再会 「我々は、再び会うために別れを選ぶ」 ジョン・ゲイ 「運気が上昇している時ほど、人に優しくせよ、そ うすれば下降期に彼らと再び会えるであろう。」 ジミー・ドゥランテ 「誓約よりも高潔さを重視せよ」 サロン
「我々には、個人的な心配事や自分に課した日常的な目標 などよりも重要な責務があり、それに到達するために、喜 びや空腹、死をも顧みることなく努力する。到達するだけ ではない。魂が開かれているとき、目標に達すれば、それ 以上のものを得られるのだ。到達するのではなく、上昇の 場に立ち止まらないのである。これは命に高潔さと融合を 与える唯一の道である。」 ニコス・カザンツァキス
人生は、壮大な再会のステージである。武道マスター ズはその意味で特別なイベントである。2年ごとの開 催であることから、日常のルーチンから離れ、その調 整は非常に濃い内容となる。 参加を繰り返す師範たちもいれば、初参加の師範らも いる。生徒達、または師範同士でそれぞれの経験の情 報交換を行う。この特別な経験のために自分の時間を 捧げ、エゴを捨てる、武道的テストステロンに満ちた この世界では、非常に稀な事である。 これは、参加者の成熟ぶりによるものか、パオロ・カ ンジェロッシ師範の完璧なオーガナイズの賜物か、は たまた、30年前から私がオーナーを務める本誌とい う同じ旗印の下にあるという団結心によるものか。 武道インターナショナルの屋台骨にアクセントをつけ るこのイベントの結果は、些細な物とはいえない。 人間は、つまるところ、自分の行動範囲にあるものに 惹きつけられる。 これは誰にとっても再会である。たとえ初めての参加 であっても、本誌に掲載されたり、または近い将来そ れが予定されているという事は、同業者の集まりに仲 間入りする事である。現在9カ国語に翻訳されている 本誌に一度でも参加した武道マスターたちにとっては 再会を意味する。 私の友人曰く、「これだけの物が動くのだから、何か があるはず」である。 イタリアでの開催にあたり、現地のラジオ番組のイン タビューを受けた。ラジオのパーソナリティから私は 次のような質問を受けた。 「世界中から師範が集まる重要なイベントの中心人物 であるというのはどんな気持ちですか?」
意外な質問に驚かされた私は、次のように答えた。 「私の立場はあなたと同じで、仲介役なのです。我々 は重要ではなく、仲介者、伝達者なのです。重要なの はここにやって来る師範達、彼らが本当の主役です。 私はこのイベントのレベルが非常に高い事を誇りに思 います。それは我々の仲介者としての役割の誠実さが 反映されるからです。」 世界中で読まれている「国際武道」誌は、まさにレ ンガを繋ぐセメントのように機能しながら、それで いて自身のクオリティーで、ローマで開催される今 回の武道マスターという建物を堅固に支えているの である。 武道マスターズにおいて、最も基本的な要素は、そこ で起きた事よりも、起こらなかった事であると信じて いる。皆さんは、それはどういうことだ?と訝るであ ろう。このようなイベントでは、運営がうまくいった かいかなかったかという事が焦点となるが、そこには さらに、運営された、というのがある。ひどい話に聞 こえるかもしれない。 だが、怪我人が出ず、反則的行為もなく、議論もない 。喧嘩も諍いもない。言い換えれば調和の本質そのも のである!不調和はなかったのである!調和の度合い を計るメーターがあるとすれば、ローマでのそれは非 常に高いもので、その意味では非常にスムーズで完璧 なイベントであった。 いつものごとく、新顔の若い師範達に会うのも、ベテ ランたちとの再会も楽しみであった。ここでは各々が 新しい歴史を作り、それを皆と分かち合う。 本誌でおなじみのベテラン師範達の参加意欲はそう そうたるもので、彼らとの再会は特別感慨深いもの がある。
再会 この会に対する彼らの惜しみない愛情と協力は、我々 の関係が仕事に限ったものではない事の現れである。 礼儀を欠き、エゴイズムが蔓延する、理念がなく不調 和が平然とはびこる世の中にあって、ここでは連帯感 、協力と責任感があふれている。友情とは、細い柳の 小枝をより合わせるようなものだ。信頼と責任感は人 生そのものの変化に及ぶ。そして頑丈で力強い、それ でいて柔らかく目に見えない、蜘蛛の巣のように張り 巡らされる。 遠方から訪れる者もいれば、近い所から来た者もいる 。だが、ローマのイベントは間違いなく、人間がお互 いの協力の下に築き上げられる友情と愛情の強い絆を 作る唯一の場であった。 皆がこの機会を楽しんだと口にし、オーガナイズの素 晴らしさを称賛してくれた。読者の皆さんんは、主催 者の私に皆がそう話すのは当然だと思われるだろう。 確かに!だが、眼は嘘をつかない。それを実証するた めにこの特別号を見て頂きたい。クリックするだけで 、非常に多くの参加者によるインタビューがご覧いた だける。 今回のイベントの成功は、前回の経験と教訓が生かさ れたものである。私が滞在したホテルは会場から徒歩 10分の距離であったが、なっかなか良い施設が見つ からないローマとしては、非常に良いホテルであった 。快適さはしばしば、不便性につながる。ローマはた だでさえ常に多くの人で溢れた街である。ああ、美し きローマよ! スムーズなイベントの遂行はなかなか骨の折れる仕事 であった。 ホテルで振る舞われた夕食は申し分のないものであっ た。大会のメインイベントではないとはいえ、重要な 点である。春というよりは初夏のような良い気候にも 恵まれて、屋上のプールで行われたパーティは、忘れ がたい思い出となった。 個人的な事であるが、イベントの前の金曜日にローマ のトラットリアで友人たちが私の誕生パーティをサプ
ライズで開いてくれた。そこで我々はローマ料理に舌 鼓を打つ機会を得られた。我が友人たちの愛情あふれ た行為に感謝してやまない。 いつものごとく、我が友人であり、人生という険しい 冒険の道を共にしてきた仲間に惜しみない称賛を贈り たい。パオロ・カンジェロッシ師範と彼のチームの事 である。パオロは武道の師範としてだけでなく、人間 的にも最高位にある人物である。崇高な精神の持ち主 であるというだけでなく、その振る舞いも特筆すべき ものである。彼の弟子たちは声を大にして彼の偉大さ を語る。常に完璧主義で、礼儀正しく、気が利く人物 であると。二コラ、ファビオはじめチームのメンバー 全員にも賛辞を贈りたい。Belle signorine, bravi ragazzi! 同様に、マルコ・マトリッツイ率いるHwa Rang Do、 タェジュー・リー、アビ・ナルディア、マーク・クラ イン、ランディ・マッキー らにも賛辞の言葉を贈る。初めての参加で、そのエレ ガンスと成熟ぶりでレベルの高さを見せつけてくれた 。偉大なるチウ・チウ・リン大師範は参加できなかっ たが、思いもよらない所からライブでメッセージを送 って頂いた。そしてその後継者であるマルティン・セ ヴェー大師範は弟子たちとともに参加してくれ、大会 に花を添えてくれた。 オランダからは、その存在感で自らを光らせるだけで なく、周囲にも輝きを与えるハリー・ゴルター、そし て近日中にビデオ作品と共に本誌に登場予定のシジョ ン・ヴァン・デル・スペックや本誌のビデオでおなじ みのウイリアム・パールデクーパーなど。 ドイツからは、本誌の連載でもおなじみのWT ユニ バースのアルフレッド・ヨハネス・ネウドルフェルと ドンナ・フェランテ・バンネラ、そしてシステマのア ンドレアス・ヴェイツェルとマルクス・シンハマー師 範、彼らはいずれもこの1年、本誌ですっかりおなじ みの顔となった。一方で長らくご無沙汰しているアン ドレアス・ホフマンも顔を出してくれ、また本誌に登 場する事を約束してくれた。
再会 アメリカ合衆国からはモーリス・エルマレム、このイ ベントの最古参であるフランク・サンチェス大師範、 ジョルダン指導師ももちろん参加してくれ、皆に彼の 知識を快く教授し、分かち合っていた。 療養中でありながらドクター・ユルグ・ジーグラー大 師範も参加してくれた。 そしてラウル・グティエレスとルイジ・ブッチョーリ とその夫人も本国イタリア代表としてイベントを賑わ せてくれた。ジェッピー・アマット師範もその熱烈な レッスンで会を盛り上げてくれた。
加できなかった師範たちもいる。だが、我々は皆、人生 において突如変化が起きる事をよく理解している。従っ ていかなる不可抗力も受け入れる次第である。 中には武道精神に乗っ取り、私に首を差し出すとい う者や昔のヤクザのように指を切ってお詫びすると まで言う者もいたが、いうまでもなく、この申し出 は断った。 これが本物とご都合主義の違いである。
中国からは、よき少林の模範と言えるシー・ヤン・テ ィー師範が2回連続で参加、そしてヨーロッパにおけ る中国武道の代表的人物といえるブルーノ・トンボラ ット師範もこの極東の伝統武道について素晴らしい指 導を行ってくれた。
ローマのイベントは、再会の素晴らしい機会であった 。この人生はその他の継続に過ぎないと言われるよう に、今回初めての参加者たちであっても皆で一致団結 してこのイベントを成功させることに加わった事は、 我々の意志の彼方にあるもの、運命と呼ばれるもので ある。
フランスからは、毎月本誌でジー・クン・ドーの知識 を分かち合ってくれる親愛なるダビッド・ドラノイ師 匠が駆け付けてくれた。
技術的なクオリティー、個人的な成功や学校の規模な どといったものは、我々を取り巻く強い絆、継続の力 の前では何者でもない。
ポルトガルからは、最近本誌の表紙を飾ってくれたル イ・リベイロ師範と彼の弟子たちも出席、さらにこの イベントで初めてカンフー・トアを紹介してくれたバ レンティナ・ガンバル。
そして新たな戦士たちに我々の知識を伝授し、これを 継続させて世代交代をしていく。それは我々人類を成 功に導いてきた要素、困難に直面しても打ち負かされ るどころか、何度も立ち上がろうとする戦士の精神、 最悪の状況に備えて鍛錬し、良い時期を迎える心構え を得る。
そしてスペインからも非常に多くの友人たちが参加し てくれた。カルロス・バレラ師範、トレーテ・イ・ガ ローテ・カナリアス、弊社のテコンドービデオでおな じみのカルロス・マルティン、ウィン・トゥンの模範 サルバドール・サンチェス、常に紳士的なベンハミン ・レジェス、プロ護身術の担い手であるホセ・ルイス ・モンテス、最近本誌の表紙を飾ってくれたカイセン ドーのフアン・ディエス師範、セラフィン・ハレーニ ョ先生、その他大勢の師範や指導者たち。ここでは全 員の名前を挙げる事は出来ないが、今回のイベントに 参加してくれたことを大変感謝している。 一方、数カ月前からマスターたちのオリンピアと言える このイベントへの参加を約束していたにも関わらず、参
戦士たちのスピリッツは2018年5月、ローマに結 集し、調和と強いエネルギーに包まれ、このイベント の継続性をゆるぎないものとした。 すべての参加者へ、本当にありがとう!君たちが参加 してくれただけで、その存在意義の大きさを感じるこ とが出来た! 追伸:パオロ・カンジェロシとそのスタッフたちは、 ラジオ番組でイベントの報道を行ってくれたジャーナ リストのロベルト・アンティノー氏及びイタリア国営 ラジオに感謝の言葉を捧げている。
唯一のマルチセミナー
BUDO MASTERS 「世界最大級のマルチセミナー!!」 あらゆる格闘技ファンのための2日間に渡るセミナー。武道マスターは、世界最高の師範達と練習できる素晴らしい機 会を提供します。 あらゆるタイプの格闘技のワールド・チャンピオンや伝説的な人物が、次々とそれぞれのスタイルについて解説、その 技や戦術、練習方法や防衛術などを詳しく教授します。 参加者は希望に応じて1日だけの参加も可能ですが、2日間この世界に身を沈めれば、豊かな経験を得る事も出来ます。
日時: 2018年5月26日(土)10時30分~15時30分 5月27日(日)11時~14時
8時間たっぷりのマーシャル・カルチャー! イベントの流れとしては、まずはマーシャル・アーツの現在に触れ、アジアの様々ンスタイルに移り、最後に欧米にお ける最新の戦法スタイル、特殊部隊やプロ仕様の護身術などの解説を持ってプログラムを終了します。 参加者は、各自でトレーニング用の服装やシューズを用意する必要があります。 セミナーにはどなたでも参加可能です。 登録手続きはお早めに! 詳細、お問合せ:budo.masters1@gmail.com