もっと 知ろう
女 性 の か ら だ 情 報 誌
2007 年・秋 FREE
スペシャルイ ン タ ビ ュ ー
シェリ ル・クロウ
Contents
2007年 秋
34 スペシャルインタビュー / シェリル・クロウ
34 感 謝 と 祈 り
BODY WISE
10 16
栄 養と運 動
がん治 療中に効 果的に体 重を減らす・増やすために なぜ歩き、走り、自転 車に乗り、ボートを漕ぐの? がん診断前・診断後のエクササイズの大 切さ
16 24
SPIRIT HOUSE
24 28
心の声を聞く
癒しの食べ物 ブラがいっぱい! イースタンショアアートセンターより勇気と希望と愛を込めて
fall 2007 • PiNK
3
Contents
Volume 1 / Issue 1 季刊 誌
発行人 : Vickie Paradise Green 編集 : デイビッド 梅田 監修 : 中山 比登志 難波 清 翻訳 : 株式会社アスカコーポレーション 制作 : パラダイム www.paradigm.co.jp inquiries@paradigm.co.jp クリエイティブ・ディレクター : Richard Grehan アート・ディレクター : 増子 由紀 広告マネージャー : Robert Heldt 広告セールス : Alex Lake, Sarah J. Park 寄稿者 : Kari Bohlke, ScD; Daniella Chace, MS; Dayna Deuter;
THE WAR ROOM
42 50 56 60 66
71 72
ニュースで見る治 療の進歩と薬
判定は下された ― 検 診は命を救う 予後がさらに改善 早 期 乳がん治 療の進 歩
完 治を目指して団 結した若い女 性たち 環 境エストロゲン 希 望よ再び 形 成 外 科 医から見た乳 房 再 建 術 がんを乗り越えた患者の話 わが子のため、 バランスのため
最 前 線では今 超 微 細 手 術で女 性に胸 躍る新たな選 択 肢
Juliana Hansen, MD; Mia James; Maureen Keane, MS; Amy Lang, MD; Jenny Maxon, RN; Diana Price; Nancy Raia; Louanne Roark
発行元 : NPO法人Run for the Cure® Foundation www.runforthecure.org 事務局長 : 原 万紀子
SUPPORTIVE CARE
がん治療を乗り越えるための方法
78
Look Good ... Feel Better®
一番必要な時に女性の自信を後押し
80
うつ病とがん
〒150 - 0047 東京都渋谷区神山町18 - 6神山アンバサダー108 Tel:03 - 3466 - 4798 Fax:03 - 3466 - 4799 E-mail:mhara@runforthecure.org
免責事項:PiNK に掲載される情報は、医療提供者による個別のアドバイスに替わる ものではありません。PiNK に掲載される見解はあくまでも著者の見解であり、必ず しもスポンサー、諮問委員会、発行者の見解を反映するものではありません。PiNK
に掲載される情報を、医療提供者のみが提供可能な専門的アドバイスと捉えない
でください。本誌に掲載される情報が確実に正確な情報であるよう、入念な注意を 払っていますが、情報の継続的な容認性に関して、もしくは、不注意に起因するか否
FIND YOUR WAY
88 92
医 療 制 度の謎を解く
医 者に聞いてみよう R E S O U R CE S
かを問わず、あらゆるミス、脱落、不正確な点に関して、もしくは、それらに起因する いかなる結果に関しても、著者、NPO法人Run for the Cure ® Foundation、お よびその代理人に責任はなく、一切の法的責任を負いません。PiNKの諮問委員会 は、コラムを提供し、その他編集上のサポートも行いますが、本誌に掲載される見解 については一切の責任を負いません。
Women & Cancer Executive Editor: CHARLES H. WEAVER, MD / Medical Editor: JULIANA HANSEN, MD / Managing Editor: DIANA PRICE / Associate Editor: MIA JAMES / Copy Editor: ELIZABETH VON RADICS
fall 2007 • PiNK
5
発行人のご挨拶 PiNK 創刊号へようこそ。 PiNK は、乳がんの啓発や診断、そして治療の選択肢などのコンテンツをタイムリーにお届けする新しい情 報誌です。乳がん経験者(サバイバー)はもちろん、介護者、家族、支援者、そして友人達みなさんに是非と も読んでいただきたいと思います。創刊号に掲載されている最新の興味深い記事に、きっと勇気づけられる と確信しています。
今回お届けするシェリル・クロウの体験談“最終的にスーパースターの心に平和をもたらした”は、読者の皆 様に感動をもたらすことでしょう。シェリル・クロウの乳がん公表は、世界中の見出しとなり、彼女の乳がん 早期発見は、多くの女性たちに検診の重要性を今一度呼びかけるきっかけとなりました。
皆様は、10年前に乳がんと診断された方かもしれませんし、つい10時間前に診断された方かもしれませ ん。また、乳がんの家族や友人を支えている方かもしれません。あなたの身近な人が乳がんに直面している かもしれないのです。現実は、信じられないほど多くの女性達が乳がんに影響を受けているという事実で す。一旦影響を受ければその後の人生は変わります。女性達がそのような知らせに直面した時変わるよう に、私たちも変化する必要性が高まるのです。
日本においても、もっと多くの乳がんに関する情報、啓発が必要です。気軽に話し合えたり、アイデアを交換 できる場を持つべきです。PiNKはそうした願いをかなえるために、女性たちに情報を提供するメディアに なるのが目的です。PiNKに掲載されている経験談やトピック、それらの記事を、乳がんに直面している人は もちろん、予防や健康に興味のある人すべての女性に読んでいただきたいと思います。
沈黙を破りましょう。まず声をあげ、乳がんとは何かを女性たちに呼びかけ、皆が持つ同じような悩みに、応 えていきたいと思います。悟りと賢明さに満ちた個人の体験談に基づき、確実で新しい情報提供にひたむ きに取り組みたいと考えています。希望と勇気あふれるコミュニティ作りが私たちのゴールです。
是非ともお友達や家族の方に本誌をお渡しください。PiNK には、たくさんの情報と希望が詰まっています。 そしてどうか、読者の皆様のご意見をお聞かせください。
PiNKを通し、乳がんに直面している多くの人たちが勇気と希望を与えられれば幸いです。
Vickie Paradise Green
ヴィッキー・パラダイス・グリーン 理事長
NPO法人 Run for the Cure® Foundation
fall 2007 • PiNK
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BODY WISE
栄 養 と 運 動
がん治療中に 効果的に体重を 減らす・増やすために
なぜ歩き、走り、 自転車に乗り、 ボートを漕ぐの? がん診断前・
がん診断後の
エクササイズの 大切さ
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がん治療中に効 果 的に
体重を減らす・ 増やすために
以下は、Maureen Keane, MSおよびDaniella Chace, MS著『What to Eat if You Have Cancer:
Healing Foods That Boost Your Immune System
(がんになったら何を食べる?―免疫系を高めるヒーリングフード)』 (McGraw-Hill、2006年)からの抜粋です。
10
PiNK • fall 2007
健
康な体 重を維 持し、からだに必 要な栄 養 素を含む良質の食べ物を選ぶことは、時
に難しい課 題です。しかし、がん治 療に向けた準 備を進めているのなら、今こそか
らだに必 要な栄 養に注目すべきでしょう。なぜなら健 康な体 重の維 持は、回 復や治 療 成功の一助となる可能性があるからです。
低 体 重では、がん治 療のストレスに耐えられないかもしれません。このことを
心に留めておきましょう。一 方 、過 体 重ではがんの再 発 率が高くなる可 能 性も
明らかにあります。ですから、目標が治 療中に体 重を減らすことであれ、増やす
ことであれ、からだの役に立たない食べ物は排 除しつつ、がんを治すために必 要な栄養を摂るよう心がけましょう。
up
体 重を増やすために
摂取とエネルギー消費を厳格に管理した結果と
らだの準備を整えるための栄養素を全て摂取す
して生じることがあります。また、吸収不良や栄養
ることはできません。準備期間中、治療を受ける
不良の徴候とも考えられます。体重の増加や維持
際に免疫系の燃料となる栄養を蓄える必要があ
や蓄えられた脂肪は少なく、ビタミンA、鉄分、カ
が難しいのであれば、医師に相談し、治療が必要
ります。
ルシウムといった必須ビタミンおよびミネラルが
な医学的要因があるかどうかを確認することが大
しかし、カロリーを求めてただ食べればよいと
不 足しているでしょう。低 体 重のために、がん治
事です。たとえば、甲状腺疾患か吸収異常を引き
いう訳ではありません。揚げ物やお菓子を食べれ
療に耐えることが難しい患者もいます。適正な体
起こす疾患(セリアック病など)がある場合には、
ば確かに体重は増えますが、 これは必要な種類の
低体重の場合、おそらく引き締まった筋肉組織
重のからだと比較して、蓄えが少ないためです。ま
がん治療を始める前に、 これらの疾患を治療する
栄養ではありません。ジャンクフードを食べても、
た、低体重の人では、食べられないときに必要と
ことになるでしょう。
栄養を蓄えたり引き締まった筋肉組織を形成する
なるエネルギーの蓄えがない場合などに問題が
がん治 療の準 備 期 間は、カロリーを制 限する
には役立ちません。注目すべきは、食べ物の栄養
生じます。
時期ではありません(1日1,200カロリー未満)。
価なのです。
低体重は、生まれつき代謝が高い場合や食物
このようなカロリー制限下では、治療に向けてか
ナッツ類やシード類を 取り入れる際のヒント 健康なからだを作る栄養豊富なスナックをお探しなら、ナッツ類やシード類が選択肢
ナッツペースト、ピーナツバターなどがあります。ナッツバターを作る際には、塩 味の付いていないナッツをミキサーやフードプロセッサー、 フードグラインダーに かけます。次に、
ハチミツなどの甘味や、 シナモン、ナツメグなどのスパイスを
加えます。滑らかになれば出来上がりです。 風味付けしたナッツバター
として優れています。がんとの闘いや心臓の健康に役立つ油脂類、さらにはたんぱく
1人前は大さじ3杯です。甘味の付いていないナッツにニンニク、タマネギ、 コショ
質を豊富に含んでいるからです。 しかし、 ここでも注意が必要です。ナッツ類やシード
ウ、その他のスパイスを加えて作ります。ナッツバターを菜種油、アマニ油、オリー
類を含むスナックなら何でも良いという訳ではありません。味付けされたもの、油が添
ブオイルで溶き、サラダのドレッシングとして使います。また、少量の豆乳と混ぜ、
加されたもの、揚げた物、塩が添加されたものは避けてください。また、ヨーグルトや
ソースや野菜用のディップソースとしても使えます。
チョコレートでコーティングされたナッツ類は、少量にしましょう。
ナッツミルク ホールナッツとシード 1人前は軽く一握りです。シリアル、野菜、サラダの上に、シードや砕いたナッツを 振りかけます。少量のドライフルーツと混ぜ、スナックや軽食として食べます。キャ セロール料理のトッピングとしてサクサク感を楽しみましょう。 ナッツバターとシーズ(種子類)ペースト 1人前は大さじ3杯です。ナッツバターの例としては、練りゴマ(タヒニ)、ヘーゼル
市販のナッツミルク (ココナッツミルク、アーモンドミルク、へーゼルナッツミルク など)は健康食品店や一部の食料品店で購入することができます。ナッツミルク の作り方は簡単です。一握りのナッツに、濾過した水1カップを加え、ミキサーに かけるだけです。全体がミルク色になったら出来上がりです。裏ごしして繊維を取 り除き、冷蔵庫で保存します。ハチミツや糖蜜で甘みをつけ、 フルーツジュース、 ド ライフルーツ、軟らかい果物、ヨーグルト、豆乳などを加えて混ぜ、カロリー豊富 なシェイクを作ることができます。冷蔵庫で4~5日保存できます。
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体 重を増やすためのヒントと食べ物の選 択
治 療 前や治 療中に体 重が減ってしまったら
治療に向けた健康なからだ作りを目指すなら、さまざまな栄養を豊富に
正常体重から5%減った場合、重大な変化と見なします。正常体重から
含む食べ物を選びましょう。カロリーばかりが高く、栄養に欠ける食べ物は
10%減ったら危険信号です。15%の体重低下では疲労や抑うつ、食欲不
避けてください。 健 康 的に体 重を増やすために、スムージ ー ※を取り入 れるのもいいでしょう。シンプルなフルーツのスムー ジーでも、その栄養価を高める材料はたくさんあ ります。たとえば 、アマニ油 、プロテインパウ ダー( 大 豆、米 、乳 清 )、繊 維質を増やすた めのアマニ粉 、ナッツバターなどがその 一部です。 ナッツ類やシード類、さらにさまざ まな栄養素が詰まったスムージー を選ぶとともに、食習慣を少し変え
振が生じ、からだの治癒力が低下する可能性もあります。 がん治療の結果として体重が大きく減ってしまった場合 は、担当医に脂肪摂取量を増やしましょう。 これは、脂 肪や他の脂質が濃縮されたエネルギー源である ためです。炭水化物とたんぱく質の熱量は共 に1グラムあたり4カロリーですが、脂肪は 1グラムあたり9カロリーと、他のエネル ギー源の2倍以上にもなります。また、 脂肪は容易にからだに蓄積され、食 べられないときのバックアップエネ ルギー源となります。
て、毎日の生活の中で食事が楽し
担当医に脂肪摂取量を増やす
い時間であるように工夫するのも
よう勧められた場 合には、オメ
良いでしょう。たとえば、 しっかりし
ガ 3 脂 肪 酸または一 価 不 飽 和
た食事を1日2~3回摂るのではな
脂 肪 酸を多く含む食 品( 菜 種
く、1日5~6回軽い食事を摂るよ
油やオリーブオイルなど)を積
うにします。推奨量の野菜を全て
極的に摂りましょう。またココ
摂ることができない場 合は、一部
ナッツミルクもよいでしょう。
をジュースにしてみましょう。舌触
ココナッツミルクに含まれる
りが良く、見た目も美味しそうな食
脂 肪 酸 は中 鎖 中 性 脂 肪 を豊
べ物を選んだり、食事が楽しくなる
富 に含み 、さほど分 解されず
ように、友人や家族と一緒に、テー
容易に吸収されるからです。一
ブルで明るい雰囲気を作るのもい
価不飽和脂肪酸を豊富に含む
いでしょう。 このように日常をほん
食品はカロリー摂取量を増やす
の少し変えてみることで、食 事が 一段と楽しいものとなり、必要な栄
だけでなく、転移の予防や免疫系 の強化にも役立ちます。
養が摂れるようになるのです。 放射線療法と化学療法によって腸 が一 時 的に障 害を受け、脂 肪を分 解す る力が低 下することがあります。このよう な場合には、排便の回数と量が増え、便の色 は薄くなります。治療によって胆汁を産生する力 が影響を受けることもあり、 これによっても脂肪は吸 収されにくくなってしまいます。治療によって膵酵素が低 下することもあります。 このように吸収不良になった場合、食事に消化酵素 のサプリメントを加えるべきか、医師に相談すると良いでしょう。
※ヨーグルト、牛乳、豆乳などに野菜や果物などを加え、ミキサーにかけた飲み物
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PiNK • fall 2007
recipes 体 重を増やす 以 下 の レ シ ピ は Daniella Chace 著『More Smoothies for Life(スムージ ーを生 活に取り入れよう)』(Random
体 重 を 減らす <キノアのタブーリサラダ(4 人分)>
House、2007 年 )からの引用です。おいしく作るコツは、
生のパセリ、ミント、レモン汁など、爽やかな香りが特徴の、
料理用ミキサーやフードプロセッサーに材料を全て入れ、滑ら
人気のレバノン料理です。キノアは手早く調理できて消化も
かになるまですりつぶすことです。冷やしていただきましょう。
よく、繊維とたんぱく質を豊富に含んでいます。そして何より 美味しいのです。
<ピーナッツバターカップ>
1 カップ
ねぎ(みじん切り)
1本
1 カップ
パセリ(みじん切り)
1¼ カップ
生のミント(みじん切り)
1/2 カップ
1/4 カップ
レモンジュース
大さじ 1
オーガニックミルク
1 カップ
氷 脱脂粉乳または プロテインパウダー
調理済みキノア
オーガニックアマニ油
大さじ 1
ココアパウダー
大さじ 2
ピーナッツバターまたは アーモンドバター
大さじ 2
ローストした小麦胚芽
大さじ 1
エクストラバージンオリーブオイル 大さじ 1 クミン
大さじ 1
白こしょう
適宜
パッケージの説明に従ってキノアの下ごしらえをします。 (下ごしらえはわずか数分で出来上がります。)
オーガニックミルク(またはライスミルク、アーモンドミルク、
材料を全て合わせて冷やします。
オーツミルク、 豆 乳など)を使います。乳清も溶けやすく、 クリーミーになりますから、スムージーに適しています。から だから金属や環境化学物質を取り除くのに役立つ、グルタチ オンなどのデトックス(解毒)成分も含んでいます。乳製品
<白豆のサラダ(4 人分)>
にアレルギーや過敏症がある場合は、代わりに大豆、米また
白豆(水煮缶の水を捨てて洗う) 1 缶
はエンドウ豆のプロテインなどを試してください。
生イタリアンパセリ(みじん切り) 1 カップ
<チャイクリームフラッペ> チャイ
1 カップ
ミルク
1 カップ
氷
1/2 カップ
脱脂粉乳
1/4 カップ
ハチミツ
大さじ 1
生トマト(粗みじん切り)
2個
赤タマネギ(みじん切り)
1/2 個
レモン汁
1/2 個分
バルサミコ酢
大さじ 2
海塩
大さじ 1/4
エクストラバージンオリーブオイル 大さじ 1 すべての材料を混ぜて、そのまま、またはお好みで冷やして いただきます。
脱脂粉乳を加えることで、よりクリーミーになり、たんぱく質 も増えます。脱脂粉乳大さじ 1 杯には、1 グラム以上の代謝 されやすいたんぱく質が含まれています。
fall 2007 • PiNK
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減 量とがん治 療
down
がん患者にとって減量は予防策として、また回復を促す上で有益な場合があります。 過体重が(特にホルモン関連のがんにおいて)がん再発率を高める可能性を示唆する証 拠が得られているからです。また、過体重の乳がん患者では、減量が治癒プロセスを促進 する可能性があります。
適 切な減 量目標を定める 言うまでもないことですが、減量は「言うは易く行うは難し」。減量をうまく進めるため に、現実的な目標を設定しましょう。まずは10%という、あまり高くない目標から始める ことです。たとえば体重が200ポンド (約90kg)なら、まず10%の20ポンド (約9kg)を 目標にします。次の10%は18ポンド (約8kg)です。最初の10%を達成できたら、多くの 疾患を発症するリスクが大幅に減少します。必ずしも 「理想」体重を目標とする必要はあ りません。 「 理想」体重は低すぎる場合が多いからです。適度の減量は維持し易いですし、 厳しくて達成しにくい減量目標で得られる効果と、同程度の効果が得られるのです。
減 量のために何を食べる? ホールフードダイエットをまだ始めていないのなら、 これは絶好のチャンス です。 「 ホールフード」 とは、ほとんど加工されておらず、添加物や保存料を含 まない食べ物を指します。たとえば、ホールフードダイエットに基づいて食品 を選択するなら、精白パンや精白パスタではなく、全粒の穀物や豆を選ぶこと になります。 ホールフードダイエットを始めると、食品に含まれる豊富な繊維質によっ て満腹感が得られ、代謝が促進されて、体重が減ることがよくあります。ホー ルフードを摂る以外にも、食事の量や食べ物の質に注意しましょう。やせる より健康になることを目指すのなら、あまりに早く結果が得られて驚くことで しょう。
14
PiNK • fall 2007
体重管理のための食 事 量 制 限 体重管理では食事量が重要な鍵となります。米国では多すぎる食事量が肥満の 主要原因になっていますから、日本でも食事量を監視することが体重管理に役立つ でしょう。以下は食事量制限のヒントです。
••計量カップと計量スプーンを買いましょう。最初の1カ月間は、食べる物をすべ て計量してください。 これにより、食事量を把握できるようになります。
••ほとんどのレストランでは2人前以上の量が出されます。注文した料理の半分を その場で食べ、残りは持ち帰って翌日の昼食か夕食に食べましょう。
••大皿に盛って取り分けることはやめましょう。食べ物をすべてテーブルに並べて 各自が好きなだけ皿に取るのではなく、大人の場合は1人前ずつ台所で盛りつ
けて運び、おかわりはなしにします。
••子供には食べたい量を自分で決めさせましょう。大人は子供のエネルギー所要
量を多めに見積もってしまいがちで、食べ物を与えすぎることがあります。残さ
ず食べるよう子供に強要することは、食べ過ぎを強要しているようなものです。
••1枚の皿を4分割しましょう。4分の1は高たんぱく質の食べ物、もう4分の1は
全粒のでんぷんまたはでんぷん質の野菜、そして残りの4分の2は野菜にしま
す。1日の食事のうち1回以上で、野菜の半分をサラダや生野菜の前菜などの生 野菜にします。
••デザートには果物を選びましょう。
••食べ物の下に皿が見えるようにしましょう。山盛りになった食べ物が好きなら、 小さめのサラダ皿に替えましょう。
••ディナーをいただくときは、低カロリーのスープから始めましょう。これで空腹 感が和らぎますから、残りの食事は少なくてすみます。
がん治療中の体重管理は必ずしも厄介ではありません。から だが何を必要としているのかに耳を傾けてみましょう。ライフ スタイルをきちんとしたものに変えることで、体重の維持や 減量、増量といった目標を達成することができます。また、 このようなライフスタイルは全般的な健康 状態をサポートし、 回 復 を 助 け てく れるでしょう。
fall 2007 • PiNK
15
なぜ 歩き、走り、
自転 車に乗り、
ボ ートを漕ぐの? が ん 診 断 前・診 断 後 の エクサ サ イズ の 大 切 さ K ari B ohlk e, ScD
16
PiNK • fall 2007
定 期 的 な エクサ サ イズ によって 心 疾 患 のリ ス ク が 低 下 す る こと は ご 存 知 で しょう 。で も 、が ん に 対 す る 重 要 な メリット が あ るこ と は ご 存 知 な い か もし れ ま せ ん 。エ ク サ サ イズ に よって 、あ る 種 の 一 般 的 な が ん を 発 症 するリスクが 低 下 する 可 能 性 が ある の で す 。が ん と 診 断 さ れ た 後 、エ ク サ サ イ ズ が 治 療 中・治 療 後 の 気 分 改 善 に 役 立 つことも あ る でしょう。が ん 生 存 者 で 積 極 的 に 運 動 し て い る 人 か ら は 、健 康 状 態 の 改 善 、疲 労 の 軽 減 、活 力 の 増 加 、Q O L( 生 活 の 質 )の 向 上 、憂 鬱・不 安 の 軽 減 が 報 告 さ れ て い ま す 。が ん 予 防 に 関 心 が あ る 方 、最 近 が んと 診 断 さ れ たり、治 療 中 、あ る い は 治 療 後 の 皆 さ ん に 、定 期 的 な エ ク サ サ イズ の メリッ トをご 紹 介しましょう。
fall 2007 • PiNK
17
エクササイズとがん予防
がん治療中に患者が最も頻繁に経験するとても
I期からIII期の女性乳がん患者、約3,000例を
厄 介な症 状の1つです。集中治 療を受ける患 者
対 象とした試 験では、運 動と生 存 期 間の関 係が
米国で最も診断されることが多いがんは、結腸
でさえ、エクササイズは疲 労の管 理に役 立ちま
検討されました。週に1時間以上ウォーキングし
がんと乳がんですが、エクササイズによっていず
す。たとえば、高用量化学療法と幹細胞移植を受
ている女 性では、運 動 量がより少ない女 性と比
れのリスクも大きく低下するようです。結腸がん
けている入院患者を対象とした試験では、ベッド
較して死亡リスクが低くなっていました。週3~5
と乳がんの発 症リスクは、それぞれ4 0 ~ 5 0%、
にいる間もサイクリングマシンを使っていた患者
時 間のウォーキングと同等の運 動をしている女
3 0 ~ 4 0%低 下します。その他のがんにおいて
は、入院期間中の疲労は増大しませんでした。対
性では最大のメリットが認められましたが、この
も、発症するリスクはエクササイズによって低下
照的に、入院中に運動していなかった患者では、
レベル以上の運動を行っても、より大きなメリッ
すると思われますが、それらを検討した試験では
疲労が著しく増大したのです。
トが得られることはないようでした。
あまり一貫性のある結果は得られていません。
外来患者の疲労に関する試験によっても、エク
一 番の関 心 事は生 存 期 間かもしれませんが、
体重がどうであれ、身体を動かすことで女性は
ササイズのメリットが示されました。化学療法や
生活の質(QOL)も大切です。がん治療後の身体
健康上の大きな利益を享受できます。もちろん、
放射線療法を受けている乳がん患者を対象とし
的変化に順応している最中なら、エクササイズに
エクササイズと健康な体重が組み合わされば最
た試験では、定期的なウォーキングプログラムに
よってボディイメージが 改 善し、性 的 感 覚を維
高の成果が得られるのです。12万人の女性看護
参 加している女 性は、疲 労や精 神 的 苦 痛を感じ
持・回復できるかもしれません。乳がん治療を受
師を対 象とした試 験では、やせていて積 極 的に
ることが少ないことが明らかになっています。
けた女性を対象とした、body esteem(身体の
運動している女性において、その他の女性に比べ
がん治 療中にエクササイズプログラムを続け
尊重) と気分に関する試験では、積極的に運動し
てがんや心血管疾患による死亡が少ないことが
るためには、必要に応じてプログラムを変更する
ていた女 性は、比 較 的 運 動しなかった女 性に比
報告されました。
べて、性的魅力を感じる
エクササイズに関す
ことが 多くありました 。
る ガ イドラ イン で は 、
また、活 動 的な女 性は、
心 疾 患 や が ん などの リスクを低 減 するため
「エクササイズによって、ある種の一 般 的な
には、1日3 0 分 以 上の 以 上 、または 1日2 0 分 以 上 の 激しい 運 動 を 週 3 回 以 上 行うことを
告することも少なかった のです。
がんを発症するリスクが
適度な運動を週5日
憂 鬱 や 困 惑 、疲 労 を 報
さらにエクサ サ イズ
低下する可能 性 があります。」
は 、一 部 の が ん の 治 療 後に見られる体 重 増 加 に対 処 する上でも助 け
推 奨しています 。適 度
と な りま す 。乳 が ん 生
な 運 動としては 、平 地
存 者を診 断 後 最 高 3 年
での 速 歩とサイクリング があります 。激しい 運
ことや周囲のサポートを求めることが大切です。
に渡り追跡調査した試験では、63%の人の体重
動 には 、上り坂 でのサイクリング やウォー キン
エクササイズ試験に登録された多発性骨髄腫患
が、また74%の人の体脂肪が増加していました。
グ 、またはジョギングなどがあります。 「適度な
者は、化 学 療 法の直 後には休 養をとったりエク
肥 満は、乳がん再 発 率を高め、生 存 期 間を短 縮
運 動 」と「 激しい運 動 」に関する詳 細は、米 国 疾
ササイズを休んだりすることがあったと報告して
することと関 連づけられていることから、エクサ
病対策予防センター(Centers for Disease
います。一 方 、エクササイズによってスタミナを
サイズは生存者の健康な体重を達成し維持する
Control and Prevention:CDC)の運動に関
維持できるという理由で、休まないようにしてい
ことに役立ち、また、乳がんやその他のがんの転
するウェブサイト(www.cdc.gov/nccdphp/
たという患者もいます。エクササイズを継続した
帰(治療後の経過や結果)によい効果をもたらす
dnpa/physical/index.htm)をご覧下さい。
患者に、家族、友人、医療提供者の支えや励まし
でしょう。
がん治療中のエクササイズ がん治療を受けている間、エクササイズにエネ
も、重要なモチベーションとなりました。
がん治療後のエクササイズ
ルギーを費やすことは難しいかもしれません。た
治 療が 終了した後も、エクササイズは疲 労の
さらに、すでに心疾患や糖尿病、骨粗しょう症 などの慢性疾患を持っている方もいれば、加齢に 伴いこれらの疾患を発症する危険性がある方も いるでしょう。一般的に、エクササイズはこのよう な疾患リスクを低下させます。がん生存者におけ
だ、 ( 適当なレベルの)運 動を定 期 的に行うこと
軽減や全般的なQOLの改善において、引き続き
るエクササイズと他の慢性疾患との関係を検討
で、一 般 症 状が 軽 減し、気 分が良くなります。こ
重 要 な 役 割を果たします。さらにエクササイズ
した試験はほとんどありませんが、がん生存者も 同様に恩恵に浴することができると思われます。
のことで、家族と触れ合ったり仕事を継続すると
は 、ボディイメージや体 重 増 加 、その 他 の 健 康
いった大切な活動が容易になるかもしれません。
上の問題にまつわる不安への対処にも役立ちま
がん治 療中のエクササイズがもたらす重 要な
す。また、生 存 期 間の延 長に寄 与する可 能 性も
メリットとして、疲労の軽減があります。疲労は、
あります。
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ウェイトトレーニングは 乳がん生存者でリンパ水 腫を起こす? リンパ水腫とは、 リンパ液がたまり、腕がむくむことを指します。 これは、初期乳が んのために腋窩リンパ節を摘出した患者によく見られます。 リンパ節を広くに摘出 (腋窩リンパ節切除) した場合、少数のリンパ節を摘出(センチネルリンパ節生検) した場合と比較して、 リンパ水腫が生じやすくなります。 上半身の運動をすると、 リンパ水腫を発症する、あるいは悪化するリスクが高まる のではないかという懸念があります。そのため乳がん生存者には、重いものを持た ないように、その他の上半身の運動をしないようにと助言されることがあります。 し かし、 このような助言には、ほとんど根拠はありません。 腋窩リンパ節切除を受けた乳がん生存者45人を対象に、ウェイトトレーニングと リンパ水腫との関連を検討する試験が実施されました。被験者の半数はウェイトト レーニングプログラムに参加し、半数は参加しませんでした。ウェイトトレーニング プログラムに参加した被験者は、6カ月に渡り週2回のトレーニングを行いました。 このプログラムでは、腕、背中、胸部、臀部および脚のエクササイズが行われまし た。上半身のエクササイズでは、当初ウェイトを使用しないか、またはリストウェイ トが使われたのみでしたが、 リンパ水腫が発症しない限り、ウェイトは徐々に増や されました。 6カ月間に渡るウェイトトレーニングプログラムに参加したいずれの女性にも、腕 まわりに顕著な変化が2センチ以上は認められませんでした。 リンパ水腫の発症または悪化頻度は、ウェイトトレーニングプログラムに参加した 女性と参加しない女性とでは同等でした。 同試験を実施した研究者らは、乳がん生存者は上半身のウェイトトレーニングを しないようにという現行の勧告を再評価する必要があると結論づけています。ウェ イトトレーニングは様々な健康上の利益をもたらします。さらに本試験の結果は ウェイトトレーニングでは、乳がん生存者におけるリンパ水腫リスクは高まらない ことを示唆しています。 エクササイズプログラムを考えている乳がん生存者は、最も安全で効果的なアプ ローチについて医師に相談しましょう。
「体重がどうであれ、身体を動かすことで 女性は健康上の大きな利益を享受できます。」
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さあ、今日からはじめてみよう エクササイズプログラムを始める前に、必ず医師に相談しましょう。適切なプログラムを選ぶにあたっては、年齢、運動 歴、がんの種類、病期、治療の種類、その他疾患の有無を検討します。 エクササイズプログラムでは、心肺系の有酸素運動、筋力トレーニング、柔軟体操などを組み合 わせます。有酸素運動を行うことで、心肺が効率的に機能するようになります。 これにはウォー キング、サイクリング、水泳などがあげられます。エクササイズとがんに関する大半の研究は、有 酸素運動に着目したものですが、筋力トレーニングのメリットを示す証拠も得られています。 ウェイトトレーニング、筋力強化運動などの筋力トレーニングは、骨強度の維持にも役立 ちます。筋力トレーニングは、治療中や治療後に閉経期にあった女性や、前立腺がんのホル モン療法を受けた男性など、骨粗しょう症のリスクが増大しているがん生存者に特に大きな メリットがあると思われます。ストレッチやヨガといった柔軟体操も、可動域を広げ傷害のリス クを低減できることから、同様に有益です。 エクササイズプログラムを計画する際に、その方法は人それぞれという点に留意しましょう。グ ループで運動した方がエクササイズプログラムをうまく行える人もいれば、パーソナルトレーナーに ついた方が良い人もいます。1人きりで運動を楽しむ人もいます。治療中も定期的なエクササイズプロ グラムを継続できる人もいれば、できない人もいます。自分に適したエクササイズを行いましょう。
生活の中でのちょっとしたアドバイス •• エレベータやエスカレータの代わりに、階段を使いま しょう。 •• 目的地から遠い場所に車を停めましょう。 •• 数ブロック先のバス停から乗り降りしましょう。 •• 子供やペットと遊びましょう。 •• テレビを見ながらエクササイズしましょう―サイク リングマシンに乗ったり、ストレッチをしたり、ハンド ウェイトを使ったりしましょう。 •• コーヒーブレイクではなくフィットネスブレイクをとり ましょう。 •• 車やオフィスでは、履き心地の良い靴を履きましょう。
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「ストレッチやヨガといった柔 軟 体 操も、可 動 域を広げ 傷 害のリスクを軽 減することができます。」 将来の見通し エクササイズとがんについては、未解決の
ズが担う役割を検討することも重要です。た
点が残っています。今 後も新しい情 報が得
とえば、がん治療前にエクササイズを行うこ
られるでしょうが、これまでに得られた証拠
とで、身体が治療に耐えられるようになるか
から、適度なエクササイズは、自身が望む生
問題も残されています。がん生存者を対象と
もしれません。また、進行がんの女性では、エ
活を送る上で助けになることが示唆されて
した試験は、主に乳がんの女性患者を中心
クササイズが症 状 緩 和やQ O Lの改 善に一
います。
としてきました。他の種類のがんを患う女性
役買うとも考えられます。ただし、 これらの疑
がんという診 断は、自分自身にも身近な
におけるエクササイズの効果を評価すること
問に取り組んだ試験はほとんどありません。
人にも、人生をみなおし、新しい生活を選択
も優先課題でしょう。
最後に、がん生存者に最適なエクササイ
するきっかけとなります。一歩ずつ進んで下
さらに、がんの経過を通して、エクササイ
ズの種 類 、強 度 、回 数についても不 確かな
さい。まずは医師に相談してみましょう。
特定の疾患を併発しているがん生存者は、エクササイズプログラ
注 意!
ムを始めるにあたり、特別な注意を払う必要があります。 このよう な注意のいくつかが、米国がん学会2003年度報告書「Nutrition and Physical Activity During and After Cancer Treatment:
An American Cancer Society Guide for Informed Choices(がん治療中・治 療後の栄養と運動:インフォームドチョイスのための米国がん学会ガイド)」に述べ られています。 •• 重度の貧血がある場合は、貧血が改善するまでエクササイズプログラムを始めて はいけません。* •• 治療中に強い疲労を感じたら、1日10分程度のストレッチにとどめます。 •• 免疫系が弱っているのであれば、 白血球数が改善するまで、公共のジムは避けてく ださい。骨髄移植を受けている場合、移植後1年間は公共のジムは避けてください。 •• 放射線療法を受けている間は、照射を受けた皮膚を塩素にさらさないでください (プールには入らない)。 •• 神経障害のために弱っていたり、バランスが悪くなったりしている場合は、屋外で のウォーキングよりもサイクリングマシンの方が適当でしょう。 (*注:貧血や疲労が見られる場合は、いずれにも治療法がありますから、 まずは医師に相談して下さい。)
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SPIRIT HOUSE
心 の 声 を 聞 く
癒しの 食べ物
ブラがいっぱい!
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の
し 癒 物 べ 食
食 べ 物 が 、あ る が ん 生 還 者 と その 家 族 に 届 けた 友 情と人 生 の 教 訓 Mia J ames
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レ ベ ッ カ ・ ゴ ニ ウ ィ ッ チ( R e b e c c a
日、そして愛情という幸せな思い出を呼び起こす
フィで片方の乳 房に腫 瘍が発 見されたときから
G o n i w i c h )は、米 国マサチューセッツ州サドベ
材料、組み合わせ、味付け、香り、そして盛り付け
始まりました。もう片方の乳房のしこりは、マンモ
リーに住む4 6 歳 、3 児の母 。食 欲をそそる温か
です。時に食事は平凡な日課を取り戻させ、目の
グラフィ上には現れませんでしたが、かかりつけ
いラザニア、 リガトーニ、 リゾットが盛られた大皿
前の困難に負けることなく、普通の生活が続くこ
の医師によって発見されました(レベッカはこの
からイタリア家 庭 料 理 特 有の香りがキッチンへ
とを私たちに確信させてくれます。調理中も食事
診 断 時の経 験から、女 性が自己検 診からマンモ
漂ったとき、彼女は幼少時代の日曜日の朝にタイ
中も、食べ物は家族や友人を1つにする役割も果
グラフィまですべての検診を受けるべきだと主張
ムスリップしました。当時、レベッカが目を覚ます
たします。これは、病 気によって孤 独を感じてい
しています)。腫瘍摘除術ではすべてのがん組織
と、家の中は母親が作るスパゲティソースの匂い
るときには特に重要です。そして、 レベッカが言う
を取り除くことができなかったため、レベッカは
で満ちていたのです。この思い出は貴重な癒しを
ように、多くの人にとって食 事は愛 情なのです。
両 側 乳 房 切 除 術を受けました。この根 治 手 術が
もたらしました。、母 親はもうこの世にいないな
ですから困難なとき、たとえばがんの診断が下さ
一 連の合 併 症の発 端となりました。手 術 時に挿
がら、両 側 乳がんの診 断と治 療という人 生の中
れたときなど、食 事はすばやく、支 援と交 友とを
入された組織拡張器が重度の感染を引き起こし
で最も不 確かな時 期に直 面していたレベッカに
運ぶ手 段となります。さらに、がんから生 還した
たのです。感染は激しい痛みをもたらし、さらに6
とってはことさら、子 供のころに感じていた安 心
レベッカが 気 付いたように、健 康 的な食 事は長
度にわたる入院を余儀なくされました。化学療法
感を思い出させてくれるものだったからです。
期にわたる健康的な暮らしの中心なのです。
もレベッカにとって相当つらいものでした。体 重
最高の癒しの食べ物―それは、お祝い事や休
レベッカのがんの経験は、定期的なマンモグラ
が10ポンド(約4.5kg)落ち、それまでは背中ま
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であった髪が 抜け落ちました。毎 回 投 与 後には
すべての人が 、本当に必 要とされる場 面で貢 献
ニを作る方法が一体いくつあるのかと、とても興
体力が非常に弱ってしまい、4日間病院で点滴を
できるようになったのです。
味を持ちました」 とレベッカは言います。
受けて過ごさなければなりませんでした。
反響は絶大でした。友人がすぐさまレベッカの
退 廃 的な気 持ちで食 事をとっていた時 期 、友
がんと診 断された親はしばしば 、母 親または
ボランティア名 簿に名を連 ね、子 供の昔の先 生
人たちが運んでくれる食 事はお腹を満たすだけ
父親としての役割と、治療によって課せられる時
や、まったく見 知らぬ人までが 登 録されました。
でなく、はるかに多くのものをもたらしてくれるこ
間やエネルギー 面の負担との微妙なバランスに
関わったすべての人の寛 大さは素 晴らしいもの
とにレベッカは気 付きました。大 皿 料 理 、キャセ
ついて語ります。レベッカにとってこの課 題は困
でした―メイン料 理に前 菜 、ワイン、さらには
ロール料 理 、ピクニックバスケットの一つ一つ
難なものでした。2番目の子供である息子は重度
花までもが添えられていることもありま
が 、それまでに味わったことのない連
の自閉 症で、最 善の環 境 下でさえ大 変と思うほ
した 。また 、地 元 の 有 名 なレストランか
帯 感と一 体 感を運んでくれたので
どのケアが必要です。レベッカの夫が家族のニー
ら食 事が運ばれてくることもありました。
す。 「 私たち一家に食事を準備し
ズの多くに対 応することになりました。レベッカ
「 私のお 気 に入りは 、どなたかが 届けてく
てくれることを通じて発 展した
は夫が彼 女を支 援し、彼 女の仕 事を順 調にこな
ださったローストビーフディナーです。マッ
友人のコミュニティは、
していると誇らしい気持ちで認めていましたが、
シュポテトとグレイビ ー 、野 菜 、そ
おどdろくほど素 晴ら
彼 女と家 族に助けが必 要であることは明らかで
してパンが添えられていました」
しいものでした 」とレ
した。家 庭 料 理にかける時 間とエネルギーが 十
とレベッカは 思 い 起こし、感 謝
分でなかったことから、友 人や家 族は自然と、ゴ
とともにこう付け加えました。 「誰
ベッカは語ります。 レベッ カは、このような支援が彼女の回復に果たし
ニウィッチ家に食事を作って届けることで一家を
かにあげてしまうのはもったいないくらい、
た役 割を次のように説 明しています。 「がんを敵
支援するようになったのです。
とても手が 込んだお料 理でした。」ボランティア
として、新旧の友人みんながそれを撃退するのを
ロスタ・ヘルピング・ハンズ(Lotsa Helping
はレベッカがイタリア料理を好むことにも気を配
助けてくれました。食 べ 物が 破 壊 兵 器の役目を
Hands、www.lotsahelpinghands.com)は
り、少女時代を思い出させる香りに溢れたパスタ
果たしたかのようでした。」
ボランティアを統括し、必要とする人々に食事の
料 理を届けてくれることもしばしばでした。昔な
レベッカは、がんそのものが 孤 独な経 験にな
準 備と配 達を行う団 体です。同団 体の助けを借
がらの定番料理の新しい調理法を学ぶこともあ
り得る一方で、がんと診断される以前から、自閉
りて、ゴニウィッチ家は、自分たちが 必 要とする
りました 。 「 主 人と私
食事について、また特別な好みも含め情報をウェ
は 、リガ ト ー
ブサイトに掲示しました。ボランティアはリ ストを見て、特定の日付と食事 を申し出るのです。レベッカ が言うとおり、同プログラム によって「 何かできることは ありませんか」 と声をかける
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症のわが子を世話する上である程度の孤 独を感じていたと言います。息 子にか なりの時 間を割く必 要があったた め 、彼 女 の 社 会 は 大 部 分 が 特 殊 教 育コミュニティへの
の 1 つ は自 分 の 健 康 に
参加で成り立っていたと
気を配ることの大切さ
レベッカは 語ります 。 これ によって確 か に
だと語 っています 。
充 足 感 は 得 られ ま
栄 養 面 のサポ ート
したが、レベッカは
として も 精 神 面
自分 が 住んでい
のサポートとして
るもっと大きなコ
も、食べ物がこの
ミュニティから疎
意 識 の 中 心 にあ
外されているよう
るとレベッカは言
に感じることもあ
います。健 康 的に
りました 。しかし、
生 活し食 事するこ
が んと 診 断 され た
とへのこだわりは、
後 は そうで はありま
レベッカと彼 女の家
せんでした。絶え間な
族にとって、乳がんか らの 回 復 だけにとどま
く続く食事のボランティ
らず 、長 期 的なメリットを
アが、瞬く間に家族同様の
もたらすでしょう。レベッカ
仲 間となりました 。レベッカ
の 家 系 は 心 疾 患 に苦しんでい
は今、 「 私の治癒の多大な部分」
るため( 両 親とも心 疾 患で亡くなり
は食事と交友のおかげで得られたと
ました)、健 康 的な食 事と賢 明なライフ
考えています。食べ物を通して、自分が愛
スタイルは特に重要です。家族歴を考えれば、
され 、必 要とされていると感じ、また本当の一
「がんを発 症したことによって、別の面で私は命
体感を味わったのだとレベッカは述べています。 「 一 生を通じて、あれほど愛されている、大 切に
断のとき、 「 私はこの経験から何を学ぶべきなの
を救われたのかもしれません。あの長い月日の間
思われている、理解されていると感じたことはあ
だろう。その情報にどう対応しなければならない
ずっと私に届けられていたすべての健 康 的な食
りません。」
のだろう」と自問自答した経 験から、このような
べ物のおかげで、コレステロールを120ポイント
レベッカが 健 康を取り戻した今も、食 事や善
活動は実際に有り難いものです。 このような活動
も下げることができました」とレベッカは語りま
意 、治 療 期 間を通して彼 女と家 族を支えた友 人
の一環として、レベッカはロスタ・ヘルピング・ハ
す。さらに、 「 子 供たちのために、もっと良いお手
たちのコミュニティ―旧友も新しい友人も―は、
ンズのウェブサイトの掲示板に月1回投稿してい
本にならなければならないと思いました」と彼女
彼らの生活の重要な部分を占めています。レベッ
ます。自身の経験を率直に綴ったこの記録によっ
は付け加えます。
カと夫、そして子供たちは、調理してもらったレシ
て、マンモグラフィと乳房自己検診の重要性が理
2005年12月、レベッカは組織拡張器の除去
ピのいくつかを家 族の新たなお気に入り料 理に
解されることをレベッカは期待しています。 「 両方
と、乳房再建術を受けました。髪も再び伸びてき
取り入れています。また一家は、友人たちがテイ
の乳房を失ったことを恥ずかしいと思ったことも
ました。1 9 7 0 年 代 、ファラ・フォーセットのヘア
クアウト料理を注文してくれたレストランを直接
ありました。でも堂々と、すべてを話そうと決めた
スタイルを真似たいと望んでいたとおり、今は巻
開拓するのを楽しんでいます。
のです。私がきっかけとなり誰かの命が救われる
き髪になっています。そして今 、レベッカは子 供
ゴニウィッチ家に食事を提供することを通じて
ことを願っています。 これが、家族と私を助けてく
たちをあちこちへ送り迎えする合間にキッチンで
れた人たちに対する私の恩返しなのです。」
一 休みしながら、ほえる犬にシッと言ってからこ
検診を受けるよう他の女性たちに促す活動の
レベッカは、がんの経験によって人生がどのよ
う言うのです。 「これまでになくいい気分!」
きっかけにもなりました。レベッカ自身が 診
うに変化したかを考えたとき、学んだ重要な教訓
発展したネットワークは、レベッカが適切ながん
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ブ ラ が い っ ぱ い!
イース タン ショア ア ー トセン タ ー より 勇 気 と 希 望 と 愛 を 込 め て N a ncy Raia
職
員の顔は青白く、いつもは明るい職員室が重苦しい雰囲気に
らはたくさんの質問が挙がりましたが、私には、 「それを作品で表現し
包まれていました。とても美 術の授 業を予 定 通りできる日で
ましょう」 と言うこと以外、言葉がみつかりません。私は生徒たちに、 ピ
はないと私は直感。他の教師に、生徒たちがこのことを知っているの
ンク、白、黒を使った単色画を描いてもらいました。スーザンが戻って
かと尋ねたところ、知っている生徒も知らない生徒もいるけれど、い
きたときの健康的な顔を思い浮かべられるよう、 「 ハレルのピンク色
つかはみんなで話し合うことになるでしょう、と。私が週に1度美術
の顔」を描きました。生徒の一部は、2005年8月に米国南東部を襲っ
を教えているボールドウィン郡オルターナティブスクール(Baldwin
た大型のハリケーン、カトリーナの被災者で、以前、私と一緒に「カト
County Alternative School)に勤めるすばらしいカウンセラー、 リーナの青い顔」を描いたことがありました。そのときは絵のなかで、 スーザンハレル(Susan Harrell)、その彼女がIII期乳がんと診断さ
青色を使って悲しみを表現しました。ピンク色の顔を描くのは、自然
れたことを告げられました。
な流れであったようです。そして、乳がんとの闘いという旅に出たスー
私の知っているスーザンなら、率直にこのことを打ち明けるだろう
ザンを元気付けるために応援メッセージを付け加えました。その日
と判断し、私も彼女と同じように行動したのです。
の授業後、私のもう1つの職場であるイースタンショアアートセンター
私は生徒たちに、スーザンが休んでいる理由―医師の診察を受け、 (Eastern Shore Art Center)に、生徒たちの作品をいくつか展 治療方法について話し合っているということ―を伝えました。生徒か
示したところ、作品を見た人たちから驚くほどの反響があったのです。
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それがすべての始まりでした 生徒たちの作品が巻き起こした信じがたいほどの反響に応えて、私たちは「In Support of... the B.R.A. Show(応援 します…ブラの展覧会)」 と題する展覧会を開くことにしました。 この展覧会は、乳がんに罹ったすべての人―現在治療中の 人も、長期生存者も、そして記憶に残る友人たちも―を支援し、賞賛するものでした。 展覧会は良い方向に進み始めました。私たちはテーマを設定し、それぞれの芸術家に 作品のなかにブラ(ブラジャー)を組み込み、展覧会の目的に対する支持を表明してもら うよう依頼したのです。ガルフコーストがんセンター(Gulf Coast Cancer Centers) が 展 覧 会のスポンサーに名 乗りをあげ 、収 益は米 国がん協 会( A m e r i c a n C a n c e r Society)へ贈られることになりました。また、ある生還者のグループが、共同作品の制作 に参加してくれることになりました。 この大型作品の制作に協力してくれた女性グループは、展覧会が具体化してゆくなか で、私たちの想いを刺激する力となりました。夜を徹しての制作活動は、情報を交換し、互 いを励まし合い、恐れを表明し、希望を見出す場となっていました。私はスーザンをこのグ ループに紹介し、スーザンが「私は生還者たちに囲まれている!」 と実感し、 リラックスする 姿を見守りました。 共同作品の1つ―飾りにブラがついている麻でできた色鮮やかなキルト―に、制作過程 で女性たちが愛情を持って結束し、助け合いながら口にしていた言葉を、付け加えました。 すばらしいグループであった彼女たちは、経験と、生還者としての驚くべき精神と将来への希望を重ね合わせて表現し、1つ の芸術作品を創りあげたのです。
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締め切り前から届き始めた作品 地元のフラワーデザイナーであるアンニックス ( A n n e N i x )が 電 話をかけてきて、不 安そうに 自分の作 品を見てほしいと私に依 頼がありまし
鏡に映るけれど、目には見えない、心でしか感じ
品に傷跡を付け加え、克服から15年が経過した
ることができない内面的な傷があるのです。この
親 愛なる友 人ノーマ( N o r m a )にその作 品を捧
作品を制作することで、その内面的な傷が癒され
げました。
ました」。
誰もが自分の経 験を共 有し、支 援を表 明でき
ジョアンウェルボーン( J o A n n W e l l b o r n )
ることを喜び、地域の人たちも積極的に参加しま
た。アンはブラを細かく切って、それでフラワーア
は、枝からぶらさがった鮮やかな黄色のブラカッ
した。子供たちはおばあちゃんと一緒に作品作り
レンジメントを作ったのです。地元のおっぱい仲
プに巣の一 部が 入っていて、小 鳥がその上に楽
に取り組みました。ある10歳の少女は、たんすの
間(Bosom Buddies) プログラムに参加する誰
しそうに座っているという、流 木 でできた 奇 抜
なかからブラを引っ張り出している女の子の鉛
もがアンのことを知っています。長期生存者とし
な巣 箱を出品してくれました。作 品タイトルは、
筆画を描きました。説明にはこうありました―「ブ
て、アンは乳癌と診断された女性の相談に数多く
「When the Boobs Move Out, the Birds
ラ、ブラ、ブラはどこにでもあるけれど、乳がんは
乗っているのです。今度は、アンが自分自身を表
Move In(おっぱいが引っ越したら小鳥が入居し
どこにもない、ない、ない」。アラバマ州作家協会
現する番でした。
ます)」。ジョアン自身が 化 学 療 法と放 射 線 治 療
(Alabama Writer’s Forum)に所属する地
生還者のジョイスシールズ(Joyce Shields)
を乗り越えた経験を持ちます。乳房切除術を受け
元の作家たちは、ブラと乳がんに関するエッセイ
と夫のトム( Tom )は、一 緒に展覧会に出品した
た女性たち、それでもなお、わずかなユーモアを
や物語を発表して協力してくれました。
いと考えていました。ジョイスは、自身のリレー
見出していこうとする女性たちに、ジョアンはこの
そして、今回の活動の発端となったスーザンハ
フォーライフ (Relay for Life―チームを組んで
作品を捧げました。
レルは、8つの作品を出品しました。いくつかは彼
がんと闘うイベント)での経験を表した大きなコ
地 元 の 彫 刻 家 ジ ェ ー ム ズ フ ード( J a m e s
女のお気に入りのイメージである大きな黄 色い
ラージュと、がんとの闘いの途中で感じた悲しみ
Hood)は恥ずかしそうに、片方の乳房しかない
凧を表したものでした。彼 女が 放 射 線 治 療で不
や孤独を表現した数枚の絵画を制作しました。 ト
見 事な女 性の胸 像を持ち込みました。展 覧 会の
安になっていたとき、親切な看護師がビーチで大
ムは、夫が妻の肩に腕を回し、2 人が仲 睦まじく
ために作品を創りたかったけれども、誰かの気分
きな黄色い凧を揚げているところを想像してごら
頭を寄せ合っている姿を描き、彼女の側にいると
を害するようなことはしたくなかったとジェーム
んなさいと教えてくれました。その時から、黄色い
いう決意を表現しました。
ズは言いました。制 作中のこの作 品の写 真を生
凧は回復と希望の象徴となったのです。私の手を
ステフフィルポット (Steph Philpot)は、片方
還者たちに見せたところ、美しい作品だと受け止
借りながらスーザンは、美しい自画像も描きまし
の乳房はあるけれど、もう片方は水色の涙を流し
められました。そのうちの1 人が 、傷 跡が 必 要だ
た。そのなかで彼女は蝶になっていました。最後
ているブラの美しい水彩画を出品しました。ステ
とジェームズに言いました。 「どういうものなの
に顔にピンク色を差しながら、スーザンは「これ
フの体 験 談はこうです。 「 私にとって乳がんはと
か、わからないのです」 と彼が答えると、その女性
が健康な女性の顔ね」 と言いました。
ても精 神 的なものでした。外 見 上の傷 跡は毎日
は自分の傷 跡を見せたのです。ジェームズは作
「 In Support of... the B.R.A. Show」は 、 芸 術 が 癒 し を も た ら す 力 と な る こと を 申 し 分 な く 示 す 例 で す 。 今 回 の 展 覧 会 に 協 力 し 、そ の 内 面 の 美 し さ を 垣 間 見 せ てくれ た 生 還 者 の み なさん に 感 謝 しています 。 た っ た 今 、こ れ を 書 き 終 え た と き 、 誰 か が 会 場 か ら 立 ち 去 り な が ら こう 言 っ て い ま し た 。 「 あ あ 、本 当 に 感 動 的 だ っ た ― い ち ば ん 素 晴 ら し か っ た の は 、 あ ん な に も た くさ ん の 生 還 者 が 参 加 し て い た こと だ わ 」。 そ う 、そ れ こ そ が 癒 し な の で す!
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ファンデ ー ションか らのメッセ ー ジ 「 社 会 の 問 題 は 人 口の 数 だ け あ る 」と 言 わ れてい ま す 。女 性 の 生 き 方 が 多 様 化 して いる 今 、乳 が ん も 大 き な 1つの 社 会 問 題 だ と 私 た ち は 考 え ま す 。そ れ は 、日 本 で は
人 が 乳 が んで あ る と 診 断 さ れてい ま す 。残 念
あ ま り に も た く さ んの 人 た ち が 、乳 が ん 早 期 発 見 の 重 要 性 を 知 ら さ れ ず 罹 患 し 死 亡 している か らで す 。現 在 日 本 では
あ れ ば 、 % 以 上 は 治 癒 す る と さ れ る 乳 が ん 。救 え る 命 は ま だ ま だ あ る と 私 た ち
ば 、乳 が んの発 見 時 期 が 早 期 でないと 言 う 事 が 1つの 大 き な 原 因 で す 。早 期 発 見 で
な 事 に 、そ の う ち に 1 / 3 が 死 亡 す る とい う 悲 しい 事 態 に 陥ってい ま す 。な ぜ な ら
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届 け し たいと 思っていま す 。ど う ぞ よ ろ し く お 願いし ま す 。
見 の 重 要 性 に 気 づいて 頂 く 事 で す 。私 た ち は 心 をこ めて 、 P i Nを K つく り 、皆 様 に お
決 別 、あ り と あ ら ゆ る 乳 が ん に 関 す る 情 報 の 提 供 、そ し て 皆 さ ん に 乳 が ん 早 期 発
同 じ な ので は な い か と 思ってい ま す 。私 た ち の 願 い は 、乳 が ん と の 孤 独 な 闘 いへの
と も に 生 き る 事 、克 服 す る 事 、早 期 発 見 を 啓 発 す る 事 は 、米 国 で あ れ 日 本 で あ れ 、
か ら 物 事 を と ら え ている も の も あ り ま す が 、同 じ 女 性 と し て 人 間 と し て 乳 が ん と
い や 食 生 活 、ま た 日 常 の 生 活 環 境 の 違 い か ら 、私 た ち 日 本 人 と は 少 し 違った 目 線
支 援 について 、サ バイ バー の 体 験 談 な ど も 含 ま れてい ま す 。米 国 と 日 本 の 法 律 の 違
P i Nの K 記 事 の 多 く は 医 療 従 事 者 に よって 執 筆 さ れ た 情 報 で す が 、家 族 や 地 域 の
手 に 取って 頂 ける よ う デ ザ イ ンに 様 々 な 工 夫 を してい ま す 。
ン ク リ ボ ン か ら 、 P i Nと K い う 名 前 を 情 報 誌 につけ るこ と と し 、幅 広 い 年 代 の 方 に
人 も 少 な く ないので は ないで しょう か 。そこで 乳 が ん のシン ボ ルマー クで も あ る ピ
な 情 報 を 提 供 し たい、と 考 え ま し た 。し か し 、乳 が ん と 聞 く だ けで「 怖 い」と 感 じ る
私 た ち は 、日 本 の乳 が んの現 状 を みて 1 日 で も 早 く 、皆 さ ん に 乳 が ん に 関 す る 様 々
は 信 じていま す 。
90
事務局長 原 万紀子
Makiko Hara
大阪生まれ、大阪育ち。大学卒業後、1998年から2000
ランティアを経験する。ボランティアを通じて、挫折や無力
年までアフリカのジンバブエ共和国にて、青少年教育のボ
感を感じながらも社会貢献活動の重要性と、面白さに築き
NPOやNGOのマネージメントに興味を持つ。その後、東
てノウハウを学び、 ファンデーションに就職する。
京のテンプル大学でNPO/NGOマネージメントコースに
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感 謝 と 祈 り シェリル ・ クロウ インタビュー Diana Price
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シェリル・クロ ウ の 物 静 か で 穏 や か な 声 に 、 私 の 警 戒 心 は 少 し 解 け ました 。 何 と 言 ってもシェリル は ロックス タ ー 。 彼 女 は 電 話 に 向 か って 大 声 で 歌 い 出 す の か 、 そ れともそ の 力 強 い 存 在 感 で 圧 倒 す る の か ― 私 は 緊 張 して い ました 。 け れどもシェリル の 穏 や か な 印 象 と 静 か な 思 い やりの 雰 囲 気 は 私 を 落 ち 着 か せ てくれ ました 。
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シ
ェリルは単に、ツアーのスケジュールに少し疲れているだ
リ州ケネットの自宅にいる両親にすぐさま電話しました。 「 両親の
けなのかもしれないと思いました。 というのも、私が彼女
電話対応は立派でした。 『 いいわね、みんなで何とかしましょう。午
を捕まえたのは、4カ月目を迎えた「ワイルドフラワー」ツ
前中にそちらに行くから』 と両親は言いました」 とシェリルは話しま
アー中のめったにない休日だったからです。でもわずか数分の会話
す。2人の姉、カレンとキャシー、弟のスティーブも最終的にはロサ
で、本当の訳が分かりました。それは格別深刻な話でした。シェリル
ンゼルスの彼 女の家に来て、治 療中の彼 女を交 替で支えました。
の穏やかでゆったりとした、思慮に溢れた受け答えには、最近、生き
シェリルの母は、美味しいスープをはじめ、すばらしいオーガニック
ることの意味に直面した経験が現れていました。音楽の世界でグラ
料理を作りました。 「 治療中、親密な家族だからこそ提供できる無
ミー賞を9回も受賞し、3,000万枚以上ものアルバムを売上げた
条件のケアを受けること、さりげなく支えてもらうことは、 とても有
シェリルの歌声は力強く、美しいけれど、私の耳に届く彼女の声は
意義なことでした」 とシェリルは言います。
思慮深く穏やかでした。南部らしい、軽く弾むような調子の受け答
この経 験を経て家 族の絆がさらに強くなったのも明らかです。
えに垣間見えるのは、 ここ数カ月、自分自身をかつてないほど深く知
「 時 間は(このような出来 事の間は)なんだか止まっているようで
るまでに追い込まれ、試され、自身の強さと価値を理解することで
す。そんな時間によって、人は内向的に考えるようになり、また、人
平穏を見出した女性でした。
生を評価しようという心境になります。私たちは家族としてこれま
ともあれ彼女は自分の境遇に感謝しています。シェリル(44歳)
で以 上に近づき、とても親 密な一 団になりました」と、シェリルは 言います。
は、2006年2月、
腫瘍摘出手術後
定期乳房撮影を 受 け 、そ の 後 の
の7 週 間にわたる
針生検の結果、
放 射 線 治 療の間 、
左の乳 房に浸 潤
シェリル にとって
性の腺 管がんが
家 族 の 支 えは 欠く
あると診 断 され
ことのできないもの
たのです。シェリ
でした。体 力がかな
ルは腫 瘍 摘出手
り高いレベルであっ
術と7週間にわた
たこと、そしておおむ ね 健 康 で あったこと
る放射線治療を受けました。
から、シェリルは、治療に
インタビューの随所でシェリルは、健康と幸 せに、そして家族や友人の支えに対する感謝の気
よる身体の疲れやそれに伴う精神的
持ちを述べています。彼女の経験について尋ねた
落ち込みは予期していませんでした。 「 私はこのように活 動 的な人 間です
質問への答えにも、 「とても幸運だと感じています」、 「自分がとても、 とてもラッキーだと分かっています」、 「 有り難い事
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から、治療終盤は厳しいものでした。 というのは、ただ疲れて、うた
でした」 という言葉が溢れています。
た寝しているというだけで、うつ状態にいるように(疲れて)思って
シェリルの話は実際に(表面的には)運とタイミングが良かった
しまうからです。」
ようです。乳房撮影で疑わしい結果が出た直後、彼女は放射線科
とはいえ最 終 的に、疲 労の影 響というシェリルの経 験は、乳が
医から6カ月後の再検査を指示されました。 しかし、生検を受けるよ
ん克 服という道 程においてセルフケアの面で彼 女 が 学んだ多く
うにという担当産婦人科医の勧めに従ったおかげで、I期のがんを
の教 訓の1つとなりました。最 終 的に、 「 私 は降 参しました。そし
かなり早期に発見できたのです。ただ、もう少し詳しく話すなら、乳
て、それが自分を大 切にする方 法だと感じました。つまり、私はう
房組織が密で固いため自己検診が難しいという理由で、シェリルは
たた寝する必要がある、また、家をきれいにし、みんなに家に帰っ
35歳以降、定期的に乳房撮影を受けています。さらに、彼女は長年
てもらう必 要があると考えたのです」と話します。自分自身の声 、
にわたって乳がん患者擁護者として活動しています。つまり、現実
そして、自分が 必 要としている価 値に耳を傾けることを学んだの
は良好な予防策と検診、そしておそらく若干の幸運だったのです。
は 、彼 女 にとって自分 の 生 命との 関 わり方 における決 定 的 な 変
早期発見であったとはいえ、乳がんと診断された衝撃は軽いもの
化でした。
ではありませんでした。健康と体力に常に気を配り、本人曰く、 「無
休息と癒しの時間を持つことによって自分の身体と心を大切に
敵そう」なシェリルにとって、現実に左乳房に浸潤性のがんがある
しようという、意識的なこの決意は、シェリルが回復する上で極め
という告知は、 この上ない衝撃でした。
て重要な転機でした。がんと診断され、治療を受けるのは、初めて
結 束の固い家 族と頻 繁に連 絡をとっているシェリルは、ミズー
自分に強いたことだと彼女は述べています。
PiNK • fall 2007
人 生 で 出 会 うす べ て の 人 々と 同 様 に 自 分 が 大 切 だということ 、 そして 、自 分 自 身 を 大 切 にし な け れ ば 、 私 の 中 の 最 善 の もの を 他 の 誰 に も 与 え ることは 絶 対 に で き な いということに 気 付 い た の で す 。
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がんと診断されて以降、シェリルは、乳がんを克服した女性たちがその体験を話し合うのを聞く機会 を持ってきました。そこで彼女は、女性たち (セルフケアと栄養管理の不足が診断につながるという考え に皆縛られています)がそのライフステージを問わず同じことを言うのを耳にしました。 「 私が話した、乳 がん治療を経験した女性のほとんどが、乳房の形而上学的な側面について似たような話をします。つま り、乳房が滋養を象徴する場所であるという話です。私たちはこの世に生まれ、乳房 から栄養を受けます。私たちは生命を生み出します。乳房で子供たちを 育てます。私たちは本能的に世話をする人であり、周りの人々の世話を し、そして、最期を迎えます。人生ではそれが真実だということを私は確 信しています。」 シェリルは今、自分の価値を認め、自分を大切にすることが優先事項 になっていると言います。 「 私は今、自分を大切にすることを強く意識し ています。何かが正しくないと感じるときには『ノー』 と言うことを、 (そ れは私にとってなじみのない意識なのですが)私は日々守ろうとしてい ます。人生で出会うすべての人々と同様に自分が大切だということ、そし て、自分自身を大切にしなければ、私の中の最善のものを他の誰にも与え ることは絶対にできないということに気付いたのです。」 放射線治療の間、 シェリルがセルフケアとしてこだわったことは、日々の 瞑想と日記でした。彼女は長年にわたり、1日2回の瞑想を行っており、治 療中には瞑想が彼女の集中力の持続を大いに助けました。 「 自分が有名 人で、みんなが自分のために祈ってくれ、自分にエネルギーを送ってくれる と、何となくそのエネルギーを感じると私は思います。私は本当に感情的に 疲れましたが、瞑想に助けられ、集中し続けることができました。」 シェリルは、瞑想が身体的集中の持続を助けるように、 プライベートな生 活で不安に対処するときは、日記が精神的安定に役立つことを発見し ました。 「 私は本当に、あまりしゃべりたいと思いませんでした。だから 日記は、感じていることを表現するのに適した方法でした。」がんと診 断される前なら、シェリルは、経験から湧き上がる感情を克服しようと ギターやピアノに頼り、常に感情のはけ口であった曲作りに引き込ま れたかもしれません。 しかし彼女は治療中、そういう事から離れると意 図的に決断したのです。 「 放射線治療を受けている間に私がやったこと の1つは、ギターやピアノに走り、曲を書くということではありませんでし た。 というのは、そういったことは私が誰であるか―私の表面的な個性や エゴ、仕事―とのつながりがあまりにも強いと感じたからです。自分を評 価するには、元気になれる場所に自分を置くことは無駄だと思いました。 そして、座り込んで、自分がどう感じているかを日記に書くことの方が、ずっ と神聖で安心できると思いました。そうすることで私は、がんと正面切って 向き合うことができたのです。」 シェリルが治療中と回復期に行ったこれらの私的で静かな習慣は、歌手 としての生活の大半と同じように彼女のがん体験が世間に知られてしまう 前に、それを自ら告白することにも役立ったと彼女は言います。ツアーを再開 できた今、 ファンと交流したり、がんの経験を伝えたりする中で、彼女は自分に向けられ た世間の反響に明らかに心を動かされています。 がんを克服した人たちとの交流について話すうちに、シェリルの声には畏敬の念が込められてきまし た。明らかにシェリルは、彼女に近づいて、自分たちの経験を伝えようとする女性たち―「増えて行く仲 間」 とシェリルは呼んでいます―に出会うことの衝撃を強く感じています。がんの診断を乗り越えてか
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ら、 ツアーで経験することは大きく変わったと彼女は言います。
食べるべきか(Bellarは食物繊維の多いシリアルを勧めています) と
「治療から帰ってきたとき、私は、自分の活動について、まったく違
いったささいな選択と、最も重視するのは誰か(これまで以上に今
う感じ方をしました。騒ぎ過ぎたり、能天気になったりしませんでし
は自分自身) といった重要な選択について理解しました。そして彼女
た。私は観客からの大きな愛情を感じました。以前は愛情がなかっ
は、がん治療の道程で学んだこの教訓を心の最前列に据えて、前進
たとは思いませんが、戻ってきたときには、より強く愛情を感じたの
しています。
です。私はかなり多数の人に、放射線治療を経験すると、極めて寛
人生のこの新しい章に最も期待することは何ですかと尋ねると、
容になると言われました。そして私はどれほどの支えを受けたのか、
シェリルは躊躇し、考え込む様子で深呼吸しました。そして彼女はこ
はっきり気付きました。」
う答えました。 「 私の人生は本当に大きく広がったように感じます。
シェリルが 、早 期 発 見という幸 運 、優れた治 療を提 供してくれ
がんと診断される前、私の人生には多くのマイナス要素がありまし
た人々といった点で、がんを克 服した人たちの中では自分が恵ま
た。そして、がんを経験して以降、私の人生は本当に広がって行った
れた境遇にいると感じたことも明らかです。彼女は治療中、がんの
と感じています。私は自分に対して批判的ではありません。私はとて
治療とそれに関連する保険の問題に伴う費用について知ったこと
も強く、健康で、パワーに満ちていると感じます。たとえもし私が二
で、保険なしに、または、保険制度について助言してくれる擁護者
度と働かなくても、二度と歌を作らなくても、私にとって最高の仕事
なしに、がんの診断に直面する女性たちのことを深く考えるように
は目の前にあるような気がします。私は良い境遇にいます。私はた
なりました。 「 私にとってそれは本当に気がかりなことでした」 と彼
だ、やらねばならないと感じることをやり続けようと思っています。 そ れ が 、が ん の 経
女は言います。 がんの診 断を受
験 、あるいは環 境 、
け 、治 療 を 受 け て
曲作り、人との関わ
い る 間 にシェリル が 詳 しく知 るよう になった医 療 制 度 につ い て 話 してい ると、乳がん患者に とって、現在の研究 と現 在 受 診 可 能な 治 療 について希 望 の 光 が 多 数 あるこ
が ん を 経 験 して 以 降 、私 の 人 生 は 本 当 に 広 が って 行 ったと 感 じて い ま す 。 私 は 自 分 に 対 して 批 判 的 で は ありま せ ん 。 私 はとても 強 く、健 康 で 、 パ ワ ー に 満 ちて い ると 感 じま す 。
りや 人 生 が 導 いて くれ る あら ゆ る 事 柄について語ること であってもです。」 とてもはっきりし ているのは、シェリ ル の 人 生 がシェリ ルをどこに導こうと も、彼女が新しい世
とに、彼女が胸躍ら
界 、つまり、感 謝と
せていることが分か
祈 りによって 活 力 を得るがん克 服 者
ります。 「遺伝子治 療の進歩について、毎日、何らかの報告があるでしょう。がんやその
の仲間に入ったようだということです。彼女の感謝の対象は簡単に
他の疾病に関して言えば、 どんな小さな進歩も賞賛に値すると私は
挙げることができます―今現在の彼女の人生、彼女のがんを早期
強く思います」 とシェリルは言います。現在進行中の研究に関する話
発見した医療関係者、彼女が(家族、友人、担当の医療チームから)
をまとめる際にシェリルは、 「これは私たちが闘わなければならない
受けた愛情とケア、そして、変化を起こすために彼女に与えられた
戦争だと思います」 と言いました。彼女の声には決意の程をうかが
機会です。
わせる響きがありました。
シェリルの祈りはより漠然としていますが、うわべだけのもので
自身のことを話し始めた今、シェリルの固い決意は乳がんの擁護
はありません。それは、彼女の思慮深い受け答えの中、電話を通し
に関わり続けるという約束にも明確に表れています。シェリルは今
て伝わってくる心遣いの中に感じられます。友人と家族に対してだ
後も、早期発見と検診が重要だというメッセージを広く発信するつ
けでなく、がんと闘っている間、惜しみなく彼女を支え続けたすべて
もりです。そして、彼女を担当したRachel Bellar栄養士と協力し
のファンと多くの仲間に対して彼女が明らかに感じている愛情の中
て、彼女にとって非常に有益だった栄養と病気予防に関する情報の
にあるのでます。彼女のスピリチュアルな習慣の中、そして、私たち
発信を計画しています。
が彼女を知るようになった音楽の中に表れています。そして今、音
2月に知り合った女性仲間と同様に、シェリルは今、かつてのも
楽を伝え続け、自分のことを話し続け、自分を大切にし続けながら、
のとまったく異なる、がん克服後の一変した人生の現実、 「 新しい
シェリルは、新しい確実な方法で自分が本当は誰なのかを私たちに
普通」を生きています。彼女は、がんを経験したことで、朝食に何を
もう一度伝えているのです。
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ラン・フォー・ザ・キュアファンデーションは、全国において乳がんの早期発見啓発/教育活動を実施している、特定非営利活動法人です。 ファンデーションは、 マンモグラフィ機器の寄贈、技師の教育研修また、 マンモグラフィ検診料金の助成等を主な活動としています。 マンモグラフィ機器の寄贈 ファンデーションは現在に至るまで、計4台のマンモグラフィ機器(GE横川メディカル社製Paforma)を千葉と大阪に寄贈致しました。 医療法人社団千葉県勤労者医療協会 健生クリニック/医療法人社団雅厚生会 千葉新都市/ラーバンクリニック/ 糸氏医院、大阪府下医療機関(選定中) マンモグラフィ検診料金助成プログラム ファンデーションは、 マンモグラフィ機器を寄贈した各医療機関において、500名のマンモグラフィ検診の提 供を行っています。2007年6月現在の検査結果は下記の通りです。 マンモグラ フィ検診の助成に関するお知らせについては、地域広報誌への掲載、地域 掲示板・薬局へのポスター掲載などを行い、特に企業検診等を受診する 機会のない女性たちに提供しています。検診を受診した約60%の女性 が初めてマンモグラフィ検診を受診すると、 アンケートに回答しており、 マンモグラフィ検診が一般的に普及していないことを物語っています。 医療法人社団千葉県勤労者医療協会 健生クリニック 検診受診者数:514名 はじめて:296名 前年度受診: 90名 以前に受診した事がある: 123名 異常なし:424名 所見あるも正常扱い:31名 経過観察:5名 要精密検査: 54名 *精密検査の結果乳がんと診断された方は0名 医療法人社団雅厚生会 千葉新都市ラーバンクリニック 検診受診者数:96名(途中経過報告) はじめて:85名 前年度受診:11名 以前に受診した事がある:0名 異常なし:88名 所見あるも正常扱い:0名 経過観察:3名 要精密検査: 5名 *精密検査の結果乳がんと診断された方は0名 教育啓発活動助成プログラム
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ファンデーションは、NPO法人乳房健康研究会の乳がん教育啓発
また、聖路加看護大学の乳がんについて研究を行っているチームと
セミナーに助成金を提供しました。セミナーには、企業内・自治体の保
ともに、助産師が積極的に乳がん啓発活動を行うことができるよう、
健師達約100名が参加し、専門家から乳がんに関する様々な情報を
2 0 0 0 部のパンフレットを作 成し、助 産 等で配 布しました。母 親たち
取得し、それぞれの職場において乳がん検診の啓発活動を行う重要
が乳がん自己検 診 法について学べるよう、自己検 診 方 法を紹 介する
性を再認識してもらう機会をつくりました。日本ではあまり販売され
DVDとブレストモデル(胸のモデル)も2セット提供しています。また、
ていない、自己検診方法を紹介するDVDとブレストモデル(胸のモデ
乳がんについて母親たちにわかりやすく説明できるよう、原寸大のブ
ル)を50セット提供しています。
レストモデルを提供しました。
NPO法人Run for the Cure® Foundation
ファンデーションは、趣旨を同じくする法人に
〒150 - 0047 東京都渋谷区神山町18 - 6 神山アンバサダー108号
積極的に助成金の提供を行っていきたいと考えています。
Tel:03 - 3466 - 4798 / Fax:03 - 3466 - 4799
助成金に関するご質問はこちらまでご連絡下さい。
E-mail:mhara@runforthecure.org
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担当者:事務局長 原
THE WAR ROOM
ラン・フォー・ザ・キュアファンデーションの基金について
ニ ュ ース で 見 る 治 療 の 進 歩 と 薬
検診は命を救う 予後がさらに改 善 完治を目指して団結した 若い女性たち 環境エストロゲン 希 望よ再び 最 前 線では今
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う 救 を 命 生 は 診 検
た れ さ 下 は 定 判
乳がん検 診が生 命を 救 うという 考 え 方 を 直 感 的 に 正 しいと 思 わ れ るでしょう 。 しかし、 医 学 界 にこれ を 納 得 させる の に 十 分 な 長 期 的 デ ー タが 明 らか に な った の は 、 つ い 最 近 のことな の で す。
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Max ny Jen
on,
RN
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女性は乳房自己検診を月に1回以上、 できれば毎月同じ時期に実施することが推奨されます。
米
国だけでも、毎年20万人以上の女
り、不必要な生検や手術が増加すると考え
か。比較的若い女性あるいは乳房組織が
性が乳がんと診断されています。が
る人がいるのです。さらに過剰診断は、患
高密度な女性では特に、 どのようなマンモ
んが乳房から離れた部位に転移する前に、
者の不安や医療費、さらには患者、医療提
グラフィが最も確実なのでしょうか。高齢
早期に発見して治療を受ければ、治癒率は
供者、医療機関の時間的負担を増大させる
女性はどれくらいの頻度で検診を受けるべ
高い水準にとどまります。 しかし、がんが進
との指摘もありました。
きでしょうか。
行、転移すると、長期生存率は著しく低下
検診によって実際に乳がんによる死亡
これらの疑問や乳がんを取り巻くその他
します。 ですから、 マンモグラフィ (乳房のX
率が低下することを医学界に納得させるの
の疑問に答えを見出すため、現在いくつか
線検査)などの検診手段を用いた早期の発
に十分な長期的データが集まり、発表され
の試験が進められています。適切な検診と
見によって、乳がんと診断される女性の生
るようになったのはここ数年のことです。最
早期発見によって、最終的には、乳がんの
存が最終的に改善されることは、至極当然
近まで、 このようなデータには、検診で乳が
大部分が早期に発見、治療され、すべての
なのです。
んが発見された女性と発見されなかった
女性にとって治癒可能な病気となることが
現在、マンモグラフィやその他の検診法
女性の生存率の差を識別できるほど十分
期待されます。
は日常的に利用されているものの、そのよ
な期間の追跡調査が含まれていませんで
現時点で最も重要なポイントは、女性は
うな検診手段の多くが役立つかどうかに
した。けれども今や判定は下されたようで
40歳を迎えたら、マンモグラフィを年1回
ついて、専門家の見解は常に分かれていま
す。マンモグラフィ検診は乳がんと診断さ
受けることが一般に推奨されているという
す。乳がん検診に否定的な立場を取る人の
れる女性の生命を救うのです。
ことです。乳がんの家族歴がある患者、ま
中には、たとえばマンモグラフィが生存に
それでもいくつかの疑問が残ります。乳
たは遺伝的に乳がんにかかりやすい患者
メリットをもたらすことが証明されていな
がんを発症するリスクが高いと思われる女
は、早めに検診を開始することを医師に相
い状況では、検診によって過剰診断が起こ
性には、 どのような検診を行うべきでしょう
談する必要があります。
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最 新 の 結 果:
検 診 マン モ グ ラフィ マンモグラフィ検診について評価を行った、最近終了した研究や試験の結果をいくつかご紹介しましょう。 米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)は先頃、治療と検診がそれぞれ 乳がん死亡率の低下にどの程度寄与しているのかを推定する目的で、米国内の7つのグループ に研究助成を行いました。同研究には、ダナファーバーがん研究所(Dana Farber Cancer Institute)、エラスムス大学(Erasmus University)、ジョージタウン大学(Georgetown University)、MDアンダーソンがんセンター(MD Anderson Cancer Center)、ロチェス ター大学(University of Rochester)、スタンフォード大学(Stanford University)、 ウィ スコンシン大学マディソン校(University of Wisconsin at Madison)の研究者が参加し ました。各グループが、同一のデータ群を用いてそれぞれに統計モデルを作成しました。 推定値にばらつきが見られたものの、7つのグループすべてが同じ結論に達しました。つ まり、米国で1975~2000年の間に見られた乳がん死亡率の低下は、検診と治療の効 果が組み合わさった結果であるという結論です。死亡率低下のどの程度までがマンモグ ラフィ検診によるものなのかについては、推定値が28%から65%までとさまざまでした (中央値は46%)。 デンマークでは1991年に、マンモグラフィ検診を受けた女性と受けなかった女性を比 較する臨床試験が実施されました。同試験では、 マンモグラフィ検診プログラムに参加し たコペンハーゲン在住の女性と、検診プログラムを実施しなかった他地域の女性が比較 されました。 プログラム実施期間中の乳がん死亡率は、検診プログラムのない地域の女 性と比べて、検診プログラムに参加した女性では37%低いという結果が得られました。
乳房自己検診 乳がんを克服して6年が経過したスーザン・B(Susan B)は、乳房自己検診の効果を固く信じていま す。乳房に違和感を覚えたスーザンは、医師の診察を受けました。医師は何の異常も触知されないと言 い、マンモグラフィの結果にも異常はありませんでした。数カ月後、自己検診で違和感を確信し、再度診 察を受けました。けれども、何も触知されず、 マンモグラフィの結果にも異常はありませんでした。 3度目の受診で、スーザンはマンモグラフィと一緒に超音波検査を受けました。超音波検査で放 射線科医が異常な腫瘤を発見し、良性ではなさそうだとスーザンに告げたのです。その後の 生検の結果は陰性でしたが、 さらに切除した腫瘤の生検を行ったところ、ついに診断が下さ れました。がんだったのです。がんは既にわきの下のリンパ節7箇所に転移していたことを、 彼女は後になって知りました。 スーザンや、彼女と同じような経験をした女性たちは、 「 乳房自己検診の重要性はいくら強 調しても足りません。自分の身体のことは誰よりも自分がよく知っているのです」 と言いま す。彼女は、自分ががんから生還したという事実は自身の直感と粘り強さのおかげだと考え ています。自己検診を入念に行っていなかったらどのような結末を迎えていたか―考えたく もないとスーザンは言います。 乳房自己検診と乳がん女性の長期的な転帰に関するデータは多くありません。ただ、自分自 身の身体を知っておくことが、あらゆる方法の中で最善の検診方法かもしれないことを、スー ザンをはじめとする女性たちは実証しています。 女性は乳房自己検診を月に1回以上(ホルモンレベルや月経周期が乳房の感触に影響を及ぼ す可能性があるため、できれば毎月同じ時期に)実施することが望ましいとされています。スーザ ンのように何か違和感を覚えたら、医師の診察を受けましょう。自分の身体のことは誰よりも自分が よく知っているということを忘れないでください。 マンモグラフィや自己検診とともに、20~30代の女性は3年に1回、40歳以上の女性は毎年、医療従 事者による乳房とわきの下の視触診を受けることが望ましいです。
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PiNK • fall 2007
Always with you since 1892… ゴ ト ウ フ ロ ー リ ス ト は 最 高 品 質 の 花 を よ り 美 し く、 そして 様 々 な 形 で ご 提 案 して おりま す。 常 に 変 化 する 美し い 花 の 空 間 へ 皆 様 をご 案 内 致しま す。
営 業 時 間 のご 案 内 月曜日∼ 土 曜日 日 曜 日・祝 日
10 : 0 0 ~ 2 0 : 0 0 12:00~20:00
東 京 都 港 区 六 本 木 5 - 1 - 3 ゴトウ ビ ル ディング 1 st
W W W . G O T O H A N A T E N . C O . J P
その他の検診検査
M R I について
超音波検査 マンモグラフィまたは乳房検査で異常所見が見られた患者は、超音波検査を受けるよう 指示されることがあります。超音波検査は、超音波を内部組織に反射させて、モニター上 に画像を描き出すという検査です。超音波検査は、単独では検診法として利用されません が、他の検診手段と併用してさらなる情報を得るために用いられることがあります。
超 音 波 検 査 につい
て
て映し出され 腺も腫瘤も白い影とし マンモグラフィでは乳 う)の中に 乳腺(高 密度 乳腺とい ます。そのため 、発達した ます。逆 あり けるのは困難なことが 微妙な腫 瘤の影を見つ っぽく は黒 腫瘤 り、 は白っぽく映 に超 音波 検査では 、乳腺 こと する 認識 単に も簡 な腫 瘤で 映ります 。そのため 、小さ 肪が 少な べ脂 に比 白人 欧米 は、 ができます。日本 人の乳房 ため、日本 で占められています。その く、殆どの部 分が 乳腺 検診 に導 入 けでなく超音 波検 査を では 、マンモグラフィだ すでに超 ては れ、地域や職 域によっ する方向の検 討がなさ す。 状で されているのが現 音波 検査も検 診に導入
デ ジ タル マ ン モ グ ラ フィ デジタルマンモグラフィでは、マンモグラフィ画像のコントラストの度合いを操作し、比較 的高密度の組織がある乳房部分のコントラストを高めることができます(通常のフィルム マンモグラフィでは、高密度組織中の異常腫瘤の発見に限界があります)。デジタルマンモ グラフィは未だ臨床試験段階にありますが、先頃行われた試験では、デジタルマンモグラ フィはフィルムマンモグラフィと比較して、乳房組織が高密度の女性と50歳以下の女性に おいて、正診率を15%向上させることが示されました。
磁気共鳴画像 磁気共鳴画像(MRI)を用いた乳がんの発見については、まだ臨床試験で評価が行われて いる段階です。 これまでの研究では、乳がん発症の遺伝的リスクが高い女性には、マンモ グラフィよりMRI検診が有効である可能性が示唆されています。MRIでは、磁石と電波、 そしてコンピュータを使って、体内の特定部位の一連の詳細な画像を描き出します。MRI の結果は、がん腫瘤と瘢痕組織の識別に役立つこともあります。
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機器の人 MR IやC Tなどの先端 医療 欧米では日本に比べ、 費用 が日 検査 、 ため ない 大幅 に少 口当たりの設 置台 数が 安価にM RI 軽で 的手 比較 す。 情で 本比べ数 倍高いのが実 こと 対しては保険が使える さらに乳がんの患 者に が使え、 診 んと 乳が ら日本の 乳腺 外科 医は もあり、10年 ほど前か Iを活 MR 的に 積極 た患 者に対し、 断され手 術が 予定され の画 像 その 結果 、MR Iは乳 がん た。 まし なり うに 用するよ 報を提 い情 に近 織像 理組 正確に病 診断 器機の中で、最も ようになりま れる 価さ く評 て高 とし 供してくれる診断 装置 し、手術 んどの乳 がん 患者 に対 した 。日本 では 現在 、ほと 定や手 応決 れ、乳房 温存 手術の適 前にMR I検査が実 施さ 用されています。 術のデザインなどに活
高リスク患 者
す。リスクが高い女性は、生涯にわたる乳がん発
乳 がん 症 例 の 大 半 は 、既 知 の 遺 伝 的 変 異 に
卵巣あるいは双方の予防的切除を受ける決断を
よって発 生するものではありません。そのため、
下す場合もあります。過激な方法と思われるかも
乳がんはもはや死刑宣告ではなく、早期に発見
ほとんどの女 性にとって遺 伝 子 検 査 はメリット
しれませんが、このような外 科 的 介 入によって、
し、治療すれば治癒の可能性が高い病気です。マ
がありません。しかし、研 究 者は2つの乳がん感
女性の乳がん発症リスクは大きく低下し、最終的
ンモグラフィ、乳房自己検診、視触診による乳が
受性遺伝子(BRCA1とBRCA2)を同定しまし
にはリスクが 高いことに関する不 安を軽 減する
ん検診は、現時点で、この病気による死亡リスク
た。BRCA1またはBRCA2遺伝子を受け継いだ
ことができるのです。卵 巣はエストロゲンなどの
を最小限に抑える最善の防御策なのです。
女 性では、乳がん発 症の生 涯リスクが大 幅に上
女性ホルモンを産生します。エストロゲンは乳が
乳がんによる死亡率は着実に低下しつつあり
昇します。乳がん発症の生涯リスク推定値は、一
ん細 胞の増 殖を促す可 能 性があるため、卵 巣を
ます。この傾向を維持できるかどうかは、一人一
般 集 団で1 2%であるのに対し、B R C A 1または
外科的に切除することによって、BRCA1または
人の女 性がきちんと検 診を受けるかどうかにか
症リスクを大きく低下させるために、乳房または
最 重 要 ポ イント
乳 が ん 検 診 を 受 け ましょう
BRCA2に変異がある女性では50~85%に跳
BRCA2変異のある閉経前女性の乳がん発症リ
かっています。4 0 歳 以 上の人は、医 師にマンモ
ね上がります。
スクは約50%低下します。
グラフィの受診について相談しましょう。乳がん
BRCA1またはBRCA2変異がある患者には、
先頃、欧米の13研究機関が、データ解析に基
発症のリスクが高い人は、医師とのコミュニケー
利用可能な選択肢がいくつかあります。このよう
づき、B R C A 1またはB R C A 2 変 異のある女 性
ションを保ち、頻繁に検診を受け、最適な検診方
な高リスク患者は、マンモグラフィまたはMRI、あ
6 6 6 人の全 生 存 率と原 病 生 存 率を評 価しまし
法やスケジュールを評価するための臨床試験に
るいはその両方による頻繁な検診を、若いうちに
た。卵巣の外科的切除術(予防的両側卵管卵巣
参加しましょう。
始めるとよいでしょう。
摘除術、BPSO)を受けた女性と受けなかった女
毎月1回の乳房自己検診を行うことも、乳がん
カナダで先頃、BRCA1およびBRCA2変異の
性の間で、全生存率と原病生存率が比較されま
検診計画の重要な要素です。自分の身体は誰より
ある女性を対象に、さまざまな検診法による乳が
した。手術を受けなかった女性と比べて、BPSO
も自分がよく知っています。 スーザン・Bをはじめと
んの発見率を比較する臨床試験が実施されまし
を受けた女性では、全生存率が高く、乳がんによ
する生還者から学んだ教訓が、 このような検診は
た。同試験の対象となったのは、1997~2003
る死亡のリスクが(統計学的に)有意に低下して
生命を救う可能性があることを教えてくれます。
年にマンモグラフィ、超 音 波 検 査 、M R I 、臨 床 乳
いました。
房検査によって検診を受けた女性236人でした。
さらに、メイヨークリニック (Mayo Clinic)で
試 験 期 間中、2 2 例の乳がんが発 見されました。
は先頃、乳がんの家族歴が強いため予防的両側
MRIではこれらのがんの77%が発見されたのに
乳房切除術(予防的に両側の乳房を外科的切除
対し、マンモグラフィでの発 見 率は3 6%、超 音
する手術)を受けることを決断した女性の満足度
波 検 査での発 見 率は3 3%にとどまりました。臨
を評価する研究が実施されました。患者の70%
床乳房検査では、9.1%しか発見されませんでし
が自身の 決 断 に満 足しており、ほとんどの 女 性
た。4つの検査法すべてを併用した場合の乳がん
が、情緒的安定性、ストレスレベル、自己評価、性
の発見率は95%でした。
的関係、女性であるという感覚にほとんど変化が
BRCA1またはBRCA2変異がある患者は、早
ない、あるいは良好な改善が見られると回答して
急に、検診について医師に相談する必要がありま
います。
「乳がんはもはや死刑宣告ではなく、 早期に発見し治療すれば 治癒の可能性が高い病気なのです。」
難波 清(なんば きよし) ブレストピア・ヘルスケア・グループ 代表 乳がんの啓発から検診、治療までの一貫した医療サー ビスの提供、乳腺疾患患者のための理想的な診療シ ステム作りをライフワークとしている。平成 16 年か ら FUS(MR ガイド下集束超音波手術)による乳が ん治療をスタートさせ、イーク丸の内(東京 丸の内) での乳腺科 外来診療も行っている。 (日本 乳癌学 会 認定乳腺専門医 日本外科学会専門医 マンモグラ フィ読影認定医)
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予 後 が さらに 改 善
早期乳がん治療の進歩 乳 がん 検 診 が 生 命 を救うという考え 方 を 直 感 的 に正しいと思 わ れるでしょう。 しかし、 医 学 界 にこれを納 得させるのに 十 分 な 長 期 的 デ ー タが 明らかになったのは 、 つい 最 近 のことなのです。
J e n n y M a x o n , RN
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誰
でも乳 が んと診 断 さ
乳腺切除を実施します。 これらの治療
れればショックです。
は、乳房やその周辺部位のがんなら治
けれども、早期乳がんなら、
療できますが、他の部位に広がったが
がんが早い段 階で発 見さ
んは治療できないため、局所療法と考
れ、治 療の効 果が最も高
えられます。化学療法、ホルモン療法、
いうちに診断が下された
標的療法など、全身に広がったがんを
のだから安 心してくださ
治 療する全身療 法が補 助 療 法として
い 。また 、最 近 では 早 期
行われる場合もあります(術後療法)。
乳 が んの 治 療 法 が 進 歩
全 身 療 法 が 必 要 かどうかや 、いず
し、転 帰( 治 療 後 の 経 過
れの全身療 法が 最も適 切かは、腫 瘍
や結果)も大幅に改善して
の大きさや、がんが近くのリンパ節に
います。
広がっているかどうか、ホルモン受容
早 期 乳がんとは、乳 房に
体の状態、HER2状態など、多数の要
限られているがん、または腋
素によって異なります。最 近 、早 期 乳
窩( 脇の下 )リンパ節を越えて
がん治療の進歩により、より効果の高
広がっていないがんを指します。
い、個人に合った全身療法が可能にな
こうしたがんには、非浸潤性乳管がん
りました。具体的には特殊な性質を持
( D C I S )やI 期がん、II 期がんのほか、
つがん細胞を(特異的に)攻撃する標
一部のIIIA期がんも含まれます。
的療法や、より効果の高いホルモン療
通常、早期乳がんの一次治療では、
法・化学療法、がん再発のリスクを予
乳腺腫瘤摘出+放射線療法、あるいは
測する検査の開発などです。
早期乳がん患者では、 ドキソルビシンなどの アントラサイクリン系薬剤を含む化学療法によって、 がんの再発率が低下し、 生存率が改善することが示されています。
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HE R 2と標 的 療 法の効 果
タモキシフェンを超える: アロマターゼ阻 害 薬で
フェンの使用では、子宮がんや血栓の発現リスク が増加することが懸念されています。アロマター ゼ阻害薬の副作用は、骨密度の低下、骨折の増
閉 経 後 患 者の転 帰が改 善
加などです。
乳がんの2 0 ~ 3 0%では、H E R 2として知ら
乳 が ん の 大 半 は エ ストロ ゲ ン 受 容 体 陽 性
マシン®(エキセメスタン)、フェマーラ®(レトロ
れるたんぱく質 が 過 剰 発 現しています。このた
( E R 陽 性 )です 。これ はすなわち、女 性 ホルモ
んぱく質 が 過 剰 発 現 すると、が ん 細 胞 の 増 殖
ンであるエストロゲンに刺 激されてがんが増 殖
現 在 市 販されているアロマターゼ 阻 害 薬に は、アリミデックス®(アナストロゾール)、アロ
が加 速し、乳がんの予 後( 病 気の経 過や結 末に
することを意 味します。E R陽性 乳がんからエス
対 する見 通し)が 悪 化します 。幸 い 、H E R 2 陽
トロゲンをなくせば 、がんの 増 殖を遅らせるこ
性 細 胞を特 異 的 に標 的とするハ ー セプチンが
とができます。
開 発され 、H E R 2 陽 性 乳 がん患 者の 予 後 が 改
長年にわたり、乳がんのホルモン療法で主役
善しています。
を演じてきたのはタモキシフェンでした。タモキ
ハーセプチン®(トラスツズマブ)は、HER2陽
シフェンはエストロゲン受容体を遮断することに
性細胞を認識し、 これに結合する薬剤です。ハー
よって作用します。しかし、最近、ER陽性閉経後
セプチンは、細 胞の増 殖を低 下させ、細 胞の死
乳がんの治療では、タモキシフェン単剤より、 アロ
滅を増加させる作用があると考えられています。
マターゼ阻害薬として知られる薬剤の方が優れ
ハーセプチンの評価はまず、転移性乳がん患者
た成績をあげています。
で行われました。化学療法とハーセプチンの併用
閉 経 前 女 性ではエストロゲンは 主 に卵 巣で
により、化学療法のみを行った患者に比べ、がん
生 成されます。閉 経して卵 巣のホルモン生 成が
の進行が遅れ、生存率が改善しました。
激 減しても、依 然として卵 巣 以 外の組 織である
さらに最 近では、早 期 乳がん患 者においても
程 度のエストロゲンが 生 成さます。この過 程で
ハーセプチンは良好な成 績をあげています。補
は、副 腎によって生 成されたアンドロゲンがエ
助療法としてのハーセプチン®の有効性を確認す
ストロゲンに変 換されます。この変 換にはアロ
るというHERA試験では、補助化学療法終了後
マターゼと呼ばれる酵 素が 必 要となります。ア
に、HER2陽性早期乳がん患者を経過観察、1年
ロマターゼ阻害薬はアロマターゼの働きを阻害
間のハーセプチン投与、2年間のハーセプチン投
し、アンドロゲンからエストロゲンへの変換を抑
与の3群のいずれかに割り付けました。2006年
制します。これにより、閉経後患者のエストロゲ
米国臨床腫瘍学会で発表された結果によると、
ン量が低下するのです。
ハーセプチン投与を1年間受けた患者は、経過観
アロマターゼ 阻 害 薬は閉 経 後 乳がんの治 療
察群の患者に比べ、死亡リスク、局所再発リスク、
にどのように使用するのが最もよいかを検 討し
遠隔再発リスクが低かったとのことです。ハーセ
ている研 究 者が 、いくつかの可 能 性を考え出し
プチン投与を2年間受けた患者については、まだ
ました。たとえば 、タモキシフェン投 与が終了し
結果が出ていません。
てからホルモン療 法の延 長としてアロマターゼ
別の2件の臨床試験の統合解析では、早期乳
阻 害 薬を使用する、短 期 間( 2 ~ 3 年 )のタモキ
がん患者における補助化学療法中のハーセプチ
シフェン投与の後アロマターゼ阻害薬に切り替
ンの使用について検討されました。ハーセプチン
える、最初のホルモン療法としてタモキシフェン
を投与しなかった患者に比べ、ハーセプチンを投
ではなくアロマターゼ 阻 害 薬を使 用する、など
与した患者では、再発リスクが52%、死亡リスク
です。このうちどれが最もよい方法かはまだ明ら
が33%低下しました。
かではないものの 、いず れもタモキシフェン単
H E R 2 陽 性 乳がん治 療が良好な成 績をあげ
剤よりよい成績をあげているようです。これまで
ていることを受けて、現 在 、H E R 2 検 査 は 乳 が
認められている主なメリットは、がんの再発リス
んの精 密 検 査の1つとして日常 的に実 施されて
ク低下です。
います。
ゾール)などがあります。
アロマターゼ阻害薬は、がんの再発リ スクが低下するだけでなく、タモキ シフェンに比 べ 副 作 用 が 少 ないようです。タモキシ
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タキサンによって
化 学 療 法の転 帰が改 善
早期乳がん患者では、 ドキソルビシンなどのア ントラサイクリン系 薬 剤を含む化 学 療 法によっ て、がんの再発率が低下し、生存率が改善するこ とが示されています。さらに最近では、 こうした化 学療法にタキサンを加えることにより、 リンパ節陽 性乳がん患者の無病生存率や総生存率がさらに 改善しています。 タキサンは化学療法剤の一種で、 タキソテール® (ドセタキセル)、タキソール®(パクリタキセル)、 アブラキサン®(アルブミン結合パクリタキセル) などがあります。早期乳がんの治療では、タキサン は通常、 ドキソルビシンやシクロホスファミドと併 用されます。 タキソテールまたはタキソールを含む化 学 療 法によって、 リンパ節陽性早期乳がん患者の生存 率が改善することが示されています。 アブラキサン (パクリタキセルの新しい剤 形 )は、転 移 性 乳が ん患者を対象とした試験で、タキソールより優れ た成績をあげており、現在、早期乳がん患者を対 象とした試験が進められています。 こうした 試 験 を含 む 数 々の 試 験 の 結 果 に基 づき、現在、リンパ節陽性早期乳がん患者には、 タキサンを含む化 学 療 法を使用することが 多く なっています。
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再 発リスクに備えて:
治療選択に影 響を及ぼす検 査
Oncotype DX™として知られる遺伝子発現
を加えることによって、遠隔再発のリスクが著しく
検 査では、乳がん再 発のリスクを推 定し、また、
低下しました。
化 学 療 法の効 果についても情 報が得られます。
化学療法を決定する指標としてのOncotype
この検 査では2 1の遺 伝 子を調 査し、1 0 年 間に
D X の 使 用 に つ い てさらに 検 討 す る た め 、
がんが再発するリスクを予測します。検査では、
TA I L O R x 試 験として知られる試 験 に、米 国お
リンパ節陰性乳がん患者では、化学療法が必
Recurrence Score™に基づいて、患者を再
よびカナダの10,000例を超える乳がん患者が
要かどうかは、治療のリスクとベネフィットの双方
発リスクが「 高い」、 「中程 度 」、 「 低い」のいずれ
登 録される予 定です。試 験では、R e c u r r e n c e
を考慮して決定しなければなりません。化学療法
かに分 類します。R e c u r r e n c e S c o r eは0 ~
S c o r e に 基 づ い て 患 者 を 治 療 群 に 割 り付 け
の重要な目的の1つは、がん再発リスクを抑える
100まであり、スコアが高いほど再発のリスクが
ます。すなわち、R e c u r r e n c e S c o r e が 高い
ことです。 したがって、再発リスクを個々に評価す
高くなります。
ることによって、患者とその医師は治療を選択し
タモキシフェンのみを投 与した患 者 、タモキ
( > 2 5 )患 者には化 学 療 法+ホルモン療 法によ る補助療法を、低い(<11)患者にはホルモン療
やすくなります。
シフェンと化 学 療 法を併 用した患 者を含 む、リ
法のみによる補助療法を行います。一方、中程度
遺 伝 子 発 現プロファイリング分 野における研
ンパ節 陰 性・エストロゲン受 容 体 陽 性 乳がん患
( 1 1 ~ 2 5 )の患 者については、ホルモン療 法の
究により、再発リスクや治療に対して予測される
者 6 5 1 例を対 象とする試 験で、R e c u r r e n c e
みによる補助療法か化学療法+ホルモン療法に
反応がわかりやすくなりました。遺伝子発現プロ
Scoreと化学療法に対する反応の相関性が示さ
よる補助療法のいずれかに無作為に割り付けま
ファイリングでは、腫瘍細胞で活性を示す遺伝子
れました。Recurrence Scoreが低い(がんが
す。この試験の焦点は、再発のリスクが中程度の
のパターンを探索します。 これまでの研究により、
再発するリスクが低いと予測される)患者では、
患者でのOncotype DX検査の役割です。 こうし
乳がんなど一部のがんで、遺伝子発現によって予
化学療法を加えてもあまり意味はありませんでし
た患者での化学療法のベネフィットはまだ明らか
後や治療に対して起こりそうな反応に関する情報
た。Recurrence Scoreが高い(がんが再発する
になっていません。
が得られる可能性が示唆されています。
リスクが高いと予測される)患者では、化学療法
今 最 前 線では…
ハーセプチンの成功を礎に、現在進行がん患者を対象にいくつ
アバスチン®(ベバシズマブ)は、進行性乳がん患者で有望な成
早期乳がん患者においてその有効性が実証されることでしょう。タ
( V E G F )と呼ばれるたんぱく質を標 的とします。V E G Fは新しい
体(EGFR、HER1としても知られる) として知られる関連たんぱく
とによって、がん細胞への血流量を変え、その増殖を遅らせるので
かの新たな標的療法について研究が進められています。いずれは イカーブ®(ラパチニブ)は、HER2だけでなく、上皮成長因子受容
質も標的とします。転移性乳がん患者では、化学療法剤ゼローダ®
(カペシタビン)の投与にタイカーブを加えることによって、ハーセ
績をあげている標的療法剤です。アバスチンは血管内皮増殖因子
血 管の形 成に関 与します。アバスチンはV E G F 活 性を抑 制するこ
す。再 発 性または転 移 性 乳がん患 者において、アバスチンと化 学
療法剤タキソール®(パクリタキセル)の併用によって、タキソール
プチンに反応しなくなった患者でがんの進行を遅らせることができ
の単独投与に比べ、がんの進行が有意に遅れました。早期乳がん
められています。
ています。
ました。早期乳がん治療にタイカーブを使用する研究の計画が進
患者におけるアバスチンの使用については、現在試験が進められ
物 語は終わっていない
最 近の早 期 乳がん治 療の進 歩を受けて、より効 果の高い治 療 法が提 供
善します。 リンパ節陰性・ホルモン受容体陽性乳がん患者では、再発のリス
され、また、その治療の恩恵に最も浴することのできる患者に治療対象を絞
クを推定することによって予後の情報が得られ、治療選択の指標になると
ることができるようになりました。HER2陽性乳がん患者では、ハーセプチン
考えられます。
(および現 在 研 究が進められているその他の標 的 療 法 )によってがん再 発
ここでご紹介した治療の進歩は、物語の終わりを告げるわけではありませ
のリスクが低下し、生存率が改善します。閉経後のホルモン受容体陽性乳
ん。すべての早期乳がん患者がこうした進歩の恩恵を受けられるわけではあ
がん患者では、治療過程のどこかでアロマターゼ阻害薬を使用することに
りません。また、がん再発のリスクが全くなくなったわけでもありません。 しか
よって、タモキシフェン単剤より高い効果が得られると思われます。また、化
し、こうした進歩は、早期乳がん患者の多くに転帰の改善をもたらすととも
学療法の対象となる患者では、タキサンを含む化学療法によって転帰が改
に、 さらなる前進に向けた道標ともなることでしょう。
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) Michele Przypyszny
「 乳 が ん に な る に は 若 す ぎ る という 診 断 は あ り ま せ ん 。 現 在の 担 当 医 が 心 配 なら ば 、 解 決 し て くれ る 医 師 を 探 し ま し ょ う 」 (YSC)CEOであるミッシェル・プリジピスズニー( Young Survival Coalition
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ラシヤ・ワシントン - 27 歳
(Rashiya Washington)
法科学生で YSC のメンバー
2 度にわたり乳がんから生還
完 治を目指して 団 結した若い女性たち Diana Price
ヤング・サバイバル・コアリション(Young Survival Coalition:YSC)は、 乳がんにかかった若い女性に訴えます。
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乳がんの診断を受けた若い 1 人ぼっちではない
とボランティアは、若い女性特有のニーズを考慮
す。YSCの共同創立者の1人であり、会長を務め
身のウェルビーイング(身体的、精神的および社
して作成されたプログラムを通して、インターネッ
るロベルタ・レビー・シュワルツ(Roberta Levy
会的に良好な状態)のために何をすべきか、その
トで、直接会って、または印刷物を通じて毎日活
Schwartz)氏は、その人気について次のように
自分の乳房の健康状態をしっかりと把握し、自
ために必要な手段を若い女性に提供する―これ
動しています。今日では、 「ウェブサイトが一番利
語っています。 「 女性たちは、情報、希望、不安、さ
は、乳がんにかかった若い女性特有の懸念や問題
用されているサービスです。何千もの若い女性、
らには自分の写真すら共有しています。何よりも、
に取り組む唯一の国際的な非営利団体、YSCが
その家族、友人、医療専門家が毎月サイトを訪れ
乳がんという旅路のあらゆる段階で互いを支え合
掲げる目標の1つです。
ます。同サイトでは、実用的で分かりやすい情報を
います。つながりができた結果、生涯にわたる友
YSCは、1998年にニューヨーク在住の3人の
得ることができます。若い女性を対象とした研究
情が生まれるのです。」
若い女性によって設立されました。彼女らはいず
試験について学び、 どのようにすれば参加できる
乳がんの診断を受けた後は、自分が1人ぼっち
れも若くして乳がんという診断に直面したとき、
かを知ることができます。また、地域で開催される
ではないことを知ることがとても大切なのだとレ
必要なリソースや支援を見つけることができませ
イベントや教育プログラムを見つけることもでき
ビー・シュワルツ氏は言います。 「 若い女 性が 診
んでした。YSCには、より大きな中核的使命があ
ます。何よりも重要なのは、つながり合い、必要な
断を受けた場 合 、同じ診 断や特 有の不 安を持つ
ります。それは、乳がんを患う世界中の若い女性
支えを見出すことができることです」 とプリジピス
同年齢の人を誰も知らないかもしれません。手術
に関連する問題に影響力を持つ主要団体となり、
ズニー氏は述べています。
や治療が身体に及ぼす影響、めまいがするほど頻
これら若い女性すべての生命の質と量を改善す
最近、ウェブサイトで特に活気があるのは掲示
繁な通院、診断が自分のキャリア、家庭生活(子
ることです。
板です。平 均 1 0 0 人の女 性が 参 加して、気にな
供も含めて)、 ライフスタイル、ボディイメージ、妊
このような使命を果たすべく、YSCのスタッフ
る様々な話 題について新しい会 話を始めていま
娠出産、将来に与える影響にまつわる不安に加え
58
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若い女性と乳がんに関する事実 出典:ヤング・サバイバル・コアリション(YSC)
女 性には、 こ と を 知 って 欲 し い
11,100人以上が、今年乳がんの診断を受け、 ほぼ 1,100人が死亡する。 40 歳以下の女性
229人に 1 人が今後 10 年以内に乳がんの診断を受ける。 乳がんは 15 ~ 54 歳の若年女性のがんによる死因 第 1 位 。
30 ~ 40 歳の女性
米国では、40 歳以下の女性
250,000人以上が乳がんと共に生きている。
40歳以下 の女性に有効な乳がんの検査手段はない。 若い女性のがんは一般的に進行が早いため、閉経後のがん患者と比較して、
生存率が低い。
妊娠 早期閉経 といった、
乳がんにかかった若い女性は、診断後の や 同患者集団に特有の妊娠出産に関連する多くの問題に苦しむ。
て、孤独感に打ちのめされるかもしれません。」
分の経験を他の人にも伝えたいと思っている多く
何でもしたいと考え、他の人 が自分の経 験から
つ な が り に 対 す る 要 望 に さら に 応 え る べ
の若い女性の話を読むことができます。仲間の中
学ぶことができるようにします。彼 女らは、自分
く、YS C は 無 料 の Eメー ルリソー スであるR e -
で自分の居場所を見つけた若い女性は、 「 ひとた
の娘が母親と同じような―ただ1つ、乳がんを除
sourceLinkを立ち上げました。ResourceLink
びYSCを見つけ、自分が1人ぼっちでないことを
くすべての点で― 大 人になれる世 界にしたいと
は、毎月何百人もの女性から寄せられる、リソー
知ると、心強さを感じます―乳がんの診断を受け
願っているのです。」
ス、臨床試験・研究、機関やサービスの紹介、同様
たことを人に言うのをためらわず、これまで正当
このように強く、力を与えられた若い女性たち
の診 断を受けた若い女 性へのリンクに関する問
に扱われていなかった人たちに顔と声を貸すこと
が団結し、YSCのリソースが彼女らを後押しする
い合わせに、個別の回答を提供しています。 「 乳が
ができることを誇りに思うのです」 とプリジピスズ
ことで、乳がんにかかった若い女性と彼女らを愛
んの診断を受けた若い女性には、1人ぼっちでは
ニー氏は言います。
する人々の前途に明るい光が差しています。
ないことを知って欲しいです。11,000人以上の
「 彼 女らは互いを支え合い、目標 達 成に向け
若い女性、友人、家族、医療専門家からなるYSC
支援することを惜しみません。彼女らとYSCのつ
コミュニティーが 、情 報 、支 援 、希 望を提 供しま
ながりが絶えることはありません。乳がんを再発
す」 とYSC役員のジーニン・サラモン(Jeannine
するリスクが常にあることを理解しつつ、若い女
Salamone)氏は述べています。
性として、これから先もっと長く生きることを望
そして、YS Cに居 場 所を見つけた若い女 性た
んでいるからです。彼女らは、経験を忘れるので
ちが、YSCの輪を広げようとしています。YSCの
はなく、経 験によって自身を形 成します。若い女
ウェブサイトに行けば、YSCで支えを見つけ、自
性の乳がん発 生 率を下げるためにできることは
ヤング・サバイバル・コアリションに関する詳しい情 報 は、www.youngsurvival.org をご 覧 い た だくか、 (877)YSC-1011 にお電話いただくか、あるいは info@ youngsurvival.org まで E メールをお送り下さい。
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環 境エストロ ゲン 私 たちは 体 内で 、エストロゲンのように作 用する 化 学 物 質 を取り込 んでいるかもしれません 。 このような 物 質 は 乳 がんのリスクに どのような 影 響 を及 ぼ すのでしょう。
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D ayna D eut er
乳 がんの 発 症 には 、女 性 の 体 内 のさまざまな 因 子 が 関 与しています 。一 方 、環 境 中 の 因 子 も同 様 に関 与していることが 分 かってきまし た 。研 究 によって( 他 にも要 因 はありますが ) 親 から 受 け 継 い だ 遺 伝 子 が 乳 が ん の 発 症リ スクに寄 与し得ることが 明らかになるにつ れ て、体 内 の 危 険 因 子 に照 準 が 絞られつつあり ます。さまざまな 環 境 因 子 が 及 ぼす影 響 の 評 価 が 進 められていますが 、乳 が んを引き起こ す化 学 物 質や産 物の特 定を目的とする研 究か ら、がんのリスクというパズルに、環 境 がどの ように組み 込まれるかを解 明するための手 が かりが得られました。
最 も重 大 な 環 境 因 子 を 特 定 する 作 業 が 進 められていま
もちろん、化 学 物 質の生 産 増 加と乳 がんの増 加を直 接 結
すが 、先 進 国 における乳 がん 発 症 率 の 上 昇 は 、人 工 化 学 物
び つけることはできませんが 、米 国 疾 病 対 策 予 防 センター
質 への 曝 露 が 乳 がん発 症 に関 与している可 能 性を示 唆し
(Centers for Disease Control and Prevention:
ています。
CDC)による研究では、人体に多くの化学物質が存在
1 9 7 0 年 代から1 9 9 0 年 代にかけて、世 界の乳
することが明らかになっています。これは、いわゆる
が ん 発 症 率 は 3 0 ~ 4 0 % 上 昇しました 。発 症 率
体内負荷 量の評 価によって確 認されました。同 評
は 先 進 国 で 最 も高く、発 展 途 上 国と比 較して 4
価では、血 液 、尿 、体 脂 肪 、あるいは母 乳を分 析す
倍もの高さになっています。先 進 国と発 展 途 上 国
ることで、人体中の化学物質存在量、すなわち負荷
の 環 境 因 子 を比 較する綿 密 な 評 価 はまだ 完了して いません。ただし、1 9 7 0 年 代 以 降 、人 工 化 学 物 質 の 生
量を測定します。このような研究を基に、化学物質と 乳がんの関連性が検討されています。
産 が 急 増していることから、より多くの 化 学 物 質 へ の 曝 露
これらの研 究から、いくつかの疑 問が浮 上してきます。ヒト
が 乳 が ん 罹 患 率 上 昇 の 一 因 になっている可 能 性 が 示 唆 さ
組織に存在するどの化学物質ががんの高リスクと関連するの
れています。
か、また、それらの物質はどこに源を発するのか。
fall 2007 • PiNK
61
エストロゲンと がん
薬箱の中
ホルモンと乳がん 環境物質と乳がんの関係には不明な部分が多いものの、ホルモン の一種であるエストロゲンと乳がんの関連性についてはかなり解明が
エストロゲンは卵巣と副腎で生成される、必要不可欠 な女 性ホルモンです。エストロゲンは、思春期におけ る女性生殖器官の発達、成人期における妊娠に対す る乳房と子宮の準備、心血管および骨の健康の維持 といった、多くの重要な機能を担います。エストロゲン がなければ、女性の身体は妊娠を維持することができ ず、また、心疾患や骨粗鬆症にかかりやすくなります。 エストロゲンは、一部のがんの増殖を引き起こすこと もあります。乳房、子宮、他の女性生殖器官は、エスト ロゲンに曝露されると増殖が刺激される細胞で構成 されています。これら細胞の表面にはエストロゲン受 容体があります。血液中を循環しているエストロゲン は、これらの受容体に結合し、増殖に関連する細胞内 の活性を高めます。エストロゲン受容体を持つ細胞が がん性になると、エストロゲンへの曝露によってがん の増殖が促進されます。エストロゲン受容体を持つが ん細胞は、エストロゲン受容体陽性(ER陽性)がんと 呼ばれます。
62
PiNK • fall 2007
進んでいます。 長期にわたるエストロゲンへの曝露が乳がんのリスクを増大させ ることは、医学界で広く認められています。このことは、内因性エスト ロゲン( 体内で自然に生 成 )にも外 因 性エストロゲン( 医 薬 品として 投 与 )にも当てはまります。天 然エストロゲンへの曝 露の増 加は、早 期の初 潮 、閉 経 遅 延 、高 齢での初 産または未 経 産 、未 授 乳によって 生じる場 合があります。乳がんを引き起こす可 能 性のある環 境 因 子 の話になると、ホルモン補充療法(HRT) と避妊を含む医薬品に注目 が集まります。 2 件の大 規 模 試 験によって、ホルモン補 充 療 法が 乳がんのリスク を増 大させることを示す、数 十 年に渡る研 究 が 裏 付けられました。 HRTに関するウィメンズ・ヘルス・イニシアチブ(Women’s Health Initiative:WHI)は、HRTを定期的に受けている女性では乳がんを 発症する可能性が26%高い(心疾患、脳卒中、血栓のリスクも増大す る) ことが明らかになった時点で打ち切られました。試験を途中で中止 した42%の女性を考慮し、実際にHRTを受けた女性の数に基づいて データを再解析すると、同リスクはさらに増大し、49%にまで達するこ とが分かりました。 2003年に発表された、英国で実施されたミリオン・ウィメン・スタ
ディー(Million Women Study:MWS)の結 果は、WHIで報告されたHRTと乳がんの関連性 をさらに裏付けるものでした。MWSでは、全種類 の閉経後HRTの使用が乳がんのリスクを有意に
環境でエストロゲン様に 作用する化学物質
外因性エストロゲンとがんの関連
積み重なる可 能 性があります)。また、体内で生 成されるエストロゲンと共に付 加 的に作用する と考えられます。 これら2つの重要な発見から、外因性エストロ
増大させること、さらに、リスクが最も高いのは、
乳がんのリスクに寄与する可能性のある環境
ゲンへのわずかな曝露でさえ、健康に影響を及ぼ
エストロゲンとプロゲスチンの併用療法を受けた
因子には、エストロゲンまたはエストロゲン様に
す可能性が示唆されます。
女 性であることが報 告されました。研 究 者らは、
作用する環 境中の化 学 物 質( 外 因 性エストロゲ
実際、特定の外因性エストロゲンへの曝露が、
エストロゲンとプロゲスチンのHRTを10年間受
ン)への曝 露があります。研 究では、これらの化
がん発症リスクを増大させ得ることを示す確固た
けた女性では、エストロゲン単独のHRTを受けた
学 物 質が体内でエストロゲン様に作用すること
る証拠があります。その例として、合成エストロゲ
女性と比較して、乳がんを発症する可能性が約4
が 示されています。エストロゲンへの曝 露 増 加
ンであるジエチルスチルベストロール(DES)が
倍高いと推定しました。
が乳がんの原 因となり得ることは十 分に立 証さ
あります。DESは1941年から1971年にかけて
さらに、過去に経口避妊薬を使用し、後にHRT
れていることから、これらエストロゲン様化合物
流 産 防 止 薬として処 方されていました。しかし、
を受けた女 性では 、いず れも使 用したことがな
への曝露が乳がんのリスクを増大させる可能性
ホルモンの影響を受けやすいがんの発症率を上
い、あるいはいずれか一方のみを使用したことが
が示唆されてきました。私たちは、環境中の外因
昇させることが明らかになったことを受けて、使
ある女性と比較して、 リスクがさらに増大します。
性エストロゲンと乳がんリスクの関連が、がんと
用が禁止されました。妊娠中にDESの投与を受
これら一連の研究から、内因性ホルモンとホル
環 境を描くパズルの重 要なピースであることを
けた女性の娘では、子宮内でDESに曝露されな
モン様に作用する外 因 性 物 質はいずれも、乳が
学びつつあります。
かった人と比較して、まれな膣がんの発症率が高
んなどのホルモン関連がんのリスクを増大させる
外 因 性エストロゲンは、大 半の人が 曝 露され
く、乳がんを発症するリスクも2倍に増大すること
ことが明らかになりました。米国毒性プログラム
る低濃度でダメージを引き起こすほど活性が高
が分かりました。
(National Toxicology Program)は、HRT
いとは、広く認められていません。曝 露がわずか
と経口避妊薬に使われるステロイド性エストロゲ
の 場 合 、外 因 性 エストロゲンの 活 性 は 、体 内で
ンの双方を既知のヒト発がん物質としてリストに
生 成されるエストロゲンと比 較して非 常に弱い
挙げています。
ものです。しかし、外 因 性エストロゲンは累 積 的 に作用するようです(すなわち、わずかな曝露が
fall 2007 • PiNK
63
外因性エストロゲンは
私たちを取り巻く環境のどこにある?
プラスチックの中
種類確認されました。さらに、パラベンを含有する
ていることが示されています。ゼラノールは、自然
ことが多い制汗剤やデオドラントを早くから頻繁
に生成されるエストロゲンと同等に有効であると
に使用することは、若年齢での乳がん診断と関連
考えられることから、デンマークの研 究 者は、牛
数種類のプラスチック添加物は、乳がん細胞の
づけられています。
肉製品からのゼラノール摂取は消費者に影響を
増 殖を引き起こすことが明らかになっています。
これらの小規模試験は、パラベンが乳がんの原
及ぼし得ると結論付けました。さらに、オハイオ州
1991年、タフツ大学(Tafts University)の研
因になること証明するものではありません。ただ
立大学(Ohio State University)の科学者は、
究者は、培地にエストロゲンを添加していないに
し、結果は重要です。なぜなら、これらの試験は、
FDAによって安全であると承認された濃度の30
もかかわらず、ポリスチレン製の試験管から溶出し
身体の代謝作用によって変化することなく、パラ
分の1の濃度でさえ、ゼラノールに曝 露されると
た化学物質により、乳がん細胞の増殖が引き起こ
ベンが未変化体のまま皮膚を通過して乳房組織
乳がん細胞の増殖が有意に増加することを発見
されたことを発見しました。その後の研究から、溶
に残留する可能性、さらには、曝露の増加が乳が
しました。
出した物質はプラスチックに一般的に用いられる
ん発症の危険因子である可能性を示しているか
添加物、p-ノニルフェノールであることが明らかに
らです。
結論
冷 蔵 庫の中
自然に生成されるホルモンは、体内で多くの重
1 9 5 0 年 代 以 降 、米 国およびカナダの 牛 肉 、
れば害となる」 ということは本当です。エストロゲ
ルA(BPA)とフタル酸類があります。これらの物
子 牛 肉 、子 羊 肉 業 界 は 、動 物を早く太らせるた
ンと乳がんには、 これが当てはまります。体内でエ
質はいずれも、プラスチック製食品包材を含む消
めに、合 成 成 長ホルモン( 特にエストロゲン)を
ストロゲン様に作用する環境中の特定の化学物
なりました。 体内で外因性エストロゲンとして作用し、乳が ん細胞の増殖を促す可能性があることが確認さ れた他のプラスチック添加物として、ビスフェノー
費者製品に幅広く使用されています。
要な機能を担いますが、 「 良いものでも取り過ぎ
使用しています。エストロゲン様ホルモンのゼラ
質に曝露されることで、適量から過多に傾くかも
ノールは、米国食品医薬品局(Food and Drug
しれません。 このような曝露が乳がんの発症に寄
Administration:FDA)による承認を受けた肥
与し得ることを示す証拠はますます増えています。
育促進剤です。
数少ない既知の外因性エストロゲンを避けること
パラベンは、シャンプー 、コンディショナー、日
家 畜 業 界ではホルモンが広く使用されている
で、エストロゲンへの曝露が減り、自分自身を「適
焼け止め、デオドラント、化粧品などのパーソナル
にもかかわらず、ホルモン投与を受けた動物に由
量」の範囲に保つことができるかもしれません。
化 粧ポーチの中
ケア製品に広く使われている化学防腐剤です。乳
来する食肉の安全性を巡る議論が未だ続いてい
がんの原因特定に注力する主要な全国組織であ
ます。ホルモン投与支持派は、ホルモンを投与し
る乳がん基金(Breast Caner Fund)によると、
た牛肉中の残 留ホルモン濃 度は、人 体内で自然
2000年以降に発表された研究試験結果では、さ
に生成されるホルモンの濃度よりもかなり低いと
まざまな種類のパラベン(メチル、エチル、プロピ
主 張します。さらに、合 法 的にホルモンを投 与さ
曝露とは、個人が特定の環境因子を経験した
ル、ベンゾイル、ベンジル)が動物中およびヒト組
れたかどうかは問題にせず、卵の方が牛肉よりも
程度です。発がん性物質と呼ばれるがんの原因物
織中でエストロゲン様に作用し得ることが示され
エストラジオール(エストロゲンの一種)の1日摂
質への曝露は、生涯にわたって蓄積し、乳がんを
ています。
取量を増加させると指 摘します。一 方 、ホルモン
発症する可能性を高めます。たとえば、小児期に1
投与反対派は、エストロゲン濃度の高
度、思春期に1度、そして成人期に3度目の曝露を
また、パラベンは乳房組織に蓄積するようです。 2004年に実施された試験では、女性20人 中1 9 人の乳がん腫 瘍に、検出 可 能 な 微 量 の パラ ベンが 5
いホルモン投与食肉を摂取すること は、エストロゲン曝 露の正 味 量を 増加させるのに十分であるとして います。
経験する可能性があります。 曝露の例としては、早期の初潮、思春期におけ る放射線への曝露、成人期の閉経遅延などがあ
研 究 室 で の 研 究 で は 、ゼ
増加します。 これら曝露のそれぞれが、後年に乳が
ラノールと1 7βエストラジ
んを発症するリスクを増大させます。乳がんを引き
オール(ヒトによって生 成
起こすのが1回の曝露なのか複数回の曝露なのか
される、最も活 性 が 高 い
は個人によって異なり、遺伝的な影響の受けやす
エストロゲン )は 、いず
さなど、その人が持っている他の要素に左右され
れもヒト乳房上皮細胞
ます。加えて、同じ曝露を経験した人全員が乳がん
その 効 力 は 類 似し
PiNK • fall 2007
違いを理 解しましょう
り、 これらの結果として、エストロゲンへの曝露が
のがんを引き起こし、
64
環境対曝露
を発症するわけではありません。
外 因 性エストロゲンへの 「 プラスチック容 器で電 子レンジ加 熱してはいけません。
熱によってプラスチック中の添 加 物が食 品 中に溶け 出す可 能 性があります。
代わりに、 電 子レンジ対 応のガラスや陶 器を 選びましょう 。」
曝 露 を減らすために 日々できること
電子レンジ加熱時に食品を覆 う際は、ペーパ ータオルかパ ラフィン紙を使いましょう。
電 子レンジで薄いプラスチッ ク製の保存袋やレジ袋を絶対 に使ってはいけません。
ホ ル モン 投 与 牛 肉 を 避 けま しょう。抗生物質やホルモンを 与えられず、動 物 性 副 産 物を 含まないオーガニック認定を 受けた飼料で育てられた動物 から生 産されるオーガニック 肉を選びましょう。
より安全なパーソナルケア製品を使 いましょう。1つの方法としては、安全
な健康美容製品の世界的生産に関す
る協定(Compact for the Global Production of Safe Health and
Beauty Products) に署名した企業
(www.safecosmetics.orgをご覧
ください)から製品を購入することで す。同リストは、化粧品消費者を毒性
化学物質から守り、製品の安全性につ
いて信頼できる企業を支援するため
に活動を展開している、米国を基盤と
する健康・環境団体の連合である安
全な化粧品キャンペーン (Campaign for Safe Cosmetics) によって作成
されました。
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希 望 よ 再 び 形 成 外 科 医 から 見 た 乳 房 再 建 術 ジュリアナ・ハンセン( J u l i a n a H a n s e n , M D) 医 師
私の 患 者の 多 く ― 新 たに 診 断 さ れた 人 、
治 療 中 の 人 、 長 期 生 存 し てい る 人 は
乳 が ん と う ま く 付 き 合 って い ま す 。
がん を 治 療 し 、でき る こ と な ら
完 治 することに勝る 重 要なことはな く 、
そのためには 副 作 用 は 耐 え るに 値 す る とい う こ と を 、
誰 も が 頭 で は 理 解 し てい ま す 。
け れ ど も 、 す べて の 患 者 が 現 実 と
容 易に 向 き 合 え る わ けでは あ り ま せん 。
重 要 な 治 療( 外 科 手 術 、放 射 線 治 療 な ど )の 中 に は 、
永 久 に 乳 房 を 変 え てし ま う も の が あ り ま す 。 乳 房 が な く な った り 、 傷 が 残 った り 、 小 さ く な った り 、
形 がい びつに な った り す る こ と が あ る の で す 。
鏡に映 る 片 方 または 両 方の乳 房 を 目にする と き 、
新 たな 現 実に 直 面 する こ とにな るかもし れ ま せん 。
PiNK • fall 2007
66
fall 2007 â&#x20AC;¢ PiNK
67
こ
のような理由から、形成外科医として、
担当医師の診察を受けることができます。
に空間を埋めるのではなく、ほとんどの場合、
乳房切除を受けた医療機関に再建外科医
胸壁の筋肉の下に組織拡張器と呼ばれる一
のがあることは名誉なことだと考えています。
がいない場合、再建という選択肢は与えられ
時的なインプラントを挿入するという方法を
乳房再建は前向きな力と捉えられています。
ない可能性が高いでしょう。1992年、乳房切
とります。筋肉の下は、インプラントを設置す
このような厳しい時 期に提 供できるも
今日では、特に喜ばしいことに、患者に提供で
除後に再建術を受けた米国人女性の割合は
るのにより安 全な面です。インプラントを皮
きる優れた選択肢が数多くあります。最良の
わずか30%でした。しかし、再建術が保険適
膚の下に直接設置する場合と比較して、関連
知らせは、乳房切除術によって失ったものを
応となり、形成外科医によって多数の新しい
する合併症が少なくなります。筋肉は胸壁に
ただ受け入れるだけの日々は終わったという
画期的な方法が開発されるに伴い、再建の施
しっかりと固 定されているため、通 常の大き
ことです。祖母の世代の多くの人は、根治的な
術数は過去15年で着実に増えています。
さのインプラントをすぐに収容することができ
乳 房 切 除を受けた後の、変 形し、やせ細った
幸い、乳房再建はいつでも実施することが
ません。そのため、まず、少量の液体を入れた
胸に耐えなければなりませんでした。一方、今
できます。したがって、がん治療を受けた時点
組織拡張器を筋肉の下に挿入します。組織拡
日の乳がん患者は、皮膚温存術を受け、自分
では選 択 肢として与えられなかった女 性も、
張器は、細い針を用いて経皮的に(皮膚を通
自身の組織を用いて直ちに再建を受けること
乳 房 再 建に興 味があれば 、有 資 格 外 科 医に
して)充填するよう設計されています。乳房切
ができる可能性があります。これにより、患者
相談することができます。
除後は皮膚が麻痺しているため、比較的痛み は感じません。手 術 後 、拡 張 器を徐々に膨ら
は、水着を(お好みならビキニさえ)着る自信、 どんな服を選んでも快適に着こなせる自信を 持つことができます。
乳房再建術の種類
まし、最終インプラントのための空間を作りま す。空間ができたら2回目の手術を行い、組織 拡張器を取り除き、永久インプラントを挿入
再建術に最も適しているのは誰?
乳 房 再 建 術には、大きく分けて2 種 類 、す なわちインプラント再建と自家組織再建があ
インプラントは、自然の乳房組織よりしっか
ります。インプラントは、乳房の輪郭を再現す
りしており、大半の自然な乳房と比較して、ボ
乳房切除術が必要な乳がん患者の大半が
る人 工の装 置です。一 方 、 「自家 」とは自分自
リュームの配置が異なります。インプラント再
再建術の候補ですが、全員がその選択肢を利
身の組 織を指します。自家 組 織 再 建 術では、
建術を受ける女性の多くは、反対側の乳房に
用できる訳ではありません。ただし、患者は再
身体のどこか別の部 分から採 取した組 織を
も手 術を受けることで対 称 性を改 善します。
建に関する情報を求めるべきです。なぜなら、
胸に移 植し、乳 房を作ります。この移 植 組 織
乳房が小さい場合、 この手術は通常の豊胸術
乳房切除を保険適応とする団体健康保険制
は皮弁(flap) と呼ばれています。再建術の中
となります。乳房が大きい場合は、小さいイン
度では、切除した乳房の再建、ならびに左右
にはインプラントと皮弁を組み合わせるもの
プラントを用いるか、あるいはインプラントを
対 称にするための反 対 側の乳 房の手 術も保
もあります。
用いない乳房縮小または挙上術となります。
険適応とすることが法律で義務づけられてい
他の人から組 織の提 供を受けて乳 房を作
一般的にインプラント再建術は、時間がか
るからです。
れるかどうかよく質 問されます。短い答えは
からず簡単な手術です。入院が必要な場合で
この 法 律 、すなわち1 9 9 8 年 に批 准され
「ノー 」です。長めの答えは、 「 理 論 的には可
も、入院期間は短期間(一晩)です。最初のイ
た女 性の健 康とがんの権 利 法( W o m e n ’ s
能ですが、実施されていません」です。 これは、
ンプラントに問題があったとしても、代わりの
Health and Cancer Rights Act)はき
他 人の組 織の移 植を受けた場 合 、免 疫 抑 制
インプラントが数限りなくあり、また、乳房を
わめて重大でした。この重要な法律が制定さ
剤を生涯にわたり服用し続けなければならな
作るために、身体の別の部分を用いたり犠牲
れていなければ、保険適応になる乳房再建術
いためです。乳房のように生命に直接関わら
にしたりする必 要がありません。短 所として
は(たとえあったとしても)ごく少 数だったで
ない器官については、免疫抑制のリスクは認
は、インプラントが予測できない長期的変化
しょう。
められません。
を起こし、時 間の経 過に伴い傷が 付いたり、
ほとんどの大規模医療機関は、内科、外科、
拘縮したりする可能性があります。 これらが起
放射線腫瘍学科の他に遺伝相談や形成外科
こった場 合には、傷の除 去やインプラントの
を含む包 括 的ケアを提 供しています。たとえ
インプラント再建術
交換を行うことができます。また、インプラン トは自然に漏れることがあるので、そのような
ば 私は、総 合 乳がん科( C o m p r e h e n s i v e
68
します。
Breast Cancer Clinic)で多くの患者を診
インプラント再 建 術は、思われているほど
場合には交換が必要です。
ます。同科では、患者は1回の予約ですべての
単純ではありません。インプラントを用いて単
インプラントには、主に生理食塩水とシリコ
PiNK • fall 2007
と、再建された乳房に関する満足度と受容が
ンの2種類があります。いずれも、より硬質の
の組織と同様に、用いることができます。
シリコンでできたシェル(外皮)に包まれてい
すべての自家 組 織 再 建 術には共 通する特
向上します。鏡に映る自分を見たとき、乳頭が
います。シェルは柔 軟かつ丈 夫で、体 内で不
徴があります。つまり、自家組織再建術は、イ
ないと、胸は傷のある小山に見えます。乳頭が
活性です。生理食塩水インプラントは、食塩水
ンプラント再 建 術よりも大がかりな手 術で、
あれば、乳房に見えます。
食 塩 水インプラントよりも柔らかくより自然
なり、合併症や生着不全(移植された組織が
な感触という長所があります。
正しく機能しない)が起こった場合には、皮弁
感触が最も自然な乳房を作ることができる可 能性があり、長期的な結果が予測可能で良好
証 拠はありません。1 9 9 2 年 、米 国 食 品 医 薬
だからです。
品局(Food and drug Administration:
乳 房 再 建 術の中には、自然な感 触と健 康
FDA)は、シリコンインプラントの使用中止要
な組織を得るために自家組織皮弁を用い、ボ
請を出しました。以降、米国におけるシリコン
リュームを出すためにインプラントを併用す
インプラントの使用は研究目的に制限されて
るという方法もあります。この方法は主に、背
います。シリコンインプラントの使用について
中組織の皮弁(広背筋皮弁)を使用する際に
は、現在FDA承認申請中です。 ( 訳注:2006
用いられます。 これは、背中から採取できる脂
年11月17日、FDAはMentor社のシリコン
肪の量が、豊かな胸を作るには不十分である
ジェル乳房インプラントを正式に認可しまし
ことが多いためです。
た。)生理食塩水インプラントは、制限なく使 用されています。両タイプのインプラントを対 象とした安全性試験が進められています。
自家組織再建術
乳頭再建術 現 在のところ、ほとんどすべての乳 房 切 除 術では、乳房と一緒に乳頭と乳輪を取り除く 必 要 があります。より多くの女 性 が 、乳 頭 温
自 家 組 織 再 建 術 には 多くの 方 法 が あり
存乳房切除を安全に受けられるようになるこ
ますが 、最も一 般 的な方 法は腹 直 筋 皮 弁 法
とを期 待しています。それまでは乳 頭 再 建 術
( T R A M f l a p )です。この方 法では、下 腹 部
が、自然な外見の乳房を作る最終段階となり
の皮膚と脂肪を用いて乳房を作ります。標準
ます。乳 頭を形 成するには、皮 膚とその下の
的な方 法でも、血 液 供 給 管として、片方また
脂肪を持ち上げて折り返し、乳房のふくらみ
は 両 方 の 腹 直 筋を使 用します。新 世 代 の自
から突き出た円柱を作ります。しばしば 小さ
家組織再建術には、ごくわずかな筋肉を犠牲
な皮 膚 移 植片を用いて不 足 部 分を補い、乳
にする方法(遊離腹直筋皮弁:free TRAM
輪の円形模様を作ります。最後の仕上げとし
flap)や、筋肉を犠牲にしない方法(深下腹壁
て、コスメティックタトゥー(アートメイクとし
動脈穿通枝皮弁:DIEP flap、浅下腹壁動脈
て知られる入れ墨)で適切な色を加えること
皮弁:SIEA flap)があります。これらの方法
ができます。
は、はるかに洗練されていますが、技術的に難
多くの患者は、さらなる手術を受けることに
しく、時間がかかり、まだ一般的に実施されて
ためらいを感じるでしょうが、私は自分のすべ
いません。広背筋(背中の筋肉)および背中の
ての患者に乳頭・乳輪再建術を受けることを
皮膚と脂肪も、臀部上部または下部と大腿部
強く勧めます。すべての構成要素が元に戻る
1 9 9 8 年 に 批 准 さ れ た 女 性 の 健 康 と がんの 権 利 法
います。しかし、今までのところ、疾 患とシリ コンインプラントの使用を関連付ける明確な
保 険 適 応 に な る 乳 房 再 建 術 は( た と え あ った と し て も )
の供 給に限りがあります。それにもかかわら ず自家組織再建術が好まれるのは、見た目と
ご く 少 数 だった で あ ろ う と 確 信 し てい ま す 。
シリコンインプラントと慢性疾患発症のリ スクに関する多くの研 究 結 果 が 発 表されて
’
長期の入院が必要となり、 ドナー部位に大き な傷跡が残ります。また、インプラントとは異
( Women s Health and Cancer Rights Act )は き わ め て 重 大 で し た 。 こ の 重 要 な 法 律 が 制 定 さ れ てい な け れ ば 、
で満たされています。シリコンインプラントは、 ジェル状のシリコンで満たされており、生 理
fall 2007 • PiNK
69
価値はありますか?
形状は機能に勝る
多くの試験によって、乳房再建を選んだ
形 成 外 科 医は、形 状と機 能の再 建に関
女性は、結果に満足していることが示され
する教 育 を受 けています。形 状 の 再 建で
の影響を受けることはなく、乳頭は術前の
ています。乳 房 切 除 術 の 直 後 の 再 建( 一
は、見た目の欠 陥がないように、取り除か
ように敏感ではありません。それでもなお、
期再建)および時間が経過してからの再建
れた部分を元に戻すことを目指します。機
機能が欠如していようとも、形状の回復に
( 二 期 再 建 )はいずれも、乳 房 切 除 術を受
能の再建では、働くべきように働き、その利
よって患者は、女性であることや正常であ
けた女 性の心 理 面に大きな利 益をもたら
用に制限がないようにすることを目標とし
ることの感覚、そして性的な感覚を取り戻
すことが 示されています。これらの利 益に
ます。その良い例として、唇の再建により流
すことができます。
は、再建を受けていない女性と比較してよ
涎(よだれ)がなくなること、親指の再建に
乳房再建術は、がんの治療法ではありま
り良いボディイメージ、性 的 能力、社 会 的
より握ったりつまんだりできるようになる
せんが、形成外科医が患者に与えることの
ウェルビーイング(良好な状 態 )の改 善が
こと、瘢痕拘縮の除去により関節の可動域
できる贈り物であり、それを行う技術を持
挙げられます。異なる種類の再建に対する
が回復することなどがあります。
つことは名誉なことです。
満足度については、一部の試験でばらつき
それでは、乳房再建術にできることを確
が 見られます。腹 直 筋 皮 弁 乳 房 再 建 術を
認しておきましょう。形 状の再 建はイエス
受けた女性は、インプラント再建術と比較
ですが、機 能の再 建はノーです。最も
して、乳房の見た目と感触に満足する傾向
うまく再 建された乳 房は、乳 房の
があります。
ように見えます( 理 想 的には、 反対側の乳房と同じように)
乳房再建術は、 が ん の 治 療 法 で はありま せ ん が 、 形成外科医が患者に 与 えることの できる 贈り物 で す。
70
が、母乳が出ることや体内のホルモン変化
PiNK • fall 2007
乗り越えた
左 右 対 称な乳 房を取り戻し、 小さなクライアントを抱くための再 建 術
患者の話
キャサリン・ジェンセン
(Katherine Jensen)
Dia na P ric e
です 。「 私 は 認 定 助 産 師ですが 、赤 ちゃんが 私
り 添 う 多 く の 赤 ち ゃん の こ と が あった か ら
)の 場 合 、乳 がん 治 療 後 の 乳 房 再 建 Jensen 術 を 受 ける 決 心 がついたのは 、彼 女の 胸に 寄
埋 め 込 む というのは 、受 け 入 れ がたいこ とで
る も の が 欲 し かった の で す 。生 理 食 塩 水 を
であ れ ば 、その 代 わ り に は 、自 分 の 体 と 言 え
す 。自 分 の 子 供 達 に 授 乳 し た 乳 房 を 失 う の
まし た 。自 分 自 身の 組 織 を 使いたかったので
に自 然です。
話をする 赤ちゃんにとっても 、感 触 、外 見とも
とっても 、(キャサリンにとって一番 大 切な )世
身 体 的 な 結 果に 満 足しています 。自 分 自 身に
現 在 、キャサリンは 再 建 術の経 験 を 文 字 通 りの 満 足 感 と 共に 振 り 返 ること ができ ます 。
あったと 思っています 。「 手 術 後に 痛みという
の 胸 に 寄 り 添 う 姿 を 思い浮 かべる と 、しっく
し た 。見 た 目 は 良 いでし ょ う が 、しっく り く
ほどの痛みは 感じませんでした。」
りこなかったのです 。私にとっては 、服 を 着 た
に 関 す る ハンセン 医 師 の 説 明 参 照 )。 「自分
と きに ど う 見 えるか 、他 人の 目に ど う 映 るか
る と は 思 え ず 、自 分 自 身 の 身 体 で は な いで
終 着 点 に 到 達 する た めに 踏 み 出 すべき一歩 )
再 建 術 と がんの 治 療 、回 復 との 関わ りにつ いて、キャサリンは 、ケアの連 続 性の一部( 旅の
の 胸 に 異 物 は 欲 し く ないと い う 思 い が あ り
では な く 、赤 ち ゃん が ど う 感 じ る か 、私 が 赤
サリンは 述べていま す 。
し ょ う 」と 、決 心 し た 当 時 を 振 り 返 り 、キ ャ
Katherine
ちゃん を 抱いてど う 思 う かが 問 題でし た 」と
キ ャ サ リ ン・ジ ェ ン セ ン(
キャサリンは 言います。
か ら 、左 右 対 称 の 、バランス が と れ た 感 じ を
の 乳 房 の 切 除・再 建 術 を 選 択 し ま し た 。 「心
キャサ リンは 、がんに 侵 さ れているの が 右 乳 房 だ けであったにもかかわら ず 、左 右 双 方
感 を 味 わったこ と は まった く あ り ま せん 。乳
では あ り ま せんでした が 、手 術 を 受 けて喪 失
と 考えています。「さらに3カ月を 要する 治 療
る こ と は で き ま せ ん でし た 。 個 の 陽 性 結
腫 瘍 摘 除 術 を 受 け ま し た が 、完 全 に 除 去 す
なかったでしょう 。( 見 た 目 は 良 くても )精 神
建 さ れた 乳 房 を 見ても 、それでいいと は 思 わ
かっています。鏡を 覗 き 込んで、片 方 だけが再
望 んでいるのです 。自 分 自 身のこ と は 良 く 分
りました。」
まれ 持った 身 体の一部 から 作られた 乳 房 があ
ま し た 。麻 酔 から 覚 め た と き に も 、や は り 生
術では )生 まれ 持った 乳 房 を 胸に 眠 りに 落 ち
房 が ないと 意 識 し た こ と も あ り ま せ ん 。( 手
があったので、私にとっては 、再 建 術 が終わり
管 が ん と 診 断 さ れ ま し た 。が ん 細 胞 を 取 り
ま り まし た 。
的に、バランスがとれていないと 感 じたでしょ
キャサリン自 身の長 期にわたる 医 療 分 野で の 経 歴 もまた 、こうした 過 程 を 経 る 間の 支 え
節 の う ち 3 個 が 残 った た め 、化 学 療 法 が 始
り 、医 学 用 語 や 治 療 を 理 解していること が 役
と な り ま し た 。「 自 分 がすでに 医 学 界 に 携 わ
ませんでした」とキャサリンは 言います。
再 建 術 に よ って バ ラ ン ス を 取 り 戻 し た 今 、キ ャ サ リ ン は 満 足 感 を 持 って 再 建 術 を
に立ちました 。再 建 術 は 、単に次の一歩にすぎ
振 り 返 り ま す 。当 時 は 次 の一歩 で あ った 手
思いました 」とキャサリンは 言います 。このよ
にも かかわら ずこ う 言 うのです 。手 術では 全
術 は 現 在 、前 進 す る た め の 足 掛 か り と なっ
時 間 半もの時 間を 要した
身 麻 酔 に 硬 膜 外 鎮 痛 剤 の 投 与 を 併 用 し ても
ユニットの輸血と
ら う こ と にし まし た 。キャサ リンは こ れ が 回
ているのです 。
うによ り 複 雑 な 再 建 術において標 準 的 な 、7
手 術 そのものを 受 ける 時 期 が 訪れたと き 、 キャサリンは 化 学 療 法 を 受 けている 最 中でし
う 」とキャサリンは 言います。
ん ど 半 分 を 取 り 去 る こ と に な り ま す 。5 月 末( 最 初 の 摘 出 術 後 )、オ レ ゴ ン 健 康 科 学 大 学( Oregon Health and Science ) のジュリアナ・ハンセン ( Juliana University )医 師 と 相 談 し 、再 建 術 を 受 けるこ Hansen とにしました」とキャサリンは 言います。
復 を 助 けたと 考 え 、大 き な 違いを 生む 選 択で
12
20
どのタイ プの 再 建 術 を 受 け る かについて 、 キャサ リンは 乳 房 を 左 右 対 称 に 戻 す 遊 離 腹
た 。その 時 点でも 、「いたって 簡 単 な 手 術 だと
「 私 の 胸 は 小 さ く 、2 度 の 腫 瘍 摘 除 術 の 後 に 3 度 目 の 手 術 を 受 け れ ば 、乳 房 の ほ と
2001 年 4 月 、米 オレ ゴン州 ポ ー ト ラン ド 在 住 の キ ャ サ リンは 、 B 期 の 浸 潤 性 乳
除 くため 、キャサリンは2 度 にわ る 右 乳 房の
II
直 筋 皮 弁 法( f r e e T R A M f l a) pに よ る 手 術 を 選 択 し ま し た( ペー ジ 、 T R A M f l a p 75
赤ちゃんのため、 バランスのため がんを
71
fall 2007 • PiNK
最 前 線 で は 今 マイクロサージェリーで 女性に胸躍る新たな選択肢 多くの女 性にとって、がんという診 断とそれに伴うすべての感 情 は、途方にくれるような経験です。そうしたさまざまな感情に加えて 乳房切除となると、怖さはさらに増すでしょう。乳房を失えば不完 全になる、外見が損なわれる、あるいは女性らしさを失うような気 持ちになるかもしれません。 しかし、 このような経験に直面している 女性は、乳房再建術を受けることが自分にとってプラスとなり、セル フイメージやセルフエスティームの回復に役立つ可能性があるこ とを知るべきです。 今や乳房再建で女性を助けることができる刺激的な時代です。近 年の進歩によって、5年前や10年前には不可能であった選択肢が 生まれました。世界各地で、胸躍る最新の方法が次々と実践されて います。現在、乳がんの診断という厳しい事態と向き合っている女 性、がんの手術について苦渋の決断を下そうとしている女性は、 こ うした新たな方法の恩恵に浴することができます。
72
PiNK • fall 2007
図 1: 微 小 血 管の吻 合 ―マイク ロサージェリーで皮 弁の血 管を 胸部の血管につなぎ合わせる差 し込み図:縫合される血管末端 部の拡大図 提供:Edward Buchel, MD
再 建 術の最 前 線
マイクロサージェリーによる
マイクロサージェリーは手術用顕微鏡の下、
乳 房 再 建 に使 われる遊 離 皮 弁 には 、腹 直
マイクロサージェリー
乳 房 再 建の選 択 肢
拡大像と特殊なマイクロ器具を使って行われ
筋 皮 弁( T R A M f l a p )、深 下 腹 壁 動 脈 穿
ます。マイクロサージェリーによる乳房再建で
通 枝 皮 弁( D I E P f l a p )、浅 下 腹 壁 動 脈 皮
は、腹部、大腿部の内側、あるいはそれ以外の
弁( S I E A f l a p )、大 腿 薄 筋 皮 弁( t r a n s -
部位(ドナー部位)の組織を胸部に移植します。
verse upper gracilis) ( T U G f l a p )な
皮弁(flap) と呼ばれる組織片の血流を動脈で
どがあります。これらの皮 弁は患 者自身の組
断ち、顕微鏡下でドナー部位に由来する静脈
織を使 用することから、自家 組 織による再 建
を、胸部の移植先の血管と吻合します。
と呼 ば れます。これらの 皮 弁 には 、過 去 に受
マイクロサージェリーの登場により、乳房再
けた 放 射 線 や 感 染 による影 響 を弱 めること
建術は一変しました。マイクロサージェリーに
が できる 豊 富 な 血 流 が あり、他 の 種 類 の 再
よる再建術では、痛みが少なく、回復時間が短
建 術 が 成 功しなかった 場 合 に選 択されるこ
く、 ドナー部位が病的状態(ドナー部位の機能
とが多い方 法です。
または外見の喪失)になる確立が低くなるとい
遊離TRAM flapは、腹直筋の全部または
う利 点があります。従 来の乳 房 再 建 術の多く
一部を犠牲にします。その結果、腹壁ヘルニア
では、腹 部または背 部から1 本 以 上の筋 肉を
や腹部の隆起が生じたり、あるいは腹部が弱く
採取する必要があり、その結果、強度の低下、
なったりする(腹筋運動ができなくなる)可能
腹 部 ヘルニアや隆 起のリスク、あるいは背 部
性があります。しかし、今では、まったく腹筋を
に目立つ傷痕が生じました。マイクロサージェ
必要としない新しい選択肢があります。多くの
リーによる新しい方法の多くは、筋肉を犠牲に
場合、大幅な痛みの軽減と回復時間の短縮が
することがありません。傷跡の位置や質に配慮
もたらされます。経験豊富なマイクロサージャ
しながら、柔らかで美的観点からも満足できる
ンによってこれらの方法が実施される機会が
乳房を作ります。
増えています。
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図2:DIEP flap―下腹部の皮膚と脂肪組織を胸部に移植することで乳房を再建紫部分は使用せず 処分内部の乳房血管に皮弁を吻合乳房切除した皮膚の窪みに再建された乳房 提供:Rudy Buntic, MD
D I EP f l a p
flapよりも時間がかかります。標準的な所用
利用するのに対し、SIEA flapでは皮膚表面
時間は、片側(左右いずれか一方)の場合で4
近くの血流と腹部の脂肪を使います。
D I E P f l a p( 深 下 腹 壁 動 脈 穿 通 枝 皮 弁 )
~5時間、両側(左右両方)の場合で8~10時
手術中にはっきりと視認でき、微小血管の
は、下 腹 部( T R A M f l a pと同じ部 位 )の皮
間です。 この時間中、全身麻酔をかけることに
吻合に使えるSIEA血管を持つ人の割合は約
膚および皮 下 組 織に血液を供給する血管の
安全上の問題はありません。多くの再建術で
30%にすぎません。 これは手術を実施して初
名 称にちなんで名づけられました。ただし、
一般的な長さです。
めて判定できることで、術前に検査することは
DIEP flapに筋肉は含まれません。筋肉は、
マイクロサージェリーでは、低い確率(1~
できません。SIEA flapの長所には、手術時
すべての運 動 神 経と共に腹 壁にそのまま残
2%)で微小血管の吻合状態に問題が生じる
間の短縮、外科的切開の減少、術後の腹部不
されます。
リスクがあります。血 管が機 能を失いそうな
快感がほとんど、あるいはまったくないなどが
DIEP flapの特に優れた点は、ほとんど本
場合(すなわち血液が凝固しそうな場合)は、
あります。回復時間はDIEP flapより短い場
物の乳房のように見え、乳房組織に近い柔ら
吻合をやり直し、皮弁への血流を回復するた
合が多く、T R A Mより大 幅に短 縮されます。
かさと感 触があることです。胸部への新たな
めの再手術が必要となるでしょう。入院期間
SIEA flapの欠点は、 この血管を持つ人が約
血流を活発にし、放射線の影響を弱めること
は平均3~5日ですが、術後の痛みや回復速
30%しかいないこと、たとえ持っていても微
から、放射線治療後の実施が推奨されます。
度によって異なります。DIEP flap後の回復
小 血 管の吻 合に十 分な大きさではない可 能
再建された乳房は永続的です―柔らかく、問
時 間は、移 植による再 建より長引きますが 、
性があるという点です。
題がなく、生涯を共にできます。また、インプラ
TRAM flapよりかなり短くなります。通常、
腹部組織は他のドナー部位よりも優れてい
ントが持つ欠点の多くとは無縁です。腹部の
術後4~6週間は、ランニング、エアロビクス、
るため、通常、DIEP flapまたはSIEA flapが
傷跡はたいていの場合、下着や水着で完全に
5ポンド(約2.3kg)以上の物を持ち上げるな
第1選択肢となります。ただし、特定の症例で
隠れます。 ドナー部位を閉じれば、下腹部のた
ど、肉体的に激しい動きは避けます。ただし、
はこの組織が利用できません。その場合、大腿
るみが取れて引き締まるという、思いがけない
ウォーキングや軽い運 動は入 院中から開 始
部の内側(TUG flap)など、腹部以外の身体部
おまけが生じます。皮弁には筋肉が含まれな
し、退院後も続けます。
性がある腹部の弱化、ヘルニア、隆起といった 潜在的な合併症を未然に回避できます。術後
74
位に由来する遊離皮弁を使用します。 これは、 マイクロサージェリーによる乳房再建術で腹
いため、TRAM flapでは術後に生じる可能
S I E A fla p
部組織が使用できない場合の第2選択肢とし て、急速に浮上しています。
の痛みも、TRAM flapと比較して大幅に軽減
SIEA flap(浅下腹壁動脈皮弁)はDIEP
されます。
flapと全く同じ組織を含みますが、異なる血
D I E P f l a pを実 施できるのは、特 別な訓
管系に基づきます。SIEA flapは、同皮弁に直
練を受け、経験を積んだ再建分野のマイクロ
接 血 液を供 給する血 管の名 称にちなんで名
T U G f l a p( 大 腿 薄 筋 皮 弁 ) (trans-
サージャンだけです。同手術は従来のTRAM
付けられました。DIEP flapは深部の血流を
verse upper gracilis)は、大腿上部の内
PiNK • fall 2007
T UG fla p
図 3:T U G f l a p( 大 腿 薄 筋 皮 弁 ) (transverse upper gracilis)―大 腿上部の内側から薄筋と共に組織を採 取し、微 小 血 管の吻 合によって胸 部に 移植 提供:Rudy Buntic, MD
側( 大 腿内側の引き締めと同じ部 位 )から採
す。使用できる組織の量はDIEP flap、SIEA
乳 房 再 建の芸 術 的 側 面
取します。十 分な血 流を確 保するために、薄
flap、TUG flapより少なく、軟度の点ではよ
筋(大腿内側の筋肉)の一部または全部を採
り硬く筋張ります。手術中に体位を変える必
技術的側面に加え、乳房再建手術にはかな
取しますが、採取後にこの筋肉が不足しない
要があり、皮 弁の採 取は技 術 的に難しく、ま
りの芸術的側面があります。乳房再建の目標
ようにします。T U G f l a pは、柔らかで均 整
た、微小血管の吻合に使用できる血管が短く
は、除去後の胸の形状を、美しさ、対称性、存
の取 れた乳 房を再 建でき、乳 頭 再 建も直ち
なります。これらの皮弁ではドナー部位の外
続性、最低限の可動性(身体機能が失われな
に実施できます。
形異常が目立ちやすく、再建の選択肢として
いこと) と共に再現することです。
TUG flapの長所として、再建した乳房の
の優先順位は低くなります。
突 起 状 態とボリューム感が 非 常に良好なこ と、 ドナー部位が病的状態にならないことが あります。また、付 加 的メリットとして、大 腿 内側が引き締まること、傷跡の位置と質が良
乳頭と乳輪は、2度目の手術で乳房の膨ら み上に再建します。乳頭と乳輪の再建には皮
マイクロサージェリーに 適しているのは誰?
膚と皮下脂肪を利用します。これらを持ち上 げて折り返し、乳房のふくらみから突き出た円 柱を形成し、乳頭を作ります。乳輪にはコスメ
好なことがあります。T U G f l a pによる乳 房
健 康で身体 的 活 動が活 発な禁 煙 患 者で、
ティックタトゥー(アートメイクとして知られ
再 建 に適しているのは 、自分 自身の 組 織 の
乳 房の膨らみを形 成するのに十 分な腹 部 組
る入れ墨)で着色を施すかまたは植皮(皮膚
使用を望み、上 部 大 腿の内 側に十 分な組 織
織を有する患者が適しています。妊娠後に腹
移植) します。多くの場合、バランスをとるため
があり、以 前 に腹 部 形 成 術( 腹 部 の 脂 肪 除
部の皮膚や脂肪がたるんだ女性は、腹部の引
もう一方の乳房にも手術を行い、再建された
去 手 術 )や 腹 部 から皮 弁 を採 取したことの
き締めという恩恵に浴することができます。さ
乳房と釣り合うようにします。具体的には、再
ある女 性などです。かなりやせている女 性や
らに、再建前に乳房に放射線照射を受けた患
建した乳房に合わるために、乳房縮小、挙上、
よくスポーツをする女 性(すなわち腹 部のド
者、術後に放射線照射が見込まれる患者もま
時には移植などの処置を行います。
ナー組織が不十分な人)も、TUG flapに適
た、 マイクロサージェリーによる乳房再建に適
乳 房 再 建は、一 人 一 人に合わせた処 置で
しています。
しています。
す。各患者の選択、希望、生体組織には大きな
喫煙者および糖尿病患者や血液凝固に問
差があります。最適の再建術を選択するには、
題がある患者は、 マイクロサージェリーにあま
各女性の目的、身体の使い方、患者特有の状
選択肢
り適していません。まれに、過去に受けた手術
況を考慮します。
マイクロサージェリーを伴うその 他 の 選
またはSIEA flapでの血流の妨げとなる場合
択肢には、S-GAP(上臀動脈穿通枝)、I-GAP
があります。このような場合には、しばしば大
( 下 臀 動 脈 穿 通 枝 )などがあります。これら
腿部内側など他の身体部位から遊離皮弁を
その他のマイクロサージェリー
の皮弁では、臀部の皮膚と脂肪組織を使いま
による腹部の傷跡の位置や数が、DIEP flap
採取します。
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SUPPORTIVE CARE
がん 治 療を乗り越えるための 方 法
素敵に見えれば 気分も爽快
うつ病とがん
fall 2007 • PiNK
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® r e t t e B l e e F . . . d o o G k Loo し 後 押 を 自 信 性 の 女 時 に 要 な 必 Louanne 一 番
Ro a r k , V i c e P r e si d e n t C o s m e t i c , To i l e t r y, and Fragrance Association Foundation
お化粧して、気分をよくしましょう このコーナーでは、スキンケアやメイクのテク ニック、そしてがん治療中に患者が経験する可 能性のある、脱毛などの容姿にまつわる副作用 に対処するための方法について、実践的なアド バイスを提供します。女性から寄せられた具体 的な不安や、Look Good ... Feel Betterの 経験豊富な専門家とボランティアからのアドバ イスなどもご紹介します。
女性ががんの治療を受けるとき、通常、何らか
が容 姿に及ぼす影 響をカモフラージュするため
これらを使って講習を受け、自宅で使用します。
の容姿の変化に気付きます。化学療法によってし
の、化粧品、かつら、帽子などの使い方を実践的
美 容 院で個 別 講習を開くこともあります。また、
ばしば起こる脱毛はその一例です。けれども、さま
かつわかりやすい方法で説明します。プログラム
講習会に参加できない女性には、自習用のビデオ
ざまながん治療に際して生じる、顔面、肌、爪の変
の開 始 以 降 、L G F B は大 幅に拡 大し、年 間およ
や小冊子を提供しています。ウェブサイト (www.
化には気付かないかもしれません。
そ5 万 人という驚くべき数の女 性の役に立って
lookgoodfeelbetter.org.)を介した支援も提
全 国 規 模のがんサポートプログラム( 無 料 )、
いるのです。創 設 以 来 、同プログラムにより、5 0
供しています。
Look Good … Feel Better( LGFB)は、女
万人近くの女性が自信、尊厳、そして自己意識を
最終的に、Look Good … Feel Betterが着
性 が 経 験する治 療 の 影 響 について情 報を提 供
取り戻してきました。
目しているのは、治療を受けている女性の容姿を
し、変 化 への対 処を支 援するために創 設されま
LGFBの美容師は特別な訓練を受けた美容専
どう見せるかではなく、むしろ内面でどのように
した。1989年、米国化粧品工業会(Cosmetic,
門家として、がんと向き合う女性を支援してきま
感じさせるか、そしてその感情で、仕事、家族や友
Toiletry, and Fragrance Association)に
した。また、LGFBのボランティアの多くは、 プログ
人、そして最も大切な治療といった世界と、いかに
よって創設された同プログラムは、米国がん協会
ラムに参加したことで、患者と同じように自分も多
向き合えるようにするかということなのです。
くを得ることができると述べています。
ローアンヌ・ロアーク (Louanne Roark)氏は
協会(National Cosmetology Association)
多くの女 性は、美 容 専 門 家による2 時 間の講
米国化粧品工業会およびLook Good … Feel
との協力の下に提 供されてきました。これら3つ
習会を通してLook Good … Feel Betterを
B e t t e rプログラムの 副 会 長です。現 在 治 療 中
の団体は協力して、がんと共に生きる女性のQOL
体 験します。このような講習会は通 常 、がんセン
で、L G F Bの講習会に参 加をご希 望される場 合
(American Cancer Society) と米国美容術
ターや地 域の病 院 、米 国がん協 会の事 務 所で、
は、ウェブサイト (www.lookgoodfeelbetter.
ボランティアの 美 容 専 門 家 も参 加していま
グループ制で行われています。講習会では、参加
org)をご覧ください。
す。Look Good … Feel Betterを通して、脱
した女 性 全員に、大 手 化 粧 品メーカーからメイ
毛や肌の変 色 、極 度の乾 燥といった、がん治 療
ク用品やスキンケア用品が無料で提供されます。
(生活の質)改善に寄与しています。
78
PiNK • fall 2007
イ ス バ ア ド
Look Good ... Feel Betterの依頼により、 「自 分の容姿」に関する調査が実施されました。その 結果、容姿に関連する治療の副作用が、自分自身 について女性がどう感じるか、また他人の目をど う感じているかに大きな影響を与えていることが 明らかになりました。
r i
主な調査結果をいくつか紹介しましょう。
•• 調査対象となった女性の過半数(69%)が、化
学療法または放射線療法の際に、自分の容姿
がやや変わった(37%)、あるいはとても変わっ た(32%) と回答。
••調 査 対 象となった女 性の大 多 数( 8 3%)が 、 治療中の自分の容姿について、やや気になった
( 3 3%)、あるいはとても気になった( 5 0%) と回答。
•• 調査対象となった女性の半数近く(47%)が、
髪
治療中に髪が抜けない女性もいますが、多くの女性は脱毛を経験します。起
a h
こり得るこの副作用に立ち向かうために、専門家は事前の策を講じることを推
奨します。多くの美容師は、化学療法が始まる前に、長い髪を短めにカットする
よう勧めています。髪が少なくなった時、 ロングヘアよりショートヘアの方が、ボ
リューム感が出やすいのです。 お気に入りの帽子やスカーフなど、使い心地の良 い手持ちのアイテムを使って、少なくなった髪を隠してもよいでしょう。
脱毛は通常、治療による一時的な副作用だということを覚えておきましょう。
「治療が終わったら、前よりきれいに生えてきた」 と言う人もいます。
治療中の容姿の変化によって、自分に対する友
人の接し方がやや変わった(28%)、あるいは 変わった(19%) と回答。
•• 調査対象となった女性の半数以下が、がん治
肌
療による容姿関連の副作用に対処するため、支
治療中はおおむね肌が過敏になります。 これは化学療法や放射
援を求めていた。
線療法が皮膚の正常な再生を損なうためです。肌が以前より乾燥
n i k
して質感が変わり、肌にひどく違和感を覚えることもあります。 こう
した変化に対応するために、通常のスキンケア習慣を少し変えて、 シンプルで肌に優しい方法で行うとよいでしょう。具体的には、刺
激の少ない石けんを使ってぬるま湯で洗顔し、水分補給のために
s
アルコール無添加のローションをつけ、医師の許可を受けたSPF
出典
15+の乳液を塗ります。
本調査は、2006 年 4 月 11 ~ 17 日に行われた 404 人
化学療法や放射線療法により、脂性肌でさえ乾燥して粉が吹いた
のオンラインインタビューに基づき、R. L. Repass &
ような状態になりやすいため、1日数回乳液をつけるようにしましょ
Partners, Inc. により実 施された。 調 査 対 象 適 格 者
う。 ただし、化学療法を受けている人は、 ヒドロコルチゾンなどを含む
は、過去 5 年以内にがん治療として化学療法または放
ホルモンクリームの使用は避けてください。治療部位あるいはその周
射線 療法を受けたことのある女 性とし、Mindfield™
辺にクリーム、 ローション、 メイク用品、石けん、 日焼け止め、香水、 デ
Online Panel Respondents を介して募集した。404
オドラントを使用する前には、医師に相談してください。
人のインタビューに基づき、95%信頼区間での全般的 許容誤差は± 4.9%であった。
メイク
p eu
たいていの女性はメイクに関して―長年やってきたわけですから―自分は上手
だと思っているようです。女性は「お化粧をしたら」お出かけの準備が整うと、私達
k a
はごく若い頃から教えられてきました。がん患者はもう1歩踏み込んで、 ドアを開
ける前に勇ましい顔を作るのです。
がん治療を受けている女性が直面する問題には、目の下のクマ、顔色の悪さ、ス
m
テロイドによる吹き出物があります。そしてある患者が言うように、 「 髪が抜けま
すと言われる時に、眉毛やまつ毛も抜けると教えてもらえるとは限らない」のです。
(一部の例ですが)LGFBのボランティア美容師は、メイクのテクニックを教え、眉 毛やまつ毛が抜け落ちた場合のアドバイスをしてくれます。
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うつ 病 とが ん が ん を 乗 り 越 えて も 喜 べ な い とき K ari Boh lke, S c D
80
PiNK • fall 2007
「 臨 床 家 は 憂うつ 感や絶 望 感を、 がんと共 に生きる上で 必 然 の 成 り 行 き と は 捉 え な い 。」 ― マイケル・フィッシュ( Mi ch a el Fi sch )
マイケル・フィッシュ(Michael Fisch)、「Treatment of Depression in Cancer(がんにおけるうつ病の治療)」 (論文、Journal of the National Cancer Institute Monographs, 2004)
fall 2007 • PiNK
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経験します。うつ病はQOL(生活の質)やがん治療に関 する決断、場合によっては生存に影響を及ぼす可能性が あるにもかかわらず、しばしば未治療のまま放置されま
いのはなぜでしょう。がん患者のうつ病に対する認識の 低さや治療の不足は、患者がうつ病について報告したが らない、医師が最善の管理方法をよく分かっていない、 がんになればうつ病を発症するのが普通だという考えな ど、いくつかの要因によるものと思われます。
うつ病とは
として片付けられるものではありません。 うつ病は途方もな
つきがありますが、 うつ病は一般の人々と比較して、がん患
い絶望感や、喜びを感じられない、普通の生活を送れない
者で多く発生するという点で専門家の意見は一致していま
といった状況をもたらします。 うつ病の原因は明らかではあ
す。がん患者はまた、関節リウマチ、糖尿病、心臓病、慢性肺
りませんが、遺伝的、心理学的、環境的因子の組み合わせ
疾患などの重い病気を抱える患者より、うつ病のリスクが
が関与していると考えられます。
高いと考えられます。
米 国 立 精 神 衛 生 研 究 所( N a t i o n a l I n s t i t u t e o f Mental Health:NIMH)は、以下の症状のうち5つ以上が 2週間以上にわたり毎日続き、日常の活動に支障を来たす
•• 悲しく不安な、空しい気分の持続 •• 絶望感、悲壮感 •• 罪悪感、無気力、無力感 •• セックスを含め、以前は楽しいと感じた趣味活動への関 心と喜びの喪失
•• 気力の減退 「 動きが鈍くなった」 という感覚 •• 疲労感、 •• 集中、記憶、決断の困難 •• 不眠、早朝に目が覚める、寝過ごす •• 食欲または体重の変化 •• 死や自殺について考える、または自殺未遂 •• 落ち着かない、イライラする
82
PiNK • fall 2007
ローラ ニューヨーク州アップステート在住の、乳がんからの生 還者、ローラは、48歳で非浸潤性乳管がんの診断を受 けた後にうつ病を発症しました。予後(病気の経過や結 末に対する見 通し)は極めて良好でしたが 、 「あなたは がんです」という宣 告を受け、過 去に経 験したことがな いほど深く落ち込んだといいます。毎 朝 起きては泣き、 何とか気持ちを立て直して仕事に出かけても、仕事を終 えて職場を出たとたん、また涙があふれ出したそうです。 「 車を運 転して家に帰れるだろうかと思うこともありま した」とローラは言います。週末には状態がさらに悪化 しました。体重は減り、ほとんど誰とも会話をしませんで した。 「 以前には味わったことのない感覚でした。二度と 戻りたくありません。 とても孤独な時間でした」 とローラ は述べています。
( う つ 病 に 決 別 を )」 よ り Having It Out with Melancholy
ようなら、 うつ病の評価を受けるよう勧めています。
) の 詩 、「 Jane Kenyon
がん患者におけるうつ病の推定発生頻度には大きなばら
―ジェーン・ケニヨン(
うつ病は、がんの診断にまつわる悲しみや将来への不安
夜 眠 れ な い か と 思 う と 1 日 中 眠 って ば か り の 、
す。うつ病の治療を受けていないがん患者がこれほど多
何 も 読 め ず、 救いを 求 め る た めの 約 束 も 取 り 付 け ら れ ない 私 に 」
推定で25%のがん患者が、いずれかの段階でうつ病を
タマラ
がん患者のうつ病は、発症頻度が高いと同時 に治療可能なものだとしたら、なぜそれほど見逃
南カリフォルニア在住、31歳のタマラ(Tamara)は、約1
されるのでしょう。その理由には、患者、医師、そ
年にわたり乳腺嚢胞の精密検査を続けた後、彼女が言う
してがんそのものの性質という因子の組み合わ
ところの「完全な虚脱状態」に陥りました。一連のマンモグ
せが関与しているようです。
ラフィー検査、超音波検査、生検、矛盾した病理検査結果
うつ病に見られる疲労感、睡眠不足、食欲の変
に「 困 惑の極み」だったそうです。 「ジェットコースターに
化、体重の減少などの特徴は、多くのがん患者が
乗った気分でした。毎回最悪の事態に備えるんです」 とタマ
経験する症状です。こうした症状は、がんそのも
ラは語ります。結局タマラは、良性の乳房疾患の一種で、乳
の、あるいはがん治療によって引き起こされると
がん発症リスクの高い異型乳管過形成と診断されました。
考えられます。 このように、がんとうつ病に共通の
リスクを減らすためにタモキシフェン(ノルバデックス®)を
症状があることから、両者をどう区別すべきかが
処方されましたが、2カ月後に別の医師により中止されまし
課題となっています。ある研究者が指摘するよう
た。良性の乳房疾患の診断なら安堵できたのでしょうが、
に、 「 繰り返し生命の危険に瀕している場合、がん
現実は違いました。その代わりに、 「 何も変わりはしない。
治療を受けている場合、あるいは疲労していたり
人生とはこんなものだ」 という実感が湧き、ショックを受け
痛みを経験していたりする場合、気分の変化を評
たとタマラはいいます。今後も不確かな状態が続くと同時 に、がんのリスク増大が加わるのだと思いました。前年から
価することは困難な場合が多い」のです。ただし、
のストレス、これからもストレスが続くとの予感、タモキシ
がんの経過では通常見られないうつ病の特徴(無
フェン服用を開始し中止したことによるホルモンの変動―
力感や絶望感、喜びの喪失、自殺を考えるなど)
これらすべてがタマラを悪循環に陥らせました。 「 そこから
があります。うつ病を発症しているがん患者を特
抜け出したかった」 とタマラは言います。
定するには、 これらの考えや感情が最も役に立つ と思われます。 うつ病とがんという問題への対処は、がん患者 を襲う他のさまざまな症状によってさらに複雑な ものとなります。対処すべき健康上の問題の数を
謝辞
考えると、時にうつ病が見過ごされるのも無理は ありません。さらに、治療の焦点は何か、すなわち
思慮を持って患者と話し合うことにより、医師
うつ病が軽減すべき最重要課題なのか、あるいは
はこうした障 害 の 多くを克 服することができる
痛みなどの他の症状がうまく管理されればうつ病
かもしれません。しかし、多くの医 師は自身の障
の症状は解消されるのかを判断することが困難
害に直 面します。ローラの場 合 、 「どの先 生も私
な場合もあります。理屈から言えば、 このように症
がひどく落ち込んでいるのに呆れた様 子で、 『う
状を選ぶ必要はありませんが、症状が同時に生じ
つ病ではないでしょう』 と肩をすくめた」 といいま
た際に医師と患者が直面する課題を浮き彫りに
す。医 師の反 応にローラはさらに落ち込みまし
しています。
たが、彼 女が直 面していたのは、ごくありふれた
また、うつ病は、患者からの訴えがないため認
問題だったのです。実際、がん専門医は皆、痛み
識されない場合もあります。患者がうつ病の診断
に対処することには自信を持っていますが、抵抗
を恥ずかしいと思ったり、がん治療に比べてうつ
なくうつ病の治療にあたれる医師は非常に少な
病の治療は二の次だと感じたりすることもあるで
いのです。
しょう。さらに、絶望感を覚えるなどと言ったら医
医師に対応してもらえなかったことはローラに
師にどう思われるか、 どんな治療をされるかと不
とって大きな打撃でしたが、初診担当医にうつ病
安に思うこともあるかもしれません。 このようにう
について相談するよう、兄が勧めてくれました。 こ
つ病自体が、患者が救いを求めることを困難にす る可能性があるのです。
うしてローラは勇気を奮い起こして診療室へ行き、 「抗うつ剤をください」 と言えたのです。
体験談を聞かせてくれたタマラとローラに謝意を表します。お二人のご多幸をお祈りします。 タマラとローラにたどり着く助けとなったメッセージを掲載してくださった にも感謝します。 w w w.breastcancer.org
私 を こ ん な 風 に 変 え てし ま う 。 自 分 か ら 話 の で き な い 、
「 嫌 ら し く 意 地 悪 な お 前 は テ ー ブルに 足 を 投 げ 出 してふ ん ぞ り 返 り 、
がん患 者のうつ病を特 定する
fall 2007 • PiNK
83
どのような人にリスクがありますか?
る見通し)が悪化する、うつ病は単により重度な疾患への
どのような人がうつ病を発症するかを予測することはで
少 数の試 験により、うつ病が実 際に最 適な治 療を受け
きませんが 、相 対 的にリスクの高い人はいるようです。う
る妨げになることが示唆されています。乳がん患者を対象
つ病の既 往 、アルコールや薬 物の乱用歴 、社 会 的 支 援の
とした試験により、抑うつ状態の女性はそうでない女性よ
指標である、などです。
性より女 性の方がはるかにうつ病を発 症しやす いのですが、がん患者における傾向はさまざまで す。一部の研究者は、 「 女性と男性のがん患者に は、うつ病を発症する同等の可能性がある」 と報 痛みのような症状は、 うつ病の可能性と強く密 接に結びついています。依然として不明なのは、 症状がうつ病を引き起こすのか、それともうつ病 のせいで患者が症状の程度を強く感じるのかと いう点です。このような関係はいずれも作用する 可能性があります。
出来事が起こり得ます。疑わしい症状の発見、精 密 検 査 、診 断 、待 機 、変 化 、そして治 療の終了と いった出来事はいずれも、患者をとりわけ傷つき やすい状態にさせます。 患 者あるいはがんの特 徴の中には、うつ病の 高リスク患者の特定に役立つものもあるでしょう が、ある研究者は、 「 疾患の部位や病期に関係な く、がんはうつ病の高発生率と関連する」と注意
)、 ニ ュ ー ヨ ー ク 州 ア ッ プ ス テ ー ト 在 住 Laura
さらに、がんの診断、治療、生存に際しては、う つ病や他の気分的落ち込みの原因となるような
―乳がんからの生還者ローラ(
告しています。
を促しています。
うつ病とがんの転帰 うつ病は、普通の生活を営み、人生を楽しむ能 力を損なうだけでなく、がんの転帰(治療後の経
84
り、 「 決定的」 と考えられる治療を受け、化学療法 を受け入れる可能性が低いと報告されています。 うつ病と生存の関係について現在行われている 議論では、最も重要なポイント、すなわち抑うつ状 態にある人々は普通の生活を送ることができず、 QOLも低いという点を曖昧にすべきではありませ ん。それによってがんの転帰が改善するか否かに かかわりなく、 うつ病がもたらす苦しみを治療する のは当然です。仮にうつ病の治療が最終的にがん の転帰を改善すると証明されれば、それは患者と 医師にとって、うつ病を特定し治療する新たな動 機付けとなることでしょう。
治療 一般の人々におけるうつ病治療の標準的方法 には、心理療法と抗うつ剤の投与などがあります。 がん患者におけるこれら治療法の有効性に関す る情 報は限られていますが 、その効 果が 一 般の 人々とがん患者では異なることを示唆するものは ほとんどありません。 うつ病の治 療が 効いているとわかるまでには 時間がかかります。最初の治療が奏効しない、あ るいは容 認し難い副 作 用を引き起こす場 合は、 治療の種類や用量を変える必要があるかもしれ ません。幸い新しい抗うつ剤の多くは、以 前のも のより副 作用が少なくなっています。これらの薬 剤には、プロザック®(フルオキセチン)、ゾロフト ®(セルトラリン)、パキシル ®(パロキセチン)、レ クサプロ ®(エスシタロプラム)などの選択的セロ
過や結果)、最も重要なことには生存に影響を及
トニン再 取り込み阻 害 薬( S S I R )、シンバルタ ®
ぼす可能性があります。 うつ病は生存に影響する
(デュロキセチン)、エフェクソール ®(ベンラファ
か、またどのように影響を及ぼすかという問題を巡っては、
キシン)などのセロトニン、ノルエピネフリンの双方に作用
現在も議論が続いています。うつ病と生存の関連について
する薬 剤 、ウェルブトリン ®(ブプロピオン)などの他の薬
は、いくつかの説明が考えられます。すなわち、うつ病は免
剤があります。
疫系または神経内分泌系に影響を与えることによって生存
適切な治療期間は、 うつ病治療のもう1つの重要な側面
に直接作用する、うつ病によってがんの診察や治療への姿
です。たとえば、抗うつ剤を服用している患者については、
勢が変化することでがんの予後(病気の経過や結末に対す
最低でも4~9カ月の使用が推奨されます。
PiNK • fall 2007
―エゼキール・ ・ )、 J エ マ ニ ュ エ ル ( Ezekiel J. Emanuel ( う つ 病 、 安 楽 死 、 終 末 期 ケ ア の 改 善 )」 「 Depression, Euthanasia, and Improving End-of-Life Care ) ( 論 説 、 Journal of Clinical Oncology, 2005
方において、うつ病のリスクを増大させる可能性 があります。興味深いことに、一般の人々では男
「 そ れ は 深 く て 暗 い 、 重 苦 し い 時 間 だ っ た 。」
欠 如などの要 因は、一 般の人々とがん患 者の双
患者がうつ病治療の補助療法あるいは代替療法を考え
結びつくことです。これに対応すべく、米国立衛生研究所
ている場合、それらの方法について、安全であるか、がん治
(National Institute of Health:NIH)のある研究者 が、 うつ病を「6番目のバイタルサイン」 とすることを推奨し ています。近年、がんの痛みに対する認識と治療は劇的に
ハーブ療法として注目を集めていますが、ある種の抗がん
進歩しましたが、うつ病の領域におけるこうした進歩は遅
剤の作用を妨げます。さらに、セントジョンズワートの有効
れをとっています。 うつ病の治 療 は 、死を迎えようとしている各
性は未だ明らかになっていません。
患者のニーズに応じて個別化する必要があるで
ローラは初診担当医に抗うつ剤の処方を直接 かったといいます。あまりにも気分がすぐれず、気 分が良くなる方法など想像することもできず、ま た副 作用のことも気がかりでした。医 師は、副 作 用が最も少なく、即効性があると思われる薬剤を 選んでくれました。1~2週間で、ローラの気分は 快方に向かいました。まだうつ病の影響は残って いますが、どん底にあった時にできるとは想像す らしなかったことが 、今はできるようになったと 語っています。 タマラとその夫は、病状が入院を要するほど重 いと判断しました。タマラは48時間入院し、別の 抗うつ剤に替え、さらに外来で治療を受けました。 ようやく喜びを見出せるようになりました。
終 末 期のうつ病 終末期のうつ病は、何よりも大きな課題を提起 しているかもしれません。 うつ病は不可避であると いう考えは、死を迎えようとしている患者では一
」より Having It Out with Melancholy
タマラは回復し、現在、がんではないという事実に
層強くなり得ます。短い命しか残されていない患 者には、治療が奏効する時間も残りわずかです。 し かし、たとえ人生の終わりが近づいている患者で も、 うつ病を容認する必要はありません。 この時期 の患者は回復への望みは捨てているかもしれませ
「 私はありふれた 安ら ぎに圧 倒される 」
依頼することができましたが、当初は気が進まな
― ジ ェ ー ン ・ ケ ニ ヨ ン の 詩 、「
「 差 し 迫 っ た 死 の た め に 抑 う つ 状 態 と な ってい る 人 に は 、
治 療の 排 除では な く 、 積 極 的 な 治 療 が 必 要 な は ずであ る 」
療の妨げとならないかを確 認するために医 師と相 談すべ きです。たとえば、セントジョンズワートはうつ病に対する
しょう。患者に残された命はあと数週間という状 況で、効き目が現れるのに数 週 間かかる従 来の 抗うつ剤を使うことに意味はないのです。緩和ケ アにおいては、メチルフェニデートなどの精神刺 激薬がうつ病の症状を速やかに軽減することが 明らかになっています。
支 援を求める 米国立精神衛生研究所(NIMH)は、うつ病を 発症したがん患者のために、次のようなメッセー ジを発しています。 「うつ病は治療が可能な脳の 病気だということを忘れないでください。がんを 含む他のどんな病気にかかっていても、うつ病は 治療することができます。自分が抑うつ状態にあ るかもしれないと思ったら、そういう人を知ってい たら、希望を失くさないでください。 うつ病に対す る支援を求めてください。」 自分がうつ病かもしれないと思ったら、医師、 看護師、ソーシャルワーカー、家族や友人などと 相談し、自分が必要としている支援が見つかるま で対話を続けてください。がんの診断、治療、生存 という課題に、 うつ病の苦しみを追加する必要は ないのです。
んが、家族に見守られながら苦痛のない死を迎え ることで、人生の幕を下ろしたいという希望を持っ ているかもしれません。うつ病を突き止め治療す ることは、患者がこの時期の希望を認識し、達成 する助けとなるかもしれません。 終末期のうつ病の最も困った側面の1つは、うつ病が、 早く死 を迎えたいという願 望 の 増 大 や 安 楽 死 の 希 望 に
「Having It Out with Melancholy」 は、2005 年、 エステート・オブ・ジェーン・ケニヨン(Estate of Jane Kenyon)が版権を取得。ミネソタ州セントポー ルのグレーウルフ出版(Graywolf Press)の許可を 得て詩集より転載
うつ病に関する詳しい情報は、NIMH のうつ病情報のページ(www.nimh.nih.gov/healthinformation/depressionmenu.cfm)をご覧ください。
fall 2007 • PiNK
85
FIND YOUR WAY
健康の最先端を目指して
医 療 制 度 の 謎 を 解 く
医師に聞いてみよう
Resources
fall 2007 • PiNK
87
師 医
に
聞 いて み よう Amy Lang, MD
質問:
乳がんになるのではないかと心配です。 どうしたらリスクが高いとわかるでしょうか。 リスクにどう対処すればよいのでしょう。
回答:
周囲を見回すたびに、知人の誰
かしらが乳がんと診断されてい
るように思えます。多くの女 性
が、自分が乳がんと診断されるのも時間の問題だと感じてい ます。もしあなたがそんな風に感じているなら、まずは自分
質問: 乳がんリスクが高い女性は どのような検診を受ければよいでしょう。
のリスクを正確に評価し、そのリスクが大きくても小さくて も、何らかの手を打つことができることを理解しましょう。 危険因子を持たない平均的な米国人女性の、生涯にわた る乳がんのリスクは11~12%です。乳がんの家族歴、特に 一等親血縁者(母親、姉妹、娘)における乳がん歴は、複数の
88
回答:
女 性 は 誰 でも1 8 歳 に
なったら、乳 房 の自己
検 診 を月1 回 行うべきです 。検 診 の 方
正確に診断するため、あるいは嚢胞を評 価するために、超音波検査を利用するこ ともできます。
血縁者が乳がんに罹患していたり、50歳未満で診断を受け
法は、産 婦 人 科 、かかりつけの医 師 、乳
最 近では、発 見された乳がんを評 価
ていたりする場合は、リスクを20%以上に上昇させると考
がん協会から派遣された信頼できるボ
するための 重 要 な手 段として、磁 気 共
えられます。BRCA1あるいはBRCA2(乳がん感受性遺伝
ランティアから教わることができます。
鳴画像(MRI)が用いられるようになっ
子)の突然変異の保因者であることがわかっている女性で
シャワーの際に石けんやボディーロー
ています。しかしM R I は 費 用 が かかる
は、生涯にわたる乳がんのリスクが87%にも達します。
ションをつけた手で行うのがよいでしょ
ため、現 時 点では一 般を対 象とした検
確認されている他の危険因子には、乳房のある種の前が
う(皮膚表面の抵抗が減ります)。また、
診に適切な手段ではありません。また、
ん状態の診断歴、早い年齢での初潮(12歳未満)や遅い閉
年に1度、かかりつけの医師や婦人科医
MRIは非常に感度が高い方法ではあり
経( 5 5 歳 以 上 )などの長い月経 歴 、未 経 産や3 0 歳 以 降の
などによる検査を受けます。
ますが、比較的非特異的であるため、実
満 期 妊 娠 、ホルモン補 充 療 法の実 施 、年 齢 6 0 歳 以 上など
年1回のマンモグラフィは、依然とし
際には良 性 のものも多 数 検 出します。
があります。
て乳がんを早期発見するための主要な
その結 果 、不 要な生 検が 行 われること
手段です。がんの疑いのある部位をより
になります。
PiNK • fall 2007
質問: どうすれば乳がんのリスクを低減できますか。
回答:
乳がん発症のリスクが高い場合、リスク低減に役立ついくつかの選択肢があります。
どの方法が適切かを知るために、各選択肢について医師に相談しましょう。
何らかの食品が乳がんリスクを低下させると
が開発されました。骨粗鬆症治療薬エビスタ®
の証拠はありませんが、体格指数の低い女性は
(ラロキシフェン)とタモキシフェンを比較する
乳がんのリスクが低く、赤身の肉や高脂肪乳製
STAR試験において、エビスタ®は高リスク女性
外因性(外部からの)エストロゲンを使っ療
品の多量摂取が乳がんのリスク増大と関連す
の乳がん発症を、タモキシフェンと同様に50%
法の乳がんへの関 与ほど、医 学 界で盛んに議
ることが確認されています。 したがって、高リス
低減することが明らかとなりました。いずれの
■外因性エストロゲン
論されているテーマはありません。多くの専門
クの女性は、新鮮な果物や野菜(特にブロッコ
薬 剤も、ほてりや膣 乾 燥のリスクを増 大させ、
家が、ホルモン補充療法は乳がんのリスクを同
リー、カリフラワー、ラディッシュ、ベリー類、柑
わずかながら血栓と脳卒中のリスクも伴います
療法開始前の2.5倍に増大させることを認めて
橘類、色の濃い葉物野菜)を豊富に含む食事を
が、エビスタ群のほうが静脈血栓の事例は少数
いますが、 リスクはプロゲステロン(黄体ホルモ
摂ることが推奨されます。農薬への曝露を低減
でした。ごくまれにタモキシフェンは子宮がん
ン)、あるいはエストロゲンの単独使用によるも
するために、できる限り有機果物や有機野菜を
を引き起こす可能性がありますが、エビスタの
のか、あるいは併用によるものかはまだわかっ
買うことも望ましい選択です。また、 「 ホルモン
子宮への影響は、あったとしても、ごくわずかの
ていません。最近では、天然ホルモン、すなわち
不使用」、すなわち遺伝子組み換えウシ成長ホ
ようです。
(植物に由来する)植物性エストロゲンが安全
ルモンやインスリン様成長ホルモンIを使用して
であると言われていますが、さらに多くの試験
いない肉や乳製品を食べるよう心がけてくださ
が完了するまで、乳がんリスクの高い女性に対
い。いずれも乳がんのリスク増大への関与が疑
して外因性エストロゲンおよびプロゲステロン
われています。
■手術の役割 最後に、BRCA遺伝子突然変異、あるいは非
を推奨することはできません。
長年にわたり、エクササイズには乳がんに対
常に強い乳がん・卵巣がんの家族歴のため、乳
同様に経口避妊薬も議論の的となっていま
する保護効果があると考えられています。また、
がんリスクが非常に高い女性は、リスクをでき
す。高用量ピルに関する過去の試験では、乳が
新たに実施された複数の試験によって、適度な
る限り少なくするために、化学的予防よりもさ
んのリスク増大が明らかになりましたが、最近
エクササイズ(週に4時間以上)でも乳がん再発
らに一 歩 踏み込むことを希 望する場 合があり
の試験では低用量ピルの安全性が示唆されて
を減少させ、患者の生存を改善することが示さ
ます。こうした女 性に対して、予 防のための両
います。試験で確実な結果が得られるまで、乳
れています。有酸素運動(ウォーキング、サイク
乳房の除去(予防的両側乳房切除術)は、乳が
がんリスクが高い女性には、経口避妊薬の使用
リング)と筋力トレーニング(ウェイトトレーニ
ん発症リスクを90%低下させることができま
を避けることが勧められます。
ング、レジスタンス運動、腹筋)を組み合わせた
す。同様に、予防のための卵巣の除去(卵巣摘
エクササイズがよいでしょう。
出)は卵巣がん発症のリスクを96%低下させ、
■化学的予防
がんの発症を50%減少させます。
させます。複数の試験により、1日2杯以上のア
1998年以前には、乳がんリスクの高い女性
カウンセラー 、腫 瘍 外 科 医 、婦 人 科 腫 瘍 医 、腫
ルコール飲料は乳がんのリスクを最高40%増
に選択肢はほとんどありませんでした。その後
瘍内科医、形成外科医と相談の上で行うのが最
大させることが示されています。また、米国の女
NSABP P-1試験結果が発表され、高リスクの
善の策でしょう。
性看護師を対象とした健康調査研究(Nurse’s
原因が何であれ、経口の抗エストロゲン薬であ
女 性 がどのように、なぜ 乳 がんを発 症する
■ライフスタイルの変化 アルコールの摂 取は乳がんのリスクを増 大
BRCA遺伝子突然変異のある女性における乳 これらの思い切った選択肢については、遺伝
Health Study:NHS)では、1日1/2杯のアル
るタモキシフェン(ノルバデックス®)がこれら
かに影 響する因 子 が 解 明されるにつれて、乳
コール飲料によってリスクが30%増大する可
の女性における乳がん発生率を約50%低減す
がん 予 防 に役 立つ 知 識も増えてきました。も
能性が示されています。葉酸が乳房組織に対す
ることが明らかになりました。 ( 年齢60歳以上
はや女 性は手をこまねいて乳がんのリスクを
るアルコールのリスクを中和する可能性を示唆
が唯一の危険因子である女性にも有効です。)
受 け 入 れる必 要 はありません 。リスクに 関 す
する証拠があります。NHSから、1日600マイク
以降、薬物療法によるリスク低減において、タモ
る不 安 がある場 合 は 、自分 のリスクが 実 際 は
ログラムの葉酸は、毎日1杯以上のアルコール
キシフェンは主役を演じています。
どのようなものかについて知 識の豊 富な医 師
飲料を摂取する女性で保護効果を発揮する可
2006年には、高リスク女性において乳がん
に相 談し、自分自身を守る最 良のプランを立
能性が示されています。
を減 少させることが 証 明された、第 二 の 薬 剤
ててください。
※ここで紹介されている質問と回答は、アメリカでのリサーチに基づいたものです。
fall 2007 • PiNK
89
ラン・フォー・ザ・キュアファンデーションでは、さまざまなオリジナル商品などを販売しています。
ピンクリボン ピアス
¥2,500
ピンクリボン ピンバッチ
(ゴールド/シルバー)
¥1,500
RFTC携帯ストラップ
¥700
RFTC 帽子
¥1,500
ピンクバンド ¥300
ピンクリボン チャーム
(ゴールドとシルバーの2点セット)
¥2,300 購入希望の方は、商品名、購入点数、お名前住所などの必要事項を、メールまたはファックスでお送り下さい。 E-mail:mhara@runforthecure.org Fax:03 - 3466 - 4799 /「プロダクト係」 まで
90
PiNK • fall 2007
ラン・フォー・ザ・キュアファンデーションは、Run for the Cure®/Walk for Lifeイベントの オリジナルT-シャツに、ニューバランスジャパンの協賛をうけています。
2006年 ゴルフトーナメント T-シャツ
ピンクリボン ペンダント
(ゴールド/シルバー)
¥2,500
2006年 RFTC T-シャツ
2005年RFTC T-シャツ
RFTC オリジナル T-シャツ ¥1,000
RFTCピンバッチ
¥400
fall 2007 • PiNK
91
病 院
検 査
リソ ース
RESOURCES
このコーナーでは 、様々な 情 報 提 供をできるよう、 徐々に充 実させていきたいと考えています。 検 診 料 金 、受 診 可 能 な 検 査の種 類 などを掲 載する予 定です。
談 験 体
診療
料金
皆さんの医 療 機 関での経 験 談 等もどしどしお 寄 せ 下さい!
東 京 都
千 葉 県
聖母病院
健生クリニック
〒161-8521 東京都新宿区中落合2-5-1
〒262-0032 千葉市花見川区幕張町4-524-2
電話:03-3951-1111
電話:043-276-1851
http://www.seibokai.or.jp/
http://www.min-iren-c.or.jp/kensei/kensei_1.html
日本赤十字医療センター
千葉新都市ラーバンクリニック
〒150-8935 東京都渋谷区広尾4-1-22
〒270-1337 千葉県印西市草深138
電話:03-3400-1311
電話:0476-40-7711
http://www.med.jrc.or.jp/
http://www.chibashintoshi.or.jp/
聖路加国際病院
大 阪 府
〒104-8560 東京都中央区明石町9-1
糸氏クリニック
電話:03-3541-5151 http://www.luke.or.jp/
〒559-0016 大阪市住之江区西加賀屋1-1-6 電話:06-6681-2772
東京衛生病院
http://www.myclinic.ne.jp/itoujiclinic/pc/index.html
〒167-0032 東京都杉並区天沼3-17-3 電話:03-3392-6151
宮 崎 県
http://www.tokyoeisei.com/
ブレストピアなんば病院 医療法人社団ブレストピア・ヘルスケア
〒880-0000 宮崎市丸山2-112-1
丸の内・女性のための統合ヘルスクリニック [イーク丸の内]
電話:0985-32-7170
〒100-6403 東京都千代田区丸の内2-7-3東京ビル TOKIA3F
http://www.breastopia.or.jp/
電話:0120-190-828 http://www.ihc.or.jp/index.html
※医療機関によって予約等必要な場合がありますので、事前に連絡をされることをお薦めします。
ご意見・ご感想は こちらまで
NPO法人Run for the Cure® Foundation 〒150 - 0047 東京都渋谷区神山町18 - 6 神山アンバサダー108号 Tel:03 - 3466 - 4798 / Fax:03 - 3466 - 4799 E-mail:mhara@runforthecure.org 担当者:事務局長 原
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PiNK • fall 2007
fall 2007 â&#x20AC;¢ PiNK
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Be Aware Be Aware
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Awareness Month
2007 Run for the Cure®/ Walk for Life
The 2007 Run for the Cure®/Walk for Life is a fun 5K/10K run or 5K walk around the Imperial Palace. You can organize a team of colleagues, friends or family—even encourage your employees to take part and increase their donations through matching funds. Please see below for more ways to help. Register Now! www.runforthecure.org
turday)
r 20, 2007 (Sa
Date: Octobe
Time: 9:30 a.m. – 2:00 p.m.
第4回 2007 Run for the Cure® / Walk for Life 皇居周回を5or10Kランニング、5Kウオーキングするチャリ ティイベントです。参加費はマンモグラフィ機器の購入、乳が ん検診料金の助成など、 ファンデーションの活動のために役 立てられます。 オンラインにて参加者受付中! www.runforthecure.org (土) 10月20日 日時: 2007年
時間: 9:30 - 14:00時頃 *荒天中止
*The run will take place, rain or shine.
受付場所: 日比谷シティ
Opening & Closing ceremonies: Hibiya City
コース: 皇居周回
(near Hibiya Park and the Imperial Hotel)
参加者受付: www.runforthecure.org
Course: Around the Imperial Palace
参加費: 大人 5,000円、 12歳以下 2,500円, 5歳以下 無料
Register Online: www.runforthecure.org Participation Fee*: Adults, JPY5,000; 6-12 year olds, JPY2,500; 5 year olds and under, Free.
ure® /Walk for
n for the C by the 2007 Ru
ee
Life Committ
ー ライフスポンサ Organized ウオークフォー / ア ュ キ ザ ー 2007ランフォ
* (includes T-shirt, Pink silicone wristband, bottled water)
There will be international food and drink stalls, along with various events. Raffle offering fabulous prizes (American Airlines tickets and New Balance goods, to name just a few); a face-painting stall; a clown and DJ Kay Nakayama will be performing. Be sure to come, participate in a great cause and join in the fun!
ピエロやフェイスペインティング、DJ Kay Nakayamaも参加して会場を盛り上げてく れます!屋台村のフードもあります! 抽選会は、 アメリカン航空よりアメリカ4都市ペア1組航空券、 ニューバランスのシュー ズなどなどステキな賞品盛りだくさんです! ■抽選券販売:1枚250円 2枚500円 5枚1000円 10枚2000円 *抽選券の販売によって得た全ての売上げは、 ファンデーション(NPO)の活動支援・助 成に役立てます。
Sponsored by Partner: GE Yokogawa Medical, Merrill Lynch, Northwest Airlines, Paradigm, The Westin Tokyo, U Goto Florist Platinum: Ecotech, Hilton Hotels, New Balance, O’Melveny & Myers LLP Gold: Aflac, American Airlines, Bristol-Myers Squibb, Conrad Tokyo, COVA JAPAN, Ken Corporation, Mami Art, Maybelline New York, Morgan Stanley, Moriya International Ltd., Orient Corporation, Pluczenik Japan, Quintessentially Japan, Sin Den, SlowingDownAging.com, United Airlines, Viacom International Japan Patron: Pam Noda-Personal and Professional Relationship Coaching, Sumitomo 3M Friend: A•CORE, Adobe Systems, J.P. Morgan, Mitsubishi UFJ Merrill Lynch PB, Mitsubishi Estate Co., LTD., MICHAEL PAGE INTERNATIONAL, Pacific Islands Club Saipan