休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

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U0802 早稲田大学理工学部建築学科卒業論文         指導教授 渡辺仁史

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動 The relationship between stress reaction, behavior and architectural design in shopping mall

安藤 駿介

Department of Architecture,School of Science and Engineering, Waseda University


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

はじめに

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

はじめに

■はじめに 「明日どうしよっか?」 「どうすっか?なんでもいーよ。 」 「お買い物いこう!」 「おー。いくか、 、 、!(あ∼、 、買物疲れんだよな∼、 、、 ) 」 商業施設はどうしてこうまでも疲れるのか? 着いて30分もすればぐったりへろへろである。 そこにいるだけでくつろげるショッピングモール。 歩いているだけで心地よい百貨店。 入店から退店までが軽やかな音楽のように、 、、

そんな商業施設、 、、ないもんかね?

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

目次

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

目次  はじめに

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目次

4

第一部:論文編   1章:序論

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1-1. 研究目的

8

1-2. 研究背景

9

1-2-1. 大型商業施設の多様化      1-2-2. 百貨店の変移      1-2-3. クレバー・シニカルになった消費者      1-2-4. 情報の氾濫と消費      1-2-5. 茶の間 → chanoma      1-2-6..AIDMA → AISAS 1-2-7.one to one → situation    1-3. 本研究の位置づけ

16

1-4. 用語の定義

17

2 章:研究方法

18

2-1. 研究フロー

19

2-2. 休符行動について

20

2-3. ストレスについて

21

2-3-1. ストレス反応のメカニズム      2-3-2. ストレスによる生体反応     2-4. 生体反応計測について 2-5. 大型商業施設における買い物客の休符行動追跡調査

26 27

2-5-1. 調査概要      2-5-2. 調査日時      2-5-3. 調査項目 30

2-6. 調査結果      2-6-1. 調査結果のプロット      2-6-2. 休符ポイントの選定      2-6-3. 実験休符ポイントの決定   2-7. 大型商業施設における休符ポイントの

34

ストレス軽減効果の実験      2-7-1. 調査概要      2-7-2. 調査日時

2-7-3. 調査項目

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

3 章:研究結果   3-1. 被験者基礎データ     3-2. 実験結果

38 39 40

4 章:分析・考察

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4-1. 各休符ポイントの分析

53

4-1-1. 休符ポイント 1-1      4-1-2. 休符ポイント 1-2 4-1-3. 休符ポイント 2-1 4-1-4. 休符ポイント 2-2 4-1-5. 休符ポイント 2-3 4-1-6. 休符ポイント 3-2 4-1-7. 休符ポイント 3-3 4-2. 休符空間としての評価

63

4-3. 休符ポイントとコルチゾール値との関係

64

4-4. 歩数とコルチゾール値との関係

65

4-5. 行動属性別の行動時間とコルチゾールの関係

67

4-5-1. ストレス減少グループ編

4-5-2. ストレス増加グループ編     4-6. 行動属性別 LF/HF 値増減率平均 5 章:まとめ・展望

71 72

5-1. まとめ

73

5-2. 展望

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謝辞

76

参考文献

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第二部:資料編

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

第一部 論文編

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

1章 序論 1章:序論

7

1-1. 研究目的

8

1-2. 研究背景

9

1-2-1. 大型商業施設の多様化     1-2-2. 百貨店再編     1-2-3. クレバー・シニカルになった消費者     1-2-4. 情報の氾濫と消費     1-2-5. 茶の間 → chanoma     1-2-6..AIDMA → AISAS 1-2-7.one to one → situation    1-3. 本研究の位置づけ

16

1-4. 用語の定義

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

1章

1-1. 研究目的  研究目的 大型商業施設における休符行動とその効果を明らかにし、 よりストレスの少ない商業施設設計のために役立てることを 本研究の目的とする。

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1章

1-2. 研究背景 1-2-1. 大型商業施設の多様化  戦後の日本の大型商業施設は伊勢丹、三越、高島屋などの百貨 店を中心に繁栄してきた。しかし昨今の時代をとりまく、広義の 意味での「多様化」により、その様相は変化してきている。  従来の百貨店系に加えて、AEON や lalaport などのショッピン グモール系、六本木・表参道ヒルズなどの都市型商業施設系など、 多種多様な商業施設が誕生している。人口減少にともない今後更 なる国内市場の縮小が予想される中、これらの商業施設間の顧客 争奪競争は今後よりいっそう激しさを増していくだろう。

図  1-2-1 各商業施設 Logo それぞれの商業施設において、この激戦を勝ち抜くためにさまざ ま趣向が凝らされている。勝ち抜く鍵となるのは他社との 「差別化」 にある。そのためには、店舗の配置計画や動線計画、サービスの 向上といった売上げに直結する戦略だけでなく、施設内の居心地 の良さを向上させ、買物におけるストレス要因を取り除くことに よる顧客の満足度の向上・リピーターの増加を促す戦略を考えて いかなければならない。ようするに一番に愛されたいわけです。

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1章

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1-2-2. 百貨店再編  百貨店業界の売上げは07年から10年連続して減少している。 前述したとおり、消費者の多様化、競合他社の旺盛、 、人口減少等 の影響するところが大きいと言える。この状況を打開すべく、また この激戦時代を生き残るべく、百貨店同士の合併・経営統合が相次 いでいる。  2003 年 そごうー西武百貨店 → ミレニアムリテイリング 2007 年 阪神百貨店ー阪急百貨店 → H2O リティリング  2007 年 大丸ー松坂屋 → J フロントリティリング  2008 年 三越ー伊勢丹 → 三越伊勢丹ホールディングス  2008 年 高島屋ー H2O リティリング(2011 年までに)   こうした経営統合には、大きく2つのメリットがあげられる。 各々の得意分野を生かしながら成長戦略をしいていけるということ と、再編が続く業界において規模という体力を得ることができると いう点である。  3年後には大阪において主力百貨店が次々と増床・新店するいわ ゆる「2011年問題」が控えており、九州・博多ではメガ百貨店 同士が正面衝突する。そこでの敗北は退場につながる可能性すらあ る。ようするに3年後のガチンコ対決にそなえて準備しているわけ です。 図 1-2-2 出典 日本百貨店協会

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-+ 図 1-2-2 全国百貨店売上げ推移

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1章

1-2-3 クレバー・シニカルになった消費者  インターネットやモバイルの発達により消費者の買物は劇的な変 化をとげた。ネットショッピングやモバイルでの簡単決済など、そ の効率性は格段に高まった。いつでもどこでも手軽にモノを購入す ることができるユビキタス社会の到来である。また「買物」に対す る概念も多様化しており、ウィンドウショッピングのようにその行 為自体を楽しむ娯楽性が高いもの、イベントなどのエンターテイメ ントと連動した体験性の高いものなどの概念をもつ買物が生まれて いる。  消費者の選択の幅は無限の広がりを見せており、それは逆に言え ば、選択を迫られるがゆえに買うもの対して疑い深くなったともい える。自分が本当に必要なもの見極めて購入するクレバーかつシニ カルな消費者の誕生である。ようするに今の消費者はそう簡単には モノを買ってくれないということです。

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1章

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1-2-4. 情報の氾濫と消費者  そんなクレバー・シニカルになった消費者が直面した大きな問題が ある。それは情報の氾濫である。図 2-1-2-1 を見てもらいたい。総務 省の「平成20年度情報流通センサス報告書」によると、消費可能情 報量(人が処理できる情報量)はここ10年でほとんど変わっていな いのに対して、選択可能情報量は拡大しつづけ10年で400倍以上 に膨れあがっている。もちろんこの中には商品情報などの消費を促す 情報も多分に含まれている。情報の真偽は見分けづらく、個人にとっ て価値のある情報もそうでないものも垂れ流し状態である。ようする に、現代の消費者は情報に押しつぶされ、流され、何を信じてよいのか、 何を買えばいいのかとてもわかりにくくなっているということです。

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図 1-2-4 出典 総務省 図 1-2-4 平成20年度情報流通センサス報告書

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1章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

1-2-5. お茶の間 → chanoma  そんな情報迷子な消費者が信じられる情報を得るために登場した メディア、それがクチコミである。信頼できる情報が消費者から消 費者へ発信され、広がっていくものであり、昨今ではコミュニケー ションの主役に躍り出ている感がある。企業もクチコミがおこるよ うなコミュニケーション戦略を模索しており、買物行動における「体 験」が重要視されてきている。  佐藤尚之著の「明日の広告 *」ではこの現象をネオ chanoma と表 現している。 *参考文献1)   明日の広告:佐藤尚之

お茶の間が消え、ひとりでテレビを見ている人は増えた。彼らは

一人でテレビを見ながら、パソコンやケータイを開いて検索したり 2チャンネルでチャットしたりメールしたりしている。(中略)ひと

りでテレビとパソコンを「ながら視聴」している人がリアルタイム で同時に大勢とつながる、雑談している。それはまさに「巨大なバー

チャルお茶の間」ではないか。そしてそれは以前のお茶の間のよう

な「新しいクチコミ源」なのである。

少し商業施設からずれてしまったが、現代の消費者はこのような フローで消費に対してむきあっている。ではこれらをふまえて企業 側はどのようにしてモノを売っていこうとしているのか次章で述べ ようと思う。

学校の友達

ご近所の奥様

会社の同僚

従来のお茶の間

図 1-2-5 お茶の間 → chanoma 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

1章

1-2-6. AIDMA → AISAS

*参考文献1)   明日の広告:佐藤尚之

もともと広告業界には古典的な消費行動も出るがあって、それは

AIDMA と呼ばれる。消費者は CM などで注意 (Attention) を引き

つけられ、興味 (Interest) を持ち、欲しいという欲望 (Desire) を抱き、 商品名を記憶 (Memory) し、購買行動 (Action) 移るというものだ。

昭和から伝わるものである。

消費者が変化し、このモデルも変化をとげる。CM などで注意

(Attention) を引きつけられ、興味 (Interest) を持ち、グーグルや ヤフーなどで検索 (Search) して調べ、購買行動 (Action) をし、そ

の結果を消費者同士で共有 (Share) するというものである。したがっ

て AISAS となる。*

前述した通り、重要な部分は最後の share である。この share を 生むためには、やはり「体験」を通して心が動かされるということ が必要なのではないかと考える。その格好の体験の場となりうるの が買物や広場、レストランなど、さまざまコンテンツを兼ね備えた 大型商業施設ではないだろうか。

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1章

1-2-7. one to one → situation いよいよここで大型商業施設に話をフィードバックさせましょう。 今まで論じてきたような消費者行動だが、多くの消費者はなお購買 の瞬間に何らかの「現場判断」をしている。ではその最後の最後「購 入」に至る「現場判断」下させるためにはどうしたらよいのだろうか。 **参考文献2)   科学する店舗:      店舗システム協会

「科学する店舗 **」で次のように述べられている。

それはずばり、 「楽しさ」を演出することである。またそういう演

出を、理性や完成に訴えることで実現するのではなく、実際にその 場で「体験させる」ことで実現するのが重要なポイントだ。つまり

「生活の瞬間」を切り取って「シチュエーション」を創造するという ことは、その 状況 に応じて、生活者が「楽しい」と感じる 体験

をコーディネートすることだ。

こういった消費者を取り巻くその場、その時、その場合での「シチュ エーション」をとらえるマーケティングが、各企業で主流となりつ つある。またそのさまざま体験の舞台となる商業施設の位置づけは 今後よりいっそう上昇することは言うまでもない。  そんな「体験」の舞台となる商業施設において快適に買物をして もらい、より「体験」を印象づけなければならない。快適な買い物 をするために求められることの一つの要素として、買物客のストレ スをいかに軽減させるかということがあげられる。    大型商業施設において建築的視点から求められていることは、さ まざまなシチューエーションに対応できる空間設計や配置計画もも ちろんだが、満足感を高めリピーターになってもらうためにも、そ の空間に集う人々のストレスを最大限に軽減させる空間創りが必要 である。

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1章

1-3. 本研究の位置づけ ■前述したように、消費者の変化にともないマーケティングも one to one 型から situation 型へとシフトした。  シチュエーションの媒介となる大型商業施設における、ストレ スを軽減させる行動モデルとそのための空間設計の指針が必要であ る。

■既往研究  このような背景をふまえ、既往研究をみてみると、商業施設にお ける買物行動モデルや商業施設が対象でないストレスに関する研究 は多くなされているが、実際の買物行動中における精神的ストレス に関する研究はあまりなされていない。 ・休憩の移動に及ぼす効果     /小作玲(早稲田大学院)1998 年 ・休憩の滞在時間・機能利用数に関する効果     /鈴木靖一(早稲田大学院)1998 年 ・複合商業施設における休憩スペースと誘因面積に関する研究     /中川純平 ( 早稲田大学院 )1994 年 ・商業施設における売り場移動特性に関する研究     /浅野久美子(早稲田大学)2008 年 ・商業施設における垂直移動手段選択行動に関する研究       /加藤英理子(早稲田大学院)2004 年 ・歩行時の場面変化による心的ストレスの増減に関する研究     /前波芳周(早稲田大学)2007 年 ・気分転換を促す空間の研究

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1章

1-4. 用語の定義 ■大型商業施設  大きな売り場面積を持ち、多種類の商品を扱う大型小売店舗の総 称。本研究では、百貨店やショッピングモールなどを一括して大型 商業施設と定義する。 ■ストレス  有害な環境因子によって生体に生じた歪みと、それに対する防御 反応のことと定義する。 ■ストレッサー  生体にとって有害な環境因子のこと。物理的ストレッサー ( 高温、 騒音、放射線など )、化学的ストレッサー ( 酸素欠乏、薬害、栄養 不足など )、生物的ストレッサー ( 炎症、感染など )、精神的ストレッ サー ( 人間関係のトラブル、精神的不安など ) の 4 つに区別される。 ■休符行動  入店から退店までに行ったすべての精神的に休まる行動と定義す る。 ■休符空間  入店から退店までのあいだに空間的作用により休符行動を引き起 こした場所と定義する。 ■休符ポイント  本研究で休符空間となりうる空間であると仮定された大型商業施 設における特定の空間のことと定義する。 ■店舗  大型商業施設に入居しているすべて販売店のことを指すものと定 義する。 ■店舗内買物行動  大型商業施設内に存在する店舗に入店して買物をしている状態と 定義する ■店舗内歩行  大型商業施設内の店舗以外の通路を歩行しているときと定義す る。

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2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章 研究方法 2 章:研究方法

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2-1. 研究フロー

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2-2. 休符行動について

20

2-3. ストレスについて

21

2-3-1. ストレス反応のメカニズム      2-3-2. ストレスによる生体反応        2-4. 生体反応計測について

26

2-5. 大型商業施設における

27

買い物客の休符行動追跡調査      2-5-1. 調査概要      2-5-2. 調査日時      2-5-3. 調査項目    2-6. 調査結果

30

2-6-1. 調査結果のプロット      2-6-2. 休符ポイントの選定      2-6-3. 実験休符ポイントの決定     2-7. 大型商業施設における休符ポイントの

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ストレス軽減効果の実験      2-7-1. 調査概要      2-7-2. 調査日時

2-7-3. 調査項目

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2章

2-1. 研究フロー 大型商業施設を利用する買い物客は、無意識の内になにか精神的に 休まる行動をしているのではないか? またそういった空間が存在しているのではないか? ■大型商業施設における買物客の休符行動追跡調査 □実際の商業施設においては、どのような休符行動がみられるのか? □約100人分の、休符行動と思われるの内容と起こった場所をぬきだす。

■基礎分析・休符ポイントの決定 □休符行動が起きたと思われる場所は、実際に人間の生体反応にどのような 変化をもたらすのか? □最も多く休符行動がみられた場所を8カ所ぬきだし、休符ポイントとした。

■大型商業施設における休符ポイントのストレス軽減効果の実験 □豊洲 lalaport にて被験者に1時間買い物をしてもらい、追跡・生体反応 計測により、休符ポイントにおける生体反応の変化の実験を行う。

■ちょっと休憩

■分析・考察 □休符ポイントにはリラックス効果とストレス軽減効果はあるのか? □買い物行動とストレス増減との関係性とは?

■まとめ・展望

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2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2-2. 休符行動について ■買物行動には、疲労やストレスがつきも のである。 大型商業施設では人は自分がおもっている 以上の距離を歩いている。人は、ただ歩く

図 2-2-1 クラシックの楽譜

ことに比べて長い時間をものともせずに行 うことが知られている。 歩き回って足が疲れることや、欲しいもの を探していてストレスがたまってしまうと いう経験はよくあるだろう。 そんな時、休憩所のベンチやソファに座っ

図 2-2-2 和太鼓の楽譜 図 2-2-3 三線の楽譜

たり、カフェを利用したりするが、こうい った「能動的」な休憩行動だけでなく、 「受 動的」 ・「無意識的」に気分がリフレッシュ したという経験はないだろうか。例えば、 見晴らしのいい場所に来た時、開放的な吹 き抜けを通過した時、トイレで落ち着いて いる時。

図 2-2-4 さまざまな休符の種類

これらのちょっとしたリフレッシュは、 音楽で言うならば、曲の中で時折現れ、曲 に抑揚やスピード感を与える「休符」に似 ている。   ■曲が流れるように買物行動を行うことが できるならばそれは理想的な買物行動と言 えるのではないか。 買物行動を音楽として捉え、入店か退店ま でに行ったすべての精神的に休まる行動を 「休符行動」と定義する。

図 2-2-5 さまざまな休符行動のイメージ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

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2章

2-3. ストレス * について 参考文献 3)  運動とストレス科学: 竹 宮隆、 下光 輝 一  編;株 式 会社 杏林書院

2-3-1. ストレス反応のメカニズム ■ストレスについて ストレスの概念は 1936 年、ハンス・セリエ (Hans Selye) により提唱さ れた病気の本態に関する実験事実と、その思考体系である。この概念の提唱 以来約 70 年が経過したが、現在でもストレスへの関心は高く、分子化学か ら人間科学まで広範囲にわたり様々な研究が行われている。この背景には現

*)参照 1-4 用語の定義 **)参照 1-4 用語の定義

代における複雑な職場環境や人間関係などのストレス社会がある。 ■ストレス ストレスとは各種のストレス刺激因子であるストレッサー ** に対する生体 の防御反応のことであり、全身適応症候群 ( 通称 GAS) とも呼ばれる。 セリエは人間のストレスについてメカニズムは共通であるが、ストレッサー の種類や程度、およびその受け手側の条件次第で、病気の原因となるディス ストレスか、病気を癒すストレスであるユウストレスのどちらかに分かれる としている。

・ディスストレス・・・日本で一般的にストレスとして用いられるのはこち  らのストレスで、ディスストレスが慢性的に継続し、これを発散できない  状態が続くと、下記 のような様々な病気の原因となる。  ・ユウストレス・・・スポーツにおける適度な緊張感や良好な人間関係など、  自分を奮い立たせ、集中力の増加や、元気を与えてくれるストレス。

ストレッサーの種類 ・物理的ストレッサー・・・温度や、騒音、放射線による刺激等 ・化学的ストレッサー・・・酸素の欠乏・過多、薬害、栄養不足等 ・生物的ストレッサー・・・病原菌等による炎症、感染等 ・精神的ストレッサー・・・人間関係のトラブル、精神的不安や緊張、               怒り、悲しみ等 図 2-3-1 ストレッサーの種類

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2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

ストレスは一般的に悪因子(ディスストレス ) であると考えられる傾向 にあるが、ストレスが全くない状態におかれた人間は、ホルモンバランス が崩れ体温調節機能が低下したり、暗示にかかりやすくなる、幻想や妄想 をしやすくなるということが知られている。また、「ストレスレベルが高 すぎても、低すぎても生体の生産性は低下する」( ヤーキーズ・ドットソ ンの法則 ) ことが明らかになっていてる。以上のことからもわかる通り、 人間には適度なストレッサーが生活を送る上で必要なのである。

参考文献 4) 家庭の医学シリーズ ; ストレス について; http://www.fujimoto.or.jp/ medical/stress.htm

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参考文献 5) 峠を越えて;ストレス入門: h t t p : // w w w . t o u g e w o koete.jp/roudou.html

生 産 性 ス ト レ ス 過 少

低 少

健 康

ス ト レ ス 過 剰

最適ストレス値

ス ト レ ス 病 多

図 2-3-2 ストレス度と生産性の関係グラフ

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2章

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参考文献 3) 運動とストレス科学; 竹宮隆、下光輝一 編; 株式会社 杏林書院

2-3-2. ストレスによる生体反応

生体は体を安定した状態に維持しようとする仕組みを持っていて、これ

を、ホメオスタシス ( 恒常性 ) という。恒常動物である人間のホメオスタ シスは自立神経系、内分泌系、免疫系の 3 つの系から成り立っていて、こ れらが情報伝達の仕組みを共有し、相互に働き合うことでバランスをとっ ている ( 図 2-3-3)。 通常、ストレッサーに対してもこのホメオスタシスが機能して体内のホ ルモンバランスを保つことで対応するが、ストレッサーが強すぎたり、長 期間にわたって刺激を加えられると 3 つの系のいずれか、もしくはその複 数が機能を維持できずに、ホメオスタシスのバランスを崩し、病気の原因 となる。

ストレッサー

自律神経系

内分泌系

免疫系

図 2-3-3 ストレスと生体反応 3 つの系によるバランス

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2章

■ストレスと内分泌系 生体内に生じたストレスはあらゆるストレッサーに共通な応答、すなわ ち非特異的な生体反応を表す。このときの反応を支えるのがストレスホル モンの活性化であり、セリエはこれらを適応ホルモンと称した。その主要 なホルモンとして、下垂体前葉ホルモンと副腎皮質ホルモンがあげられる。 ストレスが大脳皮質で感知されると、自律神経系の中枢である間脳視床 下部に神経伝達物質をおくり、視床下部の神経分泌細胞から脳下垂体へホ ルモンの分泌を促すホルモンが血管中に分泌され、それによって下垂体前 葉におけるストレスホルモンの分泌が調節されている。さらに下垂体前葉 からは下垂体前葉ホルモン ( 副腎皮質刺激ホルモン ) が分泌され、副腎皮 質におけるコルチゾール等の副腎皮質ホルモンの分泌を調節している ( 図 2-3-4)。 このようにホルモンを分泌する器官からなり、情報伝達に関わる器官系 を内分泌系といい、ストレッサーに反応して活性化するコルチゾール等の 抗ストレスホルモンの濃度を分析することで、ストレス値を測定すること 参考文献 7) 井澤修平 他「唾液を用いた ストレス評価 - 採取および測定 手順と各唾液中物質の特 -」;日 本補完代替医療学会誌 第4巻  第3号 2007 年 10 月

ができる。 特にコルチゾールはストレスとの関連でよく研究されている物質であ り、心理的、身体的なストレスに対して増加を示すが、反応時間に 20 分 ほど要することが知られている。 また、視床下部は交感神経系にも作用し、副腎髄質におけるアドレナリ ン、ノルアドレナリンなどのカテコールアミンと呼ばれる物質の分泌を制 御している。アドレナリン、ノルアドレナリンは血圧上昇や血糖上昇、発 汗等の作用をもたらす。しかしカテコールアミンはまだストレス計測指標 としては確立されていない。

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2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

■ストレスと自立神経系 末梢神経系の一種である自律神経系は大脳の支配から独立して、本人の 意思とは無関係に働いている。交感神経系と副交感神経系からなり、身体 の諸臓器の調節、体温の調節、心拍の調節、呼吸の調節、血糖量の調節等 ホメオスタシスの維持に大きく貢献している。 ストレス反応に対しては、交感神経から神経伝達物質であるノルアドレ ナリンを分泌し、ストレスを終息させるという働きをするが、長期にわたっ て過度のストレスにさらされた場合、ノルアドレナリン分泌が合成に追い つかず減少し、自律神経系の機能がバランスを崩してしまう。そして自律 神経失調症を患い、頭痛や睡眠障害、慢性疲労など、様々な症状を来す。 このため、自律神経機能の分析はストレスを測定する上で有用な方法であ り、ストレス反応の客観的な評価として広く利用されている。

ストレッサー

大脳皮質

間脳視床下部

交感神経

脳下垂体

副腎皮質

副腎髄質

唾液腺

コルチゾール分泌

カテコールアミン分泌

アミラーゼ分泌

図 2-3-4 ストレッサーを受けたときの生体反応

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

25


2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2-4. 生体反応計測について ■本研究では神経系と内分泌系の2種類の働きを生理指標とする。

□神経系生理指標について  神経系は自立神経の働きを明らかにすることで、興奮状態ない しリラックス状態を明らかにすることができる。  評価にかんしてはホルター心電計を利用し心拍変動の LF/HF 値 を求める。LF 値は交換神経の活動のよって生じ、これは別名昼間 の神経とも呼ばれている。HF 値は副交感神経の活動によって生じ、 これは別名夜中の神経と呼ばれている。 図 2-4-1 ホルター心電計

LF/HF 値が高いと交感神経優位となり、緊張・興奮状態である とされている。また LF/HF 値が低いと副交感神経優位となりリ ラックス状態であるとされている。

□内分泌系について  内分泌系の反応を調べることで、ストレス状態否かを明らかに にすることができる。  評価にかんしては、コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれ、 急性ストレスが原因で増加することが知られている。本研究では サリペット管を用いて採取・測定することで、ストレス指標とする。 図 2-4-2 サリペット管

神経系

内分泌系

交感神経優位

ホルモン分泌量増加

→緊張状態

→ストレス増加

副交感神経優位

ホルモン分泌量増加

→リラックス状態

→ストレス減少

過度なストレス状態 適度のストレス状態

覚醒、気持ちの高揚状態 リラックス状態

図 2-4-4 神経系・内分泌系による身体の状態 図 2-4-3 コルチゾール測定風景

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

26


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章

2-5. 大型商業施設における買い物客の休符行動追跡調査 2-5-1. 調査概要 ■大型商業施設における買い物客の休符行動追跡調査 大型商業施設において、入り口で追跡対象者を決定し、入店から退店までの追跡のあいだで 3-3 の調 査項目を調査する。追跡者数は合計計2名分で、属性の違う人を選ぶこととする。

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

27


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章

2-5-2. 調査日時 ■調査日時  建築計画 C の課題として出題  出題日 2008 年 6 月 20 日  提出日 2008 年 7 月 4 日  調査日時:2008 年 6 月 20 日∼ 2008 年 7 月 4 日の期間の平日と土日祝日  調査人数:198 人  調査場所:2カ所  豊洲 lalaport 日本橋高島屋

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

28


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章

2-5-3. 調査項目

*)  参照「1章 . 休符行動について」

■調査項目  □追跡対象者の情報   1. 人数   2.( グループならば ) グループの特性   3. 性別   4. 年齢  □行動   5. 入退店の時刻   6. 入店∼退店までのあいだで見られた休符行動 * 内容とその場所   7. 立ち寄った店舗   8. 歩行軌跡

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

29


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章

2-6. 調査結果 2-6-1. 調査結果のプロット

空間的休符行動 垂直動線上の休符行動 店舗内、ベンチ等の休符行動 図 2-6-1 豊洲 lalaport1F 休符行動ポイントプロット

空間的休符行動 垂直動線上の休符行動 店舗内、ベンチ等の休符行動 図 2-6-2 豊洲 lalaport 2F 休符行動ポイントプロット 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

30


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章

空間的休符行動 垂直動線上の休符行動 店舗内、ベンチ等の休符行動 図 2-6-3 豊洲 lalaport3F 休符行動ポイントプロット

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

31


2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

*)参照 1章 4. 用語の定義

1-2

2-6-2. 休符ポイント * の選定 2-6-1 調査結果のプロット図より、それぞ

1-1

れのフロアにおける空間的休符行動が顕著に 偏りをみせた部分をぬきとる。 今回の実験においてこれらの 1-1,1-2,2-1,2 -2,2-3,3-1,3-2,3-3 の空間を休符ポイントと 定義することとする。

図 2-6-4 豊洲 lalaport1F 休符ポイントのぬきだし

2-2 2-3 2-1

図 2-6-5 豊洲 lalaport2F 休符ポイントのぬきだし

3-2 3-3

3-1

図 2-6-7 豊洲 lalaport3F 休符ポイントのぬきだし

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

32


2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2-6-3. 実験休符ポイントの決定 ■下記に示す8箇所を実験に使用する休符ポイントと定義する。

図 2-6-8 休符ポイント 1-1

図 2-6-9 休符ポイント 1-2

図 2-6-10 休符ポイント 2-1 図 2-6-11 休符ポイント 2-2

図 2-6-12 休符ポイント 2-3

図 2-6-13 休符ポイント 3-1 図 2-6-14 休符ポイント 3-2

図 2-6-15 休符ポイント 3-3

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

33


2章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2-7. 大型商業施設における         「休符ポイントの軽減効果」の実験 2-7-1. 実験概要 ■大型商業施設における「休符空間のストレス軽減効果」の実験 買物行動の状態を実験するために実際の商業施設におもむき、その環境下での生体反応の計測によ りストレスの増減を明らかにする。商業施設内では実際に買物行動をしてもらい、追跡調査によっ て生体反応と建築空間との関係を同期させる。

■使用機器  ホルター心電図  唾液採取用サリペット管   歩数計

■実験フロー

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=>?@>.A DEFG

HIJKLMNOP1Q345 89:;<R

89:;<S 6 ,-.TUV<WXY1C45 ÉÊ

図 2-7-1 本実験フロー図

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

34


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章

2-7-2. 実験日時 ■調査日時  □第1回実験   実験日時:2008 年 8 月 6 日   実験人数:4人   実験場所:豊洲 lalaport  □第2回実験   実験日時:2008 年 8 月 7 日   実験人数:4人   実験場所:豊洲 lalaport  □第3回実験   実験日時:2008 年 8 月 8 日   実験人数:4人   実験場所:豊洲 lalaport

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

35


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

2章

2-7-3. 実験項目

*) 参照「1章 . 休符行動について」

□追跡対象者の情報   1. 性別   2. 年齢 □行動   3. ホルター心電計による実験中の心電を採取   4. 実験前、実験中、実験後の生体試料の採取   5. 休符ポイント * への入出時刻   6. 入店した店舗への入出時刻   7. 歩数   8. 歩行軌跡

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

36


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

3 章 研究結果   3 章:研究結果   3-1. 被験者基礎データ     3-2. 実験結果

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

38 39 40

37


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

3-1. 被験者基礎データ

表 3-1 被験者基礎データ

!"

#$

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345/.6375/.

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3757/63253/

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34537637537

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34537637537

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3754/63254/

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3754/63254/

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3B577634577

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.//01010

3B577634577

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.//01010

3757/63257/

*&+E

:!

./$

.//01010

3757/63257/

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

38


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

3-2. 実験結果 ①被験者名 ①被験者名

②行動属性 ②行動属性

③ LH/HF波形と買物行動の相関図 波形と行動属性の時間変化 ③LF/HF

④コルチゾール変位と行動属性の時間変化 ④コルチゾール変位と買物行動の相関図 ⑤歩数 ⑤歩数

⑥各要素別 LF/HF 平均値グラフ ⑥行動属性別 LF/HF 平均値グラフ ⑦コルチゾール値グラフ ⑦コルチゾール値グラフ

⑧休符ポイント通過前ー通過後の LF / HF 値グラフ

⑧休符ポイント通過前ー通過後の LF/HF 値グラフ

Testee A

*&+,Fuvw"E>_@>cdexyz

.71//

施設内歩行

店舗内買物行動

携帯電話着信

ベンチ休憩

371//

E>_@>

休符ポイント 化粧室

.B13. ./10Q

./1//

3/1//

71//

/1//

abcde

fghijcde

kljmn(cde

01/0

opqrstcde

*&+,FGHIJKHLMNOP

/1.B /1.3 o p rstF€•‚ opqrstF€•‚ q

/13Q 4/1//

.71// ./1// 371// 3/1// 71// /1// { X ƒ {Xƒ

{ X | {X| }}~ O • }}~O•

GHIJKHLMFZ[\]^_\^`

B71// B/1//

LF/HF

32103

Time

/13= /137 /13B /133 /1/Q /1/= /1/7 /1/B RS

opqrstF€•‚ B71//

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

E>_@>

opqrst€•€

./1//

B/1//

Steps : 2444

YUVWX

.71//

4/1//

E>_@>

TUVWX

.71// ./1// 371// 3/1//

371// 3/1// 71//

71// /1//

/1//

{Xƒ

{X|

}}~O•

{Xƒ

{X|

Y„~O•

39


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee A

!"#$%abcdIJEKJNOPefg

73100

72167 701G5

休符ポイント

施設内歩行

店舗内買物行動

70100

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

63100

IJEKJ

6H1G6

60100

G10G

3100

0100

LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#$%&'()*'+,-./

0172 0176 [\]^_`%hij

0165 k0100 20100 73100 70100

LF/HF

63100 60100 3100 0100 l>m

l>n oop.q

&'()*'+,%@ABCDEBDF

23100

Time

0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103 0102 89

:;<=>

?;<=>

[\]^_`%hij

[\]^_`hih 73100

k0100 23100

70100

IJEKJ

IJEKJ

20100 73100 70100 63100 60100

63100 60100 3100

3100 0100

0100

l>m

Steps : 2444

l>n

oop.q

l>m

l>n

?rp.q

図 3-2-1 被験者 A データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

40


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee B

!"#s%abcdIJEKJNOPefg 621G4 6k100 671k7 67100

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

IJtKJP

休符ポイント

601024 60100 G100 H100

k14H

k100 7100 0100

LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#s%&'()*'+,-./ 0172

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0176 0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103

Time

0102

89

:;<=>

?;<=>

[\]^_`%jij 6k100 67100

IJEKJP

IJEKJP

[\]^_`%jih 70100 6G100 6H100 6k100 67100 60100 G100 H100 k100 7100 0100

60100 G100 H100 k100 7100

l>m

l>n

?rp.q

0100

l>m

l>n

?:p.q

Steps : 4301

IJEKJP

[\]^_`%hih 60100 5100 G100 4100 H100 3100 k100 2100 7100 6100 0100

l>m

l>n

oop.q

図 3-2-2 被験者 B データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

41


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee C

!"#u%abcdIJEKJNOPefg

5130

60100

5162

5100

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

41k0

G100 4100

IJtKJP

休符ポイント

H100 3100 k100

2126

2100 7100 6100 0100

LMNOP

QRSTUNOP VWUXYZNOP [\]^_`NOP

!"#u%&'()*'+,-./ 2150 2140 2130

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

2120 2160 7150 7140 7130 7120 7160 6150 6140 6130 6120 6160 0150 0140

Time

0130

89

:;<=>

?;<=>

[\]^_`%hih 6k100

2100

67100

IJtKJP

IJtKJP

[\]^_`%hih 2130

7130 7100 6130 6100 0130

60100 G100 H100 k100 7100

0100

0100 l>m

75v-

l>n

l>m

GGv-

l>n

[\]^_`%:ih 6H100

IJtKJP

6k100 67100 60100 G100 H100 k100 7100 0100

図 3-2-3 被験者 C データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

Steps : 3540

l>m

r;v-

l>n

42


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee D

!"#w%abcdIJEKJNOPefg

661GG

661H3

67100 601G0

休符ポイント

施設内歩行

60100

店舗内買物行動

G100

携帯電話着信

ベンチ休憩

IJtKJP

化粧室

H100 k1H3 k100

7100

0100

LMNOP

QRSTUNOP VWUXYZNOP [\]^_`NOP

!"#w%&'()*'-./

0172

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0176 0165 0164 0163 0162 0166

LF/HF

0105 0104 0103 0102

89

:;<=>

?;<=>

Time [\]^_`%hih

[\]^_`%jij

70100 63100 60100 3100

IJtKJP

73100

0100

73100 70100 63100 60100 3100 0100

l>m

l>n

l>m

z:p.q

60100 3100 0100

[\]^_`%hi: 70100

60100 G100 H100 k100 7100

l>n

[\]^_`%hih

6100 0100 l>n

yjp-x

[\]^_`%:ih 67100

7100 6130 6100 0130 0100

l>m

l>n

{;p.q

IJtKJP

7100

l>m

[\]^_`%hih IJtKJP

2100

3100

l>n

7130

k100

60100

o;p.q

4100 3100

63100

0100 l>m

zzp.q

H100

l>n

jrp-x

0100

l>m

IJtKJP

l>m

IJtKJP

67100

IJtKJP

IJtKJP

6k100

73100

63100

l>n

[\]^_`%jih

20100

70100

k1G0 k140 k1H0 k130 k1k0 k120 k170 k160 k100 2150 21G0 2140

rrp.q

[\]^_`%jij

Steps : 5436

[\]^_`%:i:

20100

20100

IJtKJP

IJtKJP

23100

60100 G100 H100 k100 7100 0100

l>m

l>n

?{p.q

l>m

l>n

yop.q

図 3-2-4 被験者 D データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

43


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee E

!"#|%abcdIJEKJNOPefg

67100 60134

化粧室

施設内歩行 携帯電話着信

店舗内買物行動 ベンチ休憩

60100

5172

4132

G100

IJEKJP

休符ポイント

H100

3107

k100

7100

0100

LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#|%&'()*'+,-./

0172

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0176 0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103

Time

0102

89

:;<=>

[\]^_`%jij

4100

67100

H1G0

60100

IJtKJP

IJtKJP

[\]^_`%hih H1H0 H1k0 H170 H100

?;<=>

G100 H100 k100 7100

31G0 31H0

0100 l>m

l>n

jhp.q

l>m

l>n

y?p.q

[\]^_`%jij 67100

IJtKJP

60100 G100 H100 k100 7100

Steps : 3903

0100 l>m

l>n

?yp.q

図 3-2-5 被験者 E データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

44


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee F

!"#J%abcdIJEKJNOPefg

4100

H12G

H100

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

3133

3100

IJtKJP

休符ポイント

3133

k100

71H6

2100

7100

6100

0100

LMNOP

QRSTUNOP VWUXYZNOP [\]^_`NOP

!"#J%&'()*'+,-./

0172 0176

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103

Time

0102

89

:;<=>

3100 0100

6130 6100 0130 0100

l>n

zyp.q

l>n

?jp.q

7100 6130 6100 0130

l>n

l>m

[\]^_`%hij

G100

6k100

4100 H100

67100

3100 k100 2100 7100 6100 0100

l>n

::p.q

[\]^_`%jij IJtKJP

l>m

7130

:zp.q

[\]^_`%hi: k100 2130 2100 7130 7100 6130 6100 0130 0100

2100

0100 l>m

IJtKJP

l>m

IJtKJP

2130

IJtKJP

7100

IJtKJP

IJtKJP

7130

70100

60100

[\]^_`%jih

[\]^_`%hi:

[\]^_`%:ih 73100

63100

?;<=>

60100 G100 H100 k100 7100 0100

l>m

l>n

?jp.q

l>m

l>n

zhp.q

[\]^_`%hih

Steps : 3222

IJtKJP

4100 H100 3100 k100 2100 7100 6100 0100 l>m

l>n

h:p.q

図 3-2-6 被験者 F データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

45


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee G

!"#~%abcdIJEKJNOPefg

73100 761H3

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

70100 6H12k

IJtKJP

休符ポイント

63100

67150

60100

3100

2127

0100 LMNOP

STUQRY}NOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#~%&'()*'+,-./ 0124 0123 0122

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0126 0175 0174 0173 0172 0176 0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103

Time

0102

89

:;<=>

?;<=>

[\]^_`%hi: 6k100

30100

67100

IJtKJP

IJtKJP

[\]^_`%jij H0100

k0100 20100 70100 60100

60100 G100 H100 k100 7100

0100

0100 l>m

l>n

l>m

[\]^_`%:ih

73100

73100

70100

70100

IJtKJP

IJtKJP

[\]^_`%hih

Steps : 4075

l>n

ohp.q

zzp.q

63100 60100 3100

63100 60100 3100

0100

0100 l>m

l>n

zop.q

l>m

l>n

{yp.q

図 3-2-7 被験者 G データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

46


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee H

!"#K%abcdIJEKJNOPefg

62137

6k100 67166 67100

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

6012G 60100

IJtKJP

休符ポイント

414H G100 H100 k100 7100 0100 LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#K%&'()*'+,-./

0172

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0176 0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103

Time

0102

89

:;<=>

[\]^_`%hih

[\]^_`%jih IJtKJP

IJtKJP

H100 3100 k100 2100 7100 6100 0100 l>m

601G0 601H0 601k0 60170 60100 51G0 51H0 51k0 5170 5100

l>n

l>m

?yp.q

[\]^_`%jih

23100

6k100

20100

67100

IJtKJP

IJtKJP

l>n

j;p.q

[\]^_`%jij

Steps : 2467

?;<=>

73100 70100 63100 60100 3100 0100

60100 G100 H100 k100 7100 0100

l>m

zjp.q

l>n

l>m

l>n

h{{p-x

図 3-2-8 被験者 H データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

47


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee I

!"#•%abcdIJEKJNOPefg

67100 60172 60100

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

G100

IJEKJP

休符ポイント

5165

H150

H100

3163

k100

7100

0100 LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#•%&'()*'+,-./ 017k 0177

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0170 016G 016H 016k 0167 0160 010G

LF/HF

010H 010k 0107

89

:;<=>

?;<=>

[\]^_`%jij

[\]^_`%hih

Time

67100

6G100

IJtKJP

IJtKJP

6H100 6k100 67100 60100 G100 H100 k100

60100 G100 H100 k100 7100

7100

0100

0100 l>m

l>m

l>n

[\]^_`%hih

[\]^_`%jij

60100

3100

5100 G100

IJtKJP

IJtKJP

l>n

?;p.q

ojp.q

4100 H100 3100 k100 2100 7100

k100 2100 7100 6100

6100 0100

0100 l>m

l>m

l>n

?zp-x

[\]^_`%hih

[\]^_`%hih

5100

6k100 67100

4100

IJtKJP

IJtKJP

G100

Steps : 3811

l>n

rop-x

H100 3100 k100 2100 7100 6100

60100 G100 H100 k100 7100 0100

0100 l>m

yjp.q

l>n

l>m

l>n

ohp.q

図 3-2-9 被験者 I データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

48


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

!"#€%abcdIJEKJNOPefg

Testee J

H1Gk

4100 31GG H100

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

k14H

3100

IJEKJP

休符ポイント

k100 714k

2100 7100 6100 0100 LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#€%&'()*'+,-./

0172 0176

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103

Time

0102

89

:;<=>

[\]^_`%jih k100

63100

2130 2100 7130

60100 3100 0100

7100 6130 6100 0130 0100

l>m

l>n

oyp.q

IJEKJP

IJEKJP

Steps : 3817

H100

6100 0130

2100 7100 6100

l>m

l>n

h?p.q

[\]^_`%jij 4100

7130

6130

l>n

rop.q

2100

7100

k100

0100 l>m

[\]^_`%hih

[\]^_`%jij 3100

IJEKJP

70100

IJEKJP

IJEKJP

[\]^_`%hih

?;<=>

3100 k100 2100 7100 6100 0100

0100 l>m

l>n

h?p.q

l>m

l>n

?zp.q

図 3-2-10 被験者 J データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

49


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee K

!"#•%abcdIJEKJNOPefg

5137

60100

5107 G136

5100

休符ポイント

施設内歩行

店舗内買物行動

G100

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

IJEKJP

4100 H100 k1G5 3100 k100 2100 7100 6100 0100 LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#•%&'()*'+,-./

0172

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0176 0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104 0103

Time

0102 89

:;<=>

?;<=>

[\]^_`%hij 6k100

IJtKJP

IJtKJP

[\]^_`%hih H140 H1H0 H130 H1k0 H120 H170 H160 H100 3150 31G0

67100 60100 G100 H100 k100 7100 0100

l>m

l>n

l>m

zp.q

[\]^_`%:ih

6k100

H100

67100

3100

IJtKJP

IJtKJP

[\]^_`%jij

Steps : 3400

l>n

ojp.q

60100 G100 H100 k100 7100 0100

k100 2100 7100 6100 0100

l>m

o;p.q

l>n

l>m

l>n

y;p-x

図 3-2-11 被験者 J データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

50


3章

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

Testee L

!"#I%abcdIJEKJNOPefg

H147

4100

施設内歩行

店舗内買物行動

化粧室

携帯電話着信

ベンチ休憩

3176 3100 IJEKJP

休符ポイント

3134

H100

k100 2100 615k 7100 6100 0100

LMNOP

QRSTUNOP

VWUXYZNOP

[\]^_`NOP

!"#I%&'()*'+,-./

0172 0176

LF/HF

&'()*'+,%@ABCDEBDF

0165 0164 0163 0162 0166 0105 0104

Time

0103 0102

89

:;<=>

[\]^_`%jij

[\]^_`%jij

6 013

IJtKJP

613

0

63 60 3 0

l>m

l>n

l>m

r;p.q

H

IJtKJP

4

H k 2 7 6

k13 k 213 2 713 7 613 6 013 0 l>m

l>n

y?p.q

[\]^_`%hih

4 3

l>n

z:p.q

[\]^_`%jih IJtKJP

[\]^_`%hij

70

213 2 713 7

IJtKJP

IJtKJP

k

Steps : 3493

?;<=>

3 k 2 7 6

0

0 l>m

l>n

rhp.q

l>m

l>n

zjp.q

図 3-2-12 被験者 L データ 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

51


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4章 分析・考察 4 章:分析・考察

52

4-1. 各休符ポイントの分析

53

4-1-1. 休符ポイント 1-1      4-1-2. 休符ポイント 1-2 4-1-3. 休符ポイント 2-1 4-1-4. 休符ポイント 2-2 4-1-5. 休符ポイント 2-3 4-1-6. 休符ポイント 3-2 4-1-7. 休符ポイント 3-3 4-2. 休符空間としての評価

63

4-3. 休符ポイントとコルチゾール値との関係

64

4-4. 歩数とコルチゾール値との関係

65

4-5. 行動属性別の行動時間とコルチゾールの関係

67

4-5-1. ストレス減少グループ編

4-5-2. ストレス増加グループ編     4-6. 行動属性別 LF/HF 値増減率平均

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

71

52


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-1. 各休符ポイントの分析 4-1-1. 休符ポイント 1-1 ■休符ポイント 1-1  12 名 の 被 験 者 の う ち こ の空間を通過したのはのべ !"#$%&'()( .*+**

:;<=;>

-*+** ,0+**

値が通過前後のあいだで減

,*+** 0+** *+** 123

124

FF7CD

!"#$%&'()( ,-+** ,*+**

:;<=;>

14 回であったが、1 回を除 いてすべての通過で LF/HF

-0+**

少した。 すべての結果をまとめるた めに各々の増減率を求めた。

A+** ?+** /+** -+** *+** 123

124

BE7CD

図 4-1-1-1 休符ポイント 1-1 ?*+**

0+**

0+** /+** .+** -+** ,+** *+**

0*+**

:;<=;>

@+** ?+**

:;J=;>

:;<=;>

!"#$%&'()(

!"#$%&'()(

!"#$%&'()( A+**

/+** .+** -+**

/*+** .*+** -*+** ,*+**

,+**

*+**

123

*+**

124

123

123

B(7CD

124

!"#$%&'()(

124

FF7CD

IB7CD

!"#$%&'()(

!"#$%&'()( -*

:;<=;>

,/+** ,-+**

/+**

:;<=;>

:;<=;>

0+**

.+** -+** ,+**

,*+** A+** ?+** /+**

123

.*+** -0+** -*+** ,0+** ,*+**

!"#$%&'()( ,-+**

:;<=;>

/ .+0 . -+0 ,+0

0+**

, *+0

*+**

*

!"#$%&'()(

123

!"#$%&'()( .*+**

?+**

:;<=;>

-+**

0+** /+** .+** -+** ,+**

124

-0+** -*+** ,0+** ,*+** 0+** *+**

*+**

*+**

124

BG7CD

!"#$%&'()(

:;J=;>

/+**

/+**

124

@+**

,-+**

?+**

?+**

5G7CD

,/+**

A+**

A+**

*+**

F(7CD

,*+**

,*+**

-+**

123

124

124

FH7CD

!"#$%&'()(

.0+**

:;<=;>

:;<=;>

!"#$%&'()(

:;J=;>

123

124

6G7CD

56789

123

0 *

123

124

123

,*

-+** *+**

*+**

,0

123

BH7CD

124

BF7CD

123

124

557CD

図 4-1-1-2 休符ポイント 1-1 効果図  *被験者ごとに LF/HF 値の平均が異なるため縦軸は共通の範囲をもたない。

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

53


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

■ LF/HF 値増減率グラフ

!"#$%&,K,L:;J=;8CMNOP A*

グラフをみると 1 つの値を除いてすべて

?*

の値が減少していることが見て取れる。し

/*

たがって休符ポイント 1-1 は休符空間であ

-*

ると言える。また唯一上昇している値に関

*

しては。心拍が急な刺激に顕著に反応して

K-*

しまうことによる特異な値であると考えら

K/*

れる。例として携帯の着信や、通行人と目

K?*

が合いドキッとした、などのものがあげら

KA*

れる。

K,** 123

124

図 4-1-1-3 休符ポイント 1-1 LF/HF 増減率

表 4-1-1 休符ポイント 1-1 基本統計

統計表より。中央値である -63%を休符

休符ポイント1-1 基本統計 平均

標準誤差

中央値 (メジアン) 最頻値 (モード)

ポイント 1-1 におけるリラックス効果の評

-56.4 -63 -88

35.5563938

尖度

7.86057947

歪度 範囲 最小 最大 合計

標本数

価値とする。

9.18062141

標準偏差 分散

■休符ポイント 1-1 基本統計表

1264.25714 2.54113798

145

-88

57

-846

15

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

54


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-1-2. 休符ポイント 1-2 ■休符ポイント 1-2 12 名の被験者のうちこの空 間を通過したのはのべ 7 回 であったが、1 回を除いて すべてにおいて LF/HF 値が 通過前後のあいだで減少し た。

図 1-2-1 休符ポイント 1-2

0

,*+**

.+0* .+** -+0*

/ . *

:;J=;>

/+**

,-+**

:;<=;>

A+** ?+** /+** -+**

124

123

,+** *+0* 123

124

6G7CD

5I7CD

,-+**

:;J=;>

,*+** A+** ?+** /+** -+** *+** 124

IQQ789

-*+** ,A+** ,?+** ,/+** ,-+** ,*+** A+** ?+** /+** -+** *+**

124

567CD

!"#$%&'()I

!"#$%&'()I ,/+**

123

-+** ,+0*

*+**

*+**

123

!"#$%&'()I .+0* .+** -+0*

:;<=;>

:;<=;>

,/+**

?

,

:;<=;>

!"#$%&'()I

!"#$%&'()I

!"#$%&'()I @

-+** ,+0* ,+** *+0* *+**

123

124

B57CD

123

124

HH7CD

:;<=;>

!"#$%&'()I ,*+A* ,*+?* ,*+/* ,*+-* ,*+** R+A* R+?* R+/* R+-* R+** 123

124

(G7CD

図 4-1-2-2 休符ポイント 1-2 通過前後の LF/HF 値 *被験者ごとに LF/HF 値の平均が異なるため縦軸は共通の範囲をもたない。

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

55


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

■ LF/HF 値増減率グラフ

!"#$%&,K-L:;J=;8CMNOP .0*

グラフをみると 1 つの値を除いてすべて

.**

の値が減少していることが見て取れる。し

-0*

たがって休符ポイント 1-2 は休符空間であ

-**

ると言える。また唯一上昇している値に関

,0*

しては , 休符ポイント 1-1 と同様の理由が

,**

あげられる。

0* * K0* K,** 123

124

図 4-1-2-3 休符ポイント 1-2 LF/HF 増減率

表 4-1-2 休符ポイント 1-2 基本統計

統計表より。中央値である -52%を休符

休符ポイント1-2 基本統計 平均

標準誤差

標準偏差

ポイント 1-2 におけるリラックス効果の評

1.71428571

#N/A

-52

132.69478

分散

17607.9048

歪度

2.51732549

尖度 範囲 最小 最大 合計

標本数

価値とする。

50.1539128

中央値 (メジアン) 最頻値 (モード)

■休符ポイント 1-2 基本統計表

6.45901966 369 -70

299 12 7

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

56


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-1-3. 休符ポイント 2-1

!"#$%&'I)(

!"#$%&'I)( .0+**

:;<=;>

:;<=;>

,-+** ,*+** A+** ?+** /+** -+**

.*+**

間を通過したのはのべ 4 回

-0+** -*+** ,0+** ,*+** 0+**

*+** 123

*+**

124

■休符ポイント 2-1 12 名の被験者のうちこの空

/*+**

,/+**

123

FI7CD

124

667CD

であったが、すべてにおい て LF/HF 値が通過前後のあ いだで減少した。

!"#$%&'I)( ,/+** ,-+**

:;<=;>

:;<=;>

!"#$%&'I)( /+0 / .+0 . -+0 ,+0 , *+0 *

,*+** A+** ?+** /+** -+** *+**

123

123

124

124

6(7CD

EB7CD

図 4-1-3-1 休符ポイント 2-1 図 4-1-3-2 休符ポイント 2-1 通過前後の LF/HF 値 *被験者ごとに LF/HF 値の平均が異なるため縦軸は共通の範囲をもたない。

■ LF/HF 値増減率グラフ  グラフをみるとすべて値

!"#$%&-K,L:;J=;8CMNOP

が減少していることが見て

,** A*

取れる。休符ポイント 2-1

?*

は休符空間であると言える。

/* -* * K-* K/* K?* KA* K,** 123

124

:;<=;>

図 4-1-3-3 休符ポイント 1-3 増減率

!"#$%&'I)H /+** .+0* .+** -+0* -+** ,+0* ,+** *+0* *+**

表 4-1-3 休符ポイント 2-1 基本統計 123

休符ポイント2-1 基本統計 平均

,+** *+0*

標準誤差

,-+** ,*+**

中央値 (メジアン)

A+** ?+** /+**

最頻値(モード)

-+**

*+** 123

124

HF7CD

*+**

123

124

#N/A

ある -71%を休符ポイント

-71

2-1 におけるリラックス効

,*+**

0+** *+**

13.8383525

尖度

2.65226431

歪度 範囲

124

果の評価値とする。

QG7CD

1.4858241

36

-82

合計

-345

標本数

123

191.5

最小 最大

統 計 表 よ り。 中 央 値 で

,0+**

6I7CD 標準偏差

分散

!"#$%&'I)H

6.18869938 :;<=;>

:;<=;>

:;<=;>

,+0*

■休符ポイント 2-1 基本統 計表

-*+**

,/+**

-+**

-69

!"#$%&'I)H

!"#$%&'I)H -+0*

124

B(7CD

-46

5

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

57


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-1-4. 休符ポイント 2-2 ■休符ポイント 2-2 12 名 の 被 験 者 の う ち こ の 空間を通過したのはのべ 19 回であったが、4 回を除 いてすべてにおいて LF/HF 値が通過前後のあいだで減 少した。

図 4-1-4-1 休符ポイント 2-2 !"#$%&'I)I

:;J=;>

,0+** ,*+** 0+** *+** 123

124

124

!"#$%&'I)I

:;<=;>

,*+**

,+**

123

-+** ,+** 123

124

-+0*

-+0*

-+**

?+?* ?+/* ?+-* ?+** 0+A*

*+**

0+?*

124

123

IH7CD

124

(I7CD

!"#$%&'I)I

!"#$%&'I)I

!"#$%&'I)I

.+**

-*+**

,A+** ,?+**

,+** *+0* *+**

,+0* ,+** *+0*

,*+** 0+**

124

123

0

,*+**

,*+**

:;<=;>

,-+**

:;<=;>

,-+**

*

A+** ?+** /+** -+**

124

123

F(7CD

?+** /+**

!"#$%&'I)I

123

-+0*

,*+**

?+**

R+**

,+** *+0*

@+**

/+** .+** -+** ,+**

124

IF789

?+** 0+** /+** .+** -+** ,+**

*+**

*+**

124

FF789

A+**

:;<=;>

:;<=;>

,+0*

!"#$%&'I)I ?+@* ?+?* ?+0* ?+/* ?+.* ?+-* ?+,* ?+** 0+R* 0+A*

!"#$%&'I)I

@+** 0+**

-+**

124

AA7CD

!"#$%&'I)I

.+**

124

6(7CD

123

*+**

124

6I7CD

.+0*

123

A+**

-+**

*+**

123

123

,/+**

,/+**

,

/+**

124

!"#$%&'I)I

!"#$%&'I)I

!"#$%&'I)I ?

-

A+** ?+**

6E7CD

@

.

,*+**

*+**

123

124

BQ7CD

IB7CD

/

,-+**

-+**

*+**

*+**

123

:;<=;>

,+0*

,/+**

,0+**

:;J=;>

-+**

:;<=;>

:;J=;>

.+**

F67CD

!"#$%&'I)I

:;<=;>

?+A*

/+**

*+**

E(7CD

:;<=;>

!"#$%&'I)I

!"#$%&'I)I

:;<=;>

:;<=;>

,0+**

124

124

B57CD

@+**

0+**

123

0+**

123

?+** 0+**

*+**

,*+**

*+**

124

@+**

-*+**

-+**

,0+**

BE7CD

-0+**

.+**

-+**

667CD

!"#$%&'I)I

0+**

.+**

123

A+**

/+**

/+**

*+**

123

R+**

?+**

-*+**

,+**

FH7CD

@+**

-0+**

0+**

:;<=;>

-*+**

!"#$%&I)I

!"#$%&'I)I ?+**

:;<=;>

:;<=;>

-0+**

,*+** R+** A+** @+** ?+** 0+** /+** .+** -+** ,+** *+**

:;<=;>

.*+**

:;<=;>

!"#$%&'I)I .0+**

*+**

123

124

E(789

123

124

BF789

図 4-1-4-2 休符ポイント 2-2 通過前後の LF/HF 値 *被験者ごとに LF/HF 値の平均が異なるため縦軸は共通の範囲をもたない。

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

58


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

■ LF/HF 値増減率グラフ

!"#$%&-K-L:;<=;8CMNOP A*

グラフをみると 4 つの値を除いてすべて

?*

の値が減少していることが見て取れる。休

/*

符ポイント 2-2 は休符空間であると言える。

-*

またいくつか上昇している値に関しては , 休

*

符ポイント 1-1 と同様の理由が考えられる。

K-* K/* K?* KA* K,** 123

124

図 4-1-4-3 休符ポイント 2-2 LF/HF 増減率

表 4-1-4 休符ポイント 2-2 基本統計

休符ポイント2-2 基本統計 平均

標準誤差

-37.875

標準偏差 分散 尖度

50.3651665

2536.65

-0.4197141

最小

-88

合計 標本数

評価値とする。

#N/A

0.92640362

最大

符ポイント 2-2 におけるリラックス効果の

-64.5

歪度 範囲

統計表より。中央値である -64.5%を休

12.5912916

中央値 (メジアン) 最頻値(モード)

■休符ポイント 2-2 基本統計表

156 68

-606

16

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

59


*+0 *

*+**

123

123

124

124

6(7CD

EB7CD

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-1-5. 休符ポイント 2-3 ■休符ポイント 2-3 12 名の被験者のうちこの空 間を通過したのはのべ 4 回 であったが、すべてにおい て LF/HF 値が通過前後のあ

:;<=;>

!"#$%&'I)H

いだで減少した。

/+** .+0* .+** -+0* -+** ,+0* ,+** *+0* *+** 123

124

B(7CD

図 1-5-1 休符ポイント 2-3 !"#$%&'I)H

!"#$%&'I)H

,+0* ,+** *+0*

,-+**

:;<=;>

:;<=;>

-+**

:;<=;>

!"#$%&'I)H -*+**

,/+**

-+0*

,*+** A+** ?+** /+** -+**

*+** 123

124

,0+** ,*+** 0+** *+**

*+** 123

HF7CD

123

124

124

QG7CD

6I7CD

図 4-1-5-2 休符ポイント 2-3 通過前後の LF/HF 値 *被験者ごとに LF/HF 値の平均が異なるため縦軸は共通の範囲をもたない。 !"#$%&-K.L:;J=;8CMNOP

■ LF/HF 値増減率グラフ  グラフをみるとすべて値 が減少していることが見て

,**

取れる。休符ポイント 2-3

A*

は休符空間であると言える。

?* /* -* * K-* K/* K?* KA* K,**

123

124

図 4-1-5-3 休符ポイント 2-3 LF/HF 増減率 表 4-1-5 休符ポイント 2-3 基本統計

計表

休符ポイント2-3 基本統計 平均 標準誤差

-65.25 10.8733236

中央値 (メジアン) 最頻値 (モード)

-66.5

#N/A

標準偏差

21.7466473

尖度

0.34653636

分散 歪度 範囲

る -66.5%を休符ポイント 2-3 におけるリラックス効 果の評価値とする。

0.31394783

52

-90

合計

-261

標本数

統計表より。中央値であ

472.916667

最小 最大

■休符ポイント 2-3 基本統

-38

4

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

60


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-1-6. 休符ポイント 3-2

!"#$%&'H)I :;<=;>

-0+** -*+**

12 名の被験者のうちこの空 間を通過したのはのべ 5 回

,0+** ,*+** 0+** *+** 123

124

FE7CD !"#$%&'H)I ,?+** ,/+**

:;<=;>

■休符ポイント 3-2

であったが、1 回を除いて すべてにおいて LF/HF 値が 通過前後のあいだで減少し た。

,-+** ,*+** A+** ?+** /+** -+** *+** 123

124

5GSCD

図 4-1-6-1 休符ポイント 3-2 !"#$%&'H)I

!"#$%&'H)I

!"#$%&'H)I -0+**

?+**

,*+** A+** ?+** /+**

:;<=;>

0+**

:;<=;>

:;<=;>

,-+**

/+** .+** -+** ,+**

-+**

123

123

124

,0+** ,*+** 0+**

*+** *+**

-*+**

*+**

124

123

124

QE7CD

EG789

E67CD

図 4-1-6-2 休符ポイント 3-2 通過前後の LF/HF 値

■ LF/HF 値増減率グラフ

*被験者ごとに LF/HF 値の平均が異なるため縦軸は共通の範囲をもたない。

グラフをみるとすべて値 が減少していることが見て 取れる。休符ポイント 3-2

!"#$%&.K-L:;<=;8CMNOP

は休符空間であると言える。

,**

0*

*

!"#$%&'H)H

:;<=;>

K0*

K,**

K,0* 123

124

/+A* /+@* /+?* /+0* /+/* /+.* /+-* /+,* /+** .+R* .+A* .+@* 123

124

(5789

図 4-1-6-3 休符ポイント 3-2 LF/HF 増減率 表 4-1-6 休符ポイント 3-2 基本統計

計表

休符ポイント3-2 基本統計 平均

標準誤差

-63

10.8535708

中央値(メジアン) 最頻値 (モード) 標準偏差 分散 尖度 歪度 範囲

#N/A

-50

24.2693222

ある -50%を休符ポイント 2-3 におけるリラックス効 果の評価値とする。

-2.6243525 -0.6002254

54

-94

合計

-315

標本数

統 計 表 よ り。 中 央 値 で

589

最小 最大

■休符ポイント 3-2 基本統

-40 5

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

61


!"#$%&'H)I

!"#$%&'H)I

!"#$%&'H)I -0+**

?+**

,*+**

0+**

:;<=;>

休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動 A+** ?+** /+** -+**

/+** .+** -+**

:;<=;>

:;<=;>

,-+**

,+**

E67CD 4-1-6. 休符ポイント 123

124

4章

,0+** ,*+** 0+**

*+** *+**

-*+**

123

*+**

124

3-3EG789

123

124

QE7CD

■休符ポイント 3-3 12 名 の 被 験 者 の う ち こ の 空間を通過したのは 1 回で :;<=;>

!"#$%&'H)H /+A* /+@* /+?* /+0* /+/* /+.* /+-* /+,* /+** .+R* .+A* .+@*

あった。データ不足により このポイントは除外する。

123

124

(5789

図 4-1-6-1 休符ポイント 3-3 通過前後の LF/HF 値 図 4-1-6-1 休符ポイント 3-3

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

62


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-2. 休符空間としての評価 表 4-2-1 各休符ポイントデータ

■休符空間 * としての評価

TU#$%&

:;J=;>8CMVW>XSY

,KK,

K?.S

,KK-

K0-S

-KK,

K@,S

-KK-

K?0S

-KK.

K?@S

.KK,

L

.KK-

K0*S

.KK.

L

表 2-1 より、各々の休符ポイントにおける休符空 間の評価値をそれぞれの LF/HF 増減率の中央値で 示した結果が表 2-1 である。LF/HF 値の減少は副 交感神経優位という証明であり、各休符ポイントに おいて精神的リラックス効果があるといえる。 以上より、各休符ポイントは「休符空間 *」である と評価できる。 (#休符ポイント 3-1 通過者 0 人  休符ポイント 3-3 通過回数1回のみ  データ数が少ないため、  ポイント 3-1,3-3 は除外とする。 ) *)用語の定義より

■休符空間の特性とその考察  100 人近い学生が主観と客観をもって休符と感 じた空間は生理的にリラックス効果があると示さ れた、その空間の特性には開口部や吹き抜けといっ たファクター以外にも周辺の店舗との関係や、時 間軸でみた買物行動の違いなど、さまざまなファ クターが推察できる。空間的要素、行動的要素、 環境的要素などとの要素の分析が今後必要となる と考える。

図 4-2-1  休符空間 6 カ所 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

63


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-3. 休符ポイント通過回数とコルチゾール値との関係 ■コルチゾール値と休符ポイント通過回数と の相関関係を探る。 12 人中 8 名が実験前と実験後においてコル

Z[34\]^_`abcLa8CMNOP

チゾール値が減少した。またそれ以外の4名

,** A*

は買物行動においてコルチゾール値の増加傾

?*

向がみられた。本研究におけるコルチゾール

/* -*

の増減はストレスの増減であるといえるの

*

で、ストレスが減少したグループと増加した

K-*

ループにわけてそれぞれについて休符ポイン

K/*

ト通過回数との相関関係を探る。

K?* KA* K,**

ストレス減少グループ  被験者 A,B,C,D,E,F,H.K の 8 名

図 4-3-1  買物前後におけるコルチゾール増減率

ストレス増加グループ    被験者 G,I,J,L の4名

d&edCDNaLfL!"#$%&12gh *

■休符ポイント通過回数とストレス減少グ

K,*

ループとの相関関係

K-*

表 4-3-1 の相関係数は 0.25.965441 に対

K.*

して判定値 R=0.6666666 であり相関係数の

ijkjK,+@A?.ljKj,@+@--

K/*

方が低いことから、これらの関係には相関関 係はみられなかった。

K0* K?* *

-

/

?

A

,*

ghmgn

図 4-3-2  ストレス減少グループ        コルチゾール増減率ー休符ポイント通過回数 表 4-3-1 相関係数測定値1

コルチゾール増加率 休符ポイント通過回数 R=

コルチゾール増加率

1

0.250965441

休符ポイント通過回数 1

0.666666666

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

64


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

■休符ポイント通過回数とストレス増加グ

d&ed89NaLfL!"#$%&12gh

ループとの相関関係

R-

表 3-2 の相関係数は --0.552710829 に対

R*

して判定値 R=0.816496 であり相関係数の

AA

方が低いことから、これらの関係には相関関

A?

係はみられなかった。

A/ A-

ijkjK/ljoj,*?+-0

A* @A @? *

,

-

.

/

0

?

@

ghmgn

図 4-3-3  ストレス増加グループ       コルチゾール増減率ー休符ポイント通過回数

表 4-3-2 相関係数測定値2

コルチゾール増加率 休符ポイント通過回数 R=

コルチゾール増加率

1

-0.552710829

休符ポイント通過回数 1

0.81649658

■考察  休符ポイントにおけるリラックス効果は示 されているもののそのポイントにストレス軽 減効果みられなかった。ストレスの要因とし てはその時の心情や体調、前後の行動の違い や歩行経路など、さまざまなファクターがあ ると推察される。

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

65


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-4. 歩数とコルチゾール値との関係 ■ストレス減少グループと歩数と関係

d&edCDNaLf'L'ph

表 4-4-1 よ り 相 関 係 数 が -0.7855376 に

*

対して判定値 R=0.6666667 であり、これら

K,*

のあいだに相関関係がみられた。歩数の増加 と比例してストレスが減少する。

K-* K.* K/* K0*

ijkjK*+*,-Rljoj-*+.-R

K?* *

,***

-***

.***

/***

0***

?***

phmpn

図 4-4-1 ストレス減少グループ コルチゾールー歩数  表 4-4-1 ストレス減少グループ コルチゾールー歩数の相関関数

コルチゾール増減率

歩数

歩数

コルチゾール増減率

1

-0.7855376

1

R= 0.66666667 ■ストレス増加グループと歩数と関係   表 4-4-2 よ り 相 関 係 数 が -0.3679529 に

d&ed89NaLf'L'ph

対して判定値 R=0.81649658 であり、これ

R-

らのあいだに相関関係がみられなかった。

R* AA A? A/

ijkjK*+**R,ljoj,-*+R-

AA* @A @? ./**

.?**

.A**

/***

/-**

■考察  ストレスが減少したグループは歩数の増加

phmpn

に比例してストレスが減少していくと示され た。このことにおより買物においては、一概

図 4-4-2 ストレス増加グループ コルチゾールー歩数 表 4-4-2 ストレス減少グループ コルチゾールー歩数の相係数

歩数

歩数

コルチゾール増減率

コルチゾール増減率 1

-0.3679529

に肉体的疲労がストレス増加につながらない ということが言える。また買物におけるスト レスは精神的な要素の方が比重が高いと推察 される。

1

R= 0.81649658 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

66


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-5. 行動属性別の行動時間とコルチゾール値の関係 4-5-1. ストレス減少グループ編 vwxZ[yz{| *

■店舗内買物行動時間とコルチゾール値の関係

K,*

表 4-5-1-1 より相関関数が評価値 R よりも 小さいことから、これらの値には相関関係がみ

K-*

られなかった。

ijkjK*+,RARljKj,R+0@A

K.* K/* K0* K?* *

,*

-*

.*

/*

0*

{|m}n

図 4-5-1-1 コルチゾールー店舗内買物行動時間 表 4-5-1-1 コルチゾールー店舗内買物行動時間の相関関数 q

./ .0 店舗内買物行動時間 .? コルチゾール増減率

R=

.@

r

s

店舗内買物行動時間

コルチゾール増減率

1

-0.064036901

1

0.666666666

~•xpy{| ■施設内歩行時間とコルチゾール値の関係

* K,*

表 4-5-1-2 より相関関数が評価値 R よりも

K-*

小さいことから、これらの値には相関関係がみ られなかった。

K.* ijkjK,+./?/ljKj?+@,0R

K/* K0* K?* *

0

,*

,0

-*

-0

{|m}n

図 4-5-1-2 コルチゾールー施設内歩行時間図 表 4-5-1-2 コルチゾールー施設内歩行時間の相関関数 t

;

./ .0 .? .@

施設内歩行時間

コルチゾール増減率 R=

施設内歩行時間

u コルチゾール増減率 1

-0.353488786

1

0.666666666

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

67


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

!"#$%&‚ƒ{| *

■休符ポイント滞在時間とコルチゾール値の関

K,*

係  表 4-5-1-3 より相関関数が評価値 R よりも

K-*

小さいことから、これらの値には相関関係がみ

K.*

られなかった。

ijkjK,+@A?.ljKj,@+@--

K/* K0* K?* *

-

/

?

A

,*

{|m}n

図 4-5-1-3 コルチゾールー休符ポイント滞在時間

表 4-5-1-3 コルチゾールー休符ポイント滞在時間の相関関数 = ./ .0

休符ポイント時間

.? コルチゾール増減率 .@

R=

休符ポイント時間

コルチゾール増減率 1

-0.250965441

1

0.666666666

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

68


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-5-2. ストレス増加グループ編

■店舗内買物行動時間とコルチゾール値の関係

vwxZ[yz{|

表 4-5-2-1 より相関関数が評価値 R よりも

R-

大きいことから、これらの値には相関関係がみ

R*

られる。買物行動時間とストレス増加率は反比

AA A?

例の関係を示している。

A/ AA* @A

ijkjK*+?*.Rljoj,*,+A

@? *

,*

-*

.*

/*

0*

{|m}n

図 4-5-2-1 コルチゾールー店舗内買物行動時間図 表 4-5-2-1 コルチゾールー店舗内買物行動時間の相関関数 q

.R /* 店舗内買物行動時間 /, コルチゾール増減率

R=

/-

r

s

店舗内買物行動時間

コルチゾール増減率

1

-0.992161544

1

0.81649658

■施設内歩行時間とコルチゾール値の関係

~•xpy{|

表 4-5-2-2 より相関関数が評価値 R より大

R-

きいことから、これらの値には相関関係がみら

R* ijkjljoj?@+-0

れる。施設内歩行時間とストレス増加は比例関

AA A?

係にある。

A/ AA* @A @? *

0

,*

,0

-*

-0

{|m}n

図 4-5-2-2 コルチゾールー施設内歩行時間図 表 4-5-2-2 コルチゾールー施設内歩行時間の相関関数 t

;

.R /* /, /-

施設内歩行時間

コルチゾール増減率 R=

施設内歩行時間

u コルチゾール増減率 1

0.90609182

1

0.81649658

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

69


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

■休符ポイント滞在時間とコルチゾール値の関

!"#$%&‚ƒ{|

R-

表 4-5-1-3 より相関関数が評価値 R よりも

R* AA

小さいことから、これらの値には相関関係がみ

A?

られなかった。

A/ A-

ijkjK/ljoj,*?+-0

A* @A @? *

-

/

?

A

{|m}n

図 4-5-1-3 コルチゾールー休符ポイント滞在時間

表 4-5-1-3 コルチゾールー休符ポイント滞在時間の相関関数 = .R /*

休符ポイント時間

/, コルチゾール増減率 /-

R=

休符ポイント時間

コルチゾール増減率 1

-0.552710829

1

0.81649658

■考察  ストレス増加グループにおいては店舗内買 物行動時間が増えるとストレスが減少し、施 設内歩行時間が増えるとストレスが増加した。 このことから、買物客を目的の店舗に最短で 届けるような施設設計が求められる。また商 業施設の通路に休符空間を点在させることが 重要であるといえる。

早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

70


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

4章

4-6. 行動属性別 LF/HF 増減率平均 ■行動属性別 LF/HF 増減率  図4-6 が示すとおり、全被験者におい て休符ポイントにおけるリラックス効果が 高いという傾向が見られた。また施設内歩

„…†‡ˆ>‰(Š‹Œ{†:;J=;†8CM‡ˆ

行においてもリラックス効果がの傾向がみ

?*+**

てとれた。またこの値は表 4-6 より 1 元

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分散分析をした結果により平均値の比較と して優位性をもっていると証明されたもの

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である。

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■考察

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休符ポイントにおけるリラックス効果は 本章の前半において示されているが、施設

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内歩行におけるリラックス効果として考え

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られることは、店舗内買物行動からの解放 である。休符行動とは何か行動と行動に狭

図 4-6 行動属性別 LF/HF 増減率

間に潜んでいるようなものではないかと推 察される。

図 4-6 行動属性別 LF/HF1 元分散分析 分散分析: 一元配置 概要 グループ

店舗内買物行動

標本数

施設内歩行

合計

12 112.500289 12

休符ポイント

12

-126.01078

-667.57334

平均

分散

9.3750241

160.5419517

-55.631112

142.9918012

-10.500898

238.23019

分散分析表 変動要因

グループ間

変動

26630.3447

自由度

2

分散

13315.1724

グループ内

5959.40337

33 180.587981

合計

32589.7481

35

観測された分散比

73.73232868

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P-値

6.68358E-13

F 境界値

3.28491765

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

5 章 まとめ・展望 5 章:まとめ・展望

72

5-1. まとめ

73

5-2. 展望

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72


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

5章

5-1. まとめ ■休符空間  100人の学生が行った追跡調査による、客観的視点により捉えた休符空間と、主観的に捉えた 休符空間は生理的にリラックス効果があることがわかった。その空間を通過するだけで無意識的に リラックスすることができる空間が大型商業施設には点在しているといえる。その要因は空間的要 素だけでなく、休符空間以外の場所においても LF / HF 値が減少していることから、時系列の行 動の変化、その空間を通過するタイミングなどさまざまな要因があることが推測される。 表 5-1 休符空間の評価値

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4558

598

8554

5:4

8558

56;<9

8557

566<9

7558

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■ストレスと歩数  買物行動を通してコルチゾール値が減少するグループは減少率が歩数に比例することがわかっ た。また買物を通してコルチゾール値が増加するグループは今回の実験において歩数との相関関係 はみられなかった。 このことから買物においては、一概に肉体的疲労がストレス増加につながらないということが推察 される。また買物におけるストレスは精神的な要素の方が比重が高いと推察される。

■ストレスと行動時間  買物を通してコルチゾール値が上昇するグループのコルチゾール値の増加率は買物行動時間に反 比例し、施設内歩行時間に比例することがわかった。  このことから、買物客を目的の店舗に最短で届けるような施設設計が求められる。また商業施設 の通路に休符空間を点在させることが重要であるといえる。

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

■行動属性別評価   店舗内買物行動においては各々平均値にたいして平均して 9.38%LF/HF 値が上昇し、施設内 歩行においては 10.50%減少し、休符ポイントにおいては 55.63%減少した。行動属性別における LF/HF の増減の特性の違い明白であり、より心地よい商業施設の設計を目指す今後の展望に対して 有益な結果であるといえる。

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

5章

5-2. 展望 ■今後の展望  本研究では商業施設内に休符空間が存在することがわかったが、その空間の「休符空間」たる要因とな る因子がまだ解明されていない。今回の休符空間にたいして実際の設計に役立つような更なる分析が必要 であろう。 またその配置によって、戦略的にストレスを軽減させるような、休符空間の配置計画の検討が必要である。 1/ f のゆらぎとよばれる自然界に存在する人をリラックスさせるリズムが存在するが、休符空間もその ようなリズムと同期させて配置することにより、よりリラックス効果の高い空間設計が可能となるのでは ないだろうか。 お買物がひとつの名曲が流れるように。 ひとつの名作映画をみるかのように。 そんな商業施設を夢見て。

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

第二部 資料編

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

建築計画 C 課題出題概要

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

建築計画 C 課題 出題日 2008/06/20 買物行動における休符 ( 音符と休符 Note values ・Rests) 買物行動には、疲労やストレスがつきものである。 デパートでは平均歩行距離は⃝とも言われ、人は、ただ歩くことに比べて長い時間をもの ともせずに行うことが知られている。 歩き回って足が疲れることや、欲しいものを探していてストレスがたまってしまうという 経験はよくあるだろう。そんな時、休憩所のベンチやソファに座ったり、カフェを利用し たりするが、こういった「能動的」な休憩行動だけでなく、「受動的」・「無意識的」に気 分がリフレッシュしたという経験はないだろうか。例えば、見晴らしのいい場所に来た時、 開放的な吹き抜けを通過した時、トイレで落ち着いている時。 これらのちょっとしたリフレッシュは、音楽で言うならば、曲の中で時折現れ、曲に抑揚 やスピード感を与える「休符」に似ている。曲が流れるように買物行動を行うことができ るならばそれは理想的な買物行動と言えるのではないか。

この課題ではあなたに買物における「休符」を見つけてもらう事を目的とする。 【課題内容】課題 A で実地調査から、課題 B ではより深く考察する。 課題 A. 下記の商業施設に行き、買物客の行動を追跡調査し、観察の中で、休符行動と考 えられる行動を抜き出す。 学籍番号下一桁が偶数の人 :lalaport 豊洲 学籍番号下一桁が奇数の人 : 日本橋 高島屋 課題 B. 追跡時、もしくは、普段の買い物行動の場合、同様の自分特有の休符行動を考える。

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

【■課題 A】 1. 建築計画 C ホームページより「提出用 A 追跡調査シート」をダウンロードして 2 枚プリ ントして、指定された商業施設に行き、現地に置いてあるフロアマップ 2 枚を入手する。 2. 入口の一箇所から、買い物客の 1 人の追跡を開始し、入店∼退店までの間に見られた休 符行動を、フロアマップに記述する。追跡する買い物客は、グループならそのうちの一人を 対象とする。 追跡を行うのは、合計 2 名分で、属性の違う人 ( 老・若・子・男・女・カップル・親子 ) を 選ぶこと。 3. フロアマップには、移動経路、休符行動がみられた場所をプロットする。 4. 調査シートには、買物客の属性・休符行動内容・それぞれの時刻を記入する。 5. 帰宅後、提出用フロアマップを建築計画 C ホームページよりダウンロードし、移動経路、 休符行動が見られた場所のプロットを清書する。 また、 調査シートの内容をエクセルで「提出用 A 追跡調査シート」ファイルに入力する。( こ ちらは CourseN@vi で提出 ) 6. フロアマップ ( 清書 )2 セットと調査シート ( 現地で書いたもの ) を、同一調査ごとに、ホ チキスで止め提出する。( エクセルで入力提出した内容と、提出されたマップの内容の一致 を確認するため ) 【課題 B】 7. 自分の独自の休符行動について感性も含めて、実例を記述する。 8. 買物行動の調査と自身の体験から考察した、買い物行動の「休符」について 200 字程度 でまとめる 9. エクセル形式で提出すること。 【提出方法】 7 月 4 日 最終授業日の授業時間中 :6) のフロアマップおよび調査シート 提出期限 :2008/ 7/4 24:00 CourseN@vi で提出 連絡先 〒 169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1 55N801 tel 03-5286-3276 早稲田大学創造理工学部建築学科渡辺仁史研究室 4年

安藤 駿介

shunpinpin@hotmail.com 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文


休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

課題 A 提出用シート !"#$%&

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

課題 B 提出用シート !"#$%& +",."/0 1"23 4"56789:;, >?>?@ABC³DE³FGH

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

建築計画 C 課題   提出物抜粋

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

謝辞  学士入学です。大学2つ目です。前の大学ではとにかくふわふわチャラチャラしてました。根底では いつも何かしたいと思っているんだけど、何をしていいのかわからずただ漠然と不安で、とにかくチャ ラチャラしてました。そんなかけがえのない日々?を送った仲間も何人かは、いまや一児の父なわけで あります。  早稲田にきて、なっかなか消えない目の下のクマと引き換えに得たこの3年間の経験は本当に貴重で かけがえのないものとなりました。楽しいと思うことの幅がものすごく広がったように思います。また いい意味で自分と違う人が多かった。自分の考えを表現することの難しさ、辛さ、そして楽しさを知り ました。  今回の論文執筆にあたっては「ありがとう」がいくつあっても足りません。まずは夏休みが始まった ばかりにもかかわらず実験に協力してくれた研究室のみなさん、学士のみんな、クーナカフェのみんな、 ありがとう。コルチゾール解析を手伝ってくれた本多さん、 松島くん、 竹原くんありがとうございました。 健康ゼミの皆さん、ありがとう。  担当者の浅野さん、ほんとありがとう。一番最初のレジュメがぜんぜん書けなくて明け方まで電話で 付き合ってもらったあげく、半分くらい書いてもらいました。懐かしいな!本実験では3日連続で一日 中手伝ってくれました。いつも期限が迫ると大丈夫?と声をかけてくれ、相談にのってくれてありがと う。たくさんのアドバイス、卒論のチェックも最後まで丁寧にしてくれて、ほんとに感謝感謝です。あ りがとうございました。  佐古さん、いや∼、 、ありがとう。計画 C の出題間近には、つきっきりで相談にのってもらいました。 ほんとに頼りになる存在でした。それはゼミ全体を通しても思います。視点の豊富さ、指摘の的確さ、 議論の舵取りなどなど、 、すげーなーっていつも思います。本実験も3日連続付き合ってくれてありが とう。卒論チェックもありがとう。きっと将来、素敵な建築をたくさん生み出すことでしょう。期待し てます。ほんと感謝感謝です。ありがとう。  そしてそして長澤さん、ありがとうございました。頭良すぎです、キレすぎです、はい。たまに回転 早すぎてついていけず返答に困ったときがありました。ほんとに数えきれないほどのアドバイスをいた だきました。長澤さんには研究以外でも学ぶことが多くあったように思います。計画 C の課題づくりで ゼミ中ずっとパソコンの前にいたときに、くさやとお酒をわざわざもってきてくれたことがすごく印象 に残っています。いつか OB の方が持ってきたお土産のお団子が残っていて、それをみんなに配ってま わっていて、そういったやさしさや気遣いは人として本当にすばらしいなと思います。感謝感謝です。 ありがとうございました!  この研究室の一員として私を選んでくださった渡辺仁史先生、ありがとうございました。数ある研究 室の中からこの研究室に入れたことを心からよかったと思っています。そして何より、 論文における数々 のアドバイス、ありがとうございました。なんとかこうして論文を形にすることができました。いつか 田名網君がこの研究室だから大学院に進学しようと思ったと言っていましたが、まったくもって同感で あります。 最後に、いつの日も可能性を信じてサポートし続けてくれた親父、おふくろ、兄貴にこの場をかりて、 、 ありがとう。 2008 年 11 月 10 日 安藤駿介 早稲田大学 創造理工学部 建築学科 渡辺仁史研究室 2008 年度 卒業論文

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休符モデルからみた大型商業施設における買い物行動

参考文献

1)参考文献:  明日の広告/佐藤尚之/ 2008 2)参考文献:  科学する店舗/店舗システム協会/ 2005 3) 参考文献:  運動とストレス科学 ; 竹宮隆、下光輝一 編 ; 株式会社 杏林書院(2003 年 3 月) 4) 参考 Web:   家庭の医学シリーズ ; ストレスについて:  http://www.fujimoto.or.jp/medical/stress.htm 5) 参考 Web  峠を越えて:ストレス入門 :http://www.tougewo-koete.jp/roudou.html 6) 参考 Web:  いきいき免疫健康館:ストレスと免疫:  http://www.digiplan.co.jp/live/storess-00/stres-meneki.html 7) 参考文献:  POMS 短縮版手引と事例解説 ; 横山和仁 編著:金子書房(2005 年 1 月) 8) 参考論文:  井澤修平 他「唾液を用いたストレス評価 - 採取および測定手順と各唾液中物質  の特 -」 :日本補完代替医療学会誌 第4巻 第3号 2007 年 10 月 9)参考文献  流通経済入門(第2版)/徳田賢二/ 2005 10)参考文献  インターネット・マーケティング入門/木村達也/ 2005 11)参考文献  伊勢丹だけがなぜ売れるのか/武永昭光/ 2006 12)参考文献  なぜ人はショッピングモールが大好きなのか/パコ・アンダーヒル/ 2004

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U0802 休 符 モ デ ル か ら み た 大 型 商 業 施 設 に お け る 買 い 物 行 動

安  藤 駿 介


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