2004 年度卒業論文
テイクアウト時における屋外飲食空間の利用実態に関する研究
早稲田大学理工学部建築学科 1G01D079-5 近藤 大地
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はじめに
はじめに
私 た ち の 習 慣・ 文 化 は 日 々 変 化 を し て お り、 そ れ に 従 っ て 飲 食 行 為 も 変 化 し て い る。 本 来、 飲 食 行 為 の 目 的 と は 空 腹 満 た す こ と が 主 で あ っ た。 し か し 今 で は 楽 し む こ と や、 休 息 す る こ と を 目 的 と し た 飲 食 店 の 利 用 が 増 え て い る。 飲 食 店 側 は 客 の 需 要 に合わせた快適に飲食を行うことのできる空間を用意する必要 が あ る 一 方 で、 地 価 の 高 い 都 心 の 商 業 地 に お い て は 店 舗 ス ペ ー ス も 限 ら れ て し ま う た め、 休 日 な ど の 混 雑 時 に は 客 席 の 不 足 に よって実際の店舗来店者の数よりも利用者の数が減ってしまう 状況がある。 そ の よ う な 問 題 に 対 し、 柔 軟 に 対 応 で き る の が テ イ ク ア ウ ト シ ス テ ム を 持 つ 飲 食 店 で あ る。 こ の 様 な 店 舗 で は、 屋 外 空 間 を 上手く利用することによって実質客席数の増加や宣伝効果など を 生 み 出 し て い る。 こ の よ う な テ イ ク ア ウ ト シ ス テ ム を 持 つ 飲 食 店 の 中 で、 全 く 同 じ 物 を 売 っ て い る チ ェ ー ン 店 舗 で あ っ て も 屋 外 空 間 が 使 わ れ て い る 店 舗 と 使 わ れ て い な い 店 舗 が あ る。 こ の 違 い の 要 因 を 解 明 す る た め に、 テ イ ク ア ウ ト シ ス テ ム を 持 っ た店舗を対象として取り上げ、研究を行うこととした。
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1� 序論
第 1 章 序論
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1� 序論
1-1 研究目的
本 研 究 で は、 テ イ ク ア ウ ト 飲 食 時 に お い て 利 用 者 の 属 性 、 平 日・ 休 日 の 混 雑 状 況 の 違 い お よ び 店 舗 の 備 品 や 屋 外 空 間 の 環 境 の違いが飲食者の行動に及ぼす影響を明らかにする事を目的と し、 テ イ ク ア ウ ト シ ス テ ム を 持 っ た 飲 食 店 の 施 設 計 画 に 役 立 て る。
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1� 序論
1-2 研究背景 1-2-1 テイクアウト店の出店計画の現状
現在テイクアウト飲食店を出店する際に、出店の選定基準と なっているものがどのようなものかを調査対象のテイクアウト 店にヒアリングを行った。 出店計画の基本は普通の飲食店と同様にマーケティングの視 点 か ら 数 字 に よ っ て 表 せ る も の は す べ て 数 値 で 定 量 的 に 表 し、 その総合評価によって決定されている。 都市については、その都市の地価、同業種の他店舗との位置 関係(一見、個々に分散させた方が良いと思われがちだが、何 店舗かが同じ場所に出店することによってスケールメリットを 出すことが良いとされている)都市の経済状況、周辺の店舗の 種類などがあげられた。 人 間 に つ い て は、 店 舗 の 前 の 通 り の 交 通 量、 対 象 客 層 人 口、 対象客層の経済状況などがあげられる。 建築空間については、対象客層の店舗の外装デザインからベ ン チ や ゴ ミ 箱 な ど の 備 品 の 配 置 な ど に 関 し て は 数 量 か ら 向 き、 位置関係まで詳しい研究がなされている。 屋外空間に関しては感覚的に有効性が認められている一方 で、屋外空間を定量的に評価したものが無いというのが現状で ある。ファミリーレストランの様に店内に客席を構える飲食店 がマーケティングの視点から客席を評価するのと同様に、テイ クアウト飲食店が屋外飲食空間を「客席」として捉え、それを 評価する必要があると考えられる。
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1� 序論
1-2-2 客席の評価方法
現在店内に客席を構えている飲食店は客席をマーケティング の視点から評価しているが実際にどうような項目によって評価 されているかを Sayko Corporation というフードコンサルティ ング会社が掲載する総合フードビジネスマガジンから調べた。 [ 客数 ] 営 業 時 間 中 に 来 店 し た 顧 客 の 数。 客 数 と は 来 店 組 数 に 同 伴 人 数 を 掛 け 合 わ せ た 物 を い う。POS 等 を 使 用 す る 場 合 に は 同 伴 人 数 を 入 力 し な い と 正 確 な 客 数 が 出 な い。 組 数 を 客 数 と 言 う 場 合 が 多く、同伴人数の数により組み当たりの客単価が変化する。
[ 客席回転率 ] 1 時 間 当 た り の 客 席 の 利 用 度 を 言 う。 客 が 席 に つ い て 食 事 を 終 わ っ て 出 る ま で 30 分 か か っ た ら、 そ の 客 席 の 1 時 間 の 回 転 率 は 2 回 転 と な る。 客 単 価 が 500 円、 4 人 掛 け が 2 5 席、 合 計 100席ある場合は、1時間の売り上げは 100、000 円となる。 し か し、 客 の 同 伴 人 数 は 何 時 も 4 人 と は 限 ら な い。 同 伴 人 数 が 平 均 2 名 な ら 同 じ 客 席 回 転 率 で も 売 り 上 げ は 半 減 し、50、000 円となってしまう。
[ 満席率 ] 相席をさせない状態で全てのテーブルに客がいる状態の総客数 を 総 客 席 数 で 割 っ た 数 字。 総 席 数 1 0 0 席 で 満 席 時 の 客 が 5 0 人 で あ れ ば 50% と い う。 客 席 テ ー ブ ル レ シ オ( テ ー ブ ル あ た りの椅子数)が4で客同伴人数が4であれば稼働率は100% と な る が、 同 伴 人 数 が 2 で あ れ ば 5 0 % に し か な ら ず、 時 間 帯 売 り 上 げ は 半 分 と な る。 客 席 稼 働 率 を 高 め る に は 客 席 テ ー ブ ル レシオと客同伴人数の数値が同じになるようにレイアウトを作 る。
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1� 序論
[ 客同伴人数 ] 客席テーブルレシオを決定する要素として客同伴人数を考慮す る。 同 伴 人 数 は 時 代 の 変 遷 と 立 地、 業 種 に よ り 異 な る。 定 期 的 に 調 査 を し、 そ れ に 見 合 っ た 客 席 テ ー ブ ル レ シ オ を 設 定 す る こ とにより売り上げを最大限確保できる。
[ テーブルレシオ ] 総 客 数 を 総 テ ー ブ ル 数 で 割 っ た 数 字。 従 来 は 一 つ の テ ー ブ ル に 4 席 が 標 準 で あ っ た が、 世 帯 当 た り の 人 数 が 3 に 近 く な り、 単 身者の数値が増加している現状ではこの数値はなるべく低くす る 必 要 が あ り、 業 種 と 立 地 に よ り 異 な る。 駅 前 立 地 で は 1 人 ま たは2人客が圧倒的に多く、テーブルレシオは2が望ましいが、 郊外型では3ー4人客が多いのでレシオは4が望ましい。また、 平日は2人客が多いが土日は親子連れが多いので客席テーブル レシオを変えられるようにしておくと良い。
[ 客席レイアウト ] 店 舗 を 計 画 す る 時、 来 店 客 予 測 に 基 づ き、 客 席 の 位 置、 数、 照 明などを計画すること。客席回転率、客席稼働率、客同伴人数、 客 席 テ ー ブ ル レ シ オ、 な ど の 数 値 を 考 慮 し、 同 一 の 客 席 面 積 で 最 大 限 の 売 り 上 げ を 達 成 で き る よ う に す る。 ま た、 ゾ ー ニ ン グ も 重 要 で 厨 房 か ら の 導 線、 客 の 導 線 を 見 な が ら、 サ ー ビ ン グ タ イムが最小限になるようにする。
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1� 序論
1-3 本論で用いる語句の定義
◆テイクアウト店 店が管理している飲食する場所がベンチや立食用テーブルなど の備品のみ、またはそのような備品も持たない屋外空間に依存し た 狭 小 な 店 舗 を 対 象 と し、 フ ァ ス ト フ ー ド 店 の よ う に 店 内 に 客 席 を 構 え、 テ イ ク ア ウ ト と 店 内 飲 食( イ ー ト イ ン ) の 選 択 が 可 能 な 店舗は対象としていない。
◆飲食空間 飲食空間とは屋外空間と立食テーブルやベンチなどの備品環境 の 両 方 を 含 め た テ イ ク ア ウ ト 者 が 飲 食 を 行 う 場 所 の こ と を 指 し、 姿勢、滞留物、受け取り点からの距離によって表される。
◆飲食物 飲 食 物 の 種 類 を 大 き く 3 つ に 分 類 す る。 紙 で 飲 食 物 を 包 ん で い る も の を 包 み 紙 系、 飲 み 物 用 の 容 器 を ド リ ン ク 系、 箸 や 串 を 使 っ て食べるものを皿系とする。
◆行動パターン(移動型・滞留型) 店 舗 周 辺 の 可 視 範 囲 内 に 滞 留 を し た テ イ ク ア ウ ト 者 を 滞 留 型、 可 視 範 囲 外 に 滞 留、 も し く は そ の ま ま 都 市 を 回 遊 し、 食 べ 歩 き、 持 ち 帰 り を し た テ イ ク ア ウ ト 者 を 移 動 型 と す る。 可 視 範 囲 内 と い う 範 囲 を 決 め た 理 由 に つ い て は 、 店 舗 利 用 者 は 飲 食 物 を 買 う 前、 も し く は 受 け 取 っ た 直 後 に、 食 べ 歩 き を す る か、 ど こ か に 座 っ て 食 べ る か を 決 定 す る た め、 店 舗 周 辺 の 可 視 範 囲 内 の 飲 食 空 間 が 店 舗にとって直接影響をしていると考えられるからである。
◆滞留物 滞 留 を し て 飲 食 を 行 う 際 に 飲 食 者 が 腰 を か け る、 ま た は 立 つ 場 所やもののこと。
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1� 序論
◆滞留時間 飲 食 空 間 に 滞 留 し て か ら、 飲 食 行 動 を 済 ま せ、 そ の 場 を 離 れ る ま での時間を指す。
◆滞留率 利用者全組に対する滞留型の比率を指す。
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1� 序論
1- 4 研究の流れ 以下の手順で研究を行った。(図 1-2)
図1−2
ヒアリング・文献調査
飲食物に着目 追跡調査①
調査結果から見た飲食物に対する分析
調査対象店舗の決定
飲食空間に着目 追跡調査②
サンプルの特徴別に分析
実測調査
平日・休日別に分析
飲食空間別に分析
行動パターン・飲食空間の選択・滞留時間に対する考察
まとめ
図1-2 研究フローチャート
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2 調査方法
第 2 章 調査方法
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2 調査方法
2-1 ヒアリング調査
実際にテイクアウト店に行き、屋外空間に対する意識を中心に、 飲食物の異なる3店鋪を対象とし、ヒアリング調査を行った。
■ヒアリング項目 1 屋外空間に対する意識 2 店舗利用者の行動
■対象店鋪 1 新宿モザイク坂 マリオンクレープ(包み紙系 クレープ屋) 2 渋 谷 駅 西 口 ス タ ー バ ッ ク ス( ド リ ン ク 系 カ フ ェ( 店 内 飲 食 空 間無し)) 3 原宿キャットストリート 第八蛸華丸(皿系 たこ焼き屋)
■調査日時 ・平成16年6月29日(火) ・平成16年6月30日(水)
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2 調査方法
2-1-1 ヒアリング結果
どのような屋外空間がテイクアウト店舗に対し、どの程 度貢献しているのかということに関して対象飲食店にヒア リングを行った。 ヒアリングの結果、特に新宿モザイク坂のクレープ屋で は強く意識されていた。この店舗では備品のベンチに座る よりも、階段や舞台に座って食べるという習慣があり、ク レープ屋にとって屋外空間が貢献していることが言える。 ドリンク系の渋谷スターバックスでは飲み歩き行動が基 本で、施設への持ち込みや、都市を回遊しながら飲食を行 う人が多く屋外の飲食空間に対する意識は低い様である。 皿系の原宿のたこ焼き屋では、基本的に店の前にあるベ ンチや椅子といった備品環境に対する依存が高いが、店が 混雑状況になるとガードレールに滞留し、飲食を行う人が 現れ、混雑状況になると屋外空間が使われるようである。
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2 調査方法
2-2 飲食物に着目した追跡調査
ヒ ア リ ン グ 調 査 の 結 果 を 受 け て、 店 鋪 側 の 意 識 で 有 効 性 が 見 られた屋外空間を実際に店鋪利用者がどのように使っているの か と い う 利 用 実 態 を 把 握 す る た め に、 ヒ ア リ ン グ 調 査 対 象 店 鋪 に 対 し、 飲 食 空 間 の 選 択 が あ る 程 度 自 由 な 平 日 と 混 雑 に よ っ て 飲食空間の選択に制限がかかる休日に分けて、店舗利用者に対 して追跡調査を行った。 ■調査項目 1. 飲食物(①包み紙系 ②ドリンク系 ③皿系) 2. 利用者の特徴 2̶1. 性別(①男性 ②女性 ③混合) 2̶2, 属性(①若者 ②社会人 ③家族) 2−3. グループ構成(①1人 ②2人 ③3人以上) 2 − 2 の サ ン プ ル の 属 性 に つ い て は 目 視 か ら 判 断 を 行 い、 服 装、 顔 な ど 外 見 か ら 明 ら か に 2 0 代 後 半 以 上 の 年 齢 で あ る と 判 断 で き る 場 合 を 社 会 人 と し、 そ れ 以 外 の 利 用 者 を 若 者 と す る。 ま た 子 供 と 大 人 が 一 緒 の 組 に な っ て い る 場 合 は 家 族 と す る。 高 齢者と子供については単独での利用者がいなかったので入って いない。
3. 行動パターン(①滞留型 ②移動型)
4. 飲食空間(ベンチ、ガードレール、階段など) 4−1姿勢(①座り ②立ち) 4−2滞留物(ベンチ、階段、ガードレール、壁など)
5. 滞留時間(滞留してからその場を離れるまで)
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2 調査方法
■ 対象店鋪 1 新宿モザイク坂 マリオンクレープ(包み紙系 クレープ屋) 2 渋谷 駅西口 スタ ーバックス(ド リンク系 カフ ェ( 店内飲 食空 間無し)) 3 原宿キャットストリート 第八蛸華丸(皿系 たこ焼き屋)
■対象者 3 店 舗 の 各 店 舗 に つ き 平 日 2 0 組、 休 日 5 0 組 の 合 計 2 1 0 組の店舗利用者を対象とした。
■ 調査日時 ・平成16年 7 日 8 日木)∼7月11日(日)の4日間
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2 調査方法
2-3 飲食空間に着目した追跡・実測調査
ヒアリング調査と飲食物に着目した追跡調査の結果を受け て、飲食空間に着目した追跡・実測調査を行った。 屋外空間の利用が積極的に見られた新宿のマリオンクレープ の チ ェ ー ン 店 を 調 査 対 象 と し、 飲 食 空 間 の セ ッ テ ィ ン グ が 異 な る 4 店 鋪 を 調 査 対 象 に 追 加 し、 計 5 店 鋪 の 追 跡・ 実 測 調 査 を 行 った。
■調査項目 追跡調査の調査項目は飲食空間に着目した追跡調査の場合と 同 じ で、 そ れ に 加 え て 受 け 取 り 点 か ら 飲 食 空 間 の ま で の 距 離 を 測るために実測調査を行った。
■対象店鋪 1 新宿モザイク坂店 2 新宿 TAITOO 店 3 渋谷 BEAM 店 4 渋谷スペイン坂店 5 原宿竹下通り店
■対象者 飲 食 物 に 着 目 し た 調 査 の 時 と 同 様 に、 追 加 分 の 4 店 舗 の 各 店 舗 に つ き 平 日 2 0 組、 休 日 5 0 組 の 合 計 2 8 0 組 の 店 舗 利 用 者 を対象とした。
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2 調査方法
■調査日時 ◇追跡調査 ・平成16年9月18日(木)∼9月23日(日)の6日間 ◇実測調査 ・平成16年10日13日(水) ・平成16年10月14日(木)
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3 調査結果
第3章 調査結果
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3 調査結果
3-1 飲食物に着目した追跡調査の結果 3-1-1 飲食物別に見た利用実態
飲食物別の調査の結果は各店舗のヒアリングで得た調査結果と一致し た。 ド リ ン ク 系 の 渋 谷 ス タ ー バ ッ ク ス で は 平 日、 休 日 と も に 移 動 型 の 行 動 パ タ ー ン が 多 く、 渋 谷 マ リ オ ン で は 備 品 環 境、 屋 外 空 間 へ の 利 用 が 見 ら れ た。 原 宿 た こ 焼 き 屋 で は 利 用 者 の 全 員 が 滞 留 型 で あ る 一 方 で 屋 外 空 間への利用は休日の混雑時のみとなっている。(図 3-1 3-2) 図 3-1
100% 90% 80% 70% 60%
移動
50%
備品
40%
屋外空間
30% 20% 10% 0% 渋谷スターバックス
新宿マリオン
原宿たこ焼き屋
店舗名
図 3-1 平日の飲食空間の利用状況の違い 図 3-2
100% 90% 80% 70% 60%
移動
50%
備品
40%
屋外空間
30% 20% 10% 0% 渋谷スターバックス
新宿マリオン
原宿たこ焼き屋
店舗名
図 3-2 休日の飲食空間の利用状況の違い 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
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3� 調査結果
3-1-2 調査対象店舗の決定
屋 外 空 間 の 利 用 実 態 を 飲 食 物 別 に 見 た 時、 店 舗 側 の 意 識 と 実 際の利用率が共に包み紙系の新宿マリオン(販売物:クレープ) が一番高かった。(表 3-1) 屋外空間の積極的な利用が見られた新宿マリオンの飲食空間 の 異 な る テ ェ ー ン 店 を 対 象 店 舗 と し、 飲 食 空 間 に 着 目 し た 追 跡 調査を行うことを決定した。
表 3-1
表 3-1 販売物別に見た屋外空間の利用状況 飲食物別に見た屋外空間の利用組数 平日
渋谷スターバックス
移動型
移動
滞留型
備品 屋外空間
休日 移動
滞留型
備品 屋外空間
原宿たこ焼き屋 8
0
0 2
7 5
20 0
渋谷スターバックス
移動型
新宿マリオン
18
新宿マリオン
原宿たこ焼き屋
41
9
0
0 9
19 22
47 3
飲食物別に見た屋外空間の利用率 平日
渋谷スターバックス
移動型
移動率
滞留型
屋外空間の利用率 備品の利用率
休日 移動率
滞留型
屋外空間の利用率 備品の利用率
原宿たこ焼き屋
40%
0%
0%
35%
100%
10% 渋谷スターバックス
移動型
新宿マリオン
90%
25% 新宿マリオン
0% 原宿たこ焼き屋
82%
18%
0%
0%
38%
94%
18%
44%
6%
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3 調査結果
3- 2 飲食空間に着目した追跡調査・実測調査の結果 3-2-1 利用者の属性別に見た利用実態
利 用 者 の 属 性 を 属 性・ 性 別・ 人 数 構 成 の 3 項 目 か ら 分 類 を 行 い、 は じ め に 各 店 舗 ご と の 利 用 者 の 属 性 を 調 べ、 次 に そ れ ぞ れ の 属 性 の 項 目 ご と に行動パターン、滞留物の選択、滞留時間との関係を調べた。
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3 調査結果
□ 3-2-1-1 利用者の属性の構成について
飲食空間の利用状況を調べる前に、店舗ごとにどのような属性を持った 利用者が来ているのかを各店舗ごとに調べた。 その結果どの店舗でも属性ごとに多少のばらつきはあるものの、同じよ うな傾向が見られた。 年齢では共通して若者が多く、性別では女性と混合が多く、人数構成で は二人組が多かった。(図 3-3 3-4 3-5 参照) ま た 全 体 の 利 用 者 数 か ら 見 た 属 性 の 組 み 合 わ せ の で も、 若 者 ー 混 合 ー 2 人 と 若 者 ー 女 性 ー 2 人 だ け で も 約 半 数 近 く を 占 め て い る。( 図 3-6 表 3-2) 以上の点からクレープ屋において利用者の属性はある程度固定的であ り、利用者の属性は店舗差からの影響は少ないということが分かる。
図 3-3 新宿モザイク坂
新宿TAITOO
渋谷BEAM
若者 社会人 家族
渋谷スペイン坂
原宿竹下通り
0
10
20
30
40
50
60
70
利用組数
図 3-3 年齢別に見た各店舗の利用者数
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3 調査結果
図 3-4 新宿モザイク坂
新宿TAITOO
男性
渋谷BEAM
女性 混合 渋谷スペイン坂
原宿竹下通り
0
10
20
30
40
50
利用組数
図 3-4 性別別に見た各店舗の利用者数
図 3-5 新宿モザイク坂
新宿TAITOO
1人 渋谷BEAM
2人 3人≦
渋谷スペイン坂
原宿竹下通り
0
10
20
30
40
50
60
利用組数
図 3-5 人数構成別に見た各店舗の利用者数
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3 調査結果
13%
図 3-6
25% 4% 4% 4%
5% 5% 22%
6% 12%
2人 混合 若者
2人 女性 若者
3人≦ 女性 若者
2人 混合 社会人
1人 女性 若者
1人 女性 社会人
2人 女性 社会人
1人 男性 若者
2人 男性 若者
その他
図3-6 利用者の属性の構成比率
表 3-2 構成比率順の利用者の属性の組み合わせ 表 3-2
利用者数順特徴の組み合わせ 年齢
性別
人数構成
利用者数
構成比率
若者
混合
2人
87
25%
若者 若者
女性 女性
2人 3人≦
78 42
22% 12%
社会人
混合
2人
20
6%
若者
女性
1人
19
5%
社会人 社会人
女性 女性
1人 2人
17 14
5% 4%
若者 若者 若者
男性 男性 混合
1人 2人 3人≦
14 13 11
4% 4% 3%
親子
女性
2人
9
3%
親子
混合
3人≦
7
2%
社会人 若者 親子
男性 男性 女性
1人 3人≦ 3人≦
6 5 4
2% 1% 1%
親子
混合
2人
2
1%
社会人
混合
3人≦
2
1%
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3 調査結果
□ 3-2-1-2 利用者の属性による滞留率の違いについて
滞留率について見てみると ・年齢では若者<社会人<親子の順番で高くなっている。(図 3-7) ・性別では男<女<混合の順番で高くなっている。(図 3-8) ・人数構成では1人<3人以上<2人の順で高くなっている。(図 3-9)
100%
図 3-7
90% 80% 70% 60%
移動型
50%
滞留型
40% 30% 20% 10% 0%
若者
社会人
親子
図3-7 利用者の年齢と滞留率の関係
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3 調査結果
図 3-8
100% 90% 80% 70% 60%
移動型
50%
滞留型
40% 30% 20% 10% 0%
男性
女性
混合
図3-8 利用者の性別と滞留率の関係
図 3-9
100% 90% 80% 70% 60%
移動型
50%
滞留型
40% 30% 20% 10% 0%
1人
2人
3人≦
図3-9 利用者の人数構成と滞留率の関係
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3 調査結果
□ 3-2-1-3 利用者の属性による姿勢の選択の違いについて
滞留空間の選択を姿勢別で見てみると ・ 年 齢 で は 大 き な 差 は 見 ら れ ず 若 干 社 会 人 の 方 が 立 ち 姿 勢 が 多 い。( 図 3 -10) ・ 性 別 で も あ ま り 大 き な 開 き は 見 ら れ な い が 若 干 女 性 が 立 ち 姿 勢 が 多 い (図 3-11) ・人数構成では1人<3人以上<2人の順で高くなっている。(図 3-12)
図 3-10
100% 90% 80% 70% 60%
立ち
50%
座り
40% 30% 20% 10% 0%
若者
社会人
親子
年齢
図3-10 利用者の年齢と飲食時の姿勢の関係
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3 調査結果
図 3-11
100% 90% 80% 70% 60%
立ち
50%
座り
40% 30% 20% 10% 0%
男性
女性
混合
性別 図3-11 利用者の性別と飲食時の姿勢の関係
図 3-12
100% 90% 80% 70% 60%
立ち
50%
座り
40% 30% 20% 10% 0%
1人
2人
3人≦
人数構成
図3-12 利用者の人数構成と飲食時の姿勢の関係
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3 調査結果
□ 3-2-1-4 利用者の属性による備品と公共空間の選択の違いについて
滞留物について備品と公共空間別に見てみると 滞留物について備品と公共空間別に見てみると ・ 年 齢 で は 親 子 < 若 者 < 社 会 人 の 順 番 で 備 品 の 利 用 率 が 高 く な っ て い る。 (図 3-13) ・ 性 別 で は 女 性 と 混 合 が ほ と ん ど 一 緒 で 男 性 の 時、 備 品 の 利 用 率 が 高 い。 (図 3-14) ・人数構成では3人以上<2人<1人の順で備品の利用率が高くなってい る。(図 3-15)
図 3-13
100% 90% 80% 70%
段差
60%
ストリートファニチュア 50%
背面に壁など ベンチ(備品)
40%
立食テーブル(備品)
30% 20% 10% 0%
若者
社会人
親子
年齢
図3-13 利用者の年齢と飲食空間選択の関係
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3 調査結果
図 3-14
100% 90% 80% 70%
段差
60%
ストリートファニチュア
50%
背面に壁など ベンチ(備品)
40%
立食テーブル(備品)
30% 20% 10% 0%
男性
女性
混合
性別
図3-14 利用者の性別と飲食空間選択の関係
図 3-15
100% 90% 80% 70%
段差
60%
ストリートファニチュア
50%
背面に壁など ベンチ(備品)
40%
立食テーブル(備品)
30% 20% 10% 0%
1人
2人
3人≦
人数構成
図3-15 利用者の年齢と飲食空間選択の関係
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
21
3 調査結果
□ 3-2-1-5 利用者の属性による滞留時間の違いについて
滞留時間について見てみると ・ 年 齢 で は 若 者 < 親 子 < 社 会 人 の 順 番 で 滞 留 時 間 が 高 く な っ て い る。( 図 3-16) ・ 性 別 で は 男 性 < 女 性 < 混 合 の 順 番 で 滞 留 時 間 が 高 く な っ て い る。( 図 3-17) ・ 人 数 構 成 で は 1 人 < 2 人 < 3 人 以 上 の 順 で 滞 留 時 間 が 高 く な っ て い る。 (図 3-18) ・平均時間で見てみても同じ結果が得られる。(図3-19 図 3-20)
座り 立ち 図 3-16
100% 90% 80% 70%
30~ 60%
25~30 20~25
50%
15~20 40%
10~15 5~10
30%
0~5(分) 20% 10% 0%
若者
社会人
家族
若者
社会人
家族
図3-16 利用者の年齢と座り・立ち別の滞留時間の関係
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
22
3 調査結果
座り 立ち 図 3-17
100% 90% 80% 70%
30~ 25~30
60%
20~25
50%
15~20
X
40%
10~15 5~10
30%
0~5(分)
20% 10% 0%
男性
女性
混合
男性
女性
混合
図3-17 利用者の性別と座り・立ち別の滞留時間の関係
座り 立ち 図 3-18
100% 90% 80% 70%
30~ 25~30
60%
20~25
50%
15~20
40%
10~15
30%
5~10 0~5(分)
20% 10% 0%
1人
2人
3人≦
1人
2人
3人≦
図3-18 利用者の人数構成と座り・立ち別の滞留時間の関係
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
23
3 調査結果
図 3-19
9 8 7 6 5 平均滞留時間 4 3 2 1 0 若者
社会人 親子
男性
女性
混合
1人
2人
3人≦
属性
図3-19 立ち姿勢での属性別に見た平均滞留時間
18
図 3-20
16 14 12 10 平均滞留時間 8 6 4 2 0 若者 社会人 親子
男性
女性
混合
1人
2人
3人≦
属性
図3-20 座り姿勢での属性別に見た平均滞留時間
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
24
調査結果
3-2-2 平日・休日別に見た利用実態
混 雑 状 況 の 異 な る 平 日、 休 日 別 に 結 果 を 分 析 し、 そ れ ぞ れ の 日 ご と に 行 動 パ タ ー ン、 滞 留 率 の 選 択、 滞 留 時 間 と の 関 係 に つ い て 各 店 舗 ご と に 調べた。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
1
3 調査結果
□ 3-2-2-1 平日と休日別の滞留率の違いについて
滞留率について見てみると ・ 全 5 店 鋪 中、 渋 谷 ス ペ イ ン 坂 店 を 除 い た 4 店 鋪 が 1 0 % か ら 2 0 % 程 滞 留率が上昇している。 ・全体的な傾向として、休日より平日の方が滞留率が高いことが言える。 ・ 渋 谷 の ス ペ イ ン 坂 店 に 関 し て は、 飲 食 空 間 が す べ て 屋 外 空 間 で あ り、 座 れ る 空 間 が パ ル コ 前 の 置 き 物 だ け で あ る こ と が 原 因 と 考 え ら れ る。 ( 図 3-21)
滞留型
図 3-21
移動型
新宿モザイク通り 平日 新宿モザイク通り 休日
新宿TAITO 平日 新宿TAITO 休日
渋谷BEAM前 平日 渋谷BEAM前 休日
渋谷スペイン坂 平日 渋谷スペイン坂 休日
原宿竹下通り 平日 原宿竹下通り 休日 0%
20%
40%
60%
80%
100%
図 3-21 各店鋪ごとの平日と休日別の滞留率
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
2
3 調査結果
□ 3-2-2-2 平日と休日別の姿勢の選択の違いについて
滞留空間の選択を姿勢別で見てみると ・ 全 5 店 鋪 中、 原 宿 竹 下 通 り 店 を 除 い た 4 店 鋪 が 立 ち 姿 勢 の 選 択 が 上 が っ ている。 ・店鋪の環境 セッティングごとに大きく立ちと座りの比率が変化する。(図 3-22)
座り
図 3-22
立ち
新宿モザイク通り 平日 新宿モザイク通り 休日
新宿TAITO 平日 新宿TAITO 休日
渋谷BEAM前 平日 渋谷BEAM前 休日
渋谷スペイン坂 平日 渋谷スペイン坂 休日
原宿竹下通り 平日 原宿竹下通り 休日
0%
20%
40%
60%
80%
100%
図 3-22 各店鋪ごとの平日と休日別の姿勢
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
3
3 調査結果
□ 3-2-2-3 平日と休日別の備品と公共空間の選択の違いについて
飲食空間の選択を備品と公共空間別に見てみると ・備品環境の用意された3店鋪では休日になると屋外空間が利用されるよ うになっている。 ・屋外空間の 中でも壁などを背に飲食するする人が休日に増えている。(図 -23)
図 3-23
立食テーブル(備品) ストリートファニチュア
ベンチ(備品) 段差
壁
新宿モザイク通り 平日 新宿モザイク通り 休日
新宿TAITO 平日 新宿TAITO 休日
渋谷BEAM前 平日 渋谷BEAM前 休日
渋谷スペイン坂 平日 渋谷スペイン坂 休日
原宿竹下通り 平日 原宿竹下通り 休日 0%
20%
40%
60%
80%
100%
図3-23 各店鋪ごとの平日と休日別の備品と公共空間の利 3 率
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
4
3 調査結果
□ 3-2-2-4 平日と休日別の滞留時間の違いについて
滞留時間について見てみると ・基本的に立ち姿勢よりも座り姿勢の方が滞留時間が長いのでそれぞれの 姿勢ごとに分類する。(図 3-24) ・ 立 ち、 座 り 姿 勢 共 に 休 日 の 方 が 滞 留 時 間 の 長 い 利 用 者 が 増 え る 傾 向 が あ る。(3-24) ・座り姿勢での休日では30分以上の利用者が発生している。(図 3-26)
立ち
図 3-24
座り
原宿竹下通り 休日 原宿竹下通り 平日
渋谷スペイン坂 休日 渋谷スペイン坂 平日
渋谷BEAM前 休日 渋谷BEAM前 平日
新宿TAITO 休日 新宿TAITO 平日
新宿モザイク通り 休日 新宿モザイク通り 平日 0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
平均滞留時間(分)
図3-24 各店鋪ごとの平日と休日別の平均滞留時間
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
5
3 調査結果
図 3-25
0~5(分)
5~10
10~15
新宿モザイク通り 平日 新宿モザイク通り 休日
新宿TAITO 平日 新宿TAITO 休日
渋谷BEAM前 平日 渋谷BEAM前 休日
渋谷スペイン坂 平日 渋谷スペイン坂 休日
原宿竹下通り 平日 原宿竹下通り 休日 0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
図3-25 立ち姿勢での各店鋪ごとの平日と休日別の滞留時間分
図 3-26
0~5(分)
5~10
10~15
15~20
20~25
25~30
30~
新宿モザイク通り 平日 新宿モザイク通り 休日
新宿TAITO 平日 新宿TAITO 休日
渋谷BEAM前 平日 渋谷BEAM前 休日
渋谷スペイン坂 平日 渋谷スペイン坂 休日
原宿竹下通り 平日 原宿竹下通り 休日 0%
20%
40%
60%
80%
100%
図3-26 座り姿勢での各店鋪ごとの平日と休日別の滞留時間分布
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
6
調査結果
3-2-3 飲食空間別に見た利用実態
飲 食 空 間 の 環 境 が 異 な る そ れ ぞ れ の 店 舗 に 対 し、 そ の 組 み 合 わ せ に よ る 滞 留 率 の 変 化 と、 飲 食 空 間 の 選 択 を、 滞 留 物 の 姿 勢 と 距 離 か ら 比 較 を 行 う。 ま た そ れ ぞ れ の 飲 食 空 間 に 座 っ た と き の 滞 留 時 間 の 変 化 に つ い て も調べた。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
1
3 調査結果
□ 3-2-3-1 飲食空間別の滞留率の違いについて
飲食空間の選択が自由な平日の滞留率を見てみると ・座り姿勢の飲食空間が揃っている店舗の方が滞留率が高い。(図 3-27) ・備品環境の全くない環境にある渋谷のスペイン坂と原宿竹下通りはほと んど滞留率が同じである。(表 3-3)
滞留型
図 3-27
移動型
新宿モザイク通り 平日
新宿TAITO 平日
渋谷BEAM前 平日
渋谷スペイン坂 平日
原宿竹下通り 平日
0%
20%
40%
60%
80%
100%
図 3-27 各店鋪ごとの平日の滞留率
表 3-3
表 3-3 各店舗の飲食空間の環境 ベンチ(備品)
立食テーブル(備品)
ストリートファニチュア
段差
壁などを背面に
新宿モザイク通り
◎
○
×
○
○
新宿TAITO
×
○
○
○
◎
渋谷BEAM前
◎
×
○
×
○
渋谷スペイン坂
×
×
◎
○
○
原宿竹下通り
×
×
×
○
◎
◎ : 一番利用率が高い飲食空間 ○ : 使われている飲食空間 × : 使われていないもしくは無い飲食空間
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2
3 調査結果
□ 3-3-3-2 滞留物の姿勢と距離から見た利用者数の違いについて
滞留空間の選択を姿勢と距離別に見るため距離の近い順から並べると ・渋谷スペイン坂では一番離れているパルコ前のベンチが一番利用されて いるので距離は関係なく姿勢によって利用が決められている事が分か る。(図 3-31) ・同じ姿勢の滞留空間でも距離による飲食空間の選択への影響はほとんど 見られなかった。
図 3-28
18 16 14 12 10 8 利用者数(人) 6 4 2 0 ベンチ(0m)
立食テーブル(0m)
壁付近(5m)
階段(8m)
舞台(13.4m)
滞留物
図 3-28 新宿モザイク坂店の滞留物と距離から見た利用数
図 3-29
10 9 8 7 6 5 4 利用者数(人) 3 2 1 0 店内1(3m)
階段(4m)
立食テーブル(5.3m)
建物付近(6.5m)
消火栓(7m)
店内2(7m)
駅入り口(9.5m)
滞留物
図 3-29 新宿 TAITO 店の滞留物と距離から見た利用数
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
3
3 調査結果
図 3-30
40 35 30 25 20 利用者数(人) 15 10 5 0 ベンチ(3.1m)
店付近(3.2m)
ガードレール(5.2m)
滞留物
図 3-30 渋谷 BEAM 店の滞留物と距離から見た利用数
図 3-31
20 18 16 14 12 10 8 利用者数(人) 6 4 2 0 店のゴミ箱付近(0m)
映画館(5m)
服屋付近(5m)
パルコ前(15.2m)
滞留物
図 3-31 渋谷スペイン坂店の滞留物と距離から見た利用数
図 3-32
18 16 14 12 10 8 利用者数(人) 6 4 2 0 店付近(4.3m)
道の縁(12.5m)
自動販売機前(10.8m)
階段(15m)
滞留物
図 3-32 原宿竹下通り店の滞留物と距離から見た利用数 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
4
3 調査結果
□ 3-3-3-3 飲食空間別の滞留時間の違いについて
滞留時間について見てみると ・基本的に立ち姿勢よりも座り姿勢の方が滞留時間が長い。 ・備品のベンチへの座り込みよりも屋外空間を利用した方が滞留時間が長 く、30分以上の滞留時間も屋外空間への座り込みである(図 3-33) ・ 同 じ 座 り 込 み で も 段 差 へ の 座 り 込 み の 方 が 滞 留 時 間 が 約 4 分 ほ ど 長 い。 (図 3-34)
図 3-33
100% 90% 80% 70%
30~ 25~30
60%
20~25
50%
15~20
構成比率 40%
10~15 5~10 0~5
30% 20% 10% 0% ベンチ
ストリートファニチュア
段差
背面に壁など
立食テーブル
滞留物
図 3-33 飲食空間別の平均滞留時間
図 3-34
16 14 12 10
8 平均滞留時間 6 4 2 0 ベンチ
ストリートファニチュア
段差
背面に壁など
立食テーブル
滞留物
図 3-34 飲食空間別の平均滞留時間
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
5
4 結果分析
第4章 結果分析
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
9
4 結果分析
4-1 各分析項目と行動パターンの関係
行動パターンに影響を及ぼしているものは、各店舗ごとの飲 食空間のセッティングが原因であると考えられるが、細かく見 てみると、利用者の属性では、年齢ではでは親子>社会人>若 者の順で滞留率が高い。また性別では混合が滞留率が高く、人 数では2人が一番高かった。(図 4-1) 休日と平日の違いでは全体的な傾向として休日の方が滞留率 が上がっている。このことより休日には休息を目的としたテイ クアウト店の利用が増えていると言える。(図 4-2) 図 4-1
100% 90% 80% 70% 60%
移動型
50%
滞留型
40% 30% 20% 10% 0%
若者
社会人
親子
男性
女性
混合
1人
2人
3人≦
サンプルの属性
図 4-1 利用者の属性ごとの滞留率の変化 図 4-2
滞留型
移動型
新宿モザイク通り 平日 新宿モザイク通り 休日
新宿TAITO 平日 新宿TAITO 休日
渋谷BEAM前 平日 渋谷BEAM前 休日
渋谷スペイン坂 平日 渋谷スペイン坂 休日
原宿竹下通り 平日 原宿竹下通り 休日 0%
20%
40%
60%
80%
100%
図 4-2 平日・休日別の滞留率の変化 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
10
4 結果分析
4-2 各分析項目と飲食空間選択の関係
飲食空間の選択は基本的に座り空間が優先されているが、休 日の混雑状況によって座り姿勢での飲食空間が満席となり、普 段 で は 使 わ れ な か っ た 立 ち 姿 勢 で の 滞 留 空 間 が 発 生 し て い る。 (図4-3) 利 用 者 の 属 性 に よ っ て も 選 択 の 違 い が 見 ら れ、 特 に 特 徴 的 だったのが2人組の利用者は座り姿勢での飲食を取る人が7割 弱もいる。(図 4-4) 屋外空間と備品の選択についても傾向が見られ、年齢では社 会人、性別では男性、グループ構成では1人の場合が備品を多 く利用している。逆に年齢では親子、性別では女性、人数では 3人以上の人が屋外空間を利用する傾向がある。(図 4-5) また可視範囲内では距離の影響はほとんど見られず一番近い空 間が選ばれるというわけではなく、飲食空間の姿勢や公共空間 か備品かによる影響の方が強いという結果が出た。
ベンチ(備品) 段差 壁
図 4-3
ストリートファニチュア
立食テーブル(備品)
新宿モザイク通り 平日 新宿モザイク通り 休日
新宿TAITO 平日 新宿TAITO 休日
渋谷BEAM前 平日 渋谷BEAM前 休日
渋谷スペイン坂 平日 渋谷スペイン坂 休日
原宿竹下通り 平日 原宿竹下通り 休日 0%
20%
40%
60%
80%
100%
図 4-3 平日・休日別の各店舗の飲食空間の選択 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
11
4 結果分析
図 4-4
100%
90%
80%
70%
60%
立ち
50%
座り
40%
30%
20%
10%
0%
若者
社会人
親子
男性
女性
混合
1人
2人
3人≦
利用者の属性
図 4-4 利用者の属性ごとの姿勢の選択
図 4-5
立食テーブル(備品)
ベンチ(備品)
背面に壁など
ストリートファニチュア
段差
100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0%
若者
社会人
親子
男性
女性
混合
1人
2人
3人以上
利用者の属性
図 4-5 利用者の属性ごとの飲食空間の選択 早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
12
4 結果分析
4-3 各分析項目と滞留時間の関係 滞留時間は立ち姿勢と座り姿勢によって大幅に変化し、その 差 は 全 滞 留 者 を 平 均 す る と 座 り 姿 勢 が 11.7 分 で、 立 ち 姿 勢 が 5.7分なので6分の差がある。 次に属性による違いが影響している。同じ姿勢であっても属 性によって滞留時間が変化している。特に傾向が強く見られた のが男性のみの利用者の場合は滞留時間が短く、人数では1人 <2人<3人以上で滞留時間が長くなっている。また年齢では 若者、属性では混合、人数では3人以上が座ると滞留時間が長 くなるのが分かった。(図 4-6) 一般的な傾向として休日と平日では休日の方が滞滞留時間 が長くなり、留率の場合と同様に休日は休息を目的としたテイ クアウト店の利用が増えている事が言える。(図 4-7) また同じ姿勢であっても屋外空間の段差への座り込みと備 品 の ベ ン チ へ の 座 り 込 み で は、 屋 外 空 間 へ の 座 り 込 み の 方 が 滞留時間が約4分程長く、立ち姿勢を見てみても、備品の立食 テーブルよりも壁などを背にする飲食空間の方が滞留時間が 長い。このことより屋外空間の方が備品よりも滞留時間が長く なる事が言える。(図 4-8)
立ち
図 4-6
座り
18
16
14
12
10
平均滞留時間(分) 8
6
4
2 0 若者
社会人
親子 男性
女性
利用者の属性
座り
混合 1人
立ち 2人
姿勢
3人≦
図 4-6 立ち・座り姿勢ごとの利用者の属性別平均滞留時間
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13
4 結果分析
立ち
図 4-7
座り
原宿竹下通り 休日 原宿竹下通り 平日
渋谷スペイン坂 休日 渋谷スペイン坂 平日
渋谷BEAM前 休日 渋谷BEAM前 平日
新宿TAITO 休日 新宿TAITO 平日
新宿モザイク通り 休日 新宿モザイク通り 平日 0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
平均滞留時間(分)
図4-7 各店舗ごとの平日と休日の平均滞留時間
16 14
図 4-8
12 10
8 平均滞留時間 6 4 2 0 ベンチ
ストリートファニチュア
段差
背面に壁など
立食テーブル
滞留物
図 4-8 滞留物別に見た平均滞留時間
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14
5� 総論
第5章 総論
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49
5 総論
5-1 まとめ
今 回 の 研 究 の 結 果 で は、 飲 食 空 間 の セ ッ テ ィ ン グ が 利 用 者 の 大 ま か な 行 動 を 決 定 し て い る が、 そ の 中 で も 屋 外 空間を利用する人の属性による行動の違いが明確に出て いた。その結論としては、 行動パターンに関して ・若者<社会人<親子の順で滞留率が高い。 ・男性<女性<混合の順で滞留率が高い。 ・1人<3人以上<2人の順で滞留率が高い。 ・平日よりも、休日の方が滞留率が高い。 飲食空間の選択に関して ・休日になると混雑状況により平日に使われなかった飲食 空間が発生する。 ・属性の人数では2人組の利用者が座り姿勢での飲食空間 を 好 み、 1 人 の 利 用 者 は 立 ち 姿 勢 で 手 軽 に 飲 食 を 済 ま せ る人が多い。 ・可視範囲内では距離に関する飲食空間の選択への影響は ほとんど無い。 滞留時間に関して ・属性では、年齢では若者、性別では混合、人数では3人 以上の利用者が座り姿勢での滞留時間が長くなる。 ・平日よりも、休日の方が滞留時間が長くなる。 ・屋外空間の方が、備品の飲食空間よりも滞留時間が長く なる。 テ イ ク ア ウ ト 店 舗 に と っ て 理 想 的 飲 食 空 間 を、 良 く 利 用 さ れ て、 滞 留 時 間 が 短 く( 回 転 率 が 高 い )、 許 容 人 数 が 高 い 空 間 と す れ ば、 そ れ は 利 用 者 を 想 定 し た 上 で の 飲 食 空 間の組み合わせによって実現可能であると言える。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
50
5 総論
5-2 展望・課題
今 後 の 展 望 と し て は、 今 回 調 査 し た 結 果 で は 利 用 者 の 行 動 特 性 の 傾 向 は 把 握 す る 事 は で き た が、 評 価 指 標 を 作 成 す る ま で に は 至 ら な か っ た。 屋 外 空 間 の 評 価 指 標 を 作 成 す る た め の 様 々 な 飲 食 物、 飲 食 空 間 に 対 し て 今 後 調 査 を行う必要がある。
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
51
5 総論
5- 3 参考研究・参考文献
■参考研究 ◆商業地のファストフード店におけるテイクアウト者 の行動特性に関する研究 渋谷駅周辺を事例として 著者 : 扇谷公輔(慶應義塾大)・渡邊朗子 掲載 :2002 年,E-1 分冊,p.997
◆座行為を代替する携帯および環境 著者:伊藤育子(修士論文 早稲田大学院理工学研究科) 掲載:1996 年 65E006 ◆「カフェ」における選定基準要素の重要度に関する 研究 著者:宮崎裕司(早稲田大学理工学部) 掲載:2001 年 U0111
◆総合フードビジネスマガジン ayko Corporation 掲載 参 考 URL
http://www.sayko.co.jp/article/syogyo/
insyoku/98/98-09.html
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文
52
おわりに
おわりに
1 日 2 5 時 間 の Excel 作 業 と い う 矛 盾。 リ ポ ビ タ ン、 エ ス カ ッ プ、 リ ゲ イ ン と い う 名 の 薬 物 投 与。 自 宅 マ ッ ク の ウ イ ル ス 汚 染。 デ ィ ー プ に し て チ ョ ー ク な 精 神 状 態 の 中、 僕 を 救 っ て く れ た の は 担 当 者 で あ り ま す 羽 生 さ ん の「 笑 顔 」 で し た。 羽 生 さ ん の 笑 顔 に よ っ て ソ ロ モ ン が 開 き、 す べ て の 毒 が 裏 返 り ま し た。 ノ リ 率 が 3 0 % 弱 UP し ま し た。( 当 社 比 )「 笑 顔 が あ れ ば 何 で も で き る 」 み な さ ん も 羽 生 笑 顔 の 会 に 入 り ま し ょ う。 僕 も 来 年 の え が 検 で 笑 顔 準 2 級 の 試 験 を 受 け よ う と 思 っ て い ま す。 羽 生 さん本当にありがとうございました。 同 期 の 純 君 色 々 手 伝 っ て く れ て 本 当 に あ り が と う。 池 袋 に 一 緒 に 店 の 調 査 を し た あ の 日 以 来、 夢 に 十 文 字 キ ズ の 北 斗 の 拳 が 3 日に1回はでてくるとです。 ゼ ミ の 皆 さ ん も 本 当 に あ り が と う ご ざ い ま し た。 本 当 に 皆 さ ん真剣になって相談して頂きとてもいい環境で勉強することが で き ま し た。 個 人 名 掲 載 希 望 の 林 田 さ ん 本 当 に あ り が と う ご ざ い ま す。 目 が 合 う と い つ も 笑 っ て い ま し た が、 そ の 度 に 卒 論 に 対 す る 危 機 感 が 自 信 か ら 確 信 へ と 変 わ り ま し た ね。 毎 週 月 曜 日 の夜はゼミが楽しみで寝れませんでした。 研 究 室 の 皆 さ ん も 本 当 に あ り が と う ご ざ い ま し た。 マ ッ ク の 便 利 な 使 い 方 か ら お い し い ラ ー メ ン 屋、 お す す め の 映 画 な ど こ れからの人生の糧となるものを多く得ることができました。 調 査 店 舗 の 皆 さ ん も 本 当 に あ り が と う ご ざ い ま し た。 ア ポ な し で 訪 れ た の に も 関 わ ら ず、 親 切 丁 寧 に 対 応 し て 頂 き 感 謝 し て お り ま す。 な ぜ か 調 査 対 象 店 で は な い の に 一 番 仲 良 く な っ て い るモザイク坂のベリーズブルーの皆さん本当に就職しちゃって もいいですかね? 今 回 の 研 究 を 通 じ て 様 々 な 人 に 会 う こ と が で き、 真 剣 に や り な が ら も 楽 し み な が ら 論 文 を 書 く こ と が で き ま し た。 み な さ ん 本 当 に あ り が と う ご ざ い ま し た。 そ ん な こ と を 踏 ま え た 上 で 最 後に一言。
ゴミ の ポ イ 捨 て … カ ッ コ 悪 い 。 近藤大地
早稲田大学理工学部建築学科渡辺仁史研究室 2004 年度卒業論文