早稲田大学建築学科 2022年度設計演習F

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早稲田大学創造理工学部建築学科

設計演習F 2022

都心周縁の重層的空間を読み解き、提案する ——埼玉県川口市

Department of Architecture, Waseda University

Exercises in Architectural Design F 2022

Designing Multilayered Space around the Urban Periphery

早稲田大学創造理工学部建築学科 設計演習F 2022 都心周縁の重層的空間を読み解き、提案する ——埼玉県川口市 1 はじめに 2 対象地 3 演習のスケジュール 4 5 提案一覧と総評 6 各チームの提案 7 学内講評会 目次 最終発表会 01 ……………………………………………………03 ……………………………………………………04 …………………………………05 …………………………………………08 …………………………………………13 …………………………………………………69 …………………………………………………74
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1 はじめに

この冊子について

早稲田大学「設計演習F」は、建築学科で都市計画を学ぶ4年生が必ず履修する授業です。例年40名 前後の学生が、グループを組んで都市デザインの演習に取り組みます。地域の実態を調査し、住民のみな さんの話を聴きながらまちの資源や課題を発見し、提案をまちに還元していくことに特徴があります。

この冊子は、学生たちが、埼玉県川口市の既成市街地を対象として、現代的な地域課題の解決を目 指し、かつ地場の潜在力を引き出すための「都市設計・空間デザイン」を提案したものです。それぞ れの案には、学生なりの地域への思いやまちづくりのアイデアが込められています。この冊子が、ま ちづくりのアイデア集となって、川口市にとって少しでも有意義なものになればと願っています。

課題主旨

埼玉県川口市は、江戸時代から鋳物や植木の産業が発展してきた地域で、荒川を挟んで東京に隣接して おり、いわば都心の「フリンジ(周縁)」に位置するまちである。駅前にかつて集積していた鋳物工場は、 現在はマンションなどの高層建築物に建て替わり、古い商店街とともに新旧が入り混じる重層的な景観を かたちづくっている。本課題の対象は次の3つの特徴的なエリアを中心とするが、新しいものと古いもの をどう考えるか、川口の重層性を読み解くことが共通のテーマとなる。

川口駅周辺は、新旧入り混じる重層的な景観をたたえる商店街が特徴的である。「樹モール」を拠点と する川口銀座は、埼玉県でも屈指の大きさの商店街とされる。現在、商店街隣接地の巨大な敷地は再開発 により高層マンションが建設中であるほか、その付近の公民館跡地は空き地化しているが、それをどう活 用するかは決まっておらず、地域住民も関心をもっている。

金山町・本町一丁目周辺は、鋳物産業が盛んであった名残が色濃く残る地域である。老朽化した「本町 たたら荘」や明治33年竣工の洋館などをどう活用するかなど、いくつかの地域資源の活用について、地 域の関心が集まっている。本町は旦那衆のまちだったが、工場跡地にマンションが建設され、地域に昔か ら住んでいた人びとと新しい住民との断絶が生じている。

川口元郷駅・芝川周辺は、川沿いに工場が集積した地域で、芝川沿いの風景をどう編集していくかが焦 点となる。荒川に近いエリアでは運送業の巨大な建築物が立ち並び、ウォーカブルな環境とは程遠い。都 市のグリーンイングラ、ブルーインフラをいかに有効活用できるかが問われている。

いずれの場合も、ここで挙げたエリアに固執しすぎず、ひろい都市の文脈の中に対象地を位置付ける新 たな提案を期待している。どの地区や場所を設計対象地に選ぶかは、チームごとに自由に決定してよい。

土地のもつ潜在力や地域の歴史を読み取り活かし、新たな「都心のフリンジ(周縁部)」のあるべきすが たの提案が現れることを期待している。

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2 対象地

本年度の設計演習Fでは、学生たちが各々の問題意識や関心に沿って埼玉県川口市内から自由なエ リアを選択し、デザインの対象としています。

ただし、川口市は広範なので、調査を集中して行うためにあらかじめ「川口駅周辺」地区、「金山町・ 本町一丁目」地区、「川口元郷駅・芝川周辺」地区の3つのエリアを提示し、それぞれの現状や課題 を共有しています。そして、学生たちは実際に市内を歩き独自の方法で地域を観察するなかで、興味 のあるエリアを見出していきます。各々選んだエリアで何をテーマとして考え、新たな空間デザイン を提示できるかが問われています。

課題への取り組み方

1)授業は広い教室で行い、人口密度を低く保った状態で行う。

2)課題は4人前後のチームで取り組み、分担して調査・計画を進め、最終的にひとつの提案にまとめる。

3)合宿は全部で4日間だが、対象地が東京近郊であることから、今回は宿泊は行わない。日中は川口市

内の調査、夕方からは大学の「イノベーションラボ」にて調査のまとめ作業とエスキースを行う。

4)合宿の3日目には現地住民に向けて途中経過の報告会を行い、フィードバックをもらうこと。

4)最終提出物は、B2サイズのボード6枚にまとめる。

発表会(学内・学外の二回)は対面・オンラインのハイブリッドで行うため、B2サイズのボードを   屏風綴じにしたものを会場前に掲げ、かつデータを共有して発表する。

最終提出物では、計画のキーワード、敷地の読解、具体的な計画内容を説明すること。

また、文字だけでなく地図、写真、ダイアグラム、図面、パース等を用いて表現を工夫すること。

(左)合宿中のエスキースの様子/(右)川口市内での中間発表

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3 演習のスケジュール

演習期間中は、4名ずつのグループに分かれて、テーマ設定、調査、作業を行い、最終的にはその 成果を地域に関係する方々に発表しました。

3/30(水)|オリエンテーション

・前回の成果の復習・課題説明、注意事項・心構え

4/6(水)|レクチャー・個人発表・グループ決定

・講義1 市川 均先生

・講義2 國廣 純子先生

・学生事前調査の発表とグルーピング

4/13(水)|レクチャー・グループごとの調査発表・エスキース

・講義3 早田 宰先生

・講義4 加藤 詞史先生

・グループごとの事前調査の発表とエリア、テーマの方針決定

4/21(木)|グループごとのテーマ発表・エスキース

・グループごとの発表・方向性の発表、エスキース

合宿|4/22(金)~25(日)

・1日目:現地集合、調査、夜に簡単なエスキース

・2日目:調査、夜に簡単なエスキース

・3日目:調査、夕方から現地にて途中経過報告会    ・4日目:調査、夜に簡単なエスキース

5/11(水)|エスキース

・提案の精緻化

5/18(水)|学内中間発表

・これまでの進捗をとりまとめ、学内での中間発表・教員によるクリティーク

5/25(水)|エスキース

・提案の精緻化

6/1(水)|エスキース

・提案の精緻化

6/8(水)|学内講評会

・これまでの成果をまとめて発表、教員によるクリティーク

6/25(水)|最終発表会

・学内講評会からブラッシュアップした提案を学外聴講者も参加する場で改めて発表

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提案一覧と総評

「都心周縁の重層的空間を読み解き、提案する  ——埼玉県川口市」

全9グループの提案は、以下の通りです。それぞれのグループは独自の視点をもって対象敷 地とテーマを選定し、各地域の未来に向けた提案を行いました。

自転車で資源循環型の都市を創る

川口に眠っている豊富な「ひと」と「もの」の資源を 自転車を用いて行き渡らせ、川口市から荒川流域にか けて循環する都市を構想する。シェアサイクル、サイ クルポート、サイクリングロードの整備とともに資源 再生と再生製品共創によるものの循環も提案。

川口だけでなく戸田公園など郊外の複数のまちをめぐりながら 最終的に都心・東京湾の方へと流れていく「荒川」に沿って、 スローモビリティによるつながりを作っていこうという提案。 首都圏に渦巻を描いた図を見せてくれたときは、とても可能性 を感じました。具体的な提案も含めて、最後までやり抜いたと 思います。「各駅停車駅を結んでいく」など、不完全燃焼ながら 面白いキーワードもいくつか見つかりましたね。

首都圏域における川口の現状を独自の視点から読み解き、ヒトの移 動性を高める都市デザインを提案したチームであった。ヴィジョン を描いた荒川流域と再価値化されるまちなかとの異なる空間スケー ルを行き来しながら、あるいはそのスケールの違いに苦しみながら も、密度の高い提案に仕上げてくれた。自転車で移動したくても移 動できない人も対象にするなど、人の解像度をより高められれば、 より良い提案に仕上げられたのではないか。

Cultivate-Life —本町大通りからはじまる暮らしのニワづくり—

チームあんぎょう|

寺澤尚己、岡野元祐、各務弓太、横山魁度

川口駅と本町一丁目、新旧の中心地を結ぶ「本町大通り」 に注目。街路空間に小さな「ニワ」(「営む・愉しむ・暮らす」 で彩られたみちばた空間)を展開し、地域社会を繕うこ とで、ウォーカビリティの向上、地域交流促進、地域経 済圏の再構築を目指す。

計画道路の建設によってうまれた、残余地を近隣の住民が関 与可能なランドスケープとして捉えなおした提案でした。残 余の空間をポジティブに捉えなおすという発想は、とても良 かったと思います。ただし、空間提案にはもう少し具体的な 空間デザインと、より広域な視点・長期的な視点(周辺街区 への通過交通への影響、地元植木産業への波及効果)が盛り 込まれるべきだったと思います。

緑を媒介に住民とまちとの関わりしろを生み出すことを当初からコ ンセプトとして掲げ、それを貫こうと意志を持って取り組んだこと はよかったと思います。一方でふわっとしたコンセプトでもあるた め、それを実際の都市空間に落とし込んでいくなかで手が止まって しまったところがありました。残余空間への絞り込みをもう少し早 く着手し、土木・交通改変を含めたランドスケープの検討を深度化 できると、より良い提案になったのではないかと思います。

なんたいどうぶつ|伊藤真優、清水雄大、矢野滉希、吉田絵理奈
吉江俊 益子智之
新津瞬 08
矢口哲也

きっかけから繋ぎ合わせる人 商 場 —商店街から街の未来を考える—

太陽神アリオ|岩渕はる菜、加賀谷唯、堀内葉菜

樹モール(川口銀座商店街)を対象に、「機能を融合し 多方面へ発信する」「空き地や公開空地の管理、運営」「公 園を管理・運営する」「コミュニティの拠点となる核ス ペース創出」という提案を行い、多種多様な空間・機能・ キャラクターを引き込んだ空間形成を目指す。

川口駅前の市街地の現在に現れる対比的な風景を読み解きながら市 街地再生に迫ろうと試行錯誤の努力をした提案でした。市街地の変 遷を扱うことはどんな時代でもどんな都市に行っても必ず直面する 普遍的な課題です。今回の提案ではリアリティを重視するあまり、 状況作りをステップとした提案までしか踏み込めていませんでした が、リサーチの過程で出てきた①再開発に取り組む組織との関係づ くり、②町役場跡地の活用を新たな建築的提案に繋げるまでのプロ セスをどう作れるのか、この辺りを今後も掘り下げていくことは、 将来の皆さんの糧になると思います。期待しています。

川口駅前の銀座商店街・ふじの市商店街という商業の場の中に、 旧燦ギャラリーのようなコミュニティの場を作り出すことに挑 戦した提案でした。商店街が商業だけでは成り立っていかない 時代で、視点はとても良かったと思います。しかし通りだけで なくその裏側を含めた地域としての捉え方や、多くの方が関心 をお持ちである川口町役場跡に対しての提案を示すことができ れば良かったと考えます。

フキダシのハッケン —埋め込められた本町一丁目らしさと共に暮らす— 本町一丁目の街区奥に眠る魅力的な空間を「フキダ シ」と呼び、それが歴史的な資源や変化のきっかけ になる場所と指摘。「フキダシのコモン化」「フキダ シ経済圏の創造」「開発と共生するフキダシ」の計画 により、街区内部からまちを変えていく提案を行う。

川口始まりの場所である本一で、内側から語りかけてくるよ うな資源を再生・活用し、本エリアの環境改善を示す流れ・ 内容共に素晴らしかったと思います。内側の良さが通りに染 み出し、表通りも変わっていくというストーリーは良かった のですが、内側の様子が通りに染み出していく様子や、将来 的に表通りも変わっていくステップをどのように表現するか という点でもう一段階上に上がれる提案だったと思います。

本町の個性が街区の内部に眠っているという発見、それを「フキ ダシ」の比喩で再デザインしていくという明快なストーリーが早 い段階で決まったため、プレゼンボードの完成度も素晴らしいも のになりました。ちょうどシドニーで「スパイス・アレー」を見 学したこともあり、街区の内側から街の価値を変えていく提案の 現実味を感じました。あえていうなら、街の価値がどう向上し、 持続していくかの展望がもう少し欲しかったと思います。

金山町と溶融する —住工混在で拡大する関りしろ—

控えめなココロ|林泰地、梶谷菜々美、掛田巧、山岡実菜

金山町を対象に、鋳物産業と共存してきた住工一致 の文脈を引き継ぎながら、新たな発想力を持つクリ エイターを受け入れて現在の技術の担い手とする提 案。鋳物工場のある都市空間の求心力と古来からの 相互扶助の仕組み「イッケ」に着目する。

地域で産業として中核を担ってきた鋳物工場の役割を、時間軸をテー マに遡上し再考した提案。工場コミュニティで培われた仕事を融通し 合う見えないネットワーク(イッケ)への言及と再活用、工場のタワ マン化による新旧住民のストラッグル、工場の周辺に対する深慮、廃 業した工場経営者の痛み(ファントムペイン)にまでイマジネーショ ンを広げた感性と提案への展開は特筆すべきである。ともすると「隠 喩」に頼りがちなテーマ設定に陥ることなく、言葉を探り続けた姿勢 も評価したい。建築的な解にまで至った点は評価できる一方、都市に 働きかける部分からデザインへのフィードバックが弱く、プロジェク ト経営と経済的なリアリティに救われた点には課題が残る。

産業変遷史と共に少数の工場を残して一般の住宅街に変容した場所 を、新たな職住近接の場所として再構築していく提案でした。現実 の複雑なプロセスを学び取り入れようと非常に多くの情報量を扱い 整理したことで、荒削りながら非常にリアリティある提案になりま したが、最終的な建築を交えた将来像が情報量が伝わらない方には 見えにくかった。これは都市再生の現実でも起こりうる課題です。 当事者だけが把握できる街の動きを、どのように周辺のステークホ ルダーと共有しながら、将来像を持てるか。それらしい調査やアウ トプットに逃げない提案でした、自信をもって今後も研鑽を積んで ください!

國廣純子 野田明宏
こころ|荒井梨緒、糸賀大介、岡部寛大、竹田史織 野田明宏 吉江俊
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加藤詞史 國廣純子

新細長島PJ —既存産業の集積による、環境産業の先進区育成計画—

細長島|若松南海、近藤智貴、菅澤由衣、真坂将平

荒川と芝川に挟まれた細長い空間を「細長島」と名付け、 新たな環境産業を育て、発信する場所とする提案。産業 ラボ、川テラスなどを計画しながらも、芝川沿いの高低 差のあるランドスケープを改良し、長期的に芝川の水質 も改善していく提案である。

現地フィールドワークで本計画地を発見し、早期にその場所の 可能性に着目しチーム一丸にその思いを貫けた点が良い結果に つながったと思います。その後、川口全域の課題や将来像を丁 寧に調査、検討できた点も評価できます。特にこの地を出島に 見立て地域全体の将来像を鳥瞰パース等でうまく表現できた点 は秀逸でした。願わくば最後の施設配置等の空間デザインにも う少し時間を割き建築的な提案があると良かったと思います。

細長島の発見、東京との関係性の中で定めたビジョン、それ を表す鳥瞰パース、これがこのチームの素晴らしい点でした。

グループとしては課題解決型の思考が強かった印象で、敷地 の特性上もっとのびのびとビジョナリーな視点で計画を練っ てもらっても良かったかなと思います。また、提案によって どのような暮らしがそこに生まれるのかももう少し語られる となお良かったです。

四間道路の私性がまちを作り出す —周囲の変化を緩衝する空間—

川口市の栄町に位置し、東西に真っすぐ伸びる四間道路 に可能性を見出し、そこが大通りに挟まれた「サンドイッ チエリア」であり、プライベートなコミュニティが育ま れていると指摘。四間通り沿いに工夫を埋め込むことに より、川口の緩衝地帯として育てる提案。

駅前の主要な商業集積に接続するも若干独立感の強い街路への提案。

幹線道路にによって挟まれたヒューマンスケールの通りを題材に、普 通の何でもない日常の意味を問う。一見、訴求力が高く刺激的で新し い提案の対極にある「今あるもの」の体験を引き出し次代につなぐ提 案の難しさを共有した。「つくらない」をどうデザインするかの提案 だったとも言える。街路スケールの計画が周辺の大通りや商店街と呼 応(彼らはサンドイッチ理論と呼んでいた)することの関係性が重要 であること、日常に肉体化されるまでの時間と共有体験の重要性を学 ぶ機会にもなった。

川口の主要鉄道駅に挟まれたエリアを緩衝地帯として捉え、個人経営 店の私性をいかに守り育てていくかをテーマとした提案であった。四 間道路で自然発生的に生成された私性の読み解きは素晴らしかった が、現状分析に終始留まってしまい、なかなか空間デザインに落とし 込めなかった。しかし、”サンドイッチ理論”ということばを発見し たことで、提案の道筋が飛躍的に拓けていった。彼らはそれを四間道 路の空間的特性を説明するために用いていたが、私と公のサンドイッ チによるコモンの再編や計画と非計画のサンドイッチによる曖昧な空 間の設計など、より拡張して捉えることもできたのではないだろうか。

十の節 ―移ろいゆく住民を学びで繋ぎ、川口の文化を遺伝させる―

RIVER□LOVERs|

大川彩音、高柳綾香、辻竜太、堀悠華子

様々な人びとが住む本町・金山町エリアを対象にし て、そこに10カ所の「節」を計画し、それらを環 状線通りが繋ぐことで、まちを「学校」にみたて、 異なる背景の人びとが互いに学びあい、相互理解で きる環境づくりを目指す。

古い市街地において時代毎に形成された人びとの交流がエリア毎に固 定され閉塞していることを、地域に残された空間資源を活用し新たな 人びとの交流を生み出すことで解決しようとする提案でした。その新 たな交流を相互の学びの場として捉えたアイデアは良かったと思いま す。ただ学びの場、場と場の繋がり、交流の空間イメージをチーム全 体で共有するのに時間がかかりすぎてしまったことが惜しまれます。 しかし最終的には自転車活用など具体的な提案が出来ました。

川口の特徴的な地域を選んでくるのではなく、かなり落ち着いた住 宅地をターゲットに、そこに住む様々な人びとの相互の学びの場を つくっていくという提案でした。複数の小さなプロジェクトの同時 進行というのはこれからのまちづくりの基本的な手段になります が、それらを束ねるストーリーやビジョンが重要です。空間提案や、 10の対象をどうまとめあげるかに苦戦しましたが、最後にはみなの 考えが噛み合い、一通りまとめあげることができました。

市川均 新津瞬
team BLT|大塩輝、川部浩輝、隅田開、福本史織
加藤詞史
益子智之
市川均 吉江俊 10

てくてく!かわぐちこどもていこく みちくさを通して川口を知る

かわぐちこどもみまもり団|

池上恵美、近藤樹生、鈴木孝之、山田航大

川口にはこどもの遊びと安全に配慮した環境が整ってい ないことに着目。こどもにとって本当に住みよいまちを 目指し、川口駅周辺の5つの小学校を結ぶ「こどもロー ド」の提案と、その周辺環境整備の指針を示すことで、 こどもたちが愛着を抱き続けるまちを構想する。

こどもたちの視点からまちの遊び場空間の発見と再編を行う提案で した。プレゼンテーションもたのしげに仕上がり、子供たちが本当

にみちくさしながら遊ぶことができそうなアイディアが多数見受け られました。すこし時間をあけて提案を再読すると、ノスタルジッ クな昔ながらの遊びが協調されすぎたようで、デジタルネイティブ のこどものあそびは本当にこれでよいのだろうかと、考えてしまい ました。ないものねだりですみません。

鋳物のまち川口をめぐることで、子どもの成長を促す都市デザイン 提案であった。各教員からのフィードバックやエスキス内容を的確 に要領良く反映し、キーワードやロジック、表現方法などバランス の取れた力作であった。ただし、プレボを改めて眺めると、三方よ しの優等生作のようにも感じられる。普遍的かつ応用可能性の高い 提案であることは間違いないが、川口らしいこども帝国の提案に なっていたか。遊びを通じ自ら学びを得られる場所は、機械音のす る工場、よく水たまりのできる路地、実のなる木のある私有地、美 味しそうな匂いのする商店など、もっとまちなかに点在しているは ずだ。今後の活躍を期待しています。

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矢口哲也 益子智之
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5 各チームの提案

自転車で資源循環型の都市を創る なんたいどうぶつ|伊藤真優、清水雄大、矢野滉希、吉田絵理奈

Cultivate-Life —本町大通りからはじまる暮らしのニワづくり— チームあんぎょう|

寺澤尚己、岡野元祐、各務弓太、横山魁度

きっかけから繋ぎ合わせる人 商 場 —商店街から街の未来を考える— 太陽神アリオ|岩渕はる菜、加賀谷唯、堀内葉菜

フキダシのハッケン —埋め込められた本町一丁目らしさと共に暮らす— こころ|荒井梨緒、糸賀大介、岡部寛大、竹田史織

金山町と溶融する —住工混在で拡大する関りしろ— 控えめなココロ|林泰地、梶谷菜々美、掛田巧、山岡実菜 5

新細長島PJ —既存産業の集積による、環境産業の先進区育成計画— 細長島|若松南海、近藤智貴、菅澤由衣、真坂将平

四間道路の私性がまちを作り出す —周囲の変化を緩衝する空間— team BLT|大塩輝、川部浩輝、隅田開、福本史織

8 てくてく!かわぐちこどもていこく みちくさを通して川口を知る かわぐちこどもみまもり団|池上恵美、近藤樹生、鈴木孝之、山田航大

十の節 ―移ろいゆく住民を学びで繋ぎ、川口の文化を遺伝させる― RIVER□LOVERs|大川彩音、高柳綾香、辻竜太、堀悠華子

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学内講評会

2022年6月8日

早稲田大学西早稲田キャンパス

ゲスト:後藤春彦、有賀隆、富田宏

グループ|控えめなココロ

國廣 最後の週でとても良くなった。去 年からこの授業をやっていて、ソフトと ハードの順序が分からない提案も多いな かで、ハードもやりながらソフトの合意 形成も段階的につくっていくのが分かっ てよかった。ただ、クリエイターとまち づくり会社の関係性がわからなかった。

矢口 全グループ共通だが、発表ではゆっ くり、紙を見ないで話すように。プレゼ ンの前半にかける時間が多く、提案に辿 り着けてないのが残念だった。模型をき ちんと説明するくらい余裕をもちたい。

有賀 工場の人たちが地域外のデベロッ パーと組んできたのに対し、この地域特 有の方法を創ろうということでCIR(C r e a t o r s i n R e s i d e n c e )が生まれてい る。CIRの説明、生活像・社会像の説明 を聞けたのはよかったが、CIRの空間像 が分からなかった。模型を使うのであれ ばCIRの空間を説明したい。どこから着 手するのだろう?どんなところから仕組 み、空間を変えていくのか。

吉江 面白い平面プランが出てきて良 かった。プレゼンボードP3の図は平面図 に見えるが、これは推移図なのか?

益子 周辺への波及のストーリーは分か る。その周辺にはかつてのイッケにあっ たような繋がりが現状はないと思うが、 図中の赤い矢印の部分はどうやって繋が るのか。

市川 1/100スケールで建築計画をやって いることは評価できるし、1/2500スケー ルの計画もいい。しかしその間のスケー ルがあると分かりやすい。それから話が 複雑で分かりにくいので、文字や図中に 強弱を付けたほうがいい。特にフェーズ のページ。第一フェーズは何から始まる のか、第二はどうなるのか、というよう な説明が分かりやすく行われるべき。ま た、仕組みの説明のなかで、まちづくり

会社が何かわからない。お金と人はどこ から見つけてくるのか、それを纏める組 織、育てる仕組み、それを説明できると 良い。

新津 ストーリーが分かりやすく、整理 されている。パッチワークの表現の強調、 浸食していく感が明確になっていて良い。 ただそれがフロー図に表れておらず、パッ チワーク感がない。マスタープランも同 じ。パッチワーク感の表現を広げ、精査 していくと良い。

野田 最初の手法のところに場所に紐づ く戦略がほしい。どこから手を付けてい くのか。フローがやはり分かりにくい。 大きな流れとして何を示したいのか。工 業を再構成していく話をするときに、あ なたたちのオリジナリティはなにか? CIRだとちょっと弱い。場所に紐づくも のがあると強くなるのではと感じた。

加藤 最後のところで、住まいと生産が 一緒にあることが生活の豊かさになるこ とをしっかり強調する必要がある。細か いリノベーションから建物のコンバー ションがシームレスに計画されていくの は良いが、原理やルールをしっかり作る 必要がある。

フキダシのハッケン 埋 め込められた本町一丁目 らしさと共に暮らす

グループ|こころ

國廣 「フキダシ」という提案が、しっか りした現状分析から出てきて、最後に都 市空間の提案に落とし込まれていたのは 良かった。

矢口 話は理解できました。ただ君たち の持ってきた模型は場所が違う。君たち の提案しているたたら荘周辺の模型が次 回までにあると伝わりやすい。

有賀 冒頭で歴史的資源の重要性を話さ れているが、結局それがなんなのかよく わからなかった。「フキダシ」の名付け方 は良いとして、計画対象としてみた時の 必然性を説明してほしい。なぜ「フキダシ」

が必要なのか。全体を見た時の意図や目 的、何を実現したかったのか、相互関係 などもよくわからなかった。それも踏ま えて、たたら荘という具体的な場所に対 する計画の具体性を詰めてほしい。

吉江 「フキダシ」が何なのかが説明の中 で埋もれてしまっている。外から見ても わからないような、街区の中に潜む資源 を中心として、それを取り囲んでいる建 物という単位で行っていく提案なので、 そこを強調してほしい。また、パースが「フ キダシ」に見えない。フキダシという単 位で作っていくことにどのような面白さ があるか、まちがどのように変わってい くのかを説明してほしい。

益子 ビジョンや将来像が最初のページ で語られないのが残念。課題と吹き出し と3つの方針の定義は示されているが、 その3つの方針に従うとどう変わるのか をみてみたい。画一的な開発というのも 課題に挙げており、それに対する提案も あるが、実際にここに住む人が、どう住 み続けることができるのかなど、具体的 なプログラムが気になる。

新津 ストーリーはわかりやすかった。 ただ、連続立面図がもったいなく、提案 ではなく現状を表しているようにみえる。 表から裏に「フキダシ」がどう滲み出て いるのか伝えてほしい。

野田 断面図ももったいないように感じ る。変化をつけた場所がどう滲み出てく るのかを表現した方がいい。空き地のた たら荘の計画は良いが、ちょっとコンパ クトにみえる。

加藤 何度も「フキダシを捨てろ」と言 われながら良いところまできたと思う。 共有・再生・継承の図に可能性がある。 その場所にある原理みたいなものを見出 して、その中にあるべき形式に落とされ ている。他のチームにも共通して言える が、作業が若干編集的になっている。情 報の編集ではなくて、その上に立って原 理や原則を提案しなければいけない。

しろ
5金山町と溶融する 住 工混在で拡大する関り
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グループ|太陽神アリオ

國廣 地元発表に向けて、提案されてい る「新しいマネジメント組織」が今まで の商店街と何が違うのか、説明がほしい。 「みんなの商店街」という言葉は再考の余 地がある。

後藤 地元発表は参加者のキャラクター によって刺さり方が違うから、それを意 識するとよいと思う。プレイヤーの想定 の戦略が重要だと思う。また、スライド はクローズアップで見せましょう。順番 と小見出しを追いかけると何を言いたい

のか通じると良い。

みなに共通することだが、コミュニティ に対する憧れがあるようにみえる。しか

しそれは万能解なのか?コミュニティに 委ねる必要がある具体的な課題を示した りとか、そのあたりの説明が必要。あと はクリエイター任せ、スーパーマンとし てのまちづくり会社というのも共通して みられる。自分たちの強みは何かを改め て考えてほしい。建築のバックグラウン ドなので、未来の空間をみせることが強 みだと思う。

矢口 プレゼンの中で引っかかったのが、 最初のページの分析が分析になってない こと。また、次のページのポテンシャル が最初のページの分析とはあまり関連性 がない。ストーリーを組み立てるときに、 例示や提案が分析に基づいているかを チェックするといい。ストーリーが繋がっ

ているかを意識する必要がある。

加藤 大きな開発などによって街が変わ る「不安」が重要なキーワードだ。そのキー ワードを核にしながら馴染んでいく、自 分たちのものにしていくことを考える。 それがきちんと説明されると提案内容が しっくり来るのでは。

吉江 プレゼンボードがバラバラなので、 それぞれの見出しに通し番号を付けま しょう。最初のページは分類がたくさん あり、3つなのか4つなのか5つなのか

分類がバラバラなのが理解を妨げている。 またパースでは、建物が巨大で違和感が ある。すべてを新築の建物にせずに、仮 設の屋根をつくり、屋根の下の半屋外空 間と、仮設建築の屋内空間とを使いわけ る計画ができると良い。

市川 売ると食べる、という商店街の機 能だけではやっていけない。その答えを もっとハッキリ用意して、その設計案を 空間として示せると良い。街の中で新し い役割を商店街が担うことで、新しい都 市像がみえる、それをみせてほしい。

野田 大きい視点とオン・スケールの計 画の整合性を取ってほしい。プレゼンボー ドにメリハリがないので、重要なコンテ ンツはダイアグラムで示すなど強調して ほしい。ヒアリングした既存組織の人た ちの役割、どういう事業に関り出資しメ リットを受けるのかも検討したい。提案 されている核スペースは暫定利用にみえ るが、暫定利用から周りに波及する様子 が伝わらない。

緩衝する空間

グループ|team BLT

國廣 シナリオと分析とハードの提案が しっかり融合されていて良かった。最初 のパースが情報が少なく勿体無い。現地 発表の時はもうちょっと書き込んでほし い。ストックスクエアのところが、もう 少し魅力的な建物でも良いかなと思った。 自然発生的にできている西荻窪などと比 較して、せっかく手を入れるのであれば、 もっとブラッシュアップしてほしい。

矢口 1ページ目で時間切れになってい る。空間提案があまりに弱い。四間道路 のどこにどのように介入するとどのよう なビジョンになるのか。2枚目のダイアグ ラムに関しても、プランなのか現状分析 なのか中途半端な図になっている。土地 利用やビルディングタイプがバラバラで よくわからない。こうしたいんです、と いう強いビジョンをみせるパースが1枚 必要。

加藤 ストラグルをもう少し説明してほ しい。川口の街の中で緩衝空間と呼んで いる曖昧な空間を、誰も大事だと思って いないが、きちんと後世に伝えていかな いといけない、そのためにこういう提案 をしているのだという説明が欲しい。

吉江 最初の2ページ目の配置図、1ペー ジ目の楕円のダイアグラムがよくわから ない。目線の関係性、みる・みられるの 関係性が、そこに面しているデッキなど のいくつかの視点場があったときにどう なるかを立体的に説明して欲しかった。

益子 1ページ目は良くなったが、2ペー ジ目は尻切れとんぼ状態。楕円でパース を描こうと思った理由は何だろうか。余 白となる環境が周辺にも影響し、他地域 にどのように影響するのかなどわかれば 良くなると思った。

市川 計画図として、四間道路と八間道 路の連動がどうなっているのかを丁寧に 書き込んでもらいたい。その中で、四間 道路がどのような道路なのかを表してく れると、言いたいことが整理できる。

新津 緩衝空間とは何と何との緩衝なの か、サンドイッチエリアとの差別化は何 かがわからない。提案としても弱くて、 掘って視点場を変えるだけじゃなくもっ と欲しい。

野田 大きい視点での計画とオンスケー ルの話との整合性が欲しい。ボンエルフ はこんなふうにはならない。民地側を掘 り下げて作っているはずなので、イメー ジと実際に作っている空間が一致してい ない。ストックスクエアなどの場所性、 角地を使う、脇道とボンエルフを作るな どは、マスタープランに書いて欲しい。

國廣 まちづくりをする会社にも数種類 ある。商業等のバックグラウンドをもつ ところ、市民自治的なところ、中間業務

きっかけから繋ぎ合わせ る人 商 場 商店街から
街の未来を考える
7四間道路の私性がまちを 作り出す 周囲の変化を
8十の節 移ろいゆく住民 を学びで繋ぎ、川口の文 化を遺伝させる
グループ|RIVER□LOVERs
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だけやるところ、施工をやるところなど。 まちづくり会社について、そのバックグ ラウンドや業務範囲に言及できるとよい。 コミュニティをオーガナイズする会社が 欲しいのは分かるが、市がお金を出さな さそうだ。住民ベースで考えたい。

矢口 十の節に加えられるプラスアル ファが触れられないまま終っている。そ

こに川口がどう変わってほしいか、君た ちの意見が詰まってると思う。複数のも のがパラパラ展開する提案の場合、提案 と場所の紐づけの説明を丁寧にしないと、 初めて聞いた人には分からない。鋳物の 輪、くつろぎの輪、は空間に紐づいてい ないのか。空間に紐づいているなら相応 しい表現をしてほしい。

有賀 受け継ぐべきものとは具体的にな んだったのだろう、それを使うと従来の 開発との差別化になるのか、というあな たたちの提案の核心が分からなかった。

益子 ビジョンが気になった。しなやか さを獲得したうえでどう学びあいが起こ るのか、具体性が高くなると理解しやす くなる。

市川 多様性ではなく重層と言ってた。

それぞれの層にいる個性ある人がポテン シャルで、その人たちが交流することで 豊かな川口が描けるのではないか。それ を強調すると君たちが何をやりたかった か分かりやすいと思った。時間切れで描 き切れなかった配置図は描き切りましょ う。

新津 3つの輪の説明を最初の十の節のと ころで説明してしまうのが説明が分かり やすいと感じた。

野田 2ページの地図をマスタープラン にしたい。鋳物ストリートとか、個別提 案を結ぶ通りの役割と位置が分かりにく い。環状線の話も入れたほうがいいので は。またフェーズの話が分かりにくくなっ ている。「お互いを知る」「学びあう」な どはフェーズによる結果であるが、フェー ズごとに具体的に何をするかの話を入れ たほうが分かりやすくなる。

加藤 フキダシと同じく「節」が、どの

ようにビジョンを見るための助けになっ ているのかが分かりにくい。

に着目したというのが、書かれてはいる けど伝わってこない。最初に掲げた展望 と、最後に触れている生態系の保全に関 して飛躍がある。

グループ|チームあんぎょう

國廣 提案されている会社がどういう バックグランドで設立されているのかや、 中間支援に関してもそういった人たちが どこから出てくるのか書いてくれるとよ り良くなる。経済圏にも言及ができてい て、それと町がどのように関わるのかが 明記されていてよかった。パースもとて も良い。

矢口 やろうとしてることはよく分かる けども、見開き3ページという限られた ページの中で、3つくらいのダイアグラ ムや図で同じような情報を繰り返し表現 している。道の断面が出てきていないの がとても残念。どのような道にしたいの かビジュアルで見せてほしい。iPadをみ ながら発表するのはやめるように。

有賀 低未利用地は実態としてどれくら い把握できているのか。こういう提案は 開発に対するニーズが強いエリアだと良 いが、低未利用地の利活用的なアプロー チはこの敷地からすると違和感がある。 生活の庭をもっと広げて、提案自体は小 規模だけれども大きな目標を掲げるとわ かりやすい。

吉江 よく見ると、所々すごくよくでき ている。例えば、本町大通りが新旧をつ なぐ大通りであるという位置づけで、そ れが斜めに走っているから、そこで何か できるのではないかという目の付け所は 良い。しかしなぜ、庭なのか。最後の計 画のプロセスに可能性があると思う。縦 と横の軸が何なのかわからないのと、もっ と情報を増やしてほしい。自分たちで提 案している「楽しむ、営む、暮らす」な どを反映させてくれると、プログラムを 表すものになると思う。

益子 最初に「水ばた」って言っていた グループが、道端に落ちたのかな。角地

新津 現状分析から、「楽しむ、営む、暮 らす」への飛躍が課題だ。最後に河川の 氾濫の話が出てくるが、それらは1ペー ジに埋め込んで説明するべき。何を持っ てこの不整形な土地に注目するのかを 語ってほしい。全体的にレイアウトが見 にくくて、どこに目がいくかのメリハリ がないので次回では手を加えてほしい。

野田 波及効果の説明にはガクッとくる。 次回の発表に向けて、生産者の人たちが こういう関わりをしたらいいんだなって いうところを書いてほしい。生態系の保 存というところもよくわからない。

加藤 大きな道路によって分節された小 さな道路をもう一度繋ぎ直すという提案 だが、分節されたことで何が得られて、 何が失われていたのかを明確に教えてほ しい。分節された前後を丁寧に説明でき ると良い。最初のリサーチの部分の、自 分でも植木を植えてみたくなったとかそ ういう個人の緑に対する思いや、三角敷 地の発見と周辺建物とのネットワークな どを含めた、この場所に留まらないビジョ ンを自分達の言葉で説明してほしい。

國廣 既存道路を活用したルートの活性 化の話がメインだろうか。サイクリング ロードは新設で、ソフトウェアの時間軸 とハードウェアの時間軸がずれてるのか と思った。中間の時に来場した川村さん が「自転車が増えすぎると心配だ」と言っ ていたことに対する応答は最後でよいの で加えておいてほしい。観光目線の提案 が多いが、日常の自転車利用のピークと どう整合性をつけるか、質問がきそうだ からシナリオをつくっておくと良い。

矢口 まちの人には矢野君の「停滞する ストック」の話から「自転車」に飛んで「川」

自転車で資源循環型の 都市を創る
グループ|なんたいどうぶつ
Cultivate-Life 本町大通 りからはじまる暮らしの ニワづくり
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のほうに繋がってくのは伝わらない。話 が飛びすぎる傾向がある。要約すると「循 環するシステムを作る」みたいな話では。

加藤 「ストック」ではなく自転車のネッ トワークの持っている力やその利活用、 それがどういうふうに都市を豊かにする か、ということ。都市計画だから自転車 だけだとだめだろう、という心理もわか

るが。「ストック」を根源にして説明する のは違う気がする。川口にあるいろんな 資産を自転車をつかって活用していくの だ、くらいの優しい表現が似合う。マス タープランがなくなってしまったが、以 前は有機的な図を書いていた。それの先 を見てほしい。サイクリングが街をどう 豊かにするかがそのマスタープランで示 せるはず。

吉江 タイトルを変えるだけでだいぶ良 くなると思う。「ストック」はキーワード ではない。「新しい価値」をネーミングし ましょう。中心市街地の自転車を減らす という話も盛り込めると良い。荒川から 東京まで繋がる大きなビジョンを捨てな いで欲しい。

益子 前段が丁寧だが単調で伝わりづら いので、タイトル含めて再考が必要。後 半の話をマスタープランと結びつけて話 せると良い。

新津 「人のストック」は印象が悪いので やめましょう。

野田 自転車を介して今上手く使われて いないストックを動かすと解釈したが、 どの提案がどのストックにあたるのかが 分かると良い。ポートについても新設す る場所の説明が欲しい。荒川や芝川も改 善が必要だとは思うから、それが盛り込 まれていると良い。既存資源をもう少し 整理してくれると分かりやすい。

を敷地にしているが具体的に移転してき そうな会社は想定できるのか。この敷地 に建物を作るだけで終わってしまうよう に思える。

矢口 断面図が重要だと思う。いくつか でてきているがどれも魅力的ではない。 すごく難しい敷地だが、こういう提案が できるんです、というのをみせてほしい。 イラストレイティブも今ひとつのように 感じる。

加藤 面白い場所に、丁寧なリサーチ、 そこにハマりそうな提案をしてくれてい る。ただ、水質改善の工業団地の提案と、 あなた達が川口の都市計画に関わるとい うことが、どこかまだ結びついてない。 芝川の住居エリアができることで、今の 暮らしぶりがどのように変わるのか、そ の生活像がどのように変化するのかを描 いてほしい。

吉江 「新宝島」みたいなタイトルでいい。 しかし建築提案にまだ違和感を感じる。 荒川沿いにはブラックボックス化した建 物が並んでいるが、そういうものに対す るアンチテーゼを提案できないか。そう 考えると、この平面図や断面図のボリュー ムはもう少し詰めてみてほしいと感じる。

益子 台本がとてもよく、わかりやすい。 提案と表現の手法が本当にマッチしてい るのか、もう少し考えてほしい。

市川 断面図がイケていない。出島感が なくなったのはよくないと思う。

新津 水質改善工業団地は本意ではない はず。ランドスケープ全体のエコロジー も含めたもの、住共混在の提案であると いうことをしっかり伝えないといけない。 人に着色するだけでも変わる。表現が所々 もったいない。

野田 配置図にはもう少し周辺を含めて 欲しい。全体像も分かりにくいので、模 型があればいいと思った。

後藤 新細長島の絵はすごいなと思った。 タワマンの住民は何を見ているのか。赤 城山か筑波山かあるいは、富士山か。そ うじゃなくてきっと東京を見ている。サ

ンシャインとかスカイツリーとか。この 眼差しに鍵があると思う。現在、研究室 で一都三県の性格を調査していると、東 京都と埼玉県は真逆の性格で、東京に近 づいているのは神奈川で、次に千葉県、 最後に埼玉県。今日の発表会で前半のグ ループは古き良き川口に対する憧れみた いなものを、ヒューマンスケールで提案 したりしているが、最後の方は少し広域 的に提案してくれている。そういう時に、 新旧の「きしみ」みたいのものがここに はある。これをどう評価して現代的に解 釈して、どうデザインに昇華するのかが 問われている。現代社会の批判のような 目で解いてくれると楽しめる。そして市 役所の方には合理的に、民間の方には経 済的に話さないと響かない。それでは住 民の方に対してはというと、あなたの生 活にどのよう役にたつのかとういう話を してほしい。

グループ|かわぐちこどもみまもり団

國廣 子供の満足度を上げて、親子が越 してきたくなる街になるのが川口にとっ てどういうメリットか、行政の人たちの 心を掴むものなのか、そのほかはよくで きていたが、そこが提案の肝になってく る。デメリットまで言わなくていいが、 裏返すと子供っぽくなる街になるかもし れないし、これからどうなるのかという のを自治体側に伝えてほしい。

矢口 ビジョンがどこに書いてあるのか がよくわからなかった。最初に少し書い てあるけど、最後は人づくりになる。ビ ジョンをしっかりいうといい。

加藤 プレボは上手、図も見やすい、タ イトルもいい、2枚目の絵もしっくりく る。いいプレゼンになっているが、若干 上から目線になっている。そこに違和感 を感じる。僕は子供だったら行きたくな いし、子供も育てなくない。しかしきっ とこのタワマンを選んでここで育てたい という人もいる。その両者を考えて、ど うビジョンに結びつけるのかを考えてほ

6新細長島PJ 既存産業
の集積による、環境産業 の先進区育成計画 グループ|細長島
9てくてく!かわぐちこど もていこく みちくさを
通して川口を知る
國廣 産業ラボの話に関して、悪い立地
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しい。

吉江 このチームは今まで指摘されたこ とが全て反映されていて良い。子供に着 目する理由として、それがなんのオルタ ナティブなのかを考えるといい。子供に 代表させて批判させているものは何か。 すでに「住みたい街ランキング」はあるが、 これは大人の評価軸で、子供の都市とい うのは全く違う価値体系をもっている。 最後にフローがあるが、子供の世界と大 人の世界のグラデーションがあると良い と思う。

益子 スキームをみると年間プログラム で従来の小学校での教育とあまり関わり がないようにみえるので、そこを重点的 に詰めてほしい。

市川 僕は以前触れられていた「道草」 が好きだったが、道草は大人が押し付け た道ではない。遊具を計画すれば遊ぶは ずだというのはおかしい、という提案だ と思う。加藤先生のように言われないよ うに、表現を工夫するとよい。

新津 わかりやすかった。子供の選択多 様性を増やすというのは2ページ目で表 現されている。

有賀 再度地元発表するまでにブラッ シュアップすると思うが、自分の提案を 見つめなおす時間にしてほしい。自分た ちの提案が実現するとどうなるか。指標 があると良いが、単純な人口だけでなく 「多様度」のように、独自のパラメーター があると良い。Before-Afterで、どのよう な変化があるかが分かるように工夫して ほしい。

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2022年6月25日

川口メディアセブン プレゼンテーションスタジオ ゲスト:川口市民、川口市商店街連合会、川口市都市整備部、川口緑化センターのみなさま     有賀隆

住民 フキダシのハッケンの提案は、私 も議論をしてきたテーマで、単に残すの ではなく開発と両立して残すのは面白い。 住民の方々が吹き出しをどのように使う のかが気になる。

防と市街を繋げる提案をしました。

グループ|控えめなココロ

フキダシのハッケン 埋 め込められた本町一丁目 らしさと共に暮らす

グループ|こころ

住民 これまでと違って新しい視点での 提案に感動している。私自身も本町一丁 目のまちづくりに関心がありやってきた いから参考にする。いろんな角度から学 生が見ているのは参考になった。

住民 中間発表からずいぶん進化しまし たね。今、まちづくり協議会をつくろう としているのでそこで非常にすごく参考 になる。

川口市 我々も同じ問題意識を持ってい た。参考にさせていただく。ものづくり をテーマにして考えたということで、皆 さんのなかで今後のものづくりに対して どのような議論があったのか。

住民 50年後に残るのかどうかを考えた のかなと思うが、みなさんなりにどうい う風に残るのか知りたい。

——(5班)鋳物産業は斜陽産業で中国な どに工場が移転していってしまっている

が、金山町は鋳物の質に重点を置いてい ると聞いていて、そこにクリエイターと 協働することで日本にしかないものをつ くれるのではないかと考えている。

吉江 新しくくるクリエイターには、ど んな人を想定しているのかを説明してく れるといい。

——(5班)クリエイターはアーティスト と芸術家とエンジニアを含めてものづく りに関心のある人を想定している。

——(4班)新しく入ってきた住民の方々 と昔からの住民の方々の交流だが、私た ちの提案では「招く吹き出し」と題して、 このエリアの外から魅力が分かるような 提案をしている。

——(4班)本町一丁目ならではの魅力を 気に入ってもらえるような空間を目指し ている。小さなスケール感で緩やかに時 間が流れる、それが川口の魅力だと感じ ている。

住民 やる気のある商売人がいないと活 気にならない。そういう商売人をどうやっ て呼ぶのか、そこを教えてほしい。

——(4班)住民の方々と一緒に作ってい るような、そういう工房が近くにあるの は魅力だと感じている。そういう存在が 見えるようになればいいと思った。

——(6班)船の発着場を芝川に造るアイ ディアがあり、芝川に水を流して浄化す るというのは考えていたが、色々あって その案はいつの間にか消えてしまった。 川口市 芝川の水質は良くないが、河川 と親しみを持ってもらおうというのはす ごくいい。ランドスケープの再編につい て、既存の計画の中で、具体的に変えた 方がいいと思ったところはどんなところ か。

——(6班)遊歩道になっているけど、雑 草がすごくて、あまり人が入れなさそう と感じた。植栽を綺麗にした方がいいと 思った。

——(6班)歩いてみて、堤から道路に降 りる道が少ない。歩き始めると草が多く てなかなか歩きたくないと思われるので は。

住民 実際には歩けないよね、草ボーボー だし。蚊に刺されそう。車通るし。結局 上を歩いてしまうよね。

住民 私は逆に歩きます。水鳥がいる。 観察が楽しい。翡翠なんかも見られる。 草取りも買って整備して欲しい。水と近 いし、野鳥もいるから楽しんで欲しい。

吉江 芝川は住民の皆さんにとってとて も大事な場所だということがわかった。

住民 四間道路はしょっちゅう自動車で 通るけど、この計画はこれまで通り自動 車を通すのか。私は通さない方が良いの ではと思う。

グループ|team BLT

住民 川口といえば川との結びつきが強 いが、現在は災害の関係で水と距離感が ある。その中で水と住民を結びつけると いう提案は参考になった。その点では氾 濫、舟運をどのように使うのかが気になっ た。

——(6班)荒川の氾濫については、元々 ある堤防が氾濫を抑制すると考えて、堤

——(7班)時間帯で交通規制をすること も考えたが、人が集まりすぎて良さがな くなってしまうと考えた。

住民 過去の都市計画でつくられた良さ をしっかり考えていて良かった。私自身、 八間道路に路面店を出したことがある。 四間道路は歩いて来れる人、車いすの人、 子育ての人は利用しやすい道なので、家 賃も安く良いと思う。

第1セッション
第2セッション 5金山町と溶融する 住
工混在で拡大する関り しろ
6新細長島PJ 既存産業 の集積による、環境産業 の先進区育成計画
7四間道路の私性がまちを 作り出す 周囲の変化を 緩衝する空間
グループ|細長島
現地最終発表会
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川口市 四件道路はこんなにも歩いて楽 しい、歩きたくなるまちという市役所の 構想の題材にもなるいい道を発見してい た。歩きたくなるまちというと屋根だっ たり、スロープだったり、障害者や車い すの方の利用についても検討したか。

——(7班)バリアフリーの観点では、歩 行者空間という観点で考えたときにポー ルがあった。車が少なく歩行者中心の道 路としては好ましくないと思ったが、四 間道路らしさから考えたときにどうかな と思い、議論で留まってしまった。

——(7班)お店の裏側を回れる道を確保 したりピロティとなっているから雨の日 や日差しが強い日でも大丈夫なように設 計した。

——(8班)小さい子供に対するプロジェ クトで、新規住民がお金を出す想定。定 期的に会合を開いてそれぞれのプロジェ クトに対して住民と一緒にまちづくり会 社が話し合い合意形成していく想定であ る。

住民 まちづくり会社はどのようにして 作られるのか。

——(8班)それについては深く考えられ ていない。

川口市 「Cultivate Life」のグループ提案 は、早速職場に戻って考えたいと思った。 庭暮らしということで、川口は鋳物の街 としては有名ですが、植木という観点は 最近住み始めた人達には殆ど知られてな い。マルシェで認知度を測るためにアン ケートをしたが300人のうち9割近くが 知らなかった。それは逆に、よいマーケッ トを見つけたと思った。新しい人々に緑 の素晴らしさを知ってもらいたい。学生 さんたちの提案をうけて勇気をもらった。

自助、互助、共助として、川口駅周辺を 川口の玄関口としてPRしていきたい。

があれば教えてほしい。

——(2班)軒先園芸、路肩に出している 緑などがむしろ良いのではないかと考え ている。昔ながらの住民の方がやってる ものもあるが、そういうものは人の息遣 いが感じられるのではないかと思う。

住民 「人の想いとか、気持ちとかが入っ ていない緑」に対して問題意識をもって いると理解した。街の路地や庭空間に設 置した緑がが思い浮かんだので、学生の 皆さんもそういうものを思ったのかなと 感じていた。

吉江 この大通りを計画の対象に選んだ のは、斜めに走っているために三角形の ちいさな空間が通り沿いにたくさんでき ているから、それを小さな庭として使え るのではないかと考えたのが、この提案 のはじまりだった。

グループ|RIVER□LOVERs

Cultivate-Life 本町大通 りからはじまる暮らしの ニワづくり

グループ|チームあんぎょう

住民 「十の節」のグループの福祉セン ターの説明の中で訂正をした方がいいん じゃないかという話がありました。工場 長の邸宅という説明になっていたが、昔 から住んでいる私たちとしては鋳物問屋 の邸宅だった。工場長の邸宅という表現 はふさわしくないかなと。あと当時鋳物 の問屋がたくさんあったが、卸問屋、こ れが一番儲かった。鋳物工場は問屋に牛 耳られていた。私は鋳物問屋の邸宅であっ たと理解しております。

住民 いろんなアイデアがあって共感で きる部分があったが、具体的に誰がどん な資金でやるのかわからなかったので、 それについて考えていたら教えていただ きたい。

住民 大通りの歩行性の悪さとは具体的 にどんなものでしょうか?

——(2班)歩行性の悪さというよりも、 歩きたいと思わない道ということです。 通っている人も少ない、広くて綺麗なの にもったいない。

住民 それは、吸引力となる魅力がない ということか?

——(2班)大通りが出来る前は南北には 魅力的なものがあったが、大通りにはそ うしたものがあまりなかった。

住民 人の気配がない緑化整備とは?逆 に人の気配がある緑化整備とはどんなも のを想定しているのか?

——(2班)誰の緑なのかが今は分からな い。公的に整備された誰のものでもない 緑ではなく、「共の緑」のようなものをつ くりたいと思っている。

住民 具体的に、人がいる緑だというの

自転車で資源循環型の 都市を創る

グループ|なんたいどうぶつ

きっかけから繋ぎ合わせ る人 商 場 商店街から 街の未来を考える

グループ|太陽神アリオ

グループ|かわぐちこどもみまもり団

川口市 まちづくり行政3年目だが、シェ アサイクルは1年目からはじまった。現 状の使い方では商店街を通過しないとい う現状が確かにある。そのため樹モール までシェアサイクルを使ったうえで敢え て歩かせるなどの工夫で取り組みたいと 思っている。新旧入り混じる住民に対し て、どう合意プロセスを踏むのかを知り たい。あとは、街路は滞在空間だけでな

第3セッション
8十の節 移ろいゆく住民 を学びで繋ぎ、川口の文 化を遺伝させる
9てくてく!かわぐちこど もていこく みちくさを 通して川口を知る
第4セッション
75

く通行の空間でもあるので、こういった 使い方をしても人と車が分離できるかと いうことについて具対的なアイディアを 聞きたい。

——(1班)新しい住民の方との交流は、 休憩所に自転車のポートをつけることで 人が集まる仕掛けを作り、人がだんだん 集まるようになると考えている。

——(1班)主に市役所通りと本町大通り を電車と車の通り道にして、コミュニティ 通りや八間通りを歩行者のコミュニティ の空間にしようと考えている。自転車な どは市役所前や本町大通りで、コミュニ ティ通りでは自転車は押して歩く空間を 作りたい。

住民 「きっかけから繋ぎ合わせる」のグ ループについて。商店街は日中5000 人くらいが通行していて、通勤通学を含 めると1万人くらい通行している。まだ まだポテンシャルがあるうちにこのよう な提案を踏まえて取り組んでいくと非常 にいい。

住民 「こどもていこく」の提案は、非常 に勉強になった。子供も一人の人間とし て意見を考えなきゃいけないと思った。 感銘を受けました。

住民 極めて有効だろう。子供だけじゃ なくて、高齢者が歩いてどこかへ行くと いうのは重要なんだろうと思う。大通り が歩きたくないというのは、私も外から 来ているので分かる。大通りを通らずに 中に入って細い路地を入ってくるほうが 川口らしさを感じられる。大通りの状況 を変えるのは大きな方法なんじゃないか。 緑を活用するなども一つの方法。そうい う方法を考えればよいと思う。 もう一つ、川口は鋳物のまちということ で、パブリックアートを設置するという のもあるんじゃないかと思う。それから 大通りを通った時に真面目に歩いて10分 かかるからその際にベンチとかを置くと いい。人が憩えるようなスペースという 案がなかったのが残念。

住民 いろいろアイデアいただいたが、 防火、防犯、防災が基本的な重要なこと。 それがなかったのは問題の一つとして指

摘したい。そこがどうして抜けたのかと いうことを聞きたい。

吉江 学生たちはまちの弱点への対策を メインにするのではなく、街のいいとこ ろを伸ばしてくれたように思う。ただ、 弱点への対応はいずれのチームも副次的 に扱っている。子供のチームでは、防犯 や車の安全性について提案されている。

有賀 川口は個性を持った街だったが、 80年代から開発が進んできて、いろんな ものが重なる街になっている。これまで 蓄積されてきたものを踏まえてどういう ヒントや魅力があるかを探し、挑戦した ので難易度が高い課題であった。短時間 で勉強不足だが可能性の提案はみせてく れた。鋳物に対してネガティブな印象が あった時代もあったが、今はそんな人だ けじゃなく多様な人が暮らしている。9 つのグループの提案は、切り口や見方の 視点は様々だった。これらは共通して、 新しい川口の個性や特徴を、蓄積を踏ま えながら重ねていくという方向性を示し ていたと思う。

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指導教員

矢口 哲也  (早稲田大学理工学術院教授)

市川 均   (早稲田大学非常勤講師・アーキネットデザイン合同会社代表)

加藤 詞史  (早稲田大学非常勤講師・株式会社 加藤建築設計事務所代表取締役)

國廣 純子  (早稲田大学非常勤講師・青梅市・五日市タウンマネージャー)

野田 明宏  (早稲田大学非常勤講師・LLC住まい・まちづくりデザインワークス代表)

新津 瞬    (早稲田大学非常勤講師・有限会社ハートビートプラン ディレクター)

吉江 俊   (早稲田大学理工学術院講師)

益子 智之  (早稲田大学理工学術院助教)

ティーチング・アシスタント

沢藤 嶺       (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

鈴木 翔太郎     (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

唐木 雄太郎     (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

家銘       (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

尾鷲 和希     (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

富永 悠暉     (早稲田大学大学院創造理工学研究科)

受講生(以下、早稲田大学創造理工学部建築学科)

荒井梨緒

伊藤真優 糸賀大介

池上恵美 岩渕はる菜

大川彩音

大塩輝

岡野元祐 岡部寛大

各務弓太

加賀谷唯

協力

掛田巧

梶谷菜々美

川部浩輝

近藤樹生

近藤智貴

清水雄大

菅澤由衣

鈴木孝之

隅田開

高柳綾香

竹田史織

辻竜太

寺澤尚己

林泰地

福本史織

堀内葉菜

堀悠華子

真坂将平

矢野滉希

山岡実菜

山田航大

横山魁度

吉田絵理奈

若松南海

川口市民、川口市商店街連合会、川口市都市整備部、川口緑化センターのみなさま 本演習授業では、以上のみなさまにお世話になりました。記して御礼申し上げます。

発行:早稲田大学創造理工学部建築学科  2022年12月 (冊子編集:吉江俊)

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