1〜2人) 」という条件の下

2)建物規模

阪急王子公園駅から徒歩8分程度の宮本公園の西側に

で、さらに具体的な内容は各自が設定すること。

延べ床面積:220 〜 250㎡程度(駐車スペースはのぞく)

位置する。

4)その他

ここでは、新たに敷地を購入し、2世帯住宅建設す

1台分の駐車スペースを用意すること。

ることを想定して設計す

敷地C

さらに具体的な内容は各

ることとする。

1)敷地条件

自が設定すること。

・敷地面積 約 115㎡

阪急王子公園駅から徒歩5分程度の水道筋商店街の角

4)その他

・第二種中高層住宅専

地に位置する。アーケードの出入り口であり、商店街

1 台分の駐車スペースを

用地域

の利用者たちが休憩によく立ち寄る街角カフェ(約

・容積率 200%、建ぺ

120㎡)を経営できる住宅とする。建築物の階高は 5 階

い率 60%

までとする。設計にあたっては、敷地の既存建物はな

2)建物規模

いものとしてよい。

地図データ ©2013 Google, ZENRIN

3)家族構成 「家族構成は夫婦と子供(2人)」という条件の下で、

用意すること。 (住宅用1台) 地図データ ©2013 Google, ZENRIN

32


ト を 媒 介 に し よ う と し た。 こ の 棚 は

一 階 か ら 三 階 ま で 連 な り、 家 具 と し

て用いられるだけではなく、ファサー

建築ダイアグラム

ド と し て、 構 造 体 と し て も 機 能 し て

い る。 前 提 条 件 か ら ボ リ ュ ー ム と し

て は 大 き く 囲 う こ と と し な が ら、 内

部空間は部屋に細分するのではなく、

家具的要素で空間を連続的に重ね合

わせている。

この敷地Bにおいて三層のワン ル ー ム と 想 定 し た 内 部 を、 生 活 シ ー

ン毎に家具で切り取るコンセプトは、

一 つ の 定 石 で あ る が、 齊 藤 は そ れ を

一つのシステムで貫徹させている態

度 が 毅 然 と し て い る。 も ち ろ ん 参 考

にすべき優れた前例があることは本

2つの要素

人 も 承 知 し て い る が、 前 向 き な ア プ

ローチだと思う。

ま た そ も そ も「 棚 」 を 用 い た の は、 そ こ に 何 を 置 く か に よ っ て 情 報

500

を発信するメディアになることを意

7800 6800

500

図したからである。つまりはインター

光の操作:夏の暑い日差しは棚壁の厚さによってカットされ 冬の暖かい日差しは取り入れられる

フェース/境界のデザインという現

代的意識につながる点も魅力である。

周辺敷地の道路軸が大まかにみて

周辺敷地から、建物の形が

周辺敷地の分析から得た、

グリッドを元に

グリッド状にひかれている。

だいたい3つのパターンに

グリッド状の道路軸を敷地内にとりいれる。

その時、同じく

別れていることがわかる。

(360×360 のグリッド)

それぞれの部屋

800

トイレ

構造

窯場

キッチン 部屋1

部屋2

洗面所 浴室

工房 ダイニング

浴室 洗面所

DN

DN

棚 11920

12720

トイレ ダイニング

トイレ UP

キッチン

16260

リビング

UP UP

和室 (祖父母寝室)

天井、床、梁、壁、すべてを棚で成り立たせ

内部に L 字型の壁を連続させて

板を組

構造体とする。棚ひとマスのスケール

配置することで、上からの荷重を支える。

これだ

(H360 ㎜・W360 ㎜・D300 ㎜)、板の厚み(25 ㎜)。

テラス

テラス

玄関

平行四 部屋3

2F 平面

3F 平面

棚の活用 00

59

1F 平面 1/200 3280

階段として

もちろん棚としても

机として

ベッドとして

手すりとして

クローゼットとして

アプローチから見たパース、子世帯のダイニングからリビングを、リビングからダイニングをみたパースそれぞれ3つ。 棚によって空間・人をつなぐことはもちろんのこと、視線を通すことでもつながる。 そうすることで、親世帯と子世帯の空間を感覚的につなげ、両者の間で自然と「おはよう。 」 「おやすみ。 」 「ただいま。 」 「おか えり。 」などの日常的なコミュニケーションが生まれる。 また間仕切り壁を設けるのではなく棚によって部屋を区切ることで、棚に収納という役割だけでなく壁としての役割をもたせる。

2500

部屋1

2100

テラス

3FL 11810

テラス

2FL

東立面

工房

キッチン

和室

210

GL 1FL

2800

齊藤雅紀(さいとう・まさき) 1996年 兵庫県加古川市 2014年 兵庫県立播磨南高校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

リビング

2800

ダイニング

設計者

断面 1/300

31


藤山哲朗

インターフェースとしての棚

二 年 生 後 期 実 習 の「 す ま い の デ ザ イ ン 」 で は、 性 格 の 異 な る 三 つ の 敷 地 条 件 か ら、 各 自 が 選 択 し て 住 宅 を 設 計 す る。 い ず れ も 阪 神 間 の 神 戸 市 灘 区 の 街 だ が、 敷 地 A は 神 戸 の 街 を 一 望 す る 坂 の 上 に 位 置 し、 十 分 な 敷 地 面 積 に 建 つ 二 世 帯 住 居。 そ れ に 対 し て 敷 地 B は、 住 宅 が 立 ち 並 ぶ ま だ 下

天井、床、梁、壁、すべてを棚で成り立たせ

内部に L 字型の壁を連続させて

板を組み合わせ格子状にする。

耐震パネルを埋め込む。

構造体とする。棚ひとマスのスケール

配置することで、上からの荷重を支える。

これだけでは荷重をかけると

また、構造体である棚の外壁側に

平行四辺形に形が崩れ、弱い。

耐震用の構造壁をもうけ強度をはかる。

(H360 ㎜・W360 ㎜・D300 ㎜)、板の厚み(25 ㎜)。

町的雰囲気の残った場所の二世帯住 居。 敷 地 C は ア ー ケ ー ド 商 店 街 の 入 り 口 に 建 つ、 カ フ ェ を 併 設 し た 住 居 を想定している。 齊藤雅紀の作品は敷地Bを選んだ も の で あ る。 敷 地 B は 狭 小 と ま で 言 え な い が、 与 え ら れ た 家 族 設 定 で 考 え る と、 必 然 的 に 三 階 建 て 以 上 と な る。 そ の 中 で 老 世 帯 の 暮 ら し に 配 慮 し な が ら、 空 間 的 魅 力 を 獲 得 す る 方 法が問われる。 そ れ に 対 し て 齊 藤 は、 周 辺 環 境 と 敷 地、 地 域 住 民 と 家 庭、 家 族 同 士 を

周辺敷地から、建物の形が

周辺敷地の分析から得た、

グリッドを元に、各部屋を構成する。

グリッドと3つのパターンからなるフロアを

グリッド状にひかれている。

だいたい3つのパターンに

グリッド状の道路軸を敷地内にとりいれる。

その時、同じく敷地分析で得た3つのパターンを

1 階から 3 階までなる棚壁によってつなぐ。

それぞれの部屋の形に使う。

そうすることで、それぞれの階がつながり

(360×360 のグリッド)

14E0021 齊藤雅紀

「つなぐ。」というコンセプトを掲げ、

周辺敷地の道路軸が大まかにみて

別れていることがわかる。

つなぐ。

仕 掛 け と し て「 棚 」 と い う エ レ メ ン

建築ダイアグラム 2つの要素

2年生後期課題 すまいのデザイン 敷地 C

空間が一体となる。

構造

30


2年生前期課題 広場・公園のデザイン

Converted Plaza 14E0102 中村文哉

高麗芝 春∼秋にかけて成長し、冬場は成長が止まり、 冬枯れを起こすため、季節の変化が感じられる。

A

A-A' 断面

B

water space デッドスペースとなってしまう階段の下には 水景が配置され、下からライトアップすることで 屋根の裏側の間接照明としても働く。

+2200

street furniture トランスファチェアー

B-B' 断面 1/500

舗装の目地に沿って自由に移動する椅子は、昼間は動線を避け、

B

夜間は好きな場所に移動させて使うことができる。 座面を上げてテーブルのようにして使うこともできる。

+2200 +4500 植栽計画 1/500

A

roof 床から立ち上がったようにして設置された屋根は、 日中は主に広場の日差しよけとして機能する。

設計者

人の多く集まる夜間は、屋根の上にも

中村文哉(なかむら・ふみや) 1994年 奈良県生駒市生まれ 2013年 奈良北高校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

屋根を支える柱の間隔を変化させたことで、

2015年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- B(2年生前期課題)

地下鉄出入り口 屋根を支える4本の柱に壁を建てて、 屋根と一体になって形で

柱によって弱く遮断された空間が

設置されている。

多様なスケールで生まれる。

り、賑わいのある界隈であるにもかかわらず、まとまっ

活動(散策、休憩、待合せ、ストリートパフォーマン

た都市広場がない状況にある。一方では、フラワーロー

スなど)を支援する広場のデザインを基本的な目標と

指導教員:専任/長濱伸貴・宮本万理子・中村卓

ド、北野坂などをはじめとして、神戸らしく整備され

し、より積極的な都市広場機能を提案、デザインする

非常勤講師/松下岳生(環境デザイン事務所 素地(soji))

た美しい街路空間は数多くある。しかしながら、その

ことによって、多様な人々の交流が生まれることを期

2015年6月11日〜7月28日

街路空間に並ぶような都市広場が、とりわけ駅周辺に

待している。この広場は、新しい神戸の街の顔となり、

おいて設置されていないことから、地域住民や観光客

市民や来街者にとっての新たな「憩いの場」でもある。

「設計方法を学ぶ2—神戸まちなかプラザ」

29

人々が集まることができる。

1. 目的

などの来街者の憩いの場の提供という都市機能に欠け

1)神戸の中心市街地における都市広場の設計を通し

る面がある。世界の著名な街を見ても、中心部にその

3.敷地

て、環境デザインについての基本的な考え方を理解する。

街の顔となる都市広場があり、さらに街路空間と一体

阪急三宮駅に面した人通りの多い街角広場である。

2)模型、スケッチ、図面等を用いたアーバンデザイ

となることによって、外部空間における回遊性と滞留

1)住所:神戸市中央区加納町4 阪急三宮北広場

ン及びランドスケープデザインの基本的な素養を習得

性を実現している。

愛称:さんきたアモーレ広場

する。

「神戸まちなかプラザ」は、この現状の課題を解決す

通称:パイ山、凸凹公園

ることを基本的な目的とし、これまでにはなかったよ

2)敷地面積:約 860㎡

2. 課題概要

うな新しい都市広場のあり方を提案することを目標と

3)用途地域:商業地域

三宮駅や元町駅周辺には、多くの商業施設の集積があ

する。言い換えれば、都市の外部空間における既存の


2年生前期課題 広場・公園のデザイン

UP▶DOWN

あがる▶︎さがる

14E0014 岡田征篤

“ 蹴上高さ・踏面形状 ” を変えるだけで人の様々な activity に対応することができる。 パブリックスペースは段差によってその強弱を変化させている。 円という平面形状は、その大小によって人数を制限する。 また、内側を切り抜くことで固有の空間を 生み出すことができる。

A

±0 -1800

+200

「4つの MOTION」通行人の4つの MOTION から敷地と人との関わりを提案する。

+900

①敷地のエントランス部にゾーンを置くことでアプローチを限定する ②どのようなアプローチを描いても段差を利用し、上 下の動線が生まれる。 ③中心にかけて絞られたゾーニングが通行人を敷地へと誘発する。 ④誘導された人は目的に応じて、 各ゾーンに吸収されていく。要素が動線を阻むことで、アプローチを限定させ秩序として人と敷地を関係付ける。

A-A' 断面 1/400

+2200

-700

設計者

N

-100

岡田征篤(おかだ・まさと) 1996年 広島県広島市生まれ 2014年 宮崎日本大学高等学校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

A マスタープラン 1/400

4. 実習課題の進め方

2)動線計画の検討(人の動線、自転車の動線、車の

● Step1: 外部空間の調査・分析[チーム作業]

動線等)

(現況と歴史を調べる)

外部空間の調査・分析での成果をもとに、都市スケー

2)対象敷地周辺の調査(フィールドワーク:マップ

ル(1/300)での計画の検討およびプレゼンテーション

メモ、デジカメ撮影等)

作業を行い、発表する。

3)対象敷地周辺の分析(スタジオワーク:景観分析図、 動線分析図、用途分析図等)

● Step3: 外部空間の設計[個人作業] (材料と表現を覚える/詳細と構成を考える)

対象敷地周辺の調査(フィールドワーク)と分析(ス

1)配置設計 ( マスタープラン、断立面図、全体模型等 )

タジオワーク)をチーム(1チーム3名)で作業を行い、

2)詳細設計 ( 平面詳細ーベンチ、遊具等のストリート

発表する。

ファニチャー、水景施設等 )

● Step2: 外部空間の計画[個人作業]

3)植栽計画 ( 植栽表現:高木、低木、地被など)

(活動と仕組みを考える/配置と形態を考える) 地図データ ©2015 GeoBasis-DE/BKG(©2009), Google

3)施設配置計画の検討(ラフプラン、 ラフ断立面図等)

1)地図情報の見方(都市計画図、住宅地図、Google マップ等)

外部空間の計画で設定した計画をもとに、広場スケー

1)「プログラムの検討(アクティビティの想定、ゾー

ル(1/100)での設計の検討およびプレゼンテーション

ニング等)」

作業を行い、発表する。

28


か せ な く な り つ つ あ る「 携 帯 電 話 」 を デ ザ イ ン の テ ー マ と し て、 都 市 の 新 し い パ ブ リ ッ ク・ ス タ イ ル に 対 応 した現代的な都市広場の創出をめざ したものである。 こ こ 数 年、 電 車 内 や 店 舗 を は じ め と す る 屋 内 公 共 空 間 の み な ら ず、 歩

花期はサクラなみの短さなので

道や広場などの屋外空間のバブリッ

常緑小高木樹

落葉高木樹

ク ス ペ ー ス に お い て、 携 帯 電 話 の 使

添景として植栽されてきた

用 は、 使 用 マ ナ ー の 是 非 は あ る も の の、 急 激 に 増 加 し、 移 動 時 や 滞 留 時 におけるライフスタイルに定着して い る。 こ の 状 況 を 踏 ま え、 斎 藤 の 作 品「四つの面」は、携帯電話(スマー トフォン)、モバイルパソコン、タブ レ ッ ト、 本、 雑 誌 な ど に 共 通 す る 行 動様式(読書をする姿勢)に着目し、 広場全体をそれらのアクティビティ からのみデザインを立ち起こしてい る こ と は、 ユ ニ ー ク な コ ン セ プ ト と し て 高 く 評 価 で き る。 ま た、 作 品 タ イ ト ル に も な っ て い る よ う に、 敷 地 調 査 か ら、 広 場 を 取 り 巻 く 四 辺 に 求 められる空間特性および利用者のス ピード特性を分析することによって、

キンモクセイ

シダレヤナギ

ソメイヨシノ

落葉広葉樹

アセビ

四 つ の 面 の 個 性 化 を 図 り つ つ、 広 場 全体が統合的に程よく(やわらかく) デザインされている点は秀逸である。

枝いっぱいに咲かせるツツジ科の低木

オオシマザクラの大きくて整った

日本の山地によく自生しているが、庭木

花形を併せ持った品種

としてもよく利用される丈夫な常緑樹

H 13.0 W 10.0

植栽計画

H 4.0 W 1.5

設備的なサポート(ソーラー発電、 充 電 用 電 源、 FREE Wi-Fi など)の提 案があるとより良かったと考えるが、

それほど気にならない

H 8.5 W 7.0

寝ころびながら本、携帯をいじる

とても丈夫な性質

古くから庭園樹、街路樹や建築物の

芳香が強いので避ける人もいるが、

H  7.0 W 6.5

ゲッケイジュ ただし、よく生育すると樹高が10mをこえるので、

B-B' 断面 1/400

齊藤雅紀(さいとう・まさき) 1996年 兵庫県加古川市 2014年 兵庫県立播磨南高校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

エドヒガン系統の花が葉より先に咲く性質と

自由なストリートファニチャー

常緑低木樹 スズランに似た小さな花の固まりを

様々なアクティビティ

性質が頑固で栽培がやさしいので初心者にも扱いやすい

バラ特有のとげがない

待ち合わせしながら携帯をいじる

植え場所をよく吟味する必要がある

常緑低木樹 刈り込みにも耐えるのである程度小さくすることも出来る

庭木、公園樹としての利用のほか H 9.0 W 8.5

葉は料理に、実や果は薬用として利用される

静かな場所で本を読む

現在のモバイルパソコンなどに対応 した屋外カウンターの設置程度に留 まっていた感のある広場や街路にお けるiT対応の進化形もしくは現代 的な屋外の待合空間の新しい提案と

27

し て、 本 作 品 は 現 実 的 な 可 能 性 を 十 分に備えた提案であると考えられる。

様々なアクティビティ

モチノキ

常緑高木樹

日本原産で暑さにも強いため栽培は容易

H 7.0 W 5.5

キモッコウ

落葉低木

パソコンをいじりながら一息つく

座りながら語らう

設計者


四つの面

14E0021 齊藤雅紀

現代生活において日常的な行動に欠

れ る 人 の 動 き の 分 析 を 行 っ た 上 で、

な ど の 立 地 条 件 か ら、 広 場 に 想 定 さ

斎 藤 雅 紀 の 提 案 作 品 は、 敷 地 周 辺 の 既 存 の 建 物 や 商 業 施 設、 交 通 機 関

場のデザインが提案の与件であった。

い、 観 光 の 拠 点 と な る よ う な 都 市 広

ン都市・神戸」としてのにぎわいや憩

当たらない。このことから、 「デザイ

都市の顔となるような都市広場が見

周辺にかけての中心市街地において、

現 在、 神 戸 港 周 辺 に は 大 き な 公 園 は あ る も の の、 三 ノ 宮 駅 か ら 元 町 駅

ふさわしい都市広場の提案を求めた。

る こ と に よ っ て、 三 宮 の 中 核 と し て

い る。 こ の 広 場 を リ ノ ベ ー シ ョ ン す

の 玄 関 口、 待 ち 合 わ せ 場 所 と な っ て

し、 西 側 に 広 が る 三 宮 の 商 業 エ リ ア

線や阪急線の鉄道との交差部に位置

ストリートのフラワーロードとJR

称: パ イ 山 ) で あ る。 神 戸 の メ イ ン

場(愛称:さんきたアモーレ広場、通

宮駅の駅前広場である阪急三宮北広

対 象 敷 地 は、 神 戸 市 中 央 区 の 阪 急 三

長濱伸貴

アウトドア・ライブラリー

2年生前期課題 広場・公園のデザイン

マスタープラン 1/240

A-A' 断面 1/400

26


2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

-UGOKU-

視線の先にあるもの 14E0064 森本実弥 2F平面

配置・1F平面 1/800

設計者 森本実弥(もりもと・みや) 1995年 兵庫県生まれ 2014年 兵庫県立西脇高等学校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

ダイアグラム

アトリエ1  (サブ)

2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

セミナー室

トイレ

EV

2F平面

TUBE

アトリエ2  (サブ)

14E0092 丸岡龍平

アトリエ1

機械室

トイレ

情報室

管理室

カフェ

EV

アトリエ2

アトリエ  倉庫

配置・1F平面

丸岡龍平(まるおか・りゅうへい) 1995年 兵庫県西宮市生まれ 2014年 三田学園高等学校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

日光

展示倉庫

設計者

込んでいる。そのため風が流れるよう筒

30° 北

78° 南

を利用し夏は風を通し涼しく、冬は日光 を建物内へ取り込み暖かく暖かくなるよ

展示

視線方向

common

また、日射角( 夏:78°冬:30°)

展示スペース

(カフェ)

創作

アトリエ

共有スペースを敷地の中心に配置する ことで向う過程での視線を操作し発見を うむことができる。

うにした。

神戸

B1F平面 1/800

2015年度 環境・建築デザイン実習Ⅰ- A(2年生前期課題)

向かう方向 アトリエ

状の形状にした。

EV

「設計方法を学ぶ1—神戸まちなかファクトリー」

冬  課題敷地は山側から海側へと風が流れ

山側

筒断面 断面

海側

システム図 システム図

スティックな行為等を通して相互交流を図ったり新た な情報を発信しようとしたとき、それにふさわしい場

指導教員:

を見つけることは、実は容易ではないのが現実である。

専任/三上晴久・川北健雄・花田佳明・花島晃・中村卓

「神戸まちなかファクトリー」は、 これまでにはなかっ

2015年4月14日〜6月11日

たような新たな公的施設であり、ここでは、コンサート、 演劇、作品展示、ワークショップ、趣味の教室などの

1. 目的

催し物が開かれたり、それらを通して様々な人たちの

1)少し複雑な機能の公共的施設の設計を通して、環

交流が生まれることが期待されている。ここは、市民

境デザインについての基本的な考え方を理解する。

にとっての新たな「ハレの場」でもある。

2)模型、スケッチ、図面などを用いた建築設計の基

3.敷地

本的な展開方法を学習する。

1)住所:神戸市中央区三宮町 1 丁目(三宮中央通に

2. 課題概要

面し現在は駐車場として利用されている。 )

兵庫県内や神戸市内には、多くの美術館や劇場がある

2)敷地面積:約 1,295㎡

が、それらは、いわゆるアーティストのための作品展

3)用途地域:商業地域(建ぺい率:80% 容積率:800%)

示や作品発表の場であり、一般市民にとって身近な存

4)三宮中央通り沿道地区地区計画

在とは言えない。一般市民が、創作や創造、アーティ

25

地図データ ©2013 Google, ZENRIN


2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

木漏れ日 14E0070 湯浅千夏

◀1日で建物の表情が変わる。 上:朝。地面に葉の影が落ちる。 中:夕方。室内の光が柔らかく漏 れ出す。 下:夜。葉の形がくっきりと映し 出される。

2F平面

3F平面

4F平面

配置・1F平面 1/800

設計者 湯浅千夏(ゆあさ・ちなつ) 1995年 岡山県高梁市生まれ 2014年 岡山県立高梁高等学校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

北立面 A-A'断面 1/800

B-B'断面

4. 所要各室の概略床面積

5.構造・法規・設備

搬出入用の大型車両用駐車スペース1台分を確保する

アトリエ/ 200㎡(100㎡× 2 室)、アトリエ用倉庫/

構造は鉄筋コンクリート造または鉄骨造とする。部屋

こと。

50㎡(25㎡× 2 室) 、展示スペース/ 200㎡、展示用倉

ごとの個別冷暖房設備を設けるが、人工環境に頼りす

庫/ 25㎡、セミナー室/ 100㎡(講演会や研修に使用、

ぎないように注意する。建築に対する法的規制は必ず

『初めての建築設計 ステップ・バイ・ステップ』(彰国社)

可動間仕切りで分割できるようにする)、情報検索コー

しも遵守しなくても良いことにするが、周辺建築物や

川北健雄・花田佳明・三上晴久・倉知徹・水島あかね編著

ナー/ 50㎡、カフェ/ 75㎡(厨房を含む)、管理事務

周辺環境との調和について、良識に従った設計を行う

8.実習課題の進め方

室/ 50㎡(受付カウンターを含む)、便所/ 50 〜 75㎡(男

こと。また、安全性やユニバーサルデザインについて

課題はステップ方式で進行する。必要な知識や技術を

子、女子、身障者用を含む、数カ所に分割しても良い)、

も配慮すること。

基礎から身につけるため、各段階ごとに説明、スタジ

機械室/ 50㎡、上記床面積の合計/ 875 〜 900㎡

6.外部空間

オワーク、講評を行う。

これらの諸室の他、玄関、廊下などを加え、延べ床

1)外部空間については、単なる残余空間になってし

Step1: 敷地のフィールドサーヴェイと敷地模型

面積を 1,500㎡程度とする。

まわないよう、有効な活用方法を考えてデザインする

Step2: ヴォリュームを置いてみる

なお、以上は機能的な面積配分の目安であり、空間

こと。地面を覆う素材や植栽配置等についても明示す

Step3: 中身を考える

的にこれらをどのように分節し、関係づけるかについ

る。周辺の車道や歩道との関係についても留意するこ

Step4: 開く・閉じるを考える

ては、各自で使われ方と空間的な効果とを熟慮して、

と。

Step5: 細部を決める

独創的かつ魅力的な提案を行ってほしい。

2)駐車場:一般の利用者は周辺の公共駐車場を利用

Step6: プレゼンテーション

7.教科書

するものとして、来客用駐車場は設けなくとも良いが、

24


ことである。そうすることによって、 南 北 を 単 に「 通 過 す る 」 と い う 行 為 は「 活 動 す る 」 と い う 行 為 へ と 拡 張 さ れ る。 空 間 的 な 変 化 に 富 ん だ こ の 屋外空間は、「様々な活動を誘発する 装置」としての役割が期待される。 この変化に富んだ空間をつくりだ し て い る の が、 ふ た つ 目 の コ ン セ プ トである「斜め柱による構造」である。 ボリュームを立体的に構成するため の 方 法 と し て、 田 中 は 様 々 な 角 度 の 支 柱 を 設 置 す る 案 を 採 用 し た。 こ の 構 造 体 は、 内 外 と も に 空 間 的 多 様 性 を つ く り だ し、 様 々 な「 場 」 の 獲 得 に寄与する。これらの支柱の配置は、 空間の機能的要求と構造的自立の双 方を満たすための十分な検討がなさ れ て い る。 さ ら に、 こ れ ら は 全 て 通 し 柱 で あ る こ と か ら、 各 フ ロ ア の 立 体的な関係性に対しても配慮されて い る。 数 多 く の ス タ デ ィ を 重 ね た 結 果 と し て、 こ う し た 説 得 力 の あ る 巧 みなデザインへと収斂していったこ とは言うまでもない。 メインパースには、 周辺のオフィス ビルや駐車している自動車など、まさ め る こ と な く、 あ り の ま ま の も の と

に都市部の雑多な風景を、トーンを弱 して敢えて表現している。その意図は、 こ の 建 築「 す き ま の 居 場 所 」 が、 そ れらの雑多なモチーフに埋もれてしま

B-B'断面 A-A'断面 1/500

RF平面 3F平面 2F平面

内観パース

田中祥恵(たなか・さちえ) 1996年 兵庫県神戸市生まれ 2014年 兵庫県立兵庫工業高等学校卒業 2014年 神戸芸術工科大学入学

う こ と な く、 む し ろ 調 和 し な が ら 自 立した独自の佇まいを都市の中で獲得 していることを示すためであろう。 シンプルなコンセプトによって獲 得 さ れ た 多 様 な 空 間。 そ れ が 田 中 の 作 品 の 特 徴 で あ り、 都 市 的 な 公 共 施

23

設としての解答を鮮やかに提示した といえよう。

配置・1F平面 1/800

設計者


すきまの居場所

14E0036 田中祥恵

けた屋外空間を地上レベルに設ける

し な が ら、 市 民 が 活 動 す る た め の 開

な矩形のボリュームを立体的に構成

ている。ひとつは、変化に富んだ様々

田中祥恵が出した解答は2つのシ ンプルなコンセプトによって成立し

することが本課題の到達目標である。

よって都市の要求を満たす解答を提示

どのようなものか、斬新なアイデアに

このような「商業エリアとオフィス エリ ア と の 間 に 位 置 す る 建 築 」 と は

特徴的なロケーションである。

接 し て い る、 い わ ゆ る「 中 州 状 」 の

に車道を介してそれぞれのエリアと

ア に 面 し て い る。 敷 地 は、 南 北 と も

て い る。 一 方、 南 側 は オ フ ィ ス エ リ

ター街と称される商業エリアに面し

も の で あ る。 対 象 敷 地 の 北 側 は セ ン

る用途とした公共施設の設計を行う

のアトリエと展示ギャラリーを主た

に、 都 市 の 中 で 創 作 活 動 を 行 う た め

角 を そ の 対 象 敷 地 と し て い る。 そ こ

心市街地である三宮駅に近接した一

二 年 生 最 初 の 実 習 課 題 は、 神 戸 の 中

「まちなかファクトリー」と題された

中村卓

シンプルなコンセプトによる 多様な空間の創出

2年生前期課題 小規模な公共建築のデザイン

●コンセプト 北の商業エリア、南のオフィスエリアを ” つなぐ ” 役割をもたせる 興味なさげに歩く人々=流れが早い → 興味もたせ誘導=流れが止まる

●平面ダイアグラム

●立面ダイアグラム

アクソノメトリック

22


1 年生前期

学外の施設等を利用し、新入生に大学での学習態度を身につけてもらうこと、同期

フレッシュマンセミナー

生や教員とお互いに知り合いコミュニケートすることを目的とする。また、学外の 施設を訪れることで、実際の建物や環境を読み取るフィールドサーベイに関心を持

学科全教員

つきっかけになることも期待している。 2015 年度「神戸近郊の建築・都市の見学会」日程、担当教員は以下の通り。 [4月17日]小玉祐一郎:大阪中之島を歩く(中央公会堂—国際美術館) [4月17日]藤山哲朗:KHギャラリー(旧・コシノヒロコ邸)、芦屋市民センター見学 [4月24日]花田佳明:海外移住と文化の交流センターの見学 [4月24日]小浦久子:神戸の下町を歩く(駒ヶ林—野田北部地区) [4月24日]山之内誠:北野町・山本通地区の洋館と街並みの見学 [4月25日]花島晃:竹中大工道具館の見学 [4月25日]三上晴久:ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)の見学

2

[4月25日]川北健雄:北加賀屋クリエイティブ・ビレッジの見学 [4月25日]長濱伸貴:なんばパークス・とんぼりリバーウォークの見学 [4月25日]中村卓:神戸の映画ロケ地を巡る [4月26日]宮本万理子:西神ニュータウン・学園都市の見学 さらに、大型バスでの神戸市内一日見学会が用意されている。ここでは、山と海の 両方から神戸の地勢を学ぶため、「六甲枝垂れ」の空間と遊覧船を体験したのち、 大学に戻って個別見学会の発表会を行う。

1

3

1 2 六甲山にある展望台「六甲枝垂れ」よ り海を望む。 3 「六甲枝垂れ」内部空間 の見学 4 遊覧船に乗り、海から神戸の市 街地を望む。5 大学における個別見学会の 発表会

4

5

1 年生後期

CAD 基礎演習 穐山憲(非常勤講師) コンピュータを用いた建築設計やインテリアデ ザインに必要な、製図・モデリング・プレゼン テーションといった基本的な諸技法を習得する と同時に、CAD を活用する上で必要な諸概念 について理解することを目的としている。

CAD 基礎演習における練習課題の例

21


環境デザインへの入門

1年生の主な授業

1 1 年生前期

で設計図をトレース(模写)して、配置図、平面図、断面図、立面図を描き、

環境・建築デザイン基礎演習Ⅰ

それぞれに必要な室名・寸法などを記入の作業を行う。製図ペン等、製図道 具の使い方も学ぶ。

藤山哲朗・川北健雄・山之内誠・穐山憲(非常勤講師)

「モデル」では、ブリッジやシェルターなどの簡単な構造模型や住宅模型を 建築や都市・ランドスケープを理解・デザインするための3つの手段、「ドロー

制作し、実際にものをつくる楽しさを体験すると共に、模型制作を通して、

イング」 「モデル」 「コンピュータモデリング」の基礎を学ぶことを目的とし、

素材の力学的・構法的特性とデザインの関係を考える時間を設ける。

約 75 名の学生が2クラスに分かれて課題に取組む。

「コンピュータモデリング」では、SketchUp を用いて 3 次元モデリングを

「ドローイング」では、本学内の建物の図面を利用し、建物を体験した上

体験する。

2

3

4

1 初回課題説明会。入学後本学科においてはじめて取り組む演習課題であり、製図の基礎を学ぶためのレクチャーが行われた 2 「コンピュータモデリング」で制作された作品。高橋海『House in the forest』 3「コンピュータモデリング」授業風景 4「ドローイング」授業風景

▲ 環境・建築デザイン基礎演習Ⅰ「モデル」で制作した住宅模型。各々がつくった建築が集合すると都市の風景に見える

1 年生後期

授業時間外の時間を使って、いくつかの建物や街並等の見学を実施する。履修者は、見学会のうち 2 つのコー

環境・建築デザイン基礎演習Ⅱ

スに参加。見学会レポートの提出に加え、学科のウェブサイト更新用の材料の提出も求められ、そこで見学

学科全教員

会の様子が報告されている(http://www.kobe-du.ac.jp/env/practice/class/)。 見学日程・担当教員: [10月9日]藤山哲朗: 「神戸の夜景を堪能する」、 [10月10日]三上晴久:旧山邑邸(フランク・ ロイドライト設計)の見学、 [10月10日]小浦久子:神戸長田区のまち歩き (駒ヶ林~野田北部地区)、 [10月24日] 中村卓:竹中大工道具館「建築家×家具職人 コラボレーション展」の見学、 [10月25日]山之内誠:箱木千年家の 見学、 [10月25日]宮本万理子:北加賀屋みんなのうえんの見学、 [10月31日]長濱伸貴:大阪城公園周辺の見学、 [11月7日]花島晃:ウッディタウンけやき台団地(三田市)の木造住宅の工事現場の見学、 [ 11月7日]川北健雄: さかい利晶の杜の見学、 [11月14日]花田佳明:海外移住と文化の交流センターの見学、 [11月21日]小玉祐一 郎:聴竹居の見学

茶室の空間を体験(さかい利晶の杜)

20


映画における建築空間 —小津安二郎の映画作品 12E0049 火置彩子 建築と映画は密接な関係にあると考えられる。そこで、小津安二郎監督作品によ る映像としての建築の美しさについて研究した。小津作品の独特な映画の印象や 技法、映画のためだけに設計をする日本家屋には、小津のどのような意図が込め られているのか、また映像としての美を追求した建築とはどのようなものなのかを 分析した。舞台となった間取りを、 映像から独自に分析し平面図を起こすことによっ て映画における建築美を見いだせるのではないかと考えた。

「家族で住む」ということ —2世帯住宅の住まい方 12E0060 松下真子 少子高齢化社会、核家族化が進む現世で、豊かな住まいを実現させるためには「2 世帯住宅」の価値を見直し、増加を図ることは理想と言えるが、ライフスタイルの 異なる世代の同居は難しい問題を抱えがちである。そこで、実際に2世帯住宅に住 む複数の知人に協力を依頼し、ヒアリング調査を中心に研究を進めた。その結果、 2世帯が心地いい距離感を保ち、程よく関わりを持ちながら暮らしていくための キーワードを見出すことができた。

建築雑誌における カラーページの変遷に関する研究 —戦後期の 『新建築』を事例に 12E0065 栁原逸聖 本研究では、建築家の作品がモノクロ掲載からカラー掲載に劇的に変化していった 1946年から1980年までの『新建築』を事例に、建築写真や建築パースなどの「掲載 色の有無」の増加変遷を調査し分析した。建築雑誌の色を通して、戦後期における 建築雑誌の編集意図がどのように変化し、どの時期から読者に「着色された建築 の姿」が伝達されるようになったかを明らかにした。

兵庫運河周辺における水辺空間の 親水性に関する研究 12E0070 松本達郎 長年にわたり、水辺空間が都市環境に必要不可欠であり、かつ人々にとっても貴重 な居場所として認識されている一方で、その親水性が問われている地域も存在して いる。本論文では、兵庫運河を対象にその親水性を解明することを目的とした。研 究方法については、対象地における護岸形状及び周辺の土地利用から水辺空間を 類型化するとともに、それらの親水性をヒアリング調査により知り得ることができ た歴史的背景なども考察した。

グラーツにおける都市型住宅の 歴史と住まい方 —Grunderzeit期の建築をケーススタディとして 12E0202 川下史博 街全体が世界文化遺産として登録されているオーストリアのグラーツ。その地には 百年以上前から使われ続けている様々な様式の建築が存在する。その中の一つで 現在も集合住宅として使われている典型的なGründerzeit 期の建築を事例とし、現 在の暮らしが古い建物の中でどう実現されているかを調査分析した。そこには現代 社会の変化に少しずつ対応しながら、決して大きな手を加えることなく快適に暮ら す姿があった。

19


環境デザイン学科では、卒業論文と卒業制作の両方を必修として課し ている。自分の興味をもつテーマについて、所属ゼミの教員の指導を

2015年度卒業論文

受けつつ研究と設計を行い、最後の学年を送ることになる。論文と制

奨励賞

作のテーマに関連を持たせてもよいし、別々のテーマでもよい。 論文を書くことは、自らの関心と課題を明確にし、調査し、読書し、 考察し、そしてこれらの過程を通じて一定の成果を導く作業である。 それには多大な努力を要するが、その仕上がりの喜びは何ものにも代 えられない。これらの研究を通じて、学問というものを垣間みること ができるはずである。既存の研究や著作・作品を読み解き、論じても よいし、自らのユニークな着眼点を発展させ、深く追求するのもよい。 新しい発見の予感を楽しもう。

種田陽平の映画美術空間について 11E0061 岡村明日佳

映画美術監督の種田陽平の作品において表現される、架空の空間が持つリアリ ティーについて、種田の著書や他者の批評を手掛かりに、彼の手法や特徴などの分 析を行った。背景として見過ごされがちな映画美術がいかに物語に影響することが できるのか、その可能性を考えた。また、映画美術と建築の関係について、本人に 取材し得た回答は大変興味深いもので、映画美術が建築という分野に与える影響 や可能性を考察した。

家具と建築の関係性

—ピエール・シャローの「ガラスの家」における 金属フレームについて 12E0021 上村昂平 家具と建築の関係性は「空間的美しさを演出すること」が重要視されたものが多 い。しかしピエール・シャローの「ガラスの家」はそれらとは異なる関係性を持って いる。 「ガラスの家」における家具から建築まで広くに用いられている「金属フレー ム」に着目し、分類や考察を行うことによって家具と建築の新たな関係性を検討し た。このことよりピエール・シャローの「ガラスの家」における新たな知見を得るこ とを目的としている。

自主運営型シェアハウスの居住実態と 可能性に関する研究 —大倉荘での体験を通して 12E0029 國重裕太 私は2014年からの2年間、大学の友人を中心とした7人と「大倉荘」という自主運営型 シェアハウスを運営した。そこでは、住民が私物を持ち寄りフリーマーケットを開いた り、ギターや英語、パソコンスキルなど各々が持っている知識や技術の享受、取引き が生まれている。本研究では、この2年間に起きた出来事を時系列で整理しながら居 住実態を把握していき何がどのように「シェア」されているのかを調査した。

スコット・バートンの家具作品 —その特徴と展開について 12E0038 鈴木勇司 アメリカでミニマリストや家具デザイナーと複数の呼び名で知られている彫刻家で ありながら家具を作るスコット・バートンの他分野である領域を横断する、その横 断的活動と全60作品を本論文の構成である素材・構成要素・構成法に分類し、系 譜としてまとめた。さらに作品の形態的特徴及び構成、素材の扱い方を相互に関係 づけ、スコット・バートンの作品の特徴を正確に理解するとともに作家としての位置 づけを論じた。

18


うめきた広場における空間構成とアクティビティに関する研究 1. 研究の目的と方法

4. 分析

本研究は、私たち人間が都市空間の中にどのような性格の居場所を獲

上記のレイヤーを2枚から5枚ずつ組み合わせ、場所にあったレイヤー

得・展開しているかという視点から、開発の背景や歴史の整理をした上

ケーキモデルを8パターン作成し、7つの場所を対象に分析をおこなっ

で、現地調査やシミュレーションを行い、現代都市における公共空間の

た。楕円形広場の分析を具体的に示す。

本質的な空間、行動特性を捉え、「モノとコト」について考察すること

レイヤーケーキモデル05は、楕円形広場を対象とし、着色平面図上に

を意図している。

8月23日(日)13時の風環境と温熱環境(MRT*3)を忠実に再現した上で *1

分析方法は、イアン・L・マクハーグ が、エコロジカルプランニング

累積軌跡図と視線を重ねることで人の行動を捉えようとしたモデルであ

の方法論として確立した「レイヤーケーキモデル」を応用し、「環境を

る。楕円の基本性質の2つ焦点が作用し、楕円にそって配置された場所か

含めた人と物の関係」の分析をおこなう。

らの視点が集中している(図01)。また、移動行動と滞留行動もかなり 少なく、利用者はほぼ「ベビーカーを押すお母さん」と「待ち合わせを

2. 研究の対象

する人」という傾向があった(図02)。ゆえに、シンボル性、演劇性が

研究対象は、大阪梅田北ヤードの再開発として誕生した「グランフロン

高い場所であると言える。

ト大阪」の玄関口に位置する「うめきた広場」である。「グランフロン グランフロント大阪

ト大阪」の玄関口として重要な役割を担うと同時に、一日の平均利用者

視線

数が約250万人の巨大ターミナル「大阪駅」の駅前広場として位置づけら

うめきた SHIP

れている広場である。西洋の広場を思わせる形態と、豊かなプログラム

休日の累積軌跡図 3

が特徴の広場で、BID制度の導入など日本にある広場の中でも珍しい。 温熱環境(MRT)

大阪駅方面

風環境 大阪駅 2 階方面

大 阪駅

ALBi 方面

レイヤーケーキモデル 05

0

10 15(m)

素材(着色平面図)

図 02 着色平面(素材)と累積軌跡図

グ ラ ン フロント大阪

5. 考察とまとめ

う めきた広場

このように分析をおこなった結果を、下記の3つにまとめた。 ①コラージュされたような空間要素

2期開発区域

うめきた広場の空間構成は、既存のエレメントがコラージュされてい るように見える。そしてそれらが、どのような空間性をつくりだすのか 3. 調査資料の作成

という公共空間にとって一番重要なデザインがなされていない。

分析に使用するレイヤーを「うめきた広場の形態的レイヤー」、「現地

②見えないコンテクストの読み取り

調査に基づいたレイヤー」、「シミュレーションに基づいたレイヤー」

①の理由から風環境や温熱環境はもちろん、形態の特性などが見えな

という3つの区分で作成する。下記が3つの区分の内訳である。

いコンテクストとなり、人の知覚に深く関係していた。

●うめきた広場の形態的レイヤー

③思い描かれた風景と現実の対比

1.三角形の区画の重心 2.楕円形広場の焦点

うめきた広場の完成予想パースを見ると、まず第一に「賑わい」を求

●現地調査に基づいたレイヤー

めたことがわかった。非日常の風景が思い描かれた場所で、人々は自ら

3.平日の累積軌跡図 4.休日の累積軌跡図 5.イベント開催時の累積軌跡図

の知覚だけを頼りに、現実を生きていかねばならないのだ。

6.管理区分 7.視線 8.素材 ●シミュレーションに基づいたレイヤー

*1 *2 *3

9.温熱環境(MRT) 10.風環境 11.日影図 以上のように3つの区分で11項目、29枚のレイヤーを作成した。

著書『デザイン・ウィズ・ネーチャー』集文社1994年発行 レイヤーのオーバーレイ法によって場所ごとの構造を視覚的に把握することを可能にした。 温熱環境シミュレーションツール「ThermoRender 5 Pro (サーモレンダー5Pro)」熱流体 シミュレーションソフトウェア「STREAM(ストリーム)」を使用。 MRT(平均放射温度)とは、周囲から受ける熱放射を平均化した温度環境指標である。

1. 区画の形態分析

2. 楕円の形態分析

3. 平日の軌跡図①

4. 平日の軌跡図②

5. 平日の軌跡図③

6. 平日の軌跡図④

7. 平日の軌跡図⑤

8. 休日の軌跡図①

9. 休日の軌跡図②

10. 休日の軌跡図③

11. 休日の軌跡図④

12. 休日の軌跡図④

13. イベント時の軌跡図①

14. 管理区分

15. 滞留者の視線

16. 素材

17. 温熱環境 MRT①

18. 温熱環境 MRT②

19. 温熱環境 MRT③

20. 温熱環境 MRT④

21. 温熱環境 MRT⑤

22. 風環境①

23. 風環境②

24. 風環境③

25. 日影図①

26. 日影図②

27. 日影図③

28. 日影図④

29. 日影図⑤

作成した29枚のレイヤーを、分析対象によって様々に組み合わせ、レイヤーケーキモデルを組み立てる

17


2015年度卒業論文 環境デザイン賞

うめきた広場における 空間構成とアクティビティ に関する研究

12E0014 岡田真弥

うめきた広場

グランフロント大阪

素材(着色平面図)

10 15(m)

0

レイヤーケーキモデル 05

温熱環境(MRT)

焦点

大阪の北ヤード開発の一環で誕

生 し た「 う め き た 広 場 」 を 複 数

の 視 点( 物 理 的 な 空 間 構 成、 人

の 滞 留 や 移 動、 視 線 の 動 き、 温

熱 環 境 等 ) か ら 分 析 し、 そ れ ら

のあいだの関係を論じることに

よ っ て、 現 地 で 起 き て い る さ ま

ざまな人間行動の要因を明らか

にしようとした論文である。

「うめきた広場」を直感的に欧 州の広場のコラージュによって

つ く ら れ た と し、 事 後 的 か つ 客

観 的 な 分 析 を 行 う こ と に よ っ て、

広 場 の 機 能 的、 性 能 的 な 実 態 や

当 初 イ メ ー ジ、 コ ン セ プ ト と の

相関関係を求めるという研究手

法、態度は高く評価できる。

広場のアクティビティを多層 的に分析した内容は力作である

が、 分 析 の 方 法 論 の 元 と な っ た

マ ク ハ ー グ の「 レ イ ヤ ー ケ ー キ

モ デ ル 」 を よ り 詳 し く 解 説 し、

その有効性を示してから持論を

展開するとより説得力を持った

と 思 う。 全 体 と し て た い へ ん ま

と ま り が よ く、 卒 業 論 文 と し て

は十分の出来である。

岡田真弥(おかだ・まさや) 1993年 大阪府吹田市生まれ 2012年 大阪市立工芸高等学校 卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学 日本建築学会近畿支部 第66回 卒業設計コンクール 優秀作品賞 (2012) 、西日本工高建築連盟 連 盟賞(2012)、環境デザイン賞 (2014) 、建築新人戦2014 101選 (2014) 、環境デザイン賞 (2015) 受賞

(教員による卒業論文査読コメント要約)

筆者

視線

焦点 うめきた SHIP

休日の累積軌跡図 3

大阪駅方面

大阪駅 2 階方面

風環境

ALBi 方面

図 01 2 つの焦点と視線 楕円形にそって様々な場所が配置されているため、それぞれの場所からの視線がその焦点へと向かう

16


2015年度卒業制作 奨励賞

日常の居場所 12E0047 橋元一成

私は都市の問題や社会的な 問題は正直わかりません し、あまり問題だとは思い ません。しかし自分が暮ら してきた町には居場所がな く、自分も、町のみんな も、居場所や拠り所を求め ていることだけはわかりま した。 公園のように開放的で、 公民館のように多機能的 な、ふとした瞬間にふらっ と出かけられるような心地 の良い「日常の居場所」を 設計しました。

配置・1F 平面 1/900

2015年度卒業制作 奨励賞

CITY WITHIN CITY 12E0203 孫帥亮

1905年〜1945年、中国・ 大連は日本の植民地として 統治されていた。現在も大 連市に残る日本旧植民建築 区域の再開発として、かつ ての建築と空間形態を守る と同時に、近代的な都市機 能と融合させることを考え た。具体的には、商店、文 化施設、娯楽施設及びホテ ルなどのコンプレックスを 設計する。 建築の内部には吹き抜け を多くつくり、大空間の開 放性とともに、空気の流動 をもたらす。都市における 建築の計画に自然エネル ギーを利用して環境制御し ようとする試みである。

15

1F 平面


2015年度卒業制作 奨励賞

巡礼の舟 12E0036 澤井克優

香川県高松市に建つ「香川 県立体育館」が2014年に 閉館した。この体育館は吊 り構造という特殊な構造で 成立しており、同年に設計 された代々木国立屋内総合 競技場にも見られた丹下建 築を代表する構造である。 そこで、建築・丹下健三・ 巡礼等のキーワードを元 に、人を運ぶ船をモチーフ にした香川県立体育館のも つ構造・モニュメント性・ 歴史性・地域性を再構成し たうえで、再び市民の記憶 に残る場所として機能させ る提案である。 N

くぐって入れる展示室

300

② 20

20

④ 20 20

20

頭 /Head 1.6

バンド部 /band

③ 160

20 20

③ 450

① 20

300

149

12E0038 鈴木勇司

先端部 /Tail

結束バンド /Banding band

600

300

150

THING OF REBUILDING PROJECT. / TOR PROJECT.

7.0

THING OF REBUILDING PROJECT. / TOR.PROJECT.

TOR

新館・本館:1F 平面 1/2000

149

4.8

2015年度卒業制作 奨励賞

新館・本館:断面 1/2000

カット加工  刃厚 2 ㎜

穴あけ加工

分解図 /Exploded view

5㎜

【 結束バンドによるブックシェルフ 1/100 レシピ [ 1 ] 】 【 結束バンド / Banding Band 1/100 】

技術革新によって、誰でも

このプロジェクトは、我々の身近にあるホームセンターで

簡単にカッコいいモノ、新

扱われている商品の規格サイズと加工サービスをハック

しいモノが創作できるメイ

し、結束バンドのポテンシャルを追求した。これらのサー アイデアをレシピ化 [ 1 ] し、第三者の応用・展開を可能に する。根源となる市場で扱われている結束バンドのパッ

れるだろう。材料、部品

ケージを最適化する。ユーザーは商品のパッケージやラベ

の調達から市場との距離も

ルの QR コード [ 2 ] からモノのライブラリを閲覧すること

にする。モノづくりにおいての市場と創作環境のガイドを など簡単に入手できるため寸法をデータ化し、結束バンド

ポテンシャルをアップデー

の頭部の形状を少し変更し、ネジ型の形状、結束バンドの 頭部部分を複数持つ部品などに変更することが可能です。 3D プリンターで、制作したオリジナル部品 [ 3 ] を組み合

トできる環境を目指す。メ

わせることで、全く違う用途で使用したり、より自分らし

イカーズと市場の間には新

い使い方を追求できます。

3.5

7.0 頭 /Head

爪 /Claw

4.8

ノを再構築し、ライブラリ

66 ナイロン /66 Nylon 3.5 2.0 1.0 1.0

する。また結束バンドは、規格化されていることから寸法

1.6

る。TOR.PROJECTは、モ 化することでモノが有する

[3]

ズと連動し、その場で材料調達、や加工を行うことも可能

7.0

在り方を再考する必要があ

ができる。ホームセンターの加工サービスと商品規格サイ

、 A

身近になる今後、既製品の

1.0 3.0 1.0

様々なアイデアとモノで溢

ビスをハックしより簡単に、誰でも制作することができる

A

カーズ時代になり、今後

7.0

、 A-A 断面図

【 規格化 ( 結束バンド・頭部分 ) された寸法 1/100 】

たなモノと用途の関係性と 新たな価値を有すモノの可 能性がある。 [2]

14


2015年度卒業制作 奨励賞

-kaam-

可愛い椅子には 旅させよ 12E0021 上村昂平

この作品には、図面も模型 もない。私は日本のデザイ ンの温度を上げることを目 標に、まず「デザイナーズ 椅子を一人一脚普及させる ための仕組み」をデザイン した。椅子に対するこれか らの新しい価値観や所有の 仕方を示すことで、建築や 都市の在り方にまで変化を 及ぼしていく。椅子と建築 の関係性は空間的な美しさ のみが重視されてきた。し かし椅子を都市スケールで 見ることで椅子が広告の媒 体となり、椅子が人と都市 をつ繋いでいく。

2015年度卒業制作 奨励賞

広場のポリフォニー –結節点としての道-

スタジオ B

スタジオ C

屋外ワークショップスペース

12E0029 國重裕太

図書企画展示

バス案内 受付

展示ギャラリー

スタジオ A

学園都市は30年前につく られたニュータウンであ る。用途ごとにくっきりと 境界線を引かれたこのまち は、市民や大学の活動が独

バスロータリー N

立しきっている。この過度 な自立は現代社会が抱える

平面 1/800

問題であり、境界を解きな がらお互いの存在を認識し 合える状態をつくるべき だ。まちに点在するアク ティビティを駅前広場に 「おすそ分け」していき市 民と学生の新しい活動の場 と、バス停やアーケード通 路の既存動線の共存する場 を目指した。

大学での講義や展示、 市民が集まって行わ れている音楽や園芸、 絵画、体操などの趣 味の教室を少しずつ 駅前広場に集つめイ ベント的に発生させ ていくことによって、 毎日違うシーンをバ ス利用者や通行者に 提供することができ る。

13

市民活動

ユニティ 大学

市民活動

ユニティ 大学


2015年度卒業制作 奨励賞

Pedia Land 12E0010 上田恭平

「見える」700mmと 1200mmの足下に空い た空間から、誰かいる 事が認識できる。

有孔ボード

学園都市駅の周囲には大学

「見る」2階から見る

がたくさんある。駅はそこ

事で何をしているか詳

を通るそれぞれの学生の生

主要部詳細断面図 1:400

細に分かる。見る気ま

活動線を交差させている。

ずさを高さでなくした

しかし、学生は駅でとどま

「見られる」パフォー

ることをしない。そのた

マンスがあがるだけで

め、人と人との接点がもて

なく、他大学生と関わ

ていない。そのことを学園

れるという大きなメリ

都市駅の問題点とした。

ットがある。

学生同士や学生と住民が 駅を中心に交流し、1つの 大学でとどまらないコミュ ニティ図が形成されていく 事が理想の形だ。私はこの 理想を現実にするための仕 掛けを提案する。

平面 1/3500

2015年度卒業制作 奨励賞

とある棟割長屋の 建替え計画

1,800

32,313.7

941.9

900

900

▽隣地境界線

900

C

ヤマザクラ h=3600mm

900

1,800

アルプス乙女 h=4800mm

裏庭

1,813.5

12E0014 岡田真弥

オカメザクラ 株立 h=2500mm

1,515

A1

縁側

便所

FL+400 モルタル金ゴテ

縁側

便所

FL+200 タイル

FL+200 タイル

縁側

FL+400

縁側

便所

FL+400

FL+200 タイル

縁側

便所

FL+400

FL+200 タイル

便所

FL+400

縁側

便所

FL+200 タイル

FL+200 タイル

縁側

FL+400

便所

FL+400

FL+200 タイル

A

FL+200

WD 4

▽隣地境界線

10,605

13,608.5

3,030

D

A5

島区にそっと佇んでいる。

WD 5 FL+400

SD 3

SD 3 FL+200

WD 5

SD 3

FL+400

FL+200

WD 4

B

WD 5

SD 3

FL+400

FL+200

WD 4

FL+200

WD 4

WD 5

WD 5

FL+400

FL+400

SD 3

SD 3 FL+200

WD 4

WD 5 FL+400

FL+200

WD 4

WD 4

D

居間

居間

居間

居間

居間

居間

居間

FL+400 フローリング

FL+400 フローリング

FL+400 フローリング

FL+400 フローリング

FL+400 フローリング

FL+400 フローリング

FL+400 フローリング

WD 3

廊下

収納

WD 3

収納

FL+0 モルタル金ゴテ

2,020

この棟割長屋は、大阪の福

WD 5 FL+400

WD 3

廊下

廊下

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

収納

WD 3

廊下

収納

WD 3

廊下

FL+0 モルタル金ゴテ

収納

WD 3

収納

FL+0 モルタル金ゴテ

WD 3

廊下

廊下

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

台所

台所

台所

台所

台所

台所

台所

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

14,550.3

SD 3

A

A3

▽隣地境界線

1,010

A2

収納

A7 WD 2

WD 1

3,030

昭和元年に建てられた、大 正末期の形式を持つ棟割長

SD 1

WD 2

WD 2

室A

室A

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

WD 1

SD 2

SD 2

1 (Aタイプ)

2(Bタイプ)

WD 1

SD 1

WD 2

WD 1

室A FL+0 モルタル金ゴテ

SD 1

SD 2

SD 1

WD 2

WD 1

室A FL+0 モルタル金ゴテ

SD 2

SD 1

WD 2

WD 2

室A

室A

FL+0 モルタル金ゴテ

FL+0 モルタル金ゴテ

WD 1

SD 2

SD 2

5(Aタイプ)

6(Bタイプ)

WD 1

SD 1

SD 1

室A FL+0 モルタル金ゴテ

SD 2

1,190

A9

屋であり、何より「生きら

▽バルコニーを示す

3(Aタイプ)

4(Aタイプ)

7(Aタイプ)

▽道路境界線

C

B

れた家」としか言いようの 1,010

ない佇まいが心を躍らせ

2,020

2,010

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

4,040

2,010

32,300

X1

X2

X3

X4

X5

X6

X7

X8

X9

X10

X11

X12

X13

X14

X15

X16

X17

X18

X19

X20

X21

X22

る。これはその「とある棟 割長屋」、すなわち「生き

1F 平面 1/300

られた家」を賃貸住宅とし

一階平面図 S=1:50

て建替える計画である。

28,460

30,460 3,920

2,420

5,660

1,500

2,540

1,500

2,540

2,420

5,460

2,500

990

970

1,960

2,220

830

1,090

1,010

2,100

830

1,300

2,740

1,320

2,720

2,220

2,830

C

2,332.9

715

100

2,813

2,248.3

100

C

人に「生きられた」こと

100

2,300

600

400

600

1,335

1,335

洗面所 2FL+0 タイル

AD 1

SD 6

SD 6

SD 6

SD 6

710

SD 6

洗面所

洗面所

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

AD 1

洗面所

洗面所

2FL+0 タイル

2FL+0 モルタル金ゴテ

AD 1

洗面所

洗面所

2FL+0 タイル

2FL+0 モルタル金ゴテ

AD 1

洗面所

洗面所

2FL+0 タイル

2FL+0 タイル

AD 1

A

洗面所

洗面所

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

洗面所 2FL+0 タイル

AD 1

600

D

A

D B

D

391.2

B

1,092

2FL+0 タイル

1,483.2

洗面所 AD 1

2,100

2,100

1,010

洗面所 2FL+0 モルタル金ゴテ

300

SD 6

A

A3 D

300

1,010

SD 6

A

A3

A4 2

3

3

4

4

5

5

6

6

7

7

8

8

室C

室C

9

9 10

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

3,030

WD 8

1

WD 8

1

WD 8

2 3

1

1

2

2

3

3

4

4

5

5

6

6

7

7

8

8

室C

室C

9

9

10

10

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

WD 8

2 3

4

4

5

5

6

6

7

7

8

室C

9

2FL+0 モルタル金ゴテ

10

8

室C

9

2FL+0 モルタル金ゴテ

10

WD 8

1

WD 8

2 3 4 5

14,080

1

2

室C 2FL+0 モルタル金ゴテ

6 7

11,802.5

2,100

1

10

WD 8

8

455

600

9 10

WD 7

WD 7

WD 7

WD 7

9,270

WD 7

7,780

屋根裏

2,100

2,100

廊下 2FL+0 モルタル金ゴテ

2,100

室B

室B

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

WD 6

廊下

室B

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

WD 6

廊下

室B

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

WD 6

廊下

廊下

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

WD 6

室B

室B

2FL+0 モルタル金ゴテ

2FL+0 モルタル金ゴテ

WD 6

廊下 2FL+0 モルタル金ゴテ

800

廊下 2FL+0 モルタル金ゴテ

WD 6

WD 6

2,100

室B 2FL+0 モルタル金ゴテ

A8

SD 4

SD 4

SD 5

SD 5

SD 4

SD 5

SD 4

SD 5

SD 4

SD 4

SD 5

SD 5

500

800

1,900 1,145

1,010

800

SD 5

SD 4

600

1,335

1,335

▽屋根を示す

2FL+0 勾配:1/100 木毛セメント板

400

1,480

2,100

2,100

C

2,100

2,100

2,100

2,100

2,100

2,100

2,100

2,100

2,100

2,100

2,100

1,480

1,010

2,020

C

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

1,010

1,010

2,020

4,040

B

1,010

4,040

12,120

1,090

16,160 28,280

30,460

X1

X2

X3

X4

X5

X6

X7

X8

X9

X10

X11

400

100

B

1,090

28,460

▽バルコニーを示す

100

1,090

バルコニー

100

600

A9

A9

100

新たな空間を獲得する。

WD 7

9,090

9,090

WD 7

A6

3,030

「生きられる」に向けて、

9,270

11,985

態を手がかりに、この先の

28,460

A2

A2

2,100

によって生まれた空間の状

1,090

100

400

X12

X13

X14

X15

X16

X17

X18

X19

X20

X21

X1

X22

2F 平面 1/300

二階平面図 S=1:50

X10

X22

屋根裏平面 1/300

屋根裏平面図 S=1:50

12


2015年度卒業制作 奨励賞

全体の構成

learning park

近所の人たち

幼稚園・保育園 各箱となり仕切られている

突き出た部分やブロック状

要素を部分的につなげ、 一室の空間となる

の床で料理・手芸・実験・ 音楽など ... 様々な体験がで

パーク

きるコーナーを設ける

12E0002 大森菜央

高校 地域の職場

の質 地 域 ぐ る み で 学ぶ

フローリング

クッション マット

ラグ

様々な床の素材によって変わる心地。

空間

音楽を聴く

絵を描く

ボードゲーム

本を読む

料理

の質

何かに興味を持ち、もっと 知りたい、体験したいと思

アクティブ

う。子どもたちは気がつく

のんびり

集中

思い切りはしゃげる場所や、ゆっくりマイペースに過ごす ことができる場所等、子どもたちの様々に変化する状態に

と行動に出ている。それが 本来の学びであるはずだ。

自 ず と 生 ま れ る学び

対応できる、様々な質の空間を用意する。

全体イメージ

ぼーっとする

遊 び や 子 ど も の や り たいことから

日本の学校教育は、これか らもっと柔軟になっていく べきなのではないか。 その考えから未来の学び 舎を設計した。ここでは地 域の人たちの力を借りて外 部学習ができたり、動きた

みんなのみち 芝生ひろば 芝生ひろば

いときは動けて、休みたい ときには休めるような、子 どもの純粋な意志を尊重し たシステムと空間が用意さ れている。 N

配置・1F 平面 1/3000

2015年度卒業制作 奨励賞

過去から学び、次につなげる。

暗い悲しい過去から、学んだこと

梅田のディテールを取り込み、大きくなる空間

人の優しさは、空間に滲み出て

居場所の中

知らず知らずに他人と共有している 居心地というのは長い時間をかけて作るということ。

都市に点在するディテールが

12E0008 池村友希

ヒントとなり空間を作り出す。

ディテールから作り出された空間は 人と人の距離を縮め 隣の人へと連続していきそこで 新しい空間へと変わり続ける。

私は幼少期に、暗い日々を 送りました。そんな日々か ら見つけ出した自分の居場 所というのはとても心地よ く、そこには他人と空間を 共有してつながることで目 に見えない一体感が生まれ ました。過去から得たヒン トを公共空間の新しい可能 性へと変換できないかと考 えました。公共空間は決め られた使用方法しかされて いませんが、それではいけ ないと思った時に利用者が 自ら空間を作り出せれば面

平面図 S=1/500

白いのではないかと考え設 計を試みました。 思い出の場所

11

ディールを空間へと変化させる


新幹線新神戸駅周辺。自然(六甲山系)、住宅街(熊内)、商業地(三宮)、観光地(北 野異人館) がとりまく環境的特徴と、鉄道・道路交通網としての重要な役割がある。 しかしこの多種多様な環境と機能が、新神戸という一点で不協和音を伴いなが

2015年度卒業制作 環境デザイン賞

ら接している。分断され押し込められた自然を川とともに街へ広げ、自然と駅を つなぐよう駅舎をデザインすることにより、留まりたくなる、他にはない駅周辺

Nature, Artificialities, Intersection ~ shin-Kobe

へと変化させる。

12E0202 川下 史博

神戸布引ロープウェー

新神戸オリエンタルシティー

地下鉄 新神戸駅

生田川

⇧ 六甲山・布引の滝

ジークレフ新神戸タワー

新幹線 新神戸駅ホーム

建物屋根を通るスロープで東側からロープ

建物西側にはレストランやカフェなどを配

既存の新神戸オリエンタルシティーの 3F

既存の新神戸オリエンタルシティーを活用

2 F にあたる部分は地下鉄新神戸駅を利用

駐車場やロータリーを排した生田川周辺は

生田川は過去より氾濫に悩まされ、現在で

ウェーへアクセスが可能。建物内を通り抜

置。山を眺めながらの食事はもちろんのこ

と接続されるフロアは新幹線改札口へのメ

す る こ と を 前 提 と し、建 物 内 に は 過 剰 に

する人々の車のターミナル(ロータリー)

人工物から開放され、自然の流れに近い河

は深さ 6m 程度のコンクリートで固められ

けてのアクセスも可能である。

とながら、新幹線やロープウェーといった

イ ン コ ン コ ー ス と な る。オ リ エ ン タ ル シ

ショップを配置しない。また、2 F 駐車場

となる。バスやタクシー、自家用車の乗降

川敷の公園へと変貌する。人は水の近くま

た非常に深い川となっている。人々が川に

また西側に配置されたレストランからロー

この土地ならではの景色を堪能することが

ティーと接続されているため、人の流れは

へのアプローチとなるこの部分の建物に

所があり、雨に濡れず快適に新神戸駅へア

で行くことができ、水と触れて四季の様々

近づけるよう、川底を浅くした代わりに、

プウェーが登っていく様子が眺められ、認

できる。また山の風景は近景の森を含み、

オリエンタルシティーと一体となり強くな

あった病院などもオリエンタルシティーへ

プローチできる。一方で駐車場は現在利用

な移ろいとともに過ごすことができる。ウッ

その氾濫時にも耐えられるよう、川幅を広

知度が向上する。遊歩道の端は生田川の支

民家などのビルは視界に入らないため、開

る。よ っ て、閑 散 と す る オ リ エ ン タ ル シ

集約し、代わりに、訪れる客が増えること

率の非常に低いオリエンタルシティーを利

ドデッキや遊歩道が効率的に配置され、熊

げ、全体としてすり鉢状にすることによっ

流をまたぐ橋に接続されている。

放的な景色が得られる。

ティーの活性化にもつながると考えられる。

を想定して、ロータリーを配置する。

用することとし、空き駐車場の活用やオリ

内町(東側住宅地)の住民が、この川の遊

て、現状の川の水路断面積以上の水の流れ

エンタルシティーを経由する人の流れを作

歩道を通って西の地下鉄乗り場まで行くこ

るエリアを確保した。

る。

とができる

Hotel 宴会場 駐車場 駐車場

新神戸オリエンタルシティー

駐車場 駐車場

待合場

新幹線ホーム

Hotelロビー

カフェ

店舗 みどりの窓口 ロータリー

券売機

改札口

店舗 芝 川

川 芝

川 芝

山 店舗

店舗

券売機

改札内

店舗

増水時上限 芝

Information カウンター

東西断面

南北断面 1/2500

断面図 ( 東西 ) 断面図 ( 南北 ) 縮尺 1:500

設計者 川下史博(かわした・ふみひろ) 1974年 愛知県名古屋市生まれ 1993年 愛知県立瑞陵高等学校卒業 1997年 関西学院大学理学部物理学科卒業 株式会社NTTドコモ、三菱重工業株式会社、 ヨアネウム応用科学大学(オーストリア) を経て、 2013年 神戸芸術工科大学編入学 JAPANTEX2012 インテリアデザインコンペ奨励賞受賞

縮尺 1:500 東西方向のフロア長 約 100m 階高 5−8m

南北方向のフロア長 約 120m

最大吹き抜け 15.8m

階高 5−8m 最大吹き抜け 15.8m

Nature, Artificialities, Intersection

shin-Kobe Nature, Artificialities, Intersection

自然を掴む屋上遊歩道

開放感ある駅コンコース

10

shin-Kobe


2016年1月26日に行われた卒業制作最終講評会の様子。 神戸芸工大の卒業制作最終講評会では、講評対象となる 作品をおおまかなテーマに沿って、2人1組(まれに3 人1組)にして発表を行う。そうすることで、議論が拡 散することを防ぎ、2つの作品を比べて先鋭化した議論 へと展開することができる。

9


Photo: Kazuki Ohmichi

8


普及するメガソーラーの問題点

光合成の仕組みと太陽光発電の両立

呼吸量

光強度

光飽和点

500

総光合成量

純光合成量

光補償点

あたりの総光合成量 100cm2

吸収速度 CO2

0 CO2 放出

1000

光補償点と光飽和点のグラフ

CO2 吸収

※ 50

各種植物の光飽和点 サトウキビ

トウモロコシ

イネ

40

イネの光飽和点

30 小麦

20 10 0 0

ケヤキ サトウカエデ

20 40 60 80 照度 ( キロルクス )

植物は光の有無に関係なく呼吸を常に行い、光合成を行っている時も、呼 吸を行っています。つまり、光合成を行っている時も、呼吸により二酸化炭 素を排出しています。光強度が強いときには、呼吸による二酸化炭素の排出 量よりも、光合成による二酸化炭素の吸収量のほうが大きいのです。よって、

郊外にメガソーラーが建設された例がありますが、このような施設の建設は

結果的に光が強いときの植物は、二酸化炭素の光合成吸収量から、呼吸によ

1000

近年、東日本大震災による電源開発の見直しのあおりを受け、地方都市の 外資系や東京企業など、その地域に意思決定機関が存在していない企業によ

る排出量を差し引いた分だけ、二酸化炭素を吸収することになります。  植物の呼吸による二酸化炭素の排出と、光合成による二酸化炭素の吸収速

実際に静岡県富士宮市ではメガソーラーの建設規制の景観条例が施行され、

度が、つりあった状態での光の強さのことを、「光補償点」といいます。

それに続いて大分県由布市、高知県土佐清水市などでも条例規制の動きが出

5000

るものが多く、景観配慮や地域の合意形成が伴わない建設が続いています。

ある程度までは光の強さが増すにつれて、光合成速度も大きくなりますが、 光がある一定値よりも強くなると、たとえ、それ以上に光が強くなっても、

建設地域に長期的な雇用が発生しないことや、売電収入の大半が発電事業者

光合成速度が変わらない状態になります。この状態を光飽和といい、飽和し

側に流れ、地元経済には土地代程度の経済効果しかないことなども挙げられ

た直後の光の強さのことを「光飽和点」といいます。営農型太陽光発電施設

1000

ています。メガソーラーの問題点は景観問題を主軸としがちでありますが、

ます。加えて、山林伐採による建設は山林の保水力低下を招き、農地への再

はこの光飽和点を利用し、必要量以上の光強度を発電に必要とするエネルギ

転用の難しさという長期スパンでの問題、農地の土壌性能低下など非常に多

ーに変換することで成立しています。一部、サトウキビやトウモロコシなど

くの問題を抱えています。

光飽和点をもたない作物があるため、すべての農作物で営農型太陽光発電が 可能ではありませんが、日本の主食である米の作付であるイネは光飽和点を もつため、地域に合わせた適切なパネル下の光強度を計算することによって、

営農型太陽光発電の概要について 1000

これが可能となります。 ※「光飽和点」の詳しい説明については一般社団法人ソーラーシェアリング協会の HP を参照

光エネルギー

架台の設計について 500

太陽光発電

農家によるエネルギーの地産地消 売電による都市部からの売電収入

+

農作物の生産収入 農作物生産

260 営農型太陽光発電施設の仕組み

1345

182

1345 5000

183

1345

適正規模:ソーラーパネル面積 / 架台設置面積 =33% 以下

340

ソーラーパネル架台平面図 S=1:20

営農型太陽光発電は別名「ソーラーシェアリング」と呼ばれており、考案 者はCHO研究所所長の長島彬氏といわれています。 長島氏は、強すぎる太

旋回用地の確保

105 25

陽光は植物に有効に働かず光合成は増加しないという「光飽和点」の存在に 着目し、農地の上に支柱を立てて組んだ架台に上に、間隔をあけて太陽光パ

1往復 =1 グリッドの構成

農作業用トラクター ( 耕運機 ) は最小旋回半径が小さいため、トラクター

く普及させる活動をしています。

の全幅 2020mmの場合、 5000mmスパンの架構で 1 往復分の農作業用地を

2013年4月1日には農水省から 「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電

カバーすることが可能になります。そのため、従来の農作業に影響がでる心

設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」のガイドラインが

配もありません。しかしながら、農作業用重機の進入用地の確保と、旋回可

公表されました。 これは、農業の6次産業化を鑑みた規制緩和の一貫として、

能なように空地を確保する必要があります。したがって、農地全てに架構を

政府が容認したとも考えられます。同年春には一般社団法人ソーラーシェア

架けるのは適切な設計とはいえず、適切な規模の設計が必要となります。

リング協会が設立され、日本全国への普及拡大を目指しています。

また、架台設置面積に対してソーラーパネルの面積はイネの場合では 33%

2115

ネルを設置し、農作物と電力両方を得るソーラーシェアリングの考え方を広

以下が適正規模だといわれています。 農林水産省の見解ではあくまで農業が 主軸であるために、パネル設置下の作物の生育に支障があってはいけません。

この設計に対する制作者のねらい

また、設置許可の条件としてパネル設置下で営農が行われることを大前提と しているため、発電を主とする設置にならないようにしなければなりません。

3525

本計画はこの営農型太陽光発電施設が農業学、電子工学分野での取り組み

発電容量について

しかないことを乗り越え、建築や都市計画などといった分野を巻き込み昇華 させる必要性があると認識しています。また、この手法が広く一般社会に普 及する際に、新しい農村のビルディングタイプとしてどのようなスケールを

×15 枚 = 架台 1 グリッド

築との調和など、野外工作物としてのスケールやポテンシャルが建築以上の ものになっている事実 (メガソーラーはすでにそのような状態になっている)

1000

もつのかを把握することに加えて、まちづくりの視点、地域景観の視点、建 国産 K 社製多結晶ソーラーパネル 出力 64 W (1345mm×345mm)

という問題も含めて、広く社会で議論されることを願って制作しています。

今回の設計では国産 K 社製シリコン多結晶ソーラーパネルをもとに設計し ています。公称最大出力は 64W、 これが架台 1 グリッドに 15 枚、架台数は 280

農林水産省 HP「支柱を立てて営農を継続する

三世帯が出資と仮定し、322 個 ( 作付面積は約 14 反分 ) あるので合計出力は 約 310kW の発電設備が完成します。これは一世帯につき 100kW 分の出資に

太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」

なります。ちなみに、メガソーラーの名前の由来はこの合計出力が1MW を

http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/noukei/130401.html

一般社団法人ソーラーシェアリング協会 http://solar-sharing.org/

設計者 栁原逸聖(やなぎはら・いっせい) 1994年 大阪府豊中市生まれ 2012年 大阪市立工芸高等学校卒業 2012年 神戸芸術工科大学入学

7

超える大規模クラス太陽光発電のことを指しています。今回の設計では出力

ソーラーパネル架台立面図 S=1:20

を 310kW としていますが、これは農家三軒が設置時に地方銀行や信用組合 などから融資を受けることのできる数値に設定しています。自己出資の場合 は、これよりも小規模 (10kW ∼ 50kW) にとどめるのが理想です。


集落専用道

便所

木材貯蔵スペース

風呂 脱衣所 便所

簡易ペレットボイラー

リビング

パワーコンディショナー 制御機械室

個室

ダイニング

個室

土間

農作業用車両庫

キッチン

土間

書斎

個室

農具保管棚

便所

脱衣所 ダイニング 風呂 キッチン

ダイニング 脱衣所 キッチン

展望台 +1500

倉庫

個室

鉄塔

風呂 +1000 立体路地

+500

+500 集会広場

酒屋兼タバコ屋

水面

農産物直売所

ミニ喫茶店

朝市専用ゾーン

設備保安事務所

売電モニター

駐車場 ( 外来専用 )

駐車場 ( 集落共用 )

平面 1/450

西立面 1/400

パネルの下に空気が流れ表面温度が低下し、発電効率が向上

展望台からパネル群を望む

パネルの高度利用は、水害時の浸水リスクを防ぐ 農地に影が落ちないように間隔をあけて住戸を配置

パネルが人工森林の役割となり、冷えた空気が住戸に

農地に適切な影が落ち、作業効率が向上

断面 1/400

6


定 だ。 そ れ ら が ア ー チ で 支 え ら れ た

美しいフレームによって農地の上に

浮 か び、 パ ネ ル の 隙 間 か ら 十 分 な 日

光 が 作 物 の 上 に 降 り 注 ぐ。 フ レ ー ム

は、 そ の 下 を ト ラ ク タ ー 等 が 通 る こ

と の で き る 高 さ で あ り、 ビ ニ ー ル ハ

ウ ス の 骨 組 み に も 転 用 で き る。 国 道

か ら 少 し 空 き を と っ て 建 設 さ れ、 道

駅前中心市街地のない竜王町における、幹線道路沿いの系統電力線を活用した都市の将来像

路 沿 い の 景 観 に も 配 慮 が あ る。 そ し

て三軒の農家がこれらの装置を使っ

て 農 業 と 発 電 に 携 わ り、 農 作 物 の 一

部は直接販売もしようという計画だ。

発 電 技 術、 法 律 上 の 問 題、 建 設 費 用

と 売 電 収 入 の 経 済 的 バ ラ ン ス、 エ ネ

ルギー政策との関係などについても

よ く 調 べ て お り、 筋 の 通 っ た 社 会 的

提案になっている。

このようなユニットが平野の中に 展 開 し て い け ば、 現 代 の 日 本 の 農 業

が抱えるさまざまな問題も少しずつ

解 決 し、 新 た な 生 活 像 と 風 景 が 生 ま

れ て い く こ と だ ろ う。 社 会 的 問 題 を

デザインの力で解決しようとした真

摯 で 総 合 的 な 提 案 で あ り、 ま さ に 当

学科の卒業制作と呼ぶに相応しい作

品として高く評価できる。

日本国内の主な系統連系システム

日本と原子力エネルギーの関わり

逆潮流ありシステム ( 売電・買い取り )

分電盤

太陽電池アレイ

パワーコン ディショナー

Wh

系統電力

Wh

長崎

広島

青森県六ケ所村

公園を利用した発電施設

負荷機器

東日本大震災震源 北緯 38 度 06.2 分 東経 142 度 51.6 分

逆潮流なしシステム ( 発電量よりも需要が大きい場合 )

分電盤 系統電力 太陽電池アレイ

パワーコン ディショナー

負荷機器

全量買い取りシステム ( メガソーラーなど )

福井県

地表面から1mの高さの空間線量率 (μ㏜/hr)

●敦賀

系統電力

Wh 太陽電池アレイ

●若狭

化石燃料に依存しないビニールハウスの温度管理

パワーコン ディショナー

●小浜

●舞鶴

民間企業による営農型発電の実施、足元の農家への賃貸収入

●米原

30km

営農型発電で I ターン促進

60km

60km

30km

80km

滋賀県

●高槻 ●宝塚 ●茨木 ●豊中

パワーコン ディショナー

20km

滋賀県蒲生郡竜王町

●京都●大津

●亀岡

負荷

80km

●近江八幡

京都府

●篠山

●彦根

琵琶湖

●京丹波

独立型システム ( 離島・中山間地域・防災施設など )

太陽電池アレイ

●長浜

20km ●福知山

福島第一原子力発電所事故

福島第一原子力発電所の事故と同尺スケールで対象敷地の関係を俯瞰する

蓄電池

関西のサークルの中心は 2016 年 1 月下旬に原子炉再稼働予定の福井県の高浜原発

地域に根差した農業法人による大規模営農型発電 地方銀行・信用組合からの融資刺激

太陽光発電は直流電力のため、交流電源である負荷機器や系統電力に接続 するために、パワーコンディショナーと呼ばれる機器を接続し直流を交流に

日本はこれまで世界で唯一の原爆投下を受けた国でありながら、戦後にお いて原子力の平和利用を進めてきた国でもあります。しかしながら、東日本

変換する必要があります。また、接続箱、交流側開閉器、電力量計などとい

大震災における福島第一原子力事故などを受け、改めて日本のエネルギーの

った制御機器との接続が不可欠です。この一連のシステムを「系統連携シス

ありかたを考え直す時代になったといえます。関西では高浜原発の再稼働の

テム」といい、今回の設計では買取と売電の両方が可能な、逆潮流ありのシ

動きがありますが、関西 1400 万人の水源ともいわれる琵琶湖や、 その水脈

ステムを使用しています。

を利用して農業などの生業を営む大勢の農家の存在を忘れてはなりません。

耕作放棄地の削減、土壌環境維持

滋賀県だけで、(2010 年時点 ) 営農面積は 4 万 ha、耕作放棄地は 1200ha

営農型太陽光発電における農水省の法的見解

ともいわれています。営農と発電の両立は、工場や家屋の屋根に載せるだけ

農地を維持しながら公共施設のバックアップ電源に 農用地区域内農地 甲種農地 第一種農地 第二種農地 第三種農地

であった太陽光発電よりも効率が良く、なおかつ耕作放棄地などを利用して

蓄電池を利用し、まちの街灯を増やす 農地転用は原則不許可 一時転用許可へ

もつ可能性があります。

経済成長から縮小時代へ、都市と農村の関係性の再構築

集落全体の発電需要をまかなう 集落単位での共同管理

農地転用は原則許可

農地へ再転用不可能な状態にするメガソーラーよりも、高いポテンシャルを

これまで

燃料調達

大規模発電所 ( 火力・原子力 ) 農村

2013年4月1日には農林水産省から告示された 「支柱を立てて営農を継続

大規模送電網

海外

する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」の

水源供給

農村

ガイドラインにはこの営農型発電設備を以下のように認めています。 1 一時転用許可

食糧供給

郊外

食糧輸入

(1) 農地に支柱(簡易な構造で容易に撤去できるものに限る。以下同じ。)を立てて、 営農を

通勤

継続しながら上部空間に太陽光発電設備等の発電設備を設置する場合には、当該支柱につい て、農地法(昭和 27 年法律第 229 号。 以下「法」という。)第4条第1項又は第5条第1

都市

工業製品輸出

項の許可 (以下「転用許可」という。)が必要となる。この場合の発電設備(以下「営農型

郊外

社会移動 人口供給

発電設備」という。)については、当該設備の下部の農地(以下「下部の農地」という。)に おいて営農の適切な継続が確保されなければならないことから、農用地区域内農地(運用通 知第2の1の (1) のアの農用地区域内にある農地をいう。)、甲種農地(運用通知第2の1の (1) のウの甲種農地をいう。)又は第1種農地(運用通知第2の1の (1) のイの第1種農地を いう。)における支柱の設置について、一時転用許可の対象として可否を判断するものとする。

これから

ソーラーパネルの高度利用のメリットと課題

これは、これまで原則的に農地転用許可が下りなかった農用地区域内農地、 1.1

甲種農地、第一種農地でも営農型発電が許可対象になるという指針です。

日本における太陽光発電施設の 1kW あたりの導入単価は、 平均で 25 万円 だといわれています。今回の設計では 310kW の出力設備になるため一世帯に 2584 万円、三世帯合計で 7750 万円の費用試算になりました。 太陽光発電シ ステムは1kW あたり年間で 1000kW 程度の発電を行うので、 年間発電量は 31 万 kWh 程度の発電が見込めます。現在の電力の FIT( 固定価格買取制度 ) では 10kW 以上の出力の発電設備において 1kWh あたり 27 円の売電価格とな

5.0m

農村 食糧供給 + 電力供給

グローバル化

0.9

インバウンド

都市

0.7

郊外

U ターン・I ターン 逆通勤

1.0m 25

0.5m

30

40

50

60

70 温度 (℃)

メガソーラーなどの太陽光パネルは、これまで低高度の利用を前提としていましたが、高度化を図ることで水害による基盤 の水没リスクを抑え、農作物の損害による農家への損失リスクを分散することができます。また、パネル下の空気の流れが生

て建設費用の 7750 万円+借入利子を返済していくことになります。各自治体

まれ、従来の屋根に置いた際にうける熱伝導がなくなるため、表面温度が低下し発電効率が向上されます。一方で架台は高く

の補助金制度や、民間ファンドによる投資の活用で、さらなる建設価格の低下

5

食糧輸出

1.0

0.8

2.0m

るため、年間で 837 万円の売電収入が見込めます。 この売電収入をもとにし

が望まれます。

海外

ベースとして何らかの大規模発電は必要

農村

水源供給 + 電力供給

浸水の目安 発電出力比

建設費用とその回収について

大規模発電所 ( 火力・原子力 )

燃料調達

太陽光発電の表面温度と出力影響の関係

すると風圧計算が複雑になるため、現在の ( メガソーラーも含めて ) 建築基準法の適用を受けていない現状を変え、普及を進

『竜王町防災ハザードマップ』より抜粋

めていく一方で構造的技術者による安全性を担保する必要性があると認識しています。

一極集中型電源開発から、多極分散・地産地消型電源開発を通して強い経済基盤をつくり、 地方での農業就農、定住促進や地方への通勤など、社会のあり方を再構築する必要がある。

日本はこれから有史以来の人口減少時代に突入します。これまでの経済成 長の基盤だった輸出を主軸とする経済のあり方を見直し、多くの地域資源を 活用していく時代にしていく必要があります。


う け い

ソーラーパネルがつくる 新しい農村風景 花田佳明

」と題され .kWh. た 本 作 品 は、 ソ ー ラ ー パ ネ ル に よ る

「道沿いの建築土木

発 電 と 農 業 と を 融 合 し、 こ れ か ら の

日本全国が抱える課題

農家と農村のあるべき姿を描いた提

案である。

場 所 は 滋 賀 県 の 竜 王 町。 農 村 集 落 が点在する美しい平野が広がってい

る が、 そ こ に も 人 口 減 少 や 農 業 衰 退

の 波 が 押 し 寄 せ て い る。 国 道 沿 い に

は ア ウ ト レ ッ ト モ ー ル が 建 つ な ど、

風景の均質化も進む一方だ。

栁原逸聖はその平野を横切る幹線 道 路 沿 い の 農 地 の 上 に、 太 陽 光 を 妨

敷地について

げずにソーラーパネルを設置する仕

組 み と、 そ れ ら を 管 理 す る 三 軒 の 農

家および農作物の直販施設を設計し

た。 営 農 型 太 陽 光 発 電 と 呼 ば れ る ア

イディアの具体化である。

ソーラーパネルは1345㎜× 3 4 5 ㎜・ 6 4 W 型 を 4 8 3 0 枚 設

置 し、 約 3 1 0 ( 一 般 家 庭 約 9 0

世帯分)の電気を作り出すという想

kWh

2015年度卒業制作 学長賞 ふ う け い

道沿いの建築土木 .kWh

竜王町の解決すべき課題の現状と提案

12E0065 栁原逸聖

この施設がめざすもの 都市

日本全国の人口減少に加えて、東京一極集中や限界集 落など、マクロな視点で考えるべき問題が山積していま

長距離送電

竜王町 火力・原子力発電

す。また、近年よく聞くことになった「消滅可能性都市」 とは、2040 年までに若年女性人口 (20∼39歳 ) の減 少率が50% を上回る自治体で、国立社会保障・人口問

消費

題研究所による推計を基に日本創生会議および『中央公

琵琶湖

日本全国で 894 市町村がこの「消滅可能性都市」と認定 され、全国レベルでの対応が求められています。 滋賀県蒲生郡竜王町

2011 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災は未曽有の

大津市

原子力災害を引き起こし、原発から数百キロ離れた都市 滋賀県

対象敷地:滋賀県蒲生郡竜王町綾戸北地区および島地区集落

滋賀県竜王町は滋賀県東南部の蒲生平野に位置し、東西 7.6km、南北 8.5 ㎞、面積 4,452ha の稲作を中心とした自然的土地利用を進めている地域です。平成 27 年 9 月現在においては、 竜王町の人口 12,443 人、世帯数は 4,244 世帯の規模を誇っています。 古くから近江米の主要 産地として栄え、平安鎌倉期には東国路の要衝として、江戸期には中山道街道町として賑わっ てきました。現在においても農業を基幹産業とする地域ではありますが、近年は新名神高速の 竜王インターチェンジの開設に伴って、工業団地および商業アウトレットの進出や宅地開発な

部が停電危機に陥るなど、日本における将来的な電源開 発を見直すきっかけとなりました。また、昨今では COP 21制定に伴い、温室効果ガス削減への国際協力が必須 となっています。また、欧州で先立って導入されていた 電力の売電自由化制度が日本でも導入されることが決定 し、日本全体における電力の経済的な枠組みが、大きく 変化しようとしています。

電力 農作物 水

論』2014 年6月号において増田寛也氏が発表しました。

地産地消

・電力生産 ・食糧生産 ・水質維持 ・木材消費

農作物・森林資源 水質資源

中山間地域

対象敷地である滋賀県蒲生郡竜王町は、近年の新名神高速道路の開通や周辺地域の人口

滋賀県蒲生郡竜王町は、琵琶湖の上流に位置し良質な水質資源を関西一帯にもたらして

増加にともない、交通量が増加している地域です。一方で、人口減少に悩まされているこ

います。加えてここで生産される農作物は都市部へと供給され、都市と農村部の経済的な

の地域は、利便性の向上や雇用改善策としてロードサイド開発を期待する声がありますが、

関係性が維持されてきました。ここに農地を活用した太陽光発電施設をつくり、エネルギ

一方で美しい田園風景を失いたくないと考える住民も存在しています。そこで、地域の生

ーを都市部へ供給している農村を現代的な視点からアップデートします。

業に根ざしながら、環境や地域経済の発展にも貢献できる新しいビルディングタイプとし て全国で実験段階にある 「営農型太陽光発電施設」と共存する住宅と店舗を設計します。  営農型太陽光発電とは、農地の上の架台部分を「農地転用一時許可」を得たうえでソー ラーパネルをのせ、農業収入に加えて売電収入を得るシステムです。2013年3月31日に農 林水産省から「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等について農地転用許可制度

施設 接続

どが進んできています。

農林水産省が 2015 年 11 月に発表した「2015年農

上の取扱いについて」のガイドラインが提示され、2014年5月1日に施行された「農山漁村

地域の空間的課題としては、既存集落が古くから圃場整備された碁盤上の計画なかに広域的

林業センサス」によれば、 同年 2 月1日時点での農業就

再生可能エネルギー法」などの地方経済の活性を目指した法整備が進んでいます。今後は

に存在し、加えて市内に駅が存在せず、鉄道や中心市街地にむけたコンパクトなインフラ整備

業人口は過去最少の 209 万人に落ち込み、 5 年前の調査

これらのビルディングタイプが大きく発展していくことが予想でき、建築を大きく超える

ができないことが挙げられます。また、自然環境の保全を重視し優良農地が多いこの地域では、

に比べ 51 万 6000 人の減少を記録しました。また直近で

スケールで展開する可能性が高く、環境デザインを求められる領域と充分なり得るもので

田園をなくすような大規模な資本投機は現実的ではない一方で、人口減少という課題を乗り越

は TPP( 環太平洋経済連携協定 ) の合意があり、 今後は

あると認識しています。また太陽光発電施設は、基本的に系統電力との接続のために三相

本計画は、 集落内のミクロな経済圏とロードサイドの大きな経済圏を巻き込んだ施設を

えなければならないジレンマを抱えています。

低い関税の農作物が輸入され、 農家経営はますます苦し

電力線の近辺に設置されるケースが多く、竜王町の特徴として町内に鉄道路線がないため

計画しながら、 地域の生業に根ざしたエネルギー関連施設をつくることによって、人口減

竜王町全面積 4452ha のうち、市街化調整区域は 4,130ha、市街化区域 ( 用途地域 ) は 322ha

くなるといわれています。 農業法人化整備などの動きも

に商店街のような駅を中心とした中心市街地がないことが挙げられます。ここでは幹線道

少時代における新たな都市像の提示を目指すものです。これからは建築の領域のみならず、

となっており、竜王町の大半の面積である約 92.8% が市街化調整区域、農業用地であることか

ありますが、農業生産輸出競争において米国やオーストラ

路沿いにコンパクトなインフラ整備をしていくのが望ましく、太陽光発電施設が必要とす

人口減少問題、農業問題、電力再編、環境問題、地域景観、地域経済、合意形成など様々

らその開発の難しさが示されています。

リアに比べて日本は狭小な土地である懸念もあります。

る三相電力線はこの幹線道路に沿って整備されているのです。

な分野の課題を俯瞰し、 総合的な解決策を示すことが 求められるのではないでしょうか。

4


建築に対する意識の変化

いことを仕事にしてもいいかなって 思っていましたね。

て、これからデザインしようと心に

さ れ て い る。 そ う い う こ と を 意 識 し

た。もっと社会に近い提案が必要と

はそれを変えていきたいと思いまし

なんだったのか考えたいと思ってい

戦後、日本の時代の大きな区切りは

れを発展させて、修士論文では戦前

『 新 建 築 』 に つ い て 論 じ ま し た。 そ

進 み ま す。 卒 業 論 文 で は、 建 築 雑 誌

への取り組みをしていましたか?

て、僕の作品は優秀作として廊下に

栁 原 二 年 生 の 住 宅 課 題 が 終 わ っ

決めました。

ま す。 例 え ば 東 日 本 大 震 災 の よ う

展示されなかったんです。その理由

栁 原 大 阪 府 豊 中 市 生 ま れ で す が、 大阪の中で色々な場所に引っ越しま 生からの評価は良かったんです。だ

はこつこつとやっていた僕の方が先

栁 原 同 学 年 の 岡 田 真 弥 く ん と は、 同じ高校だったんですよ。高校時代

藤村事務所は、みんなバチバチし た 人 ば か り で ……( 笑 )。 東 京 と 関

クに行くことにしました。

事務所に二〜三週間、オープンデス

京に行こう!」と。藤村龍至さんの

は 東 日 本 大 震 災 以 降 の 流 れ で す し、

し ま し た。 メ ガ ソ ー ラ ー が 並 ぶ 風 景

ま え た ま ち づ く り、 都 市 計 画 を 提 案

栁原 はい。卒業制作では、ソーラー パネルと農地を両立させ、それをふ

その決心が卒業制作にも繋 — がっている?

と思っています。

きるのか。そのために力を磨きたい

があったのか?

そ れ な の に、 建 築 に 打 ち 込 む — ようになった理由は?

した。小さい頃はかなり静かな子供 けど大学に入ったら、受け身で授業

西の建築に対する空気感が全然違う

農業は最近のTPP合意などがあっ

に、建築家の思想を変化させたもの

だったんです。絵を描くのが好きで、 を受けているだけではだめだったん

と感じました。何でだろうと思って

栁原くんは出身はどちらです — か? をずっと考えていて、その答えが見

黙々と山の絵を描いていました。 ですね。彼との間にどんどん実力の

いた時に、藤村さんとお話する機会

つかるわけではないんですけど、 「東

一方で、土日はボーイスカウトを やっていました。街中の空気が嫌で 差がついてしまった。

け身な感じで進学しました。でも高

もたくさんあるのではないかと、受

と思って……。建築だったら就職先

だからそういう道に行った方がいい

由は、なんとなく絵を描くのが好き

栁原 高校は大阪市立工芸高等学校 の建築デザイン科へ進みました。理

会で僕の案を京都工芸繊維大学の長

れなかった。でも、審査委員の座談

んは一〇一選に選ばれて、僕は選ば

か っ た。 「建築新人戦」でも岡田く

それから頑張ったんですけど、一 度つけられた差はなかなか縮まらな

だったと思います。

を 学 ば な け れ ば と。 ぼ く の 転 換 点

うね。そのあたりから積極的に建築

意地みたいなものがあったんでしょ

ぱり悔しかった。自分の中でなんか

の作品はその後に小さく……。やっ

ん の 作 品 は PRAXIS の見開きペー ジに大きく掲載されていました。僕

二年生の初めて設計課題である 「 ま ち な か フ ァ ク ト リ ー」 で 岡 田 く

クボーンを建築のデザインへ投影し

学生も家族が被災されて、そのバッ

オープンデスクの時に僕の隣にいた

て、やる気が全く違う気がしました。

同世代の東京の学生は、高校三年 生の時に東日本大震災を経験してい

気がしました。

んとなくリアリティに欠けてしまう

という街で建築の提案をした時、な

だけど、僕は一九九四年生まれで、 震災の記憶がない。その世代が神戸

ている。

の建築家と共鳴するようになってき

その経験が東日本大震災以降、関東

の阪神・淡路大震災を経験していて、

三〇〜四〇代の建築家は一九九五年

がありました。関西で活躍している

います。

話しようと過ごしてきた結果だと思

社会を見ようと、社会とちゃんと対

うだけで……。自分の中で意識して

たまたま卒制として形になったとい

降、ずっと考えてきました。それが

そういう社会的な情勢を読み込ん でつくる提案を、オープンデスク以

した。

るようなデザインをしたいと考えま

都市の人口減少問題にも立ち向かえ

に、地域を活性化することで、地方

シャルを活かせればいいなと。同時

しながら土地を持っているポテン

う い う 状 況 を ふ ま え て、 営 農 を 継 続

か が 争 点 と な っ て く る で し ょ う。 そ

て、国際競争の中でどう勝ち残るの

リッドになるといいですね。

そ の ど ち ら か を 選 ぶ の か、 融 — 合 さ せ て い く の か。 う ま く ハ イ ブ

かなとも思いますし……。

思想を発信していくのが一番いいの

代なので、デザインしながら自分の

などで誰でもメディアをつくれる時

のが本音です。ただ今は、ツイッター

くて、まだ決めきれていないという

くということもしたい。両方やりた

栁原 雑誌の編集にも興味がある し、 建 築 デ ザ イ ン で 社 会 を 変 え て い

将来的には設計の仕事に進み — たいのですか?

また、設計も続けて行っていきた い。社会に対してどういう提案がで

山にキャンプに行ったらとても楽し

校で建築の勉強を始めたら、ちょっ

坂大先生が評価してくれて、見てく

ているように感じました。その重み

かったことを覚えています。うちの

とおもしろかったので、大学でも続

れる人はちゃんと見てくれるんだ

建築を志そうと思ったのはど — うして?

で、それはよかったと思います。

両親は好きなことをさせてくれたの

けようと神戸芸術工科大学に進学し

なって。だから、努力し続けなくて

いるのです。

「軸」になるのではないかと考えて

つ こ と が、 他 の 人 と は 違 う 自 分 の

を 提 案 す る こ と。 ふ た つ の 視 座 を 持

考えることと社会性のあるデザイン

栁原 そのための大学院の二年間に したいと思っています。メディアを

ました。

栁原 神戸芸術工科大学の大学院に

卒業後の進路は? —

ふたつの視座 というか、建築への思いの強さには

関西の建築学生にはのほほんとし ている空気があると実感して、自分

んです。

太刀打ちできないと危機感を覚えた

はならないと思いました。

オープンデスクでの気づき

だけど、一年生の時は自分の興味 は全然違う方向にいっていたんで す。携帯電話が好きなので、そうい うアプリケーションを作る仕事と

そ の 他、 学 生 時 代 に 何 か 建 築 —

3

か、プログラミングとかしてみたい と考えていました。建築と関係のな

インタビュー:石坂美樹 テキスト構成:熊澤花絵 撮影:川下史博(TourbillonDesignStudio)


I S S E I YA N A G I H A R A

栁原逸聖

学長賞インタビュー

2


Contents

[学長賞インタビュー]栁原逸聖 ふ う け い

02

[卒業制作 学長賞]道沿いの建築土木 .kWh

栁原逸聖

04

[卒業制作 環境デザイン賞]Nature, Artificialities, Intersection ~ shin-Kobe

川下 史博

10

[卒業制作 奨励賞]大森菜央・池村友希・上田恭平・岡田真弥・上村昂平・

11

國重裕太・澤井克優・鈴木勇司・橋元一成・孫帥亮 [卒業論文 環境デザイン賞]うめきた広場における空間構成とアクティビティに関する研究 岡田真弥

16

[卒業論文 奨励賞]岡村明日佳・上村昂平・國重裕太・鈴木勇司・火置彩子・

18

松下真子・栁原逸聖・松本達郎・川下史博 [1年生の主な授業]

20

[小規模な公共建築のデザイン]すきまの居場所

田中祥恵

22

[小規模な公共建築のデザイン]木漏れ日

湯浅千夏

24

[小規模な公共建築のデザイン]-UGOKU- 視線の先にあるもの

森本実弥

25

[小規模な公共建築のデザイン]TUBE

丸岡龍平

25

[広場・公園のデザイン]四つの面

齊藤雅紀

26

[広場・公園のデザイン]UP▶ DOWN あがる▶︎さがる

岡田征篤

28

[広場・公園のデザイン]Converted Plaza

中村文哉

29

[すまいのデザイン]つなぐ。

齊藤雅紀

30

[すまいのデザイン]木と暮らす

田中祥恵

32

[すまいのデザイン]緑と暮らす家

田中黎哉

33

[小学校と幼稚園のデザイン]感じるこころ

坂上みなみ

34

[小学校と幼稚園のデザイン]as one grows older

藤田千夏

36

[小学校と幼稚園のデザイン]遊びと学びの場

酒井厚樹

37

[小学校と幼稚園のデザイン]まちの居場所。

南野真有美

37

[集合住宅・住宅地のデザイン]広がるまち 中園侑希・村田六花

38

[集合住宅・住宅地のデザイン]街でできた海 小松克也・坂上みなみ

40

[集合住宅・住宅地のデザイン]スキマ。に生まれるもの 山下今日子・渡邉果歩

41

[住居・インテリアデザイン総合実習]すみごこち

坂上みなみ

42

[住居・インテリアデザイン総合実習]庭に暮らす

井上咲野花

44

[住居・インテリアデザイン総合実習]路地のある暮らし

國本愛未

44

[住居・インテリアデザイン総合実習]Flexible Life

小笹コスモ

45

[住居・インテリアデザイン総合実習]みんなちがってみんないい

正木賀子

45

[建築デザイン総合実習]雑多のヒカリ

藤田千夏

46

[建築デザイン総合実習]シンボリックと象徴

伊東大晴

48

[建築デザイン総合実習]ふらっと入った道の先に ...

田中真菜美

49

[都市・ランドスケープデザイン総合実習]まちと、まちを。

南野真有美

50

[都市・ランドスケープデザイン総合実習]路地でつなぐまち

黒田実香

52

[都市・ランドスケープデザイン総合実習]和田岬小学校 まちなかネットワーク

細川悠貴

53

[吉良森子ワークショップ]老人ホームのリノベーション

54

[TOPICS & COLUMNS]

58

親子でまちの魅力発見!「ミキシル」紹介 細川悠貴 「tiny space」ができるまで 2014 年度 住居・インテリア総合実習・実施作品

久木楓

Workshop in kankyo lab 2015 - いちぶんのいち -

中園侑希

老朽化した住戸のリノベーション「アクセント」

小松克也

篠山市古民家再生プロジェクト 熊澤花絵・齊藤真紀 トークセッション 2015「シミュレイテッド・ランドスケープ」

長濱伸貴

環境デザイン学科最終講義 教員・研究室紹介

69

環境デザイン学科 4年間の学び

72

学科ニュース+編集後記


プラクシスとは:自由人による公共的な事物のための討議や創造的実践を意味する

この作品集は、神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科の 2014年度の主な設計実習と卒業研究、学科活動の成果をまとめたものである。 PRAXIS 2016 環境・建築デザイン学科 2016年4月1日 初版一刷発行 編集委員:花田佳明・山之内誠・中村卓 編集:石坂美樹 (miki ishisaka editorial office) 発行:神戸芸術工科大学 環境デザイン学科 〒 651-2196 神戸市西区学園西町 8-1-1 TEL 078-794-5031 FAX 078-794-5032 URL http://www.kobe-du.ac.jp/env/ ふ

表紙:道沿いの建築土木 .kWh 栁原逸聖

Photo: Yuta Kunishige


神戸芸術工科大学 環境デザイン学科

2016


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.