高度都市機能集積地区における自立型地区施設に関する研究

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博士論文

高度都市機能集積 地 区 にお け る 自立型地 区施設 に関す る研 究

1997年

茂呂

3月



本研 究 にお け る言葉 の定 義

第 1章

1.1

1.2

本 研 究 の 位 置 づ け と従 来 研 究 本研 究 の位 置づ け

4

従 来研 究

1_2_1

建 築 設 備 機 能 の 非 常 時 自立 へ の 要 求 に 関 す る研 究

1.2.2 1.2.3 1_2.4

地 区計 画 と地 区施 設 に関 す る研 究

19

巨 大 都 市 の ク ラ ス タ ー 化 と そ の 環 境 的 効 果 に 関 す る研 究

24 27

1.2.5

既 存 市 街 地 の ク ラ ス タ ー 化 に よ る環 境 的 効 果 に 関 す る 研 究

地 区 施 設 と し て コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を導 入 し た

32

場 合 の 効 果 に 関 す る研 究

1.2.6 1_3 結 論 第 2章

2.1 2^2

都 市 の 人 口 密 度 ・ 規 模 と環 境 破 壊 度 と の 関 連 に 関 す る 研 究 45

高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お け る非 常 時 自立 型 地 区 施 設 構 築 の た め の調査研究 概要 調 杏 概 要

2.2.1

51

集 合 住 宅 調 査 対 象 建 物 の概 要

2_2_2 ア ン ケ ー ト調 杏 概 要 2. 2. 3 分 析 方 法 2_3 調 杏 結 果

2.3.1

回答 者 の基 本 属 性

2. 3. 2

件 民 の 避 難 状 況

2.3.3 2_3.4 2^4 第 3草

3.1 3.2

49 51 52

54 56

56

57 60

ラ イ フ ラ イ ン 機 能 停 止 期 間 に お け る生 活 の 実 態

71

非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 に対 す る 住 民 の 意 見

78

結 論

高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る 新 しい 地 区 施 設 の 機 能 に 関 す る 研究 概要 本 章 で 扱 う地 区

3.3 新 し い 地 区 施 設 の 提 案 3_3_1 平 常 時 にお け る供給 処理 系地 区 施 設 の機 能

76 77 79 82

3_3^2

非 常 時 にお け る供 給 処 理 系 地 区 施 設 の機 能

83

3.3.3

平 常 時 にお け る環 境 管 理 系 地 区 施 設 の 機 能

83

3_3_4 非 常 時 にお け る環 境 管 理 系 地 区 施 設 の機 能 3.4 新 しい 地 区 施 設 に関 す る調 査 3^ 4_ 1 調 杏 目 的 3_ 4. 2 調 査 1既 要 3^ 4^ 3

3.5

84

84

分 析 方 法

84

84 86

86

調査結果

3^5_1

新 lン い 地 区 施 設 の 必 要 性 に 関 す る 分 析 結 果

86

3.5.2

機 能 項 目別 の 必 要 性 に 関 す る 分 析 結 果

88

3_6 第 4章

4_1

91

結 論

高層集合住宅の垂 イ ンフラ の CC 概 要

直ュ較一 砒

テ ィ り ティ と 戸建 住 宅 地 区の都 市 に関する研究 92


4_2 未 平 ュ ー テ ィ 1'テ イ と 垂 直 ュ ー テ ィ リ テ イ の 定 義 4.2.1 水 平 ユ ー テ イ リ テ イの 定 義 4_2_2 垂 古 ュ ー テ ィ リ テ イの 中 義 4.3 ラ イ フ サ イ ク ル コ ス トの 算 定 方 法

95 97

99

4_3^1

ラ イ フ サ イ ク ル コ ス トの 比 較 検 討 の 考 え 方

99

4_3_2

比較 モ デ ルの 設 宇

99

4.3.4

算定条件

4_3_3 LCC指

4^4 LCCの

算 宇 結 果

4.4.1 垂 直 ユ ーテ ィリテ イ 4^ 4_ 2 ブk tt- ― テ ィ リ テ イ 4.4.3 LCCの 比較

4_5 第 5章

106

106 108 109

結 論

高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 用 途 構 成 か らみ た 自立 型 地 区施 設 の 導 入 効 果 に 関 す る研 究

5_1

概 要

5.2 1'サ 5_2_1 5。

104 104 106

標 の 考 え方

イ ク ル シ ス テ ム 導 入 と省 エ ネ ル ギ ー 効 果 の 考 え 方 リサ イ クル シス テ ム導 入の 考 え方

2.2

省 エ ネ ルギ ー 効 果 の 考 え方

5_3 東 京 23区 の 250mメ 5.3.1 建 物 用 途 の分 類

ッシ ュエ リア 内 の建 物 用途構 成比 の分 類

115

5_3_2

分 類 方 法

5.3.3 5_3_4

分類 結果 建 物 用途構 成比 の特 性 の検 討

115 117 119 119

律 物 田徐 構 成蜂性 に よる各種色 荷 の検 討

121

5_4

5_4_1 原 単 位 と各 用 途 の 年 間 稼 働 日 数 の 設 争 5.4.2 各 種 負 荷 の検 討 結 果 5.5 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 検 討 5_5_1

121

綸 討 条 件

5_5_2 6 建 物 用 途 構 成 比 と年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 重 回 帰 分 析

各 用 途 地 区 別 の 年 間投 入一 次 エ ネ ルギ ー削 減量 の検 討 結 果

5。

110 111 111 113

5_7 第 6章

131

138 142_ 145

結論

都 市 人 口 の 増 加 に お け る 人 口 密 度 形 態 と環 境 汚 染 度 の 関 連 に 関す る分 析

6_1

6.2 日本 の 主 要 都 市 の 人 口 密 度 形 態 の モ デ ル 化 に 関 す る 研 究 6_2_1 都 市 の 人 口密 度形 態 指 標 の提 案 6 2 2

6_2.3 6 2 4

6_3

都 市 の 人 口 密 庁 形 熊 の モ デ ル イヒ手 法 の 検 討 都 市 の 人口密 度 形 熊 の分 類 調 杏 概 要

デ ー タ概 要

6.4 都 市 の 人 口 密 度 形 態 と大 気 汚 染 ・ 水 質 汚 染 度 と の 関 連 分 析 6_4_1 分析概要 64 2

大 気 汚 染 度 との 関 捧 分 析

6^4_3

水 質 汚 染 度 との 関 連 分 析

6_4_4

6_4_5 結

147

148 149

東 京 都 区 部 お よ び 12の 政 令 指 定 都 市 の 人 口 密 度 形 態 の モ デ ル 作 成 150

政 令 指 定 都 市 6都 市 の 大 気 汚 染 ・ 水 質 汚 染 デ ー タ 調 査

63 1 6_3_2

6_5

127 130

環 境 汚 染 産へ の影響 指 標

環 境 共生 的都市形態 の検討 論

1ヽ 2

154 154 154

158 158 15R 161 162

163 164


第 7章

東 京 都 心 R地 区 に お け る 水 ・ 廃 棄 物 系 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ

7.1 概 要 7.2 自 立 型 地 区 施 設 導 入 の た め の 現 状 杷 握 と改 善 策 の 検 討 7.2.1 東 京 都 区 部 に け る 廃 棄 物 処 理 の 現 状 把 握 と改 善 策 の 検 討 7.2_2

172 173 173 176 177

改 善策の検 討

7.3.2

地 区 施 設 の 導 入 状 況 か らみ た 問 題 点

自立 型 地 区施 設 の 提 案

7_4.1

上水 道負 荷 低 減 の提 案

7_4.3

高 度都 市 機 能 集稽 地 区 にお け る 自立型 地 区施 設 導 入の掃 案

東 京 都 心 R地 区 に お け る リ サ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 の ケ ー ス ス タ デ イ

7_5.1 7.5。 2 7.6 結 論 第 8章

8.1

177

靡 棄物 減容 化 の提 案

7.4.2

7.5

169

東 京 都 の 上 水 源 と 上 水 需 要 量 の 現 状 に お け る F.5題 点 の 抽 出 と

7.3_高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る 地 区 施 設 導 入 状 況 の 現 状 調 査 7.3.1 調査概要 7.4

166 169

ケ ー ス ス タ デ ィ地 区 の 撰 宇

リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 の ケ ー ス ス タ デ ィ

188

178 17R

186 186 201

東 京 臨 海 T地 区 に お け る 自立 型 地 区 施 設 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ 概 要

8.2

203

自立 型 地 区施 設 導 入 に よ る環 境 負 荷 抑 制 の 考 え方

204

8.3

ケ ー ス ス タ デ イ対 象 地 区 の 概 要

206

3.1 ケ ー ス ス タ デ ィ対 象 地 区 選 定 の 理 由 8.3.2_東 京 臨 海 T地 区 の 計 画 概 要 8.3.3 東 京都 の現 行 計 画 案 に お け る街 区 別建 物 用 途 構 成 8.4 1J_立 イ ク ル シ ス テ ム の 最 適 導 入 形 態 の 検 討 8。 4。 1 環 境 負 荷 指 標 の 考 え方 8。

8.4。 8。

4。

8.5

2

3

量 討方法 最 適導 入形 態 の検討

最 適 導 入形 熊 を組 み 合 わせ た リサ イ ク ル シ ス テ ム の 導 入 に よ る

環 境 負 荷抑 制効 果 の可 能性 の検 討

8.5.1 8.5。

8.6 第 9章 9。 9。

206 206 207 208 208 208 209

2

環境負荷抑 制効 果の検 討概要

233 238

リサ イ ク ル シ ス テ ム導 入 に よ る環 境 負 荷 抑 制 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ

結論

235 244

結 論 と展 望 1 結 論 の ま とめ

246

今 後 の展望

252

2

謝辞

254 256

参 考文 献 履歴書 研 究業鐘

257 260

261



・序 。本 研 究 にお け る言葉 の 定 義



我 が 国 の 都 市 で は 、 市 街 地 が 広 域 に亘 つ て ス プ ロ ー ル し都 市 イ ン フ ラ が 巨 大 な ネ ッ トワ ー ク を形 成 した 結 果 、 都 市 イ ン フ ラ は 非 効 率 とな っ た だ け で な く、 兵 庫 県 南 部 地 震 に み る よ う に 災 害 に対 して 極 め て 脆 弱 な状 況 を呈 す る に 至 っ て い る 。 こ の 対 策 と して ス プ ロ ー ル した市 街 地 の 高 層 集 約 化 と 供 給 処 理 の 自立 型 地 区 施 設 へ の 転 換 が 考 え られ る 。 こ れ に よ り、 非 効 率 な供 給 処 理 の 解 消 に 寄 与 す る と 共 に 、 災 害 に 強 い 都 市 施 設 機 能 の 整 備 に 役 立 つ もの と考 え られ る 。 現 在 に お け る 市 街 地 の 高 層 集 約 化 の 代 表 例 と して 、 み な とみ ら い 21や 恵 比 寿 ガ ー デ ンプ レー ス 等 の高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 が あ る が 、 この 地 区 の 抱 え る 問 題 は 供 給 処 理 機 能 へ の 負 荷 や 環 境 管 理 ・ 防 災 管 理 へ の 要 求 が 周 辺 地 区 に比 べ て 特 に 高 い こ とで あ る 。 そ の た め 、 多 大 な都 市 イ ン フ ラ施 設 能 力 と設 備 投 資 を必 要 と して い る 。 一 方 、 東 京 都 を は じめ とす る 大 都 市 圏 に お い て は 、 ご み の 最 終 処 分 場 不 足 や水 源 不 足 が 今 後 更 に 深 刻 化 す る と予 想 さ れ 、 リサ イ ク ル 型 都 市 ヘ の 転 換 の 必 要 性 は ます ま す 高 ま っ て きて い る 。 こ の よ う な 背 景 か ら、 本 研 究 は 、 新 た に 開 発 さ れ る 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 を 対 象 に 、 従 来 の 都 市 施 設 の 機 能 を補 完 す る 非 常 時 に 自立 可 能 な 新 し い 地 区 施 設 の 必 要 性 に 着 日 し、 従 来 の 都 市 計 画 に な か っ た 自立 型 地 区施 設 と そ の 機 能 を 提 案 し、 こ れ を 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に 導 入 した場 合 に お け る 効 果 を 中 心 に 、 新 し い 地 区 施 設 に つ い て 各 種 研 究 を進 め た も の で あ る 。 我 が 国 お よび 今 後 ま す ま す の 経 済 発 展 が 予 想 され 、 資 源 ・ エ ネ ル ギ ー の 大 量 消 費 に よ る 環 境 汚 染 や 廃 棄 物 の 大 量 発 生 が 危 惧 され る ア ジ ア諸 国 に と っ て 、 地 球 環 境 保 全 の 観 点 か ら必 要 不 可 欠 と な っ て くる 大 都 市 地 域 に お け る 健 全 な都 市 環 境 計 画 に対 して 、 新 た な 視 点 か ら有 意 義 な 資 料 の 提 供 を 目指 す も の で あ る 。

1997年

2月

著者



本研 究 にお け る言 葉 の定 義

「 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 」 :都 市 の 中 で も特 に 多 く の 人 々 が 産 業 活 動 や 生 活 の た め に居 住 し、 業 務 、 商 業 、 宿 泊 、 住 宅 等 の 都 市 機 能 が 高 度 に 集 積 し た 地 区 を 都 市 の 中 の 都 市 (シ テ ィ ・ イ ン・ シ テ ィ )す な わ ち 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 と 定 義 す る。

「高度住機能集 積 地区」 :高 度都市機能集積地 区の 中で も特 に 住宅施設 の割 合 が高 い地区を高 度住機能集積 地区 とい う。

「 自立 型 地 区 施 設 」 :地 区 内 に 構 築 す る 水 系 ・ エ ネ ル ギ ー 系 ・ 廃 棄 物 系 の リ サ イ ク ル シ ス テ ム を ベ ー ス に 、 平 常 時 に お い て は都 市 イ ン フ ラ に与 え る 負 荷 を 出 来 る だ け 軽 減 し、 非 常 時 に お い て は 仮 に 都 市 イ ン フ ラ が 遮 断 さ れ て も 、 自前 で 保 有 す る 水 。エ ネ ル ギ ー に よ りあ る 程 度 の 期 間 、 地 区 内 の 重 要 施 設 や 住 民 の 生 活 機 能 を 自立 させ る こ と が 可 能 な 地 区 施 設 を 自立 型 地 区 施 設 と 定 義 す る 。

「 リ サ イ ク ル シ ス テ ム 」 :貴 重 な 資 源 で あ る 水 。エ ネ ル ギ ー と 廃 棄 物 に つ い て 地 区 内 に お い て 循 環 再 利 用 を 図 る こ と に よ り、 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 と 環 境 負 荷 を 軽 減 す る シ ス テ ム を リ サ イ ク ル シ ス テ ム と 定 義 す る 。 代 表 的 な 例 と して 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 、 未 利 用 エ ネ ル ギ ー を 活 用 した DHCシ

ス テ ム 、 ごみ 再 資

源 化 、 ご み 固 形 燃 料 化 シ ス テ ム 、 ご み 焼 去口廃 熱 利 用 シ ス テ ム 、 排 水 再 利 用 シ ス テ ム (中 水 道 )、 雨 水 利 用 シ ス テ ム な ど が あ る 。

「 ラ イ フ ラ イ ン 」 :都 市 計 画 法 第 11条

1項 の 三 に 規 定 さ れ る 、 水 道 、 電 気

供 給 施 設 、 ガス供 給 施 設 、下 水 道 、 ごみ焼 却 場 そ の他 の供 給 施 設 又 は処 理 施 設 の 中 で 、 特 に 、 住 民 の 日常 生 活 に お い て 重 要 性 が 高 い 水 道 、 電 気 、 ガ ス お よび 電 話 をラ イ フラ イ ンと定 義 す る 。 道 路 ・ 鉄 道 等 の 交 通施 設 は ラ イ フ ラ イ ン に 含 め な い 。


「 都 市 イ ン フ ラ 」 、 「 供 給 処 理 施 設 」 :都 市 計 画 法 第 11条

1項 の 三 に規 定

され る、水 道 、電 気 供 給 施 設 、 ガ ス供 給 施 設 、 下 水 道 、 ごみ焼 却 場 そ の 他 の 供 給 施 設 又 は 処 理 施 設 と 都 市 計 画 法 に 規 定 さ れ な い 通 信 施 設 い う。 都 市 イ ン フ ラ と 供 給 処 理 施 設 は 同 意 語 と して 使 用 して い る 。 道 路 、 鉄 道 、 公 園 等 は 都 市 イ ン フ ラ に 含 め ない。

「 平 常 時 」 :都 市 が 正 常 な活 動 を 行 え る状 態 で 、 都 市 イ ン フ ラ が 正 常 に 機 能 し て い る状 態 を い う。

「非常時」 :巨 大 地震等 によ り、交通機関 や道路、都市 イ ンフラな どが遮 断 し、 産業機能 。生活機能 が麻 痺 した状態 をい う。

「 環 境 負 荷 」 :地 球 環 境 に 与 え る 負 荷 の こ とで 、 大 気 汚 染 物 質 x、

浮 遊 物 質状 粒 子 )と 水 質 汚 濁 物 質

(BOD)の

(NOx、 SO

排 出 量 を い う。 都 市 イ ン フ ラ

負 荷 を軽 減 す る こ と で 、 供 給 施 設 あ る い は 処 理 施 設 の エ ネ ル ギ ー 使 用 量 を 削 減 で き、 か つ 運 搬 時 の エ ネ ル ギ ー 使 用 量 を低 減 で き る た め 、 結 果 的 に大 気 汚 染 物 質 を 軽 減 で きる。

「 一 次 エ ネ ル ギ ー 使 用 量 」 :ユ ー ザ ー の 利 用 端 の エ ネ ル ギ ー 使 用 量 だ け で は な く、 製 造 段 階 お よ び 供 給 段 階 に 使 用 した エ ネ ル ギ ー の 全 て を 含 む 、 エ ネ ル ギ ー 使 用 量 を い う。 電 気 の 例 で は 、 火 力 発 電 所 で 使 用 す る 石 油 の エ ネ ル ギ ー 量 と 送 電 ・ 配 電 段 階 の 損 失 エ ネ ル ギ ー 量 お よ び不1用 端 で 使 用 す る エ ネ ル ギ ー 量 の 全 エ ネ ル ギ ー 量 を 一 次 エ ネ ル ギ ー 使 用 量 と い う。

3


第 1章

本研 究 の 位置 づ け と従 来研 究



第 1章

l。

1

本 研 究 の 位 置 付 け と従 来 研 究

本研 究 の位置 付 け

我 が 国 の 都 市 で は 、 市 街 地 が 広 域 に 亘 っ て ス プ ロ ー ル した 結 果 、 都 市 イ ン フ ラ は 巨 大 な ネ ッ トワ ー ク と な っ て 形 成 さ れ て き た 。 そ の た め 、 都 市 イ ン フ ラ は 非 効 率 と な っ た だ け で な く、 1995年

1月 に 発 生 し た 兵 庫 県 南 部 地 震 の 実 態

に み る よ う に 、 巨大 地 震 等 の 災 害 に対 して 極 め て 脆 弱 な 状 況 を呈 す る に 至 っ て い る 。 図 1。

1に 、 現 在 の 都 市 イ ン フ ラ の 抱 え る 問 題 点 を示 す 。

こ れ に対 す る 対 策 と し て は 、 ス プ ロ ー ル した 市 街 地 の 高 層 集 約 化 (建 築 物 の 高層 集約 化 )と 供 給処 理 の 自立 型 地 区施 設 へ の 転 換 が 考 え られ る 。 こ れ に よ り、 非 効 率 な供 給 処 理 の 解 消 に 寄 与 す る だ け で な く、 災 害 に対 処 で き る 都 市 施 設 機 能 の 整 備 に 役 立 つ と考 え られ る 。 一 方 、建 築 物 を高 層 集 約 化 した 現 在 に お け る 代 表 例 と して 、 近 年 の 市 街 地 再 開 発 の 結 果 次 々 と誕 生 して い る み な とみ らい 21や 恵 比 寿 ガ ー デ ン プ レ ー ス 等 の 高 度 都 市 機 能 集積 地 区 が あ る が 、 こ の 地 区 の抱 え る問 題 は、 供 給 処 理 機 能 ヘ の 負 荷 や 環 境 管 理 ・ 防 災 管 理 へ の 要 求 が 周 辺 地 区 に比 べ て 特 に 高 い こ とで あ る 。 そ の た め 、 周 辺 地 区 に比 べ て 大 き な都 市 イ ン フ ラ施 設 能 力 と設 備 投 資 を必 要 と して い る 。 こ の よ う な背 景 か ら、 本 研 究 は 、 新 た に 開 発 さ れ る 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 を 対 象 に 、 都 市 施 設 の 従 来 機 能 を補 完 す る 非 常 時 に 自立 可 能 な新 し い 地 区 施 設 の 必 要 性 に 着 目 し、 新 し い 地 区 施 設 と そ の 機 能 の必 要 性 、 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イの 社 会 資 本 化 の 必 要 性 お よ び 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 を 中 心 に 各 種 研 究 を進 め た も の で あ る 。 図 1.2に 、 本 研 究 の 位 置 付 け を示 す 。 具 体 的 に は 、 本 研 究 に お け る 第 一 の 基 本 的 考 え方 で あ る 「 ス プ ロ ー ル した 市 街 地 の 高 層 集 約 化 」 の 実 現 に 向 け て 、 第 4章 「 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ と戸 建 住 宅 地 区 の 都 市 イ ン フ ラ の LCC比 較 に 関 す る 研 究 」 に お い て 、 建 築 物 を高 層 集 約 化 す る 時 に 問 題 と な る垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ の 社 会 資 本 化 の 必 要


性 に つ い て 、 第 6章 「 都 市 人 口 の 増 加 に お け る 人 口 密 度 形 態 と環 境 汚 染 度 の 関 連 に 関 す る分 析 」 に お い て 、 都 市 の 人 口 密 度 形 態 と環 境 汚 染 度 の 関 係 か ら、 市 街 地 の ス プ ロ ー ル 防 止 た め 周 辺 市 街 地 を低 密 度 化 して 中 心 市 街 地 を高 密 度 化 す る こ とで 良好 な 環 境 を 維 持 で き る こ と に つ い て 研 究 して い る 。 次 に 、 第 二 の 基 本 的 考 え 方 で あ る「 供 給 処 理 の 自立 型 地 区 施 設 へ の 転 換 」 の 実 現 に 向 け て 、 第 2章 「 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お け る 非 常 時 自立 型 地 区 施 設 構 築 の た め の 調 査 研 究 」 に お い て 、 兵 庫 県 南 部 地 震 被 災 地 住 民 に対 す る 実 態 調 査 を 踏 ま え て 、 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お け る 都 市 の 非 常 時 自立 (供 給 処 理 機 能 の 非 常 時 自立 )に つ い て 研 究 して い る 。 以 下 、 第 3章 「 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る 新 しい 地 区 施 設 の 機 能 に 関 す る 研 究 」 に お い て 、 都 市 施 設 の 機 能 を補 完 す る 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 と導 入 す べ き新 た な機 能 の 把 握 に つ い て 、 第 5章 「 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 用 途 構 成 か らみ た 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 に 関 す る 研 究 」 にお い て 、 東 京 都 23区 の 250mメ

ッ シ ュ 内 の 建 物 を集 約 した 場 合

を想 定 し、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 か らみ た 最 も導 入 効 果 の 高 い 自立 型 地 区 施 設 (リ サ イ ク ル シ ス テ ム )の 組 み 合 わ せ と地 区 用 途 に つ い て 研 究 して い る 。 こ れ ら の 研究 を 踏 ま え た上 で 「 自立 型 地 区 施設 」 の 有 効 性 を 検 証 す る ため に 、 第 7章 「 東 京都 心 R地 区 に お け る 水 ・ 廃 棄物 系 自立 型 地 区 施設 の 導 入 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ」 に お い て 、水 ・ 廃 棄 物 系 に 関 す る都 市 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 効 果 と生 活 用 水 ・ 雑 用 水 の 非 常 時 自立 の 可 能 性 等 の 都 市 機 能 の 改 善 ・ 確 保 に つ い て 、 第

8章 「 東 京 臨 海 T地 区 にお け る 自立 型 地 区施 設 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ 」 に お い て 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 す る こ とで 高 密 度 化 し て も環 境 負 荷 量 を 現 状 の 範 囲 内 に抑 制 で き る 可 能 性 に つ い て 研 究 して い る 。


市街地 の広域 スプロール

都 市 インフラは巨大 なネ ッ トワー ク を形成

図 1.1

現在 の都市 インフラの抱 える問題点

基本的な考え方》 《

研究の目的》 《

■ス プ ロール市街地の高層 集約化 (建 築物 の 高層集約化 )

4章 .社 会 資本化 の必要性

都市 の 人 口 密度形態 と環境汚染度

6章 .環 境 汚染度 の軽減効果

Supra

1f; 'f'",tt"-

■ 供給処理 の 自立型地区 施設 への転換

2章 .非 常時 の都市 自立の確保 3章 .必 要性 と新たな機能の把握 5章 。導入効果 の高い地区用途の検討 7章 .水・ 廃棄物系の都市機能 の改善 8章 .環 境負荷 の抑制効果

図 1.2

本研究の位置付 け

6


1。

2

従 来研 究

1.2. 1 1995年

建 築 設 備 機 能 の 非 常 時 自立 へ の 要 求 に関 す る研 究

1月 に 発 生 し た 兵 庫 県 南 部 地 震 は 、 5,300人

以 上 の 死 者 と約

30万 人 に 上 る 避 難 民 を も た ら し た 。 死 者 の 多 く は 、 家 屋 倒 壊 に よ る 圧 死 が 大 部 分 で あ っ た が 、 避 難 した 住 民 の 中 に は 、 集 合 住 宅 等 の 建 築 駆 体 自体 の 損 壊 が

軽 微 で あ っ た に もか か わ らず 、 ラ イ フ ラ イ ンの 遮 断 に よ り建 築 設 備 機 能 が 不 能 と な り、 避 難 を 余 儀 な くさ れ た 住 民 も少 な くな か っ た と思 わ れ る 。 こ の こ と は 、 大 震 災 等 の 非 常 時 に お い て は 、 建 築 駆 体 自体 の 安 全 性 だ け で な く、 建 築 設 備 機 能 の 維 持 が 如 何 に 重 要 で あ る か を示 して い る 。 こ の よ う な背 景 か ら、 非 常 時 に お い て 電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 な どの ラ イ フ ラ イ ン が 進 断 した 時 に 、 い か に建 築 設 備 機 能 を 自立 させ る か は 非 常 に重 要 な 課 題 で あ り、 そ の 必 要 性 は 極 め て 高 い と考 え られ る 。

第 1の 従 来 研 究 と して 、 洪 ら に よ る 「 病 院 の 非 常 時 建 築 設 備 機 能 の 重 要 度 及 び必 要 割 合 の調 査 分 析 」 の研 究 が あ る

文献 1)

この 研 究 は 、 各 建 築 設 備 の 非 常 時 に お け る重 要 度 、 平 常 時 の 機 能 を 100% と した場 合 の 非 常 時 の 必 要 機 能 割 合 と 非 常 時 の 医 療 継 続 時 間 を明 らか に す る こ とが 目的 で あ る 。 平 常 時 は ラ イ フ ラ イ ン機 能 が 維 持 さ れ た 状 態 を 、 非 常 時 は ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 した状 態 と して 定 義 して い る 。 病 院 を災 害 時 に 医 療 拠 点 の 対 象 とな る 病 院 (「 救 急 病 院 」 )と そ れ 以 外 の 病 院 (「 総 合 病 院 」 と「 一 般 病 院 」 )の 3つ に 分 類 し、 さ ら に 、 災 害 時 の 救 命 医 療 の 重 要 性 の 観 点 か ら 「 救 急 病 院 」 を最 高 次 の 救 急 医 療 施 設 で あ る 「 救 命 救 急 セ ン タ ー 等 (救 急 病 院 B)」

と「 そ の 他 救

急 病 院 (救 急 病 院 A)」 に分 類 して い る 。 調 査 は 東 京 都 内 の 任 意 の 93病 院 に つ い て 行 つ て い る 。 主 な調 査 項 目 は 、 非 常 時 に お け る各 建 築 設 備 の 重 要 度 、 非 常 時 に お け る 各 建 築 設 備 の 機 能 の 必 要 割 合 、 非 常 時 の 医療 継 続 可 能 時 間 と医 療 継 続 希 望 時 間 で あ る 。


各 建 築 設 備 の 重 要 度 を 「 重 要 で な い 」 1点 、 「 あ ま り重 要 で な い 」 2点 、 「 重 要 」 3点 、 「 か な り重 要 」 4点 、 「 大 変 重 要 」 5点 と 設 定 し、 非 常 時 に お け る 各 建 築 設 備 の 重 要 度 の 分 析 を 行 っ て い る 。 全 て の 病 院 が 電 源 設 備 と給 水 設 備 (総 合 病 院 除 く )を 「 大 変 重 要 」 と し、 そ の 次 に 通 信 設 備 を 「 か な り重 要 」 と し、 配 水 設 備 を 「 か な り重 要 か ら重 要 」 と して い る 。 総 合 病 院 の 給 湯 設 備 、 空 調 設 備 、 輸 送 設 備 を 除 く調 査 し た 全 て の 建 築 設 備 に つ い て 重 要 度 が 見 られ た と して い る 。 特 に 、 救 急 病 院 BoAは か っ た と して い る (図 1.

空 調 設 備 の 重 要 度 が そ の 他 の 病 院 よ り高

3)。

非 常 時 に お け る 各 建 築 設 備 の 機 能 の 必 要 割 合 (平 常 時 の 機 能 を 100%と

た 時 の 、 非 常 時 に 必 要 とす る 最 低 限 の 機 能 の 割 合 の 平 均 値 )は 、 電 源 設 備 で は 、 平 常 時 の 全 電 源 負 荷 (電 灯 負 荷 、 コ ン セ ン ト負 荷 、 動 力 負 荷 、 そ の 他 負 荷 の 合 計 値 )に 対 し て 、 一 般 病 院 が 約 32%、

27%、

救 急 病 院 Bが 約 34%で

総 合 病 院 が 約 23%、

救 急 病 院 Aが 約

あ っ た と し て い る (図 1.4)。

給 水 設 備 で は 、 平 常 時 の 各 上 水 使 用 量 (飲 料 水 、 雑 用 水 、 そ の 他 用 水 の 合 計 値 )に 対 して 、 非 常 時 の 必 要 割 合 は 一 般 病 院 が 約 53%、 総 合 病 院 が 約 35%、 救 急 病 院 Aが 約 35%、 救 急 病 院 Bが 約 27%で あ つ た と し て い る (図 1・ 5)。 非 常 時 の 外 部 連 絡 用 通 信 設 備 は 、 一 般 病 院 で は 電 話 の み が 約 50%、 有 線 が 約 50%で

25%、

あ り、 救 急 病 院 Aで は 電 話 の み が 約 20%、

電 話 と トラ ン シ ー バ ー が 約 28%、

80%で

電 話 と有 線 が 約

電 話 と 無 線 が 約 27%で

して い る 。 救 急 病 院 Bで は 電 話 と トラ ン シ ー バ ー が 約 20%、

電話 と

あ った と

電 話 と無 線 が 約

あ り、 災 害 時 の 医 療 活 動 拠 点 と な る 救 急 病 院 の 方 が 、 電 話 以 外 の 通 信

手 段 を 保 有 して い る 割 合 が 大 きか っ た と して い る (図 1.6)。 非 常 時 の 医 療 継 続 可 能 時 間 と 継 続 希 望 時 間 を 図 1・

7に 示 して い る 。 医 療 継

続 可 能 時 間 は 、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 した 場 合 に 保 有 して い る建 築 設 備 、 備 蓄 燃 料 ・ 水 で 対 処 可 能 な 医 療 継 続 時 間 と 定 義 して い る 。 継 続 可 能 時 間 は 、 長 い 順 に 救 急 病 院 Bが 約 55時 間 、 救 急 病 院 Aが 約 50時 間 、 総 合 病 院 が 約 30時 間 、 一 般 病 院 が 約 28時 間 で あ っ た と して い る 。 継 続 希 望 時 間 は 、 全 く こ の 逆


の 傾 向 を示 した と し て い る 。 医 療 継 続 希 望 時 間 の 充 足 度 (継 続 希 望 時 間 に 対 す る継 続 可 能 時 間 の 割 合 )は 、 非 常 時 の 医 療 拠 点 と な る 救 急 病 院 の 方 が 一 般 病 院 、 総 合 病 院 に比 べ て 充 足 度 が 高 い と して い る 。 電 源 機 能 に つ い て 、 現 状 の 自家 発 電 設 備 の 容 量 と 非 常 時 の 想 定 電 力 需 要 量 の 関 係 を み る と 、 一 般 病 院 の 約 30%、

0%、

救 急 病 院 Bの 約 80%が

総 合 病 院 の 約 10%、 救 急 病 院 Aの 約 3

現 状 の 自家 発 電 設 備 容 量 で は 想 定 電 力 需 要 量 を

供 給 で き な い と し て い る (図 1◆

8)。

給 水 機 能 に つ い て は 、 各 水 槽 (受 水 槽 、 高 架 水 槽 、 貯 水 槽 、 消 火 水 槽 )を 満 水 状 態 と 仮 定 して 、 非 常 時 の 給 水 可 能 日 数 を み る と 、 一 般 病 院 が 2.7日 で 、 総 合 病 院 が 7.6日 で 、 救 急 病 院 Aが 3.5日 で 救 急 病 院 Bが 6.2日 で あ つ た と して い る (図 1。

9)。

結 論 と して 、 病 院 で は 、 非 常 時 に 重 要 度 の 非 常 に 高 い 設 備 は 電 源 設 備 と 給 水 設 備 で 、 そ の次 が 通 信 設 備 で あ っ た と して い る 。 非 常 時 の 医 療 継 続 可 能 時 間 は 救 急 病 院 A・

Bの 方 が 一 般 病 院 、 総 合 病 院 よ り長 く、 逆 に 、 医 療 継 続 希 望 時 間

は 一 般 病 院 、 総 合 病 院 の 方 が 救 急 病 院 A・

Bよ り長 か つ た と し て い る 。 非 常 時

に 重 要 度 が 高 い 電 源 機 能 と給 水 機 能 に つ い て 、 現 状 で ど の 程 度 の 供 給 が 可 能 か を検 討 した 結 果 、 電 源 機 能 に つ い て は 、 一 般 病 院 の 約 30%、

0%、

救 急 病 院 Aの 約 30%、

救 急 病 院 Bの 約 80%が

総 合病 院 の約 1

現 状 の 自家 発 電 設 備 容

量 で は 非 常 時 の 想 定 電 力 需 要 量 を供 給 で き な い こ と が 分 か つ た と して い る 。 給 水 機 能 に つ い て は 、 現 状 の 水 槽 容 量 に よ る 非 常 時 の 給 水 可 能 日数 を み る と、 一 般 病 院 が 2.7日 で 、 総 合 病 院 が 7.6日 で 、 救 急 病 院 Aが 3.5日 で 救 急 病 院 B が 6.2日 で あ つ た と して い る 。


5:大 変重要 4:か なり重要 3:重 要 2:あ まり重要でない 1:重 晏でない

図 1.

3非 常 時 にお け る建 築 設 備 の 重要 度 出典 :文 献 1)

lJ当 たり全電源負荷 (平 常時 )

い 0 0

平常時全電源負荷に対する非常時に必要 とする電源負荷の割合

館 □ m負 荷口 モ0● 館 国 助 館 国 "卜 ( )サ ンフル数

一 般 病 院

総 合 病 院

救 急 病 院 A

救 急 病 院 B

図 1.4非 常時 に お け る電 源設 備 の 機 能 の 必 要 割合 出典 :文 献 1) 1壼 当た り1日 水使用量 (平 常時 )

平常時全水消費量に対する非常時 に必要 とする水の割合

1/J・ 日

0 2 4 0 0 10121416

総 合 病 院

(3)

(10) 17)

救 急 病 院 B

□ 婦 相 朝 水 田:そ の他 ( )サ ンアル欧 図 1

5非 常時 に お け る給 水 設 備 の機 能 の 必要 割 合 10


出典 :文 献 1) 0

20

=般0病院

割合 (96) 40

総合病院 ロ

勢_r_ 鷺導 +無 線

=暫 絆「

零 貪 「 署 , 爾 B 救 急 雷 図 1.

ffi) H4:tfi1)

自動 3000

院A 救 ,ォ

電話

)サ ンプ濾

― * 院

.o

6非 常時 の情報伝 達方法

loo0

2000

B

3000

非常時電力必要量 (m

図 1.

出典 :文 献 1) 時間

8現 状 の 自家発 電設 備 容 量 と非 常 時 の想 定 電 力需 要 量 の 関係

200

一̈

150

供給日数 出典

100

:文 献 1)

0123450789

希望時間

)サ ンブル欧

50 0ヽ

高廃:路

(6)

(3)

図 1.7

救急病院 A救 急病院 B

(15)

(3)

非常時 の医療継続可 能時 間 と

( )サ ンアル欧 図 1.9非

継続希望時間

常 時 の 給 水 可 能 日数

第 2の 従 来 研 究 と して 、 洪 ら に よ る 「 庁 舎 の 非 常 時 建 築 設 備 機 能 の 重 要 度 及 び必 要 割 合 の調 査 分析 」 の研 究 が あ る

文 献 2)

こ の 研 究 は 、 首 都 圏 (東 京 都 、神 奈 川 県 、 千 葉 県 、埼 玉 県 )の 庁 舎 に つ い て 、 災 害 時 に ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 した 状 況 に お け る 非 常 時 の 執 務 機 能 の 維 持 に つ い て 分 析 す る こ と を 目的 に 、 非 常 時 に お け る 各 建 築 設 備 機 能 の 重 要 度 、 平 常 時 の 各 建 築 設 備 機 能 を 100%と

した 場 合 の 非 常 時 の 必 要 機 能 割 合 、 非 常 時 の

執 務 可 能 時 間 と 執 務 希 望 時 間 な ど に つ い て 調 査 ・ 分 析 を行 っ た も の で あ る 。 調 査 は 、 首 都 圏 の 117庁 舎 (県 庁 、 都 庁 、 市 役 所 、 区 役 所 )に つ い て 行 っ て い る 。 庁 舎 分 類 は 、 都 ・ 県 庁 等 の 上 位 機 能 を 遂 行 す る 庁 舎 を「 上 位 機 能 を 持 つ 庁 舎 :Taグ ル ー プ 」 、 一 般 的 な 市 。区 庁 舎 を 「 一 般 庁 舎 」 と 大 別 し て い る 。 次 に 、 「 一 般 庁 舎 」 を 、 昼 間 ・ 夜 間 人 口 が 20万 人 ~ 70万 人 の 庁 舎 を Tbグ ル ー プ 、 昼 間 ・ 夜 間 人 口 が 20万 人 以 下 の 庁 舎 を Tcグ ル ー プ と 細 分 類 して い る。


分 析 結 果 を示 す と 、 受 電 方 式 は 非 常 時 に 有 効 で あ る 多 回 線 方 式 の 保 有 率 は 、

Taグ ル ー プ が 60%、 Tbグ ル ー プ が 47%、 Tcグ ル ー プ が 6%で 上 位 機 能 を持 つ 庁 舎 の 多 回 線 方 式 の 保 有 率 が 高 か っ た と して い る (図 1.10)。 非 常 時 に お け る 各 建 築 設 備 の 重 要 度 は 、 「 重 要 で な い 」 1点 、 「 あ ま り重 要 で な い 」 2点 、 「 重 要 」 3点 、 「 か な り重 要 」 4点 、 「 大 変 重 要 」 5点 と 設 定 し て 分 析 す る と 、 全 て の 庁 舎 が 電 源 設 備 と 通 信 設 備 を 「 大 変 重 要 」 と し、 そ の 次 に 、 給 水 設 備 を 「 か な り重 要 」 と し、 排 水 設 備 を 「 か な り重 要 か ら重 要 」 と して い る 。 給 湯 設 備 、 空 調 設 備 、 輸 送 設 備 庁 舎 で 重 要 度 が 低 い と して い る (図 1・

(Tbグ ル ー プ を 除 く)は 、 全 て の

11)。

非 常 時 にお け る 各 建 築 設 備 の 機 能 の必 要 割 合 は 、 電 源 設 備 で は非 常 時 に必 要 と す る 最 低 限 の 電 源 負 荷 の 割 合 の 平 均 値 で み る と Taグ ル ー プ が 約 40%、

bグ ル ー プ が 約 30%、 Tcグ ル ー プ が 約 23%と か っ た と して い る (図 1・

T

上 位 機 能 を 持 つ 庁 舎 ほ ど高

12)。

給 水 設 備 で は 、 非 常 時 に 必 要 とす る最 低 限 の水 量 の 割 合 の 平 均 値 で み る と T

aグ ル ー プ が 約 48%、 Tbグ ル ー プ が 約 34%、 Tcグ ル ー プ が 約 55%で あ っ た と して い る (図 1013)。 通 信 設 備 で は 、 非 常 時 の 外 部 連 絡 用 と して 情 報 伝 達 の 重 要 性 が 高 い こ とか ら、 有 線 で あ る 電 話 以 外 に トラ ン シ ー バ ー 、 無 線 等 を全 庁 舎 が 保 有 し て い た と して い る 。 Taグ ル ー プ は 、 有 線 (電 話 )以 外 に 、 無 線 が 約 60%、 十 無 線 が 約 40%で

あ っ た と して い る (図 1・

トラ ン シ ー バ ー

14)。

非 常 時 の 執 務 継 続 可 能 時 間 と 継 続 希 望 時 間 を 図 1・

15に 示 して い る 。 執 務

継 続 可 能 時 間 は 、 ラ イ フ ラ イ ン の 機 能 が 停 止 した 場 合 に 、 現 在 保 有 し て い る 建 築 設 備 、 備 蓄燃 料 。水 で 対 処 可 能 な 救 援 活 動 と執 務 の 継 続 時 間 と 定 義 して い る 。 継 続 希 望 時 間 は 、 ラ イ フ ラ イ ン の 機 能 が 停 止 した 場 合 に 、 希 望 す る 救 援 活 動 お よ び 執 務 が 継 続 して 行 え る 時 間 と 定 義 して い る 。 執 務 継 続 可 能 時 間 は 、 長 い 順 に Taグ ル ー プ が 約 64時 間 、 Tbグ ル ー プ が 約 36時 間 、 Tcグ ル ー プ が 約 25時 間 で あ っ た と して い る 。 継 続 希 望 時 間 は 、 長 い 順 に Taグ ル ー プ が 約

12


444時

間 、 Tbグ ル ー プ が 約 109時

間 、 Tcグ ル ー プ が 約 117時

間であ

り、 執 務 継 続 可 能 時 間 お よ び 継 続 希 望 時 間 共 に最 上 位 機 能 を持 つ 庁 舎 が 他 に 比 べ て 断 然 長 い と して い る。 継 続 希 望 時 間 に対 す る継 続 可 能 時 間 の 充 足 度 は 、 T

aグ ル ー プ が約 14%、 Tbグ ル ー プが 約 33%、 Tcグ ル ー プ が 約 21%で 、 非 常 時 の 上 位 機 能 を持 つ 庁 舎

(Taグ ル ー プ )の 充 足 度 が 特 に 小 さ か ら た と し

て い る。 現 在 保 有 す る 自家 発 電 設 備 の 容 量 と備 蓄 燃 料 に よ る 非 常 時 の 執 務 継 続 時 間 の 比 較 を 図 1・

00%で

16に 示 して い る 。 こ の 図 か ら、 非 常 時 に お い て 、 平 常 時 並 の 1

機 能 さ せ る の は 非 常 に難 し い が 、 必 要 最 低 限 の 機 能 維 持 可 能 時 間 で は

Taグ ル ー プ が 約 51時 間 、 Tbグ ル ー プ が 約 27時 間 、 Tcグ ル ー プ が 約 1 4時 間 で あ つ た と して い る 。 非 常 時 の 給 水 可 能 時 間 を 図 1・ 並 の 100%で

17に 示 して い る 。 非 常 時 に お い て 、 平 常 時

機 能 させ た 場 合 の 給 水 可 能 時 間 は 、 Taグ ル ー プ が 約 266時

間 、 Tbグ ル ー プ が 約 186時 同 様 に水 を 100%で

間 、 Tcグ ル ー プ が 約 208時

間 で 、平常 時 と

使 用 して も約 1週 間 は 供 給 で き る こ とが 分 か っ た と し て

い る 。 必 要 最 低 限 の 機 能 維 持 可 能 時 間 で は 、 さ ら に 約 110%~

約 50%給

可 能 時 間 が 長 くな る と して い る。 結 論 と して 、 庁 舎 で は 、 非 常 時 に 重 要 度 の 非 常 に 高 い 設 備 は 、 電 源 設 備 と通 信 設 備 、 そ の 次 が 給 水 設 備 で あ つ た と して い る。 非 常 時 に お け る救 援 活 動 ・ 執 務 継 続 可 能 時 間 と 継 続 希 望 時 間 共 に 、 Taグ ル ー プ が Tbグ ル ー プ 、 Tcグ ル ー プ よ り長 い が 、 救 援 活 動 お よ び 執 務 継 続 希 望 時 間 の 充 足 度 は Taグ ル ー プ が 非 常 に 短 い と して い る 。 非 常 時 の 重 要 度 が 高 い 電 源 機 能 と 給 水 機 能 に つ い て 、 現 状 で どの 程 度 の 供 給 が 可 能 か を検 討 し た 結 果 、 電 源 機 能 で は 、 非 常 時 に 平 常 時 並 の 100%で

機 能 させ る の は 非 常 に 難 し い が 、 必 要 最 低 限 の 機 能 維 持 可 能 時

間 で は Taグ ル ー プ が 約 51時 間 、 Tbグ ル ー プ が 約 27時 間 、 Tcグ ル ー プ が 約 14時 間 で あ つ た と して い る 。 給 水 機 能 で は 、 非 常 時 に 平 常 時 と 同 様 に 水 を 100%で

使 用 して も約 1週 間 は 供 給 で き る こ と が 分 か っ た と して い る 。

13


出典 :文 献 2)

出典 :文 献 2) Taグ ループ

受電方式

1 _

図 1.10受

通信設備 J

Tcグ ループ

Tbグ ループ

前墟 七 十

1

5:大 変重要 4:か な り重要 3:重 要 2:あ まり重要でない 1:重 要でない

電方式

図 1.

11非 常 時 にお ける建 築 設 備 の重 要 度 出典 :文 献 2) Tcグ ル ープ

Tbグ ル ープ

Taグ ループ

(%)

船 (%) 7 0 6 0 5 0 4 0 3 0 2 0 1 0 び

飴 7 0 6 0 5 0 4 0 3 0 2 0 1 0 ♂ 図 1.12非

コン セント 動力

その他

常 時 にお け る電 源設 備 の機 能 の 必 要割 合 出典 :文 献 2)

Taグ ループ

Tcグ ル ープ

Tbグ ル ー プ 割合 (%)

割合 ” 70 601 50 4叶 “

割合 (%) 701 6鮮 5辞 4温 XI 3W 2= 1針 ・” 飲料水

枷 襴 羨 飲料水

雑 用水

飲料水

その他

図 1.13非

貯 %

雑用水

出典 :文 献 2) 80

(5)

Tb (28)

雑用水

その他

常 時 に お ける給 水 設 備 の 機 能 の 必要割 合 出典 :文 献 2)

100

■ トランシーパー 園 無線 口 有線+無 線 ー ―十無線 ン シ Nト ラ

Ta

その他

500 可能時間 400 ― 希望時 間

300

P/////////m

A・

( )サ ンプル数

Tc

( 〉サ ンプル敗

(34)

0

図 1

14

非 常 時 に お け る通 信 設 備 の 機 能 の

図 1.1

必要割合

Ta(4)

Tb(20) Tc(28)

5非 常 時 の 執 務 継 続 可 能 時 間 と継 続 希望 時間

14


時間 (h)

出典 :文 献 2)

出典 :文 献 2)

時間 (h)

600

600

500

500

400

400

300

300

200

200

100

100

0

0

非常時に執務継続希望時間

暖 ■

Ta

Tb

Tc

圏錮 非常時に平常時同様 の執務を行 う場合 の可能時間

に執勝 望時間 霧 ― 非常時に平常時同様の執務 を行 う場合の可能時間

■■ 非常時に必要最低 限の積務を行 う場合の可能時間

■■ 非常時 に必要最低限の執務 を行 う場合の可能時間

図 1.

16非 常 時 の執 務継 続 時 間 の比 較

図 1.

17非 常 時 の給 水可 能 時 間

第 3の 従 来研 究 と して 、 (社 )空 気 調 和 ・ 衛 生 工 学 会 に よ る 「 阪 神 大 震 災 設 備 被 害 調 査 報 告 (速 報 )」 が あ る この 調 査 報 告 は 、 1995年

文献 3)

1月

17日

(火 )に 発 生 した 阪 神 大 震 災 に よ る

建 築 設 備 被 害 の 原 因 究 明 と 今 後 の 耐 震 対 策 に 資 す る こ と を 目的 に 行 わ れ た もの で あ る (速 報 )。 調 査 建 物 ・ 施 設 は 23件 で そ の 位 置 は 、 東 は 西 宮 市 、 芦 屋 市 か ら西 は 神 戸 市 長 田 区 まで広 範 囲 に及 ん で い る 。 事 務 所 ・ ホテ ル の 設 備 被 害 調 査 で は 、総 合 所 感 と して 、 被 害 状 況総 括 の 中 で 、 ア ン カ ー ボ ル トで 固 定 され て い な い 機 器 は ず れ 等 の 移 動 が あ る も の の 、 倒 れ る ま で に 至 って い な い と して い る 。 配 管 の 破 断 等 の 被 害 は 調 査 物 件 で は 見 受 け ら れ な か っ た と して い る 。 ア ン カ ー さ れ た 機 器 や 横 揺 れ 防 止 補 強 さ れ た 配 管 類 は 殆 ど無 被 害 で あ る と して い る 。 屋 外 イ ン フ ラ接 続 部 の 被 害 は 大 きか っ た と して い る 。 設 備 は 大 き な 被 害 は 無 い も の の 、 小 さ な損 傷 が 生 じ る こ とで 建 物 全 体 の 機 能 が 損 な わ れ た ケ ー ス が 多 い と 思 わ れ る と して い る 。 そ の 他 の 一 般 的 印 象 の 中 で 、 高 架水 槽 や 冷 却 塔 の 被 害 は 予 想 に 反 して 少 な く見 え る と して い る 。 今 後 の対 応 につ い て 、 簡 易 基 礎 の 施 工 方法 の基 準 作 成 、 パ ネ ル タ ン クの 天 板 等 の 強 度 の 見 直 しな ど一 部 基 準 の 見 直 しが 必 要 と思 わ れ る もの の 、 設 備 は 新 耐 15


震 基 準 通 り施 工 す れ ば 大 き な 問 題 は な い と し て い る 。 建 築 と 設 備 と の 取 り合 い 部 分 の 耐 震 基 準 の 作 成 が 今 後 必 要 に な る と 思 わ れ る と して い る 。 ま た 、 屋 外 イ ン フ ラ 接 続 部 の 被 害 は 大 き く、 ビ ル 設 備 の 機 能 が 停 止 す る も の が 多 く、 今 後 イ ン フ ラ接 続 部 の 対 策 が 課 題 と な る と して い る 。 病 院 ・ 集 合 住 宅 ・ ホ テ ル の 設 備 被 害 調 査 で は 、 総 合 所 感 と して 、 調 査 建 物 は 病 院 (灘 )、 集 合 住 宅 (ポ ー トア イ ラ ン ド)、

ホ テ ル (新 神 戸 )の 3件 で 、 生

活 密 着 型 の 建 物 で あ り、 被 害 の 程 度 に 差 が あ り、 各 設 備 の 機 能 停 止 ま た は 低 下 に 対 して 、 地 震 発 生 か ら復 旧 ま で の 間 、 居 住 者 ・ 管 理 者 と も に 様 々 な 対 応 が 見 受 け ら れ た と して い る 。 外 溝 で は 、 不 等 沈 下 が 200~

300mm以

上 あ った

建 物 は 、 引 き込 み 部 分 の 破 損 等 で 給 水 ・ 排 水 を 中 心 に ラ イ フ ラ イ ン に 大 き な 影 響 が 出 て い た と し て い る 。 設 備 機 器 お よ び 接 続 配 管 ・ ダ ク トで は 、 FRP製

水 槽 ・ 高 架 水 槽 の 破 損 に よ る 給 水 機 能 停 止 ・ 低 下 が あ り、 飲 料 水 ・ 雑 用 水 の 別 系 統 化 や 2槽 化 等 の シ ス テ ム 設 計 上 の 配 慮 、 水 槽 本 体 強 度 の 改 善 等 を 考 慮 す る 必 要 が あ る と思 わ れ る と して い る 。 冷 凍 機 。ポ イ ラ ー ・ 発 電 機 等 の 大 型 重 要 機 器 は 、 適 切 に 固 定 さ れ た も の は 殆 ど被 害 が な か っ た と して い る 。 自家 用 発 電 機 は 、 冷 却 水 配 管 と 制 御 盤 の 損 傷 で 運 転 で き な か っ た 例 (病 院 )が あ っ た と して い る 。 消 火 設 備 に つ い て は 、 ス プ リ ン ク ラ ー ヘ ッ ド・ 泡 消 火 感 知 ヘ ッ ドの 損 傷 で 、 水 や 消 化 剤 の 放 出 に よ る 二 次 漏 水 被 害 が あ っ た と して い る 。

DHC・

受 け 入 れ 施 設 の 設 備 被 害 調 査 で は (総 合 所 感 と して 、 DHCプ

ラン

トの 被 害 状 況 総 括 の 中 で 、 プ ラ ン ト本 体 に 顕 著 な被 害 は な か っ た が 、 ラ イ フ ラ イ ン が 断 た れ た た め 運 転 を停 止 し、 熱 供 給 の 再 開 に は 時 間 が か か っ た と して い る 。 冷 却 塔 で は 、 充 填 材 の 脱 落 や 鉄 骨 ブ レー ス の破 損 の 被 害 を受 け た プ ラ ン ト が あ っ た と して い る 。 洞 道 部 の 被 害 で は 、 共 同 溝 が 300mm沈

下 し伸 縮 継 ぎ

手 が 大 き な 被 害 を 受 け た 箇 所 が あ っ た と して い る 。 ボ ッ ク ス カ ル バ ー ト部 は 液 状 化 で 100~

150mm沈

た と して い る 。 DHC受

下 した が 、 地 盤 対 策 を施 して い た た め 被 害 が な か っ

け 入 れ 施 設 の 被 害 状 況 で は 、 洞 道 との 受 け 入 れ 部 で 若

干 被 害 を受 け た 建 物 が あ っ た 程 度 で 、 熱 交 換 器 、 二 次 ポ ン プ の 異 常 は な か っ た

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と して い る 。 今 後 の 対 応 と して 、 上 水 道 、 下 水 道 等 の 建 物 と の 接 続 部 は 、 建 物 と周 辺 地 盤 との 変 位 を吸 収 で き る 処 置 を 施 す 等 の 対 策 が 必 要 で あ る と して い る 。 ラ イ フ ラ イ ン の 被 害 状 況 で は 、 総 合 所 感 と して 、 水 道 施 設 に つ い て は 、 阪 神 地 区 は 水 道 先 進 地 域 で あ っ た た め 幹 線 水 道 管 に 鋳 鉄 管 が 多 く、 そ の 結 果 、 漏 水 箇 所 が 広 範 囲 に 跨 つ た と して い る 。 関 西 地 区 は 凍 結 の 心 配 が 殆 ど な い た め 、 硬 質 塩 化 ビ ニ ー ル 管 が 多 数 使 わ れ て い た が 、 硬 質 塩 化 ビ ニ ー ル 管 は 衝 撃 に 弱 く多 く の 被 害 を受 け た と して い 。 今 後 、 大 都 市 な ど 住 宅 密 集 地 で は 、 地 震 に 強 い 消 火 栓 網 を整 備 す る 必 要 が あ る と して い る 。 ガ ス 施 設 に つ い て は 、 阪 神 地 区 は 古 くか ら ガ ス 供 給 網 が 整 備 さ れ て い た た め 「 ね じ継 ぎ手 」 が 多 くあ り、 「 ね じ継 ぎ手 」 は 歴 史 は 古 い が 変 位 吸 収 性 が 少 な い た め 、 各 地 で 管 路 破 損 な ど の 被 害 が 発 生 した と して い る 。 ガ ス の 復 旧 を 一 層 困 難 に した 原 因 の 一 つ が 、 ガ ス 管 内 に 上 下 水 道 管 の 破 裂 に よ る 漏 水 と液 状 化 に よ る 水 ・ 土 砂 が 入 つ た こ と が 挙 げ ら れ る と して い る 。 建 物 引 き込 み 部 で あ っ て も、 地 盤 沈 下 対 策 を 施 し て い た 配 管 (伸 縮 継 手 を使 用 して い る )は 被 害 が な か っ た と して い る 。 ま た 、 埋 設 配 管 の

鋼 管 用 SGM継

手 、 ポ リ エ チ レ ン管 は 大 き な 被 害 は な か っ た と し て い る 。 電 気

施 設 に つ い て は 、 神 戸 市 内 に 千 キ ロ メ ー ト ル に わ た り、 地 中 線 が 張 り巡 ら さ れ て い る が 、 こ の 半 分 が 損 傷 を う け た 。 架 空 線 に 比 べ て 地 中 線 は 安 全 だ と言 わ れ て き た が 、 言 わ れ る ほ ど 安 全 な も の で は な か っ た と して い る 。

以 上 の 3つ の 従 来 研 究 よ り、 病 院 で は 、 非 常 時 に 重 要 度 の 非 常 に 高 い 設 備 は 電 源 設 備 と給 水 設 備 で 、 そ の 次 が 通 信 設 備 で あ り、 庁 舎 で は 、 電 源 設 備 と 通 信 設 備 の 重 要 度 が 非 常 に 高 くそ の 次 が 給 水 設 備 で あ っ た と して い る 。 非 常 時 の 医 療 継 続 可 能 時 間 は 救 急 病 院 A・

Bの 方 が 一 般 病 院 、 総 合 病 院 よ り長 く、 医 療 継

続 希 望 時 間 は そ の 逆 で あ っ た と して い る 。 非 常 時 に 重 要 度 が 高 い 電 源 機 能 に つ い て は 、 最 も対 応 力 が あ る 総 合 病 院 で 約 10%、 最 も対 応 力 が な い 救 急 病 院 B で 約 80%が

、 現 状 の 自家 発 電 設 備 容 量 で は 非 常 時 の 想 定 電 力 需 要 量 を 供 給 で

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き な か っ た と して い る 。 給 水 機 能 に つ い て は 、 現 状 の 水 糟 容 量 に よ る 非 常 時 の 給 水 可 能 日数 は 、 最 も短 い 一 般 病 院 が 2.7日 で 、 最 も長 い 総 合 病 院 が 7.6日 で あ つ た と して い る 。 庁 舎 で は 、 非 常 時 の 救 援 活 動 ・ 執 務 継 続 可 能 時 間 と継 続 希 望 時 間 共 に 、 上 位 機 能 を持 つ 庁 舎 の Taグ ル ー プ が 他 の グ ル ー プ よ り長 い が 、 救 援 活 動 お よ び 執 務 継 続 希 望 時 間 の 充 足 度 は Taグ ル ー プ が 非 常 に 短 い と して い る 。 非 常 時 の 重 要 度 が 高 い 電 源 機 能 と給 水 機 能 に つ い て 、 現 状 設 備 で ど の 程 度 の 供 給 が 可 能 か を 検 討 した 結 果 、 電 源 機 能 で は 、 非 常 時 に 平 常 時 並 の 100%で

機 能 させ る の

は 非 常 に難 しい が 、 必 要 最 低 限 の 機 能 維 持 可 能 時 間 で は 上 位 機 能 を持 つ 庁 舎 の

Taグ ル ー プ が 約 51時 間 で あ っ た と して い る 。 給 水 機 能 で は 、 非 常 時 に 平 常 時 と 同 様 に 水 を 100%で

使 用 して も約 1週 間 は 供 給 で き る こ とが 分 か っ た と

して い る 。 ま た 、 阪 神 大 震 災 設 備 被 害 調 査 報 告 か ら、 設 備 に つ い て は 新 耐 震 の 基 準 通 り 施 工 す れ ば 問 題 は あ ま り な く、 屋 外 の イ ン フ ラ と の 接 続 部 が 今 後 の 課 題 で あ る と して い る 。 ま た 、 飲 料 水 ・ 雑 用 水 の 別 系 統 化 や 2槽 化 等 の 設 計 上 の 対 策 が 必 要 で あ る と し て い る 。 DHC受

け 入 れ 施 設 で は 、 洞 道 との 接 続 部 に軟 弱 地 盤 改

良 等 の 地 盤 対 策 や 建 物 と 周 辺 地 盤 と の 変 位 を吸 収 す る フ レ キ シ ブ ル 継 ぎ手 等 を 施 す 必 要 が あ る と して い る 。 今 後 、 大 都 市 な ど 住 宅 密 集 地 で は 、 地 震 に 強 い 消 火 栓 網 の 整 備 が 必 要 で あ る と して い る 。 ガ ス 管 に つ い て は 、 地 盤 沈 下 対 策 (伸 縮 継 ぎ手 の 使 用 )が 施 さ れ て い た 建 物 は 、 引 き込 み 部 で あ っ て も被 害 は な く、 埋 設 用 の 鋼 管 用 SGM、

ポ リ エ チ レ ン 管 は 大 き な 被 害 は な か っ た と して い る 。

また 、 電 気 施 設 で は 、 地 中 線 は 言 わ れ る ほ ど安 全 で は な か っ た と 報 告 して い る 。

以 上 よ り、 巨 大 地 震 被 災 地 住 民 に対 す る 調 査 デ ー タ に基 づ い て 、 高 度 住 機 能 集 積 地 区 にお け る ラ イ フ ラ イ ン機 能 の 非 常 時 自立 の 必 要 性 に 関 して 研 究 して い る例 は 見 当 た ら な い 。

18


1.2.2

地 区 計 画 と地 区 施 設 に 関 す る 研 究

日笠 は 、 「 地 区 計 画 ;新 しい 都 市 計 画 の 展 開

文献 4)」

の中で、我 が 国 にお

け る 市 街 地 の 抱 え る 問 題 点 と制 度 の 抱 え る 問 題 点 を次 の よ う に 指 摘 して い る 。

(1)我 が 国 にお け る 市 街 地 の 抱 え る 問 題 点

1)都 市 へ の 人 口 集 中 及 び 諸 機 能 の 集 中 が もた ら した 問 題 点 我 が 国 ほ ど、 急 激 に都 市 化 が 進 ん だ 国 は 、 欧 米 先 進 国 に は例 を み な い 。 こ れ は 、 都 市 化 の 指 標 で あ る 市 部 と郡 部 別 の 人 口 比 率 を 見 れ ば 明 らか で 、 市 部 の 人 口 比 率 が 25%か ら 75%ま で 上 昇 す る の に必 要 と した 年 数 は 、 我 が 国 の 約 4

0年 に対 して、 英 国、 米 国 は 約 100年 と 2.5倍 も の 長 い期 間 を要 して い る 。 特 に 、 第 2次 世 界 大 戦 以 降 に つ い て 見 る と、 産 業 構 造 が 農 業 ・ 林 業 ・ 水 産 業 を 中 心 と した 1次 産 業 型 か ら、 鉄 鋼 ・ 化 学 ・ 自動 車 ・ 電 気 機 器 を 中 心 と した 2次 産 業 型 及 びサ ー ビ ス を 中 心 と した 3次 産 業 型 へ と大 き く方 向 転 換 した 時 期 で あ り、 高 度 経 済 成 長 に よ り農 村 。漁 村 部 か ら都 市 部 へ の 急 激 な 労 働 力 の 移 動 が 起 こ り、 都 市 へ の 人 口 集 中 が 急 激 に 進 展 した 結 果 、 人 口 集 中 地 区 の 面 積 は全 国 土 の わ ず か 2%程 度 に過 ぎ な い に もか か わ らず 、 そ こ に 居 住 す る 人 口 は 1970 年 に は 我 が 国 全 人 口 の 過 半 数 を 占 め る に 至 っ て い る 。 こ れ を 、 東 京 。大 阪 ・ 名 古 屋 の 3大 都 市 圏 に つ い て み る と 、 全 国 土 の 1%未 満 の 地 域 に 、 我 が 国 全 人 口 の 30%以 上 が 集 中 す る 過 密 状 態 を呈 して い る 。 こ の よ う に、 都 市 へ の 人 口 及 び 産 業 他 の 諸 機 能 の 集 中 に対 して 適 切 な抑 制 策 が 欠 如 した た め 、 都 市 に お け る 過 密 の 弊 害 と生 活 環 境 の 悪 化 を 一 層 深 刻 な も の と して い る 。

2)市 街 地 の 広 域 ス プ ロ ー ル が もた ら した 問 題 点 市 街 地 の ス プ ロ ー ル は 、 宅 地 需 要 が 旺 盛 な郊 外 に お い て 発 生 して お り、 東 京 首 都 圏 で み る と 半 径 50Km以

上 に及 ん で い る。

ス プ ロ ー ル 地 域 は 、 多 く の 農 地 ・ 山林 等 を介 して 点 在 す る 住 宅 群 と して 存 在 す る た め 、 道路 ・ 下 水 道 。公 園 等 の 都 市 施 設

注 1)は

長 年 に亘 っ て整 備 さ れ ず 、

住 民 に と って 大 き な マ イ ナ ス で あ る ば か りで な く、 この よ う に 散 漫 な ス プ ロ ー

19


ル 市 街 地 に都 市 施 設 を 整 備 す る こ と は 、 都 市 計 画 的 に も極 め て 不 経 済 と 言 わ ざ る を得 な い 。 こ の よ う な ス プ ロ ー ル 市 街 地 は 、 本 来 、 開 発 を抑 制 す べ き森 林 や 空 閑 地 を破 壊 し 、 低 地 や 軟 弱 地 盤 地 域 を 浸 食 す る こ と に よ り建 設 さ れ る た め 、 防 災 上 極 め て 危 険 で か つ 都 市 施 設 が 不 十 分 な 、 不 健 全 な 過 密 市 街 地 を形 成 す る 原 因 と な っ てい る。

3)市 街 地 の 過 密 化 が も た ら した 問 題 点 過 密 と は 、 高 密 度 で あ る こ と を前 提 条 件 と す る が 、 安 全 性 や 快 適 性 等 の 健 全 な 居 住 環 境 の 要 件 を欠 い た 市 街 地 の 状 態 の こ と を 言 う 。 大 都 市 圏で は 、 い まだ に木 造 密 集市 街 地 が 解 消 せ ず 、 防災性 能 の極 め て低 い 密 集 市 街 地 が 数 多 く存 在 して い る 。 この よ うに、 新 市街 地 ・ 既 成市 街 地 を問 わず 、市 街 地 の過密 化 は防 災面 だ け で な く、 日照 。通 風 他 の 都 市 住 民 の 生 活 環 境 を 著 し く悪 化 させ て い る 。

4)ミ ニ 開 発 の 問 題 点 市 街 地 の 過 密 の 代 表 例 と し て 、 ミ ニ 開 発 の 問 題 点 を 取 り上 げ て い る 。

a)ミ ニ 開 発 に お け る 宅 地 規 模 ミ ニ 開 発 と は 、 開発 許 可 の 対 象 とな る規 模 に満 た な い 開 発 で 、 小 規 模 に分 割 さ れ た 通 常 100m2未

満 の 宅 地 、 又 は、 そ の上 に 限 度 一 杯 に建 築 され た 住 宅

を分 譲 す る 低 質 な 小 規 模 開 発 を 指 して い る 。 ミ ニ 開 発 は 大 き く、 「 郊 外 型 ミ ニ 開 発 」 と「 既 成 市 街 地 型 ミ ニ 開 発 」 に 分 類 で き る 。 前 者 は 新 市 街 地 の ス プ ロ ー ル の 問 題 と して 、 後 者 は 良 好 な 既 成 市 街 地 に お け る 既 存 市 街 地 の 細 分 化 に よ る 生 活 環 境 悪 化 を も た らす 問 題 と して 認 識 で き る 。 図 1.18に

、 既 成 市 街 地 型 ミ ニ 開 発 に お け る 宅 地 規 模 の 例 を示 す 。 世 田 谷

区 の 例 で は 、 1965年 た も の が 、 1976年

0m2以 上 ~ 70m2未

時 点 で は 全 体 の 99%が 時 点 で は 、 敷 地 面 積 50m 満 が 36%を

、 70m2以

%を 占 め 、 全 体 の 97%が 100m2未

100m2以

上 の宅 地 で あ っ

未 満 が 全 体 の 32%を 上 ~ 100m2未

、 5

満 が 29

満 の 狭 小 宅 地 に細 分 化 され て い る 。 こ

20


の こ とは、 いか に短 期 間 に ミニ 開発 が 行 わ れ 、既 成市 街 地 の住 環 境 悪 化 が進 ん だ か を示 して い る 。

b)

ミニ開発 の 問 題 点

イ)

住 宅 単 位 と して の 問 題 点

敷 地 が 小 さい上 に 、 狭 小 な 敷 地 に住 宅 を 限 度 一 杯 に建 て る た め 、 隣 棟 間 隔 が 十 分 取 れ ず 、 日照 ・ 通 風 ・ プ ラ イ バ シ ー な ど の 居 住 環 境 の 悪 化 を も た ら し、 か つ 延 焼 の 危 険 が 高 くな る た め 防 災 安 全 性 が 大 幅 に低 下 す る 。 口) ・

ミニ 開発 連 坦 化 に伴 う問 題 点 防 災上 の危 険性 が高 い

木 造 の 小 規 模 住 宅 が 密 集 し隣 棟 間 隔 が 狭 い た め 延 焼 の 危 険 性 が 極 め て 高 く、 無 秩 序 な 取 り付 け 道 路 ・ 行 き止 ま り道 路 の 形 成 に よ り、 避 難 時 の 安 全 性 や 緊 急 時 の ア ク セ ス性 が 低 い 。 ・

居住水準が低 い

狭 小 な 敷 地 に小 規 模 住 宅 が 軒 を接 して 連 坦 し、 か つ 道 路 の 幅 員 も十 分 で な い た め に 空 間 を十 分 確 保 で き ず 、 日照 。通 風 ・ プ ラ イ バ シ ー な ど の 点 で 居 住 水 準 の低 い 市 街 地 とな る。 ・

都 市 施 設 容 量 との ア ンバ ラ ン ス

敷 地 の 狭 小 化 に よ り住 戸 数 密 度 が 高 くな り、 そ の 結 果 人 口 密 度 が 高 くな る た め 、 下 水 道 。公 園 等 の 都 市 施 設 容 量 と の ア ン バ ラ ン ス が 生 じ る 。

(2)

制 度 の抱 え る 問題 点

1)

都 市計画 の 問題 点

都 市 計 画 法 は 、 都 市 の 健 全 な 発 展 と 秩 序 あ る 整 備 を 図 り、 も っ て 国 上 の 均 衡 あ る 発 展 と公 共 の 福 祉 の 増 進 に 寄 与 す る こ と を 目的 と し て い る 。 と こ ろ が 、 市 街 化 区 域 を み る と 、 ス プ ロ ー ル を容 認 し た 上 に 都 市 施 設 の 整 備 が 遅 れ る 等 、 地 区 レ ベ ル の 生 活 環 境 の 整 備 に 対 して 十 分 な 効 果 を上 げ て い る と は 必 ず し も言 え な い 。 ま た 、 都 市 施 設 の 整 備 は 、 相 変 わ らず 道 路 を 中 心 と し た 都 市 基 盤 施 設 を対 象 と して い て 、 居 住 環 境 の 向 上 に 大 き く関 係 す る 地 区 レ ベ ル

21


の 道 路 ・ 公 園 ・ 教 育 施 設 等 の 一 体 的 整 備 は 対 象 と して い な い 問 題 が あ る 。 他 方 、 土 地 区 画 整 理 事 業 は 、 こ れ ま で 多 くの 実 績 を上 げ て い る が 、 上 モ ノ の 建築 を規 制 で き な い 点 や 宅 地 の細 分 化 を 防止 で きな い 等 の 問題 点 を有 して い る 。

2)

都 市 計 画 ・建 築 計 画 制 度 の 限界

都 市 計 画 法 に よ る 都 市 施 設 整 備 と建 築 基 準 法 に よ る 建 築 規 制 が 一 体 化 して い な い た め に 、 区 画 整 理 済 み の 地 区 で は 当 初 計 画 の 人 口密 度 と実 際 の 人 口 密 度 に 大 き な 差 異 が 生 じる 結 果 、 都 市 施 設 容 量 が 不 足 す る 問 題 が 生 して い る 。 ま た 、 前 述 した よ う に 、 既 成 市 街 地 に お け る 宅 地 の 細 分 化 に よ る ミ ニ 開 発 を 防 止 で き ず 、 既 成 市 街 地 の 過密 化 と生 活 環 境 悪 化 、 災 害危 険 の 増 大 を引 き起 こ して い る 。 以 上 に示 した 通 り、 日笠 は 我 が 国 に お け る 市 街 地 の 抱 え る 問 題 点 と 制 度 の 抱 え る 問 題 点 を述 べ て い る 。

(3) 1)

地 区計 画 導 入 の 背 景 地 区計 画 が必 要 と な った背 景

日笠 は 、 また 、 都 市 計 画 は 「 都 市 全 体 の マ ク ロ 的 な土 地 利 用 と 道 路 を 主 と し た都 市 施 設 の 整 備 に 関 す る 計 画 で あ り、 街 区 ま た は 地 区 レ ベ ル の 市 街 化 の コ ン トロ ー ル と い う点 で きめ 細 か さ に 欠 け る き ら い が あ る 」 と 指 摘 して い る が

4)、

都 市 計 画 は 1.2。

文献

2の (1)~ (2)に 示 した通 り、 市 街 化 区 域 内 に

お け る ス プ ロ ー ル を抑 制 で きず 、 ま た 、 開 発 許 可 に 係 わ る 場 合 に お い て も建 築 行 為 そ の も の を適 切 な 市 街 地 形 成 の 観 点 か ら コ ン ト ロ ー ル で き て い な い 。 一 方 、 建 築 基 準 法 に よ り規 定 さ れ る建 築 計 画 は 、 敷 地 単 位 の 建 築 単 体 に 対 す る 制 限 で あ り、 敷 地 の 細 分 化 や 用 途 の 混 在 に よ る 都 市 環 境 の 悪 化 に対 して 何 ら 抑 止 力 を有 して い な い 。 た だ 、 敷 地 の 接 道 義 務 が 問 わ れ る だ け で 、 地 区 全 体 の 道 路 体 系 との 関 係 に は 関 与 しな い な ど 問 題 点 も多 い 。 こ の よ う に 、 都 市 計 画 に よ る 都 市 施 設 の 整 備 と建 築 基 準 法 に よ る 建 築 規 則 が 一 体 化 して い な い た め に さ ま ざ ま な 問 題 が 起 こ っ て お り、 都 市 計 画 と建 築 計 画 は、 本 来 果 たす べ き使 命 と して の 相 互 補完 が 十分 に 機 能 せ ず 、 安 全性 や 快 適 性 、 効 率性 に欠 け る点 が 多 い 。

22


こ う した 問 題 に対 応 す る た め に 、 都 市 計 画 と個 々 の 敷 地 を 単 位 とす る 建 築 計 画 の 中 間 に位 置 す る 総 合 計 画 と して の 地 区 計 画

1980年 2)

注 2)へ

の 必 要 性 が 高 ま り、

に地 区 計 画 制 度 が 導 入 さ れ た 。

地 区計 画 の 概 念

都 市 計 画 の な か で 対 象 と す る地 区 は 、 都 市 空 間 の 段 階 構 成 の 一 環 と して 位 置 付 け られ る 。 図 1.19に

、 都 市 空 間 の段 階 構 成 を示 す

文献 4)。

この 図で は、

地 区 (こ れ を狭 義 の 地 区 と よぶ )と 街 区 は 区 分 され て い る が 、 広 義 に は 、 街 区 を含 め て 地 区 (こ れ を広 義 の 地 区 と よ ぶ )と 考 え る こ とが で き る 。 広 義 の 地 区 は 、 個 別 の 建 築 の 集 積 が 都 市 を形 成 す る 場 合 の 中 間 項 と して 位 置 付 け られ 、 街 区 ま た は 街 区 の 集 積 した もの と考 え られ る 。 地 区 計 画 は 、 一 般 に広 義 の 地 区 に 対 応 す る計画 と 1004

ば F I m I H I I 円 l 国 r 川 = = 目 ■ H 4 ′ 口 ■ 日 皿 m て m

規定

の集合が都市 を構成す る

都 市 形 成

′街 区 の 集合 が地区 を構成 す る (広 義 の「地 区」 は 街 区 と地 区 を含 む )

一 上 上 5 4 世 田

図 1.

地 区 形 成

集合 が 街 区 を構 成す る

出典 :文 献 4)

18既 成 市街 地 型 ミニ 開発 にお け る 宅 地規 模 の例

(4)新

図 1.19

出典 :文 献 4)

都 市 空 間 の段 階 構 成

しい 地 区 施 設 の 必 要 性

地 区計 画 は地 区 内 の土 地 利 用 や 地 区 施 設

注 3)、

建 築物 の建 築 形態 な どに関

す る 計 画 で あ り、 都 市 レ ベ ル の 計 画 を 補 完 し、 建 築 レ ベ ル と 都 市 レ ベ ル の 計 画 を 一 体 的 に 行 う事 で 、 環 境 的 に良 好 な市 街 地 形 成 を 図 る こ と を 目標 と して い る 。 こ の 市 街 地 形 成 に は 都 市 施 設 と上 モ ノ と して の 建 築 の 一 体 的 整 備 が 必 要 と な る が 、 現 状 の 地 区 施 設 は 地 区 内 の 居 住 者 等 の 利 用 に 供 さ れ る 道 路 と公 園 そ の 他 の

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政 令 に 定 め る 施 設 の み を 対 象 と し て い る た め 、 都市施設 を補 完 し建 築 施設 (基 本 的 に建 築 設 備 を 指 す )を 一 体 的 に 統 括 す る と い う意 味で は十分 とは 言 えな い 。

以 上 よ り、 都 市 施 設 の 機 能 を補 完 し、 建 築 施 設 の 機 能 を 一 体 的 に 統 括 す る 新 しい 機 能 を持 つ 地 区 施 設 が 必 要 と な っ て く る 。

1.2.3

巨 大 都 市 の ク ラ ス タ ー 化 とそ の 環 境 的 効 果 に 関 す る研 究

我 が 国 の 都 市 で は 、 人 口 ・ 機 能 の 集 中 に よ り市 街 地 の ス プ ロ ー ル 化 が 進 展 し、 森 林 や 農 地 ・ 空 閑 地 等 の 自然 被 覆 面 が 大 き く減 少 して い る 。 一 方 、 行 政 機 能 や 業 務 。商 業 等 の 機 能 が 集 ま る 都 市 の 中 心 部 に お い て は 、 緑 地 や 公 園 等 の オ ー プ ン ス ペ ー ス は 欧 米 の 都 市 に 比 べ て は る か に 少 な く、 地 面 は 舗 装 道 路 や 建 物 等 の 人 口 被 覆 面 に 大 部 分 を覆 わ れ て い る 。 そ れ と同 時 に 、 企 業 活 動 や 住 民 生 活 な どの 都 市 活 動 の 結 果 発 生 す る都 市 排 熱 の 増 大 は ヒ ー トア イ ラ ン ド を 形 成 し、 ま た 、 自動 車 や 発 電 所 。工 場 等 か ら排 出 さ れ る 大 気 汚 染 物 質 は ダ ス ト ドー ム を 作 り、 今 日 の 都 市 環 境 問 題 を 引 き起 こ し て い る。 こ の よ う な 、 都 市 に お け る 環 境 問 題 の ひ と つ の 解 決 方 法 と して 、 建 築 物 を 高 層 に集 約 した都 市 の 集 約 化

(ク ラ ス タ ー 化

)が 考 え られ る 。 こ れ に よ り、 緑 地

や 水 辺 等 の オ ー プ ン ス ペ ー ス を 多 く確 保 で き 、 人 工 被 覆 面 を 大 幅 に 減 少 させ 自 然 被 覆 面 を 回 復 す る こ とで き る 。 都 市 の 集 約 化 に よ り、 単 位 延 べ 床 面 積 当 た り の 外 壁 面 積 や 窓 開 口 面 積 、 屋 根 面 積 を縮 小 で きる た め 、 ビル や 集 合 住 宅 等 の 冷 暖 房 負 荷 を 小 さ く抑 え られ 、 結 果 と し て 都 市 排 熱 量 を低 減 で き る 。 ま た 、 自然 被 覆 面 を 回 復 す る こ とが で き 、 緑 地 や 水 辺 に よ る 自然 冷 却 効 果 を 引 き 出 す こ と が 可 能 とな る。

従 来 研 究 と して ヽ ヒー トア イ ラ ン ド問 題 解 決 の 一 方 策 と し て 、 都 市 計 画 の 観 点 か ら、 鈴 木 ら に ょ る「東 京 ク ラ ス タ ー モ デ ル の 提 案 と 、 そ れ に基 ず く環 境 評

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価 」 の研 究 が あ る

文献 5)。

こ の 研 究 は 、 緑 地 ・ 河 川 を 連 続 的 に 都 心 部 に 導 入 し ク ー ル ア イ ラ ン ドの ネ ッ トワ ー ク を 形 成 さ せ 、 ま た 、 建 築 物 を 高 層 ・ 集 約 化 (ク ラ ス タ ー 化 )す る こ と に よ り現 状 以 上 の 延 床 面 積 を確 保 し、 こ の よ う な 土 地 利 用 形 態 の 改 善 に よ り、 東 京 に お け る 巨 大 ヒ ー トア イ ラ ン ドの 分 断 を 図 る も の で あ る 。

1990年

代 に お け る東 京 都 区 部 の グ ロ ス 容 積 率 分 布 をみ る と、 都 心 部 で は

大 手 町付 近 を中心 に高 容積 率 の メ ッシ ュ が 分 布 し、 周 辺 で は新 宿 ・ 渋 谷 ・ 池 袋 等 の 副 都 心 に高 容 積 率 の メ ッ シ ュ が 現 れ て い る が 、 グ ロ ス 容 積 率 101~

0%の メ ッ シ ュ が 多 い と して い る 。 さ ら に 外 周 区 で は 100%以 の メ ッ シ ュ が 大 部 分 を 占 め 、 都 区 部 全 体 で は 100%以

20

下 の低容 積 率

下 の メ ッ シ ュ が 7割 強

を 占 め て い る と し て い る 。 つ ま り、 東 京 都 区 部 は 、 水 平 的 に は 非 常 に 高 密 度 に 都 市 化 が 進 行 して い る が 、 垂 直 方 向 の 空 間 的 に は 非 常 に 低 密 度 と 言 え る と して い る。 東 京 都 区部 にお け る ク ラ ス ター モ デ ル の 提 案 は 、 現 在 の 人 口 を一 定 に維 持 す る こ と を 初 期 条 件 と し、 河 川 を 中 心 に 緑 化 を 行 っ て 水 系 ・ 緑 地 の リ ン ケ ー ジ を 図 る も の で あ る 。 オ ー プ ン ス ペ ー ス は 50%以

上 確 保 し、 建 ぺ い 率 を 50%以

下 、 業 務 。商 業 ・ 生 活 関 連 施 設 の 延 床 面 積 は 現 状 維 持 と し、 住 宅 の 延 床 面 積 は 現 状 の 2倍 等 と し て 、 全 体 が 自然 ・ 都 市 共 に ネ ッ トワ ー ク さ れ つ つ 、 小 規 模 に 集 ま っ て い る ク ラ ス タ ー 化 さ れ た 都 市 を 提 案 して い る (図 1.20)。 次 に 、 提 案 した 東 京 ク ラ ス タ ー モ デ ル と 現 状

(1990年

比 較 し て い る 。 土 地 利 用 に 関 す る 比 較 で は 、 1990年

代 )の 土 地 利 用 を

代 で は 人 工 被 覆 面 (建

物 ・ 道 路 )と 自然 被 覆 面 (緑 地 ・ 田 ・ 畑 )・ 水 面 と の 割 合 が 7対 3で あ っ た も の が 、 ク ラ ス タ ー モ デ ル に お い て は 1対 1と 非 常 に 均 衡 の とれ た 良 い 状 況 に な っ て い る と して い る 。 表 1.1に 、 ヒ ー トア イ ラ ン ドの 原 因 お よ び ク ラ ス タ ー モ デ ル で 行 っ た 都 市 計 画 的 解 決 策 を 示 し て い る 。 ヒ ー トア イ ラ ン ドの 原 因 で あ る 都 区 部 内 の 人 工 熱 の増 加 、 排 気 ガ ス の 増 加 、 建 築 密 集 に よ る気 流 の 乱 れ 、 人工 被 覆 面 の増 加 、 自

25


然 被 覆 面 の 減 少 を 低 減 す る こ と に よ り、 都 市 計 画 的 手 法 を 用 い る こ と で ヒ ー ト ア イ ラ ン ドの 分 断 に 寄 与 す る 可 能 性 が あ る と して い る 。 熱 環 境 に 関 す る 評 価 で は 、 建 築 物 を 高 層 集 約 化 す る こ と で 延 床 面 積 増 加 に 伴 う 人 工 排 熱 量 の 増 加 を抑 制 で き 、 ま た 河 川 を 中 心 に 水 系 。緑 地 の リ ン ケ ー ジ を 図 る こ と で 、 連 続 的 な 人 工 排 熱 量 の 分 布 に 対 して 切 れ 目 を 入 れ る こ と が で き る こ と を 示 して い る 。 顕 熱 流 分 布 の 変 化 を み る と 、 現 状 で は 全 体 的 に 高 い 値 の メ ッ シ ュ が 広 く切 れ 日 な く分 布 して い る が 、 こ れ は 現 在 の 東 京 に お け る 土 地 被 覆 の 多 くが 入 工 被 覆 面 で あ り、 自然 被 覆 面 の 割 合 が 小 さ い こ とが 原 因 で あ る と して い る 。 ク ラ ス タ ー モ デ ル に お い て は 、 緑 地 ・ 河 川 が 都 区 部 全 体 に ネ ッ トワ ー ク さ れ て い る た め 、 顕 熱 流 が 分 断 さ れ 顕 熱 流 が 負 の 値 を 示 す メ ッ シ ュ が 多 く現 れ て い て 、 都 区 部 全 体 で は 現 状 の 1/3に 抑 え る こ とが で き る と して い る (図 1.21)。 表 1.1

ヒー トア イ ラ ン ドの原 因 と都 市

I● ● │●

D● 内における燃義熱

人鰤 .都市括力の間Eに 」 口 6人工熱の増加

tOtに よる畑雪層

IbD● じん

I● .自 ■■の絆気ガス 10)● 饉

nO趣遺物の農何学嵯 響

=鮨

の 癖 生 2,■ ス 薔

,脚 Int質 AIEE10枷 ●D-0変 化 図 1.20ク

ラスタ ー モデルの 提案

出典 :文 献 5)

計 画 的解 決 策

出典 :文 献 5)

"湘

自 りつ高層化:こ 伴う1鰤 口隕C"颯 少:こ 」 り,外部からの熱取得.損 失を減ら1

グストト…ム の形成

録地の浄iヒ 作用

熱の停滞

都市の高低のメリハ リをつけ 目の道を作る

書熱

自然被覆面の減少

熱交換の減少

都市の集約1ヒ による地表面の薇地 .

来 初 へ の rg請

録地.ホ i40蒸 発散作用

出典 :文 献 5)

1990s

図 1.21

199

Tokyo Cluster Model

O年 代 と クラス タ ーモ デ ル の顕熱 流

26


結 論 と して 、 都 市 を集 約 化 す る こ と は 、 ヒ ー トア イ ラ ン ドの 熱 源 を集 約 す る こ と に な り、 ま た 緑 地 。河 川 と い つ た 自然 の 増 加 は ク ー ル ア イ ラ ン ド形 成 に効 果 が あ る と予 測 で き、 ヒ ー トア イ ラ ン ドの低 減 、 ヒ ー トア イ ラ ン ドの 分 断 へ の 期 待 が 確 認 で きた と して い る 。

以 上 よ り、 既 存 の 研 究 に お い て 、 ス プ ロ ー ル した 市 街 地 を ク ラ ス タ ー 化 す る こ とで ヒ ー トア イ ラ ン ドの 抑 制 効 果 が確 認 され て い る 。

1.2.4

既 存 市 街 地 の ク ラ ス タ ー 化 に よ る 環 境 的 効 果 に 関 す る研 究

既 存 市 街 地 の ク ラ ス タ ー 化 に 関 す る 従 来 研 究 と して 、 高 ら に よ る 「 エ コ ロ ジ

6)。 カルシデイ計画」の研究がある文献 こ の 研 究 は 下 町 (江 東 、 墨 田 )地 区 を モ デ ル に 、 高 密 度 居 住 の 中 で オ ー プ ン ス ペ ー ス や 緑 を確 保 し環 境 負 荷 を低 減 す る ユ ニ テ ィ リ テ イ シ ス テ ム を都 市 基 盤 と して 整 備 す る 、 下 町 エ コ シ テ イ の 提 案 で あ る 。 本 地 区 は 建 物 現 況 調 査 で は 住 宅 が 約 7割 を 占 め 、 そ の う ち 併 用 住 宅 が 2/3 を 占 め る 特 徴 を 示 して い る 。 ま た 、 住 宅 床 面 積 は 2階 部 分 に 集 中 し て お り、 1 階 部 分 は 工 業 ・ 商 業 等 の 各 用 途 が 混 在 し住 宅 用 途 は 少 な い 。 全 体 と して 、 平 均 階 数 が 2.3階 と 低 層 な 構 成 と な っ て い て 、 一 人 当 た り居 住 面 積 は 20m2/ 人 前 後 と低 水 準 で あ る 。 こ の 地 区 は 、 か つ て 水 運 に 利 用 さ れ 豊 か な 親 水 空 間 を 形 成 して い た が 、 高 度 経 済 成 長 を契 機 に 大 規 模 工 場 が 立 地 し 、 そ の 工 場 排 水 に よ り水 質 汚 濁 が 進 み 現 在 は 埋 め 立 て ら れ て い る 。 ま た 、 工 場 に よ る 地 下 水 の 汲 み 上 げ に よ り地 盤 沈 下 が 進 ん だ 結 果 、 剃 刀 の よ う な 薄 く高 い 堤 防 が 建 設 さ れ 、 そ の た め 、 建 物 は 河 川 に 対 して 背 を 向 け て 建 て ら れ 、 親 水 空 間 と 呼 べ る オ ー プ ン ス ペ ー ス は 著 し く少 な く な っ て い る 。 ま た 、 東 京 都 の 内 部 河 川 整 備 方 針 に よ り、 今 後 は 河 川 の 約 6 割 が 埋 め 立 て ら れ る こ と に な っ て お り、 さ ら に水 辺 自体 が 減 少 す る こ と に な っ て い る。

27


本 提 案 の エ コ ロ ジ カ ル シ テ イ は 、 地 球 に 優 し く人 間 に も優 し い 高 密 度 居 住 の こ と を 言 い 、 職 住 近 接 ・ 住 工 分 離 、 建 物 高 層 化 、 水 と緑 の 区 画 整 理 、 地 区 の 分 節 化 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 の 手 法 に よ リ エ コ シ テ イ計 画 を 実 現 す る も の で あ る。 示 して い る 。 具 体 的 に は 、 緑 地 0河 川

住 環 境 整 備 の 基 本 方 針 を 図 1.22に 面 積 を 5m2/人

か ら 20m2/人

に 、 居 住 面 積 を 20m2/人

か ら 50m2

/人 に 、 通 勤 時 間 を 15分 程 度 に 、 工 場 を 地 下 に 集 約 す る もの で あ る 。 計 画 対 象 地 区 は 墨 田 区 お よ び 江 東 区 の 東 西 方 向 約 2Km,南 の 約 800haの

地 区 で あ り、 こ の 地 区 を 約 lkm四

る も の で あ る 。 lkmの

北 方 向 約 4Km

方 の 8プ ロ ッ ク に 分 割 す

ス ケ ー ル は 、 徒 歩 圏 の 最 小 コ ミ ュ ニ テ ィ ー 単 位 で あ り、

地 区 内 供 給 処 理 施 設 を設 け る 最 小 地 区 単 位 で あ る 。 ま た 、 各 プ ロ ッ ク は 少 な く と も 2辺 を 河 川 に 囲 ま れ た 好 条 件 を備 え て い る 。 以 上 の 手 法 に よ り計 画 後 の 建 物 、 共 有 空 地 、 公 園 、 道 路 、 河 川 面 積 を 算 定 し、 そ の 土 地 利 用 構 成 比 を 示 し た も の が 図 1.23で

あ り、 1人 当 た り の 緑 地 。河

川 面 積 と 人 口 密 度 の 関 係 を 示 した も の が 図 1.24で

あ る。現 状 で は、 各 地 区

は 左 下 の 領 域 に あ り低 密 度 で 自然 環 境 の 乏 し い こ と を示 して い る が 、 計 画 後 で は 、 各 地 区 は 右 上 の 領 域 に 移 行 し高 密 度 で か つ 自然 環 境 の 豊 か な 居 住 環 境 に な る と して い る 。 こ の 時 の 計 画 人 口 の 算 定 条 件 は 、 現 状 の 人 口 に 流 入 就 業 者 と そ の 家 族 を 2.

5人 と して 加 算 し 、 高 層 化 の 限 界 を 指 定 容 積 率 の 範 囲 と して い る 。 そ の 結 果 、 人 口 密 度 は 現 状 の 平 均 170人

/haか

ら計 画 で は 平 均 300人

地 区 全 体 の 人 口 は 現 状 の 135,700人

か ら 238,600人

加 が 可 能 で あ る と して い る 。 図 1.25に

/haと

な り、

と 約 1.8倍 に 増

D地 区 に お け る 計 画 前 後 の イ メ ー ジ

を 示 して い る 。 次 に、計 画 に関 す るエ ネル ギ ー供 給 シス テ ムの環 境 影 響 評 価 を、 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か ら検 討 して い る 。 従 来 の エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム を ポ イ ラ ー ・ 冷 凍 機 の 組 み 合 わせ と し、 計 画 の エ ネ ル ギ ー供 給 シ ス テ ム を河 川 水 熱・ 工 場 排 熱 ・ 太

28


陽 エ ネ ル ギ ー等 の 未 利 用 エ ネ ル ギ ー 活 用 シ ス テ ム や コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム か ら構 成 さ れ る 新 シ ス テ ム と して い る (図 1.26)。

エ ネ ルギ ー供 給 シ

ス テ ムの 比較ケ ー ス を図 1.27に 設定 して い る。 ケ ー ス① は現 状 人口で低 層 の地 区計画 に従 来 シ ス テ ム を採 用 す るケ ー ス 、ケ ー ス② は計画 人口で低層 の地 区計 画 に従 来 シス テ ム を採 用 す るケ ー ス 、ケ ー ス③ は計 画 人 口で高層 の 地 区計 画 に従 来 システ ム を採用 す るケ ー ス 、 ケ ー ス ④ は計画 人 口で高層 の 地 区計画 に 新 シス テ ム を採 用 す るケ ー ス であ る。 図 1.28に 年 間総 エ ネ ルギ ー 消 費量 の 検討 結 果 を、図 1.29に 年 間 1人 当 た りの エ ネ ルギ ー 消 費量 の検 討 結果 を示 して い る。図 1.

28か ら、 現状 に対 して居住 空間 を 2.5倍 、総 人 口 を約 1.

8倍 まで拡大 した計画後 にお い て (ケ ース ④ )、 計画地 区 内の 年 間総 エ ネルギ ー 消 費量 は現状 の 1.3倍 に抑 え られ る と して い る。 また、 ケ ー ス④ はケ ー ス② に比 べ て 25.6%エ ネ ル ギ ー 削 減効 果 が期待 で きる と して い る 。 同様 に、図

1.29か ら、計 画後 (ケ ー ス④ )に お い て 、年 間 1人 当た リエ ネ ルギ ー消 費 量 は ほ ぼ現状 を維持 で きる こ とが 分 か つた と して い る。 また、 ケ ー ス④ はケ ー ス② に比 べ て 31.4%エ ネ ル ギ ー削 減効 果が期待 で きる と して い る 。 河 川 ・ 緑地 の 増 大 に伴 う 自然 に よる冷却 効 果 は 、 コン ク リ ー ト道路 を河川 も しくは緑 地等 の 自然被 覆面 に 変化 させ た 場合 にお け る 、大気 に与 える熱量 の 減 少量 で 表 わせ る 。 道路面 の 吸収 熱量 を Qrと し河川 ・ 緑 地表面 の 吸収 熱量 を Q とす れ ば 、 Q― Qrの 差が道 路 に対 す る 自然 冷却量 で あ り、 Q、 Qrの 計算 は 文献 7)。 図 1.30に 緑 地 。河川 表面 熱収 支 によ って 決 め られ る と して い る に よる現状 と計 画 の 自然冷 却 量 の 変化 を示 して い る。計 画 で は全 地 区 の 自然 冷 却量 は現状 の 4倍 になった と して い る 。

29


出 典 :文 献 6) 一 人 当 た り 燎 地 。 汀 川 面 積

出典 :文 献 6) 水 とほ の菫 大

公 開童 地 の活 用 繰 地・ 河川 水準 │イ ′人…)20ば ′人

ゴ / 人

―人 当 た り

図 1.24-人

人口密魔 人/ba O■ は ● =順

当 たりの緑地 、河川面積 と 人 口密度 の 関係 出典 :文 献 6)

居住 面 積 の 性尭 10耐 ′人…)50耐 ′人

記入 就 業 者住 宅 と 演 出載 彙 者 職 場 整備 徒歩 :5分 ■

住エー 体 → 住工分離

図 1.

工 場分 散地 上 ―→ 工 場 集約地下

22住 環 境 整 備 の基 本方 針

く C)コ∥床1■ 製 ン

出典 :文 献 6)

く の 8+口 IA製

図 1。

25D地

"

区 における計画前後 の イ メー ジ 出典 :文 献 6)

S鋤

Z 執 図 1.

国 公口 囲 H88■ 河j∥

,― ″●ホ プリント

国 共稲 説 圏 公口 Zヨ 8■ 河り ││

23 計 画 前 後 の 土 地 利 用 構 成 比 図 3

, 26新 システ ム エ ネ ル ギ ー供 給 フ ロ ー


出典 :文 献 6)

出典 :文 献 6) エ ネ ル ギ ー 消 費 量

解 ば 人 ノ 霊 貪 世 」 晏 静疑 目 目

El奮

課星躍 数暴製″人

1●

6) 却 量出典:率 献 帝

:1襲

C

. 30

● 8 く 人

E

緑 地 、河 川 に よる現 状 と計画 の

a

0-i

一人当た りの居住水準

観訳

図 1

・ 1●

出典 :文 献 6)

比 較 ケ ー スの設 定

m

:●

28年 間総 エネ ル ギ ー消費量 の検討結果

一 人 当 た リ エ ネ ル ギ ー 消 費 量

27エ ネ ル ギ ー供給 シ ステ ム

概 12m 叫

=

ADく 人)

図 1.

計 ソ 蛍 Oi撃 1/人 蓼 貪 星弾 零 図 1.

↓ o L ヽ 午

図 1.

29

rr/人

年 間 一 人 当 た りの エ ネ ル ギ ー 消 費 量

自然 冷 却 量 の 変化

結 論 と して 、 建 物 を 高 層 に 集 約 して 配 置 す る こ と 、 つ ま り既 存 市 街 地 を ク ラ ス タ ー 化 す る こ と に よ り、 高 密 度 居 住 の な か で オ ー プ ン ス ペ ー ス や 水 辺 、 緑 地 を 確 保 し、 か つ 未 利 用 エ ネ ル ギ ー 活 用 シ ス テ ム や コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を組 み 合 わ せ た 新 エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム を 導 入 す る こ と で 、 環 境 負 荷 を 低 減 で き る エ コ ロ ジ カ ル な 都 心 居 住 環 境 の 整 備 が 図 れ る と して い る 。

以 上 よ り、 具 体 的 な 地 区 を モ デ ル に 市 街 地 を ク ラ ス タ ー 化 して 、 オ ー プ ン ス ペ ー ス を確 保 す る と と も に 、 未 利 用 エ ネ ル ギ ー の 活 用 や コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン 等 の シ ス テ ム を導 入 す る こ とで 、 省 エ ネ ル ギ ー効 果 が 得 られ る こ と を示 して い る。

31


1.2.5

地 区 施 設 と して コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 導 入 した 場 合 の 効 果 に 関 す る研 究

(1)コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 省 エ ネ ル ギ ー 性 に 関 す る 研 究 近 年 、 我 が 国 に お い て 地 球 環 境 問 題 へ の 関 心 が ます ます 高 ま る な か で 、 排 熱 の 有 効 利 用 お よ び 環 境 汚 染 度 の 低 減 の 観 点 か ら、 大 規 模 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シス テ ム導 入へ の期 待 感 が 非 常 に高 まっ て い る。

この よ う な 背 景 か ら、 従 来 研 究 と して 、 佐 土 原 ら に よ る 「 東 京 都 区 部 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン導 入 地 区 の 選 定 に 関 す る 研 究 」 が あ る

文献 8)。

この 研 究 は 、 地 域 規 模 の コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 導 入 を有 効 的 か つ 計 画 的 に推 進 す る た め 、 技 術 的 特 性 か ら コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム が どの よ う な 地 域 に適 して い る か を マ ク ロ 的 に 把 握 す る こ と を 目的 と して 、 東 京 都 区 部 に お い て 500mメ

ッ シ ュ で 分 割 さ れ た 各 エ リ′ ア を 1つ の 地 区 と して 、 地 区

の 電 力 と 熱 の 需 要 特 性 を把 握 し、 地 区 に コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を導 入 す る とい う 立場 か ら、 そ の 可 能性 を評価 し導 入 地 区 の 選定 を行 っ た も の で あ る 。 そ の 際 、 視 点 を絞 る た め 、 前 提 と して 電 力 、 熱 の 供 給 範 囲 を 500mメ

ッシ ュ

の 範 囲 内 と し他 の メ ッ シ ュ との や り と り は しな い 、 大 気 汚 染 へ の 影 響 度 合 い は 取 り上 げ ず 省 エ ネ ル ギ ー 性 の み を評 価 指 標 とす る 、 負 荷 密 度 の 高 い 東 京 都 の 地 域 冷 暖 房 推 進 地 域 を対 象 とす る 、 以 上 の 3点 をあ げ て い る 。 本 研 究 で は 、 需 要 の 熱 電 比 の 特 性 の 表 現 方 法 を提 案 し、 地 区 の サ ン プ ル か ら 類 型 化 を 行 い 、 各 類 型 の 省 エ ネ ル ギ ー 性 の 評 価 を行 っ て コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 に適 す る 度 合 い の 順 位 付 け を 行 っ て い る 。 さ ら に 、 各 類 型 に属 す る 地 区 の 分 布 状 態 を 明 らか に し、 今 後 、 東 京 都 区部 に お い て 優 先 的 に 地 域 規 模 の コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 を 図 る べ き地 区 を示 す マ ッ プ を 作 成 し、 考 察 を行 っ て い る 。 市 川 ら は コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン の 省 エ ネ ル ギ ー 性 に 関 す る理 論 研 究 を 行 い 献 9)、

図 1.31の

上 図 の よ う な 概 念 図 を 提 案 して い る 。 本 研 究 は 、 コ ー ジ ェ

32


ネ レ ー シ ョ ンで 需 要 を最 大 限 満 た す 場 合 の 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 率 を評 価 指 標 に 用 い て い る 。そ の 曲線 は 、 シ ス テ ム の 熱電 比 と需 要 の 熱 電 比 が 一 致 した 「 電 力

熱 均 衡 」 状 態 で 、 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 率 が ピ ー ク と な る 最 適 点 を持 っ た 山型 を な して い る 。 熱 需 要 の 状 態 を 図 1.31の

下 図 の よ うな熱 電 比 頻 度 分 布 図 に表

現 す れ ば 、 そ の ビ ー ク の 位 置 が 電 力 ・ 熱 均 衡 点 に近 い ほ ど 、 そ して 集 中 度 が そ の ビ ー ク周 辺 で 高 い ほ ど一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 率 が 大 き くな り、 ① 、 ② 、 ③ の よ う に省 エ ネ ル ギ ー 性 の 順 位 付 け が 容 易 に行 え る と して い る 。 熱 電 比 頻 度 分 布 の 形 に よ つ て 地 区 の 特 性 を類 型 化 す れ ば 、 エ ネ ル ギ ー 有 効 利 用 面 か ら の コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム 導 入 の た め の 類 型 化 に な る と い う の が 、 基 本 的 な 考 え 方 で あ る。 東 京都 で は、 地 域 暖 冷 房推 進 地域 の 指定 を 、 法 定 容積 率 400%以

上 の地 域 、

ま た は 再 開 発 方 針 に 定 め られ た 再 開 発 促 進 地 区 を対 象 に 行 っ て い る 。 こ の 研 究 で は 、 上 記 推 進 地 域 お よび 地 域 暖 冷 房 計 画 区 域 を対 象 に熱 電 比 頻 度 分 布 の 特 性 に よ る 地 区 の 類 型 化 を検 討 し て い る 。 各 類 型 の 平 均 建 物 用 途 別 床 面 積 構 成 を示 した も の が 図 1.32で

あ る 。 ③ ② ① ② '③ 'の 順 で 業 務 。商 業 施 設 の 占 め る

割 合 が 大 か ら小 と な り、 逆 に、 住 宅 に 占 め る 割 合 が 小 か ら大 と な っ て い る 。 ① の 類 型 は 、 業 務 ・ 商 業 施 設 と 住 宅 そ の 他 用 途 が 最 も近 い 割 合 で 混 在 した類 型 で あ る 。 各 類 型 の 熱 電 比 近 似 頻 度 分 布 を 図 1.33に

示 して い る 。① 類 型 は 、 熱

電 比 の 最 頻 値 が 1付 近 に あ り、 最 頻 値 へ の 集 中 度 は ② ③ よ りや や 低 い こ と を示 して い る 。 各 類 型 の 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 率 の 算 定 結 果 を図 1.34に タ ー ビ ン は 規 模 に よ り差 が あ る が 9~ 24%、

示 して い る 。 ガ ス

ガ ス エ ンジ ン は 17~ 26%、

燃 料 電 池 は 20~ 32%程 度 の 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 率 と な っ た と して い る 。 類 型 の 数 字 1~ 3の 順 に 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 率 が 大 か ら小 と な っ て い る 。 各 類 型 に属 す る 地 区 の 数 で は 、 住 宅 の 割 合 が 高 い ② '③ '類 型 に 属 す る 地 区 は 少 な く、 業 務 ・ 商 業 の 割 合 が 高 い ③ ② 類 型 に 属 す る地 区 が 全 体 の 約 73%を 占め て い る。

33


各 類 型 に 属 す る 地 区 の 分 布 を 図 1.35に

示 して い る 。 ① 類 型 は コー ジ ェ ネ

レ ー シ ョ ン導 入 に よる 省 エ ネ ル ギ ー 率 が 最 も高 く、 最 も導 入 を優 先 的 に 進 め る こ とが 望 まれ る 地 区 で あ る 。 台 東 区 の 上 野 か ら北 東 側 を 中 心 に 、 そ れ と 隣 接 す る 文 京 区 の 総 武 線 沿 い に比 較 的 ま と ま っ て 見 られ る 。 そ の 他 、 山 の 手 線 、 総 武 線 、 東 海 道 線 の 沿 線 に 点 在 して い る 。 大 手 町 、 日比 谷 な どの 都 心 部 と湾 岸 開 発 地 域 は 、 ③ 類 型 に 属 す る 地 区 が 多 く分 布 して お り、 コー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン 導 入 の 優 先 度 は 低 い と して い る 。 出典 :文 献 9) (不 足電 力買電 ) (電 力・ 熱均衡)

(余

善 籠 〓

剰電力逆送電)

+ ミ そ H κ l

獣 側 緊

図 1・

31熱 電比 と省 エ ネ ル ギ ー性 の 関係 概 念 図 (上 )と 需 要 の熱 電比 頻 度 分布 図 の モ デ ル (下 )の 比 較 模 式 図 出典 :文 献 8)

(凡

例)

■ 業務施設 ■ 文化施設 目

教育施設

■ 商業施設 目 宿泊施設 田 集合住宅 ■ 娯楽施設 目 医療施設 □

20%

4鮎 割 図 1.32

6錨

80%

100h

各 類 型 の 平 均 建物 用 途別 床面 積 構 成

34

独立住宅


出典 :文 献 8)

出典 :文 献 8) “

燃料電池

訳 ・ン ・スタ-t・ ン ・ カ スエンタ 力

掛3 0 堰 昼 キ2 0 ミ そ H κ1 0 l

図 1.

ヒン スタ-・ 100001,

300001■

3・

・ス -ヒ ・ 力 タ ン 300019

V 00000① 0000 oooO● ①0000① 000●

(X)

33各 類型 の熱 電比近 似 頻 度 分布

図 1.

34各 類 型 の 一 次 エ ネ ル ギ ー削減 率 の 算 定結果

出典 :文 献 8)

図 1.35各

類 型 に属 す る地 区 の 分 布

35


結論 と して、 コー ジェ ネ レ ー シ ョン導入 に よる一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減率 が高 い 類 型 か ら順 に、① 、② と② '、 ③ と③ 'の 5類 型 に ま とめ るこ とが で きた と し て い る。② ③ 類型 は業務 ・ 商業 施設 の割 合 が 高 く、② '③ '類 型 は住宅 の 割 合 が 高 く、① 類 型 は 用途混在 型 で あ る こ と して い る 。 また、①類 型 は コー ジ ェ ネ レ ー シ ョン導入 に よる省 エ ネ ル ギ ー 率 が 最 も高 く、最 も導入 を優 先 的 に進 め る こ とが 望 まれ る地 区 で あ り、 台東 区 の上 野 か ら北 東 側 を中心 に 、 それ と隣接 す る文京区 の 総武線 沿 い に比較 的 まとま って 見 られ、 そ の 他、山 の 手線 、総武線 、 東海道線 の 沿線 に 点在す る と して い る 。

(2)

コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 の 可 能 性 に 関 す る研 究

コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョンシ ス テ ム は 、 電 力 と 熱 を 同 時 に 高 い 総 合 効 率 で 供 給 で き る エ ネ ル ギ ー シ ス テ ム と して 注 目 さ れ て い る 。 近 年 の 電 力 規 制 緩 和 の 流 れ の 中 で 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー タ ー と 電 気 事 業 者 との 系 統 連 係 や コ ー ジ ェ ネ レ ー タ ー 所 有 者 が 地 区 内 の 複 数 の 需 要 家 に対 して 電 気 を供 給 す る 特 定 地 点 電 力 供 給 が 可 能 に な る な ど 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 導 入 を促 進 す る 政 策 が 次 々 と 打 ち 出 され て い る 。 ま た 、 エ ネ ル ギ ー 有 効 利 用 の 観 点 か ら、 利 用 可 能 な 未 利 用 エ ネ ル ギ ー が 周 辺 に 存 在 しな い 地 域 で は 、 地 域 冷 暖 房 に お い て は コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム の 導 入 を検 討 せ ざ る を 得 な い 状 況 で あ り、 地 域 規 模 の コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム は今 後 ます ます 普 及 が 進 展 す る と予 想 さ れ る 。 こ の よ う な 背 景 を先 取 りす る形 で 、 余 り研 究 例 が 見 られ な い コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム の 経 済 性 に 関 して 、 従 来 研 究 と して 、 市 川 ら に よ る 「 首 都 圏 の 大 規 模 住 宅 団 地 にお け る コー ジ ェ ネ レー シ ョンシ ス テ ム導 入 の可 能 性 に 関 す る 研 究」 があ る

文献 10)。

こ の研 究 は 、 住 宅 の 中 で も規 模 や 設 備 の 点 で 導 入 が 比 較 的容 易 と考 え られ る 、 首 都 圏 の 大 規 模 住 宅 団 地 に対 す る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム の 導 入 可 能 性 を、 省 エ ネ ル ギ ー 性 と経 済性 の 両面 か ら検 討 す る こ と を 目的 と した も の で あ る 。

36


J― ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 導 入 対 象 と して 、 こ の よ う な 熱 搬 送 設 備 を もつ 大 規 模 住 宅 団 地 で あ る 、 東 京 都 心 か ら約 6Kmの 距 離 に 位 置 し約 5,20

0戸 の 規 模 を持 つ Y団 地 を 取 り上 げ て い る 。 Y団 地 の エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を詳 細 に調 査 し、 網 羅 的 に 検 討 ケ ー ス を 設 定 す る シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 手 法 に よ り、 導 入 の 可 能 性 を検 討 して い る 。

Y団 地 に お け る 熱 消 費 量 の 月 別 変 動 をみ る と (図 1. 36)、 冬 期 と 夏 期 の 消 費 量 に大 きな 違 い が み られ る 。 ま た 、 冷 熱 供 給 用 熱 消 費 量 を含 む 年 間 の 中 央 プ ラ ン トお よび サ ブ プ ラ ン ト送 出 熱 量 、 住 戸 内 の 熱 消 費 量 は 一 戸 当 た りそ れ ぞ れ 8.58Gcal、

3.90Gcalで

6.90Gcal、

あ る が 、 これ らの 差

は主 と して 供 給 管 路 に お け る 熱 損 失 と考 え られ る と して い る 。 Y団 地 の 熱 供 給 導 管 に お け る 熱 損 失 は 年 間 約 15%で あ る の で 、 他 の 地 域 冷 暖 房 と比 較 して 非 常 に 大 き い とは 言 え な い と結 論 付 け て い る 。 次 に 、 中央 プ ラ ン ト送 出 熱 量 の 時 刻 別 変動 をみ る と (図 1.37)、

温 熱 用 熱 消 費量 は 各 月 と も朝 。晩 2回 の ピ ー

クが 見 られ るが 、 冷熱 用 を加 えた 全 熱 量 で は 、 8月 は 他 の 月 の よ う な 明 確 な ピ ー クが 見 られ な い と して い る 。 年 間 を 通 じた ピ ー ク は 1月 の 21時 ~ 22時 で 、

3.27Mca1/h・

戸 とな っ て い る と して い る 。 年 間 電 力 消 費 量 は 、 団 地

全 体 で は 4,247KWH/年

・ 戸 の 電 力 消 費 量 が 見 られ る と して い る 。

こ の 研 究 は 、 電 力 供 給 範 囲 を 、 I:熱 供 給 プ ラ ン ト、 Ⅱ :熱 供 給 プ ラ ン ト・ 共 同 設 備 ・ 共 同 施 設 、 Ⅲ :住 戸 内 を含 む 団 地 全 体 と した 場 合 の 3段 階 の ス ケ ー ル を設 定 し (表 1.2)、

コ ー ジ エ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 導 入 効 果 を比 較 検

討 した も の で あ る 。 電 力 供 給 範 囲 別 の 電 力 消 費 量 の 月 別 変 動 を 図 1.38内 太線 で 、 時 刻別 変 動 を 図 1.39に そ れ ぞ れ 87WH/h・

示 して い る。 I・ Ⅱ・ Ⅲの ビ ー ク消 費量 は 、

戸 、 352WH/h・

戸 、 813WH/h・

戸で、 8

月 の 範 囲 Iの ビ ー クが 15時 ~ 16時 に み られ る 以 外 は 、 各 月 ・ 各 電 力 供 給 範 囲 共 に 夜 間 の 18時 ~ 21時 の 間 に ピ ー クが 現 れ て い る 。 運 転 パ タ ー ン は 、 図

1.40に 示す 6種 類 を比 較 検 討 の 対 象 と して い る 。① の ビ ー ク電 力 対 応 型 は 、 事 務 所 や 商 業 施 設 に お け る 代 表 的 運 転 パ タ ー ン で 、 日中 の ビ ー ク負 荷 に対 応 し

37


て 発 電 量 と 運 転 時 間 を設 定 し、 そ の 時 間 の 電 力 消 費 量 の 相 当 部 分 を発 電 す る シ ス テ ム で あ る 。 熱 消 費 の 少 な い 中 間 期 は 、 発 電 量 を下 げ余 熱 の 発 生 を抑 え る 。 ② の ベ ー ス 電 力 対 応 型 は 、 電 力 消 費 の ベ ー ス 部 分 を常 時 発 電 す る パ タ ー ン で 、 中 間 期 も熱 消 費 量 が 比 較 的 多 い ホ テ ル 等 に適 して い る 。 ③ の 電 力 ・ 熱 バ ラ ンス 型 は 、 余 剰 を 生 じな い 範 囲 で 最 大 量 の 電 力 と 熱 を コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン に よ り 供 給 す る パ タ ー ン で あ る 。 ① の 電 力 自給 型 は 、 系 統 電 力 か ら全 く独 立 した 電 力 供給 を行 う パ タ ー ンで 、常 用 電力 消 費量 に追 従 して 発 電 を行 う シ ス テ ム で あ る 。 ⑤ の 買 電 一 定 型 は 、 最 低 消 費 量 を ② とは 逆 に 常 時 買 電 し、 そ れ 以 外 の 部 分 を発 電 す る パ タ ー ン で あ る 。 ③ の 深 夜 電 力 利 用 型 は 、 ① の 電 力 自給 型 運 転 を 日中 に 限 定 し、 夜 間 は 経 済 的 な深 夜 電 力 を買 電 しな が ら、 系 統 電 力 の 昼 夜 間 格 差 是 正 を 目指 す 方 式 で あ る。 各 パ タ ー ン と も電 力 の 不 足 分 は 系 統 電 力 か ら買 電 し、 熱 の 不 足 分 は 既 存 の 高 温 水 ボ イ ラ ー よ り供 給 し、 余 剰 な 回 収 熱 は 廃 棄 す る こ と と して い る 。 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョン シ ス テ ム の 概 念 図 を 図 1.41に

示すが、 こ

の 研 究 で は 、 ガ ス タ ー ビ ン 、 ガ ス エ ンジ ン 、 デ ィ ー ゼ ル エ ンジ ンの 3種 類 を用 い た と して い る 。 原動 機 の 燃 料 は 、 ガ ス タ ー ビ ン と ガス エ ンジ ン は都 市 ガス を 、 デ ィ ー ゼ ル エ ンジ ン は A重 油 と して い る 。 各 原 動 機 は 25%~

100%の

範囲

で 部 分 負 荷 運 転 を行 う も の と して い る 。 熱 源 機 器 は 、 熱 回 収 機 器 と不 足 分 を 供 給 す る 補 助 熱 源 機 器 で 構 成 して い る 。 総 合 評 価 と して 、 最 も省 エ ネ ル ギ ー 率 の 高 い ケ ー ス は 、 電 力 供 給 範 囲 Ⅲで ガ ス エ ンジ ン 1台 ま た は デ イ ー ゼ ル エ ン ジ ン 5台 を導 入 し、 ③ ま た は ① の パ タ ー ンで 運 転 した 場 合 の 21.6%で あ つ た と して い る 。 同 様 の 条 件 で 、 運 転 パ タ ー ン⑥ に した 場 合 も 16.7%と 効 果 は 大 きか っ た と して い る 。 最 も高 い エ ネ ル ギ ー 費削 減 率 は 、 電 力 供 給 範 囲 Ⅲで ガ ス タ ー ビ ン を 1台 導 入 し、 ① の 運 転 パ タ ー ン で 運 転 した 場 合 の 16.8%で 、 同 条 件 で 運 転 パ タ ー ン を ⑤ に した 場 合 は 1

3.6%、

ガ ス エ ンジ ン 1台 ま た は デ ィ ー ゼ ル エ ンジ ン 1台 で ④ で 運 転 した場

合 の 12.7%、

12.6%が

て い る (図 1.

42)。

こ れ に次 い で エ ネ ル ギ ー 費 削 減 率 が 高 か っ た と し

38


出典 :文 献 10) 表 1.

出典 :文 献 10)

2電 力供 給 範 囲 の 設 定 t力 供給■日 電力供給籠日 E :

エネルギ… 薔費項 目 魚

Щ ・ 瞑 \ “ ■ ● 〓 ■ 〓 籠 電 e 一 型 総 L I

中 央 プ ラ ン ト内

サ プ プ ラ ン ト内

住 薇 内 エ レベ ー タ

住 粗 内 共 用 灯

ラ ン 熱

ト 量

中 選

プ 出

電 力供 給 嗜 田

一 戸

● ●

出典 :文 献 10)

400 200 一 ■ ・ 〓 ヽ

36Y団

図 1

地 に お け る熱消 費量 の 月別 変 動

〓 〓

■ ■ 〓 ミ r e 一 ■ ■ エ ー

出典 :文 献 10)

図 1

38電 力供 給 範 囲別 の 電 力消 費量 の

・ 〓 \

月別 変 動 出典 :文 献 10)

● o 〓

二 :糞

颯 ■ ■ e

■ ・ 〓 ヽ 〓 〓

一 型 総 L I

期 iF矧

・ 中央 フ

'●

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―- ●-… 10月

'ン

・ 中央 フ ア 中 興・

'ン

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●.O- 0

│ │ │ │ 1/1

- 1月

'ン

■ 日 〓 ミ ” e 一 祀 受 L I

0.5 0 薔 錮【 "】

図 1.37中

=::1職 - 1月

¥

央 プラ ン ト送 出熱 量 の 時 刻 別変 動

" 図 1.39電

力供 給 範 囲別 の 電 力消 費量 の 時刻別変動

39

劇 こ膊】


出 典 :文 献 10)

0

① ピーク電力対応里 ■ 力 候 綸 ” ■ 式 ■

)

F`

0

O 電 力 自綸 里

0

買 電 一定 里

凛壼電力利用里

`里

間)

(■

(崎 聞

凰 侯 綸 ” ■ 式 目

0電 力・饉バランス型

ベース電力対

(■

(晴間 )

)

間)

(町

("間

` 、 、 だ

、 、

一 一 一 t (時 間 )

門)

(崎

(時

間)

::::;i:l;;i :lli:il::'吾

:〔 :i::::::曾 llil':::i31こ ----― - 電 力消 費重

(凡

")

患薔員 量

■■■

ヨー ジエネ レー シヨン発電部分

多る多

買電 部分

ー ジエネ レー シ ヨン回収晨利用部分

[f]ヨ

■助熱凛利 用部分

│::i::i::::il:li:1:::::i

1

1

コー ジェネ レー シヨン余剰 回収 熱 部分

40運 転 パ ター ンの種類

図 1・

出典 :文 献 10)

出典 :文 献 10) 颯一 y 絆一 ミ■ そ燿 H覆

電 カ供綸

0 0

θ

ロココ∥E外 灯

△ 1 口 ■ O 回 サ

O

0

サブプラン o

O D

8。 0 0

│。

∫評 口 ロ 颯 勁 θ ma

GE:ガ スエ ンジン AR:吸 収式冷凛饉

8

3:==水 ボ イラー 国 :熟 交換● 0:メ ンプ E:電 力 G:都 市ガス H81:富 諷水 (lmに )

0 0

ネルギー甲 (%

3 ・r 噺 ●ロ 鳴

H12:=水 (30℃ S:語 気 Cu:冷 水 )

繊 > f ヽ ロ¨ 9 一 ロ

概念 図

◇θ

」♂ 0 め ネ

α求 l キ ミ一 ■ そ賢 H墨

転 ヨ パターン

コ ー ジ ェネ レー シ ョ ンシ ステ ムの

図 1.41

(1)電 力供給範囲による評価 α ま l キ ミ■ そ驚 ■昼

員 含住宅

共同施戯

共同詭般

一 L }6θ ゝ ∴ ニ θl lハ

お △ > ” 9 O D

o 5

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一 一 3 △メヽけ 嗣 林 ヘ △ 量 ∂i口^

ネルギ-亭 (%)

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υ 0 0

署il

> D

e 8

省 0

(2)運 転パ ターンによる評価

(3)原 動機 による評価

ー ジェネ レーシ ョ ン評価指標 の算 出結果

40

同 5

O 口

図 1.42コ

a

3 ,ρ 省

原動 a

已ネルギー申 (%)


結 論 と して、 ガ ス エ ンジ ン ・ デ イ ー ゼ ル エ ンジ ン を用 い た コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 導 入 に よ り、 20%程

度 の 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 と 12%~

1

6%程 度 の エ ネ ル ギ ー 費 削 減 効 果 が 同 時 に 期 待 で き る と して い る 。 運 転 パ タ ー ン は 、 団 地 内 で 消 費 す る 電 力 の 全 て を発 電 す る パ タ ー ン が 、 省 エ ネ ル ギ ー 性 、 経 済 性 と も に最 も高 くな る と して い る 。 こ れ ら の 結 果 か ら、 首 都 圏 の 大 規 模 住 宅 団 地 で は 、 団 地 全 体 を対 象 に した コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 導 入 可 能 性 が 高 い こ と が 明 らか に な っ た と して い る。

以 上 、 第 1に 、 地 区 レ ベ ル (東 京 都 23区 の 500mメ

ッシ ュ規 模 にお け る

地 区 )に お い て 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 導 入 し た 場 合 の 地 区 内 の 建 物 用 途 構 成 と省 エ ネ ル ギ ー 性 な ど を 分 析 して い る 。 そ の 結 果 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 に よ る 省 エ ネ ル ギ ー 率 が 最 も高 く導 入 優 先 度 の 高 い 用 途 。 地 域 は 、 都 心 や 副 都 心 の 業 務 地 区 で な く、 業 務 ・ 住 宅 ・ 宿 泊 そ の 他 用 途 が 最 も 近 い 割 合 で 混 在 し た 用 途 で 、 上 野 か ら文 京 区 の 総 武 線 沿 線 で あ る こ と を 明 らか に して い る 。 第 2に 、 首 都 圏 の 大 規 模 住 宅 団 地 で は 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 に よ り 20%程

度 の 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 と 12%か

ら 16%程

度 のエ ネ ル

ギ ー 費 削 減 効 果 が 期 待 で き 、 団 地 全 体 を対 象 と した コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 可 能 性 が 高 い こ と を 明 らか に して い る 。

41


1.2.6

都 市 の 人 口 密 度 ・ 規 模 と環 境 破 壊 度 と の 関 連 に 関 す る 研 究

我 が 国 で は 、 都 市 へ の 人 口 お よ び 各 種 機 能 の 集 中 に よ り、 農 山 村 ・ 漁 村 に 比 べ て 都 市 の 占 め る エ ネ ル ギ ー 消 費 が 遥 か に 大 き く、 そ の 結 果 、 都 市 の

多 大 なエ

ネ ル ギ ー 消 費 が 、 そ の ま ま 地 球 環 境 の 破 壊 を助 長 して い る と 考 え ら れ る 。 こ の よ う な 背 景 か ら、 竹 内 ら に よ り「 都 市 に お け る 環 境 破 壊 要 因 の 影 響 度 に 関 す る比 較 」 が あ る

文献 11)。

こ の 研 究 は 、 都 市 の 環 境 破 壊 原 因 と して 、 市 街 化 の 進 行 、 エ ネ ル ギ ー 消 費 、 自動 車 の 増 加 を 選 定 し、 そ れ ぞ れ に 対 応 す る 要 因 と して 舗 装 道 路 面 積 、 電 力 消 費 量 、 ガ ソ リ ン 消 費 量 お よ び 自動 車 排 気 ガ ス の 排 出 量

(C02、 NOx、 So

x)を 推 計 して 検 討 す る こ と で 、 人 口 の 大 都 市 集 中 傾 向 の 是 非 を 検 討 し た も の で あ る 。 こ の 時 の 、 都 市 域 の 設 定 は 、 人 口 密 度 1,000人

/Km2以

上 の隣

接 す る 行 政 区 (市 区 町 村 )で 、 合 計 人 口 が 5万 人 以 上 の ま と ま りを 1つ の 都 市 域 と 考 え 、 日本 国 内 の 47都 市 部 を 選 定 して い る 。 表 1. 人 口 と 人 口 密 度 を 、 図 1.43に 都 市 部 を人 口密度 、 都 市 規模

3に 選 定 し た 都 市 の

選 定 した 都 市 の 特 徴 を 示 し て い る 。 こ れ らの

(大 き さ )に よ り、 I:低 密 度 小 都 市 、 Ⅱ :高 密

度 小 都 市 、 Ⅲ :低 密 度 大 都 市 、 Ⅳ :高 密 度 大 都 市 の 4つ に 類 型 化 し て 、 各 都 市 部 に つ い て 各 要 因 の 単 位 面 積 当 た り、 単 位 人 口 当 た り の そ れ ぞ れ の 人 口 密 度 と の 関 係 を 検 討 して い る 。 そ の 結 果 、 全 て の 要 因 共 に 、 単 位 面 積 当 た りの 諸 量 は 人 口 密 度 の 増 加 に 伴 い 増 大 す る 傾 向 に あ る と して い る 。 一 方 、 単 位 人 口 当 た りで は 、 電 力 消 費 量 は 人 口 密 度 の 増 加 に か か わ らず 特 定 の 傾 向 を 示 さ な い が 、 舗 装 道 路 面 積 、 ガ ソ リ ン 消 費 量 そ し て C02、

NOx、 SOxの

排 出量 は 全 て 人 口 密 度 の増 大 に伴 っ て

減 少 す る 傾 向 を示 し て い る 。 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 や 排 気 ガ ス 排 出 量 を環 境 破 壊 の 影 響 度 と読 み 市 類 型 に よ る 特 徴 を 整 理 した 結 果 を 図 1.44に

換 えて、各都

示 して い る 。 中 心 に 近 く、 面

積 の 小 さ い 多 角 形 ほ ど 環 境 破 壊 へ の 影 響 度 が 小 さ く、 大 き い ほ ど 影 響 度 が 大 き い こ と を示 して い る 。 都 市 の 単 位 面 積 当 た り で は 、 低 密 度 小 都 市 が 環 境 破

42

壊ヘ


の 影 響 度 が 最 も小 さ く、 高 密 度 大 都 市 が 最 も大 き く、 都 市 規 模 や 密 集 度 合 い が 大 き く な る ほ ど環 境 へ の 悪 影 響 の 度 合 い が 大 き く な っ て い る 。 逆 に 、 単 位 人 口 当 た り の 環 境 破 壊 へ の 影 響 度 は 高 密 度 大 都 市 が 最 も小 さ く、 低 密 度 小 都 市 と 低 密 度 大 都 市 が 最 も大 き く、 都 市 規 模 や 密 集 度 合 い が 大 き く な る ほ ど環 境

へ の悪

影 響 の 度 合 い が 小 さ くな っ て い る 。 つ ま り、 仙 台 、 広 島 な ど の 低 密 度 小 都 市 は 、 東 京 、 大 阪 な ど の 高 密 度 大 都 市 に 比 べ て 都 市 の 単 位 面 積 当 た り で み る と 、 舗 装 道 路 面 積 が 小 さ く (緑 地 や 空 地 が 大 き い と予 想 さ れ る )、 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 が 小 さ く、 NOx、

2等

SOx、 CO

大 気 汚 染 物 質 排 出 量 も小 さ い 、 人 と 地 球 環 境 に 優 し い 都 市 で あ る こ と を 示

して い る 。 結 論 と し て 、 都 市 の 膨 張 や 高 密 度 化 が 環 境 破 壊 要 因 の 増 大 を も た らす こ と は 避 け られ な い もの の 、 大 都 市 に集 中 して 起 こ る方 が 環 境 破 壊 度 合 い は少 な くな る 傾 向 が 分 か つ た と して い る 。 す な わ ち 、 環 境 破 壊 要 因 か ら は 、 人 口 の 大 都 市 部 へ の 集 中 化 傾 向 は 全 く受 け 入 れ ら れ な い も の で は な く、 逆 に 、 高 密 度 都 市 で あ る が 故 に 水 や エ ネ ル ギ ー の リサ イ ク ル 利 用 が 図 れ る 利 点 が あ る と し て い る 。

以 上 よ り、 都 市 の 膨 張 に よ る 高 密 度 化 は 環 境 破 壊 を増 大 させ る が 、 人 ロ ー 人 当 た り で は 環 境 へ の 悪 影 響 の 度 合 い が 小 さ く な る こ と を示 して い る 。

43


表 1.

出典 :文 献 11)

3選 定 した都 市 の人 口 と人 口密 度

東 京首都国 の範 囲 は概 略 :1越 ~ 小 田原 取 手~前橋 だ′ 仙 台近郊 で は概 1丼

[ 理 ] 5000 椰 旧 5000

仙台ir~ 塩釜市~多賀城市

4000 1000-

1.低 密度大都市

2000

4000

1000

出典 :文 献 11)

人 口密度 [人 /k記 ]

43選 定 した都 市 の特 徴

図 1 li道 11・● 路 面積

T船 呪鬱

[ポ /ポ ]

ガソリン潤 rti

[1/ポ ] 1.5

Nこ

5000

` ` t

脈 州 ハ 一 W h一 k m t

イ 蕊ロ

SO.静 J:量 [g/“ ]

絆出五

[8イ nf]

排 :l:景 ′

C08排 J:彙 [kg/配 ]

C08絆 :::量 [kg/人 ]l

)一 一・―:1,臨 帥ち可

(凡 例

- - - …- …:Ⅱ .高 密度 小都 市 │

a)単 位面 積 当た り

図 1.

[g′ 人 ]

――-ニ ー:皿 .低 密度大椰市

.―

:L・ 高 密度大都市

b)単 位人 口当た り

44各 都市類 型 による特徴 44

出典 :文 献 11)


1.3

結論

従 来 研 究 か ら得 た 知 見 を 以 下 に 示 す 。

(1)

ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 高 層 集 約 化 (建 築 物 の 高 層 集 約 化 )に つ い て

東 京 都 区 部 レ ベ ル に お い て 、 緑 地 ・ 河 川 を 連 続 的 に 導 入 して ク ー ル ア イ ラ ン ドの ネ ッ トワ ー ク を 形 成 さ せ 、 建 築 物 を 高 層 ・ 集 約 化 (ク ラ ス タ ー 化 )す る こ と に よ り土 地 利 用 形 態 の 改 善 を 行 い 、 東 京 に お け る 巨 大 ヒ ー トア イ ラ ン ドの 分 断 を 図 る研 究 や 、 既 存 市 街 地 800haレ

ベ ル にお い て高 密 度 居 住 の 中 で オ ー

プ ン ス ペ ー ス や 緑 を 確 保 し、 か つ 環 境 負 荷 を低 減 す る ユ ー テ イ リ テ イ を都 市 基 盤 と して 整 備 す る 下 町 エ コ シ テ イ の 研 究 等 の 緑 地 や オ ー プ ン ス ペ ー ス の 確 保 を 軸 と した 都 市 環 境 問 題 解 決 に 向 け て の 研 究 は あ る が 、 建 築 物 を 高 層 集 約 化 す る 上 で ひ と つ の 問 題 点 と考 え ら れ る 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ に つ い て 、 住 民 が 全 て を 負 担 して い る 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ と 、 全 て を 公 共 公 益 事 業 者 が 負 担 して い る 戸 建 住 宅 地 区 の 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ (都 市 イ ン フ ラ )を コ ス ト上 か ら比 較 検 討 し、 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イの 経 済 的 な優 位 性 を 明 らか に す る こ と で 、 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ の 社 会 資 本 化 の 必 要 性 を 提 言 して い る 研 究 例 は な い 。 ま た 、 国 内 の 47都 市 を モ デ ル に 環 境 破 壊 へ の 影 響 度 に つ い て 、 大 き く都 市 規 模 や 人 口 密 集 度 合 と の 関 連 に お い て 研 究 して い る 例 は あ る が 、 市 街 地 の ス プ ロ ー ル 抑 制 の 観 点 か ら、 都 市 の 人 口 増 加 に お け る 人 口 密 度 形 態 と 環 境 汚 染 度 と の 関 連 に つ い て 研 究 して い る も の は な い 。

(2)

供 給 処 理 の 自立 型 地 区 施 設 へ の 転 換 に つ い て

病 院 、 庁 舎 を対 象 と し た 、 非 常 時 に 重 要 度 の 高 い 設 備 機 能 や 重 要 度 設 備 の 非 常 時 に お け る供 給 可 能 時 間 並 び に 執 務 や 医 療 継 続 可 能 時 間 に 関 す る調 査 研 究 や 阪 神 大 震 災 にお け る設 備 被 害 に 関 す る調 査 は あ る が 、 巨 大 地 震 被 災 地 住 民 に対 す る調 査 デ ー タ に基 づ い て 、 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お け る ラ イ フ ラ イ ン機 能 の 非 常 時 自立 の 必 要 性 に つ い て 研 究 し て い る 例 は 見 当 た ら な い 。 ま た 、 我 が 国 に お け る 市 街 地 の 抱 え る 問 題 点 と都 市 計 画 ・ 建 築 計 画 制 度 の 抱 え る 問 題 点 を 指 摘 し、 地 区 計 画 が 必 要 と な っ た 背 景 を 明 らか に し て い る 研 究 は あ る が 、 現 状 の 地

45


区 施 設 が 都 市 施 設 を 補 完 し建 築 施 設 (基 本 的 に建 築 設 備 を指 す )を 一 体 的 に統 括 す る とい う意 味 で 十 分 と は い え な い 現 状 を踏 ま え て 、 都 市 施 設 の 機 能 を補 完 し建 築 施 設 の 機 能 を 一 体 的 に統 括 す る 従 来 の 都 市 計 画 に な か っ た 自立 型 地 区 施 設 と そ の 機 能 を 提 案 し、新 し い 地 区 施 設 につ い て研 究 して い る 例 は見 られ な い 。

500mメ

ッ シ ュ 規 模 の 地 区 レベ ル に お い て 、 コ ー ジ エ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム

を導 入 した 場 合 の 地 区 内 の 建 物 用 途 構 成 と 省 エ ネ ル ギ ー 性 の 関 連 を分 析 して い る研 究 や 首 都 圏 の 大 規 模 住 宅 団 地 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 の 可 能 性 に 関 す る 研 究 は あ る が 、 地 区 レ ベ ル にお い て 自立 型 地 区 施 設

(リ

サイ

ク ル シ ス テ ム )を 導 入 した 場 合 の 地 区 の 用 途 構 成 と一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 に 関 す る 研 究 は 不 足 して い る 。

以 上 よ り、 現 状 の 都 市 イ ン フ ラ の 抱 え る 問 題 点 の 解 決 に 向 け て 、 ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 高 層 集 約 化 と供 給 処 理 の 自 立 型 地 区 施 設 へ の 転 換 の 視 点 か ら 、 地 区 レ ベ ル に お い て 今 後 の 都 市 環 境 計 画 に 対 して ひ と つ の 方 向 性 を 提 示 し て い る 本 研 究 を 進 め る 必 要 性 は 高 い と 結 論 づ け られ る 。

以 下 に 、 本 研 究 で 検 討 して い る 各 章 の 概 要 を示 す 。

第 2章 で は 、 「 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お け る 非 常 時 自 立 型 地 区 施 設 構 築 の た め の 調 査 研 究 」 と 題 して 、 集 合 住 宅 が 高 度 に 集 積 して い る 地 区 に お い て 、 非 常 時 に ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 した 場 合 の 生 活 機 能 へ の 影 響 と そ の 対 策 と して の 供 給 処 理 系 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 を 明 らか に す る た め に 、 兵 庫 県 南 部 地 震 被 災 地 の 高 層 集 合 住 宅 300戸

の 住 民 を 対 象 に ア ン ケ ー ト調 査 を行 い 、 分 析 して

い る。

第 3章 で は 、 「 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る 新 しい 地 区 施 設 の 機 能 に 関 す る 研 究 」 と題 して 、 都 市 施 設 へ の 負 荷 が大 き い 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お い て

46


都 市 施 設 の 機 能 を 補 完 す る 地 区 施 設 の 新 し い 概 念 と そ の 機 能 を 提 案 し、 有 識 者 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査 か ら導 入 す べ き 地 区 施 設 項 目 と そ の 機 能 を 明 らか に し て い る。

第 4章 で は 、 「 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ と 戸 建 住 宅 地 区 の 都 市 イ ン フ ラ の LCCの

比 較 に 関 す る 研 究 」 と 題 して 、 実 在 す る 高 層 集 合 住 宅 と そ れ

と 同 規 模 の 住 戸 数 が あ る 戸 建 住 宅 地 区 を 比 較 し、 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ (共 用 部 縦 シ ャ フ トに 収 容 さ れ る 配 管 ・ 配 線 )の 優 位 性 を 明 らか に して い る。

第 5章 で は 、 「 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 用 途 構 成 か ら み た 自 立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 に 関 す る 研 究 」 と題 して 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 自 立 型 地 区 施 と し て リサ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 し た 場 合 の 、 地 区 の 用 途 構 成 と一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 の 関 係 を 分 析 した 。 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の モ デ ル と し て 、 東 京 23区 の 250mメ

ッ シ ュ 内 の 建 物 を 集 約 した 場 合 を想 定 して 、 代 表 的 な 用 途 構 成 を

選 定 して 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 を算 定 し てい る。

第 6章 で は 、 「 都 市 人 口 の 増 加 に お け る 人 口 密 度 形 態 と 環 境 汚 染 度 の 関 連 に 関 す る 分 析 」 と 題 して 、 日本 の 主 要 都 市 の 人 口 密 度 形 態 を モ デ ル 化 し、 各 都 市 の 形 態 と環 境 汚 染 度 を 比 較 す る こ と で マ ク ロ 的 に 環 境 に 寄 与 す る 都 市 を 検 討 し て い る。

第 7章 で は 、 「 東 京 都 心 R地 区 に お け る 水 ・ 廃 棄 物 系 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 の ケ ー ス ス タ デ イ」 と題 して 、 東 京 都 心 R地 区 を モ デ ル に 廃 棄 物 排 出 量 と 上 水 使 用 量 お よ び 下 水 放 流 量 を削 減 す る 地 区 施 設 導 入 に よ る 都 市 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 効 果 に つ い て ケ ー ス ス タ デ イ を行 い 、 合 わ せ て 中水 利 用 に よ る 生 活 用 水 ・

47


雑 用 水 の 非 常 時 自立 の 可 能 性 に つ い て 検 討 して い る 。

第 8章 で は 、 「 東 京 臨 海 T地 区 に お け る 自立 型 地 区 施 設 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ 」 と題 して 、 東 京 臨 海 T地 区 を モ デ ル に リサ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 す る こ とで 、 高 密 度 化 して も環 境 負 荷 量 を現 状 の 範 囲 内 に 抑 制 で き る 可 能 性 を 検 討 して い る 。

第 9章 で は 、 「 結 論 と展 望 」 と題 し て 、 各 章 に お け る 結 論 を 要 約 した 上 で 、 今 後 の 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 にお け る 自立型 地 区施 設 の在 り方 を 展 望 して い る 。

48



第 2章

高 度住機能 集積 地区 における非常時 自立型地 区施設構 築 ための調査研 究



第 2章

高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お け る非 常 時 自立 型 地 区 施 設 構 築 の た め の 調 査 研究

2.1

概要

東 京 首都 圏 の都 心 部 にお い て は 、 長 期 間 に亘 って 住 宅 施 設 が業 務 施 設 等 他 の 用 途 に 転 換 さ れ て き た 結 果 、 千 代 田 区 、 中 央 区 、 港 区 の 都 心 3区 を 中 心 に都 心 部 か ら郊 外 へ の 人 口 流 失 が 続 き、 都 心 部 の 居 住 人 口 は 減 少 傾 向 を示 して きた 。 こ れ に対 して 、 区 レ ベ ル の 行 政 で は 付 置 義 務 住 宅 を建 築 許 可 の 条 件 と して 人 口 の 流 失 防 止 を 図 つ て きて い る が 、 必 ず し も十 分 な 効 果 を上 げ て い る と は い え な い 。 一 方 、 中央 区 大 川 端 地 区 の よ う に 臨 海 部 工 場 跡 地 を 再 開 発 して 、 都 心 に 至 近 の 位 置 に大 規 模 な超 高 層 集 合 住 宅 群 を建 設 し、 職 住 近 接 を実 現 して い る 例 も あ る。 また 、 東 京 都 で は 、 臨 海 部 の 晴 海 地 区 や 豊 洲 地 区 の再 開発 計 画 案 の 中 で 全 施 設 面 積 の 40%程 度 を住 宅 用 途 と し計 画 し、 都 心 居 住 住 宅 の 建 設 促 進 を 図 ろ う と して い る

文献 12)。

他 方 、 大 都 市 圏 に お け る都 市 環 境 問 題 か らみ る と 、

NOx排 出 量 の 削 減 が 大 き な 課 題 で あ る が 、 火 力 発 電 所 や 大 規 模 プ ラ ン ト等 の NOx排 出 量 削 減 対 策 が 十 分 実 施 さ れ た 現 在 、 NOx排 出源 の 元 凶 は デ ィ ー ゼ ル 自動 車 交 通 量 と 言 わ れ て い る 。 都 心 居 住 に よ る 職 住 近 接 を推 進 す る こ とで 、 人 や 物流 、 廃 棄 物 な どの 移 動 。運搬 の ため の 自動 車 交 通 量 の低 減 が可 能 とな り、

NOx排 出 量 の 低 減 に 寄 与 出 来 る と 考 え られ る 文献 13~ 15)。 こ の よ う な背 景 か ら、 都 心 部 に お い て 新 た に 開 発 さ れ る 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お い て は 、 住 宅 施 設 を 計 画 に盛 り込 む 必 要 性 は 高 い と言 え る 。 一 方 、 兵 庫 県 南 部 地 震 に み る よ う に ラ イ フ ラ イ ン は 災 害 に対 して 極 め 脆 弱 で あ り、 住 民 が 安 心 して 生 活 す る た め に は 不 安 な 点 が 多 い 。 そ こ で 、 本 章 で は 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の な か で も住 宅 施 設 の 占 め る 割 合 が 大 き い 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お い て 、 非 常 時 に ラ イ フ ラ イ ン機 能 が 停 止 した 場 合 の 生 活 機 能 へ の 影 響 と そ の 対 策 と して の 供 給 処 理 系 自立 型 地 区施 設 の 必 要 性 を明 らか に す る た め に 、 兵 庫 県 南 部 地 震 で 被 災 した 神 戸 市 内 の 高 層 集 合 住 宅

49


住 民 を 対 象 に、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 の 停 止 が 住 民 の 生 活 機 能 に 及 ぼ す 影 響 を 中 心 に各 種 ア ンケ ー トを実 施 した 。

1995年

1月 に 発 生 した 兵 庫 県 南 部 地 震 で は 、 約 30万 人 の 被 災 者 が 避 難

所 に 避 難 し、 更 に 多 く の 被 災 者 が 被 害 の な い 地 域 に 避 難 し た が 、 こ の 中 に は 建 築 駆 体 自 体 の 損 壊 の 小 さ い 集 合 住 宅 の 住 民 も多 数 含 ま れ て い た 。 こ れ は 、 ラ イ フ ラ イ ンや 交 通 網 が 寸 断 され た こ とや 、 集 合 住 宅 に い て は 情 報 や 救 援 物 資 な ど が 得 に く い こ とが 大 き な 原 因 で は な い か と 考 え られ る 。 本 章 で は 、 兵 庫 県 南 部 地 震 に よ り被 害 を 受 け た 神 戸 市 内 の 高 層 集 合 住 宅 30

0声 の 住 民 を対 象 に 、 避 難 の 実 態 と 避 難 理 由 お よ び 自宅 に 戻 つ た 理 由 、 ラ イ フ ラ イ ン の 復 旧 と避 難 世 帯 数 の 推 移 、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 停 止 時 に お け る 生 活 の 実 態 と し て 用 途 別 の 水 の 不 足 感 の 変 化 と水 の 不 足 感 の 解 消 時 期 な ら び に 電 気 ・ ガ ス 復 旧 ま で の エ ネ ル ギ ー の 必 要 性 (電 気 機 器 ・ ガ ス 機 器 の 必 要 感 、 照 明 の 必 要 感 、 ガ ス 機 器 の 代 用 手 段 )、 エ レ ベ ー タ ー の 必 要 感 、 ゴ ミ 回 収 の 必 要 感 、 情 報 の 必 要 感 お よび ラ イ フ ラ イ ン 全 般 に つ い て の 必 要 感 に 関 して ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施 す る こ とで 、 住 民 の 避 難 状 況 や ラ イ フ ラ イ ン 機 能 停 止 時 に お け る 住 民 の 生 活 感 の 実 体 を把 握 した 。 次 に 、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 し た 場 合 を 想 定 して 、 集 合 住 宅 に お い て 生 活 の 維 持 を 可 能 と す る た め に 、 あ る 程 度 の 電 気 ・ 水 ・ 熱 。通 信 機 能 を 確 保 で き る 設 備 機 能 を備 え た 非 常 時 自 立 型 集 合 住 宅 を住 民 に 提 示 し て 、 こ の シ ス テ ム に 対 す る住 民 の 意 見 を調 査 した 。 そ の 結 果 、 住 民 が 避 難 し た 最 大 の 理 由 は ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 し生 活 に 支 障 を き た した こ と を 明 ら か に し た 。 ラ イ フ ラ イ ン の 必 要 性 で は 上 水 道 が 最 も高 く、 電 気 、 下 水 道 の 順 に 高 い 。 ラ イ フ ラ イ ン 停 止 時 の 生 活 実 態 を 上 水 道 に つ い て み る と 、 応 急 給 水 車 が 来 る ま で は 風 呂 、 洗 濯 、 トイ レ な ど全 て 不 足 して い る が 、 水 の 配 給 が 定 着 した 時 期 で は 飲 料 、 炊 事 用 水 の 不 足 感 は あ る 程 度 解 消 し 、 生 活 用 水 、 雑 用 水 の 不 足 感 が 目立 つ よ う に な る 。

以上 、兵庫県南 部 地震 の 被 災者 に対 す るア ンケ ー ト調 査 結果 か ら、高 度住 機 50


能 集 積 地 区 に お い て は 、 脆 弱 な 都 市 イ ン フ ラ に 依 存 し な い 非 常 時 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 は 高 く、 特 に 、 水 系 (上 水 道 )お よ び エ ネ ル ギ ー 系 (電 気 )の 自 立 化 の 必 要 性 が 高 い こ と を 明 ら か に した 。

2.2

調査 概 要

本 章 で は 、 兵 庫 県 神 戸 市 内 の 高 層 集 合 住 宅 住 民 を対 象 に 、 先 ず 、 兵 庫 県 南 部 地 震 に よ る建 築 物 へ の ラ イ フ ラ イ ン機 能 の 供 給 停 止 が 住 民 生 活 に 及 ぼ した 影 響 を調 査 し、 次 に 、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 し た 場 合 を想 定 して 、 集 合 住 宅 に お い て 生 活 の 維 持 を 可 能 と す る た め に 、 あ る 程 度 の 電 気 ・ 水 。熱 。通 信 機 能 を 確 保 で き る 設 備 機 能 を備 え た 「 非 常 時 自 立 型 集 合 住 宅 」 を住 民 に 提 示 して 、 非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 に つ い て の 住 民 の 意 見 に つ い て 調 査 を行 っ た 。 調 査 は 2つ か ら成 り、 第 1の 調 査 は 各 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 の 停 止 期 間 に 関 す る も の で 管 理 組 合 ・ 管 理 会 社 等 を対 象 と した ヒ ヤ リ ン グ 調 査 で あ る 。 第 2の 調 査 は 住 民 の 避 難 状 況 。 避 難 理 由 や ラ イ フ ラ イ ン機 能 停 期 間 に お け る 生 活 の 実 体 並 び に提 示 す る 非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 に つ い て の 住 民 の 意 見 に 関 す る も の で 、 無 作 為 に 抽 出 し た 高 層 集 合 住 宅 に 居 住 す る 住 民 を 対 象 と した ア ン ケ ー ト調 査 で あ る 。

2.2.1

集 合 住 宅調 査 対 象 建 物 の概 要

調 査 対 象 建 物 は 、 神 戸 市 内 に あ る 建 築 駆 体 自体 の 損 壊 が 小 さ い 、 1981年 に施 行 さ れ た 新 耐 震 設 計 基 準 に 合 致 す る 、 竣 工 年 度 が 1983年

か ら 1993

年 と比 較 的 新 し い 高 層 集 合 住 宅 を 4カ 所 選 定 した 。 集 合 住 宅 調 査 建 物 概 要 を 表

2.1に 示 す 。 Aは 一 部 分 譲 一 部 賃 貸 住 宅 、 B、 Dは 分 譲 住 宅 、 Cは 市 営 の 賃 貸 住 宅 で あ る 。 集 合 住 宅 Aは 人 工 島 に位 置 す る 17棟 か ら成 る 団 地 で あ り、 そ の うち の 分 譲 部 分 の 3棟 を調 査 対 象 と した 。 B、

C、

Dは 、 再 開 発 地 区 内 に あ

る 1棟 か ら成 る 集 合 住 宅 で あ る 。 各 建 物 共 に 設 備 被 害 は 小 さか っ た が 、 Bに お い て は 高 架 水 槽 の 破 損 に よ る 漏 水 が 見 られ 、 Dに お い て は 敷 地 内 の 地 下 排 水 管 が 破 損 した た め 排 水 に 支 障 を き た して い た 。 。

51


表 2.1

調査建物概要

A

B

敷地面積

88,592.03m2

延べ 床 面 積

152,710m2

5,348.63m2 16,734.01m2

戸数

3/17 639戸 /2195戸

階数

14階

陳数

購造

(1)

2

1

184戸 15階

134戸 14階

鉄筋 コン クリー ト造

鉄骨鉄筋 コンクリー ト造

鉄骨鉄筋 コン クリー ト造

鉄骨鉄筋 コン クリー ト造

1987年 3月

1987」軍4月

19831F

19931「

2基

2基

95人

30人

2基 11人

42人

回答 者 数

2。

9,893.66m2

D

4,519.69m2 19,821.41m2 173戸

峻二年 度 エ レベ ー ター

2。

C 2,831.49m2

22留 旨

2基

ア ン ケ ー ト調 査 概 要

調査方法

1995年

10月 に 、 4カ 所 の 集 合 住 宅 、 合 計 1,130戸

の 中 か ら無 作 為

を対 象 に ア ン ケ ー ト調 査 を行 い 、 179戸

か ら回 答 を得 た

に 抽 出 した 300戸 (回 収 率 は 60%)。

ア ン ケ ー ト調 査 用 紙 の 配 布 お よ び 回 収 方 法 は 調 査 した 集

合 住 宅 に よ つ て 異 な り、 Aは 訪 問 配 布 ・ 訪 問 回 収 に よ り、 Bは 住 戸 内 の 郵 便 受 け に 配 布 した 後 自 治 会 に よ る 回 収 に よ り、 C、

Dは 配 布 お よ び 回 収 共 に 自 治 会

を 通 して 行 っ た 。

(2)

ア ン ケ ー ト調 査 項 目

以 下 の 項 目 に つ い て ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施 し た 。

1)

回答 者 の 属 性

・性 別 。年 齢 ・ 家 族 の人数

2) ①

住民の避難状況

避難 の実 体

・ 避 難世帯 の 割 合 ・ 避 難場所 ②

避難理 由 52


自宅 に戻 っ た理 由

ラ イ フ ラ イ ンの 復 旧 と避 難 世 帯 数 の 推 移

3) ①

ラ イ フ ラ イ ン機 能 停 上 期 間 に お け る住 民 の 生 活 実 体 上 水 道 復 旧 まで の 住 民 の 生 活 実 体

a.用 途 別 の 水 の 不 足 感 の 変 化 飲 料 、 炊 事 、 風 呂 、 洗 濯 、 トイ レの 5種 類 の 用 途 別 の 水 の 不 足 感 に 関 して 、 応 急 給 水 車 が 来 る まで の I期 と 、 水 の 配 給 が 定 着 した Ⅱ期 に 分 け て 調 査 を行 っ た。

b.水 の 不 足 感 の 解 消 時 期 5種 類 の 用 途 別 に、 水 の 不 足 感 の 解 消 時 期 を調 査 し た 。 ②

電 気 。ガ ス 復 旧 ま で の エ ネ ル ギ ー の 必 要 性

a。

電 気 機 器 の必要 性

b.ガ ス 機 器 の 必 要 性 c.照 明 の 必 要 性 照 明 の 必 要 性 は 、 非 常 用 誘 導 灯 、 街 灯 。庭 園 灯 な どの 屋 外 共 有 部 分 の 照 明 、 廊 下 ・ 階段 な ど の 屋 内 通 路 部 分 の 照 明 及 び 住 戸 内 照 明 の 4種 類 に 分 け て 、 地 震 発 生 直 後 の I期 と電 力 復 旧 まで の Ⅱ期 に 分 け て 調 査 した 。

d.ガ ス 機 器 の 代 用 手 段 風 呂 の 代 用 手 段 と ガ ス レ ン ジ の 代 用 手 段 に つ い て 調 査 した 。 ③

エ レベ ー タ ー の 必 要 性

エ レ ベ ー タ ー の 必 要 性 は 、 地 震 発 生 直 後 の I期 と電 力 が 復 旧 して エ レ ベ ー タ ー が 復 旧 す る ま で の Ⅱ期 に分 け て調 査 した 。 ④

ゴ ミ回 収 の 必 要 性

情 報 の必 要 性

ラ イ フ ラ イ ン全 般 の 必 要 性

4)

非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 に 関 す る 住 民 の 意 見

ア ン ケ ー ト調 査 に お け る 質 問 の 仕 方 の 例 を、 図 2.1に 示 す 。

53


水道復旧 までの間、 どのような用途 のための水が足 りない と感 じま したか。それぞれの用途 について時期別に次 の 5段 階で評価 して記号 を記入 して ください。 (選 択段階

) a) C)

b)や や不足 していた

非常に不足 していた ある程度足 りていた

d)′ 己りていた

給水車が来 るまでの時期 (I期 )

(

1.飲料水

)

4洗 濯用水

( ) ( ) ( )

5.ト イレ用水

(

2.炊 事用水 3.風 呂用水

図 2.1

2.2.3

)

水の配給が定着 した時期 (Ⅱ 期)

(

)

( ) ( ) ( ) ( )

アンケー ト調査における質問の仕方の例

分析 方 法

ア ン ケ ー ト調 査 結 果 の 集 計 は 、 基 本 的 に は 回 答 者 数 の 構 成 比 率

(%)に よ り

行 った。

た だ し、 ア ン ケ ー ト調 査 項 目 の 内 、 3)①

a.用 途 別 の 水 の 不 足 感 の 変 化 に

(1)に よ り、 3)② a.電 気 機 器 の 必 要 性 、 3)② b.ガ ス 機 器 の 必 要 性 に つ い て は 図 2.3に 示 す 数 値 化 の 方 法 つ い て は 図 2.2に 示 す 数 値 化 の 方 法

(2)に よ り、 3)② c.照 明 の 必 要 性 に つ い て は 図 2.4に 示 す 数 値 化 の 方 法

(3)に よ り評 価 した 。 以 下 に 、 具 体 的 な 数 値 化 の 方 法 を示 す 。

(1)用 途 別 の 水 の 不 足 感 の 変 化 に つ い て ア ン ケ ー ト調 査 の 評 価 基 準 を -2点 か ら +2点 ま で の 4段 階 に 設 定 して 、 「 非 常 に不 足 して い た 」 を -2点 、 「 あ る程 度 不 足 して い た 」 を -1点 、 「 あ る 程 度 足 りて い た 」 を +1点 、 「 足 りて い た 」 を +2点 と して 数 値 化 し、 総 回 答 の 平 均 値 を水 の 不 足 感 と して 各 用 途 別 に応 急 給 水 車 が 来 る ま で の I期 と 、 水 の 配 給 が 定 着 した Ⅱ 期 の 時 期 別 に評 価 した 。

(2)電 気 機 器 の 必 要 性 に つ い て ア ン ケ ー ト調 査 の 評 価 基 準 を -2点 か ら +2点 ま で の 4段 階 に 設 定 して 、 54


「非 常 に必 要」 を -2点 、 、 「 必 要 」 を -1点 、「 あ ま り必 要 な い 」 を +1点 、 「 必 要 な い 」 を +2点 と して 数 値 化 し、 総 回 答 の 平 均 値 を 各 機 器 の 必 要 性 と し て 評 価 した 。

(3)ガ ス 機 器 の 必 要 性 に つ い て ア ン ケ ー ト調 査 の 評 価 基 準 を -2点 か ら +2点 ま で の 4段 階 に 設 定 して 、 「 非 常 に 困 つた 」 を -2点 、 「少 し困 つ た 」 を -1点 、 「 あ ま り困 らな か っ た 」 を +1点 、 「 困 ら な か った 」 を +2点 と して 数 値 化 し、 総 回 答 の 平 均 値 を 各 機 器 の 必 要 性 と して 評 価 した 。

(4)照 明 の 必 要 性 に つ い て ア ン ケ ー ト調 査 の 評 価 基 準 を -2点 か ら +2点 ま で 4段 階 に設 定 して 、 「 非 常 に必 要 」 を -2点 、 「 必 要 」 を -1点 、 「 あ ま り必 要 な い 」 を +1点 、 「 必 要 な い 」 を +2点 と して 数 値 化 し、 総 回 答 の 平 均 値 を各 照 明 の 必 要 性 と して 評 価 した 。

水 の不足感の得点

-2点 -1点 +1点 +2点

1.非 常 に不足 していた 2.あ る程度不足 していた 3.あ る程度足 りていた 4.足 りていた 図 2.2

数値化 の方法 (1)

1.非 常 に必要 (非 常 に困 った 2.必 要 (少 し困 った) 3.あ まり必要 ない (あ ま り困 らなか った 4.必 要 ない (困 らなか った) )

電気機器・ ガ ス機器 の 必要性 の得点

)

図 2.3

照明の必要性 の 得点

数値化 の方法 (2)

1.非 常に必要 2.必 要 3.あ まり必要 ない 4.必 要 ない 図 2.4

-2点 -1点 +1点 +2点

数値化 の方法 (3)

55

-2点 -1点 +1点 +2点


2.3

調査結 果

2.3.1

回 答 者 の基 本 属 性

回 答 者 の 基 本 属 性 を 図 2.5に 示 す 。 4箇 所 の 集 合 住 宅 の 平 均 で み る と 、 回 答 者 の 性 別 は 女 性 が 59%と 多 く、 年 齢 は 30歳 ~ 40歳 代 が 65%と 多 い 。 世 帯 人 員 数 は 、 2人 ~ 4人 が 80%と 多 い 。

A

A

B

B

C

C

D

D

平均

平均

□男性

口 女性

日不 明

□29歳 以下

口 30~ 39歳

日40~ 49歳

■50~ 59歳

日60~ 69歳

口70歳 以上

国不明

回答者 の 性別

回答者 の 年齢

20%

40%

60%

80%

100%

A B C

D 平均 □ 1人

口 2人

日 3人

■4人

口5人 以上

回答者の世帯人員数 図 2.5

回答者の基本属性

56


2.3.2 (1)

住 民 の避 難 状 況 避難の実態

い ず れ の 集 合 住 宅 に お い て も住 民 の 約 3割 か ら 5割 が 避 難 して お り、 平 均 で は 37%の 住 民 が 避 難 して い る 。 図 2.6に 避 難 世 帯 の 割 合 を示 す 。 避 難 先 (総 回 答 の 平 均 )を み る と 、 建 築 駆 体 自体 の 損 壊 が 少 な か っ た こ と な どか ら、 「 学 校 や 公 民 館 な どの 避 難 所 」 に避 難 した 住 民 は 8%と 少 な く、 ラ イ フ ラ イ ン の 被 害 の な い 地 域 の 「 親 戚 ・ 知 人 の 家 」 が 51%と 最 も多 い 。 な お 、 集 合 住 宅 Cに お い て 、 他 の 集 合 住 宅 と 異 な る 結 果 と な っ て い る の は 、 回 答 者 数 が 少 な く、 避 難 した 回 答 者 が 4人 だ け で あ っ た た め と考 え られ る 。 図 2.

7に

避 難 場 所 を示 す 。

(2)

避難理 由

避 難 理 由 (総 回 答 数 の 平 均 )を み る と 、 「 ラ イ フ ラ イ ン が 寸 断 さ れ 生 活 に 支 障 を きた した 為 」 が 47%と 最 も多 く、 次 い で 「 交 通 網 が 寸 断 さ れ 通 勤 、 通 学 に支 障 を き た した 為 」 が 19%と な っ て い る 。 図 2.8に 避 難 理 由 を示 す 。

(3)

自宅 に 戻 つ た理 由

自宅 に 戻 っ た理 由 を 見 る と 避 難 理 由 と 対 応 した 回 答 と な っ て お り、 「 ラ イ フ ラ イ ンの 復 旧 」 を理 由 に 自宅 戻 っ た 住 民 が 51%、 「 交 通 網 の 復 旧 」 を理 由 に 自宅 戻 っ た 住 民 が 15%と な っ て お り、 ラ イ フ ラ イ ン が 住 民 生 活 に如 何 に大 き な 影 響 力 を持 っ て い るか が 分 か る 。 図 2.9に 自宅 に 戻 っ た 理 由 を示 す 。 一 方 、 避 難 しな か っ た 住 民 の 理 由 と し て は 、 殆 どの 回 答 者 が 建 築 駆 体 自体 の 損 壊 が 小 さ く、 安 全 で あ る と判 断 した こ と を理 由 に 挙 げ て い る 。

(4)

ラ イ フ ラ イ ンの 復 旧 と避 難 世 帯 数 の 推 移

地 震 発 生 当 日か ら 3カ 月 間 の 避 難 世 帯 数 の 推 移 と ラ イ フ ラ イ ンの 復 旧 時 期 を 図 2.10に

示 す 。 避 難 の ビ ー ク が 地 震 発 生 当 日 で は な く約 1週 間 か ら 10日

後 で あ る こ と、 ラ イ フ ラ イ ン の 復 旧 に 伴 っ て 避 難 世 帯 数 が 大 幅 に 減 少 して い る こ とが 分 か る 。 こ れ らの こ とか ら も、 ラ イ フ ラ イ ン の 寸 断 が 集 合 住 宅 住 民 の 避 難 した 最 大 の 理 由 で あ っ た こ とが 分 か る 。

57


100%

50%

O% 一 E z

A r ト レ

B F L L

C 膨F ヒ 厖

D F 卜 L

平均 E

□ 避難 しなかった

□ 避難 した

図 2.6

避難 世帯 の 害J合

100%

0%

A B

C D 平均

日学校 などの避難所 □親戚・ 知人の家 日 その他・ 不明 日会社 の施設 図 2.7

避難場所

58


0%

100%

20%

A B

C D 平均

日余震 の不 安 目交通網 の寸断 日 その他

ロ ライ フラインの寸断 ■生活 0教 育等の不安

図 2.8

0%

避難 理 由

20%

100%

A B

C D 平均

□余震 がお さまったため ロ ライフラインの復旧 目交通網 の復旧 ■通勤・ 通学のため 目 その他 図 2.

9

自宅に戻 った理由

59


40%

40%

30%

30%

20%

20%

10%

10%

0%

1

10

20

30

40

50

60

70

80

90日

0%

C

40% /Ч ス・ 30%

膠 1 じ

離 離 ,

К道 ン上ラ

リス

40% 30%

20%

20%

10%

10% 0%

0% 1

10

20

30

4010 5050 6060 7070 8080 90日 90日

図 2.10

2.3.3 (1) 1)用

1

10

20

30

40

50

60

70

80

ライ フライ ンの 復 旧時期 と避離 世帯 数 の 推移

ラ イ フ ラ イ ン機 能 停 止 期 間 に お け る 生 活 の 実 態 上 水 道 復 旧 まで の 生 活 の 実 体 途別 の水 の不 足 感 の変 化

用 途 別 の 水 の 不 足 感 の 変 化 (総 回 答 の 平 均 )を 図 2。

11に 示 す 。 応 急 給 水

車 が 来 る ま で の I期 にお い て は 、 水 の 不 足 感 の 大 き い 方 か ら順 に 、 風 呂

94)、

90日

洗濯

(-1.85)、

炊事

(-1.53)、

トイ レ

(-1.46)、

(-1. 飲料

(-0。 94)と な っ て お り、 全 て の 用 途 に お い て 水 が 不 足 し て い る こ と が 分 か る 。 しか し、 給 水 車 に よ る 水 の 配 給 が 定 着 し た Ⅱ期 に お い て は 、 水 の 配 給 に よ り飲 料 水 と炊 事 用 水 の 不 足 感 は あ る 程 度 解 消 さ れ 、 風 呂 ・ 洗 濯 ・ トイ レ の 生 活 用 水 及 び 雑 用 水 の 不 足 感 が 相 対 的 に 目立 っ て く る 。 ■期 に お け る 水 の 不 足 感 は 大 き い 方 か ら順 に 、 風 呂

39)、

炊事

(+0.24)、

(-1.24)、 飲料

洗濯

(+0.98)と

(-1.02)、

(-0.

な っ て お り、 飲 料 水 と 炊 事

用 水 は (十 )に 転 じて お り不 足 感 は か な り解 消 して い る 。

60

トイ レ


飲料 I期 飲料 Ⅱ期

1.5

炊事 I期 炊事 Ⅱ期

風呂 I期 風呂Ⅱ期 -0.5

洗濯 I期 洗濯 Ⅱ期

-1.5

トイ レ I期 トイレⅡ期

I期 F常 に不足 していた ロ ヲ 国 ある程度足りていた

国 ある程度不足 していた 田 足りていた

Ⅱ期

飲料 ―― 炊事 一 ― …o… 洗 濯 …x- - トイ レ

風呂

1期 :応 急給水車 が来 るまでの時期 Ⅱ期 :水 の配給が定着 した時期

図 2.11

2)

用途別 の水 の不 足感 の変 化 (総 回答の平均 )

用 途 別 の 水 の不 足 感 の 解 消 時 期

水 の 不 足 感 が あ る 程 度 解 消 した 時 期 を 見 て み る と 、 飲 料 水 と炊 事 用 水 は 地 震 発 生 後 5日 か ら 10日 の 比 較 的 早 い 時 期 に 不 足 感 が あ る 程 度 解 消 した と 回 答 し た 住 民 が 多 か っ た が 、 風 呂 ・ 洗 濯 の 生 活 用 水 と トイ レの 雑 用 水 つ い て は 、 上 水 道 が 復 旧 す る 時 期 まで 不 足 感 を 感 じて い た 住 民 が 多 か っ た 。 地 震 発 生 当 日か ら 約 2カ 月 の 間 に 「 不 足 感 が あ る 程 度 解 消 した 」 と 回 答 した 住 民 の 割 合 を 5日 毎 に 累 積 した 結 果 を 、 図 2.12用

途 別 の水 の不 足 感 の解 消 時 期 に示 す 。

61


一一一一 飲料 ― 一 一 炊事 ーーーーーー風呂

′ 「 メ イ ジ / ´

1/`

80% /

/

60%

,

/′ 60%

′ /

40%

//

γ彩́F争メ

/

′ 彰f/1 0%

′ ′ノ

//′

`ノ ,t ii ,i

上水道復旧

0%

20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 日 15 25 35 45 55 65

1~ 10~

5

r― /′

ノ ′

/ノ ′ ノ r 20% メ

´ ク・ ノ ′

′ ′

ノ ′ 7多

80%

′ ′

//

20%

~´ - ~ 戸 ′ ′ ′ 3j多 ′

100%

100%

40%

~~~~洗 濯 一 ― ~ト イ レ

1~ 10^´

5

15

20- 30- 40- 50- 60~ 25 35 45 55 65

水 の不足 感の解消時期図 (B)

水の不足 感 の解消時期図 (A)

100%

100%

~

80%

80%

60%

60% │

40% 2

¨ ―― オ

~~~││ /″

/____・ 20%

~-

/z′

40%

′ ノ ′ ノ ′ / ′ 一― ′ /′

′ ′

=ツ

'ォ

′二 rf__」

0%

幌 1~

5

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

15

25

35

45

55

65

1~

5

10- 20- 30- 40- 50- 60~ 15

25

35

45

55

水 の不足 感の解消時期図 (D)

水の不足感の解消時期図 (C)

図 2.12 用途別の水 の不足感の変化 (総 回答 の平均 )

62

65


(2) 1)

電 気 ・ ガ ス 復 旧 まで の エ ネ ル ギ ー の 必 要 性 電 気 機 器 の必 要 性

電 気 機 器 の 必 要 性 (総 回 答 の 平 均 )に つ い て 調 査 した 結 果 を、 図 2. 示 す 。 「 テ レ ビ 。ラ ジ オ 」 が -1.73、

13に

「 住 戸 内 照 明 」 が -1. 64と 必 要 感

が 高 く、 「 冷蔵 庫 」 が -1.05、 「 調 理 用 器具 」 が -0。

98、 「 暖 房 」 が ―

0.93で こ れ ら に次 い で 高 い 。 2)

ガス機 器 の必 要 性

ガ ス 機 器 の 必 要 性 (総 回 答 の 平 均 )に つ い て 調 査 した 結 果 を、 図 2。 示 す 。 ガ ス 機 器 に つ い て は 、 「 風 呂 」 が -1.76と

14に

必 要 感 が 高 く、 「 ガ ス レ

ン ジ 」 が -1.11と 次 い で 高 い 。 電 気 機 器 は ガ ス 機 器 に 比 べ て 相 対 的 に必 要 感 が 高 か っ た 。

3)

照明の必要性

照 明 の 必 要 性 (総 回答 の 平 均 )を 図 2.15に 地震発 生直後 が -1.66と

示す。

(I期 )に お い て は 、 「 非 常 照 明 (非 常 用 誘 導 灯 )」

の必 要 性

最 も高 く、 こ れ に 劣 らず 「 住 戸 内 照 明 」 の 必 要 性 が -1.61と

高 く、 次 い で 「 廊 下 な ど の 屋 内 共 有 部 分 の 照 明 (通 路 照 明 )」 の 必 要 感 が -1.

51と 高 か つ た 。 こ れ に 対 して 、 「 屋 外 照 明 」 の 必 要 感 は -0.61と

高 くな

い 。 今 回 の 地 震 は 明 け 方 に 発 生 した た め 、 住 戸 内 の 照 明 が 非 常 に重 要 で あ つ た こ とが 分 か る 。 電 力 復 旧 まで の 時 期 (Ⅱ 期 )に お い て は 、 「 非 常 用 照 明 」 の 必 要 感 は -1.0

4と 低 く な り、 逆 に 、 「 住 戸 内 照 明 」 の 必 要 感 が -1.45、

「廊 下 な どの 屋

内 共 有 部 分 の 照 明 」 の 必 要 感 が -1.20と 相 対 的 に 高 くな る 。

4)

ガス機 器 の代 用 手 段

ガ ス の 供 給 停 上 期 間 中 に お け る ガ ス 機 器 の 代 用 手 段 に つ い て の 調 査 結 果 (総 回 答 の 合 計 )を 図 2。

16~ 17に 示 す 。

風 呂 の 代 用 手 段 と し て は 「 銭 湯 を利 用 」 が 26%、 「 ガ ス の 出 る 知 人 宅 で も ら い 湯 」 が 20%、 「 お 湯 で 体 を拭 くだ け」 が 16%と な っ て い る が 、 「 代 用

63


方 法 が な い 」 と答 え た 住 民 が 多 い 上 に 空 欄 の ま ま の 回 答 も多 く、 全 体 の 数 値 が

小 さ くな っ て い る 。 ガ ス レ ンジ の 代 用 手 段 と して は 「 カ セ ッ ト コ ンロ 」 が 71%と 最 も多 く、 次 い で 「 ホ ッ トプ レ ー ト」 が 17%、 「電 子 レ ンジ 」 が 14%の 順 とな っ て い る 。 ガ ス レ ンジ の 代 用 手 段 は重 複 回 答 が 多 く、 合 計 が 100%を

0% w・ ラジオ 照明 0住 戸 内

20%

40%

60%

80%

100% ミぶi苺 ミ

, ―

越 えて い る。

:

│ミ :

冷蔵庫 調理用器 具

:ミ 111111ヽ

│:│1l11ミ

ミ ミ ミ :華 ヽ ミミ ミ 彗

ミ縫墨ミ 卦淋滋朧

:

=二

暖房

ミ│

~

そ の他

_

:ヽ itiミ :ミ I:lil

-2.00

-1.00

0.00

1.00

□ 非常に必要

□ 必要

圏 あまり必要 ない

国 必要ない

2.00

一◆― 評価点 図 2.13 電気機器 の必要性 (総 回答 の平均 )

64


40%

100%

篠 :蒸 華

ヽ \ 給湯器

:::│::,II)::1

/ く

ガス レンジ

\ 暖房

\ その他 -2.00

-1.00

0.00

□ 非常に困った

1.00

2.00

団 少 し困った

国 あまり困らなかった 国 困らなかった 一◆― 評価点 図 2.

14 ガ ス機器 の必要性 (総 回答 の平均

0% 体 を拭 くだけ 仮設風 呂 を利用 銭湯 を利用 ガスの出 る地域の 知人宅 で も らい湯 その他

図 2.

20%

16 風 呂の代用手段 40%

60%

カセッ トコンロ 電子 レンジ 電気 コンロ ホ ッ トブ レー ト その他 の電気器具 その他

図 2.17

ガス レンジの代用手段

65

)


非常用照明 I期 非常用照明 Ⅱ期

住戸内照明 I期 住戸内照明 Ⅱ期

□ 非 常 に必要 圏 あ ま り必要 ない 国 必要

通路照明 I期

目 必要 ない

通路照明 Ⅱ期 I期 :地 震発生直後 Ⅱ期 :電 力復旧まで

2

1.5

1

0.5

― ――

0

屋 外照明 住 戸 内照 明 通路照明 非 常用照明

I期 :地 震発生直後

-0.5

Π期 :電 力復旧 まで

-1

-1.5

- 2

I期

Ⅱ期

図 2.15 照明 の必要性 (総 回答 の平均 )

66


(3)

エ レベ ー タ ー の 必 要 性

エ レベ ー タ ー の 必 要 性 に つ い て は 、 地 震 発 生 直 後

(I期 )と 電 力 が 復 旧 し エ

レ ベ ー タ ー が 復 旧 す る ま で の 期 間 (Ⅱ 期 )に 分 け て 調 査 した 。 エ レベ ー タ ー の 必 要 性

(総 回 答 の 平 均 )を 図 2。

18に 、 エ レ ベ ー タ が 使 え

な くて不 便 だ っ た こ と (総 回 答 の 平 均 )を 図 2.19に 地震発生 直後 の避難期

示 す 。 エ レベ ー タ ー は 、

(I期 )よ り、 電 力 復 旧 ま で の 時 期 (Ⅱ 期 )に お い て 必

要 性 が 若 干 高 く、 「 非 常 用 エ レ ベ ー タ ー な ど 一 部 の エ レ ベ ー タ ー が 動 い て い れ ば 良 い」

(63%)お

よ び 「 全 て 動 い て な い と困 る 」

(22%)を

合 計 す る と、

85%前 後 の 住 民 が エ レベ ー タ ー の 必 要 性 を 感 じて い た 。 停 電 期 間 中 に エ レ ベ ー タ ー が 使 え な くて 困 つ た こ とで は 、 「 水 の 運 搬 」 が 81%で の 運 搬 」 が 57%と

次 い で 多 く、 「 外 出 の た め の 昇 降 」

最 も 多 く、 「 物 資

(35%)お

よび そ の

他 は少 な か った 。 以 上 か ら、 エ レ ベ ー タ ー の 必 要 感 は I期 の 避 難 期 よ り Ⅱ 期 の 生 活 の 場 に お い て 高 い こ とが 分 か っ た 。

0%

20%

40%

60%

80%

100%

電 力復 旧まで 地 震発生直後

□ すべて動いていないと困る 国 一部が動いていればよい 国 動かなくてもよい 図 2。

国 その他

18 エ レベー ターの必要性 (総 回答の平均 0%

20%

40%

60%

80%

)

100%

水 の運搬 物 資の運搬 トイレの ための昇降 情報 の ための昇降 外出の ための昇降 特に困 らなかった その他

図 2.19

エ レベ ー ター を使 えな くて不便 だったこと (総 回答の平均 )

67


(4)

ごみ 回収 の必 要 性

ご み の 回 収 は 、 地 震 発 生 か ら約 2週 間 程 度 滞 つ た と こ ろ が 多 か っ た が 、 地 震 が 冬 期 で あ つ た こ とや ご み そ の も の が 余 り出 な か っ た こ と な どか ら、 あ ま り困 らな か っ た とい う結 果 が 出 て い る。 ご み 回 収 の必 要 性 (総 回答 の 平均 )を 図 2。

20に 示 す 。 ご み 回 収 の 必 要 性 に つ い て 、 地 震 発 生 直 後 か ら 1週 間 ま で の 期 間 (I期 )と 地 震 発 生 後 1週 間 か ら 2週 間 ま で の 時 期 (Ⅱ 期 )に 分 け て 調 査 し た が 、 I期 、 Ⅱ期 共 に大 き な 傾 向 は 変 わ らず 、 可 燃 ごみ 、 不 燃 ご み に つ い て は 約

7割 ~ 8割 程 度 の 住 民 が 、 粗 大 ご み 、 生 ご み に つ い て は 約 6割 ~ 7割 程 度 の 住 民 が 「 全 く困 ら な か っ た 」 又 は 「 あ ま り困 らな か っ た 」 と 回 答 して い る 。 た だ し、 地 震 に よ る 倒 壊 物 な どの粗 大 ご み が 集 積 場 に 山積 み に な っ て い た 集 合 住 宅 が 見 られ た よ う に 、 粗 大 ご み に つ い て I期 に お い て 約 40%強 の 住 民 が 「 非 常 に 困 つ た 」 又 は 「 少 し困 つ た 」 と 回 答 して い る 。 又 、 生 ご み に つ い て は 夏 期 な ら困 つ た だ ろ う と い う回 答 もあ っ た 。 ご み の 処 分 に つ い て は 、 「 ご み を 自宅 の ベ ラ ン ダ に 溜 め て い た 」 、 「 ごみ の 集 積 場 に 出 した 」 、 「 ご み そ の も の が あ ま り出 な か っ た 」 、 あ る い は 「 ご み を 出 さ な い よ う に した 」 と回 答 し た 住 民 が 殆 どで あ つ た 。

粗大ごみ I期 粗大ごみⅡ期 生ごみ

I期

生ごみ

Ⅱ期

□ 非常に困った 国 特には困らなかった

可燃ごみ I期

□ 少 し困った

可燃ごみⅡ期 不燃ごみ I期 不燃ごみⅡ期

図 2.20

ごみ回収 の必要性 (総 回答の平均 )

68


(5)情

報 の必 要性

地 震 発 生 直 後 と 地 震 発 生 か ら 1週 間 後 に お い て 、 住 民 が 求 め た 情 報 に つ い て の 調 査 結 果 を 図 2.21に

示す。

地 震 発 生 直 後 に 住 民 の 要 求 が 高 か っ た 情 報 と して は 、 「 水 ・ 食 料 等 の 情 報 」 が 88%、 「 交 通 情 報 」 が 80%、 が 69%、

「 個 人 の 安 否 」 が 79%、

「 地 震 の 規 模 ・ 震 源 地 」 が 55%で

「 余 震 の 見 通 し」

あ り、 そ れ 以 外 に 「 商 店 ・ 病 院

の 情 報 」 と 「 入 浴 ・ トイ レ の 情 報 」 が そ れ ぞ れ 約 40%程

度であった。

地 震 発 生 か ら 1週 間 後 に な る と 、 あ る 程 度 情 報 が 伝 わ っ た た め 全 体 的 に 数 値 は 低 くな る が 、 こ の 時 期 に 住 民 の 要 求 が 高 か っ た 情 報 は「 交 通 情 報 」 が 83%、 「 水 ・ 食 料 等 の 情 報 」 が 62%、 の 情 報 」 が 56%等

「 余 震 の 見 通 し」 が 61%、

「 入 浴 ・ トイ レ

とな っ て い る。

地 震 発 生 直 後 よ り 1週 間 後 の 方 が 住 民 の 要 求 が 高 か った 情 報 は 、 「 交 通 情 報 」 、 「 入 浴 ・ トイ レ の 情 報 」 、 「 イ ン フ ラ の 復 旧 見 通 し」 、 「 物 質 配 給 の 情 報 」 、 「 政 府 。自治 体 の 情 報 」 と な っ て い る 。 以 上 よ り、 地 震 へ の 不 安 が 小 さ く な る に 従 い 、 よ り生 活 に 密 着 し た 情 報 へ の 要 求 が 増 して い る こ とが 分 か る 。 100% 避難経路・ 避難場 所 個人 の安否 余震 の見通 し 地震の規模 。震源地 交通情 報

圏 地震発生直後

商店・ 病 院 の情報

□ 1週 間後

水・ 食料等 の情報 物資 の配給 の情報 入浴・ トイ レの情報 政 府・ 自治体 の情報 フ イン ラの復 旧見通 し

図 2.21 住民 が求 めた情報 の調査結果

69


(6)

ラ イ フ ラ イ ン全 般 の 必 要 性

ラ イ フ ラ イ ン全 般 の 必 要 性 (総 回 答 の 平 均 )を 図 2.22に

示す。 ライフ ラ

イ ン 全 般 に つ い て の 必 要 性 で は 上 水 道 、 電 気 及 び 下 水 道 の 必 要 性 が 特 に 高 く、 次 い で ガ ス 、電 話 、 ご み 回収 の 順 とな っ て い る 。 尚 、 ガ ス につ い て は 集 合 住 宅

Dの み の 調 査 結 果 で あ る 。

上水道

下水道 電気 電話 ごみ ガス

□ 非常に必要

図 2.22

□ 必要

圏 特には不要

ライフライ ン全般 の必要性 (総 回答 の平均 )

70


2.3.4

非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 に対 す る 住 民 の 意 見

非 常 時 に 電 気 ・ ガ ス ・ 水 。電 話 な どの ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 した 場 合 を 想 定 して 、 集 合 住 宅 に お い て 生 活 の 維 持 を可 能 とす る た め に 、 あ る 程 度 の 電 気 。 水 ・ 熱 。通 信 機 能 を確 保 で き る 設 備 機 能 を備 え た 「 非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 」 を 示 した上 で 、非 常 時 自立型 集 合 住 宅 につ い て ア ンケ ー ト調 査 を実 施 した 。 図 2.

23~ 25に そ の 結 果 を示 す 。 非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 に つ い て は 、 ほ ぼ 全 て の 住 民 が 「 非 常 に大 切 」

%)ま た は「 大 切 」 (20%)と

(79

回 答 して い る 。

非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 構 築 の た め の 設 備 ・ 施 設 の 費 用 負 担 に つ い て は 、 「 あ る 程 度 な ら費 用 が 掛 か っ て も住 み た い 」 が 79%と 最 も多 く、 「 費 用 が 掛 か っ て も住 み た い 」 の 9%と 合 わ せ る と 88%の 住 民 が 、 費 用 を負 担 して も非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 に 住 み た い と 答 え て い る 。 ま た 、 そ の た め の 費 用 を公 的 機 関 が 補 助 す る こ と に つ い て は 、 「 一 部 補 助 す べ き で あ る 」 が 68%と 最 も 多 く、 「 全 額 補 助 す べ きで あ る 」 が 22%と 次 い で 多 く、 90%の 住 民 が 何 らか の 公 的 機 関 に よ る 補 助 が 必 要 と 考 え て い る 。 以 上 よ り、 非 常 時 に ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 す る こ と を 想 定 す る と 、 生 活 機 能 維 持 の た め に あ る 程 度 の 電 気 ・ 水 ・ 熱 の 供 給 と通 信 が 可 能 な 「 非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 」 に つ い て は 、 殆 どの 住 民 が 大 切 と考 え て い る こ と を 明 らか に した 。

71


あま り大切 でな い

1%

図 2.23 非常時 自立型集合住宅について 費用 がかかるな ら 住 みた くない

その他

8%

費用 がかか って も 住 みたい

9%

あ る程 度 な ら 費用 が か か って も 住 み たい

79%

図 2.24

非常時 自立型集合住宅 の 費用負担 について

その他

4%

一部 を補助 すべ き

68% 図 2.25

公的機 関の補助 につい て

72


2.4

結論

本 章 で は 、 集 合 住 宅 が 高 度 に 集 積 した 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お い て 、 非 常 時 に ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 した 場 合 の 生 活 機 能 へ の 影 響 と そ の 対 策 と して の 供 給 処 理 系 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 を 明 らか に す る た め に 、 兵 庫 県 南 部 地 震 被 災 地 の 高 層 集 合 住 宅 300戸

の 住 民 を対 象 に ア ン ケ ー ト調 査 を 行 っ た 。 調 査 は 、

住 民 の 避 難 状 況 や ラ イ フ ラ イ ン機 能 停 止 時 に お け る住 民 の 生 活 感 の 実 体 に つ い て 行 い 、 ま た 、 ラ イ フ ラ イ ン機 能 停 止 時 に お い て あ る 程 度 の 電 気 ・ 水 ・ 熱 の 供 給 と 通 信 が 可 能 な 非 常 時 自 立 型 集 合 住 宅 を示 し、 非 常 時 自 立 型 集 合 住 宅 に つ い て ア ン ケ ー ト調 査 を実 施 し た 。 本 章 の 結 論 を 以 下 に 示 す 。

(1)調

査 し た 集 合 住 宅 で は 、 建 築 駆 体 自体 の 損 壊 は 小 さ か っ た に も か か わ

らず 、 約 3割 か ら 5割 の 住 民 が 避 難 した が 、 住 民 が 避 難 し た 最 大 の 理 由 は 、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 し生 活 に 支 障 を き た した こ と に よ る 。 つ ま り、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 は 住 民 生 活 に お い て 大 変 重 要 な 役 割 を担 っ て い る こ と を 示 して い る 。

(2)

避 難 の ビ ー ク は 、 地 震 発 生 直 後 で は な く約 1週 間 か ら 10日 後 で あ り、

ラ イ フ ラ イ ン の 復 旧 に 伴 っ て 避 難 世 帯 数 は 減 少 して い る 。

(3)

ラ イ フ ラ イ ン 機 能 停 止 時 に 必 要 性 の 特 に 高 い も の は 、 以 下 の 通 りで あ っ

た。 ・ 水 系 で は 応 急 給 水 車 が 来 る ま で の I期 と水 の 配 給 が 定 着 した Ⅱ期 を通 じ て 、 風 呂 ・ 洗 濯 の 生 活 用 水 の 必 要 性 が 特 に高 い 。 I期 で は 炊 事 用 水 と トイ レ の 必 要 性 が 特 に高 い 。 生 活 用 水 ・ 雑 用 水 に つ い て は 上 水 道 が 復 旧 す る 時 期 ま で 不 足 感 を 感 じて い た 住 民 が 多 か っ た 。 つ ま り、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 停 止 時 に は 、 水 系 の う ち 風 呂 ・ 洗 濯 ・ トイ レ の 生 活 用 水 の 必 要 性 が 特 に 高 い こ と を 示 して い る 。 ・ エ ネ ル ギ ー 系 の 中 で 、 電 気 機 器 に つ い て は 、 テ レ ビ・ ラ ジ オ と 住 戸 内 照 明 の 必 要 性 が 特 に 高 く、 ガ ス 機 器 で は 風 呂 の 必 要 性 が 特 に 高 い 。 電 気 機 器 が ガ ス 機 器 に 比 べ て 相 対 的 に必 要 性 が 高 か っ た 。 照 明 で は 地 震 発 生 直 後 の 非 常 用 照 明

73


お よ び 住 戸 内 照 明 と廊 下 等 の 屋 内 共 有 部 分 の 照 明 の 必 要 性 が 特 に 高 い 。 ガ ス 機 器 の 代 用 手 段 と して 、 電 気 の 復 旧が 速 か っ た こ とか ら電 気 機 器 が 多 く使 われ た 。 ・ エ レ ベ ー タ ー は 、 85%前 後 の 住 民 が 一 部 運 転 を含 め て そ の 必 要 性 を感 じ て お り、 水 の 運 搬 で 約 80%、 物 質 の 運 搬 で 約 60%の 住 民 が エ レ ベ ー タ ー が 使 え な くて 困 つ た と 感 じて い る 。 ・ ご み の 回収 に つ い て は 、 地 震 が 冬 期 で あ っ た こ とや 、 ご み そ の も の が 余 り 出 な か つ た こ とか ら、 余 り困 っ て な い 。 た だ し、 地 震 発 生 直 後 に お い て は 粗 大 ご み の 処 理 に約 40%強 の 住 民 が 困 っ て い た 。 ・ 要 求 が 特 に高 い 情 報 と して は 、 地 震 発 生 直 後 に お い て は 「 水 ・ 食 料 等 の 情 報 」 、 「 交 通 情 報 」 、 「 個 人 の 安 否 」 、 「 余 震 の 見 通 し」 が あ り、 1週 間 後 に な る と「 交 通 情 報 」 が あ る 。 一 方 、 地 震 発 生 直 後 よ り 1週 間 後 の 方 が 住 民 の 要 求 が 高 か っ た 情 報 と して は 、 「 交 通 情 報 」 、 「 入 浴 ・ トイ レの 情 報 」 、 「 イ ン フ ラ の 復 旧 見 通 し」 、「 物 質 配 給 の 情 報 」 、 「 政 府 。自治 体 の 情 報 」 と な っ て お り、 時 間 の 経 過 と共 に地 震 へ の 不 安 が 薄 ら ぐ に つ れ 、 よ り生 活 に 密 着 した 情 報 へ の 要 求 が 増 した こ とが 分 か る 。

(4)

ラ イ フ ラ イ ン全 般 の 必 要 性 で は 上 水 道 が 最 も高 く、 電 気 、 下 水 道 の 順

に 高 い 。 ガ ス が こ れ らに次 い で 高 い 。 つ ま り、 非常 時 にお い て は 脆 弱 な 都 市 イ ン フラ に依 存 しな い 水 系 。エ ネ ル ギ ー 系 を 中 心 と した 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 が 高 い こ と を示 して い る 。

(5)

非 常 時 に ラ イ フ ラ イ ン機 能 が 停 止 した場 合 を想 定 して 、 集 合 住 宅 に お

い て 生 活 の 維 持 を可 能 に す る た め に 、 あ る 程 度 の 電 気 ・ 水 。熱 お よ び 通 信 機 能 を確 保 で き る設 備 機能 を備 え た 「 非 常 時 自立 型集 合 住 宅 」 を住 民 に示 した上 で 、 ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施 した 。 「 非 常 時 自立 型 集 合 住 宅 」 に つ い て は 殆 どの 住 民 が 「 大 切 」 と答 え て い る 。

以 上 よ り、 兵 庫 県 南 部 地 震 の 被 災 者 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査 結 果 か ら、 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お い て は 、 脆 弱 な 都 市 イ ン フ ラ に 依 存 し な い 非 常 時 自立 型 地

74


区 施 設 の 必 要 性 は 高 く、 特 に 、水 系 (上 水 道 ) お よ び エ ネ ル ギ ー 系 (電 気 )の 自立 化 の 必 要 性 が 高 い こ と を 明 らか に した 。

75



第 3章

高 度都 市機能 集積 地 区 にお け る 新 しい 地 区施設 の 機 能 に関す る研 究



第 3章

高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る新 しい 地 区 施 設 の 機 能 に 関 す る研 究

3.1

概要

大 都 市 圏 内 の 地 区で は、 過 密 化 、環 境 の悪 化 、 災 害 危 険 の増 大 、生 活 関連 都 市 施 設 の 整 備 等 、 さ ま ざ ま な 都 市 問 題 が 生 じて い る 。 こ れ は 無 秩 序 な ス プ ロ ー ル に よ る 新 市 街 地 の 形 成 と既 存 市 街 地 の 過 密 化 に 起 因 して い る 。 こ の 様 に 、 市 街 地 の 形 成 を 適 切 に コ ン トロ ー ル す る た め の 都 市 計 画 は 、 現 状 に お い て 十 分 に 機 能 して い な い 。 ま た 、 建 築 計 画 は 敷 地 内 の 建 物 の 構 造 や 建 築 設 備 に 関 す る 最 低 基 準 を規 制 す る もの で 、 そ の 集 合 と し て の 地 区 レ ベ ル の 市 街 地 形 成 に は 余 り 寄 与 して い な い 。 こ の よ う な 背 景 か ら都 市 計 画 と 建 築 計 画 の 相 互 補 完 が 十 分 に 機 能 せ ず安 全 性 や効 率 性 に欠 け る点 が 多 い。 また 、 地 区 計 画 は地 区 内 の土 地 利 用 や 地 区 施 設 、 建 築 物 等 に 関 す る 計 画 で あ り、 都 市 施 設 を補 完 し建 築 施 設 (基 本 的 に建 築 設 備 を指 す )を 一 体 的 に 統 括 す る と い う 意 味 で は 十 分 と は 言 え な い 。 そ こ で 都 市 施 設 の 機 能 を 補 完 し、 建 築 施 設 の 機 能 を 一 体 的 に統 括 す る 新 し い 機 能 を持 つ 地 区 施 設 が 必 要 と な る 。 本 章 で は こ う した 点 を 踏 ま え て 、 都 市 機 能 が 高 度 に 集 積 し都 市 イ ン フ ラ ヘ の 負 荷 が 地 区 の 中 で も特 に 高 い 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お い て 、 都 市 施 設 の 機 能 を 補 完 す る 地 区 施 設 の 新 し い 概 念 と そ の 機 能 を 提 案 し、 都 市 や 建 築 に 係 わ る 有 識 者 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査 か ら、 導 入 す べ き地 区 施 設 項 目 と そ の 機 能 を 明 ら か に した 。 そ の 結 果 、 提 案 した 地 区 施 設 項 目 13項 目 の う ち 導 入 す べ き 地 区 施 設 は 、 必 要 性 の 高 い 順 に 共 同溝 、 電 力 供 給 、 災 害 対 策 、 熱 供 給 、水 供 給 、 廃 棄 物 処 理 、 廃 棄 物 収 集 の 7施 設 で あ っ た 。 ま た 、 提 案 した 61項 目 の う ち 導 入 す べ き機 能 は 44項 目で 、 そ の 半 数 が 上 位 に 位 置 づ け ら れ る 非 常 時 対 応 機 能 10項 目、 共 同 溝 2項 目、 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 軽 減 機 能 4項 目、 未 利 用 エ ネ ル ギ ー 活 用 機 能 3 項 目、 廃 棄 物 管 路 収 集 機 能 3項 目で あ っ た 。 以 上 、 新 た に 導 入 す べ き地 区 施 設 や 非 常 時 に地 区 内 で 対 応 で きる機 能 の 重 要

76


性 等 、新 しい 地 区施 設 の あ り方 を提示 した。

3.2

本 章 で 扱 う地 区

新 し い 地 区 施 設 の 機 能 を研 究 す る 上 で 、 本 章 で は 高 度 都 市 機 能 集 地 区 に つ い て 検 討 した 。 そ の 理 由 は 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 は 、 業 務 、 商 業 、 宿 泊 、 住 宅 等 の 都 市 機 能 が 集 積 した 地 区 で あ り、 供 給 処 理 機 能 へ の 負 荷 や 環 境 管 理 ・ 防 災 管 理 機 能 へ の 要 求 が 地 区 の 中 で も特 に 高 く、 都 市 施 設 の 機 能 を 補 完 す る 新 し い 地 区 施 設 の 必 要 性 が 高 い と考 え た か ら で あ る 。 図 3.1に

、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る新 しい 地 区 施 設 の 位 置 付 け の 概

念 を示 す 。 こ の 図 は 都 市 施 設 の み に 依 存 した 従 来 の 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 と 、 都 市 施 設 と新 し い 地 区 施 設 を併 用 した 新 た に 開 発 さ れ る 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 との 間 の 、 平 常 時 と非 常 時 に お け る 施 設 の 対 負 荷 能 力

注 4)を

比 較 した 概 念 図

で あ る。 従 来 の 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 で は 大 部 分 を 都 市 施 設 に 依 存 す る た め に 、 地 区 の 要 求 す る 負 荷 量 に 合 わ せ て 都 市 施 設 容 量 を 増 強 し て 対 応 して き た 。 そ の た め 従 来 の高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 にお い て は周 辺 地 区 に比 べ て 大 きな 施 設 能 力 と設 備 投 資 を必 要 と し た 。 施 設 の 対 負 荷 能 力 は 、 平 常 時 は 1に 保 た れ て い る が 、

1995年

1月 に発 生 した 兵 庫 県 南 部 地 震 の 実 体 に み る よ う に 、 大 地 震 等 の 非

常 時 に お い て は 0に 近 い 値 と な る 。 つ ま り、 都 市 施 設 の 整 備 に 多 大 な 投 資 が 必 要 と な る に も拘 わ らず 、 非 常 時 に お い て は ラ イ フ ラ イ ン は 極 め て 脆 弱 で あ る こ とが 分 か る 。 提 案 す る新 しい 地 区 施 設 は 、 再 開 発 等 に よ っ て 新 た に 開 発 さ れ る高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 を対 象 と し、 こ の 地 区 に お い て 発 生 す る 供 給 処 理 機 能 へ の 負 荷 増 分 は 、 新 た に こ の 地 区 の 地 区 施 設 で 補 完 す る も の で あ る 。 こ れ に よ り平 常 時 の 供 給 能 力 は 1を 保 持 で き 、 非 常 時 は 地 区 の 要 求 負 荷 量 に 見 合 う供 給 能 力 を 確 保 で き る 上 に 、 都 市 施 設 の 負 担 増 を 抑 制 で き「 公 」 の 負 担 軽 減 を 図 る こ と が で き る 。

77


地区の負荷量 一 … … 都市施設能力 地 区 の 負 荷 量 と 施 設 能 力

施 設 の 対 負 荷 能 力

新 しい地 区施設 を併用 した高度集積地区

新 しい 地区施設 育ヒカ

平 常 時

択 選 龍 超

→ 像 翌 恒 α 鞍

よる自立分

非 常 時

→ 像 翌 恒 α 鞍

図 3. 1高 度集積 地 区 にお ける新 しい地区施設 の位置づ けの概念

78


3. 3 表 3.

16)。

新 しい 地 区 施 設 の 提 案

1に 現 状 の 都 市 施 設 と 提 案 す る 新 し い 地 区 施 設 の 関 係 を 整 理 した 文 献 現 状 の都 市 施 設 は 都 市 計 画 法 に よ り、 道 路 ・ 都 市 高 速 鉄 道 ・ 駐 車 場 。

自 動 車 タ ー ミ ナ ル 他 か ら な る 交 通 施 設 、 公 園 ・ 緑 地 ・ 広 場 。墓 園 他 か

らな る 公

共 空 地 、 水 道 。電 気 供 給 施 設 ・ ガ ス 供 給 施 設 ・ 下 水 道 ・ 汚 物 処 理 場 。ご み

焼 去ロ

場 他 か らな る供 給 施 設 又 は 処 理 施 設 、 河 川 ・ 運 河 他 か ら な る水 路 、 学 校 。 図書 館 。研 究 施 設 他 か ら な る 教 育 文 化 施 設 、 病 院 ・ 保 育 所 他 か ら な る 医 療 施 福 祉 施 設 、 市 場 と と畜 場 お よ び 火 葬 場 、 一 団 地 の 住 宅 施 設 、 一 団 地 の

設又 は

官公庁 施

設 、 流 通 業 務 団 地 、 そ の 他 政 令 で 定 め る 施 設 の 11施 設 に 規 定 さ れ て い る 本 章 で は 、 都 市 施 設 を 補 完 す る 新 し い 機 能 を 有 す る 地 区 施 設 と して 理 系 地 区 施 設 の 9施 設 と 環 境 管 理 系 地 区 施 設 の 4施 設 、 合 計 13の

、供給 処

地 区施 設 を

提 案 す る 。 具 体 的 に は 、 供 給 処 理 系 地 区 施 設 と して 、 供 給 処 理 機 能 を

補完す る

地 区 内水 供 給 施 設 、 地 区 内 電 力 供 給 施 設 、 地 区 内 下 水 処 理 施 設 、 地

区 内廃 棄 物

収 集 施 設、地 区内廃 棄物 処 理 施 設、 地 区内熱供 給施 設 、地 区内情 報

管理施設 、

地 区 内 共 同 溝 施 設 の 各 地 区 施 設 と交 通 施 設 機 能 を 補 完 す る 地

区 内 交 通 。物 流 管

理 施 設 の 各 地 区 施 設 を 提 案 す る 。 ま た 、 環 境 管 理 系 地 区 施 設 と して 機 能 と公 共 空 地 機 能 を 補 完 す る地 区 内 空 間管 理 施 設 お よび 地 区 内 そ の 他 機 能 と して 地 区 内 災 害 対 策 施 設 、 地 区 内 犯 罪 対 策 施 設 の

、交通施 設

環境 保 全施 設 、

各 地 区施 設 を提

案 す る。 新 し い 地 区 施 設 と し て 、 表 3.2に

3.3に

供 給 処 理 系 地 区 施 設 の 構 成 と機 能 を 、 表

環 境 管 理 系 地 区 施 設 の 構 成 と機 能 を示 す 。

79


表 3.1 現 状 の都市施設 と新 しい地区 施設 の 関係 現状 の都市施 設

道路 都市高速鉄道

新 しい地区施 設

文献 16) 区分

Ⅱ 地区内空間管理施設 地区内交通 。物流管理施設 I

交通施 設 駐車場

自動車 タ ー ミナル その他

地区内交通 。物流管理施設 I

公園 緑地

・地区内空間管理施 設

公共空地 広場 墓園 その他 水道

地区内水供給施設

電気供給 施 設 供給施 設 ガス供給施 設

地区内電力供給施 設

地区内下水処理施 設

処理施 設 汚物処理 場

地区内廃棄物収 集施設

ごみ焼却場

地区内廃棄物処理施 設 地区内熱供給施設 地区内情報管理施設

又は

下水道

その他

地区内共同溝管理施設

I I I

ll り

水路

'可 運河

その他

・地 区内空 間管理施 設

地 区 内環境保全施 設

地 区内災害対策施 設

地 区 内犯 罪対策施 設

学校 教育文化 図書館 施設

研究施設 その他

医 療施設 病 院

又は社会 保育所 福祉施設 その他 市場 と畜場 火葬場 ― 団地 の 住宅施設

―団地 の 官公庁施設 流通業務 団地 その他政 令 で定め る施 設

(注

)I供 給処理系 地区施設 Ⅱ 環境管理系地 区施設

80


表 3.

2供 給 処 理 系 地 区施 設 の 構 成 と機 能

共給処理施設

非常時機能

平常時機能

宏饉 インフラ遠断時の地区内への非常用電力供給

議供給施設

広城インフラ負荷軽減のための地区寵への電力供給 広城インフラ負荷軽減のための地区内への熱供給

水供給施設

イ層来雑株7k` 広雄 インフラ色荷軽減のための地区内への中水供網 (原 水雑排水 )広 城イ ンフラ遠断時の地区内全の中水供給

鵬力 僕 綸 施 設

吹域インフラ遠断時の地区内への熱供絶

_

省ェネ推進のための地区・周辺の未利用排姓 ( fF'kEF'k

) tEfr ,1 >2 - lfrGildDf:tbo$Efi rOSukfrS

(原 水雨水)広 城インフラ連断時の地区内へ中水供給 (

下水処理施設

__ *filf Hl[*

広城インフラ負荷軽減のための地区内での下水処理

廃棄物収集施設 :rrrl! tt*FFfllfi tr *. Z*lLaf=sOtrE6f, 走行車両削減のための地区内廃棄物管路収集 ごみリサイクルのための地区内廃棄物分別管路収集 斃棄物処理施設 広域インフラ負荷軽減のための地区内での廃棄物焼却

_

ft'k ffi 7k ) ftfr.,4 > 7 t iEff So)ttEd aOft Flrr(HG

広墟 インフラ遠断時の地区内 での下水処理

広城インフラ遠断時の地区内での廃棄物焼却

省エネ推進のための焼却排熱の熱供給利用 省エネ推進のための焼却排熱の発電利用 省書頭イ ヒのわめの地区内 リサイクルエ場 によるごみの再資源化 本 in・ 助 濡 管 理

地区内での訪間先 への案内、誘導

施設

地区内での車両の駐車場への案内、誘導 出反 ffi

情報管理施設

日初 鶴 反 め 槽 路 さ 捐 僣 都 の 根 供

rr nJ|tht?/t'!/^JttitHlil{l*d)*fdt

晰ヌ内物流の地 区内物流基地 を経 由 した宅配 に│● ヨ2^∥ ユa 地区内イベ ン ト情報の提供

地区、周辺地区の医療機関情報の提供 地区、周辺地区の準公共機関 (図 書館、学校等 )情 報のに 自治体の行政情報の提供 共同溝施設

力雷

各種配線配管の維持管理が道路下の直埋設 よ り容易

=非

常時の耐雷性 が直埋設 よ り強 い

地下空固有効利用の為の共同溝敷設

表 3.3環 境 管 理 系 地 区施 設 の構 成 と機 能 地区施設の機能

環境管理施設 環境保全施設

____ 非常時機能

平常時機能 地区、周辺の大気、水質汚染 、環境破壊 監視 と自治体 への報告

地区、周辺の汚染源や破壌源への指導 蝸皮肉田おへの■■形響評価の奥施 と自治体 への報告

目彙影響評価結果に基づ く地区内開発者への指導 地区周辺開発への環境影響評価の実施と自治体への報告 日量影響評価結果に基づ く地区周辺開発者への指導 地区内建物のエ ネルギー・水消費量の監視 当書

=瞥

四閻管理 施措

神結興 に基づ く地区内建物 への省エ ネ、省資源の指導

道路、公園 (緑 ・水 )等 確保の ための地区内地 権者の意見調整

地区内道路、公園 (緑 ・水 )等 の企画計画 地区内道路 、公回 (緑 ・水 )等 の建設 ′脇

■ ヽ笙 あ 絶 館 磐理

地権者の意見 に基づ く地区内土地利用 マスタープラ ンの作成 llL区

内土地利用マスタープランに基づく地権者の誘導

地区内違法建築物の監視 と自治体 への報告 HL区 内逮法建築物 に対する指導

地区内建築物の景観監視と自治体への報宣 地区内彗築物の景観監視に基ず く指導、規制 地区

災害対策施設

情報 (地 震 ・台風等 )収 集 と地区内への提供

"審 地区内災書の監視 災書情報 に基 づ く地 区内の人々への対応方法指導____ き桑牛時に地 区内の人々の豊難誘導 “ 災書発生時に公的機関との相互連絡 災書発生時に自衛敦助機関としての救助活動実施

犯罪対策施設

地区内道路 ・公園等公的空間の防犯監視と警察への通報 地区内建物の防犯監視と警察への通報 犯罪発生時 に 自衛警察機関 と しての対策活動

81


3。

3.1

平 常 時 にお け る 供 給 処 理 系 地 区 施 設 の 機 能

広 域 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 の た め の 機 能 と して 、 電 力 供 給 施 設 は 地 区 内 へ の 電 力 供 給 、 熱 供 給 施 設 は 地 区 内 へ の 熱 供 給 、 水 供 給 施 設 は 原 水 を 雑 排 水 と した 地 区 内 へ の 中水 供 給 、 原 水 を雨 水 と し た 地 区 内 へ の 中水 供 給 、 下 水 処 理 施 設 は 地 区 内 で の 下 水 処 理 、 廃 棄 物 処 理 施 設 は 地 区 内 で の 廃 棄 物 焼 却 の 各 機 能 を有 す る 。 省 エ ネ ル ギ ー 推 進 の た め の 機 能 と して 、 熱 供 給 施 設 は 地 区 ・ 周 辺 の 未 利 用 排 熱 の 熱 供 給 へ の 利 用 、 廃 棄 物 処 理 施 設 は 焼 却 排 熱 の 熱 供 給 利 用 と発 電 利 用 の 各 機 能 を有 す る 。 省 資 源 の た め の 機 能 と して は 、 廃 棄 物 収 集 施 設 は ご み リ サ イ ク ル の た め の 地 区 内 廃 棄 物 分 別 管 路 収 集 、 廃 棄 物 処 理 施 設 は 省 資 源 化 の た め の 地 区 内 リサ イ ク ル エ 場 に よ る ご み の 再 資 源 化 の 各 機 能 を有 す る 。 こ の 他 に 廃 棄 物 収 集 施 設 は ごみ 収 集 場 所 削 減 に よ る 美 化 の た め 、 お よび 走 行 車 両 削 減 の た め の 地 区 内廃 棄 物 管 路 収 集 の 各 機 能 を有 す る 。 交 通 。物 流 管 理 施 設 は 、 地 区 内 で の 訪 問 先 へ の 案 内 。誘 導 お よ び 車 両 の 駐 車 場 へ の 案 内 。誘 導 、 地 区 ・ 周 辺 地 区 の 道 路 交 通 情 報 の 提 供 お よ び 公 共 交 通 機 関 情 報 の 提 供 、 地 区 内 物 流 の 地 区 内 物 流 基 地 を経 由 した 宅 配 の 各 機 能 を有 す る 。 情 報 管 理 施 設 は 、 地 区 内 で の 来 訪 者 へ の タ ウ ン ガ イ ド情 報 の 提 供 お よ び イ ベ ン ト情 報 の 提 供 、 地 区 ・ 周 辺 地 区 の 医 療 機 関 情 報 の 提 供 お よ び 準 公 共 機 関 (図 書 館 、 学 校 等 )情 報 の 提 供 、 自治 体 の 行 政 情 報 の 提 供 の 各 機 能 を有 す る 。 共 同溝 施 設 は 各 種 配 線 配 管 の 維 持 管 理 が 直 埋 設 よ り容 易 な 機 能 と 地 下 空 間 有 効 利 用 の 各 機 能 を有 す る。

82


3.3.2

非常 時 にお け る供 給 処 理 系 地 区 施 設 の機 能

広 域 イ ン フ ラ遮 断 時 の 機 能 維 持 の 機 能 と して 、 電 力 供 給 施 設 は 地 区 内 へ の 非 常 用 電 力 供 給 、 熱 供 給 施 設 は 地 区 内 へ の 熱 供 給 、 水 供 給 施 設 は 原 水 を雑 排 水 又 は 雨 水 と した 地 区 内 へ の 中水 供 給 、 原 水 を 雨 水 と した 地 区 内 へ の 飲 料 水 供 給 の 各 機 能 を有 す る 。 また 、 下 水 処 理 施 設 は地 区 内 で の 下 水 処 理 の 機 能 を、 廃 棄 物 処 理 施 設 は 地 区 内 で の廃 棄 物 焼 却 の 機 能 を、 共 同溝 施 設 は 大 震 災 等 非 常 時 の 強 い耐 震 機 能 有 す る。

3。

3.3

平 常 時 に お け る環 境 管 理 系 地 区 施 設 の 機 能

環 境 保 全 施 設 は 、 地 区 ・ 周 辺 の 環 境 汚 染 ・ 破 壊 の 監 視 と 自治 体 へ の 報 告 並 び に汚 染 源 等 へ の指 導 、 地 区 内 お よび 地 区 周 辺 開発 へ の環 境 影 響 評 価 の 実 施 と 自 治 体 へ の 報 告 並 び に評 価 結 果 に基 づ く地 区 内 お よび 地 区 周 辺 開 発 者 へ の 指 導 、 地 区 内 建 物 の エ ネ ル ギ ー ・ 水 消 費 量 の 監 視 と 監 視 結 果 に基 づ く省 エ ネ・ 省 資 源 の指 導 の各 機 能 を有 す る。 空 間 管 理 施 設 は 、 地 区 内 の 道 路 。公 園 等 確 保 の た め の 地 権 者 の 意 見 調 整 と 地 区 内 道 路 。公 園 等 の 企 画 計 画 と建 設 お よ び 維 持 管 理 、 地 権 者 の 意 見 に基 づ く地 区 内 土 地 利 用 マ ス タ ー プ ラ ン の 作 成 と こ れ に基 づ く地 権 者 の 誘 導 お よび 指 導 ・ 規 制 、 地 区 内違 法 建 築 物 の 監 視 と 自治 体 へ の 報 告 並 び に 指 導 、 地 区 内 建 築 物 の 景 観 監 視 と 自治 体 へ の 報 告 、 監 視 に基 づ く指 導 ・ 規 制 の 各 機 能 を有 す る 。 犯 罪 対 策 施 設 は 、 地 区 内 の 公 的 空 間 及 び 建 物 の 防 犯 監 視 と警 察 へ の 通 報 、 犯 罪 発 生 時 の 自衛 機 関 と して の 活 動 の 各 機 能 を有 す る 。

83


3.3.4

非 常 時 に お け る環 境 管 理 系 地 区 施 設 の 機 能

災 害 対 策 施 設 は 地 区 災 害 情 報 (地 震 、 台 風 等 )の 収 集 と 提 供 、 地 区 内 災 害 の 監 視 、 災 害 情 報 に基 づ く人 々 へ の 対 応 方 法 指 導 、 災 害 発 生 時 に お け る 人 々 の 避 難 誘 導 や 公 共 機 関 との 相 互 連 絡 、 自衛 救 助 機 関 と して の 救 助 活 動 実 施 の 各 機 能 を有 す る 。

.4

新 しい 地 区 施 設 に 関 す る 調 査

。 4。

1

調 査 目的

新 しい 地 区 施 設 を構 成 す る供 給 処 理 系 地 区 施 設 と環 境 管 理 系 地 区 施 設 の 中 で どの よ う な 地 区 施 設 が 必 要 で 、 そ れ らの有 す る 機 能 が どの 程 度 必 要 か を十 分 に 把 握 す る た め に 、 表 3:2、 表 3.3に 提 案 した 各 地 区 施 設 と そ の 機 能 の 必 要 性 を分 析 し、 新 し い 地 区 施 設 と して 導 入 す べ き施 設 項 目 と 機 能 項 目 を 明 らか に す る た め に ア ン ケ ー ト調 査 を行 っ た 。

3.4.2

調査概要

調 査 は 1993年

10月 に 実 施 し、 調 査 対 象 者 は 提 案 し た 新 し い 地 区 施 設 の

機 能 に 関 係 す る 自治 体 等 の 官 公 庁 、 公 共 公 益 事 業 者 、 都 市 計 画 ・ 建 築 計 画 に 携 わ る 建 設 関 係 企 業 に 勤 務 す る 有 識 者 で あ る 。 調 査 は 郵 送 に よ り行 つ た 。 調 査 対 象 は 92名 で 回 答 数 は 72名

(回 収 率 約 78.3%)で

ケ ー ト回 答 者 の 職 種 を 示 す 。 総 合 建 設 業 は 約 36%、 %、

コ ン サ ル タ ン ト・ 設 計 事 務 所 は 約 15%で

73%を

あ る 。 図 3.2に

ア ン

公 共 公 益 事 業 者 は 約 22

あ り、 上 位 3者 を合 わ せ る と 約

占 め る 。 た だ し、 大 学 教 授 ・ 講 師 ・ 研 究 者 等 は 次 い で 多 く約 8%を 占

め て い る。 調 査 項 目 は 、 表 3.2、

表 3.3に

示 す 13の 地 区 施 設 と そ れ ら の 持 つ 機 能

の 必 要 性 に 関 す る も の で あ る 。 図 3.3に

ア ン ケ ー ト調 査 に お け る 質 問 の 仕

方 の 例 を示 す 。 先 ず 、 各 地 区 施 設 毎 に 表 3.2、

3.3の

機 能 を示 して 、 そ の

必 要 性 を 質 問 し、 次 に そ れ ら の 機 能 の 必 要 性 を 考 慮 した 上 で 、 そ の 地 区 施 設 の

84


必 要 性 を 質 問 した 。 図 3.

3の 例 で は 、 地 区 内 電 力 供 給 施 設 に つ い て 、 「 必 要

な し」 、 「 必 要 」 、 「 非 常 に 必 要 」 の 3段 階 の 回 答 を 用 意 し た 上 で 、 平 常 時 に お け る 広 域 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 の た め の 地 区 内 へ の 電 力 供 給 の 必 要 性 と 、 広 域 イ ン フ ラ 遮 断 時 の 地 区 内 へ の 非 常 用 電 力 供 給 の 必 要 性 に つ い て 質 問 して い る 。 次 に 、 こ れ らの 回 答 を 踏 ま え て 、 将 来 的 な 地 区 内 電 力 供 給 シ ス テ ム の 必 要 性 に つ い て 、 「 必 要 な し」 、 「 必 要 」 、 「 非 常 に 必 要 」 の 3段 階 の 評 価 を求 め て い る 。

その他 (8.3%)

不動産 (1.4%) 自治体等 の官公庁

総合建設 業

(4.2%)

公団 (4口 2%)

(36.1%)

大学教授・ 講師・ 研究者等 (8.3%) コンサ ル・ 設計事務所

公共公益事業者

(22.2%) 図 3.

(22.2%)

2ア ン ケ ー ト回 答 者 の 職 種

質 問 で該 当 する項 目に 、○印 をご記 入 くだ さい

A.地 区内電力供給施設 (1)電 力事業者の電 力供給 とは別に地区内に電力供給 システム (コ ージェネ等)が 有 ると想定 した 場合 に、その機 能 について地 区 に対す る必要度 を右欄 に記入 して下 さい。 0.

1.必要 必要無 し 1.

2. 常 に必要 2.非

0

1

2

`こ

広域 インフラ負荷軽減 の ための地 区内 へ の 電 力供給 (平 常時 )

広域 インフラ遮断時の地区内 への非常用電力供給

(2)以 上のチェックを踏まえた上で、将来的に「地区内電力供給システム」はどの程度必要と思わ れますか。該当する項目に○印をご記入ください。 ※参考

非常時 とは地震等によ り広城的 なイ ンフラの機能 が遠断 された状態

図 3.3ア ンケ ー ト調 査 に お け る質 問 の 仕 方 の 例

85


3.4.3

分析 方法

調 査 結 果 の 分 析 は 図 3.4に 示 す 方 法 で 行 っ た 。 地 区 施 設 の 必 要 性 お よ び 機 能 の 必 要 性 共 に 「 必 要 無 し」 0点 、 「 必 要 」 1点 、 「 非 常 に必 要 」 2点 の

3段 階 の 評 価 と した 。 以 上 よ り、 新 しい 地 区 施 設 に 導 入 す べ き地 区 施 設 お よ び そ の 機 能 は 、 必 要 性 の 得 点 が 1点 以 上 と した 。 1.必 要無 し

地区施設の 必要性の 得点 機能の 必要性 の 得点

2.必 要

3.非 常 に必要

) 0点 1点

(機 能 の必要性 1.必 要無 し 2.必 要 3.非 常 に必要

図 3.

3.5 3.5.1

0点 1点

2点

の合計

2点

(地 区施設の必要性

)

1.必 要無 し 0点 × 2.必 要

1点

3_JE常 に必喜 2点

の合計

4数 値化 の方法

調査結果 新 しい 地 区 施 設 の 必 要 性 に 関 す る分 析 結 果

新 し く提 案 した 地 区 施 設 の 必 要 性 の 分 析 結 果 を 図 3.5に

示 す 。 地 区施 設 の

合 計 数 は 13件 で 、 導 入 す べ き新 し い 地 区 施 設 は 7件 で 、 得 点 の 平 均 値 は 1.

05で あ る 。 地 区 施 設 の 必 要 性 で は 共 同 溝 施 設 が 1位 を 、 電 力 供 給 施 設 、 災 害対 策 施 設 、 熱 供 給 施 設 が 上 位 を 占 め 、 以 下 、 水 供 給 施 設 、 廃 棄 物 処 理 施 設 、 廃 棄 物 収 集 施 設 の 順 で あ っ た 。 な お 、 環 境 保 全 施 設 、 交 通 。物 流 管 理 施 設 、 下 水 処理 施設 、情 報 管理 施 設 、 空 間管理 施 設 、犯 罪対 策 施 設 の各 地 区施 設 の必要 性 の 得 点 は 1未 満 で あ り、 導 入 す べ き地 区 施 設 か ら は 除 外 し た 。

86


共同溝 電力供給 災害対策 熱供給 水供給 押 経 颯 凶 君

廃棄物処理 廃棄物収集 環境保全 交通 0物 流管理 下水処理 情報管理 空間管理 犯罪対策 0

0.5

1

1.5

地 区施 設 の 必要性 (得 点 ) 図 3.5地

区施 設 の必 要性 の 分 析 結 果

87


3.5.2

機 能 項 目別 の 必 要 性 に 関 す る分 析 結 果

機 能 項 目別 の 必 要 性 に 関 す る 分 析 結 果 を 図 3。

6に 示 す 。 必 要 性 の 得 点 の 平

均 値 は 1.36で 、 提 案 し た 平 常 時 と 非 常 時 を 合 計 し た 機 能 61項 目 の う ち 得 点 が 1以 上 の 導 入 す べ き 機 能 項 目数 は 上 位 44項 目で あ つ た 。 上 位 10項 目 の

う ち 7項 目が 非 常 時 対 応 機 能 で 、 そ の 内 訳 は 共 同 溝 施 設 が 1項 目、 災 害 対 策 施 設 が 5項 目、 電 力 供 給 施 設 が 1項 目で あ っ た 。 そ れ ぞ れ の 機 能 は 、 共 同 溝 施 設 で は 「 大 震 災 等 非 常 時 の 耐 震 性 が 直 埋 設 よ り強 い 」 で 、 災 害 対 策 施 設 で は 「 災 害 発 生 時 に お け る 人 々 の 避 難 誘 導 」 、 「 災 害 情 報 に基 づ く人 々 へ の 対 応 方 法 指 導 」 、 「 地 区 内 災 害 監 視 」 、 「 災 害 発 生 時 に公 的 機 関 との 相 互 連 絡 」 、 「 地 区 災 害 情 報 の 収 集 と提 供 」 、 「 災 害 発 生 時 の 救 助 活 動 」 で 、 電 力 供 給 で は 「 広 域 イ ン フ ラ 遮 断 時 の 非 常 用 電 力 供 給 」 で あ っ た 。 得 点 が 1.5以 上 の 上 位 22項 目の 内 訳 をみ る と、 非 常 時 対 応 機 能 は 前 述 した 7項 目の 他 に 、 「 災 害 発 生 時 の 自衛 的 救 助 活 動 」 、 「 広 域 イ ン フ ラ遮 断 時 の 雑 排 水 を原 水 と した 中水 供 給 」 、 「 広 域 イ ン フ ラ 遮 断 時 の 雨 水 を 原 水 と した 飲 料 水 供 給 」 の 3機 能 を 加 え た 10 項 目、 共 同溝 機 能 は 「 各 種 配 線 配 管 の 維 持 管 理 が 道 路 下 の 直 埋 設 よ り容 易 」 、 「 地 下 空 間 有効 利 用の た め の 共 同溝 敷 設」 の 2項 目、 「 地 区内 へ の 電 力 供 給 」 、 「 原 水 を雑 排 水 又 は雨 水 と した 地 区 内 へ の 中水 供 給 」 、 「 地 区 内 で の 廃 棄 物 焼 却 」 の 広 域 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 機 能 が 4項 目 、 「 地 区 ・ 周 辺 の 未 利 用 排 熱 の 熱 供 給 利 用 」 、 「 焼 却 排 熱 の 熱 供 給 利 用 と発 電 利 用 」 の 未 利 用 エ ネ ル ギ ー 活 用 関 連 機 能 が 3項 目、 「 ご み 収 集 場 所 削 減 に よ る 美 化 」 、 「 走 行 車 両 削 減 」 、 「 ご み リサ イ ク ル 」 の た め の 廃 棄 物 管 路 収 集 機 能 が 3項 目で あ っ た 。 得 点 が 1以 上 の 上 位 44項 目 の 内訳 を み る と 、 非 常 時 対 応 機 能 は 既 述 し た

10項 目の 他 に 「 広 域 イ ン フ ラ遮 断 時 の 雨 水 を原 水 と した 中水 供 給 」 、 「 広 城 イ ン フ ラ遮 断 時 の 地 区 内 廃 棄物 焼 却 」 、 「 広 域 イ ン フラ遮 断 時 の 地 区 内 下 水 処 理 」 、 「 広 域 イ ン フ ラ遮 断 時 の 地 区 内 へ の 熱 供 給 」 の 4項 目 を加 え た 提 案 した 全 14項 目、 省 エ ネ ル ギ ー 。省 資 源 関 連 機 能 は 前 述 した 未 利 用 エ ネ ル ギ ー 活 用 関 連 機 能 3項 目の 他 に 「 リサ イ ク ル エ 場 で の ご み 再 資 源 化 」 を加 え た 4項 目、

88


広 域 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 機 能 は 前 述 した 4項 目の 他 に 「 地 区 内 で の 下 水 処 理 」 、 「 地 区内 へ の 熱 供 給」 の 2機 能 を加 えた 6項 目、共 同 溝施 設 は 前 述 した 2項 目、 廃 棄 物 管 路 収 集 機 能 は 前 述 した 3項 目 で あ っ た 。 以 上 よ り、 地 区 施 設 の 必 要 性 の 得 点 が 1未 満 の 下 水 処 理 機 能 2項 目 を 除 く 2

7項 目 の 機 能 を、 新 しい 地 区 施 設 に 導 入 す べ き機 能 と して 設 定 で き た 。 又 、 こ れ らの 下 位 に 「 地 区 内建 物 へ の 省 エ ネ ・ 省 資 源 の 指 導 」 、 「 地 区 内 建 物 の エ ネ ル ギ ー 。水 消 費 量 の 監 視 」 、 「 地 区 ・ 周 辺 の 環 境 汚 染 、 環 境 破 壊 監 視 と 自治 体 へ の 報 告 」 、 「 汚 染 源 や 破 壊 源 へ の 指 導 」 、 「 地 区 内 開 発 へ の 環 境 影 響 評 価 の 実 施 と 自治 体 へ の 報 告 」 、 「 地 区 周 辺 開 発 へ の 環 境 影 響 評 価 の 実 施 と 自治 体 へ の 報 告 」 、 「 環 境 影 響 評 価 結 果 に 基 づ く地 区 内 開 発 者 へ の 指 導 」 、 「 環 境 影 響 評 価 結 果 に基 づ く地 区 周 辺 開 発 者 へ の 指 導 」 の 環 境 保 全 機 能 が 8項 目、 「 地 区 ・ 周 辺 地 区 の 道 路 交 通 情 報 の 提 供 」 、 「 車 両 の 駐 車 場 へ の 案 内 。誘 導 」 、 「 地 区 内 物 流 の 物 流 基 地 を経 由 した 宅 配 」 の 交 通 。物 流 機 能 が 3項 目、 「 地 区 ・周 辺 地 区 の公 共 交 通機 関 情 報 の提 供 」 、 「医 療 機 関 情報 の提 供 」 、 「 準 公 共 機 関 情 報 の 提 供 」 の 情 報 機 能 3項 目、 「 地 区 内 道 路 、 公 園 等 の 維 持 管 理 」 の 空 間 管 理 機 能 が 1項 目、 合 計 15項 目位 置 付 け られ た が 、 環 境 保 全 、 交 通 ・ 物 流 、 情 報 管 理 、 空 間 管 理 の 各 地 区 施 設 共 に必 要 性 の 得 点 が 1未 満 で あ る た め 、 新 しい 地 区 施 設 に 導 入 す べ き機 能 か ら除 外 した 。

89


各種配線配管の維持管理 が道路下の直埋設 より容易 1 地下空間有効利用のための共同清敷設 2 大震災等非常時の耐震性 が直埋設 より強い 3 災書発生時 に地区内の人々の選難誘導 4 災書情報 に基づ く地区内の人々への対応方法指導 5 地区内災害の監視 災害発生時 に公的機関 との相互連絡 7 地区災害情報 (地 震・ 台風等)収 集 と地区内への提供 広域 インフラ違断時の地区内への非常用電力供給 9 省エネ推進のための地区・ 周辺 の来利用廃熱の熱供給利用 10 ごみ収集場所削減による美化のための地区内廃棄物管路収集 11 広域 インフラ負荷軽減 の為 の地区内への電力供給 12 走行車両削減 のための地区内廃棄物管路収集 13 省 エネ推進のための焼却廃熱 の熱供給利用 14 災書発生時 に自衛救助機関 としての救助活動実施 省 エネ推進のための焼却廃熱の発電利用 (原 水雑排水)広 域 インフラ負荷軽減のための地区内への 中水供給 広域 インフラ負荷軽減のための地区内での廃棄物焼却 (原 水雨水)広 城 インフラ負荷軽減のための地区内への中水供給 (原 水雑排水)広 城 インフラ遼断時の地区内への中水供給 ごみ リサイクルの ための地区内廃棄物分別管路収集 (原 水雨水)広 域 インフラ遼断時の地区内への飲料水供給 (原 水雨水)広 域 インフラ遼断時の地区内へ中水供給 省資源化のための地区内 リサイクルエ場によるごみの再資源化 Z 消費量監視結果 に基づ く地区内建物への省エネ、省資源の指導 25 地区内建物のエネルギー・ 水消 費量の監視 地区、周辺の大気、水質汚染、環境破壊監視 と自治体 への報告 27 地区、周辺地区の道路交通情報の提供 28 地区、周辺の汚染源や破壊源 への指導 ” 叩 回 広城 インフラ負荷軽減のための地区内での下水処理 興 地区内での車両の駐車場 への案内、誘導 盤 撃 地区内開発への環境影響評価 の実施 と自治体 への報告 環境影響評価結果に基 づ く地区内開発者 への指導 地区周辺開発 への環境影響評価の実施 と自治体 への報告 広域 インフラ負荷軽減のための地区内への熱供給 地区、周辺地区の公共交通機関情報の提供 広域 インフラ遼断時の地区内での廃棄物焼却 地区、周辺地区の医療機関情報の提供 地区内物流の地区内物流基地 を経由 した宅配 広域 インフラ遼断時の地区内での下水処理 地区内道路、公園 (緑・ 水)等 の維持管理 41 環境影響評価結果に基づ く地区周辺開発者 への指導 42 広域 インフラ遼断時の地区内への熱供給 地区、周辺地区の準公共機関 (図 書館、学校等)情 報 の提供 地区来訪者への タウンガイ ド情報 の提供 地区内での訪間先への案 内、誘導 “ 地区内イベ ン ト情報の提供 47 地区内道路、公園 (緑・ 水)等 の企画計画 “ 地区内道路 。公園等公的空間の防犯監視 と警察 への通報 “ 自治体の行政情報 の提供 地区内土地利用 マスタープランに基づ く地権者の誘導 5 地区内建物の防犯監視 と警察 への通報 52 地区内建築物の景観監視 と自治体 への報告 53 地権者の意見に基づ く地区内土地利用 マス タープランの作成 ” 道路、公園 (緑・ 水)等 確保 のための地区内地権者 の意見調整 “ 地区内道路、公園 (緑・ 水)等 の建設 “ 地区内土地利用 マスタープランに基づ く地権者の指導、規制 57 地区内違法建築物の監視 と自治体 への報告 田 地区内建築物の景観監視に基づ く指導、規制 ” 犯罪発生時 に自衛警察機関 としての対策活動 60 地区内違法建築物に対する指導 6

01234 機能の必要性 (得 点 )

2 図 3

6機 能 項 目別 の 必 要 性 に 関 す る分 析 結 果 90

3

4


3.6

結論

本 章 で は 、安 全 性 と 経 済 性 の 面 か ら必 要 不 可 欠 に な る と 思 わ れ る 新 し い 地 区 施 設 を 提 案 し、 都 市 や 建 築 に 係 わ る 有 識 者 へ の ア ン ケ ー ト調 査 を基 に 、 新 た に 開 発 さ れ る 高 度 都 市 機 能 集積 地 区 を対 象 に 地 区 施 設 と そ の 機 能 の 必 要 性 を 検 討 した 。 以 下 に結 論 を示 す 。

(1)無 秩 序 な ス プ ロ ー ル や 高 密 度 化 を抑 制 し適 切 な市 街 地 形 成 を 目的 と し た 地 区計 画 の 必 要 性 を 踏 ま え て 、 都 市 施 設 と建 築 施 設 の 機 能 を 一 体 的 に統 括 す る 新 しい 機 能 を持 つ 地 区 施 設 を 提 案 した 。

(2)新 た に 開 発 さ れ る 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お い て は 新 しい 地 区 施 設 を 導 入 す る こ とで 、 都 市 施 設 の 負 荷 軽 減 と 非 常 時 の 機 能 維 持 が 確 保 で き る 。

(3)提 案 した 13の 地 区 施 設 の う ち導 入 す べ き地 区 施 設 (得 点 1以 上 )は 7 施 設 で 、 得 点 の 高 い 順 に、 共 同 溝 、 電 力 供 給 、 災 害 対 策 、 熱 供 給 、 水 供 給 、 廃 棄物 処 理 、廃 棄 物 収 集 で あ つ た 。

(4)提

案 した 地 区 施 設 の 機 能 61項 目 の 内 、 新 し い 地 区 施 設 と して 導 入 す

べ き機 能 (得 点 1以 上 )は 上 位 44項 目 で あ っ た 。 得 点 が 1.5以 上 の 上 位 2

2項 目の 内 訳 をみ る と、 「 大 震 災 等 非 常 時 の 耐 震 性 が 直 埋 設 よ り強 い 」 (共 同 溝 )、 「 災 害 発 生 時 にお け る 人 々 の 避 難 誘 導 」 (災 害 対 策 )、 「 広 域 イ ン フ ラ 遮 断 時 の 地 区 内 へ の 非 常 用 電 力 供 給 」 等 の 非 常 時 対 応 機 能 が 10項 目 と最 も 多 く、 「 各 種 配 線 配 管 の 維 持 管 理 が 直 埋 設 よ り容 易 」 等 の 共 同 溝 機 能 が 2項 目 、 「 広 域 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 の た め の 地 区 内 へ の 電 力 供 給 」 等 の 広 域 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 機 能 が 4項 目、 「 省 エ ネ推 進 の た め の 地 区 ・ 周 辺 の 未 利 用 排 熱 の 熱 供 給 利 用 」 等 の 未 利 用 エ ネ ル ギ ー 活 用 機 能 が 3項 目、 「 ご み 収 集 場 所 削 減 に よ る 美 化 の た め の 地 区 内 廃 棄 物 管 路 収 集 」 等 の 廃 棄 物 管 路 収 集 機 能 が 3項 目で あ っ た 。 導 入 す べ き地 区 施 設 の 機 能 と して は 非 常 時 へ の 対 応 機 能 の 必 要 性 が 高 か っ た 。

以 上 、 新 た に導 入 す べ き地 区施 設 や 非 常 時 に 地 区 内 で 対 応 で き る機 能 の 重 要 性 等 、 新 し い 地 区 施 設 の 在 り方 を 提 示 し た 。

91


第 4章

高 層 集合住 宅 の 垂直 ユ ー テ イ リテ イ と戸 建 住宅 地 区 の 都 市 イ ンフ ラ の LCCの 比較 に関す る研 究



第 4章

高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ ィ リテ イ と戸 建 住 宅 地 区 の 都 市 イ ン フ ラ の

LCC比 較 に 関 す る 研 究 4.1

概要

本 章 で は 、 ス プ ロ ー ル した 市 街 地 を高 層 集 約 化 す る 上 で 重 要 な 問 題 点 の ひ と つ で あ る 、 電 力 、 電 信 電 話 、 ガス 、 上 下 水 道 な どの 供 給 処 理 機 能 を担 う ユ ー テ ィ リ テ イ に 着 日 し、 ユ ー テ ィ リ テ イ に 対 す る 高 層 集 合 住 宅 住 民 と 戸 建 住 宅 地 区 住 民 の 租 税 公 課 、 公 共 料 金 負 担 の 不 公 平 を是 正 し、 都 市 に お け る 高 密 度 居 住 を推 進 す る た め 各 種 検 討 を行 っ た 。 建 物 は 公 共 空 間 で あ る 道 路 に 接 して 、 そ こ か ら道 路 下 に 敷 設 さ れ た 都 市 イ ン フ ラ (以 下 、 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ と 言 う )を 引 き 込 み 機 能 して い る が 、 そ れ ら は 公 共 資 本 と して 位 置 付 け ら れ 公 共 。公 益 事 業 者 が 整 備 を 行 っ て い る 。 戸 建 住 宅 地 区 を垂 直 化 し た 高 層 集 合 住 宅 の 場 合 、 水 平 ユ ー テ ィ リ テ ィ は 高 層 集 合 住 宅 共 用 部 の コ ア ス ペ ー ス 内 設 備 シ ャ フ トとそ れ に収 容 さ れ る 各 種 配 管 ・ 配 線 (以 下 、 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ と 言 う )に 転 換 さ れ る と 考 え ら れ る 。

こ こ で 両 ユ ー テ ィ リ テ イ に対 す る 費 用 負 担 と建 設 。維 持 管 理 主 体 に つ い て み て み る 。 戸 建 住 宅 地 区 の 水 平 ユ ー テ ィ リテ イ の 場 合 は 、 固 定 資 産 税 ・ 都 市 計 画 税 ・ 住 民 税 お よ び 各 種 公 益 事 業 者 へ 光 熱 水 費 を支 払 う こ とで 、 公 共 資 本 と し て 公共 。公 益 事業 者 が 建 設 し維 持 管 理 を行 って い る (表 4.1)。

これ に対 して 、

高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リテ イ の 場 合 は 、 公 共 資 本 で な く私 有 物 と して 位 置 付 け られ る た め に 、 住 民 が 自 ら建 設 し維 持 管 理 す る な ど 、 全 て の 費 用 を 負 担 して い る (表 4.2)。

そ の 上 で 、 戸 建 住 宅 地 区 の 場 合 と 同 様 の 税 金 と各 種 公

益 事 業 者 に対 す る 光 熱 水 費 を支 払 っ て い る 。 つ ま り、 高 層 集 合 住 宅 は 戸 建 住 宅 地 区 に 比 べ て 水 平 ユ ー テ ィ リ テ イ ヘ の 依 存 度 が 低 い に もか か わ らず 、 そ れ ら に 対 す る 費 用 負 担 は 同等 で あ る上 に、 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イの 建 設 費 お よ び維 持 管 理 費 は 全 て 住 民 が 負 担 して い る 。 表 4.3に 、 経 費 項 目 と水 平 ユ ー テ ィ リ テ イ お よ び 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ に 対 す る 住 民 負 担 の 比 較 を示 す 。

92


こ の よ う に、 垂 直 ユ ー テ イ リテ イが 社 会 資 本 で な い 現 段 階 で は 、 住 民 の 負 担 が 戸 建 住 宅 地 区 に 比 べ て 大 き く、 不 公 平 で あ る と 考 え ら れ る 。 本 章 で は 、 実 在 す る 高 層 集 合 住 宅 とそ れ と同 規 模 の 住 戸 数 が あ る戸 建 住 宅 地 区 の ユ ー テ イ リ テ イ モ デ ル を 設 定 し、 ラ イ フ サ イ ク ル コ ス ト (LCC)の

観点

か ら両 ユ ー テ イ リ テ イ を比 較 した 。 そ の 結 果 、 垂 直 ユ - テ イ リ テ イ は 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ に 比 べ て LCCが

40

%程 度 小 さ く経 済 的 で あ る が 、住 民 の 負 担 は 垂 直 の 場 合 は 全 て 自 己負 担 で あ り、 水 平 に お い て 公 共 公 益 事 業 者 が 負 担 して い る 戸 建 住 宅 地 区 に 比 べ て 不 公 平 で あ る。 以 上 よ り、 ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 解 消 の た め 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ は 社 会 資 本 化 して 、 公 共 で 建 設 して 維 持 管 理 す べ き で あ る こ と を 明 らか に し た 。 。

93


1水 平 ユ ー テ イ リテ ィの建 設 0維 持 管 理 主体

表 4.

ユ ーテ ィ リテ ィ

建設・ 維持管理主体

住戸設備 シャフ ト

住民

配線 系

住民

配 管系

住民

表 4.2垂 直 ユ ー テ ィ リテ ィの建 設・ 維 持 管 理 主 体 建設 0維 持管理主体

ユー テ ィ リテ ィ

表 4.

上水道

都道府県・ 市町村

下水道

都道府県・ 市町村

電力

電力会社

ガス

ガス会社

電信電話

NTT、 第二電電 などの通信会社

3水 平 ユ ー テ ィ リテ ィ と垂 直 ユ ー テ ィ リテ ィに対 す る住 民負担 比 較 住民負担

経費項 目

高層集合住宅

戸建住宅地 区

固定資産税

都市計画税

土地代

土 地 関 連 費

土地取得経 費 不動産取得税 租 税 公 課

登録 免許税

土地造成費 企画・ 設計料 建設費

不動産取得税 租 税 登録 免許税 建 公 固定資産税 築 課 都市計画税 関

連 費

維持管理 費

損害保険料 減価償却 費 建物解体処 分費 金利

住 民税

光熱水費

(凡 例

)● 水平 ユ ーテ ィ リテ ィに該当 ○垂 直 ユ ーテ ィ リテ ィに該当 一 該 当 しない

94


4.2

水 平 ユ ー テ イ リテ イ と垂 直 ユ ー テ イ リテ イの 定 義

本 章 に お け る ユ ー テ イ リ テ イの 種 類 と範 囲 に つ い て 、 以 下 に 定 義 す る 。

4.2。 1

水 平 ユ ー テ イ リ テ イの 定 義

戸 建 住 宅 の ユ ー テ イ リテ イ は 、 図 4.1に 示 す よ う に 大 き く道 路 下 埋 設 物 と 敷 地 内 引 込 設 備 か ら構 成 さ れ る 。 道 路 下 埋 設 物 に は 水 道 管 、 下 水 管 、 雨 水 桝 、 電 力 線 、 電 信 電 話 線 、 ガ ス 管 な どの 都 市 イ ン フ ラが あ り、 公 共 0公 益 事 業 者 が 整 備 を行 つて い る 。 本 章 で は 、 耐 震 安 全 性 、 街 の 美 観 性 お よ び 維 持 管 理 の 容 易 性 の 観 点 か ら、 水 道 管 、 電 力 線 、 電 信 電 話 線 、 ガス 管 を ミ ニ 共 同構 内 に 収 容 す る も の と仮 定 す る 。 敷 地 内 引 込 設 備 に は 、 水 道 管 、 下 水 管 、 雨 水 管 、 電 力 線 、 電 信 電 話 線 お よ び ガ ス 管 が あ り住 民 が 整 備 を 行 つて い る 。 本 章 で は 、 私 有 施 設 で あ る 敷 地 内 引 込 設 備 を除 く公 共 の 施 設 と な る ミ ニ 共 同 溝 お よ び そ の 収 容 管 ・ 配 線 な ど と下 水 管 を水 平 ユ ー テ イ リ テ イ と定 義 す る 。 水 平 ユ ー テ イ リテ イ の 該 当 項 目 と負 担 者 区 分 を 表 4.4に 示 す 。

95


- Om ―

lm

― -2m ― -3m ― -4m

│ │ W:水 道管 D:雨 水管 G:ガ ス管 E:電 力線 T:電 信電話線 図 4.1

道路 及 び埋 設物 と水平 ユーテ ィ リテ ィの範囲

表 4.4水 平 ユ ー テ ィ リテ ィの該 当項 目 と負 担 者 区分 の 関 係

ユ ー テ ィ リテ ィ項 目

該当 一 項日

道路

敷 地 内

公共 。 公主 事業者

住民

下水管 道 路 部 分

負担者区分

道 雨水桝 路 ミニ 共 同溝 下 水道管 埋 設 ミ 二共 同 電 力線 物 溝収容物

電信電話線

ガス管

水道管

引 下水管 配 込 管 雨水管 み 設 配 電力線 線 備 電信電話線

ガ ス管

● ●

(凡 例 )● 該当する

96

一該当 しない


4・ 2・

2

垂 直 ユ ー テ イ リ テ イの 定 義

高 層 集 合 住 宅 の 住 戸 の ユ ー テ イ リ テ イ は 、 図 4・ 2に 示 す よ う に 共 有 部 分 に 含 ま れ る 。 共 有 部 分 に は 、 コ ア部 分 と そ の 他 の 共 有 部 分 が あ る 。 表 4・

5に 通

常 の コ ア 部 分 と そ の 他 の 共 有 部 分 に 含 ま れ る も の を示 す 。 コ ア 部 分 の 建 築 系 項 目 と して は 、 階 段 、 エ レベ ー タ ホ - ル 、 共 有 廊 下 、 各 種 シ ャ フ トが あ る 。 収 容 設 備 に は 住 戸 設 備 シ ャ フ トと共 有 設 備 シ ヤ フ トに含 まれ る 配 管 ・ 配 線 な どが あ る 。 そ の 他 部分 の 建 築 系項 目 と して は 、 エ ン トラ ン ス ロ ビ ー・ ホ ー ル 、 電気 室 、 機 械 室 が あ る 。 そ の 他 設 備 と して は 、 電 気 設 備 機 器 、 給 排 水 ・ 衛 生 設 備 機 器 、 空 調 換 気 設 備 機 器 、 他 配 管 ・ 配 線 な どが あ る 。 高 層 集 合 住 宅 の 場 合 は 、 こ れ ら の 整 備 はす べ て 住 民 の負 担 で あ る。 以 上 の 項 目の 中 で 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ と 同 等 の 機 能 を持 つ も の と して 、 こ こ で は 、 住 戸 設 備 シ ャ フ トお よ び そ の 収 容 物 で あ る 、 低 圧 電 力 線 、 電 信 電 話 線 、 給 水 管 、 排 水 管 、 雨 水 管 と ガ ス 管 な ど を垂 直 ユ ー テ イ リテ イ と定 義 す る 。

97


LF~

廊下 階段 エ レベー ター

住戸

廊下 階段 エ レベーター

tF~

廊下 階段 エ レベーター

住戸

住戸

住戸

住戸設備シキフ ト

配 縣一{=:犠 撃進 ・ 給水管 ・ 排水管 ・ 雨水管 。ガス管

図 4.2 表 4.

5

垂直 ユーテ ィ リテ ィの範囲

垂直 ユ ーテ ィ リテ ィの該当項 目と負担者区分 の 関係

ユ ー テ ィ リテ ィ項 目

骸当

負担者 区分

項日

住民

階段

建 築

エ レベ ー タ ホ ー ル

エ レベ ー タ

層 層 ■

収 容 設 備

給水管 、排水管、ガス管、 顧 帝 簡

配線

ほ圧電 力機 、電信電話線

配管

冷却 水管 、屋内消火栓 管

住戸設爛 配 管 シャフ ト

高圧・ 低圧電力線 、電信電 躍 艶

鯖 ″ 睦

"饉

ダ ク ト 袷排 気 、空 田 、排 煙

そ α 刊 α 引 噴 笥 例

そ の 他 建 位

そ の 他 設 備

共有設備 シャフ ト 配 線

α 去 右 日 9

エ レベ ー タ

台 但 宅

仕 百 1● ● う ● つ ト

彙 右 l● ● シ ャ フ ト

フ ロ

共有鷹下

各種 シャフ ト

エ ン トラ ン ス ロ ビー・ ホ ール

● ● ●

置霊室

継城壼

腱霊 設 備 機 器 (墨 奎 籠 、発 菫 組 、書 電 池 )

渭 フF不 0

衛生設備 摯

ポ ンプ 給水 、排水 来相

薔 水 槽 ヽ雄 排 7k相

● ●

空鯛換気設備 機 器 配管

給水ヽ排水 ヽ雨水、ガス

配捜

■ 力 ヽ雷 信 雷 話 ヽ防 51S、 中央 監 視

(几 例 )● 該当する

98

一骸当 しない


4.3 4。

ラ イ フ サ イ ク ル コ ス トの 算 定 方 法

3.1 (1)

ラ イ フ サ イ ク ル コ ス トの 比 較 検 討 の 考 え 方 本 章 に お け る ラ イ フ サ イ ク ル コ ス ト (LCC)の

ラ イ フ サ イ ク ル コ ス ト (以 下 、 LCCと

範囲

い う )は 、 一 般 に 、 建 築 物 の 企 画 ・

設 計 か ら施 工 、 維 持 管 理 お よ び 廃 棄 処 分 の 全 て の 段 階 に 掛 か る 一 生 涯 の 総 経 費 の こ と で あ る が 、 本 章 に お い て は 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ と戸 建 住 宅 地 区 の 水 平 ユ ー テ ィ リ テ イ の LCCを

マ ク ロ 的 に 把 握 す る こ と が 目的 で あ る

の で 、 企 画 。設 計 お よ び 廃 棄 処 分 に 掛 か る 費 用 を 除 い た 、 建 設 費 と 維 持 管 理 費 を LCCの

対 象 範 囲 と して 設 定 した 。

(2) LCCの

算 定概 要

こ こで は、 実 在 す る 高 層 集 合 住 宅 を も と に 、 そ の 住 戸 と 同程 度 の 規 模 の 戸 建 住 宅 が 同 住 戸 数 建 つ 戸 建 住 居 地 区 を設 定 す る 。 そ して 、 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ は 躯 体 の 法 定 耐 用 年 数 に お け る LCCを 定 耐 用 年 数 に お け る LCCを

、水 平 ユ ー テ イ リテ イは ミニ共 同溝 の 法

算 定 し、 1住 戸 1年 当 た り の LCCに

つ い て比 較

検 討 した 。

4.3.2 (1)垂

比 較 モ デ ルの設 定 直 ユ ー テ イ リテ イモ デ ル の 設 定

高 層 集 合 住 宅 モ デ ルの 概 要 を 表 4.6に 建 ぺ い 率 が 約 20%、

29, 000m2で

示 す 。 敷 地 面 積 が 約 4,

容 積 率 が 約 670%、

ぁ る 。 全 住 戸 数 403戸

地 上 階 数 が 33階 、 延 床 面 積 が 約 で あ る。

高 層 集 合 住 宅 モ デ ル の 全 体 像 を 図 4.3に の 正 方 形 で 、 基 準 階 は 短 辺 が 26。

350m2、

75m,長

示 す 。 敷 地 は 、 一 辺 が 65.9m 辺 が 33.75mの

長方形のモ

デ ル で あ る。 高 層 集 合 住 宅 モ デ ル の 基 準 階 の 平 面 形 態 を 図 4.4に

示 す 。 基 本 的 な平 面 は

セ ン タ ー コ ア 方 式 で 、 そ の 周 辺 に住 戸 が 接 して い る 形 態 で あ る 。 基 準 階 面 積 が 約 850m2、

基 準 階 の 専 有 面 積 が 約 640m2(約

99

76%)、

共有 面積 が 約


210m2(約

24%)、

コ ア 部 分 の 面 積 が 約 120m2(約

垂 直 ユ ー テ ィ リ テ イ に 相 当 す る 部 分 は 、 図 4.4に

14%)で

あ る。

示 す 住 戸 設 備 シ ャ フ ト (1

0ケ 所 )と 共 有 設 備 シ ャ フ ト (1ケ 所 )お よ び 、 そ こ に 収 容 さ れ る 配 管 0配 線 で あ る 。 設 備 シ ャ フ ト面 積 は 1フ ロ ア 当 り 40。

l m2(基 準 階 面 積 の 4.7

%)で 、 集 合 住 宅 全 体 で は 1, 363.4m2(延

床 面 積 の 4.7%)と

表 4. 6高 層集合住宅 モデルの概要

仕様

項目

建 べ い率

4,345m2 19。 96%

容積率

673.02%

地上階数

33階

延床面積

29,243m2

延専有面積

20,856.60m2

延共有面積

8、

敷地面積

基準階面積 専有面積

386.45m2(対 延床面積比28.7%)

849.53m2 643.77m2(対

延床面積比 75.8%)

コア面積

205.76m2(対延床面積比 24.2%) 117m2(対 延床面積比 13.8%)

(内 、設備 シャフ 卜)

40.lm2(対 延床面積比 4.7%)

共有面積

全住戸数

403戸

居住人 口

688人

100

な る。


α 3高 層集 合 住 宅 モデ ル の全 体像

図 4。

住戸専有部分

住戸設備 シ ャフ ト

図 4.4

垂直 ユ ー テ ィリテ ィ部分

高層集合住宅 モデルの基準 階 の平面形態

101


(2)水

平 ユ ー テ ィ リ テ イモ デ ル の 設 定

戸 建 住 宅 の 住 居 地 区 と して 東 京 都 練 馬 区 を想 定 して 、 建 ぺ い 率 50%、 容 積 率 100%、

地 区 の 総 宅 地 面 積 と 総 道 路 面 積 の 比 率 は 28.

7%を 用 い た 。

最 初 に高 層 集 合 住 宅 モ デ ル の 一 戸 当 た り平 均 住 戸 面 積 と 容 積 率 よ リー 戸 当 た りの 宅 地 面 積 を 算 出 した 。 次 に 、 403戸 分 の 総 宅 地 面 積 と 道 路 面 積 の 比 率 か ら総 道 路 面 積 を 設 定 した 。 最 後 に総 道 路 面 積 を も と に 道 路 幅 を 調 整 した 。 戸 建 住 宅 地 区 モ デ ル の 宅 地 配 置 形 態 を 図 4.5に 、 戸 建 住 宅 地 区 モ デ ル の 概 要 を 表

4.7に 示 す 。 地 区 にお け る 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ の埋 設 位置 を 図 4。 配 線 の 大 き さか ら想 定 した ミ ニ 共 同 溝 の 概 要 を 図 4。

6に 、収 容 さ れ る 配 管 ・ 7に 示 す 。

1住 戸 の宅地

モデル地 区

171m

171m 図 4.5

戸建住宅地 区 モデルの宅地配置形態

102


表 4。

7 戸建住宅 モデルの概要

項 目

仕様

20,856.60m2(対 地区面積比 71.3%) 8,398.68m2(対 地区面積比 28.7%) 50%(練 馬区の数値 を参考 とした 100%(練 馬区の数値 を参考とした

全宅地面積 道路面積 建蔽率

)

容積率

)

51.3m2/戸 51.8m2ノ 戸 403戸 688人

宅地面積 延床面積 全住戸数 居住人 口

水 平 ユ ー テ イ リ テ イ

図 4.6

水平 ユ ー テ ィリテ ィの埋 設位置

103


T I I 呵 T G E

図 4.

4.3.3 LCC指

7

電信電話線 ガス管 電力線 水道管

ミニ共同満の概要

標 の 考 え方

(1)垂 直 ユ ー テ ィ リ テ イ RC造 の 法 定 耐 用 年 数 か ら ラ イ フ を 60年 と し次 の 式 に よ り算 定 した 。 LCC=(Al+Bl)/1ラ

イ フ 60年 × 総 住 戸 数 (戸 )│

Al:設 備 シ ャ フ ト、 配 管 ・ 配 線 の 初 期 投 資 額 Bl:配 管 ・ 配 線 の 60年 の 維 持 管 理 費 と 更 新 費 の 合 計 (2)水

平 ユ ー テ ィ リテ イ

ミニ 共 同溝 の 法 定 耐 用 年 数 か ら ラ イ フ を 75年 と し、 次 の 式 に よ り算定 した 。

LCC=(A2+B2)/1ラ

イ フ 75年 × 総 住 戸 数 (戸 )│

A2:ミ ニ 共 同溝 、 配 管 ・ 配 線 の 初 期 投 資 額

B2:配 管 ・ 配 線 の 75年 の 維 持 管 理 費 と 更 新 費 の 合 計 4.3.4 (1)初 1)垂

算定 条件 期投 資額 直 ユ ー テ ィリテ イ

高 層 集 合 住 宅 の 建 築 工 事 の 見 積 書 を も と に 算 定 した 。 設 備 シ ャ フ トの 建 築 工 事 費 は 見 積 り上 に お い て 、 部 位 ご と に 分 か れ て い な い 。 した が っ て 、 基 準 階 に お け る 全 体 床 面 積 と 設 備 シ ヤ フ トの 合 計 床 面 積 の 比 率 で 案 分 した 。

104


2)水

平ユ ーテ イリ

以 下 の 条 件 に よ り初 期 投 資 額 を算 定 した 。 ①

ミニ共 同 溝

断 面 積 を縦 1.4m× 横 1.2mと 設 定 し、 工 事 費 を 40万 円 /mと した 。 ②

水 道管

水 道 用 ダ ク タ イ ル 鋳 鉄 管 A形 3種 1

50mmを 使 用 す る 。 工 事 費 は 、 垂 直 ユ ー

テ イ リ テ イ モ デ ル を参 考 に 、 材 質 の 違 い 、 管 径 の 違 い で 補 正 し て 、 19,00

0円 /mと した。 ③ 鋼管 2

ガス管

00mm~ 1 50mmを 使 用す る 。垂 直 ユ ー テ イ リテ イ モ デ ル を参 考 に 、

工 事 費 は 30,000円 ④

/mと した 。

電 力線

垂 直 ユ ー テ イ リ テ イモ デ ル で 使 用 す る CVT-200日

、 CV- 22口 を使 用

す る 。 垂 直 ユ ー テ イ リテ イ モ デ ル を参 考 に 、 工 事 費 は 12,000円 ⑤

電信電話線

PCVO.5-

200Pを

工 事 費 は 13,000円 ⑦

/mと した 。

使 用 す る 。 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ モ デ ル を参 考 に 、

/mと した 。

下水 管

国 土 開 発 調 査 会 の 計 算 方 法 よ り算 出 した

文献 17)。

計 画 処 理 面 積 別 に統 計 処

理 したデ ー タの 建 設 単 価 よ り算 出す る が 、 今 回 0~ 50haの 下 水 管 、 雨 水 桝 を合 わせ て 工 事 費 は 、 127,000円

(2)維 1)垂

計 画 面 積 と して 、

/mと した 。

持管理費 直ユ ーテ イリテ イ

各 種 配 管 ・ 配 線 の 法 定 耐 用 年 数 は 大 蔵 省 耐 用 年 数 表 よ り給 水 管 15年 、 排 水 管 ・ 雨水 管 15年 、 ガ ス管 15年 、 電 力 線 15年 、 電 信 電 話線 15年 、 設備 シ ヤ フ ト 60年 と した 。 建 築 躯 体 の 耐 用 年 数 60年 の 間 で サ イ ク ル した維 持 管 理 費 分 とサ イ ク ル 間 の

105


更 新 費 と して 初 期 投 資 額 と 同 金 額 を加 え 、 そ れ を総 維 持 管 理 費 と した 。 維 持 管 理 費 分 は 、建 築 企 画 開発 マ ニ ュ アル で 用 い られ て い る 簡易 式 を用 い た そ れ は 、 初 年 度 の 維 持 管 理 費 と して 初 期 投 資 額 の 0.5%を

文献 18)。

計 上 し、 そ の 後 は

2年 ご と に 5%づ つ 上 昇 させ る 計 算 方 法 で あ る 。 設 備 シ ャ フ トに つ い て は 、 維 持 管 理 費 は ほ とん ど発 生 しな い と 考 え られ る た め 、 本 ケ ー ス ス タ デ ィで は 除 外 した 。

2)水

平 ユ ー テ ィ リテ イ

ミ ニ 共 同溝 の 耐 用 年 数 は 共 同溝 法 に よ り 75年 と した 。 また 、 ミ ニ 共 同 溝 の 収 容 物 で あ る 各 種 配 管 配 線 の 耐 用 年 数 は 、 大 蔵 省 耐 用 年 数 表 よ り、 水 道 管 30 年 、 ガ ス 管 13年 、 電 力 線 30年 、 電 信 電 話 線 30年 、 下 水 管 35年 と した 。 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ と 同 様 の 方 法 で 計 算 した 。 下 水 管 に つ い て は 国土 開 発 調 査 会 の 計 算 方 法

文献 17)ょ

り、 1サ イ ク ル の 維

持 管 理 費 を算 出 し後 、 上 記 と 同 様 の 方 法 で 算 出 した 。 ミ ニ 共 同 溝 に つ い て は 、 維 持 管 理 費 は ほ とん ど発 生 しな い と 考 え られ る た め 、 本 ケ ー ス ス タデ ィ で は 除 外 した 。

4.4 LCCの 4.4.1

算定結 果 垂 直 ユ ー テ イ リテ イ

垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ モ デ ル の の LCCの 算 定 結 果 を 図 4.8に 示 す 。 排 水 管 が 大 き く約 2.92万 約 0.55万

円 /戸 。年 、 ガ ス 管 は 約 0.61万

円 /戸 。年 で 、 電信 電 話線 は 約 0.36万

円 /戸 。年 、 給 水 管 は

円 /戸 ・ 年 で 最 も小 さ い 。

ま た 、 ユ ー テ ィ リ テ イ項 目の LCCは 、 す べ て 住 民 負 担 と な る 。

4.4.2

水 平 ユ ー テ イ リテ イ

水 平 ユ ー テ イ リ テ イ モ デ ル の LCCの 算 定 結 果 を 図 4. 溝 が 最 も大 き く約 3.39万 水 道 が 約 2.26万

9に 示 す 。 ミ ニ 共 同

円 /戸 。年 、 ガ ス 管 が 約 3.06万

円 /戸 。年 、 電 力線 は 約 0.16万

106

円 /戸 ・ 年 、 下

円 /戸 ・ 年 で 最 も小 さ い 。


ま た 、 ユ ー テ イ リ テ イ項 目 の LCCは

、全 て公 共負 担 とな る。

給水管

排水管

ガス管

電 力線

電信 電話線

設備 シャフ ト

図 4.8

垂直 ユー テ イ リテ ィモデルの項 目別 LCC比 較

図 4.9

水平 ユーテ ィリティモデルの項 目別 LCC比 較

給水管

排水管

ガス管

電力線

電信電話線

ミニ共同溝

107


4. 4.3 LCCの

比較

垂 直 ユ ー テ ィ リテ イ モ デ ル と水 平 ユ ー テ ィ リ テ イモ デ ル の LCCを 比 較 し た も の を 図 4。

10に 示 す 。

LCCは 、 垂 直 ユ ー テ イ リテ イモ デ ル 約 5。 4万 円/戸 ・ 年 に対 し、 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ モ デ ル は 約 9.5万 円 /戸 。年 と な る 。 した が っ て 、 垂 直 ユ ー テ ィ リ テ イ は水 平 ユ ー テ イ リ テ イ に比 べ て 約 4.

1万 円 /戸 。年 (約 43%)小

い 。 しか し、 住 民 負 担 で は 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ モ デ ル の 場 合 は 全 額 負 担 して い る の に対 し、 水 平 ユ ー テ ィ リ テ イモ デ ル は全 て 公 共 負 担 と な っ て い る 。

□ 維持管理費 国l初 期投資額 垂直 ユ ーテ ィ リテ ィモデル 図 4.10

水平 ユーテ ィ リティモデル

LCC比 較

108


4。

5

結論

本章 で は 、 高 層 集 合 住 宅 にお い て 、戸 建 住 宅 地 区 の都 市 イ ン フ ラ (本 章 で は 、 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ と定 義 )と 同 等 の 機 能 を持 つ 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ (共 用 部 縦 シ ャ フ トお よび そ こ に収 容 さ れ る配 管 ・ 配 線 )を 定 義 した 上 で 、 実 在 す る 高 層 集 合 住 宅 を も と に そ れ と 同 規 模 の 住 戸 数 が あ る 戸 建 住 宅 地 区 を設 定 し、 垂 直 ユ ー テ イ リテ イ と水 平 ユ ー テ イ リテ イ の モ デ ル を 作 成 して 、 初 期 投 資 額 と維 持 管 理 費 を対 象 に 2つ の ユ ー テ イ リテ イ の LCCを 比 較 検 討 した 。 以 下 に結 論 を 示す。

(1)垂

直 ユ ー テ イ リテ イの LCCは 、 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ に比 べ て 40

%程 度小 さ くな っ た 。 この こ とか ら、垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ は水 平 ユ ー テ イリ テ イ に比 べ て LCCの 観 点 か ら は 経 済 的 で あ る が 、 住 民 に と っ て は 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イの 場 合 は全 て 自 己 負 担 の た め 負 担 が 大 き く、 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ で は 公 共 公 益 事 業 者 が負 担 して い る 戸 建 住 宅 地 区 に比 べ て 不 公 平 と言 え る 。 こ れ は 、 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イが 私 有 物 と して 扱 わ れ る た め で 、 高 層 集 合 住 宅 に住 む こ とで 戸 建 住 宅 地 区 の 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ に比 べ て 負 担 が 大 き くな る の は 、 ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 高 層 集 約 化 を推 進 して い く上 で 障 害 と考 え る 。

以 上 よ り、 ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 解 消 の た め 、 今 後 、 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イは社 会 資 本 化 し、 公 共 で 建 設 し て 維 持 管 理 す べ き で あ る こ と を 明 ら か に した 。

109


第 5章

高 度都市機 能 集積 地区 の用途構成か らみた 自立型 地区施設 の 導入効果 に関す る研究



第 5章

高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 用 途 構 成 か らみ た 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 に 関 す る研 究

5.1

概要

我 が 国 の都 市 で は、都 市 イ ンフ ラの抱 え る問題 点 の 解 決 の た め 、高 層 集 約 化 され た 地 区 内 にお い て 、 エ ネ ル ギ ー ・水 ・ 廃 棄 物 系 を高 効 率 に循 環 利 用 す る 自 立 型 地 区 施 設 へ の 転 換 が 必 要 で あ る こ と を 第 1章 に お い て 示 し た 。 本 章 で は 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 自立 型 地 区 施 設 と して リ サ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 した 場 合 の 、 地 区 の 用 途 構 成 と 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 の 関 係 に つ い て 分 析 した 。 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 と して 、 最 初 に 、 東 京 23区 の 250mメ 利用データ

文献 19)を

用 い て 「 東 京 23区 の 250mメ

約 化 モ デ ル 」 を 設 定 した 。 東 京 23区 の 250mメ

ッシ ュ土 地

ッシ ュ 内 で の建 物 の集

ッ シ ュ は 全 部 で 9,416

メ ッ シ ュ あ る が 、 除 去 条 件 を 設 定 して 先 ず 5,256メ

ッ シ ュ に 絞 り込 ん だ 。

そ の 時 の 東 京 23区 の 用 途 別 メ ッ シ ュ 数 の 割 合 を 、 住 宅 :業 務 。商 業 ・ 宿 泊 ・ 医 療 ・ 教 育 ・ 娯 楽 ・ 複 合 用 途 の 8用 途 地 区 に つ い て 算 定 した 上 で 、 建 物 用 途 構 成 比 を 分 類 す る こ と で 代 表 的 な 301種

の 用 途 構 成 に 絞 り込 ん だ 。

次 に 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム と し て 、 ガ ス ェ ン ジ ン 式 と ガ ス タ ー ビ ン 式 の 2つ の コー ジ ェ ネ レー シ ョンシ ス テ ム と ごみ 焼 却 廃 熱利 用 シ ス テ ム お よび コ ー ジ ェ ネ レー シ ョ ンシ ス テ ム とごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム の 大 き く 3 ケ ー ス 、 全 部 で 5つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム を 設 定 し、 先 に 絞 り込 ん だ 301種 に つ い て 年 間 電 力 需 要 量 、 年 間 熱 需 要 量 、 1日 当 た り廃 棄 物 発 生 量 を算 定 し た 後 で 、 301種

の 用 途 構 成 の 全 て に つ い て 、 こ れ らの リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導

入 した 場 合 の 地 区 の 用 途 構 成 と 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 の 関 係 を 分 析 した 。 さ ら に 、 建 物 用 途 構 成 301種

毎 の 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 を 目的 変 数 と

し、 8用 途 地 区 の 用 途 構 成 割 合 を 説 明 変 数 と して 重 回 帰 分 析 を 行 い 、 建 物 用 途

110


構 成 特 性 と年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 と の 関 連 性 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減効 果 は大 きい 順 に 、 コー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム とごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シス テ ム の 併 用 シ ス テ ム 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム 、 ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム とな る こ とを 明 らか に した 。 また 、 用 途 地 区 で は 宿 泊 用 途 が最 も大 きい こ と を示 した 。

5.2 5.2.1

リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 と省 エ ネ ル ギ ー 効 果 の 考 え 方 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 の 考 え方

本 章 で は 、 東 京 23区 の 250mメ

ッ シ ュ エ リ ア を 1つ の 地 区

(1つ の エ リ

ア )と 考 え て 、 エ リ ア 内 の 全 て の 建 物 を 1つ の 建 物 に 高 層 集 約 化 す る こ と で 1 つ の 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 を 構 成 し、 この 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に リサ イ ク ル シス テ ム を導入 す る もの と した。 本 章 で 検討 す る リサ イ ク ル シ ス テ ム とは 、 コ ー ジ ェ ネ レー シ ョ ンシ ス テ ム と ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム お よび コー ジ ェ ネ レー シ ョンシ ス テ ム・ ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム で あ る。 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョン シ ス テ ム は 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 電 力 及 び 熱 需 要 量 を賄 い 、 ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム は 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 か ら排 出 され る 可 燃 ご み を地 区 内 で 焼 却 し、 そ の 排 熱 で 高 度 集 積 地 区 の 熱 需 要 の 一 部 を 賄 う もの で あ る 。 図 5。

1に 集 約 化 さ れ た 都 市 の 考 え 方 を、 図 5.2に 集 約 化 さ れ た 都 市 に お

け る リサ イ ク ル シ ス テ ム の 考 え方 を示 す 。

1

1 1


集約化 された都市

図 5.1

集約 された都市 の考 え方

集約化

集約化 された都市

現在 の都市

一 〇

図 5.2

都市イ ンフラ リサイクル システム (自 立型地区施設 ) ・ コージェネ レーション 0シ ステム ・ ごみ焼却廃熱利用 システム ・ 両 システムの併用 システム

集約化 された都市 にお ける リサイ クル システ ムの考 え方

112


5.2.2 図 5。

省 エ ネ ル ギ ー効 果 の 考 え 方

3に 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 モ デ ル に お け る 省 エ ネ ル ギ ー 効 果 の 考 え 方

を示 す 。 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 モ デ ル に お け る 省 エ ネ ル ギ ー 効 果 は 、 東 京 23 区 の 250mメ

ッ シ ュ の 1つ を 取 り出 し て 検 討 す る が 、 そ の 時 の 現 状 の 250

mメ ッ シ ュ の 概 念 を 図 5。 3の 上 図 に 示 す 。 1つ の メ ッ シ ュ の 中 に は 全 部 で n 個 の 建 物 が あ り、 1つ の メ ッ シ ュ 全 体 で は Xm2の 延 床 面 積 と な る 。 こ れ ら の 建 物 全 て を 1棟 に 高 層 集 約 化 し た も の が 図 5.3の

下 図 の高 度都 市 機能 集積 地

区モ デ ルで ある。 本 章 で は 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 省 エ ネ ル ギ ー 効 果 の 指 標 と して 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 モ デ ル に 従 来 シ ス テ ム を導 入 し た 場 合 に お け る 床 面 積 1

m2当 た り の 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 量 に対 す る 削 減 量 を 用 い て い る 。 床 面 積 lm2当 た り の 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 量 の 削 減 効 果 は 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 モ デ ル の 建 物 用 途 構 成 比 で 決 ま る と考 え ら れ る 。 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 モ デ ル の 建 物 用 途 構 成 比 は 、 250mメ

ッシ ュエ リア内 の建 物 用 途構 成 で

あ る の で 、 そ の 建 物 用 途 構 成 特 性 に 応 じて 床 面 積 lm2当 た り の 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー量 の 削 減 効 果 が 決 定 され る 。 そ こ で 、 次 節 に お い て 東 京 23区 の 250mメ 成 比 の 分 類 を行 い 、 東 京 23区 の 250mメ

ッシ ユエ リア内 の建 物 用 途構

ッ シ ュ レベ ル で の 建 物 用 途 構 成 比

の 特 性 を把 握 した 。 な お 、 従 来 シ ス テ ム と して は 電 力 供 給 は 買 電 、 熱 供 給 は ガ ス 炊 き ポ イ ラ ー と 蒸 気 吸 収 式 冷 凍 機 に よ る 蒸 気 。冷 水 供 給 と し、 廃 棄 物 処 理 は ご み 収 集 車 で 収 集 し清 掃 工 場 で 焼 却 す る 方 式 と し た 。

113


全部で n個 の建物がある。 250mメ ッシュ全体でXm2の 延床面積 になる

く現状 の250mメ ッシュの概念 >

延 べ床面積 X m2

250mメ ッシュ内の建物全てを 1棟 に高層集約化する

く集約建物 の概念 >

図 5.

3 高度都市機能集約地区モデルにお ける省エネルギー効果の考 え方

114


5.3

東 京 23区 の 250

東 京 23区 の 250mメ

mメ ッ シ ュ エ リ ア 内 の 建 物 用 途 構 成 比 の 分 類 ッ シ ュ 土 地 利 用 数 値 デ ー タ (東 京 都 都 市 計 画 局 、 平

成 3年 版 )を 用 い て 、 東 京 2

3区 内 に お け る 地 区 の 建 物 用 途 構 成 比 の 分 類 を行

ヽ つ

5.3.1

建 物 用 途 の分類

東 京 23区 の 250mメ

ッ シ ュエ リ ア 内 の 建 物 用 途構 成 比 の 分 類 を行 う前 に 、

4節 の 各 種 負 荷 算 定 や 5節 の 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 検 討 の た め 、 ま ず 、 建 物 用 途 分 類 を、 表 5。

1に 示 す メ ッ シ ュ デ ー タ を も と に した都 市 計 画 上

の 建 物 用 途 分 類 へ の 変 換 方 法 を用 い て 、 土 地 利 用 数 値 デ ー タ の 15用 途 か ら都 市 計 画 上 の 9用 途 に分 類 す る 。 つ ま り、 メ ッ シ ュ デ ー タの 建 物 用 途分 類 で あ る 、 官 公 庁 、 教 育 。文 化 施 設 、 厚 生 施 設 、 供 給 処 理 施 設 、 事 務 所 、 商 業 施 設 、 住 商 併 用 、宿 泊 遊興 、 ス ポ ー ツ 、 独 立 住 宅 、 集 合 住 宅 、 工 場 、 住 工 併 用 、 倉 庫 運 輸 、 農業 漁業 の 15用 途 か ら、 本 章 で は 独 立 住 宅 、 集 合 住 宅 、 業 務 施 設 、 商 業施 設 、 医 療 施 設 、 宿 泊 施 設 、 教 育 施 設 、 文 化 施 設 、 娯 楽 施 設 の 9用 途 に再 分 類 した 。 都 市 計 画 上 の建 物 用 途 分 類 へ の 変 換 は 、 独 立 住 宅 につ い て は メ ッ シ ュ デ ー タ の 住 商 併 用 の 1/2と 独 立 住 宅 お よ び 住 工 併 用 の 1/2を 加 算 す る こ とで 算 定 した 。 以 下 同 様 の 方 法 に よ り、 集 合 住 宅 は そ の ま ま の 値 を 、 業 務 施 設 は 官 公 庁 と事 務 所 を加 算 した 値 を、 商 業 施 設 は 商 業 施 設 と住 商 併 用 の 1/2を 加 算 した 値 を、 医 療 施 設 は 厚 生 施 設 の 値 を、 宿 泊 施 設 は 宿 泊 遊 興 の 値 を 、 教 育 施 設 は教 育 。文 化 施 設 に 0.96を 乗 じた 値 を 、 文 化 施 設 は教 育 ・ 文 化 施 設 に O.04を 乗 じた 値 を、 娯 楽 施 設 は ス ポ ー ツ 施 設 の 値 を 用 い た 。 な お 、 メ ッ シ ュ デ ー タ の 供 給 処 理 施 設 、 工 場 、倉 庫 運 輸 、 農 業 漁 業 は都 市 計 画 上 の分 類 に な い た め こ こ で は 除 外 した 。

115


表 5.1

メ ッシ ュデ ー タをもとに した都市計画上 の 建物用途分類 へ の変換方法 文献 19)

メ ッシュデー タの 建物用途分類

①官

都市計画上 の建物用途分類

独立住宅 (=⑦ /2+⑩ +⑬ /2)

② 教育、文化施設 ③厚 生 施 設 ④ 供給処理施設 ⑤事

⑥商 業 施 設

集合住宅 (=⑪ ) 業務施設 (=① +⑤ ) 商業施設 (=⑥ +⑦ /2)

⑦住 商 併 用 ③宿 泊 遊 興 ⑨ ス ポ ー ツ ⑩独 立 住 宅 ①集 合 住 宅 ⑫工

医療施設 (=③ ) 宿泊施設 (=③ ) 教育施設 (=② × 0.96)

⑬住 工 併 用 ①倉 庫 運 輸 ⑮農 業 漁 業

文化施設 (=② × 0.04) 娯楽施設 (=③ )

[注 ]教 育施設、文化施設 は全国の用途別延 べ床面積比率(教 育施 0.3%)を 用 いて比例配分 した。 設-6.2%、 文化施設-

116


5.3.2

分類 方 法

図 5.4に 東 京 23区 の 250mメ

ッシ ュ の建 物 用 途 構 成 比 の分 類 フロ ー を

示す。 まず 、 前 述 した 通 り建 物 用 途 を メ ッ シ ュ デ ー タ ー の 15用 途 か ら都 市 計 画 上 の 9用 途 に分 類 した あ とで 、 住 宅 に つ い て は 、 独 立 住 宅 と 集 合 住 宅 を合 計 して 住 宅 施 設 と して 取 り扱 い 、 教 育 施 設 と文 化 施 設 を合 計 して 教 育 施 設 と して 取 り 扱 う こ と と した 。 東 京 23区 の 250mメ

ッ シ ュ土 地 利 用 数値 デ ー タ の メ ッ シ ュ

数 は 総 数 で 9,416メ ッ シ ュ あ る が 、 こ の 中 に は 、 23区 の 端 に 位 置 し土 地 面 積 率 が 低 い メ ッ シ ュ や 、 河 川 や 緑 地 。オ ー プ ン ス ペ ー ス 等 の 面 積 率 が 高 い た め に、 エ リア 内 の 建 物 用 途 構 成 が 一 般 的 で な い 場 合 が 考 え られ る た め に 、 本 章 で は 、 分 類 を行 う前 に以 下 に示 す 除 去 条 件 を設 定 して 、 異 常 値 を持 つ メ ッ シ ュ を分 類 か ら除 外 した 。 ①

土 地 面 積 80%以 下

建 物 用 途 別 床 面 積 割 合 に お け る そ の 他 用 途 割 合 10%以 上

ネ ッ ト容 積 率 100%未

宅 地 面 積 率 50%以 下

こ れ に よ り、 分 類 対 象 メ ッ シ ュ は 9,416メ

ッ シ ュ か ら 5,256メ

ッシ ュ

に絞 り こ め る。 次 に 、 抽 出 さ れ た メ ッシ ュ の 建 物 用 途 別 床 面 積 割 合 を 5%刻 み の 数 値 に簡 略 化 し、 同 じ用 途 構 成 比 パ タ ー ン の メ ッ シ ュ に ま とめ た 。 そ の 結 果 、 5,256 メ ッ シ ュ か ら 1,634種 の 用 途 構 成 比 が 得 られ た 。 さ らに 、 用途 構 成比 が 100%の

中 で 80%同 じパ タ ー ンの も の を 同 じパ タ ー

ンの メ ッ シ ュ と し て 1つ の パ タ ー ン に再 分 類 した 。 図 5.5に 用 途 構 成 比 の パ タ ー ン 分 類 の 例 を 示 す 。 住 宅 施 設 の 10%、 業 務 施 設 の 5%、 商 業 施 設 の 5% 分 以 外 の 80%分 の 用 途 構 成 比 が 同 じた め 、 同 じ用 途 構 成 比 パ タ ー ン と し て 分 類 で き る 。 この 時 、 用 途 別 床 面 積 割 合 の 最 も大 き な 用 途 を有 す る パ タ ー ン の 方 に再 分 類 す る も の と して い る の で 、 図 5.5の 例 で は 、 パ タ ー ン Cは 、 パ タ ー

117


ン Aと 同 じ用 途 構 成 比 と な る 。

文献 19)

東京23区 250mメ ッシュ土地利用 数値デ ー タ (東 京都都市計画局 ) 9416メ ッシュ

建物用途 を 9分 類 に変換 独立住宅、集合住宅については合計 し、 住宅施設 として取 り扱 った。

異常値と考えられるメッシュの除外 除去条件 :①土地面積率 ≦80% ②その他用途 ≧10% ③ネット容積率 <100% ④宅地面積率 ≦50% 分類対象 メッシュ

用途別床面積害]合 を5%刻 みに変換 用途構成比 パ ターンが同 じものに分 類

用途構成比パターンが80%以 上同 じ ものに分類 東京 23区 250mメ ッシュデ ー タの 分類結果 301種

用途地区の分類 1つ の用途が50%以 上 を占める用途 複合用途地区の分類 50%を 占める用途のない地区 建物用途別平均床面積の算定

各用途地区による分類結果 8パ ター ン

図 5.

4 東京23区 の250mメ ッシュの建物用途構成比の分類 フロー

118


(分 類前)

建物月途別床面 1 1割 合 (%)

用途構 成比 パ ター ン

住宅

業務

商業

医療

宿泊

パ ターンA パ ターン B

30 20

20

10

5

25

15

5

5 5

教育

文化

娯楽

その他

5

10 10

5

5

5

5

パ ターンA パ ターン B

5

建物

途別床面積割合 二%

用途構 成比 パ ターン

住宅

業務

商業

医療

宿泊

パ ターン C

30

20

10

5

5

教育

文化

娯楽

その他

5

10

5

5

図 5.5

5.3.3

10

25

● ▼

(分 類後 )

パ ター ン C

I y:t ts.

lv)2.fi. 35

用途構 成比 の パ ターン分類 の例

分類結果

3節 2項 に示 し た 除 去 条 件 よ り、 分 類 対 象 メ ッ シ ユ を 、 ま ず 、 全 9,416 メ ッ シ ュ か ら 5,256メ

ッ シ ュ に整 理 し た 。 次 に 、 こ れ らの メ ッ シ ュ の 建 物

用 途 別 床 面 積 割 合 を 5%刻 み に 変 換 し、 建 物 用 途 構 成 比 パ タ ー ン が 同 じ も の に 分 類 す る こ とで 、 1,634種

の 用 途 構 成 に ま とめ た 。 こ れ らの パ タ ー ン の 中

で 、 建 物 用 途構 成 比 が 80%以 上 同 じ もの を 1つ の パ タ ー ン に ま とめ る こ と で 、 最 終 的 に 250mメ

5.3.4

ッ シ ュ エ リ ア の 建 物 用 途 構 成 と して 301種

が 得 られ た 。

建 物 用途構 成比 の特性 の検 討

建 物 用 途 構 成 比 の 特 性 をみ る た め に 、 図 5.6の 東 京 23区 の 用 途 別 メ ッ シ ュ 数 割 合 (メ ッ シ ュ 数 合 計 5,256メ

ッ シ ュ )を 用 い て 、 建 物 用 途 構 成 301

種 を 住 宅 、 業 務 、 商 業 、 医 療 、 宿 泊 、 教 育 、 娯 楽 お よ び 複 合 の 8用 途 地 区 に 同 定 し、 用 途 地 区 毎 に 用 途 別 平 均 床 面 積 割 合 を算 定 し た 。 こ の 時 、 1つ の 用 途 が

50%以

上 を 占 め る建 物 用 途 構 成 を そ の 用 途 地 区 と して 同 定 し、 1つ の 用 途 が

50%を

以 上 を 占 め な い 地 区 に つ い て は 複 合 用 途 地 区 と して 同 定 した 。 表 5。

2に 用 途 を 同 定 し た メ ッ シ ュ 数 の 割 合 と そ の 時 の メ ッ シ ュ 数 を 、 図 5。 7に 用

119


途 を 同 定 した メ ッ シ ュ 数 割 合 図 を示 す 。 表 5.2よ

り、 用 途 構 成 301種

の 内 訳 は 、 住 宅 用 途 地 区 が 83種 、 業 務 用

途 地 区 が 4・ 8種 、 商 業 用 途 地 区 が 9種 、 医 療 用 途 地 区 が 10種 、 宿 泊 用 途 地 区 が 13種 、 教 育 用 途 地 区 が 17種 、 娯 楽 用 途 地 区 が 6種 、 複 合 用 途 地 区 が 11

5種 で あ っ た 。 種 の 数 で は 、 複 合 用 途 地 区 が 約 38%と 用 途 地 区 の 約 28%、

業 務 用 途 地 区 の 約 16%の

最 も 多 く、 次 い で 住 宅

順 に 多 く、 娯 楽 用 途 地 区 は 約

2%と 最 も少 な い 。 ま た 、 5,256メ

ッ シ ュ の 内 訳 は 、 住 宅 用 途 地 区 が 4,406メ

務 用 途 地 区 が 325メ

ッシ ュ 、 業

ッ シ ュ 、 商 業 用 途 地 区 が 21メ ッ シ ュ 、 医 療 用 途 地 区 が

24メ ッ シ ュ 、 宿 泊 用 途 地 区 が 17メ ッ シ ュ 、 教 育 用 途 地 区が 124メ 娯 楽 用 途 地 区 が 14メ ッ シ ュ 、 複 合 用 途 地 区 が 325メ シ ュ 数 で は 、 住 宅 用 途 地 区 が 全 体 の 約 84%と

ッシ ュで あ った。 メ ッ

大 部 分 を 占め 、業 務 用 途 地 区 と

複 合 用 途 地 区 が 各 々 6%程 度 で あ っ た 。

教育地区24√ サ

区Q3%ノ 識

区Q2%

メ ッシュ数合 計5256

図 5.6

東京 23区 の用途別 メ ッシュ数の割合

120

ッシ ュ 、


表 5.2 建物用途 地区

用途 を同定 した メ ッシュ数 の割合 とその時 の メ ッシュ数

建物用途別平均床面積割合 (%) 業務

商業

医療

宿泊

教育

文化

9 65 14

6 4

3 6

7 6

0

商業

62 10 16

8 6 60

1

6

1

0 0

医療

13

2

4

69

2

8

0

住宅 業務

住宅

10 14

宿泊 教育

7

7

1

7

2

4

5

8

娯楽

29 33

複合 全体

餞 揚 凶 離 翠 断 郷 帥 眠 鯖 鰈 齢 飾

20

12

22

10

4

0

0

7 8

8

4 66 6

2

10

24

0.5

0

4 4

17 124

0.3

3

13 17

0 0 0

68

3

6

14

0.3

3

2

115

6.2

3

2

301

325 5256

70

80

8

17 14

40

害脂針(%) 50 60

0

90

2.4

100

100

目住 宅 圏業務 園商業 □医療 日宿泊 □教育 ■文化 田娯楽 国その他 図 5.7

5。

67

用途構成 メッシュ数 ゜

ー ュ シヨ 女 Fッ シ )1割 合(%〕 娯 楽 その他 ハタ 4406 83.8 83 3 2 6.2 325 48 2 2 ● 0.4 ‘ 9 2

用途 を同定 した メッシュ数の割合図

建 物 用 途 構 成 特 性 に よ る各 種 負 荷 の検 討

地 区 の 建 物 用 途 構 成 特 性 と電 力 需 要 量 、 熱 需 要 量 、 廃 棄 物 発 生 量 な どの 負 荷 の 関 係 を検 討 した 。

5。

4.1

(1)

原 単 位 と各 用 途 の 年 間 稼 働 日 数 の 設 定 原単位 の設定

地 区 内 の 単 位 延 床 面 積 当 た りの 電 力 需 要 量 、 熱 需 要 量 、 廃 棄 物 発 生 量 は 、 建 物 用 途 別 の 各 種 原 単 位 と地 区 内 建 物 用 途 構 成 比 か ら算 定 し た 。 電 力 ・ 熱 の 原 単 位 は 、 早 稲 田 大 学 建 築 学 科 尾 島 俊 雄 研 究 室 の デ ー タ を使 用 し た 。 た だ し、 住 宅 は 集 合 住 宅 の 原 単 位 を 、 業 務 は 一 般 事 務 所 の 原 単 位 を 、 商 業

121


はデ パ ー トの 原 単 位 を 、 教 育 は 大 学 の 原単 位 を、 文 化 は 一 般 事 務 所 の 原 単 位 を 、 娯 楽 は デ パ ー トの 原 単 位 を そ れ ぞ れ 代 用 した 。 表 5.3に 消 費 原 単 位 を 、 表 5.4に

業 務 施 設 の 熱 。電 力 消 費 原 単 位 を 、 表 5.

施 設 の 熱 。電 力 消 費 原 単 位 を 、 表 5。 表 5。

住宅施 設 の熱 ・電力

5に 商 業

6に 医 療 施 設 の 熱 。電 力 消 費 原 単 位 を 、

7に 宿 泊 施 設 の 熱 ・ 電 力 消 費 原 単 位 を 、 表 5.8に 教 育 施 設 の 熱 ・ 電 力

消 費 原 単 位 を 、 表 5。

9に 文 化 施 設 の 熱 。電 力 消 費 原 単 位 を 、 表 5。

楽 施 設 の 熱 ・ 電 力 消 費 原 単 位 を示 す

10に 娯

以上 文献 20)

廃 棄 物 発 生 量 の 原 単 位 は 、 東 京 都 の 建物 用 途 別 廃 棄 物 発 生 量 原 単 位 と横 浜 市 の 建 物 用 途 別 廃 棄 物 内 訳 割 合

文献 22)を

文献 21)

使 用 した 。 た だ し こ の 中 で 、

廃 棄 物 発 生 量 原 単 位 につ い て 、 娯 楽 施 設 の 原 単 位 は空 気 調 和 衛 生 工 学 便 覧 第 1

0版 の 各 種 建 物 の ご み 排 出 量 か ら、 教 育 施 設 の 原 単 位 は 空 気 調 和 衛 生 工 学 便 覧 第 10版 ら

文献 23)の

文献 24)算

各 種 建 物 の ご み 排 出 量 と 建 築 資 料 集 成 6の 建 築 。生 活 か

出 した 。 ま た 、 廃 棄 物 内 訳 割 合 に つ い て は 、 横 浜 市 が 廃 棄 物 発

生 量 を 調 査 して 得 ら れ 値 で あ る が 、 「 缶 類 」 は 横 浜 市 の 廃 棄 物 組 成 に お け る 金 属 類 の う ち リサ イ ク ル 可 能 な ス チ ー ル と ア ル ミ の デ ー タ ー を 用 い 、 リ サ イ ク ル 不 可 能 な こ れ 以 外 の 金 属 類 は 「 そ の 他 」 と した 。 同 様 に 、 「 瓶 類 」 に つ い て も ガ ラ ス 類 の う ち 一 升 瓶 、 ビ ー ル 瓶 、 飲 料 瓶 は リ サ イ ク ル 可 能 な 「 瓶 」 と し、 こ れ 以 外 の ガ ラス 類 は 「 そ の他 」 と した 。 な お 、 建 物 用 途 別 廃 棄 物 内 訳 割 合 の住 宅 につ い て は 、 横 浜 市 に お け る廃 棄 物 組 成 の 家 庭 系 を用 い 、 教 育 、 娯 楽 に つ い て は そ れ ぞ れ 文 化 、 商 業 の 割 合 を代 用 した 。 表 5.11に

東 京 都 の 廃 棄 物 発 生 量 原 単 位 を 、 表 5。

別 廃 棄 物 発 生 量 内 訳 を示 す 。

122

12に 横 浜 市 の 建 物 用 途


表 5.3

0月 別消費原単位 (/nf・ 月)文 月

表 5.4

住宅施設 の 熱・ 電力消 費原単位

紬 断 鵬 k c a c a 閥 k 6090 0

7526

0

7977

0

4

献 20)

業務施設 の熱 0電 力消費原単位

・月) 。月男1消 費原単位 (ノ 耐

電力

KWh

文献 20)

紬 曙 鵬 k c a k a c c a0 k 12867 1095

電力

KWh

10.49

2.92

1

6141

2.66

2

0

11539

1095

10.09

6883

6141

2.87

3

0

7760

1032

11.42

729

2509

5681

2.72

4

0

3625

902

11.16

5

2498

0

4401

2.69

5

5831

0

822

10.1

6

3850

0

3173

2.63

6

14431

0

800

11.95

7

5437

0

2661

3.06

7

16711

0

716

11.69

8

6920

0

2047

3.06

8

17561

0

600

11.82

9

4631

0

2405

2.81

9

11526

0

653

10.63

10

1951

0

3378

2.73

10

0

0

812

10.89

0

1994

3838

2.58

0

5004

948

10,76

12

0

5275

5220

2.81

12

0

10263

1053

11.82

年間

26016

32164

51176

33.54

年間

66060

51058

10528

132.8

2

表 5.5

○月別消費原単位 (/nf O月 ) 月

表 5.6

商業施設 の 熱 0電 力消 費原単位 文献 20)

紬 断 鵬 k a c a k c c a k

医療施設の熱・ 電 力消費原単位

。月別消費原単位 (/nf。 月)

電力

KWh

文献 20)

榊 畷 鵬 助 W h k c a 回 K c a0 k 22454 7.76 28581

0

12376

2459

16.07

1

2

0

9851

2440

15.26

2

0

24249

21470

7.22

3

0

3536

2356

1689

3

0

19786

19554

7.58

4

4897

2021

2188

15.87

4

0

10447

18260

7.13

5

14692

0

2457

17.09

5

0

0

20910

7.4

6

23855

0

1898

1689

6

7968

0

18429

7.13

7

34440

0

2076

1851

7

15467

0

19138

7.67

8

36967

0

1758

17.5

8

16311

0

18073

8.12

9

25752

0

1617

17.09

9

7124

0

17366

7.56

10

13902

0

1832

1709

10

0

0

19847

7.49

3476

3157

2244

1668

0

11271

19208

7.22

12

0

7577

2393

18.51

12

0

19438

25927

7.94

年間

157981

38518

25718

203.5

年間

46870

113772

240636

90.22

123


表 5.7

献 20)

○月別消費原単位 (/耐・月)文 月

表 5.8

宿泊施設 の熱・ 電力消 費原単位

教育施設 の熱・ 電力消費原単位

○月別消費原単位

柚 断 鵬 助 回 k W h a k c c aK

献 20)

・月)文 耐

鵬 助 回 K h W

断 回

繰 回

(ノ

1

0

13482

9525

11.09

1

0

15607

0

3.2

2

0

11020

11987

9.03

2

0

13114

0

2.73

3

0

8556

9418

9.81

0

10740

0

1.92

4

1457

5470

9808

9.93

4

0

4747

0

2.49

5

4995

0

13301

10.84

5

2483

0

0

2.99

6

7699

0

10425

11.35

6

6143

0

0

3.63

7

10874

0

9706

12.38

7

7117

0

0

2.25

8

13839

0

9886

12

8

1496

0

0

1.58

9

9261

0

9526

11.87

9

4909

0

0

2.56

10

3902

0

10964

11.35

10

0

0

0

3.26

0

6099

9539

10.19

0

3501

0

3.84

12

0

11777

9253

9.16

12

0

11630

0

3.2

年間

52027

56404

123338

129

年間

22148

59339

0

33.65

表 5.9

〇月別消費原単位 (/耐・月)文 月

表 5.10

文化施設の熱・ 電 力消費原単位 献 20)

娯楽施設 の熱・ 電 力消費原単位

〇月別消費原単位 (ノ nf・ 月)

紬 厩 錫 助 回 k W h c a k c a K

文献 20)

柚 畷 錫 助 k W h c a k c a0 k c a0 K 45632 11.46

1

0

18988

0

182

1

2

0

19470

0

1.98

2

0

53681

0

11.46

3

0

14266

0

1.96

3

0

33953

0

11.19

4

0

6140

0

1.77

4

0

7534

0

9.28

5

112

0

0

1,75

5

645

0

0

10.23

6

1836

0

0

1.43

6

1772

0

0

11.6

7

4846

0

0

1.21

7

6914

0

0

12.69

8

4761

0

0

2.23

8

9890

0

0

13.78

9

4090

0

0

2.16

9

4328

0

0

12.41

10

869

0

0

2.61

10

1737

0

0

9

0

6140

0

2.05

249

8213

0

11.05

12

0

16440

0

1.77

12

0

45107

0

12.28

年間

16514

81444

0

22.74

年間

25535 194120

0

136.4

124


表 5.11

東京都 の廃棄物発生量原単位

文献 21)

原単位

(g/m20日 ) 30 40

住宅施設 業務施設 商業施設

255 25

医療施設 宿泊施設 教育施設

57 0.002

20 15

文化施設 娯 楽施設

[注 1]娯 楽施設の原単位 は空気調和衛生工学便覧第10版 、

各種建物 のごみ排出量 を用 いた。

[注 2]教 育施設 の原単位は空気調和衛生工学便覧題 10版 、

生活、 各種建物 のごみ排出量 と建築設計資料集成 6建 築- 建物の延面積 から算出 した。

表 5,12建

住宅施設 (%)

業務施設 (%)

物用途別廃葉物内訳割合

商業施設 (%)

文献 22)

医療施設

宿泊施設

教育施設

文化施設

娯楽施設

(%)

(%)

(%)

(%)

(%)

31

55

56

39

36

36

36

56

3

4

4

16

5

6

6

4

3

3

3

7

5

3

3

3

厨芥

37

24

17

24

35

28

28

17

・ラスチック フ

12

4

5

7

2

14

14

5

5

5

2

2

5

10

5

15

粗大 ごみ

その他

14

5 13

[注 ]住 宅施設における割合 は横浜市における廃棄物組成 の家庭系 より用いた。

教育施設、娯楽施設 の割合 は文化施設、商業施設 の割合 をそれぞれ借用 した。

125

13

10


(2)

各 用 途 の 年 間稼 働 日数 の 設 定

表 5。

13に 、 住 宅 、 業 務 、 商 業 、 医 療 、 宿 泊 、 教 育 、 娯 楽 各 用 途 の 年 間 稼

働 日数 の 設 定 結 果 を示 す 。

表 5.13 各用途 の年間稼働 日数の設定 用

年間稼働 日数 (日 /年 )

360

240

300

360

宿

360

300

300

300

126


5.4.2

各種 負荷 の検 討 結 果

4節 1項 に お い て 設 定 し た 各 種 原 単 位 と 各 用 途 の 年 間 稼 働 日 数 を 用 い て 、 3 節 3項 に お い て 分 類 され た 各 用 途 構 成 比 の 地 区 に お け る 延 べ 床 面 積 lm2当 た りの 電 力 需 要 量 、 熱 需 要 量 、 廃 棄 物 発 生 量 を算 定 す る 。 こ こ で 分 類 さ れ た 地 区 の 建 物 用 途 構 成 は 301種

と 多 く、 301種

の全 て につ い て 各 用 途構 成比 にお

け る負 荷 の 特 徴 を把 握 す る に は膨 大 な作 業 が 必 要 と な る 。 そ こ で 、 こ こで は 負 荷 の 特 徴 を表 し易 い も の と し て 、 3節 4項 に お い て 分 類 さ れ た 表 5.2の

用途

を 同 定 した メ ッ シ ュ 数 の 割 合 とそ の 時 の メ ッ シ ュ 数 の 中 の 建 物 用 途 別 平 均 床 面 積 割 合 を 用 い て 、 そ れ を建 物 用 途 構 成 比 の 代 表 値 と して 、 8種 の 建 物 用 途 地 区 に つ い て 電 力負 荷 、 熱 負 荷 、 廃 棄 物 負 荷 の 検 討 を行 つ た 。

(1)電

力需 要量 の算 定 結 果

各 用 途 地 区 毎 の 単 位 延 床 面 積 当 り の 年 間 電 力 需 要 量 の 算 定 結 果 を 図 5.8に 示 す 。 年 間 電 量 需 要 量 は、 商 業 用 途 地 区 が 約 155Kwh/m2年 次 い で 娯 楽 用 途 地 区 の 約 122Kwh/m2年

h/m2年

、 宿 泊 用 途 地 区 の 約 120Kw

、 業 務 用 途 地 区 の 約 117Kwh/m2年

の需 要 量 が 高 い。 教 育 用

途 地 区 の 年 間 電 量 需 要 量 は 小 さ く、 約 50Kwh/m2年

(2)

で 最 も高 く、

であ った。

熱需 要 量 の算 定 結 果

各 用 途 地 区 毎 の 単 位 延 床 面 積 当 り の 年 間 熱 需 要 量 の 算 定 結 果 を 図 5.9に す 。 年 間 熱 需 要 量 は 、 医 療 用 途 地 区 の 約 316Mca1/m2年 く、 宿 泊 用 途 地 区 の 約 206Mca1/m2年

a1/m2年

が 突 出 して 高

、 娯 楽 用 途 地 区 の 約 188Mc

、 商 業 用 途 地 区 の 約 187Mca1/m2年

が比 較 的 高 い。 教 育

用 途 地 区 の 年 間 熱 需 要 量 は 小 さ く、 約 109Mca1/m2年

(3)廃

とな る。

棄 物 発 生量 の算 定 結果

各 用 途 地 区 毎 の 単 位 延 床 面 積 当 り、 1日 当 た り の 廃 棄 物 発 生 量 の 算 定 結 果 を 図 5。

10に 、 廃 棄 物 発 生 量 内 訳 割 合 の 算 定 結 果 を 図 5。 11に 示 す 。

廃 棄 物 発 生 量 は 、 商 業 用 途 地 区 が 約 137g/m2日 倍 以 上 で あ っ た 。 宿 泊 用 途 地 区 は 約 57g/m2日

127

と、 他 の 用 途 地 区 の 3 、 複 合 用 途 地 区 は 約 46g


/m2日

、 住 宅 用 途 地 区 は 約 40g/m2日

と 発 生 量 は 比 較 的 大 き く、 次 い で 、

業 務 、 医療 、 娯 楽 の 各 用 途 地 区 の 発 生 量 は 約 35~ 教 育 用 途 地 区 の 廃 棄 物 発 生 量 は 約 13g/m2日

24g/m2日

とであ っ た 。

と 非 常 に小 さ い 。

次 に 、 廃 棄 物 発 生 量 の 内 訳 割 合 を み る と 、 全 地 区 に 共 通 して 、 紙 の 占 め る 割 合 が 40%以

上 と 高 く、 次 い で 厨 芥 が 20~

30%程

度 と 高 い 値 を示 した 。

年間電力需要量 (kwh/m2年 )

100 住宅 業務 商業 凶 製 銀 暖

医療 宿泊 教育 娯楽 複合

図 5.8

各用途地区の年間電力需要量 (延 べ 床面積 lm2当 た り)

年 間 熱 需 要 量 (M ca1/m2年 )

100

150

200

250

住宅 業務 商業 凶 製 錮 暖

医療 宿泊 教育 娯楽 複合 国 冷熱用

□ 暖房用 図 5.9

国 給湯用

各用途地区 の 年間熱需要量 (延 べ 床面積 lm2当 たり)

128


廃 棄物発生量 (g/m2日 )

50

100

住宅 業務 商業 凶 調 郷 暖

医療 宿泊 教育 娯楽 複合

■ 紙 圏 瓶 ■ 缶 圏 厨芥 mmプ ラスチック ロ 粗大 ごみ 圏 その他

図 5.10 各用途地区の 1日 当たり廃棄物発生 (延 べ床面積 lm2当 たり)

住宅 業務 商業 凶 雲 錮 眠

医療 宿泊 教育 娯楽 複合

■ 紙 囲 瓶 ■ 缶 圏 厨芥 皿 プラスチック ロ 粗大ごみ 圏 その他 図 5.11

各用途地 区 の廃棄物発生量内訳割合 (延 べ 床面積 l m2当 た り)

129


5. 5

年 間投 入 一次 エ ネ ル ギ ー削 減 量 の検 討

本 章 で は リサ イ クル シ ス テ ム と して 電 力 お よび 熱 供 給 シ ス テ ム を対 象 と して 、 従 来 シ ス テ ム と 比 べ た リ サ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 効 果 の ケ ー ス ス タ デ ィ を 行 う。 リサ イ ク ル シ ス テ ム の 構 成 要 素 と して コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 、 ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム を 採 用 し、 単 体 も し く は こ れ ら を組 み 合 わ せ る こ と に よ リリサ イ クル シ ス テ ム を構 成 す る 。 な お 、 コ ー ジ ェ ネ レー シ ョ ン シ ス テ ム に は ガ ス エ ン ジ ン 式 お よ び ガ ス タ ー ビ ン 式 の 2つ の シ ス テ ム を採 用 し、 地 区 内 の 建 物 は 一 つ の 高 度 都 市機 能 集 積 地 区 と して 考 え る た め 、 地 域 配 管 な どは 考 慮 せ ず 、 ま た 、 建 物 内 の エ ネ ル ギ ー 搬 送 系 に つ い て も、 建 物 の 形 状 に よ りそ の 管 長 や 動 力 負 荷 が 変 わ る の で 算 定 対 象 外 と し、 地 区 内 の プ ラ ン ト部 分 の み に つ い て 検 討 す る 。 表 5。

14に 、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム の 構 成 を 示 す 。

表 5.14

リサイクル システムの構成

リサ イ クル シ ステ ム

コー ジェネ レーシ ョン システム

シ ステムA

シ ス テ ムB シ ステムC

ごみ焼却廃熱利用 システム

● ●

130


5.5。 1

検討 条件

本 章 で 検 討 した 従 来 シ ス テ ム と リサ イ ク ル シ ス テ ム の シ ス テ ム 構 成 比 較 を 表 5。

15に 示 す 。

表 5.15 従 来 システム と リサイクル システムの構成比較

電力供給

電力供給

システム A2

壼 春 脇 加 ■

従 来 システム と同 じ

電力供給

ガスエンジンコー ジェネ レー ションシステム

電力供給 買 電 蒸気 焼却炉で廃熱蒸気

システム B

格 蒸気吸収式冷凍機 供給 冷水

・焼却炉廃熱蒸気利用

(馬

ガス焚温水ポイラー ・温排水 は、温 水供給 に優先 利用 し、温水吸収式冷凍機

ガス焚温水ポイラー 。の利用は2次的 とする 余剰熱 は放熱

ガス焚蒸気 ポイラー 。余剰熱 は放熱 ガス焚蒸気 ボイラー

ガス焚蒸気 ポ イラ ー 。余剰熱 は放熱 ガス焚蒸気 ボイラー

資源 として再利 用 又 は清掃工場 で処理

シ ス テ ム C

ヽ ン ガ コ ヽ ン

ゴ 髯 攣 背 ≫ E ” 雰 L ム

一 一 一 一 +̈ ¨

デ 剤

電力供給 ヽ

ガ コ シ

一 一 一 +̈ ¨

学 k二 利

ガスエンジンコージェネレー う ョ ン し ステ ム

・ガスエンジン温 排水利用 温水 ・ごみ焼却炉廃熱ボイラー

格 供給 冷 水 温水吸収式冷凍機

蒸気吸収式冷凍機 ・ 焼却炉廃熱蒸気利用

′ ノ

ガス焚温水 ポイラー 。余剰熱 は放熱 ガス焚温水 ポイラー 温水吸収式冷凍機

発棄物処理 シ ス テ ム Bと 同 じ

電力供給

システム C2 r

収集回数は、東京都 に準 じる

焼却 炉 で焼却 警) 亮棄物処理・・可資源熱 ごみは 9饗 撃 角 ごみ、不燃 ごみ 、粗大 ごみ は、収集 し。

亮棄物処理 従 来 システム と同 じ

ガ スエ ンジンコー ジ ェネ レー シ ョンシステム

・ガスタービン廃熱蒸気利用

蒸 気 ガス ター ビン廃 熱 ポ イラー 絨 蒸気吸収式冷凍機 供給 冷水

●ス タ ビン ハ 一 ″ コ 一 ジ工ネ レ リ l ヽ ンヽ ンス テ ヽ ンヨ ′

温水 ガスエンジン温排水 熱 温水吸収式冷凍機 供稲 冷水 ・ガスエンジン温ツト 水利用

lヽ ンシス テ ヽンヨ

わ ”

格 供給 冷水 蒸気吸収式冷凍機 廃棄物処理 ごみ収集車で収集 し、清掃工場で処理

ヽ ン ス システム Al テ ′ギ ハ スエンジン ム f″ i コ 一 ン̈ エ ネ レ A リ

リ ムン

蒸気 ガス焚き蒸気 ポイラー

従来 システム

コ ー シ ェ ネ レ

供給処理 システム構成

供給処理

システム分類

蒸気

格 供給

ガス エ ンジンコー ン エネ レー う ョしらステ ム

蒸気吸収式冷凍機 0焼 却炉廃熱蒸気利用

菫 壺 物 IJL理

・ ガス ター ビン廃 熟 ボ イラー ガス焚蒸気 ポイラー 。余剰熱 は放熟 ・ ごみ焼却炉廃 熟 蒸 気

冷水 ・ガスタービン廃熱蒸気利用

シ ステム Bと 同 じ

131

ガス焚蒸気ポイラー 蒸気吸収式冷凍機


表 中 で 比 較 検 討 した シ ス テ ム 構 成 概 念 図 を そ れ ぞ れ 、 図 5. テ ム を、 図 5。

12に 従 来 シ ス

13に リサ イ ク ル シ ス テ ム A。 1(ガ ス エ ンジ ン コ ー ジ ェ ネ レ ー

シ ョ ン シ ス テ ム )を 、 図 5.

14に リサ イ ク ル シ ス テ ム A. 2(ガ

ス ター ビ ン

コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム )を 、 図 5.

15に リサ イ ク ル シ ス テ ム B(ご

み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム )を 、 図 5.16に

リサ イ ク ル シ ス テ ム C.1(ガ

エ ンジ ン コ ー ジ ェ ネ レー シ ョ ン シ ス テ ム ・ ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム )を 、 図 5.

17に リサ イ ク ル シ ス テ ム C. 2(ガ ス タ ー ビ ン コ ー ジ ェ

ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム ・ ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム )を 示 す 。 以 下 に 、 従 来 シ ス テ ム と 5つ の リ サ イ ク ル シ ス テ ム の 特 徴 を示 す 。 従 来 シ ス テ ム は 、 買 電 に よ り電 力 を供 給 し、 都 市 ガ ス を 燃 料 と して 蒸 気 ポ イ ラ ー に よ り温 熱 と して 蒸 気 供 給 を 行 い 、 蒸 気 吸 収 式 冷 凍 機 に よ り冷 水 を 供 給 す る。 リサ イ ク ル シ ス テ ム A.

1は 、 都 市 ガ ス を燃 料 と した ガ ス エ ン ジ ン コ ー ジ ェ

ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 中 心 と し た シ ス テ ム で 、 こ れ に よ り電 力 を 供 給 す る が 不 足 分 は 買 電 に よ り補 完 す る 。 ガ ス エ ン ジ ン の 温 水 排 熱 を 熱 源 と し て 温 水 を供 給 し、 こ の 温 水 を 熱 源 と して 温 水 吸 収 式 冷 凍 機 に よ り冷 水 を供 給 す る 。 温 水 排 熱 の 余 剰 分 は 放 熱 す る が 、 不 足 す る 場 合 は 温 水 ポ イ ラ ー に よ り補 完 す る シ ス テ ム であ る。 リサ イ ク ル シ ス テ ム A。

2は 、 都 市 ガ ス を燃 料 と す る ガ ス タ ー ビ ン コ ー ジ ェ

ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 中 心 と し た シ ス テ ム で 、 ガ ス タ ー ビ ン 発 電 機 に よ り電 力 を供 給 す る が 、 不 足 分 は 買 電 に よ り補 完 す る 。 ガ ス タ ー ビ ン の 排 熱 蒸 気 を 熱 源 と して 蒸 気 を 供 給 し、 こ の 蒸 気 を 熱 源 に 蒸 気 吸 収 式 冷 凍 機 に よ り冷 水 を 供 給 す る 。 排 熱 蒸 気 の 余 剰 分 は 放 熱 す る が 、 不 足 す る分 は蒸 気 ポ イ ラ ー に よ っ て 補 完 す る もの で あ る 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム Bは 、 ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム を 中 心 と し た シ ス テ ム で 、 電 気 は 買 電 に よ り供 給 し、 熱 供 給 は ご み 焼 去 「 廃 熱 か ら得 ら れ る 蒸 気 を 熱 源 と して 温 熱 を供 給 し、 こ の 蒸 気 を 利 用 して 蒸 気 吸 収 式 冷 凍 機 に よ り冷 水 を 供 給

132


す る 。 余 剰 熱 は放 熱 す る が 、 不 足 分 を蒸 気 ポ イ ラ ー に よ つ て 補 完 す る もの で あ る。 リサ イ ク ル シ ス テ ム C.

1は 、 ガ ス エ ン ジ ン コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ヨ ン シ ス テ ム

と ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム を 中 心 と した シ ス テ ム で あ る 。 地 区 内 お よ び ごみ 焼 却 プ ラ ン トの 電 力 は 、 ガ ス エ ン ジ ン 発 電 機 に よ り供 給 し、 不 足 分 は 買 電 に よ り補 完 す る 。 熱 供 給 は 、 温 熱 に つ い て は ガ ス エ ン ジ ン の 温 水 排 熱 を優 先 して 供 給 し 、 不 足 分 を ご み 焼 却 プ ラ ン トか ら 回 収 す る 蒸 気 を 熱 交 換 し て 温 水 を 供 給 し、 さ ら に不 足 す る 分 を温 水 ポ イ ラ ー で 補 完 す る 。 冷 熱 に つ い て は 、 ご み 焼 却 プ ラ ン トか ら 回 収 す る 蒸 気 を優 先 して 利 用 して 蒸 気 吸 収 式 冷 凍 機 に よ り冷 水 を供 給 し 、 ガ ス エ ン ジ ン の 温 水 排 水 を 熱 源 と して 温 水 吸 収 式 冷 凍 機 に よ り冷 水 を供 給 し、 不 足 分 を補 助 温 水 ポ イ ラ ー と温 水 収 式 冷 凍 機 に よ り補 完 す る 。 余 剰 の 温 水 排 熱 と回 収 蒸 気 は 放 熱 す る 。 リサ イ ク ルシ ス テ ム C.

2は 、 ガ ス タ ー ビ ン コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム ・

ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム を 中 心 と した シ ス テ ム で あ る 。 地 区 内 お よ び ご み 焼 却 プ ラ ン トの 電 力 は 、 ガ ス タ ー ビ ン 発 電 機 に よ り供 給 し、 不 足 分 は 買 電 に よ り補 完 す る 。 熱 供 給 は 、 温 熱 に つ い て は ガ ス タ ー ビ ン お よ び ご み 焼 却 プ ラ ン トか ら 回 収 す る 蒸 気 を優 先 して 供 給 し、 不 足 分 は 蒸 気 ポ イ ラ ー に よ り補 完 す る 。 冷 熱 に つ い て は 、 ガ ス タ ー ビ ン お よ び ご み 焼 却 プ ラ ン トの 回 収 蒸 気 を優 先 して 利 用 して 吸 収 式 冷 凍 機 に よ り冷 水 を供 給 し、 蒸 気 の 不 足 分 を 蒸 気 ポ イ ラ ー に よ り補 完 す る 。 余 剰 の 回 収 蒸 気 は 放 熱 す る 。 表 5。

16に こ れ ら の 機 器 効 率 を示 す 。

機 器 運 転 条 件 と して 、 コ ー ジ エ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム は 、 電 主 運 転 と し、 電 力 需 要 に 対 して 発 電 容 量 の 範 囲 内 に お い て 可 能 な 限 り発 電 す る 。 こ の 時 の コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム の 発 電 容 量 は 、 ピ ー ク 電 力 需 要 量 の 30%と

した 。

また 、 ご み 焼却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 機 器 容 量 は 、年 間 廃 棄 物 発 生 量 (可 燃 ご み ) を 8760時

間 で 除 した 量 を 、 24時 間 一 定 で 焼 却 す る も の と し て 設 定 した 。

133


一部 プラン ト内で利用

(3kg/cm2G) 給湯 。暖房

ヘ ダ多 ッ 冷 水 多

(6~ 11℃ )

冷 房

図 5.12 従来 システム

ガスエ ンジン

< 6。”8 給湯.

ダ 多

補助温水ポイラ

0 晰

6” t 冷 房

図 5.13

リサ イ クル システム Al (ガ スエ ンジンコー ジェネ レーシ ョンシス テム )

134


一部 プラン ト内で利用 多 ダZ 〃

W:懺

)

補助蒸気ポイラ 6¨ t 冷 房

図 5.14 リサイクル システム A2 (ガ スタービンコージェネ レー ションシステム)

%ク ク ククククククククク

,-'---'-'

受変 電設備

_二

~~~彰 社______可 - %

蒸気ヘ ッダ

%

一部 プラン ト内で利用 │

図 5.15

リサイ クル システム B (ご み焼却廃熱利用 システ ム )

135

冷水 ヘ

% ク 後 移 ダ % タ

(8kgノ cm2G)

給湯 。暖房


受変 電設備

---

~

│[│

一― 二 多 ガス_I==~耳 コ111 エ ンジン =ニ 〃

「 サ

〃 〃│ L 補助温水ポイラ り 輛助温水ポイラ %

1

_1丁

Ч

一部 プラン ト内で利用

- ~¬

」」´

%

温水吸収式冷凍機 卜- >∥

│1

二 二 二 ===ご 二三ニコ 「 ~L三 十

_1 1彫 け 、 L_理 零プた生l「 ~~~~~γ fr-r*--ffit-il't f~~- 1 ψ

ク % 狂

気 ψ 蒸幹 ッ ポイラ >1翻 廃熱 熱ポイラ ト

∥ 〃 z 」 -LJ%

~ 1嘉 l漁

み焼却施設 蹴

嘉 夕 1 ~~¬ 多 ~~-

蒸気吸収式冷凍機 卜>H

- ~■ ……詢「 葺〒 ψψ 、 ↓ 「

翻 =董 論 ″

図 5.16

< 6 。 8賜 ” ダ 静 _」_二 ∥ ユ 摯γ タ L_ゝ 「 ま葛高原 1、 日 % ロ

%

(6~ 11℃ )

冷 房

リサ イ クル システム Cl (ガ スエ ンジンコー ジェネ レー ションシステム・ ごみ焼却廃熱利用 システムの併用 システム )

電力 -―---- ~- ~~一 一 ぎT=- 一一―――¬ 彰

ガス ター ビン 蒸気ヘ ッダ

廃 熱 ポ イラ

一部 プラン ト内で利用

冷年 ダ 「↓ 水

Z 多 多 拷 ″

多 % % % %

~~- ~~~-

図 5.17

;~ 11て

リサ イ クル システム C2 (ガ ス ター ビンコー ジェネ レー ションシステム・ ごみ焼却廃熱利用 システムの併 用 システム)

136


表 5。 16 機器効率 項 目

設定値

ガスエ ンジン (温 水 )

発 電効 率 熱回 収率

0 3

ガスター ビン (蒸 気)

発電効率 熱回収率

0 22

蒸気ポイラ

効率

0.78

温水ポイラ

効率

0.78

蒸気吸収

COP

1.3

温水吸収

COP

0.58

熱回収効率

0.8

機 器

コージェネレーション システム

04

0 43

補助 ポイラ

吸収式冷凍機

ごみ焼却 プラン ト 熱交換器

効率

(注 )ご み焼却炉の回収排熱 は、一部 プラン ト内において使用するもの とする。

プラン ト内蒸気使用量 (t)′ 焼却排熱蒸気発生量 (t)=0.690

137


5.5.2

各 用 途 地 区別 の 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー削 減 量 の検 討 結 果

建 物 用 途 構 成 301種 に つ い て 、 5つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 検 討 を行 っ た 。 な お 、 コー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム を 含 む シ ス テ ム Aと シ ス テ ム Cの 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 に つ い て は 、 ガ ス エ ンジ ン 式 、 ガ ス タ ー ビ ン式 の う ち 削 減 効 果 の 高 い シ ス テ ム の 値 を採 用 した 。 検 討 結 果 を、 リサ イ ク ル シ ス テ ム A、 B、

C別 に ま とめ 、 用 途 地 区 別 に 年 間

投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 で 比 較 した 。

(1) 図 5。

リサ イ ク ル シ ス テ ム Aの 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果

18に 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム A(コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム )導

入 に よ る 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 比 較 結 果 を示 す 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム A(コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム )導 入 に よ る 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 は 、 宿 泊 用 途 地 区 が 約 54Mca1/m2年

と非 常

に大 き く、 医療 、 商 業 、 業 務 の 各 用 途 地 区 及 び 複 合 用 途 地 区 が 約 30~ 24M

ca1/m2年

と 大 き く、 教 育 用 途 地 区 は 約 10Mca1/m2年

と小 さ い 値

を示 した 。

(2) 図 5。

リサ イ ク ル シ ス テ ム Bの 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果

19に 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム B(ご み 焼 去口廃 熱 利 用 シ ス テ ム )導 入 に

よ る 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 比 較 結 果 を示 す 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム B(ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム )導 入 に よ る 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 は 、 廃 棄 物 発 生 量 の 多 い 商 業 用 途 地 区 が 約 39Mcal

/m2年 と非 常 に大 き く、 次 い で 宿 泊 用 途 地 区 が 約 19Mca1/m2年 き く、 教 育 用 途 地 区 は 約 6Mca1/m2年

(3) 図 5◆

と大

と小 さ い 値 を示 した 。

リサ イ ク ル シ ス テ ム Cの 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果

20に 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム C(コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム ・ ご

み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム )導 入 に よ る 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 比 較 結 果 を示 す 。

138


リ サ イ ク ル シ ス テ ム C(コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム ・ ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム )導 入 に よ る 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー の 削 減 効 果 は 、 宿 泊 用 途 地 区 が 約 83Mca1/m2年

2年

、 商 業 用 途 地 区 が 約 64Mca1/m

と 非 常 に大 き い 。 次 い で 、 複 合 用 途 地 区 お よ び 医 療 、 住 宅 、 業 務 の 各 用 途

地 区 が 、 約 44~

と 大 き く、 教 育 用 途 は 約 14Mcal

35Mca1/m2年

/m2年

と 小 さ い 値 を示 し た 。

(4)

リサ イ ク ル シ ス テ ム 別 の 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 比 較

図 5。

21に リ サ イ ク ル シ ス テ ム 別 の 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 比 較

結 果 を示 す 。 リ サ イ ク ル シ ス テ ム と して は 、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム C(コ ー ジ エ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム ・ ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム )が 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 が 最 も大 き く、 商 業 用 途 地 区 を 除 く と リサ イ ク ル シ ス テ ム A (コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム

)が 次 い で 大 き い 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム B

(ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム )が 最 も小 さ い 。 た だ し、 商 業 用 途 地 区 に つ い て は 、 ご み の 発 生 量 が 他 の 用 途 地 区 に 比 べ て 3 倍 以 上 と 大 き い た め 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム B(ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム )が リサ イ ク ル シ ス テ ム A(コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム )よ り大 き く な る 。 また 、 用 途 地 区 に よ る年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー削 減 効 果 は 、 宿 泊 用 途 地 区 が 最 も大 き く、 商 業 用 途 地 区 、 複 合 用 途 地 区 が 次 い で 大 き く、 娯 楽 用 途 地 区 は 小 さ く、 教 育 用 途 地 区 は 最 も小 さ い 。

139


劇 爆 壺

70

60

キ叶 ミN E 祥\ H一 ” ヽo Σ く 緊 E 叶

50

40

30

20

10

商業用途地区 宿泊用途地区 娯楽用途地区 住宅用途地区 医療用途地区 業務用途地区 教育用途地区 複合用途地区 分 図 5。

18 リサ イ クル システ ム A(コ … ジ ェネ レー シ ョ ンシス テ ム ) の 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー削減 量

劇 籠 憂

70

60

キ叶 ミN E ■\ H “ く一 o Σ く 緊 E 叶

50

40

30

20

10

商業用途地区 住宅用途地区 娯楽用途地区 宿泊用途地区 業務用途地区 医療用途地区 教育用途地区 複合用途地区 分 類 図 5.19

リサイ クル システム B(ご み焼去,廃 熱利用 システム) の年間投入 一 次 エ ネ ル ギ ー削減量

140


90 -

80

劇 怪 憂

70

60

キ叶 式” E ¨\ H一 ヽ“ o 2 く 緊 E 叶

50

40

30

20 -

10

■ 娯楽用途地区 宿泊用途地区 商業用途地区 複合用途地区 教育用途地区 医療用途地区

住宅用途地区

業務用途地区

図 5.20

リサイクル システム C(コ ー ジェネ レーションシステム・ ごみ焼却廃熱利用 システムの併用 システム)

90 -

80

劇 怪 蔓

70 -

60

十せ 式” E 稽\ H一 ヽ“ o Σ く 緊 E 叶

50

- 40

30

20

10

娯楽用途地区 宿泊用途地区 商業用途地区 住宅用途地区 複合用途 地区 教育用途地区 医療用途地区 業務用途地区 分 類 ロ システム A国 システム B■ システム C 図 5.21

システ ム 別 年 間投入 一 次 エ ネ ル ギ ー削減 量 の比較

141


5。

6

建 物 用 途 構 成 比 と年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 重 回 帰 分 析

建 物 用 途 構 成 301種 毎 の 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 を 目的変 数 と して 、

8用 途 地 区 の 用 途 構 成 割 合 を 説 明 変 数 と して 重 回 帰 分 析 を行 っ た 。 表 5.17に

年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 重 回 帰 分 析 結 果 を、 図 5。

2

2に 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 重 回 帰 分 析 に よ る 予 測 値 と 観 測 地 (リ サ イ ク ル シ ス テ ム A:コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム )を 、 図 5。

23に 年 間 投

入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 重 回 帰 分 析 に よ る 予 測 値 と 観 測 地 (リ サ イ ク ル シ ス テ ム B:ご み 焼 却 廃熱 利 用 シ ス テ ム )を 、 図 5.24に 削 減 量 の 重 回 帰 分 析 に よ る 予 測 値 と観 測 地

(リ

年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー

サ イ ク ル シ ス テ ム C:コ ー ジ ェ

ネ レ ー シ ョン シ ス テ ム 。ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム )を 示 す 。 重 相 関 係 数 は リサ イ ク ル シ ス テ ム Aが 0。 0。

974、

リサ イ ク ル シ ス テ ム Cが 0.

907、

リサ イ ク ル シ ス テ ム Bが

942と 、 ど の シ ス テ ム に お い て も

重 相 関 係 数 が 0.9以 上 と高 い 値 を示 した 。 こ の こ とか ら 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 時 の 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 と エ リ ア 内 の 建 物 用 途 構 成 比 との 相 関性 は 非 常 に 高 い と い え え る 。 つ ま り、 建 物 用 途 構 成 比 に よ っ て 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 をあ る 程 度 説 明 で き る こ とが 分 か っ た 。

142


表 5.17 年間投入 一 次 エネル ギー削減量 の重回帰分析結果 システ ム C

シ ステ ム A

システム B

0.907

0.974

0。

0.823

0.949

0.887

-1387

200

4779

R 重決 定 R2

重相 関

942

Cl

al

住宅 (%)xl

200

88

270

a2

業務 (%)

x2

250

125

241

a3

商業

(%)X3

317

616

913

a4

医療

406

137

485

777

215

1055

56

19

-26

a7

(%)X4 宿泊 (%)X5 教育 (%)X6 文化 (%)X7

-127

137

-24

a8

娯楽

211

82

151

a5 a6

(%)x8

80

D 70

: : R2=0.823 ! │

60

叶 ヽ 一 ” O Σ 埋 戻 中

/

50

40

D-1

30

l豊

20

/

F

/

L ロ

● ●

. L 一 D

10

81

/ o

10

20

30

40

50

60

70

80

観 測値 (McJ/年 )

図 5.22

年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 の 重 回 帰 分 析 に よ る予 測 値 と観 測 値 (リ サイクル システム

A:コ ージエネ レーションシステム)

143


60 │

R2- 0.949

50 ●

40

せ ヽ 一 “ O Σ

30

埋 雇 串

20

/

J

J

8

・ ♭

♂ 「

10

ノ 0

10

20

30

50

60

(McJ/年 )

観 測値

図 5.23

40

年間投入 一 次 エ ネ ル ギ ー削減量 の重 回帰分析 に よる予測値 と観測値 (リ サイクル システム B:ご み焼却廃熱利用 システム)

120 ●

R2=0.887

100

● 80

叶 ヽ 一 ” 0 芝

60

埋 雇 中

40

q ●G `

G 劇 ―ニ 1 ● J

20

q 屋

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● 一

F

J●

"

0

20

40

60

80

100

120

観測値 (McJ/年 ) 図 5.24

年 間投入 一 次 エ ネ ル ギ ー削減量 の 重 回帰 分析 に よ る予測値 と観 測値 (リ サ イ クル システム C:コ ー ジェネ レー シ ョ ン システム・ ごみ焼 却 廃 熱利用 シス テ ムの併 用 システム )

144


5.7

結論

本 章 で は 、 高 度 都 市 機 能 集積 地 区 の 自立 型 地 区施 設 と して リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導入 した場 合 の 、 地 区 の 用 途 構 成 と投 入 一 次 エ ネ ルギ ー 削 減 効 果 の 関係 を分 析 した 。 以 下 に結 論 を示 す 。

(1)東 京 23区 の 250mメ 全 9416メ

ッ シ ュ 土 地 利 用 デ ー タ を 用 い て 、 東 京 23区 の

ッ シ ュ エ リ ア 内 の 建 物 用 途 構 成 比 の 分 類 を行 う こ と で 、 建 物 用 途

構 成 を 301種

に ま とめ た 。 こ れ に よ り、 こ の 301種

の 建 物 用 途 構 成 を分 析

す る こ と で 、 一 般 的 な 都 市 の 建 物 用 途 構 成 を概 ね 把 握 で き る こ と を 示 し、 合 わ せ て 、 代 表 的 な 建 物 用 途 構 成 と して 、 住 宅 、 業 務 、 商 業 、 医 療 、 宿 泊 、 教 育 、 娯 楽 の 各 用 途 地 区 お よ び 1つ の 複 合 用 途 地 区 の 合 計 8用 途 地 区 に お け る 平 均 用 途 構 成 比 を示 した 。

(2)建 物 用 途 構 成 301種

に つ い て 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 単 位 延

床 面 積 当 た り に お け る 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 を 算 定 した 。 ・ コー ジ ェネ レー シ ョンシス テ ム導 入 に よる年 間投 入 一 次 エ ネ ルギ ー削 減効 果 は 、 宿 泊 用 途 地 区 が 非 常 に大 き く、 医 療 、 商 業 、 業 務 の 各 用 途 地 区 お よ び 複 合 用 途 地 区 が 次 い で 大 き く、 教 育 用 途 地 区 は 小 さ い 。 ・ ご み 焼 却廃 熱 利 用 シ ス テ ム 導 入 に よ る 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 は 、 商 業 用 途 地 区 が 非 常 に大 き く、 宿 泊 用 途 地 区 が 次 い で 大 き く、 教 育 用 途 地 区 は ′ さい。 lヽ

・ コー ジ ェネ レー シ ョンシス テ ム とごみ焼 却 廃 熱利 用 シ ス テ ムの併 用 シ ス テ ム は 、 3つ の シ ス テ ム の 中 で 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 が 最 も大 き い 。 用 途 地 区 で は 、 宿 泊 用 途 地 区 が 特 に 大 き く、 商 業 用 途 地 区 が 次 い で 大 き く、 複 合 用 途 地 区 お よ び 医 療 、 住 宅 、 業 務 の 各 用 途 地 区 の 順 に こ の 2つ の 用 途 地 区 に 続 い て 大 きい 。 教 育 用 途 地 区 は小 さ い 。

(3)建 物 用 途 構 成 301種

毎 の 年 間 投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 を 目的 変 数 と

して 、 8用 途 地 区 の 用 途 構 成 割 合 を 説 明 変 数 と し て 、 重 回 帰 分 析 を行 っ た 。 3 つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム の 全 て に お い て 、 重 相 関 係 数 は 0.9以

145

上 と 高 く、 建


物 用 途 構 成 比 に よ って 年 間投 入 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 をあ る程 度 説 明 で きる こ とが 分 か っ た 。

以 上 よ り、年 間 投 入 一 次 エ ネ ルギ ー 削 減 効 果 は 、 大 き い 順 に 、 コー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム と ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム 、 コー ジ ェ ネ レー シ ョ ン シ ス テ ム 、 ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム と な り、 用 途 地 区 で は 宿 泊 用 途 地 区 が 最 も大 き い こ と を 明 らか に した 。

146



第 6章

都 市 人口 の 増加 におけ る人 口密度形態 と環境汚染 度 の 関連 に関す る研 究



第 6章

都 市 人 口 の 増 加 に お け る 人 口 密 度 形 態 と環 境 汚 染 度 の 関 連 に 関 す る 分 析

6.1

概要

都 市 活 動 の 拡 大 に伴 う都 市 人 口 の 増 大 に よ り、 エ ネ ル ギ ー・ 水 消 費 量 お よ び 下 水 。ごみ 排 出 量 が 増 大 し、 大 気 ・ 水 質 汚 染 物 質 の 排 出 量 も大 き くな る と 考 え られ る 。 そ こ で 本 章 で は 、 日本 の 主 要 都 市 の 人 口 密 度 形 態 を モ デ ル 化 し、 各 都 市 の 形 態 と環 境 汚 染 度 を比 較 す る こ とで 、 マ ク ロ 的 に 環 境 に 寄 与 す る 都 市 を検 討 した 。 人 口 密 度 形 態 に つ い て は 、 市 域 面 積 、 DID面 積 、 人 口 密 度 、 DID人 口 密 度 か ら モ デ ル 化 す る 手 法 を提 案 し 、 過 密 度 指 標 (人 口 密 度 /DID人

口密 度 )

を定 義 した 上 で 、 東京 都 区部 と 12の 政令 指 定都 市 の人 口 密 度 形 態 を モ デ ル 化 0 分 類 し、 5つ の 形 態 を示 した 。 次 に 、 い くつ か の 都 市 に つ い て 環 境 汚 染 度 で あ る 大 気 汚 染 度 x、

浮 遊 物 質状 粒 子 )と 水 質 汚 染 度

(BOD)デ

(NOx、 SO

ー タ を収 集 し、 各 都 市 に お け

る 環 境 汚 染 度 に 関 す る測 定 局 の 年 間 平 均 値 の 都 市 全 体 平 均 値 を マ ク ロ 的 に そ の 都 市 の 環 境 汚 染 度 指 標 と した 。 最 後 に 、 都 市 規 模 。人 口 密 度 指 標 と環 境 汚 染 度 指 標 との 相 関 分 析 を 行 い 、 本 章 に お い て 提 示 した 過 密 度 指 標 との 相 関 が 最 も 高 く、 過 密 度 指 標 が 小 さ い 程 、 環 境 汚 染 度 が 小 さ い こ と を明 らか に した 。 以 上 の 分 析 よ り、 都 市 人 口 の 増 加 が 上 む を得 な い 場 合 は 、 市 街 地 の ス プ ロ ー ル を 防 止 す る た め に 、 周 辺 市 街 地 (非 DID地 区 )を 低 密 度 化 して 中 心 市 街 地

(DID地 区 )を 高 密 度 化 す る こ と に よ っ て 、 良 好 な 環 境 を維 持 で きる こ と を 明 らか に した 。

147


6.2

日本 の 主 要 都 市 の 人 口 密 度 形 態 の モ デ ル 化 に 関 す る研 究

6.2.1

都 市 の 人 口密 度 形 態 指 標 の提 案

都 市 の 規 模 をみ る 指 標 と して 、 土 地 面 積 (行 政 面 積 )、 昼 夜 間 人 口 、 建 築 物 の 総 延 床 面 積 、 エ ネ ル ギ ー 。水 消 費 量 等 が 考 え られ る が 、 基 本 的 に は 、 あ る 土 地 に 人 々 が 集 ま り、 そ の 活 動 の 結 果 と して 様 々 な生 産 行 為 や 消 費 行 為 が あ る 。 す な わ ち 、 マ ク ロ 的 にみ た 場 合 の 都 市 規 模 の 基 本 要 素 は 、 どの 程 度 の 土 地 に ど れ く ら い 多 くの 人 々 が 活 動 して い る か と考 え て 良 い 。 以 上 よ り、 マ ク ロ 的 に都 市 規 模 を み る 指 標 と して は 、 行 政 面 積 (市 域 面 積 ) と人 口 が 考 え られ る 。 ま た 、 市 域 に お け る 人 口 分 布 は 一 様 で は な く、 市 域 の 中 で も人 口 密 度 が 高 い 地 区 、 つ ま り人 々 が 集 中 して 居 住 して い る 地 区 と して DI

D(人 口 集 中 地 区 :Densely lnhabited District)が あ り、 こ れ を用 い た 指 標 と して 、 DID面 積 、 DID人 口 が あ る 。 この こ とを 踏 ま え て 、本 研 究 で は 、 都 市 の 人 口 密 度 形 態 の 指 標 と して 市 域 面 積 、 DID面 積 、 人 口 密 度 、 DID人 口 密 度 の 4つ を指 標 と した 。 ま た 、 DID地 区 にお け る 人 口 集 中 度 (密 度 )を 示 す も の が 人 口 密 度 と DI

D人 口密 度 であ る 。 この 2つ の 値 の 差 が 小 さ い ほ ど市 域 全 体 に 亘 って 一 様 に 人 々 が集 住 し、 差が 大 きい 程 市 域 の 中心 に 人 々 が 偏住 して い る こ と に なる 。 つ ま り、 こ の 2つ の 値 の 比 が 市 域 中 心 部 の 人 口 集 住 度 の 形 態 を示 す こ と に な る 。 そ こ で

2つ の 値 を用 い た 指 標 と して 、 過 密 度 指 標 義 す る 。 この 値 が 大 き い 程 市 域 中心 部

(人 口 密 度 /DID人

口 密 度 )を 定

(DID地 区 )の 過 密 度 が 高 い と言 え る

(値 は理 論 上 1以 下 )。 以 上 を踏 ま え て 、 本 節 に お い て は 下 記 に 示 す 7指 標 に つ い て 検 討 した 。 ① 行 政 面 積 (市 域 面 積 ) ⑤ DID人 口

⑥ DID人

②人 口密 度

③ 人 口密 度

④ DID面 積

○ 過 密 度 指 標 (人 口 密 度 /DID人

口密

度)

DIDは 人 口 密 度 が 40人 /ha以 上 の 調 査 区 が 隣 接 して 5,000人 以 上 を 有 す る地 域 を い う。

148


6。

2.2

図 6.

都 市 の 人 口密 度 形 態 の モ デ ル化 手 法 の 検 討

1に 本 研 究 にお け る 都 市 規 模 と過 密 度 の 観 点 か らみ た 都 市 の 人 口 密 度

形 態 の モ デ ル 化 手 法 の 考 え 方 を示 す 。 平 面 に 任 意 の 都 市 の 市 域 面 積 と DID面 積 の 大 き さ を示 し、 垂 直 軸 に DID人 口密 度 と非 DID人

口密 度 の 大 き さ を 示

す 。 非 DIDと は 市 域 面 積 の 中 で DID以 外 の 地 区 の こ とで あ る 。 つ ま り、 図

6.1の 容 積 が そ の 都 市 の 人 口 の 大 き さ を示 す 。 この よ う に 各 都 市 を 図 6.1の 考 え 方 に従 っ て モ デ ル 化 す る こ とで 、 各 々 の 都市 にお け る人 口 の 収 容 の 仕 方が 三 次元 で視 覚 的 に 把 握 す る こ とが 可 能 とな る 。

D!D人 工 密度 (人

/Km2)

非 D:D人 工 密度 (人

/Km2)

市域面積 (Km2)

D:D面 積 (Km2) 非 D:D面 積 (Km2)

図 6. 1都 市 の人口密度形態のモデル化手法 の考 え方

149


3

東 京 都 区 部 お よ び 12の 政 令 指 定 都 市 の 人 口 密 度 形 態 の モ デ ル 作 成

各 都 市 の統 計 年 鑑

文献 25~ 37)を

基 に 、 行 政 面 積 、 人 口 、 DID面 積 、 D

ID人 口 の 値 を整 理 して 、 市 域 面 積 、 DID面 積 、 非 DID面 積 、 DID人

密 度 、非 DID人 口密 度 を算 定 して 都 市 人 口 密 度形 態 モ デ ル を作 成 した (図 6.

2~ 6.3)。

札幌市

仙台市

東京都区部

川崎市

図 6. 2

日本 の主 要 都 市 の 人 口 密 度 形 態 モ デ ル

150

横浜市

(1)


名古屋市

神戸市

図 6.

広島市

北九州市

日本 の 主 要 都 市 の 人 口密 度 形態 モ デ ル ( 2)

151

福岡市


6。

2.4

都 市 の 人 口密 度 形 態 の 分 類

各 都市 の 過密 度 指 標 (人 口 密 度 /DID人

口密 度 )と 人 口密 度 の 関 係 を図 6.

4に 示 す 。 この 図 を も とに 分 類 した代 表 的 な都 市 の 人 口 密 度 形 態 で あ る 5形 態 を図 6.5に 示 す 。 こ の 類 型 か ら、 都 市 に 人 口 が 集 中 す る 場 合 の 人 口 密 度 形 態 の移 行 が 読 み とれ る 。 現在 の 日本 の 都 市 で は 、 集 中 す る人 口 を収 容 す る 場 合 は 、 市 街 地 を ス プ ロ ー ル させ な が ら、 人 口 密 度 が 大 き くな っ て く る 様 子 が 分 か る 。 都 市 が V形 態 か ら I形 態 へ と 巨 大 化 して い く順 番 に 従 い 、 そ れ ぞ れ の 特 徴 を 以 下 に示 す 。

⌒ 駆 仰 口 く o 一 o \ 撻 仰 回 く 邸 聖 樫 仰 呵

y=0.89Lo9(xl- -2.66 R2=。 .95

く過密度指標 の定義 > 過密度指標 =

珈 人口密度 (人 /kポ )

図 6.4

主要都市 の過密度指標 と人口密度

152

人 口密度

D!D人 口密度


(1)V形

態 :広 島 市 、 札 幌 市 、 仙 台 市

行 政 面 積 が 比 較 的 大 き く、 非 DID面

積 が 大 き く、 DID地

区 に人 口が 集 中

して い る 。

(2)Ⅳ 形 態 :神 戸 市 、 京 都 市 V形 態 に 比 較 し て DID地

区 の 人 口 密 度 が 高 くな っ て い る 。

(3)Ⅲ 形 態 :福 岡 市 、 千 葉 市 、 北 九 州 市 都 市 部 う ち DID地

区 が 大 き く な り、 非 DID地

区 の 人 口 密 度 も高 く な っ て

い る。

(4)Ⅱ 形 態 :川 崎 市 、 横 浜 市 、 名 古 屋 市 都 市 部 が ほ ぼ DID地

区 に な っ て き て 、 非 DID地

区 の 人 口 密 度 も よ り高 く

な って い る。

(5)I形

態 :東 京 都 区 部 、 大 阪 市

都 市 部 が す べ て DID地

区 に な って い る。

(13,213人 /Km2) (2,707人 /Km2)

(7,434人 /Km2)

(3,676人 /Km2) (1,165人 /Km2)

I:東 京都区部 I:横 浜市

図 6.5

Ⅲ :福 岡市

Ⅳ :神 戸市

都 市 の 人 口密 度形 態 の 5形 態 とその例

153


6.3 6。

政 令 指 定 都 市 6都 市 の 大 気 汚 染 ・ 水 質 汚 染 デ ー タ調 査 3。

1

調査概要

水 質 汚 染 の 指 標 と して BODを 、 大 気 汚 染 の 指 標 と して NOx、

SOx、 浮 遊

物 質 状 粒 子 を用 い る 。 各 々 の 都 市 で は 自治 体 が 河 川 の 水 質 や 大 気 汚 染 物 質 に つ い て 市 域 の 中 に い くつ か の 測 定 局 を設 け て 定 期 的 に測 定 して い る 。 そ して 、 各 市 の 都 市 年 鑑 の 中 に デ ー タ と して 収 録 さ れ て い る 。 本 節 で は 各 市 で 公 表 して い る 各 測 定 局 の BOD、

6.3.2

N Ox、

SOЖ 、 浮 遊 物 質 状 粒 子 の 値 を用 い た 。

デ ー タ概 要

都 市 年 鑑 に掲 載 され て い る BOD、 N Ox、 各 測 定 局 の 年 間 平 均 値 を整 理 した

S Ox、 浮 遊 物 質 状 粒 子 に つ い て 、

文献 25、 26、 31、 33、 36、

37)。

市に

よ って測 定 局 の 分 散 状 況 や 数 が 異 な るが 、各 測 定 局 の 全 体 平 均 値 をそ の市 の 汚 染 度 の 代 表 値 と して 用 い た 測 定 局 の 分 布 状 況 や 数 の 状 況 を示 す た め に 、 い くつ か の 市 の 河 川 の 測 定 局 の 配 置 図 を 図 6.6~

6。

1

1に 示 す 。

154


北 :6条 信

図 6

6

河 川 の水 質

文献 26)

図 6

河 川 の 水 質 の 測 定 地 点 (仙 台 市 )

155


文献 31) 図 6.8

河 川 の 水 質 の 測 定 地 点 (名 古 屋 市 )

お■ ,考 噺 iじ

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図 6.9

、 戸

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河 川 の 水 質 の 測 定 地 点 (大 阪 市 )

156

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図 6.10

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河 川 の 水 質 の 測 定 地 点 (北 九 州 市 )文 献 36)

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"'" anznl 図 6.11

河 川 の 水 質 の 測 定 地 点 (福 岡 市 )文 献 37)

157


6.4 6。

都 市 の 人 口 密 度 形 態 と大 気 汚 染 ・ 水 質 汚 染 度 との 関 連 分 析

1

4。

分析 概 要

水 質 汚 染 度 の 指 標 と して BODを 、 大 気 汚 染 度 の 指 標 と して N Ox、

SOx、

浮 遊 物 質 状 粒 子 を 用 い た 。 都 市 の 汚 染 度 の 値 は 、 3節 で 整 理 ・ 集 計 した 各 都 市 の 測 定 局 の 各 々 の 年 間 平 均 値 を単 純 平 均 した 値 を 用 い た 。 次 に 2節 で 整 理 ・ 集 計 した 都 市 規 模 と 過 密 度 の 7指 標 と各 環 境 汚 染 度 の 指 標 との 相 関 分 析 を 行 っ た 。 そ して 、 相 関 係 数 を基 に 環 境 の 汚 染 度 と の 相 関 の 高 い 都 市 規 模 ・ 過 密 度 指 標 か ら、 どの よ う な 都 市 の 人 口 密 度 形 態 が 環 境 の 汚 染 度 が 低 い か に つ い て 検 討 し た。

6。

4.2

大 気 汚 度 との 染 関 連 分 析

各 都 市 の NOx、

S Ox、 浮 遊 物 質 状 粒 子 等 の 環 境 汚 染 度 と 都 市 規 模 。過 密 度

の 7指 標 との 相 関 分 析 結 果 を 表 6。

1と 図 6。

12~ 6.14に

示す。

表 6. 1 大気汚染度 と都市規模・ 過密度指標 との相関分析結果 SOx

(ppm)

0.778 _9n∠ F_0■

00079

0432

0_528

0_0548 0.623

X係 数 Y切 片

200E- 10

1_60E-09

5.70E-09

00066

00245

0.0318

相 関係数

0502 396E-06 00063 0436

0.52

0.661

2.18E-05 0.0234

6.47E- 05

総 人口

相関係数

(kr)

X係 数 Y切 片

X係 数 Y切 片

DiD人 口

相関係数

(人 )

x係 数 Y切 片

人 口密度

相 関係数

(人 /kr)

X係 数 Y切 片

D:D人 口密 度

(ng/m3)

_998E_06 00331

相 関 係数

D:D面 積

浮遊粒子状物質

0462

総 面積 <耐>

(人 )

NOx

(ppm)

相関係数

(人 /kボ )

X係 数 Y切 片

過密度指標

相関係数 X係 数

Y切 片

0.388 _1民 RF_nA

0.0301

0538

0_636

5.70E-09

0_0066

160E- 09 0.2460

0700

0883

1.93E-07

1.29E- 06

0.747 1.00E-06

0.0061

00211

0.0341

2_00E-10

00324

0455

0.736

0.178

2.51E- 07

215E-06

7_18E-07

00048

0.0084

0.750 0.0026

0849 0.0153

0.0350 0.848 0.0206

00057

00197

00313

158


0.012

横浜市

0.010

0

東京都区部

E

_8 o.oog

霊 0千 三 広 11lL三 二 0 福岡市

sd

* fi

E

0.006

0

-tt

sr

|

名古屋市

′ ∥崎市

大阪市

葉市

神戸市

仙 台市

0.004

0.002

0.000 0.0

0.2

0.4

o.6

(人 口密 度

図 6.

12

/D:D人 口密 度

0.8

1.o

)

過密度指標 と二 酸化硫責濃度 の 関係

0.06

E Q a 賀 贅 憮 側 翠 饉 =

大阪市 横浜市

0

京都市

し 申

:[:lFiliL::`ュ

0 2

0

仙 台市

神戸市

東京都区部

。 川崎市 名古屋市

綱 %

0.00 0.0

0.2

0.4 (人 口密 度

図 6.13

0.6

/D:D人 口密 度

0.8 )

過密度指標 と二酸化窒素濃度 の関係

159

1.0


大阪市

→ E \ 。 E 中 算 “ ■ 奪 増 職

京都市 広島市

0

^_ 神戸市

0.02

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

/D:D人 口密度

(人 口密度

図 6.14

)

過 密度指標 と浮遊 物 買状 粒子濃度 の 関係

160

1.0


6。

4.3

水 質 汚 染 度 との 関 連 分 析

(BOD)と

各 都 市 の 河 川 の環 境 汚 染 度 分 析 結 果 を 表 6.2と

図 6.

都 市 規 模 ・ 過 密 度 の 7指 標 と の 相 関

15に 示 す 。

表 6.2水 質汚染度と都市規模・ 過密度指標 との相関分析結果

BOD rnnm、

総面積 <耐>

0.525

相関係 数

-3.81E- 03

X係 数 Y切 片

総人 口

相関係 数

(人 )

x係 数 Y切 片

DID面 積

5.68 0.535 4.81E- 07

2.34 0.653

相関係 数

X係 数 Y切 片

8.22E-03

相関係 数 X係 数 Y切 片

0.534 4.73E-07

人口密度

相関係数

0.648

(人 /kボ )

X係 数 Y切 片

(kボ )

D:D人 口 (人 )

DID人 口密度

1.62

2.40

2.83E-04 2.02 0.295

相関係 数

2.68E- 04

(人 /kボ )

X係 数 Y切 片

過密度指標

相関係数

0.798

X係 数 Y切 片

4.38

1.00

1.25

横浜市

0

0

名古 屋市

東京都区部

5 E Q α O O ∞

大阪市 3

福岡市 京都市

0

神戸市 ° 広島市

仙 台市

0.0

0.2

0.4 (人 口密度

図 6.

0.6

/D:D人 口密度

0.8 )

15 過密度指標 とBODの 関係 161

1.0


6.4.4

環 境 汚 染 度へ の影響 指標

環 境 汚 染 度 と 各 指 標 と の 相 関 係 数 の 比 較 結 果 を 図 6.16に

示 す。都 市規 模 。

過 密 度 の 7指 標 と 環 境 汚 染 度 と の 相 関 は 、 環 境 汚 染 度 指 標 に よ っ て ば ら つ きが あ る が 、 相 関性 の 高 い も の は 、 過 密 度 指 標 と 人 口 密 度 で あ る 。 特 に本 研 究 で 提 案 した過 密 度指 標 (人 口密 度 /DID人

口密 度 )は 、 相 関 係 数 が 0.

75~ 0.

85と 全 体 的 に 相 関 性 が 最 も高 い 。 こ の こ とか ら 、 過 密 度 指 標 は 環 境 汚 染 度 に 関 連 す る 都 市 の 人 口 密 度 形 態 を 示 す 指 標 と して 用 い る こ と が で き る と 考 え られ る 。

総面積 総人口

D:D面 積 D:D人 口 人口密度

DiD人 口密度 過密度指標

図 6.16

環境汚染度 と各指標 の相関係数 の 比較

162


6.4.5

環 境 共 生 的 都 市 形 態 の検 討

環 境 汚 染 度 と 相 関性 の 高 い 過 密 度 指 標 (人 口密 度 /DID人

口 密 度 )を 用 い

て 、 環 境 共 生 的 都 市 形 態 を 検 討 した 。 過 密 度 指 標 か らみ る と 、 都 市 の 人 口 密 度 形 態 的 に は 2節 で 分 類 した I形 態 か ら V形 態 へ 移 行 す る 程 、 環 境 汚 染 度 が 低 く な る傾 向 が あ る 。 以 上 よ り、 理 論 的 に は 同 規 模 の 人 口 を収 容 す る 場 合 は 、 市 街 地 を ス プ ロ ー ル させ ず に 周 辺 市 街 地 (非 DID地

区 )を 低 密 度 化 して 、 中 心 市

(DID地 区 )を 高 密 度 化 す る こ と に よ っ て 、 良 好 な 環 境 を維 持 で き る と

街地

考 え られ る 。

図 6.17に

都 市 人 口 の 増 加 対 策 と して の 環 境 共 生 的 都 市 形 態 の イ メ ー ジ を

示 す。

京都区部

側 仰 回 く 0 一 0 \ 樫 仰 口 く 攣 壇 悩 仰 颯

0 8

都市空間の集約化による ・ン ・―スの確保 ス ヘ オーフ

0 6

0 4

0 2

現市街地 を高 度利用 し、 ・ロールを抑制 して 市街地 のスフ ・ ・ ー ― ヘ ス ス ン オフ を守 る

図 6.17

都市人 口の増加対策 と しての環境共生 的都市形態 イ メー ジ

163


6。

5

以 下 に 、 本 章 の 結 論 を示 す 。

(1)都 市 の 人 口 密 度 形 態 指 標 と し て 、 市 域 面 積 (行 政 面 積 )、 人 口 、 人 口 密 度 、 DID面

積 、 DID人

口 、 DID人

口 密 度 、 過 密 度 指 標 (人 口 密 度 /DI

D人 口 密 度 )の 7指 標 を 提 示 し、 市 域 面 積 、 DID面

DID人

積 、 DID人

口密 度 、 非

口 密 度 の 4指 標 か ら 構 成 す る 三 次 元 的 表 現 が 可 能 な 都 市 の 人 口 密 度 形

態 の モ デ ル 化 手 法 を提 案 し た 。

(2)東 京 都 区 部 と 12の 政 令 指 定 都 市 に つ い て 、 行 政 面 積 、 人 口 、 DID面 積 、 DID人

口 密 度 の デ ー タ を収 集 。整 理 して 、 市 域 面 積 、 DID面

ID面 積 、 DID人

口 密 度 、 非 DID人

積、非 D

口 密 度 を 算 定 して 、 都 市 の 人 口 密 度 形

態 モ デ ル を作 成 し た 。

(3)各 都 市 の 過 密 度 指 標 (人 口 密 度 /DID人

口 密 度 )と 人 口 密 度 の 関 係 か

ら、 都 市 の 人 口 密 度 形 態 を 代 表 的 な 5形 態 に 分 類 した 。

(4)都 市 の 環 境 汚 染 度 の 指 標 と し て 、 大 気 汚 染 度 の 指 標 と して N Ox、 SOx、 浮 遊 物 質 状 粒 子 を 、 水 質 汚 染 度 の 指 標 と し て BODを

提 示 し、 政 令 指 定 都 市 6

都 市 の デ ー タ を 収 集 ・ 整 理 した 。 そ して 、 環 境 汚 染 度 の 指 標 毎 に 各 都 市 の 各 々 の 測 定 局 の 年 間 平 均 値 の 単 純 平 均 値 を 算 出 し、 そ の 都 市 の 汚 染 度 の 値 と した 。

(5)都 市 形態 の 7指 標 と汚 染 度 の 4指 標 と の 相 関 を 分 析 した 結 果 、 そ の 値 は 、 汚 染 度 指 標 に よ っ て ば ら つ き は あ る が 、 過 密 度 指 標 と 人 口 密 度 の 2つ の 相 関 性 が 高 か っ た 。特 に 本 章 で 提 案 し た 過 密 度 指 標 (人 口 密 度 /DID人 相 関 係 数 が 0.75~

0。

口 密 度 )は 、

85と 全 体 的 に 相 関 性 が 最 も高 か っ た 。

(6)環 境 汚 染 度 と相 関 性 の 高 い 過 密 度 指 標 (人 口 密 度 /DID人

口 密 度 )か

ら み る と 、 都 市 形 態 的 に は 2節 で 分 類 した I形 態 か ら V形 態 へ 移 行 す る 程 環 境 汚 染 度 が 低 くな る 傾 向 に あ る こ と を 示 し た 。

以 上 よ り、 都 市 人 口 の 増 加 が 上 む を 得 な い 場 合 は 、 市 街 地 の ス プ ロ ー ル を 防

164


止 す る た め に も、 周 辺 市 街 地 (非 DID地 区 )を 低 密 度 化 して 中心 市 街 地

(D

ID地 区 )を 高 密 度 化 した 方 が 、 良 好 な 環 境 を 得 られ る こ と を 明 らか に した 。

165



第 7章

東京都心 R地 区における水 ・廃棄物系 自立型地区施設 の 導入効果 の ケ ースス タデ ィ



第 7章

東 京都 心 R地 区 に お け る 水 ・ 廃 棄 物 系 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 の ケ ー ス ス タデ イー

7.1

概要

現 在 、 首 都 圏 を は じめ と した 巨 大 都 市 圏 に お い て は 、 資 源 ・ エ ネ ル ギ ー の 大 量 消 費 と廃 棄 物 の 大 量 発 生 に よ り、 従 来 型 の 都 市 イ ン フ ラ は 限 界 に 近 づ い て い る とい え る 。 現 在 の 都 市 イ ン フ ラ の 状 況 を、 廃 棄 物 系 と水 系 を対 象 に 東 京 都 の 例 で み て み る と、 東 京 都 区 部 の 廃 棄 物 の 最 終 処 分 場 に つ い て は 、 現 在 使 用 さ れ て い る 中 央 防 波 堤 外 側 埋 立 処 分 場 が 平 成 9年 9月 で 満 杯 と な る 見 込 み で あ り、 そ の 後 新 し い 最 終 処 分 場 と して 計 画 さ れ て い る 新 海 面 処 分 場 も現 在 の よ う な ご み 発 生 量 が 続 け ば 、 使 用 で き る の は わ ず か 15年 程 度 とみ られ て お り、 廃 棄 物 最 終 処 分 場 の 逼 迫 は 大 きな社 会 問題 と な っ て い る 。 図 7.1に 、 東 京 都 区 部 の 廃 棄 物 最 終 処 分 場 に お け る 総 埋 立 量 お よ び 最 終 汚 泥 埋 立 量 を示 す 。 こ の 中 で 最 終 汚 泥 埋 立 量 は全 埋 立 量 の 15%程 度 と小 さ く な く、 適 切 な汚 泥 処 理 の 必 要 性 を示 して い る 。 以 上 よ り、 廃 棄 物 最 終 処 分 場 延 命 化 の た め に 、 ご み の 最 終 処 分 量 の 減 容 化 の 必 要 性 は高 い と い え る。 東 京 都 の 水 道 需 要 は 、 こ の 10年 間 は 日量 約 600万

m3程 度 で 推 移 して い

る が 、 核 家 族 化 の 進 行 や 多 摩 地 区 に お け る 都 市 化 の 進 展 な ど に 伴 い 、 平 成 12 年 に は 日量 670万

m3に 達 す る もの と予 測 され て い る 。 一 方 、 現 在 東 京 都 が

保 有 して い る水 源 量 は 日量 602万

m3で ぁ る が 、 こ の 中 に は水 源 施 設 が 完 成

して い な い もの も含 まれ て お り、 渇 水 時 に お い て は 十 分 な対 応 は 難 し い 状 況 に あ る 。 図 7.2に

1日 最 大 配 水 量 と既 得 水 源 量 お よび 施 設 能 力 (現 有 、 最 大 )

の 経 年 変 化 を示 す 。 水 道 需 要 量

(1日 最 大 配 水 量 )に 対 して 既 得 水 源 量 は 常 に

余 裕 の な い 状 況 が 続 い て お り、 新 規 水 源 開 発 が ま す ます 困 難 な状 況 で あ る こ と か ら、 雨 水 や 中水 を積 極 的 に 活 用 して 、 水 資 源 を有 効 利 用 す る必 要 性 が 高 ま っ て い る。

166


文献 38) 一

総埋立量

予想総埋立量

~最

終汚泥埋立量

T R 口 ■ 倒 螂

40

1980

1985

1995

1990

2000

[年 度]

図 7.

1廃 棄 物 最 終 処 分場 に お け る総埋立 量 及 び 最終 汚 泥 埋 立 量 (東 京 都

)

文献 39) 8 最大施設能力

7 -―中-●-■-■-■-●-■-J`

6 [ 員 モ R 肛 ]

5

4

602万 耐/d 利根川 。多摩川

zotgwfrn1fr. |

\_-errux!

3 696万 ぶ /d 現有施設能力

2 1

0 1985

1990

1995

2000

2005

2010

[年 度]

『事業概要」 平成7年 度版 東京都水道局による

図 7.2

1日

最 大 配 水 量 と既 得 水 源 量 お よび施 設 能 力 (現 有 、最 大 )の 経 年 変 化

167


一 方 、 電 力 に つ い て は 、 コ ン ピ ュ ー タ ー を 中 心 と した 高 度 情 報 化 社 会 の 進 展 で 、 主 に 業 務 施 設 にお け る 電 力 負 荷 お よ び 冷 房 負 荷 の 増 大 と 、 生 活 水 準 の 向 上 に よ る 家 庭 用 冷 房 需 要 量 な どの 増 大 に よ り、 夏 期 に お け る ピ ー ク電 力 需 要 量 は 経 年 的 に 拡 大 して お り、 夏 期 に お け る ピ ー ク電 力 需 要 量 削 減 の 必 要 性 が 年 々 高 ま っ て い る。 こ の よ う な 背 景 を踏 ま え て 、水 、 エ ネ ル ギ ー 、 廃 棄 物 、 下 水 な どの 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 を低 減 させ る 、 自 立 型 地 区 施 設

(リ

サ イ ク ル シ ス テ ム )導 入 の 必 要 性

は高 い 。 そ こ で リサ イ ク ル シ ス テ ム に 関 す る 従 来 研 究 を み て み る と 、 大 き く、 エ ネ ル ギ ー 系 、 水 系 、 廃 棄 物 系 の 3つ が あ る 。 エ ネ ル ギ ー 系 に つ い て は 、 第 1章 の 2 節 5項 の 従 来 研 究 の 事 例 に お い て 示 した よ う に 、 市 川 らが 「 首 都 圏 の 大 規 模 住 宅 団 地 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 の 可 能 性 に 関 す る研 究 」 文

献 10)に

お い て 、 実 在 す る 住 宅 団 地 を対 象 に シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を行 い 、 ガ ス

エ ン ジ ン・ デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン を 用 い た コー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム は 20

%程 度 の 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 と 12~ 16%の エ ネ ル ギ ー 費 削 減 効 果 が 同 時 に 期 待 で き る と 結 論 づ け て い る よ う に 、 コー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 に よ る 省 エ ネ ル ギ ー 性 や 経 済 性 に 関 して は あ る 程 度 研 究 さ れ て お り、 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 は あ る 程 度 予 測 出 来 て い る と 考 え られ る 。 ま た 、 水 系 に つ い て は 、 内 田 ら に よ る 「 雑 用 水 施 設 の 設 置 条 件 に 伴 う地 域 内 外 で の 負 荷 量 の 変 化 と特 徴 :地 域 に お け る総 合 的 な 水 利 用 シ ス テ ム に 関 す る研 究 そ の 1文

献 40)」

の 研 究 が あ り、 雨 水 利 用 施 設 お よ び 排 水 再 利 用 施 設 導 入

に よ る 水 道 施 設 ・ 下 水 道 施 設 の 負 荷 軽 減 効 果 を 検 討 して い る が 、 容 積 率 が 25

0%と 低 い モ デ ル で あ り、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る 都 市 環 境 計 画 立 案 の た め の デ ー タ と して 十 分 と は 言 え な い 。 そ こで 本 章 で は 、 従 来 、 具 体 的 な場 にお い て研 究 が 十 分 と は言 え な い水 系 、 廃 棄 物 系 の 2つ の 系 に つ い て 、 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 効 果 に つ い て 検 討 した 。 研 究 の 場 と して 、 都 心 居 住 が 期 待 さ れ る 東 京 都 心 R地 区 を モ デ ル に 廃 棄 物 排 出

168


量 と上 水 使 用 量 お よ び 下 水 放 流 量 を 削 減 す る 地 区 施 設 導 入 に よ る 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 の 軽 減 効 果 に つ い て ケ ー ス ス タデ を行 い 、 合 わ せ て 、 中 水 利 用 に よ る 非 常 時 自 立 の 可 能 性 に つ い て 検 討 した 。 具 体 的 に は 、 水 の リサ イ ク ル シ ス テ ム と して 雨 水 利 用 シ ス テ ム と 排 水 再 利 用 シ ス テ ム (中 水 利 用 シ ス テ ム )を 導 入 し、 上 水 使 用 量 お よ び 下 水 放 流 量 の 削 減 効 果 と 中 水 を雑 用 水 と して使 用 した 時 の 非 常 時 自 立 の 可 能 性 に つ い て 検 討 し た 。 次 に 、 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム と して 、 可 燃 ご み ・ 厨 芥 の 焼 却 ま た は 固 形 燃 料 化

(RDF化

、 RDFは

R efuse D erived F uelの 略 )の シ ス テ ム と排 水 処 理

汚 泥 の コ ン ポ ス ト化 (汚 泥 の 肥 料 化 )ま た は RDF化

の シ ス テ ム を設 定 し、 こ

れ ら を組 み 合 わ せ た 4タ イ プ に つ い て 、 廃 棄 物 排 出 量 の 削 減 効 果 と 平 常 時 に お け る RDF発

電 に よ る 商 用 電 力 負 荷 の 平 準 化 効 果 に つ い て 検 討 した 。

以 上 よ り、 自 立 型 地 区 施 設 の 導 入 に よ り、 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 の 軽 減 効 果 は 、 廃 棄 物 排 出量 で 83%、 上 水 使 用 量 で 57%、 下水 放 流 量 で 54%と 大 きい こ と を明 らか に した。 ま た 、雑 排 水 を再 利 用 し た 中水 供給 に よ り、雑 用 水 の 7日 間 の 非 常 時 自立 の 可 能性 を明 らか に した 。

7.2 7.2.1 (1) 1)

自立 型 地 区施 設 導 入 の た め の 現 状 把 握 と 改 善 策 の 検 討 東 京 都 区 部 に お け る 廃 棄 物 処 理 の 現 状 把 握 と改 善 策 の 検 討 東 京 都 区 部 にお け る 廃 棄 物 処 理 の 現 状 把 握 東 京 都 区 部 にお け る ごみ 最 終 処 分 場 の 現 状 把 握

図 7.3に 、 ご み 最 終 処 分 場 に お け る埋 立 の 内 訳 を示 す 。 中 間 処 理 さ れ ず に 直 接 埋 立 られ る ご み 量 が 全 体 の 約 36%と 多 く を 占 め て お り、 ごみ 最 終 処 分 場 の 逼 迫 を助 長 す る 大 き な 要 因 と な っ て い る 。 そ の 内 、 不 燃 ご み は 、 都 清 掃 局 が 直 接 収 集 す る ご み の 約 43%が 、 不 燃 ごみ 全 体 で は 約 57%が 減 容 化 さ れ ず に 未 処 理 の ま ま埋 立 られ て い る 。 直 接 埋 立 さ れ る 業 者 の 持 ち 込 み ごみ の 中 に は 、 東 京 都 区 部 で発 生 す る 可燃 ご み全 体 の約 7%が 含 ま れ てお り大 きな問 題 で あ る 。 そ の 他 、 最 終 処 分 場 に搬 入 さ れ る ごみ の 中 で 、 大 き な 比 率 を 占 め る の が 覆 土 材

169


で あ り、 全 体 の 約 27%を

占め て い る。 覆 土 材 とは、 ごみ の飛散 、臭 気 拡散 、

害 虫 発 生 、 火 災 な ど の 防 止 を 目的 と して 、 焼 却 灰 を 除 く ご み の 埋 立 厚 さ 3mに 対 して 厚 さ 50cm被

覆 さ れ る土 壌 の こ とで あ る 。 覆 土 材 は最 終 処 分 量 の 多 さ

か ら、 ごみ 最 終 処 分 場 逼 迫 の 一 方 の 要 因 と な っ て い る 。 最 後 に 、 焼 却 灰 を み て み る と ご み 最 終 処 分 量 全 体 の 約 15%を

占 め て お り、 そ の 量 は ご み 最 終 処 分 場

の 延 命 化 を図 る上 で 無 視 で きな い 量 とい え る 。 以 上 を ま とめ る と、 ご み の 一 部 に つ い て は 減 容 化 が 進 ん で い る もの の 、 ご み 全 体 に つ い て み る と減 容 化 は 不 十 分 で あ り、 ご み 減 容 化 の 必 要 性 は極 め て 高 い 。

2)

東 京都 区部 にお け る汚 泥 処 理 の現 状 把 握

東 京 都 区 部 で 発 生 す る 汚 泥 は 、 稼 働 中 の 10処 理 場 の 内 7処 理 場 と 1箇 所 の 汚 泥 処 理 専 プ ラ ン トに お い て 脱 水 処 理 さ れ て お り、 そ の 内 6箇 所 に お い て 焼 却 処 理 さ れ て い る 。 脱 水 や 焼 却 な どの 汚 泥 処 理 施 設 を持 た な い 処 理 場 の 汚 泥 は 、 汚 泥 処 理 施 設 が 設 置 さ れ て い る 処 理 場 ま で 送 泥 して 処 理 して い る 。 汚 泥 処 理 に つ い て は 、 7in縮 → 脱 水 → 焼 却 の 順 に 行 わ れ 、 こ の 処 理 過 程 で 体 積 を 1/100ま

で 減 容 化 し て い る 。 平 成 6年 度 実 績 を み る と 、 発 生 汚 泥 量 は 脱

水 汚 泥 で 1日 約 3,000ト

ン に 達 し、 そ の 約 80%に

当 た る 約 2,400ト

を焼 却 して い る 。 最 終 処 分 に つ い て は 、 焼 却 灰 と 残 り の 脱 水 汚 泥 に 特 殊 セ メ ン トを 加 え て 混 練 し、 固 化 を 行 っ た 後 で 埋 立 処 分 して い る 。 最 終 埋 立 処 分 量 は 年 間 26万 ト ン で あ っ た 。 ま た 、 汚 泥 の 資 源化 に つ い て は、 脱 水 汚 泥 の汚 泥 燃 料 化 や汚 泥 溶 融 ス ラ グ化 、 焼 去口灰 圧 縮 焼 成 プ ロ ッ ク 化 な どが 行 わ れ て い る 。 平 成 6年 度 の 実 績 で は 、 脱 水 汚 泥 受 入 量 ベ ー ス で 汚 泥 燃 料 化 は 年 間 25,000ト

ン、 汚 泥 溶 融 ス ラ グ化 は

年 間 約 32,700ト

ン 、 焼 去口灰 の 圧 縮 焼 成 プ ロ ッ ク 化 は 焼 去口灰 受 入 量 ベ ー ス

で 年 間 約 2,500ト

ンで て い る

以上数 字 は、文献 42.)

図 7.4に

汚 泥 最 終 処 分 の 内 訳 を示 す 。 焼 却 され な い 脱 水 汚 泥 は発 生 汚 泥 量

の 約 20%で

、 焼 却 され な い ま ま直 接 埋 立 られ る脱 水 汚 泥 は 、 最 終 処 分 量 の 7

割 弱 を 占 め て お り、 脱 水 汚 泥 の 全 量 処 理 が 求 め られ て い る 。 ま た 、 焼 却 灰 に つ

170


い て も 25%を 占 め て い て 、減 容化 の 対 策 が必 要 で あ る 。

① 局収集・不燃

文献 41)

都市廃栞物等 19% 産業廃棄物等 22% 局収集・ 粗大 05% 持込 o.3%

図 7:3ご み 最 終 処 分場 に お け る埋 立 の 内駅

文献 42)

図 7.4汚 泥 最 終 処 理 の 内訳

171


(2)廃 1)

棄 物 処理 の改 善 策 の検 討 ごみ 処理 の改 善 策 の検 討

ご み 最 終 処 分 場 を延 命 化 す る た め に は 、 各 種 ご み の 減 容 化 が 第 一 と 考 え ら れ る 。 以 下 に、 そ の 改 善 策 を 示 す 。 不 燃 ご み に つ い て は 中 間 処 理 を徹 底 す る こ と が 重 要 で あ る 。 可 燃 ご み は 、 焼 去口に よ り容 積 で 約 1/20に 、 重 量 で 約 1/10に 減 量 で き る こ と か ら、 可 燃 ご み に つ い て は 焼 却 を 徹 底 す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 今 後 の ご み 問 題 を 解 決 す る 有 効 な 手 段 と して 、 焼 却 の 代 わ り に 可 燃 ご み を 固 形 燃 料 化

DF)し

(R

て 燃 料 と して 有 効 利 用 す る 方 法 が 考 え ら れ る 。

覆 土 材 を 減容 化 す る た め に は 、 ご み 量 全 体 を減 らす こ とが 第 一 に必 要 で あ る 。 ご み 減 容 化 の た め に は 焼 却 は 有 効 な 手 段 で あ る が 、 焼 却 に よ っ て も廃 棄 物 量 は ゼ ロ に は で き な い 。 焼 却 灰 を更 に 減 容 化 す る 方 法 の 1つ と して 灰 溶 融 シ ス テ ム が あ り、 容 積 を 1/2程 度 に 減 容 化 が 可 能 な だ け で な く覆 土 材 と して も利 用 で き る 利 点 が あ り、 焼 却 灰 の 灰 溶 融 処 理 は 考 慮 す べ き課 題 で あ る 。

2)

汚泥処 理 の改 善 策 の提 案

汚泥処 理 につ い ては、全量 を コ ンポス ト化 す るか 、又 は 固形燃料化

(RDF)

す る こ とが必要 と考 える 。焼却灰 につ い て は 、灰 溶融 を行 う こ とが 最 善 と考 え る。特 殊 混合 セ メ ン トにつ い て は 、脱水 汚泥が 約 10%の 割合 で混合 され て お り、脱水 汚泥や焼 却灰 の 最 終 処分量 を減 らす こ とで 軽 減 で きる。

2。

2

東 京 都 の 上 水 源 と上 水 需 要 量 の 現 状 に お け る 問 題 点 の 抽 出 と 改 善

策 の検討 ダ ム 候 補 地 の 用 地 確 保 が 難 し い こ とか ら水 源 の 増 強 が 余 り見 込 め な い 現 状 に お い て 、 上 水 需 要 量 の 増 大 に 対 して 東 京 都 で は 20,000m2以

上 の施 設 に

対 して 中 水 道 施 設 の 導 入 を行 政 指 導 して い る が 、 施 設 の 導 入 は 十 分 に進 ん で い な い 。 ま た 、 家 庭 用 に つ い て は 不 断 の 活 動 と して 節 水 意 識 を高 め る 広 報 活 動 を 展 開 して い る が 、 渇 水 時 に お い て は 送 水 圧 力 調 整 に よ る 給 水 制 限 が 具 体 的 な 節

172


水 対 策 と な っ て い る 。 これ ら の 施 策 は そ れ な りに 成 果 を上 げ て は い る が 、 夏 期 の渇 水 期 にお け る水 不 足 は慢 性 的 な都 市 問 題 とな っ て い て 、 年 々深 刻 化 す る 水 不 足 の 問 題 に対 し て 十 分 な 解 決 策 と は い え ず 、 地 区 レ ベ ル に お け る 水 の リサ イ ク ル 利 用 な どの 施 策 の 徹 底 が 必 要 と 考 え られ る 。

7.

7.

高 度 都 市 機 能 集積 地 区 にお け る 地 区 施 設 導 入 状 況 の 現 状 調 査 。1

(1)調

調査概要 査 対 象 地 区の 選 定

調 査 対 象 地 区 の 選 定 条 件 は 、 地 域 冷 暖 房 導 入 地 区 で あ り都 市 機 能 が 集 積 し た 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 で あ る こ と、 建 物 用 途 が 様 々 で あ る こ と 、 再 開 発 事 業 地 域 に 指 定 され て い る こ と、 内 陸 部 や 臨 海 部 に 位 置 し地 区 エ リ ア が 大 き い・ 小 さ い な ど 出 来 る だ け 地 区 の 特 性 が 多 様 で あ る こ と と した 。

(2)調 査 項 目 の 抽 出 表 7.1に 調 査 項 目 を 示 す 。 調 査 項 目は 、 地 区 名 称 、 地 区 面 積 ・ 延 べ 床 面 積 ・ 用 途 構 成 な ど の 地 区概 要 、 廃 棄 物 処 理 の 概 要 、 地 区 全 体 水 使 用 量 。中水 使 用 量 。中水 利 用 用 途 な どの 中水 利 用 の 概 要 、 下 水 処 理 の 有 無 、 供 給 熱 量 ・ 供 給 電 力 量 な どの エ ネ ル ギ ー 供 給 の 概 要 な どの 導 入 シ ス テ ム に 関 す る もの で あ る 。

(3)調

査結果

調 査 結 果 と して 、 図 7.5に 調 査 対 象 地 区 と 地 区概 要 を 、 表 7。

2に 調 査

した 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お け る 地 区 施 設 の 導 入 状 況 を 示 す 。 調 査 対 象 地 区 は 、 東 京 都 区 内 の 5カ 所 、 横 浜 市 の 1カ 所 、 千 葉 市 の 1カ 所 の 合 計 7カ 所 で あ る 。 地 区 面 積 は 、 最 も小 さ い 用 賀 駅 周 辺 地 区 が 約 2.lhaで 張 新 都 心 地 区 が 約 522haで

、 最 も 大 きい 幕

あ る 。 用 途 構 成 につ い て は 、 業 務 施 設 が 過 半 数

を 占 め る地 区 は 、 比 率 の 大 き い 順 に城 山 ヒ ル ズ 、 用 賀 駅 周 辺 地 区 、 天 王 州 ア イ ル 、 み な とみ ら い 21、 サ ン シ ャ イ ン シ テ イ ー の 5地 区 で あ り、 業 務 施 設 集 積 型 の 高 度都 市 機 能 集積 地 区 が 多 い こが 分 か る。 一 方 で は、 恵 比 寿 ガ ー デ ン プ レ イ ス の よ う に 、 住 宅 施 設 が 約 24%を 占 め 、 業 務 ・ 住 宅 ・ 商 業 ・ 宿 泊 の 各 施 設

173


が バ ラ ンス よ く計 画 さ れ た 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 も出 現 して い る 。 地 区施 設 の 導 入 状 況 で は 、 調 査 した 廃 棄 物 系 (地 区 内 ごみ 処 理 、 ご み の 分 別 収 集 )、 水 系 (中 水利 用 、雨 水 利 用 、 排水 汚 泥処 理 )、 エ ネ ル ギ ー 系 (熱 供 給 、 平 常 時 電 力 供 給 、 非 常 時 電 力 供 給 )の 地 区 施 設 の 中 で 、 全 く導 入 さ れ て な い 地 区 施 設 は 、 排 水 汚 泥 処 理 の 1施 設 で 、 サ ン シ ャ イ ン シ テ ィ ー に コ ン ポ ス トシ ス テ ム の 実 験 施 設 と して 一 部 導 入 さ れ て い る以 外 に導 入 され て い な い 地 区 施設 は 、 地 区 内 ゴ ミ処 理 の 1施 設 で あ る 。 恵 比 寿 ガ ー デ ン プ レ イ ス と幕 張 新 都 心 の 一 部 施 設 に 導 入 さ れ て い る 地 区 施 設 が 、 平 常 時 の ビ ル コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム と して の 電 力 供 給 施 設 で あ り、 み な とみ ら い 21に お い て も現 在 計 画 中 で あ る 。 城 山 ヒ ル ズ 、 用 賀 駅 周 辺 地 区 の 2地 区 に の み 導 入 さ れ て い る 地 区 施 設 は 、 雨 水 利 用 施 設 の 1施 設 で あ る 。 ご み の 分 別 収 集 施 設 、 熱 供 給 施 設 、 非 常 時 電 力 供 給 施 設 は 全 て の 地 区 に 導 入 され て お り、 中水 利 用 施 設 は 天 王 州 ア イ ル 地 区 を 除 く全 て の 地 区 に 導 入 さ れ て い る 。

表 7.1 建物概要

働 14b簡 ■

rm2

31E廣 面 ■

rm2ヽ

調査項 目

田 ヽ 全 E僣

廃棄物処理の概要

遭 ■ し フ 手`m2 ′、

藤 妻 物 地 区 内処 理 の 有 無

中水利用の概要

橿 喜

全 体 未 伸 用曇 (m3ノ d) 中 ★ 伸 田■ イm3′ d) 仝伏 ★ 僣 田 詈 去ι +ム 由 ★ 僣 田 ■ め 占 ハ ム 鷹 火

`「

舎 =∥

IJL理 方 式

中 ★ 禾∥田 日 ヽ 会

雨 7klJL理 計画 下★ lJL理 右 無

エネルギー供給の概要

熱 供 給 対 負地 区 の 用徐 構 成 と その 延 床面 積

(m2)

供給熱量

熟 量 (Gca:ノ 年 ) 奎■L r^^ぅ 年、

ガス消費量

年間消費量 (Nm3/年 )

DHCの 機器効率

ポイラー

:′

■ +織

田 暑

rNm3ノ ロ `

奎 清 壼

電 気供 給 対 象 地 区 の 用 途構 成 とその 延 床面積

供給電気量

=業

(m2) 熱量 (Gcaν 年 ) 玲執 イ ∩cn:′ 生 ヽ

内容

174


"●

ガーデンプレイス

延床口● :470,126耐

サンシャインティ

その他 (潟

薔床■■ :58剛

※3 用口駅周 辺嗜

"5nt

延床百薔 :襲102耐

麟 喘 n ∝ 離 露 ※: みなとみらい21 延床面積 :5,3∞ ,72耐

※2

幕 彊輌 椰心

甍 床薔 ■ :1,712.3∞ 市 住層 0%

そ の 他 0%

壌山 ヒルズ 延床 EE:1"0釦

その他

0

7%

天二 洲周辺地 区 睡床口■ :457,000H その他

“ 盤 醜

図 7.5 表 フ.2

建物名称 廃棄物系

水系

地区内 ごみ処理

調査対象地区 と地区概要

高度都市機能集積地区における地区施設 の導入状況 サ ンヽ ンヤ ィ ン 60 ・ △ (実 験中)

恵比寿 ガーデ ン プ レイス

みなと み らい 21

幕張 メ ッセ

城山 ヒル ズ

×

×

X

×

×

×

天王州 用賀駅 周辺地区 周辺地区

ごみの分別

中水利用

×

雨水利用

×

×

×

×

×

汚泥処理

×

×

×

×

×

×

×

×

一部

×

×

×

エ ネル ギ ー系 熱供給 電気供 給

×

非常用発 電

△ (一 部)

175


7.3.2

地 区 施 設 の 導 入 状 況 か らみ た 問 題 点

調 査 の 結 果 、 下 水 汚 泥 処 理 施 設 は 全 く導 入 さ れ て い ず 、 サ ン シ ャ イ ン シ テ ィ 地 区 に お い て 実 験 中 で あ る コ ン ポ ス トシ ス テ ム を 除 き 、 ご み の 地 区 内 処 理 は 殆 ど 導 入 さ れ て い な い 。 平 常 時 の 地 区 内 電 力 供 給 施 設 (ビ ル コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム )は 2地 区 に お い て 導 入 さ れ て は い る が 、 一 部 に と ど ま っ て い る 。 雨 水 利 用 施 設 も 1地 区 に の み 導 入 さ れ て い る に 過 ぎ な い 。 一 方 、 ご み の 分 別 収 集 施 設 と熱 供 給 施 設 お よ び 非 常 用 発 電 機 に よ る 非 常 時 電 力 供 給 は 全 て の 地 区 に 導 入 さ れ て お り、 中 水 利 用 施 設 は 1つ の 地 区 を 除 く 6地 区 全 て に 導 入 さ れ て い る。 以 上 、 地 区側 に お い て 施 設 建 設 費 や 供 給 処 理 費 用 負 担 の 小 さ い経 済 的 に利 点 の あ る地 区施 設 や 法 的 規 制 が 厳 しい 地 区 施 設 の導 入 は進 ん で い る が 、 地 区 側 に お い て 施 設 建 設 費 や 供 給 処 理 費 用 負 担 が 大 き く、 経 済 的 利 点 の 少 な い 地 区 施 設 の 導 入 は 殆 ど進 ま ず 、 相 変 わ らず 公 共 側 の 供 給 処 理 に 依 存 して い る こ と が 分 か っ た 。 こ の こ と は 、 快 適 性 ・ 利 便 性 ・ 防 災 安 全 性 の 観 点 か ら、 長 期 的 にみ て 開 発 の 進 展 が 予 想 さ れ る既 成 市 街 地 再 開 発 や 臨 海 部 工 場 跡 地 ・ 埋 立 地 再 開 発 な ど に 対 して 、 公 共 側 の 供 給 処 理 施 設 へ の 負 担 増 が 依 然 と して 続 く こ と を 暗 示 して い る。

176


7.4

自立 型 地 区 施 設 の 提 案

7.4.1 (1)

廃 棄物減容 化 の提案 ごみ 減 容 化 の提 案

ご み 減 容 化 の 提 案 を 表 7。

3に 示 す 。 ご み 総 埋 立 量 を 減 容 化 す る た め に は 、

第 1の 対 策 と し て 、 直 接 埋 立 ご み の 減 容 化 が 必 要 で あ る 。 直 接 埋 立 ご み の 減 容 化 に つ い て は 、 不 燃 ご み の 直 接 埋 立 を上 め て 缶 類 ・ ビ ン 類 の 資 源 ご み を 分 別 し て 回 収 す る こ と で 減 容 化 す る (中 間 処 理 )。 ま た 、 可 燃 ご み の 直 接 埋 立 を 上 め て 焼 却 す る か RDF化

す る 。 第 2の 対 策 と して 、 中 間 処 理 後 の 焼 却 灰 は 灰 溶 融

に よ り減 容 化 す る 。 第 3の 対 策 と し て 、 覆 土 は 、 埋 立 ご み を焼 却 して 減 容 化 す る こ と に よ り減 容 化 す る 。

(2)汚

泥減 容化 の提 案

汚 泥 減 容 化 の 提 案 を 、 表 7.3の

ごみ 減 容 化 の 提 案 に示 す 。 脱 水 汚 泥 の 直 接

埋 立 に つ い て は 、 汚 泥 の コ ン ポ ス ト化 に よ る 肥 料 と し て の 利 用 、 ま た は RDF 化 に よ る 固 形 燃 料 と して の 利 用 の い ず れ か の 方 法 に よ り減 容 化 す る 。 汚 泥 中 間 処 理 後 の 焼 却 灰 埋 立 に つ い て は 、 灰 溶 融 シ ス テ ム に よ リ ガ ラ ス 化 し減 容 化 を 図 る 。 混 合 特 殊 セ メ ン トで の 埋 立 に つ い て は 汚 泥 を軽 減 して 減 容 化 す る 。 以 上 の 、 ご み 減 容 化 を提 案 す る 。

表 7.3

ごみ減容化 の提案

現状 の処理

廃 棄 物 系

ごみ最終 処分場

汚泥最終 処分場

①不燃ごみの直接埋立 ②可燃ごみの直接埋立

→ 中間処理 システム

③可燃ごみの焼却灰 ④覆土材

→灰溶融 システム

●汚泥直接埋立

→ コンポス ト化 システム or RDF化 システム

→焼却 システム or RDF化 システム →埋立ごみ を焼却

→灰溶融 システム 0汚 泥の焼却灰 0汚 泥処理 の混合特殊セメン ト →流失汚泥 を軽減

一般 電力既 設変動 の平均 化

→ RDF化 発電 システ ム

177


7.4.2

上 水 道負 荷 低 減 の 提 案

都 市 の 産 業 活 動 や 生 活 に お い て 上 水 道 負 荷 を減 ら す た め 、 上 水 負 荷 の 中 で 必 ず し も上 水 の 必 要 が な い 、 便 所 洗 浄 水 、 散 水 、 洗 車 、 掃 除 、 空 調 用 冷 却 水 な ど の 雑 用 水 を対 象 に 、 地 区 内 に お い て 雨 水 利 用 シ ス テ ム と排 水 利 用 シ ス テ ム (中 水 )を 積 極 的 に 導 入 す る こ と を 提 案 す る (表 7.4)。 表 7.4

水系

7.4.3 (1)

上水道負荷低減化 の提案 案

現状 の処理

上水使用量多 い

→雨水利用 システム

下水放流量多 い

→排水利用 システム (中 水 )

高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 にお け る 自立 型 地 区 施 設 導 入 の 提 案 重 点 的 に 導 入 す べ き 自立 型 地 区 施 設 の 提 案

以 上 の 分 析 を 踏 まえ、 今 後 新 た に 建 設 さ れ る高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に対 して 、 以 下 に 示 す 地 区 施 設 の 導 入 が 必 要 と考 え る 。 ・雨水利用 シ ス テム ・ 排 水 再 利 用 シ ス テ ム (中 水 ) 。可 燃 ご み の 地 区 内焼 却 シ ス テ ム ・灰 溶融シス テム ・ 可 燃 ごみ の 固 形 燃 料 化

(RDF化 )シ ス テ ム

・ 粗 大 ごみ 破 砕 処 理 シ ス テ ム ・ 脱 水 汚 泥 の コ ン ポ ス ト化 シ ス テ ム ・ 脱 水 汚泥 の 固形燃料 化

(RDF化 )シ ス テ ム

・ 中 間処理 シ ス テ ム ・ RDF発 電 シ ス テ ム

178


表 7.5に 重 点 的 に 導 入 す べ き地 区 施 設 か ら 構 成 さ れ る 4つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム を提 案 す る 。 表 フ. 5 導入すべ きリサイクルシステム (4シ ステム)の 提案 システム Ⅱ

シス テ ム I 可燃 ごみ

焼却 システム

棄 物 系

可燃 ごみ

シ ステ ム 皿 可燃 ごみ

汚泥

システムⅣ 可燃 ごみ

汚泥

RDF化 システム

灰溶融 システム

破砕 処理回収 システム

中間処理 システム

RDF発 電 システ ム 水

汚泥

コンポス ト化 システム 廃

汚泥

雨水利用 システム

排水再利用 システ ム (中 水)

(2)高

度 都 市 機 能 集 積 地 区 に導 入 す べ き 自立 型 地 区 施 設 (リ サ イ ク ル シ ス テ ム )の 提 案

図 7.6~ 図 7.9に 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に 導 入 す べ き リサ イ ク ル シ ス テ ム の シ ス テ ム 構 成 を示 す 。 ①

リサ イ ク ル シ ス テ ム I

・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム は 、 排 水 処 理 後 に発 生 す る 汚 泥 を コ ン ポ ス ト化 し、 可 燃 ご み 。厨 芥 を地 区 内 で 焼 却 す る シ ス テ ム 。 ・ 水 供 給 処 理 シ ス テ ム は 、 雨 水 を雨 水 処 理 プ ラ ン トで 処 理 し、 雑 排 水 を 中 水 処 理 して 中水 と して 利 用 す る シ ス テ ム ・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム の 具 体 的 内 容 は 、排 水 処 理 か ら 出 る 汚 泥 を コ ン ポ ス ト 処理 して 肥 料 と して利 用す る 。粗 大 ごみ は 、 破 粋 処 理 した 後 で 、 資源 ご み (鉄 、 ア ル ミ な ど)、 可 燃 ごみ 、 そ の 他 ごみ (圧 縮 して 埋 立 処 分 )に 分 別 して 処 理 す る。 ・ 可 燃 ごみ と厨 芥 お よび 粗 大 ご み を分 別 処 理 した 後 で 発 生 す る可 燃 ご み を 焼 去口し、 焼 却 灰 を灰 溶 融 処 理 す る シ ス テ ム で あ る 。

179


・ 一 般 資 源 ご み (金 属 類 、 ガ ラ ス 類 、 紙 類 )は 分 別 収 集 して 、 地 区 外 で 再 資 源 化 して 利 用 す る 。 ②

リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅱ

・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム は 、 排 水 処 理 後 に発 生 す る汚 泥 を固 形 燃 料 化

(RDF

化 )し 、 可 燃 ご み ・ 厨 芥 を 地 区 内 で 焼 却 す る シ ス テ ム 。 ・ 水 供 給 処 理 シ ス テ ム は 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Iと 同 じ シ ス テ ム と す る 。 ・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム の 具 体 的 内 容 は 、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム Iの 汚 泥 を コ ン ポ ス ト化 す る 部 分 を RDF化

し、 RDF発

電 を導 入 した シ ス テ ム で 他 の 部 分 は

リ サ イ ク ル シ ス テ ム Iと 同 じシ ス テ ム と す る 。 ・ 基 本 的 に は 、 こ の RDFを

使 用 して RDF発

電 を 行 っ て リサ イ ク ル シ ス テ

ム Ⅱ の プ ラ ン ト電 力 を賄 い 、 排 熱 を 利 用 して 脱 水 汚 泥 を RDF化

するシステム

で あ る (不 足 分 は 補 助 燃 料 で バ ッ ク ア ッ プ す る )。 ③

リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅲ

・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム は 、 排 水 処 理 後 に 発 生 す る 汚 泥 を コ ン ポ ス ト化 し、 可 燃 ご み 。厨 芥 を RDF化

す るシス テム で あ る。

・ 水 供 給 処 理 シ ス テ ム は 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Iと 同 じ シ ス テ ム と す る 。 ・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム の 具 体 的 内 容 は 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Iの 可 燃 ご み ・ 厨 芥 を 地 区 内 焼 却 す る 部 分 を RDF化

し、 RDF発

電 を 導 入 した シ ス テ ム で あ

る。 ・ 基 本 的 に は 、 この RDFを

使 用 して RDF発

電 を行 い 、 一 般 電 力 を 供 給 す

る こ とで 商 用 電 力 負 荷 の 平 準 化 を行 う が 、 一 部 の 電 力 で リ サ イ ク ル シ ス テ ム Ⅲ の プ ラ ン ト電 力 を賄 い 、 排 熱 を利 用 して 可 燃 ご み ・ 厨 芥 を RDF化 ム で あ る (不 足 分 は 補 助 燃 料 で バ ッ ク ア ッ プ す る )。

す るシス テ

これ 以外 の廃 棄 物 処 理 シ

ス テ ム は リサ イ ク ル シ ス テ ム Iと 同 じ シ ス テ ム と す る 。 ④

リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ

・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム は 、 排 水 処 理 後 に 発 生 す る 汚 泥 お よ び 可 燃 ご み 。厨 芥 を RDF化

す る シ ス テ ム で あ る。

180


・ ・ 水 供 給 処 理 シ ス テ ム は 、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム Iと 同 じ シ ス テ ム と す る 。 ・ 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム の 具 体 的 内 容 は 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Iの 可 燃 ご み 。 厨 芥 を焼 却 す る 部 分 と 汚 泥 を コ ン ポ ス ト化 す る 部 分 を RDF化

し 、 RDF発

を導 入 した シ ス テ ム で 、 他 の 部 分 は リ サ イ ク ル シ ス テ ム Iと 同 じ シ ス テ ム と す る。 ・ RDFは

、 一 般 ご み の 可 燃 ご み と厨 芥 お よ び 粗 大 ご み の 内 、 彼 粋 処 理 後 に

分 別 収 集 され た 可 燃 ごみ さ ら に は 排 水 処 理 後 に発 生 す る 汚 泥 を 用 い る 。

・ 基 本 的 には、 この RDFを 使用 して RDF発 電 を行 い 、 一 般 電力 を供給 す る こ とで 商用電 力負荷 の 平準 化 を行 うが 、一 部 の電 力 で リサ イク ルシス テ ム Ⅲ の プ ラ ン ト電力 を賄 い 、排 熱 を利 用 して 可燃 ごみ・ 厨芥 お よび汚 泥 を RDF化 す る シス テ ムで あ る (不 足 分 は補 助燃 料 で バ ックア ップ す る)。 これ以外 の 廃 棄物 処 理 システ ム は リサ イクル シス テ ム Iと 同 じシ ス テ ム とす る 。

181


地区 内プラ ン ト

雨水利用プラン ト

Fil.*frh | "'rr'r

l- l+,r

排水再利用プラン ト

コンポス ト 利用

破砕選別回収 システム 可 燃 ご み

灰溶融 システム

不 燃 ご み

スラグ

資源化

図 ア.6リ サ イ クル システ ム Iの 構 成

182


地区内プラント 雨水

日可冽に 利用 プラン ト

中水利用

中水不足 か

由豪

厠 К』U

下水

(排 水〕 J ´-

上水

` 曇・ ・L==::日 ザ ニ ′ L

l

L嘔 ノィ

=4

排水)

耐泥貯留槽 1 戸引Ш望二重菫

ゴ ミ固形燃料化 システム

補助 燃料

… 41- ……

引 熱風炉

l

RDF発 電

F

R

.:

電力

`欧 ′ ___:

顧 科 ↑ ■ ワ

鉄粒 颯絆

粗大 ごみ 厨芥

可燃 ごみ

L =狩

:

テ』 F筋 配

可 燃 ご み

グ ス ト 鯰

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不 燃 ご み

不適物

7 口 “

憫一J

脚 隅

鉄 プロック

7~l~

ν ハ グ ノ イ′

稚 壽

スラグ

飛灰

稚 壽

資源 ごみ

資源化

図 7.フ

リサ イ ク ル システ ム Ⅱの 構 成

183


地区内プラント 雨水利用 プラ ン ト

雨水

_■ 1中

水利用

中水不足分 鳳 不 宗剰

下水

i

"

フトラ ト′ ヽ

■ 1

受水槽

上水

1排 水再利用プラ ン ト 卜

(排 水 )

コンポス ト 利用

汚泥処理装置

entr s=

厨芥

可燃 ごみ

\Elltt

ミ 回 ル

隔 =コ _│ ~1 -型 =曇堕 可 「

補助 燃料

_賃賛_1灰 嘉蘇 嘉 ぉ

電力

鉄粒

,

駄 壽

□占澁 「

l瞑

Jロ ロ

灰溶融システ ム

回収 システム 不 燃 ご み

スラグ 欧

プロック

(消 百灰 :

排ガス

秘 壽

破砕 不適物

′ヽ7ノ

′レ 7

飛灰

稚 壽

資源 ごみ

資源化

図 7

8リ サ イ クル システ ム Ⅲの 構 成

184


地区内プラント 雨水

水 不分~匝

嗣 不 不り用 ノ フ ノ 「

1中 水利用

1中

中未

色 水

原水 余剰 ガ │

上水

下水

:

フ Tξ ′ ヽ ]フ ト F

排水再利 用プラン ト

厨芥

1 卜■

DF貯 蓄

可燃 ごみ 補助 燃料

島 熙 HIV

1 ¬

_竹 贅_l灰 │~~葛 膨こ高 は )

鉄粒

ご ち ,

駄 参

電力

,

瞑 野 EЛ

1 灰溶ロ

回収 システム 不 燃 ご み

▼ ユ

眠砕 不適物

スラグ 欧

プロック

(消 百灰

排ガス

バグフ

′レ 7

不燃 ごみ

飛灰

稚 壽

資源 ごみ

資源化

図 7.9リ サ イ クル シ ス テ ム Ⅳの構 成

185


7。

5

東 京 都 心 R地 区 に お け る リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 の ケ ー ス ス タ デ イ

7.5。 1

(1)

ケ ー ス ス タ デ ィ地 区 の 選 定

地 区 の選定 条 件 の設 定

将 来 の 東 京 都 区部 に お け る 市 街 地 再 開 発 の 先 進 モ デ ル 事 例 と す べ く、 以 下 の 条 件 を設 定 した 。 ① 東 京 都 23区 内 の 業 務 。商 業 。住 宅 の 混 在 した 地 区 で あ る 。 ② 都 心 居 住 を実 現 す べ く、 全 体 容 積 に 占 め る 住 宅 用 途 の 割 合 が 50%以 上 で あ る こ と。 ③ 周 辺 に 緑 地 や 公 園 が 十 分 に あ り、 対 象 地 区 内 に も十 分 な 緑 地 。空 地 を計 画 で き る こ と 。 そ れ に よ り、 緑 の ネ ッ トヮ ー ク や 災 害 時 に お け る 防 災 拠 点 地 区 と な り得 る 条 件 を備 え て い る こ と 。

(2)

ケ ー ス ス タ デ ィ地 区 の 選 定

(1)の 条 件 を 満 足 す る 地 区 と して 、 東 京 都 心 R地 区 を、 ケ ー ス ス タデ ィ地 区 に選 定 した 。 そ の 理 由 を 以 下 に 示 す 。 ・ 条件① につ いて 港 区 六 本 木 に 位 置 し、 業 務 ・ 商 業 ・ 住 宅 が 混 在 した 地 区 で あ る 。 ・ 条 件② につ いて 住 宅 用 途 の 割 合 が 、 計 画 容 積 率 500%と

仮 定 して 60~ 70%程 度 見 込 め

る。 ・ 条 件③ につ い て 周 辺 に は 、 神 宮 外 苑 、 赤 坂 離 宮 、 明 治 神 宮 、 青 山 墓 地 な どの 緑 地 が 多 く存 在 し、 十分 な緑 の ネ ッ トヮ ー クが 形 成 で き る 。 ま た 、 計 画 地 区内 に H公 園 を有 し、 十 分 な緑 地 ・ 空 地 の 配 置 が 可 能 で あ り、 災 害 時 に お い て 周 辺 住 宅 に対 して 防 災 拠 点 に十 分 成 り得 る 条 件 を 有 して い る 。

(3) 1)

ケ ー ス ス タデ ィ地 区 (東 京 都 心 R地 区 )の 概 要 ケ ー ス ス タデ ィ地 区 の 位 置

図 7.10に

ケ ー ス ス タ デ ィ地 区 の 位 置 を示 す 。

186


2)

ケ ー ス ス タデ イ地 区 の 計 画 概 要

表 7.6に ケ ー ス ス タ デ イ 地 区 の 計 画 概 要 を示 す 。 地 区 面 積 は 約 7ha、

計 画 容 積 率 は 約 500%、

aで 、 う ち 住 宅 用 途 が 約 22ha(全

容 積 対 象 床 面 積 は 約 35h

体 の 約 65%)を

住 複 合 用 途 地 区 で あ る 。 業 務 用 途 は 約 5ha(全

体 の 約 14%)、

体 の 約 8.1%)で

の 約 6.1%)、

教 育 用 途 が 約 0.5ha(全

体 の 約 1.4%)を

W7. 1 o ,-77t74 t0Eo&E ケ ーススタデ イ地区 の計画概 要

敷地面積

69,200耐

基準容積率 緩和容積 率

340% 160%

計画容 積率

500% 345,953ri

容積対象床面積 用途内訳

商業用途 は

あ り、 そ の 他 に 医 療 用 途 が 約 2ha(全

約 2.8ha(全

表 7.6

占 め る典 型 的 な都 心 居

住宅 業務 商業 宿泊 医療 教育

187

224,869r 48,433耐 27,676耐 20,757耐

19,027r 5,189r

占め て い る。


7. 5.2

リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 の ケ ー ス ス タ デ ィ

(1) 与 条 件 の 設 定 1)各 種 原 単 位 の 設 定 ①

水 使 用 量 原単 位

表 7.7に 建 物 用 途 別 水 使 用 量 原 単 位 を示 す 。 ②

降水 量 原 単 位

降 水 量 は 、 理 科 年 表 よ り 1961年

~ 1990年

の 平 均 値 に比 較 的 近 い 19

90年 の デ ー タ を 使 用 した 。 年 間 降 水 量 は 、 1,405.3mm/年

と した 。

③ 廃棄物 発 生量 原単位 廃 棄物 発 生量 原 単位 は 5章 4節 1項 の デ ー タを 使 用 した (表 5.11、

表 5.

12)。 ④ 電 力負 荷 早 稲 田大 学 尾 島 俊 雄 研 究 室 の 原 単 位 を使 用 した

表 7.

文献 20)。

7 建物用途別水使用量原単位 (単 位 :″ /m2.日 )

3 住宅施設・ 1 業務施設・ 2 商業施 設・ 2 医療施設・ 3 宿泊施設・ 2 教育施設・ 3 文化施設 會

便所洗浄水

2.61

空調用水

1.76

3.35

8.59

2.44

6.36

8.3

0.59

0.54

1.36

0.45

0.09

4.34

雑用水等

1.16

0.39

0.4

1.24

0.81

0.46

中水小計

3.77

2.74

4.29

11.19

3.7

6.91

13.14

上水小計

10.8

2.29

7

16.01

10.54

4.69

9.46

14.57

5.03

11.38

27.2

14.24

11.6

22.6

11.96

3.27

8.03

18.61

11.8

5.24

13.8

尾島研究室資料 空調用水 は・ 1ま たは '3を 、雑用水は差 し引き分 を ・ 4に よって比例配分 した。 東京都下水道局資料 (平 成 5年 ) 住宅都市整備公団「住宅団地における中水道方式の開発推進 ―その 1-」 業務施設 と同 じ比率 と仮 定 し、合計値 を比例 配分 した。

188


2)

導入 シ ス テ ムの検 討 条件

①水系 ・ 雨 水 処 理 シ ス テ ム・ 排 水 処 理 シ ス テ ム に必 要 な 電 力 量 は 、 三 機 工 業 (株 ) の デ ー タ を使 用 した 。 ・ コ ン ポ ス ト処 理 に必 要 な 電 力量 は 、新 明 和 工 業 (株 )の デ ー タを使 用 した 。 ② 廃棄物系 ・ 破 砕 選別 回 収 シス テ ム は 、 東京 都 清掃 局 の デ ー タ

文献 43)を

用 い て破 砕

不 適 物 量 、 分 別 鉄 粒 量 、 粗 大 ごみ 量 を算 出 した 。 ・ 脱水 汚泥処 理 量 は 、 東 京 都 下水 道 の デ ー タ

文献 44)を

用 い て脱 水 汚 泥 量

と生 成 コ ンポ ス ト量 及 び 生 成 RDF量 を算 出 した 。 ・ ごみ 焼 却 シ ス テ ム 、 可 燃 ごみ 固 形 燃 料 化 シ ス テ ム

(RDF)、

灰溶融 シ ス

テ ム に必 要 な電 力 量 は 、 荏 原 製 作 所 (株 )の デ ー タ を使 用 した 。 ・ 破 砕 処 理 機 に 必 要 な 電 力 量 は 、 新 明 和 工 業 (株 )の デ ー タ を使 用 した 。 ・ 破 砕 選 別 機 に必 要 な 電 力 量 は 、 三 菱 製 鋼 所 (株 )の デ ー タ を使 用 した 。

3)

地 区内負 荷 の算 定 結 果

① 水 需 要量 表 7.8に 水 需 要 量 の 算 定 結 果 を示 す 。 ② 廃棄物発生量 表 7.9に 廃 棄 物 発 生 量 の 算 定 結 果 を示 す 。 ③ 電力需要量 表 7.10に

月 別 の 一 般 電 力 負 荷 の 算 定 結 果 を示 す 。

一 般 電 力 負 荷 とは 、 建 物 の 総 電 力 負 荷 の うち 熱 源 機 器 が 使 用 す る 以 外 の 電 力 負 荷 の こ とで 、 照 明 ・ コ ン セ ン ト負 荷 や 動 力 負 荷 を い う

189

文献 45)。


表 7.8

便所洗浄水

空調用 水

水需要量 の算定結果 (m3/年 )

雑用水等

中水小計

上水小計

合計

中水 の原水

住 宅

601,903

0

267,512

1,612,822

1,747,224

3,360,046

2,758,143.4

業 務

83,864

28,114

18,584

130,561

109,119

239,680

155,815.5

商 業

96,651

15,580

11,540

123,771

201,957

325,728

231,673.5

医 療

166,809

26,410

24,080

217,299

310,898

528,197

361,387.6

宿 泊

0

0

0

0

0

0

0.0

教 育

123,505

1,748

8,933

101,756

123,505

225,260

101,755.6

0

0

0

0

0

0

0.0

'こ

表 7.

9

廃棄物発生量 の算定結果

可 燃 ごみ

(ト ンノ日)

7.6

厨芥

4.0

プラスチ ック 不 燃 ごみ

1.7

資源 ごみ

07

脱水汚泥量

0.5

粗大 ごみ

0.5 16.1

表 7.10

月別 の一般電力負荷 (MWhノ 月) 一般電力負荷

1月

2,415

( 77.9 )

2月

2,398

( 82.7 )

3月

2,381 ( 76.8 )

4月

2,280

( 76.0 )

5月

2,328

( 75.1

6月 8月

2,328 ( 77.6 ) 2,471 ( 79.7 ) 2,s86 ( 83.4 )

9月

2,532

( 84.4 )

10月

2,461

( 79.4 )

11月

2,367

( 78.9 )

12月

2,483 ( 80.1 )

7月

但 し

)

)内 は、1日 当 りの電力負荷 (MWhノ 日)

190


(2)

ケ ース ス タデ イに お け る設 定 条 件

1) ①

平 常 時 に お け る設 定 条 件

水 系 シス テ ム の 設 定 条 件

平 常 時 に お け る 水 系 シ ス テ ム の 設 定 条 件 を表 7. て は 、 従 来 型 シ ス テ ム 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム A、

1 1に 示 す 。 シ ス テ ム と し

リ サ イ ク ル シ ス テ ム Bの 3つ

を設 定 す る 。 ・ 従 来 型 シ ス テ ム は 、 全 て の 用 途 に 上 水 を供 給 す る 。 ・ リサ イ ク ル シ ス テ ム Aは 、 厨 房 、 飲 用 、 入 浴 、 洗 顔 、 洗 濯 の 用 途 に の み 上 水 を供 給 し、便 所 洗 浄 、掃 除 、 洗 車 、 散 水 、 空 調 冷 却 水 の 用 途 に は 雨 水 処 理 水 と排 水 処 理 水 (中 水 )を 供 給 す る もの で 、 上 水 使 用 量 の 削 減 を 図 っ た シ ス テ ム で あ る。 ・ リサ イ ク ル シ ス テ ム Bは 厨 房 、 飲 用 、 入 浴 、 洗 顔 の 用 途 お よび 医 療 ・ 教 育 施 設 の み の 洗 濯 用 途 にの み 上 水 を供 給 し、 住 宅 。業 務 。商 業 ・ 宿 泊 の 洗 濯 用 途 お よ び 便 所 洗 浄 。掃 除 。洗 車 ・ 散 水 ・ 空 調 冷 却 水 の 用 途 に は 雨 水 処 理 水 と排 水 処 理 水 (中 水 )を 供 給 す る も の で 、 上 水 使 用 量 と下 水 放 流 量 の 削 減 を徹 底 的 に 図 つ た シ ス テム で あ る。 各 用 途 にお け る 中水 の 原 水 (非 常 時 兼 用 )を 表 7◆

12に 示 す 。 中水 の 原 水

は 建 物 用 途 で 少 し異 な るが 、 基 本 的 に は 、 洗 車 。散 水 、 便 所 洗 浄 の 各 用 水 を 除 く飲 料 ・ 炊 事 、 洗 顔 。手 洗 い 、 入 浴 、 洗 濯 、 冷 却 塔 補 給 水 、 掃 除 の 各 用 水 と す る 。 な お 、 雨 水 貯 留 水 槽 容 量 は 2,000m3、 用 )は 4,000m3に

設 定 した 。

191

中 水 貯 留 水 槽 容 量 (非 常 時 兼


表 7.11 システム

平常時における水系 システムの設定条件

使 用 用途

雨水利用水、中水 (排 水再利用水)

上水

従来型

全 ての用途

リサ イ クル システム A

厨房 、飲用、入浴、洗顔、 洗濯

便所洗浄、掃除、洗車、 散水、空調冷却水

リサイ クル システム B

厨房 、飲用、入浴、洗顔、 洗濯 (医 療、教育施設)

洗濯 (住 宅 、業務、商業、宿泊施設)、 便所洗浄、掃除、洗車、散水、空調冷却水

表 7.

12各 用途 における中水の原水

飲用・ 炊事

洗顔・ 手洗 い

入浴

洗顔

住宅

業務

商業

宿泊

医療 教育

冷却塔 補給来

掃除

一 〇

一 〇

一 〇

洗車・ 散水

便所洗 浄

廃 棄 物 処理 系 シ ス テ ム の設 定 条件

平 常 時 に お け る 廃 棄 物 処 理 系 シ ス テ ム と して は 、 従 来 型 シ ス テ ム と リサ イ ク ル シ ス テ ム と して リサ イ ク ル シ ス テ ム I、

リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅱ 、 リサ イ ク ル

シ ス テ ム Ⅲ 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ の 合 計 5シ ス テ ム を 設 定 す る 。 従 来 型 シ ス テ ム は 、 資 源 ごみ を分 別 回 収 し、 可 燃 ご み を 清 掃 工 場 で 焼 却 し、 不 燃 ご み 。粗 大 ご み ・ 脱 水 汚 泥 を埋 立 処 理 す る シ ス テ ム で あ る 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム に つ い て は 、 4節 3項

2)非 ①

(2)に お い て 既 に 説 明 して い る の で こ こ で は 割 愛 す る 。

常 時 にお け る設 定 条 件

水 系 シ ス テ ムの 設 定 条件

非 常 時 に お け る 中水 使 用 用 途 は 平 常 時 と 同 様 と し、 中水 の 原 水 に つ い て は 平 常 時 の 水 需 要 量 か ら上 水 分 を 除 い た 値 と す る 。

192


(3) 1) ①

a)

ケ ー ス ス タデ イの 結 果 平 常 時 に お け る ケ ー ス ス タ デ イ結 果

水 系 シス テ ム 上水 使 用 量 の削 減 効 果

図 7.11に

雨 水 利 用 シ ス テ ム お よ び 排 水 再 利 用 シ ス テ ム (中 水 )導 入 に よ

る 上 水 使 用 量 の 削 減 効 果 を示 す 。 従 来 型 シ ス テ ム の 上 水 使 用 量 が 約 162万

m

3/年 で あ る の に対 して 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Aは 、 便 所 洗 浄 ・ 掃 除 ・ 洗 車 ・ 散 水 ・ 空 調 冷 却 水 の 各 用 水 を雨 水 ・ 排 水 利 用 に よ る 中水 を供 給 す る こ と に よ り 年 間 35。 4%上 水 使 用 量 を削 減 で き る 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム Bは 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Aに 加 え て 住 宅 ・ 業 務 。商 業 ・ 宿 泊 の 洗 濯 用 水 と して 雨 水 ・ 排 水 再 利 用 に よ る 中水 を 供給 を す る こ とで 、 上水 使 用量 の 節水 効 果 は さ らに 向 上 して 、 年 間 56.7%上 水 使 用 量 を削 減 で き る 。

グラフ内 の数値 は全体水使用量 に占める上水使用率 を示す

180 160

140 [ 斗 \ ■ R ]

120 100

80

60 40 20 0

図 7.

11

雨水 ・ 排 水 再 利 用 システ ム導 入 に よ る上 水 使 用 量 の 削減 効果

193


b)

下水 放 流 量 の 削 減 効 果

図 7。

12に 雨 水 利 用 シ ス テ ム お よ び 排 水 再 利 用 シ ス テ ム 導 入 に よ る 下 水 放

流 量 の 削 減 効 果 を示 す 。 下 水 放 流 量 の 削 減 率 は 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Bで 年 間

53.8%、

リサ イ ク ル シ ス テ ム Aで 年 間 32.0%で あ っ た 。

グラフ内の数値 は従来システムに対する下水放流量の割合を示す

180 ■ 下水放流量

160 140

68.0%

46.2%

120 ∥ 道

R

100 80 60 40 20 0 従来 システム

図 7.12雨

A

B

水・ 排 水 再 利 用 システ ム 導 入 に よ る下 水 放 流量 の 削減 効 果

194


廃 棄物系 シ ス テ ム

a)廃

棄 物 排 出 量 の 削 減 効 果 図 7.

13に 廃 棄 物 系 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導

入 に よ る ごみ 排 出 量 削 減 効 果 を示 す 。 従 来 型 シ ス テ ム が 年 間 約 10.8千 ト ン 廃 棄 物 を排 出 す る の に対 し て 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 す る こ とで 廃 棄 物 排 出量 を大 幅 に 削 減 で き る 。 削 減 率 は 大 き い順 に、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ が 83.

3%、 リサ イク ル シ ス テ ム Ⅱが 82.2%、 リサ イ ク ル シス テ ム Ⅲ が 70.7%、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Iが 69,7%で あ る 。 算 定 に 当 た り、 コ ン ポ ス トは汚 泥 の 資 源 化 利 用 と して は 有 効 で あ る が 、 本 章 で 扱 う地 区 は 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 で あ る た め 、 そ の 利 用 は 地 区 外 で 行 う も の と して 、 コ ン ポ ス トは ごみ の 排 出 量 と して 算 定 した 。 不 燃 ご み に つ い て は 、 中 間処 理 に よ つて 減 容 の み行 う ため 、 シス テ ム 導 入 に よ る重 量 変 化 は な い 。 ま た 、 従 来 シ ス テ ム に 比 べ て 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 時 に不 燃 ご み が 増 加 して い る の は 、 粗 大 ごみ の 破 砕 選 別 に よ り不 燃 ごみ が 選 別 さ れ て 増 加 し た た め で あ る 。

12

圏 脱水汚泥 ■ 不燃ごみ 国 可燃ごみ 皿 粗大ごみ 国 資源ごみ ※

数値 は廃棄 物流出量 の従来比 を示す

30.3%

17.82`

コンポスト

飛灰

従来 システム システム I 図 7・

29.3%

16.7%

コンボス ト

システム Ⅱ システムⅢ システムⅣ

13廃 棄 物 系 リサ イ クル シ ス テ ム 導 入 に よる ごみ排 出量 の 削 減 効果

195


b) RDF発

電 に よ る商 用 電 力 負 荷 平 準 化 の検 討

平 常 時 にお い て 、 夏 期 に お け る 商 用 電 力 需 要 量 を抑 制 し、 電 力 系 統 負 荷 の 軽 減 お よ び 季 節 に よ る 平 準 化 を図 る た め に 、 RDF発 電 に よ る 地 区 内 商 用 電 力 負 荷 の 平 準 化 を検 討 した 。 こ こ で は 、 地 区 内 商 用 電 力 負 荷 と して 、 一 般 電 力 負 荷 を対 象 と した 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム I~ Ⅳ の う ち RDFを 扱 う シ ス テ ム は 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅱ 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅲ お よ び リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ で あ る が 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅱ は 生 成 さ れ る RDF量 が 少 な い た め 検 討 対 象 か ら除 外 し、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム Ⅲ お よび リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ を 検 討 対 象 に 選 定 した 。 商 用 電 力 負 荷 の 季 節 に よ る 平 準 化 と は 、 図 7。

14に 示 す よ う に 一 日 の 電 力 需 要 量 の

内 、 一 定 値 以 上 の 電 力 需 要 量 を RDF発 電 で 賄 う もの と 定 義 す る 。 図 7.15 に リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅲ に お け る 月 別 の 残 留 RDF量 お よ び 一 般 電 力 平 準 化 に 使 用 した 累 積 RDF量 を 、 図 7.

16に リ サ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ に お け る 月 別 の

残 留 RDF量 お よ び 一 般 電 力 平 準 化 に 使 用 した 累 積 RDF量

を示 す 。 シ ス テ ム

は 1月 か ら新 規 に 稼 働 す る もの と して 、 運 転 開 始 時 に RDFを

60日 分 購 入 す

る も の と した 。 図 7.17に

シ ス テ ム Ⅲに お け る 一 般 電 力 の季 節 に よ る 平準 化 結 果 を、 図 7.

18に シ ス テ ム Ⅳ に お け る 一 般 電 力 の 季 節 に よ る 平 準 化 結 果 を示 す 。 シ ス テ ム Ⅲ に つ い て は 、 一 般 電 力 需 要 量 の 最 低 値 で あ る 5月 の 商 用 電 力 負 荷 を基 準 に 、 こ れ を越 え る 分 を全 て RDF発 電 電 力 で 賄 う こ と は RDF量 が 少 な く困難 で あ る た め 、 3月 の 一 般 電 力 需 要 量 を基 準 に 、 こ の 電 力 量 需 要 量 を越 え る 分 を 出 来 るだ け RDF発 電 電力 で賄 う よ う に 設定 した 。 シス テ ム Ⅳ につ い て は 、 同様 に 、 一 般 電 力 需 要 量 の 最 低 値 で あ る 5月 の 商 用 電 力 負 荷 を基 準 に 、 そ の 電 力 量 需 要 量 を越 え る 分 を全 て RDF発 電 電 力 で 賄 う もの で 、 こ れ を越 え る 分 を 各 月 に配 分 す る よ う に 設 定 した 。

RDF発 電 で 賄 え る 年 間 電 力 は 、 シ ス テ ム Ⅳ で 一 般 電 力 需 要 量 全 体 の 5。 7 %、

シ ス テ ム Ⅲ で 一 般 電 力 需 要 量 全 体 の 3.7%で あ り、 シ ス テ ム Ⅳ の 効 果 が

196


大 きい 。

7 く ぉ 〓 陣 ]

, “

ヮ0 “

4 時

図 7.

6 時

8 時

・0 時

・2 時

・4 時

・6 時

・8 時

20 時

22 時

14リ サ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ の 9月 代 表 日にお け る 一般 電 力平 準 化 の状 況

197

24 時


16 14 12 10 雷 肛

8 6 月別残留RDF量

4

一般 電 力平準化 に 使用 した蓄積 RDF

2

01 月

2 月

3 月

4 月

5 月

6 月

7 月

8

9

・。 ・ 月 月

・2 月

リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅲ にお け る 月別 の RDF使 用 状況

図 7.15

お よび残 留 RDF量

16

14 12 10

1E8 6

月別残留RDF量

4

一般 電力平準化 に 使用 した蓄積 RDF量

2 0

角 月 月 措 月 1月 月 鳥T場

1ザ

図 7.16リ サ イ クル システ ム Ⅳ にお け る 月別 の RDF使 用 状 況 お よび 残 留 RDF量

198


90 80 70 60 雪 く 〓 3 〓 ]

50 ω 30 20 10 0

負 1月 浩 月 1月 月 l lHO Llザ 図 7. 1 フリサ イ ク ル シ ステ ム Ⅲ に お け る一般 電 力 の 平 準化 結 果

90

80 70

60 [ つ ヽ 〓 3 Σ ]

50

40 30 20

RDF発 電電力

団]商 用電力

10 0 1 月

図 7.18リ

, 〓 月

3 月

4 月

5 月

6 月

7 月

8 月

9 月

0 ・ 月 月

・2 月

サ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ に お け る一 般 電 力 の 平 準 化 結 果

199


2)非 ①

常 時 に お け る ケ ー ス ス タデ ィ結 果

水 系 シス テム

図 7.19に

非 常 時 の 中 水 確 保 可 能 日数 を 示 す 。

非 常 時 の 中水 確 保 期 間 は 、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム B(中 水 貯 留 槽 有 )が 、 6.

7日 と最 も長 く、 リサ イ ク ル シ ス テ ム A(中 水 貯 留 槽 有 )が 5.7日 と次 い で 長 い 。 中 水 槽 が 無 い ケ ー ス で は リサ イ ク ル シ ス テ ム Al.5日 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム Bは 2.6日 と共 に 短 く、 全 体 で は 、 中水 確 保 期 間 は 6.7日 ~ 1.5日 で あ っ た。

■ 中水確保期間

6。 5。

[ 口

7日

7日

2.6日 1.5日

O A(中

水貯留無)

A(中 水貯留有 ) B(中

水貯留無)B(中

図 7.19非 常時 にお ける 中水 確保 日数

200

水貯留有 )


7.6

結論

本 章 で は 、 東 京 都 心 R地 区 を モ デ ル に 、 廃 棄 物 最 終 処 分 場 の 埋 立 量 の 限 界 と 水 源 等 の 不 足 の 問 題 を解 決 す る た め に 、 廃 棄 物 の 地 区 外 へ の 排 出 量 と上 水 使 用 量 お よび 下 水 放 流 量 を削 減 す る 自立 型 地 区 施 設 導 入 に よ る 、 都 市 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 効 果 につ い て ケ ー ス ス タデ イ を行 い 、 あ わ せ て ラ イ フ ラ イ ンが 停 上 した 非 常 時 に お い て 必 要 性 が 特 に 高 く、 か つ 不 足 感 が 大 き い 雑 用 水 に つ い て 中 水 利 用 に よ る 非 常 時 自 立 の 可 能 性 に つ い て 検 討 した 。 以 下 に 、 結 論 を示 す 。

(1)

導 入 す べ き地 区 施 設 と し て 、 以 下 に 示 す 水 系 と 廃 棄 物 系 か ら構 成 さ れ

る 4つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム を 提 案 し た 。 ・ リサ イ ク ル シ ス テ ム I:水 系 に 雨 水 利 用 ・ 排 水 再 利 用 シ ス テ ム を 導 入 し 、 排 水 処 理 後 に発 生 す る 汚 泥 を コ ン ポ ス ト化 し、 可 燃 ご み ・ 厨 芥 を 地 区 内 で 焼 却 す るシス テム ・ リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅱ :水 系 に 雨 水 利 用 ・ 排 水 利 用 シ ス テ ム を 導 入 し、 排 水 処 理 後 に発 生 す る 汚 泥 を 固 形 燃 料 化 で 焼 却 す る シ ス テ ム 。 RDF発

(RDF)し

、 可 燃 ご み 。厨 芥 を 地 区 内

電 を 行 い 地 区 内 プ ラ ン ト電 力 を賄 う シ ス テ ム 。

・ リ サ イ ク ル シ ス テ ム タ イ プ Ⅲ :水 系 に雨 水 利 用 。排 水 利 用 シ ス テ ム を 導 入 し、 排 水 処 理 後 に 発 生 す る 汚 泥 を コ ン ポ ス ト化 し、 可 燃 ご み ・ 厨 芥 を RDF化 す る シ ス テ ム 。 RDF発

電 を行 い 一 般 電 力 負 荷 の 平 準 化 と 地 区 内 プ ラ ン ト電 力

を賄 う シ ス テ ム 。 ・ リサ イ ク ル シ ス テ ム タ イ プ Ⅳ :水 系 に 雨 水 利 用 ・ 排 水 利 用 シ ス テ ム を 導 入 し、 排 水 処 理 後 に 発 生 す る 汚 泥 と 可 燃 ご み 。厨 芥 を を RDF化

RDF発

す るシステム。

電 を行 い リサ イ ク ル シ ス テ ム タ イ プ Ⅲ と 同 様 に 一 般 電 力 負 荷 の 平 準 化

と地 区 内 プ ラ ン ト電 力 を 賄 う シ ス テ ム 。

(2)

平 常 時 に お け る 都 市 イ ン フ ラ負 荷 の 軽 減 効 果 は 、 水 系 シ ス テ ム で は 厨

房 、 飲 用 、 入浴 、 洗 顔 お よ び 医療 ・ 教 育 施 設 の 洗 濯 用 途 に 上 水 を供 給 し、住 宅 ・ 業 務 。商 業 ・ 宿 泊 施 設 の 洗 濯 お よ び 便 所 洗 浄 、 掃 除 、 洗 車 、 散 水 、 空 調 冷 却 水 用 途 に は 雨 水 利 用 。排 水 再 利 用 に よ る 中 水 を 供 給 す る 、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム B

201


の 効 果 が 最 も大 き く、 上 水 使 用 量 で 約 57%、

下 水 放 流 量 で 約 54%削

減で き

る。 廃 棄 物 系 シ ス テ ム で は 、 排 水 処 理 後 に 発 生 す る 汚 泥 と 可 燃 ご み を 全 て RDF 化 す る リサ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ が 約 83%と く、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム Ⅲ が 約 82%と

最 も廃 棄 物 排 出 量 の 削 減 効 果 が 大 き

次 い で 大 きい 。

つ ま り、 水 系 、 廃 棄 物 系 共 に リ サ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 軽 減 効 果 は 非 常 に大 き い こ と が 分 か っ た 。

(3)

平 常 時 に お け る 、 RDF発

RDF発

生 量 が 最 も多 い リ サ イ ク ル シ ス テ ム Ⅳ を 導 入 す る こ と に よ り、 一 般 電

力 の 年 間 需 要 量 全 体 の 5.7%を

(4)

電 に よる商 用 電 力 負 荷 の 平 準 化 効 果 で は 、

RDF発

電 に よ り賄 え る こ と が 分 か っ た 。

非 常 時 に お け る 水 系 に つ い て の 自 立 化 の 可 能 性 で は 、 中 水 貯 留 槽 を 4,

000m3有

す る リサ イ ク ル シ ス テ ム Bで は 6.7日 分 中水 を 確 保 で き る 。

以 上 よ り、 水 ・ 廃 棄 物 系 自 立 型 地 区 施 設 の 導 入 に よ り都 市 イ ン フ ラ負 荷 の 大 幅 な 削 減 と、 中 水 利 用 に よ る 雑 用 水 の 非 常 時 自 立 の 可 能 性 を 明 らか に し た 。

202



第 8章

東京臨海 T地 区 における 自立型 地区施設導入 による 環境負荷抑市1効 果 の ケースス タデ イ



第 8章

東 京 臨 海 T地 区 に お け る 自立 型 地 区 施 設 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ

8.1

概要

近年 、 次 々 と 誕 生 して い る高 度 都 市 機 能 集積 地 区 は、 周 辺 地 区 に 比 べ て 資 源 ・ エ ネ ル ギ ー の 大 量 消 費 の 結 果 、 環 境 に 対 して 多 大 な負 荷 を 与 え て い る 。 本 章 で は 、 東 京 臨 海 T地 区 を モ デ ル に 、 自立 型 地 区 施 設 と して リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 す る こ とで 、 高 密 度 化 して も環 境 負 荷 量 を現 状 の 範 囲 内 に 抑 制 で き る 可 能 性 を検 討 した 。 先 ず 、 東 京 臨 海 T地 区 を ケ ー ス ス タデ ィ対 象 地 区 に選 定 し、 東 京 都 に よ る 現 状 の 開 発 計 画 概 要 (各 街 区 の 容 積 率 と用 途 別 床 面 積 )文

献 46)に

基 づ き、 リ

サ イ ク ル シ ス テ ム の 最 適 導 入 形 態 を検 討 した 。 こ こ で は 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排 出 量 お よ び 年 間 SOx排 出 量 を環 境 負 荷 と して 、 環 境 負 荷 量 が 最 も小 さ い シス テ ム を最 適 導 入 形 態 と した 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム と して 、 環 境 に対 して 多 大 な負 荷 を 与 え て い る と考 え られ る 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム 、 水 供 給 処 理 シ ス テ ム 、 エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム を 取 り上 げ 、 リサ イ ク ル を全 く行 わ な い 既存 型 シ ス テ ム と リサ イ ク ル を 導 入 した 数 タイ プ の 代 替 案 を設 定 して、 ケ ー ス ス タデ イ地 区 に 既 存 型 シ ス テ ム と こ れ ら数 タ イ プ の リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 した 場 合 の 環 境 負 荷 量 を 算 定 して 、 廃 棄 物 系 、 水 系 、 エ ネ ル ギ ー 系 の そ れ ぞ れ に つ い て 最 適 導 入 形 態 を 検 討 した 。 次 に 、 現 行 容 積 率 360%を

基 準 と し て 容 積 率 を増 加 す る 方 法 を 提 案 した 上

で 、 こ れ ら 3つ の 系 の 最 適 導 入 形 態 を組 み 合 わ せ た リサ イ ク ル シ ス テ ム を 2方 式 設 定 して 、 環 境 負 荷 の 指 標 と した 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排 出 量 、 年 間 SOx排 出 量 、 ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 、 日別 廃 棄 物 負 荷 、 日別 水 負 荷 の 6項 目 に つ い て 、 環 境 負 荷 量 と増 加 容 積 率 の 関 係 を 検 討 した 。 結論 と して、 年 間 一 次 エ ネ ルギ ー投 入量 の 観 点 か ら容積 率 の 増 加 は現 状 の 40%増 が 限界 であ る こ とを明 らか に した。

203


8.2

自立 型 地 区 施 設 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 の 考 え 方

従 来 の 都 市 イ ン フ ラ に全 て 依 存 し た 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お い て は 、 容 積 率 が 増 加 す る に伴 い 地 区 内 に お け る エ ネ ル ギ ー ・ 水 の 需 要 量 と廃 棄 物 ・ 下 水 。 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 量 が 増 加 し、 そ の 結 果 、 都 市 イ ン フ ラ ヘ の 負 荷 量 と 環 境 ヘ の 負 荷 量 が 増 大 して い た 。 本 章 で は 、 自立 型 地 区 施 と して リ サ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 の 考 え 方 を提 案 し て (図 8.1)、

容 積 率 が 増 加 して も環 境 負 荷 量 と 都 市 イ ン

フ ラ負 荷 量 を 現 行 計 画 容 積 率 の 範 囲 以 内 に 抑 制 で き る 可 能 性 を検 討 し た 。 こ こ で は 、 環 境 負 荷 の 抑 制 効 果 を 検 討 す る 環 境 負 荷 の 指 標 と して 、 直 接 的 に 環 境 負 荷 へ 影 響 を 与 え る 要 素 と して 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx 排 出 量 、 年 間 SOx排

出 量 の 3項 目 を 、 直 接 的 に は 都 市 イ ン フ ラ の 施 設 容 量 増

強 に 影 響 を与 え 、 そ の 結 果 と して 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 が 増 え る な ど に よ り環 境 負 荷 へ 影 響 を 与 え る 要 素 と して 、 ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 、 日別 廃 棄 物 負 荷 、 日別 水 負 荷 の 3項 目 、 合 計 6項 目 を 設 定 し て い る 。 そ して 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に リ サ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 す る こ と に よ り、 容 積 率 が 増 加 し て も以 下 の

2条 件 を 満 足 す る こ と を基 本 的 な 考 え 方 と し て い る 。 ① (現 行 容積 率 にお け る環 境 負荷 量 )≧

(容 積 率 増 加 後 にお け る環 境 負荷 量 )

② (現 行 容 積 率 に お け る 都 市 イ ン フ ラ負 荷 量 ) ≧ (容 積 率 増 加 後 にお け る 都 市 イ ン フ ラ負 荷 量 ) 表 8。

1に 、 環 境 負 荷 の 指 標 と環 境 負 荷 量 の 算 定 対 象 を示 す 。

な お 、 環 境 負 荷 量 を算 定 す る に 当 た って は 、 ケ ー ス ス タデ イ地 区 内 の み を 算 定 対 象 と す る の で な く、 ケ ー ス ス タデ イ地 区 ヘ エ ネ ル ギ ー ・ 水 な ど を供 給 す る た め に 、 あ る い は 、 ケ ー ス ス タデ イ地 区 か ら下 水 ・ 廃 棄 物 な ど を排 出 す る た め に 必 要 と な る各 種 都 市 イ ン フ ラ が 地 区 外 で 消 費 す る エ ネ ル ギ ー お よ び そ の 結 果 排 出 され る 大 気 汚 染 物 質 な ど を算 定 対 象 に 含 め る こ とで 、 ケ ー ス ス タ デ イ地 区 に 係 わ る 供 給 処 理 に 関 す る 全 て の 環 境 負 荷 を扱 っ て い る 。

204


NOx SOx

固Ⅲ □ ■ \ 會ノ エ ネル ギ ー

現行容積率

容積 率緩和 図 8.1

表 8.1

環境負荷抑制 の考 え方

環境負荷 の指標 と環境負荷量 の算定対象 環境負荷量の算定対象

環境負荷の指標 環境 負荷量

一次 エネルギー 消費量

地区内 一般 需要

廃 棄物処理

年間電力消 費量 年間 ガス消 費量

年間電力消費量 (真 空集塵 ) 年間燃料消費量 (車 両、焼却場)

NOx SOx 排 出量

都市インフラ 負荷量

上水供給

年間電力消費量 (浄 水場、給水場 )

中水供給

年間電力消費量 (浄 水場、給水場 )

下水処理

・ ・ 年間電 力消 費量 (処 理 場 、ホ ンフ 場)

発電

発電 に伴 う排出量 (火 力発電所)

ガス燃焼

・イ ラ) 燃焼に伴 う排出量 (CCS、 ホ

燃料燃焼

燃焼に伴 う排出量 (車 両 )

ごみ焼却

燃焼に伴 う排出量 (焼 却場)

エネルギー系

ピー ク需要量 (電 力 、 ガス)

廃棄物系

日排出量 (可 燃、不燃、資源ごみ)

水系

日需要量 (上 水、中水 ) 日排出量 (下 水)

205


8.3

ケ ー ス ス タ デ イ対 象 地 区 の 概 要

8.3.1

ケ ー ス ス タ デ イ対 象 地 区 選 定 の 理 由

以 下 の 理 由 か ら 、 ケ ー ス ス タ デ イ対 象 地 区 と して 東 京 臨 海 T地 区 を 選 定 し た 。

東 京 臨 海 部 に位 置 し、 都 心 居 住 モ デ ル 地 区 と して 考 え た 時 、 都 心 部 お よ

び 臨 海 副 都 心 に 近 接 した 好 位 置 に あ る 。 ②

東 京 都 の 基 本 計 画 で は 、 住 宅 機 能 が 約 4割 を 占 め て お り、 従 来 の 再 開 発

地 区 の 中 で は 際 だ つ て 住 宅 の 比 率 が 高 く、 好 立 地 と 相 ま っ て 、 今 後 の 都 心 居 住 モ デ ル 地 区 と して 期 待 で き る 。 ③

大 規 模 再 開 発 地 区 で あ り、 環 境 と 都 市 イ ン フ ラ ヘ 与 え る 負 荷 が 大 き く 、

リサ イ ク ル シ ス テ ム の 必 要 性 が 高 い 。 ④

地権 者 が環 境 へ の 問 題 意識 が 高 い エ ネ ル ギ ー 関 連 の 大 企 業 を中心 と し た

数 社 と 自治 体 で あ り、 将 来 、 こ の 地 区 の 再 開 発 に お い て 、 本 章 で の 研 究 成 果 の 活 用 が期 待 で きる。

8.3.2

東 京 臨 海 T地 区 の 計 画 概 要

東 京 臨 海 T地 区 の 位 置 を 図 8.2に

2に 示 す 。 表 8.2の

、 東 京 都 に よ る 開 発 計 画 の 概 要 を 表 8.

内 容 は 平 成 2年 6月 の 東 京 都 案 で あ り、 そ の 後 の 計 画 見

直 し部 分 は 割 愛 し て い る 。 地 区 面 積 が 約 110haで

3万 7千 人 程 度 、 居 住 人 口 が 2万 9千 人 程 度 で あ る

図 8」

2

、計 画 人 口 は就 業 人 口 が 文献 46)。

東 京 臨 海 T地 区 の 位 置

206


8.3.3

東 京 都 の現 行 計 画 案 にお け る街 区 別 建 物 用 途 構 成

現 行 の 用 途 別 床 面 積 を 図 8.3に

示 す 。 東 京 臨 海 T地 区 の 現 行 で の 計 画 容 積

率 は 約 360%で

あ り、 床 面 積 の 構 成 を み る と 事 務 所 が 101haで

全 体 の 44.5%を

占 め 、 住 宅 が 88haと

次 い で 多 く全 体 の 38.8%を

て い る。 表 8,2

文献 46)

東京都 による開発計画概要

(1)計 画人口

・ 就業人 口 :3万 7千 人程度 ・ 居住人口 :2万 9千 人程度

(2)土 地利用 ・ 地区面積 ・ 公共施設面積 広域幹線道路 0区 画道路 公園・ 緑地・ リク リエー ション水路等 ・ 宅地面積 公益 系 教育施設等 文化・ 交 流 0リ ク リエー ション 住宅、業務 、商 業 商業・ 業務 系 複合系 住宅系

約 110 ha

(100%5)

47 ha

(43%)

21 ha 約 26 ha 約 約

63 ha (57%)

16 ha

8 ha 8 ha

約 約 約

(15%)

47 ha ( 42%) 17 ha

7 ha

23 ha

(3)開 発期間 平成 3年 か ら順 次計画 を進 め る。

文献 46)

ha 120 100 80 60

40

2。

業務

R&D

商業

文化

ホテル

教育

建物用途 図 8.

3

現 行用途 別 床面 積

207

最 も多 く

住宅

占め


8。

4

リサ イ ク ル シ ス テ ム の 最 適 導 入 形 態 の 検 討

8.4.1

環 境 負 荷 指標 の 考 え方

本 節 で は 、 2節 の 自立 型 地 区 施 設 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 の 考 え 方 に お い て 設 定 した環 境 負 荷 指 標 6項 目 の 中 か ら、 直 接 的 に 環 境 負 荷 へ 影 響 を 与 え る 要 素 で あ る 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排 出 量 お よ び 年 間 SOx排 出 量 の 3項 目 を選 定 して 、 そ れ ぞ れ の 指 標 に つ い て 環 境 負 荷 量 を算 定 す る こ と と した 。

8.4.2

検討方法

高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 抱 え る 問 題 点 は 、 多 量 の エ ネ ル ギ ー・ 水 の 消 費 と 多 くの 大 気 汚 染 物 質 ・ 廃 棄 物 。下 水 の 排 出 で あ り、 如 何 に 環 境 へ の 負 荷 を抑 制 す る か が 大 きな課 題 と な っ て い る 。 リサ イ ク ル シ ス テ ム の 最 適 導 入 形 態 は 、 前 項 の 環 境 負 荷 指 標 の 考 え 方 に お い て 選 定 した した 3項 目の 環 境 負 荷 指 標 を対 象 に 、 現 行 容 積 率 の 環 境 負 荷 量 の 範 囲 内 で 最 小 とな る リサ イ ク ル シ ス テ ム と考 え る こ と に した 。 そ こ で 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム の 最 適 導 入 形 態 の 検 討 は 、 次 の 手 順 に よ り行 つ た。 ①

廃 棄物処理 シ ス テ ム、水 供 給 処 理 シス テ ム、 エ ネ ル ギ ー供給 シ ス テ ム の

そ れ ぞ れ に つ い て 、 東 京 都 計 画 案 で あ る 既 存 型 シ ス テ ム を基 準 に 、 導 入 の 可 能 性 が あ る と考 え られ る 数 種 類 の リサ イ ク ル シ ス テ ム を設 定 す る 。 ②

各 系 毎 に 、 設 定 した リサ イ ク ル シ ス テ ム を地 区 内 に 導 入 した 場 合 の 環 境

負 荷 量 で あ る 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排

出 量 、 年 間 SOx排

出 量 を 算 定 す る 。 こ の 時 の 制 約 条 件 と して は 、 現 行 の 再 開 発 計 画 に お い て 既 存 の シ ス テ ム を導 入 した 際 に発 生 す る 「 環 境 負 荷 量 」 を 、 シ ス テ ム 比 較 に お け る 上 限 値 とす る 。 ③

各 系 毎 に 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排

出 量 、 年 間 SOx

排 出 量 が 最 小 と な る リサ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 す べ き最 適 導 入 形 態 と して 選 定

208


す る。

8.4。 3

(1) 1)

最 適 導 入 形 態 の検 討

廃 棄 物 処 理 シ ス テ ムの最 適導 入 形 態 の検 討 ケ ー ス ス タデ ィ 地 区 に お け る 廃 棄 物 負 荷 量 の 算 定

廃 棄 物 発 生 原 単 位 お よ び 紙 、 缶 、 瓶 の リサ イ ク ル 率 の 原 単 位 は 、 東 京 都 清 掃 局 の原単 位

文献 21)を

使 用 して 、 ケ ー ス ス タ デ ィ 地 区 か ら発 生 す る 各 種 廃 棄

物 量 を 算 定 した 。 表 8.3に ケ ー ス ス タ デ ィ地 区 に お け る 廃 棄 物 日発 生 量 を 示 す 。 地 区全 体 の 廃 棄 物 日発 生 量 を 多 い 順 に み る と 、 紙 ご み が 59ト ン /日 で 最 も多 く、 厨 芥 が 29ト ン /日 で次 い で 多 く、以 下 、 プ ラス チ ック 類 が 8ト ン/日 、 瓶 が 5ト ン/日 、 粗 大 ご み が 5ト ン /日 、 缶 が 4ト ン /日 の 順 と な り、 そ の 他 ゴ ミが 11ト ン /日 で あ り、 地 区全 体 で は 121ト ン /日 とな る 。 こ の うち 可 燃 ご み で あ る 紙 ご み 、 厨 芥 、 プ ラ ス チ ッ ク類 の 日量 合 計 は 96ト ン/日

(廃 棄 物 全

体 の 約 79%を 占 め る )と な る 。 一 方 、 不 燃 ご み は 合 計 で 25ト ン /日

(廃 棄

物 全 体 の 約 21%を 占 め る )と な る 。 図 8.4に 廃 棄 物 種 別 に よ る 年 間 廃 棄 物 発 生 量 を示 す 。 年 間 の 廃 棄 物 発 生 量 は合 計 で 43,800ト

ン /年 で あ り、 内 訳 をみ る と 、 紙 ご み が 最 も多 く約 21,

500ト ン /年 (全 体 の 約 49,2%)、 年 (全 体 の 約 24.2%)と

厨 芥 が 次 い で 多 く約 10,600ト

な って い る。

ま た 、 資 源 回 収 ご み を み る と、 紙 ご み が 11,700ト 約 54.4%)、

ン/

ン /年 (紙 ご み 全 体 の

瓶 が 1,400ト ン /年 、 缶 が 1,100ト ン /年 と な っ て い る 。

一 方 、 紙 の リサ イ ク ル を行 う こ とで 、 紙 ご み 、 プ ラ ス チ ッ ク 類 、 厨 芥 を 合 計 した 可 燃 ごみ は 23,000ト

ン /年 と 、 リサ イ ク ル を行 わ な い 既 存 型 の 約 34,

700ト ン /年 に 比 べ て 約 11,700ト

209

ン /年 (約 33.7%)削

減 で きる。


表 8.3

ケ ーススタデ イ地区 にお ける廃棄物 日発生量 別

ごみ排出量 (ト ンノ日)

59

プラスチック

8

5

4 芥

29

組大 ごみ

5

その他 合

121

紙 プラスチック 瓶 缶 厨芥 粗大ごみ その他

図 8.4

廃棄物種別 による年間廃棄物排 出量

210

処 分 ごみ

資源回収 ごみ


2)廃

棄物 処理 シス テ ムの設定

ケ ー ス ー ス タ デ イ地 区 に 導 入 す る シ ス テ ム と して 、 次 の 4つ の 形 態 を 設 定 し た。

既存型 システム

東 京 都 の 計 画 案 で あ り、 可 燃 ご み (紙 ご み 、 プ ラ ス チ ッ ク類 、 厨 芥 )は 管 路 収 集 シ ス テ ム に よ り地 区 内 の 収 集 プ ラ ン トに 集 め た 後 、 江 東 清 掃 工 場 ま で 車 両 に よ り運 搬 す る 。 不 燃 ご み は 東 京 湾 の 埋 め 立 て 処 分 場 ま で 車 両 で 運 搬 す る 。 図

81 5に 既 存 型 シ ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。 ②

タイプ 1

管路 収 集 シ ス テ ム で 集 め られ た 可 燃 ごみ を地 区 内 に設 置 した焼 却 場 で 焼 却 し、 残 灰 を埋 め 立 て 処 分 場 ま で 車 両 で 運 搬 す る シ ス テ ム で あ る 。 不 燃 ごみ は 既 存 型 シ ス テ ム と 同 様 に処 理 す る 。 図 8.6に タ イ プ 1シ ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。 ③

タイプ 2

地 区 内 で 可 能 な 限 り廃 棄 物 の リサ イ ク ル を 図 り、 ご み 排 出 量 を低 減 させ る シ ス テ ム で あ る 。 リサ イ ク ル 不 可 能 な 可 燃 ごみ の み を管 路 収 集 し、 こ れ を江 東 清 掃 工 場 まで 車 両 で 運 搬 し、 リサ イ ク ル 不 可 能 な 不 燃 ご み は既 存 型 シ ス テ ム と 同 様 に 処 理 す る 。 図 8。

7に タ イ プ 2シ ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。 リサ イ ク ル の 対

象 と な る 廃 棄 物 は 、 紙 ご み 、 瓶 、 缶 と した 。 ④

タイプ 3

タ イ プ 2と 同 様 に 廃 棄 物 の リサ イ ク ル を図 り、 か つ 、 リ サ イ ク ル 不 可 能 な 可 燃 ご み を地 区 内 の 焼 却 場 で 焼 却 す る シ ス テ ム で あ り、 リサ イ ク ル 不 可 能 な 不 燃 ごみ は 既 存 型 シ ス テ ム と 同 様 に 処 理 す る 。 図 8.8に タ イ プ 3シ ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。

211


東京臨海 T地 区

プラスチック

図 8.5

既存 システム (廃 棄物処理 )の 構成図

東京臨海 丁地区

%

プラスチ ック

図 8.6

タイプ 1シ ステム (廃 棄物処理)の 構成図

212

文 献 46)


東京臨海 T地 区

プラスチック

図 8.

7 タイプ 2シ ステム (廃 棄物処理)の 構成図

図 8.8

タイプ 3シ ステム (廃 棄物処理)の 構成図

東京臨海 T地 区

プラスチック

213


3)環

境負荷量 の算定結果

各 タ イ プ毎 に 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 N Ox排 出 量 、 年 間 SOx排 出 量 を算 定 した 。 ①

年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー消 費 量 の算 定 結 果

廃 棄 物 処 理 に お け る 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 算 定 は 、 2節 の 表 8.1に 基 づ き、 廃 棄物 収 集 に 要 す る エ ネ ル ギ ー 消 費 量 と廃 棄 物 運 搬 に 要 す る

エ ネル ギ ー

消 費 量 お よ び 廃 棄 物 焼 却 に 要 す る エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を 検 討 対 象 と した 。 廃 棄 物 収 集 に要 す る エ ネ ル ギ ー と して は 地 区 内 に設 置 した 管 路 収 集 の 電 力 消 費 量 を 、 廃 棄 物 運 搬 に 要 す る エ ネ ル ギ ー と して は 運 搬 車 両 の 燃 料 消 費 量 を、 廃 棄 物 焼 却 に 要 す る エ ネ ル ギ ー と して 焼 却 場 に お け る 補 助 燃 料 消 費 量 を対 象 と した 。 ご み 管 路 収 集 シ ス テ ム の プ ラ ン ト電 力 は 荏 原 製 作 所 (株 )の デ ー タ を 、 ご み 焼 却 場 で 使 用 す る エ ネ ル ギ ー 量 お よ び ごみ 運 搬 車 両 の 燃 料 消 費 量 は 、 東 京 都 清 掃 局 事 業 概 要 (平 成 5年 度 )の デ ー タ を使 用 して 算 定 した 。 図 8.9に 廃 棄 物 処 理 に お け る 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 算 定 結 果 を示 す 。 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 は 、 既 存 型 の 約 27.OTca1/年 (約 65.2%減

イ プ 3が 約 9.4Tca1/年

2が 約 9.7Tca1/年

ca1/年

(約

(約

に対 して 、 タ

)と 最 も少 な く、 次 い で タ イ プ

64.1%減 )と 少 な く、 タ イ プ 1が 約 25.8T

4.4%減 )と わ ず か に 少 な い 。 こ れ は 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消

費量 に占 め る可 燃 ごみ の 管路 収 集電 力 の割 合 が 非 常 に大 き い た め で 、 タ イプ 2、 タ イ プ 3は 廃 棄 物 の リサ イ ク ル 利 用 に よ り可 燃 ゴ ミが 大 幅 に削 減 さ れ る た め で あ る (既 存 型 に比 べ て 約 34%)。

タ イ プ 3が わ ず か な 差 で あ る が 最 も小 さ い

の は 、 可 燃 ご み の 地 区 内 焼 却 に よ り江 東 清 掃 工 場 まで の 車 両 運 搬 の 燃 料 消 費 量 が 削 減 され る た め で あ る 。 ②

年 間大 気 汚 染 物 質排 出量 の算 定 結 果

廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム か ら排 出 さ れ る 大 気 汚 染 物 質 の 算 定 は 、 前 述 した① と 同 様 に 2節 の 表 8.1に 基 づ き、 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 源 と して 管 路 収 集 の 動 力 源 で あ る 電 気 を作 る 火 力 発 電 所 、 廃 棄 物 の 運 搬 車 両 、 ごみ 焼 却 場 を設 定 して 、 N

214


Oxお よ び SOxを 対 象 に そ れ ぞ れ の 年 間 排 出 量 を比 較 検 討 し た 。 NOx、

S

Oxの 排 出 量 は 、 火 力 発 電 所 に つ い て は 、 桐 部 ら に よ る 東 京 都 区 部 の 地 域 冷 暖 房 推 進 地 区 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン導 入 の 省 エ ネ ル ギ ー 性 に 関 す る 研 究 の デ ー タ と早 稲 田 大 学 尾 島 俊 雄 研 究 室 の デ ー タ を、 ご み 焼 却 場 と ごみ 運 搬 車 両 につ い て は 東 京 都 清掃 局事 業 概 要 (平 成 5年 度 )の デ ー タ を使 用 して 算 定 した 。 図 8.10年

間 NOx排 出 量 の 算 定 結 果 を、 図 8。

11に 年 間 SOx排 出 量 の

算 定 結 果 を示 す 。 年 間 NOx排 出 量 は 、 既 存 型 の 44.5ト ン /年 に対 して 、 タ イ プ 3が 15。 7

64.7%減 )と 最 も 少 な く、 次 い で タ イ プ 2が 16.0ト ン /年 (約 64.0%減 )と 少 な く、 タ イ プ 1が 43.4ト ン /年 (約 2.5%減 )と 若

ト ン /年

(約

干少 ない。 同 様 に 、 年 間 SOx排 出 量 は 、 既 存 型 の 26。 9ト ン /年 に 対 し て 、 タ イ プ 3 が 9,6ト ン /年 (約 64.3%減

)と 最 も少 な く、 次 い で タ イ プ 2が 9.7ト ン /

年 (約 63。 9%減 )と 少 な く 、 タ イ プ 1が 26.6ト ン /年 (約 1.1%減 )と 若 干 少 な い 。 こ れ は 、 年 間 NOx排

出 量 、 年 間 SOx排 出 量 に 占 め る ごみ 焼 却

場 か らの 排 出 量 が 非 常 に大 き い た め で 、 タ イ プ 3お よ び タ イ プ 2の 年 間 NOx 排 出 量 、 年 間 SOx排 出 量 が 小 さ い の は 、 資 源 ごみ の リサ イ ク ル に よ り可 燃 ご み が 大 幅 に 削 減 さ れ る た め で あ る 。 タ イ プ 3が わ ず か で は あ る が 最 も少 な い の は 、 可 燃 ごみ を地 区 内 で 焼 却 す る た め に 、 江 東 清 掃 工 場 まで の 車 両 運 搬 の た め の 燃 料 消 費 量 が 削 減 され る た め で あ る 。

215


Tcalノ 年

30

25

20

15

国 焼却場 (補 助燃料)

E]車 両運搬 (燃 料

10

)

■ 管路収集 (電 力) 5

0 既存型

図 8.

TYPEl

TYPE2

TYPE3

9 廃棄物処理 における年間一次エネルギー 消費量 の算定結果

トン/年 50

40

30

圏 焼却場 □ 車両運搬 燃 料)

20

■ 管路収集 (火 力発電所)

10

0 既 存 ]と

TYPEl

TYPE2

TYPE3

図 8.10 廃棄物処理 における年間 NOx排 出量 算定結果

216


圏 焼却場 □ 車両運搬 (燃 料) ■ 管路収集 (火 力発電所)

既存型

図 8.11

lYPEl

廃棄物処理 にお ける年間 SOx排 出量 算定結果

(2)

水 供 給 処 理 シ ス テ ム の 最 適 導 入 形 態 の検 討

1)

ケ ー ス ス タデ イ地 区 に お け る水 負 荷 量 の 算 定

水 負 荷 原 単 位 は 早 稲 田 大 学 尾 島 俊 雄 研 究 室 の デ ー タ を使 用 して ヽ ケ ー ス ス タ デ イ地 区 全 体 か ら発 生 す る 上 水 需 要 量 、 中水 需 要 量 お よ び 下 水 排 出 量 を算 定 し た。

2)水

供給処理 システ ムの設定

ケ ー ス ス タデ イ地 区 に導 入 す る シ ス テ ム と して 、 次 の 3つ の形 態 を設定 した 。 ①

既存型システム

東 京 都 の 計 画 案 で あ り、 上 水 は 金 町 浄 水 場 か ら公 共 水 道 に よ り供 給 す る 。 ま た 、 下 水 は公 共 下 水 道 を通 つ て 砂 町 処 理 場 で 処 理 す る 。 図 8.12に

既存 型 シ

ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。 ②

タイプ 1

上 水 の 中 で 、 洗 濯 用 水 、 便 所 用 水 、 空 調 用 水 な どの 雑 用 水 に工 業 用 水 を使 用 す る シ ス テ ム で 、 こ れ 以 外 の 用 途 に は、 既 存 型 シ ス テ ム と 同 様 に金 町 浄 水 場 か ら上 水 を供 給 す る 。 また 、 下 水 に つ い て は 既 存 型 シ ス テ ム と 同 様 に処 理 す る 。

217


図 8e

13に タ イ プ 1シ ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。 タイプ 2

前 述 の タ イ プ 1の 工 業 用 水 に換 え て 、 地 区 内 に 中水 道 プ ラ ン トを設 け て 可 能 な 限 り水 の リサ イ ク ル を 図 り、 上 水 需 要 量 及 び 下 水 排 出 量 を抑 え る シ ス テ ム で あ る 。 中水 は 、 洗 濯 用 水 、 便 所 用 水 、 空 調 用 水 な どの 雑 用 水 用 途 に 使 用 す る シ ス テ ム で 、 上 水 供 給 、 下 水 処 理 に つ い て は 、 既 存 型 シ ス テ ム と 同 様 とす る 。 図 8。

14に タ イ プ 2シ ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。 東京臨海 丁地区

図 8.12 既存型 システム (水 供給処理)の 構成図

東京臨海 T地 区

(上

水)

~~│ 1多〃

炊事・ 浴用水

%% │~- 杉 l 多 多

〃 多 「

洗濯 濯・ 便所用水

'1洗

鉤│

(工 業用水 )

ll% │% │% ―

│ 1多 「

% % 多│ │ ││% ~フ 」 多 .飾 水用水 %L)1申 調・散 来 用 7k匡 コ 杉 1空 調 %

% %

図 8.13

│~~~ ~~~~「1

多 %

タイブ 1シ ス テム (水 供給処理 )の 構成 図

218

文献 46)


東 京臨海 T地 区

(上 水 )

図 8.14 タイプ2シ ステム (水 供給処理)の 構成図

3)水

供 給 処 理 シス テ ム の導 入 形 態 別 の水 負 荷 量 の算 定 結 果

水 供 給 処 理 シ ス テ ム の 導 入 形 態 別 に 、 年 間 の 水 水 需 要 量 、 中水 需 要 量 、 下 水 排 出 量 を 算 定 した 。 図 8.

15に タ イ プ 別 の 水 供 給 処 理 シ ス テ ム の 年 間 水 負 荷

量 を示 す 。 内 訳 を み る と 、 既 存 型 は 上 水 需 要 量 、 下 水 排 出 量 共 に 約 8.7百 万

m3/年 と 、 上 水 需 要 量 、 下 水 排 出 量 共 に 最 も多 い 。 タ イ プ 1は 雑 用 水 に工 業 用 水 を使 用 す る こ とで 、 上 水 需 要 量 を約 5.5百 万 m3/年 と既 存 型 に比 べ て 約

37%削 減 で き る 。 タ イ プ 2は 雑 用 水 需 要 を工 業 用 水 に 換 え て 地 区 内 中水 道 シ ス テ ム で 賄 う も の で 、 上 水 需 要 量 の 削 減 率 は タ イ プ 1と 同 様 で あ る が 、 下 水 排 出 量 は上 水 使 用 量 分 に 相 当 す る約 5_5百 万 m3/年 と既 存 型 お よ び タ イ プ 1に 比 べ て 約 37%削 減 で き る 。

219


□ 中水需要量 ■ 上水需要量 圏 下水排出量

TYPEl TYPEl

既存型 図 8.15

4)環

TYPE2

タイプ別 の 年 間水 負荷 量 (水 供 給処 理 )

境 負 荷 量 の算 定 結 果

各 タ イ プ 毎 に、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 N Ox排 出 量 、 年 間 SOx排 出 量 を算 定 した 。 ①

年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー消 費 量 の 算 定 結 果

水 供 給 処 理 シ ス テ ム に お け る 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 算 定 は 、 2節 の 表

8.1に 基 づ き、 上 水 供 給 に要 す る 年 間 電 力 消 費 量 (浄 水 場 で の 浄 水 動 力 と配 水 動 力 、 給 水 場 で の ポ ン プ 動 力 )と 中 水 供 給 に 要 す る 年 間 電 力 消 費 量 (南 千 住 浄水 場 ま た は地 区 内 中水 処 理 施設 に お け る 中水 浄水 場 での 浄水 動 力 と配 水 動 力 ) お よ び 下 水 処 理 に 要 す る 年 間 電 力 消 費 量 (砂 町水 処 理 セ ン タ ー に お け る下 水 処 理 動 力 、 汚 泥 処 理 動 力 お よ び 下 水 送 水 動 力 )を 検 討 対 象 と した 。 上 水 供 給 、 中 水 供 給 お よび下 水 排 水 ・ 処 理 に 要 す る 電 力 量 は 、 東 京 都 水 道 局 事 業 概 要 (平 成

5年 度 )と 同 下 水 道 局 事 業 概 要 (平 成 5年 度 )の デ ー タ を使 用 して 算 定 した 。 図 8.16に

、 タ イ プ別 の 水 供 給 処 理 シ ス テ ム の 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を

示す。 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 は 、 既 存 型 の 約 38.4Tca1/年

220

に対 し て 、 タ


(約 19.3%減

イ プ 2が 約 31.OTca1/年 約 37.5Tca1/年

(約 2.3%減

)と 最 も 少 な く 、 タ イ プ 1は

)と 若 干 少 な い 。 こ れ は 、 雑 用 水 を 地 区

内 中水 道 で 賄 う こ と に よ り、 中水 供 給 に 要 す る エ ネ ル ギ ー 消 費 量 が 新 た に増 え る に もか か わ らず 、 上 水 供 給 お よ び 下 水 処 理 に 要 す る エ ネ ル ギ ー 消 費 量 が 削 減 され るため で あ る。 ②

年 間大 気 汚 染 物 質排 出量

水 供 給 処 理 シ ス テ ム か ら排 出 さ れ る 大 気 汚 染 物 質 の 算 定 は 、 2節 の 表 8.

1

に基 づ き、 水 供 給 処 理 に お け る 電 力 消 費 量 分 が 火 力 発 電 所 で 発 電 す る 時 に発 生 す る 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 量 と考 え て 、 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 源 を火 力 発 電 所 と し て 、 NOx、

SOxを 対 象 に そ れ ぞ れ の 年 間 排 出量 を算 定 した 。 火 力 発 電 所 の

NOx、 SOxの 排 出 量 は 桐 部 ら に よ る 東 京 都 区 部 の 地 域 冷 暖 房 推 進 地 区 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン 導 入 の 省 エ ネ ル ギ ー 性 に 関 す る 研 究 の デ ー タ と早 稲 田 大 学 尾 島俊 雄 研 究 室 の デ ー タ を 使 用 して 算 定 した 。 図 8. 排 出 量 の 算 定 結 果 を 、 図 8。

17に 年 間 NOx

18に 年 間 SOx排 出 量 を示 す 。

年 間 NOx排 出 量 は 既 存 型 の 約 6。 7ト ン /年 に対 して 、 タ イ プ 2が 約 5.5ト ン /年 (約 17.9%減

)と 最 も少 な く、 タ イ プ 1が 約 6.6ト ン /年

(約 1.5%

減 )と 若 干 少 な い 。 年 間 SOx排 出 量 は 既 存 型 の 約 4.4ト ン /年 に対 して 、 タ イ プ 2が 約 3 ト ン /年 (約 18.2%減

)と 最 も少 な く、 タ イ プ 1が 約 4.3ト ン /年

(約

%減 )と 若 干 少 な い 。 こ れ は 、 雑 用 水 を地 区 内 中水 道 で 賄 う こ と に よ り、 中水 供 給 に 要 す る 電 力 消 費 量 が 新 た に 増 え る に もか か わ らず 、 上 水 供 給 お よび 下 水 処 理 に 要 す る 電 力 消 費 量 が 大 幅 に 削 減 さ れ る た め に 、 火 力 発 電 所 か ら排 出 さ れ る NOx排 び SOx排 出 量 共 に 削 減 され る た め で あ る 。

221

出量 お よ


Tcal/」 軍

50

40

30

圏 下水処理動カ □ 中水供給動カ ■ 上水供給動カ

20

10

0 貝電子宇型

図 8。

16

TYPEl

TYPE2

タイプ別 の水供給処理 システムの 年間一次エネル ギー消費量

トン/年 8 7

6 5

国 下水処理 □ 中水供給

4

■ 上水供給

3

2 1

0 既存 型

図 8.17

TYPEl

TYPE2

水供給処理 システムの年間 NOxの 排 出量

222


トン/年 5

4

圏 下水処理

3

□ 中水供給 ■ 上水供給

2

1

0 既存型

図 8.18

TYPEl

TYPE2

水供給処理 システムの年間 SOx排 出量

223


(3) 1) ①

エ ネ ルギ ー 供給 シス テ ムの 最 適導入 形態 の検 討 ケ ー スス タデ イ地 区 にお け る エ ネ ルギ ー負荷 量 の 算定 建 物 用途 別 エ ネ ルギ ー 消 費量 原 単位

こ こで は 、早稲 田大 学尾 島俊 雄研 究 室 の建 物 用途 別 エ ネ ルギ ー消費量 原単 位 を用 い た 。 ②

ケ ースス タデ イ地 区 にお け る エ ネ ルギ ー 負荷 量 の 算定結 果

表 8.4に 月別 エ ネ ルギ ー負荷量 の 算定結果 を示す 。

表 8.

4

月別 エ ネル ギ ー負荷量

温熱 (TcJ)

冷 熱 (Tca:)

電 力 (TWh)

1月

41.5

3.6

22.1

2月

40.3

3.5

23.8

3月

32.5

4.4

22.3

4月

10.8

5.1

25.5

5月

7.8

8.6

26。 1

6月

5.4

21.0

26.3

7月

5.1

25.7

27.1

8月

4.7

34.2

27.5

9月

5。

3

22.0

26.0

10月

6.4

7.6

26.6

11月

13.1

3.8

24.5

12月

34.8

3.3

24.1

年間

207.7

143.1

302.0

224


2)エ

ネ ル ギ ー供 給 シ ス テ ム の 設 定

ケ ー ス ス タデ イ地 区 に 導 入 す る エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム と して 次 に示 す 4つ の 形 態 を設 定 した 。 ①

既存型 システム 東 京 都 の 計 画 案 で あ り、 地 区 内 の 電 力 負 荷 に対 して は 系 統 電 力 か らの 買 電

に よ り供 給 す る もの と し、 地 域 冷 暖 房 シ ス テ ム は ガ ス ポ イ ラ ー と吸 収 式 冷 凍 機 か ら構 成 し、 温 熱 、 冷 熱 負 荷 に対 して は 地 域 冷 暖 房 プ ラ ン トか ら共 同 溝 内 の 導 管 に よ り蒸 気 と 冷 水 を供 給 す る シ ス テ ム で あ る 。 図 8.19に

既存型 シス テム

の 構 成 図 を示 す 。 ②

タイ プ 1

既 存 型 シス テ ム の 地 域 冷 暖 房 シ ス テ ム に コ ー ジ ェ ネ レー シ ョンシ ス テ ム

(C

GS)を 導 入 した シ ス テ ム で 、 地 区 内 の 電 力 負 荷 に対 して は CGSに よ り発 電 され た電 気 を優 先 して 供 給 し、 不 足 分 を系 統 電 力 か らの 買 電 で 賄 う も の と した 。 温 熱 、 冷 熱 供 給 に つ い て は 、 CGS排 熱 を優 先 して 活 用 す る 以 外 は 、 既 存 型 シ ス テ ム と 同 様 で あ る 。 図 8.20に ③

タ イ プ 1シ ス テ ム の 構 成 図 を示 す 。

タイ プ 2

タ イ プ 1に 加 え て 、 地 区 内 に 設 置 した ごみ 焼 却 場 の 排 熱 を利 用 す る シ ス テ ム で あ る 。 地 区 内 の 電 力 負 荷 に対 して は ごみ 発 電 に よ り発 電 さ れ た電 気 を優 先 し て 供 給 し、 不 足 分 を CGSに

よ る 電 力 供 給 で 補 い 、 更 に不 足 す る場 合 に は 系 統

電 力 か ら の 買 電 で 賄 う も の と した 。 温 熱 、 冷 熱 供 給 に つ い て は 、 地 区 内 プ ラ ン トに設 け た 蓄 熱 槽 に ごみ 発 電 排 熱 お よ び CGS排 熱 を優 先 活 用 して作 つ た温 熱 、 冷 熱 を蓄 え 、 そ れ ぞ れ温 水 、 冷 水 と して 供 給 す る 。 図 8.21に

タ イ プ 2シ ス

テ ム の 構 成 図 を示 す 。 ④

タイプ 3

地 区 内 に 設 置 した 中水 道 プ ラ ン トで 浄 化 し た 下 水 処 理 水 を、 ヒ ー トポ ン プ

(HP)の 熱 源 に利 用 した シ ス テ ム で あ る 。 地 区 内 の 電 力 供 給 に つ い て は 、 タ イ プ 2と 同 様 の シ ス テ ム と した 。 温 熱 、 冷 熱 供 給 に つ い て は ごみ 発 電 排 熱 、 下

225


水 処 理水 熱 、 CGS排 熱 を優 先 活 用 して 作 つ た 温 熱 、 冷熱 を一 旦 蓄 熱 槽 に蓄 え 、 そ れ ぞ れ 温 水 、 冷 水 と して 供 給 す る 。 図 8.22に

タ イ プ 3シ ス テ ム の 構 成 図

を示 す 。 な お 、 CGSの 運 転 に つ い て は 、 全 て 熱 余 剰 の な い 熱 主 運 転 と し、 タ イ プ 2お よび タ イ プ 3は 余 剰 電 力 を逆 潮 す る 方 式 と し、 蓄 熱 層 は 24時 間 一 定 運 転 を行 う もの と した 。 地区 プラン ト

(8kg/cm2G)

蒸気 ボ イラ

冷 房 (6~ 11℃ )

多 l___l電 力- ~~→ヽ 匝亜P⊥ 「 ~~

文献 46)

(8kg/cm2G)

(6~ 11℃ )

ガス ター ビン

図 8.20

タイプ 1シ ス テ ム (エ ネ ル ギ ー供給 )の 構成図

226


地区 プラ ン ト

冷 房 6” 代

ガス ター ビン

→冨墓拝:LL__ 図 8.21

タイプ 2シ ステム (エ ネ ル ギ ー供給 )の 構成図

地区 プラ ン ト

中水 プラン ト

ヒー トボ ンプ

!

蒸気ヘ ッダ

温水 ヘ ッダ

廃 熱 ポイ ラ

ガス ター ビン

I:丁 :~彰 □ 図 8.22

タイプ 3シ ステム (エ ネル ギ ー供給 )の 構成 図

227


3)

環 境負 荷 量 の算 定

各 タ イ プ毎 に、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 NOx排 出 量 、 SOx排 出 量 を 算 定 した 。 ①

年 間一次 エ ネ ル ギ ー消 費 量 の算 定 結 果

づ き、 ポ イ ラ ー お 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 算 定 は 、 2節 の 表 8.1に 基 よ び CGSの ガ ス 消 費 量 と 、 地 区 内 一 般 電 力 需 要 量 お よ び ヒ ー トボ ン プ の 電 力 消 費 量 を検 討 対 象 と した 。 表 8.5に 機 器 効 率 の 設 定 値 を示 す 。 図 8.23に

エ ネ ル ギー供 給 シ ス テ ム の年 間一 次 エ ネ ル ギ ー消 費量 の算 定 結

果 を示 す 。 CGSの 発 電 容 量 を ピ ー ク電 力 需 要 量 の X%(=CGS発

電容量 /

ピ ー ク電 力 需 要 量 )と して 、 Xを 0か ら 100ま で 変 化 させ た 。 タ イ プ 1の X=0%の

ポ イ ン トが 既 存 型 に相 当 し、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 で あ る 。 こ れ に 対 して 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量

量 は 約 1,166Tca1/年

が 最 も少 な い シ ス テ ム は タ イ プ 3の X=100%(地 て CGSで 賄 う )の 約 828Tca1/年

1/年 (約 29,0%)年

区全 体 の電 力 需 要量 を 全

で 、 既 存 型 に 比 べ て 約 338Tca

間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 を 削 減 で き る 。 タ イ プ 3と 同

程 度 に 省 エ ネ ル ギ ー 効 果 の 高 い シ ス テ ム は 、 タ イ プ 2の X=100%で 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 は 約 833Tca1/年

ca1/年

(約

28.6%)年

、年 間

で 、 既 存 型 に比 べ て 約 333T

間 一 次 エ ネ ル ギ ー消 費量 を削 減 で き る。

タ イ プ 3が 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 が 最 も少 な い の は 、 地 区 内 の 下 水 処 理 水 を ヒ ー トポ ン プ の 熱 源 と して い る た め に 、 高 効 率 な 熱 源 シ ス テ ム を構 築 で き てい るためであ る。 ー 全 体 と して 、 CGS発 電 容 量 比 率 を 高 め る ほ ど 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ 消 費 量 は少 な くて 済 み 、 省 エ ネ ル ギ ー と な る 。 ②

年 間大気 汚 染 物 質排 出量 の 算 定 結 果

エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム の 年 間 大 気 汚 染 物 質 排 出 量 は 、 2節 の 表 8.1に 基 づ き、 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 源 と し て CGS、 つ い て 、 NOxお

ガス ポ イ ラ ー お よび 火 力 発 電 所 に

よび SOxを 対 象 に そ れ ぞ れ の 年 間 排 出 量 を算 定 した 。 NO

228


xお よ び SOx排

出量 は 、 火 力 発 電 所 に つ い て は 桐 部 ら に よ る東 京 都 区 部 の 地

域 冷 暖 房 推 進 地 区 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン導 入 の 省 エ ネ ル ギ ー 性 に 関 す る研 究 の デ ー タ と早 稲 田 大 学 尾 島 俊 雄 研 究 室 の デ ー タ を 、 ガ ス タ ー ビ ン発 電 機 に つ い て は 川崎 重 工 業 (株 )の デ ー タ を、 ガ ス ポ イ ラ ー に つ い て は タ ク マ (株 ) の デ ー タ を使 用 し て 算 定 し た 。 図 8.24年 年 間 SOx排

出 量 を 示 す 。 CGSの

間 NOx排

出 量 を 、 図 8.25に

発 電 容 量 を ピ ー ク 電 力 需 要 量 の X%(=C

GS発 電 容 量 /ピ ー ク電 力 需 要 量 )と して 、 Xを 0か ら 100ま で 変 化 さ せ た 。 年 間 NOx排

出 量 に つ い て は 、 タ イ プ 1の X=0%の

ポ イ ン トが 既 存 型 に 相

ン /年 で あ る 。 こ れ に 対 して 、 年 間 NOx排

当 し、 そ の 値 は 約 188ト

最 も少 な い シ ス テ ム は 、 タ イ プ 2の X=100%(ピ

ー ク電 力 需 要 量 を全 て C

GSで 賄 う )の 約 62ト ン /年 で 、 既 存 型 に 比 べ て 約 126ト %)年 間 NOx排

出 量 を 削 減 で き る 。 次 い で 、 NOx排

(約 64%)年

年 間 SOx排

ン /年 (約 67

出量 が 少 な い シ ス テ ム

約 67ト ン /年 で 、 既 存 型 に 比 べ て 約 121ト

は 、 タ イ プ 3の X=100%の ン /年

間 NOx排

出 量 を削 減 で き る 。

出 量 に つ い て は 、 タ イ プ 1の X=0%の

ポ イ ン トが 既 存 型 に 相

当 し、 そ の 値 は 約 90ト ン /年 で あ る 。 こ れ に 対 して 、 年 間 SOx排 も少 な い シ ス テ ム は 、 タ イ プ 2の X=100%(ピ

Sで 賄 う )の 約 -11ト

2%)年

間 SOx排

出 量 を 削 減 で き る 。 次 い で 、 SOx排

ム は 、 タ イ プ 3の X=100%の

ン /年 (約 11

出量 が 少 ない シ ス テ

約 -3.8ト ン /年 で 、 既 存 型 に 比 べ て 約 94

間 SOx排

タイ プ 2が 、 年 間 NOx排

出量 が 最

ー ク電 力 需 要 量 を全 て CG

ン /年 で 、 既 存 型 に 比 べ て 約 101ト

ト ン /年 (約 104%)年

出量 が

出量 を削 減 で き る。

出 量 、 年 間 SOx排

出 量 共 に 最 も少 な い の は 、 ヒ ー

トポ ン プ を 使 用 し な い こ と で 、 火 力 発 電 所 か らの 排 出 量 を タ イ プ 3に 比 べ て 削 減 で き る か らで あ る 。 全 体 と して 、 CGS発 間 SOx排

電 容 量 比 率 を 高 め る ほ ど 、 年 間 NOx排

出量 を削 減 で き る。

229

出量 お よび 年


表 8.

5 機器効率の設定値 目

設定値

コージェネ レーション (ガ スタービン)

発電効率

0.32

熱 回収率

0.34

ごみ発電機

発電効率

0.42

熱回収率 廃熱 ボイ ラ、蒸気 ポイ ラ

吸収式冷凍機

COP

1.15

ヒー トボンプ

一次 COP

Cl.2/H24

_次 COP

C3.5/H5.1

蓄熱効率

0.80

冷温水蓄熱槽

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

CGS発 電容量ノピーク電力需要 (%) 図 8.23 年間一次エネルギー消費量 (エ ネルギー供給)

230


200

150

100

50

0

20

30

40

50

60

70

80

90

100

CGS発 電容量/ピ ーク電力需要 (%) 図 8.24 年間 NOx排 出量 (エ ネルギー供給)

20 ∞ 8。 60 40 20 0 2。

20

30

40

50

60

70

80

90

CGS発 電容量ノピーク電力需要 (%) 図 8.25 年間 SOx排 出量 (エ ネルギー供給)

231

100


(4) 1)

検討結果 廃 棄物処 理 シ ス テム

廃棄 物 処 理 シ ス テ ム に つ いて は 、 タイ プ 3が 最 適 導 入 形 態 と して 選 定 で き る 。 こ れ は 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 で み る と 、 廃 棄 物 の リサ イ ク ル 利 用 に よ る 可 燃 ご み 量 の 低 減 に 伴 う地 区 内 管 路 収 集 電 力 の 大 幅 削 減 と 、 可 燃 ご み の 地 区 内 焼 去pに よ る ごみ 運 搬 車 両 の 燃 料 消 費 量 の 削 減 に よ る た め で あ り、 年 間 大 気 汚 染 物 質 排 出 量 で み る と 、 資 源 ご み の リサ イ ク ル に よ り可 燃 ご み が 大 幅 に 削 減 さ れ る た め と 、 地 区 内 焼 却 に よる ご み 運 搬 車 両 の 燃 料 消 費 量 が 削 減 さ れ る た め と考 え られ る 。 。

2)

水 供給処 理 シ ス テム

水供 給 処 理 シ ス テ ム に つ い て は 、 タイ プ 2が 最 適 導 入 形 態 と して 選 定 で き る 。 こ れ は 、 雑 用水 を 地 区 内 中水 道 で 賄 う こ と に よ り中 水 供 給 の た め の 電 力 消 費 量 が 新 た に増 え る に もか か わ らず 、 上 水 需 要 量 お よ び 下 水 排 出量 が 低 減 す る こ と に よ り、 上 水 浄 化 ・ 下 水 処 理 お よ び 搬 送 の た め の 電 力 消 費 量 が 削 減 さ れ る た め と、 そ の 結 果 、 火 力 発 電 所 か ら の 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 量 が 削 減 さ れ る た め と 考 え られ る 。

3)

エ ネル ギ ー 供 給 シス テ ム

エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム に つ い て は 、 地 区 の ピ ー ク電 力 需 要 量 を 100%と し、 導 入 す る CGSの 発 電 容 量 を そ の X%と して 検 討 した 結 果 、 CGSの 発 電 容 量 は 環 境 負 荷 量 か らみ て 最 も効 果 が 大 き い ピ ー ク電 力 需 要 量 の 100%で 定 で き る 。 この 時 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ る と 、 未 利 用

エ ネルギー

を十 分 に活 用 した タ イ プ 3が 、 大 気 汚 染 物 質 の 排 出 量 か らみ る と 、 ヒ ー トボ ン プ を使 用 しな い こ と で 火 力 発 電 所 か ら の 排 出 量 が タ イ プ 3に 比 較 して 削 減 で き る タ イ プ 2が 最 適 導 入 形 態 と な る 。

232


8.5

最 適 導 入 形 態 を組 み 合 わ せ た リサ イ ク ル シ ス テ ム の 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の可 能 性 の 検 討

. 5.1

1)

環 境 負 荷 抑 制効 果 の検 討 概 要

検討 方法

容 積 率 の 増 加 は 2節 に示 す よ う に 、 東 京 都 の 現 行 容 積 率

(360%)に

おい

て 、 既 存 の 供 給 処 理 シ ス テ ム を導 入 した 場 合 の 環 境 負 荷 量 お よ び 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 量 を 越 え な い 範 囲 で 行 う 。 具 体 的 に は 、 環 境 負 荷 の 指 標 と して 2節 に お い て 設 定 した 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排

出量 、 年 間 SOx排 出 量 、

ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 量 (ピ ー ク 電 力 需 要 量 、 ピ ー ク ガ ス 需 要 量 )、

日別 廃 棄

物 負 荷 量 、 日別 水 負 荷 量 (上 水 需 要 量 、 下 水 排 出 量 )の 6項 目 に つ い て 、 地 区 全 体 の 容 積 率 を本 項 の

(2)に 示 す よ う に 増 加 させ な が ら、 リ サ イ ク ル シ ス テ

ム を 導 入 した 場 合 の 環 境 負 荷 量 を 算 定 し た 。 6項 目 の 環 境 負 荷 の 指 標 の 中 で 、 環 境 負 荷 量 を現 状 の 容 積 率 の 範 囲 内 に抑 制 で き る 、 容 積 率 の 増 加 が 最 小 と な る 値 を採 用 す る 。

(2)容

積 率 が増加す る方法

容 積 率 が 増 加 す る 建 物 用 途 と して は 、 今 後 、 予 想 さ れ る 都 心 居 住 へ の 配 慮 か ら住 宅 を 第 一 義 に 、 環 境 保 全 技 術 の 研 究 開 発 の 立 場 か ら環 境 系 研 究 施 設 を 第 二 義 に 、 両 施 設 を 合 わ せ て 地 区 全 体 の 容 積 率 が 最 大 600%程

度 まで増 加 す る も

の と し た 。 容 積 率 が 増 加 す る 方 法 は 、 地 区 全 体 の 容 積 率 が 10%ず 増 加 す る も の と し た 。 図 8.26に

つ段 階 的 に

街 区 毎 の 最 大 計 画 容 積 率 を 、 図 8.27に

容 積 率 が 増 カロす る 時 の 用 途 別 床 面 積 を 示 す 。

(3)

導 入 す る リサ イ ク ル シ ス テ ム の 設 定

導 入 す る リ サ イ ク ル シ ス テ ム と して 、 前 節 に お い て 選 定 し た 最 適 導 入 形 態 の タ イ プ を組 み 合 わ せ る も の と した 。 す な わ ち 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 1は 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム が タ イ プ 3、 水 供 給 処 理 シ ス テ ム が タ イ プ 2、

エ ネ ル ギ ー供 給 処

理 シ ス テ ム が タ イ プ 2か ら構 成 さ れ 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 2は 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム が タ イ プ 3、 水 供 給 処 理 シ ス テ ム が タ イ プ 2、

233

エ ネルギー供給処理 シス テ


ム が タ イ プ 3か ら構 成 さ れ る 。 表 8.6に

導 入 を 検 討 す べ き リサ イ ク ル シ ス テ

ム の 設 定 結 果 を示 す 。

総敷地面積 : 626,4 0 0nf 床面積合計 ;3,780,0 0 0nf 容積率 ; 603%

図 8.26

街区 の最大計画容積

文献 46)

h 20

R&D 0

20 10

40 30

60 50

図 8.27

80 70

90

100 110

120

140

160

180

200

220

130

150

170

190

210

230

240

容積率 が増 加す る時 の用途別床面積

表 8.6

リサイ クル システムの設定

リサイ クル システム 1

リサイクル システム 2

廃棄物処理系

TYPE 3

TYPE 3

水供給処理系

TYPE 2

TYPE 2

エ ネ ル ギ ー供給系

TYPE 2

TYPE 3

234


8.5.2 (1) 1) ①

リサ イク ル シ ス テ ム導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の ケ ー ス ス タ デ イ リサ イ ク ル シ ス テ ム 1導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 環 境 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現状容積率

(360%)に

費 量 は 1230.9Tc

a1/年

お け る 環 境 負 荷 量 と して の 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 で あ り、 容 積 率 は こ れ を越 え な い 範 囲 で 増 加

で き る も の と した 。 そ の 結 果 容 積 率 が 130%ま え な い こ と を明 らか に した 。 図 8.28に

で 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増

年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ た

環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。 ②

年 間 大 気 汚 染 物 質 排 出 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現状 容積 率

(360%)に

お け る 環 境 負 荷 量 と して の 年 間 NOxお

SOx排 出 量 は 、 そ れ ぞ れ 238.9ト

ン /年 、 121.3ト

よび 年 間

ン /年 で あ り、 容

積 率 は こ れ を越 え な い 範 囲 で 増 加 で きる もの と した 。 そ の 結 果 、 容 積 率 が 24

0%ま で 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増 え な い こ と を 明 らか に した 。 図 8.29に 年 間 NOx排 出 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 、 図 8.30に

Ox排 出 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。

増加容積率 (%) 図 8.28 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー消費量 か らみた環境 負荷抑制効果 (リ サイクル システム 1)

235

年間 S


トンノ 年

300 250

200 150 100 50 0

増加容積率 (%)

図 8.29

年 間 NOx排 出量 か らみ た環境 負荷 抑制 効果 (リ サ イ クル システム 1)

増加容積率 (%) 図 8.30

年間 SOx排 出量 か らみた環境負荷抑制効果 (リ サイ クル システム 1)

236


2)都 ①

市 イ ン フ ラ容 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現 状 容積 率

0.7MW/Hで

(360%)に

お け る 環 境 負 荷 量 と して の ビ ー ク電 力 需 要 量 は 6

あ り、 ビ ー ク ガ ス 需 要 量 は 2.0万 m3/Hで

あ り、 容 積 率 は

こ れ を越 え な い 範 囲 で 増 加 で き る も の と した 。 そ の 結 果 、 ビ ー ク電 力 需 要 量 で は 容 積 率 が 240%ま

で 増 加 して も、 ま た 、 ビ ー ク ガ ス 需 要 量 で は 容 積 率 が 1

00%ま で 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増 え な い こ と を明 らか に した 。 図 8.31 に ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。 ②

日別 廃 棄 物 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現 状 容積 率

(360%)に

お け る 環 境 負 荷 量 と して の 日 別 廃 棄 物 発 生 量 は 1

20.2ト ン /日 で あ り 、 容 積 率 は こ れ を越 え な い 範 囲 で 増 加 で きる も の と し た 。 そ の 結 果 、 日別 廃 棄 物 発 生 量 で は 容 積 率 が 240%ま 荷 量 は 増 え な い こ と を 明 らか に した 。 図 8.32に

で 増 加 して も環 境 負

日別 廃 棄 物 負 荷 量 か らみ た

環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。 ③

日別 水 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現 状 容積 率

(360%)に

お け る 環 境 負 荷 量 と して の 上 水 需 要 量 お よ び 下 水

排 出 量 は 、 1日 当 た りそ れ ぞ れ 23万 m3/日 で あ り、 容 積 率 は こ れ を越 え な い 範 囲 で 増 加 で き る も の と した 。 そ の 結 果 、 上 水 需 要 量 お よ び 下 水 排 出 量 で は 容 積 率 が 190%ま 図 8.33に

で 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増 え な い こ と を 明 らか に した 。

日別 水 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。

237


万 市3/H

MWノ H

電 力

70

7

60

6

50

5

40

4

30

3

20

2

10

1

0

0 ガス

電力

増 加容積率 (%)

図 8.31

ビー クエ ネル ギ ー負荷量 か らみた環境 負荷抑制効果 (リ サ イクル システム 1)

トンノ日

140

120 100

80 60 40 20 0

増加容積率 (%)

図 8.32

日別廃棄物 負荷量 か らみた環境負荷 抑制効果 (リ サイクル システム 1)

238

ガ ス


万 m3/日

20 30

100

0

下水 万 m3/日 増加容積率

図 8.33

日別水負荷量 か らみた環境負荷抑制効果 (リ サイクル システム 1)

(2) リサ イ ク ル シ ス テ ム 2導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 1)環 境 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 ①

年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

(360%)に お け る 環 境 負 荷 量 と して の 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 で あ り、 容 積 率 は こ れ を越 え な い 範 囲 で 増 加 費 量 は 1230。 9Tc a1/年 現 状 容積 率

で き る もの と し た 。 そ の 結 果 容 積 率 が 160%ま え な い こ と を 明 らか に し た 。 図 8。

で 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増

34に 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ た

環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。 ②

年 間 大 気 汚 染 物 質 排 出 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現 状 容積 率

(360%)に

お け る 環 境 負 荷 量 と して の 年 間 NOxお

SOx排 出 量 は 、 そ れ ぞ れ 238.9ト

ン /年 、 121.3ト

よび 年 間

ン /年 で あ り、 容

積 率 は こ れ を 越 え な い 範 囲 で 増 加 で き る も の と した 。 そ の 結 果 、 容 積 率 が 24

0%ま で増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増 え な い こ と を明 らか に した 。 図 8。 35に 年 間 NOx排 出 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 、 図 8.36に

Ox排 出量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。 239

年間 S


Tcal/年

2000

1500

1000

増加容積率 (%)

図 8.34

年間一 次 エ ネ ル ギ ー消 費量 か らみた環境負荷抑制効果 (リ サイ クル システム 2)

トンノ 年

300 250 200 150 100

50 0

増加容積率 (%) 図 8.35 年間 NOx排 出量 か らみた環境負荷抑制効果 (リ サイクル システム 2)

240


増加容積率 (%)

図 8.36

2)都 ①

年間 SOx排 出量 か らみた環境 負荷抑制効果 (リ サイクル システム 2)

市 イ ン フ ラ 容 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現状容積 率

7MW/Hで

(360%)に

お け る 環 境 容 量 と して の ビー ク電 力 需 要 量 は 60。

あ り、 ピ ー ク ガ ス 需 要 量 は 2.0万 m3/Hで

あ り、 容 積 率 は こ れ

を越 え な い 範 囲 で 増 加 で きる も の と した 。 そ の 結 果 、 ビ ー ク電 力 需 要 量 お よ び ピ ー ク ガ ス 需 要 量 共 に 、 容 積 率 が 240%ま い こ と を明 らか に した 。 図 8.37に

で 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増 え な

ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 量 か らみ た 環 境 負

荷 抑 制 効 果 の検 討 結 果 を示 す 。 ②

日別 廃 棄 物 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

現状容積 率

(360%)に

お け る 環 境 容 量 と し て の 日別 廃 棄 物 発 生 量 は 12

0.2ト ン /日 で あ り、 容 積 率 は こ れ を越 え な い 範 囲 で 増 加 で き る もの と した 。 そ の 結 果 、 日別 廃 棄 物 発 生 量 で は 容 積 率 が 240%ま は 増 え な い こ と を明 らか に した 。 図 8.38に

日別 廃 棄 物 負 荷 量 か らみ た 環 境

負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。 ③

日別 水 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討

241

で 増 加 して も環 境 負 荷 量


(360%)に

現状容積 率

お け る環 境 容 量 と して の 上 水 需 要 量 お よ び 下 水 排

出 量 は 、 1日 当 た りそ れ ぞ れ 23万 m3/日

で あ り、 容 積 率 は こ れ を 越 え な い

範 囲 で 増 加 で き る も の と した 。 そ の 結 果 、 上 水 需 要 量 お よび 下 水 排 出 量 で は 容 積 率 が 190%ま

8.39に

で 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増 え な い こ と を 明 らか に した 。 図

日別 水 負 荷 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 の 検 討 結 果 を示 す 。 万 m3/H

MW′ H

40

電 力

30

20 10

0

増加容積率 (%)

図 8.37 ビークエネル ギー負荷量 からみた環境負荷抑制効果 (リ サイクルシステム 2) トン/日

140 120 100

80 60 40 20 0

図 8.38

日別廃棄物負荷量 か らみた環境負荷抑制効果 (リ サイクル シ ス テ ム 2)

242


珠 万 m3/日 3 0

3 0 0 林 万 m3/日 図 8.39 日別水負荷量からみた環境負荷抑制効果 (リ サイクルシステム2)

(3)

検討結果

リ サ イ ク ル シ ス テ ム 1と リ サ イ ク ル シ ス テ ム 2を 比 較 す る と 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 1は ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 量 か ら み た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 が 最 も小 さ い ピ ー ク ガ ス 需 要 量 の 容 積 率 増 加 量 100%で

決 ま り、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 2は 、 年

間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か ら み た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 が 最 も小 さ い 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 容 積 率 増 加 量 160%で

決 ま る 。 つ ま り、 リサ イ ク ル シ ス テ

ム 2の 方 が 容 積 率 が 増 加 して も環 境 負 荷 量 は 増 え な い こ と 、 容 積 率 増 加 の 限 界 は 160%で

あ る こ と を 明 ら か に した 。

243


8.6

結論

本 章 で は 、 東 京 臨 海 T地 区 を モ デ ル に 自 立 型 地 区 施 設 と し て リ サ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 した 場 合 の 環 境 負 荷 抑 制 効 果 に つ い て 検 討 し た 。 以 下 に 、 結 論 を 示 す。

(1)

リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 環 境 負 荷 抑 制 の 考 え 方 を 提 案 し た 。 環

境 負 荷 の 指 標 と し て 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排

出量 、 年 間 S

Ox排 出 量 、 ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 、 日 別 廃 棄 物 負 荷 、 日別 水 負 荷 の 6項 目 を 設 定 し、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に リ サ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 す る こ と で 、 た と え 容 積 率 が 増 え て も環 境 負 荷 を 現 状 の 範 囲 内 に 抑 制 可 能 な 考 え 方 を 提 案 した 。

(2)

既 存 型 お よ び リサ イ ク ル シ ス テ ム と して 、 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム 4タ イ

プ 、 水 供 給 処 理 シ ス テ ム 3タ イ プ 、 エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム 4タ イ プ を リサ イ ク ル シ ス テ ム の 導 入 形 態 と し て 設 定 し、 こ れ ら を 東 京 臨 海 T地 区 を モ デ ル に 現 行 の計 画 容積率

(360%)に

お い て 導 入 した 場 合 に つ い て 、 直 接 的 に 環 境 負

荷 へ 影 響 を 与 え る 要 素 で あ る 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排 年 間 SOx排

出量 、

出 量 を 算 定 した 。 そ の 結 果 、 環 境 負 荷 へ の 軽 減 効 果 が 最 も高 い 導

入 形 態 と して は 、 廃 棄 物 処理 シ ス テ ム は タ イ プ 3(廃 棄 物 の リ サ イ ク ル を図 り、 リサ イ ク ル 不 可 能 な 可 燃 ご み を 地 区 内 の 焼 却 場 で 焼 却 す る シ ス テ ム で あ り、 リ サ イ ク ル 不 可能 な 不 燃 ご み は 東 京 湾 の 埋 め 立 て 処 分 場 ま で 車 両 で 運 搬 す る 方 式 ) が 、 水 供 給 処 理 シ ス テ ム は タ イ プ 2(地 区 内 に 中 水 道 プ ラ ン トを 設 置 して 可 能 な 限 り水 の リサ イ ク ル を 図 り 、 上 水 需 要 量 と 下 水 排 出 量 を抑 え る シ ス テ ム で 、 上 水 は 金 町 浄 水 場 か ら公 共 水 道 に よ り供 給 し、 下 水 は 公 共 下 水 道 を 通 っ て 砂 町 処 理 場 で 処 理 す る 方 式 )が 選 定 で き た 。 エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム は 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ る と タ イ プ 3(地 区 内 に 設 置 し た 中 水 道 プ ラ ン トで 処 理 し た 下 水 処 理 水 を ヒ ー トポ ン プ の 熱 源 に 利 用 す る シ ス テ ム で 、 温 熱 、 冷 熱 負 荷 に対 して は こ の ヒ ー トポ ン プ を最 優 先 に 活 用 し、 ご み 焼 却 廃 熱 お よ び CGS 排 熱 を 利 用 して 作 っ た 温 熱 、 冷 熱 を 一 旦 蓄 熱 槽 に 蓄 え て か ら温 水 、 冷 水 を 供 給 す る 。 電 力 供 給 に つ い て は ご み 発 電 に よ り発 電 した 電 気 を優 先 し て 供 給 し、 不

244


足 分 を CGSに

よ る電 力 供 給 で 補 い 、 更 に不 足 す る場 合 に は系 統 電 力 か らの 買

電 で 賄 う シ ス テ ム )が 選 定 で き、 大 気 汚 染 物 質 排 出 量 か らみ る と タ イ プ 2(地 区 内 に 設 置 した ご み 焼 却 場 の 廃 熱 を利 用 す る シ ス テ ム で 、 電 力 負 荷 に対 して は ご み 発 電 に よ り発 電 さ れ た 電 気 を 優 先 し て 供 給 し、 不 足 分 を CGSに

よる電 力

供 給 で 補 い 、 更 に不 足 す る場 合 に は系 統 電 力 か らの 買 電 で 賄 う。 温 熱 、 冷 熱 負 荷 に対 して は 地 区 内 プ ラ ン トに 設 け た 蓄 熱 槽 に ご み 焼 却 廃 熱 お よ び CGS排

か ら作 っ た 温 熱 、 冷 熱 を 一 旦 蓄 え た 後 で 温 水 、 冷 水 を 供 給 す る シ ス テ ム )が 選 定 で きた 。

(3)

ケ ー ス ス タ デ ィ 地 区 に 導 入 す る 供 給 処 理 系 地 区 施 設 と し て 2つ の リ サ

イ ク ル シ ス テ ム を 設 定 で き た 。 リ サ イ ク ル シ ス テ ム 1は 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム が タ イ プ 3、 水 供 給 シ ス テ ム が タ イ プ 2、 エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム が タ イ プ 2か ら構 成 さ れ る シ ス テ ム で あ り、 リ サ イ ク ル シ ス テ ム 2は 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム が タ イ プ 3、 水 供 給 シ ス テ ム が タ イ プ 2、 エ ネ ル ギ ー 供 給 シ ス テ ム が タ イ プ 3か ら構 成 さ れ る シ ス テ で あ る 。

(4)

リサ イ ク ル シ ス テ ム 1と リサ イ ク ル シ ス テ ム 2を 比 較 す る と 、 リ サ イ

ク ル シ ス テ ム 1は ピ ー ク ェ ネ ル ギ ー 負 荷 量 か ら み た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 が 最 も小 さ い ピ ー ク ガ ス 需 要 量 の 観 点 か ら、 100%ま

で 容 積 率 が 増 え た と して も環 境

負 荷 を 現 状 に 抑 制 で き る こ と が 分 か っ た 。 ま た 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 2は 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ た 環 境 負 荷 抑 制 効 果 が 最 も小 さ い 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 投 入 量 の 観 点 か ら、 160%ま

で 容 積 率 が 増 え た と して も環 境 負 荷 を 現 状

に抑 制 で き る こ と を 明 らか に し た 。 つ ま り、 容 積 率 の 増 加 は 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 投 入 量 の 観 点 か ら、 現 状 の 36

0%に 対 して 44%増

が 限 界 で あ る こ と を 明 らか に した 。

以 上 、 自立 型 地 区 施 設 を 導 入 す る こ と に よ り、 環 境 負 荷 抑 制 の 観 点 か ら容 積 率 増 加 の 限 界 を 明 らか に した こ と は 、 都 心 居 住 な どの 高 密 度 化 の 要 請 に対 して 都 市 成 長 の 限 界 を示 す 指 標 を 提 供 す る もの で あ る 。

245



第 9章

結論 と展望



第 9章

結 論 と展 望

9.1

結 論 の ま とめ

本 研 究 で 得 られ た 結 論 を 、 以 下 に示 す 。

第 1章 で は 、 ま ず 、 本 研 究 の 位 置 づ け を示 し た 上 で 、 従 来 研 究 と の 違 い を 明 ら か に し た 。 我 が 国 の 都 市 で は 市 街 地 が 広 域 に 亘 っ て ス プ ロ ー ル した 結 果 、 都 市 イ ン フ ラ は 巨 大 な ネ ッ トワ ー ク と な っ て 形 成 さ れ て き た 。 そ の た め 都 市 イ ン フ ラ は 非 効 率 と な っ た だ け で な く、 1995年

1月 に 発 生 した 兵 庫 県 南 部 地 震

に み る よ う に 災 害 に 対 し て 極 め て 脆 弱 な 状 況 を 呈 して い る 。 本 研 究 で は 、 こ れ ら の 対 策 と して ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 高 層 集 約 化 と 供 給 処 理 の 自立 型 地 区 施 設 ヘ の 転 換 を提 案 し た 。 一 方 、 従 来 研 究 に お い て は 、 都 市 を ク ラ ス タ ー 化 す る 等 の 研 究 が な さ れ て い る 。 こ の よ う に 都 市 空 間 の 高 層 集 約 化 と高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に ふ さ わ しい 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 が 高 ま っ て い る 。 一 方 、 大 都 市 圏 で の 最 終 ごみ 処 分 場 不 足 や慢 性 的 な水 不 足 、 更 に は省 エ ネ ル ギ ー の 問 題 か らエ ネ ル ギ ー ・ 廃 棄 物 ・ 水 系 を総 合 的 に 組 み 合 わ せ た リサ イ ク ル シ ス テ ム の 必 要 性 が 高 ま って い る。 以 上 よ り、 現 在 の 都 市 イ ン フ ラ が 抱 え て い る 問 題 点 を 解 決 す る た め に 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 を対 象 と し た 自 立 型 地 区 施 設 に 関 す る 研 究 の 必 要 性 が 高 い こ と を 明 らか に した 。

第 2章 で は 、 集 合 住 宅 が 高 度 に 集 積 して い る 地 区 に お い て 、 非 常 時 に ラ イ フ ラ イ ン 機 能 が 停 止 した場 合 の 生 活 機 能 へ の 影 響 と そ の 対 策 と して の 供 給 処 理 系 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 を 明 らか に す る た め に 、 兵 庫 県 南 部 地 震 被 災 地 の 高 層 集 合 住 宅 住 民 300戸 を対 象 に ア ン ケ ー ト調 査 を行 っ た 。 そ の 結 果 、 住 民 が 避 難 した 最 大 の 理 由 は ラ イ フ ラ イ ン機 能 が 停 止 し生 活 に 支 障 を きた した こ と を 明 らか に した 。 つ ま り、 ラ イ フ ラ イ ン 機 能 は 住 民 生 活 に お い て 大 変 重 要 な 役 割 を

246


担 つ て い る こ と を デ ー タ に よ り明 らか に した 。 ラ イ フ ラ イ ン 全 般 の 必 要 性 で は 上 水 道 が 最 も高 く、 電 気 、 下 水 道 の 順 に 高 く、 ガ ス が こ れ ら に 次 い で 高 い 。 ラ イ フ ラ イ ン停 止 時 の 生 活 実 態 を 上 水 道 に つ い て み る と、 応 急 給 水 車 が 来 る ま で は 風 呂 、 洗 濯 、 ト イ レ な ど全 て 不 足 し て お り、 水 の 配 給 が 定 着 した 時 期 で は 飲 料 、 炊 事 用 水 の 不 足 感 は あ る 程 度 解 消 し、 生 活 用 水 、 雑 用 水 の 不 足 感 が 目立 っ た 。 ま た 、 非 常 時 に お い て あ る 程 度 の 電 気 ・ 水 ・ 熱 。通 信 機 能 を備 え た 非 常 時 自 立 型 集 合 住 宅 に つ い て は 99%の

住 民 が 大 切 と 考 え て い る こ と を示 した 。

以 上 よ り、 巨 大 地 震 被 災 地 住 民 に対 す る 調 査 デ ー タ に 基 づ い て 、 脆 弱 な 都 市 イ ン フ ラ に依 存 し な い 非 常 時 自立 型 地 区 施 設 の 必 要 性 が 高 い こ と を 明 らか に し た。

第 3章 で は 、 都 市 施 設 へ の 負 荷 が 大 き い 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お い て 都 市 施 設 の 機 能 を補 完 す る 地 区 施 設 の 新 し い 概 念 と そ の 機 能 を 提 案 し、 都 市 や 建 築 に 係 わ る 有 識 者 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査 か ら導 入 す べ き 地 区 施 設 項 目 と そ の 機 能 を 明 ら か に した 。 そ の 結 果 、 提 案 した 地 区 施 設 項 目 13項 目 の う ち 導 入 す べ き地 区 施 設 は 、 必 要 性 の 高 い 順 に 共 同 溝 、 電 力 供 給 、 災 害 対 策 、 熱 供 給 、 水 供 給 、 廃 棄 物 処 理 、 廃 棄 物 収 集 の 7施 設 で あ つ た 。 ま た 、 提 案 した 61項 目 の う ち 導 入 す べ き機 能 は 44項 目 で あ り、 上 位 に 位 置 付 け ら れ る 22項 目 の 内 訳 を み る と 、 非 常 時 対 応 機 能 が 10項 目 と 最 も多 く、 共 同 溝 機 能 が 2項 目、 都 市 イ ン フ ラ 負 荷 軽 減 機 能 が 4項 目 、 未 利 用 エ ネ ル ギ ー 活 用 機 能 が 3項 目、 廃 棄 物 管 路 収 集 機 能 が 3項 目 で あ っ た 。 導 入 す べ き地 区 施 設 の 機 能 と して は 非 常 時 へ の 対 応 機 能 の 必 要 性 が 特 に高 か っ た 。 以 上 よ り、 新 た に 導 入 す べ き地 区 施 設 や 非 常 時 に 地 区 内 に お い て 対 応 の 必 要 性 が 高 い 機 能 な ど 、 新 し い 地 区 施 設 の あ り方 を 明 らか に し た 。

第 4章 で は 、 実 在 す る 高 層 集 合 住 宅 と そ れ と 同 規 模 の 住 戸 数 が あ る 戸 建 住 宅 地 区 を比 較 し、 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ (共 用 部 縦 シ ャ フ トお よ び

247


そ こ に 収 容 され る 配 管 ・ 配 線 )の 優 位 性 を明 らか に した 。 戸 建 住 宅 地 区 の 都 市 イ ン フ ラ を水 平 ユ ー テ ィ リ テ イ と 定 義 し、水 平 ユ ー テ ィ リ テ イ と垂 直 ユ ー テ ィ リテ イ の モ デ ル を 設 定 して 、 初 期 投 資 額 と維 持 管 理 費 を対 象 に LCCを 算 定 し た 。 そ の 結 果 、 垂 直 ユ ー テ ィ リテ イ の LCCは 水 平 ユ ー テ イ リ テ イ に 比 べ て 4

0%程 度 小 さ く、 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ は LCCの 観 点 か ら は 経 済 的 で あ る が 、 住 民 に と って は 垂 直 の 場 合 は 全 て 自 己 負 担 の た め 負 担 が 大 き く、 水 平 に お い て 公 共 公 益 事 業 者 が 負 担 して い る 戸 建 住 宅 地 区 に 比 べ て 不 公 平 と 言 え る 。 以 上 よ り、 ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 解 消 の た め 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ は 社 会 資 本 化 して 、 公 共 で 建 設 して維 持 管 理 す べ きで あ る こ と を明 らか に した 。

第 5章 で は 、 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 自立 型 地 区 施 設 と して リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 した 場 合 の 、 地 区 の 用 途 構 成 と一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 の 関 係 を 分 析 し た 。 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の モ デ ル と して 、 東 京 23区 の 250mメ 内 の 建 物 を集 約 した 場 合 を想 定 し、 東 京 23区 の 250mメ タ を 用 い て 全 9416メ

ッシュ

ッ シ ュ土 地利 用 デ ー

ッ シ ュ を建 物 用 途 構 成 を 分 類 す る こ と で 代 表 的 な 30

1種 の 用 途 構 成 に 絞 り込 ん だ 上 で 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム と して コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム と ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 組 み 合 わ せ か ら 3ケ ー ス を 設 定 し、 先 に 絞 り込 ん だ 301種

の用 途 構 成 につ い て 、 年 間電 力需 要 量 、 年 間 熱 需

要 量 、 1日 当 た り廃 棄 物 発 生 量 を 算 定 して 、 301種

の用 途構 成 の全 て につ い

て 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よ る 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 を算 定 した 。 そ の 結 果 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 は大 きい 順 に、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ンシ ス テ ム とごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム の 併 用 シ ス テ ム 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 、 ご み 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム と な り、 ま た 、 用 途 地 区 で は 宿 泊 用 途 地 区 が 最 も大 き い こ と を 明 ら か に した 。

第 6章 で は 、 日本 の 主 要 都 市 の 人 口 密 度 形 態 を モ デ ル 化 し、 各 都 市 の 形 態 と 環 境 汚 染 度 を比 較 す る こ と で マ ク ロ 的 に 環 境 に 寄 与 す る 都 市 を検 討 した 。 都 市

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の 人 口 密 度 形 態 に つ い て は 市 域 面 積 (行 政 面 積 )、

DID面

積 、 人 口密 度 、 D

ID人 口 密 度 か ら モ デ ル 化 す る 手 法 を 提 案 し、 東 京 都 区 部 と 12の 政 令 指 定 都 市 の 人 口密 度 形 態 モ デ ル を作 成 した。 過 密 度 指 標 (人 口 密 度 /DID人

口密 度 )

を定 義 し て 、 東 京 都 区 部 と 12の 政 令 指 定 都 市 を対 象 に 、 各 都 市 の 過 密 度 指 標 と 人 口 密 度 の 関 係 か ら都 市 の 人 口 密 度 形 態 と して 代 表 的 な 5つ の 形 態 に 分 類 し た 。 次 に 、 都 市 の 人 口 密 度 形 態 指 標 と し て 提 示 した 行 政 面 積 (市 域 面 積 )、 口 、 人 口 密 度 、 DID面 密 度 /DID人

積 、 DID人

口 、 DID人

口 密 度 、 過 密 度 指 標 (人 口

口 密 度 )の 7指 標 と環 境 汚 染 度 の 指 標 と し て 提 示 し た 各 都 市 の

BOD、 NOx、 SOx、

浮 遊 物 質 状 粒 子 の 4指 標 に つ い て の 測 定 値 の 年 間 平

均 値 と の 相 関 分 析 を行 っ た 。 そ の 結 果 、 汚 染 度 指 標 に よ っ て ば ら つ き は あ る が 、 環 境 汚 染 度 は 過 密 度 指 標 と 一 次 相 関 性 の 高 い こ と を 明 らか に し た 。 つ ま り、 過 密 度 指 標 か らみ る と 、 都 市 形 態 的 に は I形 態 (都 市 部 が 全 て DID地

区 とな っ

て い る 、 東 京 都 区 部 、 大 阪 市 )か ら V形 態 (市 域 面 積 が 比 較 的 大 き く、 非 DI

D面 積 が 大 き く、 DID地

区 に 人 口 が 集 中 して い る 、 仙 台 市 、 札 幌 市 な ど の 都

市 )へ 移 行 す る 程 、 環 境 汚 染 度 が 低 く な る 傾 向 に あ る こ と を示 し た 。 以 上 よ り、 都 市 人 口 の 増 加 が 上 む を 得 な い 場 合 は 、 市 街 地 の ス プ ロ ー ル を 防 ぐ た め に も、 周 辺 市 街 地 を 低 密 度 化 し て 中 心 市 街 地 を 高 密 度 化 す る こ と に よ っ て 良 好 な 環 境 を 維 持 で き る こ と を 明 ら か に した 。

第 7章 で は 、 東 京 都 心 R地 区 を モ デ ル に 、 廃 棄 物 排 出量 と上 水 使 用 量 お よ び 下 水 放 流 量 を削 減 す る 自 立 型 地 区 施 設 導 入 に よ る都 市 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 効 果 に つ い て ケ ー ス ス タ デ イ を行 い 、 合 わ せ て 第 2章 で 明 らか に した 非 常 時 に お い て 最 も必 要 性 が 高 く か つ 不 足 感 が 大 き い 生 活 用 水 ・ 雑 用 水 に つ い て 、 中水 利 用 に よ る 非 常 時 自立 の 可 能 性 に つ い て 検 討 した 。 まず 、 自立 型 地 区 施 設 と して 、 水 系 の シ ス テ ム と し て 雨 水 利 用 ・ 排 水 再 利 用 シ ス テ ム (中 水 供 給 )を 導 入 した 上 で 、 廃 棄 物 系 に つ い て 可 燃 ご み 。厨 芥 の 焼 却 又 は RDF化 す る 汚 泥 の コ ン ポ ス ト化 又 は RDF化

と排 水 処 理 後 に発 生

を 示 し、 こ れ ら を組 み 合 わ せ た 4つ の リ

249


サ イ ク ル シ ス テ ム を 提 案 した 。 つ ぎ に 、 こ の 4つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム を東 京 都 心 R地 区 に 導 入 した 時 の 平 常 時 に お け る 上 水 使 用 量 ・ 下 水 放 流 量 ・ 廃 棄 物 排 出 量 の 削 減 効 果 を 算 定 し た 。 そ の 結 果 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム と して 水 系 に 雨 水 利 用 シ ス テ ム と 排 水 再 利 用 シ ス テ ム (中 水 供 給 )を 、 廃 棄 物 系 に 可 燃 ご み 。厨 芥 お よ び 汚 泥 の RDF化

シ ス テ ム と RDF発

上 水 使 用 量 を 57%、

下 水 放 流 量 を 54%、

電 シス テ ム を 導 入 す る こ とに よ り、 廃 棄 物 排 出 量 を 83%削

こ と を示 した 。 ま た 、 非 常 時 に お い て は 中 水 貯 留 槽 4000m3を

減可能 な

有 す る排 水

再 利 用 シ ス テ ム (中 水 供 給 )の 導 入 に よ り、 生 活 用 水 ・ 雑 用 水 の 7日 間 の 非 常 時 自立 の 可 能 性 を 示 した 。 以 上 よ り、 水 ・ 廃 棄 物 系 自立 型 地 区 施 設 の 導 入 に よ り都 市 イ ン フ ラ負 荷 の 大 幅 削 減 と 中水 利 用 に よ る 雑 用 水 の 非 常 時 自 立 を 明 ら か に し た 。

第 8章 で は 、 東 京 臨 海 T地 区 を モ デ ル に リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 す る こ と で 、 高 密 度 化 して も環 境負 荷 量 を現 状 の 範 囲 内 に抑 制 で き る 可 能 性 を 検討 した 。 まず 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、年 間 NOx排 出 量 、 年 間 SOx排 出量 、 ピ ー ク エ ネ ル ギ ー 負 荷 、 日別 廃 棄 物 負 荷 、 日別 水 負 荷 の 6項 目 を 環 境 負 荷 の 指 標 と して 設 定 し、 容 積 率 増 加 後 に お け る 環 境 負 荷 容 量 お よ び 都 市 イ ン フ ラ 容 量 を 、 そ れ ぞ れ 現 行 容 積 率 の 範 囲 内 抑 制 す る 自立 型 地 区 施 設 と して リサ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 した場 合 に お け る 環 境 負 荷 抑 制 の 考 え方 を 提 案 し た 。 つ ぎ に 、 6項 目 の 環 境 負 荷 指 標 の 中 か ら直 接 的 に 環 境 負 荷 へ 影 響 を 与 え る 要 素 と して 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 、 年 間 NOx排 出 量 お よび 年 間 SOx排 出 量 の 3項 目 を 選 定 して 、 現 行 容 積 率 の 範 囲 内 で 環 境 負 荷 が 最 小 とな る 条 件 で 、 こ れ らの 3指 標 に つ い て 東 京 臨 海 T地 区 に 廃 棄 物 系 ・ 水 系 ・ エ ネ ル ギ ー 系 の リサ イ ク ル シ ス テ ム を 導 入 した場 合 の 最 適 導 入 形 態 を 検 討 し た 。 最 適 導 入 形 態 と して 、 廃 棄 物 系 は 地 区 内 で 可 能 な 限 リリサ イ ク ル を 図 っ て ご み 排 出 量 を低 減 し、 リサ イ ク ル 不 可 能 な可 燃 ご み を 地 区 内 で 焼 却 す る タ イ プ 3が 、水 系 は 地 区 内 に 中 水 道 プ ラ ン トを設 け て 可 能 な 限 り水 の リサ イ ク ル を 図 り、 上 水 需 要 量 お よ び 下 水 放 流 量 を

250


抑 え た タ イ プ 2が 、 エ ネ ル ギ ー 系 は 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費 量 か らみ る と 、 地 区 内 の 下 水 処 理 水 を ヒ ー トポ ン プ の 熱 源 に 利 用 した シ ス テ ム で 、 電 力 供 給 は ご み 発 電 を最 優 先 に不 足 分 を コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム で 補 い 、 更 に不 足 す る分 を 系統 電 力 で 賄 う シス テ ム が、 熱 供給 は ヒ ー トポ ン プ と ご み発 電 廃 熱 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 排 熱 を利 用 した タ イ プ 3が 選 定 で き、 大 気 汚 染 物 質 の 排 出量 か らみ る と 、 電 力 供 給 は ご み 発 電 を最 優 先 に不 足 分 を コー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム で 補 い 、 更 に 不 足 す る 分 を系 統 電 力 で 賄 う シ ス テ ム が 、 熱 供 給 は ごみ 発 電 廃 熱 、 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン排 熱 を優 先 的 に利 用 し ヒ ー トボ ン プ を 使 用 しな い タ イ プ 2が 選 定 で き た 。 こ れ を踏 ま え て 、 廃 棄 物 系 ・ 水 系 ・ エ ネ ル ギ ー 系 に つ い て 、 こ れ らの最 適 導 入 形 態 を 組 み 合 わせ た 2つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム を設 定 した上 で 、 東 京 臨 海 T地 区 の 現 状 容 積 率 に お け る 環 境 負 荷 量 を算 定 し、 次 に 、 容 積 率 を 増 加 させ な が ら 2つ の リサ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 した 場 合 の 環 境 負 荷 量 を算 定 した 。 そ の 結 果 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 投 入 量 の 観 点 か ら容 積 率 の 増 加 は 現 状 の 40

%増 が 限 界 で あ る こ と を明 らか に した 。

251


9.2

今 後 の展 望

我 が 国 の 大 都 市 で は ス プ ロ ー ル に よ り都 市 を 成 長 させ て き た が 、 都 市 イ ン フ ラ が 効 率 性 や 災 害 時 脆 弱 性 の 面 か ら課 題 を抱 え る 現 在 、 都 市 環 境 計 画 の 観 点 か らの 対 策 が 必 要 と考 え られ る 。 本 論 文 は 、 こ の よ う な 背 景 を 踏 ま え 、 既 成 市 街 地 等 の 再 開 発 お よ び 臨 海 部 埋 立 地 等 の 新 規 開 発 に よ つ て 次 々 と 誕 生 して い る 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 を対 象 に 、 従 来 の 都 市 計 画 に な か っ た 都 市 施 設 の 従 来 機 能 を補 完 す る 、 非 常 時 に 自 立 可 能 な 地 区 施 設 の 新 し い 概 念 と そ の 機 能 を 提 案 し 、 有 識 者 に 対 す る ア ン ケ ー ト調 査 か ら導 入 す べ き地 区 施 設 項 目 と そ の 機 能 を 明 ら か に した 。 ま た 、 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リ テ イ の 社 会 資 本 化 の 必 要 性 を 示 し、 自立 型 地 区 施 設 に 関 す る 各 種 導 入 効 果 を 明 らか に し た も の で あ る 。 一 方 、現 状 の高 度 都市 機 能 集積 地 区 にお け る供 給 処 理 系 地 区施 設 の導 入 状 況 を み る と 、 熱 供 給 、 中水 供 給 は 殆 ど の 地 区 に お い て 実 施 さ れ て い る が 、 地 区 内 廃 棄 物 管 路 収 集 は 一 部 の 地 区 へ の 導 入 に と ど ま り、 地 区 内 電 力 供 給 は 一 部 の 地 区 に お い て 平 常 時 の ビル コ ー ジ ェ ネ エ ー シ ョ ンシ ス テ ム と して 実 施 さ れ て い る が 、 非 常 時 へ の 対 応 につ い て は法 規 制 に よ る非 常 用 発 電 機 が 設 置 され て い る に 過 ぎず 、 非 常 時 自 立 の 観 点 か ら は 十 分 と は 言 え な い 。 ま た 、 雨 水 利 用 に よ る 水 供 給 と廃 棄 物 処 理 は 殆 ど導 入 さ れ て い な い 。 こ の こ と は 、 開 発 者 側 に と っ て 経 済 的 利 点 の 多 い 地 区 施 設 の 導 入 は 進 ん で い る が 、 あ ま り利 点 が な い も の の 導 入 は 殆 ど 進 展 せ ず 、 相 変 わ らず 、 自 治 体 。公 共 公 益 事 業 者 の 都 市 イ ン フ ラ に 大 部 分 を依 存 して い る 状 況 を 示 して い る 。 一 方 、 ドイ ツ の 自動 車 産 業 に お け る 部 品 リサ イ ク ル 活 動 や 先 進 各 国 間 で 議 論 さ れ て い る 炭 素 税 等 の 例 に み る よ う に 、 地 球 環 境 に 対 す る 保 全 意 識 は 先 進 国 を 中 心 に 高 ま り を み せ て お り、 我 が 国 の 都 市 計 画 に お い て も、 従 来 の 経 済 性 、 効 率 性 一 辺 倒 か ら 、 今 後 は 、 グ ロ ー バ ル な 視 点 に よ る 環 境 保 全 型 都 市 へ の 転 換 の 必 要 性 が 高 ま る と予 想 さ れ る 。 こ の よ う な 背 景 か ら、 資 源 ・ エ ネ ル ギ ー の リ サ イ ク ル 利 用 を 目指 す 自 立 型 地 区 施 設 の導 入 促 進 に 向 け て 、 新 た に計 画 され る高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 に お い て は 、 自立 型 地 区 施 設 は 、 事 業 者 で あ る 「 私 」 と 自 治 体 ・ 公 共 公 益 事 業 者 で あ る

252


「 公 」 と の 中 間 的 存 在 の 「 共 」 と して 位 置 づ け 、 「 私 」 と「 公 」 が 共 同 事 業 と して 建 設 し維 持 管 理 す る こ と を 提 案 す る 。 こ れ に よ り、 懸 案 で あ つ た 「 私 」 側 の 経 済 負 担 を軽 減 し 、 「 公 」 側 に お い て も都 市 イ ン フ ラ増 強 の た め の 費 用 負 担 が 軽 減 で き る上 に 、 環 境 負 荷 が 小 さ く非 常 時 自 立 が 可 能 な 、 効 率 的 で 快 適 な 都 市 環 境 を 実 現 で き る もの と 考 え る 。 一 方 、 この 自立 型 地 区 施 設 の 管 理 運 営 を み る 時 、 今 後 の 都 心 居 住 推 進 の 施 策 に よる か 、或 い は 、 世 田谷 ・ 中野 区等 の 老 朽 木 造 住 宅 密 集 地 にお け る既 成 市 街 地 再 開 発 等 に よ り誕 生 す る と 予 想 さ れ る 、 特 に 、 住 居 施 設 の 比 率 が 高 い 高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お い て は 、 従 来 に な い 新 しい 方 策 が 必 要 と考 え る 。 建 設 省 の 調 査 で は 、 集 合 住 宅 の 定 住 意 識 は 30%程

度 で あ る の に対 し て 、 早 稲 田大 学 尾 島

研 究 室 の 調 査 に よ る と 、 千 葉 県 松 戸 市 の A集 合 住 宅

(約 580戸

)で は 住 民 が

建 物 の 外 壁 。共 用 部 内 装 お よ び 共 用 部 設 備 の 維 持 保 全 計 画 や 駐 車 場 管 理 、 植 栽 計 画 等 を行 う こ と に よ り、 住 民 の 約 80~

90%が

良 好 な環 境 の 維 持 、 住 み 心

地 の 良 さ 、 コ ミ ュ ニ テ イ の 形 成 等 に 役 立 っ て い る と 考 え て お り、 こ の 集 合 住 宅 の 定 住 意 識 は 約 70%と

非 常 に高 い。

高 度 住 機 能 集 積 地 区 に お い て は 、 住 民 の 定 住 意 識 を高 め 、 快 適 な 都 市 環 境 を 回 復 し、 災 害 に 強 い 安 全 な 街 を作 る た め 、 自立 型 地 区 施 設 の 管 理 運 営 は 専 門 業 者 に 全 て を任 せ る の で な く、 住 民 が 中 心 と な っ て 推 進 す る こ と を 提 案 す る 。 こ の 組 織 運 営 に 当 た り、 自治 体 ・ 公 共 公 益 事 業 者 は 人 的 。物 的 支 援 を積 極 的 に 行 い 、 環 境 保 全 都 市 ・ 非 常 時 自立 都 市 の 実 現 を推 進 す べ き で あ る 。 こ の 高 度 住 機 能 集 積 地 区 を主 要 な 構 成 要 素 と して 高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 が 広 域 に ネ ッ トワ ー ク化 さ れ る こ と で 、 我 が 国 大 都 市 圏 に お け る都 市 イ ン フ ラ の 抱 え る 問 題 点 の 多 く が 解 消 に 向 か う こ とが 期 待 さ れ る 。 自治 体 、 公 共 公 益 事 業 者 、 デ イ ベ ロ ッ パ ー お よ び 都 市 計 画 ・ 都 市 環 境 計 画 の 設 計 者 は 、今 後 、 新 た に計 画 が 予 想 さ れ る高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 にお け る 自 立 型 地 区 施 設 の 実 現 ・ 推 進 に 向 け て 一 致 協 力 し、 く わ え て 、 大 い な る 努 力 と 研 鑽 が 切 望 さ れ る次 第 で あ る 。

253


。謝辞 ・ 参考文献 ・ 履 歴書 ・ 研 究業績



私 が、都 市 の環境 計画 の研 究 には じめ て取 り組 んだの は 、 1970年 に早稲 田大 学 建 築学科 尾 島俊雄先 生 (当 時 助 教授 )か ら事業 論 文 のテ ー マ と して与 えて頂 い た 「 日 本万 国博 地域 冷房調 査 」 の 時 で した。 当時、 日本 は高度 経 済 成長期 に あた り、過 去 に 例 をみ な い ス ピー ドで 多 くの ビル が建 設 され た 結 果 、東 京 をは じめ とす る大都 市 圏 で は ビルの 冷 暖房熱源 で あ るポ イ ラ ー か ら排 出 され る大気 汚 染物 質 が大 きな環境 問 題 で あ つた 。 この 問題 を解 決す るた め に、 地域 冷暖 房 の 必要 性 に い ち早 く注 目され、 日本 の 先駆者 と して地域 冷 暖房 の研 究 をされ て い たの が 尾 島先 生 で あ った 。我 々 の 事 業 論 文 は、 当初 、「全電 気 空調 と ヒ ー トボ ン プ」 の テ ー マ で ス ター トしたが 、暗 中模 索 の まま 2カ 月 間が経過 した。 7月 29日 に、 急 違、 尾 島先 生 か ら「万 国博 地域 冷房 の 実 測調査」 をや って は ど うか と い う話 しが あ り、途 中で こ の テ ー マ に変 更 され た 。 卒 業 論 文 で は、共 同研 究 の 仲 間で あ る山下雅 巳氏 (現 戸 田建 設 )や 小林伝 氏 らと連 日深 夜 まで議論 し、斉藤氏 (現 国士 舘 大 学教授 )、 根 津 氏 (現 日本環境技研 )な ど多 くの 諸 先 輩 に丁寧 な ご指導 を頂 きま した。 この 時 、先進 技術 で あ る地域 冷房 の 実測調査 に 関 わ った こ とが 、今 日、 地 区 レベ ルの環境 計 画 の 企 画 ・ 立 案 や研 究 に取 り組 む 精神 的 基 盤 にな って い る こ とを、論 文 を執筆 しなが ら改 め て 実感 して い る。 あ の 時 か ら、 20年 余 りが 経 過 した 1992年 秋 、都 市 の 再 開発計画 にお け る環 境 問題 につ い て 尾 島先 生 に ご指 導 を仰 ぐ機会 があ り今 日に至 って お ります 。都 市 にお け る環 境 問題 は非常 に大 きなテ ーマ で あ り、将 来 を見通 した高 い 見識 に基 づ き都 市 の 環 境 計画 を策定す る必 要 があ ります 。地球環 境 や都 市 環境 問題 に高 い 関心 が 集 まる こ う した時期 に 、 この よ う な社会 に対 して意義有 る論 文 を執 筆 す る機会 を与 えて下 さ つ た 早 稲 田大学 教授尾 島俊 雄先生 に深 く感謝 す る次第 で す。 尾 島先 生 には、 この 意義深 い 研 究 テ ー マ につ い て 、終 始 一 貫 して親切 丁寧 な ご指 導 を賜 りま した ばか りで な く、常 に大所高所 か ら示 唆 に富 む ご意 見 をい ただ き、都 市 環 境 に関 す る理 解 を深 め る機会 を与 えて い た だ きま した こ と を心 か ら感 謝 い た します 。 早稲 田大 学教授 木 村建 一 先 生 、渡辺仁 史先 生 、早稲 田 大 学 大学 院理 工 学研 究科 客 員 教授 石福 昭先 生 には 、 ご多忙 の 中、快 く審 査 をお 引 き受 け い ただ き、 また貴重 な ご 助 言 とご指導 をい ただ きま した こ とを感謝 い た します 。 早稲 田大 学理 工 学 総 合研 究 セ ン ター講 師村上公 哉 先生 には 、研 究 に取 り組 む当初 か ら、 この研 究 テ ー マ に つい て 、 終 始 一 貫 して親切 丁寧 な ご指 導 と度重 な る激励 を い た だ きま した こ とを深 く感謝 い た します。

254


早稲 田大 学理 工 学 総合研 究 セ ン タ ー 助 教授 高橋 信 之先 生 に は 、随所 で 貴重 な ご意 見 をい た だ きま した こ とを感謝 い た します 。 横 浜 国 立大 学助教授 佐土 原 聡 先生 に は 、論 文 の節 目にお い て 貴 重 な ご助言 を い た だ きま した こ とを感 謝 い た します。 エ ネ ル ギ ー総合推 進委員会 事務 局市 川 徹 氏 (東 京 ガス 株 式 会 社 在 籍 )に は 、研 究 当 初 か ら論 文 を書 か れ た ご 自分 の経験 を通 じた貴 重 な ア ドバ イス や励 ま しの お言葉 を い ただ き大 い に勇気 づ け られ ま した こ と を感謝 い た します 。 また 、研 究 テ ー マ の 萌 芽 段 階 の 頃、佐土 原先 生 と 3人 で 長時 間 に亘 り熱 い 議論 を した こ とが 思 い 起 こ され ます。 株 式会社 竹 中工 務 店宮 下正 裕 氏 には、 論 文作 成 の 苦 しい 時期 に何 か と激励 の お言 葉 を い ただ き、大 い に元気 づ け られ ま した こ とを感謝 い た します 。 最後 にな りま したが、デ ー タの収 集 ・ 分析 にお い て多 大 な協 力 を得 ま した は 、早 稲 田大 学尾 島研究室 の 木 山佳 世 (現 大 学 院生 )、 市 川裕 康 ・ 戸 倉 将 。水 谷 義和 (当 時 大 学 院生 )、 大西裕 之 (卒 論 生 )、 岡泰 子 ・ 白石貴 大 ・ 須 山真 慈 (当 時卒論 生 )の 各 氏 に深 く感謝 の意 を表 します 。

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1)都 市 施 設 :都 市 計 画 法 第 11条 1項 に定 め る 施設 で 、 道路 、 公 園 、 水 道 ・ 電 気 ・ 下 水 道 ・ ご み 焼 却 場 な どの 供 給 施 設 又 は 処 理 施 設 、 学 校 、 医 療 施 設 等 を い う。

2)地 区 計 画 :都 市 計 画 法 第 12条 の 五 に規 定 され 、 建 築 物 の 建 築 形 態 、 公 共 施 設 そ の 他 の 施 設 の 配 置 等 か らみ て 、 一 体 と して そ れ ぞ れ の 区 域 の 特 性 にふ さ わ し い 様 態 を 備 え た 良 好 な 環 境 の 各 街 区 を整 備 し、 保 全 す る た め の 計 画 を い う。

3)地 区施設 :都 市 計画 法第 12条 の 五 2項 に規 定 され 、 主 として 街 区内 の 居住者等 の 利 用 に供 され る道 路 、公 園 そ の 他政令 で 定 め る施設 を い う。

4)施 設 の 対 負 荷 能 力 :本 論 文 で は 、 地 区 の 負 荷 量 に対 す る 都 市 施 設 の 割 合 を対 負 荷 能 力 と定 義 す る 。

256



参考文献

1)洪

、 村 上 、 尾 島 :病 院 の 非 常 時 建 築 設 備 機 能 の 重 要 度 及 び 必 要 割 合 の 調 査 分 析 、 日本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 、 第 458号

2)洪

4月

、 村 上 、 尾 島 :庁 舎 の 非 常 時 建 築 設 備 機 能 の 重 要 度 及 び 必 要 割 合 の 調 査 分 析 、 日本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 、 第 468号

3)

、 1994年

、 1995年

2月

(社 )空 気 調 和 。衛 生 工 学 会 災 害 調 査 対 策 委 員 会 :阪 神 大 震 災 設 備 被 害

調 査 報 告 (速 報 )、

1995年

6月

4)

日笠 端 編 著 :地 区 計 画 、 共 立 出 版 、 1981年

5)

鈴 木 、 上 村 、 高 、 尾 島 :東 京 都 区 部 に お け る ヒ ー トア イ ラ ン ド分 断 の た め の 土 地 利 用 計 画 に 関 す る研 究

その 1

東 京 ク ラ ス タ ー モ デ ル の提 案 、

そ の 2東 京 ク ラ ス タ ー モ デ ル の 環 境 評 価 、 日本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、 1996年

6)

9月

高 、尾 島 :東 京 下 町 に お け る エ コ ロ ジ カ ル シ テ ィ計 画 に 関 す る 調 査 研 究 、 日本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 、 第 472号

7)

、 1995年

6月

高 、 三 浦 、 尾 島 :東 京 江 東 区 に お け る 緑 、 河 川 の ク ー ル ア イ ラ ン ドの 形 成 の た め の 実 態 調 査 研 究 、 都 市 環 境 に お け る緑 地 や オ ー プ ン ス ペ ー ス に よ る 熱 的 効 果 (そ の 2)、

1994年 8)

日本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 、 第 456号

2月

佐 土 原 、 市 川 、 柴 田 、 尾 島 :東 京 都 区 部 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン 導 入 地 区 の 選定 に 関す る 研 究 、 日本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 、 第 468号 、

1995年 9)

2月

市 川 、 尾 島 :民 生 用 コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン の 省 エ ネ ル ギ ー 性 に 関 す る 理 論 的 研 究 、 日本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 、 第 433号

10)

、 1992年

3月

市 川 、 佐 土 原 、 尾 島 :首 都 圏 の 大 規 模 住 宅 団 地 に お け る コ ー ジ ェ ネ レ ー シ ョ ン シ ス テ ム 導 入 の 可 能 性 に 関 す る 研 究 、 日本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 報 告 集 、 第 427号

、 1991年

9月

11) 竹 内 、 依 田 、 尾 島 :都 市 に お け る 環 境 破 壊 要 因 の 影 響 度 に 関 す る 比 較 、 日 本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、 1991年

257

9月


12)東 京 都 :臨 海 部 副 都 心 開 発 基 本 計 画 豊 洲 ・ 晴 海 開 発 基 本 方 針 、 平 成 2年 13)外 岡 、 船 渡 川 、 馬 場 :環 境 と エ ネ ル ギ ー を 重 視 し た 高 密 度 都 市 モ デ ル 8月 そ の 2 基 本 構 想 、 日本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、 1995年 14)外 岡 、 船 渡 川 、 馬 場 :環 境 と エ ネ ル ギ ー を 重 視 し た 高 密 度 都 市 モ デ ル その 3 高 密 度 都 市 の 構 造 、 日本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、 199 5年 8月

15)外 岡 、 船 渡 川 、 馬 場 :環 境 と エ ネ ル ギ ー を 重 視 し た 高 密 度 都 市 モ デ ル シ ミ ュ レ ー シ ョ ンモ デ ル、 日本 建 築 学 会 大 会 学 術 講 演 梗 概 集 、 その 4 1995年 8月 6)都 市 計 画 法 第 11条 1項 7)国 土 開 発 調 査 会 :下 水 道 整 備 管 理 総 覧 、 1990年

3月

8)建 築 知 識 :都 市 ・ 建 築 企 画 開 発 マ ニ ュ ア ル 94年 度 版 、 1994年 9)東 京 都 都 市 計 画 局 :東 京 23区 の 250m土

地 利 用 数 値 デ ー タ、 平 成 3

年版

20)尾 島研 究 室 所 有 の 建 物 用 途 別 原 単 位 21)東 京 都 :建 物 用 途 別 廃 棄 物 発 生 量 原 単 位 22)横 浜 市 :建 物 用 途 別 廃 棄 物 発 生 内 訳 割 合 23)(社 )空 気 調 和 ・ 衛 生 工 学 会 :空 気 調 和 衛 生 工 学 便 覧 第 10版 24)日 本 建 築 学 会 :建 築 資 料 集 成 6 25)札 幌 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 26)仙 台 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 27)千 葉 市 :統 計 年 鑑 、 1992年

258

6月


28)東 京 都 :統 計 年 鑑 、 1992年 29)川 崎 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 30)横 浜 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 31)名 古 屋 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 32)京 都 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 33)大 阪 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 34)神 戸 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 35)広 島 市 :統 計 年 鑑 、 1992年 36)北 九 州 :統 計 年 鑑 、 1992年 37)福 岡市 :統 計 年 鑑 、 1992年 38)東 京 都 清 掃 局 :事 業 概 要 、 平 成 7年 度 版 39)東 京 都 水 道 局 :事 業 概 要 、 平 成 7年 度 版

40)内 田、紀 谷 :雑 用水 施 設 の 設置条件 に伴 う地域 内外 での 負荷 量 の 変化 と 特 徴 、 日本建 築学会 計画系 論 文集、第 463号 、 1994年 9月 1)東 京 都 清 掃 局 :東 京 ご み 自 書 、 1995年 2)東 京 都 下 水 道 局 :事 業 概 要 、 平 成 7年 度 版 3)東 京 都 清 掃 局 :破 砕 処 理 作 業 計 画 、 平 成 7年 度 版 4)東 京 都 下水 道 局 :東 京 都 下 水 道 事 業 年 報 、 平 成 6年 度 版 5)尾 島俊 雄 研 究 室 :建 築 の 光 熱 水 原 単 位 (東 京 版 )、 早 稲 田 大 学 出 版 部 、 1995年 6)東 京 都 :豊 洲 ・ 晴 海 開 発 整 備 方 針 、 平 成 3年 度 版 259



履歴書 本 籍 地

栃 木 県 佐 野 市 馬 門 町 957番

現 住 所

〒 272-01

ふ りが な

も ろ たか し

茂 呂

千 葉 県 市 川 市 南 行 徳 4丁 目 19の 7

学 昭 和 41年 3月

栃 木県 立 佐 野高 等学校 卒業

昭 和 42年 4月

早稲 田大 学理 工 学 部建 築 学 科 入 学

昭 和 46年 3月

早稲 田大 学 理 工 学 部 建 築 学 科 卒 業

昭和 48年 4月

株 式 会 社 竹 中工 務 店 東 京 本 店 設 計 部 にお い て ビ ル群 管 理 シ

~ 63年 3月

ステム、 光通信 シ ス テム、太 陽電 池・ 燃料電池・水 素吸 蔵 合 金利 用 技 術 、 竹 中 イ ンテ リ ジ ェ ン ト ビ ル の研 究 開 発 に 従 事

昭 和 63年

4月

~ 平 成 8年

2月

株 式 会 社 竹 中工 務 店 東 京 本 店 設 計 部 に お い て 地 域 との 共 生 を 目指 し た 原 子 力 施 設 の 研 究 、 環 境 調 和 型 廃 棄 物 処 理 シ ス テ ム の研 究 、 エ コ ロ ジ カ ル都 市 イ ン フ ラ統 括 セ ン タ ー の 研 究 、環 境 共 生 新 都 市 シ ス テ ム の研 究 、 竹 中 エ コ シ ス テ ム の 研 究 、 自 立 型 防 災 拠 点 地 区 、 シ ス テ ム の 研 究 に従 事

昭 和 46年 4月

株 式会 社 竹 中工務 店 入社

昭 和 63年 4月

株 式 会 社 竹 中工 務 店 東 京 本 店 設 計 部 情 報 課 長

平成

4年 4月

株 式 会 社 竹 中 工 務 店 東 京 本 店 設 計 部 設 備 課 長 、 現 在 に至 る

260



研究業績 (1) 発表 。発行年月 発表 。発行掲載誌名 連名者

種類 別 題 名

論 文 ○ 高層集合住宅 と戸建住宅地区にお け 1995年 ■0月

るユー テ ィリテイの 費用負担 に関す

日本建築 学会計画系 論文集第 476号

る研究 論文○ 高度都市機能集積地 区 にお ける新 し 1997年 4月 掲載 日本建築 学会 計画系 尾 島俊雄 地区施設 の機能 に関す る研 究

講演

予定 コンパ シティ クト 「 」計画 に関す る 1996年 9月 研究 (そ の 1)世 田谷 区太子堂地区

論文集

日本建築学会大会学 尾 島俊雄 術 講演梗概集

におけるケー スス タデ ィ 講演

他 4名 日本建築 学会大会学 尾 島俊雄

研究 (そ の 2)世 田谷 区太子堂地区

術講演梗概 集

高橋信之 他 4名

工場用地 の利用転換 に ともな う研 究 1996年 9月 コンソー シアム構想 に 関す る研 究

日本建築 学会大会学 尾 島俊雄 術講演梗概集

(そ の 1)

講演

高橋信之

「 コンパ ク トシティ」計画 に関す る 1996年 9月 における環境計画

講演

村上公哉

高橋信 之 他 4名

阪神大震 災 にみるライ フライン機能 1996年 ■月

日本建築学会 関東支 尾 島俊雄

停止時 にお け る各種建築物 の使 われ

部研究報告集

方 に関す る調査研 究 (そ の 1)、

村上公哉 他 3名

医療施設 にお ける活動 と機能維持 方法 講演

阪神大震 災 にみるライフ ライ ン機能 1996年 3月

日本建築学会 関東支 尾 島俊雄

停止時 にお ける各種建 築物 の使 われ

部研究報告集

方に関す る調査研 究 (そ の 2)、 宿泊 。商業施設 にお け る活動 と機

村上公哉 他 2名

能維持方法 講演

阪神大震災 にみるライフ ライ ン機能 1996年 3月

日本建築学会 関東支 尾 島俊雄

停止時 にお ける各種建築 物 の使 われ

部研 究報告集

方に関す る調査研 究 (そ の 3)、 集合住宅 にお ける住民 の生 活へ の

村上公哉 他 3名

影響 講演

阪神大震災 にみるラ イ フライ ン機能 1996年 3月

日本建築 学会 関東支 尾 島俊雄

停止時 にお ける各種建築物 の使 われ

部研究報告集

方に関す る調査研 究 (そ の 4)、

村上公哉 他 3名

学校 にお ける避難所機 能 講演

環境負荷 か らみたシス テ ムの最適導 1995年 8月

日本建築学会大会学 尾 島俊雄

入形態の検討、再開発地区にお ける 供給処理 システムの クローズ ド化 に

術 講演梗概集

関する研 究 (そ の 1)

261

村上公哉 他 1名


研究業績 (2) 発表 。発行年 月 発表・ 発行掲載誌 名 連名者

種類別 題 名 講演

リサ イクル システム導入 による容積 1995年 8月

日本建築学会大会学 尾 島俊雄

率緩和 の可能性 の検討、再 開発地区 における供給処理 システムのクロー

術 講演梗概集

村 上公哉 他 1名

ズ ド化 に関 す る研究 (そ の 2) 講演

容積率緩和 にお けるシス テ ムの経済 1995年 8月

日本建築学会大会学 尾 島俊雄

の検討、再 開発地区 にお ける供給処 理 システムの ク ローズ ド化 に関す る

術講演梗概集

村上公 哉 他 1名

研究 (そ の 3) 講演

東京都 23区 250mメ ッシ ュ内の建物 1995年 8月

日本建築学会大会学 尾 島俊雄

用途構成比 とそ の負荷特性 、 リサ イ クル型 の水 。エ ネルギー供給処理 シ

術講演梗概 集

村 上公 哉 他 2名

ス テ ム導入 可能最小空間規模 に関す る研究 (そ の 1) 講演

リサイクル型 の供給処理 システムの 1995年 8月

日本建築学会大会学 尾 島俊雄

導入可能最低 延床面積 の算定、 リサ イクル型 の水 。エ ネルギ ー供給処理

術講演梗概集

村 上公 哉 他 2名

システム導入 可能最小空間規模 に関 す る研究 (そ の 2) 講演

超高層住宅 にお ける縦型 ユ ー テイリ 1995年 3月

日本建築学会 関東支 尾島俊雄

テ イの社会資本化 に関す る研究

部研究報告集

村 上公哉 他 2名

講演

セ ミクローズ ドシス テム導入 の可能 1995年 3月

日本建築学会 関東支 尾島俊雄

性 か らみた都市 の高密度化 にお け る

部研 究報告集

他 2名

最低集積度 に関す る研究 そ の 他 大規模都市 イ ンフラス トラクチ ヤー 投稿 中 (講 演)

村上公哉

日本機械学会論文集 伊東弘 一

の最適計画

横 山良平 他 l名

ヒー トポ ンプ海外技術 交流会議

1992年 7月

技術 開発 セ ン ター

(米 国、 カ ナ ダ)

ビル管理 システ ムにおける光 ファイ 1984年 12月 バ ー採用 の 実施例

THE TECHNICAL FORUM ON OP

(財 )ヒ ー トポ ンプ 川上俊彦

MARCHI

TICAL TECHNOLOGY APRICAT

他 3名

日本技術経済 セ ン タ 高橋

他 2名

OPTICAL FORUM 1984 IN MAREYSHIA

KEI MORI

ION SYSTEM IN CITY AREA そ の 他 ヒー トリサ イクル技術総合評価 に関 1996年 3月 (著 書 )

(財 )ヒ ー トボ ンプ 神沢

技術 開発 セ ン ター

す る調査研 究

262

他 12名


研 究業績 (3) 種類別 題 名

発表・ 発行 年月 発表 。発行掲載誌 名 連名者

そ の 他 広域 エ ネ ルギ ー利用 に係 る先進的基

1995年 3月

(著 書)

(財 )ヒ ー トポ ン プ 斉藤孝基

盤技術 の調査研 究 (そ の 2)

技術 開発 セ ン ター

地域 と共生 を 目指 した原子力施設 の 1995年 む月

清水建設、竹 中工 務 長崎駿 二

研究

店共著

郎他

竹 中工務 店

横山

1995年 3月

オ フイスの紙利用技術調査研 究

広域 エネルギ ー利用 に係 る先進的基 1994奪 聡月

技術開発 セ ン ター

盤技術の調査研究 (そ の 1)

(財 )ヒ ー トポ ン プ 斉藤孝基

民生用灯油利 用高度化 のための基盤 1994年 3月 整備 に関す る調査 (灯 油 ヒー トポ ン

(財 )石 油産業活性

化 セ ンター

プの導入基盤整備 に関す る調査 ) イ ンテ リジ ェ ン トビル、高度情報化 1986年 9月

日本経 済新 聞社

社会 のオフイス

対馬義幸 他 9名

1979年 H月

ビル管理業務 の実態

(財 )建 築保全 セ ン

ター 光 ファイバ ー通信 による ビル群管理 1980年 5月

電子技術

システムの設計実例 光 ファイバ ー通信利用 の ビル群管理 1980年 ■2月

設備 と管理

システム と特徴 光通信 による ビル管群理 システムの 1982年 も月

電設工業

実施例 (MOA美 術館 ) わか る光 フ ァイバー応用技術

1982年

光 ファイバ ー通信 を応用 した ビル管 1983奪 も月 理 シス テ ム (1)、

電気計算 建築設備 と配 管 工 事

MOA美 術館 に

お ける ビル群管理 システムの実施例 光 フ ァイバ ー通信 を応用 した ビル管 1983年 7月 理 システム (2)、

建築 設備 と配管 工 事

MOA美 術館 に

お け る ビル群管理 システムの実施例 そ の 他 外装 パ ネル (特 許)

パ ー ソナル空 調機 パ ー ソナ ル 空 調 装 置

冷暖房給湯装 置 給 湯装置 冷暖房給湯装 置 給湯装置

1996年 11月

1996年 5月 1996年 5月 1996年 5月 1996年 4月 1996年 5月 1996年 4月

263

NO. 1805050 NO。 2057120 NO. 2057119 NO. 2055824 NO. 2505419 NO. 2055824 NO. 2505419

猪野達雄 新子

新子

新子

新子

新子

新子


研究業績 (4) 種類別 題 名

発表 。発行年月 発表 0発行掲載誌 名 連名者

そ の他 床置設備ユ ニ ッ ト

1996年 つ月

特許

照明灯及 びプ ライ ン ドの 自動制御装 199騨 手2月

NO. 2020516 NO。 1905509

大道明朗 島貫

NO. 1905508 NO。 1873679 NO. 1851105 NO. 1833936 NO。 1822501

島貫

置 照明灯 の 自動 制御装置

1995年 ワ月

多機能 デス ク

1994年 9月 1994年 6月 1994年 3月

放射冷却器 空調機用排水 装置

トランプポ ンデ イングカー ドによる Les4+2n

大道明朗 大井昭夫 大道明朗 常盤正 之

位置検知 システム 1994年 ■月

火源位置判定装置 エ レベー ター の 自動運行装置

1993年 12月 1993年 11月 1993年 10月

外装 パ ネルの 冷却構造 空気吹出口

トラ ンプポ ン7~イ ングカ ー ドによる 1ee3+88

1820432 NO. 1809023 NO. 1805049 NO. 1986249 NO. 1779848

常盤 正之

NO. 1786252 NO. 1735551 NO. 1724282 NO. 1705182 NO. 1632655 NO. 1632656 NO. 1861063 NO. 1451789 NO. 1464024 NO. 1076245 NO. 1076246

大道明朗

NO。

常盤正 之

猪野達雄

守屋和幸 常盤 正之

緊急通報方法 スプリンクラ ー散水装置 避難誘導装置

1993年 8月 1993年 2月

館 内誘導装置

1992年 ■2月

洗浄水制御装置

1992年 12月

空調制御装置

1991年 12月

外気量制御装置

1991年 12月 1991年 8月 1988年 7月 1982年 12月 1981dFl2E

日射制御 二 重 サ ッシ 太陽光利 用照 明装置 パ レッ ト受渡 し装置 ダ ンパー制御 回路

煙感知器 にお け る塵 埃除 け メッシ ュ 198」 ■12月

島貫

常盤 正之 常盤正之 島貫

島貫

大井昭夫 石川健治 常盤正之

常盤正之 常盤 正之

の 日詰 ま り監視 器 塵埃除けメ ッシ ュの 目詰 ま り監視可 1981年 12月

NO. 1076247

常盤正之

NO。 96932

常盤正之

能 な自己診 断回路付 光電式煙感知装 置 スモ ー クダ ンパ ー システム

1979∠ 隼8月

他 に30件 の特 許登録

264


早稲 田大学大学院理工学研究科

博 士 論文審査報 告書

論文題 目 高度都市機能集積地区における自立型地 区施設 に関す る研究

申請者

茂呂 隆

平成 9年 2月



市 街 地再 開発 にお い て 機 能 を高 度 に集約 した高 度都 市 機 能 集積 地 区 が次 々 と誕 生 し て い るが 、 この 地 区の抱 える 問題 は、周 辺地 区 に比 べ て 供給 処理 機能 へ の負 荷 や 環 境 管 理 ・ 防災管理 へ の要求 が 特 に高 い こ とで あ る。 そ のため 、周 辺 地 区 に比 べ て 大 きな 供給 処理 施設能 力 とそ のた め の 設備投資 を必 要 と して い る 。 一 方 、兵 庫 県南 部 地震 の 実態 にみ る よ う に ライフラ イ ン は非常時 に極 めて 脆弱 で あ る 。本研 究 は、 この よ うな 背 景 か ら、新 た に 開発 され る高 度都 市 機能 集積 地 区 を対 象 に、都 市施設 の 従 来機 能 を 補 完 す る非常 時 に 自立可能 な新 しい 地 区施設 の必 要性 に着 目 し、新 しい 地 区施 設 とそ の 機 能 の必 要性 、高 層集合 住 宅 の垂 直 ユ ー テ イリテ イの社 会 資本化 の 必要性 お よび 自 立型 地 区施設 の 導 入効果 に つ い て研 究 した もので あ る。本研 究 にお い て 、従 来 の都 市 計 画 に なか った 自立型地 区施 設 を新 た に提 案 し、高 度都 市 機 能集積 地 区へ の 導入 効 果 を明 らか に した こ とは、今 後 の 都 市環 境 計画 の新 た な方 向性 を示 した研 究 と して高 く 評価 され る。 第 1章 で は、 「 本研 究 の 位 置 づ け と従 来研 究」 と題 して、 まず 、本研 究 の 位 置 づ け を示 した上 で 、従 来研究 との 違 い を明 らか に して い る。我 が 国 の都 市 で は市 街 地 が広 域 に亘 ってス プ ロ ー ル した結果 、都市 イ ン フラは 巨大 な ネ ッ トワ ー クを形 成 して い る。 そ の ため都市 イ ン フラは非効 率 となった だ けでな く、兵 庫 県 南部 地震 にみ る よ う に災 害 に対 して極 め て脆 弱な状 況 を呈 して い る。本研 究 で は 、 こ れ らの対 策 と して ス プ ロー ル市 街 地 の高層 集 約化 と供 給 処 理 の 自立型 地 区施設 へ の転 換 を提 案 して い る 。 一 方、 従 来研 究 と して都 市 をクラス タ ー化 す る等 の研 究 が な され て い る と して い る。 この よ う に都 市空 間 の 高 層集約化 と高 度都 市機 能集積 地 区 にふ さわ しい 自立型 地 区施設 の 必 要性 が 高 い こ とを指摘 して い る 。 一 方、大都 市 圏 で の最 終 ごみ 処分場不足 や慢 性 的 な 水 不足 、更 には省 エ ネ ル ギ ー の 問題 か らエ ネ ルギ ー ・廃 棄物 ・ 水 系 を総 合 的 に組 み合 わせ た リサ イクル システムの 必 要性 が 高 ま った と して い る。 以上 か ら、現在 の 都市 イ ンフ ラが抱 えて い る 問題 点 を解 決 す るた め に 、高 度都市 機能 集積 地 区 を対 象 と した 自 立型 地 区施設 に 関す る研 究 の 必 要性 が 高 い こ とを明 らか に して い る。 第 2章 で は、 「 高 度住 機能 集積 地 区 にお け る非常 時 自立型 地 区施設構築 の ため の 調 査研 究」 と題 して 、集合住 宅 が 高 度 に集 積 して い る地 区 にお い て 、非常 時 にラ イ フラ イ ン機 能 が 停止 した場合の生 活 機 能 へ の 影響 とそ の対 策 と しての供 給 処理系 自立型 地 区施 設 の 必要性 を明 らか にす るため に、兵 庫 県南部 地震被 災 地 の 高層 集合住 宅 300 戸 の 住 民 を対 象 にア ンケ ー ト調 査 を行 って い る 。そ の結 果 、住 民 が避 難 した最 大 の 理 由 は ラ イフライ ン機能が停 止 し生 活 に支障 を きた した こ とを 明 らか に して い る。 ラ イ フラ イ ンの必要性 で は上水 道 が最 も高 く、電気 、下水 道 の順 に高 い 。 ラ イフラ イ ン停 止 時 の生 活実態 を上 水 道 につ い てみ る と、応急給水 車 が 来 る まで は風 呂、洗 濯 、 トイ レ な ど全 て不足 してお り、水 の 配 給 が 定着 した時期 で は飲 料 、炊 事用水 の不 足 感 は あ る程 度 解消 し、生 活 用水 、雑 用水 の 不足 感 が 目立 った と して い る。以 上 の よ う に、 巨 大 地震 被 災地住民 か らの調査 デ ニ タに基 づ い て集合住 宅 にお い て 、非常 時 自立型 地 区 施 設 の 必要性 が高 い こと を明 らか に した こ とは 、従 来 にな い 実証 的 な成 果 で あ る。


第 3章 で は、「 高 度都 市 機能 集 積 地 区 にお け る 新 しい 地区施 設 の 機 能 に関 す る研 究 」 と題 して 、都市 施 設 へ の 負 荷 が 大 きい 高 度 集積 地 区 にお い て都 市 施設 の 機 能 を補 完 す る地 区 施 設 の新 し い 概 念 とそ の 機 能 を提 案 し、 有 識 者 に対 す る ア ンケ ー ト調 査 か ら導 入 す べ き地 区施設 項 目 とそ の 機 能 を明 らか に して い る 。 そ の 結 果 、 提 案 した地 区施 設 項 目 13項 目の うち導 入 す べ き地 区 施 設 は 、 必 要 性 の 高 い 順 に共 同溝 、 電 力 供 給 、 災 害対 策 、 熱 供給 、 水 供 給 、廃 棄物 処 理 、廃 棄 物 収 集 の 7施 設 で あ った と して い る 。 ま た 、提 案 した 61項 目の うち導 入 す べ き機 能 は 44項 目で 、 そ の 半 数 が 上 位 に 位 置 づ け られ る 非 常 時対 応 機 能 10項 目、 共 同溝 2項 目、都 市 イ ン フ ラ負 荷 軽 減 機 能 4項 目、 未利 用 エ ネ ルギ ー 活 用 機 能 3項 目、 廃 棄 物 管 路 収 集 機 能 3項 目で あ つた と して い る 。 以上 、 新 た に導 入 す べ き地 区施 設 や非 常 時 に地 区 内で対 応 で き る 機 能 の 重 要 性 な ど、 環 境 計 画 の 立場 か ら新 しい 地 区施 設 の あ り方 を提 示 した こ とは 、 従 来 の 都 市 計 画 を補 完 す る もの と して 評 価 で き る 。 第 4章 で は 、「 高 層 集合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リテ イ と戸 建 住 宅 地 区 の 都 市 イ ン フ ラ の LCC比 較 に関 す る研 究 」 と題 して 、 実 在 す る高 層 集 合 住 宅 とそ れ と 同規 模 の 住 戸 数 が あ る 戸 建住 宅 地 区 を比 較 し、 高 層 集 合 住 宅 の 垂 直 ユ ー テ イ リテ イ (共 用 部 縦 シ ャ フ トお よび そ こに 収 容 され る配 管 ・ 配 線 )の 優 位 性 を明 らか に して い る 。戸 建 住 宅 地 区の 都 市 イ ンフ ラ を水 平 ユ ー テ イ リテ イ と定 義 し、水 平 ユー テ イ リテ イ と垂 直 ユ ー テ イ リテ イの モ デ ル を設 定 して初 期 投 資 額 と維 持 管 理 費 を対 象 に LCCを 算 定 して い る 。 そ の 結 果 、垂 直 ユ ー テ イ リテ イは水 平 ユ ー テ イ リテ イに比 べ て LCCが

40%程 度小

さ く経 済 的 で あ る が 、 住 民 の 負 担 は垂 直 の 場 合 は全 て 自己負 担 で あ り、水 平 にお い て 公 共 公 益 事 業 者 が 負 担 して い る 戸 建 住 宅 地 区 に比 べ て 不 公 平 で あ る と して い る 。 ス プ ロ ー ル 市 街 地 の 解 消 の ため垂 直 ユ ー テ イ リテ イは 社 会 資 本化 して 、 公 共 で 建 設 して 維 持 管 理 す べ きで あ る と して い る 。 垂 直 ユ ー テ イ リテ イの 経 済 的 な優 位 性 を示 した研 究 は な く、 今 後 、都 市 にお け る 高密 度 居 住 を推 進 す る に当 た り、 当 を得 た もの と して評 価 に値 す る 。 第 5章 で は 、 「 高 度 都 市 機 能 集積 地 区 の 用 途 構 成 か らみ た 自立 型 地 区施 設 の 導 入 効 果 に関 す る研 究」 と題 して 、高 度 都 市 機 能 集 積 地 区 の 自立 型 地 区 施 設 と して リサ イ ク ル シス テ ム を導 入 した場 合 の 、 地 区 の 用 途 構 成 と一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 の 関係 を分 析 して い る 。高 度 都 市 機能 集積 地 区 の モ デ ル と して、 東 京 23区 の 250mメ

ッシ ュ

内 の 建 物 を集約 した場 合 を想 定 し、 代 表 的 な用 途構 成 を選 定 して 、 リサ イ ク ル シ ス テ ム 導 入 に よる年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 量 を算 定 して い る 。 そ の 結 果 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 削 減 効 果 は大 きい 順 に 、 コー ジ ェ ネ レ ー シ ョンシス テ ム と ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ムの 併 用 シス テ ム 、 コー ジ ェ ネ レ ー シ ョン シス テ ム 、 ごみ 焼 却 廃 熱 利 用 シ ス テ ム と な る こ と を明 らか に して い る 。 また 、 用 途 地 区 で は 宿 泊 用 途 が 最 も大 きい こ と を示 し て い る 。 こ れ らの 成 果 は 、高 度都 市 機 能 集積 地 区 に エ ネ ル ギ ー・ 廃 棄 物 系 の 自立 型 地 区施 設 を導 入 す る た め に役 立 つ もの と して評 価 で きる。


第 6章 で は、 「 都 市 人 口 の 増 加 に お け る人 口密 度 形 態 と環 境 汚 染 度 の 関 連 に 関 す る 分析 」 と題 して 、 日本 の主 要 都 市 の 人 口密 度形 態 を モ デ ル 化 し、 各都 市 の 形 態 と環 境 汚 染 度 を比 較 す る こ とで マ ク ロ 的 に環 境 に寄 与 す る 都 市 を検 討 して い る 。 人 口 密 度 形 態 に つ い て は市 域 面 積 、 DID面 積 、 人 口密 度 、 DID人 口密 度 か らモ デ ル 化 す る手 法 を提 案 し、過 密 度 指標 (人 口密 度 /DID人

口密 度 )を 定 義 した上 で 、 東 京 都 区 部

と 12の 政 令 指 定 都 市 の 人 口 密 度形 態 を モ デ ル 化 ・ 分 類 し、 5つ の 形 態 を示 して い る 。 次 に、 各 都 市 の BOD、

NOx、 SOx、 浮 遊 物 質状 粒 子 測 定 値 の 年 間 平 均 値 は 、 過

密 度 指標 と一 次 相 関性 の 高 い こ とを示 して い る 。 そ の 結 果 、都 市 人 口 の 増 加 が 上 む を 得 な い 場 合 は 、 市 街 地 の ス プ ロー ル を防 ぐた め に も、 周 辺市 街 地 を低 密 度 化 して 中心 市街 地 を高 密 度 化 す る こ と に よつて 良好 な環 境 を維 持 で きる こ と を明 らか に して い る 。 こ れ は 、都 市 環 境 か らみ た都 市 の ク ラ ス タ ー 化 推 進 に整 合 す る もの と して注 目に値 す る。 第 7章 で は 、 「 東 京都 心 R地 区 にお け る水 ・ 廃 棄 物 系 自立 型 地 区施 設 の 導 入 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ」 と題 して 、 東 京都 心 R地 区 を モ デ ル に 、廃 棄 物 排 出量 と上 水 使 用 量 お よび 下水 放 流 量 を削 減 す る 地 区施 設 導 入 に よ る都 市 イ ンフ ラ負 荷 軽 減 効 果 に つ い て ケ ー ス ス タデ イ を行 い 、廃 棄 物排 出量 を 83%、 上 水 使 用量 を 57%、 下水 放 流 量 を

54%削 減 可 能 な こ とを明 らか に して い る 。 また 、 第 2章 で 明 らか に した非 常 時 にお い て 最 も必 要性 が 高 くか つ 不 足 感 が大 きい 生 活 用水 ・ 雑 用水 に つ い て 、 雑 排 水 と雨 水 を利 用 した 中水 供 給 に よる非 常 時 自立 の 可 能 性 に つ い て ケ ー ス ス タデ ィ を行 い 、 7日 間 の 非 常 時 自立 の 可 能 性 を明 示 して い る 。 以 上 よ り、 今 後 の 都 心 居 住 な どの 市 街 地 再 開発 にお い て 、 自立 型 地 区 施 設 導 入 の 有 益 な 資 料 を提 供 した もの と して 意 義 が あ る 。 第 8章 で は 、「 東 京 臨 海 T地 区 にお け る 自立 型 地 区 施 設 導 入 に よる 環 境 負荷 抑 制 効 果 の ケ ー ス ス タデ イ」 と題 して 、東 京 臨 海 T地 区 を モ デ ル に リサ イ ク ル シス テ ム を導 入 す る こ とで 、 高 密 度化 して も環 境 負 荷 量 を現 状 の 範 囲 内 に抑 制 で き る 可 能性 を検 討 して い る 。 こ こ で は 、年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 消 費量 、 年 間 NOx排 出量 、 年 間 SOx排 出量 、 ピー ク エ ネ ル ギ ー負 荷 、 日別 廃 棄 物 負 荷 、 日別 水 負 荷 を環 境 負 荷 の 指標 と して い る 。 そ して、 東 京 臨海 T地 区 の 現状 容積 率 にお け る 環 境 負 荷 量 を算 定 し、 次 に、 容 積 率 を増 加 させ な が らリサ イ ク ル シ ス テ ム を導 入 した場 合 の 環 境 負 荷 量 を算 定 して い る 。 そ の 結 果 、 年 間 一 次 エ ネ ル ギ ー 投 入 量 の 観 点 か ら容 積 率 の 増 加 は現 状 の 40%増 が 限界 で あ る こ と を明 らか に した こ とは 、都 市 成 長 の 限 界 を示 した指標 と して 評 価 に 値 す る。

第 9章 で は、「 結論 と展 望 」 と題 して、各 章 にお け る結論 を要 約 した上 で 、今 後 の 高度都 市 機 能集積 地 区にお け る 自立型 地 区施設 の あ り方 を展 望 して い る 。 以上 を要 約す る に、本論 文 は、従 来 の都市 計画 になか った 自立 型地 区施設 と そ の 機 能 を提 案 し、 これ を高度都 市 機能集積 地 区 に導 入 した場 合 の 各種 効 果 に つ い て 定 量 的


な実証 を与 えた もので あ る 。 本研 究論 文 は 、今 後 の都市 環境 工 学 の 発展 に寄与 す る と こ ろ大 なる もので あ り、博 士 (工 学 )の 学位 を授 与す る に値す る もの と認 め られ る。 平 成 9年 2月

審査員 (主 査 )早 稲 田大学理 工 学 部教授

尾 島俊 雄

早稲 田大 学理 工 学 部教授

工 学博 士 (早 大 ) 工 学博士 (早 大 )

早稲 田大 学理 工 学 部教授

工 学博 士 (早 大 )

渡辺仁 史

工 学博 士 (早 大 )

石福

木 村建 一

早稲 田大学大学 院 理 工 学研 究科 客 員 教授

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