奄美群島徳之島における集落構成と空間運営の研究 -環境調整の仕組みに見る活動形態の比較を通して-

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半透明空間研究

■ 目次

奄美群島徳之島における集落構成と空間運営の研究

第 1 章 序論  1-1. 研究背景と目的  1-2. 既往研究との位置づけ  1-2.1. 半透明空間の定義  1-2.2. 半透明空間を形成する要素  1-2.3. 半透明空間の性質  1-2.4. 既往研究と本研究

­環境調整の仕組みに見る活動形態の比較を通して­

1X10A174-8 山下唯

古谷誠章研究室

参考文献

第 2 章 奄美群島徳之島について  2-1. 奄美群島概要  2-2. 奄美群島の伝統住居  2-3. 調査対象集落選定  2-4. 調査対象集落概要

第 3 章 調査概要  3-1. 対象住居選定  3-2. 調査概要    調査内容    調査結果  3-3. データシート    集落配置図    住居配置図    平面図 / 立面図    魚眼写真    アンケート    環境計測    道写真

第 4 章 構成要素にみる集落の比較と要素抽出  4-1. 集落構成要素の比較分析  4-2. 集落構成要素の比較考察と要素抽出  4-3. 小結

第 6 章 環境特性から見る住人の活動形態  6-1. 住居における住人の活動形態  6-2. 集落における住人の活動形態  6-3. 小結

第 5 章 集落形態および住居形態にそなわる環境特性  5-1. 集落形態にそなわる環境特性分析  5-2. 住居形態にそなわる環境特性分析  5-3. 小結

第 7 章 結論  参考文献  謝辞

□徳之島 < 民俗文化、集落構成 ( 祭祀空間 )> ・ 『徳之島の民族文化』松山光秀 南方新社 2009.2 ・ 『徳之島採集手帖』鹿児島短期大学付属南日本文化研究所 1996.3 ・ 『伊仙町誌』横山信忠 1978.12 < 生業 > ・ 『徳之島におけるソテツ景観の意味』金城達也、寺林暁良 1998.10

第1章 序論

■調査対象集落概要−金見集落

第4章 構成要素にみる集落の比較と要素抽出

■研究背景と目的

・位置/地形 島の北端に位置し、傾斜地に住宅が並ぶ。 ・集落形成 村は道路拡張部分を除き、明治の初めに作られた字 絵図のままに残されており、古風な雰囲気が漂う。 以前は海側にのみ住居があり、山側は畑だったが、 徐々に山側に住居が建つようになったという。 ・人口 101人(男52人、女49人)、47世帯(平成25年7月 末現在) 昭和33年より急激に人口が減っているが、世帯数と しては変化はほとんどない。

集落構成、住居構成に見る台風災害への対応

世界各地で多発している環境問題から、開発によって自然を押さえ込むのではな く、自然環境を受容し、自然とうまく折り合いをつけること、それによる持続可能 な社会への転換が見直されている。自然と人との共生には、建築や社会基盤など物 理的対応の他、人々のもつコミュニティもまた大きく役割を担っており、両者はと もに重要な要素となる。 島国である日本には数多くの離島がある。それらの地域で人々は厳しい自然環境下 で生活を営んでおり、本土との隔絶性や地理的条件・社会基盤整備の不備等の様々 な要因によって、地域独自の周辺環境への対応が必要である。自然と共生し、集落 構成と空間利用が相互に影響を及ぼし合うことで、その土地にあった暮らしを持 続、促進させるのではないか。

■調査対象集落概要−古里集落

本論で取り上げる奄美群島は、台風の常襲性を含めた 風環境、日射、湿度等の点 で、日常的に厳しい自然環境におかれている。その地 理条件、歴史的背景から経 済発展、社会基盤整備が立ち後れ、振興事業は現在も 尚続いている。 以上の背景をもつ奄美群島の2つの集落を選定し、外 的環境によって決定された集落構成とそこでの空間利 用の相互関係を分析することで、特異な環境の中で、 人がいかに生活し、 集落を維持管理しているか明ら かにすることを目的とする。

・位置/地形 島の南に位置し、比較的平坦な地形である。 ・集落形成 明治時代、面縄港が栄えていたころ、古里集落は商 店街としてにぎわっていたというが、現在はその面 影はない。当時、現公民館より東側に他の集落から 人が集また、以前は海岸線が内陸側にあったとい う。海と住居群に段差はほとんどなく、一続きに なっていたという。 ・人口 128人(男66人、女62人)、65世帯(平成25年3月 末現在) 昭和45年より急激に人口が減っているが、世帯数と しては変化はほとんどない。

N

第2章 奄美群島徳之島について

■集落構成/風環境

■本節の目的 古里集落、金見集落でみられた特徴について比較分析し、両集落の空間運営の差異 に影響している要素として台風時の強風、砂被害対策として考えられる要素を抽出 する。 ■分析概要 配置図における建物を以下の要素において分類し、分布図を作成、そこから分布の 傾向や特徴を比較する。 ・方角 / 地形 / 住居配置 / 村路形態 ・住居配置 / 庭空間利用 ・道路構成 ・建設年代 / 増築 ・空家 / 空地 ・住居素材 / 屋根 ・敷地の高さ ・壁面開口率 / 住居内快適性 ・塀 / 植栽 ・ 間取り / 玄関 ・道路と敷地の境界 ・居住者構成 ・居住者出身地 / 集落内交流度

N

■集落構成 < 金見集落 >

東側に海

平均傾斜率:約8.8%

地形

■調査内容 調査地 :鹿児島県奄美群島 徳之島 金見集落/古里集落 対象住居:金見集落 16軒、古里集落 18軒 期間  :2013 . 08 . 07̶2013 . 08 . 15 調査方法:1)実測調査、各戸配置図・平面図・立面図の作成、集落配置図の作成      2)風速・風向計・温湿度計による計測      3)8mm 魚眼レンズによる撮影      4)アンケート・ヒアリング調査      5)各住戸外観写真、道路写真撮影 調査結果:1)住宅 23 戸(金見集落 13 戸 / 古里集落 10 戸)      2)不在宅 / 空き家      3)集落(金見集落 / 古里集落)      4)環境計測

実測調査、各戸配置図・平立面図の作成、集落配置図の作成 あてはまる□にチェック□をいれてください。

□自宅にこもる □親戚の家に避難 □近所の人の家に避難 □公共施設に避難

2. 年齢  □∼19 才 □20 代 □30 代 □40 代 □50 代  □60 代 □70 代 □80 代∼ (  才)

(                                       ) (c-4) 最近、台風、その他の災害(豪雨など)で、家屋損傷等の被害はありましたか?  □あった  □なかった

(副業)  □学生 □会社員 □主婦 □農業 □何もしていない □その他(       ) 5. 職場  □お住まいの集落 □他集落(   町    集落)   □島外(    県   市)

6. 出身地 □お住まいの集落 □他集落(   町    集落)   □島外(    県   市)   →出身地が「他集落、島外」の方は、なぜここに引っ越してきましたか?

A(2)

(c-3) 台風のための準備は、家族以外の人と共同で備えることがありますか?

3. 性別  □男性  □女性 4. 職業  □学生 □会社員 □主婦 □農業 □何もしていない □その他(       )

台 風 に 関 し て

「あった」と答えた方にお聞きします。その被害はいつごろのことですか? 黒田広助

(                                       )

・図示する手順(図示+言葉で書いてください)

その修理、改修は誰に頼みましたか?

場所 → 「公民館」や「〇〇さん宅」などの名前と、

□工務店  □近所の人  □自分で  □その他(                 )

7. 一緒にお住まいの方の続柄と年齢をお書きください。

(c-5) 台風後、庭や農地の掃除は家族以外の人も手伝いますか?

頻度  →  (a)毎日

佐武

□はい  □いいえ

黒田

元山

(c-6) 台風後、ご自分の敷地外で、家族以外の方と協力して掃除等をしますか? →最初の 1 軒目のみ

(                                       )

人口:101 人

なだらかな斜面

平坦な地形

曲がりくねった道

直線にひかれた道

母 母間 母間集落

世帯:47 世帯

住 宅 に 関 し て

(例)居間に気持ちのよい風が通るようにした など (e-1) 他に、住宅を建てる際の、昔からある習わしや言い伝えをご存知ですか?

(例)南向きに建てる / 南東の方向に大きな木を植える / 間取り など (b-3) 石垣、塀、植木はどのような目的で設置していますか?(設置していない場合、省略)

寿山

太良

<交流に関するアンケート> ①普段よく行く(月1回以上)場所、通っている場所がありますか?

中村

奥村

佐武

□はい    □いいえ

金見荘

→「はい」とお答えの方は、その場所に×と、名前、頻度、 佐武

・維持管理に関わっているか? → その内容を記入(掃除 / 管理なし など)

訪れる目的をお書きください。(複数回答可)

寿原

寿山

・訪れる目的(職場、学校、店、普段集まる場所、お酒を飲む場所  等)

宮内

・訪れる頻度(番号を書き込む)  → (a) 毎日 (b)3 日に 1 度 (c)1 週間に 1 度 d)2 週間に 1 度 (e) それ以下

金見集落、古里集落ともに、海沿いに位置する集落である。 ・古里集落:南に海、北に山がある。海岸と住居群は高度差があり、 住居群沿いに防風林が植え られている。住居群は比較的平らな台地上にある。海岸線と平行に道がグリッド状に通ってお り、道の方向に沿って住居が並ぶ。 ・金見集落:東に海、南西に山があり、斜面上に住居が並んでいる。海岸、住居群はなだらかに 連続しており、極端な高度差はない。 道路は入り組んで通っており、住居は、向きや並びなどラ ンダムに 配置されている。道の一部は地形に沿っているものもあるが、他の 細い小道は住居配置 にともなってつくられた道であると考えられる。 < 金見集落 >

伊仙集 集落 集 落

物置

< 古里集落 >

住居と塀が一体化

住居を塀で囲む

・古里集落:芝のひかれている道路付近に砂 が多く見られた。現在、強風時に砂がとんで くるなどの被害はほとんどないという。 ・金見集落:台風などの強風時に、風ととも に砂も飛んでくるという。 調査時、砂は道路 や敷地の隅、空地などの開けている場所にた まっ ており、掃除される場所と掃除されない 場所があることがわかった。

構造

< 古里集落 >

木造 53%

RC 造 47%

木造 75%

>

RC 造 25%

トイレ

南、東、西側は

海 玄関

開口が多い

物置

開口

S=1:200

南、西側は開口が多い

0

1

2

3

⇨住居自体が強風、砂被害、塩害対策

⇨住居自体は強風、砂被害対策をとらない

■小結

N 0

50

N

100m

0

50

100m

台風対策として、金見集落では住居の集まり方、つまり集落構成でもって対応し ていた。一方、古里集落では各々の敷地内、つまり住居形態でもって対応してい ることが明らかになった。

< 金見集落 >

< 金見集落 >

集落

N 0

< 古里集落 >

< 古里集落 >

50

住居の集合 が

地形 が強風、

強風被害を防ぐ

砂被害を防ぐ

N

100m

空家が多い ⇨強風対策のため、空家を残す

0

50

100m

空地 が多い ⇨空家は建て壊す傾向がある

住居

住居そのもの が

住居

強風対策をする

□よくする □する □たまにする □あまりしない □しない

住居

会話をする場所に☆と名前をおかきください。(複数回答可)

③●から×に行くときなど、普段使用する道を線で結んでください。

■集落構成/風環境

< 調査範囲 >

世帯:65 世帯 < 調査範囲 >

古里集落

RC 造 25%

東側は開口が少ない

■集落構成/砂被害

④日常的に、お住まいの集落外

豊受神社

人口:128 人 面縄 面縄集落 面 縄 縄集落 集落 集 落 阿権集 集落 集 落

玄関

< 金見集落 >

< 古里集落 >

(複数お書きください)

100 m

< 集落全体 > 母間集落 母間集落

>

塀や植栽 が

→「する」とお答えの方は、同じ集落の方と交流をする場、

40

・古里集落

阿三集落 三集落 集落 集落

木造 75% トイレ

N

②日常的に、お住まいの集落内の方と交流、会話をしますか? 金見公民館

太良

20

住居:16 軒

糸木 糸木名 木名集 木名 名集落 名集 名 集落 集落

RC 造 47%

< 金見集落 >

・古里集落:最も大きく開口を開けているの は南側であり、次に東、西側の壁面の 開口が 大きい。北側は開口が少ない。 ・金見集落:最も大きく開口を開けているの は南側であり、次に西側の壁面の開口 が大き い。東側、北側は開口が少ない。

金見荘

元田

太良

宮内

配置図 S=1/1500

03 8

○1 日の活動場所  ○最も長くいる場所

人口:約 30 人 井之川集 井之川 井之川集落 之川集落 之川集落 川集落 落

木造 53%

グリッド上に整列

(職場、学校、店、普段集まる場所、 お 酒 を 飲 む 場 所    等)

佐武

宮内

太良

永田

永田

住宅用アンケート項目

構造

■住居構成/構造、開口

N

□よくする □する □たまにする □あまりしない □しない

(                                       )

塀を高さごとにわけてプロットした。高さ は、人の目線を基準に設定。植栽は、防風林 としての役割のものの位置をプロットした。 両集落と も 500mm 1500mm の高さの塀が 多いが、金見集落の方が高い塀が設置される 傾向にある。さらに、塀や植栽の目的につい て、ヒアリングを行った。古里集落では強風 対策として、金見集落では敷地境界として設 置し ていると回答した人が多かった。

崎島

バス停 太良

× : 普段よく行く ( 月 1 回以上)場所、通っている場所(〇〇さん宅)  □特にない

・日常的に、お住まいの集落外の方と交流、会話をしますか?

(b-4) 石垣、塀、植木の位置や高さは、どのようにして決めましたか?(設置していない場合、省略

(c)1週間に1度   d)2週間に1度

太良 元田

佐武

奥村

斜線: 集落内で風通しの良いと感じる場所  □特にない

□よくする □する □たまにする □あまりしない □しない

□その他(                                      )

(b)3日に1度

(e)それ以下  (番号を書き込む)

①ご自宅に●をかいてください。

寿島

佐武

☆ : 日常的に、お住まいの集落内の方と交流、会話をしますか?

□強風を防ぐため  □敷地の境界線として  □外から覗かれないようにするため

(例)日光が入るように、窓が少し出るようにした / 屋根の高さまで塀を設置している など

佐武

佐武

佐武 太良

中村

● : 自宅       ▲ : 親戚      (                                       )

・古里集落:ほとんどが木造であり、RC 造は あまり見られない。 ・金見集落:木造と RC 造は同程度の割合で見 られた。特に、海岸に近い住宅 ほど RC 造が 多い。RC 造にすることによって、住居に熱が こもり、 快適でなくなってしまうという。

< 古里集落 >

⇨塀による強風対策

ランダムな配置

・古里集落:空家同集落内、または集落外に 住む親戚が管理しており、集落内で の空家、 空地の管理は基本的には行わない。 ・金見集落:同集落内の親戚、または親戚が いない場合、集落内で管理を行う。 空家が古 くなったり、危険と判断した際には集落の住 風速・風向計・温湿度計による計測    人が協力して 建て壊しを行っている。また、 空家を住人たちの集まりの場に使用 している 事例もみられた。

県道

花徳集落

□はい  □いいえ

< 図示する手順(図示+言葉で書く)>

<基本情報>

(前面道路、空き家、空き地、共有農地など)

配置図用アンケート項目

・場所 →  「公民館」や「〇〇さん宅」などの名前と、その位置

キク

(b-1) ご自宅は何年前に建てましたか?   □∼5 年  □∼10 年  □∼20 年  □∼ 30 年  □∼40 年  □∼50 年  □50 年∼ (  年) (b-2) ご自宅を建てる際、台風や風通し、雨、日射に対して工夫をしたことがあれば、お書きください。

宮内 宮内

その他(            )

< 集落全体 >

佐武

□妻(   才)   □旦那(   才)   □父(   才)   □母(   才)    □祖父(   才)   □祖母(   才)  □子供(       才)  □孫(       才)  □

岡前集 岡前 岡前集落 岡 前集落 前集 前 集落

その位置の記入をお願いします。

太良

□結婚 □仕事 □その他(                           )

県道

事前調査では主に島内各地の集落 調査、住人・現地資料館へのヒアリ ング、資料収集をおこない、集落選 定の上、島の北に位置する金見集 落、南に位置する古里集落を選定し た。砂の被害の有無がみられたこと から、これは集落の管理に関係する ものと考えます。ここでは、特に環 境への対応が顕著に見られる海側の 住居群を対象範囲としました。

(c-2) 台風がきている時、どこで過ごしますか?

1. 名前                  (ふりがな)

回 答 者 基 本 情 報

・金見集落

< 金見集落 >

建物

調査地:鹿児島県奄美群島 徳之島 期間:2013年6月27日-年6月30日 目的:調査対象集落の選定 内容:島内各地集落調査    ヒアリング(住人/現地資料館)

与名 名間集 名間集落 名 間集落 間集 間 集落

■住居構成

■住居構成/塀の設置

南側に海 N

N

■集落構成/空家、空地

□調査対象集落

住居には強い風が直接あたる

方角 N

金見集落

風は住居群によって分散される

⇨ 台風等の強風時、金見集落の方が住居に   強い風があたることを防げている

南端に位置

■奄美群島徳之島 事前調査

手々 手々集 手々集落 手 々 々集落 集落

・古里集落:集落全体に流れる風は、基本的 に東南東から北西にほぼ直線上にぬけてい る。 住居にあたる風は、各々の住居がもつ塀 によって一度風が弱まるが、住居にはある程 度の風があたっている。 住居によって弱めら れた風は、弱い状態のまま北へぬけ、住居群 を 通った後は再び風が強まる。 ・金見集落:集落を流れる風は、大きく 2 種 類ある。東南東から北 西にほぼ直線上にぬけ る風と、道に沿って流れる 風である。 道を流 れる風は、住居群の隙間を抜け、分散されな がら道全体にぬけていく。

< 古里集落 >

開口

北端に位置

第3章 調査概要

N

< 金見集落 >

< 古里集落 >

■奄美群島徳之島概要  徳之島は、周囲 89.1km、面積 247.77km² の島で、人口は 25,587 人(H22 年国 勢調査より)。島の面積は日本の主な有人離島の中で、8 番目に広い。行政区域とし ては、徳之島町、天城町及 び伊仙町の3町で島を形成している。 地質学上は、山地・森林・河川が多い「高島」に分類され、北東部は主として古成 層とこれを貫く火成岩からなる急峻な山陵性の地形 で、海岸線は変化に富み、河川 はいずれも短小急流である。 気候は、亜熱帯海洋性で温暖多雨、年平均気 温は 21.6°C で年変動が小さい。年降水量平 均は 2837.7mmと、日本では有数の多雨地帯 である。降水量のほとんどが台風からもたら されるもので、台風の接近がない場合は降水 奄美群島 量が極端に少なくなり、少雨により干ばつが 起こりやすい。 奄美群島は「台風銀座」とよばれる地域であ り、日本において台風接近数が多く、 威力も 強い状態で上陸する。台風時、幹線道路がた びたび通行止めとなり、島や 本土との船・飛 徳之島 行機の便も途絶えることが珍しくない。

□南西諸島 / 奄美地方 < 民家 > ・ 『南西諸島の民家』野村孝文 相模書房  1961.5 ・ 『奄美大島における住居の研究ー住居形態の変遷と住まい方の変化に着目してー』  雪聖子 2002.3 ・ 『分棟型住居の変容ー奄美大島における居住空間とモノの現在的様態』清水郁郎 2011.8 ・ 『与論島の民家の空間構成』永田 隆昌 2007.2 < 集落構成 > ・ 『喜界島における集落構成と空間継承 - 構成要素のは位置関係と領域関係』石渡辰也 2010.9 ・ 『奄美大島与路島における集落・民家の変容』市川壮一、須田眞史、村尾充宏、初見学 2001.9 ・ 『奄美・花富の集落空間に関する考察』小野利明、畑聴一、加治福樹 1991.9 ・『奄美大島西部地域 6 集落の空間概念ー奄美の空間構成に関する研究』永田 隆昌 , 高見 敞志 2002.3 < 環境工学的視点 > ・ 『沖縄県竹富島の集落景観と風環境調整機能の関係性』三浦詩乃、川添善行、中井祐  2010.12 < 文化 > ・ 『奄美文化誌』長澤和俊 西日本新聞社 1964

人口:約 35 人 住居:18 軒

アンケート・ヒアリング調査

8mm 魚眼レンズによる撮影

・古里集落:各々の住居の塀により一度風が 弱まるが、住居にはある程度風があたってい る。住居により弱められた風は、弱い状態の まま北へぬけ、住居群を通った後再び風が強 まる。 道に着目すると、風が強く吹いている 場所とあまり吹いていな い場所とがある。 ・金見集落:集落内の道に沿って風が流れて いることがわかる。密集した住居群 のある場 所では風が吹いておらず、道には風が吹いて いる。

<金見集落>

<古里集落>

敷地外部

強風対策をする

敷地外部

台風時の強風、砂被害の対策として、集落形態や住居形態での対応の 取り方がそれぞれの集落で異なっていることが明らかになった。 0m/s /s

2m/s 2m/

4.0m/s


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