SNSを用いた駅圏の潜在的特性に関する研究 - ジオロケーションが現す東京23 区徒歩圏内外の超短期的人口分布から -

Page 1

2012.11.8 古谷誠章研究室 1x09a025 猪又直己

SNSを用いた駅圏の潜在的特性に関する研究 - ジオロケーションが現す東京 23 区徒歩圏内外の超短期的人口分布から 目次 □序章 0.1 研究背景 0.2 研究目的 0.3 論文構成

□第1章 地図による都市の分析手法 1.1 地図の種類 1.2 駅圏ボロノイマップ 1.2.1 駅圏ボロノイマップの概要 1.2.2 古谷誠章研究室における駅圏ボロノイマップ

1.3 SNS GeoLocation MAP 1.3.1 日本における SNS の状況 1.3.2 SNS GeoLocation MAP の概要 1.3.3 Eric Ficher による SNS の地図 1.3.4 渡辺仁史研究室による SNS の地図

1.4 本研究における分析手法 1.4.1 駅圏ボロノイマップ 1.4.2 徒歩圏内と徒歩圏外 1.4.3 Twitter GeoLocation 1.4.4 東京都地価公示 1.4.5 地図の重ね合わせ

□第2章 Tweet 解析による東京 23 区駅圏の超短期的変位 2.1 Tweet 駅圏ボロノイマップ 2.1.1 総合 2.1.2 季節的変位 2.1.3 曜日的変位 2.1.4 昼夜的変位 2.1.5 時間的変位

2.2 人口駅圏ボロノイマップとの比較 2.3 徒歩圏内と徒歩圏外における差異

研究背景

駅圏ボロノイマップをさらに徒歩圏の内

ところ、交流人口マップと強い相関関係が

と外で分割した。徒歩圏とは、駅から半径

見られた。[fig.2a][fig.4b]

500m の領域で、往復 15 分かかる場所のこ

季節的な変化を図化したボロノイマップ

という。この徒歩圏内外ボロノイマップに

情報化社会において、情報をマスメディ

では、夏の Tweet が多くを占めるが、ボロ

おいて、Tweet 総数を図化したところ、徒

アが掌握する時代は終わり、ソーシャル・

ノイごとに季節的特性がある。[fig.5a]

歩圏 内 の色が濃くなっている。駅の中心

ネットワーキング・サービス(SNS)によっ

時間的な変化をあらわしたボロノイマッ

性は強く、人が集まっていることを示して

て、個人が極小のメディアを形成するよう

プでは、昼間は交流人口と比較的関連性が

いる。ただ 外 に向けて Tweet が拡散し、

になった。そのため高密度都市において、

見られた。[fig.2a,2d][fig.5c]

むしろ外の方が人が集積しているものもみ

コンピューターネットワークの技術的高度

一方で夜間は夜間人口と全く関連性がない。

られた。これより、徒歩圏外をまたいだ駅

古谷研究室の駅圏ボロノイマップ 2001 年 , 2004 年

[fig.1a 交流人口ボロノイマップ]

た場所を、発信し、仕立て上げるようになり、 都市空間が変容しつつあるといえる。

「高密度都市における交流人口の分布研究」  金井淳 早稲田大学 2001 範囲   :山手線を囲む 15km 四方の範囲 駅圏数  :178 人口データ:1997 年(平成9年度)

3.2 山手線全域における Tweet 集積地 3.3 各ボロノイ駅圏の分析結果 3.3.1 徒歩圏外のないボロノイ駅圏 3.3.2 徒歩圏外のあるボロノイ駅圏 3.3.2.a Tweet 内外比 100% 以上

[fig.1c 夜間密度ボロノイマップ]

[fig.1d 通勤人口ボロノイマップ]

圏間の移動性を考察するには、より詳細な

[fig.2b,2c][fig.5c]

「街に潜むイメージの形成の研究」  宮本将毅 2004 範囲   :山手線を囲む 15km 四方の範囲 駅圏数  :213  (追加 - 大江戸線・三田線・南北線・ゆりかもめ・臨海副都心線) 人口データ:2002 年 (平成 14 年度)

Twitter は統計による長期的な人口動態に

Tweet の分析をしていくべきことがわかっ

はない独特の動きが見られる。

た。[fig.4c]

2011 年

60000

研究目的

50000

40000

SNS で見い出した駅圏の潜在的な特性 を把握し、それによって起こる駅圏間 の移動を明らかにする。

30000

20000

□春  □夏  □秋  □冬

SNS を解析することで、個人の行動の時 空間が把握可能である。これを用いて、超

[fig.2a 交流人口ボロノイマップ]

短期的な人口分布を高密度都市東京におい

「東京 23 区の人口動態からみる専門店集積地」 - 高密度都市居住研究 - 竹花洋子 2011

て明らかにする。  さらに、駅から遠い駅圏境界上に現れる

[fig.2b 夜間人口ボロノイマップ]

[fig.2c 夜間密度ボロノイマップ]

[fig.2d 通勤人口ボロノイマップ]

[fig.5a Tweet 四季ボロノイマップ]

10000

0

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

[fig.5b Tweet 数の時間的変位(1 時間ごと)]

[fig.5c Tweet 時間ボロノイマップ]

範囲   :東京 23 区全域 駅圏数  :442  (追加 - 副都心線・日暮里舎人ライナー)      人口データ:2008 年 (平成 20 年度)

現代的な動きを可視化し、その情報の集積

SNS GeoLocation MAP

地を抽出することで場所の潜在的な特性を 見い出す。

渡辺仁史研究室 重ね合わせ 独自の評価手法

00:00

01:00

02:00

03:00

04:00

05:00

06:00

07:00

08:00

09:00

10:00

11:00

12:00

13:00

14:00

15:00

16:00

17:00

18:00

19:00

20:00

21:00

22:00

23:00

Twitter 研究 ソーシャルネットワークを用いた都市生活者の時空間分布モデル 奥津拡  2010 ソーシャルメディアに現れる発言の集積としての都市のイメージ 小池太輔 2011

日本における SNS の状況 Google Earth, GIS ソフトの使用

日本において、SNS のひとつである 3.1.1 対象範囲 3.1.2 Tweet 集積地の算出方法

[fig.1b 夜間人口ボロノイマップ]

化と爆発的普及によって、個人が見い出し

□第3章 Tweet 集積地からみる各ボロノイ駅圏の特性 3.1 ボロノイ駅圏の分析手法

第 2 章 Tweet 解析による東京 23 区駅圏の超短期的変位  Tweet 総数を駅圏ボロノイマップ化した

東京では、鉄道駅圏を中心とした移動 のなかで、SNS の情報によって、人が 駅圏間を移動している。

2.3.1 徒歩圏内外 Tweet 駅圏ボロノイマップ 2.3.2 地価公示価格

2.4 考察

第 1 章 地図による都市の分析手法

範囲   :東京 23 区全域(経度 139.60-139.90, 緯度 35.50-35.80) 位置情報数:748419 件      期間   :2010.1.1. - 2012.5.31. [fig.3 銀座周辺における Tweet 行動別ホットスポット]

Twitter は約 3000 万ものアカウントがあり、 東京は世界最大規模の Tweet 数を誇る都市 である。  Twitter の利用者は年代的に偏りがみられ、

第 2 章 Tweet 解析による東京 23 区駅圏の超短期的変位 東京 23 区広域において、季節的・曜日的・昼夜的・時間的な変化を駅圏ボロノイマップに可視化する

若年層(15-39 歳)が 60%を占める。若年 層の人口が、総人口の 30%であることを考 えるとかなりの割合といえる。

第 3 章 Tweet 集積地からみる各ボロノイ駅圏の特性 山手線全域の 111 駅圏に対し、徒歩圏外における Tweet 集積地を抽出し、駅圏同士の連続性、および駅圏の個性を見い出す

3.3.2.b Tweet 内外比 30% 以上 3.3.2.c Tweet 内外比 10% 以上 3.3.2.d Tweet 内外比 10% 以下

ボロノイ駅圏定義関数(全 442 駅圏)

3.4 ボロノイ駅圏の傾向 3.5 考察

徒歩圏円定義関数(全 442 駅圏)

ある場所の緯度経度座標をこの式に代入(E2= 緯度 , D2= 経度)し、

徒歩圏:半径 500m の円で示される領域、往復 15 分

不等号式が成り立てばそのボロノイ駅圏であると判定される。 [駅緯度][駅経度]に駅中心の座標を入れることで、駅からの徒歩

□第4章 結論

圏円(半径 500m)の方程式ができあがる。

No.1: 池袋 =IF(AND(  E2<=-0.297999824*D2+77.37078029,E2<=-5.913043478*D2+861.901569, E2>=1.250341997*D2-138.9638345,E2>=-0.313106512*D2+79.46914804, E2>=-2.816666667*D2+429.225875,E2<=2.408112395*D2-300.6950081 ),"OK","-")

4.1 結論 4.2 展望

ある場所の緯度経度座標をこの式に代入(E2= 緯度 , D2= 経度)し、 1 以下であれば徒歩圏内、1以上であれば圏外であると判定される。

No.2: 新宿 =IF(AND( E2<=1.526717557*D2-177.5857247,E2<=0.162750895*D2+12.9570231, E2>=16.62435233*D2-2286.793523,E2>=0.14612326*D2+15.27360849, E2>=-0.203805224*D2+64.15880464,E2>=-25.97826087*D2+3664.784095 ),"OK","-")

参考文献

No.3: 渋谷 =IF(AND( E2<=0.442945145*D2-26.2150263,E2<=-0.019685039*D2+38.41466169, E2<=-0.288716814*D2+75.99861505,E2<=-1.105434596*D2+190.09917, E2>=0.537961369*D2-39.50305588,E2>=0.129732396*D2+17.52931784, E2>=-6.557522124*D2+951.7301879 ),"OK","-")

都市のイメージ Kevin Lynch 著 丹下健三・富田玲子 訳 岩波書店 2007(1968) マスメディアとしての近代建築 ロースとコルビュジエ Beatriz Colomina 著 松畑強 訳 1996(1994) 錯乱のニューヨーク Rem Koolhaas 著 鈴木圭介 訳 ちくま学芸文庫 1999(1995) CODE VERSION 2.0 Lawrence Lessig 著 山形浩生 訳 翔泳社 2007 サイバーシティ Christine Boyer 著 田畑暁生 訳 NTT 出版 2009 都市計画家 石川栄耀 都市探求の軌跡 鹿島出版 2009 メイド・イン・トーキョー 貝島桃代 黒田潤三 塚本由晴 鹿島出版 2001 超合法建築図鑑 吉村靖孝 彰国社 2006 高密度都市における交流人口の分布研究 金井淳 2001 高密度都市居住研究 - 環境変化と人口分布によるコンプレックスシティの考察 - 金井淳 2002 街に潜むイメージの形成の研究 宮本将毅 2004 東京 23 区の人口動態からみる専門店集積地 - 高密度都市居住研究 - 竹花洋子 2011 ソーシャルネットワークを用いた都市生活者の時空間分布モデル 奥津拡 2010 ソーシャルメディアに現れる発言の集積としての都市のイメージ 小池太輔 2011 都市空間認知の視点によるモバイル端末が提供する経路案内情報に関する研究 石井信行 2009

No.441: 高田馬場 =IF(AND (E2<=-0.321699766*D2+80.66017528,E2<=-1.659190372*D2+267.5190417, E2>=0.651012891*D2-55.24031788,E2>=-0.152401988*D2+56.9980945, E2>=-0.328335256*D2+81.57594985,E2>=-5.661538461*D2+826.6098939, E2<=2.092670973*D2-256.6315143 ),"OK","-")

No.442: 西早稲田 =IF(AND (E2>=-0.10092241*D2+49.80241327,E2<=0.651012891*D2-55.24031788, E2<=-0.32533784*D2+81.16600668,E2>=4.281174771*D2-562.4388587, E2>=-0.85636751*D2+155.3432646 ),"OK","-")

[fig.4a Tweet 点散分布図]

[fig.4b Tweet 密度ボロノイマップ]0

500〔回 /ha〕

0 [fig.4c Tweet 密度 徒歩圏内外ボロノイマップ]

500


Turn static files into dynamic content formats.

Create a flipbook
Issuu converts static files into: digital portfolios, online yearbooks, online catalogs, digital photo albums and more. Sign up and create your flipbook.