歩行?空間系における内面的負荷モデルに関する研究 現象からの考察

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昭和 六 十 二 年度 修 士論文

る 聞

歩 行 一空 間 系 に お

内面 的負荷 モデ ル に

す る研 究

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lま

じめ に

1


人 の行 動 の様 子 とい うもの は 、 個 人 々 々に よ つて千 差 万 別 。 とで も次 を予 測 しよ うに も 、 しき れ な い。 しか し ス ポ ー ツ で は 「 相 手 の 動 き の 先 を 読 む 」 と か 、 親 し い仲 で は「 あ い つ の行 動 パ ター ン は 読 め て る。 」 とか 言 う よ う に 、 行 動 科 学 を 研 究 す る 人 が 聞 い た ら、 泣 い て 喜 ぶ よ う な 台 詞 も 世 間 で は し ば しば 聞 く こ と が で き る 。 一 番 得 意 な ス ポ ー ツで初 心 者 を相 手 すれ ば 、相 手 の動 きを推 察 す る こ と は、 さ して 難 し い こ と で は な い 。 そ し て 行 動 パ タ ー ン の 大 体 想 像 が つ く友 人 が い る 人 も 多 々 い る で あ ろ う 。 こ の 二 つ の 行 動 の 読 み の 発 生 は 、 全 く異 な る 。 前 者 は 、 様 々 な 相 手 を 相 手 し て きた こ とに よ って 、次 の動 きをす るため の前 兆 を平 均 的 デ ー タ と して 覚 え 、 そ れ が 顕 著 に現 れ る初 心 者 に 適 用 した だ け で あ る 。 だ か らデ ー タ を 逸 脱 す る 動 き に は 、 意 外 と 経 験 者 の ほ うが 面 食 ら う場 合 も あ る。 後 者 は 、 永 年 に わ た つて 、 個 人 に 対 して 観 察 し て き た 莫 大 な デ ー タ の 中 か ら 状 況 を 見 て 選 択 し 次 の 動 き を予 測 す るわ け だ か ら、 は ず れ る こ と は 、 滅 多 に無 い。

また 、「 あ いつ は、誰 か の行 動 パ ター ン に似 て い る。 J 「 あ い つ は 俺 と相 性 が 悪 い 。 」 と い つ た よ う に 、 知 ら ず 知 ら ず の 内 に 行 動 に よ つ て 人 を 何 か し ら分 類 し て い る こ と も あ る 。 行 動 を分 化 す る と い う こ と も難 し い こ とで は あ る が 、 日常 的 に は 、 意 外 と気 楽 に行 っ て い る の で あ る。 この よ うな こ と は 、 個 人 の 主 観 で は 、 非 常 に 容 易 に行 わ れ て い る も の の 、 一 般 的 に か つ定 量 的 に求 め る とい う こ と に な る と、 一 筋 縄 で は い か な い 。 特 に 定 量 化 しづ ら い デ ー タ で あ る とい う こ とは 、 そ の難 度 の最 も大 きい要 因 で あ る と い え る。

2


し か し行 動 を 読 む と い う 意 識 は ヾ 常 に 私 達 に 必 要 な 作 業 で あ り、 快 通 な 環 境 の 設 定 が 、 そ の 行 動 に 反 映 さ れ る 以 上 、 行 動 に ま つ わ る多 様 な デ ー タ に 係 わ つ て い か な け れ ば な らな い し、 僅 か な一 歩 で もそ の真 理 に 近 付 こ う とす る こ とが 、 必 要 だ と 思 わ れ る。

3


目次

'

4


L Lン おり ここ■ ■ ここ ■ 目

■ 夢

Fl究

4 6

■ 琳 こ 諭合 第

1章

1-1

歩 行 に 関 す る研 究

2 1‐ 3 1‐ 4

空間の物理 的因子

1‐

2章

1

2 3‐ 3

歩 行 行 為 中 の 内 面 的 負 荷 ― ― ― -48 ― ― ― -52 内面 的負荷 の定量化

対 人 一 次 的 イ メ ー ジ モ デ ル ー ー ー 57 対 物 一 次 的 イ メ ー ジ モ デ ル ー ー ー 64

対 空 間 二 次 的 イ メ ー ジ モ デ ル ー ー 72 ―― 問 題 と展 望 4,1 イ メ ー ジ の 生 成 に つ い て 一 ― ― -82

2 4‐ 3 4‐ 4

4‐

-56

81

プ ラ ッ ク ボ ツ ク ス の 中 味 ― ― ― -84 ス エ リ ン グ 空 間 を よ り定 量 化 ヘ ー 84 モ デ ル の シ ミ ュ レ ー シ ヨ ン ー ー ー 85

■ 塞 =」考

■ あ

― ― ―

歩 行 ―空 間 系 イ メ ー ジ モ デ ル

3‐

4章

ー ー ー ー 43

知覚能力 とイメージの定量化

3‐

知 覚 機 能 と イメー ジ

イ メ ー ジ と歩 行

1 2‐ 2 2‐ 3 2‐ 4

3章

空 間 と視 覚

-16 -― ― -24 ニ ー ー ー 28 -― ― -33 -― ― -34

空間の心理的因子

8

現 象 の研 究

=吾

-86 ― ― ―

-89 5


研 究 目的

6


の機能 、 本 研 究 は、 歩 行空 間 内 の 自 由歩 行 が そ の 歩 行 空 間 の よ うな ス ト ま た空 間 内 の 人 的 な 要 因 に よ つ て 、 歩 行 者 に ど に どの よ レス を 発 生 さ せ 、 そ れ が 、 歩 行 者 に 主 観 的 、 客 観 的 か らと らえ う な 影 響 を 与 え るか を 顕 在 化 さ せ る モ デ ル を 現 象 る こ と を 、 そ の 目的 と す る 。

7


第一章

現 象 の研 究 ■歩行 に 関 す る研究 ■空 間 の 物 理 的因子 ■空 間 の 心 理 的因子 ■ イ メ ー ジ と歩行

8


1-1歩

行 に 関 す る研 究 ■

◎歩行 に必要な空間 人 が あ る 目的 行 為 を 行 う と き 、 そ の 行 為 に 必 要 な 空 間 が な け れ ば な らな い 。 ま ず 最 低 限 と して 、 人 体 が 動 く範 囲 を 内 包 す る空 間 が な け れ ば 、 そ の 行 為 は 行 使 す る こ と が で き な い 。 ま た 、 つ ね に人 は体 の 振 動 を伴 って 行 動 して い る。 そ の た め 、 行 動 を 内 包 す る 空 間 に は 、 そ の 振 動 に た い す る余 裕 が 必 要 と な る 。 こ の よ う な 考 え 方 か ら、 適 切 な 行 動 を 内 包 す る空 間 が 生 まれ て 来 るわ け で あ る 。 こ の 様 な こ と か ら 、 歩 行 行 為 に 対 す る空 間 に つ い て の 研 究 を見 て み る。 ま ず 、 静 止 し て い る 人 間 に 対 す る空 間 に つ い て 。 平 均 的 な 人 間 の 寸 法 を 、 平 面 的 に 簡 略 化 して 見 て み る と肩 幅 胸板

27cmと

な る。 勿 論 こ の 寸 法 は 、 人 間 を 単 な る物 体 と

して 扱 つ た も の で 前 記 の 様 な こ と を 考 慮 す る と 、 縦 横

60cmの

45cm 45cm

*1。 こ の 楕 円状 の 空 間 を設 定 す る こ と が で き る

よ うな 人 間 の 持 つ 基 本 的 な 空 間 を 、 人 間 楕 円 と呼 ん で い る。 人 間 は 、 この 人 間楕 円 を伴 っ て 歩 行 す る の で あ る が 、 一 般 的 に考 えて も、 この人 間 楕 円の 大 きさ は歩行 に 伴 う空 間 と し て は 、 小 さ過 ぎ る。 実 際 は 、 対 人 的 に前 方歩 行 者 と

2m側 方 歩 行 者 と は 、 lmの 距 離 す な わ ち 空 間 を お い て 、 歩 行 して

図 1-1

人間楕円

*1 9


い る。 これ は 、 歩 行 行 為 に 際 して 、 接 触 を 回 避 す る こ と が 可 能 で あ る よ う な 空 間 を 無 意 識 の う ち に 設 定 して い る の で あ る 。 当 然 、 歩 行 速 度 が 大 き くな れ ば 、 回 避 に 生 ず る距 離 も 大 き く な らざ る を え な い た め 、 伴 う空 間 の 大 き さ も大 き くな る 。 し か し、 こ の 大 き さ は 、 あ る程 度 の 距 離 を 超 え る と そ れ 以 上 は 、 拡 大 しな い こ と が 、 観 察 上 確 認 さ れ る。 人 間 の 歩 行 速 度 に は 、 当然 、 限 界 が あ り 、 そ れ に 対 応 す る回 避 空 間 を 超 え て し ま え ば 、 歩 行 中 の 人 間 に 対 す る影 響 は 、 無 意 味 な も の と な つ て し ま うわ け で あ る。 また歩 行 行 為 に対 す る立 面 的 な 空 間 に つ いて考 え て み る と、 各 個 人 の 身 長 に 大 き く左 右 さ れ る も の の 、 頭 上 に 取 る 回 避 距 離 は 、 ほ ぼ 、 一 定 して 現 れ 、 こ れ も そ の 範 囲 内 に お い て は 、 歩 行 速 度 に 対 応 して 変 化 す る 。 ゜ 回 避 に 際 す る ホ テンシャルも そ の 距 離 に 応 じて 存 在 し、 そ の 形 は、図

1-2の

よ うに 現 れ る。 ポテンシャルl員 上の九みは

鴨 あ 留 藻 litt集 阜 告 選 碑

他個人減速 ポテンシャル

図 1-2

他個人回避 ポテンシャル

減速、回避行為 のポテンシャル *2

◎群集 内の歩 行 歩 行 は 、 物 理 的 な空 間 の 性 質 に 影 響 を 受 け る以 前 に 、 対 人 的 な 影 響 を 受 け る こ と は 、 前 述 の こ とか ら も 、 明 自 で あ る 。 ・ム 4・


特 に 、 群 集 内 の 歩 行 に 関 して は 、 歩 行 行 為 に 伴 う空 間 の 形 成 が 、 困 難 に な る な ど 、 個 人 の 伴 う空 間 の 効 果 よ りも 、 群 集 の 持 つ 流 動 の 効 果 が 、 そ の 中 の 歩 行 行 為 を決 定 す る。 中1 群 集 の 流 動 を 表 わ す 基 本 的 な 指 標 と して 、 次 の 様 な も の が 揚 げ られ る 。

P(人

流動量

単 位 時 間 当 た りの 断 面 交 通 量

流動係数

単 位 時 間 、 単 位 幅 員 当 た りの

群集密度

l m2当

1人

)

ρ く人 /m2)

た りの 人 数

い 歩 行 者 空 間 モテ ュー ル

当 た りの 占 め る 面 積

M(m2/人 歩行間隔

分)

V(m/分

群集平均速度

歩行速度

/m・

N(人

歩行者交通 量

/分 )

)

歩行者間 の 時間、距離

流 動係数

流動方程式

N〓 平 均 速 度

VX平

均密度 ρ

以 上 の 様 な 指 標 を 使 用 して 群 集 の 流 動 を 評 価 し、 空 間 の レス ゜ ホ ンスに 対 す る計 画 を 進 め て い くわ け で あ る 。 ‐ 実 際 の テ ‐夕を な が め て み る 。 平 面 の 歩 行 速 度 に つ い て 混 雑 、 障 害 物 に よ る摩 擦 が 無 い 場 合 の平 均 歩 行 速 度 は、

79。 5m/分

とな る。

11


分 布 状 況 を見 て み る と、 下限

45m/分

この範 囲 内 に 自

由歩 行 速 度 は 、

納 ま る と考 え ら

"

れ る。 また勾 配

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図 1-3

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減 少 し、勾 配

25%が

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速度 の

は歩 行

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20%で

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を見 る と、勾 配

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に つ いてのテ` 夕

140m/分

上限

70

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380

自由歩行の歩行速度 *1

11。 5%減 少 、 そ れ 以 下 で は 、 変 化 は 現 れ な い *1。 20% の 勾 配 な ど実 際 の 歩 行 空 間 で は 滅 多 に体 験 出 来 な い も の で あ る こ と を 考 え る と、 実 際 の 平 面 歩 行 空 間 で の 自 由 歩 行 速 度 は 、 余 り変 化 し な い も の だ と 言 う こ と が で き る 。 で は 歩 行 速 度 に強 い影 響 力 を持 つ 要 素 と は 、 何 で あ るか 。 この 重 要 な 指 標 と して 、 群 集 密 度 が あげ られ る。 歩 調 を 乱 さ な い で 歩 くた め に は 、 歩 行 空 間 を 知 覚 し、 障 害 物 を 回 避 す る ため の 面 積 が 必 要 とな る。 密 度 が 増 す こ とに よ つて 、 歩 行 動 作 に 必 要 な 面 積 が 減 少 し、 歩 行 行 為 が妨 げ られ 自 由歩 行 は で きな くな る。 そ の 結 果 、 歩 行 者 の 速 度 は一 様 な も の に な らざ るをえな い。 同 方 向 、 逆 方 向 の 対 人 的 相 互 作 用 は 、 間 隔 8m、 歩 行 者 空 い ` 程 度 ま で 影 響 す る 。 ま た 空 間 モテ ュール4 間 モテ ュール25m2/人

m2/人

ぐ らい に低 下 して も さ ほ ど個 人 の 自 由歩 行 に は影 響

を 与 え な い 。 2。

5m2/人

を下 ま わ る と正 常 な 歩 行 が 不 可

能 とな る。 流 動 量 、 す な わ ち 単 位 時 間 に あ る断 面 を通 過 す る歩 行 者 数

12


` も ま た 重 要 な 指 標 で あ る 。 空 間 モテ ュールが

2.5m2/人

以上 ` あ れ ば 、 正 常 な 歩 行 速 度 が 可 能 で あ る が 、 流 動 量 と 空 間 モテ ュ ` ールと は 反 比 例 の 関 係 に あ る 。 空 間 モテ ュールを 減 ら し密 度 を 上 げ m 0 9 0 0

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図 1-4

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20 25 ■0 歩行奢空間モデュール (mり

空間モデ ュールと歩行速度の関係 *1

て い け ば 、 流 動 量 は 増 加 して い くが 、 空 間 の 余 裕 が な くな り 歩 行 動 作 が 困 難 と な り、 歩 行 速 度 は 減 少 し 、 流 動 量 は 限 界 に 達 し流 動 量 は 減 少 し は じ め る 。 :00

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図 1-5

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ー ル《 デュ 術者 空 ma 歩 間モ

35

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流動係数 と空間モデュールの関係 *1

13


歩 行 者 は 同 方 向 の 交 通 以 外 の 交 通 に も適応 性 が あ る。 全 流 動量 の

10%の

逆 方 向交 通 は、歩 行 空 間 の容 量 を

14.5%

減 少 さ せ るに す ぎな い。 逆 方 向 交 通 の 比 率 が 増 え るに した が っ て 空 間 の 容 量 は あ ま り減 少 し な く な り、

50%に

な り二 方

向 流 動 にな る と、 ほぼ 一 方 向 流 動 と同 じだけの 容 量 が え られ る。

87人 /m。

分 と い う流 動 係 数 は常 識 的 な 範 囲 で の 最 高 値

67人 /mo分 の 流 動 が 可 能 で あ り 、 良 好 な 条 件 が そ ろ つ た 場 合 、 100人 /m で あ る が 、 大 抵 の 人 口 幅 員 か ら見 る と 、

・ 分 の 流 動 が 可 能 で あ る とされ て い る。 以 上 の よ うな 、 群 集 流 動 の 指 標 の ほ か に空 間 の 質 的 評 価 を 深 め る た め に 追 い越 しや 回 避 の た め の 余 裕 の 必 要 性 が 揚 げ ら れ る。 まず追 い越 しに つ い て 見 て み る と、歩 行 者 相 互 の 前 後 ` 以上 にな 左 右 の 間 隔 の 取 り方 は 、 空 間 モテ ュール2.5m2/人 る と明 白な規 則 性 が見 られ な い が そ れ 以 下 に お い て は あ る規 則 性 が 現 れ る。 これ に よ る と、 高密 度 に な るに つ れ 、左 右 間 隔 よ りも前 後 間 隔 の方 の 減 少 度 が 高 い 。 これ は 、快 適 な 歩 行 を保 持 す るた め に は 、 左 右 間 隔 の 重 要 性 が 高 い と い え る は ず

5 田       ・ ・    0

官 ︶E E 終 側 ︵ こ

0

(x)│1層 間■ くm)

図 1-6

歩行群集 と平均前後間隔 と左右間r目

111

14


で あ る。 "ュ 衝 突 に つ い て 見 て み る と 、 空 間 モテ ール1.5m2/人

3

m2/人 に 衝 突 確 率 に 変 化 が 見 られ る 。 0∼ 1。 5m2/人 で は 、 100% 3m2/人 以 上 で は 0% 1◆ 5∼ 3m2/人 で は ほ ぼ 50%、 と い う状 況 が見 られ る。 :.l

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2.0

23

3.0

歩行者空間 モデユール (ma)

図 1-7

流動中の衝突確率 *1

こ の よ うな 客 観 的 な 評 価 規 準 に よ つ て 、 群 集 内 の 流 動 に 伴 う歩 行 の 評 価 が さ れ て い る 。

◎ 歩行 空 間 の計 画 歩 行 空 間 計 画 の 目標 と して 、 次 の 事 を 挙 げ る こ と が で き る 。

●安全性 ● 保安 、 防犯 ●利便性

15


●連続 性 ●一 貫 性 の あ る設 計 ● 魅 力 あ る歩 行 者 空 間 安 全 性 と い う 点 に お い て は 、 歩 行 者 と 自動 車 の 分 離 が 望 ま れ 、 こ の ため に 、 空 間 的 分 離 、 時 間 的 分 離 と い う方 法 が 、 一 般 的 に と られ て い る。 保 安 、 防 犯 の 点 に お い て は 、 監 視 の し や す い空 間 、 照 明 、視 界 の 良 さ、 な ど を形 状 的 、配 置 的 観 点 よ り計 画 さ れ る こ とが 望 ま し い 。 利 便 性 に つ い て は 、 歩 行 空 間 内 の 障 害 物 の 減 少 、 規 制 に よ る時 差 利 用 、 縁 石 、 段 差 な ど の 改 善 。 連 続 性 な どは 、 近 年 、 頓 に 立 体 化 な ど複 雑 化 さ れ つ ワークを よ り 自 然 に 連 続 性 を も た せ 、 能 率 つ あ る 歩 行 空 間 の ネット 化 を 図 る こ と が 望 ま し い 。 ま た 、 都 市 と して の 機 能 、 目 的 、 い 方 向 を 視 覚 的 に 色 、 形 状 、 テクスチャー、 ランド マ クな ど を 駆 使 し 一 貫 性 を も たせ る こ とも重 要 で あ る。 上 記 の 内 容 と は 少 々 趣 き を 異 な る も の と して は 、 都 市 景 観 、 ゜ と して の 空 間 設 計 に こ 歩 行 空 間 を 利 用 し た ハ フォーマンスな ど '1-ド

だ わ ら ず 、 ソフト的 に も歩 行 空 間 を 設 計 す る こ と も 怠 っ て は い け な い テーマで あ る と い え る 。

1-2空

間の物理的因子■

◎空 間 の サ イス

空 間 が 立 体 的 に 存 在 す る か ぎ り、 空 間 が 定 量 的 な サ イ ズ を 持 って し ま う こ と は不 可 避 な 現 実 で あ る。 この こ と は 、 人 工 、 自然 を 問 わ ず 、 ま た寸 法 論 に 関 係 な く具 象 さ れ て い る 。 自然 界 に お い て は 、 生 き る も の は そ の 生 命 の 存 在 を 確 実 化 す る に 足 る「 大 き さ 」 を 自 ら造 り上 げ る 。 そ れ に 達 せ な か つ

16


た も の は 、 そ の 存 在 を そ の 環 境 下 で 否 定 さ れ る 。 つ ま り、 存

渤\

在 で き な くな る わ け で あ る 。 物 体 と して 存 在 す る も の は 、 自 ら を 造 り上 げ る こ と が で き な い さ せ 、 な くな る こ

に そ の「 大 き さ」 を変 化

との な い 自身 の 存

志.t絲 .下 孝

りずなT'お くtt,

在 を地 球 の胎 動 に

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委 ね て い る。 自然 界の メカニズム を 詳細 に説明す るに はお よばないが、 一見 、 変 化 を顕 著 に現 さ な い 自然 界

下 早 … 上 中 。k分 錮 高 員

図 1-8

自然のメカニズム

の サ イ ズ 、 「 大 き さ 」 は 、 相 互 の 影 響 を 事 々 刻 々 と積 み 重 ね て来 た上 で の 均 衡 の結 果 で あ る こ とは、疑 う余 地 が な い。 自然 界 の「 大 き さ 」 が 相 互 の 影 響 下 で そ の 存 在 を保 つ た め に 内 発 的 に 生 ま れ て 来 る 事 に た い して 、 人 工 的 な 「 大 き さ 」 の 存 在 (人 間 自 身 は 除 く )は 、 基 本 的 な 寸 法 を 入 間 に 見 た も の の 、 そ の 存 在 自体 は 、 人 間 の 行 動 を 内 包 す る外 発 的 に 生 ま れ て 来 た も の で あ り、 し か も 文 明 の 発 生 以 来 、 人 工 の 創 造 物 は 、 非 人 間 的 に な りつ づ け て き た こ と も 事 実 で あ る 。 ま た 、 林 立 す る 都 市 の 人 工 創 造 物 は 相 互 の 影 響 を 無 視 して 存 在 し 、 か つ 自 然 淘 汰 さ れ る こ と な くそ の 「 大 き さ 」 を 存 在 さ せ られ る こ と を余 儀 無 く しい られ て い る 。 こ の 人 工 の「 大 き さ 」 す な わ ち サ イズ は人 間 の 行 動 、 も し くは 群 集 の 行 動 に 必 要 な 空 間 を 造 り上 げ て 来 た 結 果 で あ る わ け だ が 、 自然 界 に 見 ら れ る サ イ ズ と の 共 存 、 こ こ で は 行 動 と 人 工 空 間 と の こ と を い う が 、 こ れ が う ま く行 わ れ て い る で あ ろ うか 。 先 に述 べ た よ う に人 工 の空 間 は、 共 存 の 内 に そ の 形 を 変 化 さ せ る こ と は で き な い し、 自 然 淘 汰 さ れ る こ と も な い 。

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とす れ ば 共 存 の た め の 努 力 は 、 変 化 し う る も の 、 す な わ ち 人 間 が せ ぎ るを え な いわ け で あ る。 そ の変 化 の努 力 、通 応 力 を す る に あ た わ な い もの は 、 そ の 存 在 を消 さ ざ る を え な か つ た こ とは生 物環 境 の後退 を見 れ ば 明 か で あ る。 こ と人 間 に 限 っ た と して も 、 現 在 の 環 境 へ の 適 応 が 正 常 で あ る か ど う か は 、 疑 間 で あ る 。 (明 か に 異 常 で あ る と も 言 い 難 い 。 )無 論 環 境 が 「 大 き さ 」 だ け に 依 存 す る わ け で は な い が 様 々 な 行 動 を お こす の に 最 も重 要 な 要 因 と な る視 覚 に 直 接 的 に 訴 え る「 大 き さ 」 、 空 間 の サ イ ズ が 行 動 に 強 い 影 響 を 与 え る こ と は 否 め な い と 考 え られ る 。

「 必 要 な サ イズ 」 が人

間 と人 工 の 空 間 と の 共 存 に ど の よ う な 要 因 を 持 っ て い る か 考 えて み た い。 ◎ 目的 行 為 の た め の許 容 空 間 目 的 行 為 と は 、 人 間 の 行 動 が 必 ず あ る 目 的 を 伴 つ て 惹 き起 こ さ れ る こ と か ら、 そ の 様 々 な 行 動 を 目 的 行 為 と 呼 ぶ こ と に す る。 中 世 、 レオ ナ ル ド・ ダ・ ヴ ィ ン チ は 、 人 体 が と り う る 空 間 を表 わ し、新 た な 、人 体 が 作 り出 す 空 間 に つ い て 提 言

│ 琴 千三 ′:■「

した。 そ の後 、 様 々な 目 的 行 為 に お け る人 間 の造 る空 間につ いての研 究がな され て きた。 人工 的 な空 間 の 設 定 は 、 そ れ 以 前 よ り研 究 さ れつづ けていたが、さ らに

図 1-9ダ 。ヴィンチの人体寸法 *1 空 間 と して の 研 究 が よ リ ミ ク ロ に は じ ま っ た わ け で あ る 。

人 間 の 目的行 為 を内包 す る

18


近 世 、文 明 の 工 業化 が 推 進 され 、 大 量生 産 的 な物 事 の 規 格 化 が 行 わ れ 、 目 的 行 為 の 内 包 し う る空 間 の 研 究 も 、 合 理 性 、 さ ら に 悪 く言 え ば 最 低 限 の 規 格 化 が ま か り と お つ た 。 都 市 も 過 密 化 に伴 い空 間 の構 成 は 、 人 間 的 で あ る と は 、 とて も言 え な い状 況 に な る場 合 が 現 れ た。 し か し、 近 代 に 入 り、 こ の 傾 向 に 対 す る 問 題 点 が 叫 ば れ る よ う に な り、 目 的 行 為 に 必 要 な 空 間 に 加 え 、 さ ら に そ れ に ブ ラ ス アル フ ア した空 間 の 設 定 が 考 慮 され る よ うにな っ た。 後 の 図 に 示 す よ う に 、 現 在 、 建 築 設 計 に 際 し単 位 空 間 の サ イズ を検 討 す る場 合 に資 料 集 成 を な が め る と 、 個 々の 単 位 空 間 に 必 要 な サ イ ズ が 掲 載 さ え て い るが 、 い ず れ も必 要 最 低 限 の サ イ ズ を 示 し て い る わ け で は な く、 そ の 単 位 空 間 に 対 応 す る 目 的 行 為 に 適 し た空 間 に 必 要 な サ イ ズ を 示 して い る わ け で あ る。

□面をひく位 0□

図 1-10

目面tひ く{8■ 位)□

軍記作■をすO El

単位空間の適正空間寸法 *2

19


この よ うな 目的 行 為 を 、 通 した 状 況 で 内 包 し う る空 間 、 つ ま り 目 的 行 為 の 許 容 空 間 が 、 現 在 、 設 計 に 際 して 行 動 と 空 間 と の 共 存 に て き して い る と 考 え ら れ て い る わ け で あ る 。 た だ しこの 発 想 も 、 今 まで の必 要 最 低 限 空 間 で は 目的行 為 の 行 使 能 率 が 悪 い と い うこ とか らきて い るわ けで 、 そ の 空 間 に対 す る 観 察 デ ー タ か ら 得 ら れ る も の で あ り、 そ の 結 果 と し て 存 在 す る許 容 空 間 が 個 人 的 な 資 料 と して 通 用 す るか ど うか は 、 断 言 で き な い点 が あ る と考 え られ る 。

◎各 空 間内 の 人 的環 境

・ 前 述 した 目 的 行 為 に 対 応 す る許 容 空 間 は 、 純 粋 に物 理 的 環 境 か ら の ア プ ロ ー チ と い う こ と が で き る。 と こ ろ で 、 実 際 の 空 間 に は 欠 く こ と が で き な い 要 素 と して 「 人 間 」 が 挙 げ られ る 。 目 的 行 為 の 許 容 空 間 に して も 対 人 的 な 空 間 に つ い て の 考 慮 が よ くさ れ て い る 。 建 築 物 の 内 部 空 間 に つ い て 、 特 に 移 動 に 係 わ る度 合 い の 少 な い 目的行 為 の 許 容 空 間 に つ いて は 、対 人 的 な影 響 の 相 互 作 用 が 分 か りや す く、 純 粋 に 物 理 的 な デ ー タ の 検 討 を 詳 細 に 行 う こ と が 可 能 で あ る と 考 え られ る .し か し、 こ れ が 外 部 空 間 と い う こ と に な る と 、 少 々 許 容 空 間 の 検 討 が 難 し くな る 。 勿 論 、 対 空 間 的 、 対 人 的 な デ ー タが な いわ け で は な い 。 例 え ば 、 歩 行 行 為 につ いて は、 防災 上 の必 要 性 か らも、空 間機 能 、群 集 か ら の 歩 行 へ の 影 響 な ど 非 常 に 細 か く調 査 研 究 さ れ て い る 。 た だ し こ れ ら の 研 究 は 、 内 部 空 間 の そ れ に 対 して 非 常 に マ ク ロ的 な もので あ るこ とは否 め な い 。 対 人 的 な環 境 につ いて も、 移 動 を 伴 い しか もそ の 動 き が 非 常 に 多 様 性 に富 む た め 、 内 部 空 間 で の そ れ よ り、 物 理 的 な 存 在 と して 扱 わ れ る 。 対 人 的 な 影 響 は 現 実 に お い て 、 純 粋 な 物 理 的 要 因 よ り強 い

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影 響 力 を持 つ 。 これ は 、 まず 人 間 対 人 間 の 接 触 を非 常 に 回 避 し た が る傾 向 が あ る こ と 、 ま た 、 人 間 が あ る 種 の テ リ ト リー の よ う な も の を 自分 の 周 り に も っ て い る こ と に 起 因 す る 。 上 記 の よ うな対 人 的影 響 や対 空 間 的影 響 が そ の存在 の仕 方 を 刻 一 刻 と 変 化 さ せ な が ら 現 れ る歩 行 空 間 な ど は 、 そ の 許 容 度 を 内 部 空 間 並 み に す る に は 、 そ れ な りの 考 え 方 を 造 る 必 要 性 が あ る と考 え られ る。

◎ 無 駄 と余 裕 空 間 の サ イ ズ の 所 で 述 べ た 自然 界 で は 、 無 駄 な 空 間 と い う の は あ りえ な い 。 な ぜ な ら 、 自然 界 で は 生 物 は 環 境 下 で 可 能 性 の 有 る限 り各 々 の 生 命 を 増 殖 す る こ と に そ の 生 活 を 費 や す こ と 、 物 体 も そ の 環 境 下 で 残 りえ る た め に 物 理 法 則 に の つ と っ て 存 在 す る こ と を 止 め る 意 志 が な い か らで あ る 。 無 駄 な も の 、 例 えば 大 量 発 生 した生 命 、 天 変 地 異 は 、 自然 の シ ス テ ム 、 均 衡 に の つ と つて 処 理 さ れ る。 余 裕 の あ る 空 間 は 、 ど う で あ ろ う か 。 こ れ も 実 は 存 在 しな い 。 自 然 は 、 人 間 に と つ て は 余 裕 の あ る空 間 に 思 え る が 、 実 際 、 自然 界 に あ る も の に と つて は 、 相 互 の 影 響 下 で 熾 烈 な 空 間 の 奪 い あ い を行 って い るの で あ る。 また この 相 互 作 用 が な くて も 各 々 が 存 在 す る こ と が で き な い 。 よ う す る に 自然 界 で は 、 立 錐 の 余 地 も な い相 互 関 係 の な か で 、 無 駄 も余 裕 も な い 空 間 を 作 り出 して い る の で あ る 。 さ て 、 大 抵 どの 人 工 的 空 間 に行 っ て も無 駄 な 空 間 が 存 在 し て い る こ と は ` 経 験 上 だ れ も が 感 じて い る こ と で あ る と 考 え 1■ 0こ

られ る 。 で は 、 無 駄 な 空 間 と い う の は 、 ど の よ う な 空 間 で あ


ろうか。 「 遊 ん で い る空 間 」 な ど と い う言 葉 も あ る が 、 無 駄 な 空 間 を 意 味 通 りに とれ ば 、 存 在 価 値 の 無 い空 間 、 極 言 す れ ば 無 い 方 が 良 い空 間 で あ る 。 と い う こ と は 、 そ の 空 間 を 含 む 空 間 の 機 能 に 対 応 で きず 、 さ ら に は 、 被 内 包 空 間 の 機 能 さ え も 侵 害 す る よ う な 空 間 を 言 う の で は な い か 。 と ど の つ ま り、 空 間 の 機 能 を 決 定 す る最 大 の 要 因 で あ る 目 的 行 為 に 対 応 で き な か っ た 空 間 。 た と え ば 大 き 過 ぎ る トイ レの 個 室 。 特 異 な 形 状 を 持 つ 平 面 の コ ー ナ ー 。 熱 還 流 効 率 を 妨 げ る トップ ラ イ ト。 流 動 の 多 い通 路 の 無 意 味 な 段 差 な ど な ど 、 挙 げ て 行 け ば 多 種 多 様 挙 げ るこ とが で き る。 で は、余 裕 すな わ ち 空 間 の 余 裕 と は どの よ うな空 間 を言 う の で あ ろ う 。 余 裕 と は 、 あ る 一 定 の 制 限 の あ る各 種 の 状 況 の 中 で そ の 制 限 を 内 包 し 、 か つ そ の 制 限 に も れ る状 態 に あ る も の の 特 殊 な も の を 除 く大 半 を カ バ ー で き る環 境 で あ る と 考 え ら れ る 。 あ る 目 的 行 為 に 対 す る空 間 に お い て 、 そ の 目 的 行 為 と し て 考 慮 さ れ る 中 の 特 殊 例 を 全 で カ バ ー し よ う と して 空 間 機 能 を 設 定 す る こ と は 、 逆 に無 駄 な 空 間 を生 み 出 す 結 果 と な り う る 。 しか し 、 目 的 行 為 を 内 包 す る 余 裕 と は 、 ど の よ う に 設 定 さ れ る の か 。 一 つ の 考 え 方 と して は 、 あ る 目 的 行 為 に 必 要 な 最 低 限 な 空 間 か ら徐 々 に 空 間 を 拡 げ て い っ た と き 、 そ の 目 的 行 為 以 外 の 目 的 行 為 が 現 れ る点 、 ま ず そ の 空 間 の サ イ ズ に 一 つ 節 目 が 存 在 す る と考 え られ る 。 さ ら に 拡 大 して い く と 次 々 と新 た に 余 計 な 目 的 行 為 が 起 こ る 。 そ れ ぞ れ の 節 目 の な か に 余 裕 と 無 駄 と の 境 目 が 存 在 す る と 考 え られ る 。 こ の 余 裕 と 無 駄 と の 境 目 は 個 人 個 人 に よ つ て 異 な る で あ ろ う し、 形 状 的 な 余 裕 空 間 な どは 、 この 考 え方 で は 説 明 が つ か な い。 しか し 、 余 裕 の 設 定 の 規 準 に つ い て の 善 し悪 し は 、 別 に して も 、 あ る程 度 の 余 裕 空 間 が 必 要 な こ と は 許 容 空 間 で 述 べ た 様 に 明

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か で あ る。 以 上 の 様 に 、 無 駄 と余 裕 は 、 紙 一 重 の 関 係 に あ る。 何 が 無 駄 と 余 裕 の 区 別 を つ け る 規 準 と な る の か 、 観 察 に よ る結 果 論 で は な く、 規 格 の 段 階 で そ れ が 判 別 で き る も の が 必 要 な の で はな いか。

*1 *2

ガ ョン◆J・ フ13‐ イン「 歩 行 者 の 空 間 」 鹿 島 出 版 会 日 本 建 築 学 会 編 「 建 築 設 計 資 料 集 成 3」 丸 善

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1-3空

間の心理的因子■

◎ テ ク スチ ャー 、 カ ラ ー テ ク ス チ ャ ー 、 カ ラ ー は 、 そ れ 自身 物 理 的 な 存 在 で あ る わ け だ が これ らが 目的行 為 に影 響 を 与 え る とす れ ば 、 空 間 の サ イ ズ や 人 的 環 境 の 様 に 絶 対 的 な 制 限 を 与 え る も の で は な く、 相 対 的 にかつ心 理 的 に行 わ れ る。 カ ラー に つ いて の 心 理 的 影 響 な ど は 、 寒 色 、 暖 色 な ど で よ く知 ら れ る 様 に 、 そ れ ぞ れ の カ ラ ー に対 して 心 理 的 環 境 イ メ ー ジ を言 葉 で表 わ す こ とが 多 い 。 こ の 表 現 方 法 は 一 般 的 に も 非 常 に 分 か り易 く 、 ま た 実 感 と の 差 異 も さ ほ ど大 き い と は 思 え な い 。

1具 体的連想

抽象的 連想 自

L灰

図 1-11

清潔 、神 聖 、清楚 、純潔 、 潔 白、純真 、神秘

雪 、自紙 、自兎 、自雲 、

陰気 、絶 望 、憂欝 、荒廃 、 平几 、沈黙 、死滅

鼠 、灰 、曇空、コンクリー

:堅 実 、 死滅 、岡1健 、悲哀 、 ‐冷淡 生命 、厳粛 、陰気 、

炭、夜 、毛髪 、洋傘 、墨 、 スー ツ ‐¨一一― ― ‐

砂糖

ト、冬空

カラー イメージ *3

テ ク ス チ ャ ー に つ い て も 、 カ ラ ー ほ ど で は な い に し ろ、 心 理 的 イ メ ー ジ の 言 葉 に よ る表 現 が あ る 。 た だ し 、 こ ち らの 方 は 、 カ ラ ー 、 模 様 、 純 物 理 的 性 質 とバ ラ メ ー タ が 多 い た め に 、 カ ラ ー ほ ど一 般 的 で は な い 。 い ず れ に せ よ 、 こ の 心 理 的 影 響 が 行 動 に い か に 関 係 して く 0こ

“彎

る か 考 え て み る と 、 短 期 的 に は 、 ほ と ん ど影 響 が な い 。 し か


し長 期 的 に 見 て カ ラ ー 、 テ ク ス チ ャ ー に 対 す る嫌 悪 感 は 徐 々 に 行 動 に 影 響 を 与 え る こ と は 、 善 し悪 し を 別 に し て 明 か で あ る。 た だ しこの 長期 と い うも の が 、定 量 的 に現 れ る もの で は な い ため に、 行 動 の変 化 を明 か に求 め る と い う こ と も困難 に な って くるわ け で あ る 。

◎ 感 覚 と し て の 「 お さ ま り」

「 今 、 自分 は こ の 空 間 に フ ィ ッ ト して い る だ ろ う か 。 」 無 意 識 の 内 に、結 構 人 間 は こん な こ とを考 え て い る よ うだ。 と 言 う よ りは 、 本 能 的 に 空 間 内 の ポ ジ シ ヨ ン を 自分 な りに 決 定 す るの で あ ろ うか。

決 め られ て も い な い の に 、 自分 の 特 定 ポ ジ シ ョ ン を 決 定 し て い る例 は 、 い た る と こ ろ で 見 る こ と が で き る 。 例 え ば 、 公 園 で 弁 当 を 食 べ る時 、 い つ も の 場 所 で な い と不 満 な サ ラ リ ー マ ン 。 電 車 に 乗 る と立 つ に し ろ座 る に し ろ 、 ポ ジ シ ヨン を 決 め る学 生 な ど 、 多 種 多 様 に 挙 げ る こ と が で き

最 も これ ら

感 覚 的 な お さ ま りだ け が 、 そ の 要 因 とな っ て い るわ け で は な い 。 あ る時 点 で の 目 的 行 為 に続 く目的行 為 へ の 連 関 性 tま た は複 合 した 目的 行 為

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の た め の 利 便 性 な ど 、 意 志 に 反 す る お さ ま りも ポ ジ シ ヨ ン 取 り行 為 の 様 に 目 に 映 る の か も しれ な い 。

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さ て 、 こ の ポ ジ シ ヨ ン 取 り行 為 、 感 覚 的 な お さ ま りの 良 好 さ を 求 め る行 為 の 原 因 に な る も の と は 。 空 間 の サ イズ 、 目的 行 為 に対 応 す る許 容 空 間 で 述 べ た様 に 、 空 間 の 「 大 き さ 」 は 、 そ の 中 で 起 こ り う る 目的 行 為 を あ る程 度 の 余 裕 を持 っ て 内 包 で き る よ う な も の で あ る こ とが 、 望 ま しい 。 そ こで 問 題 とな る の は 、 余 裕 の 所 で 述 べ た 様 に 、 あ る 目 的 行 為 が ど の よ う な 空 間 を 自 分 自 身 で 保 持 し、 そ して 被 内 包 空 間 の 機 能 を 要 求 す る か と い う点 に お け る 、 目 的 行 為 の 持 つ 空 間 の 「 大 き さ 」 の 設 定 (心 理 的 な 余 裕 ′ を生 む )な の で あ る 。 そ の 一 例 と して パ ー ソ ナ ル ス ペ ー ス の 研 究 が 挙 げ られ る 。 静 止 状 態 に あ る人 間 の 一 般 的 な 空 間 内 で の お さ ま り方 に は 、 ほ ぼ 一 定 の 規 則 が 見 ら れ る oす い て い る 電 車 内 の 座 席 の 埋 ま り方 、 待 ち 合 わ せ 場 所 で の 、 「 待 ち 」 の 発 生 の 仕 方 、 高 密 度 状 態 で の 人 間 の 向 きな ど 、 一 定 の 規 則 と 言 つて も 良 い様 な 現 象 が 観 察 さ れ る 。 こ れ らの 現 象 か ら、 人 間 の 持 つ 心 理 的 な テ リ トリー の 具 体 的 な 設 定 を した も の が 、 パ ー ソ ナ ル スベ ー ス で あ る 。 この 研 究 に よ る と 、 人 間 はパ ー ソ ナ ル スペ ー ス を 、 そ の 環 境 下 で 最 も 侵 害 さ れ な い よ う お さ め る よ う に 、 自分 の 静 止 状 態 の ポ ジ シ ョン と 向 き を 決 定 す る の だ と考 え る こ と が

1-13

パー ソナルスベー ス *2

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で き る 。 感 覚 と して お さ ま っ て い る と い う こ と は 、 様 々 な 空 間 環 境 下 で 、 自 分 自身 の 持 つ 心 理 的 抑 制 力 を 持 つ 空 間 を い か に お さめ て い るか とい う こ と に な る。 お さ ま りき らな い場 合 に は 、 そ の 被 内 包 空 間 で の 存 在 に対 す る嫌 悪 感 の 蓄 積 、 空 間 か ら の 退 却 、 回 避 が 発 生 す る と 考 え られ る 。 現 状 の パ ー ソ ナ ル ス ペ ー ス の 研 究 は 、 観 察 、 も し くは 実 験 の 結 果 か らな さ れ て い るが 、 観 察 に よ る結 果 の 目 的 行 為 の 多 様 さ、実験 結 果 を、 た と え 同 じ静 止 状 態 だ と して も、 客 観 的 な も の と して 扱 っ て 良 い か な ど、 多 分 に そ の 設 定 の心 理 状態 が絡 み 、 困 難 で あ る。 ま た 、 今 の と こ ろ静 止状態 での ことで、 これ が 動 きや 移 動 を

図 1-14

ラッシ ュ時の混雑

伴 う 目的行為 に つ い

て と い う こ と に な る と 、 そ の 多 様 性 に 、 設 定 の 規 準 は複 雑 を 極 め る こ と と な る と考 え られ る 。 た だ し各 目 的 行 為 に パ ー ソ ナ ル ス ベ ー ス の 様 な 空 間 を 設 定 す る こ と が 可 能 な らば 、 空 間 に 対 す る感 覚 的 な お さ ま りを よ り定 量 的 に 解 釈 す る こ と が 可 能 に な つて く る もの と 思 わ れ る 。 ◎好 きか嫌 いか さ し た る理 由 も な く好 き で あ る 、 嫌 い で あ る と い う こ と は 、 様 々 な 存 在 に つ い て 、 頻 繁 に 起 こ る 。 当 然 空 間 に 対 して も 起 こ る 。 勿 論 、 理 由 が あ っ て 好 き 嫌 い と い う こ と は も っ と頻 繁 7r

Oこ


に起 こ る。様 々な 評 価 規 準 に よ つて 裏 付 け され た空 間 が 、 必 ず 心 理 的 に満 足 さ せ う る と は 、 言 明 で き な い 。 一 般 的 に 入 問 は 居 心 地 の 良 さ の 理 由 な ど常 に 考 え て い る わ け で は な い 。 だ か ら言 葉 で 空 間 の 好 き な 要 素 を 言 っ た と して も そ の 信 頼 性 に は、疑 間 が あ る。人 間 の体 の 便 利 さ を病 気 怪 我 を しな け れ ば 分 か らな い よ う に 、 空 間 に 対 す る好 き嫌 い とい う もの も 口頭 で確 信 で きるも の で はな い よ うに考 え ら れ る。 しか し、 こ の 好 き か嫌 い か とい う こ と が心 理 的 には最 終 的 な結 論 の 一つ で あ る

図 1-15

指向性 を持たせる物体

こ とは 相 違 な い 。空 間 の 心 理 的 な 評 価 の 最 重 要 項 目。

■ イ メ ー ジ と歩 行 ■ ◎物 理 的 なデ ー タ と イ メ ー ジ 歩 行 空 間の物 理 的デ ー タにつ いて の イ メージ に は次 の様 な こ と が 挙 げ られ る 。

●広 い か 、狭 い か ●長 い か 、短 い か ● 上 り か 、 下 りか

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ま だ 他 に も物 理 的 デ ー タ に 係 わ る イ メ ー ジ が あ る わ け だ が 、 まず サ イズ 、形 状 的 に 純 物 理 的 デ ー タに対 応 す る も の を挙 げ て み た 。 少 な く と も こ の 二 つ の こ と は 、 頭 の 中 で 自分 な りに イ メ ー ジ して い る は ず で あ る 。 上 り下 りの イ メ ー ジ は 、 対 人 的 な デ ー タ に あ ま り左 右 さ れ ず イ メ ー ジ さ れ る と 考 え られ る が 、 残 りの 二 つ は 歩 行 空 間 内 の 対 人 的 影 響 、 よ う す る に 、 群 集 の 影 響 を多 分 に受 け る 。 都 市 に お い て は 、 群 集 を 常 に歩 行 空 間 の 一 部 と し て 考 え 、 広 い 狭 い 、 長 い 短 い を 判 断 して い る よ う に 思 え る。 事 実 、 休 日の オ フ ィス街 な どで は 、 非 常 に 違 和 感 を 感 じ る 。 しか し 、 こ れ ら の 歩 行 空 間 は 、 頻 度 の 最 も 高 い 状 態 (人 的 )を そ の 空 間 の 物 理 的 デ ー タ と して 採 用 す る わ け だ か ら 、 先 に 挙 げ た イ メ ニ ジ は 、 人 的 な 影 響 く群 集 の 影 響 ) を 含 む も の で な け れ ば な らな い わ け で あ る 。 長 い 短 い と い っ た 、 空 間 に対 す る イメ ー ジ は 時 間 が 重 要 な 要 因 と な る。 こ こ で 空 間 内 の 空 間 モ デ ュ ー ル が 自 由 歩 行 を 妨 げ る程 に な る と 、 自分 の イ メ ー ジ して い る 歩 行 速 度 の 維 持 が 困 難 と な り 、 長 短 の イ メ ー ジ は変 化 を き た す 。 ま た 自由歩 行 お妨 害 は歩 行 に対 す る ス トレス を 発 生 さ せ 、 こ の 精 神 的 圧 力 も イ メ ー ジ ヘ の 強 い影 響 を 与 え る 。 だか ら と い つ て 、 人 的 な 物 理 的 デ ー タが イ メー ジ に つ ね に 直線 的 に影 響 を与 え るわ け で はな い。例 え ば 、 広 い狭 い と い う イ メー ジ を考 え る。 新 宿 の 歩 行 者 天 国 で 、 非 常 に 混 雑 して い る場 合 、 空 間 モ デ ュ ー ル で 考 え る と狭 い (自 由 歩 行 に 影 響 が で る ほ ど )と い う結 果 が で た と し て も 、 歩 行 空 間 自 体 に 感 じ る イ メ ー ジ は 狭 い と感 じ る わ け で は な い 。 こ れ は 、 自 己 の 持 つ ポ テ ン シ ャル よ りも 、 空 間 の 持 つ ポ テ ン シ ャ ル に 対 す る 認 識 が 強 く、 か つ 広 い 狭 い と い う イ メ ー ジ は 、 時 間 つ ま り歩 行 速 度 に あ ま り関 係 が な い た め に 、 長 短 の イ メ ー ジ と は 、人 的 な物理 的 デ ー タ に異 な った側 面 を見 せ るた め

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だ と考 え られ る 。 ま た 、 こ の 長 短 、 広 狭 の 差 は 視 覚 の 状 況 に も そ の 違 いが 現 れ る。 平 面 的 な 長 短 は 、 歩 行 中 の 視 覚 に は 認 識 し づ ら い 。 始 め て の 場 所 に 行 く場 合 、 そ の 地 理 的 位 置 が 頭 の中 で 認 識 で きて いて も 、 そ こ まで の 歩 行 の長 短 に対 す る イ メ ー ジ が 考 え て い た 通 り に い か な い と い う こ と を 、 よ く経 験 す る。 視 覚 的 に 経 験 の な い場 所 で は 、 視 覚 的 に長 短 を 認 識 さ せ る も の を見 出 せ な い た め に 、 こ の よ う な こ とが 起 き るの で あ る 。 こ れ は 何 回 も 同 じ場 所 の 歩 行 を 繰 り返 して 行 く と 次 第 に そ の 距 離 感 が 短 くな つ て い く こ と に も 、 説 明 が で き る 。 こ れ ら の こ と か ら、 先 に 挙 げ た 二 つ の イ メ ー ジ の 中 で 、 空 間 内 の 物 理 的 デ ー タか ら密 接 に 起 こ り う る イ メ ー ジ は 、 広 い 狭 い の イ メ ー ジ で あ る と 考 え られ る 。 ◎ イメ ージの行 動への影 響 先 に 結 論 づ け て し ま う と 、 歩 行 中 の 空 間 に対 す る イ メ ー ジ は 、 自 由 歩 行 を して い る 限 り 、 歩 行 ― 空 間 の 指 標 と な る数 値 に は さ ほ ど影 響 は 与 え な い 。 高 密 度 な 群 集 の 流 動 に 含 ま れ る 自 由 歩 行 を逸 脱 した歩 行 で な い と 、 設 計 規 準 上 の 歩 行 の 変 化 は現 れ な い の で あ る。 そ れ で は 、 自 由歩 行 中 の 歩 行 ―空 間 の イ メ ー ジ が 起 こす 歩 行 へ の 影 響 と は どの よ う な も の で あ ろ う か 。 先 ず 、 そ の 一 つ と して 、 静 止 状 態 で の そ れ と同 様 に空 間 中 の 歩 行 の ポ ジ シ ヨ ン の 取 り方 が 挙 げ られ る 。 先 に 記 し た よ う に 、 静 止 状 態 で の ポ ジ シ ヨ ン 取 りは 、 人 間 の 持 つ 小 空 間 の お さ ま り に よ っ て 設 定 さ れ る と考 え られ た 。 静 止 状 態 以 外 で の 目的 行 為 に お い て も 人 間 の 持 つ 小 空 間 が 存 在 す る と す る な ら ば 、 そ れ ぞ れ の 目 的 行 為 に つ い て の 空 間 の お さ ま りが 存 在 す る は ず で あ る 。 当 然 、 歩 行 行 為 に お い て も 、 そ れ が 考 え られ

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る。 自 由 歩 行 と い う 目的 行 為 の 中 で 、 そ の 小 空 間 が 何 に よ っ て そ の お さ ま りを 決 定 す る か と い う と、 歩 行 空 間 の 物 理 的 デ ー タ で あ り空 間 に 対 す る イ メ ー ジ で あ る と考 え ら れ る。 ま た も う 一 つ の 影 響 と して 指 向 性 が 挙 げ ら れ る 。 歩 行 行 為 は 、 速 度 と と も に 方 向 と い う要 素 を持 っ て い る。 歩 行 行 為 は 、 ほぼ

100%な

に か し ら 目標 を も っ て 行 わ れ て い る 。 何 気 無

く散 歩 と い う 歩 行 中 で も 、 何 か に 向 か っ て 行 く と い う こ と が な け れ ば 、 歩 行 自 体 が 成 り立 た な い 。 そ の 方 向 に 対 す る 指 向 性 は 、 例 え ば 、 一 つ の ラ ン ドマ ー ク 、 空 間 環 境 に よ っ て 惹 き 起 こ さ れ る か も し れ な い し、 歩 行 目 的 の 強 さ に よ つ て 惹 き 起 こ さ れ る の か も し れ な い 。 しか し こ の 指 向 性 が 実 際 ど の よ う な 客 観 的 デ ニ タ と して 現 れ て く る か と い う と 、 明 白 に こ れ と い う も の が 現 れ て こ な い 。 同 じ 目 的 行 為 に よ る歩 行 を 異 な っ た空 間 で 比 較 した場 合 に は歩 行 速 度 、歩 行 速 度 の 変 化 、歩 行 軌 跡 に現 れ ると も考 え られ るが 、比 較 に値 す るほ どの信 頼 性 が あ る か ど うか は 疑 間 で あ る 。 しか し、 こ の ポ ジ シ ヨ ニ ン グ 、 指 向 性 が 、 空 間 に 対 す る イ メ ー ジ が 影 響 を 与 え 、 変 化 し う る歩 行 行 為 の 要 素 で あ る こ と は 、 予 想 し う る こ と で あ る と 考 え られ る 。 ま た こ れ ら の こ と が 、 視 覚 的 な 外 国 か ら生 じ る こ と も ま ず 間 違 い な い 。 な ぜ な ら、 こ れ らの こ と を 目隠 し を して お い て 、 行 お う と す れ ば 全 く異 な っ た 結 果 が で る こ と が 明 自 で あ る か ら で あ る 。 こ の イ メ ー ジ か らの 影 響 (イ メ ー ジ 自 体 が 視 覚 イ メ ー ジ と い つ て も 良 い が )が 空 間 の 物 理 的 デ ー タ か ら、 視 覚 的 に ど う イ メ ー ジ に 入 力 さ れ 、 そ れ が 、 人 間 の ポ ジ シ ヨニ ン グ 、 指 向 性 に ど の よ う な パ ラ メ ー タ と して 係 わ り合 い そ の 結 果 を 形 に して い る か を 知 る こ とが で き れ ば 、 自 由 歩 行 中 の 空 間 か ら の 影 響 を 設 定 し、 イ メ ー ジ と して の 歩 行 変 化 を 考 え る こ と が で き る と思 わ れ る。 1■

つ0


◎快 適 な歩行 環 境 自 由 歩 行 が 可 能 な 歩 行 空 間 は 、 一 般 的 に歩 行 者 の 空 間 モ デ ュー ル に よ つて 決 定 さ れ る と さ れ て い る。 自 由歩 行 が 妨 げ ら れ る よ う な 群 集 密 度 に な っ て し ま う様 な 、 歩 行 空 間 の 計 画 は

*3

早 稲 田 大 学 建 築 学 科 61年 度 卒 論 「 レジ ャ ー 施 設 計画論」

*4

高 橋 鷹 志 他「 空 間 に お け る 人 間 集 合 の 研 究 」そ の 6 日本 建 築 学 会 大 会 議 演 梗 概 集 S,57

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第 二章

知覚能力 と イメー ジ の定 量 化 ■空 間 と視覚 ■知覚機能 とイメ ー ジ ■歩行行為 中 の 内面 的負荷 ■内面的負荷 の 定 量 化

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2-1空

間 と視 覚 ■

◎視覚 行為 視 覚 は 、 日 と い う感 覚 器 を 通 して 送 ら れ て 来 る情 報 に よ る 感 覚 機 能 を い う。 通 常 「 見 る 」 と い う表 現 で 扱 わ れ る。 こ の 視 覚 行 為 を 大 き く二 つ に 分 け る と す る と 、 「 見 る 」 行 為 と 、 「 見 え る 」 行 為 に 分 け られ る 。 「 見 る 」 と い う行 為 は 、 何 か し ら の 対 象 物 に 対 し て 注 視 を 行 う こ と 、 つ ま り意 識 的 に そ の 対 象 物 の 情 報 を 視 覚 行 為 を 通 して 人 手 す る こ と で あ る 。 ま た 、 「 見 え る」 と い う行 為 は 、 そ の 反 対 に漠 然 と した無 意 識 的 な 視 覚行 為 を い う。 例 え ば 、 テ レ ビ を 見 る と い う行 為 は 、 テ レ ビ か ら発 生 す る 画 像 情 報 を 受 け 取 る と い う 目 的 を 持 っ て 、 テ レ ビ を 注 視 して い る わ け で 、 テ レ ビ が 見 え る と い う行 為 は 、 テ レ ビ が 視 界 の 中 に 入 っ て は い るが 、 そ こ か らの 情 報 を 入 手 す る と い う 目 的 は 入 っ て い な い 。 空 間 に 対 す る視 覚 行 為 に して も 同 様 で あ る 。 建 築 学 科 の学 生 が有 名 な 建 築 の 空 間 構 成 、 空 間要 素 を観 察 す る こ と は 、 「 見 る 」 行 為 で あ り、 同 じ建 築 を 一 般 の 人 が 単 に 利 用 す る も の と して 視 覚 行 為 を 行 う 場 合 に は 、 空 間 構 成 、 空 間 要 素 に 対 して「 見 え る 」 行 為 だ と い う こ とが で き る。 何 気 無 い歩 行 行 為 中 に お い て も 、 「 見 る 」 と「 見 え る 」 の 存 在 は 言 う まで もな い。 で は 、 「 見 る 」 と 「 見 え る 」 と で は 、 視 覚 行 為 と して 客 観 的 に どの よ うな相 違 点 が あ るの で あ ろ うか 。 こ の 説 明 と して 視 野 と 視 力 の 関 係 が 考 え られ る 。 視 野 と は 、 目 が 像 を 知 覚 で き る範 囲 を い う が 。 一 般 的 に は 、 左 右 90度 、 仰 角 30度 、 俯 角 60度 の 範 囲 の 像 が 網 膜 上 に 写 し だ さ れ て つ0

′腎


い る。 よ う す る に 、 この 範 囲 内 に あ る画 像 情 報 は 視 覚 され て い る わ け で あ る 。 しか し 、 こ の よ う な 広 範 囲 の 情 報 を 「 見 る 」 こ とが で きて い るわ けで は な い 。 まず視 力 につ い て考 え る。 視 力 1。

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い う人 が い る と す る 。 こ

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6,3

..----. --...5.61.6 択

ドル 氏 環 な ど を 「 明 確 に 答 え る 」

と い う 目 的 を持 っ て注 視 した結 果

0を

9,0

c----o 7.6

の 視 力 は 、視力 検 査 に よ って ラ ン

で あ る 。 さ て こ こ で 、 1。

i!tr

す ラ ン ドル 氏 環 を 見 て い る と き に 、 そ の横 に あ った文 字 が見 え て い る だ ろ うか 。 答 え は 否 と言 う は ず で あ る 。 資 料 ホ1に よ る と 、 注 視 し て い た ポ イ ン トに お い て 1。

の 視 力 が あ って も 、 そ の ポ イ ン ト の周辺

網 膜位 置

1以 上

5度 の と こ ろ で は 0。

図 2-1網 膜各部位 の視力*1

3、

10度 ず れ た と こ ろ で は 実 に Oe lま

で視力 が落 ち 込 んで い

る 。 細 か い も の を 見 取 る 限 界 を 視 力 0。

3ま で と す る な らば 、

実 際 に 「 見 る」 た め の 有 効 な 視 野 は 、 注 視 ポ イ ン ト を 中 心 に

10度 位 ま で と い う こ と に な る 。 こ の 視 野 の こ と を 「 有 効 視 力 範 囲 」 と 呼 ぶ 。 (マ ン デ ル バ ウ ム 等

1947)

次 に 視 野 に つ い て 考 え る 。 一 定 の 図 形 を 散 りば め た 中 に 少 し大 き さ の 違 う異 な つ た 図 形 を 一 つ 入 れ 、 注 視 ポ イ ン トを 固

80mS)で 見 つ け る 定 し た ま ま そ れ を 短 時 間 (10ms∼ と い う実 験 *2で は 、 そ の 形 の 類 似 性 が 低 くな る ほ ど 、 見 つ け られ た 範 囲 は広 が っ て い く。 こ の 実 験 で は 、 最 大

20度

以上

の 範 囲 で 見 つ け られ る と い う結 果 が 現 れ た 。 この 範 囲 は 、 眼 球 を 動 か さ ず に 「 注 意 Jを 払 え る 視 野 を 意 味 し 、 「 有 効 視 野 」 と呼ぶ 。

35


播 0 (D

0

.(り

1110111,11:

1o・

細線 での表示 はターゲ ッ トが検知 で きなか った もの 大線が検知 で き た もの (a)タ ーダ ッ ト8-,(b)タ ーグ ッ ト8L,(c)タ ーダ ッ ト8コ ,(d)タ ー ダ ッ ト:□ 0印 は固視点,被 験者 JD。 右眼使用

図 2-2

4種

類 のターゲッ トを用 いた場合の有効視野*1

さ て こ の 有 効 視 野 に 対 す る も う 一 つ の 実 験 中。と して 、 有 効 視 野 の 実 験 の 注 視 ポ イ ン トに 注 視 の 負 荷 と して 、 文 字 、 記 号 な ど を お き、 そ れ を確 認 した う え で 、 先 の よ うに周 辺 の異 形 図 を短 時間

(250mS)で

見 つ け だ す 方 法 を行 っ た。注 視

ポ イ ン トに 置 い た 文 字 、 記

4

号 はそ の複 雑 度 に よ って 3

4

レベ ル に 分 け 、 複 雑 度 を 負

・f

荷 の 強 さ と して 扱 つ た 。 こ の 結 果 で は 、 負 荷 レベ ル 3 と 負 荷 レベ ル

0で の 視 野 の

差 は 、 明か で あ ったが 、 レ ベル

2と で は 結 果 が ま ち ま

ち 、 レ ベ ル 1と で は ほ と ん ど差 が な か っ た 。 し か し 注 視 ポ イ ン ト上 に 負 荷 が 存 在 す る こ と に よ って 、 視 野 が

ゞ)

イ ハ,

`ゞ ` 4

)t,q ` 4

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巨∃

1 マ

レ1 ト

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4

′ ト

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4■ ,

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負荷 を与 えて有効視野 を測定す るときの 刺激 中央 の四角の固視枠内に負荷が 与 え られ る 被験者 は,こ の負荷 を正 しく検知 し,か つ視 野 に広が る背景パ ターンの中 か ら一 つの星状 の ターゲ ットの位置 を検出す る (武 内 ら,1973)

図 2-3有 効視野測定での負荷*1

36


狭 め られ る こ と は

・ ・ L88.1 8♂

ボ .

確 か ら しい。 また 、

:・

この差 は 回 数 を重

NX●

ね る ご と に レベ ル

+

1・ '6・

0に 近 づ い て い っ

O

て い る こ とか ら、

8:ii・

o

"lF“

・ ●tT

。 f:%:Fj[

(a)負 荷 0の 時 の有効視野 (b)負 荷 2 の時 の有効視野 0,Xの 説明は図 10。 10に 同 じ 被験者 Hl,右 眼

注 視 ポ イ ン トの 負 荷 の軽 減 が 、学 習 機 能 に深 い係 わ り が あ る と考 え られ る。

・Fも i ffr∵ "孫 闘T 0

ω

(a)負 荷 0の 時 の有効視野 (b)負 荷 3 の時 の有効視野 0,Xの 説明 は図 10・ 10に 同 じ 被験者 MH,右 眼

以 上 の 実 験 か らつ ぎの よ うな こ とが 明 か に さ れ て い る。

図 2-4

● 有 効 視 力 範 囲 (視 力 0。

負荷の値と有効視野 *1

3以 上 )10度

● 有 効 視 野 に は 限 界 が あ る 。 (約

20度

)

●有 効 視 野 は水 平 方 向 に広 い

● 有 効 視 野 は 左 の 方 向 に 広 い 傾 向 が あ る。

● 有 効 視 野 の 個 人 差 が 著 しい 。 こ の よ う な 実 験 の 結 果 か ら、 「 見 る 」 と 「 見 え る 」 と い う こ と の 相 連 点 が 、 物 理 的 に 存 在 して い る と い う こ と が い え る 。

37


も つ と も これ は 、 眼 球 を 固 定 して お くと い う前 提 の も とで の 実 験 で あ る か ら 、 す み や か に 、 空 間 と視 覚 の 関 係 に 引 用 す る こ と は 難 し い が 、 現 象 の 一 因 と して 重 要 で あ る と思 わ れ る 。

◎空間要 素の認 知

前 項 で 述 べ た よ う に 視 覚 行 為 の 中 に は 、 「 見 る 」 と「 見 え る 」 と い う 行 為 が あ つ た 。 こ の 見 る行 為 と 見 え る行 為 で は そ れ に よ る 対 象 物 の 認 知 の 仕 方 も 変 わ つ て く る と考 え られ る 。 「 見 る」 こ と は、 そ の 対 象 物 の 情 報 を得 る こ とを 目的 とす る行 為 で あ り 、 そ の 性 格 上 、 細 部 ま で 視 認 す る こ と が で き る 。 当 然 、 認 知 の 度 合 い も 強 くな る 。 こ こ で 問 題 と な る の は 、 「 見 る 」 目 的 行 為 の 発 生 理 由 と そ れ に 対 応 す る空 間 要 素 の 選 択 で あ る。 自 由 歩 行 中 の 歩 行 の た め の 空 間 に 対 す る注 視 の 目的 要 因 と な るもの は、

吼俳ハ

し3 ズ ハ

(1)モ デ ュールの確保

(2)回 避距離 の確保

図 2-5

(3)ラ ン ドマ ー ク

(4)指 向性 の保持

自由歩行中の注視目的

38


● 自 由 歩 行 保 持 の 空 間 モ デ ュー ル を確 保 す る た め の 障

害物

に 対 す る注 視 (対 物 的 、 対 人 的 ) ● 追 い 越 し、 回 避 行 為 の た め の 距 離 を 保 持 す る た め の

対象

物 への注視

● 歩 行 空 間 内 の 位 置 確 認 の た め の ラ ン ドマ ー ク に 対 す

る注

視 ● 自 由 歩 行 中 の 指 向 性 を 保 持 す る た め の タ ー ゲ ッ トに

対す

る注 視 以 上 の よ う な こ と が 、 主 な 目 的 と して 挙 げ られ る 。 こ の 中 に は 、 ウ イ ン ドー シ ヨ ッ ピ ン グ や グ ル ー プ 内 の 交 際 行 為 な ど 移 動 す る と い う歩 行 以 外 の 目 的 行 為 は な い も の と し て い る 。 い ず れ も 、 個 人 の 快 適 な 自 由歩 行 を保 持 しよ う とす る欲 求 か ら生 じ る :芋 組 で あ る と考 え られ る 。 特 に 、 群 集 密 度 の 高 い 空 間 内 で は 、 追 い 越 し、 回 避 行 為 の た め の 対 人 的 な 注 視 が 終 始 行 わ れ る こ とが 多 い。 さ て 「 認 知 して い る も の 」 と は 、 視 覚 行 為 の 「 見 え る 」 に よ つて 認 知 さ れ る も の で あ る と考 え る こ とが で き る 。 人 は 「 見 え る」 も の の 情 報 を 、 無 意 識 的 に受 け入 れ て い る が 、 こ の 情 報 は 、 か な り不 明 瞭 な も の で 、 記 憶 と して 長 期 に 渡 っ て 残 つ て い て も そ れ を正 確 に 再 現 す る こ と は難 しい 。 都 市 景 観 の 記 憶 な ど は 、 こ の 「 認 知 して い る も の 」 と して 扱 わ れ る で あ ろ う 。 日 頃 歩 き 慣 れ て い る歩 行 空 間 内 の 情 報 は 、 よ く知 つ て い る よ うで く実 際細 部 に渡 つて 表 現 す る こ との難 しさ を考 え れ ば 、 こ の こ と が う な ず け る 。 こ の 無 意 識 的 な 「 認 知 して

39


い る も の 」 も 繰 り返 す こ と に よ っ て 、 「 認 知 す る も の 」 と 同 様 の レベ ル に 近 づ い て く る よ う に 思 え る が 、 実 際 に は 、 繰 り 返 し同 じ歩 行 空 間 内 を 歩 行 す る こ と に よ っ て 、 多 様 な 注 視 行 為 が 積 み 重 ね ら れ 経 験 上 「 認 知 す る も の Jと 意 識 さ れ て い る と考 え ら れ る 。 自 由 歩 行 中 に「 認 知 して い る も の 」 と し て 視 覚 す る こ と は 、 無 意 識 的 で あ る わ け だ か ら 目 的 要 因 は 存 在 しな い 。 で は 「 認 知 して い る も の Jの 自 由 歩 行 に 対 す る 役 割 は ど の よ う な も の で あ ろ うか 。 自 由 歩 行 中 に 人 間 が 前 後 左 右 に あ る一 定 の 距 離 を お い て い る こ とを先 にの べ たが 、 例 えば左 右 の距 離 感 な どは 、常 に左 右 の 障 害 を 注 視 して 自 由 歩 行 して い る わ け で は な い 。 ま た 前 後 の 距 離 感 に して も 正 常 な 追 い 越 し 、 回 避 行 為 が 行 え る た め の 十 分 な 間 隔 が あ る場 合 に は 、 常 に 注 視 し て い る わ け で は な い 。 しか し、 注 視 を 必 要 な モ デ ュ ー ル に 対 象 が 進 入 す る と注 視 行 為 を速 や か に行 う情 報 伝 達 が発 生 す る 。 これ は 、「 見 え る」 す な わ ち「 認知 して い る もの 」 が 、 そ の 詳細 を知 る こ と が で き な い ま で も 、 位 置 、 距 離 、 量 感 を 伝 え る歩 行 中 の レー ダ ー 的 な行 為 で あ る と考 え る こ とが で き る。 以 上 の こ と か ら「 認 知 して い る も の 」 、 「 見 え る 」 と い う こ との 役 割 に つ いて 、 考 え る と ● 自由歩 行 の 周 辺状 況 を マ ク ロ的 に知 覚 し、 注 視 行 為

を促

す レー ダ ー 的 役 割 ● 自 由歩 行 中 の 周 辺 状 況 に よ る無 意 識 的 な ポ ジ シ ヨニ

ング

の ため の セ ンサ ー と して の役 割 ● 注 視 し た 指 向 性 を 保 つ た め の タ ー ゲ ツ トを 注 視 を は

ずし

40


た 場 合 に 認 知 して お くた め の 役 割

(1)注 視の励起

図 2-6

(2)ポ ジシ ョニング

(3)指 向性保持

無意識的 な視覚行為 の役割

町 中 で視 覚 障 害 者 の た め の プ ロ ッ クな どが歩 道 に設 置 さ れ て い る こ と が あ る。 こ れ は 触 覚 に よ つ て 空 間 内 の ポ ジ シ ヨ ニ ン グ を行 う た め の 装 置 で あ る。 プ ロ ッ クが な くと も経 験 の 富 ん だ 障 害 者 は 、 自杖 に よ つ て 足 元 前 方 の 情 報 を か な り よ く認 知 す る こ とが で き るが 、 杖 は 、 空 間 内 の ポ ジ シ ヨ ン ン グ を決 定 す る 能 力 は な い た め に 、 た と え よ く通 る 場 所 で あ っ て も 突 然 そ の 場 所 に お か れ た 場 合 す ぐ に は ポ ジ シ ヨニ ン グ で き な い 。 無 論 これ は極 端 す ぎ る例 で は あ る が 無 意 識 的 な視 覚 行 為 が 自 由歩 行 に大 きな 影 響 を与 え る こ と は 、相 違 な い。 ◎ 視 覚 頻 度 レベ ル 「 見 る 」 行 為 と「 見 え る 」 行 為 が 存 在 す る と し て 、 そ れ ぞ れ が 視 覚 可 能 な 空 間 の 中 で 一 様 な 頻 度 で 存 在 して い る だ ろ う か 。 特 に 意 識 的 な 行 為 で あ る「 見 る 」 こ と 注 視 に 注 目 し て み る。 歩 行 中 に 最 も 多 く注 視 して い る 対 象 は 、 人 間 で あ る 。 そ の

41


理 由 と して は 、 対 人 的 な 接 触 の 回 避 が 歩 行 中 の 最 優 先 す る 目 的 だ か ら で あ る 。 (対 物 的 に も 自 分 の 安 全 を 妨 げ よ う と す る も の に は 人 間 以 上 に 注 視 が 行 わ れ る が )次 に 歩 行 空 間 を 歩 行 者 か ら見 て お お まか に、 下 方 、前 方 、右 方向 、左方向 、上方 の 五 つ に分 割 して み る と 、 まず前 方 、次 に 右 方 向 (左 方 向 ) そ して 下 方 、 上 方 と 続 く。 た だ し 一 定 距

tftS: 56

> TD

>rrl

頻 度:前 ヵン左右

離距 離 の離 れ た注視 は、 全 て前方 に対 す

図 2-7

視覚頻度

る注 視 と い つ て も よ

い と 考 え られ る 。 前 方 に 対 す る注 視 頻 度 が 高 い の は 、 歩 行 方 向 上 に 存 在 す る多 種 多 様 な し ょ うが いぶ つ を 回 避 追 い越 し、 しな け れ ば な ら な い た め に 必 要 な 行 為 で あ る と と も に 、 歩 行 方 向 を 決 定 す る た め の 指 向 性 を た か め る タ ー ゲ ツ トを 視 認 す る行 為 が 必 要 だ と い う こ と が そ の 要 因 と な る 。 ま た 下 方 に つ いて は 、足 元 の 路面 の 状 況 の悪 化 に ともな つて 注 視 の 頻 度 が 高 くな る。 前 方 と 同 様 に 、 段 差 や ご み 、 穴 な ど 歩 行 の 障 害 と な る 対 象 を 回 避 した り 、 対 応 し た ボ デ イ ー バ ラ ン ス を 取 る た め に 注 視 が 行 わ れ る 。 た と え 路 面 が 平 面 で あ つ て も 凍 りつ い た 冬 の 朝 な ど は 、 下 を 向 い て 歩 行 して い る人 を 多 く見 る こ と で も 、 下 方 に 対 す る注 視 の 性 格 が 伺 わ れ る 。 横 方 向 へ の 注 視 は 、 側 方 か らの 突 出 した 障 害 物 へ の も の が そ の 殆 ど だ と い え る 。 (歩 行 に 関 係 な い 目 的 の た め の 注 視 は 除 く )上 方 へ の 注 視 は 興 味 的 に風 景 を見 る と い う 目的 に夜 もの が そ の大 半 を し め 、 直 接 歩 行 に 係 わ る注 視 は少 な い 。

42


この よ う に 注 視 の 頻 度 が 考 え られ る わ け で あ る が 、 そ の 周 辺 に あ る 無 意 識 的 な 認 知 が 歩 行 環 境 に 強 く影 響 す る こ と は 後 に示 す こ とに す る。

と J る え 見 F

た 際 う ま 実 ろ ヽき あ に と で 的 の の 識 こ る 意 o い を る て 素 す し 要 動 知 な 行 認 々 を で 様 内 式 の 間 形 内 空 な 間 ら う 空 が よ て な の つ し

知 を 認 素 に 要 的 の 識 内 意 間 毎ヽ 空 は に

見 を 料 果 結 査   ヽ 調  は る   に す   因 要 対 , に   る 量   え 軽   見 な   て 的   つ 理   ま 心   と る   ま す

対 に 間   の 空   素 の o要 こ る 間 o み 空 ︱︱ か て

(e)

(d)

1 > 0  ‘

0 ▲I

。。   ∃

c <

群化 の要因*2

図 2-8

3

`●

4

││1 1

:

コEコ

Eコ E

ヨ る 見 r に う よ た べ の で 項 為 よ 行 に 覚 為 視 行 ヽ覚 は 視 人 う い

集 合

0 ● ●

0

覚機能 とイメージ■

2-2知 ■

◎空 間 に対 す る イメージ

(a)

●近 い もの ど う し

● 類 似 した対 象

43


● 閉 じた領 域

● な め らか な 連 続 を示 す 対 象

●簡 潔 な形 状 をなす対 象

●運動 や変化 の運命 を ともになす対象

全 体 的 に 簡 潔 で 秩 序 あ る た い し ょ う が ま と ま り を な して い る よ う に視 認 す る。 ま た 奥 行 き知 覚 に 関 す る 調 査 結 果 に よ る と 、 視 覚 に よ る 奥 行 き知 覚 の 要 因 は 、 ● 網 膜 像 が 、 大 き い程 近 くに あ る よ う に 見 え る 。 ●複 数 の 直線 が一点 に収 東 す る と き、 収 東 点 に 近 い所 が 遠 く

見 え る。

a.大 きさ関係

b・ 線遠近 法的配置 C.き めの密度の 勾配 d。 重 なり合い

● きめ の 密 度 に 変 化 が あ る と き 、 きめ の 粗 い ほ う が手 前 に見

図 2-9

奥行 きの知覚 *2

え る。

● 輪 郭 線 が 重 な りあ う と き 、 輪 郭 線 が 中 断 し た ほ う が

奥に

見 え る。

以 上 の よ うな こ とが 挙 げ られ て い る。 形 (パ タ ー ン )の 認 知 は 、 二 つ の モ デ ル が 考 え られ て い

44


る 。

鋳型 照合 モデル

特徴分析モデ ル

前 者 は 、 視 覚 か ら入 力 さ れ た 情 報 を 長 期 記 憶 内 の 鋳 型 パ ター ン に 照 合 し、 そ の 鋳 型 に あ て は ま る と、 鋳 型 に つ け ら れ て い るイメー ジ を知 覚 す る モデル であ り

≧〕羽匡許⇒人一医峯⇒嘔ゴミト→話驚 的型照合モデルにおける前処理 (Llnd“ y&Norman3

後 者 は、視覚

特融デーモン

197つ

L・ 力:テ ーモン

入 力 情 報 を多 種の要素

(特 徴 )の 集 合 と して 扱 い、 その要素それ ぞ れ に専 属 の

ィメーン デーモン

伝達者 が各情 報 を要 素 の特 徴の度合 いに 応 じて 伝 達 し、 そ れ らを総 合 して イ メ ー ジ を判 断 す る機

′tン ディモニアム・ モデル (L:nd“ y&N●rm● ■,1977)

図 2-10

パ ター ン認知モデル*2

能 を持 つモデ ル で あ る。 いず れ も空 間 の パ ター ン を記 憶 の 中 に あ る イ メ ー ジ に 対 応 さ せ て 知 覚 す る モ デ ル で あ り、 形 の 知 覚 が 経 験 に よ る 記 憶 に よ っ て 惹 き起 こ さ れ る イ メ ー ジ で あ る こ と が う か が え る。

45


遠 くに 見 え る も の は 、 視 覚 像 と して は小 さ く 映 って い るはず な の に、 知覚 イメージで はほぼ そ の 大 き さ を 理 解 して い る。 これ は、大 き さ の 恒 常 性 と呼 ば れ る。 この 恒 常 性 は周 辺 の距

図 2-11

離 につ いての手掛 か り

大 きさの恒常性*2

が 多 くな る に つ れ て 顕 著 に な る 。

◎知覚体験 の内化 空 間 か ら知 覚 機 能 に よ つ て 入 手 し た 情 報 は 、 イ メ ー ジ と し て 心 的 内 面 に お い て 発 達 して い く。 こ れ は 、 空 間 の 情 報 と い う 外 的 な 体 験 を イ メ ー ジ と して 内 化 して い く こ と に ほ か な ら オ 賞い 。 知 覚 さ れ た 外 的 情 報 に 対 す る一 次 的 の イ メ ー ジ は 、 そ の 知 覚 した 情 報 を 再 度 復 原 す る こ と に あ る。 歩 行 に 対 す る も の と して は 、 認 知 地 図 、 い わ ゆ る メ ン タル マ ッ プ を生 じさせ る要 求 へ の適応 が内化 さ れ た一 次 的の イメー ジ だ と い う こ とが で き る。 しか しさ ら に イメージ の内化 が進

: 図 2-12

図 8 小学校 2年 生 の絵

メンタルマ ップ*3

む と、 そ の歩 行 中 に 感 じて い た情 意 や 欲 求 な ど が イ メ ー ジ さ れ 、 さ ら に は 、 そ の

´

46


情 意 欲 求 に まつ わ る 自 己 像 な ど が イ メ ー ジ 上 に 現 れ て 来 る 。 この よ うな もの を二 次 的 な イ メ ‐ ジ の 内化 とい う。 一 次 的 な イ メ ー ジ は 空 間 フ イ ー ドバ ッ ク さ れ て 、 個 人 の 意 識 的 行 動 の 原 動 力 とな る 。 歩 行 行 為 に お い て は 、 自 由歩 行 保 持 な どの た め の 自発 的 な 行 為 の 源 と な る イ メ ー ジ な わ け で あ る 。 また 二 次 的 な イ メ ー ジ は そ れ 自体 が 、 外 的 情 報 との 関 連 性 か ら離 れ て 行 く こ と に よ っ て 生 じ る も の で あ る か ら、 外 的 に は た ら い か け る 傾 向 は 低 くな っ て く る 。 空 間 環 境 に 対 し て 世 間 一般 で言 わ れ て い る イメー ジ とは、 この二 次 的 な イメ ー ジ で あ る と言 っ て よ い で あ ろ う。 二 次 的 な イ メ ー ジ は 、 一 次 的 な イ メ ー ジ と違 つ て 外 的 な 行 動 に フ イ ー ドバ ク さ れ る こ と が 少 な く、 体 験 と して 記 憶 情 報 と の 融 合 を 図 る よ うな も の な の で あ る。 。 よ うす る に 内 面 的 に環 境 を個 人 的 な イメー ジ で受 け止 め 、心 的 な負 荷 を与 え ら れ る受 動 的 性 格 の 傾 向 が 高 い と い うわ け で あ る。

*1池 *2木 *3井

田光 男「 視 覚 の心 理 物 理 学 」森 北 出版 村 忠 雄 他「 人 間行 動 の心 理 」福 村 出版 田 卓 造 「 主 観 の 幾 何 学 」 建 築 士 と実 務

'871

オ ー ム社

47


2-3歩

行 行為 中 の内 面 的負 荷 ■

◎ 内 面 的 負 荷 の考 え 方 前 項 で 述 べ た よ う に二 次 的 に 内 化 さ れ た イ メ ー ジ は 、 人 の 内 面 に負 荷 を与 え る。 この イメー ジ は外 的 な行 動 に反 映 さ れ る こ とが少 な いた め に、 現 象 の観 察 の上 で は そ の効 果 を確 認 す る こ と が 難 し い 。 こ れ は 、 先 に 述 べ た お さ ま りや 指 向 性 の 度 合 い を測 る こ と が 困難 で あ る と い う こ と と同 様 で あ る。 そ こ で この 二 次 的 な イ メー ジ に よ る負 荷 を定 量 的 に あ らわ す こ と に よ っ て 、 お さ ま りや 指 向 性 を 明 か に す る こ と が で き な い か と い う予 想 が 生 ま れ て く る 。 そ の ため に は、 二 次 的 な イメー ジ の 定 量 化 の 方 法 が必 要 と な る。 そ の 前 に 二 次 的 な イ メ ー ジ の 性 格 を よ り明 確 な も の に し て お き た い 。 二 次 的 な イ メ ー ジ は 外 的 な 体 験 を 内 化 し、 ま た 記 憶 情 報 と の 融 合 と い う発 達 の 段 階 を ふ ん で 発 生 す る わ け で あ る か ら、 融 合 し う る 記 憶 情 報 の 内 容 と い う も の が そ の 重 要 な 要 因 とな る こ とは 相 違 な い。 本 来 、

ば た ま 臨ジ ヽ

記 憶 は個 人 個 人 の 生 活 のなか で積み 重 ね られ て き た も ので 、それ にか ら ん で くる二 次 的 な イメージ は多種多 様 、一つの モデル と して 定 量 化 の 方 向 に も つて い くこ

2-13

二次的な イメージ

48


と は 困 難 で あ る と考 え ら れ る 。 そ こ で 、 ま ず 内 面 的 負 荷 と し て 最 も 基 本 的 か つ 一 般 的 に 共 通 す る 記 憶 情 報 と して 扱 え る も の 、 す な わ ち 潜 在 的 な 人 間 の 空 間 に 対 す る知 覚 イ メ ー ジ を 負 荷 の 要 因 と して 考 え て 行 く こ と が 望 ま し い 。 で は 、 潜 在 的 な 空 間認 知 イメー ジ を定 量 化 す る こ と に つ い て考 え て み る。 イ メ ー ジ か ら内 面 的 負 荷 へ の 影 響 効 率 は 、 個 人 個 人 に よ つ て変 わ る。例 えば 、多数 の 人 が 同 程 度 の物 理 的 空 腹 状 態 に あ る と き、 心 理 的 な空 腹 感 が 全 て の 人 に一 様 に現 れ る と は考 え が た い し 、 ま た そ れ ぞ れ の 空 腹 感 に 対 す る不 満 の 度 合 い も 千 差 万 別 で あ る と 考 え られ る 。 で あ る か ら多 種 多 様 な 人 間 の 内 面 的 負 荷 を絶 対 的 に 定 量 化 す る こ と は 、 不 可 能 に 近 い 。 しか し、 個 人 の 範 疇 で 、 く心 身 と も に 健 康 で あ る と し て ) 物 理 的 空 腹 と心 理 的 空 腹 感 と は 、 一 定 の 関 係 が 存 在 す る と思 わ れ る。 また個 人 個 人 の 間 で この 一 定 の 関 係 が絶 対 量 的 に違 っ て も 、 様 々 な 心 理 状 態 に 対 応 す る 一 定 関 係 ど う しの 相 対 的 な 関 係 は 、 類 似 す る も の と考 え ら れ る 。 よ う す る に 、 あ る レ ベ ル の 空 腹 と い う イ メ ー ジ に対 す る内 面 的 負 荷 を

100と

た 場 合 、 あ る レベ ル の 満 腹 と い う イ メ ー ジ に 対 す る 内 面 的 負 荷 が 20と な る と い つ た よ う な 、 各 イ メ ー ジ に よ る 内 面 的 負 荷 の 値 が 相 対 的 に は 、 一 般 的 な も の と して 扱 っ て よ い と す る わ け で あ る。

◎欲求 と内面 的 負 荷 あ る欲 求 が 心 理 的 に存 在 す る と き 、 人 は そ の 欲 求 を 解 消 す る よ う な 目 的 行 為 を 行 う 。 も しそ の 欲 求 を 解 消 す る 目 的 行 為 が 行 え な い 場 合 、 そ れ は ス ト レ ス と して 内 面 に 蓄 積 さ れ る 。

49


この ス トレスが 内 面 的 負 荷 と して 扱 わ れ る も の で あ る と考 え られ る 。

ス トレスの 大 き さ は 、 そ れ を惹 き起 こす も と に な

る欲 求 の 種 類 に よ って 変 わ る 。 人 間 に と っ て の 欲 求 の 必 要 度 の 高 さ が 高 くな る に つ れ ス ト レ ス も 大 き く 成 っ て 行 く。 こ こ で 、 そ の 欲 求 の 度 合 い を 示 す も の と して 、 マ ズ ロー の 欲 求 五 段 階 説 を 取 りあ げ て み る 。

1。

生 理 的欲求

2.安

全 の欲求

3.所

属 と愛 情 の 欲 求

4。 尊 敬 の 欲 求

5。

自己表 現の欲 求

マ ズ ロ ー は 、 こ の 順 序 で 人 間 の 欲 求 が 階 層 化 して い る と考 え た わ け で あ る 。 ま た 松 田 正 一 は 、 こ の 分 類 を 基 本 と して さ ら に心 理 的 な 内 容 を加 え た 次 の よ う な 分 類 を 行 つ て い る 。 A◆ 生 理 的 欲 求 :個 の 生 存 や 種 の 保 存 に 関 す る欲 求

E健 康・ 安 全 。性・ 弱 者 保 護 etc.] B。 情 意 的欲 求

:感 情 な どの 心 理 に 関 す る欲 求 E美 。慰 安 娯 楽・ 愛 。孤 独 。自 己 顕 示 。コ ミ ュニ ケ ー シ ョン etc。 ]

50


C.精

神 的 欲 求 :精 神 的 向 上 を 志 向 す る欲 求

E子 女 教 育・ 共 用・ 創 造 etc。 ]

De社

会 的 欲 求 :社 会 集 団 の 人 間 の 欲 求

E就 職・ 和 合・ 自 己 主 張・ 支 配 優 越 etc。

]

自 由 歩 行 中 に 起 こ る 回 避 行 動 、 追 い 越 し行 動 そ して 空 間 モ デ ュール の 保 持 行 為 は、 個 の生 存 と まで極 端 で は な い に しろ 接 触 に よ る危 険 か ら 自分 を 守 る 一 つ の テ リ トリ ー 的 な 空 間 の 保 持 す る 行 為 で あ る と思 わ れ る 。 こ の よ う な 見 方 か ら す る と こ れ らの 外 的 な 行 為 に 現 れ る 二 次 的 な イ メ ー ジ に よ る ス ト レ ス は 、 生 理 的 欲 求 に 近 い も の と 考 え られ る 。 二 次 的 な イ メ ー ジ に よ る ス ト レ ス は 、 空 間 か ら認 知 さ れ た 一 次 的 な イ メ ー ジ を潜 在 的 空 間 認 知 イメ ー ジ に よ つて 内 的 に 感 情 処 理 さ れ た イ メ ー ジ で あ る わ け だ か ら、 一 種 の 情 意 的 欲 求 で あ る と考 え る こ とが で き る。 欲 求 の 段 階 か ら見 る と 生 理 的 欲 求 は 情 意 的 欲 求 よ り高 い 欲 求 で あ る と Sれ て い る 。 と い う こ と は 、 欲 求 と い う 面 か ら見 て も、一 次 的 な イメー ジ に よる内 面 的負 荷 の ほ うが 、二 次 的 な イ メ ー ジ に よ る 内 面 的 負 荷 よ り大 き い と い う こ と が で き る 。 歩 行 空 間 内 で 歩 行 者 が 感 じ る お さ ま りが 先 に 述 べ た 「 見 え る 」 「 記 知 して い る も の 」 で あ る と い う こ と は 、 回 避 行 為 な ど の 外 的 に 現 れ る イ メ ー ジ で は な い と現 象 的 に も 内 面 的 に も ほ ぼ 理 解 で き る こ と が わ か つ た 。 しか し 、 こ の お さ ま り感 が 行 動 に見 え な い二 次 的 な イ メー ジ に よ る内 面 的 負 荷 で あ る こ と も 同 時 に 理 解 で き る。 で は 、 二 次 的 イ メ ー ジ が 形 成 す る お

51


さ ま り感 を ど の よ う に 具 現 化 して い け ば よ い の で あ ろ う か 。

2-4イ

メー ジ に よ る 内 面 的 負 荷 の 定 量 化 方 法 ■

◎ 物 理 的 モデ ル ヘ の変 換 い わ ゆ る心 理 量 を測 る 場 合 、 そ の 行 為 の 目 的 が 極 め て 明 白 な こ と が 望 ま れ る 。 しか し通 常 の 自 由 歩 行 に お い て そ の よ う な 状 況 は 設 置 しが た い 。 だ か ら 一 般 的 な 空 間 内 の イ メ ー ジ モ デ ル に 適 用 さ れ るパ ラ メ ー タが 純 粋 な 心 理 学 的 な 心 理 量 に 対 す る そ れ に く らべ て は る か に お お ま か で あ る こ と を 始 め に 述 べ て お く。 ま ず イ メ ー ジ に よ る 内 面 的 負 荷 を ど の よ う な 物 理 量 と して 想 定 す るか 。 物 理 的 な 現 象 は 、 そ の す べ て が「 力 」 に よ つて 生 じ る。 そ の 力 に は 、 接 触 して い な け れ ば 働 か な い 「 力 」 と接 触 して い な くて も 働 く「 力 」 に 分 け ら れ 、 そ れ らが 多 様 に 組 み あ わ さ っ て 一 つ の 現 象 と な るわ け で あ る。 イ メー ジ に よ る内面 的 負 荷 に お いて も、外 的 な行 動 に再 起 さ れ る 対 人 的 一 次 的 な イ メー ジ な ど は 、 現 象 的 に 力 学 的 側 面 が 何 わ れ る 。 回 避 、 追 い 越 し、 空 間 モ デ ュ ー ル の 保 持 な ど の 一 次 的 イ メ ー ジ に よ る行 為 は 、 距 離 に 対 応 し て 内 面 的 負 荷 が 増 大 し 、 そ の 内 面 的 負 荷 が あ る 値 を 超 え る こ と に よ つ て (生 理 的 欲 求 を 侵 す )、 外 的 行 為 の 発 生 に 結 び つ く と い う過 程 が 、 欲 求 充 足 の 考 え 方 よ り想 定 さ れ る 。 しか し こ の 対 人 的 一 次 的 な イメー ジ は、「 見 る」 「 認 知 す る」行 為 に よ るもの で あ る わ け だ か ら 、 そ の 要 因 が 働 く範 囲 は 、 有 効 視 野 に 見 られ る よ 二 壼 距 離 に 阻 壼 さ れ る と考 え られ る。 と う な 一 字 の 値 域 か つ三

い う こ と は J出畳 L」 鯉 聾 に 生 土 三 2に よ る 内 面 的 負 荷 を あ る

52


力 に よ る も の と考 え るな らば 、 そ の 「 力 」 は 、 接 触 を 必 要 と す る「 力 」 で あ る と 考 え ら れ る 。 で は 二 次 的 な イ メ ー ジ に よ る内 面 的 負 荷 は物 理 的 に ど う解 釈 で き る だ ろ うか 。 二 次 的 な イメ ー ジ は、 そ れ に よ る内 面 的 負 荷 に よ っ て 外 的 な 行 動 を 惹 き起 こ さ な い と仮 定 して き た 。 し か し、 二 次 的 な に イ メ ー ジ して も 「 見 え る 」 「 認 知 し て い る 」 行 為 に よ つ て 惹 き起 こ さ れ る も の で あ り、 ま た お さ ま り と い う 物 理 的 に 言 え ば 「 力 」 の 均 街 を 作 り出 す 要 因 と な る も の な の で あ る か ら 、 何 ら か の 「 力 」 が 関 係 して き て お か し く な い は ず で あ る。 た だ し、 こ の 「 力 」 は一 次 的 な イ メ ー ジ に よ る 「 力 」 と 違 っ て 人 に 直 接 的 に 影 響 を 与 え る も の で は な く、 人 を 内 包 す る空 間 の 状 況 と して 顕 在 化 し、 そ の 顕 在 化 し た状 況 が人 の 二 次 的 な イ メー ジ に よ る内 面 的負 荷 にデ ー タ を与 え る も の と 考 え る と 都 合 が よ い 。 つ ま り、 二 次 的 な イ メ ー ジ に よ る 内 面 的 負 荷 に つ な が る 「 力 」 は 、 人 の 周 辺 に 存 在 し空 間 要 素 に よ つて そ の 値 を決 定 した あ と人 の 空 間 認 知 イ メ ー ジ の プ ラ ッ クボ ック ス の 中 に入 力 さ れ 、 処 理 後 、 出力 され て 始 め て 内化 さ れ る と い う こ とで あ る。 この よ うに 考 え る と、 一 次 的 な イ メー ジ に しい て も二 次 的 な イ メ ー ジ に して も「 力 」 と して 物 理 的 モ デ ル に 変 換 し よ う と す れ ば 、 空 間 へ の 記 知 と い う作 用 に 対 す る反 作 用 の よ う な も の と し て 扱 う と説 明 が つ き や す い と考 え ・ら れ る 。 さ て 、 対 物 的 一 次 的 な イ メ ー ジ と指 向 性 に つ い て 考 え て み る。対 人 的 一 次 的 な イメー ジ に つ い て は先 に説 明 した が 、 対 物 的 な も の に つ い て は少 々対 人 的 な もの と は異 な つ た様 相 を 呈 す る。 対 人 的 な も の は 、 一 定 距 離 以 上 に な る とそ の 効 果 は 極 端 に 軽 減 さ れ る。 この こ と は 、 対 物 的 な も の で も 同 様 で あ るが 、 一 定 距 離 以 上 離 れ た場 合 、 物 体 は指 向性 を惹 き起 こす 対 象 とな るが 、 人 間 で は そ の 対 象 とな る こ とが 極 め て 少 な い

53


の で あ る 。 こ れ は 人 間 が 必 ず 何 らか の 目 的 行 為 を 保 有 して い る ため に 目標 と して の不 動 性 が期 待 で きな い こ とが そ の要 因 と な る。 指 向 性 が 吸 引 力 的 性 格 を持 つ とす る と、 対 物 的 一 次 的 な イ メ ー ジ は 、 あ る 距 離 を も つ て 反 作 用 か ら指 向 性 (吸 引 力

)に 変 化 す る わ け で あ る 。 し か し 、 反 作 用 や 指 向 性 が 距 離

の み に よ つ て 変 化 す る と 仮 定 す る と 、 同 じ距 離 に あ る 巨 大 な ビ ル と 小 さ な モ ニ ュ メ ン トが 、 同 じ よ う に 反 作 用 も し く は 指 向 性 を生 む こ と に な る。 こ れ は 、 お か しい 。 これ は 対 象 物 の 大 き さ を 考 慮 して い な い た め で あ る 。 も つ と も 、 視 覚 上 網 膜 に は 平 面 と して 映 っ て い る の だ か ら 、 大 き さ は 面 積 と 考 え た 方 が 適 当 で あ ろ う 。 ま た 同 じ面 積 で も 縦 長 か 横 長 か で そ の 反 作 用 。指 向 性 が変 化 す る。 そ の ため 、面 積 に加 え縦 横 比 も 、 反 作 用 か ら指 向 性 へ の 変 化 の 要 因 と して 扱 わ な け れ ば な ら な い と考 え ら れ る 。

◎具体的 な「力」 の仮定

1.対 人 的 一 次 的 な イ メ ー ジ に よ る 内 面 的 負 荷 (対 人 的 な 「 見 る 」 「 認 知 す る 」 行 為 に よ り発 生 ) ○

一 定 距 離 内 に お い て 、 注 視 視 覚 と い う作 用 が 対 象 に接 触 す る こ とに よ つて起 こ っ た反 作 用 。

2。

一 定 距 離 内 で は 、 距 離 に反 比 例 す る。

対 物 的 一 次 的 イ メ ー ジ に よ る内 面 的 負 荷 (「 見 る」 「 認 知 す る 」 行 為 に よ り発 生 ) ○

距 離 。対 象 物 面 積・ 対 象 物 縦 横 比 を バ ラ メ ー タ に 賞U

′”


持 ち 、 これ らの 値 に よ って 注 視 行 為 の 作 用 に対 す る 反 作 用 も し くは 、 指 向 性 (吸 引 力 )と な る 。

O

対 象 と な る面 積 は 、 「 地 」 に 対 し て 「 図 」 に な る もの とす る。

3.二

次 的 な イメー ジ に よ る内面 的負 荷

(「 見 え る 」 「 認 知 して い る 」 行 為 に よ り発 生 )

0

人 間 の 周 辺 に 存 在 す る 固 有 の テ リ トリ ー 的 空 間 が 実 際 の 空 間 に 内包 され変形 す るこ とに よ って 、空 間 の 要 素 か ら受 け る 圧 力 的 反 作 用 、 も し く は 膨 脹 力 的作 用 を、 空 間 認 知 イメー ジ に よ って 内化 され

'た も の ○

内 化 さ れ た イ メ ー ジ に よ る感 情 は 、 言 語 評 価

以 上 の よ う に 内 面 的 負 荷 を物 理 的 な 「 力 」 に 置 き換 え る こ と を 仮 定 して 、 実 際 の モ デ ル 、 デ ィメ ン ジ ョ ン に つ い て は 、 次章 で の べ るこ とにす る。

55


第二章

歩 行 _空 間 系 イ メ ー ジ モデ ル ■ 対 人 二 次 的 イ メ ー ジ モデ ル ■ 対 物 一 次 的 イメ ー ジ モデ ル ■対 空 間 二 次 的 イ メ ー ジ モ デ ル

56


3-1対

人 一次的 イメージモデル ■

対 人 的 な 注 視 行 為 に よ っ て 惹 き起 こ さ れ る 一 次 的 な イ メ ー ジ に よ って発 生 す る内 面 的負 荷 を モ デ ル で 表 わ す 。

【影 響 力 】 行 動 の 変 化 ― ― ― ― -1。 歩 行 速 度 の 減 少

2.歩

行 方 向の変 化

人 間 を 大 き さ と質 量 を 持 つ 一 つ の 物 体 と 考 え る と 、 速 度 の 減 少 、 方 向 の 変 化 と い う現 象 は 、 物 体 に物 理 的 な 力 が 働 い て い る こ と と似 て い る 。 前 章 の 終 わ りで 述 べ た よ う に 、 対 人 的 一 次 的 な イ メ ー ジ に よ る「 力 」 は 、 接 触 を 必 要 と す る「 力 」 で あ る か ら、 こ れ は 力 学 的 な 力 と 類 似 して い る と想 像 で き る 。 歩 行 速度 の 減 少 が空 間 モデ ュール の減 少 に伴 って起 き る。

V=90-45/(M+0.5) V:歩 M:空

(m/分 ) 間 モ デ ュ ー ル (m2/人

行速度

)

この 関 係 式 の 中 で空 間 モ デ ュール が減 少 す る こ と に対 応 し て歩 行 速 度 が 減 少 す る変 化 率 が 、 力 学 的 に言 えば 加 速 度 に 当 た る も の で あ る と考 え ら れ る 。 こ の 変 化 率 は 空 間 モ デ ュ ー ル を変 数 とす る式 で表 わ さ れ る。

57


a=180/4M2+4M+1 a:M― V変 化 率 (人 /m分 ) M:空 間 モ デ ュ ー ル (m2/人 ) ま た 、 あ る空 間 モ デ ュー ル で の 対 人 的 な 間 隔 を 示 す と 、

x〓 (0。 93M-0.11)1′

y=(0。

18)1′ 2

37M+0。

x:前 y:左 M:空

後 間隔 右間隔

2

(m) (m)

間 モデ ュ ール

(m2/人 )

こ の 前 後 間 隔 、 左 右 間 隔 か ら あ る空 間 モ デ ュ ー ル で の 対 人 間 隔 の 境 界 を式 に す る と

+

=137M+0.18)1′ 2

こ の 各 空 間 モ デ ュー ル の 形 を 成 す 輪 郭 線 上 に 人 が 存 在 した

V変 化 率 が 本 人 に 与 え られ る わ け で あ る 。 た だ し斜 め 方 向 に い る 人 に 対 す る M―

場 合 、 各 空 間 モ デ ュ ー ル に 対 応 す る M―

V変 化 率 は そ の 角 度 θに 対

して cos θ を 乗 じ た 値 が 歩 行 方 向

との 逆 方 向 に か か る。 ま た 歩 行 方 向 の 変 化 で は 、 左 右 方 向 に

A COS2 θの M―

V変 化 率 が 働 くた め に 歩 行 方 向 の 変 化 が 起 こ

る 。 た だ し 、 Aは 定 数 で 、 そ の 値 が 明 か に な つ て い な い 。

58


自 由歩 行 に必 要 最 低 限 な 空 間 モ デ ュール は 、

4m2/人

さ れ て い る。 と い う こ と は 、 対 人 的 一 次 的 な イ メ ー ジ に よ る 影 響 が 現 れ る の は 4m2/人 あ る と考 え られ る。

の 中 に 人 が 存 在 して い る と き で

で は 、 空 間 モ デ ュー ル

4m2/人

のモ

デ ル を 図 示 して み る と次 の よ う に な る。 左 間 隔 (m)1。 3

Fhx=-2。 2cos

θ

/ Fhソ

図 3‐

==Acos2

θ /81

右 間 隔 (m)1。

3:

l M=4の

と き の 内 面 的 負 荷 Fh田 と Fhソ

ち な み に 、 正 面 方 向 に 1。 効視野

m2/人

20度

9m離

れ た人 間楕 円 の 幅 は 、 有

と ほ ぼ 一 致 す る 。 こ れ も 空 間 モ デ ュ ー ル 4。

0

が 自 由 歩 行 の 限 界 で あ る 理 由 と も 考 え られ る 。

59


空 間 モ で ュ ー ル 4m2/以 下 で は 、 さ ら に 強 い 内 面 的 負 荷 が 起 こ る 。 そ こ で 、 空 間 モ デ ュ ー ル 4m2/人 以 下 に 人 が 存 在 す る場 合 の 対 人 的 一 次 的 な イ メ ー ジ に よ る内 面 的 負 荷 の モ デ ル を示 す。 左 間 隔 (m)

(0。

Fh澪 =‐

37M+0。 18)1′ 2

180cosfh2+4

θ

2 (0 93χ ‐0◆ 1)1′

前 後 間 隔 (m)

Acosz 0

変化方向

4M2+4M+1

(0。

37x+0.18)1ノ 2

右 間 隔 (m)

図 3‐

2 Mく

4m2ノ 人 の Fh“ と Fhソ

空 間 モ デ ュ ー ル 4m2/人 以 下 の 状 態 、 つ ま り群 集 の 流 動 で は 、 図 5‐ 2の よ う な 空 間 モ デ ュ ー ル に 対 応 し た モ デ ル が あ る わ け で あ る 。 た だ し、 群 集 と して で な く と も 人 が 、 あ る 一 定 距 離 に 近 づ い た場 合 、 そ の 間 隔 に 相 応 し た 空 間 モ デ ュ ー ル の 内 面 的 負 荷 が 作 用 す る 。 距 離 に 対 応 す る空 間 モ デ ュ ー ル を

60


図 示 す る と次 の よ うに な る。

左間隔

(m) 1. 5

2。

0 前後問r扁

0

1。

(Irl)

図 3‐ 3

Fh"の 距 離 に よ る 変 化 (θ =0) 5 E: :45 3.。 マ F: :20 2.31 :11025 G:

:

7。 2

H :

2.2L(人 /m分 )

●U

1■


さて 、 平 面 的 な 対 人 的 イ メ ー ジ モデ ル の 有 効 範 囲 につ い て は 先 に 示 し た 通 りだ が 、 立 面 的 も し くは 断 面 的 に は ど う で あ ろ う。 そ こで 歩 行 平 面 の 勾 配 の 資 料 を考 え て み る 。 勾 配 に よ る歩 行 速 度 の 減 少

勾配

歩行速度

5% 5%∼ 10% 20%

0 %減 11.5%減 25 %減

少 少 少

俯角

垂直距離 (cm)

200

20度 10度

上視覚 30

5度 /

60度

50

100

150

200 前後間隔

図 3‐ 4

(cm)

対 人 イメー ジ モデ ル の断 面

62


3-2対

物 一 次 的 イメージモデ ル ■

対 物 的 な 注 視 行 為 に よ っ て 惹 き起 こ さ れ る一 次 的 な イ メ ー ジ に よ っ て 発 生 す る内 面 的 負 荷 を モ デ ル で 表 わ す 。 対 物 的 な 注 視 行 為 に よ る 内 面 的 負 荷 が 、 あ る場 合 に は 反 作 用 と して 歩 行 行 為 を 妨 げ 、 ま た あ る場 に は 吸 引 力 と して 歩 行 行為 の 指 向性 を助 長 す る こ とは、先 に にべ て きた。 こ こで は 、 そ れ ら の 「 場 合 」 と い う も の が 定 量 化 の た め に ど う表 現 で き て い る か を示 す こ と に す る 。 前 章 で バ ラ メ ー タ と して 予 測 さ れ た 二 つ の 要 素 に つ い て 考 え て み る。

距離 距 離 が 遠 くな れ ば な る ほ ど 、 反 作 用 は 減 少 し 、 逆 に 指 向 性 は 増 大 す る と考 え ら れ る 。 しか し 、 こ の 考 え 方 は 対 象 物 の大 き さ に よ つて 、距 離 との 関 係 が 変 化 す る こ とが あ り、 単 独 で は 成 り立 た な い 。

面積 面 積 が 大 き い ほ ど反 作 用 が 増 大 し、 小 さ い ほ ど 減 少 す る こ と が 予 測 で き る 。 しか し、 こ れ も 同 面 積 で は 距 離 の 要 素 が 絡 み 、 や は り単 独 で は 成 り立 た な い 。 こ れ よ り、 距 離 、 面 積 を 同 時 に バ ラ メ ー タ と して も ち う る

必 要 が あ る と 考 え られ る 。

63


縦横比

前 出 の 二 つの パ ラ メー タ に 加 え、 細 長 い者 が指 向 性 を高 め る傾 向 が あ る こ と を 考 慮 しな け れ ば な らな い 。 縦 横 比 が 大 き い ほ ど、 指 向性 が 増 大 す る。

簡 略 で は あ るが 少 な くと も 以 上 の 三 つ の 要 素 が 同 時 に満 足 す る方 法 が 必 要 な わ け で あ る 。

垂直方向 (度 )

10度

10度

注視点

水平方向 く 度)

図 3-5

3-5は

注視 に よる有効視野

、 注 視 行 為 に よ る 有 効 視 野 の 範 囲 を 表 わ して

い る 。 よ う す る い 対 物 的 一 次 的 な イ メ ー ジ を 発 生 さ せ る対 象 物 と は 、 こ の 視 野 範 囲 に内 包 さ れ て い る も の の み な の で あ る。 有 効 視 野 の 大 き さ は 距 離 が 遠 くな る に つ れ て 、 増 大 す る 。

距 離

=xの

と き

有 効視 野 の 横 幅

a=2xtan

θ

θ 〓 10°

a =2xtanlo° λ〓

0.353x

64


距離

=x

の とき

有効視野の縦幅 b

=2xtan

θ

θ =5°

b =2xtan5°

=0。 距離

=xの

とき

有効視野 の面積

S=π

175x

χ2tan5° tan10°

S=0。 048x2 あ る面 積 の 対 象 物 を徐 々 に 近 づ け て く る と、 あ る距 離 い た る と、 そ れ以 上 の 接 近 に嫌 悪 感 を覚 え る よ うに な る。 この距 離 で は 、 有 効 視 野 内 が対 象 物 で 塞 が れ た状 態 とな る。 と い う こ と は 、 あ る面 積 を持 つ 対 象 物 に よ って 、 有 効 視 野 内 が 充 填 さ れ る と い う こ と が 、 反 作 用 と 指 向 性 の 境 界 で あ り、 有 効 視 野 内 に 隙 間 が あ れ ば あ る ほ ど 指 向 性 が 高 く な り、 逆 に 充 填 後 は 、 距 離 が 近 くな れ ば な る ほ ど 反 作 用 が 大 き くな る と 考 え ら れ る。

(a)指 向性小

図 3-6同 面積 の距離 ―反作用 指向性

(b)指

向性大

(離 b>a>d>c)

65


さ て 、 指 向 性 が 有 効 視 野 面 積 に 対 す る対 象 物 の 面 積 比 に 関 与 す るの だ とす る と、 図

Fdは

3-7(a)の

よ うな と きの 指 向性

、 次 の よ う に 表 わ さ れ る。

(S/S。 -1) (S>S。 )

Fd=B。

Sは

Fd:指 S :有 S.:対 B :定

向性 効視 野面積 象物 面積 数

、 距 離 に よ って 求 め る こ と が で き るか ら、

S=0.048x2 F“

(0.04Rx2/s^_1)

=R。

1) Fr=‐ B。 (So/0。 048χ ‐

Fd=B。 (0.048x/So‐ 1)

(a)指 向性

(b)反 作用

図 3-7 Sと Soと の関係び よる指向性 と反作用 S.が 一 致 し た あ と は 、 反 作 用 に 変 化 す る わ け だ か ら

Sと Sは S。 以 上 で な け れ ば な Sが S。 以 下 の 場 合 は 、

Fr=―

B。

らな い 。 図

(S./S-1) (S<S。

3-7(b)の

よ うに

Fr:反 作 用 )

66


Fr=―

B。 (S。 /0。

048x・ 2_1)

上 の よ う な 式 で 、 反 作 用 を表 わ す こ とが で き る と考 え られ る 。 しか し 、 細 長 い 対 象 物 な ど は 、 全 体 の 面 積 を 有 効 視 野 内 に 入 れ る こ とが で きな い が 、 部 分 的 に は 、 有 効 視 野 の 範 囲 に は い り、 し か も そ の 面 積 は 有 効 視 野 の 面 積 よ り も 小 さ い の で 指 向 性 を生 じる。 で は 、 柱 な どの 縦 横 比 の 比 較 的大 き い対 象 物 に つ い て の 場 合 を見 て み る。

図 3-8

縦横比 の大 きい対象物の指向性

縦 横 比 大 き い対 象 物 で は 、 実 際 に は 図

3-8の

よ うに有 効

視 野 が あ て は め ら れ 、 S。 と して 有 効 な の は S´ の 面 積 で あ る 。 この よ うな 場 合 、 幅

dxの

有 効 面 積 S´ は 次 の よ う な 式

で 求 め られ る。

=0.031x2.arCSin(dx/0。

176χ )

そ して 、 縦 横 比 の 大 き い 対 象 物 か ら受 け る 指 向 性

Fd=B。

(1。

Fdは

55/arcsin(d"/0。 176x)-1) 67


逆 に 、 縦 横 比 の 小 さ い 対 象 物 (横 長 の 対 象 物

)

の有 効 面積

を S″ と す る と 、

S″

=0◆

031x2arCSin(dν

/0。

088χ )

縦 横 比 の大 きい対 象 物 と 同 様 に 、 縦 幅 dソ の 縦 横 比 図 3-9

縦横比のJヽ さ い対象物

の 小 さ い対 象 物 の 指 向 性 を 求 め る と 、 先 ほ ど と 同 じ様

な 形 で 式 が で る。縦 横 比 の 小 さ い 対 象 物 の 指 向 性

Fd=B・

(1。

Fdは 、

55/arcsin(dソ ノ0。 088x)-1)

とな る。 定数

Bに

つ いて は 、 各 一 次 的 な イ メー ジ に対 す る行 動 へ の

フ ィ ー ドバ ッ ク の 度 合 い を 示 す 定 数 で 、 個 人 的 な ば ら つ き が 大 き い 。 そ こ で 蛍 に 指 向 性 、 反 作 用 の ポ テ ン シ ャル の 比 較 を ′ 千ら nか ム げ ヽ

R=1ン

譜 字 し で 差 しま え な い 。

□ 対 物 イ メ ー ジ モデ ル が 適 用 さ れ る範 囲 対物 的一 次 的な イメージ に よる内面 的負荷 、すな わ ち指 向 性 、 反 作 用 が い か に して 定 量 化 さ れ る か を 予 測 して き た 。 こ の モ デ ル は 、 注 視行 為 が可 能 な 範 囲 で あれ ば 距 離 をバ ラ メー タ と して 負 荷 を定 量 化 で き る わ け で あ るか ら、 注 視 行 為 に よ っ て 対 象 物 を 認 知 で き る限 り こ の モ デ ル は 適 用 で き る と考 え られ る。

68


□ 図 と地 に対 す る考 察

有 効 視 野 の な か の対象 物 とは、 図 す る図 の こ と を い うわ け で あ るが

3-10の

よ うに地 に対

実際の空間では、有効視

野 の 中 に対 象物 の み が存 在 して い る こ と は 、 め ず ら し い 。 対 象 物 の 周 りに あ る地 の 部 分 に も 何 か し らの 像 が あ る は ず で あ る 。 しか し、 注 視 行 為 は 対 象 物 に焦 点 を合 わ せ るため

図 3-10

図と地

に 対 象 物 と 周 りの 像 と の 前 後 関 係 が あ る 場 合 周 りの 像 は 焦 点 が あ わ ず 、 ぼ や け て しま っ て い る。 そ の ため 、対 象 物 の 周 辺 に あ る像 は注 視 行 為 と して の 一 次 的 な イ メ ー ジ を誘 発 す る こ と が で き な い 。 つ ま り、 図 に 対 す る 地 と し て 存 在 す る こ と ぬ な るわ け で あ る。 し か し 、 前 後 関 係 で は 、 説 明 の つ か な い こ と が ご く簡 単 に 考 え られ る。 図

3-11

の よ う に 、 ビル の フ ア サ ー ド に 対 す る注 視 行 為 で は壁 面 の 面積 は有 効 視野 を は る か に 上 回 る 。 しか し、 反 作 用 を 感 じ な い 。 これ は 、注 視 の対 象 が ビ ル で は な く一 窓 だ っ た り す るか らで あ る。 窓 は視 覚 上 、 閉 平 面 で あ り、 認

知 イ メ ー ジ の 法 則 上 ま と ま っ た も の と知 覚 さ れ や す い 。 そ の た め 、 窓 以 外 の 複 雑 な 線 は 認 知 さ れ に く く地 と な り 、 窓 が 対

69


象 物 と して 図 と な る 。 そ し て 窓 面 積 が 有 効 面 積 と して 負 荷 に 関 係 して くるわ け で あ る。

□ 非 常 に縦 横 比 の 大 き い対 象 物

非 常 に縦 横 比 の 大 きい対 象 物 、 た とえば塔 な ど は 、 か な り 近 づ い て も指 向 性 が 減 少 しな い よ う に 感 じ る。 こ れ は 、 塔 の ど の 部 分 を注 視 して い るか に 関 係 して くる。 日の 位 置 に水 平 に 注 視 行 為 を行 って い け ば 、 必 ず いつ か は反 作 用 を 感 じ る 。 図 3‐ 12 の

B地 点 で の 水 平 方 向

の注視行為 が反作用 を 生 じた と き、 塔 の 頂 上 を 注 視 す れ ば 、 同 じ幅 で 距 離 が 増 え るの だ か

ら (距 離

=dB)負

荷 は指 向 性 に変 わ る。 極 端 な こ と を言 え

ば 、 塔 に くっつ い て 見 上 げ た 場 合 で も 、 そ の 注 視 行 為 は指 向 性 を持 つ と言 え るわ けで あ る。

70


3-3対

空 間 二 次的 イ メー ジ モデ ル ■

二 次 的 な イ メ ー ジ は 、 「 見 え る 」 「 認 知 して い る 」 行 為 と い う不 確 定 的 な も の か ら生 じ る た め に 、 対 人 的 イ メ ー ジ モ デ ル や 対 物 的 イメ ー ジ モデ ル の よ うに確 固 と した形 を持 たな い と考 え られ る。 ま た二 次 的 な イ メ ー ジ に よ る内 面 的 負 荷 が 歩 行 行 為 の 変 化 に は 、客 観 的 に影 響 を与 えな い とい う こ とか ら、 内 面 的 負 荷 が 直 接 、 人 間 に 作 用 しな い と考 え られ る 。 と い う ことは、対人 的 、対物 的 モデル の ように向心 的なモデル で は な い と い う こ と で あ る。 ま た客 観 的 な デ ー タ と して 現 れ な い ため に 、前 出 の二 つの モ デ ル の よ うに組 式化 す る こ とも困 難 そ こ で前 章 の 最後 に述 べ た二 次 的 な イ メ

で あ る と考 え る。

ー ジの 内面 的負 荷 の考 え方 を図

3-13示

して み る。

見える行為

認知 して いる

視野内の全空 間要素

各空間要素 を認知

の無意識的な視覚

刺激を受 ける

無意識なために 認知行為が無指向的 視覚行為が無指向的 に空間に発散 される

対象が無いとき

に空間から働 く 対象 を得 たとき

イメージの内化 空間認知情報の

対象 を捕 らえるまで

総合的処理 二次的 イメージによる

3-13

二次 的 な イメージの 内面 的負荷 の発生 7′

1■


無 意 識 的 な視 覚 行 為 は 概 ね 空 間 中 に一 様 な ポ テ ン シ ャル を も つ て 広 が つ て 行 く と考 え ら れ る 。 概 念 的 で は あ る が 、 無 意 識 的 な 視 覚 行 為 を 人 を 内 包 す る一 つ の 閉 空 間 の 膨 脹 と考 え る と 空 間 要 素 の 無 意 識 的 な 認 知 が う ま く説 明 で き る 。

□ 「 見 え る」行 為 が 作 る空 間 の 膨 脹 無 意 識 的 な視 覚 行 為 を開 空 間 の膨 脹 とす る と、 空 間要 素 の 認 知 は ど の よ う に して 説 明 で き る か 。 あ る 点 か ら膨 脹 が 始 ま つ た と す る と 、 あ る 程 度 膨 脹 す る と 何 ら か の 空 間 要 素 に 接 触 す る 。 (最 初 は 床 面 も し く は 路 面 だ と 思 わ れ る 。 )接 触 す る と そ の 地 点 で は そ れ 以 上 膨 脹 で き な くな る か ら 、 閉 空 間 は そ の 地 点 を 圧 迫 す る こ と に な る 。 す る と接 触 さ れ た空 間 要 素 は そ れ に た い して 反 作 用 を あ た え る こ と に な り、 こ れ が 知 覚 情 報 と な る わ け で あ る 。

図 3-14 閉空間の膨脹 と ―

接触 による反作用

C /

膨脹力 反作用

72


この 開 空 間 の性 質 につ い て考 え て み る。

☆膨脹力 図

3-14の

よ う に 膨 脹 しつ つ げ る 閉 空 間 は 、 あ らゆ る 空

間 要 素 と 接 触 し、 そ れ に 対 応 し た 反 作 用 を 受 け る 。 しか し 、 永 遠 に 同 じ膨 脹 力 を 保 つ て 膨 脹 を 続 け る と は 考 え ら れ な い 。 無 意 識 で あ る と い っ て も 、 や は り近 い も の は 遠 い も の に 較 べ て 見 え て い る感 覚 が 違 う 、 近 い ほ う が 影 響 力 が 強 い は ず で あ る 。 と い う こ と は 、 膨 脹 力 は 膨 脹 す れ ば す る ほ ど 弱 くな る と い う こ と に な る。

図 3-15

膨脹力と距離

★後方 の膨脹

ま た 、 自然 に考 え れ ば 、 人 間 の 後 方 に も一 様 に膨 脹 す る こ と に な るが 、 無 意 識 的 な 視 覚 に よ る視 界 は 後 方 まで 及 ぶ こ と は あ りえ な い 。 (無 論 、 後 ろ を 振 り 向 く行 為 な ど は 除 く )だ か ら 、 後 方 の 膨 脹 は か な り 制 限 さ れ る か 、 も し くは 膨 脹 し な い と考 え る 方 が 自 然 で あ る 。 ち な み に 有 視 界 の 範 囲 は 仰 角

0度 俯 角 60度

左 右 そ れぞ れ

90度

3

に ほぼ あて は ま る ため 、

そ の 範 囲 外 で は 膨 脹 しな い と も 考 え られ る 。 ★反作 用 接 触 した 後 さ ら に 膨 脹 す る た め 、 閉 空 間 は 接 触 面 を 拡 大 す る 。 そ れ に 対 応 し て 反 作 用 も 大 き くな る 。 た だ し、 同 じ接 触

73


面 内 で は 、 単 位 接 触 面 積 当 た りの 反 作 用 は 一 様 で あ る と す る 。

(つ ま り物 理 的 な 圧 カ モ デ ル と よ く似 て い る )ま た 、 そ の 反 作 用 は接 触 面 に垂 直 に生 ず る。 この反 作 用 は 図

5,16の

5-14,1

よ う に ベ ク トル と し て 表 わ す と 理 解 し や す い 。

(b)斜 面 と反作用

翻難I発 (a)接 触面積 と反作用

(c)曲 面 と反作用

16 図 3-16

反作用

★ 境 界 面 と膨 脹 の 極 限 薄 い 膜 の よ うな境 界 を持 ち 、膨 脹 で き る部 分 が 存 在 す れ ば 永 遠 に 膨 脹 し続 け る 。 (た だ し 、 膨 脹 力 は 次 第 に 衰 え る た め 永 遠 に 膨 脹 で き る部 分 で の 膨 脹 力 は 、 極 限 値 を 持 つ と 考 え ら れ る。 )

::::::::::::::::::警 :::::::::::

礎 華墓葺 難 :::鎌

::

:::::::I::::

図 3-17(a)コ ーナ ーの境界面

(b)膨 脹力 の極限

無 意 識 的 視 覚 行 為 が 作 り出 す 閉 空 間 に は 上 記 の よ う な 性 質 を持 っ て い る とす る。

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実 際 に歩 行 行 為 を 内 包 す る実 空 間 と表 現 上 混 乱 を き た す 恐 れ が あ る た め 、 今 後 、 こ の 無 意 識 的 視 覚 行 為 が 作 り出 す 膨 脹 す る 空 間 を ス エ リ ン グ 空 間 (膨 脹 す る 空 間 )と 呼 ぶ 。 ロ ス エ リ ン グ 空 間 か ら二 次 的 イ メ ー ジ ヘ 有 視 界 領 域 に存 在 す る ス エ リング空 間 に は、常 時 、 前 述 し た よ う な 空 間 要 素 か らの 反 作 用 と空 間 要 素 の 無 い部 分 で の 膨 脹力 が働 いて い る。 図

5-13に

示 した二 次 的 な イメ ージ の

発生 までの過程 において、

視覚 行 為 が無 指 向的 に発 散 認知行為が無 指向的 に働 く

空 間認知情報 の総合的処理

プ ラ ッ クボ ツ ク ス

とい う こ とに な る。 実 際 の 空 間 で は 多 種 多 様 な 空 間 要 素 と の 接 触 面 か らそ れ ぞ れ反 作 用 を受 け 、 多 種 多 様 な空 間 要 素 の 抜 け た部 分 へ そ れ ぞ れ 膨 脹 力 が 発 散 して い る 。 認 知 情 報 を 二 次 的 な イ メ ー ジ に 変 換 す る プ ラ ッ ク ボ ツ ク ス は 、 こ の 大 量 な ベ ク トル を す べ て 認 知 しそ れ ぞ れ の 二 次 的 な イ メ ー ジ を 生 成 し、 さ らに そ の 合 力 (反 作 用 を 正 、 膨 脹 力 を 負 と して )の ベ ク トル を も つ て 二 次 的 な イ メ ー ジ を 生 成 し 、 お さ ま り度 快 適 度 を 判 断 す る と考 え られ る 。 こ の 情 報 か ら イ メ ー ジ ヘ の 変 換 は 、 個 人 個 人 の 本 能 的 な 情 動 、 経 験 的 記 憶 か ら形 成 さ れ る 。 特 に 経 験 的 記 憶 は 個 人 差 が 顕 著 で あ り定 性 化 は 難 し い 。 そ こ で 実 際 に 二 次 的 な イ

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メ ー ジ を 定 性 化 す る 場 合 は 、 人 間 の 本 能 的 情 動 つ ま り前 章 で 述 べ た生 理 的 欲 求 に対 応 す る変 換 を 扱 う こ と に な る と思 わ れ る。

反作用

Rl

R2

R3

R4

S3

S4

膨脹力 Si

S2

S5

Rt=Σ Rn St=Σ Sn

la

lb

10

1d

la∼

│1 各反作用膨脹力

e

lf

lg

lh

さま り度 快適度

を変換 したイメージ

Rl― ――天丼 に対す る反作用 入力 (内 化 ) 。 ° datal,2,3,・・・ ・・ ・

プラッ ボヽ

経験的記憶情報

'

dataA,B,C,・・ ・・・ ●●●

Ia― ――天丼 に対 す るイメージ 図 3-18

スエ リング空 間か ら二次的なイメージヘの変換

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□反作 用 膨脹 力 とおさ ま り お さ ま り度 は 、 反 作 用 に 依 存 す る も の か そ れ と も 膨 脹 力 に 依 存 す る もの な の で ろ う か 。 反 作 用 に依 存 す る もの で あ る と考 え る な らば 、 膨 脹 力 が な い 空 間 が お さ ま り 度 が 高 い こ と に な る 。 し か し、 全 く窓 の な い 空 間 で は 、 反 作 用 が も っ と も 効 率 良 く働 くの に ひ じ ょ う に 圧 迫 感 を感 じ る。 極 端 な 人 で は 、 閉 所 恐 怖 症 と い わ れ る。 逆 に 全 く 障 害 物 の な い 場 所 で は 、 膨 脹 力 が 効 率 良 く発 散 さ れ る が 、 身 の 置 き 場 所 が 落 ち 着 か な い 。 こ れ は エ レベ ー タ 嫌 い や 広 場 の 真 ん 中 に 独 りで い る と 不 安 に な る こ と な ど 実 際 の 減 少 で も明 か で あ る と考 え られ る。 と い う こ と は 、 反 作 用 と膨 脹 力 が 適 度 に均 街 しあ っ た状 況 が お さ ま り度 を 決 め る と い う こ と に な る 。

□空 間 要 素 との 関 係 の例

図 3-19

平面形 と反作用膨脹力

図 3-19で のおさまり度は a>b>cと な

図 3-20

コーナー と反作用

コー ナーが丸 くなると反作用分散 7′

7r


3-19を

見 る と反 作 用 の 合 成 ベ ク トル が 人 に 向 か わ な

い ほ ど お さ ま り度 が 高 い と い え る 。 ま た 膨 脹 力 は 、 ス エ リ ン グ 空 間 の 形 成 を 持 続 させ る要 素 を持 ち 、 圧 迫 感 を軽 減 す る。 図

3-19(b)で

は 、 ス エ リ ン グ 空 間 の 形 成 が 停 止 して し

ま う た め 、 反 作 用 の 大 き さ に 比 較 して 圧 迫 感 が 強 い と 考 え ら れ る。 図

3-20で

は 、 曲 面 に 近 くな れ ば な る ほ ど反 作 用 の 分 散

が 起 こ り、 コ ー ナ ー の 圧 迫 感 が 軽 減 さ れ る こ と を 表 わ して い る。 も っ とも コー ナ ー の 曲 面 性 に つ い て は、 そ れ が 凸 型 で あ るか 凹 型 で あ るか で反 作 用 の 考 え方 が変 わ る。 図 凸型 のれ いであ るが、凹型 で は図

3-19(b)の

3-20は

よ うに膨

脹 力 の 喪 失 が 起 こ り、 曲 面 に よ る圧 迫 感 の 分 散 に 対 して ス エ リン グ 空 間 の 形 成 を失 う圧 迫 感 の 助 長 も生 じ る こ と に な る。 ロ スエ リング空 間 の柔軟 性 ス エ リ ン グ空 間 は風 船 の よ う な も の で あ る か ら、 境 界 面 の 柔 軟 性 に よ っ て 膨 脹 の 度 合 が 変 化 し、 接 触 面 か ら受 け る反 作 用 の 大 き さ も変 わ る。 柔 軟 性 の 低 い ス エ リ ン グ 空 間 は 柔 軟 性 の 高 い そ れ に 較 べ て 膨 脹 の 度 合 が 低 くな る か ら、 同 接 触 面 に お い て 受 け る反 作 用 が 小 き い と 考 え ら れ る 。 ス エ リ ン グ 空 間 が 一 様 に 空 間 中 に 発 散 し て い く と す る と反 作 用 を 決 定 す る の に柔 軟 性 は不 可 欠 な要 素 で あ る。 実 際 こ の 柔 軟 性 は 人 に よ っ て 多 種 多 様 で あ る と 考 え られ る 。 閉 鎖 的 な 場 所 が 嫌 い な 人 は 柔 軟 性 が 高 く、 膨 脹 性 が 高 い た め 圧 迫 感 を 感 じ易 く情 意 的 に お さ ま り度 が 低 くな る と 思 わ れ る 。 こ の ス エ リン グ 空 間 の 境 界 面 が 一 様 な 柔 軟 性 で は な い と思 わ れ る 。 有 視 覚 領 域 外 く人 の 後 方 な ど )の ス エ リ ン グ 空 間 の

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膨 脹 は 起 こ る と考 え に くい こ と に つ い て も 、 有 視 覚 領 域 外 の ス エ リ ン グ 空 間 の 境 界 面 は 柔 軟 性 が 極 め て 低 く、 膨 脹 し に く い と考 え る と説 明 が で き る 。 ま た 有 視 覚 領 域 に お い て も 注 視 行 為 の 頻 度 の 高 い領 域 が あ る よ う に、 領 域 に よ って 柔 軟 性 の 変 化 が あ る と考 え られ る 。 た と え ば 注 視 行 為 の 頻 度 が 高 い 前 方 方 向 で は 柔 軟 性 が 高 く、 頻 度 が 低 く な る 下 方 、 上 方 の 順 に 柔 軟 性 が 低 くな る と 考 え る と 現 象 的 に 自 然 で あ る 。 この よ うな ス エ リング 空 間 の 境 界 面 で の 柔 軟 性 の 分 布 が あ る と し た ら、 膨 脹 の 仕 方 も 球 の よ う に 一 様 に 膨 脹 す る の で は な く前 方 方 向 に 大 き く膨 脹 し、 下 方 、 上 方 に い く に つ れ て 小 さ くな り 、 後 方 に 至 っ て は 殆 ど 膨 脹 し な い と い う こ と に な る 。

前方か らはずれるほ ど柔軟性が低 い

3 -2 しの よ

が生 じる

1 ヽ つ  と

ス エ リング空 間 の 膨 脹 な膨 脹 の 過 程 を 経 て 前 述 の よ う な 反 作 用 と膨 脹 力 考 え られ る。

79


第 四章

今 後 の展 望 ■ イメー ジの生成 に つ いて ■プ ラ ツクボ ツク ス の 中味 ■ ス エ リング空 間 を よ り定 量化 へ

80


こ れ ま で 、 歩 行 行 為 中 に お い て 空 間 か ら心 理 的 な 負 荷 を 受 け て 、 行 動 に も し く は 感 情 に 変 化 を き た す こ と を よ り定 量 的 の に 求 め る た め の モ デ ル を 想 定 し て き た o空 間 へ の 人 か ら ア で あ る。 プ ロ ー チ が 大 き く分 け て 三 つ 存 在 す る と し て き た わ け るた し か し 、 よ り現 実 的 な 歩 行 ― 空 間 系 の 解 析 を し よ う と す こ とが考 え ら め に さ ら に も う一 歩 進 む と した ら、 ど の よ う な れ るで あ ろ うか 。

4-1イ

メー ジ の生 成 に つ いて ■

り扱 本 研 究 で は 、 イ メ ー ジ を 生 成 す る要 因 と して 視 覚 を取 って きた。確 か に空 間 に対 す る イ メー ジ生 成 は視 覚 に大 き く ではどう 依 存 して い る と考 え られ る わ け だ が 、 他 の 知 覚 行 為 で あ ろ うか 。 ◎聴 覚 に よ る イメ ージ生 成 るもの と 生 活 空 間 の 環 境 の 使 用 と し て 大 き く取 り上 げ ら れ どか な り して 音 環 境 が あ る。 特 に 人 口 密 集 地 で は騒 音 規 制 な るため に は、 厳 し く行 わ れ て い る 。 こ れ は 正 常 な 人 間 生 活 を 送 る。 ま た物 正 常 な 音 環 境 が 必 要 で あ る と考 え られ るか らで あ こ とも解 明 さ れ て 理 的 に音 が人 間 の 生 理 現 象 に影 響 を与 え る い ることは、 お り 、 聴 覚 が 生 理 的 欲 求 の 充 足 に 深 く関 与 し て まち が いな い。 この こ とが聴 覚 の物 理 的 一 面 だ と す る と、 そ の 生 理 的 特 級 。そ し の 充 足 度 に対 応 す る イメ ー ジ が 生 成 され るは ず で あ る るか ら、 て 当然 、 そ れ が 記 憶 情 報 と して 蓄 積 さ れ る は ず で あ 00

1■


任 意 の 空 間 内 の 音 環 境 に 対 して 二 次 的 な イ メ ー ジ が 生 成 さ れ る は ず で あ る。 と い う こ と は 、 本 研 究 で 述 べ た様 々な 視 覚 環 境 的 な考 察 に加 え て 、聴 覚 環 境 に対 す るモ デ ル も設 定 で きれ ば さ らに 実 空 間 の 評 価 に つ な が る も し くは 、 空 間 環 境 の 快 適 化 に つ な が る も の に な る と 考 え られ る。 ◎ カ ラ ー リ ン グ 。テ ク ス チ ャ ー

本 研 究 の モ デ ル は 視 覚 行 為 を 要 因 と して い る わ け で あ る が 、 対 象 物 に つ い て は 、 大 き さ 、 形 を 持 つ物 体 と して しか 扱 っ て い な い 。 し か し実 際 の 空 間 で は そ の 対 象 物 の カ ラ ー リ ン グ 、 テ ク ス チ ャ ー が そ の イ メ ー ジ に 大 き く関 与 し て い る 。 特 に カ ラ ー リン グ に つ い て は各 色 相 、 彩 度 、 明 度 な ど に よ つて刺 激 の 大 き さ が ど う変 化 す る な ど物 理 的 に 求 め ら れ る研 究 が な さ れ て い る 。 と い う こ と は 、 本 モ デ ル で の 対 象 物 か ら受 け る 内 面 的 負 荷 も対 象 物 の カ ラ ー リン グ に よ るパ ラ メ ー タ を有 す る も の で あ る と考 え られ る 。 ま た テ ク ス チ ャ ー に つ い て も 、 コ ン ク リ ー ト、 木 材 、 石 材 な どの 各 種 仕 上 げ 材 に よ っ て対 象 物 に対 す る印 象 が 変 わ る こ と も経 験 上 、 衆 知 の 事 実 で あ る と思 わ れ る。 テ ク ス チ ャー に 対 す る具 体 的 な 刺 激 の 受 け 方 に つ い て は 、 各 テ ク ス チ ャー の カ ラ ー 、 光 の 反 射 性 、 柄 の 緻 密 度 な ど 表 面 の デ ィテ ー ル に そ の 要 因 を 持 つ の で は な い か と思 わ れ る。 いず れ にせ よ、 対象物 の 持 つ大 きさ、形 状 以 外 の物 理 的 な 要 素 が 視 覚 行 為 に 対 して 影 響 を 与 え る こ と は 相 違 な い 。 た だ し、 そ れ が 例 え ば 歩 行 行 為 に現 象 的 に観 察 で き る一 次 的 な イ メ ー ジ に つ な が る もの で あ れ ば よ いの で あ るが 、 二 次 的 な イ メ ー ジ に よ るもの とな る と定 量 化 の 方 向 に 向 け るの は か な り 困 難 で あ る と考 え られ る 。

82


■ 4-2プ

ラ ックボ ック スの中 味 ■

二 次 的 な イメ ー ジ に よ る内面 的 負 荷 の モデ ル に お いて 、空 間 要 素 か らの 反 作 用 、 膨 脹 力 は プ ラ ッ ク ボ ッ ク ス に よ っ て 二 次 的 な イ メ ー ジ に 変 換 す る と仮 定 して き た 。 ま た 現 状 に お い て は 、 変 換 携 わ る 要 因 と して 本 能 的 情 動 つ ま り生 理 的 欲 求 の 充 足 を 扱 い 圧 迫 感 と い う 表 現 で 表 わ して き た 。 しか し、 こ の 生 理 的 欲 求 の 充 足 は 個 人 的 な レベ ル で の 相 対 的 な 評 価 で あ り 、 一 般 的 な 絶 対 評 価 に は な りえ な い 。 ま た 、 モ デ ル で は 対 象 と しな か っ た 記 憶 情 報 に よ る 変 換 へ の 影 響 は 、 逆 に 個 人 的 な 内 面 的 負 荷 を よ り 定 量 的 に す る た め に は な くて は な ら な い も の で あ る。 この 二 律 背 反 的 な 本 能 的 情 動 の 充 実 、 記 憶 情 報 に よ る変 換 の 充 実 を いか に 扱 うか が モ デ ル 使 用 上 の 問 題 で あ る と考 え ら れ る。

4-3ス

エ リ ン グ 空 間 を よ り定 量 化 へ ■

◎柔軟性 の設定 前 章 の 終 わ り に 述 べ た よ う に ス エ リン グ 空 間 の 形 状 は 膨 脹 の 仕 方 に 依 存 し、 ま た 膨 脹 の 仕 方 は ス エ リ ン グ 空 間 の 境 界 面 の 柔 軟 性 の 分 布 に 依 存 す る と考 え た 。 前 章 で は こ の ス エ リ ン グ空 間 の 境 界 面 の 柔軟性 の 分 布 を、 注視行 為 の頻 度 に よ って あ て は め る と仮 定 した わ け で あ る が 、 これ も 実 際 の 現 象 か ら フ ィ ー ドバ ッ ク す る こ と が 必 要 で あ り、 調 査 測 定 が 行 わ れ る こ とが 望 ま しい 。 ま た視 覚 能 力 上 、 物 理 的 に 視 覚 領 域 内 の 強 弱 が 存 在 す る な らば 、 そ れ ら も 柔 軟 性 の 設 定 に 関 与 して く る と考 え られ る。

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◎ 反 作 用 。膨 脹 カ ベ ク トル の 合 成 ス エ リン グ 空 間 の 空 間 要 素 と の 接 触 に よ っ て 起 こ る反 作 用 と ス エ リン グ 空 間 の 膨 脹 力 は 、 そ れ ぞ れ ベ ク トル で 表 わ す こ と に し、 ま た お さ ま り度 、 快 適 性 を そ の 合 成 ベ ク トル で 評 価 す る と し た の で あ る が 、 合 成 ベ ク トル は 、 合 成 す る 点 が 異 な れ ば 、 合 成 ベ ク トル を 異 な っ て く る わ け で あ り、 ど の 点 で 合 成 す る か が 大 き な 問 題 と な る。 本 文 内 で は 、 こ の 件 に つ い て は 言 及 しな か っ た が 、 次 の よ う な こ とが 予 想 さ れ る。 人 が 停 止 し て い る 状 態 と 歩 行 して い る 状 態 、 走 っ て い る 状 態 で は 、 当 然 同 じ空 間 内 で も 納 ま り度 や 快 適 性 が 変 化 す る と 考 え られ る 。 自動 者 運 転 者 の 速 度 に よ る 注 視 点 の 頻 度 が 速 度 が 大 き くな る に つ れ 、 遠 くを 見 る よ う に な る と い う 調 査 結 果 が 出 さ れ て い る こ と か ら 、 歩 行 行 為 に お い て も速 度 に 対 応 し て 視 覚 行 為 の ポ イ ン トが 人 間 か ら 離 れ て 行 く と 考 え る こ と は 自 然 で あ ろ う 。 と い う こ と は 、 合 成 ベ ク トル の 合 成 ポ イ ン ト が 速 度 に 対 応 して 前 方 方 向 に ず れ て い く と 予 想 で き は しな い だ ろ うか。 合 成 ポ イ ン トの 定 点 化 が で き れ ば 、 そ の 点 を 中 心 と し た ス エ リ ン グ 空 間 の 膨 脹 も 予 測 で き る し、 ま た そ の 点 を 中 心 と し て 最 低 で も人 間 を 内 包 し え る ス エ リン グ 空 間 が 必 要 な わ け で あ る か ら、 膨 脹 の 始 ま る 、 初 期 状 態 を 設 定 す る こ と も で き る と予 想 さ れ る 。 ■ 4-4モ デ ル の シ ミ ュ レ ー シ ョ ン ■ 各 モ デ ル に よ る 内 面 的 負 荷 を よ り定 量 的 に 設 定 す る こ と が で き れ ば 、 各 モ デ ル の 領 域 、 内 面 的 負 荷 を 求 め る組 式 を シ ミ

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ュ レ ー シ ョ ン の パ ラ メ ー タ と し 、 実 空 間 の 評 価 を よ り早 く 、 容 易 に 理 解 す る こ とが で き る 。 シ ミ ュ レー シ ョ ン の 方 法 と し て は 、 歩 行 空 間 に メ ッ シ ユ を と り、 そ の メ ツ シ ユ 内 に お い て 各 モ デ ル を動 か し、 そ の メ ッ シ ユ内 で の 内 面 的 負 荷 をポ テ ン シ ャ ル と して 表 示 し 、 そ れ を 繰 り返 し て 全 メ ッ シ ユ の ポ テ ン シ ャル を表 わ す 。 そ の メ ッ シ ユの マ ッ ピング す る こ と に よ つ て 、歩 行 空 間 が イ メー ジ 的 に は ど う認 識 され て い るの か 評 価 す る こ と が望 ま しい結 果 で あ る と思 わ れ る。 全 メ ツ シ ユ に お け るポ テ ン シ ャル の形 状 が イ メ ー ジ 上 の 歩 行 空 間 の っ け い じ ょ う と な る と考 え られ る わ け で あ る 。

以 上 の よ う な こ と を 解 決 す る こ と に よ で よ リー 般 的 か つ 具 体 的 な モデ ル が 形 成 され 、 歩 行 空 間 の 評 価 に適 用 され る こ と が 今 後 の 課 題 で あ る と考 え られ る 。

85


あ とが き

86


人 間 が 創 り出 し た 空 間 の 中 に 、 人 間 が 住 む 。 極 自 然 な こ と の よ うに思 え る こ と だ が 、 た か だか

5000年

程 度 の歴 史 し

か な い 。 本 研 究 中 で 扱 う よ う な テ リ ト リー 的 な 空 間 に して も 人 間 が 動 物 で あ る こ と の 証 明 で あ り、 本 能 的 に は さ ほ ど進 化 して い る わ け で は な い 。 そ の 動 物 で あ る人 間 が 、 互 い に 自 然 の 淘 汰 に 身 を ま か す こ と の な い も の と 共 存 して い く こ と は 、 人 間 に と って 多 大 な 犠 牲 を払 う こ とで あ つた に違 いな い。

(そ れ を 進 化 と 呼 ぶ の か も し れ な い が )い ず れ に せ よ 、 自 分 を 自 然 の 中 で の 対 応 か ら は ず れ た 存 在 に しむ け て き た の で あ る 。 今 、 人 間 は 自 分 達 が 創 っ た も の に 対 して 驚 愕 を 覚 え る よ う に な っ て き た 。 そ して 自 然 に 背 反 し て き た こ と に 実 質 的 な 恐 怖 感 を 感 じ始 め て い る 。 こ れ は 、 今 に 始 ま っ た こ と で は な い 。 先 人 達 も 常 に 警 鐘 を 鳴 ら して き た 。 た だ 、 そ れ が 全 人 類 的 に現 れ て い るだ け で あ る。 デ ザ イ ンの 世 界 で もか つ てル ネ サ ン ス そ し て ア ー ル ス ー ボ ー 、 ポ ス トモ ダ ン と 時 代 の 節 目 々 々 に 必 ず 後 ろ を 振 り向 く傾 向 が や っ て く る 。 建 築 計 画 も よ り 人 間 的 に い や 本 能 的 に 取 り組 ま な け れ ば い け な い の で は な い だ ろ うか 。 計 画 と意 匠 が二 律 背 反 的 に あ って は意 味 が な い 。 住 み に くい 家 を 創 っ て 、 平 気 な 建 築 家 な ど も っ て の 他 で は な い か 。 建 築 は 、 い つ の 時 代 に も 人 が 暮 ら す た め の よ り本 能 的 な 存 在 で あ るべ きで あ っ た 。 そ ん な こ とで は進 歩 が な い と 言 わ れ る か も しれ な い が 、 世 間 を 眺 め る と 、 そ ろそ ろ人 間 は 人 間 で あ る こ と の 限 界 に 近 づ い て き た よ う で あ る し、 限 界 の 先 を見 る た め に進 歩 す る こ と は 、 人 が 人 間 で あ る こ と を否 定 す る こ との よ うな 気 が す る。 計 算 され た空 間 の 中 で 、 計 算 さ れ た生 活 を す る。 昼 も夜 も な く、 季 節 も な い 。 は た し て 建 築 の 行 く末 は 自 然 と の 訣 別 を 企 て る 手 段 な の で あ ろ う か 。 飾 り で は な く、 自 然 を 感 じ ら れ る の で は な くこ 自 然 で あ る こ と 自 然 で な け れ ば な ら な い こ と

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を 建 築 計 画 と い う フ ォ ー マ ッ トの 上 で 常 に 考 え て い か な け れ ば な ら な い の で は な い か 。 建 築 空 間 内 で 起 こ る極 普 通 の 現 象 が 、 既 に そ れ 自体 異 常 な の か も しれ な い こ と を 建 築 計 画 を 考 え る者 が 頭 の片 隅 に置 い て お か な け れ ば 、 何 も変 化 は起 こ ら な い。

日 頃 の 怠 慢 が 崇 り 、 内 容 的 に も 情 け な い 結 果 と 終 わ り、 渡 辺 先 生 に 見 放 さ れ て し ま う の で は な い か と (既 に 見 放 さ れ て い るの か

?)は

ら は らで し た が 、 ど う に か こ の 後 書 き を書 い

て い る 自 分 に ほ っ と して い る 状 態 。 ご 指 導 し て い た だ い た 渡 辺 仁 史 教 授 、 シ ス テ ム建 築 研 究 所 の前 田利 民 氏 、 東 京 大学 高 橋 研 究 室 の 西 出 和 彦 氏 、 研 究 室 の ドク タ ー の 方 々 、 協 力 して い た だ い た マ ス タ ー の 面 々特 に 一 緒 に 徹 夜 した 西 村 隆 君 、 青 南 塾 の 先 生 方 、 弁 当 作 っ て 来 て くれ た 自 木 祥 子 さ ん そ して 友 人 、 知 人 の 方 々 、 励 ま し て くれ た 後 輩 諸 君 、 誠 に 有 難 う ご ざ い ま した 。 そ して 六 年 間 世 話 に な っ た早 稲 田大 学 に 感 謝 い た します 。

は した 役 者 の 俺 で は あ る が 早 稲 田 に学 んで波風受 けて 行 くぞ 男 の こ の 花 道 を

人生劇 場 いざ序 幕 早稲 田大 学 第 二 校 歌『 人生 劇 場 』 よ り 昭 和 六 十 二 年 二 月 十 六 日火 曜 日 以上

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参考文献

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クラーク ・ ハル

「 行 動 の体 系 」

誠 信書房

「知覚環境 の計 画 」

鹿 島 出版 会

S46

能 見義博 岡本栄一 他訳 ` ケウ ィン ・ リンチ

S54

北原 理雄 訳 認 知 科 学 選 書 1「 視 点 」

宮 崎清孝

東京大学 出版 会

S60

上 野 直樹

E◆

ーカー L.ウ ォ

ロ‐フ D.J.ワ イント

福村 出版

S57

― ― 「 4子 動分 析 学 」 行 動 と分 化

講談 社

S54

「 人 間行 動 の 心 理 」

福村 出版

S56

「 視覚 の心 理 物 理 学 」

森北 出 版

S50

誠信 書 房

S58

鹿 島出 版 会

S49

基 礎 心 理 学 シ リー ズ 毛」 「 矢口響

浅井正昭 古牧 節子 訳 西川泰夫 木村忠雄 瀬 島順 一 郎 東福寺一 郎 森 下 高治 池 田光 男

「 イ メー ジ の 基 礎 心 理 学 J 水 島恵 一 上 杉 た か し編 集 シ1ョ ン。J・ フルーイン 「 歩 行 社 の 空 間 」 ―理 論 とデ ザ イ ン ー 長 島正 充 訳

90


゜ ゜ ホ リス ・ S。 フ シュカレフ 「 歩 行 者 の た め の 都 市 空 間 」 ` ゜ ` ハン シ ェフリい。 M・ シ ュ

鹿 島 出版 会

S52

月尾嘉男訳

00

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