912:2本のオール

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築紫 裕子

息子がまだ小さかった頃、家族三人でよく公園に出

かけたものです。貸しボートがあるところでは、手漕 ぎボートに乗るのも好きでした。

はじめて三人でボートに乗った時のことはよく覚え

ています。私はそれまで自分でボートを漕いだ経験が

なかったので、ぜひやってみたいと思いました。もち ろん息子も漕ぎたくてたまりません。そこで、交代で漕

ぐことにし、まずは私からやってみることになりました。 私がオールを握る場所に座り、主人と息子は私の向

を見ながら、私と息子のどちらがもっと力を入れる必 要があるかを指示してくれます。そして、曲がらなけれ

ばならない時や、U ターンしたい時には、どちらが漕 ぐのをやめたらいいかなどを教えてくれました。

私と息子が漕ぐことに疲れると、今度は主人が一人

で漕ぐ番です。さすがに主人は、上手にボートを操り、 私たちはのんびりと景色を楽しむことができました。

今でもボートに乗ると、この最初のボート体験を思

かい側に腰を下ろしました。初めての挑戦で張り切っ

い出すのですが、それに加えて、もう一つ思い出すこ

ん。まっすぐ行こうとしても、すぐにぐるぐる回転して

仰とは、二本のオールを使って舟を漕ぐようなものだ」

て漕ぎ出したのですが、なかなか思うように進みませ しまうのです。

主人に、 「右と左を同じ力で漕がないと回転しちゃ

とがあります。それは、ある牧師が語っていた、 「信 という話です。

一本のオールを「祈り」 、もう一本を「行動」にた

うよ」と言われて頑張るのですが、なかなかうまくい

とえているのですが、その二本のオールの両方がしっ

くて、水のかき具合にどうしても差が出てしまうよう

し、ただ祈るだけで行動が伴わないならば、または、

きません。どうやら、私の腕の力の左右の違いが大き です。

それを見ていてしびれを切らした息子が、「ママ、下

手くそだから僕がこぐ!」と声をあげました。でも、息

子もまだ幼くて一人で左右のオールを漕ぐのは難しそ

うだったので、私と息子が一本ずつオールを漕ぐことに うだった うだ ったので った ので、私 ので 、私と息 、私 と息子が と息 子が一本 子が 一本ずつ 一本 ずつオー ずつ オールを オー ルを漕ぐ ルを 漕ぐこと 漕ぐ ことに こと に なりました。 なりまし なり ました。 まし た。

私たちの正面には主人が座って、ボートの進み具合 私たち 私 たちの正 の正面に 面には主 は主人が は主 人が座っ 人が 座って、 座っ て、ボー ボートの ボー トの進み 進み具合 進み 具合

かり働かないと、物事は前進しないというのです。も

がむしゃらに動き回っていても、祈らずに行動してい

るならば、片方のオールだけで舟を漕いでいるような もので、ぐるぐる回転するだけでどこにも到達しませ ん。つまり、そのような片方だけの信仰では結果を得 ることができないのです。 ることが るこ とができ とが できない でき ないので ない のです。 ので す。

ボートでそれを実際に経験した私は、その話が手に ボート ボ ートでそ ート でそれを でそ れを実際 れを 実際に経 実際 に経験し に経 験した私 験し た私は、 た私 は、その は、 その話が その 話が手に 話が 手に

取るようによく理解できました。あんなに一生懸命漕 取るよう 取る ようによ によく理 く理解で 解できま 解で きました した。あ 。あんな んなに一 に一生懸 生懸命漕 生懸 命漕


いでも、左右のバランスが悪いと、全然思うように進 まなかったからです。

祈りと行動の両方が必要ということについて、た

とえば、家庭やグループ内での人間関係がぎくしゃ

くしているとしましょう。そんな時には、その不和が

解消するようにと祈ります。でも、ただ祈るだけで、 自分にできることを何もしないのであれば、ぎくしゃ くした関係が 改善しなかったとしても不思議ではあり ません。

神様は、祈ればいろいろな面で助けてくださいます

うなことをするなど、関係改善に向けて行動すること も大切です。

聖書には「平和をつくり出す人たちは、さいわいで

ある、彼らは神の子と呼ばれるであろう」 (マタイ 5 : 9) という言葉がありますが、それは、平和を祈るだけで

はなく、自分自身が 平和をもたらす人となることにつ いて書かれています。つまり、祈るだけではなく、祈

りに込めた思いを何らかの形で行動に移すなら「幸い」 となるのです。

こういうことは、信仰に関してだけではなく、普段

が、たいていは私たちにも何かすべきことを示されま

の生活のあらゆる面で言えることです。たとえば、ど

も、なかなか問題が解消しないこともあるのです。

ら何も起こりませんし、逆に無計画な行動ばかりでは

す。でも、示されたことを実行しないならば、祈って もっと収入が必要ですと祈り続けても、仕事を探す

とか、今の仕事からの収入を増やす工夫をするとか、 何らかの努力をしないのであれば、状況はあまり変わ

んなに良い計画を立てても、それを行動に移さないな

良い結果につながらない、というように、 「計画」と「行 動」も、その両方が必要です。

また、何かを向上させたい、または、夢を叶えたい

らないのではないでしょうか。

と思って、そのことについて熱心に本を読んだり、セ

にと祈っていても、するべきだと知っている健康的な

践しないならば物事は変わりませんし、夢の実現も難

健康についても同じです。もっと健康になれるよう

生活を実践しないならば、行動の伴わない祈りになっ てしまいます。

そのことについて、聖書にもこんな言葉があります。

「ああ、愚かな人よ。

行いを伴わない信仰のむなしいことを知りたいのか。 霊魂のないからだが 死んだものであると同様に、 行いのない信仰も死んだものなのである。 」

-- 聖書 ヤコブ 2 章 20、26 節

それでは、 「祈り」と「行動」 、どのようにしたらい

いのでしょうか。まずは、ボートのオールを漕

ミナーに参加したりしても、そこから学んだことを実 しいことでしょう。

ゲーテも「知ることだけでは充分ではない、それを

使わないといけない。やる気だけでは充分ではない、 実行しないといけない」と語っていますが、多くの事 は、吸収することと、吸収したことを実践し活用する

ことの両方がバランスよくできて初めて効果を上げ、 前進することが できるのではないでしょうか。

さて、こう言うと、自分はバランスを取りながら両

方することなんかできない、と感じてしまう人もいる

かもしれませんね。私も最初にボートを漕いだ時には、 なかなか両方のオールをうまく漕ぐことはでき

ぐように、両方をする必要があると認識

ず、自分には無理だと諦めそうになりま

し、それを実行することです。そし

した。でも、練習を重ねる内に、だ

て、祈っている事柄について神

んだんうまく漕げるようになった

様が 示してくださったことや 、

のです。

自分が すべきだとわかってい

人生も同じです。 最初は、

ることを実行すればいいので

どちらか 一 方に力が入り過ぎ

す。

て、同じところをぐるぐる回っ

先ほど例にあげたように、家

てしまったり、 進み方がジグザ

庭やグループ内での関係が ぎく

グになってしまったりするかもしれ

しゃくしているなら、共に過ごす場が

もっと和気藹々とした雰囲気になるよう祈る

だけでなく、お互いにより深いコミュニケーションを

取るよう一歩踏み出してみるとか、一緒に楽しめるよ

ませんが、それでもやり続けるなら、

だんだんバランスがとれるようになります。

二本のオールを上手に使いこなして、願う方向に進め るようになりましょう!

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