2010 年度卒業論文発表会 2010/11/11
古谷研究室 1x07a178-3 籔内文恵
■研究テーマ
学校建築研究 ‒空間・プログラムにおける改善意図による改修学校を事例として‒
■目次
序論 1 はじめに
第 2 章 調査資料
2 研究背景
1 滑川市立西部小学校
2-1 学校建築の変遷
1-1 第 1 段階分析 原因分析
2-2 学校変革期としての現在
ヒアリング調査
ⅰ公立学校の耐震化
1-2 第 2 段階分析 改修内容分析
ⅱ児童数の増減と空間
教室と OS /廊下の間の障害物の調査
ⅲ教育形態変化
1-3 第 3 段階分析 現状分析
2-3 仮説
OS の利用頻度調査行動観察
3 研究目的
2 横浜市立港北小学校
4 既往研究について
3 宇都宮市立瑞穂野南小学校 4 仙台市立南吉成小学校
本論
第 3 章 考察
第 1 章 研究分析
1 第一次分析 各学校分析 2 第二次分析 横断的分析
1 研究概要
2-1 分析Ⅰ 原因分析
1-1 研究の流れ
2-2 分析Ⅱ 教室と OS の関係度分析
2 調査について
2-3 分析Ⅲ OS の利用頻度分析
2-1 調査対象校選定理由
2-4 分析Ⅳ OS での行為分析
ⅰ選定手順
2-5 分析Ⅴ OS での行為の起こる場所の分析
ⅱ各学校のプランについて
3 考察
3 調査対象校
3-1 考察 1 境界についての考察
4 調査方法
①境界における障害物について
5 分析について
②境界における緩衝地帯について
5-1 分析の流れ
3-2 考察 2 空間の問題をプログラムで補う
5-2 第 1 段階分析 原因分析
方法についての考察
ⅰヒアリング調査による分析について
3-3 考察 3 空間の問題をプログラムで補う
5-3 第 2 段階分析 改修内容分析
ことの実際についての考察
ⅰ空間分析について ⅱ教室と OS /廊下の間の障害物の
調査について
5-4 第 3 段階分析 現状分析
結論
ⅰ利用状況分析について
1 結論 2 展望 3 参考文献
■使用する言葉の定義 OS = オープンスペース
児童増加型
空間 プログラム 人の行動・意識 についての定義 プログラム
= 滑川市立西部小学校
空間
空間
固定式壁設置 = 宇都宮市立瑞穂野南小学校
建築・ハード
プログラム
ハード 遮音性や温熱環境など 建築がつくり出す環境、空間等
ソフト 教育形態や オープンスペースの運用・活用方法等
空間 教育・ソフト
可動式壁設置 = 仙台市立南吉成小学校
固定式壁撤去
人の行動・意識
= 横浜市立港北小学校
人の行動・意識
■研究背景・目的
■研究方法
序論
本論
2 研究背景
1 研究分析
2-2 学校建築変革期としての現在
1-2 調査について 1-2-1 調査校選定
現代の学校建築 耐震化の必要性
大幅な児童数の変動
新たな空間計画や 教育形態の模索
学校建築が空間的・プログラム的に変わらなければならない
+
改修の必要性のある校舎の増加
その結果起こっている事
1. 時代の要求への不適合 自然発生的で時事的な社会問題
OS の利用頻度が一番低い「固定式壁設置」校について
他校との違いは、教育などで積極的に OS を使わないこと ⇒授業中積極的に使うような解決法を探る事が重要 空間の問題をプログラムで解決できるのではないか
1-1 児童数の増減の問題 1-2 構造的な問題
3-3 考察 3 空間と問題をプログラムで補うことの実際についての考察 OS の利用頻度と行為の種類について
宇都宮市立瑞穂野南小学校
1-3 空調の設置
「固定式壁撤去」校では左図の OS の利用頻度を見ると一番高いが、 OS での行為の種類を見ると、自由行為の割合が少ないことがわかる これは OS が狭いことから行為が制限されているからであると考えられる ⇒空間の問題をプログラムだけで補うには限界がある
固定式壁設置
2. 空間とプログラムの模索 2-1 空間的な問題
仙台市立南吉成小学校
可動式壁設置
固定式壁設置
ログラムの模索」から 2 校ずつ選定した。
小学校建築の計画手法に変化をもたらす原因の 3 分類
3-2 考察 2 空間の問題をプログラムで補う方法についての考察 ( 続き )
間仕切り壁の開閉度の比較
児童増加型
「1. 時代の要求への不適合」「2. 空間とプ
2-3 仮説
3-1 考察 1 境界についての考察
滑川市立西部小学校
1. 時代の要求への不適合
2-2 プログラム的な問題
学校建築変革期
横浜市立港北小学校
「3. つくり手とつかい手の意思疎通不足」
■結論
可動式壁設置
結論 1 結論
OS の利用頻度の比較
固定式壁撤去
人 /4×4㎡
考察より 空間、プログラムは独立して考えることができず、空間・プログラムどち らが先行する事なく、バランスよく考えなければならないことがわかった。
に関しては近年問題視され始めた将来予 想される新たな課題として捉えているた め、対象校を選定しなかった。
1-1 空間発生や必要性
1-1 児童数の増減の問題
小学校建築の計画手法に変化をもたらす原因の 3 分類
1-4 調査方法
西部
1-2 耐震性のない建築
1-2 構造的な問題
1-3 閉じられた空間の必要性
1-3 空調の設置 2. 空間とプログラムの模索
普遍的な空間とプログラムの課題
問題
- 教室と OS /廊下の間の境界
2-1' ①音の問題の検討
- 防音材の位置や量
②視線の問題の検討
⋮
現状
対策
調査 1 原因調査
2-1 空間的な問題
■考察
調査 2 改修内容調査
- 教育
2-2' ①教育形態の模索
・調査 2 改修内容調査
-OS の運用方法
②OS の利用方法の検討
⋮
固定式壁撤去
「固定式壁設置」校は
可動式壁設置
固定式壁設置
南吉成
・教室と OS の関係度が低い ・自由行為の割合が少ない
児童増加型
固定式壁撤去
固定式壁設置
可動式壁設置
3-1 つくり手とつかい手の意見交換の場がない
→3 ワークショップの必要性
意識のずれが発生
新しい教育形態への対応
①開口部の大きさ
①開口部の大きさ
①開口部の大きさ
教室のオープン化という時代の流れへの疑問
→教室と OS /廊下の間の開口部の
0%
全体の何%が視線を通すものか
100%
50%
教室のオープン化
教室のクローズ化
教室をクローズ化した事例も存在する
学校建築が変化することの背景や事情をしっかりと捉え、 何が問題でどういう理由で改修が行われ、何を解決でき、 何が課題となったのかを細かくみていくことにより、 今後 OS を設計する際や、改修を行う際に最小の労力で 最大の効果を出すためにフィードバックをする事を目的とする。 改修事例について研究を行う理由
改修例は何かしらの問題に対し、解決が試みられたものであるため、 問題、対策、現状がわかりやすいからである。 またこのような改修事例は問題点が顕在化しているが、 どの学校にも起こりうる問題を扱っている
全体の何%が最大で開く事ができるか (ドアなどを含む) ①開口部の大きさ
36%
100%
①②③をレーダーチャートにし、
50%
各校全 60 教室の開閉度調査を行う
0% 50% 50% 100%
②視線が通る場所の大きさ
100%
③フレキシビリティ
68
4-1 63
定めた時間に OS に何人の児童がいるのかの調査
-OS の家具プロット - 行動観察
3-3
62
3 年生 61
授業終了前 15 分間と休み時間中の OS での児童の行動観察を行う その観察結果を各行為ごとに分類する
OS
100%
70
69
共通行為
自由行為
生理系
学習系
基本動作
歩く、話す 等
個人遊び 集団遊び
59
4-2
4 年生 71
OS 4-3
→解決された
2. 空間とプログラムの模索
→新たな問題が浮上
1. 時代の要求への不適合 →解決された
1. 時代の要求への不適合 1-1 児童数の増減の問題 1-2 構造的な問題
⇒解決可能 ただし新たな問題が 発生する可能性がある
1-3 空調の設置 2. 空間とプログラムの模索
⇒解決が困難
2-1 空間的な問題 2-2 プログラム的な問題
空間
プログラム
バランス
3. つくり手とつかい手の意思疎通不足 3-1 つくり手とつかい手の意見交換の場がない
72
・既存片廊下型の校舎の間仕切り壁 を取払いオープン化を試みた ・OS が廊下の幅(3m)しかない
以上の事から「3 」の「つくり手とつかい手の意思疎通不足」が考えられ、 少しでも問題点を減らすためには、意見交換を行い様々な分野からアプ ローチを試みる事が重要である。
ため狭い
3-2
60
生活行為
授業の準備 等
67
64
-OS の利用頻度調査
授業系
55.8% 100%
固定式壁撤去
65
1. 時代の要求への不適合
56.0% 100%
100%
3-2 考察 2 空間の問題をプログラムで補う方法についての考察 プログラムが OS の利用頻度に与える影響について 66
- 間仕切り壁の開閉度調査
本を読む 等
100%
7.84% 35.0%
⇒ 壁の種類が可動式か固定式かということよりも、教室と OS がどれくらい の関係度を持っているのかということの方が教室と OS の利用頻度や行為の 種類に影響を与えているということが考えられる
・調査 3 現状調査
トイレに行く 等
100%
③フレキシビリティ ③フレキシビリティ ③フレキシビリティ ③フレキシビリティ ②視線が通る場所の大きさ ②視線が通る場所の大きさ ②視線が通る場所の大きさ ②視線が通る場所の大きさ
壁設置型 2 校を対象に間仕切り壁がどのくらい開いた状態で使われているのかの調査
3 研究目的
37.3%
65.8%
62.5%
教室と OS の関係度が低すぎると、教室と OS が切り離されると考えられ、 OS の利用頻度は下がる可能性がある 教室と OS の関係度が高すぎると、教室と OS を妨げる物が不足し、 音や集中力の問題が起こる可能性がある
③フレキシビリティの特定
このレーダーチャートが、 教室と OS の関係度を示すと考える
100%
→解決されていない
時事的問題・普遍的問題・空間的問題・プログラム的問題は独立して考え る事が出来ず、複雑に絡み合っているため複合的に考えなければならない。
100%
51.5%
0% 61.6%
53.0%
(ガラスなどの視線を通すもの)
100%
62.5%
2. 空間とプログラムの模索
⇒
オープン化という時代の流れは正しいのか オープンな状態は学習空間として適しているのか ということは、未だ疑問の残る部分である
100%
53.0%
→教室と OS /廊下の間の開口部の
オープンプラン型の小学校の普及
①開口部の大きさ
100%
②視線が通る場所の大きさの特定
→新たな問題が浮上
「1. 時代の要求への不適合」は課題点が明確であるため解決は比較的容易 である。一方「2. 空間とプログラムの模索」は普遍的な問題であるため、 解決が困難である
0%
3 設計者と利用者の間の
→解決された
1. 時代の要求への不適合
2. 空間とプログラムの模索
教室と OS の関係度と OS の利用頻度について
→教室と OS /廊下の間の開口部の 全体の何%が開いた状態か
3. つくり手とつかい手の意思疎通不足 時事的なこれから予想される新たな建築的な課題
可動式壁設置
・OS の利用頻度が低い 例
①開口部の大きさの特定
固定式壁撤去
瑞穂野南 固定式壁設置
境界にある障害物量の特定
2-2 プログラム的な問題
港北
児童増加型
調査内容 教育委員会、教師へのヒアリング調査
1. 時代の要求への不適合 2. 空間とプログラムの模索
OS での行為の比較
調査 3 現状調査
・調査 1 原因調査
児童増加型
3-1
→空間的な課題点がある
■展望
2 展望
58
「固定式壁撤去」校では空間に課題点があるが、左図の OS の利用 頻度を見ると、一番高い事がわかる ⇒空間の問題をプログラムで解決していると言える
本研究では、空間とプログラム両面から学校建築を考え、 また現代学校建築が抱える問題点を三つに分類し細かく みていくことにより、「空間」と「プログラム」のバランス、 つくり手とつかい手の意思疎通の重要性を示す事が出来た。 本研究が、今後さらに増えるであろう改修校舎にはもちろん、 これから新たに学校建築を新築する場合にも、設計する上で の資産になると考える。