アクティベート ・ リーフ No.746
Dinner Date ディナーデート 著者不詳
結
婚後 21年が たってから、私は愛 を生かし続けるための新しい方法 を見出しました。 少し前に、別の女性と出かけたのです。 実を言えば、それは妻の考えでした。 「あなたが、彼女のことを愛してるの は分かっているわ。 」ある日、妻からそ う言われ、あぜんとしました。 「でも、僕が愛しているのは君だよ。」 「知っているわよ。でも、彼女のこと も愛しているでしょ。」 私が会いに行くよう妻が言っていた別 の女性とは、19 年前に未亡人となった 私の母です。私が母を愛しているのはも ちろんですが、仕事が忙しく、子どもが 3人いるので、たまにしか会えていなかっ たのです。その夜、母に電話して、夕食 と映画に誘いました。 「どうしたのよ。 体調でも悪いの」と 聞かれました。母は、夜遅くの電話や突 然の招待は悪い知らせがあるからだと疑 うタイプです。 「一緒に時間を過ごしたいと思ったん だよ。二人だけでね。 」 母は少し考えてから、 「ぜひそうした いわ」と言いました。 その週の金曜、仕事が終わって、母を 迎えに行く車の中で、私は少し緊張し ていました。到着してみると、母もこ の「デート」に緊張しているようでした。 コートを羽織り、戸口で出迎えた母は、 髪の毛をカールさせて、最後の結婚記念 日のお祝いに着たドレスを着ています。 微笑んでいる母の顔は、まるで天使のよ うに輝いていました。 「息子とお出かけだって友だちに話し たら、みんな、いいわねって言ってたの。 」 車に乗りながら、そう言ってきました。 「どれほど素敵な時間を過ごしたか、早 く聞きたがっていたわ。 」 私たちが入ったレストランは、高級で はないけれど、こぢんまりとした素敵な
ところです。母は、自分がまるで大統領 夫人でもあるかのように、私の腕を取っ て歩きました。席に着くと、私が母の ためにメニューを読みました。字が大 きくないと、母は読めないからです。 メインディッシュを半分ほど読んだ ところで目を上げると、母が私を見つ めていました。昔のことを思い出して いるような微笑みを口元に浮かべてい ます。 「あなたが子どもの頃は、私がメニュー を読んであげてたのにね。」 「今は僕がさせてもらう番だから、楽 にしててね。 」夕食をしながら楽しく語ら い、近況を報告し合いました。 話が弾んだので、 映画を見る時間が なくなったほどです。母の家に着いた時、 「またあなたと一緒に出かけたいけど、 今度は 私から誘わせてね 」と言われ 、 私は同意しました。 帰宅すると、 「ディナーデートはどう だったの」と妻から聞かれました。 「すごくよかったよ。予想をはるかに 超えてよかった。 」 それから一週間して、母は重度の心 臓発作を起こし、その数時間後に死亡 しました。母のために何かをしてあげ る機会もないほど、あまりにも突然の ことでした。 でも、それから少しして、封筒が届 いたのです。中には、母と一緒に食事 をしたあのレストランから発行された 領収書が入っており、短い手紙が 添えら れていました。 「支払いは、私が前もっ て済ませておきました。私はまず行けそ うもないけれど、2 人分払っておいたの で、あなたたち夫婦で行ってください。 あの晩、一緒に過ごせて、本当に嬉し かった。愛してるわ。 」 その時、私は気づきました。遅くなり すぎる前に「愛している」と言うことや、 家族と時間を過ごすことの大切さを。
い ち ぶ
余分の「一分」
キース・フィリップス クラークとメアリーは恋人同士です。クラークのプロポー ズをメアリーは承諾したのですが、それで済むほど単純なこ とではありませんでした。楽しく円満な結婚生活を始めるに は、メアリーの両親であるクラレンスとゴールディ、特に母 親のゴールディの承諾を得なくてはいけないと、クラークは 分かっていました。義母というものは、ちょっと難しい時も あると聞いていたからです。クラークは、うまくいくことを 願いつつ、心の準備をしました。 「結婚というものは『五分五分』の関係だって、分かって いるわよね。」ゴールディがクラークを試してきます。 「いいえ。」クラークは一瞬のためらいもなく、答えました。 「僕たちは『六分六分』で行きます。」 そして、そのとおりになったのです。 以上は、ある幸せな家庭の始まりについて、本当にあった 話です。それから数年後、私は幸運にもこの家族の一員とな りました。 シンプルな話ではあるけれど、重要な真理が含まれている と思います。良好な結婚関係や幸せな家庭を築くには(さら に言えば、どんな関係でも、それがうまくいくには) 、自己犠 牲の精神で、日々小さな愛情深い行動をすることが必要です。 今回は誰の番だったかなど気にせずに、自分から喜んで余分 の「一分」を与えるのです。誰かからそうされたら、嬉しい ものですよね。 でも、年月が経つにつれ、良い時も悪い時もあるし、困難 や落胆もある中、あなたと家族の関係を助けてくれるこのよ うな愛を、どうすれば持てるのでしょうか。それは、すべて 良きものの源である神ご自身から来るのであり、神にお願い すれば、その愛を授けてくださいます。 「あらゆる良い贈り 物、あらゆる完全な賜物は、上から、光の父から下って来る。 わたしたちにすべての物を豊かに備えて楽しませて下さる神」 から来るのです。 (ヤコブ 1:17; 1 テモテ 6 :17)
「アクティベート・リーフ」は、英語の「Activated」誌からの記事を翻訳したものです。その他の記事は、ホームページでご覧頂けます。 http://www.activate.jp
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Translated from English Activated Magazine Vol. 21-8 p8-9
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