CAA (Computer Aided Architecture) を目指して コンピュータは建築を変えるか

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CAA(Computer Alded Architecture)を

目指 して

コンピ か ュータは建築 を変 える

平成 6年 度 池原研究 室修士論文 63E-009 伊藤

宏樹



0。

まえが き

「 用 いて 設 計 をするよ うにな ってか ら 5年 を経過 し、そ の 間 に CADに よる設 「 計 と模 型 による設計 の違 いはなんなのか」 ある いは、 CADは 建 築 を変えるか」 とい う

CADを

質 問 をたび たび投 げ掛 け られた。そ してそれ は同時 に 自分 自身 の 中で繰 り返 され た問

いで

もあ つた。 コンピュー タが広 く社会 に浸透 し、建築 の 世界 に も CAD(Computer Aided Design)を は じめ と して、 コン ピュー タによって支 援 され た施 工 CAC(Computer Aided Constructi on)あ る いは資産 の有効 的な運用 を コンピュー タが支援す る CAFM(Computer Aided Fac i n ty Management)な どが導入 され 、そ の利用 は多岐 にわたって い る。 そ うした状況下 で 、 CADに 関 して も様 々 な本が 出版 され、雑誌 な どで もたびたび特集 が組 まれて いる。そ う した書 の 多 くは次 の 3つ のカテ ゴ リー に分類す る ことが可能で あろ も う。ひ とつ は、 CADソ フ トのマニュアル的な もので 、実際 の使用 に関す る教科書的な い の 。ひ とつ は、現在 の CADシ ステムで何が可能 か を紹介 し、実際 に事務所 、学校 ある の と は個 人で どのよ うに CADシ ステムを導入 し、運 用 して い くか を解 説 した も 。 もうひ ロセス つ は、建 築家が実際 の 設計 の 中で どのよ うに CADを 使用 したか とい うデザ イ ンプ べた を追 つた ものである。 しか しそ うした本全般 に言 える ことは、現状 の CAD利 用 を述 によっ り、あ る いは未来 の 構想 をそれぞれ の立 場 で うた つて は いるものの、 CADの 利用 て生 まれ た建築が どのよ うな意味 を持 って いたか を検 証 した り、新 しい建築が 生 まれたか を考 える ことが少なか った ので はな いだ ろ うか。 よる設計手法 は単な る合理化や プ レゼ ンテ ー ションだ けに用 い られ る過程 を経 に組み て、新 し いデザイ ンツ ール として、重力 のな い 3次 元 上に浮かぶ 多様 な形態 を 自由 ことが可能 に 合わ せ なが ら、従来 の 図面や模 型な どとは異な った空間 の把握 や検 討 を行 う をどう埋め な った。 しか しCADに よる設計手法 は、 自由な形態 と実際 の 設計 のギ ャ ップ いたスケ ール感 を、 て い くとい う問題。 ある いは模 型によ る設計 の 時実際 の建築 に与 えて い つかの スケ ー ル を持たな い CADの 原寸 の世界 で は ど こで 与えてい くか と い うよ うな く

CADに

に新 しい発想 を与え、 問題 に答 えきれ てい る の だろうか。 そ して CADに よる設計 は建 築 本質的 に変 えた ので あろ うか。 々 コンピュ ータに対 し 従来 の コ ンピュ ー タによ る設計で得 られ る ものは、す なわち我 が 生 まれて い く て要求 した ものに過 ぎなかった。 コンピュ ー タによ つて新 しい建 築 の発想 が こないだ ろう。そ ため には、既存 の システムを単 に使用す るだ け の 世界 か らは うまれ ては コン い のため には建築以外 の現場でそ の利用 の現状 を知 る必要があ るか も しれな 。 また、 いか もしれ ピュー タがなけれ ば 実際 の建築 に対応で きな い理 論 を読み込 まな けれ ばな らな の との対応 を考 えなけ な い。そ してそれ らは現実 の設 計 と乖離す る ことな く常 に現実 建 築 ればな らな いだ ろ う。


この論 文では、まず現在 の建築 の世界 のおける コンピュー タそ して CADの 使用 を建築 のデザイ ンの立場か らあ らためて検証 しなが らこの論文のタイ トルである、 CAA(Compu

ter Aided Architecture)を 定義す る。そ の CAAは 現代 の建築 に新 しい発想 を与えるも の、ある いは単 にデザイ ンの手段 として設計に用 いるのではな く建築の あらゆる場 面 を統 合す る広域的な考 え方 のなかで CADを 捉えて利用 して いくものが ものが中心 となる。そ

の上で素材、光、工法、空間、 コミュニケー ションな どをテーマに各論 をすすめなが らC ADの 持 って いる様 々な可能性を引き出 し、真 の意味でのComputer alded Designへ の手 法 の確 立 とCAAへ の道 を模 索す るものである。そ の ことが技術 も社会 も高度 に進化 した 「 中で 自信 を失 いか けている建築家を助 ける ものにな り、また CADは 建築 を変 えるか」 とい う問 い掛けの答えの端緒 になるであろう。



目次

0。

まえが き

1,CAAの

定義

1-1 道具 による設計手法 の違 い 1-2 CADか ら生まれ た建築 の考察 1-3 CAAの 定義

2。

現代 にお ける CAAへ の 取 り組み

2-1 2-2 2-3 2-4

23

形態認識 を助 け る 情報 のデ ジタル 化 の現状 と将来 コンピュー タによ る次世代 の設計環境 建築空間 の再構成 、光 の空 間、時間 の 建築

― コ ンピュ ー タの与 え る新 しい視点 ―

3,CAAl 3-1

20世 紀博物館

3-Ⅱ

現代 の さや堂 一 B一

3-Ⅲ

Place Blend Surface Between Two Surfaces

4,CAA2 -建

築 生産 システム の 中で 一-

4-I

ガ ラス の待庵

4-l

The Silent Volume/Void ln The City

51

79


5。

CAA3 -素

材 に関 して

-

104

1 5-2 5-3

素材 の歴 史 と機能、形態 との 関係

5-I 5-1

現代 の さや堂 ―A―

素和非日 灘

バ ルセ ロナ 0パ ビリオ ン素材変換試行

6.総 論

― コ ンピュー タは建築 を変 え るか ―

5

素材 に関す る コンピュータの可 能性 につ いて 素材 をテ ーマ として

122

125

01.付 付1.

02。

CAD/CGシ

ステム

付2.

参考 文献

付3。

論 文 中 の作品 につ いて

ま〕

'bり

132



1.CAAの

定義

「道 具 は、常 に人間社会 に大 きな変化 のきっか け を与えるもので あった。人間 は道具 を 作 るが 、そ の道具が また人間を作 るので ある。例 えば、槍 は狩猟 民 の手 の届 く距離 を延ば しただ けで はない。槍 は狩猟民の歩き方や 、手 の使 い方 もかえた。槍 を持つ ことによって 視覚 と動作 の共同が 上達 した。槍 は狩 りに長 じた もの と未熟な もの との差 を押 し広げ、ま た、狩猟 の工程 が複雑 にな るにつれて、情報 の蓄積 は重要 にな った。 一道具 の登 場で新 た に生 じた これ らの必要 は、翻 つて、人間 の頭脳 の発展 を したので ある。複雑な思考 に耐 え られ るよ うになった頭脳 が また新 しい道具 を生み 、そ の道具が さ らに、種 の保存 に有利な 一層高等 な頭脳 を育 てた。」 (テ クノス トレス /グ レイグ・ プ ロー ド著、池・ 高見訳 )

コンピュータの使用 が 、人間 の活動形態 の みな らず 、活動 の生 産物 をも変化 させ る例 を 我 々 は 知 つて いる。エ レク トロニ クス とコンピュー タを使用 して楽 譜 と音色 を編集 して曲 を作 る方法 は、た くさん の ミュー ジシャ ンを一堂 にスタジオに集 めて レコーデ ィ ングを進 める とい う活動形態 を刷新 したのみな らず 、出来 上が った音楽 自体 に従来 とは違 つた質感 を持たせ るに至 った。建 築よ りも先 にコンピュー タを取 り入れた芸術 の分野 の先輩 は、 コ ンピュー タを取 り入れ た設計を始 めた我 々の行 き先 の 断片 を見せ て くれて いる。 プ ロー ドの主張 は、 コ ンピュー タに促 された生産活動 の形体的な変化 をふ まえて、そ の 質的な変化 に対す る人間 の不適応が始 ま り、社会的病相 が作 りだ されつつ ある とい う危惧 を展 開 して いる。我 々の 建築 のデザイ ンにお いて コ ンピュー タを利用す る実験 が始 まった のはつ い最近 の ことで あ り、そ の善悪 を判 断す るには早すぎる。 しか し、証券取 引、金融 といった ビジネス の 諸分野や 、執筆 、作 曲 といつた芸術 の各分野 で起 こり、またすで に起 こりつつ ある道具 の 改革 に触発 された変革 と同 じよ うな現象が建築 の分野 に も浸透 して く る ことは 間違 いな い。 歴史 を振 り返 ってみ る と、建築 のデザ イ ンは、時 として天才的な建 築家 の 出現 とい う内 なる事件 によって切 り開かれた 一方 で 、構造や 、材料 の進化 といつ た外的な要因 によ り大 きな形態 的変貌 を遂げ た時期が何 回 とな くある。 か つて のゴ シ ック建築 は、構造 の革新 に触発 されて生まれた。 よ り高 く、ひ ろ い ネイプ の大空間 を実現す るため に開発 された、フ ライ ング・ バ ッ トレス、星状 ヴォー ル ト、控え 壁な どの構造的な装置 が 、 ゴ シ ック建築特 有 の垂 直性 、平面的な リズム、装飾性 といった デザ イ ン上 の特色 を導 きだ して いた。 一方 コ ンク リー ト、鉄 、ガラス とい う、近代 に生 まれた新 しい建 築 のマ テ リアル は、1

9世 紀 にお ける、温 室 、博覧会会場 、橋な どの土木構造物 の実験 を経て、 20世 紀 は じめ

に、特有 の 形態 を手 に した。 ミースは鉄骨 のフ レームで 「ユニバ ー サル・ ス ペース」や 、 「 ガ ラス のスカイス ク レイパ ー 、 コル ビジェは、 コ ンク リー トの可塑性 を活か して 自由な


一 平面」 「自由な立面」 を生み出 した。彼 らは、天才 的な建築家 で あつた と評価 で きる 方 で、近代 のマ テ リアル を建築 のデザ イ ンに展 開 した最初期 の 建 築家 のなかのひ と りとして の ととも 数 え られ る。 これ らの構造 や材料 が もた らした、新 しい建築デ ザ イ ンは、そ 誕生 にす ぐ に生 まれたわ けで はな い。外的な要因がお きてか ら、そ の 要 因 自体 の成長 とともに エ それ に応 える建築形態 の模 索 に多 くの努力 と時間が 費や された。そ こで は建築家 と ンジ エア リング の試行錯 誤 の課程が繰 り返 されて いた ので ある。 構造 や 、材料が建築 を変革 して きたよ うに コンピュー タとい う道具 は建築 を変 えるだ ろ コンピュー タ うか。構造 や材料 は建 築 の形態 に直接作用 しうる ものであつた の に対 して、 「 が もた らす 変化 の構 図 は違 つた形 を取 るだ ろう。道具が直接関 与す るのは 設計」 とい う 「 って、そ の 建築 を作 るプ ロセスで あ り、出来 上が って くる 建 築」 自体 で はな い。 したが に与える 変化 は、道具が設計 の 手法 を変 え、そ の新 しい手法が 、新 しい 形態的特徴 を建築 とい う間接的 な もので ある。 それ ゆ え、 コンピュー タによ ってなん らか の 設計手法 の変化 がお きて も、最終 的 に作 ら れ る建 築 の 形態 は建 築家 のアイデ イ アや構造 、材料 、経済な どといつた 直接的要 因 によっ て規定 され るもので あ り、設計用 具 の変革 な どで変わ る とい う議論 も当然な りた つ。 しか ーヘ し実際 に道 具 の変化 は建築 に影響 を与 えてきた、製図道具 の平行定規 か ら、 ドラフタ の変化 は、水平、垂直 に広が る図面 と建築 に対 して 、細か く短 い線分 が錯綜す る図面 と建 の 型材料 は、 築 を生んで きた。 また、スタイ ロフ ォー ムのよ うな新 しい設計道 具 として 模 マ ッ シブな建築形態 を生む といつた影響 を与えて いる。 CADの アイデ ア 自体 はすで に新 しいもので はな い、フォー チ ュン誌 がデザ イ ン・ マ シ と ンの 登 場 を予測 したのが 1956年 、プ ラウダ が 「コンピュー タにデザ イ ンは可能か」 い う特集 を組んだ のが 1963年 、以来 ハイテ ク産 業 の成長 に ともな って発達 した この分 で も 60以 上の 野 は、今か ら 10年 前 の、1984年 の調 査 の 時点 で 、既にア メ リカだ け して性能 も強化 さ 使用 可能 な CADシ ステムが販売 されて いた。そ の後 、低価格化 と平行 の れそ の 数 は増加 し、現在 で はパ ー ソナル コンピュー タ 上で扱 え る システム を、小規模 事 務所 や個 人 も利用す るよ うにな って いる。 ンテ こう した現状 の 中で 、 コンピュー タ の利用 に関 して も、初期 の 頃 の清書 や 、プ レゼ ン ー シ ョンよ うに利用す る段階か ら、 日頃我 々が鉛筆 を もってスケ ッチ を しなが らデザ イ にな り、 を進 め るよ うに、形態 の創 出行為 をス ク リー ンや マ ウスで行な うよ うになる段 階 いる。 この段階 そ の 中で 、 CADに よるデザイ ンか ら生み出 された建築 も生 まれ は じめて われ るよ うに にきて、 コンピュー タが設計デザ イ ンにどのよ うな影響 を与え て きたか を問 なって きて いる。 べ コン Computer Aided Designの 略 で ある CADと い う用語 は、建 築 にかかわ るす ての が含 ピュー タ利用 をまとめた言葉 で あ り、そ こには コ ンピュ ータを使 つた総 ての設計行為 い な例 、身 に まれ る (利 用方法 をマ スタ ーで きず にただ時間 を浪 費 して しまった と う極端 の や 、プ レゼ ンテ ー シ ヨン用 覚 え のある人も非常 に多 い とは思 うが )。 そ こには図面 清書 いつた、デザ イ ンに のパ ー スの出力 、同 じ図面 を大量 に生産す る ことによる時間 の 短縮 と 大 きな影 響 を及ぼす とは思えな い もの も含 まれて いる。 コンピュー タ を ここで 、 コンピュー タは建築家 を変 えるか とい う問 いに応 え るため に、

2


用 いて 建 築 の新 しい発想 を模索す るよ うな動 きを CAA(Computer Aided Architecture) と定義 し、あ らためて コンピュータを設計 の 道具 として利用 した可能性 を検 証 して い きた い。 この 章 で は、模型 とコ ンピュー タ との設計プ ロセス の違 い を簡単 に検 証 し、次 にアメ リ カ の建 築家 で ある、 P。 アイゼ ンマ ンの CADに よる設計 によって生 まれた建物 を考察 し て いる。 この検 証 によ り、 CAAの 定義 をよ り明確 に し、 2章 以降 での CAAの 定義 に基 づ いた コ ンピュー タによる設計デザイ ンを展 開 して い く拠 り所 として いる。

3


1-1.道

具 に よ る設 計手 法 の 違 い

この コ ンピュー タによ る設計 は、従来 の設計方 法 にはな い可能性 を我 々 に見せ て いる。 のよ うな発想 が現 小節 で は、まず模 型 との設計方法 の違 いを検 証す る ことで 、具体 的 にど てみた い。次 に こう 状 の CADシ ステム を使用 した設計か ら生 まれてきて いるか をまとめ ことや 、実 した可能性 の一 方 で 、逆 にコンピュー タによ る設計 の 中で制約 されて しまった いて考 えて いきたい。そ の上で 、 際 の 建築 を作 る上で しなければな らな い検 討 の欠落 につ べ いて 考察 した い。 最後 に これか らの CADシ ステムが どうある きかにつ いは、 形態 の定義 に対す 模 型 による建築 と、 コンピュー タによ る建築 の最 も基本的な違 る拘束 の有無 に起 因 して いる。 を持 って いる。同様 に模 実際 の建築 は、柱 、梁、壁 といつた部材 それぞれ に構造 と素材 の とは異な る材 型 にお いて は、面や 、立体 を定義す る時 、す なわち製作 す る時 、実際 建築 や プ ラスチ ック の棒 、面な ら 料 を用 いる。それ は例 えば線材 を作 るな ら材料 として、真鍮 ームや粘土な どで ある。模 ボ ール紙 や スチ レンボー ド、立体 を定義す るな らスタイ ロフ オ を持つ材料 そ してそ の 製作 型 による建築設 計 で は、 この実際 の建築 の 素材 とは異な る性質 にな り、実際 の 建築 工 程 に発想 方法 が拘束 され る。 また逆 に こうした拘束条件 が発想方法 の、模型 の面材料 による、模 型 も変わ るのだ。具体 的な例 として、バルサ材や ボー ル紙等 いが 実際 の 建築 自体 も変 える と発想 とが 、スタイ ロフ オーム等 の立体材料 によるそれ の違 ことにもあ らわれ て いる。 く、形態 を定義 これ に対 して 、 コ ンピュー ター上で は、 こうした材料 に拘束 され る事 無 。フ レーム にお いては、線分 す る ことが可能 で あ る。 コンピュー タの線 表示 で あるワイ ヤ の も、単点間 の 形 を決 の は、両端点 の座標 を もって表 され、円弧 、スプ ライ ン等 曲線 線分 いて は、多角形 、円、楕 め るため の係数 を付与す る ことで表示す る ことができる。面 にお 、球面 、円錐や 、スプ ライ ン面 円 な どの、閉 じた平面図形 、 3次 元 に開放すれ ば、円柱面 あ り。 これ らの 要素 の 立体で は、直方体 、球、円柱 といつた 要素 で構 成す る ことが可能で 、変形 、移動 な どの操作 を行 な 編 集機能 によつて 、 さ らに挿入 、削除、延長 、短縮 、分割 ぅ ことがで きる。

る ものな しに空間内 こう した 、材料 に拘束 されな い形態 の定義 と操作 、加 えて、支持す 築設 計 の基本 にな る に要素 を配置す る とい う無 重力性が、 コ ンピュー タ、 CADに よる建 のだ。 コ ンピュー タ 上の発想 は、建築 の設 模 型 とは異な る、非物質性 と無重力性 を獲得 したを ゴ リーで 説明す る ことがで き の 計手法 に様 々 な影響 を与え て いる。そ れ は以下 の 3つ カテ るだ ろう。 (エ レメ ンタ リズ ム )

いつたた くさん の部 品 (エ レメ ン ト)が 時 計が 、歯車 やぜ んま い 、ね じ、針 、文字 盤 と もまた柱 、壁 、床 、階段 、 あ る秩序 をもって集 まって構成 した集合体 で あるよ うに、建築 このように、形態 の 成 り立ち をエ レメ 窓 といつた部分が構成 した コ ンプ レック スで ある。

4


ン トの集合体 として認識す る考 え方 をエ レメ ンタ リズム と呼ぶ。先 に述 べ たよ うに、 CA Dに お いて は直方体 、球 、円柱 、円錐 といつたプ リミテ ィブな幾何学的 エ レメ ン トを単位

と して 、形態 の発 生 、変形な どの編集操作 を行な う。 このた め、 CADに よって設計す る 時 、 このエ レメ ンタ リズムは強 く意識 され 、部分 として の 形 の存在 と、全体 として の形 を 並存 させ なが ら建 築 を構成 して い く。 (図

1-1)

(手 続 き性〉

の 手続 き的 とい うのは形態 の発 生が突発 的な もので はな くて 、何か をもとに して、そ 変 化 や編集 とい う課程 を経て生成 されて くる とい う ことで ある。 CADに は、多 くの建築家 が暗黙 の うち に参照 して いた 図形 の幾何学 的操作 を行な う機 能が備 わ って いる。モデル に 対 して変形、合成 、置換、構造化等 の手続 き操作 を加えなが ら設計を進 める ので ある。 エ レメ ンタ リズムが設計 にお ける形態 の静的な状態 に対す る認識で あつた の に対 して 、 手続 き性 とはそ の 静的な状態 の動的な推移 に対す る概念 で あ る。 これ らを合わ せ ると、設 の 計 とは、 エ レメン トの操作 を介 してひ とつ のエ レメン トの集合 か ら次 のエ レメ ン ト 集合 へ と行 なわれ る一 変換 が、連続 的 に繰 り返 されて秩序 ある最終形態 、すなわち建築 に いた る ことで ある ことで ある といえる。 この概念 は 図 2-2の よ うなダイ アグ ラム に表記す る ことがで きる。

(3次 元性 ) 3次 元 CADは 、設計アイデ ア の 3次 元 形状 を直接定 義す る ことがで きる。 また任意 の 々な方 向 視 点 か ら投影 図 を表現 し、そ の画面 を、拡大縮小 、回転、移 動 を加えなが ら、様 に か らモデル を検 証す る ことがで きる。時 には設計案 の 内部 に入 り込み 、モデル と等身大 いつ な ってイ メー ジを検 討す る ことが可能 にな る。 この時 、 2次 元 上の平面図や 立面図 と ま た 図面 は、デザ イ ンの完成後 、 モデル を水平方向 に切断 した ものを真 上か ら見 た もの、 ー たモデル を回転 して ち よう ど正面か ら見 た結果 に過ぎな い。 コ ンピュ タ を使 うことによ ってプ ラ ン優位 の原則 が変わ る ので ある。 このため、設計者 はエ レメ ン トを常 に 3次 元 的な単位形 態 として認識す る必要が ある。 めか ら 3次 元空間 例 えば 、壁 は、平面 上の長方形 の 閉曲線 に高 さを与えた もので な く、初 の 中 に浮遊す る直方体 として認識 しな けれ ばな らな いので ある。 CADの 持 つ 3次 元性 によ つて 、設計 の過程 にお いてアイ ソメ トリックやパ ースペ クテ ー ションす る ことに ィ プ の 中で視点 を上下左右 に 自由 に動か して形態 の見え方 をシュミレ よ り、建築家 は形態や空間 に対す る多視点的な把握 を促 され るので ある。

3次 元 的な視覚 を 以 上 3つ の手法 の特性 をま とめる と、 コンピュー タによ る設計 とは、 し、 い くつか の 手続 イ ンター フエイス したスク リー ン上で、幾何学 的な エ レメ ン トを操作 きる。 き コマ ン ドを駆使 して建築 の 形態 を作 つて い く一 連 のデザ イ ン行為 と要約で の を の 重要な のは、 こうした コ ンピュー タを用 いた建築 のデザ イ ンは、建築家 思考 変換 まで よ り大 きな負担 を 要求す る ことで ある。 3次 元 的思考 、体 系だ つた手続 き性 な ど、今 の コ ンピュー タは建築家 の思考 に強 いて いるのだ。 パ ー ス ペ クテ イブや アイ ソメ トリック を見なが ら、視 点 と建築 の 中で リア ルタイム で回転 して い く複雑な建築 の コンプ レックス として の適性 を も 部 分 の位置関係 や方向 を確認 しなが らデザ イ ンを進 める作 業 は、建築家 変質 させ るのか もしれな い。 しか しこのよ うな建 築家 に思考

5

の 変換 を追 る CADに よる設


!劇

Rl Al―

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R2 >A2~~~~~>A3 ~> ~> ~>

Rn ―> 一>

An

中間形態

R   e

手続 き操作 エ レメ ン ト

建築文法

6

1-2


手法 が 新 しい 建 築 を41む こ とに 1直 結 す るか ど うか は疑 間 で あ る。 な ぜ な ら、 CAI)に よ ‐ 種 の ゲ ー ム にす ぎ な い 面 を持 って い るか らだ。 る設 計 は 、形態 を操 作 す るた め の ‐

`:卜

次 に コ ン ピュ ー タ によ る設 計 の 弱 点 につ いて 検 証 してみ た い 。 コ ン ピュー タ によ る設 は 、今 まで にな い 形態 操 作 の 手法 を建 築家 に 与え て い る、 しか し、 紙

,iト

llや 模 型 によ る設 :;ト

等 、既 存 の 設 計 手法 と比 較 して 問題 が な い わ けで は な い。 そ れ は以 ドの 3つ に分 類す るす る こ とが で き る。

(ス

ケ ー ル 感 の 消 失)

CAI)は 基 本 的 に 実 寸で 設 計 を進 め て い くた め に 、 スケ ー ル感 を喪 失 しや す い。 図 山iや 模 型 に よ る設 計 で あれ ば 、そ の 段 階 に 応 じて 模 型 の ス ケ ー ル をか え る こ とで 、実 際 の 建 築 の スケ ー ル感 を少 しず つ 獲 得 して い く。 基 本 設 舌十時 の 、 1000分 の 1や 500分 の 1の ス ケ ー ル で 、周 レ Hの il地 と建 築物 の 配 置 の 関 係 を検 討 し、 100分 の 1や

200分

の 1の

1し 模 型で 、 建 築 の 機 能 や 具体 的 な 形 態 な どを決 め 、50分 の 1で 、 内 部空 間 を詳 細 に検「 ヽ :Iの 検 討 まで を行 な う。 この 様 な 作 業 を経 て 、1 時 に は 、 原 、や 2分 の 1の スケ ー ル で 部占 l‐

つ の 大 き な 建 築 か ら部分 に い た る まで の F■ l係 を確 認 して い く。 これ に 対 して コ ン ピュ ー タ は 全体 の 配 置 も、 ドア の ノブ も CADの デ ィ ス プ レイ [1で は 同 じ大 き さで 表示 され て しま うた め に 、 ス ケ ー ル 音痴 にな りや す く、行 な うべ きスケ ー ル に 関す る検 討 を怠 りが ち 11で

にな って しま う。 (発 想 の 制 限 〉

模 型 に よ る作 業が 、 手に触 れ る こ と ので き る物 質 を 、 日の 前 にお きな が ら作 業 を進 め る の に対 して 、 CAI)に よ る ,設 計 は 手 に 触 れ る こ とので きな い 形 態 を 、2次 元 に 投 影 され た 31由 i図

や 、 ア イ ソ メ トリック の 山i山 iを 介 して 行 な う設 計[作 業で あ る。

(1文

11-3、 4)C

者 に アイ レベ ル のパ ー ス ペ クテ ィ ブ や 、 あ る い は建 物 の 中 か らの 視 点 で 、設 の 確 認 につ いて 模 型 よ り不 li十 の 検 討 を行 な う こ とを 可能 に した 。 逆 にモ デ ル 化 した 設 計案

AI)は 、 設

:i卜

利 な 点 が あ る。 ひ とつ は 、 CADで は 図

1-4の

よ うに 、 4つ の 画 面 を基 本 にそ れぞ れ の

の 1直iを 拡 大 、縮 小 、 「 1転 しなが ら進 め て くた め 、 この 4饉i面 に拘 束 され 、見 る 方 向 設定 「 は模 Jの 様 な 自由度 が あ る とは い え な い 。 また 、 画 面i11に 表示 で き る 要素 の 限 界が あ るた ′!は 、常 に全体 め 、 湖S分 を拡 大 して 設 計 の 作 業 を進 め な けれ ば な らな い。 これ に対 して模 ヤ Jl●

を視 党 に 人れ な が ら、 あ る部分 を作 って い く こ とが で きる ので あ る。研 究 室 で 行 な った 横 浜 港 1可 際 客 船 ター ミナ ル で は 、 この 差 異 が 明確 にな っ た。 (図 1-5、 6)、 画 面 llに 表 示 す る こ と ので き る限 界 が あ る の に 対 して 、模 型 に よ る作 業 は 、 あ らゆ る 角度 か ら向山に 設 計 を進 め て い った 結 果 が 、2つ の 屋根 の 違 い に もつ な が って い つた 。

CAI)に よ る 設 計 の 3次 元 性 は 、建 築家 の 頭 の な か に、空 間 の 構 成 に思 い 浮 か び

llが

せ る。 しか し模 型 の よ うにす べ て の 情 報 が リア ル タ イ ム に視覚 化 され な い た め 、そ れ らす べ て を完 全 に確 認 して 次 の 発 想 につ な げ に く い 。 そ れ に 対 して模 型 の 作 業 で は 、す べ てが 視 党 化 され る こ とに よ って 、発 想 の ジ ャ ンプ を助 け 、デザ イ ンが 意 外 な 方 向 に 展 開す る発 見的 手法 とで も い うべ き 可能 性 が あ る。 この 部 分 は まだ 、 CAI)が 不 得 手 に して い る領 域 だ と考 え られ る。 (建 築 の 制 限 〉

建 築 は 、 しば しば 絵 画や 彫 刻 と共 に 、光 や 色 、 面 に関す る視 覚 的 な も の を [11と して扱 う

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視覚芸術 として分類 される ことが ある。特 に、実物 の なか に入 って直接体験す るのではな くて建物 の ドロー イ ングや写真 を見 る ときには、そ の様な傾向 が 強 い。 しか し、寒 と暖 、 そ よ風 となぎ、香 り、音、肌 に触れた表面 の感 じ、 中 を動 き回つた時の感覚 な どに関す る もの も建 築 に関わ る体験の 中で 同等 に重要な もので ある ことを考 えると、 この分類 は誤解 を招 き うる とい えよ う。視覚的でな い もの も含 めた、空間 にお ける様 々な差異 へ の敏感 さ が あって こそ、建 築 を理解 し、感動 しそ して造 り出す ことがで きるのだ。 コンピュー タによる設計 は、今 まで にな い形態操作 の手法 を建 築家 に与 えて いる、 しか し、模 型 による設 計 と比較 して問題がな いわ けで はな い。 コ ンピュー タによる設計が ある 種 の形態操作 の み を行な うゲ ー ム的な行為で あるために、現実 の 建築 と異 な る感覚 で設計 をす るあ ま り、そ の検 討が実際 の建 築 との乖離 を生んで しまい 、フィー ドバ ック されな い (実 際 の 建築 には役 に立たな いモデル にな って しまう)と い う面 を持 って しまうの だ。模 型 にお け る設計 にお いて も、視覚以外で建築 を構成 して いるものす べ て を検 討 して いるわ けで はな い 、 しか し、模型 による建築 の設計 で は、手触 りできる、実体 の ある の模型か ら 少 しず つ こうした形態 以外 の建築 の感覚 を検 討 して い くことがで きる。 例 えば 、模 型 には材料が存在す る ことが 形態 を拘束 して いる と述 べ たが 、逆 に、 この拘 束 して い る材料 を、実際 の建築 の質感 に対応 させて作 る ことで 、少 しずつ 、そ の感覚 を身 につ けて い く。 これ に対 して、 コ ンピュー タ 上で は形態 と無関係 に、そ の 面 や立体 に対 し て擬似 的 な素材 を割 り振 る ことが 可能で ある。実際 の建築 の素材感 は汚れや 、腐食等 の時 間的劣化 や 、や わ らか く建築 のなか に差 し込 む光 な どが介在す るので、 CAD上 のそれ と 完全 に 同 じとまで は いかな くて も、ほぼ視覚 的 に同様 の 素材が定義 され る。 しか し、その 素材 の定 義 は、 一 般 的 に、モデ リング終 了後 、 レンダ リングソ フ ト上で 行 なわれ る。逆 に いえば 、モデ リングは、実際 の質感 を考 えなが ら作業 を進め る ことを しな い ためにた、形 態 を構 成 して い く中で質感 を考 える意識 は逆 に希薄 にな り、形態 のみが優先 され る建築 を 作 つて しまいが ちな のである。 こう した欠点 は、モデ リングを習熟 させて い く ことによ り部分的 には改 良す る ことがで きる。 また こう した現実 の建築 に縛 られな い形態 こそが CADの 特徴 で ある ともいえる。 しか し、常 に CADを 使 う設計者 は、 CADに よる設計が現実 の 建築 とつ いつ い離れがち になって しまう一 面 を持って いる ことを意識す る必要が あるだ ろ う。そ う しな ければ、 コ ンピュー タで新 しい形態 を発見で きて も、それ を現実 の建築 に展 開で きな くなって しまう か らだ。 図 1-7に 見 られ るよ うなアル ゴ リズム による形態 の 自動成長 は、形態 としては 興味深 くて も、建 築 との対応 が まった くな い ために、建築 として は成立 しな いのだ。 以 上のよ うに コ ンピュー タを利用 して い く上で の利点 と、欠点 につ いて検 証 してきた。 ここまで の検 証 は、従来 の CADシ ステム を前提 とした設計環境 につ いて 述 べ て きた もの で ある。 一方 で現 在 の CADシ ステム 自体 に 問題 がな いわ けで はな い。建 築家 の発想 が コ ンピュー タを使用す る 中で生 まれて も、既存 の CADは 旧来 の 建築 の上 に立脚 して い るの で 、結局そ の発想 も、今まで の 設計手法 の 中 に拘束 されて しま う一面 を持 って いるので あ る。た とえば、 コ ンピュー タ 上で 設計 を始 める時、スケ ッチで 一 本 の線 を紙 の うえに引 く 様 に、線 を画面 上 に定義す る ことか ら始 める。 しか しこれは道 具が鉛筆 か ら、 マ ウスに変

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1-7

アルゴ リズムによる形態 の 自動 41成

わ ったに過 ぎず 、常 に 「入 力」 とい う手続 きな しには設 計 は進 んで いかな いのだ 。 また、 コ ンピュー タを利用 した設計 の 中で 、空間 上に 「こんな 感 じ」 とい うよ うな曖味で 自由な 形態な 立体 を置 くとい う感覚 を獲得 した として も、紙 の うえにあ いまいな 曲線 で構 成す る 輪郭 を書 くの と同様 の感覚 で 、そ の立体 をデ ィスプ レイ 上 に置 くことはで きな いのだ。そ れ らは入 力 上の手続 き (寸 法や 、 3面 図 とアイ ソメ の 2次 元 ウイ ン ドウ上で の入 力な ど) や 、 CADの 作 る ことので き る形態 の 制限 に拘束 されて しまう。 また新 しい CADは 、建 築家 の作 りた い空間が あつて 、 システムが開発 され るので はな く、 エ ンジニ ア リングサイ ドの発想 で依然 として生まれ て いるのが 現状 で ある。 ここで も結局機械 の 制限 の 中 に建築 家 の発想 が 押 し込 まれて しまって いるので ある。 こうした 制限 を取 り払 うた めには、2次 元 のデ ィスプ レイ と、 マ ウス による入力方法か

ら、 CADだ か ら こそ可能 にす る入力方法 の 開発 や 、 CAD空 間 上の形 態 を、もっ と自由 に し、さ らに発想 と同 じよ うに扱 うことがで きるよ うにな る必要が ある。そ うした作業 は エ ンジエ ア にだけ任 せ るので はな く、建 築家 自身が積極 的 に踏み込 んで いかな けれ ばな ら な いだろ う。 我 々は物 質的世界 を記述す る方法 と して絵地図 のよ うな ものか ら出発 し、基本的 にはま だ 、透視 図 あるいは投影法 の 時代 に いる。透視 図あ るいは投影法 は、空間記述方法 として

言語 と同様 に我 々の環境認識方式 を決 定的 に規 定 して いる。 視点 の 設定す なわち眼差 しが 世界 を計測 す る基準 となって いる。 コ ンピュー タによ る設計が 、建築家 の 発想 自体 を 自由 に し、ウ ォー クスル ーの ア ニ メー シ ョンな どが新 しい空 間 の展開 を表現 で きる新 しい次元 のスタデ イ になって いる一方 で 、ある地 点か らの 眼差 しが空間を記述 して いるとい う意味 で透視図法 的世界観 のなか に留 まって いる。 透視 図法 とい う空間記述言語 の 呪縛 か ら完全 に脱 出 した ところに こそ、全 く新 しい 空間イ メー ジを誘発す る手助 け と しての コン ピュー タ利用が 出現す るだ ろう。 設計思考 の 変化 か らさせ るだ け の違 いか ら、新 しい建 築 を生んで い くには、まだ けれ ばな らな いハー ドルが ある。

こえな


1-2.CADか

ら生 まれ た建築 の考察

を持 っ の コンピュ ー タを用 いて 設 計 を行な って いる建築家 は、大 き く分 けて 2つ 方向性 い、そ のなかで て いる。 ひ とつ は従来 の 設 計道具で あ る、模 型 の代用 品 として CADを 用 し形 の検 討 を行な う とい う、 新 しい視 点 を獲得 しなが ら、そ の手続 き性 を利用 して繰 り返 ー り。 もう一 方 は P ェスキ ー スの 過程 や 、清書 、プ レゼ ンテ ー シヨンに用 いるグル プで あ いる グ .ア イ ゼ ンマ ンに代表 され る コンピュ ータによって新 しい建築 を生み 出そ うとして のよ うな 、 CADを 利 用 しなが ル ープで ある。 CAAへ の 道 を考察す る この 章で は、 it者 しい建築 を探 る ことに直結 し らも従 来 の設計手 法 の延長 で行な う方法 に関す る検 証 は、新 な い と考 え られ るので 除外 した い。 「 い 築」 の可能性 を秘 この章では 、今 まで コ ンピュータか ら生み 出 されて きた、 新 し 建 を、 「コ ンセプ ト」が重視 さ めて いる 一方 で 、そ の 功罪 の批評 か ら逃れ続 けてきた建築物 べ き道 の 方向性 を導 きだ し れ る現代 の建築物 と併 せ てそ の 問題点 を考察 し、 CAAの ある た い。

に取 り入れ 、既存 の 建 まず最初 に具体 的に ここで は、 コンピュー タを積極 的 に設計活動 P.ア イゼ ンマ ンのい くつか のプ ロジエ 築様 式 を打ち破 り次 代 の 建築 を模索 して いる。 の 3つ で あ る。 ク トを取 り上げなが らそ の 論 をすす める。取 り上 げ るのは以下 l_「

1)2つ の住宅 プ ロジエク ト 2)布 谷 ビル

一 CADの 導入 は彼 の設計思考 を変 えた のか 一 CADの 世界 と、実際 の建築 の 世界 の 同 一 視

3)フ ラ ンクフル ト・ レブス トック設 計競技入賞案

一新 しい形態 理論 の導入 につ いて

(2つ の住宅プ ロジエク ト〉

思想 に どのよ うな影響 を与 えたか 建築 家が コンピュー タ を利用す る ことによって、設計 ー を導入す る前 と後 にそれぞ れ設計 を考察す るため に、 ここで アイゼ ンマ ンの コンピュ タ された 2つ の住宅 を取 り上 げ た。 (図 1-8、 9) る、それ 自身 の論理 を も 2つ の住宅 を比較す る と、 いずれ も、アイゼ ンマ ンの特徴 で あ で 、ボ リューム とVOIDの 関係 を意識 った幾何 学的 生成課程 によつて個 人 を排除 した 中 る。大 きな違 いは、 コンピュー タ導入 しなが ら正方形 が組み あわ せれて いるのが見 て取れ を保ちな が ら、平面 的な軸 の交錯 のなかで組 前 の形態が 、それぞれ の 直方体 が水平 、垂直 は立方体 が 、水平 垂直 に こだわ らず 空間 に置 み合 わ されて いるのに対 して、導入後 の形態 この 2つ の 形態 の組合せ の違 いか らで は、 ま かれ組 み合 わ され ている ことで あ る。 しか し う。彼 の建築 は、 コンピュー タによ っ だ彼 の設計 に対す る思考 を変 えた とは いえないだ ろ る取合 といつた拘束 か ら開放 され て、模型 で は制作 の難 しい触 れた 3次 元 的な軸 の交錯す たため に、設計 の 自由度 が増 しただ けな のだ コンピュ ー タ内 の 独特 の操作 コ ンピュー タ による設計 によつて建築が 変 Lる ために は、 となるが 、そ れ によつて 建 築家 の設計 感覚 を 自 らの物 とした 上で設計す る ことが必要条件

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コ ン ピュー タ導 入 前の 住 宅 プ ロ ジェ ク ト

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コン ピュー タiLl人 後 の住宅 プ ロ ジェク ト


に対す る考 え方が変わ り、 コンピュータ とい う道具な りの設計手法 を発見 で きな ければ、 建築 が根 本的 に変わ って い く ことはないだ ろ う。 しか し、 コ ン ピュー タ を用 いる多 くの設 計者 が 、 まだ、 この 2つ の住宅 の 比較 にあ らわれ て いる ように、 コ ンピュー タだか ら こそ 可能 な設計手法 の確立、 ひ いて は新 しい建築 に い きつ いていな いのが 現状 で ある。

(布 谷 ビル )

2つ の 図版 を見比べ て欲 しい 、 これ は アイ ゼ ンマ ンが東京 に設計 した 「布谷 ビ ル」 とい う名 のオ フィス ビルで あ る。 あ えてキ ャプ シ ョンはつ けな か ったが 、左 の 図 1-10が 完成 した建物 の写真 で あ り、右 の 図

1-11は

計画段階 で の最終

模型 で あ る。 この模型 と実際 の 建築 との 同 一 感 は どのよ うに して生 まれて きたの だ ろ うか 。 この 建物 はアイゼ ンマ ンの基本設 計で、 銭高組 が施 工 を担 当 した、そ の課程 は以 下 のよ うな もので あ る。 まず 、基本 的 に 直方体 を 2つ かみ合わ せて、 4段 に重ね あわ せ た形態 をワイヤ ー フ レーム を書 き

図 1-12

布谷 ビル、ワイヤーフレームモデル

1-12)。

次 に ワイヤ ー フ レ ―ム のアイ ソメ図 に記入 されて いる各座標 よ り壁面 の 寸法 を割 り出 し、斜 めにな った面 の の3 展 開図 を描 く。次 いで 、外壁 パ ネルが取 りつ く鉄骨やサ ッシの寸法 を求め、再 び 実際 して いる。銭高 次元 に戻 し納 ま りを確認す る。 この作業 を繰 り返す ことで この 建物 は成立 いるよ うに、 こ 組 の 現場所長 は 「だだ つ子 の言 う通 りにつ くってあげ た」 とコ メ ン トして の建 築 は、最初 に コンピュー タ のなか に生 まれた ものがそ のま ま建 築 として立ち 上が って 出す (図

いるのだ。 こうした施工課程 で 生み 出 された建築が 、模型 とほぼ同然 に立 ち 上が るのは当然で ある るための が、原 因 はそれだ けなのだ ろうか 、 コンピュータによ る設計は、形態 を発 生 させ で る とい う既成概 ゲ ー ム的な要素が あるため に、 このオフ ィス ビル も、建築 は水平垂直 あ いる。 しか し、そ 念 に反す る とらえ方 を提示す るため の複雑 な形態ゲ ーム として 生 まれて して いる れがゲ ーム的であるが ゆ え に、そ こに 「建築」 として成立す るため の何 かが欠落 コンピュー とい う一 面 を併 せ持つ。そ してそれが現実 の施 工課程 とは別 に、思想 として、 いだ ろうか。 ここでは タ内 の建 築 と、現実 の建物 の奇 妙 な 同一 視性 を生んで いるので はな コンピュー タ とい う箱 のなか に入 つた 一 人 の建築家 が 、他者 との関係 を拒み続 けな が ら設 を否認 しなが ら立 計 した仮想空間 の 建築が 、そ の まま現実 の世界で も可能なか ぎ り、他者 の で働 く人 々 、す なわ ち上が って しまっている のである。そ の結果 として生 まれた建 築 中 モルモ ッ トと して ち拒 み続 け られた人 々には、歪んだ空間 とい う実験室 に閉 じこめ られた る人 の 役割 しか与 え られ て いな いのだ 、実際入居 して しば らくは体 調 の不 良 を訴え退社す

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が後 を絶 たなか った とい う。 形態 は本来 、建 築家 の思想 を実際 の建築にす るための 方法 にす ぎな い。 しか し彼の所 員 は、彼 の 建 築は理 論があって形 態が生み出されて い るので はな く、 コ ンピュー タによ って 生み 出 され た形態が先 に存在 し、あ とか ら理論 を こじつ けた もの とコ メ ン トして いる。彼 の 建築で は この 思想 と建築 の 関係が逆転 して いるのだ。 コ ンピュー タ の ゲ ー ム的形態 操作 感覚が もた らした ともいえ る、構想 と形態 の逆転現象か ら生 まれた 「布谷 ビル」 で は、模 型 と現実 の 建築 の 同一感 、そ してそ こか ら生 まれた、そ こで 活動す る人 々の非存在性が 問 題 として浮かび 上が っている。今 まで の建築 は、建築家の構想 と、それ を実現す るための 形態 と、そ の形態 の ための構造や 素材 の技術 の三 者が 一 体 となって生 まれて きた。新 しい 建築 は、今 まで の 建築 に対す る概念 さえ も変換 した先 にある とい う主張が 反論 として成立 した とて も、 これ らの問題 を乗 り越 えな ければ 、コンピュー タによって生み出された建物 が オブ ジェ として受 け入れ られ て も、ひ とつ の 建築 として受 け入れ 、広 く汎用性 を獲得す る ことはな いだ ろ う。

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ランクフル ト・ レプス トック設計競技入 賞案〉

アイゼ ンマ ンに 関 して ここまで 2つ の事例 を見て きたが 、住宅の場合で は、 CADの 使 用 は彼 の 設計思想 まで もは変 えて いな いので はないか とい うことを考察 し、布谷 ビルで は コ ンピュー タの世界 と実際 の 建築 の 同 一感 と、その同 一感が いか に生 まれて きたか を述 べ て きた。

3つ め に取 り上げる、 このフ ランクフル ト・ レプス トックの集合住宅設 計競技入選案 で も、設計概 要 にも述 べ られて い るよ うに彼の興 味は、そ こに集合住宅 を設 計す る ことに向 け られて いるとい うよ りは も、む しろ今 まで の 建築 にな っか った 形態理論 (カ タス トロフ ィ ー理論 )を 設計 のなか に取 り入れ る こと (そ れ によってたの 図面 との差 異化 を謀 り、 コ ンペ に入 選す る)に 向け られて いた。 これ 以降 の彼 の作 品 に しば しばみ られ る、従 来 の 建 築 にな い形態理論 を持ち込 んで 、建築家の手か ら離れ た ところで設計 を行 な う手法 に関 し て 、雑誌 `DIGITAL ARCHITECT'の デ ジタル ア ー キテ ク との旗手たち"と い うイ ンタ ビュ ー の 中で 、建築の形態を考 える のにどのよ うに コンピュー タを利用 したか という問 いに対 して 以下 のよ うに答 えて いる。 通常 の 設計で 、フ リーハ ン ドで何 か を描 きは じめる ときには、また現在 の CADを 用 い た設計にお いて も、キ ー ボ ー ドで最初 の キー をたた くときには次 の 2つ の ことが 起 こって い ます 。ひ とつ は何 を描 こうとす る前 に、何 を描 こうとして いるか、 ある い は何 を設計 しよ うとす るか のイ メー ジを頭 のなか に想起 して いる こと。そ してそれ を 見な が ら、 自分 のイメー ジ と違 う紙 の上の線や画面 を、 自分 のイ メー ジに近づ くける ために加筆 し作 業 をすす めて いきます。それ は しか し、頭 の なか にあるイ メー ジの再 現 、 リプ レゼ ンテ ー ションです 。 この時 にはすで に頭 のなか にイ メー ジが 出来 上が っ て いて るのです 。そ して手 を通 して頭 の なか にあるイ メー ジを紙 の上 にあるいは画 面 上 に再現 しよ う として いるので す。

一 方 コ ンピュー タを使用す るにあた っては もっ

と理論的なアプ ロー チ を試 み よ うと思 い 、我 々はコンピュー タ上に明確 な方向性 をも

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フランクフル ト・ レプス トック設計競技入 賞案

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どのよ ち建 築 の 形態 を生成す るプ ログ ラム を作成 しま した。そ のプ ログ ラム によって ー を作 り出す うな形態 が生成 され るかは我 々 にはわか らず 、本 当に コンピュ タが形態 ま のです 。そ の形態 の差異 は どのよ うにプ ログ ラム をセ ッ トア ップす るかによって決 コンピュー タか ら発 ります 。す なわ ち形態 は建築家 の頭 や手か ら生 じるので はな く、 生す る ので す。 (一 部 抜粋 )

コンピュー タに これ は彼 の事務所 で コンピュー タの利用 を開始 してか ら 3年 が経過 し、 こそ可能 な従来 の 建築 にはな 対す る彼 な りの考 えが 固 ま り、 コンピュー タを利用す るか ら を示 した い理 論 を取 り入れ る ことによつて新 しい建築 を 目指 そ うとい うひ とつ の 明快 な解 の で はお こつて もの といえよ う。そ して ここで は、最初 に取 り上げた 2つ の住宅 の 設計 間 いるので ある。 いなか つた 、 コンピュー タ による設計 のプ ロセ スの変化が 生 まれて の 出現 の この理論 によって 生み出され る形 とい うのには従来 の設計思想 と完全 にそ 形態 それが紙 の上だ ろ うと模型 原理 にお いて 異 な る。わた したちは何 か を設計す る ときには、 いた設計で も同 じ こと で あろ うと常 に輪郭 を描 いて いる。それ は今 の CADシ ステム を用 に わ つただ けで 同 の が いえる。現在 の CADで はベ ンが、 マ ウスや キ ー ボ ー ドか ら 入 力 変 が取 り払われ る と じ思想 にた って いる。 しか しコンピュー タの利用 によって こうした制約 い う可能性 を示 して いるので ある。 この ことはた しかに 「 このプ ロジエク トを通 して初 は じめて設計 のプ ロセ スが変化 し、 って いる と考え られ コンピュー タが建 築 を変え るか とい う」問 いに対す る一つの答 えにな い形態 を生み 出す ことの るだ ろう。 しか し新 しい建築 とは、新 しい理論 によってあた らし 上 、実際 の 建築 と コ ンピュー タ みが 目的 で はな い。布谷 ビル に関す る考察 の 中で取 り げた とは思 えな い。 の 中の 世界 の 同一 視 の 問題 を、 この建築 が実現 した ときに解決す る

ンを大 き く変 える可能 この 3つ のプ ロ ジエク トを通 して 、 コ ンピュー タが設計 のデザ イ もは らんで いる ことを述 べ て き 性 を秘 めて いる 一方 で 、形態だ けが先行 して しま う危険性 ゼ ンマ ンのよ うな芸術 として の た。 コンピュー タが設計 を変 えて も、社会 はだれ もが アイ る建築が形態 だけ の芸術 の域 を乗 ー 建築 を設計す る ことは求めて いな い。 コンピュ タによ CAAへ の道 は歩めな いだろう。 り越 え、広 く社会 に汎用す るシステ ム を持たな けれ ば、 のは、単 に、ゲ ーム性 を持 つ しか し、 コンピュー タによ り形態先行 の 建築が 生 まれて きた い。 この 問題 は、 「コ ンセプ ト主義 機械 の性質 だけが原 因 として 生 まれて いるわ けで はな いる。 」 と言 うべ き、現代 の建築が は らむ問題 が内在 して ・ Architects'Peopleと い う本 のなかで、 建築 家 の職能論 な ど論陣 をはるダナ カフが 「建築家 に とつて 人間 とはな にか」 とい う問 いか け を何 人か の建築 家 に行 な って いる。そ の 中で アイ ゼ ンマ ンの 文章 を抜粋す る。 ンと食事 と 「人生 には コ ンピュタに真似 ので きな い四つ の大 切な ことが ある。 ワイ 「 の 人 の作家 ウィ リア ムズ 。 セ ックス と詩だ。 そ の うち建築 は詩 の形式 を とる」 私 友

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ガス は読者 のためにでな く彼 自身 の ために書 く。建築 も建築家 によって彼 自身 のため につ く られ るのだ。私 は 自分 の作 品 を 自分 自身 のためにつ くる。建築家 に とって 自分 以外 に `ひ とび と (people)'は いな い」 「 `あ なたの建築 のアプ ロ ーチ の仕方 は、そ の 内部 で営 まれ る生に とって どんな意味が ある のか 'と い う質問は私 をた じろがせ る。 私 には、私 のつ くった住宅が生活 に とって どんな意 味 を持つ のか 分か らな い」 「私 は 私 の 作 品 をイメ ー ジとしてではな く読 む行為 として 、つ ま リテキス トとして解読 して くれ るひ とび とを探 して いる」 「私 は建築が文化 を変 え られ る とは思わな い。建築 と はただそれだ けの 物だ」 ・等。 `ひ と カフによ って 以 上の 文章 は 「アイゼ ンマ ンにとって は、 自分だ けが真 に知 られ うる び と (Architects'People)'の 唯 一の構成 メンバ ーなのだ」 と要約 され る。 (ひ とび と =

自己 )と い う等式 につ いての賛否 は ともか くとして 、興味深 いのは、彼 の否定 の果 て に 逆 に浮かび あが る建築家 の思 考 パ タ ー ンで ある。 ここで のアイ ゼ ンマ ンの言葉 は次 のよ う に整理で きる。

1.

2,

建 築 =「 詩」 で ある。 「作家」 は 「詩」 を自分 の ため に書 く。 したが つて 〈 建築 =「 詩」 )と い う定 建築家 =「 作 家」 )と い う暗黙 の 了解 によ り建築家 も建築 を 自分 の 義および 〈 ために作 る。

3.

そ のよ うに閉 じた行為 は、生活や 文化 との直接 の関 わ りを持 たず 、デザ イ ンプ ロセス として の表現行為 の みが意味 を持 つ。

「 アイゼ ンマ ンは 自 らの行為 を生活や 文化 との直接 の 関 わ りを持たな い 閉 じた 内部」 に 「 限定 し、それ以外 の ものを 「外部」 とみな した上で 、 外部」 に属す る特定 の もの (こ の 場合 で い けば 「詩」 ある いは 「作家」 )と の関係 のなかで 自分 の 建築 を決定 しよ うとして いるので ある。それ は思考 パ タ ー ンのひ とつ として 、 しか も完成度 の高 いゲ ーム としては あ りえるだ ろう。 しか し、彼 の思考 に原理的な限界 が あるとす れば、そ して時 にある退屈 さを僕 らに感 じさせ て しまうとすれ ば、それ は彼 の行為が示唆 して いるものが 上 記 のよ う な 「内・ 外」 の構 図 そ の ものだ けな ので あって、決 して新 しい 「内部」 で はな い とい う こ と、つ ま り行為 として の新 しさを もたな い という ことに原因が ある ので はな いだ ろ うか。 アイゼ ンマ ンに限 らず 、 ここには現代建築 家が建 築や 設計行為 を説明 しよ うとす るとき に陥 りが ちな典型的思考 のひ とつ を見 いだす ことはで きな いで あろ うか。 つ ま りそれ は、 自らの 表現行為 の活動領域 を 「内部」 として縮小・ 限定 した上で 、それ に ともな って広が る 「外部」 のうち特定 な世界 のみ との関係 のなかで建 築 を定義 し、 自 らの行為 を根拠づ け る とい うとい うパ タ ー ンで ある。 「 つ 例 えば 「歴史」 に根拠 を求 めるポス トモダ ニズム 論や 引用論 を コンセプ ト」 として ーの 自主開発 くられ た建物たちが もた らした ものは、設計者 に新 しい形態的 ボキ ャプ ラ リ 「 を免除 した ことで ある。 「都市」 に根拠 を求 め、そ の コンテ クス トを コンセプ ト」 とし てつ くられた建物 た ちは、批評性 を伴わな い 「コ ンテ クス ト」 の読解作業 によ って 、建築 の の 的表現 が 「コンテ ク ス ト」そ の もの の建築 上の表 現 にな って しまった。 (実 際 都市 風

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景 の 中か ら特徴 的な エ レメン トや潜在す る地勢な どを建築 の構 成要素 と して持ち出 し、混 乱 した都市 を再びそ こに描 こうとい うよ うな もの)。 そ して 「社会」や 「文学」 に属す る 「 言語的概 念 に根 拠 を求 めそれ を 「コンセプ ト」 として つ くられ た バ ベ ル の塔」 の建物た ちは、設計者 に建 築的 な形態 を論理的 に導 きだす作業 の放棄 させた。 そ こでお こって いる ことは設計者 によって恣意的 に考 えだ された 「コ ンセプ ト」そ の も のが 建築 にな って立ちあ らわれ て いる とい う ことだ けな ので あ る。 CADを 使用 しは じめたアイゼ ンマ ンと彼 の建物 で はさ らに この関係 が進化す る、彼 の 建物 には恣意的な コンセプ トの 前 にコンピュ ー タ上の幾何学 の 形態が存在 し、そ こか らコ ンセプ トとして の 「虚構 の物語」 が 生 まれ て いるので ある。そ して CADの なかか ら複雑 な形態 を導 きだそ うと目指す建築家 の グル ープの多 くもまた、 このよ うな立場 に立脚 して いる ことが 、結 局 コンピュータの形態主義 を加速 して いるので ある。 以 上のよ うな 「コンセプ ト」主義 の最大 の 問題点 、そ して アイゼ ンマ ンの CADの 利用 (コ ンセプ ト以 前 の CAD内 に浮 かぶ不思議 なある いはお も しろ いと呼ばれ るよ うな形態 「 がそ の まま建築 と してたちあ らわれ る)の 問題点が浮かび 上が る。それ は 内部」 として の 自 らの立 場 を 内外 の境界線 を引 く ことによって確保 した上で 「外部」 に属す るな にか を コンセプ トとして採 用 し、そ こか らな にが しかの要素 ある いは 要素間 の 関係 を取 り出 して 「 建築 の 図式 に置 き換 える、 とい う一連 の行為 の どの段階 にも実 は 外的」 な根拠が存在 し な い とい う ことで ある。悪 くい えば思 い込 み 、せ いぜ いで 「密 室のなかで の 自己満足的 な 善意」 とい うべ きそれ らの行為 は、 自己参 照的 な言説 をふ りか ざす ことによって、建築 と このよ う 世界 との距離 を無責任 に遠 くして しまった ので はな いだ ろうか。 CADの 出現 は な考 え をさ らに増長 して いる。 CAAが 、新 しい建築 を 目指す な らば乗 り越 えな けれ ばな らな い 問題 が ここには存在す る。

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3 CAAの

定義

コンピュ ー タの導入 、そ してデザイ ンヘ の使用 によ り設計が変 わ る とすれば、そ れ は コ の ン ピュ ータ の持 つ 世界 を自分 の 世界 として獲得 した時 に起 きる、建築 の空 間把握 の差異 した 上で 、エ ン 中 か ら生まれ て くるだ ろう。新 しい建築 が 生 まれ るには、そ の差異 を認識 の ジェ アたちがテク ノ ロジー・ サイ ドの発 想 で作 った道具 を、建築家 としてそ の道具 性 質 ンの を最大限 引 き出 して設計す る ことが 求 め られ るだ ろう。 また、時 には、新 しいデザ イ た めに、道 具 も変えて い く必 要 がある のか もしれな い。 一 方で繰 り返 し述 べ てきたよ うに、 コ ンピュー タによ る設 計 は、実際 の建 築 の構造や材 の を建築化す る ことも 料 と切 り離 して、複雑な形態 を生む ことが可能で あ り、 またそ 形態 いだ ろう。 支 えて くれ る。 こう した形態 主義 に対す る危険性 を常 に考 えなけれ ば な らな こうした考察 の上で 、改め て CAAを 以下 のよ うに定義 した い。

CAA(Computer Aided Architecture)= コンピュー タを利用す ることによ つて、形態だ けに とらわれな い 新 しい建築 を生 もう とす るもの 、 また、新 しい建築家像 を導 きだそ う とす るもの。

るもの も この定義 の 中 には、そ の危 険性 は常 に考 えた として も、新 しい形態概 念 に関す システム とコ ンピ あ るだろ う し、デザ イ ンとは全 く関係 のない、新 しい設計環境 や 、生産 ュ ー タとい つた課題 も含 まれて くる。 コンピュー タ利用 この CAAの 定義 をもとに以下 の章 で は、 この定義 に含 まれ るよ うな の 現状 の紹介 と、 コンピュー タ を用 いた 設計 を行なって いる。 の を助 けて い る ー 第 2章 で は、形態 を発生 させ る以外 の 中で 、 コンピュ タが建築家 発想 いて検 証 して いる。 い くつかの実例 、次世代 の 設 計環境や 、時間 の シュミ レー ションにつ い つかの設計プ ロ また、第 3章 か ら第 5章 まで は CAAの 実践 として行 な ってきた 、 く の コンピュー タ ジェク トを紹介 して いる。 第 3章 では建 築用 でな いIndustrial Design用 5章 で は素材 をそ の なか の新 しい形態概念 を建 築 に適応 し、第 4章 で は生産 システム 、第 のプ ロセ ス を解説 して いる。 れぞれテ ー マに しなが ら、実 際 に CAD上 で行 なった設計

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2.現 代 にお ける CAAへ

の取 り組み

前章で述 べ た形態だ けが先行 して いるコ ンピュー タによって生まれ た建築は、 コンピュ ー タ の導入 が 、そ の 質 にお いて も量 にお いて、又それ を使 う我 々の意識 にお いて も、現状 で はまだ過渡期 にあるか ら生まれ る実験体 な のか も しれな い。 これ は、1つ に、高価な C

ADは 別 として、汎用性 の ある建築 CADは

、 いまだ に建築家 の発想 を、デ ィスプ レイ上 に 自由 に展 開す るよ うなイ ンター フェイ ス を持 ってお らず 、 また、作成で きる形態 と作成

で きな い 形態が存在す る等 、発想 の 自由 さを束縛 して いる こと。 2つ め に、建 築家 自身が まだ この機 械 の魅 力 を、形態 のモ デ リング以外 の様 々 な可能性 も含 めて十分 に引き出 して いない こと。 3つ め に、 こうした機械が今だ に建設業界 自体 を大 き く変 えた段 階 には至 っ てお らず 、多 くの CADが 単独 で ある いは、限定 的な ネ ッ トワー ク の 中だ けで もちい られ

て いる こと。 このため、情報 のネ ッ トワー ク化 によ って実現す る、1つ の CAD情 報が設 いていない 計 か ら施 工 まで様 々に使 われ るよ うな体 制や 、次世代 の設計環境 にまで行 き着 ので ある。以 上のよ うな理 由か ら、エ ンジエ ア リングサイ ドで 生まれ た CADは 、まだ建 築家 の発想道具 として の CAAに な りきれて いな い と言える。 この 章 で は、まず 、建築にお け るコンピュー タ利用が、形態 のモ デ リング以外 に、どん の な可能性 を秘 めて いるか を紹介 した い。 2-1)形 態 認識 を助 ける、2-4)建 築空間 の を の 再構成 で は単独 の コンピュTタ システムで も可能 な 、形態以外 の建築 発想 可能性 紹 介 して いる。 べ て の問題 現代 の テ ク ノ ロジ ーは複雑で 、 また高度 にな りす ぎてお り、一人の人 間 がす 一 を解決す る のは到底不 可能 にな って いる。それ は建 築 にお いて も同様 な ことが言 える、 ・ ・ 人 の 設計者 が 、そ の配置 か らイ ンテ リアに至 るす べ て のデザ イ ン、また構造 設備 建築 に 材料・ 工法 といつた技術的 な問題す べ て を把握 し、 コ ン トロールす るのはます ます 困難 な ってきて いる。 CADに よる設計 で は、設計者が、限 られた設計期 間内で 図面 を引きなが らパ ースを描 るこ き、模型 を作成す る とい う一連 の 作業全 て を、 一 人 の 設計者 が行 な う ことを可能 にす に とで 、建築家 によるデザ イ ンの及ぶ範囲 を広げた といえる。 しか しそれ も住宅やそれ 準 の じた規模 の 建築や 、 また基本設計 の段階 まで を支援す るのが限界で ある。現 代 建築設計 に求 め られて いる、よ り複雑な機能 が重層 された大規模 な建築 の 設計 に対す る支援 にはな のよ うに見積 り得て いな いのだ。 また、 日本 にお ける設計事務 所 の描 く図面は、アメ リカ ・ ュメン ト だ けでな くそ の 図面 で工事 の契約 をで きる完成品 と して のコンス トラク ト ドキ い にはな り得 て いな い とい う問題 は、現在 の単独 の CADシ ステム の運用 で は解 消 できな

で いる。

は、図面や また模 型 と CADに よる設計 の違 いで ものべ たよ うに、 CADに よる設計 で に、 リア バ ースな どを出力 しな けれ ば、画面 上 に示 され るの はほん のそ の一 部 で あるた め の ル タイム に設計者が考 えて いる ことを伝 えて いる とは いいがた い。従来 の設計 協同作業

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のように大きな図面や模型を広げなが ら全体 を把握 しなが ら行なう ことが、現状の コンピ ュ ータを使用 した設計環境では行 なえて いな い状況 である。 上の い 社会 のなかにコンピュータが浸透す る中で、単独 の設計では解決できな 建築設計 こうし 問題 を、ネットワーク化によ つて解消 して いこうという動きがある。 この章で は、 た面に関 しても、 2-2)コ ンピュタ による生産 システムの統合 , 2-3)デ ジタルメデ ィア による次世代 の建築設計環境 とい う 2つ の方向で まとめて いる。

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2.1

形 態 認 識 を助 け る

コンピュー タによって生み出 されるものは、 形態 だ けが先行す る建 築だ けで はな い、ま た、出力 されたグ ラフイ ックは、建築家 のイ メー ジを絵 によってプ レゼ ンテー ションす る だけ の もので はない。 コンピュー タによ り生み出 され る建築は、建築家 の道具 に対す る理 解 と、 どのよ うな立場 で 利用す るかによ って変わ って くるだ ろう。 また、そ こか ら生まれ る CGも 、イ メー ジだ けでな い様 々な ものを伝 え る、新 しい伝達手段 になるだ ろ う。 前章 で述 べ た、 コンピュー タの設計が もた らす エ レメンタ リズム に 関す る意識 は、部分 として の 形 の存在 と、全体 として の形 を並存 させ なが ら建築 を構成す る視点 を建 築家 に与 えた。 こう した視 点 で造 られた建築は、1つ 1つ の部材 (エ レメ ン ト)を バ ラバ ラに した り、 い くつ かの部材 をグル ー プ化 して空間上 に配置 したアクソメ図な どによって 、建築が どのよ うな構成 を とって いるか をビジュアル に説 明 で きる。 現代 の 建 築 の生産現 場 にお いては乾式 工 法 や 、 工 場 生産で構成 され る建築部材が増えて いる。例 えば、構造部材 、 トラス、カー テ ンウォール 、サ ッ シ、手摺等が あげ られ る。 コ ンピュー タ のエ レメ ンタ リズム を用 いて 設計す る ときは、個 々の部材 を単なるデザイ ンと して構成す るので はな く、工業化部材 とそ の建築的構成 (構 造 、取合 、防水な ど)を 理解 した上で設 計 を して い くべ きで あろう。 (図 2-1)コ ンピュー タによる設計 が形態先行 を許すか ら こそ、逆 に建築家 に、企画か ら施 工そ して管理 にいたる広 い意味で の 建築全体 の流れ と、 一つ一つ設計 した建築部材 の生 産 と成 り立 をを理解 し、そ れ を応用 しなが らコ

ンピュー タ を利用 して設計す る ことが 求 め られて いるのだ。 こうした 設計 は CAAの ひ と

つ と して あげ られ るだ ろ う。 こうして設計 された例 をもうひ とつ 紹介 した い。 図 1-2は 、関西国際空港 の トラス と カー テ ンウ ォー ル の取合 の部品 のために設計のため に作 られた CGモ デ ルで ある。 この取 合部で は、 トラス と、躯体 とが荷重によ って異な る挙動 をす るため に、 2者 の 中間 に位置 す る、カ ー テ ンウォー ル とそれぞ れ の取合 で 、通常 の風 による小 さな変異 (x方 向 に 4 400111111)を 、吸収す ることが求め られ 5111111)と 、地震時 の 大 きな変異 (x方 向 に最大 た。そ のため に このカーテ ンウォー ル全体が 、 上 下 の 躯体 の レー ル上 を動き、 さ らに、 ト ラス との 間 に図 の よ うな詳細 を持 つ ことで 、 この 動 き を吸収 して いる 。通常 の風荷 重によ る変異 は、 トラス に取 り付 け られた ゴム ガスケ ッ トで この動 きを吸収 し、地震時 の大 きな 荷重 は、ガスケ ッ トの まわ りの 3枚 のパ ネルが 、動 く ことによって このずれ を吸収 して い る。 この CGモ デル は、設計 の最初 の段 階か ら、設計者 の意図 を常 に検 証 し、取合 を確認 す るため に作 られ 、施主 へ の説明 に コマ 送 りの簡単 なアニー メー シ ョンまで を行 なった。

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夕 f f J I S ハ ヽ 卜 仁 一 筆 E

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ヽ ・

J I I 下 掛

こ 喜 S ム T   、 〓 、 ´ ヽ I R κ へ 一 ■ , 型 き ま 摯 一 F ヽ コ 一   ヽ   ヌ 一



2.2

コ ン ピュ ー タ によ る生産 システ ム の 統 合

ステム (電 朝 日新 聞社 は 1980年 、築地新社屋 に移転 した の を契機 に NELSONシ 算 によ る編 集 システム を)を 完成 させ 、稼働 させ た。 この システムで は、新 聞製作 の上流 で ある編集 局 に隣接 して入力、編集作 業 な どを行 な う新 聞製作局 が新 たに設 け られ 、替わ りに活字 、活 版、紙 型 を担 当して いた下流 の 印刷 局 と発送 を担 当 して いた部が統 合 され、 下流 が大幅 に合理化 され た。 10年 後 には、記者か ら直接 、 ワー プ ロの電子情報 が送 られ るよ うにな り、キ ーバ ンチ ャー は不要 にな るまで に変化 した。副次的 に記事 の デ ー タベー ス化 が 図 られ た り、世界各国 に 日本 と変 わ らな い新 聞 を同時 に発行 した り、速報性 、読者 サ ー ビスの向 上、労務 問題 の解決 な ど情報化 の完成 によ り大 きなメ リッ トを生み 出 した。 そ の後 、数年 の間 に新 聞業界 全体が情報化産業 へ と飛躍 したので ある。 建設業 の 情報化 は企 業間 にまたが るだ けに、一 社だ けで完結 して いる新聞社 よ りはるか に困難な条件 を持 って いるとはいえ、建設業 の情報化 はまだ先が見 えて いな い 。 しか し、 コンピュー タそ して CADは 、建設業 にお いて もの情報化構築 の 役割 をはた し、設計か ら 施 工 まで も 一大展 開 して い く可能性 を秘 めて いる。 この小節で は、 こうした動 き を紹介 し た い。 日本 の 建設業 の生 産性 は他製造業 と比較 して、 また、欧米 の 建設業 と比較 して も相対的 に低 い ことが指摘 されて いる。 建設費低 減 に対す る社会的 ニーズ は大 き い。建設業 の生産 システム を統合す るた め の課題 の一つ として、設計図及 び施 工 図 に関わ る問題 が ある。 日 本 の 設計図書 は一般 図 と詳細図か ら構成 されてお り、 一般 図 に法規情報が集 中 し、詳細図 に生産情報 が集 中 して いる。 この一般 図 と平面詳細 図 で は記入密度だ けでな く図形表現 も い 異な ってお り、内容 の重 複 が多 い。 さ らに部分詳細 図 、施 工 図 も同様 に重 複内容 が多 。 の 建築 は単品生産 で あるか ら、そ の都度 、設計図 を作 る ことは ともか く、そ 5倍 とも言わ れ る施 工 図 、 また、そ の 5倍 といわれ る製作 図 は本 当に必要 な のだ ろ うか。全職種 での作 図 、照合 、チ ェ ック 、調整作業、設計変 更処理等 の総時間 と総労力 は膨大で あ り、大きな 無駄 を生んで いる。 また、設計図 の現状 として、設計 の基本 的問題 、す なわち設計 、構造 、設備 の 不整合 、 スケ ー ル と目的 の異 な る 2つ の 図面 上の重 複記 入部分 の食 い違 い と、部分詳細 図不足 な ど し 設計図書 の 不確実性 、不足な どの問題が指摘 されて いる。その原 因 は、建設需 要が拡大 の 続 けた ことによる人材 不足や 、工 業化 、技術革新 の テ ンポが速 いため建築家側 製造技術 一 知識 が追 いつ けず 、設 計者 のプ ロダク シ ョン技術が空洞化 して きた ことにある。 又、 方 の で 施 工側 の 知恵 を取 り込 んだ方が高品質 な建物が 出来 る という 日本独特 の生産 システム しあ う 思想が根底 にある ことも否定で きな い。 しか し、設計者 と製造者 が 一緒 に知恵 を出 ことと、信頼性 のな い 設計図書 とは別 問題 で ある。 こして い 具体 的 に こうした生産性 の低 い、信頼性 のな い設 計図書 それが どんな問題 を起 るのか の一 例 を紹介 した い、 図 2-3は 、 ある現 場 で最初 の設計図書 が描かれ てか ら、メ ーカ ーで 製作 に及ぶ まで をフ ロー チ ヤー ト化 した もので ある。製作 に及 ぶ まで 、不明瞭部 しなが ら実 に 35 分 の確認 か ら始 まって 、 メー カ ー に製作 図 を描 かせ 、そ の調整 を く り返

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もの工程 を踏んで製作 にいたって いる。 本来 、欧米 の設計図書 のよ うに、建築 家 が責任 をもって描 い た図書で あれば 、 この 35も の工 程 は不要な ものな のだ 。 この 問題 の解 決 のために、 CADが 浸透 し、正確 な表現 の CADデ ー タが 流通す るよ うにな る課 程 で、 日本 の 図 面構成 にあわせて 、設計か ら施 工 まで の トー タルな活用 をめざ して、図面 の

分 別 性 ・ レイヤー颯籠 .グ ループ■能

再利用 の 仕組み を確 立 しよ うとす る動 きがでて いる。 この CADに よ る図面 の再構成 の動 きは図

1-4に 見 られ る CADの 機能 lvl2-

と特性 を利用 した もので ある。 信頼性

:CADは

4

CA l)o)HtfiEL+'!fl,

手書 き と異な り、

出図 の縮尺 にかかわ らず 、 基本的 に原 寸入 力で あるか ら、詳細 な入 力が可能 で ある。正確な図形入力 を してお けば、寸法 は CAD上 で 自動的 に 計測 して記入 して くれ る 自動 寸法機 能 が ある。 自動寸法記入 に依 った寸法入 力 は正確 さが保 障 されて いる。 CA Dを 情報 として活用す る場合 は既製 品 の 中身 の詳細 は ともか く、納 ま り、取 合 につ いて正確な図形入力 をす る ことが 前提 とな る。 実際 に、建築 をよ く知 って いる 人が CADで 実施設計 の 図形 を入 力す る場合、 出図 スケ ー ル に関係 な く。正確 に且つ 、細か く入 力す る ことが 多 い。 加 工 性 :CADは 編集機能 の上 手な活用 によ り作 製時間 に大 き く差が つ く。作 図機能 を主に した単純な入 力 と、変形 、拡大 、縮小 も含 めた複写配列機能 を上手に 活用 した入 力では 10倍 以 上 の差が で る。又、一 度入 力 した 図形 を利用 して、 そ の 図形 の全体 、一部 の拡大 、縮 小、配置変 え等 を行 い、種 々のス タイルに 出図す る ことが 出来 る。 コピーや 参照機能 を活用す る ことは、 同 じ図形 は 2 度入 力 しな い とい う ことで あ り、単純 ミスを防止す る意 味 もある。 分別性 :レ イヤ ー 分 け を上手 に使 う ことによ り、少な い労力で 、多種類 の 図面 を出図 す る ことが 出来 る。通 り芯 、文字 、寸法線等 と工 事項 目別 に レイヤ ー 分 けを すれ ば工事項 目別 に出図す る ことが 出来 る。又、縮尺や 図面 の種類が異 なっ て も、図形 の形状 は変 わ らな いので レイヤ ー を組み合わ せ て様 々 な図面 を出 図す る ことが可能で ある。例 えば 「躯体」 の図形 は一度 正確 に入 力すれ ば、 平面図 、平面詳細図、天丼伏 せ 図、構造 図、設備 図 、躯体 図 、協力会社 の承 認図全 て に共通 に活用 出来 る。 「仕 上 げ線」 につ いて も同様である。 (図 2

-5)

この 3つ の特性 を利用 して入力 したデ ー タは、高 い情報価値 を持 った CADデ ー タであ る。従来 の手書 きでは、実施設計全体 を通 して、同 じ図形を何人 もの手によ り、何回も描 いている。 CAD情 報が うまく建築生産 システム を統合できれ ば、同 じ図形は重複 して入

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天丼伏せ図

● しVBl入 が 腎

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11 ‐

2-5

` レイ ヤ ー 分 けに よ る人 力 と01肝 i)1月 例

トー タル として、大 きな省 力化 力す る必要がな い うえ、照合 の手間 も省 け るので 、建設業 とな り、生産性 の向 上が 期待 で き るので ある。 い れ 、建築業界 一 方 で 現状 で は以下 のよ うな い くつ か の 問題 も抱 え て いる 。 しか し、 ず を解 決 した CA のなか にも情報化 の 波 が本格的 に訪れ る ことは間違 いない、 こうした問題 Dシ ステム の誕生は、建築 生産 システム 自体 も大 き く変えて い くだ ろう。 る い 人材が絶対 的 に不足 して 人材 の 育成 :建 築が良 く分か つて いて、 CAD操 作 に明 い

組織 の改正

ー タ作成 、活用 に伴 う直接及び関連業務 は、生産設計 (施 工 ータの流 図 も含 めて)の 入力 、修正、数 量出 し、仮設計画 の作成 、デ ータ分析 通、説 明、変更 連絡 、デー タチ ェック、竣 エデー タ管理 、デ 整理等、設計 と作業所業務 にまたが つた広範囲な業務が考 え られる。 CADデ ー タ作成 の範囲 を広げて いくためには、設計 とCADの 関係 、

:CADデ

との責 作成時期 の問題 、部門経費 とCAD原 価 の関係 、設計や作業所 の全面 的な再構 任 と権限関係等 、意識改革 とともに、既存 の業務体 系 築が必要である。

の全てを対象 とす るため レイヤー分け :こ うした CADの 入 力は、施 工上必要な情報 となる。 のルール化 に、入カデー タを どうレイヤー分け して い くかが 重要な課題 どをす る OUTPUTで ある生産図 の全体 を見通 し、図面 に対す る再定義な るため ー な どの必要がある。 また、 こうしたシステムがよ リ 層普及す を には、設計・ 建築団体 で統 一 した、設計か ら施 工の トー タルな利用

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考慮 した レイヤー標準 を作 る ことが 必要 とな るだ ろ う。 デ ー タ交換

:現 在 、DXFフ

ォーマ ッ トが 一般 的 に普及 しているが 完全で はない。

フ ォーマ ッ ト 改善す べ き点 を集 約 して、建設 業界か らの提 案 として メー カ ー に要望 の 改善

す る ことも必 要である。

こうした CADを 使 った建築生産 システム統合 の動 きは、 直接 コンピュー タによるデザ イ ンに関わ る ことで はない。 しか し、 この動 きで重要な ことは、 こう した システムの導入 によ って、設 計者が最初か ら生産 システム、建築部材 、施 工 課程 を知 る ことで 、責任 ある 図面 の作成が求め られ る ことに ある。 日本で は、建築家が基本設計の段 階 で、建築化 で き な い 図面 を作成 し、ゼ ネ コンの 経験 と技術 力で施 工す る とい う、奇妙な分業体 制が成立 し て いる。技術 的なサ ポ ー ト自体 を否 定す るわ けで はないが 、 この分業体 制は、建築家 に施 工 の 東縛か ら開放 されたデザ イ ンとい う免罪符 を与 えて しまっているのだ。 いか に現代が 高度 な技術が複雑 に絡 みあ い 、一人の建築家 によ り多 くの責任 が求め られ る時代だか らと は い え、建築家がそ のす べ て を放棄 して 、表面的なデザイ ンをす るだ け存在で あってはな らな い。 また こう した 表面的なデザイ ンか らは、建築 の本流 をなす ものは生 まれて こな い だ ろ う。付 け加 えるな ら、 こ う した現在 の生産 システムが 、前章で指摘 した 「コ ンセプ ト 」 主義 の遠 因 とも考 え られ る。 デザ イ ンに直接関 わ らな い生産 シス テ ム の話 を ここに加 えた のは、 CADが 、単なるデ ザ イ ンの道具 として のみ受 け入れ られただ けでな く、 こう した生産 システムの現場 での方 が む しろそのパ ワー を発揮す る ことを知 り、 また、 こうした システムが 、実際 に建設業 の なか に浸透 して 建築家 をサポ ー トす る ことで、形態先行 にな りが ちな コンピュー タを使用 したデザ イ ンに警鐘 を鳴 らす とともに、 こうした生産 システム を熟知 した上で の 設計 の 中 に こそ 、現代 にふ さわ しい新 しい建築 を生むための発想の源が ある と考 えたか らである。

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2.3

デ ジタルメデイア による次世代 の建築設計環境

以下 の 2つ の都市デ ー タを見てほしい、図 2-6は 筆者が卒業設計 のために作成 した、 2bの 都市デ ー タを入力 したもので あ り、図 2-7は 栃木 両国駅 を中心 とした周囲 lb ー の 県庁舎 のプ ロポーザル コンペ に供 された CGデ ー タである。 この 2つ のデ タ 比較にお いて、都市デ ー タをどう入力す るかとい うモデ リング上の違 いを検 証す ることはあまり意 の 味がな い。 ここで重要なのは、両者のデ ー タの 目的 と、そ の使用 に関す る違 いだ。前者 モデルは個 人 の設計 のために、一般的な敷地模型 の替わ りとして作成 されたクローズな C G都 市デ ー タであ り、後者 は、最初か ら、 コンペに参加 した 6社 す べ て に使われる ことを

6社 目的 として作成 されたオープ ンなもので あ る。一つの都市デ ー タを共有す ることで、 がそれぞれ入力する無駄 をここでは省 いている。ただ しこの段階で は、 コンピュータによ ペ る可能性が全 て開かれたわけではない。東京国際 フォー ラムや 、京都駅 のコン テイ シヨ ンでは、 コンペ に参加 した設計事務所 が、模型 を置 く敷地が準備 されて いた ことを考える と、この栃木 の CGモ デル は模型の代用品で しかな いのだ。 しか し、全て の都市 の 3次 元 こ デー ター を、誰で もが利用で きるような システム の 中で作成 して い けば、半永久的 にそ に書き替え を加える ことによ り非常に開かれた都市デ ー タとな るのだ。 こうした動きは、 ている。 遥か未来 の ことでな い、実際 に JIAで は都市デ ー タ活用分科会で検 討 をはじめ また実際 に 2次 元 の地形 図デ ー タは、そ の書 き替え とい う段階 には至 って いな いものの、 デ ジタルデ ー タとしてフ ロ ツピーの形で販売され ている。 り 最近の情報技術 。通信技術 の進展 は、上記 のような都市デ ー タの共有 だけでな く、よ てきて 高度 な設計環境 を構築す るために必要 な現実的な技術 を提供 して くれ るようになっ いる。 コンピュー タは計算機 か らメデ ィアにな りつつ ある。思考 、表現 、伝達な ど知的な活動 ー で扱 うテキ ス ト、図形、画像 、アニ メ、ム ービー、サウン ドをデ ジタルデ タとして統合 ンとコミュニケ 的 に扱える技術 、マルチメデ イア技術 が コンピュー タを計算機 か らデザイ ー ションの メデ イアに変えたのである。 コンピュー タネ ッ ネッ トワー ク技術 はコミュニケー ションを支援す る基幹技術である。 ー ベースの共同利用 トワー クはす でによ く知 られて いるよ うにファイ ル共有・ 転送、デ タ ジュール管理 相 互に接続 された CAD/CGに よるチ ーム設計支援 、メール交換 、スケ ー ビスによっ プ リン トな どのグループ向けのサービスを提供 して いる。 さらに外部通信サ て、パソ コンネ ッ トや Internetな どの外部ネッ トワー クヘ の接続 、 FAX送 受信 、外部遠 いる。す で 隔地か らの リモー トアクセス、デ スク トップ TV会 議な どが可能 にな ってきて に遠隔地 の設計者・ 技術者や クライ アン トとの仮想 空間の共有 も一部現実 のもの となって いる。 な問題 を除けば 情報・ 通信技術 によつて支え られた設計環境 は未来的 に見えるが、質的 CAD/CGに よるチー 技術的 には いつで も実現可能 である。相 互 にネッ トワー クされた エア CADに 実 ム設計支援 は、すでに熊本大学・ 両核研究室で開発 されて いるウィ ン ドシ の と協同につい 例がある。 また遠隔地 の設計者・ 技術者や クライ アン トとの仮想空間 共有 コロンビア大学、バ ても、MITの ミッチェル教授 を中心 にホ ンコン大学 、プ リティッシ

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卜重二 ‐

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図 2-6 111111駅 周辺 の C(〕

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1■ 栃木県庁合プ ロポーザル コンペに使用 された C(]都

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3


ルセ ロナ の ETSA、 シア トル・ ワシン トン大学 が Intemctと Picture Telに よつて結 ば れた 「バーチ ヤル・ デザイ ンスタ ジオ」 の実験 (図 2-8)が 紹介 されて いる。 これ らのデ ジタル ネ ッ トワー ク、マル チ メデ イア の技術 を基盤 に した次 世代 の 建築設計 II能 性 を秘めて い る。それ は、建 環境 は建築設計 の 環境 とワー クスタイ ル を大 き く変える ベー ス に した多分野専門家 の 協 築 設計 が もともとマ ルチメデ イア・ コミュニケ ー ションを 人の作業 に とど 同作 業 、協調作 業 で ある ことを考 えれば、 コ ンピュー タの使用 によつて個 び コミュ ま りが ちだ つた設計作 業 に、 こういつた情報・ 通信技術 の進展 はわた したちに再

ニ ケ ー ションの 為 の イ ンフラを提 供 して い くことであ る。 で あるため に、デ 現 代 の テ ク ノ ロ ジーは複雑 で 一 人 の人間 が 問題 を解決す るのは不可能 コミュニケー シ ザ イ ンチ ームは複数 の専門家集 団 で形成 され 設計 は協調的 に進 め られ る。 一つのネ ッ トワ ョンの 時間的 、空間的な制約 を解 除す るため のネ ッ トワー クが構 築 され 、 い ー クは他 の ネ ッ トワー クと接続 され 、神経 系 のよ うな網状 ネ ッ トワー ク に発展 して く。 のよ うな社会的 プ ロセ ネ ッ トワー クによ る重要な変化 は、デザ イ ンプ ロセスに折衝や 討論 ので はな ス を含 むよ うにな る ことなる。それ は、 コ ン ピュー タの 力 を借 りて設計 を進 める して い く体制が 生 く、 い ろんな知識 を持った人達 が集 まって 、同時 に設計 上の 問題 を解決 を造 る時代 まれ るか らだ。建築が、もの をデザ イ ンす る行為 であるとす るな ら、単 に建物 る必 要が あ は 、終 焉 し、都 市や社会 、そ して 人間 と機械 の 関係 もデザイ ン し社 会 に提 示す るだ ろ う、次世代 の 設計環境 は こう した道 へ の扉 を開 いて いるのだ。

35


〆¬

MIT建

築・

:i卜

皮li 画学部の シンポルである、マサチ ューセ ッツtrlり に山iす る建物の、メ

階全体 を改修 し、パ ー チ ャルデザイ ンスタ ジオのキ ース タ ジオ とな る。 「未 来 のデザイ ン スタ ジオ Jが 建 l没 され る。 そ こでは以 ドの ことが 行なわれ る。 ①

最新鋭 の幾何学 モデル、コンピュー タグ ラフイックテクノロジー を川 いて、デザ

MITの

イ ンのモデル化、分 ,7を 行な う。 IJ際 的ネ ッ トワー クを通 じて、画像 、デ ジタルモデル 、そのほか の拡張

デー タ ベースヘア クセスす る。 ③

コン ピュータで統合 されたテ レコミュニケ ー ションで、プ ロジェク トにつ いて遠

プ レゼ ンテー ションのため、高lllll質 のプ リンと、スライ ド,ア ニ メ、 ビデオを作

コン ピュタルJ御 の 製造 システム によって、デ ジタル幾 │`学 モデルを │:l動 的 に模型、

くにいる協力 者とI議 論する。 り111す 。 ある いはプ ロ トタイプ の制作に結びつ ける。 又、こう したスタジオ とネッ トワー クのために以 ドのよ うな技術が求め られて いる。 ①

デザ イ ンの提案を膨 らませ るため の 、 CAi)と ル

CIS(地

報システム)モ デ '1情

3次 元 モデルか らイ メー ジやアニ メー ションをつ くる

高品質なデ ジタルイメー ジを受 け ll:め

lllll像

,記 録 、

1liノ │:、

システム。

分配 、加

li、

分析 、翻:沢 す

る システム。 ④

ビデ オ会議 システ′、 。

人 :Itの ビジュ

~/ル

デー タのや り取 りに耐える大容 lltの 力

r/_ク 。

::回 線 の ネッ ト

()建 設jJl場 や、移動中の 参加1者 の ため の ワイヤ レス・ ラップ トップ コンピュータ。 `イ

② ③ ③ ⑩

サにアクセ スで きるデータベース。 地 llll的 に離れた複数の参加1者 が同リ │に アウ トブ ッ トに関す る優れた製品。 ネ ッ トワー ク化された川辺機器。キ 参lJl:者 のスケ ジュール 調整な ど、共同作業を I能 にす るため の ソフ トウエア。 過去 のプ ロジェク トのデ ー タな ど、膨大な情 報か ら仙iriあ るものを探 し出す イ ンター フェイス役の代理 システム。

図 2-8

バーチ ャルデザ イ ンスタ ジオの概 要

36



2.4

建 築空 間 の再構成 、光 の空 間 、時 間 の 建築

コン ピュー タ を用 いた建築空間 の再構成 は、 失 われた建築や 、幻 におわ った建築を視覚 化す るよ うな もの と、建築 の形態 の 文法 を表現す る ことで、 建築家 のデザ イ ンヴォキ ャブ ラ リー を探求 し、 さ らにデザ イ ンの展開 をめざす 2つ に大別 で きる。 前者 の空 間 の 再構成 は、かつて の 出雲大社 や イ タ リア未来派 サ ンテ リア の駅 のプ ロジェ ク トの よ うな単体 の建築 レベ ルか ら、古墳 のよ うな土木構造物 、ある い は古代都市 の再現

2-9)な

ど都市 スケ ール にまで及ぶ。 こうした空 間 の再構成 には、入 力課程そ の も の と、それ を設 計者 自身が行 な う ことの 2つ の見方 か ら評価 がで きる。再構成 の作業 は専 門家 と、オ ペ レー タ の対話 が不可 欠で ある。 コンピュー タ上で はす べ て の ものが正確 に、 (図

また 3次 元 的 に 多視点 か ら表現 され るため に、専門家 に従来 にな い視 点か らの検証 にを可 能 にす る 一 方 で 、今 まで曖味 にされて いた ことが 視覚化 され るために、そ の部分 の研究 を さ らに求 め る ことになる。 また、 コンピュー タ のエ レメンタ リズム は、建 築 の部材 をエ レ メ ン トに分解 して組み 上 げ て い くために、完全 に復元 された姿だ けで な くそ の構成 の分析 や部材 の取合な ど別 の視点 を生んで い く。 (図 2-10) また設計者 自身 が行な う建築 の再構成 の意 味 は、 こうした作 業 によ って 、従来 の模型な どで はで きな い 自由な視点 か ら建 築物 を検 証 して い くことがで きるため に、形態 の学習だ けで な く、空間 の学習 を行な う ことがで きる ことで ある。また前章で指摘 した、 コンピュ ー タによ る設計作 業 の 中で喪失 して しま いが ちなスケ ー ル感 を、 こう した作業 を通 して確 認 で きる ことにある。 一方 建築家 の デザ イ ンボキ ャプ ラ リー を探求 し、さ らにデザ イ ンの発 展 をめざす のには ・ ロ 以下 の、 AI(人 工 知能 )の 考 え方 を利用 した もので ある。第 5世 代 コ ンピュー タ プ ジェク トを進 めて いる次世代 コンピュー タ技術 開発機構 によ る定義 で は、 AI(人 工知能 )と は、人間が 用 いる知識 や判断 力を分析 し、 コンピュー タ 上 に活かそ うとい う技術で あ る。 ここで提 唱 されて いるコンピュー タ の使用 は、 ここまで 紹介 して きた もの と性格 を異 にす る。建築 の 場合 の 人工 知能 の利用 とは、 コンピュー タを単 に鉛筆 の かわ りの設計 の道 具 としてで はな く、建築家 が行な うよ うなデザ イ ンの選択や 決定 を行 な い、条件 に応 じて 可能な形態 を見付 けだそ うとい うもので ある。 こうした動 き をす る道具 の実現 が可能で あるか を考 えるとき、建築家が行 な うデザイ ン にお ける思考 とはなんで あるか を根本か ら問 いなおす必要が ある。そ の 思考が科学的 に分 こ 析 され整理す る ことが理論的 に可能で ある とすれば、それ を コ ンピュ ー タ に行なわせ る とが理論的 に可能で ある という ことにな る。設計行為 のような人間 の 想像 的な行為 の 中 に コンピュー タ によって置 き換 え られな い部分 が ある とい う命題 は、人 工 知能 の研究者や哲 学者 の 間 で 当初 か ら続 け られて いる議論 で ある。建築 が芸術 の一形態 で あ り、おそ らくは もっ とも想像 的な もの のひ とつで ある ことを考 える とき、 この 問題 は極 めて興味深 いもの となるだ ろ う。 ー (形 態 文法 )に 関す る も 最近行 なわれ た こうした取 り組 み のなか に シェイプ・ グラマ のが ある。 シェイプ・ グ ラマー とは建築 の 形態 の生 成 を、与 え られた 一 群 の変形規則 によ って行 なお うとす るもので ある。 一例 を上げ る と、カ リフォル ニア州立大学 ロサ ンジェル

37


IXi 4-9 人部

(JjI在

の北 京)σ ),!i現

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図 4-!0

シュレイダー邸

(3.リ ー トフェル ト

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ス校 の H.コ ーニ ング と J.ア イゼ ンバ ー グはフラ ンク・ ロイ ド・ ライ ト設計 のプ レー リ ー・ ハ ウ スな ど 11の 住 宅 を分析 して、 これ らの住宅 が 99こ の規則 を用 いて 設 計で きる ことを示 した。 この 99の 規則 は具体 的 には 「何 もな い ところに暖炉 を生 じさせ る」 とい う最初 の規則か ら始 まって 、そ の まわ りに リビング と コア となる空間 を展 開す る規則 、さ 「 らに屋根 、テ ラスや ポー チ等 を付加す る規則が つづ き、最後 の 屋根 か ら煙突 をだす」 と い う最後 の 規則 に至 る。 (図

2-11)。

ベ この抽 出 された 99の 規則 を順次適応す る ことによ って、基本的な空 間構成 の レ ルで 89の パ ター ン (も ちろん この 中 にデザ イ ンソー ス とな った 11の 住宅 は含 まれ る)、 屋

と で 根 な どのデザ イ ンのバ リエ ー シヨンを含 める と 238の パ リエー ションが可能 ある。 ・ マーのパ くに この 内 の 3つ は、お のおのStiny邸 、March邸 、MitChe H邸 とシェイ プ グ ラ ィォ ニ アたち の 名前が冠 され平面図 まで作成 されて いる。 (図 2-12) この研究 は ライ トの設計 にお け る思考過程 を分析 した もので はな い。 また ここに示 され いつた諸 て いる規 則 は、形態 の生 成 の み に関 して の み有効 で 、敷地条件や 、機能 、構造 と に記述 され 条件 を ときなが ら、同時 に形態 を発生 させ て いるわ けで もな い。 しか し、明快 きな意味 の た規則 を用 いて 、建築 の 形態 の発 生 を行 な う ことがで き る ことを示 した点で大 ある もの といえよ う。

この小節で は、再構成 の実習 として、光 を媒介 とた空間 の再構成 と、時間 を媒介 とした の 築物 の検 建築 空間 の創 出 を試み て いる。光 を媒介 とした建築空間 の再構成 では、3つ 建 を想定 しなが ら再構築 証 を行 な って いる。それ ぞれ のプ ロジェ ク トでは、建物 の室 内照明 を試み る ことで 、そ の空 間 と特徴 を示そ うと して い る。 (ダ ンテ ウム ーGiuseppe Terragni 1938) 1938年 に テ ラーニ は、イ タ リア合理 主義 のひ と りとして 数 え られ る建築家で ある。 とともに、す べ ての部 計画 された この 建物 は、ダ ンテ の 「神 曲」 になぞ られ た空間で ある の レリー フに辿 り着 くとい 屋 を抜 け る とム ッソ リーニのイ ニ シ ャルで あるMを 形 どつた鷲 の柱 の 間 、地獄 うフ ァ シズム的要素 を含 む建築で もある。 この空 間 で は、前庭 、100本 いる。特 に黄 の 間 、煉獄 の 間 、天国 の 間 という この建物 の主 要な シー クエ ンスを再現 して の で はそれぞ れ の正 金分割 によって天丼 と床が分割 、構成 されて いる、地 獄 の間 と煉獄 間 の空 間 の違 いを際 立たせ て いる。 方形 にあわ せ て CAD内 に点光源 を配置す る ことで 、そ (ヴ ィ トゲ ンシュタイ ン邸

―Paul Engelmann+Ludwig Wittgenstein 1928 と Last HOuse 一Adolf Loose 1932)

の による、 この 2つ の 建物 は、同 じ時代 にウィー ンを生きた 2人 の哲学者 と建 築家 設 計 マで 1993年 度 に池原研 究 室 の 1 住 宅 を比較 しなが ら、 この時代 を考察す る とい うテ ー 年 生 8人 で行 な った研究 の一環 として行 なわれた もので ある。 て い くラウ ムプ ラ ンと ラス ト・ ハ ウ スには、3次 元 の空 間 の 中 に各部屋空間 を切 り取っ ン邸で は、す べ て の 労 力が住 呼 ばれ る ロースの空間思想 が あ らわれ 、ヴ ィ トゲ ンシュタイ コンピュー タ による再現 はで 2 む ことでな く、徹底的 な幾何学 の獲得 に向 け られ て いる。 ハ ウスが 一度 左 つの住宅 の正 面 か らエ ン トラ ンス にか けて を描 いて いる。 ここで もラス ト

39


眠炉の ■バ

6 一 J ″ ο

の付力 0

コアユニ ト をつくる

図 4-1l

Koningと Lizcnbcrgの シェイプ・ グラマーによるライ トのプ レー リーイト宅の 設 規則 ll「

4- 12

ト宅 シェイプ・ グラマー によって新た に41成 された 3つ のライ ト風イ たか らスタイニー邸 、ミッチ ェル邸 、マー チ邸

40


右対象 な正面性 を形づ くつたあ とに、そ の正 面性 を裏切 るよ うに空間が配 置 され る ロース の住宅 の特長 を見せて いるのに対 して、ヴ イ トゲ ンシュタイ ンの幾何学 は ここで も、徹底 的 に追求 され 、玄 関室はそ の建具 や 目地 にいたるまで 1つ の正 方形 のなか に左右対象 に納 め られて いる。 時間 を媒介 に した建築 の構成 で は、 この小節で取 り扱 って きた建築空間 の再構成 とは趣 を異 にす る。 ここまで は失 われた建築空間 を、 コンピュー タ を用 いて、 コ ンピュー タだか らこそ可能な技 法 を用 いなが らシュミ レー シ ョンして きた。 ここではそ のプ ロセ スを逆 に して 、 コンピュ ー タによ る時 間 の シュミ レー ションか ら、建築的 なアイデ アを得て設計 し た もので ある。 現代建築 には、バ ンチ ングパネルや ガ ラス等 、柔か いや透過す る素材 に包 まれて いもの が ある。 こう した素材 は時間や季節 によってそ の透過率 と反射率が変わ り、建物 に様 々な 。 「 ー 表情 を与えて いる。 ここで 紹介す る、アル ミバ ンチ ングパネル に包 まれ る チ ャ ルズ ダ ー ウィ ンの家」 と、ガ ラス の壁が様 々 な建 築要素 を挟み込 む、1994年 度 に池原研究 室で行な った 「横浜港国際 客船 ター ミナル」 は、 こうした素材 に包 まれ る ことで時 間 によ ー って変化す る建 築 をひ とつ のコンセプ トと して設計 され 、 この変化 を常 に シュミ レ ショ ンしなが ら設 計 は進 め られて いる。

41




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3.CAAl

―― コンピュー タの与 え る新 しい視点――

ウィ リアム・ ミ ッチ ェルやニ コ ラス・ ネグ ロポ ンテな ど CADを 開発 したの第 一 世代 の 人た ちは、 自 らの 手 でプ ログ ラム しな けれ ばな らなか った。 しか し、 CADが 商品化 され て容 易 に建築設 計 の 手段 として に利 用 で き るよ うになった現 代 、第 二 世代 の我 々 はそれ を 使用す るだ けで 自分 でプ ログラムす る ことが な い。 したが って 、現在 、完全 にエ ンジエ ア リングサイ ドの にある CADを 、よ り建 築的 な物 に変えて い こうとして も、それ を変更 し た り作 り出す ことができな くな って いるのだ。 コ ンピュー タか らか ら新 しい建築を生み 出す ためには、建 築家 自身が新 しい ソフ トの 開 発 に加 わ るの も一つ の手段 で あろう。前 の 章 で紹介 した、 P・ アイゼ ンマ ンは、彼の事務 所で は理論 を コ ン ピュー タ上に実現す るエ ンジニ ア リングが いて 、 コ ンピュー タプ ログ ラ ムか ら生 まれ る建 築 を実現 して いる。 しか し、現在 まで の ところアイゼ ンマ ンのよ うな新 しい理論 を形態 化す る方法 は、前 章 で述 べ たよ うに、新 しい形態 は生み出す が それ 自体が建築 を 変 える段 階 には いた って いな い と考 え られ る。そ の理 由として は、彼 の 使 用 した理論が建 築全体 に汎 用 され るよ うな シ ステム に展 開 され る可能性が少な い、特殊解 として存在 して いる こと。 また、 こうした理 論主義 とで も呼ぶ べ き建築 の 出現 (す なわ ち、建築 にとって外部で あ る社会 を無視 して 、 形態理論 の み を建 築 を設計す るための手掛 か りとして生 まれ た建築)が 、 一つ の 芸術 とし て は受 け入れ られ て も、現在 の社会 システ ム に順応 して いな い ことが挙 げ られ る。 しか し 従来 の 建築 にな い新 しい建築や形態理論 をす べ て否定 して い るわ けで はな い。新 しいプ ロ グ ラム は常 にそ の 汎用性 と、社会 システム との順応 を計つて い くことが 求 め られ るべ きな のだ。 新 しい形態概念 を建築化す るソフ トが 開発 され、 コス トダウンによ ってはパ ソ コ ン で 稼働す るよ うな廉価 な 3次 元 CADで 実 現 され る ことで 、多 くの設計者が利用で きるよ うにな る こと。それ によって、再び ソフ ト自体 とそ こか ら生 まれ る建築 に対す る多 くの意 見交換 が行 なわれ再び次 の 開発 を生む。 こう した技術 開発 と コミュニケー ションが繰 りか え され る相乗効果 によって新 しい建築 を生む ソフ トと設計環境 生まれ るだ ろ う。 こう した過程で 重要な ことが 2つ ある。現在 はエ ンジエ ア リングサイ ドで作 られた CA

Dソ フ トで モデ リング して いるために、結 局 ソフ トと、そ の 中 に見 え隠れす るエ ンジエ ア の思想 に建築が拘束 されて しまって いる。 しか し、 こうした 過程 によ って 当然発 生す るで あろ う、建築家 とエ ンジエ ア のコミュニケ ー ションは、高度 な技術 と結びつ きなが らも、 建築家寄 りの新 しい設計 ソフ トを生んで い くだ ろうとい う こと。 もうひ とつは、今 まで建 築 になか ったす べ ての形態 に関す る理論が 、論議 のないまま建築に持 ち込 まれ るので はな く、ある ものは コミュニケ ー シ ョンの 中で 淘 汰 され、ある ものは生産 システム 自体 も変 え るよ うな新 しい 建築 を生むよ うな ものにな る とい う、取捨が行 なわれ る ことだ。 この 章で は、 コ ンピュー タ とい うデ ジタル技術が可能 にす る、アナ ログ的な従来 の設計

51


手 法 では出来ない形態 を用 いて 設計す る ことを 目的 として いる。 ここで 用 い る形態 は、本 来 、上記のよ うな繰 り返 しの 展 開を経た 、新 しい建築サイ ドの CADで 行な うのが最適 な ので あるが 、現実 はそ うした環境 にはまだ至 って いな い。 ここでは、 建 築以外 の分野 で 既 に実現 され 、将来建築用 の CADに も用 い られ るだ ろう機能や形態 を、設計に用 いて る。 こう した形態 は、多 くの建築家 に用 い られ る ことで 、形態だ けが先行 した建築 の段階 か ら や がて、新 しい建築 を生んで い く可能性 が あるだ ろう。 建 築は水 平垂直を前提 として いるので 、それ を設計す るための既存 の CADの 多 くは ま だ 形態 の種類が限 られて いる。 これに対 して、 自動車やイ ンダス トリアル・ デザイ ンの領 域 で はよ り自由な曲面や 、立体 の操作 を行 なえる CADが 、建築 の分野 に先行 して生 まれ て い る。 こう した 自由曲面 は、従来の建 築用 CADの 中で も、高価 な ものにはあったが 、 この 分野 のニ ー ズが高 まる とともに、現在 少 しず つではあるが廉価 版 の 建築用 CADソ フ トのなかで も実現 しつつある。 この章で 実際 に用 いた システムは、 Intergraph社 の、技術 者がカ メ ラな ど機械デザ イ ン をす るため に開発 した CADソ フ トである、1/EMS(Intergraph/Engineering Mode Hng System)の 中の コマ ン ドを用 いている。 1/EMSの 概 要 は以下 の通 りである。

1/EMSは

イ ンター グ ラフ社 の ワー クステ ー ションをベー ス とす る機械的設計 シ ステムで 、 CLIX(ク リッパーUNIX)オ ペ レー ションシステムで稼働す る。 1/EMSは Inte r InterActク リッパー ワー クステ ー ション (前 章図 1-3)の 処理能 力を、高度 のプ ログ ラミング技術 およびデ ー タ構造 と組合 わせて機械部品 とアセ ンプ リのモデル

P roと

お よび図面 の作成 をす るため の多機能 ツ ー ルで ある。 1/EMSは 、3-Dワ イヤー フ レー ムモデ リング と共 に複雑 な曲面サ ー フェイスおよび ソ リ ッ ドモ デ リ ング 用 の 統 合 化 シス テ ム で あ り、 NURBS(Non Uniform Rational B― Sprin e)技 術 に よ リワイ ヤ ー フ レ ー ム を作 成 す る 。 そ れ と同 時 に 、 要 素 の グ ル ー ビ ング お よ び図形の結合によ り、モデル の作成や修 正 を行な って いる間 も、要素間および部品間

の関係が保 たれるるなど多 くのコマ ン ドによ り構成 されて いる。 設計者 に とってはアイデア を視覚的に表現す る手助けとして、ダイナ ミック機能 (画 面 を自由軸で回転 させる)、 陰線処理機能、カラー シェーディング機能が提供 されて いるため、ウイ ン ドウ作成や操作 のテ クニ ックを使って、一つのモデル に対 して、様 々な角度か らの検討 を可能 に している。 (前 章図 1-4)

この章で はこのソフ トの機能か ら特に以下 の 2つ をとりあげて設計 を行な って いる。

① ソリッド・モデラーを用いたヴォリュームとヴォイ ドによる負の立体構成 ② ブレンド・サーフェイスによる建築部材の構成 〈ソ リッ ド・ モデ ラー を用 いたヴォリューム とヴォイ ドによる負の立体構成) CADシ ステムの中で、閉 じた立体 をプ リミテ ィプ (デ ザイ ンを組み立てるための基本 0モ デ ラー と呼ばれ る。 これ らは、直方 的な図形記号)と して扱えるものは特 にソ リッ ド 体 、球、円柱 といつた閉じた立体 と、それ らを操作する、挿入 、削除、変形、移動 な どの

52


ObleCtt A B

Un 。n

Difference

lntersection 図 3-1

C=A‐ B C (Difference Operatio

プ リミティプの和・ 差・ 積

n)

E=C+D {UniOn op eration) 図 3-2

園 3-3

プ ー リア ン・ ツ リー

建物 におけるソリットとヴォイ ドの1:補 関係

53


コマ ン ドを備えて いる。 1/EMSの

よ うな大 型 の システムで は、単純な 3次 元形態 どう しに演 算 を加えて よ り複雑な形態 を作 り出せ る。プ リミテ ィプが プ ー リア ン論理計算 によ

って組 み合 わ され 、和 (Union)の 操作 によって 2つ のプ リミテ ィプが組 み合わ され る。差 ( Difference)の 操作 によって 1つ のプ リミテ ィ プ を別 のプ リミテ ィブか ら取 り去 り、積 (In tersection)の 操作 が両方 のプ リミテ ィプに共通 なボ リュー ム を定義す るので ある。 (図

3-1)、

こうしたプ リミティプ対す る操作 は、連続 して行な う ことが可能でブ ー リア ン ・ ツ リー によつて表す ことが 出来 る。 (図 3-2)こ の手続 き性 は、建築家 に、繰 り返 し のエ スキ ー スをす る ことを可能 にす るのである。 ソ リッ ド・ モデ ラーの 目的 は、設計プ ロセ ス をよ り効果的 に直接 的 にす る ことにある。 々 伝統 的 にあ らゆる設計 は抽象的 な表現 を通 して進行 し、ラフスケ ッチ か ら始 ま り、様 な プ ロ トタイプ の作成 や物理的な表現 で終わる。 これ に従 って設計者 は、数学的な モデルや 数百枚 もの図面や 、様 々な材料 の模型 を人間工学か ら製造 に いた る幅広 い 目的 のために作 成 して きた。ソ リッ ド・ モデ ラー は、設計者 に対 して概念 を現実 の もの にす る直接的 な経 路 を与 え る ことによ って、 これ らのプ ロセス を簡 単 にして いるので ある。 の 建 築 にお いて、 閉 じた立体 は、ソ リッ ドの 建設部 材 (柱・ 梁な ど)お よび ヴ ォイ ド 空 のつ まっ 間 (例 えば、部屋 空間)の 両方 に現 われ る。 (こ こで ソ リッ ド[S01id]と は 中身 た空間 を、ヴォイ ド[Void]と は 中身 のない空の空間 をいう。 )そ して建物 は常 に、ソ リッ ドの集 ま りとして 、 また反転 したヴ ォイ ドの集 ま りとして、二 通 りに解釈す る ことが 出来 る。 (図

3-3)

の ヴ ォイ ドとヴォ リュー ムの関係 を捉 えて設計 を進 める考え方 は古 くか ら、建築家 設計 いてエス 思想 にあった。 しか し、ヴオイ ドを組 み立 て る とい う負 の立体構成 を、模 型 を用 の キ ー ス を進 めるのは、不可能で はな いが困難で はある。特 に、手続 き性 を もたな い模型 、 こう 製作 は、別 の形態 のエスキ ー スを進 め るときには は じめか ら作 りなお さね ばな らず した 、負 の立体構 成 は、 コンピュー タ の登場で非常 に幅広 い 自由度 を獲得 し、 これか ら建 築家 の 設計 のなか に数多 く取 り入れ られ るだ ろ う。 「 のさ 章末 の 「 20世 紀博物館」 で は、 この機能 を利用 したWa Hと VOidの 関係 を、 現代 や堂 一 B― 」で はV01umeと Voidの 関係 を用 いて 、従来 の平面か らたちあが るの とは異な る プ ロセ スか ら生まれ る建築を計画 して いる。

(プ レ ン ド 。サ ー フ ェイ ス によ る建 築 部材 の 構 成 〉

ー ェ プ リミテ ィ ブ な サ ー フ ェイ ス とは対 称 的 に 、 1/EMSで 作 成 され る 自由形 式サ フ ー ェ スで あ る。 例 イ ス は 、規 則 的な 特 性 を無視 した ラ ンダム な 形 状 の 非 常 に複 雑 な サ フ イ え ば 、 自動 車 や 、航 空機 業者 で は Place Least Squares Fit Surfaces及 び Place Surface

by 4 Boundariesの ような コマン ドで生成されたサーフエイス を自動車 のボデ ィーや航空 いて建 ー 機 の翼 の設計に使用 している。 (図 3-4)設 計者 は、自由形式サ フェイスを用 築 に自由な形態 を与える ことが 出来 る。 上に こうしたサーフエイスは、それ を囲む自然境界 またはエ ッジが存在 し、さらにこの

54


3-4 Placc Lcast Squarcs rit Surfaccs及 び Placc Surracc by 4 3oundaries の で 作 成 され る「 1山 形 式サ ー フ エイ ス 例

図 3-5

白山‖:Fi状 のサーフエイ スの境界

新た に境 界 を作成す る ことが 出来 る。 この境界 によってサ ーフエイ スの切断、また は既存 のサー フェイ ス内に穴 をあける ことが 出来 る。 (図 3-5) こう した 自由形式サ ー フェイスは、やわ らか い形態 の 建築 を多 く生み 出す とともに、既 存 の機械 製 品 の生産技術 を建築 の技術 に対応 させて い くことで 、建築化 され るだ ろ う。 コマ ン ドを用 いて 章末 の 「Place Blend Surface Between Two Surfaces」 で は、同名 の 2人 の 間 の 対話 の境界 を形成 して いる。 この コマ ン ドは、既存 の 2つ の 曲面間 に内部曲線 に沿 つて ブ レン ド曲面 を配置す る コマ ン ドで 、各曲面 に対 して 、方向 を示すポイ ン トを入 のパー スを参 力 し、プ レン ド曲面が既存 の 曲面 か らどの方 向 に向 くか を指示す る。 (作 品 考)

55


20,記

博ウ離

20世

紀 と い う 時 代 を 通

し て 、 我 々 は 自 ら の 存 在

を ア ピ ー ル し 続 け て き た 。 絶 え 間 な い 発 展

と 構 築 の

歴 史 は 、 一 方 で 戦 争 や 環 境 破 壊 を 生 ん で き た 。

21

世 紀 を 目 前 に し た 今 、 わ た し た ち の 日 の 前 で 、 そ の 最 大 の プ ロ ジ エ ク ト が 行 な わ れ よ う と し て い る 。 三 峡 ダ ム プ ロ ジ ェ ク 域

632万

の 生 活 水 深

km 2と

ト 、 長 江 の 治 水 と 電 力 の 代 債 に 流

生 物 の 住 み か 、

100万

人 も の 人

の 記 憶 、 そ し て 長 い 歴 史 が 作 っ た 峡 谷 の 姿 が

170メ

ト ル の ダ ム 湖 に 沈 む 。

我 々 は 此 処 に 、

20世

紀 博 物 館 を 構 築 す る 。

20

世 紀 が

ど う い う 時 代 だ っ た か を 定 義 す る の は 、 同 時

代 を 生

き て い る 今 の 我 々 に は 難 し い 。 我 々 に 言 え る

の は 、

100年

間 と い う 時 間 が 、 人 類 の 長 い 歴 史 と

同 じ よ う に 流 れ て い た と い う こ と だ け で あ る 。

20

世 紀 博 物 館 と し て 、 何 か を 構 築 し て し ま え ば 、 構 築 自 体 に 意 味 が 生 ま れ て し ま う 。 そ こ で 、 こ の 博 物 館 は 、 地 形 か ら 生 ま れ た 壁 に 、 展 示 の た め の 空 間 だ け を 逆 構

築 す る こ と で 成 立 し て い る 。

2005年

水 間 が 閉 じ ら れ 、

て ゆ っ く り と 博 物 館 は 水 没

2年

間 の 時 間 を か け

し て い く 。 湖 底 の 廃 墟 と

水 上 に 残 さ れ た わ ず か な 博 物 館 は 、 我 々 の 行 為 を ア ピ ー ル

し 続 け る 。

1/2

56


20,1111

20世

4つ

紀 博 働 館 は 以 下 の

の エ レ メ ン ト に よ

り 構 成 さ れ る 。

〈時 間 の 構 集 〉

20世

紀 に 流 れ て い た 時 間 を 視 党 化 す る た め

に 、 巨 大 な 光 の 輸 が

,か

れ る 、

20世

程 博 物 館

は こ の 巨 大 な 光 の 輸 の 一 部 、 ダ ム に 平 行 し て

00mの

長 さ の 敷 地 に 作

ら れ る

5

.

く地 形 の 機 集 〉

2bも

の 長 さ の 量 に 平 行 、 あ る い は 、 垂 直 に

壁 が た て ら れ る 。 そ れ

ら は 経 や か に 整 る 地 形 を

視 党 化 す る た め に 、 時 に は 水 平 に 、 時 に は 、 傾 斜 と 並 行 し た 高 さ が 与 え ら れ る 。 〈空 間 の 逆 構 築 〉 時 間 の 輸 の 一 部 と し て 、 ダ ム に 平 行 な 大 き な 導 線 空 間 と 、 展 示 の た め の 連 続 し た 空 間 が 壁 か ら 穿 た れ る 。 ■ALLと

VOIDの

関 係 。

く審 判 の 神 殿 〉 満 水 の ダ ム 湖 の 湖 岸 に 、 審 判 の 神 殿 が 構 築 さ れ る 。 テ ラ ー ニ が

,ダ

っ た 神 殿 が 再 構 築 さ れ

20世

紀 を 饉

ン テ の 新 山 に な そ つ て 作

,湖

底 の 廃 墟

と と も に 、

り 競 け る 。

2/2

57




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ら 絣 一   一   一 一   一 一.一

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デ ジ■ さ 流 引 t'り ヽ1ル =― `● 上

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110さ

や1-3-

そ の 真 偽 、 虚 構 性 、 存 在 輌 値 を 固 わ れ ぬ ま ま 現 代 社 会 に 氾 置 す る メ デ イ ア の 中 で 、 我 々 は 真 実 を 見 る 意 志 を 喪 失

し つ つ あ る 。 テ レ ビ 、 ラ ジ オ 、 雑 誌 、 マ ル チ メ デ イ ア

あ ら ゆ る

情 報 が 散 ら ば る 現 代 社 会 の 中 で 我 々 は 何 を 基 準 に 物 を 見 日 常 の テ レ ビ の デ ィ ス プ レ イ 上 て い る の で あ ろ う か ? の で 我 々 の 感 覚 は 麻 痺 し て は い な 中 に 流 れ る 様 々 な 映 像 あ る 人 は 目 の 前 で 起 き た 出 来 事 よ り も 、 い だ ろ う か ? そ の 出 来 事 が ニ ユ ー ス 化 さ れ た 事 件 の ほ う を 事 実 と し て 認 識 し て い る 。 あ る 人 は 画 面 上 に 流 れ る 戦 争 の 映 像 、 し か も そ れ が 必 ず

し も 公 平 な 物 か も わ か ら な い 操 作 さ れ た

映 像 を 、 娯 楽 番 組 の よ う に 事 実 を 伝 え る 映 像 ん で い る 。 こ う し た 現 象 が

と し て 楽 し

日 常 生 活 の 中 で 頻 繁 に 起 き て

い る の が 現 代 な の だ 。 我 々 の 見 る こ と に 対

し て の 絶 対 的 価 値 観 の 根 源 は 既 に

メ デ イ ア の 氾 濫 の 中 に 飲 み 込 ま れ て し ま っ て い る の だ 。 い 、 現 代 は メ デ イ ア な し て は 生 き て い け な い か も し れ な し か し 、 我 々 は そ の 受 け 取

り 方 に 対

し て 、 そ

し て そ の 認

識 に 対 し て 考 え な け れ ば い け な い の で は な い の で あ ろ う か 。

1/2

65


現10き や壼―B―

こ れ は メ デ の た め の パ

ィ ア を

1つ

の メ タ フ ア ー と し た 現 代 の さ や 堂 、 映 像

ビ リ オ ン で あ る 。

現 代 の さ や 堂 は 、 単 に 田 う と い う 単 純 な 関 係 の 中 に は 存 在 い 。

し な

こ の パ ビ リ オ ン は コ ン ピ ュ ー タ 上 で 行 な わ れ る 以 下 の 操 作 に

よ り 生 ま れ る 。

PRO」 ECTOR,SCREEN,PASS,LIGHTと

4つ

を 内 包

の ユ

ト が 並

1つ の LUMEが

ユ ニ

VOLUIEを ら れ

1つ

の べ

ト で

4

の ユ ニ

の 要 素

ト と し て

に そ れ ぞ

〈VOID)

11個

る 。

4つ

VOID lつ

V0 VOLU‖ E れ

る 。 異 な る 形 態 を も つ VOIDに 対 し て の る 。 7000立 立 で あ 方 体 方 1対 の VOIDと VOLUJEに メ デ ィ ア の 操 作 と 同 じ よ う に 3次 x,dθ y,dθ z)操 作 を 加 え る 。 そ の 操 元 的 座 標 (dx,dy,dz,dθ 同 じ 操 作 が 内 包 す る VOLUIEに 作 は 並 べ ら れ た 同 じ VOIDを (以 上 図 3-6) 繰 り 返 さ れ る 。 Eの 和 の VOLU CADの プ ー リ ア ン 演 算 を も ち い て 、 44個 の の VOIDの 和 が 引 か れ る 。 あ る い は 、 4つ か ら 、 44個 ユ ニ の い 11個 ッ た VOLUIEの 和 か ら 4つ の VOIDの 和 を 引 (演 算 の 結 果 は ど ち ら も 同 じ で あ ト か ら 和 集 合 を 生 む 。 3-7) 上 図 る 。 )(以

外 さ れ

対 応 す

は 合

同 な

は あ

ら ゆ

る 。 そ

る 情 報 が

、 液

品 バ

ネ ル で 構 成

は い つ

も 我

々 が

の 情 報

無 作 為

的 で あ

8)そ

し て

メ デ

の 情 報

整 理

さ れ

も 映

像 が 積 層

し て そ

イ ア の 真 実

1つ

る 外 壁

し て い る

メ デ

ィ ア

の 判 断 は で

き な

い 。

く た め の さ や 堂

を 暴

PRO」 ECTORか

SCREENに

に 映

し だ

と 同

の 内 部 で

は そ

る 。

さ れ

映 写

(図 3(

3-9) 幾

し だ れ

リ ー 見

さ れ

さ れ

る 時

る 。 透 過

る 配 線

と 、 薄 暗

さ や

い 空 間

を 通

し て

、 建

を 流

し 続

な 映 像

に 断

に 内 側 の に 都 市

の 内 部 は 、 整

に 光

る 内 壁

、 複

3-10)時 の な か

し た

VOIDは VOLU の 実 像 が

ち て

を 支

え る 構

る 外 壁

り 返

と 、 映 像

を 支

さ れ た

く る 時 間 が

が 落

の 裏 側 が

視 認

さ れ

映 像

る 。

(図

Eを 浸 食 し 、 虚 像 と し て の 映 像

飛 び 込

む 。

虚 像

と し て の 都 市 、 真 実 と し て の 町 の 光 景

虚 像

と し て の 外 観 、 真 実 と し て の 内 観

虚 像 と し て の 映 像 、 映 像 の な か の 真 実

真 実 見

と 虚 構

る 意 志

り 返

さ れ

る 映 像

り 戻 せ

る だ

が 繰

を 取

う か

の パ

リ オ ン の

中 で 人

は 真 実

2/2

66




VOLUME A D

VOID B C

PRO」 ECTOR&SCR[EN

VOLUME 8,D

VOLUME C,D

3-(


¨   メ 一 ・ 櫃 距 ・ 〓                                 ・

t ,

.   で

,   ・




3 - 8


70

3 - 9

3 - 1 0




∨OLし ,M[

,u ttRl,い 1旺

∨()ID

円側O ersI肛 PtttS


透過 す る内壁 、構造 、外壁 の裏側

その真 偽 、 虚構性 、存 在 価値 を問 われぬ ま ま現 代 社 会 に氾 濫 する メデ ィア の 中 で 、我 々 は真実 を 見る意志 を喪 失 しつ つ あ る。




Placc

Blenrl Ectreen

Tro Surfacce

い ま な お―、 現 代 音 楽 に 大 き な 影 フ ラ 1866年 ッ ク ・ サ テ イ ー・ り い を と の 々 と 会 出 人 様 な "れ ー ラ ン ク 、 プ ィ ン ス キ ー 、 コ ク ト ン 、 そ し て 幾 人 か の 女 性 . 技 の

=は

薔 を 及 ぼ し 競 け て い る 音 楽 象 、 エ リ ン ス 生 ま れ の 餃 は 、 59年 │の 生 置 に 返 し て き た・

ド ビ ツ シ ー 、 ス ト ラ フ

ー シ 、 ビ カ ソ 、 ビ カ ビ ア 、 デ ■ シ ャ

、 友 人 と の 出 会 い を 形 づ く る 場 と な る 。

サ テ ィ ー と 友 人 の 対 話 の た め の BOX 二 人 の 椰 量 を 仕 切 る 壺 菫 に 立 ち 上 が る 平 面 で も な く デ ザ イ ン と い う 名 前 で 構 築 さ れ る の で も な く 二 人 が そ の 場 所 に い て は じ め て 生 ま れ る 対 話 が 境 界 を 形 成 す る

二 人 の 関 係 に よ つ て 境 界 に 穴 が 穿 た れ る

宗 教 家

と は 光 で 結 ば れ

音 楽 象

と は 音 で お ば れ

愛 人 と は 花 の ■ か れ た 日 で 縮 ば れ る 時 に は 、 視 線 だ け が 交 備 し 時 に は 、 口 か ら 友 人 を 迎 え い れ る の こ と も あ る か も し れ な い 時 に 、 境 界 は 日 ぎ さ れ た ま ま 傍 に い る だ け 境 界 の な い 部 屋 に は サ テ イ ー が 真 に わ か

り 合 え た 友 人 が い る の だ ろ う か

あ る い は い る の か も し れ な い 境 界 の な い 椰 量 に は 、 現 代 の わ た し た ち が の な い わ た し た ち の 部 屋 を 自 分 自 身 を さ ら け だ し て 生 き る こ と サ テ ィ ー は 境 界 も 作 ら ず

,何

も 饉 ら ず 、 素 通 り し て い く

73


蛛 瑯 e 瀧 鞍

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K , 0 m翻 硬 ↓ e e u 0 く職 l 測 り ヨ 、日螂 ヽ製 N 饉 卜0饉 岬 ′ 日 eか 4 e 卜Ю 口 0 l 0 ョく 女卜 丼 4 、卜 リ摂 ュ嵌 0 ■ 卜鞍 ー型 ー鳳二 測 か ユ 、〓 、や 壼 く Юく ト悩 ト味普 ヽ 慕根 ト 期 ト騨 N

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対話 の境界 サテ ィー と友人 の対 話 のため の箱 二人の部屋 を仕切 る境 界は ただ 単 に空間 を仕切 る垂直 な壁 で な く デザ インとい う名前で構築 され るのでもな く 二人がその場所 にいて は じめて生まれ る対話が境 界 を形成す る

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宗 全 lllil[[1界

に が た れ る 穴 穿

音楽 家 とは音 で結 ばれ 愛人 とは花 の■かれ た鶴 で結ば れ る 時 に は、視線 だ けが交 錯 し 時 には、扉 か ら友人 を迎 え いれ る 時 に 、境界 は用 ざ された まま ■人 がた だ傍 に いるだ けの こともあ るか も しれない

境界 のな い部屋 の向 こう偏 そ こには被 が真 にわか り合 えた友 人が いるのだ ろうか も しかす る と そ こは 、 い まのわ た した ちの部屋 か も しれ な い 自 らをさ らけだ して生 きる ことのな いわた した ちの前を サテ イ ーは、何 も語 らず素顕 りして い くのだ

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皿 側 = 皿 ∃ .

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4.CAA2

一 建築生産 システム の 中で 一

これ まで 建 築家 による CADの 利用 は主 に形態 操作 に向け られて い た。 繰 り返 し述 べ てきたよ うに、重力 の な い世界 での 自由な形態 の組合 せ は 一見 して 、建築 家 に無限 の可 能性 を与えて いる よ うにも見 え る。 しか し、建築は常 にそ の構造、素材 ,そ して現代社会 にお いては生産 システム との 関係す べ て を否定す る ことはで きな い。重力 の 存在す る実世界で は、垂直 に建て られた鉄や コ ンク リー トな どの構造材 が建物 の荷重 を支 えて いる。そ して工業化 の 中で規格部材が 流通 し、規格外 の特注部品 を用 いればその値段 は数倍 に も跳ね 上 って しまう。

CADは

複雑 な形態 を生む ことを可能 に し、 またそ の複雑 な形態 を実現す るため の役割 も果 た して いる 。 しか しこうした建築が現 代 の建築 の生産 システム に対応 して いる とは言 い難 い。例 えば第 1章 で 、模 型 との同一性 を指摘 した P.ア イゼ ンマ ンの布谷 ビルデ ィ ン グは建設価格 (坪 単価 )が 200万 円 を超 え 、バブル崩壊以降 の一般 的 なオフィス の建設 費 の 70万 円/坪 に対 して 3倍 に もなって い る。新 しい建築 を生むため の 変換点 になるよ うな建築物 は、歴史的に見 て も時 の権 力者 とい うパ トロンがスポ ンサ ー となった高価 な宝 石箱 で あつた もの もある。 しか し、それ らは単 に高価 なだ けでな く、そ の 時代 の建築 の生 産 システム に対応す る とい う基盤が あったか ら こそ 、現代 で も歴史上 の 建築物 として語 ら れ、多 くの 建 築 と建築家 に影響 を与えてきた のである。 CADは 単な る設 計 の道具 に過ぎ な い。新 しい構造 や材料が直接形態 に関与 して きたのに対 して 、道具が 関与す るのは設計 とい う建築 を作 るプ ロセスで あ り、出来 上が って くる建築 自体 ではな い。 したが って CA Dに よって 生 まれ る新 しい建築 が どんな形で あれ、最終的 にはそれが現 代 の建築 生産 シス テム にの った もの、ある いは生産 システム を変 えて い くよ うな もので な けれ ば、ある種 の 芸術作 品 として受 け入れ られた として も、広 く建築 の新 しい潮流 とはな りえな いだ ろう。 アイゼ ンマ ンは この ことに関 して、 「我 々 は (ソ フ トウ ェアーの開発 に加えて)建 築生 産 の 面 も遅れ を とって います 。別 の言 い方 をす れば、建築用 の部材 は依 然 として規格化 さ れた もの しか あ りません。ただ我 々が これ まで とは変わ つた形 のもの を コ ンピュー タ上で 作 り始 めれば、形態的 にもまった く違 つた方 向性 をもった ものがでて くるで しょう。そ の 時 には生産 は さ して大きな障害 にな らな い と思 います。」 と、述 べ て いる。 しか し、 コン ピュー タで 生 まれ た建築が 、実際 に建築 システムを大 き く変 えるよ うな動 きにまで発展す るには、そ う した建築群が 、様 々 な社会的な評価 を受 け、広 く社会 に受 け入れ られた後 の ことにな るだ ろ う。 旧来 の生産 システムが稼働 して いる現状 で は、 CADを 用 いて 設計す べ る時 、単 に形態操作 のみ を行 な うので はな く、建築 の生産 システム も考 慮 に入れて い く きで はな いだ ろ うか。 建築 生産 システムは建築家 の発想 の実現 を妨 げるだ けで はな い。 コ ン ピュー タの制御 の 下Automation化 されて いる 自動車 や精密機器 な ど様 々 な機械 の 業種 に対 して、多品種少数 生産 の極 で ある一 品 生産 の 業態 を とる建設業 で は、Automation化 が進 んで いる とは いえな

79


い 。 しか しそ の原材料 の生産現 場 で は、ガ ラス、鋼 、パ ネル 、プ レキ ャス トのコンク リー ト部 材な ど、多 くの物が コンピュ ー タ制御 の 下、 工 場で 生 まれて いる。 この 章 では コン ピ ュー タ の大量情報処 理能力 を生か しなが ら、現在 の生産 システ ム を利用 し、設計 の 中 に と りい れ る ことを考 えてみた い。 まず最初 に、スケ ー ルは異な るが いずれ も金属パネル で構 成 され る曲面 に包 まれた 2つ の 建 築、伊東豊 雄氏設計の下諏訪 町 立 諏訪湖博物 館・ 赤彦記 念館 (以 後諏訪湖博物館 )と R.ピ ア ノ氏設計 の 関西国際 空港旅客 タ ー ミナル (以 後 MTB、 金属 パ ネル の 素材 はそれ ぞ れ アル ミ とステ ンレスで構 成 されて いる)を とりあげ比 較考察 した い。 (下 諏訪町 立諏訪湖博物館・ 赤 彦記 念館 〉

つい 諏訪湖博物 館 (図 4-1)を 設 計 した 伊東 豊雄氏 はシンプル で 大 きな シル エ ッ トに て 、 「交通 、 エ ネルギ ー 、情報 な ど、 日に見 えるもの と見 えな いものの 流 れ によって現 代 の 都 市 は出来 上が って いる。 様 々に流動す る空間 の 中 にある建築 を、渦 のよ うな もの と し て 考 えた い。そ の ベー スにあ るのが地形 の 流れ。地形が あ る とそ こに水が流 れ 、空気が流 れ る。 ここで は湖岸 に平行 に走 る道路 の交通 の流れ と、 山 と湖の作 る地形 の 流れ を建築化 したか った。」 と、 コメン トして いる。 の 建物 を特徴 づ け る前面 の舟 形 のヴ ォ リュー ム を覆 うアル ミパネル は、 3次 曲面 特 異な ニ か た ちを分解 して 、 コンピュー タ の ワイヤ ー フ レームのよ うに ドライ に分割 された、 ュ ー トラルな平面 パ ネル の集積 へ と一般化す る ことが意 図 されて いる。 この建物 の湖側 の平面 は 中心 を微妙 にず らした半径 200mと 180mの 円弧 の一 部 か らな り、内側 の 円周 を 3mピ ッチ に区切 る放射線 の上に、ふ たつ の 円弧 を組 み合わせ たア ー チが 中心 の 高 さを変えなが ら架 け られて いる。 このふ た つ の 円弧 の変曲点 か ら等間隔 に 3mの 平面 をパネル の 単位 と して いる。 ( うたれた点 どうしをつないで得 られた約 lm 約

350枚 )平 面 を構成す る円弧が同心 円上にな いため に、 この 曲面 は 回転体 の一部 とな

らず 歪んだ面 とな って いる。 ここでは、外径 の歪んだ曲面 を四辺形 の平面 パ ネル に分割す る とい う問題 と、オ ー プ ンジ ョイ ン トの 日地か らの雨水処 理 の問題 をを解 決 しなければな らか つた、そ こで 3次 元 CADを もち いた シュミ レー シ ョンによ って、鉄骨 、サ ッ シの取 り合 いにフ ィー ドバ ック させ る ことで 解 決 をはかつて いる 。 前者 の 問題 は、 CAD図 面 と連動 したパ ネル の切 断技術 の 開発 によ り、異な るパ ネル製 1064111111を 作 を同一形状 の もの とコス ト面で の差が あま りでな いよ うに して、短辺方向 べ ことで 、 共 通 にして 、パ ネル の長編方 向 の長 さ と短辺方向 との角度 をす て微妙 に変 える

歪み に対応 させて いる。 の で2 雨水 に関 しては 工事 の精度 の違 いか ら鉄骨 とパ ネル下地 を切 り離 し、それぞれ 面 重 の 防水 が考 え られ て いる。 3111111の アル ミ板 にスタ ッ ドボル トで裏打 ち され たアル ミ押 出 ミ押 出 型材 の下地 の長辺方 向が、パ ネル 同士 かみ あつて横樋 にな り、パネル を受 け るアル 型材 の力骨 が縦樋 となって いる。 この縦樋が曲面 の形状 のガイ ドライ ンとな るため、鉄骨 に東 を取 り付 け る ところか ら金属 工事 の 範囲 とし、縦樋 は 1本 ず つ 測量 しなが ら取 り付 け

4-2) この建物 は 92年 3月 か ら施 工 図が描 かれ 、 7月 の鉄 骨建方 と平行 して束 を取 り付 け、 350枚 のパ ネル エ 事 の最後 の一 枚が は られた のは 10月 の 半ば過 ぎで あつた。

られた。 (図

80


4-1

下諏訪町立諏訪湖 博物館 ・赤彦記念館

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同館・ アル ミ屋根 詳細

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0


(関 西国際 空港旅客 タ ー ミナル〉

全長 1.7mの 巨大な建築形状 の 中に、 内部機能 が必 要 とす るボ リュームの確 保 に加 えて 、管制塔 か らの航空機視認 の ための高 さ制限が課せ られて いる。 このため、ウ

MTBは

イ ング断面が端部 にい くほど小さ くな り、ウイ ングの 中央 と端部 とで は、天丼 高 に 12m 以 上の違 い が ある。 この与条 件 の下で 、全長

1,7bの

施 設 を滑 らかな曲面で まとめるため の形態学的アプ ロー チが も とめ られ た、それ は、 「このよ うな巨大 な構造物 に数学的な論拠が存在 しなけ

れば、現 場管理や製作 上の品質 を確保 す る ことは到底 できな い」 (R・ ピア ノ。 ビルデ ィ ング・ ワー クショップ 。ジャバ ン代表 岡部憲明氏 )か らであつた。そ れ ゆえ MTBで は、 建設 の全工 程 をシンプルな ジオメ トリー (幾 何学的 )理 論で律 して いる。そ して この理 論 自体 が この 建築物 の重 要な コンセプ トのひ とつ にな って いる。 ター ミナル ビルの ウイ ング断面形状 は、半径 の 異 なる 4つ の 円弧 で構成 されて いる。 こ の断面 をタ ー ミナル ビル 中央 の ウイ ングで は水平 に移動 させ た シ リンダー 状 の 曲面 によっ て、また両サイ ドの ウイ ングにお いて はそれぞれ 16.4bを 半径 として回転 させた トロ イ ド曲面 によって全体 の屋根形状 を構 成 して いる。 (図 4-3)こ れ は一 見 して 複雑 な形 態 で はあ るが、ジオ メ トリー理論 を適 用す る ことによって 、パ ネルや構造 の 2次 部材 の 寸 法 はす べ て統 一す る ことができる。WTBは 巨大な建築で あつたため に、 トロイ ド面 を 1

800

600111111の ステ ンレスパネルで割 り込む と、パネル間 の 差異 は 2111111以 下 とな り、

施 工 誤差 の 範囲 に納 まることで特別 な フ ィッテ ィ ングの調整な しに同一のパ ネル によ り構 成 されて い る。 (図 4-4、 5) ステ ン レスタイルや ガラスグ レー ジ ングな ど、スキ ンの側か ら建物 のフ ァサ ー ドを突 き 詰 めて い くと、1枚 のパネルにまで到達す る。全体 か ら部分 へ 、精度 を落 とさず に押 さえ 込 めれば 、製作や施 工の段階で、部分 か ら全体 へ 、 エ レメン トを積み重ね て いって も高精 度 を維持 で きる。建 築 の建設手順 の流 れ とはまった く逆 に、構造体 は、 このスキ ンをフォ ローす る形で副次的 に決定 されて いる 。 南北 に 680mず つ 細長 くのび るウイ ングでは ラ チス シェル構造で 、7.2m間 隔で並 ぶ鋼管 リブ と、 シエル面 を形づ くる角型鋼管 の 2次 部材 とブ レー ジングか ら構成 されて い る。 このウイ ングで は仕上げ材 の割 り付 け精度 を維 持す るた め に、 リブ鉄骨 の建方精度 は 建設 工事 中最 も厳 しく求め られた。 また鉄骨 の形 も 一 本 一 本違 って いた。 しか し、 この鉄 骨 もジオメ トリー理論 にの っ とて いる ために、同 じ 治具 、同 じベ ン ドで 製作 されて いるのが 特徴 で あ り。 また 2次 部材 はす べ て 一 定 の長 さに なって いる。

2つ のプ ロジェ ク トは いずれ も CADを 発想 の道具 として利用 した もので はないが 、そ

の設計 の コ ンセプ トの 中の形態 に対す る考え方 の決定的な違 いは これか らの CAD利 用 を 「 考え て い く上で重 要 な ものになって くる と考える ことがで きる。諏訪湖博物館 のよ うな 流動的 な空間」 とい う建築家 の物語 よ って生まれ るある意味で 自由な 、そ して数学的意味 を持たな い 曲面構成 は CADシ ステム のサポー トによ り、形態 に対す る技術 的 問題 を乗 り 越 えて いる。 これ に対 して MTBの 屋根 は、そ の 形態か ら施 工管理 に至 まで ジオメ トリー 理論 を適応す ることによ って生まれて いる。 これ は空港ター ミナル とい う巨大 な ビルデ ィ ングタイ プだか ら生 まれたの もしれな い。 しか し、 ここで は建築 の 形態 とエ ンジエ ア リン

82


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図 4-3 本 館 の屋 根 形状 は 平行移 動 1云

移 動 〈b)の

ljJl跡

MTBジ

オメ トリー Fl論

(a)に よ っ て 定 義 され るの に対 して 、 ウイ ング リプ は 、回

と均等 角度 ス ライ ス で 標 準 化 され る。 そ の た め 、 ウイ ング リプ は x,

yの 両 方 向 に傾斜 して い る。

図 4-4

関 西国際空港 旅客 ター ミナル

(MTB)

エ アサイ ドか らみたウイ ング ウイ ングは 端 部 に い くほ ど基 準 にな る リブ 鉄 骨 が 傾 いて い く。 屋 根 は 高耐侯 性 の ステ ン レス タィ ル 8′

(1800

6 0 0mm)。 ジオ メ トリー 理 論 に よ って 全体 形態 を決 め て お り、

,4「 ′プにお よぶ 屋 根 タイ ル は 同 一 形状 で あ る。

F


:ス

図 4-5

MTBル

ーフクラデイング接合システム

ルー フ仕 上げ材は高耐侯 性 ステ ンレス 6 0 01ml, のパ ネルサイ ズは 1800 ア タ ッチ メン トで設置 して いる。

(suS447)、

パ ネル厚 さ lm、

1ユ ニ ツ ト

下地材 の断熱材 をサ ン ドイ ッチ したダブ ル折板 に

る。ボ リュー ム グ のせめぎ あ い、表皮 や構造 の幾何学 に対す る方向性 を我 々 に見せて くれ の だ け の表現 主義 を乗 り越え るた めに、被 覆 とい う概念 をもち いて、巨大 な不定形 建築物 は、技術が形 を作 る際 、視覚的 に明瞭 にす るための表 皮 の表現 して いる。 諏訪湖博物 館で 互 い に昇華 しあつて ひ と 態 をサポー トして いるのに対 して、MTBで は、技術 と形態がお つ の 建築 を作 り上げて いるのだ。 る曲面 の皮膜 の 中 建築の形態 とエ ンジエア リング のせ めぎ あ いは、 2つ の 建物 にみ られ R. の み に存在す るわけで はな く現 代建築す べ て に起 こつて いる ことで もある。 MTBは ー によ り、単 一 ピア ノ氏 とパ ー トナ ーで ある岡部 憲明氏 によって うまれた ジオメ トリ 理論 の が、コ のパ ネル 8万 2000枚 を用 いて 不定形 の 表皮 を被覆 して いる。同様 に現代 建築 いるな らば 、 こう ンピュー タ によつて制御 され製作 され る工業化部材 によって構成 されて い く可能性が ある した領域 に CADを 利用 しなが ら設計す る ことで 建築デザ イ ンを広げて だ ろう。 る動 きを紹 ー の に 第 2章 で は建築生産 のシステム を統合す るような コ ンピュ タ 利用 関す ー ー として の役割 の 手助 け 介 した。 しか しこの動 きは職能 として の 建築家 、 コーデ イネ タ に的確 に をす るか も しれな いが、建築家 の新 しい発想 を助 け る とい う本来 の CAAの 定義 当て はまって いるとは いいが た い。 を、建築 を この章 で は現代社 会 のなか に存在す る コンピュー タ と関連 した生産 システム る手助 け として利用 成 立 させ る上で の制約 として捉 えるので はな く、建築家 の 発想 を広げ ロジエク トのデザ イ ンプ ロ し、生産技術 と建築家 のアイデ アが並 立す るよ うなた 2つ のプ ー タ利用 を、そ の セ スを追 つて いきたい。ひ とつ は板ガ ラス の製造 工程 の 中で のコンピュ

84


まま建築デザイ ンに変換す ることによって設計した、 「現代 のガ ラス の茶室」。 もうひ と つ は、プ レキャス トコンクリー トを CADの 複写配列機能 を利用 して、広 く都市 のなかに 応用 した 青 山墓地 を対象にした計画 「The Silent Volulle/Void ln The City」

85

である。


カラス011

こ の ガ ラ ス の 茶 室 は 、

1)フ

ロ ー

ト 板 硝 子 の 素 板 の 製 造 工 程 と 、

化 ガ ラ ス の 加 工 工 程 か ら 生 ま れ る 。 こ れ ら 製 品 の 品 質 を 高 め 、 そ れ を 合 理 的 に 生 産 を す る た ー タ を 利 用 し た 管 理 シ ス テ ム が 大 き な 役 割 を は た 要 な 生 産 設 備 は プ ロ セ ス コ ン ピ ュ ー タ 4-6)主

2)強

の 製 造 工 程 は 、 め に 、 コ ン ピ ュ し て い る 。

(図

で 制 御 さ れ て お

コ ン ト ロ ー り 、 製 品 の 受 注 か ら 出 荷 迄 の シ ス テ ム を オ ン ラ イ ン で に デ ー タ ー を ル し て い る 。 こ の プ ロ ジ エ ク ト で は 、 こ の 製 造 工 程 転 送 す る こ と を 想 定 し て い る 。

1)フ

ロ ー

ト 板 硝 子 の 製 造 工 程

板 ガ ラ ス は 全 長

500mの

〈図

4-7)

長 さ に も な る 生 産

ラ イ ン で 生 ま れ る 。

一 定 の 割 合 で 珪 砂 、 ソ ー ダ 灰 、 石 灰 石 、 苦 灰 石 な ど の 主 原 料 を 合 す る 、 こ 配 )を ト 調 合 し た 後 、 適 当 な 割 合 で ガ ラ ス 屑 (カ レ ッ o O℃ の 高 温 で 完 全 に 溶 解 さ れ 、 16 れ ら は 溶 解 炉 内 で 1500∼ ガ ラ ス 化 し 、 澄 み 切 っ た ガ ラ ス の 素 地 と な る 。 し て 、 フ ロ こ の 素 地 を 整 形 に 適 し た 粘 度 に な る ま で 温 度 操 作 を み を 生 ま な い よ ト パ ス の 上 で 板 状 に す る 、 こ れ を 徐 冷 窯 で 、 歪 と な る 。 う 十 分 に 冷 却 し た 後 、 洗 浄 、 乾 燥 し 切 断 さ れ 製 品

(図 4- 8)

2)強

ラ ス の 加

工 程

1 1

1 1 L

│__

1/3

86


カ ラスの僣〔

4 - 7

4-8

フ ロ ー

ロ ー

4 - 6

製 造

ト 板 硝 子 の 製 造 工 程

ト 徐

87

ラ イ

ン 制 御

と コ

ピ ュ ー

に よ

る 商 品


】ラス0'自

1.あ

る 日 ガ ラ ス エ 場 を 見 た 。

の 炉 の 中 で 溶 か さ れ た 原 料 は 、 フ ロ ー ト パ ス の 中 で 均 一 な 厚 み が 与 え ら れ 、 そ し て ゆ つ く り 冷 や さ れ る 。 最 後 の 工 程 で 断 ち 切 ら れ な け れ ば 、 1つ の 生 産 ラ イ ン が 寿 つ 命 を 迎 え る 8年 の あ い だ 造 り 続 け ら れ る 無 眼 の 長 さ を も

1500度

3750mの

透 明 な 物 質 。

そ れ は 現 代 の 技 術 が 生 ん だ 無 垢 な 素 材 で あ つ た 。

2.ガ

ラ ス の 素 材 を 見 つ め て ガ ラ ス は 機 械 的 に 制 御 さ れ

3

(図 4

750ロ 9)と

ビ ッ チ で 切 断 さ れ 、

お り に 砂 の 混 じ つ 「 た 水 が 吹 き 付 け ら れ 穿 た れ る 。 そ の 断 面 は 安 全 の た め 平 清 そ れ ぞ れ 入 力 し た デ ー タ

に 研 か れ る 。

3.107枚

の ガ ラ ス

(国 4-10)が

ジ ヨ イ ン ト を 扶 ん で

重 ね ら れ る 。 一 枚 一 枚 の 中 空 が 積 層 さ れ 、 ガ ラ ス の ポ

4.ガ

3750立

方 の

リ ュ ー ム の 中 に 茶 室 の 空 間 が 浮 か び 上 が る

ラ ス の 中 の 特 庵

(国 4-11、

透 明 な ガ ラ ス の 中 の 行 為 を 予 感

12) し な が ら 茶 室 に 入 る 。 内 部

は 、 ガ ラ ス の 腱 間 か ら こ ば れ 落 ち る 光 が 乱 反 射 し 、 音 を 感 じ 、 風 が 吹 き 抜 け る 様 々 な 時 間 を か た ち づ く る .爾 わ れ 層 状 の 断 片 の 中 で 身 体 の 所 作 を 媒 介 と す る 演 劇 が 行 な の

VOIDで

る 。

3/3

88


□ ‐― Gloss Plo∩ e,0001

□ □ E=コ

Gloss Plone.0002

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Glclss Plone.0003

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□ □

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― ―

L

0

Glclss Plone.0010

Glcss Plone

61css Plclne。 0012

Glclss Plone.0013

61oss Plone.0019

Glcss Plone,0020

Gloss Plone。 002‖

Clclss Plone.0022

4-9

ガ ラ ス パ ネ ル 部 品 図

89

SAMPLE

S:1/100




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小 釈 =

区 嘔 詭

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The Silent Votune/Vold ln The City

レ キ

ャ ス

ト ・

リ ー

ト の 思 想 は コ

ン ク

19世

紀 後

半 か

り 、 鉄

さ れ た

物 が 考

強 度 化

、 軽 量 化

リ ー

コ ン ク

を め

ら 、 収 縮

ト 構

R Cの

し て 発

し た

も の で

う に な

っ て 実 用 化

ピ ア ノ 線

と し て 高 強 度

を 発 揮 で

る よ

さ れ た 。

P C工

は 以 下 の

3つ

の 特 徴

広 が

に よ

る 建 築 物

る 。 ひ

と つ は 建

築 の

る 。

ら に 、 コ

ン ピ ュ ー

コ ン ク

に 優 れ た

リ ー

し て プ

レ キ

の 簡 略

こ の 内 向

に 自 由

│プ

こ と に

ま た

ト 化

こ と で

、 工 期 の 短 縮

ャ ス

ど 合 理 化

に 展 開 で

き る

を 構 成

を 計

、 規 模

種 類 は 使 用 用 途

Dの

複 写

も の で あ

配 列 機 能

よ び

も っ て

こ の を 利

る た め お

と が で

レ グ

P Cシ

開 発

こ と で

、 高 耐

耐 震

ム を 生

や 現 場 作

き る 。

の 構 造 エ に

4-13の

は 図

シ ス テ ム す

自 由 度

る こ

│と

空 間 用

Projectは

り 、 耐 久 性

き る 。

来 、 大

こ の

下 、 高 品

リ ッ

自 由 度 が の

レ グ

可 能

と 理

も 対 応

タ 管

を 実 現

ト を 使 用

建 築 構 造

面 計 画

2方

う に

ト で あ

レ メ

も の で あ

さ れ た

い か

目 的 に よ っ て

る 。 る

う に

る 。 リ

ド シ ス テ

の な か

に 広

を く 応

し て 都

プ レ グ

リ ッ ト シ ス テ ム

、 用

C A し た

る 。

4 - 1 3

1/2

96


The Silent Volume/Vold

in The City

Project

東 京 の

At

ビ ル の 立

こ に で

も 見

り 添

既 存 の

墓 の

レ ー ム

と 、 や

に 包

ま れ

る 。

ガ ラ ス の 箱 リ ッ

ト の 森

ま れ

、 そ

を 見

の な か

を 抜

る プ

シ ス テ ム を 取 ロ

さ れ

に ガ

り 込

ト の

ラ ス の 外

む た め

の 屋 根

リ ッ

の な か

ラ ス の 柱

渡 す 透 明 な 回 廊

認 識

レ グ

ッ ク 、 グ る 形

を 抜

VOIDの

に よ る

た 人 々 の 魂 こ こ に 生

り 返

こ に 人 の 魂

ド 、

の 、 グ

墓 が 組 み 込

ら れ

る 。

ら 、

こ こ に 生

19)

(図 4-15∼ 都 市

い 光

さ れ

ガ ラ ス プ

と 繰

る 、 そ れ

う え に 渡

ら か

る 光

う に た つ 住 宅 群

遭 遇

、 透 過 す わ

2015

り の 雑 踏

う よ

VOIDに 突 市 VOIDを VOLUME化 す (図 4- 1 4) の

然 都

10YAI▲

ら れ

ち 並 ぶ 表 道

の 裏 で 寄

TO【 Y0

こ の 街

き た 人

を 見 守

々 の 記 憶

る 。 硝

を 都

子 の 箱 が

に 話

し 掛

る 。

2/2

97




4

VOIDO VOLUME化


I 2 I 4 5 6 7 B 9 l0

5         6

4 - 1 5

Diagram

Structuol Frome Solor Control Grill Glozinc Gloss & Alumi Honeycomb Ponel

Ceiling Skin

ljnit Corridor & Floor Closs Tomb

Pre-cosi 6rid

txisting

Tomb

6loss \,/oll

6loss Support Frome




図 図

4-1

6

既 存

4-1

7

ラ ス

の 墓

4 - 1

8

4 - 1

9

リ ッ

う え

に 渡

さ れ

る フ

レ ー ム

過 す

System

い 光

を 取

り 込

た め

の 屋 根

ド の 森

の な

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の 柱

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5.CAA3 -一

素材 に 関 して一一

コンピュー タによる設計 は、形態 を組み 上 げ てい くだ けでない様 々 な可能性 を持 って い るはずで ある。 2章 で 取 り上げた、光や 、時 間 を媒介 に した空間の再構成や、次世代 の 設 計環境 もそ のひ とつ といえるだ ろ う。 とくに建 築が 、形態 とともにそれ を構成す る素材 と 切 り離 して考 える ことはで きな いな らば、 CAAの ひ とつ として素材 の 可能性 を検 証す る 必要が あるだ ろ う。本章で は、 コンピュー タで行な う素材 の シュミ レー シションや 、コ ン ピュータが 生む新 しい素材 の 可能性な どを、形態 と技術 との 関連 を考 えなが ら考察 してみ た い。

2.1.素

材 の歴 史 と機能 、形態 との 関係

人間は、そ の長 い石器時代 の 当初か ら、周 囲 に存在す る様 々な 自然材料 を取 り上げ、そ れ を 自分たち の生活 に役立つ よ うな形 に整え る ことを努 力 し続 けてきた。梶棒 か ら丸太 小 屋や 小舟や車輪 に至 る木工技術 の進歩。尖 った 自然 の石片か ら鋭 く成形 され研磨 された石 斧や 、 また巨大な記念碑的建造物 に至 る石 の硬 さと人間の力 との戦 い。 また土の粘土的 、 可塑的、固体 的 とい う自然な性質 に同化 しつつ創 り出 した土器や土壁 の使用。 この木 、石 土 、 とい う三種 の材料 と人間 とのつなが りが 、人間 の 文明へ の道 を切 り拓 くため の基本的 な物質的基盤 を形づ くつて きた。 こうした 素材 は、建築 との関係 を考 える と二つの大 きな変革 を迎 えて きた、ひ とつ は鉄 や 、ガ ラス といつた物質 の 内面的 な組成 を変 えた素材 の登 場で あ り。 も うひ とつ は 近代以 降 の、工 業化 による大量 生産が 、現代 の建築 を構成す る部材 の基 盤 を造 ってきた ことで あ る。 上 記 の三つの 素材 (木 、石 、土 )に 対す る追求 は、ある意味で は 自然材料 に対す る人 間 の 消極的追求 で あった。それ らは、 自然 に存在 して いる物質 をその存在 の性質 に したが っ て、切断 し、加工 し、造形 した もので あったが 、それ らの造形過程 は、最後 まで木 は木で あ り、石 は石で あ り、土 は土で ある ことは変 えて こなか った。人間 の生活意志や造 形力 の 深 さは、 自然 に存在 ている物質 の 内面的 な組成 にまで及び は じめた。新石 器時代 か ら始 ま った と思われ る金属 とガ ラス の発 明で ある。それ は、 自然 に存在 して いる様 々な材料 ― 岩石 や礫や砂や粘土や木や 草や 、 さ らに水分や大気 の 成分 をも含 めて 一 の 中か ら、それ らの性質 (化 学的組成 )を 純化 し変性 して 、 自然界 にはそ の ままの形で は殆 ど存在 して い な い 、 しか もよ り有用な物質 を創 ろうとす る人 間活動 の始 ま りで あったか らで ある。金属 の精練 とガ ラス の製造 に現 われた人間 の追求 とその成果 は、古代・ 中世 の歴 史 を通 じて、 木 と石 と土 の創 り出 した壮大 な文明における脇 役で あ り続 けるが、そ れ らは科学 と工業 に もとづ く現代文明 の主 役 として花 開 く、重要な基礎 とな って いる。

104


素材 自体 の誕生だ けでな く、近代以降 の技術 の発達 と工業化 による大量 生産があつて こ そ 、現代 の建築が 生 まれて いる。 ベ ッセ マー の 転炉 と、 シー メ ンス・ マル チ ンの平炉 によ る溶鋼技術 の展開 か ら始 まる精鋼技術 の発 明 は、電気動 力 の工 業化 とともに、第 二 時産業 革命 の契機 とな り、 これによって生産組織 も生産手段 も、そ して近代文明 をささえる物質 的基盤 も変 えてきた。 また、 工 業化 の波 は鉄や 、ガ ラス といつた、比較的新 しい素材だ け に訪れたわ けで はな い。例え ば 、木材 は、工場で大量 に加 工 製品が製造 され 、又、集成材 の と いった新 しい木材 利用 の可 能性 も見せ て いる。 また、石材 は、かつての 構造材 として 役割 は失われ つつ あ るが、薄 い石板 の加 工 技術 によって今 で も、工業化 され た部材が建築 の 表皮 を覆 つて い る。技術 と工業化 によ って 、多 くの素材が単独 で 、また 、又組み合わ さ れ てた現代建築 を支 える素材 とな って いるので ある。 で は、 こうした歴 史 的な変遷 を遂げ て きた素材 は、機能や 形態 とどのよ うな関係 を持 っ て いたのだ ろうか。 へ ひ とつ の社会的発 展 において 、新 しい 内容 と古 い形式 の 矛盾 が 、新 しい次 の時代 の発 の 展 の必然性 を内包 して いる時代 には、 いまだ 形 を成 して いない新 しい機能 と新 しい素材 可能性 が空気 のよ うに充満 して いる。機能 は新 しい素材 と結び つ く ことによ って、また素 材 は、新 しい機能 と結び つ く ことによつて の み 、現実化 され新 しい構造 形式 として成長す る。 こうした時代 の 人間 の生 き生き した造 形 力が 、両者 の相 互 開発 と相互現実化 を推進 し て 既存 の物 の形態 に制約 されな い新 しい形態 を創造 してきた のだ 。 そ の形態 は、既存 の物 の形態 に対 して 、 自由で あ り、そ の時代 の 内容 に とって、 自然 で ある。そ して この 自由で 自然な形態 は、 また逆 に、よ り新 しい機能 と素材 の 展 開 をうなが のだ。 す 基盤 となって、新 しい時代 の発展 の物質 的基礎 を広範 に確立 してきた しい素材 的 新 しい機能 内容 の可 能性 を開発 し現実化 す るのは新 しい素材 で あ り、 また新 この相 互 開発 と相互 特 性 を開発 し現実化 す るのは新 しい機能 内容 で ある こと、また さ らに 欠 実現 の展 開 のため には、既存 の機能形式 や 、構法 に制約 されな い 自由な造 形精神が不可 な のである。 こうした実例 は、建築史 の 多 くの場面 で み られ る。例 えば、ガラス を用 いた ローマの空 の の 間 が あげ られ る。 明 る くあたたた く、屋外 の空 間 と明瞭 に区別 された、多数 人間 快適 へ な相互交流 のための公共的室 内空間を求 め る古代 ローマ社 会独特 の有用性 の欲求 は、石 い し や 、煉瓦や ガ ラス と いう既存 の 素材 のなかか ら、アー チ構法や透明な板 ガ ラス と う新 い 素材形式 を開発 し、それ と結び つ く ことによ つて、バ ンテオ ンや大浴場 のよ うな まった くあた らしい建築 形態 と空間 として、開発 され現実化 して いつたので ある。 (図

5-1)

べ ここまで素材 に関す る歴史 と、そ の形態 との関係 の概略 をつ いての て きた。そ の歴 史 は、素材や構造 に関す る技術 の連続的展 開が基礎 となって 、 これ に社会構造 が求める機能 は と形態 を加 えた 3者 が 一体 となって新 しい建築 を生んで きた。現代 を見てみ る と、技術 し、現代 の我 々 格 段 に進歩 し、社会 が求める建築 の機能 は多様化 し重層化 して いる。 しか 互が 関係 を取 り巻 く世界 は、形態は形態 、素材 は素材 、構造は構造 と、建築 の 中 の本来相 いる。技術 の超専 して い くはず の 各分野 が、独 立 した狭 い世界 の 中で考え られて しまって 門化 か と枝状 の分化 が起 こつて いるので ある。

105


図 5-1

ガラス を,llい た ローマ 建築 の空間 :セ ン ト・ ソフィアの北回廊 の断面図

上 下

:

デ ィオク レテ ィアス帝 の浴 場

新 しい社会機 能 と新 しい技術 の 可能性 の高 ま りの真 只中 にいる現代 の 我 々は、 この独立 した分野 を再び統合 し、新 しい建築 に結びつ けて いかな けれ ばな らな い。そ う した統合 を 助 け るのが 、現代 の技術 の生んだ コン ピュー タではな いだ ろうか。

106


2.素 材 に関す るコンピュー タ の可 能性

CADに

よる設計で は、部分的 に ときにはダイナ ミ ック に形態 を変化 させ るなが らエス キ ー ス をすす めるだ けでな く、 一 枚 の 平面 に様 々な色彩や素材感 を与えた り、モデル全体 の 素材 を変えなが ら設計 を行 な う ことが可能で ある。 こう した素材 に関す る、 コンピュー タ利用 は三つ に分類 で きるだ ろ う。 ①

コ ンピュー タを用 いた素材 の シュミ レー ション

形態・ 素材・ 現代 の技術 の 関係 につ いて コ ンピュー タ の生む新 しい素材 の可能性

こう した利用 は、建 築家 にどのよ うな思考 の変化 をもた らし、 また、実際 の建築 にどのよ うな影 響 を与えて い くのかを考慮 しなが ら、章末 に続 く素材 をテ ーマ に した CAAの 設計 のた め に、 この三項 目を考察 して い きた い。 (素 材 の シュミレー ション)

コ ン ピュー タで建 築 の シュミ レー シ ョンをす る とき、形態 だ けでな く、素材 な どの属性 情報 をきちつと入 力 してお けば、仮想 空間内 とは いえ、 どんな条件 の空 間 も再現す る こと がで き る。 素材 をは じめ とす る様 々な シュ ミ レー シ ョンは、一般的 にはモデ リング とは異なるソフ ト上で 行な われ る。 レンダ リング ソフ トと呼ばれ る このソフ トは、完成 したモデル情報 を も とに、パ ー スや ア ニ メー ションの作成 を行 な うため の物 で 、視 点・ 焦点 の設定か ら、光 源 の 位 置、そ して素材な どを設定 して 、空間 の シュミレー シ ョンを行 な い 、パ ー スを作成 す るので ある。 例 えば、 InterGraph社 製 の レンダ リング ソフ トである 「1/ModelView」 で の 素材 の設定 を解 説す る と。Material Editor(図 5-2)と い う機能 を利用 して、仮想素材 を設定 し

モデ ル のエ レメン トに与えて いる。 ここで は色や基本 とな る素材 を元 に して (図 5-3) そ れ に、艶、光沢 、反射率、透過率 、水 中 にお け る屈折率 まで をデ ィ スプ レイ上で確認 し なが ら設定す る。基本 になる素材 は市販 されて いる CDROM等 の メデ ィアか ら容易 に引 き出す ことも可能で ある し、また現実 に使用す る素材 をスキ ャ ン して 読み込 む ことも容 易 で あ る。 この仮想素材 を、Layerと 色 によって 区別 されたモデ ル ソフ ト上 のエ レメン トに 自由 に与 えて い くので ある。 こう した シュ ミ レー ションは、建 築家 に単 に形態だけで な い、 素材 をは じめ とす る建築 の さまざまな知識 を要求す る とともに、素材や 空間に対す る感性 を求め る。そ うした もの を持 たな けれ ば結局、 この世界 をつ くりあげ る ことがで きな い。 図面や模 型 による設計で は 、一定 の条件 にかなった情報 だ けで建築 のアウ トライ ンを示 した、 したが つて図面 上 に レンガ タイル と書 いて あると、基本的な素材感 だ けお さえて いれば、テ クスチ ャー が もた らす肌 合 いなどは考 える必要がな か った。 しか し、 コンピュー タ 上の リアルな シュミレー シ ョンで は厳 しい空間感覚が要求 されて くる ので ある。 人 は、最終的 に建物 のなか に入 つて、空間 を感 じる。そ の入 つた ときの感覚 をイ メー ジ

107


5-2 1/ModclVicwの Matcrial Editor

図 5-3

素材 のサ ンプル

108


‐ で きな い建築家 は、 コンピュー タ と向か い合 って 、 見 きれ いな CGを 出力 して も、イ メ ー ジを伝 える ことは 本 当はで きて いな い。図面 は 読み取 る情報 で アナ ログで あるか ら、読 み取 る人次第 で 建 築 の 出来 も異な って くる。 一方 コンピュー タは、 ごまか しが きかな い 世 界 で ある。空間 を表現 豊かに描 きだすデ ジタル の 世界 と、通常 の 設計 の 間 には、大きな違 いが あ る の だ。 こう した コンピュー タを利用す るか ら こそ 要求 され る、形態だ け に とどま らな い素材 を は じめ と したさまざ まな建築 の 知識 と感性が 、 コンピュータ を CAAと して用 いる新 しい ∫欠な ので ある。 タイ プ の 建築家 には、必要不 口 (形 態 。素材 。現 代 の技術 の 関係 につ いて 〉

フ ラ ンク・ ゲ ー リー は複雑 なデザ イ ンを CADデ ー タに変換 し施 工 業者 に渡す ことによ って 、 一連 のフ ィ ッ シュを含めた最近 の作品 を建築化 して いる。ゲ ー リーの複雑 な曲面 を 多用 した非常にアナ ログ的なデ ザ イ ンは、デ ジタル化す る ことで は じめて施 工可能 にな っ つ た ので あ る。 これ は、素材 自体 の発展 とで はな く、素材 を生産す る技術 と形態 とが結び いて 成 立 した建築 の例 といえるだ ろ う。 生産 システム と コ ンピュー タ の 関係 につ いて のべ た前章で もふれたよ うに、 コンピュー タは複雑 な形態 を生み、そ の複雑 な形態 を実現化す るため の 役割 もはたすが、それ が 、現 のでな けれ 代 の 生産 システム にのって物 でな けれ ば、 また、生産 システム を変 えて い くも ば広 く汎用性 を獲得す る ことはな いだ ろ う。鉄や 軽金属 な どの既 に完全 に工業化 された素 れ 材 は、規格部材 を用 いず に、生産 システム を完 全 に無視 した特注 部品 で構成すれば、そ は高 い コス トとして跳ね返 って しま うか らだ。 コンピュー タ Lで 、形態 と素材 の 問題 につ いて 考 え る ときには、単な る形態や空間 の 問題 や 素材そ の もの に関す る ことだ けでな く、 そ の 素材 が 、建築部材 として利用 され る ときに、それ が どの よ うな技術 に支え られて製作 され て いるかを知 り、 ときにはそ の生産 の構造 自体 も変 えて い く ことを考 えなけれ ばな ら な いのだ。 (新 しい 素材 の 可能性〉

。 べ コ ン ピュータによる シュミ レー ションや 、形態・ 素材 現代 の技術 の 関係 の 中で の て の う きた の は 、すで に素材 として、あ る いは技術 と して確 11し て いる ことを建築家が ど よ に捉 え 、実際 の 設計 に反映 させ て い くべ きか とい うことで ある。 の しか し、建築 の歴 史 を考える と、素材 と機能 の相 互開発 と相 互現実化が 、既存 形態 に されな い 自 制約 され な い新 しい形態 を生んで た の と逆 に、既存 の機能形式 や 、構法 に制約 ことも 由な 形態が 、潜在 して いる素材 と機能 の 可能性 を引き出 して新 しい建築が 生まれた あった。だ とすれば 、形態だ けが 先行 した建築設計 にお ける コ ンピュー タ利用が 、潜在す い 口 る現 在 の 素材や技術 、そ して新 しい社会機 能 と結び つ いて、新 しい建築 を生んで く I能 性 を秘 めて いるので ある。 1つ の例 を挙 げた い。 で ある。 これ 図 6-4は 光造 形法 (Stereo Lithographie)に よって実体化 された立体 ことな く は、 コ ンピュー タ 上で 粘 土や木材 といつた 素材 が もつ物質的な特性 に とらわれ る ス ただ 形だ けを考え て創作がすす め られた形態 で ある。そ れ を光造 形法用 に細か くス ライ され たデ ータに変換 されて 工場 に送 られ こう した立体で ある。

109


図 5-4

光造形法 によ り実体化 された 、 ,体

IX1 5-5

ドッ ト・ ポイ ン トによ るガ ラスh路 ″

110


図 5-5は ドッ ト 0ポ イ ン トによるガ ラスエ 法 で ある。ガ ラスを枠材な しで建築部材 と して用 いた いとい う希 望は、 ドッ ト・ ポイ ン トとい う技術 上の解決 と、強化 ガ ラス とい う 素材 によって実体化 された。 これ によって、ガ ラスは フ レームの拘束 か ら開放 され、真 に 透 明な皮膜 とい う性 質 を獲得 した といえる。 ・ 前者 の光造形法 によ る物質化 は建築 と呼 べ る ものではな い し、また、後者 の ドッ ト ポ イ ン トによる新 しい構造形式 は、 コンピュー タか ら生み出 された もので はな い 、 しか し、 どち らも新 しい形態概 念が、現在 の技術 や素材 と結びつ いて 、既存 の 形態 とはまった く異 な る物体 を実体化 させ ているの だ。 コ ンピュータの生む 建築 に関す る新 しい形態 に関す る概念 のみが 、孤立 して存在す るの で はな く。それ らの 形態 が、既存 の技術 を乗 り越 えて、潜在す る新 しい素材や技術 と結び つ い た ときには じめて 、現代 の 社会 が求める新 しい建築が生 まれ る可能性が発 生す る ので はな いだ ろ うか。


3

素材 をテ ー マ と して

この 章 の 「現代 の さや堂 ―A一 」、 「バ ルセ ロナ・ パ ビ リオ ン素材変換試行」 、 2つ の プ ロ ジェク トは、新 しい素材 の 可能性 を引き出す ため のプ ロ ジェク トで ある。 「現代 のさや堂 一 A― 」 で は、 コ ンピュー タ上の複雑 な形態 を排除 し、純粋 に コ ンピュ ー タ 上の 素材 の 可能性 を考 えて い くために、柱 と、屋根 、防風 パ ネル の みで構 成 され る 自 転 車置場 を対象 と し、将来開発 され るで あろ う薄 い液晶 パ ネル の 開発 を前提 と して素材 の 変換 を行なって いる。 また、 「バルセ ロナ 0パ ビ リオ ン素材変換試行」で は、従 来 の建築 の 素材 に対す る固定 観 念 を変 えて い くた めに、対象 として ミースのパルセ ロナ・ パ ビリオ ンを取 り上げた。 こ の 建 築にお けるガ ラス と鉄の使用 は、現代 に至 まで多 くの建 築 における二 つ の 素材 の使用 の 礎 とな って いる。 ここでは、 この建築を素材 の神殿 として捉 え、個 々の 素材 を変換す る ことで 新 しい素材 の 可能性 を視覚的 に導 きだそ うとして いる。

112


110さ

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り 加 速

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113

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し 、 た だ

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な 空 間 が 、 突

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い る 光

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の 消 失 が

ろ う か 。

の 性 格 す

い る 現

し て 決 定 的

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に す

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い 。







バルセロナ ,バ ピリオン1111ま │

に 物 質 は 形 態 が 与 え ら れ る 前 か ら す で に 材 料 の 中 に で 製 ら す か る 前 存 在 し 、 形 餞 は 働 質 に 与 え ら れ て 作 者 の 繊 り 上 げ た 構 想 の な か に 存 在 す る 。 そ し で 存 の 共 中 が 作 品 の 者 両 最 贅 的 に こ の 働 質 と 形 饉 す る と き

,そ

の 物 質 が あ る 一 つ の 形 麟 を 受 け 入 れ が

る 働

に 与 え

ら れ

が で

そ の 形 菫

を 見

る 事

本 来 、 デ ザ イ ン と い

の で あ

る 。

う も の は 物 質 と 不 可

(R.G.001ling,Ood)

る 様 き

分 の も の で あ る と い う の は 誤 り で 、 例 え じ ば 、 同 じ デ ザ イ ン が い く つ も の 違 つ た 建 物 に 同 の や 角 や の 線 処 理 形 菫 と し て 現 れ 、 そ こ で は 部 分 り 扱 わ れ 方 が 全 く 同 じ で あ る の を 見 る こ と が で し て き る 。 ま た わ れ わ れ は 、 物 質 と は 完 全 に 決 別 こ れ 心 の 中 で 建 物 の 形 菫 を 思 い 描 く 事 が で き る 。

し は 、 想 像 の 中 で 線 や 角 を 秩 序 だ て て 複 合 、 配 置 天 て み る こ と に よ る 。 か く し て 、 デ ザ イ ン と は 、 の 中 で 才 的 な 芸 術 家 が 機 日 た う 美 し い 線 や 角 を 心 き る が で 巧 み に 秩 序 だ て る 事 で あ る 、 と 見 な す 事 の で あ る 。

(Arbelti)

1/2

116


バルセ ロナ・ バピリオン素‖贅1ま 行

ミ ー 話 は ま で 化

Jし

定 理 つ

も 生

の 建

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建 築 の 何 よ

ま れ 消 に

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ん だ 素 材

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し く も あ る 原 理

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も あ の 博

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築 か

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の 証

し て 、

1986年

ス の 生 ん だ 素 材

た 素 材

の 結 晶

の 神

と し て の パ

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の 様

々 な 利 用

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く 可 能

の 芽

を 摘 ん で

し ま っ た の で

ン ピ ュ ー

素 材 態

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を 生 み

ま れ こ か

々 な 変

を 生 む た め だ

を 視 党 化

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の 関 係

と 素 材

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を 与 え て

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こ の 建

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「 場 」

い た 近 代

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間 が 素 材 場 る

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り 空 間

を 生 み 出 す た め

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り 離 、 再

さ れ

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く の だ 。

2/2

117




DIAGRAM『

¨ 山 一 喘

r.I'in1l---

酬 EELIHA PAViLIH i螂

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出 11鳳 几12E螂 劇:

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6.総 論

―一 コ ンピュー タは建 築 を変 えるか―一

ここまで 、 CADに よる設計 の特徴 とこの道具か ら生まれ た建築 の考察 を経 て 、形態だ け に と らわれな い新 しい建築 を生 もうとい うものを CAAと 定義 し、各論的 に考察 と実践 として の 設計 を進 めて きた。 この 章 で は、 CAAへ の道 を 「コ ンピュー タは建 築 を変 える か」 とい う問 いを再考す る ことで ま とめて い きた い。 新 しい形態 の発 生を新 しい建築 とみな し、また コ ンピュー タを、 自由な形態発 想 の道具 として捉 えれば 、そ の可能性は無限 に広が つているよ うに感 じられ る。それ は コ ンピュー タ の 計算能 力が 、今 まで建築化 されなか った新 しい形態概念 を次 々 と建築化 して きか らで ある。 しか し、 こうした 形態概念 が 、社会的 に認知 され、建築化す るための新 しい生産 ス テム をあわせ もつ ことがなければ、形態 は単なる巨大 なオブ ジェ として存在 して も新 しい 建 築 とはな らな いだ ろう。

CAAと

して進 めてきた各論 は、 こうした形態操作 だ け に捉われず に、 コンピュー タ の 可能性 を導 き出 しなが ら、 この設計 の 道具が どうあるべ きか を検 証 し、また実践 してきた もので ある。 第 2章 で は現状 にお け る形態以外 の コンピュータ利用 を探 ってきた。建築生産 システム 自体 を コ ンピュー タによ って統合 して い く動 きや、本来複数 の 専門家 の共同作業 で ある設 計行為 の 媒介 の 役 を、 コンピュー タ とデ ジタル メデ ィアがつ とめて い く次世代 の 建築設計 環境 は、建築家 に建築全体 の生産 システム と、設計だ けでな い構造 、設備 、材料 といつた 建築 の 構成要素 を見 つ め直す視点 を与 えるだ ろう。 第 3章 で は新 しい形態概念 の 中か ら、実際 に数多 くの建築家が手 にす る ことで 、汎用性 をもつ可能性 の ある もの を取 り上げて設計 を行な い。第 4章 で は、 コンピュー タ の制御 に よって生み 出 され る建築部材 の生産 システム を考慮 しなが ら、設計を行な って きた。 この 2章 を通 して確認 したのは、新 しい形態概念 を建築化す る ときに越 えな けれ ばな らな い 2 つ のハ ー ドルで ある。 ひ とつは、新 しい形態概念 は 1人 の建築家 が物語 として用 い られ る ので はな く、多 くの 建築家 がデサイ ンに使用できる汎用性 を もたね ばな らず 、それ によっ て、初 めて多 くの 建築 に取 り入れ られて い く可能性 を持つ こと。 もうひ とつは、そ うした 建築 が数多 く生 まれ る ことによって 、新 しい建築 の生 産 システム を確立 しなけれ ばな らな い とい う ことで ある。 第 5章 で は、新 たな コ ンピュー タ の 可能性 を引き出すため に、形態 とともに建 築を構成 して いる重 要な部位 で ある、素材 をテ ーマ に取 り上げた。形態そ して素材だ けで な く、多 くの可能性 を このツー ル は持って いるはず で ある。 新 しい構造 や素材 による建築 の変化 は直接的で あ り、新 しい技術が基盤 とな り、そ の魅 力 を引き出 した建 築家が新 しい建築 を生んで きた。 これ に対 して 、新 しい設計 の 道具であ る、 コ ンピュー タ の登場 は、 これ とは 異 な るプ ロセ スで建築 を変 えて い くので はな いだ ろ

122


うか。道 具 の変質が最初 にもた らす の は 、新 しい建 築家像 の創 出で あ り、そ して彼 らが建 築 を変 えて い くので はな いだろうか。 現代 の 建 築家 は自信 を喪失 しか けて い る、それ は 二 つの大 きな問題 の 直面 して いるか ら で ある。 ひ とつは、建築 に関す る様 々 な技術が高度化す る 中で、ひ と りの建築家が把握 し な けれ ば な らな い、 設計、施 工、構造 、素材 の性質 、設備等 あ りとあ らゆる ことが、あま りに増 えす ぎて いる こと。 もうひ とつ は、現代 の 建 築家 は施主 へ のサー ビス を忘れて しま 「 って いる こと。 言 い換 えれば、現代建 築家 が建築や 設計行為 を説明す る とき の コンセプ ト」主義が 、 自己参 照的 な言説 を振 りか ざす ことによって、建築 と世界 との距離 を無限 に 遠 くして しまって い る ので ある。 現代 の 建 築家が抱 え る問題 を解決 し、新 しい建築家像 を生む可能性 を コンピュータは持 って いる。 それは コ ン ピュー タが以下 の 3つ の変化 をもた らすか らで ある。 (新 しい 設 計 のための空間〉

コンピュー タによ る設計で は建築家 にそ の特徴 で ある、エ レメ ンタ リズム、手続 き性 、 3次 元性 の理 解 を求 め、さ らに、パー ス ペ クテイ ブや アイ ソメ トリックの 中で リアル タイ ム に回転 して いく複雑 な建築 のコンプ レ ックスを見 なが ら、視点 と建 築 の部分 との位置関 係 や方向 を把握 しつつデザイ ンを進め るため の頭脳 を要求す る。 道具 の 革 新 は、職 業 の適性 をも変え るだ ろう。 コ ンピュー ター の もつ世界 を、 自らの世 界 として獲 得 した とき に生まれる、従来 にな い建 築 の空 間認識 の感覚 の差 を認識 し、それ を建築 の 設 計 に適用 させ る建築家が求 め られて いるのだ。 (建 築家 を支える設 計支援体制 〉

第 2章 で のべ た、 CADに よる建築生産 システム の統合 は、建築家 に生産 システム全体 に対す る理解 を求 め る一方で、個 々の 細 か い技術 的なサポー ト役 を コ ンピュー タが果た し て い くだ ろ う。また 、次世代 の建築設 計環境 は、従来 の ワー クスタイ ル を大 き く変えて い の く。建築が もともとマ ルチメデ イア・ コ ミュニ ケ ー ションをベー ス に した多分野専門家 共 同作業 で ある ことを考 えれば、個 人 の 作 業 にとどま りがちだ つた従来 の 設計作業 に、情 報 。通信技 術 の進展 と新 しい コンピュー タは、再 び コミュニケー シ ョンのためのイ ンフ ラ を提供 して くれる。 建築が 、 ものをデザ イ ンす る行為で あ る とす るな ら、単 に建物 を造 る時代 は終演 し、都 い 市や社会 、そ して人間 と機械 の関係 もデザ イ ンし社会 に提示す る必 要が ある。新 し 建築 設計環境 は こうした道 へ の扉 を開 いて い るのだ。 (社 会 との コミュニケ ー ションツ ー ル と して )

従来 の アナ ログ と して の 図面 は、読 み取 るため の技術 が必要で あ り、誰で もがす ぐに建 ー 築 の空 間 を を想起す る ことが 出来 なか った。 これ に対 して、 コ ンピュ タによ り建築情報 をデ ジタル化す る ことで作 られ る CGや ア ニ メー シ ョンは、 ビジュアル に、だれで もわか の るよ うに表現 され るために、建築家 は、 自己参照 的な言説 を繰 り返す だけで な く、 自 ら で な く空間 の 建築 と世界 との距離 を縮 める努 力 を払わ な けれ ば な らな い。 また、形態だ け 質感 に対す る感性 も建築家 に求めて い くことにな るだろう。

123


これ とは別 に、コンピュー タ利用が進 めば、専門的な建築家だ けでな く、誰で もが簡単 な設計 を行 なえるよ うな CADソ フ トが 生 まれ、 また、情報 のデ ジタル 化 が もた らす 次世 代 の 建 築設計環境が完成す れば、施主 な どの社会側 の 人間 をよ り多 く設計 の 中 に巻 き込ん で い く。 コ ンピュー タは、現在断絶 して いる建築家 と社会 との 関係 を、再び結びつ ける役 割 をはた して い くのだ 。

現代 の複雑な社会 は、建築家 を設計 とい う閉ざされた世界 の 中 に逃 避 させて しまった。 コ ンピュー タ という機械 に支 え られた新 しい建築家 は、従来 にな い空間感覚 を獲得す ると ともに、 コミュニケ ー ションツー ル として の コンピュー タに支 え られなが ら、再び現代 と 真 っ正 面 か ら向 き合 う姿勢 を取 り戻す で あ ろう。新 しい建築 は、現代社会 に浸透す る コン ピュー タ の 力 を引きだ し、武 器 として もち いる ことに成功 した建 築家 の 設計 のなかか ら生 まれて くる。 建築 は、時代背景 と、そ の時代 の生 産 システム と、デサイ ンが一体 の物 となって生 まれ て きた。 コンピュー タに支 え られた新 しい建築家 が、現代 とい う複雑 な社会構造 を持つ混 沌 とした社会 と、昔 とは比較 にな らな いほ ど発達 した科学技術 と生産 システム を理解 し、 コンピュー タによる自由な設計環境 を駆使す る ことで、真 に新 しい建築が 生まれて い くの だ。そ してその時 、 コンピュー タは CAA(Computer Aided Architecture)と して、認 知 され て い くだ ろう。

124



01.付

1.CAD/CGシ

ハー ド

CPU

ステム

:InterGraph lnterPro3030 1nterGraph

lnterAct3030

1nterGraph

lnterPro2830

2台

IBM PS/V Mode12411 (出 力用 ) プ リンター

:CHC645 (カ ラープ リンター

)

HP7850 (静 電 プ ロ ッター ) A― Coler636 (カ ラー コ ピー 及 びスキ ヤナ ー ) ソフ ト

:1/EMS (Intergraph / Engineering Modeling System)

1/FEM (Intergraph/Finite Element Modeling・

解析用 )

Micro Station ModelView

1/Design (Intergraph / 1ndustrial Design System) Adobe Photo Shop PageMaker

Soliton WinFTP

ARMd (ス キ ャナ ー)

器材提供

住友 軽金属 工 業株式 会社

協力

野中

佐藤

三好

由希 子

125


2。

参考 文献

〈 書 籍〉 建 築 の 形態言語―一一― デザイ ン・ 計算・ 認知 につ いて ウィリアム・ ミ ッチ ェル 著

長尾威彦

鹿 島出版会

Architects'People Russell Ellis and Dana Cuff

蒙 翼

OXfOrd University Press

Designing the Future Robin Baker

Thanes and Hudson

蒙 車

The Language of the Prairie:Frank Lloyd Wright's Prairie Houses H.Koning,J.Eizenberg

Enviroment and Planning B Vo18 1981

蒙 草

Ten Books on Architecture Alberti,Leob Battista

Tiranti

璽 翼

The Principles of Art R.Go Collingwood

0xford University Press

彗 草

現代 建築 の発想 一一―一 アール・ ヌボ ー か ら CADま で 構図 4 コンピュー タ ー・ エ イ ジの建 築ゲ ー ム 長尾威彦

丸 善株式会社

建 築 CAD入 門 一一一一 建築分野 にお ける情報化 戦略 をめぐ って JICC出 版局 テ クニ カル コ ラボ レイ ツ 著 第

22回 建設業情報 システム研究会講演予稿集 日本生産性本部

建 築模 型 山田弘康・ 舟橋

巌・ 鈴木征 四 郎・ 田中孝蒲・ 飯倉恭 一

成瀬大治・ 村井

グ ラフイ ック社

共著

126


ミー ス再考 一そ の今 日的意味 澤 村 明 +EAT訳

K.ク ランプ トン他著

鹿 島 出 版会

近代 建 築 へ の招待 ユ リウス 0ポ ーゼ ナ ー

田村都志夫 多木 浩 二

訳 監修

青土 社 素材 と造 形 の歴 史 山本

学治

鹿 島 出 版会

〈 作 品集 )

Documenti di Architectura 71

Peter Eisenman Lotus

MIES VAN DER ROHE

BARCELONA PAVIL10N

Ignasi de Sola一 Morales, Cristian Cirici ,Fernando Ramos

璽 東

Editorial Gustavo Gili,S.A. ピー タ ー・ アイゼ ンマ ン作品集 建築 と都市 a+u 」A

Library 2

1988年 伊東

8月 増刊号

エー・ ア ン ド・ ユー

豊雄 新 建 築社

建 築 20世 紀 新建 築社 (雑 誌 〉

世界 と形 のモデ リング 世界 とかたちの拡張 に 向 けて

鈴木

プ ログ ラム をめざ して

花田

佳明

建築文化

1993年 11月 号

彰 国社 日経 BP社

日経 ア ー キテ クチ ャー 現 場報告・ 布谷東京 NCビ ル

1992年

3月 2日 号

127


日経 BP社

日経 アー キ テ クチ ャー 古代都 市 の大都市 を CGで 表現

5月

25日 号

6月

22日 号

CADと CGが 助 けたハデ ィッ トの 作 品 追跡 レポ ー ト/関 西国際空港

9月 14日 号

P.ア イゼ ンマ ン

布谷 ビル

9月

28日 号

地形 図デ ー タを利用 して CG作 成 の 効率化 図 る

1993年

1月 18日 号

下諏訪 町立諏訪湖博物館・ 赤彦記念館

伊東

6月

豊雄

21日 号

3次 曲面 のアル ミパネル屋根 8月 16日 号 イ ンタ ビュー/岡 部

憲明

9月 13日 号 イ ンタ ビュー/P。 アイゼ ンマ ン

9月

27日 号

4次 元 を知ると新 世界 が広がる

宮崎

興二

11月 8日 号 「設 計 図書」 を建て直せ

12月 20日 号 構 想 進 むバ ー チ ャ ルデザ イ ンス タ ジオ

W。

ミッチ ェル

19 94年 1月 17日 号 コ ス トに 日覚 め よ

6月

20日 号

ヽ 関西国 際 空港旅客 夕 ―ミナル ビル

R. ピア ノ 7月 18日 号

L~夕 が示 した意外な形態 コン ピこ

渡辺

10月 10日 号

Inter Communication

5

に INFOTROPOLIS 牛 手夕

寝者 8司 F 市 議幸

NTT出

デ ジタル・ アー キテ ク ト▲ 1 ▲3 山海堂

128


a t (Architectual Magagine)

1 9 9 3/

1993/12 1994/′ 1994/12

7

9 デル ファイ研究所

建築 と都市

a tt u

1980/01 1987/07 1988/′ 02 1990/01 1991/09

P・ アイゼ ンマ ン 特集 P・ アイゼ ンマ ン 特集

P・ アイゼ ンマ ン 特集 P・ アイゼ ンマ ン 特集

エー 0ア ン ド・ ユー

129


付 3.論 文 中の CAA作 品 につ いて

2.現 代 にお ける CAAへ

の 取 り組 み

「光 を媒介 とした建 築空間 の再構成―― Dantetun」 協 力 :柳 志野・ 吉 田武史・ 菊地康久 0北 川佳子 「ビィ トゲ ンシュタイ ンと ロー ス」 共作 :早 稲 田大学池原研 究 室 安藤 平・ 菊地康久・ 杉澤哲哉 。中嶋和朗 。中藤泰 昭 穂坂和宏・ 吉 田武史 「チ ャールズ・ ダー ウイ ンの家」 ※ 第 3回 S

L住 宅設計 コンペ

審 査 員賞案

「横浜 港 国際客船 ター ミナル 国際建築設計競技」 共 作 :早 稲 田大学池原研究 室 安藤 平・ 菊地康久 。杉澤哲哉・ 中嶋和朗・ 中藤泰 昭 穂坂和宏・ 吉 田武史・ 北川佳子・ 木下勝茂・ 竹内

3.CAAl

―― コンピュー タ の与 える新 しい形 と建築―一

「 20世 紀 博物館」 ※ 第 28回 セ ン トラル硝子国際設計競技

入選案

「現代 の さや堂」 一 B一 ※ 第 4回 長谷 工・ イ メー ジデザ イ ン・ コ ンペ テ ィ シ ョン

入選案

「Place Blend Between Two Surfaces」 第 4回 S

L住 宅設計 コンペ

[エ リック・ サテ イーの 家

130

]

佳作案


4.CAA2 -―

建 築 生産 システム の 中で一一

「ガラス の 待庵」 第

29回 セ ン トラル硝子国際設計競技

[ガ ラス の 茶室

]

優秀賞

「The Silent Volume/Void ln The City」

PreCast Paradise'94建 築設計競技 [プ レグ リッ ドによる家 ]

5。

CAA3 -一

優秀賞

素 材 に 関 して一 一

「現代 の さや堂」 ―A一 ※ 第 4回 長谷 工・ イ メー ジデザ イ ン・ コンペ テ ィ シヨン 共作 :佐 藤

円、三好

1等

由希子 (住 友軽 金 属 工 業株 式会社 )

「バルセ ロナ・ パ ビ リオ ン素材変換試行」 TOTO奈 良世界建築 トリエ ンナ ー レ [歴 史 と未来 の共 生 ―場 の 建築]

※印の作 品 は、卒業設計 「ANOTHER CITY」 他 1作 品 とともに 「 CADに よる設計及 び表現 による一 連 の作品」 として 平成 5年 度 小野梓記 念芸術賞 を受賞 して いる。

131



02. ま3'bり に

この 2年 間 、大小あわせて

14の コンペ テ イ シヨンに参加 しなが ら、 CADに

よる設 計

を繰 り返 して きた。 コンペ も初期 は、 コンピュー タによる設計手法 の研 究 とい うよ りは、 別 の 目的 で (い わ ゆ る コンペ に勝 つために)参 加 して きた。 しか し、設計を進 め る中で 、 現代 とい う混沌 とした時代 の 中で建築を学 んで いる 自分 自身 が 、何 をもとに して設計をす べ きな のか を考 えは じめ、それが コンピュー タによ る設計 の 可能性 を考 える この論文 につ なが って いる。 したが って 、 この論文 は、改 めて CADに よる作 品 を振 り返 りなが ら、 コンピュー タに よる設計 を可能性 をま とめる とともに、 コ ンピュー タを通 して 、現代 の 建築 と建築家がお かれ て いる現状 を考察 し、その 中で、 自分 が このあ とどのよ うな立場 に立って設計 を進 め て い くか を見つ め直す機会 とした もので ある。 ち ょうど私 は、 CADを プ レゼ ンテー ションや清書 の道具 としてで な く、設 計 の手段 と して利用 し、従来 の 設計手法 で はな くコンピュー タによる設計 を最初 か ら行な ってきた最 初 の 世代 にあたる り。それか ら数年 を経て今 は、学 生で も多 くの者が比較的安価 で、操作 性 の 良 い機械 を手 に して、 CADに よる設 計 に手 を染めるよ うになって きて い る。 また 、 へ い のは疑 い 建築業界 は これか らます ます 、デ ジタル化 とコ ンピュー タ化 の道 を歩 んで く のな い ところで あろう。 このよ うな状況下 で 、彼 らは この機械 を駆使 して形態だ けでな い の いた C 新 しい建築 を生む ことができる ので あろうか ?そ して 、 コンピュータはわた し 描 AAへ の道 を進 んで い くのだ ろ うか ?

最後 に、 この論文を指導 して くださった方 々、また協力 して くださった方 々にお礼を申 し上げた い。 この論文の指導教授 であ り、修 2年 間のす べての コンピュー タによる作品 を講評 して いただ いた池原義郎 教授、 また折 りに触れ CADに 関す る質問に答えていただ き、技術的なサポー トをしていただ いた渡辺仁史教授 と、研究室 の方 々にはまず最初 にお

礼を申 し上げなけれ ばな りません。横浜 のコンペ を共同製作す るとともに、常 に CADと 模型 の違 いを考える機会を与えて くれた池原研究室のメンバー、そ して現代 の さや堂に共 ? 同参加す るとともに、常 に楽 しい設計環境 を作 つて くれた佐藤 円、三好 由紀子 の名 (迷 )オ ペ レー ターには、 この論文 のために様 々な協力 をして いただきま した。そ の他 にも、

CADシ ステムのサ ポー トをしていただ いた、 日本イ ンター グラフ社 の高橋英行氏、短 い こ 時間で、 この論文を推敲 して くれた井出美希女史 に感謝申し上げ ます。そ して最後に、 の 5年 間 に渡 り、 コンピュー タシステムを提供 して いただいたき、わた しにコンピュータ 一の との繋が りを与えて くれた、住友軽金属 工業株 式会社 と野中徹、檜 山裕 二郎、高橋祐

3氏 に深 く感謝 いた します。

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