昭 和
61年
度
修 士 論 文
商積空間計画論 一 生 活 者
。街 の 現 象 か ら 見 る 商 積 空 間 計 画 指導
渡辺仁史
教授
早 稲 田 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科 建 設 工 学 専 攻 建 築 学 専 門 分 野
65E031
山 口
和 貝1
目 次 商 積 空 間 を 計 画 す る と は 一一 一 ―一― -
序 章 1
2
第
業
集
都
市
を
設
計
す
3章 1 2 3
生
活
行
動
消
費
市
場
魅
力
質
的
一
一
一
―
―
一
―
一
一
一
―
一
一
-
1
一
一
一
一
―
一
一
一
―
―
一
一
一
―
一
-
3
る
と
動
が
を
変
わ
つ
か
つ
生
活
価
値
が
観
一
―
一
一
―
一
一
―
一
―
―
―
一
一
―
一
た
一
わ
変
一
―
二
_____ 11
- 5
る
―
一
-
一
5
む
る
あ
機
空
間
が
能
求
の
誕
め
ら
一
生
れ
一
一
―
―
―
一
一
―
一
一
一
一
- 24
一
一
一
一
―
―
―
―
一
一
一
一
- 28
る
32 集 積 街 の 構 造 を見 る 一 一 ― ― 一 ― ― ― ― ― 一 ― ― - 32 ― ― 一 - 36 商 積 街 の発 達 過 程 一 一 一 ―一 千 商
積
の
街
の
人
流
一
れ
―
―
一
一
一
―
一
一
―
一
一
一
一
- 40
43 一 一 ― 一 ―一 -46
商積街 の ライ フサ イ クル ーー ー ー ーー ー ー ーー ーー 方 位 学 と 地 相 を 考 え る ・ 地
相
2
地
相
3
都
市
4 5章
行
一
商 積 街 の 姿 一―― ―一 一 一 一― ― ― ―一―‐
4 4章 1
活
一 積
17 商 積 空 間 に 求 め られ る も の が 変 わ る 一 ― ― ― ― ― - 22 商 積 空 間 の 機 能 一 一 一 一 ― ― ― ― ― 一 ― ‐ 24
2
第
商
生活価値観 が変 わ る一一一一――――― 一一―一-
3 4 2章 1
第
と
生
2
第
市
-章
1
第
都
1
と
方
位
学
方
位
学
相
を
る
見
を
考
え
る
一
一
一
一
―
一
―
―
一
一
一
一
- 46
一
一
一
一
―
一
一
―
一
一
一
一
―
一
―
―
- 50
一
一
一
一
―
―
―
―
一
―
―
一
一
一
―
―
- 55
商 積 街 の 相 を見 る 一 一 一 ― ― ― ― ― ― ― ― ― 一 一 -
60 一 ― 一 ― 一 ― 一 一 一 ― ― ‐ 66
商 積 空 間 の 計 画
66 1
2
一 商
積
街
に
求
め
ら
れ
る
条
一
―
一
一
一
一
一
T一
件
経 験 的 計 画 法 の 問 題 点 と特 徴 ― 一 一 一 ― 一 一 一 一 -
_____一
二
* 参
あ
考
文
と
が
一
一
一
一
一
一
一
―
一
一
一
―
一
一
一
―
一
一
―
―
- 72
―
一
- 74
献
き
一
一
―
一
一
一
―
68
序章
商 積 空 間 を計 画 す る とは
'
序章
商 積 空 間 を計 画 す る とは
都 市 を 計 画 す る と き 、 交 通 機 能 、住 宅 機 能 な ど い ろ い ろ な 機 能 を 中 心 と す る こ と が 考 え られ る が 、 これ か ら は 「 商 業 」 を 中 心 に 考 え る こ と が 必 要 に な つ て く る と思 わ れ る 。 つ ま りは 商 業 が 集 積 して い る場 所 につ い て 考 え る こ とが 必 要 で あ る 。 そ れ に は 、 商 業 が 集 積 して い る 場 所 、 つ ま り
″
商業集積地
″
の概 念
を ど の よ う に 捉 え 、 そ して 商 業 集 積 地 を ど の よ うに 計 画 して い け ば よ い の で あ ろ う。
都 市 と 商 業 集 積
都 市 と商 業 集 積 の 関 係
都 市 は 何 を 中 心 に の 生 ま れ て き た の で で あ ろ う 。農 業 中 心 の 社 会 で は 、 農 村 が 都 市 を 形 成 して い た 、 そ して 工 業 社 会 に な る と工 業 を 中 心 と して 都 市 が 形 成 さ れ て き た 。 い わ ゆ る 工 業 団 地 で あ る 。 そ して 、 働 く と こ ろ と住 む と こ ろ が 離 れ る よ うに な る と 、 住 宅 街 、 ビ ジ ネ ス 街 が 都 市 を形 成 して い る 。 い ず れ に して も 、 都 市 生 活 者 が 生 活 す る に あ た つ て モ ノ を 必 要 とす る 、 そ の た め 人 々 は モ ノ を 求 め て モ ノ が あ る と こ ろ に 集 ま る よ うに な る 。 そ し て 、 モ ノ が あ る と こ ろ は 一 箇 所 に あ る ほ うが が 便 利 で あ る と い う こ と か ら商 業 集 積 地 が で き て き た の で あ る 。 現 代 で は 、人 々は 増 々 、商 業 集 積 地 に集 ま る よ うに な つ て き て い る 。 こ の よ うな こ と か ら 、 これ か ら は 商 業 を 都 市 の 中 心 と考 え る こ と が 必 要 で あ る と 考 え られ る 。 つ ま り 、 商 業 集 積 地 を 都 市 を 計 画 す る う え で の 一 つ の 糸 口 と考 え る こ と が 必 要 で あ る と い う こ と で あ る 。 で は 、 商 業 集 積 地 を 中 心 と して 都 市 を 考 え る に は 、 ま ず 商 業 集 積 の 概 念 を考 え る必 要 が あ る 。 経 済 的 な 立 場 で 、商 業 集 積 地 の
″
商業
″
を考 え る と 、 そ れ は 単 に モ
ノ の 売 買 を す る行 為 で あ り 、 商 業 集 積 地 は そ の よ うな 行 為 が 行 な わ れ る 場 で あ る と考 え ら れ る 。 社 会 的 な 立 場 で 考 え る と 、都 市 に必 要 な 機 能 は い ろ い ろ な もの が あ る が 商 業 機 能 は そ の 中 心 的 な も の で あ り、 そ こ に は 単 な る 売 買 機 能 だ け で な く飲 食 機 能 、 娯 楽 器 の な ど が 含 まれ て い て 、 そ れ ら が 機 能 ご と
序章
商 積 空 間 を計 画 す る とは
に 均 一 に分 布 す るの で は な く 、 あ る 区域 に 集 中 して 存 在 す る と い うこ と に な る 。 そ して 、現 在 の 、商 業 集 積 地 を 見 る と 、 人 々 は 、 そ こ に モ ノ を 求 め て だ け 来 る の で は な く新 し い ヒ トや コ トに 出 会 い に 来 る の で ある。 こ の よ うな こ と か ら 、 本 論 文 で は 、 商 積 地 を 後 者 の 立 場 で と ら え る こ とにす る 。
2″ 商 積 空 間
″
とは
商 業 集 積 地 と い う言 葉 は 、実 際 に は あ ま り使 わ れ る こ と は な い 、 そ こ で まず 、 こ こ で 商 業 集 積 地 と 同 じ よ う う に 使 わ れ て い る い く つ か の 言 葉 につ い て 考 えて み よ う。 一 般 的 に よ く使 わ れ る の が <商 店 街 >と い う言 葉 で あ る 、 こ れ は 広 ″ ″ ″ ″ と い う二 つ の と 街 辞 宛 で は こ の 言 葉 自体 は 出 て い な い が 商 店 言 葉 か ら考 え る と 「 商 品 を 販 売 す る見 で が 並 ぶ 大 通 り、 ま た は 、 ま ち す じ 」 と い う こ と に な る で あ ろ う 。井 か 同 様 な 言 葉 を調 べ て み る と次 の よ う言 い 方 が あ る 。
<繁 華 街 > <盛 り場 >
「 に ぎや か な 大 通 り。 に ぎ あ う ま ちす じ 。 」 「 人 の 多 く集 ま る 場 所 。 繁 華 街 。 」
こ れ 例 外 に も最 近 で は <街
>と
か <タ ウ ン >と い う よ うな 言 い 方 も
され て い る 。 こ の よ う に 見 る と 、 <商 店 街 >で は 売 買 機 能 だ け の あ る街 と い う感 じが す る し 、 <繁 華 街 、 盛 り場 >と い う言 い 方 で は 、今 商 業 が 集 積 し て い る と こ ろ が必 ず し も に ぎ あ つた り、人 が 多 い と い うこ とで もな い の で ど う も し つ く り来 な い 。 と こ ろ で 、 商 業 集 積 地 と は 、先 に 述 べ た よ う に
″
商業施設 だ けでな
く飲 食 機 能 、娯 楽 機 能 な どい ろ い ろ な 機 能 を持 ち 合 わ せ て い る街 で あ ″ る 。 と い う こ とか ら 「 商 積 街 」 と い う こ と が で き る と考 え られ る 。 ″ ま た 、 商 積 街 は 、都 市 生 活 者 に と つ て 人 が 出 会 い 、 触 れ 合 い 、 そ ″ ″ と い う人 間 集 合 の 磁 場 を 形 成 す る 空 間 、 環 して 情 報 を交 換 す る 。 ″ で あ る と捉 え る こ と が で き 、 そ うい つ た 意 味 か ら「 商 積 空 間 」 と 境 い う こ と が で き る と考 え られ る 。 こ の よ うな こ とか ら 、 本 論 文 で は 先 の よ うな 商 業 集 積 地 、 商 店 街 、
序章
商 積 空 間 を計 画 す る とは
繁 華 街 、 盛 り場 と い う よ う な 言 葉 に 代 わ つ て 、 さ ら に 商 業 集 積 地 を都 市 の 中 心 と して 考 え る に あ た っ て 「 商 積 街 」 さ ら に は 「 商 積 空 間 」 と い う言 葉 を 使 う こ と にす る 。
都 市 を 設 計 す る
都 市 を解 析 す る
以 前 か ら 、都 市 計 画 や 都 市 工 学 に お い て 、 商 積 街 を 中 心 に 都 市 を計 画 す る 考 え は あ つ た 。 しか し 、都 市 計 画 に お い て は 、 ど ち ら か と い う と イ ン フ ラス トラ ク チ ャ ー優 先 の 考 え方 で あ つた し、都 市 工 学 に お い て は 都 市 的 な 立 場 か ら 、統 計 的 に 数 学 的 手 法 を用 い て 商 積 街 を ″ 解 析 ″ す る こ とで あ つ た 。 都 市 を 解 析 す る に は 主 と して 二 つ の 立 場 が あ る 。 一 つ は 、 現 実 の 状 況 を で き る だ け よ く説 明 し よ う とす る 立 場 で あ り 、 も う 一 つ は 、 最 適 化 を考 え る 立 場 で あ る 。 ど ち ら の 立 場 で 解 析 して も 、 そ の 結 果 が 都 市 計 画 に使 わ れ て い るの で あ る 。 こ の よ う に 、都 市 の 諸 活 動 や 状 況 を 客 観 的 に 捉 え 解 析 して 都 市 の 機 能 等 を 計 画 す る こ と は 重 要 な 事 で あ る 。 そ れ は 、 あ る 目 的 を 設 定 した と き 、 都 市 内 で は 各 種 の 活 動 が ど の よ うに 地 域 的 に 分 配 さ れ る べ き か と い う こ と を知 っ て お く こ と が 、 都 市 を 計 画 す る た め の 一 つ の 基 準 と して 喝 模 範 回 答 の よ うな も の と して 必 要 で あ る か ら で あ る 。 し か し こ の よ うな こ と は 、 都 市 的 な 、 す な わ ち マ ク ロ 的 な 考 え 方 で あ る と 同 時 に イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ー 優 先 の 上 に 成 り立 っ て い る の で は な い か と 考 え られ る 。 しか し 、今 、 商 積 街 、 商 積 空 間 に 求 め られ て い る の は 模 範 回 答 で も な い し 、 イ ン フ ラ 的 な 機 能 で も な い の で あ る 。 求 め られ て い る の は 、 個 性 、 環 境 、 内 面 的 で 実 体 的 な こ と 、 そ して 機 能 や 建 物 が ″ハ ー ド″ で あ る の に 対 し て ″ ソ フ ト ″ な の で あ る 。
2
都市の
″
現象
″
を見 る
今 、 「 街 の トレ ン ドを読 む 」 と か 「 街 を観 察 す る 」 と言 つ た よ うな ″ ″ ″ ″ 都 市 の 現 象 を見 る こ とか ら 、 街 づ く り や 都 市 づ く り を 考 え る 3
序章
商 積 空 間 を計 画 す る と は
こ と が い わ れ て い る 。 こ れ は 、 と り も な お さ ず 、 都 市 や 街 そ して 商 積 空 間 に は 、都 市 計 画 や 都 市 工 学 で は 計 画 す る こ とが で き な い条 件 を計 画 す る必 要 が あ る と い う こ と か ら い わ れ て い る と考 え られ る 。 つ ま り 、 都 市 計 画 や 都 市 工 学 で は 、現 象 と い うこ とが 扱 い に くい と い うこ とで ある。 しか し 、 都 市 や 商 積 空 間 の 現 象 を 単 に 追 っ て い る だ け で は 商 積 空 間 全 体 か らみ た 計 画 や 開 発 方 向 が 見 え て こ な い の で は な い か と考 え られ る 。 都 市 工 学 に お け る よ うな 都 市 計 画 に 対 す る 模 範 回 答 ほ ど客 観 的 で は な い 、あ る枠 組 み が 必 要 で あ る 。 で は 、都 市 計 画 や 都 市 工 学 に お い て は 、 ど の よ うに 基 準 を 出 して い る か と い う と 、 一 つ の 都 市 活 動 に 関 して 、 あ ら ゆ る都 市 の デ ー タ を集 め て 一 つ の 基 準 を考 え れ ば 最 も よ い の で あ る が 、 一 般 的 に は 不 可 能 で あ る の で い くつ か の 特 徴 的 な 都 市 か らの デ ー タ を も とに 考 え るの で あ る 。 デ ー タ を 数 学 的 に 解 析 して 基 準 を 考 え る の で あ る 。現 象 か ら の 枠 組 み を考 え る 場 合 も 同 じ こ と で あ る が 、集 め ら れ た 現 象 を 、数 学 的 に 解 析 す る と意 味 が な く な る し 、 ほ と ん ど不 可 能 で あ ろ う 。 そ こ で 、経 験 的 な 計 画 方 法 で あ る が 、 全 く客 観 的 で は な い も の と し ″ ″ て 少 し迷 信 的 で は あ る が 、 家 相 、 地 相 、 方 位 学 と言 つ た も の が 考 え られ る 。 ″ 家 相 の 研 究 で 知 られ る 建 築 家 の 清 家 清 氏 も言 っ て い る よ うに 、 家 ″ 相 、 地 相 、方 位 学 と い う も の は 、 迷 信 も含 ま れ て は い る が 建 築 計 画 的 、 工 学 的 、 住 居 学 的 な 根 拠 が あ る の で あ る 。 そ して 、 歴 史 的 に 見 て 、 古 く は 中 国 の 長 安 、洛 陽 、 日本 で も平 安 京 、 藤 原 京 な ど と い つ た 都 市 に 地 相 や 方 位 を も と に 計 画 され て い る の で あ る 。 こ の よ うな こ と か ら 、 都 市 や 商 積 空 間 の 現 象 の 枠 組 み と して 本 論 文 で は 「地 相 、方 位 学 」 を考 えて み る こ とにす る 。
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
第
こ の 数 年 、 これ まで の
″
1章
商店街 開発
″
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
から
″
ま ちづ く り
″
へ と発 想
の 転 換 が 見 ら れ る 。 こ れ は 、 商 積 街 の ハ ー ド開 発 か ら ソ フ ト開 発 へ の 転 換 と 言 つ て も よ い で あ ろ う 。 こ の よ うな 流 れ は 、 消 費 者 つ ま り生 活 者 の 変 化 を背 景 と して 、 必 然 的 に 出 て き た の で あ ろ う 。 <生 活 者 >と い う言 葉 は 、 最 近 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 で 使 わ れ る よ うに な つ た 言 葉 で あ る が 、 これ は と り も な お さ ず 、 以 前 の 高 度 大 衆 消 費 時 代 に お け る商 品 中 心 に 考 え た <消 費 者
>と
い う捉 え 方 が 、 今 日 の マ ー ケ テ ィ ン グ で
は 通 用 しな く な り、 消 費 者 の 変 化 に 伴 い 生 活 を 中 心 に 考 え る 必 要 が あ る と い う こ と で <生 活 者
>と
い う言 葉 が 使 わ れ る よ うに な つ た の で あ
る。 こ こで は 、
″
商積街 づ く り
″
に 影 響 を 及 ぼ し て い る 、 生 活 行 動 と生
活 観 の変 化 につ いて み て い くこ とにす る 。
生 活 行 動 が 変 わ つ た
生 活 行 動 の 変 化 に つ い て は 、最 近 い ろ い ろ な こ とが 言 わ れ て い る が 、 ″ ″ そ の 中 で も 商 積 街 づ く り に 特 に 影 響 を 与 え て い る と考 え られ る こ と に つ い て ま とめ て み る 。
主 婦 が 働 き始 め た
昭和
50年
代 に は い る と 、 一 度 家 庭 に 入 つ た 主 婦 が 働 き に 出 だ した
(図 1)。 と りわ け 、 子 育 て を終 え た
30代
後 半 か ら 40代 の 主 婦 の
間 で こ う した 傾 向 が 強 く見 られ る 。 しか も働 き だ した き っ か け は 、 よ ″ ″ ″ ″ く 言 わ れ て い る よ うな 生 き が い を 求 め て 、 生 活 の苦 しさゆ え ″ ″ ″ だ け で は な い 。 む し ろ 社 会 に 出 て 見 間 を広 め た い 、 生 き が い を ″ ″ ″ 求 め て 、 自分 の 自 由 に な る お 金 が 欲 しか つ た か ら な ど が 多 数 を 占 め て い る 。 中 に は 、 働 い て 得 た お 金 で 、 ス ポ ー ツ を した り 、 カ ル チ ャ ー セ ン タ ー に 通 っ た り して い る 主 婦 も 多 い 。 こ の よ う に 、主 婦 の 社 会 に 出 る機 会 が 増 大 し 、 あ ち こ ち の 魅 力 あ る 店 や 街 に 出 か け る機 会 も増 え て い る 。 そ して 、 働 き に 出 る こ と で 、 家
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ
事 労 働 の 中 で わ ず らわ し い 買 い 物 は 、 な るべ く手 間 をか け な い で 済 ま せ る よ うな 傾 向 も出 て きて い る 。
図
1
増 大 す る女 子 雇 用 者 数
(万人 )
%
1,500 1,400
51
女子 雇月]者数 (全 体 )
50
主婦 の労 働 力 率 ︵ 目盛右 ︶
1,200 1,100 1,000
900 800
女 子一 雇用 者 数 ︵ 有 配偶 者 ︶
1,300
49 48 47
46 45 44
700
600 500 400 日 召不o45
50
51
52
53
54
55
56
57
出典 ;総 理府統 計局「 労働 力調査」 に よ る。
2
生 活 文 化 に対 す る欲 求 の 高 ま り
生 活 文 化 欲 求 と は 、 つ ま り、 生 活 の 質 の 豊 か さ に 対 す る 欲 求 で あ る 。 近 年 、生 活 文 化 欲 求 は 高 ま っ て い る が 、 現 象 的 に 現 わ れ て い る 最 も特 徴 的 な も の と して 、 次 の 点 が あ る 。 表
1は 、 余 暇 開 発 セ ン タ ー の 三 年 ご と の 全 国 規 模 で 行 な わ れ る レ ジ
ャ ー調 査 の 中 か ら昭 和
51年
か ら昭 和
60年
までの過去十 年 間 の余 暇
活 動 の 推 移 を 男 女 別 に 見 た も の で あ る 。 これ か ら 次 の よ うな こ と が わ か る。 ①
ス ポ ー ツの根 強 い人 気
男 女 と も衰 退 して い る ス ポ ー ッ は 少 な く 、 女 性 で は フ ァ ッ シ ョ ン 性
4)
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
の 強 い も の が 人 気 が あ る こ と が わ か る 。 い ず れ に し て も 楽 しみ と 共 に 健 康 志 向 の 支 え られ て い る の で あ ろ う 。 表
1
10年
過去 141ス
傾向
メ ー ッ
,●
味 ・ 11作
レヽ 晨
ビデオの制作
<ィ > 日
楽
ケ食
拡 大 化
水 泳 (ア ールでの ) 参加串ノ トレーニング ゲートボール
{●
力外
-3P3
間 の 余 暇活 動 の 推 移
男性 観 光・ 行 楽
ピクニック・ハイキング 野外散歩 帰省旅行 国内観光旅行
回 数ノ
大
J )v2
―・スナック・パ ア・飲み屋 連 園地
衆 化
参加率′ 回 数ヽ
マ ニ マ化
ツコギング・マラツン 参加率ヽ
クラブ キ ャバ レー 競 月 餃 属
バスケットボール 武遭,テ ニス.釣 り
口 ν
衰 退 化
卓 球 参加率 ヽ
サイクリング スポーッサィクル マドミン トン ′ 回
― ツ観 職
ス “
ラグビー
ゲームセンター・グーム,一 ナー 麻 雀 ピリヤード サウナプロ
淳楽器の演奏 邦楽・民雲 映画E貫 演芸鑑賞
数ヽ
変
回
イウリング キ ャンプ・ 量山
日曜大エ ロ菫・露 いしり 音楽艦賞
薔棋
参加軍 ―
田将
不
ドライプ 海 水 浴 海外旅行
数―
<口 > イ)ス
ポ ー ッ
大
,r+rr.airy
衆 化
Jfu7
参加率ノ
'趣
味
11作
趣味 工 芸 ス ポ ー ツ観 職
映画鑑賞 音楽会・ ヨンサー ト
レヽ 娯
楽
棋ケ
加 参 回
大 化
ψ ν
拡
エアロピクス・ ジャズダンス サイクリング・スメーッサィクル 水 泳 (プ ールでの )
(口
将カ
傾筒`ヽ、世 1 『
日
女性 観 光
行 楽
ドライプ 海水 浴 ピクニック ′、 ィ■ング・ 野外敵歩 動物園 植物園 水族館 博物館 帰省旅行 国内観光旅行・ 海外旅行
トランプ オセo カルタ 花軋 燿 園地 ′ マー・ スナ ック・ パ ブ・飲み屋 催 し物 I● 覧会
回 数ヽ
へ ν
マ ニ マ化
加 参 ・ 回
ソフ トr― ル ′マスケ ットボール 釣
編物・餞物・ 手芸 津裁・ 和餞
り 作
文料
秒理
不 変
参 ロ
一 一
孵 数
加 参 回
ヘ ハ
衰 退 化
車 球 バ ドミン トン イク リング
邦 楽・ 民謡 痒 楽器 の 演 奏 音楽鑑 貫 園 芸・ 鷹 い じり お茶 ,お 花 .書 ll
ヾチンコ
「 レ ジ ャ ー 白書
'86」
よ り
② ク ラ フ トホ ビ ー の 隆 盛
男 性 で は 日 曜 大 工 や 園 芸 が いぜ ん と人 気 が あ り、女 性 で は 趣 味 工 芸 、 音 楽 会 な ど に 人 気 が あ る 。 つ ま り創 造 欲 求 の 満 足 と 共 に 、 仲 間 づ く り
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
や 社 会 参 加 意 識 が 強 く な つ て い る と 考 え られ る 。
③ 時 間 多 消 費 レ ジ ャ ーヘ
表 に は あ らわ れ て いな い が 、か つ て の 少 な い時 間 の 中 で お金 お た く さ ん 使 って 、 日常 の モ ヤ モ ヤ を発 散 させ る レ ジ ャ ー か ら 、頭 や 身 体 を 使 い 、 時 間 も た く さ ん 使 う よ うな レ ジ ャ ー ヘ と質 的 な 変 化 も見 せ て い る。
以 上 の よ うな レ ジ ャ ー の 変 容 も 商 積 街 の あ り方 を 変 え さ せ て い る と 考 え られ る 。
3
家 計 か ら「個 計 」ヘ
小 売 業 をめ ぐ る 日に は 見 えな い 環 境 変 化 と して 、 こ こ で 述 べ る ラ イ フス タ イル の 変 化 をあ げ る 。 図
2
個 人 単 位 の 消 費 が 増 えて い る
:総 i‖ 賛支 出 に 占め る割 合
図
3
ひ と り世 代 が 増 え て い る
9 5年
注
撃
:「 家 計 調 査 」
5 5年
撃 撃 資料
図
輩
撃
輩
撃
資ll:「 国勢調査J 注 :〈 )内 は総世帯数に占める単独世帯の割合
撃
2は 消 費 支 出 の 中 の 、 こ ず か い 、 つ き あ い 費 、仕 送 り金 の 割 合 の
″ 推 移 を示 して い る 。 これ ら三 つ の 費 用 は いず れ も 、 家 族 の それ ぞ れ ″ の 個 人 の 自由 裁 量 に よ っ て 支 出 され る と い う性 格 を持 つ て い る 。 つ ま り自由 裁 量 金 で あ る 。以 前 は 、家 計 消 費 の 大 部 分 は 一 家 の サ イ フ を
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
預 か る主 婦 に よ っ て 行 な わ れ て い た 場 合 が 多 か つ た 。 文 字 ど う り 「 家 計 」 で あ っ た 。 しか し 、 次 第 に 、 家 族 の 中 の イ 国人 の 自 由 に な る 消 費 が 増 え て き て き て い る 、 こ う い う傾 向 は 「 個 計 化 」 と い う こ と が い え る と 考 え られ る 。 こ の 傾 向 は 、 実 際 に は グ ラ フ に 現 わ れ て い る数 字 以 上 で あ る と考 え られ る 。 ま た 、 一 世 帯 者 の 増 加 も著 し い 。一 世 帯 は 、 昭 和 帯 か ら 55年 に は 実 に
538万
35年
世 帯 に 増 加 して い る (図
の
92万
3)。
世
これ も
「 個 計 化 」 を 促 して い る こ と は 言 う ま で も な い 。 小 売 業 や 商 店 街 の 立 場 か ら す る と 、 つ い 最 近 ま で は 主 婦 の み を対 象 に 考 えれ ば よ っ か た の が 、 今 や 子 供 や 若 者 も 男 性 も 、 そ して 老 人 も考 慮 した 店 づ く り、商 店 街 づ く りが 必 要 と され て い る と 考 え られ る 。
4
生 活 者 は 変 幻 自在
人 々 の 生 活 は 行 動 は 合 理 的 、 そ して 賢 明 に な っ て き て い る 。 一 方 で は 非 常 に 経 済 的 で 、 時 に は 質 素 と思 え る 行 動 が と られ 、 他 方 で は 、 ゅ と り と も ム ダ と も思 え る よ うな 行 動 を と る よ うに な っ て い る 。 そ れ は 、 自 分 に と っ て あ ま り重 要 な 価 値 を 持 た な い が 、 ど う して も 必 要 な もの に 対 して は 、 単 に 最 低 の 機 能 を 持 つ た も の を 買 つ た り、 時 に は デ ィス ヵ ウ ン トシ ョ ッ プ に 行 つ た りす る の で あ る 。 そ の 一 方 で 、 自 分 の ラ イ フ ス タ イ ル に あ っ た も の に 対 して は 、 そ れ が ど ん な に 高 く て も 買 っ て し ま っ た り 、 多 く の 金 と 時 間 を か け て レ ジ ャ ー を した りす るの であ る。 つ ま り、 生 活 者 は 、 「 大 衆 と 」 して の 側 面 を も つ と き も あ れ ば 「 小 衆 、 分 衆 」 と して の 側 面 を も つ と き も あ る 。 しか し 、 い く ら 自分 の 個 性 や 感 性 を大 切 に し 、 人 と 同 じで は 嫌 だ と い う人 が 増 え て き て る と 言 っ て も も 、生 活 の あ ら ゆ る 場 面 で そ うで は な く 、 あ る 一 面 で は 画 一 化 し て い る こ と も事 実 で あ る 。 雑 誌 や
CMに
よ つ て 画 一 的 な 服 装 な ど を して い る の で あ る 。 こ う考 え る と 、生 活 者 は 、 「 大 衆 」 、 「 小 衆 、 分 衆 」 そ して 「 共 存 、 複 合 」 の 側 面 を 時 と場 合 に よ っ て 使 い 分 け て い る と考 え られ る 、 そ れ を ま とめ た の が 図 4で あ る 。 こ れ は 、 現 代 人 間 科 学 研 究 所 が 最 近 の ヒ ッ ト商 品 を 消 費 モ チ ベ ー シ ョ ン 別 に 分 類 し 、 さ ら に 、 そ れ ら を生 活 分
第 1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
野 別 に整 理 した もの で あ る 。 この よ うな 生 活 者 を商 積 街 が どの よ うに 捉 え るか が 今 後 の 問 題 と な るで あ ろ う。
図
4
新 しい 大 衆 の プ ロ フ ィール 7 o -+o)U+t\
―
「
-=tlti7 1人 の 人間
― ― ― ― ― ― ――― ― ――‐
■― ―
_三 _1「 状 i兄 、場 面 、 目的 に よ って 使 い わけ
o「
二
:
‰
:
:
やめ
ぷる る むく る す る る
く射
学 つ表 詭 聴 見 増 貯 守
旅 す る ぷす う
遊動使
住 ま う 暮 ら す 着 飾 る う 装 美 し くな る 食 べ る
に 就.tt.fritrlt.Hgtll .fis
/く yⅢ
\ /ヽ ご>ヽイ\/︲ \/\ノ︲ \ノ ヽ :
.
)
i$dr4+fi
r.,'|,rfiE. tfi
/く
+-+, ,ill&tl'zllrrv'rt AE n rv+
少年 ジャンプ人気 ・ レア ィス コ ミッタアーム ―レータィーンロマンス │・ FE■ ■ .′ ヽ え気がでるテレビ ・ おニャン子 タラア・・│."!状 廊
・ rナ イステ ィJ
1静 ―
・「 工 江 ,J
―
―
―
―
― ― ―
:聯 ―
_―
―
―
―
―
ケは険 ・ 財テ“タアーム “ ・ 蘊魚ブーム ・ たびたび(日 本 文」 公 tL)
I
― ―
―
―
・ デ ィズニー ランド ・『スーパー‐ リオブライーズ」
Fら lI品 ■ラ え
・ 都市ヤホテル
J
― ――‐ .―
4_堂
クリニー タ
こ 二
.シ
`´
印良品
チー ズ アレスハ ム "・
“
i三 含
・ 稟 東 お とな 夕 ,ア ・ 矢
`1稿
―
T″ 肩 ■ ■ ■ r
・ 戸 1機 ・ ベ ス トヒ,}uSA ズ ・ 小 ,1:■ 人気 ィ ンデ ィー “
子 ''狐
Jメ
レー,,■ を に く ′ レタ ,′
,‐
'チ ー ムデ : ・ ′マ チ ´,実 敲薇室 「 アナザニ ヮンJォ リンナルキャラタ′―ぬぃ ぐoあ デザ イン ― 卜 ・ フラノンコノンス教宝
攪和銭ずデて1旨 鰺鶏F― “
r′
ヽイムアバンテJ
:轟 ],1ま ュゥゥェム ラ
自然化姓品 。ここちE(プ ラ) エ ステテ ィ ′タサ ロン・ ワ ンレングス
チ キ ンナ γ ′卜・ シー デ ィ ′シ ュ
薇宅
・ 自分 lt作 り ・ 心理 学 アー ム
'ヽ 。 :目 的 別 lκ lテ (古 城 め ぐり 窯め くり・● :卜 “浴 な ど )
_lf員
嘔書
.餞
・ 単身赴任専′ マ ンシ ョン ・ カプセルベ ノド “
・ パ イオ化粧品
:
員
_」 モ1■■ L4■
・ 宅配便 ・ 宅息便 ・ ハ ウスタリー ニ ン グ
イッカ劉 ミスター コー ヒー
44■
ー‐
―
・ コンパ '」 '夕タトデ ィスタ ・ BMw ・ rP'S BARJ・ ベルレンタス・ ソアラ.ア ウデ ィ
・「 侵 J ・ rか ら,ん l● J(■ 空 レ リー ズ) '4t■ ・ コー ドレス タリーナー ・ ●チュー プ 。 「 くらしのデ オ トライザー
む
臓
・ ,■ 奎 薇 室 ・ ホェ 作 薇 室 人気 ・ カ ラ ォ ヶ欧
・アン7.ア フリカlltiF・ ■
・ IIら laり 弁 当 。 「 キュピー ス′ テ ィツー スJ `′ ・ ウー ●ン茶 ・ 明治 「 ラフ
:!:!:;:;i:│!彗 :lil:│:::通 1;│(│`
・ ナルシシズム・感性 質
(旅 :テ ・ 7′ リカ ・ヨー● ′′
TJ」 ″ うラフラ兵ニア
y面 は 〉 に
・ マ ネー ■ ■ 専門 喫 茶
・
1
飲
ft \
人
iン
.べ
′トショ′ブ
ァ
I_/ニ lT`il,了
.
ン ヨ
デザイナーズプランド ・古″77ツ シヨン `ζ キャラタターズプランド・アンティータアタセ サリー オリンナルワゥベ ン.パ ′ン・ 「 くあっこヵヽ ぇっこプラ i
Ⅷ ν
地 レ ,薔
∩υ
第 1章
2
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
消 費 市 場 を つ か む
消 費 の 多 様 化 、個 性 化 が 進 み 、生 活 の 場 面 に よ っ て 消 費 者 は 様 々 な 顔 を使 い分 け て い て 、今 ま で の 固 定 観 念 で は そ の 動 き を 的 確 に 捉 え ら れ な くな っ て きて い る 。 そ こ で 、商 積 街 に 影 響 を与 え る 、生 活 者 の 最 近 の 消 費 行 動 を見 る の に 、 電 通 マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 研 究 会 で は 消 費 市 場 を 見 通 す 新 しい コ ン セ プ ト を 六 つ の キ ー ワ ー ドを 使 つ て 説 明 して い る 。 そ の 中 で も商 積 街 を 考 え る う え で 重 要 で あ る と 考 え られ る 四 つ の キ ー ワ ー ド を 取 り上 げ て み る 。
1
ライ フ シア タ ー 図
日 曜 日 の 昼 下 が り、 東 京 、 原 宿 界 隈 の 街 頭 で 繰 り広 げ ら ″ れ る、いわ ゆ る パ フ ォーマ ″ ンス と 呼 ば れ る演 劇 で も舞
自己演 出意 識 0食 事 にたっ.,tり と時間 をかけ
食
雰囲気 を大切に した い…………70%ノ ●料理に時間 をかけて,手 作 りの 味 を出 したい…… ………………75%ヽ ●高級 レス トランで本格的 な 料理 を楽 しみたい………………55%ノ
0デ ザ ー トや食前酒やワイ ンに
踏 で もな い 奇 妙 な 行 為 。 派 手
凝 りた い…………………………26%→
な 自 己 表 現 、 オ ーバ ー な 演 技 で 人 気 を集 め る タ レ ン トた ち
1
●気にい ったデザイナ ーの商品は 衣
安0し て身につ け られ る………43%ノ ●有 名な海外ブラン ド商品 は ,
安心 して身につ け られ る………21%→
の 登 場 。 こ うい った 事 象 の 中 に 、演 技 に よ って別 世 界 を 自
向 をか ぐこ とがで きる 。この
余暇
ら 体 現 し よ う とす る 時 代 の 志
住
よ うな 志 向 は 、街 頭 だ け で な 日常 生 活 の あ らゆ る場 面
で 表 面 化 して き て い る 。 (図
分 が 主 役 と な り 、 自分 の 考 え た シ ナ リオ に そ っ て 、 自 分 の
健康
人 々に とって生活 とは 、 自
教 育
1)
●国内旅行 をしたい………………62%ノ ●ゴルフ,テ ニスなどの社交的 スポ ーツ をしたい………………32%ヽ ●クラブライフ を楽 しみたい……63%ヽ
交際
<、
●書斎が欲 しい……………………65%′ ●インテ リアに凝 りたい…………61%ノ ●エ クステ リアに凝 りたい………51%/
● ビジネス以外のつ きあぃ も 大切 に したい…………………… 79%′ ●家族 ぐるみのつ きあ ぃ を ●男の子に も,豊 かな情操
を 身につけ させ たい………………9o%ノ
●健康のためのスポ ーッを 規則0り に行いたぃ………………76%ヽ
(注 )→ (矢 印 )は 57年 -59年 の 推 移 を示 す 。
セ ン ス の ま ま に 演 出 す る 劇 場 に な つ た か の よ うで あ る .こ こ で 彼 ら は 、 こ の 劇 場 を ラ イ フ シ ア タ ー と 呼 ん で い る 。 自分 の 価 値 観 を 表 現 す る 場 が 生 活 で あ り 、 そ の よ うな 表 現 プ ロ セ ス に よ っ て の み 、 心 の 自 己 充 足
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
は 可 能 に な る と 、人 々は 考 え始 め た の で あ る
図
2
ラ イ フ シ ア タ ー の シ ナ リオ キ ーワ ー ド
丁
.(図 2)
Town (イ
圭 ,)
内
容
‐ “ Town"は “ Vi‖ age"よ り大 き く Cly"よ り1ヽ さい。 ライフシアタ ーの上演には最 も似つかわ しい「街」 。そんなイメ ージがする。 物 か ら0へ ,生 活 に お け る価 値 の 1ヒ 重 は移 行 した。 人 々 .物 `■ を通 して ,そ の彼 方 に あ る価 値 を見 つ め て い る。
H
Heart
巨
Enioyment (iE)
江 戸 文 化 を一 瞥 す れ ば , 日本 人 が 遊 び人 的 素 質 を秘 め て い る こ とに 気 づ く。 ラ イ フ シア タ ー は,そ の ま ま 巨 大 なエ ン ジ ヨイ メ ン トの 装 置 で あ る。
A
Amenity
今・ よ うや く.パ ー ソナ ル 文化 の総 合 と して の 本 来 の ア メ ニ テ イが , 日本 に お い て も,意 識 され よ う と して い る。
丁
Taste
巨
Essence
R
Reality
(,t
)
0)
(iii) (真
車 は 自己 演 出 の最 大 の ツ ー ル の ひ とつ だ。 人 々 は情 しみ な く 車 の 「 テ イ ス ト」 に お金 を使 う。 「 テ イ ス ト」 の 世 界 は.好 き か 嫌 い か , ま さに感覚 そ の もの の 世 界 と言 え よ う。 ,
(a)
)
「 軽 薄 短 小」 ブ ーム は,「 過 剰化 社 会 」 に お け る 「 消 費の ラ イ ト 化 」 と い う大 き な流 れ が ,そ の本 質 に あ る。 い わ ば 消 費 に お け るエ ッセ ンス 化 の 結 果 で あ る。
食品 における「生 もの.地 もの,完 熟 もの」 ブ ーム は,食 生活 における リア リテ ィの とい うニーズによる。 素材 その もの の持つ リア リテ イが最高のごちそうなのだ。 '1得
ラ イ フ シ ア タ ー で は 、人 々 は 競 つ て 自分 を演 出 し、 そ の 演 出 に よ っ て 、人 々 は 自分 は何 らか の 意 味 で 、魅 力 的 な 存 在 で あ る こ と を人 に 見 せ よ うと した り、 自分 で 納 得 しよ うと試 み た りす るわ け で あ る 。 シ ー ン消 費
ラ イ フ シ ア タ ー で の 観 客 、 そ の 中 に は 演 技 者 で あ る 自分 自身 も含 ま れ る 、 に 示 さ れ る の が シ ー ン で あ る 。 シ ー ン と は 、 自分 と周 りの モ ノ 、 そ して そ の 両 方 を 含 む シ ー ン (空 間
)が
、 そ れ ぞ れ 情 報 を 発 信 し合 う
こ とで 成 立 す る 「 時 空 間 」で あ る 。 シ ー ン の 概 念 は 、今 日の 生 活 者 の 消 費 行 動 を 解 く 鍵 を 提 供 して くれ る 。 今 日 の 生 活 者 は モ ノ を 消 費 して い る の で は な く 、 シ ー ン を 消 費 して い る の で は な い か と い う仮 説 が 考 え られ る 。 つ ま り 、 生 活 者 は 自分 の 脳 裏 に 、 あ る シ ー ン を思 い 浮 か べ て 、 そ の シ ー ン を 形 ち づ く る た め に 、 そ れ の 合 った モ ノ を 、ス ペ ース の 中 に そ ろ え て い るの で は な い か と い う こ とで あ る 。 シ ー ン消 費 に お い て は 、 当然 の こ との よ うに 、 モ ノ に 対 して は 、 機 能 、 性 能 が よ い と言 つ た こ と に と ど ま ら ず 、 ど ん な シ ー ン 、つ ま りど ん な 世 界 を思 い 浮 か べ させ る こ とが で き る か 、及 び そ の 12
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
シ ー ン をイ メ ー ジ させ る 力 が どの ぐ ら い 強 い か が 重 視 され る こ と に な
3) 図3
る 。 (図
シ ー ン消 費 の コ ンセ プ ト シー ン消 費
シ ミュレーシ ョン化 した r私 」 のパ フォーマ ンスのステージで ある時空間(=シ ーン)を 買 う モノ消費
[`,1普 }を
↓ ー シ の 用 権賀 る 得 緩 }を ィ利
買う
{菫
(モ ノ を買ってい るように見 え る場合でも。モノその ものでは な く,モ ノが想起 させ実現する シ ーンを買って い る)
モノの所有権 を得 る
イメ ーシ 〈 意味づけ) 意味 (表 現 する世界 )
現 代 の シ ー ン 消 費 は 多 様 性 を 最 も大 き な 特 徴 と して い て 、 生 活 者 は そ れ ぞ れ 、 こ うあ りた い と考 え る シ ー ン を想 い 描 き 、 そ れ に 合 わ せ て 演 技 す る の で あ る .そ し て 、 生 活 者 は 今 ど ん な シ ー ン に 共 感 して い る か と 言 う と 、 「 幾 何 学 か ら博 物 学 へ 」 、 科 学 か ら 神 話 へ 」 、 「 禁 欲 か ら放 蕩 へ 」 と い った こ と が 言 え る 。 また 、 シ ー ン表 現 に お い て は 、視 覚 的 な 二 次 元 の リア リ テ ィ ー を 求 め る こ と か ら 「 感 触 」 と 言 っ た 二 次 元 的 な リア リ テ ィ ー を 求 め る 傾 向 が 強 ま っ て い る 。 (図 図4
4)
よ シ ー ン ・ ニ ー ズ の ヨし 目 示=
,い 01に
13
彙ムをヽ●Ⅲ 8Brt蠣 で│を 、 ■。=マ レ■レ‐}f●
=ttⅢ
●
第
3
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
感 性 消 費 、理 性 消 費
シ ー ン消 費 で は 、商 品 購 入 の 決 め 手 に な る の が 、 シ ー ン ・ コ ーデ ィ ネ ー タ ー と して の 消 費 者 の 感 性 で あ る 。 消 費 者 は 多 様 か つ 大 量 に 展 示 さ れ た 商 品 陳 列 場 で 、 つ ぎ つ ぎ と 商 品 を 鑑 賞 し 、 自分 の 感 性 に ピ ン と き た 、望 み の シ ー ン が 作 り出 せ て 情 報 発 信 力 を 持 つ と 直 感 した 商 品 に 手 を延 ば す の で あ る 。 こ の よ うな 感 性 重 視 の 消 費 行 動 を彼 らは 「 感 性 消 費 」 と名 付 け て い る 。感 性 型 の 消 費 は 今 後 、 現 在 の 若 者 の 成 長 に 伴 っ て 、 今 以 上 に 拡 大 し て い く も の と考 え て い る 。 ま た 感 性 の 中 身 は 、 そ れ ぞ れ の 時 代 の 価 値 意 識 を 反 映 して 変 化 し て い き 、 今 の 感 性 は 、 「 軽 、 我 、 華 、 鮮 」 に 合 う方 向 に 転 換 して い る と も言 っ て い る 。 店 頭 で 感 性 に ピ ン と来 る も の が あ っ て 手 を 伸 ば して も 、 や は りそ こ に 理 性 的 な 判 断 も働 く .我 々 は 商 品 を 購 入 す る と き 、 よ り理 性 的 な 判 断 を重 視 し 、 い わ ば よ く考 え て 購 買 を決 め る消 費 態 度 を 「 理 性 消 費 」 と名 付 け て い る 。 日 常 繰 り広 げ られ て い る 購 買 行 動 は 、 感 性 ― 理 性 の パ フ ォ ー マ ン ス と して 現 わ れ る 。 消 費 者 は 、 自 ら の 感 性 を 満 足 さ せ て ″ 楽 し く暮 ら そ ″ う とす る 半 面 、 理 性 的 に 考 え て ″ 賢 く (便 利 に )暮 ら し た い ″ と 思 つ て い る 。 消 費 者 は 、 こ れ ら二 つ の 願 望 に 加 え 、 基 本 的 な 願 望 と して 、 ″ ″ 安 全 に 暮 ら した い と も 強 く思 っ て お り 、 こ の 二 つ の 願 望 が 今 日 の 消 費 者 の 顔 を つ く っ て い る と い え る 。 (図
5)
図
5
消費者 の
3つ
の顔
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
「 自遊 時 感 」 社 会
自由 時 間 は どん な 時 代 で も皆 無 だ っ た わ け で は な く 、奉 公 人 に も 「 薮 入 り」は あ っ た 。 しか し、現 代 の 自由 時 間 は 、か つ て の 自由 時 間 とは 、別 な 意 味 を も ち 始 め て い る 。 (図 図
6
「 自 遊 時 感 」社 会 の コ ン セ プ ト これまでの余暇社会
自遊時感社会
018の 生活時間か ら,生 活必需
●自分 自身のために,自 分の手て 作 り出す 自由時間を中心に動 く 社会 (自 由時間は全生活時間に またがってい る)
義
時間と仕事時間 を引いた ものを 余暇時間と考える社会
時 間価 値
●物理0'時 間価値 (「 何時間仕事をしたか∫何時間 遊んだか」など物理的に猥1る こ とのてきる時間価値
定
6)
)
時間の区分
時間の内容
°
:[:[[lil夕 問イ 面値 )
晏 ifこ 重
●あ らか じめプ ログラム された時 間 (労 働時間,生 活必需時間,余 8餞 時間等)
●自分 自身でプ ログラムする時間 面値 の高 (自 分にとって意味的イ い時間,低 い時間)
●レジャー,遊 び.レ ク リエーシ ョン.休養.気 ば らし, ひまつ
●創造, コ ミュニケ ーション,内 省,か らだを動かす. 自然・ 矢o, 7ミ ューズメン ト
_〕
:し
0余 0限 時間 を増やし, より豊かで ●意味0切 面値の高い時間を増や し ,
時間ニーズ
刺激 のある余暇生活 を楽 しみた ヽ`
より深みのあるクリエ イテ イブ な 自由時間ライフを送 りたい
こ れ ま で の 社 会 は 、 生 活 時 間 の 面 か ら見 る と 、 拘 束 時 間 と して の 労 働 時 間 と 、 自 由 裁 量 時 間 と して の 余 暇 時 間 が は っ き り と 区 分 され 、 対 立 関 係 に あ る 社 会 で あ つ た 。 戦 前 か ら高 度 成 長 時 代 、 そ し て 成 熟 時 代 へ と 社 会 環 境 が 変 化 す る の に 伴 い 、余 暇 時 間 は 増 加 し 、 そ の 内 容 も充 実 して い っ た 。 こ の 間 の 人 々 の 生 活 の 主 な 部 分 は 仕 事 が 占 め 、 個 人 と して の 楽 しみ や 自 己 実 現 は 労 働 の 残 余 と して の 余 暇 =「 放 課 後 時 間 」 内 に 限 られ て い た 。 こ の 点 、 明 治 時 代 も戦 後 も 同 質 な 「 放 課 後 社 会 」 で あ つた 。 と こ ろ が 、 現 代 の 社 会 を見 る と 、 単 な る 「 余 暇 時 間 」 を 利 用 す る と い う概 念 を 越 え た 、 生 活 の あ ら ゆ る 場 面 に お け る 「 自 由 時 間 化 」が 起 こ つて い る 。各 場 面 ご と に 考 え て み る と次 の よ うに な る 。
<ビ ジ ネ ス >仕 事 を 単 な る 収 入 の 手 段 と して で は な く 、 ゲ ー ム 、 あ る い は ク リ エ イ テ ィブ な 自 己 実 現 の 場 と考 え る 人 が 増 え て い る 。 15
第
<家 庭 >家 事 時 間 を 短 縮 方 、料 理 や
DIYと
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
して ス ポ ー ッ や 仕 事 を す る 主 婦 が 増 え る 一
い っ た ク リ エ イ テ ィプ な 家 事 は 男 女 と も 時 間 を か
け て 楽 しむ よ うに な つ て い る 。 そ して さ ら に 、 自 分 に と っ て の 自 由 時 間 を 求 め る 女 性 た ち は 、 離 婚 を も恐 れ な く な つ て き て い る 。
<街 >24時
間 、 都 市 生 活 を楽 しむ 人 が 増 え 、 タ ウ ン 情 報 を 組 み 立
て て 自分 自 身 の タ ウ ン ラ イ フ を 作 る こ と が 当 た り前 に な りつ つ あ る 。 こ の よ う に 考 え る と 、 「 自 由 時 間 」 は む しろ 「 自 遊 時 感 」 と した ほ うが 適 切 で あ る と彼 ら は 言 つ て い る 。 そ れ は 、 人 々 の 感 覚 に よ っ て 、 自 由 時 間 が 生 み 出 さ れ る と い う意 味 で 、 「 時 感 」 で あ り 、 余 暇 時 間 が あ れ ば 、 そ れ が 自 由 時 間 と い うわ け で は な い の で あ る 。 人 々 が 、 自分 の 時 間 と感 じて 初 め て 、 自 由 時 間 と な る 。 ま た 、 そ の 時 間 で 追 求 さ れ る こ と が 、 た だ 漫 然 と した ヒ マ つ ぶ しで な く 、 自 己 実 現 に つ な が る 「 自 由 」 で あ る と こ ろ か ら 、 そ の 時 間 は 「 自遊 時 感 」 と 呼 ぶ べ き で あ る と 説 明 して い る .
くU
第 1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
生 活 価 値 観 が 変 わ る
生 活 者 の 消 費 活 動 が 変 化 した の と 同 じ よ うに 、 生 活 価 値 観 も 変 化 し て い る 。 消 費 活 動 が 商 積 街 に 与 え る影 響 と 同 様 に 、生 活 価 値 観 の 変 化 は 、 商 積 街 に 求 め ら れ る べ き も の に 影 響 を 与 え る と考 え られ る 。 こ こ で は 、 そ の 変 化 の 七 つ の 面 か ら 見 る 。 そ して 、 そ れ に 加 え て 最 近 、 生 活 価 値 観 の 変 化 を見 る の に い わ れ て い る 世 代 交 替 に つ い て も触 れ て み る。
意 識 変 化 と 多 元 化 す る生 活 価 値 観
50年
代 の 後 半 に は い る と 、 昭 和 30年 代 後 半 か ら 40年 代 前 ″ ″ ″ ″ 半 にかけての 消費革命 に 匹 敵 す る ほ どの 意 識 革 命 あ るいは 、 ″ ″ 価 値 革 命 が起 こ つた と 昭 和 60年 代 の 社 会 の 特 徴 表 1 い わ れ て い る 。生 活 価 値 観 の 昭和
昭 和30年 代後半 -40年 代前半
変 化 は生 活 の 質 の変 化 に結 び
高 lI経 済 成 長 (10%成 長
(4%成 長)
高度 工 業 化 社 会
つ い て い る こ とは い うまで も な い が 、 しい て は これ は 、経
所 得 水 準 の 上 昇 と平 準 化 マ ス・ カル チ ャ ー 社
済 活 動 、 さ ら に商 積 街 が これ
マ ス・ レ ジ ャ ー 社 会
か ら ど うあ るべ きか の 糸 口 に
自由 時 間 の 増 大
な る と 考 え られ る 。 そ して 、
教 育 水 準 の上 昇
ま と ま り体 暇 の 増 大 (週 休 2日 制 とバ ケー シ ョン)
高学 歴 社会 社 会 教 育の 浸透
既 に 現 わ れ て い る意 識 変 化 は 、 さ ら に 今 後 考 え られ る で あ ろ
核家族 化
ア メ ニ テ ィ社 会
市f三 都 足 1集 中 分 1志 総 \
サ パ ー パニ ゼーシ ョン
fヒ
う経 済 的 、 社 会 的 及 び 技 術 的
三i:轟 兵あふ::
人 口 t成 の 変 化 l・
な 環 境 の 変 化 に よ つ て 促 され る と考 え ら れ る 。 で は 、 そ の
グ ● ― パ リゼ ー シ ョン (世 界 化 )
技 術 的 条 件
環 境 の 変 化 と は ど の よ うな こ と で あ る の か 、 そ れ を 示 した の が表
1(「
ス ト リ ー ト・ ト
レ ン ドの 読 み 方 」 山 口 貴 久 男
L:l
技術革 新
情
[!lil〔 iォ
r,は
,自
,
ロ ー ノ テ シ ク
情 報・ 通 信 革 命の浸 遣
交通 革 命
生:`に
をレ,を 与える もの
て とくに '1し
`密
著 よ り )で あ る 。
ま た 、前 節 か ら も生 活 価 値 観 の 変 化 は 生 活 の い ろ い ろ な 面 で 起 き て ワー
1章
第
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
い る こ とは わ か る 。それ を 、戦 前 ・戦 中期 と 、高 度 成 長 期 と、昭和 6
0年 代
と に そ れ ぞ れ の 時 期 の 生 活 価 値 観 の 特 徴 を七 つ の 面 か ら整 理 し
た もの が表
2で
ある。
そ れ ぞれ の 時 期 の価 値 観 の 特徴 が表
2の 様 に 考 え ら れ
る
2
表
よ うに な る 。戦 前 ・戦 中 期 は 、 ″ い わ ば 強 制 され 、従 わ さ れ ″ た 価 値 観 で あ った 。昭 和 3
(1‖
強 11的 価 値 観
│
ITI一
勁
倹
節
約 一 単 __●
:肖
│
1 (意
:
的 価値 観
昭和60年 代 識革命ル│) 多元 的 価 11観
費は 英徳
│ l■
●合理的節約倫 FE
費は美徳 ―
勁
を 守
る
人並み
倹
節
=議
――――■→ 個性的生 き方の尊電
く他 人志 向 〉
│
(主
約 ―■ ― ― ― → フ ローの 重 視
│
ど す べ て の 人 が 同 じ よ うな 考 ″ え 方 を した と い う意 味 で 、 ″ 画 一 的 価 値 観 の 時 代 と特 徴
費革命期 )
│
一│
費 革 命 期 に は 、国 民 の ほ とん
代の生活価値観の展望
(大 衆 i‖ 費 社 会 鷹i)
分
代前半 の消
60年
1昭 和 30年 代後半・40年 代前半
昭 和 20年 以 前
が 、 それ を一 言 で い えば 次 の
0年 代 か ら 40年
昭和
(所
得 .,H費
絶 否 鰐絣 雄_… 非 合 理 的 lll絆 主義
1カ
ス ト ァタ重視
)一
│(個
人的費産・11会 的‖績
)
紅■ ― ヵ鵬誨R
質 的 壺 か さの 重視
―
張)
・しの 0か さの rt視
一
づ け る こ とが で き るの で あ ろ 向
う 。 これ に対 し 、 い ま起 こ り ″ ″ つつ あ る 価値革命 は 、い
│ │││:i乳 禁
ろ い ろ な 考 え 方 を し 、様 々 な 価 値 観 を抱 く人 が い る と い う ″ ″ 点 で 、 多元 的価値観 の 時
ft
欲
^
主
■
組
―
み は 善 (fun
mOranty)―
く手 段 と しての レ ジ ャー )│
*. lt--i+lrrtrtllftlt------1r'F.it7
i i
女,1:」 !口 t久 ,「 iH費
楽 しみ こ そ 人 `L く目的 としての レシ ャー〉
t =a
a
r!'411
<t$Eaoiltfi) i'rfXr'rtrtnU Eitae& i <*r.ret,Farfi*>
変化 をどう議むか,よ り "の
代 と特 徴 づ け る こ と が で き る の で あ ろ う。
そ して 大 き な 流 れ と して は 、 表
2の
よ うな 方 向 に 進 む と 考 え られ る
が 、 中 に は 消 費 革 命 期 の 考 え 方 をす る 人 も入 れ ば 、戦 前 ・ 戦 中 期 の 価 値 観 を抱 く人 も い る 。 どん な に 豊 か な 時 代 に な つた と言 つ て も 、 そ れ ぞ れ の 人 が 最 も影 響 を受 け た と きの 価 値 観 は な か な か ぬ ぐ い去 る こ と が で き な い と思 わ れ る 。 そ こ で 、生 活 価 値 観 を 考 え る に お い て は 、 世 代 ご との 特 徴 をつ か み 、 ま た 商 積 街 を考 え る に は 、世 代 の 交 替 期 や ど の 世 代 に ま と を 絞 つ て い く か を考 え な く て は な ら な い 。 次 の 節 で は 、 そ の 世 代 の つ か み 方 に つ い て の い くつ か の 例 を あ げ て み る。
00
第
2
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
世 代 が交替す る
人 間 は 生 まれ て か ら の 家 庭 環 境 、生 活 環 境 、教 育 環 境 、情 報 環 境 な ど の 影 響 を 受 け 、生 活 価 値 観 、 美 意 識 な ど が 形 成 され る こ と は い う ま で もな い が 、 それ らの 環 境 の 受 け 方 は 、 それ ぞれ 人 に よ って 違 う 。 また 、現 代 の 成 熟 社 会 に お い て は 、生 活
3
表
世 代 区分 定 義
体 験 や 消 費 体 験 な ど が 、 ら旋 場 に そ の 時 代 、 時 代 の 技 術 や 商 品 に よ つ て 高 度 化 して き て い る 。 こ の よ うな こ と か ら 、 生 活 価 値 観 を 捉 え る の に 、以 前 の よ うに 中 年 、 若 者 とか
10代
、
20代
とか い っ た 大 ま か な 年 代 区
分 で は 捉 え に く くな っ て きて い る 。 そ れ は 、 同 じ 20代 の な か で も 多 様 化 、 個 性 化 して い る と共 に 、
10年 前 、 5年 前 の 同 じ 20
代 とは 大 きな 違 いが 出 て きて い るか らで あ る 。 そ こ で こ の よ うな 一 時 的 な 年 代 で 生 活 │' 4 2-s l'市
者 を 捉 え る の で は な く 世 代 で 捉 え た ほ うが よ い と言 わ れ て き た と 考 え られ る 。
世 代 の 区 分 の 仕 方 は い ろ い ろ と 考 え られ る が 、― こ こ で は 二 っ の 区 分 の 仕 方 を 示 して み る 。 一 つ は 、 あ る広 告 代 理 店 が した 世 代 区 分 で あ る 、 そ れ が 表
3で あ る
1の よ うな こ と を示 して い る 。 さ ら に 、 特 に 注 目 す る 世 代 と し て 、 第 5世 代 を ″ 団 塊 の 世 代 ″ 第 2世 代 を ″ 新 ま た 世 代 ご と の 特 徴 と して 図 ″
、 そ して 表 に は な い が S.46年 ″ 塊 ジ ュニ ア世 代 と名 付 け て い る 。 世代
図
1
か ら S.49年
生 まれ を
″
団
生 活者 の意 識 ・行 動 ・感覚 の世代変 革
‖鮮蝋 ‖鮮:‖ 織鮮漱鱗 与
♂黒 曖
畿
●
蘇
褻澪
`学
凛
与
●曽 学 ■ ■
'
マニ
"ィ
ンス
E
_ ―
"`哲 in____´
略
"'セ
和ュ 対 し
In t
●││● 対
● 磯
ぃ
せ書
=“
=許 ´´´
´
´ ´´´ w。 .向 ル
ベル 勁
19
・:馬 tn 31係 力 0男 女 ●■ ■ 嬌 党 向
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
も う一 つ は 、山 口貴 久 男 氏 が 「 ス トリ ー 卜 ・ ト レ ン ドの 読 み 方 」 で 示 して い る もの で あ る 。 それ が 表 4で あ る 表
4
履 歴 社 会 に よ る世 代 区 分
世
代
生 れ た 時 代
履歴現象 としての イベ ン ト、物
ニューメディア 昭和45(1970)年 頃 テレビゲーム、デ ジタル時計、 代 以降 マ イ コン
1986年 にお け る年 齢 16歳 以 下
世
レジャー世代 口 召II135(1960)£ 「 ∼44(1969)年 i肖
費 世 代 昭和26(1951)年 ∼34(1959)年
戦 無 世 代 口 召和21(1946)午
-25(1950)年 橋 波 し世 rヽ
昭和15(1940)年
-20(1945)年 知的飢飢
ll「
代 昭和元 (1926)年
-14(1939)年 戦 中 世 代 大正元 (1912)午 ∼15(1926)年 戦 前
it代
明治元 (1868)午 ∼45(1912)年
カ ラー TV、 自動車、万博、ハ ン パ ーガー、海外旅行
17歳 ― 26歳
カラーTV、 完全雇用、自動車、 27歳 ― インスタン トラーメ ン 35歳 男女共学、超完全FL用 、学園紛 争、テ レビ、学校給食 共学、安保p"争 、完全嘔用、 ',女 原体験 としての戦争、パ ン食
36歳 ― 40歳 41歳 ― 46歳
戦争、疎開、豆かす、民主主義、 就職難、活字
47歳 ∼
天皇制、微兵、戦争、梅干 し
60歳 ∼
天皇制、 微兵 (大 正デモクラシー)
74歳 以上
59歳
73歳
これ 以 外 に も世 代 区 分 の 仕 方 は 考 え られ る が 、 い ず れ に して も生 活 価 値 観 を 捉 え 商 積 街 の 開 発 に 結 び 付 け る に は 、 ど の よ う に 世 代 を絞 る か が 問 題 に な る と考 え られ る 。 そ こ で 世 代 の 絞 り方 と して 次 の よ うな 方 法 が 考 え られ る 。
① 全 世 代 を対 象 とす る
特 定 の 世 代 を対 象 に せ ず に 全 世 代 を 対 象 と して 商 積 街 開 発 を 図 る 。 こ の 場 合 に は 、全 世 代 に 共 通 の コ ン セ プ ト を 見 つ け だ し て い く方 法 と 、 い く つ か の 同 質 世 代 グ ル ー プ に 分 け 、 商 積 街 機 能 や デ ザ イ ン 、環 境 な ど で 世 代 格 差 を反 映 さ せ 開 発 して い く二 つ の 方 法 が 考 え られ る 。
② 特 定 世 代 を追 跡 す る
あ る特 定 の 世 代 に 注 目 し 、 そ の 世 代 の 成 長 に 合 わ せ て 開 発 を 図 る 。 こ の 場 合 に は 、 そ の 世 代 の 現 在 の 生 活 意 識 、 ニ ー ズ な ど を 把 握 して 、
第 1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
時 系 列 的 に 開 発 す る こ とが 考 え られ る 。
⑤ 特 定 年 代 を対 象 と す る
あ る特 定 の 年 代 に 着 日 して 、 こ の 年 代 を 固 定 し 常 に こ の 層 に 合 わ せ た 開 発 を 図 る .こ の 場 合 に は 、 毎 年 世 代 の 入 れ 替 え が お っ こ て く る の
で 、 常 に新 し い 世 代 の ユ ー ズ を提 え 、時 代 の 状 況 も踏 ま えて 開 発 す る こ とが考 え られ る . い ま ま で 見 て きた よ うに 、生 活 者 の 消 費 行 動 や 生 活 価 値 観 は 、 一 言 で 言 えば 、 多 様 化 、個 性 化 して きて い る が 、 これ に伴 つ て 商 積 街 の あ り方 も変 わ つ て きて い る と考 え られ る .次 節 以 下 で は 、 どの よ うな こ と が 、 これ か ら商 積 空 間 に求 め られ て い くか 考 え て い く こ とに す る 。
21
第 1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
商 積 空 間 に 求 め ら れ る も の が 変 わ る
前 節 ま で は 、 現 代 の 消 費 者 つ ま り生 活 者 の 様 々 な 姿 を 見 て き た 。 で は 、 こ の よ うな 生 活 者 に 対 応 す べ く 商 積 空 間 と は 、 一 体 ど の よ うに あ るべ き な の か を考 えて み る 。 ″
遊び
″
と
″
情報
″
が 求 め られ る
まず 、 これ か らの商 積 街 に は 、 い ま まで の よ うに 単 に商 品 が あ る と い うこ とで は な く 、商 積 空 間 全 体 に ″ 遊 び 感 覚 ″ が 求 め られ て い る と 言 っ て よ い で あ ろ う。そ れ は 、生 活 者 は 、 い ま まで 以 上 に 、 自 由裁 量 時 間 ・ 金 を個 人 個 人 で持 つ よ うに な り、主 婦 まで もが 働 く よ うに な り 単 な る 買 い 物 で は な く買 い 物 を一 つ の レ ジ ャ ー と考 え る よ うに な つ て きて い るか らで あ る 。 この よ うな こ とか ら求 め られ る機 能 と して は 、様 々 な 娯 楽 施 設 を備 え る こ とは 言 うまで もな い が 、品 ぞ ろ えや 売 り場 の 演 出 、 さ ら に街 全 体 の 売 り出 し、行 事 、催 事 、祭 りな どの イ ベ ン トが 必 要 とな つ て く る 。 ″ ″ さ らに 、 遊 び 感 覚 を ベ ー ス と して 、生 活 者 は 、商 積 街 に 「 楽 し む 、学 ぶ 、知 る 、体 験 す る 、触 れ る 、見 る 、食 べ る 、 出 会 う 」 と言 っ ″ ″ た 多 様 な 情 報 を も求 め て い る 。す な わ ち 、 この よ うな 情 報 が た く さん 提 供 され る商 積 空 間 で 、情 報 に 接 しな が ら買 い 物 をす る の で あ る 。 こ の よ うな こ とか ら商 積 空 間 に は 、情 報 を提 供 す る ″ 装 置 機 能 ″ が 求 め られ て きて い る 。
2
商 積 街 づ く りは 「 シ ー ン 」 づ く り
商積街が
″
遊び 感覚
″
、
″
情報 装 置
″
を持 つ よ うに な る と い うこ と
は 、商 積 空 間 全 体 が 一 つ の 情 報 発 信 基 地 とな る こ とで あ り、 それ は 、 生 活 者 に新 し い シ ー ン 、 ま た は シ ー ンの イ メ ー ジ を提 供 す る こ と を意 味 す る と考 え られ る 。す な わ ち 、商 積 街 の ア イ デ ン テ ィテ ィや イ メ ー ジ さ ら に魅 力 とは 、商 積 空 間 が生 活 者 に 、 もた らす 新 し い 生 活 の シ ー ンで あ る と い うこ とが言 え る 。商 積 街 づ く りとは 、 シ ー ンづ く りに つ な が つ て い るの で あ る 。 n乙 ﹃乙
第
1章
生 活 行 動 と生 活 価 値 観 が 変 わ る
な が って い るの で あ る。
3
複眼 開 発
シ ー ンづ く りには 、生 活 者 の生 活 価 値 観 を提 え るこ とが必 要 にな つ て く るが 、 これ は前 に も述 べ た よ うに 、世代 で つ か む こ とが 、商 積 街 と い う長期 的 な空 間 、す ぐには創 り変 え られ な い 空 間 を開発 す る と き に は 適 切で あ る と考 え られ る。そ して 多様 化 、個 性 化 した世 代 に合 う よ うに商積空 間 を倉1る には 、 いい ま まで の よ うな単 一 機 能 的 な空 間 で は な く、多様 な装 置 を持 つ 、複 眼開発 を しな くて は な らな い と考 え ら れ え る.
23
第
2章
商積空 間の機能
第
2章
商 積 空 間 の 1幾 能
前 章 で 見 て き た よ う に 、 商 積 街 を 訪 れ る生 活 者 の 行 動 や 意 識 が 変 化 し 、 商 積 街 を 取 り巻 く 状 況 が 変 化 して い る 、 こ の よ うな 状 況 で 、 こ れ か ら の 商 積 街 に 求 め ら れ る機 能 と は ど の よ うな も の に な る の で あ ろ う 。 端 的 に 見 れ ば 、 商 業 機 能 、 飲 食 機 能 、 レ ジ ャ ー 機 能 、情 報 機 能 、 文 化 機 能 な どで あ る が 、一 概 に機 能 と い っ て も 、 そ れ は 商 積 街 に 基 本 的 に 必 要 な 機 能 (商 業 機 能
)は い う ま で も な い が 、 そ の ほ か に 質 的 な 機 能
で あ つ た り装 置 的 な 機 能 で あ っ た りす る と考 え ら れ る 。 こ の 章 で は 、 い ま ま で 商 積 街 に 必 要 と され て い た 機 能 と 、 こ れ か ら求 め られ る で あ ろ う質 的 、 装 置 機 能 の 関 係 を 眺 め これ か ら の 機 能 が ど うあ る べ き か 探 る こ とにす る 。
魅 力 あ る空 間 の 誕 生 生 活 の シ ー ン (場 面
)は
ヒ ト、 モ ノ 、 ス ペ ー ス (空 間
)に
よ って つ
く られ て い る が 、 中 で も ス ペ ース は 、 そ れ が 生 活 の 一 場 面 そ の もの と な り得 る と い う点 で 、 重 要 な 要 素 の 一 つ で あ る 。 「 先 端 」 と か 、「話 題 の 中心 」 とい わ れ る店 や 街 は 、単 に そ の ス ペ ー ス の 環 境 的 な 要 素 が 快 適 で あ っ た り新 しか っ た りす る だ け で は な い 。 そ こ に は 、優 れ た 情 報 価 値 を持 つ もの が 集 ま り、 ま た 、先 端 的 な 情 報 を帯 び た 人 々 が 集 ま る 。 す な わ ち ス ペ ー ス は そ れ が 単 な る空 間 で あ る だ け で は シ ー ン と して 成 り立 た な い の で あ る 。 ス ペ ー ス と し 卜、 モ ノ と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が あ っ て 初 め て 、 ス ペ ー ス は シ ー ン と して の 意 味 を持 つ の で あ る 。 こ の よ うな ス ペ ー ス を 訪 れ る と き 、 生 活 者 は 、 そ の 環 境 や そ こ に 集 ま る ヒ ト、 モ ノ か ら 、 あ る 情 報 を 受 け 取 る と 同 時 に 、 自 分 自身 を 一 つ の 情 報 を帯 び た 「 ヒ ト 」 と して 、 そ こ に 参 加 し 、 情 報 発 信 を 行 な お う と す る 。 つ ま り 、 そ こ で は 生 活 者 は 「 見 る 」人 で あ る と 同 時 に 「 見 ら れ る 」人 で も あ る 。 こ の よ うな 情 報 の 相 互 受 信 、 相 互 発 信 が あ っ て 、 そ の ス ペ ー ス 全 体 の そ して 商 積 街 の 情 報 量 は ま す ま す 増 幅 さ れ る と考 え ら れ る 。 そ こ で 、 ま ず 現 在 注 目 され て い る 三 つ の タ イ プ の ス ペ ー ス を見 て い く こ と にす る 。 う乙
第
2章
商 積 空 間 の 1幾 能
バ ザ ー ル ・ スペ ー ス バ ザ ール とは 文 字 通 り市 場 の こ とで あ る 。 バ ザ ー ル ・ ス ペ ー ス とは 賑 わ い を持 っ た ス ペ ー ス と い うこ とで あ る 。 バ ザ ー ル ・ ス ペ ー ス の 原 点 は 、 当然 の こ とな が ら 、昔 か らの 市 場 に あ る 。東 京 ・ 築 地 の 魚 河 岸 や 東 京 ・ 浅 草 の 合 羽 橋 、京 都 ・ 錦 小 路 な どが 、 そ の 代 表 で 、最 近 は こ う した 市 場 が 人 々 の人 気 を集 め て い る 。 市 場 の 特 徴 は 何 と い っ て も 、 そ の エ キサ イ テ ィン グ な 賑 わ い に あ る 。 広 い ス ペ ー ス に 、雑 多 に 置 かれ た モ ノの 山 、 そ の 中 か ら掘 り出 し物 を 探 す 人 々 、売 り手 の 呼び 声 、売 り手 と買 い 手 の や りと りな ど 、市 場 に は わ い 雑 な エ ネ ル ギ ー と期 待 感 が 満 ち て い る 。市 場 を訪 れ る人 々 は 、 こ う した 市 場 の エ ネル ギ ー を吸 収 す る と同 時 に 、市 場 で の 売 り買 い と い うゲ ー ム に 自 ら参 加 す る こ と を楽 しん で い る 。実 際 の 市 場 以 外 で も 、 原 宿 の 竹 下 通 りや 秋 葉 原 な どは 、 ま さ に市 場 感 覚 で あ る と い え る 。 最 近 で は フ ァ ッシ ョンや 雑 貨 の 店 舗 に 、市 場 感 覚 を取 り入 れ て 成 功 して い る と こ ろ が 増 えて い る 。若 者 に人 気 の あ る小 売 り店 舗 の デ ィス プ レ ー は 、 と に か くあ るだ け の 商 品 をす べ て ォ ー プ ン に並 べ 、客 が そ の 中 を歩 き回 つ て 自分 の 好 きな もの を選 ぶ 形 式 で 、 ま さ に市 場 感 覚 な の で あ る 。百 貨 店 で も同 様 で あ る 、以 前 の よ うに 何 で もガ ラ ス の シ ョ ー ケ ー ス の 中 に あ るの で は な くオ ー プ ンに デ ィス プ レ ー して い る 。
2
エ クス ク ル ー シプ ・ ス ペ ー ス
バ ザ ール ・ ス ペ ー ス とは 全
<対 照 的 な ス ペ ー ス が 、 限 られ た 人 だ け の た め の 極 端 に 排 他 的 (エ ク ス クル ー シプ )な ス ペ ー ス で あ る 。会 員 制 ク ラ ブや 一 見 、客 お 断 りの 店 な ど 、昔 か ら こ う した エ ク ス ク ル ー シ ブ な ス ペ ー ス は あ つ た 。 しか し、現 代 の エ ク ス クル ー シ プ ・ ス ペ ース は 、表 向 き 、会 員 制 な どは と っ て い な い もの の 、な じみ が な い と何 と な く入 りに く い とか 、入 り口が 分 か りに く い 、外 か ら 中 が 見 え な い と い つ た 方 法 で 来 る人 を選 別 す る 、 い わ ば感 覚 的 な エ ク ス クル ー シ ブ ・ スペ ース で あ る 。 こ う した 店 に 出 入 りす る た め に は 、 フ ァ ッシ ョン もそ れ な りに決 め 、 民υ う乙
第
2章
商積空 間の機 能
無 愛 想 な 店 員 も気 に せ ず 堂 々 と 振 る 舞 う 、 一 種 の 演 技 力 が 必 要 で あ り 現 代 の 生 活 者 に と っ て は 、 こ う した ス ペ ー ス で そ こ の 合 っ た 自分 を 演
ず る こ とが 楽 しみ に な つ て い るの で あ る . この よ うな ス ペ ー ス は 、建 物 の 地 下 に あ っ た り、 商 積 街 の 中 心 か ら 外 れ た と こ ろや 、住 宅 街 の 中 に あ っ た りす る 。 ま た 、 高 級 ス ポ ー ッ ク ラ ブや オ ー ダ ー メ イ ドシ ョ ップ で もあ る 。 つ ま り、生 活 者 は 、 この よ うな ス ペ ー ス を舞 台 と して 演 技 を し 、 シ ― ン を消 費 して い る の で あ る 。
3
シ ア タ ー・ ス ペ ー ス
い ま まで 見 て きた 二 つ の ス ペ ー ス も シ ア タ ー ・ ス ペ ー ス で もあ っ た が 、 こ こで の シ ア タ ー ・ ス ペ ー ス とは 、 自分 を他 人 に見 せ た り、他 人 を見 るた め の ス テ ー ジ と して つ く られ た ス ペ ー ス で あ る . この よ うな スペ ー ス は 、表 通 りに面 した 、カ フ ェ テ ラ ス 風 の 喫 茶店 や レス トラ ン な どで あ る 。す な わ ち 、表 通 りに 面 して い て 、 中 か らは 外 が よ く見 え 、外 か ら は 中 の 人 が 丸 見 えで あ る よ うな ス ペ ー ス で あ る 。 外 を歩 く人 々 を見 る こ とで 、 シ ー ン をつ か み 、外 か ら見 られ て い る と い うこ とで 、演 技 を生 活 者 は して い るの で あ る 。
イ ン フ ラス トラ クチ ャ ー か ら″ ヒュ ー マ ンス トラク チ ャ ー ″ ヘ 話 は い ま ま で と少 し変 わ る が 、 「 都 市 計 画 」 と い う学 問 は 、 日 本 に お い て は 極 め て 歴 史 の 浅 い 部 類 に 属 して い る 。 そ の 言 葉 自体 が 定 着 し た の が 明 治 時 代 中 期 以 後 で あ った と い わ れ て い る こ とか ら も 、未 熟 さ は 当 然 で あ る が 、導 入 さ れ た 「 都 市 計 画 概 念 」 に も 問 題 が あ っ た と思 わ れ る 。例 え ば 大 正
13年
に 計 画 され た 石 原 憲 治 の 「 大 東 京 市 復 興 計
画 案 」 は 、 幾 何 学 的 な 直 線 に よ っ て 構 成 され て い て 、 こ れ は 明 ら か に そ れ 以 前 の オ ス マ ン の パ リ計 画 に 見 られ た よ うな 計 画 手 法 の 延 長 に あ る .そ れ ら は 都 市 の 美 観 と い う も の を い か に 創 る か と い う観 点 も あ っ た の で は あ ろ うが 、 計 画 意 図 の 多 く は 軍 事 都 市 的 ニ ュ ア ン ス の 強 い も の で あ っ た よ うで あ る 。 凱 旋 門 が あ り 、 軍 隊 が 行 進 す る 幅 の 広 い 道 路 4υ ヽ∠
第
2章
商 積 空 間 の 1幾 能
の 幾 何 学 的 設 計 は 、都 市 の イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー 優 先 の 計 画 手 法 を 産 み 出 した の で あ ろ う 。 そ して こ の イ ン フ ラ 優 先 の 思 想 は 、 都 市 の 産 業 基 盤 整 備 と い う形 で 進 め られ 、 日 本 の 近 代 都 市 は 、 多 か れ 少 な か れ イ ン フ ラ 中 心 の 工 業 都 市 と して の 系 譜 を も っ て い る と考 え られ る 。 そ して 、 商 店 街 も 同 じ よ うの な 思 想 で 計 画 され て き て い た の で あ る 。 都 市 や 、 商 店 街 を イ ン フ ラ 的 視 点 で 見 て い く と い う こ と は 、 い うな れ ば 烏 か ん 図 的 に み る と い う こ と で あ る 。 しか し 、 これ か ら の 商 積 街 に お い て 、 先 に 見 た 二 つ の ス ペ ー ス か ら も分 か る よ うに 、 生 活 者 を 中
心 に す な わ ち 人 の 日か ら見 る こ とが 求 め られ て い るの で あ る 。人 々 が 集 ま り、 そ の 人 々 の 触 れ 合 い か ら情 報 が 創 られ 、 シ ー ンが 創 られ て 商 積 街 が 形 成 され て く るの で あ る こ とか ら「 イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ー 」 の 代 わ りに 「 ヒ ュ ー マ ンス トラ クチ ャ ー 」主 体 の 商 積 街 、空 間 計 画 が 求 め られ るの で あ る 。そ して 、 イ ン フ ラ ス トラ クチ ャ ー が 工 業 的 発 想 で あ つ た の を ヒ ュ ー マ ンス トラ クチ ャ ー で は 商 業 的 発 想 に す る こ と も 忘 れ て は な らな い 。か っ と言 つ て 、 イ ン フ ラ ス トラ クチ ャ ー が ダ メ と い う こ とで は な く 、イ ン フ ラが あ っ て 初 め て 生 活 者 中心 の 機 能 が 創 ら れ る の で あ る し、 イ ン フ ラ的 な 考 え方 も今 後 、商 業 を中 心 に 考 え て い け ば よ いの で は な い だ ろ うか 。
ワー う乙
第
2章
商積空 間の機能
質 的 機 能 が 求 め ら れ る 生 活 価 値 観 や 生 活 行 動 の 変 化 に 伴 つ て 、 商 積 空 間 に 求 め られ る 機 能 も大 き く 変 化 して き て い る 。 商 業 機 能 や 交 通 機 能 と 言 つ た も の の ほ か に 、 現 在 の 生 活 者 の ニ ー ズ に 答 え られ る よ うな 機 能 が 新 た に 求 め られ て い るの で あ る 。
質 的 機 能 とは
多 様 化 す る生 活 者
表
1
の生 活 行 動 に対 応 す
fit*-
1皮 大
そ れ が 、商 積 空 間 全 体 の 質 を 高 め る機 能
散美 文化 表現欲求
11運
秋又 文化 参加欲求
al進
{te
stB!
す く 習 ヽ 表 る つ学 る 発 え を ヽす る ヽ政 ブ る 遣 す す創 を せ る ル 買 ヽ事 見 売 グ 露る 古
るの に必 要 な機 能 、
商 積 街 に対 す る 欲 求 ・行 為 ・ 機 能 ・ 施 設 の 関 係
-
....----_fttt . r_
表現型 公 会 堂 、 小 ホ ール 、属 示 ち 敬奏 文 化 機 籠 文 化 セ ン タ ー .13古 教 室 多 目的広 場 ス l● m、 :,4"館 、11場 、 コ 敬 美 ‐文 化 機 m ン サ ー トホ ー ル 、カ ル チ ャ
ー セ ン タ ー 、ホ ビ ー シ ョ ッ プ 、図 書 館 両 Fi 籠 コ ミュニ ク 1■ 報 交 lQ 商 lPl il繊 セ ン タ ー 、 プ レ イ ー シ ョン欲 求 コ ミ ュ ニ テ ィ活 〕 ケ ー シ ョ ン 機 能 ガイ ド、役所、案内板
と い え よ う 。 そ こで 、
1澪
lll駅
スポーツをする (み る)
椰′ い型 ス ポ ーツ 機 能
ぶ ・ ヽ歩 ス ぐ敗カ ら ヽ“ すくに や つ然
① こ の よ うな 生 活 者
やす ら ぎ 自然 機 能
欲 求
抱 くニ ーズ と 、② そ
や す ら ぎ欲 求 自然 欲 求
れ が具 体 的 な形 で現
飲食 欲求
食 べ る .飲 ●
わ れ る行 動 、 ③ そ れ
社 文 つ きあ い欲 求
社交
を 受 け とめ る 商 積 街
フ ア ツ シ ョン 流行欲求
見 る 、若 る 、 フ ァ フ ア ッ シ ョ ン ッ シ ョン っで 自分 腱 龍
き 施 設 や 提 供 す るサ
係 を整 理 した の が 表
レ シ ャ ー欲 求
シ ヨッピング欲球
ギ ャ ンアル 欲求
ギャンプル をす
エ ロス欲 求
エ ロス 的行 為
移 動 (欲 求
ー ビス 、 これ らの 関
交際
めす 眺探
商 積 街 と して 持 つ べ
飲食 鳳 籠
つきあ い饉能
ぶ ,選 貝
能 を発 揮 す る た め に
中 小
の 商 積 街 の た い して
と して の 機 能 、 ④ 機
b.x
TJ動 す る
い 物 .●●小 、 杷 、 ス ト リ ー ト フ ァ ニ チ ャ _.録 1也 、 モ ー ル _日 米 ^回 貪 各種料理店 、ファ ミ ー レ ス トラ ン 、 フ ァ ー ス リ =、 トフ ー ド 、 飲 全 〔 F "本 IF ホ テ ル 、 サ ロ ン 貸 しホ ー ル 、 喫 茶 店 、 l懸 式 場 飲み屋 ld■
プ デ イツク 、 ン ョ ール ー ム フ ア ッ シ ョン専 門 店 、イ ン テ リア店 絆 甘 店 グ ー ム セ ン タ ー 、デ ィス ゴ 旅 行 セ ン タ ー 、映 画 館 種 々の イベ ン ト
デ バ ー ト .シ ョ ッ ピ ン /セ ン タ ー 、 地 下 街 、 名 店 11 買 1"広 場 .市 場 ギャ ンブル 撻 愧 バ チ ン コ 店 、 マ ー ジ ャ ン層 場外鳥 尋売場 エ ロス 的 疇 能 ハ ー、キ ャバ レ ー、 ラブホ テ ル 、 ス ト リ ップ 劇 場 風俗産業 父週 運 輸 暉 能 駆 、 ■l車 場 .バ ス 商案機 能
`
)
ベント イ 、 祭り ム ス 【繁ヽ
各 肛 ス ボ ー ツ 施 設 (ア ー ル ジム 、ヘ ル ス ク ラブ 、 エ ァ ロ ビ クス 、テ ニ ス 、ス ヶ ― 卜、ポ ー リン グ等 )
1で あ る 。 ま た 、 表 の 上 に あ る も の ほ ど 、 商 積
街 の これ か ら あ るべ き 質 的 機 能 が 強 い も の に な っ て い る 。 商 圏 が 大 き い 商 積 街 ほ ど 、 質 的 機 能 を 持 つ 施 設 が 多 く必 要 に な っ て く る し 、 商 圏 が 小 さ い 商 積 街 で は 、 少 な く そ して あ ま り分 散 しな い ほ うが よ い と 考 え られ る 。
2
質 的 機 能 の あ り方
第
2章
商積空 間 の機能
表 1に み られ る よ うな 質 的 機 能 そ して それ に 関 す る施 設 は 、 どの よ うな もの で あ る必 要 が あ るの で あ ろ う 。 い ま まで も 、先 に考 え た よ うな 質 的 な 機 能 施 設 は 、商 積 街 に き ち ん とあ る 。 しか しこれ は 、商 積 街 を訪 れ る人 々 を 、消 費 者 と い う観 点 で 捉 え生 活 者 と して見 て い な か っ た り、 イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ー の 延 長 と して 計 画 され て い た の で あ る 。 つ ま りい ま まで つ く られ て きた 質 的 機 能 施 設 と これ か らつ く られ るべ き そ れ とは 、計 画 す る と きの 基 準 に 大 きな 違 い が あ る とい うこ とで あ る 。 これ か らは 、現 在 多 様 化 、個 性 化 して きて い る生 活 者 が 、成 熟 化 す る こ とな ど を踏 ま えて 新 た な 基 準 を考 え る必 要 が あ る と考 え られ る 。 新 た な 基 準 と して 例 え ば 図 1の よ うな こ とが 考 え られ る 。 4ヒ
<今
までの基 準
*量 的 基 準
>
<こ れ か らの 基 準 >
―一 一
→
*質 的 基 準
*集 合 的 基 準 一一
→
*個 人 的 基 準
*社 会 的 基 準 一一
→ *人 間 的 基 準
*表 層 的 基 準 __
→ *実 体 的 基 準
*生 活 水 準 的 基 準
→ *生 活 文 化 的 基 準
*単 一 基 準 一__
→ *複 合 基 準
この よ うな 基 準 に基 づ い て 、諸 機 能 に 対 応 す る施 設 を考 え る必 要 が あ るが 、 それ に は今 ま で の よ うな 施 設 に 対 す る考 え方 か ら 、施 設 を 「 装 置 化 」す る必 要 が あ る と考 え られ る 。
施 設 の 装 置 化
前 節 で 見 て き た 施 設 は 、 単 な る 施 設 と して の 機 能 を 備 え て い れ ば よ 29
第
2章
商積空 間の機能
い と い うわ け で は な い 。 そ こ に は 生 活 者 の シ ー ン づ く り に 必 要 で あ り 、 商 積 空 間 全 体 の 快 適 性 に 基 づ く 「 装 置 」 と して の 機 能 が 求 め られ て い る。
装 置 化 とは
装 置 化 の 流 れ を商 積 空 間 で 、 断 片 的 に 見 る と 、 第 一 節 の よ うな ス ペ ー ス が 見 られ る 。 こ れ 例 外 に も 、 渋 谷 公 園 通 りの 壁 面 ベ イ ン テ ィ ン グ 、 パ ル コ の エ ン トラ ン ス の モ ニ ュ メ ン ト、 建 物 の 吹 き 抜 け や 、 中 庭 等 な どいろいろな装置が商 積 街 には あ る。 こ の よ う に 見 て く る と 、 装 置 化 と は ま さ に 商 積 街 を 遊 園 地 の よ うに す る こ と に 近 い と考 え られ る 。 遊 園 地 は 、 そ こ を 訪 れ た 人 々 に 夢 を与 え 、 全 く違 つ た 世 界 に い る よ うに 錯 覚 さ せ る た め に い ろ い ろ な 装 置 を 持 ち 、 ま さ に 装 置 空 間 と な っ て い る の で あ る 。 こ の よ うな 考 え方 を 直 ″ ″ 接 取 り入 れ た の が 、 大 阪 の つ か しん シ ョ ッ ピ ング セ ン タ ーで あ る 。 い ず れ に して も 、装 置 化 と は 、第 一 章 で 見 た 生 活 者 の 生 活 行 動 や 生 活 価 値 観 を 表 層 的 に で な く実 体 的 に 商 積 街 の 諸 施 設 に 取 り込 む こ と と 言 え る で あ ろ う 。 そ し て 、 施 設 間 の 関 連 を考 え 多 く の 装 置 施 設 が 複 合 す る こ とで 、商 積 街 が 装 置 空 間 とな る 。
2
装 置 化 へ の ス テ ップ
施 設 を 装 置 化 した り 、 商 積 空 間 を装 置 空 間 に す る に は 、 ど の よ うな 図
2
装 置 化 へ の ス テ ップ
*商 積 街 の 歴 史 、 伝
*商 積 街 の 自然 条 件
店舗の装置化
周辺 商積街の様 子
りの 装 置 化
訪 れ る人 々の 世 代
(ど の よ うな世 代 を 象 に した い か
)
30
積 街 の装置空 間化
第
2章
商積空間の機能
積 街 の 構 造 や 人 の 流 れ な ど を見 る必 要 が あ る .商 積 空 間 を装 置 化 す る に は 、郊 外 の 今 まで 何 も無 か つ た と こ ろ S.C.を
つ く るば あ い を除
い て 、商 積 街 を部 分 的 に装 置 化 して い く必 要 が あ る と考 え られ る .こ の よ うな こ と を ま とめ た の が 図
2で あ る 。 図 2の よ うに して 商 積 街 を
装 置 空 間 化 す る こ とが 考 え られ るが 、 それ に は 商 積 街 の どの よ うな と こ ろ で装 置 化 す るの が 効 果 的 で あ るか を見 な け れ ば な らな い 。 それ に は 商 積 街 の 姿 、す な わ ち構 造 を知 る必 要 が あ る 。次 の 章 は それ を見 て い く こ とにす る .
31
第
3章
商積街の姿
第
3章
商積街の姿
商 積 空 間 を 訪 れ る生 活 者 の 行 動 、生 活 価 値 観 が 変 化 し 、 そ れ に よ つ て 、 商 積 空 間 に 求 め ら れ る 141能 を 見 て き た が 、 商 積 街 で そ れ ら の 機 能 を生 か し、配 置 す る に は 、商 積 空 間 の 姿 、す な わ ち 構 造 を知 る こ とが 必 要 に な つ て く る 。 こ こ で は 商 積 街 の 構 造 を 、 現 在 最 も成 功 して い る と 考 え られ る 街 か ら探 り 、 さ ら に 、 商 積 空 間 の ラ イ フ サ イ ク ル を 見 る こ とにす る 。
商 積 街 の 構 造 を 見 る
商 積 街 の 広 が り方
東 京 の 商 積 街 は 、 ほ とん ど駅 を 中心 に広 が っ て い る 。 これ は 当然 の よ うに考 え られ て い る が 、東 京 で も郊 外 の 都 市 、 そ して 地 方 都 市 で は 必 ず しも こ の よ うに は な っ て い な い の で あ る 。駅 の あ る場 所 と 、商 積 街 の 中心 が 離 れ て い る こ とが少 な くな い の で あ る 。 これ は 、先 に述 べ た 、 イ ン フ ラ ス トラ クチ ャ ー 優 先 の 都 市 計 画 の た め で あ る と考 え られ る 。鉄 道 が で き る前 の 商 積 街 は ほ とん ど大 きな 街 道 筋 に成 立 して い た 。 と ころ が イ ン フ ラ ス トラ ク チ ャ ー 優 先 の 計 画 に お い て は 、 そ の よ うな 商 積 街 の 歴 史 的 な 背 景 な どは 無 視 され て い っ た と い っ て よ い で あ ろ う 。 そ の 結 果 、人 の 流 れ は 鉄 道 に と られ 変 わ つ て し ま っ た の で あ る 。 こ の よ うに して 全 く以 前 の 姿 をな く した 商 積 街 が は た く さん あ るの は 、 ご 存 じの と う りで あ る 。 そ して そ の 後 、駅 前 の 開 発 が 進 み 、駅 前 が 新 し い 商 積 街 に発 達 した と こ ろ もあ るが 、 ほ とん どの 場 合 、駅 前 の 商 積 街 と旧街 道 沿 い の 商 積 街 が 共 存 して い て 、 二 極 構 造 に な つ て い る 。例 え ば東 京 近 郊 で は 、八 王 子 や 所 沢 な どで あ る 。 駅 前 の 商 積 街 が あ る程 度 飽 和 状 態 に な る と 、 そ の 範 囲 は 駅 を 中心 と して 広 が つ て い く こ と は い うまで もな い が 、広 が つ た 商 積 街 は どの よ うな 構 造 に な つ て い る の で あ ろ うか 。
2
同心 円 三 層 構 造
新 宿 、渋 谷 、池 袋 な どの タ ー ミナル 商 積 街 を見 て み る 。 これ らの 商 32
第
3章
商 積 街 の姿
積 街 は 、私 鉄 の 終 着 駅 と 国 鉄 の 結 合 点 で あ り、 商 積 街 は タ ー ミ ナ ル を 中 心 に して 発 達 して い る 。 ま た 、 中 心 部 に 交 通 機 関 が 集 中 して い る 。 こ の 中心 部 に 、広 い後 背 地 が あ り、 こ の 後 背 地 が 商 積 街 を育 て て い る の で あ る 。 こ の よ うな 広 い 後 背 地 か ら 訪 れ る 人 々 に よ っ て 、 タ ー ミナ ル 商 積 街 は 、 中 心 か ら しだ い に 外 に 向 か って 街 が で き て い く 。 そ れ は 、 同 心 円状 に 広 が つて い くの で あ る 。 さ て こ の よ うに 広 が っ て い る 商 積 街 の 内 部 は ど うな つ て い る か と い う と 、 ほ ぼ 次 の 四 つ の 施 設 か ら で き て い る 。 デ パ ー トや フ ァ シ ョ ン 店 、 そ し て 喫 茶 店 や フ ァ ー ス トフ ー ド シ ョプ な ど の シ ョ ッ ピ ン グ 施 設 。 お 酒 や 食 事 を 楽 しむ 飲 食 施 設 。 パ チ ン コ 店 、 ゲ ー ム セ ン タ ー 、 映 画 館 、 劇 場 と言 っ た 娯 楽 施 設 。 そ して 、 駐 車 場 や 、 ラ ブ ホ テ ル な ど の 休 息 施 設 。 これ らの 施 設 は ば ら ば ら に 商 積 街 の 中 に あ る の で は な く ほ ぼ 一 箇 所 に 集 ま っ て そ れ ぞ れ の 地 域 を形 成 して い る の で あ る 。 こ れ ら の 施 設 を 地 図 上 で ひ ろ っ て み る と商 積 街 全 体 が 、 ほ ぼ 半 径
600メ
ー トル の
円 内 に お さ ま る こ とが わ か る 。 さ らに 、 図 地 域 が 、半 径
1の よ う に 半 径
400メ
200メ
ー トル の 円 内 に は シ ョ ッ ピ ン グ
ー トル の 円 を か く と飲 食 、 娯 楽 地 域 が お さ ま る
の で あ る 。 つ ま り同 心 円 三 層 構 造 を し て い る の で あ る 。 そ して 、 三 層 の 中 心 か ら外 へ 向 か っ て 、 そ れ ぞ れ の 層 を 中 心 地 域 、 中 間 地 域 、 周 縁 地 域 と呼 ぶ こ と に す る 。 図
1
新宿 の 同心 円三層 構 造 (昭 和 61年 6月 10日 現 在 )
、喫 r)
中心 腋 n,,o■ (装 身 "l品
中‖l腋 用縁 熾
:1 1(飲 洒 .遊 政 =1●
)
:(ラ ブ ホテル 、 111(場
)
第
600メ
ー トル と い うの は 、 ゆ つ く り歩 い て ほ ぼ
3章
商積街 の姿
10分 か ら 15分
と い つ た 距 離 で あ り新 宿 の よ うな タ ー ミナ ル 商 積 街 で は こ の 大 き さ が 商 積 街 を 考 え る に お い て 基 準 に な る と考 え られ る 。 ま た 、地 方 都 市 や 近 郊 の駅 前 商 積 街 に あ って は 、 この 半 径 は 訪 れ る人 の 規 模 に よ つて 小 さ く な る が 、 ほ ぼ 同 じ よ うな 三 層 構 造 を して い る と 考 え られ る 。
3 X型
三層構造
同心 円 三 層 構 造 を と る商
図
2 X型
三層構造 の模式図
積 街 は 、駅 を 中心 に 発 達 し た もの で あ る が 、 昔 か ら の 商 積 街 、 つ ま り、 旧 街 道 沿 い の 商 積 街 は どの よ うな 構 造 を して い る の で あ ろ うか 。 街道沿 いの商積街 は 、 よ く見 る と 一 つ の 街 道 と 、 そ れ に 交 わ る も う一 つ の 街 道 あ るい は 幹 道 の交 差 点 を 中 心 に 発 達 した と考 え ら れ る 。 そ して 、 図
2の
よ うに 交 差
点 を中心 に 中心 地 域 、 そ の 外 側に中間地域 、さ らに外 側 に周 縁 地 域 が で き 、先 の 同心 円三 層 構 造 と同 様 に 、
圏
中心城
巫
中間域
日
周縁域
三層構造 にな る。また 、そ れ ぞれ の 地 域 は 、道 路 に 近 い と こ ろ が 、 図 の よ う に 遠 く ま で 延 び る こ とが 多 い 。 こ の よ うな 構 造 を と る 商 積 街 は 、 六 本 木 、 銀 座 、 原 宿 な ど で あ る 。 こ の よ う に 、 こ の 構 造 は 、 駅 前 が 何 ら か の 事 情 で 発 展 しな か つ た り 、 地 下 鉄 の 駅 に で き る こ とが 多 い 。 さ ら に こ の 構 造 は 、 独 立 した 商 積 街 に だ け 見 ら れ る の で は な く 、 先 の 同 心 円 構 造 を と る 商 積 街 の 中 に 、 部 分 的 に 成 立 し て い る 場 合 も少 な く な い 。 例 え ば 、 新 宿 で は 、 伊 勢 丹 の 角 の 、 明 治 通 り と新 宿 通 りの 交 34
第
3章
商 積 街 の姿
差 点 周 辺 に この よ うな 構 造 が 見 られ る . 以 上 の よ うに 、商 積 街 の 全 体 の 構 造 は 、 同心 円 三 層 構 造 と X型 三 層 構 造 の い ず れ か に分 け る こ とが で き る 。 しか し、商 積 街 が 、 明 確 に こ れ らの 構 造 を もつ に は 、発 達 段 階 が あ り、未 発 達 の 商 積 街 で あれ ば 、 この よ うな 構 造 が は っ き りわ か らな い 場 合 が あ る 。次 の 節 で は 、 これ ら二 つ の 構 造 が で き る まで と商 積 街 の ラ イ フサ イ クル に つ い て み て み る.
5
第
3章
商積街の姿
商 積 街 の 発 達 過 程
商 積 街 は 、 ほ ぼ 先 の 二 つ の 構 造 に 分 け ら れ る が 、 ど ち ら に して も こ れ ら の 構 造 が 形 成 され る ま で に は 発 達 過 程 が あ る 。 ま た 、 商 積 街 を 相 対 的 に 見 た う え で の ラ イ フ サ イ ク ル を考 え る こ と も必 要 で あ ろ う 。 そ れ は 、 こ れ か ら 開 発 し よ う とす る 商 積 街 が 、 ど の よ うな 発 達 過 程 に あ り、相 対 的 に 見 て ど の ラ イ フサ イ ク ル に あ る か を 知 る こ と で 、 開 発 や 計 画 の 方 法 を 決 め る手 掛 か り と な る と考 え られ る か ら で あ る 。
商 積 街 の 分 化 (同 心 円 三 層 構 造 の 発 達
)
乗 降 す る 人 の 少 な い 駅 しか も た な い 商 積 街 や 少 な い と き に は 、来 街 人 口 も少 な い 。 こ う した 状 態 の 商 積 街 は 小 さ く に そ こ に あ る 商 店 な ど の 施 設 は 、 同 種 の も の が 一 箇 所 に 集 中 して い な く 不 定 で 混 在 して 立 地 して い る 。 こ の よ うな 状 態 を 「 混 在 期 」 と い う こ と に す る 。
こ れ に 対 して 来 街 者 が 数 万 人 あ る い は 十 万 人 を 越 え る と 商 積 街 は 二 つ の 層 に 分 離 す る 。 主 に 昼 間 の 機 能 を発 揮 す る 、 シ ョ ッ ピ ン グ 、 喫 茶 施 設 と 飲 食 、 休 息 施 設 の 夜 間 に 機 能 を発 揮 す る 二 層 化 が 進 む の で あ る 。 前 者 は 、 表 通 りに 後 者 は 、 裏 通 りに 集 積 す る 。 こ の よ うな こ とか ら 、 商 積 街 は 二 層 に 分 離 して い く 。 内 層 に は 、 シ ョ ッ ピ ン グ 、 喫 茶 施 設 が 、外 層 に は 飲 食 、 休 息 施 設 が 立 地 す る よ うに な る 。 こ の よ うな 状 態 を 二 層 化 状 態 と い う こ と に す る 。 東 京 の 商 積 街 に は 、 こ の よ うな 二 層 化 状 態 に あ る 商 積 街 が 多 い 。 さ ら に 来 街 者 が 、数 十 万 人 に な る と 、先 の 内 層 と外 層 の 間 に 娯 楽 、 文 化 施 設 が 立 地 す る よ う に な る .そ して 、 中 心 地 域 に シ ョ ッ ピ ン グ 施 設 、 中 間 地 域 に 飲 食 、 娯 楽 、 文 化 施 設 が 、 そ して 、 周 縁 地 域 に は 休 息 施 設 が 立 地 す る よ う に な り 、 同 心 円 三 層 構 造 と な る 。 (以 上 図
3参 照
)
沢U つ0
図
3
同心 円 三 層 構 造 の 分 化
混 在 期 (未 分 化 の 状 態
)
問屋 小工場 住居施設 駐車場 休息施設
鯰 陶
娯楽施設 飲酒施設 喫茶施設 装身用品小売施設
二 層 構 造 (内 層 と外 層 に 分 化
)
装身施設 レ ス トラ ン ・ 喫 茶
M・ 三 層 構 造 (三 層 に 分 化
)
37
‐ _ 飲酒施設 娯楽施設 ラ ブ ホ テ ル ・ ポ ル ノ産 業
第
2
商 積 街 内部 の 発 達
(
X型 構 造 の 商 積 街 は 、 前
X型 三 層 構 造 の 発 達
図
4
3章
商積街の姿
)
X型 三 層 構 造 の 発 達 順 序
述 の よ うに 商 積 街 の 内 部 で 見 られ る こ と か ら 、 商 積 街 内 部 の 発 達 と言 っ て よ い だ ろ う。
X型 商 積 街 は 、 道 路 に よ つて 商 積 街 が 、四つ に 区分 さ れ る 。 こ の よ うに 区 分 さ れ て い るた め 、区分 ご とに 発 達 は ま ち ま ち にな る可 能 性 が あ る 。 あ る 区分 は 、す ば ら し い 発 達 をす る の に 対
□
一級店舗
圏
二級店舗
Eヨ
三級店舗
して 、 あ る 区 分 は 発 達 が 遅 れ る と い うこ とが あ る 。
一 つ の 商 積 街 が発 達 す るに は 、 そ の 商積 街 の シ ンボル に な る と ころ と 、 そ う で な い と こ ろ が あ る 。 四 つ の うち 一 つ か 二 っ の 区 域 は シ ン ボ ル に な れ な い こ と が あ り こ れ が X型 商 積 街 の 特 徴 で も あ る 。 四 つ の 区 域 の 中 の 一 つ の 区 域 が 発 達 す る様 子 を見 て み る 。交 差 点 に 近 い と こ ろ が 、 中 心 地 域 に な り、 シ ョ ッ ピ ン グ 、 喫 茶 施 設 が 立 地 す る こ と は 前 述 の 通 りで あ る が 、 そ の 中 で も 、最 も 高 級 で あ り伝 統 の あ る 店 舗 ま た は 銀 行 が 、交 差 点 に 一 番 近 い と こ ろ に 立 地 す る 。 そ して そ の 形態 は図
4の 様 に 四 角 形 の 範 囲 を 構 成 す る 。 こ れ に 次 ぐ 店 舗 が こ れ を
取 り巻 く 形 で 外 側 に 立 地 す る 。 そ し て 、 さ ら に そ の 外 側 に 二 番 目 の 店 舗 が 立 地 す る 。 こ の よ うな こ と は 、 中 間 地 域 、 周 縁 地 域 で も 同 様 に 起 こ る が 、 各 地 域 と接 す る 店 舗 群 は 、 表 通 り の 人 の 流 れ に よ っ て 表 通 り に 沿 い な が ら外 へ 向 か っ て の 延 び る こ と が あ る 。 こ の よ うな 、 一 つ の 地 域 の 中 で の 三 段 階 の 差 は 、 通 りの 人 の 流 れ や OO ●0
第
3章
商積街の姿
そ の 商 積 街 の 発 達 度 に よ っ て 、 そ の 差 が な く な り広 い 範 囲 で 同 様 な レ ベ ル の 商 品 を 扱 う よ う に な る 。 ま た 、 裏 通 りの 開 発 に よ っ て は 歪 む こ
と もあ る 。
nυ OD
第
3章
商積 街 の姿
商 積 街 の 人 の 流 れ 先 に 見 て き た 商 積 街 の 構 造 、 発 達 は 、 機 能 面 の 構 造 で あ る と言 え よ う 。 そ れ に 対 し て 嗜商 積 街 の 人 の 流 れ を 考 え る こ と は 、 質 的 に 見 た 商 積 街 の 構 造 、 発 達 を見 る こ と で あ る と 考 え られ る 。 例 え ば 、 商 積 街 に 流 れ 込 む 人 が 多 くて もそ の 人 の 流 れ が 単 調 で あ れ ば 、 そ の 商 積 街 の 機 能 構 造 は 、 し だ い に 悪 化 し種 々 の 施 設 が 混 在 す る よ うに な つ て い き 、
快 適 な 商 積 街 で は な くな る と考 え られ る 。逆 に 、機 能 構 造 が 整 い 、 さ ら に そ こ に前 に 述 べ た 質 的 機 能 が 加 わ れ ば 、人 の 流 れ は 、複 雑 に な る の で あ る 。 こ の よ うに 、商 積 街 に お け る人 の 流 れ は 、質 的 機 能 を見 る パ ロ メ ー タで あ る 。で は 、商 積 街 に お け る人 の 流 れ は どの よ うに な つ て い るの で あ ろ うか 。
消費 回遊 路
商 積 街 に お い て 、人 の 流 れ が 多 い 通 りは 、大 海 原 を群 泳 す る魚 群 が 決 ま っ た と こ ろ を回遊 す る の と同 じで 、 回 遊 路 と言 え る 。 しか し道 路 で あ れ ば 回 遊 路 に な る と い うわ け で は な い 。回遊 路 の 発 生 は 、商 積 街 の 商 業 機 能 と質 的 機 能 そ して 商 積 街 の 性 格 が 大 き く関 係 して い るの で あ る 。 そ して 、 そ の 機 能 の 発 達 の 仕 方 に よ り三 段 階 に流 れ が 変 わ る の で あ る 。 (図
5く イ>、 <口 >、
く >)
図
lヽ
5
回遊 路模式 図
人 々 は 、先 の 商 積 街 の 構 造 の 中 心 地 域 を主 に 流 動 す る 。 こ の 中心 地 域 に は まず 、大 型 店 舗 が で き る か 、 あ る い は 、数 店 の 中心 店 舗 が あ る 。 この よ うに商 積 街 が 三 層 化 す る まで の 回 遊 路 は 、大 型 また は 中 心 店 舗 と駅 をつ な ぐ通 りだ け の 単 純 な もの で あ る 。 これ を人 の 血 ″ 液 の 流 れ に た と えて 、 大 動 脈 型 ″ 回遊 路 (図 5く イ>)と 言 つ て い る。
<イ
>
大動脈型 回遊路
nυ
第
3章
商積街の姿
続 いて 、中心 地域 さ らに大 型 店 が で き喫茶 施 設 が整 い 、 この 外 側 に 娯 楽 、文 化 施 設 が で き 、 商 積 街 が ほ ぼ三層 構 造 にな る と 、回遊 路 は 広 が り、 大 動 脈 回 路 か ら そ れ ら の 施 設 に通 じ る新 た な 回 遊 路 が で ″ き る 。 これ が 毛細血 管 型 回遊路 ″ (図 5く 口>)で あ る 。 こ こ こ ま で が 、商 積 街 の 機 能 も ほ ぼ 整 い 三 層 構 造 もほ ぼ 出来 上 が り、 中心 地
<口 >
毛 細血 管型 回遊路
<ハ >
循 環器 型 回遊路
域 の 回遊 性 もあ る とい つた 段 階 で あ る 。 しか し 、 こ の よ う に 毛 細 血 管 型 回遊 路 が で き る とい ま まで大 型 店 が 進 出 で きな か っ た と考 え ら れ て い た と と こ ろ に も そ の よ うな 店 舗 がで きて くる し、 い ま までの 駅 が 、 駅 ビ ル に な つ た りす る こ と で 毛 細 血 管 型 の 回 遊 路 が 衰 退 して
し ま うこ とが あ る 。 こ の よ うな こ と は 、最 近 の 駅 前 再 開 発 で よ く生
ら れ る 。 そ して こ の 段 階 の 回 遊 路 と い うの は 、 単 に 商 品 を 買 うた め ″ ″ 目 的 の た め に で きた 、 い わ ば 消 費 回 遊 路 で あ り、新 た な 消 費 基 が で き た り 、 時 代 の 流 れ 流 行 と言 っ た も の に よ っ て そ の 回 遊 路 が 衰
の 地 退
サ ブ 回遊 路 が この 段 階 で は で きて い な い こ と が あ る か ら で あ る と考
え
これ は 、毛 細 血 管 型 回 遊 路 を結 ぶ 回 遊 路 や 大 動 脈 回 遊 路 の に 準 ず
る
して い る現 象 で あ る 。
し て し ま うの で あ る 。
2
情報 回遊路 店
舗 進 出 や 時 代 の 流 れ に 対 応 し きれ な い 。 で は こ の よ うな こ と が 生 じ い よ うに す る に は ど の よ う に す れ ば よ い の で あ ろ う 。
な
大 動 脈 回 遊 路 や 毛 細 血 管 回 遊 路 の よ うな 消 費 回 遊 路 で は 、 新 た な
第
3章
商 積 街 の姿
それ に は 、何 度 も言 つ て きて い るが 、 中 心 地 域 を ″ 装 置 化 ″ す る こ とで あ る .装 置 化 す る こ とで 、 い ま まで の 消 費 回遊 路 が 人 々 に シ ー ン を提 供 す る よ うに な る .す な わ ち 、人 々 に 情 報 を与 え る ″ 情 報 回 遊 路 ″ に な る の で あ る 。情 報 回 遊 路 にす る こ と で 、毛 細 血 管 型 回遊 路 や 大 動 脈 回遊 路 をつ な ぐ循 環 器 型 の 回 遊 路 が で き るの で あ る 。 (図
5く A>)
この よ うな こ とは 、渋 谷 の 今 日 の 姿 か ら もわ か る 。 パ ル コ は駅 か ら 来 る人 々 の た め に 公 園 通 りをつ く り装 置 化 し、 さ らに セ ン タ ー 街 か ら の 人 の 流 れ をつ く るた め ス ペ イ ン 坂 と い う情 報 回 遊 路 を つ く っ た の で あ る 。 ま た 、 これ に よ つ て 東 急 百 貨 店 の 回 遊 路 が 衰 退 して きた こ と か ら 、東 急 は 、百 貨 店 の 裏 を文 化 村 と して 装 置 化 しよ うと して い る 。 以 上 の こ とか ら商 積 街 に お け る人 の 流 れ をみ る こ とは 、商 積 街 の 質 的 構 造 を見 る こ と に な るの で あ る . で は 、 こ の よ うに機 能 的 構 造 と質 的 構 造 を もつ 商 積 街 の 発 達 の 仕 方 、 そ して 、浅 草 に見 られ る よ うに商 積 街 は い つ まで も発 展 し続 け る こ と は な い と い うこ とか ら 、商 積 街 の ラ イ フ サ イ クル は どの よ うに な つ て い るか 見 て み る .
●乙 14
第
4
3章
商積街の姿
商 積 街 の ラ イ フ サ イ ク ル
商 積 街 は 、 ど こ まで も発 展 し続 け るの で あ ろ うか 。浅 草 は 、昭和 の 初 期 まで は栄 え て い た が 、現 在 で は 衰 退 して しま っ て い る 、 そ の 当時 の 浅 草 を知 つ て い る人 た ち は 、 い まの 浅 草 の 姿 を果 た して 想 像 で きた で あ ろ うか 。 ま た 、商 積 街 の 機 能 的 な 発 達 と質 的 な 発 達 の 関 係 は 、商 積 街 の ライ フ サ イ クル の 中 で どの よ うな 関 係 に な つ て い るの で あ ろ うか 。 こ こで は そ の よ うな こ とに つ い て 考 え る こ とにす る 。
商 積 街 に 関 す る ラ イ フサ イ クル 仮 説
東 京 国 際 大 学 、川 嶋 行 彦 助 教 授 に よ る と 、商 積 街 に 関 す る ラ イ フ サ イ ク ル 仮 説 と して 、 次 の
図
6
商業 集 積 の ライ フサ イ クル ・ パ タ ー ン仮 説 の 枠 組
そ れ は 、商 積 地 に関 す る「 階 層 内変 化 」と「階層間移 動 」を
つ の こ と か ら 商 積 街 の ラ イ フサ
1
階層 内 変化 指数 動指数
定 義 す る こ と に よ つて 、 そ の 二
階層間移
よ うな こ と を 言 っ て い る 。
イ クル 理 論 を考 えて い る 。「 階 層 内 変 化 」 と は 、商 積 街 (川 嶋 氏 は 都 市 と言 っ て い る
)の 特 性
が 変 化 せ ず 、年 間販 売 額 や 店 舗 数 とい つた 成 長 の 観 点 か ら み た変 化 で あ り 、 「 階 層 間 移 動 」 と は 、 商 積 街 (都 市
)の 特 性 を 示 す よ うな 数 字
で 代 表 され る も の の 変 化 で あ る 。 特 性 を 示 す 数 字 と して 、 彼 は そ こ の ″ ″ 商 積 街 の 衣 服 、身 の 回 り品 の 年 販 額 の シ ェ ア を 使 つ て い る 。 そ し て 、二 つ の 軸 指 標 を図
6の 様 に 縦 軸 横 軸 と した マ
ト リ ッ ク ス をつ く り 、
各 象 現 を 商 積 街 が 時 間 と 共 に 移 動 す る と して い る 。 第 二 象 現 は 、 階 層 ″ ″ 性 が 低 く 、 階 層 内変 化 も ほ とん どな い状 態 で 低 迷 期 、次 に階層 内 ″ ″ で の 変 化 (成 長 )が 生 じ第 四 象 現 に 移 り 、 こ れ を 台 頭 期 と して 、 こ の 時 の 移 動 で は 、商 積 街 の 特 性 自体 は 変 化 しな い 。 そ の 後 階 層 性 が ″ ″ 上 が り第 一 象 現 へ 移 動 す る 、 こ れ を 成 長 期 と して い る 。 こ の 段 階 43
第
3章
商積街 の姿
で は 買 い 回 り性 が 高 く 、更 に 成 長 が 続 い て い る 状 態 で あ る 。 更 に 次 の 段 階 と して 、 商 積 街 の 階 層 性 は 以 前 と して 高 い が 、 階 層 な い 変 化 の 低 ″ ″ 下 が 起 こ り しだ い に 第 二 象 現 に 移 り 、 こ こ を 成 熟 期 と して い る 。 そ し て 最 後 に 階 層 性 も失 い 、 第 二 象 現 に 戻 る 。 そ して 、 川 嶋 氏 は こ の 仮 説 に 基 づ い て 、 い く つ か の 商 積 街 の ラ イ フ サ イ ク ル を見 て い る 。
2
本 論 文 に お け る ライ フサ イ クル 仮 説
本 論 文 に お い て は 、基 本 的 に
図
は さ きの 仮 説 を用 い るが 、 「 階
7
本 研 究 の ライ フサ イ クル ・ パ タ ー ン仮 説
層 内 変 化 」が 商 積 街 の 年 間 販 売 額や 店 舗数 の成 長 で現せ るこ と か ら 、 この 変 化 を第 二 節 で み た 「 商 積 街 の 構 造 発 達 過 程 」 とす る 。 また 、「 階 層 間 移 動 」が 都 市 の 特 性 を現 す こ と か ら 、 こ れ を第 二 節 で み た 「 回 遊 路 の 発 達 」 とす る 。 つ ま り 、第 二 象 現 か ら第 四 象 現 へ の 変 化 は 、 商 積 街 の 構 造 が 二 層 化 か ら三 層 化 に 変 化 す る こ と に な る 。 第 四 象 現 か ら 第 一 象 現 へ の 変 化 は 、消 費 回 遊 路 で あ る 毛 細 血 管 型 回 遊 路 が で き て か ら 、情 報 回 遊 路 が で き る ま で の 変 化 に な る 。 そ して 第 一 象 現 か ら第 二 象 現 へ の 変 化 は 、 情 報 回 遊 路 が 出 来 上 が り 、 商 積 街 の 中 心 及 び 中 間 地 域 の 成 長 が 停 止 す る変 化 に な る 。た だ し 、各 象 現 の 名 前 は そ の ま ま と す る 。 (図
7)
こ の よ うに 、 本 論 文 の ラ イ フ サ イ ク ル 仮 説 は 、 川 鳴 氏 が 数 字 的 変 化 で 見 よ う と した の に 対 して 現 象 で 見 る 点 に 特 徴 が あ る 。 図
8は
、川 鳴 氏 が 実 際 昭 和
35年
か ら昭 和
57年
まで 、先 の 数 字 を
新 宿 、浅 草 、渋 谷 に つ い て 調 べ 求 め た 各 商 積 街 の ライ フサ イ ク で あ る 。 こ れ に 合 わ せ て 本 論 分 の ラ イ フ サ イ ク ル 仮 説 を 検 証 して み る 。 新 宿 は 、昭 和
35年
項 に す で に二 層 化 か ら三 層 化 商 積 街 へ 確 立 され
つ つ あ つた 。 そ して 昭 和
40年
代 に は 、誰 も が 新 宿 に 買 い 物 に 出 か け 、
第
3章
商積街の姿
当 時 の 生 活 情 報 を得 よ う と し て い た 。 これ に よ っ て 、 中 心 地 域 の 道 は ほ とん ど回遊 路 に な つ
50
図
年 代 に な る と 、新 宿 の 地 価 が 日 本 一 に な っ た こ と も影 響 し 、 中 心 、 中 間 地 域 の 発 達 は止 る こ と
8
事 例 都 市 と ラ イ フサ イ クル 変 化 階層間移動 ︵ 衣料品販売額 シ ェア︶
て し ま っ た の で あ る 。昭 和
に な っ た の で あ る 。 しか し 、成 長 期 か ら成 熟 期 へ の 変 化 の 時 期 は 、 い まの よ うな シ ー ン を求 め る生 活 者 が 多 くな か っ ため 、今 や シ ー ンづ く りを しよ うと して い る 。 その た め 低 迷 期 に行 か ず に ま た 成 長 期 に 戻 つた と こ ろ で は な い か と考 え られ る 。 渋 谷 や 浅 草 に つ いて の 説 明 は 省 くが 、 ほ ぼ 本 論 文 の 指 標 で 図
8の
よ
うに な る 。 と こ ろ で 、 川 嶋 氏 は こ の ラ イ フサ イ ク ル の 一 サ イ ク ル が
60∼ 80
年 と 推 定 して い る 。 しか し本 論 文 で 問 題 に して い る の は 、 低 迷 期 か ら 台 頭 期 へ ど の よ うに して 変 化 さ せ る か 、 そ して 台 頭 期 か ら 成 長 期 へ ど の よ う に 変 化 さ せ る か で あ る の で 、 そ こ か ら先 の あ り方 に つ い て は 触 れ な い こ とにす る 。 こ の よ うに 商 積 街 の ラ イ フ サ イ ク ル を 見 て く る と 、 台 頭 期 そ して 成 長 期 へ 商 積 街 を 変 化 さ せ る に は 、 第 一 章 で の 生 活 者 の 変 化 、第 二 章 の 商 積 街 に 求 め ら れ て い る機 能 、 そ して 構 造 や 回 遊 路 な ど を 踏 ま え 、 そ れ ら を うま く結 び 付 け て 商 積 街 を企 画 プ ロ デ ュ ー ス す る こ とが 求 め ら れ る。
民J ”4
第
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
'
第
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
今 ま で 見 て き た よ う に 商 積 街 は 、 これ か ら生 活 者 を 中 心 に 考 え 計 画 して い く必 要 が あ る 。 そ れ に は 以 前 の よ うな イ ン フ ラ ス ト ラ ク チ ャ ー 中 心 の 計 画 で は う ま く な い こ と は 前 に 述 べ た 通 りで あ る 。 生 活 者 の 行 動 を考 え な が ら 都 市 や 商 積 街 を 計 画 す る 考 え 方 は 最 近 い ろ い ろ と考 え られ て き て い る 。 例 え ば 、 都 市 工 学 に お い て は 商 国 と 言 つ た 概 念 で 商 積 街 の あ り方 を 数 字 的 に 見 た り 、 本 論 文 で も み た 都 市 や 商 積 街 の 構 造 を店 舗 の 種 類 、 店 舗 数 、 床 面 積 な ど の デ ー タ か ら捉 え て い る 。 ま た 、 ORや 線 形 計 画 法 そ して 、 待 ち 行 列 理 論 な ど と言 つ た 数 学 的 、統 計 的 な 立 場 で 計 画 方 法 を考 え て い る 。 こ の よ うな 計 画 法 は 、 か な り多 く用 い られ て い る が 、 どれ も 断 片 的 で あ りそ れ ら の 計 画 法 を ど の よ うに 使 い ど の よ う に モ デ ル 化 す る か は 計 画 者 の 経 験 的 な 立 場 で 考 え られ て い る 。 本 論 文 で は 、今 ま で 言 つ て き た 生 活 者 の 行 動 や 商 積 街 の 構 造 を 捉 え る の に 数 字 的 に は 捉 え て い な い (一 部 は 数 字 的 に 捉 え る こ と が で き る 可 能 性 は あ る )。 そ こ で こ の よ うな 商 積 街 を 取 り巻 く条 件 を 過 去 の 経 験 か ら で き て い る 「 方 位 学 、 地 相 」 と言 つ た も の を 現 代 の 商 積 街 に 適 合 す る よ う に し 、 そ れ ら の 条 件 を結 び 付 け こ れ か ら の 商 積 空 間 計 画 を 考 えてみ る。 で は まず そ の 「方 位 学 、地 相 」 につ い て み て み る こ と に す る 。
地 相 ・ 方 位 学 を 考 え る 地 相 や 方 位 学 と は 、 ど の よ うな も の な の で あ ろ う 。 こ こ で は そ の 概 要 を見 て み る こ とに す る 。
1
「 地 相 ・ 方 位 学 」の 意 義
「 地 相 ・方 位 学 」は 、 そ こ に す む 人 々 が いつ も健 康 で 、幸 福 な た め に は 、 そ の 土 地 の 方 位 、形 状 な ど を 、 ど の よ うに す れ ば よ い か 、 あ る い は 悪 い か を 示 して い る 。 昔 か ら伝 わ っ て い る 「 地 相 ・ 方 位 学 」 の 基 本 的 な も の は 、 そ の ほ と ん ど が 経 験 を 根 拠 に した も の で あ る 。長 い 年 月 の 経 験 か ら 得 た 知 識 は 、 非 常 に 優 れ た 貴 重 な の で あ る が 、 生 活 の 様 式 や 、 環 境 が 著 し く変 化 し 46
第
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
た 現 代 に 、 そ の ま ます べ て が 適 応 す る も の で は な い 。 そ して 、 人 間 の 生 活 に 直 結 した もの で あ る の で 、 そ れ ぞ れ の 時 代 の 知 能 程 度 や 、生 活 状 態 に 即 応 して 絶 えず 変 化 し 、 様 々 な 説 が 生 ま れ た の は 当 然 の こ と で あ る .こ の よ うに 流 動 的 で 、 長 い 過 去 を 持 っ た も の を 現 代 の 常 識 で 批 判 して 、 「 地 相 ・ 方 位 学 」 の す べ て を 迷 信 と 決 め 付 け る こ と は 妥 当 で な い と考 え られ る 。 「 地 相 ・ 方 位 学 」 は 、 基 本 的 に は 、 理 論 に か な っ た 正 し い 知 識 や 、 長 い 年 月 の 経 験 か ら得 た 貴 い 知 恵 を 、 わ か り易 く あ ら わ して い る 。
「 地 相 ・ 方 位 学 」 を商 積 空 間 計 画 に 用 い る
人 は 、何 か を どち らか に 決 め ね ば な らな い と きに 、 そ れ らが 一 朝 一 短 で あ つ た り 、 わ ず か しか な い 場 合 は 、 決 断 が つ か ず 迷 っ て し ま う 。 家 を建 て る と き は 、 そ う した ケ ー ス の ひ と つ で あ る 。 そ して 、 も っ と 大 きな 空 間 や 、 多 くの 人 々 に 影 響 を与 え る都 市 計 画 に い た つて は 決 断 を す る た め の 要 因 が 多 す ぎ て 、 計 画 に 決 断 が 下 せ な い 。 こ の よ うな 場 合 、 今 日 ま で 多 く行 な わ れ て き た 都 市 計 画 で は 、 単 に 都 市 に 必 要 な 数 種 類 の 機 能 の み に 重 点 を お い て 計 画 して き た 。 こ の よ うな 計 画 は 、 現 在 、将 来 に わ た つて 適 切 さ に 欠 く こ とは 、 い ま まで 述 べ て きた こ と か ら も明 らか で あ る 。 か と い つて 、新 た に 計 画 を決 定 す べ く適 切 な 方 法 が あ る わ け で も な い 。 こ の よ うな こ と か ら 、 こ こ で は 、 計 画 の 促 進 に 役 立 つ と考 え られ る 「 地 相 ・ 方 位 学 」 を 利 用 す る こ と を 考 え る 。 地 相 や 方 位 学 が 示 す い ろ い ろ な 条 件 を含 め て 考 え る こ とは 厄 介 さが あ る と 考 え られ る が 、 今 日 の 商 積 空 間 が も つ 種 々 の 状 況 をす べ て 考 慮 しな が ら街 や 都 市 を 設 計 す る よ り も 、案 外 と ま と ま りや す い と 考 え られ る し 、 そ れ に 、 日本 中 ど こ で も 同 様 に 用 い る こ と が 出 来 る 。 「 地 相 ・ 方 位 学 」 は 、 経 験 的 要 素 が 強 く 決 して 理 論 的 で な い し 、 今 日の 社 会 生 活 に 当て は ま らな い の で 、盲 信 せ ず に 、そ の 都 度 、そ の 街 や 都 市 に よ つ て 意 味 を置 き換 え る必 要 が あ る 。
3
鬼門
地 相 の 発 祥 地 中 国 は 、 そ の 音 、旬 奴 な ど の 東 北 方 の 民 族 に 、幾 度 と ワー
第
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
な く侵 略 され 、絶 えず 激 しい 脅 威 を受 け て い た 。 ま た 、 東 北 の 方 向 か ら 襲 つ て く る 季 節 風 の 猛 烈 な 暴 風 の た め に 、 そ の 都 度 、 家 も畑 も惨 た ん た る被 害 を受 け 、 多 く の 人 々 の 生 命 が 失 わ れ た 。従 っ て 中 国 文 化 の 中心 で あ った 黄 河 の 中流 地 域 の 人 々に と って は 、東 北 の 方 位 は 、 ま さ に 恐 るべ き 悪 魔 の 方 向 で あ っ た 。 中 国 語 で 、 鬼 と い うの は 、 仏 教 の 言 葉 で は 、悪 魔 の こ と で あ る の で 、悪 魔 が 襲 つ て く る こ の 方 位 を「 鬼 門 」 と 称 した と も 伝 え られ る 。 そ して 、東 北 の 方 位 は 、 北 の 「 陰 」 か ら 、
東 の 「 陽 」へ 移 ろ うとす る「 陰 極 」で 、 こ こへ 死 者 の 精 気 で あ る鬼 が 集 ま っ て 、災 害 や 凶悪 な どの 不 吉 が起 こ る もの で あ る と考 えて 、 この 東 北 の 方 向 を 、鬼 門 と名 付 け た 、 と して い る説 もあ る 。 話 を現 実 に 戻 して考 え る と 、 中 国 で は 、東 北 方 か ら暴 風 雨 を防 ぐた め 、東 北 の 方 向 の窓 を 凶 と して い る 。東 北 の 方 向 の 便 所 を大 凶 とす る の は 、東 北 方 か らの風 に 臭 気 が 流 され る こ と を 防 ぐため で あ り、鬼 門 に 関 す る戒 め は 当時 の 中 国 で は 合 理 的 で あ っ た 。 しか し 、我 が 国 で は 東 北 方 は大 平 洋 で 、東 北 か ら強 風 が襲 うこ とは な い 。殊 に 最 近 で は 、 暴 風 雨 に ビ ク と も しな い 窓 枠 や 強 靭 な ガ ラ ス 、水 洗 便 所 で あ り、 「 鬼 門 は 悪 い 」 とす る条 件 は 通 用 しな くな っ て い る 。 しか し、鬼 門 が悪 い 、 と い うの は 、幾 世 代 に もわ た っ て 伝 え られ て き た こ とで 、 そ の ため 、京 都 の 都 の 「 鬼 門 除 け 」 と して 東 北 方 向 に 、 比 叡 山延 暦 寺 が 建 て られ 、今 日の 東 京 、江 戸 で も 「 鬼 門 除 け 」に天 台 宗 関 東 大 本 山 の 東 叡 山 寛 永 寺 が 創 建 され 、 「 裏 鬼 門 除 け 」 に 浄 土 宗 関 東 総 本 山 の 三 縁 山増 上 寺 が 移 され て い て 、 い まで も都 市 の 一 部 と して 残 つて い る 。
江戸/江 戸城の鬼門 にあたる方角には ,
東叡山寛永寺,そ し て裏鬼門には三縁山 増上寺が配された。 しかし,寛 永寺の方 はともか く,増 上寺 は,実 は裏鬼門か ら 若千はずれている。 1716_1735〉 (享 保年代く の江戸絵図による)
第
4章
方 位 学 と 地 相 を考 え る
四神 相 応
これ は 、古 代 中 国 に お け る思 想 を基 に して 生 まれ た 最 上 の 様 態 を し め した語 で 、天 界 の 四 方 をつ か さ ど る星 象 を 、青 龍 、 自虎 、朱 雀 、玄 武 、 の 四 禽 に な ぞ ら え 、 これ を四神 と あ が め 、 それ らが 常 に バ ラ ンス 良 く配 され て い るの を吉 と した の で あ る 。 東 の青 龍 に流 水 つ ま りは風 光 明眉 さ を 、西 の 自虎 に は 大 道 また は 長 道 す な わ ち 交 通 の 至 便 を .ま た 南 の 朱 雀 に は 低 地 あ る い は 平 野 が あ っ て 陽 気 さ を受 け入 れ 、北 の 玄 武 に丘 陵 を背 負 わ せ 陰 気 を遮 る 、 い わ ゆ る南 低 北 高 の 地 を 「 四 神 相 応 の 地 」 と呼 び 、最 貴 と した の で あ る 。風 光 明 眉 で あ る こ とは 、何 も東 に 限 っ た こ とで は な い が 、朝 日 と共 に そ れ が 望 め るの は 健 康 的 で あ る し、 また 交 通 至 便 が 必 ず し も西 で な けれ ば な らな い 理 由 もな い が 、お お よ そ の 部 分 が 夕 日 を避 け るた め の壁 で ど うせ ふ さが れ るの な らば 、 この 際 「 一 挙 両 獲 」 と遮 音 も兼 ね させ ら れ る こ とが 出 来 る 、 と い うこ とで あ ろ う。従 つ て 南 が 低 地 や 平 野 で な く と も、背 の あ る樹 林 等 な らば 、 さ きの 理 に か な うこ とに な り、 それ で い つ こ うに差 しつ か えな い と判 断 で き る 。 「 四神 相 応 の 地 」 とは 「 生 活 す る 」 の に最 適 な 土 地 の 呼 称 で あ るが 、 そ の 言 い ま わ しの 、何 や ら呪 術 め い て い るの とは 裏 腹 に 、極 め て 合 理 的 な 意 味 内 容 が 備 え られ て い る こ とに 注 目す る必 要 が あ る 。
四神相応 の地
49
第
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
地 相 と 方 位 学 土 地 の 相 を 見 る の に は 、地 相 、 方 位 学 の 両 方 か ら次 の 二 つ の こ と に つ い て み る方 法 が あ る 。
*土 地 の 高 低 に よ る 吉 凶 *土 地 の 形 状 に よ る吉 凶 *土 地 の 周 辺 状 況 に よ る 吉 凶 土地の高低
土 地 の 高 低 に つ い て 、 「 営 造 宅 経 」 と い う本 は 、 次 の よ う に 記 して いる。 「 人 宅 左 に 流 水 あ る 、 こ れ を 青 龍 と い う 。 右 に 長 き道 あ る 、 こ れ を 自虎 と い う。前 に汗 池 あ る 、 これ を朱 雀 と い う 。後 ろ に 丘 陵 あ る 、 こ れ を 玄 武 と い う 。 す な わ ち 富 貴 の 地 とす 。 い わ ゅ る 流 水 、 長 道 、 汗 池 、 丘 陵 の 四 形 は 、 震 、兌 、 次 、 離 の 卦 象 よ り生 じ 、 青 龍 、 自 虎 、 朱 雀 、 玄 武 の 四 名 前 は 、 大 小 陰 陽 の 四 気 よ りな り、 物 理 自然 の 形 名 な り。 け
だ し 、 物 理 の 自 然 た るや 、 陰 は 陽 に 交 わ り、 陽 は 陰 に 合 し 、 l■ 重 な ら ず して 万 物 育 成 す 。是 を 以 て 、 人 の 居 所 に お け る も ま た 前 後 平 坦 に し て 、 四 方 正 直 な る 地 を 吉 と す 。 す な わ ち 地 球 偏 重 な ら ざ る の 象 な り。 ″ 宅 地 平 坦 な る を 名 付 け て 、 梁 土 ″ とす 。 之 に 居 す る と き は 吉 な り。 す べ て 高 低 欠 張 あ る地 形 は 好 ん で 作 る べ き に あ らず 。然 れ ど も 、 山 谷 の 地 、 あ る い は 通 路 、清 川 に 隣 た る 所 な ど は 、 自 ら高 低 欠 張 あ りて 、 貧 福 窮 達 の 相 を あ ら わ す 故 に 、 そ の 高 低 欠 張 の 陰 陽 偏 重 を 平 和 して 専 ら 利 益 に 移 し 、 損 害 を避 け 、 人 を し て 富 貴 延 寿 の 幸 慶 を 得 さ じめ ん が た め に 、 聖 人 は 陰 陽 向 脊 の 法 を立 て 、 似 て 宅 地 相 法 の 術 を 万 事 に 施 す 。 そ れ 仰 が ざ るべ け ん や 。 周 囲 高 く 、 中 央 くぼ み た る地 を
″
衛土
″
とす 。 中 の 平 な る と こ ろ に
家 を 構 うれ ば 、 人 自 ら 四 方 よ り集 ま りて 繁 栄 す 。 然 れ ど も 火 災 論 公 起 こ る な り。 南 低 く 、北 高 さ 地 を名 付 け て
″
晋土
″
とす 。 富 貴 繁 昌 の 地 な り。西
ハυ 民υ
第 高 く 、東 低 き 地 を名 付 け て
″
魯土
″
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
とす 、 富 貴 に して 文 道 盛 ん な り 。
西 北 高 く 、 東 南 低 く 開 け た る 地 は 、 前 記 の 二 つ を 重 ね て 繁 昌 、 最 も勝 れ た る地 な り 。 ″ ″ とす 。 貧 地 な り 。 東 高 く 、 西 南 高 く 、 北 低 き地 を 名 付 け て 楚 土 ″ ″ とす 。 凶 相 な り。 」 低 き 地 を名 付 け て 斉 土 以 上 を ま と め て 図 に す る と 図 1と な る 。 図
1梁
1 _土 地の 二 _高 _低
_■
1 zx *.
土
西 低
東 高
凶運の相
万 事 に吉
3晋
土
1ヒ
〒 封
4楚
南 低
土 北 低
N
南 高
E
富貴栄 昌
5魯
s貧 6衛
土
_N
西 高
東 低
土
͡
① 小 吉
繁栄 す るが 事 故 の慮 あ り
周 囲
低 E
央・高
地
東 西 南 北 高
富貴繁昌
7中
‐
北 東 三 方 高 ͡
① 小 吉
栄 え るが 火災の慮 あ り
9西
北 二 方 高
0晋 .
s吉
相
魯 土 西 北 高 ・ 東 南 低
富貴最勝の地
第
2
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
土地 の形状
敷 地 の 形 、 つ ま り地 形 の 形 状 か ら判 断 され る吉 凶 もあ る 。社 寺 や 墓 地 や 塚 の 跡 地 は よ くな い 、 と言 つ た 多分 に心 情 的 な 判 断 か らの もの は さて お く と して 、土 地 の 張 り欠 け に つ い て 論 じ られ て い る もの を探 つ て み る と 、 ほ とん どの 説 は 至 極 も っ と も と思 え る体 裁 を整 え て い る 。 それ で 、急 に お 金 持 ち に な れ た り、 あ る 日 と つ ぜ ん 貧 乏 人 に な つ た り す る 、 と い うの は よ く分 か らな い が 、ひ とつ に は 経 済 的 な 計 ら い 、あ る い は 建 物 の 設 計 や 施 工 上 で の 難 点 を避 け るた め か ら 、 と察 せ られ る もの で あ る こ と と考 え られ る 。 しか し、そ の 中 で 真 四 角 な もの にあ る い は 円 とか 楕 円 とか に は 説 が い ろ い ろ あ り、吉 凶 が 対 立 して い る 。 安政六年
(1859年
)に 多 田 鳴 鳳 が著 した 「 洛 地 準 則 」 の 「 四次
総 論 」に よ る と 、 「 真 四 角 に 区 画 され た敷 地 は 常 に 儀 式 的 な 越 が あ っ て 、高 位 高 官 に あ る人 な らば と もか く 、 一 般 の 人 に は 不 向 き で す 。普 通 な ら 、間 口 よ り奥 行 きの 方 が 長 い 、そ ん な 敷 地 を選 ぶ べ き で す 。た また ま狭 い 間 口な が ら 、奥 に入 つ て 広 い か た ち の 袋 型 の もの な ら ″ 陽 ″ 気 を納 め る と され 最 上 で す 。 そ れ に反 して 、 間 口が 広 く奥 行 きの な い もの で は 財 を成 し得 ませ ん 。 ま た 三 角 形 の 敷 地 で は 最 初 め に は 良 く て も後 で 苦 労 す る こ と に な り、火 災 に あ う恐 れ もあ ります 。西 北 や 北 あ る い は 東 南 や 南 の 方 に 出 っ張 りが あ るの は 良 い と され て い ます が 、 陰 気 の 侵 入 を防 ぐ砦 、 あ る い は 陽 気 を貯 蓄 す る袋 に相 応 し い 様 態 の も の で な けれ ば な りませ ん 。 とは 言 え 、敷 地 の 凸 凹 に は 吉 も あ るか わ り に 凶 もあ っ て 、何 か とわ ず らわ しい 思 慮 とか か わ らな けれ ば な らな く な ります 。 こ の さ え 、 と に か く張 り欠 け の な い 敷 地 が 素 直 で あ り無 難 で あ るの に 間 違 い あ りませ ん 。 」 と書 かれ て い る 。 この よ うな こ とは 、 い ろ い ろ と あ る他 の 地 相 、家 相 書 で も共 通 して 唱 え られ て い る こ とで あ る が 、深 く考 えて み る まで もな く 、三 角 形 や 菱 形 の よ うな 歪 な 形 を して い る も の 、あ る い は 横 に細 長 か つ た り起 伏 の あ り過 ぎ る と ころ で は 、せ っ か く の スペ ー ス に 無 駄 が 生 じや す く 、 場 合 に よ つ て は 法 規 上 の 制 約 か ら 、所 期 の 家 が 建 て られ な く な つ て し ま う、 と い うこ とで 凶 で あ り、火 災 を招 きや す く 、 また 住 人 か ら ノイ ロ ー ゼ 患 者 や 狂 人 、犯 罪 人 が 出 る 、 と い うの は と もか く 、 あ ま りに も 52
第
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
方 向 性 が強 調 され て い た り凸 凹 が は げ しか っ た りす る と 、 そ こ に建 て られ る家 の 動 線 は尋 常 で は な く 、 だ い い ち 、 そ ん な と ころ で の 工 事 は 厄 介 至 極 で あ る と 、解 釈 で き る .
この よ うに 、土地 の 形 状 は 、張 りや 欠 け の 無 い もの が最上 と考 え ら れ て い るが 、張 りや 欠 け があ る場 合 の吉 凶は 、そ の 方位 に よ って異 な り、 それ を ま とめ る と図 2の よ うにな る 。
53
図
2
土 地 の 「 張 り・ 欠 け 」 よ る 吉 凶
陽気進 む の形で住 人 繁 栄 し立 身 発 達 す る 相。
永 住 で きな い相 あ り また住 人 は病 気 な ど に は な らな い が 、 陽 気 な きため 発 展 で き な い相 。
貧 地 で 凶 相 。病 人 絶 えず 、 嫡 子 病 身 に し て末 子 は 身 持 ち悪 く 財 産 を失 う相 。
東 中 央 欠
家 業 繁 昌 し、子 孫 和 合 す る 。た だ し欠 け て お らず 、 この 隅 を 空 き地 とす る と大 吉 の相 。
北 東 隅 張 ]
幸る はす 人う 住全
し を
就誉 成名 物と 万福相
住人 が富裕 にな ると 色 欲 不 義 にふ け って 禍 を起 こ す 相
西 中 央 張
福 無 く 、万 事 塞 り滞 る形 で 最 も悪 相 。肺 病 か不 具者 が出 る。 子 孫 絶 え 、財 宝 を失 う。繁 昌 す れ ば 難 病
家 業 発 展 し 、病 難 な く長 寿 を 保 つ 、 た だ し不 釣 り合 い に 多 < 出 っ 張 りた る 凶 。 な お長 女 の 身 持 ち悪 い 相。
産 業 衰 微 して 万 事 塞 が り 、 子 孫 絶 え亡 ぶ た だ し建 物 を張 り出 せ ば 持 合 うて 災 厄 免 れ る。
西 北 隅 張
強 く張 り出 した る は よ くな い が 、適 当 な 張 り出 しは 家 運 繁 栄 の 吉 相 、住 人 慎 み 守 れ ば永 久 の 相 。
家 屋 ・ 倉 庫 を増 築 し 栄 え る と共 に 不 時 の 災 禍 で 失 うこ と も あ る相 。
南 中 央 張
一陽来福 の形 で 、 こ れ よ り幸 福 が 訪 れ て く る相 。
北 中 央 張
繁 昌 の 吉 相 。財 産 が 増 え地 位 が 上 が り 、 子 孫 長 久 。無 病 息 災 た だ し乾 張 で 東 方 に 門 あれ ば 病 難
家 業 劣 え 、主 人 に 災 い あ り 、 財 産 1失 い 種 々の 災 害 が 起 こ る 相。
東 南 隅 欠
家 内不 和 、婦 人 が 権 力 を振 る い養 子 相 続 とな る 。不 慮 の 災 難 に 出会 い 、財 産 を失 ` う。 富 裕 と な れ は 病 む相 。
北 中 央 欠
上 下 互 い に和 睦 し、 益 々繁 栄 し、縁 談 重 な る 。 た だ し反 対 に 婦 人 長 病 を患 い 凶 相
北 西 隅 欠
│
25
③ 凶
22
23
4 ´ 2
21
⑬ 大 凶
ノ ′ 、
第
3
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
土 地 の周辺 状 況
四神 相 応 の 地 に対 して 、特 に 凶 相 の 地 を あ らわ す もの で 「 三 愚 の 地 」 と い うもの が あ る 。南 高 北 低 で あ りな が ら 、東 南 が さ らに高 く 、西 北 が さ らに低 く 、そ の 上 、北 側 に流 水 が あ る土 地 の こ とで あ る 。 この よ うに 、先 の 土 地 の 高 低 に 加 えて 、土 地 の 周 辺 状 況 に よ つ て吉 凶 が あ る と考 え られ て い る 。た と え ば 、敷 地 を挟 む よ うに して 清 流 が 東 と西 に あ れ ば 出 世 す る とか 、東 南 に小 丘 が 望 め 、 そ の 麓 に 流 水 が あ るの は 長 寿 の 相 とか 、あ るい は 西 北 、東 南 と もに高 く 、西 南 、東 北 、共 に平 坦 な る と こ ろ に 住 む人 は 富 裕 とな る 、等 い ろ い ろ あ る 。 また 、四 方 に道 路 が あ り、人 家 に 囲 まれ て い る と こ ろ に は 水 難 の 相 が あ っ て 、 そ うで な く と も片 輪 者 が生 まれ る 。西 北 と西 に それ ぞれ 池 が あ り、 山 が 東 に そび えて い る とこ ろ に は 逆 相 と い っ て 、家 人 に 涙 の 絶 え る こ とが な く 、 東 南 だ け に 川 が流 れ て い る と こ ろ で は 種 々 の 災 厄 に 明 け暮 れ しな けれ ば な らず 、東 に丘 が 控 え て い る と こ ろ で は 、 いつ も 日前 の 利 益 を取 り 逃 が す こ と に な り、子 供 の 不 孝 を招 く 。 さ らに東 南 に 道 路 が あ っ て 、 北 に池 が あ る と 、盗 難 の 相 で もあ るが 、多 く の 敵 を作 り、常 に訴 訟 事 を招 く恐 れ が あ る 、 と 多 彩 で あ る 。 この よ うな こ と は 、何 も根 拠 の な い こ とで あ る が 、 自然 環 境 や そ の 他 の こ とか ら生 まれ て きた と考 え ら れ る。 以 上 の こ と を 、平 沢 白翁 が ま とめ た 「 家 相 千 百 年 眼 」説 を基 に考 え る と 、図 3の よ うに な る 。
民υ
(林
ゝ
′ ′ 、
ご L墓
│「 に 道 路 が あ って、 表 円 に あ た るは凶 宅の南の の ltだ し=中 きもの で、 それ には イ;石 を置 い て円 の道 をつ け替 え防 ぐべ き、 さもなけれは 眼 病・ 心 痛・ 熟病 を発 す。 す べ て 南 に限 らず、通 路 の つ き当 り に あ るtt凶 と して 是 を忌 み、 自分 の 住 宅 と向 か い の家 と人 にlσ 】■か い合 った、あ る いは 、 社寺・ rt 人 の邸 宅 の P,戸 に 対 す るの も病 難絶 えず 、産 業衰 微 と して避 け るの で あ る。 また、東 北 に流 水 あ る は、 、下 lFl・ 淋 病 、 あ るいは 、手 の しび れ な どが お こ る。
林
墓
︵W Y ︲
AW Y I
∩WY︲
∩Y︲ 林
凸墓
圃
凸陶
北東 に古塚 あ って、小林茂 るは子供 を殺す相。西南 に 小山のあるは聾 を出 し、婦 人は自血 。長 血・ 消渇・ 流 産 。小産 。療血 を病む相、 西方 に溜水 のあるは色情 を もとめ、日舌 を司 るので 、 もし深更 に及んで火光を見 れば死霊 の崇である。
凸墓
西北 と西 にともに池があ っ て東方 に山を控 えるは逆相 。 奴僕 に障 り、牛馬 に難 あ り。 家人並 みだの渇 く暇な く、 常 に憂 をみ る。 また、古鏡 あ って崇をなす と伝 う。
`′
東南 に 当た って岡山あ り、 その麓 に長河 の来 り注 ぐは 武勇 に達す る相。 また、寿 命は百才をすぎ、望む とこ ろその利 を得ざ るはな く、 願 うと ころ成 らざ るはない 吉相 。
綸
凸 墓 家 の四面 に梅樹 のあるは好 色に耽 り、奢 移・ 遊び に失 するオロ。妻縁もかわ り、遂 には遊女 にまかれて、家 を つぶ し、婦女・ 小児 にたた る。
陶長 者
陶
)
[墨 ]墓
15
陶
ll
6 ︲
綱 西北 に EEあ るのは財 =を む るこ と第 一 、東北 に当た って枕 (え ん じゆ )の 記 が あれば家 の不浄 を払 つて悪 魔病難 を除 き、南方 に桐の 木 あるのは福神 を招 き福貢 とは る。然 しも し、西南 に 小池 あるときには老母に崇 り、留飲 。 療 血 を煩 い、若 後家 がで きるが 、に自い桃 の木 を配 すれば 、その障 り ル降 夫得 る。
6
東西 に川 あ り、それが遠 く 宅 の東西 に清 き流水 あ って、 の丘 をめ ぐる形 にあれば、 家をはさむ形 にあるのは、 吉事続 き、代 々福力 つ よ く、 子孫繁 昌 し、 また、長 い溝 仁義 を施 す吉相。 あるのは久 しく居住 して位 置昇進 し、末代 まで栄 える。
10
ユ9
)
閻
丘
′′︱︱ 水 ︱ ︱ ︱ ︱ ︱ ′︱︱︱︱ 流 ︱︱ ︱︱
5
9
Ψ
9
Ψ陶鰊
13
9
← 圃 弔
`
林
西北 、東南 の両方が高 く、 西南 、東北 の ともに平な る 所 は、幸福の地相で、此所 に宅 を構 えると財貨が集 ま り、後世に及んで権威 を増 す。
丘
△J A學l伸
‐
͡
͡
北 に大 山、南 に遠山、東 に 東南 に竹林 、南勢 に林 あ っ 流水 、西 に砂 の道あ る宅 は、 て、西北 ◆東北 に丘ある備 寿福 に して、高名栄達 の本目。 は、陰陽和合の吉相。
発∴P
圃
ス
囲 f
西北 に、小 山が控え、東南 に、池沼 があ って、宅 をは さむは、遠方 より福特 を招 き、百事吉祥、年 々財貨 を 増 し、是 を以て東南には運 気を起 こ し、西北 には黄金 の基礎 をお く良相。
囲
「 周 辺 状 況 」 に よ る吉 凶 ︱︱ ︱ ︱ 水 ︱ ︱ 、 ︱︱︱︱ 流 ︱ ︱ 、
遭 IIIII ︱︱ ︱ ︱ ︱ 一 つ乙
圃
3
︱ ︱ ノ
図
北西 に墓 の あるは、東の墓 は長子、西 の墓は妻娘 に崇 り、子孫 に災 い し、常 に病 苦を招 く、 また、北方に悪 水 の溜 るは、男子は労咳、 女子 は産厄 に苦 しむ。
南 と北 に墓 あ り、西 と東 に 林木 あるは、他か ら吉事の 来 るあ っても、 これ らの為 に妨げ られ、家財散 失 して、 かえ つて災禍 を導 く陰毒の ある象 とな り、疲病 または 腫病 を患 う。
道 iLE¬ │
前面 に流水 あ って、後方 に 四方 に道路があ って、人家 旧墓 のある土地 は、始め富 をめ ぐる形にある処 は水難 む とも、後 は必ず衰微 し、 の相 。井戸 に落ちで死 ぬか、 且 つ牛馬 に災 いつづ き、小 または狂乱 して首を くくる 肝症で目を病 う。 また、 か、六親離散 し、唖 。ども 児はナ 東方 に 当 って青 い石のある り ◆阿果が生 まれ る。 のは悪鬼が家 を襲 い、後家 とな り、子孫断絶の凶相。
17
18
圃 玲ベ 東南 の方 に流水 あるは、家 をそむ き、牛馬 は死 し、免 れ難 き災 いが続 き、北 方 に 丘あるは陽気を塞 ぎ、吉事 が眼前 に来ても手 には入 ら ず、子供 は川に遊んで身 を 失い、あるいは、山に遊ん で迷子 とな る。
東南 に道 あ って、北 に池あ る所 は盗 難の相。回事 。訴 訟を招 き、敵 をうけ、不事 の驚 きを見 、常 に諸人集 ま り来 るとも皆心中の毒 とな る。
第
3
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
都 市 相 を 見 る
四 神 相 応 を は じめ 晋 土 、 魯 土 、 梁 土 な ど の 吉 相 、 ま た 三 愚 の 地 以 下 斉 土 、楚 土 、衛 土 な どの 凶 相 、 あ る い は 伝 間 に よ る環 境 や 敷 地 の 平 面 形 か らの 吉 凶 が 、世 界 の 都 市 の 栄 枯 盛 衰 に 一 体 どの よ うに か か わ つて い るの か試 しに それ ぞれ あて が って み る
.も
ち ろ ん これ で 、地 相 や 方
位 学 の こ と わ りの 真 意 を た し か め る の で は な い 。
バ ビロ ン
(BABYLON)
バ ビロ ンは 紀 元 前
1830年
に ア ム ール 族 の ス ム ア プ が 第 一 王 朝 を
築 い て 以 来 、 メ ソ ポ タ ミ ア の 中 心 地 と して 栄 え た 都 市 で あ る が 、 こ と に ネ ブ カ ドネ ザ ル ニ 世 に よ っ て 、 い く つ も の 神 殿 や 王 宮 の 建 設 が 盛 ん に 行 な わ れ た 新 バ ビ ロ ニ ア 時 代 に 、 最 も美 し い 体 裁 を整 え て い た と 推 測 さ れ て い る 。 も っ と も 、 そ れ 以 前 の 様 子 が ど うで あ つ た か 、 今 は 流 れ を 変 え て し ま っ た ユ ー フ ラ テ ス の 河 底 に 埋 没 して い て 、 ま っ た く定 か で は な い .こ の 都 市 の 鬼 門 に あ た る と こ ろ に 、 ネ ブ カ ドネ ザ ル 外 壁 が 設 け られ て い る の が 印 象 的 で あ る 。
N
♀ バ ビロン/A:ユ ーフラテス河の変遷(オ リジナル)B:最 初の変更 C:紀 元前6∞ 年以降の流れ D:運 河 E:ネ ブカ ドネザル外城壁 F:外 城壁 G:内 城壁 H: 行′1道 路 ::イ シェタル門 J:バ ベルの塔 K:空 中庭園 L:王 官 M:マ ル ド ウ ッタ神殿 廣υ 民υ
第
パ クダ ー ド
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
(BAGHDAD)
パ ク ダ ー ドは 、 紀 元
762年
、 ア ッパ ー ス 朝 第 二 代 カ リ フ の ア ル ・
マ ン ス が テ ィグ リ ス 河 の 中 流 の 西 岸 に 築 い た 円 状 都 市 で あ る 。 俗 に 「平 和 の 都 」 といわれ て い るが 、
1258年
、蒙 古 軍 に よ つ て 陥 落 さ
れ た と き に は 、史 上 に 名 高 い大 虐 殺 が あ つた 。 そ の 後 都 市 の 中心 は 東 岸 に 移 つ た が 、 サ ン マ ー ラ遷 都 時 代 を 除 き 、 誕 生 、 そ して
1955年
1921年
イ ラ ク王 国 が
イ ラ ク 共 和 国 と な つ て 今 日 に 至 る ま で 、ず っ
と こ の 国 の 首 都 の 座 を 守 り続 け て い る 。 こ こ が 豊 か な 水 量 の テ ィグ リ ス か わ に 支 え られ て 栄 え て き た の は 言 う ま で も な い が 、 そ れ が 吉 祥 や 円 満 を 象 徴 す る 円 形 を して い た こ と と は 、果 た して な ん の 因 果 も な い の で あ ろ うか 。
パ クダー ド/A:政 庁 B:官 段 C:修 道場 D:内 城壁 E:外 城壁 F:テ ィグリス河 G:水 路
デ ル フ ォイ
(DELPHOI)
デ ル フ ォイ は 、ア テ ネ の 西 北 峻 に の こ る紀 元 前
120キ
ロ 余 り、 パ ル ナ ソ ス ざん の 急
15世 紀 以 来 の 聖 地 で あ る 。 当初 ドリア 式 、 そ して
六 柱 周 柱 式 の 神 殿 に は 、大 地 の 女 神 ゲ ー が 祭 られ て い ま した が 、前 9
-前 8世 紀 項 か らは 、弓 道 、音 楽 、 医術 、予 言 な どの 神 ア ポ ロ ンが と つ て か わ る 。 この 地 に奉 幣 され た 神 託 を賛 えて の ほ こ らや 、勝 利 を祝 つ て の 宝 庫 が 、主 神 殿 に至 る参 道 に 、か つ て は 二 十 棟 以 上 も並 ん で い 56
第
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
た に と言 う こ と で あ る 。 と こ ろ で 、南 に ブ レ イ タ ス 河 を望 む こ の 地 は 、パ ル ナ ソ ス 山 が 東 に ま わ りこ ん で い る こ と と 、東 南 小 川 が あ る こ と な どが 気 に な る が 、 ほ とん ど四 神 相 応 に み あ って い る 、 と い って よ い で あ ろ う。
デルフ ォ ィ/A: 聖域
B:競 技場
C:体 育館 D:
[:参 F:泉 G:
付属施設 道
│I 小り タス河
H:ブ
レイ
::パ ル
ナ ソス山
コ ン ス タ ン テ ィノ ー プ ル
(CONSTATINOPLE)
コ ン ス タ ン テ ィノ ー プ ル は 古 称 を ビ ザ ン チ ン 、 そ して 現 在 は イ ス タ ン ブ ー ル と 呼 ば れ て い る トル コ 最 大 の 商 業 都 市 で あ る 。 こ こ に コ ン ス タ ン テ ィヌ ス 大 帝 が 東 ロ ー マ 帝 国 の 基 盤 を うち た て た の は 紀 元 前
0年
、以 来
1453年
33
に オ ス マ ン ・ トル コ に よ つ て 滅 ぼ さ れ る ま で の
約 千 年 間 、 東 に 青 龍 、 西 に 自 虎 、 南 に 朱 雀 、 そ して 北 に 玄 武 を 配 して の 景 勝 の こ こ は 、ヘ レ ニ ズ ム 文 化 と ベ ル シ ア 文 化 を融 合 させ な が ら 、 しか も キ リ ス ト教 の 世 界 観 を 精 神 的 支 柱 と して 栄 え 続 け た 。
↑ 9 1 1km
コンスタンテ ィノープル/A:ア タロポ リス B:聖 ソフィア教会 C:元 老院 D:競 馬場 [:ビ ザ ンテ ィウムの城壁 F:コ ンスタンティスス広場 G:雄 ヌ 牛広場 H:水 道 に 中央大道 J:コ ンタンテ ィ ス大帝の城壁 K:テ オ ドシウスニ世の城壁 L:Aか らLに 七つの丘が散在する M:マ ルマ ラ海 N:ポ スフオラス海峡
0:金 角湾
ワー 質υ
第
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
(CHANDIGARH) (BRASILIA)
シ ャ ン テ ィガ ー ル プ ラ ジ リア
シ ャ ン テ ィガ ー ル は イ ン ドの 北 方 、 ほ と ん ど チ ベ ッ ト と の 国 境 に 近 い バ ン ジ ャ ブ 州 の 首 都 で あ る 。 こ の 時 の ネ ール 首 相 に 任 命 され た ル ・ コル ビ ュ ジ ェ が 、そ の 基 本 計 画 を完 成 させ た の は
1951年
である。
コ ル ビ ュ ジ ェ に は 早 く か ら 、 新 し い 都 市 計 画 に つ い て 、太 陽 と緑 と水 を 主 題 と す る 提 案 が い く つ も あ っ た 。 シ ャ ン テ ィガ ー ル は 、 そ ん な 彼 の 構 想 が 初 め て 実 現 した 現 代 の 都 市 で あ る 。 一 方 プ ラ ジ リア は 、 プ ラ ジル の 首 都 を リオ デ ジ ャ ネ イ ロ か ら移 す た め に 計 画 され た 新 都 市 で あ る 。 と こ ろ で 、前 者 で は 鬼 門 の 方 角 に 政 庁 、後 者 で は 裏 鬼 門 の 方 角 に大 統 領 官 邸 が 配 され て い る 。 ま た 、 ど ち ら も平 坦 地 に あ り吉 相 で あ る 。 先 の そ れ ら は 、 ち ょ う ど 江 戸 に お け る東 叡 山 寛 永 寺 、 あ る い は 三 縁 山 増 上 寺 の 役 目 を果 た す も の で あ る と解 釈 で き る 。
↑
シャ ンデ ィガール/A:政 庁 B:商 業区城 ル・ レス トラン D:美 術館・ スタジアム
F:マ ーケ ッ ト
プ ラ ジ リア /A:国 会議事堂 B:教 会 C:国 立劇場 D:住 宅 ゾーン E:ホ テル F:大 統領官邸
C:ホ テ [:大 学
G:グ リー ンベル ト H:シ
G:中 央駅
ョッピン
グ・ ス トリー ト
6
香港
(HONGKONG)
香 港 は 九 龍 半 島 を対 岸 に 控 え た ヴ ィク ト リ ア 湾 と ヴ ィク ト リ ア ・ ピ ー ク を は じめ と す る 山 岳 に 挟 まれ 、 横 に 細 長 く延 び な が ら栄 え て き た OO 民υ
第
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
都 市 で あ る 。 こ の よ うに 南 高 北 低 で あ る 香 港 の ヴ ィク ト リ ア ・ シ ィテ イは 、 四 神 相 応 の 地 と は 全 く逆 で 、 こ こ が 常 夏 の 島 で あ る こ と を 別 に して 、 じつ に 凶 な 地 相 を 備 え て い る と こ ろ で あ る 。 しか し 、 香 港 島 が 観 光 都 市 の 名 声 を ほ し い ま ま に 繁 栄 し て い る こ と も事 実 で あ る 。 九11半 島
▲
‐
― ― ― 71rt"7.e-, ― hNN&
ー ン 番∴ イ ア カテ
・シテイ クトリア
9.rn_.,r_u.t_r)
γ 南支那 海
9
傘 . ?h
香港/香 港島のヴィクトリア・ シテ ィは北に向いて栄えている .
7
神戸
(KOBE)
神 戸 は 、香 港 と うと街 の よ うす が 似 て い る 。 しか し、決 定 的 に 相 反 す る こ と と して 方 位 が あ る 。 つ ま り、神 戸 は 四神 相 応 の 地 で あ る と い うこ とで あ る 。江 戸 時 代 か ら貿 易 港 と して 栄 えて きた と い うこ と は 言
うまでもない 。
NM l
山 ● n 傘η輸 .R・ 六 ・
” ロ ヨ ・t ●
●:ヨ ¥・ 諄当
虐
第
4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
商 積 街 の 相 を 見 る
前 節 で 説 明 した よ うに 、 敷 地 の 地 相 を 見 る に は 、 大 き く 二 つ の 見 方 が あ つ た が 、 こ れ は 、 主 と して 宅 地 の 相 を 見 る場 合 で あ つ た し 、 過 去 の見 方 その ま まで あ った
.そ
こで 、 こ こ で は 、現 在 の 商 積 空 間 に 、過
去 の 経 験 か ら生 まれ た 地 相 や 方 位 学 を ど の よ うに 当 て は め る か を 説 明 す る こ と に す る 。 そ して 第
2節 で の 土 地 の 相 を見 る 三 つ の 方 法 を 商 積
街 を 見 る う え で 次 の よ う に 置 き換 え る こ と に す る 。
土 地 の高 低 → 商 積 街 の地 形 土 地 の形 状 → 商 積 街 の形 状 土 地 の 周 辺 状 況 → 商 積 1方 の 周 辺 状 況
商 積 空 間 を見 る と き の 方 位
家 相 や 地 相 で 用 い る方 位 は 、一 般 の 方 位 と多 少 違 うところ が あ る 。そ し
図4
方 位 の 八 方 区 分 (イ
)
て 方 位 の と りか た に は 、 大 き く二 通 り の 考 え方 が あ る 。 ひ と つ は 、 図 4の よ うに 磁 石 の 差 す 方 位 を
に 、左 右 に
正西
真 北 と して 、 そ れ を 中 心
2 2 . 5度 ず
つ と り 45度 を 一 つ の 方 位 と して
360度
を八 方
位 に 分 け る方 法 で あ る . も う一 つ は 、 磁 石 の 方 位 は 、磁 気 の 影 響 に よ つ て ハυ AU
第
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
真 北 を指 して い な い の で 、 そ れ を補 正 し これ を真 北 と して 、 図
5の
よ うに 、
東 西 南 北 を そ れ ぞれ
図
5
方 位 の 八 方 区 分 (口
)
30
度 と し、そ の 他 の方位 を
そ れ ぞれ
60度
とす る 方
法 で あ る 。 ま た 、 図 4、
5の
よ うに ハ 方 位 の ほ か
に 十 二 支 、 十 干 、等 を 配 す るの が 普 通 で あ るが 、 こ こで は用 い な い こ とに す るの で 、説 明 は省 く こ と に す る 。 ま た 、家 相 や 地 相 で は 、南 が 上 にな つ て い るが 、 こ れ は原 典 が こ うで あ る こ と と 、 方 位 の 基 と な つ て い る九 星 の 考 え 方 に な ら っ た もの で あ る 。 ど ち らか と い えば 、後 者 の 方 が 、家 相 や 地 相 の 考 え方 に 忠 実 で あ る の で 、 これ を 用 い て 方 位 を決 め る こ と と す る 。
2
商 積 空 間 の 中心
家 相 や 地 相 に お い て 、家 や 敷 地 の 中 心 を決 め る こ とは 、方 位 を 決 め る こ と と同 様 大 変 重 要 な こ とで あ る 。家 相 に お い て は 、家 が 正 方 形 や 矩 形 の 場 合 は 、 そ の 重 心 を 中 心 とす る し 、 凸 凹 や 複 雑 な 形 の 場 合 に は 、 欠 け の 部 分 を マ イ ナ ス 、 張 りの 部 分 を プ ラ ス と して 中 心 を 求 め る な ど の 方 法 を と る 。 しか し 、 い ず れ の 場 合 も 、 対 象 と して い る の が 家 で あ り 、 本 論 文 で 取 り上 げ る 都 市 、 街 そ して 商 積 街 で は 、 こ れ を そ の ま ま 用 い る こ と は 出 来 な い 。 都 市 や 街 、 商 積 街 は 、 そ の 範 囲 つ ま り都 市 や 街 、 商 積 街 の 平 面 的 な 形 を 提 え る こ と が 難 しい か ら で あ る 。 と こ ろ で 、 「 家 相 」の 中 で 、家 の 中 心 を決 め る の に「 主 人 の 居 間 を 中 心 とす る 」 と い う方 法 が あ る 。 つ ま り 、 そ の 家 の 主 人 の 部 屋 を 中 心 とす る考 え 方 で あ る 、 こ れ を 商 積 空 間 に 置 き換 え て み る と 、 商 積 空 間 κυ
第
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
で 主 人 に あ た る の は 、 そ こ を訪 れ る人 々 、す な わ ち 都 市 生 活 者 で あ る 。 都 市 生 活 者 は 商 積 空 間 を訪 れ るの に 、 時 に は 電 車 を使 い 、 ま た バ ス 、 車 を使 う、 そ して 徒 歩 で 来 る こ と も あ る 。つ ま り、商 積 空 間 の 相 を見 る に あ た つ て 、 そ の 中心 は 、駅 な どの 人 々 が 商 積 空 間 に あ ふ れ 出 て く る と こ ろ に す れ ば よ い と 考 え られ る 。 こ こ で 家 相 の 中 心 の と り方 を 用 い た が 、 これ は 、商 積 街 と い う もの は 、 い わ ば 建 築 物 の 集 合 体 で あ り、 商 積 街 全 体 は 敷 地 と い う よ りは 、 す べ て の 機 能 を 持 ち 合 わ せ た 巨 大 な 一 つ の 建 築 物 と取 れ る と考 え た か らで あ る 。 そ して 、 そ の 商 積 街 が 、 成 長 、 成 熟 期 に あ れ ば 人 々 が あ ふ れ 出 て く る と こ ろ が 散 ら ば って い る こ とが 多 い の で 、 そ の 時 は 、 中 心 を先 に 述 べ た 、商 積 街 の 構 造 的 な 中 心 にす る こ と と し、未 熟 、発 達 期 に あ る と こ ろ で は 、 これ か らそ こ の 商 積 街 を ど こ か ら あ ふ れ 出 て く る人 々 を 中 心 に 開 発 して い く か に よ っ て 商 積 街 の 中 心 を 決 め れ ば よ い こ と に な る 。
3
商積空 間の地形
地 相 に お い て は 、敷 地 の 高 低 で あ る 。商 積 空 間 に お い て も 、基 本 的 に は 前 節 説 明 した 吉 凶 の 見 方 を 、商 積 街 の 地 形 に そ の ま ま 当て は め る こ とにす る 。
商積空 間 の形状
地 相 を見 る の に 敷 地 の 形 状 を 見 る こ と は 、 前 に 述 べ た と う りで あ る 。 そ して これ を 商 積 空 間 に 当 て は め る と 、 商 積 街 の 形 を 見 る こ と に な る 。 しか し 中 心 を 求 め る と こ ろ で も触 れ た よ うに 、 商 積 街 の 形 、 す な わ ち そ の 範 囲 は 、明 確 で は な い 。 そ こで 、商 積 街 の 形 を あ る程 度 押 さ え る の に 、 こ こ で も 前 章 で 説 明 した 、 商 積 街 の 構 造 そ して さ ら に 、 そ の 発 達 過 程 の 考 え方 を用 い る こ と に す る 。 例 え ば 、 同 心 円 三 層 構 造 を して い る 商 積 街 で 、 そ の 発 達 過 程 が 成 長 、 成 熟 期 で あ れ ば 、 あ る程 度 商 積 街 の 形 を 把 握 す る こ と が で き る 。 ま た 、
X型 構 造 を して い て も 同 様 に 把 握 す る こ と が で き る 。 こ れ と 裏 返 し に 、 未 熟 期 や 発 達 期 に あ る商 積 街 で は 、 そ の 形 を 明 確 に 把 握 す る こ と は 難 しい こ とに な る 。 62
第
4章
方 位 学 と地 相 を 考 え る
ど ち ら に し て も 、 成 長 ミ 成 熟 期 に あ る 商 積 街 で は 、 ハ ー ド面 の 開 発 を 大 規 模 に す る 必 要 が な <ソ フ ト面 の 開 発 が 必 要 で あ り 、 そ の 際 に 形 状 か ら見 た 相 を 用 い れ ば よ い し 、 未 熟 、 発 達 期 に あ る と こ ろ で は 、 将 来 ど の よ う に 商 積 街 を広 げ て い け ば よ い か を見 る た め の 糸 口 と し て 形 状 に よ る相 を 利 用 す れ ば よ い こ と に な る 。
商積 街 の周辺状況
周 辺 状 況 と は 、 前 節 で 説 明 した よ う に 、 山 、 川 、 林 、 森 、 池 、 そ し て 道 路 や 墓 地 等 が敷 地 の どの 方 角 に あ るか とい うこ とで あ る 。 これ に よ つ て 、 そ の 敷 地 の 地 相 を見 る わ け で あ る が 、 こ こ で は 商 積 街 に つ い て み る こ と に な る 。 しか し 、 商 積 街 の 周 りに は 、 前 に 挙 げ た 自然 環 境 は 、現 在 は 残 つ て い な い場 合 が 多 い 、 ま た 、道 路 な ど は 、 そ の 逆 で あ る 。従 つて 、 商 積 街 に お い て これ ら を 用 い るの に は 、現 代 風 に す る こ と が 必 要 に な る 。 つ ま り、 た と え ば 、 高 層 建 築 物 を 山 と した り 、 鉄 道 を川 や 道 に す る と い うこ とで あ る 。詳 し くは 、次 の 具 体 的 な 商 積 街 の 相 を 見 る と こ ろ を参 照 して い た だ き た い 。
6
商 積 街 の 相 を見 る
こ こ で 、東 京 周 辺 に あ る 、 い くつ か の 商 積 街 に つ い て 、 そ の 現 状 の 相 を見 る こ と に す る 。 ま た 、商 積 街 の 土 地 の 高 低 は 、 図
5を 参 照 し て
いた だ きた い 。
*新 宿 (図 6) 新 宿 の 中 心 は 、 国 鉄 、京 王 線 、小 田 急 線 の タ ー ミナ ル 、西 武 新 宿 駅 、 丸 ノ 内 線 、 地 下 道 な ど人 の 出 て く る 場 所 と 、 商 積 街 の 構 造 か ら見 た 両 方 か ら ほ ぼ 、 「 紀 ノ 国 屋 」辺 りに な る と 考 え られ る 。 こ こ の 地 形 は 、青 梅 街 道 に 平 行 に 北 側 に 向 か つ て 少 し下 が つ て い る が 、 ほ ぼ 平 坦 で あ る 。 つ ま り地 相 で い う な ら 、 梁 土 に な る 、 こ れ は 吉 相な土地であ る。 次 に 、 新 宿 商 積 1方 の 形 を 見 て み る 、 新 宿 は 、 前 に 見 た よ うに 同 心 円 三 層 構 造 を と る典 型 的 な 商 積 街 で あ り、先 の 「 紀 ノ 国 屋 」 を 中 心 と し 63
至 高田馬場 駅 至 日本橋 -1 2 km
至高田馬場駅
至池袋
〉た
︲ ヽ 一 ︲
︲ 、 γ 一 一 ﹁ ﹁ 一 .
暫宿う石
:州
丸刈
躙i
“1淀 ︱ ヽ¨
﹀ 欄
︲ / o ´ヽ
L︱ ︱ ハ ゃ ヽ︲
`)' ずヽ グ
「 1 │`
第 4章 て 、半 径 約
600m内
方 位 学 と地 相 を考 え る
に 商 積 地 が お さ ま る と考 え られ る 。 こ こで も う
少 し詳 しく見 る と 、歌 舞 伎 町 の 部 分 が 張 りに な つ て い る 、 つ ま り、地 相 で は 、北 中 央 の 張 りで 吉 相 とな る 。 ま た 、東 北 方 向 に欠 け が あ る が 、 これ は 、新 宿 御 苑 が あ るた め で あ りこ こ で は 、欠 け と して 扱 わ な い こ とにす る 。 さ て 、周 辺 状 況 は ど うで あ ろ うか .先 に挙 げ た
18の 状 況 の どれ に
も 当 て は ま らな い が 、東 南 の 方 角 、 つ ま り新 宿 御 苑 に池 が あ る 、 これ は 、図
3の 1の 場 合 の 西 北 に 小 山 が な い 場 合 で あ り、少 な く と も凶 相
で は な い と考 え られ る 。 ま た 、南 に空 き地 が あ るの を大 吉 とす る説 が あ る が 、新 宿 は 南 に ち ょ う ど明 治 神 宮 が あ る 。 こ の よ うに 新 宿 は 、 そ の 相 を見 るか ぎ り、 ま さ に 今 日の 発 展 通 り全 くの 良 相 の 商 積 地 と言 え る 。
64
第 4章
方 位 学 と地 相 を考 え る
*渋 谷 (図 7) 渋 谷 の 中心 は 、渋谷 駅 に す べ て の 交 通 が 集 中 して い る こ とか ら 、 そ して 商 積 街 が 、駅 を中心 に して 四方 に発 展 して い る こ とか ら 、渋 谷 駅 が 中心 と考 え られ る。 こ こ の 地 形 は 、起 伏 の あ る こ とで 知 られ て い る が 、詳 し く見 る と東 北 か らの 谷 と西 北 か らの 谷 が ち ょ うど渋 谷 駅 で 合 流 して そ の 谷 が 東 南 に延 び て い る 。 そ して代 々 木 公 園 か ら渋 谷 公 会 堂 辺 りまで が 大 地 とな つ て い る 。先 に あ げた
10の 地 形 に は き ち ん と 当 て は ま る もの は な い
が 、ほ ぼ 西 北 東 方 高 の 地 形 で相 は 、小 吉 とな る 。 渋 谷 商 積 街 の 形 は 、四 方 に発 達 して い るの で 、矩 形 で 押 さ え に く い が図
7の 様 に と りあ えず 押 さ えて み る と 、東 に張 りが 出 る 。 これ は 、
吉 相 で あ る 。 ま た 、北 西 に は欠 け が あ るが 、 これ は 大 凶 で あ る 。 次 に 、周 辺 状 況 は ど うで あ ろ うか 。 まず 、南 側 に 目黒 川 、東 側 に青 山 の 台 地 が あ る が これ は 凶 相 で あ る 。 また 、北 に 墓 が あ る と これ も凶 相 で あ るが 、渋 谷 では北 に 明 治 神 宮 が あ る 、 これ は 明 治 天 皇 を祭 つ た もの で あ るが これ を墓 に 置 き換 え る と凶 相 に な る 。 そ して 、東 北 に青 山墓 地 が あ るが これ も凶 相 に な る 。 この よ うに 、渋 谷 商 積 街 は 、地 形 や 、周 辺 状 況 は 、必 ず し も良相 と 言 えな い が 、 これ が かつ て の 渋 谷 を物 語 っ て い て 、東 京 オ リン ピ ック 以 後 、西 武 や 東 急 が これ を克 服 して 現 在 に至 つ た と考 えて も よ い の で は な い だ ろ うか 。
*池 袋 (図 8) 池 袋 商 積 街 の 中心 は 、池 袋 の 駅 で あ る と考 え られ る 。地 形 を見 る と 、 全 く の 平 坦 地 で あ り梁 土 で 、吉 相 で あ る 。商 積 街 の 形 は 、駅 を 中心 と して東 西 に長 く 、南 に西 武 百 貨 店 の 張 りが あ る 。 これ は 吉 相 に な る 。 周 辺 状 況 は 、東 南 か ら東 ロ ヘ 来 て い る道 が 、西 口 に 通 じて い ず 、 こ れ は 凶 相 とな る 。 つ ま りこ の 道 路 構 造 が 、池 袋 を訪 れ た 人 々 を駅 の タ ー ミナ ル デ パ ー トか らな か な か 出 さず に い て 、思 つ た よ うに商 積 街 が 発 展 しな く させ て い る原 因 の 一 つ に な っ て い る 。 ま さ に 凶相 で あ る 。 民υ ′υ
::10000地 35400至 経 堂駅
形図 至 新宿
Sミ し 。
至 新 宿駅
や 至 日本橋 至 赤坂 見附 駅
心籠
ヽ生
3で ︵
ィ争
\
至下北沢駅
易F`
至川崎 ・ 厚木 至 三軒茶 屋駅
♂尋判所、1///」
卜1]ヽ ミ
I
:こ
` ■を'た 、 │
、 轟寺
盛雲寺
卜、
刈 ↑ ″ い ヽ ´ 一
●/
/
′
),21
1窯 ; 蓬亀 ′
袋二 丁 目
駄鷲 ヴ7:F∬ ヽ〕 `象
ナ ィ
:卜
■
=姜「
│ァ
■
「
ヽlf[ζ l
鴎田
豊二 千三
″
│ヽ
二 目 1・ lf[ /´ 4質 丁 ,` イ ´_ ‐ イ
丁 『
,や ヽ千
1l
_
′ γ ン
乗t,
Tl`lヘ
:玉 :も t二
,
´´ 二
イ 逃池 袋 ■ 丁 目_ ― ―
―
―
、、1
1'4t,:),t寺
―
,造
‐ 」 、 i: :/1` 庭
Eti,l,+k'\-
i
滋
=東
京支 局
長 冨0,「 V ぎ
1曇 []]││二 年 1
瞥
′ (
1鶴
こ
、
ゝ /
良 ζ 豊 巨 串 三
く こ:
纂 IITttI 10■ 字 首
↓ず 体 一一 一 ヽ ︶ 一、 い ,
,ュ
文イ し会 館
一 4
債 袋ランフ
‐ ヾ胃・亀
´ ヽ ●
:
恥一
´´
^ 一
、1
豊 島質 受 言
西 池袋 三 丁 目
、一 ″, 一ァ
一 一
´
■■一
、 ヽヽ /
l
東沖箸≧丁自
A
:菫
甲記念講宇, 1
γ
珈
「T整 た 妻 裏
しへ ´
」
│
L』
第
5章
商積空間の計画
'
第
5章
商 積 空 間の計
商 積 街 に 求 め ら れ る 条 件 全 章 か ら商 積 街 の 相 を 、 地 相 や 方 位 学 を 利 用 して み た と して も必 ず し も現 在 の 商 積 街 の 相 と は 一 致 して い な い 。 こ れ は 、 そ の よ うな 経 験 的 計 画 法 で 商 積 街 を考 え る 前 に 第 一 章 か ら第 二 章 で 述 べ た こ と が 計 画 す る 商 積 街 で ど の よ うに な つ て い る か 見 る必 要 が あ る か ら で あ る 。 つ ま り 、 以 下 に あ げ る よ うな 事 柄 の 程 度 に よ つ て 商 積 空 間 に こ の 経 験 的 計 画 法 を ど の よ う に 利 用 す る か が き ま る と考 え られ る 。
生 活 者 の 行 動 を把 握 す る
第 一 章 で 見 た よ うに 生 活 者 の 行 動 や 生 活 価 値 観 は 変 化 して い る 。 そ して 、生 活 者 を提 え る に は 世 代 で 捉 え そ の 捉 え方 に は 三 つ の 方 法 が あ つた 。 計 画 し よ う と して い る 商 積 街 で 、生 活 者 の 行 動 を ど の よ うな 世 代 の 捉 え方 で 見 る か が 決 ま っ て い な けれ ば 計 画 の 方 向 が 決 ま らな い し 、 ま た 、現 在 そ の 商 積 街 に ど の よ うな 世 代 が 来 て い る の か を 知 ら な け れ ば 将 来 の あ り方 が 決 ま ら な い と 考 え ら れ る 。 こ の よ うに 、生 活 者 の 行 動 を き ち ん と捉 え な け れ ば 商 積 街 の 計 画 は 始 ま らな い の で あ る 。
2
商 積 街 の 姿 を把 握 す る
ま ず 、 計 画 す る 商 積 街 が 、 同 心 円 構 造 、 X型 構 造 の ど ち ら で あ っ て も 、 そ の 発 達 段 階 が ど の よ うな 段 階 で あ る か を 知 ら な け れ ば な ら な い 。 未 分 化 の 状 態 で あ れ ば 今 後 の 発 達 の 仕 方 を経 験 的 計 画 法 で 決 め る こ と が で き る 。 三 層 化 の 状 態 で は 、 中 心 地 域 の 広 が り方 を 同 じ よ うに に 経 験 的 計 画 法 で 考 え る こ とが で き る 。三 層 化 の 状 態 で あ れ ば 、 どの よ う な 方 向 に 中 心 地 域 を広 げ る 再 開 発 を す れ ば よ い か 決 め る こ と が で き る で あ ろ う 。 しか し 、 三 層 化 に な つ て い る 状 態 で は 、 ほ ぼ 開 発 す べ き 方 向 は ほ ぼ 決 ま る の で 経 験 的 計 画 法 を利 用 す る必 要 が な い こ とが 多 い い と 考 え られ る 。 そ して 、 人 の 流 れ と合 わ せ て 考 え る と 、 ほ ぼ 三 層 構 造 に な つ て い て 、
l■ l
AU 沢υ
第
5章
商積空 間の計画
人 の 流 れ も毛 細 血 管 型 に な つ て い れ ば 、 相 か ら 見 て 悪 い 場 合 で も そ れ は さ ほ ど意 味 を も た な い と 考 え られ る 。 逆 に 、 ど こ か 歪 ん だ 点 が あ る と き に は 相 か ら 見 た 開 発 を す れ ば よ い と考 え ら れ る 。
3
質 的 機 能 、装 置 の 配 置
質 的 機 能 、装 置 施 設 を配 置 す る に あ つ た て も 同 様 な こ とが 言 え る 。 す な わ ち 、構 造 、 人 の 流 れ か ら見 て 、 先 に 述 べ た よ うに 適 当 に 配 置 す る と き に は 、 相 か ら見 て 悪 く て も あ ま り関 係 な い と い う こ と で あ る 。 ぎや
<に
、適 切 で な つ か た り、歪 ん で い た りす る 場 合 に は 、 こ れ か ら
の 計 画 に あ っ た て 、相 の よ い と こ ろ に 配 置 に 計 画 す る必 要 が あ る と 考 え られ る 。
商積街 の計 画方法
以 上 の こ と を ま とめ て 考 え る と次 の よ うな 計 画 方 法 が 考 え られ る 。 まず 表
1に お い て ★ が 記 さ れ て い る 状 態 に あ る 商 積 街 に お い て は 、 経
験 的 計 画 法 で 相 を見 な が ら矢 印 の 方 向 に 商 積 街 を計 画 す る 。
表
1
発 達 過 程 と回遊 路 の 関 係
動脈型
★
→
★
⋮←
装 置 化
二層化
未分化
毛細 血 管 型
三層化 →
★ :
→ ★
循環器型
そ して 、表 中 の 矢 印 で 左 か ら右 へ の 変 化 は 、質 的機 能 施 設 を計 画 す る必 要 が あ る こ と を示 し、上 か ら下 へ の 変 化 は 、装 置 化 が 必 要 で あ る こ と を示 して い る 。 つ ま り、表 の ★ 印 が あ る状 態 の 商 積 街 は 、計 画 の しか 方 また は 、 開 発 の 方 向 が 適 切 で な い か あ る い は 、商 積 街 自体 が未 発 達 で あ る場 合 で あ る と考 え られ る 。 で は 、 そ の よ うな 状 態 に あ る商 積 街 の 計 画 ワー ^υ
第 5章
商 積 空 間 の計 画
開 発 の 方 向 が 適 切 で な い か あ る い は 、商 積 街 自体 が未 発 達 で あ る場 合 で あ る と考 え られ る 。 で は 、 そ の よ うな 状 態 に あ る商 積 街 の 計 画 あ る い は 開発 の 方 向 を経 験 的計 画 方 法 で どの よ うに見 て い くか が 、 図 1の フ ロ ー で あ る 。 図
1
計 画 フロ ー
︱旦頸
登積 街の地形及び周辺状況の相 を見 る 良相
凶相
を補 うよ うに 施 設 を配 置 す るか 化す る
有積 篠 の 形 状 の 相 を 見 る 良相
凶相
堡験 的 計 画 法 に よ る商 積 街 の 計 画
こ の フ ロ ー に 従 っ て 商 積 街 の 計 画 方 向 を決 定 す る こ と が で き る 。 し か し 、 こ の フ ロ ー に は 次 の よ うな 問 題 が あ る 。
2
経 験 的 計 画 方 法 の 問 題 点 と特 徴
(1)一
つ は 、 地 形 、 周 辺 状 況 、 形 状 の 二 つ と も 良 相 で あ り、 計
画 の 方 向 が 出 て こ な い 可 能 性 が あ る と い うこ と で あ る 。
(2)も
う一 つ は 、凶相 の 場 合 、良相 にな る よ うに計 画 す れ ば よ
いの で あ るが 、良相 の パ タ ー ンは 前 に見 た よ うに い くつ か あ り、 どの
第 5章
商積空 間の計 画
良 相 を と っ て 計 画 の 方 向 とす れ ば よ い か の 判 断 基 準 が な い と い うこ と である。
(3)三
つ め と して 、 良相 とか 凶 相 とか の パ タ ー ンは そ の 種 類 が
決 ま っ て い て 、計 画 す る商 積 街 が そ の どの パ タ ー ンに も 当 て は ま らな い 可 能 性 が あ る と い うこ とで あ る 。
この よ うな 問題 に対 して それ ぞれ 次 の よ うに解 決 して い く こ とが考 え られ る .
(1)に
対 して は 、相 を 見 る に あ っ た て そ の 基 本 で あ る 、 商 積 街 の
中 心 が 人 の 流 れ や 構 造 な ど か ら見 て 適 切 な と こ ろ に と つ て あ る か 考 え 、 中 心 を変 え て も う 一 度 考 え て み る 。
(2)に
対 して は 、地 相 や 方 位 学 に つ く も の の 迷 信 を 考 え て そ の 商
積 街 に 合 う もの の パ タ ー ン を適 用 させ るか 、 さ もな けれ ば 、都 市 工 学 的 な 立 場 か ら の 適 切 な 状 態 を 考 慮 して 、 そ れ に 近 い 相 を 適 用 す る 。
(3)に
対 して は 、 どの パ タ ー ン に も 当 て は ま らな い と い うこ と は 、
少 な く と も良 相 で は な い の で 、凶 相 で あ る と考 えて 計 画 を進 め る 。
以 上 の よ うな こ とが考 え られ る 。 ま た 、次 の よ うな 、今 ま で の 都 市 計 画 や 都 市 工 学 に は な い 特 徴 もあ る。
nυ κυ
第
(1)商
5章
商積空間の計画
積 街 の 相 を見 る の に あ つ た て 、 地 形 や 周 辺 状 況 を見 る と い
う こ と は 、 そ の 商 積 街 の 歴 史 や 伝 統 と言 つ た も の を 同 時 に 考 え て い る と い う と で あ り 、 少 な く と も 、 こ の の よ うな こ と が こ の 経 験 的 計 画 方 法 で は 開 発 方 向 の 中 に考 慮 され て い る と い うこ とで あ る 。
(2)今
で の 都 市 工 学 で は 取 り入 れ に く い と さ れ て き た 、
″
現象
″
と い う こ と を 数 字 的 に 捉 え ず に そ の ま ま 現 象 と して 、 こ の 経 験 的 計 画 方 法 で は 取 り入 れ る こ と が で き る と い う こ と で あ る 。
(3)快
適 な 環 境 と い う こ と が 今 都 市 や 商 積 空 間 に 求 め られ て い
る が 、 そ れ は 今 ま で の 都 市 計 画 で は シ ス テ ム に な りに く か つ た が 、 「 地 相 、 方 位 学 」 と言 つ た 考 え 方 に は 、 何 と な く 人 を 心 地 よ く さ せ る 環 境 と い う も の が 考 え られ て い る の で あ る 。
(4)都
市 計 画 や 都 市 工 学 で は 、 一 つ の 都 市 活 動 や 状 況 、 そ して
そ の 状 況 を 見 る 観 点 に よ つ て 、 そ れ ぞ れ 違 う計 画 方 法 を 考 え 、都 市 を 計 画 す る に は そ れ らの こ こ の 計 画 方 法 を組 み 合 え て い た が 、経 験 的 計 画 法 で は 、 い く つ か の 問 題 点 、 伝 説 目 い た と こ ろ が あ る に して も 、 種 々 の 状 況 、 そ して マ ク ロ か ら ミ ク ロ 的 な 観 点 す べ て に 同 じ考 え方 が 適 用 で きる。
(5)最
後 に 、 都 市 工 学 で は 、 ひ とつ 計 画 方 法 が す べ て の 都 市 や 商
積 空 間 に 適 用 で き る と は 限 ら な い が 、 こ の 経 験 的 計 画 法 で は 、方 位 を 用 い て い る の で ど こ の 都 市 で も 同 じ よ うに 適 用 で き る し 、 さ ら に 、 家相
″
″
と い う考 え 方 を入 れ れ ば 建 築 物 に も適 用 で き る と い う面 を 待 つ ハυ ワ︰
第
5章
商積空 間の計画
て い る。
3
経験 的 計 画方法 の展望
こ の うに 、 「 方 位 学 、 地 相 」 と言 つ た 考 え を基 に す る 経 験 的 計 画 方 法 は 、 い くつ か の 問 題 点 が あ る が 、今 ま で の 都 市 計 画 や 都 市 工 学 で は う ま く計 画 、 説 明 で き な か っ た こ と を う ま く計 画 す る 可 能 性 が あ る こ とが 分 か る . しか し 、 前 に も述 べ た よ うに 、 地 相 や 方 位 学 を 盲 信 す る こ と は 危 険 で あ る .こ の 経 験 的 計 画 方 法 は 、 都 市 計 画 や 都 市 工 学 で は 、 う ま く 計 画 、 最 適 化 方 法 が で き な い 、 本 論 文 で 取 り上 げ た よ うな ″ 現 象 ″ を 計
画として取 り入れるときの糸口としてやはり扱うべ きである.そ して、 経 験 的 計 画 方 法 は 、都 市 や 商 積 街 と言 つ た 、 巨大 で 複 雑 な 空 間 を扱 う に は 、少 々 説 得 力 に欠 け る の で 、都 市 計 画 や 都 市 工 学 を うま く導 入 す る こ とで この よ うな こ と を補 う必 要 が あ るで あ .
ワー
*参
考 文 献
(1)斎 (2)清 (3)山 (4)光 (5)永 (6)吉 (7)別
藤 六 龍 「 よ い 家 相 ・ 方 位 の 選 び 方 」池 田 書 店 、
1982年
1986年 片 二 郎 「 家 相 」学 芸 出 版 社 、 1982年 藤 俊 夫 「 家 相 読 本 」彰 国 社 、 1985年 田 久 「 暦 と 占 い の 科 学 」新 潮 社 、 1982年 家 清 「 家 相 の 科 学 」光 文 社 、
1983年 冊 新 し い 住 ま い の 設 計 「 家 相 応 用 プ ラ ン 厳 選 200選 」 サ ン ケ イ 出 版 、 1981年 (8)日 本 商 業 学 会 「 都 市 と商 業 」研 究 会 「 都 市 と商 業 」 ダ イ ヤ モ ン ド 社 、 1986年 (9)望 月 照 彦 「 都 市 商 業 の 挑 戦 」 ぎ ょ うせ い 、 1986年 (10)松 沢 光 雄 「 繁 華 街 を 歩 く 。東 京 編 」綜 合 ユ ニ コ ム 、 1986年 (11)室 井 鉄 衛 「 行 動 空 間 へ の マ ー ケ ィテ ン グ 」誠 文 堂 新 光 社 、 198 野 裕 子 「 陰 陽 五 行 と 日本 の 民 族 」 人 文 書 院 、
5年
(12)飽 (13)博
戸 弘 「 消 費 文 化 論 」中央 経 済 社 、
1985年
報 堂 生 活 総 合 研 究 所 「 タ ウ ン ・ ウ ォ ッチ ン グ 」 PHP研
究所 、
1985年 (14)流
通 産 業 研 究 所 ・ 西 武 百 貨 店 池 袋 コ ミ ュ ニ テ ィ・ カ レ ッ ジ 編 「 街
づ く リプ ロ デ ュ ー ス に 方 法 」 ダ イ ヤ モ ン ド社 、
(15)中 (16)川 (17)畑
1986年
小 企 業 庁 監 修 「 新 しい 商 店 街 の 魅 力 づ く り 」 同 友 館 、 添 登 「 都 市 空 間 の 文 化 」岩 波 書 店 、
198
1985年
靖 彦 「 ビ ジ ュ ア ル ・ マ ー チ ャ ン ダ イ ジ ン グ 戦 略 」 日本 能 率 協 会
1986年 (18)外 (19)電
益 三 「 街 の トレ ン ド を 読 む 」 日 本 経 済 新 聞 社 、
1986年
通 マ ー ケ テ ィ ン グ 研 究 会 編 「 都 市 型 感 性 の マ ー ケ テ ィン グ 」
洋泉社
(20)電
通 マ ー ケ テ ィン グ 戦 略 研 究 会 編 「 感 性 消 費 ・ 理 性 消 費 」 日 本 経
済 新 聞社 、
(21)山
1986年
口 貴 久 男 「 ス ト リ ー ト ・ ト レ ン ドの 読 み 方 」 PHP研
1987年 (22)服
部 圭 二 郎 「 盛 り場 」鹿 島 出 版 、
1981年
究所
n乙 ワー
(23)飛 ( (
(
(
( (
岡 健 ・ 小 野 寺 明美 「 流 行 コ ン セ プ ト 10」 日本 能 率 協 会 、
1986年 24)室 田 泰 弘 「 知 的 職 人 の 世 紀 」 中 央 経 済 社 、 1986年 25)堺 屋 太 一 「 イ ベ ン ト・ オ リエ ン テ ッ ド・ ポ リ シ ー 」 NGS, 1984年 26)田 村 明 「 都 市 の 個 性 と な に に か 」岩 波 書 店 、 1984年 27)「 新 建 築 学 体 系 16 都 市 計 画 」章 国 社 、 1983年 28)岡 田 光 正 ・ 小 林 昭 「 建 築 計 画 決 定 法 」朝 倉 書 店 、 1972年 29)奥 平 耕 造 「 都 市 工 学 読 本 」章 国 社 、 1976年
73
あ と が き 本 論 文 で は 、都 市 の 生 活 者 、構 造 を
″
現象
″
と して 捉 え 、 これ か ら
商 積 空 間 を計 画 す るた め に どの よ うに す れ ば よ い か と い う問 題 か ら始 ま つ た わ け で あ るが 、 そ の ひ とつ と して 迷 信 的 で は あ るが 「 地 相 、方 位 学 」 と い う経 験 的 計 画 法 を用 い る こ とで 解 決 しよ う と した .地 層 や 家 相 と い う もの は 、 出 典 が 江 戸 時 代 の もの が 多 く 、現 代 風 に 解 釈 す る の が 大 変 で あ つ た 。 こ の よ うな こ と もあ っ て 、 この 経 験 的 計 画 法 を う ま <商 積 空 間 計 画 に生 か しれ て い な い ま ま終 わ っ た 気 が す る .し か し、 これ か ら都 市 の 計 画 をす る に は 、都 市 工 学 に変 わ る計 画 法 が や は り必 要 で あ る と本 論 文 を書 き終 えて 、今 まで 以 上 に感 じ られ た 。 最 後 に 、本 研 究 を進 め る に あ つ た て 、最 後 まで熱 心 な ど 指 導 を して くだ さ つ た 渡 辺 教 授 、 さ らに 、 い ろ い ろ な 助 言 を くれ た Mlの 皆 様 に 感 謝 い た します .
1987年
74
2月
15日
渡 辺研究 室 にて