スイス外国企業誘致局ニュースレター 2014 年 7 月
日本・スイス国交樹立 150 周年記念イベント 1864 年 2 月 6 日にスイスと日本の間で修好通商条約が調印されて以来、両国は、政治、国際関係、 科学技術分野において協力関係を強化し、経済交流を着実に発展させてきた。今日、日本は国連 やその他国際機関が取り組む課題に対してスイスと最も考え方が近い国のひとつである。こうし た考え方の似た両国が、精密さ、高度な職人技、国際的な信頼性を共有していることは極めて自 然なことと言えよう。 本年、日本・スイス国交樹立 150 周年の記念の年を迎えるにあたり、両国で様々な祝賀記念行事 ディディエ・ブルカルテール スイス連邦大統領 及び FRIENDSHIP AMBASSADORS 親善大使の皆様
が開催されている。 そのこけら落としとして、2014 年 2 月 6 日に、ディディエ・ブルカルテー ル ・スイス連邦大統領を迎え、東京の六本木ヒルズアリーナでスイス・デイズの開会宣言をおこ ない、一連の祝賀行事の幕が開いた。 スイス国交樹立 150 周年記念 公式ウェブサイト URL: http://www.eda.admin.ch/eda/ja/home/reps/asia/vjpn/embjpn/anchjp.html ヴァロットン展 / 期間:6 月 14 日~9月23日・場所:三菱一号館美術展・東京 URL: http://mimt.jp/vallotton/midokoro.html
チューリッヒ美術館展 / 期間:9月25日~12月15日 場所:国立新美術館・東京 URL:http://zurich2014-15.jp/ ウルス・ブーヘル 駐日スイス大使
撮影 / 栃林 昇 昌
Newsletter July 2014 | 1
「スイスを活用したグローバル経営セミナー」開催 スイス外国企業誘致局では、5 月 21 日、日本スイス経済協議会/JSEC と共催で 日本とスイスの 国交樹立 150 周年を記念し、スイスに拠点を持つ日系企業を対象にセミナーを開催した。これに 合わせ、SECO/スイス経済教育研究省 経済管轄庁 立地促進局長のエリック・ヤコブ大使も来 日し、スイスの投資環境に関する最新情報を紹介した。 続いて、株式会社 東芝 コーポレートコミュニケーション部 産業政策渉外室の小倉担当部長 より、東芝の欧州におけるオペレーションの現在と今後の方向性、2011 年に買収したスマートメ
スイス経済教育研究省 経済管轄庁 立地促進局長 エリック・ヤコブ大使
ーター製造業・ランディス・ギア社(本社:スイス・ツーク州)についてお話しいただいた。同
社は、エネルギー計測で 116 年の歴史を持つ老舗企業。現在は、スマートグリッド技術の中 核をなす、スマートメーターのリーディングカンパニー。顧客は、全世界で 8,000 社に上 り、昨年、東京電力からもスマートメーター用の通信システムを受注した。 その後、日本スイス友好議員連盟・会長・衆議院議員 衛藤征士郎氏、事務局長・参議院議 員・猪口邦子氏、JSEC 世話人代表・日本たばこ産業・木村宏会長(現・特別顧問)を迎 え、記念レセプションが開催された。 なお、スイス外国企業誘致局では、10 月中旬にスイスの投資環境などを説明する「スイス 事業投資セミナー」を東京と大阪にて開催予定。
株式会社東芝 小倉 正広氏
スイスに関連するニュース
スイスが、世界競争力ランキングで第 2 位を保持 欧州の有力ビジネススクールの IMD(International Institute for Management Developm,ent) が発表した 2014 年世界競争力ランキングにて、スイスが昨年に引き続き第 2 位にランキングされ た。1 位は、米国。欧州経済の回復に伴い、スウェーデン、ドイツ、デンマーク、ノルウェーなど 他の欧州諸国もトップ 10 に返り咲いた。
英フィナンシャル・タイムス紙が、チューリッヒ地域を欧州 で、もっとも優れたビジネス環境を提供する地域の第 2 位に ランキング この調査は、英フィナンシャル・タイムス紙が経済状況、ビジネスの障壁、投資の費用対効果、 インフラ、人材、ライフスタイルなどの項目を地域別に数値化し、ランキングを発表している。 第一位は、ドイツのバーデン・ヴィッテンベルグ地域。
Newsletter July 2014 | 2
スイス在住を経て スイス滞在経験を持つ日本人に インタビュー 日本経済新聞編集委員 滝田洋一氏
スイスは国際金融の動きをウォッチするジャーナリストにとっても重要な場所である。日本経済 新聞編集委員として活躍する滝田洋一さんは、日本の金融記者としては圧倒的な存在で、滝田さ んの記事を漏らさず読むファンは少なくない。そんな滝田さんの国際記者としての振り出しは入 社6年目で初めて赴任したスイス・チューリヒだった。言うまでもなく筆者の尊敬する先輩であ る。滝田氏にスイスについて聞いた。 スイスに赴任されていたのはいつごろですか。 滝田 1987 年 9 月から 90 年 9 月までの3年間です。日本経済新聞チューリヒ支局の 2 代目の特 派員でした。当時はチューリヒ中央駅からリマト川を越えて丘を上がったところに支局がありま した。1985 年にプラザ合意があり、日本の金融市場が規制体系から市場体系へと変わっていく過 渡期で、金融市場も急速に大きくなっていました。今はありませんが、日経金融新聞という新聞 を 87 年に創刊したこともあり、金融の情報が急速に求められていました。そんな中で赴任したの です。 当時は日本企業もたくさんチューリヒに進出していたのでしょうね。 滝田 銀行や証券会社の現地法人だけで 40 以上あったでしょうか。当時、日本企業がスイスで 転換社債を発行するのがブームで、そんな取材が多かったですね。確か 87 年に野村証券と当時 の山一証券がスイスで銀行免許を得たのですが、そんな記事も書きました。当時はまだ日本で は銀行と証券の垣根問題がうるさく、証券会社が銀行免許を取るというのは大きな話題でし た。 金融記者としてチューリヒに赴任して、どんな印象を持ちましたか。 滝田 株式の売買など金融資本市場は当時、ニューヨーク、ロンドン、東京が世界三大市場と して大きく伸びていました。スイスはむしろシェアを落としていましたね。しかし、世界から 集まってくる長期性の資産を、世界中に分散投資して安定的に運用収益を稼ぐというアセッ ト・マネジメントやプライベート・バンクの仕事が急速に膨らんでいた。この資産のストック に注目したビジネス・モデルはなかなか面白いと思いました。
滝田洋一(たきた・よういち)氏 1957 年生まれ。1981 年慶應義塾大学大学院修士課 程(法学研究科)修了。同年日本経済新聞社入社。 大阪本社証券部、東京本社証券部、金融部を経て、 1987 年〜90 年チューリヒ特派員。95 年経済部編集 委員、2007 年論説副委員長兼経済部編集委員。08 年米州編集総局編集委員(ニューヨーク駐在)。 09 年9月より 論説副委員長。11 年4月より編集委 員。金融・マーケット分野が専門で、09 年3月には 世界金融危機の的確な分析、報道、解説が評価され 「08 年度ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞し た。主な著書に『日本経済 不作為の罪』『日米通 貨交渉 20 年目の真実』『通貨を読む<第2版>—ド ル、円、ユーロ、元のゆくえ—』『世界金融危機 開 いたパンドラ』など。
金融記者としての振り出しとも言える場所がスイスだったわけですが、その後の記者人生に影 響を与えましたか。 滝田 もちろんです。小さい支局ですので、ひとりですべてをやらなければならず、大変勉強 になりました。米国や英国のニュースのように、右から左で日本の新聞に掲載されるようなネ タは少なく、何か工夫をしないと東京で記事として扱ってもらえません。切り口や物の見方と いったひと味違った工夫をする訓練ができました。自分なりの視点を持つことの大事さとでも 言いましょうか。スイスは国の規模も大きくないので、例えば中央銀行であるスイス銀行の理 事にインタビューを申し込むと比較的簡単に受けてもらえ、金融政策についての考え方などを じっくり聞くことができました。
Newsletter July 2014 | 3
聞き手:元日本経済新聞社チューリヒ支局長 磯山友幸
磯山友幸(いそやま・ともゆき)
1962 年生まれ。早稲田大学政経学部卒。 1987 年日本経済新聞社入社。証券部記者、 日経ビジネス記者などを経て 2002 年〜2004 年 までチューリヒ支局長。その後、フランクフルト 支局長、証券部次長、日経ビジネス副編集長・ 編集委員などを務めて 2011 年 3 月に退社、 経済ジャーナリストとして独立。 熊本学園大学招聘教授なども務める。
スイスでの生活はどうでしたか。 滝田 86 年秋に結婚した翌年でしたが、一緒にスイスで暮らしました。90 年1月には子どもが 生まれましたが、チューリヒ大学病院で出産しました。政治や金融が激動の時期だったことも あり、爪先立って仕事をしていましたので、本当に朝早くから夜遅くまで取材し、原稿を書い ていました。残念ながら生活を楽しむ余裕はありませんでした。 金融記者としてスイスという国をどうご覧になりますか。 滝田 中央銀行の中央銀行であるBIS(国際決済銀行)の本部がスイスのバーゼルにありま すが、このBISを持っているのは非常に大きいと思います。私もBISで中央銀行総裁会議 が開かれる時など取材に行きましたが、冬など、寒風吹きすさぶ中を総裁が出て来るのを待ち 続け、何とか話を聞いてファクスで原稿を送ったのは、なかなか辛い思い出です。 また、世界経済フォーラム、いわゆるダボス会議もスイス国内で開かれていますが、世界の 指導者を呼んで来る力をスイスの会議が持っているのは大したものです。世界に向けて情報発 信できる場を持っていることは強いですね。スウェーデンはノーベル賞をテコに世界に自らの 国を売り込んでいますが、ダボス会議はスイスという国の存在をより大きなものとして発信す る役割を果たしています。 スイスをひと言で評価すると。 滝田 ねばり腰というのでしょうか、しなやかで強靭な国だと思います。今はやりの言葉で言 えば、リジリアンスでしょう。大国の間で生き残ってきたスイスという国には、国民の間にと にかく生き残っていくのだという強い意思が共有されていると思います。理想主義を掲げる一 方で、極めて現実的な対応も取れる。日本はともするとそういう意思の共有がなかなかできな い。国民の共通利益と言うか、国益感覚のようなものを、スイスに学ぶべきではないでしょう か。 スイスは欧州の中心ですが、記者として動きまわるにも便利な場所ですね。 滝田 1987 年 11 月 9 日にベルリンの壁が崩壊するのですが、その1週間後に西ベルリンに行 って壁を目の当たりにしました。これでようやく平和が来るなと思ったものです。その後は別 の意味で様々な問題が起こるのですが、第二次世界大戦後が終わると思いました。当時、チュ ーリヒから飛行機で西ベルリンに行ったのですが、途中、西ドイツのミュンヘンで当時の米国 の航空会社パンナムの飛行機に乗り換えた。つまり西ドイツの飛行機は西ベルリンに入れなか ったのではないでしょうか。まさしく第二次大戦後の体制がそこに残っていたのです。 スイスの金融界は冷戦体制の崩壊で大きな変化の浪をかぶったはずですが、それでも大きな バブルの崩壊を経験せずに今日まで維持しているのは大したものです。チューリヒは欧州の中 心なので、イタリアなどにもよく取材に行きましたね。いずれにせよ、当時の経験が今の記者 人生の原点になっているように感じます。
Newsletter July 2014 | 4
Swiss Business Hub Japan – Investment Promotion Embassy of Switzerland 5-9-12 Minami-Azabu, Minato-ku, Tokyo 106-8589 Tel. 0120 844 313, Fax 03 3473 6090 Email. inquiry.jp@s-ge.com URL. www.s-ge.com/invest
Newsletter July 2014 | 5