John Hejduk 研究 2013 前期作品「Wall House」から晩年作品「Cathedral」に至る作品群にみる概念<WALL>と設計意図

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目次 古谷誠章研究室 再生空間研究

1X10A132 林万里亜

John Hejduk 研究 2013 前期作品「Wall House 」から晩年作品「Cathedral」に至る作品群にみる

◇ 序論

◇ 第二章 前期作品「Wall House」にみる<WALL>の概念

◇ 第三章 晩年作品集『ADJUSTING FOUNDATIONS』にみる<WALL>の概念

◇ 第四章 晩年作品「Cathedral」

研究背景 / 目的

2.1 研究対象・方法

3.1 研究対象・方法

4.1 研究対象・方法

既往論文考察

2.2「Wall House」に至るまで

3.2「Wall House」から『ADJUSTING FOUNDATIONS』に至るまで

4.2 分析

研究対象

2.3「Wall House」における<WALL>

3.3『ADJUSTING FOUNDATIONS』における<WALL>

4.2.1「Cathedral」のもつ空間性

透明性について

2.4 分析

3.4 分析

4.2.2「Cathedral」における表現法

コーリン・ロウ『マニエリスムと近代建築』

2.4.1「Wall House」の<WALL>のもつ空間性

3.4.1『ADJUSTING FOUNDATIONS』の<WALL>のもつ空間性

4.3 小結

2.4.2「Wall House」における透明性

3.4.2『ADJUSTING FOUNDATIONS』における透明性

◇ 資料編

2.5 小結

3.5 小結

資料:森俊子インタビュー

◇ 第一章 先行研究にみるヘイダックの <WALL>

概念<WALL>と設計意図

◇ 結論 ◇ 展望 ◇ 参考文献

1.1 研究対象・方法

CCA 資料: 「Wall House」

1.2「Diamond House」から「Wall House」

CCA 資料: 「ADJUSTING FOUNDATIONS」

1.3 小結

CCA 資料: 「Cathedral」 翻訳資料:『ADJUSTING FOUNDATIONS』

分析 A-1 : 初期作品「Wall House」 分析 A-2 : 晩年作品集

分析 A-3 : 晩年作品「Cathedral」

『ADJUSTING FOUNDATIONS』

3 作品に一貫して<WALL>に空間性をみているが、 空間表現において差異が見られる。 初期作品「Wall House」では<WALL>の空間性の知覚は、

集められた様々な要素がヘイダック

John Hejduk ( 1929

によって垂直面に捕らえられた、

2000 )

分析 A 空間性

【研究背景・目的】

[Texas House 7]

[Wall House 2]

「Cathedral」では客体からの働きかけが大きくなっている。

厚い壁である。

後のヘイダックの正面と背面の

既往論文 2008 年度 早稲田大学建築学科古谷誠章研究室 平木康仁 『直截的空間研究 A Study on Literal Architecture』

2010 年度 早稲田大学建築学科古谷誠章研究室 及川輝・飯塚哲平 『John Hejduk 研究 −自伝的作品集『Mask of Medusa』1947-83 年における手法

[マイケル・ヘイズ Architecutere s Desire]

<Mask>とその設計意図』

壁が圧縮した Wall House の

[<WALL>にみる空間性]

前兆である。

John Hejduk は 20 世紀に活躍した建築家のひとりである。彼

主体の積極的な理解の姿勢が必要であったのに対し、晩年作品

【参考文献】

2011 年度 [ピーター・アイゼンマン 7 Houses (1980)]

早稲田大学建築学科古谷誠章研究室 風間健

は生涯を通してドローイングや図面を中心に様々な建築を残し

『John Hejduk 研究 後期作品集『SOUNDINGS』における<端緒>と設計意図』

「壁」の中にまた空間を見つけて、

てきた。

壁 を The space

それが部屋ではない空間になった。

早稲田大学建築学科古谷誠章研究室 清水岳

と表現している

その中でも「カベ」を用いた作品を多く残しており、ヘイダッ

『John Hejduk 研究 −Masque シリーズ以前の作品における主体 / 客体の変遷から

[森俊子インタビューより]

みる『The Lancaster / Hanover Masque』の設計意図−』

クにとって重要なエレメントであったことがうかがえる。この ヘイダックにのっての「カベ」とは何なのであろうか。彼は「カ

『ADJUSTING FOUNDATIONS』John Hejduk 出版社:Monacelli

分析 B-1 : 初期作品「Wall House」 分析 B-2 : 晩年作品集

ベ」についていくつかの言説を残しており、彼の用いる「カベ」

分析 B-3 : 晩年作品「Cathedral」

3 作品に一貫して<WALL>の表現に虚の透明性を見ているが、

『ADJUSTING FOUNDATIONS』

は単に物理的なエレメントではなく、ある設計意図をもつ概念

その発生の仕方に差異が見られる。

であると考えられる。本論文ではこれを概念<WALL>による

初期作品「Wall House」における虚の透明性の表現は、

設計意図と定義づけた。

主体の積極的な理解の姿勢が必要であったのに対し、晩年作品

『Mask of Medusa』John Hejduk 出版社:Rizzoli 『John Hejduk 7Houses』John Hejduk 出版社:The MIT Press 『Pewter Wings Golden Horns Stone Veils』John Hejduk 出版社:Monacelli 『The Lancaster / Hanover Masque』John Hejduk 出版社:Princeton

ジャック・ラカンの「視の領野のダイアグラム」によると、観

分析 B

察対象の知覚は、主体と客体の相互関係に依存している。この

表現法

「Cathedral」では客体からの働きかけが大きくなっている。

Architectural Pr 『Soundings』John Hejduk 出版社:Rizzoli 『Vladivostok』John Hejduk 出版社:Rizzoli 『Such Places as Memory : Poems 1953-1996』John Hejduk 出版社:The MIT Press 『Lines』John Hejduk 出版社:Monacelli 『VICTIMS』John Hejduk 出版社:Architectural Association Publiccations

ことから、概念<WALL>が建築と観察者主体との間の関係性

『Collapse of Time』John Hejduk 出版社:Architectural Association Publiccations

[<WALL>にみる虚の透明性による表現法]

をつくるものであると仮定し、概念<WALL>の設計意図を明 らかにすることを目的とする。

『EDUCATION OF AN ARCHITECT』John Hejduk 他 出版社:Monacelli 『SANCTUARIES : The Last Work of John Hejduk』Michel Hays 出版社:Whitney Museun

物体の相互貫入による

内外が透けるドローイング

内外が透けるドローイング

『Architecture's Desire : Reading the Late Avant-Garde』Michel Hays 出版社:The

重なりから知覚できる

【研究対象】

MIT Press 『Five Architects』Peter Eisenman 出版社:Oxford University Press

奥行き

『Photographs Five Architects』Judith Turner 出版社:Rizzoli

概念<WALL>の設計意図を探るために、 <WALL>を用いた作 品である初期作品「Wall House」シリーズ、晩年作品集 『ADJUSTING FOUNDATIONS』、そして晩年作品「Cathedral」

『Columbia Documents of Architecture and Theory Volume 2』John Hejduk 他 出

つまりスピリットとは、主体・客体の

空間性・表現法の考察から<

を研究対象とする。

WALL>のあり方によって主体

これらをそれぞれヘイダックの<WALL>にみる空間性・表現

と客体の相互関係が変化してい

法の2軸で分析・考察することによって、概念<WALL>の設

版社:Columbia Univ Graduate School

【結論】

ることが明らかになった。

社会に対して建築家が与えることができて、

うことです。 初期作品

晩年作品集

晩年作品

初期作品「Wall House」

「Cathedral」

A : 空間性

概念<WALL>

B : 表現法 (1995)

(1996)

『a+u 80:10』 「カナレッジオの 13 の聖楼」 出版社:エー・アンド・ユー John Hejduk ( 1929

2000 )

『a+u 81:04』 「アダルベルト・リベラのマラパルテ邸」 出版社:エー・アンド・ユー 『a+u 01:09』「ウォール・ハウス2」 出版社:エー・アンド・ユー

ゆえに、主体と客体の相互関係をかた

『a+u 01:12』 「フローニンゲンに実現したヘイダックのウォールハウス2」 出版

ちづくる方法論が概念<WALL>であ

社:エー・アンド・ユー 『a+u 03:04』 「サンクチュアリーズ−ジョン・ヘイダックの晩年の作品展」 出版社:

ると結論づける。

エー・アンド・ユー

私の著作は、読者が頭の中で立ち上げること Le Corbusier (1887 1965)

『a+u 09:12』特集「ジョン・ヘイダック再考」 出版社:エー・アンド・ユー

『マニエリスムと近代建築』Colin Rowe 出版社:彰国社

は言葉に現すことのできないような、究極的

ヘイダックの「Wall House」 「Cathedral」とコルビュジェ

にはスピリットとなりうるものを表現できる

のラ・トゥーレットのプランを比較すると、類似性が見

『不気味な建築』Anthony Vidler 出版社:鹿島出版会

られる。ヘイダックは自らの作品でコルビュジェを超え

『建築の解体』磯崎新 出版社:鹿島出版会

のです。 [分析方法ダイアグラム]

『a+u 80:01』 「ル・コルビュジェのメゾン・ラ・ロッシュ」 出版社:エー・アンド・ユー

『言葉と建築』Adrian Forty 出版社:鹿島出版会

晩年作品「Cathedral」 (1968 1976)

『a+u 75:05』 「JOHN HEJDUK」 出版社:エー・アンド・ユー

概念<WALL>の設計意図である。

ができる建築です。探求が実を結べば、それ

設計意図

『a+u 74:05』 「WALL HOUSE」 出版社:エー・アンド・ユー

このスピリットを生み出すことこそが

築用語で言えばスピリットを創造できるとい

「Wall House」 『ADJUSTING FOUNDATIONS』

『a+u 74:03』 「ジョン・ヘイダックのプロジェクト三題」 出版社:エー・アンド・ユー

相互関係の中に生まれるものであり、

他の人にできないことは唯一つしかない。建

計意図を見いだす。

【展望】

スピリット

設計意図 概念<WALL>

ようとしていたのではないか。

『建築をめざして』Le Corbusier 出版社:SD 選書


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