創世記
第1章
1初めに神は天と地を創造された。
2地は形がなく、むなしく、闇が深淵の面にあった。 神の霊が水の面を動かしていた。
3神は言われた、「光あれ」。すると光があった。
4神は光を見て、良しとされた。そこで神は光と闇と を分けられた。
5神は光を昼と名付け、暗やみを夜と名付けた。夕と なり、朝となり、これが第一日であった。
6神はまた言われた、「水の間に大空があって、水と 水とを分けよ」。
7神は大空を造り、大空の下の水と大空の上の水とを 分けられた。そのようになった。
8神は大空を天と名づけられた。夕があり、朝があり、 第二日であった。
9神はまた言われた、「天の下の水はつ所に集まり、 かわいた地が現れよ」。そのようになった。
10神はそのかわいた地を地と名づけ、水の集まった ところを海と名づけられた。神は見て、良しとされ た。
11神はまた言われた、「地は青草と、種をもつ草と、 その種類にしたがって実を結ぶ、種をおのおの持っ ている果樹とを地の上に生え出させよ」。そしてそ のようになった。
12地は草と、その種類にしたがって種をもつ草と、 その種類にしたがって種のある実を結ぶ木とを生え させた。神は見て、良しとされた。
13夕となり、また朝となった。第三日である。
14神はまた言われた、「天のおおぞらに光るものが あって、昼と夜とを分け、また、しるしのため、季 節のため、日のため、年のためとせよ。
15そして、それらを天の大空にあって光として、地 を照らすようにせよ。そして、そのようになった。
16そして神は二つの大きな光を造られた。大きい光 に昼を治めさせ、小さい光に夜を治めさせ、また星 も造られた。
17そして神は、地を照らすために、それらを天の大 空に置かれた。
18昼と夜を治め、光と闇を分けさせようとして、神 は見て、良しとされた。
19夕となり、また朝となった。第四日であった。
20神はまた言われた、「水は、生き物を豊かに生み 出せ。鳥は地の上、天の大空を飛べ。」
21神はまた、大きな鯨と、水に群がるあらゆる動く 生き物とを種類ごとに創造し、また、翼のあるあら ゆる鳥を種類ごとに創造された。神は見て、良しと された。
22神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、 海の水に満ちよ、また鳥は地に増えよ」。
23夕となり、また朝となった。第五日である。
24神はまた言われた、「地は生き物をその種類にし たがって生み出せ。家畜、這うもの、地の獣をその 種類にしたがって生み出せ」。そのようになった。
25神は地の獣を種類にしたがって造り、家畜を種類 にしたがって造り、また地を這うすべてのものを種 類にしたがって造られた。神は見て、良しとされた。
26神はまた言われた、「われわれのかたちに、われ われにかたどって人を造ろう。そしてこれに海の魚 と、空の鳥と、家畜と、全地の獣と、地の上を這う すべてのものとを治めさせよう」。
27そこで神は、ご自身のかたちに人を創造された。 すなわち、神のかたちに創造し、男と女に創造され た。
28神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、 地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥 と、地に這うすべての生き物とを治めよ。」
29神はまた言われた、「見よ、わたしは全地の面に ある種をもつすべての草と、種をもつ木の実をもつ すべての木とを、あなたがたに与えた。それはあな たがたの食物となるであろう」。
30わたしは、地のすべての獣、空のすべての鳥、地 を這うすべての生き物に、食物としてすべての青草 を与えた。そのようになった。
31神は造られたすべてのものをご覧になった。そし て、それは非常に良かった。夕となり、朝となり、 第六日となった。
第2章
1こうして天と地と、その万象が完成した。
2そして第七の日に神はその御業を終え、そのすべて の御業を終えて第七の日に休まれた。
3神は第七日を祝福して、これを聖別された。その日 には、神が創造し、造ったすべてのわざを休まれた からである。
4これらは天と地の創造されたときの系譜である。主 なる神が地と天を造られた日である。
5野のすべての植物はまだ地になく、野のすべての草 はまだ生えていなかった。主なる神がまだ地に雨を 降らせておらず、地を耕す人もいなかったからであ る。
6しかし、地から霧が立ち上り、地の全面を潤した。
7主なる神は土の塵で人を造り、その鼻に命の息を吹 き込まれた。そこで人は生きた魂となった。
8主なる神は東の方、エデンに園を設け、そこにご自 身が形造った人を置かれた。
9主なる神は、見て美しく、食べるに良いあらゆる木 を土から生えさせ、また園の中央には命の木と、善 悪を知る木とを生えさせられた。
10そして、つの川がエデンから流れ出て園を潤し、 そこから分かれて四つの源となった。
11第の名はピソン。それは金のあるハビラ全土を 囲んでいる。
12その地の金は良質で、ブデリウムと縞めのうがあ る。
創世記
13第二の川の名はギホンといい、エチオピア全土を 巡っている。
14第三の川の名はヒデケルで、アッシリアの東に流 れている。第四の川はユーフラテスである。
15主なる神は人を連れてエデンの園に置き、それを 耕させ、守らせられた。
16主なる神は人に命じて言われた、「園のどの木か らも心のままに取って食べてよい。
17ただし、善悪の知識の木からは食べてはならない。 それを食べるとその日に必ず死ぬからである。
18主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良 くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」。
19主なる神は、野のすべての獣と、空のすべての鳥 を土から造り、アダムのところに連れて来て、彼が それにどんな名をつけるかを見られた。アダムが生 き物につけた名前は、すべてその生き物の名となっ た。
20人はすべての家畜、空の鳥、野のすべての獣に名 を付けたが、アダムにふさわしい助け手は見つから なかった。
21主なる神はアダムに深い眠りを与えられたので、 アダムは眠った。そして主なる神は彼のあばら骨の 一つを取って、その代わりに肉を閉じられた。
22主なる神は人から取ったあばら骨でひとりの女を 造り、人のところに連れて来られた。
23そして人は言った。「これこそ、わたしの骨の骨、 わたしの肉の肉。男から取られたものであるから、 これを女と呼ぶ。」
24それゆえ、人は父母を離れて、妻と結ばれ、ふた りは体となるのである。
25男もその妻も二人とも裸であったが、恥ずかしい とは思わなかった。
第3章
1主なる神が造られた野の獣のうち、蛇が番狡猾で あった。蛇は女に言った、「園にあるどの木からも 食べてはならないと、本当に神は言われたのです か」。
2女は蛇に言った。「私たちは園の木の実を食べても よいのです。
3しかし、園の中央にある木の実については、あなた がたはそれを食べることも、それに触れることも、 死んではならないからと神は言われました。
4蛇は女に言った。「あなたがたは決して死ぬことは ないでしょう。
5神は、あなたがたがそれを食べるその日に、あなた がたの目が開け、あなたがたが神のようになって善 悪を知る者となることを知っておられるのです。
6女がその木を見ると、それは食べるに良く、目には 美しく、賢くなるには望ましい木であったので、そ の実を取って食べ、また緒にいた夫にも与えたの で、彼も食べた。
7すると、二人の目が開け、自分たちが裸であること がわかったので、二人はいちじくの葉をつづり合わ せて前掛けを作った。
8彼らは、涼しい風が吹くころ、主なる神が園を歩く 声を聞いた。そこで、アダムとその妻は主なる神の 御前から逃れ、園の木の間に身を隠した。
9主なる神はアダムに呼びかけて言われた、「あなた はどこにいるのか」。
10彼は言った、「わたしは園であなたの声を聞き、 裸だったので恐ろしくなり、身を隠したのです。」
11そこで彼は言った、「あなたが裸であるのをだれ が知らせたのか。食べてはならないと命じておいた 木から取って食べたのか。」
12すると人は言った。「あなたが私と緒にいるよ うにしてくださった女が、その木から取って私に与 えたので、私は食べました。」
13主なる神は女に言われた、「あなたは、いったい、 何をしたのか。」女は答えた、「へびがわたしをだ まして、食べてしまったのです。」
14主なる神は蛇に言われた、「おまえは、この事を したので、すべての家畜、すべての野の獣の中で最 も呪われる。おまえは腹ばいで歩き、生、ちりを 食べるであろう。
15わたしは、お前と女との間に、また、お前の子孫 と女の子孫との間に敵意を置く。それはお前の頭を 砕き、お前は彼のかかとを砕くであろう。
16神は女に言われた、「わたしはあなたの苦しみと あなたの産みの苦しみを大いに増す。あなたは苦し みのうちに子を産むであろう。あなたは夫を慕い、 彼はあなたを支配するであろう」。
17神はまた人に言われた、「あなたは妻の言葉に聞 き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた 木から取って食べた。あなたのゆえに地は呪われ、 あなたは一生、苦しんで地の産物を食べるであろう。
18それはあなたのために、いばらとあざみを生じさ せ、あなたは野の青草を食べるであろう。
19あなたは顔に汗してパンを食べ、ついに土に帰る。 あなたは土から取られたからだ。あなたは塵だから 塵に帰るのだ。
20アダムは妻の名をエバと名付けた。彼女はすべて の生き物の母だからである。
21主なる神はアダムとその妻のために皮の着物を造 り、彼らに着せられた。
22主なる神は言われた、「見よ、人はわれわれのひ とりのようになり、善悪を知るものとなった。今、 彼が手を伸ばして命の木からも取って食べ、永遠に 生きることのないようにしなさい。
23そこで主なる神は、彼をエデンの園から追い出し、 彼が造られたその土を耕させられた。
24そこで神は人を追い出し、エデンの園の東にケル ビムと、四方に回る炎の剣を置いて、命の木の道を 守っておられた。
第4章
1アダムは妻エバを知った。彼女はみごもってカイン を産み、こう言った。「わたしは主によって男の子 を授かりました。」
2彼女はまた弟アベルを産んだ。アベルは羊飼いであ り、カインは土地を耕す者であった。
3時が経ち、カインは地の産物を主に捧げ物として携 えて来た。
4アベルもまた、羊の群れの初子と肥えたものを持っ て来た。主はアベルとその供え物に目を留められた。
5しかし、神はカインとその供え物に目を留めなかっ た。カインは大いに怒り、顔を伏せた。
6主はカインに言われた、「なぜ怒っているのか。な ぜ顔を伏せているのか。
7あなたが善いことをすれば、受け入れられるであろ うか。もしあなたが善いことをしなければ、罪が戸 口に待ち構えている。彼はあなたを欲しがり、あな たは彼を支配するであろう。
8カインは弟アベルと話し合ったが、彼らが野原にい たとき、カインは弟アベルに襲い掛かり、彼を殺し た。
9主はカインに言われた、「あなたの弟アベルはどこ にいるか」。カインは言った、「知りません。私が 弟の番人でしょうか」。
10彼は言った、「あなたは何をしたのか。あなたの 兄弟の血の声が地からわたしに叫んでいる。」
11そして今、あなたは、あなたの手からあなたの兄 弟の血を受けるために口を開いた地から呪われてい る。
12あなたが土地を耕しても、もはや土地は力を発揮 せず、あなたは地上で逃亡者、放浪者となるであろ う。
13カインは主に言った。「わたしの罰は重すぎて、 耐えられません。」
14見よ、あなたは今日、わたしを地の面から追い払 われた。わたしはあなたの御前から隠され、地上で 逃亡者、放浪者となる。わたしを見つける者はみな、 わたしを殺すであろう。
15主は彼に言われた、「それゆえ、カインを殺す者 は、七倍の復讐を受けるであろう。」そして主はカ インに印を付け、彼を見つける者が彼を殺すことが ないようにされた。
16カインは主の前から出て行き、エデンの東にある ノドの地に住んだ。
17カインは妻を知った。彼女はみごもってエノクを 産んだ。彼は町を建て、その町の名を息子の名にち なんでエノクと名付けた。
18エノクにはイラドが生まれ、イラドはメフヤエル を生み、メフヤエルはメトサエルを生み、メトサエ ルはレメクを生んだ。
19レメクは二人の妻をめとった。人の名はアダ、 他の人の名はツィラといった。
20アダはヤバルを産んだ。彼は天幕に住む者と家畜 を持つ者の父となった。
21彼の兄弟の名はユバルといった。彼はハープやオ ルガンを扱うすべての者の父であった。
22ツィラはまた、青銅と鉄のあらゆる工芸品の教師 であるトバルカインを産んだ。トバルカインの妹は ナアマであった。
23レメクは妻のアダとツィラに言った。「わたしの 声を聞きなさい。レメクの妻たちよ、わたしの言葉 に耳を傾けなさい。わたしは傷つけて男を殺し、わ たしに危害を加えて若者を殺したのだ。」
24カインが七倍の復讐を受けるなら、レメクは七十 七倍の復讐を受けるであろう。
25アダムは再び妻と知り合った。彼女は男の子を産 み、その名をセツと名付けた。彼女は言った。「神 は、カインが殺したアベルの代わりに、別の子孫を わたしに授けてくださったのです。」
26セツにも男の子が生まれ、彼はその子をエノスと 名付けた。その時から人々は主の名を呼び始めた。
第5章
1これはアダムの系図の書である。神が人を創造した 日、神は神の似姿に彼を造られた。
2神は彼らを男と女に創造し、彼らを祝福して、創造 された日に彼らの名をアダムと名付けた。
3アダムは百三十歳になって、自分に似た、自分にか たどった息子をもうけ、その名をセツと名付けた。
4アダムはセツを生んだ後、八百年生き、息子や娘を 生んだ。
5アダムは九百三十年生き、そして死んだ。
6セトは百五歳になってエノスをもうけた。
7セトはエノスを生んだ後、八百七年生き、息子や娘 をもうけた。
8セトの生涯は九百十二年であった。そして彼は死ん だ。
9エノスは九十歳になって、カイナンを生んだ。
10エノスはケナンを生んだ後、八百十五年生き、息 子や娘をもうけた。
11エノスの生涯は九百五年であった。そして彼は死 んだ。
12ケナンは七十歳になってマハラレルを生んだ。
13ケナンはマハラレルを生んだ後、八百四十年生き、 息子や娘をもうけた。
14ケナンの生涯は九百十年であった。そして彼は死 んだ。
15マハラレルは六十五歳になってヤレドを生んだ。
16マハラレルはヤレドを生んだ後、八百三十年生き、 息子や娘をもうけた。
17マハラレルの生涯は八百九十五年であった。そし て彼は死んだ。
18ヤレドは百六十二歳になってエノクをもうけた。
19ヤレドはエノクを生んだ後八百年生き、息子や娘 をもうけた。
20ヤレドの生涯は九百六十二年であった。そして彼 は死んだ。
21エノクは六十五歳になってメトセラをもうけた。
創世記
22エノクはメトシェラを生んだ後三百年間神と共に 歩み、息子や娘をもうけた。
23エノクの生涯は三百六十五年であった。
24エノクは神とともに歩んだが、神が彼を取られた ので、彼はいなくなった。
25メトセラは百八十七歳になってレメクを生んだ。
26メトセラはレメクを生んだ後七百八十二年生き、 息子や娘をもうけた。
27メトセラの生涯は九百六十九年であった。そして 彼は死んだ。
28レメクは百八十二歳になって、息子をもうけた。
29そこで彼はその子をノアと名付けて言った。「こ の子は、主が呪われた地のゆえに、私たちの仕事と 手の労苦について、私たちを慰めてくれるだろ う。」
30レメクはノアを生んだ後五百九十五年生き、息子 や娘をもうけた。
31レメクの生涯は七百七十七年であった。そして彼 は死んだ。
32ノアは五百歳になって、セム、ハム、ヤペテをも うけた。
第6章
1さて、地上に人がふえはじめ、娘たちが生まれたと き、
2神の子らは人の娘たちが美しいのを見て、自分たち の好む者を妻にめとった。
3主は言われた、「わたしの霊はいつまでも人の中に とどまることはできない。人は肉であるからだ。し かし、人の年数は百二十年であろう。」
4そのころ、地上には巨人がいた。その後も、神の子 らが人の娘たちと交わり、彼女たちに子どもを産ま せると、彼らは昔の勇士、名声ある人々となった。
5神は、地上の人の悪が増し、その心に思い描くこと が、ことごとく悪い事ばかりであるのをご覧になっ た。
6主は地上に人を造ったことを悔い、心を痛められた。
7主は言われた、「わたしが創造した人間を、地の面 から絶やそう。人も、獣も、這うものも、空の鳥も。 わたしがこれらを創造したことを悔いているから だ。」
8しかし、ノアは主の目に恵みを得た。
9これらはノアの系譜である。ノアはその世代の中で 正しい人であり、完全な者であり、神とともに歩ん だ。
10そしてノアはセム、ハム、ヤペテという三人の息 子をもうけた。
11地は神の前に堕落し、地は暴虐で満ちていた。
12神が地をご覧になると、見よ、それは堕落してい た。すべての肉なる者が地の上でその道を堕落させ ていたからである。
14あなたはゴフェルの木で箱舟を造り、箱舟の中に 部屋を作り、その内側と外側をアスファルトで塗り なさい。
15あなたがたは、箱舟を次のように造らなければな らない。箱舟の長さは三百キュビト、幅は五十キュ ビト、高さは三十キュビトとする。
16箱舟に窓を造り、その上部をキュビトで仕上げ なければならない。また、箱舟の扉をその側面に設 けなければならない。箱舟には一階、二階、三階を 設けなければならない。
17見よ、わたしは、このわたしが、地に洪水をもた らし、命の息のあるすべての肉なるものを天の下か ら滅ぼす。地にあるすべてのものは死ぬであろう。
18しかし、わたしはあなたと契約を結び、あなたと あなたの息子たち、あなたの妻、そしてあなたの息 子たちの妻たちが箱舟に入るであろう。
19あなたは、すべての肉なる生き物のうち、それぞ れ二匹ずつを箱舟に連れ込み、あなたとともに生か しておきなさい。それは雄と雌でなければならない。
20鳥はその種類にしたがって、家畜はその種類にし たがって、地を這うものはすべて、種類にしたがっ て、それぞれ二匹ずつあなたのところにきて、生き ながらえさせなければならない。
21あなたは食べるすべての食物を取って、それを集 めなさい。それはあなたと彼らの食物となるであろ う。
22ノアはこのようにして、神が彼に命じられたとお りにすべて行った。
第7章
1主はノアに言われた。「あなたとあなたの家族は皆 箱舟に入りなさい。わたしはこの世代において、あ なたが正しい者とみなしているからだ。
2あなたはすべての清い家畜の中から雄と雌を七つず つ取り、また清くない家畜の中から雄と雌を二つず つ取りなさい。
3空の鳥も雄と雌とを七つずつ選び、全地の面に子孫 を残すようにしなさい。
4さらに七日経って、わたしは四十日四十夜、地上に 雨を降らせ、わたしが造ったすべての生き物を地の 面から滅ぼすであろう。
5ノアはすべて主が命じられたとおりに行なった。
6洪水が地上に起こったとき、ノアは六百歳であった。
7ノアは、洪水の水を避けて、息子たち、妻、息子た ちの妻たちとともに箱舟に入った。
8清い獣、清くない獣、鳥、地を這うすべてのもの、
9神がノアに命じたとおり、雄と雌が二匹ずつノアの 箱舟に入った。
10そして七日の後、洪水の水は地の上にあった。
13神はノアに言われた、「わたしの前にすべての肉 なるものの終わりが来た。彼らのせいで地は暴虐で 満ちている。見よ、わたしは彼らを地とともに滅ぼ そう。」
11ノアの生涯の六百年目の第二の月、その月の十七 日に、大いなる深淵の源がことごとく破れ、天の窓 が開かれた。
創世記
12そして雨は四十日四十夜地上に降った。
13その同じ日に、ノアとノアの息子セム、ハム、ヤ ペテ、ノアの妻、そしてノアの息子たちの三人の妻 が箱舟に入った。
14それら、ならびにその種類ごとのすべての獣、そ の種類ごとのすべての家畜、その種類ごとのすべて の地を這うもの、その種類ごとのすべての鳥、あら ゆる種類の鳥。
15そして、命の息のあるすべての肉なるものが二匹 ずつノアのところへ箱舟に入った。
16神が命じられたとおり、すべての肉なるものの雄 と雌が、はいり、主は彼を閉じ込められた。
17そして洪水は四十日間地上に続いた。水は増し加 わって箱舟を運び上げ、箱舟は地より上に浮かび上 がった。
18そして水は増し加わり、地の上に大いに増し、箱 舟は水面を進んだ。
19そして、水は地の上に非常に増し加わり、全天の 下の高い山々はすべて覆われた。
20水は十五キュビトまで増し、山々は覆われた。
21そして、地の上を動くすべての肉なるもの、すな わち鳥、家畜、獣、地の上を這うすべての生き物、 またすべての人は死んだ。
22鼻に命の息のある者、すなわち陸にいた者はすべ て死んだ。
23そして、地の面にあったすべての生き物、すなわ ち、人も家畜も、這うものも空の鳥も、みな滅ぼさ れ、地から消え失せてしまった。ただノアと、彼と 共に箱舟に乗っていた者たちだけが生き残った。
24そして水は百五十日間地上に溢れ続けた。
第8章
1神はノアと、彼と共に箱舟の中にいたすべての生き 物と家畜を思い起こし、地の上に風を起こさせ、水 を引き裂かれた。
2深淵の源と天の窓は閉ざされ、天からの雨も止んだ。
3そして水は地から絶えず戻り、百五十日が経過する と水は引いた。
4そして箱舟は第七の月、その月の十七日にアララト の山々の上に留まりました。
5そして水は第十の月までどんどん減っていき、第十 の月の日には山々の頂が見えるようになった。
6四十日が過ぎて、ノアは自分が造った箱舟の窓を開 けた。
7そして、彼はカラスを放った。カラスはあちこち飛 び回ったので、地から水は干上がった。
8また彼は、水が地の面から引いたかどうかを見るた めに、鳩を彼のもとから放った。
9しかし、鳩は足の裏を休める場所を見つけられず、 箱舟に戻って来た。水が全地の面にあったからであ る。そこで彼は手を伸ばして鳩を捕らえ、箱舟の中 に引き入れた。
10彼はさらに七日間滞在し、再び箱舟から鳩を放っ た。
11夕方、鳩が彼のところに帰ってきた。その口には、 オリブの葉がくわえられていた。それでノアは、 地から水が引いたことを知った。
12彼はさらに七日間滞在し、鳩を放ったが、鳩は二 度と彼のところに戻って来なかった。
13六百一年目の正月の一日に、地から水が乾いた。 ノアが箱舟の覆いを取り除いて見ると、地の面は乾 いていた。
14そして第二の月、その月の二十七日に、地は乾い た。
15神はノアに言われた。
16あなたとあなたの妻、あなたの息子たち、そして あなたの息子たちの妻たちは箱舟から出なさい。
17あなたと共にいるすべての生き物、すなわち、す べての肉なるもの、鳥、家畜、地を這うすべての生 き物を連れ出しなさい。それらは地に豊かに繁殖し、 子を生み、地の上で増えるであろう。
18ノアは息子たち、妻、息子たちの妻たちとともに 出発した。
19あらゆる獣、あらゆる這うもの、あらゆる鳥、地 を這うものはすべて、種類ごとに箱舟から出た。
20ノアは主のために祭壇を築き、あらゆる清い獣と あらゆる清い鳥を取って、祭壇の上で全焼の供え物 をささげた。
21主は香ばしいかおりをかぎ、主は心に言われた、 「わたしは、人のために、再び地を呪わない。人の 心に思い描くことは、その若い時から悪いからだ。 わたしは、これまでしたように、再び、すべての生 き物を打つことはしない。」
22地が存在する限り、種まきと刈り入れ、寒さと暑 さ、夏と冬、昼と夜はやむことがない。
第9章
1神はノアとその子らを祝福して彼らに言われた、 「生めよ、ふえよ、地に満ちよ」。
2地のすべての獣、空のすべての鳥、地の上を動くす べてのもの、海のすべての魚は、あなたに対する恐 れと不安に襲われ、あなたに対する恐怖があなたた ちの手に渡される。
3生き物で動くものはすべてあなたがたの食物となる。 わたしはすべてのものを青草のようにあなたがたに 与えた。
4しかし、その命である血を伴う肉は食べてはならな い。
5わたしは必ずあなたがたの命の血を要求する。わた しはすべての獣の手からそれを要求する。また、す べての人の兄弟の手から、人の命を要求する。
6人の血を流す者は、人によってその血を流されるで あろう。神は人を神の似姿に造られたからである。
7あなたがたは、生めよ、増えよ。地に豊かに産み、 地に増えよ。
8神はノアと彼と共にいた息子たちに言われた。
9見よ、わたしはあなたと、またあなたの後の子孫と の間に契約を立てる。
創世記
10また、あなたと共にいるすべての生き物、すなわ ち、あなたと共にいる鳥、家畜、地のすべての獣、 箱舟から出たすべてのものから、地のすべての獣に 至るまで。
11わたしはあなたたちと契約を立てる。すべての肉 なる者は、もはや洪水によって滅ぼされることはな く、地を滅ぼす洪水も、もはや起こらない。
12神はまた言われた、「これはわたしとあなたと、 あなたと共にいるすべての生き物との間に代々永遠 にわたしが立てる契約のしるしである。
13わたしは雲の中に虹を置く。それはわたしと地と の間の契約のしるしとなる。
14わたしが雲を地の上に起こすとき、雲の中に虹が 現れるであろう。
15そして、わたしは、わたしとあなたたちおよびす べての肉なる生き物との間に立てた契約を思い出す。
水は、再び洪水となってすべての肉なるものを滅ぼ すことはなくなる。
16雲の中に虹が現れ、わたしはそれを眺めて、神と 地上のすべての肉なる生き物との間の永遠の契約を 思い出すであろう。
17神はノアに言われた、「これはわたしと地上のす べての肉なる者との間に立てた契約のしるしであ る。」
18箱舟から出たノアの子らは、セム、ハム、ヤペテ であった。ハムはカナンの父である。
19これらはノアの三人の息子である。全地は彼らに よって広がった。
20ノアは農夫となり、ぶどう畑を作った。
21彼はぶどう酒を飲んで酔い、天幕の中で裸になっ た。
22カナンの父ハムは父の裸を見て、外にいる二人の 兄弟に告げた。
23セムとヤペテは着物を取って両肩にかけ、後ろ向 きに進んで父の裸を隠した。彼らは顔を後ろに向け たので、父の裸は見えなかった。
24ノアは酒から覚めて、弟が自分に何をしたかを知 った。
25彼は言った、「カナンは呪われよ。彼はその兄弟 たちに対して奴隷の奴隷となるであろう」。
26彼は言った、「セムの神、主がほめたたえられま すように。カナンは主のしもべとなります。」
27神はヤペテを大きくされるので、彼はセムの天幕 に住み、カナンは彼の奴隷となる。
28ノアは洪水の後三百五十年生きた。
29ノアの生涯は九百五十年であった。そして彼は死 んだ。
第10章
1さて、ノアの子ら、セム、ハム、ヤペテの系図は次 のとおりである。洪水の後、彼らには息子たちが生 まれた。
2ヤペテの子らは、ゴメル、マゴグ、マダイ、ヤワン、 トバル、メシェク、ティラスである。
3ゴメルの子らは、アシュケナズ、リファテ、トガル マである。
4ヤワンの子らはエリシャ、タルシシュ、キティム、 ドダニムである。
5これらによって、異邦人の島々はそれぞれの土地に 分かれ、それぞれ自分の言語に従い、自分の氏族に 従い、自分の国民に分かれた。
6ハムの子孫は、クシュ、ミツライム、プト、カナン である。
7クシュの子らはセバ、ハビラ、サブタ、ラアマ、サ ブテカであり、ラアマの子らはシェバとデダンであ る。
8クシュはニムロデをもうけた。ニムロデは地上で力 ある者となった。
9彼は主の御前に力ある狩人であった。それゆえ、 「主の御前に力ある狩人ニムロデのようだ」と言わ れている。
10彼の王国の始まりは、シナルの地のバベル、エレ ク、アッカド、カルネであった。
11その地からアシュルが出て来て、ニネベとレホボ テの町とカラを建てた。
12ニネベとカラの間にはレセンがあり、これは大き な町である。
13ミツライムはルディム、アナミム、レハビム、ナ フトヒムを生み、
14パテロス人、カスルヒム(このカスルヒムからペ リシテ人が出た)、カフトリム人。
15カナンは長子シドンを生み、次にヘテを生み、
16エブス人、アモリ人、ギルガシ人、
17ヒビ人、アルキ人、シニ人、
18アルワデ人、ゼマリ人、ハマテ人。その後、カナ ン人の諸氏族が広がった。
19カナン人の境界はシドンからゲラルを経てガザに 至り、さらにソドム、ゴモラ、アデマ、ゼボイムを 経てラシャに至った。
20これらはハムの子孫であり、その氏族、言語、国、 国民ごとに分かれている。
21エベルのすべての子孫の父であり、兄ヤペテの兄 弟であるセムにも、子孫が生まれた。
22セムの子孫は、エラム、アシュル、アルパクサド、 ルド、アラムである。
23アラムの子孫はウツ、フル、ゲテル、マシュであ った。
24こうしてアルファクサドはサラーを生んだ。サラ ーにはエベルが生まれた。
25エベルには二人の息子が生まれた。一人の名はペ レグ。彼の時代に地が分割されたからである。彼の 兄弟の名はヨクタンといった。
26ヨクタンはアルモダド、シェレフ、ハザルマベト、 エラを生んだ。
27ハドラム、ウザル、ディクラ、
28オバル、アビマエル、シェバ、
29オフィル、ハビラ、ヨバブ。これらは皆ヨクタン の子らであった。
創世記
30彼らの住まいはメシャから東の山地セファルに至 る所にあった。
31これらはセムの子孫であり、その氏族、言語、土 地、国民ごとに分かれている。
32これらはノアの子孫の家族であり、その世代ごと に、それぞれの国々に分かれた。洪水の後、これら の人々によって地上の国々が分割された。
第11章
1そして、全地はつの言葉、つの話し方で成り立 っていた。
2彼らは東から旅して、シナルの地に平野を見つけ、 そこに住んだ。
3そこで彼らは互いに言った、「さあ、れんがを作っ て、それをよく焼こう。」彼らは石の代わりにれん がを作り、モルタルの代わりに粘土を使った。
4彼らは言った。「さあ、われわれは町と塔を建てよ う。その頂は天に届くほどのものである。そして、 われわれは全地の面に散らされることのないように、 名声を得よう。」
5主は、人の子らが建てた町と塔を見るために下って 来られた。
6主は言われた、「見よ、この民はつであり、みな 同じ言葉をもっている。彼らはこのことを行ない始 めている。今や、彼らが行おうと考えたことは何 つ妨げられないであろう」。
7さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉 を混乱させ、彼らが互いの言葉が理解できないよう にしよう。
8そこで主は彼らをそこから全地の面に散らされたの で、彼らは町を建てることをやめた。
9それゆえ、その町の名はバベルと呼ばれている。主 がそこで全地の言語を乱し、主がそこから彼らを全 地の面に散らされたからである。
10セムの系図は次のとおりである。セムは百歳で、 洪水の二年後にアルパクサドを生んだ。
11セムはアルパクサドを生んだ後五百年生き、息子 や娘をもうけた。
12アルパクサドは三十五歳になってサラをもうけ た。
13アルパクサドはサラーを生んだ後四百三年生き、 息子や娘をもうけた。
14サラは三十歳になってエベルをもうけた。
15サラフはエベルを生んだ後四百三年生き、息子や 娘をもうけた。
16エベルは三十四歳になってペレグを生んだ。
17エベルはペレグを生んだ後、四百三十年生き、息 子や娘をもうけた。
18ペレグは三十歳になってレウを生んだ。
19ペレグはレウを生んだ後二百九年生き、息子や娘 をもうけた。
20レウは三十二歳になってセルグを生んだ。
21レウはセルグを生んだ後二百七年生き、息子や娘 をもうけた。
22セルグは三十歳になってナホルを生んだ。
23セルグはナホルを生んだ後二百年生き、息子や娘 をもうけた。
24ナホルは二十九歳になってテラを生んだ。
25ナホルはテラを生んだ後、百十九年生き、息子や 娘をもうけた。
26テラは七十歳になって、アブラム、ナホル、ハラ ンを生んだ。
27テラの系図は次のとおりである。テラはアブラム、 ナホル、ハランを生み、ハランはロトを生んだ。
28ハランは父テラに先立って、生まれ故郷のカルデ アのウルで死んだ。
29アブラムとナホルは妻を迎えた。アブラムの妻の 名はサライ、ナホルの妻の名はミルカといい、ハラ ンの娘で、ミルカはイスカの父であった。
30しかしサライは不妊で、子供がいなかった。
31テラは、その子アブラムと、ハランの子でその孫 のロトと、その子アブラムの妻である嫁のサライを 連れて、カルデアのウルからカナンの地へ向かって 出発し、ハランに到着してそこに住んだ。
32テラの生涯は二百五年であった。そしてテラはハ ランで死んだ。
第12章
1主はアブラムに言われた、「あなたの国、あなたの 親族、あなたの父の家を出て、わたしが示す地に行 きなさい。
2わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福 し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたは 祝福の源となるであろう。
3わたしはあなたを祝福する者を祝福し、あなたを呪 う者を呪う。地のすべての民族はあなたによって祝 福されるであろう。
4アブラムは主が言われたとおりに出発し、ロトも彼 と共に出発した。アブラムがハランを出発したとき、 彼は七十五歳であった。
5アブラムは妻サライと、兄弟の子ロトと、彼らが蓄 えたすべての財産、およびハランで得た魂を連れて、 カナンの地へ向かって出発し、カナンの地に到着し た。
6アブラムはその地を通り抜けてシケムの所、モレの 平野に至った。当時、その地にはカナン人が住んで いた。
7主はアブラムに現れて言われた、「わたしはこの地 をあなたの子孫に与える」。そこでアブラムは、彼 に現れた主のためにそこに祭壇を築いた。
8彼はそこからベテルの東の山に移り、天幕を張った。 西にはベテル、東にはハイがあり、そこに主のため に祭壇を築き、主の名を呼んだ。
9アブラムは旅を続け、南へ向かって進んだ。
10その国に飢饉があったので、アブラムはエジプト に下ってそこに滞在した。その国に飢饉がひどかっ たからである。
創世記
11彼がエジプトに入るのに近づいたとき、彼は妻サ ライに言った。「今、私はあなたが見た目に美しい 女であることを知っています。
12それゆえ、エジプト人があなたを見ると、「これ は彼の妻だ」と言って、私を殺し、あなたを生かす であろう。
13どうか、あなたはわたしの妹であると言いなさい。 そうすれば、あなたのゆえにわたしは幸せになり、 わたしの魂はあなたによって生きるでしょう。
14アブラムがエジプトに着いたとき、エジプト人は その女を見て、非常に美しいと思った。
15ファラオの高官たちも彼女を見て、ファラオの前 で彼女をほめた。そして、その女はファラオの家に 連れて行かれた。
16彼は彼女のためにアブラムをよくもてなした。ア ブラムは羊、牛、ろば、男奴隷、女奴隷、雌ろば、 らくだを所有するようになった。
17主はアブラムの妻サライのゆえに、ファラオとそ の家を大いなる災いで苦しめられた。
18ファラオはアブラムを呼び寄せて言った。「あな たは私に何をしたのか。なぜ彼女があなたの妻であ ることを私に言わなかったのか。」
19なぜ、彼女はわたしの妹だと言ったのですか。わ たしは彼女を妻として迎えるつもりでした。今、あ なたの妻をめとって出かけなさい。
20ファラオは彼について家来たちに命じ、彼らは彼 とその妻、および彼のすべての所有物を送り返した。
第13章
1アブラムは妻とすべての持ち物、そしてロトを連れ てエジプトから南の国へ上って行った。
2アブラムは家畜、銀、金に非常に富んでいた。
3彼は南からベテルまで旅を続け、ベテルとハイの間 にある、初めに天幕を張っていた場所まで行った。
4彼が初めにそこに造った祭壇の場所へ行き、そこで アブラムは主の名を呼んだ。
5アブラムと共に旅をしたロトもまた、羊の群れ、牛 の群れ、そして天幕を持っていた。
6彼らの財産が多すぎて、緒に住むことができなか ったため、その土地は彼らを支えることができなか った。
7アブラムの家畜を飼う者たちとロトの家畜を飼う者 たちの間に争いが起こった。当時、その地にはカナ ン人とペリジ人が住んでいた。
8アブラムはロトに言った。「わたしとあなたの間、 またわたしの牧者たちとあなたの牧者たちの間に争 いが起こらないようにして下さい。わたしたちは兄 弟なのですから。」
9この地はあなたの前に広がっているではないか。ど うか、わたしから離れてください。あなたが左に行 くなら、わたしは右に行き、あなたが右に行くなら、 わたしは左に行きます。
10ロトは目を上げてヨルダンの平野全体を眺めた。 主がソドムとゴモラを滅ぼされる前には、そこはど
こも主の園のように、ツォアルに至るまでエジプト の地のように潤っていた。
11そこでロトはヨルダン川の平野全域を巡って東へ 旅立ち、彼らは互いに別れて行った。
12アブラムはカナンの地に住み、ロトは平野の町々 に住み、ソドムの方に天幕を張った。
13しかし、ソドムの人々は主の前に非常に邪悪で罪 深い者であった。
14ロトがアブラムから離れた後、主はアブラムに言 われた。「今、目を上げて、あなたのいる場所から 北、南、東、西を見渡しなさい。
15あなたが見ているこの地すべてを、わたしはあな たとあなたの子孫に永久に与える。
16わたしはあなたの子孫を地の塵のように多くしよ う。もし人が地の塵を数えることができるなら、あ なたの子孫も数えられるであろう。
17立ち上がって、その地を縦横に歩き回りなさい。 わたしはそれをあなたに与えるからである。
18そこでアブラムは天幕を移し、ヘブロンのマムレ の平野に来て住み、そこに主のために祭壇を築いた。
第14章
1シナルの王アムラフェル、エラサルの王アリオク、 エラムの王ケドルラオメル、諸国の王ティダルの時 代に、
2彼らはソドムの王ベラ、ゴモラの王ビルシャ、アデ マの王シナブ、ゼボイムの王シェムエベル、および ベラすなわちツォアルの王と戦った。
3これらすべては、塩の海であるシディムの谷でつ にまとめられました。
4彼らは十二年間ケドルラオメルに仕えたが、十三年 目に反逆した。
5第十四年にケドルラオメルと彼と共にいた王たちは 来て、アシュテロテ・カルナイムのレパイム族、ハム のズジム族、シャベ・キルヤタイムのエミム族を撃ち 破った。
6ホリ人はセイル山地から荒野の近くのエルパランま で行った。
7彼らは引き返して、エンミシュパト、すなわちカデ シュに行き、アマレク人の全土と、ハツェゾン・タマ ルに住んでいたアモリ人をも撃ち破った。
8そこでソドムの王、ゴモラの王、アデマの王、ツェ ボイムの王、ベラ(すなわちツォアル)の王が出て きて、シディムの谷で彼らと戦った。
9エラムの王ケドルラオメル、諸国の王ティダル、シ ナルの王アムラフェル、エラサルの王アリオク、四 人の王と五人の王。
10シディムの谷には泥沼が満ちていたので、ソドム とゴモラの王たちは逃げてそこに倒れ、残った者た ちは山に逃げた。
11彼らはソドムとゴモラのすべての財産と食料を奪 って立ち去った。
12彼らはソドムに住んでいたアブラムの兄弟の子ロ トとその財産を奪って去った。
創世記
13そのとき、ひとりの逃げた者が来て、ヘブライ人 アブラムに告げた。アブラムはエシュコルの兄弟、 アネルの兄弟であるアモリ人マムレの平野に住んで いた。彼らはアブラムと同盟を結んでいた。
14アブラムは、弟が捕虜になったことを聞くと、自 分の家で生まれた訓練された僕三百十八人を武装さ せ、ダンまで追撃した。
15そこで彼とその家来たちは夜中に分かれて彼らに 立ち向かい、彼らを撃ち、ダマスコの左手にあるホ バまで追撃した。
16彼はすべての財産を返し、また兄弟のロトとその 財産、女たちと人々も返した。
17ソドムの王は、ケドルラオメルと彼と共にいた王 たちを殺して帰って来た後、王の谷であるシャベの 谷で彼を迎えに出た。
18サレムの王メルキゼデクはパンとぶどう酒を持っ て来た。彼はいと高き神の祭司であった。
19そして彼は彼を祝福して言った、「天地を所有す るいと高き神がアブラムを祝福されますように。
20あなたの敵をあなたの手に引き渡されたいと高き 神はほめたたえられますように。そして神はすべて のものの十分のを彼に与えた。
21ソドムの王はアブラムに言った。「人々を私に渡 し、財産はあなたのところへ持って行きなさい。」
22アブラムはソドムの王に言った。「私は、いと高 き神、天地の所有者である主に手を挙げます。
23わたしは、糸本から靴のひも本まで、あなた のものを何つ取らない。そうしないと、あなたは 『わたしがアブラムを富ませたのだ』と言うであろ う。
24ただし、若者たちが食べたものと、私と緒に行 った人々、すなわちアネル、エシュコル、マムレの 分だけを残して、彼らにその分を与えなさい。
第15章
1これらの事の後、主の言葉が幻の中でアブラムに臨 んで言った、「アブラムよ、恐れるな。わたしはあ なたの盾であり、あなたの報いは非常に大きい。」
2アブラムは言った。「主なる神よ、私は子供がなく、 私の家の管理人はダマスコのエリエゼルですが、あ なたは私に何をくださるのですか。」
3アブラムは言った。「あなたはわたしに子孫を与え てくださらなかった。しかし、わたしの家で生まれ た者がわたしの跡継ぎとなるのだ。」
4すると、主の言葉が彼に臨んで言った、「この人は あなたの相続人となるべきではない。あなたの身か ら出る者があなたの相続人となるであろう」。
5そこで神は彼を外に連れ出して言った、「天を仰い で星の数を数えなさい。もしあなたがそれを数える ことができるなら」。すると神は彼に言った、「あ なたの子孫はそのようになるであろう」。
6彼は主を信じたので、主はそれを彼の義とみなされ た。
7主は彼に言った、「わたしはあなたをカルデアのウ ルから導き出し、この地をあなたに継がせた主であ る。
8彼は言った、「主なる神よ、私がそれを相続するこ とをどのようにして知りましょうか」。
9彼は言った、「三歳の雌牛一頭と、三歳の雌やぎ一 頭と、三歳の雄羊頭と、山鳩羽と、家鳩のひな 羽とをわたしのために取ってきなさい」。
10彼はこれらすべてを取り、真ん中で分け、それぞ れの切れ端を互いに向かい合わせて置いた。しかし、 鳥は分けなかった。
11鳥が死体の上に降りてきたとき、アブラムはそれ を追い払った。
12日が沈むと、アブラムは深い眠りに陥った。する と、恐ろしい暗黒が彼を襲った。
13主はアブラムに言われた。「あなたの子孫は、彼 らのものではない土地で寄留者となり、彼らに仕え、 四百年の間苦しめられるであろうことを、よく承知 しておきなさい。
14また、彼らが仕える国民をわたしは裁く。その後、 彼らは多くの財産を持って出てくるであろう。
15あなたは安らかにあなたの先祖のもとに行き、高 年を迎えて葬られるであろう。
16しかし、四代目に彼らは再びここに来るであろう。 アモリ人の罪はまだ満ちていないからである。
17そして、日が沈んで暗くなったとき、見よ、煙の 出る炉と燃えるともしびが、その破片の間を通り過 ぎた。
18その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。 「わたしはエジプトの川から大河ユフラテスに至 るまでのこの地をあなたの子孫に与える。
19ケニ人、ケニジ人、カドモニ人、
20ヘテ人、ペリジ人、レパイム人、
21アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人。
第16章
1アブラムの妻サライは彼に子供を産まなかったが、 彼女にはエジプト人のハガルという名の女奴隷がい た。
2サライはアブラムに言った。「主はわたしに子供を 産ませないようにされました。どうぞ、わたしの女 奴隷の所に行って下さい。彼女によってわたしは子 供を産めるかもしれません。」アブラムはサライの 言葉に従った。
3アブラムがカナンの地に十年住んでいた後、アブラ ムの妻サライはエジプト人の女奴隷ハガルを連れて きて、夫アブラムに妻として与えた。
4彼はハガルのところに入り、彼女はみごもった。彼 女は自分がみごもったのを見て、女主人を軽蔑した。
5サライはアブラムに言った。「私の不義はあなたに あります。私は私の女奴隷をあなたのふところに与 えましたが、彼女は自分が身ごもったのを見て、私 を軽蔑しました。主が私とあなたの間を裁いてくだ さいますように。」
創世記
6しかしアブラムはサライに言った。「あなたの女奴 隷はあなたの手の中にあります。あなたの望むよう に彼女にしてください。」サライが彼女をひどく扱 ったので、彼女は彼女の前から逃げ去った。
7主の使いは荒野の水の泉のそば、シュルへの道にあ る泉のそばで彼女を見つけた。
8彼は言った、「サライの女奴隷ハガルよ、あなたは どこから来たのですか。どこへ行くのですか」。彼 女は言った、「わたしは女主人サライの前から逃げ ます」。
9主の使いは彼女に言った。「あなたの女主人のもと に帰って、彼女の手に従いなさい。」
10主の使いは彼女に言った。「わたしはあなたの子 孫を大いに増やそう。その数は数えきれないほどに なるだろう。」
11主の使いは彼女に言った、「あなたはみごもって います。男の子を産むでしょう。その子をイシュマ エルと名づけなさい。主があなたの苦しみを聞かれ たからです。」
12彼は野蛮な者となり、彼の手はすべての人に敵対 し、すべての人の手も彼に敵対する。彼はすべての 兄弟たちの前に住むであろう。
13彼女は、自分に語りかけた主の名を呼んだ。「あ なた神は私を見ておられます。」彼女は言った。 「私を見ておられる方を、私もここで探していたの でしょうか。」
14それで、その井戸はベエル・ラハイロイと呼ばれた。 見よ、それはカデシュとベレドの間にある。
15ハガルはアブラムに男の子を産んだ。アブラムは ハガルが産んだその子にイシュマエルという名を付 けた。
16ハガルがイシュマエルをアブラムに産んだとき、 アブラムは八十六歳であった。
第17章
1アブラムが九十九歳になったとき、主はアブラムに 現れて言われた、「わたしは全能の神である。わた しの前に歩み、あなたは完全な者となれ。」
2わたしはわたしとあなたとの間に契約を結び、あな たの数を大いに増やそう。
3アブラムはひれ伏したが、神は彼と語り合って言わ れた。
4見よ、わたしはあなたと契約を結んでいる。あなた は多くの国民の父となるであろう。
5あなたの名はもはやアブラムとは呼ばれず、あなた の名はアブラハムとなる。わたしはあなたを多くの 国民の父としたからである。
6わたしはあなたを大いに繁栄させ、あなたから国々 を造り、あなたから王たちが出るであろう。
7わたしは、わたしとあなたとあなたの後の子孫との 間に、代々永遠の契約として契約を立て、あなたと あなたの後の子孫の神となるであろう。
8わたしは、あなたとあなたの後の子孫に、あなたが 寄留しているこの地、すなわちカナンの地全体を永 遠の所有地として与え、彼らの神となる。
9神はアブラハムに言われた。「それゆえ、あなたと あなたの子孫は代々わたしとの契約を守らなければ ならない。」
10これはわたしとあなたたち、およびあなたの後の 子孫との間に立てるわたしの契約である。あなたた ちのうちの男の子は皆、割礼を受けなければならな い。
11あなたたちは包皮の肉を割礼しなければならない。 それは私とあなたたちとの間の契約のしるしとなる であろう。
12あなたがたのうち、代々の男子、すなわち、家で 生まれた者、あるいは、あなたの血統ではない、外 国人から金で買い取られた者には、生後八日目に割 礼を受けさせなければならない。
13あなたの家に生まれた者、またあなたの金で買い 取られた者は、必ず割礼を受けなければならない。 そして、わたしの契約はあなたの肉の中に永遠の契 約として存在するであろう。
14割礼を受けていない男の子で、その包皮の肉を切 除していない者は、その魂は民の中から断たれる。 彼はわたしの契約を破ったのである。
15神はアブラハムに言われた。「あなたの妻サライ は、名をサライと呼んではならない。彼女の名はサ ラと名づけなさい。」
16わたしは彼女を祝福し、あなたに彼女から男の子 を授けよう。まことに、わたしは彼女を祝福しよう。 彼女は諸国の民の母となり、彼女から人々の王が生 まれるであろう。
17するとアブラハムはひれ伏して笑い、心の中で言 った。「百歳の男にどうして子供が生まれようか。 九十歳のサラがどうして産むことができようか。」
18アブラハムは神に言った。「どうかイシュマエル があなたの前に生き長らえますように。」
19神は言われた、「あなたの妻サラは確かに男の子 を産むであろう。あなたはその子をイサクと名づけ なさい。わたしは彼と契約を立て、永遠の契約とし よう。また、彼の後の子孫とも契約を立てよう。」
20イシュマエルについては、わたしはあなたの願い を聞き入れた。見よ、わたしは彼を祝福し、彼に子 孫を多くさせ、彼を大いに増やそう。彼は十二人の 君主をもうけ、わたしは彼を大いなる国民にしよう。
21しかし、わたしは来年のこの時期にサラがあなた に産むイサクと契約を結ぶであろう。
22神は彼と語るのをやめ、アブラハムから去って行 かれた。
23アブラハムは、その子イシュマエルと、その家で 生まれた者すべて、また銀で買い取った者すべて、 すなわちアブラハムの家の男子すべてを連れて行き、 神が彼に告げられたとおり、その日のうちに彼らの 包皮の肉を割礼した。
24アブラハムは九十九歳になったとき、包皮の肉に 割礼を受けた。
創世記
25彼の息子イシュマエルは十三歳のとき、包皮の肉 に割礼を受けた。
26その同じ日に、アブラハムとその息子イシュマエ ルは割礼を受けた。
27彼の家の者、すなわち、その家で生まれた者、ま た、他国から金で買った者も皆、彼とともに割礼を 受けた。
第18章
1主はマムレの平野で彼に現れた。彼は日の暑い中、 天幕の入口に座っていた。
2彼は目を上げて見ると、三人の男が彼のそばに立っ ていた。彼は彼らを見ると、天幕の入口から走って 彼らを迎え、地面に向かって身をかがめて、
3言った、「主よ、もし私があなたの前に恵みを得て いるなら、どうかしもべから見放さないでください。
4少し水を汲んで来て、足を洗って、木の下で休んで ください。
5わたしはパンを少し持って来て、あなたがたの心を 慰めましょう。それから、あなたがたは立ち去って ください。あなたがたは、このためにしもべのとこ ろに来たのですから。」彼らは言った、「あなたの 言ったとおりにしてください。」
6アブラハムは急いで天幕のサラのもとに行き、こう 言った。「急いで上等の小麦粉三セアを用意し、そ れをこねて、炉の上でパンを作りなさい。」
7アブラハムは牛の群れのところへ走って行き、柔ら かくて良い子牛を取って来て、それを若者に与えた。 若者は急いでそれを料理した。
8彼はバターと乳と、調理した子牛を取って彼らの前 に置き、木の下で彼らのそばに立ったので、彼らは 食べた。
9彼らは彼に言った、「あなたの妻サラはどこにいま すか」。彼は言った、「天幕の中にいます」。
10彼は言った、「わたしは必ずあなたのところに帰 って来ます。そのとき、あなたの妻サラは男の子を 産むでしょう。」サラは彼の後ろの天幕の入口でそ れを聞いた。
11アブラハムとサラは年老いて、年老いていた。そ してサラには、女性の習わしはなくなった。
12それでサラは心の中で笑って言った。「わたしも 年老いてから、主人も年老いているのに、どうして わたしに楽しみがあろうか。」
13主はアブラハムに言われた。「なぜサラは、『私 は年老いているのに、どうして子供を産むことがで きようか』と言って笑ったのか。
14主にとって不可能なことがあろうか。定められた 時が来れば、わたしはあなたのところへ戻り、サラ は息子を産むであろう。
15するとサラは否定して言った、「私は笑っていま せん。彼女は恐れていたからです。」すると彼は言 った、「いいえ、あなたが笑ったのです。」
16そこでその人々はそこから立ち上がって、ソドム の方を眺めた。そしてアブラハムは彼らを連れて道 中を進んだ。
17主は言われた、「わたしがしていることをアブラ ハムに隠しておこうか。
18アブラハムは必ず大いなる力強い国民となり、地 のすべての国々は彼によって祝福されるであろうか ら。
19わたしは彼を知っている。彼は自分の子孫と自分 の後の家族に命じて、主の道を守り、正義と公正を 行わせるであろう。そうすれば、主はアブラハムに ついて語られたことを彼の上に実現されるであろう。
20主は言われた、「ソドムとゴモラの叫びは大きく、 その罪は非常に重い。
21わたしは今下って行って、わたしに届いた叫びの とおりに彼らがことごとく行ったかどうかを見よう。 もしそうでなかったら、わたしは知るであろう。
22そこでその人々はそこから顔を向けてソドムの方 へ向かった。しかしアブラハムはなお主の前に立っ ていた。
23アブラハムは近づいて言った。「あなたは正しい 者も悪い者と緒に滅ぼされるのですか。
24もしかしたら、その町の中に五十人の義人がいる かもしれない。あなたは、その町を滅ぼして、その 五十人の義人のためにその場所を残さないのですか。
25あなたには、正しい者を悪人とともに殺すような ことは、決してあってはなりません。正しい者が悪 人と同じになるようなことは、決してあってはなり ません。全地を裁く方は、正義を行わないはずがあ ろうか。
26主は言われた、「もしソドムの町の中に五十人の 正しい人を見つけたら、わたしは彼らのためにその 町全体を救うであろう」。
27アブラハムは答えて言った。「見よ、わたしは塵 や灰にすぎないのに、主に語ることを決意した。
28五十人の義人のうち五人欠けたとしたら、その五 人欠けたからといって、その町全体を滅ぼされるの ですか。彼は言った、「もし四十五人見つかったら、 滅ぼしません」。
29彼はまた彼に言った、「おそらくそこには四十人 がいるでしょう」。彼は言った、「私は四十人のた めにそうしません」。
30彼は言った、「主よ、どうか怒らないでください。 私はこう言います。おそらく、そこには三十匹が見 つかるでしょう。」彼は言った、「もしそこに三十 匹が見つかったら、私はそうしません」。
31彼は言った、「見よ、わたしは主に告げよう。お そらくそこには二十匹いるだろう」。すると主は言 った、「わたしはその二十匹のためにそれを滅ぼす つもりはない」。
32彼は言った、「ああ、主よ、お怒りにならないで ください。もう一度だけ言います。そこには十人い るかもしれません。」すると彼は言った、「十人の ためにそれを滅ぼすつもりはありません。」
創世記
33主はアブラハムと語り終えると、立ち去られた。 そしてアブラハムは自分の所に帰った。
第19章
1夕方、二人の御使いがソドムに来た。ロトはソドム の門に座っていた。ロトは彼らを見ると、立ち上が って彼らを迎え、地に顔を伏せて身をかがめた。
2ヨセフは言った。「わが主よ、どうぞ、しもべの家 にお入りになり、一晩泊まって足を洗い、朝早く起 きて出発してください。」しかし彼らは言った。 「いいえ、私たちは晩中通りにいます。」
3そこで彼は大いに彼らをせきたてたので、彼らは彼 のもとに寄って、彼の家に入った。彼は彼らのため に宴会を設け、種を入れないパンを焼いて、彼らに 食べさせた。
4しかし、彼らが寝る前に、町の人々、すなわちソド ムの人々は、老いも若きも、あらゆる方面から集ま ったすべての民衆が、その家を取り囲んだ。
5彼らはロトに呼びかけて言った、「今夜、あなたの ところに来た人々はどこにいますか。彼らを連れ出 しなさい。そうすれば私たちは彼らを知ることがで きます。」
6ロトは彼らのところへ出て行き、後ろから戸を閉じ た。
7そして言った。「兄弟たちよ、どうか、そのような 邪悪なことはしないでください。
8わたしには、男を知らない二人の娘がいます。どう ぞ、わたしに彼女たちをあなたのところへ連れ出さ せてください。そして、あなたがたは彼女たちに、 あなたがたの目にかなうようにしてください。ただ、 この人たちには何もしないでください。彼女たちは わたしの屋根の下に入って来たのですから。
9彼らは言った、「下がっていなさい。また言った、 「この男は寄留のために来たが、裁判官になるに違 いない。今、われわれは彼らよりもお前にひどい仕 打ちをしよう。」そして彼らはロトという男を激し く迫り、戸を破ろうと近づいた。
10しかし、その人たちはその手を伸べてロトを家の 中に引き入れ、戸を閉じた。
11そして彼らは家の入口にいた男たちを、小さい者 から大きい者まで、盲目にしたので、彼らは入口を 探すのに疲れ果てた。
12そこで人々はロトに言った。「ほかにここにいる 者はいるか。婿、息子、娘、それに町にいる者を皆 ここから連れ出しなさい。
13彼らの叫びが主の御前に大きくなったので、私た ちはこの場所を滅ぼします。主は、この場所を滅ぼ すために私たちを遣わされたのです。
14そこでロトは出て行って、自分の娘たちをめとっ た婿たちに言った。「立って、この場所から出て行 きなさい。主がこの町を滅ぼされるからです。」し かし、彼は自分の婿たちに対しては嘲笑者のようで あった。
15夜が明けると、御使いたちはロトを急がせて言っ た。「立って、ここにいるあなたの妻と二人の娘を 連れて行きなさい。そうしないと、この町の罪によ って滅ぼされてしまうでしょう。」
16彼がまだ足踏みしているとき、人々は彼と彼の妻 の手と二人の娘の手をつかんだ。主は彼に慈悲を示 されたので、彼らは彼を連れ出して町の外に置いた。
17彼らが彼らを外に連れ出すと、彼は言った、「命 からがら逃げなさい。後ろを振り返ってはならない。 また、平野全体に立ち止まってはならない。山へ逃 げなさい。そうしないと、あなたは滅ぼされてしま う。」
18ロトは彼らに言った。「ああ、主よ、それはいけ ません。
19見よ、あなたのしもべはあなたの前に恵みを得、 あなたは私の命を救うために私に示されたあなたの 慈悲を大いに示されました。しかし、私は山に逃げ ることができません。そうすれば、災いが私を襲い、 私は死ぬでしょう。
20見よ、この町は逃げるのに近い。しかも小さい町 だ。ああ、わたしをそこに逃れさせよ。(それは小 さい町ではないか。)そうすればわたしの魂は生き るであろう。
21彼は言った、「見よ、わたしはこのことについて もあなたを受け入れた。あなたが言ったこの町をわ たしは滅ぼさないであろう」。
22急いでそこへ逃げなさい。あなたがそこに来るま で、私は何もすることができないからです。それで、 その町の名はツォアルと呼ばれました。
23ロトがツォアルに入ったとき、太陽は地上に昇っ ていた。
24主はソドムとゴモラの上に天から硫黄と火を降ら せた。
25そして彼はそれらの町々とすべての平野と、町々 の住民と、その地に生えていたものすべてを滅ぼし た。
26しかし、彼の妻は後ろを振り返ったので、塩の柱 になった。
27アブラハムは朝早く起きて、主の前に立っていた 場所へ向かった。
28そして彼はソドムとゴモラの方、および低地の全 土の方を眺めて見ました。すると、その地の煙が炉 の煙のように立ち上っていました。
29神が平野の町々を滅ぼされたとき、神はアブラハ ムを思い出し、ロトの住んでいた町々を滅ぼされた とき、ロトを滅ぼしの中から救い出された。
30そこでロトはツォアルから出て、二人の娘ととも に山に住んだ。ツォアルに住むのが怖かったからで ある。ロトと二人の娘は洞窟に住んだ。
31長男は弟に言った。「私たちの父は年老いており、 世の慣例に従って、私たちのところに来る男が地上 にいないのです。
32さあ、父に酒を飲ませて、父と寝て、父の子孫を 残しましょう。
創世記
33その夜、彼女たちは父に酒を飲ませた。長女は父 のもとへ行って、父と寝た。父は彼女がいつ寝たの か、いつ起きたのか、気づかなかった。
34翌日、長男は弟に言った。「昨夜、わたしは父と 寝ました。今夜も父に酒を飲ませましょう。あなた も入って、父と寝て、父の子孫を残しましょう。」
35その夜も、彼女たちは父に酒を飲ませた。妹は起 きて父と寝たが、父は彼女がいつ寝たのか、またい つ起きたのか気づかなかった。
36こうしてロトの娘たちは二人とも父によって身ご もった。
37長男は男の子を産み、その名をモアブと名付けた。
彼が今日までモアブ人の父となっている。
38妹もまた男の子を産み、その名をベナミと名付け た。彼が今日までアモン人の子らの父となっている。
第20章
1アブラハムはそこから南の国へ旅立ち、カデシュと シュルの間に住み、ゲラルに寄留した。
2アブラハムは妻サラについて、「彼女は私の妹で す」と言った。そこでゲラルの王アビメレクは人を やってサラを連れて行った。
3しかし神は夜の夢でアビメレクに現れて言った、 「見よ、あなたは死んだ者だ。あなたがめとったあ の女は人の妻なのだから」。
4しかしアビメレクは彼女に近づかなかったので、言 った。「主よ、あなたは正しい国民をも殺されるの ですか。」
5彼はわたしに、『彼女はわたしの妹です』と言った ではありませんか。彼女自身、『彼はわたしの兄弟 です』と言いました。わたしは心は誠実で、手も潔 白ですから、このことをしたのです。
6神は夢の中で彼に言われた、「確かに、わたしはあ なたが心からこのことをしたのを知っている。わた しもあなたがわたしに対して罪を犯さないようにし たから、わたしはあなたが彼女に触れるのを許さな かったのだ。」
7それゆえ、今その人は妻を返しなさい。彼は預言者 ですから、あなたのために祈るでしょう。そうすれ ば、あなたは生きることができます。もし妻を返さ ないなら、あなたもあなたのすべての者も、必ず死 ぬことを知りなさい。
8そこでアビメレクは朝早く起きて、家来たちを皆呼 び寄せ、このことをすべて彼らに告げたので、彼ら は非常に恐れた。
9そこでアビメレクはアブラハムを呼び寄せて言った、 「あなたは私たちに何をしたのですか。私があなた に何を怒らせたので、あなたは私と私の王国に大き な罪を負わせたのですか。あなたは私に対して、し てはならないことをしたのです。」
10アビメレクはアブラハムに言った、「あなたは何 を見て、このような事をしたのか」。
11アブラハムは言った。「この所には神を畏れる心 がまったくなく、妻のせいでわたしを殺す人がいる と思ったからです。」
12しかし、彼女は私の妹であり、私の父の娘であっ て、私の母の娘ではないのに、私の妻となったので す。
13神がわたしを父の家を離れてさまよわせたとき、 わたしは彼女に言いました。「これがあなたがわた しに示す慈しみです。わたしたちが行く所すべてで、 わたしについて『彼はわたしの兄弟です』と言って ください。」
14アビメレクは羊、牛、男女の奴隷を取ってアブラ ハムに与え、妻サラを彼に返した。
15アビメレクは言った。「わたしの土地はあなたの 前にあります。あなたの望むところに住みなさ い。」
16そしてサラに言った、「見よ、私はあなたの弟に 銀千枚を与えた。見よ、彼はあなたにとって、また あなたと共にいるすべての人々、また他のすべての 人々にとって、目隠しとなる。」彼女はこう叱責さ れた。
17そこでアブラハムは神に祈った。すると神はアビ メレクとその妻と女奴隷たちを癒された。そして彼 らは子供を産んだ。
18主はアブラハムの妻サラのゆえに、アビメレクの 家のすべての胎を固く閉ざしておられたからである。
第21章
1主は言われたとおりサラを訪れ、言われたとおりに サラに行われた。
2サラは身ごもって、神がアブラハムに告げられた定 められた時が来たので、アブラハムは年老いていた にもかかわらず、男の子を産んだのです。
3アブラハムは、サラが産んだ息子にイサクという名 を付けた。
4アブラハムは神が命じられたとおり、生後八日目に その子イサクに割礼を施した。
5アブラハムが百歳になったとき、彼の息子イサクが 生まれた。
6サラは言った。「神は私を笑わせてくださったので、 聞く者は皆私と緒に笑うでしょう。」
7彼女は言った。「サラが乳を飲ませると、だれがア ブラハムに言い得たでしょう。私は彼に年老いてか ら男の子を産んだのですから。」
8その子は成長して乳離れした。イサクが乳離れした その日に、アブラハムは盛大な宴会を催した。
9サラは、エジプト人ハガルがアブラハムに産んだ息 子が嘲笑しているのを見た。
10そこで彼女はアブラハムに言った。「この女奴隷 とその息子を追い出してください。この女奴隷の息 子は私の息子、イサクと共に相続人となるべきでは ありません。」
11アブラハムにとって、その子のことは大変悲しい ことであった。
創世記
12神はアブラハムに言われた。「その子と、あなた の女奴隷のことで、心を痛めてはならない。サラが あなたに言ったことはすべて、彼女の声に聞き従い なさい。あなたの子孫はイサクから出るであろ う。」
13また、女奴隷の息子からも国民を造ろう。彼はあ なたの子孫だからである。
14アブラハムは朝早く起きて、パンと水の入った皮 袋を取り、それをハガルに渡し、その肩と子供に負 わせて送り出した。ハガルは去って、ベエル・シェバ の荒野をさまよった。
15そして、皮袋の中の水がなくなったので、彼女は その子を灌木の下に投げ捨てた。
16彼女は行って、彼の向かいに、弓の射程距離ほど 離れたところに座った。彼女は「この子が死ぬのを 見たくない」と思ったからである。彼女は彼の向か いに座り、声を上げて泣いた。
17神はその子供の声を聞かれた。そして神の使いが 天からハガルを呼んで言った。「ハガルよ、どうし たのか。恐れることはない。神はその子供の声を、 そのいる所で聞かれたのだ。」
18立ち上がって、その子を抱き上げ、あなたの手に 抱きなさい。わたしは彼を大いなる国民にするから である。
19神は彼女の目を開かれたので、彼女は水の井戸を 見た。そこで彼女は行って、その皮袋に水を満たし、 その子に飲ませた。
20神はその子とともにおられた。彼は成長し、荒野 に住み、弓を射る者となった。
21彼はパランの荒野に住んだ。彼の母はエジプトの 国から彼のために妻を迎えた。
22そのとき、アビメレクとその軍の長ピコルはアブ ラハムに言った。「あなたがなすすべてのことに、 神はあなたと共におられます。
23それゆえ、今ここで神にかけて私に誓ってくださ い。あなたは私に対しても、私の息子に対しても、 私の孫に対しても不正を働かないでください。私が あなたに示した親切にしたがって、あなたも私に対 して、またあなたが滞在しているこの地に対して行 ってください。
24アブラハムは言った。「誓います。」
25アブラハムは、アビメレクの家来たちが水の井戸 を乱暴に奪い取ったことについて、アビメレクを叱 責した。
26アビメレクは言った、「だれがこの事をしたのか、 私は知りません。あなたも私に告げませんでしたし、 私も今日までそれを聞いていませんでした。」
27アブラハムは羊と牛を取ってアビメレクに与え、 二人は契約を結んだ。
28アブラハムは群れの中から雌の子羊七頭を別に置 いた。
29アビメレクはアブラハムに言った。「あなたが別 に置いたこの七頭の雌の子羊は、何のためですか。
30彼は言った、「あなたはこれらの雌の子羊七頭を 私の手から受け取って、私がこの井戸を掘ったこと の証拠としてください。」
31それで彼はその場所をベエル・シェバと名付けた。 二人がそこで誓いを立てたからである。
32こうして彼らはベエルシェバで契約を結び、アビ メレクとその軍の長ピコルは立ち上がり、ペリシテ 人の地へ帰った。
33アブラハムはベエル・シェバにアシラ木を植え、永 遠の神である主の名をそこで呼んだ。
34アブラハムはペリシテ人の地に長い期間滞在した。
第22章
1これらの事の後、神はアブラハムを試みようとされ た。「アブラハムよ。」彼は言った。「ここにおり ます。」
2主は言われた。「あなたの子、あなたの愛するひと り子イサクを連れて、モリヤの地に行き、わたしが 示す山のつで彼を燔祭としてささげなさい。
3アブラハムは朝早く起きて、ろばに鞍を置き、二人 の若者と息子イサクを連れて、全焼の供え物のため の薪を割り、神が彼に告げられた場所へ出発した。
4それから三日目に、アブラハムは目を上げて、遠く にその場所を見た。
5アブラハムは若者たちに言った。「あなたたちはろ ばと一緒にここに留まっていなさい。私と子どもは 向こうへ行って礼拝し、それからまたあなたたちの ところへ戻って来ます。」
6アブラハムは全焼のいけにえの薪を取って、それを 息子イサクに負わせ、手に火と刀とを取り、二人は 緒に歩き出した。
7イサクは父アブラハムに言った、「父よ」。父は答 えた、「子よ、ここにおります」。また父は言った、 「火とたきぎはありますが、全焼のいけにえとなる 小羊はどこにありますか」。
8アブラハムは言った。「息子よ、神は自ら全焼のい けにえのための小羊を備えてくださるであろう。」 そこで二人は一緒に出発した。
9彼らは神が彼に告げられた場所に着いた。アブラハ ムはそこに祭壇を築き、たきぎを並べ、その子イサ クを縛って、たきぎの上に祭壇に載せた。
10アブラハムは手を伸ばし、刀を取って息子を殺そ うとした。
11すると主の使いが天から彼を呼び、「アブラハム、 アブラハム」と言ったので、彼は「ここにおりま す」と答えた。
12彼は言った、「その子に手を下してはならない。 また彼に何もしてはならない。あなたはあなたの子、 あなたのひとり子をも私に惜しみなく与えてくださ ったので、今、私はあなたが神を畏れる者であるこ とを知った。」
13アブラハムは目を上げて見ると、うしろに頭の 雄羊が角を茂みに引っ掛けていた。アブラハムは行
創世記
ってその雄羊を捕まえ、息子の代わりに全焼の供え 物としてささげた。
14アブラハムはその場所をエホバ・イルエと名付けた。 今日まで「主の山にそれが見える」と言われている。
15主の使いは再び天からアブラハムに呼びかけて言 った。
16そして言った、「主は言われる、『わたしはわた し自身にかけて誓う。あなたはこの事を行い、あな たの子、あなたのひとり子をさえ惜しまなかったか らである。
17わたしはあなたを祝福し、あなたの子孫を天の星 のように、海辺の砂のように増やそう。あなたの子 孫は敵の門を占領するであろう。
18そして、あなたの子孫によって、地のすべての 国々は祝福されるであろう。あなたはわたしの声に 従ったからである。
19そこでアブラハムは若者たちのところに戻り、彼 らは立ち上がって一緒にベエル・シェバへ行き、アブ ラハムはベエル・シェバに住んだ。
20これらの事の後、アブラハムに告げる者がいた、 「ミルカもあなたの兄弟ナホルに子供を産みました。
21彼の長男フズ、その兄弟ブズ、アラムの父ケムエ ル、
22ケセド、ハゾ、ピルダシュ、エデラフ、ベトエル。
23ベトエルはリベカをもうけた。これらはミルカが アブラハムの兄弟ナホルに産んだ八人の子である。
24彼の妾で名をレウマという女も、テバ、ガハム、 タハシュ、マアカを産んだ。
第23章
1サラは百二十七歳であった。これがサラの生涯の年 数である。
2サラはカナンの地のヘブロンのキルヤタルバで死ん だ。アブラハムはサラのために嘆き、泣くために来 た。
3アブラハムは死者たちの前から立ち上がり、ヘテの 子らに言った。
4わたしはあなたがたのもとで寄留者であり、異国人 です。わたしの死者をわたしの目から隠して葬るこ とができるよう、あなたのうちに墓地を与えてくだ さい。
5ヘテの人々はアブラハムに答えて言った。
6主よ、私たちの言うことをお聞きください。あなた は私たちの間で力強い君主です。私たちの墓を選ぶ 際に、あなたの死者を葬ってください。私たちのう ちの誰も、あなたの墓をあなたに譲ることはできま せん。あなたがあなたの死者を葬ることができるよ うに。
7アブラハムは立ち上がって、その地の人々、すなわ ちヘテの人々に身をかがめました。
8彼は彼らと協議して言った、「もしわたしの死人を わたしの目から隠して葬ることがあなたがたの御心 ならば、わたしの言うことを聞いて、わたしのため にゾハルの子エフロンに頼んでください。
9彼は畑の端にあるマクペラの洞穴を私に与え、その 価値に見合った金で、あなたがたの所有地の墓地と して私に与えなければならない。
10エフロンはヘテ人の間に住んでいた。ヘテ人エフ ロンはヘテ人、すなわち町の門に入るすべての人々 の耳元でアブラハムに答えて言った。
11いいえ、わが主よ、私の言うことを聞いてくださ い。私は畑とそこにある洞穴をあなたに与えます。 私の民の子らの前で、それをあなたに与えます。あ なたの死者を葬ってください。
12アブラハムはその地の人々の前にひれ伏した。
13彼はその地の民が聞いているところでエフロンに 言った、「しかし、もしあなたがそれをくださるな ら、どうか私の言うことを聞いてください。私はそ の畑の代金をあなたにあげます。私からそれを受け 取ってください。私はそこに私の死体を葬ります」。
14エフロンはアブラハムに答えて言った。
15わが主よ、私の言うことを聞いてください。この 土地は銀四百シェケルの価値があります。私とあな たの間でそれは何の関係があるのですか。それであ なたの死者を葬ってください。
16アブラハムはエフロンの言葉に従い、ヘテの子ら が聞いていた銀四百シェケルを量ってエフロンに渡 した。それは商人の手元にある銀貨であった。
17また、マムレの前のマクペラにあったエフロンの 畑、畑とそこにある洞穴、および畑の周囲のすべて の境界にあるすべての木々は、
18それは、ヘテの子らの前で、その町の門から入る すべての者の前で、アブラハムの所有地となった。
19その後、アブラハムは妻サラを、カナンの地のヘ ブロンのマムレの前のマクペラの畑の洞穴に葬った。
20そして、その畑とそこにある洞穴は、ヘテの子孫 によってアブラハムの所有地として墓地として確保 された。
第24章
1アブラハムは年老いて、年老いていたが、主はすべ ての点でアブラハムを祝福された。
2アブラハムは、家のすべての財産を管理していた年 長の僕に言った。「どうか、あなたの手をわたしの ももの下に入れてください。
3わたしは、天の神、地の神である主をさしてあなた に誓わせる。あなたは、わたしが住んでいるカナン 人の娘たちの中からわたしの息子を妻にめとっては ならない。
4しかし、あなたはわたしの国、わたしの親族のとこ ろへ行き、わたしの息子イサクに妻を迎えさせなさ い。
5すると、しもべは彼に言った、「もしかすると、そ の女はわたしに従ってこの地に来ることを好まない かもしれません。その場合、わたしはあなたの息子 を、あなたが来た土地に連れ戻さなければならない のでしょうか」。
創世記
6アブラハムは彼に言った。「私の息子を再びそこへ 連れて行かないように気をつけなさい。」
7天の神、主はわたしを父の家、親族の地から連れ出 し、わたしに語り、わたしに誓って言われた、「わ たしはこの地をあなたの子孫に与える。主はあなた の前に御使いをつかわし、あなたはそこからわたし の息子に妻を迎えさせられるであろう」。
8もしその女があなたについて行くことを望まなかっ たら、あなたは私のこの誓いから解放されるでしょ う。ただ私の息子を再びそこへ連れて来ないでくだ さい。
9そこで、しもべは主人アブラハムの腿の下に手を入 れて、そのことについて誓った。
10そこでその僕は主人のらくだのうち十頭を取って 出発した。主人の財産は皆彼の手にあったからであ る。そして彼は立ってメソポタミアのナホルの町へ 行った。
11そして彼は、夕方、女たちが水を汲みに出かける 時間に、らくだを町の外の水の井戸のそばにひざま ずかせた。
12彼は言った、「主人アブラハムの神、主よ、どう か、きょう、わたしに幸運を与え、主人アブラハム に恵みを施してください。」
13見よ、わたしはこの井戸のそばに立っている。町 の人々の娘たちが水を汲みに出てくる。
14そして、わたしが「あなたの水がめを下ろして飲 ませてください」と言うと、その女が「お飲みくだ さい。あなたのらくだにも飲ませましょう」と言う ならば、その女こそ、あなたがしもべイサクのため に立てた者です。それによってわたしは、あなたが 主人に親切を施されたことを知るでしょう。
15彼がまだ言い終わらないうちに、アブラハムの兄 弟ナホルの妻ミルカの子ベトエルの娘リベカが水が めを肩に担いで出てきた。
16その乙女は、非常に美しく、処女であり、男に知 られたことがなかった。彼女は井戸に下り、水がめ を満たして上がって来た。
17すると、しもべは走って行って彼女を迎え、「ど うぞ、あなたの水がめの水を少し飲ませてくださ い」と言った。
18彼女は言った、「ご主人様、お飲みください」。 そして急いで水がめを手に下ろし、彼に飲ませた。
19そして、彼に水を飲ませ終えると、彼女は言った。 「あなたのらくだたちにも水を汲んであげましょう。 彼らが飲み終わるまで。」
20彼女は急いで水がめの水を水ぶねに空け、また井 戸に走って行って水をくみ、すべてのらくだのため に水を汲んだ。
21男は、主が自分の旅を成功に導いてくださったか どうか不思議に思いながら、黙っていた。
22らくだたちが水を飲み終えたとき、その人は重さ 半シェケルの金の耳輪と、重さ十シェケルの金の腕 輪二つを彼女の手に取った。
23言った。「あなたはだれの娘ですか。教えてくだ さい。あなたの父の家には、私たちが泊まる場所が ありますか。」
24彼女は彼に言った、「わたしはナホルに産んだミ ルカの子ベトエルの娘です」。
25彼女はまた彼に言った、「わらも飼葉も十分あり ますし、泊まる場所もあります。」
26そしてその人は頭を下げて主を礼拝した。
27彼は言った、「主人アブラハムの神、主がほめた たえられますように。主は、主人に慈しみと真実と を欠かすことはなさいませんでした。私が旅の途中 で、主は私を主人の兄弟たちの家に導いてください ました。
28そこで、乙女は走って行って、母の家の人々にこ れらのことを告げた。
29リベカにはラバンという名の弟がいた。ラバンは 井戸のそばにいる男のところへ走って行った。
30それで、彼は妹の手にある耳輪と腕輪を見、また 妹リベカが「その人は私にこう言いました」と言う のを聞いて、その人のところへ行き、見ると、その 人は井戸のそばのらくだのそばに立っていた。
31彼は言った。「主に祝福された者よ、中に入って ください。なぜ外に立っているのですか。家とらく だのための場所とを私は用意しておきました。」
32そこでその人は家に入って、らくだの帯を解き、 らくだにわらと飼葉を与え、また自分の足と、緒 にいた人々の足を洗う水を与えた。
33そして彼の前に食べ物が置かれたが、彼は言った、 「わたしは自分の用向きを告げるまでは食べませ ん」。すると彼は言った、「言い続けなさい」。
34彼は言った、「私はアブラハムのしもべです。」
35主はわたしの主人を大いに祝福されました。それ で彼は大いなる者となり、羊の群れ、牛の群れ、銀、 金、男女の奴隷、らくだ、ろばを彼に与えられまし た。
36わたしの主人の妻サラは年老いてから、わたしの 主人に男の子を産みました。主人は自分の持つすべ てのものをその子に与えました。
37わたしの主人はわたしに誓わせて言った、「わた しが住んでいる地のカナン人の娘をわたしの息子の 妻にめとってはならない。
38しかし、あなたはわたしの父の家、わたしの親族 のところへ行き、わたしの息子に妻を迎えさせなさ い。
39そこでわたしは主人に言いました。「もしかする とその女はわたしについて来ないかもしれませ ん。」
40彼はわたしに言った、「わたしの従う主が、御使 いをあなたと共に遣わして、あなたの道を繁栄させ てくださるであろう。そして、わたしの親族、わた しの父の家から、わたしの息子のために妻をめとら なければならない。
41あなたが私の親族のところへ行ったとき、あなた は私のこの誓いから解放されるでしょう。もし彼ら
創世記
があなたに一つも与えないなら、あなたは私の誓い から解放されるでしょう。
42そこでわたしは、きょう、井戸のところに来て言 いました。「主人アブラハムの神、主よ。もしあな たが今わたしの行く道を成功させてくださるなら、
43見よ、わたしは水の井戸のそばに立っている。処 女が水をくみに出てきたとき、わたしは彼女に、 『どうぞ、あなたの水がめから少し水を飲ませてく ださい』と言うと、
44彼女はわたしに言った、「あなたも飲みなさい。 わたしもあなたのらくだのために水を汲んであげま しょう」。主がわたしの主人の息子のために任命さ れた女は、この女です。
45わたしが心の中でまだ語り終わらないうちに、リ ベカが水がめを肩に載せて出て来て、井戸に下りて 行って水を汲んだので、わたしは彼女に、「どうぞ、 飲ませてください」と言った。
46彼女は急いで水がめを肩から下ろして言った。 「お飲みください。らくだにも飲ませましょう。」 そこで私は飲み、彼女はらくだにも飲ませた。
47わたしは彼女に尋ねて言った、「あなたはだれの 娘ですか」。彼女は言った、「ナホルの子ベトエル の娘です。ミルカがナホルに産んだ娘です」。わた しは彼女の顔に耳輪を、彼女の手に腕輪をつけた。
48そして私は頭を下げて主を拝み、主人アブラハム の神、主を祝福しました。主は私を正しい道に導き、 主人の兄弟の娘を彼の息子に迎え入れるようにして くださったのです。
49それで今、あなたがたがわたしの主人に親切に誠 実に接してくれるなら、わたしに教えてください。
もしそうでないなら、わたしに教えてください。そ うすれば、わたしは右に行くか、左に行くことがで きます。
50するとラバンとベトエルは答えた。「これは主か ら出た事です。私たちはあなたに良いことも悪いこ とも言うことができません。」
51見よ、リベカはあなたの前にいます。彼女を連れ て行き、主が言われたように、あなたの主人の息子 の妻にしてください。
52アブラハムのしもべは彼らの言葉を聞いて、地に ひれ伏して主を礼拝した。
53しもべは銀の飾り物、金の飾り物、衣服を取り出 してリベカに与え、また彼女の兄と母にも貴重な 品々を与えた。
54彼と彼と共にいた者たちは食べたり飲んだりして、 一晩中滞在した。そして朝になって彼らが起きると、 彼は言った、「わたしを主人のところへ送ってくだ さい」。
55彼女の兄と母は言った。「娘を数日、少なくとも 十日ほど私たちと緒に滞在させてください。その 後、彼女は出発します。」
56彼は彼らに言った、「主がわたしの道を栄えさせ てくださったのだから、わたしを妨げないでくださ い。わたしを去らせて、主人のもとへ行かせてくだ さい」。
57彼らは言った、「私たちはその娘を呼び、彼女の 口から尋ねてみましょう」。
58彼らはリベカを呼んで言った、「あなたはこの人 と緒に行きますか」。彼女は「行きます」と言っ た。
59彼らは妹リベカとその乳母、アブラハムの召使い とその従者たちを送り出した。
60彼らはリベカを祝福して言った。「あなたは私た ちの妹です。あなたは何百万もの人々の母となって ください。あなたの子孫が、自分たちを憎む者たち の門を占領するようにしてください。」
61リベカとその侍女たちは立ち上がり、らくだに乗 ってその人に従った。そして、しもべはリベカを連 れて出発した。
62イサクはラハイロイの井戸の道から来た。彼は南 の国に住んでいたからである。
63イサクは夕べに野原に出て瞑想していたが、目を 上げて見ると、なんとらくだたちがやって来るので あった。
64リベカは目を上げてイサクを見ると、らくだから 降りた。
65彼女は僕に、「畑を歩いて私たちを迎えに来るこ の人は、いったいだれなのでしょう」と言ったので、 僕は、「私の主人です」と答えた。そこで彼女はベ ルを取って身を隠した。
66しもべは自分がしたことをすべてイサクに告げた。
67イサクは彼女を母サラの天幕に連れて行き、リベ カをめとって妻とした。イサクはリベカを愛した。 母の死後、イサクは慰められた。
第25章
1その後、アブラハムは再び妻を迎えた。彼女の名は ケトラといった。
2彼女は彼にジムラン、ヨクシャン、メダン、ミディ アン、イシュバク、シュアを産んだ。
3ヨクシャンはシバとデダンを生んだ。デダンの子ら はアシュル人、レトシ人、レウミ人であった。
4ミディアンの子らは、エファ、エフェル、ハノク、 アビダ、エルダアである。これらは皆、ケトラの子 孫であった。
5アブラハムは自分が持っていたすべてのものをイサ クに与えた。
6しかし、アブラハムの側室たちの息子たちには、ア ブラハムは贈り物を与え、息子イサクがまだ生きて いる間に、東の国へ彼らを送り出しました。
7アブラハムの生涯の年数は、百七十五年であった。
8アブラハムは息を引き取り、長寿を全うして老人と なり、その民に加えられた。
9彼の息子イサクとイシュマエルは彼を、マムレの前 のヘテ人ツォハルの子エフロンの畑にあるマクペラ の洞穴に葬った。
10アブラハムがヘテ人から買った畑。そこにアブラ ハムとその妻サラが葬られた。
創世記
11アブラハムの死後、神はその子イサクを祝福され た。イサクはラハイロイの井戸のそばに住んだ。
12さて、エジプト人サラの女奴隷ハガルがアブラハ ムに産んだアブラハムの子イシュマエルの系図は次 のとおりである。
13イシュマエルの子らの名は、その系図に従って、 次のとおりである。イシュマエルの長子はネバヨテ、 ケダル、アデベエル、ミブサム、
14ミシュマ、ドゥマ、マサ、
15ハダル、テマ、ジェトゥル、ナフィシュ、ケデ マ:
16これらはイシュマエルの子らで、町や城ごとに名 付けられた彼らの名は、国ごとに十二人の君主であ る。
17イシュマエルの生涯は百三十七年であった。彼は 息を引き取って死に、その民に加えられた。
18彼らはハビラからシュル、すなわちエジプトの東、 アッシリアの方へ向かう途中に住んでいた。そして 彼はすべての兄弟たちの前で死んだ。
19アブラハムの子イサクの系図は次のとおりである。 アブラハムはイサクを生んだ。
20イサクは四十歳のとき、パダンアラムのアラム人 ベトエルの娘でアラム人ラバンの妹であるリベカを 妻に迎えた。
21イサクは妻が不妊であったので、その妻のために 主に祈った。主は彼の願いを聞き入れられ、妻リベ カは身ごもった。
22子どもたちは彼女の腹の中で争い合ったので、彼 女は言った、「もしそうだとしたら、わたしはなぜ こんなことになったのでしょう。」そして主に尋ね に行くために出かけた。
23主は彼女に言われた、「あなたの胎内には二つの 国民がおり、あなたの腹からは二つの種類の民が分 かれる。一つの民は他の民よりも強くなり、兄が弟 に仕えるであろう。
24そして、出産予定日が満ちたとき、なんと、彼女 の胎内には双子がいた。
25最初に出てきた子は、全身が毛皮の衣のように赤 かったので、エサウと名付けられた。
26その後、弟が出て来て、その手がエサウのかかと をつかんだので、その子はヤコブと呼ばれた。彼女 が彼らを産んだとき、イサクは六十歳であった。
27こうして少年たちは成長した。エサウは賢い狩人、 野の人となり、ヤコブは天幕に住む素朴な人となっ た。
28イサクはエサウの肉を食べたのでエサウを愛した が、リベカはヤコブを愛した。
29ヤコブは煮物を煮ていたが、エサウは疲れて畑か ら帰ってきた。
30エサウはヤコブに言った。「あの赤い煮物を食べ させてください。私は疲れているのです。」それで 彼の名はエドムと呼ばれた。
31ヤコブは言った。「あなたの長子の権利を、今日、 私に売ってください。」
32エサウは言った。「わたしはもう死にそうなのだ から、長子の権利がわたしに何の益があるというの だ。」
33ヤコブは言った、「きょう、わたしに誓ってくだ さい」。ヤコブは誓い、長子の権利をヤコブに売っ た。
34ヤコブはエサウにパンとレンズ豆の煮物を与えた。 エサウはそれを食べて飲み、立ち上がって去って行 った。こうしてエサウは長子の権利を軽んじたので ある。
第26章
1アブラハムの時代に起こった最初の飢きんのほかに、 その国に飢きんがあった。そこでイサクはゲラルの ペリシテ人の王アビメレクのもとへ行った。
2主は彼に現れて言われた、「エジプトへ下って行っ てはならない。わたしがあなたに告げる地に住みな さい。
3この地に寄留しなさい。わたしはあなたとともにい て、あなたを祝福しよう。わたしはあなたとあなた の子孫にこれらの国々をすべて与え、あなたの父ア ブラハムに誓った誓いを果たすであろう。
4わたしはあなたの子孫を天の星のように増やし、こ れらの国々をあなたの子孫にすべて与えよう。あな たの子孫によって地のすべての国々が祝福されるで あろう。
5アブラハムはわたしの声に従い、わたしの戒めと、 わたしの掟と、わたしの律法を守ったからである。
6イサクはゲラルに住んだ。
7その土地の人々は彼に妻のことを尋ねたので、彼は 「彼女は私の妹です」と言った。彼は「彼女は私の 妻です」と言うのを恐れたからである。リベカは容 姿が美しかったので、その土地の人々がリベカのこ とで私を殺すのではないかと彼は思ったからである。
8彼がそこに長く滞在していたとき、ペリシテ人の王 アビメレクが窓から外を眺めて見ると、なんとイサ クが妻リベカと戯れているのであった。
9アビメレクはイサクを呼び寄せて言った。「彼女は 確かにあなたの妻です。どうしてあなたは『彼女は 私の妹です』と言ったのですか。」イサクは彼に言 った。「彼女のために死ぬかもしれないと思ったか らです。」
10アビメレクは言った。「あなたは私たちに何をし たのですか。民のひとりがあなたの妻と浮気をした ら、あなたは私たちに罪を負わせたでしょう。
11アビメレクはすべての民に命じて言った。「この 人、あるいはその妻に触れる者は必ず死刑に処せら れる。」
12イサクはその地に種を蒔き、その年に百倍の収穫 を得た。主は彼を祝福された。
13そして、その男はますます大きくなり、ますます 成長し、ついに非常に大きな者となった。
14彼は羊の群れと牛の群れを所有し、また多くの奴 隷を所有していたので、ペリシテ人は彼をねたんだ。
創世記
15彼の父アブラハムの時代に父の僕たちが掘った井 戸はすべて、ペリシテ人がふさぎ、土で埋めていた からである。
16アビメレクはイサクに言った。「私たちから離れ 去ってください。あなたは私たちよりもはるかに強 いのです。」
17イサクはそこから出発して、ゲラルの谷に天幕を 張り、そこに住んだ。
18イサクは、父アブラハムの時代に掘られた井戸を 再び掘りました。アブラハムの死後、ペリシテ人が 井戸を塞いでいたからです。イサクは、父が呼んで いた名前に倣って井戸に名を付けました。
19イサクのしもべたちは谷を掘って、そこに水の湧 き出る井戸を見つけた。
20ゲラルの牧者たちはイサクの牧者たちと争って、 「その水はわれわれのものだ」と言った。それでイ サクは、彼らが争ったので、その井戸の名をエセク と名付けた。
21彼らはもうつの井戸を掘り、これにも努力した。 彼はその井戸の名をシトナと名付けた。
22彼はそこから移って、もうつの井戸を掘った。
彼らはそのために争わなかった。彼はその井戸の名 をレホボテと名づけて言った。「今、主は我々のた めに場所を用意して下さった。我々はこの地で子孫 を豊かにするであろう。」
23彼はそこからベエルシェバへ上って行った。
24その夜、主は彼に現れて言われた、「わたしはあ なたの父アブラハムの神である。恐れることはない。 わたしはあなたとともにおり、あなたを祝福し、わ たしのしもべアブラハムのためにあなたの子孫を増 やすであろう。」
25彼はそこに祭壇を築き、主の名を呼び求め、そこ に天幕を張った。イサクのしもべたちはそこに井戸 を掘った。
26そこでアビメレクはゲラルから彼のもとに赴き、 友人の人アフザテと軍の長ピコルも同行した。
27イサクは彼らに言った。「あなたがたはわたしを 憎んで、わたしを追い出したのに、なぜわたしのと ころに来たのですか。
28彼らは言った、「私たちは主があなたと共におら れることを確かに見ました。それで私たちは、『私 たちとあなたとの間に誓いを立て、あなたと契約を 結ぼう』と言いました。
29わたしたちはあなたに触れず、またあなたに良い ことだけをして、あなたを平和のうちに去らせたの だから、あなたもわたしたちに害を加えないでほし い。あなたは今、主に祝福されている。
30そこで彼は彼らのために宴会を催し、彼らは食べ たり飲んだりした。
31彼らは朝早く起きて、互いに誓いを立てた。そし てイサクは彼らを送り出し、彼らは平和に彼のもと を去った。
32その日、イサクのしもべたちが来て、自分たちが 掘った井戸のことを彼に告げて言った、「私たちは 水を見つけました。」
33彼はそれをシェバと名付けた。それゆえ、その町 の名は今日までベエルシェバと呼ばれている。
34エサウは四十歳のとき、ヘテ人ベエリの娘ユディ トとヘテ人エロンの娘バシェマテを妻に迎えた。
35それはイサクとリベカにとって心の悲しみであっ た。
第27章
1イサクは年老いて目がかすんで見えなくなったとき、 長男のエサウを呼び、「わが子よ」と言った。エサ ウは「ここにおります」と言った。
2彼は言った、「わたしは年老いており、自分の死ぬ 日がいつになるか分からない。
3それで、今、あなたの武器、矢筒、弓を持って野原 へ行き、わたしのために鹿の肉を取ってきてくださ い。
4わたしの好むおいしい食べ物を作ってわたしのとこ ろに持って来て食べさせてください。わたしが死ぬ 前に、わたしの魂があなたを祝福しますように。
5リベカはイサクが息子エサウに話しているのを聞い た。エサウは鹿の肉を狩って持って来るために野原 へ行った。
6リベカは息子ヤコブに言った、「あなたの父があな たの兄弟エサウにこう言うのを私は聞きました、
7わたしに鹿の肉を持って来て、おいしい肉を作って 食べさせてください。そして、わたしが死ぬ前に主 の前であなたを祝福してください。
8それゆえ、わが子よ、今、わたしが命じるとおりに わたしの声に従いなさい。
9今、群れのところへ行き、そこから良い子やぎ二頭 を連れて来なさい。私はあなたの父上が好むおいし い食べ物としてそれを調理します。
10あなたはそれをあなたの父のところに持って行き、 彼が食べるようにし、また死ぬ前にあなたを祝福す るようにしなさい。
11ヤコブは母リベカに言った。「ごらんなさい、わ たしの兄エサウは毛深い男ですが、わたしはつるつ るの男です。
12わたしの父はおそらくわたしにさわって、わたし を欺く者とみなすでしょう。そしてわたしは祝福で はなく呪いを受けるでしょう。
13すると母は彼に言った。「息子よ、あなたの呪い は私に降りかかります。ただ私の言うことを聞いて、 それを取りに行きなさい。」
14そこで彼は行って、それを取って母のところに持 って来た。母は父の好んだおいしい料理を作った。
15リベカは、家の中にあった長男エサウの良い衣服 を取って、それを弟ヤコブに着せた。
16彼女は子やぎの皮を彼の手と首のなめらかな所に 置いた。
17彼女は、自分が用意したおいしい食べ物とパンを 息子ヤコブの手に渡した。
創世記
18彼は父のもとに帰って、「父よ」と言った。する と父は言った、「ここにおります。子よ、あなたは どなたですか」。
19ヤコブは父に言った。「私はあなたの長男エサウ です。あなたが私に命じられたとおりにしました。
どうぞ起きて、すわって私の肉を食べてください。 そうすれば、あなたの魂が私を祝福してくれるでし ょう。」
20イサクは息子に言った。「息子よ、どうしてそん なに早く見つけたのか。」彼は言った。「あなたの 神、主がそれをわたしのところへ持ってきたの だ。」
21イサクはヤコブに言った。「息子よ、近寄って、 あなたが本当に私の息子エサウであるかどうか確か めてみなさい。」
22ヤコブは父イサクに近寄った。イサクは彼に触っ て言った、「声はヤコブの声だが、手はエサウの手 だ。」
23彼の手は兄エサウの手のように毛深かったので、 ヨセフにはそれが分からなかった。そこでヨセフは 彼を祝福した。
24彼は言った、「あなたは私の息子エサウですか」。 彼は言った、「そうです」。
25彼は言った、「それを私のところに持って来なさ い。私は息子の鹿の肉を食べます。そうすれば、私 の魂はあなたを祝福します」。彼はそれを彼のとこ ろに持って来ると、彼は食べ、また彼にぶどう酒を 持って来ると、彼は飲んだ。
26父イサクは彼に言った。「息子よ、近寄って私に 口づけしなさい。」
27彼は近寄って彼に口づけし、その着物のにおいを かぎ、彼を祝福して言った。「見よ、わが子のかお りは、主が祝福された野のにおいのようだ。
28それゆえ、神はあなたに天の露と地の肥えた物と、 豊かな穀物とぶどう酒を与えてくださいます。
29人々はあなたに仕え、諸国の民はあなたにひれ伏 す。あなたは兄弟たちの君となり、あなたの母の子 らはあなたにひれ伏す。あなたを呪う者はみな呪わ れ、あなたを祝福する者は祝福される。
30イサクがヤコブを祝福し終え、ヤコブが父イサク の前から出て行かないうちに、兄エサウが狩りから 帰ってきた。
31彼もまたおいしい食べ物を作って父のところに持 って行き、父に言った。「父上、起きて息子の鹿の 肉を食べてください。そうすれば、あなたの魂が私 を祝福してくださいますように。」
32父イサクは彼に言った、「あなたはどなたです か」。彼は答えた、「私はあなたの息子、あなたの 長男エサウです」。
33イサクは、非常に震えて言った。「だれですか。
鹿の肉を取って私に持ってきた者はどこにいますか。 私はあなたが来る前に、それを全部食べて彼を祝福 しました。そうです、彼は祝福されるでしょう。」
34エサウは父の言葉を聞いて、大声で激しく泣き、 父に言った。「父よ、私をも祝福してください。」
35彼は言った、「あなたの兄弟が悪賢い手を使って 来て、あなたの祝福を奪い取ったのです。」
36彼は言った、「彼はヤコブと名付けられてもしか るべきだ。彼は二度も私を追い出し、私の長子の権 利を奪い、今度は私の祝福をも奪ったのだ」。そし て彼は言った、「あなたは私のために祝福を取って おいてくださらなかったのか」。
37イサクはエサウに答えて言った。「わたしは彼を あなたの主人とし、兄弟たちをみな奴隷として彼に 与え、穀物とぶどう酒で彼を養ってきた。わが子よ、 今わたしはあなたに何をしてあげようか。」
38エサウは父に言った。「父上、祝福は一つだけで すか。父上よ、私をも祝福してください。」エサウ は声をあげて泣いた。
39父イサクは答えて言った、「見よ、あなたの住ま いは地の肥えた所、上なる天の露となるであろう。
40あなたは剣によって生き、あなたの兄弟に仕える であろう。そしてあなたが支配権を得るとき、あな たは彼のくびきをあなたの首から断ち切るであろう。
41エサウは父がヤコブに与えた祝福のゆえにヤコブ を憎んだ。そしてエサウは心の中で言った。「父の 喪の日が近づいた。その時、弟ヤコブを殺そう。」
42リベカは長男エサウのこの言葉を聞き、人をやっ て次男ヤコブを呼び寄せて言った。「あなたの兄エ サウは、あなたについて自分を慰め、あなたを殺そ うと企てています。」
43それゆえ、わが子よ、今、わたしの言葉に従い、 立ち上がって、ハランにいるわたしの兄弟ラバンの もとに逃げなさい。
44あなたの兄弟の怒りがおさまるまで、数日彼と 緒にいなさい。
45あなたの兄弟の怒りがあなたから離れ、あなたが 彼にしたことを彼が忘れるまで、私は人をやってあ なたをそこから連れ戻そう。どうして私はあなたた ち二人を一日のうちに失ってよいのか。
46リベカはイサクに言った。「ヘテの娘たちのこと で、わたしは命が惜しくなります。もしヤコブがヘ テの娘たち、この地の娘たちのような者を妻にめと ったら、わたしの命が何の役に立つでしょう。」
第28章
1イサクはヤコブを呼び、祝福し、命じて言った。 「カナンの娘たちを妻にめとってはならない。」
2立って、パダナラムに行き、あなたの母の父ベトエ ルの家に行き、そこからあなたの母の兄弟ラバンの 娘たちを妻に迎えなさい。
3全能の神があなたを祝福し、あなたを豊かに生ませ、 あなたを増やして、あなたの民を大いに増やしてく ださいますように。
4アブラハムの祝福をあなたとあなたの子孫に与えて ください。そうすれば、あなたは今、神がアブラハ ムに与えられた土地を相続することができるでしょ う。
創世記
5イサクはヤコブを送り出した。ヤコブはパダンアラ ムに行き、ヤコブとエサウの母リベカの兄弟である アラム人ベトエルの子ラバンのもとへ行った。
6エサウは、イサクがヤコブを祝福し、パダンアラム に遣わして、そこから妻を迎えさせようとしたのを 見て、祝福の際、カナン人の娘を妻に迎えてはなら ないと命じた。
7ヤコブは父と母の言うことに従い、パダンアラムへ 行った。
8エサウはカナンの娘たちが父イサクの気に入らない ことに気づいた。
9そこでエサウはイシュマエルのもとに行き、アブラ ハムの子イシュマエルの娘でネバヨトの妹であるマ ハラテを妻として迎えた。
10ヤコブはベエルシェバを出てハランへ向かった。
11そして彼はある場所に上陸し、日が沈んだので 晩中そこに滞在した。そしてその場所の石を取って 枕にし、その場所に横になって眠った。
12彼は夢を見た。見よ、地上に梯子が立てられ、そ の頂は天に達していた。そして神の御使いたちがそ の上を上り下りしていた。
13すると、主がその上に立って言われた、「わたし はあなたの父アブラハムの神、イサクの神、主であ る。あなたの住んでいるこの地を、わたしはあなた とあなたの子孫に与える。
14あなたの子孫は地のちりのように多くなり、あな たは西、東、北、南に広がり、地のすべての民族は あなたとあなたの子孫によって祝福されるであろう。
15見よ、わたしはあなたとともにおり、あなたが行 くすべての場所であなたを守り、あなたをこの地に 連れ戻す。わたしは、あなたに語ったことを成し遂 げるまでは、あなたを見捨てない。
16ヤコブは眠りからさめて言った。「確かに主はこ の所におられる。私はそれを知らなかった。」
17彼は恐れて言った、「この場所はなんと恐ろしい 所なのだろう。ここは神の家であり、ここは天の門 なのだ。」
18ヤコブは朝早く起きて、枕にしていた石を取り、 それを柱として立て、その上に油を注いだ。
19彼はその場所の名をベテルと名付けた。しかし、 その町の名は初めルズと呼ばれていた。
20ヤコブは誓願を立てて言った。「もし神がわたし とともにおられ、わたしの行くこの道でわたしを守 り、わたしに食べるパンと着る物とを与えてくださ るなら、
21こうしてわたしは平安のうちに父の家に帰ること ができる。そのとき主はわたしの神となられる。
22そして、私が柱として立てたこの石は神の家とな るでしょう。あなたが私に与えてくださるすべての ものの十分のを、私は必ずあなたにささげます。
第29章
1それからヤコブは旅を続け、東の人々の地へ行った。
2彼が見ていると、野原に井戸があり、そこに三つの 羊の群れが伏していた。その井戸から羊の群れに水 を飲ませていたのである。また、井戸の口には大き な石が置いてあった。
3そして、羊の群れは皆そこに集まり、井戸の口から 石をころがして羊に水を飲ませ、そして石を井戸の 口の元の場所に戻した。
4ヤコブは彼らに言った、「兄弟たちよ、あなたたち はどこから来たのですか」。彼らは答えた、「私た ちはハランからです」。
5彼は彼らに言った、「あなたたちはナホルの子ラバ ンを知っていますか」。彼らは言った、「私たちは 彼を知っています」。
6彼は彼らに言った、「彼は元気ですか」。彼らは言 った、「彼は元気です。ごらんなさい、彼の娘ラケ ルが羊と緒に来ています」。
7彼は言った、「見よ、日はまだ高く、家畜を集める 時ではない。羊に水を飲ませ、行って飼わせなさ い。」
8彼らは言った、「群れが全部集まって、井戸の口か ら石をころがしてから、羊に水を飲ませるのは無理 です」。
9彼がまだ彼らと話している間に、ラケルは父の羊を 連れて来た。彼女は羊を飼っていたのである。
10ヤコブは母の兄弟ラバンの娘ラケルと母の兄弟ラ バンの羊とを見て、近づいて井戸の口から石をころ がし、母の兄弟ラバンの羊の群れに水を飲ませた。
11ヤコブはラケルに口づけし、声を上げて泣いた。
12ヤコブはラケルに、自分が彼女の父の兄弟であり、 リベカの息子であることを告げた。彼女は走って行 って父に告げた。
13ラバンは妹の子ヤコブの知らせを聞くと、走って 行って彼を迎え、抱擁し、口づけして、自分の家に 連れて帰り、これらのことをすべてラバンに告げた。
14ラバンは彼に言った、「あなたは確かに私の骨肉 です。」そして彼はか月の間彼のもとに住んでい た。
15ラバンはヤコブに言った。「あなたは私の兄弟だ からといって、ただで私に仕えなければならないの か。あなたの報酬はいくらになるのか、私に言いな さい。」
16ラバンには二人の娘がいた。姉の名はレア、妹の 名はラケルといった。
17レアは優しい目をしていたが、ラケルは美しく、 容姿も美しかった。
18ヤコブはラケルを愛したので、言った。「あなた の下の娘ラケルのために、わたしは七年間あなたに 仕えましょう。」
19ラバンは言った。「彼女をほかの人に与えるより は、あなたに与えるほうがよい。私と緒にいてく ださい。」
20ヤコブはラケルのために七年間仕えたが、彼女に 対する彼の愛のゆえに、その期間はほんの数日のよ うに思われた。
創世記
21ヤコブはラバンに言った。「わたしの命は満ちた から、妻をください。彼女の所へ行きましょう。」
22ラバンはその場所の人々を皆集めて宴会を催した。
23夕方になって、彼は娘レアを連れて来て、彼女の もとに入った。
24ラバンは自分の娘レアに、自分の女奴隷ジルパを 与えた。
25朝になってみると、それはレアであった。そこで ラバンはラバンに言った、「あなたは私にこんなこ とをしたのですか。私はラケルのためにあなたに仕 えたのではありませんか。なぜ私を騙したのです か」。
26ラバンは言った。「弟を長子より先に与えること は、我々の国ではしてはならない。」
27彼女の週間が満ちたら、私たちは、あなたが私 と共にさらに七年間働くことに対する報酬として、 これもあなたに与えましょう。
28ヤコブはそのとおりにして、彼女の一週間の約束 を果たさせ、娘ラケルをも妻として彼に与えた。
29ラバンは娘ラケルに、自分の女奴隷ビルハを与え て彼女の召使いとした。
30彼はまたラケルのところに行き、ラケルをレアよ りも愛し、さらに七年間彼と共に仕えた。
31主はレアが憎まれているのを見て、彼女の胎を開 かれたが、ラケルは不妊であった。
32レアはみごもって男の子を産み、その名をルベン と名づけた。彼女は、「主は確かにわたしの苦しみ を顧みてくださった。だから今、夫はわたしを愛し てくれるだろう」と思ったからである。
33彼女はまたみごもって男の子を産み、「主は私が 憎まれていることを聞いて、この子も私に下さっ た」と言って、その子をシメオンと名付けた。
34彼女はまたみごもって男の子を産み、言った。 「今度こそ夫も私と結ばれるでしょう。私は彼に三 人の息子を産んだのですから。」それでその子の名 はレビと呼ばれた。
35彼女はまたみごもって男の子を産み、「今こそ主 をほめたたえよう」と言って、その子をユダと名づ け、出産を止めた。
第30章
1ラケルは自分がヤコブに子供を産まないのを見て、 姉をねたみ、ヤコブに言った。「私に子供をくださ い。でないと私は死んでしまいます。」
2ヤコブはラケルに対して怒りを発して言った。「わ たしが神の代わりになるのだろうか。神はあなたの 胎内の子を奪い取ったのか。」
3彼女は言った、「わたしの女奴隷ビルハがいます。 彼女のところに行きなさい。彼女がわたしの膝の上 で子を産めば、わたしも彼女によって子供を産むで しょう」。
4彼女は自分の女奴隷ビルハを妻としてヤコブに与え たので、ヤコブは彼女のところに入った。
5ビルハはみごもってヤコブに男の子を産んだ。
6ラケルは言った、「神はわたしを裁き、わたしの声 を聞き、わたしに男の子を賜りました」。それで彼 女はその子をダンと名付けた。
7ラケルの侍女ビルハはまたみごもって、ヤコブに二 番目の男の子を産んだ。
8ラケルは言った。「わたしは妹と激しく格闘して勝 ったのです。」そして彼女はその子をナフタリと名 付けた。
9レアは、ヤコブがもう子供を産めなくなったのを見 て、召使いのジルパを連れて来て、彼女を妻として ヤコブに与えた。
10レアの侍女ジルパはヤコブに男の子を産んだ。
11レアは「軍隊が来る」と言って、その子をガドと 名付けた。
12レアの侍女ジルパはヤコブに二番目の男の子を産 んだ。
13レアは、「私は幸せだ。娘たちは私を祝福してく れるだろう」と言って、その子にアシェルという名 を付けた。
14ルベンは小麦の刈り入れの時期に畑へ行き、恋な すびを見つけて、それを母レアのところに持ってき た。するとラケルはレアに言った。「どうか、あな たの息子の恋なすびを私にください。」
15彼女は言った、「あなたが私の夫をめとったのは、 小さな事ですか。私の息子の恋なすびまでも奪い取 ろうとするのですか」。ラケルは言った、「それで は、あなたの息子の恋なすびのために、彼は今夜あ なたと寝るでしょう」。
16夕方、ヤコブが野から出てきたとき、レアは彼を 迎えに出て言った。「あなたは私のところに来なけ ればなりません。確かに私は息子の恋なすびであな たを雇ったのですから。」そしてその夜、ヤコブは レアと寝た。
17神はレアの願いを聞き入れられたので、彼女は身 ごもって、ヤコブに五番目の息子を産んだ。
18レアは言った、「わたしはわたしの女奴隷を夫に 与えたので、神はわたしに報酬を与えてくださった のです」。そしてレアはその子の名をイッサカルと 名付けた。
19レアはまた身ごもって、六番目の息子ヤコブを産 んだ。
20レアは言った。「神はわたしに良い結納金を授け てくださった。わたしは夫に六人の息子を産んだの だから、今、夫はわたしと緒に住むだろう。」そ して彼女はその子をゼブルンと名付けた。
21その後、彼女は女の子を産み、その名をディナと 名付けた。
22神はラケルを思い起こし、彼女の願いを聞き入れ て、彼女の胎を開かれた。
23彼女はみごもって男の子を産み、こう言った。 「神はわたしの恥辱を取り去ってくださいました。
24彼女はその子をヨセフと名付けて言った。「主は わたしにもう人の息子を加えてくださるでしょ う。」
創世記
25ラケルがヨセフを産んだとき、ヤコブはラバンに 言った。「わたしを去らせてください。わたしの故 郷、わたしの国へ行かせてください。」
26わたしがあなたに仕えてきた妻たちと子供たちを わたしに与えて、わたしを去らせてください。わた しがあなたに仕えてきたことは、あなたはご存じで すから。
27ラバンは彼に言った。「もし私があなたの目に恵 みを得たなら、留まっていてください。主があなた のゆえに私を祝福してくださったことを私は身をも って知っています。」
28彼は言った、「あなたの報酬を私に示しなさい。 そうすれば、私はそれを与えます」。
29彼は言った、「わたしがあなたにどのように仕え たか、またあなたの家畜がわたしのもとにあったか は、あなたはご存じです。
30わたしが来る前には、あなたの所有物は少なかっ たのに、今は増えて、わたしが来てからこのかた、 主はあなたを祝福しておられる。では、わたし自身 の家も、いつになったら備えることができようか。
31彼は言った、「何をあげましょうか」。ヤコブは 言った、「あなたは私に何もあげません。もしあな たが私にこの事をして下さるなら、私は再びあなた の羊の群れを飼い、世話をします」。
32わたしは今日、あなたの群れを全部巡って、ぶち とまだらの牛、羊の中の茶色の牛、やぎの中のまだ らとぶちの牛をすべて取り去ります。わたしはこれ らのものから報酬を受け取ります。
33将来、あなたの前にわたしの報酬が来るとき、わ たしの義がわたしのために弁明するでしょう。やぎ のうちぶちやまだらのないもの、羊のうち茶色のも のでないものはみな、わたしとともに盗まれたもの とみなされます。
34ラバンは言った。「あなたのお言葉どおりにさせ ていただきたいのですが。」
35彼はその日、縞模様とまだら模様の雄やぎ、ぶち 模様とまだら模様のすべての雌やぎ、また羊の中の 白い毛のあるものすべてと茶色のものすべてを移し、 それを自分の息子たちの手に渡した。
36そして彼は自分とヤコブとの間に三日の道のりを 設けた。そしてヤコブはラバンの残りの羊の群れを 飼った。
37ヤコブは青々としたポプラと、はしばみと栗の枝 を取り、それに白い細工をつけて、枝の中の白い部 分を現した。
38そして彼は、群れが水を飲みに来るときに、群れ の前に積み上げた棒を水桶の溝に置いた。群れが水 を飲みに来るときに、妊娠するようにするためであ った。
39そして群れは杖の前でみごもり、縞模様、ぶち模 様、まだら模様の家畜を産んだ。
40ヤコブは子羊を分け、群れの顔をラバンの群れの 中の縞模様のものと茶色のものの方に向け、自分の 群れを別にして、ラバンの家畜の群れには入れなか った。
41そして、より強い家畜が妊娠するたびに、ヤコブ は溝の中の家畜の目の前にその棒を置き、その棒の 間で家畜が妊娠するようにした。
42しかし、家畜が弱っていたので、彼はそれを入れ なかった。それで、弱いものはラバンのものとなり、 強いものはヤコブのものとなった。
43そして、その人は非常に富み、多くの家畜、女奴 隷、男奴隷、らくだ、ろばを所有するようになった。
第31章
1彼はラバンの子らが言うのを聞いた。「ヤコブは私 たちの父のものをみな奪い取り、私たちの父のもの からこの栄誉をみな手に入れたのです。」
2ヤコブはラバンの表情を見たが、それは彼に対して 以前のような表情ではなかった。
3主はヤコブに言われた、「あなたの先祖の地、あな たの親族の所に帰りなさい。わたしはあなたととも にいるであろう」。
4ヤコブは人をやってラケルとレアを野原の羊の群れ のところに呼び寄せた。
5そして彼らに言った、「わたしはあなたがたの父の 顔を見ると、わたしに対して以前のような態度では ないようです。しかし、わたしの父の神はわたしと ともにおられます。
6あなたがたも知っているとおり、わたしは全力を尽 くしてあなたがたの父に仕えてきました。
7あなたの父はわたしを欺き、わたしの報酬を十回も 変えました。しかし神は、彼がわたしに害を及ぼす ことを許されませんでした。
8もし彼が、「ぶちのものがあなたの報酬である」と 言ったなら、家畜はすべてぶちのものを産み、また もし彼が、「輪のものがあなたの報酬である」と言 ったなら、家畜はすべて輪のものを産みなさい。
9こうして神はあなたの父の家畜を取り上げて、私に 与えてくださったのです。
10牛が妊娠したとき、わたしは目を上げて夢を見た。 すると、牛に飛びかかる雄羊は縞模様で、ぶちで、 赤みがかっていた。
11すると、神の使いが夢の中でわたしにこう言った。 「ヤコブよ。わたしは、『ここにおります』と言い ました。
12彼は言った、「今、目を上げて見なさい。家畜に 飛びかかる雄羊は皆、縞模様で、ぶち模様で、灰白 色だ。私はラバンがあなたにしていることを皆見た のだ」。
13わたしはベテルの神である。あなたが柱に油を注 ぎ、わたしに誓いを立てた所である。今、立ち上が ってこの地から出て、あなたの親族の地に帰りなさ い。
14ラケルとレアは答えて言った、「わたしたちの父 の家には、わたしたちの受けるべき分、あるいは相 続地がまだあるのでしょうか。
創世記
15彼はわたしたちを異邦人のようにみなしているで はないか。わたしたちを売り渡し、わたしたちの金 を食いつぶしたのだ。
16神が私たちの父から取り去ったすべての富は、私 たちと私たちの子供たちのものです。ですから、神 があなたに言われたことは何でも行いなさい。
17そこでヤコブは立ち上がり、その息子たちと妻た ちをらくだに乗せた。
18彼は、パダナラムで得たすべての家畜と、得たす べての財産、すなわち、カナンの地にいる父イサク のもとへ行くために、パダナラムで得たすべての家 畜を携えて出かけた。
19ラバンは羊の毛を刈りに出かけたが、ラケルは父 の偶像を盗んでいた。
20ヤコブは、シリア人ラバンに気づかれずに逃げ去 ったが、ラバンは逃げたことを告げなかった。
21そこで彼はすべての持ち物を持って逃げ、立ち上 がって川を渡り、ギレアデの山の方へ顔を向けた。
22そして三日目にヤコブが逃げたという知らせがラ バンに届いた。
23彼は兄弟たちを連れて七日間の道のりを追ったが、 ギレアデの山地で追いついた。
24神は夜、夢の中でシリア人ラバンに現れて言った、 「ヤコブに良いことも悪いことも話さないように気 をつけなさい。」
25それからラバンはヤコブに追いついた。ヤコブは 山地に天幕を張っていた。ラバンは兄弟たちと共に ギレアデの山地に天幕を張った。
26ラバンはヤコブに言った。「あなたは何をしたの か。私のところに忍び込み、剣で捕らえられた捕虜 のように私の娘たちを連れ去ったのか。
27なぜあなたはひそかに逃げ去り、わたしから逃げ 去ったのか。わたしに告げなかったのか。そうすれ ばわたしは、喜び歌い、太鼓や立琴を奏して、あな たを送り出すことができたのに。
28わたしがわたしの息子や娘に口づけすることを許 さなかったのか。あなたはそうすることで愚かなこ とをしたのだ。
29わたしの手には、あなたに害を加える力がありま す。しかし、あなたの父の神は昨夜わたしにこう言 われました。「あなたはヤコブに良いことも悪いこ とも語らないように気をつけなさい。」
30そして今、あなたは父の家をひどく慕っていたの で、去らなければならなかったのに、なぜ私の神々 を盗んだのですか。
31ヤコブはラバンに答えて言った、「わたしは恐れ たのです。あなたはもしかすると娘たちをわたしか ら奪い取ってしまうかもしれないと思ったのです」。
32あなたの神々をだれかの所に持っていたなら、そ の人を生かしておいてはなりません。私たちの兄弟 たちの前で、あなたが私と緒に持っているものを 調べ、それをあなたの所に持ってきなさい。ヤコブ はラケルがそれを盗んだことを知らなかったのです。
33ラバンはヤコブの天幕とレアの天幕と二人の女奴 隷の天幕とを行き来したが、見つけられなかった。 そこでレアの天幕を出てラケルの天幕に入った。
34ラケルは偶像を取って、らくだの座席に置き、そ の上に座っていた。ラバンは天幕中を捜したが、見 つけられなかった。
35彼女は父に言った。「ご主人様、私があなたの前 に立つことができないことをお許しください。私は 女の習慣に従っているのですから。」父は捜したが、 偶像は見つからなかった。
36ヤコブは怒ってラバンを責めた。ヤコブはラバン に答えて言った、「わたしの罪が何なのか。わたし の罪が何なのか。なぜあなたはそんなにもわたしを 追い詰めたのか」。
37あなたは私の持ち物を全部調べたが、あなたの家 の持ち物の中で何か見つかったか。それを私の兄弟 とあなたの兄弟の前に出し、私たち二人の間で裁き をさせなさい。
38この二十年、わたしはあなたと共にいましたが、 あなたの雌羊や雌山羊は子を産まず、あなたの群れ の雄羊も食べませんでした。
39獣に裂かれたものを、わたしはあなたのところに 持って来なかった。わたしはそれを失った。昼に盗 まれたものでも、夜に盗まれたものでも、あなたは わたしの手からそれを要求したのだ。
40わたしはこうして、昼は干ばつに、夜は霜に悩ま され、わたしの目は眠りから遠ざかりました。
41こうしてわたしはあなたの家で二十年過ごし、あ なたのふたりの娘のために十四年、あなたの家畜の ために六年、あなたに仕えました。しかしあなたは わたしの報酬を十回も変えました。
42もし私の父の神、アブラハムの神、イサクの畏れ が私とともになかったなら、あなたはきっと私を空 しく去らせたでしょう。神は私の苦しみと私の手の 労苦を見て、昨夜あなたを叱責されました。
43ラバンはヤコブに答えて言った、「これらの娘た ちはわたしの娘たち、これらの子どもたちもわたし の子どもたち、これらの家畜もわたしの家畜です。 あなたが見ているものはすべてわたしのものです。 わたしは今日、これらの娘たちや彼女たちが産んだ 子どもたちに何をすることができましょうか。」
44それゆえ、今、あなたは来て、わたしとあなたと で契約を結びましょう。そして、それをわたしとあ なたとの間の証しとしましょう。
45ヤコブは石を取って、それを柱として立てた。
46ヤコブは兄弟たちに、「石を集めなさい」と言っ たので、彼らは石を取って山を作り、その山の上で 食事をした。
47ラバンはそれをエガルサハドゥタと名付けたが、 ヤコブはそれをガルエドと名付けた。
48ラバンは言った、「この石塚は、きょう私とあな たとの間の証拠となる」。それで、その石塚の名は ガレエドと呼ばれた。
創世記
49またミツパ。彼は言った、「私たちが離れている とき、主が私とあなたの間を見守ってくださいます ように」。
50もしあなたが私の娘たちを苦しめたり、私の娘た ちのほかに他の妻を迎えたりするなら、私たちと共 にいる男はいません。見よ、神は私とあなたとの間 の証人です。
51ラバンはヤコブに言った。「わたしとあなたとの 間にわたしが立てたこの石塚とこの柱を見てくださ い。
52この塚とこの柱が証拠となる。わたしがこの塚を 越えてあなたのところに来ることはなく、あなたも この塚とこの柱を越えてわたしに害を及ぼすことは ない。
53アブラハムの神、ナホルの神、彼らの父の神が、 我々の間を裁いてくださいますように。ヤコブは父 イサクを畏れて誓いました。
54そこでヤコブは山の上で犠牲をささげ、兄弟たち を呼んでパンを食べさせた。彼らはパンを食べ、山 で晩中過ごした。
55朝早くラバンは起きて、息子たちと娘たちに口づ けして祝福し、そしてラバンは立ち去って自分の家 に戻った。
第32章
1ヤコブが旅を続けると、神の天使たちが彼に出会っ た。
2ヤコブは彼らを見て、「これは神の軍勢だ」と言い、 その場所の名をマハナイムと名付けた。
3ヤコブは、エドムの国セイルの地にいる兄エサウの もとに、使者を先に遣わした。
4彼は彼らに命じて言った、「あなたたちは主君エサ ウにこう言いなさい。あなたのしもべヤコブはこう 申します、『わたしはラバンのもとに寄留し、今に 至るまでそこにとどまっています。
5わたしは牛、ろば、羊の群れ、男奴隷、女奴隷を持 っています。わたしは主人にそのことを知らせて、 あなたの前に恵みを得ようと、人をやって言いまし た。
6使者たちはヤコブのもとに帰って言った。「私たち はあなたの兄エサウのところへ行きました。彼もま た四百人の部下を率いてあなたに会うために来てい ます。」
7そのときヤコブは非常に恐れ、また悩んだ。そして 彼は、自分と共にいた民と、羊の群れ、牛の群れ、 らくだを二つの隊に分けた。
8そして言った、「もしエサウが方の部隊に来て、 それを打ち破っても、残ったもう方の部隊は逃れ るであろう。」
9ヤコブは言った。「私の父アブラハムの神、私の父 イサクの神よ、主は私にこう言われました。『あな たの国、あなたの親族のもとに帰れ。そうすれば、 私はあなたに恵みを施すであろう。
10わたしは、あなたがしもべに示されたすべての恵 みと、すべての真実のほんの少しにも値しません。 わたしは杖をもってこのヨルダンを渡ったのに、今 は二つの部隊になっています。
11どうか、わたしを兄の手から、エサウの手から救 い出してください。彼が来て、わたしとその母と子 供たちを打つのではないかと、わたしは彼を恐れて いるのです。
12そしてあなたは言った、「わたしは必ずあなたに 恵みを施し、あなたの子孫を海の砂のように多くし て、数えきれないほどに増やそう」。
13彼はその夜そこに宿り、手持ちの物から弟エサウ への贈り物を取った。
14雌やぎ二百頭、雄やぎ二十頭、雌羊二百頭、雄羊 二十頭、
15乳らくだ三十頭とその子ら、雌牛四十頭、雄牛十 頭、雌ろば二十頭、子ろば十頭。
16そこで彼は、群れをそれぞれ別々に、家来たちの 手に渡し、家来たちに言った。「わたしの前を通り 過ぎ、群れと群れの間に距離を置きなさい。
17そこで彼は先頭の者に命じて言った、「わたしの 兄弟エサウがあなたに会って、『あなたはだれです か。どこへ行くのですか。あなたの前にいるこの人 たちはだれのものです』と尋ねたら、
18そのときあなたはこう言いなさい、『それはあな たのしもべヤコブのものです。それは私の主人エサ ウに贈られた贈り物です。そして、彼も私たちの後 ろにいます』。
19そこで彼は第二の者、第三の者、および群れのあ とに従うすべての者に命じて言った、「エサウに出 会ったら、このように彼に告げなさい。」
20また、あなたがたはこう言いなさい。『見よ、あ なたのしもべヤコブはわれわれの後ろにいます。彼 はこう言ったのです。『わたしに先立って行く贈り 物で彼をなだめ、その後で彼の顔を見よう。おそら く彼はわたしを受け入れてくれるだろう。』
21こうして、贈り物の品々は彼の前に進み出て、彼 自身もその夜、行のなかに宿をとった。
22彼はその夜起きて、二人の妻と二人の女奴隷と十 一人の息子を連れてヤボクの渡しを渡った。
23そこで彼は彼らを連れて川を渡らせ、また自分が 持っていた物も渡らせた。
24ヤコブはひとり残されたが、夜明けまで、ある男 が彼と格闘していた。
25ヤコブはヤコブが勝てないのを見て、その腿の付 け根に触れた。ヤコブと格闘している間、ヤコブの 腿の付け根は脱臼した。
26彼は言った、「夜が明けるから、わたしを去らせ てください」。すると彼は言った、「あなたがわた しを祝福しない限り、わたしはあなたを去らせませ ん」。
27彼は彼に言った、「あなたの名前は何というので すか」。彼は「ヤコブ」と答えた。
28そして彼は言った、「あなたの名はもはやヤコブ とは呼ばれず、イスラエルと呼ばれる。あなたは君
創世記 主として神と人に対して力を持ち、勝利を得たから だ。」
29ヤコブは尋ねて言った、「どうぞ、あなたの名を 教えてください」。彼は言った、「なぜ私の名を尋 ねるのですか」。そしてヤコブはその場で彼を祝福 した。
30ヤコブはその場所の名をペニエルと名付けた。わ たしは神を顔と顔とで見て、わたしの命が救われた からである。
31彼がペヌエルを通過したとき、太陽が彼の上に昇 り、彼は腿の上に立ち止まった。
32それゆえ、イスラエルの子らは今日に至るまで、 ももの裏の筋の萎んだ部分を食べない。彼がヤコブ のももの裏の筋の萎んだ部分に触れたからである。
第33章
1ヤコブは目を上げて見ていると、見よ、エサウが四 百人の男たちを率いてやって来た。エサウは子供た ちをレアとラケルと二人の侍女とに分け与えた。
2彼は侍女たちとその子供たちを先頭に置き、レアと その子供たちを次に置き、ラケルとヨセフを最後尾 に置いた。
3彼は彼らの前を通り過ぎ、自分の兄弟に近づくまで、 地に七度身をかがめました。
4エサウは彼を迎えに走り、彼を抱きしめ、その首を 抱き、口づけして、二人は泣いた。
5彼は目を上げて、女たちと子供たちを見て言った、 「あなたと緒にいる人たちはだれですか」。彼は 言った、「神があなたのしもべに恵みをもって賜っ た子供たちです」。
6すると、侍女たちとその子供たちが近寄って来て、 身をかがめた。
7レアも子供たちと共に近づいて、身をかがめ、その 後にヨセフとラケルも近づいて、身をかがめました。
8彼は言った、「わたしが出会ったこのすべての群れ は、いったい何のためなのか」。彼は言った、「こ れらは、わが主の前に恵みを得るためのものです」。
9エサウは言った。「兄弟よ、私には十分ある。あな たの持っているものはあなた自身のために取ってお きなさい。」
10ヤコブは言った。「いいえ、もし私があなたの前 に恵みを得たのであれば、どうか私の贈り物を受け 取ってください。私は神の御顔を見るかのようにあ なたの御顔を見たのですから、あなたは私に喜んで くださったのです。」
11どうぞ、わたしがあなたに与えた祝福を受け取っ てください。神はわたしを恵み深く扱われ、わたし は十分に持っているからです。」そこで彼は彼に勧 め、彼はそれを受け取った。
12彼は言った、「われわれは旅に出よう。わたしは あなたの前に進みましょう」。
14どうか、ご主人様がしもべの前に立って渡ってく ださいますように。わたしは、わたしの前を行く家 畜と子どもたちが耐えられる限り、ゆっくりと進み、 ついにセイルにいるわたしの主人のもとに着きます。
15エサウは言った、「わたしと緒にいる民のうち の何人かを、あなたのところに残させてください」。 彼は言った、「何の用があるというのですか。わた しの主の前に恵みを得させてください」。
16それでエサウはその日、セイルへ向かって帰って 行った。
17ヤコブはスコテに旅して家を建て、家畜のために 小屋を造った。それゆえ、その場所の名はスコテと 呼ばれるようになった。
18ヤコブはパダナラムから帰って来て、カナンの地 にあるシケムの町シャレムに着き、その町の前に天 幕を張った。
19そして彼は、天幕を張っていた畑の区画を、シ ケムの父ハモルの子らから百シケルで買い取った。
20彼はそこに祭壇を築き、それをエレロヘ・イスラエ ルと名付けた。
第34章
1レアがヤコブに産んだ娘ディナは、その地の娘たち に会いに出かけた。
2ヒビ人ハモルの子でその地方の君主であったシケム は彼女を見て、彼女を捕らえ、彼女と寝て、彼女を 汚した。
3彼はヤコブの娘ディナに心を奪われ、その娘を愛し、 その娘に優しく語りかけた。
4シェケムは父ハモルに言った、「この娘を妻として 迎えてください。」
5ヤコブは、彼が自分の娘ディナを汚したことを聞い た。そのとき、彼の息子たちは家畜を連れて野原に いた。ヤコブは彼らが帰ってくるまで黙っていた。
6シェケムの父ハモルはヤコブと話し合うために彼の もとへ出かけた。
7ヤコブの子らはそれを聞いて畑から出てきたが、彼 らは悲しみ、非常に怒った。それは彼がヤコブの娘 と寝てイスラエルに愚かなことをしたからである。 そのようなことはしてはならないことであった。
8ハモルは彼らに言った、「私の息子シケムはあなた たちの娘を心から慕っています。どうか彼女を妻と して彼に与えてください。」
9あなたがたはわたしたちと結婚し、あなたがたの娘 たちをわたしたちに与え、またわたしたちの娘たち をあなたがたのところへ迎え入れなさい。
10あなたがたは私たちとともに住み、その地はあな たがたの前にある。そこに住み、商売をし、財産を 得なさい。
11シケムは彼女の父と兄弟たちに言った。「どうか わたしに恵みを得させてください。あなたがたがわ
13彼は言った、「私の主人は、子供たちが弱く、羊 や牛の群れが幼子とともに私のところにいることを ご存じです。もし人々が一日にそれらを追い詰めれ ば、群れはみな死んでしまいます。」
創世記
たしにおっしゃることは何でも差し上げましょ う。」
12わたしに結納金や贈り物をいくらでも求めなさい。
わたしはあなたがたの言うとおりに与えます。ただ し、その娘をわたしの妻に与えなさい。
13ヤコブの子らは、シェケムとその父ハモルに偽っ て答えた。それは、彼が彼らの妹ディナを汚したか らである。
14彼らは言った、「わたしたちの妹を割礼を受けて いない者に与えることは、わたしたちにとって恥辱 となるので、わたしたちにはできません。
15しかし、もしあなたがたが私たちのようになって、 すべての男子が割礼を受けることを望むなら、私た ちはあなたがたに賛成します。
16そのとき、私たちは私たちの娘たちをあなたに与 え、あなたの娘たちを私たちのところに迎え、私た ちはあなたたちとともに住み、一つの民となるでし ょう。
17しかし、もしあなたがたがわたしたちの言うこと を聞いて割礼を受けないなら、わたしたちは娘を連 れて出て行きます。
18彼らの言葉はハモルとハモルの子シケムに喜ばれ た。
19若者はヤコブの娘を愛していたので、その事を躊 躇しなかった。彼は父の家全体よりも尊敬されてい た。
20ハモルとその子シケムは町の門に来て、町の人た ちと話し合って言った。
21この人々は我々と平和に暮らしています。ですか ら、彼らにこの地に住ませ、そこで商売をさせてく ださい。この地は彼らに十分広いのです。我々は彼 らの娘を妻として迎え、我々の娘を彼らに与えまし ょう。
22彼らが割礼を受けているように、私たちの中のす べての男子が割礼を受けるならば、彼らは私たちと 共に住み、つの民となることに同意するでしょう。
23彼らの家畜や財産、また彼らのすべての獣は、 我々のものになるのではないだろうか。ただ、我々 が彼らに同意すれば、彼らは我々とともに住むであ ろう。
24ハモルとその子シケムは、町の門から出る者をみ な従わせた。町の門から出るすべての男子は割礼を 受けた。
25そして三日目に、彼らが傷ついたとき、ヤコブの 息子たちのうちの二人、ディナの兄弟シメオンとレ ビは、それぞれ剣を取り、大胆に町に攻め入り、す べての男を殺した。
26彼らはハモルとその子シケムを剣の刃で殺し、デ ィナをシケムの家から連れ出して出て行った。
27ヤコブの子らは、殺された者たちを襲い、その町 を略奪した。彼らがその姉妹を汚したからである。
28彼らは羊、牛、ろば、町にあるもの、野にあるも のなどを取って、
29彼らは彼らのすべての財産と、すべての幼子と妻 を捕虜にし、家の中にあったものもすべて奪い取っ た。
30ヤコブはシメオンとレビに言った。「あなたがた はわたしを苦しめて、この地の住民、カナン人やペ リジ人の間でわたしを汚した。わたしは数が少ない のに、彼らは集まってわたしを攻め、わたしを殺す だろう。わたしもわたしの家も滅ぼされるだろ う。」
31彼らは言った、「彼は私たちの妹を遊女のように 扱うのですか」。
第35章
1神はヤコブに言われた、「立ってベテルへ行き、そ こに住みなさい。そして、あなたの兄弟エサウの前 から逃げたとき、あなたに現れた神のために、そこ に祭壇を築きなさい。」
2そこでヤコブは家族と、共にいるすべての者たちに 言った。「あなたがたのうちにある異国の神々を除 き去り、清くなり、衣服を着替えなさい。
3さあ、立ってベテルに上ろう。わたしはそこに、わ たしの苦難の日にわたしに答え、わたしの行く道中、 わたしとともにいてくださった神のために祭壇を築 こう。
4彼らは手にしていたすべての異国の神々と、耳につ けていたすべての耳輪をヤコブに与えた。ヤコブは それをシケムの近くの樫の木の下に隠した。
5彼らは旅を続けたが、周囲の町々には神の恐怖が臨 み、彼らはヤコブの子らを追わなかった。
6そこでヤコブは、彼と彼と共にいたすべての民とと もに、カナンの地にあるルズ、すなわちベテルに来 た。
7彼はそこに祭壇を築き、その場所をエルベテルと名 付けた。彼が兄の前から逃げたとき、神がそこに現 れたからである。
8しかし、リベカの乳母デボラは死に、ベテルの下に ある樫の木の下に葬られた。その木々の名はアロン・ バクテと呼ばれた。
9ヤコブがパダナラムから出てきたとき、神は再び彼 に現れて、彼を祝福した。
10神は彼に言われた、「あなたの名はヤコブである。 あなたの名はもうヤコブとは呼ばれない。あなたの 名はイスラエルとなる。」そして彼はその名をイス ラエルと名付けた。
11神は彼に言われた、「わたしは全能の神である。 生めよ、ふえよ。あなたから国民、諸国の民が生じ、 あなたの腰から王たちが出るであろう。
12わたしがアブラハムとイサクに与えた土地を、わ たしはあなたに与え、またあなたの後の子孫にもそ の土地を与える。
13神は彼と語っていた場所から彼のもとを去って行 かれた。
14ヤコブは神と語っていた場所に石の柱を立て、そ の上に酒のささげ物をささげ、油を注いだ。
創世記
15ヤコブは神が自分と語られた場所をベテルと名付 けた。
16彼らはベテルから旅立って、エフラタに着くまで あと少しのところであったが、ラケルは産みの苦し みを味わい、重労働をしていた。
17彼女がひどい産みの苦しみに遭ったとき、助産婦 は彼女に言った。「恐れることはありません。あな たもこの男の子を産むでしょう。」
18そして、彼女の魂が離れようとしていたとき(彼 女は死んだので)、彼女はその子をベノニと名付け た。しかし、父は彼をベニヤミンと名付けた。
19ラケルは死んで、エフラタ、すなわちベツレヘム へ行く道に葬られた。
20ヤコブは彼女の墓に柱を立てた。それは今日まで ラケルの墓の柱となっている。
21イスラエルは旅を続けて、エダルの塔の向こうに 天幕を張った。
22イスラエルがその地に住んでいたとき、ルベンは 父の妾ビルハのところに行って寝た。イスラエルは それを聞いた。ヤコブの息子は十二人であった。
23レアの子らは、ヤコブの長子ルベン、シメオン、 レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルンである。
24ラケルの子らはヨセフとベニヤミンである。
25ラケルの侍女ビルハの子らは、ダンとナフタリで ある。
26レアの侍女ジルパの子らはガドとアシェルである。 これらはパダナラムでヤコブに生まれた子らである。
27ヤコブは父イサクのもとへ、アブラハムとイサク が滞在していたアルバ、すなわちヘブロンの町マム レに来た。
28イサクの生涯は百八十年であった。
29イサクは息を引き取り、死に、年老いて満ちて、 その民に加えられた。そして、その息子のエサウと ヤコブが彼を葬った。
第36章
1エサウ、すなわちエドムの系図は次のとおりである。
2エサウはカナンの娘たちを妻にめとった。すなわち、 ヘテ人エロンの娘アダと、ヒビ人ツィブオンの娘ア ナの娘アホリバマである。
3イシュマエルの娘でネバヨトの姉妹であるバシェマ テ。
4そしてアダはエサウ・エリファズに裸になった。バ シェマトはレウエルを裸にした。
5アホリバマはエウシ、ヤラム、コラを産んだ。これ らはカナンの地でエサウに生まれた息子たちである。
6エサウは妻たち、息子たち、娘たち、家中のすべて の人々、家畜、すべての獣、カナンの地で得たすべ ての財産を連れて、兄ヤコブの前からその国へ帰っ て行った。
7彼らの富は、彼らが共に住めるほど多く、彼らが寄 留していた土地は、彼らの家畜のせいで、彼らを支 えることができなかった。
8こうしてエサウはセイル山に住んだ。エサウはエド ムである。
9セイル山地のエドム人の父祖エサウの系図は次のと おりである。
10エサウの息子たちの名は、エサウの妻アダの子エ リパズ、エサウの妻バセマテの子レウエルである。
11エリパズの子らはテマン、オマル、ゼフォ、ガタ ム、ケナズであった。
12ティムナはエサウの子エリパズの側室となり、エ リパズにアマレクの子を産んだ。これらはエサウの 妻アダの息子たちである。
13リウエルの子らは次のとおりである。ナハト、ゼ ラ、シャマ、ミザ。これらはエサウの妻バセマトの 子らである。
14これらは、ツィベオンの娘アナの娘で、エサウの 妻であったアホリバマの息子たちである。彼女はエ サウにエウシ、ヤラム、コラを産んだ。
15これらはエサウの子らの侯爵たちである。エサウ の長子エリパズの子らは、テマン侯爵、オマル侯爵、 ゼフォ侯爵、ケナズ侯爵、
16コラの公爵、ガタムの公爵、アマレクの公爵。こ れらはエドムの地でエリパズから出た公爵たちであ り、アダの子らであった。
17エサウの子レウエルの子らは、ナハテ公、ゼラ公、 シャマ公、ミザ公である。これらはエドムの地でレ ウエルから出た公爵たちである。これらはエサウの 妻バセマトの子らである。
18エサウの妻アホリバマの息子たちは次のとおりで ある。エウシュ侯、ヤラム侯、コラ侯。これらはエ サウの妻アナの娘アホリバマから出た侯たちである。
19これらはエドムのエサウの子らであり、彼らの侯 爵たちである。
20これらは、その地に住んでいたホリ人セイルの子 孫である。ロタン、ショバル、ツィブオン、アナ、
21ディション、エゼル、ディシャン。これらはエド ムの地のセイルの子孫であるホリ人の君主たちであ る。
22ロタンの子らはホリとヘマムであり、ロタンの姉 妹はティムナであった。
23ショバルの子らは次のとおりである。アルワン、 マナハテ、エバル、シェフォ、オナム。
24これらはツィベオンの子らである。アヤとアナで ある。このアナは父ツィベオンのろばを飼っていた とき、荒野でらばを見つけた者である。
25アナの子らは次のとおりである。ディションとア ナの娘アホリバマ。
26ディションの子孫は次のとおりである。ヘムダン、 エシュバン、イトラン、ケラン。
27エゼルの子らは次のとおりである。ビルハン、ザ アバン、アカン。
28ディシャンの子孫は次のとおりである。ウズとア ラン。
29これらはホリ人の出身の公たちである。ロタン公 爵、ショバル公爵、ジベオン公爵、アナ公爵、
創世記
30ディション公爵、エゼル公爵、ディシャン公爵。 これらはセイルの地のホリから出た公爵たちのうち の公爵たちである。
31イスラエルの子らの上に王が治める前に、エドム の地を治めていた王たちは次のとおりである。
32ベオルの子ベラがエドムを治めた。彼の町の名は ディナバといった。
33ベラが死に、ボツラのゼラの子ヨバブが彼に代わ って王となった。
34ヨバブが死に、テマニの地のフシャムが彼に代わ って王となった。
35フシャムが死に、モアブの野でミディアンを撃っ たベダドの子ハダドが彼に代わって王となった。彼 の町の名はアビトであった。
36ハダドが死に、マスレカのサムラが彼に代わって 王となった。
37サムラが死に、川沿いのレホボトのサウルが彼に 代わって王となった。
38サウルが死に、アクボルの子バアル・ハナンが彼に 代わって王となった。
39アクボルの子バアル・ハナンが死に、ハダルが彼に 代わって王となった。彼の町の名はパウであった。 彼の妻の名はメヘタベルといい、メザハブの娘マト レドの娘であった。
40エサウの子孫である侯爵たちの名は、氏族ごとに、 その地名によって、ティムナ侯爵、アルバ侯爵、エ テテ侯爵、
41アホリバマ公、エラ公、ピノン公、
42ケナズ公爵、テマン公爵、ミブザール公爵、
43マグディエル公爵、イラム公爵。これらはエドム の公爵たちであり、彼らの所有地の居住地に従って 名づけられた。彼はエドム人の父エサウである。
第37章
1ヤコブは父が寄留していた地、カナンの地に住んだ。
2これらはヤコブの系図である。ヨセフは十七歳で、 兄弟たちと共に羊の群れを飼っていた。その少年は 父の妻であるビルハの子らとジルパの子らと共にい たが、ヨセフは父に彼らの悪い噂を告げた。
3イスラエルはヨセフを他のどの子よりも愛した。ヨ セフは年老いてから生まれた子であったからである。
そしてヨセフのために長袖の着物を作った。
4兄弟たちは、父が他の兄弟たちよりもヨセフを愛し ているのを見て、ヨセフを憎み、穏やかに話すこと ができなかった。
5ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに語った。する と、彼らはますます彼を憎むようになった。
6そこで彼は彼らに言った、「わたしが見たこの夢を 聞いてください。
7というのは、私たちが畑で束を結んでいたとき、私 の束が起き上がってまっすぐに立ったのです。また、 あなたがたの束も周りに立って、私の束を敬ってい ました。
8兄弟たちは彼に言った。「あなたは本当に我々を治 めるのですか。本当に我々を支配するのですか。」 彼らは彼の夢と言葉のゆえに、ますます彼を憎んだ。
9彼はまた別の夢を見て、それを兄弟たちに語った。 「見よ、わたしはまたつの夢を見た。太陽と月と 十一の星がわたしを拝していた。」
10彼はそれを父と兄弟たちに話した。父は彼を叱っ て言った、「お前が見たその夢は、いったい何なの か。私とお前の母と兄弟たちが、地にひれ伏してお 前を拝むために、どうして来るのか。」
11彼の兄弟たちは彼をねたんだが、彼の父はその言 葉を守っていた。
12彼の兄弟たちはシケムで父の羊の群れを飼うため に出かけた。
13イスラエルはヨセフに言った。「あなたの兄弟た ちはシケムで羊の群れを飼っているではないか。さ あ、あなたを彼らのところへ遣わそう。」ヨセフは 言った。「はい、ここにおります。」
14ヨセフは彼に言った、「どうぞ行って、あなたの 兄弟たちと羊の群れとが無事であるかどうかを見て、 私に知らせなさい」。そこでヨセフは彼をヘブロン の谷から送り出し、彼はシケムに着いた。
15ある人が彼を見つけた。彼が野原をさまよってい たので、その人は彼に尋ねた。「何を探しているの ですか。」
16彼は言った、「わたしは同胞を捜している。彼ら がどこで羊の群れを飼っているのか、教えてくださ い」。
17するとその人は言った。「彼らはもう出発した。 彼らが『ドタンへ行こう』と言っているのを私は聞 いた。」そこでヨセフは兄弟たちの後を追って行き、 ドタンで彼らを見つけた。
18彼らは、イエスが彼らに近づく前に、遠くからそ れを見て、彼を殺そうと陰謀を企てた。
19彼らは互いに言った、「見よ、あの夢見る者が来 る」。
20さあ、彼を殺して穴に投げ込んで、悪い獣が彼を 食べたのだと言って、彼の夢がどうなるか見てみよ う。
21ルベンはそれを聞いて、彼らを手から救い出し、 「彼を殺さないようにしましょう」と言った。
22ルベンは彼らに言った。「血を流してはならない。 彼を荒野のこの穴に投げ入れ、彼に手を下してはな らない。そうすれば、彼を彼らの手から救い出し、 父のもとに返すことができるであろう。」
23ヨセフが兄弟たちのところへ来ると、彼らはヨセ フの着ていた長袖の上着を剥ぎ取った。
24彼らは彼を捕らえて穴に投げ込んだが、その穴は 空で、水はなかった。
25彼らは座ってパンを食べていたが、目を上げて見 ると、イシュマエル人の団がラクダに乗って香料、 乳香、没薬を運び、エジプトへ下って行くところだ った。
26ユダは兄弟たちに言った。「兄弟を殺して、その 血を隠しても、何の得があるだろうか。
創世記
27さあ、彼をイシュマエル人に売ろう。彼に手を下 してはならない。彼はわれわれの兄弟であり、肉親 なのだから。」彼の兄弟たちは満足した。
28そのとき、ミデアン人の商人たちが通りかかり、 ヨセフを穴から引き上げ、銀貨二十枚でイシュマエ ル人に売り渡し、ヨセフをエジプトに連れて行った。
29ルベンは穴に戻ってみると、ヨセフは穴の中にい なかった。そこでヨセフは衣服を引き裂いた。
30彼は兄弟たちのところに戻って言った、「その子 はもういない。わたしはどこへ行けばよいのだろ う」。
31彼らはヨセフの着物を取り、子やぎを殺して、そ の血に着物を浸した。
32そこで彼らはその長着を送り、それを父のところ に持って来て言った、「私たちはこれを見つけまし た。それがあなたの息子の長着であるかどうか、確 かめてください」。
33彼はそれを知って言った、「それは私の息子の着 物だ。悪い獣が彼を食い尽くしたのだ。ヨセフは確 かに引き裂かれたのだ。」
34ヤコブは衣服を引き裂き、腰に荒布をまとい、息 子のために何日も嘆き悲しんだ。
35彼の息子たち、娘たちは皆立ち上がって彼を慰め たが、彼は慰められることを拒み、こう言った。 「わたしは嘆きながら陰府に下って息子のもとに行 こう。」こうして彼の父は彼のために泣いた。
36そしてミディアン人は彼をエジプトのファラオの 役人で侍衛長であったポティファルに売り渡した。
第38章
1そのとき、ユダは同胞のもとを離れて、ヒラという 名のアドラム人のところへ行った。
2ユダはそこで、シュアという名のカナン人の娘を見 て、彼女をめとり、彼女のところに入った。
3彼女はみごもって男の子を産んだ。彼はその子をエ ルと名付けた。
4彼女はまたみごもって男の子を産み、その子をオナ ンと名付けた。
5彼女はまたみごもって男の子を産み、その子をシェ ラと名付けた。彼女がその子を産んだとき、彼はケ ジブにいた。
6ユダは長男エルにタマルという名の妻を迎えた。
7ユダの長子エルは主の目に悪かったので、主は彼を 殺された。
8ユダはオナンに言った。「あなたの兄の妻のところ に行って、彼女をめとり、あなたの兄のために子孫 をもうけなさい。」
9オナンはその子孫が自分のものにならないことを知 った。それで、彼は兄の妻のところに入ったとき、 子孫を兄に与えないように、それを地にこぼした。
10彼の行ったことは主の目に悪かったので、主は彼 をも殺された。
11そこでユダは嫁のタマルに言った。「私の息子シ ェラが成長するまでは、未亡人として父の家に留ま
りなさい。それは、彼も兄弟たちのように死ぬかも しれないから、と思ったからである。」そこでタマ ルは行って父の家に住んだ。
12時が経って、ユダの妻シュアの娘が死んだ。ユダ は慰められ、友人のアドラム人ヒラと共に羊の毛を 切る者たちのところへティムナへ上って行った。
13タマルに告げられた言葉は、「あなたの義父が羊 の毛を切るためにティムナへ上って行きます」とい うものでした。
14彼女は未亡人の衣服を脱ぎ捨て、ベールをかぶり、 身を包み、ティムナへの道のそばの野原に座った。 シェラが成人したのに、自分が妻として与えられな かったのを彼女は知っていたからである。
15ユダは彼女を見て、顔を覆っていたので、彼女を 遊女だと思った。
16彼は道で彼女のほうを向いて言った。「どうぞ、 あなたのところに行かせてください。」(彼は彼女 が自分の嫁であることを知らなかった)すると彼女 は言った。「私のところに来るには、何をください ますか。」
17そこで彼は言った、「わたしは群れの中から子や ぎをあなたに送ります」。すると彼女は言った、 「それを送るまで、私に保証を与えてくださいませ んか」。
18彼は言った、「何を保証物として差し上げましょ うか」。彼女は言った、「あなたの印章と、腕輪と、 あなたの手に持っている杖です」。彼はそれを彼女 に渡し、彼女のところに入り、彼女は彼によってみ ごもった。
19彼女は立ち上がって出て行き、垂れ幕を脱ぎ捨て て、寡婦の衣服を着けた。
20ユダは、その友人アドラム人の手に託した子やぎ を、その女の手から質物を受け取ろうと送ったが、 その女は見つからなかった。
21そこで彼はその場所の人々に尋ねた、「道端に公 然といた遊女はどこにいるか」。彼らは言った、 「この場所には遊女はいませんでした」。
22彼はユダに帰って言った、「私は彼女を見つける ことができません。」またその場所の人々も、この 場所には遊女はいないと言っていました。
23ユダは言った。「彼女にそれを取らせなさい。そ うしないと、私たちは恥をかくことになる。見よ、 私はこの子やぎを送ったのに、あなたはそれを見つ けられなかったのだ。」
24それから三か月ほどたって、ある人がユダに告げ た、「あなたの嫁タマルが淫行をしました。しかも、 淫行によって身ごもっています」。そこでユダは言 った、「彼女を連れ出し、焼き殺せ」。
25彼女は産まれたとき、しゅうとに人をやって、 『私は、これらのものをお持ちのあの人によって妊 娠しました』と言わせました。すると彼女は、『ど うぞ、これらの印章と腕輪と杖がだれのものか、お 調べください』と言いました。
26ユダはそれを認めて言った、「彼女は私よりも正 しい者だった。私は彼女を私の子シェラに与えなか
創世記 ったからだ」。そして彼は二度と彼女を知ることは なかった。
27そして、彼女が産みの苦しみを味わっているとき、 見よ、彼女の胎内には双子が宿っていた。
28彼女が産みの苦しみを味わったとき、ひとりの子 が手を伸ばしたので、助産婦は赤い糸を取ってその 子の手に結び付け、「これが最初に出たのです」と 言った。
29彼が手を引っ込めると、なんと、弟が出てきた。 彼女は言った、「どうして破れたのですか。この破 れ目はあなたのものです」。それで、彼の名はペレ ツと呼ばれた。
30その後、手に赤い糸をつけていた彼の兄弟が出て きた。その名はザラと呼ばれた。
第39章
1ヨセフはエジプトに連れて行かれたが、ファラオの 役人で侍衛長であったエジプト人ポティファルが、 彼をそこに連れて来たイシュマエル人の手から彼を 買い取った。
2主はヨセフとともにおられ、ヨセフは裕福な人とな り、エジプト人である主人の家に住んでいた。
3主人は主が彼とともにおられ、主が彼の手にあるす べての事を成功させてくださるのを見た。
4ヨセフは主の前に恵みを得て、主に仕え、主はヨセ フを家の管理人に任命し、自分の持つすべてのもの を彼の手に委ねた。
5ヨセフがエジプト人の家とすべての所有物の管理者 に任命された時から、主はヨセフのゆえにエジプト 人の家を祝福された。主の祝福は家と畑にあるすべ ての所有物に及んだ。
6彼は自分の所有物をみなヨセフの手に託した。彼は 自分が食べるパンのほかは、何も持っていなかった。
ヨセフは容姿端麗で、容姿の美しい人であった。
7これらの事の後、主人の妻はヨセフを見て言った、 「私と寝なさい」。
8しかし彼は拒んで、主人の妻に言った、「ごらんな さい。主人は家の中でわたしが何をしているかご存 じなく、持ち物をみなわたしの手にゆだねておられ るのです。
9この家には私より偉大な者はいません。また、彼は 私に対して何も隠していません。ただ、あなたは彼 の妻だからです。どうして私はこのような大きな悪 事を行って、神に対して罪を犯すことができましょ うか。
10そして、彼女が毎日ヨセフに話しかけても、ヨセ フは彼女の言うことを聞かず、彼女のそばに寝るこ とも、彼女と緒にいることもしなかった。
11ちょうどそのころ、ヨセフは用事を済ませるため に家に入ったが、家の中には家の者はだれもいなか った。
12彼女は彼の着物をつかんで、「わたしと寝なさ い」と言ったので、彼は着物を彼女の手に残して逃 げ出し、それを引きずり出した。
13彼女は彼が着物を彼女の手に残して逃げ去ったの を見て、
14そこで彼女は家の者たちを呼んで言った、「ごら んなさい、彼はわたしたちをあざけるためにヘブル 人を連れてきたのです。彼はわたしのところに来て、 わたしと寝たので、わたしは大声で叫びました。
15そして、わたしが声をあげて叫ぶのを聞いて、彼 は着物をわたしに残して逃げ出し、外に出て行きま した。
16そして彼女は、主人が家に帰るまで、彼の衣服を 自分のそばに保管した。
17彼女は次のように彼に言った、「あなたが私たち のところに連れて来られたヘブル人の奴隷が、私を 嘲るために私のところに来ました。
18そして私が声を上げて叫ぶと、彼は着物を私に残 して逃げ去った。
19主人は妻が、「しもべはわたしにこんなことをし たのです」と言ったのを聞いて、怒りを燃やした。
20ヨセフの主人は彼を捕らえて、王の囚人がつなが れていた監獄に入れた。ヨセフは監獄の中にいた。
21しかし主はヨセフと共におられ、彼に慈悲を施し、 監獄の看守の目にヨセフの恵みを与えた。
22獄吏は獄吏の中にいる囚人をみなヨセフの手にゆ だねた。獄吏がそこですることはすべてヨセフが行 なった。
23監獄の看守は自分の手にあることを何も気に留め なかった。主が彼とともにおられ、彼の行うことを 主が成功させられたからである。
第40章
1これらの事の後、エジプト王の給仕役と料理役が、 主君であるエジプト王に罪を犯した。
2ファラオは、その家臣のうちの二人、すなわち給仕 役の長とパン焼き役の長に対して激怒した。
3そして彼は彼らを侍衛長の家の牢獄、すなわちヨセ フが縛られていた場所に閉じ込めた。
4侍衛長はヨセフに彼らの管理を任せ、ヨセフは彼ら に仕えた。そして彼らはしばらく侍衛の任務につい た。
5獄につながれていたエジプト王の給仕役と料理役は 二人とも夢を見た。夜のうちに、それぞれ夢を見 たが、その夢の解釈はそれぞれそのとおりであった。
6朝になってヨセフが彼らのところに来て、彼らを見 ると、彼らは悲しんでいた。
7彼は、主君の家の執務室で共にいたファラオの家臣 たちに尋ねた。「なぜ、きょうはそんなに悲しそう な顔をしているのですか。
8彼らはヨセフに言った、「私たちは夢を見ましたが、 それを解き明かす者がいません」。ヨセフは彼らに 言った、「解き明かしは神のものではありませんか。 どうぞ、それを私に教えてください」。
9給仕役の長はヨセフにその夢を話して言った、「わ たしの夢の中に、本のぶどうの木がありました。
創世記
10ぶどうの木には三つの枝があり、芽を出し、花を 咲かせ、その房には熟したぶどうの実がなった。
11わたしはパロの杯を手にしていた。わたしはぶど うを取ってパロの杯に絞り、その杯をパロの手に渡 した。
12ヨセフは彼に言った、「その解釈はこうです。三 つの枝は三日です。
13しかし三日のうちに、ファラオはあなたの頭を上 げて、あなたを元の地位に復帰させるであろう。そ して、あなたは、かつて給仕役であったときのやり 方に従って、ファラオの杯を彼の手に渡すであろう。
14しかし、あなたの身に幸いが訪れたときには、ど うかわたしのことを思いやってください。そして、 わたしに親切を施し、ファラオにわたしのことを伝 え、この家からわたしを連れ出してください。
15実に、わたしはヘブライ人の地から盗み出され、 ここでも、地下牢に入れられるようなことは何もし ていません。
16パン焼き長は、その解釈が良かったのを見て、ヨ セフに言った。「わたしも夢を見ていたのですが、 わたしの頭には三つの白いかごがありました。
17そして番上の籠には、ファラオのために焼いた あらゆる種類の食べ物が入っていた。そして鳥たち は、わたしの頭の上の籠からそれを食べた。
18ヨセフは答えて言った、「その解釈はこうです。
三つのかごは三日です。
19しかし三日のうちに、ファラオはあなたの頭をあ なたから持ち上げ、あなたを木に掛けるであろう。 そして鳥があなたの肉を食べるであろう。
20三日目、すなわちファラオの誕生日に、彼は家来 たち全員のために宴会を催した。そして家来たちの うち、給仕役の長と料理役の長の頭を高く掲げた。
21そして彼は給仕役長を給仕の職に復帰させ、杯を ファラオの手に渡した。
22しかし彼は、ヨセフが彼らに解き明かしたとおり、 料理役の長を木に掛けた。
23しかし、給仕役長はヨセフのことを思い出さず、 忘れてしまった。
第41章
1二年が過ぎて、ファラオは夢を見た。彼は川のほと りに立っていた。
2すると、川から美しい肥えた雌牛七頭が上がって来 て、牧草地で草を食んでいた。
3すると、見よ、他の七頭の雌牛が、そのあとから川 から上がって来た。その雌牛は、醜くて、やせ細っ ており、川岸で他の雌牛のそばに立っていた。
4そして、醜くてやせ細った牛が、醜くて肥えた七頭 の牛を食べてしまった。そこでファラオは目を覚ま した。
5彼は眠って二度目に夢を見た。すると、本の茎に 七つの穂が生えていた。それは良い良い実であった。
6すると、見よ、東風に枯れた七つの細い穂がその後 から生え出た。
7そして、七つのやせた穂が、七つの生い茂った穂を 食い尽くした。ファラオは目を覚ました。それは夢 であった。
8朝になって、ファラオは心を騒がせたので、人をや ってエジプトのすべての魔術師と賢者を呼ばせた。 ファラオは彼らに夢を語ったが、それをファラオに 解き明かせる者はひとりもいなかった。
9そこで、給仕役長はファラオに言った。「わたしは 今日、自分の罪を思い出しました。
10ファラオは家来たちに怒り、私とパン焼き長を侍 衛長の家に監禁した。
11そして、わたしと彼は、一夜にして夢を見ました。 私たちはそれぞれ、その夢の解釈に従って夢を見ま した。
12そこには、侍衛長の召使いであるヘブル人の若者 が私たちと緒にいたので、私たちは彼に夢を話し ました。彼は私たちの夢をそれぞれに解き明かしま した。
13そして、彼が私たちに解き明かしたとおりになっ た。彼は私を元の職に復帰させ、彼を木に掛けたの だ。
14そこでファラオは人をやってヨセフを呼び寄せ、 急いで彼を地下牢から連れ出した。ヨセフはひげを そり、着物を着替えてファラオのもとへ行った。
15ファラオはヨセフに言った。「わたしは夢を見た が、それを解き明かす者はいない。しかし、あなた については、夢を理解して解き明かすことができる と聞いている。」
16ヨセフはファラオに答えて言った。「それは私に は無理です。神がファラオに平和の答えを与えてく ださるでしょう。」
17ファラオはヨセフに言った。「わたしは夢の中で 川岸に立っていた。
18すると、川から肥えた美しい七頭の雌牛が上がっ て来て、牧場で草を食んでいた。
19すると、見よ、他の七頭の雌牛が彼らの後から上 って来た。それらは貧弱で、非常に容姿が悪く、痩 せており、エジプト全土でこれほどひどい姿を見た こともないようなものであった。
20そして、やせ細った醜い牛が、最初の七頭の肥え た牛を食べてしまった。
21そして、彼らがそれを食べてしまったとき、彼ら がそれを食べたことが分からないほどでした。しか し、彼らは初めと同じように、依然として醜い状態 でした。そこで私は目を覚ましました。
22わたしは夢の中で見たが、見よ、一つの茎から七 つの穂が出て、豊かで良い穂であった。
23すると、見よ、その後に、枯れて、やせ細って、 東風に枯れた七つの穂が生え出た。
24そして、そのやせた穂が七つの良い穂を食い尽く した。私はそのことを魔術師たちに話したが、それ を私に説明できる者は一人もいなかった。
25ヨセフはファラオに言った。「ファラオの夢は つです。神はファラオに、これからなそうとするこ とをお示しになりました。」
創世記
26七頭の良い牛は七年、七つの良い穂も七年。夢は つである。
27その後に現れた七頭のやせ細った醜い雌牛は七年 であり、東風に枯れた七つの穂は七年の飢饉である。
28これは私がファラオに語った事である。神がなそ うとしていることを、彼はファラオに告げる。
29見よ、エジプト全土に七年間の大豊作が訪れる。
30その後、七年間の飢饉が起こり、エジプトの国で は豊作はことごとく忘れ去られ、飢饉が国を滅ぼす であろう。
31そして、その後に起こる飢きんのせいで、その豊 作は国中に知られることはなくなる。それは非常に ひどいものとなるからである。
32ファラオの夢が二度繰り返されたのは、その事が 神によって定められたからであり、神がすぐにそれ を実現させるからである。
33それゆえ、ファラオは思慮深くて賢い人を選び、 エジプトの国を治めるようにしなさい。
34ファラオはこれを実行し、国の上に役人を任命し、 豊作の七年間にエジプトの国土の五分のを占領さ せなさい。
35そして、彼らにこれから来る豊作の年の食糧をす べて集めさせ、穀物をファラオの手の下に蓄えさせ、 町々に食糧を蓄えさせなさい。
36その食糧は、エジプトの国に起こる七年間の飢饉 に備えて国に備蓄され、国が飢饉で滅びることがな いようにするためである。
37このことは、ファラオとその家臣たちの目には良 いことであった。
38ファラオは家来たちに言った。「神の霊が宿って いるこのような人を、私たちは見つけることができ ようか。」
39ファラオはヨセフに言った。「神があなたにこれ らすべてを示されたのだから、あなたのように思慮 深く、賢い者はいない。
40あなたはわたしの家を治め、わたしの民は皆、あ なたの言葉に従って治められるでしょう。ただ王座 においてのみ、わたしはあなたよりも偉大です。
41ファラオはヨセフに言った。「見よ、わたしはあ なたをエジプト全土の統治者に任命する。」
42ファラオは自分の手から指輪を外してヨセフの手 にはめ、亜麻布の衣服を着せ、金の首飾りを彼の首 にかけさせた。
43そして彼は彼を自分の第二の戦車に乗せ、人々は 彼の前で「ひざまずけ」と叫んだ。そして彼は彼を エジプト全土の支配者にした。
44ファラオはヨセフに言った。「わたしはファラオ である。あなたなしには、エジプト全土で、だれも 手足を上げることはできない。」
45ファラオはヨセフの名をザフナテ・パネアと名付け、 オンの祭司ポティフェラの娘アセナテを妻として与 えた。ヨセフはエジプト全土を巡り歩いた。
46ヨセフがエジプトの王パロの前に立ったとき、彼 は三十歳であった。ヨセフはパロの前から出て、エ ジプト全土を巡った。
47そして豊作の七年間に、地は手に握るほどの産物 を産み出した。
48彼はエジプトの地にあった七年間の食糧を全部集 めて、その食糧を町々に貯蔵した。また、町々の周 囲にある畑の食糧も、その町々に貯蔵した。
49ヨセフは海の砂のように多くの穀物を集めたので、 数えるのをやめた。それは数えきれないほどであっ た。
50飢饉の年が来る前に、ヨセフに二人の息子が生ま れた。それはオンの祭司ポティフェラの娘アセナテ が産んだものであった。
51ヨセフは長子の名をマナセと名付けた。「神はわ たしの労苦と父の家のことをすべて忘れさせてくだ さった。」
52二番目の子の名はエフライムと呼ばれた。神はわ たしの苦難の地でわたしを豊かにしてくださったか らである。
53こうしてエジプトの地にあった七年間の豊作は終 わった。
54そして、ヨセフが言ったとおり、七年間の飢饉が 始まりました。飢饉はすべての国々に起こりました が、エジプト全土にパンがありました。
55エジプト全土が飢えたとき、民はパロにパンを求 めて叫んだ。パロはすべてのエジプト人に言った。 「ヨセフのところへ行き、彼があなたたちに言うこ とを実行せよ。」
56そして飢饉が全地に広がったので、ヨセフはすべ ての倉庫を開けてエジプト人に売り渡した。そして 飢饉はエジプトの国で激しくなった。
57そして、飢饉がすべての国々でひどくなったので、 すべての国々が穀物を買うためにエジプトのヨセフ のもとにやって来た。
第42章
1ヤコブはエジプトに穀物があるのを見て、息子たち に言った。「なぜ、おたがいに顔を見合わせるのか。
2彼は言った、「見よ、エジプトに穀物があると聞い た。そこに下って行って、そこから私たちのために 買ってきなさい。そうすれば、私たちは生きること ができ、死なないだろう」。
3ヨセフの十人の兄弟は穀物を買うためにエジプトへ 下って行った。
4しかし、ヤコブはヨセフの兄弟ベニヤミンを兄弟た ちと一緒に遣わさなかった。それは、彼に災いが降 りかかるかもしれないと思ったからである。
5イスラエルの子らは、カナンの地に飢饉があったの で、来た者たちの中に混じって穀物を買いに来た。
6ヨセフはその地の総督であり、その地のすべての民 に物を売っていた。ヨセフの兄弟たちは来て、地に 顔を伏せて彼の前にひれ伏した。
7ヨセフは兄弟たちを見て、それが誰であるかはわか ったが、彼らにはなじみのない態度をとり、彼らに 乱暴に話しかけ、彼らに言った。「あなたたちはど
創世記 こから来たのか。」彼らは言った。「カナンの地か ら食糧を買うために来たのです。」
8ヨセフは兄弟たちを知っていたが、彼らはヨセフを 知らなかった。
9ヨセフは彼らについて見た夢を思い出して、彼らに 言った。「あなたたちはスパイだ。この国のありの ままを見に来たのだ。」
10彼らは言った、「いいえ、ご主人様、しもべたち は食物を買うために来たのです」。
11わたしたちは皆、同じ人の息子です。わたしたち は誠実な人です。あなたのしもべたちはスパイでは ありません。
12彼は彼らに言った、「いいえ、あなたがたはその 地の裸を見るために来たのです。」
13彼らは言った、「あなたのしもべらは十二人の兄 弟で、カナンの地に住むひとりの人の息子です。末 の子は今日父と一緒にいますが、一人はいません」。
14ヨセフは彼らに言った。「わたしはあなたがたに、 スパイだ、と言ったのだ。
15これによってあなたたちは試される。あなたたち の末の弟がここに来ない限り、あなたたちはここか ら出ることはできない。
16あなたたちのうちの一人を遣わして、兄弟を連れ て来させなさい。あなたたちは牢に入れられて、あ なたたちの言葉が真実かどうか確かめられるだろう。
そうでないなら、ファラオの命にかけても、あなた たちは間違いなくスパイだ。
17そして彼は彼ら全員を三日間監禁した。
18ヨセフは三日目に彼らに言った。「これを行えば 命が助かります。私は神を恐れます。
19もしあなたがたが誠実な人であるなら、あなたが たの兄弟の人をあなたがたの監獄の家に縛り付け ておきなさい。あなたがたは行って、あなたがたの 家の飢きんのために穀物を運びなさい。
20しかし、あなたの末の弟を私のところに連れて来 なさい。そうすれば、あなたの言葉は証明され、あ なたたちは死なないであろう。」彼らはそのように した。
21彼らは互いに言った。「私たちは、兄弟に関して 確かに罪を犯しました。彼が私たちに懇願したとき、 私たちは彼の心の苦しみを見ていたのに、聞き入れ なかったのです。それで、このような苦難が私たち に臨んだのです。」
22ルベンは彼らに答えて言った。「わたしはあなた がたに、『その子に対して罪を犯してはならない』 と言ったではないか。あなたがたは聞き入れなかっ たのか。それゆえ、彼の血も要求されるのだ。」
23彼らはヨセフが彼らの言っていることを理解して いることを知らなかった。なぜなら彼は通訳を通し て彼らに話したからである。
24そこで彼は彼らから身を翻して泣き、また彼らの ところに戻って彼らと語り、シメオンを彼らから引 き離して、彼らの目の前で縛った。
25そこでヨセフは、彼らの袋に穀物を満たし、各人 の金を袋に戻し、旅の糧食を与えるように命じた。 そしてヨセフは彼らにそのとおりにした。
26彼らは穀物をロバに積んでそこから出発した。
27彼らのうちのひとりが宿屋でろばに飼葉を与えよ うとして袋を開けると、金が袋の口の中に入ってい た。
28彼は兄弟たちに言った、「わたしの銀が返されま した。見よ、それはわたしの袋の中にあります」。 彼らは気が狂いそうになり、恐れて、互いに言った、 「神はいったい何事をなさったのだろう」。
29彼らはカナンの地にいる父ヤコブのもとに行き、 自分たちに起こったすべてのことを彼に告げて言っ た。
30その地の領主である男は、私たちに厳しい言葉を かけ、私たちを国のスパイだと思ったのです。
31そこで我々は彼に言った、「我々は真実の人間で す。スパイではありません。
32私たちは十二人の兄弟で、父の息子です。人は 亡くなりました。末の子は今、父とともにカナンの 地にいます。
33そして、その地の領主である人が私たちに言いま した。「こうして私はあなたたちが誠実な人々であ ることを知るでしょう。兄弟の一人をここに残し、 家族の飢えを補う食糧を持って出て行きなさい。
34そして、あなたの末の弟をわたしのところに連れ て来なさい。そうすれば、あなたがたがスパイでは なく、誠実な人であることが分かる。そうすれば、 わたしはあなたがたの弟をあなたに引き渡し、あな たがたはその地で商売をすることができる。
35彼らが袋の中身を空けてみると、見よ、各人の袋 の中には金の包みが入っていた。彼らも父親もその 金の包みを見て恐れた。
36父ヤコブは彼らに言った。「あなたたちはわたし から子どもたちを奪い去った。ヨセフはいなくなり、 シメオンもいなくなり、あなたたちはベニヤミンを 奪おうとしている。これらすべてのことはわたしに 不利なことだ。」
37ルベンは父に言った。「もし私が彼をあなたのも とに連れて来ないなら、私の二人の息子を殺してく ださい。彼を私の手に渡してください。私は彼をあ なたのもとに連れて帰ります。」
38彼は言った、「私の息子はあなたたちと緒に下 ってはいけません。彼の兄弟は死んで、彼は人残 されたのです。もしあなたがたが行く道で彼に災い が起こったら、あなたたちは私の白髪を悲しみとと もに陰府に下らせることになるでしょう。」
第43章
1そして、その国にはひどい飢きんが起こった。
2彼らがエジプトから持ち帰った穀物を食べ尽くした とき、父は彼らに言った。「もう度行って、わた したちのために少しの食物を買ってきなさい。」
創世記
3ユダは彼に言った、「あの人は私たちに厳粛に戒め て、『あなたの兄弟が緒にいなければ、私の顔を 見ることはできない』と言いました。
4もしあなたが私たちの兄弟を私たちと緒に送って 下さるなら、私たちは下って行ってあなたのために 食物を買いに行きましょう。
5しかし、もしあなたが彼を遣わさないなら、私たち は下って行きません。その人は私たちに、「あなた の兄弟が緒にいなければ、私の顔を見ることはで きない」と言ったのです。
6イスラエルは言った。「なぜあなたたちはわたしに ひどい仕打ちをして、まだ兄弟がいるかどうかをそ の人に告げたのか。
7彼らは言った、「あの人は、わたしたちの身分や親 族のことを厳しく尋ねて、『父はまだ生きているか。 もうひとりの兄弟はいるか』と言ったので、わたし たちは言葉どおりに答えたのです。その人が、『兄 弟を連れて来なさい』と言うとは、わたしたちには わかりませんでした」。
8ユダは父イスラエルに言った。「その子を私と緒 に行かせてください。私たちは立って行きましょう。 そうすれば、私たちもあなたも、また私たちの子供 たちも、生き延びて死なないでしょう。」
9わたしは彼の保証人となる。あなたはわたしの手か ら彼を要求しなければならない。もしわたしが彼を あなたのもとに連れて来ず、あなたの前に立たせな いなら、わたしは永久にその罪を負うであろう。
10もし私たちがぐずぐずしていなかったら、今頃私 たちは二度目には戻っていたでしょう。
11父イスラエルは彼らに言った、「もし今そうしな ければならないのなら、こうしなさい。その地の最 も良い果物を器に入れて、その人に贈り物として、 少しの乳香、少しの蜂蜜、香料、没薬、木の実、ア ーモンドを持って行きなさい。
12あなたは二倍の銀を手に持って行きなさい。また、 袋の口に戻された銀も、また手に持って行きなさい。 それは、もしかしたら、見落としだったのかもしれ ない。
13あなたの弟も連れて、立ち上がって、もう度そ の人のところへ行きなさい。
14万軍の神が、その人の前にあなたに慈悲を与え、 あなたのもう人の兄弟とベニヤミンとを去らせて くださいますように。もし私が子供たちを失うなら、 私は失うのです。
15そこで、その人々は贈り物を受け取り、二倍の銀 を手に取り、ベニヤミンと共に立ってエジプトへ下 り、ヨセフの前に立った。
16ヨセフはベニヤミンが彼らと緒にいるのを見て、 家のつかさに言った。「この人たちを家に連れてき て、屠って準備しなさい。この人たちは昼に私と 緒に食事をすることになるのです。」
17その人はヨセフの命じたとおりにして、その人々 をヨセフの家に連れて行った。
18その人たちは、ヨセフの家に連れて来られたので 恐れて言った。「わたしたちが連れて来られたのは、
最初袋に入れて返された金のためだ。彼はわたした ちを攻撃する機会をうかがい、襲い、わたしたちと ろばを奴隷として捕らえるだろう。」
19彼らはヨセフの家の管理人に近づき、家の入口で 彼と話し合った。
20そして言った。「主よ、私たちは確かに最初は食 糧を買うために下って来たのです。
21さて、宿屋に着いて袋を開けてみると、各人の金 が袋の口にあって、私たちの金も全部の重さで入っ ていた。それで私たちはそれを手に持って帰った。
22また、私たちは食物を買うために、ほかの金も手 に持って下りてきました。私たちの袋に金を入れた のはだれか分かりません。
23彼は言った、「安心しなさい。恐れることはあり ません。あなたの神、あなたの父の神が、あなたの 袋の中に宝物をお与えになったのです。あなたの銀 は私が持っています。」そして彼はシメオンを彼ら のところへ連れ出した。
24そこでその人は彼らをヨセフの家に連れて行き、 彼らに水を与えて足を洗わせ、またロバに飼葉を与 えた。
25彼らは、ヨセフが正午に来るのに備えて贈り物を 用意した。そこで食事をすることになっていると聞 いていたからである。
26ヨセフが家に帰ると、彼らは手に持っていた贈り 物を家に持ち帰り、地にひれ伏してヨセフに拝礼し た。
27そこでイエスは彼らに安否を尋ねて言った、「あ なたがたの父、あなたがたが話していたあの老人は 元気ですか。まだ生きておられますか」。
28彼らは答えた、「あなたのしもべである父は元気 で、まだ生きております」。そして彼らは頭を下げ て拝礼した。
29彼は目を上げて、母の子である弟ベニヤミンを見 て言った。「これは、あなたがたが私に話していた あなたの弟ですか。」彼は言った。「わが子よ、神 があなたに恵みを与えてくださいますように。」
30ヨセフは急いで行った。心の底から兄を慕ってい たからである。そして泣く場所を捜し、自分の部屋 に入ってそこで泣いた。
31そこで彼は顔を洗って出て行き、自分を戒めて、 「パンを食べなさい」と言った。
32そこで彼らは、ヨセフひとりのために出発し、彼 らのために出発し、またヨセフとともに食事をする エジプトびとのために出発し、それぞれ別に出発し た。エジプトびとはヘブルびととともにパンを食べ ることはできなかったからである。それはエジプト びとにとって忌まわしいことであった。
33彼らは、長子は長子の権利に従って、末子は年少 の権利に従って、彼の前に座った。そして人々は互 いに驚いた。
34彼は自分の前から彼らに食事を与えたが、ベニヤ ミンの食事は他のどの食事の五倍もあった。彼らは 酒を飲んで、彼とともに楽しんだ。
創世記
第44章
1そこで彼は家の管理人に命じて言った、「彼らの袋 に、運べるだけ食糧を満たし、各人の金を袋の口に 入れなさい。」
2そして、わたしの杯、すなわち銀の杯を末の子の袋 の口に入れ、また穀物の代金も入れた。そして、末 の子はヨセフが言った言葉どおりにした。
3朝が明けるとすぐに、その男たちとロバたちは出発 した。
4彼らが町を出て、まだ遠くないうちに、ヨセフは家 令に言った。「立って、あの人たちの後を追って行 きなさい。追いついたら、こう言いなさい。『なぜ、 善に代えて悪を報いたのですか。』
5これは、わが主が飲むもの、また占いをするもので はございませんか。あなたがたはこのようにして悪 事を働いています。
6そしてイエスは彼らに追いついて、同じ言葉を彼ら に語った。
7彼らは言った、「わが主はなぜこれらのことを言わ れるのですか。あなたのしもべたちがこのようなこ とをすることなど、決してありません。
8見よ、われわれは袋の口の中にあった銀をカナンの 地からあなたのところに持ち帰った。それなのにど うして、あなたの主人の家から銀や金を盗むことが できようか。
9あなたの家来のうちのだれかにそれが見つかったら、 その者を二人とも死なせてください。そして私たち も主君の奴隷となります。
10そこで彼は言った、「今もまた、あなたがたの言 葉どおりにしてください。それが見つかった者は私 の奴隷となります。あなたがたは罪のない者となり ます。」
11そこで彼らは、それぞれ自分の袋を素早く地面に 降ろし、それぞれ自分の袋を開けた。
12彼は捜し、年長者から始めて年少者から捜した。 すると、杯はベニヤミンの袋の中に見つかった。
13そこで彼らは衣服を引き裂き、それぞれ自分のろ ばに荷物を積んで町へ帰った。
14ユダとその兄弟たちはヨセフの家に着いた。ヨセ フはまだそこにいた。彼らは彼の前で地にひれ伏し た。
15ヨセフは彼らに言った。「あなたたちはいったい 何をしたのか。わたしのような人間なら、きっと占 いができるのに、あなたたちは知らないのか。」
16ユダは言った、「私たちは主君に何と言えばよい でしょうか。私たちは何を話せばよいでしょうか。
あるいは、どのように私たちの罪を償えばよいでし ょうか。神はあなたのしもべたちの罪を見つけ出さ れました。ごらんなさい、私たちは主君のしもべで す。私たちも、杯が見つかったあの者も。」
17彼は言った、「そんなことは決していたしません。 しかし、杯を手に持っている人が私の召使いとなり ます。あなたは、安心して父のもとへ行きなさ い。」
18するとユダは彼に近づいて言った。「ああ、わが 主よ、どうかしもべに、わが主の耳にひと言告げさ せてください。そして、しもべに対して怒りを燃や さないでください。あなたはファラオのような方な のですから。」
19主君は家来たちに尋ねて言った、「あなたたちに 父や兄弟はいますか。」
20そこで私たちは主人に言いました、「私たちには 年老いた父と、年老いた幼い子がいます。その子の 兄弟は死に、母からは彼だけが残されており、父は 彼を愛しています。」
21あなたは家来たちに、『彼をわたしのところに連 れて来なさい。わたしは彼を見よう』と言われまし た。
22そこで私たちは主人に言いました。「その子は父 のもとを離れることはできません。もし父のもとを 離れれば、父は死んでしまうでしょう。」
23あなたは家来たちにこう言われました。「末の弟 があなたたちと緒に下って来なければ、あなたた ちはもうわたしの顔を見ることはできないでしょ う。」
24そして、わたしたちがあなたの僕である父のもと へ行ったとき、わたしたちは主の言葉を父に告げま した。
25父は言いました。「もう度行って、わたしたち に少しの食べ物を買ってきなさい。」
26そこで私たちは言いました、「私たちは下って行 くことはできません。末の弟が私たちと緒なら、 私たちは下って行きます。末の弟が私たちと一緒で なければ、私たちはその人の顔を見ることができな いからです。」
27あなたの僕である私の父は私たちに言いました、 「あなたがたは私の妻が二人の息子を産んだことを 知っているでしょう。
28そして、そのひとりがわたしから出て行ったので、 わたしは、「確かに彼は引き裂かれたのだ」と言い ました。そして、それ以来、わたしは彼を見ていま せん。
29あなたがたがこれをも私から奪い、彼に災いが降 りかかるなら、あなたがたは白髪の私を悲しみとと もに墓に下らせるであろう。
30ですから、今、私があなたのしもべである父のも とに行くとき、その子は私たちと緒にいません。 父の命はその子の命にかかっているからです。
31彼がその子が私たちと緒にいないのを見たら、 彼は死ぬでしょう。そしてあなたのしもべたちは、 あなたのしもべである私たちの父の白髪を悲しみな がら墓に下らせるでしょう。
32しもべは父に対してその子の保証人となり、『も し私が彼をあなたのところに連れて来なかったら、 私は父に対して永久に罪を負うことになります』と 言いました。
33それで、どうぞ、このしもべをその子の代わりに 主人の奴隷として留まらせてください。そしてその 子を兄弟たちと緒に上らせてください。
創世記
34子供が私と一緒にいないのに、どうして父のもと へ行けましょうか。父に降りかかる災いを、私が見 てしまうかもしれません。
第45章
1そのとき、ヨセフはそばに立っているすべての人々 の前で我慢できず、叫んだ。「みんなわたしから出 て行ってください。」ヨセフが兄弟たちに自分を知 らせている間、彼とともに立っている者は一人もい なかった。
2彼は声を上げて泣いた。エジプト人とファラオの家 はそれを聞いた。
3ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしはヨセフです。 父はまだ生きておられますか。」兄弟たちはヨセフ の前で動揺し、答えることができなかった。
4ヨセフは兄弟たちに言った。「どうぞ、私のところ に来てください。」彼らは近寄った。ヨセフは言っ た。「私はあなたがたがエジプトに売った、あなた がたの兄弟ヨセフです。」
5ですから、あなたがたはわたしをここに売ったこと を悲しんだり、腹を立てたりしてはいけません。神 は命を救うために、あなたがたより先にわたしを遣 わされたのです。
6この二年間、この国には飢饉があった。さらに五年 間は、収穫も収穫もない。
7神はわたしをあなたたちの前に遣わし、あなたたち の子孫を地上に残し、大いなる救いによってあなた たちの命を救うようにされたのです。
8ですから、わたしをここにつかわしたのは、あなた がたではなく、神なのです。神はわたしをファラオ の父、その家全体の主人、エジプト全土の支配者と されました。
9急いで父のところへ行き、父に言いなさい。『あな たの子ヨセフはこう言っています。神は私をエジプ ト全土の主とされました。私のところに下って来な さい。とどまらないでください。
10あなたはゴシェンの地に住み、あなたとあなたの 子供たち、あなたの子供たちの子供たち、あなたの 羊の群れ、牛の群れ、およびあなたが所有するすべ てのものは、わたしの近くに住みなさい。
11そこでわたしはあなたを養うであろう。まだ五年 間の飢きんが続くからである。あなたとあなたの家 族、およびあなたが持っているすべてのものが貧し くなることのないように。
12見よ、あなたの目と私の兄弟ベニヤミンの目は、 私があなたに話していることを見ています。
13あなたがたはわたしの父に、エジプトでのわたし の栄誉と、あなたがたが見たすべてのことを告げ、 急いで父をここへ連れて来なさい。
14彼は弟ベニヤミンの首を抱いて泣いた。ベニヤミ ンも彼の首を抱いて泣いた。
15彼はまた兄弟たち全員に口づけして、彼らのため に泣いた。その後、兄弟たちは彼と話し合った。
16ヨセフの兄弟たちが来たという噂がファラオの家 に広まり、ファラオとその家臣たちは喜んだ。
17ファラオはヨセフに言った。「兄弟たちにこう言 いなさい。『家畜に荷を積ませてカナンの地へ行き なさい。
18あなたがたの父と家族を連れてわたしのもとに来 なさい。わたしはエジプトの地の良いものをあなた がたに与えよう。あなたがたはその地の豊かなもの を食べるであろう。
19今、あなたに命じられていることは、こうするこ とです。あなたがたの子供たちと妻たちのために、 荷車をエジプトの国から出し、あなたがたの父を連 れて来て、来なさい。
20また、あなたの財産に気を配ってはならない。エ ジプト全土の利益はあなたのものだからである。
21イスラエルの人々はそうした。ヨセフはファラオ の命令に従って彼らに車を与え、また旅の糧を与え た。
22彼は彼ら全員にそれぞれ晴れ着を与えたが、ベニ ヤミンには銀三百枚と晴れ着五着を与えた。
23そして彼は父に、エジプトの良い物を積んだろば 十頭と、道中の父のために穀物、パン、肉を積んだ 雌ろば十頭を送った。
24そこで彼は兄弟たちを送り出し、彼らは出発した。 そして彼は彼らに言った、「途中で落ちないように 気をつけなさい。」
25彼らはエジプトから出て、カナンの地の父ヤコブ のもとに来た。
26彼らは彼に言った、「ヨセフはまだ生きていて、 エジプト全土を統治している」。ヤコブは彼らを信 じなかったので、心が弱り果てた。
27彼らはヨセフが語った言葉をことごとく父ヤコブ に告げた。そしてヨセフが自分を運ぶために送った 荷車を見ると、父ヤコブの霊は生き返った。
28イスラエルは言った。「もう十分だ。わたしの子 ヨセフはまだ生きている。わたしは死ぬ前に彼に会 いに行こう。」
第46章
1イスラエルはすべての持ち物を携えて旅立ち、ベエ ル・シェバに着き、父イサクの神に犠牲をささげた。
2神は夜の幻の中でイスラエルに語り、「ヤコブ、ヤ コブ」と言われた。ヤコブは答えた、「ここにおり ます」。
3神は言われた、「わたしは神、あなたの父の神であ る。エジプトに下ることを恐れてはならない。わた しはそこであなたを大いなる国民とする。
4わたしはあなたと共にエジプトへ下って行き、また 必ずあなたを連れ戻す。ヨセフはあなたの目に手を 置くであろう。
5ヤコブはベエルシェバから出発した。イスラエルの 子らは父ヤコブと子供たちと妻たちを、ファラオが ヤコブを運ぶために送った荷車に乗せて運んだ。
創世記
6彼らは、カナンの地で得た家畜や財産を携えて、ヤ コブとその子孫全員とともにエジプトに帰った。
7彼は息子たち、孫たち、娘たち、孫たち、そして子 孫すべてをエジプトに連れて行った。
8エジプトに来たイスラエルの子らの名前は次のとお りである。ヤコブとその息子たち。ヤコブの長子ル ベン。
9ルベンの子らは、ハノク、ファル、ヘツロン、カル ミである。
10シメオンの子らは、エムエル、ヤミン、オハド、 ヤキン、ツォハル、およびカナン人の女の子シャウ ルである。
11レビの子らはゲルション、コハテ、メラリである。
12ユダの子らはエル、オナン、シェラ、ペレツ、ゼ ラであったが、エルとオナンはカナンの地で死んだ。 ペレツの子らはヘツロンとハムルであった。
13イッサカルの子らはトラ、フワ、ヨブ、シムロン である。
14ゼブルンの子らは、セレデ、エロン、ヤレルであ る。
15これらはレアがパダナラムでヤコブに産んだ息子 たちであり、その娘ディナとの間に生まれた。息子 と娘は合わせて三十三人であった。
16ガドの子らは、ジフィオン、ハギ、シュニ、エツ ボン、エリ、アロディ、アレリである。
17アシェルの子らはジムナ、イシュア、イスイ、ベ リア、およびその姉妹セラ。ベリアの子らはヘベル、 マルキエル。
18これらはラバンが娘レアに与えたジルパの息子た ちで、彼女はヤコブに十六人を産んだ。
19ヤコブの妻ラケルの息子たちは、ヨセフとベニヤ ミンである。
20ヨセフにはエジプトの地でマナセとエフライムが 生まれた。これはオンの祭司ポティフェラの娘アセ ナテが産んだ子である。
21ベニヤミンの子らは、ベラ、ベケル、アシュベル、 ゲラ、ナアマン、エヒ、ロシュ、ムピム、フピム、 アルドである。
22これらはラケルのヤコブに生まれた息子たちであ る。全部で十四人であった。
23ダンの子らはフシム。
24ナフタリの子らはヤフツェエル、グニ、イエゼル、 シレムである。
25これらはラバンが娘ラケルに与えたビルハの子ら である。彼女はこれらをヤコブに産んだ。合わせて 七人であった。
26ヤコブと共にエジプトへ行った者、すなわち、ヤ コブの腰から出た者、ヤコブの息子たちの妻たちを 除いて、合わせて六十六人であった。
27ヨセフのエジプトで生まれた息子は二人であった。 エジプトに来たヤコブの家系の者は全部で七十人で あった。
28彼はユダを先にヨセフのもとに遣わし、ゴシェン の方へ向かわせた。彼らはゴシェンの地に入った。
29ヨセフは車を整えて、父イスラエルを迎えるため にゴシェンまで上り、父の前に立った。そして父の 首にひれ伏し、長い間泣いた。
30イスラエルはヨセフに言った。「あなたの顔を見 たからには、あなたはまだ生きているのだから、今、 わたしを死なせてください。」
31ヨセフは兄弟たちと父の家の者たちに言った。 「わたしは上って行って、ファラオに告げよう。 『カナンの地にいたわたしの兄弟たちと父の家族が わたしのところに来ました。
32その人たちは羊飼いで、家畜を飼うのが仕事であ る。彼らは羊の群れ、牛の群れ、その他すべての所 有物を持って来た。
33パロがあなたを呼び、「あなたの職業は何です か」と尋ねるとき、
34あなたがたはこう言いなさい。『しもべたちの仕 事は、わたしたちも、またわたしたちの先祖も、幼 いころから今に至るまで、家畜の飼育でした。そう すれば、あなたがたはゴシェンの地に住むことがで きるでしょう。なぜなら、羊飼いはみなエジプト人 にとって忌み嫌われるものだからです。』
第47章
1そこでヨセフはファラオの所に来て告げた。「わた しの父と兄弟たち、および彼らの羊の群れ、牛の群 れ、および彼らの所有するすべての物はカナンの地 から来て、今ゴシェンの地におります。
2そこで彼は兄弟のうち五人を連れてファラオの前に 立った。
3ファラオは兄弟たちに言った、「あなたたちの職業 は何ですか」。彼らはファラオに答えた、「しもべ たちは羊飼いです。私たちも先祖もそうです」。
4彼らはまたファラオに言った、「私たちはこの地に 寄留するために来たのです。あなたのしもべらには 羊の群れを飼う牧場がありません。カナンの地には 飢饉がひどいのです。それでどうか、しもべらをゴ シェンの地に住まわせてください」。
5ファラオはヨセフに言った、「あなたの父と兄弟た ちがあなたのところに来ました。
6エジプトの地はあなたの前に広がっている。その地 の最も良い所にあなたの父と兄弟たちを住まわせな さい。ゴシェンの地に彼らを住まわせなさい。もし 彼らの中に有能な者を知っているなら、彼らを私の 家畜の管理者にしなさい。
7ヨセフは父ヤコブを連れて来て、ファラオの前に立 たせた。ヤコブはファラオを祝福した。
8ファラオはヤコブに言った。「あなたは何歳です か。」
9ヤコブはファラオに言った。「わたしの旅の年月は 百三十年です。わたしの生涯の年月は短く、悲惨な もので、わたしの先祖たちが旅をした年月には及び ません。」
10ヤコブはファラオを祝福し、ファラオの前から出 て行った。
創世記
11ヨセフは父と兄弟たちをエジプトの地に住まわせ、 ファラオの命令どおり、エジプトの地、ラメセスの 地の最も良い所に彼らに所有地を与えた。
12ヨセフは父と兄弟たち、および父の家族全員に、 それぞれの家族に従って食物を与えて養った。
13そして、飢饉が非常にひどく、全土にパンがなか ったため、エジプトの国とカナンの国全体が飢饉の ために衰弱した。
14ヨセフは、エジプトの地とカナンの地で穀物を買 うために見つけた金を全部集め、その金をファラオ の家に持ち帰った。
15エジプトの地とカナンの地で貨幣が尽きたとき、 エジプト人は皆ヨセフのもとに来て言った。「わた したちにパンをください。貨幣が尽きたのに、どう してわたしたちがあなたの前で死ななければならな いのでしょうか。」
16ヨセフは言った。「あなたの家畜を出しなさい。
金が尽きたら、あなたの家畜と引き換えにあなたに 与えましょう。」
17彼らは家畜をヨセフのところに連れて来た。ヨセ フは馬、羊の群れ、牛の群れ、ろばと引き換えにパ ンを与えた。そしてヨセフはその年、家畜すべてに パンを与えて彼らを養った。
18その年が終ると、彼らは次の年も彼のもとに来て 言った、「私たちは、私たちの金がどう使われたか を、ご主人様に隠すつもりはありません。ご主人は 私たちの家畜の群れもお持ちです。ご主人の目には、 私たちの体と土地のほかは何も残っていません。
19どうして、わたしたちも、わたしたちの土地も、 あなたの目の前で死んでよいのですか。わたしたち と土地を食物と引き換えに買い取ってください。わ たしたちと土地はファラオの奴隷となります。わた したちに種を与えてください。そうすれば、わたし たちは生きながらえて死なず、土地は荒れ果てませ ん。
20ヨセフはエジプト全土をファラオのために買い取 った。飢饉がエジプト人を襲ったため、エジプト人 はそれぞれ自分の畑を売り払ったからである。こう してその土地はファラオのものとなった。
21そして民については、エジプトの国境の端から端 まで、町々に移した。
22ただし祭司たちの土地は買わなかった。祭司たち はファラオから割り当てられた割り当てを受けてお り、ファラオから与えられた割り当て分を食べてい たからである。それで彼らは土地を売らなかった。
23ヨセフは民に言った。「見よ、わたしは今日、あ なたがたとあなたがたの土地をファラオのために買 い取った。見よ、ここにあなたがたのための種があ る。あなたがたはその土地に種を蒔きなさい。」
24その収穫のうち、五分のはファラオに納め、四 分のは畑の種、自分の食糧、家族の食糧、子供た ちの食糧として、あなたがたの所有となるであろう。
26ヨセフはエジプトの国に対して、祭司たちの土地 を除いてその五分のをファラオが所有することを 今日まで律法として定めた。祭司たちの土地はファ ラオのものとならなかった。
27イスラエルはエジプトの地ゴシェンの地に住み、 そこに土地を持ち、成長して非常に増えていった。
28ヤコブはエジプトの地に十七年間住んだ。ヤコブ の生涯は全部で百四十七歳であった。
29イスラエルの死ぬ時が近づいたので、彼は息子ヨ セフを呼び寄せて言った。「もし私があなたの前に 恵みを得ましたら、どうか、あなたの手を私のもも の下に置き、私に慈しみと誠実を施してください。 どうか私をエジプトに葬らないでください。
30しかし、わたしは先祖たちと共に眠ります。あな たはわたしをエジプトから連れ出し、彼らの墓地に 葬ってください。」彼は言った、「あなたの言われ たとおりにします。」
31彼は言った、「わたしに誓ってください」。彼は 彼に誓った。そしてイスラエルは床の頭の上で身を かがめた。
第48章
1これらの事の後、ある人がヨセフに告げた、「あな たの父は病気です」。ヨセフは二人の息子、マナセ とエフライムを連れて行った。
2ある人がヤコブに告げて言った、「ごらんなさい。 あなたの子ヨセフがあなたのところに来ます」。イ スラエルは元気をつけて床に座った。
3ヤコブはヨセフに言った。「全能の神はカナンの地 ルズで私に現れ、私を祝福してくださいました。
4そして、わたしに言われた。「見よ、わたしはあな たを豊かに生ませ、あなたをふやし、あなたを多く の民としよう。そして、この地をあなたの後の子孫 に永遠の所有地として与えよう。」
5そして今、わたしがエジプトに入ってあなたのもと に来る前に、エジプトの地であなたに生まれたあな たの二人の息子、エフライムとマナセはわたしのも のである。ルベンとシメオンと同じように、彼らも わたしのものである。
6そして、彼らの後にあなたが生む子孫はあなたのも のとなり、彼らの相続地では彼らの兄弟の名にちな んで名付けられるであろう。
7わたしがパダンから帰ってきたとき、ラケルはカナ ンの地でわたしのそばで死んだ。エフラタに着くま でまだ少しの道のりがあったのに。わたしは彼女を エフラタの道のところに葬った。エフラタとはベツ レヘムのことである。
8イスラエルはヨセフの息子たちを見て言った。「こ の人たちはだれか。」
9ヨセフは父に言った。「彼らは神がこの所で私に与 えてくださった私の息子たちです。」父は言った。
25彼らは言った。「あなたは私たちの命を救ってく ださいました。どうか主君の御前に恵みを得させて ください。そうすれば私たちはファラオの奴隷にな ります。」
創世記
「彼らを私のところに連れて来なさい。私は彼らを 祝福します。」
10イスラエルの目は老齢のためにかすんでいて、何 も見えなかった。そこで彼は彼らを自分のところに 近づけ、彼らに口づけして抱きしめた。
11イスラエルはヨセフに言った。「わたしはあなた の顔を見ようとは思っていませんでした。しかし、 神はあなたの子孫をもわたしに示されました。」
12ヨセフは彼らを膝の間から連れ出し、地に顔を伏 せて身をかがめた。
13ヨセフはエフライムを右手に取ってイスラエルの 左手に向かわせ、マナセを左手に取ってイスラエル の右手に向かわせ、二人を自分のところへ連れて来 た。
14イスラエルは右手を伸ばして弟のエフライムの頭 に置き、左手をマナセの頭に置き、巧みに手を導い た。マナセは長子であったからである。
15彼はヨセフを祝福して言った。「私の父祖アブラ ハムとイサクが従った神、今日まで私を養って下さ った神よ。
16わたしをすべての悪から救い出した天使よ、この 子らを祝福してください。わたしの名と、わたしの 先祖アブラハムとイサクの名が彼らにつけられます ように。彼らが地上で大勢になりますように。
17ヨセフは父が右手をエフライムの頭に置いたのを 見て不快に思い、父の手をエフライムの頭からマナ セの頭に移そうとした。
18ヨセフは父に言った。「父上、それはいけません。 これが長子なのです。右の手を彼の頭に置いてくだ さい。」
19父はそれを拒んで言った。「わが子よ、わかって いる。わかっている。彼もまたつの民となり、ま た大いなる者となる。しかし、彼の弟は彼よりも大 いなる者となり、彼の子孫は多くの国民となる。」
20彼はその日、彼らを祝福して言った、「イスラエ ルはあなたを祝福して言うであろう、『神はあなた をエフライムやマナセのような者とされるであろ う』」。そして彼はエフライムをマナセよりも先に 立たせた。
21イスラエルはヨセフに言った。「わたしは死にま す。しかし、神はあなたと共におられ、あなたたち を先祖の地に連れ戻されるでしょう。」
22また、わたしは剣と弓でアモリ人の手から奪った ものを、あなたの同胞より少し多くあなたに与えた。
第49章
1ヤコブは息子たちを呼び寄せて言った。「集まって ください。終わりの日にあなたたちに起こることを 告げましょう。」
2ヤコブの子らよ、集まって聞け。あなたがたの父イ スラエルに聞き従え。
3ルベンよ、あなたはわたしの長子、わたしの力、わ たしの力の初め、尊厳の卓越性、力の卓越性である。
4あなたは水のように不安定で、優れた者にはなれな い。あなたは父の寝床に上って、それを汚したから だ。父はわたしの寝床に上って行った。
5シメオンとレビは兄弟である。彼らの住まいには残 虐な道具がある。
6わが魂よ、彼らの秘密に近寄るな。わが名誉よ、彼 らの集会に加わるな。彼らは怒りに任せて人を殺し、 わがままに城壁を掘り崩したからだ。
7彼らの怒りは激しく、彼らの憤りは残酷であったか ら、呪われよ。わたしは彼らをヤコブの中に分裂さ せ、イスラエルの中に散らす。
8ユダよ、あなたはあなたの同胞が称賛する者であり、 あなたの手はあなたの敵の首にかけられ、あなたの 父の子らはあなたの前にひれ伏すであろう。
9ユダは子獅子のようだ。わが子よ、あなたは獲物か ら上って行った。彼は身をかがめ、獅子のように伏 し、年老いた獅子のように伏した。だれが彼を起こ せようか。
10王笏はユダから離れず、立法者はその足の間から 離れず、シロが来るまで、民は彼のもとに集まる。
11彼はその子馬をぶどうの木につなぎ、そのろばの 子を良いぶどうの木につなぎ、その着物をぶどう酒 で洗い、その着物をぶどうの血で洗った。
12彼の目はぶどう酒で赤くなり、彼の歯は乳で白く なる。
13ゼブルンは海の港に住み、船の停泊地となる。そ の境界はシドンにまで及ぶ。
14イッサカルは二つの荷物の間に伏せている力強い ロバである。
15彼はその安息が良く、その地が心地よいのを見て、 肩をかがめて働き、貢ぎ物を納める奴隷となった。
16ダンはイスラエルの部族のつとして、その民を 裁くであろう。
17ダンは道の蛇となり、小道のまむしとなり、馬の かかとを噛むので、乗り手は後ろに倒れる。
18主よ、わたしはあなたの救いを待ち望んでいまし た。
19ガドは軍隊に打ち負かされるであろう。しかし、 彼は最後に勝利を得るであろう。
20アシェルから彼の食物は豊かになり、彼は王の食 物を産出する。
21ナフタリは放たれた雌鹿である。彼は美しい言葉 を語る。
22ヨセフは実り豊かな枝、井戸のそばの実り豊かな 枝、その枝は壁を越えて伸びる。
23射手たちは彼をひどく苦しめ、彼を射、彼を憎ん だ。
24しかし、彼の弓は力強く留まり、彼の腕はヤコブ の力強い神の手によって強くされた。そこから羊飼 い、イスラエルの石が生まれた。
25あなたの父の神があなたを助けるであろう。全能 者が上は天の祝福、下は深淵の祝福、乳房と胎の祝 福をもってあなたを祝福するであろう。
創世記
26あなたの父の祝福は、永遠の山々の果てにまで、 わたしの先祖の祝福に勝り、それらはヨセフの頭と、 兄弟たちから離れた者の頭の頂にあるであろう。
27ベニヤミンは狼のように荒らし、朝には獲物を食 い尽くし、夜には分捕り物を分ける。
28これらはすべてイスラエルの十二部族である。こ れは彼らの父が彼らに語り、彼らを祝福したもので、 父はそれぞれ自分の祝福に従って彼らを祝福した。
29彼は彼らに命じて言った、「わたしはわたしの民 に加えられる。わたしを先祖たちとともにヘテ人エ フロンの畑にある洞穴に葬りなさい。
30それはカナンの地、マムレの前のマクペラの畑に ある洞穴で、アブラハムがヘテ人エフロンから畑と 共に買い取って、墓地として所有した場所である。
31そこに彼らはアブラハムとその妻サラを葬り、そ こにイサクとその妻リベカを葬り、そこにわたしは レアを葬った。
32畑とそこにある洞穴はヘテの子孫から買い取られ た。
33ヤコブは息子たちに命令を終えると、足を床に上 げ、息を引き取り、自分の民のもとに集められた。
第50章
1ヨセフは父の顔にひれ伏し、泣きながら父に口づけ した。
2ヨセフは家来である医者たちに父の遺体を防腐処理 するよう命じた。医者たちはイスラエルの遺体を防 腐処理した。
3そして、彼のために四十日が満ちた。それは、香を 着せられた者たちの日数が満ちたからである。エジ プト人は七十日間、彼のために嘆き悲しんだ。
4喪の期間が過ぎたとき、ヨセフはファラオの家に告 げて言った。「もし私があなたたちの目に恵みを得 たなら、どうかファラオの耳にこう告げてください。
5父はわたしに誓わせて言いました。「見よ、わたし は死ぬ。カナンの地にわたしのために掘った墓に、 わたしを葬ってください。どうぞ、今、わたしを上 らせて、父を葬らせてください。そしてわたしは戻 って来ます。」
6ファラオは言った。「上って行って、誓わせたとお りにあなたの父を葬りなさい。」
7ヨセフは父を葬るために上って行った。ファラオの 家臣たち、家の長老たち、エジプトの国の長老たち も皆彼と共に上って行った。
8ヨセフの全家とその兄弟たち、父の家は、ただ幼子 たちと羊の群れと牛の群れだけをゴシェンの地に残 しておいた。
9そして彼と共に戦車と騎兵が進軍した。それは非常 に大きな部隊であった。
10彼らはヨルダン川の向こうにあるアタドの打ち場 に着き、そこで大いに、非常に激しい嘆き悲しんだ。
彼は父のために七日間喪に服した。
11その地の住民であるカナン人は、アタドの平原で の嘆きを見て、「これはエジプト人にとってはひど
い嘆きだ」と言った。そのため、その平原の名はヨ ルダン川の向こうにあるアベルミツライムと呼ばれ た。
12彼の息子たちは彼が命じたとおりに彼に対して行 った。
13彼の息子たちは彼をカナンの地に運び、マクペラ の畑の洞穴に葬った。そこはアブラハムがマムレの 前にあるヘテ人エフロンの墓地として所有地として 畑とともに買ったものであった。
14ヨセフは父を葬った後、兄弟たちと父を葬るため に一緒に上って来たすべての人々とともにエジプト に帰った。
15ヨセフの兄弟たちは父が死んだのを見て、「ヨセ フはきっと私たちを憎むだろうし、私たちが彼に対 してしたすべての悪を必ず私たちに報復するだろ う」と言いました。
16彼らは使者をヨセフに遣わして言った、「あなた の父は死ぬ前にこう命じました、
17そこで、ヨセフにこう言いなさい。「どうか、あ なたの兄弟たちのとがと、彼らの罪をお赦しくださ い。彼らはあなたに悪を行ったのです。どうか、あ なたの父の神のしもべたちのとがとを今お赦しくだ さい。」ヨセフは彼らが彼に話すと泣いた。
18彼の兄弟たちも行って彼の前にひれ伏し、「私た ちはあなたのしもべです」と言った。
19ヨセフは彼らに言った。「恐れることはありませ ん。私が神の代わりなのでしょうか。」
20しかし、あなたたちは私に対して悪を企てたが、 神はそれを良いことに変え、今日のように、多くの 人々の命を救うためにそれを実現された。
21だから、恐れることはない。わたしがあなたとあ なたの子供たちを養う。」そして彼は彼らを慰め、 優しく話した。
22ヨセフは父の家族と共にエジプトに住み、百十歳 まで生きた。
23ヨセフはエフライムの三代目の子孫を見た。マナ セの子マキルの子孫もヨセフの膝の上で育てられた。
24ヨセフは兄弟たちに言った。「わたしは死にます。 しかし、神は必ずあなたたちを訪れ、この地から、 アブラハム、イサク、ヤコブに誓われた地に導き入 れてくださるでしょう。」
25ヨセフはイスラエルの子らに誓いを立てて言った。 「神は必ずあなたたちを顧みてくださるでしょう。 あなたたちは私の骨をここから運び上るでしょ う。」
26こうしてヨセフは百十歳で死んだ。人々は彼の遺 体を防腐処理し、エジプトで棺に納めた。