953:父と私

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DAD AND I

昨年の父の日は、偶然にも私の父の誕生日と重なり ました。父は、修理中に車の下敷きになってしまい、 車椅子生活を28年近く続けた後、2002年に57歳で この世を去っています。事故の少し前には、イエスを 心に受け入れたことで人生が一変し、ヘロインなどの 薬物をやめ、その悪習慣を続けるためにやっていた窃 盗や軽犯罪からも手を引いていました。そういったこ とがあって、破綻しつつあった結婚生活も救われたの です。そして父は、同じように苦悩している人たちを、

最善を尽くして助けることに残りの人生を捧げると心 に決め、事故に遭ってからも、死ぬまでその決意に忠 実であり続けました。そのような人が私の父であるこ と、そして、私にとっても、父を知るすべての人にとっ

ても、良い模範でいてくれたことに、感謝しています。

数年前に読んだある調査結果によると、成功者の生 い立ちに共通することの1つは、親が本を読み聞かせ、 読書への愛を植え付けてくれたことだそうです。私の 最も古い記憶の中に、ほぼ毎晩、寝る前に行われてい た父との読書タイムがあります。父は涙もろい人で、 感動的な箇所を読むと、よく涙を流していました。児 童書や分かりやすい古典文学の他にも、父は4つの福

音書を何度も繰り返し読んでくれ、それは私の人生に かなり大きな影響を与えました。私は今でも福音書の 大部分を覚えており、何よりも重要なのは、それが間

サイモン・ビショップ

違いなく私の魂の一部になっていることです。

父と私でよくヒッチハイクをしたのを覚えています。 父は車を運転しなかったし、当時の公共交通機関は障 害者のニーズへの対応がほぼなされていなかったので す。そうやって初めて出会った運転手が、車椅子をた たんでトランクに入れてくれ、私は後部座席に座って 大人の会話に耳を傾けていたものです。父は自分の人 生について、また、神がいかに自分を救い、人生を変 えてくださったかを話すのが大好きでした。目的地に 着いても、父の話はまだまだ途中だということが多い ので、話を続けられるように、運転手が道路脇に車を 停めることがよくありました。そして多くの場合、運 転手は父と一緒に祈って、イエスを受け入れたもので す。私は、父の人生について、また、どれほど悲しみ に暮れ、道に迷っている人でも変えてくださる神の愛 と力について、父が話すのをいくら聞いても飽きるこ とはありませんでした。今は、父がいなくて寂しく感 じます。他の人たちがイエスを見つけるのを助けるこ とに私の人生を捧げることにした主な理由の1つは、 そんな父がいてくれたからなのです。

(サイモン・ビショップは、フィリピンでフルタイムの 宣教活動と人道支援活動を行っています。)

© 2023 Aurora Production, Ltd. All Rights Reserved Translated from English Activated Magazine Vol.24-6 p7 Activated https://activated.org

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