Carlo Scarpa 研究 2013
■ 考察
Banca Popolare di Verona における<都市空間の内包>とその設計意図
断面ダイアグラム
1. 垂直動線の分節化
古谷誠章研究室 1X10A084 庄野 航平
断面ダイアグラムのトレース
4つの階段室の配置
3階
序論 0.1 研究目的 0.2 研究対象とその概要 0.3 研究概要・方法 0.4 既往論文研究
言説 1. 内部空間の経験は、私にとって常に最も重要でありました。ヴェローナ銀 行のファサードの役割について私は、 道・運河・広場 といった都市の 内部 空間を囲い込み、都市を拡張するものとして形作りました。
スカルパの垂直動線を色付けしダイアグラム 化した断面をトレースし分析した。4つの階 段室に分節されているだけでなく、垂直動線・ スラブを分節していることが分かった。
2階 1階
±0.00
エントランス階 半地下階 地下1階 地下2階
Ascensore Pubblico ( 公共のエレべーター )
既存部(銀行本店)
Ascensore ad uso ~ ( エレベーター )
増改築部
Montacarichi ( 昇降機 ) Scala Pubblico ( 公共の階段 ) Scala ( 階段 ) + Pubblico dal R al 1S (R から 1S は公共 )
Carlo Scarpa
0.5 Carlo Scarpa 作品年表 0.6 Banca Popolare di Verona 基本図面
1.1 時系列にみる Banca Popolare di Verona の位置付け
Carlo Scarpa
1.2 Arrigo Rudi の証言分析 1.3 スカルパの死後における技術の継承
(出典 CARLO SCARPA / Phaidon Press 編 / Robert McCarter 著 / 2013 年出版 )
1.4 小結
第二章 記譜法分析: ドローイングにみるスカルパの思考過程 2.1 Banca Popolare di Verona の平面図にみる思考過程分析 2.1.1 半地下階平面 2.1.2 一階平面 2.1.3 二階平面 2.1.4 三階平面
■ 研究背景・目的 ヴェネチア生まれのスカルパにとって、 彼の多くの作品の中で都市空間へのオマージュのような設 計態度がみられる。 スカルパが暗喩的に引用した都市空間を分析し、 ヴェローナ銀行における設計 意図・手法を論証することを目的とする。
2.1.5 地下階平面 2.1.6 小結
半地階の階段室
ヴェネチアの都市構造とスカルパの設計手法への影響
2.2.1 半地下階から一階 2.2.2 一階から二階
オブジェクトによる知覚誘導
4つの階段室に着目し、トレース分析を行っ た。スラブレベルの操作によって、様々な視 線の交錯が生まれ、それぞれの空間に多様性 が生まれる。階段室に配置されたオブジェク トによって視覚を限定し、奥の空間を知覚さ せ誘導していることが分かった。
3. オブジェクトによる動線の誘導
平面図における動線とオブジェクトの関係分析 第一段階
動線 オブジェクト
第二段階
各階平面に着目し、トレース分析を行った。 スタディの過程からオブジェクトによって動 線を限定し、意図的にシークエンスを複雑に していることが分かった。
2.2 Banca Popolare di Verona の内部階段室にみる思考過程分析
人・視線・スラブ・オブジェクトのスタディ
第三段階
第四段階
ۂ
亡きスカルパとの対話と技術の継承
2. オブジェクトによる視線の誘導
ۂ
第一章 証言にみる Banca Popolare di Verona の位置付け:
言説 2. 私はヴェローナ銀行の4つの階段に対して、空間の中を歩く(散歩する) ように設計しました。つまり、(階段を)建築空間を繋ぐ、相補的であり特別なヒ ンジとして設計しています。
ۂ
0.7 Banca Popolare di Verona 三次元モデル
2.2.3 二階から三階 2.2.4 エントランス階から半地下階・一階
シークエンス内のオブジェクト
2.2.5 既存部螺旋階段
4. シークエンス内にみるオブジェクト
2.2.6 小結 2.3 Banca Popolare di Verona の断面ダイアグラムにみる設計意図 2.4 小結
オットーレンギー邸「calle」 ヴェネチア「calle」
第三章 シークエンス・ディテール分析: 内部空間にみる<都市内空間の内包>
ブリオン家墓地「水のパビリオン」
ヴェネチア「運河」
Carlo Scarpa 研究 2005―ヴィラ・オットーレンギー研究―
Carlo Scarpa 研究 2002―空間が与える心的統一感とその構造―
古谷誠章 / 印牧洋介 / 水野裕太
古谷誠章 / 吉田州一郎 / 佐野哲史
3.1 スカルパの証言とヴェネチアの街 3.2 シークエンスとディテールの分析 3.2.1 半地下階から一階
■ 仮説
3.2.2 一階から中一階 3.2.3 中一階から二階 3.2.4 二階から三階 3.2.5 三階
上記スカルパの証言より、 都市空間を内包する設計手法がヴェローナ銀行を研究する ことで明らかになるのではないか。
3.3 ロッジア、屋上の構成
各階層におけるシークエンスを巡り、空間に お現れるオブジェクトを分析した。オブジェ クトの配置による意図的なシークエンス操作 によって、内部空間は曲がり角を多く有し、 多様な場面の転換が起こる。複雑に展開され る空間の変化と、視線と動線の誘導を意図し ている。断片的なそれらが、連続的に知覚さ れていくことで多様で豊かな空間を意図して いる。
シークエンス内のオブジェクトとその分布
level +9.70 CT
EV
半地下階平面
EV
level +5.755
EV
一階平面
CT
CT
CT
二階平面
中一階平面
三階平面
3.4 ペアード・ピラと空間の統合
■ 研究対象選定 / 研究概要・方法
3.5 小結
結論 4.1 結論 4.1.1 亡きスカルパとの対話による技術の継承 4.1.2 見えない壁による空間の分節と接続 4.1.3 知覚的誘導による<都市内空間の内包> 4.2 展望
■ 結論:都市空間の内包とは
スカルパの言説が残るヴェローナ銀行について、文献翻訳によるスカルパの弟子アルゴ・ルーディ 氏の証言、 ドローイング資料、現地写真、 モデリングといった資料を精査したものと合わせて考察 項目を抽出。 その項目を基に、 ドローイングの記譜法分析、実空間を検証・分析しヴェローナ銀行 における<都市空間の内包>についての結論へ至る。
資料編: 参考図版・文献翻訳
結論 1. <都市空間の内包>とは断片的なオブジェクトの巧みな配 置によって、視線と動線を誘導し奥の空間が知覚されなが らも迂回しなければ行くことができない空間を創り出すこ とである。
結論 2. <都市空間の内包>とは断片的なオブジェクトの巧みな配置に よって、動線に選択性を与え、多様な空間体験の偶発性を促す ものである。 既存部裏口から
5.1 Testimonianze di 2000 anni di storia urbana negli edifici centrali della Banca Popolare di Verona 部分翻訳 ±0.00
5.2 Banca Popolare di Verona 図版(Castel vecchio museum 提
3階
FIDI (Financial District) 2°
2階
AFFARI (Business area) 1°
1階
ESTERO (Foreign area) R
エントランス階 半地下階
TITOLI (Securities area) 1 Scantiato (Basement)
地下1階
供)
地下2階
既存部エントランスから
CAMERA COR (Room) 2 Scantiato (Basement) Ascensore Pubblico ( 公共のエレべーター )
5.3 Banca Popolare di Verona 図版(Centro Carlo Scarpa 提供)
既存部(銀行本店)
既存部エントランスから
増改築部
Ascensore ad uso ~ ( エレベーター ) Montacarichi ( 昇降機 ) Scala Pubblico ( 公共の階段 ) Scala ( 階段 ) + Pubblico dal R al 1S (R から 1S は公共 )
5.4 CARLO SCARPA Banca Popolare di Verona 証言部翻訳 広場入り口から
5.5 Carlo Scarpa Layers 部分翻訳
断片的なオブジェクトの配置によって ヴェローナ銀行 (1973-1981)
ヴェローナ銀行配置図
ヴェローナ銀行記念誌
中央廊下が主動線の軸となっている
4つの階段室
アルゴ・ルーディ (1929-2007)
動線と視線が誘導される。
4つの階段室の分散的配置による動線の選択性
■ 研究対象概要 ヴェローナ銀行 (1973-1981) はスカルパの最晩年の作品であり、生前 5 年間と死後3年 間を費やし、スカルパの生死をまたいだ作品として、設計手法・意図の引き継ぎがおこな われた最初の作品として位置づけられる。スカルパの死後は弟子のアルゴ・ルーディ氏が 責任者として後を引き継ぎいだ。 Carlo Scarpa (1906-1978)
■ 総結 ヴェネチアの都市空間はスカルパの設計に対して多いに影響を与えた。 都市空間における 「道」 の選択性と 「広場」 による多様な空間や 人々と出会う偶発性、 そして、 「運河」 の水による全体空間の統合によって内的秩序を有した有機的都市構造をヴェローナ銀行に対し て意図していた。
■ 文献翻訳による弟子のアルゴ・ルーディの証言
『 Testimonianze di 2000 anni di storia urbana negli edifici centrali della Banca Popolare di Verona 』
■ 展望 弟子のアルゴ・ルーディを研究することは、スカルパにおける技術の継承と、次世代への引き継ぎを研究することにつながる。スカルパのドロー イングや証言のみによってその設計手法を学ぶのではなく、長年の恊働者でスカルパの技術を肌で感じてきた、弟子や職人達の引き継いだ技 術や、その後、彼らが如何に次世代へ継承してきたものを学ぶことは、我々が亡きスカルパとの対話によってその思想を学ぶ際、非常に重要 なことなのではないか。
-ヴェローナ銀行の地における 2000 年間の歴史の証言 Pierpaolo Brugnoli 編 /Banca Popolare di Verona 出版 /1986 ヴェローナ銀行におけるスカルパの設計プロセスを弟子のアルゴ・ルーディ氏が証言した文献。
■ 基本図面
21
21 17
21
21
Arrigo Rudi(ヴェローナ、1929 年∼2007 年) カルロ・スカルパの弟子、恊働者
2
4
19
level +1.65
3
1958 年∼1964 年にカステルヴェッキオ美術館
18
11
level -2.145
16
17
level +9.70
EV
EV
1973 年∼1978 年にヴェローナ銀行
10
20
CT
CT
EV
15 level +5.755
CT
CT
1 5 6
で恊働者としてカルロ・スカルパと共に過ごした。
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■ アルゴ・ルーディの証言
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スカルパから完璧な要素を引き継いでいることは確かである。スカルパはプロジェクトの開始から、今後のプロジェクトのため、私 に恊働で仕事をするよう命じ、急を要する時は、そのテーマの複雑さに判断を任せ、短期間で十分に解決をするよう対策を講じること
■ 参考文献
を私に求めていた。
文献 スカルパの予期せぬ悲劇的な死(1978 年 11 月 28 日日本で起こった事故)の時点で、作業は全ての部分における大まかな建設、2 つのファサード、広場、中庭が完成しており、内装に必要な資材の多くは長い間注文されたままだった。ここから、既に部分的に進め られている詳細なドローイング、作業ノート、スケッチ、そして選択をおこなう上での代替案、プロジェクトの問題に捧げたスカルパ との長い会合で話し合われた提案や方針案に基いて作業を完成させるという、私にとって困難で神経を使うタスクが始まったのだ。
「Testimonianze di 2000 anni di storia urbana negli edifici centrali della Banca Popolare di Verona」 Pierpaolo Brugnoli 編/Banca Popolare di Verona 出版/1986 「Carlo Scarpa Layers」 Anne-Cartrin Schultz 著/Axel Menges/2007 「CARLO SCARPA」 Robert McCarter 著/Phaidon Press/2013 「I teatri di Carlo Scarpa」 MAXXXI Architettura / Electa / 2010
スカルパがもし生きていたら、彼の仕事の仕方の特徴でもある絶え間ない見直しと改良というプロセスを通じて様々な解決策がとら れただろうということに、疑いはない。しかし、一方でカステルヴェキオ美術館のプロジェクトからスカルパとの仕事に長い間精通し ていたこと、他方で銀行のプロジェクトをその初期段階から共有し、全てのアイディア、ノート、ドローイングを精査し比較したこと は、私の仕事をより確かなものとし、行うべき選択へと導いてくれた。
「建築の詩人カルロ・スカルパ」斎藤裕 / TOTO 出版 / 1997 「テクトニック・カルチャー19-20 世紀建築の構法の詩学」 ケネス・フランプトン/TOTO 出版/2002 「SD 選書207 カルロ・スカルパ」Ada Francesca Marciano 編/ 濱口オサミ 訳 「Shuffled 古谷誠章の建築ノート」 古谷誠章/TOTO 出版/2002 「a+u CARLO SCARPA」 A+U/1986
複雑なこの仕事において、私は、貴重な協力と記憶の支えを手にしており、ヴァルター・ロセットとレナート・スカラッツァイによ る弛まぬ助けと、スカルパと長い間仕事をともにしてきた職人が仕上げを完了したことは、より一層建築現場へと良心に従って向かう ようになったことと合わせて、プロジェクトと調和する作業の完了について考えをめぐらす機会を与え、満足のいく結果をもたらして くれた。
「GA No.50 Carlo Scarpa Cemetery Brion-Vega」 A.D.A.EDITA TOKYO / 1979 「GA No.51 Carlo Scarpa Olivetti Showrrom,Querini Stampalia & Castelvecchio Museum」A.D.A.EDITA TOKYO / 1979 「GA No.63 Carlo Scarpa Banca Popolare di Verona Head Offices」 A.D.A.EDITA TOKYO / 1983 「GA Document No.21 Carlo Scarpa SELECTED DRAWINGS」 A.D.A.EDITA TOKYO / 1988 論文・梗概 「Carlo Scarpa 研究: 設計意図とその反映に関する研究1-9」 古谷誠章/1983-1995
■ アルゴ・ルーディの証言要約
「ヴィッラ・オットーレンギー研究<枠=既存物件>を仮定する設計手法-(1)(2)」印牧洋介/ 水野裕太/ 古谷誠章/2005 「Carlo Scarpa 研究2006 : 仮設展示計画における最小限要素( 展示パネル) による空間構成の分析」 篠田朝日/ 古谷誠章/2006
ヴェローナ銀行における忠実な引き継ぎによる完成がなし得たのは、亡きスカルパが遺した詳細なドローイ ングや生前のスカルパとの長期にわたる会合、恊働によって養われたスカルパの技術や手法、数十年来スカ ルパと協働してきた職人達の協力による賜物であった。スカルパの歴史的な位置付けとして、ヴェローナ銀 行はスカルパが遺した最後の作品ではあるが、スカルパの設計意図・手法が継承された最初の作品と言える。 つまり、ヴェローナ銀行は弟子達にとってスカルパの純粋な思考を再現するための端緒となった作品である といえる。スカルパとの幾度の協議、対話によってスカルパの設計に対する思考が弟子や職人達に血肉となっ て共有されていたことが、スカルパの死後、 ヴェローナ銀行を完成させることにおいて初めて明確に現れた と言える。
「Carlo Scarpa 研究2006 : カヴィーナ・ショウルームにおける設計手法」織田ゆりか/ 古谷誠章/2006 「Carlo Scarpa 研究2007 :ブリオンの家の墓にみる所与と既存」 荒木聡/ 古谷誠章/2007 「Carlo Scarpa のスケッチ上のあいまいな線に見る思考過程確率の分析」 小林玲子/ 古谷誠章/2008 「Carlo Scarpa 研究2008 : Banca Poporare di Verona のファサードにみる設計意図とその反映-(1)(2)」 金光宏泰/ 國分足人/ 古谷誠章/2008 「Carlo Scarpa 研究2009 : 1969 年を経た陰影に関する設計意図とその反映-(1)(2)」 斎藤信吾/ 中村碧/ 古谷誠章/2009 「Carlo Scarpa 研究2010 : ガラス器デザインに見る創作の発露」 田村正/ 古谷誠章/2010 「Carlo Scarpa 研究2011 : 家具の持つ空間に見る設計意図」 稲葉秀行/ 古谷誠章/2011 「Carlo Scarpa 研究2012 : カノーヴァ石膏彫刻陳列館における 「絵画的効果」 とその設計意図」菅野正太郎/ 古谷誠章/2012