アクティベート ・ リーフ No. 816
WILLIE AND THE FIVE-MINUTE FAVOR ウィリーさんと 5分間の親切 東
アイリス・リチャード
アフリカ最大級のスラム街の外れにある集会場で、生 活困窮者(ほとんどは夫をなくした人や障がい者)に、 1 つ 10 キロの支援物資パッケージ 50 個を配布し終えよう としていたところでした。 プロジェクトが終了したことを嬉しく思いつつ、帰ろう としていると、同僚のサリーが最後のパッケージを手にし て、こう言いました。 「帰る前に、坂の上のウィリーさんに ちょっとこれを届けましょう。足が悪くてここまで来られ なかったから。 」 私は汗まみれで疲れ果て、 背中も痛くなっていました。 「坂 の上」と言えば簡単そうですが、雨が降った後のスラム街 の通路はぬかるんでおり、彼の小屋へ行くには、たくさん の岩やゴミを乗り越えていく必要があります。 私は、また別の時にすればと言いかけました。でも最近、 次の言葉をオンラインで読んで感銘を受け、私も「5 分間の 親切」をしようと決意していたことを思い出したのです。 「世界をもっといい場所にしたいですか。 ・・あなたも 5 分 間の親切をしてみましょう。その呼び名からも分かるように、 極めてシンプルなことあり、1 日に 5 分間を使って、他の人 の助けとなるようなことをすればいいのです。 ・・それは、 あなたにとっては、さほど負担にならないことですが、相手 1 にとっては、その人生に大きな影響を与えうることです。 」 ペンシルベニア大学ウォートンスクールのアダム・グラン ト教授も、5 分間の親切の提唱者であり、ビジネススクール の教授のものとはあまり思えぬ新鮮な姿勢で、人生や成功 へのアプローチをしています。教授の研究が焦点を当てて いるのは、 「ギバー」 (与える人) 、つまり、同僚に助けの手
を差し伸べる人となるほうが、 「テイカー」 (自分 の利益を優先する人)になるよりも、最終的に多 くの成功と尊敬を得られるということです。また、 それをテーマに丸一冊、本を書いています。教授 が調査したところによれば、例えば成績のいい販 売員は通常、他の人の役に立ちたいという願望の レベルが高い傾向にあることが分かっています。 仕事中に喜んで誰かの役に立とうというのは非 常にいい考えではあるけれど、そういった人生観 について多くの人が抱える問題は、そんな時間が どこにあるのか、ということです。グラント教授 は、誰かの役に立とうとすることが、すべてそれ ほど時間のかかるものである必要はないと強調し 2 ています。