Martial Arts Magazine Budo International Japan 16 by Budo International Martial Arts Magazine

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Keys i , ケイシ武芸ジー・クン・ドー拳法少林拳空手ハプキドーカイセンドークラヴ・マガグラップリングウィン・トゥンムエタイコンバット・ハプキドー拳法キュウショエスクリマカンフーカジュケンボパナントゥカンブラジリアン柔術

コレクターズ・スペシャル

６０ページ映画ポスター

ブルース・リーその死から４５年

国際武道誌

“山は風に負けることはない。どんなに強くてもだ” 禅の言葉

ジグムンド・バウマンによれば、我々の時代は社会制度、人間関係と自分たちの存在意義に価値を見出す事が特徴的であるという。彼によると、我々は液状の世界に生きているという。このアレゴリーは今世紀の思想家の間で大きな反響を呼んだ。しかし、少し立ち止まって考えてみると、あまり適切であるとは言えず、さらに、たとえ比喩的であると捉えたとしても、言葉が足りないという感がある。温暖化、加速化、揮発性といった状況を鑑みると、現在の状況は絶対的に「火」に支配されており、液状というのは全くふさわしいとは言い難い。火と水は正反対のもの、お互いを無効にするものであり、補完することはない。むしろ、ガス状の世界にあると言った方が正しいであろう。なぜなら、全ては宙ぶらりんで、不可侵、虚構にあふれ、儚いからである。機能性を求めるあまり、価値観が構造的に失われているのである。基本的な事が、不必要な物の前に屈したのである。全ては非永久的、つかの間、儚く、一時的なのである。すべては計画的老朽化である。全ては使い捨てられ、炎のように素早く、仰々しく消費され、煙と灰の渦に散らされて、最後には全て汚染する。液体の最も特徴的な性質であるはずの流動性は、「火」が岩を溶かし、溶岩が流れ落ちていく破壊的状況で作り出される。サブプライム危機とその結果のようなものである。その結果、すべては恒常的な不確実性の上に宙づりになったまま浮遊し、しかも、信じがたいことに我々はこの状況に慣れつつあるのだ。先日ある格闘技師範と約束の言葉の価値の低さについて議論していた。すべてはその簡便性、果ては利便性という前提で使用される。まるで実用性はどんな変化も正当化できるとでもいうように。私は次のように言った。「最も価値のあるものは、非常に不足していながら、

“商売のために名誉を損なうものは商売と名誉の双方を失う。” 作者不詳

需要が高いものです。これまでもそうでしたし、これからもそうなるでしょう。経済が不安定な時期には常に金の価値が上がる、これはまさにそのためなのです。今不足しているもの、我々の時代における金とは、確実性なのです。そしてその最後の逃げ場が約束の言葉なのです。そして次のように続けた。「しかも、確実性のイメージを伝えるだけでは不十分で、イメージというのはガス状の概念なのです。本質的な部分で堅固でなければならないのです。現代を反映する成功を得るには、その点を譲ることは出来ないのです。その機関が有する継続性、清算性です。」今日では何事もガリシア人特有の会話における答えのようなものである。「そうかも知れないし、そうでないかもしれない、、あるいはそうかもしれない」。変化の激しいこの環境で、シラクサの賢人が我々に解決法を与えてくれる。「私に堅固な支点を与えてくれたら、世界を動かせる」と。誰がが何かを言った時、その誰かが信用に値する人物であれば、決して完全に落ちることはないであろう。なぜなら常に誰かが手を伸ばしてくれるからだ。人生には二転三転が起きる、約束事を捻じ曲げるために快適さに逃げ込むことは出来ないましてや借りを返す事を待たずにそれを行うことは、言葉を失うことである。言葉とは、名誉と同じくすべては我々自身にかかっている、誰の責任でもない。それは不確実からの避難所であり、堅固な岩、雲に取り巻かれた山、、このガス状の世界の雲である。流れに逆らって泳ぐ事は出来ない。しかしその賢人が本来の長所と短所、そして長所の中の短所を見出す事ができるのならば、矢を射るための起点の存在を理解できるはずだ。性格の強さ、約束の言葉を尊重すると言うことは、都合が良いと言う見方さえできる。不透明さに満ち溢れた世界では、中央の乱気流に耐えるために指導者たちは、その内部の深淵にしっかりと軸を固定しなければならない。そして、そう、我々は液状の世界にいるわけではない。我々は陳腐な炎の中にある嵐の真っただ中、牛に引かれた車の前で待ち続ける。幸運が訪れるまで、、。なんと効率の悪い話よ！

ブルース・リー、

ブルース・リー写真：マイケル・トゥデラ、ペドロ・コンデペドロ・コンデ氏は、最も優れたブルース・リーの専門家の一人である。熱狂的なコレクターであると共に、ジャーナリストとして数えきれないほどのリトル・ドラゴンについての記事、書籍、エッセイを執筆してきた。今回はインタビュー形式で、ブルースの人物像、没後４５年経った今も続くその影響力。近代格闘技における明らかなインパクト、さらに常に彼にまとわりついていた様々な困難、伝説とその遺産について語ってもらう。

その死から４５年

ペドロ・コンデ氏は様々な武道の黒帯保持者で、コーチとしても活躍し、その弟子達の中には、散打のスペインチャンピオンもいる。本誌国際武道において、キックボクシングのトレーニングとフル・コンタクトに関するビデオ製作にも関わっている。１９７５年６月に、スペインで初めて刊行されたブルース・リー特集にも参加しているほか、３５号発行された雑誌「ブルース・リー」の編集長も務めている。書籍「燃えよドラゴン撮影秘話」のスペイン語版で技術ディレクターとして参加している。また著書「ブルース・リー、伝説の彼方に」は、ドイツ語、イタリア語とフランス語に翻訳されている。さらにブルース・リーに関する記事は３００以上に上り、書籍や雑誌の表紙も２００近くとなる。ジャーナリストとしても、世界的にこの分野の専門家として知られている。これによりマーシャル・アーツ・インターナショナル・スクールのホール・オフ・フェーム賞を受賞した。国際武道（以下ＢＩ）：ブルース・リーが亡くなってからもう４５年となりました。彼の人物像や格闘界に対する影響について、どのような印象をお持ちですか？ペドロ・コンデ（以下ＰＣ）：私にとっては見本、お手本です。彼がいなければ今日の格闘技は違うものとなっていたでしょう。彼のおかげで１９７３年にテレビシ

インタビュアー：ガブリエル・デル・バジェ（ウェブ・クルトゥラル・プリミヘニオ編集長）写真：マイケル・トゥデラ、ペドロ・コンデ

ブルース・リー、

ブルース・リーリーズ「カンフー」のパイロット版が製作されたのです。彼が脚本を書き、ほぼ世界中で放映されたこのシリーズのおかげで、欧米でも中国武術が知られるようになったのです。人々は中国武術についてもっと知りたいと切望していました。インターネットなどない、先史時代みたいなものでしたから、情報源は映画だけでした。なにせ７３年のスペインではこれに関しての出版物はひとつだけで、それもテキストはわずかで大きな写真が掲載されているものでした。あの当時、映画館の椅子に座って、いきなりブルースをスクリーンで見る、それは違う次元に入ったようなものでした。あんな動きをする人は見たことがなかった、催眠状態でした。スペインでは、サッカー、バスケット・ボール、ボクシングとプロレスが少しあっただけの時代に、ここから多くの若者が武道への道を見出していったのです。彼は多くの人にとって憧れの存在でした。ただし、現在大師範と呼ばれている人々の中には、その事を、ブルースがモチベーションだったという事を恥ずかしいと考えている人もいるようです。映画館で出くわしたり、公園で彼のようになれる日を目指して練習していた頃の事を忘れてしまったようです。私には、自分の格闘技のインスピレーションであった事を恥じる気持ちはありません。

その死から４５年

ブルース・リー、

ＢＩ：私の記憶に間違いがなければ、ブルース・リーはカンフーのドラマで主役から除外されたんですよね。アジア人が主役ではまずいと。結局彼を有名にしたのはテレビシリーズ「グリーン・ホーネット」でした。 PC: ブルース・リーは「グリーン・ホーネット」で助手のカトーという脇役でした。たとえ脇役とはいえ、中国人がハリウッドデビューしたのです。当時のアジア、特に香港では前代未聞のことでした。これのおかげで、映画製作会社２社が彼とコンタクトを取り、ゴールデン・ハーベストにより、彼は「ドラゴン危機一発」（１９７１）をバンコクで撮影することが出来たのです。その後はご存じのとおりです、、。スーパーヒーローは皆白人であったあの時代に、中国人が北米ドラマシリーズに主演するなんて、あり得ないことでした。結局その役はデビッド・キャラダインに与えられました。これによりブルースは映画撮影の手法を変更して、香港で映画製作に専心する事を決断したのです。

その死から４５年

ブルース・リーＢＩ：格闘技を始めたのはブルース・リーのおかげだとおっしゃってましたね。それについて、彼のなにがあなたの注目を呼ぶに至ったのかお話ください。ＰＣ：私は７３年に柔道を始め、翌年空手に転向しました。あの当時はほかの武道はまだありませんでした。これらは階級制が強く、型を覚えなければならず、私は違和感と不自由さを感じていました。その数年後には他の格闘技も到来したため、色々試してみましたが、どれもしっくりと来ませんでした。その間、自分なりに可能な限り、ジー・クン・ドーについて読んだり、資料を集めたりしていました。ブルースの擁護者であるダン・イノセントがやって来た時、初めてＪＫＤを実体験する事が出来ました。あれは、私にとって革命的なものに見えました。モダンで、実用的で、他の武道は子供だましのようでした。このスタイルでは個人が格闘技よりも勝っているのです。ここでは創始者の動きを真似たり繰り返す必要はありません。あらゆる距離から闘いを挑め、ひとつの技から他の技へ自然な形で移行でき、私にとっては他の格闘技よりもずっと進んだものに思えました。ブルースが時代の先を行っていたというもう一つの例が、バーベルを使っていたという点です。６０年代後半から７０年初頭にかけて、武道の練習にこのようなものを取り入れるというのは考えられないことだったのです。さらに、栄養補給についても気を使っていました。あの時代にはほとんどの人があまり気に留めていなかった事です。また、あの当時は格闘技を習っているというと、どの帯であるかと言うことを必ず聞かれましたが、彼は帯なんてなんの役にも立たないとよく言っていました。それから、組み手においては、例えば黄帯保持者ではあるが、ファイティングスピリッツ旺盛な者が、自分よりランクが上の者を倒す、つまり帯の色は実戦においてはレベルを示すものではないという事です。ブルース・リーは帯よりも個々の重要性を強調していました。さらに、実戦には掟がない事も主張していました。例えば「燃えよドラゴン」の最初のシーンでは、相手を掴みやすいようにグローブを使い、あらゆる距離から戦っています。相手を掴んで床に叩きつけて動けなくし、敵を脱臼させて降参させるのです。１９６７年にロング・ビーチで行われたエキシビジョンでブルース・リーが行っているのは、フル・コンタクト＆キック・ボクシングまたは散打です。１９７４年９月にロサンゼルスで開催された最初のフル・コンタクト競技会では、完全な接触が許されたため、人々は野蛮であるとか、斬新であるとか、不正行為ができないのでより効果的な試合ができるなどと言っていましたが、ブルース・リーはこれを７年も前にやっていたのです。彼はあらゆる面で、時代の先を行っており、それら全てに私は、一体感を感じていたのです。ＢＩ：つまり、ブルース・リーはある意味複合格闘技の先駆者と言えるわけですね。ＰＣ：当時のジー・クン・ドーは、柔道や空手と違い、実戦で４種類の距離を捕らえる唯一の種目でした。そしてブルース・リーは、長距離には蹴りで、中距離にはパンチ、または膝、肘打ちや掴みでフル・コンタクトに対応し、その後関節技をかけて相手の動きを封じ、羽交い絞めにするのです。当時としてはあまりにも先を行っていたので、まるで違う次元に入るようなものでした。

ブルース・リー、

その死から４５年

ブルース・リー素晴らしい世界、制限のない理想郷、各々が好きな距離で得意技を使って闘う事ができるのです。ただし、様々な距離からの戦いに勝利するには、様々な技に長けている必要がありますが。何か聞いたことある話ですよね？ＢＩ：映画の話が出ていましたが、彼の作品をどう評価されますか？ＰＣ：４５年前は、非常に役に立つ映画でした。ジムにいって彼の流れるような自然な動きを再現しようと試みました。ブルース・リーを特徴づける速さ、強さと爆発力に到達しようとしたのです。アジア製作の映画でしたから、私にとってはそれも魅力のひとつで、さらに新しい事を発見して、彼について学ぼうというモチベーションが上がりました。しかし時代は変わります。現在これらの映画を見ると、Ｂ級作品であることは否めません。７０年から８０年代にかけて惹きつけられていた魅力を今は感じる事が出来ません。今の若い人たちがこれらの作品を見て、古臭いと感じるのは理解できます。なにせ、ものによっては５０年近く前に撮影されたのですから。今となってはノスタルジーを誘うだけのものとなってしまいました。唯一時代の流れをさほど感じさせないのは「燃えよドラゴン」ぐらいでしょうか。ＢＩ：あなたはジー・クン・ドーを教えていますか？またはその経験がありますか？ＰＣ：いいえ、私はダン・イノセントやその他の弟子のセミナーに参加して、ジー・クン・ドーの概念については学びました。自分でセミナーを企画したり、個人レッスンに参加したり、時々アメリカを訪問してトレーナーの資格を取り、宣伝してクラスを運営することもできたでしょう。でも人生においては一貫性を持ち、現実的である必要があります。医学部に２、３年通っただけでは医者になれないのと同じで、いくつかのセミナーに参加したり、数か月勉強しただけで教えるのは自分自身や生徒をだます事になると思います。ジー・クン・ドーは、その哲学や技の複雑さから、週末だけのコースや数か月のクラスで学べるものではないと考えます。素晴らしい才能と特別な能力を有している人はそれができるのかもしれませんが、私は違います。スペインに日本人たちが来て空手や柔道を教え、韓国人たちはテコンドーを教えてくれました。その時、スペイン人と東洋人んでは伝達するものが違うと感じました。武道の「魂」とでも呼ぶべきある種のスピリッツがあるのです。それを捕らえて実践するには数年を要します。パンチや蹴りを真似るというのではなく、その本質を捉えるので、その謎を解くには長年にわたって厳しい修行を行う必要があるのです。ＢＩ：ダン・イノサントの人物像はどのようなものでしょうか？ＰＣ：信じられないほど、尽きる事のない知識の泉といえます。武道についての知識がこんなにすごい人を他に知りません。スペインで最初に参加したジー・クン・ドーのセミナーでは目からうろこが落ちるような事がいくつもあり、このクラスを続けたかったと思いました。その後のセミナーでは、彼はカリやその他のフィリピン格闘技についての講義だけだったので、ブルース・リーについて尋ねましたが、それでも彼はフィリピンの師範たちについて話し続け

ました。ある時彼にインタビューを行った時、それが終わると私に次のように話されました。「ペドロ、誰も他の人間の後をめくら滅法に追ってはなりません。皆、自分自身の道を行かねばならないのです。」と。あの当時は彼の言った事を理解できていなかったと思います。ダンは様々な武道の知識を吸収して自分のスタイルを作り上げました。その中にはジー・クン・ドーも含まれていますが、あくまで自分の武道の道を踏まえているのです。私の考えでは、明確なコンセプトを持つ必要があると思います。構造的にダンの格闘システムのベースはフィリピン格闘技であり、ジー・クン・ドーとはまったく異なったものです。ＢＩ：ブルース・リーの弟子達についてはどうでしょう？ＰＣ：時に、知識とは必ずしも幸福をもたらすものではありません。少なくとも私にとってはね。ブルース・リーの哲学により、トレーニングのクラスは少人数で、生徒一人ひとりに十分対応できるようになっていました。これは当然経済的とはいえず、経費の支払いもおぼつかない有様でした。１９６８年にこの状況を見かねたグリーン・ホーネット」の俳優のマネージャの助言により、１回のクラスに２７５ドル払えるようなハリウッドスターなどの有名人に個人レッスンを行うこととなりました。そして彼は映画を通して世界にカンフーを知らしめるという夢に心血を注ぐ事が出来るようになったのです。そのため以前からの生徒のクラスは土曜日の午前中、しかもほかの用事がない時だけとなりました。ブルースは生徒達が格闘技において自分の道を見出すのを助けました

ブルース・リー、

その死から４５年

ブルース・リー。従って、その道中で、彼から学んだ事からは大きく外れたり、自らの経験やほかの武道の知識を取り入れたりした者もいるでしょう。最盛期であった彼の晩年には香港で映画製作に忙しく、その時期には生徒を取っていませんでした。従って、ジー・クン・ドーの知識の多くは彼の死と共に失われてしまったと思います。拙著「ブルース・リー、伝説の彼方に」で書いていますように、彼は異なった時期に様々な生徒に違った手法を教えています。ブルースと比較するわけではありませんが、かくいう私も自己防衛を中心に教えた時期もあれば、格闘技やフル・コンタクトの違った面に集中した時期もあります。ですから、私のどの時期に当たったかによって、生徒の経験も変わってきます。例えばブルースは、米国に着いたばかりの時は、後方の足に重心を置いていました。これはウィン・トゥンの特徴です。しかしその後変更を加え、両足に均等に置くようになりました。次々と変更を加える改革期もあり、他の格闘家との接触で、より発展させることとなりました。ロング・ビーチで６４年に行われたエキシビジョンから６７年にかけての発展はすさまじいもので、「グリーン・ホーネット」と「燃えよドラゴン」の格闘レベルの差は著しいものがあります。彼の生徒についてですが、残念ながら多くはこの世を去りました。若くしてこの世を去ったブルースは、生きていれば７８歳、生存している弟子達はこの年齢を上回っています。彼らは、特定の時期にブルースから学んだことについて話したり教えたりすることはできるでしょうが、でもそれはジー・クン・ドーの最終節ではありません。先ほどお話しましたようにその時期に生徒はいなかったからです。ＢＩ：ジー・クン・ドーの将来性についてはどのようにお考えですか？ＰＣ：ジー・クン・ドーは、時流にのるチャンスがあったのに、それを逃したと思われます。５０年近く前と同じ技やトレーニングを行うわけにはいかないのです。初期にムエタイで行われていた試合と現在のフルコンタクトには大きな違いがあります。現在のフル・コンタクトとＭＭＡにも同じことが言えます。一方でジー・クン・ドーではある面でやや行き詰っているように思えます。以前は相手に対して何らかの優位性が感じられましたが、私の見解ではいくつかのコンセプトや技は時代遅れに思えます。以前はインターセプトを８０％程度適用することができました。なぜなら格闘技やフルコンタクト競技におけるボクシングは雑で初歩的なものだったからです。現在では皆やり方を良く心得ているだけでなく、キックと組み合わせたり、距離を縮めたり、ブラジリアン柔術と共に目覚ましい発展を遂げています。以前はジー・クン・ドーのステップにより相手との距離を簡単に縮められ、敵のリズムを崩すことが出来ました。角度や攻撃を自在に操るなど。これらの事が格闘技的に相手より優位に立つ事ができたのです。しかしながら、格闘は時代と共に進化していくものです。特にフル・コンタクトは目覚ましい発展を遂げました。体の移動については、２０年前と現在では全く違うものであると言えます。また相手に攻撃をかける時も同じです。ＭＭＡの試合を見れば一目瞭然ですが、皆、稲妻のような速さで攻撃をかけて引いていきます。その理由は、１４オンスのグラブと４オンスの軽い物とでは攻撃を受ける時のインパクトが全く違ってくるからです。ですから、トレーナーや選手たちは、いかに素早く攻撃をかけて、しかも相手の攻撃をかわしながら逃げるか、同時に距離を縮めて相手を倒すかを研究してきたのです。より効果的に攻撃を加え、相手に到達するための角度を探り、かつ相手の攻撃を最小限に抑えるといったようなことです。ジー・クン・ドーでは、技の素早さと爆発力を絡めて、相手を驚かせ、おびただしい攻撃を浴びせて相手を身動きできないようにしました。

ブルース・リー、

ブルース・リー現代では、選手たちは皆攻撃を一発受けて、それに続いて相手との距離を縮め、相手を攻撃すると言った形に慣れています。全てが変わりました。特にこの２０年で。もしブルース・リーが今も生きていれば、６０、７０年代にやっていた技の多くを変更したり、加えたり、除いたりしていたでしょう。例えば、攻撃法においてはいくつか外していたでしょうし、ＭＭＡでは常識となっている引き倒しの技を加えるでしょう。これ以上この話は続けませんが、結局、ジー・クン・ドーがどのように変化したかは知る由もありませんが、今あるものとはかなり違うものになっていたと推測します。ＢＩ：ブルース・リーは偉大なる哲学者であると思われますか？ＰＰＣ：哲学的な部分に貢献した所はあると思いますが、２０世紀の偉大な思想家のひとり、とは思いません。他の武道を取り入れて、自分のスタイルにしたのと同じように、自分の戦いのスタイルを伝播するために哲学者の言葉を引用したと思います。他の思想家の哲学や書物をベースに自分なりの流派を作り上げた。ただし、特に格闘技の世界で、当時彼ほど哲学について探求した人はいません。この分野でも彼は時代の先を行っていたと言えるでしょう。

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ＢＩ：なぜ、以前ほどブルース・リーについて書かれなくなったのですか？ＰＣ：今、これ以上彼についての知識を得て、研究しても成果は得られないという時期に来たのです。また、ジー・クン・ドーそのものよりも、彼の生涯、作品やまつわる人々について多く書かれてきたと思います。そこに大きな虚しさを感じるのです。私個人的にはこれらのテーマを扱いたくありません。私の専門ではないからです。おおげさなまでに彼を崇拝している人たちもいるようです。ブルース・リーがよく通っていた場所に行く人や、ブルースの写真に写っている場所を探して、その証拠であると言う手掛かりを必死で探す人、また、昔は彼がクラスを行

ブルース・リーっていたガレージ、今は近代的なビルとなった所を訪れる人や映画の撮影地を訪ねる人などもいます。そしてこれらの場所は時間と共に聖地となっていくのです。私にとってブルースは、格闘技においては特別な才能を持った、でも長所も短所もある一人の人間です。私にとってはある意味「道案内役」でしたが、それでも誰にとってもいずれは自分の家を出て、自分自身の道を行く時が来ます。そのうえ、ＭＭＡやコナー・マクレガーについてであれば何を書いても多くの人が読んでくれますが、ブルース・リーについてはさほどでもありません。以前なら彼について書けばその雑誌は３０～４０％売り上げが伸びました。今でも信者はいますが、以前と比べるとずっと少なくなっています。現実的にならなければなりません。ブルース・リーは若者の心を掴めないのです。それに現代人は皆見出しだけを読みます。どの交通機関に乗っても、乗客が皆スマホをのぞき込んでいるのに出くわします。本や新聞を読む人がいるんでしょうか？ほとんど誰もいないでしょう。我々は皆、大急ぎで動き、ストレスにさらされている時代に生きています。何かをじっくり読んで、それについて熟考するなどと言うような事はなくなりました。昔は仲間たちと本や雑誌の記事などについて話しましたが、今や携帯のアプリやメッセージについて話すのみです。もし誰かに格闘技の話をしても、特定のビデオや映像を見たかと尋ねられる程度です。誰もあの本、雑誌、記事、インタビューを読んだかい？とは尋ねません。これらの理由により私にとって書くことは以前ほど満足感を得られないものとなったのです。しかも、若い人たちにとってブルース・リーは過去の遺物だと私には思えます。ＢＩ：あなたはブルース関連の偉大なコレクターとして知られていますが、ご自身のコレクションに対してどれくらいの価値を与えますか？ＰＣ：感傷的な価値だけですね。以前はちょっと珍しい印刷物を売り出すと、奪い取るようにして買っていく人がいましたが、今では何カ月も販売していても誰も買いません。今でも比較的売れるのは、彼のフィギュアと映画関連の物ですね。これも当然のことです。以前は彼について知りたいとか書きたい場合は紙の印刷物に頼るしかなかったわけです。スペインは、ブルース関係の出版についてはヨーロッパ随一でしたし、関連の書類を手にするというのは不可欠でした。インターネットがある現在では、７０～９０年代の出版物というのは、一部のコレクターとブルースの熱狂的ファン以外には価値のない物なのです。雑誌や本をいつまでも取っておく人が今いるでしょうか？紙の出版物は減少傾向にあります。格闘技についてのコレクションは、言うまでもありません。要するに、私のコレクションは保持しますが、これ以上増やすことはないでしょう。ちょっとした逸話ですが、私の職場のひとつには、図書コーナーがあって、自分が読まない本を他の人のために置くための場所でした。以前はほとんど空っぽでした。誰も本を手放さないし、誰かが置いたらすぐさま他の人に持っていかれたのです。今、この本棚は満杯で、入りきらない分は箱に入れられてそれがいくつも床に置かれています。家には置くスベースがないので、誰も本を欲しがらないので、そこに持ってくるのです。インターネットがあれば、誰も書類など保存しないのです。私の娘は最初学生時代のノートを保存していましたが、結局捨てました。調べものがあれば、インターネットでするからとのことでした。従ってもう紙を保存する意味がなかったのです。客観的かつ現実的にならなければなりません。これらの書類にどの程度の時間が費やされ、なにをもたらしてくれるのでしょうか？すなわち、感傷的な価値しかないのです。

ブルース・リーＢＩ：ブルース・リーが遺した遺産について、どのようにお考えですか？ＰＣ：私にとって、ブルースは先駆者です。誰の後を追うわけでもなく、他の格闘家とトレーニングして自分の道を拓いていったのです。彼が発見したのは、どの武道にも適用すべき長所があると言うことでした。彼は自分のスタイルに利用できる事は教理や固定観念を破り、スポンジの様に吸い上げました。私生活においても、国際結婚という障壁を乗り越えたのです。１９６４年には北米の１４州で禁止されていたことです。しかも、テレビシリーズにおいて、武道の心得のおかげで度々主人公のピンチを救う役を演じました。それまで東洋人は誰一人成し遂げられなかったことです。彼は鳥のように飛び立って、誰も到達できなかった所まで行こうとしました。さらに武道において東洋と西洋の観念論を統一して哲学的な面の研究も行いました。これも当時としては画期的なことでした。これらの事は、他にも色々ありますが、我々が武道的に邁進するための助けとなり、後進が続けるための道づくりをしてくれた、それが遺産であると思います。でも、そろそろ他の人が後進のための道作りを始める時が来たと思います。ＢＩ：もう一つのブルースの革新といえば、米国において出自や人種に関わらず、あらゆる人に中国武道を教えた事ですね。そして中国からやってきた格闘家が彼に戦いを挑みました。西洋人に武道を教える事に納得がいかないという理由で。ＰＣ：はい、その他さまざまな理由から彼に決闘を申し込んだのは、ウォン・ジャック・マン師範でした。その戦いはブルースのその後の運命を変えるものとなりました。なぜなら、いくつかの概念や技が通用しない事に気づいたからです。そのひとつは理論です。同じスタイルで同じ法則で闘う場合と異なったスタイルの格闘家と闘う際に同じ概念を適用する事の違いです。ここから様々な研究や体の鍛錬の強化が始まったのです。これが、ブルースが今まで学んできたこと、特にウィン・トゥンから学んだ多くの事をやめ、自分の武道スタイルにより効果的な方法を作り上げていくきっかけとなったのです。これは、決してウィン・トゥンが効果的でないと言っているわけではありません。彼は決してこれのエキスパートではありませんでした。彼は他の格闘技のエキスパートたちとトレーニングし、「楽しみながら」その進歩を試していたのでしょう。楽な道に留まることなく、他の格闘家から得たものを発展させ、完成させていったのです。言うまでもなく、そのスタイルを偉大にするのは格闘家なのです。つまり、あくまで個人であって、格闘技そのものではありません。常に才能と知識に溢れる人々といることで、彼自身が成長していったのです。学んだり、成長するためには、必ずしも骨身を削る必要などないのです。ＢＩ：最後に何か付け加えたいことはありますか？ＰＣ：はい、私はブルースについて単に自分の意見を正直にお話しただけです。私の言葉をジー・クン・ドーの専門家による完全な真実であると受け取ってほしくないのです。間違っていることもあるかもしれません。

護身術

現実に基づいた戦術

ジム・ワグナー

ケイシ・メソッドと他のシステムの違いは、評価がベースとなっていることです。護身術は自己評価から始まり、自分が誰であるか、いつから評価を始めるか、そして他の人々についての評価を。護身術は自分を信じ、自分が誰かを確信する所から始まります。本当に自分の内面を生きている時、自分が自分である時です。より筋肉質になりたいとか、他人より優れているとか、他人とは違う特性があるからと言った理由で始めるのではありません。自分を信じられるようになった時に始めるのです。ケイシの特徴を見分けるのは簡単です。他の格闘技は技の上達が目的で、ケイシももちろん技を使いますが、それはあくまで方法であって目的ではありません。闘いは直感や本能に基づくもので、技術主義に基づくものではありません。ケイシで使われる武器や道具はすべて自然のものです。私たち自身の手や体。体のあらゆる部分が武器になるのです。体の外側の部分はすべて武器となり得るのです。これら全ては、体のメカニズム、距離、自己制御などの基本要素と組み合わせてこの新しくて効果的なメソッドを構成するのです。創始者のフスト・ディエゲスはこの作品で、素手、フォーカス・グローブス、棒の使い方や護身術における様々な状況、素手、棒やナイフなどの武器への対処や床、狭い場所での闘いといったあらゆるシーンでの対応を教授してくれます。

Ref.: • DVD/ keysi1

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