腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

Introduction

はじめに HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

はじめに

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はじめに  友人が腰痛になった。システムエンジニアという仕事柄、過度の デスクワークが原因と思われる。椅子に座っているのも辛いという 事で椅子を変えたり腰痛に効くと言われているクッションを使用し てみたりと様々な対策を講じているようだが、その効果も虚しく結 局病院のお世話になっている。  腰痛は過労に伴うものだと思っていたので 23 歳という若さでも 腰痛になり得るという事にショックを受けた。話を聞いてその辛さ 具合を思うとそのままにしておく事もできず、住宅情報ゼミの扉を 叩いた。

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はじめに

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Contents

目次 HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

目次

3


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

目次 p.1

はじめに

p.3

目次

p.6

�第1章 研究目的

p.7

1−1 研究目的

p.8

第2章 研究背景

p.9

�2−1 社会的背景

p.10

2−2 腰痛について

p.13

2−3 負担評価について

p.15

第 3 章 語句の定義

p.16

3−1 語句の定義

p.17

第4章 研究の流れ

p.18

4−1 研究の流れ

p.19

第5章 基礎研究

p.20

5−1 物理的負荷評価 5−1−1物理的負荷評価方法

p.24

5−1−2シュミレーション結果

p.29

5−2 腰部曲げ角度計測方法

p.32

第6章 アンケート調査

p.33

6−1 調査概要

p.34

6−2 調査方法 6−2−1 アンケート1調査

p.36

6−2−2 アンケート2調査

p.37

6 ー 3 調査結果 6−3−1 アンケート1調査

p.39

6−3−2 アンケート2調査

p.40

6 ー 4 考察

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目次

4


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p.41

第7章 住宅観測実験

p.42

7 − 1 実験概要

p.43

7 − 2 実験方法�

p.45

7 − 3 実験結果

p.51

7 − 4 考察

p.52

第8章 �分析

p.53

8− 1 分析方法

p.54

8− 2 分析結果

p.57

8− 3 考察

p.58

第9章 総括

p.59

9 − 1 総括

p.60

おわりに

p.63

参考文献

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目次

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Method

chapter 01

研究目的

01

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研究目的

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1-1 研究目的  住宅内での諸動作における腰痛の心理的負担と腰部にかかる負荷 を比較し、その相関関係を明らかにする事を目的とする。

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研究目的

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Background

chapter 02

研究背景

02

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研究背景

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2-1 社会的背景  アメリカの研究で、腰痛の自覚症状が無い者の椎間板内圧を調べ た所、その3分の 1 の者に椎間板ヘルニアが発見された。つまり、 当人が腰痛と自覚していなくても普段の生活の中でかかっている負 荷が腰部の骨格の変形をもたらし、周りの筋力等でそれを補って痛 みと感じるまでには至っていないという事である。腰痛の自覚が無 いからといって安心できる訳ではなく、一生を通して考える上で腰 痛の自覚が無いうちからの対策も重要と考える。  厚生労働省の調査によると、有訴者の症状の中で最も多いのが「腰 痛」である。有訴率を年齢別に見てみると、およそ60代までは「肩 こり」の方が若干高いが、60代を超えるにつれて「腰痛」の有訴 率が圧倒的に高くなってきている。「腰痛」の対策は一生を通して 考えていかなければならないものであり、全体的な有訴率の高さか ら見ても「腰痛」対策の重要性は高いと考える。  また、「6歳以上で健康上の問題により日常生活に影響のある者」 の影響の内容を見ると、「仕事・家事・学業」の割合が最も高く、 次いで「日常生活動作」の割合が高いという結果になっている。「仕 事」の場はその範囲が広いため場所を特定する事はできないが、 「家 事」や「日常生活動作」を行う場所は住宅内であり、住宅内での対 策を講じる事は重要と考える。

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研究背景

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2-2 腰痛について  腰痛は一般的には老化に伴う症状であるが、スポーツや仕事での 腰椎の酷使が原因となるもの、外傷性によるもの、心因性によるも の等様々な原因が考えられる。年代、生活スタイル等の違いで腰痛 の原因にも違いが見られる。  腰痛には急性腰痛と慢性腰痛があり、急性腰痛はいわゆる「ぎっ くり腰」である。  「ぎっくり腰」という呼び方は俗称であり、突然腰に激しい痛み が出現した(している)状態を指す。原因としては、レントゲンや MRI、血液検査などで原因が分かるものと、それらの検査をしても 原因が分からないものに分けられる。原因が分かっている場合は病 気が基盤となっているものと老化や組織が損傷していく変性という 状態が基盤となっている物とがある。後者の場合はそれが慢性腰痛 の原因となり得る。原因が分からない「ぎっくり腰」は、様々な検 査を行っても異常が発見できず、せいぜい1週間程度で症状も和ら ぎ、後遺症も無い。  慢性腰痛の特徴は、漫然と重くだるい痛みが長期的に渡って繰り 返されるもので、時には激しい痛みを感じる事もあり、臀部から太 腿、膝の下まで痛む事もある。腰痛の病態は非常に複雑であり、原 因が様々であることや個人の生活背景などが複雑に絡み合い、ま た原因の明瞭度と有訴者の痛みの程度との関係も多様多岐に渡るた め、治療も難しい。

表 2-2-1 腰痛の原因 椎間板障害

外傷性

脊椎構造の異常

加齢

脊椎機能異常炎症性

椎間板ヘルニア

圧迫骨折

脊椎分離症

変形性脊柱症ー椎間板症 強直性脊椎炎

シュモール結節

棘突起部靭帯断裂

脊椎すべり症 脊柱管狭窄症

脊椎骨粗鬆症 椎間関節症

全身性疾患の症状

心因性

リウマチ

心因症

糖尿病

自律神経失調

腫瘍 悪性腫瘍の転移

脊椎カリエス

関連痛

その他

泌尿器科疾患

腰痛症(ぎっくり腰)

婦人科疾患

姿勢不良

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研究背景

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□年代別腰痛の原因 1. 小学生から中学生までの腰痛 ・腰痛分離症:激しいスポーツ活動が原因 ・心因的要素:精神的にまだ未熟な時期であり、痛みを訴える事で  嫌な事から逃れるために痛みを利用する場合がある。 2.16 歳頃から 20 代の腰痛 ・腰椎分離症 ・腰椎椎間板症 ・腰椎椎間板ヘルニア etc. 激しいスポーツや重労働、立位保持、座位保持などの過度の負担が かかる事が原因 3.30 代から 40 代の腰痛 ・腰椎分離症 ・腰椎椎間板症 ・腰椎椎間板ヘルニア  ・椎間関節腰痛症  etc. 20 代までの原因がさらに進行した状態であり、20 代中盤からこの 年代が人生の中でも生活環境の変化が激しい時期である。女性の場 合出産や育児が原因となり得る。生活環境によっては 20 代までは 腰痛を感じていてもこの時期に腰痛を感じなくなる場合もあり、ま た痛みを感じる時期、感じない時期の周期が存在する。 4.50 代以上の腰痛 ・腰椎分離症 ・腰椎椎間板症 ・腰椎椎間板ヘルニア  ・脊椎すべり症 ・脊柱管狭窄症 ・変形性脊椎症   ・椎間関節腰痛症 ・骨粗鬆症   etc. この年代の場合、若年の頃からあるものが進行したものである。若 年の頃椎間板の変性があって痛みを感じなかった人も、この時期に なると痛みを感じるようになる事がある。この病態は医学的に「退 行性病変」と言われ痛みの出現には個人差がある。

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研究背景

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□腰回りの筋肉の痛み  椎間板や腰椎の変形・老朽化が招く腰部の痛みがあると、自律 神経の働きにより痛みがある部分の筋肉が緊張し、血流が悪化す る。それにより老廃物がその部分に蓄積してしまいだるい痛みの 原因となる。その痛みがまた筋肉の緊張を生じさせ、だるい痛み の悪循環を発生させる。

腰部の筋肉の痛みの原因

腰痛の原因 だるい痛み

交感神経の緊張

筋肉の収縮

毛細血管の収縮

ストレス・不安・マイナス思考

筋肉の血行不良 腰椎における痛みの原因

筋肉の阻血状態

代謝産物の蓄積

図 2-2-1:腰部の筋肉周りの痛みの循環図 □腰痛による下肢の神経痛  全身に張り巡らされている神経の中で軸となっているのが脊髄 であり、腰は下肢へ行く神経全てが出入りしている。腰椎や椎間 板の老朽化が、脊髄の通り道であり神経の出入り口でもある「椎 間孔」という部分を狭くしてしまい、それが原因で腰部の脊髄の 損傷が下半身不随を招く事もある。

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研究背景

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2-3 負担評価について 腰部負担評価のための 腰部椎間板圧迫力推定法 http://homepage2.nifty.com /aseo/bpress.htm

□腰部負担評価の指標 腰部負荷評価の指標として以下の点が挙げられる。 1. 取り扱い重量や作業の姿勢 2. 発揮し得る筋力の限界 3. 腰部椎間板が障害されない限界 4. 心理的に耐え得る限界 □腰部椎間板圧迫力について 腰部負担を評価する上で、腰部椎間板圧迫力は腰痛の原因となる 椎間板への物理的ストレスという直接的な因果関係を持つ要因とし て、一般的に利用されている。しかし、それを直接測定する事はそ の侵襲性を考慮すると一般的ではないため、動作姿勢や取り扱い重 量や発揮する力等から腰部椎間板圧迫力を推定する方法がよく利用 されている。  腰部椎間板の許容限界は、腰部椎間板に非可逆的な変化を生じな い最大の圧迫力であると規定される。報告されている実験結果を総 合的に判断して、現状では 3400N が腰部椎間板圧迫力の許容限界値 として多く利用されている。詳細には、性別・年齢に依存し、一般 的には男性に比べて女性の方が限界値は低く、且つ年齢が上がる程 限界値は低下する傾向がある。

表 2-3-1:性・年齢別腰部椎間板圧迫力許容限界値

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研究背景

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□腰部椎間板圧迫力を決定する要因 1. 上半身の体重と取り扱い物の重量 人の上半身の体重は全身の 47.5%に相当する。ここでの上半身は、 腰痛多発部位である L5/S1(第5腰椎/第 1 仙椎)関節より上の部 分とする。直立位では、上半身の体重と荷物があればその重量のほ とんどが直接腰椎圧迫に関わる事になる。前傾姿勢では、上半身の 体重と荷物による力は分散されるため、直接腰椎圧迫に関わる力は 低下する。しかし、前傾姿勢を維持するために働く背筋力が腰椎を 圧迫する力として加わるため、総合的に見ると直立姿勢より前傾姿 勢の方が腰椎圧迫力は大きい。 2. 腹圧 腹圧とは腹腔内の圧力であり、腹壁の筋や横隔膜の収縮・緊張によ って決定される。腹圧は腰関節モーメント、腰屈曲角(肩ー大転子 ー膝のなす角)、性別や年齢差を考慮した筋力等に依存する。腹圧 が作用する事で脊柱にかかる力を分散し、腰椎圧迫の負荷を軽減さ せていると考えられる。前傾姿勢や中腰姿勢は腹壁をたるませ腹圧 を減少させる。 3. 骨盤の回旋 椎間板を損傷する力の成分は垂直方向の圧迫力であり、L5/S1 の関 節面は骨盤の回旋角で決定される。骨盤回旋は上体が前傾する程増 し、中腰で股関節と膝関節の屈曲が起こると後屈する。 4. 作業速度 速度の速い作業はより強い筋力を必要とし、作業速度が速い程筋力 増大による椎間板圧迫力が増大する。

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研究背景

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Definition

chapter 03

語句の定義

03

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語句の定義

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3-1 語句の定義 有訴者率:入院患者などを除く世帯員のうち、病気やけが等で自覚 症状のある者の割合(厚生労働省で使用) 世帯員:住居及び整形を共にする者の集まりまたは独立して住居を 維持し、もしくは独立して生計を営む単身者を「世帯」といい、そ の「世帯」を構成する各人 腰痛者率:住宅内での諸動作に置いて腰痛患者が腰痛を訴える割合 腰部負担:腰部にかかる心理的負担 腰部負荷:腰部にかかる物理的負荷(椎間板圧迫力や腰部モーメン ト等)

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語句の定義

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Flow

chapter 04

研究の流れ

04

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研究の流れ

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4-1 研究の流れ

物理的負荷

アンケート調査 腰痛を感じる動作を抽出

腰部負担の 評価指標

生理的負荷

心理的負荷

身体状況

Bless Pro 物理的負荷と腰部曲げ角度との関係

住宅観測実験 住宅内動作における 腰部曲げ角度の計測

負担と負荷の相関

腰部負荷軽減のための 建築的改善策の指標

図 4-1-1:研究の流れ

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研究の流れ

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Basic Study

chapter 05

基礎研究

05

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基礎研究

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5-1 物理的負荷評価 1. 物理的負荷評価方法  本研究では物理的負荷を決定する要因の中で、動作姿勢を決定す る腰部曲げ角度に着目する。  物理的腰部負荷と腰部曲げ角度の関係を明らかにするために「筋 骨格系障害予防のための作業負担評価ソフト BlessPro�ver.2」を 用いた。これにより、腰部椎間板圧迫力、腰部椎間板剪断力、腰部 モーメント等が推定できる。ただし推定できるのは、静止した状態 で体の捻りのない場合である。   ここでは「Bless�Pro」について説明する。  このソフトで用いている体格パラメータの推定式は、(社)人間 生活工学研究センターが所有する日本人の人体計測データベースを もとに作成された物である。

Fm M Fs Fc

図 5-1-1:筋骨格軽症該予防のための

Fm:腰部椎間板圧迫力 Fs:腰部椎間板剪断力 Fc:脊柱起立筋力 M:腰部モーメント

図 5-1-2:腰部にかかる力

作業負担評価ソフト

□「Bless�Pro�ver.2」推定できる値 1. 腰部椎間板圧迫力 2. 腰部椎間板剪断力 3. 四肢の関節にかかるモーメント 4. 脊柱起立筋筋力限界値(背筋力の計測が必要)

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基礎研究

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□角度や長さを計測する方法 筋骨格系障害予防のための

1. 直接計測する方法

作業負担評価ソフト�BlessPro�ver.2 http://homepage2.nifty.com/aseo /blesspro.htm

姿勢パラメータセットを用意し、入力して計測する。 [姿勢パラメータ] ・性別 Sex ・年齢 Age(歳) ・身長 Ht(cm) ・体重 Bw(kg) ・立位/座位の別 Stnd:立位あるいは座位を指定し、背もたれがあ る場合はそれも指定 ・頸前傾角 Nk:体幹前傾角 T に対して頸が前傾している角度(度) ・体幹前傾角 T:肩(肩峰)ー股関節(大腿骨大転子)を結ぶ線が 鉛直方向となす角度 ( 度 ) ・腰屈曲角 Rh:肩-股関節-膝のなす角度(度) ・膝屈曲角 K:股関節-膝-足首のなす角度(度) ・足曲角 V:膝と足首を結ぶ線が水平方向となす角度(度) ・第1接地点:両足での立位か膝立ちの状態かを指定 ・第 2 接地点:第1接地点以外で体重を支える部位を指定 ・力の向き La:荷物保持の場合は0度、水平方向に物を押す場合は -90度、水平方向に物を引く場合は+90度 ・荷物加重または力 Lw(kg) ・荷物との水平距離 Ld:股関節から荷物の重心位置までの水平距離 (cm) ・荷物の高さ Lh:荷物重心位置の床面からの高さ(cm) ・背筋力 Lmax:背筋力の測定値あるいは保持可能な最大重量(kg) * T,Rh,K,V の間には T+Rh-K+V=90 度という関係が常に成立するの で、いずれか1つは実測不要 2. 画像計測による方法 画像ファイルを読み込み、頭の上、肩峰、大転子、膝、足首、手(あ るいは荷物荷重重心位置)を計測ポイントとして姿勢を決定する。 □姿勢の安定性 足が滑らないための最大静止摩擦係数は、荷物や握り手の押し引き 作業時に問題となるが、濡れて滑りやすい場合で 0,2 程度、乾いて いて非常に滑りにくい床の場合で 0,9 程度、普通の移動に差し支え ない程度の床で 0,5 程度とされている。このソフトでは、姿勢の安 定性を重心位置と足が滑らないための最大静止摩擦係数で検討して いる。

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基礎研究

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□システムの問題  このソフトで推定できるのは 2 次元の静的作業であり、捻りを伴 う 3 次元の静的作業や動的作業の解析にはまた別のシステムが必要 となる。実験室で行う Vicon などの 3 次元動作解析システムなどが あるが、それらは固定された障害物のない場が要求されるため実際 の住宅の中での動作を計測するのは困難である。

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基礎研究

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□椎間板圧迫力と圧迫力の推定式 作業者の体重:Bw(kg) 作業者の身長:Hr(m) 取り扱い物の重量:Lw(kg) Lw の重心から L5/S1 までの水平距離:L(m) 肩ー大転子の鉛直方向に対する角度;T( 度 ) 肩ー大転子ー膝のなす角度:Rh( 度 ) 膝の屈曲角:K( 度 ) L5/S1 より上の体重:Uw(kg) Uw=0.475 × Bw L5/S1 から Uw の重心までの水平距離:B(m) B = 0.17 × Hr × sin(T) 脊柱起立筋のモーメントアーム:E(m) E=0.05 重力定数 g:9.8(m/s2) 横隔膜面積:0.0465(m2) Bw と LW による L5/S1 まわりのモーメント:ML5/S1(N) ML5/S1=Uw × g × B+Lw × g × L 腹圧:Fa(N) Fa=0.0001 × {42.64-0.3564 × (180-Rh)} × ML5/S11.8 × 13.6 × g × 0.0465 (Fisher の推定式より) Fa による L5/S1 まわりのモーメントアーム:D(m) D=0.067+0.082 × sin(180-Rh) (Morris らの推定式より) Fa とともに ML5/S1 に対抗する脊柱起立筋による力:Fm(N) Fm=(ML5/S1-Fa × D)/E L5/S1 の関節面の傾斜角:Ra( 度 ) Ra=-17.519-0.11863 × T+0.22687 × K+0.0011904 × T × K+0.00499 ×T×T (Anderson らの推定式より) L5/S1 での椎間板圧迫力:Fc(N) Fc=Uw × g × cos(Ra)+Lw × g × cos(Ra)-Fa+Fm L5/S1 での剪断力:Fs(N) Fs=Uw × g × sin(Ra)+Lw × g × sin(Ra)

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基礎研究

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2. シュミレーション  物理的腰部負荷と腰部曲げ角度との関係について、腰部負荷評価 ソフト「Bless�Pro」を用いてシュミレーションを試みる。  「Bless� Pro」の姿勢パラメータの中で、「立位」と「座位」にお いて体幹角度と膝関節角度を 10 度毎に変化させ、その時の腰部負 荷についてそれぞれの角度との相関を調べた。「座位」においては 両足裏が地面についているものとし、背もたれは無いものとする。

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基礎研究

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立位

体幹角度(度) 腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

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腰部椎

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腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

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腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

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間板剪

立筋筋

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間板剪

立筋筋

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間板剪

立筋筋

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間板剪

立筋筋

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

-20 762

180 169 170 160 150 140 130 膝関節角度(度) 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0

0

-10 497

193

0

0 337 346 357 370 384 399 415 433 451 471 491 511 532 552 571 590 605 618 608

217 212 205 198 190 180 170 158 144 129 113 95 75 53 29 4 -22 -47 -30

68 74 81 88 97 106 116 127 139 152 166 181 196 212 229 246 262 277 265

10 640 637 648 660 674 689 706 723 742 762 782 803 825 846 868 886 912 930 952

235 230 224 218 210 202 192 181 169 155 140 123 105 85 63 39 12 -1 30

392 397 403 409 417 425 434 444 455 466 479 492 507 521 537 553 569 587 613

20 909 918 929 941 955 971 987 1005 1025 1045 1066 1088 1111 1136 1161 1186 1212 1236 1243

254 249 244 238 232 224 215 205 194 182 168 153 136 116 94 69 40 2 -17

691 695 700 706 713 721 729 739 750 761 774 787 801 817 833 851 870 890 897

30 1143 1154 1167 1181 1197 1214 1233 1253 1274 1296 1323 1350 1377 1407 1437 1461 1479 1473 1496

273 269 264 259 253 246 239 230 220 209 196 181 164 146 124 100 71 82 36

958 962 968 974 982 991 1000 1011 1022 1034 1049 1064 1080 1097 1115 1129 1140 1137 1152

40 1344 1358 1373 1390 1409 1429 1450 1473 1500 1529 1558 1588 1620 1641 1660 1676 1634 1672 1707

292 288 284 280 275 269 262 255 245 234 223 209 194 177 157 138 183 144 92

1192 1198 1205 1214 1223 1233 1244 1256 1270 1285 1301 1317 1334 1344 1352 1359 1341 1358 1374

50 1509 1526 1544 1564 1585 1608 1632 1661 1691 1721 1752 1773 1790 1807 1822 1814 1769 1823 1868

310 307 304 300 296 291 286 278 270 261 251 240 227 213 198 206 243 200 147

1391 1400 1409 1419 1430 1442 1454 1469 1484 1500 1515 1524 1529 1543 1539 1536 1523 1540 1555

60 1638 1657 1678 1701 1725 1750 1778 1809 1840 1857 1872 1888 1903 1916 1915

325 323 321 318 315 311 306 300 294 287 278 269 259 249 250

1555 1566 1577 1589 1601 1614 1628 1643 1658 1664 1667 1670 1673 1676 1676

70 1726 1748 1771 1795 1820 1845 1875 1891 1903 1916 1929 1943 1955 1957

337 336 334 332 330 327 324 320 315 309 303 296 290 288

1678 1690 1702 1714 1727 1740 1754 1758 1760 1761 1763 1764 1765 1766

姿勢維持のために要求される全身の筋力が最大筋力の50%を超え、短時間しか保持できない範囲 それぞれの負荷の最大値 不可能と思われる姿勢・ほぼしないと思われる姿勢 → 股関節>L5/S1関節での必要筋力が上昇 ↓ 股関節・L5/S1関節での必要筋力が低下/膝関節での必要筋力が上昇 *体幹角度0度・腰屈曲角180度・膝屈曲角180度・足屈曲角90度での立位の状態で、0kgの荷物を荷物との水平距離32.3cm・荷物の高さ103.2cmに持っていると仮定する。 荷物重量が大きくなればなるほど、荷物の位置が身体から離れれば離れるほど、地面から離れれば離れるほど、負荷の大きさは増加する。

座位(足裏が地面についている状態)

体幹角度(度)

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

腰部椎

腰部椎

脊柱起

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

間板圧

間板剪

立筋筋

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

迫力

断力

0 140 528 130 554 120 579 110 602 100 623 90 642 膝関節角度(度) 80 658 70 672 60 684 50 693 40 699 30 702 20 704 10 699 0

143 123 101 79 56 33 9 -14 -37 -60 -80 -97 -106 -82

215 232 250 267 284 300 316 330 344 356 367 375 379 368

10 812 838 862 884 905 924 941 955 968 977 984 987 982 908

175 155 135 115 94 73 51 29 8 -12 -28 -37 -19 110

522 540 555 570 584 598 611 623 634 644 651 655 647 573

20 1072 1097 1120 1141 1162 1181 1198 1212 1225 1234 1240 1237 1176

207 190 173 155 136 116 96 77 58 41 30 37 121

809 823 836 848 860 872 883 893 901 909 914 911 869

30 1305 1328 1351 1372 1392 1410 1427 1441 1453 1461 1461 1415

237 223 207 191 175 158 140 123 107 96 96 152

1073 1084 1095 1105 1115 1124 1133 1141 1147 1152 1152 1127

40 1509 1531 1552 1573 1592 1609 1625 1639 1650 1653 1621

265 253 240 227 212 198 183 169 157 154 187

1310 1319 1327 1335 1343 1350 1356 1362 1366 1368 1355

50 1681 1702 1722 1740 1758 1775 1790 1803 1809 1790

290 281 270 259 247 235 223 213 207 223

1515 1522 1528 1534 1539 1544 1549 1553 1554 1549

60 1815 1834 1852 1870 1886 1902 1915 1924 1916

312 305 297 288 279 270 260 254 260

1683 1687 1692 1695 1699 1702 1705 1707 1705

70 1905 1921 1937 1953 1968 1982 1993 1993

329 324 318 312 306 299 293 293

1807 1809 1811 1813 1815 1817 1818 1818

80 1939 1953 1968 1982 1995 2006 2012

341 228 335 331 326 322 320

1878 1879 1879 1880 1880 1880 1880

90 1883 1895 1907

346 345 344

1871 1870 1869

姿勢維持のために要求される全身の筋力が最大筋力の50%を超え、短時間しか保持できない範囲 それぞれの負荷の最大値 不可能と思われる姿勢・ほぼしないと思われる姿勢 → L5/S1関節での必要筋力が低下/股関節での必要筋力が上昇 ↓ L5/S1関節での必要筋力はほぼ変わらず/股間での必要筋力が低下 *体幹角度0度・腰屈曲角90度・膝屈曲角90度・足屈曲角90度での立位の状態で、0kgの荷物を荷物との水平距離41.7cm・荷物の高さ73cmに持っていると仮定する。 荷物重量が大きくなればなるほど、荷物の位置が身体から離れれば離れるほど、地面から離れれば離れるほど、負荷の大きさは増加する。

図 5-1-5:体幹角度・膝屈曲角と物理的腰部負荷

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎研究

25


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

0度

10度

20度

1000

700

600

30度

1400

1600

1200

1400

800 1200

1000

500 600

1000

800

400

300 負荷(kN)

800

400

600

負荷(kN)

負荷(kN)

負荷(kN)

負荷(kN)

600

200

400 200 400

100

200 0

200 180

0 180

170

160

150

140

130

120

110

100

90

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70

60

50

40

30

20

10

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160

150

140

130

120

110

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0

0

0

180

170

160

150

140

130

120

110

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0 0

-200

-100

腰部椎間板圧迫力

180

-200 角度(度)

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

脊柱筋起立筋力

40度

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

50度

160

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130

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110

100

90

80

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60

50

40

30

20

10

0

角度(度)

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

60度

2000

1800

170

角度(度)

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

70度

2500

2500

2000

2000

負荷(kN)

負荷(kN)

1200

1500

負荷(kN) 1500

1000

1000

500

500

1800

1600

1600 1400 1400 1200 負荷(kN)

負荷(kN)

1000 1000 800 800 600

600

400

400

200

200

0

0 170

160

150

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110

100

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50

40

30

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10

0 180

0

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110

100

腰部椎間板圧迫力

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0

0 180

170

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150

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130

120

角度(度)

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

脊柱筋起立筋力

80度

110

100

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80

70

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50

40

30

20

10

0

180

170

160

150

140

130

120

角度(度)

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

110

100

90

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40

30

20

10

0

角度(度)

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

90度

2500

2000

1800

2000

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1000

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0

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110

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30

20

10

0

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150

140

130

120

角度(度)

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

110

100

90

80

70

60

50

40

30

20

10

0

角度(度)

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

図 5-1-6:膝関節屈曲角毎の体幹角度変化と腰部負荷との相関

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎研究

26


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究 180度

170度

160度

150度

140度

2000

2000

2000

2000

2000

1800

1800

1800

1800

1800

1600

1600

1600

1600

1600

1400

1400

1400

1400

1400

1200

1200

1200

1200

1200

1000

1000

1000

1000

1000

負荷(kN) 800

負荷(kN) 800

負荷(kN) 800

負荷(kN) 800

負荷(kN) 800

600

600

600

600

600

400

400

400

400

400

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200

200

200

0

0 0

10

20

30

40

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80

90

0 0

10

20

30

角度(度)

50

60

70

80

脊柱筋起立筋力

0

10

20

30

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40

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90

脊柱筋起立筋力

脊柱筋起立筋力

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2000

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1800

1800

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1600

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1400

1400

1400

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1200

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800

800

800

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600

600

600

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400

400

400

200

200

200

200

0 10

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30

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0 0

10

20

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50

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脊柱筋起立筋力

80度

0

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脊柱筋起立筋力

20

30

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80

90

0

脊柱筋起立筋力

80

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10

20

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50

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0

90

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1500

1500

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1000

1000

1000

500

500

500

500

500

0 90

0 0

10

20

30

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20

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角度(度)

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

40

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脊柱筋起立筋力

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60

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脊柱筋起立筋力

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

2000

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1600

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1000

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800 600

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70

80

90

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板専断力

0 0

10

20

30

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80

90

0

10

20

角度(度)

10度

2000

600

50

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

40

30

40度

1500

80

20

腰部椎間板圧迫力

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

2000

70

10

角度(度)

2000

60

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板専断力

0 0

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2500

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角度(度)

2500

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角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

70度

40

腰部椎間板専断力

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

30

0

90

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

40

20

腰部椎間板圧迫力

2000

0

10

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

120度

0

0 0

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

200

0

90

角度(度)

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

40

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60

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90

角度(度)

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板専断力

腰部椎間板圧迫力

30

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

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2000

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50

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-500

角度(度)

腰部椎間板圧迫力

40

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

角度(度)

角度(度)

角度(度)

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

腰部椎間板圧迫力

腰部椎間板専断力

脊柱筋起立筋力

図 5-1-7:体幹角度毎の膝関節屈曲角変化と腰部負荷との相関

HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

基礎研究

27


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

□腰部負荷と体幹角度・膝屈曲角との相関関係  腰部にかかる力の種類によって角度との相関関係が異なる。 ・腰部椎間板圧迫力:膝屈曲角の減少→負荷増大           体幹角度の増加→負荷増大 ・要椎間板剪断力:膝屈曲角の減少→負荷減少          体幹角度の増加→負荷増加 ・脊柱筋起立筋力:膝屈曲角の減少→必要筋力増大          体幹角度の増加→必要筋力増大  体幹角度が大きいほど膝屈曲角による負荷の変化率は小さくなる が、膝屈曲角変化毎の体幹角度による負荷の変化率には大差は見ら れなかった。 □体幹角度と腰部負荷との相関関係  膝屈曲角が一定の時は、体幹角度の増加と共に3つの力とも増加 傾向にある。立位においては体幹角度がマイナス、すなわち後屈に なると腰部椎間板圧迫力と脊柱筋起立筋力は増加し、腰部椎間板剪 断力は力の方向が逆転し、大きさは増加する。 □膝屈曲角と腰部負荷との相関関係  体幹角度が一定の時は、膝屈曲角が小さくなる(直立→膝を曲げ ていく)ほど、腰部椎間板圧迫力と脊柱筋起立筋力は増加していく が、腰部椎間板剪断力は減少していく。しかし、体幹角度によって は膝屈曲角が 30 度辺りになるとその関係が一度逆転し、立位の時 は 20 度付近でまた元の関係に戻る場合があるが、座位においては 逆転したままである。 □腰部負荷最大時の時の体幹角度・膝屈曲角度  それぞれの負荷最大時の体幹角度・膝屈曲角を以下に示す。 ・腰部椎間板圧迫力:体幹角度 70 度・膝屈曲角 50 度 ・腰部椎間板剪断力:体幹角度 90 度・膝屈曲角 140 ~ 180 度 ・脊柱筋起立筋力:体幹角度 80 度・膝屈曲角 60 ~ 90 度 □保持可能時間  姿勢維持のために要求される全身の筋力が最大筋力の 50%を超 えると、短時間しか保持できなくなる。  これは「立位」と「座位」でその様子が異なる。「立位」では体 幹の傾斜の大きさにより範囲は異なるが、全ての角度においてその 警告外の範囲が存在する。「座位」では体幹角度 20 度以上 60 度未 満の範囲でしかその範囲が存在しない。

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基礎研究

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この変化に影響を及ぼしているのが L5/S1 関節、膝関節、股関節 周りの筋力である。「立位」において、体幹傾斜の増加に伴い股関節・ L5/S1 関節での必要筋力は上昇し、膝屈曲角の減少に伴い股関節・ L5/S1 関節での必要筋力は低下し、膝関節での必要筋力は上昇する。 「座位」においては、体幹傾斜の増加に伴い L5/S1 関節での必要筋 力は低下し、股関節での必要筋力は上昇する。また、膝屈曲角の減 少に伴い股関節での必要筋力は低下するが、L5/S1 関節での必要筋 力はほぼ一定である。 □荷物所持による影響  荷物所持がある場合、荷物重量が大きくなればなるほど、荷物の 位置が身体から離れれば離れるほど、地面から離れれば離れるほど、 負荷の大きさは増大する。

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5-2 腰部曲げ角度計測装置 □腰部曲げ角時計装置について   腰部曲げ角度の計測機材として考えられるものを以下に示す。 1. 超音波式動作計測装置  超音波センサーの特性を利用した技術の利用で関節などの体の 様々な部位の計測・管理に使用できる。超音波法での測定原理とし ては、一対のセンサーが、体が動く時の皮膚の伸び縮みによって起 超音波式動作計測装置 :sonoSens

こるセンサー間の距離の変化を計測し超音波の連続信号によって姿 勢を解析する。  これは、あくまでセンサー間の距離を測定するものであり、本研 究で必要となる腰部曲げ角度の計測とは異なる。 2. ジャイロセンサ式関節角度計  物体の角度を検出するジャイロセンサを身体に取り付け、検出さ れた加速度の積分によって角度を計測するものである。身体の2つ

ジャイロセンサ式加速度計 :

の節に取り付ける事によって、節の相対角度を計測する事ができる。

モーションレコーダー

ジャイロセンサには回転するコマの性質を利用したものと振動する 梁にかかるコリオリ力を利用したものとがある。しかし、急激な角 度変化(90 度/秒以上)に追従できず、このような角度変化を生 じた場合にはドリフトを起こす事になってしまうため、今回の実験 では不適と判断する。 3. 光ファイバー式関節角度計  ケーブルの屈曲角度に応じて光が漏れる特殊な光ファイバーケー ブルを応用した計測装置である。光ファイバーの一端から光線を入 射し、関節の前で折り返したケーブルと関節で屈曲を受けてからケ ーブルの多端で出射光量を比較する事により、関節の屈曲角度を計 測する。主に、バーチャルリアリティの実現に用いられる。 4. 可変抵抗式関節角度計  回転型の可変抵抗器を関節部に取り付け関節角度を検出する。可 変抵抗器の回転部と固定部とにそれぞれアームを取り付け、そのア ームに隣接する2つの節にバンドなどで固定する。これは、被験者 の拘束感が非常に大きい。

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5. フレキシブル関節角度計  可変抵抗式関節角度計測装置の拘束感を軽減するために開発され た、抵抗感の少ない関節角時計である。2つの検出ユニットをスプ リングで連結した様な外観を有しており、スプリング間におさめら れた歪ゲージの出力によって2つの検出ユニットの相対角度を検出 する。2つの検出ユニットが計測軸以外の回転や並進を起こしても、 原理的には干渉しない。したがって、かなり自由に検出ユニットを 身体に取り付けられるばかりでなく、バネで連結されているため、 身体の拘束感は可変抵抗式よりもだいぶ小さくなる。

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□使用機器  様々な計測装置がある中で検討した結果、本研究ではデータログ 株式会社 ディケイエイチ(DKH) http://www.dkh.co.jp/

方式のフレキシブル関節角度携帯計測システムを用いて腰部関節の 角度計測を行った。計測時は身体に撞着したゴニオメータとデータ ログを有線で繋ぎ関節角度データを収集するものである。 1. ゴニオメータ:関節角度計測計 ・センサ単体の重量―20g 弱 ・計測軸―2軸(例:前後方向・左右方向の腰部の曲げ)      捻り(例:腰部の軸回旋) 2. データログ:データ収集装置

[ゴニオメータ] [データログ]

センサ部

エンドブロック

出力端子

図 5-2-1:フレキシブル関節角度計測システム

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Basic Study

chapter 05

基礎研究

05

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5-1 物理的負荷評価 1. 物理的負荷評価方法  本研究では物理的負荷を決定する要因の中で、動作姿勢を決定す る腰部曲げ角度に着目する。  物理的腰部負荷と腰部曲げ角度の関係を明らかにするために「筋 骨格系障害予防のための作業負担評価ソフト BlessPro�ver.2」を 用いた。これにより、腰部椎間板圧迫力、腰部椎間板剪断力、腰部 モーメント等が推定できる。ただし推定できるのは、静止した状態 で体の捻りのない場合である。   ここでは「Bless�Pro」について説明する。  このソフトで用いている体格パラメータの推定式は、(社)人間 生活工学研究センターが所有する日本人の人体計測データベースを もとに作成された物である。

Fm M Fs Fc

図 5-1-1:筋骨格軽症該予防のための

Fm:腰部椎間板圧迫力 Fs:腰部椎間板剪断力 Fc:脊柱起立筋力 M:腰部モーメント

図 5-1-2:腰部にかかる力

作業負担評価ソフト

□「Bless�Pro�ver.2」推定できる値 1. 腰部椎間板圧迫力 2. 腰部椎間板剪断力 3. 四肢の関節にかかるモーメント 4. 脊柱起立筋筋力限界値(背筋力の計測が必要)

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□角度や長さを計測する方法 筋骨格系障害予防のための

1. 直接計測する方法

作業負担評価ソフト�BlessPro�ver.2 http://homepage2.nifty.com/aseo /blesspro.htm

姿勢パラメータセットを用意し、入力して計測する。 [姿勢パラメータ] ・性別 Sex ・年齢 Age(歳) ・身長 Ht(cm) ・体重 Bw(kg) ・立位/座位の別 Stnd:立位あるいは座位を指定し、背もたれがあ る場合はそれも指定 ・頸前傾角 Nk:体幹前傾角 T に対して頸が前傾している角度(度) ・体幹前傾角 T:肩(肩峰)ー股関節(大腿骨大転子)を結ぶ線が 鉛直方向となす角度 ( 度 ) ・腰屈曲角 Rh:肩-股関節-膝のなす角度(度) ・膝屈曲角 K:股関節-膝-足首のなす角度(度) ・足曲角 V:膝と足首を結ぶ線が水平方向となす角度(度) ・第1接地点:両足での立位か膝立ちの状態かを指定 ・第 2 接地点:第1接地点以外で体重を支える部位を指定 ・力の向き La:荷物保持の場合は0度、水平方向に物を押す場合は -90度、水平方向に物を引く場合は+90度 ・荷物加重または力 Lw(kg) ・荷物との水平距離 Ld:股関節から荷物の重心位置までの水平距離 (cm) ・荷物の高さ Lh:荷物重心位置の床面からの高さ(cm) ・背筋力 Lmax:背筋力の測定値あるいは保持可能な最大重量(kg) * T,Rh,K,V の間には T+Rh-K+V=90 度という関係が常に成立するの で、いずれか1つは実測不要 2. 画像計測による方法 画像ファイルを読み込み、頭の上、肩峰、大転子、膝、足首、手(あ るいは荷物荷重重心位置)を計測ポイントとして姿勢を決定する。 □姿勢の安定性 足が滑らないための最大静止摩擦係数は、荷物や握り手の押し引き 作業時に問題となるが、濡れて滑りやすい場合で 0,2 程度、乾いて いて非常に滑りにくい床の場合で 0,9 程度、普通の移動に差し支え ない程度の床で 0,5 程度とされている。このソフトでは、姿勢の安 定性を重心位置と足が滑らないための最大静止摩擦係数で検討して いる。

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□システムの問題  このソフトで推定できるのは 2 次元の静的作業であり、捻りを伴 う 3 次元の静的作業や動的作業の解析にはまた別のシステムが必要 となる。実験室で行う Vicon などの 3 次元動作解析システムなどが あるが、それらは固定された障害物のない場が要求されるため実際 の住宅の中での動作を計測するのは困難である。

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□椎間板圧迫力と圧迫力の推定式 作業者の体重:Bw(kg) 作業者の身長:Hr(m) 取り扱い物の重量:Lw(kg) Lw の重心から L5/S1 までの水平距離:L(m) 肩ー大転子の鉛直方向に対する角度;T( 度 ) 肩ー大転子ー膝のなす角度:Rh( 度 ) 膝の屈曲角:K( 度 ) L5/S1 より上の体重:Uw(kg) Uw=0.475 × Bw L5/S1 から Uw の重心までの水平距離:B(m) B = 0.17 × Hr × sin(T) 脊柱起立筋のモーメントアーム:E(m) E=0.05 重力定数 g:9.8(m/s2) 横隔膜面積:0.0465(m2) Bw と LW による L5/S1 まわりのモーメント:ML5/S1(N) ML5/S1=Uw × g × B+Lw × g × L 腹圧:Fa(N) Fa=0.0001 × {42.64-0.3564 × (180-Rh)} × ML5/S11.8 × 13.6 × g × 0.0465 (Fisher の推定式より) Fa による L5/S1 まわりのモーメントアーム:D(m) D=0.067+0.082 × sin(180-Rh) (Morris らの推定式より) Fa とともに ML5/S1 に対抗する脊柱起立筋による力:Fm(N) Fm=(ML5/S1-Fa × D)/E L5/S1 の関節面の傾斜角:Ra( 度 ) Ra=-17.519-0.11863 × T+0.22687 × K+0.0011904 × T × K+0.00499 ×T×T (Anderson らの推定式より) L5/S1 での椎間板圧迫力:Fc(N) Fc=Uw × g × cos(Ra)+Lw × g × cos(Ra)-Fa+Fm L5/S1 での剪断力:Fs(N) Fs=Uw × g × sin(Ra)+Lw × g × sin(Ra)

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2. シュミレーション  物理的腰部負荷と腰部曲げ角度との関係について、腰部負荷評価 ソフト「Bless�Pro」を用いてシュミレーションを試みる。  「Bless� Pro」の姿勢パラメータの中で、「立位」と「座位」にお いて体幹角度と膝関節角度を 10 度毎に変化させ、その時の腰部負 荷についてそれぞれの角度との相関を調べた。「座位」においては 両足裏が地面についているものとし、背もたれは無いものとする。  今回のシュミレーションでは住宅観測実験の被験者をモデルとし た。 [立位]  体幹角度 0 度・腰屈曲角 180 度・膝屈曲角 180 度・足屈曲角 90 度での直立時の状態で、股関節から水平距離 32.3cm・地面 からの高さ 103.2cm に 0kg の荷物を持っているものとする。 [座位(両足裏が地面についている状態)]  体幹角度 0 度・腰屈曲角 90 度・膝屈曲角 90 度・足屈曲角 90 度で椅子に座っている状態で、股関節から 41.7cm・地面か らの距離 73cm に 0kg の荷物を持っているものとする。

図 5-1-3:[立位]と[座位]の基本姿勢

図 8-1-2:膝屈曲角を 10 度毎に曲げたもの(上)と      体幹角度を 10 度毎に曲げたもの(下) HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

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□腰部負荷と体幹角度・膝屈曲角との相関関係  腰部にかかる力の種類によって角度との相関関係が異なる。 ・腰部椎間板圧迫力:膝屈曲角の減少→負荷増大           体幹角度の増加→負荷増大 ・要椎間板剪断力:膝屈曲角の減少→負荷減少          体幹角度の増加→負荷増加 ・脊柱起立筋筋力:膝屈曲角の減少→必要筋力増大          体幹角度の増加→必要筋力増大  体幹角度が大きいほど膝屈曲角による負荷の変化率は小さくなる が、膝屈曲角変化毎の体幹角度による負荷の変化率には大差は見ら れなかった。 □体幹角度と腰部負荷との相関関係  膝屈曲角が一定の時は、体幹角度の増加と共に3つの力とも増加 傾向にある。立位においては体幹角度がマイナス、すなわち後屈に なると腰部椎間板圧迫力と脊柱起立筋筋力は増加し、腰部椎間板剪 断力は力の方向が逆転し、大きさは増加する。 □膝屈曲角と腰部負荷との相関関係  体幹角度が一定の時は、膝屈曲角が小さくなる(直立→膝を曲げ ていく)ほど、腰部椎間板圧迫力と脊柱起立筋筋力は増加していく が、腰部椎間板剪断力は減少していく。しかし、体幹角度によって は膝屈曲角が 30 度辺りになるとその関係が一度逆転し、立位の時 は 20 度付近でまた元の関係に戻る場合があるが、座位においては 逆転したままである。 □腰部負荷最大時の時の体幹角度・膝屈曲角度  それぞれの負荷最大時の体幹角度・膝屈曲角を以下に示す。 [立位] ・腰部椎間板圧迫力:体幹角度 70 度・膝屈曲角 50 度 ・腰部椎間板剪断力:体幹角度 90 度・膝屈曲角 140 ~ 180 度 ・脊柱起立筋筋力:体幹角度 80 度・膝屈曲角 60 ~ 90 度 [座位] ・腰部椎間板圧迫力:体幹角度 80 度・膝屈曲角 80 度 ・腰部椎間板剪断力:体幹角度 90 度・膝屈曲角 140 度 ・脊柱起立筋筋力:体幹角度 80 度・膝屈曲角 80 ~ 110 度

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□保持可能時間  姿勢維持のために要求される全身の筋力が最大筋力の 50%を超 えると、短時間しか保持できなくなる。  これは「立位」と「座位」でその様子が異なる。「立位」では体 幹の傾斜の大きさにより範囲は異なるが、全ての角度においてその 警告外の範囲が存在する。「座位」では体幹角度 20 度以上 60 度未 満の範囲でしかその範囲が存在しない。  この変化に影響を及ぼしているのが L5/S1 関節、膝関節、股関節 周りの筋力である。「立位」において、体幹傾斜の増加に伴い股関節・ L5/S1 関節での必要筋力は上昇し、膝屈曲角の減少に伴い股関節・ L5/S1 関節での必要筋力は低下し、膝関節での必要筋力は上昇する。 「座位」においては、体幹傾斜の増加に伴い L5/S1 関節での必要筋 力は低下し、股関節での必要筋力は上昇する。また、膝屈曲角の減 少に伴い股関節での必要筋力は低下するが、L5/S1 関節での必要筋 力はほぼ一定である。 □荷物所持による影響  荷物所持がある場合、荷物重量が大きくなればなるほど、荷物の 位置が身体から離れれば離れるほど、地面から離れれば離れるほど、 負荷の大きさは増大する。 □立位と座位の負荷の違い  負荷量を見ると、腰部椎間板圧迫力と脊柱起立筋筋力においては 立位の方が少なく、腰部椎間板剪断力においては座位の方が少ない。 □まとめ  体幹角度のみに着目すると体幹角度が大きい程負荷が大きい。膝 関節屈曲の有無に関しては圧迫力と剪断力が及ぼす影響についてさ らに詳しい研究が必要となる。

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5-2 腰部曲げ角度計測装置 □腰部曲げ角時計装置について   腰部曲げ角度の計測機材として考えられるものを以下に示す。 1. 超音波式動作計測装置  超音波センサーの特性を利用した技術の利用で関節などの体の 様々な部位の計測・管理に使用できる。超音波法での測定原理とし ては、一対のセンサーが、体が動く時の皮膚の伸び縮みによって起 超音波式動作計測装置 :sonoSens

こるセンサー間の距離の変化を計測し超音波の連続信号によって姿 勢を解析する。  これは、あくまでセンサー間の距離を測定するものであり、本研 究で必要となる腰部曲げ角度の計測とは異なる。 2. ジャイロセンサ式関節角度計  物体の角度を検出するジャイロセンサを身体に取り付け、検出さ れた加速度の積分によって角度を計測するものである。身体の2つ

ジャイロセンサ式加速度計 :

の節に取り付ける事によって、節の相対角度を計測する事ができる。

モーションレコーダー

ジャイロセンサには回転するコマの性質を利用したものと振動する 梁にかかるコリオリ力を利用したものとがある。しかし、急激な角 度変化(90 度/秒以上)に追従できず、このような角度変化を生 じた場合にはドリフトを起こす事になってしまうため、今回の実験 では不適と判断する。 3. 光ファイバー式関節角度計  ケーブルの屈曲角度に応じて光が漏れる特殊な光ファイバーケー ブルを応用した計測装置である。光ファイバーの一端から光線を入 射し、関節の前で折り返したケーブルと関節で屈曲を受けてからケ ーブルの多端で出射光量を比較する事により、関節の屈曲角度を計 測する。主に、バーチャルリアリティの実現に用いられる。 4. 可変抵抗式関節角度計  回転型の可変抵抗器を関節部に取り付け関節角度を検出する。可 変抵抗器の回転部と固定部とにそれぞれアームを取り付け、そのア ームに隣接する2つの節にバンドなどで固定する。これは、被験者 の拘束感が非常に大きい。

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5. フレキシブル関節角度計  可変抵抗式関節角度計測装置の拘束感を軽減するために開発され た、抵抗感の少ない関節角時計である。2つの検出ユニットをスプ リングで連結した様な外観を有しており、スプリング間におさめら れた歪ゲージの出力によって2つの検出ユニットの相対角度を検出 する。 2つの検出ユニットが計測軸以外の回転や並進を起こしても、 原理的には干渉しない。したがって、かなり自由に検出ユニットを 身体に取り付けられるばかりでなく、バネで連結されているため、 身体の拘束感は可変抵抗式よりもだいぶ小さくなる。

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□使用機器  様々な計測装置がある中で検討した結果、本研究ではデータログ 株式会社 ディケイエイチ(DKH) http://www.dkh.co.jp/

方式のフレキシブル関節角度携帯計測システムを用いて腰部関節の 角度計測を行った。計測時は身体に撞着したゴニオメータとデータ ログを有線で繋ぎ関節角度データを収集するものである。 1. ゴニオメータ:関節角度計測計 ・センサ単体の重量―20g 弱 ・計測軸―2軸(例:前後方向・左右方向の腰部の曲げ)      捻り(例:腰部の軸回旋) 2. データログ:データ収集装置

[ゴニオメータ] [データログ]

センサ部

エンドブロック

出力端子

図 5-2-1:フレキシブル関節角度計測システム

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Questionnaire Survey

chapter 06

アンケート調査

06

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アンケート調査

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6-1 調査概要 □調査目的  住宅内でどのような動作を行っている時に腰痛を感じるのか調査 する事を目的とした。 □調査対象者  調査対象は腰痛を患う者とした。  建築学生の身近にいる腰痛の者を対象とした調査と、整形外科の 病院に受診を目的として来た腰痛患者を対象とした調査と、2度に 渡って調査を行った。 □実施期間  ・建築学生の身近にいる腰痛の者を対象とした調査:2004 年 06 月末~ 7 月初め  ・西早稲田整形外科の腰痛患者を対象とした調査:2004 年 8 月 ~ 10 月 □調査数  ・建築学生の身近にいる腰痛の者を対象とした調査:74 名  ・西早稲田整形外科の腰痛患者を対象とした調査:77 名

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アンケート調査

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6-2 調査方法 1. 建築学生の身近にいる腰痛の者を対象としたアンケート調査(以 下「アンケート 1 調査」とする)  建築学生に、身近にいる腰痛の者を探してきてもらいアンケート 調査を行った。  プライバシーを侵害しない程度の個人情報と腰痛について記入し てもらい、住宅内で腰痛を感じる動作については、いくつか挙げた 動作項目について腰痛の有無、動作頻度、腰痛の頻度、度合いなど を聞き、その他にあれば「その他」に記入してもらうという形式を とった。

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アンケート調査

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性別  男 女 年齢    歳 職業 主に行う家事 炊事 洗濯 掃除 その他(          ) 痛みを感じる主な動作に○を付けて下さい。    曲げ  反り  ひねり          学籍番号

氏名 痛み 方

痛み の度 合い

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の頻度 腰痛の頻度 無し

例)起床

1/1日

まれに

痛みを感じる具体的な動作

空間的対処法

空間的対処法に対する 希望・要望

仰向けから上体を起こすとき 起き上がるときの姿勢は? 仰向けから 横向きから うつ伏せから

横向きになってベッドに手

就寝スタイルは?  ベッド 布団

をついて起き上がる

ベッドの脇に手摺が欲しい

無し

起床

動作の度に

瞬時

軽度

起き上がるときの姿勢は?

時々

持続

重度

仰向けから 横向きから うつ伏せから

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

まれに

就寝スタイルは?  ベッド 布団

無し

洗顔

まれに

(具体的動作例:洗顔 うがい 手洗い) 洗面台の高さは?     cm

無し

炊事

まれに

(具体的動作例:切る 鍋を持つ) 調理台の高さは?     cm

無し

食器洗い

動作の度に

瞬時

時々

持続

かかる時間は?    分くらい

まれに

シンクの深さは?    cm

無し

洗濯

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

蹴上げは?       cm

時々

持続

重度

踏面は?        cm

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

まれに

洗濯機の蓋は? 上面 側面

無し

物干・取り込み

掃除

まれに 無し

布団星の高さは?    cm 物干竿の高さは?      cm

まれに

(具体的動作例:床拭き掃除 棚拭き 掃除機がけ 窓拭き ほうきちりとり)

無し

収納

まれに

収納の高さは?      cm

無し

トイレ

まれに

様式は?   和式  洋式

無し

入浴

まれに

形態は?   浴室 ユニットバス 風呂椅子の高さは?     cm

無し

昇降

まれに 無し

歩行

まれに

無し

まれに

座る姿勢は?   正座 あぐら 横座り 椅子座 テーブルの高さは?    cm 椅子の高さは?      cm 背もたれは?  有   cm  無

座位

肘掛けは?   有  無 無し

立ち上がり

玄関周りでの動作

荷物所持での移動

その他 (      )

その他 (      )

その他 (      )

その他 (      )

その他 (      )

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

まれに 無し

(具体的動作例:椅子から 床から ソファから ベッドから トイレから 浴槽から)

まれに 無し

上がり框の高さは?     cm 靴脱ぎのための椅子は?  有  無

まれに 無し

荷物の形状、大きさは? 移動距離は?

まれに 無し

M

(動作に関与したものの形状、寸法など                      )

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

まれに 無し

(動作に関与したものの形状、寸法など                      )

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

まれに 無し

(動作に関与したものの形状、寸法など                      )

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

まれに 無し

(動作に関与したものの形状、寸法など                      )

動作の度に

瞬時

軽度

時々

持続

重度

まれに

(動作に関与したものの形状、寸法など                      )

動作項目例)アイロンがけ、草むしり、日曜大工荷物所持

図 6-1-1:アンケート用紙

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アンケート調査

35


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

2. 西早稲田整形外科に受診を目的として訪れた腰痛患者を対象と したアンケート調査(以下「アンケート 2 調査」とする)  西早稲田整形外科に協力をお願いし、腰痛患者の待ち時間を利用 してアンケート記入をしてもらった。待ち時間を利用するためあま り込み入った事を聞く事はできず、建築的寸法に関わると思われる 箇所について○を記入していく形式をとった。

表 6-1-2:アンケート項目 1 性別 2 年齢 3 身長 4 体重 5 職業 6 症状名 7 住宅形態 8 階段の有無 9 家事作業の有無 10 腰痛を感じる主な動作(曲げ・反り・捻り) 住宅内での腰痛を感じる動作について 11 (腰痛の有無・動作頻度・腰痛頻度・腰痛の程度) 起床 洗顔 手を洗う 床から立ち上がる 椅子から立ち上がる ソファから立ち上がる ベッドから立ち上がる トイレから立ち上がる 浴槽から立ち上がる 床に座っている 椅子に座っている (その他)に座っている 階段を上る 階段を下りる 高いところ( cm)に物をしまう 高いところ( cm)から物を出す 低いところ( cm)に物をしまう 低いところ( cm)から物を出す 布団をしまう 布団を出す 浴槽に入る 浴槽から出る

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アンケート調査

36


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

6-3 調査結果 1. アンケート 1 調査 □全体  「起床」「洗顔」「座位」の際の動作において腰痛者率が高かった。

70 60 50 40 30 腰痛者数(人) 20 10

起床 洗顔 座位

掃除 荷物所持

炊事 立ち上がり

歩行 収納 昇降 食器洗い

入浴 玄関周り

物干・取り込み

0 トイレ

洗濯

物干・取り込み

動作

動作の度に

時々

稀に

図 6-3-1:アンケート 1 調査結果(全体)

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アンケート調査

37


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

□年齢別・職業別 � 年齢別・職業別に分け腰痛者率が 50%を超えるものを表にまとめ た。  年齢別では 80 代で他の年代と異なる傾向が見られた。他の年代 ではあまり腰痛者率が高くなかった「階段の昇降」時の動作におい て、腰痛を訴える人が多い。

表 6-3-1:アンケート 1 調査結果(年齢別) 20代

40代

50代

70代

80代

座位

90 洗顔

83 起床

91 洗顔

91 起床

100

起床

86 掃除

75 荷物所持での動作

83 起床

82 昇降

100

洗顔

76 座位

75 立ち上がり

83 食器洗い

73 掃除

67

荷物所持での動作

71 荷物所持での動作

67 洗顔

83 玄関周りでの動作

73 座位

67

掃除

62 起床

67 座位

70 炊事

73 歩行

67

立ち上がり

57 炊事

67 食器洗い

65 掃除

73 玄関周りでの動作

67

収納

52 立ち上がり

58 掃除

57 荷物所持での動作

64 物干・取り込み

50

収納

50 炊事

57 昇降

64 入浴

50

昇降

50 収納

57 座位

64 洗顔

50

洗濯

57 歩行

64 トイレ

50

トイレ

52 物干・取り込み

55 立ち上がり

50

歩行

52 トイレ

55 炊事

50

計(人数)��21

計(人数) 12

計(人数) 23

立ち上がり

55

入浴

55

計(人数)��11

計(人数)��6

表 6-3-2:アンケート 1 調査結果(職業別) 主婦

パート

学生

会社員

無職

洗顔

95 洗顔

100 座位

94 起床

75 洗顔

起床

86 掃除

83 起床

83 洗顔

69 立ち上がり

80

掃除

82 起床

83 洗顔

83 荷物所持

63 歩行

80

荷物所持での動作

77 昇降

83 掃除

67 立ち上がり

63 掃除

80

座位

73 炊事

83 荷物所持

67 座位

63 起床

60

炊事

73 収納

83 立ち上がり

56 歩行

56 荷物所持での動作

60

立ち上がり

68 荷物所持での動作

67 食器洗い

56 収納

50 収納

60

食器洗い

68 玄関周りでの動作

67 収納

56 玄関周り

50 食器洗い

60

昇降

55 立ち上がり

67 入浴

56

トイレ

55 入浴

67 炊事

50

洗濯

55 座位

50

歩行

55 物干・取り込み

50

入浴

50 歩行

50

収納

50

玄関周りでの動作

50

計(人数)�22�

計(人数)�6

計(人数)�18

洗濯

計(人数)�16

100

60

16 計(人数)�5

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アンケート調査

38


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

2. アンケート2調査  ここでは全体に加え若年者層と高齢者層に分け、腰痛者率が50 %を超えるものについて表にまとめた。  全体で見ると「起床」「洗顔」時の動作が腰痛者率の高い動作と してあげられ、若年者層でも同様な結果が得られたが、高齢者層に おいては「起床」が最も腰痛者率の高い動作として挙げられ、 「洗顔」 よりも、「階段の昇降」時の動作において腰痛者率が高かった。

表 6-3-3:アンケート 2 調査結果 全体

20代~40代

50代~70代

起き上がる

76.6 顔を洗う

顔を洗う

64.9 起き上がる

71 立ち上がる(床)

67.4

立ち上がる(床)

64.9 立ち上がる(床)

61.3 座っている(床)

63

座っている(床)

62.3 座っている(床)

61.3 階段を上る

60.9

立ち上がる(椅子)

58.4 座っている(椅子)

61.3 階段を下りる

60.9

低い所からものを出す 57.1 立ち上がる(椅子)

74.2 起き上がる

80.4

58.1 低い所からものを出す 60.9

座っている(椅子)

55.8 立ち上がる(ソファ) 54.8 顔を洗う

58.7

低い所に物をしまう

51.9 座っている(ソファ) 51.6 立ち上がる(椅子)

58.7

低い所からものを出す 51.6 低い所に物をしまう

54.3

座っている(椅子)

52.2

計(人数)77

計(人数)31

立ち上がる(トイレ)

50

高い所に物をしまう

50

計(人数)46

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アンケート調査

39


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

6-4 考察  年代別、職業別両方とも上位に挙っていたのが「洗顔」である。 「洗顔」という動作は腰を曲げた状態を数秒維持しなければならな い事が原因と考えられる。 「起床」時にも腰痛を訴える人が多かった。 これは姿勢変化の大きさが原因と考えられる。椎間板内圧の比率を 見てみると、仰向けに寝ている状態が 25、椅子に座っている状態 が 140 と、上体を起こすだけでもその姿勢変化の大きさが伺える。 その他に全体で共通していたのは、 「座位」 「立ち上がり」 「荷物所持」 等が挙げられる。  また、年代別に見たときに、70代まではあまり上位に挙らなか った「階段の昇降」の動作が、80代では上位に挙ってきている。 これは、加齢と共に全身の筋力が衰え、それまで可能だった筋力に よる補助が困難になったためと考えられる。  「座位」に関しては、床での座位が最も腰痛者率が高かった。  職業別において、学生で最も腰痛者率が高いのが「座位」であっ た。これは日々机に向かって作業している事が原因と考えられる。 参考) http://www2d.biglobe.ne.jp/

~aquila/medical/c12/m238.html

立つ 100

かがむ 150

座る 座ってかがむ かがんで持つ 座って持つ 仰向けに寝る 140 185 220 275 25

横向きに寝る 75

図 6-4-1:姿勢毎の椎間板内圧の変化

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アンケート調査

40


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

Observation

chapter 07

住宅観測実験

07

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住宅観測実験

43


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

7-1 実験概要 □実験目的  住宅内での諸動作においてどのくらい腰が曲がっているのかを数 値化する。腰部負荷を絶対的な数値として求めるのではなく、相対 的に比較し建築的改善策として寸法や配置、材質等にフィードバッ クする事を目的とする。 □被験者  建築的しつらえに対する腰部曲げ角度を決定する要因として身 長が挙げられる。総務省統計局の調べを基に、補助なしで活動をし 始める2歳以上の平均身長を求めた結果 156.33cm となった。本実 験ではより平均的なデータを得るためにこの平均身長に近い者であ り、且つ住宅内での動作を日常的に行う事がほぼ可能な主婦を被験 者とした。 ・年齢:62 歳 ・性別:女性 ・職業:主婦 ・身長:157cm □実施期間 10 月 12 日�6:30 から 22:00(起床から就寝)まで

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住宅観測実験

44


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

7-2 実験方法  被験者の腰部に「ゴニオメータ」という角度計測計を装着して 1 日の日常生活を送ってもらい、その様子をビデオカメラで観測した。 □ゴニオメータ装着箇所  2 軸の曲げと捻りの 2 本のゴニオメータを L5/S1 間接付近に取り 付ける。

ゴニオメータ

L5/S1関節

図 7-2-1:ゴニオメータと装着位置 □ビデオカメラ設置場所  主な活動場所であるリビングに2つのビデオカメラを固定し、リ ビング以外の場所に関しては追跡という形式をとった。

480

770

180

1020

795

3840

1170

5790

730

530

270

1220

1780

790

40

730

235

1780

730

310

440

100

890

130

1660

1060

:ビデオカメラ設置場所

図 7-2-2:被験者の自宅 LDK とビデオカメラ設置箇所

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住宅観測実験

45


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

2285

5790

0 0.1

0.5

1745

1555

1385

1210

1000

800

640

400

175

415

90

1140

750

食器棚収納

1M

図 7-2-3 LDK 断面図 5790

40

1780

1780

1020

2285

1170

720

860

シンク下収納

450

760

340

700

360

540

1100

1020

拭き掃除

0 0.1

0.5

1M

図 7-2-4 LDK 断面図

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住宅観測実験

46


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

7-3 実験結果  1日の生活の中での主な動作について「動作」「動作の種類」「最 大曲げ角度」「平均曲げ角度」「維持時間」「最大曲げ角度平均」「平 均曲げ角度平均」を表にまとめる。

表 7-3-1:1日の中での腰部曲げ角度順の主な動作 最大曲げ 動作 動作種類 角度 掃除 複合(かがむ・しゃがむ) 45.63 床の物を拾う・置く かがむ 43.29 しゃがんだ状態から立ち上がる 立ち上がる 40.095 低いところの収納 かがむ 39.465 床の物を拾う(しゃがむ) しゃがむ 37.485 座位(作業をしながら) 座位 36.69 床に座る 座る 36.135 床から立ち上がる 立ち上がる 35.145 ローテーブルに物を置く・取る かがむ 34.65 うがいをする かがむ 34.155 座位(床) 座位 34.02 椅子から立ち上がる 立ち上がる 32.535 顔を洗う かがむ 31.77 起き上がる 上体を起こす 31.41 手を洗う かがむ 23.625 階段を上る 階段を上る 20.295 座位(椅子) 座位 19.665 立ち膝になる 立ち膝 15.57 食器洗い かがむ 13.725 椅子に座る 座る 13.23 階段を下りる 階段を下りる 5.31 横たわる(仰向け) 臥位 2.07 高いところの収納 立位 -2.835 洗濯物を干す 立位(後屈) -7.515

平均曲げ 角度 維持時間 34.37 7:19.73

最大曲げ 平均曲げ 角度平均 角度平均 32.879

18.36 9:52.635

23.49 0:33.314 24.84 6:50.276

34.448 36.755 18.705 21.639 25.599 21.438 23.766 16.345 16.686

27.315 0:37.311 15.795 11.25 12.825 13.77 6.885

0:13.991 0:07.662 0:54.633 0:05.331 1:34.609

14.166 11.727 4.6414 11.493

1.845 -2.07 -0.63 -2.25

0:07.329 32:37.89 0:09.804 0:43.723

-3.443 -6.825

-2.325

腰部曲げ角度が大きかったのは「掃除」の動作で、しゃがんだり 四つん這いになったりといった姿勢がその原因である。また、全体 的にはしゃがむ・かがむといった動作の時の腰部曲げ角度が大きい。 例としては、「低いところの収納」や「床から物を拾う」、「ローテ ーブルの上に物を置く・取る」などが挙げられる。  「座っている」動作では「床座」の方が「椅子座」よりも、「立ち 上がり」においては座位同様「床から」の方が「椅子から」よりも 腰部曲げ角度が大きい。  動作頻度としては、床の物を拾ったり、ローテーブルの上に物を 置いたり取ったりといった動作が頻繁に行われていた。

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住宅観測実験

47


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

6:30 ~ 9:30 赤:捻り 青:曲げ(前後) 緑:挙げ(左右)

洗顔 座位(床)

手を洗う

床から立ち上がる

階段を上る 座位(床)

食器洗い

シンクまわり掃除

座位(床)

図 7-3-1:被験者の 1 日の様子(6:30 ~ 9:30)

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住宅観測実験

48


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

9:30 ~ 12:30 赤:捻り 青:曲げ(前後) 緑:挙げ(左右)

椅子に座る

低い所の収納 座位(床)

座位(椅子) トイレ・風呂掃除

掃除機がけ

椅子から立ち上がる 座位(椅子)

横たわる

図 7-3-2:被験者の 1 日の様子(9:30 ~ 12:30)

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住宅観測実験

49


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

12:30 ~ 15:30 赤:捻り 青:曲げ(前後) 緑:挙げ(左右)

座位(床)

横たわる

座位(床)

横たわる

図 7-3-3:被験者の 1 日の様子(12:30 ~ 15:30)

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住宅観測実験

50


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

15:30 ~ 18:30 赤:捻り 青:曲げ(前後) 緑:挙げ(左右)

横たわる

座位(床)

横たわる

炊事

図 7-3-4:被験者の 1 日の様子(15:30 ~ 18:30)

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住宅観測実験

51


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

7-4 考察  角度においてはビデオ映像の目視による予想に反した結果はあま り見られなかった。ただし、動作頻度やそれぞれの動作における姿 勢などには個人差があり、本実験で得られたもの一データに過ぎな いが、主婦の1日の動作としては家事全般を行っており一般的なも のと考えられる。

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住宅観測実験

52


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

Analysis

chapter 08

分析

08

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分析

52


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

8-1 分析方法  アンケート調査で得られた腰痛者率と住宅観測実験で検出した腰 部曲げ角度の相関を調べ、物理的負荷が腰部負担にどのように影響 しているのかを明らかにする。  それぞれの動作における角度に関しては、1 日の中で検出された 角度のうち、最大曲げ角度と最大曲げ角度の平均で照合した。それ ぞれの動作における姿勢はそれぞれの場合により微妙に異なるもの であり、その偶発性を考慮して最大曲げ角度の平均も照合対象とし た。ただし、平均を出すのは微妙な差を補正して、より一般的なも のに近づける事が目的であるため、アンケート1調査で挙げている 住宅内での一般的な動作は腰部曲げ角度のばらつきが大きい動作も 含まれており、平均を出す事はあまり有益ではないと判断した。  腰部曲げ角度による腰部負担評価の際に、腰部負荷評価ソフト 「Bless�Pro」で負荷推定の際に必要となる角度の部位とゴニオメー タで測定可能な角度の部位が異なるが、体幹角度の決定要因となる 股関節と L5/S1 関節が近接している事から、体幹角度が大きい程、 つまり L5/S1 関節角度が大きい程腰部負荷は大きいとする。

Nk

T 股関節(大腿骨大転子)

L5/S1関節

A

Rh Ld Lh

K

V

図 8-1-1:「Bless�Pro」に必要な角度の部位(左)と ゴニオメータで計測可能な角度の部位(右)

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分析

53


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

8-2 分析結果 □腰痛者率と腰部曲げ角度 1. 年代別  「20 代~ 40 代」において腰痛者率と最大腰部曲げ角度に高い相 関が認められた。高齢になると全身の筋力が衰えてきてしまうため、 腰部曲げ角度だけではなく維持時間や動作における全身の筋肉使用 量等や、身体状況等も負担と感じる要因に影響していると考えられ る。 2. 職業別  「会社員」において腰痛者率と最大腰部曲げ角度に高い相関が認 められた。その原因に関してはもう少し細かい調査が必要と思われ る。

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分析

54


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

アンケート1調査 腰痛者率腰痛頻度別と腰部曲げ角度最大値

アンケート2調査 腰痛者率腰痛頻度別と腰部曲げ角度最大値

腰痛者率腰痛頻度別と 腰部曲げ角度最大値の平均

全体

全体

全体

90

90

90

80

80

80

70

70

70

60

60

60

50

50

50

40 腰痛者率(%)

40

40

腰痛者率(%)

30

腰痛者率(%)

30

20

30

20

20

10 10

10

0 -20

-10

0

10

20

30

40

50

0 -20

-10

0 0

角度(度)

30

40

50

25 20 15

5

50

45

45

40

40

35

35

30

30

20

30

40

50

15

10

10

-10

40

5 0 0

角度(度)

10

20

30

40

50

-10

0

10

角度(度)

時々

30

20

15

0 -20

20

25 腰痛者率(%)

5

0 10

10

動作の度に

20

腰痛者率(%)

0

0

50

25

10

-10

-10

角度(度)

動作の度に 30

-20

20

角度(度)

動作の度に

腰痛者率(%)

10

20

30

40

20

30

40

20

30

40

角度(度)

時々

時々

45

30

30

25

25

20

20

40 35 30 25 15

20 腰痛者率(%)

15

腰痛者率(%)

15

腰痛者率(%)

10

10

10 5

5

5

0 -20

-10

0

10

20

30

40

50

0 -20

-10

0 0

角度(度)

20

30

40

50

12 10 8

10

10

9

9

8

8

7

7

6

6

5

6

5

4

腰痛者率(%)

4 2

4

腰痛者率(%)

3

3

2

2

1

0 0

10

20

10

稀に

14

-10

0

角度(度)

稀に 16

腰痛者率(%)

-10

角度(度)

稀に

-20

10

30

40

50

1

0 -20

-10

角度(度)

0 0

10 角度(度)

20

30

40

50

-10

0

10 角度(度)

図 8-2-1:腰痛者率と腰部曲げ角度のプロット図

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分析

55


腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

アンケート2調査 腰痛者率腰年代別と腰部曲げ角度最大値

腰痛者率腰職業別と腰部曲げ角度最大値 会社員

20代~40代

腰痛者率腰職業別と 腰部曲げ角度最大値の平均 会社員

25

20

30

30

25

25

20

20

15 15

10

15

腰痛者率(%)

腰痛者率(%)

腰痛者率(%) 10

10

5

5

5

0 -20

-10

0

10

20

30

40

50

0 -20

-10

0 0

角度(度)

20

30

40

50

35 30 25 20

10

10

9

9

8

8

7

7

6

6

5

15 10 5

腰痛者率(%)

20

30

40

50

3

2

2

-10

10

20

30

40

50

-10

10

9

9

8

8

7

7

6

6

10

3

3

2

2

1

1

-10

0

10

20

30

40

50

-10

0

10

30

40

20

30

40

角度(度)

角度(度)

5

その他 30

20

0

0

20

40

腰痛者率(%)

15

10

30

4

4 腰痛者率(%)

0

20

5

5

25

0

40

学生

20代~40代

-20

30

角度(度)

学生

腰痛者率腰年代別と 腰部曲げ角度最大値の平均

-10

0

角度(度)

腰痛者率(%)

20

0 0

角度(度)

20

40

1

0 -20

30

4

3

1

0 10

20

5

4

腰痛者率(%)

0

10

主婦

40

-10

0

角度(度)

主婦

腰痛者率(%)

-10

角度(度)

50代~70代

-20

10

その他

40

12

12

10

10

8

8

角度(度)

50代~70代 40

6

35

6

腰痛者率(%)

腰痛者率(%)

30 25

4

4

2

2

20 0

15 腰痛者率(%)

-20

-10

0 0

10

20

30

40

50

-10

0

10

角度(度)

5

角度(度)

無職

0 -10

10

0

10

20

30

無職

40

角度(度)

16

16

14

14

12

12

10

10

8 腰痛者率(%)

8 腰痛者率(%)

6

4

4

2

2

0 -20

-10

6

0 0

10 角度(度)

20

30

40

50

-10

0

10 角度(度)

図 8-2-2:腰痛者率と腰部曲げ角度のプロット図 2

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分析

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

8-3 考察  腰部曲げ角度が大きくなればなるほど腰痛者率が高くなる訳では ないということが分かった。  負荷の大きさと負担の大きさが伴わない理由として、以下の3つ の事が考えられる。  1つ目は老化に伴う身体機能の低下が挙げられる。若年者層にお いては腰部曲げ角度が大きくなればなるほど負担も増大していく傾 向にある。身体機能の老化が顕著でない場合には腰部曲げ角度の大 きさは腰部負担に大きく影響する。しかし、老化に伴い筋力が低下 してくると腰にかかる負荷を筋力でカバーできなくなり、痛みとし て感じやすくなる。  2つ目は維持時間の長さにある。負荷の大きさはそれほど大きく なくても維持時間が長い事で負荷が堆積し、腰部の筋肉疲労を招き それが痛みの原因となる。  3つ目は荷物所持の有無、またはその重量にある。姿勢自体はそ れほど負荷のかからない姿勢でも、荷物所持によってその分の負荷 が腰にかかる事になり、負担として感じるようになる。  以上のような理由が考えられるが、それぞれの原因を考慮して対 処する事で、腰部負担軽減のための住宅設計が可能となる。

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分析

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

Summary

chapter 09

総括

09

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総括

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

9-1 総括  腰部曲げ角度の大きさがが大きくなるほど負担は大きくなるよう に思っていたが、必ずしもそうではない事が分かった。曲げ角度の 大きさに伴い負荷は増大しても負担はそれに伴わない事もあり、角 度だけではなく維持時間や身体状況等についてより詳しく研究する 必要がある。  また、体幹角度が大きくなるほど負荷も大きくなるが、膝を曲げ る事によってある段階から腰部椎間板剪断力が低下する事が分かっ た。しかし、それが負担としてどの程度影響しているかは不明な点 であるため、その点の更なる研究も必要となってくる。  こうした、それぞれの原因に細やかに対処していくことで、腰部 負担軽減のための住宅設計が可能となる。

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総括

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Epilogue

おわりに HITOSHI�WATANABE�LAB.�WASEDA�UNIV.

おわりに

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

おわりに

本論文を執筆するにあたって協力して頂いた皆々様にこの場を借 りて感謝の意を表したいと思います。 ・本研究を進めていく上で指導して頂いた渡辺仁史先生 ・本研究の論を展開していく上で相談の場となった住宅情報ゼミの 長澤さん、永池さん、大塚さん、担当者としていろいろ面倒を見て 頂いた内田さん、実験の被験者としてお母さんを紹介して頂いた上 に実験にも協力して頂き、その他様々な所でお世話になった遠田さ ん ・住宅情報ゼミで共に頑張ってきた米澤君、松井さん ・アンケート調査をするにあたりプレ調査としてアンケートに協力 して頂いた遠藤さん、杉田君、本間さん、佐藤さん ・アンケートに協力して頂いた早稲田大学理工学部建築学科 3 年の 生徒の皆さんとその被験者となった方々 ・同じくアンケート調査に協力して頂いた野村整形外科クリニック と西早稲田整形外科の病院の方々と被験者となった患者の皆様 ・アンケート調査の強力には至らなかったけれども、論文を書くに あたって助言して頂いたそねクリニックの院長先生 ・本論には載らなかったけれども、住宅観測実験のプレ調査として 協力して頂いた棚橋さんと、棚橋さんを紹介して頂いた稲田さんを はじめとするシルバー人材の方々 ・住宅観測実験の被験者がなかなか見つからない中、被験者となっ て頂いた遠田さんのお母さん ・ゴニオメータを購入する際にいろいろとお世話になった株式会社 DKH の山下さん ・腰部負荷評価ソフトを考案した瀬尾教授

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

・最後の追い込みで自分の研究があるにも関わらず相談に乗ってく れた大西君、共に研究室で論文執筆作業に追われていた伊藤君、小 川君、近藤君 ・陰で支えてくれた両親、祖母、友人 ・何かとお世話になった研究室の先輩の皆様 ・論文執筆の息抜きの時間を共に過ごした鈴木さん、高橋さん、藤 井さん、服部さん、石橋さん、前田さん  その他にも至る所で何かとお世話になっている方々も含め、皆々 様に感謝します。ありがとうございました。

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

□参考論文 「台所の収納位置と収納作業量」 著者:沖田 富美子、上林 博雄 1980 年 日本建築学会 「老人の生活動作特性の研究(1) 実験による日常生活動作の観察 (収納動作を中心として)」 著者:小滝 一正、林 玉子、徳田 哲男、児玉 桂子 1978 年  日本建築学会 「老人の生活動作特性の研究(2) 収納作業における棚高の変化と 動作項目・パターン、動作域」 著者:林 玉子、児玉 桂子、徳田 哲男、小滝 一正 1978 年  日本建築学会 「老人の生活動作特性の研究(3) 収納作業における棚高の変化と 収納姿勢」 著者:徳田 哲男、林 玉子、小滝 一正、児玉 桂子 1978 年  日本建築学会 「老人の生活動作特性の研究(4) 収納作業における棚高の変化と 生理反応・自己報告」 著者:児玉 桂子、林 玉子、小滝 一正、徳田 哲男 1978 年  日本建築学会 「収納動作からみた床下収納庫の深さについての実験検討」 著者:中島 一、建部 謙治 1981 年 日本建築学会 「床下の収納作業に伴う動作空間に関する実験的研究」 著者:中島 一、建部 謙治 1982 年 日本建築学会 「床下の収納作業域と収納規模に関する実験的研究」 著者:中島 一、建部 謙治 1981 年 日本建築学会 「人間の身体運動の解析 ー持ち上げ動作時の腰椎圧迫・せん断の 年齢差による許容限界の推定」 著者:佐藤 隆文 2002 年 M 系卒業研究

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腰部負荷軽減のための住宅内行動に関する研究

□参考 URL http://homepage2.nifty.com/aseo/bpress.htm 「腰部負担評価のための腰部椎間板圧迫力推定法」 http://homepage2.nifty.com/aseo/blesspro.htm 「筋骨格系障害予防のための作業負担評価ソフト� BlessPro� ver.2」 http://www.lumbar.jp/ 「腰痛ナビ」 http://www.hot-j.com/yothu/ 「腰痛委員会」 http://www1.tcue.ac.jp/home1/abek/htdocs/stat/corre.html 「表計算ソフトで統計処理」

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おわりに

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