早稲田大学建築学科 2021年度設計演習F

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早稲田大学創造理工学部建築学科

設計演習F 2021

水産都市の自立と共生を考える 海と暮らしをつなぐ空間デザイン

Department of Architecture, Waseda University

Exercises in Architectural Design F 2021

Designing Conviviality for Fisheries City

早稲田大学創造理工学部建築学科 設計演習F 2020 水産都市の自立と共生を考える 海と暮らしをつなぐ空間デザイン 1 はじめに 2 対象地 3 演習のスケジュール 4 5 提案一覧 6 各チームの提案 7 総評 目次 8 学内講評会 最終発表会 01 ………………………………………………03 ………………………………………………04 …………………………………05 ………………………………………………08 …………………………………………11 ………………………………………………………61 ……………………………………………64 ………………………………………………68
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1 はじめに

この冊子について

早稲田大学「設計演習F」は、建築学科で都市計画を学ぶ4年生が必ず履修する授業です。例年40名 前後の学生が、グループを組んで都市デザインの演習に取り組みます。地域の実態を調査し、住民のみな さんの話を聴きながらまちの資源や課題を発見し、提案をまちに還元していくことに特徴があります。

本年度は、前年から続く新型コロナウィルス感染症の流行下で、いかにして地域に根差した調査・ 提案を行うかが問われました。前年度はフィールドワークを断念し、提案のエスキースもオンライン で行うほかありませんでした。しかし今年度は、焼津市のみなさんのご協力のもと、状況が落ち着い た期間に例年よりも短い調査合宿を行うことができました。二泊三日の短い期間ながら静岡県焼津市 を歩き回って得た知見をもとに、学生たちは様々なテーマや課題を見出し、地場の潜在力を引き出す ための「都市設計・空間デザイン」を提案しています。それぞれの案には、学生なりの対象地への思 いやまちづくりのアイデアが込められています。この冊子が、まちづくりのアイデア集となって、少 しでも有意義なものになればと願っています。

課題主旨

静岡県焼津市は、陸揚げ金額日本一の漁港をもつまちです。他方、漁業と周辺市街地の接点は弱く、生 活の面でも空間の面でも両者の関係は希薄といえるでしょう。本課題は漁港の生産機能というよりも、漁 港の活動と生活の接点や、豊かな水産物を市内でどのように有効活用するかを中心的なテーマとします。

焼津市の漁港は広範に及び、海沿いの空間の様子はエリアによって多様です。まずは取り組むべきエリ アをどのように設定するかを考えてください。漁港と市街地の接点となる空間には、大きく分けて3つの エリアを考えることができます。第1のエリアは焼津駅前の「焼津内港」地区と呼ばれ、駅・市役所・内 港を一体とするウォーターフロントとしての空間活用が望まれますが、トラックの走る幅員の大きな通り が地区を分断している現状があります。第2のエリアは中心市街地に隣接し集客施設が建設されつつある 「新港」を取り巻く地区で、漁師町の風景が残る「浜通り」があり、景観や風土を生かした計画によって 人を呼び込む提案を行う余地があります。第3のエリアは焼津市南部の「小川(こがわ)」と呼ばれる地区で、 周辺は住宅地であるが小さな船が集まり、沿岸漁業が盛んにおこなわれています。漁港と漁村一体の風情 があり、それらの関係をどのように更新していくかが問われています。

いずれの場合も、地場の水産物を売買する場所が市街地と離れた地点にあることから、これらをまちに 引き込んだり、分担したりする提案が求められています。必ずしも「市外からの観光誘致」に頼らない、ブルー インフラを仲立ちとして豊かな生活の循環を促すような地域づくりや、新たな漁港まちのビジョンを描い てください。土地のもつ潜在力や地域の歴史を読み取り活かすだけでなく、「過密」でも「過疎」でもな いコミュニティのありかたなど、次の時代の持続可能な漁港の提案が現れることを期待しています。

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2 対象地

本年度の設計演習Fでは、学生たちが各々の問題意識や関心に沿って静岡県焼津市内から自由なエ リアを選択し、デザインの対象としています。

ただし、焼津市は広範なので、調査を集中して行うためにあらかじめ「焼津内港」地区、「新港」 を取り巻く地区、「小川」地区の3つのエリアを提示し、それぞれの現状や課題を共有しています。

そして、学生たちは実際に市内を歩き独自の方法で地域を観察するなかで、興味のあるエリアを見出 していきます。各々選んだエリアで何をテーマとして考え、新たな空間デザインを提示できるかが問 われています。

課題への取り組み方

1)授業は広い教室で行い、人口密度を低く保った状態で行う。

2)課題は4人前後のチームで取り組み、分担して調査・計画を進め、最終的にひとつの提案にまとめる。

3)合宿は2泊3日であり、例年より短いため事前に周到に計画した「調査」に専念することとする。

例年は現地で提案をまとめ、住民の方々に発表する機会があったが、今回は行わない。

密集を避けるため貸し切りバスでの移動は控え、現地集合・現地解散とする。

宿泊はひとり部屋をとり、集団での作業は行わず、全体でのアナウンス等は屋外で行う 4)最終提出物は、B2サイズのボード6枚にまとめる。

発表会(学内・学外の二回)は対面・オンラインのハイブリッドで行うため、B2サイズのボードを

屏風綴じにしたものを会場前に掲げ、かつデータを共有して発表する。

最終提出物では、計画のキーワード、敷地の読解、具体的な計画内容を説明すること。

また、文字だけでなく地図、写真、ダイアグラム、図面、パース等を用いて表現を工夫すること。

ZOOMを用いて焼津市の方々と繋いだ発表会の様子。事前にデータを共有するほか、発表の様子を中継する

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3 演習のスケジュール

演習期間中は、4名ずつのグループに分かれて、テーマ設定、調査、作業を行い、最終的にはその 成果を地域に関係する方々に発表しました。

3/31(水)|オリエンテーション

・前回の成果の復習・課題説明、注意事項・心構え

4/7(水)|レクチャー・個人発表・グループ決定

・講義1 富田 宏先生

・講義2 海野芳幸さん(地域まちづくり研究所)

・学生事前調査の発表とグルーピング

4/14(水)|レクチャー・グループごとの調査発表・エスキース

・講義3 國廣 純子先生

・講義4 新津 瞬先生    ・グループごとの事前調査の発表とエリア、テーマの方針決定

4/21(木)|グループごとのテーマ発表・エスキース

・グループごとの発表・方向性の発表、エスキース

合宿|4/23(金)~25(日)

・1日目:現地集合、調査、夜に簡単なエスキース

・2日目:調査、調査、夜に簡単なエスキース

・3日目:調査、適宜まとめ作業、各自解散

4/28(水)|エスキース

・提案の精緻化

・小川漁業協同組合・大寺素子さんからののフィードバック

5/12(水)|学内中間発表

・これまでの進捗をとりまとめ、学内での中間発表・教員によるクリティーク

5/19(水)|レクチャー・エスキース

・講義5 加藤 詞史先生

・講義6 野田 明宏先生

・提案の精緻化

5/26(水)|エスキース

・提案の精緻化

6/2(水)|学内講評会

・これまでの成果をまとめて発表、教員によるクリティーク

7/14(水)|最終発表会

・学内講評会からブラッシュアップした提案を学外聴講者も参加する場で改めて発表

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提案一覧

「水産都市の自立と共生を考える  海と暮らしをつなぐ空間デザイン」

全8グループの提案は、以下の通りです。それぞれのグループは独自の視点をもって対象敷

共益性を紡ぐ —浜通りと新港エリアの再編―

新港と浜通りは防潮堤により断絶されており、異な る歴史を持つ。それぞれのエリアにおけるまちの基 盤と、人々の紡ぐ共益性を生かして、両者を横断す る無数のストーリーを想定し、エリア全体として栄 えていける将来像を描く。

地域を繋ぐ小川内港のポテンシャル網

現在、旧漁協を中心とした小川内港は賑わいを失いつつ ある。しかし、内港周辺には地域特有の様々なポテンシャ ルが存在する。それらの価値を向上させ、地域を繋ぐ提 案を行う。観光や産業のまちとしてだけではなく、地域 の人の活動で溢れる内港を目指す。

港町である焼津市の食のポテンシャルに着目し、住 民の生活の中に食を通した賑わいを提案する。港に 向かって伸びる3本の指の通りを使って食体験を展 開し、街中に賑わいを広げながら本場の魅力が詰まっ た海へと導く計画である。

グループ|三万歩|岩城 隼人、笹原 瑠生、髙橋 謙斗、大和 英理加
グループ|新小川音頭|尾鷲 和希、佐々木 球道、佐藤 瑠美、沢藤 嶺
食体験で巡る港町 ~3 本の指で導く焼津~
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グループ|よんしょくどん|伊勢 佳那子、坂本 泉、山口 遥香、梁 家銘

からみつく防災 住民・漁業者、来訪者が交わる防災まちづくり

災害リスクが迫る今、焼津市沿岸部の各エリアをそれぞ れの個性を残しながらも緩やかに再統一し、防災力を高 めていく必要がある。そして防災を通じて各エリアが抱 える防災上の不安要素を他のエリアの地域資源で解消 し、焼津市沿岸部の再統合を図る。

焼津人を育てる暮らし —神武通りエリアリノベーション—

焼津の”周縁”であり、商業と暮らしのほどよいバラ ンスを維持している神武通り商店街に着目し、これま での「職住一体」に代わる「住共一体」「共商一体」 の暮らし方を提案する。焼津を愛する心を未来に繋い でいくための、新しい商店街のあり方が見えてくる。

焼津の「空き間」を「遭い間」へ変える —海と市民生活が出会う舞台の計画— 焼津駅周辺市街地と内港沿いの間の地帯を、海と市民生 活が結びつくために人々の交流を促す舞台として計画す る。人々の多様な活動を生み出し、「空き間」が集積す るベルト地帯を活性化することで、その多様性を周辺地 域、まち全体へと拡げていくことを計画する。

焼津市がもつポテンシャルと課題に着目し、水産業とま ちが密接に交わる水産文化都市の形成を目指す。水産業 の物流を担う道を水産文化都市の背骨「かつお・まぐろ ロード」として位置付け、そこでの産業の効率化と人々 の交流が生まれるような仕組みを提案する。

小川 会下之島エリアは、焼津市最後の区画整理対象エ リアである。この地が完了すると、焼津は均一化した都 市となってしまう。そこで区画整理を受け入れつつも、 現在かろうじて残っている小川らしい暮らしの設えを集 め、記憶を継いでいく詩作的生活を提案する。

グループ|JINM計画|内海 光、日向野 由香、本夛 みずほ、吉野 建人
グループ|スキマ|川崎 太一、近藤 実結、宮入 望実、山室 颯也 かつお・まぐろロードで繋ぐ水産文化都市
グループ|ボニートス|飯塚 宙、北山 寛之、清元 勇士郎、富永 悠暉 7
詩を作るように生活を作る ~区画整理を豊かさに転じる~
グループ|▽|森田 彩香、山下 桃奈、LAN Haifeng
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グループ|ガブリチュウ|唐木 雄太郎、佐藤 雄大、鈴木 翔太郎、山澤 卓也
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5 各チームの提案

共益性を紡ぐ —浜通りと新港エリアの再編― グループ|三万歩|岩城 隼人、笹原 瑠生、髙橋 謙斗、大和 英理加

地域を繋ぐ小川内港のポテンシャル網 グループ|新小川音頭|尾鷲 和希、佐々木 球道、佐藤 瑠美、沢藤 嶺

3 からみつく防災 住民・漁業者、来訪者が交わる防災まちづくり グループ|ガブリチュウ|唐木 雄太郎、佐藤 雄大、鈴木 翔太郎、山澤 卓也

食体験で巡る港町 ~3 本の指で導く焼津~ グループ|よんしょくどん|伊勢 佳那子、坂本 泉、山口 遥香、梁 家銘

4 焼津人を育てる暮らし —神武通りエリアリノベーション— グループ|JINM計画|内海 光、日向野 由香、本夛 みずほ、吉野 建人

5 焼津の「空き間」を「遭い間」へ変える —海と市民生活が出会う舞台の計画— グループ|スキマ|川崎 太一、近藤 実結、宮入 望実、山室 颯也

かつお・まぐろロードで繋ぐ水産文化都市 グループ|ボニートス|飯塚 宙、北山 寛之、清元 勇士郎、富永 悠暉

詩を作るように生活を作る ~区画整理を豊かさに転じる~

Haifeng 8 11 12 18 24 30 36 42 48 54
グループ|▽|森田 彩香、山下 桃奈、LAN

浜通りと新港での現地調査で抽出した、 歴史・文化の積層や海に面した魅力が感じられる場所や出来事 産業の歴史を伝える石倉 まぐろのブドウ釣り 古くからある松の木 鰹節工場

屋号の描かれたコンテナ

残土による命山

ンスの行き届いてない川沿いの道路

2代目なんだよ。昔は海が近くて、加工品工場 も多くあったんだけど、今は減っちまったな。そん な中でも、この工場で50年以上やってきたことに 誇りを持っているし、これからもやり続けたい。 今は少し仕事は減っちまったけど、その分内職(学 校の給食作り)で儲けてるんだ。でも建物がボロボ ロになってきたことは気がかりだな

かつて街の中心であった札の辻

焼津の中でそれぞれ独立している浜通りと新港とを 互いに利益を共有する関係性がアクティビティによってうまれていき、空 人が交錯し補いあって新しい新港と浜通りの姿ができる。アクティビティ計画が移 り変わっても、共益性はその後も継続して築き上げられていく。経営も人の関係性 も将来にむけて更新していくことができる。

焼津の中でそれぞれ独立している浜通りと新港とを 互いに利益を共有する関係性がアクティビティによってうまれていき、空 人が交錯し補いあって新しい新港と浜通りの姿ができる。アクティビティ計画が移 り変わっても、共益性はその後も継続して築き上げられていく。経営も人の関係性 も将来にむけて更新していくことができる。

浜通りと新港において解決すべき3つの大きな課題

ヒアリングから

浜通りの人口は3つのエリアにおい て、いずれもピークの昭和25年に 比べて 1/10 程度に減少している。 海の方にはなかなかいか ないね。お年寄りが歩く には遠すぎるから車でし か行かないけれど、わざ わざ車を出すほどもない なあ。

今日は家族で釣りをしたり、 潮溜まりで遊んだりしに来 ました。車で来ましたよ。 お弁当を持ってきたので公 園で食べて、車で帰るつも りです。

今日は家族で釣りをしたり、 潮溜まりで遊んだりしに来 ました。車で来ましたよ。 お弁当を持ってきたので公 園で食べて、車で帰るつも りです。

浜通りと新港を合わせて一体のエリアのして捉え、つながりをうんでいく。

これによって両エリアの魅力は増して多くの人の目に触れることになり、 課題は補いあっていくことができる。

浜通りと新港を合わせて一体のエリアのして捉え、つながりをうんでいく。 これによって両エリアの魅力は増して多くの人の目に触れることになり、 課題は補いあっていくことができる。

人口減少は新港に訪れる比較的若い層が浜通り エリアの魅力を見出して住もうと思うひとが現 れる。またかつて住んでいた人が戻ってくるこ となどで緩和させる。

空き家・空き地問題は、このエリア一帯の価値を向上さ せることで、空き家や空き地の価値も上がり需要が増え る。また需要に応えるかたちで行政などが求めている人 や空き家を持って困っている人をサポートする。

複数の主体があるときに、他の主体の利となる ことをするかわりに、相手からも自分の利益と なることを交換条件的にやってもらう、という 利益を共有している関係性のことを指す。

人口減少 多くの空き家・空き地 浜通りエリアは住 宅の老朽化が進 み、空き家や空き 地が増えている が、区画が小さす ぎたり、接道して なかったりするた め、うまく活用さ れていない。 川へと水 を流す排 水路の跡 新港で釣りをする人々 鰹節工場の おじさん 荒祭り時のアーケードと提灯 荒祭りの獅子木遣りの様子
防潮堤の一体となった緑道 古井戸の跡 浜通りの釣具店 家の窓から小路越しに 話す住宅 旧防潮堤の痕跡
荒祭りの拠点の一つ である南の御旅所 北の御旅所 緑道として整備されているがメンテナ
鉄板が剥き出しの整備されていない川沿いの道路
ここの工場は浜通り一体でも一番古い工場で、俺は
それぞれの主体の得意な分野を担うことができ 効率や精度が上がる。 また顔の見えない外部の人に委託するのではな く、このエリアに関わり顔が互いに見えるよう な人に委託するため、エリアの中で利益関係が 循環する。 住民は自分たちで運営をしているという実感を 持つことができる。 さらにこの関係性は誰でもいつでもつくること ができ、住民や行政によって持続的に更新し続 けることができる。 貸し釣具店 レンタサイクル
浜通りと新港において解決すべき3つの大きな課題 多くの空き家・空き地
空き家・空き地問題は、このエリア一帯の価値を向上さ せることで、空き家や空き地の価値も上がり需要が増え る。また需要に応えるかたちで行政などが求めている人 や空き家を持って困っている人をサポートする。 12

共益性のネットワーク

焼津の中でそれぞれ独立している浜通りと新港とを、共益性をもとにつなげていく。 互いに利益を共有する関係性がアクティビティによってうまれていき、空間・機能・ 人が交錯し補いあって新しい新港と浜通りの姿ができる。アクティビティ計画が移 り変わっても、共益性はその後も継続して築き上げられていく。経営も人の関係性 も将来にむけて更新していくことができる。

マスタープラン

コミュニティ・住環境 公共事業による基盤整備

浜通りと新港において解決すべき3つの大きな課題

浜通りと新港において解決すべき3つの大きな課題

多くの空き家・空き地 新港集客施設の利用率・純利益の低下

浜通りエリアは住 宅の老朽化が進 み、空き家や空き 地が増えている が、区画が小さす ぎたり、接道して なかったりするた め、うまく活用さ れていない。

ぎたり、接道して なかったりするた め、うまく活用さ れていない。

今日は家族で釣りをしたり、 潮溜まりで遊んだりしに来 ました。車で来ましたよ。 お弁当を持ってきたので公 園で食べて、車で帰るつも

焼津市民の利用率 はいずれも低い。 うみえーるは利用 者数も収支も減少 している。深層水 ミュージアムの利 用者は増えている ため、需要は高 まっている。

焼津市民のみならず浜通りの住民であっても、新港を日常的に使 うことは少ない。新港を利用する人々にとっても、浜通りに行く という選択肢はなく、そのまま車で帰ってしまう。

→浜通りと新港はそれぞれの魅力や課題を持ち合わせてい る。両エリアは隣り合っているにも関わらず、それぞれ独立 していて交わることは少ない。

浜通りと新港を合わせて一体のエリアのして捉え、つながりをうんでいく。

これによって両エリアの魅力は増して多くの人の目に触れることになり、 課題は補いあっていくことができる。

浜通りと新港を合わせて一体のエリアのして捉え、つながりをうんでいく。 これによって両エリアの魅力は増して多くの人の目に触れることになり、 課題は補いあっていくことができる。

空き家・空き地問題は、このエリア一帯の価値を向上さ せることで、空き家や空き地の価値も上がり需要が増え る。また需要に応えるかたちで行政などが求めている人 や空き家を持って困っている人をサポートする。

空き家・空き地問題は、このエリア一帯の価値を向上さ せることで、空き家や空き地の価値も上がり需要が増え る。また需要に応えるかたちで行政などが求めている人 や空き家を持って困っている人をサポートする。

土木スケールでできた新港の集客施設に、浜通りに古く から住む人や昔から続く文化など、歴史的な積層を合わ せて、人のスケール感に近づけることでより親しみやす い施設となり、利用が増える。

現況から5つのテーマを抽出

それぞれの主体の得意な分野を担うことができ 効率や精度が上がる。 また顔の見えない外部の人に委託するのではな く、このエリアに関わり顔が互いに見えるよう な人に委託するため、エリアの中で利益関係が 循環する。 住民は自分たちで運営をしているという実感を 持つことができる。 さらにこの関係性は誰でもいつでもつくること ができ、住民や行政によって持続的に更新し続 けることができる。

それぞれの主体の得意な分野を担うことができ 効率や精度が上がる。

また顔の見えない外部の人に委託するのではな く、このエリアに関わり顔が互いに見えるよう な人に委託するため、エリアの中で利益関係が 循環する。

住民は自分たちで運営をしているという実感を 持つことができる。

さらにこの関係性は誰でもいつでもつくること ができ、住民や行政によって持続的に更新し続 けることができる。

黒石川修景計画

ぶどう釣りツアー

レンタサイクル

釣りとシェアキッチン

焼津荒祭り

黒石川沿いを新たに整備し、メンテ ナンスを継続的に行う計画をたてる ぶどう釣りの見学を中心に新港と 浜通りをツアーでめぐる

新港と浜通りをつなぎ、人の動き をより活発にする

新港での釣りと、浜通りの食や加 工の技術とを結びつける 多くの人が参加する荒祭りの練習 や休憩の場所を整える

5 つのテーマから具体的なアクティビティを複数考えて つないでいく。ここからマスタープランを作成した

断面 A 断面 B 断面
①共益性
②素地 公民連携
C
浜通りエリアは住 宅の老朽化が進 み、空き家や空き 地が増えている が、区画が小さす
焼津市民対象 アンケート 123,344 115,811 121,117 124,000 120,000 118,000 114,000 112,000 110,000 -11,500 (人) (千円) -12,000 -13,000 -12,500 -13,500 -14,000 (人) 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 (千円) -4,000 -6,000 -8,000 -12,000 -14,000 -16,000 25,954 20,734 17,462 -9,896 -11,229 -14,150 -12,171 -12,682 -13,849 2016 2017 2018 年間利用者数(人) 純収支(千円) 年間利用者数(人) 純収支(千円) うみえーる 深層水ミュージアム 2016 2017 2018
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5 つのテーマにおいてアクテビティを設定し、共益性でつなげて様々な選択肢のあるシナリオを提案する。矢印に沿ってアクティビティを選択することで、何種類ものストーリーを作り出すことができる。アクテビティは運営主体、整備主体、土地所有者、資金元、対象を想定し、そ

祭りの歴史を伝承する

服部家では、浜通りの生き字引と呼ばれるような浜通りの住 民による、祭りの歴史の伝承を行う。地元の人の語りであっ たり、祭りの掛け声の意味やそれをモチーフにした歌などを 披露したりする。

ツアー運営者 川沿いの住民 A1

ぶどう釣りツアーで使う 緑道を整備する

祭り運営 祭り運営

浜通りの工場見学をツアー に組み込む

ガイド、 ツアー運営者 ガイド、 ツアー運営者 ガイド、 ツアー運営者 客からの ツアー料

Ⅰ期エリアを整備後、親 水空間の公園をつくる

黒石川Ⅰ期メンテナンス

A1 で整備されたエリアを継続的にメン

テナンスしていく。メンテナンスはツ

アー運営者やツアーに協力する川沿い

の住民たちが行う。植物を運営側が選

び他のエリアとは違う独自の色が出る。

黒石川Ⅱ期エリア整備

黒石川南側メンテナンス

黒石川沿いの一番南側の地域はすでに緑化さ れており、小さな広場や噴水など親水空間が 広がっている。しかし手入れがされておらず 植物は生い茂ってしまっている。このエリア のメンテナンスを住人らが担うことで、継続 的にこの空間を使えるようにする。

黒石川Ⅲ期エリア整備

一番北側のⅢ期エリアは、他の川沿いの空 間に比べて道が広く、また川の両側を道が 通っている部分が多い。この特徴を生かし て Ⅲ期エリアを使う人々たちの特色がでる ような整備を行う。市が住民らに委託する ことで、市は整備を浮かせることができる。

親水空間の公園に

ツアー運営者 川沿いの住民 ツアー運営者 川沿いの住民 市 観光客・住民

Ⅰ期エリアを整備後、 この状態を維持する 出店したいひとたちに とってハードルの低い 出店場所が必要に

緑道Ⅱ期計画 Ⅰ期エリアと連動した計画 緑道Ⅲ期計画 ツアーの拠点となる建築

緑道Ⅰ期計画エリアから視線が通る。ツアーの一環でお酒を楽しめるように、磯自慢など 地元の商店が仮設で出店する。川沿いの道が整備とともに磯自慢など南の商店へのアクセ スも向上する。

祭りの歴史を伝承する

荒祭りでは川沿いの場所を生かし 「獅子木遣り」という材木積出しを由来とする歌の 練習場所となる 「夏のあかり展」では灯篭流しの場として使う。

Ⅱ期に続いてⅢ期は、浜通りの建築タイプである「みせ、いえ、 にわ、くら」を体感しながら土間を中心に様々な店が展開を していくように、空き家を改築していく。そこにはぶどう釣 りツアーの詰所が設けられる。古い排水路にも水を通し、浜 通りの生活に近づくことのできる場所となる。

レンタルスペースに出店

船元小路を飲食店街に

A2 A4 A3 A5 A6 A7

ツアー運営者 浜通り有志 ツアー運営者 浜通り有志 市 ツアー料金 の収入 観光客

シェアキッチンをきっかけに出店に興味を持った人たちが、土間を中心 にいくつか設けられたレンタルスペースに期間限定で出店する。

シェアキッチン 運営者 シェアキッチン 運営者 住民 飲食店 飲食店 観光客・住民

ツアー運営者 浜通り有志 ツアー運営者 浜通り有志 市 ツアー料金 の収入 観光客

飲食店を出したい、 という人々が現れる より大きな

B2 E2 E1 D3 C6 観光協会のレンタ サイクルと連携 A4 黒石川Ⅱ期エリア 整備 B2 D2 工場見学をツアー に組み込む 工場をシェアキッ チンに B5 歴史語りの場と庚申像 共益性 MAP ぶどう釣りツアー拡充

服部家 祭り運営 観光客 祭り運営 船元小路 祭り運営 船元小路 船元小路 祭り運営 船元小路 川沿い広場は祭りの練習が行われるなど祭

観光客・住民

ぶどう釣りツアーで使う 緑道を整備する 旧防潮堤という歴史的な 痕跡をツアーに生かす 観光客・住民 釣具店の宣伝を 行う レンタサイクル 14

断面 B 期(2021-2022) 期(2023-2027) 期(2028-2034) 期(2035-2050) 2 3 4 1
黒石川Ⅰ期エリア整備 黒石川沿いの中でも整備が比較的進んでおら ず、錆びた鉄板がむき出しになっているよう なエリアをⅠ期エリアとして整備する。ぶど う釣りツアーに参加した観光客や川沿いの住 民にとって歩きやすい環境になる。整備後の 運営についてはツアーの運営者が行う(A2) 市 市 観光客・住民
船元小路と祭りが連携する
ツアー運営者 川沿いの住民 ツアー運営者 川沿いの住民 市 観光客・住民
市 市 ツアー運営者 川沿いの住民 ツアー運営者 川沿いの住民 市 ツアー運営者 川沿いの住民 観光客・住民 ツアー料金 の収入 ツアー料金 の収入 船元小路 出店者 船元小路 出店者 観光客・住民 船元小路出店者
Ⅱ期エリアは道は舗装されているが、川に面し た白いフェンスが悪目立ちし、人々の生活と川 との景観が満足に得られていない。市はこの整 備を住民に委託する。植栽やフェンスなど小さ な単位での整備を行い、川沿いの景色や生活を より豊かなものにする。
りの中心のひとつとなるが、その川沿い広 場に船元小路から出店する。船元小路では 祭りをもりあげるキャンペーンやメニュー などを提供し 互いに盛り上げあっていく。
シェアキッチンで浜通りと関わりを持った外 部の人や、シェアキッチンをしていた住民な どの、飲食店を出したいという要望によって 飲食店街ができる。規模は小さいが安い費用 で出店できるようにして、ハードルをさげる。
ぶどう釣りツアーの中に、浜通りにある加工工場の見学 も組み込む。漁業から加工業へと続く、浜通りや焼津の 生業を感じられるツアーとなる。工場見学のツアーには 特定の工場が参加でき、おみやげによる収入を見込むこ とができる。
黒石川沿いの道から続くような広場を設けて、フリマ・屋台 などの催しができる場所となる。川にたいして階段状に空間 が広がり、黒石川の水位によって変化する。古くからある松 の木を中心としていて、長く続く人々の生活の営みを感じつ ことができる。
5.共益性でつながれたシナリオ
店舗を求め る人々が現 れる レンタルスペースで うまくいき、本格的 に出店を検討する 祭りと商店によ る出店の連携 緑道計画進行 旧防潮堤という歴史的な 痕跡をツアーに生かす 緑道Ⅰ期から Ⅱ期へ整備し て親水空間に つなげる Ⅰ期エリアの整備終了後、 Ⅱ期エリアを整備する Ⅱ期エリ アの整備 終了後、Ⅲ 期エリア を整備す る ぶどう釣り ツアー拡充 川沿いの整備した 道をメンテナンス 川沿いの道の 権利を認める A3 で得た利益 を A4 に一部 還元する A3 の整備の資 金を一部援助 する ツアー運営側 ツアー運営側 市 エリア整備に 協力する。 エリア整備の 詳細の決定権 を市民に与え る 市民 市 市 観光客・住民 祭り練習など に場所を貸す 祭り時にお店 を出して協力 し合うことを 受け入れる 歴史や祭りに 関する催しに 協力する 釣具店の宣伝を 行う 南側川沿いを 継続的にメン テナンスする 船元小路に出 店する際に支 援を行う 広場 祭り レンタサイクル 祭り 船元小路とコ ラボして集客 に協力する 祭りの運営に 協力する 祭り 船元小路 船元小路 市 レンタルスペー スを貸し出す 広場の運営に 参加する 広場 シェアキッチン 歴史語りの場と庚申像
5 つのテーマにおいてアクテビティを設定し、共益性でつなげて様々な選択肢のあるシナリオを提案する。矢印に沿ってアクティビティを選択することで、何種類ものストーリーを作り出すことができる。アクテビティは運営主体、整備主体、土地所有者、資金元、対象を想定し、そ

することで、何種類ものストーリーを作り出すことができる。アクテビティは運営主体、整備主体、土地所有者、資金元、対象を想定し、それをもとに共益性がうまれる。

することで、何種類ものストーリーを作り出すことができる。アクテビティは運営主体、整備主体、土地所有者、資金元、対象を想定し、それをもとに共益性がうまれる。

緑道Ⅰ期エリアを整備する

工場、

ツアー運営者 市

ぶどう釣りツアーの中に、浜通りの旧防潮堤の跡を利用し たバス停兼休憩所を組み込む。日常的にバスを使う人とツ

ガイド、 ツアー運営者 ガイド、 ツアー運営者 ガイド、 ツアー運営者 客からの ツアー料 観光客・住民

札の辻の見晴らし台を歴史語 り場としてツアーにくみこむ

レンタサイクルスポット を新港に設置

ぶどう釣りツアーを浜通り の人がガイドする

マグロのぶどう釣りツアーを浜通りの住民が行う。漁協で 一時的にしか利用されていない土地を駐車場として使い、 車で訪れる観光客を対象にしている。浜通りの住民が活躍 する場を設けて、新港の観光資源と浜通りの人材という資 源を合わせて活用する。

仮設釣り具店を新港に 工場や家でシェアキッチン

ツアー・レンタ サイクル運営者 ツアー・レンタ サイクル運営者 住民 ツアー・レンタ サイクル料金 観光客、ガイド 住民

レンタサイクルの新しい スポットを浜通りに置く

新港のレンタサイクルが軌道に乗ったあと、浜通りにもスポッ トをおく。新港からの観光客だけでなく、浜通りから新港に 向かう人への利用の拡大を目指す。

船元小路で安い費用で出店したあと商売が 軌道に乗るようになったとき、より大きな 規模でお店を出せるように空き家を活用す る。船元小路からはじめ、その後は一つの 建物で店を持つ、というような一連の流れ が浜通りのなかにできる。

浜通りの住民たちが行い、スポットの設置 は市によって行われる。

ふぃしゅーなでの釣り体験がより多くの人に開かれているよ うに、浜通りの釣具店がふぃしゅーなの中で仮設で釣り具の 貸し出しを行う。何の道具も持たずに訪れた人も、気軽に釣 りの体験を楽しむことができる。

釣り具店

深層水の入ったボトルをレンタサイクルの プランの中に組み込む。自転車に乗ってい る時の水分補給を担うことで、深層水の消 費量や知名度もあげることができる。レン タサイクルによる経験をより豊かにする。

深層水の給水所を浜通りの 商店の前に設置

深層水ステーションを浜通り側にもつく り、レンタサイクルのプランにつけたボ トルに給水できるようにする。 また浜通りの観光客や住民たちも使うこ とができ、深層水を知り、気軽に使うこ とができるようになっていく。

レンタサイクルが通る 環境をよりよく

レンタサイクルの通る場所として、浜通りと新港をつなぐ道を整 備する。日除けをつくり、一時でも休憩できる場所のあるような 道にしていく。釣りをしてからシェアキッチンまでの道のりがよ り快適なものになる。

自転車用の道路を メンテナンス

日除けをつくるなどして整備した道路 には植栽も多く植えられる。また人が 通るのでごみも予想できる。そういっ た場合でも浜通りの住民たちがメンテ ナンスを担い、常に使いやすい手入れ された状態が保たれるようにしていく。

釣り→キッチンの動線を整備 空き家で飲食店開業

B3 B1 B4 B5 D2 D1 D4 C5 C6 C4 C1 C2 C3 B6

防潮堤を新たに開き、新港と 浜通りをつなぐ道をつくる

ぶどう釣りツアーで使う 出店したいひとたちに とってハードルの低い 出店場所が必要に 歴史や祭りに 関する催しに アクテビティ 詳細説明 運営主体 整備主体 土地所有者 資金元 対象 A2
クルのプランに組み込む
札の辻が祭りの練習場に 深層水ボトルをレンタサイ
自転車用に道路を整備
ツアー運営者 川沿いの住民 市 市 市 観光客・住民
レンタサイクル 運営者 市 市 市 観光客 レンタサイクル 運営者 市 市 市 観光客 シェアキッチン 運営者 市 市 市 観光客 レンタサイクル 運営者 市 市 市 観光客 シェアキッチン 運営者 市 市 シェアキッチン 運営者      観光客 釣りなどの目的で新港に訪れた人々が、浜 通りまで活動範囲を広げていけるようにす る。うみえーる内の駐車場に設置すること
で、車からすぐに乗り換えられる。運営は
釣り具店
日除けをつくるなどして整備した道路には 植栽も多く植えられる。また人が通るので ごみも予想できる。そういった場合でも浜 通りの住民たちがメンテナンスを担い、常 に使いやすい手入れされた状態が保たれる ようにしていく。 市 釣り具店 観光客
キッチン 貸し出し者 キッチン 貸し出し者 キッチン 貸し出し者 客 観光客
飲食店 飲食店、市 住民 飲食店 飲食店 観光客・住民 ガイド、 ツアー運営者 ガイド、 ツアー運営者 漁協 客からの ツアー料 観光客、ガイド
既存の加工工場や民家をつかってシェアキッチンを行う。 場所を貸し出すだけでなく、工場や住民が料理の技術や浜 通り独自の料理文化などを教えてくれる。地元のお酒が売 られていたり、加工品を買って使うことができたりする。
旧防潮堤跡を利用したバス停 休憩所をツアーに組み込む
市 客からのツアー 料 観光客・住民
ぶどう釣りツアーのなかで通る緑道は現 在防潮堤と連動したデザインになってお り、緑の空間となっている。この空間が 今後も快適な場所になり、ツアーの価値 を高めるものになるために、継続的にメ ンテナンスを行い、植栽の手入れなどを していく。
ツアーの一環として浜通りの歴史について知るレ クチャーの場となる。工場と隣り合っているため、 工場見学と合わせてワークショップをしたりロッ カーを置いて荷物置き場にしたりする。札の辻や 工場といった浜通りらしい魅力を身近に感じなが ら、浜通り全体や海を見渡せる。
札の辻に荒祭りにおける御笛の練習を行う広場を設ける。また 祭りの際には休憩するスペースにもなる。舞台を設置し、練習 や祭りのレクチャーを行うことができる。
活を見て体験するという今日の旅行の形態に沿っている。 ツアー運営者 浜通り有志 市 市 市 観光客、住民 観光協会のレンタサイクル と連携 歴史語りの場と庚申像 B5 祭りの練習、舞台 B5 浜通りのレンタサ イクルスポット B6 防潮堤の新たな形 C1 レンタサイクルを 導入 共益性として 行う内容 共益性の関係 時間的流れ 浜通り側 新港側 焼津全域 共益性 凡例
ぶどう釣りツアーで使う 緑道を整備する ぶどう釣り ツアー拡充 出店したいひとたちに とってハードルの低い 出店場所が必要に レンタサイクルを浜通 りでも便利に使いたい という需要高まる 釣った魚をその場 で調理して消費し てほしい 祭りに参加する人 や見に来た人の飲 食の場が欲しい 釣った魚を運びや すくしたい
緑道Ⅰ期エリアや見晴らし台からつながる ように防潮堤を開いて新港へと続く道をつ くる。歩行者や自転車が通れるようにする ことで新港と浜通りとの移動をより活発に する。海への眺望がよりよくなり、海沿い での暮らしや観光の魅力が増す。
アーに参加した人とが出会う場所となり、現地のひとの生
整備後も持続的に 使いたい レンタサイクルの 行動範囲を焼津市 全体に広げたい 見晴らし台とつながる 防潮堤のデザインに 旧防潮堤という歴史的な
旧防潮堤という歴史的な
避難タワーと しての機能を 持つ 避難タワーの 機能に対して 補助金を出す 歴史や祭りに 関する催しに 協力する 祭りの練習場 所として提供 する 深層水の付加価 値を得られる 知名度や消費量 をあげられる 道路のメンテナ ンスに協力する 新港の一部を使 う権利を認める 釣具店の宣伝を レンタサイク ルスポット導 入に資金援助 する 道路を整備 する 道路のメンテナン スを継続的に行う 特定の店の前に ステーションを 設置、人を集め られる。 ステーション の設置に資金 援助する 黒石川Ⅲ期整 備に協力する 飲食店が空き 家に出店する 際に支援する ツアー運営側 工場 市 うみえーる駐 車場の一部を 貸し出す 特定の工場の みツアーに組 み込み、利益 をもたらす 緑道のメンテ ナンスを代わ りに担う レンタサイクル 釣具店 見晴らし台 市 祭り 見晴らし台 レンタサイク ルの相互乗り 入れを行う 観光協会の自 転車の整備を 担う 観光協会 レンタサイクル レンタサイクル 深層水 商店 深層水 市 レンタサイクル シェアキッチン 飲食店 市 釣り具店 市 15
深層水をより生活や観光に近い存在にしたい
痕跡をツアーに生かす
痕跡をツアーに生かす
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新港⇔浜通りの生き物たち 庚申像 17
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佐藤 とてもおもしろかったです。若い人たちの 自由な発想でした。ここで「提案する」というこ とは、全部自分に返ってきます。まちづくり会社 を設立するという提案があったけど、それはただ 提案するのではなく、あなたたちがやるんでしょ、 ということだと思う。受け取る側だけでなく、自 分たちでもこうしようと思っておく、それくらい 価値のあるものだと思う。コメント下さった方も 真剣にコメント下さっていて、学生にとってもた めになったと思います。

後藤 とても含蓄のある課題をつくって頂いて学 生諸君にとっても大変いい学びの機会になったと 思います。4年生の最初の課題、これから実務に 携わっていく上で一番最初に取り組んだ焼津の課 題は、zoomを使った会議になってしまいましたが、 現場からの厳しいご指摘を含めて、学生にとって は良かったと思います。

この前新しい豊洲の新しい市場を見る機会があ りましたが、どのように水産物が流れて消費者に 届くか、ということで、食の安全安心は確保され ているのでしょうが、流れが見えないことの不安 を感じました。今回焼津という水産都市において、

様々な流れをどう可視化するかということを考え てくれたのではないかと思います。いま、コロナ ウィルスの影響で「人流」というものは悪者になっ

てしまっていますが、ささやかな希望を見せてく れてありがとうございました。

矢口 お疲れ様でした。提案を作るまでのプロセ スは結構見ていたので、前回の発表からどれくら い努力したかを見ていました。今回地元の人に向 けて話すことができたのは、貴重な経験だったと 思います。実社会に出ている人達に対して、どの ように話せばいいのか難しいよね。最後にひとつ だけお願いですが、男女混合チームは全員女子が 発表の主導権をもっていたので、男の子はもっと 積極的に発表してほしかったです。

富田 お疲れ様でした。焼津のみなさんは今日は じめて説明を聞いて、細かい資料まではまだ目が 行き届いていないと思いますが、ぜひ詳細にみて いただいて、今後のまちづくり、水産振興に役立 てて頂ければと思います。今回残念だったのは、 焼津漁協さんの参加がなかったので、今日の録画 をお送りして、内容についてご意見を頂ければ思 います。半年間の血と汗と涙の材料を見て頂けれ ば有難いです。

加藤 焼津市のみなさん、本日はありがとうござ いました。デリケートな時期でしたが、受け入れ て頂き、学生たちは現地を見ることで深く入り込 むことができました。やはりコモンズや共益性と いったことに対して、我々が考えなければならな いという時期にきているということを改めて認識 させられた次第です。今ここで稚魚を放流して、 将来どんな魚になって返ってくるか、といった姿 勢を感じられる提案になっていたと思います。学 生は自身の提案から何を得られたのか、と同時に その裏で失われていくものはなにか、少数意見の ようなものをどう組み上げていくかを考えてほし いと思いました。生物多様性に置き換えれば、焼 津市が、自分たちが、どの循環を担っているのか、 もう一度考えてみることが重要ではないかと思い ます。

國廣 焼津市のみなさま、長時間ありがとうござ いました。提案に対して肯定的なことばを頂いた ことについては心の中で、ガッツポーズをしたり しました。最後まで優しく率直なご意見をいただ き、感謝いたします。他の場所でも使えるアイデ アが詰まっているのではないかと思いますので、 改めてプレゼンのデータを見て頂いて、現場でご 活用頂ければと思います。色々な地域の可能性に 気づいて提案していったと思いますが、自然発生 するものをいかにドライブさせたり、定着させて いくかという方法論は学生たちにだいぶ蓄積され てきたのではないかと思います。

6 総評
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新津 この「設計演習F」は一生忘れない授業だ という話がありますが、僕も学生のころ埼玉県の 川口市で提案をつくり、皆さんと話し合ったこと は糧になっています。授業が終わって卒業後も、 その地域で一緒にいろいろな活動をやってきたの で、学生たちが考えたものをその後どうしていく か、続きを考えられたらいいと思いました。オン ラインでしたが、漁具倉庫の利活用のワークショッ プに参加するとか、何かつなげるものに参加して いけたらいいなと思います。

野田 私は10年前に同じ演習授業を受けたのです が、流動性のある社会の中で、計画に求められる ことのレンジが広がっているなと感じます。です が、どのようにしてまちが豊かになっていくかと いうことを考えるのは変わらないと思うので、学 生のみなさんの一歩となる授業だったと思います。 地域の方にプレゼンをしてみて、学生のみなさん もこのプレゼンはよかったな、とか感想があると 思います。まちに関わるとプレゼンの機会は増え ていきますので、しっかり振り返って今後につな げていってください。

吉江 お疲れ様でした。この授業は、先ほどから 説明がありましたけど、学生のみなさんにとって 初めての都市デザインの演習なんですね。それま

では基本的に建築物のデザインをしていく課題が 多く、それに慣れていると思うのですが、これが 機能や仕組みとして成立しているのか、実質的に 地域や人びとにどういう効果があるのかなど、今 回初めて現実的な課題に直面して、自分の提案と のギャップに苦しんだのではないかと思います。

僕は学生時代、10年くらい前ですが、岩手の雫石 で演習をしました。ですがこの10年で、かなり事 業性というか、システムやマネジメントとしてう まくいくのかということが、大学の演習にも求め られるようになってきたと思います。かなり高度 なことを要求されているわけです。グループによっ

ては実現からは程遠いアイデアもありましたし、 すぐには活用いただけないかもしれないですが、 10年後くらいに「そういえば、早稲田の学生たち がこういうこと言っていたなあ」、という風に思い 出していただければ嬉しいです。この成果は秋か 冬くらいに冊子になりますので、参考にしていた だければと思います。

益子 新型コロナウィルス流行下でフィールド ワークのある授業をするのは難しかったですが、 若手の他大学の人と話していると、オンラインで プレゼンテーションボードもつくらずに終わるこ とも多いと聞きました。早稲田の設計演習Fでは、 パワーポイントと組み合わせて新しいプレゼン テーションを実践しつつも、教員側も評価の方法 を考えていけたかなと思います。オンラインの方々 も広くお声掛けできればいいなと思ったのですが、 録画もありますし、成果の冊子もあるので、学生 の方にまたフィードバックを頂ければと思います。

有賀 みなさんお疲れ様でした。「自立と共生」と いう難しいキーワードが入っていて、どのように 解釈するかということで、今まで学んだ知識を総 結集して取り組んでくれたと思います。3ヵ月経っ たいま、教員も学生も焼津のみなさんと一緒にま ちづくりをしていくんだという気持ちでやったの ではないかと思います。自分たちも含めて、焼津 のまちづくりをこういう風にしていくんだ、とい う気持ちでできたのではないかと。何人かの先生 もいっていましたが、水産都市のその後のすがた、 生活と生産と物流という規模拡大、効率拡大、投 資拡大、という流れのままでいいのか、というこ とをあたらめて考えなければならないと思います。 水産加工の様々な産業の皆さんとの相互補完や、 将来のことを考えて新しい世代の方や専門家の 方々やサポーターの方々や新しい住まい手の方々 をどう増やすかという課題もあります。

それぞれのグループの発表では、公的な事業と

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の関連が求められることもあったし、インフラや 道路整備が含まれるものもありましたが、計画論 が魅力的でもどうやって実現するのか、という仕 組みづくりまでは提案できていないところもあり ました。ですが、それぞれの提案にあった良さが あったのではないかと思います。これらの提案が 未来地図のようなものになって、実際のまちのす がたの創造につながっていければ幸いです。

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学内講評会

2020年6 月2日

対面(早稲田大学西早稲田キャンパス)+オンライン  ゲスト:佐藤滋、後藤春彦

共益性を紡ぐ 浜通り と新港エリアの再編 グループ|三万歩

國廣 「共益性」と謳われているが、ここ で示されている5つの事業の共益性とは 何か。それから整備対象である緑道エリ アなどの土地所有者は公なのか民なのか。

意思決定は誰が行うのか、説明してほし い。誰にとっての共益性なのか説明して ほしい。

吉江 まず相当クオリティというか提案 の緻密さが上がってきたが、基本的なこ とが気になった。浜通りという一番古い 街並みが残っているようなエリアを対象 にしているが、その浜通りという空間を どのように読んでこの提案に生かしてい るのか。浜通りの歴史的に形成された建 築や街並みに対して、この提案はどのよ うに向き合っているのか。

加藤 いちばん面白いのは、2、3枚目の シナリオのページで、特定のゴールが決 まっているわけではないが、途中のシナ リオ同士の反応や組み合わせによって描 かれる未来がいく通りもあるという組み 立てだ。若干デリケートで当時の面影を 感じられるけども、見過ごしがちな伝統 的・歴史的なエリアで、強いビジョンで はなく進んでいこうとしているのが面白 い。シナリオのプロセスの中で、いろい ろな主体が入れ替わったリ、事業自体が 変化していくプロセスを描いている。

富田 浜通りという漁業発祥の昔ながら の古い街並みと、新港の漁港整備で空間 が離れてしまった。そこで、広い道路と 防潮堤をどのようにつなぐかに興味が あった。最初のページにあるように、浜 通りと新港をつなぐのは結果的には今使 われている市民に開かれたゾーンを結ぶ 縦の道路を魅力的なものにしようとする

提案だ。あと、ブドウ釣りを市民に開か れたものにしようとしている、これが新 港と旧港をつなぐカギになるとみた。一 体化までは行かなくても、海辺と暮らし をもっと拡充できないか。

加藤先生の言っていたように、真ん中 のストーリーを理解していないと説明で きない。現地の方に説明するときは、真

ん中の説明をうまくできるようにしない といけない。お互いいいつながりを作ろ うという時にどういう方法論でやれるの か伝わらなかった。漁業の立場から言う と、ブドウ釣りはいつでもやっているわ けではなく、天候や漁期次第で決まって いる。その辺のプログラムは漁協と住民 でうまくやれるといい。

グループ|よんしょくどん

國廣 投資のプロセスはリアリティが あって、小さい投資から大きい投資へと いう流れが良いのだが、時間軸のタイム ラインで初動期のハード事業がレイアウ ト上揃っているだけなのか、同時にたく さん展開するのかわからない。

國廣 ハードの整備が多い。小川エリア の所有者は一部は漁協だが、親水エリア は誰が所有しているのか。ハードの整備 がタイムラインの最初にあるが、そのハー ドを作るための予算がないとなった場合、 巻き返しができない。どのようにハード までもっていくソフトのシナリオがある のか。

吉江 このグループは整備主体がよくわ からない。それから、「編む」と「紡ぐ」 の2つのキーワードを掲げているけど、 それを区別して説明してほしい。僕の理 解では、「紡ぐ」はエリア内の話で、内発 的な主体が担えるプロジェクトなのでは。 一方「編む」はエリア間の話なので行政 がやるしかないのかもしれない。そのあ たりはどうか。

加藤 このグループは、逆にハード整備 に頼っているようなエリアにビジョンを 提案することで、この場所のポテンシャ ルや小川エリアの可能性をはっきりと示 した。一つ一つのハード整備の中で、整 備の手法を住民間で作っていけるのか、 関係者の中で構築しようとしているのか、 示しているのが特徴的。若干かたちをつ くることに引き気味な中で、積極的にか たちを作っていこうとしている。すぐ進 んでしまう土木の胸壁整備に対して、提 案しようとしているのかいいところだと 思った。

富田 ほかの先生方と一緒で、親水エリ アが一番気になる。ここでは、普段小さ な漁船の修理もやっているのでは。全体 として、防潮堤や胸壁との関係性が見え にくい。あと1か月で整理してほしい。

野田 やりたいことと全体的なエリアイ メージと個別事業までがわかりやすい内 容で良い。ただ時間軸での変化が気にな る。最初に人の意識を変える所から始ま るのはいいが、フェーズの切り替えがわ からない。イベントで切り替わるのか、 示し方に疑問がある。

矢口 全体を通して、発表がとても良く なった。現地の人に発表するまでにやる べきことは、スマホを見ながら平坦に早 口でしゃべるよりも、ゆっくり自分たち のやりたいところを強調して話した方が 良い。このグループは、このプロジェク トによる将来ビジョンを最初と最後に繰 り返し強調してくれると、提案内容が頭 に入りやすい。内港の提案がプレゼンで あまりふれられなかったが、そこが一番 町の人が気になっているところだと思う。 新津 このタームはどちらも空間的な関 係も含めて最後までやり切っていて良 かった。全体のシナリオは非常にいいか なと思う。ただうまく行かなかった時の オルタナティブを考えた方が良い。初動 期は立ち上げや投資など初速をつける事 も大切だが、時間がたってノウハウが蓄 積されたときに、それを伝えていきなが ら地元の人たちが自主的に行えるように なるような人材成長もスキームに含まれ ると良いと思う。

加藤 最終的な提案まで含めてこのパッ ケージの中での完成度は高い。ただ食に 関わる人に対しては伝わりやすいが、そ れによって焼津全体や他の地域がどう動 いていくのか、あるいは食が盛り上がっ ていく一方で失われていくものが何か、 これが実現した先にどういう都市像を描

グループ|新小川音頭
地域で繋ぐ小川のポ2テンシャル網
食体験で巡る港町 3~3本の指で導く焼津~
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いているかが課題になる。提案の先の遠 い将来像を考えることが重要。

有賀 ひとつずつの提案の精度を挙げて ほしい。3本の指で海へつながりをつくり だしていくという構想など全体の構成は 良い。地元の人が見た時にやりたいと思っ てもらうためには提案の精度が求められ てくる。スケッチだけではなく、現状に 対してどうした提案をしているのかがわ かるような図面が欲しい。これに関して は他のグループも同じ。全体のシナリオ はいいんだけれど、提案自体が魅力的で ないと惹きつけられないので改善してほ しい。色使いについても、例えば3つの 通りのキーカラーを決めて、説明するだ けでもどこを説明しているのかがわかり やすい。

が残っちゃうんじゃないか。

新津 密度も上がり非常にわかりやすく なっていてよかったと思う。ランドスケー プの部分でミクロな提案をした後に、全 体でどう地域が変化するのかを最後に ちゃんと説明してほしい。

加藤 地域の面的な防災コミュニティを 横糸とすると、工場で働く人や観光客等 の関わっている人たちをクロスさせて新 しいコミュニティを造るということが一 番の提案。防災自治組織の構成員の説明 をしながら、縦割りになっていくコミュ ニティをどう形成していくのかを説明し てくれると新しい防災を核としたコモン が見えてくるのではないか。

富田 最初に説明のあった魚市場の移転 はしてない。魚市場は今も焼津漁港内に たくさんある。君たちが想定する魚市場 はインターチェンジにある観光用の市場 であって、あれは市場ではない。

吉江 このグループは計画対象範囲を狭 くしたことによって緻密で完成度が高い。 ただ、提案の中に既存の中間組織がでて こない。商店街や組合などがあるはず。 また、今回は神武通りでやっていたが、 昭和通りなどには展開していくのか。す るならどのように展開するのか。神武通 り沿いに住んでいない人とか、他の商店 街に興味のある人に対してどうするのか 考えられるとよい。

野田 先週からだいぶ頑張った。エリア を絞ることでコンセプトが明快になった。 あとは場所の位置付け、メインストリー トの話と今残っている裏庭のようなとこ ろの構成。どういったところに目を付け てなぜ目をつけたかのプロセスはよかっ た。もっとできたらよかったのは、最後 の建築的な提案のところ。ガイドライン だけでなくて、配置平面図と建築がわか るようなものがあるとよりよかった。実 際、建築がどこのものなのかわかりにく かった。

グループ|ガブリチュウ

國廣 自主防災組織の実動性を聞きたい。 昼間人口を組合員にするというが、高齢 者や主婦さんたちは自主防災組織の屋台 骨になりうるのか。その人たちで防災を 担えるのか。

野田 提案の方針の部分で各エリアの課 題と解決方針がわかりづらい。各エリア の課題を別エリアの資源活用によって補 完できるのか、もしくは新しい機能を埋 めることで解決するのかをわかりやすく できれば、そのあとの提案もなぜ必要だっ たのかがわかりやすくなるかな。それか ら最後の詳細提案のところで防災を日常 化するのはいいとして、防災番屋はあま り泊まりたいと思えないんじゃないか。 アウトドア的なもっと楽しんで参加でき るようにした方がいいのでは。「観光に絡 みつく」となっているが観光に絡めなく ても、住民が楽しめる空間でもいいんじゃ ないか。

矢口 真ん中のアクソメが繋がって、防 潮堤が防災だけでなくいろんな機能がつ くという話が、あまり伝わらないかもし れない。壁に対しても片方だけ機能が付 くのは気になる。内陸側に殺風景な風景

有賀 色使いをうまく活用して提案ごと に分けている。公助・共助・自助だけで は達成できない東日本で経験したことを 踏まえて、今まで担い手でなかった人た ちが防災に加わっていくという新しい提 案で、行政から発生しないような提案に なっていてとても良かった。

吉江 この後の休憩時間には、ぜひプレ ゼンボードを並べて他のプレボを見比べ るとよい。このグループは、ブラッシュ アップするのであれば最後のビジョンと 提案の3つとのつながりが見えにくい。

内容の配置をプレゼンボードで工夫して くれるといいかな。

矢口 真ん中のアクソメは魅力的だが、 マンションのようなボリュームが建つよ うなエリアに対して、提案がナイーブな 気がする。このようなエリアに、焼津人 を作り出すような仕組みが持続的にでき るのか難しそう。最後のガイドラインで、 もっと容積を積むような計画がされて、 しっかり焼津人を作れるような提案がで きているとリアリティがある。

新津 ストーリーにがわかりやすくてよ かった。景観ガイドラインは、景観とい うよりかは、暮らしや使い方も含めた全 体の街区を変えていくような指針にした がいいのでは。中庭を作っていく提案も、 私有地を組み替えていく中でどういった 「共」の単位で中庭を組み変えて運営して いくのか。具体的にどのような人が関わっ て、どれくらいの時間で変えていくのか リアリティがあると伝わる。

富田 焼津人を育てる暮らしというのは 魅力的で、すごくよくなった。

國廣 しっかり市街地の中にある空間を 分析していてストーリーが明確で説得力 もあった。最後は景観ガイドラインまで 繋がっていて良かった。地域再生のメカ ニズムに踏み込んだ本質的な提案でした。

加藤 あるものを大事にしたり尊重した いという気持ちは伝わったが、精度が上 がっていない。本当に大事にしたいもの はなにか、まだ自分たちの中で捉え切れ

5焼津人を育てる暮らし
―神武通りエリアリノ ベーション―
グループ|JINM計画
からみつく防災 住民・ 漁業者、来訪者が交わ る防災まちづくり
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ているのか。それが本当に見つかったと しても、今の社会ではその大事なものも 簡単に失われる。ここで尊重したいと思っ た看板建築みたいなものが、失われたら どうしていくかという視点や、新しい手 がかりに作っていくのかという考え方が まだ見つかっていない。神武通りにこだ わっているが、その裏の浜通り側にも良 い店や場所がある。昭和通りの話もあっ たが周辺との接続も含めて考えないとい けない。新しい市役所やこども図書館も オープンして人の流れが大きく変わる。 行政サテライトのアトレの役割も変わる。 その中で神武通りがどのような働きをし ていくのかビジョンを考えないといけな い。

と思うが、そこが最初に見えないと、そ れぞれの空き地に提案を埋め込んだだけ に見える。最初にベルトの中での特色と 提案の結びつきが図としてわからないと いけないのでもう少し工夫が必要。

矢口 「遭い間」というのは、誰かと誰か を会う・つなげるという空間になるので はないか、と理解したが、プログラムと してサードプレイスの提案については実 際誰かと誰かが会うとかにつながるのか。 焼津でなくともどこでもできるという話 があったが、それを回避するために海辺 に地帯と内陸がぶつかるところにもう少 し何かプログラムができると説得力があ がる。

新津 すき間の発見まではよかったが、 すき間という言葉が消化不良なままの感 じがする。ただの空き地・空き家活用に 見える。1ページ目とその後の提案に乖離 ができている。

いるのだから「廃漁具倉庫」と言っては いけない。そういうものと人との距離感 を考えてほしい。

國廣 提案は魅力的だが、経済が全然見 えない。個別プロジェクトも誘発される ように出てくると言っているが、実際は マネジメントに並行して一体的なデザイ ンのガイドラインがあった方がいい。広 範囲に投資できる主体をひきつけられる ような提案や切り口の提示がないといけ ない。大きなお金を動かしながら運営は 細切れにしていくようなことを考えられ ると良い。

吉江 提案は緻密になってきた。「すき間 経済」や「すき間のガイドライン」みた いなことが提案できるとよい。まず、す き間は、空き地や空き間も含んでいるけ ど、なんとも言えないベルト地帯のこと を指しているはずだ。すき間というのは こういうもので・・・という、現状と課 題をまずは説得しないといけないが、こ の絵だけでよいのかは疑問だ。あとは、 全体としての方向性・ビジョンのあとに 細かい提案の方向があるといい。

野田 それぞれの場所の提案の見せ方は よかったが、空き間ベルトの5つの特色 というのは、既存の内港側とか駅側とか それぞれの周辺環境によってできている

富田 最初にすき間と遭い間の話があっ た時に、かつて海辺の生産活動と市民活 動のつながりがあったがなくなってきた という話がある。単なる空間的すき間を みんなが使っていくような提案だけでな くて、海辺や漁業との関係を復活させて いこうという話が出てくるのかと思った が、今のところなかった。最初のマスター プランでもその他でもすべてに漁船とか が全然見えない。陸揚げや市場は外に出 たが、大きな遠洋漁船の休憩や準備は内 港でもやっている。漁業アクティビティ が見えるエリア。それぞれの海辺でも船 は係留されていて、漁師さんは船を家よ り大事にしているから常にその近くにい て整備をしたりのアクティビティがある。

いずれにしても海が青く塗ってあるだけ で、漁業者やアクティビティが見えなく て寂しいから、すき間と空き間の相手が 海辺の活動だとするなら、絵に入れてほ しかった。

加藤 リサーチしてきた情報とその時の エリアだけに固執しすぎている。後から 気が付いたことも同じ情報の質として 扱っていくべき。提案することで見えて くる内港エリアの胸壁との関わりを、こ のすき間が受け止められるようなものに してほしい。あと、まだ使っている人が

國廣 非常にわかりやすいため従来の合 意形成でも実現できそう。ただ、浜通り に直行する形で面的に開発するとなると、 地元の人が行きたくなるプログラムでは あるのでそこは評価するけれど、ここが 完全な産業のものになるという話が住民 との軋轢を生みそう。コミュニティへの 配慮を入れた方が良いかも知れない。

吉江 かなり提案を崩して立て直して大 変だったが、当初は広域の提案だったの が最後の提案のようにパースが見え魅力 的になって良かった。ただ途中の個別の 提案をもっと説明するとバランスが良い。

加藤 最後のページを含め広域から小さ な提案まで落とせている。最後の話はあ まり膨らませずもっと概念化した方が良 い。場所に対する提案よりは流通を軸と した時の2つの例とした位置づけがよい。 提案内容の絵はとても魅力的だし、それ があるからこそ広い範囲の提案の価値が 伝わる。水産加工工場のヒアリング内容 も言葉に出てくるといいのかなと思う。 さらに欲を言えば流通の仕組みを背景と した産業都市の、新しい市場の流通と地 域を結ぶような仕掛けをもう一段階探っ てくれると良い。

富田 最後のパースの現実的な話につい て、パースのところは遠洋漁船が泊まっ ているためこんなにかわいい船はいない。 後ろに防潮堤ができて、そことうまくデッ キを造ってその上を渡るような嘘じゃな い夢を描いてほしい。防潮堤との関係を いれないとわからない。

新津 誰に向けての提案なのか。物流に 関わる企業への色が強すぎる。マスター プランに小さく描かれているが全ての人 への計画という話があまりが見えてこな い。インフラの整備が大きく出てきて、 そのあとの提案が住民のための提案とい

6 焼津の「空き間」を「遭 い間」へ変える ―海
と市民生活が出会う舞 台の計画―
グループ|スキマ
7かつお・まぐろロードで 繋ぐ水産文化都市 グループ|ボニートス
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うのが付属的に見えてしまう。例えばA の流通の話とBのそこで生まれる生活像 を違うフェーズという風に表現するとわ かりやすい。どう生活が変わっていくの かを表現してほしい。

矢口 先週末の状態に比べると一番伸び た。できれば現実とのすり合わせがちょっ と甘い部分があるため次回までにはやっ ておこう。タイトルが「2つのロード」 と言うからには、マグロロード、カツオ ロードの魅力のアピールをもう少し2 ページ目でしてほしいというのが少し残 念なところ。

野田 全体の方向性もプレゼンも見やす くてよい。気になったところとしては最 初の流通経路について、「複雑で効率化さ れていないものを効率化する」という言 い方よりは、複雑になっていることによっ て失われている地域の魅力を解決すると いう話の方がいい。提案Aも橋を架ける ことよりも、それによる波及効果の方が 大事なので言い方を考える。提案Bに関 してはロードに面しているのに、ロード との関係性が発表ではわかりづらく薄 まっているため補充してほしい。

よい。パースに関しては、後ろの生活発 信拠点がよくわからない。これは一か所 につくるつもりなのか、たくさん出てく る予定なのか。スケールも住宅にしては 大きい気がするので最後の想定をもう少 し考えるという感じかな。

加藤 とてもいいところに着地した。コ ンテクストの無いところに形を造れる創 造性が良い、ただ他のエリアとの接続点 が不満。これだけ豊かにこのエリアを変 えられるなら接しているエリアとの接続 点をモデルハウスよりもスケールアップ させて、広場や公園のような中間的な規 模感で共同住宅や長屋等の施設で接続し ていけると考えたほうがいい。詩作的生 活については、均質がまずいという言い 方よりも、より豊かになるというような 肯定的な言い方が良いかもしれない。

新津 模型もあって良い。最後のパース はまだ画一的だし、一枚目のマスタープ ランののパースが唯一海が見えているた め小川との関わりとかも見せてほしい。

それをパースに描いてくれると解像度が 上がってくる。

國廣 現在のシステムに対するオルタナ ティブな提案で良いと思う。焼津の方に プレゼンするうえで今までのエスキース で議論してきたことについては省かずに ふれないといけない。行政の主導してき た事業費が無駄にならないという経済の 話を説明してほしい。それから、画一的 でないといいながらも最後のパースも画 一的に見えるので、提案意図が伝わる表 現に描き換えてほしい。

吉江 区画整理と既存の有機的な街区構 成の共存地域が面白く、そこを活かして 住んでいくときの作法を提案している。 美の基準と言っているものは、今見ると 分かりにくい。それよりはそのあとのキー ワード、知恵とか作法を自分たちでKJ 法で分類してラベリングして説明すると

矢口 一番最初のパースと最後のパース がもったいないのは、模型の方がやろう としていることを表しているところ。プ レゼンで模型を使った方がやりたいこと が伝わると思う。上帯にある平面図が誤 解されやすそうなのが、言っていたよう な住宅の並びが揃っていない不成型の空 間があまり見えていなくて、全部直行の 家になっている。不思議な形の余ったよ うな土地が、本当は生活の豊かさを生む 種になるという方法をグラフィックとし て表現してくれると詩作的生活というの がわかると思う。

野田 とても頑張ったが、周辺との関係 や規範の話がわかりづらい。そこが持っ ている意味をどうやって示せば規範が生 まれて波及していくのかという説明が入 ると良かった。Cの発信のところでは、発 信拠点とコミュニティセンターの役割分 担が見えてこない。コミュニティセンター を行政が整備するのはわかるが、住宅も 行政が整備するのかは疑問。

作る ~区画整理を豊 かさに転じる~ グループ|▽
8詩を作るように生活を
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現地最終発表会

2020年7 月14日

対面(早稲田大学西早稲田キャンパス)+オンライン

食体験で巡る港町 3~3本の指で導く焼津~

地域で繋ぐ小川のポ2テンシャル網

グループ|新小川音頭

7かつお・まぐろロードで

グループ|ボニートス

吉江 第1セッションの3つのグループ

は漁港を中心としたテーマだった。3グ ループは駅周辺を中心とした道沿いの提 案で、手のカタチをしたエリアを対象と していた。2グループはヒューマンスケー ルな漁港を中心とした緻密なプログラム。 7グループは焼津市全体のプログラム だったが大きな道路のネットワークトと、 それによって風景がどう変わっていくか が非常によく表現されていた。ご意見を いただければ。

小川漁協 2グループが小川を取り上げ ていたが、胸壁は現在建設されており、 それにライトをつけたりなどちょっとし た工夫をすることで胸壁だけでなく楽し める空間にする意見が良いと思った。地 域空間というのがあったがそれが面白い。 実際やるとなると様々な人々が関わらな いといけないが地域活性化には繋がるか と思う。

——(2グループ)前回お話していただい たことを参考に、街の人の暮らしや活動 を考えて提案したのでお褒めいただき嬉 しい。

焼津市 外部向けの発信をどのように考 えるか。非常にいい取り組みだと思う中 で、ターゲットとして住民も市外の人も いるが、どういう風に外に発信していく のかのアイデアがあれば聞きたい。

——(3グループ)食のタウンマネジメン

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ト組織が行うと想定している事業の中で、 フリーペーパーの作成やイベントがあり、 住民だけでなく市外の人に発信していけ ればと考えている。

焼津市 内港エリアの話の中で、実は漁 具倉庫として地区60年以上経っている施 設があり、そちらをワーケーション施設 として整備していくという話が進んでい る。現在、外部からの人を呼び込む計画 が動いている。発表の中で漁具倉庫を交 流拠点とする計画があったが、漁具倉庫 の利活用に関して有効な案があれば伺い たい。

吉江 漁具倉庫については後のグループ から提案があるため、そちらの発表でも 触れられる。

國廣 3グループが提案してくれている 満腹パークの提案が拠点の活用になって いるため、プログラムとしてはそのまま 漁具倉庫にも転用できるものであると思 う。見ていただきたい。

——(3グループ)内港エリアにまんぷく パークという施設を提案していて、漁具 倉庫側でも可能である。地域に向けて食 文化を拡げる拠点としていて、広場屋テ ラスにて住民のたまり場があり、近くに 大通りがあるためドライブスルーを設置、 漁師さんが国籍問わず使えるスタンドカ フェを段階的に設置していき最終的には 屋外横丁のような飲食店街を造りたいと 考えている。

吉江 鰹鮪ロードに関して、何かご意見 あれば。

焼津市 非常に良い取り組みだが内港と 浜通りをどういう風に繋いでいくかを具 体的な説明が聞きたい。

——(7グループ)内港と浜通りのエリア を繋ぐことに関しては、現在もバスや車 や自転車で移動する人が多く、交通手段 が無いわけではない。もっと両エリアの 魅力が上がれば人が集まるのではないか という仮定で提案を行った。

共益性を紡ぐ 浜通り と新港エリアの再編 グループ|三万歩

からみつく防災 住民・ 漁業者、来訪者が交わ る防災まちづくり

グループ|ガブリチュウ

焼津市 絡みつく防災のところで、エリ アごとに分断されているまちというキー ワードがあったが、「エリアごとに分断さ れている」というイメージがどこからき たのかもう少し説明してほしい。

——(4グループ)5つのエリアに分けて 考えたが、たとえば、小川地区と新港は 黒石川で隔てられてていて、住宅の計画 が進んでいて、新港と浜通りは、堀川で 隔てられている。浜通りには昔から漁業 を行っている人、新港には若い人、漁港 には漁業の機能が集積している。用途、 物理的な境界として分断されていると思 います。

焼津市 川とか道とかの物理的な分断だ けでなく、生活していく上のコミュニティ の分断ではないのか。

——(4グループ)コミュニティにも分断 はあると思う。

焼津市 防災のグループの皆さん、区画 整理のようにエリアを一度整理をしよう というような、行政側からするとお金が かかる提案だったが、どのように議論し たのか聞きたい。

——(4グループ)区画整理とは別の話で、 計画のほとんどを共同出資でまかなうこ

グループ|よんしょくどん 焼津人を育てる暮らし ―神武通りエリアリノ ベーション― グループ|JINM計画 4
繋ぐ水産文化都市
第1セッション 第2セッション
ゲスト:焼津市役所、小川漁業協同組合、良知樹園、焼津市のみなさま     佐藤滋、後藤春彦

とができると思う。利用者からお金を回 収できる仕組み、そのあとも継続的にお 金が入る仕組みを提案しているので新し い計画ができると思う。

吉江 「配置シャッフル」という話があっ たが、その辺りはどうか。ことば遣いの 問題だろうか。

加藤 どうしてもハードの話に目が行っ てしまうが、ソフトの話について教えて ほしい。

——(4グループ)自主防災組織に注目し ている。この地域には高齢者が多くて、 他の世代がいない。そこで定住している わけではないが定期的に来る人などを引 き入れて活動してもらうことで、若者に も防災に取り組んでもらうということが 考えられると思う。

焼津市 シャッフルという話になると、 地域のことをどうしていくのか、そのあ たりの兼ね合いが難しいと思っていた。

漁師さんだと組合の関係もあるので、ど うすればいいかなと思って聞いていた。  共益性のグループは、新港と浜通りを つなぐということで、暮らし、そこに住 んでいる方々がどう余暇を楽しんで過ご すか、ということで、このシナリオは素 晴らしいと思った。これを実現するには まちづくり会社を作っていかないといけ ないのではないか、と思ったが、そのよ うな話はグループの中で出たか。

——(1グループ)共益性でつなぐという ことで、新港側は活用できる大きい場所 があって、浜通りは歴史のある蔵がある ような状況で、まちづくり会社を作って やっていこうという話はでていなかった ため、今聞いて、ああ、と思った。浜通 りには人の資源がある。場所によって、 大きな土地があるという物の資源と人の 資源がある。住民の方と市役所がどれく らい入るか、そこから外部資本をどうい れるか、ということを考えていた。

焼津市 浜通りに関しては、NPO法人が 立ち上がっているという状況があって、 行政はそれをつないでいって、漁業発祥 の地である浜通りを盛り上げていこうと 思っている。行政ではない、色々な人が

参加できる形態が必要だと思った。  神武通りのグループは、子どもたちが 社会を学ぶ場としてまちがある、という の話は、そうだ、という気づきがあって 嬉しく思った。商店街のあり方を考えて いくという視点はいいと思った。今大規 模店舗ができてきて、従来の地域の店舗 をどうやって生かしていくか考えないと いけないと思っていて、特徴を出してい かないとと思っている。子どもが社会を 学ぶ場として商店街を整備するのはあり だと思った。神武通りをこういう風にし たいというキャッチコピーやコンセプト のようなものがあったらと思ったが、そ のような話はあったか。

——(5グループ)「焼津人を育てる」と いうキャッチフレーズでやっていた。将 来大人になったときにも、焼津を思い出 して戻ってきてもらい、貢献したいとい う人を育てるということ。神武通りだけ でできるかはわからないが、焼津人を育 てる商店街を考えた。

焼津の「空き間」を「遭 い間」へ変える ―海 と市民生活が出会う舞 台の計画― グループ|スキマ

詩を作るように生活を 作る ~区画整理を豊 かさに転じる~ グループ|▽

吉江 区画整理の担当の方、いかがでしょ うか。

焼津市 8グループはかなり斬新な提案 だなと感じている。区画整理というと発 表にもあった通り道路等を整備し利便性・ 快適性・安全性の向上を測ってはいるが、 どうしても均質化してしまうというやり づらさもある。そこでその地域にしかな い基盤を造って人を呼び込むというのが、

大切なことであると思った。区画整理は 事業費もかかり、期間も20年以上かかる 大変なものではあるが、こうした新しい 区画整理は大変面白いと思った。

漁具倉庫については、リノベーション する計画を進めているが、先ほどの資料 の中で手作りワークショップと海の見え るレストランという2つの機能が提案さ れており、今後の交流を生み出すうえで 重要であると思った。この施設をワーケー ション施設にするという市の計画に関し て学生の感想をいただきたい。

——(7グループ)漁港が新港に移ったこ とで、漁具倉庫もあまり使われなくなっ てしまったということがあり、どういう 風に人の活動の場を生み出すかを考えた。 使い方の案をコンペで募集している事も 知っていたが、漁具倉庫が元々細かい部 屋に分けられているという躯体の特徴を 利用して、オフィスだけでは利用者の職 業や年齢の幅が制限されてしまうため、 例えば1階を海の駅として焼津の産物発 信拠点にするなどワーケーションだけで ない機能にして、観光客にも焼津を知っ てもらえる場として使えてもらえたらと 思って提案した。

焼津市 これから具体的に改修工事に入 る前に地元住民や中・高校生にも参加し てもらいながらワークショップを予定し ている。是非こうした意見をいただきき ながら施設が実りあるものになっていけ ればと思う。

吉江 倉庫のほかにも、まちなかの小さ い空間をどのようにシェアしていくかと いう提案もあるため、そちらも参考にし ていただければ。

焼津市 8グループは、斜めに道を通し た時に交通安全をどうするか。また不整 形な土地が地域の価値低下に繋がるので はないか。

——(8グループ)斜めの道には歩行者し か通れない道にしているため、家にある ものを外に出しても大丈夫だし、安全も 確保されている。計画道路の配置も斜め の道路に合わせて交わらないように変更 していくものとしている。価値低下に関 しては先生方とも話していたが、不整形

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第3セッション
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になることで余ってしまう土地をどのよ うに活用するかを考えていた。この土地 が全部売れる事よりも価格が下がった方 が税金的にもいいのではないかと考えた。

焼津市 「空き間」の定義を具体的に教え てほしい。どのようなエリアを調査した のか。

——(7グループ)空き間は、現地に足を 運んだ際に発見したことからエリアを分 析していった。現地で歩いたときに中心 市街地の方の商店街等のにぎわいと、内 港地区の小さな舟で釣りをしている方々

の活気があったが、その間のどちらでも ない領域が、人は住んでいるが人の交流 が見られなかったため、そこを圏域とし て、ベルトとして連なっているという「空 き間ベルト」の実態を発見した。これは 漁業エリアと市民エリアの間に連なって おり、かつての人の交流があり暮してい た痕跡が五感で感じとれる場所である。

例としては空き家や植栽が残っている空 間等がある。周辺地域に交流施設はある が、そうしたものとの関係性が薄いとい う特徴もある。現地で歩いた範囲は内港 地区を中心だが、浜通りの手前や駅の方 までも歩いて、その中から間のエリアを 提案したいと思い「空き間」と呼んだ。

焼津市 空き間はなつかしさ・昔の焼津 らしさがあるところなのかなと思い、今 後のチャンスとして捉えることができ、 良い部分に気づかせてくれた。

——(8グループ)斜めの道と交わる所に 関しては、右上の部分に関しては計画が 終わっていたため鋭角に交わってしまう が、左下は斜めの道に合わせて、計画道 路を変更しているためそこまで危なくな いかと思う。

吉江 僕の想像では、斜めの道路は生活 道のようなもので、車道とクロスしてる 部分ももう少し境界がぼんやりしていて、 はっきりした鋭角ではないのかなと思う。 斬新なアイデアゆえに難しいところもあ る。

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指導教員

有賀 隆   (早稲田大学理工学術院教授)

矢口 哲也  (早稲田大学理工学術院教授)

富田 宏   (早稲田大学非常勤講師・株式会社 漁村計画代表取締役)

加藤 詞史  (早稲田大学非常勤講師・株式会社 加藤建築設計事務所代表取締役)

國廣 純子  (早稲田大学非常勤講師・青梅市・五日市タウンマネージャー)

野田 明宏  (早稲田大学非常勤講師・合同会社 住まい・まちづくりデザインワークス)

新津 瞬    (早稲田大学非常勤講師・アーバンデザインセンター大宮)

吉江 俊   (早稲田大学理工学術院講師)

益子 智之  (早稲田大学理工学術院助教)

ティーチング・アシスタント

篠原 和樹      (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

末田 響己      (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

田中 花梨      (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

村井 遥       (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

山口 乃乃花    (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

Louis-Marc Dalton (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

受講生(以下、早稲田大学創造理工学部建築学科)

飯塚 宙

伊勢 佳那子

岩城 隼人

内海 光

尾鷲 和希

川崎 太一

唐木 雄太郎

北山 寛之

清元 勇士郎

近藤 実結

坂本 泉

協力

佐々木 球道

笹原 瑠生

佐藤 雄大

佐藤 瑠美

沢藤 嶺

鈴木 翔太郎

髙橋 謙斗

富永 悠暉

日向野 由香

本夛 みずほ

宮入 望実

森田 彩香

山口 遥香

山澤 卓也

山下 桃奈

大和 英理加

山室 颯也

吉野 建人

梁 家銘

LAN Haifeng

焼津市商工課・鈴木展明さまはじめ焼津市役所のみなさま、小川漁業協同組合さま、 良知樹園さま、焼津市住民・事業者・関係者のみなさま

本演習授業では、以上のみなさまにお世話になりました。記して御礼申し上げます。

発行:早稲田大学創造理工学部建築学科  2021 年11月 (冊子編集:吉江俊)

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