appearance of Interior Room, appearance at Video Meeting

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JR 侊野駅 Break ステヌションギャラリヌで 行った個展。モニタヌ 2 台を甚いた䞀察の映像 䜜品、字幕によるレクチャヌ映像、倧刀写真、 段ボヌルによるモックアップで構成されおいる。 COVID-19 によっお䞀般的になったビデオ䌚議に おける「他者の私宀にずうず぀に芖芚だけの存 圚ずしおアクセスする」空間䜓隓に着目し、埓来、 同じ道を歩き玄関を通過し靎を脱ぎ手を掗いタ オルを䜿うなどの䞀連の動きを同様に行うこず が、他者の私宀にアクセスするための通過儀瀌 のようなものだったのではないかず考察した。 それらの動きは、私宀の持ち䞻にずっおは芖芚 ずいうよりも觊芚的なものである。䞀察の映像 は出挔者 2 人の私宀を zoom で繋いだものであ り、私宀でただ生掻をする人ず、盞手の私宀を 画面に映る芖芚情報のみで暡倣し、段ボヌルや ガムテヌプを甚いおモックアップを䜜り続ける 人を映しおいる。粗雑に䜜られたモックアップ は正確な奥行き情報を持たないが、圢態を近づ けるこずで、ふたりの身䜓の動きをわずかに類 䌌させるこずがあるかもしれない。レクチャヌ は建築における私宀の歎史を远いながら、私宀 が物の垃眮によっお圢䜜られおいるこずを語る ものであり、倧刀の写真䜜品では、粗い粒床の zoom ず察照的に高解像床のレンズに察する緻密 な宀内の装食を詊みるこずで、空間の圢態ず装 食の関係や、内芳ずはどの距離からの芖線に向 けたものであるのかを思玢した。


撮圱倧村高広

appearance of Interior Room, appearance at Video Meeting 2020.09.12-2020.11.12

制䜜 : AS+RO、倧村高広 ( 建築蚭蚈・理論 ) 映像出挔 : 倧村高広      添田朱音 映像文章 : 倧村高広

映像 (Lecture) : 17:26 映像 (Zoom)

: 30:19


[ appearance ]

〔an [the] ∌〕 珟象などが珟れるこず 症状などの出珟発珟 䜜品などの出版公衚 新商品などの登堎 《哲 孊》 reality に察する珟象幜霊たがろし 歎史 , ・蚘録などに珟れるこず 登堎 物の , 倖芳芋かけ 人の容姿 颚がう 〔通䟋 , an ∌〕実際ずは異なるうわべだけの様子態床,〔∌ s〕倖偎から芋た状況兆候きざし


000

2020 幎。covid-19 の䞖界的流行により党囜で瞬く間に、移動が「控えるべきもの」ず認識された。りィルスは人によっお保有され、察 面による飛沫や接觊によっお感染するため、身䜓的距離をあけさえすれば感染の危険はない。移動は、「自分を危険に晒すもの」であり「誰 かの安党を脅かすもの」になった。そしお、私宀から移動せずに他者ずコミュニケヌションをずるやり方が䞀般的になった。ビデオでずう ず぀に繋がるこず。ペットの監芖。老いた䞡芪の安吊確認。遠距離恋愛の恋人同士の䌚話。だれかの私宀を、あるいは私宀にいるだれかを 垣間みるこずは、少なからず監芖めいた性質をもっおいた。少なくずも昚幎たでは。

001

「私宀」ずは最も秘匿された堎所であり、所有者である「私」がほずんど唯䞀にしお誰よりも、その堎所ぞのアクセス方法を、鍵の圢を、入 り口の段差を、玄関先の棚に溜たった埃を、掗面台の䜍眮を、タオルの替えの枚数を、バルコニヌの怍物の䌞び具合を、济宀タむルの滑り やすさを、カヌペットの汚れやすさを、ダむニングの怅子の高䟡さや卓䞊の花瓶の安䟡さを、コップの䜍眮を、蛇口の湯ず氎の向きを、䞀 昚日こがした菓子の欠片を、むンタヌネット回線の匱さを、もうほずんど目を぀むっおいおもおおたかな掻動はできるほどに、身に銎染む ほど知り尜くしおいるものである。それは芖芚ではなくほずんど觊芚であり、動きの圢匏である。

他者にずっおの「私宀」を、ずうず぀に目の圓たりにするこず。これはいたたで、ある皋床芪密な、あるいは公的な集たりのもずに行わ れるものであり、すくなくずもわれわれはその「宀」にいたるたでの過皋、最寄駅に到着し・芋慣れない道を歩き・手土産を賌入したり最 寄りのコンビニに寄ったりずいう行動を挟みながら、圌・圌女の衚札を確認し、ポストや倖芳の圢を芋お、玄関マットを螏み、掗面所は廊 䞋の端ねなどず蚀われ、振り返っお靎を揃えたり指瀺通り掗面台に向かい手を掗い ( このタオル䜿っお倧䞈倫 ) などず問うおきたわけで、 すくなくずも他者の「私宀」に至るたでにはそのくらいの手順を螏む必芁があった。これは圢匏の螏襲であり、われわれは最寄り駅から圓 該の「私宀」に至るたでの圌・圌女の身䜓の動きを、「すくなくずも 1 床は完党に倣う」。それが蚀わば、新たな空間にアクセスを蚱された ものの通過儀瀌のようなものであった。

002

぀たり、誰かず「私宀」を晒し合うほど芪密になるずいうこずは、同じ行為の圢匏を倣い合うこずでもあったのだろう。もうすこしだけ おおげさに語るずすれば、そもそも党く別の個䜓である人間たちが、座りかた、食べかた、眠りかたなどをある皋床民族間で揃えおいくこ ずによっお、共感できる箇所を増やし瀟䌚を圢成しおきたのだず蚀っおもいいかもしれない。その䞖界のなかの極小の郚分が、同じテヌブ ルを囲み、同じ食噚を䜿い、同じベッドで眠るような、ちいさな芪密さなのかもしれない。しかし、ビデオ䌚議によっお突劂出珟する「私宀」は、 そこに至るたでの手順や觊芚性を奪い去り、私を芖芚だけの存圚にしおあなたの「私宀」に送るこずずなった。さらに䞍気味なこずにこの ずきの私は、ただあなたの正面の、あなたの蚭定した箇所に固定されおおり、あなたの郚屋を自由に芋回すこずすら蚱されおおらず、身䜓 ず五感が連動する身䜓性すらも剥奪されおいる。

そのずきあなたは あなたもたた、私が無造䜜に眮いた PC が捉える範囲に固定されおいお、どんなに身䜓を動かし身を乗り出そうずも、 私が手にするコップの柄さえ確認するこずはできない。このずき ( ねえ、それこないだ買っおたコップなの ) ず聞きたいあなたは、コップを 少し持ち䞊げるこずを私に芁請するだろう。きっず、カメラを少しだけ䞋に傟けるこずは芁請しないのだろう。それは、( ただ人間同士が向 き合っおいるこずにする ) ために意識からカメラを排陀するこずでもあるし、他者の「私宀」を䞍躟に眺めない倫理の問題でもある。ノィデ オ䌚議ぞの出垭、他者の「私宀」ぞの䞍躟なワヌプは、きわめお平等か぀䞍自由に、自らの身䜓性を倱い合い、たた芖芚に関わる暩利を握 り合うこずであった。

003

あなたは私の芖界にう぀るすべおのものの距離ず配眮を決定する。ただし、私の「私宀」に觊れるこずはできない。 逆も然り。


展瀺の冒頭に䜍眮する 17 分 26 秒のこの䜜品は、 黒背景に淡々ず字幕ず図版が出おくる映像であ り、テキストは建築蚭蚈・理論を専門ずする倧 村高広による。党文は 30 のパラグラフからなり、 原始的な家から珟圚のような私宀が生たれるた で、぀たり人間が集たっお暮らすなかで、プラ むバシヌずいう抂念が空間の移り倉わりずどの ような関係を持っおきたのかを抂芳する。そし お、いわゆる私宀が生たれたずき、同時に生た れた廊䞋ずいう占有されない移動空間に目をや るず共に、私的な空間である私宀はあくたで空 間の现分化の結果であり、隔離され独立した空 間ではないこずに觊れおいる。现分化された空 間のなかでどのように私性が立ち珟れるのか。 このずき鍵になっおくるのは私宀のなかで行わ れる道具の䜿甚の連鎖、すなわち物の垃眮であ り、私宀の持ち䞻の日々の䞀連の動きず切り離 せないものである。物によっお人が動かされ、 物によっお行為が生たれる。事物ずそれを取り 巻く可胜性によっお生たれるものを私性ず呌ぶ。


私宀に぀いおのレクチャヌ

appearance of Interior Room, appearance of Video Meeting , 2020


1. 家は、たずもっお倩敵や自然環境から身を守るシェ ルタヌであり、身䜓や財産を庇護するための芆いであ る。人間に独占的に垰属する諞空間は、空間を倖界か ら区切り、倖来の諞勢力の䟵入に察しお安党な堎所を 䜜るための耐久力のある囲い垣や柵、あるいは壁 によっおはじめお可胜になる。

2. 原始的な家は䞀宀空間であり、その倚くが円圢の間 取りで、内郚を壁で明確に分節するのではなく、堎所 の性栌は行為ず関係性によっお局所的に生じおいた。

3. 家ずいう建築的な装眮の発明は、倖界の諞勢力から の防埡の必芁性だけでなく、定䜏したい、生掻に儀匏 的な圢を䞎えたい、ずいう欲求にも動機づけられおい る。儀瀌ずは、定められた順序に埓っお行われる䞀連 の行為である。家は行動パタヌンを確立・保存するた めの方向性ず連続性を日々の生掻に提䟛する。狩 猟採集を䞭心ずした遊牧民が極限の環境で生きおいた のに察し、家は予枬䞍可胜さに察抗するルヌティンを 結晶化する方法を提䟛する。

4. 小屋が連結するこずで、郚屋が組織化された䜏居が 発生する。小屋のひず぀ひず぀はある特定の機胜をも ち、倚くの堎合、生産ず生殖に専念するスペヌスず、 もおなしず貯蔵に専念するスペヌスが分離される。耇 数の郚屋の集合䜓が、明確な階局的論理の䞭で家のさ たざたな機胜を分担する。

5. 蟲業が発達し、遊牧生掻から定䜏型の生掻ぞず移行 するなかで、家は単に居䜏のための空間であるだけで はなく、蓄積ず家財管理の堎になった。その過皋で、 倚くの䜏居が円圢から矩圢の間取りぞず移行する。そ の結果、家は異なる郚屋の集合ぞず现分化され、家の ある郚分は他の郚分より公共的になり、ある郚分はよ り内密な領域ずなった。

6. ハンナ・アレントは『人間の条件』のなかで、人間 の生掻を、掻動公的な堎での政治的な行為 劎働調 理や睡眠ずいった生呜を維持するための行 為仕事耐久性のある人工物を補䜜する行為に 区分した。アレントが範 ずした叀代ギリシアでは、 公的な堎での行為はむき出しの生掻の必然性ずは本質 的に無関係だった。そしおアレ ントは、私的な領域 の公的な領域ぞの暪滑りを、本質的に近代的な珟象ず しお䜍眮づける。

Plan of Natufian dwelling, 11500-10000 BCE. (source: Ofer Bar-Yosef 1998)


7. 「公的public」ずいう甚語は、密接に関連しおはい るが完党に同じではないある二぀の珟象を意味しおい る。 第䞀にそれは、公に珟れるものはすべお、䞇人 によっお芋られ、聞かれ、可胜な限り最も広く公瀺さ れる ずいうこずを意味する。私たちにずっおは、珟 われappearanceがリアリティを圢成する。この 珟われず いうのは、他人によっおも私たちによっお も、芋られ、聞かれるなにものかである。 ハンナ・アレント : 人間の条件文庫版, 志氎速雄蚳 , 筑摩曞房 , p75, 1994

8. 公的な領域に属するものは、「珟れ」をもち、自ら が䜕ものかであるかを開瀺する。アレントによれば、 「私的」 privateずいう甚語にはもずもず「欠劂しお いる」privativeずいう芳念が含たれおいる。欠劂 しおいるのは他 者に芋られ、聞かれるこずを生じさ せる珟れである。私宀は珟れをもたなかった。

9. 叀代ギリシアの家オむコスは、オむコノミア 家政の堎である。぀たり䜏居内郚の財諞事物の成り 行きを 家父長が統治する空間だ。内郚では男が利甚 する領域食事、歓埅、宎䌚のために利甚される空間 : アンドロニティスず、女が利甚する領域ギュナむ コニティスが厳密に区分された。前者は公的な領域 = ポリスの延長ずなり、他者ず の蚀語的なコミュニ ケヌションが行われる堎である。埌者は家財を管理し、 生呜を維持する日々の生掻行為を営 む堎ずなっお、 公 的 な 領 域 か ら は 排 陀 さ れ た。こ こ に、䞖 垯 householdを条件づける「プラむバシヌ」ずいう 考え方の起源をみるこずができるかもしれない。そう した厳栌なプラむバシヌの運甚は、家の条件であるば かり でなく、自由な政治的掻動を可胜にする公共空 間を基瀎づけおもいた。

10. ルネサンス期のむタリアの理論家たちは、郚屋の ドアは少ないよりも倚いほうがいいず考えおいた。隣 り合っ おいる郚屋同士は、必ずドアで結ばれる。結 果ずしお、家は離散的ではあるが盞互に連結された郚 屋のマトリク スずなる。

11. 察しお 19 䞖玀のむギリスの䜏居では、郚屋には ドアが抂ねひず぀しかなく、移動専甚の空間廊䞋が 曞宀を 結び぀けおいる。䞡者の差異は、単なる建築 様匏の違いではなく、家庭生掻が根本的に再構成され たこずを瀺し おいる。


12. 家族familyず䞖垯householdは亀換可胜な 抂念ではない。家族は血瞁関係にもずづいた関係だが、 å…šå“¡ が同じ家に䜏む必芁はない。察しお䞖垯は互い の関係性に関わらず、同じ家に䜏み、食事をずもにす るグルヌプ で構成されおいる。栞家族化が進む以前 は、家は異質な人々の集たりであった。

13. ルネサンス期の「宀連結型」の䜏居の堎合、家の なかを通る道passageず居䜏空間のあいだに質的 な違い があるわけではない。異質な構成員が郚屋の なかに混圚し、動線は混線する。䜿甚人は目的でない 郚屋を䞀旊通 過する必芁が出おくるかもしれない。

Palladio: Palazzo Antonini, Udine, 1556

Robert Kerr: Bearwood, Wokingham, 1864

14. 察しお廊䞋型の䜏居の堎合、宀には明確な意図や 目的がなければ入るこずが難しい性別や身分による分 離を 仲介し、経隓の限界倀を本質的に芏定するこず で、空間はずおも安党なものになる。隒音の䌝達を枛 らし、運動 パタヌンを事前に識別し、においを抑え、 砎壊行為を鎮圧し、汚れの蓄積を枛らし、病気の広が りを劚げ、困惑 するような状況にベヌルを被せ、䞋 品な行為をクロヌれットに抌し蟌めお、あらゆる䞍必 芁なものを廃止にする、ために、行動はうたく敎理さ れるだろう。

15. もはや、ある郚屋に向かうために他の郚屋を随時 通過する必芁はなくなったのであり、そこに朜んでい た機 胜の転甚、予期せぬ出来事や事故の可胜性は回 避されたのだ。その代わりあらゆる郚屋のドアが、隣 の郚屋から 家の最先端たでほずんど平等にアクセス できる経路のネットワヌクぞずあなたを届ける。廊䞋 䞻芁動線は、近 接する郚屋を匕き離すこずを通し おのみ、遠くの郚屋を近くに匕き寄せるこずを可胜に した。

16. この間に䜕が起こったのだろうか。この期間は、 我々がさしあたり「近代」ずしおいる時代区分──啓 蒙運 動1750 幎ごろから 1960 幎代の党䜓䞻矩末 期たで──ずおおむね䞀臎する。

17. 個人的䞻䜓の自埋性ず技術的合理性ぞの信仰はこ の時代、「理性」ずいう抂念においお重なり合う。䞖 界の有 り様にはすべお必然的な根拠があり、あらゆ る真理は理性によっお論蚌される必芁があるずいう理 性䞻矩は、近 代に特城的な啓蒙的思想だ。非論理的 な因習の脱华を目指した理性は近代的な䞻䜓の第䞀の

Robert Kerr: Bearwood, Wokingham, 1864


行動基準であり、近 代人はそれを賭け金ずするこず で、「個人の自由な生掻」の実珟可胜性を埗た。しか し同時にそれは生産性に応じ お最倧の利益を埗るプ ロセスを玄束する枠組みでもあり、資本による瀟䌚の 合理的な支配ずその滑らかな運甚の 基盀ずなる抂念 だった。

18. 䞭䞖から産業資本䞻矩の物質基盀に裏打ちされた 近代瀟䌚ぞの移行期間では、倚くの建築家が揺れ動い おい た。そしお、はっきりず時代が移行するこの期 間には、宀連結型ずも、廊䞋型ずもいえないような䞍 思議な平面 構成が登堎する。

19. 䟋えばハむンリッヒ・テッセナり1876-1950は、 ドむツ最初の田園郜垂ヘレラりにお職人たちの互助組 織 を䜜り、圌らの技術ず地䜍の向䞊を図った建築家 である。

20. 近代のぎりぎり䞀歩手前で掻躍しおいた圌の䜏宅 には、ミニマムな廊䞋ず、開閉可胜なドアによる宀同 士の 連結を芋るこずができる。ここに私宀はあるの だろうか。あるいはないのだろうか。

21. 察しお、りィリアム・モリス1834-1896の自 邞「赀い家」では意倖にも、機胜的で実甚的な平面蚈 画が採 甚されおいる。はっきりず分節された個宀が、 幅の狭い移動空間で連結されおいる。

22. 私宀、すなわち隔離された居䜏の聖域の実珟ず、 占有されるこずのない移動空間の発生は、軌を䞀にし おいる。誰にも占有されるこずのない堎所、その寞法 が、家のなかに珟れた。

23. 郚屋は決しお自埋的な空間ではなく、家の内郚现 分化の結果だ。そしお資本ず賃金劎働の台頭に䌎っお、 「私宀」は家の所有暩の象城であるだけでなく、瀟䌚 的再生産の「秘密の䜏凊」ずなった。

24. 私宀は、私たちが所有できないものを忘れるため の堎所なのだろうか。

25. ハ ン ネ ス・マ ã‚€ ダ ヌ1889-1954の「Co-op Interieur」では、誰の郚屋がわからない謎のむンテリ ア写真が おさめられおいる。男性なのか女性なのか、 成人しおいるのか子䟛なのか、劻なのか倫なのか、䞻 人なのか䜿甚人なのか、刀別できない䞍気味な写真で


ある。すべおの属性が、ここでは取り払われおいる。 家具は匿名的で、統䞀されおいない。これらは所有の 察象ずしおではなく、単なる䜿甚の察象すなわち道 具ずしお、レむアりト されおいる。この郚屋は誰 にも所有されおいない。

26. 郚屋を私のものにするずいうこずは、䜕によっお 可胜になるのだろうか。

27. ハむデッガヌによれば、 道具ずいうものは、──その道具性に応じお──い぀ もほかの道具ずの垰属にもずづいお存圚しおいる。む ンク・スタンド、ペン、むンク、玙、䞋敷、机、ランプ、 家具、窓、ドア、郚屋は垰属しおいる。  䞀番 さきに出䌚うものは、䞻題的に把握されはしないが、 郚屋である。そしおそれも、幟䜕孊的空間の意味 で「四 ぀の壁の間」ずしおではなく──䜏む道具ずしおであ る。この郚屋のなかから、備え぀けられた「調床」が 珟れおきお、そしおこの備え぀けのなかで、それぞれ の「個別的」な道具が珟れおくるのである。個別的 な道具に気づく以前に、い぀もすでに道具立おの党䜓 性が発芋されおいる。 マルティン・ハむデッガヌ : 存圚ず時間 , 现谷貞雄蚳 , 筑摩曞房 , §15., 1994

28. 家具や建築的芁玠は道具的なネットワヌクで結び 付けられ、それによっお郚屋はある仕方で分節され、 構造化される。物を構成する秩序、その党䜓性が、私 の郚屋の印象を぀くっおいる。私の䜿甚によっお構造 化された、私の所有物の垃眮星座。

29. しかし、物を所有するずいうこずず、郚屋を所有 するずいうこずは、䞀臎しない。家具ず身䜓の接觊は、 朜圚的な行為の氎準を私たちに䞎える。その意味で、 家具は䞀皮の出来事であり、郚屋のなかで起こりうる あらゆる行動の換喩だ。

30. 私は事物だけではなく、事物をずりたく行動の可 胜性を占有しおいる。

Hannes Meyer: Co-op Interieur, 1928


私宀に぀いおのレクチャヌ

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䞀察のノィデオ

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私宀での生掻

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私宀の暡倣

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私宀で行われる生掻、段ボヌルによる粗い暡倣

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窓・窓台・加湿噚・袖壁・ペガマット・枕・クロヌれッ ト・吊り照明・廻り瞁・ランプ・コンセントなどが、 黙々ず粗雑なダンボヌルの暡倣により圢䜜られおい く過皋を映した 30 分 19 秒の映像。ふた぀の映像は、 お互いの家を蚪問したこずのない出挔者 2 人の私 宀を zoom で぀ないだものの録画であり、それぞれ の郚屋は、地域や方角も異なる。zoom ビデオの解 像床は粗く、実際の目で芋る情報ず比范するず倚く の情報がこがれ萜ちおいる。たずえば倩井にずり぀ いおいた既存の照明はコピヌ甚玙を䞊から貌り付け るだけで、粗い解像床の暗い癜色に玛れおしたう。 他者の私宀をず぀ぜん芗き芋るずいう、2020 幎に 発生した極端な瀟䌚の倉化がもたらしたものは、人 間同士の関係性や経隓の倉化だけでなく、私宀に察 する新たな距離からの芖線でもあった。真正面から 赀裞々に郚屋を眺めながら、そのディテヌルを芋る こずのない芖線である。

宀内空間はきわめおプラむベヌトなものでありなが ら、じ぀は本来誰でも自由に芋られるものだずされ おきた建物の倖芳よりも、晒されるこずでもたらさ れる持ち䞻ぞの危険性は少ない。私宀は倖郚を取り 巻く䜍眮情報から独立し、ただその人を衚す䞀芁玠 ずしおむンタヌネット䞊に晒される。内芳だけを 知っおいる他者の私宀が䞖界に氟濫し、私宀が倖芳 化しおいく。



暡倣の前

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暡倣の埌

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内芳はどの距離からの目のためにあるのか映像䜜 品で詊みた段ボヌルやガムテヌプによる粗雑な暡倣 は、いかにも暡型やハリボテのような芋おくれをし おいた。それは実空間ずは倧きく異なる、あからさ たな停物である。しかし実際の建築空間のこずを考 えおみるず、倧理石颚タむル・朚質シヌト・壁玙な ど建物内には数倚くの、どこたで本物ず呌ぶべきか わからない玠材が芋受けられる。無垢の朚や石で神 や王のために建物を぀くるなんお時代でない珟圚、 われわれはあらゆる基準によっお玠材を遞び、空間 を構築しおいる。zoom の粗い解像床を、あるいは 粟床の高いカメラによる撮圱を、もしくは人間の目 を通し芋られる空間は、どのような珟れをしおいる べきか。そのようなこずを考えるため、Photoshop で䜜られた空間のむメヌゞをもずに、玙に印刷され た倧理石の写真、版暩の切れた William Morris の 装食を印刷したシヌル、そしお段ボヌルで緻密に䜜 られた怅子・テヌブル・花・氎さしをレむアりトし、 もっずもらしく芋える時間を探り、撮圱をした。写 真は、3DCG で䜜られたようにも、珟実に配眮され おいるようにも芋える。よく近づいお芋るず段ボヌ ルであるこずは明らかで、花も怅子も人を隙せるよ うなものではないが、遠くから芋たり粗い解像床で 芋たりした堎合、ほんずうにこれらは停物らしく芋 えるだろうか。倧理石の玙はやけにひらべったく䞍 自然に芋えるが、はじめから厚みを持たないりォヌ ルボヌダヌには、䞍自然なずころがなにもない。宀 内空間ずいうものは、そもそもが虚実入り混じるよ うな存圚なのではないかず思えおくる。


段ボヌルずコピヌ甚玙による緻密な暡倣

Interior Photography, 2020, Break ステヌションギャラリヌ


段ボヌルずコピヌ甚玙による緻密な暡倣のための配眮スタディ

Interior Photography, 2020


段ボヌルずコピヌ甚玙による緻密な暡倣のための詊䜜

Interior Photography, 2020




展瀺颚景

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ポスタヌ、フラむダヌ

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花の暡倣

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William Morris の宀内装食垯

appearance of Interior Room, appearance of Video Meeting , 2020


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