ジャパンリテールマーケットビュー2023年度第一四半期

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ハイストリート賃料は、銀座でコロナ禍前の水準を回復 心斎橋は商店街で上昇に転じる

1~3月

1~3月

1.4pts

前年同期比 前月比 前期比 + 2.8%

銀座ハイストリート空室率**** Q1

Q3 2022より、空室率の調査対象フロアを「店舗ニーズの高い1階に限定」から「1階を含む賃貸区画のすべて」に変更しています。

━ 東京・銀座ハイストリート空室率は、対前期比 1.4 ポイント低下の 6.2 %となった。比較的

面積が大きい募集物件で、ポップアップストアの出店が決まったことが主因。銀座ハイ ストリート賃料は、対前期比2 .8%上昇の25 .76万円(月/坪)。前期に引き続き、ラグジュ アリーブランドの出店ニーズが賃料上昇をけん引しており、コロナ禍前となる 2019 年 Q4 の水準に回復した。

━ 大阪・心斎橋ハイストリート空室率は、対前期比 3.0 ポイント低下の 4.6 %となった。心斎

橋筋商店街で、 200坪超の区画を含む複数の空室が満室になったことが主因。心斎橋ハイ ストリート賃料は、対前期比 7.9 %上昇の 16 .40 万円。心斎橋筋商店街の募集物件では、イ ンバウンド需要の回復を背景にドラッグストアや免税店の出店ニーズが急増した。

銀座ハイストリート賃料**** Q1 前期比

出所: * 経済産業省、 **日本百貨店協会、***内閣府、 ****CBRE

1 :2022年Q4

名古屋・栄ハイストリート空室率は、対前期比横ばいの 0.0 %となった。前期に引き続き、 新たな空室の発生はなかった。栄ハイストリート賃料は対前期比横ばいの7.10万円。ハイ ストリートの大津通では、リーシングに時間が掛かっていた募集物件でテナントが内定 した。ただし、賃料は現在の相場並みとなっている。

神戸 京都 心斎橋 渋谷 新宿 道 ・ 銀座

天神

プライム賃料

出所:CBRE、Q1 2023

1 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期 0% 3% 6% 9% 12% 15% 銀座 表参道・原宿 新宿 渋谷 心斎橋 京都 神戸 栄 天神 MARKETVIEW | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期 + 6.5% 小売業販売額* + 14.2% 全国百貨店売上高** + 2.6pts 消費者態度指数*** 23年3月
0 100,000 200,000 300,000 400,000 500,000
Figure 前年同期比 円/坪
ハイストリート空室率(上段)vs プライム&ハイストリート賃料(下段)
ハイストリート賃料

マクロ経済

2023年

Q1の全国百貨店売上高は、前年同期比14.2%のプラス

2023 年 1-3 月の全国百貨店売上高は、対前年同期比 14.2 %増となった。 1-3 月を通して、 入店客数が二桁増となっている。1月は行動制限のない初売りが盛況だった。2-3月は、 外出機会の増加を背景に、衣料品などが売り上げをけん引した。期を通して、高額商 材や免税売上の増勢が続いた。

2023年3月の消費者態度指数は、対前月比2 6ポイント上昇の33 9、2カ月振りに改善した。

上昇の背景として、経済活動の正常化が進んだことや、賃上げなどの影響などが挙げ られる。指数の上層幅は、2021年6月以来の大きさとなっている。

出所: Datastream、経済産業省、日本百貨店協会、CBRE、 Q1 2023

Datastream、内閣府、 CBRE 、Q1 2023

JNTO)、CBRE、 Q1 2023

2 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
Figure 3: 小売業販売額 vs 全国百貨店売上高 店舗数調整後
出所:日本政府観光局(
8.6 6.2 8.4 10.4 13.4 19.7 24 28.7 31.2 31.9 4.1 0.2 3.8 0.1 4.8 0 5 10 15 20 25 30 35 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 1-3月 2022 1-3月 2023 百万人 20 25 30 35 40 45 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 出所:
Figure 4: 訪日外客数
消費者態度指数 2020 2021 2022 -150 -100 -50 0 50 100 150 200 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
前年同月比 % 前年同月比 % 2020 2021 2022 2023 2023
Figure 2:
小売業販売額 全国百貨店売上高(右軸)

東京:銀座

比較的面積が大きい募集物件に、複数のリテーラーからの出店ニーズ

今期(Q1)のハイストリート空室率は、対前期比1. 4ポイント低下の6.2%。比較的面積が 大きい募集物件で 、ポップアップストアの出店が決まったことが主因。 ラグジュア リーブランドの出店立地ではない募集物件でも、テナントが内定しつつある。

銀座ハイストリート賃料は、対前期比 2.8 %上昇の 25.76 万円。コロナ禍前となる 2019 年 Q4の水準に回復した。前期に引き続き、ラグジュアリーブランドの出店ニーズがある

ほか、ショールーム型店舗やファッションブランドなどの出店が内定したケースが増 えている。賃料は、今後も緩やかな上昇傾向が続くと考えられる。来期( Q2)には 2019 年 Q4 の水準を 0.4%上回ると予測する。向こう 2年間では今期に対して 1.9 %上昇し、過 去賃料がピークだった2016年Q1に比べて、6.9%減の水準まで回復すると予測する。

建て替えなどによるラグジュアリーブランドの移転ニーズが複数みられているが、希

望する出店立地にある募集物件は限られている。そのため、賃料が相場よりも高い、 比較的面積が大きいなどの理由からリーシングに苦戦していた物件にも、ニーズが出 始めている。また、銀座エリアに既存店舗がある時計ブランドの中には、好調な業績

を背景に二店舗目の出店を検討しているところがある。ハイストリートの中央通りに ある募集物件では、今期リユースが出店した。晴海通りにある募集物件では、複数の 時計ブランドの出店ニーズがみられている。 50坪未満と使いやすい大きさで稀少性が

ある。賃料水準は、オーナーの希望水準を下回っているものの、相場並みと言える。 一方、間口がやや狭い募集物件では、レイアウトがしづらいためにニーズはあっても テナントが決まらないところがある。

セカンダリーエリアにある募集物件では、区画を分割することでリテーラーの引き合 いが増えたケースがみられている。中には、ファッションブランドの出店が決まった ものもある。ハイストリートの空室が減っている中で、リテーラーの出店ニーズがセ カンダリーエリアにも広がりつつある。

3 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
▶ Forecast
240,000 242,000 244,000 246,000 248,000 250,000 252,000 254,000 256,000 258,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率
230,000 235,000 240,000 245,000 250,000 255,000 260,000 265,000 270,000 Q1 2019 Q2 2019 Q3 2019 Q4 2019 Q1 2020 Q2 2020 Q3 2020 Q4 2020 Q1 2021 Q2 2021 Q3 2021 Q4 2021 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 Q2 2023 Q3 2023 Q4 2023 Q1 2024 Q2 2024 Q3 2024 Q4 2024 Q1 2025
Figure 6: 銀座ハイストリート賃料(円/坪)
空室率
出所:CBRE、Q1 2023 出所:CBRE、Q1 2023
Figure 5: 銀座ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)
ハイストリート賃料

東京:表参道・原宿

複数の開発物件に、ラグジュアリーブランドの出店ニーズが集中

今期( Q1)のハイストリート空室率は、対前期比 1.1 ポイント上昇の6.7 %。原宿側のハイ ストリートで、比較的大きい空室が複数発生したことが主因。

今期の表参道・原宿ハイストリート賃料は、横ばいの 18 88万円。ハイストリートの中

でも好立地にある開発物件では、ラグジュアリーブランドなどの出店ニーズが集まっ ている。まとまった面積がとれる、既存の募集物件がほぼないことが主因。これらの

物件では、リテーラー同士が競合することで現在の相場を超える成約賃料になる可能 性がある。明治通りにある募集物件では、複数の申し込みの中から立地改善を目的と したファッションブランドの出店が内定。賃料水準はオーナーが希望する現在の相場

並み。エリアの訪問者数が増えたことを背景に、ハイストリート全体で前期に比べて リテーラーの出店ニーズが増えている。ただし、そういったニーズは100坪以下の面積 帯が多い。100坪超で賃料総額が高額となる募集物件では、依然として引き合いは弱い。

セカンダリーエリアの骨董通りにある募集物件では、複数のインテリアブランドによ る出店ニーズがみられている。

東京:新宿

新宿通りでは、ショールーム型店舗や高級時計などの出店ニーズ

今期( Q1 )ハイストリートの空室率は、対前期比横ばいの6.6%。今期、テナントが決定した空 室がなかった一方、新たな空室の発生もなかった。

今期の新宿ハイストリート賃料は、 5期連続横ばいの 17 00万円。ハイストリートの新宿通りに ある、比較的面積が大きい募集物件では、募集区画を複数階から 1 階のみに変更したことで出 店ニーズがみられはじめた。面積が比較的大きくリーシングに苦慮していた別の募集物件で は、賃料条件次第で出店を検討するというリテーラーが出ている。商品のプロモーションを 目的とした、ショールーム型店舗となる。新宿通りでは、複数の時計ブランドの出店ニーズ がある。ただし、彼らが希望する 50 坪前後の募集区画は、ほぼないに等しい。そのため、ブ

ランドの中には購入を視野に物件を探しているところがある。同じ新宿通りの開発物件では、 新宿エリアに路面店舗がないリテーラーの出店が内定した。賃料水準は、現在の相場並み。

セカンダリーエリアの募集物件では、若年層の来訪者が多いことを背景に、時計ブランドか らの引き合いがみられている。しかし、相場を超える募集賃料を設定している物件では、引 き合いはあるもののテナントの内定には至っていない。

4 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
出所:
出所:CBRE、Q1 2023 165,000 168,000 171,000 174,000 177,000 180,000 183,000 186,000 189,000 192,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料 165,000 168,000 171,000 174,000 177,000 180,000 183,000 186,000 189,000 192,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料
Figure 7: 表参道・原宿ハイストリート空室率 &
ハイストリート賃料(円/坪)
Figure 8: 新宿ハイストリート空室率 &
ハイストリート賃料(円/坪)
CBRE、Q1 2023

東京:渋谷

比較的面積が大きい募集物件に、ファッションなどの出店ニーズ

今期(Q1)のハイストリート空室率は、対前期比1.0ポイント低下の5.9%。リーシングが 長期化していた、100坪規模の空室でテナントが決定したことが主因。

今期の渋谷ハイストリート賃料は、 2期連続横ばいの12 78万円。ハイストリートのセン ター街にある、リーシングに苦戦していた募集物件では、トイカプセルの店舗が出店 した。比較的面積が大きく、賃料総額が高額となることから、リーシングに時間が掛 かっていた。賃料水準は、従前のテナントの支払い賃料をやや下回っている。また、 ハイストリートの井の頭通りにある比較的面積が大きい募集物件では、リユースが内 定した模様。また、ハイストリートの中でも好立地にある開発物件では、ラグジュア リーブランドなど複数の引き合いがある。さらに、引き合いに弱さがみられた狭小の 募集物件では、ポップアップストアなどの出店ニーズが複数出始めている。

セカンダリーエリアにある、駅からやや距離がありリーシングが長期化していた募集 物件で、アミューズメントなどの出店ニーズがみられはじめた。また、既存テナント が、現行賃料からやや上乗せした賃料で再契約をおこなったケースもみられている。

注:プレスリリース、メディア報道などの情報を CBRE で加工して算出

出所:CBRE、Q1 2023

ファッション ラグジュアリー 食物販・飲食店

注:プレスリリース、メディア報道などの情報を CBRE で加工して算出

* 5エリア(銀座・表参道・原宿・新宿・渋谷)の中での業態別出店数とする

出所:CBRE、Q1 2023

5 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
0 10 20 30 40 50 60 2022 2023 2022 2023 2022 2023 2022 2023 2022 2023 銀座 表参道 原宿 新宿 渋谷 Q1 Q2 Q3 Q4 出所:CBRE、Q1 2023 120,000 122,000 124,000 126,000 128,000 130,000 132,000 134,000 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料
Figure 9: 渋谷ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) Figure 11: 業態別出店数*(路面店舗、件数) Figure 10: エリア別新規出店数(路面店舗、件数)
0 10 20 30 40 50 60 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023
アウトドア・スポーツ ヘルス&ビューティー ドラッグストア 家具・雑貨 ショールーム リユース その他

関西:心斎橋

インバウンド需要の取り込みを狙った出店ニーズが急増

今期( Q1 )のハイストリート空室率は、 3.0 ポイント低下の4.6 %。心斎橋筋商店街で、

200 坪超の区画を含む複数の空室が満室になったことが主因。今期の心斎橋ハイスト リート賃料は、対前期比 7 9%上昇の 16 40万円。心斎橋筋商店街の募集物件では、イン

バウンド需要の回復を背景にドラッグストアや免税店の出店ニーズが急増した。ド

ラッグストア同士が競合し、前期の相場を超える賃料水準で申し込みを入れるケース も複数あった。

心斎橋筋商店街では、オーナーが賃料水準を低く抑えたため、空室率は 2022年第 2四半 期から低下傾向にあった。今期は、インバウンド需要の取り込みを狙うリテーラーか

らの引き合いが急増。空室が長期化していた複数の募集物件で申し込みが入り、空室 率のさらなる低下に繋がった。募集物件の中には、相場以下の賃料で短期の契約を行 い、数年後の再契約時に賃料を相場水準に上げる戦略をとっていたところがある。し

かしそういった物件でも、相場並み、ないしは相場を超える賃料水準で後継テナント が内定する可能性が出ている。出店ニーズは、ドラッグストアや免税店以外のリテー ラーでもみられている。好調な売り上げを背景に、心斎橋エリア内で拡張移転を検討 するリテーラーもある。

ハイストリートの御堂筋では、心斎橋エリアに路面店舗がないリテーラーや、セカン ダリーエリアからの移転ニーズが複数みられている。御堂筋への出店によるブランド 価値の向上を狙ったもの。また、既存テナントが、現行よりも高い賃料水準で再契約 を検討するケースもあった。

アメリカ村を中心とする心斎橋のセカンダリーエリアでは、古着、楽器などのリユー スショップによる出店ニーズがみられている。前期に引き続き、今期もリユースの出 店が内定した募集物件があった。

関西:梅田

大阪駅の新たな地下乗り場が開業し、利便性が向上した

今期( Q1 )のハイストリート賃料は、対前期比 5.2%上昇の 10. 15万円。エリアを訪れる人の数が 増えたことなどを背景に、出店ニーズが増えている。路面店舗の募集物件では、ショールー ムやアウトドア・スポーツ、楽器、食物販などの出店ニーズがある。 100坪前後の募集物件で は、区画を分割することで後継テナントが内定している。上層階では、エステ、美容外科、 シェアサロン、貸し会議室など、サービス系の出店ニーズがある。中には、現在の相場を超 える賃料で、出店を検討するリテーラーもみられる。その一方で、業績不振などを理由に、 商業施設内の区画の退店や売場面積の縮小を検討するところも、いまだみられている。

梅田エリアで予定されている新規開発では、リテーラーの内定が進みつつある。大阪駅西側、 貨物ヤード跡地の開発「グラングリーン大阪」では、 JR 大阪駅の新たな地下乗り場「うめき たエリア」が 3月に開業。同駅が関西国際空港と直結したことで、大阪駅の利便性が向上した。 梅田エリアの訪問者数のさらなる増加が期待される。

6 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
出所:CBRE、Q1 2023 130,000 134,000 138,000 142,000 146,000 150,000 154,000 158,000 162,000 166,000 0% 2% 4% 6% 8% 10% 12% 14% 16% 18% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率 空室率
Figure 12: 心斎橋ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)
ハイストリート賃料

関西:京都

急増するインバウンド需要を取り込もうとするリテーラーの出店ニーズ

今期(Q1)のハイストリート空室率は、対前期比1.2ポイント上昇の 7 8%。四条通で、比 較的大きな面積の空室が発生したことが主因。

今期の京都ハイストリート賃料は、対前期比 12 7 %上昇の8 00万円。急増したインバウ

ンド需要の取り込みを狙ったリテーラーの出店ニーズが増加している。それらの成約 賃料の水準が、相場を押し上げた。ハイストリートの四条通では、高級時計が集積。

その中のひとつが今期、立地改善を目的としたエリア内移転をしている。四条通では、 高級時計のほかにラグジュアリーブランドの出店ニーズもみられている。また、四条 通の中でも特に好立地の物件では、地元企業がショールーム兼アンテナショップの出 店を決めた事例がみられた。面積は比較的大きく、同企業の旗艦店舗という位置づけ となる。

セカンダリーエリアに既存店舗を持つリテーラーが、立地改善や拡張移転を検討して いるケースが複数ある。そのようなリテーラーは、前面道路の歩行者量が多く、適正 な面積が確保できる物件を望んでおり、現状より賃料総額が高くなるケースもある。

関西:神戸

エリアに路面店舗がないリテーラーの出店ニーズ

今期(Q1 )のハイストリート空室率は、対前期比 0.8 ポイント低下の 5.2%。三宮センター街を中 心に、50坪未満の複数の空室が満室となったことが主因。

今期の神戸ハイストリート賃料は対前期比0 6%上昇の8 05万円。旧居留地にあるハイストリート、 仲町通にある募集物件では、区画を分割したことで複数のリテーラーからの出店ニーズがみら れるようになった。リテーラーの希望賃料は従前のテナントに比べて低いものの、現在の相場 並みと言える。また、旧居留地にある別の募集物件では、従前は引き合いが弱かったものの、 足下ではリテーラーの出店ニーズがみられつつある。その一方で、ハイストリートのセンター 街では、業績不振などを背景に複数のリテーラーが既存店舗の退店を検討している。売り場面 積が当該リテーラーにとって適正でなかったことや、通りのイメージとブランドイメージとの 間に乖離がある、といったこと等が業績不振の理由として挙げられている。ただし、センター 街の歩行者量は増えており、後継テナントの内定には時間を要しないとみられる。

セカンダリーエリアでは、路面店舗を出店するファッションブランドが、ハイストリートへの 移転を検討しているケースがある。前面道路の歩行者量が多い物件を望んでいる。

7 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
出所:CBRE、Q1 2023 出所:CBRE、Q1 2023 64,000 66,000 68,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 80,000 82,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料
64,000 66,000 68,000 70,000 72,000 74,000 76,000 78,000 80,000 82,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8% 9% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料
Figure 13: 京都ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪) Figure 14: 神戸ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

名古屋:栄

引き合いが弱かった募集物件にも複数の出店ニーズ

今期(Q1)のハイストリート空室率は、対前期比横ばいの0 0%。前期に引き続き、新た な空室の発生はなかった。

今期の栄ハイストリート賃料は、対前期比横ばいの7 10万円。ハイストリートの大津通 では、リーシングに時間が掛かっていた募集物件でジュエリーブランドの出店が内定。

立地はよいものの貸室形状でリテーラーに敬遠されていたが、今期は複数の引き合い

がみられた。賃料水準は、現在の相場並み。同じく大津通にある比較的面積が大きい 募集物件では、栄エリアに路面店舗がないリテーラーからの出店ニーズがみられてい る。賃料水準は、 従前のテナントに比べて低いものの、現在の相場並み 。ハイスト リートの広小路通りにある募集物件では、車のショールームがオープンしている。

セカンダリーエリアの伊勢町通にある募集物件では、インテリアや複数のファッショ ンブランドから引き合いがみられている。ただし、検討の結果、大津通に絞って物件 を検討するという判断も出ている。伊勢町通にある別の募集物件では、ファッション ブランドがオープン予定となっている。中部エリア初の路面店舗となる。

福岡:天神

希少な面積の募集物件にリテーラーの申し込みが集中

今期( Q1 )のハイストリート空室率は、対前期比 0.5 ポイント上昇の 3.0 %。天神西通りなどで 複数の空室が発生した一方、満室となった区画は限定的だった。

今期の天神ハイストリート賃料は、対前期比 2 2%上昇の 4 75 万円。若年層を中心に歩行者量 が増えた通りで、賃料が上昇した。ハイストリートの天神西通りの募集物件では、ファッ ションやコスメブランドなど 5件以上の申し込みが入っている。 50 坪未満かつ 1 階のみという

区画の稀少性が評価された。テナントから提示された賃料水準は、オーナーが希望する現在 の相場並み。天神西通りにある別の募集物件では、ファッションやリユースの買取専門店が 内定している。リユースの中には、好調な売り上げを背景にエリア内二店舗目の出店を検討

しているところがある。インバウンドの取り込みを狙った、ドラッグストアの出店ニーズも 複数出始めている。40坪程度から、大きいものは150坪程度の面積を希望している。

セカンダリーエリアにある比較的面積が大きい募集物件では、区画を分割したことで複数の 出店ニーズがみられるようになった。従前のテナントと同程度、かつ現在の相場並みの賃料 水準でテナントが内定するだろう。

8 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
Figure 15: 栄ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)
出所:CBRE、Q1 2023 出所:CBRE、Q1 2023 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000 75,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料 空室率 空室率 ハイストリート賃料 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000 75,000 0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 ハイストリート賃料
空室率 空室率
ハイストリート賃料
Figure 16: 天神ハイストリート空室率 & ハイストリート賃料(円/坪)

* Q3 2022より、空室率の調査対象フロアを「店舗ニーズの高い 1 階に限定」から「 1階を含む賃貸区画の すべて」に変更しています。

出所:CBRE、Q1 2023

Figure 18: エリア通行者量の変化率(Q1 2023)

対前年同期比

CBRE、Q1 2023

20:

プライム賃料(円/坪)

出所:技研商事インターナショナル「KDDI Location Analyzer」 * CBRE、Q1 2023 * auスマートフォンユーザーのうち個別同意を得たユーザーを対象に個人を特定できない処理を行って集計 * KDDI Location Analyzerデータ精度向上の影響で過去の集計データから数字が増減していることがあります

9 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期 Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 東京 銀座 6 4 % 6 4 % 7 7 % 7 6 % 6 2 % 表参道・原宿 5 . 1 % 5 . 2 % 4 . 9 % 5 . 6 % 6 . 7 % 新宿 6 . 2 % 6 . 6 % 6 . 6 % 6 . 6 % 6 . 6 % 渋谷 9 1 % 5 7 % 3 5 % 6 9 % 5 9 % 関西 心斎橋 17 . 1 % 16. 5 % 14 . 0 % 7 6 % 4 . 6 % 京都 8 . 6 % 8 . 5 % 6 . 8 % 6 . 6 % 7 . 8 % 神戸 8 2 % 8 9 % 7 5 % 6 0 % 5 2 % 名古屋 栄 0 . 4% 0.0% 0 4% 0.0% 0.0% 福岡 天神 5 . 0 % 5 . 2 % 4 . 5 % 2 . 5 % 3 . 0 % Figure 17: 空室率
対前期比
東京 銀座 8% +3% 表参道・原宿 16% 3% 新宿 7% +2% 渋谷 10% +8% 関西 心斎橋 13% 3% 京都 12% +5% 神戸 14% 6% 名古屋 栄 13% +5% 福岡 天神 12% 8%
Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 東京 銀座 241,500 241,500 241,500 250,700 257,600 表参道・原宿 177,800 183,800 183,800 188,800 188,800 新宿 170,000 170,000 170,000 170,000 170,000 渋谷 126,800 126,800 127,800 127,800 127,800 関西 心斎橋 142,000 142,000 152,000 152,000 164,000 梅田 95,000 94,500 94,500 96,500 101,500 京都 65,500 65,000 68,500 71,000 80,000 神戸 73,000 72,300 80,000 80,000 80,500 名古屋 栄 70,500 70,000 70,000 71,000 71,000 福岡 天神 46,500 46,500 46,500 46,500 47,500
Figure 19: ハイストリート賃料(円/坪)
Q1 2022 Q2 2022 Q3 2022 Q4 2022 Q1 2023 東京 銀座 400,000 400,000 400,000 400,000 400,000 表参道・原宿 320,000 350,000 350,000 350,000 350,000 新宿 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 渋谷 300,000 300,000 300,000 300,000 300,000 関西 心斎橋 250,000 250,000 300,000 300,000 300,000 梅田 140,000 130,000 130,000 130,000 130,000 京都 90,000 90,000 100,000 100,000 110,000 神戸 120,000 120,000 150,000 150,000 150,000 名古屋 栄 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 福岡 天神 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 出所:
Figure
出所:
CBRE、Q1 2023

調査概要

空室率

プライム賃料/ ハイストリート賃料

エリア通行者量の変化率

・CBREが独自に設定した対象地:

銀座ハイストリート(151棟)、表参道・原宿ハイストリート(238棟)、

新宿ハイストリート(60棟)、渋谷ハイストリート(67 棟)、

心斎橋ハイストリート(180棟)、京都ハイストリート(177棟)、

神戸ハイストリート(106棟)、栄ハイストリート(53棟)、天神ハイストリート(202 棟)

• 対象フロアは1階を含む賃貸区画のすべて

• CBREが独自に設定した対象地

• ワンフロアの面積が200㎡程度の建物を想定

• 対象フロアは店舗ニーズの高い1階に限定

• CBREが独自に設定した対象地

本社

東京都千代田区丸の内2-1-1

明治安田生命ビル

03 5288 9288

関西支社

大阪市北区大深町4-20

グランフロント大阪 タワーA

06 6292 1800

札幌

• 空室は集計時点で即入居可能であるものを対象(新築施設は開業済みのものが対象)

• 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の最上限値 (共益費を含む、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)

• 主要都市における、都心商業立地の中の一等地(の賃料)

• 対象地のサンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない)

Contacts

エリア通行者量の変化率

• 対象地における総通行者量の前期および前年同期に対する増減割合

札幌市中央区北3条西4-1-1

日本生命札幌ビル 011 231 6931 仙台

仙台市青葉区中央1-2-3

仙台マークワン

022 262 5651

金沢

金沢市鞍月5-177

AUBE II

076 239 4041

名古屋

名古屋市中区錦3-20-27

御幸ビル

052 205 6541

広島

広島市中区袋町3-17

シシンヨービル

082 243 9321

福岡

福岡市博多区博多駅前2-2-1 福岡センタービル

092 472 1711

マネージングディレクター リサーチヘッド hiroshi.okubo@cbre.com

栗栖 郁 ディレクター

kaoru.kurisu@cbre.com

横浜

横浜市西区北幸1-11-15

横浜STビル

045 316 4311

© Copyright 2023 無断転載を禁じます。本レポートは、商業用不動産市場に関するCBREの現在の見解に基づいて誠実に作成されています。CBREは、その見解が本資料作成日現在の市場動向を反映していると考えている ものの、それらは重大な不確実性や偶発事象の影響を受けて変化する可能性があります。また、CBREの見解の殆どは、現在の市場環境に対するCBRE独自の分析に基づく意見または予測であり、ここに記載された内容 が記載日時以降の市場や経済情勢の状況に起因し妥当でなくなる可能性もあります。CBRE は、その意見、予測、分析、または市場環境が後に変化した場合、本レポート中の見解を更新する義務を負いません。 本レポートは、CBREが発行する有価証券、もしくは他社が発行する有価証券の将来的なパフォーマンスを示唆するものではありません。特定の投資や投資戦略に関してはお客様ご自身で独自に検討する必要があり ます。CBREは、投資の適合性について評価する責任を一切負いません。本レポートを閲覧された方は、本レポートの情報の正確性、完全性、妥当性、あるいはその利用に起因するCBREおよびその関連会社、役員、取締 役、社員、エージェント、アドバイザー、代表者に対する一切の請求権を放棄したものとみなされます。

10 CBRE RESEARCH © 2023 CBRE, INC MarketView | JAPAN RETAIL | 2023年第1四半期
調査対象
調査時点 四半期 第1四半期:3月末 第2四半期:6月末 第3四半期:9月末 第4四半期:12月末 時点集計 調査方法 空室率
プライム賃料
ハイストリート賃料
大久保 寛
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