アサヒ・アートスクエア オープン・スクエア・プロジェクト 2014
Asahi Art Square Open Square Project 2014
アサヒ・アートスクエアは 2011 年より、毎年 1 名のアーティストやキュレーター、ディレクターを迎え、アサヒ・アートスクエアのユニークな空 間の発信を目指す「 オープン・スクエア・プロジェクト」を開催しています。本プロジェクトのテーマは<空間の実験>。高さ6m 、総面積約
260 ㎡のメインフロアを中心に、アサヒ・アートスクエアの空間と対峙し、その魅力を引き出すことでこれまでにない体験をつくりだす、スケー ルの大きな作品や企画を発表しています。
3 回目となる今回は、インディペンデント・キュレーターの水田紗弥子を公募で選出し、展覧会「 Alterspace ─ 変化する、仮設のアートスペー ス」を開催します。水田はこれまで組織や機関に所属しないインディペンデントな立場を生かして、既存のアートのシステムや制度を問い直 すような、展覧会を企画、開催してきました。ギャラリーなどの用意された展示空間だけでなく、銭湯や古本屋、洋服店など、日常空間を展示 空間に変容させることで、あらためて「 展覧会とは何か 」、 「アーティストの作品を体験するとは何か」と、キュレーターの役割の可能性を探求
Alterspace
変化する、仮 設のアートスペース Constantly Changing Temporar y Art Space
してきたのです。近年はアート専門のインターネット放送局「 comos-tv 」の創設に参加し、同時代のアートに関わる様々な人々との対話を重 ね、 また韓国のアーティスト、オルタナティブ・スペースの実践のリサーチを続けるなど、 その視野を国内だけでなく東アジアにも広げてきました。 今回水田はそうしたこれまでの実践と調査をふまえ、アサヒ・アートスクエアに期間限定のアートスペース「 Alterspace[オルタースペース]」 を創出します。このスペースは、会期終了後の継続展開も視野に入れ、 「 一時的 」で、 「 仮設 」的に組み立てられるものです。これは、特定の場 を持たないインディペンデント・キュレーターが、議論や実験を継続的に実践するためのプラットフォームであり、水田が提示するキュレーター の新たな活動モデルとも言えるでしょう。
会場では、実験的な展覧会を行っている日本、中国、韓国のグループやアーティストの紹介、日中韓のアーティストの作品展示、 トークイベン トやワークショップなど、様々なアクティビティを日々展開していきます。総勢 20 名を越えるアーティストの展示作品によって構成された空
間を舞台に、多彩な実践を継続的に展開することで、会期中、アサヒ・アートスクエアは様々な表情をみせながら変化していく、Alter( 変 化する )space( 場) となっていきます。一人のキュレーターが積極的に周囲に働きかけ、ネットワークを組み、人を巻き込み、実験の場に変え て行く。アサヒ・アートスクエアは東アジアの多様な文化が交差するハブとなり、対話、興奮、議論、そして創造的な相互の交流が生まれるこ とでしょう。このダイナミックなプロセスから新たな芸術活動を生み出していく 「 Alterspace[オルタースペース]」をじっくりとお楽しみください。
Alterspace ( オルタースペース)の実践
言葉ではいくらでも拡げていくことができるアイディア、歩いているときに思いつく一瞬の閃きや、会話のなかで膨らんで行く夢想を、 どう実践できるのか。そ れを試すことを許してくれたのがアサヒ・アートスクエアでした。私は、約1年をかけて、 いろいろなところにでかけていき、たくさんの人との会話から、言葉によっ という存在しない架空の空間を拡張していきました。 て「オルタースペース」
実際の空間が作り出されるまで、たくさんのアイディアがこぼれ落ちたり、膨らんだ妄想が潰れてしまったものもあります。でもそれらはいつかこの架空の公 園のような、移動式サーカスのような、四次元ポケットのような、 この 「オルタースペース」で実現できるはずです。このプロジェクトは、会期のはじまる前から、徐々 に始まっていました。そして会期の終わった後も移動と寄生を繰り返し、時には誰かの家で、誰かのカバンの中で、時には海を越えて、時には紙の上で「オルター その場そのものに変化をもたらし、去って行きます。そこには何かの変化が残るはずで、 そういう意味をこめ、Alter( 変化する ) スペース」がさまざまな場に接続し、
space( 場)と名付けました。
この発明の素晴らしいところは、アートスペースを誰でもすぐに始めることができるところです。オルタースペースの第一回目は、私自身の展覧会の試み、中 村土光による日替わりの展覧会、近藤恵介の12ヶ月のための絵画という作家自身による新しい展示形式の試み、永岡大輔の言葉による試み、東アジアから ゲストを招きトークイベントや対話を行うという盛りだくさんな内容になりました。
は杉の木を700 本も植えたら良いと思いつき、実際にみんなに笑われながら杉の木を植えます。虔十は、 宮沢賢治の「虔十公園林」のなかで、虔十(けんじゅう)
「雨の中の青い藪を見てはよろこんで目をパチパチさせ青ぞらをどこまでも翔けて行く鷹を見付けてははねあがって手をたゝいてみんなに知らせ」るのですが、 そんな自然の美しさに思わず笑みがこぼれてしまう虔十を子供たちがばかにするので、はあはあと息だけついて笑いをごまかしています。 ここで私は思うのですが、虔十が自然と対峙し、 その素晴らしさをにやにやと笑ってしまい、 それをどんなに馬鹿にされても、杉の木を700 本も植えるまでの実 践があるということです。独自の方法で物の本質に向き合い、思考を重ね、真摯に実践に向き合う姿は、例えそれが人に馬鹿にされ、笑われてもとてもすがす そして杉の木が育たずに枝を切ってしまってもなお、子供たちの遊び場となる がしい。オルタースペースの実践は、700 本の杉の木を植える大胆さと真摯さ、 ような、多層的な意味を含む実践の場にしたい。
水田紗弥子
2014 年 1月11日[土]2月2日[日] アサヒ・アートスクエア 開館時間:15:00-21:30 休館日:火曜日、1月26日 [ 日 ] 料金:入場無料 、イベント時は募金制
[オープン・スクエア・プロジェクトとは] 本プロジェクトのテーマは<空 間の実 験>。毎 年 1 名のアーティストやキュレーター、ディレクターを迎え、アサヒ・アートスクエアのユニーク
キュレーション:水田紗弥子
な空 間の発 信を目指します。高さ6m 、総 面 積 約 260 ㎡のメインフロアを中心に、アサヒ・アートスクエアの空 間と対 峙し、その魅力を引き出す
主催:アサヒ・アートスクエア、Alterspace 実行委員会
ことでこれまでにない体 験をつくりだす、スケールの大きな作 品や企画を発表しています。3 回目となる今回は、インディペンデント・キュレーター
協賛:アサヒビール株式会社
の水田紗 弥 子を公 募で選出。展 覧 会「 Alterspace ─ 変 化する、仮設のアートスペース」を開催します。