2012/11/8卒業論文発表会 早稲田大学 創造理工学部建築学科4年 古谷誠章研究室 1X09A048-9 小竹 海広
2012 年度卒業論文
待合空間研究 ーリハビリテーション病院における見通しの効果についてー 目次 : 第 1 章 序論
第4章 調査結果 PartA
1 節 研究背景
1 節 データシート
1.1.1 待合空間の社会的背景
4.1.1 各院の UCL Depthmap における見通し度について
1.1.2 リハビリテーション病院の社会的背景
4.1.2 各院の平均在院日数について
2節 研究目的と仮説 1.2.1 研究目的 1.2.2 仮説
第5章 調査結果 PartB 1節 データシート
第2章 待合空間とリハビリテーション病院の基本情報
5.1.1 ヒアリング調査の結果 5.1.2 観察による行動調査の結果
1 節 待合空間とは
5.1.3 アンケート結果
2.1.1 待合空間の定義 2.1.2 待合空間と待合室の違い 2 節 リハビリテーション病院の基本的要素
第6章 分析・結論
2.2.1 リハビリテーション病院の種類 2.2.2 リハビリテーションと在院日数
1節 調査結果 PartA の分析
3 節 既往研究
6.1.1 数値データ
2.3.1 待合空間の既往研究
6.1.2 グラフによるデータ分析Ⅰ
2.3.2 リハビリテーション病院の既往研究
6.1.3 グラフによるデータ分析Ⅱ 6.1.4 グラフによるデータ分析Ⅲ 6.1.5 グラフによるデータ分析Ⅳ
第3章 調査内容
2節 調査結果 PartB の分析 6.2.1 ヒアリング分析
1節 調査目的
3節 仮説の検証
3.1.1 調査目的 PartA
6.3.1 分析 PartA と分析 PartB による総合評価
3.1.2 調査目的 PartB
4節 まとめと結論
2節 調査対象
6.4.1 まとめ
3.2.1 調査対象一覧 PartA
6.4.2 結論
3.2.2 調査対象一覧 PartB
5節 展望・参考文献・謝辞
3.2.3 調査フロー 3節 調査方法 PartA 3.3.1 UCL Depthmap による見通し度調査について
第7章 終章
3.3.2 平均在院日数について 4節 調査方法 PartB
7.1.1 展望
3.4.1 ヒアリング調査について
7.1.2 参考文献
3.4.2 観察による行動調査について
7.1.3 謝辞
言葉の定義 :
待合空間 ・・・・・・ 医療施設における待合室と共用部を合わせた空間。 リハビリテーション病院 ・・・・・・ 急性期・回復期・維持期におけるリハビリテーション医療を行う病院の総称。 見通し ・・・・・・ 建築平面形態において遮蔽物がなく遠くまで見えること。
2012 年度卒業論文
2012/11/8卒業論文発表会 早稲田大学 創造理工学部建築学科4年 古谷誠章研究室 1X09A048-9 小竹 海広
「 待合空間研究 ーリハビリテーション病院における見通しの効果についてー 」
■ 第四章 調査結果・分析 4.1 全 19 事例の見通し度と平均在院日数の関係 140 130
■ 第二章 研究目的・仮説
■ 第一章 研究背景
120 110
2.1 研究目的
1.1 待合空間の社会的背景 ー待合空間の空洞化の時代ー
100 各
情報化の進む現代において、医療施設の利用は予約が主流となり、「待つ」という行為 が短縮され、「待つだけ」の待合空間はあまり必要とされない時代になりつつある。 そういった時代背景の中、待合空間には別の役割が求められてきていると言える。
待合空間の新たな役割の提示によるリハビリテーション医療の効果向上への貢献。
院
2.2 仮説
平
の 均 在
90 80 70
院
着眼点:リハビリにおける見る見られるの関係
日
60
数
仮説1
[日]
リハビリテーション医療を受ける患者は他患者のリハビリテーションを見ること で、一種の 予習・復習的効果 を得ている。
50 40 30
仮説2
20
他患者に見られることによっても、モチベーションの向上がある。
10
仮説 3
0
予習・復習的効果 や モチベーション向上 は建築の平面形態における
0
0.10
0.20
0.30
0.40
0.50
0.60
Average / Count(見通し度) [ 無次元 ]
見通し度 と比例関係にあり、平均在院日数に影響を与えている。
データ収集した 19 件の回復期リハビリテーション病院における平均在院日数 74.9 [ 日 ] 線形回帰直線
■ 第三章 調査内容
分析まとめ1 4.2 平均在院日数 80 ∼ 90 日の施設の見通し図
4.3 平均在院日数 60 日の施設の見通し図
集計した 19 件の事例においてリハビリ室のあるフロア における見通し度が高いほど、平均在院日数は少なく
3.1 調査内容 PartA
待合室 訓練室
待合室 訓練室
同フロア分離型
1.2 リハビリ病院と待合時間
可視型
なる傾向があった。見通し度が 2 割程度の施設と 5 割近く
待合室 訓練室
待合室 訓練室
可視型
一体型
ある施設では在院日数に 10 ∼ 15 日程度の差があること が分かった。(仮説3)
・UCL depth map による見通し度解析と各院の在院日数の収集。 ・UCL depth map による動線解析と待合空間との照合。
また、回復期リハビリテーションは入院が基本であり、通所リハビリテーションも
訓練室
分析まとめ2
待合室
完全予約制が主流であることから、リハビリテーション病院は待合空間の役割が最も
3.2 調査内容 PartB
別フロア型 待合室 訓練室
薄まっている病院形態のひとつである。
可視型
一体型の施設では、83.3%(55 人 /66 人中 ) の患者が 他患者のリハビリを参考にしているとのアンケート
待合室 訓練室
一体型
回答を得たり、他の型では見られない待合とリハ
・スタッフの方に対するヒアリング調査。
室の横断的アクティビティを観察することができた。(仮説1・仮説2)
待合室 訓練室
・院内の観察調査と UCL depth map による解析図との照合。
同フロア分離型
調査対象選定と調査フロー
分析まとめ3 ヒアリングから、全てタイプの施設において患者間で リハビリの成果のやり取りがあることが分かった為、
全国回復期リハビリテーション病棟届出数 1471 件(平成 24 年現在)
待合室 訓練室
一体型
・待合時間に見える他患者のリハビリ行為が参考 になるとの回答が 83.3%(患者 55 人 /66 人中 )。 具体的には、他患者のリハビリマシンの用い方、や
分析まとめ4
1406 件
65 件は対象外
自分のやった事のないリハビリに興味があるなど。
ヒアリングから、待合空間とリハビリ室が互いに見える
1.3 リハビリテーション病院と在院日数 「医療福祉建築」
待合とリハ室の関係から
「病院建築」27 件
一体型
(アンケート回答 66 人分)
コミュニケーションをとり、リハビリに ついて質問していた。
待合室 訓練室
一体型
・横断的アクティビティの発生 待合室 訓練室
可視型
可視型 (アンケートなし) 待合室 訓練室
同フロア分離型(アンケートなし) 急 性 期
別フロア型 (アンケートなし)
調査 PartA
急性期病院 ( ICU・CCU・HCU・一般 )
の典型事例を実地調査
在院日数が分かるもの
4件
19 件の資料分析
性
緩和ケア病棟
期
回復期リハ病棟
期
可視型
同フロア分離型
関係であっても、待合室からリハビリ室を見るというよ
待合室 訓練室
可視型
同フロア分離型
待合室
共用部内にいる者同士で行われている可能性が高いこと が分かった。すなわち、このような型の施設は 共用部 の見通しの良さ が重要になっている可能性が高い。 (仮説1・仮説2)
■ 第五章 結論
訓練室
待合室
別フロア型
結論1 まとめ1∼まとめ4より、建築における平面形態の 見通し度 は、リハビリの予習・復習的効果や患者同士の成果報告によるモチベーション向上の効果を生み、 在院日数短縮に影響を与えている可能性があることが明らかとなった。
■ 展望 在宅
展望1 病棟内の共用部における見通しの良さも検証する。
高齢者施設
総合的評価・分析
別フロア型
うなアクティビティは少なく、現状観察行為は互いに
結論3 患者からのアンケート集計により、一体型の施設では 83.3%の患者が他患者のリハビリ行為を参考としていることが分かった。
在院日数短縮の要求
別フロア型
訓練室 待合室 訓練室
通所リハ
慢 性
一体型
結論2 患者同士のリハビリに対する興味は、待合空間や共用部とリハビリ室を一体的に構成する平面形態により、さらに強まることが明らかになった。
亜 急
同フロア分離型
待合室 訓練室
れているものと考えられる。(仮説1・仮説2)
2000 年より前に竣工
・スタッフが患者の施術中に待合患者とも
一方で、平均在院日数が短い方が、 より質の高いリハビリテーション医療であると考えら れている。現在の全国の回復期リハビリテーション病院の平均在院日数は72.2日であるが、 社会保障国民会議では60日程度(83%程度)に短縮させることが提案されている。
何らかの形で患者同士でのリハビリの観察行為は行わ
2000 年以後に竣工
調査 PartB
待合室 訓練室
待合室
4.3 一体型施設でのアンケート・アクティビティまとめ(待合・リハ室間の横断的アクティビティについて)
日本医療福祉建築協会会誌
訓練室 待合室 訓練室
展望2 平面全体として見通しが高くない場合においても、座ったり立ち止まったりして他患者を眺めることのできる空間がある場合も考慮して検証する。 展望3 疾患別の平均在院日数と見通しの関係を検証する。