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2月になると、店頭にはいっせいに、バレンタイン用のチョコや赤い ハート形のグッズが並びます。私が子どもだった頃は、バレンタイン は女の子が好きな男の子に告白する日という、とても限定された行事 でした。でも今では、恋人や好きな人にだけではなく、友だちや、い つもお世話になっている人、職場の人などにもチョコをあげて好意や感 謝を示すという風潮が強くなっているようです。 こんなふうに変わってきた最初の頃、 「友チョコ」とか「義理チョ コ」などという言葉も出て来て、何となくバレンタインの意味が薄れ てしまったような気がしました。でも今は、たくさんの人に愛や感謝 の気持ちを伝えるチャンスがあるのはいいことだと思うようになりま した。 日本には、お中元やお歳暮という形で、お世話になっている人にギ フトを贈る習慣はありますが、それはどちらかというと、個人に宛て てというより、親戚のつながりや、仕事関係での挨拶のようなもので す。それに比べると、バレンタインの贈りものは、個人から個人への ものです。誰だって、自分に好意や感謝の気持ちを抱いてくれている 人がいると知るのは嬉しいことでしょう。 バレンタイン以外にも愛や感謝を伝えるチャンスはたくさんあると 思いますが、欧米と比べると、日本人は自分の気持ちを相手に伝える ことに遠慮がちで、ストレートに告げる代わりに、さりげない優しさ や思いやりという形で表そうとすることが多いようです。私はそんな 日本の文化が大好きですが、でも同時に、気持ちをはっきり伝えない ために残念なことになっている場合もあると思います。 物事の感じ方や受け取め方は人それぞれなので、 「相手は分かって いるはず」などと思っていても、まったく伝わっていないこともあり ます。特に身近な人同士では、お互い良く知っているから言わなくて も分かるだろうと考えがちですが、具体的に口で表現しないと、ちゃ んと相手に伝わらないことも多いのです。 欧米では、 夫婦でも友だちでも、 また親子間でも、 頻繁に「アイ・ラブ・ ユー!」という言葉を発します。直訳すると「愛してるよ!」となり、 日本ではなかなかそういう言葉は口にしませんが、それに代わる言葉 で愛を伝えているかというと、そうでもないようです。どうやら日本 では、相手に対する愛を言葉にしないまま過ごしていることが多いの ではないでしょうか。 長年連れ添った仲の良い夫婦でも、 「愛しているよ」などと言うの は気恥ずかしいことでしょう。でも時には、相手が、自分への愛をはっ きりと表現してほしいと願っている場合もあるかもしれません。また、 親子や兄弟で、本当は大好きなのに、気持ちとは裏腹に、どういうわ けか口を開くと、つい意地悪な言葉や非難めいた言葉が出てきてしま う場合もあります。そういう人にとって、相手に優しい言葉をかけた り、愛や好意を伝えるのは、とてもぎこちないことなのでしょう。 でも、人の明日は保証されてはいません。愛している家族や友人に、 その愛を十分に伝えないまま、会えなくなってしまうこともあります。 後になって、もっと愛や感謝を伝えておけばよかったと後悔すること がないように、相手が目の前にいるうちに素直に気持ちを伝えるよう
築紫 裕子
にしたいものです。十代だった頃に読んで、私の生 き方に大きく影響を与えたこんな言葉があります。 「鐘は鳴らすまでは鐘ではない。 歌は歌うまでは歌ではない。 そして心のなかの愛は、 そこにとどめておくためにあるのではない。 愛は与えるまで、愛ではない。 」
大きな愛の
愛は最良の
これは、 「ドレミの歌」で有名な「サウンド・オブ・愛はどのよ ミュージック」というミュージカルの中で歌われてる手がある いる『もうすぐ 17 才(リプライズ) 』という曲のある。悲嘆 イントロ部分の言葉ですが、 「心のなかの愛はそこく耳がある
にとどめておくためにあるのではない」という部分 を読んで、私は目が開かれた思いでした。そしても 愛とは、誰 う一つ、私の行動の原動力となった詩があります。 「まだ落ちていない、小さな雨のしずく、 そのしずくは、 自分など小さくて取るに足らないと考える。 でも、どこかで、 渇いた一本の花が、その一滴を待っている。
人生は短い -- アンリ
人と会う時 は、愛の第
まだ語られていない、ちょっとした一言。 口に出すほどのことには思えないかもしれない。 愛すること -でも、どこかで、一つの心が、 その一言を聞くことを願って、 人生を振り 祈っているかもしれない。」 した時だと -- ヘレン・T・アリソン
-- ヘ
この詩を読んで以来、私はもっと、人に対して積生きること 極的に接するようになりました。相手がどんな反応を愛すること 示すか分からない時に、言葉をかけたり、何かを渡理解するこ したりするのには勇気がいります。でも、誰かが愛赦すことは と感謝の言葉を待っているかもしれないと思うなら、赦されるこ 一歩踏み出す勇気が湧いてきます。そして、確かに 「すべての人に必要なのは愛」なのです。 愛は、人間にとって最大のテーマです。多くの芸術理解される 作品や音楽が、様々な形で愛を表現しています。愛とことを求め は、人間の最大の関心事であり、また、生きる上で 欠かせないものなのだと思います。どんなにお金が あっても、豪華な大邸宅に住んでいても、美味しい愛する喜び 食事をお腹一杯食べることができても、好きな場所 で好きなことができても、愛がないなら、何か物足 りない感じがします。