最近、私の日々の生活は隋分と楽しい雰囲気に変わりま した。何か特別に楽しいことをしているわけではなく、む しろ退院して以来、かなり単調な毎日です。それなのに、 なぜか以前よりも楽しい気分で過ごしているのです。
いったい何が起きたのでしょう。何か特別な出来事があっ たわけではありませんが、思い当たることなら一つ あります。それは、決意というほどではないも
のの、「そうだ、せっかくなら楽しく過ごそ う!」と思って、もっと笑ったり、意識 的にちょっとしたことを楽しんだりする ようにし始めたのです。
それ以来、私たち夫婦は前よりも笑 うようになりました。それも、たわい もない、むしろ馬鹿げたことで大笑い しています。そのせいか、いつも何と なく幸せです。例えば、主人は私を元 気づけようとして、わざと面白い顔を したりするのですが、以前の私なら、何 をふざけてるの、と思い、ちょっと笑う程 度でしたが、最近はわざと大笑いするので す。そうすれば、一緒に楽しい気分になれます。
また、外を歩いていて興味深いものを見つけたり、 きれいな花を見かけたりしたら、ちょっと足を止めて、観 察したり写真を撮ったりします。そうやって、小さなこと を大きく楽しむようになったのです。
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そして、「嬉しい」とか、「楽しい」とか、「おいしい」といっ たポジティブな感情を、あえて口に出して表現するように なりました。そうすると、一緒にいる人の気分が良くなる だけでなく、自分の気持ちも上がるのです。
さらに、同じことをひとりの時にもやってみました。ボ ソボソ独り言を言うのではなく、子どもがはしゃぐ時のよ うに元気よく言うのです。すると、一人なのにとっても楽 しくなってきました。まるで、自分の中に眠っていた「子 ども」が解き放たれたような感覚です。
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もう一つ変わったのは、以前だったら、失敗したり、う まくできないことがあったりすると、すぐがっかりしたも のですが、最近では、自分の失敗や弱さでさえ笑い飛ばせ るようになったのです。
たとえば、こんなことがありました。主人とテレビの情 報番組を見ていた私が、話されていた内容について、「へー、 それってすごいねー」と言うと、主人が、「その話、この前 も別のチャンネルでやっていて、その時にも、『へー、すご
いねー』と言ってたよ」と言うのです。
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忘れっぽくなってきた私には、そういうことが度々起こ ります。以前なら、忘れっぽくなっていることで気落ちし ていましたが、今では、「あれー、そうだっけ。何度聞いて もすぐ忘れちゃうから、いつも新鮮な感動があって、何度
築紫 裕子
も人生を楽しめるの。いいでしょう!」と返せるようにな りました。
私はどちらかというと生真面目な性格で、小さなことで も深刻に受け止めがちでしたが、わざと面白く考えてネガ ティブな感情を跳ね返す技を少し身につけることができた のかもしれません。
昔よく聞いた歌に、「自分のこと笑ってごらん。く そまじめじゃ、つまらない」というような歌詞が ありましたが、自分を笑えるようになって幸 せ度がアップしました。「笑う門には福来る」 ということわざがありますが、確かに笑う ことは人生に幸せを呼び込みます。
息子がまだ3歳ぐらいの頃、仲良しの 友だちと遊んでいると、二人はしょっちゅ う笑い転げていました。何か特別なことが あるわけでもないのに、いつもケラケラ、 ケラケラ笑っているのです。
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そんな子どもたちのように、何気ないこと であんなに楽しめたら、どんなに幸せなことか と思いました。もちろん大人になれば、真剣に考 えなければならないことが山ほどあり、笑ってばか りはいられません。でも、問題が沢山あるからこそ、別の 面で大笑いをしたり、小さなことで喜びを見つけたりする 必要があるのではないでしょうか。
私たちは大人になるにつれ、子どものように素直に生き ることから遠ざかってしまいますが、聖書の中でイエスは、 「幼子のようにならないと天国に入れない」と言われました。 天国と聞くと、死んだ後に行く世界とばかり思いがちです が、子どものように素直に神様の言葉を信じる時、天国は すでに私たちの中にあるのです。
また「見よ、ここにある」「あそこにある」などとも 言えない。神の国は、実にあなたがたのただ中にあ るのだ。 (聖書 ルカ17章21節)
よく聞きなさい。心をいれかえて幼な子のようにな らなければ、天国にはいることはできないであろう。 (聖書 マタイ18章3節)
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幸せだから笑っているのではない。むしろ僕は、笑う から幸せなのだ。喜びを目覚めさ せるためには、何かを開始する
ことが必要である。もしある
専制君主が僕を投獄したな らば、僕は毎日一人で笑う ことを健康法とするだろう。