第1章 研究背景
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第1章 研究背景
第1章 研究背景 本章では、在宅勤務者および ICT 技術における現状の問題点をそれぞれ指摘すると ともに、本研究に至るまでの検討について述べる。 1−1 在宅勤務者の現状 1−1−1 人口 国土交通省など政府が行った調査によると、「SOHO」や「テレワーク」などと呼ば れる在宅勤務の環境において、その従事者数は、週8時間未満の短時間労働者を含め ると総労働力人口の約 15%を占め、1,000 万人を超える。 (表 1-1-1-1) 表 1-1-1-1 テレワーカーの人口
出典
「テレワーク・SOHO の推進による地域活性化のための総合的支援方策検討委員会」 (総務省、国土交通省、経済産業省、厚生労働省合同委員会)資料(2003 年)
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第1章 研究背景
1−1−2 用語 SOHO、テレワーク、テレワーカーの意味については、例えば SOHO:
Small Office, Home Office の略語。 資格や技術を持つ専門職が、自営にて在宅で業務を行う ときの業務空間。
テレワーク:
企業に雇用された者が、企業のオフィスではなく 在宅で業務を行うこと。
などと定義している例もあるが、例えば表 1-1-1-1 では「テレワーカー」の人口とし て被雇用者と自営業者の双方を算入しているように、これらの用語は社会的に明確に 定義されているわけではなく、実際には研究者や関係者の裁量によるところが大きい。 しかしながら、SOHO は「オフィス(Office) 」を語末に持つゆえ、主に空間を意味 しており、一方、テレワークは「テレ+ワーク」=遠隔地での作業や業務であり、人 間行動を意味していると考えられる。よって、本研究では、 SOHO:
在宅勤務の空間
テレワーク:
在宅勤務での作業行動
テレワーカー:
テレワークを行う人
の意味として定義する。
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第1章 研究背景
1−1−3 業種および業務経験 在宅勤務と建設業界との関係は深く、政府の調査(情報通信機器の活用による在宅 就業実態調査結果報告 平成 13 年度家内労働等実態調査(厚生労働省、2002 年)) によると、その業種割合では「設計、製図、デザイン」が高く、特に男性において顕 著である(図 1-1-3-1) 。
図 1-1-3-1 在宅勤務者の業種割合 出典
『オフィス進化論』 (鯨井康志、日経 BP 社、2005 年)での 同調査データのグラフを引用
また、この政府調査では、在宅勤務者は企業での勤務経験者が多く(74%)、特に 「設計、製図、デザイン」業務従事者ではその値が 89%とさらに高いことから、過去 に企業での勤務経験があり、その際にオフィスビルや現場事務所にて、大机やパーテ ーション内などで同僚と共に執務を行う空間を経験したことのある者が相当数存在す ることが推測される。
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1−1−4 PC 使用の状況 前述の政府調査によると、全般的に、在宅勤務者はパーソナルコンピュ−タ(以下 「PC」)の利用率が高く(87%)、在宅勤務の空間および情報環境を考える際には PC の存在と役割は非常に重要である。 そこで、在宅勤務者の新しい執務空間の検討にあたっては、在宅勤務者の多くがか つて経験していた同僚との執務空間が持つ長所を取り入れるとともに、彼らの多くが 自宅に所有している PC の機能を応用したものが適当と考え、本研究での ICT ツール 作成の基本的条件とした。
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1−1−5 大企業主導から小規模、個人対応へ 在宅勤務は、1990 年ごろから当時「SOHO」と呼ばれた形態が現れたが、これは、 バブル経済期の都心部の地価高騰や、全国各地でのリゾート開発を背景に、都心から のオフィスの分散手法として、主に企業の側から提唱されたものであり、不動産投機 的な側面や、通信手段や企業の人事体制などのハード面の未整備もあって、多くが失 敗に終わった。 しかしその後、ブロードバンドや携帯電話などの通信技術の革新や、女性の社会進 出、フレックスタイムの導入、成果主義の浸透など、オフィスにおける技術や経営の 環境が大きく変化すると共に、オフィスのプランニングも、大部屋に机が並ぶ、俗に 「シマ」と呼ばれる画一的なものだけでなく、壁により仕切られたパーテーションの 他、最近では、着席場所が自由なフリーアドレスデスク、立位にてメールチェックな ど短時間の PC 利用を誰でも行えるタッチダウンデスクなど、空間や機材の個別化や 共有化が機動的に行える手法が導入されつつある(図 1-1-5-1) 。
図 1-1-5-1 フリーアドレスデスク(中央)とタッチダウンデスク(右奥) 出典
Techo 社(チェコ)ウェブサイト http://www.techo.com/main.php?pageid=192
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第1章 研究背景
さらには、オフィス内での情報の流れに着目し、まず、フリーアドレスデスクや、 出席人数に合わせた大小さまざまな規模のミーティングスペース、終日営業の居心地 の良いカフェテリア、分煙化に伴う喫煙室など、自席や自分の部署では普段会わない ような社内の同僚たちと出会う空間の量や質を高め、そこでのカジュアルな会話や面 識を通じた、情報や知識の共有化や相互刺激により、新たなビジネスの発展を促そう とする空間づくりの例もある。
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第1章 研究背景
一方、1990 年代に SOHO が失敗し、大企業が不景気に苦しんでいる間に、新たな 組織形態として、NPO(非営利組織)、IT ビジネスなどのベンチャー企業が現れて来 るとともに、また近年、 「スローライフ」 や、 そこから派生した LOHAS (ロハス、 Lifestyle Of Health And Sustainability)など、生産者や供給者だけではなく消費者をも含めた 包括的な社会行動も認知されつつある(表 1-1-5-1) 。 表 1-1-5-1 スローライフとその派生語
各種文献より作成
彼らが求めるオフィス空間像を考えると、そもそもこれらの新しい組織は少人数の ものが多く、かつて、大規模オフィスの分散を主な目的としていた SOHO とは別の観 点で、質の高い在宅勤務あるいは小規模オフィス空間へのニーズを抱いており、21 世 紀の現在、新たな在宅勤務の空間像を描く機会が到来しつつある。
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第1章 研究背景
1−2 ICT ツールの方向性 ICT(Information and Communication Technology)とは、従来の IT(Information Technology)に C(Communication)を加えたもので、人と人を繋ぐネットワーク に重きを置いた情報通信技術のあり方を志向しており、例えば総務省では、年次刊行 物であった『IT 政策大綱』を 2004 年より『ICT 政策大綱』に改題するなど、従来の IT の進化発展形としての意味が与えられている。 本研究では、ICT を活用してテレワーカーの居室空間および行動に影響を与えるコ ンピュータプログラムを「ICT ツール」と呼ぶこととし、また、本項では、テレワー カーを取り巻く空間、通信技術、人間行動において現状の問題点をそれぞれ確認し、 新たな ICT ツールの方向性を検討した。
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第1章 研究背景
1−2−1 空間における検討 在宅勤務などに対して人々が不安に感じる点として、コミュニケーションの問題が 大きい(図 1-2-1-1) 。
0
20
40
60
80 78.9
部門間のコミュニケーション 63.4
仕事の評価方法 36.8
就業・休暇の時間管理
30.0
人材育成・OJT 19.0
疎外感 帰属意識
100
13.2
図 1-2-1-1 分散化オフィスで働くことになったとき、不安に感じる点 出典
『オフィス進化論』より、 情報化社会におけるワーカーの快適オフィス研究報告書 (ニューオフィス推進協議会、1997 年)
「部門間のコミュニケーション」で不安を感じる背景として、自宅の個室にて執務 を行う場合は、個室ゆえに当然ながら、他者の離着席や作業に没頭する姿が見えない ことが考えられる。そこで ICT ツールには、在宅勤務の環境で欠落してしまう他者の そのような行動情報を相互に伝達する機能が求められる。
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第1章 研究背景
1−2−2 通信技術における検討 規制緩和やインターネット技術により多様化と高度化が進んだ通信メディアである が、その特徴を、情報、空間上の制約や、人間行動、コストにおける負担という観点 でまとめてみると、複数の人々との間で常時接続にて行動情報を相互に伝え合うとい う目的においては、現状の各メディアでは一長一短がある(表 1-2-2-1) 。 表 1-2-2-1 通信メディアの比較
各種文献より作成
それゆえ、これら既存の通信メディアではなく、むしろシンプルなプログラムとイ ンターネットを用いた、初期費用(機材代金)およびランニングコスト(利用料)が いずれも比較的安価となるような新たな ICT ツールの構成が必要であると考えた。
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第1章 研究背景
1−2−3 人間行動における検討 コスト面に加え、使用する時の行動や身体負荷について検討した(図 1-2-3-1) 。
図 1-2-3-1 通信メディアの使用時のコストおよび身体負荷 特に、人間行動への負荷という観点では、通常の執務時の作業にて断続的に用いる 器官や感覚である、PC の操作やメモ等の筆記を行うために必要な手や、あるいはモニ ターや紙面を見るための視覚を、新たな ICT ツールにおいても重複して利用すること は執務の妨害につながる恐れがあることから、これは極力避けるべきである。 よって、ICT ツールの使用においては、個室の作業において比較的使われることの 少ない「聴覚」を主な感覚器とすることとし、また、情報の送信においては IC タグに よるセンサリングやフック(注:PC でキーボードを打ったときなどの入力情報を格納する仕組み。 技術的にはどのキーを入力したかまで把握できるが、プライバシー保護のため、本研究ではキーの種類は 認識させない)の技術を応用し、他者の情報を受信した場合の伝達方法はスピーカーを
通じた音声を用いることとした。 これにより、ICT ツールの使用者は、他者の活動状況が伝わる音声情報をスムーズ に入手すると共に、すでに執務において文書作成や資料精査に用いている手や視覚へ の負荷が、ICT ツールによってさらに重くなってしまう弊害を避けられる。 早稲田大学渡辺仁史研究室 2005 年度修士論文
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第2章 研究目的
背景
第2章 研究目的
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第2章 研究目的
第2章 研究目的
背景
本研究は、多くの人々が分散化されたオフィス環境に対して不安に感じているコミ ュニケーションの問題に着目し、在宅勤務の環境で欠落しやすい他者の行動情報を相 互に伝達する ICT ツールを作成し、その効果を検証することを目的とする。
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第3章 研究方法
背景
第3章 研究方法
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第3章 研究方法
背景
第3章 研究方法 3−1 研究フロー
本研究では、実験にて入手するデータとして、ICT ツールでのログデータのほか、 被験者による実験中のメモや実験後のアンケートを行い、これらに基づき、実験時間 全体におけるマクロ分析と、それぞれの行動変化に着眼するミクロ分析を行うことと する(図 3-1-1) 。
図 3-1-1 研究フロー
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第3章 研究方法
3−2 ICT ツールの概要
背景
3−2−1 ICT ツールの開発 通常の在宅勤務において、その空間上の制約により欠落した情報である「同僚の気 配」や「同僚の行動の様子」を、インターネットを通じて音声で2者間に相互に伝え る ICT ツールを、建築学科渡辺研究室の遠田敦氏(博士課程、情報化建築ゼミ主宰) 、 情報学科深澤研究室の久保淳人氏(修士課程)、およびプログラマー大塚俊綱氏の協力 により開発した。使用言語は Perl および Microsoft Visual C#である。 また、IC タグの読み取りプログラムとして、独立行政法人 産業技術総合研究所の 塚田浩二氏が個人ウェブサイトにて公開している「Felica Launcher」を使用した。
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第3章 研究方法
3−2−2 ICT ツールの構成と機能
背景
3−2−2−1 ネットワーク構成 ICT ツールでは、PC を用いたデスクワークの作業環境を想定しており、C#言語で 作成された2種類のプログラム(「Input Checker」および「FeliCa Launcher」)を各 PC へインストールし、インターネットで結ばれたデータサーバを通じて、他者の PC とのネットワークを構成する(図 3-2-2-1-1) 。
図 3-2-2-1-1 ICT ツールでの情報の流れと使用するプログラム 【注】
2種類の検知用プログラムの他に、これらをインターネット上にて補助する プログラムとして、着席情報および PC 操作情報をデータサーバに 記録するためのプログラム(ic1.cgi、ic2.cgi、ic3.cgi)と、 他者の着席情報および PC 操作情報を分析するためのプログラム (analysis1.cgi、analysis2.cgi、analysis3.cgi、analysis4.cgi) がデータサーバ内にインストールされている。
この図の示すとおり、ICT ツールはデータを記録する機能(以下「記録機能」)、お よび他者のデータを分析して PC に音声を再生する機能(同「音声機能」)を持つ。以 下3−2−2−2および3−2−2−3で両機能につき概要を述べる。 早稲田大学渡辺仁史研究室 2005 年度修士論文
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第3章 研究方法
3−2−2−2 記録機能
背景
テレワーカーの行動に関する、以下の2種類の情報が記録されると共に、他のテレ ワーカーに対してインターネットを通じてそれらの情報が伝達される。 3−2−2−2−1 着席情報の記録 各テレワーカーは IC タグを携帯し、着席時に PC に接続されたタグリーダー上に置 くことで、着席の情報が時刻とともに記録される。 3−2−2−2−2 PC 操作情報の記録 PC の操作状況として、マウスクリックまたはキーボード打ちの入力が随時データサ ーバに記録されていく。
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第3章 研究方法
3−2−2−3 音声機能
背景
データサーバから伝達された情報を受け、他者の PC では、表 3-2-2-3-1 の通り、A から D の4種類の作業内容のいずれかを分析して判断し、各作業内容に対応した音声 (不在の場合は無音)が、スピーカーから発せられる。 表 3-2-2-3-1 作業内容と音声機能の対応関係
作業内容を判断する具体的な仕組みとしては、まず、着席の有無で作業内容 A と B を区別し、次に、5秒毎のコマの中で入力があったコマの数を、過去 30 秒間のコマ 数(6)で除した割合を「エフォートレベル」(E)として定義し、さらに、作業テス トでの PC 操作の状況を踏まえた E の値として、0%<E<66%のときは作業内容 C、 66%≦E≦100%のときは作業内容 D と判断する(図 3-2-2-3-2。詳細は3−3−3− 1参照) 。
図 3-2-2-3-2 着席情報および PC 操作情報による作業内容の判断フロー 早稲田大学渡辺仁史研究室 2005 年度修士論文
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第3章 研究方法
背景
3−3 実験概要 3−3−1 実験内容 全6回の実験を、以下の通り行った。 日時
2005 年 12 月および 2006 年 1 月
被験者
20∼30 歳代(1 実験 3 名、計 18 名)
内容
表 3-3-1-1 の通り、実験 1-1、1-2、2-1、2-2 の4種類の異なる環境下で、 1 回 25 分×4 種類を同一の被験者グループで行った。 表 3-3-3-1 実験番号ごとの条件
25 分の間では、表 3-3-3-2 のA∼Dの作業 表 3-3-3-2 4種類の作業内容
を、被験者自らの時間配分および自由な順序により、1 作業 1 分以上で 2 回 以上ずつ行うことを目指してもらい、作業変化を誘発した。
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第3章 研究方法
3−3−2 実験環境
背景
全ての実験では、ICT ツールの記録機能にて各被験者の作業内容を把握すると共に、 特に、実験 2-2 では3名の被験者のうち2名に ICT ツールの音声機能を使用し、相手 の作業内容に対応した音声が聞こえる環境とすることで、実験 1-1、実験 2-1 との比 較により ICT ツールのコミュニケーション上の効果を検証する(図 3-3-2-1) 。
図 3-3-2-1 実験 1-1、2-1、2-2 の環境比較
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第3章 研究方法
3−3−3 実験での取得データ
背景
3−3−3−1 ICT ツールによるログデータ 検証のためのデータとして、 ・!各被験者の着席時刻(IC タグの着脱により検知) ・!5秒毎の PC 操作状況(エフォートレベルの値(E)により判断) 【注】
エフォートレベルは、PC の操作状況が 5 秒ごとに記録され、 過去 30 秒間分(6コマ)のログデータにおける、マウスクリック またはキーボード打ちが記録されたコマの割合
を3種類のログデータとして記録し、各データの値(TRUE または FALSE)の組合せ により、その時の作業内容を判断した(表 3-3-3-1-1) 。 表 3-3-3-1-1 各ログデータの値と作業内容判断
3−3−3−2 被験者による記録 また、実験中の被験者には、5秒単位での自分の作業内容(A、B、C、D のいずれ か)をメモするとともに、実験後は、他者の行動への意識や、自分の行動が他者へ影 響する予想などに関するアンケートに回答してもらった。
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第3章 研究方法
背景
3−3−4 実験の様子
図 3-3-4-1 個室での作業の様子
図 3-3-4-2 大机での作業の様子
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第4章 分析
第4章 分析
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第4章 分析
第4章 分析 前章での実験の結果(巻末の資料編を参照)に基づき、以下の分析を行った。 4−1 マクロ分析 4−1−1 分析対象 実験 2-2(個室、3 名のうち2名間で音声使用)との比較を行うため、実 験 1-1(大机、2名、音声なし)および実験 2-1(個室、2名、音声なし) の各実験を含め3つの実験を分析の対象とする。なお、この分析はログデー タおよびそこから判断された作業内容に基づき行った。 各実験においてデータサーバに記録されるログデータは、着席および離席 ごとに随時、1(TRUE)および0(FALSE)が記録されるものと、PC の 操作状況が記録されるもの(詳細は3−3−3−1参照)があり、後者のデ ータ数は、被験者2名での実験の場合、1つの実験毎に、5 秒毎×25 分間× 被験者2名×各実験 6 回=12×25×2×6=3,600 個ある。このデータはそ れぞれ以下の4種類の作業内容に分類され、それに対応した記号が与えられ る(表 4-1-1-1) 。 表 4-1-1-1 4種類の作業内容
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第4章 分析
なお、各実験での作業内容の分布は表 4-1-1-2 の通りであり、表中の2実 験ずつの差の検定(F 検定、t 検定)において、等分散であり、かつ有意な 差のないことを確認した。 表 4-1-1-2 作業内容の分布 作業内容
実験 1-1
実験 2-1
実験 2-2
A.離席にて不在
15.6%
17.5%
21.6%
B.着席にて読書
41.1%
42.8%
36.9%
C.PC をゆっくり操作
16.9%
16.2%
14.1%
D.PC を忙しく操作
26.4%
23.4%
27.4%
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第4章 分析
4−1−2 作業時間の重複 各実験での被験者が持つ5秒毎のデータにおいて、両者がともに着席して 何らかの作業(B、C、D のいずれか)を行っている状態を「作業時間の重 複」として定義した。5秒毎の各時点において、重複している場合は1、し ていない場合は0の値を与え、実験時間(25 分間)中のデータ(「作業時間 の重複」データ)について、実験 1-1 と 2-2 での比較、および実験 2-1 と 22 での比較を行った。 なお、この配列データの値は最大で1、最小で0となり、平均値は作業時 間の重複する割合(重複率)として示される(表 4-1-2-1) 。 表 4-1-2-1 各実験の重複率 実験 1-1 平均値
実験 2-1
実験 2-2
0.7204
0.6739
0.5986
分散
0.201546
0.219893
0.240419
標準偏差
0.448939
0.468927
0.490325
これらのデータを用いて、実験 2-2 と他の2実験との差の検定を行った(表 4-1-2-2) 。 表 4-1-2-2 「作業時間の重複」データの差の検定
実験 1-1 と 2-2
実験 2-1 と 2-2
F 検定(P 値)
0.000181
0.058068
‘t 検定(P 値)
8.918110E-15
0.000002
毋分散
等しくない
等しい
母平均
差がある
差がある
いずれの比較においても、t 検定ではデータ群間にて有意差があり、実験 環境によって、他者と近い時間の使い方になる程度(どれだけ同じ時間を共 有するか)が異なっていることを示している。 早稲田大学渡辺仁史研究室 2005 年度修士論文
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第4章 分析
また、F 検定では、実験 2-2 から見た場合、実験 2-1 とは等分散で、実験 1-1 とは分散が等しくないことから、作業時間が重複するという意味でのタ イミングの取り方については、実験 2-2 と 2-1(ともに個室)が近く、実験 2-2(個室)と実験 1-1(大机)では違いが大きいことが示された。
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第4章 分析
4−1−3 作業の協調 次に、実験中の2者によるある時点での作業内容の違いの程度を、互いの 作業の協調の度合として捉え、その推移を数列(「作業の協調」データ)と して扱うこととした。同じく実験 2-2 を中心に、実験 1-1 および 2-1 との間 でそれぞれ差の検定を行った(表 4-1-3-1) 。 表 4-1-3-1 「作業の協調」データの差の検定
実験 1-1 と 2-2
実験 2-1 と 2-2
F 検定(P 値)
0.147265
0.004219
T 検定(P 値)
0.711301
0.003127
毋分散
等しい
等しくない
母平均
差はない
差がある
この結果、実験 2-1 と 2-2 が同じ個室空間ながら互いの関連が小さいのと 対照的に、実験 1-1(大机)と 2-2(個室)が近い関係にある。 実験 1-1 は、直接相手の行動や物音に接しながら作業を行う環境であり、 一方、実験 2-2 では、個室空間に他者の行動に対応した音声情報を与えるも のだが、この音声情報には、作業の協調という点で、作業する2者間に大机 での作業と同様の意識を喚起する効果があることが示された。
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第4章 分析
4−1−4 同じ作業内容 作業の協調に加え、2者が同じ作業内容となる時点に1の値(そうでない 時点に0の値)を与え、その数列(「同じ作業内容」データ)についても分 析した(表 4-1-4-1) 。 表 4-1-4-1 被験者間で同じ作業内容となる確率
実験 1-1 平均値
実験 2-1
実験 2-2
0.2885
0.3117
0.2735
分散
0.012580
0.008730
0.003040
標準偏差
0.112161
0.093436
0.055140
ここで、実験 2-2 を中心に、実験 1-1、2-1 との差の検定を行ったところ、 どちらの実験データ群とも等分散であり、かつ、有意差はない(表 4-1-4-2) 。 表 4-1-4-2 「同じ作業内容」データの差の検定
実験 1-1 と 2-2
実験 2-1 と 2-2
F 検定(P 値)
0.491083
0.103251
T 検定(P 値)
0.317702
0.011614
毋分散
等しい
等しい
母平均
差はない
差がある
実験 1-1 と 2-2 との間に有意差はないというこの結果は、前節(5−3) と同様に、実験 2-2 での ICT ツールの音声機能が、各作業者の空間を単なる 個室ではなく大机での空間に近い環境とする効果をもたらしているという証 左であり、ICT ツールの有効性を示している。
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第4章 分析
4−2 ミクロ分析 4−2−1 分析対象 本章では、ミクロ的視点として、各実験中、2名の被験者間が随時、相互 に与える影響につき着目し、以下の分析を行った。 なお、分析に際しては、実験時に各被験者が記入したメモをデータとして 使用し、第5章と同様、A∼D の4種類の作業内容に対して順に1、2、3、 4の数値を与えた。また、比較対象である実験 1-1、2-1、2-2 の各データ群 の数値は、F 検定(α=0.05)により互いに等分散であることを確認した。
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第4章 分析
4−2−2 行動変化の内容 実験 2-1、2-2 において、5 秒毎に記録された各被験者の行動データのう ち、相手と同じ作業内容へと変化した件数および割合を集計した(図 4-2-21) 。
図 4-2-2-1 行動変化分析での集計方法の部分例
集計の結果、実験 2-1 より 2-2 のほうが、件数、および同じ内容への変化 の割合がともに増加している(表 4-2-2-2) 。 表 4-2-2-2 相手と同じ作業内容へ変化した件数
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第4章 分析
しかし、差の検定では、いずれの項目でも実験 2-1、2-2 の毋平均に差が なく、両者の集計結果のデータ群に有意な差はないことが示された(表 4-22-3) 。 表 4-2-2-3 集計結果の差の検定
全体
同レベルへ
%
F 検定(P 値)
0.540912
0.571027
0.999439
t 検定(P 値)
0.770543
0.195651
0.141855
毋分散
等しい
等しい
等しい
母平均
差はない
差はない
差はない
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第4章 分析
4−2−3 行動変化のタイミング 実験 1-1、2-1、2-2 において、2 名のうち一方の行動変化から、相手の次 の行動変化までの平均時間(秒)を、 (a)! 実験全体での行動変化事例 (b)!一方の行動変化から 60 秒以内に相手が変化した場合 (c)! 同 30 秒以内 の場合にて集計した。 (表 4-2-3-1、図 4-2-3-1、図 4-2-3-2) 。 なお、最短期間を 30 秒とするにあたり、財団法人労働科学研究所の「記 憶のステージモデル」を参考にした。 労働科学研究所ウェブサイト http://www.isl.or.jp/column/keyword2.html からの引用 記憶という言葉は日常生活の中でさまざまに、たとえば、過去の出来事を思い出すこと、 思い出したその内容、また、ものを覚えることやその能力を表す言葉として用いられる。こ れらの記憶の仕組みや機能について心理学者はさまざまな理論を提出してきた。その中で有 名な記憶のモデルの一つに記憶のステージモデルがある。このモデルでは記憶を感覚登録器、 短期記憶および長期記憶の3段階に分ける。 外界の情報はまず感覚登録器内に感覚的形態で(たとえば音は聴覚的形態で)数秒間とど まる。情報が感覚登録器から次の段階に移る前にパターン認知が生じる。すなわち、感覚登 録器内の情報と既存の知識との照合を行い、次の処理段階を通過できるように情報をコード 化する。この次の段階が短期記憶である。 短期記憶では情報は感覚的形態ではなく、コード化された情報として保持される。そして、 短期記憶内の情報はその中で何度も何度も循環させるリハーサルとよばれる保持過程によっ て長くとどめておくことができる。短期記憶には二つの明らかな制約がある。一つは、リハ ーサルなしで情報が短期記憶にとどまることのできる時間は約 30 秒という制約である。もう 一つは、数の制約である。マジカルナンバーとして知られる7±2個の情報のまとまり(チ ャンク)しか入れる余地がないようである。この個数をこえるとその幾つかが短期記憶から 消失する。この消失が忘却の1タイプである。 記憶システムの第3の段階が長期記憶である。この長期記憶は外界についての知識の貯蔵 庫、すなわち知識のデータベースである。そして、時間的制約のない永続的な貯蔵庫でもあ る。この中では単に情報がバラバラにおかれているのではなく、高度に組織化されて配置さ れていると考えられている。どのように組織化されているかについては不明な点が多いが、 語としてのまとまり、概念などの意味的記憶、音や形状についてのイメージ的記憶などに分 割されて保持されているという考え方も提唱されている。
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第4章 分析
表 4-2-3-1 相手の次の行動変化までの平均時間の集計
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第4章 分析
図 4-2-3-1 相手の次の行動変化までの平均時間(秒)の比較
図 4-2-3-2 相手の次の行動変化の件数の比較 図 4-2-3-1 および図 4-2-3-2 にて(a)∼(c)のグラフの推移を見ると、 次の行動までの平均時間では、ICT ツールにて音声機能を使用した実験 2-2 の結果は、同じ個室空間ながら音声を使用しない実験 2-1 よりも、むしろ大 机で行われた実験 1-1 の方に近い推移となった。 早稲田大学渡辺仁史研究室 2005 年度修士論文
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第4章 分析
また、行動変化の件数では、実験 2-2 は、実験 1-1 および 2-1 の中間的な 位置を主に推移しており、実験 2-2 の ICT ツールの効果として、個室ながら 実験 1-1(大机)の持つ空間的要素を持つことが示されている。 ここで、表 4-2-3-1 について差の検定を行ったところ、実験 2-1 および 22 の各データ群においては、平均時間に関連する項目にて毋分散が等しくな いものや母平均に差があるものがあり(表 4-2-3-2) 、実験 2-1 および 2-2 で は、ICT ツールの音声機能の有無によって、作業者の行動特性に違いがある ことが示された。 表 4-2-3-2 表 4-2-3-1 における実験 2-1 および 2-2 の差の検定
一方、実験 1-1 および 2-2 の各データ群においては、等分散かつ母平均に 差がなく(表 4-2-3-3) 、実験 2-2 での ICT ツールの効果として、作業者の 行動特性が実験 1-1 と近くなることが示された。 表 4-2-3-3 表 4-2-3-1 における実験 1-1 および 2-2 の差の検定
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第4章 分析
4−2−4 作業内容の差の累積 ICT ツールの音声機能の使用、不使用それぞれの条件にて発生する、被験 者間の作業内容の継続的な差に着目し、実験 2-2(個室にて、被験者3名の うち2名が ICT ツールを使用、1名は不使用)において、被験者 a と b、b と c、c と a の各組合せで、同時点での作業内容の数値の差につき、25 分間 の実験時間中での推移をそれぞれ求めた(図 4-2-4-1) 。
図 4-2-4-1 作業内容の数値の推移例
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第4章 分析
次に、各数値差(−3から+3まで)が出現した回数の累積値を算出し、 全体における割合をグラフ化したところ(図 4-2-4-2) 、ICT ツールを使用し ている被験者(a、b)間において、その差がない(値=0)状態が占める割 合が最も高く、また、グラフの山の形状が滑らかな左右対称になっており、 被験者 a、b 間の実験時間中の作業内容がより調和していることが示された。
図 4-2-4-2 実験 2-2 での被験者間の作業内容数値の差の分布
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第4章 分析
4−3 アンケート分析 被験者による評価 各実験後に被験者に対し、作業中の他者への意識や、自らの行動変化における他者 からの影響および他者への影響予測などに関するアンケートを行い、回答から以下の 点が示された。 (個別の回答内容は巻末の資料を参照) 【実験 1-1、1-2】 大机では、被験者数が2人から3人に増加しても、他者への意識や行動変 化で感じる相互の影響の程度はあまり変化しない。 【実験 2-1】 個室の場合、大机よりも孤立感が高まる。 【実験 2-2】 音声機能を用いた2名の被験者では、他者の動向への意識および自分の作 業が与える影響への意識が高まり、実験 1-1、1-2 に近い回答結果となった。 一方、音声機能なしで作業した 3 人目の被験者は、引き続き高い孤立感を持 ち、実験 2-1 に近い回答結果となった。
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第5章 結論
第5章 結論
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第5章 結論
第5章 結論 実験の結果、在宅勤務の2者間で ICT ツールの記録機能および音声機能の両機能を 使用する場合の効果として、空間と行動状態との対応関係別に、以下の点が明らかに なった。 1.個室であることに依然として制約されている行動 (1) 双方の作業時間が重複するタイミング ・
2者が着席作業および離席している時点が重複するという点で、 個室と大机との結果の違いは、音声機能を用いても解消されなか った。
2.個室空間の制約から解放された行動(大机と同様の作業環境を示す行動) (1) 作業の協調 ・! 作業時間全体で見た場合、2者の作業内容の違いの程度(各作業 内容に与えた数値の差)に、個室と大机での統計上の差がなくな った。 (2) 同じ作業内容 ・! 作業時間全体で見た場合、2者が同じ作業内容となる時点の発生 の程度に、個室と大机での統計上の差がなくなった。 (3) 行動変化のタイミング ・
自らが作業内容を変化させたときの、相手の次の行動変化までの 平均時間および行動変化の全発生件数について、音声機能がある 個室での結果は、音声機能がない個室での結果から、大机での現 象の方向へシフトし、かつ、大机での結果との統計上の差がなく なった。
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第5章 結論
3.大机や孤立した個室とも異なる、ICT ツール空間独特の新たな行動 (1) 全体的に見た、双方の作業内容の調和 ・! 作業時間全体で見た場合、2者の作業内容の違いの程度(各作業 内容に与えた数値の差)の累積分布を見ると、その差がゼロのと きの頻度が最も高く、かつ、ゼロの頻度を中央にしたときの左右 の逓減が比較的均一となり、2者の作業内容の均衡が示された。
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第6章 展望
第6章 展望
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第6章 展望
第6章 展望 在宅勤務は、空間や時間の使い方を弾力的に行える余地が大きく、在宅勤務のため の空間は、個別対応建築の一つとして、今後新たな展開で普及、拡大していくと考え る。 今後の研究においては、3 名以上での使用を想定した ICT ツールの改良、向上を進 めると共に、オフィス空間に関する他の研究分野である、健康的な空間(タスク照明・ 空調、ICF コードなど)、生産性や創造性を向上させる空間(形式知・暗黙知の共有、 フリーアドレスなど)、あるいはユビキタス、シンクライアントなど情報通信の新しい 技術との連携を図り、遠隔地の空間で作業を行う人々の行動情報を通じて、コミュニ ケーションや健康、創造性に貢献しうる設計手法へと発展していくことを目指したい。
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第7章 謝辞
第7章 謝辞
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第7章 謝辞
第7章 謝辞 研究助成費への謝辞 本研究は、早稲田大学特定課題研究助成費(2005B-204)を受け成し得たものであ り、ここに感謝の意を表します。
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第7章 謝辞
皆さんへの謝辞 大学院にて学ぶ機会を与えて頂いた渡辺仁史先生をはじめ、研究室、ゼミ、実験、 勉強会、芸術学校など、この早稲田大学にて出会った全ての皆さん、そして、5年間 にも渡る学生生活にて多大なる心配を掛け続けた両親へ、厚く御礼申し上げます。 振り返れば、渡辺仁史研究室での2年間は、修士1年での ICF 高齢者ゼミ、修士2 年での情報化建築ゼミの他、オフィス研究会、mono 研究会、IC タグ研究会など数多 くの集まりにて勉強する機会がありました。 本研究は、情報化建築ゼミの活動の中で行われたものですが、主宰の遠田敦さん、 メンバーの横尾貴之君、引田有人君、菊池徹君には本研究のコンセプト段階から始ま り、ICT ツールの製作、実験および検証にわたるまで一貫してサポートして頂き、感 謝に堪えません。同ゼミの今後のより一層の発展を期待すると共に、いましばらくは 横目で見つつ、機会があれば是非参加し、新たな刺激を得たいと思います。 また、修士論文に至る建築空間への問題意識においては、上記のその他のゼミある いは研究会で学んだことが土壌となっており、特に、これらの研究活動にて数々のご 指導を頂いた林田和人さん、長澤夏子さんには、かつて私が渡辺仁史研究室を知るき っかけとなった、芸術学校のデジタルデザインコースのときから3年に渡り、大変お 世話になりました。学問だけでなく、お二方から温かく接して頂いたことが、私の研 究室活動の大きな励みとなりました。改めて御礼申し上げます。 渡辺仁史先生には、人間行動のコード化、ユビキタス、健康など、現在求められて いる建築空間への視点を教えて頂きました。今後、研究室において学んだことを何ら かの形で世の中に実現することによって、御恩返しが出来ればと思います。 最後に、私のこれからとして、皆さんと何らかのお付き合いが続けられるよう、努 力、精進していくことをここに記します。 2006 年 2 月 河内 邦彦 早稲田大学渡辺仁史研究室 2005 年度修士論文
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第8章 参考文献
第8章 参考文献
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第8章 参考文献
第8章 参考文献 1.政府統計・調査 1)
テレワーク・SOHOの推進による地域活性化のための
総合的支援方策検討委員会 資料
(総務省、国土交通省、経済産業省、厚生労働省合同委員会、2003 年)
2)
情報化社会におけるワーカーの快適オフィス研究報告書
(ニューオフィス推進協議会、2003 年)
4)
情報通信機器の活用による在宅就業実態調査結果報告
平成 13 年度家内労働等実態調査 (厚生労働省、2002 年)
5)
テレワーク・SOHO の推進を通じた地域活性化に関する調査研究
(総務省、2003 年)
6)
欧米における在宅ワークの実態と日本への示唆
(労働政策研究・研究機構、2004 年)
2.未来型オフィス関連 1)
オフィス進化論 (鯨井康志(岡村製作所オフィス研究所) 、!" #$ %&2005 年 5 月)
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8(
インキュベータと SOHO 地域と市民の新しい事業創造 (関満博、関幸子(編) 、新評論社、2005 年 6 月)
4)
オフィスとテレワーク 情報ネットワーク化時代のワークプレイス (森川信男、学文社、2005 年 4 月)
5)
オフィスからパソコンがなくなる日 (柴田英寿、東洋経済新報社、2005 年 6 月)
6)
空間知能化のデザイン 建築・ロボティクス・IT の融合 (橋本秀紀、渡邊朗子、NTT 出版、2004 年 12 月)
7)
識創造の方法論 ― ナレッジワーカーの方法 (野中郁次郎、紺野登、東洋経済新報社、2003 年 4 月)
8)
Techo 社(チェコ) ウェブサイト http://www.techo.com
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第8章 参考文献
9)
財団法人 日本 SOHO 協会 ウェブサイト http://www.j-soho.or.jp/
スローライフ関連 1)
雑誌『ソトコト(SOTOKOTO) 』 (木楽舎、月刊)
2)
スロ−・ビジネス宣言! (阪本啓一、日本経済新聞社、2005 年 1 月)
3)
スローハウジングで思い通りの家を建てる (桑原あきら、草思社、2003 年 10 月)
4)
NPO 法人 スローライフ掛川(静岡県掛川市)ウェブサイト http://slowlife.info/
5)
スローソサエティ協会(兵庫県姫路市)ウェブサイト http://www2.memenet.or.jp/slowsociety/
その他 1)
Felica Launcher プログラム(塚田浩二氏ウェブサイト) http://mobiquitous.com/rfid/felica-sd.html#flauncher
2)
記憶のステージモデル(労働科学研究所ウェブサイト)
http://www.isl.or.jp/column/keyword2.html
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